ビジュ.アル
コン ピュー ティン グ 3次 元CGに
よる画 像 生 成
東京電機大学出版局
(a)形 状 の 定 義(モ デ リ ン グ)(b)カ
メ ラ 方 向 へ の 変 換(投 影)
(c)手 前 の 物 体 の ...
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ビジュ.アル
コン ピュー ティン グ 3次 元CGに
よる画 像 生 成
東京電機大学出版局
(a)形 状 の 定 義(モ デ リ ン グ)(b)カ
メ ラ 方 向 へ の 変 換(投 影)
(c)手 前 の 物 体 の 選 択(隠 面 消 去)(d)fAる
さ の 計 算(レ
ロ 絵1.1 表 示の た め の処 理 過程(第1章
(a)テ ク ス チ ャ(2次 元 画 像)(b)テ ロ 絵1.2
ン ダ リ ン グ)
参照)
ク ス チ ャ マ ッ ピ ン グ さ れ た 立 力'体
テ ク ス チ ャ マ ッ ピ ン グ の 例(第1章
参 照)
ロ 絵1.3 実 画 像 中 に仮 想 物 体 を 配置 した 例(第1章 参照)
ロ 絵3.1 ラ ジ オ シテ ィに よる 画像(第3章 参 照)
ロ 絵3.2
フ ォ ン トマ ッ ピ ン グ に よ る 画 像(第3章
[Copyright〓H.W.Jensen,University
(a)入 力 画 像.円 形 部 分が それ ぞ れ の視 点 にお け る投 影 像 を表 す ロ 絵3.3 光線 空 間法 に よる画 像 生 成例(第3章
of California,San
参 照) Diego]
(b)様 々 な視 点 か ら生 成 した画 像
参 照)[提 供:東 京大学苗村 研究室]
ロ 絵3.4
View
morphing法
[Seitz,S.,and In Proc,of
ロ
絵3.5
Radiance
transrerに
[ Peter-Pike for
よ
る 生
の 適 用 例(第3章
Dyer,C.:"View SIGGRAPH
成
画
96(1996)よ
像(第3章
参
り.,許諾 を 得 て 転 載]
照)
Sloan,Hall,J.,Hall,J.,Snyder,J.:"Clustered
precomputed
radiance
transfer",In
参 照)
Morphing",
Principal Proc.of
SIGGRAPH
Components
2003(2003)よ
り.,許 諾 を 得 て 転 載]
サ ン プ ルテ ク スチ ャ
生 成 テ クスチ ャ
ロ 絵3.6 グ ラ フカ ッ ト法 に よる テ クス チ ャ生 成 例(第3章 参 照) [ Vivek
Kwatra,Irfan
Textures:Image 2003(2003〕
Essa,Arno and
Video
Schoedl,Greg Synthesis
よ り。許 諾 を 得 て 転 載]
Using
Turk,Aaron Graph
Cuts",In
Bobick:"Graphcut Proc.ofSIGGRAPH
口 絵4.1
人 体 形 状 の 補 間 。 ア ウ ト ラ イ ン 表 示 さ れ た キ ー モ デ ル は主 川 い て 生 成 し た 形 状 で あ るCキ 間 す る こ と で 生 成 し た(第4章 [B. Allen, B. Curless and よ り
口 絵4.2
frmn
計 測 デ ー タ を 川 い た上半
data".ACM
絵4.3
range
写
真
を 川
[F.Pighin, facial 転 載]
space
scans",ACM
of human
body
Transactions
shapes:Heconstructimi
on Graphics,Vo1.22(2003)
詐 諾 を 得 て 転 載]
[B. Allen, B. Curlers
口
参 照)
and Z, Popovic:"The
parameterization
成 分 分 析 を
ー モ デ ル 間 の 補 間 は 頂 点 座 標 を 線 型 補
and
Transactions
い
た 顔
の
expressions
D. from
body
on Gl・aphics, VoL22(2003)よ
ア ニ
J. Hecker,
身 の 変 形 モ デ ル(第4章
Z. Popovic:..Articulated
メ ー
シ
ョ ン(第4章
Lischinski, photographs",In
R.
Szeliski Proc.
参 照) defbrlnation り
from
range
scan
許 諾 を 得 て 転 載]
参 照) and
D.H.
of
SIGGRAPH
Salesin:"Synthesizing 98(1998)よ
realistic り。許
諾 を 得 て
口 絵5.1
エ ア ブ ラ シ に よ る グ ラ デ ー シ ョ ン 生 成 例(第5章 [K.Kondo,
F. Kimura,
fr)r3‐D Shapes",In
口 絵5.2
ブ ラ シ ス
S. Takita,〉;. Nakamae:"ADisplay
Strokes
International
using
Bezier
1993(1993)よ
Interactive
参 照)
Rendering
Proc. ofEUROGRAPHICS'85(1985)よ
ト ロ ー ク に よ る 毛 筆 画 の 例(第5章
[T.Nishita, Brush
T. Tajima:"An
Functions",Computer
参 照) Algorithm
口 絵5.3 of
Graphics
り]
Technique り]
色 鉛 筆 画 の 描 画 例(第5章
Techniques
in Colored
SIGGRAPH
口 絵5.4
色 成 分 を 加 え た イ ラ ス ト風 顔 画 像(第5章
参 照)
[S.Takagi, M. Nakajima,1. Fujishiro: ーV olumetric Modeling of Artistic
参 照)
[岡部め ぐみ,瀬 川大勝,宮 村(中村)浩子,斎 藤隆文:"実 写 画像 に 基 づ く非写実 的顔画像 生成 手法",情 報処 理学 会研究 報告, VoL2004, No.86(2004)よ り]
Penci]Drawing"
99 Sketch(1999)よ
り]
口 絵5.5
領 域 分 割 に よ る 絵 画 調 画 像 の 例(第5章
参 照)
[Y.Hamasaki,
Method
Rendering
絵5.6
1mage [R.
Generation
Region",ADADA2003
and Design
口
K. Kondo:"lmage
Association(2003)よ
Analogyに
Hashimoto,
Example-Based
Proc. of lst annual
よ H.
Johan,
Synthesis
conference
and
ofAsia
Control
Digital.Art
り]
る 描 T.
using
画
例(第5章
参
Nishita:"Creating
Filtering",Computer
Graphics
照) Various
Styles
International
ofAnimations
Using
2003(2003)よ
り]
of
口 絵5.7
輪 郭 線 と 稜 線 の 強 調 描 画 例(第5章
参 照)
[T. Saito, T. Takahashi:"Comprehensible of3D
shapes",In
Rendering
Proc. of SIGGRAPH
90(1990)よ
単純な透視投影 口 絵5.8
多視点投影
多 視 点 投 影 に よ る 鳥 騒 図 の 例(第5章 [S.Takahashi, N. Ohta, "Mod eling Superapective Guide-Map
り]
H. Nakamura, Projection
of Landscapes
Generation",Computer
(ln Proc. of EUROGRAPHICS
参 照) Y. Takeshima,1.
Graphics 2002)よ
り]
Fyjishiro,
for Geographical
Forum,
Vo1.21,
No.3
(a>正 口 絵6.1
面図 DBT法
口 絵6.2
(b)側
面図
に よ る ヒ1・の 脳 の 神 経 線 維 の 可 視 化 例(第6章
参 照)
拡 張 サ ー フ ェ ル を 川 い た 多 孔 質 内 の コ ロ イ ド粒 子 の 統一 的 可 視 化(第6章
(a)等 値 面 の入 れ子 構 造 考 慮 な し 口 絵6.3
参 照)[テ
ー タ提 供:富士 総合研院 所]
(b)等 値 而 の 入 れ子 構造 考 慮 あ り
レ ー ザ 核 融 合 に お け る 爆 縮 現 象 の 可 視 化(第6章 [デー タ提 供:坂.ヒ 仁 志,兵 庫 県立 大学]
参 照)
口 絵7.1
Teddyの
操 作 の 例(左)と
モ デ リ ン グ 例(右)(第7章
口 絵7.2
Voodoo
CopyrightQRandy Mellon
口 絵7.3
World‐in‐miniature (第7章
参 照)
[Copyright C Randy Pausch, Carnegie Mellon
University.
許 諾 を 得 て 掲 載]
University.許
参 照)
dolls(第7章 Pausch,
Carnegie
諾 を 得 て 掲 載]
参 照)[
口 絵7.4 3人 以 上が 同 時 に立 体 像 を観 察 で きる よ う に した例(第7章
口 絵7.5 キ ュ ー ビ ッ ク マ ウ ス の 使 用 例(第7章 [ CopyrightC IMK,
Bernd
St. Augustin,
口 絵7.6
Germany,許
Sciences
諾 を得 て 掲 載1
YoYo(第7章
[ CopyrightCAndreas Art and
参 照)
Frohlich,Fraunhofer
Design
the Academy
of the University
Northwestern
許 諾 を得 て 掲 載]
参 照) Simon,
of Applied
Sweitzerland.
of
参 照)
口 絵7.7
CAT(第7章
[CopyrightC
Martin
口 絵8.1
参 照) Hachet,
Iparla
project/LaBR].INRIAI.許
諾 を得 て掲 載]
レイキ ャス テ ィ ング法 の 空 の表 示へ の 応 用 例(第8章 参 照) Y.Dobashi,
T.
atmospheric
scattering
SIGGRAPH/EUROGRAPHICS 2002(2002)より].
Nishita,
T.
Yamamoto.:"lnteractive
effects
using
rendering
graphics
Workshop
hardware",In on
Graphics
of Proc.
Hardware
of
まえがき
コ ンピ ュー タ グ ラ フ ィ クス(以 下CG)の 研 究 が 開始 され て40年 近 くが経 過 し ま した 。CGは
近 年,教 育,産 業(製 品設 計,建 築,照
学 ・自然 科 学,ゲ れ,イ
明,景 観 評価 な ど),医
ー ム ・映画 な どの エ ン ター テ イ ン メ ン トな どに広 範 に応 用 さ
ン ター ネ ッ ト技 術 と並 んで,わ れ わ れの 日常 生 活 に 不 可 欠 な技 術 と な っ
て きま した 。 最 近 の トレ ン ドで あ る,ブ ロー ドバ ン ド,Web3D,モ
バ イ ル,携
帯 電話 の いず れ に も画 像 や 映 像 に 関 連す る要 素技 術 は 必要 で あ り,こ れ らの テ クノ ロ ジー に向 け た コ ンテ ン ツ作 成 にお いてCGは
重要 な役 割 を果 た して きて い
ます 。 また,関 連 ハ ー ドウ ェア ・ソ フ トウ ェア の著 しい進 歩 がCG研
究 者 の裾 野
を拡 げ た結 果,関 連 す る国 際 会議 で も投 稿 数 が急 速 に増 加 してお り,近 年 の こ の分 野 の進 展 は 目覚 しい ものが あ ります 。 1972年 の創 設 以 来,画
像 関 連 分 野 の 学 問 ・技 術 の発 展 に30年 間 以 上 貢 献
して きた 画 像 電 子 学 会 に も,1994年
にCGを
専 門 とす る グ ル ー プ が 加 わ り ま
した。 こ の グ ル ー プ は,「 ビ ジ ュ ア ル コ ン ピ ュー テ ィ ング研 究 委 員 会 」 と称 して活 動 を始 め ま した 。 ビ ジ ュ ア ル コ ン ピュ ー テ ィ ン グ(以 下VC)と 念 は,CGにCV(コ
ン ピ ュ ー タ ビ ジ ョ ン)を 組 み 合 わ せ,人
い う概
間 が 行 う視 覚 情
報 処 理 の統 合 的 な枠 組 み に 迫 ろ う とす る とい う もの です 。 毎 年6月 に 開 催 さ れ るVCシ
ンポ ジ ウ ム は,論 文 採 択 の 競 争 率 も特 に厳 し く,年 次 大 会 を除 け
ば,発 表 数 も 同学 会 主 催 の 会 議 の 中 で 最 多 を 記 録 して い ます 。 ま た年1回 の 学 会 誌 のVC論
文 特 集 号 も本 年 で12回
さ らに,黎 明期 か らCG界 SIGGRAPHか
らSteven
目 を迎 え ま した。
を牽 引 して きた功績 に よ り,西 田 は2005年,ACM
A.Coons
Award(歴
代12人 目,ア ジ ア初)を 授 か りま
した。そ れ を機 に本 年 画 像電 子 学 会 で は,西 田賞 が創 設 され ま した 。これ は2年 に 1人,同
学 会 誌 に掲 載 され たVC関
係 の優 秀 論 文 に最 も貢 献 した 著者 に対 して 与
え られ る もの です 。 この よ うに 日本 に お け るCG研 究 も国 際 的 に評価 され る よ う にな り,国 内 の諸 学 会 で もCGの 位 置づ け は ます ます高 まっ て きて い ます。 本 書 は,画 像 電 子 学 会 誌(第33巻 員 会 の 委 員 を 中 心 に,CGに
第4‐B号,2004年)に
お い て,VC研
よ る 画 像 合 成 の 側 面 に重 点 を お い たVCの
究委 技術
解 説 を行 い,か つ そ れ を も とに 開 催 した セ ミナ ー の 反 響 が 大 き か っ た こ と か
ら,書 籍 化 す る運 び と な っ た もの で す 。 専 門家 を対 象 と した解 説 論 文,セ ナ ー 資 料 を も と に して い ます の で,基
ミ
礎 的 な事 項 を網 羅 す る こ と よ り も,先
端 的 な技 術 の 現 況 を 提 供 す る こ と を重 視 して ま とめ て あ ります 。 新 た に 第1 章 に 基礎 的 知 識 を追 加 し,一 定 の 自己 完 結 性 も果 た し ま した が,よ
り丁 寧 に
勉 強 す る た め に は,本 書 の 多 くの 執 筆 者 が 関与 して ま とめ られ たCG‐ARTS 協 会 発 行 のCGエ
ンジ ニ ア 向 け テ キ ス ト 「コ ン ピ ュ ー タ グ ラ フ ッ クス 」(2004
年)な どを ご参 照 くだ さい 。 CGは
大 別 し て,形 状 を 生 成 す るモ デ ル リ ン グ,可 視 面 を 抽 出 して 陰 影 付
けす る レ ンダ リ ン グ,お よび ア ニ メ ー シ ョ ンの3ス テ ップ か ら構 成 され ます 。 本 書 で は 特 に,モ デ リ ン グ(第2章)で 割 曲面,陰 照 明(ラ
は パ ラ メ ー タ化 と再 メ ッ シュ 化,細 分
関数 曲 面 に よ る 点群 モ デ リ ン グ,レ ジ オ シ テ ィ と フ ォ トンマ ッ ピ ン グ),イ
テ ク ス チ ャ生 成,ア
ニ メー シ ョン(第4章)で
ン ダ リ ン グ(第3章)で
は大 局
メー ジベ ー ス レ ンダ リ ン グ,
はキ ャラクターアニメー シ ョン
にそ れ ぞ れ 重 点 を お い て,各 技 術 の最 新 動 向 を わ か りや す くま とめ ま した 。 また,新 うCG画
た なCG関
連技 術 と して,イ
像 生 成(第5章),CGを
援 用 して 各 種 の デ ー タ を視 覚 化 す る ビ ジ ュ
ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン(第6章),視 ン タ ラ ク シ ョ ン(第7章)に
ラ ス トや 絵 画 の よ うな 強 調 や省 略 を伴
覚 を通 じた 人 間 と コ ン ピュ ー タ との 間 の イ
つ い て も紹 介 して い ます 。 さ らにCGの
あ らゆる
側 面 に影 響 を与 え つつ あ る,ハ ー ドウ エ ア を駆 使 した リ ア ル タ イ ム レ ン ダ リ ン グ も第8章 に独 立 させ て 解 説 して い ます 。 各 章 を 分 担 い た だ い た 執 筆 者 の 皆 様 に は,お 忙 しい な か 原 稿 を準 備 い た だ き,た いへ ん お 世 話 に な りま した 。 ま た,最 後 ま で辛 抱 強 く編 集 を ご担 当 い た だ い た 東 京 電 機 大 学 出版 局 の徳 富 亨 氏 に こ の 場 を借 りて 厚 く御 礼 申 し上 げ ます 。 本 書 が,読
者 の 方 々 の 日 頃 の研 究 や 業 務 に 何 らか の 貢 献 が で きれ ば,監 修
者 と して 望外 の 幸 せ で す 。
2006年7月
東京大学大学院 埼玉大学大学院
西 田友是 近藤 邦雄
東 北大学流体 科学研 究所
藤代 一成
目
次
まえが き…(西田友是,近 藤邦雄,藤 代一成) i
第1章 1.1
ビ ジ ュア ル コン ピ ュ ー テ ィ ン グ入 門…(乃 万 司)
1
は じ め に
1
1. 2
ビ ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ の 原 理
1
1.3
モ デ リ ン グ
3
1.4 2次 元 座 標 変 換
7
1.5 3次 元 座 標 変 換
10
1.6
ビュ ー イ ング パ イ プ ラ イ ン
12
1.7 投 影
16
1.8
隠面消去
22
1.9
レ ン ダ リ ング
25
1.10 実 写 画像 の 利 用 1.11
28
ア ニ メ ー シ ョ ン
29
1.12 ビ ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ に お け るMVC
第2章
モ デ リ ン グ…(金 井
30
崇,高 橋 成 雄)
33
2.1 は じ め に
33
2.2 メ ッ シ ュ モ デ リ ン グ
35
2.3 細 分 割 曲 面 モ デ リ ン グ
41
2.4 点 群 と陰 関 数 曲面
第3章 レン ダ リ ン グ…(金 田和 文,新 谷 幹 夫,西 3.1 は じ め に 3.2 シ ェ ー デ ィ ン グ
50
田友 是)
61 61 61
3.3 シ ェ ー デ ィ ン グ モ デ ル
66
3.4 画 像 を 利 用 し た レ ン ダ リ ン グ
74
第4章
ア ニ メ ー シ ョン…(栗 原 恒 弥)
87
4.1 は じ め に
87
4.2 キ ャ ラ ク タ の 動 き
88
4.3 キ ャ ラ ク タ の 形 状 モ デ リ ン グ
4.4 キ ャ ラ ク タ の 変 形
94
4.5 顔 の ア ニ メ ー シ ョ ン
98
4.6 頭 髪 の ア ニ メ ー シ ョ ン
4.7 衣 服 の ア ニ メ ー シ ョ ン
第5章
NPR…(斎
93
100
藤 隆 文,近 藤 邦 雄)
101
107
5.1 は じ め に
107
5.2 NPR手
107
法の分類
5.3 対 話 的 描 画 に よ るNPR
110
5.4 2次 元 画像 に基 づ く 自動 描 画
114
5.5 3次 元 情 報 の 利 用
116
5.6 動 画 像 生 成 に お け る 連 続 性
120
5.7 形 状 の デ フ ォ ル メ
122
第6章 ビ ジ ュア ラ イ ゼ ー シ ョ ン…(藤 代 一 成,茅
暁 陽)
125
6.1 ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン の 目 的 と 意 義
125
6.2 デ ー タ ー フ ロ ー パ ラ ダ イ ム と分 類 学
6.3 SV研 究 開発 の 動 向 6.4 情 報 可 視 化 6.5 リ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン
第7章
イ ン タ ラ ク シ ョ ン…(五 十 嵐 健 夫,北 村 喜 文)
7.1 は じ め に
127
129 136
138
143 143
7.2 グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス
143
7.3 例 示 予 測 イ ン タ フ ェ ー ス
145
7.4 ス ケ ッチ イ ン タ フ ェ ー ス
148
7.5 実 世 界 指 向 イ ン タ フ ェ ー ス
151
7.6 3次 元 ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス 7.7 バ ー チ ャ ル リ ア リ テ ィ
第8章
GPUに
8.2 グ ラ フ イ ッ ク ス ハ ー ドウ ェ ア 8.3 プ ロ グ ラ マ ブ ルGPU
索
156
よ る リアル タイ ム レンダ リン グ…(柿 本 正 憲,土 橋 宜 典) 165
8.1 は じ め に
8.4 GPUに
153
よる リ ア ル タ イ ム レ ン ダ リ ン グ
165 167 175 181
8.5 シ ェ ー デ ィ ン グ と ラ イ テ ィ ン グ
182
8.6 ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ
191
引
199
第1章 ビ ジ ュアル コ ン ピ ュー テ ィ ン グ入 門
九州工 業大学情 報工学部
1.1 CGを
乃 万 司
は じめ に 中 心 とす る ビ ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ は,過 去 数 十 年 の 間 に 著
しい 進 歩 を とげ て き た。 そ の た め,基 礎 技 術 と先 端 技 術 の 間 にか な りの 開 き が 生 じ,初 心 者 が 先 端 技 術 の 本 質 や 必 要 性 を 理 解 す る こ とが 困 難 に な りつ つ あ る 。 本 章 は,画 像 を生 成 す る原 理 を解 説 す る と と もに,な ぜ よ り進 ん だ 技 術 が 求 め られ る よ うに な っ て きた か を 明 らか に し,本 書 の2章 以 降 の 理 解 を 助 け る こ と を 目的 と して い る。
1.2 ビジ ュアル コン ピ ューテ ィングの原理 従 来 のCG技
術 は 主 に,写 真 と見 分 け が つ か な い ほ ど写 実 的 な(フ ォ ト リ
ア ル(photoreal)な)画
像 を生 成 す る こ と を 目標 と して きた 。 そ こ で本 節 で
は,実 世 界 で 写 真 を撮 影 す る場 合 と比 較 対 照 しな が ら,画 像 を生 成 す る に は どの よ うな処 理 が 必 要 で あ るか を 考 えて み よ う。 まず,図1.1の
よ う に,現 実 の 世 界 で 写 真 を撮 影 す る場 合 を考 え よう。 カ メ
ラ の フ ィル ム や デ ィ ジ タ ル カ メ ラ の撮 像 素 子(CCDな を 向 け た方 向 か ら届 く光 で 決 ま る 。 た と え ば,フ れ る光 の 明 る さ(色)は,レ
ど)に 映 る像 は,レ ィル ム 面 上 の 点Aで
ンズ を通 した 延 長 線 上 の 点Bの
ンズ
記録 さ
明 る さで あ る*1。
*1こ こで は ,半 透 明な物体 は考慮 しない。雲や霧など半透明な物体にはもう少 し複雑 な議 論が必要である1)。また,点Bか ら点Aへ の光は,レ ンズで向きが変わる。
図1.1 現 実 世界 で の写 真 の撮 影
ま た 点Bが D2,D3な
自分 で 発 光 して い な け れ ば,点Bの ど)か ら点Bに
明 る さ は,他
の物 体(点D1,
どれ だ け の 光 が 届 くか と,そ れ らの 光 が 点Bで
点A
の 方 向 に どれ だ け反 射 す るか で決 ま る。 この よ う な光 の や りと りを正 確 に 計 算 で きれ ば,フ
ィ ル ム 面 上 の 各 点 の 明 る さ をす べ て 正 確 に 決 定 で き,写 真 と
同 じ画 像 を生 成 す る こ とが で きる は ず で あ る。 フ ォ トリ ア ル な画 像 生 成 で は,上 の よ う な実 世 界 で の光 の や り と りを,コ ン ピ ュ ー タ上 で な るべ く正確 に シ ミュ レー トす る こ と に よ っ て,写 実 的 な 画 像 を生 成 し よ う とす る。 そ の た め に は以 下 の4種 類 の 処 理 が 必 要 で あ る。 (1) 物 体 の 形 状 を 定 義 す る(モ デ リ ング)。 (2) 物 体 の形 状 を カ メ ラの 位 置 か ら見 え る形 に 変換 す る(投 影)。 (3) カ メ ラか ら見 て 最 も手 前 の 物 体 を 選 択 す る 。 た と え ば 図1.1に お い て, カ メ ラ か ら点Bの
方 向 を見 る と(点Cで
は な く)点Bが
見 え る こ と を判
断 す る(隠 面 消 去)。 (4) 物 体 の 表 面(た とえ ば 点B)に 特 定 の 方 向(た と え ば点Aの ダ リ ン グ*2,シ
どれ だ け の 量 の 光 が 届 き,ま た そ の 光 が 方 向)に ど れ だ け反 射 す るか を 求 め る(レ ン
ェー デ ィ ン グモ デ ル)。
こ れ ら4種 類 の 処 理 は お お む ね この 順 序 で処 理 さ れ,そ れ ぞ れ の 処 理 に よ っ *2(広 義の)レ ンダ リングには隠面消去 も含むが ,本 書で は光のや りと りに関す る話題 に 限るこ とにす る。
て 口絵1.1に 示 す よ う な画 像 が 得 られ る 。 以 下 の 節 で は,こ
れ らの 処 理 を 順
に解 説 す る 。
1.3
モ デ リング
図 形 の 形 状 を数 値 的 に 記 述 す る こ と をモ デ リ ング(modeling)と の 形 状 の デ ー タ を形 状 モ デ ル(geometric 1.3.1
mode1)と
よ び,そ
よぶ 。
モ デ リング の 原理
図1.1に お い て,レ
ンズ を 通 っ て フ ィル ム 面 上 に届 く光 は,物 体 の 表 面 で 反
射 し,直 進 して*3カ メ ラの レ ンズ に届 く。 した が っ て,3次
元図形のモデ リン
グで は,ど こ に どの よ う な形 状 で 表 面 が存 在 す るか を記 述 す る必 要 が あ る。 3次 元 図 形 の 最 も基 本 的 な モ デ リ ング 法 は,物 体 の表 面 を構 成 す る ポ リ ゴ ン(polygon,多
角 形)の 集 りを 記 述 す る 方 法 で あ る 。 た と え ば 図1.2で は,
座 標 系 の 中 で 点A∼Jを
定 義 し,そ れ らの 点 を用 い て4個 の ポ リ ゴ ンを 定 義
して い る。 口 絵1.1の(a)は,球
と三 角 形 の 形 状 モ デ ル を 頂 点 間 の線 で 表 示 した 例 で
あ る*4。 球 面 は,多 数 の ポ リゴ ンの 集 り と して 表 さ れ て い る。 1.3.2
モ デ ル の種 類
3次 元 の 形 状 モ デ ル に は 一 般 に,ワ ル,ソ
イ ヤ フ レ ー ム モ デ ル,サ ー フ ェ ス モ デ
リ ッ ドモ デ ル の3種 類 が あ る。 ワ イ ヤ フ レー ム モ デ ル と は,図 形 の頂
点 と そ れ ら を結 ぶ 稜 線 の み を 記 述 す る モ デ ル で あ り,面 の 情 報 を 持 た な い 。 サ ー フ ェ ス モ デ ル と は,図 形 を構 成 す る面 を記 述 す るモ デ ル で あ り,面 が ど こ に あ る か は わ か る が,物 体 の 内 外 の 区 別 は で き ない 。 ソ リ ッ ドモ デ ル は, 面 の 情 報 と と も に,物 体 の 内 外 が 区別 で き るモ デ ル で あ る。 上 の 分 類 に よれ ば,図1.2の
モ デ ル は サ ー フ ェ スモ デ ル に相 当 す る。
代 表 的 な ソ リ ッ ドモ デ ル の 表 現 方 法 に は,物 体 を構 成 す る面 を(内 外 が わ か る よ う に)記 述 す る 方 法(境 界 表 現)と,基 述 す る方 法(CSG表
現)と
が あ る 。CSG表
本 的 な 図 形 を組 み 合 わせ て 記 現 で は,図1.3の
*3蜃 気 楼 の よ う に空気 の屈 折 率 が異 な る場 合 は 除 く。 *4こ の よ うに頂 点 間の 線 で表 示 す る方 法 を ワ イヤ フ レー ム表 示 と よぶ。
よ う に,直 方
図1.2
ポ リゴ ンに よるモ デ リ ング
図1.3 CSGに
体 や 円柱,球
よる 図形 の 定 義
な ど プ リ ミテ ィブ とよ ば れ る基 本 的 な 図 形 を,集 合 演 算 に よ っ
て 組 み 合 わ せ て 図 形 を定 義 す る。 集 合 演 算 と は,図 形 を空 間 内 の 点 の集 合 と み な した と き に,そ れ らの点 の 集 合 に対 して和 集 合,積 る 演 算 の こ とで,こ
集 合,差
集 合 を求 め
の 集 合 演 算 を順 次 適 用 して い くこ とに よ っ て,求
める図
形 を定 義 す る 。 1.3.3
モ デ リン グ の展 開
実 際 の 画 像 生 成 で 用 い られ る形 状 モ デ ル は,図1.2よ る。 そ こで,モ
デ リ ング の 手 間 を軽 減 す るた め に,次
りは る か に複 雑 で あ の よ う な研 究 が な され
て きた。 (1) モ デ リ ング用 ソ フ トウ ェ ア(モ デ ラ)の 操 作 性 を向 上 させ る。 た と え ば, 2次 元 の ス ケ ッ チ に よ っ て3次 元 の 形 状 モ デ ル を 入 力 で き る よ う に す る。 (2) 実 物 の オ ブ ジ ェ ク トの 形 状 を実 測 し,そ の 実 測 デ ー タか ら形 状 モ デ ル を作 成 す る。 (3) 複 雑 な 形 状 モ デ ル を 手 続 きに よ っ て(半)自 動 的 に作 成 す る。 た と え ば, 全 体 と部 分 の 形 状 が 相 似 で あ る 図 形 を フ ラ ク タ ル 図 形 と よぶ が,山
岳
地 形 を こ の フ ラ ク タ ル図 形 と み な して モ デ ル を 手 続 き的 に 生 成 す る こ とが で き る 。 ま た,火,煙,雲 の 物 体 を,確
な どの よ う に,自
然 界 の 不 規 則 な形 状
率 的 に 動 く微 小 な粒 子 の 集 ま り と して 表 現 す る場 合 もあ
る 。 こ の 手 法 をパ ー テ ィ ク ル シス テム と よ ぶ 。 本 書 の7章 で は(1)の,2章
で は(2)の 話 題 をそ れ ぞれ 扱 って い る。 また,4章
で紹 介 す る よ うに,ア ニ メ ー シ ョ ンで は形 状 モ デ ル を変 形 させ る必要 が あ る。 また,物 体 が 画 面 上 で表 示 され る大 き さに よ っ て,そ の物 体 を どの 程 度 詳細 に モ デ リ ング す べ きか が 異 な る。 この 様 々 な詳細 度 をLOD(Levels と よび,2章 1.3.4 CGに
の 図2.3,2.4,2.5は,い
ず れ も異 な るLODの
of Detail)
例 を示 してい る。
曲線 と曲 面 お け る 曲 線 や 曲 面 は,制 御 点 と よ ば れ る い くつ か の 点 の 位 置 に よ っ
て,曲 線 や 曲 面 全 体 の 形 状 が決 ま る よ う な式 が 用 い られ て きた。 た と え ば,(n次)ベ
ジエ 曲線 とは,バ ー ンス タ イ ン基 底 関 数
(1.1)
と,制
御 点Q0,…,Qnを
用 いて
(1.2)
と 定 義 さ れ る 曲 線 で あ る。 パ ラ メ ー タtが0か P(t)は 点Q0か
ら1ま で 変 化 す る に つ れ て,
らQnま で動 く。 バ ー ン ス タ イ ン基 底 関 数Bi,n(t)の
よ うな関
数 は,制
御 点 の 座 標 を 混 合 す る は た ら き が あ る の で,混
同 様 に,二 つ の パ ラ メ ー タs,tを Q0,n,Q1,0,…,Qn,nを
用 い て,(n+1)2個
用 い て(双n次)ベ
合 関 数 と よ ば れ る。
の 制 御 点Q0,0,Q0,1,…,
ジエ 曲 面
(1.3)
を 定 義 す る こ とが で き る(図1.4)。 しか し,ベ ジエ 曲線 や 曲面 で は,0<t<1に
お い てBi,n(t)≠0で
ある こ
とか ら,あ る制 御 点 を 動 か す と,そ の 影 響 は 曲線 や 曲 面 全 体 に 及 ぶ 。そ こで, 混 合 関 数 と し てBス
プ ラ イ ン基 底 関 数 を用 い る と,制 御 点 の 影 響 は 曲線 や
曲 面 の 一 部 分 に 限 ら れ る よ う に な る 。 こ の よ う な 曲線(曲 面)を,Bス
プラ
イ ン 曲線(曲 面)と よぶ 。 ス プ ラ イ ン 曲線 と は も と も と,複 数 の 多 項 式 曲 線 を な め らか に接 続 した 曲 線 の こ とで あ り,Bス
プ ラ イ ン 曲線 も 同 様 で あ る。
こ の 点 で,全 体 が 単 一 の多 項 式 で表 現 され たベ ジエ 曲 線 と は異 な っ て い る 。 な お,曲 面 の 表 現 方 法 に は 他 に も,中 心 か らの距 離 で 濃 度 が 決 ま る球 を複 数 個 用 い て 濃 度 分 布 を作 り,そ の 等 値 面 と して 曲面 を 定 義 す る メ タボ ー ル の よ うな 陰 関 数 曲面 や,多 面 体 の 面 を再 帰 的 に分 割 して な め らか な 曲面 を得 る 細 分 割 曲 面 な どが あ る。 こ れ ら は2.3節 お よ び2.4節 で 扱 わ れ て い る 。
図1.4 双3次 ベ ジエ 曲面 の例(破 線 は制 御 点 を結 んだ 線)
1.4
2次
元 座標 変換
モ デ リ ン グ に よ っ て 形 状 を 定義 した 後 に,そ
の 形 状 を カ メ ラ(視 点)か ら
見 た 形 状 に変 換 す る必 要 が あ る。 こ の 処 理 は,CGに
お い て す で に確 立 され
た 分 野 で あ り,本 書 の2章 以 降 で も取 り上 げ ら れ な い が,3次 な 基 礎 で あ る た め,1.4節
元CGの
重要
か ら1.7節 ま で の4つ の 節 を費 して 説 明 す る 。
3次 元 の 画 像 生 成 に は3次 元 座 標 変 換 が 用 い られ る が,ま ず 本 節 で は そ の 基 礎 と して,2次 1.4.1
元 座 標 変換 を説 明す る 。
基本変換
幾 何 学 的 変 換 は,平
行 移 動,拡
大 ・縮 小,回
転 な ど の 基 本 変 換*5お よ び
そ れ らの 組 合 せ と して 表 さ れ る。 以 下 の 説 明 で は,あ 形 の個 々 の)点(x,y)を ま ず,3種
る座 標 系 の 上 で,(図
点(x',y')に 変 換 す る もの とす る。
類 の 基 本 変 換 を考 え て み よ う。x,y各 軸 方 向 に そ れ ぞ れtx,tyだ
け移 動 させ る平 行 移 動 は,
(1.4)
と 表 さ れ る(図1.5(a))。
次 に,図
形 を 原 点 中 心 にx,y各
sx ,sy倍 だ け 拡 大 ・縮 小 す る 変 換(た だ し,sx,sy>1の
軸方 向 にそ れぞれ
場 合 は 拡 大 を,sx,sy<
1の 場 合 は 縮 小 を 表 す 。)は,
(1.5)
と 表 さ れ る(図1.5(b))。
最 後 に,原
点 を 中 心 に 点(x,y)を
反 時 計 回 り*6に 角
度 θだ け 回 転 さ せ る 変 換 は,
(1.6)
と表 さ れ る
(図1.5(c))。
*5基 本 変換 に は他 に
,鏡 映 や ス キ ュー(歪 ませ る変 換)を 含 め る こ と もあ る が,本 書 で は
省 略す る。 *6こ こ で は,x軸
の 正方 向 を右 向 き,y軸 の正 方 向 を上 向 き と して い る。
図1.5
2次 元 図 形 の 基 本 変 換(こ の 図 の 平 行 移 動 は(tx,ty)=(3,1),拡 縮 小 は(sx,sy)=(2,3),回
1.4.2
転 は θ=60度
大 ・
で あ る)
同 次 座 標 と合 成 変 換
前 項 で 紹 介 した基 本 変換 は,単 独 で 用 い る だ け で は な く,い
くつ か の 変換
を順 に 適 用 す る こ とが多 い 。 しか し,前 項 の よ う に通 常 座 標 の ま ま変 換 を扱 う と,拡 大 ・縮 小 と回転 は そ れ ぞ れ 行 列 の積 で 表 せ るの に対 し,平 行 移 動 は ベ ク トル の 和 の 形 で表 さ ざ る を得 な い 。 こ の よ う に表 現 形 式 が 異 な る と,異 な る種 類 の 変換 を適 用 す る場 合 に不 便 で あ る こ とは容 易 に想 像 で きる だ ろ う。 そ こ で,幾 何 学 的変 換 は ふ つ う同 次 座 標(homogeneous い て表 現 す る 。 同 次 座 標 と は,通 常 座 標(x,y)を,実 用 い て(wx,wy,w)と w =1と
表 す 座 標 で あ る 。wの
し,(x,y)を(x,y,1)と
coordinates)を
数w(た
用
だ しw≠0)を
値 は 任 意 で あ る が,ふ
つ うは
書 く。 同 次 座 標 を用 い る と,前 述 の平 行 移 動,
拡 大 ・縮 小,回 転 はすべ て 以 下 の よ うに行 列 の 積 と して 表す こ とが で き る*7。
*7同 次 座標 を用 い る と平 行 移動 も行列 の 積 で表 せ る よ うに なる理 由 は文 献2)を 参 照 の こ と 。
平行移動
(1.7)
(原点 中 心 の)拡 大 ・縮 小
(1.8)
(原点 中心 の)回 転
(1.9)
1.4.3
2次 元 座 標 系 に お け る 合 成 変 換
前 項 で触 れ た よ う な,複 数 の 変 換 を順 に 適 用 す る変 換 を合 成 変 換(composite
transformation)と
よ ぶ 。 た と え ば,点〓
行 う と,点〓
に 変 換A1,A2,A3を
順 に
に 変 換 され る。
こ の よ う に,変 換 と よ び,An…A2A1と
換A1,A2,…,Anを
順 に 行 う 変 換 をA1,A2,…,Anの
書 く。 同 次 座 標 を 用 い る 利 点 は,こ
合 成変
の ように任 意
の 合 成 変 換 を一 連 の 行 列 の 積 の形 で 表 せ る点 に あ る 。 合 成 変 換 の 一 例 と し て,任
意 の 点(x0,y0)を
て み よ う 。 こ れ は 順 に(1)点(x0,y0)が 中 心 にx,y各
軸 方 向 に そ れ ぞ れ そ れ ぞ れsx,sy倍
が 再 び 点(x0,y0)に
中 心 と す る 拡 大 ・縮 小 を 考 え
原 点 に な る よ う 平 行 移 動 し,(2)原 だ け 拡 大 ・縮 小 し,(3)原
な る よ う 平 行 移 動 す れ ば よ い の で,式
点 点
で 表 す と次 の よ う
になる。
(1.10)
な お,合 成 変換 で は変 換 の順 序 を入 れ換 え る と一 般 に は 同 じ変 換 に な らな い 。 す な わ ち,A1A2≠A2A1で 1.4.4
ある。
2次 元 ア フ ィ ン 変 換
本 節 で 扱 っ た幾 何 学 的 変 換 は,
(1.11)
とい う一 般 形 で 表 す こ とが で き る。 こ の よ う な座 標 変 換 を2次 元 ア フ ィ ン変 換(affine transformation)と
よぶ。
2次 元 ア フ ィ ン変換 の 合 成 変 換 も必 ず2次 元 ア フ ィ ン変 換 に な る。 ま た直 線 は 直 線 に 変 換 さ れ,直 線 上 の 点 の比 は保 存 され る。 直 線 が 直 線 に 変 換 さ れ る の で,線 分 や ポ リゴ ン を幾 何 学 的変 換 す る場 合 は,そ
の端 点 や 頂 点 の み を
幾 何 学 的 変 換 し,変 換 後 の 点 の 間 を 直 線 で 結 ぶ だ け で よ い。
1.5
3次 元座 標変換
本 節 で は,3次
元 座 標 系 お よ び そ の 上 で の 幾 何 学 的 変 換 に つ い て,3次
元
の 同 次 座 標 を 用 い て 説 明す る 。 1.5.1
同次 座 標 と基 本変 換 の行 列 表 現
2次 元 の 場 合 と同様 に,3次 3次 元 の 場 合 は,通 (wx,wy,wz,w)と
元 の 幾 何 学 的 変 換 を表 す に も同次 座 標 を用 い る。
常 座 標(x,y,z)を,実
表す 。3次 元 で も本 節 で はw=1と
す る*8。 *81.7節 で はw≠1の
数w( た だ しw≠0)を
場 合 を扱 う。
用 いて
し,(x,y,z)を(x,y,z,1)と
2次 元 の 場 合 と同 じ く,3次 平 行 移 動 図 形(点)を,x,y,z各
元 に お い て も以 下 の よ う な 基 本 変 換 が あ る。 軸 方 向 に そ れ ぞ れtx,ty,tzだ け 移 動 させ る
変 換 は次 の よ う に表 さ れ る 。
(1.12)
(原 点 中 心 の)拡 大 ・縮 小 図 形 を 原 点 中 心 にx,y,z各
軸 方 向 に そ れ ぞ れsx
,sy,sz倍 だ け 拡 大 あ る い は縮 小 す る変 換 は次 の よ う に表 さ れ る 。
(1.13)
(x,y,z軸
中 心 の)回 転 3次 元 変 換 の 回 転 は,回
な る 。x,y,z各
転軸 に よって異 なる変換 に
軸 中 心 に,各 軸 の 正 の 方 向 か らみ て 反 時 計 回 り に θ回 転 す る*9
変 換(行 列)を,そ
れ ぞ れRx(θ),Ry(θ),Rz(θ)と
表 す 。 た と え ば,Rx(θ)は
次 の
よ う に な る*10
(1.14)
*9こ こ で は座 標 系 を右 手 系 で 考 えて い る
。 右 手 系 とは,右 手 の親 指,人 差 指,中 指 を直
交 させ た と きの方 向が そ れ ぞ れx,y,z各 軸 の 方 向 と一 致 す る座 標 系 の こ と をい う。 逆 に, 左 手 の 各 指 と方 向 が一 致 す る もの を左 手系 と よぶ 。一 般 に は右 手 系 を用 い る こ とが 多 い 。
〓で あ る。
1.5.2.
3次 元 座 標 系 に お け る 合 成 変 換 と ア フ ィ ン 変 換
2次 元 座標 系 の場合 と同 じく,3次 元 座 標系 にお い て も,変 換Al,A2.…Anを 順 に 行 う合 成 変 換An…A2A1を
定 義 で き る。 た とえ ば,点(x0,y0,z0)を
通り
x軸 に 平 行 な 軸 を 中心 とす る 回 転 は,次 の よ う に 表 され る。
(1.15)
ま た,本 節 で 扱 っ た 幾何 学 的 変 換 は す べ て3次 元 ア フ ィ ン変 換 で あ り,そ の 一 般 形 は次 の 通 りで あ る。
(1.16)
3次 元 ア フ ィ ン変 換 で は,2次
元 と 同様 に,合 成 変 換 は必 ず3次 元 ア フ ィ ン
変 換 に な る。 また,直 線 は 直 線 に変 換 さ れ,直 線 上 の 点 の比 は保 存 さ れ る。
1.6
ビ ュー イ ン グ パ イ プ ラ イ ン
図 形 が 定 義 され,変 換 を受 け て,最 終 的 に 表 示 さ れ る まで の 一 連 の過 程 を, ビ ユ ー イ ング パ イ プ ラ イ ン(viewing
pipeline)*11と
よぶ 。 こ こ で は,ビ
ュ
ー イ ン グパ イ プ ラ イ ンで用 い られ る い ろ い ろ な座 標 系 や そ れ らの 間 の 幾 何 学 的 変 換 に つ い て 説 明 す る。 1.6.1
座 標 系 間の 変 換
1.4節 や1.5節 の説 明 で は,幾 何 学 的 変 換 を,1つ
の 座 標 系 の 上 で 図形(や
そ の 座 標)を 移 動 した り変 形 した りす る 方 法 と み な して い た 。 た と え ば,3 *11変 換 パ イ プ ラ イ ン,出 もあ る。
力 パ イ プ ラ イ ン,グ
ラ フ ィ ック スパ イ プ ライ ン な どと よぶ こ と
次 元 の 平 行 移 動T(tx,ty,tz)は,1.5.1項 (解 釈1)
の説明で は
一 つ の 座 標 系 の 中 で 点(x,y,z)を(tx,ty,tz)だ (x',y',z')と
け平 行 移動 して
す る
と解 釈 して い た。 し か し,本
節 で 説 明 す る ビ ュ ー イ ン グ パ イ プ ラ イ ンで は,た
と え ば,平
行
移 動T(tx,ty,tz)を, (解 釈2) xyz座
標 系 を(−tx,−ty,−tz)だ け 平 行 移 動 し てx'y'z'座
あ る 点 のxyz座
標 系 で の 座 標(x,y,z)を
の 座 標(x',y',z')に
図1.6 xyz座
1.6.2
同 じ点 のx'y'z'座
標 系 で
変 換 す る(図1.6)。
と解 釈 す る 必 要 が あ る 。 次 項 で は こ の よ う に,あ の 変 換 を 繰 り返 し て,最
標 系 を 作 り,
る 座 標 系 か ら別 の 座 標 系 へ
終 的 な 画 像 を得 て い る こ とに 注 意 して ほ しい 。
標 系 か らx'y'z'座 標 系へ の 同 じ点 の座標 値 の 変 換
ビ ュー イ ン グパ イ プラ イ ン
図1.7は,3次
元CGに
おけ る典型 的 な ビューイ ングパ イプ ライ ンを図示
した も の で あ る。図 形 が 定 義 され て か ら実 際 に画 面 上 に 表 示 され る まで に は, い ろ い ろ な座 標 系 を 経 由 し,そ の た び に 座 標 系 間 の 幾 何 学 的 変 換(前 項 の (解 釈2)の 考 え 方 の 変 換)が 適 用 され る。 これ らの 座 標 系 や 幾 何 学 的 変 換 に は 以 下 の よ うな もの が あ る*12。 *12ほ とん どの グ ラ フ ィ ック ス 標 準 や シス テ ム を通 じて基 本 的 な 考 え 方 は共 通 で あ る が
,
用 語 や 細 部 に つ い て は細 か な違 い が あ る。 た と え ば第8章 の 図8.3で は,モ デ リ ン グ座 標 系,カ メ ラ座 標 系 を そ れぞ れ物 体 座 標 系,視 点座 標 系 とよ び,モ デ リン グ変換 と視 野 変換 をあ わせ て1つ の変 換 とみ な してMODELVIEW変
換 とよ んで い る。
図1.7
ビ ュー イ ングパ イ プ ラ イ ン
モ デ リ ン グ変 換 CGで system)と
描 く仮 想 世 界 で は ふ つ う,ワ
ー ル ド座 標 系(world
coordinate
よ ば れ る一 つ の 座 標 系 を設 け,こ れ を そ の 世 界 の 基 準 とす る。
しか し,物 体 の 形 状 を直 接 ワー ル ド座 標 系 で 与 え る と,物 体 が(ワ ー ル ド 座 標 系 内 で)移 動 す る ご と に,座 標 を与 え 直 さ な け れ ば な ら な い 。 そ こで, 物 体 の 形 状 を 定 義(モ デ リ ング)す る座 標 系 を 別 に 考 え,こ 座 標 系(modeling な ど と よ び,モ
coordinate system),ま
れ を モ デ リ ング
た は物 体 座 標 系,ロ
ー カ ル座 標 系
デ リ ン グ座 標 系 か ら ワ ー ル ド座 標 系 へ の 幾 何 学 的 変 換Mを
モ デ リ ング変 換(modeling
transformation)と
よぶ 。 モ デ リ ン グ座 標 系 で 定
義 さ れ た 物 体 を ワ ー ル ド座 標 系 内 で 移動 させ る に は,そ
の モ デ リ ング座 標 系
に対 す るモ デ リ ン グ変 換 を変 化 させ れ ば よい 。 図1.7で 示 す よ う に,モ デ リ ング変 換 は(二 つ の球 の よ う に そ れ ぞ れ の モ デ リ ン グ座 標 系 内 で は 同 じ形 状 で あ って も)ワ ー ル ド座 標 系 内 の物 体 ご とに 必 要 で あ る。 また,モ デ ルが 階 層 的 で あれ ばモ デ リ ング 座標 系 も階層 的 に な る。
視野 変換 ワ ー ル ド座 標 系 で の 目や カ メ ラ の 位 置(こ れ を視 点 と よ ぶ)と 方 向 は,カ メ ラ座 標 系(camera
coordinate
system)ま
系 で 示 さ れ る 。 カ メ ラ座 標 系 は,原 画 像 の 水 平,垂
た は 視 点 座 標 系 と よ ば れ る座 標
点 が 視 点 に,x軸y軸
の方 向 が 最 終 的 な
直 方 向 に*13,視 線 の 方 向(前 方 方 向)がz軸
の負 の方 向に な
る よ う に 定 義 し,ワ ー ル ド座 標 系 か ら カ メ ラ座 標 系 へ の 幾 何 学 的 変 換Vを 視 野 変 換(viewing
transformation)と
され た仮 想 世 界 の 中 で,カ
よ ぶ 。 あ る ワ ー ル ド座 標 系 上 で定 義
メ ラ の位 置 や 方 向 を変 化 させ るに は,ワ ー ル ド座
標 系 に対 す る カ メ ラ座 標 系 の位 置 や 方 向 を変 化 させ れ ば よ く,こ れ に は視 野 変 換 を変 化 させ れ ば よい 。 投影 変換 3次 元 図 形 を デ ィス プ レイ の 画 面 や 紙 な どの 平 面 上 に 表 示 す る た め に は, 3次 元 図 形 の 像 を平 面 に映 る2次 元 図 形 に変 換 す る処 理 が 必 要 で あ る 。 こ れ を投 影(projection)と ら れ る よ う,カ system)に
よ ぶ 。 実 際 に は,投 影 変 換Pは,奥
行 き方 向 の値 も得
メ ラ座 標 系 を3次 元 の 投 影 座 標 系(projection
変 換 す る。 投 影 変換Pも
同 次 座 標 に 対 す る4×4変
coordinate 換 行 列 と して
表 さ れ る が,一 般 に は ア フ ィ ン変 換 で は な く,同 次座 標 のwも1の な い 。 投 影 変 換Pの
ま まで は
具体 的 な 計 算 方 法 は,次 節 で 説 明 す る。
ビ ュー ポ ー 卜変 換 次 節 で述 べ る よ う に,投 影 座標 系 で表 示 され る範 囲 は,x,yが[−1,1]×[−1,1] の範 囲 で あ る。 こ の範 囲 を ウ ィ ン ドウ と よぶ 。 一 方,実
際 に 表 示 さ れ る 画 面 上 の 座 標 系 を デ バ イ ス 座 標 系(device
coordinate
system)と
よ ぶ 。 デ バ イ ス座 標 系 の範 囲 は 実 際 の画 面 の 範 囲 に制
約 さ れ,さ
らに 実 際 に表 示 され るの は,デ バ イス 座 標 系 内 で 指 定 され た 矩 形
内 の み に 限 られ る 。 この 矩 形 を ビ ュー ポ ー ト(viewport)と した が っ て,ウ
ィ ン ドウ の範 囲 が ち ょ う ど ビ ュ ー ポ ー トに収 ま る よ う に変
換 す る 必 要 が あ る 。 こ の 変 換Uを formation)と
ビ ュ ー ポ ー ト変 換(viewport
trans
よ ぶ(図1.8)。
*13こ れ は後 述 す るデ バ イス 座 標 系 のx軸 る。
よ ぶ。
y軸 の 方 向 とそ れ ぞ れ一 致 させ る こ と に相 当 す
図1.8
ビ ュ ー ポ ー ト変 換
全体の変換 上 で 述 べ た 変 換M,V,P,Uは 変 換 行 列 と して 表 され,モ
いず れ も同 次 座 標〓 デ リ ン グ座 標 系 の 点υ は,〓
デバ イ ス座 標 系 の 点〓
に対 す る4×4 に よっ て,
に 変換 さ れ る。 こ れ を 通 常 座 標 で 表
す と〓
で あ る。こ の う ち,(x',y')は
ウ イ ン ドウ 上
での 位 置 を表 す 。 また,z'は 奥 行 きを表 す の で1.8節 の 隠 面 消 去 に 用 い られ る。 口絵1.1(b)は,口
絵1.1(a)の
球 と三 角 形 の 形 状 モ デ ル を指 定 され た視 点
か らの 透 視 投 影 で 表 示 す る よ う,ビ ュ ー イ ン グパ イ プ ラ イ ンの 処 理 を行 っ た 結 果 で あ る。 実 際 の グ ラ フ ィ ック ス シス テ ム に お け る ビ ュ ー イ ン グパ イ プ ラ イ ンの扱 い につ い て は,た
と え ば 文 献3)を 参 照 して ほ しい 。
1.7 投 影 前 節 で 述 べ た よ うに,投
影 変 換 は,3次
元 図 形 を平 面 に映 る2次 元 図 形 と
そ の 奥 行 き情 報 に変 換 す る処 理 で あ る。 代 表 的 な 投 影 法 に は,透 視 投 影 と平 行 投 影 とい う2つ の 方 法 が あ る が,こ こで は 透視 投 影 につ い て のみ 説 明 す る 。 *14こ
こ で は 一 般 座 標(x ,y,z)の
同 次 座 標(wx,wy,wz,w)を(X,Y,Z,W)と
書 く。
1.7.1
透視投影の原理
カ メ ラで 写 真 を撮 る場 合,フ
ィ ル ム や 撮 像 素 子 に映 る像 は,図1.9の
に カ メ ラ の 前 に 平 面 を 置 い て 考 え る と*15,3次
よう
元 物 体 の 各 点 と カ メ ラを 結 ぶ
線 が 平 面 と 交 わ る 点 の 集 りで あ る。 これ を 計 算 で 求 め る 方 法 が 透 視 投 影 (perspective
projection)で
あ る。 カ メ ラ の位 置 を 視 点(投 影 中 心),カ メ ラ
の前 の 平 面 を投 影 面,物 体 の各 点 か らカメ ラ に向 か っ て引 く線 を投 射 線 とよぶ 。 図1.9の よ うに左 手 系*16の 原 点 に視 点 を置 き,た と え ば 平 面z=1を 投 影 面 と し てz軸 の 正 方 向 に 透 視 投 影 す る 。 投 射 線 が 原 点 を 通 る こ と か ら,点 (x,y,z)を 投 影 した投 影 面 上 の座 標(x',y')は,
(1.17)
となる。 図1.9や
式(1.17)か
ら も わ か る よ う に,透
視 投 影 で は,近
く の も の(z値
図1.9 透 視 投 影 の 原理 *15実 物 の カ メ ラで は
,投 影 面 は フ ィル ムや 撮 像 素 子 で あ り,視 点(投 影 中心)よ り後 にな
る 。 しか し,投 影 の計 算 で は 一般 に,視 点 よ り前 に投 影 面 をお く。 *16左 手 系 につ いて は脚注9を 参照 の こ と 。 投 影 の 際 に は,視 点か ら離 れ る ほ どzの 値 が 大 き くな る よ う に,左 手 系 で 考 え るの が一 般 的 で あ る。
が 小 さい も の)が 遠 くの もの(z値 が 大 きな もの)よ り大 き く描 か れ,遠 近 感 が 生 じる。 私 達 の 物 の見 え 方 も一 般 に 透 視 投 影 とみ な され て お り,透 視 投 影 は 写 実 的 な 画 像 生 成,特
に 映 画 や ゲ ー ム な どに 利 用 され る。 しか し,3次
元
空 間内 で平 行 な 線 が,投
影 面 上 で は必 ず しも平 行 で は な くな る た め,物 の 形
を 正 確 に把 握 す る に は あ ま り適 して い な い。 そ の た め,CAD(Computer Aided Design)で 1.7.2
は 平 行 投 影 が 用 い られ る こ とが 多 い*17
ビ ュー ボ リ ュー ム
実 際 の投 影 の 計 算 で は,投
影 面 上 に(辺 が 座 標 軸 と平 行 な)ウ ィ ン ドウ と
よ ば れ る矩 形 を考 え,こ の ウ ィ ン ドウ内 に投 影 され る図 形 の み を描 く。ま た, 近 くの もの か ら無 限 遠 ま です べ て を投 影 す る わ け で は な く,投 影 面 と平 行 に 2つ の面 をお き,そ
の2つ の 面 に挟 まれ た範 囲 の 図形 の み を描 く*18。2つ の
面 の うち,視 点 に近 い も の を 前 方 ク リ ッ ピ ング 面,視 点 か ら遠 い もの を後 方 ク リ ッ ピ ン グ面 と よぶ 。 こ の よ う にす る と,図 形 が 描 か れ る範 囲 は 図1.10の
図1.10
よ う に 六 面 体(四
ビュ ーボ リュー ム とク リ ッ ピ ング
*17平 行 投 影 に つ い て は 文 献2) ,4),5)を 参 照 の こ と。 *18奥 行 き を 有 限 の 範 囲 に 限 定 す る と ,1.8節 で 説 明 す る 隠 面 消 去 が 容 易 に な る。
角
錐 台)の 形 に な る*19。 こ の 六 面 体 を ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム(view
volume)ま
たは
ビ ユ ー フ ラ ス タ ム と よぶ 。 ま た,実
際 の 処 理 で は,ビ
ュ ー ボ リ ュ ー ム か らは み 出 す 図 形 を 削 除 す る 処 理
も 同 時 に 行 う。 こ の 処 理 を(3次 1.7.3
元)ク リ ッ ピ ン グ(clipping)と
透視 投 影 の 計算 法
図1.7の
カ メ ラ 座 標 系 で,以
下 の よ う に ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム を 与 え る 。 まず,
視 点 は カ メ ラ 座 標 系 の 原 点 で あ り,視
線 の 方 向(前 方 方 向)はz軸
で あ る 。 視 点 か ら ウ ィ ン ド ウ ま で の 距 離 をd,ウ 方 向2a,縦(y)方
向2b,さ
の負の方 向
ィ ン ド ウ の 大 き さ を 横(x)
ら に 視 点 か ら前 方 ク リ ッ ピ ン グ 面 と 後 方 ク リ ッ
ピ ン グ 面 ま で の 距 離 を そ れ ぞ れ〓 1.11の
よ ぶ*20(図1.10)。
と す る と,ビ
ュー ボ リュー ムは 図
よ うに な る 。
図1.11 *19簡 単 の た め
,本
書 で はz軸
ビュ ーボ リュ ー ムのパ ラ メー タ
が 必 ず ウ ィン ドウ の 中 心 を 通 る も の と す る 。 図1.10に
おい
て ウ ィ ン ド ウ は 前 方 ク リ ッ ピ ン グ面 と 後 方 ク リ ッ ピ ン グ 面 と に は さ ま れ て い る が,前
方 ク
リ ッ ピ ン グ 面 よ り 視 点 に 近 くて も,あ
る い は 後 方 ク リ ッ ピ ン グ 面 よ り も 視 点 か ら遠 くて も
差 し支 え な い 。 *20ク リ ッ ピ ン グ の 方 法 に つ い て は 文 献2)
,4),5)を
参 照 の こ と。
こ の ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム の 内 部(の
図 形)を 投 影 す る 際 は,以
下 の三 つの 変
換 を 経 る(図1.12)。 (1) 左 手 系 へ の 変 換 カ メ ラ 座 標 系 は 右 手 系 で あ る が,奥 値 が 大 き く な る よ う に す る た め,座
行 き の 値 を 正 に し,視
点 か ら遠 い ほ ど
標 系 を ま ず 左 手 系 に 直 す 。 こ の 変 換 はS
(1,1,−1)で 表 さ れ る(図1.12(1))。 (2) 正 規 化 ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム へ の 変 換 ビ ュ ー ボ リ ュー ム を正 規 化 ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム に 変 換 す る。 透 視 投 影 の正 規 化 ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム は,後 ー ボ リ ュ ー ム の(x に,も
方 ク リ ッ ピ ン グ 面 がz=1に
,yの)範
囲 が ち ょ う ど[−1,1]×[−1,1]の
な り,z=1で
正方形 にな るよ う
と の ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム を 拡 大 ・縮 小 し た も の で あ る*21(図1
し た が っ て,こ
の 拡 大・縮
小 の 変 換 は,〓
(1)右手系 を左 手系に
の ビュ
.12(2))。
と な る。
(2)ビ ュー ボ リ ュー ム を正 規 化
(3)正 規 化 ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム を透視投影
図1.12
透視 投 影 の 計 算 過程(座 標 系 を見 る 方 向 は図1.11を 参 照 の こ と)
(3) 正 規 化 ビ ュー ボ リ ュー ム の投 影 変 換 正 規化 ビュ ー ボ リュ ー ム を透 視 投 影す る に は,〓 *21こ れ は
,頂
点 が 原 点 で,底
面 が4点(1,1,1)(1,−1,1)(−1,−1,1)(−1,1,1)を
方 形 で あ る 四 角 錐 の 頂 点 部 を,平 こ の〓
は(3)で
説 明 され る 。
と す る と き,
面〓(た
だ し〓)で
頂 点 とす る正
切 り取 っ た 形 で あ る 。
(1.18)
と す れ ば よ い*22。 式(1.18)で
通 常 座 標 のx',y'を
求 め る と,
(1.19) とな り,式(1.17)と
一 致 して お り,透 視 投 影 で あ る こ とが わ か る。
結 果 と して,描 画 され る範 囲が〓 れ た 直 方 体(図1.12の
の6平 面 で 囲 ま
最 も右 側)に ち ょ う ど収 ま る よ うな座 標 系 に 変 換 す る。
こ の 座標 系 を投 影 座 標 系 と よぶ 。 した が っ て,上
記 の(1),(2),(3)よ
り,透 視 投 影 の 計 算 は全 体 と して 以
下 の 形 に な る。
(1.20)
1.7.4
射影変換
前 項 で 説 明 し た透 視 投 影 で の 座 標 変 換 は,式(1.18)の 行 が0,0,0,1で
な い た め,3次
行 列〓
の最 下
元 ア フ ィ ン変 換 の 範 囲 を 逸 脱 す る 。 透 視 投 影
を も包 含 す る変 換 を3次 元 射 影 変 換 と よ び,そ の 一 般 形 は 次 の通 りで あ る。
(1.21)
*22こ こ で 同 次 座 標 のwが1以 が 求 ま る。
外 の数 に な る
。 求 め られ たX',Y',Z'をW'で
割 れ ば通 常 座 標
3次 元 射 影 変換 で は,ア
フ ィ ン変 換 と異 な り直 線 上 の 点 の比 は保 存 され な く
な るが,直 線 は 直 線 に変 換 され る とい う性 質 は保 た れ る。 そ の た め,線 分 や ポ リ ゴ ンの端 点 や 頂 点 の み を 幾 何 学 的 変換 し,そ の 間 を直 線 で結 ぶ だ け で 図 形 全 体 の 幾 何 学 的 変 換 が 可 能 で あ る とい う性 質 は 変 わ ら な い。 ま た,Pが
射 影 変 換 で は あ るが ア フ ィ ン変 換 で は な い た め,ビ
パ イ プ ラ イ ン全 体 の 変 換〓
ューイ ング
も ま た 射 影 変 換 で は あ る が ア フ ィ ン変
換 で は な い。
1.8 隠面消去 1.8.1
隠面 消 去 の 原理
実 世 界 で の光 の や りと りを シ ミ ュ レー ト して 画 像 を 生 成 す る に は,た ば,図1.1に
お い て,フ
ィ ル ム 面 上 の 点Aに
は,点Cで
は な く点Bの
とえ
明る さ
(色)が 映 る と い う こ と を計 算 で き な け れ ば な らな い。 この よ う な処 理 に よ っ て,手 前 の物 体 で 隠 され る奥 の 面 は適 切 に消 去 され るの で,こ 理 を 隠 面 消 去(hidden‐surface 隠 面 消 去 は,上 に,レ
removal)と
の よ う な処
よぶ 。
で述 べ た 原 理 の 通 りに 行 う こ とが で き る。 図1.13の
よう
ンズ の 前 方 に投 影 面 を置 き,そ の投 影 面 上 に 画像 を構 成 す る画 素 を考
え る 。 た と え ば,画
素Aの
明 る さ を 決 め る た め に は,投
を通 る直 線 を伸 ば し,そ れ が 複 数 の 面 と(た と え ば 点Bと と きに は,そ れ ら複 数 の 交 点 の 中 で,最
図1.13
影 中心 か ら画 素A 点Cで)交
差 した
も投 影 中 心 に近 い 交 点 を 「実 際 に 見
レイ トレー シ ン グ法 に よ る隠 面消 去
え る 」 交 点 と し て,そ カ メ ラ に 入 る 光 線(レ め,レ
の 明 る さ を 画 素 の 明 る さ と す れ ば よ い 。 こ の 方 法 は, イ)を 逆 方 向 に 追 跡(ト
イ ト レー シ ン グ 法(ray
な お,画
tracing
レ ー ス)す
algorithm,光
像 を 線 画 と し て 描 く 時 に は,隠
Zバ
線 追 跡 法)と
よ ぶ*23。
さ れ る 面 の(外 周)線
必 要 が あ る 。 こ の 処 理 を 隠 線 消 去(hidden‐line 1.8.2
る こ と に相 当 す る た
removal)と
を消去 す る
よぶ 。
ッ フ ァ法
実 際 に は レ イ ト レ ー シ ン グ 法 は 隠 面 消 去 に あ ま り 利 用 さ れ ず,Zバ 法(Z‐buffer
algorithm)が
最 も よ く用 い ら れ る 。 画 素 単 位 で 画 像 を 記 録 す る
バ ッ フ ァ を フ レ ー ム バ ッ フ ァ と よ ぶ が,Zバ に,フ
レ ー ム バ ッ フ ァ の 他 に,画
記 録 す るZバ Zバ
ッフ ァ
ッ フ ァ 法 で は,図1.14の
素 単 位 で 奥 行 き値(透
よ う
視 投 影 後 のZ値)を
ッ フ ァ を用 い る。
ッ フ ァ 法 で は,最
期 化 す る と と も に,Zバ
初 に,フ
レー ム バ ッフ ァの 各 画 素 を背 景 色 な ど で初
ッ フ ァ の 各 画 素 を 最 も 大 き な 奥 行 き 値(最
表 す)で 初 期 化 す る 。 図1.14(1)で
は,最
大 の 奥 行 き 値1.0をZバ
も遠 く を ッフ ァ の
す べ て の 画 素 に代 入 して い る。 Zバ
ッ フ ァ 法 で は 図 形 を 描 く際 に,描
にZバ
ッ フ ァ に 入 っ て い る 奥 行 き 値 と を 画 素 ご と に 比 較 し,描
形 の 画 素 の 奥 行 き 値 が す で にZバ れ ば(す
行 き値 よ り も小 さ い た め,フ
こ う とす る 図
レ ー ム バ ッ フ ァ の 画 素 もZバ
こ う と す る 図 形 の 値 で 書 き換 え る 。 図1.14(2)で
と す る 三 角 形 の 奥 行 き 値0.6が
で
ッ フ ァ に 入 っ て い る 奥 行 き値 よ り も 小 さ け
な わ ち 手 前 に あ れ ば),フ
素 も,描
こ う と す る 図 形 の 奥 行 き値 と,す
ど の 画 素 で も 既 にZバ レ ー ム バ ッ フ ァ とZバ
は,新
ッフ ァの画 た に描 こ う
ッフ ァ に入 っ て い る 奥 ッ フ ァで の 画 素 の値 が 更
新 さ れ る*24。 逆 に,描
こ う とす る 図 形 の 画 素 の 奥 行 き 値 が す で にZバ
る 奥 行 き値 よ り も大 き け れ ば(す な わ ち 奥 に あ れ ば)何 *23レ イ トレー シ ング法 に は透 視 投 影 の 計 算 が含 ま れ るた め
ッフ ァ に入 っ て い
も し な い 。 図1.14(3)
,隠 面 消 去 に レイ トレー シ ン
グ法 を用 い る場合 は,前 節 の投 影 変 換 は不 要 に な る。 ま た,隠 面 消 去 法 と しての レイ トレ ー シ ング法 を拡張 して ,物 体 間の 相 互 反 射 な ど を扱 う手 法 も,レ イ トレー シ ング法 と よば れ る6)。 *24こ こ で は簡 単 の た め ポ リ ゴ ンの 奥 行 き値 が どの 画素 で も等 しい と して い るが ,一 般 に は 画 素 ご と に奥行 き値 は 変化 す る。 この よ うな場 合 で も透 視投 影 の射 影 変換 と して の性 質 か ら画素 ご との奥 行 き値 は容 易 に 求 ま り,Zバ
ッフ ァ法 は正 し く機 能 す る。
(1)
(2)
(3)
図1.14
で は,新
Zバ
ッフ ァ法 に よる 隠面 消 去
た に 描 こ う とす る長 方 形 の 奥 行 き値0.8は,三
角 形 が そ の 前 に描 か
れ て い る と ころ で はす で にZバ ッフ ァに 入 って い る奥 行 き値 よ り も大 きい た め 何 も しな い。 この よ うにす れ ば,ど の よ うな順 序 で 図形 を描 い て も正 し く隠面 消 去 され る。 Zバ ッ フ ァ法 は,図 形 の 描 画 順 に 結 果 が 依 存 せ ず,ま た,ア ル ゴ リズ ムが 比 較 的 簡 単 でハー ドウェア化 しやす い た め,現 在 最 も普及 した 隠面 消 去 法 であ る*25。 *25他 の 隠 面 消 去 法
,た とえ ばペ イ ン タア ル ゴ リズ ム な どで は,三 す くみ のポ リ ゴ ンを扱
え ない 問 題 な ど もあ る が,Zバ
ッ フ ァ法 で は この よ うな 問 題 も生 じない 。 ペ イ ン タア ル ゴ
リズ ム や 三す くみ の 問 題 につ い て は文 献2)や4)を
参 照 の こ と。
口 絵1.1(c)は,口
絵1.1(b)にZバ
ッフ ァ法 に よ る 隠 面 消 去 を施 し,球
三 角 形 を面 で 表 示 した 結 果 で あ る。 視 点 か ら見 て 手 前 に あ る球 が,奥
と
にある
三 角 形 の 一 部 を 隠 して い る こ と に注 意 して ほ しい 。 1.8.3
隠面 消 去 の 展 開
CGの
要 素 技 術 の 中 で,隠
面 消 去 は,す
野 で あ る 。 しか し実 際 に は,5.5.3項 ン ダ リ ング技 法 の 開 発 に伴 い,新
で に手 法 が 確 立 した 「枯 れ た 」 分
に 示 す よ う に,新
しい モ デ リ ン グ や レ
しい 隠 面 消 去 法 や 既 存 の技 術 の 新 しい 適用
法 が 求 め られ る こ と も多 い 。 な お,CGで
は図1.13の
よ う に,画 素 の 中心 点 の 値 を画 素 全 体 の 値 とみ な
す こ とが 多 い 。 この よ う な処 理 を 行 う と,図14(2)や(3)の
フ レー ムバ ッ フ
ァで み られ る よ う に,図 形 の斜 線 が 階段 状 に な っ て しま うこ とが あ る。ま た, 細 い 線 が 消 えた り,逆 に 現 実 に は ない 模 様 が 現 れ る こ と もあ る。 こ の よ う な 現 象 をエ イ リ ア シ ング と よ び,エ
イ リ ア シ ン グ を 防 ぐ処 理 を総 称 して ア ンチ
エ イ リア シ ン グ とよ ぶ。
1.9 レンダ リング 広 義 の レ ンダ リ ン グ に は,前 節 で 紹 介 した 隠 面 消 去 も含 ま れ る が,こ
こで
は シ ェ ー デ ィ ング モ デ ル に 限 定 して 考 え る こ とに す る 。 1.9.1
簡 単 な シ ェー デ ィ ン グ モ デ ル
隠 面 処 理 に よっ て,ど
の面 の 点 を描 くか が 決 ま っ た と して も,そ の 点 で の
明 る さ(色)を 適 切 に 決 定 し な け れ ば 写 実 的 な 画 像 は 生 成 で きな い 。 光 の や り取 りに よ る 物 体 表 面 の 明 る さ(の 変 化)を 求 め る 処 理 を シ ェ ー デ ィ ン グ (shading)と
よ び,そ の モ デ ル を シ ェ ー デ ィ ン グモ デ ル と よぶ 。 こ こで は そ
の 簡 単 な例 と して,平 行 光 線 と拡 散 反 射 に よ る シ ェー デ ィ ング モ デ ル を 説 明 す る。 物 体 はそ れ 自身 が 発 光 して い な け れ ば,太
陽 や 電 球 な どが 発 す る光 を 反 射
して 目 に見 え て い る。 太 陽 や 電 球 な どの よ うに 自 ら光 を発 す る もの を光 源 と よ ぶ 。CGで
最 も簡 単 な光 源 の モ デ ル は,地 球 か ら見 た 星 の よ う に,非 常 に
遠 くに あ り大 き さ を無 視 で き る もの で あ る。 こ の よ う な光 源 か らの 光 は,
(地球 上 で は)光 の 方 向 も届 く光 の 量 も一 定 に な る 。 こ の よ う な 光 源 を 平 行 光 線 と よぶ 。 一 方,つ
や の ない ざ ら ざ ら した 表 面 は,光
源 が 固 定 さ れ て い れ ば,,ど
の
方 向 か ら見 て も 同 じ明 る さ に見 え る 。 こ の よ う な 反 射 を拡 散 反 射(diffuse reflection)と よぶ 。 面 が 平 行 光 線 を受 け る と き,こ こで 説 明 す る シ ェ ー デ ィ ング モ デ ル で は,拡 散 反 射 の 強 さ(面 の 明 る さ)は ,(1)反 kd ,(2)平
行 光 線(入 射 光)の 強 さIi,そ して(3)(入
射 率(拡 散 反 射 率)
射 角)α の 余 弦 の 三 つ の
値 に そ れ ぞ れ 比 例 して 決 ま る と考 え,面 の 明 る さIを,
(1.22) と 表 す(図1.15)。 口 絵1.1(d)は,口 角 形 を,平
絵1.1(c)で
塗 られ て い た 球 と三
行 光 線 と 拡 散 反 射 に よ っ て シ ェ ー デ ィ ン グ し た 例 で あ る*26。 シ
ェ ー デ ィ ン グ に よ っ て,立 な お,(狭
は 一 定 の 明 る さ(色)で
体 感 が表 現 され て い る こ と に注 意 して ほ しい。
義 の)シ ェ ー デ ィ ン グ で は,物
影 し か 考 慮 し な い が,こ
れ と は 別 に,他
体 表 面 の 光 の 当 た り具 合 に よ る 陰 の 物 体 が 落 とす 影 を計 算 し表 示 す る
手 法 も あ る 。 こ れ を 影 付 け(シ ャ ドー イ ン グ)と
よ ぶ が,詳
し く は8.5.2項
を
参 照 され た い 。
図1.15
*26口 絵1
.1(d)の
平行 光 線 と拡 散 反射 に よる シェ ーデ ィ ング モ デル
よ う に,色
づ け さ れ た 物 体 を シ ェ ー デ ィ ン グ す る 際 は,RGB別
反 射 率 を 設定 し拡 散 反射 を求 め る。
々 に拡 散
1.9.2
マ ッ ピ ング
実 世 界 の 物 体 で は,表
面 の 色(反 射 率)が 表 面 上 の位 置 ご と に異 な る こ と
が 多 い 。 そ こ で,口 絵1.2に 示 す よ う に,表 面 の形 状 デ ー タに,色(反
射 率)
の デ ー タ(画 像 で 表 現 され る こ とが 多 い)を 対 応 付 け,物 体 を 描 く。 こ の 手 法 を テ ク ス チ ャ マ ッ ピ ン グ とよ ぶ 。 一 般 に,表 面 の 形 状 デ ー タに デ ー タ を対 応 付 け る 手 法 をマ ッピ ング と よぶ 。 マ ッ ピ ン グ に は,テ
ク ス チ ャマ ッ ピ ング の 他 に,8
.5.3項 で 紹 介 す るバ ンプ
マ ッ ピ ング や デ ィス プ レー ス メ ン トマ ッ ピ ング が あ る。 1.9.3
レン ダ リン グの 展 開
上 で 述 べ た 平 行 光 線 と拡 散 反 射 に よる シ ェ ー デ ィ ン グモ デ ル は 簡 易 な も の で あ り,リ ア リ テ ィを 追 求 す る に は不 十 分 で あ る 。 環 境 内 の各 点 で の 明 る さ (色)を 決 定 す る 関 係 を正 確 に記 述 した もの が,後 リ ング 方 程 式(rendering
に3.2.3項 で 述 べ る レ ン ダ
equation)
(1.23) で あ る 。 各 量 の 概 念 な ど詳 しい 説 明 は3.2節 に 譲 るが,そ に 示 す 通 りで あ る 。 つ ま り,視 L(x→
ω')は,xが
点 方 向 ω'か ら 点xを
な
ω)に*27反 射 率fr(x,ω →ω')を か け た もの を全
方 向 に つ い て積 分 した も の に,点x自
L(x→
見 る と きの 明 る さ
あ らゆ る 方 向 Ωxか ら受 け る光 の 反 射 光 の(積 分)和,す
わ ち各 方 向 か らの 光 量L(x←
Le(x→
の 原 理 は,図1.16
身 が 発 光 して ω'方 向 に発 す る*28光
ω')を 加 え た も の で あ る こ と を示 して い る。 ω')を 正 確 に求 め る に は,(1)各
方 向 か ら受 け る光 量 と(2)反 射 率
の 二 つ の 要 素 を 正 確 に扱 う必 要 が あ る。(1)の 光 量 に つ い て は,初 期 のCG で は(太 陽 や 電 球 な ど の)光 源 か らの 直 接 光 だ け を 考 慮 し,そ れ 以 外 の 壁 や 床 な ど に反 射 した 間接 光 は一 定 の値 とみ なす とい った 方 法 が と られ たが,間 接 光 も含 め す べ ての 光 の や り と りを考 えた 大 域 照 明 モ デ ル が 導 入 さ れ,正 確 な シ ミ ュ レー シ ョ ンが で き る よ う に な っ た 。 一 方,(2)の *27cos(N
反 射 率 に つ い て も,
x,ω)は点xで の 面 の法 線 と入 射 方 向 ωの なす 角,す な わ ち入 射 角 の 余弦 で あ り,
面 に入 射 す る照 度 は こ の余 弦 に比 例 す る。 *28光 源 は一 般 に方 向 に よ って発 す る光 量が 異 な る。 スポ ッ トライ トはそ の極 端 な例で あ る。
図1.16
初 期 のCGで
は,上
レ ンダ リ ング方 程 式 の原 理
で 紹 介 した 拡 散 反 射 の モ デ ル とPhongの
モデ ル とよば
れ る 鏡 面 反 射 の モ デ ル を組 み 合 わ せ た 簡 易 な モ デ ル*29が 用 い ら れ た が,そ の 後,物
体 表 面 の微 細 構 造 を考 慮 した 反 射 率 の 計 算 法 や,実 測 し た反 射 率 を
用 い た 計 算 法 が 開発 さ れ,写 実 的 な 画 像 が 生 成 で きる よ う に な っ た 。3章 の 前 半 は,こ れ らの 話 題 に つ い て 説 明す る 。
1.10
実 写画 像の利 用
こ こ ま で 述 べ て き た 方 法 で は,表 示 した い 物 体 の モ デ ル を(手 作 業 で)作 成 し,隠 面 処 理 や レ ン ダ リ ン グ技 法 を用 い て,表 示 す る こ と を 考 え て い た 。 しか し,現 実 世 界 の 複 雑 な 物 体 を一 つ 一 つ モ デ ル化 す る こ とは か な り面倒 で あ り,精 密 な レ ン ダ リ ン グ に は 計 算 時 間 もか か る 。 フ ォ トリ ア ル なCGは, 図1.1の 過 程 を コ ン ピ ュ ー タ で シ ミ ュ レー シ ョ ンす る もの で あ る の で,描
き
た い物 体 が 現 実 に 存 在 す る な ら,実 際 に図1.1の よ う に物 体 の 写 真 を撮 れ ば, (特 定 の 条 件 で は あ る が)現 実 そ の も の の 画 像 を得 る こ とが で き る。 これ が, 3章 の 後 半 で 述 べ る画 像 ベ ー ス の レ ンダ リ ン グ の 原 理 で あ る。 しか し,画 像 は特 定 の 条 件 で撮 影 さ れ た もの で あ る の で,そ *29こ の 簡 易 な モ デ ル は 取 扱 い の 容 易 さ か ら 心 に広 く用 い ら れ て い る 。
,現
の ま まの 形 で 利 用 で きる わ け
在 で も リア ル タ イ ム グ ラ フ ィ ッ クス を 中
で は な く,一 般 に は,複 数 の 画 像 の デ ー タ を 組 み 合 わ せ る な ど して,様
々
な条 件 に適 応 で きる よ う にす る。 画 像 ベ ー ス の レ ン ダ リ ン グ の よ う に,レ 全 に 置 き換 え て し ま う 方 法 の 他 に,レ 実 画 像 か ら得 る 方 法 は,古 も の は,テ
ンダ リングの過 程 を実画像 で完
ン ダ リ ン グ で 用 い る デ ー タの 一 部 を
くか ら用 い られ て い る 。 そ の 中 で 最 も典 型 的 な
クス チ ャ マ ッ ピ ン グ に お い て,実
画像 デー タをテ クスチ ャデー
タ と して 用 い る 方 法 で あ る。 ま た,実 写 画 像 の 中 に,仮 想 的 な物 体 を配 置 す る とい う方 法 もよ くあ る。 しか し そ の 場 合 は,(実
画 像 中 の)現 実 の 環 境 が 仮 想 物 体 に 与 え る 影 響 や,
逆 に仮 想 物 体 が 現 実 の 環 境 に 与 え る影 響 を も正 確 に再 現 し な い と,不
自然
な画 像 に な って し ま う。 た と え ば 口 絵1.3で は,実 写 画 像 中 に仮 想 的 な赤 い 球 を 配 置 して い るが, (1) 仮 想 的 な 球 に 当 た る光 の 方 向 が 周 囲 の 物 体 に 当 た る光 の 方 向 と異 な る。 (2) 左 側 に 立 つ 物 体 が 仮 想 的 な球 に 落 とす はず の 影 が な い 。 (3) 逆 に仮 想 的 な球 が床 に落 とす は ず の 影 が な い 。 な どの 点 で 不 自然 で あ る。
1.11 CGで
ア ニ メ ー シ ョン 生 成 し た複 数 枚 の 画 像(フ レー ム)を 連 続 して 表 示 す る こ とで 動 きを
表 現 す る 手 法 を コ ン ピ ュ ー タ アニ メ ー シ ョ ン と よ ぶ 。 動 き を表 現 す る に は, ア ニ メ ー シ ョ ン の 各 フ レー ム ご と に 物 体 の 位 置 や 形 状 を決 め る 必 要 が あ る が,人
間 が す べ て 手 作 業 で 決 め る の は非 現 実 的 で あ る 。 そ こで,主
レー ム(キ ー フ レー ム)の み 人 間 が 位 置 や 形 状 を 与 え,他
要 なフ
の フ レー ム は補 間
に よ っ て 位 置 や 形 状 を 求 め る方 法 が 考 え られ た 。 こ れ を キ ー フ レー ム 法 と よ ぶ 。 しか し,キ ー フ レ ー ム 法 で は,熟 練 し た ア ニ メ ー タ で な け れ ば 自然 な動 き の 表 現 が 困 難 なた め,4.2節
で 紹 介 す るモ ー シ ョ ンキ ャプ チ ャ や物 理
シ ミュ レー シ ョンが 利 用 さ れ る よ うに な っ て きた 。 ま た,ア
ニ メ ー シ ョ ンで 表 現 され る動 き に は,物
体 の位 置 や形状 だ けで
な く模 様(画 像 と して の 特 徴)も 含 ま れ る 。 モ ー フ ィ ン グ は,形
状 と と もに
模 様 も補 間 す る こ と に よ っ て,あ
る 物 体 か ら別 の 物 体 へ の な め らか な 変 化
を表 現 す る手 法 で あ る。
1.12
ビジ ュアル コ ンピ ューテ ィング にお けるMVC
MVC(Model‐View‐Controller)と 担 うView,そ い う3要
は,処
し て ユ ー ザ がModelやViewを
理 の 中 核 で あ るModel,表
素 を 分 離 し た ソ フ トウ ェ ア 設 計 モ デ ル で あ る 。MVCと
オ ブ ジ ェ ク ト指 向 言 語(シ ス テ ム)Smalltalk7)のGUI設 で あ る が,ビ
示 を
制 御 す る た め のControllerと は もと もと
計 に用 い られ た概 念
ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ の 諸 分 野 を整 理 す る 上 で も役 に
立 つ 。 ま ず,こ
こ ま で 紹 介 し た よ う な フ ォ ト リ ア ル な 画 像 生 成 で は,Model
は 現 実 世 界 で 目 に 見 え る 物 体 の デ ー タ に 限 ら れ て お り,ま 見 え 方 を な る べ く正 確 に 再 現 す る と い う 意 味 で,Viewの た*30。 し か し,ビ
た,実
世 界で の
目標 は 単 一 で あ っ
ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ の 発 展 と と も に,Modelと
は 独 立 し たViewやControllerの
研 究 が 盛 ん に な っ て き た 。 た と え ば,本
書
の 後 半 で は次 の よ う な分 野 を扱 う。 (1) NPR NPR(Non‐Photorealistic
Rendering)と
像 を 生 成 す る 技 術 で あ る 。 こ れ は,フ Viewで
は,イ
ラ ス トや 絵 画 の よ う な 画
ォ ト リア ル な 画 像 生 成 と は 異 な る
画 像 を 生 成 し よ う と す る も の で あ る と い え る 。NPRは
本 書 の5章
で
扱 う。 (2) ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン CG技
術 は,そ
の 普 及 と と も に,目
現 実 世 界 で は 目 に 見 え な い(あ
に 見 え る 物 体 の 画 像 生 成 ば か りで な く,
る い は 見 え に く い)デ
ー タ を 目 に見 え る よ う
に し て 理 解 を 助 け る とい う用 途 に用 い られ る よ う に な っ て き た 。 こ の よ う な 分 野 を 総 称 し て ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン と よ ぶ 。 こ れ は,フ な 画 像 生 成 と は 異 な るModelを 用 し た り,そ
のViewを
新 た に 対 象 と し,各
対 象 に 適 し たViewを
う ま く操 作 で き るControllerを
の で あ る 。 ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン は 本 書 の6章
ォ ト リア ル 適
提 供 し よ う とす る も
で扱 う。
*30も ちろ ん
,処 理 コ ス トの 多 少 に よ って 生成 され る 画像 の リア リテ ィに は差 が 生 じるが,
目標 とす る出力 は 「写真 に なるべ く近 づ け る」 とい う意 味 で 同一 で あ る。
(3) イ ン タ ラ ク シ ョ ン CGのModelやViewを
制 御 す る 場 合,さ
タ 内 の デ ー タ を 操 作 す る 場 合,そ
のControllerの
き く左 右 す る 。 こ のController(お 研 究 分 野 の 一 つ で あ り,イ ン は 本 書 の7章
ら に は視 覚 を通 し て コ ンピ ュ ー
よ びViewと
善 し悪 し が 利 用 効 率 を 大 の 関 連)は,現
在 最 も盛 ん な
ン タ ラ ク シ ョン と総 称 さ れ る。 イ ン タ ラ ク シ ョ
で扱 う。
参 考 文 献 1) J.T.Kajiya,B.P.Von Vol.18,
No.3,
Herzen:"Ray
Tracing
Volume
Densities"
,Comput.
Graph.,
pp.165‐174(1984).
2) コ ン ピ ュ ー タ グ ラ フ ィ ッ ク ス 編 集 委 員 会(編):『
コ ン ピ ュ ー タ グ ラ フ ィ ッ ク ス 』 ,画
像
情 報 教 育 振 興 協 会(2004). 3) D.Shreiner,M.Woo,
J.Neider,
T.Davis:OpenGL
Programming
Guide,5th
ed. ,
Addison‐Wesley(2005). 4) J.D.Foley,
A.van
Dam,
論 と 実 践 』佐 藤 義 雄(監 5) A.Watt:3D 6) T.Whitted:"An
Computer Improved
S.K.Feiner,J.F.Hughes:『 訳),オ
コ ン ピ ュ ー タ グ ラ フ イ ッ ク ス‐
ー ム 社(2001).
Graphics,3rd Illumination
ed.,Addison‐Wesley(1999). Model
for Shaded
Display
No.6,pp.343‐349(1980). 7) A.Goldberg,
D.Robson:Smalltalk80,
Addison‐Wesley(1983)
.
,"CALM,
Vol.23,
理
章
2
第
モ デ リング 東京大学大学院 金井 崇 東京大学大学院 高橋成 雄
2.1
は じめ に
本 章 で は,ビ ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ング の根 幹 を なす モ デ リ ング技 術 に 関 す る 最 新 の 動 向 を概 観 す る。 「モ デ リ ング 」とい う技 術 そ の もの に つ い て は,30年
程 度 の ビ ジ ュ ア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ の 歴 史 の 中 で も か な り古 い
部 類 に 属 す る。 た だ,研
究 の 対 象 は 年 と と もに様 変 わ り して い く もの の,現
在 に お い て もそ の勢 いが 減 衰 す る こ と な く,む しろ 発 展 して い る よ うに 思 わ れる。 こ こで,最 近5年 程 度 の 間 に モ デ リ ング技 術 を と り ま く背 景 が ど の よ う に 様 変 わ り して い る か,と
い う こ と につ い て 述 べ た い 。 一 つ の キ ー ワー ドは
「大 容 量 化 」で あ る 。 近 年,物
理 物 体 の 三 次 元 計 測 技 術 お よ び装 置 の 開 発 の
進 展 は す さ ま じ く,こ れ らの 計 測 装 置 に よ り,大 量 の 測 定 情 報 が 非 常 に 高 速 に得 られ る よ う に な っ た。 得 ら れ る デ ー タ は非 常 に膨 大 な量 に な り,モ デ リ ン グ技 術 にお い て も,こ の よ う な大 容 量 の デ ー タ を扱 うた め の技 術 が 必 要 と な っ て い る。 そ の こ と を示 す 象 徴 的 な プ ロ ジ ェ ク トと し て,Stanford大 1998年
よ り行 わ れ たDigital Michelangelo
が 中心 と な り
Projectが 挙 げ られ る29)。こ の プ
ロ ジ ェ ク トで は,古 代 ロ ー マ 時 代 の遺 跡 の デ ィ ジ タル 保 存 を 目的 と して,お よ そ10体
の像 を精 密 に測 定 し た もの で あ る。 こ こで 得 られ る デ ー タ は,大
体 数 億 ∼ 数 十 億 の 頂 点 数 を持 つ メ ッ シ ュ デ ー タ よ り構 成 さ れ る 。 図2.1は そ の 一 例 を 示 した もの で あ る。 一 方,日
本 に お い て も,東 大 の グ ル ー プが 中 心
と な り,鎌
倉 や 奈 良 の 大 仏 を デ ィ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 化 す るGreat
Project51)が
行 わ れ て い る。
図2.1
Digital
Michelangelo
Projectに
Buddha
お け る ダ ビデ像 の モデ ル
ま た,設 計 ・製 造 の 分 野 で も,最 近,高 エ ネ ル ギ で デ ー タ処 理 能 力 の 高 い 強 力 な工 業 用X線CT(Computed は,例
Tomography)が
開発 され た52)。 この 装 置
え ば 車 の エ ン ジ ン を ま る ご と1個 計 測 可 能 で あ り,ボ リュ ー ム モ デ ル
を 生 成 で き る。 こ の ボ リュ ー ム モ デ ル を 利 用 す る と,従 来 不 可 能 で あ っ た 様 々 な 製 品 機 能 の シ ミュ レー シ ョン(例 え ば エ ン ジ ンブ ロ ッ ク内 の 流 動 解 析) や,さ
ら に は,生 産 工 程 の解 析 が 可 能 とな り,製 品 品 質 の 向上,特
に新 製 品
開 発 に とっ て革 新 的 な変 化 を もた らす と期 待 され て い る。 以 上 が モ デ リ ング技 術 の 背 景 と して あ る一 方 で,研 方 向 に 進 ん で い るの だ ろ うか?
ま ず,メ
究 と して は ど の よ うな
ッ シ ュ モ デ リ ング(2.2節)に
て は,一 時 期 に比 べ て 少 し一 段 落 した よ う に見 え る。 た だ し,い
関し
くつ か の ト
ピ ッ ク に 関 して は今 な お 進展 の 度 合 い が 著 しい。 例 え ば ,パ ラ メー タ化,再 メ ッ シ ュ化,圧
縮,編 集 に つ い て は,今 で も多 くの新 しい手 法 が提 案 さ れ て
お り,ま た メ ッ シ ュの 検 索 や復 元 な ど,新 こ で は,こ
しい トピ ッ ク も誕 生 して い る。 こ
れ らの 進 捗 著 しい トピ ック の う ち,特
シ ュ 化 の 研 究 に つ い て主 に解 説 す る。
にパ ラ メ ー タ化 と再 メ ッ
また,上
記 メ ッ シ ュ技 術 に 関 連 して,細 分 割 曲 面 モ デ リ ン グ(2.3節)の
研
究 も盛 ん に 行 わ れ て い る。 様 々 な 細 分 割 曲 面形 式 が 提 案 さ れ て い る 一 方 で, モ デ リ ン グ シ ス テ ム に 組 み 込 まれ る等,実
用 化 の 面 で も進 展 が 見 られ る 。 さ
ら に,上 記 の測 定情 報 か らの形 状 再 構 築 技 術 に関 連 し,大 容 量 デ ー タを 扱 う た め の 技 術 と して,陰 関 数 曲面 に よ る点 群 モ デ リ ン グ技 術 に 関 す る研 究 が 盛 ん に行 わ れ て い る(2.4節)。 Blobbyモ
陰 関 数 曲 面 の 利 用 に 関 して は,メ
タボー ルや
デ ル35)な ど古 く よ り行 わ れ て い る が,最 近 の研 究 で は 形 状 再 構 築
技 術 と して の利 用 に よ り重 点 が 置 か れ て い る。 本 章 で は これ らの 研 究 に つ い て も概 説 す る。
2.2
メ ッ シ ュ モ デ リン グ
2.2.1
メ ッシ ュに よ る形 状 表 現
数 学 的 な表 現 と して 平 面 の 多 角 形(ポ リ ゴ ン)の み を用 い て 表 現 し た境 界 表 現 を特 に 多 面 体 と よぶ 。 三 角 形 メ ッ シ ュ(以 下 メ ッ シ ュ と よ ぶ)と は,こ の 中 で もす べ て の面 が 最 小 構 成 で あ る三 角 形 で 表 現 さ れ る よ う な多 面 体 を意 味す る。 メ ッ シ ュM(G,V)は,3種 フ構 造Gと,頂 ∈R3に
類 の 要 素 で あ る頂 点υ,面f,エ
ッ ジe間 の グ ラ
点 の 幾 何 情 報 を表 す3次 元 空 間上 の座 標 群〓
よ っ て 構 成 され る 。 計 算 機 上 で メ ッ シ ュ を 表 現 す る た め の デ ー タ構
造 と し て は,ウ
イ ン グ エ ッ ジ デ ー タ構 造 や ハ ー フエ ッ ジ デ ー タ構 造34)等 が
よ く用 い られ る。 2.2.2
パ ラ メ ータ 化
パ ラ メ ー タ化(Parameterization)と
は,メ
ッ シ ュ の 全 体 も し くは 一 部 を
よ り単 純 な プ リミ テ ィ ブへ 展 開 す る た め の技 術 で あ る。 こ こ で 言 う単 純 な プ リ ミテ ィブ と して は,平 面 や 球,円 柱 等 が 挙 げ られ る。 パ ラ メ ー タ化 は メ ッ シ ュ モ デ リ ン グ の基 本 とな る技 術 で あ る。 パ ラメ ー タ化 を も とに した 応 用 技 術 は 数 知 れ ず,例
え ば,テ
ク ス チ ャマ ッ ピ ン グ や 再 メ ッ シ ュ化(後 述),モ
ー フ ィ ン グ ,曲 面 デ ー タ の 当 て は め,CADデ 純 な プ リ ミテ ィ ブ に展 開 す る こ とで,メ
ー タ の 修 復 等 が あ る 。 よ り単
ッシ ュ上 で の 形 状 処 理 を代 替 し,よ
り簡 便 に す る 役 割 を 果 た し て い る 。 パ ラ メ ー タ 化 に 関 す る 詳 細 は Floaterら の サ ー ベ イ17)に 譲 る と して,こ
こで はそ の代 表 的 な手 法 に絞 っ て解 説 す る。
パ ラ メ ー タ 化 に お い て,展 開 さ れ た パ ラ メ ー タ の 品 質 は 非 常 に 重 要 で あ る 。 最 も 理 想 的 な パ ラ メ ー タ化 は,等 り,こ
長(isometric,length‐preserving)写
れ は 等 角(conformal,angle‐preserving)写
area‐preserving)写 が ら,等
像 であ
像 と 等 面 積(equiareal,
像 を 同 時 に 満 た す よ う な 写 像 の こ と を 指 す17)。 し か し な
長 写 像 と な る パ ラ メ ー タ 化 は,メ
ッ シ ュ が 可 展 開面 か らな る形 状 の
と き に の み 存 在 す る 。 よ り一般 的 な メ ッ シ ュ に 対 す る パ ラ メ ー タ 化 は,等
角
写 像 と 等 面 積 写 像 の ト レ ー ドオ フ と な る 。 平 面 上 へ の 等 角 パ ラ メ ー タ 化 は,頂
点 近 傍 に お け る 離 散 的 なDirichletエ
ネルギー
(2.1) を最 小 に す る よ う な2次 元 平 面 上 の パ ラメ ー タui(〓 計 算 す る こ とに よ り求 め られ11),式(2.1)はuiの
は頂 点 数)を
二 次 式 とな る。 よ っ て,ui
は 以 下 の線 形 連 立 一 次 方 程 式 を解 く こ と で得 られ る。 (2.2)
(2.3) こ こ で〓
は 隣 接 す る 面 の 頂 点 間 の 角 度 を 示 す 。 行 列Mは
疎 行 列 と な り,
こ の 連 立 一 次 方 程 式 の 解 は 前 条 件 処 理 付 双 共 役 勾 配 法(pre‐conditioned conjugate
gradient
method)等
bi
の 数 値 計 算 手 法 を利 用 す る こ とで 効 率 的 に計
算 で き る 。 同 様 の 解 法 で 解 け る 他 の パ ラ メ ー タ化 手 法 と し て は,Eckら
の調
和 写 像 パ ラ メ ー タ 化14)やFloaterの
の最
形 状 保 存 パ ラ メ ー タ 化16),Levyら
小 自 乗 等 角 パ ラ メ ー タ 化30)が あ る 。 一 方,等
面 積 パ ラ メ ー タ 化 の 代 表 的 な 手 法 と し て は,Sanderら
量 最 小(stretch‐minimizing)パ
ラ メ ー タ化40)が
の伸 び計
挙 げ られ る 。 あ る 一 つ の三
角 形Tは,パ
ラ メ ー タ(s,t)の
ア フ ィ ン 写 像S(s,t)で
表 す こ と が で き る。 こ
の と き,Sの
パ ラ メ ー タs,tに
関 す る 導 関 数 で 構 成 さ れ る ヤ コ ビ ア ン[Ss,St]
の 最 大 ・最 小 特 異 値Γ,γを用 い る と,三 角 形 面Tの
パ ラ メー タ空 間 に対 す る
伸 び 計 量 は,
(2.4) で 表 さ れ る 。 こ の 非 線 形 式 を 最 小 に す る よ う な パ ラ メ ー タ 化 を 計 算 す る40)。 こ こ で は,直 parabolic
線 探 索 に 基 づ く 囲 い 込 み 放 物 線 最 小 化 手 法(bracketed
minimization
後 にYoshizawaら
method,Brent法)に
が,重
よ る 収 束 計 算 を施 して い る 。
み の 乗 算 に よ る よ り 単 純 な 繰 り返 し 計 算 に よ り 求
め ら れ る こ と を 示 し て い る47)。 上 記 の 平 面 パ ラ メ ー タ 化 は,メ
ッ シ ュが 円 盤 と位 相 同 形 の 形 状 で あ る と き
に の み 有 効 で あ る 。 よ っ て,よ
り一 般 的 な メ ッ シ ュ に 対 し て 適 用 す る に は,
メ ッ シ ュ を あ ら か じ め 小 さ な パ ッ チ に 分 解 し,パ た 結 果 を 一 つ の 平 面 内 に 並 べ,ア
ッチ ご と にパ ラ メ ー タ化 し
ト ラ ス(atlas)と
よ ば れ る平 面パ ッチ の 集
合 を 生 成 す る こ と で 対 応 す る こ と が で き る 。ア ト ラ ス の 作 成 手 法 に 関 し て は, Levyら
の 手 法30)が 挙 げ ら れ る 。 別 の 手 法 と し て は,メ
目 を 入 れ て 展 開 し,一
枚 の 矩 形 領 域 に 収 め るGuら
形 状 の 中 の 領 域 に 収 め るSorkineら こ れ に 対 し,種 タ化(spherical 0の
数0(球
ッシュの一部 に切れ
の 手 法18)や,任
の 手 法41)が あ る 。
と 位 相 同 形)の メ ッ シ ュ に 対 し て は,球
parameterization)を
意の境界
体パ ラメー
利 用 で き る。 球 体 パ ラ メ ー タ化 は 種 数
メ ッ シ ュ を 球 体 に写 像 す る技 術 で あ る。 扱 え る メ ッ シ ュ は 限定 され て い
る も の の,ア
ト ラ ス 作 成 の 際 の 懸 案 事 項 で あ る,境
続 性 の 問 題 が な く,容
易 に 滑 らか な パ ラ メ ー タ を 生 成 す る こ と が で き る 。 球
体 パ ラ メ ー タ 化 の 品 質 の 問 題 に 関 し て は,平 つ 。 等 角 球 体 パ ラ メ ー タ化 に 関 し て は,Guら
は 最 急 降 下 法(steepest
計 算 に よ る 解 法 を 提 案 し て い る 。 ま た,等 Praunら
が,前
述 のSanderら
面 の 場 合 と 同 様 の 議 論 が 成 り立 に よ る簡 単 な解 法 が 示 され て い
る19)。 球 体 上 に お け る 定 式 化 を 行 う 関 係 上,こ 線 形 式 と な る 。Guら
界 を 跨 ぐパ ラ メ ー タ の 連
の 場 合 の エ ネル ギ ー 関 数 は非 decend
method)に
基 づ く収 束
面 積 球 体 パ ラ メ ー タ化 に 関 し て は,
の 伸 び 計 量 最 小 パ ラ メ ー タ 化 の 拡 張 と し て,
球 体 上 の パ ラ メ ー タ を 算 出 す る た め の 解 法 を 提 案 し て い る39) 。 パ ラ メ ー タ化 の 計 算 例 と して,図2.2(a)は
平 面 パ ラ メ ー タ 化 を,図2.2(b)
(a) 平 面 パ ラ メ ー タ 化
(b) 球 体 パ ラ メ ー タ 化 図2.2
パ ラ メ ー タ化
は球 体 パ ラ メ ー タ化 を そ れ ぞ れ 示 す 。 最 後 に,パ ラ メ ー タ化 の 数 値 計 算 の安 定 性 に 関 して 述 べ た い 。 これ ま で示 して きた 解 法 は,メ
ッシ ュ の 形 状 に よっ
て は安 定 に計 算 す る こ とが で き な い場 合 が あ る。 こ の こ とを解 決 す る一 つ の 方 法 と し て,階
層 的解 法 が 提 案 さ れ て い る39)。す な わ ち,粗
い メ ッシュか
ら も との メ ッ シ ュ ま で い くつ か の解 像 度 の メ ッ シ ュ を用 意 し,粗 い メ ッシ ュ か ら順 にパ ラ メ ー タ を計 算 して,そ
の結 果 を よ り細 か い 解 像 度 の メ ッシ ュ の
計 算 に 反 映 させ る手 法 で あ る。詳細 化 す る段 階 で埋 め 込 み が 保 証 さ れ る の で, 安 定 した 計 算 が 行 え る他,最 計 算 が 行 え る,等 2.2.3
適 値 に近 い 初期 値 を計 算 で き る こ とか ら高速 な
の利 点 を持 つ 。
再 メ ッシ ュ化
測 定 装 置 や 画 像 群 な どの 計 測 情 報 か ら得 られ る大 容 量 の メ ッ シ ュ は,面 の 並 びが 不 規 則 に な る。 こ の こ と は,例 え ば 表 示 の み で の 利 用 で は そ れ ほ ど問 題 に な ら な い 。 し か し,こ れ らの メ ッ シ ュの 頂 点 を 直 接 編 集 した り,テ ク ス チ ャ な どの 属 性 を 付 加 した りす る な ど再 利用 す る の は 大 変 骨 の 折 れ る作 業 と な る。 一 方,市
販 され て い るメ ッシ ュ を 見 て み る と,メ ッ シ ュ の 面 が 格 子 上
に並 ん で い る な ど規 則 的 で あ る もの が ほ とん どで あ る 。 こ の こ と か ら,不 規 則 な 並 び の メ ッ シ ュ を 整 列 さ れ た メ ッ シ ュ に変 換 す る(再 メ ッ シ ュ化)こ と は,メ
ッ シ ュ の 再 利 用 とい う点 か ら考 え る と有 効 な手 段 で あ る 。
再 メ ッ シ ュ 化 に お け る 最 も一 般 的 な ア プ ロ ー チ と し て,準 regular)メ
正 則(semi
ッ シ ュ を作 成 す る方 法 が 挙 げ られ る 。 準 正 則 メ ッ シ ュ と は,少
数 の 面 か ら構 成 さ れ る疎 な メ ッ シ ュ(ベ ー ス メ ッ シ ュ)を も と に,規
則的 な
面 の 分 割(三
角 形 の場 合 は4対1細
分 割(4-to-1
subdivision)が
よ く使 わ れ
る)に よ り,ほ と ん ど規 則 的 な接 続 性 を持 つ メ ッ シ ュ の こ と を指 す 。 準 正 則 メ ッ シ ュ の 各 頂 点 は,ベ ー ス メ ッシ ュの 頂 点 を除 い て価 数(隣 接 頂 点 の 数)6 とな る。 メ ッ シ ュ の接 続 性 を陽 的 に 記 述 す る必 要 が な い こ とか ら,メ
ッシ ュ
の 圧 縮 等 に 有 効 で あ る 。準 正 則 メ ッシ ュ に よ る再 メ ッ シ ュ化 を行 うた め に は, メ ッ シ ュの 多 重 解 像 度表 現 を利 用 す る方 法 が 一 般 的 で あ る14)。こ の 場 合 は ま ず メ ッ シ ュ を簡 略 化 して ベ ー ス メ ッ シ ュ を作 成 し,ベ ー ス メ ッシ ュ の細 分 割 操 作 に よ っ て,も
と の メ ッ シ ュ を 近 似 す る よ う な準 正 則 メ ッ シ ュ を生 成 す
る。 これ とは 別 に,メ
ッ シ ュの 接 続 性 に 関 係 な く等 方 的 な(isotropic)面 を メ ッ
シ ュ全 体 に 敷 き詰 め る 再 メ ッシ ュ化 手 法 がAlliezら に よ り提 案 され て い る3)。 こ こで 言 う 「等 方 的 」と は,面
が 形 状 全 体 に わ た りほ ぼ 同 じ大 き さ,か つ,
正 三 角 形 に な る べ く近 い 三 角 形 で構 成 さ れ て い る こ と を指 す 。 この よ う な再 メ ッシ ュ化 は,特 に有 限 要 素 シ ミュ レー シ ョ ンの メ ッシ ュ 生 成 に有 効 で あ る 。 Alliezら の 手法 の 手 順 を 以 下 に示 す 。 1.メ
ッ シ ュ の 平 面 パ ラ メー タ化 を行 う。 こ こで は 等 角 パ ラ メ ー タ化11)を 用
い て い る。 2.展
開 した パ ラ メ ー タの 空 間 上 に,メ (geometry
map)画
ッシ ュ の 幾 何 量 に 基 づ く幾 何 マ ップ
像 を作 成 す る 。 幾 何 量 に は,面
積 歪 み,平
均 曲 率,
ガ ウス 曲 率,頂 点 幾 何,法 線 等 が 利 用 で きる 。 3.上
記 の 幾 何 マ ップ を組 み合 わ せ,サ
マ ッ プ(importance 4.重
map)画
ンプ リ ング の 密 度 を指 定 す る重 要 度
像 を作 成 す る。
要 度 マ ップ 画 像 に基 づ き点 の サ ン プ リ ング を行 う。 こ の サ ン プ リ ン グ
は,画 像 の ハ ー フ トー ニ ング を利 用 す る こ とで 高 速 に 計 算 で きる。 5.サ
ン プ リ ン グ 点 か ら,2次
元 の 制 約 付 き ドロ ネ ー 三 角 形 分 割 を行 い メ ッ
シュを生成す る。 重 要 度 マ ッ プ を 変 え る こ とに よ り,様 々 な 再 メ ッ シ ュ化 を行 う こ とが で き る 。 例 え ば,面 積 歪 み マ ップ の み を用 い る こ と に よ り,等 方 性 を満 た す よ う な 再 メ ッ シ ュ化 を行 う こ とが で き る。 ま た,曲 率 マ ッ プ を使 って メ ッシ ュ の 密 度 を適 応 的 に 変 化 す る こ と も可 能 で あ る。 図2.3(a)に
再 メ ッ シ ュ 化 の例
(a) 等 方 性 再 メ ッ シ ュ 化
(b) 異 方性 再 メ ッシ ュ化 図2.3
再 メ ッ シュ化
を示 す 。 以 上 の よ う に,全 体 的 に 均 一 な メ ッ シ ュ を作 成 す る 手 法 が あ る 一 方 で,デ ザ イ ナ の 作 成 す る メ ッシ ュ は,単
に規 則 的 で あ る だ け で な く明 らか に メ ッシ
ュ の 整列 方 向 も 配 慮 され て い る こ とが 多 い 。 例 え ば,円 柱 を メ ッ シ ュで 表 現 す る に は,円 柱 の 軸 の方 向 に細 長 い メ ッ シ ュ を配 置 す る の が 一 般 的 で あ る 。 こ の よ うに,幾 何 学 的 特 徴 を よ く表 した メ ッ シ ュの 方 が,メ は都 合 が 良 く,な お か つ,よ
ッシュの編集 に
り少 ない メ ッ シュ 数 で 近 似 で き る な ど実 用 的 な
利 点 も多 い。 この よ うな メ ッ シュ の 幾 何 学 的特 徴 を考 慮 した 再 メ ッ シ ュ化 手 法 と して,異 れ て い る2)。
方 性(anisotropic)再
メ ッ シ ュ化 に 関 す る研 究 が い くつ か 行 わ
こ こで は 例 と して,メ
ッ シ ュの 持 つ 主 曲 率 方 向 に沿 っ た 異 方 性 を 持 つ メ ッ
シ ュ を 自動 的 に 作 成 す るAlliezら の 手 法2)を 紹 介 す る 。Alliezら の 手 法 は次 の よ うな 手 順 で行 わ れ る。 1.メ
ッ シ ュ上 の 曲 率 テ ン ソ ル場 を 計 算 す る 。 曲率 テ ン ソ ル場 は各 頂 点 に対
して 計 算 し,そ れ を三 角 形 内 で 線 形 補 間 す る。 こ の と き,テ お け る臍(へ そ)点(umbilic,主 2.最 大 曲 率,最
ン ソル 場 に
曲率 が 定 ま らな い点)を 計 算 して お く。
小 曲 率 の 曲率 線 を,数 値 積 分 に よ っ て 追 跡 す る こ とで 計 算
す る。 これ に よ り,曲 率 線 の ネ ッ トワ ー ク網 が メ ッシ ュ上 に生 成 され る。 3.上 記 の 曲率 線 ネ ッ トワ ー ク か ら メ ッ シ ュ を作 成 す る 。 最 大 ・最 小 曲率 線 は 互 い に直 交 す る た め,交
点 を接 続 す る こ とで,主
に四辺形 の メ ッシュ
が 生 成 され る。 図2.3(b)に
こ の手 法 の 作 成 例 を示 す 。
2.3 細 分割 曲面 モ デ リング 2.3.1
細 分 割 曲 面 に よ る形 状 表 現
従 来,CGやCADに
お け る 曲 面 形 式 と して は,ベ
ジ エ 曲 面 やBス
プ ライ
ン曲 面 等 の パ ラ メ トリ ッ ク 曲 面 が 用 い られ て きた が,曲 面 パ ッチ が 格 子 状 に 並 ぶ 必 要 が あ る な ど,様 surface)は,こ
々 な 制 限 が あ っ た 。 細 分 割 曲 面(subdivision
の よ うな 制 限 を取 り払 う こ との で き る 曲面 形 式 と して 注 目 を
集めて いる。 細 分 割 曲 面 は,粗 い メ ッ シ ュか ら面 を分 割 して い く こ とで,滑
らか な形 状
を得 る こ との で きる 曲面 形 式 で あ る。 同 時 に,数 学 的 に は 曲面 と して の 性 格 も持 ち あ わ せ て お り,無 限 に細 分 割 して い く と極 限 曲 面(limit して 収 束 す る こ とが 知 ら れ て い る。 現 在 の 主 要 なCGモ 実 装 さ れ て い る ほ か,米Pixer社
surface)と
デ リ ング シス テ ム で
が 自社 で 製 作 す る 映 画 の モ デ ル 表 現 に取 り
入 れ る な ど,最 近 で は実 用 面 で も多 く利用 され て い る 。 細 分 割 曲 面 は,一
回 の細 分 割 処 理 を,面
点 座 標 の 計 算(stencil)に
の分 割 操 作(split)と 分 割 後 の 頂
分 け て 考 え る こ とが で き,そ れ ぞ れ の 方 法 の 違 い
に よ り,様 々 な 形 式 の細 分 割 曲面 が提 案 され て い る 。 以 下 に,い
くつ か の 曲
面 形 式 につ い て述 べ,さ らに細 分 割 曲面 の 生 成 手 法 に つ い て も概 説 す る。な お, も う少 し詳 し く勉 強 した い,と い う方 に は,い くつ か の サ ー ベ イや 書 籍45)が 出版 され て い る の で,そ 2.3.2
ち ら も併 せ て 読 まれ る こ とを お勧 め す る。
細 分 割 曲面 形 式
(1) Catmull‐Clark細
分 割曲面
図2.4 Catmull‐Clark細 分割 曲面 。 上段:内 部 頂点 お よび境 界 / 折 り目頂 点 に お け る細 分 割マ ス ク。 下段:細 分 割 曲面 の 表 示結果。
Catmull‐Clark細
分 割 曲 面9)は,四
辺 形 で 構 成 され る制 御 メ ッ シ ュ を規 則
的 に 細 分 割 し て 得 ら れ る 曲 面 で あ り,一
様 双3次Bス
プ ラ イ ン曲 面 を一 般 化
し た 曲 面 と し て 知 ら れ て い る 。 非 正 則 点(extraordinary あ り,そ
れ 以 外 の 点 は す べ てC2連
続 で あ る 。CGモ
point)はC1連
続 で
デ リングツールで実装 さ
れ て い る細 分 割 曲 面 の 多 くが こ の 曲面 形 式 で あ る 。 図2.4に,細
分割 マス ク
と細 分 割 曲面 の 表 示 結 果 を示 す 。 内 部 頂 点 に 関 して,一
回 の 細 分 割 処 理 につ き以 下 の よ う な処 理 で 細 分 割 点
の座 標 が 計 算 さ れ る。
(2.5)
こ こ で,v,e,fは
そ れ ぞ れ 頂 点(制 御)点(vertex(control)point),稜
点(edge(control)point),面(制 面 の 稜 線 の 数(必 ず し も4つ
御)点(face(control)point)と
線(制 御) よ ば れ る 。nは
と は 限 ら な い),κ は 頂 点 の 価 数(valence)を
示す。
ま た,境 界 や 折 り 目 上 に あ る 細 分 割 点 の 座 標 は,以 下 の ル ー ル で 計 算 さ れ る10)。
(2.6)
制 御 メ ッ シ ュ の 頂 点 座 標v0は,細
分 割 処 理 を 繰 り返 す こ と に よ り,極
曲 面 上 に 収 束 す る 。 こ の 位 置v∞ position,
SLP)と
よ ば れ,以
は 細 分 割 極 限 位 置(subdivision
限
limit
下 の 式 を 持 っ て あ ら わ す こ と が で き る20)。
(2.7) 上 記 式 は,細 分 割 式(2.5)を 離 散 フー リエ解 析 を行 う こ とで 周 波 数 領 域 に 変 換 し,そ の 極 限 を 求 め て か ら空 間領 域 に 逆 変 換 す る こ とで 導 出 す る こ とが で きる 。 これ よ り,細 分 割 極 限 位 置 は制 御 メ ッシ ュ の 頂 点 位 置 の線 形 式 で 表現 で きる こ とが わか る 。 (2) Loop細 Loop細
分割 曲面
分 割 曲 面33)は,三 角 形 で構 成 さ れ る 制 御 メ ッ シ ュ を規 則 的 に 細 分
割 して得 られ る 曲 面 で あ り,3方
向4次 ボ ッ ク ス ス プ ラ イ ン 曲 面 を一 般 化 し
た 曲 面 と して 知 ら れ て い る。Catmull‐Clark細
分 割 曲面 と同 様,非
正則点 は
C1連 続 で あ り,そ れ 以 外 の 点 は す べ てC2連 続 で あ る 。 図2.5に,細
分割 マ
ス ク と細 分 割 曲面 の 表 示 結 果 を示 す 。
図2.5
Loop細 分 割 曲面 。 上段:内 部 頂 点お よび 境界 / 折 り 目頂 点 にお け る細 分 割 マ ス ク。 下段:細 分 割 曲面 の 表 示 結 果。
一 回 の 細 分 割 処 理 につ き,1つ
の 面 が4つ に 分 割 され る。 こ の 分 割 方 式 を
4対1(4‐to‐1)細 分 割 と よぶ 。 内 部 頂 点 に 関 して,一
回の細分割 処理 につ き
以 下 の よ う な処 理 で 細 分 割 点 の座 標 が 計 算 され る。
(2.8)
こ こ でκ は 頂 点 の価 数 を示 す 。 βは以 下 の 式 で 表 さ れ る。
(2.9)
境 界 や 折 り 目上 に あ る細 分 割 点 の座 標 は,Catmul‐Clark曲 ル ー ル で 計 算 され る21)が,後
にBiermannら6)に
面 と 同 じ細 分 割
よ っ て,凹 領 域 の 角 で正
し く計算 で き る よ う細 分 割 式 が 改 良 され て い る。 ま た,頂 点 の 細 分 割極 限位 置 は以 下 の式 で 表 さ れ る 。
(2.10)
(3) 四辺形/三角形 細分割 曲面 四 辺 形 で 構 成 され るCatmull‐Clark細
分 割 曲面 は,CGモ
デ リングツー ル
に よ り作 成 され る こ とが 主 で あ る が,ユ ー ザ に 四 辺 形 制 御 メ ッ シ ュ の作 成 を 強 い る こ と に な る 。 一 方,三
角 形 で構 成 さ れ るLoop細
分 割 曲 面 は,四
辺形
で 表 現 す る こ とが 望 ま しい 形 状 で も三 角 形 を用 い て 構 築 す る必 要 が あ り,そ の場 合,極
限 曲 面 形 状 に歪 み が 発 生 す る可 能 性 が あ る。
そ こ で 最 近,四 面(Quad/Triangle
辺 形 と三 角 形 を 同 時 に利 用 す る 四 辺 形 / 三 角 形 細 分 割 曲 Subdivision
Surface)の 研 究 が 行 わ れ て い る43)。これ は,
四辺 形 と三 角 形 が 混 在 す る制 御 メ ッシ ュ を規 則 的 に 細 分 割 す る こ と に よ り表 さ れ る 曲 面 で,四 Loop細
辺 形 部 分 がCatmull‐Clark細
分 割 曲 面,三
角形 部 分 が
分 割 曲 面 と して 構 成 さ れ る 。 こ の 曲 面 は,曲 面 上 の 任 意 の 点 上 でC1
連 続 とな る43)。 内 部 頂 点 の 細 分 割 点 の 計 算 に 関 して,あ 形 の と き はLoop細
る頂 点 の ま わ りの 面 が す べ て 三 角
分 割 曲 面 に準 じ,す べ て 四 辺 形 の場 合 はCatmull‐Clark
細 分 割 曲 面 に準 ず る 。 三 角 形 と四 辺 形 が 混 在 す る 場 合 は,図2.6の
左上段 の
よ う な細 分 割 マ ス ク に よ り計 算 さ れ る。 各 係 数 α,β,γ は以 下 の よ う に計 算 さ れる。
(2.11) こ こでneは 頂 点 に付 随 す る エ ッ ジの 数 を,nqは
頂 点 に付 随 す る 四辺 形 の 数
を示 す 。 しか し,そ の ま ま 計 算 す る と,頂 点 周 りが 尖 っ た よ うに な っ て し ま
う た め,以 下 の 式 を もっ て 頂 点 位 置 を補 正 す る。
(2.12) v0は分 割 前 の 頂 点 位 置 を,v1は ηはneとnqで
式(2.11)に
決 ま る係 数 で あ り,neとnqに
よ り計 算 され る頂 点 位 置 を示 す 。 対 す る ηの 対 応 表(図2.6右
上 段)
に基 づ い て修 正 され る。 図2.6下 段 に,四 辺 形 / 三 角 形 混 合 細 分 割 曲 面 の 表 示結果 を示す。
図2.6
四辺 形 / 角 形 混合 細 分 割 曲面 。 上段:内 部 頂 点 に お け る細分 割 マス ク(左)と 頂点 補正 にお けるパ ラ メー タηの対 応表(右)。 下 段:細 分 割 曲面 の表 示 結 果。
(4) そ の 他 の 形 式 上 記 に述 べ た細 分 割 曲面 は,も 近 似 曲 面 で あ るが,制
との 制 御 メ ッ シ ュか ら収 縮 して 生 成 され る
御 メ ッシ ュ の頂 点 を補 間 す る細 分 割 曲 面 と して,三 角
形 の細 分 割 で あ るバ タ フ ラ イ(Butterfly)細 分 割 曲 面 が 提 案 され て い る13)。 しか し こ の 方 法 は,価 数 が3も 続 が保 証 さ れ な い ば か りか,極
し くは7よ
り大 き い非 正 則 点 に お い てC1連
限 曲面 は 制 御 メ ッ シ ュ の頂 点 に対 す る線 形 の
曲 面 に は な ら な い 。 こ れ に対 し,曲 面 上 で の す べ て の 点 に 対 しC1連 続 を保 証 す る 修 正 バ タフ ラ イ(modified Butterly)細
分 割 曲面 が提 案 さ れ て い る49)。
ま た,メ
ッ シ ュ の 分 割 方 法 に お い て,4対1細
分 割 とは 異 な る 分 割 方 法 に
よ る細 分 割 曲 面 が い くつ か 提 案 さ れ て い る 。 そ の 代 表 的 な も の と し て, Doo‐Sabin細 分 割 曲 面 が 挙 げ られ る12)。細 分 割 手 法 は以 下 の 通 りで あ る。 1.各 面 の 重 心 点 と面 の頂 点 と の 間 に中 間点 を 発 生 す る。 2.発
生 した 中 間 点 同士 を 結 び,細 分 割 メ ッシ ュ の 面 とエ ッ ジ を構 成 す る。
この よ う に して で き る細 分 割 メ ッシ ュ の 各 頂 点 にお け る価 数 は す べ て4と な る 。 ま た この よ う な細 分 割 手 法 を 中 間 点 細 分 割 法(midpoint と よぶ 。Doo‐Sabin細
分 割 曲 面 は,一 様 双2次Bス
subdivision)
プ ラ イ ン曲面 を 一 般 化 し
た 曲 面 と して知 られ てお り。 曲 面 上 の任 意 の 点 上 でC1連 続 とな る 。 他 の 細 分 割 手 法 と して は,2回
の細 分 割 で,面
の 数 が も との3倍 に増 え る
√3‐細 分 割 曲 面 が 提 案 され て い る25)。 2.3.3
パ ラ メ トリ ッ ク 曲面 と し て の細 分 割 曲面
細 分 割 曲 面 は,パ
ラメ トリ ック 曲面 と して 定 義 す る こ と も可 能 で あ る こ と
が 示 さ れ て い る42)。以 下 に,Catmull‐Clark細
分 割 曲 面 に お け る任 意 の パ ラ
メ ー タ(u,υ)に 対 す る 曲 面 上 の 位 置 の 導 出法42)に つ い て述 べ る。 まず 初 め に,入 力 制 御 ポ リ ゴ ン を細 分 割 ル ー ル に よ り一 回 細 分 割 す る 。 す る と,そ れ ぞ れ の ポ リゴ ンは せ いぜ い 一 つ の 非 正 則 点 しか 持 た な くな る。 非 正 則 点 を 四 隅 に 持 た な い 正 則 四 辺 形 の極 限 曲 面 は 一 様 双3次Bス
プ ラ イ ン曲
面 で あ り,簡 単 にパ ラ メ ー タ化 で きる 。 非 正 則 点 を含 む 四 辺 形 は細 分 割 に よ り四 つ の パ ッチ に 分 割 さ れ,そ
の う ち 三 つ の パ ッチ は 同 様 に一 様 双3次B
ス プ ラ イ ン 曲 面 に よ り表 す こ とが で きる(図2.7)。 2次 元 パ ラ メ ー タ空 間 の 点(u,υ)に 対 す る 細 分 割 曲面 の位 置 は次 の よ う に 表 現 され る42) 。
(2.13)
そ れ ぞ れ の 位 置 は〓 に よ っ て評 価 さ れ,nとkは
二 つ のパ ラ メ ー タu,υ に よ
っ て 決 定 され る。C0は 四 辺 形 の周 りの制 御 点 列 を 表 す 列 ベ ク トル で あ る。V は,そ の 列 が細 分 割 行 列 の 固 有 ベ ク トル で あ る よ う な,逆 行 列 可 能 な行 列 で あ る 。 またΛ は細 分 割 行 列 の 固 有 値 を含 む 対 角 行 列 で あ り,Aのi番
目の要
図2.7 〓
素 は,行
列Vのi番
上 で の 曲面 上 の位 置 と導 関数 の 計 算
目の 列 に 相 当 す る 固 有 ベ ク トル の 固 有 値 で あ る 。Xkは
有 基 底 関 数 の 係 数 と よ ば れ,パ メ ー タ(u,υ)に
対 す る16個
(u,υ)は(u,υ)を〓
ラ メ ー タkに
のBス
依 存 す る 。b(u,υ)は2次
固
元パ ラ
プ ラ イ ン基 底 関 数 の ベ ク トル で あ る 。tk,n
上 の パ ラ メ ー タ に 変 換 す る 関 数 で あ り,以
下 の よ うに 表
せ る。
(2.14)
2.3.4
細分割 曲面の生 成
現 在,細
分 割 曲 面 は多 くのCGモ
デ リ ング シ ス テ ム 上 に 実 装 さ れ て お り,
ユ ー ザ は これ らの ソ フ トウ ェ ア を使 っ て細 分 割 曲面 をモ デ リ ン グす る こ とが で きる 。 そ の 一 方 で,他
の 方 法 に よ り細 分 割 曲 面 を 生 成 す る 手 法 が 提 案 さ れ
て いる。 生 成 手 法 の 一 つ に,点 群 も し くは ポ リ ゴ ンか らの細 分 割 曲 面 の 生 成 が挙 げ られ る。Suzukiら
は,初 期 制 御 メ ッ シ ュ か らの 適 応 的 な細 分 割 に よ り,点
群 を近 似 す る よ う な 細 分 割 曲 面 を生 成 す る手 法 を提 案 し た44)。 しか し こ の 方 法 は,初 期 制 御 メ ッ シ ュ の設 定 方 法 に近 似 結 果 が 大 き く依 存 す る とい う問 題 点 が あ っ た 。Litkeら
は 同様 の 手 法 を用 い て い るが,擬
似 補 間 法(quasi
interpolation
method)と
得 て い る31)。 ま たLavoueら に し た,四 で,メ
よ ば れ る 補 間 法 を 用 い て,よ は,メ
り精 密 な 近 似 結 果 を
ッ シ ュ の特 徴 抽 出 に よ る領 域 分 け を も と
辺 形 / 三 角 形 細 分 割 曲 面 へ の 近 似 手 法 を 提 案 し て い る27)。 一 方
ッ シ ュの 簡 略 化 を利 用 した細 分 割 曲面 へ の 近 似 手 法 が 提 案 され て い る
24) 。 図2.8に,密
な メ ッ シ ュ か ら 簡 略 化 手 法 に よ るLoop細
分割 曲面の 生成
結 果24)を 示 す 。 図 は そ れ ぞ れ 左 か ら も と の ポ リ ゴ ン(頂 点 数:100,000)と 簡 略 化 に よ っ て 得 ら れ る 制 御 メ ッ シ ュ(頂 点 数:1000,お お よ び,制
よ び 頂 点 数:300),
御 メ ッ シ ュ に対 す る細 分 割 曲面 で あ る。
図2.8 簡 略 化 手法 に よるLoop細
分 割 曲 面 の生 成 結 果
も う 一 つ の生 成 手 法 と して,曲 線 網 か らの 細 分 割 曲面 の 生 成 が 挙 げ られ る。 Levinは,混
合 細 分 割 曲 面(combined
subdivision
surface)を 利 用 した 曲線
網 を厳 密 に 通 過 す る細 分 割 曲 面 の 生 成 手 法 を提 案 した28)が,こ
の混合 細分
割 曲面 は 少 々特 殊 か つ 難 解 な 曲 面 形 式 で あ る。 一 般 の 細 分 割 曲 面 に も利 用 で き る よ り現 実 的 な 手 法 と し て,Nasriら complex)を
は,多
角 形 複 合 体(polygonal
利 用 した 生 成 手 法 を提 案 して い る36)。 こ れ は,細 分 割 に よ り補
間 す る 曲線 を生 成 す る よ うな 帯 状 の 多 角 形 を作 成 し,そ の多 角 形 群 を接 続 す る こ とで 制 御 メ ッ シ ュ を作 成 す る方 法 で あ る 。 そ の 他,卜
リ ミ ン グ の処 理 を 含 む 集 合 演 算 に よ るCSG形
状 の 生 成32)や,
カ ッ トア ン ドペ ー ス トに よ る合 成 形 状 の 生 成5)が 提 案 され て い る 。
2.4 点群 と陰関数曲面 2.4.1
点 群 に よ るモ デ リ ング
先 に 述 べ た通 り,近 年 の3次 元 計 測 技 術 の 発 展 に よ り,実 在 す る物 体 形 状 か ら膨 大 な 個 数 の サ ン プ ル点 を 取 得 で きる よ う に な っ て きた 。しか しなが ら, こ の よ うな 大 容 量 の 点 群 デ ー タ は,計 測 機 器 固 有 の ノ イ ズ を含 み,サ
ンプ リ
ング 間 隔 が 不 均 一 で あ り,さ ら に はサ ンプ リ ン グ に欠 損 部 分 が 存 在 す るな ど の 問題 点 が あ り,直 接3次 元 メ ッ シ ュ の 頂 点 と して は 利 用 で きな い場 合 も多 い 。
これ に対 し,最 近 で はサ ンプ ル 点間 の 接 続 性 に と ら わ れ る こ と な く,点 群 の ま ま で 曲 面 を表 現 す る陰 関数 表現 が 発 展 して きた 。 本 節 で は 点 群 か らの 曲 面 再 構 築 とい う視 点 で この 陰 関 数 を と ら え,そ の 表 現 手 法 を 最 近 の動 向 もあ わせて解説 する。 2.4.2
陰 関 数 曲面 に よ る 曲面 の 表 現
一 般 的 に,陰 関 数 を用 い た 点 群 か らの 曲面 再 構 築 の 問 題 は,各 点 の 座 標 に 加 えそ れ に付 随 す る法 線 ベ ク トル が 必 要 に応 じて 与 え られ る と仮 定 す る。 も し,法 線 ベ ク トルが 既 知 で ない 場 合 は,点 群 か ら接 平 面 な どを 求 め て 法 線 ベ ク トル を計 算 す る こ と に す る22)。 この よ う な仮 定 の も とで,陰
関 数 曲 面 は,与
え ら れ た 点 群 の 情 報(座 標 や
法 線 ベ ク トル)を 用 い て 構 成 さ れ た3次 元 ス カ ラ場s(p)p=(x,y,z)∈ あ る特 定 の ス カ ラ値 の 等 値 面 と して 表 現 さ れ る7)。 この 場 合,物 (+),外
部 が 負(−)と
な る よ う な,曲
体 内部が正
面 か らの 符 号付 き距 離 関 数 を ス カ ラ
値 と して もつ 場 を構 成 す る の が 慣 習 とな って い る。 こ こで,与 に対 応 す る 曲面 は,ス
R3の,
カ ラ値0の 等値 面s(p)=0と
え られ た点 群
して 陰 に表 現 され る こ と
になる。 陰 関 数 曲面 の 特 徴 と して,3次
元 メ ッシ ュ や 自 由 曲 面 の よ う に,曲 面 上 の
点 の座 標 が 陽 に 表現 され る場 合 よ り も,曲 面 の 位 相 変 化 を と もな う変 形 や 集 合 演 算 な ど を効 率 よ く処 理 で き,パ ラ メー タ化 が 必 要 な い な どの 利 点 が あ る。 そ の反 面,レ ン ダ リ ング処 理 や 曲面 の 鋭 角 特 徴 の保 持 な どに は 問 題 が あ っ た 。 しか しな が ら,Splatting法
と よば れ る点 群 の 高 速 レ ン ダ リ ン グ手 法38),50)や,
鋭 角 特 徴 を抽 出 で き る 等 値 面 化 手 法23),26)など も近 年 数 多 く開発 され て お り, 陰 関 数 曲 面 表 現 手 法 の さ らな る 発展 を促 が す きっ か け と もな っ て い る。 2.4.3
種々 の陰関数 表現
この 項 で は,陰 RBF,
MPU,
関 数 曲面 の 表 現 手 法 と して,最 近 の 研 究 で 用 い られ て い る
MLS,
LSMを
解 説 す る 。 こ こで,初
の 重 み つ き和 でス カ ラ場 を構 成 す るの に対 し,残
めの二 手法 は基底 関数
りの二 手 法 は反 復 計 算 を と
もな う数 値 処 理 に よ りス カ ラ場 を 求 め る特 徴 を もつ 。 (1) RBF
(Radial
RBF(Radial
Basis
Basis
定 義 さ れ る 。RBFを
Functions)
Function)は,放
射 状 の 基 底 関 数 の重 み つ き和 と して
用 い た 点 群 か ら の 曲 面 再 構 築8)は,必
要 な 個 数 の 点{pi}
に 対 して 基 底 関 数 を 割 り 当 て,そ の 重 み つ き和 と し て ス カ ラ 場 が 構 築 さ れ る 。 RBFに
よ る ス カ ラ 場 は,以
下 の 表 現 を もつ 。
(2.15) た だ し,b(p)は
ス カ ラ場 を粗 く近 似 す る た め の 適 当 な低 次 の 多 項 式,φ(r)
は 基底 関 数 を 表 し,λiはi番 RBFは,重 こ の 際,ス
目の 基底 関 数 の 重 み を表 す 。
みλiに 関 す る線 形 連 立 方 程 式 を解 く こ と に よ り求 め ら れ る。 カ ラ値0の
点 だ けだ と,全 体 が ス カ ラ値0と な る 自明 な場 が 構 成
さ れ るの で,法 線 ベ ク トル を利 用 して0以 外 の ス カ ラ値 を もつ 点 も適 当 に 加 え る こ と にす る。 こ の と き,RBFは
以 下 の 方程 式 を解 く こ とで 求 め られ る。
(2.16)
(2.17) た だ し,λ
は 重 み 値λiの ベ ク ト ル,fは
る 。 ま たb(x,y,z)=c1+c2x+c3y+c4zと のi行
目 は(1,xi,yi,zi)と
点 の ス カ ラ 値 の ベ ク トル で あ る と す す る と,c=(c1,c2,c3,c4)Tと
な る 。 図2,9は,φ(r)=rと
示 す8)。 実 際 の 計 算 に お い て,基 精 度 に 依 存 す る 。 図2.9は,基
し て,再
な り,P
構 築 し た 曲面 を
底 関数 を割 り当 て る点 の 個 数 は 必 要 な近 似 底 関 数 の 数 を 増 や す こ と で,再
い 近 似 精 度 が 実 現 で きる こ と を示 して い る 。
構 築 曲面 の 高
図2.9 RBFを
(2) MPU(Multi‐level
Partition
MPU(Multi‐level り 当 て(1の
用 いて 再構 成 した 曲面
Partition
of
Unity)
of Unity)は,RBFの
分 割)を 多 重 レ ベ ル に 改 良 し,膨
関 数 曲 面 を 再 構 築 す る 手 法 で あ る37)。MPUで φi(p)と
重 み λi(p)の
基底 関数 の重み値 の割
大 な 個 数 の 点 群 か ら短 時 間 に 陰 は,ま
ずス カラ場が基 底 関数
重 み つ き 和,
(2.18) と定 義 され る とす る。 こ こ で,RBFで
は重 み λiがス カ ラ場 内 で 一 定 で ,そ
の 値 の 計 算 に は大 域 的 な 連 立 方 程 式 を解 く必 要 が あ っ た の に 対 し,MPUで は 重 みλiも3次 元 座 標Pの
関 数 と な っ て い る た め,そ
(p)が 直 接 計 算 で き る こ と に注 意 す る 。 実 際,MPUの の 台 を もつ 非 負 の 関 数wi(p)を
の座 標Pか
ら重 み λi
重 み λi(P)は,有
限
用 い て,
(2.19) と して 定 義 さ れ る 。 こ の 計 算 は,wi(p)が
有 限 の 台 を もつ こ とか ら,局 所
的 か つ 高 速 に計 算 が で きる 。 また,MPUに
お け る 基 底 関 数 の割 り当 て は,ス
カ ラ場 が 定 義 され る 立 方
体 領 域 を8分 木 を 使 っ て 適 応 的 に細 分 割 し,そ れ ぞ れ の 分 割 さ れ た 小 立 方 体
図2.10
MPUに
よ る曲 面再構 成
の 一 つ ず つ に基 底 関数 を 割 り当 て て い る。 こ こ で細 分 割 は,ス
カ ラ場 の 近 似
誤 差 に応 じて行 わ れ る た め,精
度 に 応 じた ス カ ラ場 計 算 の 高 速 化 を 実現 す る
こ とが で き る。 図2.10は,精
度 に 応 じた 形 状 再 構 築 の 結 果 を 示 して お り,
奥 か ら手 前 へ 近 似 精 度 の 高 い 曲 面 を並 べ て い る 。 さ らに,MPUで
は基 底 関
数 φi(p)と し て鋭 角 特 徴 を 表 現 で きる 区 分 的2次 曲 面 な ど を用 い る た め,従 来 のRBFで MPUは,欠
は 実現 で きな い鋭 角 特徴 の復 元 を も実 現 して い る。 さ らに 損 や ノ イ ズ が 含 まれ る 点 群 に対 応 す る よ う な拡 張 も示 され て い
る46)。 (3) MLS(Moving MLS(Moving
Least
Squares)
Least Squares)は,3次
元 座 標pの
ス カ ラ値s(p)を,近
傍
点 の 重 み 付 き最 小 二 乗 近 似 で 求 ま る接 平 面 を 参 照 して 計 算 す る手 法 で あ り, 基 底 関 数 を 利 用 す るRBFやMPUと
は 大 き く異 な る 。 実 際 の ス カ ラ場 は,
曲 面 か らの符 号 付 き距 離 と して,以 下 の よ う に計 算 され る1)(図2.11)。 ま ず,与
え ら れ た 点 群 を{Pi}と す る 。 こ の と き 接 平 面H={x│n・x−
D=0,x∈R3},‖n‖=1,3次
元 座 標pの 平 面Hへ
の垂 線 の 足 をqと
した と き,
(2.20) が 最 小 と な る よ うに,平
面Hを
定 め る 。 こ こで θは,滑
らかな単調 減少 関
MLSを
用 い た 曲 面再 構 成 処 理 ステ ップ
数 で あ る とす る。
図2.11
次 に,点piの
平 面Hへ
の 正 射 影 をqiと
し,hi=n・(pi−q)を
平 面H上
の高
さ と す る 。 こ の と き,
(2.21) を最 小 にす る2次 多 項 式gを 求 め る。 こ こ で,(ui,υi)は,平 点 と して 定 義 さ れ る,点qiの
にqを 原
局 所 座 標 で あ る こ とに注 意 す る。 こ の と き,p
の符 号 付 き距 離 はs(P)=n・(pi−q)−g(0,0)と
図2.12
面H上
MLSに
計 算 され る。
よる 曲面 再構 成
実 際 のMLSの
計 算 の 際 に は,文 献1)に
要 と な る 。 ま た,上
あ る通 り,反 復 的 な 数 値 計 算 が 必
記 の 関 数 θを θ(d)=ed2/h2と 定 義 す る と,hは
らか さ を制 御 す る こ とが で き る。 例 え ば,hの
曲面 の滑
値 が 小 さ い と図2.12(a)の
う に小 さ い特 徴 を と らえ る 曲面 を 再 構 築 で き,大
きい と図2.12(b)の
よ
ように
よ り滑 らか な補 間 を得 る こ とが で きる 。 MLSは,近
年 陰 関 数 曲 面 に よ る 点 群 表 現 に広 く用 い られ る よ う に な っ て
お り,異 な る 定 式 化4)や,CSGに
お け る集 合 演 算 や そ れ の よ り生 じる 鋭 角
特 徴 を処 理 す る手 法15)な どが 提 案 さ れ て い る。 (4) LSM(Level LSM(Level
Set
Method)
Set Method)は,時
間tに 関 す る偏 微 分 方 程 式 を用 い,反 復 計
算 で与 え られ た点 群 に再 構 築 す べ き 曲面 を順 次 収 束 させ て求 め る手 法 で あ る。 実 際 の 計 算 は,曲
面Γ が 時 間tに 依 存 す る もの と し て 定 式 化 し,tを
偏 微 分 方 程 式 を求 め る 。 例 え ば,s(p,t)が
時 間tに お け る3次 元 座 標pの
カ ラ値 を表 す とす る。 こ の と き,求 め る 曲面 はs=0の こ こ で,曲
含む ス
等 値 面 で あ る とす る 。
面Γ が 時 間tに 依 存 す る と 考 え,s(Γ(t),t)=0をtに
関 して 微 分
す る と,
(2.22) とい う時 間tを 含 む偏 微 分 方 程 式 を得 る。 実 際 に は,ス 3次 元 空 間 に格 子 状 サ ンプ ル 点 を と り,s=0の 方 程 式 を評 価 す る こ とで,効 る 。 図2.13は,ス
カ ラ場 が 定 義 され る
近 傍 の み に お い て こ の偏 微 分
率 よ く曲 面 を順 次 点 群 に 収 束 させ る こ とが で き
カ ラ場 が 定 義 され る領 域 全 体 を覆 う曲 面 を 出発 点 と して,
点 群 か ら構 成 さ れ る 曲 面 に順 次 収 束 計 算 した過 程 を 示 す 。 詳 細 な 数 値 計 算 法 に 関 して は,例 え ば 文 献48)を
図2.13
参 照 の こ と。
LSMに
よる 曲面 再構 成
本 章 で は,モ
デ リ ン グ 技 術 の 最 近 動 向 と し て,主
細 分 割 曲 面 モ デ リ ン グ,そ
に メ ッ シ ュ モデ リ ン グ と
れ に 陰 関 数 曲面 を用 い た 点 群 モ デ リ ング につ い て
の 解 説 を 行 っ た 。 こ れ ら の 技 術 は,測 タ に 関 す る 処 理 と し て,そ
定 機 等 か ら得 られ る 大 容 量 の 点 群 デ ー
の 応 用 技 術 や 具 体 的 な プ ロ ジ ェ ク ト と と も に,今
後 の 発 展 が期 待 で きる もの と確 信 して い る。 た だ し,モ デ リ ン グ 技 術 に お い て,現 在 盛 ん に 行 わ れ て い る に も 関 わ ら ず, 紙 面 の 関 係 上 こ こ で 触 れ る こ との で き な か っ た ト ピ ッ ク は 多 い 。 例 え ば,メ ッ シ ュ の 圧 縮,編
集,検
索,モ
デ ル の 修 復 や,GPUに
よ る 形 状 処 理 な どが
挙 げ られ る 。 な お,図 langelo
で 使 用 し た ダ ビ デ 像 の モ デ ル は,Stanford大
Projectに
図 を 引 用 さ せ て 頂 い た,Pierre C.Carr氏,大
のDigital Miche
お い て 計 測 し た も の を 利 用 さ せ て 頂 い た 。 ま た,論
竹 豊 氏,Marc
Alliez氏,Jos Alexa教
文 中の
Stam氏,Dr.Jonathan
授,Hong‐Kai
Zhao氏
にそれぞれ感謝
の意 を表 す る 。
〈図
の
図2.1
出 典
等
〉
M.Levoy,K.Pulli,B.Curless,s.Rusinkiewicz,D.Koller,L.
Pereira,M.Ginzton,S.
Anderson,J.Davis,J.Ginsberg,J.Shade, project:3D 図2.3
scanning
and D.Fulk.n:"The
of large
statues",In
(a)P.Alliez,M.Meyer,and Transactions
on
図2.6
on
Graphics(In
Proc.of
and
図2.8
図2.9
J.C.Carr
Y.Ohtake,
り 。(b)P.Allies,D.Cohen‐Steiner polygonal
2003)よ
remeshing",ACM
り。 許 諾 を得 て 転 載
subdivision",Computer
subdivision
Workshop et
SIGGRAPH
り remeshing",ACM
Graphics
Forum,
り。 許 諾 を得 て 転 載
on
Proc.of
surfaces
Vision,Modeling
al.:"Reconstruction
Functions",In 図2.10
Proc.of
T. Kanai:"MeshToSS:Converting International
2002)よ
C.T.Loop:"Quad/triangle
Vol.22,No.1(2003)よ
geometry
SIGGRAPH
Michelangelo
2000(2000)よ
M.Desbrun:"Anisotropic
Graphics(In
(下)J.Stam
digital
SIGGRAPH
M.Desbrunn:"Interactive
, O.Devillers,B.Levy,and Transactions
Proc.of
ACM
and
and
Representation
SIGGRAPH
Transactions
dense
of
2001(2001)よ
A.Belyaev,M.Alexa,G.Turk,and
implicits",ACM
from
meshes",Proc.of
Visualization(2001)よ 3D
Objects
Graphics(In
with
Radial
Basis
partition of
unity
り。 許 諾 を 得 て 転 載
H.‐P,Seidel:"Multi‐level on
6th
り
Proc.of
SIGGRAPH
2003)よ
り。 許 諾 を 得
て 転 載 図2.12
M.Alexa,J.Behr,D.Cohen‐Or,S.Fleishman,D.Levin rendering
point
Graphics,Vol.9, 図2.13
set
and
surfaces",IEEE
No.1(2003)よ
Transactions
Vision
and
from Image
unorganized Understanding,
C.T.Silva:"Computing
Visualization
and
and
Computer
り。 許 諾 を得 て 転 載
H.‐K.Zhao,S.Osher,B.Merriman,and reconstruction
on
M.Kang:"Implicitand data
using
a
Vol.80,No.3(2000)よ
variational
nonparametric level
set method",Computer
り。 許 諾 を得 て 転 載
shape
参 考
文 献
1) M.Alexa,J.Behr,D.Cohen‐Or,S.Fleishman,D.Levin,and and
rendering
Computer
point
set
C.T.Silva:"Computing
surfaces",IEEE
Transactions
on
Visualization
and
Graphics,Vol.9,No.1,pp.3‐15(2003).
2) P.Alliez,D.Cohen‐Steiner,O.Devillers,B.Levy,and polygonal
remeshing",ACM
M.Desbrun:"Anisotropic
Transactions
on
Graphics(In
Proc.of
SIGGRAPH
2003),Vol.22,No.3,pp.485‐493(2003). 3) P.Alliez,M.Meyer,and Transactions
M.Desbrun:"Interactive
on
Graphics(In
Proc.of
geometry
SIGGRAPH
remeshing",ACM
2002),Vol.21,No.3,pp.347‐354
(2002). 4) N.Amenta
and
Graphics(In
Y.J.Kil:"Defining
Proc.of
point‐set
SIGGRAPH
5) H.Biermann,I.M.Martin,F.Bernardini multiresolution
surfaces",ACM
Transactions
on
2004),Vol.23,No.3,pp.264‐270(2004). and
surfaces",ACM
Transactions
D.Zorin:"Cut‐and‐paste on
Graphics(In
editing
Proc.of
of
SIGGRAPH
2002),Vol.21,No.3,pp.312‐321(2002). 6) H.Biermann,A.Levin,and normal
D.Zorin:"Piecewise
control",In
Computer
smooth
Graphics(In
Proc.of
subdivision
SIGGRAPH
surfaces
with
2000),pp.113‐120
(2000). 7) J.Bloomenthal:"Introduction
to
Implicit
Surfaces",Morgan
Kaufmann
Publishers
(1997). 8) J.C.Carr,R.K.Beatson,J.B.Cherrie,T.J.Mitchell,W.R.Fright,B.C.McCallum,and T.R.Evans:"Reconstruction f
unctions",In
9) E.Catmull
and
topological
and
Proc.of
Computer
of
J.Clark:"Recursively
generated Aided
Proc.of
11) M.Desbrun,M.Meyer,and meshes",Computer
B‐spline
with
surfaces
surfaces
SIGGRAPH
radial
basis
on
arbitrary
Forum(In
in
character
animation",
98),pp.85‐94(1998).
P.Alliez:"Intrinsic Graphics
objects
Design,Vol.10,No.6,pp.350‐355(1978).
T.Truong:"Subdivision Graphics(In
3D
2001,pp.67‐76(2001).
meshes",Computer
10) T.DeRose,M.Kass,and In
representation
SIGGRAPH
parameterizations
Proc.of
of
EUROGRAPHICS
surface
2002),Vol.21,
No.3,pp.209‐218(2002). 12) D.Doo
and
M.Sabin:"Analysis
extraordinary 13) N.Dyn,D.Levin,and interpolation
of
points",Computer
the
behavior
Aided
J.A.Gregory:"A with
tension
of recursive
butterfly
control",ACM
division
surfaces
near
Design,Vol.10,No.6,pp.356‐360(1978). subdivision
Transactions
on
scheme
for
surface
Graphics,Vol.9,No
.2, pp.160‐169(1990). 14) M.Eck,T.DeRose,T.Duchamp,H.Hoppe,M.Lounsbery,and "M ultiresolution analysis of arbitrary
W.Stuetzlz: meshes",In
Proc.of
SIGGRAPH
95,
pp.173‐182(1995). 15) S.Fleishman,D.Cohen‐Or,and with
shape
features",ACM
2005),Vol.24,No.3,pp.544‐552(2005).
C.T.Silva:"Robust Transactions
on
moving Graphics(In
least‐squares Proc.of
fitting
SIGGRAPH
16) M.S.Floater:"Parametrization
and
smooth
approximation
of
surface
triangula
tions" ,Computer
Aided
17) M.S.Floater Proc.of
and
Geometric
Design,Vol.14,No.3,pp.231‐250(1997).
K.Hormann:"Recent
Multiresolution
in
advances
in
surface
GeometricModelling
2003
parameterization"
,In
,pp.259‐284,Springer
Verlag,Berlin(2003).
18) X.Gu,S.Gortler,and
H.Hoppe:"Geometry
Graphics(In
Proc.of
SIGGRAPH
images"
19) X.Gu,Y.Wang,T.F.Chan,P.M.Thompson conformal
mapping
Transaction
on
,and and
Medical
itsapplication
to
S.‐T.Yau:"Genus brain
on
zero
surface
T.DeRose:"Efficient,fair
surfaces",In
Transactions
surface
mapping",IEEE
Imaging,Vol.23,No.8,pp.949‐958(2004).
20) M.Halstead,M.Kass,and Clark
,ACM
2002),Vol.21,No.3,pp.355‐361(2002).
Computer
interpolation
Graphics(In
Proc.of
using
SIGGRAPH
93)
Catmull ,pp.35‐44
(1993). 21) H.Hoppe,T.DeRose,T.Duchamp,M.Halstead,H.Jin,J.McDonald and
W.Stuetzle:"Piecewise
(In Proc.of
smooth
SIGGRAPH
,J.Schweitzer,
surface
reconstruction"
from
Computer
Graphics
94),pp.295‐302(1994).
22) H.Hoppe,T.DeRose,T.Duchamp,J.McDonald reconstruction
,In
,and
unorganized
points",In
Proc
W.Stuetzle:"Surface
.of
SIGGRAPH'92,pp.71‐78,
(1992). 23) T.Ju,F.Losasso,S.Schaefer,and ACM
Transactions
J.Warren:"Dual on
Graphics(In
Proc
contouring
.of
SIGGRAPH
of hermite
data"
,
2002),Vol.21,No.3,
pp.339‐346(2002). 24) T.Kanai:"MeshToSS:Converting Proc.of
6th
subdivision
International
pp.325‐332.IOS
Workshop
surfaces
on
from
dense
Vision,Modeling
and
meshes"
,In
Visualization
,
Press,Amsterdam(2001).
25) L.P.Kobbelt:"√3‐subdivision",In
Computer
Graphics(In
Proc
.of
SIGGRAPH
2000),pp.103‐112(2000). 26) L.P.Kobbelt,M.Botsch,U.Schwanecke,and extraction
from
volume
H.‐P.Seidel:"Feature
data",In
27) G.Lavoue,F.Dupont,and subdivision Digital
Proc.of
SIGGRAPH
2001
A.Baskurt:"Toward
surface Imaging
and
fitting",In
Proc.of
a 5th
Modeling,pp.402‐409
near
sensitive ,pp.57‐66(2001).
optimal
International
,IEEE
CS
surface
quad/triangle
Conference
Press,Los
on
3D
Alamitos,CA
(2005). 28) A.Levin:"Interpolating Computer
Graphics(In
nets Proc.of
of
curves
SIGGRAPH
by
smooth
subdivision
surfaces"
29) M.Levoy,K.Pulli,B.Curless,S.Rusinkiewicz,D.Koller,L.Pereira,M
.Ginzton,
S.Anderson,J.Davis,J.Ginsberg,J.Shade,and project:3D (2000).
scanning
of large
D.Fulk:"The statues",In
,In
99),pp.57‐64(1999).
Proc.of
SIGGRAPH
digital
michelangelo
2000,pp.131‐144
30) B.Levy,S.Petitjean,N.Ray,and automatic
texture
SIGGRAPH
J.Maillot:"Least‐squares
atlas
generation",ACM
2002),Vol.21,
P.Schroeder:"Fitting
Visualization
Geometric
33) C.Loop:"Smooth
subdivision
34) M.Mantyla:"An
surfaces
surfaces",In
Proc.of
for
subdivision
surfaces",
based
on
triangles",Master's
thesis,
of Mathematics(1987).
Introduction
35) S.Muraki:"Volumetric
to Solid
shape
Modeling",Computer
description
Science
of range
data
using
Press(1988)
blobby
.
model"
,In
SIGGRAPH'91,pp.227‐235(1991).
36) A.H.Nasri:"Recursive
subdivision
CAGD",Computer
Aided
of polygonal
Geometric
complexes
and
their
applications
in
Design,Vol.17,No.7,pp.595‐619(2000).
37) Y.Ohtake,A.Belyaev,M.Alexa,G.Turk,and unity
for
Proc.of
Design,Vol.18,No.5,pp.463‐481(2001).
of Utah,Department
Proc.of
subdivision
P.Schroeder:"Trimming
Aided
University
maps
Graphics(In
2001,pp.319‐324(2001).
32) N.Litke,A.Levin,and Computer
on
No.3,pp.362‐371(2002).
31) N.Litke,A.Levin,and IEEE
conformal
Transactions
H.‐P.Seidel:"Mufti‐level
implicits",ACM Transactions
on
Graphics(In
Proc.of
partition
SIGGRAPH
of
2003),
Vol.22,No.3,pp.463‐470(2003). 38) H.Pfister,M.Zwicker,J.van rendering
Baar,and
primitives",In
39) E.Praun
and
Proc.of
M.Gross:"Surfels:Surface
SIGGRAPH
H.Hoppe:"Spherical
Transactions
on
parametrization
Graphics(In
Proc.of
elements
as
2000,pp.335‐342(2000).
SIGGRAPH
and
remeshing",ACM
2003),Vol.22,No.3,pp.340‐349
(2003). 40) P.V.Sander,J.Snyder,S.J.Gortler,and meshes",In
Proc.of
H.Hoppe:"Texture
SIGGRAPH
41) O.Sorkine,D.Cohen‐Or,R.Goldenthal,and piecewise
mesh
mapping
progressive
2001,pp.409‐416(2001). D.Lischinski:"Bounded‐distortion
parameterization",In
Proc.of
13th
IEEE
Visualization,pp.355
‐362(2002). 42) J.Stam:"Exact
evaluation
parameter
values",In
of
Catmull‐Clark
Computer
subdivision
Graphics(In
Proc.
of
surfaces SIGGRAPH
at
arbitrary
98),pp.395
‐404(1998). 43) J.Stam
and
C.T.Loop:"Quad/triangle
subdivision",Computer
Graphics
Forum,
Vol.22,No.1,pp.79‐86(2003). 44) H.Suzuki,S.Takeuchi,T.Kanai,and range
of
points",In
pp.158‐167,IEEE 45) J.Warren Constructive
CS and
F.Kimura:"Subdivision Proc.of Press,Los
sets",In
Pacific
Approach",Morgan
Proc.of
surface International
fitting
to
Conference,
Methods
for
Geometric
Design:A
Kaufmann(2001). H.Qin;"Surface
15th
Graphics
Alamitos,CA,(1999).
H.Weimer:"Subdivision
46) H.Xie,K.T.McDonnell,and data
7th
IEEE
reconstruction
Visualization,pp.259‐266(2004).
of
noisy
and
defective
a
47) S.Yoshizawa,A.G.Belyaev,and mesh and
H.‐P.Seidel:"A
parameterization",In Applications
Proc.of
reconstruction
Computer
Vision
simple
stretch‐minimizing on
M.Kang:"Implicit
from and
unorganized
Image
49) D.Zorin,P.Schroder,and arbitrary
and
Conference
Shape
Modeling
2004,pp.200‐208(2004).
48) H.‐K.Zhao,S.Osher,B.Merriman,and shape
fast
International
data
using
nonparametric level
set
method",
Understanding,Vol.80,No.3,pp.295‐314(2000). W.Sweldens:"Interpolating
topology",In
and
a variational
Computer
Graphics(In
subdivision Proc.of
for
meshes
SIGGRAPH
with
96),pp.189‐
192(1996). 50) M.Zwicker,H.Pfister,J.van SIGGRAPH 51) 池 内,倉
Baar,and
M.Gross:"Surface
splatting",In
Proc.of
01,pp.371‐378(2001). 爪,西
野,佐
川,大
石,高
産 の デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ 化‐",日
瀬:"The
great
buddha
project‐
大 規 模 文 化 遺
本 バ ー チ ャ ル リ ア リ テ ィ 学 会 論 文 誌,Vol.7,No.1,
pp.103‐113(2002). 52) 石 井,岡
田,三
和 田:"X線CTを
活 用 し た3次
元 形 状 計 測",精
密 工 学 会 誌 特 集
タ ル エ ン ジ ニ ア リ ン グ に お け る 大 規 模 形 状 処 理 技 術 」,Vol.69,No.4,pp.473‐476 (2003).
「デ ジ
章
3
第
レンダ リング 広島大学大学院 金 田和 文 東邦大学理学部 新谷 幹夫 東京大学大学院 西 田友是
3.1
は じめ に
3次 元CGに
お い て フ ォ ト リア リ ス テ ィ ッ ク な 画 像 を作 成 す る た め に は,
シー ン中 に 存 在 す るす べ て の 物 体 か らの 反 射 ・透 過 光 や 光 の伝 播 す る空 間 で の 散 乱 ・減 衰 を考 慮 した大 域 照 明 モ デ ル が用 い られ る 。 本 章 で は,光 の物 理 量 を取 り扱 う基 礎 と な る 放 射 測 定 学 に つ い て述 べ た後,局
所 照 明 モ デ ル や,
大 域 照 明 モ デ ルの 代 表 的 な 手 法 で あ る ラ ジ オ シテ ィ法 や フ ォ トンマ ッピ ング 法 が,ど
の よ う に して レ ンダ リ ン グ方 程 式 を解 くの か に 着 目 して,そ れ ぞ れ
の 手 法 を解 説 す る。 また,上 記 の 手 法 と は別 の ア プ ロー チ で,リ
ア ル な画 像 を効 率 よ く作 成 す
る こ とが で き る方 法 と して,画 像 を利 用 した レ ン ダ リ ング 手 法 が 近 年 大 き な 注 目 を集 め て い る 。3.4節 で は,テ
クス チ ャ生 成 技 術 と併 せ て 画 像 利 用 レ ン
ダ リ ング に 関 して 解 説 す る。
3.2
シ ェー デ ィ ン グ
3.2.1
シ ェー デ ィ ング の 基礎
まず,シ
ェ ー デ ィ ング の 基 礎 と な る放 射 測 定 学(radiometry)に
つ い て解
説 す る。 光 は 電 磁 波 で あ り放 射 エ ネ ル ギ ー(radiant energy)を
も っ て い る。 ど れ だ
け の 量 の 放 射 エ ネ ル ギ ー が 単 位 時 間 あ た り に通 過 す る か を表 す 量 を放 射 束
図3.1 放 射 輝 度
(radiant
flux)Φ
と よ ぶ 。 そ し て,単
位 面 積 あ た り どれ だ け の放 射 束 が 入 射
す る か を 表 す の が 放 射 照 度(irradiance)Eで
あ る 。 す な わ ち,微
小 面 積dA
に お け る放 射 照 度 は 次 式 で 表 され る。
(3.1) 放 射 発 散 度(radiant
exitance)Mは
ラ ジ オ シ テ ィ(radiosity)Bと
もよば
れ,単 位 面 積 か ら出 て い く放 射 束 で 表 され る。 放 射 発 散 度 は放 射 照 度 と 同 じ く放 射 東 面 密 度 を表 す た め,式
は 同 じ形 式 に な る が,両 者 は放 射 束 が 面 か ら
出 入 りす る方 向 の 違 い が あ る。
(3.2) 放 射 強 度(radiant
intensity)Iは 単 位 立 体 角 あ た りの 放 射 束 で あ り,点 光
源 の 強 度 を表 す場 合 な どに 用 い ら れ る 。
(3.3) こ こで,dω
は微 小 立 体 角 で あ る。
わ れ われ が 知覚 す る明 る さ を最 もよ く表現 して い る のが放 射 輝 度(radiance)L で あ り*1,視 線 方 向 の放 射 強 度 を視 線 に 垂 直 な面 へ の 射 影 面 積dA⊥ で 除す こ と に よ り求 め られ る(図3.1参
照)。
(3.4) 式(3.3)に 示 した放 射 強 度 の 関 係 式 か ら,放 射 輝 度 は単 位 立 体 角,単
位射 影
面 積 あ た りの 放 射 束 と して も表 され る。 式(3.4)か
ら,放 射 輝 度 は観 測 方 向
に依 存 す るが,観 測 点 ま で の 距 離 に は依 存 しな い こ とが わ か る。 立 体 角(solid angle)は,2次 で あ り,図3.2に
元 平 面 で の 角 度 を3次 元 空 間 に拡 張 した もの
示 す よ う に,点Pを
中 心 と した 単 位 球 面 に投 影 し た と きの
面 積 Ω が 立 体 角 と な る。 立 体 角 は空 間 的 な広 が りだ け で な く方 向 も表 す 。
図3.2 立体 角
3.2.2
双 方 向反 射 分 布 関数
物 質 表 面 で の 光 の 反 射 特 性 は双 方 向 反 射 分 布 関 数(BRDF;Bidirectional Reflectance
Distribution
Function)で
表 さ れ る。 このBRDFは
光の入射 点
の 位 置xと 入 射 方 向 ω,反 射 方 向 ω'に関 す る6次 元 関 数 とな り*2,物 質 表 面 へ 入 射 す る放 射 照 度dE(x←
ω)と そ の 表 面 か らの 放 射 輝 度dL(x→ω')の
関係
と して 次 式 で 表 され る。
(3.5)
*1放
射 測 定 学 で は 光 の もつ エ ネ ル ギ ー を扱 うの で
必 ず し も一 致 す る と は 限 ら な い 。 た と え ば,紫 眼 に は 見 え な い 。 一 方,測
,放
射輝 度 と人 間が 知 覚 す る明 る さは
外 線 は放 射 エ ネ ル ギー を もつ が われ わ れ の
光 学(photometry)で
は 光 の波 長 に対 す る人 間の 眼 の 感 度 を考
慮 し て,各 々 の 放 射 量 に 対 す る 測 光 量 が 定 義 さ れ て い る 。 *2よ り一 般 化 さ れ た 物 質 表 面 で の 反 射 特 性 を 表 す 双 方 向 深 層 散 乱 反 射 分 布 関 数 (BSSRDF;Bidirectional
Scattering
ら に 出 射 点 もパ ラ メ ー タ に 加 え て8次
Surface
Reflectance
元 とな る。
Distribution
Function)は,さ
(3.6) こ こ で,cos(Nx,ω)は 式(3.1)と
点xで
式(3.4)を
る 式(3.6)と BRDFは
の 面 の 法 線 と入 射 方 向 ω の な す 角 の 余 弦 で あ る 。
用 い て 式(3.5)を
変 形 す る と,BRDFは
放射輝 度に関す
な る。 次 の 性 質 を もつ 。
(1) 相 反 性 入 射 と 出 射 方 向 を 入 れ 換 え て もBRDFの はHelmholtz
reciprocityと
値 は 変 わ ら な い。 こ の性 質
よば れ る。
(3.7) (2) 加 法 性
複 数 の 入 射 方 向 か らの放 射 照 度 を求 め る際 に は,そ れ ぞ れ の 方 向 か ら の放 射 照 度 を 求 め,そ る 際 に は,BRDFは
れ らを加 算 す れ ば よ い。 よっ て,放 射 輝 度 を 求 め あ ら ゆ る 入 射 方 向 に 関 して 線 形 の 関 数 と して,次
式 の よ う に取 り扱 う こ とが で き る。
(3.8)
こ こ で,Ωxは 面 上 の 点xを 中 心 と し,面 の 法 線 方 向 の 半 球 領 域 を 表 す 。
(3) エ ネ ル ギ ー 保 存 則
反 射 面 か ら放 射 され るエ ネ ル ギ ー の 総 和 は,そ の 面へ 入 射 した エ ネ ル ギ ー の 総 和 と等 しい か あ る い は 小 さい 。 エ ネ ル ギ ー保 存 則 が 成 立 す る た め に は 次 の 条 件 を 満足 す る必 要 が あ る。
(3.9) 3.2.3
レン ダ リン グ方 程 式
レ ンダ リ ング を行 う た め に は,計 算 点xで の 方 向 ωへ の 放 射 輝 度 を求 め る 必 要 が あ る 。 こ れ は,面
自体 が 発 す る放 射 輝 度Le(x→
され た 放 射 輝 度Lr(x→ω')の
和 で表 される。
ω')と 計 算 点 で 反 射
(3.10)
(3.11) 式(3.11)で
表 さ れ る よ う に,レ
算 出 す べ き 放 射 輝 度Lが て,放
射 輝 度Lr(x→
ン ダ リ ン グ 方 程 式(rendering
equation)は
式 の 両 辺 に 表 れ た 積 分 方 程 式 と な っ て い る1)。 そ し
ω')を 求 め る た め に,計
算 点 を 中 心 とす る 半 球 面 Ωxで
積 分 が 行 わ れ る 。 後 述 す る フ ォ ト ン マ ッ ピ ン グ 法 で は,モ
ンテ カル ロ レイ ト
レ ー シ ン グ 法 を 用 い て こ の レ ン ダ リ ン グ 方 程 式 を解 い て い る 。 式(3.11)で
表 さ れ る レ ン ダ リ ン グ 方 程 式 を,物
換 え る こ と も で き る 。 図3.3に を 考 え,そ
示 す よ う に,計
体 面 での積分 形式 に書 き
算 点xと
物 体 面 上 の 他 の 点x'
れ ら の 点 ど う し の 可 視 性 を 表 す 関 数 をV(x,x')と
V(x,x')=1の
と きxか
らx'が 可 視,V(x,x')=0の
と き 不 可 視 で あ る 。 ま た,
光 が 伝 播 す る 媒 質 中 で 散 乱 ・吸 収 が 起 き な け れ ば,点xで 射 輝 度 は,点x'か
す る 。 す な わ ち,
の ω方 向 か ら の 放
ら−ω 方 向 へ 出 て い く放 射 輝 度 と 等 し い 。 す な わ ち,次
式
が 成 立 す る。
(3.12) さ ら に,計 算 点xか ら の微 小 立 体 角dω と点x'上 の 微 小 面 積dA'と
の関係式
(3.13) を 用 い て,式(3.11)を
変 形 す る と次 式 が 得 られ る。
(3.14)
こ こ で,G(x,x')は る 。 点xと
点x'に
面 上 の 点xと
点x'の
幾 何 学 的 な 関係 に 依 存 す る 関 数 で あ
お け る 法 線 を そ れ ぞ れNx,Nx'と
す る とG(x,x')は
次式 で
表 わ され る。
(3.15)
ラ ジ オ シ テ ィ法 で は この よ う に,半 球 面 で の積 分 を物 体 面 で の 積 分 に 置 き換 え,有 限 要 素 法 を用 い て レ ン ダ リ ング 方 程 式 を解 い て い る。
図3.3
レン ダ リン グ方程 式 の物 体 面 で の積 分 形 式 へ の書 き換 え
3.3 シ ェー デ ィングモ デル 3.3.1
局 所 照 明 モ デル と大 域 照 明 モ デ ル
式(3.10)のLr(x→ω')を,直
射 光Leに
よ る 反 射 成 分Ldと 間 接 光Liに よ
る 反 射 成 分Lidに 分 け て表 す と次 式 と な る 。
(3.16)
(3.17)
(3.18) (3.19) こ こ で,intersection(x,ω)は,点xか
ら ω方 向 へ 延 ば し た 線 分 と 物 体 面 と
の最初 の交点 を表す。 局 所 照 明 モ デ ル(local
illumination
model)で
は,光
源 か らの 直 射 光 に よ
る 反 射 成 分 を式(3.17)に
基 づ い て 求 め,式(3.18)で
表 され る 間接 光 に よ る
反 射 成 分 の 計 算 は,計 算 点 の 周 囲 か ら くる 一 様 な 光(環 境 光)を 仮 定 し,本 来 な らば 式(3.19)に
よ り算 出 さ れ るLiの 代 わ りに 環 境 光 を用 い て 近 似 計 算
を行 っ て い る 。 局 所 照 明 モ デ ル に お い て 式(3.17)に る 際,BRDFを
よ り直 射 光 に よ る 反 射 成 分Ldを 求 め
拡 散 反 射 成 分 と鏡 面 反 射 成 分 に 分 け て 計 算 を行 い,そ
を加 え合 わ せ る。 この と き,V(x,x')を
れら
評価 して,光 源 か らの光 が 計 算 点 に
到 達 す る か 否 か を判 断 し影 付 け を行 う。 局 所 照 明 モ デ ル に お け る シ ェー デ ィ ン グや 影 付 け の 方 法 に つ い て は,文 献2)な ど を参 照 され た い。 こ れ に対 して,代
表 的 な 大 域 照 明 モ デ ル(global
illumination
あ る ラ ジ オ シ テ ィ法 や フ ォ トンマ ッ ピ ン グ 法 で は,式(3.14)や
model)で 式(3.11)で
表 さ れ る レ ン ダ リ ン グ方 程 式 を,そ れ ぞ れ有 限 要 素 法 や モ ン テ カ ル ロ法 を用 い て解 くこ と に よ りレ ンダ リ ン グ を行 う。 3.3.2
ラ ジオ シテ ィ法
ラ ジ オ シ テ ィ法(radiosity
methods)は
拡 散 反 射 面 で 構 成 され た シ ー ン を
レ ン ダ リ ング す る の に優 れ た 手 法 で あ る 。 直 射 光 と と も に 間接 光 も含 め て 放 射 発 散 度 の 計 算 を 行 い,写
実 的 な画 像 を作 成 す る こ とが で きる 。 口絵3.1を
参 照 され た い 。 (1) ラ ジ オ シ テ ィ方 程 式 シー ンを構 成 す る面 を,あ 面(ラ ンバ ー ト面(Lambertian
らゆ る 方 向 へ の放 射 輝 度 が 一様 で あ る均 等 拡 散 surface)と
も よ ば れ る)と す る。 均 等 拡 散 面
上 の 点xで の 反 射 率*3を ρ(x)と す る と,BRDFはfr(x,ω〓 表 され る。 また,均 等 拡 散 面 上 の 点xで は放 射 輝 度L(x)と に は,B(x)=πL(x)の
ω')=ρ(x)/πで ラ ジ オ シ テ ィB(x)
関係 が あ る 。 こ れ らの 関 係 式 を用 い て 式(3.14)を
き換 え る と,次 式 で 表 され る ラ ジ オ シ テ ィ方 程 式(radiosity
書
equation)が
導 出 さ れ る。
(3.20)
*3反 射 率 は,面 に入 射 す る全 エ ネル ギ ー と反 射 され て放 出 され るエ ネ ルギ ー の比 を表 す 。 よ って,反 射 率 ρは,0〓 ρ〓1の範 囲 を とる。
た だ し,Beは
面 自体 が 発 光 す る ラ ジ オ シ テ ィ(自 発 光 ラ ジ オ シ テ ィ)で あ る。
ラ ジ オ シ テ ィ法 で は,シ ー ン を構 成 す る面 を 小 さ なパ ッチ に分 割 し,パ チ 内 の 反 射 率 や ラ ジ オ シ テ ィ を一 定 と し て 式(3.20)で
ッ
表 され る ラジオ シテ
ィ方 程 式 を解 く。 離 散 化 さ れ た ラ ジ オ シ テ ィ方 程 式 は次 式 で 表 さ れ る 。
(3.21) た だ し,nは
分 割 さ れ た パ ッ チ 数,BiとEiは
そ れ ぞ れ パ ッ チiの
ィ と 自 発 光 ラ ジ オ シ テ ィ で あ る 。Fijは パ ッ チiか
ら パ ッ チjへ
オ シ テ ィ の 割 合 を 示 し て お り,フ
ォ ー ム フ ァ ク タ(form
各 パ ッ チiに
作 成 し,そ
対 し て 式(3.21)を
ラジオ シテ
直接届 くラジ
factor)と
よ ば れ る。
れ らの 式 を行 列 形 式 で 表 す と次
式 と な る。
(3.22)
このn元 連 立1次 方 程 式 を解 く こ と に よ り,各 パ ッチ の ラ ジ オ シ テ ィ を求 め る こ とが で き る。 (2) フ ォー ム フ ァ ク タ フ ォー ム フ ァ ク タ は シ ー ン を構 成 す る物 体 面 の 幾 何 学 的 形 状 か ら計 算 さ れ,次 式 で 表 さ れ る 。
(3.23) こ こ で,AiとAjは
そ れ ぞ れ パ ッ チiと パ ッ チjの 面 積 を 表 す 。 そ し て,フ
ォ
ー ム フ ァ ク タ は次 の 関 係 が 成 り立 つ 。
(3.24) (3.25) (3.26) 式(3.23)の
フ ォ ー ム フ ァ ク タ の 計 算 に は 次 の3種
類 の 方 法 が あ る 。 第1
の 方 法 は,式(3.15)に
示 し た幾 何 項Gを
式(3.23)に
代 入 し,次 式 に 示 す 微
小 面積 で の積 分 を 行 う方 法 で あ る 。
(3.27) 第2の 方 法 は,式(3.13)に 式(3.27)の
示 した微 小 立 体 角 と微 小 面 積 の 関 係 式 を用 い て,
内 側 の 積 分 を微 小 立体 角 に 関す る積 分 に 置 き換 え る 方 法 で あ る。
(3.28) パ ッチiと パ ッチjの 間 に遮 蔽 物 が 存 在 し な い 場 合 に は,フ
ォー ム フ ァ ク
タ 算 出 式 は ス トー ク ス の 定 理 を用 い る こ と に よ り,パ ッチ の輪 郭 に沿 っ た2 重 の周 回 積 分 で 表 され る。 第3の 方 法 は,こ
の解 法 を用 い る 方 法 で あ る 。
パ ッチ 形 状 や パ ッチ 間の 遮 蔽 物 の 存 在 の た め,こ
れ ら の フ ォー ム フ ァ ク タ
算 出 式 を解 析 的 に解 く こ と は 困難 で あ る。 そ の た め,フ 出 に は数 値 的 な 手 法 が 用 い られ る 。 式(3.27)を グ して 積 分 計 算 す る 方 法 は,サ リ ン グす る手 法 や,モ
ォー ム フ ァ ク タの 算
用 い て パ ッチjを サ ンプ リ ン
ンプ リ ン グ方 法 に よ り一 定 間 隔 で 面 をサ ンプ
ン テ カ ル ロ法 を用 い る 手 法 な どが あ る。
式(3.28)を
用 い る 場 合 に も,モ
ン テ カ ル ロ法 を用 い て 半 球 面 上 を サ ン プ
リ ング し,フ
ォー ム フ ァ ク タ を算 出 す る こ とが で き る 。 ま た,こ の 半 球 面 で
の サ ンプ リ ン グ を 半 立 方 体 の 面 に置 き換 え た 手 法 が,ヘ cube )法3)で あ る。 こ の手 法 で は,ヘ
ミ キ ュ ー ブ(hemi
ミキ ュ ー ブ の 各 面 を微 小 な セ ル に 分 割
し,各 セ ル に 対 して フ ォ ー ム フ ァ ク タ(デ ル タ フ ォー ム フ ァク タ と よぶ)を あ らか じめ 計 算 して お く。 そ して,フ ミキ ュ ー ブ を 設 置 し,へ を投 影 面 と して,隠
ォー ム フ ァ ク タ計 算 点 を 中心 と して ヘ
ミキ ュ ー ブ の 中 心 を投 影 中 心,ヘ
ミキ ュ ー ブ の 各 面
面 消 去 を行 い パ ッチjを 透 視 投 影 す る。 投 影 面 上 で の パ
ッ チjの 可 視 領 域 が 覆 う セ ル の デ ル タ フ ォー ム フ ァ ク タ を加 算 す る こ と に よ り,フ
ォ ー ム フ ァ ク タ を算 出す る 。 隠 面 消 去 を伴 い 透 視 投 影 を行 う際 に,
GPU(Graphics
Processing
Unit)を 利 用 す れ ば 可 視 領 域 判 定 な ど の 高 速 化
を は か る こ とが で き,フ ォー ム フ ァク タ を高 速 に 算 出す る代 表 的 な手 法 と し
て 知 られ て い る。 (3) ラ ジ オ シ テ ィ方 程 式 の 解 法 一 般 的 に パ ッチ 数nは
非 常 に大 き くな るた め,式(3.22)の
解法 に は反復
法 が 用 い られ る。 代 表 的 な反 復 解 法 で あ る ガ ウ ス ・ザ イ デ ル 法 を用 い た 解 法 は ギ ャザ リ ン グ法 と よば れ る。 一 方,解 の 収 束性 を 高 め たサ ウス ウ ェ ル緩 和 法 を用 い た解 法 は シ ュ ー テ ィ ング 法 と よ ばれ る。 シ ュー テ ィ ン グ法 は,未 放 射 の ラ ジ オ シテ ィ を多 くもつ パ ッチ か ら順 に放 射 を行 っ て平 衡 状 態 を 求 め る 手 法 で あ り,高 速 に ラ ジ オ シ テ ィ を求 め る こ とが で き る。 この シ ュ ー テ ィ ング 法 を用 い て,さ
ら に見 積 りの 環 境 光 成 分 を導 入 して 反
復 計 算 の初 期 段 階 にお い て も最 終 的 な結 果 に 近 い 画 像 を生 成 す る こ との で き る漸 進 的 ラ ジ オ シ テ ィ法4)が 開発 され て い る。 (4) ラ ジ オ シ テ ィ法 の 発 展 光 の相 互 反 射 を考 慮 し た シ ェー デ ィ ン グ モ デ ル は,Goralら5)がCG分
野
に 導 入 した 。 そ して,遮 蔽 物 を考 慮 して フ ォー ム フ ァ ク タ を求 め る 手 法 が, 西 田 ら6)お よびCohenら3)に
よ り開発 され, CG分
野 にお け る ラ ジ オ シテ ィ
法 の 基 礎 が 確 立 され た。 ラ ジ オ シ テ ィ法 に よ っ て レ ン ダ リ ング され た 画像 を 口 絵3.1に 示 す 。 そ の後,非
ラ ンバ ー ト面 を含 む シー ンへ の 拡 張7)や,光
の
伝 播 す る 空 間 で の 散 乱 ・吸 収 現 象 を含 む 表 示 手 法8)が 開発 さ れ た 。 さ らに, 鏡 面 反 射 成 分 を もつ 物 体 を取 り扱 え る よ う に ラ ジ オ シテ ィ法 と レ イ トレー シ ン グ法 を組 み合 わ せ る手 法 も提 案 され て い る9)。 そ の 後 も,さ
ま ざ まな 反 射 を精 度 よ く取 り扱 うた め にBRDFで
反射特 性
が 指 定 され た面 を取 り扱 う手 法10),パ ッチ 内 の ラ ジオ シ テ ィに 高 次 の基 底 関 数 を用 い る手 法11),12),Waveletを
用 い て 高 次 の 基 底 関 数 と階 層 化 の 両 方 に
対 応 可 能 な手 法13)な ど が 開 発 さ れ て い る 。 ま た,メ
ッシュの階層化 や視 点
位 置 を利 用 す る こ と に よ り,最 終 的 な画 像 に与 え る 影 響 の小 さい 領 域 の 計 算 を 簡 略 化 し,計 算 効 率 を 向 上 させ る手 法 も開発 され て い る14),15),16)。 さ らに, パ ッチ 分 割 の影 響 で 影 の境 界 が 過 剰 にぼ や け る の を防 ぐ手 法 も開 発 さ れ て い る17)。 ラ ジ オ シ テ ィ法 の基 礎 か ら各 種 手 法 に 関 して は,文 献18)に て い る。
詳 し く書 か れ
3.3.3
フ ォ トン マ ッ ピ ン グ 法
フ ォ ト ン マ ッ ピ ン グ 法(photon 射 と あ わ せ て,鏡
mapping)は,拡
面 反 射 を もつ 物 体 や 屈 折 の 生 じる透 明 な 物 体 が シー ン に含
ま れ て い る 場 合 に 生 じ る 集 光 現 象(caustic)も る 優 れ た 手 法 で あ る 。 さ ら に,ラ 法 が 優 れ て い る 点 は,パ た め,フ
散反射 面での光 の相互反
統 一 的 に 取 り扱 う こ と の で き
ジ オ シ テ ィ法 に比 べ て フ ォ トンマ ッ ピ ング
ッチ 分 割 を行 う必 要 が な い こ とが あ げ られ る。 そ の
ォ トンマ ッ ピ ン グ法 で は 曲面 を 含 む あ らゆ る 形 状 の物 体 デ ー タ を取
り扱 う こ と が で き,さ
ら に シ ー ン が 複 雑 に な っ て も急 激 な 計 算 時 間 の 増 大 を
まね くことはない。 (1) フ ォ ト ン マ ッ ピ ン グ 法 の 概 要 フ ォ ト ン マ ッ ピ ン グ 法19),20)で は2段 よ り式(3.11)に
示 し た レ ン ダ リ ン グ 方 程 式 を 解 く 。 ま ず,第
源 か ら フ ォ ト ン(光 子)を
放 出 し,フ
に フ ォ ト ン が 到 達 し た と き に は,フ そ の フ ォ ト ン の 情 報(位 の3種
階 の レ イ トレ ー シ ング を行 う こ と に
置,放
一段 階で は光
ォ ト ンの ト レー ス を行 う。 拡 散 反 射 面 ォ トンマ ップ と よ ば れ るデ ー タベ ー ス に
射 束,入
射 方 向)を 登 録 す る 。 こ の 処 理 で 次
類 の フ ォ トンマ ップ が 作 成 さ れ る 。 集 光 現 象 に大 き く寄 与 す る フ ォ ト
ン を 登 録 す る コ ー ス テ ィ ッ ク フ ォ ト ン マ ッ プ,す
べ ての反射面 や散乱粒子 に
よ り反 射 ・散 乱 を 受 け た フ ォ ト ン を 登 録 す る グ ロ ー バ ル フ ォ ト ン マ ッ プ,そ し て,多
重 散 乱 光 を 取 り扱 う た め の ボ リ ュ ー ム フ ォ ト ン マ ッ プ で あ る 。 こ れ
ら の フ ォ ト ン マ ッ プ は シ ー ン を 構 成 す る 物 体 の 幾 何 形 状 と は 独 立 に,点
集合
と して 管 理 さ れ る。 第 二 段 階 で は,分 て,上
散 レ イ ト レ ー シ ン グ(distributed
ray
tracing)21)を
用 い
述 の フ ォ ト ンマ ッ プ の情 報 を参 照 しなが ら レ ン ダ リ ン グ を行 う。 以 下
で は,説
明 の 簡 略 化 の た め に,光
の 散 乱 の な い 場 合 に つ い て 解 説 す る*4。
(2) フ ォ ト ン マ ッ プ の 作 成 光 源 か ら 放 出 さ れ た フ ォ ト ン を ト レー ス す る 方 法 は,再 モ ン テ カ ル ロ レ イ ト レ ー シ ン グ 法(Monte
Carlo
ray
帰処理 を ともなう
tracing)を
用 い る。 す
な わ ち,フ ォ トン を 放 出 す る 方 向 を モ ン テ カ ル ロ 法 を用 い て 確 率 的 に 決 定 し25), 通 常 の レ イ ト レ ー シ ン グ と は 逆 方 向 に,光 *4光 と。
源 方 向 か ら レ イの 探 索 を始 め る。
の 散 乱 を 考 慮 し た フ ォ ト ンマ ッ ピ ン グ 法 に つ い て は ,文
献22),23),24)を
参照の こ
フ ォ ト ンが 物 体 表 面 に 当 っ た 場 合 に は,反
射 ・透 過 方 向 に フ ォ トン を 反
射 ・屈 折 させ て探 索 を繰 り返す か ど うか は,面 の属 性 値 を用 い た ロ シ ア式 ル ー レ ッ ト(Russian roulette)に よ り確 率 的 に決 定 さ れ る 。 た と え ば,拡 散 反 射 率 と鏡 面 反 射 率 が そ れ ぞ れρd,ρs(0〓ρd+ρs〓1)をもつ 面 の 場 合,0か
ら1
の 範 囲 の 一 様 乱 数 を発 生 させ,そ の 乱 数 の値 ζが,0〓 ξ<ρdならば 拡 散 反 射 面, ρ d〓ξ<ρd+ρsならば 鏡 面 反 射 面 と して取 り扱 う。ρd+ρs〓 ξ<1な らば フ ォ トンは そ の 面 で 吸 収 され た もの と して探 索 は繰 り返 さ な い 。 これ は,各 放 射 束 を で き る だ け一 定 に保 ち,か つ,過
フ ォ ト ンの
剰 の フ ォ トンが 生 成 さ れ る の を 防
ぐた め で あ る。 コ ー ス テ ィ ック フ ォ トン マ ップ に は,光 源 か ら放 出 され た フ ォ トンが 拡 散 反 射 面 に 到 達 す る前 に,1回
以 上鏡 面 反 射 あ るい は透 過 した フ ォ トンの 情 報
が 格 納 さ れ る。 す な わ ち,表3.1に
示 す 表 記 法26)を 用 い れ ば,LS+Dの
経路
をた ど っ た フ ォ トンの位 置,放 射 束,入 射 方 向 が 記 録 され る。 集 光 現 象 を表 示 し た と きの ノ イ ズ を 減 らす た め に,コ す る際 に は,フ
ー ス テ ィ ック フ ォ ト ンマ ップ を作 成
ォ トン1個 当 りの 放 射 束 を小 さ くし,そ の代 わ り放 出 す る フ
ォ トン の個 数 を増 加 させ る 。 グ ロ ーバ ル フ ォ トンマ ッ プ に は,拡 散 反射 面 に到 達 した す べ て の フ ォ トン の 情 報 が 格 納 さ れ る。 す な わ ち,L(S|D)*Dの
経 路 を た ど っ た フ ォ トン で
あ り,こ の グ ロー バ ル フ ォ ト ンマ ッ プ に は,直 射 光,間 接 光,そ
して 集 光 現
象 を生 じる 光 に関 す る情 報 が 含 まれ る。 フ ォ ト ンの情 報 は コ ンパ ク トに ま とめ られ て,平
衡k‐dツ リー(balanced
kd‐tree)デ ー タ構 造 に格 納 され る。 この デ ー タ構 造 が 用 い られ る理 由 は,第 2段 階 の レ ン ダ リ ング に お い て,計 算 点 近 傍 にあ る フ ォ トンの 情 報 を 参 照 し て 放 射 輝 度 計 算 を行 う た め,近 傍 フ ォ トンを 高 速 に探 索 す る必 要 が あ るか ら で あ る。
表3.1
光の 経 路 の 表記 法
(3) レ ン ダ リ ン グ フ ォ ト ン マ ッ ピ ン グ 法 で は,式(3.10)に Lr(x→ω')項
を 計 算 す る た め に, BRDFを
示 した レ ン ダ リ ン グ 方 程 式 の
散 反 射 成 分fr,D(x,ω
鏡 面 反 射 成 分fr,s(x,ω
→ ω')と 拡
→ ω')の 和 と し て 考 え る 。
(3.29) さ ら に,入 射 す る放 射 輝 度L(x←
ω)も3成 分 の 和 と して 考 え る。
(3.30) こ こ で,Leは
光 源 か ら直 接 届 く放 射 輝 度,Lcは
集 光 現 象 を起 こす 光 で あ り,
鏡 面 反 射 や 透 過 した 光 の 放 射 輝 度,Li'は 少 な く と も1回 は 拡 散 面 で 反 射 した 間接 光 の 放 射 輝 度 で あ る 。 式(3.29)と
式(3.30)を
用 い て,式(3.10)のLr
(x→ ω')項を書 き換 え る と,次 式 が 得 られ る 。
(3.31)
式(3.31)の 右 辺 第1項 あ り,計 算 点xか
は直 射 光 に よ る面 で の 拡 散 反 射 と鏡 面 反 射 の 成 分 で
ら視 点 方 向 ω'への放 射 輝 度 へ の 寄 与 が 大 きい 。 そ の た め,
この 計 算 は 一 般 的 な レイ トレー シ ン グ法 を用 い て 行 う*5。 式(3.31)の 右 辺 第2項 は 間接 光 に よ る鏡 面 反 射 成 分 で あ り,フ ォ ト ンマ ッ プ の 情 報 は 使 わ ず に,反
射 分 布fr,sに 基 づ い た 重 点 的 サ ン プ リ ン グ
*5仮 に,近 似 的 な放 射 輝 度 を求 め れ ば よい場 合 に は,計 算 点xか ら微 小 半 径rの 領 域 内 に 存在 す る フ ォ トン を グ ロー バ ル フ ォ トンマ ップか ら求 め,そ れ らの フ ォ トンの 放射 束 か ら 放射 輝 度 を算 出す る こ と もで きる。 フ ォ トンマ ッ プの作 成 の際 に,フ ォ トンが 最 初 に 当 っ た 物体 表 面 の 延 長線 上 にあ る 物体 表面 に,影 フ ォ トンを登 録 して お き,こ の 影 フ ォ トンを 利用 して効 率 よ く影付 け を行 う こ と もで き る。
(importance
sampling)に
算 を 行 う25)。 これ は,鋭 た め に は,フ
よ る モ ンテ カ ル ロ レイ トレー シ ン グ法 を用 い て 計 い 反 射 分 布 特 性 を もつ 鏡 面 反 射 を正 確 に計 算 す る
ォ トンマ ップ作 成 の 際 に非 常 に 多 くの フ ォ トン を放 出 しな け れ
ば な らな い た め で あ る 。 式(3.31)の
右 辺 第3項
は鏡 面 反 射 や 透 過 に よっ て生 じた 間接 光 に よ る拡
散 反 射 成 分 で あ り,コ ー ス テ ィ ック フ ォ トンマ ップ を用 い て計 算 を 行 う。 コ ー ス テ ィ ッ ク フ オ トンマ ップ に格 納 され て い る フ ォ トンの 密 度 が 高 い ほ ど
,
正 確 な 放 射 輝 度 を算 出す る こ とが で きる。 また,円 錐 フ ィ ル タ な どを 用 い て 計 算 点 に 近 い フ ォ トン ほ ど重 み を 高 く して 計 算 を行 う こ と に よ り,フ ォ トン の 密 度 が 十 分 で な い 場 合 に生 じる 集 光 効 果 の ぼ け を 防 ぐ こ とが で き る。 式(3.31)の 右 辺 第4項 は拡 散 反射 に よ っ て 生 じた 間接 光 に よ る拡 散 反 射 成 分 で あ り,拡 散 反 射 に よ る多 重 反 射 光 成 分 で あ る。 これ は,グ
ロー バ ル フ ォ
トンマ ップ を 用 い て計 算 す る。 フ ォ トンマ ッ ピ ン グ 法 を 用 い て レ ン ダ リ ング さ れ た 画 像 を 口絵3.2に
示
す 。 透 明 な球 に よ る集 光 現 象 や,銀 色 の 円柱 のハ イ ラ イ トの床 へ の 映 り込 み, そ して壁 面 に は カ ラー ブ リー デ ィ ン グ(color‐bleeding)の 効 果 も表 示 され て い る。
3.4 画像 を利用 した レンダ リング 写 実 的 な 画像 を生 成 す る に は,テ
ク ス チ ャ な どの 画 像 を有 効 に 活 用 す る こ
と が 効 果 的 で あ る 。90年 代 後 半 よ り,以 下 の 点 に お い て,画 像 利 用 レ ン ダ リ ング に関 す る 大 き な進 展 が 見 られ た。 まず,利
用 す る 画 像 を多 次 元 化 す る こ とに よ り,レ ン ダ リ ング の 自由 度 や
機 能 が 向 上 し た。 こ の例 と して は,ビ デ オ テ クス チ ャ,光 線 空 間,Radiance transferな どが あ げ られ る。 次 に,テ ク ス チ ャ に 関 して は,テ
クス チ ャ生 成
技 術 が 格 段 に 進 歩 した 。 サ ン プ ル画 像 か ら,任 意 サ イ ズ の テ クス チ ャ を生 成 す る こ と は 実用 上 重 要 で あ るが,そ
れ まで 困難 で あ っ た構 造 的 な テ ク スチ ャ
を効 果 的 に生 成 す る こ とが 可 能 と な っ た 。 以 下 の 節 で,こ 概 観 す る。
れ らの技 術 状 況 を
3.4.1
利用 画像の多次元 化
主 記 憶 ・ビ デ オ メ モ リ ー の 大 容 量 化 や プ ロ グ ラ ム 可 能 なGPUの り,3次
元 テ ク ス チ ャ が 気 軽 に 利 用 で き る よ う に な り,適
切 な圧 縮 を施 せ ば
4次 元 の テ ク ス チ ャ も操 作 可 能 と な っ て き た 。 一 般 に 画 像 は2次 強 度(色)の
分 布I(x)で
パ ラ メ タΓ と し て,こ
記 述 さ れ る 。 こ こ で,視
ー シ ョ ンが 考 え られ て い る
元空 間で の
点 の位 置 や 照 明 方 向 な ど を
れ を 変 化 さ せ た 時 の 画 像 をI(x;Γ)と
多 次 元 化 す る こ と が で き る 。 パ ラ メ タ やxの
登場 によ
取 り 方 で,以
す れ ば,画
像 を
下 の よ う な バ リエ
。
(1) 2次 元 xと
し て 画 素 の 位 置 を と れ ば 通 常 の 画 像 で,表
チ ャ で あ る 。 ま た,方
面 上 の 位 置 を とれ ば テ クス
向 を と れ ば 球 面 上 の 環境 マ ップ に な る 。
(2) 3次 元 パ ラ メ タ と し て 時 間 を と れ ば ビ デ オ,基
準 面 か ら の 高 さ を と れ ば3Dテ
ク
ス チ ャや ボ リ ュー ム デ ー タ と な る 。 (3) 4次 元 視 線 方 向 を パ ラ メ タ と す れ ば,光 relighting,後 (image
述)と
relighting)と
線 空 間 やRadiance
transfer(geometry
な る 。 ま た 光 源 方 向 に す れ ば,Radiance
transfer
なる。
(4) 6次 元 視 線 方 向,光 (BRDF)が
源 方 向 を と も に と れ ば,場
所 に よっ て 変 化 す る 物 体 の 反 射 特 性
記 述 で き る 。 こ れ はBidirectional
textureと
よ ば れ て い る27)。
(5) 8次 元 い く ら で も 高 い 次 元 を 考 え る こ と で き る で あ ろ う が,図3.4が を 与 え る 。 ほ と ん ど の 光 学 現 象 は 線 形 な の で,シ
一 つ の 目安
ー ン を線 形 シ ス テ ム と見 な
す こ とが で きる 。 シス テ ム の 入 力 は照 明 光 線 で 出力 は反 射 光 線 で あ る。 光 線 は4自
由 度,例
光 線 の 方 向sで 射 光 線(x',s')の
え ば シ ス テ ム の 仮 想 バ ウ ン デ ィ ン グ ボ ッ ク ス 上 で の 位 置xと 記 述 で き る 。 単 位 強 度 の 照 明 光 線(x,s)を 強度 を
照 射 した と き の 反
図3.4 8次
と す れ ば,任
元線 形 レス ポ ンス 関 数
意 の 照 明 光 強 度I(x,s)を
入 射 し た と き の 反 射 光(x ,s)の 強 度 は
(3.32) に よ り求 ま る。 す な わ ち,外 か ら この 情 景 に 光 を当 て,外 か ら眺 め る こ と を 考 えれ ば,こ の 情 景 に よ る光 学 現 象 を完 全 に記 述 して い る こ と に な る。 現 状 で は,4次
元 画 像 の利 用 に 関 す る研 究 が 盛 ん で あ る。 そ の 代 表 的 な研
究 と し て,次 節 以 降 で 説 明 す る光 線 空 間,radiance 3.4.2
transferが 挙 げ られ る。
画 像 べー ス の レ ン ダ リ ン グ
画像 ベ ー ス の レ ンダ リ ン グ(image‐based
rendering)は,ポ
リ ゴ ン な どの
形 状 デ ー タ を用 い ず に,用 意 され た画 像 か ら新 た な 画 像 を生 成 す る手 法 で あ る。 画 像 ベ ー ス の レ ン ダ リ ング に は,前 述 の 多 次 元 化 ア プ ロ ー チ の ほか に, 対 応 点 に 基 づ く投 影 幾 何 的 な ア プ ロー チ が あ る。 多 次 元 化 ア プ ロ ー チ で は処 理 が 容 易 か つ 安 定 で あ るが,撮
影 に手 間が か か りデ ー タ量 が 大 き くな る とい
う弱 点 が あ る。 一 方,投 影 幾 何 的 ア プ ロ ー チ で は必 要 とす る画 像 の枚 数 は 少 な くて 済 む が,画 像 間 の 対 応 付 け が 必 要 とな る 。 (1) 光 線 空 間法 図3.5に 示 す よ うに,カ
メ ラの 位 置 を 縦 横 に ス キ ャ ン させ て撮 影 した とす
る 。 カ メ ラ の 位 置xと 光 線 の方 向sを 変 数 に とれ ば,そ
の 強 度 が4次 元 関 数
I(x,s)と
し て 記 録 さ れ た と 考 え る こ と が で き る 。 こ こ で,新
ら み た 画 像 を 生 成 す る と き に は,光
線(x',s')の
た な 視 点x'か
強 度I(x',s')が
得 られれば
よい。 これ は再 構 成 フ ィ ル タ リ ン グ
(3.33) に よ り 求 め る こ と が 可 能 で あ る 。 こ の 手 法 は,苗 Cohen33)ら
が そ れ ぞ れ 提 案 し,光
線 空 間,light
field,Lumigraphと
て い る 。 光 線 空 間 に よ る 生 成 画 像 の 例 を 口 絵3.3に light
fieldで は,レ
村 ら31),Levoy32)ら,
示 す 。 な お,Levoyら
ン ダ リ ン グ 処 理 を 容 易 に す る た め,光
線 を2つ
面 と の 交 点 で 表 現 す る よ う 工 夫 し て い る 。 こ れ に よ り,GPUの マ ッ ピ ン グ 機 能 を 利 用 し て,高 実 装 上 の ポ イ ン ト は,デ
の
の仮 想 平
テ クスチ ャ
速 な レ ン ダ リ ング を 実 現 した。
ー タ 圧 縮 と再 構 成 の 手 法 に あ る 。Levoyら
ク トル 量 子 化 と エ ン ト ロ ピ ー コ ー デ ィ ン グ(Lempel‐Ziv符 1/100程
名付 け
度 の 圧 縮 を 実 現 し て い る 。 一 方,再
は,ベ
号 化 法)を 用 い て,
構 成 と し て は 最 近 傍 法 や1次
補
間 法 な どの 単 純 な方 法 を 用 い て い る 。 像 点 の 動 き は物 体 点 の 奥 行 き に依 存 す る の で,最
適 な 再 構 成 フ ィル タ ー は 奥 行 きか ら求 め る こ とが で き る。 こ れ は
図3.5 光 線 空 間法
ア ニ メ ー シ ョ ン の ア ン チ エ イ リ ア シ ン グ34)と 同 等 の 問 題 で,Chaiら
が論 じ
て い る35)。 (2) 投 影 幾 何 法 画 像 間 の 対 応 が 与 え ら れ て い れ ば,数 像 を 生 成 で き る 。 ま ず,図3.6の 移 動 し,画 x1,I2で
よ う に,視
像IA(x),IB(x)を
は 画 素x2に
枚 の 画 像 か ら新 た な 視 点 に 対 す る 画 軸 に 平 行 に カ メ ラ をAか
撮 影 す る 。 物 体 上 の 点Pが
画 像I1で
投 影 さ れ て い る と す る 。 カ メ ラ 位 置 を 線 分ABの
らBに は画 素 内分点
(3.34) に カ メ ラ を移 動 した と き,Pの
投 影 画 素 の位 置xは
(3.35) と な る。 した が っ て,オ 画 像IはIAとIBを
ク ル ー ジ ョン な どが な け れ ば,こ の 位 置 か ら見 え る
式(3.35)で 変 形(モ ー フ ィ ング)さ せ る こ と で 生 成 で き る。
さ ら に,視 軸 が 平 行 で な い 場 合 も回 転 を加 味 す る こ と で 画 像 が 生 成 で き る。 この 手 法 はView
morphingと
呼 ばれ て い る28)。口絵3.4に 例 を示 す 。
さ らに拡 張 し,任 意 視 点 か ら見 た 画 像 を生 成 す る こ と もで き る。 ま ず簡 単 の た め,図3.7に
示 す よ う に,平 行 投 影 を考 え る 。 平 行 投 影 は線 形 変 換 な の
図3.6
View
morphing法
図3.7 平 行投 影 の投 影 幾 何
で,像
点 の 移 動 も線 形 と な る 。 点Pのs1,s2お
よ びs3方 向へ の 投 影 点xiは,
そ れ ぞ れ の 視 点 をoiと し,
(3.36) で 与 え られ る。 同様 に,任 意 の視 点o,視
軸sへ の投 影 点 は,
(3.37) で あ る 。siが 線 形 独 立 な ら,s=Σaisiと
書 け,xは,
(3.38)
の よ う に表 せ る 。 す な わ ち,aiとCを
適 切 に 与 え れ ば,新
る29)。透 視 投 影 の 場 合 は や や 複 雑 と な る が,trilinearテ テ ン ソル 量 を介 して,投 3.4.3
Radiance
た な 画像 が 得 られ ンソル とよばれ る
影位 置 が 求 め られ る こ と が 知 られ て い る30)。
transfer
テ ク ス チ ャ マ ッ ピ ング や 法 線 マ ッピ ング で は,微
小 形 状 よ る複 雑 な反 射 や
セ ル フ シ ャ ドー の よ う な微 妙 な 陰 影 を表 現 す る こ とが で き な い。 また,環 境 マ ッ プ だ け で は 鈍 い 反 射 を 表 現 で きな い 。Radiance マ ッ プ,環 境 マ ップ の 拡 張 で,さ
transferは テ ク ス チ ャ
ま ざ ま な視 線 ・照 明依 存 の 光 学 効 果 を前 処
理 の 結 果 を用 い て 効 率 的 に表 示 す る手 法 で あ る。GPUを
用 い れ ば,実
時間
表 示 も可 能 と な る 。 環 境 マ ッ プ をL(s'),反
射 特 性 をR(x,s,s')と
し た と き のxの
視 線 方 向s
へ の 輝 度Bは,
(3.39) と表 せ る。 た だ し,S(x,s')は 蔽 物 が な け れ ば1,あ こ こで,Rは6次
影 関 数 で,物 体 上 の 点xか ら見 てs'方 向 に遮
る場 合 に は0を とる。 また,nは 元 関 数 な の で,以
法 線 を表 す 。
下 の2つ の場 合 を 考 え,次 元 を4次 元
に減 らす 。 (1) 均 等 拡 散 面 面 が 均 等拡 散 面 で あ る場 合,Rはs,s'に
依 存 しない。 そ こで,4次
元関数
(3.40) を 定 義 し,こ
れ をradiance
transfer関
光 源 を 共 に 変 化 で き る の で,geometry
数 と よ ぶ 。 こ の モ ー ドで は,視 relightingと
点,
よぶ 。
(2) 視 点 固 定 視 点 を 固 定 し た 場 合,視 radiance
transfer関
線 はs=s(x)とxに
よ り 決 ま る 。 そ こ で,
数 を
(3.41) と 定 義 す る 。 こ の モ ー ドで は 反 射 関 数 は 任 意 に と れ る が 視 点 は 固 定 な の で, image
relightingと
radiance
よ ばれ る。
transfer関
数 を 用 い て 式(3.34)を
書 き 直 し,積
分 を 和 で 置 き換
え れ ば,
(3.42) とな り,関 数 と環 境 マ ップ を参 照 し,積 和 を計 算 すれ ば レ ンダ リ ングが で きる。 光 線 空 間 と同 様 に,4次
元 テ ー ブ ルT(xi,s'j)の 圧 縮 が 実 装 上 の ポ イ ン トと
な る。 これ ま で に, ・球 面 調 和 関 数 を利 用 す る39)
・ウ ェ ー ブ レ ッ トを利 用 す る40) ・主 値 解 析 を利 用 す る41) な どが 提 案 され て い る。Radiance
transferに よ る生 成 画 像 の 一 例 を 口絵3.5
に示 す 。 3.4.4
テ ク ス チ ャ生 成
撮 影 に よ り得 られ た テ クス チ ャ をマ ッ ピ ン グす る際,写 物 体 が 大 きい 場 合 は,何 あ る 。OpenGLな
真 のスケール よ り
らか の 方 法 で 元 の テ クス チ ャ 画像 を拡 大 す る必 要 が
ど で 用 意 さ れ て い る 単 純 な 繰 り返 しで は 規 則 性 が 顕 在 化
し,不 自然 な画 像 が 生 成 され て し ま う。 そ こ で,サ
ンプ ル 画 像 か ら任 意 サ イ
ズ の テ ク ス チ ャ を生 成 す る技 術 が 重 要 と な っ て くる。 テ ク ス チ ャ は2次 元 マ ル コ フ確 率 場 で 記 述 さ れ る と考 え られ て い る。 した が っ て,サ
ンプ ル 画 像 と同 様 の確 率 場 を 持 つ テ クス チ ャ画 像 を生 成 す れ ば,
任 意 の 大 き さで,見
た 目が 同様 な テ ク スチ ャ を 生 成 す る こ とが で き る。 確 率
場 をパ ワ ー ス ペ ク トル や 多 重 解 像 度 的 な特 徴 で パ ラ メ タ化 し,抽 出 した パ ラ メ タ を基 に新 しい テ クス チ ャ を 生 成 す る こ と も可 能 で あ る 。 こ の ア プ ロー チ が 従 来 は主 流 で あ っ た が,構 造 を持 つ テ ク ス チ ャ を う ま く生 成 す る こ とが で きな か っ た。 この 問 題 を解 決 した 強 力 な手 法 が,以
下 に示 す 類 似 画 素 を探 索
す る 手 法 と グ ラ フ カ ッ ト法 で あ る 。 これ らの手 法 は,静 止 画 の み な らず,滝 や 波 な ど の動 画(ビ デ オ テ クス チ ャ)に 適 用 す る こ と も で きる 。 (1) 類 似 画 素 探 索 法 サ ンプ ル テ ク ス チ ャか ら,生 成 中 の テ ク スチ ャ 画 素 の近 傍 と類 似 して い る 部 分 を捜 し 出 し,対 応 す るサ ンプ ル テ クス チ ャ の 画 素 の色 を生 成 テ クス チ ャ の 画 素 に コ ピー す る36)。例 えば,図3.8に
示 す よ う に,生 成 画 素pの 近 傍N
を と り,サ ン プ ル 画 像 内 で最 も類 似 度 が 高 い 領 域N'を 対 応 す る 画 素 はP'な の で,Pの 続 け,テ
探 索 す る 。N'でPに
色 をP'と 同 一 に す る 。 この 探 索 と コ ピ ー を
クス チ ャ画 像 を 生 成 して い く。
同様 の 考 え で ビ デ オ テ クス チ ャ も生 成 で き る。 フ レ ー ムtとt'と の 類 似 度 S(t,t')を 求 め て お き,tか
らt'へ の遷 移 確 率 を,類 似 度 が 高 い ほ ど高 くな る
よ う に 決 め て お く37)。一 般 に は,tとt+1と ム に進 む こ とが 多 い が,時
々,似
の 類 似 度 は 高 い の で次 の フ レー
た フ レー ム に飛 び,バ
リエ ー シ ョ ンが 生 ま
れ る 。 類 似 度 と し て は,数
フ レ ー ム 分 の 画 像 の 差,
(3.43) な どが 用 い られ て い る。
図3.8 類 似領 域 の 探索
(2) グ ラ フ カ ッ ト法 2つ の サ ンプ ル テ クス チ ャ を境 界 が 目立 た な くな る よ うに 切 り取 っ て 張 り 合 わ せ る手 法 で あ る38)。 図3.9に 示 す よ う に サ ンプ ル テ ク ス チ ャAとBを 「切 り取 り線 」 で 切 っ て 張 り合 わ せ る こ と を考 え る 。 重 な る領 域 の 画 素 を図 の よ う に グ ラ フ表 現 し,画 素(ノ ー ド)s,t間 の枝 の 重 み と して 「境 界 の 目立 た な さ」M(s,t,A,B)を 題 は,グ
与 え る。 す る と,最
も 目立 た ない 境 界 線 を求 め る 問
ラ フの 最 小 カ ッ ト問 題 と し て 定 式 化 され,解
た な さ」Mと
が 求 め られ る。 「目立
して は,両 画 素 の 色 の 差 の 和
(3.44) な どが 用 い られ る。 グ ラ フ 表 現 な の で,次
元 は本 質 的 で は な く,時 間軸 を加 え た ビデ オ テ クス
チ ャ に も直接 的 に拡 張 で き る。 グ ラ フ カ ッ ト法 に よ る テ ク ス チ ャの 生 成 例 を 口 絵3.6に 示 す 。
図3.9
グ ラ フ カ ッ ト法
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on
Radiance
Dynamic,Low‐frequency
Lighting
Lighting
for
Real‐time
Environments",ACM
Graphics,Vol.21,No.3,pp.527‐536(2002).
40) R.Ng,R.Ramamoorthi,P.Hanrahan:"All‐frequency Wavelet
Transfer
Shadows
Approximation",ACM Transactions
on
Using
Non‐linear
Graphics,Vol.22,No.3,
pp.376‐381(2003). 41) P.Sloan,J.Hall,J.Hart,J.Snyder:"Clustered Precomputed pp.382‐391(2003).
Radiance
Transfer",ACM
Principal Transactions
on
Components
Graphics,Vol.22,No.3,
for
4 章
第
ア ニ メー シ ョン
日立製作所 中央研究所 栗原恒 弥
4.1
は じめに
コ ン ピ ュ ー タア ニ メー シ ョ ンは 映 画,ゲ
ー ム,シ
ミ ュ レ ー シ ョ ン,コ
ミュ
ニ ケ ー シ ョ ンな どの 分 野 で 欠 か せ な い技 術 で あ る。 コ ン ピ ュ ー タア ニ メ ー シ ョ ン と一 言 で 言 っ て も,そ の 内 容 は多 岐 にわ た る 。 時 間 的 に変 化 す るCG映 像 を 生 成 す る と い う意 味 で は,そ
の 対 象 はCGの
す べ て に 及 ぶ 。3次 元CG
で 指 定 可 能 な 値 はす べ て変 化 させ る こ とが 可 能 で あ る。 物 体 の位 置 や 方 向 は も ち ろ ん,物
体 の 形,シ
ェー デ ィ ング パ ラ メ ー タ,テ クス チ ャ,光 源 の パ ラ
メ ー タ,カ メ ラ のパ ラ メー タ な どを 変 化 させ て ア ニ メ ー シ ョ ンを生 成 で き る。 本 章 で は,数 あ る コ ン ピュ ー タ ア ニ メ ー シ ョ ン技 術 の 中 で,特
にキ ャ ラ ク タ
ア ニ メ ー シ ョン に 関 して 説 明 す る。 キ ャ ラ ク タア ニ メ ー シ ョン は コ ンテ ン ツ制 作 に お い て重 要 で あ るが,そ
の
制 作 に は膨 大 な 工 数 と才 能 が 必 要 で あ る。 こ の た め,研 究 開発 が 盛 ん な重 要 な テ ー マ で あ る。 動 きの 生 成 につ い て は,近 年 の モ ー シ ョ ンキ ャ プチ ャ技 術 の 進 歩 に伴 い,モ
ー シ ョ ンデ ー タ の編 集 や 再 利 用 に関 す る 手 法 が 開発 さ れ つ
つ あ り,こ れ らの 手 法 を中 心 に解 説 す る。 さ らに,キ ンで は,キ
ャラクタアニメー シ ョ
ャ ラ ク タ の形 状 モ デ リ ング,関 節 角 度 に依 存 した 変 形 が 重 要 で あ
る。 ま た,顔,頭
髪,衣
服 な ど特 に 重 要 な 部位 が あ り,そ れ らに 関す る研 究
も取 り上 げ る。 な お,コ
ン ピ ュ ー タア ニ メ ー シ ョ ン の重 要 な 課 題 と して,様
々 な 自然 現 象
を本 物 ら し く,か つ 効 率 よ く表 現 す る た め の 手 法 の確 立 が あ る。 こ の よ う な
技 術 も映 画 や ゲ ー ム な ど を 中心 に多 くの ニ ー ズ が あ る が,本
章 で は こ れ らに
関す る解 説 は紙 面 の 都 合 上 割 愛 す る こ と と した 。
4.2 キ ャラ クタの動 き 4.2.1 モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ デ ー タ の 利 用 キ ー フ レ ー ム 法 な ど を用 い て,自
然 な 人 間 の 動 き をCGで
表現す るのは非
常 に 難 し い 。 キ ャ ラ ク タ の 動 き を 自 然 に 見 せ る た め に は,動 っ と し た 動 き 等 が 重 要 で あ り,こ
れ ら をキ ー フ レー ム 法 で設 定 す る に は膨 大
な 工 数 と 特 殊 な 才 能 が 必 要 で あ る 。 そ こ で,実 CGキ
作 の前後 のち ょ
際 の 人 間 の 動 き を 計 測 し,
ャ ラ ク タ で再 現 し よ う と い う方 法 が あ る。 人 間 な どの 実 際 の 動 きを計
測 す る こ と は モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ(Motion
Capture
モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ 技 術 の 発 達 に よ り,人 と な っ た 。 し か し,モ
1))と よ ば れ て い る 。
間 の 自然 な動 きの 再 現 が 可 能
ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ を 用 い た ア ニ メ ー シ ョ ン は,基
的 に は 演 技 者 の 動 作 を 再 現 す る だ け で あ る 。 こ の た め,所 モ ー シ ョ ン デ ー タ が 用 意 で き な い 場 合 に は,モ
本
望 の 動 きに 必 要 な
ー シ ョ ンデ ー タの 再 測 定 が 必
要 と な る 。 こ の よ う な 問 題 を 解 決 す る た め に,モ
ー シ ョ ンデ ー タ の編 集 や 再
利 用 に 関 す る研 究 が 盛 ん で あ る。 モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ デ ー タ の 編 集 に 関 す る 初 期 の 研 究 と し て,モ ン ワ ー プ(motion 方 法4)な
ど が1995年
warping)2),信
号 処 理 的 な 手 法3)
,フ ー リ エ 原 理 を 用 い た
に 提 案 さ れ た 。 モ ー シ ョ ン ワ ー プ2)は,モ
ー タに キ ー フ レー ム デ ー タ を加 算 す る こ とで 変 更 可 能 で あ る 。 信 号 処 理 的 な 方 法3)で
,モ
は,モ
ー シ ョ
ー シ ョ ンデ
ー シ ョ ン デ ー タ をあ る程 度
ー シ ョ ンデ ー タを 一 般 的 な信
号 と み な し,様 々 な フ ィ ル タ リ ン グ を 実 行 し て モ ー シ ョ ン デ ー タ を 変 更 す る 。 フ ー リ エ 原 理 を 用 い た 方 法4)は,モ
ー シ ョ ン デ ー タ か ら特 徴 量 を 抽 出 し,多
様 な 動 き の バ リ エ ー シ ョ ン を 生 成 す る 。 「普 通 に 歩 く」 デ ー タ と 「元 気 に 歩 く 」 デ ー タ を 入 力 と し,そ
の フ ー リ エ 領 域 で の 差 分 を 「元 気 度 」 と い う 特 徴
量 と す る 。 こ の 特 徴 量 を 用 い て,「 元 気 度 」 を 制 御 す る こ と が 可 能 と な っ た 。 関 連 す る 技 術 と し て,複
数 の モ ー シ ョ ンデ ー タ を 補 間 す る こ と で,様
動 き の バ リ エ ー シ ョ ン を 生 成 す る 方 法5)が
提 案 さ れ て い る 。"Verbs
々な and
Adverbs"と
よ ば れ る こ の 方 法 で は,た
ば す 」 な ど の モ ー シ ョ ン に つ い て,様 ル 動 作 を 計 測 し,こ
と え ば,「 歩 く 」,「 走 る 」,「手 を の
々 なバ リエ ー シ ョ ン を考 慮 して サ ンプ
れ ら を リア ル タ イ ム に補 間 す る こ とで 所 望 の動 きを 生 成
す る も の で あ る 。 た と え ば,「 手 を の ば す 」 モ ー シ ョ ン で は,目
標位置 の高
さや 左 右 を変 更 して モ ー シ ョ ンを 計 測 す る。 計 測 さ れ た モ ー シ ョ ンを適 切 に 合 成 す る こ と で,任 意 の 位 置 に 手 を の ば す モ ー シ ョ ン を 生 成 す る も の で あ る 。 な お,モ
ー シ ョ ン デ ー タ の 補 間 に は,RBF(Radial
Basis
Functions)と
低 次
の 多 項 式 を用 い て い る 。 さ ら に,あ
る キ ャ ラ ク タ の 動 き を 別 の キ ャ ラ ク タ に 適 用 す る,モ
リ タ ー ゲ テ ィ ン グ(motion
retargeting)6)と
い う 方 法 が 提 案 さ れ た 。 図4.1
に モ ー シ ョ ン リ タ ー ゲ テ ィ ン グ の 例 を 示 す 。 こ れ は,2人 ス を 踊 っ て い る モ ー シ ョ ン デ ー タ に 対 し て,右 る 例 で あ る 。 同 図 で,左
ー シ ョン
の ダ ンサ ーが ダ ン
側 の ダ ンサ ー の 身 長 を変 更 す
が オ リ ジ ナ ル の ア ニ メ ー シ ョ ン,中
央 と右 が リ ター
ゲ テ ィ ン グの 適 用 例 で あ る。 モ ー シ ョ ン リ ター ゲ テ ィ ング を行 わ な い場 合 に は,身
長 が 変 化 す る と2人
図4.1
の ダ ンサ ー の 手 の位 置 が 一 致 しな い 。 こ の 問 題 を
モー シ ョ ンリターゲ テ ィ ングの例
解 決 す る た め に,左
の ダ ン サ ー の 左 手 と 右 の ダ ンサ ー の 右 手 の 位 置 が 同 じ に
な る と い う 拘 束 条 件 を 指 定 す る 。 さ ら に,床
に接 地 して い る足 先 の 位 置 もオ
リ ジ ナ ル か ら変 更 さ れ な い と い う 拘 束 条 件 を 指 定 す る 。 こ れ ら の 拘 束 条 件 を 満 た し つ つ,オ
リ ジナ ル の モ ー シ ョ ンの特 徴 をで き る だ け保 持 した ま まモ ー
シ ョ ン を 変 更 す る 処 理 が モ ー シ ョ ン リ タ ー ゲ テ ィ ン グ で あ る 。 な お,同 中 央 の 画 像 は,右 サ ー2人
側 の ダ ン サ ー の 動 き だ け を 変 更 し た 例,右
図 で
側の画像 は ダ ン
の動 き を変 更 した 例 で あ る 。
モ ー シ ョ ン リ タ ー ゲ テ ィ ン グ で は,拘
束 条 件 を 満 た しつ つ,オ
リジ ナ ル の
モ ー シ ョ ン の 特 徴 を 損 な わ な い よ う に 変 更 す る 。 こ の 処 理 は,space‐time constraints(時 こ の た め,計
空 間 拘 束)を 非 線 形 最 適 化 問 題 と し て 解 く こ と で 実 現 さ れ る 。 算 量 が 多 い と い う問 題 が あ っ た。 モ ー シ ョ ン リ ター ゲ テ ィ ン グ
を 高 速 化 す る 方 法 はLeeら
に よ っ て 提 案 さ れ た7)。Leeら
の 方 法 で は,オ
リ
ジ ナ ル の モ ー シ ョ ンに 階 層 化 ス プ ラ イ ン 関数 を加 算 す る こ とで拘 束 条 件 を 満 た す 解 を求 め る 。 この 手 法 に よ っ て モ ー シ ョ ン リ ター ゲ テ ィ ング は大 幅 に 高 速 化 さ れ た 。 な お,モ は,文
献8)に
ー シ ョ ン リ タ ー ゲ テ ィ ン グ,モ
ー シ ョ ン編 集 に 関 し て
詳 しい 。
以 上 の 方 法 は,主 と し て 一 つ の モ ー シ ョ ン デ ー タ を 編 集 す る 方 法 で あ っ た 。 こ れ に 対 し て,大
量 の モ ー シ ョ ン の デ ー タ ベ ー ス か ら,モ
ー シ ョ ンの 一 部 を
切 り抜 い た モ ー シ ョ ン ク リ ッ プ を 取 り 出 し て 合 成 し所 望 の モ ー シ ョ ン を 生 成 し よ う と い う 方 法 が 提 案 さ れ て い る9)-13)。 こ こ で は,Kovarら さ れ た モ ー シ ョ ン グ ラ フ(Motion
Graph)9)に
モ ー シ ョ ン グ ラ フ と よ ば れ る 手 法 で は,ま グ ラ フ を 作 成 す る(図4.2)。
図4.2
に よっ て 提 案
ついて説明す る。 ず,モ
ー シ ョ ン デ ー タ か ら有 向
こ の 図 で 各 ノ ー ドは モ ー シ ョ ン ク リ ッ プ を,各
簡 単 なモ ー シ ョング ラ フの例
エ ッ ジ は接 続 可 能 な モ ー シ ョ ンの 関 係 を表 して い る 。 こ の グ ラ フ を遷 移 す る こ と で,(接 続 と い う 意 味 で は)自 然 な動 きが 生 成 さ れ る。 ゲ ー ム な どで は, 複 数 の モ ー シ ョ ン ク リ ッ プ とそ の接 続 関 係 を用 意 し,モ ー シ ョ ンク リ ップ を リア ル タ イ ム で 接 続 す る こ とで,動 ー シ ョン グ ラ フで は
き を生 成 す る方 法 が 用 い られ て きた 。 モ
,モ ー シ ョ ンデ ー タか ら,接 続 可 能 な点 を 自動 的 に抽 出
す る 方 法 が 示 され て い る 。 す な わ ち,姿 勢 間の 距 離 を適 切 に 定 義 し,そ の距 離 が小 さ くか つ極 小 とな る点 を接 続 点 と して 設 定 す るの で あ る 。 モ ー シ ョ ン グ ラ フ を 用 い て ア ニ メ ー シ ョ ン を生 成 した 例 を 図4.3に 示 す 。 こ の 例 で は, ア ニ メー タ は キ ャ ラ ク タ の 軌 跡 を指 定 す る 。 同 図左 は オ リ ジ ナ ル の モ ー シ ョ ン とそ れ を左 右 反 転 した モ ー シ ョ ンで あ り,こ れ らか らモ ー シ ョン グ ラ フ を 作 成 す る 。 次 に,ア ニ メー タ は キ ャ ラ ク タの 軌 跡 を指 定 す る。 同 図 の 中 央 と 右 は,こ の 軌 跡 を 近 似 す る 動 き をモ ー シ ョ ン グ ラ フ を用 い て 自動 的 に生 成 し た ア ニ メ ー シ ョ ン を示 して い る。
図4.3 モ ー シ ョ ン グ ラ フの 適 用 例
モ ー シ ョ ン グ ラ フ 以 外 に も,多
くの モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ デ ー タ を 用 い て
モ ー シ ョ ン を 生 成 す る 方 法 と し て,様 Forsythe10)は
々 な 方 法 が 提 案 さ れ て い る 。Arikanと
モ ー シ ョ ン デ ー タ ベ ー ス か ら 階 層 的 な グ ラ フ を 作 成 し,拘
件 を 満 た す 動 き を 自 動 的 に 生 成 す る 方 法 を 提 案 し て い る 。Leeら11)は フ を 作 成 し,3つ
の ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス(リ ス トか ら の 選 択,ス
ン タ フ ェ ー ス,ビ
デ オ 入 力)か
る 。PullenとBregler12)は
ら,モ
束 条 グ ラ
ケ ッチ イ
ー シ ョ ン を生 成 す る方 法 を提 案 して い
キ ー フ レ ー ム ア ニ メ ー シ ョ ン を 入 力 と し,少
数 の
関 節 角 度 を 用 い て モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ デ ー タ の セ グ メ ン ト と の マ ッチ ン グ
を行 い,自 然 な ア ニ メ ー シ ョ ン を生 成 す る方 法 を提 案 した 。Liら13)は2階
層
の モ ー シ ョ ンデ ー タを生 成 し,モ ー シ ョ ンを合 成 す る方 法 を提 案 した。 下 位 の レベ ル の デ ー タ は,"textons"と ル は,textons間
よ ば れ,特
徴 的 な動 き を表 す 。 上 位 の レベ
の 推 移 確 率 を保 持 す る 。 こ の モ デ ル を 用 い て,キ ー フ レー
ムか らの 自然 なモ ー シ ョ ンの生 成 や,既 存 のモ ー シ ョ ンの 編 集 が 可能 で あ る。 さ らに 大 量 の モ ー シ ョン デ ー タか ら類 似 した モ ー シ ョ ン を検 索 し,そ れ ら を ブ レ ン ドす る こ とで 所 望 の モ ー シ ョ ン を生 成 す る 方 法 がKovarら14)に っ て 提 案 され た 。 こ の 方 法 で は,た
と え ば"kick"に
検 索 し,こ れ らをパ ラ メ ー タ化 す る こ とで,蹴 な"kick"の 4.2.2
よ
類 似 す る モ ー シ ョ ンを
りの 位 置 を変 更 す る な ど様 々
ア ニ メ ー シ ョン を生 成 可 能 で あ る 。
物 理 シ ミ ュ レー シ ョン の利 用
キ ャ ラ ク タの 動 き は物 理 法 則 に従 うた め,物
理 法 則 を用 い る こ とで 自然 な
ア ニ メー シ ョ ンの 生 成 が 期 待 で き る。 キ ャ ラ ク タの 動 き を専 用 の コ ン トロ ー ラ を 用 い て制 御 す る方 法15)が発 表 され て い る 。 物 理 法 則 を用 い た モ ー シ ョ ンの 変 換 方 法16)も 提 案 され て い る(図4.4)。
こ
の 方 法 で は,モ ー シ ョ ンデ ー タ をユ ーザ が 指 定 す る拘 束 条 件 に適 合 す る よ う に変 換 す る と い う意 味 で は,モ
ー シ ョ ン リ タ ー ゲ テ ィ ング と同 様 で あ るが,
物 理 法 則 に 従 っ た動 き を生 成 す る 点 に特 徴 が あ る。 物 理 シ ミ ュ レー シ ョ ン を 高 速 に 実 行 す る た め に,人 体 モ デ ル は非 常 に 簡 略 化 され た もの を使 用 して い る。 図4.4で は,通 常 の ジ ャ ン プ の 動 作(同 図 上)を 変 換 して,着
図4.4 物 理 法 則 を考 慮 した モ ー シ ョ ンの 変 更 例
地 で90度
ほ ど身体 を ひ ね っ た ジ ャ ンプ(同 図 下)が 生 成 され て い る。 ま た,簡 単 な キ ー フ レー ム情 報 か ら,拘 束 条 件 と物 理 シ ミ ュ レー シ ョ ンを 用 い て ア ニ メ ー シ ョン を生 成 す る 方 法17)も 提 案 さ れ て い る。 こ の 方 法 で は, アニ メー タが 指 定 す る キ ー フ レー ム ア ニ メ ー シ ョン か ら拘 束 条 件 を 自動 的 に 抽 出す る 。 拘 束 条 件 を 満 た しつ つ 物 理 法 則 に 適 合 す るモ ー シ ョン を,重 心 の 移 動 と 回転 モ ー メ ン トを考 慮 して 求 め る。 結 果 を 図4.5に 示 す 。 こ の 図 で, 上 が ア ニ メー タが 与 え た 簡 単 な ア ニ メー シ ョ ン,下 が 生 成 され た ア ニ メ ー シ ョンで あ る 。
図4.5 簡 単 な ア ニ メ ー シ ョ ン か ら,物
理 法 則 を用 い て 生 成 した ア ニ メ ー シ ョ ンの 例
4.3 キ ャラ クタの形状 モ デ リング 複 雑 な人 体 形 状 の モ デ ル化 には 非 常 に手 間 隙 がか か る。Allenら18)は,多
く
の 測 定 デ ー タを用 い て 様 々な 人体 形 状 を表現 す る方 法 を提 案 した。 こ の方 法 で は,250体
の 人体 デ ー タ を マ ー カ ー付 で 計測 し,こ れ らを 同一 構 造 の メ ッ シ ュ
(以 下 テ ンプ レー トメ ッシュ と よ ぶ)を 用 い て表 現 す る。 この た め に,テ ンプ レー トメッシュを測 定 デ ー タ に フィッテ ィ ングす る方法 を開 発 した。 フィッテ ィング方 法 は,三 つ の評 価 関数(測 定 デ ー タ との 距離,テ
ンプ レー トメ ッシュ を変 形 す る
と きの 滑 らか さ,マ ー カ ー 間 の距 離)を 最 小化 す る もの で あ る。250体 の人 体 デ ー タを 同一 の テ ンプ レー トメ ッシ ュ で表 現 す る こ とで ,様 々 な ア プ リケ ー シ ョ ンが 可 能 とな っ た。す な わ ち,人 体 形 状 間 の モー フ ィ ング,テ ク スチ ャの 変 更, 人 体 形 状 の 統計 的 な分 析 と合 成,人 体 形 状 の変 更(体 重 や 身長 の 変 更 な ど)で あ る。 口絵4.1に,人
体 形 状 モ デ ル の例 を示 す 。 こ こで は,主 成 分 分 析 に よっ て
生 成 した特 徴 的 な人体 モデ ル間 の 形状 補 間(モ ー フ ィ ング)が 実現 さ れて い る。
4.4 キ ャラクタの変形 リ ア ル な ア ニ メ ー シ ョ ン生 成 の た め に は,キ あ る 。 こ の た め,キ
ャ ラ ク タの 自然 な変 形 が 重 要 で
ャ ラ ク タ ア ニ メ ー シ ョ ン で は,通
常,形
状 モ デ ルの 内 部
に 骨 格 構 造 を 定 義 し,こ の 骨 格 を 制 御 す る こ と に よ り形 状 モ デ ル を 変 形 す る 。 骨 格 に 対 応 し て 表 面 形 状 を 変 形 す る こ と は,ス れ て お り,様 (1) Skeletal ま ず,最
Subspace
Deformation
も 基 本 的 な 変 形 方 法 と し て,SSD(Skeletal
で 使 用 さ れ て い る だ け で な く,ゲ
書 で は,SSDと
変 形 の 原 理 を 図4.6に
Defor
多 く の ア ニ メ ー シ ョ ン ソ フ トウ ェ ア 近 で は,
ム ー ズ ス キ ンや ボ ー ン変 形 な ど と よ よぶ こ と にす る。
示 す 。 同 図 で 変 形 後 の 頂 点 座 標pは2つ
ジ ョ イ ン ト に つ い て 座 標 変 換 し た 結 果 で あ るp'お る 。 す な わ ちSSDに
Subspace
ー ム な ど で も使 用 さ れ て お り,最
も 処 理 可 能 で あ る 。SSDは,ス
ば れ る 場 合 も あ る が,本 SSDの
よば
々 な 変 形 手 法 が 提 案 され て い る。
mation )に つ い て 説 明 す る19)。SSDは
GPUで
キ ニ ン グ(skinning)と
よ る 変 形 で は,変
よ びp"を
の
合 成 して求め
形 後 の 各 頂 点 座 標 は,も
との 頂 点 を
各 ス ケ ル トン に関 して座 標 変換 した 結 果 の 重 み 付 きの和 で表 現 され る 。
(4.1) こ こ で,pjは
変 形 前 の 頂 点 座 標,pjは
に よ る 座 標 変 換 行 列,njointは
変 形 後 の 頂 点 座 標,Lkは
ジ ョ イ ン トk
ジ ョ イ ン ト数 で あ る 。wj ,kは 頂 点jの ジ ョ イ ン ト
kに 関 す る 重 み で あ り,
図4.6
SSDの
原 理[Lewis19)よ
り]
(4.2) を 満 た す 。 重 み は通 常,ジ
ョ イ ン トか らの 距 離 に よ っ て 設 定 す る 。 さ ら に,
ペ イ ン トな ど に よ っ て対 話 的 に設 定 す る こ と も可 能 で あ る。 SSDの
特 長 は,処 理 が 簡 単 で あ り,高 速 に 変 形 で き る点 に あ る。 た だ し,
重 み の 設 定 は 直接 的 で な い,変 形 結 果 を直 接 指 定 で き な い,な り,SSDで
どの 理 由 に よ
自然 な 変 形 を得 る に は 多 くの 試 行 錯 誤 が必 要 と な っ て い る。
(2) 解 剖 学 的 モ デル こ れ に 対 して,骨,筋
肉,皮 膚 を考 慮 した 解 剖 学 的 モ デ ル に よる 変 形 方 法
が 提 案 さ れ て い る20),21)。 解 剖 学 的 な モ デ ル の 例 を 図4.7に 示 す 。 骨,筋
肉,
脂 肪 な ど を考 慮 す る た め,自 然 な 変 形 の実 現 が 期 待 で き る。 解 剖 学 的 モ デ ル を用 い る に して も,自 然 な変 形 を 実現 す る た め に は,骨 格 と筋 肉 を 適切 に指 定 す る必 要 が あ る 。 こ の た め,皮 膚 表 面 や マ ー カ ー な どの 計 測 デ ー タに 対 して,解 剖 学 的 な モ デ ル を フ ィ ッ テ ィ ン グす る方 法 が 提 案 さ れ て い る 。 文 献22)で
は,馬
を対 象 と して,マ
ー カ ー 位 置 か ら解 剖 学 的 な モ
デ ル を フ ィ ッテ ィ ング し,ア ニ メ ー シ ョ ン を生 成 す る 方 法 が 提 案 され て い る。 文 献23)で
は,顔 の 表 面 の 計 測 デ ー タ に解 剖 学 的 な モ デ ル を フ ィ ッ テ ィ ング
図4.7 解 剖 学 的 モ デ ル
す る方 法 が 提 案 され て い る 。 (3) 実 例 べー ス の 変 形 手 法 一 方,変
形 後 の 形 状 を複 数 用 意 し,変 形 は 補 間 に よっ て 実 現 し よ う とい う
実 例 ベ ー ス の 変 形 方 法 が 提 案 さ れ て い る。Pose PSDと
space
deformation(以
下,
省 略 す る19),29))は 実 例 ベ ー ス の 方 法 で あ る 。 こ の 方 法 で は,複 数 の 姿
勢 に お け る変 形 結 果 をサ ンプ ル デ ー タ と して 用 意 し,変 形 は補 間 に よっ て 実 現 す る 。 図4.8にPSDに 以 下,PSDに
よ る変 形 結 果 を示 す 。
よ る補 間 の 詳 細 を 説 明 す る。 姿 勢iに お け るサ ンプ ル 形 状 の
頂 点jの 座 標 をvi,jと し,頂 点Jの ジ ョ イ ン トkに 関 す る 重 み をwj,kと す る。 まず,各
サ ンプ ル 形 状iに 対 して,以 下 の逆SSD変
換 を 行 い,各
サ ンプ ル 形
状 を基 準 姿 勢 に 変 換 す る。
(4.3) こ こ で,v0i,jは サ ンプ ル 形 状iを 逆SSD変
換 した 時 の 頂 点jの 座 標 で あ り,
Li,kはサ ン プ ルiの ジ ョイ ン トkの 座 標 変 換 行 列 で あ る。 各 サ ン プ ル を 補 間 す る た め の 割 合 をsiと し(〓si=1),逆SSD変
換
さ れ た 形 状 を以 下 の よ うに 補 間 し,補 間形 状 の 頂 点 座 標u0jを 得 る。
(4.4) 最後 に,u0jを 以 下 の ようにSSDを
用 いて変 形 し,変 形 後 の頂 点 座標ujを 得 る。
図4.8 PSDに
よ る変 形例
(4.5) こ こで,Lkは
ジ ョ イ ン トkの 座 標 変 換 行 列 で あ り,各 姿 勢 の 関 節 角 度 をsiを
用 い て補 間 した 結 果 か ら求 め た もの で あ る 。 以 上 で,PSDを
用 い た変 形 が
実 現 され る 。 PSDに
よ る 変 形 で は,適 切 な サ ンプ ル デ ー タ を用 意 す れ ば,自
が 実 現 で き る とい う 特 長 が あ る。 な お,PSDに
よ る 変 形 で は,同
メ ッ シ ュ を用 意 す る 必 要 が あ る。 これ ら は,通 常,ア 次 に,Allenら25)に
然 な変形 じ構 造 の
ニ メー タが 用 意す る。
よ っ て 提 案 さ れ た 測 定 デ ー タ を用 い た 実 例 ベ ー ス の 変
形 方 法 を説 明 す る。 この 方 法 で は,上 半 身 の 形 状 を3次 元 測 定 装 置 で測 定 す る。 こ の と き,関 節 角 度 を様 々 に 変 更 し て合 計96個 得 して い る。PSDで
変 形 す る た め に は,関
の 形 状 の サ ン プ ル を取
節 の 回 転 中 心 と関 節 角 度 を推 定
す る必 要 が あ る 。 こ れ らの 情 報 は上 半 身 に設 定 した マ ー カ ー の 位 置 か ら推 定 す る 。 さ ら に,PSDに よ る 変 形 を 実 現 す る た め に は,各 サ ン プ ル 形 状 を 同 一 構 造 の メ ッ シ ュ に よっ て 記 述 す る必 要 が あ る 。 この た め に,各 サ ンプ ル 形 状 は,"displaced
subdivision
こ れ ら の 情 報 を用 い てPSDに す る研 究 と して,複
surface"26)を 変 形 す る こ とで 表 現 して い る。 よ っ て 変 形 した 結 果 を 口 絵4.2に 示 す 。 関 連
数枚 の 手 のCT画
像 か ら, PSDを
用 い て 自然 な手 の変 形
を表 現 す る手 法 も提 案 され て い る27)。 4.3節 で 説 明 した 様 々 な体 型 を表 現 す る手 法 と,実 例 ベ ー ス の変 形 手 法 組 み 合 わ せ た 方 法 が 提 案 さ れ た28)。SCAPE(Shape Animation
for PEople)と
and
よ ば れ る この 方 法 で は,体 型 と姿 勢 の バ リエ ー シ
ョ ン生 成 が 可 能 で あ る 。 一 人 の 人 に つ い て70姿 特 定 の 姿 勢 につ い て37人
Completion
勢 の 形 状 を 測 定 し,さ
らに
の形 状 を測 定 して い る 。 こ れ ら の サ ンプ ル 形 状 を
補 間 す る こ と で体 形 と姿 勢 の バ リエ ー シ ョン を生 成 す る もの で あ る。 PSDに
関 連 す る研 究 と して,多
数 の サ ン プ ル 形 状 を そ の ま ま補 間対 象 と
す る の で は な く,主 成 分 分 析 を用 い て 少 な い 変 位 ベ ク トル に分 解 して補 間す る ハ ー ドウ ェ ア化 に 適 した 方 法 が 提 案 され て い る29)。こ の 方 法 を用 い れ ば, GPUに SSDの
よ っ て リ ア ル タ イ ム に 変 形 を 実 現 す る こ とが 可 能 で あ る 。 ま た, 拡 張 と して,式(4.1)の
重 みwを
座 標 変 換 の 成 分 ご と に設 定 す る
Multi‐Weight
Enveloping
サ ン プ ル 形 状 か ら 重 みwを さ ら に,PSDの
30)と い う 手 法 も提 案 さ れ て い る 。 こ の 手 法 で は, 求 め て い る。
関 連 技 術 と し て,MohrとGleicherに
よ っ て 提 案 され た
方 法31)に つ い て 説 明 す る 。 こ の 方 法 で は,PSDで
は な く,SSDを
ン プ ル 形 状 の 補 間 を 実 現 し て い る 。 こ の た め に,も
用 いてサ
と の 骨 格 構 造 に 対 し て,
2種 類 の 変 形 用 の ジ ョ イ ン トを 追 加 し て い る 。 第1に,回
転 関 節 部 分 に,半
分 の 回転 を表 現 す る ジ ョイ ン トを追 加 す る。 こ の ジ ョイ ン トを用 い る こ とで 関 節 周 辺 の 変 形 を 改 善 す る 。 第2に,筋 に,各
肉 の 盛 り上 が り な ど を 表 現 す る た め
ジ ョ イ ン トに 四 つ の 拡 大 ・縮 小 用 の ジ ョ イ ン トを 追 加 す る 。 こ の 方 法
は 近 似 的 な 方 法 で は あ る が,PSDと る 。 こ の た め,PSDと
同 様 の 効 果 をSSDだ
けで表 現可 能であ
比 較 し て 高 速 に 変 形 が 可 能 で あ り,GPUを
用 いた高
速 化 に も適 し て い る 。
4.5
顔 の ア ニ メ ー シ ョン
顔 は キ ャ ラ ク タ ア ニ メ ー シ ョ ン に お い て,も 1972年 のParkeの
先 駆 的 な研 究32)以 来,様
っ と も重 要 な 部 位 で あ り,
々 な研 究 開発 が 行 わ れ て き た。
顔 の3次 元 形 状 とカ ラー 情 報 は レー ザ ー ス キ ャ ナ を用 い て 計 測 す る こ とが 可 能 で あ る。 計 測 され た 顔 の 測 定 デ ー タ に顔 の テ ンプ レー トモ デ ル を フ ィ ッ テ ィ ン グ し,筋 肉 変 形 モ デ ル を用 い て表 情 を 生 成 す る手 法 が 提 案 さ れ て い る33)-35)。 顔 の モ デ リン グ につ い て は,複 数 枚 の 顔 写真 か ら顔 の モ デ ル を生成 す る方 法 が 提 案 さ れ て い る36)-38)。 こ こ で は,Pighinら 方 法 で は,正 面,側 面,45度
の 方 法37),38)を 紹 介す る。 この
の 方 向 か ら撮 影 され た 複 数 枚 の 顔 写 真 を用 意 す
る。 顔 の テ ン プ レー トモ デ ル を用 意 し,こ の モ デ ル を 変 形 して,顔 写 真 と適 合 す る モ デ ル を作 成 す る。 フ ィ ッテ ィ ング の た め に,目 や 口 の周 囲 な ど顔 形 状 で重 要 な特 徴 点 を対 話 的 に指 定 し,RBFを
用 い た補 間 に よ っ て 変 形 す る 。
さ らに,複 数 枚 の顔 写 真 を合 成 して 顔 の テ ク ス チ ャ を生 成 す る。 以 上 の 処 理 を様 々 な 表 情 につ い て 行 う。生 成 され た 顔 モ デ ル を モ ー フ ィ ン グす る こ とで, 自然 な顔 の アニ メ ー シ ョ ンが生 成 で きる。 結 果 を 口絵4.3に 示 した 。
BlanzとVetter39)は
計 測 デ ー タ か ら生 成 し た顔 の デ ー タベ ー ス を用 い た
顔 の モ デ リ ング 方 法 を提 案 した 。 こ の方 法 で は,顔 こ と で,1枚
の デ ー タベ ー ス を用 い る
あ る い は 複 数 枚 の 顔 画 像 か ら自動 的 に3次 元 の 顔 の モ デ ル が 生
成 さ れ る 。 さ ら に,直 感 的 な イ ンタ フ ェ ー ス に よ っ て 様 々 な顔 の モ デ ル を生 成 す る こ と が 可 能 で あ る。 顔 の デ ー タベ ー ス を作 成 す る た め に,約200人 顔 形 状 を レー ザ ー ス キ ャナ に よ っ て計 測 す る。 計 測 デ ー タ は約70,000頂
の 点の
メ ッシ ュ と テ ク スチ ャデ ー タ か ら構 成 され る。これ らの 形 状 デ ー タ に対 し て, オ プ テ ィ カ ル フ ロー を用 い て1対1の
マ ッ ピ ング を生 成 し,モ ー フ ィ ング 可
能 な モ デ ル とす る。 様 々 な顔 モ デ ル は,サ
ンプ ル の 顔 の形 状 と テ ク ス チ ャの
ブ レ ン ド(重 み 付 け の和)で 表 現 す る こ と で生 成 さ れ る 。 主 成 分 分 析 を 用 い る こ と で,顔 の モ デ ル に 対 して様 々 な 操 作 を行 う こ とが 可 能 で あ る。例 え ば, よ り男 性 的 な顔 に す る,女 性 的 な顔 にす る,痩 せ る,笑
っ た顔 に す る な ど の
操 作 が 可 能 で あ る 。 さ らに,一 枚 あ る い は複 数枚 の顔 画 像 か ら 自動 的 に顔 の モ デ ル を 生 成 す る こ とが 可 能 で あ る。対 話 的 に顔 の 位 置 と方 向 を指 定 す る と, 顔 の モ デ ル を規 定 す る重 み が 自動 的 に算 出 され る。 結 果 を 図4.9に 示 す 。 顔 の ア ニ メ ー シ ョ ンで は,音 声 との 同 期 は非 常 に 重 要 な課 題 で あ る。 こ こ で は,顔 の 実 写 ビ デ オ を も と に,音 声 デ ー タか ら,オ リ ジ ナ ル に は な か っ た ア ニ メ ー シ ョ ン を生 成 す る 方 法(Video Rewriteで
は,ト
Rewrite)40)を
レー ニ ン グ デ ー タ と して,実
紹 介 す る 。Video
写 の 顔 の ビ デ オ を入 力 と し,
図4.9 写 真 か らの 顔 の3次 元 モ デル の 自動 生 成
音 素 を 自動 的 に 抽 出 し,そ
れ に対 応 す る 顔 画 像(口 の 周 囲)を 登 録 す る。 新
しい 音 声 デ ー タが 入 力 さ れ る と,音 素 に 対 応 した 顔 画 像 を抽 出 し,背 景 画 像 と合 成 す る。 以 上 の 処 理 に よ り,音 声 を 入 力 と して,顔 の ア ニ メ ー シ ョ ン を 生 成 可 能 で あ る 。 結 果 を 図4.10に 示 す 。Video ル で は な く,2次
Rewriteは3次
元 の 画 像 を用 い た 方 法 で あ るが,音
元 の顔 のモデ
声 入 力 か ら 自然 な顔 の
ア ニ メ ー シ ョ ンが生 成 され て い る。
図4.10
ビデ オ リ ライ ト
4.6 頭髪 のアニ メー シ ョン 頭 髪 の 表 現 に つ い て は,頭
髪 の モ デ リ ン グ,ア
グ と多 く の 課 題 が あ り,Anjyoら
の 研 究41)以
て い る 。 頭 髪 の モ デ リ ン グ に つ い て は,ク
ニ メ ー シ ョ ン,レ
来,研
究開発 が盛 んに行 わ れ
ラ ス タ ー モ デ ル を用 い た方 法 が 提
案 さ れ て い る42)。頭 髪 の ア ニ メ ー シ ョ ン に お い て は,特 用 が 重 要 で あ り,こ る43),44)。図4.11に グ に つ い て は,実
ンダリ ン
に,頭
髪 間の相互作
れ ら を考慮 したア ニ メー シ ョン手法 が 提 案 され て い 頭 髪 の ア ニ メ ー シ ョ ン の 例 を 示 す43)。 頭 髪 の レ ン ダ リ ン
際 の 頭 髪 の 反 射 特 性 の 計 測 結 果 に 基 づ い た,精
シ ェ ー デ ィ ン グ モ デ ル が 提 案 さ れ て い る45)。
密 な頭髪 の
図4.11
頭 髪 の ア ニ メー シ ョンの例
4.7 衣服 の アニ メー シ ョン 衣 服 の 表 現 もキ ャ ラ ク タ アニ メ ー シ ョンで は重 要 で あ る。 衣 服 の変 形 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン はCGの シ ョ ン で は,数
大 き な研 究 課 題 で あ っ た 。 従 来,布
の 変 形 シ ミュ レー
値 計 算 を 安 定 に 行 う た め に タ イ ム ス テ ッ プ を 小 さ く設 定 す る
必 要 が あ っ た 。 こ の 問 題 を 解 決 す る た め に,比
較 的 大 き な タ イ ム ス テ ッ プで
も 安 定 に シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 う 方 法 が,BaraffとWitkinに れ た46)。 こ の 方 法 で は,後
退 オ イ ラ ー 法 を 用 い る こ と で,タ
大 き く し て も 安 定 に シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 可 能 で あ り,高 ー シ ョ ンが 可 能 とな っ た
よ っ て提 案 さ イムステ ップを
速 な布 の 変 形 シ ミ ュ レ
。
布 は 引 っ 張 り方 向 に対 し て は 強 い 反 発 力 を 持 つ が,圧
縮 方 向 の力 に対 して は
簡 単 に 折 れ 曲 が っ て し ま う。 こ の よ う な 特 性 を考 慮 し た シ ミ ュ レー シ ョ ン 方 法 が,ChoiとKoに
よ っ て 提 案 さ れ た47)。 ア ニ メ ー シ ョ ン例 を 図4.12に
示 す。
本 章 で は,キ ャ ラ ク タア ニ メ ー シ ョン技 術 につ い て説 明 した 。 特 に 人 間 の ア ニ メ ー シ ョ ンで は,わ れ わ れ が 日常 的 に 人 間 を観 察 して い る た め に,非 常 に 小 さ な差 異 に 対 して も違 和 感 を抱 い て し ま う。 こ の 意 味 で,非
常 に困難な課
題 を抱 え て い る と考 え られ る。 モ ー シ ョ ンキ ャ プチ ャ や3次 元 測 定 技 術 の 進
図4.12
衣服 の アニ メ ー シ ョンの例
歩 と と も に,こ れ らの 測 定 デ ー タ を効 率 よ く用 い て 自然 な ア ニ メ ー シ ョ ンを 生 成 しよ う とい う手 法 が 盛 ん に 研 究 され て お り,今 後 もそ の 発展 に 期 待 が で きる 。 さ らに,ア
ニ メー タ に と っ て 直 感 的 な イ ン タ フ ェ ー ス を提 供 す る ユ ー ザ イ
ン タ フ ェ ー ス 関 連 の技 術 開 発 も 必 須 で あ る 。 ま た,ゲ リ ア ル タ イ ム性 が 要 求 され る た め,リ
ー ム やVRな
ど で は,
ア ル タ イ ム で 自然 な キ ャ ラ ク タ ア ニ メ
ー シ ョ ン を生 成 す る技 術 が 今 後 ます ます 重 要 と な る こ とが 予 想 され る。 ま た,本 書 で は 割 愛 したが,映
画 や ゲ ー ム か らの 要 請 と して,よ
り高 レベ
ル の ア ニ メ ー シ ョ ン手 法 の確 立 が 重 要 な 課 題 と して 上 げ られ る。 す な わ ち,
行 動 科 学 に基 づ く方 法,群
集 の シ ミュ レー シ ョ ン な どのAI関
連 技 術 な どで
あ る。 こ れ らの 技 術 の確 立 も今 後 の 重 要 な課 題 で あ る。
〈図 の
出
典 等
〉
図4.1 M.Gleicher:"Retargeting
motion
to
new
characters",In
Proc.of
SIGGRAPH
98(1998)よ
り。 許 諾 を 得 て 転 載 図4.2,4.3 L.Kovar,M.Gleicher
and
Graphics,Vol.21,No.3(2002)よ 図4.4 Z.Popovic
and
SIGGRAPH
A,P.Witkin:"Physically
99(1999)よ
図4.5 C.K.
Liu
and
based
of
Transactions
on
J.P.Lewis,M.Cordner
o shape
graphs",ACM
Transactions
on
motion
transformation",In
Proc.of
り。 許 諾 を 得 て 転 載
Z.Popovic"Synthesis
animations",ACM 図4.6,4.8
F.Pighin:"Motion り。 許 諾 を 得 て 転 載
and
interpolation
and
complex
dynamic
character
motion
Graphics,Vol.21,No.3(2002)よ
N.Fong:"Pose
skeleton‐driven
space
from
simple
り。 許 諾 を 得 て 転 載 deformations:Aunified
deformation",In
Proc.of
approach
SIGGRAPH
t
2000(2000)
よ り 。 許 諾 を 得 て 転 載 図4.7 J.Wilhelms (1997)よ 図4.9 V.Blanz
and
and
T.Vetter:"A
SIGGRAPH 図4.10
modeling",In
Proc.of
SIGGRAPH
97
Proc.of
and
SIGGRAPH
Symposium
K.‐J.Choi
and
for
M.Slaney:"Video
97(1997)よ and
SIGGRAPH
model
the
synthesis
of
3D
faces",Proc.of
り。 許 諾 を得 て 転 載
J.T.Chang,J.Jin
図4.12
based
morphable
99(1999)よ
C.Bregler,M.Covell In
図4.11
A.V.Gelder:"Anatomically
り。 許 諾 を 得 て 転 載
Y.Yu:"A on
practical
Computer
H.‐S.Ko:"Stable
Vol.21,No.3(2002)よ
rewrite:Driving
visual
speech
with
audio",
り。 許 諾 を得 て 転 載 model
for
hair
Animation(2002)よ but
responsive
mutual
interactions",ACM
り。 許 諾 を得 て 転 載 cloth",ACM
Transactions
on
Graphics,
り。 許 諾 を 得 て 転 載
参考文献 1) B.Bodenheimer,C.Rose,S.Rosenthal Dealing
with
2) A.P.Witkin 108
the and
and
data.",Computer
J.Pella:"The
Animation
Z.Popovic:"Motion
and
warping",In
process
of motion
capture:
Simulation'97,pp.3‐18(1997). Proc.of
SIGGRAPH
95,pp.105‐
1995).
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L.Williams:"Motion
signal
processing",In
Proc
of
SIGGRAPH
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and
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R.Takeuchi:"Fourier
Proc.of and
SIGGRAPH
B.Bodenheimer:"Verbs
interpolation",IEEE
principles
for emotion
based
human
97,pp.91‐96(1995).
Computer
and
adverbs:Multidimensional
Graphics&Applications,Vol.18,No.5,
pp.32‐40(1998). 6) M.Gleicher:"Retargeting pp.33‐42(1998).
motion
to
new
characters",In
Proc.of
SIGGRAPH
98,
7) J.Lee
and
S.Y.Shin:"A
human‐like
hierarchical
figures",In
Proc.of
8) M.Gleicher:"Comparing
approach
to
SIGGRAPH
interactive
motion
editing
for
99,pp.39‐48(1999).
constraint‐based
motion
editing
methods",Graphical
Models,Vol.63,No.2,pp.107‐134(2001). 9) L.Kovar,M.Gleicher
and
F.Pighin:"Motion
graphs",ACM
Transactions
on
Graphics,Vol.21,No.3,pp.473‐482(2002). 10) O.Arikan ACM
and
D.A.Forsyth:"Synthesizing
Transactions
on
Graphics,
constrained
11) J.Lee,J.Chai,P.S.A.Reitsma,J.K.Hodgins avatars
animated
with
motions
from
examples",
Vol.21,No.3,pp.483‐490(2002). and
human
motion
N.S.Pollard:"lnteractive
data",ACM
control
Transactions
on
of
Graphics,
Vol.21,No.3,pp.491‐500(2002). 12) K.Pullen
and
C.Bregler:"Motion
synthesis",ACM
capture
Transactions
13) Y.Li,T.Wang
and
character
on
H.‐Y.Shum:"Motion
motion
assisted
animation:Texturing
and
Graphics,Vol.21,No.3,pp.501-508(2002). texture:Atwo‐level
synthesis",ACM
Transactions
statistical
on
model
for
Graphics,Vol.21,No.3,
pp.465‐472(2002). 14) L.Kovar in
and
large
M.Gleicher:"Automated
data
sets",ACM
extraction
Transactions
on
and
parameterization
of motions
Graphics,Vol.23,No.3,pp.559‐568
(2004). 15) J.K.Hodgins,W.L.Wooten,D.C.Brogan athletics",In
Proc.of
16) Z.Popovic
and
SIGGRAPH 17) C.K.Liu simple
and
SIGGRAPH
J.F.O'Brien:"Animating
human
95,pp.71‐78(1995).
A.P.Witkin:"Physically
based
motion
transformation",In
Proc.of
99,pp.11‐20(1999). and
Z.Popovic:"Synthesis
animations",ACM
of
complex
Transactions
on
dynamic
character
motion
from
Graphics,Vol.21,No.3,pp.408‐416
(2002). 18) B.Allen,B.Curless
and
Reconstruction
and
Z.Popovic:"The
parameterization
space from
range
of
human
body
scans",ACM
shapes:
Transactions
on
Graphics,Vol.22,No.3,pp.587‐594(2003). 19) J.P.Lewis,M.Cordner to
shape
and
interpolation
SIGGRAPH
N.Fong:"Pose and
and
SIGGRAPH
A.V.Gelder:"Anatomically
musculature",In
22) M.Simmons,J.Wilhelms creature
approach Proc.of
ACM
based
modeling",In
Proc.of
97,pp.173‐180(1997).
21) F.Scheepers,R.E.Parent,W.E.Carlson human
deformations:Aunified deformation",In
2000,pp.165‐172(2000).
20) J.Wilhelms
the
space
skeleton‐driven
animatio",ACM
pp.139‐146(2002).
and Proc.of and
S.F.May:"Anatomy
SIGGRAPH
based
A.V.Gelder:"Model‐based
SIGGRAPH
Symposium
modeling
of
97,pp.163‐172(1997). reconstruction on
Computer
Animation,
for
23) K.Kahler,J.Haber,H.Yamauchi animated on
head
and
Computer
models
with
anatomical
H.‐P.Seidel:"Head
shop:Generating
structure",ACM
SIGGRAPH
Symposium
Animation,pp.55‐64(2002).
24) P.‐P.J.Sloan,C.F.R.III Symposium
on
and
Interactive
25) B.Allen,B.Curless
and
on and
SIGGRAPH
Graphics,
by
example",2001
ACM
pp.135‐144(2001).
Z.Popovic:"Articulated
data",ACM Transactions 26) A.Lee,H.Moreton
M.F.Cohen:"Shape
3D
body
deformation
from
range
scan
Graphics,Vol.21,No.3,pp.612‐619(2002).
H.Hoppe:"Displaced
subdivision
surfaces",In
Proc.of
2000,pp.85‐94(2000).
27) T.Kurihara
and
N.Miyata:"Modeling
images",ACM
deformable
human
SIGGRAPH/EUROGRAPHICS
hands
from
Symposium
on
medical
Computer
Animation,pp.357‐365(2004). 28) D.Anguelov,P.Srinivasan,D.Koller,S.Thrun,J.Rodgers shape
completion
an
animation
and of
people",ACM
J.Davis:"Scape:
Transactions
on
Graphics,
Vol.24,No.3,pp.408‐416(2005). 29) P.G.Kry,D.L.James character
and
skinning
in
D.K.Pai:"Eigenskin:Real
hardware",ACM
time
SIGGRAPH
large
deformation
Symposium
on
Computer
Animation,pp.153‐160(2002). 30) X.C.Wang
and
techniques
C.Phillips:"Mufti‐weight
for
skin
enveloping:Least‐squares
animation",ACM
SIGGRAPH
approximation
Symposium
on
Computer
Animation,pp.129‐138(2002). 31) A.Mohr
and
M.Gleicher:"Building
examples",ACM
Transactions
32) F.I.Parke:"Computer
generated
conference,ACM
and
animation",Journal
skins
from
of faces",In
Proc.of
the
ACM
annual
Visualization
facial and
modelling,analysis,and
Computer
Animation,Vol.1,No.2,
(1990). and
individuals",Graphics
and
SIGGRAPH
36) T.Kurihara
and
the
face
K.Waters:"Constructing
physics‐based
facial
models
of
Interface'93,pp.1‐8(1993).
35) Y.Lee,D.Terzopoulos
human
animation
K.Waters:"Physically‐based of
34) Y.Lee,D.Terzopoulos
Proc.of
character
Graphics,Vo1.22,No.3,pp.562‐568(2003).
Press,pp.451‐457(1972).
33) D.Terzopoulos
pp.73‐80
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K.Waters:"Realistic
modeling
for facial
animation",In
95,pp.55‐62(1995). K.Arai:"A from
transformation
photographs",In
Thalmann,editors,Computer
Animation
method Nadia
for
modeling
Magnenat
and
Thalmann
animation and
of
Daniel
91,Springer‐Verlag,Tokyo,pp.45‐58
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and photographs",In
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Proc.of
SIGGRAPH
98,pp.75‐84
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and
D.H.Salesin:"Modeling
images",International
Journal
of
and
Computer
animating
Vision
realistic
faces
,Vo1.50,No.2,pp.143‐
169(2002). 39) V.Blanz of
and
T.Vetter:"A
SIGGRAPH
40) C.Bregler,M.Covell audio",In
and
Proc.of
M.
model
for the
Slaney:"Video
SIGGRAPH
41) K.Anjyo,Y.Usami beauty
morphable
synthesis
of 3d
faces",In
Proc.
speech
with
99,pp.187‐194(1999).
and
rewrite:Driving
visual
97,pp.353‐360(1997).
T.Kurihara:"A
of hair",Computer
simple
Graphics(In
method
Proc.of
for
extracting
the
natural
SIGGRAPH'92),Vol.26
,pp.111
‐120(1992). 42) T.‐Y.Kim
and
editing",ACM
U.Neumann:"Interactive Transactions
43) J.T.Chang,J.Jin
and
SIGGRAPH
on
Y.Yu:"A
Symposium
44) Y.Bando,B.‐Y.Chen
on and
particles",Computer
multiresolution Graphics,
practical Computer
model
for
from
human
mutual
interactions"
,ACM
.730‐80(2002). hair
,S.Worley hair
and
with
loosely
connected
Forum,Vol.22,No.3,pp.411‐411(2003).
45) S.R.Marschner,H.W.Jensen,M.Cammarano scattering
modeling
.620‐629(2002).
hair
Animation,pp
T.Nishita:"Animating
Graphics
hair
Vol.21,No.3,pp
fibers",ACM
Transactions
and
P.Hanrahan:"Light on
Graphics,Vol.22,
No.3,pp.780‐791(2003). 46) D.Baraff
and
A.P.Witldn:"Large
steps
in cloth
simulation",In
Proc.of
SIGGRAPH
98
pp.43‐54(1998). 47) K.‐J.Choi
and
H.‐S.Ko:"Stable
Graphics,Vol.21,No.3,pp.604‐611(2002).
but
responsive
cloth",ACM
Transactions
on
,
章
5
第
NPR 東京農工大学工学部 斎藤 隆文 埼玉大学大学院 近藤 邦雄
5.1 は じめ に NPR(Non‐Photorealistic 絵 画 の よ う に,強 CGに
Rendering非
写 実 的 画像 生 成)は,イ
調 や 省 略 を 施 して 描 画 を 行 うCG手
よ る レ ン ダ リ ン グ の 多 く が,写
Photorealistic
Renderingを
ラ ス トや
法 であ る。 かつ ては
真 の ような写 実性 を追究す る
目指 した もの で あ っ た が,1990年
代 か らNPR
の研 究 も盛 ん に な っ て きて い る。 NPRは,い 目的,表
わ ば 人 の 知 覚 に 訴 え る 画 像 を生 成 す る 手 法 で あ る 。 表 現 す る
現 対 象 に よ って,適
ざ ま なNPR手
切 なNPR手
法 は 異 な る た め,こ
法 が 開 発 さ れ て きた 。 本 章 で は,ま
ずNPR手
れ まで に さ ま 法 を複 数 の 視
点 か ら分 類 し,代 表 的 な 手 法 の い くつ か につ い て 説 明 す る 。 描 画 例 につ い て は,主
と して 日本 国 内 で の 研 究 例 か ら紹 介 す る。
5.2 NPR手 5.2.1
法 の分 類
表 現 目 的 に よ る分 類
NPRは,さ
ま ざ ま な 目的 に 応 用 で き る 。 こ こで は,表5.1に
示す ような
3つ の 目的 に大 別 して述 べ る。 (1) 既 存 描 画 技 法 の シ ミ ュ レー ト NPRの
目 的 の 一 つ は,既 存 描 画 技 法 を コ ン ピ ュ ー タ で 模 倣 す る こ とで あ
る 。 こ れ まで に,油 絵,水 彩 画,ペ
ン画,水
墨 画,色
鉛 筆 画,木
版 画 な どが
表5.1 表 現 目的 に よるNPRの
扱 わ れ て きた 。 既 存 描 画 技 法 を扱 う場 合,そ
分類
の 目的 に よ っ て,二 つ の ア プ ロ
ー チ が あ る。 (a) 描 画 模 倣 ア ル ゴ リズ ム(ビ ジ ュ ア ル シ ミュ レー シ ョン)
描 画 結 果 の 「見 た 目」 と対 象 とす る画 風 が 一致 す る こ とを 求 め る。
(b) 画材 の 物 理 シ ミ ュ レー シ ョン
筆,絵
の具,紙
な どの 画 材 お よび 描 画 過 程 を忠 実 に シ ミュ レー トす る。
(2) 情 報 伝 達 を 目 的 と し た描 画 何 らか の 視 覚 情 報 を伝 達 す る 目的 で,手 描 きの イ ラス ト画 が使 わ れ て きた が,こ
の よ う な 目的 にNPRを
した 場 合,3次
使 う こ と も行 わ れ て い る 。 情 報 伝 達 を 目 的 と
元 形 状 の 輪 郭 や エ ッ ジ な ど に代 表 さ れ る物 体 形 状 の特 徴 的 な
部 分 を,強 調 も し くは省 略 して 表 現 す る こ とで,伝 ー ル す る。
え る べ き情 報 を コ ン トロ
可 視 化 も情 報 伝 達 を 目 的 と して い る。 可 視 化 で 得 られ る画 像 は 「わ か りや す さ」 を追 究 した もの で あ り,写 実 的 な半 透 明 表 示 を して も実 際 に 人 間が 目 にす る実 物 と は異 な る点 でNPRと にNPRの
近 い 。 最 近,ボ
手 法 が 使 わ れ る よ うに な っ て き て い る。
リューム や流れ の可視化
(3) 既 存 描 画 技 術 へ の 計 算 機 援 用 コ ン ピ ュ ー タ を 利 用 して 既 存 の 描 画 技 術 の 一 部 を省 力 化 す る こ と も, NPRの
目的 の ひ とつ で あ る。 そ の 代 表 例 が セ ル ア ニ メ ー シ ョ ン で あ る。 人
海 戦 術 に よ る制 作 を省 力 化 す るた め に,キ ー フ レ ー ム の 中 割 りや ペ イ ン トな どの 機 能 を もつ 実 用 的 な シス テ ム が 開発 され て き た。 従 来 の 手 描 き だ け で は 実 現 困 難 な 新 しい 表 現 を得 る こ と も,NPRの つ の 目的 で あ る。3次 成,セ
ひと
元 モ デ ル を用 い て描 い た 画 像 と2次 元 の セ ル 画 との 合
ル画 に お け る3次 元 的 な 影 付 け や テ クス チ ャマ ッピ ン グ な どが 試 み ら
れ て い る。 5.2.2 NPRで
実現 方法 による分類 は入 力 デ ー タの 選 び 方 や,ユ
ー ザ の 制 御 と 自動 処 理 との 切 り分 け
方 を変 え る こ と に よ り,様 々 な実 現 方 法 が 可 能 で あ る。 目的 に応 じて,こ れ らを使 い 分 け る こ とが 必 要 と な る 。 表5.2は ユ ー ザ の 介 在 の 方 法 や 度 合 い と 入 力 デ ー タの 違 い に よ る 分 類 を示 す 。 各技 術 は代 表 的 な もの で あ り,明 確 に 区 別 で きな い 技 術 や 複 数 に対 応 した技 術 もあ る。 (1) 人 間 の 介 在 の 方 法 や 度 合 い に よ る 分 類 (a) 描 画 プ リ ミ テ ィ ブ の 操 作
描 画 プ リ ミテ ィ ブ(た と え ば ス トロ ー ク)単 位 で ユ ー ザ が 対 話 的 に 操 作 す る。
(b) 描 画 パ ラ メ ー タ の入 力
画像 全 体 も し くは 物 体 な どに 対 して ユ ーザ が 描 画 パ ラ メ ー タ を指 定 した 後 に 自動 処 理 す る。
表5.2 実 現 方法 に よるNPRの
分類
(c) 注 目度 の利 用
ユ ー ザ の 視 線 の 動 き を計 測 し,そ の 注 目度 に 応 じて 描 画 パ ラ メー タ を 自 動制御 する。
(2) 入 力 情 報 に よ る分 類 (a) 元 デ ー タな し
Painting,Drawingツ
ー ル を用 い て,ユ
ー ザ が 対 話 的 に2次 元 情 報 を
与 え,描 画 を行 う。 描 画 の 自 由度 は非 常 に 高 い が,結 果 はユ ー ザ の 技 量 に 依存す る。 (b) 2次 元 画像
2次 元 画 像 を入 力 と し,さ ま ざ ま な画 風 に 変 換 して描 画 す る。 こ の と き, 面 の 方 向 性 や 輪 郭 を原 画 像 か ら抽 出 して,ス
トロ ー ク を決 定 す る こ とが で
き る。 (c) 3次 元 形 状
3次 元 形 状 デ ー タ を 入 力 して,座 NPR的
標 変 換,隠
面 処 理 の 後,非
写実 的 な
描 画 を行 う。 任 意 の視 点 にお け る 忠 実 な 描 画 が 可 能 で あ る こ と,
面 の 方 向 性 を求 め る こ とが 容 易 で あ る な ど の長 所 が あ る。
5.3 5.3.1
対 話 的 描 画 に よ るNPR ス トロー ク を 用 い た絵 画 風 描 画
絵 画 調 画 像 の 作 成 手 法 の 代 表 的 な 手 法 に,ブ が あ る 。1990年
ラ シス トロ ー ク を 用 い た手 法
にHaeberli1)が 提 案 した ス トロ ー ク生 成 手 法 が そ れ 以 降 の
基 礎 と な っ て い る。 処 理 手 順 は以 下 の とお りで あ る 。 Step1:元
に な る 入 力 画像 と 出 力 用 の 無 地 の 画 像(キ ャ ンバ ス)を 用 意 す る。
Step2:入
力 画 像 の 中 か ら画 素 を1つ 選 択 す る。
Step3:キ
ャ ンバ ス 上 の 取 り出 し た画 素 に 対 応 す る位 置 に,ス
トロ ー ク
の 形 で,そ の 画 素 の 色 を 塗 る。 Step4:上
記2,3の
処 理 を多 数 の 画 素 に 対 して 行 う こ と に よ り絵 画 的 な
画 像 が 生 成 で き る。
図5.1 ストロー クを用 いた絵 画風 描 画例
この 手順 を基 本 と して,以 下 の5つ
の パ ラ メ ー タ を変 え る こ とに よ り,さ
ま ざ まな 絵 画 調 画 像2)が 生 成 で きる。 画像 の 作 成 例 を図5.1に 示 す 。 (a) 画 素 の位 置
ス トロー クの 配 置 が 規 則 的 に な らな い よ う に,座 標 を乱 数 で 決 め る こ と が 多 い 。 ボ ロ ノ イ 図 を用 い る方 法 や,ユ
ー ザ が 対 話 的 に 位 置 を 与 え る手 法
もあ る 。 (b) ス トロ ー クの 長 さ
画 像 全 体 を均 一 長 の ス トロー ク で処 理 す る方 法,場 所 に よ っ て 長 さ を変 え る方 法 が あ る。 長 さ を 変 え る場 合,ユ 大 き さを 制 御 す る 方 法 や,入
ー ザ の マ ウ ス操 作 で ス トロー ク の
力 画 像 の特 徴 量 を解 析 して 自動 的 に 大 き さ を
制 御 す る 方 法 な どが あ る。 (c) ス トロー ク の 方 向
エ ッ ジ付 近 で は ス トロ ー ク の 方 向 を エ ッジ に 合 わ せ る こ とが 有 効 で あ る。 そ れ以 外 の 部 分 に つ い て も,ス
トロ ー ク方 向 を場 所 に よ っ て 変 え る こ
と に よ っ て,面 の 方 向性 や テ ク ス チ ャ を描 写 で き る。 (d) ス トロー ク の 色
元 の 画 素 の 色 を そ の ま ま使 う方 法 の ほ か に色 を ば らつ か せ る 方 法 が あ る 。 ば らつ き を与 え る と個 々 の ス トロ ー ク が は っ き り と見 え る。 また キ ャ ンバ ス の 色 との 合 成 の 割 合 を与 え る場 合 もあ る。
(e) ス トロ ー クの 形 筆 に さ ま ざ ま な形 状 が あ る よ う に,ス トロ ー クの 形 状 も楕 円,長 方 形 や, 各 種 パ ター ンが 用 い られ る。 5.3.2
ペ ン画 の 生成
CGに
よ る ペ ン画 表 現 は,対 話 的 にペ ン画 を描 く方 法 と2次 元 画 像 を入 力
す るimage‐basedシ
ス テ ム とが あ る。 これ らを 以 下 に述 べ る。 他 に,3次
形 状 モ デ ル を入 力 す るgeometry‐basedシ
元
ス テ ム もあ る が,こ れ につ い て は
5.5節 で 述 べ る 。 (1) 対 話 型 の ペ ン画 手 法 図 に線 の 太 さ変 化 をつ け た り,質 感 表 現 を 線 で 表 現 す る と い うpen‐and‐ inkの 手 法 を取 り入 れ た例 を示 す 。 こ の 例 は,2次
元 処 理 に よ る線 分 の太 さ
変 化 計 算 や 質 感 描 画 処 理 を対 話 的 に行 っ て描 画 して い る 。 この 手 法 は,旭3), 近 藤4)が 提 案 した。 線 の太 さ変 化 の 表 現 の た め の パ ラ メ ー タ は,(1)線 (2)太 さ を 指 定 す る位 置,(3)指 近 藤 の 手 法4)で は,Bezier曲
形 状,
定 した 位 置 に お け る線 の 太 さ3つ で あ る 。
線 を用 い る。 位 置 と太 さ の与 え 方 の 例 お よ び作
画 例 を 図5.2に 示 す 。 こ れ らの 例 は,ユ ーザ が 作 画 す る 画 像 に対 して,直 接 指 示 で きる と い う利 点 が あ る が,線 分 の 形 状 や 太 さ な どの 情 報 を 入 力 す る必 要 が あ る 。 そ こで,曲 線 の 形 状 を利 用 して 太 さ を変 更 す る 方 法 や,タ ブ レ ッ ト入 力 時 の 筆圧 を利 用 して 太 さ を制 御 す る手 法 が提 案 さ れ て い る 。
図5.2 対話 型 の ペ ン画 の作 成 例
(2) 2次 元 画 像 を入 力 す るimage‐based手
法
デ ジ タ ル カ メ ラで撮 影 した 画 像 を コ ン ピ ュー タに取 り込 み 加 工 す る こ とが よ く行 わ れ る よ う に な っ た 。 入 力 は 画 像 で あ り,加 工 の た め の 計 算 手 法 が 「フ ィル タ処 理 」 な ど と よ ば れ る 画 像 処 理 手 法 で あ る 。 従 来 の 単 純 な 画 像 フ ィル タで な く,ブ ラ シの 形 や色 ま で 決 め て,絵 画 風 の 画 像 へ と変 化 させ る 手 法 もあ る。 こ れ ら は描 画 ツ ー ル の シ ミ ュ レー シ ョ ン とい う面 もあ り,さ ま ざ ま な 描 画 法 が 提 案 さ れ て い る 。 図5.3に 入 力 画 像 と フ ィ ル タ処 理 結 果 の 例5) を示す。
図5.3 入 力画 像か ら作 成 した鉛筆 画 の例 5.3.3
既 存 描 画 技 法 の シ ミ ュ レー ト
本 項 で は,既 存 の 人 手 に よ る描 画 技 法 を シ ミュ レー トして,コ
ンピュー タ
を 用 い て 画 像 を生 成 す る 手 法 を い くつ か 紹 介 す る 。 既 存 描 画 技 法 と して は, 油 絵,水 彩,ペ
ン画,鉛 筆 画,パ
ス テ ル画,版
画 な どが 挙 げ られ る。
(1) エ ア ブラ シ 口 絵5.1は,エ
ア ブ ラ シ手 法 を元 に し た グ ラ デ ー シ ョ ンの 生 成 手 法6)を 用
い て 描 い た 画 像 で あ る。 (2) 毛 筆 画 ・水 墨 画 口 絵5.2は,曲
線 状 の ブ ラ シ ス トロ ー ク を用 い て 描 い た 毛 筆 画 の 例7)で あ
る 。 図5.4は,樹
木 の3次 元 形 状 モ デ ル の投 影 図 を も とに,水 墨 画 風 に 表 現
した 例8)で あ る 。 投 影 方 向 を 変 え る こ と で,ユ か ら選 択 で き る。
ー ザ は さ ま ざ ま な構 図 の 中
図5.4 樹 木 の水墨 画風 表現 の例
(3) 色 鉛 筆 画 鉛 筆 な ど を用 い て絵 を描 く こ とは 一 般 的 で あ り,人 手 に よ る絵 も多 く見 ら れ る 。 こ の よ うな 鉛 筆 画 を コ ン ピュ ー タ を用 い て 描 く手 法 が い くつ か 提 案 さ れ て い る 。 口絵5.3は 高 木 ら9)に よ る色 鉛 筆 画 の 描 画 例 で あ る 。 この 手 法 は 紙 や 色 鉛 筆 を現 実 の3次 元 モ デ ル と して 利 用 し て い る 。 紙 の 凹 凸 に色 鉛 筆 の 粉 が付 着 す る こ と を ボ リュ ー ム レ ンダ リ ン グ に よっ て 処 理 して い る。
5.42 次元画像に基づく自動描画 5.4.1
画 像 の ス ケ ー ル 分 解 に 基 づ くNPR
画 像 に対 して空 間 フ ィ ル タ リ ン グ を施 した り,画 像 をス ケ ー ル に対 応 した い くつ か の 帯 域 に 分 け,帯
域 ご とに 強 調 や 省 略 な ど を 行 っ た りす る こ とで ,
各 種 の 非 写 実 的 な効 果 が得 られ る。 Goochら10)は,人
間 の 眼 の特 性 を シ ミュ レー トす る こ とで,眼
が捉 えた
も の に 近 い 顔 画 像 を得 る手 法 を 提 案 して い る。 こ の 手 法 は,Gaussianフ
ィ
ル タ群 を用 い た 多 重 ス ケ ー ル 分 解 を行 い,重 み 付 け を して足 し合 わ せ る こ と で も実 現 で きる 。 図5.5は,Gaussianフ
ィ ル タ群 を用 い て 各 空 間周 波 数 の
ス ケ ー ル に 対 応 す る画 像 を作 成 し,高 域 ほ ど大 き な重 み をか け て足 し合 わ せ た 結 果 で あ り,ペ ンに よ る イ ラ ス ト画 の よ うな 表 現 が 得 られ て い る。 岡 部 ら11)は,高
域 強 調 に よ るエ ッ ジ画 像 と,低 域 強 調 に よ る 陰 影 画 像 を
図5.5 画 像 の ス ケ ー ル 分 解 に よ る 著 者 の イ ラ ス ト風 顔 画 像
組 み 合 わ せ,さ
ら に色 相 成 分 を加 え る こ と で,口 絵5.4の よ うな イ ラ ス ト風
の 顔 画 像 を 作 成 す る 手 法 を 開発 した 。 5.4.2
領 域 分 割 に よ るNPR
2次 元 画 像 の 領 域 を よ り強調 し た非 写 実 的 画 像 を 生 成 す る手 法 につ い て 述 べ る 。DeCarlo12)は
注 目点 に 近 い部 分 ほ ど小 さい 領 域 で構 成 し,エ
ッジ 部 分
を線 で 描 画 す る手 法 を提 案 した。 これ ら の 描 画 手 法 は 実 際 の 絵 画 や イ ラス ト 等 で も使 わ れ て い る 。Hamasaki13)は
画 像 中 の構 成 要 素 を 近 い 色 で 塗 りつ ぶ
した 領 域 で 表 し,こ の領 域 を 同一 色 で 描 画 す る方 法 を提 案 した。 こ の領 域 を 抽 出 す る と きに 多 段 階 の領 域 を求 め て,描 画 領 域 の 細 か さの 制 御 とそ れ らの 合 成 を行 う絵 画 調 画 像 生 成 手 法 の概 要 は以 下 の とお りで あ る。 作 画 例 を 口絵 5.5に 示 す 。 Step1:入
力 画 像 と し て2次 元 の 画 像 デ ー タ を用 い,画
像 に 対 して 領 域
分 割 を行 う。 Step2:分
割 した 各 領 域 の 大 き さ を 調 べ,あ
る 一 定 の 大 き さ に な る まで
隣接 す る 領 域 と併 合 させ て い く。 こ こ で,併
合 した 小 さ な領 域
の 画 素 デ ー タ は別 に保 持 して お く。 Step3:あ
る一 定 以 上 の 大 き さ に 併 合 した 領 域 に 対 して 強 調 の た め の 境 界 線 を 描 画 す る。
Step4:元
画 像 の 詳 細 部 分 ま で大 ま か に な りす ぎて し ま う た め,前
の段
階 で 併 合 した と き保 持 して お い た 小 さ い 領 域 を 再 び 合 成 す る 。 合 成 す る領 域 の 選 択 はユ ー ザが 指 定 す る。 5.4.3
画 像 の 自動 変 換
あ る画 風 と同 じ よ うな 描 画 方 法 を 異 な っ た画 像 に 適 用 す る とい う よ う な 考 え は,Example
based
Filteringと よば れ る。 た と え ば,与
え られ た 画 像 に
対 して ゴ ッホ風 に描 きた い とか,水 彩 画 風 に した い とか とい う要 望 は多 く見 られ る 。 こ こ で は,Hertzmannが2001年
に 発 表 したImage
Analogies14)の
概 要 を示 す 。 Step1:原
画 像A,A',目
的 画 像Bを 入 力 す る。
Step2:原
画 像Aと
Step3:取
得 フ ィ ル タ を 目的 画 像Bに
画 像A'の
を持 っ た 画 像B'を
関係 を 分析 して,変
換 フ ィル タ を得 る。
適 用 す る こ と に よ り,同 様 な特 徴
生成す る。
こ の 処 理 に よっ て,原 画 像AがA'が
得 られ る こ と と同 じ よ う に 目的 画 像
Bか らB'を 作 る こ とが で き る 。 こ の 手 法 を用 い れ ば,油
絵,ペ
ン画,水
彩
画 な どの 絵 画 風 画 像 だ け で な く,テ ク ス チ ャ合 成 や エ ンボ ス な どの 画 像 フ ィ ル タ,写 真 の加 工 な どに も適 用 で きる。 この 手 法 を拡 張 して動 画 像 へ 適 用 手 法 をHashimoto15)が (a)は 原 画 像A,同 図(d)は
提 案 した 。 この 手 法 の 適 用 例 を 口絵5.6に 図(b)は 原 画 像A'で
目 的画 像B'で
あ り,図(c)は
あ る 。 図(d)を み る と,図(b)の
示す。 同 図
目的 画 像Bで
あ る。
描 画 の特 徴 が 表 現 さ
れ ている。
5.53
次 元情 報 の利 用
本 節 で は,3次
元 形 状 デ ー タ を用 い たNPRに
つ い て 述 べ る。 描 画 に際 し
て3次 元 形 状 を利 用 で きる場 合 に は,物 体 の エ ッジ,面
の傾 き,曲 面 の 曲が
り具 合 な ど を正 確 に求 め る こ とが で き る た め,こ れ らの 幾 何 学 的 情 報 を反 映 させ た 効 果 的 な描 画 が 可 能 とな る。 3次 元 形 状 デ ー タ を用 い た 描 画 法 は,大 別 す る と以 下 の3種 る。
類 が あ げ られ
(a) 線 画 を主 体 と し た方 法 ポ リ ゴ ンや 曲 面 形 状 を,輪 郭 線,稜
線,ハ
ッチ ン グ な ど,主 と して線 を
用 い て 描 画 す る。 (b) テ ク ス チ ャ に よ る方 法 ポ リ ゴ ンや 曲 面 形 状 を,絵 画 調 な どの テ ク ス チ ャで 描 画 す る。 (c) 3次 元 描 画 ス トロ ー ク に よ る方 法 ス トロー ク を3次 元 空 間 内 に配 置 し,透 視 投 影 お よ び 隠面 消 去 を施 す 。 以 下 で は,線
画 を主 体 と し た描 画 法 につ い て 解 説 す る。3次 元 形 状 情 報 を
も と に し た イ ラ ス ト風 描 画 法 や,geometry‐basedの
ペ ン画 が,こ
れ に含 ま
れ る。 5.5.1
輪 郭 線 と稜 線 の 描 画
あ る視 点 か ら3次 元 物 体 形 状 を見 た と き に,物 体 と背 景,物 体 同 士,あ い は 物 体 を構 成 す る面 同士 の境 界 線 な どは,エ 形 状 に 基 づ くエ ッ ジ は,輪 大 別 さ れ る。 輪 郭 線 は,3次
郭 線(外 形 線,シ
る
ッジ と して見 え る。 これ らの
ル エ ッ ト)と 稜 線(内 形 線)と に
元 形 状 表 面 が 視 点 に対 して 表 を 向 い て い る部 分
と裏 を 向 い て い る 部 分 との境 界 線 で あ る。 一 方,稜
線 は,面 の 法 線 ベ ク トル
が 不 連 続 に 変 化 す る部 分 に対 応 す る。 こ れ らの 太 さな ど を 区 別 して 書 き分 け た 描 画 例16)を,図5.6に
示 す。
図5.6 輪郭 線 と稜線 の強 調描 画例 輪 郭 線 と稜 線 を 抽 出 し描 画 す る た め の手 法 は い くつ か 考 え られ る。 以 下 に 例 を示す。
(1) 面 の3次
元 情 報 か ら直 接 抽 出
3次 元 空 間 で の 面 の 法 線 ベ ク トル と視 点 へ の ベ ク トル と の 内 積 を と る と, 内 積 が 正 の領 域 と負 の 領 域 との境 界 が 輪 郭 線 とな る。 ま た,隣 接 す る2面 の 法 線 ベ ク トル の な す 角 が 一 定 以 上(内 積 が 一 定 以 下)の と き,そ
れ らの 共 有
す る辺 を稜 線 と して描 画 す る。 (2) 奥 行 き や 法 線 の 不 連 続 線 を 画 像 か ら抽 出 輪 郭 線 上 で は 奥 行 き値 が 不 連 続 に 変 化 す る。 また,輪 郭 線 上 で は法 線 方 向 が 不 連 続 に変 化 す る ほ か,奥 行 き値 の1次 微 分 も不 連 続 と な る 。した が っ て, Zバ ッフ ァあ る い は 法 線 マ ッ プか ら画 像 処 理 的 手 法 に よ っ て,輪
郭線や稜 線
部 分 を抽 出 し,描 画 す る こ とが で き る。 口絵5.7は,Zバ
ッ フ ァ画 像 の1次 微 分 お よび2次 微 分 を 求 め る こ と に よ
って,輪 郭 線 お よ び稜 線 を描 画 し,こ れ を通 常 の シ ェー デ ィ ン グ結 果 に重 ね る こ とで,強 調 描 画 を行 っ た 例17)で あ る 。 5.5.2
八 ッチ ン グ と シ ェー デ ィン グ
ハ ッチ ング とは,同
一 方 向 の 線 を何 本 も並 べ て描 くこ とで あ る。 エ ッ ジの
描 画 が 面 の境 界 を強 調 す る の に対 し,ハ ッチ ング は 面 の 濃 淡 な どの 属 性 を 表 現 す るものである。 ハ ッチ ング は,線 の 太 さや 間 隔 を調 整 す る こ とで,濃 淡 を連 続 的 に制 御 す る こ とが で き る。 これ に よ って,く
っ き り した 陰影 だ け で な く,な め らか に
変 化 す る シ ェ ー デ ィ ン グ の 表 現 も可 能 と な る。 た だ し,画 素 ご と に輝 度値 を 変 化 させ る通 常 の シ ェ ー デ ィ ン グ手 法 と比 べ る と,表 現 で き る 実 質 的 な空 間 解 像 度 や 階 調 数 の 点 で 劣 り,ラ フ な 表 現 と な る。 ハ ッチ ング の利 点 は,濃 淡 情 報 に加 え て,線 の 方 向 に よ っ て3次 元 形 状 情 報 も盛 り込 む こ とが で きる 点 に あ る。 特 に 曲面 の場 合 は,面
の 曲 が り具 合 に
応 じて 曲 線 で ハ ッチ ン グ を 描 くこ とに よ り,シ ェ ー デ ィ ン グ よ り も直 接 的 に 形 状 情 報 を伝 え る こ とが で き る。 ハ ッチ ン グの 方 向 の 決 め 方 と して は,以
下
の よ うな 方 法 が 挙 げ ら れ る: (a) 3次 元座 標 系 で の座 標 の等 値 線 の 方 向 描 画 例18)を 図5.7に 示 す 。 この 例 で は,3次 の 等 値 線 に沿 っ て,ハ
ッチ ン グ を行 っ て い る。
元空 間の前後方 向の座標値
(b) 曲面 上 の 座 標 系 で の パ ラ メ ー タ方 向 描 画 例17)を 図5.8に 示 す 。 こ の例 で は,回 転 体 の 緯 度 と経 度 に相 当 す る パ ラメ ー タ に 沿 っ て,ハ
ッチ ング を 行 って い る。
(c) 曲面 上 の 最 大 ・最 小 曲 率 方 向 ハ ッチ ン グ方 向 は 曲 面 形 状 に対 して 数 学 的 に 一 意 に 定 ま り,曲 面 の 配 置 や パ ラ メ ー タ設 定 に 依 存 しな い 。 た だ し,球 面 や 平 面 で は方 向 が 定 ま らな い た め,ハ
ッチ ング が で きな い 。
図5.7 3次 元 座 標 に よ る ハ ッ チ ン グ 例
図5.8 曲 面 上 の パ ラ メ ー タ に よ るハ ッチ ン グ 例
5.5.3
隠 線 ・隠 面 消 去
線 画 を 含 むNPRで
は,通 常 の 隠 面 消 去 に加 えて,隠 線 消 去 が 必 要 とな る。
隠 線 消 去 と 隠面 消 去 は,目 的 は似 て い る が,ア
ル ゴ リズ ム は 異 質 で あ る 。 そ
の た め,こ れ ま で に さ ま ざ ま な解 決 方 法 が 試 み られ て きた 。 以 下 に い くつ か
の 例 を示 す 。 (a) 古 典 的 な 隠 線消 去 法 や そ の 改 良 法 描 画 対 象 が 輪 郭 線 や稜 線 だ け の と きに 有 効 で あ り,比 較 的 高 速 に処 理 で き る。 (b) 線 画 と面 画 との 分 離 処 理 輪 郭 線 と稜 線 は(a)に
よ る 隠 線 消 去,面
の シ ェー デ ィ ン グ はZバ
ッフ ァ
に よ る 隠 面 消 去 を行 う。 (c) Zバ ッフ ァ法 に よ る隠 面 処 理 を利 用 した エ ッジ描 画 ポ リゴ ン を描 画 す る 際 に,そ の 輪 郭 部 分 も ラ ス タデ ー タ に加 え てz‐バ ッ フ ァ法 を用 い る16),ある い は 輪 郭 線 や 稜 線 を視 点 方 向 に オ フ セ ッ トをか け, 面 か ら浮 か して,面
と と もにZバ
方 法 が あ る。 これ ら は,ハ
ッ フ ァ法 で 描 画 す る。 他 に もい くつ か の
ー ドウ ェ ア に よ る 高 速 処 理 が 比 較 的 容 易 で あ
る。 (d) BSP‐Treeに
よる 隠 線 ・隠 面 消 去
空 間 を 分 割 す る こ とに よ り,隠 線 処 理 と隠 面 処 理 を素 直 に統 合 で き る。 (e) 隠 面 消 去 結 果 か ら画 像 処 理 的 手 法 で 線 を描 画17)
処 理 対 象 が 自ず と可 視 領 域 に 限 られ る た め,明 示 的 な 隠 線 処 理 は不 要 と な る。
5.6 動画像生成における連続性 本 節 で は,NPRで
動 画 像 を作 成 す る と き に しば し ば 問 題 と な る,フ
ム 間 の 連 続 性 に つ い て 解 説 す る 。 一 般 に,CGに
よ る動 画 像 は,フ
レー
レー ム ご
とに 生 成 した 静 止 画 像 を つ な げ て作 成 す る が,そ の 際 に 隣接 す る フ レー ム間 で の 不 連 続 性 を な る べ く小 さ くす る 必 要 が あ る。 た とえ ば,LOD制
御 によ
っ て 詳 細 度 レベ ルが 変 化 す る場 合 は,形 状 が な め らか に 変 化 させ る な ど の配 慮 が 必 要 と な る 。NPRで
は,さ
ら に加 え て,強
調 や 省 略 を 施 す こ とか ら,
フ レー ム間 で そ の 描 画 形 態 を連 続 させ る必 要 が あ る。 5.6.1
ス トロー ク の移 動
ス トロ ー ク を用 い て描 画 す る場 合,規
則 性 を排 除 して 見 栄 え を 良 くす る た
め に 乱 数 を用 い て ス トロ ー クの 配 置 を決 め る こ とが,し か し,各 フ レー ム ご とに独 立 に配 置 す る と,ス
ば しば 行 わ れ る 。 し
トロー クが 随 所 で 点 滅 し,ち
らつ きの 多 い ア ニ メ ー シ ョン とな っ て し ま う。 こ れ を シ ャ ワ ー ドアエ フ ェ ク トと よぶ 。 こ れ は,目 る こ と も あ る が,多
的 に よ っ て は 映 像 表 現 の 一 つ と して 積 極 的 に活 用 され くの場 合 に お い て 見 苦 し さの 要 因 と な る。
シ ャ ワ ー ドア エ フ ェ ク トを 防 ぐた め に は,各 ス トロー ク を な るべ く長 い 時 間 に わた っ て維 持 す る こ とが 必 要 で あ る。 特 に,静 止 した部 分 で は,ス ー ク も静 止 させ る の が よ い 。 ま た,動
い て い る 部 分 で は,ス
トロ
トロー ク も物 体
の 動 き に 追 従 させ る必 要 が あ る。 特 に,回 転 運 動 を正 し く見 せ る た め に は, 必 須 とい え る。 3次 元(あ る い は2次 元)形 状 デ ー タ と動 き の デ ー タ を も と にNPRの 像 を生 成 す る場 合 は,ス
動画
トロ ー ク位 置 を も との 形状 デ ー タ に対 応 させ る こ と
に よ り,物 体 に 追 従 した ス トロ ー クの 描 画 が可 能 で あ る。 一 方,実 写 の ビデ オ 画 像 を も と にNPRの
動 画 像 を 自動 作 成 す る 場 合 は,動
きの 情 報 を実 写 画
像 か ら抽 出す る 。そ れ に は,オ プ テ ィカ ル フ ロー な どの 手 法 が 用 い られ る が, シ ャ ワー ドア エ フ ェ ク トを完 全 に排 除 す る こ とは 困 難 で あ る 。 5.6.2
ス トロ ー ク の 出 現 と 消 滅
形 状 デ ー タ と動 き デ ー タ に 基 づ くNPR動
画 像 生 成 の 場 合,ス
移 動 させ る こ と 自体 は比 較 的 容 易 で あ るが,物 ー クの 数 を変 更 す る 必 要 が 生 じ る。NPRに
トロ ー ク を
体 の 移 動 に と も な っ て ス トロ
お い て は,ス
トロ ー ク の 大 き さ,
太 さ,間 隔 を,物 体 形 状 の サ イ ズ で は な く,描 画 画 面 のサ イ ズ に合 わ せ る こ とが 多 い 。 た とえ ば,物 体 が 遠 くに 移 動 して 描 画 サ イ ズ が 小 さ くな る場 合, 個 々 の ス トロ ー ク を小 さ くす る の で は な く,ス トロ ー クの 数 を減 らす こ とで, 画像 全 体 の描 画 の 形 態 を 一 定 に保 つ こ とが で きる 。 ス トロ ー ク を ラ ン ダ ム に配 置 す る場 合 は,ス に新 た に 出現,密
トロー ク密 度 が 疎 に な る部 分
に な る 部 分 で は 消 滅 させ る こ とで,ス
一 定 に な る よ う に制 御 で き る。 一 方,線
トロー ク密 度 が 常 に
を 等 間 隔 に配 置 した ハ ッチ ン グ に お
い て は,間 隔 が 空 く と き に線 間 の 中 央 に線 を新 た に 出現,間 に1本 お きに 線 を消 滅 させ る こ とで,等 る17)。た とえ ば,図5.9は,xy=cの
隔が詰 まると き
間 隔 をお お む ね維 持 す る こ とが で き
等 値 線(双 曲 線)群 に した が っ て ハ ッチ
図5.9 等 間 隔 ハ ッチ ン グ の 例
ング を行 っ た もの で あ る。 個 々 の 線 を た ど る と,途 中 で 線 が 消 滅 した り,隣 に新 た な線 が 出 現 した りす る こ とが わ か る 。
5.7 形 状 のデ フ ォルメ 本 節 で は,NPRに
お け る形 状 の デ フ ォ ル メ につ い て 述 べ る。 絵 画 や イ ラ
ス トで は,形 状 そ の もの を デ フ ォ ル メ して 描 画 す る こ とが 多 く,そ れ に よ っ て 対 象 物 の 特 徴 を よ り効 果 的 に表 現 で き る。NPRに 形 状 変 形 は重 要 で あ るが,色 伴 う。 この た め,NPRで
お い て も,こ の よ う な
や ス トロ ー ク な ど の変 更 と比 べ て様 々 な 困 難 が
は ま だ研 究 例 は少 な い。 こ れ まで に提 案 さ れ た 手
法 は,以 下 の よ う に分 類 で きる 。 (1) 一 律 な 変 形 形 状 を正 確 に 描 か ず に,線 の位 置 を乱 数 で 振 らせ た り,詳 細 な 凹 凸 を誇 張 も し く は省 略 す る な どの処 理 を施 す 。 この よ う な処 理 は,画 像 全 体 も し くは 選 択 した 形 状 に 対 し て,統 一 的 に施 す こ とが で きる 。 た と え ば,視 点 か らの 距 離 や 凹 凸 の変 化 量 な ど をパ ラメ ー タ と して,簡 略 化 や 誇 張 度 合 い を与 え る, な どの 処 理 が 考 え られ る。 (2) 形 状 特 徴 を 考 慮 した 変 形 形 状 特 徴 を 生 か した変 形 で は,ユ
ー ザ が 画 像 に対 して 直 接 的 に指 示 す るか
パ ラ メ ー タ を入 力 して,特 徴 的 な形 状 を よ り強 調 して 描 く。 例 えば,似 顔 絵
を作 成 す る た め に は,目 や 口 な どの 形 状 特 徴 を誇 張 す る こ とで,そ
の人 らし
さ を 強調 して 表 現 す る こ とが で き る。 自動 処 理 で行 うに は,原 画 像 か ら個 々 の パ ー ツ を認 識 し抽 出 す る必 要 が あ る。 (3) 特 殊 な 投 影 に よ る 変 形 場 所 に よ っ て 投 影 方 法 を変 え る こ と で,形 状 を デ フ ォル メ して 描 画 す る 。 Takahashiら
は,こ の よ うな多 視 点 投 影 の 考 え 方 を用 い て,3次
元地形デー タ
か ら わ か りや す くデ フ ォル メ した 鳥瞰 図 を作 成 す る 手 法 を提 案 して い る19)。 口絵5.8は 湖 全 体 が 手 前 の 山 に 遮 蔽 さ れ な い よ うに,場 所 ご と に視 点 位 置 を 変 え て描 画 した例 で あ る。
〈図 の 出 典 等 〉 図5.1 近 藤 邦 雄,西
田 友 是:"Javaプ
ロ グ ラ ミ ン グ に よ る 絵 画 調 画 像 生 成 教 育 用 シ ス テ ム の 開 発" ,日
本 図 学 会 大 会 講 演 論 文 集(2004)よ
り
図5.2 近 藤 邦 雄,神 原 章,佐 藤 尚,島 田 静 雄:"3次 会 論 文 誌,Vol.134,No.8(1993)よ
元 形 状 表 現 の た め の 白 黒 画 像 の 描 画 法",情
図5.3 X.Mao,Y.Nagasaka,A.Imamiya:"Automatic Images
Using
2001(2001)よ
Line
Integral
Generation
Convolution",In
Proc.of
of Penci1
Drawing
2D
り
Simulation
Trees",The
of Ink
Journal
Behavior
and
of Visualization
Cel1ular‐Automaton‐
Its Application
and
Computer
to Suibokuga‐like
誌,Vol.40,No.3(1999)よ
Rendering
of
り 報処 理学会 論文
り
図5.7 T.Haga,H.Johan,T.Nishita:"Animation
Method
Coherency",CAD&Graphics
2001(2001)よ
図5.8 T.Saito,T.Takahashi:"Comprehensible '90(1990)よ
3D
Animation,Vol.10(1999)よ
図5.6 望 月 義 典,近 藤 邦 雄,佐 藤 尚:"形 状 特 徴 表 現 の た め の エ ッ ジ 強 調 描 画 手 法",情
Stroke
from
7th Int'l Conf . on CAD/GRAPHICS
図5.4 Q.Zhang,S.Yoetsu,J.Takahashi,K.Muraoka,N.Chiba:"Simple Based
報処理 学
り
for Pen‐and‐Ink
Illustrations
Using
り
Rendering
of 3D
shapes",In
Proc .of SIGGRAPH
Rendering
of 3D
shapes",In
Proc.of
り
図5.9 T.Saito,T.Takahashi:"Comprehensible '90(1990)よ り
SIGGRAPH
参考 文献 1) P.Haeberli:"Paint
by
Numbers:Abstract
Image
Representations"
,In
Proc.of
SIGGRAPH'90,pp.207‐214(1990). 2) 近 藤 邦 雄,西 開 発",日
田 友 是:"Javaプ
ロ グ ラ ミ ング に よる絵 画調 画像 生 成 教 育 用 シス テ ムの
本 図 学 会 大 会 講 演 論 文 集(2004).
3) 旭 昌 宏,近
藤 邦 雄,島
回NICOGRAPH論
田 静 雄,佐
藤 尚:"イ
文 集,pp.22‐31(1991).
ラ ス ト図 作 画 支 援 シ ス テ ム の 開 発",第7
4) 近 藤 邦 雄,神
原 章,佐
藤 尚,島
田 静 雄:"3次
元 形 状 表 現 の た め の 白 黒 画 像 の 描 画 法",
情 報 処 理 学 会 論 文 誌,Vol.134,No.8,pp.1762‐1769(1993). 5) X.Mao,Y 2D
Nagasaka,A.Imamiya:"Automatic
Images
Using
Line
CAD/GRAPHICS
Generation
Integral
Convolution",In
of
Pencil
Proc.of
Drawing
7th
Int'l
from Conf.on
2001,pp.240‐248(2001).
6) K.Kondo,F.Kimura,T.Tajima:"An
Interactive
Rendering
Technique
for
3‐D
Shapes",EUROGRAPHICS'85,pp.341‐352(1985). 7) T.Nishita,S.Takita,E.Nakamae:"A Bezier
Display
Functions",Computer
Graphics
Algorithm
of
Brush
Strokes
8) Q.Zhang,S.Yoetsu,J.Takahashi,K.Muraoka,N.Chiba:"Simple Automaton‐ like
Based 3D
Simulation
Rendering
of
of Ink
using
International'93,pp.244‐257(1993). Cellular‐ Behavior
and
Journal
of
Trees",The
Its Application Visualization
to
Suibokuga
and
Computer
Animation,Vol.10,pp.27‐37(1999). 9) S.Takagi,M.Nakajima,I.Fujishiro:"Volumetric in
Colored
Pencil
Modeling
Drawing",SIGGRAPH
99
10) B.Gooch,E.Reinhard,A.Gooch:"Human Psychophysical
Facial
Evaluation",ACM
of
Artistic
Techniques
Sketch,p.283(1999).
Transactions
Illustrations:Creation on
and
Graphics,Vol.23,No.1,pp.27
‐44(2004). 11) 岡 部 め ぐ み,瀬
川 大 勝,宮
画 像 生 成 手 法",情
村(中
村)浩
12) DeCarlo,A.Santella:"Stylization SIGGRAPH
Rendering and
藤 隆 文:"実
写 画 像 に 基 づ
and
Abstraction
of
Photographs",In
Generation
Region",ADADA Design
2003
In
Method
using
Proc.of 1st
Proc.of
Synthesis
annual
Analogies",In
Various
Filtering",Computer 藤 邦 雄,佐
藤 尚:"形
Graphics
Styles
International
of Animations
Using
2003(2003).
状 特 徴 表 現 の た め の エ ッ ジ 強 調 描 画 手 法",情
報 処 理
学 会 論 文 誌,Vol.40,No.3,pp.1148‐1155(1999). 17) T.Saito,T.Takahashi:"Comprehensible
Rendering
of
3D
shapes",In
Proc.of
SIGGRAPH'90,pp.197‐206(1990). 18) T.Haga,H.Johan,T.Nishita:"Animation Using
Stroke
Method
Coherency",CAD&Graphics
for
Pen‐and‐Ink
Illustrations
2001,pp.333‐343(2001).
19) S.Takahashi,N.Ohta,H.Nakamura,Y.Takeshima,I.Fujishiro:"Modeling Superspective Computer
Projection Graphics
pp.259‐268(2002).
of
Digital
2001,pp.341‐346(2001).
15) R.Hashimoto,H.Johan,T.Nishita:"Creating
16) 望 月 義 典,近
Control
of Asia
Association,pp.70‐71(2003).
SIGGRAPH
Example‐Based
and
conference
14) A.Hertzmann,C.Jacobs,N.Oliver,B.Curless,D.Salesin:"lmage Proc.of
く非 写 実 的 顔
2002,pp.769‐776(2002).
13) Y.Hamasaki,K.Kondo:"Image
Art
子,斎
報 処 理 学 会 研 究 報 告,Vol.2004,No.86,pp.29‐34(2004).
of Landscapes Forum,Vol.21,No.3(In
for Geographical
Guide‐Map
Proc.of
EUROGRAPHICS
Generation", 2002),
章
6
第
ビジ ュア ラ イ ゼ ー シ ョン 東北大学流体 科学研 究所
藤代 一成
山梨大学大学院 茅 暁陽
6.1 ビジ ュアライゼー シ ョンの 目的 と意義 ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ンは,CADと
並 び,VCに
技 術 の ひ とつ で あ る 。本 章 で は,VCの
各 要 素 技 術 との 関 連 に言 及 しな が ら,
関連 した 最 も重 要 な応 用
ビ ジ ュ ア ラ イゼ ー シ ョ ン に関 す る最 新 の 研 究 開 発 動 向 を紹 介 す る。 人 類 の 科 学 技 術 の発 展 を根 底 か ら支 えて きた もの は,肉 眼 の 限 界 を打 破 し よ う とす る 人 間 の 知 的 好 奇 心 以 外 の何 物 で もな い 。 各 種 の望 遠 鏡 や 顕 微 鏡 の 発 明 に よ っ て,肉 眼 で は見 る こ と の で き な い,遠
く離 れ た宇 宙 の 様 子 や 極 微
の 世 界 の 構 造 が 次 々 と明 らか に され て きた の と 同様 に,ハ イ パ フ ォー マ ンス コ ン ピュ ー テ ィ ン グ を利 用 した 数 値 シ ミュ レー シ ョ ンや,高 精 度 の 計 測 装 置 か ら得 られ る 大量 の 科 学 技 術 デ ー タ に潜 む,対 象 の構 造 や 振 舞 い を視 覚 的 に 捉 え よ う と す る 技 術 −サ イ エ ン テ ィ フ イ ッ ク ビ ジ ュ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン (Scientific Visualization:SV)は,今
やあ らゆる理工学分 野で必要不 可欠
な 方 法 論 と して定 着 して い る35)。 こ の 技 術 は,米
国NSFの
支 援 に よ り,1987年
Cormick ら が 執 筆 し たViSCレ Computing
Report)21)の
に テ キ サ ス 大 学 のMc
ポ ー ト(Visualization
in Scientific
出 版 が 契 機 と な っ て,世
界 中 の科 学 技 術 者 の間 で
注 目 さ れ る よ う に な っ た 。 同 レポ ー トで は,CADに
匹 敵 す る,こ の 技 術 の
社 会 的 イ ンパ ク トの大 き さ を次 の よ うに 述 べ て い る 。 『ス ー パ コ ン ピ ュ ー タ等 の 発 達 に よ り,大 量 の デ ー タが 高 速 で 処 理 さ れ る よ う に な り,人 間 が こ の よ うな デ ー タ を 的 確 に理 解 す る こ とが 困 難 に な っ て
きた 。 コ ン ピ ュ ー タパ ワ ー と人 間 の 認 知 ・洞 察 能 力 の ア ンバ ラ ンス が 明 らか と な っ た 以 上,計
算 機 を単 な る計 算 だ け で は な く,計 算 結 果 の わ か りや す い
プ レゼ ンテ ー シ ョ ン に も役 立 て るべ きで あ る 。 計 算 機 を 表 示 ツ ー ル と し て利 用 す る こ と に よ り,本 来 見 え ない もの が 可 視 化 で き,問 題 解 決 の 新 た な手 が か りを与 え る こ とが で き る 。 これ は科 学 の 生 産 性 に大 き な影 響 を与 え,推 進 す る原 動 力 と な り得 る。』 実 際,SVに
は,現 実 の 対 象 を 観 察 ・実験 す る 手 法 に は な い,以 下 の よ う
な4つ の重 要 な特 長 が あ る。 ・時 空 間 ス ケ ー ル に依 存 せ ず に(時 空 間 独 立 性) ・個 々 の 好 きな見 方 で(第 一 人称 性) ・壊 す こ と な く(非 侵 襲 性) ・納 得 い くま で繰 り返 し(再 現 性) 対 象 を視 覚 的 に調 べ る こ とが で き る35)。 こ の よ うなSV固
有 の 特 長 を活 か して,コ
ン ピ ュ ー タ ア ル ゴ リズ ム の 動 作
や 時 間 的 変 遷 を 遂 げ る複 雑 な ビ ジ ネ ス デ ー タ,ユ ー ザ と の コ ラ ボ レー シ ョ ン を含 む情 報 シ ス テ ム の挙 動,人
間 の知 的 活 動 の 所 産 と して の 文 書 と い っ た対
象 を視 覚 化 す る技 術 に も,90年
代 後 半 か ら注 目が 集 ま っ て い る。SVに
て,こ
ち らを 情 報 可 視 化(Information
は,こ
の 分 野 の 牽 引 役 と務 め て きたIEEE
回(1995年)で,情
くの場 合,空
よぶ4)。Card
InfoVis国 際 シ ンポ ジ ウ ム の 第1
報 可 視 化 を 『動 的 な3次 元CG技
術 分 野 に 限定 され な い,多 用 な情 報 を,よ
Visualization:IV)と
対し
術 を利 用 して,科 学 技
間 的 構 造 を も た な い デ ー タ に潜 む 有
り迅 速 に か つ 容 易 に 理 解 す る た め の技 術 』 と定 義 した。 理 工
学 とい う垣 根 が 取 り払 わ れ,イ
ン ター ネ ッ ト上 に 散 在 す る さ ま ざ ま な種 類 の
デ ー タ資 源 を 効 果 的 に 検 索 す る手 法 と して 利 用 され 始 め る こ と に よ っ て,ビ ジ ュ ア ラ イゼ ー シ ョ ン*1の 利 用 人 口 は,旧
来 の1万 人 の 専 門 家 か ら一 挙 に1
億 人 オ ー ダ に まで 増 え る とい う説 もあ る。 本 章 で は,他 章 で 述 べ られ て い るVCの
要 素 技 術 との 関連 性 を大 切 に しな
が ら,可 視 化 技 術 の最 新研 究 動 向 の 一 端 を紹 介 して い く。 紙 数 の制 約 上,詳 細 な記 述 は省 か ざ る を得 な い と こ ろ もあ る。 興 味 あ る読 者 は,ViSCレ *1本 章 で は 可 視 化 と よ ぶ こ と も あ る
。
ポー
トの 刊 行 後 約20年
を経 過 した現 在 のSV・IV全
般 に 関 す る 挑 戦 的 課 題 を網
羅 し た新 た な レポ ー ト13)や最 新 の ア ル ゴ リ ズ ム 選 集19)等を参 考 され た い 。
6.2 データ ー フローパ ラダイム と分 類学 6.2.1
デー タ ー フ ローパ ラ ダイ ム
SV,IVと
も に,可
視 化 の 手 順 は 図6.1に
示 す よ う に,一
ー ズ か ら構 成 され るパ イ プ ラ イ ンに よ って 記 述 され る
般 に4つ
の フェ
。 計 算/ 計 測/ 設 計/
検 索 等 の 具 体 的 な 処 理 に よ る 「デ ー タ 生 成 」 に 始 ま り,必 要 に 応 じて 間 引 き, 値 域 変 換,領 後,視
域 選 択,雑
音 消 去 等 の デ ー タの
覚 表現形 式へ の
「フ ィ ル タ リ ン グ 」 が 施 さ れ た
「マ ッ ピ ン グ 」 が 行 わ れ,最
後 に視 覚 表 現 形 式 が
ン ダ リ ン グ 」 さ れ て 結 果 の 画 像 を 得 る 。 目 的 の 結 果 が 得 ら れ な け れ ば,適 な 前 フ ェ ー ズ に 戻 り,関
連 パ ラ メ ー タ や 手 法 の 見 直 し に よ っ て,再
れ る 。 こ の パ イ プ ラ イ ン は,可 dataflow model)と
「レ 当
度実行 さ
視 化 デ ー タ フ ロ ー モ デ ル(visualization
し て パ ラ ダ イ ム 化 さ れ,現
行 の 可 視 化 ソ フ トウ ェ ア の事
実 上 の 標 準 と な っ て い る モ ジ ュ ー ル 指 向 可 視 化 シ ス テ ム(Modular Visualization
Environment:MVE)3)の
い る 。 代 表 的 な 商 用MVEと
し て, AVSが
ア ー キ テ ク チ ャ設 計 の基 礎 を与 え て 広 く知 ら れ て い る 。 ま たMVEは,
ビ ジ ュ ア ル プ ロ グ ラ ミ ン グ を 用 い た ラ ビ ッ ドプ ロ ト タ イ ピ ン グ ツ ー ル と し て の 利 便 性 か ら,近
年 で は デ ー タ 生 成 に お け る 支 援 度 を 増 し て,科
図6.1
可視 化 デー タフ ロー モ デ ル
学技 術 分 野
に お け る問 題 解 決 支 援 環 境(Problem
Solving Environment)(例:SCIRun)
や デ ー タベ ー ス 間合 せ イ ン タ フ ェ ー ス(例:VQE)の
設 計 に も大 き な影 響 を
与 え て い る。 と こ ろで,デ
ー タ生 成 フ ェ ー ズ は数 値 解 析 ・計 測 ・設 計 ・情 報 検 索 等 が 担
う範 囲 で あ る。 ま た フ ィ ル タ リ ング フ ェ ー ズ で は,信 号 ・画 像 処 理 や コ ン ピ ュ ー タ ビ ジ ョ ンの さ ま ざ ま な 手 法 が 適 用 され る。 さ らに レ ン ダ リ ン グ は,明 らか に 従 来 か らのCGが
受 け 持 つ フ ェ ー ズ で あ る(第3章
て 可視 化 の 技 術 的 本 質 は,残 ー タの 特 徴 を考 慮 して ,最
参 照)。 した が っ
るマ ッ ピ ン グ フ ェー ズ に お い て,与
え られ た デ
も効 果 的 な視 覚 的 形 式 へ 変 換 す る技 法 を選 択 あ る
い は 開 発 す る こ とに あ る。 6.2.2
可 視 化 技 法 の分 類 学
適 用 分 野 を選 ば ない,横 断 的 な 可 視 化 技 法 が 数 多 く提 案 され て くる に つ れ, そ れ らの 通 用 可 能 性 を 明確 に定 め,よ
り効 果 的 な利 用 を図 っ て い くた め の 分
類 学 が い くつ か 知 られ る よ う に な っ た 。 Hesselink,Post,Van
Wijkに
よ る分 類10)は,3本
ッ ピ ン グ の特 徴 を 規 定 す る こ と に よ っ て,SV技
の 視 軸 を利 用 して マ
法 を分 類 して い る 。 ま ず,
適 用 可 能 な対 象 デ ー タ の次 数(order)に 注 目 し,物 理 場 を記 述 す る ス カ ラ量, ベ ク トル量,テ
ン ソ ル 量 の3種 類 を考 え る。 次 に描 画 に 利 用 す る プ リ ミテ ィ
ブ が 描 く こ との で きる 空 間 の 自 由度 を考 え る。3次 元 デ ー タ な らば,点(0), 線(1),面(2),ボ
リ ュ ー ム(3)の4通
りが 考 え られ る 。 そ して,対 象 デ ー タ
か ら どの よ う な レベ ル の 情 報 を抽 出 して描 画 す る か を規 定 す る 。 こ れ に は, 基 本 的(elementary:与
え られ た デ ー タ そ の もの を 描 画),局
デ ー タの 近 傍 の 情 報 を 考 慮 して 描 画),そ
して 大 局 的(global:与
デ ー タ全 体 に わ た る情 報 解 析 の結 果 に 基 づ い て 描 画)の3通 の よ うな 組 合 せ は全 部 で36通
所 的(local:
り存 在 す るが,既
え られ た
りを 考 え る 。 こ
存 の技 法 に よ っ て す べ て の
セ ルが 埋 め尽 くされ て い る わ け で は な く,ま た そ こ に新 た な技 法 を 開発 す る ヒ ン トが あ る と も彼 らは 主 張 して い る。 表6.1に,代
表 的 なSV技
法 の 分 類 結 果 を示 す 。 こ こ に示 した 分 類 は,発
表 当 時 の 研 究 成 果 に基 づ い て い る 。 技 法 に よ っ て は,後 続 の研 究 に よ っ て, そ の 適 用 可 能性 が 少 な か らず 拡 張 され そ い る 場合 も あ る。 そ の よ うな 経 緯 も
含 め て,次 節 で はSVに
お け る研 究 開 発 の 動 向 につ い て 詳 し く述 べ る こ とに
す る。
表6.1 代 表 的 なSV技 法 の 分類
6.3 SV研 6.3.1
究 開発 の動 向
ボ リ ュー ム 可 視 化
前 節 の 体 系 化 に 従 え ば,SVの (volume
visualization)14)は,3次
プ リ ミ テ ィ ブ を 利 用 し て,主
中 心 的技 術 で あ る ボ リュ ー ム可 視 化 元 の ス カ ラ 場(ボ
リ ュ ー ム)を,種
々の
と し て 基 本 レ ベ ル で 描 く可 視 化 技 法 を 提 供 す る
も の と 位 置 づ け ら れ る 。 ボ リ ュ ー ム は 通 常,ボ
ク セ ル(voxel)と
よばれ る
空 間 構 成 単 位 を 用 い て 離 散 的 に 表 現 さ れ る 。 そ の ボ リ ュ ー ム の 一 部 を,幾 学 的 プ リ ミ テ ィ ブ に フ ィ ッ テ ィ ン グ し て 描 く 間 接 方 式 の 代 表 は,断 面(isosurface)で
ある。
Lorensenら
に よ っ て1987年
(Marching
Cubes)18)は,そ
何
面 と等 値
に発 表 さ れ た マ ー チ ン グ キ ュ ー ブ法
の ア ル ゴ リ ズ ム の 簡 潔 さ か ら現 在 で も 最 も 広 く
利 用 さ れ て い る 等 値 面 化 手 法 で あ る 。 同 法 に 関 し て は 発 表 直 後 に,パ 接 続 す る 際 の 位 相 的 な あ い ま い さ が 指 摘 さ れ た が,後
ッチ を
続 の 改 良 策 の提 案 に よ
っ て 実 用 上 大 き な 問 題 点 と は な っ て い な い35)。 ま た 藤 代 ら は1995年
に,描
画 す る ス カ ラ 量 の ドメ イ ン を 有 限 区 間 に 拡 大 し た 区 間 型 ボ リ ュ ー ム (interval
volume)を,一
般 化 さ れ た 等 値 面 と し て 定 義 し,そ
れ を抽 出 す る
拡 張Marching よ っ て,区 や,コ
Cubes法
を 提 案 し て い る6)。 こ の 考 え 方 は,最
間 型 ボ リ ュ ー ム だ け で な く,単
ン タ ー メ ッ シ ュ(contour
substitope(離
mesh),分
近Banksら
体 ス ィ ー プ(sweeping 離 面(separating
に
simplex)
surface)等
の,
散 化 さ れ た ポ リ トー プ)を 場 合 分 け に よ っ て 抽 出 す る ア ル ゴ リ
ズ ム に 汎 化 さ れ て い る1)。 一 方,幾
何 学 的 プ リ ミ テ ィ ブ を 用 い ず に,ボ
こ と に よ っ て,無 手 法 が,ボ
リ ュー ム全 体 を積 分 投 影 す る
限枚 の 半 透 明 等 値 面 の 合 成 に 匹 敵 す る視 覚 効 果 を得 る 直接
リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ(volume
rendering)で
あ る 。1988年
(a) 断 面
(b) 等 値 面
(c) 区間 型 ボ リ ュ ー ム
(d) ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ
図6.2 水 素分 子 の電 荷密 度 ボ リ ュー ム の可 視 化
に
Levoyに
よ っ て 提 案 さ れ た ボ リ ュ ー ム レ イ キ ャ ス テ ィ ン グ 法17)は,ス
ー ン の 各 ピ ク セ ル に 対 し て 飛 ば し た レ イ(ray)に 隔 で 再 サ ン プ リ ン グ し,各
ク リ
そ って ボ リュ ー ム を一 定 間
点 で の ス カ ラ 値 を 順 に 重 畳 す る こ と に よ り,対
応
ピ ク セ ル の 値 を 決 定 す る 手 法 で あ る 。 こ れ 以 外 に も,Westoverのsplatting 法(1990年)やLacrouteら め,主
のshear‐warp
要 な ア ル ゴ リ ズ ム は1990年
図6.2は,水
素 分 子 の 周 り の 単 一 電 子 の 定 常 電 荷 密 度 分 布 を,両
通 過 す る 断 面(a),等 ン グ(d)に
factorization法(1994年)を
は じ
代 前 半 まで に提 案 され て い る。
値 面(b),区間
型 ボ リ ュ ー ム(c),ボ
原子核 を
リューム レンダリ
よ っ て 可 視 化 し た 結 果 で あ る35)。 断 面 や 等 値 面 は 厳 密 な ス カ ラ 値
の 位 置 を 特 定 し や す い の に 対 し,ボ
リ ュ ー ム レ ン ダ リ ング は ボ リ ュ ー ム 全 体
の ス カ ラ 量 の 分 布 の 概 略 を 知 る の に 向 い て い る 。 ま た,区
間型 ボリュー ムは
両 者 の 中 間 的 表 現 を与 え て い る こ とが わ か る 。 6.3.2
デ ー タ 次 数 と 可 視 化 ドメ イ ン の 拡 大
ボ リ ュ ー ム 可 視 化 に お け る,そ は,デ
の 後 の研 究 開 発 の メ イ ンス トリー ム の 一 つ
ー タ 次 数 と可 視 化 ド メ イ ン の 拡 大 に 他 な ら な い 。 そ の た め に ベ ク トル
量 や テ ン ソ ル 量 を,テ
ク ス チ ャ を 利 用 し て ス カ ラ 量 に 縮 小(contraction)す
る 手 法 が 数 多 く提 案 さ れ て い る 。 (1) ベ ク トル 場 へ の 拡 大 Cabralら
が1993年
に 発 表 し た2次
知 ら れ て い る 線 積 分 畳 込 み 法(Line 化 す る 試 み と し て,等 る 手 法 がForssellら
元 の ベ ク トル 場 の 可 視 化 法 と し て 広 く Integral
Convolution:LIC)2)を3次
値 面 等 の 任 意 面 上 へLICテ
元
クスチ ャをマ ッ ピングす
に よ っ て 翌 年 に提 案 さ れ た 。 し か し こ の 方 法 は,物
理空
間 と計 算 空 間 との 間 の双 方 向 非 線 形 マ ッ ピ ン グに よ っ て テ ク ス チ ャ が 歪 む 問 題 を も っ て い た 。 こ れ を ソ リ ッ ドフ ィ ッ テ ィ ン グ の 概 念 を 用 い て 解 消 し た サ ー フ ェ スLICア
ル ゴ リズ ム が
3次 元LICの
可 視 化 ド メ イ ン を 真 の3次
は,ソ
,茅
ら20)に よ っ て1997年
に 提 案 され て い る。
元 空 間 に お け る 線 とす る た め に
リ ッ ドテ ク ス チ ャ の ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ が 必 要 で あ る 。 し か し こ
の 方 法 は,流
れ の 方 向 に そ っ た テ ク ス チ ャ の 相 関 性(coherence)を
の 積 分 投 影 が 帳 消 し に し て し ま う た め,効 さ れ て い た 。 し か し,藤
視 線方 向
果 的 な結 果 画像 は期 待 で き な い と
代 らの グ ル ー プ は2002年
に,重
要 度 マ ップ に基 づ
い た 不 透 明 度 の 適 応 的 制 御 と,流 明 モ デ ル の 採 用 に よ り,効 図6.3は3次 ェ スLICに
元LICの
LICに
は,ト
微 小 円 柱 と見 立 て た 照
果 的 に 可 視 化 で き る こ と を 実 証 し た29)。
適 用 例 を 示 し て い る 。 同 図(a)で
よ っ て,ス
方 同 図(b)で
線(streamline)を
は,茅
ら のサ ー フ
ペ ー ス プ レー ン表 面 の 流 れ が 可 視 化 さ れ て い る。 一
ル ネー ド内 部 に お け る気 流 の構 造 が 藤 代 らの ボ リュ ー ム
よ っ て 可 視 化 され て い る。
(a) サ ー フ ェ スLICに よる ス ペ ー ス プ レー ン表面 の 流 れ
(b) ボ リュ ー ムLICに
よる
トル ネー ド内 部 の気 流 の流 れ
[デ ー タ提供:藤 井孝藏,JAXA]
図6.3 3次 元LICを 用 い た可 視 化 例
(2) テ ン ソ ル 場 へ の 拡 大 一 方,MRI技
術 の 進 展 に よ っ て,3次
tensor field)の ら は2000年
元 の 拡 散 テ ン ソ ル 場(diffusion
可 視 化 に 近 年 特 に 大 き な 注 目 が 集 ま っ て い る 。Kindlmann
に,3次
元2次
さ れ る 特 徴 量 で あ る 線 度,面
テ ン ソ ル か ら 得 ら れ る3つ 度,球
の 固 有 値 を用 い て定 義
度 の 凸 結 合 の値 を ボ リ ュー ム レ ンダ リ ン
グ す る ア イ デ ィ ア を 提 案 し て い る16)。 口 絵6.1は,ヒ
トの 脳 の 拡 散 強 調MRIデ
ル を 利 用 し て,異
方 性 の 高 い 領 域 に お か れ た ラ ン ダ ム ドッ トを反 復 的 に拡 散
さ せ るDBT法(Diffusion‐Based
ー タか ら導 出 さ れ た 拡 散 テ ン ソ
Tractography)法23)が
生 成 し た3Dラ
クス
チ ャ を ボ リ ュー ム レ ン ダ リ ング した 結 果 で あ る。LIC法 ピ ク セ ル の 明 る さ を決 定 す る た め,線 は拡 散 方 程 式 を解 く こ と に よ って,局 す る こ とか ら,ボ
が局所 流線 にそって
を ドメ イ ン とす る の に 対 し,DBT法 所 ボ リュ ー ム にお け る拡 散効 果 を集 約
リ ュー ム に ドメ イ ンを 拡 張 した 手 法 で あ る こ とが わ か る。
同 図(a)は 前 面 か ら見 た画 像 で,緑 色 の 部 分 は 面 的 拡 散 が 大 き い部 分,赤 色 は 線 的 拡 散 が 大 きい 部分 で あ り,脳 梁 と放 射 冠 の 交 差 部 分 や,橋
と橋 小 脳 線
維 の 交 差 部 分 は面 的 拡 散 が大 きい こ とが わ か る。 ま た 同 図(b)は 左 脳 を右 か ら見 た 画 像 で,脳 梁 の 断 面 が 赤 く見 え,線
的拡 散 が 大 き く,神 経 線 維 が 多 く
走 行 して い る こ とが わ か る 。 最 大 固有 値 に対 応 す る固 有 ベ ク トル の 方 向 に そ っ た 流 線 を用 い て神 経 走 行 を追 跡 す る トラ ク トグ ラ フ ィ法34)も 頻 繁 に 利 用 さ れ る手 法 で あ る が,3つ
の 固有 値 の 絶 対 値 が 近 接 す る 領 域 で 生 じる 流 線 の
交 差 に起 因 す る 曖 昧 さの 除 去 が 課 題 と な っ て い る 。 そ の 点DBT法
は,拡 散
に よ っ て ボ ク セ ル の 輝 度 が 自然 に 低 減 し,追 跡 中 に 生 じる岐 路 選択 の 可 能 性 を 陰 的 に表 現 す る こ とが で き る 。 この よ う な 考 え 方 は,不 確 実 性 の 可 視 化 (uncertainty visualization)と 6.3.3
も よ ばれ る 。
デ ー タ トポ ロ ジ ー の 緩 和
さ らに デ ー タ型 を細 分 す る 要 素 と して,サ
ンプ リ ン グ に伴 う デ ー タ要 素 の
トポ ロ ジー(接 続 情 報)ま で を考 慮 に 入 れ れ ば,視 線 依 存 の セ ル ソー テ ィ ン グ を 必 要 とす る非 構 造 格 子(unstructured
grid)等 の,制 約 の 緩 い ボ リ ュ ー
ム へ の 既 存 ア ル ゴ リ ズ ム の 拡 張 等 の 方 向 性 が 見 え て く る 。 例 え ば,茅 1996年
に,直 交(rectilinear)格
ル のsplatting法
を,確
は
子 に対 し て しか 適 用 で き な か っ た オ リ ジ ナ
率 的 再 サ ン プ リ ン グ を用 い て,境
界 適 合(curvil
inear)格 子 や非 構 造 格 子 に まで 適 用 可 能 に した19)。 計 算 流 体 力 学 の 世 界 で は近 年,ナ
ビ エ ・ス トー ク ス 方 程 式 で は近 似 し きれ
な い 複 雑 な流 れ 場 の 問 題 を,粒 子 間 の 相 互 作 用 を用 い て モ デ リ ングす る 方 式 が 精 力 的 に研 究 され て い る。 そ れ に合 わせ て,互
い に接 続 関 係 の な い粒 子 を
用 い た 可 視 化 に 近 年 再 び 注 目が 寄 せ られ て い る 。 藤 代 らの グ ル ー プ は2003 年 に,Pfsiterら
が2000年
に発 表 した 点 群 ベ ー ス モ デ リ ング(2.4節 参 照)の
手 法 の 一 つ で あ るsurfels25)の プ リ ミ テ ィブ の デ ィ ス ク 半 径 を制 御 す る こ と に よ っ て,粒
子 シ ミ ュ レー シ ョ ンの 結 果 を,等 値 面や ボ リ ュー ム レ ンダ リン
グの 結 果 と統 一 的 に可 視 化 す る仕 組 み を提 案 した7)。 口絵6.2に,こ
の拡張サ
ー フ ェ ル を 用 い て 多 孔 質 内 の コ ロ イ ド粒 子 の 分 布 を 可 視 化 した結 果 を示 す 。 こ こで は,粒 子 だ けで な く,多 孔 質 表 面 もサ ー フ ェ ル を用 い て 同 時 に描 か れ て い る こ と に注 意 され た い 。 な お サ ー フ ェ ス とパ ー テ ィ クル の 混 合 表 示 は,2002年
にGrigoryanら
に
よ っ て,腫 瘍 と正 常 細 胞 の界 面 の う ち,不 確 実 な部 分 を点 群 で 表 現 す る確 率 的 サ ー フ ェス(probabilistic surface)と して も利 用 され て い る8)。 6.3.4
情 報 表 現 レベ ル の 充実
情 報 表 現 レ ベ ル は,ス カ ラ値 を色 や 不 透 明 度 に変 換 し,ボ
リ ュー ム レ ンダ
リ ン グ画 像 の 品 質 を大 き く左 右 す る伝 達 関 数(transfer function)の 設 計 問題 と大 き な 関 連 が あ る。 伝 達 関 数 の 最 適 化 は,積 分 投 影 変 換 に伴 う視 覚 的 曖 昧 さ(visual ambiguity)を イ ン(図6.1)を
もつ 結 果 画 像 を微 調 整 す る た め に,可 視 化 パ イ プ ラ
フ ィ ー ドバ ック す る 回数 を 減 ら し,解 析 全 体 の ス ル ー プ ッ ト
を改 善 す る効 果 が 期 待 で きる た め,現 在 もな お 最 重 要 課 題 の 一 つ で あ る。 デ ー タ フ イ ー ル ドの 局 所(差 分)解 析 を 行 い ,空 間 的 に 隣 接 して い る異 種 マ テ リ ア ル 間 の 境 界 を 検 出 す る こ と に よ っ て,強 Kindlmannら
の 伝 達 関 数 設 計 法15)は,メ
解 析 で特 に顕 著 な効 果 を あ げ て い る 。IEEE は,こ
調 表 示 を行 お う とす る
デ ィ カ ル サ イ エ ンス の ボ リ ュー ム Visualization2000国
の 手 法 を含 め,複 数 の 有 力 な伝 達 関 数 設 計 法 間 の 利 害 得 失 を検 証 す る
コ ンテ ス トが 開 か れ 話 題 を よ ん だ26)。 そ れ と並 行 して,藤 は,連
際会議 で
代 らの グ ル ー プ
続 な物 理 場 を 表 現 す る ボ リ ュ ー ム か ら大 局 的 特 徴 を 抽 出 し,強 調 表
示 す るた め に,微 分 位 相 幾 何 学 の知 見 を 利 用 す る手 法 を提 案 して い る30)。 口 絵6.3は,レ
ー ザ 核 融 合 の 爆 縮 シ ミュ レー シ ョ ンに お け る質 量 密 度 デ ー
タの 可 視 化 結 果 で あ る。 こ こ で は 導 出 され た レベ ル セ ッ トグ ラ フの 解 析 に よ っ て,燃 料 と プ ッ シ ャ ー の接 触 面 を与 え る 等 密 度 面 で 生 じる急 激 な位 相 構 造 の 変 化 を 強 調 描 画 す る こ とが で き る(a)。 しか しそ の レベ ル セ ッ トグ ラ フ を 組 織 的 に走 査 す れ ば,そ
の 特徴 等 値 面 を含 む 特 定 の密 度 区 間 で,等 値 面 の連
結 成 分 ど う しが 入 れ 子 構 造 を な す 事 実 を検 出 で き る。 そ こ で,よ
り複 雑 な構
造 を もつ 内側 の 連 結 成 分 を観 察 しや す くす る よ う に,外 側 の 連 結 成 分 の不 透 明 度 を相 対 的 に低 く設 定 して 可 視 化 す る こ とが で きる(b)。 こ こ で は 特 徴 等
値 面 の 強 調 と と も に,等 値 面 の 連 結 成 分 の 入 れ子 レベ ル に よっ て,対 応 ボ ク セ ル の 不 透 明 度 を変 化 させ て い る の で,2次
元 の 伝 達 関 数 が 利 用 され て い る
こ と に注 意 され た い 。 多 次 元 伝 達 関 数 は,近 年 の 伝 達 関 数 設 計 問 題 に対 す る 主 要 な解 決 法 の 一 つ で あ る。 ま た伝 達 関 数 設 計 は,視 線 方 向 に遮 蔽 ア ー テ ィ フ ァ ク トが 生 じて し ま う ボ リュ ー ム レ ン ダ リ ン グ特 有 の 問 題 点 を解 消 す る 一 種 のNPR(第5章 た,Ebertら
参 照)と も考 え られ る 。 芸 術 的 ・心 理 的 効 果 を 考 慮 に入 れ
のvolume
illustration法 は,こ れ ら一 連 の研 究 にお け る 最新 成
果 の一 つ で あ る27)。 6.3.5
対話的可視化
前 述 した 第 一 人 称 性 を確 保 す るた め に は,大 規 模 なデ ー タ に対 して も対 話 性 を失 う こ と は許 さ れ な い 。 対 象 とす る ス カ ラ場 に相 関 性 が あ れ ば,GPU を利 用 し て 時 空 間両 面 に わ た っ て効 率 良 く描 く こ とが で きる。 また,近 年 発 展 の 著 しい ポ リ ゴ ンの 簡 単 化 を利 用 して デ ー タ量 を削 減 して 効 率 的 に表 示 す る 試 み も数 多 く提 案 され て きて い る 。 さ ら に,主 記 憶 に納 ま りきれ な い よ う な 大 規 模 デ ー タ を仮 想 記 憶 管 理 との 連 動 で 効 率 的 に視 覚 ナ ビゲ ー シ ョ ンす る 機 構 は,out‐of‐core visualizationと
よ ば れ,現
在 の 可 視 化 研 究 ・開 発 に お
け る 中心 的 課 題 の 一 つ に な っ て い る5)。 一 方 ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ング は,ボ
ク セ ル の 個 数 に比 例 す る計 算 量 を必 要
とす る 。 これ に 対 処 す るた め,Pfisterら ス テ ィ ン グ に よ っ て2563個
に,ボ
リ ュー ム レイ キ ャ
の ボ ク セ ル を もつ ボ リュ ー ム デ ー タ を リア ル タ
イ ム に 可 視 化 す る 商 用 の専 用PCIボ はGPUの3Dテ
は1999年
ー ドVolumeProを
発 表 した24)。最 近 で
ク ス チ ャマ ップ 機 能 を利 用 して,同
等 の 性 能 を確 保 す る方
式 も知 られ る よ う に な り,計 算 効 率 面 で の 欠 点 は個 人 ユ ーザ の 環 境 で も確 実 に緩 和 さ れ つ つ あ る(8.6節 参 照)。2002年
に は,2次
元 の 流 れ 場 をGPUの
テ ク ス チ ャ変 形 機 能 に よ って リア ル タ イ ム に可 視 化 す る研 究 がvan
Wijkに
よ っ て発 表 さ れ31),そ の 考 え方 は 翌 年 た だ ち に 曲 面 と ボ リ ュ ー ムへ 拡 張 さ れ て い る。 一 方,PCク
ラス タ を は じめ とす る種 々 の ア ー キ テ ク チ ャ を もつ 汎 用 並 列
計 算 機 を 利 用 し た ボ リ ュ ー ム 可 視 化 手 法 の 並 列 化 も積 極 的 に研 究 され て い る 。 図6.4に,VGク
ラ ス タ22)を 用 い て,テ
ス トベ ッ ドデ ー タ と し て 名 高 い
Visible Human
Maleデ
ー タ33)の 一 部(5123ボ
ク セ ル)を
リ アル タ イ ム 可 視
化 し た 結 果 を示 す 。 図6.5は
地 震 波 伝 播 デ ー タ の ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ 画 像 で あ る 。 こ れ は,
大 規 模 有 限 要 素 解 析 ソ フ トウ ェ ア プ ラ ッ トフ ォ ー ムGeoFEM36)に
よ って 可
視 化 さ れ た 。GeoFEMで
ラス タ上
で 効 率 的 に 稼 動 す る,非 れ,無
図6.4
は,地
球 シ ミ ュ レ ー タ を は じ め,SMPク
構 造 格 子 用 並 列 ボ リ ュー ム ビ ジ ュ ア ラ イ ザ が 開 発 さ
償 公 開 さ れ て い る。
Visible
human
maleデ
ー タ の
図6.5 地 震 波伝 播 の ボ リュ ー ム
リア ル タイ ム可 視 化 [画像提供:村 木茂,産 業技 術総 合研究 所]
レ ンダ リ ング [デー タ提供:古 村 孝志,東 京 大学 地震研 究所]
6.4 情報可視化 情 報 可 視 化 は,デ に も ち,エ
ー タ ベ ー ス ・情 報 検 索,イ
ン タ ー ネ ッ ト等 を 技 術 的 背 景
ン ドユ ー ザ の 知 識 を 増 幅 す る た め の 総 合 的 イ ン タ フ ェ ー ス を 提 供
す る 技 術 で あ る35)。 そ の た め に,WIMP(Windows‐Icons‐Menus‐Pointers) ス タ イ ル の2次
元 グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス(GUI)を
越 え
,単
な
る情 報 の 皇 示 ・解 析 の 定 型 的 処 理 だ け で な く,デ ー タマ イニ ング あ るい は知 識 発 見 と い っ た 非 定 型 的 な 意 志 決 定 型 処 理 を可 能 に す る3次 元 メ タ フ アが 種 々検 討 され て い る。 例 え ば,階
層 デ ー タとの イ ンタ ラ ク シ ョンを 可能 にす る コ ー ン ツ リー
(conetrees)と よ ば れ る手 法 が,フ
ァ イ ル シ ス テ ム の 階層 表 示 ユ ー テ ィ リ テ ィ
(a) コ ー ン ツ リ ー
(b) デ ー タ宝 石 箱 [画像 提供:伊 藤 貴之,日 本IBM東 京基礎研 究所]
図6.6 階層 デー タ の ため の情 報 可 視化 手 法
の3次 元 版 と して 提 案 さ れ て い る28)。 こ れ はXEROX Infbrmation
Visualizerと
PARCが
開 発 した
よ ば れ る 古 典 的 な情 報 可 視 化 シス テ ムが 提 供 した
3次 元 ウ イ ン ドウの 一 つ で あ る。 図6.6(a)に
そ の 実 装 例 を示 す 。 コ ー ン ツ リ
ー で は ,透 視 投 影 に よ り,必 要 な 副構 造 ほ ど手 前 に 大 き く映 し出 され る の で, 同 じ大 き さ の 画 面 内 に2次 元 版 の 数 百 倍 か ら数 千 倍 の 規 模 の デ ィ レク トリ情 報 を 同 時 に可 視 化 す る こ と が で き る。 しか も遠 近 感 に よ り,大 量 デ ー タの 全 体 像 を 見 失 わず に現 在 探 索 して い る ポ ジ シ ョン を確 認 で きる フ ォ ー カ ス+コ ンテ キ ス ト(focus+context)表
示 が 実 現 さ れ て い る 。 ま た,必
要な フ ァイ
ル を含 む デ ィ レク トリパ ス を 直 線 上 に並 べ 直 す 機 能 や 部 分 構 造 の 選 択 機 能 に よ り,現 在 の 操 作 対 象 の 相 対 位 置,対 象 間 の 自然 な順 位 付 け が 明 確 に 保 持 さ れ る 。 さ ら に,そ の3次 元GUIは,複
雑 な 対 象 と旧 来 の 操 作 系 と の間 の 次
元 の 食 い 違 い を是 正 し,ユ ー ザ の 心 理 的負 担 を軽 減 で きる。 同様 の 階 層 デ ー タを,長 方 形 の 入 れ 子 構 造 に よ って 表 現 す る 「デ ー タ宝 石 箱 」11)の応 用 例 を 図6.6(b)に 描 く と と も に,3次
示 す 。 こ こ で は,Webペー
ジ の リ ン ク 関係 を
元 棒 グ ラ フ(シ テ ィス ケ ー プ(cityscape)法
と も よば れ る)
を組 み 合 わ せ る こ とに よ っ て,ペ ー ジ ご との ア クセ ス 頻 度 の俯瞰 を可 能 に し て い る。
6.5
リアライゼー シ ョン
可 視 化 の 本 質 は,単
に 数 値 を絵 に 直 す こ とで は な い 。 ユ ー ザ 自身 の 頭 の 中
に 対 象 の イ メ ー ジ を 湧 か せ,実 リ テ ィ環 境(7.7節
感 させ る こ とに あ る 。 そ こ で バ ー チ ャ ル リア
参 照)を 援 用 し て,視
覚 系 だ け で な く,聴
マ ッ ピ ン グ も 利 用 し た 広 義 の 可 視 化 と し て,リ (realization)に
注 目が 寄 せ られ て い る 。
例 え ば,1993年
に は 岩 田 ら は,6自
イ ス を 利 用 し て,ボ
覚や 力覚系へ の
ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン
由 度 の フ ォ ー ス フ ィ ー ドバ ッ ク デ バ
リ ュ ー ム 内 部 の 参 照 点 に お け る 力 覚 情 報 を呈 示 す る 考 え
方 で あ る ボ リ ュ ー ム ハ プ タ イ ゼ ー シ ョ ン(volume ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ と の 併 用 に よ っ て,ピ
haptization)を
ン ポ イ ン トに よ る3次
提 案 し, 元 スカ
ラ 場 や ベ ク トル 場 の 定 量 的 把 握 を 可 能 に し た21)。 多 感 覚 情 報 呈 示 は,SVに
お け る マ ル チ フ ィ ー ル ド(multifield)デ (multivariate)デ
ー タ や,IVに
お け る多 変 量
ー タ の要 素 間 の 因果 関係 の 解 析 に効 果 を発 揮 す る と期 待 さ
れ て い る。 一 方,入 力 系 の 効 果 的 な 利 用 も,ユ ー ザ の 心 理 的 負 担 を軽 減 し,よ
り複 雑
な解 析 タ ス ク に専 念 させ られ る こ とか ら,重 要 な役 割 を担 っ て い る 。 図6.7 は,ア イ トラ ッキ ング 装 置 を利 用 して,ユ ー ザ の注 視 点 の 停 留 時 間 に応 じて , そ の近 傍 ほ ど多 くの流 線 の シ ー ドポ イ ン トをお く適 応 的 配置 の 結 果 画像 で あ る32)。こ こで 破 線 の 円 はユ ー ザ の 注 視 位 置 を示 す と と もに,そ の 半 径 は 注 視 時 間 を表 して い る。
図6.7 注 視 点 位 置 に合 わせ て適 応 的 に 配置 され た流 線
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volume
through
A.Imamiya:"Line
surfaces
21) B.H.McCormick,
22) S.Muraki,
resolution
No.2,pp.156‐170(1996).
20) X.Mao,M.Kikugawa,N.Fujita,and arbitrary
high
SIGGRAPH'87,pp.163‐169(1987).
K.Koshizuka, visual
devices,"In
K.Kajihara, super
Proc.of
in
Scientific
No.6(1987).
computing IEEE/ACM
X.Liu,Y.Nagano,and using
PC
clusters
SuperComputing
with 2001
23) S.Muraki,I.Fuishhiro,Y.Suzuki,and Visualizing
dense
Graphics
white
Y.Takeshima:"Diffusion‐Based matter
connectivity
from
3D
tensor
Proc.
of Volume
2006,pp.119‐126,p.146(2006).
24) H.Pfister,J.Hardenbergh,J.Knittel,H.Lauer,and time
Tractography:
fields",In
ray‐casting
system",In
25) H.Pfister,M.Zwicker,J.van rendering
L.Seiler:"TheVolumePro
Proc.of Baar,
primitives",In
Proc.
and
M.Gross:"Surfels:Surface
elements
as
of SIGGRAPH2000,pp.335‐342(2000).
26) H.Pfister,B.Lorensen,C.Bajaj,G.Kindlmann,W.Schroeder, R.Machiraju,and
real‐
SIGGRAPH1999,pp.251‐260(1999).
J.Lee:"The
L.S.Avila,K.Martin,
transfer function
bake‐off",IEEE
CG&A,Vol.21,
No.3,pp.16‐22(2001). 27) P.Rheingans volume
and
D.Ebert:"Volume
models",IEEE
illustration:Nonphotorealistic
28) G.G.Robertson,S.K.Card,and interactive
J.D.Mackinlay:"Information
animation",CACM,Vol.36,
29) Y.Suzuki,I.Fujishiro,L LIC
volume
of
of IEEE
Visualization
2002,
and I.Fujishiro:"Volume
to transfer function
using
H.Nakamura:"Hardware‐accelerated
Proc.
30) S.Takahashi,Y.Takeshima,
visualization
3D
No.4,pp.56‐71(1993).
Chen,and
rendering",In
application
rendering
TVCG,Vol.7,No.3,pp.253‐264(2001).
design",Graphical
selective pp.485‐488(2002).
skeletonization
and
its
Models,Vol.66,No.1,pp.24‐49
(2004). 31) J.J.Van
Wijk:"Image
based flow
visualization",ACM
TOG,Vol.21,No.3,pp.745‐
754(2002). 32) D.Watanabe,X.Mao,K.Ono,and seeding",In 33) Visible
Proc.of Human
A.Imamiya:"Gaze‐directed ACM
APGV
streamline
2004,p.170(2004).
Project,NLM,NIH,[http://www.nlm.nih.gov/research/visible/
visiblehuman.html]. 34) 青 木 茂 樹,阿
部 修,増
35) 中 嶋 正 之,藤
代 一 成(編
谷 佳 孝(編 著):『
著):『
新 版
こ れ で わ か る 拡 散MRI』,秀
潤 社(2005).
コ ン ピ ュ ー タ ビ ジ ュ ア リ ゼ ー シ ョ ン 』,共
立 出 版
(2000). 36) 藤 代 一 成,陳
莉,竹
島 由 里 子:「
ス タ コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ 』(奥 (2004)[http://geofem.tokyo.rist.or.jp/].
大 規 模 並 列 可 視 化 」,『 並 列 有 限 要 素 解 析[I]− 田 洋 司,中
島 研 吾 編 著),培
風 館,第6章(pp,75‐90)
ク ラ
章
7
第
イ ン タ ラ ク シ ョン 東京大学大学院 五 十嵐健夫 大阪大学大学院 北村 喜文
7.1 は じめ に CGは
計 算 機 で 画 像 を 生 成 す る技 術 で あ るが,出
来 上 が っ た 画像 は人 間 が
見 る こ と に よっ て 初 め て 意 味 を成 す 。 さ らに,写 真 や ビデ オ と異 な り,計 算 機 に よ る画 像 表 示 に は,た だ 単 に鑑 賞 す るだ け で な く視 点 を変 えた りな ん ら か の操 作 を行 っ た り とい う よ う に人 間 の 側 が 能 動 的 にか か わ る こ とが で きる と い う特 徴 が あ る。本 章 で は,こ の よ う に計 算 機 が 人 間 に 画 像 を提 示 した り, 人 間が 計 算 機 に 指 示 を与 え た り とい っ た,人
間 と計算 機 の 間 の情 報 の や り と
り― イ ン タ ラ ク シ ョ ン― に 関 わ る 技 術 や研 究 につ い て 紹 介 す る。
7.2 グ ラ フィカルユー ザイ ンタ フ ェース 現 在,デ
ス ク ト ップPCで
使 わ れ て い るマ ウ ス と キ ー ボ ー ドを用 い て 画 面
上 の ウ ィ ン ドウや ア イ コ ン を操 作 す る イ ンタ フ ェ ー ス は,そ れ ま で用 い られ て きた キ ー ボ ー ドの み に よ る コマ ン ドラ イ ンイ ン タ フ ェ ー ス と対 比 して,一 般 に グ ラ フ ィ カ ル ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス(GUI)と にGUIの
枠 組 み の 中 で,よ
よ ば れ る 。 こ こ で は,特
り使 い や す さ を 向 上 させ よ う とす る研 究例 につ
い て い くつ か 例 を挙 げ て紹 介 す る。 7.2.1
ダイ ナ ミ ック ク エ リ
デ ー タベ ー ス を 検 索 す る際 に,通 常 の イ ン タ フ ェ ー ス の よ うに クエ リ を設 定 し た後 に ボ タ ンな どで 明 示 的 に検 索 を か け て は じめ て 結 果 を 表示 す るの で
な く,ス ラ イ ダ ー な どで クエ リ を調 節 して い る 間 に 連 続 的 に 結 果 を返 す よ う にす る 手 法1)。 こ うす る こ と に よ っ て,期 待 す る結 果 が 得 られ る まで 何 度 も 条 件 を変 えて 検 索 をか け る とい っ た 面 倒 な手 続 きが 不 要 に な り,よ
り効 率 の
よ い検 索 が 可 能 に な る。
図7.1
Dinamic
Queryに
よ る不 動 産 検 索 。 条 件 を 変 更 す る
と対応 す る物 件 が即 座 に点 で 表 示 され る。
7.2.2
ズ ー ミ ン グ イ ン ター フ ェー ス
ズ ー ミ ン グ操 作 を 一種 の 奥 行 き方 向 へ の 移 動 と捉 え,情 報 空 間 を 無 限 の 奥 行 き の あ る 広 大 な 平 面 と して 扱 う イ ン タ フェ ー ス2)。た と えば,カ
図7.2
ズー ミ ング イ ン タフ ェー ス に よる カ レ ン ダー
レン ダー の
例 で は,初 期 状 態 で は 年号 が 表 示 され て お り,特 定 の 年 にズ ー ム イ ンす る と, 徐 々 に月 が 現 れ る。 さ ら に特 定 の 月へ とズ ー ム イ ンす る と 日付 が 現 れ る,と い っ た 動 作 を行 う。 他 に は,会 計 報 告 の シ ー トの 一 部 に ズ ー ム イ ン して,そ こ に 自 由 に 手 書 きの メ モ を残 す とい っ た 例 も挙 げ られ て い る。 最 近 で は,移 動 速 度 を上 げ る と 自動 的 に ズー ムア ウ トし速 度 を落 とす と 自動 的 に ズ ー ム イ ン す る とい う移 動 速 度 に応 じたズ ー ミ ング イ ンタ フ ェー ス も提 案 され て い3)。 7.2.3
透 過 型 イ ン タ フ ェー ス
通 常 の ツ ー ルパ レ ッ トな どは 画 面 の 周 囲 に 配 置 さ れ て い るが,そ
れ ら を移
動 可 能 な 部 品 と して 切 り離 し,操 作 対 象 の 上へ 持 っ て い っ て 操 作 す るイ ン タ フ ェ ー ス4)。虫 眼 鏡 の よ う に下 に あ る 対 象 物 の 表 示 内容 に 拡 大 縮 小 や輪 郭 線 表 示 とい っ た エ フ ェ ク トを 与 え る ツ ー ル(MagicLens)と,対
象 の上 にボ タ
ン を重 ね て 色 や 線 種 の 変 更 とい った 操 作 を 行 う ツ ー ル(ToolGlass)か
らな る 。
この イ ン タ フ ェ ー ス は,左 手 の トラ ック ボ ー ル で ツ ー ル の 位 置 を決 め て,右 手 の マ ウ ス で ツ ー ル 上 の ボ タ ン操 作 を行 う とい う両 手 イ ン タフ ェー ス に な っ て い る。
図7.3
Magic
Lensの
例 。 ワ イ ヤ ー フ レ ー ム 表 示 レ ン ズ と 拡 大 表 示 レ ンズ の 組 合 せ 。
7.3 例 示予測 インタ フ ェー ス 計 算 機 に作 業 内 容 を教 え る際 に,プ ロ グ ラ ミ ン グ言 語 を使 っ て プ ロ グ ラム を記 述 す る の で な く,実 際 のGUI操
作 を観 察 す る こ と に よっ て 計 算 機 が 自
動 的 に 法 則 を 見 つ け 出 して プ ロ グ ラ ム を 作 成 す る 手 法(例 示 プ ロ グ ラ ミ ン グ)。 あ る い は,明 示 的 に プ ロ グ ラ ミ ン グ作 業 と し て行 うの で な く,作 業 中 に操 作 の 繰 り返 しや 法 則 性 を 自動 的 に検 出 して,計 算 機 が 残 りの操 作 内 容 を 予 測 して 提 示 す る 手 法(予 測 イ ン タ フ ェ ー ス)。 特 に,計 算 機 プ ロ グ ラ ミ ン グ に 精 通 して い な い エ ン ドユ ー ザ の た め の 操 作 の 自動 化 手 法 と して 考 え られ て い る 。 なお,こ 7.3.1
の 分 野 の研 究 は,参
考 文 献5)に よ くま とめ られ て い る。
Metamouse
Basilと よば れ る亀 の 形 を した 賢 い マ ウ ス カ ー ソル に操 作 を教 え る,と い う ス タ イ ル で例 示 プ ロ グ ラ ミ ング を行 う描 画 シ ス テ ム6)。オ ブ ジ ェ ク トを並 べ た りつ な げ た り とい っ た 操 作 を 学 習 で きる。 まず,ユ ー ザ は 明 示 的 に 教示 を開 始 す る 。そ の 後,画 面 上 の オ ブ ジ ェ ク トを通 常 の マ ウ ス 操 作 で編 集 す る。 Basilは 個 々 の作 業 の 意 味(な ぜ こ の オ ブ ジ ェ ク トを こ こ に 置 い た の か,な ど)を ユ ー ザ の 確 認 を 取 りな が ら学 習 して い く。 繰 り返 しを 見 つ け る と,そ れ を 自動 的 に 汎化 してユ ー ザ に提 示 す る。 学 習 が終 わ る と,一 連 の 作 業 が マ ク ロ と して 記 録 され,再 利 用 可 能 に な る。 図7.4に ソー テ ィ ン グ を 教 示 して い る 例 を示 す 。
a.Initial layout
e.User
drags box to spacer
i.Basil drags box to spacer
b.User
draws
tools
f.User moves
spacer
j.Basilprocessesthirdbox 図7.4
Metamouseに
c.User sweeps
line to first box
g.User repeats action, Basil predicts
k.End
of loop
よる ソー テ ィ ング
d.User
toggles tacks at left
h.Basil confirms heading, sweeps line to next box
l.Final result
7.3.2
Eager
こ ち らはMetamouseと
異 な り,明 示 的 な教 示 で は な く,Eagerと
る エ ー ジ ェ ン トが ユ ー ザ の 操 作 を常 に 観 察 して い て,繰
よばれ
り返 しを 見 つ け る と
自動 的 に残 りの 操 作 を完 了 す る とい う シ ス テ ム7)。カ ー ドの 束 で 情 報 を扱 う ハ イパ ー カ ー ドシ ス テ ム の 上 で動 作 す る。 例 え ば,メ ー ル の 束 が 与 え られ て い て,そ
の あ て 先 欄 を 集 め た一 覧 を作 る作 業 が 例 と して 挙 げ られ て い る 。 ま
ず,ユ ー ザ が1ペ トす る。 次 に,2ペ
ー ジ 目の メ ー ル の 宛 先 を コ ピー して 一 覧 の1行
目 にペ ー ス
ー ジ 目の メ ー ル の 宛 先 を コ ピー して 一 覧 の2行
ス トす る 。 こ の 時 点 でEagerが
繰 り返 し に気 づ い て,一
目に ペ ー
連 の 操 作 を汎 化(ペ
ー ジ 番 号 や 一 覧 中 の 位 置 な ど を適 切 に変 更 す る)し てユ ー ザ に提 示 す る 。3 周 目は,個 々 の 作 業 につ い てユ ー ザ の 確 認 を取 りな が ら作 業 す るが,3周 が 終 わ る と繰 り返 し操 作 が きち ん と学 習 さ れ た と判 断 して,残
目
りの操 作 を一
気 に完 了 す る。
図7.5
7.3.3
Eagerの
動作 例
Chimera
例 を用 い た 編 集 機 能 を実 装 した描 画 シス テ ム。 ひ とつ は,テ キ ス トエ デ ィ タで 使 わ れ て い る置 換 機 能 の 図形 版 で,置 と,画 面 中 を走 査 して,当
き換 え前 後 の 図 を例 と して与 え る
て は まる 図 を順 次 置 き換 え て い く8)。完 全 な 形 状
一 致 だ け で な く,距 離 や 角 度 な ど につ い て 許 容 範 囲 を 指 定 す る こ と もで きる 。 も う ひ とつ は,図 形 の 長 さや 高 さ を揃 え る,と い っ た 幾 何 学 的 な制 約 を複 数 の 例 か ら推 測 し て くれ る 機 能9)。一 度 設 定 した 制 約 は,そ
の後 の編集操 作 の
(a)
(b)
図7.6 複 数 の 例 か らの制 約 の推 測
図7.7 編 集 可 能 な グ ラ フ ィカ ル な履歴
間,計 算 機 が 自動 的 に保 持 して くれ る。 さ らに,操 作 の 履 歴 を 時系 列 順 に 図 的 に 表 示 して お き,対 応 す る 過 去 の 操 作 内 容 を選 択 す る こ と で そ の 操 作 をマ ク ロ と して 再 利 用 す る機 能 も提 供 して い る10)。
7.4 ス ケ ッ チ イ ン タ フ ェ ー ス 通 常 のGUIの
よう に,メ ニ ュー に よる コマ ン ド操作 や マ ウス に よる ドラ ッ グ
操 作 で オ ブ ジェ ク トを編 集す るの で な く,ペ ン入 力 デバ イス を利 用 して ス ケ ッチ を描 くよ うに して 操作 を行 う イ ンタ フェ ース 。 詳細 な 図 を作 成 す るの には 向か な いが,曖 昧性 を残 した ま ま手 早 く表 現す る こ とが で きるの で,デ ザ イ ンの初 期 の 段 階 にお け る検 討や コ ミュニ ケー シ ョンの道 具 と して有 効 と考 え られ て い る。
7.4.1
ス ケ ッ チ に よ るGUIお
SILKはGUIの
よ びWebデ
ザイ ン
画 面 デ ザ イ ン を ス ケ ッチ に よっ て 行 う シ ス テ ム で,ペ
ンな
ど を利 用 して 画 面 上 に ス ク ロー ルバ ー や ボ タ ンを 描 くと,そ れ らが 部 品 と し て 認 識 され て操 作 す る こ とが 可 能 に な る11)。た だ し,認 識 は行 う が 整 形 は 行 わ ず に手 書 きの 絵 を そ の ま ま表 示 す るの で,ユ ー ザ はス ケ ッチ 画 の ま ま操 作 を試 して み る こ とが で き る。 通 常 のGUIエ
デ ィ タで は見 か け が 完 成 品 の よ
う に な っ て し ま うの で細 部 に注 意 が 集 中 して初 期 デ ザ イ ンに不 都 合 が 生 じ る が,ス
ケ ッチ の ま ま表 示 す る こ とで よ り本 質 的 な 問 題 に注 意 を 向 け る こ とが
可 能 となる。
図7.8 SILKに
お け るユ ーザ の スケ ッチ と変 換 結果 例
図7.9 DENIMの
DENIMは,同
画 面例
様 に ス ケ ッチ 画 を 利 用 してWebサ
イ トの デ ザ イ ン を行 う シ
ス テ ム で あ る12)。画 面 上 に 手 書 きの ス ケ ッチ を 描 く こ と でWebペー か けの デ ザ イ ン を行 い,さ
ジの見
らに ペ ー ジ 間 を手 書 きの 線 で結 ぶ こ とで ハ イ パ ー
リ ン ク が 表 現 さ れ る 。 「実 行 」 モ ー ドに入 る と,擬 似 的 なWebブ
ラウザの上
で,こ
れ らの ス ケ ッチ 画 で 表 現 さ れ た ペ ー ジ群 を ハ イパ ー リ ン ク を た ど りな
が ら ブ ラ ウ ズ す る こ とが で き る。 実 際 にWYSIWYGエ 行 う前 の,全
デ ィ タ な どで 編 集 を
体 的 な サ イ ト構 造 の デ ザ イ ンの 段 階 で 使 う こ と を 想 定 して い
る。 7.4.2
ス ケ ッ チ に よ る3次
SKETCHは,2次
元 モ デ リン グ
元 の ジ ェ ス チ ャ ー 入 力 に よ っ て 直 方 体 や 円柱 とい っ た
オ ブ ジ ェ ク トを3次 元 空 間 中 に配 置 して い くこ と に よ っ て,建 物 の 外 観 や 内 観 とい っ た もの を簡 単 に3次 元 的 に 表 現 す る こ との で きる シ ス テ ム で あ る13)。 入 力 され た オ ブ ジ ェ ク トの位 置 は2次 元 的 に しか 与 え られ て い な い の で3次 元 的 な 位 置 を 決 定 す る た め の 情 報 が 欠 落 して い る が,す べ て の オ ブ ジ ェ ク ト は既 存 の オ ブ ジ ェ ク トの上 に 乗 っ て い る,と
図7.10
SKETCHの
い う仮 定 を置 くこ とで この 問 題
操 作 の例 とモ デ リ ン グ例
を解 決 して い る 。 Teddyは,2次
元 の輪 郭 を対 話 的 に描 いて い くこ とに よ っ て,ぬ い ぐるみ の よ
う な丸 っ こい3次
元 モ デ ル を簡 単 に作 成 す る こ と の で き る シス テ ム で あ る14)。
白い キ ャ ンバ ス に輪 郭 を描 くと そ れ が 前 後 に膨 らん で3次 元 モ デ ル が作 成 さ れ る操 作,既 操 作,表
存 の 物 体 を横 切 る線 を描 く と線 に し たが って 物 体 が 切 断 され る
面 に 閉 曲線 を描 い て か ら回 転 させ て 輪 郭 を描 くと突 起 が生 成 され る
操 作 な どが 実 装 され て い る(口 絵7.1参 照)。
7.5 実世界 指向 インタ フ ェー ス 計 算 機 の 性 能 の 向上 に伴 い,計 算 機 の 利 用 方 法 と して,こ
れ まで の よ うな
キ ー ボ ー ドや マ ウ ス とデ ィス プ レイ を用 い て 計算 機 の 中 に あ る情 報 を操 作 す る だ け で な く,実 世 界 に お け る 人 間 の 活 動 を 支 援 す る こ とを 目標 と した手 法 や ア プ リケ ー シ ョ ンが提 案 さ れ て きて い る 。 単 に実 世 界 指 向 とい う と音 声 認 識 か らロ ボ ッ トま で非 常 に幅 が 広 い が こ こ で は 特 に ヒュ ー マ ン コ ンピ ュ ー タ イ ン タ ラ ク シ ョ ンの分 野 で よ く話 題 に 取 り上 げ られ る もの につ いて 紹 介 す る。 7.5.1
ユ ビ キ タ ス コ ン ピ ュー テ ィ ン グ
Xerox PARCのMark
Weiserら
に よ っ て提 唱 さ れ た概 念 で,現 在 のPCの
よ う に,一 人 のユ ー ザ が ひ とつ の コ ン ピュ ー タ を使 うの で な く,一 人 の ユ ー ザ が 環 境 中 に 遍 在 す る(ubiquitous)多 こ と を指 す15)。そ の よ う な状 況 で は,コ
数 の コ ン ピ ュ ー タ を利 用 す る状 態 の ン ピ ュ ー タは 完 全 に 環 境 に埋 め 込 ま
れ て,存 在 を 意 識 させ な い 道 具 と な らな くて は な ら ない と主 張 して い る。 実 際 に 当 時 の プ ロ ジ ェ ク トで 開発 さ れ た の は,手
の 平 に収 ま るサ イ ズ の タブ,
ノ ー トパ ッ ドサ イ ズ の タブ レ ッ ト,そ して 壁 サ イ ズ の 電 子 ホ ワイ トボ ー ドな どで あ る。
図7.11
Xerox
PARCに
お け るユ ビ キ タス コン ピ ュー テ ィ ング環 境 の例
7.5.2
拡 張 現 実 感(Augmented
Reality)
拡 張 現 実 感 は,透 過 型 の ヘ ッ ドマ ウ ン テ ッ ドデ ィス プ レイ や,ビ
デオカメ
ラつ きの端 末 な ど を利 用 して,現 実 世 界 の事 物 に 対 して仮 想 世 界 を オ ーバ ー レ イ表 示 す る こ とに よ っ て,現 実 世 界 を計 算 機 に よ っ て 強 化(Augment)す る 手 法 。 バ ー チ ャル リ ア リテ ィが ユ ー ザ を完 全 に 仮 想 世 界 で 覆 っ て し ま うの に対 して,あ くま で現 実 世 界 を主 体 と して い る 点 を特 徴 とす る 。具体 的 に は, 机 の 上 の 紙 や 手 を認 識 して情 報 を プ ロ ジェ ク ター で 提 示 す る シス テ ム (DigitalDeskl6)),プ
リ ン タの 組 み 立 て 作 業 の 指 示 を オ ー バ ー レイ 表 示 す る
シ ス テ ム(KARMA17)),建 (NaviCam18)),超
物 内 部 の ナ ビ ゲ ー シ ョ ン を 補 助 す る シス テ ム
音 波 セ ンサ ー で得 られ た画 像 を表 示 して 診 察 の 補 助 す る シ
ス テ ム19)などが 提 案 され て い る。
図7.12
拡 張 現 実 感 シ ス テ ム の 例 。DigitalDesk,Karma,NaviCam.
7.63
次 元 ユ ー ザ イ ン タ フ ェー ス
人 の 日常 生 活 の体 験 に基 づ くメ タ フ ァを,コ ン タ フ ェ ー ス に導 入 す る こ とは,よ
ン ピュ ー タ を利 用 す る際 の イ
り使 い や す い コ ン ピ ュー タ を実 現 す る た
め に も必 要 な技 術 で あ る 。3次 元 イ ン タ フ ェ ー ス は,単
に ア イ コ ンや ウ ィ ン
ドウな ど に 陰 影 を付 け て 立 体 的 に 表示 す る だ け で は な く,利 用 者 の 身体 性 や 空 間性 を積 極 的 に活 か そ う とす る イ ン タ フ ェ ー ス で あ る。 そ う した もの の 中 か ら,視 点 の 移 動 と対 象 の 選 択 に つ い て 紹 介 す る。 ま た,こ
の よ うな操 作 を
実 現 す る た め の デ バ イ ス につ い て も紹 介 す る。 7.6.1
視 点 の移 動
一 般 に3次 元 コ ン ピ ュ ー タ グ ラ フ ィ ッ ク ス に お い て,作 を 眺 め る た め に は,視
成 し た3次 元 空 間
点(カ メ ラ)の 位 置 と方 向 を決 め る必 要 が あ る。 イ ン
タ ラ ク テ ィ ブ に 視 点 を移 動 させ る 場 合 に,空 centric な 視 点 移 動 とexocentricな
間 と の 関 係 に 着 目 して,ego
視 点 移 動 の2つ
の 考 え 方 が あ る 。ego
centric な視 点 移 動 で は,環 境 の 中 に カ メ ラ を 置 き,ま
わ りを見 まわ す よ う
に カ メ ラ を移 動 させ る 。 一 方 のexocentricな 視 点 移 動 で は,環 境 を外 か ら鳥 瞰的 に 眺 め る よ う に カ メ ラ を移 動 させ る。 egocenticな
視 点 移 動 で は,観 察 者 自 ら の 身 体 が,移
動 と そ の 結 果 生 じる
空 間知 覚 の 基 準 と な る 。 つ ま り,顔 や 体 の 向 きに よ っ て 方 向 性,腕
の長 さや
歩 幅 な ど を基 準 と して 距 離 や 大 きさ を 知 覚 す る 。 そ の た め,一 人 称 的 また は 自己 中心 的 な視 点 の 移 動 と よ ばれ る こ と も あ る 。 こ れ に 対 してexocentricな 視 点 移 動 で は,空
間知 覚 の 基 準 は観 察 者 の 身体 の 外 に存 在 し,空 間 中 の 物 体
な どが そ れ に あ た る。 そ の た め,三 人 称 的 ま た は 他 者 中心 的 な視 点 移 動 と よ ば れ る こ と もあ る。 人 が 空 間 を認 識 して 目 的地 まで の経 路 を見 つ け る過 程 は 経 路 探 索(wayfinding)と egocentricとexocentricの
よ ば れ,そ
こ で 形 成 さ れ る 空 間 の 認 知 モ デ ル は,
両 方 の 視 点 移 動 を 通 して 得 られ る 知 識 が 元 に な
る 。 そ こ で,こ の 過 程 を支 援 す る ナ ビ ゲ ー シ ョ ンで は,2つ い た もの が 多 い 。 例 と してegocentricとexocentricの2つ
の視 点 移 動 を用 の 視 点 移 動 を独 立
に 行 わせ るの で は な く連 動 させ,同 時 に 身 体 運 動 に 関 連 付 け て 制 御 した 例20) な どが あ る。
また,環 境 を不 動 な もの と し,カ メ ラの位 置 と方 向 を 自由 に動 か す メ タフ ァ の例 と してeyeball‐in‐hand,逆,カ
メ ラを不 動 な もの と して環 境 の位 置 と方
向 を 自 由 に動 か す メ タフ ァの例 と してscene‐in‐handとよ ばれ る もの が あ る21)。 7.6.2
対 象 の 選 択 と属 性 の 変 更
い くつ か の オ ブ ジ ェ ク トか ら構 成 さ れ て い る3次 元 空 間 を眺 め,そ
の中の
あ る対 象 物 を選 択 す る方 法 に は,何 種 類 か の 異 な っ た メ タ フ ァに基 づ く もの が 考 え られ る。 まず,利 用 者 が レー ザ 光 源 な どの デ バ イ ス を持 っ て い る と考 え,そ
れ か ら照 射 され る光 線 と交 わ る物 体 を 選 択 す る とい う も のが 考 え ら れ
る22)。また,手
を伸 ば し て物 体 をつ か む と い う 日常 生 活 で 普 通 に 行 う動 作 を
メ タ フ ァ に利 用 す る もの もあ る。 手 を伸 ばす とい うメ タ フ ァ を損 な わ な い よ うに して 遠 い対 象 に も手 を届 かせ る た め,対 象 ま で の 距 離 に応 じて 利 用 者 の 手 を非 線 形 的 に長 くす る とい う手 段 が 提 案 され て い る23)。こ れ に似 た 方 法 と して,遠
くの 対 象 に 手 を伸 ば す と そ の対 象 と利 用 者 の距 離 に応 じて 空 間 を縮
小 させ る(ま た は 相 対 的 に は 利 用 者 の 体 を拡 大 させ る)と い うScaled‐world grabと
よ ば れ る 方 法 も あ る24)。さ ら に,選 択 した物 体 の 属 性 を変 更 す る場
合 に,そ の物 体 を手 に と っ て 手 元 に手 繰 り寄せ,注
意 深 く観 察 しな が らそ の
属 性 を変 更 す る とい う メ タ フ ァ を利 用 した もの もあ る 。voodoo シス テ ム で は,口 絵7.2の
dol1sと い う
よ うに,選 択 した 物 体 の コ ピ ー を手 元 に 置 き,そ
れ に 対 して 属 性 変 更 を行 う よ う に して い る25)。 world‐in‐miniature(WIM)と
よば れ る方 法 は,世 界 全 体 の ミニ チ ュ ア を
手 に持 ち,視 点 の 移 動 と対 象 の 選 択 ・属 性 変 更 を行 わせ よ う とす る も の で あ る26)。ミニ チ ュ ア を眺 め る 視 点 は 口絵7.3の
よ うにexocentricな
空 間 に入 り込 ん で等 身 大 で観 察 す る視 点 は,egocentricな
移 動 で あ り,
移 動 で あ る 。 また ,
ミニ チ ュ ア を 手 に持 つ の で は な く,空 間 内 に こ れ を表 示 す る た め の特 別 の ウ イ ン ドウ を い くつ か用 意 して,対 象 の 遠 近 な どに 関 係 な く統 一 的 な操 作 方 法 を 実 現 し よ う と し て い る例 もあ る27),28),29)。 また,利 用 者 が 眺 め る 視 点 とは 別 の視 点 か ら空 間 を見 た 画 像 を作 成 し,そ の 画像 に対 す る 選択 操 作 を通 して, 遠 い位 置 に あ る対 象 や 障 害 物 の 背 後 に 隠 され て い る対 象 を選 ん だ り属 性 の 変 更 を した りし よ う とす る ア イ デ ア も提 案 され て い る30),31)。
7.6.3
入 力 デバ イ ス
ー 般 に,入
力 デ バ イ ス の 分 類 方 法 の1つ
あ る 。 利 用 者 の 手(ま わ け で あ る が,こ
た は 身 体 の 一 部)の 動 き に よ っ て デ バ イ ス を 操 作 す る
の 際,力
デ バ イ ス と よ び,変
と し て,isometricとisotonicが
や トル ク を 利 用 し て 操 作 す る も の をisometricな
位 や 回 転 量 を 利 用 し て 操 作 す る も の をisotonicな
ス と よ ぶ32)。isometricな
も の は,そ
れ 自 身 は 動 か な い で,圧
デバ イ
力や力 が入力
され る とポ イ ン タの 移 動 を 出力 す るデ バ イ ス で あ る 。移 動 量 に応 じて 抵 抗 が 増 加 す る た め,pressure
deviceやforce
も よ ば れ る こ と が あ る 。3
ペ ー ス ボ ー ル(ま
た は ス ペ ー ス マ ウ ス)が あ
次 元 デ バ イ ス の 例 と し て は,ス
deviceと
る 。 一 方 のisotonicな
デ バ イ ス は,そ
れ 自 身 が 自 由 に 移 動 し,変
位 が入 力 さ
れ る とそ れ に 応 じた ポ イ ンタ の移 動 を出 力 す る デ バ イ ス で あ る。 ゼ ロ また は 一 定 の抵 抗 下 で 移 動 す る ため device,unloaded
deviceな
ま た 後 述 のwandな
,displacement
device,free
movement
ど と も よ ば れ る 。 こ の 代 表 的 な 例 は,マ
ウ ス,
どが あ る。
3次 元 空 間 に お け る 操 作 で は,並
進3自
由 度 と 回 転3自
由 度 の 計6自
由度
を 制 御 し な け れ ば な ら ず,何 の 拘 束 も な い 状 況 で は 正 確 な 操 作 は 困 難 で あ る 。 そ こ で,操 7.5の
作 次 元 を 拘 束 す る 手 法 が 提 案 さ れ て い る 。cubic
よ う に,並
進 と 回 転 の6自
が 付 加 し た 立 方 体 に3本
mouseは,口
絵
由 度 の トラ ッ カ を 内 包 し い く つ か の ボ タ ン
の棒 が 直 交 す る よ う に貫 通 して い る よ うな 形 状 を持
つ 。 立 方 体 の 位 置 ・方 向 に よ っ て 決 め ら れ た あ る 空 間 中 の 座 標 軸 に 沿 っ て の 正 確 な 操 作 が 可 能 と な るisotonicな
デ バ イ ス で あ る33)。 ま た,あ
る軸 まわ り
の 回 転 操 作 の 精 度 を 上 げ よ う と 工 夫 さ れ た も の も あ る 。YoYoは,cubic mouseと
同 様 に 並 進 と 回 転 の6自
isotonicな
デ バ イ ス で あ る が,口
て お り,こ
の 意 味 か ら,isometricな
口 絵7.7の
よ う に,各
由 度 の トラ ッ カ を 内 包 し て い る 点 で
絵7.6の
よ う に ス ペ ー ス マ ウ ス が 付 加 され
性 格 も 持 つ デ バ イ ス で あ る34)。CATは,
自 由 度 を 選 択 的 に 操 作 で き るControl
Action
Tableと
い う テ ー ブ ル 状 の デ バ イ ス で あ る 。 ハ ン ドル を 回 転 さ せ る こ と に よ っ て 移 動 量 を 入 力 す る こ と が で き る と い う 点 で はisotonicな
デ バ イ ス で あ る が,CAT
の 並 進 方 向 に 加 え られ る 力 を 検 出 して 移 動 量 の 入 力 とす る こ とが で き る の で,isometricな
性 質 も 持 つ デ バ イ ス で あ る35)。
7.7
バ ー チ ャル リア リ テ ィ
わ れ わ れ は,身 体 を取 り巻 く外 界 か ら,視 覚,聴 覚,嗅
覚,味
覚,触
覚,
力 覚 な ど さ ま ざ ま な情 報 を,そ れ ぞ れ の感 覚 器 官 を介 して取 り入 れ て い る。 そ して,外 界 に も 身体 全 体 を利 用 して働 きか け て い る 。 この よ うな3次 元 空 間 内 で の 普 通 の行 動 を コ ン ピ ュー タ との イ ンタ フ ェ ー ス に利 用 し よ う と い う 試 み が,バ
ー チ ャ ル リ ア リテ ィで あ る。 つ ま り,3次
え 方 を一 歩 進 め,コ
元 イ ンタフェース の考
ン ピュ ー タに よ っ て 作 り出 され る(あ らゆ る感 覚 に対 し
て 整 合 性 が 取 れ た)3次 元 空 間 の 中 に 身 を置 い た利 用 者 が,日 常 生 活 と 同様 の イ ンタ ラ ク シ ョン を通 して,結
果 と して コ ン ピュ ー タ を利 用 で き る よ うな
環 境 を構 築 し よ う とい うの が 究 極 の 目標 で あ る。 現 時 点 で は こ の 目標 は まだ 実 現 され て い な い が,そ
の た め の 要 素 技 術 の 研 究 は 地 道 に 進 め られ て い る。
本 節 で は こ う した 要 素 技 術 の 中 か ら,デ ィ ス プ レイ と入 力 デバ イ ス を紹 介 す る。 7.7.1
デ ィス プ レイ
コ ンピ ュ ー タで 生 成 した 情 報 を 人 の さ ま ざ まな 感 覚 器 官 に提 示 す る た め の 装 置 を,一 般 にデ ィス プ レイ と よぶ 。 聴 覚 に対 す る ス ピ ー カ ー も1種 の デ ィ ス プ レイ で あ り,触 覚 や力 覚 を提 示 す る機 械 的 な装 置 も また デ ィス プ レイ で あ る 。 一 般 に 「五 感 」と よ ば れ る 感 覚 の う ち,視・聴
覚 は 音 や 光 とい っ た 現
象 を セ ン シ ン グ した結 果 生 じる 感 覚 で あ り,こ れ らの 感 覚 器 へ の 情 報 を提 示 す る 装 置(デ ィス プ レ イ)は 電 気 的 な 手 段 で 作 り出 す こ とが で き る た め,す で に多 くの 装 置 が 広 く一 般 に利 用 され て い る 。 触 ・力 覚 に つ い て は,人 の 体 と そ れ を 取 り巻 く外 界 と の接 触 な ど に基 づ く物 理 現 象 を提 示 す る 必 要 が あ り,電 気 的 な もの に比 べ る と普 及 して い る とは 言 い 難 い が,徐
々 に利 用 され
る機 会 が 広 が りつ つ あ る。 さ らに,嗅 覚 や 味 覚 とな る と,化 学 的 な 反 応 に基 づ く現 象 を提 示 す る必 要 が あ り,空 間 的 ・時 間 的 に 高精 度 で 提 示 情 報 を制 御 す る こ とが 困 難 で あ る こ と や,色 の 三 原 色 に相 当す る よ うな 刺 激 生 成 の た め の 基 本 要 素 が 不 明 で あ る な どの 理 由か ら,本 格 的 な研 究 は あ ま り進 ん で こ な か っ た 。 しか し,最 近,嗅 覚 に 関 す る デ ィス プ レイ も盛 ん に研 究 され る よ う に な っ て きた36)。た と え ば,カ
メ ラ で 利 用 者 の 鼻 の 位 置 を検 出 し,電 動 雲 台
に 載せ た 空 気 砲 が そ の 場 所 を狙 う よ う に 制 御 した プ ロ ジ ェ ク シ ョ ン型 の 匂 い デ ィ ス プ レイ が 提 案 され て い る37)。 バ ー チ ャル リ ア リテ ィの シ ス テ ム で用 い られ る視 覚 デ ィス プ レイ で は,両 眼 視 差 を利 用 した 立 体 視 が よ く利 用 さ れ る。 そ して,こ プ レイ と して 広 く使 わ れ て き た もの に,HMD(Head
の機 能 を持 つ デ ィス
Mounted
Display)が
あ る38)。これ は,左 右 両 眼 用 の 画像 を表 示 す る小 型 の 表示 ・光 学 系 を そ れ ぞ れ の 眼 前 に 配 置 す る もの で あ る。 しか し,従 来 よ り試 作 ま た は市 販 さ れ て き たHMDで
は,か
な りの 重 量 物 を頭 部 に装 着 し な け れ ば な ら な い とい う負 担
を 利 用 者 に 強 い る 事 や,人
の 周 辺 視 の 範 囲 を カバ ー で き る ほ ど広 い 視 野 角 を
確 保 で き な い た め に,利 用 者 に与 え る 臨 場 感 と没 入 感 が低 い な ど とい う 問 題 が あ っ た 。 これ に対 し て,屈 折 反 射 光 学 系 を用 い た水 平180度 角 のHMDが
とい う広 視 野
提 案 さ れ る な ど39),ブ レー ク ス ル ー に 向 け た 研 究 も進 め られ て
い る。 一 般 の デ ィ ス プ レイ で 広 い視 野 角 を 実 現 す る た め に,60∼70イ
ンチ 程 度
以 上 の大 画 面 デ ィス プ レ イ を複 数 並 べ た り,ス ク リー ンを 円 筒 側 面 や ドー ム 状 に湾 曲 させ て 利 用 す る 場 合 もあ る。 ま た,部 屋 の 壁 の 各 面 をデ ィ ス プ レ イ と して,利 用 者 を取 り囲 む よ う に設 置 され る も の がCAVEと オ リ ジ ナ ル のCAVE40) は4面 構 成 で あ っ た が,そ ス テ ムが 導 入 さ れ る に伴 っ て構 成 も工 夫 さ れ,5面
の後,世
よ ば れ て い る。 界各 地で同様 の シ
や6面 の もの も実 現 さ れ
て い る 。 一般 に この 各 面 は 布 な どの ス ク リー ンで 構 成 さ れ る が,blue‐cと い う プ ロ ジ ェ ク トで は,側 壁 面 を液 晶 パ ネ ル で 構 成 し,時 分 割 で 開 閉 す る こ と に よっ て,壁 面 外 部 に置 い た カ メ ラ で 内 部 を撮 影 す る とい っ た シ ス テ ムが 実 現 さ れ て い る41)。 バ ー チ ャル リ ア リテ ィ の シ ス テ ム で用 い られ る視 覚 デ ィス プ レイ で は,立 体 視 の た め に左 右 両 眼 画 像 を そ れ ぞ れ生 成 して 各 眼 に分 離 して 与 え る 必 要 が あ るが,通 常,偏
光 板 や 時 分 割 表 示 方 式 が 用 い られ る場 合 が 多 く,利 用 者 は
眼 鏡 をか け て立 体 像 を観 察 す る 。 ま た,利 用 者 の 視 点 移 動 や 向 き の変 化 を計 測 し,そ の 視 点 変 化 に応 じて 画 像 を リ ア ル タ イ ム に生 成 ・表 示 して ゆ く。 こ の視 点 移 動 に よ る 見 え方 の 変 化 は 運 動 視 差 と よば れ,人 の 立 体 認 識 に とっ て 大 切 な 手 が か りと な る。 そ の た め,通 常,HMDや
眼 鏡 に トラ ッカ と よ ば れ
る位 置 ・方 向 を 計 測 す る装 置 を装 着 す る 。 こ こ で,こ
れ まで 述 べ て きた 視 覚 デ ィ ス プ レ イ は す べ て,1人
と に 注 意 し な け れ ば な らな い。 大 型 の デ ィ ス プ レ イ やCAVEな 時 に複 数 の 人 が デ ィス プ レイ を見 る こ とは で き る が,ト る1人 の視 点 移 動 に よ っ て画 像 が 生 成 され る た め,そ
用 であ るこ どで は,同
ラ ッカ を装 着 し た あ
れ 以外 の トラ ッ カ を装
着 しな い 人 は,歪 ん だ 画 像 の 観 察 を強 い られ て しま う こ と に な る。 この 問 題 を解 決 し,立 体 デ ィス プ レイ の複 数 人 化 を 図 るた め の ア イ デ アが 提 案 され て い る。 通 常 は左 右 両 眼 の2枚 の 画 像 を 時 分 割 で 交 互 に表 示 し,そ れ に 同 期 さ せ て 眼 鏡 の 左 右 の シ ャ ッ タ を 開 閉 す る時 分 割 表 示 方 式 に よ る立 体 視 を,4分 割 し て2人 の左 右 画 像 を順 次 表 示 し よ う とす る もの で あ る42)。しか し,3人 以 上 に な る と ち らつ きが 生 じて立 体 視 成 立 の た め の 周 波 数 限 界 を満 た さな く な っ て し ま う。 こ れ に対 して,画 面 上 か ら適 当 な 距 離 だ け 離 れ た位 置 に 穴 の 開 い た マ ス ク を置 き,こ れ を用 い て各 利 用 者 が 観 察 す る画 面 上 の 領 域 を 分 離 す る こ とに よ っ て,口 絵7.4の
よ うに3人 以 上 の利 用 者 が 同 時 に立 体 像 を観
察 で き る よ うに した 例 もあ る43)。 7.7.2
入 力 デ バイ ス
利 用 者 の 頭 や 手 な ど3次 元 空 間 中 の 注 目点 の 位 置 と 姿 勢 を計 測 す る 装 置 は,通 常,ト
ラ ッ カ と よ ば れ,バ ー チ ャ ル リ ア リ テ ィの シス テ ム の み な らず,
3次 元 イ ン タ フ ェ ー ス の基 本 ア イ テ ム と して 広 く利 用 さ れ て い る。 さ ま ざ ま な原 理 に 基 づ く もの が 提 案 さ れ 利 用 され て い る。 電 磁 誘 導 を用 い た も の は, 磁 束 の 変 化 に よ っ て コ イ ル に起 電 力 が 生 じ る とい う原 理 を利 用 した もの で あ る。 発 信 コ イ ル と受 信 コ イ ル の 間 に身 体 な どの 障 害 物 が 入 っ て も,磁 場 を透 過 す る の で 問 題 が な い と い う利 点 が あ る た め,幅 広 く用 い られ て きた 。 直 流 磁 場 を用 い た もの と交 流 磁 場 を用 い た も の が あ り,並 進 と 回転 の6自 由 度 を 計 測 可 能 で あ る。 しか し,原 理 上 電 磁 ノ イ ズ に弱 く,モ ニ タや 金 属 製 物 体 な どの 近 傍 な ど で は磁 場 が 歪 む た め,誤 差 が 大 き くな る とい う欠 点 もあ る。 超 音 波 な ど に よ る伝 搬 時 間(time‐of‐flight)を利 用 した トラ ッカ は,比 較 的 低 コス トで 実 現 で きる の で 今 後 有 望 で あ る。 あ る 計 測 対 象 とす る 点 の3次 元 座 標 を求 め る た め に は,既
知 の3つ の 基 準 点 に 対 す る距 離 情 報 が 必 要 で あ る 。
しか し,一 般 に は 人 の 動 きや 環境 の影 響 な どで,距 離 情 報 伝 達 経 路 の1つ で
も 遮 断 され る とそ の 点 の3次 元 座 標 を 算 出 す る こ と はで きな くな る た め,あ る程 度 の 冗 長 性 を持 た せ て 計 測 す る。 そ の他,カ
メ ラ を用 い た 画 像 計 測 に よ
る トラ ッ カ もあ る。 両 眼 立 体 視 に 基 づ く手 法 で,三 角 測 量 の 原 理 に よ っ て 注 目 点 の3次 元 位 置 を求 め る もの で あ る が,LEDを
発 光 させ た り,周 囲 か ら
識 別 容 易 な 色 の マ ー カ と よ ばれ る 点 を計 測 点 とす る こ と に よ り,対 応 点 探 索 問 題 を 回避 して い る場 合 が 多 い 。 トラ ッ カ に い くつ か の ボ タ ン を付 加 し た デ バ イ ス は,通 常,wand(魔 の 杖)と よ ば れ,比 ま た,3次
法
較 的 簡 単 な3次 元 入 力 デ バ イ ス と し て利 用 され て き た 。
元 空 間 に お け る 人 の よ り自然 な 動 き を イ ン タ フ ェ ー ス と して 利 用
す るた め,身 体 各 部 の 運 動 や ジ ェス チ ャ を計 測 して利 用 す る こ と も検 討 さ れ て きた 。 身 体 の 中 で も,手 は 人 の 操 作 意 図 を表 現 す る た め に 最 も よ く使 わ れ る。 手 の 形 状 を 正確 に コ ン ピ ュ ー タ に入 力 す る た め の方 法 の1つ は,手 指 の 各 関節 の 曲 げ角 度 を計 測 す る こ とで あ り,さ ま ざ ま な種 類 の セ ンサ を利 用 し た 手 形 状 入 力 装 置(グ ロ ー ブ)が 用 い られ て き た。 一 般 に は,利 用 者 の 各 手 指 の 曲 げ 角 度 を,そ れ に対 応 した 手 形 状 モ デ ル の各 関 節 に1:1に
対応づ け
て 曲 げ る こ とに よ っ て,バ ー チ ャル な世 界 で の 手 指 動 作 と して 生 成 す る こ と が 多 い 。 しか し,こ の ま まで は,骨 格 構 造 の 違 い な ど に よ り う ま く機 能 しな い 。 そ こ で,計 測 され た利 用 者 の 複 数 の 手 指 の 曲 げ 角 度 と手 形 状 モ デ ルが と る 姿 勢 の 間 に あ る種 の マ ッ ピ ン グ 関 数 を用 意 し,少 な い 数 のパ ラ メ ー タ を用 い て イ ンタ ラ ク テ ィ ブ に手 指 の 動 作 を 生 成 す る方 法 が 提 案 され て い る 。 こ の 方 法 に よれ ば,骨 格 構 造 が 異 な る複 数 の 利 用 者 に対 して も厳 密 な キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ンが 不 必 要 で あ り,あ
らか じめ決 め られ た動 作 に つ い て は,利 用 者 が
そ の手 指 動 作 を正 し く行 え る か ど うか に か か わ らず,だ
れ で も イ メ ー ジ どお
りの 自然 な 手 指 動 作 ア ニ メー シ ョン を イ ン タ ラ ク テ ィブ に 生 成 す る こ とが で き る44)。 本 章 で は,特
に イ ン タ ラ ク シ ョ ン に 関 わ る技 術 的 側 面 につ い て 解 説 し た。
実 際 に イ ン タ ラ クテ ィ ブ な シ ス テ ム をデ ザ イ ンす る際 に は,技 術 的 な知 見 に 加 えて 人 間 の 認 知 ・行 動 特 性 に 関 す る 知 見 が 必 須 で あ る。 興 味 の あ る人 は 参 考 文 献45),46)等
を読 ん で勉 強 す る と よ い。
〈図 の 出典 等 〉 図7.1
B.Shneiderman:"Dynamic No.6(1994)よ
図7.2
K.Perlin of
図7.3
図7.4
queries
and
D.Fox:"Pad:An
SIGGRAPH
93よ
visual
information
seeking",IEEE
Software
Vol.11,
Alternative
the
see‐through
A.
Cypher:"Watch
Approach
to
the
Computer
Interface",In
Proc.
り。 許 諾 を 得 て 転 載
Bier,E.A.,Stone,M.,Pier,
K.,Buxton,W.and interface",In
Proc.of
What
Press(1993)よ 図7.5
for
り。 許 諾 を得 て 転 載
DeRose.
SIGGRAPH
T:"Toolglass
93よ
I Do:Programming
by
and
magic
lenses:
り。 許 諾 を 得 て 転 載
Demonstration",Cambridge
MA,MIT
り。 許 諾 を 得 て 転 載
A.Cypher:"Eager:Programming
Repetitive
Tasks
by
Example",In
Proc.of
CHI'
91よ
り。
許 諾 を得 て 転 載 図7.6
A.Cypher:"Watch
What
Press(1993)よ 図7.7
A.
Cypher:"Watch
What
Press(1993)よ 図7.8
James
A.
Landay
Fit
Factors
in
Computing
Demonstration",Cambridge
MA,
MIT
Interfaces:Toward
for
James Web
A.
Site
Computer
a
Letters:Human
り。 許 諾 を 得 て 転 載
Hughes:"SKETCH:An
96よ
Human
Landay:"DENIM:Finding
Design",CHI
2000,2000.2(1)よ
SIGGRAPH
More
り。 許 諾 を得 て 転 載
Practice
J.F.
interface
for
sketching
3D
り。 許 諾 を 得 て 転 載
for
the
Twenty‐First
Century",Scientific
American,
り。 許 諾 を得 て 転 載 Wellner:"Interacting
with
ACM,36(7).(1993)よ
り 。(左
Doree:"Knowledge‐Based 下)Jun
Rekimoto
Augmented and
paper
下)Feiner,
Augmented
り 。(右
Computer Software
by
I.Hong,and and
Systems,CHI
Proc.of
(上)Pierre
(1993)よ
MA,MIT
Myers:"Sketching
K.P.Herndon,and
Weiser:"The
the
A.
Tools
September(1991)よ 図7.12
Brad
W.Newman,Jason
R.C.Zeleznik,
Mark
Demonstration",Cambridge
Computer,34(3),(2001)よ
Between
scenes",In 図7.11
and
Lin,Mark
Tighter
図7.10
I Do:Programming
Design",IEEE
James
by
り。 許 諾 を 得 て 転 載
Interface 図7.9
I Do:Programming
り。 許 諾 を 得 て 転 載
the
DigitalDesk.",Communications
Steven,Maclntyre,
Blair
Reality",Communications and
Interaction
Katashi with
Technology(1995)よ
on
Real
of
Nagao:"The
World
World
Environments",User
of and
the
through
Seligmann, ACM,36(7).
the
Computer: Interface
り。 許 諾 を 得 て 転 載
参 考文献 1) B.Shneiderman:"Dynamic
queries
for
visual
information
seeking",IEEE
Software 11,6,pp.70‐77(1994). 2) K.Perlin,and In.Proc.of
D.Fox:"Pad:An SIGGRAPH
3) T.Igarashi,and large 4) E.A.
K.
Approach
Hinckley:"Speed‐dependent
documents",In
Proc.of
UIST
see‐through
5) A.Cypher:"Watch Press(1993).
to the
Computer
Interface",
automatic
What
zooming
for
browsing
2000,pp.139‐148(2000).
Bier,M.Stone,K.Pier,W.Buxton,and
lenses:the
MIT
Alternative
93,pp.57‐64(1993).
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Graphical
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Repetitive
Tasks
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and
Proc.of
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S.Feiner:"Interactive,Constraint‐Based
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S.Feiner:"Inferring
Transactions
on
10) D.Kurlander,and of UIST
and
Replace",
Constraints
Graphics,Vol.12,
S.Feiner:"A
from
Multiple
Snapshots",
No.4,pp.277‐304(1993).
history‐based
macro
by
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Design",In
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Computer
for
the
for
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with
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DigitalDesk",
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Maclntyre,
Blair,
Seligmann,
Reality",Communications
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with
and
of the World Real
World
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Ul‐trasound
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of
of
coordinate
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camera
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environment Hill
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technique:non‐linear
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dolls:seamless Proc.of
Pausch:"Virtual CHI,
27) J.Viega,M.Conway,G.Williams
interaction
at
I3D,pp.141‐145(1999). reality
on
a WIM:interactive
pp.265‐272(1995).
and
R.Pausch,"3D
magic
lenses", In
Proc.of
UIST,pp.51‐58(1996). 28) D.Schmalstieg
and
mechanism Vol.8,
to No.4,
G.
Schaufler,"Sewing
construct
complex
IEEE
30) J.Pierce, plane
together
with
SEAMS:a
environments",Presence,MIT
Press,
pp.449‐461(1999).
29) S.Stoev,D.Schmalstieg Proc.of
worlds
virtual
and
Virtual
A.
W.Srtaβer,"The
Reality,
through‐the‐lens
Forsberg,M.Conway,S.Hong,R.Zeleznik
interraction
metaphor",
In
pp.285‐286(2002).
techniques
in
3D
and
immersive
M.
environments",
Mine,"Image
In
Proc.of
I3D,
pp.39‐43(1997). 31) D.Schmalstieg,
L.Encarnacao
interaction
with
32) Shumin
the
Zhai:"Human
elastic
and
John
input",In
34) Andreas
Simon and
as
and
isotonic
an
I3D,pp.147‐153(1999).
six
of freedom
in
degree
Plate:"The
Proc.of Bernd
CHI,
input
props
for
control",Ph
D
cubic
Proc.of
to
new
YoYo:a INTERACT,
P.Reuter,"The
alternative
mouse:a
device
for
three‐
device
combining
pp.526‐531(2000).
Frohlich:"The
input",In
35) M.Hachet,P.Guitton,and action
transparent
Proc.of
ofToronto(1995).
Frohlich
dimensional
Z.Szalavari,"Using
table",In
performance
thesis,University 33) Bernd
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virtual
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CAT
for
adaptations",
In
efficient
2D
Proc.of
and
3D
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VRST,pp.205‐212
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本 バ ー チ ャ ル リ ア リ テ イ 学 会 誌,
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A.Tomono,and
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No.3(2004).
Tetsutani,"Projection‐vased
IEEE
Virtual
Reality,
pp.43‐50
(2004). 38) 特 集 「HMD」,日
本 バ ー チ ャ ル リ ア リ テ イ 学 会 誌,
39) H.Nagahara,Y.Yagi, optics",In
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VRST,
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Yachida:"Super
SIGGRAPH
reality:the 93,
wide
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40) C.Crus‐Neira,D.J.Sandin,and virtual
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DeFanti:"Surround‐screen
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projection‐based the
CAVE",In
Proc.of
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Koller
Meier,T.Svoboda,L.Van "bl
ue‐c:a
Proc.of
Gool,S.Lang,K.Strehlke,A.Vande
spatially
immersive
SIGGRAPH
2003,
display
and
shared
and
workbench:support space",In
Proc.of
for
collaboration
SIGGRAPH
display
for three
of
251‐259 44) D.A.
more
gestures Graphics
using Forum,
for
telepresence",In
P.Hanrahan:"The through
two‐user
individual
F.Kishino:"Interactive users",
In Proc.of
T.Higashi,T.Iida,and
hand
Computer
or
portal
SIGGRAPH
estimation
Vol.20,
with
No.3(In
Proc.of
stereoscopic
computer
multiple
regression
EUROGRAPHICS
(2001). Norman:"The
45)J.Nielsen:"Usability
Design
of
2001,pp.231‐239(2001).
F.Kishino:"Interactive
status
views
97,pp.327‐332(1997).
43) Y.Kitamura,T.Konishi,S.Yamamoto,and
44)Y.Kitamura,
Moere,O.Staadt: video
pp.819‐827(2003).
42) M.Agrawala,A.C.Beers,B.Frohlich, responsive
3D
of Everyday
Engineering",published
Things",Basic by
Books,September(2002). Morgan
Kaufmann(1994).
animation analysis", 2001),pp.
a
第8章 GPUに
よる リアルタ イム レンダ リング 日本SGI株式会社 柿 本 正憲 北海道大学大学院 土橋 宜典
8.1 は じめ に 現 在 広 く使 わ れ て い るGPU(Graphics
Processing
フ ィ ッ ク ス ハ ー ド ウ ェ ア の 原 型 は,Jim Geometry
Engine1)に
Unit)と
Clarkが1982年
見 る こ と が で き る 。Geometry
基 本 ア ー キ テ ク チ ャ を確 立 し た の は,Kurt
彼 は1986年,3次
元 物 体 の 表 面 を 三 角 形 で 表 現 し,頂
換 し た の ち 三 角 形 内 部 の 塗 りつ ぶ し処 理2)を 行 い,Zバ
に発 表 した
Engine技
せ 現 在 のGPUの
奥 行 き バ ッ フ ァ,ま
よば れ る グ ラ
術 を発 展 さ
Akeleyで
点 を2次
ある。
元 座 標 に変
ッ フ ァ(デ プ スバ ッ フ ァ,
た は 深 度 バ ッ フ ァ)を 使 っ て 隠 面 消 去 を行 う と い う手 法 を ハ
ー ドウ ェ ア で 実 現 した3),4)。 そ の 後 は,処
理 速 度 の 向 上5),6)と い う 形 で グ ラ フ ィ ッ ク ス ハ ー ド ウ ェ ア は
進 歩 し て き て 現 在 に 至 っ て い る 。1986年 ア の 性 能 向 上 の グ ラ フ を 図8.1に こ の グ ラ フ で1990年 (90年
∼98年)とPCグ
1年 で 約2.3倍 と に2倍
以 降 の グ ラ フ ィ ッ クス ハ ー ドウ ェ
示 す。
以 降 の 性 能 の 伸 び を 見 る と,ワ ラ フ ィ ッ ク ス(99年
と な っ て お り,ム
∼2005年)の
ー クス テ ー シ ョン そ れ ぞ れ に つ い て,
ー ア の 法 則7)(「 半 導 体 の 集 積 度 は1∼2年
向 上 す る 」)の 数 字 を 上 回 っ て い る 。
こ の 間 の イ ノ ベ ー シ ョ ン と 言 え る 質 的 な 進 歩 は,1990年 GraphicsVGXで *1図8
ご
.1で はPCグ
桁 下 が って い る。
のSilicon
実 現 さ れ た リ ア ル タ イ ム テ ク ス チ ャ マ ッ ピ ン グ 技 術5),
ラ フ ィ ッ ク ス 登 場 の 時 点 で 性 能 は1桁
下 が っ て い る が,コ
ス トは2∼3
図8.1
グ ラ フィ ッ クスハ ー ドウ ェ アの 性 能。 各 年 代 での ハ イエ ン ドの マ シ ンが毎 秒 処 理 で きる 三 角 形 の 数,い わ ゆ る ジ オ メ トリ性 能(ポ リ ゴ ン性 能)の カタ ログ値 を指標 と して い る。
1990年
代 後 半 か ら のPCベ
2001年
のNVIDIA社
Unit)8)の
ー ス の グ ラ フ ィ ッ ク ス ハ ー ド ウ ェ ア の 台 頭*1,
に よ る プ ロ グ ラ マ ブ ルGPU(Graphics
Processing
登 場 で あ る。
テ ク ス チ ャ マ ッ ピ ン グ*2を ハ ー ドウ ェ ア で 実 現 す る メ カ ニ ズ ム の 実 体 は, 画 像 を 画 素 ご と に 処 理 す る 並 列 プ ロ セ ッ サ で あ り,こ
れ を 利 用 し て 影9)や バ
ン プ マ ッ ピ ン グ10),11)の処 理 を 高 速 に 行 う 手 法 が 考 案 さ れ た 。 ま た,レ リ ン グ 結 果 を 格 納 す る フ レ ー ム バ ッ フ ァ を,中 用 す る こ と に よ っ て,モ
各 種 技 法 が,現
間 結 果 格 納 用 メ モ リ と して 利
ー シ ョ ン ブ ラー や 被 写 界 深 度 効 果 を リ ア ル タ イ ム で
実 現 す る技 術12)が1990年 こ の よ う な,画
ンダ
に 実 現 さ れ て い る。
像 メ モ リ(テ ク ス チ ャ メ モ リ,フ
レ ー ム メ モ リ)を 用 い た
在 の グ ラ フ ィ ッ ク ス ハ ー ドウ ェ ア を 使 っ た リ ア ル タ イ ム レ ン
ダ リ ン グの 原 点 とな っ て い る。 本 章 の 前 半 で は,ま
ず,8.2節
でGPUを
用 い た リ ア ル タイ ム レ ン ダ リ ン
グ を実 現 す る基 礎 とな る グ ラ フ ィ ッ ク スパ イ プ ラ イ ンに つ い て 述 べ る 。 つ づ い て,8.3節
で グ ラ フ ィ ッ ク ス パ イ プ ラ イ ン の 機 能 を よ り柔 軟 に 活 用 す る た
め の プ ロ グ ラ マ ブ ルGPUに GPUを
つ い て 述 べ る 。 本 章 の 後 半(8.4節
以 降)で
は,
利 用 して 各 種 レ ン ダ リ ン グ ア ル ゴ リズ ム を リ ア ル タ イ ム で 実 現 し た
*2画 像 を物 体 表面 には りつ けて リア リ テ ィを 上 げ る手 法
。
研 究 例 を紹 介 す る。 な お,ビ
ジ ュ ア ル コ ン ピュ ー テ ィ ング の 分 野 で 具 体 的 な デ ー タに対 す る表
示 性 能 に つ い て述 べ る場 合,「 リ ア ル タイ ム 」は60fps(フ 30fps以 上 の 表 示 処 理 を指 す 。30fps未 満 で5∼6fps以
レー ム 毎 秒)ま た は
上 の場 合 は 「イ ン タラ
ク テ ィ ブ」な表 示 性 能 と言 うの が 通 例 で あ る。 本 章 で は 一 般 論 を述 べ て い る た め,広
い 意 味 で 数fps以 上 の 表 示 処 理 を リ ア ル タ イ ム レ ン ダ リ ン グ と よん
で い る。
8.2 8.2.1
グ ラ フ ィ ッ ク スハー
ドウ ェ ア
グ ラ フ ィ ック スパ イ プラ イ ン の基 本 構 成
グ ラ フ ィ ッ ク ス パ イ プ ラ イ ン は,G(Generation), (Transformation/Xformation),S(Scan の 機 能 別 タ ス ク か ら 構 成 さ れ る4)。 図8.2の
T(Traversal),X
conversion),D(Display)の5つ 上部 には各 タス ク間で受 け渡 さ
図8.2 グ ラ フ ィ ッ クスパ イプ ラ イ ンの全 体 構 成
れ る 情 報 の 種 類 を,下
部 で は,各
タス クが 実 際 に ど の よ うな ハ ー ドウ ェ ア
/ソ フ トウ ェ ア に よ っ て 実 現 さ れ る か を 示 す 。 図 中,楕 表 す 。vertex
shader,fragment
換 え る プ ロ グ ラ ム で,プ
shaderの
円形 は ソ フ トウ ェ ア を
二 つ は 本 来 の処 理 の 一 部 を置 き
ロ グ ラ マ ブ ルGPUで
の み 利 用 で き る 。 詳 細 は8.3
節 で述べ る。 以 下,グ
ラ フ ィ ック ス パ イ プ ラ イ ンの 各 タス クに 関 して概 略 を述 べ る。 こ
の パ イ プ ラ イ ン は,各
フ レ ー ム ご と に 最 初 か ら 最 後 ま で 処 理 が 行 わ れ,そ
が 毎 フ レ ー ム 繰 り 返 さ れ る 。 本 稿 で は,各
れ
タス クの 処 理 を ス テ ー ジ と よ ぶ こ
とに す る。 (1)Generation:表
示用 データの生成
G(Generation)ス
テ ー ジ で は,表
示 し た い3次
元 モ デ ル の デ ー タ を,ア
プ
リケ ー シ ョ ンが 定 義 す る デ ー タ構 造 に した が っ て 主 メモ リ上 に構 築 あ る い は 更 新 す る 。こ の 主 メ モ リ 上 の デ ー タ構 造 は し ば し ば シ ー ン グ ラ フ と よ ば れ る 。 Gス
テー ジ を 実 行 す る の は,CPUで
動 作 す る ア プ リ ケ ー シ ョ ンや ラ イ ブ ラ
リで あ る 。 具 体 的 な 処 理 と し て は,ま ム で の 視 点 の 位 置 や,物
ず ユ ー ザ の 入 力 に 応 じ て,そ
の フ レー
体 の 位 置 ・形 状 等 を 計 算 す る 。 つ ぎ に,必
要 に応 じ
て 視 野 に 入 っ て い な い 物 体 グ ル ー プ を 取 り 除 く カ リ ン グ(Culling)処 い,表
理 を行
示 す べ き シ ー ング ラ フ を確 定 す る 。
(2) Traverse:デ
ー タ の トラ バ ー ス と 転 送
T(Traverse)ス
テ ー ジ で は,構
OpenGL13)やDirectXな
築 さ れ た シ ー ン グ ラ フ を た ど り,
ど のHAL(Hardware
Abstraction
Layer)の
関数呼
び 出 しに よ って 三 角 形 の頂 点 デ ー タ群 を グ ラ フ ィ ック ス ハ ー ド ウ ェ ア に送 る 。Tス
テー ジ は,ア
プ リ ケ ー シ ョ ン が 行 っ た り,HALの
ラ イ ブ ラ リ が 行 っ た りす る が,最
終 的 に はOpenGLド
上 位 に位 置 す る ラ イ バ やDirectXド
ラ イバ が す べ て の デ ー タ を 出力 す る。 Generationお
よ びTraverseはCPU側
の 処 理 で あ り,本
書 で は詳 細 は触
れ な い。 (3) Transform(Xform):頂 ま ず,三
点 の 変 換 と照 光 処 理
角 形 の 頂 点 の(x,y,z)デ
情 報 や 三 角 形 の 明 る さ 情 報 を,前
ー タ や 座 標 変 換 行 列 デ ー タ の ほ か,光 段 のTraverseか
ら受 け 取 る 。 つ ぎ に,各
源
頂 点座 標 をス ク リー ン上 の3次 元座 標(2次 元 ス ク リー ン座 標 と奥 行 きのz値) に 変 換 し,各 頂 点 の 明 る さ も計 算 す る。Xス
テ ー ジの 処 理 はGPUの
チ ップ
上 で 行 わ れ る場 合 が 多 い。 詳細 は8.2.2で 述 べ る。 (4) Scan
conversion:画
素 の 塗 り つ ぶ し処 理(走 査 変 換)
ス ク リ ー ン座 標 系 の 三 頂 点 と して与 え られ た各 三 角 形 の 内部 に存 在 す る全 画 素 につ い て,RGBの
明 る さ を計 算 す る 。 ま た,三
角 形 上 で各 画 素 に対 応
す る点 の奥 行 き(z値)も 計 算 し,最 終 的 に は 一 番 手 前 と な る三 角 形 につ い て そ の 画 素 の 明 る さ とす る。 結 果 は フ レー ム メ モ リ上 に画 像 デ ー タ と して書 き 込 む 。Sス テ ー ジ の処 理 はGPUで
行 わ れ る。 詳 細 は8.2.3お よ び8.2.4で 述
べ る。 (5) Display:表
示用信号 への変換
フ レー ム メ モ リ の画 像 デ ー タ を読 み 出 し,固 定 レー トの 同 期 信 号(ビ デ オ の 垂 直 同期)に した が っ て ビデ オ 信 号 と して コ ネ ク タか ら 出力 す る 。 8.2.2
頂 点 処理
X(Transformation)ス つ は,3次
テ ー ジ の 処 理 は,お
元 の 各 頂 点 デ ー タ(x,y,z)を2次
ウ ィ ン ドウ座 標)に 変 換 す る処 理,二
お ま か に 言 う と二 つ あ る 。 一 元 の ス ク リー ン座 標(厳 密 に は
つ 目 は,各 頂 点 に 関 して,光 源 や 材 質
情 報 を も と に 明 る さ(色)を 計 算 す る 照 光(lighting)計 二 つ(Transformation TnL処
and
Lighting)の
算 処 理 で あ る。 この
処 理 を総 称 してT&L処
理 あるい は
理 と よぶ 。
頂 点 の 座 標 変 換 処 理 の 内 容 を 図8.3に 示 す 。 こ こ で は,OpenGL13)で
図8.30
penGLに
お け る頂 点変 換 処 理
の変
換 の順 序 を示 す 。 物 体 を定 義 す る 頂 点 座 標 は,モ デ リ ン グ座 標 系 か ら最 終 的 に は ウ ィ ン ドウ座 標 系 に変 換 され,画 面 上 の一 点 に対 応 づ け ら れ る。 こ の 処 理 の 実 体 は4×4の 行 列 と4次 元 ベ ク トル の 乗 算 で あ り,GPU上
の頂点ユ ニ
ッ トに あ る 複 数 の 浮 動 小 数 点 演 算 器 に よ っ て実 行 され る。 照 光 処 理 の 主 な 内 容 は,各 頂 点 に お い て 光 源 か ら照 ら され る局 所 ラ イ テ ィ ン グの 輝 度 計 算 で あ る。 材 質m上
の 頂 点iのRGB輝
度Ciは 次 の よ う な式 で
表 され る。
(8.1) こ こ で,Emは
材 質m自
体 が 発 光 す る放 射 成 分,Glmは
を 近 似 す る成 分 で あ る。nは 光 源 の 数,Aijは
材 質mの
大 域 環境 光
光 源jか ら頂 点iま で の 距 離 に
依 存 す る 減 衰 係 数,Sijは 光 源jの 頂 点iに 対 す る ス ポ ッ トラ イ トを考 慮 した 減 衰 係 数 で あ る 。Amjは 光 源jの 材 質mに
対 す る 環 境 光 成 分,Dmijは
材 質m
上 の 頂 点iに お け る 光 源jの 拡 散 反 射(ラ ンバ ー ト反 射 ま た は デ ィフ ュ ー ズ)
図8.4
InfiniteRealityグ 現 在 のGPUで 1チ
ラ フ ィッ ク ス のGEボ
は こ の 図 のGEボ
ップ化 され て い る。
ー ドの 構 成[文 献14)を
ー ド と 図8.6のRMボ
ー ドが,メ
参 考 に 作 成]。 モ リを 除 けば
成 分,Smijは
鏡 面 反 射(ス
pp.205‐208で
述 べ られ て い る。
式(8.1)の,Aij,Sij以 計 算 はRGBそ にGPUの
ペ キ ュ ラ 反 射)成
外 の 各 項 はRGBカ
分 で あ る 。 詳 細 は 文 献13),
ラ ー を 表 す3次
元 ベ ク トル で あ り,
れ ぞ れ に つ い て 行 わ れ る 。 こ の 計 算 も,座
標 変換 処 理 と同 様
頂 点 ユ ニ ッ トの 浮 動 小 数 点 ベ ク トル 演 算 器 に よ っ て 実 行 さ れ る 。
頂 点 処 理 を 行 う ハ ー ド ウ ェ ア の 例 を 図8.4に GPUの
基 本 と な っ て い るSGI社
GE(Geometry
Engine)ボ
OpenGLな
示 す 。 こ こ で は,現
のInfiniteRealityグ
ラ フ ィ ッ ク ス6),14)の
ー ドを取 り上 げ る。
ど の プ ロ ト コ ル に し た が っ て 入 力 さ れ る3次
構 成 要 素 は,モ
在 の
元 デ ー タの 主 要 な
デ リ ン グ 座 標 系 の 頂 点 座 標 で あ る 。 座 標(x,y,z),法 ク ス チ ャ 座 標*3(s,t),カ
線(nx,
ny,nz)の
ほ か,テ
ラ ー デ ー タ(r,g,b,a)[aは
不透
明 度]を
含 む 。 座 標 以 外 の デ ー タ が 指 定 さ れ な い 頂 点 に つ い て は,そ
の時点
で 最 後 に指 定 され て い た値 が 流 用 され る 。 こ れ ら の デ ー タ は,図
中 のHIP(Host
Interface
Processor)と
に よ っ て 処 理 し や す い 形 式 に 変 換 さ れ,GED(Geometry Distributor)チ (Geometry
ッ プ に よ っ て,頂 Engine)チ
処 理 を 行 う 。GEチ で は 最 大12個
点 を 並 列 に 扱 い,前
ッ プ はGEボ
Element
点 デ ー タ が 複 数 の 頂 点 処 理 を 行 うGE
ッ プ に分 配 され る。 GEチ
点 演 算 ユ ニ ッ ト に よ っ て,3頂
い うチ ップ
ー ド上 に4個
ッ プ で は,3つ
の 浮 動小 数
述 の 座 標 変 換 処 理 と照 光
搭 載 さ れ て お り,ボ
ー ド全 体
の 頂 点 が 並 列 に 処 理 さ れ る 。 こ れ ら の 処 理 の 手順 は,マ
イ ク
ロ コ ー ド と し て あ ら か じ め チ ッ プ 内 に 埋 め 込 ま れ る 。 出 力 結 果 はFIFOバ フ ァ に 集 め ら れ,Triangle
Busを
通 じ て,次
のS(Scan
conversion)ス
ッ テー
ジに送出 される。 こ の 出 力 デ ー タ の 内 容 は,頂 法 線,テ Xス
ク ス チ ャ座 標,さ テ ー ジ で は,頂
点 の ウ ィ ン ド ウ 座 標,視
点 デ ー タ を 使 っ た ほ か の 処 理(テ
裏 面 カ リ ン グ な ど)も 行 わ れ る 。 た と え ば,視 の(nx,ny)を
点座 標 系 に変換 され た
らに は照 光 処 理 の 結 果 とな る カ ラー デ ー タを含 む 。
そ の ま ま2次
ク ス チ ャ座 標 生 成 や
点座標 系の正 規化 された法線
元 テ ク ス チ ャ 座 標(s,t)と
し て コ ピ ー す れ ば,環
*3そ の 頂 点 が テ ク ス チ ャ用 の 画像 の どの 位 置 に対 応 す るか を示 す た め の 座標 で s,tと もに[0,1]の
間の 値 をと る。
,通 常 は
境 マ ッ ピ ング が 実 現 で き る。 視 点座 標 系 の頂 点 デ ー タか ら三 角 形 の表 裏 を判 定 し て,裏
向 き の 三 角 形 の 頂 点 を そ の 時 点 で 捨 て れ ば,裏
面 カ リ ング が 実 現
で き る。 ま た,各
三 角 形 ご と に,傾
き に 応 じて 座 標 や カ ラ ー デ ー タ な ど の 画 素 単 位
の 増 分 値 を あ ら か じめ 計 算 し て お く,ト
ラ イ ア ン グ ル セ ッ トア ップ と よば れ
る 処 理 も こ こ で 行 わ れ る*4。 こ の 情 報 は 次 のS(Scan
Conversion)の
ステー
ジで 行 わ れ る三 角 形 内 部 の補 間 処 理 で利 用 され る。 8.2.3
フ ラ グ メ ン ト生 成
Sス テ ー ジ で は,Triangle に,画
Busを
通 じて 入 力 され た 三 角 形 の頂 点情 報 を元
素 間 隔 で の 塗 りつ ぶ し を 行 う 。Sス
テ ー ジ の 処 理 は,走
査 変 換(ラ
ス
タ ラ イ ズ 処 理 と も よ ば れ る)・ テ ク ス チ ャ 合 成 を 行 う フ ラ グ メ ン ト生 成 と, 画 素 単 位 で 特 殊 効 果 付 与 や 選 別 を 行 う フ ラ グ メ ン ト処 理(8.2.4)の2段
階 に
分 け られ る。 フ ラ グ メ ン トは,走
査 変 換 に よ り三 角 形 や 線 分 な どの プ リ ミテ ィ ブ を画 素
単 位 の 情 報 に 分 解 し た も の で,色
デ ー タ,z座
標 の 値,テ
の 情 報 か ら な る 。 あ る 位 置 の 画 素 に 注 目 す る と,そ
ク ス チ ャ座 標 な ど
の 画 素 に か か る プ リ ミテ
ィ ブ の 個 数 分 だ け フ ラ グ メ ン トが 生 成 さ れ る 。 フ ラ グ メ ン ト生 成 で は,ま 三 角 形 内 部 で 画 素 単 位 に 前 記 デ ー タ の 値 を 線 形 補 間2)し,次 色 デ ー タ と,補
に,補
ず
間結 果 の
間 結 果 の テ ク ス チ ャ 座 標 か ら求 ま る テ ク ス チ ャ の 色 デ ー タ と
の合 成 を行 う。 三 角 形 内 部 の 走 査 変 換 の 手 順 を 図8.5に Bresenhamの
示 す 。 ま ず2頂
ア ル ゴ リ ズ ム15)を 用 い て た ど り な が ら,辺
点 を 結 ぶ 辺 を,
上 の各 画 素 に 関 し
て 補 間 結 果 を 求 め る 。 次 に 縦 方 向 に 内 部 の 画 素 を た ど り な が ら*5,補 を 求 め る 。 マ ル チ サ ン プ リ ン グ*6の
間結果
ア ンチ エ イ リ ア シ ン グ を 行 う 場 合 は,こ
の 段 階 で 通 常 の 画 面 の 画 素 よ りも細 か いサ ブ ピ クセ ル単 位 の 処 理 を 始 め る。 *4InfiniteRealityグ ラ フ ィ ック スで は
,セ ッ トア ップは行 っ てい な い。 小 さ な三角 形 が多
数 あ る場 合 の オ ーバ ーヘ ッ ドが 大 きい か ら とい う設 計上 の判 断 で あ る 。 現 在 のGPUで セ ッ トア ップ を行 う場 合 が多 い。 *5InfiniteRealityグ ラ フ ィ ック ス で は
は
,こ の 部 分 は,各 画 素 につ い て三 角 形 の 平 面 の 方
程 式 を評 価 す る こ と に よ り補 間 を行 う。
図8.5 三角 形 の走 査 変 換処 理
テ ク ス チ ャ を 使 用 す る 場 合 は,テ が 行 わ れ,各
ク ス チ ャ 座 標(s,t)に
画 素 ご と に 対 応 す る テ ク ス チ ャ 画 素(テ
対 して 同様 の 補 間
ク セ ル と よ ば れ る)が
テ クス チ ャ メ モ リか ら取 り出 され る。 照 光 処 理 結 果 の 色 デ ー タ とテ クセ ル と の 合 成 方 法 は,テ
ク ス チ ャ 環 境(Texenv)と
ー シ ョ ンが 選 択 す る
よ ば れ る 設 定 に よ り,ア
プ リケ
。
こ の よ う に し て 生 成 さ れ た フ ラ グ メ ン ト は,最
終 的 な画 素 の 候 補 と して フ
ラ グ メ ン ト処 理 部 に 送 ら れ る 。 図8.6に,Sス Generator)で
テ ー ジ の 処 理 を行 う ボ ー ドの 構 成 例 を示 す 。 PG(Pixel 照 光 処 理 結 果 の 補 間 処 理 を,TG(Texture
ス チ ャ 座 標 の 補 間 処 理 を 行 う 。TF(Texture テ ク セ ル の 合 成 処 理 を 行 い,フ
Generator)で
Filter)で
は,照
光処理結 果 と
ラ グ メ ン トを 生 成 す る 。 こ こ で,必
て フ ォ グ 効 果 の 付 加 が 行 わ れ る 。 具 体 的 に は,補
間 さ れ たzの
テク
要に応 じ
値 に 応 じ て,
色 デ ー タ に対 して 白色 等 を合 成 す る 。 8.2.4
フ ラ グ メ ン ト処 理
以 上 の よ う に し て 得 ら れ た フ ラ グ メ ン ト に 対 し て,画 が 行 わ れ る 。 こ れ は,多
素単 位での各種処理
数 の イ メ ー ジ 処 理 プ ロ セ ッ サ(図8.6のIMP)に
よ
っ て 並 列 に 実 行 され る。 *61画 素 の 正 方 形 を さ らに細 か く(た とえ ば8×8に)分
割し
,そ の 中 の数 点 を選 んで そ れ
ら の位 置 を 画 素 とみ な して走 査 変 換 を行 い,結 果 の 平 均 を元 の 画素 の 結 果 とす る こ と に よ りア ンチ エ リア シ ン グ を実現 す る。
図8.6
InfiniteRealityグ
ラ フ ィ ッ ク ス のRMボ
ー ドの 構 成[文
献14)を
参 考 に 作 成]。
現
在 のGPUで は,フ レ ー ム メ モ リ と テ ク ス チ ャ メ モ リが 物 理 的 に 一 つ の メ モ リ空 間 を構 成 す る場 合 が 多 い。
図8.7 フ ラ グ メ ン ト処 理 の 流 れ[文 献16)を 参 考 に作 成]
代 表 的 な もの は,Zバ
ッ フ ァ処 理 を実 行 す る デ プ ス テ ス トで,そ
の位 置 の
画 素 に関 して こ れ まで 処 理 さ れ た フ ラ グ メ ン トの う ち 最 大 のz値 よ り大 きい zを 新 た な フ ラ グ メ ン トが 持 っ て い れ ば 更 新 を行 い,そ
うで な け れ ば元 の フ
ラ グ メ ン トを残 す 。 そ の ほ か,ア ル フ ァテ ス ト,ス テ ン シル テ ス ト,既 存 の色 デ ー タ との 合 成, カ ラ ー マ ス ク処 理 な どが 行 わ れ る。 これ らの 処 理 の 詳 細 は 文 献13)に れ て い る 。 図8.7は,OpenGLで る。 こ の モ デ ル で は,ハ
記さ
の フ ラグ メ ン ト処 理 部 分 の 処 理 モ デ ル で あ
ー ドウ ェ ア実 装 と して は フ ラ グ メ ン ト生 成 部 に属 す
る フ ォグ処 理 と ア ンチ エ イ リア シ ン グ処 理 が,フ
ラ グ メ ン ト処 理 の 最 初 の ほ
うで 示 さ れ て い る。
8.3
プ ロ グ ラ マ ブ ルGPU
前 節 で 述 べ た パ イ プ ラ イ ン処 理 は,グ
ラ フ ィ ック ス ハ ー ドウ ェ ア の基 本 処
理 で あ り,固 定 機 能 パ イ プ ラ イ ン また は 固 定 パ イ プ ライ ン と よば れ る。 各 種 機 能 の 実 装 は,Xス
テ ー ジ の 頂 点 処 理 プ ロ セ ッサ(図8.4のGEチ
Sス テ ー ジ の テ ク ス チ ャ フ ィ ル タ(図8.6のTF),イ (図8.6のIMP)に
ップ)や,
メ ー ジ 処 理 プ ロ セ ッサ
お け る マ イ ク ロ コー ドで 行 わ れ て い る。
レ ンダ リ ン グ処 理 へ の 要 求 が 高 ま る につ れ,多
くの マ イ ク ロ コー ドを追 加
実 装 す る必 要 が 出 て きた 。 こ れ らの 要 求 一 つ 一 つ に複 雑 な マ イ ク ロ コー ドの 追 加 で 対 応 す る代 わ りに,Lindholmら
は,基 本 的 な演 算 を行 う単 純 な マ イ
ク ロ コー ドを複 数 用 意 し,こ れ ら を命 令 セ ッ トと して 公 開 し た8)。 ア プ リケ ー シ ョン プ ロ グ ラマ は,こ れ らの命 令 を組 み 合 わ せ る こ とで,既 存 の 固 定 機 能 パ イ プ ラ イ ンで は不 可 能 な処 理 を実 装 で き る よ う に な っ た 。 こ の よ うなGPUを 本 節 で は,プ
プ ロ グ ラマ ブ ルGPUと ロ グ ラ マ ブ ルGPUを
よぶ 。 活 用 す る た め の 頂 点 シ ェー ダ、 フ ラ グ
メ ン トシ ェ ー ダ とそ れ らの周 辺 技 術 に つ い て 解 説 す る。 8.3.1
マ ル チ パ ス レン ダ リン グ
プ ロ グ ラマ ブ ルGPUが
登 場 す る以 前 か ら,固 定 機 能 パ イ プ ラ イ ン を複 数
回 使 っ た特 殊 処 理 の 実 現 は行 わ れ て お り,そ れ ら はマ ル チ パ ス レ ン ダ リ ング
と よ ば れ て い る 。 た と え ば,蓄
積 バ ッ フ ァ と よば れ る フ レー ム メモ リに複 数
回 の 描 画 結 果 を 合 成 す る こ と で 被 写 界 深 度 や モ ー シ ョ ン ブ ラー を 実 現 す る 技 術12)は 一 種 の マ ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ で あ る 。 典 型 的 な マ ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ は,テ 格 納 し,こ
ク ス チ ャ メ モ リに 中 間 描 画 結 果 を
れ を 利 用 し て 再 び 描 画 を 行 う 処 理 で あ る 。 投 影 テ ク ス チ ャ を使 っ
た 影 の 計 算9)や,キ
ュ ー ブ マ ッ ピ ン グ 技 術17)は そ の 代 表 的 な 例 で あ る 。
8.4節 以 降 で 紹 介 す る リ ア ル タ イ ム 描 画 技 法 の 多 く は,マ リ ン グ を 用 い て 実 現 さ れ て い る 。 ま た,プ も,全
ルチパス レンダ
ロ グ ラ マ ブ ルGPUを
用 い た処 理
体 の 流 れ と し て は マ ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ を 行 っ た り,マ
ル チパ ス で
実 現 して い た ア ル ゴ リズ ム を シ ン グ ルパ ス で 実 現 した り して い る。 こ の よ う に,マ
ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ の 概 念 は,GPUで
柔 軟 な処 理 を実 現 す る 上 で
基 本 とな る 考 え で あ る 。 8.3.2
オ フ ス ク リー ン レ ン ダ リ ン グ とPbuffer
プ ロ グ ラ マ ブ ルGPUで
リ ア ル タ イ ム レ ン ダ リ ン グ を 行 う 際 に は,マ
ル チ
パ ス レ ン ダ リ ング の 中 間 結 果 の 画像 を テ クス チ ャ メ モ リ に格 納 す る の が 一 般 的 で あ る 。マ ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ で も っ と も古 くか ら使 わ れ て い た 手 段 は, い っ た ん フ レー ムバ ッ フ ァ に描 画 し た画 像 を テ ク ス チ ャ メモ リに コ ピー す る 方 法 で あ る 。 た と え ば,OpenGLで
あ れ ばglCopyTexImage2Dと
い う呼 び
出 しを 行 う。 こ れ に 対 し,中
間 画 像 を 格 納 す る こ と を 目 的 と し たPbuffer(Pixel
と よ ば れ るGLX(OpenGL
Extension
to X Window
System)の
さ れ た18)。 実 際 に ス ク リ ー ン に 表 示 さ れ な い 描 画 領 域 は,一 ー ンバ ッ フ ァ と よ ば れ
,そ
Buffer) 仕様 が導入
般 に オ フス ク リ
こ に 描 画 結 果 を出 力 す る こ と を オ フ ス ク リー ン レ
ン ダ リ ン グ と よ ぶ 。Pbufferは
オ フ ス ク リ ー ン バ ッ フ ァ の 一 種 で あ り,も
っ
と も処 理 効 率 の よ い も の と さ れ て い る 。 ハ ー ド ウ ェ ア ベ ン ダ は,Pbuffer機
能 を ハ ー ド ウ ェ ア 実 装 す る 際 に,処
効 率 の よ い 最 適 な 方 法 を 取 る よ う に し て い る 。 た と え ば,Pbufferに た の ち テ ク ス チ ャ に コ ピ ー し た 場 合 に は,物
理
描画 し
理 的な コピーを行わず にその メ
モ リ ア ド レ ス 領 域 の 扱 い を 変 え る だ け に す る こ と が で き る 。 こ れ はrender to textureと
よ ば れ る 機 能 で,中
間 結 果 を 受 け 渡 す 最 速 の 方 法 と して 現 在 一
般 的 に利 用 され て い る 。 Pbufferは,Xウ
ィ ン ドウ シ ス テ ム だ け で な くマ イ ク ロ ソ フ トのWindows
や ア ップ ル のMacOSXで
も利 用 で き る よ う に な っ て い る。
な お,Pbufferは,よ
り洗 練 され た デ ー タ構 造 で あ る フ レー ム バ ッフ ァ オ
ブ ジ ェ ク トに よ って 置 き換 え られ つ つ あ る(8.3.6参 照)。 8.3.3
マ ル チ テ クス チ ャと レ ジス タ コンバ イ ナ
プ ロ グ ラマ ブ ルGPUが
登 場 す る少 し前 に,複 数 の テ ク ス チ ャ を一 つ の ポ
リ ゴ ンに対 して 適 用 で き るハ ー ドウ ェ ア(NVIDIA社
のGeFORCE256)が
実
現 さ れ た 。複 数 の テ ク ス チ ャ画 像 を合 成 す る 部 分 は レ ジ ス タ コ ンバ イ ナ と よ ば れ,ア
プ リケ ー シ ョ ン に よ っ て 柔 軟 な構 成 を 設 定 す る こ とが で きる19)。
レ ジ ス タ コ ンバ イ ナ の 位 置 づ け は,固 定 機 能 パ イ プ ラ イ ンに お け る,照 光 処 理 結 果 と テ ク ス チ ャ 画 素(テ ク セ ル)を 合 成 す る部 分(図8.6のTF)す
なわ
ち テ ク ス チ ャ環 境 と 同等 で あ る。 ア プ リ ケ ー シ ョ ン は既 存 の テ ク ス チ ャ環 境 を迂 回 して レ ジス タ コ ンバ イ ナ を 利 用 す る。 レジ ス タ コ ンバ イ ナ で は,複 数 の テ ク ス チ ャ 画 像 やRGBの て 加 算,乗 算,内
定 数 を元 に し
積 処 理 な ど を行 う こ とが で きる 。 こ れ に よっ て,画
素ごと
の 演 算 を利 用 した マ ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ を シ ン グ ルパ ス で 実 現 で きる よ う に な っ た。 もっ と も よ く知 られ て い る レ ジ ス タ コ ンバ イ ナ の応 用 例 は,リ
ア
ル タ イ ムバ ンプ マ ッ ピ ン グの 実 現11)で あ る。 現 在 の プ ロ グ ラマ ブ ルGPUで
は,レ
ジ ス タ コ ンバ イ ナ が 行 う処 理 を フ ラ
グ メ ン トシ ェ ー ダで 置 き換 え る こ とが で きる よ うに な っ た。 OpenGLを は,テ
例 に と る と,比 較 的 簡 単 な マ ル チ テ クス チ ャ の合 成 に 関 して
ク ス チ ャ環 境 のGL_COMBINEモ
てOpenGLのAPIか
ー ド(テ ク ス チ ャ コ ンバ イ ナ)と し
ら直 接 実 行 で き る よ う に な り,複 雑 な処 理 は フ ラ グ メ
ン トシ ェ ー ダ で 実 現 す る よ う な使 い 分 けが 行 わ れ て い る。 8.3.4
頂点 シ ェー ダ
頂 点 シ ェ ー ダ は,固
定 機 能 パ イ プ ラ イ ンのXス
テ ー ジ に お け る座 標 変 換
処 理 と照 光 処 理 の マ イ ク ロ コ ー ドを置 き換 え る処 理 を 行 う プ ロ グ ラ ム で あ る 。 頂 点 シ ェー ダ を 実 行 す る処 理 ユ ニ ッ トは 頂 点 プ ロ セ ッサ と よ ば れ,図 8.4(p.148)を
例 に とる と,GE11チ
ッ プ のFPUの
部 分 が そ れ に相 当 す る。
頂 点 シ ェ ー ダの 入 力 と出 力 は,図8.4の
左 端 と右 端 に 示 す よ うな 頂 点 デ ー
タで あ る。 す な わ ち,入 力 は, ・ロ ー カ ル座 標 系 の位 置座 標(必 須) ・ロ ー カ ル座 標 系 の 法 線 ベ ク トル ・テ クス チ ャ座 標 ・色 デ ー タ ・そ の 他 で あ り,出 力 は, ・ウ ィ ン ドウ座 標 系 の 位 置 座 標(必 須) ・視 点 座 標 系 の 法 線 ベ ク トル ・テ ク ス チ ャ座 標 ・色 デ ー タ ・そ の 他 で あ る 。出 力 デ ー タの 値 は,そ の後 ラ ス タ ラ イ ズ 処 理 に よっ て 補 間が 行 わ れ, そ の 結 果 が フ ラ グ メ ン トシ ェ ー ダに 渡 さ れ る 。 頂 点 シ ェ ー ダ は,各 頂 点 に 関 す る 局 所 的 な 処 理 を記 述 し,他 の 頂 点 に 関 す る 情 報 は 利 用 で きな い 。 ま た,頂 点 を新 た に 生 成 した り削 除 した りす る こ と もで きな い*7。 頂 点 シ ェ ー ダ で は,通 常 の 座 標 変 換 処 理 を よ ぶ こ と もで きる が,こ れ を 置 き換 え た り追加 処 理 を行 っ た り して,任 意 の 座 標 を 出力 で き る。 色 デ ー タに つ い て も同様 で,通 常 の 照 光 処 理 結 果 を使 う こ と もで き るが,任 意 の デ ー タ を計 算 して 出 力 して よい 。 また,テ
ク ス チ ャ座 標 に 変換 や 変 更 を
加 え た り して特 殊 効 果 を与 え る こ と もで き る。 典 型 的 な頂 点 シ ェ ー ダ の応 用 例 は,人 体 モ デ ル にお け る ス キ ニ ング処 理 で, 関 節 が 曲 が っ て も皮 膚 が 自然 に 変 形 す る よ う に頂 点 を変 位 させ る処 理 を実 現 して い る 。 ま た,波 や 布 の表 現 な ど,ポ
リゴ ン頂 点 を 動 か す シ ミュ レー シ ョ
ン に も利 用 され る 。 表8.1に
は,Lindholmら
に よ る 初 期 の 頂 点 シ ェー ダの 命 令 セ ッ ト8)を示
す。 *78 .2.2の終 わ りのほうで述べ た三角形の裏面 カリングは,頂 点 シェーダ処理のあと,固 定機能パイプラインの処理 として行われる。
表8.1 初 期 の 頂点 シ ェー ダ の命 令 セ ッ ト
8.3.5
フ ラ グ メ ン ト シ ェ ー ダ(ピ ク セ ル シ ェ ー ダ)
フ ラ グ メ ン ト シ ェ ー ダ は,ピ
ク セ ル シ ェ ー ダ と も よ ば れ*8,画
素 単位 の フ
ラ グ メ ン ト処 理 を 行 う プ ロ グ ラ ム を さ す 。 フ ラ グ メ ン ト シ ェ ー ダ は,Sス 理(図8.6のTF)と 一 方
,三
テ ー ジ の 処 理 の う ち,テ
フ ラ グ メ ン ト処 理(図8.6のIMP)の
角 形 内 部 の 補 間 処 理(図8.6のPGお
パ イ プ ラ イ ン の ま ま で,フ
一 部 を 置 き換 え る 。
よ びTG)に
関 して は 固 定 機 能
ラ グ メ ン トシ ェ ー ダ の 前 段 の 処 理 と し て 機 能 す る 。
フ ラ グ メ ン トシ ェ ー ダ の 入 力 デ ー タ 形 式 は,頂 と 同 じ(図8.4の
クス チ ャ の合 成 処
右 端 のTriangleBusに
点 シ ェー ダの 出力 デー タ形 式
乗 る デ ー タ)で あ る 。 しか し,頂
ェ ー ダ 出 力 内 容 が 各 頂 点 に お け る 情 報 で あ る の に 対 し,フ
点 シ
ラ グ メ ン トシ ェ ー
ダ の 入 力 内 容 は,三 角 形 内 部 の 補 間 処 理 を 済 ま せ た 画 素(ま た は マ ル チ サ ン プ リ ン グ の サ ブ ピ ク セ ル)ご と の 情 報,す *8OpenGLシ
な わ ち フ ラ グ メ ン トそ の も の と な る 。
ェー デ ィ ング 言 語 で は フ ラ グ メ ン トシ ェー ダ と よ び ,マ イ ク ロ ソ フ トの
HLSL(High‐Level
Shading
Language)で
ラ グ メ ン トシェ ー ダ とよぶ こ とにす る。
は ピ クセ ル シ ェー ダ と よん で い る。本 稿 で は フ
GPUを
用 い た 各 種 リ ア ル タ イ ム 描 画 手 法20)で は,フ
の 並 列 性 を フ ル に 活 用 し,画 8.3.6
ラ グ メ ン トシ ェ ー ダ
素 ご とに与 え る特 殊 効 果 の 計 算 を記 述 す る。
頂 点 テ ク ス チ ャ と フ レー ム バ ッ フ ァ オ ブ ジ ェ ク ト
Pbuffer(8.3.2)は
処 理 効 率 は よ い が,ウ
を す る 必 要 が あ り,コ OpenGLコ
ィ ン ドウ シ ス テ ム に依 存 した記 述
ー ドの 互 換 性 に も 問 題 が 生 じ る 。 各Pbufferが
ン テ キ ス ト を 持 つ 必 要 が あ り,切
ヘ ッ ドが 無 視 で き な い,と 一 方 で,従
別 々の
替 が 頻 繁 に起 こ る とオ ー バ ー
い う 問題 もあ っ た。
来 は オ フ ス ク リー ンバ ッ フ ァ の 内 容 は フ ラ グ メ ン トシ ェ ー ダ で
の み 直 接 参 照 で き た が,頂
点 テ ク ス チ ャ と よ ば れ る 機 能 の実 現 に よ っ て
,テ
ク ス チ ャ メ モ リ空 間 の デ ー タ を頂 点 シ ェ ー ダ が 直 接 参 照 で き る よ う に な っ た 。 こ れ に よ り,た
と え ば 画 像 を 頂 点 座 標 の 配 列 と み な し,フ
ラ グ メ ン トシ
ェ ー ダ で 並 列 処 理 し た 結 果 を 頂 点 シ ェ ー ダ に 入 力 す る こ と で ,動
的に変化す
る 形 状 を 高 速 に シ ミ ュ レ ー トで き る よ う に な っ た 。 こ の よ う に,中
間 デ ー タ の 利 便 性 が 高 ま る に つ れ,PBuffer周
りの イ ン タ
フ ェ ー ス の 煩 雑 さ の 問 題 が 大 き く な っ て き て い る 。 そ こ で ,PBufferを 換 え る た め の よ り洗 練 さ れ た デ ー タ 構 造 と し て,ウ
ィ ン ドウ シ ス テ ム に 依 存
し な い フ レ ー ム バ ッ フ ァ オ ブ ジ ェ ク ト と い うOpenGL拡 た 。 フ レ ー ム バ ッ フ ァ オ ブ ジ ェ ク ト は,メ
置 き
張機 能が 導入 され
モ リ オ ブ ジ ェ ク ト と い う,よ
般 化 さ れ た デ ー タ構 造 の 一 種 で あ る 。 メ モ リ オ ブ ジ ェ ク トは,テ
り一
クス チ ャ オ
ブ ジ ェ ク トや 頂 点 配 列 も 包 含 し て い る 。 8.3.7
シ ェー デ ィ ン グ 言 語
シ ェ ー デ ィ ン グ 言 語 は,物 体 モ デ ル の 材 質 や 光 源 の 特 性 な ど を 記 述 し て シ ー ンを定義す るため の言語で ,Cookに よ るShade Tree21)が そ の 原 型 の 一 つ で あ る 。 ま た,画 Image
素 ご と の シ ェ ー デ ィ ン グ 処 理 を 記 述 す るPerlinに
Synthesizer22)も
よる
現 在 の フ ラ グ メ ン トシ ェー ダの 原 型 と 考 え て よい 。
そ れ ら の 研 究 を ベ ー ス に,実
用 レベ ル の シ ェ ー デ ィ ン グ 言 語 で あ る
RenderMan23),24)が
画 制 作 な どで 使 わ れ る 標 準 的 な記 述 言 語 と
開 発 さ れ,映
なった。 グ ラ フ ィ ック ス ハ ー ドウ ェ アの 機 能 を生 か して リ ア ル タイ ム処 理 を行 う こ と を 前 提 と し,な
お か つ 高 レベ ル の記 述 を行 う た め の シ ェ ー デ ィ ング 言 語 と
し て は,プ
ロ グ ラ マ ブ ル な グ ラ フ ィ ッ ク ス マ シ ンPixelFlowの
や,SGI社
に よ る,マ
(Interactive
Shading
ル チ パ ス ア ル ゴ リ ズ ム を 記 述 す る た め のISL Language)26)が
ェ ー デ ィ ン グ 言 語 はOpenGLを OpenGLシ
た め の 言 語25)
あ る 。Olanoに
よ るPixelFlowの
拡 張 す る 形 を と っ て お り,ISLや
シ
現在 の
ェ ー デ ィ ング言 語 の ベ ー ス とな った 。
プ ロ グ ラ マ ブ ルGPUが
登 場 し て か ら は,シ
ェ ー デ ィ ン グ 言 語 はGPUの
固 定 機 能 パ イ プ ラ イ ン を 置 き換 え る 処 理 を 記 述 す る た め の 手 段 と し て 使 わ れ,実
用 的 な シ ェ ー デ ィ ン グ言 語 が登 場 した。
NVIDIA社
に よ るCg27),28)は, GPU用
の プ ロ グ ラ ム環 境 と して は初 め て 高
級 言 語 を 用 い た も の で あ る 。OpenGLシ が 主 体 と な っ て 設 計 さ れ,現
ェ ー デ ィ ン グ 言 語29)は,3Dlabs社
在 で はOpenGL
い る 。 マ イ ク ロ ソ フ ト社 に よ るHLSL(High DirectX環
境 に 準 拠 し たGPU用
グ 言 語 は,プ
2.0の 一 部 と して 標 準 化 さ れ て Level
Shading
の 記 述 言 語 で あ る。 こ れ ら の シ ェ ー デ ィ ン
ロ グ ラ ミ ン グ 言 語 と い う よ り は,GPUの
直 接 利 用 す る た め のC言
Language)は,
ハ ー ドウ ェ ア機 能 を
語 ラ イ ク な イ ン タ フ ェ ー ス と い っ て よ い。 い ず れ
も 頂 点 シ ェ ー ダ と フ ラ グ メ ン ト シ ェ ー ダ か ら 構 成 さ れ*9,た
が い に類 似 した
特 徴 ・機 能 を 持 つ 。 大 学 で の 研 究 か ら 生 ま れ たGPU用
の 言 語 と し て は, Stanford
Sh31),32)が あ る 。 プ ロ グ ラ マ ブ ルGPUを 行 うGPGPU(General
Purpose
で は 触 れ な い が,Brook33)は
8.4 GPUに
Graphics
使 っ て グ ラ フ ィ ッ クス 以 外 の計 算 を Processing
Unit)に
つ い て は 本稿
そ の た め の 言 語 の 代 表 例 で あ る。
よ る リアルタ イム レンダ リング
本 書 に お い て す で に 解 説 さ れ た さ ま ざ ま な 技 術 を 利 用 す れ ば,極 リ テ ィ の 高 いCG映
像 を 生 成 で き る 。 し か し,ク
算 コ ス ト も 爆 発 的 に 増 加 し て し ま う 。 そ こ で,近 ル タ イ ム にCG映 *9Cgで
RTSL30)や
め て クオ
オ リテ ィ の 向 上 に伴 っ て 計 年,GPUを
利 用 して リア
像 を 生 成 す る 手 法 の 研 究 が 盛 ん に 行 わ れ て い る 。本 節 で は,
は それ ぞ れ頂 点 プ ロ グ ラム
,フ ラ グ メ ン トプ ログ ラム と よぶ場 合 が あ る。HLSL
で は後 者 を ピ クセ ル シ ェー ダ とよぶ。
そ の よ うな 手 法 に つ い て 最 近 の技 術 動 向 とそ の 基 本 的 考 え 方 を解 説 す る 。 多 くの 手 法 で は,GPUの
テ クス チ ャマ ッ ピ ン グ と プ ロ グ ラ マ ブ ル シ ェー
ダの 機 能 を利 用 して 高 速 化 を達 成 して い る。 テ クス チ ャ マ ッ ピ ング は 基 本 的 に は,画 像(テ ク ス チ ャ)を 物 体 表 面 に マ ッ ピ ン グ す る機 能 で あ る が,テ
ク
ス チ ャ を 画像 で は な く,数 値 デ ー タ を格 納 した テ ー ブ ル と考 え る こ とで 様 々 な応 用 が 可 能 と な る 。 例 え ば,物 体 表 面 の 輝 度 計 算 で は,物 体 表 面 の光 の 反 射 率 をす べ て の 視 線 方 向 お よ び光 源 方 向 につ い て 計 算 して お き,テ と して 保 存 して お く。 そ して,リ
クス チ ャ
ア ル タ イ ム処 理 に お い て は,こ の テ ク ス チ
ャ を参 照 しな が ら,プ ロ グ ラ マ ブ ル シ ェー ダ を利 用 し て,物 体 の 輝 度 計 算 を 行 う こ とが で き る。 8.4節 以 降 で は,ま
ず,上 記 の 考 え 方 を利 用 して 仮 想 物 体 を リ ア ル に 表 示
す る た め の 技 術 要 素 に つ い て解 説 す る(8.5節)。
次 に,ボ
リューム レンダリ
ン グへ 応 用 した 手 法 に つ い て 述 べ る(8.6節)。
8.5 シ ェー デ ィング とライ テ ィング リ ア ル な仮 想 物 体 を レ ン ダ リ ング す るた め の 要 素 と して 以 下 の 項 目が 挙 げ られ る。 ・物体 表 面 の 反 射 特 性 を考 慮 した忠 実 な 輝 度 計 算 ・点 光 源 や 面 光 源 な ど光 源 の 種 類 に 応 じた影 の計 算 。 ・物体 表 面 の 凹 凸 を考 慮 した 輝 度 計 算 。 以 下 で は,こ れ ら の項 目 に関 連 した 手 法 を そ れ ぞ れ 解 説 す る 。 8.5.1
物体の輝度計算
仮 想 物 体 の リア ル な 画像 を生 成 す る た め に は,物 体 表 面 で の 光 の 反 射 特 性 を物 理 現 象 に 基 づ い て モ デ ル化 す る必 要 が あ る。CGに れ て い る 反 射 モ デ ル の 一 つ がPhongの 単純 で 計 算 コ ス トも低 く,ほ
お い て,広
く用 い ら
モ デ ル で あ る34)。Phongの
モデ ルは
とん どの グ ラ フ ィ ック ス ハ ー ドウ ェ ア に お い て
標 準 的 に用 意 さ れ て い る 。 そ の 反 面,表 現 で き る材 質 の種 類 に 制 限が あ り, 例 え ば,金 属 反 射 や 異 方 性 反射 な ど複 雑 な 反 射 特 性 は 表 現 で きな い 。そ こ で, よ り複 雑 な 反 射 特 性 を考 慮 し た輝 度 計 算 を高 速 に 行 うた め,GPUの
テ クス
チ ャマ ッ ピ ン グ の 機 能 を利 用 した 手 法 が 数 多 く提 案 さ れ て い る。 基 本 的 な考 え方 は 以 下 の とお りで あ る。 一 般 に,単 一 の 光 源 に対 して,視 点 に 届 く反 射 光 の輝 度Iυは次 式 で 表 す こ とが で き る。
(8.2) こ こ で,Ilは 光 源 か ら計 算 点 に入 射 す る光 の 強 さ,frは 物 体 表 面 の 反 射 率 を 表 す 関 数,(θυ,φυ)お よ び(θl,φl)は,そ れ ぞ れ,計
算 点 か ら見 た 視 線 お よび
光 源 の 方 向,α は 光 源 方 向 と 法線 ベ ク トル の なす 角 で あ る(図8.8参 は 双 方 向 反 射 分 布 関 数(Bidirectional Function;BRDF)と
Reflectance
照)。fr
Distribution
もよばれる。
反 射 特 性 が 複 雑 に な る ほ ど,BRDFを そ の た め,式(8.1)の
計 算 す る た め の コ ス トが 増 加 す る。
計 算 を 高 速 化 す る方 法 と してBRDFを
あ らか じめ す べ
て の 視 線 お よ び 光 源 方 向 に対 し て サ ンプ リ ン グ した テ ー ブ ル を 用 意 し て お き,テ
ー ブ ル 参 照 に よ っ てBRDFを
評 価 す る 方 法 が 考 え られ る。 この テ ー
ブ ル を テ クス チ ャ と して グ ラ フ ィ ック ス ハ ー ドウ ェ ア に転 送 して お け ば,プ ロ グ ラ マ ブ ル シ ェ ー ダ を 利 用 し て 式(8 .1)の 計 算 をGPU内
で 処 理 で き る。
し か し,視 線 お よ び 光 源 方 向 に 関 す る4次 元 関 数 で あ るBRDFを
テー ブル
化 す る た め に は膨 大 な 記憶 容 量 が 必 要 とな り,実 用 的 で は な い 。 そ こ で,多 くの 手 法 で は,BRDFを え ば,BRDFが
低 次 の 関 数 に 分 解 す る手 法 が 用 い られ て い る 。 例
次 式 の よ うな 二 つ の 基 本 関 数 の 積 で 表 現 で きる 場 合 を考 え
る。
図8.8 物体 表面 の 輝 度計 算
(8.3) この 場 合,関
数gお よ びhは2次
元 の 関 数 で あ り,二 つ の2次 元 テ ー ブ ル を
テ ク ス チ ャ と して 用 意 す れ ば よい 。 実 際 に は,基 本 関 数 の 選 び 方 や 数 に よ っ て さ ま ざ ま な バ リエ ー シ ョンが 存 在 す る35)‐37)。 こ の考 え 方 を初 め て提 案 した の がHeidrichら Sparrow の 反射 モ デ ル38)とBanksに
に よ る研 究35)で, Torrance
よ る 異 方 性 反 射 モ デ ル39)を用 い た輝 度
計 算 を リア ル タ イ ム に 行 う こ と に成 功 して い る 。 図8.9にHeidrichら
の手
法 に よ っ て 生 成 した 画 像 の 例 を示 す 。 上 記 の 手 法 は,点 光 源 や 平 行 光 源 と い っ た特 定 の 方 向 か ら入 射 す る光 の 反 射 光 の計 算 に しか 適 用 で き な い。 よ りリ ア ル な 映 像 を生 成 す る た め に は,物 体 に入 射 す る 全 方 向 か らの 光 を考 慮 す る必 要 が あ る。 そ の た め に は,物 体 表 面 の 各 点 ご とに 入 射 光 そ れ ぞ れ に 対 し反 射 率 を乗 算 して,そ の 総 和 を 求 め な くて は な らな い 。 しか し,こ れ で は 計 算 時 間 が か か りす ぎる た め,環 境 マ ッ プ を利 用 した 手 法 が 提 案 され て い る。 前 処 理 に お い て,反 射 分 布 に応 じた フ ィル タ処 理 を 施 した 環 境 マ ッ プ を用 い る こ とで,高 速 化 を達 成 して い る35),42)。 この 考 え 方 を応 用 し,BRDFお
よ び 環 境 マ ッ プ を フ ー リエ 級 数 な どの 互 い
に 直 交 な基 底 関 数 の 線 形 和 で 表 現 す る こ と で 高 速化 を図 る手 法 も提 案 され て い る41),42)。 この 考 え方 は,Precomputed の 第3章 にお い て解 説 さ れ て い る の で,こ
図8.9
Radiance
Transferと
こで は割 愛 す る。
鏡 面 反 射 の リア ル タイムレンダ リング 。(左)Torrance‐Sparrowの (右)Banksの
異 方性 反 射 モデル。
呼 ば れ,本 書
モ デル。
8.5.2
影
影 を表 現 す るた め の 手 法 は大 き く分 け て点 光 源 や 平 行 光 源 に よ る影 と線 光 源 や 面 光 源 に よ る影 の た め の 手 法 に分 け られ る 。 以 下,そ
れ ぞ れ の手 法 につ
いて概説す る。 (1) 点 光 源 ・平 行 光 源 に よ る 影 点 光 源 や 平 行 光 源 の 影 を 高 速 に計 算 す る た め に広 く用 い られ て い る の が Shadow
map法
で あ る43)。こ の 方 法 で は,図8.10に
示 す よ うに,ま ず,光
源 か ら見 た と き の 奥 行 き 画 像 を 生 成 す る 。 こ の 奥 行 き画 像 はShadow と よば れ る 。Shadow
mapの
map
各 画 素 は 光 源 と物 体 表 面 上 の 各 点 との 距 離 を
格 納 して い る こ と と等 価 で あ る。 次 に,視 点 か ら見 た画 像 を描 画 す る際,各 点 と光 源 との 距 離dとShadow か の判 定 を行 う 。Shadow
mapの mapを
対 応 す る画 素 値 を 比 較 して 影 か ど う
テ クス チ ャ と して 用 い る こ と でGPUを
用
い て リア ル タ イ ム に 影 の 生 成 が で きる9)。 しか し,Shadow
map法
で は,図8.11(a)に
示 す よ う に,Shadow
解 像 度 に よ るエ リア シ ング 問 題 が 生 じる 場 合 が あ る。 本 来,点 源 の 場 合,影
の 境 界 は直 線 的 で な くて は な ら な い が,Shadow
度 が低 す ぎ る場 合,階 る た め,Shadow な る複 数 のShadow
段 状 の 影 が 生 じて し ま う。 そ こ で,こ
mapの
光源や平行光 mapの
解像
の 問 題 を解 決 す
mapを4分
木 表 現 し,視 点 か らの 距 離 に応 じて 解 像 度 の異
mapを
用 意 す る 手 法 が 提 案 さ れ て い る44)。視 点 に近 い
図8.10
Shadow
map法
(a) Shadow
図8.11
Shadow
mapに
map(b)
mapを
mapを
shadow
くのShadow
mapに
よる解 決
mapを4分
木構造 に格
の 親 和 性 は 低 い。 ま た,視 点 位 置 が急 速 に変 化 す る 場 mapを
頻 繁 に 更 新 す る 必 要 が あ る た め レ ンダ リ ン グ速
度 が 低 下 して し ま う。 そ こで,視 化 す るPerspective
map
生 成 し,遠 い 領 域 に は解 像 度 の 低 い
生 成 す る。 しか し,複 数 のShadow
納 す る た め,GPUと 合,多
shadow
よるエ リアシ ング 問 題 とPerspective
領 域 に は解 像 度 の 高 いShadow Shadow
Perspective
shadow
点 か らの 距 離 に応 じて解 像 度 が 連 続 的 に 変
mapと
よ ば れ る 方 法 が提 案 さ れ て い る45)。この
方 法 で は,透 視 変 換 後 の 空 間 に お い てShadow
mapを
生 成 す る。 図8.12に
示 す よ うに,透 視 変 換 後 の 空 間 で は視 点 に 近 い 物 体 は 大 き く,視 点 か ら遠 い 物 体 は 小 さ く変 形 され る 。 この 空 間 に お い てShadow 視 点 に 近 い 物 体 に は 多 数 の 画 素 が 割 り当 て られ,遠 割 り当 て られ る 。 通 常 のShadow
図8.12
map法
Perspective
mapを
生 成 す れ ば,
い物 体 には 少 数 の画 素 が
と比 較 して,透 視 変 換 後 の 空 間 で
shadow
map法
の 考 え方
処 理 を行 う点 の み が 異 な る だ け で あ り,GPUと は,図8.11(a)と
同 じシ ー ン をPerspective
の 親 和 性 も良 い 。 図8.11(b) shadow
map法
によって生成 し
た 画 像 で あ り,エ リ ア シ ング 問 題 が 解 決 され て い る の が わ か る。 (2) 線 光 源 ・面 光 源 に よ る 影 線 光 源 や 面 光 源 に よ る影 に は,光 源 の 光 が 完 全 に届 か な い 領 域 とな る 本 影 と光 源 の 光 の 一 部 が到 達 す る 半 影 の 領 域 に 分 け られ る。 した が っ て,線 光 源 や 面 光 源 に よ る影 を計 算 す る た め に は,計 算 点 か ら見 て光 源 の 可 視 な領 域 を 求 め る必 要 が あ る。 そ の 最 も単 純 な方 法 は,光 源 上 に複 数 の サ ン プ ル 点 を発 生 す る 方 法 で あ る 。 各 サ ン プ ル 点 を点 光 源 と み な して 前 述 のShadow
map
法 を用 い て 画 像 を生 成 し,結 果 画像 をす べ て足 し合 わ せ る こ とで 線 光 源 や 面 光 源 に よ る影 を 生 成 で き る46) 。 画 像 の 足 し合 わ せ 処 理 に は,GPUの
アキュ
ム レー シ ョ ンバ ッ フ ァが 用 い ら れ る 。 この 方 法 は単 純 で はあ るが ,多
くの 画
像 を 生 成 す る 必 要 が あ る た め,リ Heidrichら
ア ル タ イ ム処 理 に は 適 さ な い 。 そ こ で,
は 線 光 源 に よ る影 を 高 速 に計 算 す る 手 法 を提 案 して い る47)。線
光 源 の 両 端 点 か ら見 た と きのShadow
mapを
そ れ ぞ れ 生 成 し,こ れ ら を用
い て線 光 源 の 可 視 区 間 を計 算 す る。 しか し,こ の 方 法 に よっ て 面 光 源 に よ る 影 を計 算 す るた め に は,面 光 源 を線 光 源 の 集 合 で 表 現 す る必 要 が あ り,や は り多 数 の シ ャ ドウマ ップ を生 成 しな くて は な らず,計 算 コ ス トが か か る 。 よ り効 率 的 に 面 光 源 に よ る 影 を計 算 す る方 法 と して,計 算 点 か ら見 た 光 源 の 可 視 領 域 の割 合 を光 源 画 像 と遮 蔽 物 体 画 像 の重 畳 処 理 に よ っ て 高速 に求 め る 手 法 が 提 案 され て い る48)。二 つ の 画 像 の 重 畳 処 理 だ け で,計 算 点 を含 む 平 面 内 の 各 点 か ら見 た 光 源 の 可 視 領 域 の 割 合 を 表 す 画 像 を求 め る こ とが で きる 。 た だ し,こ の 方 法 は,光 源 を含 む 平 面,遮
蔽 ポ リ ゴ ン,被 照 射 面(影 が 落 ち
る 面)が す べ て 平 行 とな る場 合 以 外 は,正
確 な 影 は計 算 で き な い 。 そ こ で,
近 年,ジ
オ メ トリベ ー ス で 面 光 源 の 影 を 高 速 に計 算 す る 手 法 が 提 案 され て い
る49)。 こ の 方 法 で は,面 光 源 に よ っ て 本 影 とな る 空 間 を 包 含 す る 多 面 体 お よ び半 影 と な る空 間 を包 含 す る多 面 体 を生 成 す る こ と で影 の 計 算 を行 っ て い る 。 図8.13に うに,こ
こ の 方 法 に よ っ て 生 成 した 画 像 の 例 を示 す 。 図8 .13に 示 す よ
の 方 法 で は,炎
表 示 で き る。
の よ う な動 的 に輝 度 分布 が 変 化 す る光 源 に よ る影 も
図8.13
8.5.3
ジオ メ トリスベ ー ス に よ る影 の 計 算
物体表面の凹凸
ゴ ル フ ボ ー ル や 樹 木 の表 面 な ど現 実 の物 体 に は,表 面 に細 か な 凹 凸 を有 す る も の が 多 く存 在 す る。 こ の よ う な物 体 表 面 の 凹 凸 を表 現 す る 方 法 と して バ ン プ マ ッ ピ ン グ が 多 く用 い られ る50) 。 バ ン プ マ ッ ピ ン グ で は,凹 凸 を 定 義 した テ ー ブ ル をテ クス チ ャ と して 用 意 し,物 体 表 面 にマ ッ ピ ング す る。 凹 凸 を表 す テ ー ブ ル は,一 般 に,基 準 面 か らの 高 さ を表 す ハ イ トフ ィー ル ドと し て 与 え られ る。 実 際 に 凹 凸 を 表 示 す る の で は な く,凹 凸 に よる法 線 ベ ク トル の 摂 動 を用 い て擬 似 的 に 凹 凸 を表 現 す る の が バ ンプ マ ッピ ング で あ る。 物 体 表 面 の形 状 とそ こ にマ ッ ピ ン グ され るハ イ トフ ィー ル ドか ら各 点 の 法 線 ベ ク トル を 計 算 し,こ れ を用 い て輝 度 計 算 を行 う こ とで あ た か も凹 凸 が あ るか の よ う に 見 せ る こ とが で き る11)。図8.14に
図8.14
バ ン プ マ ッ ピ ン グ の例 を示 す 。 バ
バ ン プマ ッピ ン グの 例
ン プ マ ッ ピ ング で は 法 線 ベ ク トル の 摂 動 に 応 じて輝 度 値 に変 動 が生 じる のみ で,凹
凸 に よ る影 まで は 生 成 さ れ ない 。 そ こで,よ
る た め,凹
り リア リ テ ィを 向 上 させ
凸 に よ る 影 も計 算 で き る 手 法 も提 案 さ れ て い る51),52)。 この 場 合,
ハ イ トフ ィ ー ル ドに お け る各 点(u ,υ)か ら見 た あ る 方 向(θ,φ)に対 し,光 源 が 可 視 と な る仰 角 φ(u,υ,θ)をあ らか じめ 計 算 して 記 憶 して お く。 画 像 生 成 時 に 光 源 位 置 が 与 え られ た と き,光 下 で あ れ ば,点(u,υ)は
源 方 向(θl,φl,)の 仰 角 φlが φ(u,υ,θ)以
影 と な る 。 φ(u,υ,θ)はホ ラ イ ゾ ン マ ッ プ と よ ば れ
る53)。 ホ ラ イ ゾ ンマ ッ プ を あ ら か じめ 計 算 して テ ク ス チ ャ と して 利 用 す れ ば,リ
ア ル タ イ ム に 凹 凸 の影 を 計 算 す る こ とが で き る52)。 ま た,こ
の ホラ
イ ゾ ンマ ッ プ の考 え 方 を応 用 し,凹 凸 内 で の 光 の相 互 反 射 ま で考 慮 した 手 法 も提 案 さ れ て い る51)。図8.15は
バ ン プ マ ップ を施 した 球 を こ の 手 法 に よ っ
て 表 示 した例 で あ る。 バ ン プ マ ッ ピ ン グ で は,凹 凸 に応 じて 物 体 表 面 の 輝 度 値 が 変 化 す る の み で あ る が,ハ
イ トフ ィー ル ドか ら実 際 に 物 体 表 面 の 凹 凸 の変 化 まで 表 示 す る デ
ィ ス プ レー ス メ ン トマ ッ ピ ン グ と い う手 法 も 開発 され て い る21)。こ の場 合, ハ イ トフ ィー ル ドか ら,物 体 表 面 の 各 点 を法 線 方 向 に変 位 させ る。 デ ィ ス プ レ ー ス メ ン トマ ッ ピ ン グ を実 現 す る最 も単 純 な方 法 は,物 体 を細 か な ポ リゴ ンで 表 現 し,各 ポ リ ゴ ンの 頂 点 をハ イ トフ ィー ル ドに応 じて変 位 させ る方 法
図8.15
凹凸 による影 を考 慮 した例 。(左下)直 接 光 による影 の み。 (上)相 互 反 射 まで考 慮 。(右下)環 境 マップによるライティン グまで考 慮。
で あ る。し か し,ポ
リ ゴ ン数 が 増 加 して し ま うた め,テ
ク ス チ ャマ ッ ピ ング
の機 能 を 利 用 す る手 法 も開 発 さ れ て い る54)‐56)。 図8.16に 示 す よ う に,物 体 表 面 は,比 較 的 粗 い ポ リ ゴ ン メ ッシ ュ で 表 現 して お き,各 ポ リ ゴ ン につ い て, そ の 頂 点 の 法 線 方 向 に掃 引 した多 層 の 仮 想 ポ リ ゴ ン を生 成 す る。 そ して,各 仮 想 ポ リ ゴ ン を レ ン ダ リ ングす る 際,仮 想 ポ リ ゴ ン 内 の 各 点 の 物 体 表面 か ら
図8.16
図8.17
テ ク スチ ャマ ッ ピ ング を利 用 した デ ィ ス プ レ ー ス メ ン トマ ッ ピ ン グ
デ ィス プ レ ー ス メ ン トマ ッ ピ ン グ の 例
の 距 離 とハ イ トフ ィ ー ル ドに記 憶 され て い る高 さ と を比 較 して,ハ
イ トフ ィ
ー ル ドの 方 が 高 けれ ば そ の 点 を描 画 す る。 こ の考 え 方 に基 づ き,凹 凸 に よる 影 ま で 表 現 で き る手 法56)も 提 案 され て い る。 図8.17に 影 まで 考 慮 で き る手 法 に よる 例 を 示 す 。
8.6
ボ リ ュー ム レ ン ダ リ ン グ
ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ は,3次
元 空 間 中 に分 布 す る ス カ ラ デ ー タ5)を 可
視 化 す る た め の 手 法 の 一 つ で あ る。 多 くの 場 合,入
力 と して,3次
元空 間 を
格 子 に分 割 し,各 格 子 点 にス カ ラ値 を格 納 した ボ リュ ー ム デ ー タが 与 え られ る 。 こ の よ う な ボ リ ュ ー ム デ ー タか ら画 像 を生 成 す る 代 表 的 な手 法 と し て, レイ キ ャ ス テ ィ ング 法57)が挙 げ られ る。 レ イ キ ャス テ ィ ング 法 は,GPUを 利 用 す る こ と で,極
め て 高 速 に 画 像 を生 成 で き る58)。 そ の 基 本 的 な 考 え 方
は 以 下 の とお りで あ る 。 まず,図8.18に
示 す よ う に,ス
ク リー ン に平 行 な複 数 枚 の 仮 想 平 面 を 等
間 隔 に 配 置 す る。次 に,各 仮 想 平 面 を視 点 か ら遠 い 順 に描 画 す る。 この と き, 仮 想 平 面 とボ リ ュ ー ム デ ー タの 交 差 部 分 の 各 点 で の ス カ ラ値 を近 傍 の格 子 点 の 値 か ら補 間 して 算 出 す る。 この 値 を仮 想 平 面 の 輝 度 値 と して 割 り付 け る。 こ の 処 理 は,ボ
リ ュ ー ム デ ー タ を3次 元 テ ク ス チ ャ と し て用 い れ ば,GPU
に よ り高 速 に 処 理 で き る 。 そ して,仮
想 平 面 を描 画 し,そ の 輝 度 値 を ア ル
フ ァ ブ レ ン デ ィ ン グの 機 能 を 用 い て フ レー ム バ ッフ ァ に足 し込 め ば,画 像 が 生 成 さ れ る。
図8.18
GPUを
利 用 した レイキ ャス テ ィ ング法
上 記 の 考 え 方 を基 本 と し て,プ ロ グ ラマ ブ ル シェ ー ダ な どの 演 算 処 理 を活 用 す れ ば,様
々 な 表 現 が 可 能 と な る 。 例 え ば,等
影 表 示60),ま た,影
値 面 の 抽 出 と表 示59)や 陰
の 表 示 を可 能 とす る手 法61)も提 案 さ れ て い る。
レイ キ ャ ス テ ィ ング 法 に お い て,注 意 す べ き点 は,適 切 な 仮 想 平 面 の 間 隔 を 設 定 しな け れ ば,サ
ン プ リ ング 誤 差 が 生 じ,画 質 の 低 下 を招 く点 で あ る。
仮 想 平 面 数 は多 い ほ ど精 度 は 向上 す るが,レ し ま う。 そ こ で,こ
ン ダ リ ン グ ス ピー ドは低 下 して
の 問 題 を解 決す るた め,仮 想 平 面 の 間 隔 に乱 数 を 用 い て
揺 ら ぎ を持 た せ る 手 法 が 提 案 され て い る62)。た だ し,こ の 方 法 は,精
度 を向
上 させ るの で は な く,サ ン プ リ ング 誤 差 を拡 散 させ,視 覚 的 に知 覚 され に く く して い る だ け で あ る 。 そ こ で,仮 想 平 面 間 で は 輝 度 値 は線 形 に変 化 す る と 仮 定 し,仮 想 平 面 間 を よ り細 か くサ ンプ リ ング して 積 分 した テ ー ブ ル をあ ら か じめ 用 意す る こ とで 高速 ・高 精 度 に画 像 を 生成 す る手 法が 提 案 され て い る63)。 図8.19は,こ
の 方 法 を用 い て頭 部 のCTデ
ー タ を可 視 化 した 例 で あ る。
レイ キ ャ ス テ ィ ング 法 を雲 や 煙 な どの 自然 現 象 の レ ンダ リ ン グ に応 用 した
図8.19
レイキ ャス テ ィ ング に よ るボ リュー ム レン ダ リ ング の例
手 法 も数 多 く提 案 さ れ て い る。 口 絵8.1に 空 の 表 示 へ の 応 用 例 を示 す64)。こ の例 で は,空 の 色 に 加 え て,山
に よ っ て 太 陽 光 の 一 部 が 遮 蔽 され る こ とで 生
じる 光 跡 も表 示 され て い る。 これ は シ ャ ドウマ ッ ピ ン グ法 を利 用 す る こ とで 実 現 で きる 。 レイ キ ャ ス テ ィ ン グ法 は 非 常 に高 速 に 画像 を生 成 で き る が,基 本 的 に ボ リ ュ ー ム デ ー タ と して 与 え られ る デ ー タに しか 適 用 で き ない 。 レイ キ ャ ス テ ィ ン グ法 と並 ぶ 代 表 的 な 手 法 と して,ス
プ ラ ッ テ イ ング 法65)が 提 案 さ れ て お
り,こ ち ら は ボ リ ュ ー ム デ ー タ以 外 に も適用 で きる 。 この ス プ ラ ッテ イ ング 法 をGPUを
利 用 して 高 速 化 す る手 法 も提 案 され て い る66)。
〈図 の 出 典 等 〉 表8.1 Eric
Lindholm,
engine",In 図8.9 W.
Mark
Heidrich
and
99(1999)よ
Stamminger
Graphics,
and
Vol.21,
図8.13 U. Assarsson using
Henry
Moreton:"A
user
programmable
vertex
り
hardware
accelerated
shading
and
lighting",
In
り。 許 諾 を 得 て 転 載
G. Drettakia:"Perspective
No.3(2002)よ
and
graphics
and
2001(2001)よ
H.‐P.Seidel:"Realistic,
Proc. of SIGGRAPH 図8.11 M.
J. Kilgard,
Proc. of SIGGRAPH
shadow
maps",ACM
Transactions
on
り。 許 諾 を得 て 転 載
T. Akenine‐Moller:"A
hardware",ACM
geometry‐based
Transactions
soft shadow
on Graphics,
Vol.22,
volume
algorithm
No.(2003)よ
り。 許 諾
を得 て 転 載 図8.14 東 京 大 学 大 学 院 ・西 田 友 是 研 究 室 ホ ー ム ペ ー ジhttp://nis‐lab.is.s.u‐tokyo.ac.jp/よ 図8.15 W.
Heidrich,
on precomputed 図8.17 L. Wang,
K. Daubert,
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X. Wang,
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J. Kautz,
and
H.‐P. Seidel:"Illuminating
Proc. of SIGGRAPH
X. Tong,
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2000(2000)よ
S. Hu,
B. Guo
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Graphics,
micro
り
geometry
based
り。 許 諾 を得 て 転 載
H.‐Y. Shum:"View‐dependent Vol.22,
No.3(2003)よ
り。 許 諾 を
得 て転載 図8.19 K. Engel,
M,
Kraus,
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hardware‐accelerated
T. Ertl:"High‐quality pixel
Workshop
on Graphics
Clark.The
geometry
shading",
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In
2001(2001)よ
preintegrated Proc.
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volume
rendering
using
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り。 許 諾 を得 て 転 載
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SIGGRAPH'90,
Renderman
Computer 25) Marc
Lawson:"A
of
J.Kilgard:"Cg:a
C‐like
language",ACM
pp.896‐907(2003).
J.Kilgard:"『The
Cg
Tutorial日
本 語 版―
プ ロ グ ラ ム
可 能 な リ ア ル タ イ ム グ ラ フ ィ ッ ク ス 完 全 ガ イ ド 』,ボ ー ン デ ジ タ ル(2003). 29) Randi
J.Rost:OpenGL
30) Kekoa
Proudfoot,
realtime
Shading William
Proc.
procedural of
D.
McCool
Hardware,
D.McCool
Peters,
Buck,Tim
Zheng
Qin
and
Tiberiu
Pat
Hanrahan:"A hardware",
S.Popa:"Shader
of SIGGRAPH/EUROGRAPHICS
and
Stefanus
Foley, and
Pat
Du
In
Metaprogramming
Workshop
Toit:Metaprogramming
hardware",ACM
Daniel
Horn,
Transactions
Vol.18,
GPU's
and
lighting",In
Proc. and
M.
Sugerman,
for on
for
No.6,
35) W.Heidrich
Jeremy
Hanrahan:"Brook
34) B.‐T.Phong:"Illumination
separable
and graphics
on
Graphics
with
Sh,
AK
Inc.(2004).
Houston,
36) J.Kautz
Tzvetkov,
programmable
pp.57‐68(2002).
32) Michael
ACM,
for
pp.159‐170(2001).
and Proc.
Addison‐Wesley(2004).
Svetoslav
system
2001,
",In
33) Ian
shading
SIGGRAPH
31) Michael
Language, R.Mark,
Graphics,
computer
Kayvon
gpus:stream Vol.23,
No.3,
generated
Fatahalian,
computing
Mike
on
graphics
pp.777‐786(2004).
pictures",
Communications
of
pp.311‐317(1975). H.‐P. of
Seidel:"Realistic,
SIGGRAPH
99,
hardware‐accelerated
McCool:"lnteractive
approximations",In
rendering
Proc.
shading
and
pp.171‐178(1999). with
arbitrary
of EUROGRAPHICS
BRDFs
Workshop
on
using Rendering
1999,pp.281‐292(1999). 37) M.McCool,
J. Ang,
and
A.
Ahmad:"Homomorphic
rendering",In 38) K.E. roughened
Torrance
and
E.
Proc. M.
factorization
of SIGGRAPH
Sparrow:"Theory
surfaces",Journal
of
Optical
2001, for Society
of BRDFs
for highperformance
pp.171‐178(2001). off‐specular of
America,
reflection
from
Vol.57,
No.9,
pp.1105‐1114(1967). 39) D.C.
Banks:"Illumination
in
diverse
codimensions",
In
Proc.
of
SIGGRAPH
94,
pp.327‐334(1994). 40) J.Kautz,
P.‐P.
prefiltered
Vazquez,
W.
environment
Rendering
2000,
and
P.
maps",In
42) P.‐P.Sloan,
J.
H.‐P.
Proc.
of
Hanrahan:"An
Proc.
Kautz,
environment
and
In
Seidel:"A
unified
EUROGRAPHICS
approach
to
Workshop
on
pp.185‐196(2000).
41) R.Ramamoorthi environment
Heidrich,
maps",
of
and
maps",
In
efficient
J.
SIGGRAPH Snyder:"An
Proc.
of
representation
2001,
for
irradiance
pp.497‐500(2001).
efficient
SIGGRAPH
representation
2001,
for
irradiance
Vol.21,
No.3,
pp.527‐536
In
of SIGGRAPH'78,
(2002). 43) L.Williams:"Casting
curved
shadows
on
curved
surfaces.
Proc.
pp.270‐274(1978). 44) R.Fernando,
S.
maps",In
Proc.
Fernandez, of
45) M.Stamminger Graph.,
and
Vol.21,
46) P.Heckbert
47) W.Heidrich, Proc.
49) U.Assarsson
and
H.‐P.
shadow
maps",
2000,
calculation
of
98,
ACM
Trans.
graphics
hardware",
maps
for
soft
shadow
geometry‐based
hardware",
linear
lights",
In
pp.269‐280(2000). textures
using
pp.321‐332(1998).
Akenine‐Moller:"A
graphics
with
shadow
Rendering
of SIGGRAPH
T.
using
shadows
Seidel:"Soft on
Sillion:"Fast Proc.
and
algorithm
Greenberg:"Adaptive
University(1997).CMU‐CS‐97‐140.
Workshop
F. In
P.
shadow
soft
Mellon
Brabec,
and
convolution",
No.3,
Herf:"Simulating
of Eurographics
48) C.Soler
D.
Drettakis:"Perspective
Carnegie
S.
and
pp.387‐390(2001).
pp.557‐562(2001).
M.
report,
Bala,
2001,
G.
No.3, and
Technical
K.
SIGGRAPH
ACM
soft
Transactions
shadow
on
volume
Graphics,
Vol.22,
pp.511‐520(2003).
50) J.Blinn:"Simulation
of wrinkled
surfaces",
In
Proc.
of
SIGGRAPH'78,
pp.286‐
292(1978). 51) W.Heidrich, based
on
K.
Daubert,
52) P.‐P.Sloan
and
M.
Max:"Horizon
55) H.P.
and based
No.2,
H.‐P.
A. Lensch,
K.
textures",
Seidel:"Illuminating
of SIGGRPH
Cohen:"lnteractive on
2000,
horizon
Rendering
2000, for
micro
geometry
pp.455‐464(2000).
mapping",
In
Proc.
bump‐mapped
surfaces",The
Visual
Seidel:"Hardware
Daubert, In
accelerated
Proc.
of Graphics and
Proc.
H.‐P.
of Vision,
displacement
Interface
2001,
mapping
Seidel:"Interactive
Modeling
and
X.
Wang,
displacement
X.
Tong,
mapping",
S. Lin,
ACM
S. Hu,
Transactions
B.
semi‐transparent
Visualization
Guo,
and
on
Graphics,
H.‐Y.
2002,
pp.505‐512
data",
ACM
Shum:"View‐dependent Vol.22,
No.3,
pp.334‐339
(2003). 57) M.Levoy:"Efficient
ray
tracing
of volume
for
pp.61‐70(2001).
(2002). 56) L.Wang,
of
pp.281‐286(2000).
pp.109‐117(1988).
rendering",In
volumetric
H.‐P.
Proc.
mapping:Shadows
Vol.4,
54) J.Kautz image
F.
Workshop
Computer,
and
visibility",In
EUROGRAPHICS 53) N.L.
J. Kautz,
precomputed
Transactions
on
Graphics,
Vol .9, No.3,
pp.245‐261(1990).
58) B.Cabral,
N.
tomographics
Cam,
Symposium
on
Volume
59) R.Westermann rendering
3D
Proc.
U. texture
T.
In
and
Workshop 63) K.Engel, using
W.
on
of Symposium
Kraus,
scattering
effects
K.
on and
pp.19‐28(2000).
T.
opengl
Volume
Kaneda,
sampling",
of ACM
in
and
and
on
H.
a
volume
shading
extensions",In
shading",In
Graphics
Hardware
In
Graphics
Yamashita, animation
pp.39‐46(1998).
Proc.
of
volume
2001,
T.
Okita,
Proc. 2002,
of atmospheric of
SIGGRAPH/
pp.99‐107(2002). In
and
rendering
of SIGGRAPH/
pp.9‐16(2001).
rendering",
of clouds",In
Eurographics
volume
rendering
Hardware
volume
1998,
Proc.
hardware",In
for
texture‐based
preintegrated
pixel
graphics
realistic
to
Visualization
Yamamoto:"Interactive
evaluation
for
hardware
classication using
shadows on
Ertl:"High‐quality
using
65) L.Westover:"Footprint '90 ,pp.367‐376(1990).
method
rendering
T.
Conference
66) Y.Dobashi,
and
Proc.
pp.169‐179(1998).
Straber:"Enabling
pp.269‐276(2001).
and
Nishita,
EUROGRAPHICS
graphics 98,
2001,
Workshop T.
using
Heidrich:"lnterleaved
EUROGRAPHICS
efficient
W. volume
hardware‐accelerated
64) Y.Dobashi,
In
pp.91‐98(1990).
Ratering:"Adding
Rendering
M.
rendering
hardware",
pp.207‐214(1999).
R.
Proc.
volume
mapping
of SIGGRAPH
and based
of Visualization'99,
renderer",In
Proc.
Ho・mann,
and
texture
Ertl:"Efficiently
mapping
61) U.Behrens
Foran:"Accelerated
using
applications",
62) A.Keller
J.
Visualization,
and
60) M.Meibner, for
and
reconstruction
T.
Proc.
Proc.
of SIGGRAPH
Nishita:"A of SIGGRAPH
simple, 2000,
索
引 image‐based
【英 数
手 法
1mage‐Based 3Dテ
ク ス チ ャ(3D
Bezier
texture)
113
texture
Bresenhamの
75
ア ル ゴ リ ズ ム
BSP‐Tree(Binary
172
Tree)
プ ラ イ ン 基 底 関 数
48
Bス
プ ラ イ ン 曲 線(B‐Spline
curve)
Bス
プ ラ イ ン 曲 面(B‐Spline
surface)
C1 連 続(C1
6
Catmull‐Clark細 CAVE
Computed
Geometry(CSG)
Computer‐Aided
Design(CAD)
Diffusion‐Based
Tractography(DBT)法
subdivision
displacement
3,50
example
155 47
filtering
eyeball‐in‐hand free
movement
Gaussian
device
フ ィ ル タ
Geometry
Engine
Geometry
Element
(GE) Distributor
geometry‐based geometry
Processing
Graphical
I mage
シ ス テ ム
relighting
Graphics
Host
(GED)
User
Interface
Interface
Processor
Analogies
image‐based
シ ス テ ム
(GPU)
Capture
88
of
Unity
Rendering
(MPU)
(NPR)
0penGL
52 30,107
168,176,181
pen‐and‐ink
112
Perspective
shadow
map
186
モ デ ル
28,182 Rendering
Pixel
Generator
Pose
space
107
(PG)
173
deformation
Quad/Triangle
(PSD)
Subdivision
95
Surface
(混 合 細 分 割 曲 面)
Radial
155
Radiance
114
scan
Basis
45
method
Function
(準 補 間 法)
(RBF)
transfer
Shear‐warp
112
Skeletal
map
l69,172
法
185
factorization Subspace
法
Deformation
131 (SSD)
SKETCH space‐time
(GUI)
143
splatting
(HIP)
171
Teddy
116
Texture
49
51,88 74,75,79
conversion
Shadow
171
112
30
(MoCap)
154
69,165
(MVC)
partition
quasi‐interpolation
75,80 Unit
53 30
116
165,171
55
(MLS)
Model‐View‐Controller
Photorealistic
97
(LSM)
Squares
Model
18
surface
43
Method
Least
Phong
分 割 曲 面 based
Set
34
133
device
Doo‐Sabin細
細 分 割 曲 面
Non‐Photorealistic
Tomography(CT)
displaced
Loop
42
31 Solid
120
Multi‐level
157
Constructive
77
制 御
Motion
Controller
75,80
LOD
47
分 割 曲 面
76
relighting
41
Continuity)
(IBR)
field
Moving
120
Rendering
1ight
Level
Space
Partitioning Bス
image
75,191
clipping
Bidirectional
113
】
94 150
constraints
(時 空 間 拘 束)
法
94 131 150
Generator
(TG)
173
Torrance‐Sparrow反 Trilinearテ Video
射 モ デ ル
184
ン ソ ル
morphing
ViSCレ
ポ ー
ト(Visualizaition
Computing Visible
99
オ ブ ジ ェ ク ト(object)
30
オ フ ス ク リ ー ンバ ッ フ ァ
176
78
オ フ ス ク リ ー ン レ ン ダ リ ン グ
176
【カ 】
125
Maleデ
ー タ
136
illustration法
外 形 線
117
135
回 転(rotation)
149
解 剖 学 的 モ デ ル
Windows‐Icons‐Menus‐Pointers(WIMP)
137
拡 散 テ ン ソ ル 場(diffusion
WYSIWYGエ
150
拡 散 反 射(diffuse
Webデ
5
in Scientific
report)
Human
Volume
185
79
Rewrite
View View
エ リ ア シ ン グ(aliasing)
ザ イ ン
デ ィ タ
7,11 95 tensor
reflection,ラ
field)
ン バ ー ト反 射) 26,28,170
【ア 】 拡 大 ア キ ュ ム レ ー シ ョ ン バ ッ フ (accumulation
・縮 小(scaling)
7,11
拡 張 現 実 感(augmented
buffer)
ア フ ィ ン 変 換(affine
132
187
拡 張Marching
10
(extended
transformation)
ア ト ラ ス
37
ア ル フ ァ ブ レ ン デ ィ ン グ
191
ア ン チ エ イ リ ア シ ン グ(antialiasing)
78,175
reality)
152
Cubes法 Marching
Cubes)
確 率 的 サ ー フ ェ ス(probabilistic
130
surface)
影(shadow)
134
166,185
囲 い 込 み 放 物 線 最 小 化 手 法
37
可 視 化 デ ー タ フ ロ ー モ デ ル 位 相 マ ッ プ(topology 一 様 双3次Bス (uniform
map)
129
プ ラ イ ン 曲 面 bicubic
B‐Spline
surface)
42,47
異 方 向 性 反 射 モ デ ル (un‐isometric
dataflow
model)
184
異 方 性 再 メ ッ シ ュ 化
40
イ メ ー ジ 処 理 プ ロ セ ッ サ surface)
166
173 35,50
カ ラ ー ブ リ ー デ ィ ン グ(color
system)
環 境 光(ambient
15
bleeding)
74
カ リ ン グ 処 理(culling)
168
light)
環 境 マ ッ プ(environment
イ ン タ ラ ク シ ョ ン(interaction)
31,143
間 接 光(indirect
22,119
完 全 拡 散 反 射(perfect
removal)
127 76
coordinate
隠 面 消 去(hidden
surface
model)
画 像 メ モ リ カ メ ラ 座 標 系(camera
reflection
陰 関 数 曲 面(implicit
(visualization
画 像 ベ ー ス の レ ン ダ リ ン グ
67 map)
75,184
illumination) diffuse
67 reflection)
簡 単 化(simplification)
80
122,135
ウ イ ン グ エ ッ ジ デ ー タ 構 造 (winged
edge
data
ウ ィ ン ド ウ(window)
エ ネ ル ギ ー 保 存 則
structure)
35 15,18
64
キ ー フ レ ー ム 法(keyframe 幾 何 学 的 変 換(geometric
method) transformation)
29 7
幾 何 マ ッ プ
39
疑 似 補 間 法
48
輝 度計 算
189
ギ ャ ザ リ ン グ 法(gathering
method)
70
74,75,77
光 線 空 間 法
76
光 線 追 跡 法(レ
キ ャ ラ ク タア ニ メー シ ョ ン (character
光 線 空 間
animation)
ray tracing
4,87
イ ト レー シ ン グ 法, algorithm)
22,23
後 方 ク リ ッ ピ ング 面(far clipping plane)
18
キ ュ ー ブ マ ッ ピ ン グ 技 術
176
光 量
27
境 界 適 合 格 子
133
コ ー ス テ イ ッ ク フ ォ ト ンマ ッ プ
球 体 パ ラ メ ー タ化
37
境 界 表 現(boundary
representation)
3
強 調 描 画
118
鏡 面 反 射(ス ペ キ ュ ラ 反 射, specular
コ ー ン ツ リ ー(Conetrees) 拡 張 現 実 感(Augmented
138 Reality)
152
固 定 パ イ プ ラ イ ン
reflection)
171
極 限 曲 面
41
局 所 照 明 モ デ ル(local
71,72
illumination
model)
(computer
曲 率 線 ネ ッ ト ワ ー ク
41
均 等 拡 散 面(ラ
67
筋 肉 変 形 モ デ ル
(commandline
interface)
143
コ ンピ ュー タア ニ メー シ ョン
61,66,67
ン バ ー ト面)
175
コマ ン ドライ ンイ ン タフ ェー ス
98
animation)
87
【サ 】 サ ー フ ェ ス モ デ ル(surface
model)
3
サ イエ ン テ イ フ イ ッ ク ビ ジ ュ ア ライ ゼ ー シ ョ ン 空 間 統 計 学 的 予 測 法
89
区 間 型 ボ リ ユ ー ム(interval
volume)
130
グ ラ フ ィカ ルユ ー ザ イ ン タ フェ ース (GUI:graphical
user
interface)
143
グ ラ フ ィ ック スパ イプ ラ イ ン (graphics
pipeline)
166,167
グ ラ フ カ ッ ト法(graph
cut)
81,82
ク リ ッ ピ ン グ(clipping)
19
グ ローバ ル フ ォ トンマ ップ(global photon
map)
形 状 モ デ ル(geometric
modeling)
108,125
最 急 降 下 法
37
再 構 成 フ ィ ル タ リ ン グ
77
最 小 自 乗 等 角 パ ラ メ ー タ 化
36
細 分 割 極 限 位 置
43
細 分 割 曲 面(subdivision
surface)
細 分 割 曲 面 モ デ リ ン グ
36 3,19
41 35,41
細 分 割 マ ス ク
44
再 メ ッ シ ュ 化(remeshing)
71,72 形 状 保 存 パ ラ メ ー タ 化
(Scientific Visualization:SV)
35,38
3次 元 座 標 変 換(three‐dimentiona l coordinate
transformation)
投 影 座標 系(projection
coordinate system)
10 15
経 路 探 索(wayfinding)
153
漸 進的 ラ ジオ シ テ イ法
高 域 強 調
114
サ ン プ ル テ ク ス チ ャ
81
34
3方 向4次
43
55
散乱(scattering)
23
シ ー ン グ ラ フ(scene
(progressive
工 業 用X線CT 格 子 状 サ ン プ ル 点
radiosity)
ボ ッ ク ス ス プ ラ イ ン 曲 面
70
61
合 成 変 換 89 光 線(ray)
graph)
168
シ ェ ー デ ィ ン グ(shading)
25
シ ェー デ ィ ング 言 語(shading
language)
シェー デ ィ ングモ デ ル(shading
model)
180
ス ポ ッ ト ラ イ ト(spot
light)
170
ス プ ラ ッ テ ィ ン グ 法(splatting)
193
2 ,25
時 空 間 拘 束
8
正 規 化
ビ ュ ー ボ リ ュ ー ム
次 数(order)
128
制 御 メ ッ シ ュ
実 世 界 指 向 イ ン タ フ ェ ー ス
151
Zバ
20 42
ッ フ ァ 法(Z‐buffer
algorithm)
23,120
視 点(viewpoint)
15
セ ル ア ニ メ ー シ ョ ン
109
視 点 固 定
80
線 形 補 間(liner
172
四 辺 形/三 角 形 細 分 割 曲 面 射 影 変 換(perspective 視 野 変 換(view
45‐46
projection)
interpolation)
線 光 源(linear
light
21
線 積 分 畳 込 み 法(Line
15
前 方 ク リ ッ ピ ン グ 面(near
transformation,
187
Integral
Convolution:LIC)
ビ ュ ー ポ ー ト変 換) シ ャ ワ ー ドア エ フ ェ ク ト
129,131 clipping
集 光 現 象(caustic)
71
相 関 性(coherence)
46
走 査 変 換(scan
シ ュ ー テ ィ ン グ 法(Shading
method)
重 点 的 サ ンプ リ ング(importance
70
sampling)
73
縮 小
131
準 正 則 メ ッ シ ュ
38,39
131
ラ ス タ ラ イ ズ 処 理)
169,172
双 方 向 反 射 分 布 関 数(Bidirectional Distribution
75
シ ル エ ッ ト(silhouette)
117
深 度 バ ッ フ ァ(depth
165
ソ リ ッ ド モ デ ル(solid
63,183
model)
3
【タ 】
buffer)
大 域 環 境 光(global
illumination
大 域 照 明 モ デ ル(global
mode1)
illumination
ズー ミン グイ ン タフ ェー ス(zooming
interface) 144,145
field)
191
field)
50
ス カ ラ 量
93 coordinates)
ス ケ ー ル 分 解 ス ケ ッ チ イ ン タ フ ェ ー ス(sketch
transfer
function)
143
多 視 点 投 影(multi
135 view
projection)
多 重 ス ケ ー ル 分 解
123 114
Simulator)
蓄 積 バ ッ フ ァ(accumulation
1l4
中 間 点 細 分 割 法
interface)
ribbon)
地 球 シ ミ ュ レ ー タ(Earth
169
148 ス ト リ ー ム リ ボ ン(stream
query)
多 次 元 伝 達 関 数(mufti‐dimensional
128
ス キ ニ ン グ ス ク リ ー ン座 標(screen
170
model)
27,61,66,67 ダ イ ナ ミ ッ ク ク エ リ(dynamic
ス トロ ー ク(stroke)
Reflection
Function:BRDF)
Visualization:Ⅳ)
照 明 光 線
ス カ ラ 場(scalar
18
convertion,
126,136
ス カ ラ デ ー タ(scalar
plane)
121
修 正 バ タ フ ラ イ 細 分 割 曲 面
情 報 可 視 化(Information
source)
129 111‐112
頂 点 シ ェ ー ダ(vertex
buffer)
136 176 47
shader)
頂 点 テ ク ス チ ャ 調 和 写 像 パ ラ メ ー タ 化
175 180 36
低 域 強 調 に よ る 陰 影 画 像
114
デ ィジ タル コ ンテ ン ツ(digital
contents)
34
デ ィ ス プ レ イ(display)
156
デ ィ ス プ レ ー ス メ ン トマ ッ ピ ン グ (displacement
デ ー タ ー フ ロ ー パ ラ ダ イ ム 手 形 状 入 力 装 置 filter)
テ ク ス チ ャ マ ッ ピ ン グ(texture
等 長 写 像
159
等 方 性 再 メ ッ シ ュ 化
175
等 面 積 写 像
173,177 173 172
generation)
テ ク ニ カ ル イ ラ ス ト レ ー シ ョ ン
81
手 指 動 作 ア ニ メ ー シ ョ ン
159
デ ル タ フ ォ ー ム フ ァ ク タ
69
cloud)
50
light spurce)
テ ン ソ ル 量
133 159
トリ ミ ング(trimming)
(Delaunay
triangulation)
117
2次 元 ア フ ィ ン 変 換(two‐dimensional affine transformation)
transformation)
投 影 面
17 176 15 17
透 過 型 イ ン タ フ ェ ー ス
145
等 角 写 像
36
透 視 投 影(perspective
パ ー テ ィ ク ル シ ス テ ム(particle
system)
5
reality) 156
ハ ー フ エ ッ ジ デ ー タ構 造 (half‐edge data
structure)
35
バ ー ン ス タ イ ン基 底 関 数 (Bernstein
basis function)
ハイ トフ ィ ー ル ド(height
field)
5 189
ハ イ パ ー ス ト リ ー ム ラ イ ン(hyper streamline)
8
ハ ッチ ン グ(hatching)
16,17
155,158
【ハ 】
バ タ フ ラ イ細 分 割 曲 面
coordinate) projection)
26
device)
5
等 間 隔 ハ ッ チ ン グ 同 次 座 標(homogeneous
light)
バ ー チ ャル リア リ テ ィ(virtual
15
texture)
7
入 力 デ バ イ ス(input
system)
of projection)
10
2次 元 座 標 変 換
128
78
投 影 変 換(projection
39
内 形 線
15
投 影 テ ク ス チ ャ(projection
50
ドロネ ー三 角 形 分 割
入 射 光(incident
投 影 幾 何 法
投 影 中 心(center
トラ ク トグ ラ フ イ 法(tractography) ト ラ ッ カ(tracker)
185
投 影(projection)
coordinate
133
【ナ 】
130
投 影 座 標 系(projective
40 36
system) 15
点 光 源(point
36 100
108
デ フ ォ ル メ(deformation)
点 群(point
50,129
トポ ロ ジ ー(topology)
テ ク ス チ ャ 座 標
coordinate
50,129,6
頭 髪 の ア ニ メ ー シ ョ ン
テ ク ス チ ャ 環 境
デ バ イ ス 座 標 系(devise
121
等 値 面(isosurface)
127
29,79,182
テ ク ス チ ャ 生 成(texture
等 値 線(contour)
190
mapping)
テ ク ス チ ャ画 素(テ ク セル,texel)
17
等 値 面 化 手 法(isosurfacing)
mapping)
テ クス チ ャ フ ィル タ(texture
投 射 線
パ ラ メ ー タ化(parameterization)
129 46 117 ,118 35
パ ラ メ トリ ック曲 面(parametric 反 射 光 線(reflected
surface)
プ リ ミ テ ィ ブ(primitive)
75
フ レ ー ム バ ッ フ ァ(frame
61
フ レ ー ム バ ッ フ ァオ ブ ジ ェ ク ト
180
フ ロ ー プ ロ ー ブ(flow
129
ray)
41
反 射 ・透 過 光 バ ンプマ ッピ ング(bump
mapping)
166,188
4 buffer)
39,166
probe)
プ ロ グ ラ マ ブ ル(programmable)166,175 ピ ク セ ル シ ェ ー ダ(pixel
shader)
非 構 造 格 子(unstructured
179
grid)
133
被 写 界 深 度
166,176
被 写 界 深 度 効 果
166
ビジュ アライ ゼー シ ョン(visualization) 30,125 非 正 則 点
shader)
182
分 割 操 作
41
分 散 レ イ ト レ ー シ ン グ(distributed raytracing)
71
40,47
左 手 系
17
ビ デ オ テ ク ス チ ャ(video
texture)
74,81
平 行 移 動(translation) 平 衡k‐dツ
ビ ュー イ ングパ イ プ ライ ン (viewing
プ ロ グ ラ マ ブ ル シ ェ ー ダ(programmable
平 行 光 線(parallel
pipeline)
72 light)
平 行 投 影(parallel
12,13,22
7,111
リ ー
ビ ュ ー ポ ー ト(viewport)
15
ペ イ ン タア ル ゴ リズム(painter
ビ ュ ー ポ ー ト変 換
15
ベ ー ス メ ッ シ ュ
ビ ュー ボ リュー ム(view
volume)
16
algorithm)
18,19,186
108
24 38
ベ ク トル 量
描 画 模 倣 ア ル ゴ リ ズ ム(ビ ジ ュ ア ル シ ミ ュ レ ー シ ョ ン)
26
projection)
128
ベ ジ エ 曲 線(Bezier
curve)
ベ ジ エ 曲 面(Bezier
surface)
112 41
ヘ ッ ドマ ウ ン テ ッ ドデ ィ ス プ レ イ(Head フ ィ ル タ処 理(filtering)
113
feedback
device)
フ ォ ー ム フ ァ ク タ(form
Display:HMD)
157,152 69
68
放 射 エ ネ ル ギ ー
61
71
放 射 輝 度(radiance)
62
71
放射強
62
50
放 射 照 度(irradiance)
138 factor)
フ ォ トン(photon) フ ォ トンマ ッピ ング 法(photon
mapping)
符 号 付 き距 離 関 数 物 理 場(physical
Mounted
へ ミキ ュ ー ブ 法
フ ォ ー ス フ ィ ー ドバ ッ ク デ バ イ ス(force
field)
度
128
放 射 測 定 学
不 透 明 度(opacity)
171
放 射 束
フ ユ ー ズ(phase)
172
放 射 発 散 度
フ ラ グ メ ン ト シ ェ ー ダ(fragment
shader)
法 線 ベ ク トル(normal
175,179
法 線 マ ッピ ング(normal
62 61,3 61 62 vector) mapping)
50,188 79
フ ラ グ メ ン ト処 理
173
ボ ク セ ル(voxel)
129
フ ラ グ メ ン ト生 成
172
ホ ラ イ ゾ ン マ ッ プ
189
フ ラ ク タ ル 図 形 ブ ラ シ ス トロ ー ク(brush
5 stroke)
110
ポ リ ゴ ン(polygon) ボ リ ュ ー ム デ ー タ(volume
3 data)
75
モ ン テ カ ル ロ レ イ ト レー シ ン グ 法
ボ リ ュ ー ム ハ プ タ イ ゼ ー シ ョ ン (volume
haptization)
138
ボ リ ュ ー ム フ ォ ト ン マ ッ プ
71
ボ リ ュ ー ム モ デ ル(volume
34
model)
ray‐casting)
computing)
151
予 測 イ ン タ フ ェ ー ス
rendering)
146
114,129,131,191
【ラ 】
ボ リ ュ ー ム 可 視 化 (volume
69 【ヤ 】
(ubiquitous
131,135
ボ リ ュ ー ム レ ン ダ リ ン グ (volume
モ ン テ カ ル ロ 法
ユ ビキ タス コ ン ピュ ー テ ィ ング
ボ リ ュ ー ム レ イ キ ャ ス テ ィ ン グ 法 (volumetric
visualization)
129
ラ ジ オ シ テ イ法(radiosity
methods)
ラ ジ オ シ テ イ 方 程 式(radiosity 【マ
】
ラ ン バ ー ト面(Lambert
マ ー チ ン グ キ ュ ー ブ 法(marching
cubes)
129
マ ッ ピ ン グ(mapping)
均 等 拡 散 面)
67,3
リアルタイムレンダリング(real time rendering) 167
139
立 体 角(Solid
angle)
粒 子 追 跡(particle 35
メ ッ シ ュ モ デ リ ン グ(mesh
modeling)
メ モ リ オ ブ ジ ェ ク ト(memory light
34,35
object)
source)
138
175
メ タ ボ ー ル(metaball)
面(制
67
surface,
リ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン(realization)
rendering)
マ ル チ フ イ ー ル ド(multi‐field)
面 光 源(area
67
equation)
43
マ ル チ パ ス レ ン ダ リ ン グ (multi‐pass
65,71
tracing)
129
流 線(streamline)
1322
領 域 分 割(area
115
180
稜 線(edge)
187
輪 郭 線(contour
御)点
62
division)
117 line)
117
43
類 似 画 素 探 索 法 モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ(motion モ ー シ ョ ン グ ラ フ(motion
capture) graph)
90
モ ー シ ョ ン ク リ ッ プ
88,90
モ ー シ ョ ン ブ ラ ー(motion
blur)
166,176
(motion
retargeting)
88
モ ー フ ィ ン グ(morphing:変
レ イ キ ャ ス テ イ ング 法(ray‐casting)
191
例 示 プ ロ グ ラ ミ ン グ
146
例 示 予 測 イ ン タ フ ェ ー ス
145
レイ トレー シ ング法
モ ー シ ョ ン リ タ ー ゲ テ ィ ン グ
モ ー シ ョ ン ワ ー プ(motion
81
88
warp)
88
形)
35,78
(光線 追 跡法,ray
tracing algorithm)
レ ンダ リ ング(rendering)
2,25
レ ン ダ リ ン グ 方 程 式(rendering
Visualization
Environment:MVE)
モ デ リ ン グ 変 換(modeling
127
【ワ 】
2,3,19
モ デ リ ン グ 座 標 系(modeling
equation) 27,61,65
モ ジ ュ ー ル 指 向 可 視 化 シ ス テ ム(Modular
モ デ リ ン グ(modeling)
22,23
coordinate)
14
ワ ー ル ド座 標 系(world system)
transformation) 14,30
coordinate 14
〈監修 ・執筆 〉 西 田 友 是 (監修,ま えが き,第3章) 東京 大 学大学 院 近 藤 邦 雄 (監修,ま えが き,第5章) 埼 玉大 学大学 院 藤 代 一 成 (監修,ま えが き,第6章) 東北 大 学流体科 学 研究 所 乃 万 司 (第1章) 九 州工 業大 学情 報工学 部 金 井 崇 (第2章) 東 京大 学大 学 院 高 橋 成 雄 (第2章) 東 京大 学大 学 院 金 田 和 文 (第3章) 広 島大 学大 学 院 新 谷 幹 夫 (第3章) 東 邦大 学理 学部 栗 原 恒 弥 (第4章) 日立製作 所 中央 研究 所 斎 藤 隆 文 (第5章) 東 京農 工大 学工学 部 茅 暁 陽 (第6章) 山梨大 学大学 院 五十嵐 健夫 (第7章) 東 京大 学大学 院 北 村 喜 文 (第7章) 大 阪大 学大学 院 柿 本 正 憲 (第8章) 日本SGI株 式 会社 土 橋 宜 典 (第8章) 北 海道 大学大 学 院
ビジ ュア ル コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ 3次 元CGに
よ る画 像 生 成
2006年9月20日
第1版1刷
発行
編 監
者 画像 電 子 学 会 修 西 田友 是 近藤 邦 雄 藤代 一 成 学校法人 東京電機大学
発行 所 東 京 電 機 大 学 出 版 局 代 表 者 加藤康太郎 〒101‐8457 東京 都千 代 田区神 田錦 町2‐2 振 替 口座 00160‐5‐71715 電話(03)5280‐3433(営 業) (03)5280‐3422(編 集)
印刷 三立工芸㈱ 製本 渡辺製本㈱ 装丁 鎌田正志
〓
The
Engineers Printed
Institute of Japan
of Image
Electronics
2006
in Japan
*本 書 の全 部 また は 一 部 を無 断 で複 写 複 製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法 上 での 例 外 を除 き,禁 じ られて い ます 。小 局 は,著 者 か ら複 写 に係 る権 利 の管 理 につ き委 託 を受 け て い ます の で,本 書 か らの 複 写 を希 望 され る場合 は,必 ず小 局(03‐5280‐3422)宛 ご連 絡 くだ さ い。 *無 断 で転 載 す る こ とを禁 じます 。 *落 丁 ・乱 丁 本 は お取 替 えい た します。
ISBN
4‐501‐54170‐9
C3055
第20章 光 ディスク
電 子 透 か し技 術 ディジタルコンテンツのセキュリティ 画像電子学会 編 小松尚久+田 中賢一監修 A5/232頁
第Ⅴ 部 デ バイス間をつなぐ画 像 ・ 信 号処 理 第21章 異機 種 間 での カラーマネージメント 第22章 sRGBお よび 拡張 色 空間 の標 準 化 第23章 画 像 交換 としての画 像 ファイルフォーマット
ディジタル情報 の最大の利 点である完 全 な複 製可能性 は,同時 に著作 権 を考 えるときの最大 のネックで もある。この著作 権 侵害 への対 策 として電子 透か しの研 究が様 々に進められている。本 書で は文書 から,各種画 像,音楽 情報 にお ける電子透 かし,また ステガノグラフィや生体 認証 など周辺 の技術 までの最 新状 況を 網羅 して解説 する 第1章 電子 透 かしとは何 か― 使 用形 態と耐 性評 価 ― 第2章 本物 の 証 ― 紙 のす き入 れ(透か し)― 第3章 文書 画 像 への電 子 透 かし 第4章 JPEG画 像 に対 する電子 透 かし 第5章 動 画 像 電子 透 かし 第6章 3次 元 形 状 モデル に対 する透 かし 第7章 ホログラフィへ の応 用 第8章 音 楽 電 子透 か しの普 及の可 能性 について 第9章 DVDに 対 するコンテンツ保 護 と電 子透 かし 第10章 バ イオメトりクス本人 認 証技 術 とその課 題 第11章 攻 撃 とその対 策 第12章 ディジタル ・ ステガノグラフィ技 術につ いて
デ ィジ タ ル 情 報 流 通 シ ス テ ム コンテンツ・ 著作 権 ・ビジネスモデル 画像電子学会 編 曽根原 登 監修 A5/328頁 ディジタル ・ インフラを用いた様 々な情 報流 通ビジネスが 行われる ようになり,〈 物〉の流 通にはなか った新たな課題が 顕在化 してき た。ネット上での著作権 管理や,情報の流 通,消費,利用の各場面 で浮上 してきた技術 的問題 である。本 書はITの 本質 を分析 する とともに,ディジタルコンテンツの生産や流 通,サービスの課 題を明 らか にし,その技術 的解 決方法 を探る。 第1章 序 論 ― ディジタル流 通 技 術 第Ⅰ部 デ ィジタル 著作 権 とセキュリティ 第2章 ディジタル時 代 の著 作 権 第3章 ディジタル著 作 権管 理(DRM)技 術 第4章 ディジタルコンテンツの個 体 化 技 術
カラ ー 画 像 処 理 とデ バ イス ディジタル・ データ循 環の実現 画像電子学会 編 小松尚久+河村尚登 監修 A5/354頁
第5章 不 正 アクセスとその対 策 技術 弟Ⅱ部 ディジタル ・ インフラ 第6章 アクセ スネットワーク技 術 第7章 IPネットワークの動 向 第8章 IPネ ットワークの 品質保 証(QoS)技 術 第Ⅲ部 デ ィジタルコンテンツの符 号 化 ・ メタデータ化 第9章 デ ィジタル映 像 符号 化 技術 第10章 デ ィジタル情 報 家電 技 術 第11章 デ ィジタルTVの メタデータ技術 第12章 次 世 代の セマンティックウェブ技 術
単 機能 独 立 型か ら複合 的ネットワーク型 システムへ と変 貌 を遂 げつ つある画像 関連デバイス。オフィスさらには家庭 においても, 入 力から表 示,出力,通信,保 存という一連 のプロセスを実現でき るようになった今 日,異なる機種 間での画質の一貫性 と高品質確 保 が重 要 な課 題 となった。本書 は,そのため に欠 かす ことので きない画像 ・信 号処 理技 術 と最新 のハー ドウェア状 況 を解 説 する。
第13章 メタデータ管 理技 術 第Ⅳ 部 コンテンツ流 通サービ ス 第14章 コンテンツ流 通 ビジネスモデル 第15章 デ ィジタル アーカイブ・ コンテンツ流通 モデル 第16章 P2Pコ ンテンツ流通 モデル 第17章 超 高 精細(SHD)映 像 配信 サー ビス 第 18章 映 像 通信(TV会 議)サ ー ビス 第19章 e‐Learningサ ービス 第20章 コラボ レー ション映像 制作 サ ービス
第13章 電 子 透 かしに関 する国際 標 準化 動 向 第14章 今 後 の展 望 ― まとめ にかえて―
第Ⅰ部 入力 系デバ イスと画 像 ・ 信号 処 理 第1章 画 像 入力 センサ一次世 代 イメージセ ンシング 第2章 ディジタル カメラ 第3章 スキ ャナー 第Ⅱ部 表 示 テバイスと画像 ・ 信 号 処理 第4章 液 晶ディスプ レイ 第5章 プ ラズ マディスプ レイ 第6章 FED(Field Emission Display) 第7章 有機ELデ ィスプ レイ技術 第8章 液 晶プ ロジ ェクタ 第9章 広 色再 現 域 カラーディスプレイ 第10章 立体 ディスプ レイ 第Ⅲ部 出力 系デバ イスと画像 ・ 信号 処 理 第11章 ディジタルカ ラー複 写 機 第12章 力ラーレーザプ リンタ 第13章 パブル ジェット型 力ラーインクジェットプ リンタ 第14章 ピエゾ型 インクジェットプ リンタ 第15章 サーマルプ リンタ 第Ⅳ 部 通 信 系デバ イス および蓄 積 系 デバイスと画 像 ・ 信号 処 理 第16章 第17章 第18章 第19章
カラーファックス マル チファンクション ・ プリン タ(MFP) 携帯 電 話用 カメラモジュール の技 術 動 向 ネットワークカメラ
色 彩 工 学 第2版 大田 登 著 A5/328頁
本 書は測 色学の基 礎 ・ 発展・ 応用の分 野を「色彩工学」として総 合 的にとらえ,これから色彩工学 を学ぶ 学生や,実務 で色彩工学 を活用する技 術者 を主な読者対 象とした。本 文では色彩工学 の 基 本を説明 し,より深 い理 解のための各章末 「参 考」に詳しい説 明を収 録 する。 第1章 光と視覚 第2章 色覚と表色系 第3章 CIE表 色系の成立 第4章 均等な表色系 第5章 測色値の測定と計算 第6章 CIE表色系の発展 第7章 CIE表色系の応用
定価,図 書 目録 のお 問い合 わせ ・ ご要望 は小 局までお願 いいたします。http//www.tdupress.jp/
画像 処 理 応 用 シ ス テ ム 精密工 業会画像応用技術専門委員会 編 A5/276頁
画像 処 理技術 は計 測と検 査に積極 的に導入 され,各種 応用技 術が 開発 されてきた。それ は半導 体製 造や 精密機械 設計 にとど まらず,農業や水 産といった分 野にまで及び 重要 な基盤 技 術を 構成 する。本書 は精 密工学会 画像 応用技 術専 門委員会 の10年 以上 にわたる活動を一巻にまとめ,産業応用に関する蓄積 された 経験 と知識 を技術 者 ・研究者 ・ 学生 に提 供 する。基礎 的な知識 に加え,道路 交通 計測 システム,はんだ検 査 装置,LSI表 面 の印 字品質 検査,地 中レーダ 魚群 探知 機,真 珠品質 評価 システムと いった興 味深 い事 例が解 説され る。 第1章 計測・ 検査システムへの画像処理技術の応用 基礎編 第2章 画像計測 ・ 検査技術の基礎 第3章 画像計測 ・ 検査システムの設計 応用編 第4章 画像計測 ・ 検査システムの構築 第5章 画像応用システムの発展と展望 画 像処 理 工学 村上伸一 著 A5/194頁
初 めて画 像処 理 を学 ぶ人に,画像 処 理とはどのような技術 を含 み,どん な用途 に利用 できるのかを解 説。演 習形式 のプログラ ミングに関する章 を新 たに追 加,より充 実した内容 となった改 訂 版。 1. 画 像 処 理 の概 要 2. 画 像 の扱 い方 3. 2値 画像 処 理 4. 多 値 画 像の 前処 理 5. 多 値 画 像の 解 析と認 識 6. 3次 元 空間 の認識 7. 文 字 認識 8. 顔 の認 識 9. 画 像 の符 号化
第3章 2次元CGの 基礎 第4章 2次元線図形の生成 第5章 2次元面図形の生成 第6章 グラフィックスソフト 第7章 3次元CGの 基礎 第8章 変換処理 第9章 3次元画像の構成 第10章 陰影表現法 第1l 章 CGプ ログラムの実例 マル チメデ ィア通 信 工 学 村上伸一 著 A5/218頁
マルチメディア通信の技 術的 基礎 から平易 に解 説した入 門書。 インターネットや携帯 電話の普及にともなう新 しい技術 までを取り 上げることで,マルチメディア通信 を活用 した社会 システムの今 後 の 進展を理解するのに必要なトピックをほぼ網羅。 理工学系大 学 における教科 書としても利用できるよう配慮した。 第1章 緒論 第2章 画像の扱い 第3章 テレビジョン 第4章 画像の符号化 第5章 画像符号化の圏際標準 第6章 映像通信 第7章 ビデオテックスとテレライティング 第8章 ファクシミリ 第9最 音響通信 第10章 データ通信とインターネット 第11章 モバイル通信 第12章 情報通信とセキュリティ セ ン サ ネ ッ トワ ー ク技 術 ユビキタス情 報環境 の構 築に向けて 安藤繁・田村陽介・ 戸辺義人・ 南正輝 編著 A5/256頁
小 型 化 ・低 コスト化 が 飛 躍 的 に 進 ん だ情 報 端 末 は,高 度 な 無 線 通 信 機 能 を備 え,ユ ビキ タスコン ピュー ティング を実 現 す るた めの セ ンサ 機 能 を持 った 通 信 ノー ドへ と進 化 した。本書 は,この ような セ ンサネ ットワー クを実 現 す るため の 技 術 に つ いて,プ ラ ットフ ォー ム,プ ロトコル,情報 処 理,応 用 システ ムの 現 状 を紹 介 し,今 後 の 研
10. 画 像 処 理プ ログラム
究 に資 する ことを 目的 とす る。 第1章 ネットワークセンシングの 背景
コン ビュー タグ ラフィック スの 基 礎 村上伸一署 A5/152頁
第2章 第3章 第4章 第5章
セ ンサネットワークのプ ラットフォーム セ ンサネットワークのプ ロトコル センサ データ情 報 処理 センサネットワークの応 用システム
CG技 術 の基 礎 的な部分 を中心 に解 説した入 門書。 CG技 術 を 用いた画像 生成 に興 味を持 つ人を対象 に,C言 語の初歩程 度の 予備 知識 で画像 生 成を行 うことを目的に解 説。単に既存 のCGソ フトを使 って画 像を作 るのではなく,CGの 基礎 を理 解することに よって画像 を基 礎 的な部分か ら生成で きるようにすることを目標 とする。 第1章 コンピュータグラフィックスの概要 第2章 コンピュータによる画像生成 定価,図 書 目録 の お問い 合わせ ・ ご要望 は小 局までお願い いたします。http//www.tdupress.jp/