わか りや すい 機 械 教 室
油圧 の基礎と応用 高橋 徹 著
東京電機大学出版局
本 書 の 全 部 ま たは 一部 を無 断 で複 写 複 製(コ ピ ー)す る こ とは,著 作 権 法 上 で の 例外 を除 き,禁 ...
46 downloads
911 Views
26MB Size
Report
This content was uploaded by our users and we assume good faith they have the permission to share this book. If you own the copyright to this book and it is wrongfully on our website, we offer a simple DMCA procedure to remove your content from our site. Start by pressing the button below!
Report copyright / DMCA form
わか りや すい 機 械 教 室
油圧 の基礎と応用 高橋 徹 著
東京電機大学出版局
本 書 の 全 部 ま たは 一部 を無 断 で複 写 複 製(コ ピ ー)す る こ とは,著 作 権 法 上 で の 例外 を除 き,禁 じ られ て い ます 。 小局 は,著 者か ら複 写 に係 る 権 利 の 管 理 につ き委託 を受 けて い ます の で,本 書 か らの複 写 を 希望 され る場 合 は,必 ず 小 局(03-5280-3422)宛 ご連 絡 くだ さい 。
ま え が き 油 圧機 器 の 基 本 的 な 原 理 ・構 造,機 能 に関 す る着 想 は,16世
紀 ご ろ一 般 産
業 機 械 の発 達 と と もに 明 らか に な り,ロ ー タ リポ ンプ,歯 車 ポ ンプ な どの考 え 方 が示 され た とい わ れ る。 そ の 後,18世
紀 か ら19世 紀 初 頭 にか けて ス ク リュー
ポ ンプ,ロ ー タ リポ ン プ,ピ ス ト ンポ ンプ な どが 考 案 され た。 戦 中時 代 は,戦 艦,航 空 機,戦 車 な どの特 殊 機 能 部 品 と して わず か に製 造 さ れ て い た よ うだが,実 際 に工 業 的 に利 用 され る よ う に な っ たの は,戦 後で あ る。 欧 米 諸 外 国 との 技 術 交 流 が盛 ん に な るに した が って,油 圧 機 器 の 重 要 性 が 認 識 され る よ う にな り,生 産 台 数 も上 昇 の一 途 を た ど って い る。 油 圧 技 術 は簡 単 な操 作 で 比 較 的 高 出力(低
出力 は空 気圧)の
自動 化,省
力化
の分 野 で一 般 の産 業機 械 だ けで な く,自 動 ドア,油 圧 エ レベ ー タ,油 圧 ジ ャ ッ キ な ど身 近 な もの に まで広 く普 及 して い る。 これ らの油 圧 機 器 は,電 気 制 御 機 器 と組 み合 せ た 自動 化 へ の 担 い手 と して,省 力 化,省
エ ネ ル ギ ー化 を い っそ う
発 展 させ て行 くに違 い な い。 こ の た び,非 才 を知 りな が ら油圧 の基 礎 と応 用 にっ いて の専 門 書 をか く機 会 を与 え られ た。 油 圧 機 器 を製 造 販 売 す る メー カ ー,こ れ らを 購 入 して 機 械 あ る い は装 置 の 一 部 品 と して い る と ころ は,社 員 の教 育 用 や ユ ーザ へ の 技 術 講 習 会 用 に 独 自の 教 材 を 使 用 して い る と こ ろが 多 い。 私 は これ らの教 材 を 油圧 にた ず さわ る ごく限 られ た人 たちへ の企 業 内 教 育 用 だ け で な く,高 校 か ら専 門 学 校,大 学 ま で の学 生 や,初
・中 堅 技 術 を 対 象 と した専 門 書 と して 出版 したい と考 え た。
そ こで,こ の こ とを(社)日 本 油 空 圧 工 業 会 を は じめ 油 圧機 器 製 造 の 各 社 に相 談 した と ころ,理 解 を示 され 許可 して 下 さ っ た。 本 書 は こ のよ うに各 社 の教材, 力 タ ロ グ な ど を もと に して,内 容 は私 な りに 精 選 した もの で あ る。 執 筆 に あ た って は,次 の よ うな こ とに留 意 した。 ○ 油 圧 を理 解 す る に は,計 算 問題 を多 く解 く こ とで あ る。 そ こで,第 と第 5章[5]項
に は例 題 と問 題 を あ げ た。
2章
○ 単 位 は国 際単 位 系(SI)に
した が った。
○ 機 器 の構 造 と作 動 原理 を 理 解 しや す くす る た め に,多
くの図,表
を取 り
入 れ た。 最 後 に な った が,学 生 や 初 ・中 堅 技 術 者 に好 評 な 「わか りや す い機 械 教 室 〕 シ リー ズ に 「空 気 圧 の基 礎 と応 用 」 と本 書 を 加 え て 下 さ った東 京 電 機 大 学 出 版 局 と特 に労 を と って 下 さ った 石 沢 岳 彦 氏,な
らび に多 くの教 材,カ
タ ログ を提
供 して下 さ った油 圧 機器 製 造 会 社 名 を巻 末 に あ げ,紙 上 を借 りて厚 く御 礼 を 申 し上 げ ま す。 1997年 2月
高橋
徹
も く じ 1.油 圧 の 概 要
2.油
3.油
4.油
圧 の 基 礎
圧 作 動 油
圧 ポ ン プ
1・1油
圧 ユ ニ ッ トの概 要
1
1・2油
圧 の 特 徴
4
1・3油
圧 と空 気 圧 の 比 較
4
1・4油
圧 回 路 と電 気 回 路
6
2・1圧
力 の 強 さ
8
2・2パ
ス カル の 原 理
11
2・3圧
力 の利 用
11
2・4圧
力 と仕 事
13
2・5連
続 の 式
17
2・6ベ
ル ヌ ーイ の 式
19
2・7層
流 と乱 流
22
2・8管
路 の エ ネ ル ギ ー損 失
23
2・9絞
り
27
2・10油
圧 特 有 現 象
30
3・1作
動 油 の 機能 と条 件
34
3・2作
動 油 の 分 類
35
3・3作
動 油 の特 性
37
4・1油
圧 ポ ンプ の 概 要
46
4.2歯
車 ポ ンプ
51
4・3べ
ー ンポ ン プ
57
4・4ピ
ス ト ンポ ンプ
60
4・5ス
ク リュ ー ポ ンプ
64
5.油
圧
6.油
ア ク チ ュ エ ー タ 5・1油
圧 制 御 弁
7.油 圧 ユ ニ ッ トの その他の部分
圧 モ ー タ
65
5・2油
圧 シ リ ン ダ
74
6・1油
圧 制 御 弁 の 機 能
95
6・2圧
力 制 御 弁
95
6・3流
量 制 御 弁
104
6・4方
向 制 御 弁
108
6・5モ
ジ ュ ラ ー 弁
119
6・6ロ
ジ ッ ク 弁
120
6・7比
例 電 磁 式 制 御 弁
121
6・8サ
ー ボ 弁
123
キ ュ ム レ ー タ
127
7・2フ
ィ ル タ
132
7・3油
冷 却 器
135
7・4油
タ ン ク
136
7・1ア
7・5管,管
8.油 圧 用 図 記号 と 基 本油圧回路
9.電 気 ・油 圧 シー ケ ンス制 御
10.油
圧 ユニ ッ ト
の応用
継 手
138
8・1油
圧 用 図 記 号
146
8・2基
本 油 圧 回 路
150
な 電 気 制 御 機 器
162
ー ケ ン ス 制 御 の 基 本
167
作 機 械 の 例
176
10・2油
圧 プ レ ス の 例
179
10・3プ
ラ ス チ ッ ク 射 出 成 形 機 の 例
181
10・4自
動 車 ・車 両 ・橋 梁 構 造 物 の 例
185
9・1主 9・2シ
10・1工
付
10・5建
建設 車 両
10・6農
農業 機 械
10・7そ
そ の 他 の 例
・産 業 車 両 の 例 の 例
195 197 198
表
205
参 考 文 献
212
索
213
引
1
油圧 の概要 1・1油
圧 ユ ニ ッ トの 概 要
私 た ち が通 常 見 か け る ブ ル ドー ザ,油 圧 シ ョベ ル,ク
レー ンな ど の建 設 車 両
は,油 圧 を利 用 して レバ ー 1本 を動 か す こ とによ り,あ の重 い ブ レー ドやバ ケ ッ トを 動 か して,掘 削,積 込 み,重 量 物 の揚 げ下 げ を行 って い る。 ま た生 産 現 場 に お け る油 圧 を利 用 したNC工
作 機 械 な ど は,省 力 化,省
エ ネ ルギ ー化 の 担 い
手 と して 各 種 の 自動 化 に活 躍 して い る。 これ らの仕 事 を 行 う に は,い ろい ろな 油圧 機器 と付 属 機 器 を組 み 合 わ せ て 1 っ の ユ ニ ッ ト(装 置)と
して使 わ れ る。
〔1〕 油 圧 ユ ニ ッ トの 構 成 要 素 油 圧 ユ ニ ッ トの構 成 は,流 体 の エ ネ ル ギ ー発 生 源 で あ る油 圧 ポ ンプか ら送 り 出 さ れ た高 圧 の油 圧 作 動 油 を油 圧 制 御 弁 で圧 力,流 量,方 向 を 制 御 して 油 圧 ア ク チ ュ エ ー タに送 る。 こ こで流 体 の エ ネ ル ギ ー は,機 械 的 エ ネ ル ギ ー に変 換 さ れ て 負 荷 を動 か し,実 際 に仕 事 をす る。 す な わ ち,基 本 的制 御 は次 の 3つ にな る。 ①
圧 力 の制 御(圧 力 制 御 弁):仕 事(力)の
大 き さを決 め る。
②
流 量 の 制 御(流 量制 御 弁):仕
事(力)の
速 さ を決 め る。
②
方 向 の 制 御(方 向制 御 弁):仕
事(力)の
方 向 を決 め る。
油 圧 ア クチ ュ エ ー タ に送 られ た油 は,再 び 制御 弁 を 通 って作 動 油 タ ン クに戻 され 1つ の サ イ ク ル を終 わ る。 この よ う に油 圧 ユ ニ ッ トは,連 続 的 な 流 動 体 で あ る作 動 油 を 用 い るの で,そ の制 御 は容 易 で あ る と同 時 に,作 動 油 が非 圧 縮 性
で あ る こ とや,潤 滑 性 に優 れ て い る こ とが油 圧 ユ ニ ッ トの特 徴 で もあ る。 以 上 の よ うに油 圧 ユ ニ ッ トは,一 般 的 に次 の よ うな基 本 的 な 要 素 に よ って構 成 され て い る。 ①
油圧 ポ ンプ
②
油圧制御弁
③
油 圧 ア クチ ュ エー タ
④
油 タンク
⑤
配 管 そ の他 の 付属 機 器
これ ら要 素 の 関係 を表 した もの が,次 の 図1・1で あ る。
図1・1油
〔2〕
圧 ユ ニ ッ トの 構 成 例
要 素 機 器 の概 要
(a) 油 圧 ポ ン プ 油 圧 ポ ン プ は,電 を 受 取 り,油
動 機 あ る い は エ ン ジ ン な ど の 原 動 機 か ら機 械 的 エ ネ ル ギ ー
圧 ア ク チ ュ エ ー タ(油
圧 シ リ ン ダ,油
圧 モ ー タ な ど)を
る た め に 必 要 な 圧 力 の エ ネ ル ギ ー に変 換 す る も の で,油 相 当 す る も の で,歯
車 ポ ン プ,ベ
ー ン ポ ン プ,ピ
作 動 させ
圧 ユ ニ ッ トの 心 臓 部 に
ス トン ポ ンプな どが あ る。
(b)油 圧 制 御 弁 油 圧 シ リ ンダや 油 圧 モ ー タ に送 る圧 油 の圧 力,流 量,方 向 を 変 え て,力 の 大 き さ,速 度,方 向 を 目的 に応 じて 自由 に制 御 す る もの で,圧 力 制 御 弁,流 量 制 御 弁,方
向制 御 弁 に分 け られ る。
(c)油 圧 ア ク チ ュエ ー タ 油 圧 シ リンダ,油 圧 モ ー タ,油 圧 揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タが あ る。 油 圧 ポ ンプ か ら送 られて き た圧 力 の エ ネル ギ ー を機 械 的 エ ネ ル ギ ー に変 換 す る もの で,運 動 の 形 成 に よ り往 復 運 動 をす る油 圧 シ リ ンダ,連 続 回 転 運 動 をす る油圧 モー タ, あ る一 定 の角 度 範 囲 で揺 動 運 動 をす る揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タ に分 け られ る。 油 圧 モ ー タ は回 転 運 動 の 作 動 原 理 の 違 い に よ って,歯 車 モ ー タ,ベ ー ンモ ー タ,ピ ス トンモ ー タが あ る。 (d)油 タ ン ク 油 圧 ユ ニ ッ トで は,圧 油 が と き に は不 必 要 な力 を 出 して熱 を発 生 す る ので, そ の 熱 を発 散 して や る必 要 が あ り,そ の た め に油 を蓄 え る タ ンク を油 の 流 れ の 中 に入 れ る必 要 が あ る。 こ の タ ンク は,油 の熱 を発 散 させ る だ けで な く,油 漏 れ な ど に よ って不 足 す る油 を補 給 した り,戻 り油(仕 事 を行 った油)の
ゴ ミや
さ び を沈 殿 さ せ る役 目 もす る。 (e)配 管 そ の他 の付 属 機 器 管,高 圧 ゴム ホ ー ス,ス
トレー ナ,オ イ ル フ ィル タ,各 種 の シー ル,油 冷 却
器,油 面 計,油 温 計 な どが あ る。 い ま ま で の こ とを ま とめ る と,油 圧 ユ ニ ッ トとは,油 圧 ポ ンプ で原 動 機 か ら 供 給 さ れ た機 械 的 エ ネ ル ギ ー を圧 力 エ ネ ル ギ ー に変 換 し,そ れ を各 種 の油 圧 制 御 弁 に よ り圧 力,流 量,方
向 を制 御 して油 圧 シ リン ダ,油 圧 モ ー タあ る い は油
圧 揺 動 形 ア クチ ュエ ー タに送 り,直 線 運 動,連 続 回転 運 動,揺 動 運 動 の機 械 的 エ ネ ル ギ ー に再 び変 換 し,仕 事 をす る一 体 に構 成 され た油 圧 装 置 とい う こ とが で き る。
1・2油
圧 の特 徴
油圧 に は,次 の よ うな多 くの長 所 も あ るが,短 所 もあ る。 それ らを十 分 に知 っ て お く こ とが 必 要 で あ る。 〔1〕 油 圧 の 長 所 ①
小 型 で 強 力 な力 ま た は トル クを 発 揮 で き る。
②
空 気 圧 に比 べ て小 型 ・軽 量 で 出 力 が 大 き く,応 答 性 が よい 。
③
エ ネ ル ギ ー の蓄 積 がで き る と と も に,安 全装 置 が 簡単 で あ る。
④
高 温 や 労 働 環 境 の悪 い と ころで の使 用 が で き る。
⑤
電 気 と簡 単 に組 み合 わ せが で き,い ろ い ろな 制御 が可 能 で あ る。
⑥
速 度 範 囲 が広 く,無 段 変 速 が 簡 単 で 円滑 で あ る。
⑦
振 動 が 少 な く円滑 で あ る。
〔2〕 油 圧 の短 所 ①
油 漏 れ の恐 れ が あ る。
②
油 の温 度 変 化 で,ア
③
騒 音 が大 き い。
④
火 災 の危 険 が あ る。
⑤
作 動 油 の汚 染 管 理 が必 要 で あ る。
⑥
空 気 圧 ユ ニ ッ トな と ど比 べ て配 管 作 業 が めん ど うで あ る。
⑦
ゴ ミ,さ び に対 す る考 慮 が必 要 で あ る。
クチ ュ エ ー タ の速 度 が 変 わ る。
1・3油
圧 と空 気 圧 の比 較
油 圧 を知 る に は,空 気 圧 の こ と も知 らな くて はな らな い。 油 圧 と空 気 圧 は流 体(油
と空 気)の 性 質 が本 質 的 に違 うこ とで あ る。 その 大 き な違 い は,油 は非
圧 縮 性 で あ り,空 気 は圧 縮 性 で あ る と い う こ とで あ る。 油 圧 と空 気 圧 の特 性 の 比 較 を表1・1に 示 す。 油圧 と空気圧の特性
表1・1
方 式 項
目
圧
縮
油
圧 方
圧縮性 が大
性 非圧縮性
圧
低圧
力 高圧発生が容易
操
作
力 大 きい(数100kNま
空 気 圧 方 式
式
で 可)
作
速
度 や や大 き い(lm/s程
応
答
速
度 早 い
遅い
精
密
制
御 可能
不可 能
性 大
小
速
応
度 まで 可)
や や大 き い(数10kNま
操
大 き い(10m/s程
負荷 に対 する特性 の変化 少 しあ る
特 に大 きい
移 動 性(位
置 決 め) やや良好
不良
造 やや複雑
簡単
構 配
管 循環用戻 し管が必要
循環 用戻 し管 が不用
温
度 70℃ 程 度 まで 普 通
100℃ 程 度 ま で普 通
湿
度 普通
境 腐
性 普通
環
食
動 心配少ない
振
守 簡単
保 危
険
ほ とん どな い
比 較的困難 良好
信
号
交
遠
隔
操
作 良好
源
故
障
心配少ない
性 引火性 に注意 換 困難
動 力
ドレ ンに 注意
普 通(酸 化に注意)
簡単
時 ア キ ュム レー タを 付 け れ ば 少 し作 動 若 千 の 余 裕 あ り,
据 付 位 置 の 自 由 度 あ り
あり
無
段
変
速 良好
やや良好
速
度
調
整 容易
やや困難
格 やや 高 い
普通
価
で可)
度 まで 可)
1・4油
圧 回路 と電気 回路
人 間 の体 の 中 で特 に 循環 器 系,神 経 系 を考 えて み よ う。 体 を循 環 した血 液 は 二酸 化 炭 素 を も って静 脈 に集 ま り,必 臓 の右 心 房 へ 戻 って く る。 そ して右 心 室 の ポ ンプ に よ り両 方 の肺 に送 られ,二 酸 化 炭 素 は酸 素 と交 換 さ れ,新 鮮 な血 液 は左 心 房 を経 て左 心 室 よ り動脈 に送 り出 され る。 表1・2人
間 の体 と 油圧 回 路,電
人 間 の 体 心
油 臓
循
肺
圧
回
気回路の比較
路
電 気 回 路 発電機
油圧 ポ ンプ 油 タンク
環
ひ
器
じ
系
動
脈
電線
静
脈 ・戻 り油管
電線
ん
甫助 タ ンク
臓
フ ィル タ
脳
神 経
臓
フ ィ ル タ
制御指令,演 算器等
制御指令,演 算器等 ト ラ ン ジ ス タ,IC,
運
動
神
経
油圧制 御弁
知
覚
神
経
検 出器等
検出器等
筋肉 頭,手,体,足 の筋肉
等
油圧 シ リ ン ダ,油 圧 モ-タ,
電 動 機,ソ
系
リ レ ー,ス
油圧 揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タ
イ ッチ等
レ ノ イ ド,
リニ ヤ モ ー タ等
老 廃 物 は じん臓 で分 離 され,排 泄 され る。 ま た神 経 系 で は視 聴 触 覚 か ら得 ら れ た情 報 が知 覚 神 経 を通 って脳 に行 き,判 断 さ れ た命 令 が 運 動 神 経 を経 て筋 肉 へ伝 え られ る。 油 圧 回 路 も この働 き と良 く似 て お り,ア クチ ュ エ ー タ(筋 肉)で 仕 事 を した 作 動 油 は戻 り油 管(静 脈)に 集 ま り,フ ィル タ(じ ん 臓)で て油 タ ン クに戻 る(図1・1)。
油 タ ンク(肺)は
ス トレー ナ を通 り,油 圧 ポ ンプ(心 臓)よ
ゴ ミ等 が除 去 さ れ
油 中 にあ る気 泡 等 を放 出 し,
り油 の圧 力 エ ネ ル ギ ー を与 え られ て
圧 油 管(動 脈)を 経 て 油圧 制御 弁(運 動 神 経 系)に
行 く。 制 御 弁 は 制 御 指 令
(脳)を 受 け て 動 作 す る。 ア ク チ ュ エ ー タ(頭,体,手,足
な ど の 筋 肉)は,
そ の圧 力 エ ネ ル ギ ーを 機 械 的 エネ ル ギ ー に変 え て,負 荷(被 駆 動体)を 動 か す。 油 圧 回 路 は電 気 回 路 と も極 め て似 て お り,例
え ば,圧
力(水
位 差)と
電圧
(電位 差),流
量 と電 流,圧 力 降下 と抵 抗 な ど と対 比 され る。 これ らを ま と め る
と,表1・2の
よ うに な る。
2
油 圧の基礎 2・1圧 液 体 が 静 止 して い る と き,図2・1に う に,液 面 か ら 深 さh〔m〕
力 の強 さ
示 す よ
の 底面 の受 け る力
F〔N〕 は,液 面 と 平 行 な 面 の 面 積A〔m2〕,液 体 の 密 度 ρ〔kg/m3〕,重 とす る と,次
力 の 加 速 度g〔m/s2〕
の 式 が 成 り立 っ 。 (2・1)
この 力 F を 全 圧 力 と い う。
そ して,単 位 面 積 当 た りの力 を圧力 の強 さ, ま た は単 に 圧 力(pressure)と
い い,次
図2・1圧
力の 強 さ
の 式 で 示 さ れ る。
(2・2)
圧 力 の 単 位 は パ ス カ ル(記
圧 力 は760mmHgに
号Pa)を
〔atm〕=760〔mmHg〕 =10
pressure)と
.332(mH2O)=0.1013〔MPa〕
全 な 真 空 を ゼ ロ基 準 に と っ た も の を 絶 対 圧(absolute
よ び,大 気 圧 を ゼ ロ基 準 に と っ た も の を ゲ ー ジ 圧(gage
と い う。 こ の 絶 対 圧,ゲ
で あ る。
相 当す る圧 力 を 1標 準 気 圧 と表 す。
1標 準 気 圧
圧 力 を 測 る と き,完
用 い る 。1〔Pa〕=1〔N/m2〕
pressure)
ー ジ圧 の 間 に は 次 の 関 係 が あ る 。
ゲ ー ジ圧PG=絶
対 圧Pabs一
大 気 圧P0
(2・3)
この関 係 は図2・2に 示 され る。 気 体 の圧 力 で 大気 圧 以 下,す な わ ちゲ ー ジ圧
が 負 と な る状 態 を 真 空(vacuum)と
図2・2
〔 注〕
い う。
絶 対 圧 とゲ ー ジ圧
1)1×103〔Pa〕=1〔kPa〕,1×106〔Pa〕=1〔MPa〕
2)本
書 で は,g=9.81〔m/s2〕
3)mH2OをmAqと
表 す こ と も あ る。
例題2・1
水 面 下8mの
101.3kPaの
大 気 圧 が 作 用
〔kg/m3〕
とす る。
圧 力 を ゲ-ジ 圧 と絶 対 圧 で表 せ。 た だ し,水 面 に は し て い る も の と し,g=9.81〔m/s2〕,ρ=1000
とす る。
〔解 〕
ゲ ー ジ圧 で 表 せ ば,式(2・2)の
P をPGと
書 き換 え て
PG=ρgh=1000×9.81×8=78480〔Pa〕=78.48〔kPa〕
絶 対 圧 で 表 せ ば,式(2・3)か
ら
Pabs=101.3+78.48=179.78(kPa) な お,ゲ
ー ジ 圧 を 特 に 明 記 した い と き は 〔MPaG〕,絶
い と き は 〔MPaabs〕
〔解 〕
式(2・2)か
例 題2・3 る と,海
の よ う に か く。
圧 力100kPaGに
例 題2・2
対 圧 を特 に 明 記 し た
相 当す る水 深 は何 m か。
ら,
日 本 海 溝 最 深 部 の 深 さ を10374mと
底 で の 圧 力(絶
対 圧)は
し,海
水 の 比 重 を1.035と
い く らか 。 海 面 上 の 大 気 圧 を101.3kPa,重
す
力 の 加 速 度 を9.81m/s2と
す る。
〔 解 〕 大 気 圧P0=101.3×103〔Pa〕,ρ=1.035×103〔kg/m3〕,g=9.81〔m/s2〕, h=10374〔m〕
で あ る か ら,式(2・3)か
標 準 気 圧 は0℃ の 水銀 柱760mmに
例 題2・4 る 。0℃
ら
の 水 銀 の 比 重 を13.595,重
相 当す る圧 力 と 定 め られ て い
力 の 加 速 度 を9.80665m/s2と
して 圧 力 で 表
す と い くらに な るか。 また 水 柱 で何 m に相 当 す るか。 〔 解 〕 で あ る か ら,式(2・2)か
し た が っ て,1
ら
標 準 気 圧1〔atm〕=760〔mmHg〕=101324〔Pa〕=101.324
(kPa)=0.101324(MPa) 一 般 に 工 学 で は 3 け た の 計 算 で よ い か ら ,1〔atm〕=101.3〔kPa〕=0.1013 〔MPa〕
とす る。
い ま0℃
の 水 銀 の 密 度 ρ=13.6×103〔kg/m3〕,
g=9.81〔m/s2〕
と す る と,
P=ρgh=13.6×103×9.81×760×10-3 =101
と な り,誤
差 は0.1%程
.4(kPa)=0.1014(MPa)
度 で あ る。
標 準 気 圧 を 水 柱 の 高 さ(ヘ
問 題2・1 P1=0.15〔MPa〕
ッ ド)で 表 す と,水
の ρ=1000〔kg/m3〕
図2・3の よ うな 液 体 の 入 って い る容 器 で,液 が 働 い て い る と き,液
め よ 。 液 体 の 比 重 を0.9,g=9.81〔m/s2〕
面 か ら5mの とす る。
と して
体 の 表 面 に圧 力
と ころ の A 点 の 圧 力 を求
答(0.194MPa)
図2・3
2・2パ
静 止 し て い る 液 体 に は,パ (Pascal's る,次 ①
ス カ ル の原 理
ス カル の 原 理
principle,1623∼1662)と
呼 ばれ
の よ う な 性 質 が あ る(図2・4)。 静 止 液 体 と接 し て い る面 に加 わ る圧 力 は, そ の 面 に直 角 に作 用 す る。
②
静 止 液 体 の 一 点 に お け る圧 力 の大 き さ は, す べ て の 方 向 に 対 して 等 し い。 図2・4パ
③
ス カル の 原 理
静 止 液 体 が そ の重 さ に よ って 容 器 の 底 面
に 及 ぼ す 力 は液 面 の高 さで 決 ま り,容 器 の 形 に は関 係 な い。 ④
密 閉 容 器 中 の静 止 液 体 の一 部 に加 え た圧 力 は,液 体 内 のす べ て の部 分 に 同 じ圧 力 で 伝 わ る。
2・3圧 図2・5に
示 す よ う な ピ ス ト ン面 積 が 異 な っ た 容 器 に お い て,ピ
② の 断 面 積 をA,Bと
P=
し,①
に 力 F を 加 え る と,ピ
力 の利 用 ス ト ン ①,
ス トン ① の 断 面 積 A に は
F /A
(2・4)
図2・5圧
力 の 利 用(力 の 拡 大)
の圧 力 が 発 生 す る。 こ の圧 力 P は,パ ス カ ル の 原 理 に よ り断 面
B の ピス ト
ン② に も同 じ大 き さで 伝 達 さ れ る。 ピス トン ② に荷 量 W を の せ て 釣 り合 う とす る と, W=PB
(2・5)
が 成 り 立 つ 。 式(2・4)と F
= W
/A
/B A
∴ F= と な り,荷
/B
式(2・5)か
ら, (2・6)
W
(2・7)
量 W を 支 え る た め の 力 F は,ピ
ス ト ン ①,②
の 断 面 積 比A/B倍
で あ る。
例 題2・5
1辺 が30cmの
圧 力 の強 さ(圧 力)は
正 方 形 の板 の 上 に荷 量600Nの
〔 解 〕F=600〔N〕,A=30×30=900〔c㎡ F/A
P=
問 kNの
題2・2接
=600 /900
=0
品 物 を のせ た場 合,
い く らに な るか 。
=0
〕を 式(2・4)に
代 入 して
.67(N/c㎡)=0.67x104(N/㎡)
.67×104〔Pa〕=0.0067(MPa)
地 長 さ2.2m,履
帯(キ
ャ タ ピ ラ)幅0.4m,運
転 整 備 重 量114
ブ ル ドー ザ の 接 地 圧 力 は い く ら か 。 答(64.8kPa)
例
題2・6図2・6に
お い て,小
の 断 面 積B=50〔c㎡
ピ ス ト ン の 断 面 積A=1〔c㎡
〕と し,荷 重W=10〔kN〕
〕,大
ピス トン
を 持 ち上 げ る と きの 加 え る
力 と発 生 す る圧 力 の強 さ を計 算 せ よ。
図2・6
〔解 〕A=1〔c㎡
〕,B=50〔c㎡
〕,W=10〔kN〕
を 式(2・7)に
代 入 す る
と,
ま た 式(2・4)か
問
ら,
題2・3図2・6に
と し た と き,次 (1)加
お い て,A=5〔c㎡
〕,B=100〔c㎡
〕,W=10000〔N〕
の 値 を 計 算 せ よ。
え る力(2)圧
力の大 きさ 答((1)500N,(2)1MPa)
2・4圧
力 と仕 事
密 閉 され た容 器 内 で発 生 す る圧 力 は,ど の方 向 へ も等 しい 強 さで伝 達 され る 性 質 を利 用 して,小
さ い力 で 大 き な荷 重 を支 え る こ とが 理 解 で きた。
図2・7圧
荷 重 W と釣 り合 う力 を F と し,F
力 と仕 事
を ⊿F(⊿F≪F)だ
け 大 き く す る と,容
器 内 の 圧 力 は 上 昇 す る の で 荷 重 は 持 ち 上 げ ら れ る 。 ⊿F=0と は平 衡 し,元
す る と,W
とF
ス ト ン ① を S だ け 下 方 へ 押 し下 げ る と,ピ
ス ト
の位 置 に 戻 って 静 止 す る。
い ま,F+⊿Fに
よ っ て,ピ
ン ① に よ る 油 の 押 しの け量 はA・Sで ら な い の で,ピ
ス ト ン ② はA・Sの
あ り,油
油 量 分 だ け持 ち上 げ られ る。
ピ ス ト ン ② の 移 動 量 を L と す る と,①,② し た が っ て,次
の 内 容 積 は 漏 れ が な い 限 り変 わ
の 油 の 移 動 容 積 は等 しい 。
の 式 が 成 り立 つ 。
BL=AS
∴L=
と な る。 す な わ ち,力 る 。 こ の こ と は,仕
A /B
S
(2・8)
F の 移 動 量 S に 対 す る荷 重 W の 移 動 量 は,A/B倍
事 量 は 変 わ な い こ と を 意 味 し て お り,式(2・7)と
にな 式(2・8)
か ら F・S=W・L
(2・9)
が 成 り 立 つ 。 仕 事 の 単 位 に は ジ ュ ー ル(記 あ る 。 ま た,力
F の 伝 達 速 度 を υA,荷
号 J)を 用 い る 。1〔J〕=1〔N・m〕
で
重 W の そ れ を υBと す る と,
B/A υA=
υg
(2・10)
で 表 され る。 油 に生 じる圧 力 は容 器 内 で は 同 じ強 さ で あ る こと か ら,ピ ス トン 面 積 比B/A倍 る。
に増 幅 で き るが,移 動 距 離 や 速 度 はA/B倍
に減少 す るので あ
囲2・7図2。7に と き,荷
重Wの
お い て,
A=5(cm2),
B=100(cm2),
持 ち上 げ 速 度 をvg=1〔cm/s〕
W=10〔kN〕
の
に し た い 。 押 し下 げ 速 度 は い
く らか。
A=5(cm2),
〔解 〕ve=1〔cm/S〕,
な お,油
の 移 動 量(流
量)を
B=100〔cm2〕
求 め る と,(ピ
げ 速 度)=5×20=100〔cm3/s〕;100〔cc/s〕
囲2・8図2.8は,自
ス ト ン ① の 断 面 積)×(押
し下
と な る。
で 押 し下 げ,ピ
の 荷 重 を 持 ち 上 げ た い 。 内 圧 を43MPaと
図2・8油
②
代 入 して
動 車 用 油 圧 式 携 行 ジ ャ ッキの 原 理 を表 した も の で あ
る 。 ピ ス ト ン ① をF=4800〔N〕
(1)ピ
を 式(2・10)に
ス ト ン ② のW=30〔kN〕
して 次 の 値 を 求 め よ 。
圧 ジ ャ ッキ の 原 理
ス ト ン ② の 直 経 は い く らか 。 ピ ス ト ン ① の 直 経 は い く らか 。
(3)レ
バ ー の 長 さ は い く らか 。f=250〔N〕,
(4)レ
バ ー を1回
荷 重 を20cm持 〔注 〕
本 書 で は,円
押 し下 げ た と き,ピ
α=26〔mm〕
ス ト ン ① は5cm動
と す る°
か す こ と が で き る。
ち上 げ る と きの操 作 回 数 と仕 事 を求 め よ。 周 率 π=3.14と
す る。
〔 解〕
π d2・P /4
(2)F=AP=
(3)支 点 回 り の 曲 げ モ ー メ ン トを 考 え る と,
fl=Fa
握 り部 分 を100mmと (4)式(2・8)で
す る と,実
際 の 長 さ はl'=600〔mm〕
とな る。
レバ ー の 操 作 回 数 を n と す れ ば,
ASn=BL
ま た,仕
事 は 式(2・9)か
ら,
FSn=4800×5×10-2×25=6000〔J〕=6〔kJ〕
問 題2・4図2・9に f=400〔N〕 (1)ピ
示 す よ うな 油圧 装 置(油 圧 ブ レー キ)で
の 力 を 加 え た と き,次 の 値 を 求 め よ 。l=450mm,a=60mmと
レバ ー の 先 端 に す る。
ス ト ン M に 働 く力
(2)発 生 す る圧 力 (3)ピ
ス ト ンA,B,Cに
働 く力
(4)3 つ の ピ ス ト ン の う ち 他 の 2つ の ピ ス ト ンを 固 定 し,ピ mm変
位 さ せ た と き の ピ ス ト ンA,B,Cの
変 位
ス ト ン M を12.5
図2・9
答
2・5連 流 体 の流 れ に は 定常 流 れ(steady
flow)と
非 定 常 流 れ(unsteady
続 の式 flow)
とが あ る。 流 速,圧 力,密 度,温 度 な ど,流 れ の状 態 が時 間 に よ って変 化 しな い流 れ を定 常 流 れ とよ び,そ の 状 態 が 時 間 に よ って変 化 す る流 れ を 非 定 常流 れ とい う。 図2・10の よ うな油 圧 管 路 を 考 え る と,厳 密 に は定 常 流 れ で な い 場 合 が 多 い
図2・10連
続の法則
が,一 定 の条 件 で運 転 され る場 合 は一 般 に 定 常 流 れ と して 扱 う。定常 流 れ で は, 管 路 の任 意 の 断面 に お け る体 積 流 量(流 量)〔m3/s〕 は ど の 断 面 を と って も一 定 で あ る。 Q=A1υ1=A2υ2=一
A1:断
定
(2・11)
面 ① の 断 面 積 〔㎡ 〕
υ1:断 面 ① の平 均 流 速(流 速)〔m/s〕 A2:断
面 ② の 断 面積 〔㎡ 〕
υ2:断 面 ② の平 均 流 速(流 速)〔m/s〕 こ れ を 速 続 の 式(equation
of continuity)と
い う。 こ の 式 は 油 圧 回 路 を 設 計 す る と き,回
路 を
流 れ る最 大 流 量 を 基 準 に し て 管 の 内 径 を 求 め る と き に 使 う。 い ま,管 Q=Aυ=
の 内 径 をd〔m〕 π /4
d2・
と す る と,
υ
(2・12)
図2・11平
均 流速
と な る。
例 題2・9呼 l/minの
び 径3/8B=10A(外
径17.3mm,厚
油 が 流 れ て い る と き の 平 均 流 速(流
〔 解〕
速)は
さ2.3mm)の
管 略 に7.5
い く らか 。
管 の 内 径d=17.3-2×2.3=12.7〔mm〕 π d2 /4
管 の 断 面 積A=
流 量Q= 式(2・11)か
7.5x10-3
=π 4 =1
×(12.7×10-3)2=1.27×10-4〔
.25×10-4〔m3/s〕
/60
ら,
υ=
Q /A
=1.25×10-4/ 1.27×10-4
=0
.984〔m/s〕
㎡
〕
囲2・10前
問 で 流 速 を1.2m/sに
した い。 流 量 は い く らに な るか 。
〔解 〕9.=Av=1・27×10・4×1.2=
囲2・5図2。12の 3〔l/min〕
1.524x10一'(m3/s)=9.140/min)
よ う な 管 路 を 流 量Q=
の 油 が 流 れ て い る 。 断 面 ①,断
面 ②
の 面 積 を そ れ ぞ れA1=1〔cm2〕,AZ=5〔cm2〕 と す る と き,流
速 υ1,v2は
答(υ1=50〔cm/s〕,
い くらに な るか。
v2=10(cm/s)) 図2・12
/2・6
流 体 は 運 動 エ ネ ル ギ ー,圧
ベ ル ヌー イ の 式
力 エ ネ ル ギ ー お よ び 位 置 エ ネ ル ギ ー の3っ
違 っ た エ ネ ル ギ ー を も っ て い る。 図2・13に エ ネ ル ギ ー の 損 失 が な い 場 合 は,断
お い て,定
の形 の
常流 れ で管路 の途 中 に
面 ① と 断 面 ② で の エ ネ ル ギ ー保 存 の 法 則
か ら ① を 通 る水 の も っ エ ネ ル ギ ー の 和 と ② を 通 る と き の 水 の も っ エ ネ ル ギ ー の 和 は等 し く,一
定 の 値 を も っ て い る 。 す な わ ち,次
図2。13ベ
の 式 が 成 り立 っ 。
ル ヌー イの 定 理
一定
(2・13)
こ れ か ら一 般 に, 一定
(2・14)
とな る。 式(2・14)の
各 項 は,単
位 質 量 当 た りの エ ネ ル ギ ー で単 位 を
て い る 。 こ れ を ベ ル ヌ ー イ の 定 理(Bernoulli's い,υ2/2を
比 運 動 エ ネ ル ギ ー(specific
ル ギ ー(specific energy),E
pressure
energy),P/ρ
total
energy)と
の 式 は 流 体 の エ ネ ル ギ ー の 基 本 式 で あ る 。 式(2・13)を
し い
を 比 圧 力 エ ネ
比 位 置 エ ネ ル ギ ー(specific
を 比 全 エ ネ ル ギ ー(specific
で表
equation,1700∼1782)と
kinetic
energy),gZを
〔J/kg〕
potential
い う。 ベ ル ヌ ー イ g で 割 る と,次
の式 が
得 ら れ る。
(2・15)
一 般 には
, (2・16)
とな る。 式(2・16)の
各 項 の 単 位 は 〔J/N〕=〔m〕
を 尺 度 と し て 用 い る こ と が で き,υ2/2gを を 圧 力 ヘ ッ ド(pressure ヘ ッ ド(total
head)と
例 題2・11図2・14の
head),Z
と な る の で,便
速 度 ヘ ッ ド(velocity
を 位 置 ヘ ッ ド(potential
head),P/ρg head),H
よぶ 。
よ う に,水
た 太 さ の 異 な る 管 に0.04m3/sの
平 に置か れ 水 が流 れて い
る 。 い ま 内 径20cmの
と こ ろ の 水 圧 が0.5MPa
で あ る と し た と き,内
径8cmの
は い く らか 。
宣的 にエネルギ ー
と ころの水圧 図2・14
を全
〔 解 〕 ①,
② の 流 速 υ1,υ2を 求 め る と,
次 に ベ ル ヌ ー イ の 式 か ら, 管 は水 平 で あ る か らZ1=Z2, ρ=1000〔kg/m3〕,g=9.81〔m/s2〕
問題
2・6図
P1=0.5×106〔Pa〕,
から
と す れ ば,
2・15 の よ う に, 水 平 に
置 か れ た 管 路 で ① の 断 面 積 が 80cm2, 流 速 が 3m/s, ② の 流 速,
圧 力 が 0.1MPaの 圧 力,
と き,
流 量 を求 めよ。 ②
の 断 面 積 を 160cm2
と す る。 エ ネ ル 図2・15
ギ ー の損 失 はな い もの とす る。
問題
2・7
高 さ 100m
の と こ ろ で,
圧 力 0.8MPa
水 が 流 速 10.5m/s
で流
れ て い る。 エ ネ ル ギ ー の 損 失 は な い も の と して, こ の 水 の 速 度 ヘ ッ ド, 圧 力 ヘ ッ ド, 位 置 ヘ ッ ド, 全 ヘ ッ ドを 計 算 せ よ 。 答
(5.6m,
81.5m,
100m,
187.1m)
2.7 流 体 の 流 れ に は,図2・16(a)の の 層 流(laminar
flow)と
よ う に 水 の 分 子 が 規 則 正 し く整 然 と し た 流 れ
図2・16(b)の よ う に,水
な 流 れ を す る乱 流(turbulent
層流 と乱流
flow)と
(a)層
の 分 子 が 入 り乱 れ て 不 規 則
が あ る。
(b)乱
流 図2・16流
流
れの状態
この よ うに層 流 と乱 流 は,ま っ た く異 な った流 れ で あ り,こ の 中 間 的 な 安 定 した流 れ の状 態 は存 在 しな い。 層 流 は動 粘 度 が高 く,流 速 が 比 較 的 小 さ く,狭 いす き まや 細 い管 を 流 れ る と き に起 こ りやす い。 乱 流 は動 粘 度 が 低 く,流 速 が大 き く,太 い管 を流 れ る場 合 に生 じる。 層 流 は各 部 分 の流 れ の方 向 が 平 行 で あ るか らエ ネ ル ギ ー損 失 は少 な いが,乱 流 にな る と流 体 間 の摩 擦 抵 抗 が 急 に大 き くな る。 層 流 か 乱 流 か は レイ ノル ズ数 (Reynolds
number)Reと Re=
よ ばれ る無 次 元 数 で決 ま る。
vd /v
v:管
内 の 平 均 流 速 〔m/s〕
d:管
の 内 径 〔m〕
v:流
体 の 動 粘 度 〔m2/s〕
こ の 事 実 は,初
め て 実 証 し た オ ス ボ ン ・ レ イ ノ ル ズ(Osborne
(2.17)
Reynolds,
1842∼1912)に
よ る と,Re〈2300な
ら ば 層 流 域 で あ る が,Re〓2300の
と
き は層 流 か ら乱 流 へ せ ん 移 す る。 こ の と き の 速 度 を 臨 界 速 度 と い う 。 ま た, Re>2300な
囲2・12直
らば乱 流 で あ る と した。
径20cm管
で,比
重0.97の
油 を 毎 秒25l輸
ル ズ数 を 求 め よ 。 油 の 動 粘 度 を9。15×10・4m2/sと 〔 解〕
Q=25(1/s)=0.025(m3/s),
し た が っ て,式(2・17)に
送 す る と き の レイ
す る。
d=20×10・2〔m〕
で あ る か ら,
よ って
(層 流)
国2・8呼
び 径1%B=40A(外
動 粘 度 が15×10-smz/sの を 求 め よ 。Re=2300と
径48.6mm,内
径41.6mm)の
鋼管 内を
ス ピ ン ドル 油 を 層 流 状 態 で 輸 送 し た い 。 流 量 の 上 限 す る。 答(67.6l/min)
12.8
管路 のエネルギー損失
流 体 が管 路 を流 れ る場 合,流 体 摩 擦 に よ るエ ネ ル ギ ー損 失 と流 れ の衝 突 や渦 が 発 生 す る た め の エ ネ ル ギ ー の損 失 が あ る。 これ らの損 失 を ヘ ッ ド(水 頭)の 形 で表 す と き,こ れ を損 失 ヘ ッ ド(損 失水 頭;10ssofhead)と
い う。 これ に
は直 管 の管 摩 擦 に よ る エ ネ ル ギ ー の損 失 と,管 路 の断 面 積 が 急 変 した り,管 路 が 曲が った り,管 路 の途 中 の障 害 物 な ど に よ る エ ネ ル ギ ー損 失 が あ る。 〔1〕
管 摩 擦 に よ る エ ネ ル ギ ー損 失
図2・17の よ う に,水 平 で 断 面 が一 様 な管 路 の途 中 ①,②
に マ ノ メ ー タ を垂
図2・17
管 路 の エ ネ ル ギ ー 損 失
直 に立 て る と,管 の流 体 摩 擦 の た め に上 流 ① か ら下 流 ② に行 くに従 って 水 柱 の高 さ は低 く現 れ る。hfを 摩擦 損失 ヘ ッ ドとい い,次 の 式 で表 す。
(2・18)
hf:摩
擦損 失 ヘ ッ ド 〔 m〕
λ:管 摩擦 係 数 d:管
の内径 〔 m〕
l:管
の長 さ 〔 m〕
υ:流 体 の平 均 流 速 〔m/s〕 g:重
力 の 加 速 度=9.81〔m/s2〕
こ の 式 を ダ ル シ ・ ワ イ ズ バ ッ ハ(Darcy・Weisbach)の イ ノ ル ズ 数(Re数)と
式 と い う。 λ は レ
管 壁 の粗 さ に関 係 が あ る。
流 れ が 層 流 の 場 合 は,
(2・19)
こ の 式 を バ ー ゲ ン ・ポ ア ズ イ ユ(Hagen・Poiseulle)の 流 の 場 合 は,例
え ば,ブ
ラ ジ ウ ス(Blasius)の
式 と い う。 ま た 乱
式 に お い て は,
(2・20)
(2・21)
〔2〕 弁,管
路 の 形 状 に よ る エネ ルギ ー 損 失
この 場 合 の摩 擦損 失 ヘ ッ ドhPを,次 表2・1管
の 式 で 表 す。
路 の形 状 と損 失 係 数
〔注 〕 断 面積 が変 化 し,ν が異 な る と きに は,大 *管 入 口 の端 の形 状 に よ り,0.5∼3.0程
きい 方 の値 を と って損 失 を求 め る。 度 の 変 化 が あ る。
(2・22)
例 題2・13内
径30mmの
管 の 長 さ10mに
の水 を毎 分3l流
お け る 摩 擦 損 失 ヘ ッ ド は い く ら か 。 水 の10℃
1.307×10-6m2/sと
す る と き の, の動 粘 度 を
す る。
を 式(2・11)に
式(2.17)か
円 管 内 を 温 度10℃
代 入 して
ら,
(層 流) し た が っ て,式(2・19)か
ら,
求 め る 摩 擦 損 失 ヘ ッ ドは,式(2・18)か
例 題2・14水 き,そ
平 管 路 に お い て,内
〔解 〕
の 管 路 を250l/sの 表2・1か
ら,
ら
径 が30cmか
ら60cmに
急 変 して い る と
水 が 流 れ て い る と して 摩 擦 損 失 ヘ ッ ドを 求 め よ。
し た が っ て,式(2・22)か
問 題2・9内 長 さ50mで
ら,
径600mmの
鋼 管 内 を平 均 流 速2.5m/sで
の 摩 擦 損 失 ヘ ッ ドを 求 め よ 。 λ=0.0208と
水 を 流 す と き,管
の
す る。 答(0.552m)
固 題2・10例
題2・14に
お い て,θ
≒5。30'の
円 す い 管 で ゆ るや か に 拡 大 す
る と き の 摩 擦 損 失 ヘ ッ ドは ど う な る か 。 答(0,0485m)
2・9絞
流 れ の 断 面 積 を 減 少 し,管 と い い,オ
〔1〕
り
路 また は流 体 通路 内 に抵 抗 を も たせ た機 構 を絞 り
リ フ ィ ス(orifice)と
チ ョ ー ク(choke)が
あ る。
オ リフ ィス
比 較 的 薄 い板 に あ け た 円形 の穴 か ら流 体 が通 過 す る もの をオ リフ ィス とい う。 圧 力 エ ネ ル ギ ー損 失 が 流 体 の粘 度 に よ る影 響 を あ ま り受 け な い。 オ リフ ィ スを 通 過 す る流 量 は,ベ ル ヌ ー イ の式 と連 続 の式 か ら,次 の よ うに な る。
(2.23) Qo:オ
リ フ ィ ス の 通 過 流 量 〔m3/s〕
d:オ
リフ ィス穴 の 径 〔 m〕
A:オ
リ フ ィ ス 穴 の 断 面 積 〔m2〕,
ρ:流 体 の 密 度 〔kg/m3〕
P1,P2:オ C0:オ
リ フ ィ ス穴 前 後 の 圧 力 〔Pa〕=〔N/m2〕 リフ ィスの 流量 係 数
図2・18
〔2〕
オ リフ イ ス
チ ョー ク
流 路 が 断面 積 に比 べ て 比 較 的 長 い 流 れ の 絞 りを チ ョー ク とい う。 チ ョー ク の 圧 力 エ ネ ル ギ ーの 損 失 は,流 体 の 粘 度 の 影 響 を大 い に受 け る。 チ ョー ク の通 過 流 量 は,次 の 式 で 示 さ れ る。
図2・19
チ ョー ク
(2・24)
Qc:チ
ョー クの通 過流 量
〔m3/s〕,
A:チ
ョ ー ク 穴 の 断 面 積 〔m2〕,
μ:流
体 の 粘 度 〔Pa・s〕
ρ:流 体 の 密 度 〔kg/m3)
d:チ
ョ ー ク 穴 の 径 〔m〕
P1,P2:チ v:流
ョ ー ク穴 前 後 の 圧 力 〔Pa〕=〔N/m2〕 体の動粘度
2・15径2・2mmの で 比 重0.88の
〔m2/s〕
オ リ フ例題 ィ ス に 入 口 圧 力2.2 MPa,出
口 圧 力0 .2MPa
油 を 流 し た い 。 オ リ フ ィ ス 通 過 流 量 を 求 め よ 。 流 量 係 数 を0 .58
とす る。
〔 解〕 を 式(2.23)に
例題2・16 チ ョ ー ク の 直 径1mm,チ 0.32×10−4m2/s,密
度880 kg/m3,入
代 入 して
ョ ー ク の 長 さl0mm,油 口 圧 力2MPa,出
の動 粘度
口 圧 力1.7MPaの
場合
を 式(2・24)に
代入
の チ ョー ク の流 量 を 求 め よ。 〔 解〕
して
問題 2・11内
径30mmの
た 。 密 度900kg/m3の kPaと
管 内 に 開 口 部 の 直 径4.5 mmの
油 が 流 れ て い る と き,オ
オ リフ ィスを設 け
リ フ ィ ス 前 後 の 圧 力 差 が0 .5
す る と き の 流 量 は い く ら か 。 流 量 係 数 を0 .6と す る 。
答(0.603l/min)
問 題2・12直
径1mm,長
さ15mmの
口 圧 力2MPaで23.5cm3/s流
チ ョ ー ク に 粘 度0,028Pa・sの
油 を入
し た。 出 口 圧 力 計 の 指 示 は い く ら か 。 答(1.59MPa)
2・10油
〔1〕
圧特 有 現 象
キ ャ ビテ ー シ ョン
一 般 に石 油 系 作 動 油 で は,大 気 中で 油 の容 積 の6∼12%の い る。 流 体 の流 れ の 中 で流 速 が 大 き くな り,そ の結 果,圧
空 気 が 溶 解 して 力 が低 下 した部 分 が
で き る と,液 体 中 に溶 解 して い た気 体(空 気)が 遊 離 して気 泡 を生 じた り,あ るい は 液体 自身 の蒸 気 が 発 生 して 気 泡 を生 じ空 洞 が で きる。 この現 象 を キ ャ ビ テ/シ
ョン(cavitation)と
い う。 こ れ らの空 洞 は,そ の液 が再 び圧 力 の 高 い
と ころ に達 して 急 激 に消 滅 し,そ の際 に生 ず る一 種 の水 撃(water に よ って局 部 的 に高 圧 力(数100気
hammer)
圧)が 発 生 す る。
キ ャ ビテ ー シ ョ ンは,材 料 の壊 食,機 器 の 振 動,騒
音 を 発 生 し,油 圧 機 器
に悪 影 響 を 及 ぼ す 。 キ ャ ビテ ー シ ョ ンは,次 の よ う な と き に発 生 す る。 ①
流 れ が急 な 曲 り角 や 障 害 物 で局 部 的 に速 くな り,圧 力 が下 が った と き
②
ポ ン プ の 吸 込 み 管 や そ の ス ト レ ー ナ が っ ま っ て,吹
込 み側 の圧 力 が 低 く
な った と き
③
作 動 油 の 粘 度 が 高 くて 流 動 抵抗 が 大 きいため,吸 込 の側 の圧 力 が低 くな っ た とき
そ の ほか,ポ が 現 れ る。
ン プの 吸込 み 管 が 空気 を 吸 う と キ ャ ビテ ー シ ョ ンに似 た悪 影 響
〔2〕 サ ー ジ 圧 流 体 の流 れ が制 御 弁 な ど の操 作 に よ って急 激 に 変化 す る と き,そ の 流 体 の 運 動 エ ネ ル ギ ー が圧 力 エ ネ ル ギ ー に変 わ るた め,急 激 な圧 力 の変 動 を生 じる。 こ の圧 力 変 動 は,流 体 中 を音 波 の伝 搬 速 度 で伝 わ る。 この よ うに油 圧 回路 中 に 発 生 した異 常 な圧 力 変 動 の最 大 値 を,通 常,サ 油 圧 回 路 で は,リ
ー ジ圧(surge
pressure)と
い う。
リー フ弁 の作 動 遅 れ や電 磁 切 換 弁 の操 作 な ど に よ り油 の 流
れ が 急 変 す る とき にサ ー ジ圧 が 発 生 し,油 圧 回路 の故 障 の原 因 と な る恐 れ が あ る。 〔3〕
チ ャタ リング
ば ね 圧 に よ って圧 力 を 規定 して い る よ うな 弁(ポ ペ ッ ト弁 な ど)に 発 生 しや す い 現 象 で,圧 力 が上 が った り,下 が っ た りす る こ と によ って 弁 が 弁 座 を た た く一 種 の 自励 振動 で あ る。 図2・20で A の圧 力 が 設 定 圧 力 近 く に な る と,ポ ペ ッ ト弁 は少 し押 し上 げ られ,弁 座 とポ ペ ッ ト(円 す い部)の 間 に わ ず か の す き間 Bが で き る。 こ の す き間 を通 って油 が 高 速 で 噴 出 す る と,圧 力 が 急 に低 下 す る。 こ の圧 力 低 下 の た めば ね が 伸 び,そ の 力 に よ って ポ ペ ッ トは弁 座 に激 し くた た き付 け ら れ る 。 次 の 瞬 間,A
の 圧 力 は上 昇 し
て ポペ ッ トを 押 し上 げ る。 この よ う な 動 作 を操 返 しな が ら騒 音 を発 生 す る現 象 を,チ
ャタ リング とよ ん で い る。
図2・20チ
ャ タ リン グ
〔4〕 油
撃
油 圧 回 路 内 の流 れ て い る油 を切 換 弁 な ど に よ り急 激 に 閉 じる と,急 激 な圧 力 の上 昇 とな って 現 れ る。 これ は流 体 の運 動 エ ネ ル ギ ーが 圧 力 エ ネ ルギ ーに 変換 さ れ るか らで あ る。 この発 生 した衡 撃 的 な圧 力 上 昇 は,圧 力 波 とな って管 路 内 を伝 播 す る。 この よ うな急 激 な流 れ の 変 化 に 伴 な う過 激 的 な 圧 力 現 象 を 水 撃 (water hammer)に 〔5〕
対 す る と 同様 に油 撃(oil
hammer)と
い う。
流体固着現象
ス プ ール 弁 な ど を加 圧 した ま ま に してお くと,次 に動 か そ う と して も動 か な い こ とが あ る。 これ は弁 内部 の流 体 の流 れ が 不 均 一 な どの た め,圧 力 分 布 が不 平 衡 に な り,ス プ ー ルが 弁 体 に強 く押 し付 け られ て 固 着 し,作 動 不 能 とな る現 象 で あ る。 この 固 着 現 象(ハ て,ス
イ ドロ リ ック ロ ック)の 発 生 を 防止 す る方 法 と し
プ ー ル の 円 周 上 に多 くの溝 をっ くり,ス プ ー ル の圧 力 平 衡 を保 って油 膜
の切 れ を 防 ぐこ と も有 効 な対 策 の 1っ で あ る。
図2・21流
体 固 着 現 象(ハ イ ドロ リックロック)
〔6〕 流 体 力 方 向 切 換 弁 に は,流 体 固 着 以外 に油 の流 れ に よ り特 異 な力 が発 生 す る こ とが あ る。 これ は噴 流 に よ って起 こ され るス プ ー ル の 軸 方 向 の力 で あ り,こ れ を一 般 に流 体 力(フ
ロー フ ォー ス,軸 力)と
よん で い る。
ス プ ー ル弁 を切 り換 え る と き,ス プ ー ル と弁 体 で絞 られ た圧 油 は噴 流 と な っ て 流 れ る。 ベ ル ヌ ー イ の式 か ら,流 速 が 大 き い と圧 力 は減 少 す るの で,ス ル に作 用 す る流 体 力 は開 口部 を 閉 じる方 向 に働 く。
図2・22流
体 力(フ
ロ ー フ ォ ー ス)
プー
3
油圧作動油 油 圧 機 器 は非 圧 縮 性 の流 体 を媒 体 と して 流体 の エ ネ ル ギ ー を伝 達 し,油 圧 ユ ニ ッ トと して の 仕 事 を行 う もので,仕 事 は作 動 流 体 の圧 力 と流 量 を介 して 伝 達 さ れ る。 油 圧 作 動 油 に は,特 別 な場 合 を 除 いて は石 油 系 の作動 油 が使 用 され る。 作 動 油 は,油 圧 ユ ニ ッ ト全 体 の 性 能,効 率,寿 命 に大 き な影 響 を与 え るので, 作 動 油 の選 定 と管 理 は,油 圧 機 器 の 選 定 と同様 に大 切 で あ る。
3・1作
動 油 の機 能 と条 件
作 動 油 の 油圧 ユ ニ ッ ト内で の主 要 な 役 割 は,次 の 通 りで あ る。 (a)動 力 の 伝 達 パ ス カル の 原 理 に よ る力(圧 力)の 伝 達 お よ び流 量 と,運 動 量 の積 と して の 油 動 力 の伝 達 を す る。 (b)潤 滑 部 品 間 の 摩 擦,摩 耗 を防 止 す る。 (c)粘 度 によ る油 密 性 粘 性 の効 果 に よ り,部 品 間 の狭 いす き間 か らの漏 れ を防 止 す る。 (d)冷 却 部 品 間 の摩 耗 や 圧 力 エ ネ ル ギ ー の損 失,お
よ び内 部 漏 れ に よ る発 熱 とか過 熱
を防 止 す る。 の よ うな 機 能 を果 た す た め の作 動 油 に は,次 の よ うな性 質 を備 え て い る こ とが求 め られ る。 ①
適 当 な 粘 度 が あ って,温 度 が 変 化 して も粘 度 が 変 わ りに くい こ と。
②
低 温 で も流 動 性 を も って い る こ と。
③
高 温 で 使 用 して も変 質 しに くい こ と。
④
潤 滑 性 お よ び 耐摩 耗 性 が よ い こ と。
⑤
酸 化 安 定 性 が よ い こ と。
⑥
せ ん 断安 定性 が よ い こ と。
⑦
金 属 を腐 食 しな い こ と。
⑧
水 分 混入 時 の抗 乳 化 性 お よ び水 分 離 性 が よ い こ と。
⑨
防錆 能 力 が あ る こ と。
⑩
ゴム や塗 料 を侵 さな い こ と。
⑪
圧 縮 性 が な い こ と。
⑫
消 泡 性 が よ い こ と。
⑬
燃 え に くい こ と。
3・2作
動 油 の分 類
現 在,油 圧 作 動 油 と して上 記 の よ うな諸 条 件 を み た す もの と して は,石 油 系 作 動 油 の タ ー ビ ン油(JIS
K 2213)相
当 の 粘 度 を も っ た ものが用 い られ る。 ター
ビ ン油 に は 1種(無 添加 ター ビ ン油)と
2種(添 加 ター ビ ン油)が
あ っ て,2
種 は防 錆 添 加 剤,酸 化 防 止 剤 な ど が 添 加 さ れ て い る 。 作 動 油 と して は,2 種 (添 加 タ ー ビ ン油ISO
VG32,VG46,VG68)お
よ び同 じ粘 度 で 専 用 油 圧 作 動
油 と して製 造 さ れ て い る ものが 用 い られ る。 油 圧 ユ ニ ッ トか ら作 動 油 が 漏 れ た り,噴 出 に よ り火 災 の危 険が あ る場 合 に は, 合 成 系 作 動 油 や水 成 形 作 動 油 な ど の難 燃 性 作 動 油 が用 い られ る。 こ れ ら難 燃 性 作 動 油 は,石 油 系 作 動 油 と は異 な る性 質 が あ る た め,実 用 上 注意 が必 要 であ る。 な お,塩 素 化 炭 化 水 素 系 作 動 油 は分 解 す る と毒 性 が強 く,腐 食 性 が あ り,国 内 で は工 業 用 作 動 油 と して は ほ とん ど使 用 され な い。 一 般 産 業 用 作 動 油 と して は,表3・1に
あ る もの が 大部 分 を 占 め て い る。
表3・1作
動油の分類
一般作動油 石油系作動油
添 加 ター ビ ン油
特殊作動油
油圧 作動油
耐摩耗 性作動油 高粘度 旨数 作動油 低温 用作 動油 高温 用作 動油
りん酸 エ ス テ ル系 作 動 油
合成系作動油 脂肪酸 エステル系作 動油 (難燃性作動油) 塩素化 炭素水素系作動抽 水 ・グ リコ ー ル系 作 動 油
水成系作動油 油 中水 滴形 乳 化 液(W/O形 (難燃性作動油) 水 中 油 滴形 乳 化 液(O/W形
エ マ ル ジ ョ ン) エ マ ル ジ ョ ン)
〔1〕 石 油 系 作 動 油 作 動 油 は,そ の 組 成 また は用 途 に応 じた分類 が され るが,石 油系 作動 油 はタ ー ビン油 系 の産 業機 械 用 作 動 油 が 用 い られ る。 最 近 は産 業 機 械 用 と して,耐 摩 耗 性 作 動 油 が広 く用 い られ て い る。 また,車 両 用,建 設 機 械 用 と して は,上 記 の もの の ほ か ガ ソ リ ンエ ンジ ン油,デ
ィー ゼ ル エ ン ジ ン油 な ど が用 い られ る こ と
が あ る。
〔2〕 難 燃 性 作 動 油 合 成 系 ま た は水 成 系 難 燃 性 作 動 油 は,火 災 の危 険 が あ る場 所 で油 圧 ユ ニ ッ ト が使 わ れ る場 合 に使 用 され,組 成 に よ り作 動 媒 体 に水 分 を含 む もの を水 成 系, その 他 の 媒 体 で組 成 さ れ た もの を合 成 系 と よぶ 。 難 燃 性 作 動 油 は石 油 系 作 動 油 と比 べ る と, ①
潤 滑 性 が 劣 る場 合 が 多 い。
②
金 属 材 料 や シー ル材 に対 して 不 適 合 な もの が 多 い。
③
種 々 の 混 合 物 質 に よ って ス ラ ッジ(金 属 水 酸 化 物 を 主 体 と した汚 濁 物 質 で 液体 中 に沈 降 す る もの)を 発 生 した り,作 動 油 自身 の 分 離,変 質 が起 こ りや す い 。
水成 系作 動 油 は,水 の沸 騰 に よ る キ ャ ビテ ー シ ョンを 発 生 しや す く,ま た電 気 分解 に よ る金 属 腐 食 を起 こ しや す い,な どの 次点 が あ る。
表3・2難 燃性作動油 の使用材料 との適合性
3・3作
動 油 の特 性
こ こで は,油 圧 作動 油 の物 質 的性 質 を記 す。 〔1〕 粘 性 と 粘 度 図3・1の よ うに,わ ず か な 距 離 ⊿y離 れ た上 下 両 平 面 の 間 に流体 を み た し,上 の平 面 を 速 度 ⊿υで 運 動 させ る と,上 面 に密 着 した流 体 は その 速 度 で 移動 し,下 面 に 密 着 して い る流 体 は粘 性 の た め に静 止 して い る と考 え る こ とが で き る。 これ は液 体 内 の部 分 部 分 の層 が 相 対 的 な 運 動 図3・1流
を して,そ
の相 隣 り合 った層 が 互 い にす
体 の粘 性
べ り合 って い る状 態 に あ る と考 え られ,一 方 の層 が他 の層 の運 動 を妨 げ よ う と す る力(抵 抗 力)が 生 じて い る。 この よ うな性 質 を流 体 の粘 性 とい う。 この よ うに 流体 内 部 の 摩 擦 に よ って生 ず る抵 抗 力(せ ん 断応 力)τ は,隣
の
層 の速 度 勾 配 ⊿υ/⊿yに 比 例 し,次 の 式 で 表 され る。 τ=μ
⊿υ (3・1)
/⊿y
こ の 比 例 定 数 μ を 粘 度(viscosity)ま
た は粘 性 係 数 あ る い は絶 対 粘 度 と も
い い,圧 力 と温 度 に よ っ て 変 わ る。 μ はSI単
位 で は 〔N・s/㎡
〕 ま た は 〔Pa・s〕
で 表 す。 ま た1〔g/cm・s〕=1〔Poise〕(ポ ポ ア ズ を1cP(セ 粘 度(粘
ア ズ:P)と
ン チ ポ ア ズ)と
性 係 数)μ
い い,実
用 的 に は こ の1/100
よ ぶ。
を 密 度 ρ で 割 っ た も の を 動 粘 度(kinematic
viscosity)
ま た は 動 粘 性 係 数 と い い,ν で 表 さ れ る 。
ν=
μ/ (3・2)
ρ
νのSI単
位 は 〔N・s/㎡ 〕/〔kg/m3〕=〔
㎡/s〕
と な っ て,力
の単 位 を 含 ま な
い。 作 動 油 な ど の 工 業 用 潤 滑 油 は 粘 度 は あ ま り 用 い られ ず,動 単 位1〔c㎡/s〕=1〔St〕(ス (cSt:セ
トー ク ス)と
ン チ ス トー ク ス=〔m㎡/s〕)が
JIS K2283(動
粘 度 試 験 方 法)の
よ び,実
粘 度 が 用 い られ る。
用 的 に は こ の1/100の
値
用 い ら れ て い る 。 粘 度 の 測 定 に は,
規 定 に あ る よ う に 細 管 に よ る方 法 が 行 わ れ,
動 粘 度 〔cSt〕を 用 い る こ と を 規 定 して い る。
例 題3・1 (粘 性 係 数)は
20℃ で 比 重0.88の
油 の 動 粘 度 が30cStで
〔解 〕30〔cSt〕=30〔m㎡/s〕=30×10-6〔 を 式(3・2)に
あ った。 この油 の粘度
い く らか 。
代 入 μ=ρ
㎡/s〕,ρ=0.88×103〔kg/m3〕
して ν=0.88×103×30×10-6=0.0264〔Pa・s〕
例 題3・2動 l/minの
粘 度32cSt,油
も と で,長
〔解 〕
さ1m当
温40℃,比
重0.85,管
内 経25mm,油
た り の 圧 力 エ ネ ル ギ ー 損 失(圧
ν=32〔cSt〕=32×10-6〔
量20
力 降 下)を
求 め よ。
㎡/s〕,Q=20〔l/min〕=20×10-3/60=
3.33×10-4(m3/s)
(層 流) し た が っ て,
さ て,l=1〔m〕,g=9.81〔m/s2〕
を 式(2・18)に
代 入 す る と,
こ れ を 圧 力 の 単 位 〔Pa〕 に 直 す と,ρ=0.85×1000=850〔kg/m3〕
と して
P=ρghf=850×9.81×0.112=934(Pa)
問 題3・1
20℃ の 水 銀 の 比 重 を13.6で,粘
度 は1.55mPa・sで
あ る とす る と
きの動 粘 度 を 求 め よ。 答(0.114cSt)
問 題3・2呼 さ3.4mm)の
び 径3/4B,Sch60の 円 管 に,20℃
圧 力 配 管 用 炭 素 鋼 鋼 管(外
の 水 を 平 均 流 速0.1m/sで
径27.2mm,厚
流 した い。 この と き の
(1)レ
イ ノ ル ズ 数 は い く らか 。 水 の 動 粘 度 を1cStと
す る。
(2)こ
の 円 管 に20℃
似 的 な 流 れ を得 る た め
の 空 気 を 流 して 水 の 流 れ と,相
に 必 要 な 空 気 の 平 均 流 速 は い く らか 。 空 気 の 動 粘 度 を15cStと 答((1)2040層
す る。
流(2)1.5m/s)
問 題3・3内
径25mmの
円 管 内 を 動 粘 度30m㎡/s,比
l/sで 流 れ て い る 。 こ の と き長 さ1m当
重0.9の
油 が 流 量0.3
た り の 圧 力 エ ネ ル ギ ー 損 失(圧
力 降 下)
を求 め よ。 答(0.0956〔m〕=844.1〔Pa〕)
〔2〕
工 業 粘 度,粘
度 指 数
工 業 的 に は 前 述 の 粘 度 の ほ か に,セ versal
second),レ
イ ボ ル トユ ニ バ ー サ ル 秒(Saybolt
ッ ド ウ ッ ド秒(Redwood),エ
用 い ら れ て き た 。 セ イ ボ ル ト秒(SUSま
uni
ン グ ラ秒(Englar)な
た はSSU)の
ど も
場 合,60ccの
油 が比 較
的 太 い 毛 細 管 を 定 あ ら れ た ヘ ッ ドの も と に 一 定 量 を 流 出 す る 時 間 を 秒 で よ ぶ 。 これ ら と 動 粘 度 と の 関 係 は,次 B
ν=At-
ν:動
の式 で示 され る。
(3・3)
/t 粘 度
〔cSt〕,A,B:定 表3・3粘
数(表3・3),t:各
粘 度 秒 数
〔s〕
度別換算定数
動 粘 度 は温 度 に よ っ て 変 化 す る 。 こ の 温 度 変 化 に対 す る粘 度 の 変 化 の 程 度 を 示 す 数 値 と して,粘 通 常,VI値
度 指 数 が 用 い ら れ る 。 粘 度 指 数(viscosity
と よ ば れ る も の で,数
る 粘 度 変 化 が 少 な い 。VIを 系 の 油 をVI=100と 石 油 製 品-動
index)は,
値 の大 きい作 動 油 の ほ う が 温 度 変 化 に対 す
示 す 式 は,ナ
決 め,VI≦100に
フ テ ン系 の 油 をVI=0,パ っ い て は,次
粘 度 試 験 方 法 及 び 粘 度 指 数 算 出 方 法)の
のJIS
ラフ ィ ン
K2283(原
油及 び
式 か ら求 め る。
(3・4)
図3・2粘
L:98.9℃
度 指数
に て 試 料 油 と 同 一 動 粘 度 を も っVI=0の
油 の37.8℃
に お け る動
粘 度 〔cSt〕=〔m㎡/s〕 H:98.9℃
に て 試 料 油 と 同 一 動 粘 度 を も っVI=100の
油 の37.8℃
にお け る
動 粘 度 〔cSt〕=〔m㎡/s〕 U:VIを
求 め よ う と す る試 料 油 の37.8℃
に お け る動 粘 度 〔cSt〕=〔m㎡/s〕
D:L-H(cSt)=(m㎡/s) 石 油 系 の 作 動 油 で は,動
粘 度 と温 度 の 関係 を次 の式 で 表 す。
(3.5) ν:動
粘 度 〔cSt〕=〔m㎡/s〕
T:絶
対 温 度(熱
力 学 的 温 度)〔 K 〕,T=273.15+t
t:セ
氏 温 度(セ
ル シ ウ ス 温 度)〔 ℃ 〕
n お よ び C:油 固 有 の 定 数 表3・4粘
度 指 数 算 出 方 法(JISK2283)の
抜粋
例 題3・3試
料 油 の98.9℃
とす れ ば試 料 油 のVIを 〔解 〕
表3・4か
お よ び37.8℃
ら,98.9℃
に お け る ν=5.1〔cSt〕
L-H=D=13.52〔cSt〕,ま
た98.9℃
〔cSt〕,L-H=D=14.42〔cSt〕 る L,D
に お け る 動 粘 度 を5.12cSt,32.46cSt
計 算 せ よ。 の と き のL=44.68〔cSt〕,
に お け る ν=5.2〔cSt〕
の と き のL=46.64
で あ る 。 し た が っ て,ν=5.12〔cSt〕
に対 す
の 値 は 比 例 計 算 に よ り, L=44.68+(46.64-44.68)×0.2=45.07(cSt) D=13.52+(14.42-13.52)×0.2=13.70(cSt)
こ れ ら の 値 と試 料 油 の37.8℃ VI=
問 題3・4油
L-U
に お け る 動 粘 度32.46cStと
×100=
/D
45.07-32.46 /13.70
か ら,求
め るVIは
×100=92
温37.8℃ で202.1セ イ ボル ト秒 の粘 度 を 示 す 作 動 油 の 動 粘 度 は
い く らか。 答(43.5cSt)
〔3〕 粘 度 グ レ ー ド 油 温37.8℃ はJISK2001(工
の と き の 動 粘 度 〔cSt〕を 粘 度 範 囲VGと 業 用 潤 滑 油 粘 度 分 類)に
して 定 め る。 粘 度 範 囲
よ り,図3・3の
る。
図3・3作
動 油 の 粘 度 範 囲(ISO粘
度 グ レ ー ド)
よ う に定 め られ て い
〔4〕 作 動 油 の 圧縮 性 圧 力 に よ る流 体 の 体積 変 化 を表 す の に,圧 縮 率 あ る い は体 積 弾 性 係 数(bulk modulus)は,次
の式 で 表 す こ とが で き る。 dV
1
β=
(3・6)
/ V0・/ dP
1 =V0・
K=
β:圧
dP (3・7)
/ dV
/β
縮率 〔 ㎡/N〕
V0:圧 力(ゲ dV/dP:圧 K:体
ー ジ圧)ゼ
ロの と きの 油 の体 積 〔m3〕
力 変 化 に よ る体 積 の 変 化 率
積 弾 性 係 数 〔N/㎡ 〕=〔Pa〕
β あ るい は K は,油 の種 類,圧 力,温 度 に よ っ て 変 化 す る。 作 動 油 の 圧 縮 性 は β あ るい は K の いず れ か で 表 され る。 表3・5作 動油の圧縮率 βと体積弾性係数 K
例 題3・4
20℃,大
気 圧 の 状 態 に お け る水 の体 積 弾 性 係 数 は2193N/m㎡
で あ る 。 こ れ を 体 積 で0.2%減 〔 解 〕 式(3・7)を
問 題3・5
少 さ せ る の に 必 要 な 圧 力 と圧 縮 率 を 計 算 せ よ 。
変 形 す る と,
20℃,大 気 圧 の状 態 で の作 動油 の 体 積 弾 性 係 数 を1.58×103N/m㎡
と し,こ れ を体 積 で0.2%減
少 させ るの に必 要 な圧 力 と圧 縮 率 を求 め よ。 答(3.16MPa,6.33×10-10㎡/N)
例 題3・5温
度20℃,大
気 圧 状 態 にお け る水 に0.1MPaの
そ の体 積 は何 % 減 少 す る か。 体 積 弾性 係 数K=2200〔N/m㎡ 〔解 〕
式(3・7)か
K=2200〔N/m㎡
問 題3・6
圧 力 を 加 え る と, 〕とす る。
ら,
〕,dP=0.1〔MPa〕
を 代 入 す る と,
20℃ の水 を大 気圧 の 状 態 か ら圧 縮 して,そ の 体積 を4%減
る た め に 必 要 な 圧 力 を 求 め よ 。 圧 縮 率 を4.03×10-10㎡/Nと
少 させ
す る。 答(99.2MPa)
〔5〕 そ の 他 の 性 質 各 種 作 動 油 の 熱 的特 性 の 一 例 を,表3・6に
示 す。 圧 縮 性 に っ い て は 表3・5に
示 した が,作 動 中 に 空 気 が 混 入 す れ ば大 幅 に変 化 す る。 ま た,キ
ャ ビテ ー シ ョ
ンの と きに は,混 入 空 気,溶 解 空 気 量,液 体 の 水 蒸 気 圧 力,低 温 時 の粘 度 増 加 に よ る圧 力 損 失 の 増 大 等 の 影 響 を受 け る。 表3・6作
動 油 の熱 的特 性
低 温 で 起 動 す る と きは,油 の凍 結 や流 動 点 の影 響 を受 け る。 ま た火 気 等 に対 して は,引 火 点 や難 燃 性 の考 慮 が必 要 で あ る。 表3・7に
は,熱
的 特 性 以 外 の もの を示 す。 表3・7
各種作動油 の特性
〔6〕 作 動 油 に含 ま れ る空 気 の 影 響 作 動 油 は,常 温 に お い て体 積 比5∼8%の
空 気 を 溶 解 して い る。 溶 解 さ れ る
空 気 の量 は,ほ ぼ そ の絶 対 温 度 に比 例 す る。 溶 解 空 気 は キ ャ ビテ ー シ ョ ンの発 生 に重 要 な影 響 を与 え る こと に な る。 作 動 油 に 混在 す る気 泡 は,作 動 油 の圧 縮 性 や圧 力 の伝 搬速 度 に大 き な変 化 を 与 え る の で,機 器 の 効 率 や 動 特性 に も大 きな影 響 を 及 ぼ す。
4
油圧 ポ ンプ 4・1油 油 圧 ポ ン プ は,電 り,こ
圧 ポ ンプ の 概 要
動 機 や エ ン ジ ンな ど 外 部 か らの 機 械 的 エ ネ ル ギ ー を 受 け 取
れ を 流 体 の エ ネ ル ギ ー に 変 換 す る機 械 で,油 圧 ユ ニ ッ トの 中 で エ ネ ル ギ ー
発 生 源(心
臓 部)と
な っ て い る。
油 圧 ポ ン プ は,油
タ ン ク 内 の 油 を 吸 い込 ん で 吐 き 出 す が,ポ
送 り 出 す も の で,圧
力 を つ く る も の で は な く,圧
る 抵 抗(負
〔1〕
荷)に
よ っ て 発 生 す る も の で,抵
ンプ 自身 は油 を
力 は油 の 流 れ を 妨 げ よ う と す
抗 が な け れ ば 圧 力 は 発 生 しな い。
油 圧 ポ ンプの 機 能
(a)吸 込 み 作 用 図4・1に (移 動)す
お い て,弁(コ る と,ピ
ッ ク)C
を 閉 の 状 態 で ピス ト ンを 右 に ス トロ ー ク
図4・1ポ
ス ト ン 室 A は 大 気 と は 遮 断 さ れ て い る の で,図4・2の
ンプの原理
図4・2ポ
ンプ の 吸 込 み 作 用
よ う
に空 気 量 は変 わ らな い まま ピス トン室 の容 種 がV1か
らV2に 増 大 す る。したが っ
て,空 気 の密 度 は小 さ くな り,圧 力 が低 下 す る。 す な わ ち真 空 状 態 にな り,ピ ス トンを 右 に移 動 す れ ば す るほ ど真 空 度 は大 き くな る。 この 状 態 か ら C を 開 き ピス トン室 A と油 タ ン ク内 の作 動 油 を 接 続 させ る と, 作 動 油 に は大 気 圧P0が 働 い て い る の で,P0-Pの
大 き に 応 じて タ ン ク か ら ピ
ス トン室 A に 向 か って 油 が流 れ る。 これ が ポ ンプ の 吸 込 み 作 用 で あ る。 実 際 の ポ ンプ を運 転 す る場 合 は,V1の
空 気 は抜 け て し ま い,作
動 油 が充 満 す るの
で ピス トンの ス トロ ー ク に従 って 真 空度 は高 ま り,連 続 的 に吸 込 み 作 用 が 行 わ れ る。 (b)吐
出 し作 用
図4・1の 状 態,す
A 室 が 吸 込 み を 完 了 した
な わ ち 図4・3のV=V3の
状
態 か ら ピス トンを左 側 に ス トロー クす る と,図4・1の ば,A
Cが閉 の状 態で あ れ
室 内 の 油 は 閉 じ込 め ら れ た ま
ま ピ ス ト ン に よ っ て 加 圧 さ れ る か ら, A 室 内 の 圧 力 は急 激 に 上 昇 す る 。 こ の と き C を 開 く と,圧
縮 され た油 は
A 室 か ら外 に送 り出 さ れ る。 ピス ト ンの ス ト ロ ー ク に 比 例 し た 油 量 が 送 り 出 さ れ る が,全
体 と し て はV3-V1の
図4・3ポ
ン プ の 吐 出 し作 用
量 で あ る。 C の 開度 が小 さ い と き は C
を 通 過 す る抵 抗 が 大 き くな り,ピ ス トンを 押 す 力 が C の 抵 抗 よ り大 き くな ら な い と A 室 か ら油 を送 り出 せ な い。 す な わ ち,A 室 の 圧 力 を 高 くす る こ と で, この圧 力 を ポ ンプ の 吐 出 し圧 力 と よぶ 。 こ の よ うに油 圧 ポ ン プの 吸 込 み ・吐 出 し作 用 は,容 積 変 化 に応 じて行 われ る もので,容 積 形 ポ ンプ とよ ば れ て お り,ピ ス トン室 を 一 般 的 に は ポ ンプ室 と い う。 こ の ポ ンプ室 の容 積 の増 減 を連 続 的 に行 う こ とに よ り,ポ
ンプ と して の機
能 が 可 能 に な る。
〔2〕 油 圧 ポ ンプの 性 能 (a)窓 積 効 率 油 圧 ポ ン プ の 1回 転 当 た り の 吸 込 み あ る い は 吐 出 し量(押 q〔cm3/rev〕,回
転 速 度 をN〔rpm〕=〔min-1〕
た は 吐 出 し量Qth〔cm3/min〕
と す る と,ポ
し 除 け 容 積)を ンプ の吸 込 み量 ま
は,
Qth=q・N と な る 。 こ のQthを
(4・1)
理 論 吐 出 し量 と よ ん で い る 。
しか し,ポ ンプ の吐 出 し側 に抵 抗(負 荷)が
あ り圧 力 が発 生 す る と,ポ ン プ
内部 のす き間 か ら吐 出 した油 量 の一 部 が漏 れ る。 この漏 れ量 は,圧 力 に比 例 し て増 大 し,油 の粘 度 に反 比 例 す る。 この た め,ポ
ンプ 吐 出 し口 か ら送 り出 され
る実 吐 出 し量 Q は漏 れ 量 だ け減 少 す る。 漏 れ量 を ⊿Qと す れ ば, (4・2)
Q=Qth-⊿Q と な り,Q
とQthの
比 を 容 積 効 率(volumetric
efficiency)η
υと い い,次
の 式
で表 す。
(4・3)
Qthは 理論 的 に計算 した値 で あ り,実 際 の 寸 法 に は公 差 が あ る の で,理
論値
と現 物 の 値 は必 ず しも一 致 しな い。 そ こで 理 論 吐 出 し量 は,実 際 に ポ ンプを 運 転 した と きの 無 負 荷 時(0.3∼0.5MPa)の ηυ=
吐 出 し量Q0に
Q/ ×100〔%〕 Q0
お きか えて (4・4)
と して容 積 効 率 を 求 め る。 (b)全
効率
ポ ン プ を 運 転 し,あ ポ ン プ はP・Qの
る 圧 力 P の も と に 吐 出 し量 Q を 送 り 出 し た と す る と,
仕 事 を し た こ と に な る 。 こ れ を ポ ン プ の 出 力 と い う 。 一 方,
ポ ン プ は 電 動 機 あ る い は エ ン ジ ンで 駆 動 さ れ る が,ポ
ン プ の 吐 出 し量 は,ポ
ン
プ の 内 部 漏 れ に よ る 漏 れ 損 失 や,軸
受 部 分 の 摩 擦 に よ る 機 械 損 失 が あ る の で,
ポ ンプを 駆 動 す る に は ポ ンプ 出力 に各 損 失 を加 え た動 力 が 必 要 に な る。 こ の動 力 を ポ ン プ 入 力 と い う。 ポ ン プ 出 力(軸
出 力,油 動 力)をL。
〔kW〕,ポ
の 比 を 全 効 率(total efficiency)ηpと
い う。
L。
砺=
L;
ン プ 入 力(軸
入 力)をLt〔kW〕
x100(%)
(4.5)
油 動 力L。 〔kW〕 は圧 力 をP〔MPa〕,実
吐 出 し量 をQ〔1/min〕
と す る と,
P9
Lo=
(4.6)
60
で 表 さ れ,軸 入 力L;〔kW〕
は,ポ
ン プ の 回 転 トル ク(実 測 値)T〔kN・m〕=〔kJ〕,
ポ ン プ の 回 転 速 度 を1>こ〔rpm〕 と す る と, 2π1VT
L;_
(4.7)
60
で 表 す。 な お,軸 継 手,ベ
受 部 分 の 摩 擦 損 失,電
動 機 あ る い は エ ン ジ ン と油 圧 ポ ンプ の間 の 軸
ル トな ど の 伝 導 効 率 を 含 め た 効 率 を 機 械 効 率(mechanical
ηmと す れ ば,次
の 関 係 が あ る。
ηP=η
囲4・1押
(4.8)
υ'η翅
し 除 け 容 積30cm3/revの
油 圧 ポ ン プ を 回 転 速 度1200 rpmで
運 転 した と き の吐 出 し圧 力 は,14MPaで を97%,全 (1)理
効 率 を90%と
あ った と い う。 この と き の容 積 効 率
した と き,次 の値 を求 め よ。
論 吐 出 し量 (2)実 吐 出 し量 (3)油 動 力 (4)軸
(5)回 転 トル ク ⑥ 機 械 効 率
36000(cm3/min)=36(Z/min)
〔 解 〕 (1)Q,h=q。!>F=30×1200= 2)Q=η
(3)Lo=
efficiency)
υ・Q,,、;0.97×36=35〔l/min〕
PQ
14×35
60
60
=8 .17(kW)
入力
(4)
(5)
(6)
問 題4・1吐
出 し圧 力7MPa,実
吐 出 し量50l/min,全
効 率82%の
油圧 ポ
ン プの 油 動 力 と駆 動 に必 要 な 軸 入 力 を求 め よ。
答
問 題4・2吐
出 し圧 力7000kPa,吐
用 す る と きの油 動 力(ポ 率70%,容
積 効 率82%と
(L0=5.83〔kW〕,
出 し量0.07m3/minの
ンプ 出力)と
Li=7.11〔kW〕)
油 圧 ポ ン プ を使
軸 入 力,機 械 効率 を求 め よ。 ポ ン プ全 効
す る。 答
Li=11.7〔kW〕,
(L0=8.2〔kW〕,
〔3〕 油圧 ポ ンプ の分 類
ηm=0.85)
表4・1油
圧 ポ ン プの 分 類
ベ ー ン ポ ン プ
外接形 内接形 定容量形(平 衡形) 可変容量形(非 平衡形) 斜軸式 ア キ シ ャル形 斜板式
ピ ス ト ン ポ ン プ
ラジ ア ル形
歯 車 ポ ン プ
油圧 ポンプ
レシ プ ロ形 ス ク リ ュー ポ ン プ
2軸 形
3軸形
回 転 シ リン ダ形 回 定 シ リン ダ形 ク ラ ンク形 カ ム形
〔4〕 油 圧 ポ ンプ の 性 能 表4・2油
圧 ポ ンプ の性 能 比 較
4・2歯 歯車 ポ ン プ(gear
pump)は,か
車 ポ ンプ
み合 って い る歯 車 の ケ ー シ ン グ と歯 み ぞ
の室 間 に満 た さ れ た 油 が,歯 車 の 回 転 と と もに 吐 出 し側 へ移 動 し,か み合 い部 で 吸込 み側 へ の戻 りを 防 ぎつ つ ポ ンプ作 用 を 行 う もで あ る。 歯 車 ポ ンプ はか つ て は他 の油 圧 ポ ン プ に比 べ 性 能 的 に劣 って いた が,近 年 は性 能 が 飛 躍 的 に 向上 して い る。 最 近 の傾 向 と して 側 板 を可 動 形 と した 油 圧 平 衡 方 式 を採 用,さ
らに
材 質 面 で もケ ー シ ング に アル ミニ ウ ム合 金 を使 い,重 量 の 軽 減 と生 産 性 の 向上 を はか って い る。 一 般 に歯 車 ポ ン プ は内 部 構 造 が 簡 単 で,苛 酷 な運 転 に も耐 え,小 型 ・軽 量 で 安 価 な た め,建 設 機 械 とか 車 両 を初 め一 般 産 業 用 機 械 に広 く使 用 さ れ て い て, 油 圧 ポ ンプ の原 点 と も い え る。
〔1〕 歯 車 ポ ンプ の 種類 一 口 に歯 車 ポ ン プ とい って もい ろい ろな 種 類 が あ るが ,現 在 も っ と も便 用 さ れ て い るの は,外 接 形 で低 圧 用 は 固定 側 板 形,高 圧 用 に は可 動 側 板 形 が多 い。 表4・3歯
車 ポ ン プ の種 類
外 接形 内接 形 固定側 板形 可動側 板形 転が り軸受形 すべ り軸受形
歯車 のか み合 い方式 構造上 から
側板調整方式 軸
受
方
式
〔2〕 歯 車 ポ ンプ の構 造 と作 動 (a)外
接 歯 車 ポ ンプ
図4・4の
よ う に,ポ
ケ ー シ ン グ(casing),側
ン プ は 駆 動 歯 車(drivegear),従 板(sideplate)な
図4・4-外
歯 数 の 等 し い2っ
の 歯 車(イ
ど か ら成 り た っ て い る。
接 歯 車 ポ ン プ の例
ン ボ リ ュ ー ト歯 車)が,ケ
て 回 転 し て い る。 吸 込 み ポ ー ト(suctionport)か て 歯 車 と い っ し ょ に 回 転 し,吐
動 歯 車(drivengear),
ら入 っ た 油 は,歯 の 間 に入 っ
出 し ポ ー ト(exhaustport)に
の ま ま 歯 の 間 に 入 っ て 吸 込 み ポ-ト
ー シ ング内で かみ合 っ
運 ばれ る。 そ
に 戻 ろ う と して も途 中 で 歯 が か み 合 っ て い
るの で,歯 底 の 油 以 外 は吸 込 み ポ ー トへ は戻 れな い。 と ころが,歯 車 は油が 次 々 に 運 ん で くるの で,吐 出 しポ ー トの油 は吸 込 み ポ ー トか ら押 し出 され,そ 量(吐
の油
出 し量)は 歯 車 の 回 転 が速 い ほ ど増 え る。
吐 出 しポ ー トか ら押 し出 さ れ た油 の通 路 に流 れ を 防 止 す る よ うな抵 抗 が な け れ ば,油 の 圧 力 は上 昇 しな い で油 は移 動 す るだ けで あ るが,油 圧 シ リ ンダ の よ う に行 き止 ま り に な って い れ ば油 の圧 力 は上 が る。 (b)内 接 歯 車 ポ ンプ 図4・5は,仕
切 板 付 きの 内 接 歯 車 ポ ンプで あ る。 内歯 車 の 歯 先 円 直 径 は外 歯
車 の歯 先 円直 径 よ り も大 き く,中 心 位 置 を偏 心 させ てか み合 って い る。 この空 間 を外 歯 車 歯 先 に も内歯 車 歯 先 に も接 す る仕 切 板 で ふ さ ぎ,高 圧 側 と低 圧 側 を 分 離 さ せ る。 歯 と歯 が か み合 う こ とに よ って,油 を吸 込 み ポ ー ト(低 圧 側)か ら吐 出 しポ ー ト(高 圧 側)へ 送 り出 し,か み合 い が離 れ る と吸込 み を 行 う方 法 は外 接 歯 車 ポ ンプ と同様 で あ るが,仕 切板 が あ る こ と と吸込 み ポ ー ト,吐 出 し ポ ー トが構 造 上 側 板 上 に 設 け られ て い る点 が異 な る。
図4・5内
図4・6は
接 歯 車 ポ ン プ の例(位 切 板 つ き)
仕 切 板 な し の 内 接 歯 車 ポ ン プ で,歯
形 に ト ロ コ イ ド曲 線 を 用 い て い
る の で トロ コ イ ドポ ン プ と い わ れ る 。 外 ト ロ コ イ ド歯 車(ア トロ コ イ ド歯 車(イ
ン ナ ロ ー タ)が
ウ タ ロ ー タ)と
常 に 接 触 し な が ら 回 転 す る ポ ン プ で,内
ロ コ イ ド歯 車 は 外 ト ロ コ イ ド歯 車 よ り 歯 が 1つ 少 な く,各
内 ト
歯 車 の 中心 は偏 心 し
図4・6内
接 歯 車 ポ ン プ の例(仕 切 板 な し)
て い る。 内 トロ コ イ ド歯 車 は軸 に取 り付 け られ て 回 転 し,こ れ に伴 い外 トロ コ イ ド歯 車 も同 じ方 向 に回転 させ られ る。 図4・7は,回
転 とと もに両 歯 車 の間 の油 の容 積 が ど の よ うに変 化 す るか を示
した もの で あ る。 吸込 み ポー トか ら吸 込 ま れ た 油 は,容 積V1か
図4・7ト
ロ コイ ドポ ン プ の 吸 込 み ・吐 出 し作 用
らV4ま で の容
積 膨 張 区間 で吸 込 み 作 用 が 行 わ れ,V4か
らV7の 容 積 収 縮 区 間 で 吐 出 し作 用 が
行 わ れ る。 トロ コイ ドポ ンプ は,最 大 吐 出 し圧 力2MPa,容
積 効 率80∼90%で
あ るが,
構 造 が 簡 単 で 価格 が 安 く,脈 動 や 騒 音 が 少 な いな どの 長 所 が あ り,低 圧 用 の油 圧 ポ ンプ と して使 用 され て い る。 〔3〕 歯 に 働 く荷 重 歯 車 に は,外 周 に受 け る油圧 に よ って 中心 に 向 か う力(荷 重)が
か か る。 そ
の圧 力 の 大 き さは,吐 出 し側 で は吐 出 し圧 力 が働 くの で高 い が,吸 込 み 側 で は 吸込 み圧 力 な の で低 い。 そ の 中 間 で は,吐 出 し側 か ら吸込 み側 に か け て 圧 力 が 段 々 減 って くる。
図4・8歯
に働 く荷 重
ま た,こ の 他 に歯 車 に はか み 合 って い る歯 と歯 で 押 し合 う力 が働 いて い る。 これ らの 力 の た め に歯 車 は吸込 み 側 の 方 へ 押 され,不 平衡 荷重 と して 作 用 し, これ を 軸 受 が 支 え て い る。 この 不平 衡 荷 重 の た め に歯 車 は 吸込 み側 に 片 寄 る の
で,ケ ー シ ング吸 込 み 側 で は歯 先 の す き間 は小 さ くな り,ポ ンプ の種 類 に よ っ て は軽 く接 触 す る こ とが あ る。 〔4〕 閉 じ込 み 現 象 歯 車 の か み 合 い率 は 1よ り大 き いか ら,必 ず 2組 の歯 が か み合 って い る 期 間 が あ る。 2組 の歯 が同 時 にか み 合 った 場 合,す
き間 に入 っ た油 は,前 後 の 出 口
をふ さ が れ て 閉 じ込 め られ て しま う。 これ を 油 の 閉 じ込 み とい う。 図4・9は,閉
じ込 み容 積 の変 化 を 表 した もので,イ
ンボ リュ ー ト歯形 で は,
閉 じ込 み 開始 か ら中 央 ま で容 積 を次 第 に減 少 した 油 は圧 縮 を受 け る た め圧 力 が 異 常 に高 ま り,軸 動 力 の増 加,軸 受 荷 重 の増 大,歯 車 の振 動 ・騒 音 な ど の原 因 と な る。
図4・9閉
じ込 み容 積 の 変 化
ま た 閉 じ込 み 中 央 か ら終 了 ま で の間 は,容 積 が膨 張(増 大)し て負 圧 とな り, 真 空 発 生 に よ りキ ャ ビテ ー シ ョ ンな ど の悪 影 響 を及 ぼ し,こ れ も歯 車 の振 動 ・ 騒 音 の原 因 とな る。 これ を 防止 す るに は,歯 車 の か み合 い部 の側 面 に逃 げ溝 を設 け て,閉
じ込 み
開 始 か ら圧 縮 の 間 は 吐 出 し側溝 か ら逃 が して 圧 力上 昇 を避 け,膨 張 か ら閉 じ込 み終 了 まで は吸込 み真 空発 生 を 防止 して い る。 そ の他,転
位歯 車(正
の転 位)に
して か み 合 い率 を ち ょ うど 1に して,か
み
合 い が常 に 1点 に な る よ う に工 夫 して い る。 また 正 弦 曲線 歯 車 ポ ンプの よ うに, 歯 の接 触 点 を常 に 1点 に して,閉
じ込 み が 起 こ らな い よ うに した もの も あ る。
4・3ベ
ベ ー ン ポ ン プ(vane
pump)は,駆
放 射 線 状 の 溝 を 設 け,こ き る よ う な 構 造 で,ベ ベ ー ンの 先 端 は,だ
ー ンポ ン プ
動 軸 と一 体 に な っ て 回 転 す る ロ ー タ に
の 溝 に べ ー ン(羽 ー ンの 数 は8∼12枚
根)を
差 し込 み,滑
らか に 出 入 りで
が一 般 的 で あ る。
円形 の 内 面 を も っ
た カ ム リ ン グ に 押 し付 け ら れ た 状 態 で ロ ー タ と ベ ー ン は 回 転 し,ベ ー ンは ロ ー タ の 溝 か ら必 要 な 長 さ だ け 抜 け 出 し, ま た は 溝 に 押 し込 ま れ る。 ロ ー タ の 溝 に そ う入 さ れ た ベ ー ン 間 の容 積 が 回転 中 に増 減 す る こと に よ っ 図4・10べ
て,吸
ー ンポンプの作動
込 み と 吐 出 し を 行 う。
べ ー ンポ ンプ に は,定 容 量 形(平 衡 形)と 可 変 容 量 形(非 平衡 形)が
あ る。
〔1〕 定 容 量 形 べ ー ン ポ ン プ の 構 造 と 作 動 図4・11は
単 段 ベ ー ン ポ ン プ で,ロ
ポ 一 トは 吸 込 み を,c,d各
ー タ が 矢 印 の 方 向 に 回 転 す る とa,b各
ポ ー トは 吐 出 し作 用 を す る 。 吸 込 み ポ ー ト,吐
し ポ ー トが 軸 対 称 の 位 置 に あ る の で,半
出
径 方 向 の 力 は 平 衡 して お り,軸
受 荷重
は小 さ い 。 べ ー ン の 底 部 に は 吐 出 し圧 力 を 導 い て 遠 心 力 を 利 用 し て,ベ
ー ンを
カ ム リ ン グ の 内 面 に 確 実 に 押 し付 け て い る。 図4・12は,同
一 軸 に 2個 の ポ ン プ を 組 み 込 み,そ
れ ぞ れ が 独 立 した ポ ン プ
図4・11単
図4・12
段 べ ー ンポ ンプ の 例
2連 べ ー ンポ ンプ の 例
作 用 を 行 う形 式 の もので,吸 込 み ポ ー トを 共 用 し,吐 出 しポ ー トを 2個 設 けて, そ れ ぞ れ 単 独 の油 圧 系 統 に用 い られ る。 〔2〕 可 変 容 量 形 ペ ー ンポ ン プ の 構 造 と 作 動 カ ム リ ン グの 内接 面 を 円形 に し,ロ ー タ の中 心 軸 と カ ム リング(本 体)の 中 心 軸 を偏 心 させ,吸 込 み ポ ー トと吐 出 しポ ー トを左 右 の半 円部 に分 け て設 け た 構 造 で 非 平 衡 形 とい う。 非 平 衡 形 で は,偏 心 量 を調 整 す る機 構 を 組 み 込 み,1 回 転 当 た りの吐 出 し量 を変 化 で き る。
図4・13可
図4・14の
よ う に,カ
で 押 し 付 け ら れ,ロ
変 容 量 形 べ ー ン ポ ン プの 例
ム リ ン グ は 圧 力 調 整 ば ね に よ り 吐 出 し量 調 整 ね じ 部 ま
ー タ 中 心 と カ ム リ ン グ 中 心 は 偏 心 量 eを も っ て い る。 偏 心
量 が 大 き い と吐 出 し量 は 多 く な り,ゼ
ロ(同
心)の
る。
図4・14可
変 容 量 形 べ ー ン ポ ン プ の作 動
場 合 は 吐 出 し量 も ゼ ロ に な
カ ム リ ン グ はば ね で 押 され て い るが,ポ ー トプ レー トに設 け られ て い る吐 出 しポ ー トは ば ね の 方 向 と傾 いて い るた あ,カ
ム リ ン グ 内 面 の 圧 力 に よ る力FP
は ば ね の方 向 と傾 い て作 用 す る。 こ のFPの ば ね方 向 の分 力FSが ば ね に対 抗 す る。 吐 出 し圧 力 が 高 くな る と圧 力 に比 例 してFpも 大 き くな り,FSも
大 き くな
る。 そ して ば ね 初 期 設 定 力 よ り大 き くな る と,カ ム リ ング は ば ね方 向 に動 き偏 心 量 を小 さ くす る。 こ れが 吐 出 し量 を 自動 的 に変 化 させ,一 定 の圧 力 で 吐 出 し 量 を ゼ ロ にす る特 性 を もっ て い る。 定容 量 形 は圧 力 平 衡 形 の た め に軸 受 に ラ ジ ア ル荷 重 は作 用 しな い が,可 変 容 量 形 は圧 力 不 平 衡 形 の た め,軸 受 へ の荷 重FP′ は吐 出 し圧 力 に比 例 して 大 き く な る。
4・4
ピ ス ト ン ポ ン プ(piston
pump)は,ピ
ス ト ン の 往 復 運 動 に よ り ポ ン プ作 用
を 行 う ポ ン プ で プ ラ ン ジ ャ ポ ン プ と も い わ れ,小 を 行 う必 要 か ら多 ピ ス ト ン で,ピ
ピス トンポ ンプ
型 で 脈 動 を 少 な く,高
ス ト ン の 数 は 5本,7
本,9
速 回転
本 と奇 数 本 で あ
る。 ピ ス ト ン ポ ン プ は,ピ ラ ジ ア ル 形,レ
ス ト ンの 配 列 か ら ア キ シ ャ ル 形(斜
軸 式,斜
板 式),
シ プ ロ 形 に 大 別 さ れ る。
ア キ シ ャ ル 形 は,ピ 内 に 配 置 さ れ,ラ
ス ト ンが シ リ ン ダ ブ ロ ッ ク 軸 に 平 行 に 軸 ま わ りの 円 筒 面
ジ ア ル 形 は,ピ
ス トンが 軸 と直 角 な 断 面 内 に半 径 方 向 に放 射
状 に 配 置 さ れ た 構 造 の もの で あ る。 ま た レ シ プ ロ 形 は,ピ
ス ト ンが ピ ス ト ン軸
を 含 む 平 面 内 に 軸 に 直 角 に 配 置 さ れ る。 ア キ シ ャ ル 形,ラ
ジ ア ル形 と もシ リ ンダ ブ ロ ックが 軸 と と もに回 転 す る構 造
の 回 転 シ リ ン ダ 形 と,シ
リ ン ダ ブ ロ ッ ク は 回 転 し な い 固 定 シ リ ン ダ形 が あ り,
回 転 シ リ ン ダ 形 は 可 変 容 量 形 に で き,同 る の で,ピ
じ構 造 で 油 圧 モ ー タ と し て も使 用 で き
ス ト ン ポ ン プ の 中 で は も っ と も多 く使 わ れ る。
ピ ス ト ン ポ ン プ は,次
の よ うな特 徴 を もって い る。
①
吐 出 し圧 力 が 極 めて 高 く,20∼45MPaに
②
全 効 率,信 頼 性,寿 命 は油 ポ ンプ の 中 で も最 良 で あ る。
③
吐 出 し量 可 変 機 構 に は い ろ い ろ の形 式 が あ り,可 変 容 量 形 ポ ンプ,可 逆 ポ ンプ(2 方 向 ポ ンプ)と
④
達 す る もの もあ る。
して 利 用 範 囲 が 広 い。
構 造 が 複 雑 で 価 格 が 高 く,作 動 油 の汚 染 に は特 に 注意 が必 要 で あ る。
〔1〕 斜 軸 式 ア キ シ ャ ル ピ ス ト ンポ ン プ 斜 軸 式 は 図4・15の
よ う に,駆
動 軸 と と も に 回 転 し て,ピ
ス ト ン が シ リ ン ダ 穴 に 対 し て 相 対 的 に 往 復 運 動 し,
ポ ン プ 作 用 を 行 う も の で,可 を 変 え て や れ ば,,こ
動 軸 に対 して傾 斜 した シ リ ンダ ブ ロ ッ クが 駆
変 容 量 形 に す るに は シ リン ダ ブ ロ ッ クの 傾 斜 角 α
れ に 伴 っ て ピ ス ト ン の ス ト ロ ー ク S が 変 化 し,同
じ回 転
速 度 の も と で 吐 出 し量 は 最 大 か ら ゼ ロ ま で 任 意 に 変 え ら れ る 。
図4・15斜
〔2〕
軸 式 ア キ シ ャ ル ピス トン ポ ン プ の 作動
斜 板 式 ア キ シ ャ ル ピ ス トン ポ ン プ
図4・16は 斜 板 式 の 例 で,シ
リン ダ ブ ロ ッ クと と もに 回 転 す る ピ ス ト ン の頭
部 が軸 に傾 斜 して 置 か れ た斜 板 上 を 摺 動 す る こ と に よ り,シ リ ンダ ポ ー トに対 して ピ ス トンが 相 対 的 な往 復 運 動 し,ポ ンプ作 用 を行 う。 ま た,斜 板 の傾 斜 角
図4・16斜
板 式 ア キ シ ャル ピ ス トン ポ ン プ の 作 動
α を変 化 して ピス トンの ス トロ ー ク S を可 減 し,可 変 容 量 形 と して 使 用 す る。 斜 板 式 は斜 軸 式 に 比 べ て 構造 が簡 単 で部 品 数 も少 な く,高 速 回 転 に 適 し,小 型 で,し
か も動 力 当 た りの 質 量 が小 さい の で,振 動,騒 音 も低 い。
〔3〕
ラ ジ ア ル ピ ス トン ポ ン プ
図4・17は
偏 心 ポ ン プ の 一 例 で,ピ
ス ト ンは シ リ ン ダ ブ ロ ッ ク に 放 射 状 に そ
う入 さ れ て い る 。 ピ ス ト ン は 回 転 に よ る 遠 心 力 を 受 け て 外 方 に 飛 び 出 し,偏
図4・17ラ
ジア ル ピ ス トン ポ ン プ の 作 動
心
した ス ラス トリ ン グに押 し付 け られ て 1回 転 に 1往 復 の運 動 を行 う。 中心 に は ピン トル(固 定 分 配 軸)が
あ り,そ の中 を軸 方 向 に貫 通 した 2個 の穴 が そ れ ぞ
れ 吸 込 み ポ ー トと吐 出 しポ ー トに通 じ,他 端 は シ リン ダ穴 の位 置 で 外 周 に開 口 して ピス トンの往 復 運 動 に伴 って ポ ンプ作 用 を行 う。 ま た ス ラス トリ ング の偏 心 量 を 加 減 して,流 量 お よ び吸 込 み,吐 〔4 〕
出 しの方 向 を変 化 す る。
レ シ プ ロ ピ ス トン ポ ン プ
図4・18は
3連 の レ シ プ ロ ピ ス ト ン ポ ン プ で,ク
ラ ン ク軸 の 回 転 に伴 って シ
リ ン ダ ブ ロ ッ ク に そ う入 さ れ た ピ ス ト ンが120゜ の 位 相 角 を も っ て 往 復 運 動 を 行 い,ポ
ンプ作 用 をす る もの で あ る。
図4・18レ
シ プ ロ ピ ス トン ポ ン プの 例
レシ プ ロ形 は構 造 が や や 複 雑 で 大 型 で あ り,逆 止 め弁 を使 用 して い るの で 油 圧 モ ー タ と して は使 え な い。 高 圧(50MPa程
度)に
耐 え るが,ピ
ス ト ン本 数
が 少 な いの で 脈 動 が 大 きい。
4・5ス
ス ク リ ュ 一 ポ ン プ は 図4・19の を 行 う もの で,外
ご と く,軸
ク リ ュ ー ポ ンプ
方 向 に 油 が 流 れ て 吸 込 み,吐
出 し
接 歯 車 ポ ン プの歯 が ね じれ て軸 方 向 に長 くな った もの と考 え
る こ とが で き る。
油 圧 ポ ンプ の 中 で は も っ と も油 の流 れ に無 理 が な く,低 脈 動,低 騒 音 を特 長 と して い る。
図4・19ス
ク リュー ポ ン プ の例(3 軸 形)
5
油 圧 ア ク チ ュエ ー タ 油 圧 ア クチ ュエ ー タは,油 圧 ポ ンプ か ら送 られ た油 圧 の エ ネ ル ギ ー を機 械 的 エ ネ ル ギ ー に変 換 す る もの で,出 力 軸 が 連 続 回転 運 動 か,往 復 回転 運 動(揺 動 運 動)か,往
復 直 線 運 動 か をす る もので あ り,そ れ ぞ れ を油 圧 モ ー タ,揺 動 形
ア ク チ ュ エ ー タ(揺 動 モ ー タ),油 圧 シ リ ンダ とい う。
5・1油
油 圧 モ ー タ は ポ ン プ 作 用 の 逆 で,圧 エ ー タ で,基
〔1〕
油 を 流 入 させ て 回 転 運 動 を行 うア ク チ ュ
本 構 造 は 油 圧 ポ ン プ と 同 じで あ る。
油 圧 モ ー タ に は,油 モ ー タ,ス
圧 モータ
圧 ポ ン プ と 同 様 に 歯 車 モ ー タ,ベ
ー ン モ ー タ,ピ
ス トン
ク リ ュ ー モ ー タ な ど が あ る。
油 圧 モ ー タ の性 能
油 圧 モ ー タ の 出 力 トル ク T 〔kN・m〕=〔kJ〕 圧 力 差 を ⊿P〔MPa〕,押
は,油
し除 け 容 積 をq〔cm3/rev〕,ト
圧 モ ー タの 入 口 と 出 口 の ル ク 効 率(機
械 効 率)
を ηmと す る と,
(5・1)
回 転 速 度N〔rpm〕
は,油
圧 モ ー タ へ の 流 入 油 量 をQ〔 l/min〕,容 積 効 率 を ηυ
と す る と,
(5・2)
油 圧 モ ー タ の 容 積 効 率 は,1V〔rpm〕 Qth〔l/min〕
あ る い は 無 負 荷 時(流
の回転 を 出す の に必要 な理 論 流 入 量
入 圧 力0.3∼0.5MPa)の
と 負 荷 時 の 実 際 流 入 量Q,〔l/min〕
流 入 量Qa〔l/min〕
との比 で表 され る。
実 際 の 圧 油 流 入 量 の 計 測 は 困 難 で あ る か ら,モ ー タ か ら の 流 出 量Q2〔l/min〕 と 漏 れ 量 ⊿Q〔l/min〕
と の 和 で あ る と 考 え る。
Ql=Q2十QQ
また,容 積 効 率 は
(5.3)
あるいは 油 圧 モ ー タ が1V〔rpm〕 の 出 力L。 〔kW〕
は,次
と す れ ば,油
圧 モ ータ
の式 で表 す。
2π1VT
Lo= ま た,油
の と き の 出 力 トル ク をT〔kJ〕
(5.4)
60
圧 モ ー タ の 入 力Lt〔kW〕
流 出 圧 力 をP2〔MPa〕
は,流
入 量 をQ,,流
入 圧 力 をP,〔MPa〕,
と す る と,
(5.5) と な る。 油 圧 モ ー タ の 全 効 率 η、は, Lo 'IQ
L;
x100(%)
(5.6)
ま た,η 、は 次 の よ う に も 表 す 。 'IQ=η
囮5・1油
圧 モ ー タ1回
力 差30MPaの 〔 解 〕 式(5.1)に す れ ば,
C5.7)
ゼ η魏
転 の 押 し除 け 容 積 が100cm3/rev,入
口,出
と き の 出 力 トル ク を 求 め よ 。 トル ク 効 率 を85%と ⊿P=30〔MPa〕,
q-100〔cm3/rev〕,
口の
す る。
ηm=0.85を
代 入
問 題5・1圧
力21MPa,押
し 除 け 容 積50cm3/rev,回
転 速 度2000rpmで
作 動 し て い る 油 圧 モ ー タ が あ る。 トル ク 効 率 を90%,全 き,次
した と
の 問 に答 え よ。
(1)出
力 トル ク
(5)モ
答
効 率 を85%と
(2) モ ー タ 出 力
(3)モ
ー タ入 力
(4)容 積 効 率
ー タへ の流 入 量 ((1)0.15kJ
〔2〕
(2)31.4kW
(3)37kW
(4)94%
(5)106l/min)
油 圧 モ ー タの 分 類
油 圧 モ ー タ は 油 圧 ポ ン プ と 逆 の 機 能 を も っ て い る が,基 と 同 じ で あ る 。 表5・1は,油
本 構造 は油圧 ポ ンプ
圧 モ ー タの分 類 で あ る。 表5・1油
圧 モ ー タ の分 類
歯 車 モ ー タ
外接形 内接形
べ ー ンモ ー タ
油圧 モータ
ピ ス ト ン モ ー タ
ア キ シ ャル 形 ラ ジア ル 形
斜軸式 斜板式
揺 動 形 ア クチ ュエ ー タ ス ク リ ュ
モ ー タ
〔3〕 油 圧 モ ー タの 作 動 特 性 油 圧 ポ ン プ と 油 圧 モ ー タの 作 動 特 性 を,表5・2に
示 した。
表5・2油
項
目
油 圧
ポ
圧ポ ンプ と油 圧 モ ー タの 作 動特 性
ン プ
油
〓機 械 的 な 回転 動 力 を 油圧 動力 に変換 す る。 〓負 荷 抵 抗 に 対 して 油 を 吐 き出 す こと が要
機
れ る。 〓回 転 方 向 に よ っ て高 ,低 圧 ポ ー トが本 れ か わ る。
〓吐 出 し方 向 もク ロス セ ン タ形可 変 容 量 ポ わ る こ とは な い。
〓広 範 囲 な回 転 速 度 で運 転 さ れ る。 〓一 定 速 度 で運 転 さ れ る の が 普通
軸 に対す る外力
レー キ作 動 時 な ど)。
〓特 殊 な場 合 を 除 いて 両 方 向 回 転 が要 求 さ
〓稼 動 中 に 回転 方 向 が変 わ る こ とは な い。
運転油温
タ
〓油 圧 動 力 を機 械 的 な回 転 動 力 に変換 す る。
で は な い(ブ
る。
回転速度
ー
され る ので,ト ル ク効 率 が 重 視 さ れ る。 〓ポ ンプ作 用 を 行 わ せ る こ と は ま れ な こ と
モ ー タ作 用 を 行 わ せ る こ と は ま れ で あ
ン プ を 除 い て,変
モ
〓負 荷 トル ク に対 して 回転 す る こと が要 求
求 さ れ る の で,容 積 効 率 が 重視 さ れ る。
能 〓ク ロ ス セ ン タ形可 変 容 量 ポ ンプ を除 い て
回転方向
圧
〓停 止 状 態 で高 圧 に さ らさ れ る ことはな い。
〓停 止 あ る い は低 速 状 態 で高 圧 を受 け る こ とが あ る。
〓起 動 時 を含 め て ポ ンプ 温度 と作 動 油 温 度
〓モ ー タ温 度 と作 動 油 温 度 に著 しい差 が あ
に著 しい差 が あ る こと は少 な い。 〓作 動 油 温 度 の 変化 は か ん ま ん で あ る。
る状 態 で 運 転 され る こ とが あ る。 〓サ ー マ ル シ ョ ック の 問題 が あ る。
〓外 力 が 働 くよ うな使 用 方 法 は少 な い。
〓プ ー リ,ス プ ロ ケ ッ ト,歯 車 等 か ら間接 的 に外 力 を 受 け る。
〔4〕 歯 車 モ ー タ (a)歯 車 モ ー タの 種 類 と構 造 歯 車 モ ー タ に も 歯 車 ポ ン プ と 同 様 に,外 モ ー タ(図5・2)と
が あ り,イ
接 歯 車 モ ー タ(図5・1)と
ン ボ リ ュ ー ト歯 形 を 用 い る も の が 多 い 。 正逆 両
回 転 に 用 い ら れ る の で 外 部 ド レ ン と す る ぼ か,一
図5・1外
内接 歯車
接 歯 車 モ ー タの 作 動
般 に 可 動 則 板 形 で は,そ
の背
圧 を正 逆 回 転 に対 応 して 自動 的 に 切 り 換 え る機 構 が必 要 で あ る。 起 動 時 の摩 擦 の減 少 の た め 転 が り軸 受(ニ ー ドル 軸 受)が 多 く用 い られ る。 低 速 高 トル ク用 と して 内歯 車 と,こ れ よ り歯 数 の 1枚 少 な い外 歯 車 と の か み 合 い に よ って 生 じる差 動運 動 を 利用
図5・2
内接歯車モー タの作動
して 減 速 し た小 型 の 内 接 歯 車 モ ー タ (図5・2)が
小 型 機 械 に 使 用 さ れ る。 図5・3は,歯
よ って 歯 車 モ ー タ を 駆 動 す る装 置 で,歯
車 ポ ン プ か ら送 ら れ た 油 に
車 モ ー タ は 水 車 に よ く似 て い る と い わ
れ る。
図5・3
図5・4は 歯 車モ ー タの 構造例 で,モ
歯 車 モ ー タ と水 車
ー タの場 合,内 部漏 れ が 増 加 す る と そ れ
だ け 回転数 が 低下 す る ので,こ れを 防止 する ため に可動 側板 形 と す る。 ケ ー ス
図5・4歯
車 モ ー タの 例
は ア ル ミニ ウ ム 合 金 で で き て い て,ケ
ー ス 内 側 と歯 先 と の す き間 は 全 周 に わ た っ
て 一 様 に な っ て い る 。 歯 数 は い ろ い ろ な トル ク に 耐 え ら れ る よ う,歯
車 ポンプ
よ り歯 数 を 多 くす る 。 (b)歯 車 モ ー タ の 原 理 図5・5(a)に お い て,上
の 歯 車 A だ け を 考 え る と,押
た 油 の 圧 力 はP1,P′1,P2,P′2面
差 に よ っ て 回 転 力(ト 次 に,図5・5(b)の
ル ク)は
とQ′ 面 を 比 べ る と,接
の 低 圧 油 しか 働 か な い が,Q
圧)か
ら入 っ
に 直 角 に 等 し く働 く。 歯 面 へ の 力 はP1 ,P′1面 で
は 互 い に 釣 合 っ て 歯 車 を 回 す 力(ト 釣 合 っ て い る が,Q
込 み 側(高
発 生 し な い 。P2とP′2面
も同 様 に
点 を 境 に し てQ′ 面 に は 吐 出 し側
側 に は 押 込 み 側 の 高 圧 油 が 働 い て い る。 こ の 力 の
ル ク)が
発 生 す る と考 え る。
下 の 歯 車 B で は,P1,P′1面
で は歯 車 に 働 く力 が 互 い に釣
合 っ て い て 歯 車 を 回 す 力 は発 生 しな い 。P2,P′2面 で も 同 じ よ う に 釣 合 っ て い る が,Q
面 とQ′ 面 を 比 べ る と,歯
車 A と 同 じ よ う に 接 点 を 境 に して Q 面 に は 押
込 み 側 の 高 油 圧 分 だ け 大 き な 力 が 働 く。 こ の 力 の 差 に よ っ て 回 転 力 が 発 生 す る 。
(a)
(b)
(c)
図5・5歯
車 モ ー タの 原 理
これ らの こ とか ら図5・5(c)に示 す よ うに,上 の歯 車 A と下 の歯 車 B の 歯 面 に 力 が 働 い て い る矢 印部 分 か ら回 転 力 が 発 生 し,歯 車 が 回 転 す る と考 え られ る。 歯 車 モ ー タ は,ポ
ンプ か ら送 られて くる油 の 流 れ 方 向 に よ っ て,正 逆 いず れ
か の 回 転 方 法 が決 ま る。 この た め押 込 み 側 と吐 出 し側 が そ のつ ど変 わ る。 〔5 〕
図5・6は
ベ ー ンモ ー タ
高 速 ベ ー ン モ ー タ の 構 造 例 で,ベ
圧 力 も遠 心 力 も働 い て い な い 状 態 で も,べ
ー ン ポ ン プ と は 異 な り,ベ
ー ンに
ー ンは最 初 か らカ ム リング 内面 にば
ね に よ っ て 押 し付 け ら れ て い な け れ ば な ら な い 。 油 圧 モ ー タ の 回 転 方 向 は 左 右 両 方 向 に 回 転 す る の で,ベ
ー ンの背 圧 は ど ち ら
の ポ ー トか ら圧 油 が 流 入 し て も常 に 流 入 圧 力 に して お く必 要 が あ る の で,シ トル 弁 を 内 蔵 し,流
ャ
入 圧 力 を ベ ー ン背 部 に 導 く よ う に な っ て い る。 ド レ ン も外
図5・6ベ
ー ン モ ー タの 例
部 方 式 で,耐 圧 用 の オ イ ル シー ル を使 用 す る。 〔注〕 シ ャ トル弁:2 つ の 入 口 と 1っ の共 通 の 出 口 を もち,出 口 は入 口圧 力 の 作 用 に よ って入 口 の いず れか 一 方 に 自動 的 に接 続 さ れ る弁 〔6 〕
(a)ア
ピ ス トン モ ー タ
図5・7は
キ シ ャル ピス トンモ ー タ ア キ シ ャ ル ピ ス ト ン モ ー タ の 例 で,構
図5・7斜
造 は ポ ン プ と ほ とん ど同 じで
板 式 ア キ シ ャ ル ピ ス トン モ ー タ の例
あ る。 定 容 量 形 斜 板 式 で,斜 板 は ケー シ ング に固定 され て い る。 シ リ ンダ ブ ロッ ク の 中 に は奇 数(7∼9本)の
ピス トンが 軸 と平 行 に配 列 され て お り,圧 油 を
送 入 す る と ピ ス トンが 斜 板 に沿 って シ リン ダ ブ ロ ックか ら押 し出 そ う とす る力 が働 き,出 力 軸 を回 転 させ る。 (b)ラ
ジ ア ル ピ ス トン モ ー タ
ラ ジ アル ピス トンポ ンプ と構 造 は同 じで あ るが,特 て は,押
に低 速,高
し除 け容 積 を大 き く しや す い偏 心 形(図5・8)で
トか ら分 配 軸(ピ
トル ク用 と し
あ る。 本 体 入 ロ ポ ー
ン トル)内 に入 った 圧 油 は,本 体 内 油 路 に 出 る と き に整 流 作
用 を 受 けて 順 次 に ピス トン頂 部 に圧 油 を供 給 す る。 ピス トン頂 部 で は大 き な力 を 発 生 し,偏 心 カ ム軸 を 回転 させ 同 時 に分 配 軸 も回 転 させ る の で連 続 した回 転 力 が 得 られ る。
図5・8ラ
ジ ア ル ピス トン モ ー タの 例(固 定 シ リン ダ 形)
〔7〕 揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タ 揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タ は揺 動 回 転 運 動 を 行 う も の で,直 ン形(図5・9)と あ る 。 図5・9は,ベ
接 回転 力 を得 るベ ー
直 線 運 動 を 回 転 運 動 に 変 え る装 置 を 内 蔵 す る ピ ス ト ン形 と が ー ン形 で 圧 油 を 受 け て ベ ー ンが 一 定 の 角 度 回 転 す る構 造 で,
シ ン グ ル ベ ー ン(1 枚 羽 根)の 場 合 は 最 大280度,ダ
ブ ル ベ ー ン形(2 枚 羽 根)の
図5・9揺
場 合 は 最 大100度
の揺 動 角 の範 囲 で 作 動 す る。
ピ ス ト ン形 は,油
圧 シ リ ン ダの動 きを ラ ッ ク ・ピニ オ ンや ヘ リカ ル ス プ ラ イ
ン あ る い は チ ェ ー ン,リ で,揺
動 モ ー タの 例(ベ ー ン形)
動 角 は360度
ン ク機 構 な ど を 用 い て 出 力 軸 を 揺 動 運 動 に 変 え る も の
以 上 も可 能 で あ る。
5・2油
圧 シ リンダ
油 圧 シ リ ンダ は,油 圧 ポ ンプ で発 生 した油 圧 の動 力 を直 線 運 動 に変 え,仕 事 を行 う もので あ る。 〔1〕 油 圧 シ リ ン ダ の 分 類 油 圧 シ リ ン ダ を 機 能 上 か ら分 類 す る と,図5・10の 両 側 に 交 互 に 圧 油 を 流 入 ・流 出 さ せ る 複 動 形,ピ 入 して 推 力 を 発 生 し,戻
よ うに な る。 ピ ス ト ンの ス トンの片 側 だ け に圧 油 を流
り は ば ね や 重 力 等 で 行 う単 動 形 が あ る 。 単 動 形 に は,
ピ ス ト ン を も た な い で ロ ッ ドが ピ ス ト ン と な る ラ ム形 が あ り,リ タ,ジ
ャ ッ キ 等 に 用 い られ る 。
フ タ,エ
レベー
図5・10油
ピ ス ト ン形 に は,片 プ 形(多
段 形)な
ま た,油
ロ ッ ド形,両
圧 シ リン ダの 機 能 上 の 分 類
ロ ッ ド形,ダ
ブ ル ピ ス ト ン形,テ
レス コ ー
どが あ る。
圧 シ リ ン ダ を 取 付 け 支 持 方 法 に よ っ て 大 き く 分 類 す る と,図5・11
の よ う に 分 け ら れ る。
図5・11油
圧 シ リン ダの 取 付 け 支持 方 法 に よ る分 類
①
フ ラ ンジ形:取 付 け フ ラ ンジで 固 定 す る支 持 方 式 で あ る。
②
フー ト形:取 付 け足 を も ち,ピ ス トンロ ッ ドの 中 心 線 と平 行 な 取 付 け面 が あ る支 持 部 を もつ もの で あ る。
③
ト ラ ニ オ ン形:ピ
ス ト ン ロ ッ ドの 中 心 線 に 対 して 直 向 し,シ
リ ンダの 両
側 に 伸 び た 一 対 の 円 筒 状 の ピ ボ ッ トで 支 え る 取 付 け 形 式 で あ る 。
④
ク レ ビス形:ピ
ス トン ロ ッ ドの 中 心 線 に対 して 直 角方 向 の ピ ン穴 の あ る
U形 支 持 部 を もつ 支持 形 式 で,重 機 械 用,建 機 用 と して 用 い る。 次 に,油
圧 シ リ ン ダ を 組 立 形 式 に よ っ て 分 類 す る と,図5・12の
イ ロ ッ ド方 式,フ
ラ ン ジ方 式,溶
の 比 較 を 表5・3に
示 した 。 表5・3組
組立形式
内
ヘ ッ ド側 キ ャ ップ側
接 方 式,ね
よ う に,タ
じ込 み 方 式 な ど に 分 か れ,そ
れ ら
立 形 式 に よ る油 圧 シ リン ダの 特 徴
容
用
途
長
所
短
所
〓ス トロ ー クの長 い と ヘ ッ ド ・キ ャ ップ 両 カ バ ー
タイ ロ ッ ド方 式
を 通 し ボ ル ト(タ ド)で
イ ロ ッ
締 付 け る 。
一般産業機 〓製 作 ・組 立 械 工作機械
が容 易 〓保 守 が 容 易
き や最 高 使 用圧 力 が 高 い と タイ ロ ッ ドが 伸 び て油 が 漏 れ や す い。 〓シ リ ンダが ね じれ る。
ヘ ッ ド側 はチ ュー ブに切 っ 建設機械
ね じ込み
た ね じに よ り カバ ー を ね
溶接方式
方式
じ込 み,キ
ャ ップ側 は溶
接 で 固 定 す る。
車両 農業機械 船舶
〓軽 量 〓安 価
〓保 守 が 困 難
ヘ ッ ド側 が フ ラ ン ジ式 で フ ラ ンジ 方式
溶接方式
キ ャ ップ 側 が チ ュ ー ブ と 重 機 械 カバー を溶 接 で 固 定 す
ゲート
〓油 漏 れ しに
〓高 価
くい。
る。 〓油 漏 れ しに くい。 〓保 守 が 容 易
シ リ ン ダチ ュ ー ブ に固 定 フラ ン ジ方 式
され た フ ラ ン ジ と カバ ー 重機械 を ボ ル トで 締 結 す る。
。チュープが補
〓高 価
強されてふ く らみにくい。
〔注 〕 ヘ ッ ド側:ピ ス トン ロ ッ ドが 出 て い る側 。 従 来,ロ ッ ド側 と よん で い た もの で あ る。 キ ャ ップ 側:ピ ス トン ロ ッ ドが 出 て い な い側 。 従 来,ヘ ッ ド側 と よん で いた もの で あ る。 油圧 及 び 空気 圧 用 語(JIS
B 0142-1994)よ
り。
(a)タ イ ロ ッ ド方 式
(b)フ ラ ン ジ方 式 図5・12油
(c)溶 接 方 式
(d)ね じ込 み 方 式
圧 シ リ ン ダの 組 立 形 式 に よ る分 類
〔2〕 油 圧 シ リ ン ダ の 構 造 油 圧 シ リ ン ダ の 基 本 構 造 は,機 が,最
付 け 支 持,組
立 て 形式 に よ って 異 な る
も広 く使 用 さ れ る の は複 動 形 片 ロ ッ ド式 タ イ ロ ッ ド方 式 で あ り,そ
造 は 図5・13に カ バ ー,ブ
示 す よ う に,シ
シ ュ,パ
リ ン ダ チ ュ ー ブ,ピ
ッ キ ン な ど で 構 成 さ れ,こ
る。 こ れ に ク ッ シ ョ ン機 構,空 (a)シ
能,取
気 抜 き,ダ
ス ト ン,ピ
の構
ス ト ン ロ ッ ド,
れ を タ イ ロ ッ ドで 締 め 付 け て い
ス ト ワ イ パ な ど が 付 く。
リン ダ チ ュー ブ
ピ ス トンが 摺 動 す る鋼 管 の内 面 は,ピ ス トンや パ ッキ ンな どの摩 耗 や 油 漏 れ
図5・13複
動 片 ロ ッ ド形 油 圧 シ リジ ダの 基 本 例(タ イ ロ ッ ド式)
を 防 ぐた め ホ ー ニ ン グ仕 上 げ を行 うが,あ
ま り滑 らか に す る と油膜 が 切 れ,び
び りや パ ッキ ンの 自己発 熱 に よ る異 常 摩耗 を起 こす こ とが あ る。 重 機 械 用 シ リ ンダ に は内 面 に硬 質 ク ロム メ ッキ を施 し,パ ッキ ンの摩 耗 を小 さ くす る。 (b)ピ
ス トン
シ リ ンダ チ ュ ー ブ の内 面 を摺 動 し,流 体 の エ ネ ル ギ ー を運 動 の エ ネ ル ギ ーに 変 換 す る働 きを す る。 軸 受 性 能 が よ く,変 形 しに く く,ま
た シ リ ン ダ推 力 の
1/200程 度 の 横 荷 重 に耐 え る構 造 と強 度 を もっ た材 料 が 用 い られ る。
図5・14ビ
(c)ピ
ス トン ア セ ン ブ リの例
ス トン ロ ッ ド
ピス トン ロ ッ ドは,ピ
ス ト ンで 往 復 運 動 に変 え た運 動 の エ ネル ギ ー を負 荷 に
伝 え る役 割 を す る。 そ の た め に は圧 縮,引 張 り,曲 げ に耐 え,さ
らに摩 耗,腐
食 に耐 え る材 料 が求 め られ る。 材 料 の 表 面 は,耐 摩 耗 性,耐 食 性 を 向 上 させ る た め に硬 質 ク ロ ム メ ッキ され て い る。 (d)カ
バ ー
シ リ ン ダ チ ュ ー ブ両 端 の ふ た の 役 目 を し,同 持 す る た め に,シ
時 に ロ ッ ドを 支 え る ブ シ ュ を 保
リ ン ダ 推 力 に 対 して 十 分 な 剛 性 を も っ て い な け れ ば な らな い。
一 般 的 な タ イ ロ ッ ド方 式 の 場 合
,カ
バ ー に 配 管 口 が 設 け られ て い る の で,十
な 厚 さ が あ り強 度 上 の 問 題 は な い 。 カ バ ー に は,キ カバ ー とが あ る。
分
ャ ッ プ 側 カ バ ー と ヘ ッ ド側
(e)ブ
シ ュ
ピ ス ト ン ロ ッ ドを 支 え,ロ 1/100程
ッ ド と の 間 で 滑 ら か な 往 復 運 動 を 行 う。 ま た
度 の 横 荷 重 に 耐 え る(JISB
8354)強
さ と,軸
受 性 能 の よ い材 料 が 要
求 され る。 (f)シ
ー ル
シ ー ル に は,表5・4の
よ う に い ろ い ろな分 類 の方 法 が あ る。 表5・4シ
ー ル の分 類
リ ップ パ ッキ ン
Jパ
ッキ ン
Uパ
ッキ ン
Lパ
ッキ ン
Vパ
ッキ ン
その 他
セ ル フ シー ル パ ッキ ン
=)リ ン グ 角 リン グ ス ク イ ズ パ ッキ ン パ ッキ ン
(運 動 用 シ ー ル)
Dリ
ン グ
rリ
ン グ
その他 オ イ ル シー ル ピス トン リン グ メ カ ニ カ ル シ ール
シー ル
その 他
0リ
非金属
金 属+ゴ
ガ ス ケ ッ ト
(固 定 用 シー ル)
ング
板 状 布 入 り ゴ ム シ-ト
金
属
・液
体-
環 状 リ ング 液状ガスケ ット
①
使 用 箇 所 か ら … … ロ ッ ドパ ッ キ ン,ピ
②
断 面 形 状 か ら … … U パ ッキ ン,V
③
シ ー ル 作 用 か ら,
〓 リ ッ プ 形(油
ム成 形 リ ン グ
銅板
ス トンパ ッキ ン
パ ッ キ ン,O
リン グ
圧 に よ っ て リ ッ プ が 開 き シ ー ル す る)… … 代 表 U パ ッ キ ン
〓ス ク イ ズ形(押
しっ ぶ して シ ー ル す る)… … 代 表 O リ ン グ
一 般 に リッ プ形 は摺 動 部 分 に ル の 分 類,図5・15は,シ
,ス
ク イ ズ形 は固 定 部 分 に 用 い る 。 表5・4は
シー
ー ル の 断 面 形 状 を 示 し た 。 ピ ス ト ンが50∼60m/min
ま で の 高 速 に 使 う U パ ッ キ ン に は,ニ
ト リル ゴ ム 製 の パ ッ キ ン と ナ イ ロ ン製
の バ ッ ク ア ッ プ リ ン グ か らな っ て い る。 パ ッキ ン の くぼ ん だ 側 に 油 圧 が 働 く と
図5・15各
パ ッ キ ン は 広 げ ら れ て,リ
種 シー ル の 形 状
ッ プ が チ ュ ー ブや ピ ス ト ン に押 し付 け られ て 油 を シ ー
ル す る。 反 対 側 か ら油 圧 が 働 く場 合 は,リ て 油 漏 れ を 防 げ な い の で,複
動 シ リ ン ダ で は 背 中 合 わ せ に 2個 つ い て い る。
ピ ス ト ン に U パ ッ キ ン を 使 う と き,パ ブ が 直 接 触 れ,傷
ップ と シ リ ンダ の 間 にす き ま が で き
ッキ ンが つ ぶ れ て ピ ス ト ン と チ ュ ー
つ く の を 防 ぐ た あ に ピ ス ト ン に ウ エ ア リ ン グ を は め る(図
5・14)。
U パ ッキ ンに働 く油 圧 が高 くてパ ッキ ンの 背 中 が す き間 に 食 込 む 恐 れ が あ
(a)油 は 止 ま る
図5・16U
(b)油 は 止 ま らな い
パ ッ キ ン
る と き は,パ
ッ キ ン の背 中 に バ ッ ク ア ッ
プ リ ン グ を 入 れ,こ ま た,ピ
ス ト ンが60m/min以
速 度 に な る と,ピ 5・17)ま
れ を 防 ぐ。 上 の
ス ト ン リ ン グ(図
た は V パ ッキ ンが使 わ れ る。
ピ ス ト ン リ ン グ は 高 圧 側,低
圧 側のど
ち ら に 対 し て も圧 力 を 保 持 で き る の で,
図5・17ピ
ス トン リン グ
ロ ッ ド側 に 1個 つ い て い る 。
〔3〕
ク ッ シ ョ ン機 構
ピ ス トン の 速 度 が 特 に 大 き い 場 合,減
速 しな いで停 止 す る と大 き な シ ョ ック
を 生 じて シ リ ン ダ を 破 壊 す る 恐 れ が あ る 。 シ リ ン ダ に 内 蔵 さ れ て い る ク ッ シ ョ ン機 構 だ け で シ ョ ッ ク を 緩 和 で き る の は,速 る。 一 般 的 な ク ッ シ ョ ン機 構 は,図5・18の (ク ッ シ ョ ン弁),逆
度 範 囲 が6∼15m/min程
度 で あ
よ う に ク ッ シ ョ ン リ ン グ,絞
り弁
止 め 弁 か ら な っ て い る。 ピス トン ロ ッ ドが 前 進 して ク ッ シ ョ
ン リ ン グ が 穴 A に 入 る と,油
路 B は 閉 ざ さ れ,油
図5・18ク
ッシ ョ ン機構 例
は 絞 り 部(ニ
ー ドル)C
を
通 る た め 流 量 が 少 な くな り,背 圧 が 高 ま っ て ピス トン の 速 度 は遅 くな る か ら シ ョ ッ ク な く停 止 で き る 。
ピス トン速 度 は絞 り部 C の開 口面 積 を調 整 して 行 う。 逆 止 め 弁 は ピ ス ト ン ロ ッ ドが後 退 の と きの 油 の補 給 の た め の もの で あ る。 標 準 形 シ リン ダ に内蔵 され て い る ク ッ シ ョ ンは,移 動 す る作 動 油 と ピス トン ア セ ン ブ リ,ロ ッ ド程 度 の可 動 部 の慣 性 力 を 吸収 す るた め の もの で,外 部 負 荷 の 慣 性 力 は別 に設 け られ た絞 り弁 や シ ョック アブ ソーバ によ って吸収 す る。 ク ッ シ ョ ン リン グ は穴 A の 中 を 摺動 す る ので,軸 受 性 能 の よ い材料 が 用 い られ る 。
〔4〕 位 置 検 出器 付 シ リ ンダ 標 準 形 の シ リ ンダ以 外 に,最 近 の シ リ ン ダは位 置 の検 出機 構 を もち,確 実 な 位 置 制 御 が で き る よ うに な って き た。 シ リ ンダ 自体 に検 出機 構 を 内 蔵 させ る こ とに よ り,ロ (a)近
ッ ド先 端 と機 械 との 取 付 け は容 易 に な った。
接 スイ ッチ 付 シ リンダ
近 接 ス イ ッチ が シ リ ン ダ チ ュ ー ブ の 外 周 に 取 付 け られ,ピ 組 み 込 ま れ て い る。 磁 石 が 近 接 ス イ ッ チ に 接 近 し,ス く と,磁
ス ト ンに は磁 石 が
イ ッチ の 基 準 点 ま で 近 づ
石 に よ っ て 生 ず る磁 界 に よ り ス イ ッチ が 作 動 し,電 気 信 号 を 発 して シ
リ ン ダ を 停 止 さ せ る。
シ リン ダの位 置制 御 は,近 接 ス イ ッチ で位 置 を検 出 し指示 が 出 る。指 令 に よ っ て マ イ ク ロ リレー が作 動 し,電 磁 切 換 弁 が切 り換 わ り,圧 油 の流 れ方 向 を変 え, シ リ ンダが 停 止 ま た は逆 動 作 す る こ とに な る。 この た め位 置 検 出 か ら圧 油 の流 れ 方 向 が 切 り換 わ る ま で の時 間 遅 れ は,負 荷 の慣 性 や油 温 の変 化 な ど を考 慮 し て 精 度 と して は ±0.5mm程 (b)ロ
度 とみ られ る。
ー タ リエ ン コー ダ 付 シ リンダ
ピ ス ト ン ロ ッ ドの 動 き を ロ ー ラ で 回 転 と し て 取 り 出 し,こ
の回 転 を ロ ー タ リ
エ ン コ ー ダ で 検 出 す る 。 ピ ス ト ン ロ ッ ドと ロ ー ラが 滑 り を 起 こ す と 誤 差 と な る の で,滑
り が 生 じな い よ う に 工 夫 さ れ て い る 。 低 置 制 御 の 精 度 は,近
チ と同程 度 で あ る。
接 スイ ッ
〔5〕 油 圧 シ リ ンダ の基 礎 計 算 (a)シ
リン ダ推 力
図5・19の
よ う な 複 動 片 ロ ッ ド形 シ リ ン ダ に お い て,ロ
お よ び 後 退 時(引
き側)の
推 力 は,次
(a)前 進 時(押
ッ ド前 進 時(押
し側)
の 式 で 表 せ る。
し側)
(b)子麦退 時(引
図5・19シ
き側)
リン ダの 推 力
F1=(A1P1-A2P′2)η
(5・8)
F2=(A2P2-A1P′1)η
(5・9)
F1:ロ
ッ ド前 進 時(押
し側)の
推力 〔 N〕
F2:ロ
ッ ド後 退 時(引
き側)の
推力 〔 N〕
A1:キ
ャ ッ プ 側 ピ ス ト ン の 有 効 断 面 積 〔mm2〕= D:シ
A2:ヘ
リ ン ダ 径 〔mm〕
ッ ド側 ピ ス ト ン の 有 効 断 面 積 〔mm2〕=
d:ロ
ツ ド径
π/(D2-d2) 4
〔mm〕
P1:A
ポ ー ト側 の 流 入 圧 力 〔MPa〕
P2:B
ポ ー ト側 の 流 入 圧 力 〔MPa〕
P1′:A ポ ー ト側 の 流 出 圧 力(背
圧)〔MPa〕
P2′:B ポ ー ト側 の 流 出 圧 力(背
圧)〔MPa〕
η:負
π D2 /4
荷 率(荷 重 圧 力 係数)
η は荷重 の か か り方,パ
ッキ ンの 摺 動 抵 抗,配 管 お よび 機 器 の 圧 力 損 失 を考
慮 して 決 め る値 で
例
題5・2シ
MPa,背 を80%と
慣性力が小 さい場合
0.6∼0.8
慣性力が大 きい場合
0.25∼0.35
リ ン ダ 内 径50mm,ピ
圧0.1MPaの
ス ト ン ロ ッ ド径22mm,設
と き の ロ ッ ド前 進 時,後
定 圧 力3.5
退 時 の推 力 を 求 め よ。 負 荷 率
す る。
〔解 〕
例 題5・3設
定 圧 力7MPaで
ロ ッ ド前 進 時50kNの
く ら の シ リ ン ダ を 選 べ ば よ い か 。 負 荷 率 を80%と 〔 解 〕
JIS標
推 力 を 得 た い。 内 径 い
す る。
F1=A1P1η
準 形 シ リ ン ダ か ら,シ
を 選 ぶ 。 背 圧0.1MPaと
リ ン ダ 径125mm,ロ
ッ ド径70mm(記
し,推 力 を 計 算 す る と 式(5・8)か
ら,
号 B)
と な る。
問 題5・2シ
リ ン ダ 径100mm,ピ
背 圧0.1MPaの
場 合 の 押 し側,引
ス ト ン ロ ッ ド径56mm,設
定 圧 力7MPa,
き側 の シ リン ダカ は い く らか。 答(F1=43.5〔kN〕,F2=29.5〔kN〕)
(b)シ リン ダ速 度 と供 給 油 量 ロ ッ ド前 進 時 お よ び後 退 時 の ロ ッ ド速 度 は,次 の式 で求 め る。
(5・10)
(5・11)
υ1:ロ
ッ ド前 進 時 の 速 度 〔mm/s〕
υ1: ロ ッ ド後 退 時 の 速 度 〔mm/s〕 Qc:シ
例 題5・4シ mm/sの
リ ン ダ へ 供 給 す る 油 量 〔l/min〕
リ ン ダ 内 径80mm,ロ
と き,(1)シ
ッ ド径45mm,ロ
リ ン ダ へ の 供 給 油 量,(2)供
ッ ド前 進 時 の 速 度300
給 ポ ー ト径3/4B(Sch80)
の場 合 の配 管 内 流 速 を求 め よ。
〔 解〕
(1)
(2)3/4B(Sch80,厚
一般 に υ pが7m/s以
さ3.9mm)の
内 径 はdp=27.2-2×3.9=19.4〔mm〕
上 に な る と配 管 抵 抗 が高 く,圧 力 損 失 が 大 き くな る た
め 出 力 が 減 って,ロ
囲 (1)シ
5・3例
ッ ド速 度 が か な り 遅 く な る 。
題5。2に
お い て,前
進 時 の ロ ッ ド速 度 を200mm/sと
リ ン ダ へ の 供 給 油 量 は い く ら か 。(2)供
径21.7mm,厚
さ3.7mm)の
給 ポ ー ト径 を%B(Sch80,外
場 合 の 配 管 内 流 速 を 求 め よ。
(2)vp=2.44(m/s))
答((1)Q。;23.5〔l/min〕,
(c)シ
リ ンダ 出 力
シ リ ン ダ 出 力 は,次
mm/sと
の式 で示 さ れ る。
Fv
L=
困
(5.12)
1000
L:シ
リ ン ダ 出 力 〔kW〕
F:シ
リ ン ダ 推 力 〔kN〕
υ:シ
リ ン ダ 速 度 〔mm/s〕
5・5例
題5.2の
場 合 の 前 進 時 の 出 力 を 求 め よ 。 シ リ ン ダ 速 度 を200
す る。
〔解 〕F,=5と37〔kN〕,υ1=200〔mm/s〕
L,_
囲
し た と き,
5・4例
で あ る か ら,
F,v,
5と37×200
1000
1000
題5・3の
場 合,シ
=1 .07(kW)
リ ン ダ 前 進 時 の 速 度 を300mm/sと
した と き
の 出 力 を求 め よ。 答(15kW) (d)ロ
ッ ドの 座 屈
油 圧 シ リ ン ダ を 使 用 す る 場 合,シ
リ・ン ダ ス ト ロ ー ク に 応 じ て 圧 縮 応 力 と 座 屈
を考 慮 に入 れ な け れ ば な らな い。 ピ ス ト ン ロ ッ ドを 長 柱 と して 考 え た 場 合 の 強 さ,す 鋼 を 使 用 した り,熱 た せ る に は,ロ
な わ ち座 屈 強 さ は高 抗 力
処 理 を 施 したか ら と い って 強 くは な らな い。 座 屈 強 さ を も
ッ ド径 を 大 き くす る 以 外 に 方 法 は な い 。 表5・5は,長
出 した 長
柱 に 対 して 適 用 さ れ る オ イ ラ ー の 式(Euler's て,各
ピ ス ト ン ロ ッ ドの 直 径 に お い て,最
formula)を
基 につ く られ て い
も普 通 に 垂 直 圧 縮 荷 重 が 働 い て 使 用
す る 場 合 の 安 全 な 最 大 ス トロ ー ク を 示 して い る。 ピ ス ト ン ロ ッ ドの 座 屈 荷 重 は, 次 の 式 で 計 算 す る。
W=
nπ2EI (5・13) /l2
W:座
屈荷重 〔 N〕
E:ロ
ッ ドの 縦 弾 性 係 数 〔MPa〕=〔N/m㎡
〕,鋼 の 場 合
E=2.05×105〔MPa〕 I:ロ
ッ ドの 最 小 断 面 2次 モ ー メ ン ト 〔mm4〕,断
(a)両
端 ピ ン ジ ョ イ ン ト(n=1)
(b)シ リ ン ダ 固定,ロ 図5・20(1)
ッ ド先 端 自由(n=1/4) ロ ッ ド支 持 方 法 と端 末 係 数
面 が 円 の場 合
(c)シ リン ダ 固 定,ロ
ッ ド先 端 ガ イ ド付 き(ピ ン ジョイン ト)(n=2)
(d)シ リ ンダ 固 定,ロ 図5・20(2)
I=
π / 64
ッ ド先 端 ガ イ ド付 き(n=4)
ロ ッ ド支 持 方 法 と端 末 係 数
d4
d:ロ
ッ ド径 〔mm〕
n:取
付 け の 端 末 条 件 に よ る係 数(端
L:座
屈 長 さ 〔mm〕
l:最
大 取 付 け 長 さ 〔mm〕
末 係 数)(図5・20)
油 圧 シ リン ダ(空 気 圧 シ リ ンダ も同 様)を 設 計 す る場 合,座 屈 強 さ は必 ず 検 討 しな け れ ば な らな い が,実 際 に は ロ ッ ド径 は振 動,偏 心,慣 性 力 な ど を考 慮
に入 れ て計 算 値 よ り も余 裕 を も った大 きさ に選 定 しな けれ ばな らな い。
例題 5・6 図5・21の 2.05×105MPaと
(1)ロ
場 合,次
の 値 を 求め よ 。 ロ ッ ド材 料 の 縦 弾 性 係 数 を
す る。
ッ ド径,
(2)座
屈 長 さ
〔解 〕 (1)W=l0〔kN〕=10000〔N〕, 〔mm〕, n=2(図5・20)で
E=2.05×lO5〔MPa〕,l=1500
あ る か ら,式(5・13)か
ら
で あ る か ら,
標 準 形 シ リ ン ダ か ら,d=22〔mm〕
問題5・5例
題5・6に
を選 ぶ。
お い て,ロ
ッ ド先 端 の 取 付 け を 自 由 と し た 場 合 は ど う
か。 答((1)d=30.8〔mm〕
5・6図5・22の
場 合,次
→36〔mm〕,(2)L=3000〔mm〕)
の 値 を 求 め問題 よ 。 縦 弾 性 係 数 を2.05×l05MPa
と す る。 (1)ロ
ッ ド径,(2)座
屈 長 さ,(3)作
答((1)d=29。7〔mm〕
(e)ロ
→36〔mm〕,
動 油圧
(2)L=1500(mm),
(3)P=6.83(MPa))
ッ ドの た わ み
ロ ッ ドが 水 平 に長 く突 き出 た と き,全 長 に わ た って 等 分 布 荷重 が働 いて い る と考 え る と,ロ
ッ ド先 端 のた わ み は次 の式 で計 算 す る。
図5・23
ロ ッ ドの た わみ
図5・22
(5.14) δ:ロ
ッ ドの た わ み 〔mm〕
w:ロ
ッ ドlmm当
た り の 荷 重 〔N/mm〕,鋼
の 場 合w=0.122〔N
/mm) E:ロ
ッ ド材 の 縦 弾 性 係 数 〔MPa〕=〔N/mm2〕
1:ロ
ッ ドの 最 小 断 面2次
l:ロ
ッ ドの 突 き 出 し長 さ 〔mm〕
d:ロ
ッ ド径 〔mm〕
実 際 の ロ ッ ドの た わ み は,次 8'=S十a
モ ー メ ン ト 〔mm4〕,断
式 の よ うに な る。
面 が円 の場合
α:ロ
ッ ドと ブ シ ュ そ の 他 シ リ ン ダ部 分 と の す き ま に よ る ロ ッ ドの 傾 き
〔mm〕
例題
5・7ロ
ッ ド径45mm,水
平 突 き 出 し長 さ1mの
と き の ロ ッ ド先 端 の
た わ み は い く ら か 。E=2.05×105〔MPa〕,ω=0.122〔N/mm〕
と す る。
〔 解〕
問題
5・7縦
104mm4の
弾 性 係 数2.05×105N/m㎡,最
ロ ッ ドが 水 平 に370mm突
小 断 面 2次 モ ー メ ン ト1.14×
き 出 た と きの先 端 の た わみ を求 め よ。 ま
た ロ ッ ド径 は い く らで あ る か 。 ω=0.122〔N/mm〕
とす る。 答(0.122mm,22mm)
(f)シ
リンダ チ ュー ブ の 肉厚
シ リ ン ダ チ ュ ー ブ の 肉 厚 計 算 に は,内
圧 を 受 け る薄 肉 円 筒 の式 を 用 い るの が
一般 的であ る
。
(5.15)
t:シ
リ ン ダ チ ュ ー ブ の 肉 厚 〔mm〕,σa:許
P:使
用 圧 力(内
σB:材
料 の 引 張 強 さ の 最 低 値 〔MPa〕=〔N/m㎡
D:シ
容 引 張 応 力 〔MPa〕
圧)〔MPa〕
リ ン ダ 径 〔mm〕,S:安
全 率(JISで
〕 は 5以 上 と 定 め ら れ
て い る)
例題 380MPaと
5・8シ
リ ン ダ 内 径50mm,圧
す る と き,チ
力14MPa,チ
ュ ー ブ材 料 の 引 張 強 さ を
ュ ー ブ の 肉厚 を求 め よ。 安 全 率 を 5とす る。
σB σa=
〔 解〕
t=
=380
=76〔MPa〕
/5
/S
PD
=14×50
/2σa
/ 2×76
=4
.6〔mm〕
(g)内 圧 に よ る チ ュー ブ の直 径 膨 れ 内 圧 に よ るチ ュ ー ブの 直 径膨 れ は,次 の式 で求 め る。
(5.16)
δ:チ
ュ ー ブ の 半 径 膨 れ 〔mm〕
E:チ
ュ ー ブ の 縦 弾 性 係 数 〔MPa〕=〔N/m㎡
δ′:チ ュ ー ブ の 直 径 膨 れ 〔mm〕,t:チ γ:チ
例題
5・9例
ュ ー ブ の 半 径 〔mm〕,m:材
〔MPa〕,m=3と
題5・8に
〕
ュ ー ブ の 肉 厚 〔mm〕 料 の ポ ア ソ ン数
お け る チ ュ ー ブ の 直 径 膨 れ を 求 め よ 。E=2.05×105
す る。
〔 解〕
し た が っ て,直
問題 400MPaと
5・8シ
径 膨 れ は,δ
′=2δ=2×0.0077=0.0154〔mm〕
リ ン ダ 内 径80mm,使
す る と き,次
用 圧 力7MPa,チ
と な る。
ュ ー ブ材 の 引 張 強 さ
の 値 を 求 め よ。
(1)チ
ュ ー ブ の肉 厚
安 全 率 を 5 と す る。
(2)チ
ュ ー ブ の 直径 膨 れ
材 料 の 縦 弾 性 係 数2×105MPa,ポ
ア ソ ン数 3 と
す る。 答((1)t=3.5〔mm〕,(2)δ
′=0.026〔mm〕)
(h)シ
リンダ カ バ ー の 肉厚
シ リ ン ダ カ バ ー の 肉 厚 は,ボ
イ ラ ー 構 造 規 格 の 式 を 参 考 に して,次
の式で求
め る。
(b)溶 接 方 式
(a)ボ ル ト方 式 図5・24
シ リ ン ダ カバ ー の 肉 厚
(5.17)
t′:カ バ ー の 肉 厚 〔mm〕,d′:ボ P:内
圧 〔MPa〕,σa:許
ル ト穴 の ピ ッ チ 円 直 径 〔mm〕
容 引 張 応 力 〔MPa〕=〔N/m㎡
σB:材 料 の 最 低 引 張 強 さ 〔MPa〕,S:安 C:形
状 に よ る係 数(ボ
κ:定
数
〕
全率
ル ト方 式C=0.30,溶
接 方 式C=0.33)
(ⅰ)カ バ ー 取 付 けボ ル トの 大 き さ 取 付 け ボル トの 大 き さ は,次 の 式 で求 め る。
(5.18) W:ボ
ル トに 働 く力 〔N〕
σa:カ
バ ー 締 付 け ボ ル トの 許 容 引 張 応 力 〔MPa〕
d1:お
ね じ の 谷 の 径 〔mm〕
5・10図5・24に
お け る ボ ル ト方 式 でd′=75〔mm〕,D=50〔mm〕,
の肉 厚 と締 付 け ボ ル トの大 き さを求 め よ。 〔解 〕as=400〔MPa〕,
S=5と
す れ ば,
し た が っ て,
次 に,シ n=4と
リ ン ダ の 内 径D=50〔mm〕,
し た と き に,ボ
安 全 率S=5∼10,
し た が っ て,
と す る。
内 圧.P=14〔MPa〕,
ル ト1本 当 た り の 荷 重Wは,
引 張 強 さaB=400〔MPa〕
と す れ ば,
ボ ル トの本 数
6
油圧制御弁 油 圧 ポ ンプか ら送 り出 され た 圧 油 を,各 種 制 御 弁 に入 り弁 を 操 作 す る こ と に よ って 目的 の 仕 事 をす る ア クチ ュ エ ー タ を作 動 させ る。 油圧 ア ク チ ュ エ ー タの 要求 に 合 っ た仕 事 を す る に は,そ の要 求 に合 う よ う に 調 整 され た 油 を 送 らな け れ ば な らな い。 そ の 役 目を す るの が油圧 制御 弁 で あ る。
6・1油
圧 制御 弁 の機 能
(a)圧 力 制 御 弁(仕 事 の大 き さ を制 御) ア ク チ ュ エ ー タの仕 事 の大 き さ を決 め るた め に は,油 の圧 力 を大 き くす るか, 小 さ くす る か を決 め てや れ ば よ い。 そ の圧 力 を決 め るの が圧 力制 御 弁 で あ る。 (b)流 量 制 御 弁(仕 事 の速 さ を制 御) ア ク チ ュ エ ー タ の速 さ は,油 の 流 量 を多 くす るか,少
な くす る か に よ って決
ま る。 この 調 整 をす る弁 が 流 量 制 御 弁 で あ る。 (c)方 向 制 御 弁(仕 事 の方 向 を 制 御) ア クチ ュ エ ー タ に入 る油 の 入 口,出
口を 変 え て や れ ば ア ク チ ュ エ ー タ の作 動
の方 向 を変 え る こ とが で き る。 この役 目を 方 向 制 御 弁 が 果 た して い る。
6・2圧
力制 御 弁
〔1〕 圧 力 制 御 弁 の 種 類 圧 力 制 御 弁 は制 御 の 目的 に よ っ て,お お よ そ次 の よ うに分 類 す る。
リ リ ー フ 弁,減
圧 弁,シ
ア ン ロ ー ド リ リ ー フ 弁,バ
ー ケ ン ス 弁,カ ラ ン シ ン グ 弁,圧
ウ ン タ バ ラ ン ス 弁,ア
ン ロ ー ド弁,
力 ス イ ッチ な ど。
リ リー フ弁 〔2 〕 ポ ンプや 各 制 御 弁 な どを過 大 な圧 力 か ら保 護 す る安 全 弁 の働 き と同時 に,そ の 油 圧 系 統 の 圧 力 を一 定 に制 御 す る働 き をす る。 (a) 直 動 形
リ リー フ弁
構 造 が 簡 単 で比 較 的小 型 で あ るが,圧 力 オ ーバ ライ ドが大 きい の と,チ ャ タ リ ング現 象 を起 こ しや す い の で,小 流 量 の圧 力 制 御,特
に パ イ ロ ッ ト圧 力 の制
御 に使 用 され る。 リ リ ー フ弁(図6・1)の
圧 力 ポー ト
は パ イ ロ ッ トば ね で 強 く押 し付 け ら れ て い て ポ ペ ッ トは 閉 じて い る の で 油 は 流 れ な い が,入
口 圧 力 が 高 くな っ て ポ
ペ ッ トを 押 し上 げ る 力 が ば ね 力 に 打 ち 勝 つ と ポ ペ ッ トを 押 し上 げ,圧 ト(入
口)か
力 ポー
ら戻 り ポ ー ト(出
図6・1 直 動 形 リ リー フ弁 の 例
口)に
向か って圧 油 が流 れ る。 (b) バ ラ ン ス ピ ス トン 形 リ リー フ 弁
パ イ ロ ッ ト作 動 形 と もい われ,現 在最 も多 く使 用 され て い る形 式 で,性 能 的 に も優 れ て い る。 回 路 内 の余 剰 な油 を逃 が す バ ラ ンス ピス トン部 と,そ の作 動 を制 御 し,圧 力 を 調 整 す るパ イ ロ ッ ト部 か らで きて お り,ベ
ン ト回 路 を利 用 す
る こ とに よ り遠 融 操 作,無 負 荷 制 御,高 低両 圧 制 御 等 を 行 うこ とが で き る。 図6・2に
お い て,圧
力 ポ ー トか ら 入 っ た 圧 油 は メ イ ン ピ ス ト ン の 小 穴C1を
通 っ て パ イ ロ ッ トポ ペ ッ ト部 へ 導 か れ て い る 。 圧 油 の 圧 力 が パ イ ロ ッ トば ね の 初 期 設 定 圧 力 よ り低 い 場 合 は,パ
イ ロ ッ トポ ペ ッ トは 閉 の 状 態 で 圧 油 は 流 れ な
い 。 メ イ ン ピ ス ト ン の 上 下 面 の 圧 力 は 同 じで,メ よ り シ ー ト に 押 し付 け ら れ,リ
イ ン ピス トンは メ イ ンば ね に
リ ー フ 弁 は 閉 の 状 態 で 戻 り ポ ー トへ の 流 れ は な
図6・2 バ ラ ン ス ピス トン形 リ リー フ 弁 の 例
い 。 圧 力 ポ ー トか ら の 圧 力 が 上 昇 し,パ
イ ロ ッ トポ ペ ッ トが 開 く と,パ
トか ら の 流 れ が 生 じ る 。 こ の 流 れ は メ イ ン ピ ス ト ン 中 央 部 の 小 穴C2に
イ ロッ も生 じ,
流 量 に 比 例 した 圧 力 損 失 を 起 こ す 。 こ れ が メ イ ン ピ ス ト ン上 下 面 の 圧 力 差 と な り,メ
イ ン ピス ト ン で 押 し上 げ る 力 と な る。 こ の 力 が メ イ ン ば ね の ば ね 力 に 打
ち 勝 つ と,メ
イ ン ピ ス ト ン は シ ー トか ら離 れ,圧
油 は 圧 力 ポ ー トか ら戻 り ポ ー
トへ と流 れ る。 こ の と き,圧 保 持 さ れ,メ
力 ポ ー トの 圧 力(回
路 圧 力)は
パ イ ロ ッ ト弁 が 作 動 す る 圧 力 で
イ ン ピ ス ト ン か ら の リ リー フ量 に よ り メ イ ン ピ ス ト ン と シ ー トと
の 開 度 は 自 動 的 に 調 整 さ れ て い る 。 す な わ ち,パ
イ ロ ッ ト弁 と メ イ ン ピ ス ト ン
の 間 に は 圧 力 に 対 す る 自 動 制 御 系 が で き て い る。 ベ ン トポ ー ト は通 常 は 閉 じ て い る が,こ ン上 部 は 大 気 圧 状 態 に な る の で,パ
の ポ ー トを 開 放 す る と メ イ ン ピ ス ト
イ ロ ッ トば ね の 圧 力 設 定 に は 関 係 な く,わ
ず か な 圧 力 差 で メ イ ン ピ ス ト ン は 押 し上 げ ら れ,圧
力 ポ ー ト圧 力 は 無 負 荷 圧 力
と な っ て 全 量 が タ ン ク に 戻 さ れ る。 (c) 電
磁 切 換 弁 付 リ リー フ弁
バ ラ ン ス ピ ス トン形 リ リー フ弁 は, 小 型 電 磁 切 換 弁(後 述)と 組 み合 わせ, 電 気 信 号 で ポ ン プ を無 負 荷 運 転 させ た り,1 個 ま た は 2個 の直 動 形 リ リー フ 弁 を併 用 して 油圧 系 の 2圧 ま た は 3圧 制 御 をす る こ とが で き る。 この よ う に バ ラ ンス ピス ト ン形 リ リー フ弁 と小 型 電 磁 切 換 弁 を一 体 に組 み 立 て た 弁 を電
図6・3
電 磁切 換 弁 付 リ リー フ弁 の例
磁 切 換 弁 付 リ リー フ弁 と い う。 〔3 〕 減圧弁
減 圧 弁 は,回 路 内 の 一 部 の圧 力 を リ リー フ弁 の設 定 圧 力 以下 に減 圧 す る もの で,バ
ラ ンス ピ ス トン形 式 の ス プー ル弁 が使 用 され る。
図6・4に お いて,2 次 側 の 圧 力 によ って スプ ー ル弁 の 開 閉 が 制 御 さ れ る もの で,2 次 側 の圧 力 は ス プ ー ル弁 の下 部 よ り絞 り部(チ
ョー ク)を 通 っ て 上 部 室
へ 通 じて い る。 上 部 の パ イ ロ ッ ト弁 が 閉 じて い る間 は,ス
プー ル弁 の 上 下 面 圧
力 は同 じで ス プー ル弁 は弁 ば ね で下 方 へ押 し付 け られ,1 次 側 と 2次 側 の 絞 り 部 は全 開 とな り,絞 り効 果 はな く減 圧 は行 わ れ な い。 2次 側 圧 力 が 上 昇 し,ス プ ー ル弁 上 下 室 の圧 力 も高 くな ってパ イ ロ ッ ト弁 が 開 くと,リ
リー フ弁 の と き と同 じよ うな流 れ が生 じ,ス プー ル 室 の 上 下 の 間 に
絞 り部 に よ る流 れ の抵 抗 の た め圧 力 差 を生 じ る。 そ の た め ス プ ール 弁 は上 方 に 押 し上 げ られ,1 次 側,2 次側 中 間 の絞 り部 に絞 り効 果 に よ る圧 力 降 下 を 生 じ 2次 側 圧 力 は減 圧 す る。 減 圧 され た 2次 側 圧 力 は,1 次 側 圧 力 の 如 何 に か か わ らず 一 定 と な る。
図6・4 減圧 弁の例
〔4〕 シ ー ケ ン ス 弁,カ
ウ ン タ バ ラ ン ス 弁,ア
ン ロ ー ド弁
回 路 圧 力 に よ って,主 に ア クチ ュエ ー 夕の 作動 順序 を 自動 的 に制 御 す るた め に用 い られ るの が シー ケ ン ス弁,ア
クチ ュ エ ー タの 戻 り側 に抵 抗 を与 え て ア ク
チ ュエ ー タの 自重 な ど によ る急 な戻 りを 防ぐ た め の もの が カウ ンタバ ラ ンス弁, 回路 圧 力 が設 定 圧 力 以 上 に な る と タ ンク に戻 し,回 路 圧 力 を低 圧 に しポ ンプを 無 負 荷 に す る ため に用 い るの が ア ン ロー ド弁 で,こ れ らは ほぼ同 じ構 造 で あ る。 (a) シ ー ケ ン ス 弁
1次 側(入
口)圧 力 が上 昇 して 設 定 圧 力 に達 す る と,油 は細 穴(チ
ョー ク)
を通 って パ イ ロ ッ トピス ト ンを ば ね 力 に抗 して 押 し上 げ る。 これ に よ り ス プ ー ル が 上方 に移 動 して 1次 側 と 2次 側(出
口)が 通 じ,ア ク チ ュ エ ー タを 作 動 す
る。 1次 側 圧 力 が設 定 圧 力 以 下 に低 下 す る と,ス プー ル はば ね力 で戻 さ れ,出 口側 へ の 通 路 は閉 じる。 方 向 切 換 弁 と シ リ ンダ と の間 に シ ー ケ ンス弁 を使 う と
き は,逆
方 向 の 自 由 流 れ が 必 要 と な る の で,図6・5の
よ うな 逆 止 め弁 付 シ ー ケ
ン ス 弁 を 使 う。
図6・5
(b) カ
シー ケ ン ス 弁 の例(逆 止 め 弁 付)
ウ ンタ バ ラ ン ス弁
ス プ ー ル は ス プ ー ル ば ね に よ っ て シ ー トに 押 し付 け ら れ,ポ
ー ト A か らの
圧 油 は ポ ー ト B に は 流 れ な い 。 ポ ー ト A か ら の 圧 油 は 内 部 パ イ ロ ッ ト通 路 を 通 っ て パ イ ロ ッ ト ピ ス ト ン底 部 に 達 して い る。 こ の 部 分 の 圧 力 が 上 昇 し,ス プ ー ル ば ね 力 に 打 ち 勝 つ と ス プ ー ル は 上 方 に 押 し 上 げ ら れ,ポ は 通 じ,ス
ー ト A と ポ ー トB
プ ー ル の 内側 に あ る漏 れ油 は内 部 ドレ ンを 通 って ポ ー ト B に 通 じ
て い る の で,ポ
ー ト B は タ ン ク ラ イ ンに 接 続 さ れ て い る と き に 用 い られ る。
この制 御 弁 は,ポ ー トA(1 次 側)の 圧 力 を 一 定 に 保 ち な が ら圧 油 を タ ン ク に戻 す 場 合 に用 い られ,ス
プー ル の 開 き度 は 1次 側 圧 力 と流 量 に よ って決 ま
る。 ポ ー ト B か ら ポ ー ト A に 圧 油 を 自 由 に 流 す と き は,図6・6の
よ う に逆 止 め
弁 を 使 う。 (c) ア ン ロ ー ド リ リ ー フ 弁
この 弁 は ア キ ュ ム レー タ(蓄 圧 器)と 併 用 して 使 わ れ る こ とが 多 く,回 路 圧
図6・6
カ ウ ン タバ ラ ン ス弁 の例
力 が 設 定 圧 力 ま で上 昇 す る と,弁 が 作 動 して ポ ンプ を無 負 荷 運 転(ア ンロー ド) させ る。 図6・7で,油 込 ま れ,圧
圧 ポ ンプか らの圧 油 は逆 止 め 弁 を 通 って アキ ュ ム レー タへ送 り
力 は 上 昇 す る 。 パ イ ロ ッ トポ ペ ッ トが 閉 じ て い る 間 は,パ
ピ ス ト ン はP1=Ps,P2<P1(P2は
逆 止 め 弁 で の 損 失 分 だ け低 い)た
ロ ッ トポ ペ ッ トか ら離 れ て い る が,P1が と ピ ス ト ンが 上 方 に 移 動 し,シ
め,パ
リ リー フ 弁 の設 定 圧 力 ま で 上 昇 す る
る い はP1は
圧 力 降 下 し, P2>P1ま
た はPs
止 め 弁 が 閉 じ る と と も に パ イ ロ ッ ト ピ ス ト ンが パ イ ロ ッ トポ
ペ ッ トを 押 し上 げ る。P1あ
る い はPsの
圧 力 復 帰 を しな い ま まパ イ ロ ッ トピ ス
ト ン に よ る ア ン ロ ー ド作 用 が 行 わ れ る。 回 路 圧 力 が 設 定 圧 力 の 約80%ま 下 す る と,パ
イ
ー トが 開 い て 圧 力 ポ ー トと タ ン ク ポ ー トが 通 じ
る 。 こ の 流 れ が 生 じ た 瞬 間 にPsあ と な っ た と き,逆
イロ ッ ト
イ ロ ッ トポ ペ ッ トは 閉 じ,ポ
ン プ は オ ン ロ ー ド(負 荷 運 転)し
圧 油 が 自 動 的 に ア キ ュ ム レ ー タ に送 り 込 ま れ る 。
で低 て,
図6・7
ア ン ロー ド弁 の例
〔5 〕 ブ レ ー キ 弁
慣 性 の 大 き な ア ク チ ュ エ ー タ の ブ レ ー キ 回 路 に 使 わ れ る もの で,2 個 の リ リー フ 弁 と 2個 の 逆 止 め 弁 を も っ て い る。
図6・8
ブ レー キ弁 の 例
油 圧 モ ー タ が 入 口 圧 力P1,出 を 中 立 に し,停
,P1は
運 転 さ れ て い る と き,方
止 しよ う と し て も モ ー タ の 慣 性 の た め,な
す る。 こ の た めP2は 一方
口 圧 力P2で
向切換 弁
お 回転 を続 け よ うと
正 常 運 転 時 は ゼ ロ に 近 か っ た もの が 急 に 圧 力 が 上 昇 し,
急 に 負 圧 に な っ て し ま う。 い わ ゆ る モ ー タ 作 用 が ポ ン プ 作 用 に 変
化 す る。 そ こ で ブ レ ー キ 弁 を 使 う と,リ
リー フ 弁 の 設 定 圧 力 ま でP2は
こ の リ リー フ 設 定 圧 力 が 油 圧 モ ー タ の ブ レ ー キ と し て 働 き,P1が こ と に よ り 逆 止 め 弁 が 開 い て,P2側 油 を 吸 い 上 げ て 空 洞 現 象(キ
上 昇 す る が, 負圧 にな る
リ リー フ 弁 の 戻 り 油 お よ び タ ン ク か ら の
ャ ビ テ ー シ ョ ン)を
解 消 さ せ る。
〔6〕 圧 力 ス イ ッ チ
油 圧 回 路 の圧 力 に応 じて電 気 回路 を 開 閉 させ る もの で,2 個 の マ イ ク ロ ス イ ッチが 組 み込 まれ,高 圧 側,低 圧 側 の圧 力 設 定 を そ れ ぞ れ単 独 に行 う こと が で き る。 ピ ス ト ン は 圧 力 ポ ー トか ら の 入 口 圧 力 を 受 け,圧
力 が 上昇 す る と ピス トン
は ば ね 力 に 抗 し て 移 動 す る。 こ の 動 き を ロ ッ ド,プ
ラ ン ジ ャを介 して マ イ ク
ロ ス イ ッ チ で 検 出 し,リ 電 磁 弁 を 作 動 さ せ,ポ し た り,モ
レー と と もに ンプ を無 負 荷 に
ー タ の 起 動 ・停 止 を 行 う の
に 利 用 さ れ る 。 圧 力 の 設 定 は,下 ね じを調 整 す れ ば よ い。
部 の
図6・9 圧 力 ス イ ッチ の例
6・3
〔1 〕
流量制御弁
流量制御弁の種類
流 量 の調 整 は流 量 制 御 弁 で行 うが,制 御 の方 法 に よ って 次 の よ うな種 類 が あ る。 絞 り 弁,流
量 調 整 弁,デ
作(チ
ェ ッ ク 弁 付)流
弁)な
ど。
〔2 〕 絞
セ ラ レ ー シ ョ ン弁,複
量 調 整 弁,パ
合 流 量 制 御 弁,パ
ワ ー セ ー ビ ン グ 弁(リ
イ ロ ッ ト操
リー フ弁 付 流 量 調 整
り弁
絞 り弁 は構 造 が 簡 単,操 作 が 容 易 で 流 量 調 整 範 囲 が 広 いな ど の利 点 が あ る が,1 次 圧,2 次 圧 の 圧 力 差 の 変 動 に よ り絞 り開度 が一 定 で あ って も通 過 流 量 が 変化 す るの で 差圧 変動 が は げ し く, そ れ ほ ど精 度 を必 要 と しな い所 に使 わ れ る。 図6・10で
入 ロ ポ ー トの 圧 力 をP1〔P
a〕,出 ロ ポ ー トの 圧 力 をP2〔Pa〕,ス プ ー ル の 開 口 部 面 積 をa〔 ㎡ 〕,流 係 数 を c,油 の 密 度 を ρ〔kg/m3〕 る と,絞
量
とす
図6・10
絞 り弁 の例
り弁 を 流 れ る 流 量Q〔m3/s〕
は,
と な る 。 流 量 調 整 ハ ン ドル に よ り ス プ ー ル の 位 置 を 調 整 し,流 量 を 加 減 で き る。
〔3 〕 流量調整弁
こ の弁 は圧 力 補 償 ピ ス トン,オ 1次 側(入
リフ ィス ス リー ブ とス ロ ッ トル の組 合 せ で弁
口)圧 力 と 2次 側(出 口)圧 力 の差 圧 変 動 は ほ とん ど な く,ま た 油
温 の変 化 に対 して も流量 に影 響 が な い。 入 ロ ポ ー トか ら入 っ た 圧 油 は,圧
力 補 償 ピ ス ト ン に よ る 絞 り部 X を 通 り,
オ リ フ ィ ス ス リ ー ブ と ス ロ ッ トル に よ る主 絞 り 部 Y を 通 っ て 出 ロ ポ ー トか ら 流 出 す る が,絞 ス を 用 い,油
り 開 度 を 流 量 調 節 ダ イ ヤ ル で 行 う 。 オ リフ ィ ス に 薄 刃 オ リ フ ィ 温 変 化 に 伴 う粘 性 の 変 化 と か 入 口,出
口 の圧 力 変 動 が あ って も油
量 は一 定 と な る 。
図6・11
流量調整弁 の例
〔4 〕 デ セ ラ レー シ ョ ン 弁
図6・12(a)は,ノ
ー マ ル オ ー プ ン形 の デ セ ラ レ ー シ ョ ン弁 で,油
トか ら B ポ ー トへ の 自 由 流 れ と な っ て い る が,カ と 絞 り 効 果 が 現 れ,流
量 が 絞 ら れ て く る の で,ロ
は通 常 A ポ ー
ム が ス プ ー ル を 押 し始 め る ッ ドを 早 送 り か ら微 動 送 り へ
と 滑 らか に 変 化 さ せ る こ と が で き る。 ノ ー マ ル ク ロ ー ズ 形 は 同 図(b)の よ う に,ロ
ー ラが押 さ れ て い な い と き は A
(a)
ノー マ ル オ ー プ ン形 図6・12
か ら Bへ の流 れ は な い が,カ
(b)
ノー マ ル ク ロ ー ズ 形
デ セ ラ レー シ ョン弁 の 例
ムが ス プ ール を 押 し始 め る と絞 り部 が 開 き始 め,
開 き度 に応 じた流 量 が 流 れ る。 一 般 に,こ の弁 は絞 り弁(流 量 調 整 弁)と
チ ェ ック弁 を複 合 した もの と して
用 い られ,ス プ ー ル の テ ー パ は流 量 制 御 を徐 々 に行 い,急 激 な流 量 変 化 を 防止 す る た め の役 割 を も って い る。
〔5〕 流 量 制 御 の基 本 方 式 流 量 制 御 を行 う場 合 に は,図6・13の
よ うな次 の 3っ の基 本 制 御 方 式 が あ る。
(a)メ ー タ イ ン 制 御
シ リンダ な どへ の油 の流 入 量 を流 量 制 御 弁 で直 接 制 御 す る も の で,制 御 され た油 量 だ け を通 過 さ せ,余 分 な油 は リ リー フ弁 か らタ ンクへ 逃 げ る の で,流 量 制 御 弁 の入 口 は リ リー フ圧 力 と な る。 メ ー タイ ン制 御 は,負 荷 が 工 程 作 業 中常 に正 の場 合 に適 す る。 負 荷 が負 の状 態(シ が 同 じ方 向)は,速
リ ンダ の 出力 方 向 と負 荷 の荷 重 方 向
度 制 御 が で きな くな る場 合 が あ る。
(a)メ ー タ イ ン制 御
(b)メ ー タ ア ウ ト制 御 図6・13流
(b)メ
(c)ブ リー ドオ フ 制 御
量制御の基本 方式
ー タ ア ウ ト制 御
シ リン ダな どか らの油 の流 出 量 を 流 量 制 御 弁 で 直 接 制 御 す る もの で,シ ダ を立 て形 で 使 用 した場 合 や,シ
リ ンダに 背 圧 を か け る必 要 が あ る場 合,そ
リン し
て微 動 送 り(び び り を防 ぐ)な どに 使 用 す る。 しか し,流 量 制 御 弁 入 口圧 力 は リ リー フ圧 とな り,シ
リ ンダ出 口圧 力(流 量 制御 弁 の 入 口圧 力)は 負 荷 が 変 化
す る場 合,負 荷 が 小 さ くな る と,回 路 の リ リー フ設 定 圧 力 よ り も高 くな る こと が あ る ので 注 意 が 必 要 で あ る。 (c) ブ リ ー ドオ フ 制 御
主 回 路 か らの バ イ パ ス ライ ンに流 量 制 御 弁 を取 り付 け,タ を 調 整 して ロ ッ ドの速 度 を変 え る もの で,ポ
ンクへ 逃 げ る油 量
ンプ の 吐 出 し圧 力(主 回 路 圧 力)
は負 荷 に比 例 した圧 力 に な る。 この た め メ ー タ イ ン制 御 や メ ー タ ア ウ ト制 御 と 比 較 して 消 費 動 力 が小 さい が逃 がす 流 量 を制 御 す る た め,ポ
ンプの 油 温 変 化 に
伴 う容積 効 率 の変 化 な ど が ロ ッ ドの速 度 変 化 に直 接 影 響 す る。
6・4方
向制 御 弁
〔1〕 方 向制 御 弁 の 種 類 ア ク チ ュ エ ー タ の 始 動,停
止,加
油 の 流 れ る方 向 を 制 御 す る 弁 で,チ
速,減
速,方
ェ ッ ク 弁(逆
向 の 切 換 え な ど を 行 う た め, 止 め 弁),方
向切 換弁 な どが
あ る。
〔2 〕
(a)チ
チ ェ ッ ク弁
ェ ッ ク弁
チ ェ ック弁 は基 本 的 に は,一 方 向 に は ク ラ ッキ ング圧 力(弁 れ 始 め る の に必 要 な圧 力)で
が開 い て油 が流
自 由 に圧 油 を通 過 さ せ るが,逆 方 向 に は流 れ を 完
全 に遮 断 す る弁 で あ る。 図6・14(a)は,イ
ン ラ イ ン形 で 比 較 的 低 圧 で 圧 力 の 変 動 が 小 さ い 場 合 に 使 用
さ れ る 。 図(b)は ア ン グ ル 形 で,主
と して 高 圧 回 路 に 使 用 さ れ る 。 ま た イ ン ラ
イ ン形 に 比 べ て チ ャ タ リ ン グ の 発 生 が 少 な い 。 チ ェ ッ ク 弁 は 単 独 で 回 路 に 使 用 さ れ る が,他
の 制 御 弁,例
(a)イ ン ラ イ ン 形
え ば シ ー ケ ンス 弁,
(b)ア ン グル 形 図6・14
チ ェ ッ ク弁 の 例
減 圧 弁,流 量 調 整 弁 な ど と併 用 され る こ とが多 く,弁 体 に組 み 込 まれ て い る。 (b)パ イ ロ ッ ト操 作 チ ェ ッ ク 弁
図6・15で 自 由流 れ 入 口 か ら流 入 した圧 油 は,ば ね 力 に打 ち 勝 っ て ポ ペ ッ ト を シ ー トか ら押 し上 げ,自 由流 れ 出 口へ 流 れ る の で,逆 方 向 へ の流 れ は完 全 に 閉 ざ され る。
図6・15
こ の よ う な 状 態 の と き,逆 油 を 導 き,パ
パ イ ロ ッ ト操 作 チ ェ ッ ク弁 の 例
方 向 へ流 す必 要 が あ れ ば パ イ ロ ッ トポ ー トに圧 力
イ ロ ッ ト ピ ス ト ン を 介 し て ポ ペ ッ トを 押 し上 げ,逆
流を行わせ る
こ とが で き る。
〔3〕 方 向切 換 弁 (a)切 換 弁 の 弁 形 成 に よ る分 類 切 換 弁 の 弁 基 本 的 形 式 に は,ス
プ ー ル 形,ポ
ペ ッ ト形,ボ
ー ル 形 が あ る が,
圧 力 平 衡 が と り や す く大 容 量 に も適 応 で き る ス プ ー ル 形 が 最 も多 く使 用 さ れ る。 ス プ ー ル 形 に は ス ラ イ ドス プ ー ル 形(図6・16),ロ 6・17)が
あ る 。 ス ラ イ ドス プ ー ル 形 は,ス
に よ りP→A,B→Rあ
る い はP→B,A→Rへ
ー タ リ ス プ ー ル 形(図
プ ー ル を左 あ るい は右 に動 か す こ と と流 れ る 方 向 を 切 り換 え る 。
ス ラ イ ド形 ス プ ー ル 弁 の 例
図6・16
図6・17
ロ ー タ リ ス プ ー ル 形 は,ス 換 え る も の で,い
ロー タ リ形 ス プ ー ル 弁 の 例
プ ー ル を 回 転 さ せ る こ と に よ り流 れ る方 向 を 切 り
ず れ も弁 本 体(ボ
デ ィ)と
ス プ ー ル の 間 で す き間 が あ る の で
漏 れ が 生 じる。 ポ ペ ッ ト形(図6・18)は,ポ
ペ ッ ト
に よ っ て 圧 油 通 路 の 開 閉 を 行 い,ポ
ペ ッ
トを 1個 あ る い は 複 数 個 の 配 列 に よ り 流 れ 方 向 を 切 り換 え る 。 ポ ペ ッ ト形 は ポ ペ ッ ト と シ ー ト(弁
座)が
密着す る
の で 漏 れ は 極 め て 少 な い。 ポ ペ ッ トの 代 わ りに ボ ール を 使 った も の もあ る。
図6・18
ポペ ッ ト形 ス プー ル 弁 の 例
(b)ス ラ イ ド形 ス プ ー ル 弁 の 分類 ①
接 続 ポ ー トお よ び切 換 位 置 に よ る分 類
切 換 弁 で は接 続 さ れ る配 管 の数 を ポ ー ト数 で,弁 の切 換 え数 を切 換 位 置 で表 す が,そ
の例 を表6・1に 示 す。 表6・1
分
類
記
号
接 続 ポー ト数 と切 換位 置 に よる 分 類
表
示
備
考
続
2ポート
接
2個 の 接 続 口 を有 す る弁 で 油 路 の 断 続 を行 う 場 合 に 使 わ れ る。
ポ
3個 の 接 続 口 を有 す る弁 で ポ ンプ ポー トよ り
3 ポ ー ト
ー
2方 向 へ の み の 切 換 な どに 使 わ れ る。
ト
4個 の 接 続 口 を有 す る弁 で ア クチ ュ エ ー タ の 前 進,停 止,後 退 な ど の 目的 に 広 く使 用 さ れ て い る。
4 ポ ー ト
の 数
5個 以 上 の 接 続 口 を有 す る 弁 で 特 殊 な 目的 の 多ポ ー ト
ため に 使 用 され る。
切 2個の切 換位置 を有す る弁
置
3 位 置
3個の切 換位置 を有す る弁
の 数
多 位 置
換
2 位 置
位 4個以上の切換位置 を有 す る弁で特殊 目的の ために使用 され る。
切 換 位 置 の 数 は 2位 置 と 3位 置,ポ 図6・19は,4
ー ト数 は 4 ポ ー トの も の が 多 く使 わ れ る。
ポ ー ト 3位 置 弁 内 の 油 の 流 路 を 示 し た も の で,ス
プ ールを中立
か ら左 あ る い は 右 へ 動 か す こ と に よ っ て ポ ー トの 組 み 合 わ せ を 変 え,シ
リン ダ
(ロ ッ ド)を 前 進 あ る い は 後 退 さ せ る。
②
中立 位置 にお ける流れ による分類
ス プー ル の 中 立 位 置 か ら油 圧 ユ ニ ッ トが,使 用 目的 に合 う機 能 を持 っ 弁 内 の 流 れ状 態 の代 表 的 な例 を表6・2に 示 す。
(b)ス プー ル 中 立 (ロ ッ ド停 止)
(a)ス プ ー ル 左 行 (ロ ッ ド前 進) 図6・19
JIS記
(ロ ツ ド後 退)
切 換 弁(4 ポ ー ト3位 置)内 の 油 の 流路
表6・2 スプ ー ル 形 式
(c)ス プ ー ル 右 行
中立位置におけ る流れの形に よる分類
機
号
能
・ 中 立 位 置 に て す べ て の ポ ー ト は 閉 とな っ て い る 。
クロー ズ ドセ ンタ
・2ポ
ジ シ ョ ンの 弁 に 用 い る と,ク ロ ス オ ー バ ー に て サ ー ジ 圧 を 発
生 す る。 ・中 立 位 置 に て す べ て の ポ ー トは 通 じあ っ て い る 。
オ ー プ ンセ ン タ
・中 立 位 置 に て ポ ン プ を ア ン ロ ー ド し,か
つ シ リンダ をフ ロー テ
ィ ン グす る と き な ど に 用 い る 。
・中立 位 置に て ポ ンプ ポー トの み閉,中 立位 置 に て シ リンダ をフ
ABR接
続
PAR接
続
ロー テ ィ ン グす る ときな どに 用い る。 ・中立 位 置に て 1個 の シ リン ダポー トの み 閉,そ の他 は 相 通ず る。 ・中立 位 置に て ポ ンプ をア ン ロー ドし,か つ シ リン ダの一 方 に圧 力 をか けな い場 合 に用 い る。 ・中 立 位 置 に てABポ
セ ン タバ イ パ ス (PR接
続)
ー トの み 閉 と な り,ポ
ン プ は ア ン ロ ー ドさ
れ る 。 ・直 列 に 2個 以 上連 結 し て 使 用 す る こ と も で き る 。 ・中 立 位 置 に て 各 ポ ー トは す べ て R ポー トに 通 じて い るが,P ポ ー
絞 り 付 オー プ ン セ ン タ
トよ り の 油 は 多 少 圧 力 を保 持 し て い る 。 ・ 2 ポ ジ シ ョ ンの 弁 に 用 い る と き は,ク ロ ス オ ー バ ー 時 の サ ー ジ圧 は 少 ない。 ・中 立 位 置 に て R ポー トの み 閉 と な り,P ポ ー ト と シ リ ン ダ ポ ー ト
PAB接
続
AR接
続
は 接 続 され て い る 。 ・中 立 位 置 に て デ フ ァ レ ン シ ャ ル サ ー キ ッ トとす る こ と が で き る。 ・中 立 位 置 に て P ポ ー トと シ リ ン ダ ポ ー トの 一 方 の み 閉 と な っ て い る。
③
操 作 方 式 と スプ リン グ形 式 に よ る分 類
切換 弁 の 操 作 方 式 か らは人 力 操 作,機 械 操 作,パ
イ ロ ッ ト操 作,電 磁 操 作,
電 磁 ・油 圧 操 作,空 圧 操 作 な ど に分 類 され る。 表6・3 分
類
記
号
操 作 方 式 とス プ リ ン グ形 式 に よ る分 類 表
備
示
考
操 作( 作 動) の 形
人
力 操
作
入力によ り操作す る弁
機
械
作
カム ・ロー ラ な ど,機 械 的 方 法 に よ り作 動 す る 弁
操
パイ ロ ッ ト圧 操作
パ イ ロ ッ ト油 圧 に よ り作 動 す る 弁
電
電磁 力によ り作動す る弁
磁
操
作
式
電 磁 ・油 圧 操 作
電 磁 力 に よ り操 作 され た パ イ ロ ッ ト油 圧 に よ り主 ス プ ー ル 弁 が 作 動 す る。
スプリ ング の形式
スプ リングオフセ ッ ト
切換 えは操作 力に よるが,操 作 力 を断つ とスプ リングカによ り復 帰す る弁
ス プ リ ン グセ ン タ
操作力 を断つ とスプ リングに よ りスプー ルが中立へ復帰 する弁
ノー スプ リン グ (ば ね な し)
いずれの位置へ切 換えて もそのままの位置 に保たれ る弁,振 動な どに より位置ずれが起 こらないよ うデ テン ト形式 のものも含 まれ る。
ス プ リ ン グ の 取 付 け 形 式 か ら は 2位 置 弁 に使 う ス プ リ ン グ オ フ セ ッ ト,3 位 置 弁 の ス プ リ ン グ セ ン タ,ま ね な し)が
た 2位 置 弁,3 位 置 弁 に 使 う ノ ー ス プ リ ン グ(ば
あ る 。 ノ ー ス プ リ ン グ の 中 に は,そ
の 位 置 を 保 持 す る デ テ ン ト形 式
の も の も あ る 。 こ れ ら の 中 で は 電 磁 操 作 が 最 も多 く使 わ れ,自
動 化 に役 立 って
い る。
〔4〕 人 力 操 作 切 換 弁 ス プ ール の 位 置 切 換 え を人 力(手 動)で 行 い,圧 油 の流 れ る方 向 を 変 え る も の で あ る。 (a)ノ ー ス プ リ ン グ デ テ ン ト形 ハ ン ドル か ら手 を 離 し て も ス プ ー ル が そ の 位 置 を 保 っ よ う に す る た め,ス ル の 先 端 に V 溝 を 設 け,ボ
ー ル が こ の 溝 に 入 り込 む よ う に な っ て い て,デ
プー テ
(a)ノ
ー ス プ リ ン グ デ テ ン ト形
(c)ス
(b)ス プ リン グセ ン タ形 図6・20
プ リ ン グ オ フ セ ッ ト形
人力操作切換弁 の例
ン ト式 と い う 。 (b)ス
プ リング セ ン タ形
ハ ン ドル か ら手 を 離 す と ス プ ー ル は,ス (c)ス
プ リ ン グカ に よ り中 立 位 置 に 戻 る。
プ リ ン グ オ フ セ ッ ト形
2位 置 弁 に使 用 さ れ,フ
リー の状 態 で は ス プ ー ル は一 方 向 に切 り換 わ った 位
置 に あ る。
〔5〕 機 械 操 作 切 換 弁 人 力 の 代 わ り に カ ム,ロ
ー ラ,レ
バ ー な どを 使 って ス プ ール の 位 置 切 換 え を
行 い,圧
油 の 流 れ 方 向 を 変 え る も の で,ロ
ラ形(図6・21)な
ー タ リ形(図6・17)と
カ ム ・ロ ー
ど が あ る。
図6・21
機 械 操 作 切 換 弁(カ ム ・ロー ラ 形)の 例
カ ム の 動 き に 応 じて ロ ー ラ を 介 して レバ ー が 揺 動 す る も の で,2
位 置弁 と し
て 使 用 す る。
〔6〕 電 磁 操 作 切 換 弁 (a)コ イ ル に 発 生 す る磁 界 図6・22に お い て,コ
イ ル に流 れ る
電 流 の方 向 を 右 ね じを回 す方 向 に した と き,右 ね じの 進 む 方 向 が コイ ル を通 る磁 束(磁 力 線)の 方 向 で あ る。 磁 束 が コイ ル か ら 出 る側 が N 極,コ
イル
に入 る側 が S極 とな る。 次 に,磁 気 の な い鉄 心 に コイ ル を巻 い て電 流 を流 す と,同
図6・22
コ イル に 発 生 す る磁 界
じよ うに磁 束 を
発 生 し,1 っ の棒 磁 石 と な る。 ま た鉄 の方 が 空 気 よ り透 磁 率 が 大 き い の で,磁 力 線 の数 も多 く強 力 な磁 石 で あ る。 この よ うに電 流 に よ って作 られ た 磁 石 を 電 磁 石(ソ
レノ イ ド)と い う。
(b)電 磁 弁 の作 動 原 理 図6・23は,4
ポ ー ト 3位 置 ク ロ ー ズ ドセ ン タ 電 磁 切 換 弁 で あ る 。 こ の 中 立
位 置 か ら コ イ ル に 電 流 を 流 す と,固 き 付 け,プ
き)と
ロ ッ ド後 退
励 磁 す る と ス プ ー ル は 左 に 押 さ れ,P→A,B→Rで な る 。 電 磁 切 換 弁 は,片
に ソ レ イ ドを も ち,交 号 のON,OFFに
磁切 換 弁(4 ポ ー ト3位 置)の 例
励 磁 す る と ス プ ー ル は 右 に 押 さ れ,P→B,A→Rで
(戻 り),SOLbを
引力
プ ー ル は ス プ リングカ で 中立 位 置 に戻 る。
図6・23電
ド前 進(行
動 鉄 心 を引
ッ シ ュ ロ ッ ドを 介 して ス プ ー ル を 押 す 。 電 流 を 切 る と 磁 力,吸
は と も に 消 滅 す る た め,ス
SOLaを
定 鉄 心 が 電 磁 石 の 役 目 を し,可
側(シ
ン グ ル)ま
互 に 励 磁 して ス プ ー ル を 動 か し,油
よ っ て 切 り 換 え る も の で,ソ
た は 両 側(ダ
ロ ッ ブ ル)
の流 れ 方 向 を 電 気 信
レ ノ イ ドバ ル ブ と も い い,次
の よ う な 長 所 を も っ て い る。
①
遠 隔,自 動 操 作 が容 易 で あ る。
②
始 動 や 停止 の位 置決 め,時 間 を規 則正 し く正 確 にで き る。
〔7〕 電 磁 パ イ ロ ッ ト操 作 切 換 弁 流 量 が100l/min程
度 ま で の切 換 弁 は,ソ
レノ イ ドで直 接 に ス プ ー ル を 切 り
換 え る電 磁 切 換 弁 が 一 般 に使 わ れ る が,そ れ以 上 の大 流 量 に な る とス プ ール の 径 も大 き くな る に従 って吸 引力 も大 き くな り,電 磁 力 だ け で は ス プ ー ル を 操 作 で き な い。 こ の よ うな場 合 に,ス プ ー ル を油 圧 で切 り換 え る電 磁 パ イ ロ ッ ト切 換 弁 が使 われ る。 図6・24の わ り,圧
よ う にSOLbに
通 電 す る と,パ
イ ロ ッ トス プ ー ル は左 へ 切 り換
油 は メ イ ン ス プ ー ル の 左 端 の 受 圧 面 積 の 大 き い 部 屋 に 流 入 し,推
拡 大 し て メ イ ン ス プ ー ル を 右 へ 移 動 さ せ,ポ
図6・24
ン プ か ら の 圧 油 はP→Bを
電 磁 パ イ ロ ッ ト操 作 切 換弁 の例
力を 通 っ
て ア ク チ ュ エ ー タ(油
圧 シ リ ン ダ)を
前 進 さ せ る 。 ア ク チ ュ エ ー タ か らの 戻 り
油 は,A
か ら メ イ ン ス プ ー ル の 中 空 部 を 通 っ て R に 達 し,タ
SOLbの
通 電 を 切 る と,パ
て 中 立 位 置 に 戻 り,メ トDrを
通 り,タ
ンク に戻 る。
イ ロ ッ トス プ ー ル は パ イ ロ ッ トば ね の ば ね 力 に よ っ
イ ン ス プ ー ル 右 端 の 部 屋 に流 入 して い た 圧 油 は ド レ ン ポ ー
ン ク に 開 放 さ れ る。 そ し て メ イ ン ス プ ー ル は,メ
イ ンば ね 力
に よ って 中 立位 置 に 復帰 す る。 パ イ ロ ッ トチ ョ ー ク弁 は
,パ
イ ロ ッ ト流 量 を 調 整 す る こ と に よ っ て メ イ ン ス
プ ー ル(ア
ク チ ュ エ ー タ)の
た め に,パ
イ ロ ッ ト弁 と メ イ ン ス プ ー ル の 中 間 に 設 け る 。
〔8〕
切 換 速 度 を 遅 く し,切
換 時 の シ ョ ックを 緩 和 す る
パ イ ロ ッ ト操 作 切 換 弁
こ の 弁 は,ス
プ ー ル の 切 換 え を 油 圧 パ イ ロ ッ トに よ り行 う も の で ,パ
ト弁 と メ イ ン ス プ-ル
イ ロッ
を 離 し て 設 置 し た い 場 合 に 使 用 さ れ る。
図6・25
パ イ ロ ッ ト操 作切 換 弁 の 例
〔9〕 ポ ペ ッ ト形 電 磁 切 換 弁 圧 油 流 路 の開 閉 を ポヘ ッ ト弁 に よ って 行 う もので,ス
プ-ル 形 と比 較 して 次
の よ うな 長 所 を もって い る。 ①
弁 内 部 の 油 漏 れ が非 常 に少 な い の で,位 置 保 持 の た め の パ イ ロ ッ ト操 作 チ ェ ッ ク弁 が 不 要 で,低 粘 度 作 動 油 の使 用 が 可能 で あ る。
②
ス プ ー ル 弁 の よ う な ス プ ー ル と 本 体 の 間 の オ ー バ ラ ッ プ が な い の で,応 答 性 が よ い。
③
流 体 固 着 現 象(2・10節
の
〔5〕 項 参 照)の
心 配 も な くな る 。
ポペ ッ ト形電磁切換弁の例
図6・26
6.5
モ ジ ュラ ー弁
圧 力,流 量,方 向 の 調 整 をす る各 油 圧 制 御 は,す べ て 配 管 を 必 要 とす る もの で あ る。 配 管 の場 合,そ れ ぞれ の制 御 弁 は必 要 な所 に設 置 で き る と い う便 利 さ が あ る反 面,配 管 の わ ず らわ しさや 油 漏 れ と い う問 題 が あ る。 そ こ で 無 配 管 や コ ンパ ク ト化 を 目 標 に し た モ ジ ュ ラ ー 弁 が あ る 。 モ ジ ュ ラ ー 弁 は,圧
力 と 流 量 の 調 整 用 モ ジ ュ ラ ー 弁 と チ ェ ッ ク モ ジ ュ ラ ー 弁 が あ る。 モ ジ ュ
ラ ー 弁 を 使 用 す る 場 合 は,図6・27の 圧 回 路 を 構 成 す る が,下
よ う に,各
モ ジ ュ ラ ー弁 を 積 み 重 ね て 油
に は サ イ ズ 別 に 標 準 化 さ れ た ベ ー ス プ レ ー トを,上
に
は 電 磁 切 換 弁 を 置 き ボ ル ト締 め さ れ る 。 配 管 は ベ ー ス プ レ ー ト と タ ン ク,ポ
ン
プ,ア
ク チ ュ エ ー タ の 間 だ け で よ い 。 各 油 圧 制 御 弁 間 は,共
され て い る。
通 の ポ ー トで 連 結
図6・27
モ ジ ュ ラー 弁 の 組 立 例
6.6 こ の 弁 は,カ
バ ー,ば
み 込 ま れ て お り,パ
ね,ス
リー ブ,ポ
ロ ジ ック弁
ペ ッ トで 構 成 さ れ,ブ
イ ロ ッ ト圧 力 を 制 御 し て 方 向,流
量,圧
ロ ック内 に組
力 の制 御 を行 う多
機 能 弁 で あ る 。 図6・28(a)で 電 磁 切 換 弁 がOFF(消
磁)の
圧 力Pxは
ポ ー ト側 押 付 け 力FXとA,
B側
パ イ ロ ッ ト ポ ー ト X に 作 用 す る の で,X
の 押 し上 げ 力FWの
間 はFX>FWと
な り,ポ
(a)弁 閉状 態 図6・28
場 合 は,パ
ペ ッ トが 弁 座(シ
イロ ッ ト
ー ト)に 密
(b)弁 開状 態 ロ ジ ッ ク弁 の 例
着 して 弁 は 閉 状 態 で あ る。 同 図(b)の よ う に,電
磁 弁 の ソ レ ノ イ ドがON(励
磁)に
イ ロ ッ トポ ー ト X の 圧 力 は ほ
な る と パ イ ロ ッ ト圧 力Pxが
と ん ど ゼ ロ に な る の でFX<FWと
遮 断 さ れ,パ な り,ポ
ペ ッ ト は シ ー トか ら押 し上 げ ら れ,
弁 は 開 状 態 に な る。 こ の よ う に パ イ ロ ッ ト圧 力 の 制 御 に よ り ポ ペ ッ トの 開 閉 を 行 い,方
向,流
量,
圧 力 を 制 御 す る弁 を ロ ジ ッ ク 弁 と い う。
6.7
比例電磁式制御弁
一 般 的 な 油圧 機 器 で あ る圧 力制 御 弁 ,流 量制 御 弁,電 磁 切 換 弁(電 磁 弁)と ソ レノ イ ドな どを基 本 的 な要 素 と して,ス
プー ル や ポペ ッ トを駆 動 す る電 磁 コ
イ ル に は,電 流 の制 御 が容 易 で,吸 引 力 の 大 きい 直流 の電 磁 コイル を使 用す る。
〔1〕 比 例電 磁 式 圧 力制 御 弁 の作 動 原理 図6・29(a)は,パ
イ ロ ッ ト リ リー フ 弁 の 作 動 原 理 の 例 で あ る。 電 磁 コ イ ル に
直 流 電 流 を 流 す と,発
生 す る電 磁 力 に よ っ て 可 動 鉄 心 は 固 定 鉄 心 に 吸 引 さ れ よ
う と す る。 こ の 可 動 鉄 心 に パ イ ロ ッ トば ね を 接 続 し て お く と,ソ
図6・29
比例電磁 式圧力制御 弁の作動
レ ノ イ ドの 吸 引 力 F
は ば ね を 押 し,さ
ら に ポ ペ ッ トを シ ー トに 押 し込 ん で い る。 ば ね 力 に よ り リ リー
フ圧 力 は 決 ま る の で,リ が っ て,電
リ ー フ 圧 力 P は 電 流 iに 比 例 す る(図6・29(b))。
した
流 を 制 御 して リ リー フ圧 力 を 制 御 す る こ と に な る。
〔2〕 比 例 電 磁 式 流 量 制 御 弁 の作 動 原 理 流 量 制 御 弁 の 絞 り(ス ロ ッ トル)な
どの 開 度 調 整 部 に ソ レノ イ ドを 接 続 し,
ば ね に は ソ レノ イ ドに流 す 電 流 の 大 き さに よ る電 磁 力 を 対 抗 させ て,電 流 iに 比 例 した 開 度 を 与 え,流 量 Q を制 御 す る。 絞 り開 度 はば ね の変 位 置 で 決 ま るが,そ の 大 き さ は ソ レノ イ ドへ の 電 流 の 大 き さで 決 ま る の で,流 量 Q は電 流 iに比 例 す る(図6・30(b))。 した が って,電 流 を 制 御 して 流 量 を制 御 す る こ と にな る。 図6・31,図6・32に,比
例 電 磁 式 圧 力 制 御 弁 と流 量 制 御 弁 の構 造 例 を示 した。
(a)
図6・30比
図6・31
(b)
例電磁式 流量制御弁の作動
比例電磁式圧 力制御弁 の例
(パ リイ リー ロフ ッ 式) ト
図6・32
比例電磁式流量制御弁 の例
6.8 サ ー ボ と は指示(命 令)通
サ ーボ弁
りに もの を動 か す こ と を い い,サ ー ボ弁 は電 気 そ
の他 の入 力 信 号 に従 って流 量 また は圧 力 を 制 御 す る弁 を い う。 サ ー ボ弁 に は電 気 信 号 に よ る電 気 ・油 圧 サ ー ボ弁 と機 械信 号 に よ る メ カ ニ カルサ ーボ弁 が あ る。 これ らは一 般 の産 業 機 械 の 自動 制 御 に応 用 され,位 置 制御,速 度 制 御 な ど の 高 精 度,高 応 答 を必 要 とす る とき に用 い られ る。 〔1〕 サ ー ボ 機 構 物 体 の位 置,方 位,姿 勢 な どを 制 御 量 と して,目 標 値 の変 化 に追 従 す る よ う に構 成 され た 自動 制 御 系 で,フ
ィ ー ドバ ック信 号 に よ って 制 御 動 作 の結 果 を 目
標 値 と比 較 し,こ れ と一 致 させ る よ う に常 に訂 正 動 作 を す る もの を サ ーボ 機 構 と い う。 電 気,油 ボ 弁,検
圧 サ ー ボ 機 構 は,図6・33に 出 器,増
示 す よ う に,油
幅 器 な ど で 基 本 的 に 構 成 さ れ,各
もの を ブ ロ ック図 と い う。
圧 ア ク チ ュ エ ー タ,サ
ー
構 成 機 器 間 の 関連 を 表 した
図6・33
〔2〕
電 気 ・油圧 サ ー ボ 機 構 の ブ ロ ッ ク図
電 気 ・油 圧 サ ー ボ 弁
電 気 ・油 圧 サ ー ボ弁(以 下,サ
ー ボ弁 と い う)は,微 弱 な電 流(10mA程
度)
を入 力 信 号 と し,ト ル ク モ ー タ を駆 動 して ノ ズ ル フ ラ ッパ機 構 に よ り油 圧 力 の 増 幅 を行 って 制 御 弁 を操 作 す る もので あ る。 図6・34は,ノ
ズ ル フ ラ ッパ 方 式 の サ ー ボ 弁 の 機 構 で あ る 。 サ ー ボ 弁 は 電 気
信 号 を 機 械 的 変 位 に 変 換 す る トル ク モ ー タ 部(永 ア),変
久 磁 石,コ
位 を 油 圧 力 に 返 還 す る ノ ズ ル フ ラ ッ パ 機 構 部,油
ーマチュ
圧力 を増 幅す るスプ ー
ル 部 の 3っ で 構 成 さ れ る。
図6・34
イ ル,ア
電 気 ・油 圧 サー ボ 弁 の 例
ス プ ー ル が 中 立 位 置 に あ る と き はP,R,A,Bの て い る が,コ
各 4っ の ポ ー トは ふ さ が っ
イ ル に 電 流 が 流 れ る と ア ー マ チ ュ ア が 傾 き,こ
パ は 中 立 位 置 か ら左 右 ど ち らか に 傾 く の で
,フ
れ に 伴 い,フ
ラッ
ラ ッパ と ノ ズ ル の す き 間 x あ る
い は y が 変 化 す る。 そ し て x の 変 化 に よ っ て ノ ズ ル 内 圧 力(背
圧Px)も
変 化
す る。 x が 小 さ くな る とPxは が 大 き く な る とPxは
大 き く な り,x=0でPx=Ps(供
給 圧 力),逆
に x
減 少 す る。
す き ま y と の 間 に はx+y=一
定 の 関 係 が あ る か ら,x が 小 さ く な る 方 向 に
動 く と き は y は 大 き くな り,x が 大 き く な る 方 向 に 動 く場 合 は y は小 さ くな る。 ス プ ー ル に 作 用 す る圧 力 は,Pxと
y に 対 す る圧 力 弓(背
圧Py)で
決 ま り,
電 流 に 比 例 し た 圧 力 差 が 発 生 す る 。 ス プ ー ル の 面 積 を A と す る と,ス を 左 右 に 動 か す 力FSは,FS=A(Px-Py)と
な る。
ス プ ー ル が 移 動 す る と ア ー マ チ ュ ア,す 中 立 位 置 でPx=Pyと
な り,ス
プー ル
な わ ち フ ラ ッパ が 戻 さ れ,x=yの
プ ー ル 両 端 の 圧 力 は バ ラ ン ス す る の で,ス
プ ー
ル は停 止 す る。 ア ー マ チ ュ ア 電 流 の 大 き さ に よ る トル ク と フ ィ ー ドバ ッ ク ス プ リン グ の ス プ ー ル の 移 動 に 伴 う 力 は 正 反 対 に 作 用 し,フ ン グ の た わ み 量,す
ィ ー ドバ ッ ク ス プ リ ン グ の 力 は ス プ リ
な わ ち ス プ ー ル の 移 動 量 に 比 例 す る か ら,ス
量 は トル ク の 大 き さ で 決 ま る。 ス プ ー ル の 移 動 量 は,ア る 電 流 の 大 き さ に 比 例 す る の で,電
プ ー ル の移 動
ー マ チ ュ ア に入 力 され
流 に 応 じ た ス プ ー ル の 開 き度 が 決 ま り,流
量 が 制 御 さ れ る。 こ の よ う に フ ィ ー ドバ ッ ク ス プ リ ン グ カ に よ って 入 力 値(電 力(ス
プ ー ル の 変 位)を
制 御 す る方 式 を,フ
流)に
対 す る出
ィ ー ドバ ッ ク 方 式 の サ ー ボ 弁 と い
う。
〔3〕
メ カ ニ カ ル サ ーボ 弁
メ カ ニ カ ル サ ー ボ 弁 は,図6・35の の 外 側 に 取 り 出 し,ス
タ イ ラ ス(触
よ う に,ス 針)を
プ ー ル の 片 側 を 本 体(ボ
デ ィ)
取 り付 け る 。 ス タ イ ラ ス の 反 対 側 に
図6・35メ
は ば ね が あ り,常
カ ニ カル サ ー ボ弁 の 例
に ス プ ー ル を ス タ イ ラ ス 側 に 押 し付 け て い る 。
ス タ イ ラ ス に 何 も 力 が 働 か な い 場 合 は,ス れ て い る の で,圧
油 はP→A,B→Rへ
タ イ ラ ス が テ ン プ レ ー ト(型 板)の ル は ば ね 力 に 抗 して 左 へ 動 き,全 とP→B,A→Rの こ の よ う に,ス
プ ー ル は ば ね に よ って 押 し付 け ら
と流 れ,ピ
ス ト ンを 右 へ 動 か す 。 ス
動 き に 伴 っ て 左 方 向 へ 押 さ れ る と,ス
プー
ポ ー ト閉 の 状 態 に な る 。 さ ら に 押 し込 ま れ る
流 れ に な る。 タ イ ラ ス を 機 械 的 に 押 し付 け る こ と で 圧 油 の 流 れ る 方 向 を 変
え る 弁 が メ カ ニ カ ル サ ー ボ 弁 で あ る。 ス タ イ ラ ス の 機 械 的 な 動 き が 指 令 信 号 と な る が,ス
タ イ ラ ス の 動 き に シ リ ン ダ を 追 従 さ せ る た め に,メ
弁 の 本 体 を シ リ ン ダ 本 体,あ
カニカルサーボ
る い は ロ ッ ドに 固 定 す る方 法 が と られ,こ
ン ダ の 動 き が フ ィ ー ドバ ッ ク系 を 構 成 す る よ う に な っ て い る 。
の シ リ
7
油 圧 ユ ニ ッ トの そ の他 の部 分 7・1
ア キ ュム レー 夕
ア キ ュム レー タは,次 の よ うな用 途 に使 わ れ る。 (a)圧 力 保 持 油 圧 ア ク チ ュ エ ー タの操 作 にお いて 回 路 の油 漏 れ を補 給 し,圧 力 を保 持 した り,ま た温 度 上 昇 に よ る油 の 熱 膨 張 を吸 収 す る。 (b)補 助 油 圧 源(蓄 圧) ポ ンプ吐 出 し量 の 削 減(動 力 の 節 約)を
目的 とす る もので,一 般 的 な ポ ンプ
吐 出 し量 の 不 足 を補 う。 (c)衝 撃 緩 衝 弁 類 の作 動 時 にお け るサ ー ジ圧 力 を 吸 引 す る。 (d)脈 動 吸 収 油 圧 ポ ン プの脈 動 を 吸収 した り,機 器 の 振 動 を吸 収 す る。 〔1〕
ア キ ュ ム レ ー タ の 種 類 と構 造
ア キ ュム レー タの種 類 に は,表7・1の
よ うな もの が あ るが,気 体 圧 縮 式 が ほ
とん ど で使 用 気 体 に は安 全 性 と経 済 性 か ら窒索 ガ ス(N2ガ
ス)が 用 い ら れ る。
図7・1(a)∼(d)に 構 造 を 示 す 。 い ず れ も気 体 と油 を 分 離 す る た め の 分 離 帯 (セ パ レー タ)を
もって お り,プ ラ ダ形,ダ
イ ヤ フ ラ ム形,イ
ン ライ ン形 は ゴ
ム を使 用 し,ピ ス トン形 は金 属 製 の ピス トンを使 用 す る。 気 体 室 に は給 気 弁(ガ ト)が あ る。
スバ ル ブ)を,圧
油 室 に は圧 油 の 出入 口(オ イ ル ポー
表7・1ア
ア キ ュ ム レー タ
キ ュ ム レー タ の種 類
重錘式 ばね式
直接式 プ ラ ダ形
気体圧縮式
ダ イ ヤ フ ラ ム形 ピ ス ト ン形
分離式
イ ンラ イ ン形
(a)プ
(c)ピ
(b)ダ
ラ ダ形
イヤ フ ラム 形
ス トン形
(d)イ 図7・1ア
ン ラ イ ン形
キ ュ ム レー タの種 類
プ ラ ダ形 は,気 体 の膨 張 時 に プ ラダが圧 油 の 出入 口 か らは み 出 さな いよ うに ポペ ッ ト弁 が 取 り付 け られ,プ
ラ ダの膨 張 時 に ポ ペ ッ ト弁 が 出 入 口を ふ さ ぐよ
う に な る。 プ ラ ダ形 は圧 力変 化 に対 す る応 答 性 が速 く,一 般 的 で あ り最 も多 く
利 用 さ れ るが,プ
ラ ダ(ゴ ム袋)の 破 損 に よ り瞬 間 的 に使 用不 能 に な る欠 点 が
あ る。 ピス ト ン形 は プ ラ ダ形 に比 べ て圧 力変 化 に対 す る応答 性 は劣 るが,破 損 に よ っ て使 用 不 能 とな る こ と はな く信 頼 性 は高 い。 ダ イ ヤ フ ラ ム形 は小 容 量 の もの が 多 く,イ
ンライ ン形 は配 管 途 中 に組 み込 め
る の で脈 動 除去 に 用 い られ る。 〔2〕
ア キ ュム レー タ の作 用
図7・2に お い て,図(a)は 給 気 弁 A か ら N2ガ スを 圧 力P1で 封 入 さ れ て,ガ ス は容 器 い っ ぱ い に充 満 して い る。 す な わ ち,P1の 封 入 され て い る。 い ま,油 P>P1に
圧 力 でV1の 容 積 の気 体 が
ポ ン プか ら油 出 入 口 B を通 っ た 圧 油 の 圧 力 P が
な る と,圧 油 は ピス トンを押 し上 げ気 体 を 圧 縮 して 圧 油 室 に入 り,
油 圧 力 と ガ ス圧 力 は平 衡 す る。 この蓄 圧 され た圧 油 エ ネル ギ ーを 油 圧 ア クチ ュ エ ー タの 作 動 に利 用 す る。 図(b)は,圧 油 の圧 力 がP2に な った とき の容 器 に送 り込 まれ た圧 油 の 容積V2′ と,気 体 の圧 力 がP1か
らP2に 変 化 した と き の 気 体
の容 積V2の 状 態 を 示 して い る。
(a)
図7・2ア
(b)
(c)
キ ュ ム レ ー タ(ピ ス トン 形)の 作 用
次 に,容 器 か ら圧油 を放 出 す る と,放 出量 だ け容 器 の圧 油 容 積 は減 るの で, 気 体 の 容 積 は放 出 量 分 だ け膨 張 し,圧 力 はP3ま で降 下 す る。 図(c)は圧 油 が 放 出 され た と き の圧 油 の 圧 力P3,容
積V3′,気 体 の圧 力P3,容
積V3の
状 態 を示
す。 こ こで圧 力 と気体 あ る い は圧 油 の容 積 の 関係 を考 え る と, 気 体 の状 態 変 化 が 等 温 変化(ゆ
るや か な変 化)の 場 合
(7・1)
気 体 の状 態変 化 が ポ リ トロー プ変化(急 激 な変 化)の 場 合 (7・2) n:ポ
リ トロ ー プ指数
≒1.3
の よ う に な る。
〔3〕
ア キ ュム レー タ の容 量
こ こ で は 蓄 圧 用 に つ い て 考 え る。 一 定 の 圧 力 を も っ た 圧 油 を 蓄 え,必
要 に応
じて 圧 油 を ア ク チ ュ エ ー タ に 送 り込 み ポ ン プ の 代 用 と す る。 ア ク チ ュ エ ー タへ 送 り込 め る油 量 は,図7・2(b)か の 油 量 を 圧 力P2か
らP3の
ら(c)へ の 状 態 変 化 に よ る も の で,(V2′
−V3′)
範 囲 で 使 用 で き る と考 え る。 こ の 場 合 の 放 出 油 量 V
は, 等 温 度 化 の 場 合
(7・3)
ポ リ トロ ー プ 変 化 の 場 合
(7・4)
P1:初 期 封 入 ガ ス圧 力(予 圧)〔MPa〕 P2:最 高 作 動 圧 力(回 路 最 大 圧 力 で リ リー フ設 定 圧 力)〔MPa〕
P3:最 低 作 動 圧 力(ア
クチ ュエ ー タが作 動 で き る最 低 必 要 圧 力)
〔MPa〕 V1:ア
キ ュ ム レー タの 全 容 量
〔l〕
V2:P2の
と きの ガ ス容 量 〔 l 〕
V3:P3の
と きの ガ ス容 量 〔 l 〕
V:ア
キ ュ ム レ ー タ の 必 要 な 吐 出 し油 量 〔 l 〕
と し て 求 め ら れ る。 プ ラ ダ形 ま た は ピ ス ト ン形 を 蓄 圧 用 と して 使 う場 合 の 容 量 は,作
業 速 度 に応
じ て 封 入 ガ ス を ポ リ ト ロ ー プ 変 化 と し て 取 り扱 わ な け れ ば な ら な い が,通
常 は
等 温 変 化 で考 え て よ い とされ る。 ピ ス ト ン形 の 長 所 は,初 が,一
期 封 入 圧 力 を最 低 作 動 圧 力 に近 く とる ことが で きる
般 に は,P1=(0.85∼0.95)P3程
(0.6∼0.85)P3程
度 と さ れ る 。 プ ラ ダ 形 で はP1=
度 で あ る。
油 圧 用 プ ラ ダ形 ア キ ュ ム レ ー タ(JIS
B 8358-1976)で
kgf/c㎡(10.3MPa)と210kgf/c㎡(20.6MPa)に
は,最
高 使 用 圧 力105
お け るアキ ュム レー タの
呼び容積 〔 l 〕 を 次 の よ う に 定 め て い る。 0.1,0.3,0.5,1,3,5,10,20,40,60 〔注 〕1〔kgf/c㎡
例 題7・1ダ
〕=98.0665〔kPa〕
イ カ ス トマ シ ン に お い て,ア
要 吐 出 し油 量 を20l,最 る と き,次 (1)ア
≒100〔kPa〕
キ ュ ム レ ー タ(ピ
高 作 動 圧 力 を21MPa,最
低 作 動 圧 力 を13MPaと
の 値 を 求 め よ 。 ポ リ ト ロ ー プ 指 数 を1.3と
キ ュ ム レー タ へ の 初 期 封 入 ガ ス圧 力(2)ア
〔 解 〕 (1)P1=0.9P3と
す れ ば,P1=0.9×13=11.7〔MPa〕
(2)等 温 度 変 化 の 場 合
式(7・3)か
ら,
ス ト ン形)の
必 す
す る。 キ ュ ム レー タ の 全 容 量
ポ リ ト ロ ー プ変 化 の 場 合
し た が っ て,40l用
問 題7・1最 ラ ダ 形)の
式(7・4)か
ら,
2本 を 必 要 と す る。
低 作 動 圧 力4MPa,最 全 容 量 を10lと
高 作 動 圧 力7MPa,ア
キ ュ ム レ ー タ(プ
最 低 作 動 圧 力 の75%,ポ
す ると きの放 出油 量 を 求 め よ。 初 期 封 入 ガ ス圧 力 を リ トロ ー プ 指 数n=1.3と 答(等
す る。
温 変 化3.2l,ポ
リ ト ロ ー プ変 化2.8l)
7.2
フ ィル タ
油 圧系 統 内 は新 しい状 態 で も清 浄 とは いえ な い が,使 用 時 間 の経 過 と と も に 各作 動 部 分 の 摩 擦 に よ る金 属 粉,外 部 か ら侵入 す る ほ こ り,微 細 な砂 な どに よ っ て作 動 油 は汚 染 され,こ れ が ポ ン プ,制 御 弁,ア
クチ ュエ ー タ等 を摩 耗,損 傷
させ る こ とに な る。 これ らの異 物 を 除去 す る装 置 が フ ィル タで,タ 路用 が あ り,そ れ ぞ れ 吸込 み管 路,圧 力 管 路,戻 〔1〕
ン ク用 と管
り管 路 に用 い られ る。
タ ンク 用 フ ィル タ
(a)ケ ー ス な し フ ィ ル タ フ ィル タ を タ ン ク 内 に 入 れ て 使 用 す る(図7・3(a))も
の で,軽
合金製 の コア
の 周 囲 に ア ル ミ ニ ウ ム ま た は ス テ ン レ ス ノ ッチ ワ イ ヤ を 巻 い た ろ 過 器 で,通
常
ろ過 精 度 は105μm(150メ
ィ
ル タ に 生 じ る抵 抗 が50mmHg以 チ ワ イ ヤ の 代 わ り に 金 網(黄
ッ シ ュ)で
あ る。 定 格 油 量 を 流 した と き に は,フ
下 に な る よ う に ろ 過 面 積 を もた せ て あ る。 ノ ッ 銅 製)の
も の も あ る。
(a)油 タ ン ク内 用
(b)吸 込 管 用
図7・3タ
ン ク用 フ ィル タの 例
(b)ケ ー ス 付 き フ ィ ル タ フ ィ ル タ,エ
レ メ ン トを ケ ー ス 内 に 挿 入 し た も の(図7・3(b))で,エ
トの ご み っ ま り等 の 点 検 が 容 易 で あ る 。 ま た,ご
レメ ン
み の っ ま り具 合 が 外 部 か ら確
認 で き る イ ン ジ ケ ー タ付 き の も の も あ る 。
〔2〕 管 路 用 フ ィ ル タ タ ンク用 フ ィル タ は,吸 込 み 抵 抗 な どの た め に ろ過 粒 度 を あ ま り細 か くで き な い。 これ を補 うのが 管 路 用 フ ィ ル タ(ラ イ ンフ ィル タ)で あ る。 管 路 用 フ ィ ル タ は,配 管 内 の作 動 油 に含 まれ て い る ごみ な ど を取 り除 いて 清 浄 な 作 動 油 に
(a)圧 力管 路 用 図7.4管
(b)戻 り管 路 用 路 用 フ ィ ル タの 例
す る 目 的 に 使 う。 エ レ メ ン トは ノ ッ チ ワ イ ヤ,金
網,焼
結 金 属,ペ
ー パ の もの が あ り,一
般油
圧 装 置 か らサ ー ボ 油 圧 装 置 ま で 使 用 条 件 に よ っ て 選 定 す る。
〔3〕
エ レ メ ン トの ろ 材
エ レ メ ン トの ろ 材 に は,ろ
紙,ノ
る。 こ れ ら ろ 材 と ろ 過 精 度,メ
ッ チ ワ イ ヤ,金
ッ シ ュ,空
目)と
イ ン チ(25.4mm)の
結 金 属,そ
間 率 を 表7・2,表7・3に
表7・2 ろ材 と ろ過 精 度
メ ッ シ ュ(網
網,焼
の他 が あ
示 す。
表7・3 メ ッ シ ュ と空 間 率
は,縦
横 1
長 さの 間 に
含 ま れ る網 の 目 の 数 で 表 示 す る も の で砥 料 や鋳 物 砂 の粒 度 を 表 す の に 用 い る 。100メ
ッ シ ュ と は,縦 横
1イ ンチ の 長 さ の 中 に100個 の 目 が あ る の で,線
の網
径0.111mm
を 使 用 す れ ば 空 間 は25.4-0.111 〔 注 〕SWG基
×100=14.3〔mm〕 が っ て,線
で あ る 。 した
と 線 の 間 隔 は14.3/100
=0 .143〔mm〕
とな る。
準 の メ ッ シ ュ は,金 網 で 多 く使 用 さ
れ て い る もの を示 す 。
7・3
作 動 油 の運 転 温度 は下 記 の範 囲 の値 を 目 安 とす る の で,油
油冷却器 タ ンク 内 油 温 が
55°Cを超 え るよ うで あ れ ば,一 般 に は油 冷 却 器 を使 用 しな け れ ば な らな い。 〓 危 険 低 温 度 0∼15℃ 〓 通 常 始 動 温 度 15∼30℃ 〓 通 常 作 業 温 度 30∼70°C(最
適 温 度35∼55℃)
〓 限 界 作 業 温 度 70∼80°C 〓 危 険 高 温 度 80∼120℃
油 温 が55℃ 以 上 に な る と,時 間 と と も に作 動 油 が 劣 化(酸 な く,パ
化)す
るだ けで
ッキ ン類 の老 化 と油 圧 ポ ンプ,油 圧 モ ー タの 摩 耗 に よ る寿 命 の低 下 を
きた す 。 この よ うに油 の もって い る熱 を 交 換 して,適 正 な温 度 範 囲 に保 っ 機 器 が 熱 交 換 器 で あ るが,一 般 に は油 冷 却 器(オ
イル ク ー ラ)の 形 で 使 われ るこ とが多 い。
ク ー ラ に は水 冷 式 と空 冷 式 とが あ る。 図7・5の 水 冷 式 は本 体 内 部 に 伝 熱 管 (冷 却 管)が
あ り,そ の周 りを油 が 循 環 して熱 を 吸収 す る もので,伝 熱管 に フ ィ
ンチ ュ ー ブ を使 用 し,熱 伝 達 率 を 上 げ た もの もあ る。
図7・5 水冷式油冷却器 の例
図7・6の 空 冷 式 は,特 に冷 却 水 が 得 られ な い場 合 や,工 作 機 械 な どで水 を き ら う場 合 に使 用 さ れ る。
図7・6 空 冷 式 油 冷 却 器 の例
7・4油
タ ンク
油 タ ンクの 主 な 目的 は,油 圧 装 置(油 圧 ユ ニ ッ ト)を 動 か す の に必 要 な作 動 油 を 蓄 え る こ と に あ る。 〔1〕 油 タ ン ク の 種 類 (a)大 気 開 放 形 タ ンク内 の 空 気 が 通 気 口(エ ア ブ リー ザ)を 通 して大 気 に通 じて い るもので, 油 面 の振 動 に か か わ らず タ ンク内 の圧 力 は大 気 と ほぼ 同 じで あ る。 最 も多 く使 わ れ る。 (b)密 閉形 ごみ,水 分,砂
な ど作 動 油 の有 害 な物 質 の 混 入 を 防 ぐ 目的 で,外 気 と完 全 に
遮 断 され て い る。 航 空 機,製 鉄 所,建 る。
設 車 両 な ど特 殊 な環 境 の も と で 使 わ れ
〔2〕
図7・7の
油 タ ン クの 構 造
タ ン ク上 板 に は 電 動 機,油
圧 ポ ン プ,リ
リ ー フ 弁 な ど を の せ,ま
た
油 圧 ユ ニ ッ ト と して 使 用 す る。 タ ン ク は 外 部 の 汚 染 か ら作 動 油 を 保 護 し た り, 戻 り油 を 自 然 放 熱 して 油 温 を 調 節 し,オ
図7・7油
一 般 に タ ン ク内 の作 動 油 量 は,ポ
イ ル ク ー ラ の 働 を して い る。
タ ン クの 例
ンプ 1分 間 当 た りの 吐 出 し量 の3∼5倍
上 とす る こ とが経 験 的 に示 さ れ て い る。 タ ンク に構 造 上 具 備 す べ き条 件 は,次 め よ うで あ る。
図7・8フ
ィル タ付 給 油 口兼 通 気 口 の例
以
(1)油 中 異 物 の 沈 殿 を促 進 す る た め の仕 切 板(バ
ッフル プ レー ト)を 長 手 方
向 中 央 に取 り付 け,吸 込 み管 と戻 り管 を 分 離 し,管 の 末 端 は油 面 以 下 に あ る こ と。 ②
タ ンク内 空 気 圧 を大 気 に保 っ た め,タ
ンク上 板 に通 気 口(エ ア ブ リス ザ)
を設 け,ま た 内 部 に ごみ等 が入 らな い た め に通 気 口,給 油 口 に フ ィル タ を 設 け る。 ③
油 面 の 点検 が で き る よ うに油 面 計 を,ま た 作動 油 の 温度 を 点 検 で き る温 度計 を設 け る。
(4)タ
ンク内 面 が さ び た り,ま た露 の 発 生 を防 ぐた め に内 面 を 塗 装 し,ま た
フ ィル タの 交 換 や 内 部 の清 掃 が しや す い よ う な構 造 にす る と と もに,ド ン(水 分)を ⑤
レ
排 除 で き る よ うにす る。
上 板 は油圧 ユ ニ ッ トと して の設 置 台 を 兼 ね る こ とが 多 いの で,強 度 や 振 動対 策 な ど も考 慮 す る。
7.5
管,管 継手
人 間 の血 管 に相 当 す る も のが,油 圧 で は管 や管 継手 類 で,油 圧 ユ ニ ッ トの 性 能 を 十分 に満 た す もの で な くて はな らな い。 〔1〕
炭 素鋼鋼管
一 般 に は,下 記 の よ う な炭 素 鋼 鋼 管 材 が 使 用 され る が,配 管 用 炭 素 鋼 鋼 管 (JISG3452,SGP)は
機 械 的 強 度 の 点 か ら低 圧 側,吸 込 側 に もあ ま り使 用 さ
れ な い。 圧 力 配 管 用 炭 素 鋼 鋼 管(JISG3454
, STPG370):Sch40用,
高 圧 配 管 用 炭 素 鋼 鋼 管(JISG3455
, STS370):Sch160用
油 圧 用25MPaく (JISB2351付
い込 み 式管 継 手 用 精 密 炭 素 鋼 鋼 管 属 書STPS2):く
い込 み式 管 継 手 用
Sch80用
〓 油 圧 配 管 用 精 密 炭 素 鋼 鋼 管(JOHS-102 〔 注 〕JOHS:日 管 に は 鋼 管 以 外 に,例
,OST2):く
本 フ ル ー ドパ ワ ー 工 業 会
え ば 銅 管(JISH3300,C1020T),配
ス 鋼 鋼 管(JISG3549,SUS304)な
い込 み 式 管 継手 用 油圧規格
管 用 ステ ンレ
ど が あ る 。 銅 管 は パ イ ロ ッ ト管 路,ド
レ ン管 路 な ど の 低 圧 回 路 に は 適 して い る が,石 す る た め 使 わ れ な い 。 表7.4と
表7・5に,こ
表7・4SGP,STPG,STSの
〔注 〕 ※ 印 は,特 殊 肉厚 鋼 管 を示 す。
油 系 作 動 油 に は油 の酸 化 を促 進
れ ら鋼 管 の 寸 法 を 示 す 。 寸 法
表7・5く い込 み式管継手用精密炭素鋼鋼鋼管の肉厚 〔mm〕
〔 注 〕JISB2351付
〔2〕
属書 のSTPS2に
準 ず る。
ゴム ホ ー ス
耐 油 性,耐 圧 性,柔 軟 性 に富 む ゴ ムホ ー スが用 い られ る。 屈 折 自由 な ため, 鋼 管 に よ る固 定 配 管 の 困難 な場 所 とか,油 圧 ユ ニ ッ トを移 動 す る場 合 に適 して い る。 ゴ ムホ ー ス に は低 圧,中
圧,高 圧 用 が あ る。 低 圧 用 に は単 に ゴ ム ホ ー ス だ け
の もの と,ゴ ム管 の外 側 を 綿 糸 の 被 覆 で 補 強 した もの な どが あ る。 高 圧 用 に は 耐 油 性 と耐 熱 性 に す ぐれ た 合 成 ゴ ムの 内 管,鋼 線 を編 ん で つ く られ た補 強 層, お よ び耐 油性 を もつ 外 皮 合 成 ゴ ム層 に よ って つ く られ て い る。
図7・9ゴ
ム ホー スの 例
〔3〕 管 接 続 の 方 式 (a)ね じ込 み式 配 管 鋼 管 に管 用 テー パ ね じを 切 って結 合 す る方 式 で,一 般 にね じの呼 び径11/4B (32A)ぐ
らい ま ま で 中圧 程 度 の配 管 に用 い る。
(b)溶 接 式 配 管 呼 び径1B(25A)以
上 の比 較 的高 圧 で振 動,衝 撃 圧 が起 こ り や す い場 合 に
用 い る。 油 漏 れ の点 か らは最 もよ い が,保 守 管 理 の面 か ら は取 り外 しが 困難 で あ る。 (c)溶 接 フ ラ ン ジ式 配 管 装 置 の 大型 化 に と もな い配 管 径 も大 き くな る の で管 端 に フ ラ ン ジを溶 接 し, ボ ル ト,ナ ッ トで 固 定 す る もので,管 の 着 脱 を行 うの に よ い。 (d)く い込 み 式 配 管 管 の外 径 に くい込 ませ た ス リー ブを継 手 の テ ーパ 内 壁 に袋 ナ ッ トで締 め付 け る。 (e)フ レア式 配 管 管 端 部 を フ レア 状 に 押 しひ ろ げ,こ の フ レア部 の 角度 に合 っ た継 手 に よ って シ ー ルす る。
(a)溶 接 式 図7・10フ
(b)ね じ込 み 式 ラ ン ジ式 配 管
図7・11く
い 込 み 式 配 管 の例
図7・12
〔4 〕
管 継 手
(a)ね
じ込 み 式 管 継 手
ス ケ ジ ュ ー ル(Sch)管
フレア式配管の例
用 と して は,14∼21MPa用
さ れ て い る 。 一 般 に32A(11/4B)の も の は14MPaに
も の は21MPa,40A(11/2用)以
上 の
使 用 さ れ る 。
エ ル ボ,T,ク (b)溶
の鍛 鋼 製 の も の が 市 販
ロ ス,ユ
ニ オ ン,ニ
ッ プ ル,ブ
シ ュ,プ
ラ グな どが あ る。
接 式管 継 手
突 合 わ せ 形 と 差 し込 み 形 とが あ る が,油 て い る 。 管 フ ラ ン ジ 形 継 手 はJISB2291に
圧 用 と し て はSch番 規 定 さ れ て い て,耐
号 を対象 に し 圧 は21MPa
で あ る。 シ ー ル は O リ ン グ な ど で 4本 の ボ ル トで 締 め る 。 (c)く
い 込 み式 管 継 手
代 表 的 な も の は ス リー ブ形 状 に よ っ て 先 端 を く い 込 ま せ る エ ル メ ト式 と,ス リー ブ 全 体 に の こ歯 形 の 同 心 円 溝 が 切 られ て い る ワ ル タ ー シ ャ イ ド式 が あ る。 (d)フ
レ ァ式 管 継 手
油 圧 用 と して は 角 度37度
の も の が 多 い 。 ス ト レ ー ト,T,エ
ル ボ,ク
ロス
な ど が あ る。 (e)回 転 内 継 手(ス 100MPaの
イ ベ ル ジ ョイ ン ト)
よ うな超 高圧 に耐 え られ る もの も あ る。 回 転 を必 要 と す る 配 管
系 や,2 次 元,3 次 元 の 運 動 を 必 要 と す る 配 管 系 に 用 い る。
(a)エ
ル ボ
(b)T
(f)返 しベ ン ド
(j)キ
ャ ッ プ
(c)ク
ロス
(g)径 違 い エ ル ボ
(k)プ ラ グ
(a)90゚エ
(h)ニ
(l)ユ
図7・13ね
ル ボ
(e)ベ
(i)ブ
すおすエル ボ
ン ド
シ ュ
(n)組 み フ ラ ン ジ
じ込 み 式 可 鍛 鋳 鉄 製 管 継 手
ル ボ
(b)T
(b)レ
ジ ュー サ
合せ溶接式鋼管製管継 手
(c)フ
ル カ ッ プ リ ン グ
図7・15差
〔5〕
ケ ッ ト
ッ プ ル
(m)め
ニ オ ン
図7・14突
(a)エ
(d)ソ
(d)ハ
ー フ カ ッ プ リン
し込 み 溶 接 式 管 継 手
配管の選定
管 内 の油 の流 速 分 布 は,図2・11の
よ うに 管 の 中 央 部 は速 く,内 壁 部 は 流 体
摩 擦 の た め に遅 い。 この た め 管 内 径 は,平 均 流 速 を基 準 に して 次 の 式 で 計 算 す る。 平 均 流 速(以 下,流 速 とい う)は,石
油 系 作 動 油 の 場 合,推 奨 され る粘 度
範 囲 に お い て,次 の範 囲 を 目安 とす る。 吸込み配管 圧力配管 戻 り配 管
(7・5)
d:管
の 内 径 〔mm〕
Q:流
量 〔l/min〕
υ:平
均 流 速 〔m/s〕
管 の 肉厚 に っ い て は弁 の 切 換 時 な どで サ ー ジ圧 力 が 発 生 し,2∼4倍
の瞬時
耐 圧 力 が起 こ る こ とが あ る。 また,熱 膨 張 や ポ ー トの 弾 性 た わ み,乱 雑 な取 扱 い に よ る機 械 的応 力 の発 生 もあ る。 これ 等 の こ とを 考 慮 して 配 管 の 安 全 率 は, 材 料 の引 張 強 さ に対 して 材 料 の降 伏 点 に対 して の値 が と られ る。 肉厚 の 計 算 に は,薄 肉 円 筒 の 式 が 適 用 され る。
(7・6)
t:管
の 肉 厚 〔mm〕
P:使 用 圧 力 〔MPa〕 σa:許 容 引 張 応 力 〔MPa〕 σB:極 限 の 強 さ(引
張 強 さ)〔MPa〕
}(表7・6)
S:安 全 率 管 にSTPG,STSを
使 用 す る場 合 は,次
の 式 で ス ケ ジ ュ ー ル 番 号(SchNO)
を 求 め,表7・4か
ら管 の 呼 び 厚 さ を 決 め る 。
(7・7)
σ、:許 容 引張 応 力 ま た は降 伏 点(耐 力)の60%〔MPa〕 表7・6
囲7・2圧
力10MPaの
を 求 め よ 。 管 はSTPG370の
SGP,STPGの
機械的性質
圧 油 を 流 量0.0022m3/sで 鋼 管 で,流
速 を3m/sと
送 る圧 力 配 管 の大 き さ す る。 υ=3〔m/s〕
〔 解 〕P=10〔MPa〕, あ る か ら,管
表7・6か
の 内 径dは
らOa=130〔MPa〕
内 径30.5mm,SchNO80に
式(7・5)か
1置 勾7・2圧
力4MPaの
ら,
と す れ ば,式(7・7)か
ら
適 合 す る管 と し て32A(1%B)と
と な る か ら管 の 呼 び 径 は1%B,Sch80と
で
す れ ば,
す る。
圧 油 を 流 量100l/min,流
を選 定 せ よ。 管 材 を圧 力 配 管 用炭 素 鋼 鋼 管STPG370,許
速3m/sで
送 る圧 力 配 管
容 引 張 応 力130MPa
とす る。 答(1B,
Sch40)
8
油圧 用図記 号 と基本油圧 回路 油 圧 機 器 な らび に油 圧 ユ ニ ッ トを 表 す ため の図 記 号 は,油 圧 及 び 空気 圧 用 図 記 号(JIS
B 0125-1984)に
規 定 さ れて い る。 油 圧,空 気 圧 関 係 で は,JISの
他 に 日本 フル ー ドパ ワ ー工 業 会 の油 圧 規 格(JOHS),空
気 圧 規格(JPAS)が
規 定 され て い る。 油 圧 用(空 気 圧 用)図 記 号 は,だ れ が 見 て も同 じ内容 の事 柄 が理 解 で き る共 通 の油 圧(空 気 圧)言 語 とい う こ とが で き る。 な お,油 圧 及 び空 気 圧 用 語 はJIS
B 0142-1994に
規 定 が あ る。
ま た,い ろ い ろ な油 圧 機 器 を組 み合 わ せ た 油圧 ユ ニ ッ トの作 動 と仕 組 み を, これ らの図 記 号 を使 って表 した もの を 油圧 回路 図(記 号 回路 図)と
8・1油 表8・1∼
表8・3に,JIS規
格 の一 部 を示 す 。
い う。
圧用図記号
表8。1油
圧 及 び 空気 圧 用 図 記号(JISBO125-1984)の
抜 粋(1)
表8・2
油圧 及 び 空 気 圧 用 図 記 号(JISBO125-1984)の
抜 粋(2)
表8・3油
圧 及 び 空 気 圧 用 図記 号(JIS
B 0125-1984)の
抜 粋(3)
8・2基 図8・1は,手 向 を切 換 え,シ
本 油圧回路
動 操 作 に よ る方 向 切 換 弁(4 ポ ー ト,3 位 置)で,油
の流 れ 方
リンダ の前 進 ・後 退 を行 う油 圧 回路 例 で あ り,大 き く 4つ の 部
分 か ら構 成 さ れ て い る。
図8・1油
圧 回 路 図 例 と 回路 区分
①
ア クチ ュ エ ー タ:油 圧 シ リ ン ダ
②
ア ク チ ュ エ ー タ制 御 回 路:流 量 制 御 弁(絞
③
動 力 発 生 回 路:油 圧 ポ ンプ,リ
④
作 動 油 制 御 回 路:油
り弁), 方 向 切 換 弁 な ど。
リー フ弁(圧 力 設 定),電
動機 な ど。
タ ンク,油 圧 フ ィル タな ど。
また,油 圧 を 利 用 法 か ら大 別 す る と,次 の 2種 類 の働 きか た が あ る。 ①
静 的 な 力 の利 用;す な わ ち 力 の伝 達 を主 目的 とす る場 合 で,パ
ス カ ルの
原 理 に み られ る油 圧 ジ ャ ッキ な ど。 ②
動 的 な力 の利 用;す
な わ ち動 力 の伝 達 を 主 目的 とす る場 合 で,油 圧 シ リ
ンダ,油 圧 ポ ンプ,各 種 制 御 弁 な ど を使 った油 圧 ユ ニ ッ ト
この よ うに,油 圧 ユ ニ ッ トは動 力 の伝 達 に用 い られ,使 用 目的 に よ りユ ニ ッ トの構 成 も多 種 多 様 で あ る。 そ れ らの応 用 油 圧 回 路 に は,回 路 の構 成 上 共 通 す る部 分 もあ り,こ れ を基 本 油 圧 回路 とよ んで い る。 そ こで,い 〔1〕
くつ か の基 本 油 圧 回路 を示 そ う。
ア ン ロ ー ド回 路
ア ン ロー ド回 路 とは,作 動 中 の油 圧 回 路 で流 量 を必 要 と しな い場 合,ポ
ン プの
吐 出 し量 を低 圧 で タ ン クに戻 す か,吐 出 し量 を減 少 して ポ ンプ を無 負荷(ア ンロー ド)運 転 す る回 路 で あ る。 図8・2は,ポ
ンプ ① か ら吐 き 出 さ れ
た油 は逆 止 め弁 ② を通 り,電 磁 ・パ イ ロ ッ ト切 換 弁 ③ が 中 立 位 置 に あ る と き は負 荷 は ブ ロ ッ ク され,ポ
ンプ の 吐 出 し
量 はす べ て油 タ ン クに 戻 され,ポ
ン プは
図8・2ア
ン ロー ド回 路 例
無 負 荷 に な る。
〔2〕 圧 力制 御 回 路 (a)減 圧 弁 を用 い た 2圧 力 回 路 シ リン ダ ④ の締 め 付 け圧 力 は,リ
リー フ弁 ① の設 定 圧 力 で制 御 され る。 シ
リ ンダ ⑤ は加 工 物 の 損 傷 を防 ぐた め,逆 止 め 弁 は減 圧 弁 ③ に よ り過 大 な推 力 を 発 生 しな い よ うに,そ の 設 定 圧 力 以 下 に制 御 され る。 ③ の 逆 止 め 弁 は,シ リ ンダ ⑤ の 戻 り行程 時 に油 タ ンクへ 開 放 させ るた め に用 い る。 (b)比 例 電磁 式 リ リー フ弁 回 路 主 リ リ ー フ 弁 ① は パ イ ロ ッ ト リ リ ー フ 弁 ② に よ り 制 御 さ れ,② ト圧 力 は 電 磁 石(ソ
レ ノ イ ド)の 磁 気 制 御(比
時 間 に 対 す る圧 力 は,図
例 電 磁 式)に
のパ イロッ
よ り調 整 さ れ る 。
中 に書 い た曲 線 の よ う に 自由 に行 う こ とが で き る。
図8・3減
圧 弁 を用 い た 2圧 力 回路 例
図8・4比
例 電 磁 式 リ リー フ弁 回路 例
〔3〕 速 度 制 御 回路 (a)速 度 制 御 回路 の 3基 本 形 図8・5の 回 路,ア
よ う に,ア
クチ ュエ ー タの入 口 側 に 流量 調 整 弁 を 設 け た メー タイ ン
ク チ ュ エ ー タ の 出 口 側 に 流 量 調 整 弁 を 設 け た メ ー タ ア ウ ト回 路,ポ
ン
プ と ア ク チ ュ エ ー タ の 間 に バ イ パ ス 用 流 量 調 整 弁 を 設 け,ポ 一 部 を油 タ ンク に戻 し
,ア
ク チ ュ エ ー タ の 流 入 流 量 を 調 整 す る ブ リ ー ドオ フ回
路 の 3っ が あ る。 詳 細 は6・3節
(a)メ
ー タ イ ン 回路
ンプの 供 給 油 量 の
〔1〕 項 で 述 べ た の で,こ
(b)メ ー タ ア ウ ト回路 図8・5速
こで は省 略 す る。
(c)ブ リー ドオ フ 回路
度 制 御 の 3基 本 回路
(b)減 速 回路 高 速 で作 動 して い る ロ ッ ドを あ る決 ま った位 置 か ら減 速 す る場 合 の機 械 的 な デ セ ラ レー シ ョ ン弁 ① を使 った 回路 で あ る。 図8・6で ロ ッ ドに取 り付 け た ド グが ① の ロー ラを 押 す と切 換弁 が 閉 に な り,流 量 調 整 弁 ② に よ って 流 量 が 制
図8・6減
速 回路 例
御 さ れ,減 速 され て 低 速 作 動 とな る。
〔4〕 差 動 回 路 ロ ッ ドを早 送 り させ る場 合 に,ロ
ッド
推 力 が小 さい と きに は,ヘ ッ ド側 とキ ャ ッ プ側 の受 圧 面 積 の差 を利 用 し,推 力 を出 しな が らキ ャ ップ側 か らの圧 油 を ヘ ッ ド 側 に 結 ん で,ロ
ッ ドの前 進 速 度 を ポ ンプ
吐 出 し量 に よ る速 度 以 上 にす る。 す なわ ち,キ
ャ ップ側 A と ヘ ッ ド側
B の 受 圧 面 積 の差(A-B)を
利 用 して
ロ ッ ド前 進 時 に B側 の戻 り油 を A 側 に 還 流 し,シ
図8・7差
動 回 路例
リ ンダの前 進 速 度 を ポ ンプ吐
出 し量 に よ る速度 よ り速 くす る。 こ の と き の ロ ッ ドの 速 度V〔mm/s〕
と推 力F〔N〕
は,次
の よ う に な る。
ポ ン プ 吐 出 し量 〔mm3/s〕
V= F=ロ
/ロ ツ ド面 積 〔mm2〕 ッ ド面 積 〔mm2〕 ×圧 力 〔MPa〕
〔5〕 同 期 回 路 (a)直 列 結 合 に よ る同 期 回 路 両 ロ ッ ドシ リ ンダ を油 圧 的 に直 列 に結 合 す る こ と に よ る同 期 回 路 で,一 方 の シ リ ンダの 流 出 油 が 他 の シ リ ンダの流 入 油 とな るか ら,ポ
ンプの 吐 出 し量 は少
な くて す む が,所 要 圧 力 は高 くな る。 (b)機 械 的 結 合 に よ る 同期 回路 2つ の シ リン ダを機 械 的 に結 合 して 同 期 作 用 を 行 わ せ る もので あ る。
図8・8直
〔6〕
図8・9機
列 結 合 の 同 期 回路 例
械的結合 による 同 期 回路 例
シーケ ン ス回 路
リ ミ ッ トス イ ッ チ を 用 い て 電 磁 切 換 弁SOL1,SOL2を る 。 押 し ボ タ ン ス イ ッチ を 押 す とSOL1-aが
作 動 させ る回 路 で あ
励 磁 し,シ
リ ン ダ の ロ ッ ドCYL1
が 前 進 ① す る 。 ロ ッ ドの ド グ が 前 進 端 で リ ミ ッ トス イ ッ チLS2に SOL2-aが
働 き,シ
次 に,CYL2の
リ ン ダCYL2が
し,CYL2の
前 進 ② す る。
ドグ が 前 進 端 でLS3に
は 後 退 ③ す る 。CYL1の
当 た る と,SOL1-bが
ドグ が 後 退 端 のLS1に
励 磁 しCYL1
当 た る と,SOL2-bが
後退 ④ が 行 わ れ る。
図8・10電
当 た ると
気 的 シ ー ケ ンス 制 御 回路 例
励磁
〔7〕 (a)圧
ア キ ュ ム レー タ 回 路 力保持回路
回 路 圧 力 が 一 定 の 圧 力(ク 力)ま
で 上 昇 す る と,ア
ラ ン プ圧
ン ロ ー ド リ リー
フ 弁 ① に よ り ポ ン プ は ア ン ロ ー ド運 転 と な る。 こ の と き ア キ ュ ム レ ー タ ② の 働 き に よ る シ リ ン ダ内 部 と方 向 切 換 弁 の 油 漏 れ は,ア
キ ュ ム レー タ に
よ っ て 補 充 しな が ら ク ラ ン プ 圧 力 を 保 持 す る。 アキ ュ ム レー タ は漏 れ 補 充 用 で あ る か ら小 容 量 の もの で よ く,ロ
ッ
ア キ ュ ム レー タ に よ る
図8・11
圧 力保 持 回路 例
ドの 後 退 は ポ ン プ の 吐 出 し油 に よ っ て 行 わ れ る。 (b)サ
イクル時間短縮回路
電 磁 切 換 弁 ① が 励 磁 さ れ る と,パ
イ ロ ッ ト操 作 逆 止 め 弁 ② が 開 き,ポ
吐 出 し量 が シ リ ン ダ の キ ャ ッ プ 側 に 供 給 さ れ,ロ タ は ア ン ロ ー ド弁 ④ の 設 定 圧 力 ま で 蓄 圧 さ れ,設
ッ ドは 前 進 す る。 ア キ ュ ム レー 定圧 力 に達す る とポ ンプは
ア ン ロー ドにな る。
図8・12
ンプ
サイ クル時間短縮 回路例
〔8 〕
増 圧 回 路
タ ン デ ム シ リ ン ダ ① を 用 い た ク ラ ン プ 増 圧 回 路 例 で,電
磁 切 換 弁SOL-
aを 励 磁 す る と,圧
油 は ① の小 型 シ
リ ン ダ に 流 入 し,ピ
ン ト ン ロ ッ ドを 前
進 させ る。 大 型 シ リ ンダ の キ ャ ップ側 は,油
タ ン ク ② か ら逆 止 め 弁 ④ を通 っ
て 油 を 流 入 して い る。 ピ ス ト ンが 加 工 物 に あ た り 回 路 圧 力 が 上 昇 す る と,シ
ー
ケ ン弁 ③ が 開 い て 圧 力 は 両 方 の シ リ ン ダ に 作 用 し,強
力 な ク ラ ンプ力 とな
る。 ロ ッ ドが 後 退 の 場 合 は,SOL-bを 励 磁 して,タ
図8・13
タ ンデ ム 形 シ リン ダに よ る 増圧回路例
ン デ ム シ リ ン ダ ① の 大,
小 ロ ッ ド側 に ポ ン プ か ら圧 力 を 補 給 す る。 この と き大 型 シ リ ンダ の キ ャ ップ 側 流 出 油 は,④
と 電 磁 切 換 弁SOLを
通 っ て 油 タ ン ク に 戻 る。
〔9〕
自重落 下 防止 回路
シ リ ン ダ に 荷 重 W が 垂 直 に 吊 り 下 が る と,荷
重 と ピス トンを含 ん だ ロ ッ
ドの 自 重 に よ り シ リ ン ダ は 自 然 に 動 い て し ま う 。 そ こ で,シ
リ ンダ の背 圧 側
に カ ウ ンタバ ラ ン ス 弁 ① を 使 っ て 背 圧 を 与 え て バ ラ ン ス さ せ,自
然落下 を
防 止 す る。 こ の 回 路 で は,シ
リ ンダ の
図8・14
自重落下 防止 回路例
上 部 に 圧 油 を 送 り込 ま な い 限 り シ リ ン ダ は 下 降 し な い 。 し か し,カ ンス 弁 は 内 部 漏 れ が あ る の で,シ
ウ ン タバ ラ
リ ン ダ の 確 実 な 位 置 保 持 が で き な い。 そ こ で,
シ リ ン ダ と カ ウ ン タバ ラ ン ス 弁 の 間 に パ イ ロ ッ ト逆 止 め 弁 ② を 併 用 す る こ と が 多 い。
〔10〕 ロ ッ キ ン グ 回 路 シ リン ダを 任 意 の位 置 で ロ ックす る必 要 が あ る場 合 に,大 き な負 荷 や 回 路 内 の 圧 力 低 下 に よ り シ リ ンダが 運 動 す るの を 防 止 す る。 油 圧 源 が 1つ で複 数 の シ リン ダを作 動 さ せ る場 合,他
の シ リ ンダの 作動 で シ リ
ンダ ② が圧 力低 下 の 影 響 を 受 け な い よ う にす る。 ま た 外 力 に よ り シ リン ダが動 か な い よ うに す る た め に逆 止 め 弁 ① を
図8・15
逆止め弁 を用いた ロ ッ キ ン グ 回路 例
用 い る。 〔11〕
ブ レー キ 回 路
シ リ ン ダ の キ ャ ッ プ 側 A と ヘ ッ ド側 B に は 面 積 差 が あ る の で,ロ
ッ ド前
進 時 お よ び 後 退 時 の ブ レー キ 効 果 を そ れ ぞ れ の リ リー フ 弁 で 調 整 で き るよ う に, リ リ ー フ 弁 が 2個 使 わ れ て い る 。
図8・16
油 圧 シリンダ の ブ レー キ 回路 例
〔12〕 油 圧 モ ー タ 回 路 (a)ブ レー キ 回 路 回転 して い る油 圧 モ ー タを 切 換 弁 の 操 作 あ る い は ポ ンプ の停 止 に よ り回 転 を停 止 させ る場 合,油 圧 モ ー タ に油 圧 モ ー タ と負 荷 の 慣 性 に よ り回 転 を続 け よ う と して ポ ンプ作 用 を 行 う よ う にな る。 この た め 油 圧 モ ー タの 流 入 側 に は 油 の補 給 が必 要 に な り,流 出側 は ブ レー キ効 果 あ る い は異 常 高 圧 防 止 が で き る よ うに す る必 要 が あ る。 図8・17
油圧 モ ー タの ブ レー キ 回路 例
(b) 並 列 結 合 回路 油圧 モ ー タ ①,②
を並 列 に結 合 す る と,各 油 圧 モ ー タ を独 立 に速 度 調 整 で
き る。 負 荷 の影 響 に よ り流 量 が変 わ らな い よ うに 圧 力 補 償 流 量 調 整 弁 ③,④ が 用 い られ る。
図8・18
油圧 モー タの 並 列 結 合 例
(c) 直 列 結 合 回路 油 圧 モ ー タ ① ∼ ③ を 直 列 に結 合 す る と,並 列 の よ うに独 立 して 起動,停 止,速 度 調 整 は行 え な い。 並 列 結 合 に 比 較 して 小 容 量 の ポ ンプ で高 速 回転 が 得 られ る。 この回 路 は高 速 ・低 トル ク の負 荷 に適 して い る。 (d) タ ンデ ム 結 合 回転 タ ンデ ム(串 形)回 路 はPR接
続方
向 切 換 弁 を 直 列 に結 合 し,そ れ ぞ れ の
図8・19
油圧モー タの直列 結合例
方 向 切 換 弁 に油 圧 モ ー タ を接 続 し,単 独 あ る い は同 時 に運 転 で き る回路 で あ る。 同時 運 転 の場 合 は,直 列 結 合 回 路 を 構 成 す るの で,各 油 圧 モ ー タ間 の必 要 圧 力 や必 要 流 量 が 不 足 しな い よ う に注 意
す る。
図8・20 油 油 圧 モー タ の タ ンデ ム 回 路例
9
電 気 ・油 圧 シ ー ケ ン ス制 御 機 械 の 自動 化 と省 力 化 が進 む に した が って,油 圧 ユ ニ ッ トと電 気 制 御 機 器 を 組 み合 わせ た油 圧 ・電 気 制 御 方 式 が普 通 で あ る。 この章 で は,油 圧 駆 動 に必 要 な主 な電 気 制 御 機 器 と,シ ー ケ ンス制 御 の基 礎 につ い て学 ぶ 。 な お,電
気 機 器 の 図 記 号 は電 気 用 図 記 号(JIS
文 字 記 号 は シ ー ケ ン ス 制 御 用 文 字 記 号(JIS
C
C
0301-1990)の
0401-1982)か
9・1
系 列 1か ら, ら抜 粋 し た 。
主な電気制御機器
ス イ ッ チ
〔1 〕
制 御 で使 用 す る ス イ ッチ に は手,足
な ど で操 作 す る手 動 操 作 用 と,物 体 に接
触 す る な ど して 作 動 す る検 出用 とが あ る。 (a) 押
しボ タ ン ス イ ッ チ
押 し ボ タ ンを 押 し て い る と き だ け 接 点 の 開 閉 が 行 わ れ る ス イ ッ チ で,自 復 帰 式 と い い,手
動
を 離 す と もと の状 態
に 戻 る も の が 用 い られ る 。 制 御 用 に は COM(common:共 ally opened:常 closed:常
通),NO(norm 時 開),NC(normally
時 閉)の
(a) 構 造
各 端 子 を も って い
て 押 し た と き 回 路 を 閉 じ る(電
す)接 点 を a接 点(NO接
図9・1
(b) 図記号
押 しボ タ ン ス イ ッ チ
点,メ
流 を通
ー ク接 点)と
い い,逆 に押 した と き 回 路 を 開
く(電
流 を 切 る)接
点 を b接 点(NC接
点,ブ
レ ー ク 接 点)と
い う。
(b) マ イ ク ロ ス イ ッ チ
マ イ ク ロ ス イ ッ チ は,機
械 装 置 の駆
動 部 分 の 位 置 検 出 に 用 い ら れ る 。 図9 ・2の よ う な 構 造 で ,物
体 が接触 す る
と 接 点 が 切 り替 わ る よ う に な っ て い る。 小 型 の プ ラス チ ッ クケ ー ス に ス イ ッチ 機 構 を 組 み つ け た 非 封 入 形(基 の マ イ ク ロ ス イ ッ チ と,こ
本 形)
れ を堅 牢 な
ダ イ カ ス トケ ー ス に 封 入 し,油
やほ こ
(a) 構造
図9・2
(b) 図記号 リ ミ ッ トス イ ッ チ
り な ど が 入 ら な い よ う に した 封 入 形 の リ ミ ッ トス イ ッ チ と が あ る。 (c) 近 接
スイ ッチ
近 接 ス イ ッチ は発 振 回 路 や ブ リッ ジ回 路 を 内 蔵 し,金 属 体 や 磁 性 体 が 近 づ い た と きの電 界 や 磁 界 の変 化 を電 気 信 号 に 変 え て,接 点 を 開 閉 す る無 接 点,非 接 触 の セ ンサ で あ る。 (d) 光 電
スイ ッ チ
光 を 媒体 とす る ス イ ッチ で,投 光 器 か ら出 た光 を受 光 器 で受 け,受 光 器 に 内 蔵 され た 光 電 変 換 素 子 に よ って光 量 の変 化 を電 気 信 号 に変 え,接 点 を開 閉す る。 (e) リー ドス イ ッ チ
不 活 性 ガ ス(ア ル ゴ ンArや ムHe)を
へ リウ
封 入 した ガ ラ ス管 内 の 磁 性
体 の リー ド片 に外 部 か ら磁 気 を も った 金 属(磁 石)が
近 づ くと接 点 がONす
る。 〔2〕
図9・3
リー ドス イ ッ チ
リレー(電 磁 継 電 器)
リ レー に は機 械 的 な 接 点 を もつ 有 接 点 式 リ レー と,半 導 体 ス イ ッチ素 子 を利
用 した電 気 的 な接 点 を もつ無 接 点式 リ レーが あ る。 こ こ で は,有
接 点 式 リレー に つ い て学 ぶ。 有 接 点 式 に は電 磁 リ レー と限時 リ
レ ー が あ る。 (a) 電 磁 リ レ ー
電 磁 リレー は,入 力 信 号 が入 る と直 ち に電 磁 コイ ル を励 磁 し,電 磁 力 に よ っ て可 動 鉄 片 を吸 引 し,接 点 の開 閉 を行 う。
(a) 構造
図記号 (c)
(b) タ イ ム チ ャ ー
ト
図9・4 電 磁 リ レー
(b) 限 時 リ レ ー(タ
イ マ)
限 時 リ レー は タイ マ と もい わ れ,コ イ ル に電 流 を流 す(入 力 信 号)と 一 定 時 間 が経 過 して か ら接 点 が開 閉 す る リ レー で あ る。 この場 合,タ
イ マ に入 力 信 号
が入 って か ら一 定 時 間 t遅 れ て接 点 が 開 閉 す る もの を限 時 動 作 形,入 力 信 号 が
(a) 図記号
(b) タ イ ム チ ャ ー ト
図9・5 限 時 リレ ー(タ イマ)
切 れ て か ら一 定 時 間t′遅 れ て接 点 が 開 閉 す る もの を限 時 復 帰 形 と い う。 〔3 〕 電 磁 切 換 弁 コ イ ル(ソ
レ ノ イ ドコ イ ル)
電 磁 コ イ ル に電 流 を流 して電 磁 石 を 作 り,そ の吸 引力 で可 動 鉄 片 を動 か し て 引 張 りや押 出 しの 直線 運 動 を す る ソ レノ イ ドに は,片 側 ソ レノイ ドコイ ル
図9・6 電磁切 換弁 コイル
と両 側 ソ レノ イ ドコ イル が あ る。 両 側 の 場 合 は 向 か っ て 左 側 が a コ イ ル で,右
〔4〕 電 磁 弁(ソ
側 が b コ イ ル で あ る。
レ ノ イ ドバ ル ブ)
電 磁 石 の 吸 引 力 を利 用 して 弁 を 開 閉 させ,空 気 や油 な どの 流 体 を制 御 す る もの で,ソ
レノイ ドバ
ル ブ と も よば れ る。 図 記 号 は ソ レノ イ ドコイ ル と 同 じで あ るが,文 字 記 号 はSVと
図9・7
付記 す る。
電磁弁
〔5 〕 表 示 ラ ンプ
表 示 ラ ンプ は電 磁 接 触 器,配 電 用 遮 断 器,ス
イ ッチ な ど の開 閉 状 態 や電 源 の
表 示,機 器 の運 転 ・停 止 の状 態 を表 示 す るの に用 い る。 最 近 で は小 型 の表 示 ラ ンプ と して ネ オ ン ラ ンプ,発 火 ダイ オ ー ドが 多 く使 わ れ る。 表 示 ラ ン プ の 色 は,用
赤…………
途 に よ っ て 決 め ら れ て い る。
作業者 の じん速 な処 置を必要 とす る異常 な状 態
黄 赤 ま た は黄 … … 注 意 ま た は警告 図9・8
緑…………
機械 の準備
白…………
正常 な状態
青…………
上 記 の色 で 規 定 され ない 他 の 表 示
表9・1,表9・2は,主
表 示 ラ ン プ
な電 気 制 御 機 器 の 図 記 号 と文 字 記 号 を示 した。
電 気 用 図 記 号(JISC0301-1990)の
表9・1
名
称
図
記
号
名
電池 または 直 流電 源
電
機
電
動
機
電
対
ラ
ン
プ
a接 点
接 b接 点 点 リ a接 点 ス ミ イ ツ ツ ト
b接 点
チ
押 a接 点 スし イボ ツタ チ ン b接 点 フ
a接 点
ス ロ イ1 ツ ト
接 a接 点
チ
b接 点
引 ス き a接 点 イボ ツタ b接 点 チン
点 b接 点
限時
a接 点
動 作 接 b接点 点
表9・2
記
復帰
三 相 誘 導 電 動 機 熱
図
限時
交 流 電 源 発
称
抜粋
近接 ス イ ッチ
シ ー ケ ン ス 制 御 用 文 字 記号(JISC0401-1982)
の 抜粋 文字記号 BS CB COS CS
用
語
用
文字記号
語
MC
電 磁 接 触 器
器 PRS
圧 力 ス イ ッ チ
切 換 ス イ ッ チ RS
ロ ー タ リス イ ッチ
制 御 ス イ ッ チ
ス イ ッ チ,開
ボ タ ンス イ ッ チ
遮
断
S
CTR
制
御
器
FLTS
フ ロー トス イ ッ チ
STT
始
動
器
LS
リ ミッ トス イ ッ チ
R
電 磁 継 電 器
レベ ル ス イ ッ チ TLR
限 時 継 電 器
F
LVS
ヒ
ュ
ー
ズ
閉器
THC
熱
電
対 SV
電
磁
弁
BZ
ブ
ザ
ー
表
示
灯
SL
号
シーケ ンス制御の基本
9.2 シ ー ケ ン ス 制 御(sequential
control)と
は,「 あ らか じ め 定 め ら れ た 順 序,
ま た は 論 理 に 従 っ て 制 御 の 各 段 階 を 逐 次 進 め て 行 く制 御 」 で あ る。 自動 電 気 洗 濯 機,自
動 販 売 機,交
用 ロ ボ ッ トな ど は,シ
〔1〕
通 信 号 機,エ
レベ ー タ,自
動 搬 送 装 置,自
動 倉 庫,産
業
ー ケ ン ス 制 御 を 応 用 した も の で あ る。
シー ケ ンス図 と タイ ム チ ャー ト
有 接 点 機 器 を 使 う シ ー ケ ンス制御 は,シ ー ケ ンス図(展
開接 続 図)を 使 って
書 き表 され る。 シ ー ケ ンス図 は,制 御 用機 器 を作 動 の1 順序 に従 って 配列 し,作 動 の 内容 を理 解 しや す い よ う に して あ る。 図9・9の
よ う に,制
御 母 線 を 上 下 に と る も の を 縦 書 き シ ー ケ ン ス 図,左
右 に
と る も の を 横 書 き シ ー ケ ン ス 図 と い う。
(a)縦 書 き シ ー ケ ンス 図 図9・9
(b)横 書 き シー ケ ン ス図 シ-ケ
ンス 図
縦 書 き シ ーケ ンス図 は制 御 機 器 が 左 か ら右 へ,横 書 き シー ケ ンス図 は上 か ら 下 へ作 動 す るよ う に配 列 され る。 制 御 母 線 は 単 相 交 流 の 場 合 はR,S,3相 で 区別 され る。
交 流 はR,S,T,直
流 の 場 合 はP,N
一 般 に シ ー ケ ンス図 は
,次
の よ うな状 態 で表 す。
①
電 源 は,す べ て切 った状 態
②
手 動 操 作 の もの は,手 を離 した状 態
③
制 御 す る機 器 ま た は電 気 回路 は,停 止 して い る状 態
④
復 帰 す るべ き リレー接 点 は,復 帰 して い る状 態
な お,シ
ー ケ ンス回 路 は電 源 に対 して リレー は必 ず ス イ ッチ の後 に お く よ う
に す る。
ま た,横 軸 に時 間 を,縦 軸 に制 御 機 器 の作 動 状 態 を表 し,作 動 順 序 や 時 間 的 変 化 を理 解 しやす い よ うに した もの を タ イ ム チ ャー ト(シ ー ケ ンス チ ャー ト) とい う。 〔2〕
シー ケ ンス制 御 の基 本 回路
シー ケ ンス制 御 は基 本 的 に は,論 理 積(AND)回 論 理 否 定(NOT)回
路,論 理 和(OR)回
路,
路 を 組 み 合 わ せ た論 理 回 路 に よ って 行 わ れ る。 しか し,
実 際 の 制 御 で は,一 定 の 時 間 遅 らせ て 信 号 を変 化 させ る回 路(タ イマ回路)や, 信 号 を記 憶 す る回 路 も必 要 で あ る。 ま た,保 護 ・安 全 の た め の回 路 が必 要 な 場 合 もあ る。 有 接 点 リレー を使 った基 本 回 路 を述 べ る。 (a)論 理 積(AND)回 図9・10の
よ う に,押
合 で,PBS1とPBS2の
路 し ボ タ ン ス イ ッ チPBS1とPBS2を
直列 に 接 続 し た 場
両 方 が 押 され た と き の み リ レー コ イ ル R に 電 流 が 流
(a)シ
(b)タ
ー ケ ンス 図 図9・10
論 理 積(AND)回
路
イム チ ャー ト
れ,リ
レ ー の a接 点R-aが
(b)論 理 和(OR)回 図9・11の
閉 じ,ラ
ン プSLが
点 灯 す る 回 路 で あ る。
路
よ う に,押
で,PBS1とPBS2の
し ボ タ ン ス イ ッ チPBS1とPBS2を ど ち ら か 一 方,ま
並 列 接 続 した 場 合
た は 両 方 が 押 さ れ た と きR-aが
閉 じ
る回 路 で あ る。
(a)シ
ー ケ ン ス図
(b)タ
図9・11
(c)論 理 否 定(NOT)回 図9・12の チPBSが
よ う に,b
イ ム チ ャー ト
路
路 接 点 の リ レ ーR-bを
押 さ れ た と き,リ
開 き ラ ン プSLは
論 理 和(OR)回
使 っ た 回 路 で,押
しボ タ ン ス イ ッ
レ ー コ イ ル R の 電 流 が 切 れ 消 磁 す る の で,R-bが
消 灯 す る。 ス イ ッ チ を 押 さ な け れ ば 点 灯 し て い る 回 路 で あ
る。
(a)シ
ー ケ ン ス図 図9・12
(b)タ
論 理 否 定(NOT)回
路
イム チ ャー
ト
(d)自 己保 持 回路 自 己 保 持(self-hold)回
路 は,図9・13の
と リ レー の a接 点R-a1を ル R が 励 磁 さ れ,リ
よ う に 押 し ボ タ ン ス イ ッ チPBS1
並 列 に 接 続 す る 。PBS1と
押 した 瞬 間 に リ レ ー コ イ
レ ー の もつ 自 己 保 持 接 点R-a1と
出 力 接 点R-a2を
同時 に
閉 じ る。
(a)シ
(b)タ
ー ケ ン ス 図 図9・13
次 に,PBS1離 る た め,R
して も接 点R-a1に
自己保 持回路
よ っ てR‐a1を
は 励 磁 を 続 け る の でR-a2は
イ ム チ ャ ー ト
通 る回 路 が 形 成 さ れ て い
閉 じ た ま ま の 状 態 で ラ ン プSLは
し た ま ま に な る。 こ の 状 態 を 自 己 保 持 を か け る と い う。 自 己保 持 回 路 は,ス チ を 押 し て 離 す と い う一 時 的 な 操 作 に よ っ て,リ
点灯 イッ
レ ー 接 点 の 状 態 を 自 か ら保 持
し続 け る。 な お,リ
セ ッ トス イ ッ チPBS2を
押 す と 自 己 保 持 が 解 除 さ れ,元
の状 態 に
復 帰 す る。 (e)限
時 動 作(タ
図9・14に,限
イ マ)回
時 継 電 器(タ
トを 示 す 。 タ イ マ 回 路 は,タ
路 イ マ)TLRを
使 っ た タ イ マ 回 路 と そ の タ イ ム チ ャー
イ マ の a接 点TLR-aと
表 示 灯SLを
直 列 に接続
し た も の で あ る。 押 しボ タ ン ス イ ッ チPBS1を と 出 力 接 点R-a2が
押 す と R が 励 磁 され,R
同 時 に 閉 じ,ま
持 さ れ る 。 そ して,あ
たTLRが
の 自 己 保 持 接 点R-a1
働 い てPBS1を
離 して も 自 己保
ら か じ め 設 定 さ れ た 一 定 時 間 t後 にTLR-aが
閉 じて 表
(a)シ
ー ケ ン ス図
(b)タ
図9・14限
示 ラ ン プSLが (f)イ
SL1が
ト
点 灯 す る。
ンタ ロ ッ ク回 路
図9・15に さ れ,接
イ ム チ ャー
時 動 作(タ イマ)回 路
お い て,押
点R1-a1,R1-a2が
し ボ タ ン ス イ ッ チPBS1を
押 す と,リ
同 時 に 閉 じ てR1が
自 己 保 持 さ れ,表
点 灯 す る。 こ の 状 態 で 別 の 押 し ボ タ ン ス イ ッ チPBS2を
の b 接 点R1-bが
開 い て い る の で,リ
(a)シ
レ ーR2は
(b)タ ン タ ロ ッ ク回 路
励磁
示 ランプ
押 し て もR1
働 か な い 。 す な わ ち,表
ー ケ ン ス 図 図9・15イ
レ ーR1が
イ ム チ ャ ー ト
示
ラ ン プSL2は
点 灯 し な い 。 こ の 場 合,R2は
イ ンタ ロックにか か って い る と
い う。 次 に,SL2を
点 灯 さ せ る た め に は,押
の 自 己 保 持 を 解 除 し た 後 にPBS2を が 同 時 に 閉 じ,R2を
押 し てR2が
こ の よ う に,あ
る 条 件 が 満 足 さ れ な け れ ば動 作 が 阻 止 さ れ る 回 路 を イ ン タ ロ ッ 点R1-b,R2-bを
イ ン タ ロ ッ ク接 点 と い う 。
リ ッカ 回路
制 御 回 路 に 何 か 異 常 が あ っ た と き,表 回 路 と い う。 図9・16は
時 間t1後
点 灯 す る がSL1は
イ ン タ ロ ックが かか っ た ので あ る。
ク 回 路 と い い,R1,R2のb接
PBS1を
押 してR1
励 磁 さ れ,R2-a1,R2-a2
自 己 保 持 さ せ る。 こ の 場 合,SL2は
点 灯 し な い 。 今 度 は,R1に
(g)ブ
し ボ タ ン ス イ ッチPBS3を
示 ラ ンプを 点滅 させ る回 路 を フ リッ カ
タ イ マ を 使 っ た プ リ ッ カ 回 路 で,押
押 す と リ レ ーR1が
働 き,タ
イ マTLR1が
に 2つ の 限 時 接 点TLR-a1,TLR-a2が
同 時 に タ イ マTLR2が
定 時 間t2後
に 限 時 接 点TLR2-bが
閉 じ表 示 ラ ンプSLが
ー ケ ン ス 図
(b)タ 図9・16フ
時 接 点TLR1-a2も
作 動 す る 。 す る と,一
定
点 灯 し,
作 動 す る。
(a)シ
す る と,一
し ボ タ ンス イ ッ チ
に 今 度 はTLR2のb接
開 きSLは
消 灯 す る が,同
閉 じて,再
びTLR1が
イ ム チ ャ ー ト
リ ッ カ回 路
点TLR2-bが
開 くた め に 限
時 にTLR2も
作 動 しな い た め
作 動 す る 。 そ の 後 は,PBS2を
押 す ま で 同 じ動 作 を 繰 り 返 し,表
〔3〕
電 気
示 ラ ン プSLは
点 滅 を 続 け る。
・油 圧 シ ー ケ ン ス 制 御 の 基 本 回 路
電 気 機 器 を 使 っ た 入 ・出 力 信 号 は そ の 処 理,伝 決 め や 速 度 調 整 と操 作 力(推
力)が
達 が 速 く,し
か も確 実 な位 置
大 き い 特 色 を も っ て い る。 し た が っ て,電
気 ・油 圧 シ ー ケ ン ス 制 御 は 産 業 機 械,工
作 機 械 な ど の 製 造 業 で 広 く利 用 さ れ て
い る。 こ こ で は,2 本 の シ リ ン ダ(A,B)を
使 った 簡単 な シー ケ ン ス回 路 に つ い て
述 べ る。 (a)A+B+A-B-制 図9・17は
御回路
油 圧 回 路 図 で,図9・18は
トで あ る 。 シ リ ン ダ の 前 進 を+(プ
シ ー ケ ン ス 図,図9・19は ラ ス),後
退 を-(マ
タイム チ ャー
イ ナ ス)で
表 す と,
機 器 の作 動 は
図9・17A+B+A-B-の
①PBS-aを
押 す とR1が
油 路 が 切 り 換 わ り,CYLAが ②
前 進 端 でLS2-aが
油圧 回 路 図 例
自 己 保 持 さ れ,SOL1aが
励磁 され る と同時 に
前 進 す る。
作 動 し,R2が
る と同 時 に 油 路 が 切 り 換 わ り,CYLBが
自 己 保 持 さ れ,SOL2aが 前 進 す る。
励磁 され
A+B+A-B一
図9・18
図9・19
③
前 進 端 でLS 3-aが
A+B+A-B一
の シー ケ ン ス 図例
の タ イム チ ャー ト例
作 動 し, R 1の 自 己 保 持 が 解 除 さ れ, SOL l aが 消
磁 す る と 同 時 に 油 路 が 切 り 換 わ り,CYL
Aは
後 退 す る。
④ 後 退 端 でLS1-bが
作 動 し,R2の
自 己 保 持 が 解 除 さ れ,SOL2aが
磁 す る と 同 時 に 油 路 が 切 り 換 わ る の で,CYLBは (b)A+B+B−A− 図9・20に
消
後 退 す る。
制御回路
油 圧 回 路 図,図9・2lに
シ ー ケ ン ス 図 を,図9・22に
タイム チ ャー
トを 示 す 。
図9・20 A+B+B−A−
の 油圧 回 路 図例
図9・21 A+B+B−A− の シー ケ ン ス 図例 図9・22A+B+B−A一
の タ イム チ ャー ト例
10
油 圧 ユ ニ ッ トの 応 用 油 圧 ユ ニ ッ トは,製 造 業 か ら流 通 業 に至 る あ らゆ る分 野 に利 用 され て い る。 こ こで は,各 分 野 か ら2,3の
応 用例 を 述 べ る。
10.1
工作機械の例
〔1〕 旋 盤 用 の な ら い制 御 図10.1は,一 ト レ ー サ 弁(案
般 に な ら い制 御 用 の 内 弁)と
して 使 用 さ れ
る 5 ポ ー ト切 換 弁 で,ク
ロ ー ズ ドセ ン
タ形 と オ ー プ ンセ ン タ形 が あ る。 ク ロ ー ズ ドセ ン タ 形 は,ポ 調 整 す る と き,ス の ラ ン ド(穴
(a)ク
ンプ か らの油 量 を
ロ ー ズ ドセ ン タ 形
プ ー ル の ピ ス ト ン部
の 周 囲 に 接 触 す る 部 分)
が 中 立 点 に あ る 場 合 に は,圧
(b)オ ー プ ンセ ン タ形
油入 口ま
た は 出 口 を 閉 じ る よ う な 状 態 に な り,
図10・1
5ポー ト切 換弁 の ス プ ー ル の 形 式例
サ ー ボ シ リ ン ダ(操
作 シ リ ン ダ)へ
の
送 油 を止 め て い る。 した が って,入 力 変 位 が わ ず か に変 わ って も出 力 油 量 に大 きな 変 化 を与 え る の で,旋 盤 の段 取 りの よ うな切削 に は,数 ミクロ ンの正 の オ ー バ ラ ップ(重 な り)を 与 え た ク ロー ズ ドセ ン タ形 が よ い と され て い る。 オ ー プ ンセ ン タ形 は,中 立 点 に お い てA,Bポ で,サ
ー トが わ ず か に 開 い て い る の
ー ボ シ リン ダへ の油 の 出入 口 に わ ず か な 圧 力 か ら供 給 圧 力 の 大 部 分 の 圧
力 ま で 加 え る こ と が で き る 。 そ の た め,旋 な 精 度 が 要 求 さ れ る の で,数
盤 の 曲 面 削 りや テ ー パ 削 り で は 平 滑
ミ ク ロ ン の ア ン ダ ラ ッ プ(す
き ま)を
与 えたオー
プ ン セ ン タ形 が よ い と さ れ る 。 図10・2は,旋
盤 用 の な ら い 制 御 装 置 例 で,横
を も っ て い る 。 工 具 台 の 傾 き角 α は45∼60度
方 向 と 縦 方 向 の 2方 向 の 送 り が 普 通 で,ト
反 対 側 の ス プ ー ル 端 は ば ね で 押 さ れ て い る 。 ト レ-サ に あ る と き は,ポ
レ-サ(触
針)の
弁 の ス プ ー ル が 中立 状 態
ン プ か ら の 圧 油 は P が 閉 じて い る の で,サ
ー ボシ リンダへ
は送 られ な い 。 型 の 形 状 に よ っ て 押 さ れ る ト レ ー サ の 力 が ば ね 力 に 打 ち勝 っ と, ス プ ー ル は 右 下 へ 動 き,ト
レ ー サ 弁 の 油 路 は P と A,B
とR1が
通 じ,ポ
ンプ
か ら の 圧 油 は A 管 を 矢 印 方 向 に 流 れ て サ ー ボ シ リ ン ダ の 右 下 A 室 に入 る。 サ ー ボ シ リ ン ダ の ピ ス ト ン は送 り台 に 固 定 さ れ て い る か ら,サ 右 下 へ 動 く。 す る と,サ し,B
とR1は
ー ボ シ リン ダの左 上 B室 の 容 積 が 小 さ くな る。 しか
通 じて い る か ら,油
図10・2
次 に,ト
は B管 を矢 印 方 向 に流 れ て タ ン クに 戻 る。
旋盤用 ならい制御例
レー サ が 左 上 へ 動 く と,P
と B,A
管 を 経 て サ ー ボ シ リ ン ダ B 室 に 入 り,工 ま た,A
ー ボ シ リ ン ダ自身 が
とR2が
通 じ る か ら,油
圧 は B
具 は トレー サ に な ら って 左 上 へ 動 く。
室 の 油 は A 管 を 経 て タ ン ク に 戻 る。
こ の よ う に,ト
レー サ が 型 板(テ
ン プ レ ー ト)に 従 っ て 接 触 しな が ら動 く と,
工 具 は この 送 り にな ら って動 き,型 板 と同 じ形 状 の 加 工 を 行 う こ と にな る。 (2)
平 面 研 削 盤 の テ ー ブ ル駆 動
旋 盤 あ る い は フ ライ ス盤等 で,前 加 工 した 仕 上 面 の 粗 さを よ り精密 に仕 上 げ る た め の加 工 を 研 削 加工 とい う。 研 削 加 工 は砥 石車 を 回転 し,砥 石 車 と工 作 物 に 切 込 み と送 りを 与 え て 行 わ れ る。 こ こ で は,平 面 研削 盤 に っ い て述 べ る。 平 面 研 削 盤 は箱 形 の ベ ッ ド,往 復 直線 運 動 を す る テ ー ブル,工 作物 に切 込 み を与 え る砥 石 車,工
作物 を 固定 す る チ ャ ッ ク(電 磁 チ ャ ック)な どで構 成 され
る。 そ の他 に多 くの 熱 が 発生 す るの で,そ の 熱 を 冷 却 す る研 削 油 剤 の 装 置 が必 要 で あ る。 往 復 直 線 運 動 を行 うテ ー ブル は,図10・3の
よ うに,油
圧 送 り機 構 で 行 って
い る。左 右 の シ リン ダ推 力 を等 し くす る た め に,複 動両 ロ ッ ドシ リン ダを 使 っ て い る。 図10・4は,油
図10・3
圧 回路 例 で あ る。
平面研 削盤 の テー プル駆動 装置例
図10・4
平面研削盤の油圧 回路図例
10.2
〔1〕
油圧プ レスの例
油 圧 プ レスの 長 所
プ レスが 油 圧 駆 動 に適 して い る点 を述 べ る と, 〓 大 きな加 圧 力 を必 要 と し,作 業速 度 が遅 い場 合 で も,機 械 的 減 速 機 構 が 不要 な の で構 造 が簡 単 で あ る。 〓 長 い ス トロー クに わ た って 均一 な加 圧 力 を保 持 で き る。 〓 作業 に応 じて材 料 の挿 入 ,取 出 しな ど,補 助 的 な 関 連 作 業 を 組 み 合 わ せ て 自動化 す る こ とが容 易 で あ る。 〓 微 速 作動 や寸 動(イ
ンチ ン グ)が で き るの で,型 の 交 換 や 取 付 け が 容 易
で あ る。 〔2〕
油 圧 プ レスの 分 類
油 圧 プ レ ス は,用
途,能
力,構
造,操
作 方 法 な ど に よ っ て,次
の よ うに分 類
で きる。 (a)
粉末成形プ レス
原 料(粉 体)を 金 型 に入 れ,上 下 ま た は一 方 向 か ら荷 重(1000∼3000kN) を加 え て成 形 す る もので,大 量 生 産 の た め に供 給 原 料 の 計 量 と製 品 の 取 り出 し を含 め た高 速 自動 作 業 が 要 求 され る。 (b)
ラバ ープ レス
ゴム型 内 に セ ラ ミ ック ス,粉 末 冶 金 な ど の粉 体 ま た は予 備 成 形 した圧 粉 体 を 充 填 し,そ の外 周 か ら高 圧 力(100∼700MPa)を
加 え,均 質 な成 形 品 を っ く
る。 こ の成 形 法 に は,ゴ ム型 を直 接 液 中 に入 れ て加 圧 す る湿 式 法 と,ダ イ ヤ フ ラ ム を介 して ゴ ム型 に圧 力 を加 え る乾 式 法 が あ る。 (c)
板 金 成 形 プ レス
最 も一 般 的 な プ レ ス で,打
抜 き,穴
あ け か ら絞 り,曲
げ,深
絞 りに ま で の広
範 囲 の作 業 に 使 わ れ る。 (d)
熱 間加 工 プ レ ス
鍛 造 プ レ ス と して 用 い,加 圧 速 度,加 圧 能 力 が 大 きい た め,大 容 量 の油 圧 装 置 を必 要 とす る。 これ らの プ レス機 械 は す べ て大 型 で あ るが,薄 板 の打 抜 き, 穴 あ け,曲 げ,か
しめ,玉 軸 受 の圧 入 な ど,比 較 的 軽 作 業 に は,小 型 卓 上 油 圧
プ レスが 使 わ れ る。 〔3 〕
油圧回路例
図10・5は,ラ
ム シ リ ン ダ と 補 助 シ リ ン ダ が 2本 ず つ と も に 押 え 板 に 連 結 さ
れ た 油 圧 プ レス の 回路 例 で あ る。
図10・5
大形油圧プ レスの 回路 図例
手 動 操 作 方 向切 換 弁 を中 立 か ら左 へ 倒 して ① の位 置 に す る と,ポ
ンプか ら
送 られ た 圧 油 は 2っ の補 助 シ リン ダの上 方 か ら流 入 して ピス ト ンを 高速 で動 か
す と と もに,こ れ らの ピ ス ト ンと連 結 され た 押 え 板 を 介 して,ラ ム シ リン ダの ラ ムを 動 か し,シ リ ンダを 真 空 状 態 に近 づ け る。 このた め,上 部 に あ るプ レフィ ル 弁(容 量 の大 き いパ イ ロ ッ ト操 作 逆 止 め 弁)の 入 口 側 か ら出 口側 へ 油 タ ンク か ら油 が 流 れて,ラ
ム シ リ ンダの 動 き と と もに その 量 が 大 き くな り,シ
リ ンダ
の 空 間 部 を満 たす 。 押 え 板 が 加 工 物 に当 た る と回 路 内 の 圧 力 が 高 ま り,油 タ ン クか ら ラム シ リ ンダへ の 油 の補 充 は な くな り,ポ ンプか らの 圧 油 は,シ ー ケ ン ス弁 の ス プ リングカ に打 ち勝 って シ リ ンダ に流 入 す るの で,圧 油 は増 大 して プ レス作 業 が 行 わ れ る。 手 動 操 作 弁 を右 へ 倒 して ② の位 置 に す る と,2 つ の補 助 シ リ ン ダ が 上 に戻 りか け る と と もに,プ
レ フ ィル弁 のパ イ ロ ッ ト圧 入 口か ら油 が 入 って プ レ フ ィ
ル弁 の ピス トンを押 し上 げ,さ
らに ポ ペ ッ トを押 し上 げ る ので,油
出 口 の方 か
ら油 入 口 の方 へ油 が逆 流 して,ラ ム シ リン ダか らの戻 り油 は油 タ ンク に戻 され る。 手動 操 作 弁 を 中立 の位 置 に 戻 す と,ポ ン プか らの油 は手 動 操 作 弁 を通 った だ け で無 負荷 状 態(ア
ン ロー ド)で 油 タ ンク に戻 され る。 油 ポ ンプ は一 定 の 油量
を 吐 出 して お り,リ
リー フ弁 は回 路 の 圧 力 を 制 限 す る役 目を,カ
ウ ン タバ ラ ン
ス弁 は ラ ムの 重 量 を 支 え て い る。
10・3プ
ラ スチ ック射 出 成 形 機 の例
プ ラス チ ック の成 形 法 に は,押 出 し成 形,中 空 成 形,圧 縮 成 形 な ど の成 形 法 が あ る が,材 料(原 料)か
ら製 品 ま で を 1台 の機 械 で全 自動 成 形 を行 い,し
か
も合 理 的 で経 済 性 にす ぐれて い る の が射 出成 形 法 で あ る。 〔1〕 射 出 成 形 法 プ ラ スチ ッ ク原 料 の射 出成 形 法 は,プ ラ スチ ッ ク原 料 を加 熱 溶 融 し,製 品部 分 が 中 空 な 基 金 型 内 に高 圧(140∼240MPa)で 出 す成 形 法 で,最
注 入 し,冷 却 固 化 した後 取 り
も経 済 的 な量 産 方 式 で あ って,次 の よ うな長 所 が あ るの で,
プ ラモ デ ル,カ
メ ラ,CD,自
動 車部 品 な ど極 め て 精 密 な 形 を 素 早 くつ く る こ
と ので き る。 ①
ほ とん ど後 仕上 げ の必 要 の な い完 成 形 が得 られ る。
②
原 料 の無 駄 が僅 少 で あ る。
③
完 全 な 自動 成 形 が可 能 で あ る。
④
成 形 ま で の 時 間 が短 い。
〔2〕 射 出成 形 機 の構 成 図10・6は,一
般 的 な油 圧 駆 動 式 の 横形 射 出 成 形 機 の例 で り,次
の装 置 で 構
成 され て い る。
図10・6油
圧 式 射 出 成 形機 の 構 成 例
(a)射 出装 置 ①
ホ ッパ:加
熱 シ リン ダに供 給 す る プ ラ スチ ッ ク原料 の 貯 蔵 容 器
②
原 料 供 給 装 置:毎 回 の射 出 に必 要 な原 料 を計 量 し,加 熱 シ リン ダ に送 り 込 む装 置
③
加 熱 シ リ ン ダ:プ ラス チ ック原 料 を溶 融 射 出 す る部 分
④
ノズ ル:加 熱 シ リ ンダ の先 端 に結 合 し,射 出 時 に は金 型 の ス プ ル ブ シ ュ に 密着 して溶 融 樹 脂 の流 路 を成 形 す る部 分
⑤
射 出 シ リン ダ:ス ク リ ュま た は プ ラ ン ジ ャを前 進 さ せ,こ れ に射 出圧 力 と射 出速 度 を与 え る油 圧 シ リンダ
⑥
ス ク リュ:中 空 の 円筒 形 の 内部 に原 料 を 回転 しな が ら輸 送 す る。
(b)型 締 装 置 射 出時 に金 型 が 開か な い よ うな強 力 な型 締 力 で 閉 じ,射 出 さ れ た樹 脂 が固 化 す る と開 い て成 形 品 を突 き 出ず 。 ①
ダ イ プ レ ー ト… … … 金 型 を 取 り付 け る プ レ ー トで,ノ
ズ ル側 の固 定 ダイ
プ ー トと 金 型 の 開 閉 動 作 を す る 移 動 ダ イ プ レ ー トが あ る。
②
ダ イバ ー………
ダ イ プ レー トを支 え て金 型 の開 閉 動 作 を ガ イ ドし, 型 締 め して い る間 は型 締 め力 を受 け る。
③
型 締 め シ リ ンダ… … 移 動 ダ イ プ レー トに金 型 の開 閉 動 作 を させ,型 締 め 力 を 発 生 す る油 圧 シ リンダ で,直 圧 式 で は ラ ムが 直 接 プ レー トに結 合 し,ト グ ル式 で は この 間 に リ ンク 機構 が 介 在 して力 の拡 大 を行 う。
④
突 出 し装 置………
型 開 行 程 の終 わ りに成 形 品 を金 型 か ら突 き出 す 。
⑤
安 全 ドア………
作 業 者 が 金 型 に触 れ な い よ う に保 護 す る ドアで,こ れ が 開 いて い る間 は型 締 め され な い。
(c)フ
レー ム
射 出 装 置,型 締 装 置,油 圧 駆 動 部 な ど を取 り付 け る機 械 の 土 台 で あ る。 油 圧 駆 動 式 で は,そ の 部 分 が油 タ ン クを 兼 ね る こ と もあ る。 機 械 各 部 の 発生 す る力 を受 け,振 動 に耐 え,長
く精 密 さを 維 持 す る よ うな十 分 な 強 さ と耐 性 を もっ 必
要 が あ る。 (d)油 圧駆 動 部 射 出装 置 や 型締 装 置 を動 か す 油圧 シ リン ダ に圧 力 油 を供 給 す る電 動 機,油 ポ ン プな どの動 力 源 と油 の圧 力,流
量,方 向 を 制 御 す る制 御弁,油
圧
タ ンク,油
圧 配 管,各
種 ス イ ッ チ ・セ ン サ 類 な ど で 構 成 さ れ る 。
(e)電 気 制 御 部 射 出装 置 や 型 締 装 置 の動 作 と,加 熱 シ リ ンダや ノ ズ ル の温 度 を制 御 す る。
〔3〕 射 出 成 形 の基 本 工 程 射 出成 形 の 基 本 工 程(基 本 動 作)は,図10・7の
よ う に大 き く 4つ に 分 類 さ
れ,す べ て 油 圧 に よ って 全 自動 化 され て い る。
(a)型 締 め
(b)射 出
(c)冷 却
(d)製 品取 り出 し 図 書10・7射 出 成 形 の 基 本工 程 の 例
(a)型 締 め
金 型(製
品部)を
閉 じて,原 料 供 給 口(ホ
ッパ)よ
り供 給 され た 原料 は,加
熱 シ リ ン ダ とス ク リュの 溝 との空 間 を ス ク リュが右 回転 す る こ とで 溶 融 され な が ら金 型 方 向(ス
ク リュ前進 方 向)へ
と輸 送 さ れ る。 ス ク リュ先 端 に溶 融 され
た 原 料(可 塑 化 され た原 料)が 留 ま り,そ の量 が増 加 す るに 従 って,ス は金 型 と は反 対 方 向(ス
ク リュ後 退 方 向)へ
る量 に な る ま で ス ク リュを 回転(計 量)す (b)射
ク リュ
と移 動 し,そ の量 が 製 品 を形 づ く
る。
出
射 出 ラム を ス ク リュ前 進 万 同 に動 か し,計 量 され た原 料 を 金型 内 に急 速 に充 填(射
出)す
る。 そ の と き,原 料 は ス ク リュ先 端 に あ る逆 流 防止 弁 に よ り計 量
時 に は噴 出 方 向 に移 動 す るが,射 出 時 に は ス ク リュ後退 方 向へ 逆流 しな いので, 射 出 ラ ム に加 え た力 は ス ク リュ先 端 か ら原 料 にお よ び,金 型 内 に 充填 され た 原 料 に伝 わ る(保 圧)。 (c)冷
却 ・固 化
原 料 が 金 型 内 で 溶 融状 態 か ら次 第 に冷 却 し,固 定 す る まで 一定 時 間 を お く。 (d)製 品 取 出 し 射 出 ラ ム と ス ク リュを 後 退 させ,固 化 した製 品 を 金 型 内 か ら取 り出 す。 それ に は,金 型 を開 くに は金 型 を コ ア側 と キ ャ ビ側 と に分 離 し,そ れ ぞ れ を 移 動 ダ イ プ レー ト,固 定 ダ イ プ レー トに固 定 す る。 そ して,金 型 を 開 く方 向 に型 締 め ピ ス ト ンを 移 動 させ る と,移 動 ダ イ プ レー トは ダ イバ=に 案 内 され て 移 動 す る か ら,コ ア側 金 型 は キ ャ ビ側 金 型 か ら離 れ る。 金 型 内 の 製 品 は,型 開 き に よ り コ ア側 金 型 に固 化 した製 品 が 付 い た状 態 で キ ャ ビ側 金 型 か ら離型 した 後,製 品 を 取 り 出す 。
10・4自
〔1〕
シ ョ ック アブ ソー バ
(a)シ
ョッ ク アブ ソー バ の 目的
動 車 ・車 両 ・橋 梁 構 造 物 の 例
車 体 と タ イ ヤ との 間 を ス プ リ ング と と もに取 り付 け られて い る車 は,路 面 か らの 衝 撃 を 受 け る と ス プ リ ングが たわ ん で この衝 撃 を緩 和 す るが,ス
プ リ ング
が 元 の 状 態 に戻 る まで 振 動 を 続 け よ うとす る性 質 が あ る。 こ の振 動 を 少 しで も 早 く減 衰 す る た め に シ ョ ック ア ブ ソーバ が 使 用 され る。 (b)シ
ョ ック アブ ソー バ の 原 理
油 を 満 た し た 鋼 製 シ リ ン ダ の 中 に 小 穴(オ れ,ロ
ッ ドの 上 方 は フ レ ー ム に,シ
リ フ ィ ス)を
リ ンダ の下 側 は シ ャ シス プ リ ング の下 側 に
取 り 付 け ら れ て い る 。 ピ ス ト ンの 上 側 に バ ル ブ を 設 け,バ ス に な る。
設 け た ピス トンを入
ル ブ の 下 側 は オ リフ ィ
(a)シ
ョ ッ クア プ ソー バ の な い と き
(b)シ
図10・8
車 輪(ホ
イ ー ル)が
車体 の振動
障 害 物 に 乗 り 上 げ る と,シ
ン ダ も押 し上 げ ら れ る の で,図10・9(a)の
ョ ッ クア ブ ソー バ の あ る と き
ャシ ス プ リ ング と と も に シ リ
よ う に,ピ
ス トン下 側 の 油 は オ リ フ ィ
ス を 通 り バ ル ブ を 押 し上 げ 上 側 に 入 る。 こ の 場 合,ピ
ス トンは ほ とん ど抵 抗 を
受 け な い で動 くこ とが で き る。
(b)
(a) 図10・9
次 に,シ う に,ピ
シ ョ ッ クア ブ ソー バ の 原理
ャ シ ス プ リ ン グ が 伸 び る 方 向 に 荷 重 が 作 用 す る と,図10・9(b)の
よ
ス ト ンが 上 昇 す る と と も に バ ル ブ が オ リ フ ィ ス を ふ さ ぎ,上
側 の油 は
オ リ フ ィ ス を 通 っ て ピ ス ト ン の 下 側 に 入 る こ と に な る 。 こ の と き,大
き な抵 抗
力 が 発 生 し,ス
プ リ ン グ の 反 発 力 を 吸 収 し,振
動 をす み や か に減 衰 す る。
(c)
シ ョッ ク ア ブ ソ ーバ の 種 類 と構 造
シ ョ ッ ク ア ブ ソ ー バ に は 摩 擦 を 利 用 す る も の と,上 も の と が あ る が,油
を 利 用 す る も の は 表10・1の 表10・1
述 の よ うに油 を利 用 す る
よ うに分 類 さ れ る。
シ ョ ッ クア ブ ソー バ の 種 類 単 動 式 シ ョッ ク ア ブ ソ ーバ
筒 形 シ ョ ッ ク ア ブ ソ ー バ
複 動 式 シ ョッ ク ア ブ ソ ーバ 単 動 式 シ ョッ ク ア ブ ソ ーバ
レ バ ー 形 シ ョ ッ ク ア ブ ソ ー バ
複 動 式 シ ョッ ク ア ブ ソ ーバ
図10・10は,筒
形単動式 ショックア
ブ ソ ー バ の 構 造 例 で あ る。 作 動 原 理 は 上 述 と 同 じで あ る が,ピ
ス トンが 上昇
す る と き ピ ス ト ン上 方 の 油 は ピ ス ト ン 下 側 の メー ンバ ル ブを押 し開 きな が ら 下 方 に 逃 が し,減 衰 力 を得 る よ う に な っ て い る。 図10・11は,レ
バ ー形 シ ョ ック ア ブ
ソ ー バ の 構 造 例 で あ る。 シ リ ン ダ 内 に 油 が 満 た さ れ,矢
印 方 向 に レバ ー が 動
く と ア ン カ レバ ー に よ っ て ピ ス ト ン は 左 側 に 押 さ れ,ピ
ス ト ン内 の オ イ ル は
圧 縮 さ れ て イ ン レ ッ トバ ル ブ に 設 け ら 図10・10
れ た定 面 積 オ リフ ィス を通 って まず 逃
筒 形 シ ョッ クア プ ソー バ の例
げ,油 圧 が あ る大 き さ に 達 す る と リ リー フ弁 を 押 し上 げ な が ら油 だ ま り の 方 へ 逃 げ る の で,こ
の とき の油 の流 動 抵 抗 に
よ っ て 減 衰 作 用 が 行 わ れ る。 次 に,シ
ャ シ ス プ リ ン グ が た わ み,レ
タ ー ン ス プ リ ン グ で 右 側 に 押 さ れ,同
バ ーが 上 方 に動 くと きは ピス トンは リ 時 に ピ ス ト ン の イ ン レ ッ トバ ル ブ が 開 い
て 油 だ ま り か ら ピ ス ト ン 内 に 油 が 流 入 す る。
図10・11
〔2〕
レバ ー 形 シ ョ ッ クア ブ ソー バ の例
オ イ ル ダ ンパ 1
動 い て い る物 体 は運 動 の エ ネ ル ギ ー
/2
mV2を
も っ て お り,そ
度 の 2乗 に 比 例 す る。 物 体 が 停 止 す る と き は,そ れ る の で,大
さ せ る こ と が で き る 。 図10・13は,ス
図10・12
のエネルギーがすべて放出 さ
き な 衝 撃 力 が 発 生 す る。 オ イ ル ダ ンパ は,こ
を 効 率 よ く 吸 収 して 速 度 の 急 激 な 変 化 を 防 ぎ,物
オイルダンパの原理
の 大 き さ は速
の運動 のエネルギー
体 を 安 全 に そ して確 実 に停 止
プ リ ン グ,ゴ
ム,オ
図10・13
イ ル の ダ ンパ と して
衝撃力の比較
図10・14
鉄 道車 両止めの例
図10・15
自動 車衝突試験の例
図10・16
鍛圧機械 振動 防止の例
図10・17
の 衝 撃 力 の 比 較 で あ る が,オ 減 で き る 。 図10・14か
構造物耐震用の例
イ ル は 他 の も の に 比 べ て 衝 撃 力 を1/2∼1/3に
ら図10・17ま
で は,オ
軽
イル ダ ンパ の 使 用 例 の 一 部 を示 し
た。
〔3〕
ブ レー キ装 置
油 圧 ブ レ ー キ は,ブ 導 管(ブ
レ ー キ ペ タ ル の 踏 力 を マ ス タ シ リ ン ダ に よ り油 圧 に変 え,
レ ー キ チ ュ ー ブ,ブ
レー キ ホ ー ス)を
通 り,各
同 時 に 平 均 し て 伝 達 す る機 構 を も っ た も の で,パ
ホ イ ー ル,シ
リ ンダ に
ス カ ル の 原 理(2・2節
参 照)
を 応 用 し た 装 置 で あ る。 図10・18に
お い て,ブ
踏 力 を500Nと
レー キ ペ タル の
す る と,マ ス タ シ リ ン ダ
A の ピ ス ト ン を 押 す 力(推 ×48/8=3000〔N〕 積 を10c㎡
力)は500
に な り,A の 断 面
と す る と,発 生 す る 油 圧 は
3000/10=300(N/c㎡)=3(MPa) に な る。 こ の 油 圧 が 導 管 を 経 てB,C, D,E
の ホ イ ー ル シ リ ン ダ に 等 し く伝
わ る 。 し た が っ て,各B,C,D,Eの 面 積 を そ れ ぞ れ10c㎡ 〔N〕で あ る。
と す れ ば,外
断
図10・18
方 に 押 す 力 は,そ
油 圧 プ レ ー キの 原 理
れ ぞ れ300×10=3000
ホ イ ー ル シ リ ン ダ で 外 側 に 押 す 力 の 大 き さ は,マ ン ダ の 面 積 比(こ
ス タ シ リ ンダ と ホ イ ル シ リ
の 場 合 は10c㎡/10c㎡=1)と
(こ の 場 合 は,48cm/8cm=6)に
よ っ て 決 ま る が,両
す ぎ る と ブ レ ー カ は 増 加 す る が ス トロ-ク れ が 生 じ る。 図10・19は,ド
ブ レー キ ペ タ ル の て こ比 者 の 比 率 が あ ま り大 き
が 大 き く な り,ブ
レー キ時 の時 間 遅
ラム式 油 圧 プ レー キ の装 置構 成 例 を示 した もの で
あ る。
図10・19ド
い ま,ブ
ラ ム 式 油 圧 ブ レー キ装 置 の例
レ ー キ ペ タ ル を 踏 み 込 む と マ ス タ シ リ ン ダ の ピ ス ト ン は,プ
ロ ッ ドの ス トロ ー ク を そ の ま ま受 け,マ
ッ シュ
ス タ シ リ ン ダ 圧 力 室 内 の 油 を圧 縮 す る。
ピ ス ト ン が わ ず か に 動 く と,ピ
ス ト ン先 端 の プ ラ イ マ リ カ ッ プ が レ リ ー ズ ス プ
リ ン グ を 圧 縮 す る と と も に,リ
ザ ー ブ タ ン ク(リ ザ ー バ)に
トを 閉 じ る。 こ れ に よ っ て,圧
力 室 内 の 油 は逆止 め弁 の オ リフ ィス を通 って ブ
レ ー キ ホ ー ス,ブ
レー キ チ ュ ー ブ に 送 り 出 さ れ,ホ
通 じ る リ リー フ ポ ー
イ ー ル シ リ ンダへ と流 れ て
行 く。 マ ス タ シ リ ン ダ か ら送 ら れ た 油 に よ っ て ホ イ ー ル シ リ ン ダ の 圧 力 室 は膨 張 し, 両 側 の ピ ス ト ン は 外 側 へ 押 し 出 さ れ る 。 そ こ で,ピ
ス ト ンの 先 端 で ブ ー ツ を 介
して 接 し て い る ブ レー キ シ ュ ー は 押 し広 げ られ,ド
ラ ム内 面 に 接 触 す る。 ブ レー
キ シ ュ ーが ドラム に接 触 して ピス トンの動 き が止 ま った と こ ろか ら装 置 内 の圧
力 は急 に高 ま り,同 時 に ホ イ ー ル に は ブ レー キカ が 発 生 して,こ
こか らの圧 力
は ペ タ ル踏 力 に比 例 して上 昇 す る。 しか し,シ 逆 ら う の で,装
ュ ー が ド ラ ム 接 触 す る ま で の 間,シ
ュ ー リター ンス プ リン グカ に
置 内 に わ ず か な 圧 力 が 発 生 し て い る 。 こ の ブ レ ー キ 装 置 で は,
マ ス タ シ リ ン ダ が ポ ン プ と制 御 弁 の 役 割 りを,ホ
イー ル シ リンダが ア クチ ュエー
タ の 役 割 を 担 っ て い る。 ブ レ ー キ ペ ダ ル か ら足 を 離 す と,装
置 内 の圧 力 は急 に減 少 す る。 ホ イ ー ル シ
リ ン ダ の ピ ス ト ン は シ ュ ー リ タ ー ン ス プ リ ン グ が,マ は 圧 力 室 内 の ピ ス ト ン リ タ ー ン ス プ リ ン グ が,そ
ス タ シ リ ンダの ピス トン
れ ぞ れ 元 の 位 置 に戻 る よ う に
な って い る 。 ブ レ ー キ ペ タ ル に も リ タ ー ン ス プ リ ン グ が 組 み 込 ま れ て い て,ペ ダ ル を 短 時 間 で 元 の 位 置 に 戻 して い る。 しか し,そ グ が 完 全 に,し 例 え ば,ホ
れ ぞ れ の リタ ー ンス プ リ ン
か も 同 時 に 元 の 位 置 に は戻 れ な い。 イ ー ル の シ ュ ー リ タ ー ン ス プ リ ン グ の 戻 り が 遅 れ る と,マ
スタ シ
リ ン ダ の 圧 力 室 は負 圧 と な っ て 外 部 か ら空 気 を 吸 い 込 む こ と に な る 。 そ の た め に,マ
ス タ シ リ ン ダ の プ ラ イ マ リ カ ッ プ と セ カ ン ダ リカ ッ プ の 間 の 室 内 に リザ ー
バ と に 通 じ る サ プ ラ イ ポ ー トを 導 い て お き,こ プ の 外 周 を 経 て,油
こ に 留 っ た 油 が プ ラ イ マ リカ ッ
の不 足 して い る圧 力 室 へ 流 れ 込 む よ う に す る。 プ ライ マ リ
カ ッ プ は圧 力 室 に 圧 力 が 加 わ っ た 場 合 は,セ
カ ンダ リカ ップ側 に油 を流 さな い
逆 止 め弁 の 役 目を 兼 ね て い る。 ホ イ ー ル シ リ ン ダ の ブ レ ー キ 液 が マ ス タ シ リ ン ダ の 圧 力 室 に 遅 れ て 戻 っ て く る と き は,マ
ス タ シ リ ン ダ の 出 入 口 部 の 逆 止 め 弁 を押 し開 き,オ
リフ ィ ス を 通 っ
て 圧 力 室 に戻 れ る よ うに な って い る。
〔4 〕
(a)
流体伝導装置
流体 クラッチ
流 体 ク ラ ッチ(流 体 継 手)は
図10・20の よ うに,駆 動 軸,従 動 軸 の 間 に 油 な
ど の流 体 を入 れ,流 体 の流 れ を 利 用 して トル クを伝 え る もの で あ る。 エ ンジ ン の ク ラ ンク軸(入 力 軸)に
直 結 した ポ ン プ羽根 車(イ
ンペ ラ)に 相 対 して,従
動 軸 に タ ー ビ ン 羽 根 車(ラ り,タ
ー ビ ン軸(出
ン ナ)が
力 軸)に
あ
ス プ ライ
ンで は め あ っ て い る。 ク ラ ン ク軸 に よ っ て ポ ン プ 羽 根 車 が 回 転 す る と,こ
の中
に満 た さ れ た 油 は遠心 力 で 矢 印方 向 に 押 し 出 さ れ る。 押 し出 さ れ た 油 は,運 動 の エ ネ ル ギ ー を タ ー ビ ン羽 根 車 に 与 え て タ ー ビ ン軸(出
力 軸)を
回 転 して
ク ラ ッ チ の 役 目 を す る が,ト
ル クを増
流体 ク ラ ッチ の 原理
図10・20
大 す る こ と はで き な い。 こ の よ う に 流 体 ク ラ ッチ は,エ 力 を 断 続 で き る か ら,一 (b)ト
種 の 自動 ク ラ ッチ とい う こ とが で き る。
ル ク コ ンバ ー タ
ポ ン プ 羽 根 車(イ タ)を
ン ジ ンの 回転 速 度 に よ って 自動 車 に円 滑 に 動
ン ペ ラ)と
設 け て,ト
ル ク を 変 更(増
タ ー ビ ン 羽 根 車 の 間 に ス テ ー タ 羽 根 車(リ 大)さ
板 に ノ ズ ル か ら流 体 を 噴 射 す る と,衝 図10・21(b)は
半 円 形 容 器 に 変 え,流
せ て い る 。 図10・21(a)の
アク
よ う に,平
撃 力 F が 作 用 して ホ イ ー ル は 回 転 す る 。 れ の 方 向 を180゚変
換 で き る よ う に す る と,
衝 撃 力 の 他 に F と同 じ大 き さ の 反 動 力 R が 生 じ,2Fの
力 が作 用 して ホ イ ー ル
を 回 転 さ せ る 。 さ ら に 図10・21(c)の ク タ)を
置 く と,流
よ う に 半 円 形 板 に 対 し て ス テ ー タ(リ
れ は 再 び わ ん 曲 形 に 返 さ れ,ス
き さ の 力 を タ ー ビ ン は 受 け る こ と に な り,ト こ の よ う に,与
テ ー タ が 受 け る 力 と 同 じ大
ル ク は増 大 す る。
え た エ ネ ル ギ ー が 消 費 す る こ と な く,何
(a)平 板 図10・21
(b)わ ん 曲板
ア
(c)ス
回 も作 用 して ホ イ ー
テ ー タ(リ ア ク タ)
トル ク コ ンバ ー タの 原 理(1)
ル の トル ク を 増 大 さ せ て 行 く。 こ れ が トル ク 変 換 の 原 理 で,こ
の 流 れ を反 転 さ
せ る役 目 を す る の が トル ク コ ンバ ー タ の ス テ ー タ で あ る(図10・22ト
ル クコ ン
バ ー タ の 原 理(2))。
図10・22
ポ ン プ が 回 転 す る と,ト
トル クコ ン バ ー タの 原 理(2)
ル ク コ ンバ ー タ 内 の 油 は 図10・23の
よ うに ポ ンプ回
転 方 向 に 回 転 流 れ を 生 じ,′こ の た め 遠 心 力 に よ っ て ポ ン プ と タ ー ビ ン の 間 を 循 環 す る 渦 巻 き流 れ が で き る 。 こ の 流 れ が 図10・24(a)の 場 合 は,タ
よ うに ステ ー タがな い
ー ビ ン を 出 た 油 が ポ ン プ に 入 る と き ポ ン プ の 回 転 方 向 と 逆 に な り,
ポ ン プ の 回 転 を 妨 げ る。 こ の 流 れ の 方 向 を 変 え る た め に 図10・24(b)の
図10・23
油の循環運動
よ うな
(a)
ステ ー タが な い場 合 の
(b)
油の流 れ
油の流れ 図10・24
ス テ ー タ を 設 け て や れ ば,循
ス テ ー タの 役 割
環 す る 油 が 速 度 を 落 さ ず に ポ ン プ に 流 入 して,ポ
ン プ の 回 転 を 助 け る よ う に 働 くた め に,ト
10・5
〔1〕
ス テ ー タが あ る場 合 の
ル ク は増 加 す る こ と にな る。
建設車両 ・産業車両の例
ク レ ー ン車
重 量 物(10∼30kN)の
吊 り上 げ,積
う特 殊 装 備 車 で あ る 。 そ の 他,特 〓 レ ッ カ ー 車 と して
み 込 み,運
搬 な ど,一
連 の作 業 を 行
殊 架 装 と して 次 の よ う な 目 的 に 使 わ れ る 。 自走 で きな い車 両 の牽 引 の た め に
〓 ダ ン プ ト ラ ッ ク と して … … 土 砂 や 廃 棄 物 の 運 搬 の た め に
図10・25
ク レー ン車
〓 リヤ 架 装 と し て
…… ト ラ ッ ク 後 端 に ク レ ー ン を 架 装 し,重
量 物 の
荷 役 な ど に有 利 で あ る。 〓 塵 芥 収 集 車 と して
…… 清 潔 な環 境 づ くり に欠 か せ な い ご み 収 集 の た めに
〓
フ ォ ー ク リ フ トと し て
……工 場 内で の荷 役 運 搬 の ため に
ク レ ー ン車 と し て 油 圧 装 置 の 使 わ れ て い る と こ ろ は, 〓 ブ ー ム 伸 縮 装 置 に……
複 動 油 圧 シ リ ンダ直 押 し式
〓 巻 上 装 置 に……
油 圧 モ ー タ駆 動 平 歯 車 減 速 式
〓 ブ ー ム起 伏 装 置 に
……複 動 油 圧 シ リ ン ダ押 し上 げ 式
図10・26
ク レ ー ン車 の 油圧 駆動 部 の例
〓360度 連 続 旋 回装 置 に ……油圧 モ ー タ駆 動 ウ ォー ム ・平 歯車 減速 式 〓 油 圧 ポ ン プ に…
…歯 車 ポ ンプ
〔2〕 油 圧 パ ワ ー シ ョベ ル 油 圧 パ ワー シ ョベ ル は,本 来,掘 削 と積 み 込 み を 目的 とす る もので あ るが, 次 の よ うな土 木 全 般 の作 業 が で き る。 地 な ら し,溝
堀 り,法
面 仕 上 げ,砂
の ま き 散 ら し,杭
打 ち な ど。
エ ン ジ ンか らの機 械 動 力 は,油 圧 ポ ンプ に よ って 油 圧 動 力 に変 換 さ れ る。 こ の 油 圧 動 力 は操 作 弁 に よ って各 用 途 に配 分 され,油 圧 モ ー タ や各 作 業 油 圧 シ リ ンダ に よ って再 び機 械 的動 力 に変 換 さ れて,走 行,旋 回,作 業機 の作用 をす る。
図10・27
油圧 パ ワ ー シ ョベ ル の 構 成 例
10・6
農業機械の例
人 力 や 牛 ・馬 に代 わ る もの と して の 農 業 機 械 に は,耕 運 機
トラク タ,コ ン
バ イ ン田植 機 な ど が あ り近 代 化 ,省 力 化 に大 い に貢 献 して い る。 こ こで は トラ ク タ(写 真 1)を 例 に しよ う。 ト ラ ク タ は ア ー ム 先 端 の ア タ ッ チ メ ン トを 交 換 す る こ と に よ っ て,次 な 作 業 内 容 が 可 能 で あ る。
のよう
写真 1 〓
鶏 糞 や籾 が らの処 理 と除 雪 作 業 な ど。
〓
土 砂 の採 集 と運 搬,掘 削 と除 雪 作 業 な ど。
〓
堆 肥 の切 り返 し,積 み 込 み と運 搬 作 業 な ど。
〓
牧 草,稲 わ らの 採集 と運 搬 作 業 な ど。
〓
重 量物 の 吊 り上 げ と運搬,簡
〓
〓
易 ク レー ンと して の作 業 な ど。
軽 量 物 の土 木 作 業 な ど。 ロー ル状 に した牧 草 の移 動 と運 搬 作業 な ど。
油 圧 系 統 は,油 圧 ポ ンプか らの 高 圧 油 が 制 御 弁 に送 られ て く る。 運 転 席 に あ る手 動 操 作 レバ ー を操 作 して 油 路 を切 り換 え,ア
ー ムの上 下 と先 端 の 首 振 り動
作 を行 わ せ る。
10・7
その他の例
〔1〕 油 圧 式 自 動 ドア 病 院,銀 行 あ るい は役 所 な どの 入 り口 に立 っ と 自動 的 に ドアが 開 き,通
り過
ぎ る と閉 ま る こ と はだ れ で も経験 して い るが,こ れ に油圧 あ るい は空 気 圧 を利
用 して 開 閉 して こ と は あ ま り知 られ て いな い よ うで あ る。 歴 史 的 に は昭 和 の初 め,電 車(当 時 の 国電)の 連 結 両 数 が 増 し,こ れ に伴 い 停 車 時 の ドア開 閉 効 率 の 向 上 と安 全 の 点 か ら 自動 ドアが な され て 以 来,私 鉄 を 含 め電 車 の 開 閉 ドア はす べ て 自動 化 され て い る。 一 般 の建 築 ドアで は,そ の 必要 度 が 低 く戦 前 で は考 え られ な か っ たが,戦 後 昭 和30年
を過 ぎ高 度 成 長 時 代 に入 って病 院,銀 行,役
所以 外 の工 場関 係 にお
い て,防 塵 や 空 調 な らび に重 量 ドアの 開 閉効 率 向上 と,省 力 化 の ため に 自動 ド ア が普 及 した。 自 動 ドア を 駆 動 方 式 で 分 け る と,油 ア の 構 成 を 図10・28に,そ
圧 式,空
気 圧 式,電
気 式 が あ る。 自動 ド
の 中 の 油 圧 式 に っ い て の 構 成 を 表10・2に
図10・28
要 約 した 。
自動 ドアの構成例
通 行 人 が ドアの 入 口 に近 づ くと検 出 装 置 が検 知 し,制 御 装 置 に電 気 信 号 を送 る。 す る と制御 装 置 は駆 動 装 置(通 称,ド
アエ ンジ ン)に 開 作 動 指 令 を 出 し,
自動 ドア が 開作 動 す る。 通 行 が 完 了 し,検 出装 置 が 開 作 動 指 令 を 出す と,ド ア は一 定 時 間後 自動 的 に閉 じる。 こ の と きの ドアの移 動 速 度 は,図10・29の
よう
表10・2油
圧 式 自動 ドアの 構成
に制 御 さ れ,通 行 人 に異 和 感 を与 え な い よ うに開 閉 す る ことが 大 切 で あ る。 図10・30は の 例 で,正
一 般 建 築 引 戸 用 自 動 ドア 逆 転 ポ ンプ直 動 で 作 動 シ リ
ン ダ を 駆 動 し,ラ
ック と チ ェ ンス プ ロ
ケ ッ トに よ っ て 回 転 力 に 変 換 す る 。
図10・31の 油 圧 回路 に お い て,ポ
ン
プ は電 動 機 直 結 の 正 逆 転 ポ ンプ に な っ
図10・29自
動 ドア の 開 閉 速 度
て お り,閉 回 路構 成 で 各 々 の ポ ー トが 作 動 し,シ
リ ン ダ の 両 端 に 接 続 さ れ,複
れ 自 身 に ラ ッ ク が 切 っ て あ り,歯 が な い。 した が っ て,出
車(ピ
動 を 可 能 に して い る。 ピ ス ト ン に は そ ニ オ ン)に
か み 合 って い るの で ロ ッ ド
力 軸 は 回 転 運 動 を 行 うの で ドア を 駆 動 す る た め に,ス
プ ロ ケ ッ ト と チ ェ ンで 直 線 運 動 に 変 換 して い る。 油 の 外 部 漏 れ を 防 止 す る た め
図10・30油
圧 式 自動 ドア の 作 動
図10・31油
に漏 れ 止 め装 置(シ
ール 類)を
圧 式 自動 ドア の 油 圧 回 路 図例
して い るが,摺 動 部 の ピス トン シー ル は リン グ
に よ りわず か な 内部 漏 れ を 許 容 す る反 面,摺 動 に よ る摩 耗 を解 消 し,ク ッ シ ョ ンの た め の構 造 も ピス トン リン グの使 用 とサ イ ドポ ー トに よ り ク ッ シ ョン機 構 を形 成 して い る。 速 度 制 御 は メ-タ ア ウ ト方 式 で速 度 調 整,ク
ッ シ ョ ン調 整 と もよ い。 そ の他
逃 し弁 は,正 逆 転 ポ ン プの た め両 ポー トに設 置 して い る。 ま た,吸 込 不良 防止 の た あ に逆 止 め弁 を 設 け,リ
リー フ時 の キ ャ ビテ ー シ ョ ンを生 じな い よ う に し
て い る。 油 圧 式 は放 射 線 遮 蔽 ドア に も使 わ れ て い る。 工 場,病 る場 所 は多 いが,放 射 線 の照 射 量 に よ って は厚 さが1m以 ト(例 え ば,原 子 力 発 電 所)あ
院 な ど放 射線 を利 用 す 上 もあ る コ ンク リー
る い は鉛 製 の ドア で,出 入 口 を塞 いで 放射 線 が
外 部 に漏 れ な い よ う にす る。 この よ うな場 合,油 圧 シ リン ダで何 百 トン と い う ドア を開 閉 し,放 射 線 漏 れ を 防 ぐ と と もに,ド アが 開 い た後,通 路 確 保 の た め に,ピ
行 人 や車 の通
ッ ト蓋 を ドア同様 に油 圧 シ リン ダで作 動 させ て い る。
〔2〕
油圧 式 エ レベ 一 夕
一 般 に,エ
レベ ー タ と い うと ロー プ式(ワ
イ ヤ式)を 考 え るが,最 近 は油 圧
式 エ レベ ー タが非 常 に脚 光 を あ び て お り,国 内 の設 置 台 数 の 約25%は
油圧 式
で あ る。 い ま まで 油 圧 式 を 設 置 す る建 物 は,大 部 分 が 倉 庫 等 に使 用 す る重 量 物 運 搬 用 に多 か ったが,最 近 は各 種 の 建 物 に使 用 され て い る。 (a)油 圧 式 エ レベ ー 夕 の 長 所 ①
屋 上 に機械 室 が い らな い の で 高 さの制 限 が な く,日 照 権 の保 護 に 有効 で 建物 外観 が す っ き りす る。
②
荷 重 が 建物 に は か か らな い の で,軽 量 鉄 骨 建物 に も設 置 が可 能 で あ る。
③
直接 駆 動 式 の場 合 は ロー プを使 わ な い の で,構 造 が簡 単 で あ る。
④
昇 降時 の揺 れが ほ と ん ど な く,着 床 が正 確 で む らが な い。
⑤
釣 り合 い お もりが な い の で昇 降 用 の空 間 が 小 さ くて す み,荷 物 用 か ごの 複 数 面 に ドアが 付 け られ る。
(b)油 圧 式 エ レベ ー タの 短 所 ①
ロ ー プ式 の よ う に釣 り合 いお も りを使 用 しな い ため,電 動 機 出 力 が ロ ー プ式 の約 2倍 程 必 要 で あ る が,上 昇 時 の み電 動 機 を使 用 し,下 降 時 は か ご の 自重 で 下 が るた め,電 動 機 は使 用 しな い。 この た め電 動 機 の運 転 に要 す る費 用 は同 程度 と考 え て よ い。
②
油 圧 駆 動 で あ るか ら昇 降 速 度 に限 度 が あ る。 現 段 階 で は60m/minま で 高 層 建 物 に は設 置 不可 能 で あ る。 最 大 昇 降 行 程 は約30m程 接 駆 動 式)と
で
度 ま で(間
さ れ て い る。
(c)油 圧 式 エ レベ ー タ の利 用 ①
オ フ ィス ビル用 … … 人 の移 動,荷 物 の運 搬 に
②
公 共 用 ビル用 … …… 不 特 定 多 数 の人 の集 ま る公 共 の場 所 に
③
劇 場 ・式 場 用 … …… 舞 台,演 壇,オ
ー ケ ス トラ ・ボ ック スな どの い わ ゆ
る “せ り” の昇 降 用 に ④
病 院 用…………
寝 台車 を 収 容 で きる奥 行 きの あ る深 いか ご と,発 進 ・
停 止 時 の ス ム ー ズ さ が求 め られ る と こ ろに ⑤
住宅用
集 合住 宅,一 戸 建 個 人 住 宅 用 の ホ ー ム エ レベ ー タ と して
⑥
物 流 セ ン ター … …
フ ォー ク リフ ト,ト ラ ック等 車 両 の エ レベ ー タと し て
⑦
工 場 ・倉 庫 用 … …
⑧
冷 凍 ・冷 蔵 庫 用 … …一 度 に大 量 の冷 凍,冷 蔵 食 品 を庫 内 に運 ぶ た あ に
⑨
駐車場
…
工 場 の荷 物 運 搬 用 に も最 適
……… 多 層 駐 車 場 の 自動 車 用 エ レベ ー タ と して
(d)油 圧 式 エ レベ ー タ の駆 動 方 式 機 械 室 に 設 置 され て い る油 圧 ユ ニ ッ トに貯蔵 され た作 動 油 を 電 動機,油 ン プに て圧 力 を 加 え,シ
圧ポ
リ ンダ内 の プ ラ ンジ ャを上 昇 させ る と と もにか ご も上
昇 させ る。 下 降 は エ レベ ー タの 自重 で 下 降 させ る(図10・32)。
図10・32油
①
直接駆動方式
図10・33の は,エ
圧 式 エ レベ ー タ の構 成例
よ う に,プ
ラ ン ジ ャ で か ご を 下 か ら押 し上 げ る方 式 で,こ
の場合
レベ ー タ の 昇 降 行 程 分 だ け シ リ ン ダ を 地 中 に 埋 設 す る た め の 保 護 用 鋼 管
が 必 要 で,重 加 重 の もの の運 搬 に は最 適 で あ り,油 圧 式 エ レベ ー タ の基 本 的 な 方 式 で あ る。 上 昇 時 は ポ ンプ か ら作 動 油 を シ リン ダ内 に送 り込 み,常 用 圧油(2.5∼3MPa) で荷 重 を上 げ,下 降 時 は エ レベ ー タの 自重 で下 降 させ る。
図10・34油 図10・33油
②
圧 式 エ レベ ー タの 直 接 駆 動 方 式 の例
間接駆動 方式
シ リ ン ダ を か ご の 側 部 ま た は 後 部 に 配 置 し,プ に ロ ー プ を 掛 け,プ
あ る場 合 に 使 用 さ れ て お り,小 10・34は,ア
ラ ン ジ ャ上 部 の シ ー ブ(鋼 車)
ラ ン ジ ャ の 動 き と ロ ー プ を 併 用 して 間 接 的 に か ご を 上 昇 さ
せ る 方 式 で あ る。 こ の 方 式 は,地
盤 な どの 関係 で 保 護 用 鋼管 の埋 設 が 不可 能 で
荷物 で昇 降行 程 の高 い建物 に使用 され る。 図
ン ダ ー シ ー ブ 式 と い わ れ る 間 接 駆 動 方 式 の 一 種 で,か
プ ラ ン ジ ャ の 動 き の 2倍(例 き2m)と
圧 式 エ レベ ー タの 間接駆動方 式 の例
な って い る。
え ば,ブ
ラ ン ジ ャ の 動 き1mに
ごの動 きは
対 して か ご の 動
付表1.主
なSI単 位 お よ び そ れ と併 用 して よ い単 位(JIS Z 8202,8203)の
量
単位 の名称
回転速度 回転数
回毎秒 回毎秒 回毎分
質量
キ ロ グ ラム グラム
密度
キ ログ ラム毎立 方 メー トル
グ ラム毎 立方 メー トル グ ラ ム毎 リ ッ トル
比体積 運動量
立 方 メー トル毎 キ ログ ラム
慣牲モーメ ン ト
キ ロ グ ラム 平 方 メ ー トル
力 重量 力 の モ ー メ ン ト
キ ロ グ ラ ムメ ー トル 毎 秒
ニ
ュ ー
ト ン
ダイ ン 重 量 キ ログ ラム ニ ュeト
ン メ ー トル
重 量 キ ロ グ ラ ム メ ー トル トル ク
圧力
パ ス カル ニ ュー トン毎 平方 メ ー トル バ ー ル 重量キログラム毎平方メー トル
応力 せん断応力
縦弾性係数 横弾性係数 体積弾性係数 圧縮率
パ ス カル ニュー トン毎平 方メー トル
重量キ ログラム 毎 平 方 メ ー トル パ ス カル ニュー トン毎平方 メー トル
重量キ ログラム 毎 平 方 メ ー トル 毎パ スカル 平方 メー トル毎 ニ ュー トン
粘度
平 方 メ ー トル 毎重量 キログラム パ ス カル 秒 ニ ュー トン秒毎平方 メ ー トル
ボ アズ 重 量 キ ロ グ ラ ム秒 毎 平 プ〒メ ー ト ル
動粘度
平 方 メー トル 毎 秒 ス トー ク ス
仕事 エ ネ ル ギ ー
ジ ュ ー ル ワ ッ ト秒 重量 キ ロ グラ ムメ ー トル
流量
立 方 メー トル 毎 秒 立 方 メ ー トル 毎 分 リ ッ トル毎 秒 リ ッ トル毎 分
単位記号
定
義
抜 粋(1〕
換 算 率
付 表 2.主 なSI単 位 お よ び それ と併 用 して よ い単 位(JISZ8202,8203)の
(注)(1)※
付表3.SI単
印 はSI単 位 を 示 す 。(2)1N=1/9.80665kgf
位記号の接頭語
抜 粋(2)
付表 4
主要計算式及び計算図表〔その 1〕 ① ポンプ出力 ② ポンプ軸入力 ③ ポンプ容積効率 ④ ポンプ全効率
付表5
主要計算式及び計算 図表 〔その2〕 ① シ リンダの速 度 ② シ リンダの圧力
付表 6
主要計算式及び計算図表 〔その3〕 ① ア ク チ ュエ ー タの 出 力 ・弁 の動 力 損 失 ・その 他
付表 7
主要計算式及び計算図表 〔その 4〕 ① 管の大 きさと流速
付表 8
主要計算式及び計算図表〔その 5〕 ① 作動油 の粘 度 ・温度 特性
参 考 文献 執 筆 に際 し,下 記 の会 社 及 び団 体 の 資 料 を 参 考 に しま した。
油研 工業株式会社
東 京 都 港 区 芝 大 門1-4-8浜
松 町清 和 ビル
テ キ ス ト
株 式 会 社 トキ メ ッ ク 東 京 都 大 田 区 南 蒲 田2-16-46
テ キ ス ト
株式会社
東 京 都 港 区 赤 坂2-3-6
テ キ ス ト
井 関農機 株式会社
東 京 都 荒 川 区 西 日暮里5-3-14
カ タ ロ グ
日精樹脂 工業 株式会社
長 野 県坂 城 町南 条2110
テ キ ス ト
太陽鉄工 株式会社
大 阪 市 東 淀川 区北 江 口1-1-1
カ タ ロ グ
株式会社
ナ ブコ
神戸 市 中央 区脇 浜 海 岸 通1-46
テ キ ス ト
株式会社
タダノ
香川県高松市新 田町甲34
テ キ ス ト
コマ ツ
カ ヤ バ工 業 株 式会 社 東 京 都 港 区 浜 松 町2-4-11
世 界 貿 易 セ ン ター ビル
東 洋 ハ イ ドロ 東 京 都 渋 谷 区 恵 比 寿 南2-8-2 エ レ ベ ー タ株 式 会 社 〓 日本 フ ル ー ド パ ワ ー工 業 会
東 京 都 港 区芝 公 園3-5-8
全 国 自動 ドア協 会
東 京 都 港 区海 岸1-9-18
機 械 振 興 会 館311号
雇用促進事業 団職業 職業訓練教材 訓練研究 セ ンタ-編 中小企業事業 団編
キ ョ ウテ イ ビル
テ キ ス ト
テ キ ス ト テ キ ス ト
自動車整備
通信研修講座用教材
カ タ ロ グ
油圧 ・空気圧制御
テ キ ス ト テ キ ス ト
索 引 ■
あ行
AND回
路
ア キ シ ャ ル ピ ス トンモ ー タ
ア キ ュ ム レー タ回 路
156 151
ア ン ロ ー ド リ リー フ 弁
圧縮率
100
87 188
オ リ フ ィス
27
押 し除け容積
48
押 しボ タ ンス イ ッチ
■
か行
外接 歯 車 モ ー タ
8
圧 力 エ ネ ル ギー
19
142
103
回転力
圧力制御回路
151
荷重圧 力係数
70 83
圧力制御弁
95
圧力の強 さ
8
片 ロ ツ ド形
75
圧力ヘ ッ ド
20
可変容量形
57
圧 力 ポー ト
96
油の閉 じ込み
型板
171 53 127 19
位 置 エ ネル ギ ー 位置ヘ ツ ド
キ ャ ップ側 カ バ ー
78
キ ャ ビテ ー シ ョ ン
30,56103
機械 効 率
イ ン タ ロ ッ ク回躍
イ ン ライ ン形
49,6
機械操作切換弁 極 限の強 さ 許容引張応力
145
近 接 ス イ ッテ
163
19
ク ッシ ョ ン機 構 ク レ ー ン車
接点
エ ング ラ秒
162
ク レ ビス形 90
119 144
近接 ス イ ッチ付 シ リ ンダ
20
運動 エ ネル ギ ー
a
133
56
8
イ ンナ ロ ー タ
126,177
管 路 用 フ ィル タ
91,144
1標準気圧
100 68
回転内継手
圧 力 スイ ッ チ
安全辱
162
カウ ン タバ ラ ンス弁
43
圧力
72
101,127
ア ン ロ ー ド回 路
169
罪
オ イ ル ダ ンパ
53
アキ ュ ム レー タ
79
OR回
オイ ラー の 式
168
ア ウ タ ロ ー タ
O リ ング
81 195 76
くい込み式管継手 くい込 み式配管
142 141
82
空冷式油 冷却器 駆動歯車
136
52
ス イ ッ チ
162
ス ク リュ ー ポ ンプ
69
ゲ ー ジ圧 8
ス ク リュ ー モ ー タ
65
減圧ヂ
ス ケ ジ ュ ー ル番 号
98
減速回橘
153
高抗力鋼
86
ス ト-ク
合成系作動 油
降伏点
163
145
固定配分軸
■
ス
38
ス プ ール 弁
33
114
ス ラ イ ドス プ ー ル形
109
30
吸込み作用
圧
31
サ ー ボ機 構
座屈荷重
87
座屈強 さ
86
作動回路
45
吸込みポー ト
52
水成系作動 油
35
推力
123
83
水冷式 油冷却器
159
135
セ イ ボ ル トユ ニ バ ー サ ル 秒 セ ン チ ソ トー ク ス
シー ケ ン ス回 路
シ リ ン ダチ ュ ー ブ
時限動作 回路
77
169
自己保持 回路
115
実吐 出 し量
48 104
磁力線
全圧 力
8
全効率
49 20
全 ヘ ッ ド
増 圧回路
65
125,177 115
157
115 157
層流
22
側板
52
速度制御回路 速度 ヘ ツ ド
52
出力 トル ク
触針
35
8
ソ レ ノイ ド
170
自重落下 防止回路
従動歯車
82,185,187
絶対 圧
38
170
時 限 リ レー
絞 り弁
168
99
シ ョ ッ クア ブ ソ ーバ
磁束
石 油系作動 油
155
シー ケ ン スチ ャ ー ト シー ケ ン ス弁
114
ス プ リン グセ ン タ形
水撃
63
さ行
サ-ジ
125
ス プ リン グ オ フ セ ッ ト形
35
光 電 ス イ ッチ
145
ス タ イ ラ ス
152 20
外 トロコ イ ド歯 車 損失 ヘ ツ ド
23
53
40
トラ ニ オ ン形
■
た行
トル ク
タ イマ 同 略
76
70
トル ク効 率
170
65
タ イ ム チ ャ ー ト
168
ト ル ク コ ン バ-タ
ダ イヤ フ ラ ム形
127
トル ク モ ー タ
ダ ブル ピ ス トン形
グル シ ・ワ イ ズバ ッハ の 式 タ ンク 用 フ ィ ル ク
体積弾性係数 体積流量 耐力
ト レー サ
75 29
132
177 53
トロ コ イ ド歯 車 トロ コ イ ドポ ン プ
43 18
等温変化
130
同期回路
154
動粘性係数
145
縦 書 き シ ー ケ ン ス図
縦弾性係数 たわみ
193 29
38
動粘度
167
87
■
38
な行
90
断熱変化
130
68
内接 歯 車 モ ー タ
端末条件 によ る係数
な らい制
88
176
難燃性作動油 チ ェ ック弁
ね じ込 み式管継手
31,108 28,98,99 96
直 動 形 リ リ-フ 弁
デ セ ラ レー シ ョン弁
ね じ込 み式配管
141 180
テ レス コ ー プ形
75
テ ンプ レー 17
定容積形
57
38
粘度指数
40
NC接
点
163
NO接 点
162
電磁切換弁 コイル
NOT回
123
電 気 ・油 圧 サ ー ボ弁
165
電 磁 切 換 弁 付 リ リー フ弁
路
169
98
117
ノ ズ ル フ ラ ッパ機 構
■
129
は行
バ ー ゲ ン ・ボ ア ズ イ ユ の 式
165 164
ハ イ ドロ リ ック ロ ック
パ イ ロ ッ ト操 作切 換 弁 トラ ク タ
113
ノ ー ス プ リ ン グ デ テ ン ト形
115
電 磁 パ イ ロ ッ ト操 作 切 換 弁
電 磁 リ レー
38
126,177
定常流れ
電磁弁
粘瞳
105
142
熱 間 加 工 プ レフ
粘性係数
電磁石
36
108
チ ャ タ リン ク チ ョー ク
53
197
パ イ ロ ッ ト操 作 チ ェ ッ ク 弁
24 32 118 109
パ ス カ ル の原 理
ブ リー ドオ フ制 御
11,190
バ ラ ン ス ピ ス ト ン 形 リ リー フ 弁
背圧
96
172
フ レア式 管 継 手
83
吐出 し圧力
46
フ レア式 配 管
吐出 し作用
46
ブ レ ーキ 回 路
吐 出 しポ ー ト
歯車
107
フ リ ッカ回 路
142 141 158
ブ レー キ 弁
52
102
ブ レー ク接 点
163
歯 車 ポンプ
2,51
プ レ フ イル 弁
181
歯車 モー タ
3,65
ブ ロ ッ ク図
200
板金成 形プ レス
負荷率
179
123 83
複 動 片 ロ ッ ド形
b接点 ピス トン
83
粉末成形 プ レス
163
179
78
ピ ス トン形
127
ピ ス ト ンパ ッキ ン
79
ベ ー ン ポ ンプ
2,57
ベ ー ン モ ー タ
3,65,71
ピ ス ト ンポ ンプ
2,60
ヘ ッ ド側 カ バ ー
ピ ス ト ンモ ー タ
3,65
ベ ル ヌ ー イの 定 理
ピ ス トン ロ ッ ド
平均流速
78
ピニ オ ン
200
ピ ン トル
63
平衡形
78 20
18,22,24,144
57
比 圧 力 エ ネル ギ ー
20
ボ ア ソ ン数
比 位 置 エ ネル ギ ー
20
ポ ペ ッ ト形 電 磁 切 換 弁
比運動 エネルギ ー
20
引張強 さ
17 57
表 示 ラ ンプ
165
ポ ン プ 出力
49
ポ ン プ入 力
49
方向切換弁
比例電磁式圧 力制御 弁
121
比例電磁式流量制御弁
122
V パ ッキ ン フ ー ト形
79
163 24,25
29
プ ラ ス チ ッ ク射 出 成 型 機
フ ラ ン ジ形
ま行
摩 擦 損失 ヘ ッ ド
ブラ ジ ウス の 式
プ ラ ダ形
95
マ イ ク ロス イ ッチ
76
130
109
方向制御弁
■
118
31
ポ リ トロ ー プ指 数
144
非定常流 れ 非平衡形
ポ ペ ッ ト弁
92
127
76
181
メ ー ク接 点
162
メ ー タ ア ウ ト制 御 メ ー タ イ ン制 御
107 106
メ カ ニ カル サ ー ボ弁
モ ジ ュ ラー 弁
119 96
戻 り ポー ト
漏れ量
■
123,125
48
ら行
ラ ジ ア ル ピ ス トン ポ ン プ
62
ラ ジ ア ル ピ ス ト ン モ-タ
73
ラ ック
200
ラ ック ・ピ ニ オ ン
や行
ラバ ー プ レス
乱流
79
U パ ッキ ン
油圧 アクチュエータ
油圧回路図
146
198
流速
18
197
192 32
流量
2
油圧 モータ
3,65
油 圧 モ ー タ回 路
32,119
流体継手 流体 力
16,190
油 圧 ポ ンプ
192
流体 固着現象
65
油 圧 ブ レー キ
18
流量 制御弁
66
の全 効 率
105 75
両 ロ ツ ド形
66
理論吐出 し量
48
臨界速度
66
油 圧 モ ー タの入 力
95
流量調 整弁
159
油 圧 モ ー タ の 出力
23
1,203
油 圧 ユ ニ ッ ト
レ イ ノル ズ数
32
油 タンク
レ ッ ド ウ ツ ド秒
135
連続の式 容積 効率
22,24
レ シ プ ロ ピス トンポ ンプ
3,136
油冷 却器
63
40
18
48,66
溶接 式管継 手 溶接式配管
揺動回転運 動
ロ ー タ リエ ン コー ダ付 シ リ ン ダ
142
ロ ー タ リ スプ ー ル 形
141
溶接 フ ラ ン ジ式 配 管
141
3,65
ロ
167
110
121
ッ ド パ_ン
キ
論理積回路
73
横 書 き シー ケ ン ス図
ロ ジ ッ ク弁
ロ ッ キ ン グ回 路
73
揺 動 形 ア クチ ュエ ー タ 揺動モー タ
163
163
流 体 ク ラ ッチ
油 圧 パ ワ ー シ ョベ ル
油 圧 モ-タ
リ レー
15
油 圧 式 携 行 ジ ャ ッキ
油 圧 シ リ ンダ
22
リ ー ドス イ ッ チ 202
油圧式 自動 ドア
74 179
1,2
油 圧 式 エ レベ ー タ
油撃
■
論理否定回路 論理和回路
158
ン
79 168 169 169
82
< 著者 紹 介 >
高 橋 徹 学 職
著
歴 日本大 学 工 学部(現 理 工学 部)機 械 工 学 科 卒 業(1955年) 歴 東京都立町田工業高等学校 教諭 東京都立砧工業高等学校 教諭 東京都立港工業高等学校 教諭 青山製図専門学校 講師 「新JIS製 図 」(パ ワ ー 社) 書 「 冷 凍 の基 礎 技術 」(同) 「 油 圧 ハ ン ドプ レス の設計 」(同) 「 渦 巻 ポ ン プの 設計 」(同) 「 油 圧 ジ ャ ッ キの設 計 」(同) 「 空 気 圧 の基 礎 と応 用 」(東 京 電 機 大 学 出版 局) 文 部 省検 定 済 教 科書 「原 動機 」 共 著(コ ロ ナ社) 「 解 説 と演 習 原 動機 」 共 著(同)
その他機械設計関係 の著書
わか りやすい機械教室
油圧 の基礎 と応用 1997年
2月20日
2006年12月20日
第 1版 1刷 発行
著 者 高 橋 徹
第 1版 5刷 発行 学校法人 東京電機大学
発行所 東京電機大学出版局 代表者 加藤 康太郎 〒101-8457 東 京 都 千 代 田 区 神 田 錦 町2-2 振 替 口 座00160-5-71715 電 話(03)5280-3433(営 (03)5280-3422(編
印刷 三 美 印刷(株) 製本 渡 辺 製本(株) 装丁 高橋 壮一
〓Takahashi
Touru
Printed in Japan
*無 断 で 転 載 す る こ と を 禁 じ ま す 。 *落 丁 ・乱 丁 本 は お 取 替 え い た し ま す 。
ISBN4-501-41360-3
C3353
1997
業) 集)