基礎 電 気 ・ 電子工学 第2版
監 修
宮 入 庄 太 磯 部 直 吉 前 田 明 志
東京電機大学 出版局
本書 の全 部 また は一 部 を無 断 で複 写 複製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法上 で の...
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基礎 電 気 ・ 電子工学 第2版
監 修
宮 入 庄 太 磯 部 直 吉 前 田 明 志
東京電機大学 出版局
本書 の全 部 また は一 部 を無 断 で複 写 複製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法上 で の例 外 を除 き,禁 じ られ てい ます.小 局 は,著 者 か ら複 写 に係 る 権 利 の管 理 につ き委 託 を受 け て い ます ので,本 書 か らの 複 写 を希 望 され る場 合 は,必 ず小 局(03‐5280‐3422)宛 ご連 絡 くだ さい.
は 最 近,機
し
が
き
械 ・金 属 ・土 木 ・建 築 ・化 学 … な ど の 技 術 者 は,そ れ ぞ れ の専 門 の
技 術 の ほ か に,電 気 ・電 子 技術 を身 に つ けて お く必 要 性 が 従 来 に も増 して 高 ま っ て きて い る。 これ は現 代 の 技 術 が,電 電 気 量 と し て採 り入 れ,そ
子 計 算 機 を主 役 と して,多
くの情 報 を
の 指 令 に依 っ て 各 種 機 器 を駆 動 す る よ うな 生産 シ ス
テ ム,ま た は稼 動 シ ス テ ム に な って きて い る か らで あ る。 わが 東 京 電 機 大 学 は,工 学 部 の7科(電 精 密 機 械 ・建 築)と 用 電 子)か
理 工 学 部 の6科(数
らな る総 合 理 工 系 大 学 で,電
気 ・通 信 ・電 子 ・機 械 ・応 用 理 化 ・ 理 ・情 報 ・経 営 ・産 業 機 械 ・建 設 ・応 気 系 以 外 の い わ ゆ る他 科 の学 科 で も,
上 記 の よ うな技 術 的 動 向 に 鑑 み,電 気 ・電 子 工 学 を重 視 し,こ の た め に2∼4 単 位 程 度 の 時 間 を割 り当 て 既 に実 施 して い る し,ま
た これ か ら し よ う とす る機
運 に あ る。 お そ ら く他 大 学 で も同 じで は な か ら うか と考 え る 。 本 書 は,こ
の た めの 教 科 書 と して編 修 され た もの で あ る。 他 科 の た め の 教 科
書 は既 に か な り多 く出 版 され て い る が,何 分 に も内 容 が 広 範 に亙 る た め,や や もす る と内 容 に 精 粗 が あ り,著 者 の 専 門 とす る分 野 に片 寄 る き ら い が あ る。 思 うに,こ の 種 の 教 科 書 は,電 気 ・電 子 工 学 の 広 範 な 内 容 を広 く網 羅 す る必 要 が あ り,し か も限 られ た時 間 で履 修 す る こ と を考 え て,不 要 不 急 の もの は 大 胆 に 割 愛 す る必 要 もあ る。 さ らに 記 述 の 方法 も,ま た そ の 程 度 も,他 科 の学 生 な る が 故 に特 にわ か りや す い もの で な くて は な ら な い。この よ う な考 え 方 に 立 っ て, 本 書 は そ れ ぞれ の 分 野 に,そ れ ぞ れ の 専 門 家 をあ て た結 果,執 筆 者 は10数
名の
多 きに上 が っ た。そ の 結 果 と して,若 干,執 筆 の トー ン に不 揃 い が な い と言 えな いが,内 容 的 に は 充 実 した もの に な った と確 信 し,単 な る教 科 書 と して だ け で は な く,卒 業 後 も よ き技 術 的 伴 呂 と して 長 く活 用 して 戴 け る もの と期 待 し て い る。
昭和62年3月
宮
入
庄
太
第2版 本 書 を上 梓 して か ら,す で に13年
に あた って の 歳 月 が 流 れ た 。 この 間,東
京 電機 大 学
も何 回 に もわ た る カ リキ ュ ラ ム の 改 訂 や 学 部,学 科 の 見 直 しが行 わ れ,ま
た現
在 も引 き続 き検 討 が 続 い て い る 。 技 術 の 進 歩 と社 会 変 化 の激 しい 今 日,多
くの
理 工 系 大 学 で 同様 な検 討 が 行 わ れ,社 会 に 求 め られ る技 術 者 の 育 成 が 図 られ て い る こ と と思 う。 この よ うな 変 化 の 中 で も,本 書 は 当初 編 集 意 図 した とお り,工 学 系 学 部 の 学 生 に必 要 な電 気 ・電 子 技 術 の基 礎 知 識 をわ か りや す く伝 え る教 科 書 と して,多 くの 大 学 で採 用 され,ま
た 読 者 か ら も好 評 を も って 迎 え られ て きた 。 これ は著
者 ら に とっ て も望 外 の 喜 び で あ っ た。 しか し,教 科 書 と して 使 う中 で,高 育 の お か れ た 状 況 や技 術 の 進 歩,ま
等教
た 多 少 な り と も 内容 に対 す る 不 満 もあ り,
この ほ ど改 訂 版 を発 行 す る こ と と した 。 改 訂 に あ た り,採 用 い た だ い て い る先 生 方 の ご意 見 も参 考 に して,細 部 に わ た る修 正 に加 え,制 御 シ ス テ ム の 内 容 を大 幅 に 取 り入 れ る こ とに した 。 こ の こ とで新 世 紀 にふ さ わ し い電 気 ・電 子 工 学 の 基礎 教 科 書 と して 生 まれ 変 わ っ た と 思 う。 これ か ら も読 者 に活 用 さ れ る こ とを期 待 して い る。
2000年3月
監 修者
― 基 礎 電 気 ・電 子 工 学― 監 修 者 宮 入 庄 太 ・磯 部 直 吉 ・前 田 明 志 執筆者
第1章 片野 義 雄 第2章 片野 義 雄 ・磯 部 直吉 ・富田 英雄 ・前 田 明志 第3章 本 間和 明 第4章 大庭 勝 實 ・宮下 収 ・中村 尚 五 第5章 飯 田 祥二 ・西 方正 司 ・羽根吉 寿正 第6章 川島忠 雄
目
第1章
次
電 気 の基 礎 1・1 電 圧 と 電 流
1
〔1〕 電 圧 ・電 流 とそ の 波 形 〔2〕
1
オ ーム の法則
5
〔3〕 電 力 量 ・電 力
6
1・2 抵 抗
1・3
1・4
8
〔1〕
導体 の抵抗
8
〔2〕
合成 抵抗
9
〔3〕
ジュー ル熱
11
キ ャパ シ タ ンス
12
〔1〕
静電 気 とクー ロンの 法則
12
〔2〕
電 荷 と電 界
13
〔3〕
キャパ タ ンス
18
〔4〕 誘 電 体
22
イ ンダ ク タ ンス
24
〔1〕 静 磁 気
24
〔2〕
電 流 に よ る磁 界
29
〔3〕
電磁誘 導
32
〔4〕
イ ンダ クタ ンス
演習問題
〔1〕
33
37
第2章 電気回路 2・1
直 流 回路 〔1〕
2・2
法 則 と定 理
39
〔2〕 直 流 回 路 の 計 算
48
〔3〕 磁 気 回 路
57
交 流 回路
60
〔1〕 正 弦 波 交 流 と フ ェ ー ザ 図 〔2〕R,L,Cの 〔3〕
60
性質
66
交流 回路 の計算
70
〔4〕 三 相 交 流 〔5〕 2・3
39
78
ひず み波交 流
82
過渡応答
84
〔1〕 定 常 状 態 と過 渡 状 態
84
〔2〕 直 流 回 路 の 過 渡 応 答(一
次 系)
88
〔3〕 交 流 回 路 の 過 渡 応 答(一
次 系)
94
〔4〕 状 態 方 程 式 に よ る解 法(二 演習問題
次 系)
〔2〕
98 106
第3章 半 導体 デ バ イ ス 3・1
半 導 体 デ バ イ ス の歴 史
109
〔1〕 整 流 作 用 の 発 見 と整 流 理 論 の 確 立
109
〔2〕
110
トラ ン ジ ス タ の 誕 生
〔3〕 半 導 体 集 積 回 路 の 実 現 3・2
半導体 の電気伝導
〔1〕 半 導 体 の 種 類 と諸 性 質 〔2〕 3・3
112 112 112
キ ャ リア 密 度
半導体 ダイオ ー ド
115
117
〔1〕
シ ョ ッ トキ ー ダ イ オ ー ド
〔2〕pn接
合 ダイ オー ド
〔3〕 定 電 圧 ダ イ オ ー ド 3・4
119
120
トラ ン ジス タ
121
〔1〕 バ イ ポ ー ラ トラ ン ジ ス タ 〔2〕 接 合 形 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ 〔3〕MOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ
3・5 電 力 用 デ バ イ ス 〔1〕
117
121
124
126
サ イ リスタ
128 128
〔2〕TRIAC 3・6集
130
積 回路
130
〔1〕
集積 回路 の基 礎概 念
130
〔2〕
バ イ ポ ー ラ集 積 回 路
131
〔3〕MOS集 演習問題
積 回路
〔3〕
132
133
134
第4章 電子回路 4・1 電 源 回 路 4・2
ア ナ ロ グ 回路
138
〔1〕
演 算増幅 器
139
〔2〕
演算 増幅 器 の応 用
141
〔3〕
4・3
トラ ン ジ ス タ 電 力 増 幅 器
〔4〕
発振 回路
〔5〕
変 調 ・復 調 回 路
デ ィ ジ タ ル 回路
147 152 153 156
〔1〕
論 理 代 数 と基 本 論 理 ゲ ー ト
157
〔2〕
組合 せ論 理 回路
161
〔3〕 4・4
178
〔1〕
デ ィ ジ タ ル ・ア ナ ロ グ変 換 回 路
178
〔2〕
ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 変 換 回 路
181
〔4〕
187
エ ネル ギ ー変 換 機 器 とその 応 用 5・1
5・2
5・3
エ ネ ル ギ ー変 換 機 器 の 種 類
189
〔1〕
発 電 機 と電 動 機
189
〔2〕
変圧 器
190
〔3〕
パ ワ ー エ レ ク トロ ニ ク ス
190
電 磁玄誘 導 機 器
192
〔1〕
分 類 と用 途
192
〔2〕
直流電 動機
194
〔3〕
変圧器
203
〔4〕 誘 導 電 動 機
208
パ ワ ー エ レ ク トロ ニ ク ス
217
〔1〕
217
分 類 と用 途
〔2〕 整 流 回 路
219
〔3〕
交流電 力調 整回路
222
〔4〕
チ ョ ッパ 回 路
223
〔5〕
イ ンバ ー タ 回 路
226
演習問題
第6章
170
ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 相 互 変 換 回 路
演 習問題
第5章
順序 回路
〔5〕
228
231
回 路 の 応 用 と電 子 機 器 6・1 計 測 と制 御 の シ ス テ ム 6・2
ア ナ ロ グ信 号 と デ ィ ジ タ ル 信 号
235
6・3 電 子 機 器 の 種 類 と そ の 応 用
6・4
236
〔1〕
画像 機器
237
〔2〕
音響 機器
244
〔3〕
通信機 器
248
〔4〕 計 測 機 器
252
制 御 要 素 と し て の 素 子,回
路,電
動機
254
〔1〕
モ デ リング
254
〔2〕
伝 達関 数
256
〔3〕
制御 要 素 とその応答
258
〔4〕
直 流電動 機
〔5〕
ブ ロック線 図
演習問題
〔6〕
261 262
264
演 習問題の解答
265
付
録
281
索
引
282
第1章 電 気 の基礎
この 章 で は,電
気 と磁 気 の 基 本 的 事 項 を,特
に 電 気 回 路 の 計 算 を理 解 し
や す くす る た め に 解 説 す る。 電 気 回 路 で 重 要 な 量 は電 圧 と電 流 で あ り,そ れ ら の 間 を 関 係 づ け る 回 路 要 素(素
子)と
し て抵 抗,キ
ャパ シ タ ン ス お よ
び イ ン ダ ク タ ン ス が あ る。
1・1 電 圧 と電 流
〔1〕 電 圧 ・電 流 とそ の 波 形 (1)電
流
ガ ラ ス棒 を絹 布 で 摩 擦 す る と,軽
く小 さ い紙 片 や 金 属 な ど を
吸 引 す る。 これ は摩 擦 に よ りガ ラ ス棒 に は正,絹 布 に は負 の 電 気 が 生 じた か ら で あ る。 電 気 が生 じ,電 気 を もつ こ と を帯 電 とい い,帯 電 した物 体 を帯 電 体 と い う。 帯 電 した電 気 を電 気 を荷 な う とい う意 味 で電 荷 とい う。 また,電 荷 は電 気 量 と も い い,物 理 量 と し て扱 う こ とが で き,単 位 は 〔C〕 で あ る。 帯 電 は 必 ず し も摩 擦 に よ ら な く と も,例 え ば,図1・1の 板(コ
よ うに,平 行 金 属 極
ンデ ンサ)に 電 池 を 接 続 して も得 られ る。 図 の ス イ ッ チSを
上 下 極 板 おの お の に正,負
の 電 気 が帯 電 し(充 電 と もい う),Sを
電 状 態 が 保 た れ る(図 の 場 合,約1.3×10-8Cが
入 れ る と,
開 い た後 も帯
帯 電 し,ま た約10×10-6Nの
吸
引 力 が 働 い て い る)。 さ て,電 流 は以 上 の 電 荷 の 移 動 また は 流 れ に よ っ て生 じ,毎 秒1Cの 過 す る と きの 大 き さ を1Aと
電荷 が通
い い,そ の 向 き は正 電 荷 の 移 動 す る方 向 で あ る。
例 え ば,電 線 中 をt〔s〕間 にQ〔C〕 の電 荷 が 連 続 的 に 流 れ て い る と き の 電 流I 〔A〕は,次 の よ う に表 され る。
図1・1
電 池 に よる帯 電
(1・1)
また,電 線 の 断 面 積 をS〔m2〕 とす る と き,I/S〔A/m2〕
を電 流 密 度 とい い,
電 線 の温 度 上 昇 は この 値 で 左 右 さ れ る。 も し,電 荷 の流 れ の 速 さ が一 定 で な く,変 化 す る場 合 に は,図1・2(a)の に,断 面 積Sを
よう
時 間t〔s〕まで に通 過 し た電 荷 をq(t)〔C〕 とす れ ば(微 分 的 に
Δt時 間 にΔqの 電 荷 が 移 動 す れ ば),そ
の 断 面 に お け る電 流iは, (1・2)
とな る。
(a)
(b) 図1・2 電荷 速 度 が変 化 す る場 合
例 えば,図(b)の
よ う に,コ ン デ ン サ を充 電 す る と きの 電 流iは,コ
ンデンサ
に蓄 え られ て ゆ く電 荷 をq(t)と す れ ば,同 様 に式(1・2)で 表 され る。 電 流 の 連 続 性 図1・3(a)の
よ う に,断 面 積 の 異 な る 導 体 中 を電 荷 が 流 れ る
と き,ど の 断 面 で も同 一 時 間 に 同一 電 荷 量 が 通 過 し,電 流 密 度 は異 な る が,電 流 の大 き さ は 常 に一 定 で あ る。 この性 質 を電 流 の連 続 性 とい う。 これ は,電 流 が水 と同 じ よ う な性 質(非 の よ うに,流
圧 縮 性)を
も って い る た めで,水
量(単 位 時 間 当 た りの 水 量)は
流 の 場 合,図(b)
どの 断 面 で も等 しい(水 量 が 電 荷,
流 量 が電 流 に 相 当 す る)。
(a)電
(b)水
流 の連 続性
の連 続性
図1・3 電流 と水 の連 続 性
(2)
電 圧(電 位 差)
よ う に,高 水 槽Hと のLに
水 は高 い ほ うか ら低 い ほ うに 流 れ る。 図1・4(a)の
低 水 槽Lの
間 を水 管 で 結 ぶ と,水 は 高 水 位 のHよ
り低 水 位
向 か っ て 流 れ る。 これ と同 じ よ うに,電 気 の場 合 に は,水 位 に 相 当 す る
電 位 とい う もの を 考 え,電 流 は電 位 の 高 い ほ うか ら電 位 の低 い ほ うに 流 れ る も の とす る。 この 電 位 の 差 を電 位 差 また は 電 圧 とい う。 電 位,電 の 単位 は,と
位差 および電圧
も に 〔V〕を用 い,次 の よ うに きめ られ て い る。
1Cの
電 荷 が2点間
を 移 動 して1Jの
仕 事 を す る と き,こ の2点 間 の電 位 差
を1Vと
定 め る(後 述1・3節 〔2〕を参 照)。
また,同 図 に お い て,水 流 を持 続 し,一 定 の 水 位 差 を保 つ た め に は,図 中Pの よ うな 揚 水 ポ ン プ を用 い れ ば よ い。 これ は電 気 の 場 合,図(b)の
よ う に,電 池
(ま た は発 電 機)を 用 い て電 流 を持 続 し,電 位 差 を保 つ こ とに相 当 す る。 この電
(a)水
の 回路
(b)電気回
路
図1・4 水 位 と電 位
池 や 発 電 機 の よ うな,電 位 差 を発 生 さ せ る力 を 起 電 力 とい い,単 位 は電 圧 と同 じ く 〔V〕で あ る。 電 池 や発 電 機 の よ う に,電 流 を 流 す 源(み
な も と)と な る も
の を 一般 に電 源 とい う。 また,図 の ニ ク ロ ム線(電
よ うに,電
熱器)の
流が流
れ て仕 事 をす る もの を 一 般 に 負荷 とい う。 (3) 電 圧 ・ 電流 の波形
横 軸 に 時 間t,縦
軸 に電 圧 また は 電 流 の 大 き さ を
もっ て 図1・5に 示 さ れ た グ ラ フ を電 圧 また は 電 流 の 波 形 とい う。 これ ら 波形 は 直 流,正 弦 波 お よ び非 正 弦 波 に 大 別 で き る。 直 流 は,方 向 の 変 わ らな い 波形 で あ る が,通 常,大
き さ も一 定 の場 合 を い う。 正 弦 波 は,一 般 的 に は 交 流(方
が 周 期 的 に 変 わ る)の 一種 で あ るが,通 常,交
向
流 とい え ば正 弦 波 を さす 場 合 が
多 い 。 正 弦 波 は時 間 に 対 し て正 弦 的 に変 化 す るの で,そ
の名 前 が あ り,実 用 上
重 要 な波 形 で あ る。あ る 正 弦 波 に対 し て,そ の 周 期 の1/n(nは2以 の 正 弦 波 を含 ん だ もの を ひ ず み 波 と い う。 この 場 合,も 1/n周 期 の もの を総 称 して 高調 波,特 定 の もの を第n調
上 の 自然 数)
との 正 弦 波 を基 本 波, 波 とい う。直 流 お よ び 正
弦 波 以 外 を,こ こで は非 正 弦 波 とい う こ とに す る。非 正 弦 波 の例 を 図1・5(b)に 示す。
(a)直
流 と正 弦 波
(b)非
正弦 波
図1・5 電 流,電 圧 の 波形
〔2〕 オ ー ム の 法 則 図1・4(b)に
お い て,電 流Iは
て 流 れ る。す な わ ち,電 圧Vと
電 池 の 起 電 力E,し 電 流Iと
た が っ て電 圧Vに
比例 し
は比 例 関 係 に あ り,比 例 定 数 をRと
す
れ ば, V=RI と な る 。Rは
ニ ク ロ ム 線 の 種 類 で 異 な る が,電
ほ ど電 流Iは
小 さ くな り,Rは
圧Vが
一 定 な ら ば,Rの
電 流 を 制 限 す る 意 味 で,一
大 きい
般 に電 気 抵 抗 あ る い
は単 に抵 抗 とい う。 抵 抗 の 単 位 は 〔 Ω 〕で あ る 。 図1・6(a)に
示 す よ う に,電 圧,電
流,抵
抗 を そ れ ぞ れV〔V〕,I〔A〕,R〔
Ω〕
と す れ ば, (1・3)
(a)
(b)
図1・6オ
ー ムの 法 則
とな る。 こ の関 係 を オ ー ム の 法 則 とい う。 抵 抗 の 逆 数 を コ ン ダ ク タ ン ス と い い,通 常Gで
表 し,単 位 は 〔S〕で あ る(G=
1/R)。 電 圧,電
流 が 時 間 的 に 変 化 す る 場 合 に は,お
オ ー ム の 法 則 は 次 式 と な り,電
の お の をυ(t),i(t)と
圧 と 電 流 の 波 形 は 図1・6(b)の
す れ ば,
ように相似形 で
あ る。 (1・4)
〔3〕
電 力 量 ・電 力
(1)電 差V〔V〕
力量
電 気 が な す 仕 事 の 量 を電 力 量 と い う 。Q〔C〕
の と こ ろ を 移 動 し た と き,電 荷 の な す 仕 事,し
は,W=VQ〔J〕
で あ り,ま た 電 流I〔A〕
It〔C〕 に な る か ら,次
がt秒
の電 荷 が 電 位
た が っ て 電 力 量W〔J〕
間 流 れ た と き,電
荷Qは,Q=
の よ うに な る。
W=VIt〔J〕
(1・5)
仕 事 の 単 位 は 〔J〕 で あ る が,電 気 的 仕 事 で あ る こ と を 示 す た め,〔W・s〕=〔J〕, 〔kWh〕 を 用 い る 場 合 も あ る 。t'を
時 間 〔h〕の 単 位 と す れ ば,
(1・6)
な お,電 ば,時
圧,電
間t1か
流 が 時 間 的 に 変 化 す る 場 合 は,お
らt2ま
で の 電 力 量 は,次
の お の をυ(t),i(t)と
すれ
式 と な る(図1・7)。 (1・7)
(2)電
力
単 位 時 間 当 た りの 電 気 が な す 仕 事 の量(電
力 量)を 電 力 とい
う。 した が って,t〔s〕 間 に電 力 量 がW〔J〕 な ら ば,電 力P〔W〕
は,次 の よ う に
な る。
図1・7
電 力 量,電
力
(1・8)
単 位 は 〔J/s〕と な る が,〔W〕
を 用 い る 。 電 圧,電
流 で 表 せ ば,式(1・5)よ
り
次 式 に な る。 (1・9)
電 圧,電 力pは
流 が 時 間 的 に 変 化 す る 場 合 は,お
の お の をυ(t),i(t)と
す れ ば,電
次 の よ う に な る(図1・7)。 (1・10)
上 記pを
一 般 的 に 瞬 時 電 力 と い う 。ま た,あ
要 な ら ば,式(1・7)よ
り式(1・11)に
う 場 合 が 多 い 。 な お,交 とが 多 い 。
る 時 間t1か
らt2ま
な る 。 こ れ を 平 均 電 力,ま
流 の 場 合,t2-t1は
波 形 の 半 周 期(正
での平均 が必
た は単 に 電 力 とい 波 部 分)を
とるこ
(1・11)
1・2
抵
抗
〔1〕 導 体 の 抵 抗 材 質 が 均 一 で,断 例 す る 。 抵 抗,長 を ρ と す れ ば,次
面 積 が 一 様 な 導 体 の 抵 抗 は,長
さ,断
面 積 を そ れ ぞ れR〔
さ に 比 例 し,断
Ω〕,l〔m〕,S〔m2〕
面積 に反比
と し,比 例 定 数
の よ う に な る。 (1・12)
比 例 定 数 ρ を 抵 抗 率 ま た は 固 有 抵 抗 と い い,断 抵抗 〔 Ω 〕の 大 き さ で,単
さ1mの
と きの
位 は 〔Ω・m〕で あ る(図1・8,表1・1)。
図1・8
な お,電 線 な ど で は 断 面 積S'〔mm2〕 の 場 合 の 値 ρ'〔Ω・mm2/m〕 ま た,抵
面 積1m2,長
抵 抗率
を 用 い る の で,抵 抗 率 に は 断 面 積1mm2
を用 い る。
抗 率 の 逆 数 を 導 電 率 と い い,こ
る 。 導 体 の 導 電 性 を 比 較 す る た め,標 の を % 導 電 率 と い う(表1・1)。
れ を σ で 表 せ ば,σ=1/ρ
準 軟 銅 の 導 電 率 を100%と
〔S/m〕 で あ して 表 した も
表1・1 金 属 元 素 お よ び合 金 の抵 抗 率 ・%導 電 率 ・温 度 係 数
〔2〕
合成抵抗
2つ の 端 子 間 に 複 数 個 の 抵 抗 が 接 続 さ れ て い る 場 合,そ 路 の 抵 抗,す い う。 次 に,基 (4個
な わ ち1つ
子 か ら見 た 回
の 抵 抗 に 置 き か え た 抵 抗 を合 成 抵 抗 ま た は 等 価 抵 抗 と
本 的 な 直 列 回 路 と並 列 回 路 の 合 成 抵 抗 を,3個
以 上 も 同 様 で あ る)。 な お,直
直 列 回 路 図1・9(a)で,各
抵 抗0.8Ω,2Ω,4Ω
を 流 し た と き(各 抵 抗 の 電 流 は,電 オ ー ム の 法 則 に よ り,そ そ れ ら の 和,4+10+20=34〔V〕 電 圧 の 比 は,各
の抵抗例 で示 す
並 列 回 路 は そ れ らの 応 用 で あ る。 の 直 列 の 合 成 抵 抗R0は,
各 抵 抗 の 和 に な る 。 す な わ ち,R0=0.8+2+4=6.8〔
ま た,各
の2端
Ω〕 とな る 。 ま た,電
流 の 連 続 性 に よ り等 し く),各
れ ぞ れ,4V,10V,20Vに で,合
抵抗 の電圧 は
な る 。 全 体 の 電 圧V0は,
成 抵 抗6.8Ω
抵 抗 の 比0.8:2:4に
流5A
と電 流5Aの
等 しい 。
積 に等 しい 。
(a)直
列回 路
(b)並列
回路
図1・9 直 列 お よ び並 列 回路
並 列 回 路 図(b)で,各
抵 抗0.8Ω,2Ω,4Ω
の 並 列 の 合 成 抵 抗R0は,各
抵
抗 の 逆 数 の 和 の逆 数 に な る。 す な わ ち,
な お,合 成 コ ン ダ ク タ ン スg0は,各 +0.25=2〔S〕
と な る(こ
コ ン ダ ク タ ン ス の 和 で あ り,g0=1.25+0.5
の 逆 数 は 合 成 抵 抗R0)。
ま た,全
電 流(I0)8Aを
た と き の 各 抵 抗 の 電 流 は,コ ン ダ ク タ ン ス の 比 に 分 配 さ れ る の で,例
流 し
え ば0.8Ω
に 流 れ る 電 流 は,
2Ω,4Ω
の 抵 抗 に は お の お の2A,1Aの
の 連 続 性 よ り,I0に 等 し く4Vに
等 し く8Aで
な る。
電 流 が 流 れ る(各 電 流 の 和 は,電
流
あ る)。各 抵 抗 の 電 圧 は,オ ー ム の 法 則 に よ り,
〔3〕 ジ ュ ー ル 熱 抵 抗 に 供 給 され る電 力 は す べ て 熱 に な る。 この こ とを物 理 学 者 ジ ュー ル は 実 験 的 に 証 明 し,次 の よ う に述 べ た 。 これ を ジ ュー ル の 法 則 と い う。 抵 抗R〔 Ω〕に 電 流I〔A〕 をt〔S〕間 流 した と きに 消 費 さ れ る エ ネ ル ギ ーWj は, (1・13)
とな る。 これ が す べ て 熱 に 変 わ るの で あ る。 この と き発 生 す る 熱 を ジ ュ ー ル 熱 と い う。抵 抗 の 電 圧 をV〔V〕 =VIt=V(V/R)t=(V2/R)tと cal(よ
と す れ ば,Wj
も 書 け る 。 ま た,〔cal〕 単 位 で 表 せ ば,1J=0.24
り正 確 に は0.238889)で
あ る か ら,次
の よ うに な る。 (1・14)
通 常 の 抵 抗 体 は,ジ
ュー ル 熱 そ の他 に よ りそ の温 度 が 上 昇(ま
た は 降 下)す
る と き,そ の 抵 抗 が わ ず か に変 化 す る。 金 属 で は,温 度 上 昇 に よ り抵 抗 が 増 加 し,ほ ぼ 直線 的 で あ る(図1・10)。 この 変 化 の程 度 を表 す の に,温 度 上 昇1℃
に
図1・10 抵 抗温 度 係 数
対 す る 抵 抗 の 増 加 率 で 表 し,こ れ を 抵 抗 温 度 係 数 と い う 。 図1・10で,θ お け る 抵 抗 温 度 係 数 αθ〔 ℃-1〕 は,次
式 に な る。
〔 ℃ 〕に
(1・15)
ま た,上
式 か ら, (1・16)
θ=0〔 ℃ 〕の 場 合 は, (1・17)
と な る 。な お,純 銅 の 場 合,実 用 上0℃
に お け る 抵 抗 温 度 係 数 α0は,1/234.5℃-1
で あ る。
1・3 キ ャ パ シ タ ン ス
〔1〕 静 電 気 とク ー ロ ンの 法 則 図1・11(a)の
よ う に,帯 電 体Aの
に は,図 の よ うに,BのAに
近 くに無 帯 電 の 物 体Bを
お く と,Bの
両端
近 い 端 に は 負 電 荷 が,遠 い端 に は正 電 荷 が 現 れ,
一 種 の帯 電 状 態 に な る。 この 現 象 を静 電 誘 導 とい い,Bに
現 れ た電 荷 を分 極 電
荷 とい う。 電 荷 を蓄 え るた め の コ ン デ ン サ に は,こ の 分 極 効 果 の 大 き い絶 縁 物 が 用 い られ,こ れ を特 に誘 電 体 と呼 ば れ る。 この こ と につ い て は後 述 す る こ と に して,ま ず 静 電 気 に お け る次 の 基 本 的 な 法 則 か ら説 明 し よ う。
(a)静
電 誘導
(b)ク
ー ロ ンの 法 則
図1・11 静電 誘 導 と クー ロ ンの 法則
クー ロ ンの 法 則 異 種 の電 荷 は互 い に 吸 引 し,同 種 の 電 荷 は 互 に反 発 す る。 い ま,一 様 な 媒 質(誘 電 体)中 でr〔m〕 離 れ た2つ の 点 電 荷 をQ1 ,Q2〔C〕 とす れ ば,点 電 荷 間 の 力F〔N〕
は,点 電 荷 を結 ぶ 直 線 上 に あ っ て,次 式 で 示 され る
(図1・11(b))。 (1・18)
こ の 関 係 を 静 電 気 に 関 す る ク ー ロ ン の 法 則 と い い,こ ー ロ ン カ とい う
。 な お,ε
空 の 場 合 に は ε0で 表 し,次
は 誘 電 体 の 誘 電 率 と い い,単 の 値 に な る(cは
の 力 を静 電 力 また は ク 位 は 〔F/m〕 で あ る 。 真
真 空 中 の 光 速 度=3×108〔m/s〕
で
あ る)。
(1・19)
し た が っ て,真
空 中 の ク ー ロ ン の 法 則 は,式(1・19)を
式(1・18)に 代 入 し,次
の よ うに 簡 単 にな る。
(1・20)
ま た,誘 電 体 の 誘 電 率 ε と真 空 の誘 電 率 ε0との 比 を 誘 電 体 の比 誘 電 率 εrと い い,ε よ り よ く用 い られ,無 次 元 で1以 上 の 値 で あ る。 す な わ ち, (1・21)
な お,空 気 の 比 誘 電 率 は ほ ぼ1な の で,実 用 上 は真 空 中 と見 な して よい 。 以 下 しば ら くは 真 空 中 の場 合 を説 明 す る。
〔2〕 電 荷 と電 界 い ま,図1・12(a)の
よ う に,真 空 の 空 間 に1個 の 正 の 点 電 荷Q0〔C〕 が あ る場
合 を例 と し よ う。 この 空 間 は,他 の 電 荷 を お く と き静 電 力 が 働 く特 別 な 空 間 に な って お り,こ の よ うな 空 間 を 一般 に静 電 界(静 電 場),単 う。量 的 に 表 す に は,空 間 の 各 点 に単 位 点 電 荷(+1C)を 力 で表 し,こ れ を電 界 の 強 さ とい う。す な わ ち,1C当
に電 界(電 場)と い
仮 に お い た と きに 働 く た りに働 く力 の 割 合 〔N/
C〕で あ り,方 向 は 力 の 方 向 で 示 し,単 位 は 〔V/m〕 で あ る。図 で は,Q0点
よ りr
(b)電 位 に よ る電 荷 の仕事
(a)点 電荷1個 の電 界 と電位
図1・12
〔m〕離 れ た 点 の 電 界 の 強 さE〔V/m〕
電 界 と電位
は,ク
ー ロ ン の 法 則 に よ り, (1・22)
Q0点 を 中 心 とす る 同 心 球 上 で は 等 し く,方 向 はQ0点 あ る。な お,一 般 に,電 界 の 強 さE〔V/m〕
よ り放 射 状 に 外 向 き で
の 点 にQ〔C〕 の 点 電 荷 を お い た と き
に働 く力F〔N〕 は,電 界 の 定 義 よ り, (1・23)
次 に,同 図 に お い て,Q〔C〕 の 点 電 荷 を 図 のA点
か らB点
電 荷 の な す 仕 事W〔J〕(逆
に移 動 させ る に必 要 な仕 事)
にQをB点
か らA点
に移 動 させ る と き,
は,次 の よ うに な る。 (1・24) Qの
単 位 電 荷(1C)当
の 電 位 差(VAB)ま
た り の 仕 事 は, W/Q〔J/C〕
た は 電 圧 と い い,単
で あ り,こ
れ を2点AB間
位 は 〔V〕で あ る 。 す な わ ち, (1・25)
B点
が 無 限 遠(r2→
∞,電
界 が 零)の
と き,VABをA点
の 電 位(VA)と
い う。
(1・26)
B点
の 電 位 は,上
関 係 は,次
式 でr1をr2に
変 え れ ば よ い 。 し た が っ て,VAB,VA,VBの
の よ う に な る。 (1・27)
一 般 に,電 位 お よび 電 位 差 は,次 電 界 中 の1点Aの
の よ う に定 義 され る。
電 位 は,単 位 点 電 荷(+1C)を
無 限 遠 よ りA点
まで もっ て
くる に必 要 な 仕 事 〔J〕 の 大 き さで 表 され,単 位 は 〔V〕で あ る。 また,2点A,B の電 位 差(電 圧)はVA,VBの 点 の電 位 はB点
と きA,B点
の電 位 はA点
場 合,A
の 電 位 よ り低 い と
は 等 電 位 また は同 電 位 とい う。
位 差 は 各 点 が き まれ ば,そ の 間 に単 位 点 電 荷 を運 ぶ 道 筋 に は関 係 な
く一 定 値 を とる。例 えば,図(b)で,紙 動 す る場 合 と,ACBの これ は,線 素PQ間
面 上,単 位 電 荷 をAか
曲線 で 移 動 す る場 合,と
らBに
直線 で移
も に仕 事 は式(1・24)で 等 し い。
の 仕 事 は,極 限 に お い て,PRQの
仕 事 は零 で あ る た め,仕 事 は 半径r',r"の はPRの
あ る 。 な お,VA>VBの
の 電 位 よ り高 い,ま た はB点
い う。VA=VBの 電 位,電
差,VA-VBで
仕 事 に等 し く,PR間
の
み に 関 係 す る か らで あ る。三 次 元 で
円 周 の代 わ りに球 面 を 考 えれ ば よい 。以 上 は,電 位 が 重 力 場 に お け る位
置 の エ ネ ル ギ ー と同 じ よ う に,電 界 中 に お け る単 位 電 荷 の もつ位 置 の エ ネ ル ギ ー で あ る こ と を示 して い る。 な お,等 電 位 の 点 を連 ね て で き る面 を等 電 位 面 とい う。 これ は地 図 に お け る 等 高 線,天
気 図 に お け る等 圧 線 に相 当 す る も の で,同 図 で は半 径 の 等 し い 同心
球 の 面 が 等 電 位 面 とな る。 な お,電 位 の 異 な る等 電 位 面 は 交 わ らな い 。 次 に,等 電 位 面 と同様 に,電 界 を わ か りや す くす る た め の電 気 力線 を説 明 し よ う。 電 気 力 線 は空 間 に お け る 向 き を もっ た 多 数 の 線 の束(た
ば)で あ り,次
の よ う に きめ られ て い る 。 正 電 荷 か ら出 て 負 電 荷 に終 わ り,そ の 方 向 が電 界 の 方 向 を示 し,そ の本 数 は 電 気 力線 に垂 直 な 断 面(等 電 位 面)で 単 位 面 積(1m2)当
た りの 電 気 力 線 数(電
気 力線 密 度)が 電 界 の 強 さ に等 し くな る よ う,す な わ ち電 界 がE〔V/m〕 m2当 た りE本
な ら1
の 割 合 で 通 る よ うな 線 の 集 りで あ る。
図1・12の 電 界 で は,電 気 力 線 は,図1・13(a)の
よ う に,放 射 状 に な る(負 電
荷 は半 径 無 限 大 の 球 面 に 分 布 して い る)。 電 気 力 線 は正 ・負 電 荷 間 に 張 られ た ゴ ム ひ もの よ う に,縮
も う とす る と同 時 に,隣
ど う し は互 に 反発 し あ っ て い る。
な お,電 気 力 線 ど う し は 互 に交 らず,ま た 等 電 位 面 と は直 交 して い る。
(a)電
気 力 線,電
束
(b)ガ
ウ スの定 理
図1・13 電 気 力線 と電 束 お よび ガ ウ スの 定理
図1・13(a)で,電
気 力 線 の総 数 は,任 意 の 半径rの
に な る。 す な わ ち,単 位 電 荷(1C)当
球 面 で 考 えれ ば,Q0/ε0本
た り1/ε0本 の電 気 力 線 が 出 て い る。 そ こ
で,誘 電 率 ε0に無 関係に な る よ う,単 位 電 荷(1C)当
た り1本 の 割 合 で 出 る よ
う な新 た な線 束 を考 え,こ れ を電 束 と定 義 す る。 そ の た め に は,電 界 中 の電 気 力線 密 度,す
な わ ち電 界 の 強 さE〔V/m〕
の 点 で,Eを
ε0倍 した 新 た な 量 を き
めれ ば よ く,こ れ を電 束 密 度 とい い,単 位 は 〔C/m2〕で あ る。す な わ ち,電 束 密 度 をDと
す れ ば, (1・28)
図1・13(a)で
は,
(1・29)
電 束 は電 気 力線 と相 似 的 に画 か れ る。 電 気 力 線 密 度(電 界 の強 さ)Eお 電 束 密 度Dに
よび
つ い て は,次 の 重 要 な ガ ウス の 定 理 が あ る。
図1・13(b)に
お い て,閉 曲 面 上 の 面 素dS〔m2〕 で,電 界 の 強 さE〔V/m〕
び 電 束 密 度D〔C/m2〕 電荷 の総 和(代
の 外 向 き の 法 線 成 分 をお の お のEn,Dnと
数 和)をQ〔C〕
およ
し,閉 曲 面 内 の
とす れ ば,En=Ecosθ,Dn=Dcosθ
で, (1・30)
図1・13(a)で
は,En=E,Dn=Dで
あ る か ら,ガ ウス の 定 理 の 成 立 は 明 らか
で あ ろ う。 以 上 は,例 と して 点 電 荷1個(Q0)の
場 合 の 静 電 界 を 示 した が,複 数 個 の 場 合
に は,お の お の の 点 電 荷 に よ る 静 電 界 を重 ね 合 せ れ ば よい 。重 ね 合 せ は,電 荷, 電 位 な どの ス カ ラ ー 量 は代 数 和 を求 め れ ば よ く,方 向 を も つ力,電
界 の 強 さ,
電 束 密度 な どの ベ ク トル量 は ベ ク トル 和 を求 め れ ば よ い。 ま た,電 荷 が 線,面, 体 積 状 に 分 布 して い る場 合 に は,微 分 的 に分 割 され た 線 素,面
素,体 積 素 の電
荷 を 点電 荷 と見 な し て,そ れ ら に よ る静 電 界 を ス カ ラー ま た は ベ ク トル 的 に積 分 す れ ば よ い。 〔 例 題 〕 図1・14(a),(b)の 荷 を 与 え た場 合 の 電 界 の 強 さ,お
よ う に,非 常 に 広 い 平 面 極 板 に 正 お よび 負 の 電 よび 図(c)の
負 の 電 荷 を与 え た 場 合 の,電 界 の 強 さE,電
よ う に,2板
束 密 度D,電
の 平 行 極 板 に正,
位 差Vを
求 め よ。た
だ し,極 板 の電 荷 密 度 は と もに ±σ 〔C/m2〕とす る。 〔 解 答 〕(a)対
称 性 に よ り,図 の よ うに極 板 に垂 直 な平 等 電 界 と な り,電
界 の 向 きは,極 板 の 左,右 で 反 対 とな る。極 板 上S〔m2〕 の面 素 を と り,Sを 面積 とす る極 板 に垂 直 な 筒 柱 を考 え,ガ ウ ス の 定 理 を適 用 す れ ば,
(1・31)
断
(a)正
に帯 電 した極板
(b)負
に 帯 電 し た 極 板(c)正,負
に帯 電 した平行 極板
図1・14 平面 極 板 の電 界 (b)
負 電 荷 で あ る か ら,電 界 の 向 き は 図(a)と
反 対 と な り,大 き さ は 図(a)
に等 しい 。 (c)
両 極 板 の 外 側 で は,図(a),図(b)に
よ る電 界 は 打 ち 消 しあ っ て零 と
な り,内
側 で は,向
一 極 板 の2倍
き が 同 方 向 で あ る か ら,単
と な り,平
等電界
で, (1・32)
電 束密度Dは, (1・33)
電 位 差Vは,平
等 電 界 で,極 板 間 距 離 がl〔m〕 で あ るか ら, (1・34)
とな る。
〔3〕
キャパ シタンス
図1・15の
よ う な 平 行 極 板(極 板 面 積S〔m2〕,極
板 間 距 離l〔m〕)に,電
〔V〕を 加 え た と き 両 極 板 に 帯 電 す る 電 荷 ±Q〔C〕 /m2〕 で あ る か ら,式(1・34)よ
り,次
の よ うに な る。
は,電
圧V
荷 密 度 σ がQ/S〔C
(b)コ
(a)
図1・15
ン デ ンサ の 図 記 号
平行 極 板 の キ ャパ シタ ン ス
(1・35)
電 荷Qは
電 圧Vに
荷 の大 き さC〔C/V〕
比 例 し,そ の比 す なわ ち単 位 電 圧(1V)当
た りの帯 電 電
は, (1・36)
と な る 。 このC,す 容 量 と い い,単
な わ ち 電 荷Qと
ン サ と い い,図 ,極
比 を キ ャパ シ タ ンス また は 静 電
位 は 〔C/V〕 の 代 わ り に 〔F〕を 用 い る 。Cの
圧 で 蓄 え る 電 荷 が 大 き く,蓄
一種 で
電 圧Vの
式 的 に 図(b)の
大 き い ほ ど,同
一電
積 効 率 が よ い。 一 般 に電 荷 を蓄 え る も の を コ ンデ よ うな 図 記 号 で表 す。 平 行 極 板 は コ ン デ ンサ の
板 面 積 が 大 き い ほ ど,板
間 距 離 が 小 さ い ほ ど,式(1・36)よ
り キ ャパ
シ タ ン ス は 大 と な る 。 ま た,極 板 間 が 比 誘 電 率 εrの 誘 電 体 で 満 さ れ て い る 場 合 に は,式(1・36)の
εr倍 と な り,Cは
率 を ε 〔F/m〕 と す れ ば,ε=εrε0で
さ ら に 増 大 す る 。 す な わ ち,誘
電体 の誘電
あ る か ら, (1・37)
(1)
コ ン デ ン サ の 並 列 接 続,直
ン デ ン サ の 電 圧Vkは
等 し くV0で
列 接 続 図1・16(a)の あ り,総 電 荷 量Q0は
の 総 和 に な る か ら,合 成 キ ャ パ シ タ ン スC0は,次
並 列 接 続 で は,各
コ
各 コ ン デ ン サ の 電 荷Qk
の よ う に,各
コンデンサの キ
(a)並
列接 続
図1・16
(b)直
列 接続
コ ン デ ン サ の 並 列 ・直 列 接 続
ャパ シ タ ン スCk の 総 和 に な る。
(1・38)
図1・16(b)の 成 電 圧V0は C0は,次
直 列 接 続 で は,各 コ ン デ ンサ の 電 荷Qkは
各 コ ンデ ンサ の 電 圧Vkの
の よ うに,各
等 し くQ0で
あ り,合
総 和 に な る か ら,合 成 キ ャパ シ タ ン ス
キ ャパ シ タ ンスCkの
逆 数 の 総 和 の 逆 数 とな る。
(1・39)
(2)
コ ンデ ンサ の電 流
コ ンデ ンサ に電 荷 の 出入 が あ れ ば,電 荷 の 移 動
が 電 流 で あ る か ら,電
流 が 流 れ る 。 い ま,図1・17(a)の
(a)
コンデ ンサの 電 流
に 時 間 的 に 変 化 す る 電 圧υ(t)〔V〕 が 加 わ る 場 合,そ
は,Cυ(t)で
ャパ シ タ ン
(b) 図1・17
スC〔F〕
よ う に,キ
あ る か ら,流
れ る 電 流i〔A〕
は,次
の 電 荷q(t)〔C〕
式 に な る。 (1・40)
初 め電 荷 の な い コ ン デ ンサ に 一 定 電 圧Vを
加 え る場 合,図(b)の
よ うに,電
圧 の立 ち 上 りが 急 で あ る か ら,瞬 間,過 大 な 電 流 が 流 れ る。 これ を防 ぐに は, 抵 抗 を直 列 に して 最 大 電 流 を制 限 す れ ば よ い(式(2・106)参 (3)
コ ン デ ンサ の エ ネ ル ギ ー
サ の電 圧 を零(電 荷=0)か エ ネル ギ ー)Wは,瞬
らVま
図1・17(a)で,時 で 上 げ た場 合,そ
照)。
間Tの
間 に,コ ンデ ン
の 蓄積 エ ネ ル ギ ー(静 電
時電 圧 がυ で あ るか ら,次 の よ うに な る。 (1・41)
電 圧Vで
の 電 荷 をQと
す れ ば,Wは
次 の よ う に もか け る。 (1・42)
ま た,図1・15(a)の
平 行 極 板 の 場 合,極
と す れ ば,式(1・41)に
式(1・34),式(1・36)等
板 の 電 界 の 強 さ をE,電
束 密 度 をD
を 代 入 し て, (1・43)
Slは 極 板 間 の体 積 で あ るか ら,単 位 体 積 当 た りの エ ネ ル ギ ー をwと
す れ ば, (1・44)
とな る。 上 式 は,一 般 に静 電 エ ネ ル ギ ー が電 界 の 形 で 蓄積 され て い る こ と を示 して い る。 な お,こ の 平 行 極 板 の 極 板 間 に働 く力 は,電 界 分 布 が 図1・14(c)で,正
極板
の 電 荷 が 負極 板 上 に作 る電 界 がE=σ/2ε0で
ある
か ら,吸 引 力 とな り,そ の 大 き さFは
あ り,負 極 板 の 電 荷 が-Qで
積 を と り(σ=Q/S,Q=CV) (1・45)
(1・46)
とな り,極 板 単 位 面 積 当 た りの 力 は,単 位 体 積 当 た りの 静 電 エ ネ ル ギ ーwの
値
に等 しい。 これ は,電 気 力 線 を ゴ ム ひ も と考 えた と き,そ の 縮 も う とす る張 力 が 単 位 面 積 当 た りw〔N/m2〕
〔4〕
で あ る こ とを示 して い る。
誘電体
図1・15(a)の
平 行 極 板 は,極 板 間 を誘 電 体 で満 た す と,キ ャパ シ タ ンス は式
(1・37)の よ う に増 大 す る。 以 下 この こ と につ い て説 明 し よ う。 図1・14(c)よ
り,電 荷,電 界 分 布 は,図1・18(a)の
よ う に な る 。誘 電 体 は静
電 誘 導 に よ り,そ の左 右 の 端 面 に分 極 電 荷 を生 じ る。 これ は,誘 電 体 の原 子 が 外 部 電 界 に よ り,図(b)の た めで,そ
中和 の 状 態 か ら図(c)の
の 総 合 結 果 と し て,図(a)の
よ うに,正
負電 荷 が ず れ る
よ う にな る。 この 効 果 は,両 極 板 の わ
ず か 内側 に 新 た な電 荷 密 度 ±σpで 分 布 し た仮 想 極 板 が 生 じた こ とに な り,誘 電 体 中 の 電 界Eは,分
極 電 荷 に よ る電 界 は反 対 方 向 で あ る か ら,
上 式 よ り, (1・47)
(b)中
(a)
和 して いる原 子
(c)分
極 した原 子
図1・18 誘 電 体 の あ る平 行極 板
電 界Eが
一 定,し たが っ て 電 圧Vが
一 定 な らば,極 板 の 単 位 面 積 当 た りの電
荷 σは,ε0(真 空)の 場 合 よ り σpだ け増 加 し,キ とな る。σpは電 界Eに 電 率 ε(=D/E)と
ャパ シ タ ン ス は増 大 す る こ と
比例 し,σp/Eを 誘 電 体 の 分 極 率(κ)と い い,誘 電 体 の誘
の 関係 は(σ=Dよ
り),次 の よ うに な る。 (1・48)
上 式 を 用 い て,電 荷 は(ε0E+σp)/ε0E=ε/ε0倍,し
た が っ て キ ャパ シ タ ン ス は
ε/ε0=εr倍 に 増 加 す る 。 な お,一 にな る。
般 的 に 真 空 中 の 式 は,ε0を
ε に 変 え る こ と に よ り誘 電 体 の 場 合 の 式
1・4 イ ン ダ ク タ ン ス
〔1〕 静 磁 気 ガ ラ ス 板 上 に鉄 粉 を散 き,板 の 下 に棒 磁 石 を密 着 させ る と,図1・19(a)の
よ
うに,鉄 粉 は整 列 す る。 これ は い わ ゆ る磁 気 現 象 で あ り,鉄 粉 が 棒 磁 石 の 磁 気 誘 導 作 用 に よ り磁 化 され て 小 磁 石 とな り整 列 した もの で あ る。 この 図 形 は,磁 石 の 両端 付 近 に 静 電 気 に お け る正 負 の 電 荷 を置 い た と きの 電 気 力 線 お よ び電 束 と相 似 で あ り,磁 気 で もそ れ ら を静 電 気 に 対 応 して,磁 力 線 お よび 磁 束 とい う。 磁 力 線 の 密 集 した 両 端 付 近 を磁 極 とい い,磁 極 に は 電 荷 に 対 応 して磁 荷 とい う もの を考 え る 。磁 荷 は磁 気 量 また は磁 極 の 強 さ と もい う。 磁 極 した が っ て磁 荷 の正 負 は棒磁 石 を糸 で 吊 し,北 極 を 向 い た ほ うが+極(N極),南 が-極(S極)で
を向 い た ほ う
あ る。 磁 気 現 象 は 静電 気 現 象 に か な り類 似 し て い るが,正
また
は 負 の 単 独 の磁 荷 は存 在 せ ず,静 電 気 の 分 極 電 荷 の よ うに,分 極 の 磁 気 しか 存 在 し な い。 以 下,静 電 気 を念 頭 に お き な が ら磁 気 につ い て 説 明 す る。
(a)棒
(b)磁
磁 石 に よ る磁 界
図1・19
(1) クー ロ ンの 法 則
気 力 に 関 す る クー ロ ン の 法 則
磁 界 と クー ロ ンの 法則
異 種 の磁 荷 は互 い に 吸 引 し,同 種 の磁 荷 は互 い に
反発 す る。い ま,一 様 な媒 質(磁 性 体)中 でr〔m〕 離 れ た 点磁 荷 をm1,m2〔Wb〕
とす れ ば,両 磁 荷 間 の 力F〔N〕
は,両 磁 荷 を結 ぶ 直線 上 に あ って 次 式 で 示 され,
これ を磁 気 力 に関 す る ク ー ロン の 法 則 とい う(図1・19(b))。 (1・49)
μ は磁 性 体 の透 磁 率 と い い,単 位 は 〔H/m〕 で あ る。 真 空 の場 合 に は μ0で表 し,真 空 の透 磁 率 とい い,次 の 値 で あ る。 (1・50)
し た が っ て,真
空 中 で は ク ー ロ ン の 法 則 は,次
の よ うに な る。 (1・51)
磁 性 体 の透 磁 率 μ と μ0と の比 を,そ の 磁 性 体 の比 透 磁 率 μrと い い,無 次 元 で お お よ そ1以 上 の 値 で あ る。 す な わ ち, (1・52)
な お,空 気 中 で は,そ の比 透 磁 率 が ほ ぼ1な の で,実 用 上 真 空 と見 な して よ い 。
(2) 磁 界
磁 気 の 作 用 す る空 間 を磁 界(磁 場)と い う。 量 的 に 表 す に は,
空 間 の 各 点 に単 位 点 磁 荷(+1Wb)を
置 い た と き に 働 く力 〔N〕の 大 き さ で 表
し,こ れ を磁 界 の 強 さ とい う。 方 向 は 力 の 方 向 で あ り,単 位 は 〔A/m〕 で あ る。 また,磁 界 の 強 さH〔A/m〕 F〔N〕 は,F=mHで
の 点 磁 荷 を お い た とき に働 く力
あ る。
(3) 磁 位,磁 位 差 遠 よ りA点
の 点 にm〔Wb〕
磁 界 中 の1点Aの
磁 位 は,単 位 点磁 荷(1Wb)を
無限
まで もっ て く る に必 要 な 仕 事 〔J〕 の大 き さで 表 し,単 位 は 〔A〕で あ
る。 また,2点A,Bの
磁 位VA,VBの
差VAB=VA-VBを
磁 位 差 とい う。 な お,
等磁 位 の点 を連 ね て で き る面 を等 磁 位 面 とい う。 (4) 磁 力線
正 磁 荷 か ら 出 て 負 磁 荷 に終 わ り,そ の 方 向 が 磁 界 の 方 向 を
示 し,磁 力 線 に 垂 直 な 断 面 で 磁 力 線 の 面 積 密 度(1m2当
た りの 本 数)が 磁 界 の 強
さに 等 し くな る よ う な線 の 集 りで あ る。 (5) 磁 束
磁 荷1Wbか
ら1本 の 割 合 で 出 て終 わ る線 の 集 り(磁 力 線 を
μ倍 した もの)。 た だ し,磁 化 に よ り分 極 し た媒 質 内 部 で は,負 磁 荷 か ら出 て正 磁 荷 に終 わ る(電 束 の場 合 も同 様 で あ る)。 例 え ば,棒 磁 石 の 外 部 で は,磁 束 は 正 磁 極 か ら負 磁 極 に向 か う が,内 部 で は反 対 で,負 磁 極 か ら正 磁 極 に向 か う。 そ して,内
外 部 を 通 し て輪 の よ うに 環 流 す る 。
図1・20の よ う な平 等磁 界 中 で も,磁 性 体 の 内 外 部 の 磁 束 お よ び そ の 面 積 密 度 (磁束 密 度)は
連 続 で あ る。 図 に お い て,磁 石 端 面 の磁 荷 をm0,磁
分 極 磁 荷 をm〔Wb〕,断 S,m/Sで,空
面 積 をS〔m2〕 とす れ ば,各 々 の 磁 荷 密 度 σ0,σはm0/
隙 お よ び磁 性 体 の 磁 界 の強 さH0,Hは,平
か る よ うに,H0=σ0/μ0,H=σ0/μ0-σ/μ0と σ0は磁 石 のN極
性 体端面 の
等 電 界 の計 算 か らわ
な る。 これ よ り σ0=μ0H+σ
とな り,
か ら出 る磁 束 密 度 で あ るか ら,図 中 右 向 きで あ り(Hも
右向
き),分 極 磁 荷 に よ る磁 束 密 度 σ も同 じ 向 きを と るた め,磁 束 は連 続 とな る。 こ れ は,分 極 磁 荷 に つ い て は磁 束 が磁 性 体 中 負 の磁 荷 か ら正 の 磁 荷 に 向 か う こ と で あ る。通 常,σ を磁 性 体 の磁 化 の 強 さ とい い,Jで
表 す 。 また,σ0を 磁 束 密 度
図1・20 磁 性体 の磁 界 と い い,Bで
表 す 。 と も に 単 位 は 〔T〕ま た は 〔Wb/m2〕
で あ る 。 し た が っ て, (1・53)
な お,J/Hを
磁 化 率(κ)と い い,μ0+κ
は 透 磁 率 μ で あ り,
(1・54)
(6) 磁 気 モ ー メ ン ト 図1・20で,磁
化 され た磁 性 体 の 分 極 磁 荷Sσ と,
その 長 さlの 積 を磁 気 モ ー メ ン トM(=Sσ
×l)とい う。磁 性 体 は 微 小 な磁 気 モ
ー メ ン トを も った 微 小 磁 石 か らな り,磁 化 され る とそ の 方 向 に整 列 し,全 体 と してMな
る磁 気 モ ー メ ン トを もつ もの と考 え られ,磁 性 体 の 体 積 をV(=Sl)
とす れ ば,単 位 体 積 当 た りの磁 気 モ ー メ ン トM/Vが (7) 強 磁 性 体
磁 化 の強 さJに
鉄 の よ うに 透 磁 率 の高 い もの(比 透 磁 率1000程
を強磁 性 体 とい う。種 々 の 強 磁 性 体 を磁 化 す る と,図1・21の
な る。 度 以 上)
よ う に,2種
類の
曲線 とな り,こ れ らはB-H曲
線,磁 化 曲 線 また は磁 気 飽 和 曲線 な ど と い う。原
点 の状 態 か ら磁 界 の 強 さHを
増 す と,磁 束 密 度Bは
あ た りか ら飽 和 に 入 りb点 に達 す るが,b点
ほ ぼ直 線 的 に増 加 し,a点
か らHを0に
昇 り と同 じ曲線 で も どる もの と,か な り残 留 磁 気Brを
も どす と,殆 ん ど
残 す もの とが あ る。前 者
は イ ンダ ク タ ンス 素 子 や 変 圧 器 な どの 材 料 と して,後 者 は(永 久)磁 して 用 い られ る。な お,正 負H間
図1・21
B‐H曲
石材料 と
を1サ イ ク ル と して で きる 曲 線 を ヒス テ リシ
線 お よ び ヒス テ リ シス ルー プ
(a)ア
ン ペ ア の 右 ね じの 法 則
(b)右 手親 指 の法 則
図1・22 ア ンペ アの 右 ね じの 法 則 と右 手 親 指 の法 則
ス ル ー プ とい う。 ル ー プ 内面 積 は,Hを1サ
イ クル して 生 ず る単 位 体 積 当 た り
の損 失 と な り,ヒ ス テ リシ ス損 とい わ れ る。
〔2〕 電 流 に よ る磁 界 電 流 が 流 れ る と,そ の周 囲 に 磁 界 が 生 じる 。 この 現 象 は,1820年 ッ ド(H.C.Oersted)に
にエ ル ス テ
よ っ て発 見 され た 。 この 現 象 に つ い て は,以 下 に示 す
法 則 が あ る。 (1) ア ン ペ ア の 右 ね じ の 法 則 22(a)の
直 線 電 流 に よ る 磁 界 の 方 向 は,図1・
よ うに,右 ね じの 進 む 方 向 に電 流 を流 す と き,磁 力 線 の 向 きは 右 ね じ
を ま わ す 向 き に な る。 (2) 右 手 親 指 の 法 則
電 流 コ イ ル の場 合 に は,図1・22(b)の
イル を右 手 で 握 り,親 指 以 外 の4指
よ う に,コ
の 向 きが コ イ ル電 流 の 向 き に な る と き,磁
力 線 の 向 き は親 指 の 方 向 とな る(上 記 右 ね じの 法 則 の応 用)。 (3)
ビオ ・サ バ ー ル の 法 則
図1・23(a)の
よ う に,電 流I〔A〕 の流 れ て
い る 電 流 導 体 の 線 素dl〔m〕 に よ るr〔m〕 離 れ た 点 の 磁 界 の 強 さdH〔A/m〕 は,dlとrを
含 む平 面 に垂 直 で(向 きは 右 ね じの法 則), dlとrの
(a)ビ
オ ・サ バ ー ル の 法 則
図1・23
(b)円
なす角 を θ
形 電流 に よる磁 界
ビ オ ・サ バ ー ル の 法 則 と そ の 応 用 例
と す れ ば,次
式 で 表 さ れ る 。 こ れ を ビ オ ・サ バ ー ル の 法 則 と い う 。 (1・55)
例 え ば,図(b)の 平 面 に 垂 直 で,次
よ う な 円形 電 流 に よ る中 心 の磁 界 の 強 さHは,円
周 を含 む
式 に な る。 (1・56)
(4) ア ンペ ア 周 回 積 分 の 法 則
図1・24(a)の
(代 数 和 を ΣI)を 囲 む1つ の 閉 曲 線 上 で,線 向 の成 分 をHl(=Hcosθ)と
磁 界 がHで,
Hのdl方
す る と き,次 の 関 係 が な りた つ 。 これ を ア ンペ ア
周 回積 分 の 法 則 とい う。な お,電 流 とHlの
(a)ア
素dlの
よ うに,複 数 個 の電 流 導 体
ンペ ア の 周 回 積 分 の 法 則
向 き は,右 ね じの 法則 の 関 係 を正 と
(b)環
状 ソ レ ノ イ ド内 の 磁 界
図1・24 ア ンペ アの 周 回積 分 の 法則 とそ の応 用例 す る。 (1・57)
図(b)の
環 状 ソ レ ノ イ ド 内 の 磁 界Hを
つ θ=0よ
り,次
求 め る と,半
径rの
円周上 で均一 か
の よ う に な る。 (1・58)
な お,ソ
レ ノ イ ドの 外 部(r>r2,r<r1)は
ΣI=0で
あ る 。 ゆ え に,H=0と
な る 。 近 似 的 に は,r2-r1≪rの m)当
た り の 巻 数 をnと
と き,断
す れ ば,N=2πrnよ
面 内 は 平 等 なHと り,Hは
し,ま
た 単 位 長(1
次 式 の よ うに 簡 単 に な る 。 (1・59)
さ ら に,ソ
レ ノ イ ド内 に 透 磁 率 μ 〔H/m〕 の 環 状 鉄 心 を 用 い,そ
〔m2〕と す れ ば,ソ
レ ノ イ ド 内 の 磁 束Φ
〔Wb〕 は,次
の 断 面 積 をS
式 に な る。
(1・60)
な お,式(1・60)で,Fを
起 磁 力,Rを
(5) フ レ ミ ン グの 左 手 の 法 則
磁 気 抵 抗 とい う (式(2・28)参 照)。 磁 界 の 中 に 導 体 が お か れ,こ の 導 体 に電
流 を流 す と導体 に力 を生 ず る。 この 力 を電 磁 力 とい い,第5章
で学ぶ電動機 の
電 機 子 各 導 体 に 生 ず る力 を 求 め る場 合 に 有効 で あ る。 図1・25(a)の
よ うに,磁 束 密 度B〔T〕
(a)電
の 平 等 磁 界 中 に,磁 界 と直 角 に有 効 長
磁 力
図1・25 磁界 中の電 流 に働 く 力(電 磁 力)と フ レ (b)フ
レ ミン グの 左手 の 法 則
ミングの 左 手 の法 則
さ(磁 界 中 の 長 さ)がl〔m〕
の 導体 をお き,こ れ に電 流i〔A〕 を流 す と き に,
導体 に 生 ず る力 の 大 き さ をfと
す る と, (1・61)
で表 され る。 この 力 の 向 きに つ い て は フ レ ミン グ の左 手 の 法 則 が あ る。 これ は,図(b)に 示 す よ う に,左 手 の 三 指(人 る よ うに 構 え,人
さ し指,中
指 お よ び親 指)を
そ れ ぞれ が 直 角 に な
さ し指 を磁 界 の 向 きに,中 指 を電 流 の 向 きに それ ぞ れ 一 致 さ
せ る と,親 指 の 向 きが力fの
向 き に な る とい う法 則 で あ る。
〔3〕 電 磁 誘 導 図1・26(a)に
お い て,コ イ ル 内 の磁 束 を変 化 す る と き,コ イ ル に は起 電 力 が
発 生 す る。 この 現 象 を電 磁 誘 導 と い い,発 生 す る起 電 力 を誘 導 起 電 力,そ れ に よ っ て流 れ る電 流 を誘 導 電 流 とい う。 この 電 磁 誘 導 作 用 は,1831年 デー に よ って 発 見 さ れ,1845年 (1)
レ ンツ の 法 則
に,フ
ァラ
に ノ イ マ ン に よ っ て定 式 化 さ れ た 。
誘 導起 電 力 の 向 きは,そ の 誘 導 電 流 で 生 ず る磁 束 が,
も との 磁 束 の 増 減 を妨 げ る よ うな 向 き で あ る。
※ 磁 界 の 方 向 と 直 角 な 面積1m2当
た りに
通 る 磁 束 数 を その 点 の磁 束 密 度 とい う。 (a)電
磁 誘 導 に 関 す る フ ァ ラデ ー の法則
図1・26
図(a)で
(b)磁
束切 断による誘導 起電 力 とフレ ミン グの右手 の法 則
電 磁誘 導
は,磁 束 と誘 導電 流 の 向 きが,右 手 親 指 の 法 則 に な っ て い るの で,
誘 導起 電 力 は 磁 束 が 増 加 中 な らば,誘 導 電 流 と反 対 の 方 向,磁 束 が 減 少 中 な ら ば誘 導 電 流 と同 方 向 に な る。 (2) 電 磁 誘 導 に関 す る フ ァラ デ ー ・ノ イ マ ンの 法 則 電 力 をe〔V〕,磁
束 をΦ 〔Wb〕,コ イ ル の 巻 数 をN,時
図(a)で,誘
導起
間 をt〔s〕 と し,e,Φ
の 正 の 向 き を図 の 向 き とす れ ば,次 式 が成 り立 つ。な お,NΦ
を磁 束 鎖 交 数 と い
う。 (1・62)
また,図(b)の す る。 図(b)で,平
よ うに,導 体 が磁 束 を切 る こ とに よ って も誘 導起 電 力 が発 生 等 磁 界 の 磁 束 密 度 をB〔T〕,そ
長(磁 界 中 の 長 さ)をl〔m〕,そ
れ を 直 角 に切 る 導 体 の有 効
の 速 さ をυ 〔m/s〕とす れ ば,発 生 す る誘 導 起 電
力e〔V〕 は,次 式 にな る。 (1・63)
これ は,導 体 が1秒 で あ る。B,υ,eの
間 に 切 る磁 束 数 に等 し く,上 記,電 磁 誘 導 の 法 則 の変 形 向 き に つ い て は,図(b)の
右 手3指
が 示 す 関 係 に な り,こ
れ を フ レ ミ ング の 右 手 の 法 則 とい う。
〔4〕 イ ンダ ク タ ン ス コ イル に電 流 を流 し,そ の 電 流 が 変 化 す る と き,コ イ ル は 誘 導 起 電 力 が 発 生 す る。 コ イ ル1個
の場 合 を 自己 誘 導 起 電 力,コ
イ ルが2個
以 上 の 場 合 に は相 互
に 誘 導 起 電 力 が 生 じる。 これ を相 互 誘 導 とい う。 誘 導 起 電 力 を発 生 させ る磁 束 と,そ の 磁 束 を作 る電 流 との 間 は,次 の イ ン ダ ク タ ン ス で 関 係 づ け られ る。 (1) 自 己 イ ン ダ ク タ ンス
図1・26(a)で,誘
導 起 電 力eの
向 きに 外 部 か
ら電 流i〔A〕 を 流 せ ば,そ れ に比 例 し て 図 の 向 き に磁 束Φ 〔Wb〕が 生 ず る(Φ∝ i) 。 した が っ て,誘 導起 電 力e〔V〕 は,式(1・62)よ
この 比 例 定 数 をLと
り,
お き,こ れ を 自 己 イ ン ダ ク タ ンス とい う。単 位 は 〔H〕で
あ る。
(1・64)
Lの
値 は,式(1・62)よ
ル の 単 位 電 流(1A)当
り磁 束 鎖 交 数 をΦ
とす れ ば,Φ=Liと
な る か ら,コ イ
た り の 磁 束 鎖 交 数 と な る 。 す な わ ち, (1・65)
例 え ば,図1・24(b)の
鉄 心 入 環 状 ソ レ ノ イ ドの 場 合,式(1・60)よ
り, (1・66)
な お,コ 電 力eの
イ ル を 抵 抗 や コ ン デ ン サ の よ う に 負 荷 素 子 と し て 扱 う た め,誘 向 き を,図1・27(a)の
導起
よ う に 反 対 に とれ ば, (1・67)
以 後 は,こ
の よ う なeとi,Φ
(a)索
の 向 き を用 い る こ と とす る。
子 と して の イ ン ダ ク タ ン ス
(b)自
己 イ ンダ ク タン スの 電磁 エ ネ ル ギー
図1・27
自己 イ ン ダ クタ ンス とその 電磁 エ ネル ギ ー
自 己 イ ン ダ ク タ ン ス は エ ネ ル ギ ー の 損 失 は な く,エ
ネ ル ギ ー を磁 界 の 形 で 蓄
え る こ と が 出 き る 。 これ を電 磁 エ ネ ル ギ ー と い う 。い ま,イ ン ダ ク タ ン スL〔H〕
に電 流I〔A〕 時 間t=0か
を 流 し た と き の 電 磁 エ ネ ル ギ ーWm〔J〕 らT〔s〕
で,電
流iが0か
らI〔A〕
は,図1・27(b)の
に 達 し た と す れ ば,次
よ う に, の ように
し て求 ま る。 (1・68)
例 え ば,図1・24(b)の して得 られ,ま
鉄 心 入 環 状 ソ レ ノ イ ドの 場 合,式(1・66)を 上 式 に代 入
た鉄 心 内 の磁 束 密 度Bお
よび 磁 界 の 強 さHで
表 す と, (1・69)
単 位 体 積 当 た りの 電 磁 エ ネ ル ギ ー をwmと か ら,次
す れ ば,体
積 が2πrS〔m3〕
で あ る
の よ う にな る。 (1・70)
こ れ は 一 般 的 に 成 り 立 つ 式 で あ る 。 な お,上 (式1・43)お
記 のWm,
wmは
よ び 単 位 体 積 当 た り の 静 電 エ ネ ル ギ ー(式1・44)に
静電 エ ネルギー 対応 す る もので
あ る。 (2)相 N1),#2(巻
互イ ンダク タンス 数N2)が
あ り,お
図1・28(a)の
よ う に,2つ
の お の に 電 流i1,i2を
(a)相 互 イ ン ダ ク タ ン ス に よ る 誘 導起 電 力
図1・28
の コ イ ル#1(巻
流 せ ば,そ
れ に よ る磁 束
(b)端 子 電圧 との 関係
相 互 イ ンダ ク タ ンス
数
の 一 部 分 は 互 に 他 の コ イ ル に 鎖 交 す る。 い ま,#1コ イ ル に お け る 鎖 交 磁 束 をΦ21と
す れ ば,#2コ
イ ル の 電 流i1に
よ る#2コ
イ ル に 発 生 す る 誘 導 起 電 力e21
は,
Φ 21∝i1と
す れ ば,
と 書 け る。Mを
相 互 イ ン ダ ク タ ン ス と い い,単
位 は 〔H〕で あ る。 ま た,上
式 か
ら, 〔i1に よ る#2コ
上 記 の 関 係 は,#2の 誘 導 起 電 力e12に
イ ル に お け る磁 束 鎖 交 数 〕
コ イ ル に 電 流i2を
つ い て も同 様 で,か
流 し た と き,#1の
つ,Mは
コ イ ル に発 生 す る
等 し く な る の で, (1・71)
す な わ ち,相 互 イ ンダ ク タ ン スMは,一 した と きの,他 な お,Mに
方 の コ イ ル に単 位 電 流(1A)を
方 の コイ ル に お け る磁 束 鎖 交 数 〔Wb〕に等 しい。 は正,負 が あ り,両 コ イ ル に正 の 向 きの 電 流 を 流 した と き,相 互
の 鎖 交磁 束 が相 加 わ れ ばMは
正,打
消 しあ え ば 負 に な る。
各 コイ ル の 自己 イ ンダ クタ ン スL1,L2と に はM2≦L1L2の
流
関 係 が あ り,次 のkの
そ の 相 互 イ ン ダ ク タ ンスMと
の間
値 を結 合 係 数 とい う。 (1・72)
各 コ イ ル の 端 子 電 圧 と そ の 関 係 は,お
の お の をυ1,υ2と
す れ ば,図1・28(b)
よ り,
(1・73)
こ の と き の,両
コ イ ル の 総 電 磁 エ ネ ル ギ ーWmは,次
式 で 表 さ れ る。 (1・74)
演
習
問
題
〔1〕
〔問 題 〕1.図1・6(a)で,(a)V=10〔V〕,R=100〔kΩ 0.04〔 Ω 〕,(c)V=2〔V〕,I=16〔
μA〕 な る と き,そ
め よ。
〔問 題 〕2.図1・29は,抵 が 等 し く1Ω
の と き,各
〕,(b)I=5〔kA〕,R= れ ぞ れI,Vお
よ びRを
答((a)0.1mA,(b)200V,(c)125kΩ)
抗 の 組 合 せ 個 数 で,2∼4個
の 場 合 の 接 続 で あ る。各 抵 抗
接 続 の 合 成 抵 抗(a∼p)を
求 め よ。
図1・29
答
(a)
2,
(b)
0.5,
(c)
(g)
4,
(h)
5/3,
(i)
(m)0.4,(n)1/4,(o)
求
3,
(d)
4/3(j) 1,
(p)
1.5,
(e)
2/3,
(f)
1/3,
2.5
(k)
3/4,
(l)
0.6,
1
(単 位
は
Ω)
〔問 題 〕3.
100V,10Aの
電 熱 器 を7分
間 使 用 し た と き,発 生 す る熱 量 は 何 〔kJ〕
か 。 ま た 何 〔kcal〕か 。 〔問 題 〕4.
図1・1に お い て,極 板 の 帯 電 量Q〔C〕,極
答(420kJ,100kcal) 板 間 の 吸 引 力F〔N〕
および
コ ンデ ンサ と して の キ ャ パ シ タ ン スC〔F〕 を 求 め よ。 答(Q=1.326×10-8〔C〕,F=10×10-6〔N〕,C=88.5×10-12〔F〕) 〔問 題 〕5.
間 隔r〔m〕
流 した と き,導 体Bに
に あ る 無 限 長 の 平 行 導 体A,Bが お け る磁 界 の 強 さH〔A/m〕
電 流I2〔A〕 を流 し た と き,導 体Bの
あ る 。導 体AにI1〔A〕 を求 め よ。 さ ら に,導 体Bに
単 位 長 当 た り(1m)に
求 め よ(こ の 力 を電 流 力 とい う)。
答
を
働 く電 磁 力F〔N〕
を
第2章 電気 回路
こ の 章 で は,直
流 回路,交
流 回 路 お よ び 過 渡 応 答 に つ い て 学 ぶ 。 ま ず,
直 流 回 路 で は,基
本 的 な 事 項 お よ び 各 種 法 則 ・定 理 を 理 解 し,簡 単 な 回 路
計算 が で きる ようにす る。 次 に,交
流 に は 単 相 と三 相 が あ り,直 流 に比 べ て 多 くの 特 徴 を も っ て お
り,か つ,電 力 と して の 利 用 が 高 く,そ の 利 用 範 囲 が 非 常 に 広 い。 そ こで, ま ず,正
弦 波 交 流 を中 心 に,そ の 表 し方 や 基 本 的 な 事 項 に つ い て 具 体 的 に
解 説 し,交 流 回路 の3要
素 で あ るR,L,Cの
性 質 を 理 解 し,そ れ ら を含
む回路 の計 算 に力点 をお いて解 説 する。 最 後 に,一
般 に 扱 う回 路 は定 常 状 態 で あ る が,事
い る状 態 を 考 え,そ
象 が時 間的 に変化 して
の 時 間 的 な 変 化 量 を定 量 的 に 扱 う,い
わ ゆ る過 渡 応 答
に つ い て 学 ぶ こ と に す る。
2・1 直 流 回 路
〔1〕 法 則 と定 理 (1) 回 路 網 1(a)の
一 般 に 多 数 の 電 源 と 回路 素 子(こ
こ で は 抵 抗)が,図2・
よ う に,導 線 に よ り網 目の よ う に接 続 され た 回路 を回 路 網 とい う。また,
回路 網 を その つ な ぎ方 の み に着 目 し た図(b)の
よ う な 図 形 を グ ラ フ(線 図)と
い う。 そ して,導 線 が3本 以 上 集 ま っ た点 を 節 点 ま た は接 続 点 とい い,節 点間 を つ な ぐ通 路 を枝 また は枝 路 とい う。 図2・1(b)の じ て一 周 す る路 を 閉路,ル
ー プ,網
目(メ
破 線 に 示 した よ う な枝 を通
ッ シ ュ)な
回 路 網 の 中 に電 源 を含 む場 合 を能 動 回 路 網 とい い,含
ど と い う。 ま な い場 合 を受 動 回 路
(a)回
路 網 の例
(b)(a)の
図2・1
グラフ
回路 網 とグ ラ フ
網 と い う。 また,回 路 網 を構 成 す る 素 子 の うち,エ ネ ル ギ ー を供 給 す る もの を 能 動 素 子,そ
う で な い もの を 受 動 素 子 とい う。
受 動 素 子 の 電 圧-電 流 特 性 が,図2・2(a)の その 素 子 を線 形 素 子 とい い,図(b)の
よ う に,直 線 で表 され て い る場 合,
よ うに 直 線 以 外 の形 とな る素 子 を非 線 形
素 子 とい う。
(b)非 線形 素子 の特 性 例
(a)線 形素 子の 特性 例
図2・2 素子 の線 形性,非 線 形性
線 形 素 子 の み か らな る 回路 網 を線 形 回 路 網 また は線 形 回 路 とい い,非 子 を 含 む回 路 網 を非 線 形 回路 網 ま た は非 線 形 回 路 とい う。 通 常,特
線形素
に 断 わ りが
な け れ ば線 形 回路 と考 え て よい 。 (2) キ ル ヒホ ッ フの 法 則
この 法則 は,電 気 回路 にお い て 最 も重 要 な法
則 で あ る 。 回 路 網 の線 形,非 線 形 にか か わ ら ず,ま た 電 圧,電 化 す る場 合 で も,各 瞬 時 に常 に成 り立 つ法 則 で あ り,第1法
流 が 時 間 的 に変
則 と第2法
則があ
る。 (a) キ ル ヒホ ッフ の 第1法 則 図2・3(a)の
(a)第1法
則 の例
(b)第2法
図2・3
点Oに
よ うな 回路 網 の 中 の 任 意 の 節
則の例
キル ヒホ ッフの 法則
お い て,流 入 す る電 流 の代 数 和 は零 で あ る。 す な わ ち, (2・1)
代 数 和 と は,例
え ば 流 入 電 流 を 正 に,流
る 。 す な わ ち,図2・3(a)に
出電 流 を負 に と って 加 え る こ とで あ
お い て, (2・2)
とな る。 また,こ の 第1法 則 は,「任 意 の 節 点 に流 入 す る電 流 の 和 は 流 出 す る 電 流 の 和 に等 しい」 とい いか え る こ とが で き る。 す な わ ち,式(2・2)は, (2・3)
とな る。 この こ とは,節 点 に お い て 電 流 の 発 生,消
失 が な く,流 入 電 流 の す べ
て が 流 出 す る こ とで,こ の 性 質 を電 流 の 連 続 性 と い う。 (b) キ ル ヒホ ッフ の第2法
則 これ は,回 路 網 中 の 閉路 に関 す る 法則 で,
「 任 意 の 閉 路 に お い て,そ の 閉 路 内 の電 圧 降 下 の代 数 和 は,起 電 力 の 代 数 和 に 等
しい 」とい う法 則 で あ る。 た だ し,代 数 和 をつ くる に は,例
え ば,図2・3(b)の
破 線 の よ う な閉 路 に お い て,閉 路 を 一 巡 す る矢 印 の よ うな 向 き を 考 え,そ の 向 き と同 じ向 きの起 電 力 は 正,逆
向 きの 起 電 力 を 負 と し,抵 抗 の 電 圧 降 下 は,一
巡 す る 矢 印 の 向 き と電 流 の 向 き と同 じな ら正,逆 向 きな ら負 とす る。図2・3(b) の 閉路 で は,第2法
則 に よ り次 の よ うな 式 が つ くれ る。 (2・4)
式(2・4)の
関 係 を 図2・4に
示す。
図2・4
第2法
則 の意 味
(図2・3(b)の
(c) 回 路 網 の 解 法 例 例 え ば,図2・5の
電 位 分 布)
回路 の 各 枝 路 の 電 流 を 求 め る場 合
を考 え る。 まず,最 小 数 の 枝 電 流 を 仮 定 し,残 りの 枝 電 流 は仮 定 した 枝 電 流 に よ って 表 す 。 図2・5で は,図 の よ うに枝 電 流I1とI2を I3=I1+I2と
仮 定 し,第1法
則により
す る。次 に,仮 定 し た電 流 の 数 だ け独 立 した 閉 路 を図 の ①,② の よ
図2・5 回路 網 の解 法
う に決 め,各 閉 路 に つ い て第2法
則 を適 用 し,連 立 方 程 式 を つ くる。
① の 閉 路 に つ い て,3I1-4I2=12-10 (2・5)
② の 閉 路 に つ い て,4I2+2(I1+I2)=10 式(2・5)を 整 頓 し て,
(2・6)
式(2・6)を 解 く と,仮 定 し た 枝 電 流I1=2〔A〕 I3=I1+I2=3〔A〕
が 得 られ る,I2=1〔A〕
。よ っ て,
が 求 め られ る 。
(3) 重 ね の 理
回路 網 に 多 数 の電 源 が 含 まれ る と き,各 枝 電 流 を 求 め る
場 合 に適 用 して 便 利 な 法 則 で あ る。す な わ ち,「回 路 網 に 多 数 の 電 源 が 含 まれ る 場 合 の 各 枝 路 の 電 流 は,電 源 が そ れ ぞ れ 単 独 に働 い て い る場 合 の各 枝 電 流 を重 ね 合 わ せ た(代 数 和)も の に 等 しい」。 これ を重 ね の 理 と い う。 た だ し,各 電 源 が 単 独 に働 ら く と考 え る と き,残
りの 電 源 は 取 り去 り短 絡 して お か な け れ ば な
ら な い。 例 え ば,図2・5のI3を
求 め た い と き,図2・6の
存 在 した と きのI3を2回
求 め て,そ の 和 を とれ ば よい 。 す なわ ち,
図2・6
よ うに,2つ
重ね の 理
① 12Vの
電 源 の み 存 在 し た と き のI3をI31と
し て,
② 10Vの
電 源 の み 存 在 し た と き のI3をI32と
し て,
の電 源 が 単 独 に
③ 両 電 源 が 同 時 に存 在 した ときのI3はI31とI32と
とな っ て,キ
ル ヒ ホ ッフ第2法
を重 ね 合 わ せ て,
則 に よ る連 立 方 程 式 を つ く り,こ れ を解 い て 求
めた 結 果 と同 じ に な る。 (4) テ ブ ナ ンの 定 理 と ノー トンの 定 理
(a)テ
ブ ナ ンの定 理
図2・7
(b)ノ
抗 を接 続 す る前 の2点
の 内部 抵 抗Riと
ー トン の 定 理
テブ ナ ンの定 理 とノ ー トンの 定理
よ うに,回 路 網 の 任 意 の2点 間 に 負荷Rlを 流Ilは,抵
テ ブ ナ ンの 定 理 と は,「図2・7の
接 続 した と き,そ の 抵 抗 に流 れ る電
間 の 開 放 電 圧V0お
よび2点
か ら見 た 回路 網
に よ り,次 式 で 表 され る。」 とい う定 理 で あ る。 (2・7)
た だ し,Riは
回 路 網 中 の す べ ての 電 源 を取 り去 っ て 短 絡 して,2点
か ら見 た
回路 網 の合 成 抵 抗 で あ る。 以 上 の こ とか ら,図2・7の2点 V0を も ち,内 部 抵 抗 がRiで 等 価 電 源 とい う。
か ら見 た 回 路 網 は,図2・8の
よ うに,起 電 力
あ る よ うな 電 源 に お きか え る こ とが で き る。これ を
図2・8 等 価電 源
次 に,ノ ー トンの 定 理 と は,「 図2・7(b)の 負 荷 コ ンダ ク タ ン スGlを を接 続 す る 前 の2点 ク タ ン スGiに
よ うに,回 路 網 の 任 意 の2点
間に
接 続 した と き,そ の コ ン ダ ク タ ンス の 電 圧Vlは,Gl
間 の 短 絡 電 流Isお
よ び2点 か ら見 た 回路 網 の 内 部 コ ン ダ
よ り,次 式 で 表 さ れ る 。」 とい う定 理 で あ る。 (2・8)
〔 例 題 〕2・1 図2・9の 流 れ る 電 流Ilを
(a)ホ
イー
よ う な ホ イ ー トス ト ン ブ リ ッ ジ に お い て,検 流 計Gに
求 め よ。
トス ト ンブ
図2・9
〔 解答 〕 て,Gを
(b)開
リ ッ ジ
ホ イ ー ト ス トン ブ リ ッ ジ
テ ブ ナ ン の 定 理 に お い て,図2・9でGを
取 り去 り開 放 し た と き のab間
Riは,図(c)よ
り,
(c)内 部 抵抗Ri
放 電 圧V0
の 電 圧V0は
負 荷 抵 抗Rlと
す る。 そ し
図(b)よ
た 内部 抵 抗
り,ま
(2・9) よ っ て,
(2・10)
と な る 。 こ の ブ リ ッ ジ で,Il=0の
と き を 平 衡 状 態 と い い,そ の 条 件QS=PRを
平 衡 条 件 とい う。
〔 例 題 〕2・2 図2・5の 〔 解 答〕
同 図 で,2Ω
電 流I3を
テ ブ ナ ンの 定 理 で 求 め よ。
の 抵 抗 を デ ブ ナ ン の 定 理 の 負 荷 抵 抗Rlと
抗 を 取 り去 っ た と き,そ
の 両 端abに
し て,こ
の抵
現 れ る 電 圧V0は,
両 電 源 を な くし て短 絡 を して,abか
ら左 を見 た と きの 抵 抗 をRiと
して,
よ っ て,
とな る 。
(5)
ミル マ ン の 定 理
図2・10(a)の
よ う に,内
部 コ ン ダ ク タ ン ス がGk,
起 電 力 がEk(k=1,2,…,n)を
も つ 電 源 が 並 列 に 結 ば れ た と き,図(b)の
に,内 部 コ ン ダ ク タ ン スG0,起
電 力E0を
も つ1つ
よ う
の電 源 にお きか え る こ とが で
き る 。 た だ し, (2・11)
で あ る 。 これ を ミ ル マ ン の 定 理 と い う 。 例 え ば,図2・5に
お い て,2つ
の 電 源 が 並 列 に さ れ た 部 分 を1つ
の電源 にお
(b)
(a) 図2・10
ミル マ ン の 定 理(等
価 電 圧 源)
き か え る と,次
の よ う に な る。
で あ る か ら,2つ
の 電 源 は,
で あ る よ う な1つ
の 電 源 に お き か え る こ とが で き る 。
よ っ て,同
図 の2Ω
の 抵 抗 に 流 れ る 電 流I3は,
とな っ て,テ
ブ ナ ンの 定 理 で求 め た 値 と同 じに な る。
(6) 相 反 の 定 理
可 逆 定理 と もい い,「電 源1個
を もつ 回 路 網 の 中 で,任
意 の枝 路 に流 れ る電 流 は,そ の 枝 路 に電 源 を移 した と き,元 の電 源 を短 絡 した 枝 路 に 流 れ る電 流 に等 しい 」 とい う定 理 で,「 電 源 」 と 「枝 電 流 」の 交 換 が で き る とい う こ とで あ る。 例 えば,図2・9の 電 源EをGの れ は,い
ホ イ ー トス トン ブ リッ ジ 回路 に お い て,平 衡 状 態 の と き,
枝 路 に移 し て も,Eを 短 絡 した枝 路 に流 れ る 電 流 は零 で あ る。こ
ずれ の 場 合 も 「平衡 条件 はPR=QSで
〔 例 題 〕2・3 図2・11(a)に
お い て,3Ω
あ る」 こ とか ら明 らか で あ る。 の 抵抗 に流 れ る電 流I1を 求 め よ。
(a)
ま た,図(b)の る 電 流I2を 〔 解 答〕
図2・11
(b)
よ う に,電 求 め,I2=I1と
源 を 抵 抗3Ω
相反の 定理
の 枝 路 に 移 し た と き,元
の 枝 路 に流 れ
な る こ とを示 せ 。
と も に 直 並 列 回 路 の 計 算 で あ り,I1お
よ びI2は
次 の よ う に求 め ら れ
る。
す な わ ち,I2=I1と
な る。
〔2〕 直 流 回路 の 計 算 直 流 回 路 の計 算 は 直 列 お よ び並 列 回路 の 計 算 が 基礎 で あ り,こ れ らの 組 合 せ の 適 用 で か な りの 計 算 が 可能 に な る。 複 数 の 電 源 を含 む回 路 は,キ
ル ヒホ ッフ
の 法 則 に基 づ い て解 く こ とが で きる。 しか し,場 合 に よ っ て は 回 路 の 諸 定 理 や 法 則 を 活 用 す る こ とで 計 算 が 容 易 に な る場 合 が あ る。 (1)直
列 回路
図2・12(a)の
よ う に,n個
の 抵 抗 を 直 列 に し て 電 圧V0
を加 え た 回 路 が あ る と き,各 抵 抗 に流 れ る電 流 は い ず れ も等 し く,こ れ をI0と す る。 また,各 抵 抗 の 電 圧 は オ ー ム の法 則 に よ り決 ま る。 す な わ ち,
(a)直
列 回路
(b)並
列 回路
図2・12 直列 お よ び並列 回路 そ し て,
ab間
の 全 抵 抗 す な わ ち 合 成 抵 抗R0は,V0とI0の
比 で 表 さ れ, (2・12)
とな り,合 成 抵 抗 は各 抵 抗 の和 に な る。 また,各
抵 抗 の 電 圧 の比 は 各 抵 抗 の 比
とな る。 (2・13) そ し て,
とな る 。 (2)並 圧V0を
列 回路
図2・12(b)の
流 は,オ
加 え た 回 路 に お い て は,各
よ う に,R1,R2,…,Rnを 抵 抗 の 電 圧 は 等 し くV0で
並 列 に 結 び,電 あ り,各 抵 抗 の 電
ー ム の 法 則 に よ り,
で 表 さ れ る 。 全 電 流 をI0と
す る と, (2・14)
とな る 。
ab間
の 合 成 抵 抗 をR0と
す る と,
(2・15)
す な わ ち,合 成 抵 抗 は各 抵 抗 の 逆 数 の和 の逆 数 とな る。 また,式(2・14)よ
り,
各 電 流 の 比 は各 抵 抗 の 逆 数 の 比 に な る。
上 式 か ら次 の形 も得 られ る。
こ れ ら 各 式 の う ち,n=2の
場合 は次の ようになる。
(2・16)
(2・17)
図2・12(b)の
各 抵 抗Rを
各 式 が つ くれ る 。 式(2・14)よ
そ の 逆 数 で あ る コ ン ダ ク タ ン スGで
表 せ ば,次
の
り, (2・18)
合 成 コ ン ダ ク タ ン ス をG0と
す れ ば, (2・19)
そ し て,式(2・18)よ
り, (2・20)
と な り,ま
た,
とな る。 す な わ ち,合 成 コ ン ダ ク タ ンス は 各 コ ン ダ ク タ ン ス の和 に な り,各 電 流 の 比 は 各 コ ン ダ ク タ ン ス の比 に な る。 (3)直
並列回 路
与 え られ た 回路 の 中 で,抵 抗 の 直 列 部 分 お よび 並 列 部
分 を そ れ らの 合 成 抵 抗 に置 き換 え れ ば よ り簡 単 な 回 路 とな り,そ の 回路 に な お 直 列,並
列 の 部 分 が あ れ ば,こ れ ら も合 成 抵 抗 に 置 き換 え られ,更
に簡単 な回
路 に で き る。 この操 作 を繰 り返 せ ば,最 終1個
の 抵 抗,す
な わ ち与 え られ た 回 路 の 合 成 抵
抗 が 得 られ る。 これ よ り全 電 流 が 求 め られ,再
び元 の 回 路 に も ど り,各 部 の 電
流,電 圧 を求 め て ゆ け ば,与
え られ た 回 路 の す べ て の 抵 抗 の電 流,電 圧 分 布 が
得 られ る 。 例 えば,図2・13(a)の
回 路 に お い て,ま ずR2とR3の
(a)
ば,R1とR23の I1よ
(b)閉
分 流 電 流I2,I3を
ち,式(2・16),(2・17)を
用 い て,
た だ し,Δ=R1R2+R2R3+R3R1
抵 抗R1の
R2お
電 圧V1は,
よ びR3の
路 と自由度
求 めれ
図2・13 直 並列 回路 の例
直 列 回 路 と な り,そ
りR2とR3の
合 成 抵 抗R23を
電 圧V2は,
の 合 成 抵 抗 か ら 全 電 流I1が 求 め れ ば,す
求 ま る 。 次 に,
べ て の電 流 が 決 ま る。 す な わ
が得 られ る。
〔例 題 〕2・4図2・14の
よ う な は し ご 形 回 路 の 端 子abか
を 求 め よ 。 た だ し,Rは
抵 抗,Gは
図2・14
〔 解答 〕
同 図 に お い て,右
ン ス は1/R5,②
ら 見 た 合 成 抵 抗Rab
コ ン ダ ク タ ン ス で あ る。
は しご形 回 路
端 か ら ① ま で の 抵 抗 はR5,し
たが って コンダクタ
ま で の 合 成 コ ン ダ ク タ ン ス はG4+(1/R5),こ
の よ うに して順 次
左 へ 求 め て 行 く。 ③ ま で は 合 成 抵 抗 を,④ 求 め るRabは
ま で は 合 成 コ ン ダ ク タ ン ス を 求 め る よ う に す る と,
次 の よ う に な る。
た だ し,
で あ る。 な お,abの
て 電 圧をV1∼V5,電
電 圧Vabを
加 え た と き の 電 圧,電
流 をI1∼I5と
流 分 布 は,各
素 子 の添 字 に従 っ
名 付 ければ,I1=Vab/Rab,V1=R1I1,V2=Vab
-V1,I2=G2V2,I3=I1-I2,V3=R3I3,V4=V2-V3,I4=G4V4,V5=V4,I5=
I3-I4の
順 で す べ て 求 め られ る。
(4)
回路網 の解法
電 圧 分 布 の 決 定,す
回 路 網 を 解 く と い う こ と は,主
な わ ち 各 素 子 の 電 流,電
圧 を 求 め る こ と で あ る が,こ
原 則 的 に は キ ル ヒ ホ ッ フ の 法 則 を 適 用 す る こ と に よ り,す は,図2・13(a)の (a) に,向
回 路 に つ い て,ル
回 路 の 自 由 度 同 図(b)の
と し て 回 路 の 電 流,
ー プ 電 流i1,i2を
れ は
べ て 解 け る 。 こ こで
決 め て 解 く例 を 示 す 。
緑 線 で 示 す よ う に,す
べての枝 を通 るよ う
き を つ け た 独 立 の ル ー プ を 最 小 数 決 め る。 こ の 数 を 回 路 網 の 自 由 度 と い
う。 自 由 度 は,後 の 数 をnと
で 示 す 連 立 方 程 式 の 元 数 を 表 し,自
す れば,こ
由 度 をf,枝
数 をb,節
点
れ らの 数 の間 の 関 係 は次 式 で示 され る。
f=b-n+1 い ま の 例 で は,b=3,n=2で (b)
あ り,f=3-2+1=2で
あ る。
ル ー プ ご と の 電 圧 方 程 式 と そ の 解 図(a)の
れ ぞ れi1お
よ びi2と
ル ー プ1と2の
し,各 ル ー プ に つ い て キ ル ヒ ホ ッ フ 第2法
電 流 をそ
則 に よ る式 を つ
くる 。 ル ー プ1に
つ い て:R1i1+R2(i1-i2)=E (2・21)
ル ー プ2に
こ の2式
つ い て:-R2(i1-i2)+R3i2=0
は,次
の よ うに ま とめ られ る。
(2・22)
こ の よ う に マ ト リ ク ス 形 式 に す れ ば,抵
抗 マ ト リク ス は対 称 マ トリ クス に な
る。 式(2・21)ま
た は 式(2・22)を
と な る 。 そ し て,各
解 い て,
枝 の 電 流 は ル ー プ電 流 の 代 数 和 と して 求 め られ る。
I1=i1,I2=i1-i2,I3=i2 (c)
短 絡 線 の 活 用 図2・15(a)の
よ う に,ブ
リ ッ ジ 形 回 路 網 の 端 子cdを
(a)ブ
リ ッ ジ 形4端
子網
(b)等
価回路
図2・15 短 絡 線 の 活用
短 絡 した と きの 端 子abか 図(b)の
ら見 た 等 価 抵 抗Rabは,短
絡 線cdを1点
に縮 め る と
よ うに な り,
が 容 易 に求 め られ る。 ま た,図2・9(a)の 節 点cとdを
ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ に お い て,EとGを
短 絡 し た と き,節 点aとbか
に 集 め て,図(c)の
よ う に す れ ば,次
(d) 対 称 性 の 活 用 図2・16(a)の
取 り 去 り,
ら 見 た 等 価 抵 抗Riも,cとdを1点 の 形 に な る こ と も容 易 に 求 め ら れ る 。
回 路 に お い て,端
子ab間
の合成抵抗
(b)
(a)
(c)
図2・16 対 称性 の活 用
Rabは,各
抵 抗 が す べ てRで
て 左 右 対 称 で あ る か ら,c点
等 し く,ab軸
i点 も 同 電 位 と な る か ら,同
とd点
に 対 し て 上 下 が 対 称,efg軸
が 同 電 位,e,f,gの
に対 し
各 点 も 同 電 位 ,h点,
電 位 の 各 点 を 短 絡 し て,図(b)の
ようにす ると
,
と して 求 め られ る。 ま た は,図(c)の
よ う に,f点
を 上 下 に 切 り 離 し て,お
の お の をe点
お よ びg
点 に 接 続 し て も よ い 。 こ の 場 合 は,
とな っ て,同
じ結 果 が得 られ る。
(e) Δ‐Υ 変 換 図2・17(a)の 形 結 線 の 回 路(Υ;ス
三 角 結 線(Δ;デ
ル タ)の 回 路 と図(b)の
星
タ ー)の 回 路 は,次 の 関 係 式 に 従 え ば,外 部 回路 に対 す
る影 響 が 等 し い。 す なわ ち 等価 で あ り,そ の 間 の 変 換 を等 価 変 換 とい う。
(a)Δ
結
線
(b)Υ
図2・17 Δ‐Υ
結 線
変換
Δ結線 か らΥ結 線へ の変換
(2・23)
上 式 の 分子 は,Υ 結 線 の 図 を図2・17(a)のΔ
結 線 の 中 へ 同 図 の破 線 の よ うに
入 れ れ ば,Υ 結 線 の 抵 抗rは,そ
れ を は さ むΔ 結線 の2辺
の抵 抗Rの
積 にな っ
て い る。
Υ緒線 か らΔ 結 線への変換
(2・24) 上 式 の 分 母 は,図
形 上,Υ
結 線 のrと,Δ
結 線 のRと
が互 いに垂直 の関係 に
な っ て い る。 な お,3個
の 抵 抗 が 等 し い 場 合 に は,r=(R/3)ま
た はR=3rの
関 係 にな っ
て い る。
〔 例 題 〕2・5図2・18(a)の よ 。 ま た,ab間
に7Vの
(a)ブ
ブ リ ッ ジ 回 路 の 端 子ab間
の 合 成 抵 抗Rabを
求 め
電 圧 を加 え た と きの各 抵 抗 の電 流 を求 め よ。
(b)等
リッジ回路
価 回路
図2・18 Δ-Υ 変換 の 応 用例
〔 解答 〕 り,図(b)に られ る。
ま ず,acd3端
子 間 のΔ 結 線 をΥ 紹 線 に 変 換 す る と,式(2・23)に
な る 。 よ っ て,合
成 抵 抗Rabお
よ び 全 電 流Iは,次
よ
の よ う に求 め
cb間,db間
の 電 流Icb,Idbは,同
ま た,図(a)よ =5〔V〕
で あ り
(Vac)/1=2〔A〕
り,cb間 ,ac間 。ad間
図 のocb,odbの
並 列 回 路 よ り,
の 電 圧Vcbは,Icbと5Ω
の 電 圧Vac,お
の 抵 抗 よ り,Vcb=5×Icb
よ びIacは,Vac=7-Vcb=2〔V〕,Iac=
の 電 流Iadは,Iad=I-Iac=3-2=1〔A〕,最
の 電 流Icdは,Icd=Iac-Icb=2-1=1〔A〕
後 にcd間
と な り,電
流 分 布 が 決 まる 。
〔3〕 磁 気 回路 磁 気 回路 は,磁 性 体 に よ り磁 束 を通 りや す く した 回 路 で,電 気 回 路 と類 似 点 が あ る の で,そ
の計 算 に は電 気 回路 の計 算 に対 比 させ る と便 利 で あ る。
電 気 回 路 の 基 本 則 で あ る オ ー ム の 法 則 お よ び キ ル ヒ ホ ッ フ の 法 則 に対 応 し て,磁 気 回 路 に も同 形 の 法 則 が あ り,し た が っ て磁 気 回 路 の 計 算 が電 気 回路 の 計 算 と同様 に実 行 で き る こ とに な る。 しか し なが ら,磁 気 回 路 で は,電 気 回路 の 導 線 と絶 縁 物 に対 比 す る ほ ど の もの が な く,漏 れ磁 束 が 多 く,電 気 回 路 の計 算 に比 べ て 精 度 が お ち る。 (1)オ
ー ムの 法 則
(a)磁
図2・19(a)の
気 回路
図2・19
よ う に,一 様 な 断 面 積S〔m2〕 で,長 さ
(b)対
磁 気 回 路 の オ ー ムの 法則
応 電 気回路
l〔m〕の 鉄 心 磁 性 体 に,巻 数Nの
コ イ ル を 巻 き,電 流I〔A〕 を流 す と,次 の よ う
な関 係 式 が 成 り立 つ 。た だ し,鉄 心 中 の磁 界 の 強 さ をH〔A/m〕,磁
束 密 度 をB
〔T〕,磁 束 をΦ 〔Wb〕,透 磁 率 を μ 〔H/m〕 とす る と,
よ っ て,
(2・25)
と な る 。 上 式 は,磁
束Φ
が コ イ ル の ア ン ペ ア タ ー ン(=NI)に
比 例 し,分
母 の
(1/μ)・(l/S)に 反 比 例 す る こ と を 示 し て い る 。 分 母 は 磁 性 体 の 形 状 と そ の 材 質 と で き ま る値 で あ る 。 一 方,図(b)の
よ う に,図(a)と
に 流 れ る電 流i〔A〕
同 形 の 抵 抗 体 に 起 電 力E〔V〕
は,抵 抗 体 の 抵 抗 がR=(1/σ)・(l/S)〔
抗 体 の 導 電 率 〔S/m〕),オ
を加 えた と き
Ω〕で あ る か ら(σ は 抵
ー ム の 法 則 に よ り, (2・26)
とな る。 この形 を式(2・25)と 対 比 させ れ ば,磁 束Φ が 電 気 回 路 の 電 流iに 相 当 し,NIお
よ び(1/μ)・(l/S)がそ れ ぞ れ 起 電 力Eお
よ び 電 気 抵 抗Rに
相 当す る
こ とが わ か る。 そ こで い ま, (2・27) と お け ば, (2・28)
とな り,電 気 回 路 の オ ー ム の法 則 と同 形 の式 が得 られ る。 これ を磁 気 回路 に お け るオ ー ム の 法 則 とい う。また,Fお に相 当 し,Fを
起 磁 力,Rを
よ びRは
それ ぞれ 電 気 回路 のEお
よ びR
磁 気 抵 抗 と い う。な お,透 磁 率 μ は導 電 率 σに 相
当 し,そ の 逆 数1/μ は1/σ,す な わ ち抵 抗 率 に相 当 す るの で,1/μ を磁 気 抵 抗 率 とい う こ とが あ る。
(2) キ ル ヒホ ッフ の 法 則 磁 気 回 路 に お い て も,磁 束 の連 続 性 お よ び周 回 積 分 の 法 則 に よ り,電 気 回路 と同 様 に,次 の2法 則 が 成 り立 つ 。 第1法 則 磁 気 回路 の 結 合 点 に お い て,そ の 点 に流 入 す る磁 束Φ の 代 数 和 は 零 で あ る。 (2・29)
第2法 則 任 意 の 閉磁 路 に お い て,各 部 の磁 気 抵 抗Rと 和 は,そ の 閉 磁 路 に あ る起 磁 力Fの
磁 束Φ の 積 の 代 数
代 数 和 に等 しい。 (2・30)
以 上 を磁 気 回 路 に お け る キ ル ヒホ ッフ の 法 則 とい い,こ れ に よ り一 般 磁 気 回 路 の計 算 が,電 気 回路 と同 様 に 可 能 に な る。 (3) 直 並 列 回 路
磁 気 回 路 の 計 算 例 と して,図2・20(a)の
回路 の例 を あ げ る。 この 磁 気 回 路 は 図(b)の
(a)磁
ような直並列
電 気 回路 に対 応 で き る か ら,合 成
気 の 直並 列 回 路
(b)対
応 電 気回路
図2・20 磁気 回路 の計 算 例
磁 気 抵 抗 をR0,各
部 の 磁 束 をΦ1,Φ2,Φ3と
す れ ば,電
気 回 路 と同 様 な 計 算 で,
とな る。
〔 例 題 〕2・6図2・19(a)に =10〔cm2〕,長 の 磁 束Φ
お い て,透
さl=60〔cm〕,コ
を 求 め よ 。 ま た,コ
〔 解 答 〕 起 磁 力 をF,磁
磁 率 μ=1.5×10-3〔H/m〕,断
イ ル の 巻 数N=500,電
流I=0.8〔A〕
イ ル の イ ン ダ ク タ ン スL〔H〕
気 抵 抗 をRと
面 積S の とき
は い く らか。
す れ ば,
2・2 交 流 回 路
〔1〕 正 弦 波 交 流 と フ ェ ーザ 図 (1) 交 流 波 形 返 し,1周
大 き さ と方 向 が,一 定 の 周 期Tを
期 の 平 均 値 が0に
な る よ うな電 圧,電
も っ て 同 じ変 化 を繰 り
流 を 交流 電 圧,交
う。 交 流 波 形 に は,矩 形 波 や三 角 波 もあ るが,発 電 所,工
流 電 流 とい
場 や 家庭 に至 る まで
の 一 般 に使 用 さ れ て い る最 も基 本 的 な波 形 が 正 弦 波 で あ る。 図2・21は 正 弦 波 の電 圧 波 形 を示 し,数 式 的 に は 次 式 の よ う に 示 され る。 (2・31) 上 式 のVmを
最 大 値 ま た は 波 高 値,ω=2πf〔rad/s〕
波 数 と い う 。fと
周 期Tと
を 角 周 波 数,f〔Hz〕
を周
の 間 に は, (2・32)
の 関 係 が あ る。 一 般 に,交 流 電 圧 の 大 き さは,最 大 値 よ り も実効 値 で い う場 合
図2・21
正 弦 波 交 流 電 圧(100V,50Hz)
が 多 い。実 効 値 は,こ れ と等 し い大 き さの 直 流 電 圧 を 同 じ値 の抵 抗 に か けた と き に,等
しい 電 力 とな る意 味 を もつ 。 一 般 の 波 形 に対 す る実 効 値 は,次 式 で 定
義 され る。 (2・33) し た が っ て,正
弦 波 の 場 合 は,υ=Vmsinωtと
し て, (2・34)
が 得 られ る。 以上 は,電 圧 に つ い て述 べ た が,電 流 にお い て も全 く同 様 で あ る。 (2)交
流 の電 力
の2つ の 端 子 間a,bに
図2・22の よ うに,R,LやCな
ど で構 成 され る回 路 網
正 弦 波 交 流 電 圧υ を加 え る と,電 流iも
またυ と同 じ周
図2・22 交 流 回路 と電 力
期 の 正 弦 波 に な る 。υ,iと
電 力pと
形 は,端
電 位 変 化 を 示 し て い る 。iは,こ
子bか
ら 見 たaの
の 関 係 を 示 し た の が 図2・23で
図2・23 υ,i,pの
け 遅 れ て い る 。 し た が っ て,υ,iの
あ る 。υ の 波
の 場 合,υ
よ り φだ
関 係
関係 は次 式 で 示 さ れ る。
(2・35)
上 式 の φ を位 相 差 とい い,回 路 要 素 の 値 に よ り-90° か ら+90° の間 に存 在 す る。 回 路 網 に 供 給 さ れ る 瞬 時 電 力pは,υ,iの
積 で表 され るか ら, (2・36)
と な り,図2・23の
よ う に 変 化 す る 。 電 力 は,一
で 表 す の で,式(2・36)の
第1項
般 にpの
平 均 値(式(1・11)参
が 交 流 の 電 力(有 効 電 力)Pと
照)
な る 。 す な わ ち, (2・37)
と な る 。cosφ る。 ま た,VIを VA(ボ (3)
を 力 率 と い い,回 路 要 素 中 の 抵 抗 成 分 の 割 合 を 示 す 重 要 な 値 で あ 皮 相 電 力,VIsinφ
ル ト ア ン ペ ア),後 フ ェー ザ 図
を 無 効 電 力 と い い,そ
者 はvar(バ
図2・23で
ー ル)を
の 単 位 に は,前
者 は
用 い る。
わ か る よ う に,一 定 な 周 波 数 の 正 弦 波 交 流 回
路 で は,電
圧 と電 流 の 位 相 差 は 常 に 一 定 と な る 。 こ の 特 徴 か ら,図2・23の
と 電 流 はVmとImと Imと
φ で,図2・24の
電圧
よ う に 表 す こ とが で き る 。 こ れ は,Vm,
い う 大 き さ を も っ た ベ ク トル が,位
相 差 φ の 遅 れ 間 隔 を も っ て,円
周上 を
角 周 波 数 ω の 速 度 で 反 時 計 まわ りに 回転 し て い る こ と を 意 味 し て い る。 そ し て,あ
る 時 刻t'に
ちVmsinωt'お
お け るυ,iの
瞬 時 値 は,そ
よ びImSin(ωt'-φ)で
の ベ ク トル のy軸
投 影 値,す
なわ
あ る 。 し た が っ て,図2・24はt'=0に
お
け る ベ ク トル 図 で あ る 。
図2・24
ベ ク トル 図
図2・24で は大 き さ を最 大 値 で 表 した。 しか し,前 項 で 述 べ た よ う に,実 効 値 を用 い て 表 した ほ うが よ り実 用 的 で あ る。 そ こで,大 と電 流 をVとIで
き さ と方 向 を も った 電 圧
表 し,
(2・38)
と書 き,こ れ を フ ェ ー ザ 表 示 と い う 。上 式 の 関 係 を 描 い た 図2・25を
フェーザ図
と い い,こ れ を 用 い れ ば 回 路 計 算 を 著 し く簡 単 に す る こ と が で き る 。実 効 値V, Iの 単 位 が 異 な る の で,そ の 大 き さ の 相 対 的 な 関 係 は な く,位 相 の み の 対 比 が で き る 。 な お,フ
ェ ー ザ はphase
vector(位
相 ベ ク トル)の
略 語 で あ る。
図2・25
〔例 題 〕2・7 図2・26に
お い て,電
流 がI2=I2∠
電 圧 と電 流 の フ ェ ー ザ 図
θ2とI3=I3∠
θ3で あ る と き,
I1を 求 め よ。
図2・26
〔解 答 〕 I1=I1∠θ1と
図2・27
θ2>θ3と し て フ ェ ー ザ 図 を 描 く と 図2・27の おいて
,I1とθ1は
(4) 複 素 数 表 示
よ う に な る 。こ れ か ら,
次 式 の よ う に な る。
正 弦 波 の 電 圧 と電 流 の 関 係 を フ ェー ザ 図 で表 す こ とが
で き た。 この フ ェ ー ザ 図 か ら,よ
り簡 単 に 回 路 計 算 を代 数 的 に取 り扱 う こ とが
で き る 手 法 が,次
に示 す複 素 計 算 法 で あ る 。
複 素 数Zは,実
数 成 分 をa,虚
数 成 分 をbと
し,j=√-1を
虚 数 単 位 とす る
と,
(2・39) と 書 け る 。 こ のZを,x軸
を 実 軸,y軸
を 虚 軸 と す る 複 素 平 面 上 に 描 く と,図
2・28の よ う に な り,前 述 の フ ェ ー ザ 図 と 同 様 な 形 と な る 。 よ っ て,電
図2・28
ー ザ 表 示V=V∠
複 素数 表 示
図2・29
θυの 複 素 数 表 示 は,図2・29か
圧の フェ
電 圧 の フェー ザ 図
ら次 式 の よ う にな る。 (2・40)
次 に,式(2・39)をZと
θ の 極 座 標 形 式 で 表 せ ば,図2・28か
ら, (2・41)
とな る。 これ に オ イ ラー の 式 (2・42) を 用 い れ ば,Zは
次 式 の よ う に も表 せ る 。 (2・43)
こ の よ う に,複 式(2・43)の
素 数 表 示 は 指 数 関 数 も使 え て 便 利 で あ る 。 そ こ で,本
書 で は,
形 で 表 す こ と にす る。
〔例 題 〕2・8
V=Vejθυ
の と き,V'=jV,V"=jV'お
よ びV'"=jV"を
求 め,
フ ェー ザ 図 を描 け。 〔解 答 〕j=√-1,jj=j2=-1で
あ る こ と を 考 慮 し て,式(2・40)か
ら,
と求 め ら れ,フ
ェ ー ザ 図 は 図2・30の
よ う に な る 。jを 掛 け る こ と は,位 相 を90゜
進 め る こ と を 意 味 し て い る。
図2・30
〔2〕R,L,Cの (1)抵
抗
と き の 電 流iは,オ
性 質 図2・31(a)の
抵 抗Rに
ー ム の 法 則(式(1・4))か
正 弦 波 電 圧υ=Vm
sinωtを
加 えた
ら, (2・44)
図2・31
抵抗回路 と フ ェー ザ 図
とな り,υ とiは 同 相 で あ る 。 これ を実 効 値 お よび複 素 数 で表 す と, (2・45)
と な り,フ ま た,電
ェ ー ザ 図 は 図(b)の
よ う に な る。
力Pは,式(2・37)のcosφ=1と
お い て,次
式 の よ うに な る。 (2・46)
(2)イ
ン ダ ク タ ン ス
図2・32(a)の
イ ン ダ ク タ ン スLとυ,iと
図2・32
の関係
インダクタ ンス 回路 とフ ェー ザ図
は,式(1・67)を
用 い て,e=υ
と し て 解 け ば,
(2・47)
と な り,電
流 の 位 相 が90° 遅 れ る 。 し た が っ て,cosφ=0で
は 零 と な る。 す な わ ち,イ す だ け で あ る 。 ま た,実
あ る か ら,電
ン ダ ク タ ン ス に は 電 力 は 消 費 さ れ ず,電
力P
流 を90゜ 遅 ら
効 値 お よ び 複 素 数 表 示 は, (2・48)
と な り,フ (3)キ =Cυ
ェ ー ザ 図 は 図(b)の ャパ シ タ ン ス
に よ る 電 流iは
よ う に な る。 図2・33(a)の
,式(1・40)を
コ ン デ ン サCに
蓄 え ら れ る 電 荷q
用 い て 解 け ば,
(2・49)
図2・33
キ ャパ シ タ ン ス回路 と フ エー ザ図
とな り,電 流 の 位 相 が90゜ 進 む。 した が っ て,cosφ=0で 零 とな り,Cも
またLと
同 様 電 力 を消 費 しな い が,Lと
あ る か ら,電 力Pは 違 っ て電 流 を90゜ 進 ま
せ る性 質 が あ る。 実 効 値 お よ び複 素 数 表 示 は, (2・50)
と な り,フ
ェ ー ザ 図 は 図(b)の
よ う に な る。
こ こ で, (2・51) (2・52)
とお く と,抵 抗 と同 じ単 位 に な り,XLを
誘 導 性 リア ク タ ン ス, XCを
容 量性 リ
ア ク タ ン ス とい う。 (4)イ
ン ピー ダ ンス と ア ド ミ タ ン ス
Vは,VRとVLの
図2・34(a)の
回 路 に お け る電 圧
ベ ク トル 和 に 等 し く な る 。 し た が っ て,式(2・45)と
図2・34
式(2・48)
R-L直
列 回路
と フェー ザ 図
か ら, (2・53)
と な り,図(b)にI=Iej0゜
を基 準 と した フ ェー ザ 図 を示 す。
一 般 の 複 雑 な 回 路 系 の 電 圧 と電 流 の 関 係 を (2・54)
と お く と,Zは
複 素 イ ン ピ ー ダ ン ス ま た は 単 に イ ン ピ ー ダ ン ス と い い,〔 Ω〕の 単
位 に 等 し い 。 し た が っ て,図2・34に
お け るZは, (2・55)
た だ し,
と な る 。R-L直
列 回 路 は,電 圧 の 位 相 が 電 流 よ り も θz進 む の で,こ
れ を誘 導性
イ ン ピー ダ ンス とい う。 同 様 に し て,図2・35(a)の
回 路 で は,式(2・45)と
式(2・50)か
ら,
図2・35
R-C直
列回
路 とフ ェ ーザ 図
(2・56)
(2・57)
た だ し,
と な り,フ
ェ ー ザ 図 は 図(b)の
り も θz遅 れ る の で,こ 次 に,イ
よ う に な る 。 こ の 場 合 は,電
圧の位相 が電流 よ
れ を 容 量 性 イ ン ピ ー ダ ン ス と い う。
ン ピ ー ダ ン ス の 逆 数 を ア ド ミ タ ン ス と い い,次
式 で表す。
(2・58)
こ こ で,Gは
コ ン ダ ク タ ン ス, Bは
セ プ タ ン ス,B<0を
サ セ プ タ ン ス と い い, B>0を
容 量 性 サ セ プ タ ン ス と い う 。 ま た ,単
位
誘導 性 サ
〔S〕 を ジ ー メ
ンス と い う。
〔 例 題 〕2・9図2・34に =50〔Hz〕
お い て,V=200〔V〕,
R=100〔
と す る と き の イ ン ピ ー ダ ン ス と電 流 値 を 求 め よ
〔 解答 〕
よ っ て,電
イ ン ピ ー ダ ン スZは,式(2・55)か
Ω〕, L=0.5〔H〕,f 。
ら,
流Iは,
〔3〕 交 流 回 路 の 計 算 (1)イ
ン ピー ダ ン ス の 直 並 列 接 続
が,交 流 回 路 で は イ ン ピー ダ ン スZに
図2・36
直 流 回 路 の 抵 抗Rに
相 当 す る もの
な る。 した が っ て,イ ン ピー ダ ンス の 直
イ ン ピー ダ ンス の直 列 接 続
並 列 回路 とい え ど も,ZをRの 例 え ば,図2・36(a)の
よ う に考 えて 全 く同様 に 考 え る こ とが で き る。
場 合,そ
の 合 成 イ ン ピ ー ダ ン スZは, (2・59)
とな る。
こ こ で,Z1,Z2,Z3を (2・60)
と お く と,Zは
次 式 の よ う に求 ま る。 (2・61)
こ こ で,
い ま,電
源 電 圧V=Vej0oと
す る と,電
流Iは,
(2・62)
と な る 。 し た が っ て,電
圧 と電 流 の 位 相 差 は θzと な る か ら,電
力Pは,
(2・63)
とな り,抵 抗 の み が電 力 を消 費 す る こ とが わ か る。 図2・36(b)は,I=Iej0oを
基 準 と した フ ェ ー ザ 図 で あ る。
〔 例 題 〕2・10 図2・37(a)の
よ う に,ア
図2・37
ド ミタ ン ス が 並 列 接 続 さ れ た 場 合 の
ア ドミタ ンス の 並列 接 続
合 成 ア ドミ タ ン スYと 〔 解 答〕
電 力Pを
求 め よ。
イ ン ピ ー ダ ン ス の 場 合 と 同 様 な 考 え 方 で,ア
ド ミ タ ン ス に 置 き換 え
て 解 け ば よ い 。 す な わ ち,Y1=G1+jB1,Y2=G2+jB2,Y3=G3+jB3と
お い て,
(2・64)
こ こ で,
と な る 。 い ま,V=Vej0oと
お け ば, (2・65)
と な り,フ
ェ ー ザ 図 は 図(b)の
よ う に な る 。 ま た,電
力Pは, (2・66)
と な り,Gは,抵
(2)交
抗Rと
同 様,電
流回路の諸 定理
力 消 費 要 素 で あ る。
キル ヒホ ッ フの 法 則 な ど,直 流 回路 で 適 用 され
る諸 定 理 は,交 流 回路 で もす べ て 適 用 で き る。 例 え ば,図2・38に
示 す 回 路 に,
図2・38 交 流 回路 例
キ ル ホ ッ フ の 法 則 を 適 用 す る と,節
点aに
つ い て,第1法
則(電
流 則)か
ら,
(2・67)
また,abの
右 側 お よ び左 側 の 各 閉 回 路 に つ い て,第2法
則(電 圧 則)か
ら,
(2・68)
を 得 る 。 式(2・67)と
式(2・68)を
用 い て解
く と,I1,I2,I3は,
(2・69)
とな り,こ れ は 直 流 回路 のRをZに,ま をIに
た 起 電 力,電 流 を 各 々 E をEに,I
置 き換 え た こ とに等 しい。 交 流 回路 で は複 素 計 算 に な る の で,直 流 回路
の 場 合 よ り も計 算 が 複 雑 に な る。
〔例 題 〕2・11 〔Ω 〕,r2=8〔
図2・39の
Ω 〕,r3=5〔
各 電 流 値 を 求 め よ 。 た だ し,E1,=100〔V〕,r1=10 Ω 〕,X2=15〔
Ω 〕,X3=12〔
Ω 〕と す る 。
図2・39
〔解 答 〕
同 図 は,図2・38に
〔V〕,Z1=r1=10〔 し て,式(2・69)に
し た が っ て,各
お い て,E2=0と
Ω 〕,Z2=r2-jX2=8-j15〔 代 入 す れ ば,次
電 流 値I1,I2,I3は,
式 を 得 る(I2の
お け ば よ い 。 よ っ て,E1=100 Ω 〕,Z3=r3+jX3=5+j12〔 方 向 に 注 意)。
Ω 〕と
(3)ブ
リ ッジ 回 路
図2・40を 交 流 ブ リ ッジ 回 路 とい い,直 流 で 抵 抗 を測
定 す る ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ と同 様 に,イ ン ピー ダ ン ス を 測 定 す るの に 用 い
図2・40
交 流 ブ リ ッジ回 路
図2・41
イ ン ピー ダ ン ス を 測 定 す る ブ リ ッ ジ回路 例
ら れ る 。 い ま,各
イ ン ピ ー ダ ン ス を 調 整 し て,高
感度 電圧計 の指示 が零 にな っ
た と き, (2・70)
(2・71)
を 得 る 。 両 式 か ら 次 式 が 導 か れ,3つ
の 既 知 イ ン ピ ー ダ ン ス に よ り,他
の1つ
の イ ン ピー ダ ン ス が求 め ら れ る。 (2・72)
〔 例 題 〕2・12 図2・41で,RsとCsを の と き,未 Cs=0.01〔 〔解 答 〕
調 整 して電 圧 計 の 指 示 を零 に し た。 こ
知 の イ ン ピ ー ダ ン スZxを μF〕,f=1〔kHz〕
求 め よ 。 た だ し,R1=R3=Rs=1〔kΩ
とす る 。
こ の 場 合,式(2・72)か
ら次式 の よ う に な る。
〕,
上 式 の 右 辺 と左 辺 の 実 数 部 と虚 数 部 が 各 々 等 し い とお け ば,
と な り,上
式 を 解 け ばRxとLxは
次 式 の よ うに な る。
(2・7 3)
よ っ て,各 ー ダ ン スZ
(4)共 42(a)に た,次
数 値 を代 入 す る と,Rx=3.95〔
xは,次
Ω 〕, Lx=10〔mH〕
とな り,イ
ンピ
の よ うに な る。
振 回路
い ま ま で は 電 源 周 波 数 が 一 定 で あ っ た が,例
お い て,電 圧Vの
え ば,図2・
周 波 数 が 変 化 し た 場 合,合 成 イ ン ピ ー ダ ン スZも
式 に よ り 変 化 し,図(b)の
ま
よ う な特 性 に な る。 (2・74)
こ こで, ま た,電
流Iは
次式 の よ うに な る。 (2・75)
し た が っ て,ω=ω0に
お い て,Zは
最 小 値Rと
る 。 こ の 状 態 を 直 列 共 振 と い う 。 ω0は,X=0と
な り,電 お い て,次
流 は 最 大V/Rと
な
式 の よ う に 導 れ る。 (2・76)
このf0を 共 振 周波 数 とい う。ま た,図(c)の
電 流‐周 波 数 曲線 を共 振 曲 線 とい
い,ω0に お け る電 流 の 鋭 さ を 示 す 次 式 の比 帯 域 幅(ま た は 半値 幅)が 定 義 さ れ て い る。
図2・42 直列 共 振 回路 と その特 性
(2・77)
普 通,イ 抵 抗Rが Q値
ン ダ クタ ン ス は コイ ル で構 成 さ れ て お り,必 ず 抵 抗 が あ る。 そ こ で, 小 さ い ほ ど電 流 曲線 が鋭 くな るの で,こ れ を コ イ ル の 質 の 良 さ を表 す
とい い,次
の よ うに定 義 され る。 (2・78)
次 に,並 列 共 振 回 路 は,図2・43(a)で に お い て,合 成 ア ド ミタ ンスYが
示 され る。 直 列 共 振 の 場 合 と同様,ω0
最 小 にな り,電 流Iも
最 小 とな る。 しか し,
一 般 に は イ ン ダ ク タ ンス コ イ ル に 抵 抗 が あ る の で ,図(b)の に よ っ て共 振 を考 え る必 要 が あ る。
よ うな実 際 的 回 路
図2・43 並列 共 振 回路
(5)相
互誘 導 回路
含 む 回 路,例
第1章
え ば,図2・44(a)の
で 述 べ た よ う に,相 場 合,式(1・73)を
互 イ ン ダ ク タ ン スMを
参 考 に し て,次
の回路方程
式 が 成 り立 つ 。
(2・79)
式(2・79)を
次 の よ う に 変 形 す る と,図(b)の
等 価 回路 が 得 られ る。 (2・80)
図2・44 相 互 誘 導 回路
こ こで,L1とL2と る。 図2・44(a)で ば,Mを
で作 る磁 束 の 向 きに よ り,Mに は ●印 で示 され,L1の
介 してL2の
よ る起 電 力 の 正 負 が変 わ
●印 側 にI1の 向 きの電 流 が流 れ 込 め
●印側 を正 とす る起 電 力 が 発 生 す る こ とを 意 味 して い る。
ま た,2つ
の 自 己 イ ン ダ ク タ ン スL1,L2と
相 互 イ ン ダ ク タ ン スMと
の間 に
は,次 の 関 係 を も つ 。 (2・81)
k(≦1)は 結 合 係 数 とい い,鎖 交 磁 束 の 漏 れ の 度 合 を示 す係 数 で あ り,k=1は 漏 れ 磁 束 の な い理 想 的 結 合 状 態 で あ る。 相 互 誘 導 作 用 を利 用 した の が,第5章 で述 べ る変 圧 器 で あ り,鉄 心 を用 い て 磁 束 の 密 結 合 を 図 っ て い る。
〔 例 題 〕2・13
2つ の コ イ ル を 図2・45の
み た 合 成 イ ン ピ ー ダ ン スZを
よ う に 接 続 し た と き,端
子abか
ら
求 め よ。
図2・45
〔 解答 〕 図(a)の
場 合,電 源 起 電 力 をE,流
入 電 流 をIと
お く と,次 の 回 路
方程 式 が 成 り立 つ。
よ っ て,イ
ン ピ ー ダ ン スZは,上
同 様 に し て,図(b)の
(4) (1)対
式 を整 理 して 次 式 を得 る。
場 合 は,次
式 の よ うに な る。
三相交流 称三相 交流電源
周 波 数 が 等 し く,位 相 が 互 い に異 な る2つ 以 上
の 交 流 電 圧 と電 流 を得 る方 式 を 多相 交 流 とい う。 この う ち,す べ て の 電 圧 と電
流 の 大 き さ が そ れ ぞ れ 等 し く,そ Ea,Eb,Ecを
有 す る 電 源 を 対 称 三 相 交 流 と い い,そ
の よ う に 表 す(図2・17参 で あ る 。Eaを
の 位 相 が 順 次120゜
照)。 同 図(a)と(b)が
ず つ 異 な る3つ
の起電 力
の 接 続 は 大 別 し て 図2・46
等 価 で あ る と,Eab=Ea-Eb
基 準 と し た フ ェ ー ザ 図 は,図2・47(a)の
よ う に な り,各 電 圧 は 次
図2・46 三 相 電 源 の接 続 方式
図2・47
三 相 電 圧 ・電 流 の フ ェ ー ザ 図
式 で 示 さ れ る。 (2・82)
(2・83)
こ こ で,Ea,Eb,Ecを と線 間 電 圧Vlと
相 電 圧,Vab,Vbc,Vcaを
線 間 電 圧 と い い,相
電 圧E
の間 に, (2・84)
の重 要 な 関 係 を もち,一 般 に三 相 の 場 合 は線 間電 圧 で 示 す 。 次 に,Ia,Ib,Icを
線 電 流,Iab,Ibc,Icaを
Iabを 基 準 と し た フ ェ ー ザ 図 は,図2・47(b)の 流Irと
環 状 電 流 ま た は 相 電 流 と い い, よ う に な り,線
電 流Ilと
環 状電
の 間 に, (2・85)
の 関 係 を も つ。 (2)三 =Zc≡Zと
相 平 衡 負荷 回 路
図2・48に
負 荷 回 路 の 例 を 示 す 。 こ こ で,Za=Zb
す る 負 荷 を 平 衡 負 荷 と い う。 ま た,電 源 や 負 荷 が △ 接 続 で あ っ て も,
図2・48
等 価 変 換 に よ り常 に 図2・48の 中 性 点NとN'の
形 で 表 し得 る 。対 称 三 相 電 源‐平 衡 負 荷 回 路 で は,
電 位 が 等 し く,か つ,Ia+Ib+Ic=0と
流 は 流 れ な い 。 そ こ で,線
電 流 を 求 め る 場 合,NN'間
な る の で,NN'間 を 接 続 し た と 考 え,
に電
(2・86) と な り,Ia,Icは
そ れ ぞ れIaか
図 を 得 る 。 こ れ か ら,三
ら120゜ ず つ 位 相 を 異 に す る 図2・48の
相 電 力Pは,一
相 当 た りの 電 力 の3倍
フ ェー ザ
と し て, (2・87)
とな る。 す な わ ち,三 相 電 力 は線 間 電 圧,線 電 流 お よび 力 率 の積 の√3倍
であ
る。 〔例 題 〕2・14図2・49(a)に
示 す よ う に,2台
荷 の 電 力 が 測 定 で き る 。 電 力P=W1+W2で
の 電 力 計 を用 い て 三 相 平 衡 負
あ る こ とを 示 せ 。
図2・49
〔解 答 〕 図2・49(b)に
示 す フ ェ ー ザ 図 か ら,電
とな る 。 線 間 電 圧Vl=│Vab│=│Vcb│,線
力 計 の 指 示W1とW2は,
電 流Il=│Ia│=│Ic│と
し て,Pは,
と な り,式(2・87)に
一 致 す る。
〔5〕 ひ ず み波 交 流 図2・50の よ う に,正 弦 波 で な い 周 期 波 形 を ひ ず み波 とい い,例 え ば,整 流 波 形,三 角 波 形 や 周 期 的 パ ル ス波 形 もひず み波 で あ る。 ひ ず み 波 は,ま た 周 期T
図2・50
ひず み 波交流
の 異 な っ た い くつ か の 正 弦 波 交 流 の 集 ま り と考 え る こ とが で き,次 式 の よ う に フー リェ級 数 で 示 さ れ る。
ここで,
(2・88)
V0は 直 流 成 分 を表 す 。n=1の
場 合 を基 本 波 とい い,そ れ 以 上 を第n高
あ る い は単 に 高 調 波 とい う。 ひ ず み 波 の 実 効 値Vは,式(2・33)の
調波
定 義 か ら,次
式 の よ う に な る 。 た だ し,各
調 波 の 実 効 値Vn=Vmn/√2で
あ る。 (2・89)
い ま,電
圧υ(t)と
電 流i(t)と
が
(2・90)
で あ る と き,ひ ず み 波 の平 均 電 力Pは,等
しい 周 波 数 の 電 圧,電 流 に よ る電 力
の 総和 と して,次 式 の よ う に表 さ れ る。 (2・91)
次 に,ひ ず み 波 に お け る 力 率 は,次 式 の よ う に定 義 され る。 (2・92)
こ こで,VIは
皮 相 電 力 で あ る。 また,ひ ず み の度 合 を示 す 係 数 と して,次 式
の ひ ず み 率 が 定 義 され て い る。 (2・93)
〔 例 題 〕2・15 あ る回 路 の 電 圧υ と電 流iが
で あ った 。 こ の 回路 の 電 力,力
率 お よ び ひ ず み 率 を求 め よ。
〔解 答 〕 電 流 が 基 本 波 の み で あ る か ら,電 が っ て,V1=100〔V〕,I1=5〔A〕,φ1=30゜
電 圧 の 実 効 値V=√V12+V32で
力 も基 本 波 電 力 の み で あ る 。 し た と し て,
あ る か ら,ひ
ず み 波 の 力 率cosφ
は,
2・3 過 渡 応 答
〔1〕 定 常 状 態 と過 渡 状 態 (1)定
常状態
す で に,2・1節 の 直 流 回路,さ ら に2・2節 の 交 流 回路 で 学
ん だ こ と は,い ず れ も定 常 状 態 につ い て で あ る。 こ こで,我
々 が 日常 生 活 で よ
く経 験 す る実 例 に 基 づ き,こ の 定 常 状 態 の 意 味 を考 え て み よ う。 図2・51(a)に 示 し た よ う に,コ ップ の 中 に水 位h0な
る高 さ に水 が 満 た され る と き,コ ップ の
中 心 上 の 適 当 な高 さの と ころ に あ る鉄 の 小 球 を コ ップ の 中 に落 下 させ る。 こ の 小球 が 水 面 上 に接 す る時 点 か ら十 分 時 間 が 経 過 した と き,こ の 小 球 の体 積 に相 当 した 分 だ け水 面 の 高 さ は,Δhだ け上 昇 し,コ ッ プの 水 位 は 式(3・94)で 与 え ら れ る 水 位h1に
変 化 す る。 (3・94)
この よ うに,小 球 が 落 下 す る以 前 の状 態,さ
らに は 落 下 後 十 分 時 間が 経 過 し
た と きの 状 態 を,そ れ ぞ れ 定 常 状 態 とい う。 また,そ
れ ぞ れ の定 常 状 態 にお け
図2・51
水面 の 高 さ
る 水 位h0とh1を
〔例 題 〕2・16 10-2〔m〕
定 常値 とい う。
図2・51に
お い て,h0=5×10-2〔m〕,R=3×10-2〔m〕,r=2×
と し た と き の 定 常 値h1を
求 め よ。
〔 解 答 〕 球 の体 積Vは,
コ ッ プの 水 位 の 増 加 分Δhに
よ る水 量 の増 加 分Qは,
とな る。これ らの 値 が 等 し い こ とか ら,水 位 の 増加 分Δhは,次
図(b)で
式 で 与 え られ る。
示 さ れ た 水 位 の 定 常 値h1は,
とな る。
(2)過
渡状 態
図2・51に 示 した よ う に,小 球 が 落 下 す る以 前 の 定 常 値
h0と,落 下 後 十 分 時 間 が 経 過 した 後 の定 常 値h1と の 間 に は,小 球 の 体 積 に相 当
図2・52 過 渡状 態
した 分Δhだ
け水 位 が 増 加 して い る。この 変 化 分Δhは,小
て上 昇 す る こ とは で きず,水
の粘 性,コ
の物 理 的 諸 量 に依 存 し,図2・52に
ップ の 形 状,さ
球の落下 後一瞬 に し ら に は球 の 大 き さ な ど
示 す よ う に,あ る時 間 的 な変 化 を 経 過 した 後
に到 達 す る値 で あ る。 この よ うに,水 位 が 時 間 的 に変 化 し て い る状 態 を過 渡 状 態 とい い,こ に お け る時 間 的 な変 化 量 を定 量 的 に 扱 う こ と を過 渡 現 象,あ 渡 応 答 とい う。この 過 渡 応 答 にお い て は,図2・51に 水 位 を取 り扱 う例 は少 な く,水 位 の 変 化 分Δhに
の状 態
る い は 最 近 で は過
示 した コ ップ の 底 面 か らの
つ い て 解 析 す る こ とが 一 般 的
で あ る。同 図 の例 で は,Δhは 変 化 分 の 定 常 値 で あ り,過 渡応 答 で は,図2・52に 示 した よ うに,そ の変 化 分 を時 間 関 数h(t)で
表 示 す る。 これ ら の関 係 を一 括 し
て表 す と式(2・95)と な る 。 定 常(値)状 態(初 期値)
過 渡状態
(2・95)
定 常(値)状 態 この よ うな 過 渡 状 態 は,物 理 現 象 の み な らず 電 気 系,機 械 系,さ
らに は化 学
系 と多 くの 分 野 にお い て,外 部 条 件 な どに よ りエ ネ ル ギー 状 態 が 変 化 した と き, 常 に存 在 す る状 態 で あ る 。 (3) ラ プ ラ ス 変 換 の 適 用
電 気 ・機 械,さ
分 野 に お い て過 渡 応 答 を求 め る際 に は,そ
ら に は化 学 反 応 とい った 広 い
れ ぞ れ の 分 野 に お け る物 理 的 な 諸 量
か ら成 り立 つ微 分 方 程 式 を解 か な け れ ば な らな い 。 しか し,こ の 微 分 方 程 式 が 線 形 常微 分 方 程 式 の 場 合 に は,ラ
プ ラ ス変 換 を 用 い て過 渡 応 答 を求 め る の が 便
利 で あ る。 図2・53に そ の 手 法 を 示 す 。 同 図 で,① は過 渡 応 答 を与 え る微 分 方 程 式 で あ り,② は ラ プ ラ ス 変 換 表*を 用 い て① の 微 分 方程 式 を複 素 領 域 に変 換 す る。さ ら に,③ は 変換 され た 関 数F(s) の代 数 演 算 を行 い,最 後 に,④ は この 関 数 を ラ プ ラ ス 逆 変 換 表*を 用 い て 時 間 領 域 に逆 変 換 す る こ と に よ り,過 渡 応 答g(t)が
求 め られ る。次 に,こ れ を 実例 に
基 づ い て 説 明 し よ う。 * ラ プ ラ ス 変 換 表 ・ラ プ ラ ス 逆 変 換 表 の 例 が
,巻
末 の<付
録1.>に
示 して あ る。
図2・53
ラプ ラ ス変換 を用 い た解 法
〔 例 題 〕2・17 微 分 方 程 式 が 一 階 常 微 分 方 程 式(一 次 系)
で,初
期 値 がx(t=0)=X0で
あ る と き の 過 渡 応 答x(t)を
〔 解 答 〕 以 下 式 中 の 番 号()は 図2・53の
番 号 を それ ぞ れ 示 す 。
手法①
手 法② 手 法③
手法④
求 め よ。
巻 末 の 変 換 表 の番 号 を,ま た 手 法 番 号 ○ は
こ こで,零 入 力 応 答 と は,初 期 値X0に り,零 状 態 応 答 とは,外 部 入 力Aに また,こ
よ っ て 生 ず る過 渡 応 答(A=0)で
よ っ て 生 ず る 過 渡 応 答(X0=0)で
の両 者 の 和 を完 全 応 答 とい う。 次 に,過 渡 項 とは,t→∞
あ
あ る。
の定常状 態
にお い て零 に な る項 で あ り,定 常 項 とは,t→ ∞ の定 常 状 態 に お け る定 常 値 を与 え る項 で あ る。 な お,時 定 数 とは,T=(1/a)で
〔2〕 直 流 回路 の過 渡 応 答(一
与 え られ,応
次 系)
次 に,電 気 回 路 の 基 礎 で あ る抵 抗 とイ ンダ クタ ン ス(R-L回 パ シ タ ン ス(R-C回
答 の速 さ を示 す 。
路),抵 抗 とキ ャ
路)か らな る回 路 に,外 部 入 力 と し て直 流 電 圧 あ る い は 直
流 電 流 が 加 え られ た と きの 過 渡 応 答 に つ い て 述 べ る。 こ こで,小 文 字 の 記 号υ, iは,そ れ ぞ れ電 圧 お よ び電 流 の 瞬 時 値 を表 す。 (1) R-L直
列 回 路(零 状 態 応 答)
か ら な る 直 列 回 路 を 図2・54に
抵 抗R〔
Ω〕と イ ン ダ ク タ ン スL〔H〕
示 す 。こ の 回 路 で,t=0の
図2・54
入 す る こ と に よ っ て,直 Rお
流 電 圧V0が
よ び イ ン ダ ク タ ン スLに
〔1〕の(3)で
1.各
時 刻 に ス イ ッ チSを
R-L直
加 え ら れ た と き の,電
か か る 電 圧υR〔V〕,υL〔V〕
投
列回路
源 電 流i〔A〕
と抵 抗
の 過 渡 応 答 を2・3節
述 べ た ラ プ ラ ス変 換 を用 い て 求 め る。
素 子 R,Lに
か か る電 圧 と各 素 子 を流 れ る電 流 との 間 に は,そ れ ぞ れ
(2・96)
な る 関 係 が 成 り立 つ 。 2.各
素 子 が 直 列 に 接 続 され て い る こ とか ら,各 電 圧 と電 流 に つ い て, (2・97)
が 得 られ る。 式(2・97)の
電 圧 方 程 式 に 式(2・96)の
関 係 を 代 入 す る と,
(2・98)
な る過 渡 応 答 を表 す 一 階 常 微 分 方程 式 が 得 られ る。 こ こ で,ス イ ッチS投
入前
にお い て,電 源 電 流iは 零 で あ る(i(t=0)=0)。 式(2・98)を
ラ プ ラ ス 変 換 表(3)と(5)を
用 い て 変 換 す る と,
(2・99)
こ こ で,T=L/R(時 と し て,電
流iの
こ こ で,I(s)の
定 数)
ラ プ ラ ス 変 換I(s)が 逆 変 換iは,ラ
求 ま る。
プ ラ ス 逆 変 換 表(7)を
用 い て,
(2・100)
で 与 え ら れ る。 ま た,各
素 子 に か か る 電 圧υRとυLは,式(2・96)の
関 係 か ら, (2・101)
と して,そ
れ ぞ れ の 過 渡 応 答 が 求 まる。
〔例 題 〕2・18 図2・54に き,ス
イ ッ チSを
に は,(3)抵 〔解 答 〕(1)イ
お い て,各
素 子 の 電 圧,電
開 放 す る 。 こ の と き,(1)電
抗R中
流i0,(2)電
で 消 費 さ れ る エ ネ ル ギ ーWRを ン ダ ク タ ン スL中
流 が 定 常 状 態 に達 した と 圧υL,υR,さ
求 め よ(零
ら
入 力 応 答)。
の 磁 束 は 連 続 性 を 保 つ こ と か ら,ス イ ッ
チSの Rと
開 放 時 に お い て も電 流iLは 連 続 性 を保 ち,式(2・100)か ら,定 常 値 はV0/ な り,こ の 電 流 は 同 図 の破 線 で 示 した ダ イ オ ー ド と抵 抗 か らな る閉 回路 を
通 して 流 れ る。 この 関 係 か ら,過 渡 応 答 を 表 す 微 分 方 程 式 と初 期 値 は(iL=i0と
と な る 。 上 式 の ラ プ ラ ス 変 換I0(s)は,変
が 得 ら れ る 。 電 流i0は,上
換 表(3)を
す る),
用 い て,
式 に ラ プ ラ ス 逆 変 換 表(6)を
適 用 す る と,
とな る。
(2)
一 方,各
素 子 の 電 圧υLとυRは,式(2・96)を
抵 抗R中
で 消 費 さ れ る エ ネ ル ギ ーWRは,
用 い て,そ
れぞれ次式 と
な る。
(3)
で 与 え ら れ る こ と か ら,
と な る 。 こ の 値 は,ス
イ ッ チSが
開 放 され る 以 前 にイ ンダ ク タ ンス に 蓄 積 され
て い た 電 磁 エ ネ ル ギ ー に 等 しい こ とが わ か る。
(2)
R-C直
列 回 路(完
C〔F〕 の 直 列 回 路 を 示 し,ス
全 応 答) イ ッ チSが
図2・55は,抵
抗R〔
投 入 さ れ た と き,直
Ω〕と コ ン デ ン サ
流 電 圧V0〔V〕
が回
路 に 印 加 さ れ る 。 こ の と き コ ン デ ン サ に は,す で に 図 に 示 す 極 性 でυC(0)〔V〕 に
図2・55
R-C直
列 回路
充 電 され て い る もの と して,各 素 子 の電 圧,電 流 の過 渡 応 答 を 求 め る。 す で に(1)で
述 べ た よ う に,直
列 回 路 で あ る か ら,各
電 圧,電
流 に つ い て, (2・102)
の 関 係 が 成 り立 つ。 また,各 素 子 の 電 圧,電
流 の 関係 は, (2・103)
と な る 。 式(2・102)の
電 流 式 と,式(2・103)の
の 関 係 が 得 られ,式(2・102)の
関 係 か ら,
電 圧 方 程 式 に代 入 し,初 期 値 を考 慮 す る と, (2・104)
な る 一 階 常 微 分 方 程 式 が 成 り 立 つ 。 式(2・104)に
ラ プ ラ ス 変 換 表 を 適 用 す る と,
(2・105)
と な る 。 こ こ で,T=CR(時
定 数)で
あ る 。 式(2・105)に
逆 変 換 表(7)と
(6)を 用 い てυCの 過 渡 応 答 は, (2・106)
と な る 。 ま た,電
圧,電
流 の 過 渡 応 答 は,式(2・102)と(2・103)を
用 い て,
(2・107)
と な る。
〔 例 題 〕2・19 図2・55に た エ ネ ル ギ ーW0,抵
る と き, 電 源 が 負 荷 側 に供 給 し
抗 中 で 消 費 さ れ た エ ネ ル ギ ーWR,さ
蓄 積 さ れ た エ ネ ル ギ ーWCを 〔解 答 〕
お い て,υC(0)=0な
式(2・107)の
求 め よ。
結 果 を 用 い て,
各 エ ネ ル ギ ー の値 は,抵 抗 値Rに
無 関 係 で あ る こ とが わ か る。 も し抵 抗 が零
の 回 路 で コ ンデ ンサ を充 電 した 場 合 に お い て も,コ た エ ネ ル ギ ー の1/2し
らに は コ ン デ ンサ に
か 充 電 され ず,残
ンデ ン サ に は 電 源 が 供 給 し
りの エ ネ ル ギ ー は ス イ ッ チ ン グ時 に発
生 す る電 磁 波 エ ネ ル ギ ー と して 消 費 され る。
(3) R-C並
列 回 路(零 状 態 応 答)
る と きの過 渡 応 答 を述 べ た が,こ
(1),(2)で
は,電
源が電圧源 であ
こ で は電 子 回路 に よ く用 い られ る電 流 源 を 印
加 した場 合 の過 渡 応 答 を求 め る。
図2・56
R-C並
列 回路
図2・56は,抵
抗R〔 Ω〕と コ ン デ ン サC〔F〕 が 並列 に接 続 さ れ,ス イ ッチSを
開 放 した と き,負 荷 回 路 に電 流I0〔A〕 が 供給 され る場 合 の 各 素 子 の 電 圧,電 を示 す(初 期 電 圧 は零 とす る)。 この 並 列 回路 にお け る電 圧,電
流
流 の 関 係 は,次
式 で与 え られ る。 (2・108)
ま た,各
素 子 の 電 圧,電
流 の 関 係 は,式(2・103)の
関 係 と 同 様 に, (2・109)
が 成 り立 つ 。 式(2・109)を
式(2・108)の
電 流 方 程 式 に 代 入 す る と, (2・110)
な る一 階 常 微 分 方 程 式 が 得 られ る 。 式(2・110)に ラ プ ラ ス 変 換 表(3),(5)を 適 用 す る と,
(2・111)
と な る 。 式(2・111)に
逆 変 換 表(7)を
用 い て,電
圧 の 過 渡 応 答υ
は(T=CR), (2・112)
が 得 ら れ る 。 こ の 結 果 か ら,各
電 圧,電
流 の 過 渡 応 答 は,式(2・113)で
与 え られ
る。
(2・113)
〔例 題 〕2・20 と き のυ,iCお
図2・56に よ びiRを
お い て,R=10〔
ら,
μF〕,I0=1〔A〕
な る
図 示 せ よ。
〔 解 答 〕 時 定 数T=CR=100×10-6×10=1〔ms〕 112)か
Ω 〕, C=100〔
と な り,電
圧υ
は,式(2・
電 流iCとiRは,式(2・113)を
用 い て,
と な る 。 こ の 結 果 を 図2・57に
示す。
図2・57 υ,tの
過渡応答
〔3〕 交 流 回 路 の過 渡 応 答(一 次 系) こ こで は,電 源 か ら一 定 周 期 の正 弦 波 交 流(以 後,単 また は電 流 が 負 荷 に 印 加 され た と きの,各
に交 流 とい う。)の電 圧,
素子 の 電 圧,電
流 の 過 渡 応 答 につ い
て 述 べ る。 (1) R-L直
列 回 路(零 状 態 応 答)
図2・58に,抵
図2・58
抗R〔
R-L直
Ω〕と イ ン ダ ク
列 回路
タ ンスL〔H〕
とが 直 列 に接 続 され た 負荷 に,ス イ ッチSを
通 し て,交 流 電 圧 が
印加 され る と きの 回路 を示 す。 同 図 と 図2・54を sinωt(V:実
比 較 す る と,直
流 電 圧V0の
効 値,ω2πfが,f:周
波 数)が
と か ら 回 路 の 電 圧‐電 流 方 程 式 は,式(2・98)を
代 わ り に,交
流 電 圧υ=√2V
印 加 さ れ る点 が 異 な る。 この こ 用 い て, (2・114)
とな る。 上 式 の 左 辺 に は ラ プ ラ ス 変 換 表(3)を,右
辺 に は変 換 表(10)を 適 用 す
る と,
(2・115)
が 得 ら れ る 。 式(2・115)の
逆 変 換 は,ラ
プ ラ ス 変 換 表(11)を
用 い て(表 中a=R/
L=1/T)
(2・116)
と な る 。 ま た,抵
抗 に か か る 電 圧υRは,υR=Riと
な り,イ
ンダ ク タ ンス の電
圧υLは,
(2・117) とな る。
〔 例 題 〕2・21 図2・58に 100π 〔rad/s〕で あ る と き,電
お い て,R=4〔 流iの
Ω〕,ωL=3〔
Ω〕,V=100〔V〕,ω=
過 渡 応 答 を 求 め,図
示 せ よ。
〔解 答 〕
と な り,式(2・116)に
代 入 す る と,
が 得 ら れ る 。 こ の 結 果 を 図2・59に
示す。
図2・59 過 渡 応 答
(2)R-C並
列 回 路(零 状 態 応 答)
図2・60に
は,抵
抗R〔
図2・60
Ω〕 と コ ン デ
C-R並
列回路
ンサC〔F〕 が 並 列 に 接 続 さ れ た 負荷 に,交 流 電 流iが て い る(図2・56と
印加 さ れ た 回 路 が 示 され
比 較 せ よ)。
す で に 述 べ た 式(2・109)と(2・110)を
用 い て,電
流 方 程 式 は,
(2・118)
と な る 。 式(2・118)の
ラ プ ラ ス 変 換 は,表(3)と
表(12)を
適 用 す る と,
(2・119)
と な る 。式(2・119)に
ラ プ ラ ス 変 換 表(13)を
用 い(a=1/(CR)=1/T),
V(s)の
変 換υ は,
(2・120) と な り,電
流iRは,iR=υ/Rか
ら,ま
た 電 流iCは,(式2・109)か
ら,
(2・121) とな る。
〔 例 題 〕2・22 式(2・120)と(2・121)か 〔 解答 〕
両 式 の 〔
〕中 の 第1項
ら,iR+iC=iな
る こ と を証 明 せ よ。
の 和 は 零 と な り,第2項
に つ い て,
逆
さ ら に,tanφ'=(ωCR)と
お く と,
〔4〕 状 態 方 程 式 に よ る解 法(二 次 系) ここ で は,抵 抗,イ
ン ダ ク タ ン ス さ らに コ ンデ ンサ が直 列 に接 続 され た 回 路
例 を用 い て,す で に 〔2〕,〔3〕項 で 学 ん だ ラ プ ラ ス変 換 法 と,非 線 形 回路 に も 適 用 可 能 な状 態 変 数 法 と を比 較 検 討 し,各 部 の過 渡 応 答 に つ い て述 べ る。 (1) 圧V0に
R-L-C直
列 回 路(零
入 力 応 答)
充 電 さ れ た コ ン デ ン サC〔F〕
L〔H〕か ら な る 直 列 回 路 に お い て,ス 圧υCの
図2・61に
と 抵 抗R〔 イ ッ チSを
示 し た 極 性 で,初
Ω 〕お よ び イ ン ダ ク タ ン ス 投 入 した と き の コ ン デ ン サ 電
過 渡 応 答 を 求 め る*。 直 列 回 路 で あ る か ら,υR+υL+υC=0,iR=iL=iC
図2・61
=iの
期 電
関 係 が 成 り立 つ
。各 素 子 の 電 圧,電
R-L-C直
列回路
流 に つ い て は,iC=C(dυC)/(dt)か
ら,
(2・122)
の 関 係 をυR+υL+υC=0の
電 圧 方 程 式 に代 入 し整 理 す る と,次 式 で 与 え られ る
二 階 常 微 分 方 程 式 が 得 られ る。
* υCを か ら,す
求 めれ ば
,i=iR=iL=iC=Cdυ/dtか
べ て の値 が 得 られ る。
ら,υR=Ri,さ
ら に〓
の 関係
(2・123)
た だ し,初 期 値 は〓 式(2・123)の
第1項
に 変 換 表(4)を,第2項
に 変 換 表(3)を
適 用 す る と(α=
R/(2L),ω0=1/(√CL)),
(2・124)
と な る 。 こ こ で,a=2α,
b=α-√α2-ω02=α-β,
お く 。 ラ プ ラ ス 変 換 表(8)を
c=α+√
用 い て,式(2・124)の
α2-ω02=α+β
と
逆 変 換υCは,
(2・125)
と して 求 ま る。 一 般 に,2次
系 の 過 渡 応 答 は,β=√α2-ω02の
の4つ
の 形 式 に 分 類 され る。
①
β >0の 場 合(過
減 衰)→
式(2・125)に,直
接 α,β の 値 を 代 入 す れ ば よ い 。
②
β=0の
α> ω0,α,β
場 合(臨界減衰)→〓
値 に よ っ て,次
共 に実数
とな るの で,変 換 表(9)を用いて, ( 2・126)
③
β2<0の 場合*(不足減衰)→〓を式(2・125)に代入する。
(2・127)
④
β=jω0の
場 合(無
損 失)→
α=R/2L=0,β0=ω0 (2・128)
*
式(2・127)に か ら,②
おいて
,β0→0と し た と き,〓となるこ
の 場 合 の 式(2・126)と
同一 の 結 果が 得 られ る。
と
〔例 題 〕2・23 図2・61に =200〔
μF〕 で あ る と き ,コ
お い て,V0=10〔V〕,R=10〔 ン デ ン サ 電 圧υCと
電 流iCを
Ω 〕,L=10〔mH〕,C 求 め,図
示 せ よ。
〔解 答 〕
な る 値 が 得 ら れ,こ
の 結 果 か ら α< ω0と な る 。 こ の 場 合 は,す
相 当 す る の で,式(2・127)に
と な る 。 こ の 結 果 を 図2・62に
β0=〓=(1/2)×103を
で に述 べ た③ に
代 入 し,
示す。
図2・62 過渡 応 答
(2)状
態 方程 式(零 入 力応 答)
(1)のR-L-Cの
直 列 回 路 に お い て は,
コ ン デ ン サ電 圧υCの 過 渡 応 答 を求 め るた め に,式(2・123)で 与 え られ る二 階常 微 分 方 程 式 を誘 導 した 。こ こで は,コ ン デ ンサ 電 圧υCと イ ン ダ ク タ ン ス の電 流 iLの 過 渡 応 答 を同 時 に求 め る た め に,υCとiLに
関 す る一 階 の 連 立 徴 分 方 程 式
を求 め る 。 図2・61に
示 さ れ た 回 路 を 用 い て,コ
ン デ ン サ に つ い て,
(2・129)
が 成 り立 つ 。 ま た,電
圧 方 程 式υL+υR+υC=0の
関 係 か ら,
(2・130)
が 得 ら れ る 。 式(2・129)と(2・130)の
関 係 を マ ト リ ク ス を 用 い て 表 す と,
(2・131)
と な る 。 こ こ で,
状 態 ベ ク トル(iL,υCを 状 態 変 数)
系行列
(2・133)
状 態方程式(零 入力応答) とい う。式(2・131)で 与 え られ た状 態 方 程 式 は,iLとυCに 微 分 方 程 式 で あ る。 こ の 方 程 式 は,(3)で
(2・132)
(2・134)
つ い て の 一 階 の連 立
述 べ る よ うに,コ
ン ピ ュー タ を 用 い
た 数値 解 析 に よ り過 渡 応 答 を求 め る の に 便 利 で あ り,特 に回 路 定 数 が 非 線 形 の
場 合 に 有 力 な解 析 手 法 とい え よ う。 (3)状
態変数 の軌道
す で に 図2・57,図2・59さ
ら に は図2・62に 示 し た
よ うに,過 渡 応 答 が 時 間 の 関 数 と して 求 め られ る こ とを述 べ た 。 こ こで は,〔4〕 の(2)の
状 態 方 程 式 を用 い て,例 え ば,iLとυCの2つ
変 数 の 過 渡 応 答 を時 間 をパ ラ メー タ と した1つ て述 べ る。 この よ う に して示 され たiL(横
の状態
の 平 面 上 に記 述 す る方 法 に つ い
軸)とυC(縦
軸)か らな る曲 線 を状
態 変 数 の 軌 道 とい う。
図2・63 状 態 変 数の軌道
図2・63に ルx(0)は,零
お い て,t=0に
お け る 状 態 変 数iL(0)とυC(0)か
入 力 応 答 の 初 期 値 と し て 与 え ら れ る 。 次 に,微
け 経 過 し た 後 の 状 態 ベ ク トルx(Δt)に
つ い て,式(2・134)を
ら な る状 態 ベ ク ト 少 時 間t=Δtだ 用 い る こ とによ っ
て, (2・135)
な る 関 係 が 得 ら れ る 。 こ の 値 をt=0に 式(2・135)か
ら,t=Δtに
お け る 状 態 ベ ク トル の 速 度 と い う。
お け る状 態 ベ ク トルx(Δt)は,
(2・136)
と な る 。 次 に,t=2・Δtに て,x(Δt)が
お け る 状 態 ベ ク トルx(2・Δt)は,式(2・136)に
お い
与 え ら れ る の で, (2・137)
が 得 ら れ る 。 こ の よ う に,十 t=k+1・Δtに
分 小 さ い 時 間 幅Δtを
お け る 状 態 ベ ク トルx(k+1・Δt)は
定 め る こ と に よ り,一 ,単
位 行 列1を
般 に
用 い て,
(2・138)
と な る 。 こ の よ う に し て,種
々 な るk+1・Δtに
お け る 状 態 変 数 をiL-υC平
面 に
プ ロ ッ トす る こ と に よ り,図2・63に
示 す よ う な状 態 変 数 の 軌 道 が 得 られ る。 こ
の 軌 道 を 時 間 軸 に 対 し て,iL,υCの
値 を 改 め て プ ロ ッ トす る と,前
項(1)の
過
渡応 答 が 求 め られ る。
す で に,〔4〕 の(1)で を判 別 し,4つ
述 べ た 過 渡 応 答 の 算 出 に お い て は,β=√α2-ω02の
の形 式 に分 類 され た が,こ
値
こで 述 べ た 状 態 変 数 の軌 道 の 作 成 に
お い て は,β の値 に無 関係 に,時 間 幅Δtの 定 め 方 に注 意 し,逐 次 計 算 を行 うだ けで よ い。 か か る計 算 は,今
日で は コ ン ピ ュ ー タ に プ ログ ラ ム す る こ と に よ り
容 易 に過 渡 応 答 を求 め る こ とが で き,特 に非 線 形 の 問 題 に お い て は 不 可 欠 な手 法 で あ り,今 後 ます ます 工 学 の広 い 分 野 に お い て 利 用 さ れ るで あ ろ う。 〔 例 題 〕2・24式(2・131)に に は 存 在 し な い 値 で あ る が,計 道 を 式(2・138)を
お い て,R=1〔
Ω 〕,L=1〔H〕,C=1〔F〕(実
算 の 簡 単 化 の た め)と
した と き の状 態 変 数 の 軌
用 い て 求 め よ 。 た だ し,iL(0)=1〔A〕,υC(0)=1〔V〕
=0 .1〔s〕とΔt=0.2〔s〕
際
と し,Δt
の場 合 を比 較 せ よ。
〔 解 答 〕 問 題 に与 え られ た 定 数 か ら,系 行 列A,状
態 ベ ク トルxの
は,そ れ ぞ れ *式(2・138)で こ こ で ,〓
,近
似 を 省 い た 正 確 な 表 現 は,〓 で あ る。
とな る。
初 期値
① Δt=0.1〔s〕
図2・64 υC-iLの
軌道
② Δt=0.2〔s〕
と な る 。 図2・64に,Δt=0.1,Δt=0.2,さ
ら に はΔt=10-2と
し た と きの 結 果 を
示 す 。
〔注1〕
〔4〕 の(1)の
式(2・125)と
の比較
〔 例 題 〕2・24の定 数 か ら,式(2・125)に
必 要 な 諸 量 を 求 め る と,
(固有 角周 波数) と な る こ とか ら,分 類 ③ の 式(2・127)を 適 用 す る必 要 が あ る 。 減 衰 の 時 定 数T は,
さ ら に,振 動 周 波 数f0は,
周 期T0は,
と な る。
〔 注2〕Δtの
値 に よ る軌 道 の 誤 差
図2・64に 示 し た よ う に,Δt=0.1とΔt=0.2,さ
ら に はΔt=10-2〔s〕
とした と
き の 計 算 結 果 に誤 差 が 生 ず る こ とが わ か る。Δtは 小 さ い値 ほ ど正 確 に な る が, 演 算 の 回 数 が 増 加 し 演 算 時 間 が 長 くな る 。 こ こ で,Δtの
値 を選 択 す る さ い に
は,〔注1〕 で 求 め た,減 衰 の 時 定 数T,さ て,適
ら に は振 動 周 期T0の
値 に十分注 意 し
切 なΔtの 値 を決 定 す る必 要 が あ る。
演
習
〔問 題 〕1.図2・65は,図2・1(a)と
問
題
〔2〕
同 じ 形 の 回 路 網 で あ る 。起 電 力E1,E2お
よび
図2・65
R1∼R6が
図 中 に 記 し た 値 で あ る と き,各 抵 抗 の 電 流 と電 圧Vab,Vbd,Vdcを
求
め よ。
答
〔問 題 〕2.図2・66の
ホ イ ー ト ス ト ン ブ リ ッ ジ に お い て,抵
抗Rl,を
通 る 電 流Il
図2・66 を 求 め よ 。た だ し,起 電 力E=16〔V〕,各 S=3〔
Ω 〕,Rl=3〔
Ω 〕,B=1〔
抵 抗 はP=2〔
Ω 〕,Q=5〔
Ω 〕,R=1〔
Ω〕で あ る 。
答(Il=1〔A〕)
Ω〕,
〔 問 題 〕3.
正 五 角 形 の 辺 と対 角 線 で で きる 図2・67の
よ うな 回 路 に お い て,任 意 の
図2・67
2項 点,例
え ば 同 図 のabか
らみ た 合 成 抵 抗Rabを
角 線 の 抵 抗 は す べ て 等 し くRで 抗 を求 め よ 。 〔 問 題 〕4.
求 め よ 。た だ し,各 辺 お よ び対
あ る 。 ま た,正n多 答(Rab=2R/n, n=5の
角 形(n>2)の
場 合 の合 成抵
場 合 はRab=0.4R)
あ る イ ン ピ ー ダ ン ス 回 路 の 電 圧 と電 流 が 次 式 で 表 さ れ る 。 この イ ン ピ
ー ダ ン ス と消 費 電 力 を求 め よ 。
答(4Ω,2165W) 〔問題 〕5.
図2・68の 回 路 に お い て,│I│を
電 力 が 最 大 とな る よ う なRの
一 定 と す る と き,抵 抗Rで
値 を求 め よ。 ま た,そ
消 費 され る
の ときの力率 はい くらか。
図2・68 答(R=ωL,
70.7%)
〔問 題 〕6.
図2・69に 示 す三 相 平 衡 負 荷 回 路 の 線 電 流,力 率 お よ び 消 費 電 力 を求 め
よ 。 た だ し,Vl=200〔V〕,Z△=7+j24〔
Ω〕と す る。
図2・69 対 称 三相‐平 衡 負 荷 回路 答(13.9A,27.9%,1343W) 〔問 題 〕7.
図2・70の
回 路 に お い て,ひ
ず み 波 電 圧υ
が 加 え ら れ た と き,消
費電 力
と 力 率 を 求 め よ 。 た だ し,υ=√2×100sinωt+√2×50sin3ωt+√2×20 5ωt〔V〕,基
本 波 に お け るR=5〔
Ω〕,XC=12〔
sin
Ω 〕と す る 。
図2・70 R-C回
路
答(661W,50.4%)
〔 問 題 〕8.
図2・56に お い て,ス イ ッ チSを
極 性 でV0〔V〕
投 入 し た 時,コ
に充 電 され て い た 。 この と き のυ,iR,さ
ン デ ンサ に は 図 に 示 す
ら にiCの
完 全 応 答 を求 め
よ。 〔 問 題 〕9. びiCの
図2・60に
お い て,式(2・120)と
式(2・121)の 関 係 を 用 い て,υ ,iRお
よ
定 常 状 態 に お け る値 を 求 め,各 電 圧 お よ び 電 流 ベ ク トル を 図 示 せ よ。
〔 問 題 〕10.〔
例 題 〕2・23で与 え られ た 各 定 数 を 用 い て,〔 例 題 〕2・24と同 様 に 状 態
変 数 の 軌 道 を示 せ 。
第3章
半 導体 デバ イ ス
電 気 ・電 子 機 器 に お い て,各 種 半 導 体 デ バ イ ス が 重 要 な 構 成 要 素 と な っ て い る。 本 章 で は,こ
れ らの 半 導 体 デ バ イ ス を 理 解 す るた め に必 要 な 半 導
体 物 理 の 基 礎 知 識 を整 理 し,こ れ に基 づ い て,代 表 的 な 半 導 体 デ バ イ ス の 動 作 原 理 と特 性 に つ い て 述 べ る。
3・1 半 導 体 デバ イ ス の歴 史
〔1〕 整 流 作 用 の発 見 と整 流 理 論 の 確 立 半 導 体 は,金 属 と同 じ 固体 で あ りなが ら,そ れ とは異 な った い くつ か の特 有 な性 質 を もっ て い る。 これ らの性 質 を応 用 して有 益 な機 能 を も たせ た 素 子 が 半 導体 デ バ イ ス で あ る。 半 導 体 が もつ これ らの 性 質 の 中 で,特
に重 要 な もの は,デ バ イ ス に 広 く応 用
され て い る整 流 作 用 で あ る。 これ は,金 属 と半 導体 を接 触 させ て,そ の 端 子 間 に電 圧 を加 え る と,あ
る極 性 の場 合 に 電 流 が 流 れ や す い が,こ れ と逆 の 極 性 に
お い て 電 流 が 流 れ 難 い とい う性 質 で あ る。 これ に 関 す る現 象 は,す
で に,1874
年 頃 よ り知 られ て い た が,整 流 器 へ の 応 用 が 試 み られ た の は,そ れ よ り半世 紀 後 の1920年
の 亜 酸 化 銅 整 流 器,お
よ び1923年
の セ レ ン整 流 器 な どが そ れ で あ
る。 この 当 時 は,量 子 力 学 の 黎 明 期 で あ り,ま だ 整 流 作 用 を理 論 的 に 考 察 で き る 段 階 に は 至 っ て い なか っ た 。 そ の後,量 子 力学 の 知 識 が 深 ま り,1932年
か ら約
10年 間 に,金 属 と半 導 体 接 触 に関 す る い くつ か の整 流 理 論 が 発 表 され た。 しか し,こ れ らの 理 論 が 実 験 と一 致 し な い とい う問 題 が 生 じた 。
ち ょ う ど,こ の頃 は,第 二 次世 界 大 戦 中 で あ り,マ イ ク ロ波 レー ダ用 検 波 器 と して の 鉱 石 検 波 器 の 改 良 が 必 要 と され て い た。 これ と関 連 し,ア メ リカ の ベ ル研 究 所 で は,シ
ョ ッ ク レ ー(Shockley),バ
ー デ ィ ン(Bardeen),ブ
ラ ッテ
ィ ン(Brattain)ら
を中 心 と して,真 空 管 に代 わ る 固体 増 幅 素 子 を 実 現 させ る た
め,半 導 体 の性 質 に関 す る理 論 的,実 験 的研 究 が 精 力 的 に進 め られ て い た 。 そ の 中 で,半 導体 の 表 面 状 態 の 研 究 を 行 っ て い た バ ー デ ィ ンは,1947年,半 表 面 に は金 属 を接 触 させ る前 に,す
導体
で に 整 流 作 用 を起 こす 原 因 とな る状 態(こ
れ を表 面 準 位 とい う)が 存 在 して い る と い う仮 説 を提 唱 し た。 この 表 面 準 位 の 存 在 を考 慮 す る こ とに よ り,そ れ まで 問題 とな って い た整 流 理 論 と実 験 との 不 一 致 の 原 因 をみ ご とに説 明 す る こ とが で き,こ れ に よ っ て,そ れ まで の 整 流 理 論 が 誤 りで な い こ とが 示 さ れ た 。 そ の後 行 わ れ た 表 面 準 位 に 関 す る実 験 は,ト ラ ン ジ ス タ を発 見 す る発 端 とな っ た。 1949年 に は,シ ョ ック レー に よ り,pn接
合 理 論(p形 半 導 体 とn形 半 導 体 と
か ら な る接 合 に お け る整 流 理 論)が 発 表 され るに 至 り,ゲ ル マ ニ ウ ム や シ リ コ ン単 結 晶 を用 い たpn接
合 整 流 器 の 電 流‐電 圧 特 性 が 適 確 に説 明 で き る よ う に
な っ た。 これ に よ り,整 流 理 論 は ほ ぼ 完 成 の域 に 達 し た。 そ の 後,ゲ ム や シ リ コ ン単 結 晶 のpn接
合 整 流 器 が,亜
酸化 銅 整 流 器 や,セ
ルマ ニ ウ
レ ン整 流 器 に
比 べ て逆 耐 電 圧 や 電 流 容 量 な ど の特 性 が 優 れ て い る こ とか ら,こ れ らに 置 き代 わ り,今 日 に至 っ て い る 。
〔2〕
トラ ン ジ ス タ の誕 生
半 導体 の 表 面 準 位 を提 唱 した バ ー デ ィ ンは,ブ らの特 性 を実 験 的 に調 べ る た め に,図3・1の
ラ ッテ ィ ン ら と と もに,こ
れ
よ う に,ゲ ル マ ニ ウ ム単 結 晶 表 面
に2本 の 金 属 針 を接 近 させ て立 て,表 面 電 位 の 分 布 の 様 子 を 測 定 して い た 。 こ の 実 験 の 際 中 に,片 方 の 金 属 針 に 流 す 電 流 の わ ず か な変 化 が,他 方 の 金 属 針 の 電 流 に 大 き な変 化 を 引 き起 こす とい う増 幅 作 用 が 見 出 さ れ た 。 これ が,1948年 の 点 接 触 形 トラ ン ジ ス タの 発 見 で あ り,今 日の 半 導体 の 隆 盛 を 導 く源 とな っ た。 この 点 接 触 形 トラ ン ジス タ は,金 属 針 を点 接 触 させ た 状 態 で動 作 させ るた め,
図3・1
点 接触 形 トラ ン ジス タ
信 頼 性 と安 定 性 に お い て 劣 り,ま た,動 作 電 力 も低 い とい う欠 点 が あ っ た 。 さ ら に,増 幅 作 用 の機 構 に つ い て も不 明 で あ っ た 。1949年,シ
ョ ッ ク レ ー は,pn
接 合 理 論 を発 表 し,点 接 触 で な くて も,面 接触 のpn接
合 を用 い て増 幅 作 用 を起
こ し得 る こ とを提 唱 し た。 翌 年 の1950年
合 を用 い た接 合 トラ ンジ
ス タの 試 作 に成 功 した 。 これ が,今 1956年,シ
に は,pn接
日 の トラ ン ジ ス タ の 基 本 形 で あ る。
ョ ック レー,バ ー デ ィ ン,ブ ラ ッテ ィ ン の3人
は,ト ラ ン ジ ス タ
発 明 の 業 績 に よ り,ノ ー ベ ル 物 理 学 賞 を受 賞 した 。 この よ うな トラ ン ジス タの 誕 生 は,半 導体 結 晶 の製 作 技 術 の 改 良 を うな が し, トラ ン ジ ス タ 材 料 と して は,ゲ ル マ ニ ウ ム結 晶 に 比 べ て 資 源 的 に有 利 で,特 性 が優 れ て い る シ リ コ ン結 晶 へ と置 き代 わ っ て行 っ た 。 一 方,ト 造 技 術,特
に,基 板 表 面 に トラ ンジ ス タ を製 作 す る プ レー ナ 技 術 が 急 速 な 進 歩
を とげ,接 合 形電 界 効 果 トラ ンジ ス タ やMOS電 可 能 とな っ た。 この よ うに して,ト て,エ
ラ ン ジス タの 製
界 効 果 トラ ン ジ ス タの 製 作 が
ラ ン ジ ス タ は,そ れ ま で の 真 空 管 に代 わ っ
レ ク トロ ニ ク ス を支 え る重 要 な地 位 を築 い た。 さ ら に,ト
ランジスタの
誕 生 は,こ れ を契 機 と して数 々 の 半 導 体 デ バ イ スの 誕 生 を うな が す 発 端 とな っ た。
〔3〕 半導体集積 回路 の実現 トラ ン ジ ス タ は,真 空 管 に比 べ て 小 形 で 信 頼 性 が 高 く,電 子 装 置 の 小 形 化 を 可 能 に した 。 しか し,さ
ら に高 性 能 の 大 規 模 な電 子装 置 を小 形 化 し,信 頼 性 を
高 め る た め に は,抵 抗,コ
ン デ ンサ,ダ
イ オ ー ド,ト ラ ン ジス タ等 の電 子 部 品
を半 導体 の 同 一 基 板 上 に組 み 込 む こ とが 必 要 とな って きた 。 これ を 実 現 し た の が,半 導 体 集 積 回 路(IC)で
あ る。
この 集 積 回 路 の概 念 は,pn接
合 トラ ン ジ ス タが 誕 生 した2年 後 の1952年
イ ギ リ スの ダ ンマ ー(Dummer)に
よ って 発 表 され た。1958年
に は,早
メ リカ の テ キ サ ス イ ン ス ツ ルー メ ン ト社 に よ っ て 集 積 回路 の 第1号
に
く もア
が発 表 さ
れ るに 至 っ た。 そ の 後,集 積 回 路 の 集 積 度 を 高 め る技 術 改 良 が 重 ね られ,最
近 で は,1枚
基板 上 に,数 千 個 の 素 子 を組 み込 ん だ 大 規 模 集 積 回 路(LSI)か
ら,数 十 万 個 の
超 大 規模 集 積 回 路(VLSI)へ
の 発 展 の 道 を た どっ て い る。
集 積 回 路 の もつ 高 集 積 度 で,超
小 形,軽 量 とい う特 長 は,真 空 管 や トラ ン ジ
ス タで は実 現 で き な か った 高 性 能 の 電 子 計 算 機 を 始 め とし,電 卓,マ 腕 時 計,そ
の
イ コ ン,
の他 多 くの電 子 装 置 を可 能 に した。 また,こ の よ う な集 積 回 路 技 術
の発 達 に よ り,電 子 回路 を一 ま とめ に して シ ス テ ム と して扱 う とい う考 え 方 へ と移 行 して きた 。
3・2 半 導 体 の 電 気 伝 導
〔1〕 半 導 体 の 種 類 と諸 性 質 固 体 を電 気 抵 抗 の 点 か ら分 類 す る と,図3・2の び 絶 縁 体 の3つ
よ う に,導 体,半
導体,お
よ
に大 別 で き る。 この 中 で,半 導 体 は,抵 抗 率 が お よ そ10-4∼106
Ω・mの 範 囲 に あ る物 質 で あ る。 しか し,エ レ ク トロニ ク ス の 分 野 で,半 導 体 と して 取 り上 げ られ て い る物 質 は,単
に電 気 抵 抗 の 点 か らの み で な く,次 の よ う
図3・2 物 質 の抵 抗 率(室 温)
な特 異 な 性 質 を もつ物 質 を指 して い る。す な わ ち,①
電 気 伝 導 が電 子 と正 孔 に
よ っ て行 わ れ る。 ② 電 気 抵 抗 の 温 度 係 数 が 負 で あ る。 ③ 不 純 物 添 加 に よ り抵 抗 率 が 著 し く変 化 す る。 さ らに,④
整 流 作 用,ト
ラ ン ジス タ作 用,光
電 効 果,
熱 電 効 果,磁 界 効 果 な どが 著 し く現 れ る。 半 導 体 は,1種
類 の 元 素 か ら な る単 元 素 半 導体 と2種 類 以 上 の 元 素 が 化 合 し
て で きた 化 合 物 半 導 体 とに 分 け られ る 。 前 者 の 代 表 的 な もの に は,ト ラ ン ジ ス タや 集 積 回路 に広 く使 わ れ て い るSi(シ
リ コ ン)や,さ
ラ ン ジ ス タ材 料 と して歴 史 的 に重 要 で あ っ たGe(ゲ 後 者 に は,半 導 体 レー ザ に 使 わ れ るGaAs(ガ 界 素 子 に使 わ れ るInSb(イ
らに,ダ
イ オ ー ド,ト
ル マ ニ ウ ム)な
どが あ る。
リウ ム‐ひ素)を は じめ と し,磁
ン ジ ウ ム‐ア ンチ モ ン)や,そ
の他 種 々 の材 料 が これ
に含 まれ る。 これ らの 材 料 は主 に結 晶 質(原 子 配 列 が 規 則 的)で あ るが,最 非 晶 質(原
子 配 列 が無 秩 序)の
近,
もつ 特 異 な 半 導 体 的性 質 が 大 き く注 目 さ れ て い
る。 半 導体 結 晶 の示 す 電 気 伝 導現 象 は,電 子 の 許 され るエ ネル ギ ー が あ る幅 を も った帯 状 とな る とい う帯 理 論 に基 づ い て 説 明 す る こ とが で きる。 図3・3は,こ れ の 基 本 とな る半 導 体 結 晶 の エ ネ ル ギ ー帯 を示 して い る。 上 側 の エ ネ ル ギ ー 帯 は,電 気 伝 導 に寄 与 す る電 子 が 存 在 す る帯 で あ り,こ れ を伝 導 帯 とい う。 下 側 の エ ネル ギ ー 帯 は,価 電 子 が存 在 す る帯 で あ り,こ れ を価 電 子 帯 とい う。 価 電
図3・3
半 導体 の エ ネル ギ ー帯
子帯 の 価 電 子 は,あ る エ ネル ギ ー を得 る と伝 導 帯 に 上 が り伝 導 電 子 とな る。 こ の価 電 子 帯 で 電 子 の抜 け穴 が 正 孔 で あ る。電 気 伝 導 に寄 与 す る荷 電 粒 子 は,伝 導 帯 中 の 伝 導電 子 と価 電 子 帯 中 の正 孔 で あ り,こ れ ら を総 称 し て キ ャ リア とい う。 伝 導帯 と価 電 子 帯 に は さ まれ た エ ネ ル ギ ー 帯 は,電 子 の存 在 が 許 され な い 帯 で あ り,こ れ を禁 制 帯 とい う。禁 制 帯 の エ ネ ル ギ ー幅Egを プ とい う。半 導 体 の場 合,こ の値 はお よ そ0.1∼3eVで
エネルギ ー ギ ャ ッ
あ り,一 般 にEgの
大き
い材 料 ほ ど抵 抗 率 が 高 い。 表3・1に そ の 一例 を示 す。 表3・1 物質 のEgと
真 性 抵抗 率(室 温)
半 導 体 は,こ れ に含 まれ る 不 純 物 の 存 否,お
よ び そ の 種 類 に よ っ て,以 下 の
よ う に分 類 され る。 真性 半 導体
半導体
(固有半 導体) n形 半 導体
外因性半導体 (不純 物半 導体)
p形 半 導体
こ こで,真 性 半 導 体 は不 純 物 を含 まな い純 粋 な結 晶 で あ り,固 有 半 導 体 と も い う。 また,外
因性 半 導 体 は,キ
ャ リア 密 度 と抵 抗 率 が,そ
の 中 に含 まれ る不
純 物 に よ って 特 徴 づ け られ た 半 導 体 で あ り,不 純 物 半 導 体 と も い う。そ の 中 で, 電 子 密 度 が 正 孔 密 度 よ り大 き くな る よ う な 不 純 物 を含 む 半 導 体 をn形
半 導体
とい い,こ れ とは逆 の 場 合 をP形 半 導 体 とい う。 半 導 体 中 で,密 度 の 多 い ほ う の キ ャ リア を 多数 キ ャ リア,少 表3・2は,Si,
い ほ うの キ ャ リア を少 数 キ ャ リア とい う。
Geの 場 合 の 不 純 物 元 素 と半 導体 の伝 導 形 との 関 係 を ま とめ た
もの で あ る。 表3・2 不 純 物 元 素 と半 導体 の伝 導形
〔2〕 キ ャ リア 密 度 不 純 物 を添 加 し た半 導 体 結 晶 中 の キ ャ リア の挙 動 を説 明 す るた め,立 体 的 な 結 晶 を平 面 的 に表 示 す る こ とが 行 わ れ る。 図3・4は,Si結
晶 の 中に不純物 とし
図3・4 n形Si 結 晶 の平 面的表示
て第V族 が4個,ま
のP(り
ん)原 子 を添 加 した 場 合 で あ る。Si原 子 は,第Ⅳ
たP原
子 の う ち,4個
子 の 価 電 子 は5個 で あ る。 した が っ て,P原
族 で価 電 子
子 の5個
の価 電
は隣 接 の4個 のSi原 子 との 共 有 結 合 に使 わ れ,残 りの1個 の 電
子 が 余 る。この 電 子 は,P原
子 に弱 く束 縛 され て い る た め,わ ず か な エ ネ ル ギ ー
を得 て 自 由 に な り,結 晶 中 を 自 由 に動 き回 れ る よ う に な る。 これ が 電 気 伝 導 に 寄 与 す る電 子 で あ る。 この よ う に,結 晶 中 に電 子 を供 給 して正 に 帯 電 す る不 純 物 を ドナ ー とい う。 ま た,あ
る エ ネ ル ギ ー を得 る と共 有 結 合 が 切 れ て 電 子 が 自
由 とな り,そ の 抜 け穴 と して 正 孔 が で き る。 この 過 程 は,電 子 と正 孔 が 対 に な っ て生 ず る こ とか ら対 生 成 とい う。 この 対 生 成 に よ っ て生 じた電 子 と正 孔 も電 気 伝 導 に寄 与 す る キ ャ リア とな る。 この種 の 半 導 体 の 伝 導体 中 の 電 子 の数 は,ド ナ ー か らの供 給 分 と対 生 成 に よ る分 の 和 で あ り,価 電 子 帯 中 の正 孔 は対 生 成 に よ る 分 の み で あ る。 した が っ て, この 半 導 体 は,電 子 密 度 が 正 孔 密 度 よ り大 き く,n形
半 導 体 で あ る。
ドナ ー は わ ず か なエ ネ ル ギ ー を得 て電 子 を供 給 す る こ とか ら,n形
半 導体 の
エ ネ ル ギ ー 帯 に お い て は,伝 導帯 の 底 近 くに ドナ ー 準位 を配 置 させ て あ る。 一 方,図3・5は,Si結
晶 中 に,不 純 物 と して,第Ⅲ
した場 合 で あ る 。Bの 価 電 子 は3個
族 のB(ほ
う素)を 添 加
で あ る こ とか ら隣 接 のSi原 子 との 共 有 結 合
に際 して 電 子 が1個 不 足 の 状 態 とな る。Si原 子 とSi原 子 の 間 の共 有 結 合 に あ ず か る電 子 は,わ ず か な エ ネ ル ギ ー を得 て,こ の 不 足 状 態 に移 り,そ の 抜 け 穴
図3・5 p形Si結 晶 の平 面 的 表示
と して正 孔 が で き る。 この よ う に,電 子 を受 け人 れ て 負 に帯 電 し,正 孔 を作 る 不 純 物 を ア クセ プ タ とい う。 この 半 導 体 は,正 孔 密 度 が 電 子 密 度 よ り大 き く, p形 半 導 体 で あ る。 ア ク セ プ タ は,わ
ず か な エ ネ ル ギ ー を得 た 電 子 が これ に入 り込 み 負 に帯 電 す
る こ とか ら,p形 半 導 体 の エ ネ ル ギ ー 帯 に お い て は,価 電 子 帯 の 頂 上 近 傍 に ア ク セ プ タ 準 位 を配 置 させ て あ る。 一 方,真 性 半 導 体 は,不 純 物 を含 まな い純 粋 な 結 晶 で あ る た め,キ
ャ リア は
対 生成 に よ って で きた 電 子 と正 孔 の み で あ り,電 子 密 度 と正 孔 密 度 が相 等 し い こ とが 特 徴 で あ る。
3・3 半 導 体 ダ イ オ ー ド
〔1〕 シ ョ ッ トキ ー ダ イ オー ド 金 属 と半 導体 を接 触 させ る と,そ の 界 面 に整 流 性 の 電位 障 壁 が 形 成 され る。 これ を シ ョ ッ トキー 障 壁 とい う。 この 障 壁 を利 用 した 整 流 性 の ダ イ オ ー ドをシ ョッ トキ ー ダ イ オ ー ドとい う。 仕事 関 数φMの
金 属 と φSのn形
半 導 体 を φM> φSの条 件 の 下 で,両 者 を接 触
図3・6
シ ョ ッ トキ ー 障壁
させ る と,半 導体 側 か ら金 属 側 に電 子 が 移 動 して,電 位 の 再 配 分 が 起 こ り,あ る とこ ろ で 平衡 状 態 に達 す る。 この と き移 動 した 電 子 は,金 属 と半 導体 の 界 面 に集 ま る。 界 面近 傍 の 半 導体 側 で は電 子 が 出払 うた め,ド
ナーの陽 イオ ンに よ
る空 間 電 荷 領 域 が 生 ず る。 これ を空 乏 層 とい う。 図3・6の 電 位 障壁 は,こ の 空 乏 層 の 空 間電 荷 に よ る電 位 に よ っ て生 じ た障 壁 で あ る。κSは 電 子 親 和 力 で あ る。 金 属 側 を正,n形
半 導 体 側 を 負 に な る よ う にバ イ ア ス電 圧 を加 え る と,n形 半
導 体 中 の 多 数 キ ャ リア で あ る電 子 が 障 壁 を通 して 金 属 側 に流 れ 込 み,大
き な電
流 が 流 れ る。 これ を順 方 向 特 性 と い う。 これ とは逆 に,金 属 側 を 負,n形
半導体
側 を正 に な る よ うにバ イ ア ス電 圧 を加 え た と きの電 流 は,シ
ョ ッ トキ ー 障 壁 の
高 さ φBを 越 えて 流 れ る電 子 に よ る もの で あ り,そ の絶 対 値 は 小 さい 。これ は逆 方 向 特 性 と い う。図3・7は,実 際 の シ ョ ッ トキ ー ダ イ オ ー ドの 電 流‐電 圧 特 性 の 一 例 で あ る。
図3・7
シ ョ ッ ト キ ー ダ イ オ ー ドの 電 流
‐電 圧 特 性
シ ョ ッ トキ ー ダ イ オ ー ドは,後 述 のpn接
合 ダ イ オ ー ド とは異 な り,そ の 動
作 が 多数 キ ャ リア に よ って 行 わ れ る た め,少 数 キ ャ リアの 蓄 積 効 果 が な く,高 周波 用 に適 し て い る 。
〔2〕pn接
合 ダイオー ド
1つ の 半 導 体 結 晶 の 中 でp領 域 とn領 域 を接 合 させ て作 った 構 造 の 素 子 をp n接 合 とい う。この 接合 は,整 流 特 性 を も って お り,多 くの半 導体 素 子 の重 要 な 構 成 要 素 とな っ て い る。 このpn接 オ ン注 入 法,エ pn接 接 合,ま
ピタ キ シ ャル 成 長 法,そ
合 に お い て,ア
の 他 が あ る。
ク セ プ タ と ドナ ー が 階 段 状 に分 布 して い る場 合 を階 段
た 勾 配 を も っ て分 布 して い る場 合 を傾 斜 接 合 と い う。
図3・8は,熱 とn形
合 の 製 作 法 と して は,合 金 法,熱 拡 散 法,イ
平 衡 状 態 に お け る階 段 接 合 の エ ネ ル ギ ー 帯 図 を 示 し て い る。p形
を接 合 させ た時 点 で,p側
か らn側 へ 正 孔 が,ま
たn側
か らp側 へ 電 子
が 拡 散 に よ っ て移 動 し,平 衡 状 態 が 保 た れ て い る。 この と き の キ ャ リア の移 動 の 平 衡 は,p側
とn側 の 間 に生 ず る電 位差VDに
よ って 支 え られ て お り,こ の電
位 差 を拡 散 電 位 と い う。 この電 位 差 は,接 合 面 近 傍 で,p側 イ オ ン とn側
の ア クセプ タの陰
の ドナ ー の 陽 イ オ ン に よ っ て 形 成 さ れ る電 気 二 重 層 によ り作 ら
れ て い る。 こ の電 気 二 重 層 の領 域 は,高 電 界 で キ ャ リ アが 出払 っ て し ま っ て い る こ とか ら空 乏 層 と い い,ま たp形
か らn形 に 移 る領 域 で あ る こ とか ら遷 移 領
域 とい う。 この 熱 平 衡 状 態 に お い て,接 合 を流 れ る 正 味 の電 流 は 零 で あ る。
図3・8 熱 平衡 状 態のェネル ギー 帯
次 に,p側
を正, n側 を負 に な る よ う にバ イ ア ス 電 圧 を 印加 す る と,縦 軸 は 電
子 に 対 す る エ ネ ル ギ ー を とっ て あ るの で,p側 の エ ネ ル ギ ー は 下 が り,n側 の エ ネ ル ギ ー は上 が る。p側 とn側 の 同 一 エ ネ ル ギ ー 準位 にお い て, n側 の 電 子 密 度 はp側
の 電 子 密 度 よ り高 く,ま たp側
そ の た め,こ
れ らの キ ャ リア は,互
移 動 し,電 流 が 流 れ る。 この 場 合,移
の正 孔 密 度 はn側
の正 孔 密 度 よ り高 い 。
に,密 度 の低 い相 手 の 領 域 に拡 散 に よ っ て 動 す る キ ャ リア は多 数 キ ャ リア で あ る た
め 流 れ る電 流 値 は 大 き く,順 方 向電 流 と な る。 また,p側
を 負,n側
ル ギ ー が 上 が り,n側
を正 と な る よ う にバ イ ア ス電 圧 を加 え る と,p側 の エ ネ ル ギ ー が 下 が る。 この 場 合,p側
ル ギ ー 準位 に お い て は ,p側 の 電 子 密 度 がn側 密 度 は,p側 正 孔 がn側
のエ ネ
とn側 の 同 一 エ ネ
の 電 子 密 度 よ り大 き く,ま た 正 孔
よ りn側 の ほ うが 大 き い。そ の た め,電 子 がp側
か らn側 へ,ま た
か らp側 へ 拡 散 に よ っ て 移 動 し,電 流 が 流 れ る。 この 場 合 に 移 動 す
る キ ャ リア は少 数 キ ャ リア で あ る た め,流 れ る電 流 は 非 常 に わ ず か で あ り,逆 方 向電 流 とな る。
〔3〕 定 電 圧 ダ イオ ー ド pn接
合 に大 きな 逆 方 向電 圧 を加 え る と,あ る電 圧 で 急 激 に 大 きな 電 流 が 流
図3・10定
電 圧 ダイ オー ドの静 特 性
れ る よ う に な る。 これ を降 伏 現 象 と い い,こ の 現 象 の 開始 す る電 圧 を降 伏 電 圧 とい う。p領 域 とn領 域 の 不 純 物 を適 当 に調 整 す る こ とに よ り,図3・10の
よう
に,逆 方 向電 圧 が ほ ぼ一 定 の も とに,電 流 が広 範 囲 に変 化 す る 定 電 圧 特 性 を も っ た ダ イ オ ー ドが 製 作 で き る。 これ を定 電 圧 ダ イ オ ー ドとい う。 降 伏 現 象 の 発 生 す る 過 程 と して は,な だ れ 過 程 とツ ェナ ー 過 程 の2つ が あ る。 Sipn接
合 の 場 合,降 伏 電 圧 が 約6V以
下 で は ツ ェナ ー 降 伏,そ れ 以 上 で は な
だ れ 降 伏 に よ っ て起 こ って お り,そ の 中 間近 傍 の 電 圧 で は,両 降 伏 現 象 が 混 在 して い る。 この 定 電 圧 ダ イ オ ー ドは,定 電 圧 装 置 や 電 圧 標 準 装 置 に用 い られ る ほ か,サ
3・4
〔1〕
ー ジ 吸収 や 過 電 圧 保 護 に応 用 され る 。
トラ ン ジ ス タ
バ イ ポ ー ラ トラ ン ジ ス タ
図3・11(a)お
よ び 図(c)の
よ う に,pnpあ
る い はnpnの
三 層構造 をな した
半 導 体 増 幅 素 子 を 接 合 トラ ン ジ ス タ と い う 。 こ れ ら の トラ ン ジ ス タ の 電 流 は, 少 数 キ ャ リ ア と 多 数 キ ャ リ ア の 両 方 に よ り運 ば れ る こ と か ら バ イ ポ ー ラ ト ラ ン ジ ス タ と呼 ば れ る 。 電 極 端 子 は,エ
図3・11
ミ ッ タ(E),ベ
ー ス(B),コ
接 合 トラ ン ジス タ と図 記号
レ ク タ(C)
とか ら な り,動
作 時 に は,エ
ミ ッ タ‐べー ス間 を 順 方 向 バ イ ア ス,べ
ー ス‐コ レ
ク タ間 を逆 方 向 バ イ ア ス に して 使 用 す る 。 これ ら の ト ラ ン ジ ス タ に お い て は,エ
ミッ タか らべ ー ス に 注 入 され た少 数 キ
ャ リ ア の 大 部 分 が コ レ ク タ に 到 達 で き る よ う,べ て い る 。 ま た,エ
ー ス の 幅 は 十 分 に 狭 く作 ら れ
ミ ッ タ と べ ー ス 間 の 接 合 に 流 れ る 全 電 流 の う ち,べ
ース中の
少 数 キ ャ リ ア に よ っ て 生 じ る 電 流 の 占 め る 割 合(注 入 効 率 と い う)が 大 き くな る よ う に,べ pnp構
ー ス の 抵 抗 率 に 比 べ て,エ 造 お よ びnpn構
ミッ タの 抵 抗 率 を 十 分 に小 さ くし て あ る。
造 の ト ラ ン ジ ス タ の 動 作 原 理 は,キ
バ イ ア ス 電 圧 の 極 性 を 逆 に す れ ば,両
者 同 じで あ る。
トラ ン ジ ス タ は,三
ず れ か1つ
電 極 の う ち,い
共 通 電 極 の 名 を 取 っ て,そ
図3・12
を共 通 電 極 と して使 用 す る。
れ ぞ れ ベ ー ス 接 地 回 路,エ
タ 接 地 回 路 と い う 。 図3・12にpnp接
pnp接
ャ リア の種 類 と
ミ ッ タ 接 地 回 路,コ
レク
合 トラ ン ジ ス タの 基 本 増 幅 回路 を示 す 。
合 トラ ンジ ス タの基本 増 幅 回路
べ ー ス 接 地 回路 を例 に とる と,動 作 原 理 は 以 下 の よ うに な る。 エ ミ ッ タ 電 流IE,べ をΔIE ,ΔIB,ΔICと
ー ス 電 流IB, お よ び コ レ ク タ 電 流ICの
それぞれの変化分
す れ ば, (3・18)
で あ る 。 ま た,べ
ー ス 接 地 回 路 の 電 流 増 幅 率 α は, (3・17)
で 定 義 さ れ る 。ΔIB≪ΔICで
あ る の で,α は,1以
下 の,ほ
ぼ1に
近 い 値 で あ る。
電 圧 利 得AVお
よ び電 力 利 得APは,入
力 回 路 の 抵 抗 をRin,出
力回路 の抵抗
をRoutと お け ば,そ れ ぞれ (3・20)
(3・21)
と な る 。Rout≫Rinで
あ る の で,α <1で
あ っ て も電 圧 利 得,お
よび 電 力 利 得 が 得
られ る。 図3・12(b)の
エ ミ ッ タ 接 地 回 路 に お い て は,電
流 増 幅 率 β は, (3・22)
と な る 。α=0.98と 図3・13お
す れ ば,β=49と
よ び 図3・14は,そ
な り,電
流 増 幅 率 は非 常 に 大 き くな る。
れ ぞ れ べ ー ス接 地 回路 お よ び エ ミ ッタ接 地 回路
の 静 特 性 の 一 例 で あ る 。 べ ー ス 接 地 回 路 の 場 合,α=ΔIC/ΔIEが
ほ ぼ1に
近 い値
で あ る こ とが わ か る。
図3・13 べース 接 地 回路 の静 特 性
図3・14 接地 回路 の 静特 性
一 般 に,べ ー ス 接 地 回路 は,入 力 抵 抗 が低 い が 出 力 抵 抗 が 高 い 。 エ ミ ッ タ接 地 回 路 の場 合 に は入 力 抵 抗,出
力 抵 抗 と もに それ ほ ど大 き くは な い が,電
流増
幅 率 が 高 い 。 また,コ レ ク タ接 地 回 路 に お い て は,入 力 抵 抗 が きわ め て 大 き く, 出 力 抵 抗 が 小 さ い。 さ ら に,電 流 の 位 相 反 転 を生 ず る こ と を特 徴 と して い る。
バ イ ポ ー ラ トラ ン ジ ス タ は,代 表 的 な 半 導 体 増 幅 素 子 で あ り,広 い 分 野 で使 わ れ て い るが,そ の 用 途 に よ って 要 求 され る特 性 が い ろ い ろ と異 な る た め,種 々 の構 造 の もの が 開 発 され て い る。 大 電 力 用 の パ ワ ー トラ ン ジス タで は,耐 圧 の 向 上,電
流 容 量 の増 加,お
よ び 熱特 性 の 改 良 を行 うた め,n+pnn+構
ドナ ー 密 度 の 大 きいn領 域)や,く
造(n+は
し型 電 極 構 造 の もの が 使 わ れ て い る。 ま た,
高 周 波 トラ ン ジス タで は,動 作 周 波 数 の 上 限 を高 め るた め,べ ー ス抵 抗 と コ レ ク タ接 合 容 量 を低 下 させ た構 造 の もの が 使 わ れ て い る。
〔2〕
接 合 形 電 界 効 果 トラ ン ジ ス タ
電 流 の 流 れ る通 路 の 面 積 を静 電 的 に変 化 させ て 電 流 を制 御 で き る よ うに し た 構 造 の 半 導 体 素 子 を 電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ(FET;field い う。 前 述 の バ イ ポ ー ラ ト ラ ン ジ ス タ で は,注 利 用 し て い る の に 対 し,こ
effect transistor)と
入 され た少 数 キ ャ リア の 挙 動 を
の電 界 効 果 トラ ン ジ ス タで は 多 数 キ ャ リア の 動 作 を
利 用 し て い る 点 に 本 質 的 な 違 い が あ る。 図3・15は,接
合 形 電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ(JFET;junction
の 原 理 的 な 構 造 を 示 し て い る 。n形 極 を 設 け て あ り,片
方 を電 子(多
field effect transistor)
半 導 体 の 両 端 に電 流 を 流 す た め の 電
数 キ ャ リ ア)の
供 給 源 とい う意 味 か ら ソ ー ス
図3・15
JFETの
構造
(S)と
い い,他
方 を 電 子 の 吸 口 と い う 意 味 か ら ド レ イ ン(D)と
ソ ー ス と ド レ イ ン 間 の 半 導 体 側 面 に は,p層
を 形 成 さ せ て あ り,こ れ は ソ ー ス
と ド レ イ ン間 を 流 れ る電 流 を 制 御 す る た め の ゲ ー ト(G)と ス の 間 に,ゲ ー ト下 のpn接
い う。
な る。 ゲ ー トと ソー
合 が 逆 方 向 バ イ ア ス と な る よ う に 電 圧 を 加 え る と,
n領 域 の 空 乏 層 が 広 が り,ソ ー ス と ド レ イ ン 間 の 電 流 通 路(こ れ を チ ャ ネ ル と い う,こ
の 場 合,n形
で あ る の でnチ
ゲ ー ト に 加 え る 電 圧 に よ り,ソ る 。JFETの
ャ ネ ル と い う。)が 狭 め ら れ る 。 す な わ ち,
ー ス と ド レ イ ン 間 の 電 流 を 制 御 す る こ とが で き
図 記 号 は,図3・16で
表 され る。
図3・16
図3・17は,ド
レイ ン電 圧VDと
例 で あ り,ゲ ー ト電 圧VG<0の
ドレ イ ン電 流IDの
JFETの
図 記号
関 係 を表 し た 静 特 性 の 一
範 囲 にお い てIDが 制 御 さ れ て い る。 ドレイ ン電
圧 を上 昇 させ て行 く と空 乏 層 が 広 が り,あ る電 圧 値 で チ ャネ ル の幅 が 零 とな る 。
図3・17
JFETのID-VD特
性
この 状 態 を ピ ンチ オ フ とい う。 この ピ ンチ オ フが 起 こる以 上 に ド レ イ ン電 圧 を 加 え る と ドレイ ン電 流 は 飽 和 特 性 と な る。 JFETは,前
述 の バ イポー ラ トラ ン ジ ス タ に比 べ て,次 の よ うな特 長 を も っ
て い る。 ① 入 力 イ ン ピ ー ダ ン スが 高 い 。 ② 少 数 キ ャ リア の 蓄 積 効 果 が な い の で 高 速 用 に 適 し て い る。③ 入 力 と出 力 間 を絶 縁 で きる の で,回 路 設 計 が 容 易 で あ る。
〔3〕MOS電 図3・18の (D)を
界 効 果 トラ ン ジ ス タ よ う に,p形Si基
設 け,さ
ら に,p形Si表
板 表 面 に,n+層
か ら な る ソ ー ス(S)と
ドレ イ ン
面 に 絶 縁 層 を は さ ん で ゲ ー ト(G)を
設 け,ソ
ー
ス‐ ド レ イ ン 間 の 電 流 を ゲ ー ト電 圧 に よ っ て 制 御 で き る よ う に し た 構 造 の 素 子 をMOS電
界 効 果 トラ ン ジ ス タ(MOSFET;MOS
い う 。 こ こ で,Mは
金 属(metal),Oは
field effect transistor)と
酸 化 膜(oxide),Sは
半 導 体(semiconductor)
の 略 で あ る。
図3・18
MOSFETの 構造
このMOSFETに 縁 層 下 のp形Si表
お い て,ソ ー ス に 対 して ゲ ー トに正 の 電 圧 を加 え る と,絶 面 に電 子 が 集 ま ってn形
に反 転 し,電 流通 路(nチ
ャ ネ ル)
が 形 成 さ れ る 。 こ のnチ す る の で,こ
ャ ネ ル の 断 面 積 は,ゲ
れ に よ っ て ソ ー ス‐ ド レ イ ン間 の 電 流 を 制 御 す る こ と が で き る 。
チ ャ ネ ル と し て は,図3・18の のnチ
ー トに 加 え る 電 圧 に よ っ て 変 化
ャ ネ ル と,n形Si基
よ う に,p形Si基
板 を 用 い たMOSFETの
板 を 用 い たMOSFETの
場合
場 合 に 形 成 さ れ るpチ
ャ
ネ ル と が あ る 。 ゲ ー ト電 圧 の 印 加 に よ る チ ャ ネ ル の 形 成 状 態 に よ っ て,MOSFET を 次 の よ う に 分 類 す る こ とが で き る 。 エ ン ハ ン ス メ ン ト形
MOSFET
(ゲ ー ト電 圧VGが VG=0で
加 わ ら な い と チ ャ ネ ル が 形 成 され な い 構 造。
ド レ イ ン電 流IDは
零)
デ プ レイ ッシ ョン形 (VG=0で VG=0で
図3・19は
す で に 表 面 に チ ャ ネ ル とな る 反 転 層 が 形 成 さ れ て い る 構 造 。 ド レ イ ン電 流 が 流 れ る)
各 構 造 のMOSFETの
ャ ネ ルMOSFETの
図 記 号 で あ る 。図3・20は,一
静 特 性 を 示 し た も の で あ り,JFETの
図3・19
MOSFETの
例 と し て,nチ
特 性 と定性 的 に同 じ
図 記号
図3・20
MOSFETのID-VD特
性
で あ る。 MOSFETは,JFETに
比 べ て 次 の よ うな特 徴 を も っ て い る。① 入 力 抵 抗 が
大 きい 。② ソ ー ス‐ドレ イ ン 間 が 電 気 的 に基 板 か ら独 立 で き る。③1枚
の基板
上 に作 り得 る 素 子 数 が 多 く,集 積 回路 に 用 い るの に有 利 で あ る 。 しか し,④ 導体 の 表 面 準 位 の 存 在 に よ る雑 音 の 点 や,キ
半
ャ リア移 動 度 が 小 さ くな る点 な ど
が 劣 って い る。
3・5 電 力 用 デ バ イ ス
電 力 用 デ バ イ ス と し て は,一 あ る 。 こ の ほ か,最
般 に,サ
イ リ ス タ(SCR)やGTO,
TRIACが
近 で は 前 節 ま で に 学 ん だ ダ イ オ ー ドや ト ラ ン ジ ス タ の 大 電
力 用 の もの が 用 い られ る よ う に な っ て い る。
〔1〕
サ イ リス タ
サ イ リ ス タ*(thyristor)は, 抗 素 子 で あ り,オ 態 を 有 し,図3・21に
ン 状 態(導
pn接
合 を3つ
通 状 態)と
示 す よ う に,pnpn
以 上 有 す る電 流 制 御 形 の 負性 抵
オ フ 状 態(阻 4層 構 造 に,制
た 構 造 で あ る 。 こ の サ イ リス タ の 陽 極 と 陰 極間 に,あ 圧 を 加 え る と,図3・22の こ る が,ゲ
よ う に,オ
止 状 態)の2つ
の安 定 状
御 用 ゲ ー ト端 子 を 設 け る し きい 値 電 圧 以 上 の 電
フ状 態 か らオ ン状 態 ヘ ス イ ッチ ン グが 起
ー ト端 子 に 電 流 を 流 す こ と に よ り,こ
の し き い 値 電 圧 よ り低 い 電 圧
で ス イ ッチ ン グ さ せ る こ とが で き る。
導 通 状 態 に移 った サ イ リス タ を 阻 止 状 態 に も どす た め に は,主
*サ
回路 の 電 圧 を
イ リス タの うち特 定 の 素子 をSCRと 呼 ぶ こ とが あ る 。 これ は 米 国GE社 の 商 品 名 で あ るた め,最 近 こ の通 称 を用 い る例 は少 な い。 学術 名 は逆 阻 止3端 子 サ イ リス タ で あ る が , この正 式 名 は長 す ぎ る こ と,使 用 実績 の大 半 を この通 称SCRが 占 め て い る こ と等 に よ り , パ ワー エ レク トロ ニ ク ス の分 野 で は,単 にサ イ リス タ と呼 んで い る 。 本 章 で もこの 慣 例 に 従 う。
図3・21
図3・22
著 し く下 げ る か , ま た は,印
サ イ リスタ とその 図記 号
サ イ リス タ の 特 性
加 電 圧 の特 性 を反 転 させ る必 要 が あ る。 単 にゲ ー
ト電 流 を 零 に し た だ け で は 導 通 状 態 か ら 阻 止 状 態 へ 移 す こ と は で き な い 。 ゲ ー トタ ー ン オ フ サ イ リ ス タ(GTO;gate
turn-off
thyristor)は,ゲ
向 に バ イ ア ス を 加 え て 接 合 付 近 の キ ャ リア を 吸 い 出 し,ザ か っ た,阻
ー トに逆 方
イ リス タで は で き な
止 状 態 に も ど す機 能 を もた せ た サ イ リス タで あ る。
こ の サ イ リ ス タ は,各 タ 回 路 等 に,広
種 の 電 力 制 御 回 路 や,直
く利 用 さ れ て い る 。
流 を交 流 に変 換 す る イ ンバ ー
(2)
TRIAC
サ イ リ ス タ は,片 こ る が,pnpn素
側 の 極 性 の 電 流‐電 圧 特 性 に お い て の み ス イ ッ チ ン グ が 起
子 を 逆 並 列 に 接 続 し た 構 造 に す る と,両
な ス イ ッ チ ン グ が 生 ず る 。Siを
用 い て,1つ
称
の素 子 に この 機 能 を もた せ た 構 造
の 素 子 を シ リ コ ン 対 称 ス イ ッ チ(SSS;silicon こ のSSSに
極 性 に お い て,対
symmetical
switch)と
い う。
制 御 用 の ゲ ー ト端 子 を 設 け て ス イ ッ チ ン グ 開 始 電 圧 を 制 御 で き る
よ う に し た 構 造 の 素 子 をTRIAC(triod
AC
switch)と
い う。
サ イ リ ス タ は,交
流 の 半 波 の 電 力 制 御 に 用 い ら れ る が,こ
のTRIACを
用い
る こ と に よ り,1個
で 交 流 の 正 負 の 両 極 性 に 対 し て 電 力 制 御 を 行 う こ とが で き
る。
3・6 集 積 回 路
〔1〕 集 積 回 路 の 基 礎 概 念 近 年,電
子 計 算 機 をは じ め と し,各 種 電 気 ・電 子 機 器 に要 求 され る高 性 能 化,
多機 能 化,お
よ び高 速 化 に応 え る べ く,そ れ らの 重 要 な構 成 要 素 で あ る トラ ン
ジ ス タ,ダ イ オ ー ド,抵 抗,コ 集 積 させ た,い
ンデ ンサ な どの部 品 を1つ の 基 板 上 に高 密 度 で
わ ゆ る集 積 回 路(IC;integrated
circuit)の 製 作 技 術 が 目覚 ま
し く発 達 して き た。 この 集 積 回 路 を構 造 の 点 か ら分 類 す る と,次 の よ う に な る。 バ イ ポ ー ラIC
半導体集積回路 (半導体 基 板 上
MOSIC メ モ リIC
に素 子 と回路 を構 成)
集積回路
薄膜 集 積 回路 (マ イカ,ガ ラス,セ ラ ミックな どの基 板 上 に 素子 と回 路 を構 成) ハ イ ブ リッ ド集 積 回路 (半導 体 集積 回 路 と薄 膜 集積 回 路 を組 み合 せ た 混成 集 積 回路)
最 近 で は,集
積 技 術 の 高 度 化 に よ っ て,1枚
十 万 個 を 超 え る 超 大 規 模 集 積 回 路(超LSI,
の 基 板 上 に 集 積 す る 素子 数 が 数
VLSI;very
large scale integrated
circuit)の 段 階 に 至 っ て い る。 この よ うな 著 しい集 積 回 路 の発 達 の 基 礎 とな っ た の は,半 導体 表 面 に トラ ン ジ ス タや ダ イ オ ー ドな どを作 る プ レー ナ 技 術 の発 達 に よ って い る。 集 積 回路 の発 達 は,電 気 ・電 子 機 器 の超 小 形 ・軽 量 化 の み な らず,信 頼 性 の 飛 躍 的 向上 と動 作 の 高速 化,お 計 算 機 の発 達 や,マ
よ び価 格 の低 減 を可 能 に し,今 日 の 高 性 能 電 子
イ コ ン,電 卓 な どの 民 製 品 の 誕 生 を 実 現 し た。
〔2〕 バ イ ポ ー ラ集 積 回 路 半 導体 集 積 回 路 に お い て は,1枚 オ ー ド,抵 抗,コ クICと
呼 び,ICに
のSi単 結 晶 基 板 上 に,ト ラ ン ジ ス タ や ダ イ
ンデ ンサ な ど を組 み込 ん で あ る こ とか ら,こ れ をモ ノ リ シ ッ 組 み 込 む トラ ン ジス タ と して,バ イ ポ ー ラ トラ ン ジス タが
用 い られ る場 合 をバ イ ポ ー ラ集 積 回 路 とい う。 集 積 回 路 で は,多 数 の 素 子 を同 一 基 板 上 に製 作 す るた め,そ れ ら を 互 に電 気 的 に絶 縁 して 独 立 させ る こ とが 重 要 で あ る。 これ を素 子 間 分 離,ま
た はアイ ソ
図3・23 pn接
合 分離
図3・24 絶 縁 層 分離
レ ー シ ョン と い う 。 こ の ア イ ソ レ ー シ ョ ン に は,pn接
合 に逆方向バ イアスを加
え て 分 離 す る 方 式 と,酸 化 膜 の 絶 縁 層 を 用 い て 分 離 す る 方 式 と が あ る 。 図3・23 は,pn接
合 分 離 の 一 例 で あ り,p形
バ イ ア ス す る と,pn接
す る こ と が で き る 。 図3・24は,絶 SiO2の
のSi基
板 の 電 位 を 最 も低 い 電 位 に な る よ う
合 部 分 は 逆 方 向 バ イ ア ス と な り,素 子 間 を 電 気 的 に 絶 縁 縁 層 分 離 の 一 例 で あ り,各
絶 縁 層 で 分 離 さ れ て い る 。 図3・25に,エ
ジ ス タ のIC回
路 の 一 例 を 示 す 。 各 配 線 は,配
い る 。 抵 抗 は 不 純 物 の 拡 散 層 を 用 い て お り,コ とn+拡
素子間 が酸化 膜
ミ ッ タ接 地 バ イ ポ ー ラ トラ ン 化 膜SiO2上
をはって結線 されて
ン デ ン サ は,配
散 層 で は さ ん だ 構 造 を な し て い る 。 各 素 子 は,基
化 膜 を金 属 電 極
板 との間 に加 わ る逆
方 向 バ イ ア ス に よ っ て 分 離 さ れ て い る。
図3・25
〔3〕 MOS集
エ ミ ッ タ接 地 バ イ ポ ー ラ トラ ン ジ ス タ のIC回
路
積 回路
トラ ン ジ ス タ と し て,前 述 の バ イ ポ ー ラ ト ラ ン ジ ス タ の 代 わ り に,MOSFET を 組 み 込 ん だ 集 積 回 路 をMOS集
積 回 路 と い う 。こ のMOS集
ー ラ 集 積 回 路 に 比 べ て 集 積 度 を大 き く す る こ と が で き
,さ
積 回 路 は,バ イ ポ ら に,消
費電力 が小
さい な どの 特 長 を も って い る。 pチ
ャ ネ ルMOSFETとnチ
ャ ネ ルMOSFETを
み 込 ん だ も の を 相 補 形MOS(C‐MOS;complementary
対 に し て 同 一 基 板 中 に組 MOS)
とい う。 これ
図3・26
を 用 い た イ ン バ ー タ 回 路 は,消
CMOSの
構 造 と イ ンバ ー タ 回 路
費 電 力 が 非 常 に わ ず か で あ り,雑
ズ マ ー ジ ン)が 大 き い な ど の 特 長 を も つ こ と か ら,電
卓,電
音 余 裕(ノ
子 時 計,そ
イ
の他 に
広 く利 用 さ れ て い る 。 図3・26は,C-MOSイ
ン バ ー タ 回 路 の 構 成 の 一 例 を 示 す 。 両 チ ャ ネ ル と もエ
ンハ ン ス メ ン ト形 で あ る 。 入 力 端 子 に 加 え る電 圧Vin=V0(>0)の ネ ル が オ フ,nチ と き,pチ
ャ ネ ル が オ ン と な り,出 力 がVout〓0と
ャ ネ ル が オ ン,nチ
の 場 合 も,片
と き,pチ
ャ ネ ル が オ フ と な り,Vout〓VDDと
方 の トラ ン ジ ス タ が オ フ の 状 態 と な る た め,静
ど 消 費 電 力 が な い 。 し た が っ て,C-MOSの
ャ
な る 。 ま た,Vin〓0の なる。いずれ 止 状 態 で は ほ とん
消 費 電 力 と し て は,2つ
の状 態 が 切
り換 る と き に 消 費 さ れ る 非 常 に わ ず か な 電 力 の み で あ る 。
演 〔 問 題 〕1.エ
習
問
ン ハ ン ス メ ン ト形MOSFETと
題
〔3〕 デ プ レ ッ シ ョ ン 形MOSFETの
作 原 理 の 違 い を説 明 せ よ。
〔 問 題 〕2.バ
イ ポ ー ラ トラ ン ジ ス タ の 増 幅 原 理 に つ い て 説 明 せ よ 。
〔問 題 〕3.C-MOSイ
ン バ ー タ 回 路 の 動 作 原 理 を 説 明 せ よ。
動
第4章 電 子 回路
1904年
に フ レ ミ ング(John
管 を,ま た1906年 を 発 明 し て 以 来,電 ∼1951年
Ambrose
に フ ォ レ ー(Lee
Fleming,イ
de Forest,ア
ギ リ ス)が メ リカ)が
二極 真空
三極真 空管
子 回 路 の 基 本 的 な 技 術 が 形 成 さ れ た 。 さ ら に,1948年
シ ョ ッ ク レー(William
Bradford
プ に よ る トラ ン ジ ス タ の 発 明,1958年
Shockley,ア
キ ル ビ ー(Jack
メ リ カ)グ
S.Kilby,ア
に よ る集 積 回 路 技 術 の 確 立 に よ っ て 回 路 素 子 の 小 形 化,信
ルー
メ リ カ)
頼性 の 向上 お よ
び 低 電 力 動 作 技 術 が 飛 躍 的 に進 歩 し,現 在 の超 小 形 電 子 回 路 技 術 時 代 を迎 え て い る。 電 子 回路 で 取 り扱 う 信 号 を大 別 す れ ば,連 続 値 で あ る ア ナ ロ グ 信 号 と離 散 値 と して の デ ィ ジ タ ル 信 号 に 分 け る こ とが で き,そ れ ら の 信 号 を 扱 う 回 路 を そ れ ぞ れ ア ナ ログ 回 路,デ
ィジ タ ル 回 路 と い う。 また,両
信号 の それ
ぞ れ の 特 長 を い か して 信 号 処 理 を 行 う 技 術 も電 子 回 路 の 大 き な 分 野 で あ る。 そ こで の 基 本 回 路 が ア ナ ロ グ量 を デ ィ ジ タ ル量 に,ま を行 う 回路 で,こ
れ をA/D変
換 回 路 お よ びD/A変
た その逆 の 変換
換 回 路 と呼 ぶ 。
4・1 電 源 回 路 電 子 回 路 は電 池 あ る い は 直流 安 定 化 電 源 に よ って 電 力 が 供 給 され る。 電 池 は 手 軽 で あ るが 寿 命 に限 りが あ り,取
り換 え も面 倒 で あ る う え に コ ス トも高 くな
るた め,普 通 は直 流 安 定 化 電 源 が 使 わ れ る。 直 流 安 定 化 電 源 は,一 般 に図4・1 の よ う な各 部 回路 に よ り構 成 され る が,そ れ ぞ れ の 回 路 は扱 う電 圧,電 き さ お よ び安 定度,制
流 の大
御 方 式 の 違 い に よ っ て 回路 が 異 な る。 こ こで は,信 号 処
理 を主 目的 とす る電 子 回路 用 の 小 電 力 直 流 電 源 に つ い て述 べ る。 電 子 回路 用 小 規 模 電 源 で 使 わ れ る整 流 回路,平
滑 回 路 は,手 軽 さ お よ び 小 形
υを
図4・1 電 源 回路 の 構成
に で き る こ とか ら,図4・2の
よ う に,ダ イ オ ー ド ブ リ ッジ 全 波 整 流 回 路 と並 列
コ ン デ ンサ 平 滑 回 路 が よ く用 い られ る。 図4・2の 回路 で,変 圧 器 の 二 次 側 電 圧
図4・2 整流 回 路 と平滑 回 路
(4・1)
と す る と き,コ
ン デ ン サ 電 圧υcは,図4・3の
が θ1か らθ2の 間 で は ダ イ オ ー ド は 導 通 し,電
よ う に な る 。 図 に 示 す よ う に,ωt 源 電 圧 は そ の ま ま コ ン デ ンサ に
図4・3
コンデン サ電 圧 波形
か か る。 (4・2) ωtがθ2と
π+θ1の間
で は ダ イ オ ー ド は 非 導 通 と な り,コ
電 流 を 供 給 す る 。 し た が っ て,そ
ン デ ンサ が 負荷 に
の 時 の コ ンデ ン サ電 圧 は 次 式 と な る。 (4・3)
式(4・2),(4・3)か
ら,コ
ン デ ン サ の 平 均 電 圧Vdcは,次
の よ う に計 算 され る。
(4・4)
式(4・4)か
ら,ωCRに
対 す るVdc/Vmを
図4.4 ωCRに *ダ
図 示 す れ ば,図4・4と
対 す るVdc/Vmの
イ オ ー ド か ら流 れ 出 す 電 流i dは,コ
な る 。図 で わ か
変 化*
ン デ ン サ 電 流 と抵 抗 を 流 れ る 電 流 の 和 で あ る か ら,
次式 となる。
ωt=θ2 でid=0あ る か ら,〓
そ れ ゆ え ,〓
であ る。 一 方,式(4・3)よ
り,ωt=π+θ1で
源 電 圧 に 等 し く な る 。 す な わ ち,〓
ダ イ オ ー ド は 再 び 導 通 す る か ら,コ
ンデ ンサ 電圧 は電
で あ る 。 し た が っ て〓を
解 く こ と に よ っ て θ1が 求 め られ る 。 求 め ら れ た θ1,θ2を 式 (4・4)に 代 入 し,図4・4が
描 か れ る。
る よ う に,ωCRが
大 き く な れ ば,Vdc/Vmは1に
動 が 少 な くな る 。 一 方,ωCRが
近 づ き,コ
小 さ く な る と,す
負 荷 電 流 を 多 く流 す よ う に す る と,コ
ンデ ン サ電 圧 は脈
な わ ち 負 荷 抵 抗 を 小 さ く し,
ン デ ン サ電 圧 の脈 動 が 大 き くな る こ とが
わ か る。 以 上 の よ う に,交
流100Vを
変 圧 器 に よ っ て 低 電 圧 に 変 換 し,整
滑 回 路 を 通 し て 脈 動 分 の 小 な い 直 流 電 圧 を 作 っ た 後,定
流 回 路,平
電 圧 回路 に よ っ て負 荷
電 流 が 変 わ っ て も常 に 一 定 な 出 力 電 圧 と な る よ う に す る 。 こ の 定 電 圧 回 路 は, 最 近 で は3端
子 の 専 用 集 積 回 路(IC)が
負 電 圧 用 が あ り,定 100mAか
ら5A程
専 ら用 い ら れ る 。 こ れ に は 正 電 圧 用 と
格 出 力 電 圧 は2.6Vか
ら24V程
度 ま で,出
力最 大電 流 は
度 ま で の 各 種 が 用 意 さ れ て い る 。 こ の よ う なICは,図4・
5(a),(b)の
よ う な 回 路 接 続 と し,図4・2の
負 荷Rの
図4・5のICの
入 力 側 コ ン デ ン サ0.33μF,2μFは
と こ ろ に これ を入 れ る。
平 滑 回 路 とIC間
が あ る程 度
離 れ て い る 時 に 安 定 動 作 の た め に 挿 入 す る 。 ま た,出 力 側 コ ン デ ン サ0.1μF, 1μFは
出 力 過 渡 応 答 を 改 善 す る た め に 入 れ る も の で,平 滑 回 路 に は 電 解 コ ン デ
ン サ が 使 わ れ る の に 対 し,こ
こで は セ ラ ミ ック あ る い は タ ン タ ル コ ン デ ン サ の
よ うに 周 波 数 特 性 の 良 い コ ン デ ンサ を使 わ な け れ ば な らな い。
(a)正
(b)負
電圧用
図4・5
〔例 題 〕4・1 出 力 電 圧15V,出 る と き,図4・2の 〔 解答 〕
電圧 用
3端 子 定 電 圧IC
力 最 大 電 流1Aの3端
子 定 電 圧ICを
使 用す
平 滑 用 コ ン デ ン サ容 量 お よ び変 圧 器 の 二 次 側 電 圧 を定 め よ。
図4・4の
ωCR=20と
し て,そ
れ ぞ れ の 値 を 求 め て み よ う 。ICの
入
力 平 均 電 圧 をVdc,ICの
出 力 電 圧 をVo,ICの
ー ク リ プ ル電 圧 をVRと
す る と き,次 の 関 係 式 を満 た さ な け れ ば な ら な い。
最 大 電 圧 降 下 をVd0,入
力側の ピ
(4・5)
ωCR=20の
と き,図4・4か
らVdc≒0.94Vm,ま
た 図4・3か
-Vdc と な る こ と が わ か る 。 さ ら に,規 格 表 か らVd0=2.5〔V〕
ら ほ ぼVR=Vm で あ る こ と か ら,
す な わ ち,
と な る 。ICの ほ ぼ1Aと
入 力 平 均 電 圧 が18.7V,そ す れ ば,ICの
と き,入 力 電 流 も
等 価 入 力 抵 抗 は18.7Ω(図4・2のRと
で あ る 。 電 源 周 波 数fを50Hzと ωCR=20よ
の 出 力 電 流 が1Aの
す れ ば,ω=2πf≒100π
考 え ら れ る) 〔rad/s〕で あ る か ら,
り,Cは,
し た が っ て,Cと
し て は 標 準 の 平 滑 用 電 解 コ ン デ ン サ を 用 い る と し て3300
μFと す る 。 次 に,変
圧 器 の 二 次 側 電 圧 はVm/√2よ
さ ら に 整 流 回 路 で の 電 圧 降 下1Vを
考 慮 し,端
り14.1Vと
計 算 さ れ る が,
数 を 切 り捨 て15Vと
す る。
以 上 の よ う に各 値 を決 めれ ば よい が,実 際 の使 用 に 当 た っ て は,変 圧 器 の 電 圧 降 下,ICの
放 熱,配 線 を で きる だ け短 か くす る こ とな ど に注 意 しな け れ ば な
らな い 。
4・2 ア ナ ロ グ 回 路 我 々 の 生 活 に お い て,種 々 の情 報 は ほ とん ど連 続 量,す して と ら え て お り,音 響,計 極 め て 重 要 で あ る。
な わ ち ア ナ ログ 量 と
測,制 御 の 分 野 に わ た りア ナ ロ グ信 号 処 理 技 術 は
〔1〕 演 算 増 幅 器 1964年,ICに
よ る演 算 増 幅 器(通 称,オ ペ ア ン プ)が 開 発 され て以 来,個
別
の トラ ン ジ ス タ で構 成 さ れ て い た 増 幅 器 は,抵 抗 や コ ンデ ン サ の よ うに,単 な る回 路 素 子 と して 使 用 さ れ る よ う に な っ た。 現 在 で は,そ れ の 応 用 技 術 が ア ナ ロ グ技 術 の 主 要 な 部 分 を 占 め る よ う に な って い る。 この よ うな 演 算 増 幅 器 は受 動 回 路 あ るい は能 動 回 路 を外 部 に接 続 す る こ とに よ り,そ の 入 出 力 動 作 が外 付 け回 路 の 特 性 だ け で 決 め られ る高 利 得(100dB=100000倍 (周 波 数0,す
以 上)の 直 流 増 幅 器
な わ ち 直 流 か ら増 幅 で き る増 幅 器)で あ っ て,そ の 記 号 は 図4・6
の よ うに描 か れ る 。 演 算 増 幅 器 に は,図 に 示 す よ うに,反 転 入 力端 子(-)(入 力 が 正 の と き 出 力 は 負 とな る)と 非 反 転 入 力端 子(+)(入 正 とな る)の2つ
力 が 正 の と き出 力 も
の 入 力 端 子 と1つ の 出 力 端 子 が あ る。 図 に は 示 して い な い が,
図4・6 演 算増 幅 器 の 図記 号
その ほ か に正 負直 流 電 源 端 子(通 常 は ±15Vが
使 わ れ る),位 相 補 償 用 端 子,オ
フセ ッ ト調整 用 端 子 な どが あ る 。演 算増 幅 器 の 増 幅 度 をA,反
転 入 力 端 子 電圧
をυi1,非 反 転 入 力 端 子 電 圧 をυi2,出 力 電 圧 をυoと す る と,次 の 式 が成 り立 つ。 (4・6)
演 算 増 幅 器 の 正 常 動 作 範 囲 で 考 え れ ば,代 表 的 な 出 力 は ±10V以 Aを100000倍 100μVと
と す れ ば,10Vの
出 力 を 得 る た め の 差 動 入 力 電 圧υi1-υi2は
い う 非 常 に 小 さ な 値 で あ る の で,こ
て よ い 。 し た が っ て,演
内 で あ り,
算 増 幅 器 で は,常
れ を 無 視 す る こ と が で き,零
とし
に 次 の 関 係 が 成 り立 つ と 考 え ら れ る 。 (4・7)
演 算 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン スRiは り,演
普 通100kΩ
算 増 幅 器 に 流 れ 込 む 電 流 は 高 々1nA(=100μV/100kΩ)以
か ら10MΩ
の 間 にあ 下 であるの
で,無 視 す る こ とが で き る。以 上,式(4・7)と 演 算 増 幅 器 に は電 流 が 流 れ 込 まな い とい う特 性 は,演 算 増 幅 器 回 路 を 計 算 す る う えで 極 め て重 要 で あ る。 一 方, 演 算 増 幅 器 の 出 力 イ ン ピー ダ ンスRoは,50∼200Ω
と非 常 に小 さな 値 で あ る。
図4・7に 演 算 増 幅 器 を使 用 す る場 合 の 基 本 的 な 接続 法 を示 す。 同 図 で,演 算 増 幅 器 の 増 幅 度A=∞,入 Ro=0の
力 イ ン ピ ー ダ ン スRi=∞
, 出力 イ ンピー ダ ン ス
理 想 条 件 が 満 た され た場 合 の 出 力 電 圧υoを 求 め て み よ う。 初 め に,
図4・7 演 算 増 幅 器 の基 本 接 続 法
ひ と ま ずAを 次 の3つ
有 限 の 値 と して,同 図 か らυi1,υi2およ び入 出 力 関 係 を求 めれ ば,
の 式 が 得 られ る。 (4・8)
(4・9) (4・10)
こ れ ら の 式 か らυi1,υi2を 消 去 す れ ば,υoは
次 式 とな る。
(4・11)
こ こ で,A→∞
と す れ ば,
(4・12)
た だ し,Z1‖Z1fはZ1とZ1fの
並 列 合 成 イ ン ピー ダ ン ス で あ る。
式(4・12)で
わ か る よ う に,図4・7の
ス に の み 依 存 し,演
回路の入 出力特性 は外付 けインピーダ ン
算 増 幅 器 に は 無 関 係 と な る 。 以 上 は,演
と考 え て 導 い た が,実
際 の 使 用 に 対 し て も式(4・12)は
算 増 幅 器 を理 想 的
十 分 に 成 立 す る。
〔2〕 演 算 増 幅 器 の 応 用 (1)
反転 増幅器
Z1=R1,
Z1f=R2と
図4・7で,非
す る と,図4・8と
反 転 入 力 端 子(+)を
接 地(Z2‖Z2f=0)し,
な る 。 こ の 場 合 の 入 出 力 関 係 は,式(4・12)
か ら, (4・13)
と な り,出 力 電 圧υoの
大 き さ は 入 力 電 圧υ1のR2/R1倍,位
相 は 逆 位 相 と な る。
こ の よ う な 接 続 の 増 幅 器 を 反 転 増 幅 器 と い う。 こ こ で 使 わ れ るR1,R2の 利 得 が50以
下 で あ れ ば,R2<100〔kΩ
値 は,
〕が 普 通 使 わ れ る 。
図4・8
反 転 増幅 器
(a) 反 転 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピー ダ ンス 反 転 増 幅 器 で は,非 反転 入 力 端 子 (+)が 接 地 され て い る の で,式(4・7)か ら常 にυi1=0と 子(-)は
な って い る(反 転 入 力 端
接 地 され て い な い が,υi1が 常 に0で あ る た め,仮 想 接 地 され て い る と
い う)。 した が っ て,反 転 増 幅 器 へ の 入 力 電 流i1は, (4・14)
で あ り,入
力 イ ン ピ ー ダ ン スZiは,
(4・15) と し て 定 義 さ れ る の で, (4・16)
とな る。 この 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス は,そ の 前 段 に あ る増 幅 器 等 の 負 荷 とな る た め,そ れ に流 れ 込 む電 流 が 前 段 の 増 幅 器 等 の 許 容 電 流 範 囲 内 に な る か ど うか に 常 に留 意 す る必 要 が あ る。 (b)反
転 増 幅 器 の 出 力 イ ン ピー ダ ン ス 図4・8の 反 転 増 幅 器 の 出 力 イ ン
ピー ダ ンスZoは,図4・9の
よ う にυ1=Oと
し,出 力 端 子 に電 圧 源υoを 加 え ,
そ れ か ら流 れ 出 る電 流 を 測 定 す る こ と に よ り得 られ る。 図 で は,演 算 増 幅 器 の
図4・9
Zoを
求 め る た めの 等 価
回路
増 幅 度 をA,演
算 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピー ダ ン スRiは∞
と し て,Zoを
求 めるた
め の 等価 回 路 を 示 して い る。 図 よ り電 流ioは, (4・17) で あ り,ま
たυi1は,
(4・18)
で あ る か ら,式(4・18)を れ ば,Zoは
式(4・17)に 代 入 し,AR1≫R0+R2で
あ る こ とを考 慮 す
次 の よ うに 求 め られ る。 (4・19)
実 際 に,Aは
既 に 述 べ た よ う に100000倍
以 上 あ り,し た が っ てZoは
ほ とん
ど0で
あ る 。 出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス が 小 さ い こ と は 重 要 で,も
と 出 力 電 流 を と っ た 時,Zoで
し,こ
れ が 大 きい
の 電 圧 降 下 に よ り 出 力 電 圧 が 低 下 し,誤
差 の原因
とな る。
〔 例 題 〕4・2 Ri=1〔MΩ 〔kΩ〕,R2=50〔kΩ
〕, A=100000,
Ω〕の 演 算 増 幅 器 でR1=5
〕と し て 反 転 増 幅 器 を 構 成 し た 。(a)増
入 力 イ ン ピ ー ダ ン スZi,(c) 〔解 答 〕(a)
式(4・13)か
出 力 イ ン ピ ー ダ ン スZoを
ら,Zi=R1=5〔kΩ〕
(c)式(4・19)か
ら,〓
非 反転増幅器
と す る と,図4・10と
幅 度Aυ,(b)
求 め よ。
ら,Aυ=-R2/R1=-50×103/5×103=-10
(b)式(4・16)か
(2)
R0=100〔
図4・7で,υ1=O,
Z1=R1,
Z1f=R2, Z2=0, Z2f=∞
な る。 この よ うな 構 成 の増 幅 器 を非 反 転 増 幅 器 とい う。 こ
図4・10
の 増 幅 器 の 入 出 力 関 係 は,式(4・12)よ
非 反転 増 幅 器
り, (4・20)
と な り,増 は,入
幅 度Aυ
は(1+R2/R2)で,位
相 は 同位 相 とな る。 この 増 幅 器 の 特 長
力 イ ン ピ ー ダ ン ス が 次 に 示 す よ う に 極 め て 大 き くな る こ と で あ る 。
(a)
非 反 転 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス 演 算 増 幅 器 に 流 れ 込 む 電 流ii
は,υi2-υi1,す ら,(1+R2/R1)υ2/Aで
な わ ちυo/AをRiで あ る の で,非
割 っ た も の で あ る 。υo/Aは,式(4・20)か 反 転 増 幅 器 の 入 力 イ ン ピ ー ダ ン スZiは,
(4・21) よ り,
(4・22) とな る。
(b)非
反 転 増 幅 器 の 出 力 イ ン ピー ダ ン ス この 場 合 の 出 力 イ ン ピ ー ダ ンス
Zoを 求 め る た め の 等 価 回 路 は,図4・9と
全 く同 じ で あ り,Zoは
式(4・19)と
な
る。
〔 例 題 〕4・3 Ri=1〔MΩ 5〔kΩ 〕,R2=50〔kΩ
〕, A=100000,
R0=100〔
Ω〕の 演 算 増 幅 器 で, R1=
〕と し て 非 反 転 増 幅 器 を 構 成 し た 。(a)増
人 力 イ ン ピ ー ダ ン スZi,(c)
出 力 イ ン ピ ー ダ ン スZoを
幅 度Aυ,(b)
求 め よ。
〔 解答 〕 (a)
式(4・20)よ
り,
(b)
式(4・22)よ
り,
(c)
前 例 題 と 同 じ く,
以 上 の 例 題 で わ か る よ う に,非 反 転 増 幅 器 の場 合,入
力 イ ン ピー ダ ン ス は極
め て大 き く,出 力 イ ン ピー ダ ン ス は ほ とん ど零 に な る。 この特 性 を 利 用 し緩 衝 増 幅 器(通 称 バ ッ フ ァ)と して 非 反 転 増 幅 器 を利 用 す る。 す な わ ち,図4・10で R2を短 絡 し,R1を 取 り除 く と増 幅 度 が1で,実
際 上,入 力 イ ン ピ ー ダ ン スが∞,
出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス が0の
増 幅 器 が 得 られ る(図4・11)。
ロ ワ ー あ る い は ボ ル テ ー ジ フ ォ ロ ワ ー と い わ れ る が,こ 出 力 側 回 路 を 分 離 し,出
こ の 回 路 は,電
圧 フ ォ
れ に よ り入 力 側 回 路 と
力 側 回 路 の 影 響 を 入 力 側 回 路 に及 ぼ さ な い よ う に す る
こ とが で き る 。
以 上,演 算 増 幅 器 を 増 幅 器 と して 利 用 す る方 法 に つ い て 述 べ た。 次 に,こ れ らの 増 幅 器 回路 を基 礎 と し て,演 算 増 幅 器 の 本 来 の 応 用 分 野 で あ る 演 算 器 に つ い て,そ
の代 表 例 と して加 算 積 分器 お よ び 半 波 整 流 回 路 に つ い て述 べ よ う。 な
お,加 減 算 器 に つ い て は,演 習 問題 〔4〕の 〔問 題 〕2お よ び 〔 問 題 〕3を 行 う こ と を奨 め る。 (3)加
算積分器
図4・7の 回路 で 非 反 転 入 力端 子 を接 地 し,図4・12に 示
す よ うに,Z1に 抵 抗(こ こで は2入 力 と して い るが,一 般 に はn入
力 で も よい),
Z1fに コ ン デ ンサ を 用 いれ ば加 算 積 分 器 を構 成 す る こ とが で き る。 す で に述 べ
図4・12 加 算 積 分 器
た よ うに,演 算 増 幅 器 に は電 流 は 流 れ込 まな いの で,図 の 抵 抗 を流 れ る電 流 は すべ て コ ンデ ンサ に流 れ る。 コ ン デ ンサ電 圧υcは, (4・23) で あ り,i1=υ1/R1,i2=υ2/R2お ば,入
よ び 出 力 電 圧υo=-υcで
あ る こ とに 注 意 す れ
出 力 関 係 と し て 次 式 が 得 られ る。
(4・24) 特 に,R1=R2=Rと
す れ ば,
(4・25) と な り,入
力 電 圧 の 和 の 積 分 値 に 比 例 し た 出 力 が 得 ら れ る 。 ま た,C=1〔
(普 通,コ
μF〕
ン デ ンサ と して は ポ リ ス チ レ ンか ポ ワエ チ レ ン コ ン デ ン サ が 使 わ れ
る),R=1〔MΩ
〕とす れ ばCR=1〔s〕
と な り,出 力 は 入 力 電 圧 の 和 の 積 分 値 と な
る。 (4)半
波 整 流 回路
信 号 の 正 あ る い は 負 の 値 だ け を 取 り出 し た 場 合,ダ
イ オ ー トを 使 え ば そ れ を 実 現 で き る が,ダ
イ オ ー ド に は,図4・13(a)に
示 す よ
図4・13 半 波整 流 回 路
う に,順
方 向 電 圧 降 下VF(約0.7V)が
の よ う な 場 合,図(b)の
よ う に,演
あ る た め,こ
れ が 誤 差 の 原 因 とな る。 こ
算 増 幅 器 を 応 用 す る こ と に よ り,順
方 向電
圧 降 下 を 無 視 す る こ と の で き る 半 波 整 流 回 路 を 実 現 す る こ と が で き る 。こ こ で, ダ イ オ ー ドD1, D2に
は,小
さな 順 方 向 抵 抗 と極 め て大 き な逆 方 向 抵 抗 を も っ て
い る シ リ コ ン ダ イ オ ー ド を使 用 し,抵 力 電 圧υ1が
す れ ば,│υ1│がVF/A以
逆 バ イ ア ス さ れ る 。 電 流 は2つ
回 路 は 増 幅 度1の
とす る 。 い ま,入
の 等 し い 抵 抗Rを
反 転 増 幅 器 を 形 成 し,υo=-υ1と
還 抵 抗 が 零 で あ る の で,υoに
導 通(演 算 増
上 に な る と ダ イ オ ー ドが 導 通 す る)
正 で は,演 算 増 幅 器 出 力 は 負 と な る の で,D2が こ の 場 合,帰
え ば10kΩ
負 で あ る と す る と,演 算 増 幅 器 出 力 は 正 と な り,D1が
幅 器 の 利 得 をAと し,D2は
抗Rは,例
な る 。 一 方,入
導 通 し,D1は
はυi1=0が
流 れ,し
た が っ て, 力 電 圧υ1が
逆 バ イ ア ス され る。
現 れ,図(c)の
よ うな入
出力 特 性 とな る。 この よ う な半 波 整 流 回 路 を応 用 す れ ば,絶 対 値 演 算 を行 う回 路 を構 成 す る こ とが で き る。
〔3〕
トラ ン ジ ス タ電 力増 幅 器
今 日 で は,信 号 の 増 幅 お よ び波 形 変換 等 に は,普 通,演 る。一 般 の 演 算 増 幅 器 で は,出 力 電 流 は10∼20mAぐ が あ るが,大
算 増 幅 器 が 利 用 され
らい ま で取 り出 せ る能 力
き な電 流 で 使 用 す る と,発 熱 に よ り入 力 段 の バ ラ ンス が くず れ る
こ とが あ るた め,普 通 は5mA程
度 で 使 用 す る の が 好 ま しい 。さ ら に,大 き な電
流 で 負 荷 を駆 動 す る必 要 が あ る場 合 は,ト 用 す る。 電 力 増 幅 器 は,図4・14に
ラ ン ジ ス タ を 用 い た電 力 増 幅 器 を使
示 す よ うに,交 流 負 荷 直線(交 流 信 号 に対 し
コ レ ク タ-エ ミッ タ問 電 圧 に対 す る コ レ ク タ電 流 の 関 係 を示 す 直 線)上 の ど こ に 動 作 点 を 置 くか に よ っ て,A,AB,B,C級
の4つ
に 分類 す る こ とが で き る。
A級 増 幅 は出 力 波 形 の 歪 を小 さ くす る こ とが で きる が,効 率 が 悪 い。C級 一 般 に高 周 波 領 域 で使 用 され る。ABあ
る い はB級
は,
で は プ ッ シ ュプ ル 増 幅 を行
う こ と に よ り,ほ ぼ線 形 に近 い 動作 を行 わ せ る こ とが で き るた め,よ
く用 い ら
れ る。
図4・14動
作 点 の違 い に よ る種 々 の 電 力増 幅器 と動 作 波 形 ((a)A級,QA,(b)AB級;QAB,(c)B級;QB,(d)C級;(Qc)
(1) B級 プ ッシ ュプ ル 電 力 増 幅 器
プ ッ シ ュ プ ル 電 力 増 幅 器 と して は ト
ラ ン ス を 用 い る 方 式 が あ る が,重
量 が 重 く,面
る 欠 点 が あ る 。 これ に 対 し,pnpとnpnト に よ り,ト ラ ン ス を 必 要 と し な いB級
積 を必 要 とす る うえ に高 価 に な
ラ ン ジ ス タ を1本
ずつ用 いる こ と
プ ッシ ュプ ル電 力増 幅 器 を構 成 す る こ と
が で き る 。 これ を コ ン プ リ メ ン タ リ電 力 増 幅 器 と い い,そ
の 一 例 を 図4・15に
図4・15
示
コ ンプ りメ ンタ り電 力 増 幅器
す。信 号電 流 を正 弦 波 と して この 回路 の 動 作 を 考 えて み る と,正 の 半 波 で はT1 が 導 通 し,T2は な る。 負 荷RLに
非 導 通 とな る。 一 方,負 の 半 波 で はT1が はiL=ic1-ic2の
非 導 通,T2が
導通 と
電 流 が 流 れ,結 局,信 号 電 流 が増 幅 され た 正
弦 波 電 流 が流 れ る 。 この 回 路 の 動 作 は 対 称 で あ るの で,片 側,例 え ばT1の
回路
と負 荷 直 線 を示 せ ば 図4・16と な る。これ を も とに 信 号 電 流 を正 弦 波 と した と き
図4・16
コ ン プ リ メ ン タ リ 電 力 増 幅 器 の 片 側T1の
回 路(a)と
負 荷 直 線(b)
の 各 部 の 電 力 を 求 め て み よ う。 (a)供
給 電 力 1つ
の電 源 か ら供 給 さ れ る電 力 は,全 供 給 電 力Pdcの1/2
で あ るか ら, (4・26) 負荷 直 線 か ら,ic1は 次 式 の 半 周 期 とな る。 (4・27) 式(4・27)を
式(4・26)に
代 入 し て 計 算 す れ ば,
(4・28) Icmの 最 大 値 はVcc/RLで
あ る の で,Pdcの
最 大 値Pdc
maxは,
(4・29) (b) 負荷 電 力 負 荷 に供 給 され る電 力P0は,電
流 の 実 効 値 がIcm/√2で あ
る か ら,
(4・30) P0の 最 大 値P0maxは,IcmがVcc/RLの
と き 生 ず る の で,
(4・31) (c)
コ レ ク タ 損 失 ト ラ ン ジ ス タT1,T2の
そ れ ぞ れ の コ レ ク タ 損 失 をPc
とす る と,全 損 失 は 電 源 か ら の 供 給 電 力Pdc,か
ら 負 荷 電 力P0を
引 い た もの で あ
る。
(4・32) (4・33) 式(4・33)か
ら コ レ ク タ 損 失 の 最 大 値 は,コ
レ ク タ 電 流Icmが
(4・34) の と き に 生 じ,そ
の 最 大 値 は 次 の よ うに な る。
(4・35) 個 々 の トラ ン ジ ス タ の コ レ ク タ 損 失 の 最 大 値 は,
(4・36) (d)効
率 式(4・28),(4・30)よ
り,動
作 時 の 効 率 η は,
(4・37) とな り,最 大 効 率 はIcmの 最 大 値Vcc/RLの
とき に 生 ず るの で, (4・38)
と な る。 図4・16のC1は
直 流 を 遮 断 し,交
流 分 の み を 通 す た め の も の で,交
対 し て 十 分 小 さ な イ ン ピ ー ダ ン ス に な る よ う な 値 に 選 ぶ 。Rb1,Rb2は 決 め る た め の バ イ ア ス 回 路 で,Rb1とRb2は の 電 圧 降 下 に 等 し い 電 圧,0.7V(シ
流信 号 に 動作 点 を
トラ ン ジ ス タ の べ 一 ス-エ ミ ッ タ 間
リ コ ン トラ ン ジ ス タ の 場 合)に
なる ように
選 ぶ。 トラ ン ジ ス タ の 特 性 を 示 す パ ラ メ ー タ と し て ハ イ ブ リ ッ ド パ ラ メ ー タ,す わ ちん パ ラ メ ー タ が 一 般 に 利 用 さ れ る が,電
な
力 増 幅 器 の よ う に大 振 幅 動 作 を取
り扱 う場 合 に は,べ ー ス-エ ミ ッ タ 間 電 圧 の 変 化 は 入 力 信 号 に 比 べ て 無 視 で き る の で,こ
れ を 約0.7V一
入 力 開 放 逆 電 圧 比hreは は10-4sよ た め,こ
定 とす る 。 し た が っ て,出
力 短 絡 イ ン ピ ー ダ ン スhie,
無 視 す る こ と が で き る 。入 力 開 放 出 力 ア ド ミ タ ン スhoe
り小 さ い 値 で あ り,一 般 に 数 百 Ω 以 下 で あ る 負 荷 抵 抗 と 並 列 に な る れ も無 視 で き る 。 そ れ ゆ え,出
hfeは べ 一 ス 電 流ibと
コ レ ク タ 電 流icの
る 。 ま た,エ
ミ ッ タ 電 流ieはie=(hfe+1)ibの
通50∼200位
で あ る が,大
ジ ス タ で は,こ
力 短 絡 電 流 利 得hfeの
み が 重 要 で あ る。
比 を 表 す パ ラ メ ー タ で,ic=hfeibと
関 係 で 結 び つ け ら れ る 。hfeは 普
き な コ レ ク タ 電 流 を 流 す こ と の で き る パ ワ ー トラ ン
れ が 数 十 以 下 に な っ て し ま う 。 こ の よ う な 場 合 に は,2つ
ラ ン ジ ス タ を 図4・17の
な
の ト
よ う に ダ ー リ ン トン 回 路 に よ り複 合 接 続 し,こ れ を1つ
図4・17
の トラ ン ジ ス タ の よ う に 働 か せ れ ば,そ り,非
ダ ー リ ン トン 接 続
の 総 合 のhfeは
実 効 的 にhfe1・hfe2と
な
常 に 大 き くす る こ とが で き る。
〔 例 題 〕4・4 図4・15で,Vcc=12〔V〕,RL=5〔 最 大 負 荷 電 力,(b)
〔 解 答 〕(a) hfe=100で
(b)
す る と き,(a)
2つ の 電 源 か ら供 給 さ れ る 最 大 電 力,(c)バ
圧 を0.65V,Rb1‖Rb2=10〔KΩ〕
て,式(4・31)よ
Ω〕,hfe=100と
イ ア ス電
とす る た めの バ イ ア ス回 路 を求 め よ。 あ る の で,ieとicは
同 じ と考 え て よ い。 し たが っ
り,
電 源 か ら 供 給 さ れ る 最 大 電 力 は,式(4・29)よ
(c) Rb1とRb2の
並 列 抵 抗 が10kΩ
り,
で あ る か ら, (4・39)
ま た,バ
イ ア ス 電 圧 が0.65Vで
あ る か ら, (4・40)
式(4・39),式(4・40)よ,Rb1,Rb2を
求 め る と,
と な る が,標
〕,Rb2=10〔kΩ
準 抵 抗 と し てRb1=180〔kΩ
こ の 増 幅 器 を励 振 す る の に 必 要 な 入 力 電 圧υ
〕を使 用 す る 。
は,図4・16か
ら 負 荷 電 力 を14.
4Wと
す る に は,υ=VmsinωtでVm=Vcc=12〔V〕
〔4〕
と し な け れ ば な らな い。
発振回路
波 形 発 生 器 と し て は,方
形 波 発 生 器,の
こ こ で は 回 路 構 成 が 簡 単 で,一
こ ぎ り波 発 生 器 な ど の も の が あ る が,
般 に よ く使 わ れ るCR正
弦波発振 器 について述
べ る。 (1)ウ
ィ ー ン ・ブ リ ッ ジ 発 振 器
図4・18(a)に
ウ ィ ー ン ・ブ リ ッ ジ 発 振
器 を 示 す 。図 の 演 算 増 幅 器 の 非 反 転 入 力 端 子 電 圧υi2は,Vi2(s)〓 と し て次 式 と な る。 (4・41)
(a)ウ
図4・18
(b)移
ィ ー ン ・ブ リ ッ ジ 発 振 器
一方,式(4・20)よ
に 代 入 す れ ば,次
CR発
相 形 発振 器
振 器
り,Vo(S)=(1+R2/R1)Vi2(s)で
あ る こ と か ら,こ
れ を上 式
の 発 振 条 件 式 が 得 られ る。 (4・42)
角 周 波 数 ω0で 正 弦 波 発 振 し て い る と す る と す れ ば,式(4・42)でs=jω0と 実 数 部=0,虚
数 部=0と
次 の よ う に求 ま る。
置 く こ と に よ り,発 振 角 周 波 数 お よ びR2/R1の
し, 比 が
(4・43)
(2) 移 相 形 発 振 器
図4・18(b)に
移 相 形 発 振 器 の 回路 を 示 す 。 この発 振
器 の特 長 は,正 弦 波 と余 弦 波 を同 時 に取 り出 せ る と ころ に あ る。図 の 電 流iを
ラ
プ ラ ス変 換 し て表 せ ば, (4・44) と な り,-RfI(s)がVo(s)に
等 し い こ と よ り,次
の発 振 条 件 式 が得 られ る。 (4・45)
角 周 波 数 ω0で 正 弦 波 発 振 し て い る と す れ ば,前 部=0,虚
数 部=0と
と 同 様 にS=jω0と
し,実
数
置 く こ と に よ り, (4・46)
が 得 ら れ る 。 図 のυoよ
り正 弦 波 を,υ1よ
り余 弦 波 を 取 り 出 す こ とが で き る 。
〔5〕 変 調 ・復 調 回 路 信 号g(t)を
あ る 高 周 波 振 動Acos(ω0t+ψ)に
の せ て伝 送 す る こ と を考 え て
図4・19 振幅 変 調 波 形 と搬 送 波 と側 波帯 の関 係
み れ ば,A,ωcあ
るい は ψ に信 号 を の せ る必 要 が あ る。変 調 信 号 す な わ ち変 調
す べ き信 号g(t)に
よ り振 幅Aに
変 化 を与 え る操 作 を振 幅 変 調,周 波 数 ωcに 変
化 を与 え る操 作 を周 波 数 変 調,位 相 ψ に 変 化 を与 え る操 作 を位 相 変 調 とい う。 これ ら の 中 で 振 幅 変 調 は 古 くか ら開 発 され て お り,変 調 方 式 の 基礎 を与 え る も の で あ る。 (1) 振 幅 変 調 tの振 幅A0にg(t)を
い ま変 調 信 号 をg(t)と
し た と き,高 周 波 振 動A0 cosωc
加 え た 次 式 が 振 幅 変 調 波 の 一 般 的 な 表 現 で あ る。 (4・47)
こ こ で│kg(t)│の
最 大 値 を 変 調 度 と呼 ぶ 。g(t)=acosυtと
す れ ば,式(4・47)
は,
(4・48) と な る(図4・19参 呼 び,信
照)。 第1項
は,変
号 成 分 は 含 ん で い な い 。 第2項,第3項
て お り,こ
れ を そ れ ぞ れ 上 側 波 帯,下
達 に 寄 与 し な い に も か か わ ら ず,電 た が っ て,搬 れ か1つ
調 を か け る 前 の 高 周 波 で,こ
送 波 を 除 き,上,下
は,両
者 と も信 号 成 分 を もっ
側 波 帯 と い う 。 一 般 に,搬
送 波 は信 号 伝
力 的 に は相 当 大 き な部 分 を 占め て い る。 し
側 波 帯 の み を 伝 送 す る か,あ
を も 除 き 単 一側 波 帯 の み を 伝 送 し,電
図4・20
れ を搬 送 波 と
るい は そ の い ず
力 を 無 駄 に しな い よ う に す る 。
振 幅 変 調 回路
振 幅 変 調 波 を作 る に は,自 乗 特 性 を も った 素 子 に搬 送 波 と変 調 信 号 波 の2つ の 信 号 を加 え る の が 最 も簡 単 な 方 法 で あ る。図4・20は,ト
ラ ン ジ ス タ の べー ス
-エ ミ ッ タ間 電 圧υbに 対 す る コ レ ク タ 電 流icが ほ ぼ 式(4・49)で 表 さ れ る こ と を利 用 した振 幅 変 調 回 路 で あ る。な お,図 のR1,R2は は高 周 波 信 号 の み を通 す バ イパ ス コ ン デ ンサ で,LCか
バ イ ア ス用 抵 抗,C3,C4 らな る同 期 回 路 か ら振
幅 変 調 信 号 が 得 られ る よ う に して い る。 (4・49)
こ の 式 に,〓
を代 入 す れ ば,
(4・50)
とな り,同 調 回 路 の 同 調 周 波 数 を ωcに 調 整 して お け ば,出 力 に は 次 式 の振 幅 変 調 され た信 号 の み を取 り出 す こ とが で き る。
(4・51)
(2) 復 調
振 幅 変 調 を受 け た 波 か ら も との 変 調 信 号 を取 り出 す操 作 を復
調 あ る い は検 波 とい う。復 調 を行 う に は種 々 の 方 法 が あ るが,最 も簡 単 な の は, 式(4・47)を み て明 らか な よ うに,f(t)の い こ とが わ か る。 これ は,図4・21の
包 絡 線 に比 例 し た 出 力 を取 り出 せ ば よ
よ うに,整 流 回 路 の 利 用 で 実 現 で き る。 こ
の よ うな 復 調 法 を包 絡 線 復 調 また は 包絡 線 検 波 とい い,回 路 が 簡 単 で あ る た め よ く用 い られ る。 図 の 出 力 波 形 は,図(b)に
示 され る よ うに,振 幅 変 調 搬 送 波
の 正 の 半 波 の あ る期 間 ダ イ オ ー ドが 導 通 して搬 送 波 が そ の ま ま出 力 に 現 れ る。 ダ イオ ー ドが非 導 通 に な る と,コ ンデ ンサ に蓄 え られ た 電 荷 はRを し,出 力 電 圧 は 時 定 数RCで 図 に示 す よ うに,必
通 し て放 電
指 数 関 数 的 に減 少 す る。 した が って,出 力 電 圧 は,
要 な 情 報 を運 ぶ 包 絡 線 に 追 随 し た 波 形 と な り,直 流 分 を 除
去 す る こ とに よ り,変 調 信 号g(t)を
再 現 す る こ とが で き る。
図4・21 包絡 線 復 調 回 路 と出 力 波 形
4・3 デ ィ ジ タ ル 回 路 前 節 で は,連 続 的 な信 号 を 対 象 と した ア ナ ロ グ 電 子 回 路 を学 ん だ。 こ こで は, 離 散 的 な2値 信 号 を扱 うデ ィ ジ タ ル電 子 回路 に つ い て,そ の 基 礎 を述 べ る。 離 散 的 な電 気 信 号 の 応 用 は,古
くモ ー ル ス 電 信 機 の発 明 に ま で さ か の ぼ る こ
とが で きる が,こ の 発 明 の 注 目す べ き と ころ は,通 信 手段 と し て電 気 回 路 の 開 閉 と そ の継 続 時 間 に記 号 的 な 意 味 を も たせ た と こ ろ で あ ろ う。 その 後,電
気(電 子)回 路 の 開 閉 を制 御 す る こ とに よ り,数 値 計 算 に 伴 う演
算 の 論 理 を 表 現 で き る こ とが 知 られ,こ れ は 自動 計 算 機 械 の開 発 に つ な が った 。 この 演 算 論 理 の 数 学 的 基 礎 と して は,す
で に19世
紀 にブ ー ル(G.Boole)に
よ
って 体 系 づ け られ て い た論 理 代 数 が 極 め て有 用 で あ っ た。 論 理 回 路 は 多 くの オ ンオ フ 回路 で 構 成 され る が,初 期 の 真 空 管 利 用 か ら トラ ン ジ ス タへ と半 導 体 化 され,さ
らに 集 積 回 路(IC)の
発 明 に よ り超 小 形・高 速 の 論 理 回 路 に 生 まれ 変
わ り,今 日の 大 容 量 ・高 速 コ ン ピ ュー タの 実 現 に大 きな 役 割 を演 じた。 デ ィ ジ タ ル 電 子 回 路 の応 用 例 は極 め て 広 範 囲 にわ た り,大 型 コ ン ピ ュー タ か ら通 信 機 器,NC工
作 機 械,自 動 車,ロ
ボ ッ ト,音 響 機 器,パ
ソ コ ン,時 計,体
温 計 な ど,様 々 な 機 器 に及 ん で お り,今 後 ます ます 拡 大 す る情 勢 に あ る。
〔1〕 論 理 代 数 と基 本 論 理 ゲ ー ト (1) デ ィ ジ タル 論 理 回 路 の 特 徴 OR,ANDの3つ
デ ィ ジタ ル 回 路 の 基 本 回路 は,NOT,
の 回 路 で あ る。 これ らは 論 理 代 数(ブ
ー ル 代 数)の
「否 定 」,
「論 理 和 」,「論 理 積 」に そ れ ぞ れ 対 応 して い る。 この た め デ ィ ジ タ ル 回路 の 解 析 や 設 計 に 際 して,論 理 代 数 の 理 解 は不 可 欠 で あ り,実 際 の 電 子 回路 との 対 応 づ けが 重 要 で あ る。 デ ィ ジ タ ル論 理 回 路 は2つ に 分 け られ る 。 す な わ ち,組 合 せ 論 理 回路 と順 序 回 路 で あ る。 組 合 せ 論 理 回路 は 入 力 の 状 態 だ け で 出 力 の状 態 が 決 まる もの で あ る。 一 方,順
序 回 路 に は記 憶 機 能 が あ り,そ の 動 作 を知 る た め に は入 ・出 力 の
時 間 的 推 移 も考 慮 す る必 要 が あ る。 デ ィ ジ タル 回路 を実 際 に構 成 す る に は,図4・22の
よ う な デ ィ ジ タ ルICを
図4・22
用
デ ィ ジ タル ICの
例(い
れ も2入
ず
力
NAND4回 路 を 内 蔵)
い る の が,現
在 で は 普 通 と な っ て い る 。 デ ィ ジ タ ルICは,そ
パ ッ ケ ー ジ に 納 め ら れ て お り,目
の 演 算 の種 類 別 に
的 の 論 理 に 応 じ て 組 み 合 わ せ て 用 い る 。ICパ
ッ ケ ー ジ 内 に は 多 数 の トラ ン ジ ス タ が 論 理 回 路 を 構 成 し て い る が,内 ン ジ ス タ そ れ 自 体 の 構 造 や 動 作 を 熟 知 し て い な く て も,そ 論 理 関 係 と端 子(ピ
ン)が
論 理 代 数 に お け る 変 数,す
のICの
部 の トラ
入 力 ・出 力 の
わ か れ ば 一 応 使 う こ とが で き る 。 な わ ち論 理 変 数 は
「1(真)」
ま た は 「0(偽)」
の
い ず れ か 一 方 を と る。 デ ィ ジ タ ル 回 路 で は変 数 に 相 当 す る入 力 お よ び 出 力 の 信 号 は電 圧(電 位)で
あ り,そ の 高 低 に意 味 が あ っ て,「 高 」電 圧 ま た は 「低」電
圧 の どち らか を必 ず と る。 図4・23は,5Vの 5Vま
た は0Vと
直 流 電 源 か らス イ ッチ に よ って,
な る デ ィ ジ タル 信 号 を発 生 す る 回 路 を示 した もの で あ る。 こ
こで,電 圧 の 高 い 状 態(信 号 有 り)を 論 理1,低
い 状 態 を論 理0と
割 り当 て る こ
とが で き る。 この よ うな約 束 を 「正 論 理 」とい う。 ま た,こ の 逆 の 決 め方 を 「負 論 理 」 と い う。 本 書 で は 「正 論 理 」 を用 い る。
図4・23
デ ィジ タル信 号
〔例 題 〕4・5 図4・24の 電 球 の 点 灯 回路 で,電 球 は ス イ ッ チ の どの よ う な状 態 に対 して 点 灯 す る か 。
図4・24 電球 の点 灯 回路
〔 解答 〕 (a) ス イ ッ チ を押 さな い状 態 で電 球 は 点 灯 す る。 ス イ ッチ を入 れ る(押 す)と 電 球 間 の電 圧 は零 とな り消 灯 す る。 (b) ス イ ッチA,Bの
うち 少 な く と も1つ の ス イ ッチ を入 れ れ ば,電 球 は
点 灯 す る。 (c)
ス イ ッ チA,B,Cの
す べ て を 入 れ た と き だ け,電
以 上 の 点 灯 回 路 に お い て,ス
イ ッ チ の 状 態(入,切)を
入 力,電
灯,消
灯)を 出 力 と考 え る こ と が で き る 。 こ の 場 合,(a)は1入
は2入
力1出
(2)
力,(c)は3入
NOT演
算
力1出 い ま,1入
と き 出 力 の 状 態Yが
球 の 状 態(点
力1出
力,(b)
力で ある。 力 で1出
が 入 力 の 「否 定 」を 表 す と す れ ば,こ 理0)の
球 は 点 灯 す る。
力 の 論 理 回 路 が あ る と し,そ の 出 力
の 論 理 回 路 は,入
高 電 位(論
力 の 状 態Aが
理1),Aが1の
低 電 位(論
と きYが0と
な る よ
う に 働 く。 こ の 関 係 は,例 い と き(0)に
え ば,〔 例 題 〕4・5の 点 灯 回 路(a)に
電 球 が 点 灯(1),ス
お い て,ス
イ ッ チ を 入 れ る(1)と
イ ッチを入れ な
電 球 は 消 灯(0)す
る こ
とに対 応 す る。 こ の 関 係 を 論 理 式 で, Y=A
(4・52)
と書 く。 記 号 「−」 は 「否 定 」 を 意 味 す る。 こ の 関 係 をNOT演 出 力 間 の 特 性 を ま とめ れ ば,図4・25(a)と
算 と い い,入
・
な る 。 この よ う に 入 ・出 力 の 論 理 関
係 を 示 す 表 を 真 理 値 表 と い う。
図4・25 基 本 論理 ゲー トの 真 理値 表
ま た,NOT演
算 を 回 路 に 描 く と き,図4・26(a)の
を 用 い る 。 こ の 回 路 記 号 は 米 国 のMIL規 照 表 は 巻 末 付 録2.に 力 す る の で,イ
入 力A,Bに
格 に よ る 表 記 で あ り,JIS規
掲 げ て あ る 。な お,NOTゲ
ー トは 入 力 の 状 態 を 反 転 し て 出
算
OR演
基 本 論理 ゲ ー ト
算 は入 力 変 数 の 「論 理 和 」を表 す。 例 え ば,2つ
対 して 出 力Yは
論 理 和 の 記 号 「+」を用 い て,次
(4・53)
こ の 演 算 を ス イ ッ チ 回 路 で 示 せ ば,図4・24(b)の の ス イ ッ チ の よ う に な る 。OR演
路 記 号 は 図4・26(b)で トの 特 徴 は,入 れ は 入 力 が3つ (4) 数AとBに
AND演
の
の よ う に書 け る。
Y=A+B
た2つ
格 との対
ン バ ー タ と も呼 ば れ て い る 。
図4・26
(3) OR演
回 路 記 号(ゲ ー ト と呼 ぶ)
あ る 。 こ の 論 理 回 路 はORゲ
力 の 少 な く と も1つ
点 灯 回 路 で 並 列 に接 続 され
算 の 真 理 値 表 は 図4・25(b)で
が1で
あ り,回
ー ト と呼 ば れ る。ORゲ
あ れ ば 出 力 が1と
ー
な る 点 で あ る。 こ
以 上 の 場 合 に もい え る。 算
AND演
算 は 「論 理 積 」 を と る も の で,例
え ば,入
力変
対 し て 出 力Yは, Y=A・B=AB
(4・54)
と な る 。 「論 理 積 」 の 記 号 は 「・」 印 で あ る が 省 略 し て も よ い 。 こ の 演 算 を 行 う ANDゲ
ー トの 記 号 は 図4・26(c)で
に,2つ
以 上 の 入 力 に つ い て,そ
AND演
算 は,図4・24(c)に
あ り,真
理 値 表 は 図4・25(c)と
れ ら の す べ て が1の
な る。 一 般
と き だ け 出 力 が1と
な る。
お い て 直 列 に接 続 され た ス イ ッ チ の働 き に対 応 し
て い る こ とが 容 易 に わ か る 。 (5)
論理 代数 の諸法則
論 理 回路 の基 礎 とな る論 理 代 数 の 公 理 お よび 諸
定 理 を ま と め て お こ う 。 図4・27に
論 理 代 数 の 諸 法 則 を 示 した。 これ らは
図4・27
論 理代 数 の 諸 法則
論 理 回 路 の 解 析 お よ び 設 計 に よ く用 い ら れ る の で 習 熟 し て お く の が 望 ま し い 。 特 に,ド
・モ ル ガ ン の 定 理 は 重 要 で あ る 。 こ の 図 で わ か る よ う に,諸
と 「・」,「0」
と 「1」 の 交 換 で,対
に な る も う1つ
の 式 に変 換 で きる 。 つ ま
り,論 理 代 数 式 は 双 対性 を 有 し て い る 。例 え ば,図4・27で 0=0と
式 は,「 + 」
式A+1=1は
式A・
双 対 で あ る。
〔2〕 組 合 せ 論 理 回 路 (1) の3ゲ
実用上重要 な論理ゲ ー ト
基 本 論 理 ゲ ー トで あ るNOT,OR,AND
ー ト以 外 で 実 用上 重 要 な ゲ ー ト に つ い て 述 べ る 。 一 般 に,2つ
も つ ゲ ー トの 出 力 に は,24=16と 先 に 述 べ たOR,ANDの あ る が,実
お りの 論 理 が 考 え ら れ る 。 そ の う ち の2つ
が
両 ゲ ー トで あ る。そ の ほ か の 出 力 状 態 の 種 類 は14種
類
用 上 重 要 な ゲ ー トは,表4・1に
トで あ ろ う 。
の入力 を
示 すNAND,
NOR,XORの3ゲ
ー
表4・1
NANDゲ
ー トは,ANDの
主要 ゲー ト
「否 定(NOT)」
回 路 で あ る 。 回 路 記 号 はANDゲ
ー トの 記 号 の 出 力 端 に 「否 定 」を 示 す ○ 印 を 付 け る
。NADNゲ
種 類 で あ ら ゆ る 論 理 が 実 現 で き る な ど の 特 長 が あ る の で,非 る 。 ま た,ORの
「否 定 」 を 表 す 回 路 がNORゲ
ー トは,そ
れ1
常 に よ く使 用 さ れ
ー トで,NANDゲ
ー ト同 様 よ
く使 わ れ る 。 XOR(エ
ク ス ク ル ー シ ブ ・オ ア)回
路 は 「排 他 的 論 理 和 」 と呼 ば れ,そ
の出
力 は, Y=A・B+A・B
=A〓B (4・55)
で あ り,「 否 定 」,「積 」,「和 」の 基 本 演 算 で 表 現 で き る が,こ 記 号〓(リ
ン グ サ ム)を
用 い て 表 す 。 こ の 論 理 の 特 徴 は,2つ
の 論 理 関 数 を特 に の入 力の論理状
態 が 一 致 し て い な い と き 「真 」 と な る こ と で あ る 。 こ の ゲ ー ト は,後
述 す る よ
うに加 算 器 な ど に用 い られ る。
〔例 題 〕4・6 図4・28(a)の
回 路 は,NANDゲ
ー ト と等 価 で あ る こ と を 真 理
値 表 で 確 か め よ。 〔解 答 〕 図(d)の
よ う な 真 理 値 表 が 書 け て,両
者 が 一 致 す る こ とが わ か る。
図4・28
〔 例 題 〕4・7 〔解 答 〕
3入 力NORゲ
ー トの 真 理 値 表 を 作 れ 。
次 の よ う な 真 理 値 表 が 書 け る 。 出 力Yは,A=B=C=0の
ときのみ
1と な る 。
図4・29
3入 力NOR ゲー ト
〔 例 題 〕4・8 Y=AB+AB
(排他 的 論 理 和)を 論 理 ゲ ー トを用 い て構 成 せ
よ。 〔 解 答 〕 図4・30(a)の
よ う に,ABの
項 はBの
否 定 とAと
のAND演
算 を,
図4・30 排 他 的 論理 和
ABの
項 はAの
否 定 とBのAND演
ー トに 入 力 す れ ば,そ のORゲ ま た,NANDゲ
算 を し て,両ANDゲ ー トの 出 力 がYと
ー トの 出 力 をORゲ
な る。
ー トの み で 同 じ論 理 式 の 回路 を作 る に は,図(b)の
よ うに す
れ ば よい 。 (2) カ ル ノ ー マ ッ プ に よ る 論 理 式 の 簡 略 化 用 い て 実 際 の 回路 に組 む場 合,そ
あ る 論 理 を論 理 ゲ ー トを
の論 理 式 が も う これ 以 上 簡 単 にで きな い もの
で あ れ ば,論 理 式 に従 って その ま ま回路 に移 す ほ か な いが,論 が 簡 単 な ほ ど作 りや す く,し か も価 格,消 論 理 式 の段 階 で,で
理回路 は論理 式
費 電 力,高 速 化 に 利 点 が あ る の で,
き るだ け簡 略 化 を図 る必 要 が あ る。
カ ル ノー マ ップ はG.Karnaughに
よ り提 案 され た,論 理 式 の 簡 略 化 の 方 法
で あ る。 この 方 法 の概 略 を例 題 に よ り述 べ る 。
〔 例 題 〕4・9 カ ル ノ ー マ ッ プ に よ り,次
の 論 理 式 を簡 単 にせ よ。 (4・56)
〔解 答 〕
こ の 式 の 右 辺 は,各
項 が 入 力 変 数 の 単 純 な 論 理 積 か ら な り,そ
れ ら
が 論 理 和 で結 ば れ る形 式 に な っ て い る。 この よ う な形 式 を積 和 形 式 とい う。 わ か り や す い よ う に,こ Y=1と 31の
の 式 の 真 理 値 表 を 作 っ て み れ ば,表4・2の
な る 入 力 の 組 合 せ が は っ き り す る 。3入 よ う で あ り,図
中23=8の
文 字)を
力 の カ ル ノ ー マ ッ プ は,図4・
枡 目 が あ る。 これ らの 枡 目 は真 理値 表 の 入 力 の
8と お り の 組 合 せ に 対 応 し て い る 。 そ こ で,与 (こ こ で は1の
よ う に な り,
入 れ る。 こ の 例 で は,4箇
式 のYが
論 理1に
所 に1が
なる枡 目に印
記 入 され る。
表4・2
真 理値 表
図4・31
さ て,印 ー プ1で
の 付 い た 枡 目 が 隣 り合 っ て い る 場 合,図 囲 ん だ 枡 目 に はB
,Bが
孤 立 し て い る1が
な い の で,Yの
の よ うに ル ー プ で 囲 む。 ル
含 ま れ て お り,Bの
こ の ル ー プ か ら 読 み 取 れ る 項 はACで 項 が 出 て く る 。 以 上 で 記 入 し た1が
3変 数 の カ ル ノ ー マ ッ プ
状 態 に は 関 係 な い の で,
あ る 。同 様 に し て,ル ー プ2か
らABな
す べ て い ず れ か の ル ー プ に 含 ま れ て お り, 簡 略 式 は 次 の よ うに な る。 Y=AB=AC (4・57)
式(4・56)お
よ び 式(4・57)に
(a),(b)で
あ る。 論 理 式 の 簡 略 化 の 効 果 が わ か る。
(a)
簡略 前 の回路
る
基 づ い て 構 成 し た 論 理 回 路 が,そ れ ぞ れ 図4・32の
(b) 簡 略 後 の 回 路
図4・32 論 理 回路 の簡 略 化 の例
〔 例 題 〕4・10 カ ル ノ ー マ ッ プ に よ り,次
〔解 答 〕4変 図4・33の
の 論 理 式 を簡 単 に せ よ。
数 の カ ル ノ ー マ ッ プ に,Y=1に
よ う に な る 。次 に,隣 接 す る1を
対 応 す る 枡 に1を
記 入 す れ ば,
囲 む よ う に ル ー プ を 作 る 。 こ の と き,
図4・33
4変 数 の カ ル ノ ー マ ッ プ
最 上 段 と最 下 段 の 枡 目,ま た 左 端 と右端 の 枡 目 は切 れ て い る よ うだ が,論 理 の う えで,そ
れ ぞ れ 隣 接 して い る こ とに 注 意 す る。 各 ル ー プ か ら読 み 取 れ る項 を
合 わ せ れ ば,求
め る簡 略 式 は次 の よ う に な る。
カ ル ノ ー マ ップ に よ る論 理 式 の 簡 略 化 手 順 は,次 の よ う に ま とめ られ る。 ① 論 理 式 を積 和 形 式 とす る。 ② カ ル ノ ー マ ッ プ で論 理 式 が 論 理1と ③ 隣 接 す る 印 をル ー プ で 囲 む(で
な る枡 目 に 印1を 付 け る。
きる だ け大 きい ル ー プ,少
ないループ個
数 。 囲 め る印 の数 は2n個)。 ④ ル ー プ か ら項 を読 み 取 る(孤 立 した1は 一 つ の項 に相 当)。 ⑤ 各 項 を論 理 和 「+ 」 で 結 ぶ 。 (3) 加 算 器
これ まで 論 理 ゲ ー トに よ っ て い くつ か の 論 理 回路 を構 成 し
た 。こ こで は,デ ィ ジ タ ル 回路 の 算 術 計 算 へ の 応 用 例 と し て加 算 器 を取 り上 げ, そ の 構 成 に つ い て 検 討 し よ う。 加 算 器 は,2つ
の 数 を加 算 し和 を求 め る演 算 回
路 で あ る が,デ
ィ ジ タ ル 回 路 で は,我
々 が 使 い 慣 れ て い る10進
数 が 計 数 の 基 本 と な っ て い る 。 こ れ は,2進 数 字 だ け を使 用 す る こ と と,デ
数 で は な く2進
数 で は 「0」 と 「1」 の2種
ィ ジ タ ル 回 路 が2つ
類 の
の 状 態 を もつ こ と と が 対 応
して い る か らで あ る。 2進 数 は2を 10進
基 数 と し た 数 で,第n桁
数 の 対 応 例 を 表4・3に
示 す 。 例 え ば,2進 表4・3
)と 書 く)は10進
の 重 み は2n-1で 数1101(便
10進 数 と2進
数 と
宜 上,1101(2
数
数 で,,
と な る 。2進 数1桁
を ビ ッ ト と い い,最上位
最 下 位 の 桁 をLSB(least ま ず,1ビ
significant
の 桁 をMSB(most
bit)と
こ の 加 算 は,ど
な り,ひ
お け る 加 算 で,1と
の よ う な 論 理 ゲ ー トで 実 現 さ れ る か を 念 頭 に お き,真 ー ト,桁 上 げ 信 号Cに
トが 当 て は ま る こ と が わ か る。 す な わ ち,S=A〓B,C=ABで た はNANDゲ
bit),
と つ 上 位 の 桁 に 繰 り上 が り が 観 察 さ れ る 。
で 考 え る と 和S に 対 し て はXORゲ
の 加 算 器 は1桁
significant
い う。
ッ トの 加 算 に つ い て 考 え よ う 。 図4・34(a)に
1の 和 は10(2)と
は,図(d)ま
与 え ら れ る 。2進
ー ト5個
を 使 い,図(e)の
目 だ け の 加 算 に は よ い が,2桁
対 し て はANDゲ
理値 表 ー
あ り,論 理 回 路 よ う に な る 。 し か し,こ
目 以上 の 計 算 に は 不 適 当 で あ る。
(a)
2進1桁
の加算
(b) 和 お よ び桁 上 げ
(c) 真 理 値 表
(d)
(e) 図4・34半
そ の 理 由 は,注
加算器
目 し て い る桁 に 下 位 か ら繰 り上 が っ て くるか も しれ な い桁 上 げ
を 考 慮 し て い な い か ら で あ る 。 そ こ で,こ
の 加 算 器 を 半 加 算 器 と称 し,下
位 桁
か ら の 繰 り 上 が り も考 慮 し た 加 算 器 を 全 加 算 器 と い う。 第n桁
に 注 目 す れ ば,図4・35(a)に
つ の 数 字An,Bnと 桁 の 結 果Snと は,図(b)の
下 位 か ら 第n桁 上 位 第(n+1)桁
示 さ れ る よ う に,全 へ の 繰 上 が りCnの
へ の 繰 上 が りCn+1で
加 算 器 の 入 力 は,2
合 計3つ
で,出
力 は 第n
あ る。 この 場 合 の 真 理 値 表
よ う に な る 。 こ れ よ り論 理 式 は 次 式 と な る 。 (4・58) (4・59)
両 式 よ り,全
加 算 器 は2つ
の 半 加 算 器 と1つ
のORゲ
ー トに よ っ て,図(c)
図4・35
全加 算 器
の よ う に 構 成 で き る こ とが わ か る 。
〔 例 題 〕4・11 2進3桁
の2数
を加 算 す る加 算 器 を構 成 せ よ。
〔 解 答 〕 全 加 算 器 に よれ ば2進 数 の 任 意 の 桁 の 加 算 が で き る。 本 例 題 で は3 桁 で あ る の で,最 小 位 桁 を半 加 算 器 で,上 位 の2桁 実 現 で き る。 数 の 並 び がA2A1A0の
に つ い て は全 加 算 器2台
数 とB2B1B0の
数 との 和 は,最
上 位 桁 か らの繰 上 が り を考 慮 す れ ば 和 と してS3S2S1S0の4桁 れ ば よい 。 した が っ て,求
を用意 す
め る加 算 器 は 図4・36の よ う に な る。
全 加 算 器 は2つ の 半 加 算 器 とORゲ 5個(図4・34(e))か
で
ー トで で き,半 加 算 器 はNANDゲ
ー ト
ら構 成 で きる。 この 例 の よ うな 複 雑 な 論 理 回路 も基 本 的
な論 理 ゲ ー トの 集 ま りで あ る こ とが わ か る。
2進3桁の
図4・36
加算器
〔3〕 順 序 回 路 前 節 で 述 べ た 組 合 せ 論 理 回 路 に お い て は,あ
る時 点 の 出 力 は そ の 時 点 の 入 力
の 状 態 に 完 全 に依 存 して 決 まる もの で あ った 。 あ る デ ー タ に所 望 の 処 理 を行 う よ う な と き,デ
ー タ の 状 態 ま た は 数 値 を 一 時 保 存 し た り,あ
等 の 要 求 も あ る で あ ろ う。 こ の よ う な 場 合 に は,一
る形 に 変 換 した い
度 あ る状 態 が 入 力 され た な
ら ば,入 力 を 取 り 去 っ た 後 で も そ の 状 態 を 保 持 で き る よ う な 回 路 が 必 要 とな る。 こ の 種 の 動 作 を す る 回 路 が,2つ
の 安 定 状 態 を 有 す る 電 子 回 路,す
なわ ちフ リ
ッ プ フ ロ ッ プ で あ る 。フ リ ッ プ フ ロ ッ プ は す で に 学 ん だ 組 合 せ 論 理 回 路 と 異 な り,出
力 が 入 力 の 現 在 の 状 態 だ け で は 定 ま ら ず,過
去 の 状 態 に も依 存 す る た め
順 序 回 路 と呼 ば れ て い る 。こ の よ う に順 序 回 路 に は 時 間 的 な 要 素 が 入 っ て く る。 順 序 回 路 の 主 な応 用 例 は カ ウ ン タ と シ フ ト レ ジス タで あ る。カ ウ ン タ は パ ル ス 数 を 計 数 す る 場 合,ま
た シ フ ト レ ジ ス タ は 多 ビ ッ トの デ ー タ を 処 理 す る 際 に
必 要 な 回 路 で あ る 。 こ こ で は,こ
れ ら の 回 路 が,順
序 回路の基本 回路で あ るフ
リ ップ フ ロ ッ プに よ っ て どの よ うに構 成 され て い るか を述 べ る。 (1)
RSフ
プ は,図4・37(a)の
リ ップ フ ロ ップ よ う に,2つ
NORゲ のNORゲ
帰 還 し て 作 る こ と が で き る 。こ こ で,Rは
ー ト を 使 っ たRSプ
リ ツプ フ ロ ツ
ー トの 出 力 を 互 い に 他 方 の 入 力 に リ セ ッ ト入 力,Sは
セ ッ ト入 力 で あ り,
図4・37
ま たQは
出 力 で,QはQの
す 真 理 値 表 は(c)の
よ う で あ り,R=S=0と
あ る 。動 作 を 表
す る と,出 力Qは
な る 直 前 の 状 態 が1で
前の状態 の まま
あ れ ばQは1の
ま ま,
ま ま と い う こ と に な る 。状 態 の 記 憶 と は ま さ に こ の 動 作 で あ る 。
こ の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ を ラ ッチ(状 し か し,RSフ
リ ツプ フ ロ ツプ
補 出 力 で あ る 。 回 路 記 号 は 図(b)で
で 変 化 し な い 。つ ま り,R=S=0と 0で あ れ ば0の
RSブ
態 の 記 憶 回 路)と
リ ッ プ フ ロ ッ プ で は,R=S=1と
な る か が 予 測 で き な い 状 態 に 陥 る の で,論
も呼 ん で い る。
す る とQが0に
な る か1に
理 回路 と して この 入 力 を 用 い るの は
ま ず い 。 そ の た め 「入 力 禁 止 」 と し て い る 。
〔 例 題 〕4・12 NANDゲ 〔 解 答 〕 37(c)と
ー トに よ っ てRSフ
フ リ ッ プ フ ロ ッ プ はNANDゲ
同 じ 真 理 値 表 を も つRSフ
図4・38
NANDゲ
リ ップ フ ロ ッ プ を構 成 せ よ。 ー ト2個
で 実 現 で き る が,図4・
リ ッ プ フ ロ ッ プ はNOTゲ
ー トRSフ
リップ フ ロッ プ
ー ト を2個
付
け 加 え る こ と で,図4・38(a)の
よ う に 構 成 で き る 。さ ら に,2入
ー トが4個
7400
入 っ て い るIC(SN
図(b)の
よ う に作 る こ とが で き る。
(2)
同 期 式RSフ
,テ
キ サ ス ・イ ン ス ツ ル メ ン ツ 社)1個
リ ップ フ ロ ップ
単 独 で も使 用 さ れ る が,他
力 のNANDゲ
RSフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ は,も
の 回 路 や 装 置 と歩 調 を あ わ せ て(同
フ ロ ッ プ で あ り,前 例 の 図4・38(a)の で あ る 。CLKは 図4・39(b)の
回 路 を 図4・39(a)の
ク ロ ッ ク パ ル ス で,回
入 力 の 後 に,こ
か
リ ップ
よ う に変 形 した 回路
路 全 体 の 同期 を と る た め に用 い られ る。
タ イ ム チ ャ ー ト(入 出 力 の 時 間 的 な 状 態 推 移 図)で
に,R,sの
ち ろん
期 さ せ て)働
せ た い 場 合,そ の ま ま で は 使 え な い 。そ こ で 考 え ら れ た の が 同 期 式RSフ
で
の ク ロ ッ ク パ ル ス を 入 れ て 出 力Qの
表 され る よ う 状 態の変化 時
刻 を外 部 か ら決 め られ る よ うに な っ て い る。
(a)回
路
図4・39
(3)
JKフ
同 時 に1と
(b)タ
同 期 式RSフ
リ ップ フ ロ ップ
RSフ
イ ム
チ ャ ー ト
リップ フ ロ ップ
リ ッ プ フ ロ ッ プ で は,Sお
よ びRが
た め,新
な る と きに 出 力 の 状 態 が 定 ま ら な い難 点 が あ っ た。 これ を 回 避 す る た に そ の 入 力 に 対 し て は,「 前 の 出 力 状 態 を 反 転(1な
ら ば1に)し
て 出 力 す る 」機 能 を も た せ た 同 期 式 の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ が 考 案 さ
れ て い る 。 こ れ がJKフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ で あ る。J入 力 は セ ッ ト用,K入
セ ッ ト用 で あ る 。 真 理 値 表 は 図4・40(a)の が 同 期 式RSフ
ら ば0に,0な
よ う で あ り,J=K=1の
リ ッ プ フ ロ ッ プ と 異 な る 。CLKの
力 は リ
と きの 動 作
矢 印 は出力 の変化 時刻 が ク
ロ ッ ク パ ル ス の 立 ち 下 が り時 で あ る こ と を 示 し て い る 。
図4・40
JKフ
リ ツプ
フロツプ
こ のJKフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ の シ ン ボ ル は 図(b)で
あ り,そ
の代表 的 な内部 の
回 路 構 成 は マ ス タ ・ス レー ブ 形 と呼 ば れ る 図(c)の
よ う な回 路 で あ る。マ ス タ ・
ス レ ー ブ 形 は,マ
の2つ
を使 い,ク
ス タ(主)側
ロ ッ ク パ ル ス の 立 ち 上 が り,立
動 作 を 制 御 し て,誤 JKフ
と ス レ ー ブ(従)側
ち 下 が り時 に 両 フ リ ッ プ フ ロ ッ プ の
動 作 が 起 こ らな い 工 夫 が 施 して あ る。
リ ッ プ フ ロ ッ プ は 多 機 能 で あ る の で,そ
リ ッ プ フ ロ ッ プ が 作 ら れ て い る 。JKフ J=Kと
の フ リ ップ フ ロ ッ プ
し た 場 合 に は,T形
の 一 部 を取 り出 して 専 用 の フ
リ ッ プ フ ロ ッ プ のJ, K端
子 の論理 を
と呼 ば れ る フ リ ッ プ フ ロ ッ プ が で き る 。こ の フ リ ッ
プ フ ロ ッ プ は ク ロ ッ ク パ ル スが 入 る ご と に 出 力 が 反 転 す る もの で あ る。 ま た,K=Jと
す れ ば,D形
ロ ッ ク パ ル ス1つ
と 呼 ば れ る 専 用 の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ が 作 れ,ク
分 だ け 入 力 を遅 延 させ る独 特 の 回 路 とな る。
〔 例 題 〕4・13 Tフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ お よ びDフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ をJKフ
リ
ップ フ ロ ッ プ を用 い て 構 成 せ よ。 〔 解 答 〕Tフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ を 作 る に は,図4・41(a)の
端 子 を 直 接 結 び,T人
力 と す る 。Dフ
よ う に,Jお
リ ッ プ フ ロ ッ プ は, NOTゲ
よ びK
ー ト1個
を
図4・41
Tお
図(b)の
よ うに 付 け加 えれ ば よ い。
(4)
カウ ンタ
よ びDフ
リ ップ フ ロ ップ
物 や 現 象 の 数 を 器 械 で 自 動 的 に 数 え る 場 合,個
数 に応 じ
て 発 生 し た 電 気 パ ル ス 信 号 を 処 理 し て 数 値 で 表 す こ と が よ く行 わ れ て い る 。 デ ィ ジ タ ル 回 路 に よ り構 成 さ れ た カ ウ ン タ は,電
気 パ ル ス 信 号 の 数 を 計 数 ・表 示
す る装 置 で あ る。 カ ウ ン タ の 回 路 は,そ の 動 作 形 態 か ら 非 同 期 形 か 同 期 形 の2つ こ こ で は,そ
に分 け られ る。
れ ぞ れ の 形 の 基 本 形 を 説 明 す る。
す で に 学 ん だ よ う に,T形
の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ は,入
力 パ ル ス が 入 る ご とに
出 力 の 状 態 が 反 転 す る 。 こ の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ を,図4・42(a)の 直 列 に 接 続 し て み よ う 。タ イ ム チ ャ ー トは 図(b)の
よ う に,2段
よ う に な る 。出 力 はAとB
で あ る。 初 期 状 態 と し て カ ウ ン タ を リセ ッ トす る 専 用 の 入 力 端 子 が あ る が,図 で は 省 略 し て い る 。 初 期 状 態 は 両 方 の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ と も0と る。 ク ロ ッ ク パ ル ス に 順 番 を 付 け て 出 力 の 状 態 を 図(c)に 数2桁(数
の 並 び はBA)と
り返 し 示 し て(数
え て)い
み れ ば,ク
仮 定 して い
示 し た 。 出 力 を2進
ロ ッ ク パ ル ス の 数 を 出 力 の2進
数が繰
る こ と が わ か る 。 こ の よ う に パ ル ス 数 を2進
数 で計
数 す る カ ウ ン タ を バ イ ナ リ カ ウ ン タ と い う。 こ の カ ウ ン タ は,そ
の 動 作 変 化 の 流 れ が2つ
後 段 へ と順 に 伝 わ っ て 行 く た め,非 フ ロ ッ プ をN段
の フ リ ッ プ フ ロ ップ の 前 段 か ら
同 期 形 カ ウ ン タ と呼 ば れ て い る 。 フ リ ッ プ
に 拡 張 す れ ば,0か
を数 え る こ と が で き る 。 こ の 場 合,2Nを
ら2N-1ま
で の 数(2N個
の 異 な っ た 状 態)
カ ウ ン タ の 法 と い い,こ
の数で カウ ン
図4・42
非 同 期 カ ウ ンタ
タ は 一 巡 す る こ と に な る 。 ま た,出
力 の 周 波 数 は 順 次1/2ず
図4・42の
力 ク ロ ッ ク パ ル ス の 周 波 数 の1/4に
回 路 のBの
周 波 数 は,入
い る こ と に 注 意 し よ う 。 周 波 数 に 着 目 す る と,こ
つ 下 が っ て い き, な って
の 回路 は 周 波 数 分 周 器 と し て
利 用 で き る。
〔例 題 〕4・14
4ビ
ッ トの 非 同 期 バ イ ナ リ カ ウ ン タ を 作 る と き,必
要 な フ リ
ップ フ ロ ップ の数 とカ ウ ン タの 法 を 求 め よ。 〔解 答 〕4ビ た,カ
ッ トの カ ウ ン タ で は4台
ウ ン タ の 法 は24=16で
の フ リ ップ フ ロ ッ プ が 必 要 で あ る。 ま
あ る。
以 上 述 べ た バ イ ナ リ カ ウ ン タ は,段 数 が 増 す と各 フ リ ッ プ フ ロ ッ プ の セ ッ ト お よ び リセ ッ ト動 作 の 時 間 が 原 理 的 に 累 積 し て く る の で,回 合 に は 不 向 き で あ る 。 そ こ で,各 与 え,状
路 を高 速 化 す る場
フ リ ップ フ ロ ップ に 同 時 に ク ロ ッ ク パ ル ス を
態 変 化 に か か る 時 間 の 累 積 を抑 え た 同 期 形 の カ ウ ン タが あ る。 そ の一
例 と し て,図4・43(a)に3ビ ら,図(b)の
ッ トの 同 期 形 カ ウ ン タ を 示 す 。3ビ
よ う に ク ロ ッ ク パ ル ス8(=23)個
ッ トで あ る か
で カ ウ ン タ は 一 巡 す る 。こ の 回 路
図4・43
で は,フ
同 期 カウ ン タ
リ ッ プ フ ロ ッ プの 動 作 時 間 は 各 フ リ ッ プ フ ロ ッ プが 同 時 に ク ロ ッ ク
パ ル ス を 受 け る た め,そ
の 段 数 に 関 係 な く1個
分 を見 込 め ば よ い こ とが 明 らか
で あ る。 (5)
シ ス ト レジ ス タ
シ フ ト レ ジ ス タ は デ ー タ の 記 憶 回 路 で あ り,デ ー
タ の 内 容 を シ フ ト し た り,乗 算 な ど の 算 術 演 算 を 実 行 す る 回 路 に も 用 い ら れ る 。 フ リ ッ プ フ ロ ッ プ1個
が1ビ
ッ トの デ ー タ を 記 憶 す る か ら,Nビ
ッ トで は
N個 の フ リ ッ プ フ ロ ッ プ が 必 要 で あ る 。 デ ィ ジ タ ル の装 置 間 や 回路 間 にお け る デ ー タ の授 受 に は信 号 線 が 必 要 で あ る が,GND(グ
ラ ン ド)線
と対 を な す1本
の 信 号 線 を使 っ て デ ー タ の 各 ビ ッ トを
時 間 的 に ず ら し て 送 る シ リ ア ル(直 列)伝 送 と 信 号 の ビ ッ ト と 同 数 の 信 号 線 を 用 い て 各 ビ ッ トを 同 時 に 送 るパ ラ レ ル(並 列)伝 送 が あ る 。例 え ば,2進
数 の110
l(2)(13(10))を 伝 送 す る こ と を 考 え て み よ う 。 シ リ ア ル 伝 送 で は,こ
の2進
桁 を 順 に(LSBか
らMSBへ,ま
た は 逆 に)同
じ信 号 線 を 使 っ て,4回
数 の の操 作
で 送 る 。 他 方,パ
ラ レ ス 伝 送 で は4本
の 信 号 線 を 用 意 し,各
線 に4つ
の ビッ ト
を 割 り振 る か ら 一 度 に 伝 送 す る こ とが で き る 。 デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム で は,入 類 に な る 。 す な わ ち,シ ル ア ウ ト,パ
力,出
力 の 伝 送 形 式 の 組 合 せ か ら4と
リ ア ル イ ン― シ リ ア ル ア ウ ト,シ
ラ レ ル イ ン― シ リ ア ル ア ウ ト,そ
お りの種
リ ア ル イ ン― パ ラ レ
し て パ ラ レ ル イ ン― パ ラ レ ル ア
ウ トで あ る 。 図4・44(a)は,4ビ
ッ トの シ リ ア ル イ ン― パ ラ レ ル ア ウ トの シ フ ト レ ジ ス タ
の 例 で あ る 。2進 数 の1101(2)を
図4・44
変 換 し て い る 。4ビ
プ ロ ッ プ は4個
ッ トで あ る か ら フ リ ッ プ
シ フ トレ ジ ス タ
あ る 。 こ の シ フ ト レ ジ ス タ の 動 作 概 要 を 図(b)に
の デ ー タ は,LSBか
示 した 。入 力
ら順 に 入 り,ク ロ ッ ク パ ル ス に 同 期 し て 前 段 の フ リ ッ プ フ
ロ ッ プ か ら順 次 後 段 に 送 ら れ て,最 初 の デ ー タ がDに
届 き 入 力 の4ビ
ッ トが す
べ て 詰 ま っ た 状 態 に な る と,各 フ リ ッ プ フ ロ ッ プ の 出 力 上 に 現 れ たA∼Dの ー タ が 同 時 に4本
の 信 号 線 を 経 て 他 の 機 器 に 同 時 に 送 り 出 さ れ て 行 く。
デ
4・4 ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 相 互 変 換 回 路 半 導 体 技 術 の 急速 な 進 歩 に よ り,マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ に代 表 され る よ う な デ ィ ジ タル シ ス テ ム が 多 くの 分 野 で 活 用 され る よ う に な っ た。 しか し,そ の 対 象 とな る信 号 が 時 間 方 向 に も振 幅 方 向 に も連 続 な ア ナ ロ グ 量 で あ る こ と が 多 い 。そ の よ うな 信 号 を そ の ま まの 状 態 で デ ィ ジ タル シ ス テ ム に入 力 す る こ と は で きな い。そ こで,ア ナ ロ グ 量 を デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム に合 った 形 に,す な わ ち, デ ィジ タ ル 量 に変 換 した り,逆 に デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム で処 理 を した デ ィ ジ タ ル 量 を ア ナ ロ グ量 に変 換 す る必 要 が あ る。 この 節 で は,こ れ を実 現 す る ア ナ ロ グ か らデ ィ ジ タル へ の変 換 と デ ィ ジタ ル か らア ナ ロ グへ の変 換 に つ い て述 べ る 。
〔1〕 デ ィジ タル ・ア ナ ログ 変 換 回 路 デ ィ ジ タ ル 回路 等 で扱 う信 号 は,論 理 的 に 「1」 と 「0」 の組 合 せ(2進 と考 えれ ば よい)か
数
ら成 り立 っ て い る。 これ を 我 々 が 通 常 使 用 す る数 値(10進
数)に 変 換 す る こ と をデ ィジ タル ・ア ナ ログ 変 換(こ れ を通 常D/A変
換 と呼 ぶ)
とい う。 また,そ れ を実 現 す る回 路 を デ ィ ジ タ ル ・ア ナ ロ グ 変 換 回路(D/A変 換 回路)と D/A変
い う。 換 回路 は,一 般 的 に抵 抗 回 路 網,基 準 電 圧,電 子 的 ア ナ ログ ス イ ッ チ
とそ れ をオ ン・オ フ させ る論 理 回路 に よ り構 成 され る。 この よ うな 変 換 回 路 は, 論 理 回路 の 入 力 信 号 を変 換 す べ き デ ィ ジ タル 信 号 に す る こ と に よ っ て,デ
ィジ
タル に対 応 した ア ナ ログ 信 号 を 取 り出 す こ とが で きる よ うな 回 路 構 成 が 一 般 的 で あ る。 図4・45に 演 算 増 幅 器(オ ペ ア ン プ)OPを
使 用 し た4ビ
ッ トのD/A変
換 回路
の 構 成 を 示 し,そ れ を も と に この 回 路 の動 作 を説 明 しよ う。 この 回路 は,す で に4・2節 で 説 明 し た オ ペ ア ン プ を用 い た加 算 回路 の 原 理 を 利 用 し て い る。オ ペ ア ン プ の 入 力 側 に 接 続 して あ るR,2R,4R,8Rの 路 網 と フ ィー ドバ ック抵 抗Rfは,4桁
抵抗 回
の デ ィ ジ タル 信 号 の 各桁 を,対 応 す る10
図4・45 D/A変
換 回路
進 数 に 変 換 す る た め の もの で あ る 。 オ ペ・ ア ン プ の 基 本 的 な2つ ① オ ペ ア ン プ の2つ
の 条 件 を 再 掲 し,簡
の 入 力 端 子(-端
単 に 回路 解 析 を し て お こ う。
子 と+端
子)の
間 の 電 位 差 は,ほ
ぼ
零 と考 え る 。 ②
2つ の 入 力 端 子 か ら電 流 の 入 出 流 は,ほ
4桁(4ビ
ぼ零 と考 え る。
ッ ト)の デ ィ ジ タ ル 信 号 をD3D2D1D0=1010と
す る。 デ ィ ジ
タ ル 信 号 の 各 桁 は そ れ ぞ れ ス イ ッチ の 制 御 に 使 用 さ れ,「1」
で 基 準 電 圧,「0」
で ア ー ス に 接 続 す る よ う に 働 く。 こ の 例 で は,抵
が 基 準 電 圧VRに
接 続 さ れ,抵
抗2Rと8Rが
抗21と8Rに り,電
の 電 位 は 零 で あ る か ら,抵 抗Rと4Rに
そ れ ぞ れVR/RとVR/(4R)で 電 流 は 流 れ ず,I2=I0=0で
流I3とI1は,オ
れ る 。 こ の 結 果,出
観
ア ー ス され る。
オ ペ ア ン プ の 条 件 ① よ り,P点 る 電 流I3とI1は
抗Rと
流れ
あ る 。一 方,ア ー ス さ れ て い る 抵 あ る 。 ま た,オ
ペ ア ン プの 条 件 ② よ
ペ ア ン プ の 内 部 に 流 れ 込 ま ず,Rfを
通 って 出 力 側 へ 流
力 電 圧Voは
次 式 の よ うに 求 め られ る。
(4・60) 式(4・60)で,Rf=8Rと
選 べ ば,
(4・61)
と な る 。 式(4・61)の
係 数10は1010と
な る2進
数 を10進
数 に変 換 した もの
に 等 し い 。 負 号 は オ ペ ア ン プ の 加 算 回 路 の 性 質 か ら生 ず る も の で あ り,オ ン プ 回 路 を も う 一 段 使 え ば,正 を8Rと
ペ ア
に す る こ とが 可 能 で あ る 。 フ ィ ー ドバ ッ ク 抵 抗
し て 説 明 し た が,実 際 に は そ の よ う に 調 整 す る 必 要 は な い 。む し ろ,フ
ィ ー ド バ ッ ク 抵 抗Rfを
適 当 に 変 え る こ と に よ っ てD/A変
換 回路 の出 力電 圧
を 自由 に変 更 で き る こ とが 利 点 で あ る。 こ こ で 述 べ た 例 を も と に2進 の2進
数 をN2と
数 と10進
数 の 関 係 を 簡 単 に 述 べ て お こ う 。4桁
す る と,
N2=D3D2D1D0
た だ し,D3,D2,D1,D0は1ま
の よ う に1か0の4個
た は0
の 数 字 列 で 表 され る。 各 々 の 桁 が ど の よ う に 決 っ て い る
か と い う と,対 応 す る10進
数N10を2の
べ き乗和 で表 した と きの 各 係 数 に よ っ
て 求 め ら れ る 。 す な わ ち, N10=1・23=0.22+1.21+0.20=10 (4・62)
と し た と き の2の
べ き の 係 数 を そ の ま ま の 順 に 並 べ たD3D2D1D0が2進
で あ る 。 こ の 例 の よ う に,D3D2D1D0=1010の
と き,対 応 す る10進
数 数 は,
0=1・23+0・22+1・21+0・20=10 と な り,先 に 説 明 し た 結 果 と同 じ に な る 。
〔 例 題 〕4・15 10進 数 の122を2進 〔 解 答 〕10進
数 の122は,2の
数で表せ。 べ き乗 を 用 い て,次
の よ うに 書 き表 す こ とが
で き る。
・23+0・22+1.21+0.20 こ れ よ り,122を2進
数 で 表 す と,1111010と
上述 した 方 法 に よ り,さ
ら に桁 数 の 多 いD/A変
な る こ とが わ か る 。
換 回 路 を 構 成 し よ う とす る
と,16R,32R,…
と い う よ う に 多 種 類 の 抵 抗 を 必 要 と し精 度 上 の 問 題 が 生 ず
る 。 そ こ で,図4・46に るR-2Rラ
示 す よ う に 抵 抗 値 の 比 が1:1か1:2の
ダ ー 回 路 構 成 のD/A変
図4・46 R-2Rラ
抵抗の みを用 い
換 回 路 が よ く用 い ら れ る 。
ダ ー 回 路 構 成 のD/A変
換回 路
〔2〕 ア ナ ロ グ・ デ ィジ タル 変 換 回 路 (1) 量 子 化
デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム に 外 部 か ら任 意 の ア ナ ロ グ 量 を 入 力
した い と き,そ れ に対 応 す る デ ィ ジタ ル 量 は,無 限 に多 くの 桁 数 を 必 要 とす る。 これ は,有 限 の 桁 数 で動 作 す る デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム に とっ と も困 る が,ア ナ ロ グ量 を デ ィ ジ タル 量 に 変換 す る た め の 回 路 技 術 の 面 か ら も不 可 能 で あ る。 この 問 題 を解 決 す る に は,四 捨 五 入 とか切 捨 て,切 上 げ な どに よ って,許 容 で き る 範 囲 内 に近 似 し て し ま う方 法 が あ る。 つ ま り,あ る範 囲 内 の 量 を その 代 表 値 で 置 き換 え て し ま う方 法 で,こ れ を量 子 化 と呼 ん で い る。
図4・47
量子化
量 子 化 の 例 を 図4・47に
示 し た 。破 線 で 表 し た,あ
号 で 置 き換 え て あ る 。 こ れ に よ っ て,ア
ナ ロ グ信 号 を有 限 個 の 値 の どれ か で 表
す こ と が 可 能 と な る 。 図 に お い て 左 の2進 る 。 つ ま り,ア 値 を,001と
ナ ロ グ で0に
ッ トの デ ィ ジ タ ル 信 号 で あ
換 と呼 ぶ)で,一
ン パ レ ー タ)が
ア ン プ の 入 力 に 加 え られ る 信 号 がEよ
表 し,そ
の1つ
上 の
ィ ジ タ ル 化 を 行 っ た こ と に な る。
ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 変 換(A/D変
り も小 さ い と約5Vと
数 は3ビ
量 子 化 さ れ た も の を000と
表 す よ う に す る れ ば,デ
子 化 回 路 に は 比 較 器(コ
る ア ナ ロ グ量 を 階 段 状 の 信
般 に使 用 され て い る量
使 わ れ て い る 。 図4・48に
示 す よ う に,
り も 大 き い と 出 力 はOVと
な り,Eよ
な る。
図4・48
(2)サ
ン プ ル&ホ
ー ル ド回 路
ア ナ ロ グ 信 号 を 量 子 化 し,そ
変 換 回 路 に よ っ て デ ィ ジ タ ル 化 し て い る 間 に,も
れ をA/D
と の ア ナ ロ グ 信 号 が 変 化 し,
異 な る 量 子 化 の 値 に 移 っ て し ま う こ と が あ る 。 こ の よ う な 場 合,A/D変 は 正 し く 変 換 し た こ と に な ら な い 。こ れ を 避 け る に は,A/D変
換回路
換 回 路 の 前 段 に,
あ る 期 間 だ け 信 号 を 一 定 値 に 保 つ ホ ー ル ド機 能 を も つ 回 路 を 接 続 す れ ば よ い 。 こ れ に よ り,ホ
ー ル ド状 態 の 期 間 に 量 子 化 の 値 が 変 化 す る こ と は な く,そ
応 じ た 適 当 な 早 さ でA/D変 図4・49を い て,t=Tで
れ に
換 を行 う こ とが で き る。
用 い て サ ン プ ル&ホ
ー ル ド回 路 の 動 作 を 説 明 し て お こ う 。 図 に お
ア ナ ロ グ 信 号 妖 の が ホ ー ル ド さ れ る 。 こ の ホ ー ル ド状 態 がt0期
間 続 く。 そ し て,t=T+t0を を 出 力 す る 。t=2Tで
過 ぎ る と サ ン プ ル 状 態 と な り,ア 再 び ホ ー ル ド状 態 と な り,t0の
こ の よ う な 動 作 を サ ン プ ル&ホ ホ ー ル ド期 間t0の
間 は,ア
ナ ロ グ 入 力x(t)
間,x(2T)の
値 を保 つ 。
ー ル ド と い う。 ナ ロ グ 信 号 が 一 定 の ま ま で あ り,量
子 化 の値 が 変
図4・49
サ ン プ ル&ホ
化 す る こ と は な い 。 し た が っ て,こ
ール ド
の ホ ー ル ド期 間 に1回
のA/D変
換 を完 了 す
れ ば よ い こ とが わ か る 。 図4・50は
基 本 的 な サ ン プ ル&ホ
ー ル ド回 路 で あ る 。図 に お い て,ス イ ッ チ が
Sに 接 続 さ れ て い る 期 間 は,信 号 に 追 従 し て い る サ ン プ ル 状 態 で あ り,ス イ ッ チ がH側
の と き は,コ
ー ル ド状 態 と な る
ン デ ン サCの
電 荷 が 放 電 し な い 限 り,出 力 は 一 定 電 圧 で ホ
。 ス イ ッ チ は,論
図4・50
理 回路 で 発 生 す る ス イ ッ チ制 御 信 号 で 動 か
サ ン プ ル&ホ
ー ル ド回 路
す こ とが 多 い 。 例 え ば,論 理 「1」 の レベ ル でS側,論 側 とい う よ う に動 作 す る。 この場 合,A/D変 され た,つ
理 「0」 の レベ ル でH
換 回路 は,ス イ ッチ がH側
に接 続
ま り論 理 「1」 か ら 「0」 へ 変 化 し た瞬 間 か ら変 換 動 作 を開 始 す る
よ う制 御 す る。 (3) A/D変
換 回路の種 類
A/D変
換 回 路 に は い くつ か の 方 式 が あ る。
こ こで は,代 表 的 な もの と して,逐 次 近 似 方 式,二 重 積 分 方 式,並 の3つ
列変換 方式
に つ い て説 明 し よ う。
(a) 逐 次 近 似 方 式 に よ るA/D変
換 図4・51に 逐 次 近 似 方 式 に よ るA/D
図4・51 逐 次近 似 方 式 に よ るA/D変
換 回路 の ブ ロ ック図
変 換 回 路 の ブ ロ ッ ク図 を示 す。 入 力 電 圧 範 囲 は0∼V〔V〕 この 方 式 の 原 理 は,逐 次 近 似 用 レ ジ ス タ(SAR)の2進
と仮 定 す る。
状 態 をD/A変
れ と入 力 信 号 を比 較 し て,そ の 差 が 最 小 とな る よ うSARの
換 し,そ
状 態 を変 え る と い
う もの で あ る。 い ま,正 の 入 力 電 圧 が比 較 器 の 入 力 端 子 に加 わ った とす る。A/D変 ル ス に よ り,ま ず,SARのMSB(最 結 果,SARの
上 位 桁 の こ と を表 す)を1と
出 力 は100…0と
な る。 これ をD/A変
換開始 パ す る。 この
換 回路 に よ り ア
ナ ログ 量 に変 換 した もの を帰 還 信 号 と し,比 較 器 に よ っ て入 力電 圧 と比 較 す る。 この と き,比 較 器 の 出 力 が 高 レベ ル な ら ば,入 力 信 号 に比 べ て デ ィ ジ タ ル 信 号 が 不 足 して い る こ と にな る。そ こで上 位2番 に対 す るD/A変
目の 桁 も1と し,110…0
換 の 結 果 と比 較 を繰 り返 す 。 比 較 器 の 出 力 が 低 レ ベ ル に な っ
た とす る と,入 力 電 圧 が デ ィ ジ タ ル信 号 電 圧 よ り低 い とい う こ とで あ る。 この 場 合 に は,上 位2番
目 の 桁 を1か
1…0をD/A変
換 し,入 力 信 号 と比 較 す る。
この よ うに し て1桁 をA/D変 は,A/D変
ら0に 変 更 し,3番
目 まで 調 べ 尽 す と,SARの
目の 桁 を1と
し て,10
状 態 を 一 時 ホー ル ド し,そ れ
換 され た 信 号 と して 外 部 へ 供 給 す る。 外 部 の デ ィ ジ タル シ ス テ ム で 換 が1桁
目 まで 完 了 し,そ の状 態 が ホ ー ル ドさ れ て い る こ と を知 る
必 要 が あ る。 この 目的 の た め にA/D変
換 回路 か ら出 力 され る信 号 がE0Cと
い
う変 換 終 了 信 号 で あ る。 (b) 二 重 積 分 方 式 に よ るA/D変 図4・52で は,次
の3つ
換
の 条 件 が 成 り立 って い る とす る。
図4・52
二重 積 分 方式による A/D変
① ア ナ ロ グ ス イ ッ チ がIN側
に あ る 間,入
換
力 信 号 は ほ ぼ 一 定 で あ る。
② 入 力 信 号 は 正 の 電 圧 と す る 。 ③ 積 分 器 とnビ
ッ トの バ イ ナ リ カ ウ ン タ は,変
換 が 開 始 され る と き に零
に リセ ッ ト さ れ る 。 図 に 従 っ て 動 作 を 説 明 す る 。A/D変 続 さ れ,入
換 の 開 始 と 同 時 に ス イ ッチ は,IN側
に接
力 信 号 が 積 分 器 へ 加 え られ る。 入 力 信 号 は 正 の 電 圧 と し て い る か ら,
積 分 器 の 出 力 電 圧 は 負 へ 向 か っ て 図4・53の 積 分 器 の 出 力 は,比
よ う に直 線 的 に下 が る。
較 器 の マ イ ナ ス 端 子 に 接 続 さ れ て い る た め,比
較器 の出
力 は 高 レ ベ ル と な り,そ れ が カ ウ ン タ の 前 の ア ン ド ゲ ー トの 一 方 の 入 力 を 高 レ ベ ル とす る 。 そ の 結 果,ク
ロ ッ ク信 号 はバ イ ナ リ カ ウ ン タへ 入 力 され る。
ク ロ ッ ク 信 号 を カ ウ ン ト し た バ イ ナ リ カ ウ ン タ は,あ と,100…0と
な る 。 こ のMSB=1の
がREFド 側 へ 切 り替 え ら れ る 。今 度 は,負
る 時 間tsが
信 号 に よ っ て,入
経 過 する
力 部 の ス イ ッチ
の 基 準 電 圧 が 積 分 器 に 接 続 さ れ る た め,
積 分 器 の 出 力 は 正 の 方 向 へ 向 か っ て 直 線 的 に 増 加 し,時
間t0で
積 分 器 出 力=0
〔V〕と な る 。 そ の 瞬 間,比 較 器 の 出 力 は 低 レ ベ ル と な り,ク ロ ッ ク 信 号 用 の ア ン
図4・53
ド ゲ ー トを遮 断 す る。 以 上 の 結 果,バ イ ナ リ カ ウ ンタ は ホ ー ル ド状 態 とな り,そ のLSB(最 か ら(n-1)ビ
下 位 桁)
ッ ト目 ま で の 状 態 を入 力 ア ナ ロ グ信 号 の デ ィ ジ タ ル 出 力 と し て
取 り出 す こ とが で き る。動 作 原 理 か ら もわ か る よ う に,こ の タ イ プ のA/D変
換
は低 速 動 作 で あ り,デ ィ ジ タ ル ボル ト メ ー タ な ど に使 用 さ れ て い る。 (c) 並 列 方 式 に よ るA/D変
換
図4・54に 示 す よ う に,入 力 信 号 を 多 数
の 比 較 器 を用 い て一 度 に量 子 化 し,そ れ を符 号 器 に よ っ て デ ィ ジ タ ル 化 す る 方 式 で あ る。 回 路 素 子 の量 は非 常 に 多 くな る が,高 速 のA/D変
換 が 可 能 とな り,
図4・54 並 列 方式 に よ る A/D変 換
画 像 な どの 高 速 処 理 を必 要 とす る応 用 で 用 い られ る。 nビ
ッ トに 変 換 す る場 合,2n個
の 比 較 器 を 図 の よ う に配 置 し,各 々 の比 較 器
の 基 準 電 圧 を供 給 して お く。 す べ て の比 較 器 に入 力 信 号 を 同 時 に加 え る と,あ る番 号 まで の 比 較 器 の 出力 が 高 レベ ル で そ れ 以 後 の 比 較 器 の 出 力 は低 レ ベ ル と な る。 この 結 果,信
号 が どの レベ ル の範 囲 に あ る か が わ か る の で,そ
れ をデ ィ
ジ タ ル 量 に変 換 す る。 (4)
信 号 とサ ンプ リ ング
A/D変
換 回 路 に よ り,ア ナ ロ グ信 号 を デ ィ ジ
タ ル シ ス テ ム で 扱 う こ との で き る デ ー タ に変 換 で き る。 しか し,ど の ぐ らい の 割 合 でA/D変
換 す べ きか とい う問 題 が あ る。 これ に答 え る もの が 標 本 化 定 理
で あ る。 標 本 化 定 理 は,信 号 に含 まれ る最 高 周 波 数 成 分 の 少 な く と も2倍 以 上 の 早 さ でサ ン プ リン グ(デ
ー タ を取 り込 む こ と)を 行 わ な い と,折
が 生 じ,原 信 号 を再 生 で き な い とい う もの で あ る 。 例 え ば,ア
り返 し とい う現 象
号 が6kHzぐ
ナログの音声信
らい ま で の 成 分 を含 ん で い る と し,そ れ を デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム
に取 り込 み,何 等 か の処 理 を した い よ う な場 合,少 な く と も12kHz以 で次 々 とA/D変
上 の早 さ
換 を繰 り返 し,デ ー タの 取 り込 み を行 わ な け れ ば な ら な い。 こ
れ は,ア ナ ロ グ信 号 を デ ィ ジ タル 的 に処 理 す る場 合,非 常 に重 要 な概 念 で あ る。
演 〔問 題 〕1.
習
問
題
〔4〕
反 転 増 幅 器 に よ り増 幅 度 が25倍(28dB)の
8のR2を80kΩ
とす る と き,R1は
増 幅 器 を 作 りた い 。 図4・
い く らに す れ ば よ い か 。ま た,そ の と きの 入 力
イ ン ピー ダ ン ス は い く らか 。 答(R1=3.2〔kΩ
〔問 題 〕2.
図4・12でCの
得 られ る か 。
代 わ りに 抵 抗Rを
〕,入
力 イ ン ピ ー ダ ン ス3.2kΩ)
入 れ た と き,い か な る 入 ・出 力 関 係 が
〔問 題 〕3.
図4・7でZ1,Z2に
抵 抗R1を,
Z1f,
Z2fに
抵 抗R2を
な る入 ・出 力 関 係 が 得 られ る か 。
〔問 題 〕4. 〓 R2を
を 行 い た い 。 図4・12でC=0.5
い くらにすれ ば よいか。 答(R1=400〔kΩ
〔問 題〕5.
式(4・41)を
か
答〓
な る演算
〔μF〕 と す る と き,R1,
入 れ た と き,い
〕, R2=250〔kΩ
〕)
導 け。
〔問 題 〕6.
図4・35の
全 加 算 器 の 真 理 値 表 か ら 式(4・58)お
〔 問 題 〕7.
カル ノー マ ッ プ を 用 い て 次 式 を 簡 略 化 せ よ。
〔問 題 〕8.
〔例 題 〕4・13のRSフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ を 図4・55の
よ び 式(4・59)を
導 け。
よ うに変 形 した。 ど
図4・55
の よ うな 動 作 とな る か 説 明 せ よ 。 (ヒ ン ト:S=R=1の
〔 問 題 〕9.
と き の 動 作 に 注 目 せ よ。)
8ビ ッ トのD/A変
換 器 を オ ペ ア ン プ と抵 抗 回 路 網 を 用 い て 設 計 し,そ
の 回 路 を示 せ 。
〔 問 題 〕10.
正 の2進
数 で11101010を5進
数 に 変 換 さ よ。 答(1414)
第5章
エ ネ ル ギ ー変 換 機 器 とそ の応 用
この 章 で は,発 電 機,電
動機 お よび変圧 器 な どのエ ネル ギー変 換機 器 の
原 理,特
ら に サ イ リ ス タ や パ ワ ー トラ ン ジ ス タ な どの 半
性 な ど を学 び,さ
導 体 素 子 を用 い て 電 力 変 換 を 行 うパ ワー エ レ ク トロ ニ ク ス に つ い て 学 ぶ こ とにす る。
5・1 エ ネ ル ギ ー 変 換 機 器 の 種 類
〔1〕 発 電 機 と電 動 機 電 気 エ ネ ル ギ ー の 発 生 源 とい え ば,化 学 反 応 を用 い た電 池 が 身 近 な例 と して 思 い つ く。 しか し,こ れ か ら大 きい エ ネル ギ ー を長 時 間 に わ た っ て取 り出 す こ と はで き な い 。 工 場 や 家 庭 な どで 大 量 に消 費 され る電 力(電 気 エ ネ ル ギ ー)を 供 給 して い る の は,発 電 所 の発 電 機 で あ る。 これ は,第1章1・4節
で 述 べ た 「フ
レ ミン グ の右 手 の 法 則 」 を応 用 した 装 置 で あ り,水 車 や タ ー ビ ンな どの 原 動 機 に よ っ て磁 石 を回 転 させ,そ
の 周 囲 に配 置 さ れ た 導 体(コ
イ ル)に 電 気 エ ネ ル
ギ ー を発 生 さ せ る 。 なお,磁 石 を固 定 して コ イ ル を回 して もよ い 。 と こ ろ で,こ の 発 電 機 に逆 に電 力 を加 え る と,回 転 トル ク を発 生 す る。 これ は第1章1・4節
で 述 べ た 「フ レ ミン グ の左 手 の法 則 」 に従 う もの で あ り,こ れ
を電 動 機 と呼 ん で い る。 水 力 発 電 所 の 中 に は,発 電 機 を深 夜 に電 動 機 と して 回 し,水 を貯 水 池 に 汲 み 揚 げ る揚 水 発 電 所 もあ る。 い わ ば,発 電 機 も電 動 機 もそ の構 造 は 同 じで あ り,図5・1に
示 す よ うに,原 動 機 に よ って 供 給 され た 機 械 エ
ネ ル ギ ー を電 気 エ ネ ル ギ ー に変 換 す るの が 発 電 機,電
気 エ ネ ル ギ ー を与 え て機
械 エ ネ ル ギ ー を取 り出 す の が 電 動 機 で あ る。 した が っ て,こ れ らは 可 逆 的 に電
(a)発
(b)電
電機
動機
図5・1 電 気‐機械 エ ネ ルギ ー変 換 機 器
気‐ 機 械 エ ネ ル ギ ー 変 換 機 器 とい え る。な お,電 動 機 が 動 力 源 と して 広 く用 い ら れ て い る こ と は,身 近 な 電 車 や 家電 製 品 な どか ら容 易 に想 像 で き よ う。
〔2〕 変 圧 器 発 電 機 の発 生 エ ネ ル ギ ー を 消費 地 まで 送 る際,送
電 線 で の損 失 を 少 な くす る
た め に交 流 電 圧 は で き る だ け 高 くす る。 し か し,工 場 や 家 庭 で は この 高 電 圧 の ま まで は危 険 な た め,逆
に適 当 な 電 圧 に下 げ な け れ ば な らな い。 この よ う に電
圧 を高 め た り低 め た りす る た め の 装 置 が 変 圧 器 で,第1章1・4節
で 述 べ た 「フ
ァラ デ ー の 法 則 」 を応 用 して い る。 この 変 圧 器 は 電 柱 上 に よ く見 か け る し,テ レ ビや オ ー デ ィオ機 器 な どの電 源 部 に も使 用 さ れ て い る。
以 上 述 べ た発 電 機,電 動 機 お よ び変 圧 器 は電 気 機 器 と総 称 さ れ て い る が,こ れ らは電 磁 誘 導 現 象 を応 用 した エ ネル ギ ー変 換 機 器 で あ り,以 下,電 器 と呼 ぶ こ と と し,5・2節
磁誘導機
に お い て そ の 代 表 的 な機 器 につ い て 述 べ る。
〔3〕 パ ワ ー エ レク トロ ニ ク ス 電 力 の 形 態 に は 交 流 と直 流 とが あ る。 現 在,電
力 会 社 か ら送 られ て くる電 力
は交 流 で あ る た め,大 容 量 の直 流 を必 要 とす る分 野 で は,図5・2(a)に
示 す交流
を直 流 に変 換 す る(こ れ を順 変 換 と呼 ぶ)装 置 が 必 要 とな る。 さ らに,例 直 流 電 動機 を 可 変 速 運 転 す る場 合,こ
え ば,
の順 変 換 装 置 に は直 流 電 圧 を 自 由 に調 整
図5・2 順 変 換 と逆 変換
で き る機 能 ま で 要 求 され る。 か っ て,こ れ に 応 え られ る装 置 と して は,交 流 電 動 機 と直 流 発 電 機 を組 み 合 わ せ た 電 動 発 電機 が 用 い られ て い た 。 しか し,現 在 で は そ の 大 部 分 が サ イ リス タ を用 い た整 流 回 路 で 占 め られ て い る 。 サ イ リス タ は,図5・3に
示 す 図 記 号 と外 観 を もっ た電 力 用半 導 体 整 流 素 子 で
あ る 。 この 素 子 に交 流 を入 れ れ ば 直 流 が 出 て くるわ けで は な く,こ の 素 子 を組
図5・3
サ イ リ ス タ 素 子 とパ ワ ー
トラ ン ジ ス タ
み合 わ せ て 整 流 回路 を構 成 して は じ め て順 変 換 が で き る。 た だ し,サ イ リス ト を動 作 させ る た め に は,そ の ゲ ー ト端 子(G)に が,こ
パ ル ス を与 えな けれ ば な らな い
の パ ル ス を制 御 す る こ とに よ り,順 変 換 と同 時 に 出 力 側 の 直 流 電 圧 を 調
整 で きる 点 が,ダ
イ オ ー ド整 流 回路 に は な い 大 き な特 徴 で あ る。
さ らに,低 損 失 で大 電 流 を ス イ ッチ ン グ で き るサ イ リス タの 機 能 を い か し, これ らの 素 子 を組 み合 わ せ る こ とに よ り,図5・2(b)に 変 換(こ
示 す 直 流 か ら交 流 へ の
れ を逆 変 換 と呼 び,そ の 装 置 が イ ンバ ー タで あ る)や,一
可 変 電 圧 へ の 変 換,さ
定電圧 か ら
らに は 周 波 数 変 換 な ど,あ ら ゆ る形 態 の 電 力 変 換 が 可 能
とな っ た。 しか もそれ ぞ れ の 回 路 に適 した 特 殊 な サ イ リス タ 素 子 や 電 力 用 トラ ン ジ ス タ(パ ワー トラ ンジ ス タ と呼 ば れ て い る)の 開 発 も急速 に 進 ん で い る。 この よ うに,サ イ リス タ やパ ワー トラ ン ジ ス タ な どの 半 導 体 素 子 を用 い て電 力 変 換 を行 う分 野 をパ ワ ー エ レク トロニ ク ス と称 し,工 業 用 の大 出 力 装 置 の み な らず,家 電 製 品 に まで 普 及 して い る。 これ らの 動 作 原 理 は第5・3節
で述 べ る。
5・2 電 磁 誘 導機 器
〔1〕 分 類 と用 途 現 在 使 用 さ れ て い る代 表 的 な電 磁 誘 導 機 器 を分 類 す る と,次 の よ うに な る。 直流機 回転機
同期機 同期電 動機,同 期発電機 交流機
電 磁誘 導機 器 静 止器
直流電 動機,直 流発 電機
非 同期 機 誘導 電動 機 変圧 器
ま ず,回 転 部 の有 無 で 回 転 機 と静 止 器 とに分 け られ る。 回 転 機 は 電 気 エ ネ ル ギ ー の形 態 に よ り直流 機 と交 流 機 に,交 流 機 は 回 転速 度 が 電 源 周 波 数 に比 例 す るか 否 か で 同 期 機 と非 同期 機 に分 け られ る。 非 同 期機 は,さ
ら に誘 導 機 と整 流
子 機 に 分 類 で きる が,後 者 の 使 用 実 績 は 今 日 で は 少 な い た め,こ
こで は省 略 す
る こ とに す る。 また,回 転 機 全 般 に対 して発 電機 と電 動 機 の存 在 が 考 え られ る が,誘 導 発 電 機 は そ の 実 用 例 が 極 め て まれ な た め,同 様 に こ こで は省 略 す る。 以 下,各
々 に つ い て 概 説 す る。
(1) 直 流 機
直 流 電 動 機 は,直 流 電 力 を も ら って 機 械 動 力 を発 生 す る。
交 流 が供 給 さ れ て い る今 日 の電 力 状 況 下 で これ を 回 す に は,交 流 を直 流 に変 換 す る順 変 換 装 置 が 不 可 欠 で あ る。 さ らに,直 流 機 は整 流 子 とい う複 雑 な機 械 的 接 点 を も っ た構 造 で あ る た め,他 の 電 動 機 に比 べ て 高価 で あ り,保 守 が 面倒 で あ り,高 速 化 や 高 電 圧 化 が 困 難 な ど の 欠点 を 有 し て い る 。それ に もか か わ らず, 直 流 電 動 機 は様 々 な分 野 で 使 用 され て い る。 これ は,速 度 制 御 が 容 易 に,し か も高 精度 に行 え るた め で あ る。 か つ て可 変 速 電 動 機 とい え ば,こ の 直 流 電 動機 が独 占的 で あ った 。数 千kWも
の 大 容 量 機 が 製 鉄 工 場 に お け る圧 延 用 ミル を回
して お り,ま た 電 車 用 電 動 機 の ほ とん どが この 直 流電 動 機 で あ る。 さ らに,精 度 が 要 求 さ れ る工 作 機 械 や 最 近 の ロ ボ ッ トで も,こ の 直 流 機 の 一 種 で あ るサ ー ボ モ ー タが 駆 動 部 を受 け も っ て い る。 一 方,直 流 発 電 機 は,最
も歴 史 が 古 く,か つ て は 直 流 電 力 の発 生 源 と して 使
わ れ て い た。 しか し,次 節 で 述 べ るパ ワー エ レク トロニ ク ス の 分 野 で サ イ リス タ を用 い た直 流 電 源 が 普 及 す る に つれ て,直 流 発 電 機 の 需 要 は 急 減 して い る。 (2) 同 期 機
同 期 電 動機 は,交 流 電 源 の 周 波数 に比 例 した 回 転 速 度 で 回
転 す る。 した が っ て,50あ
る い は60Hzの
商 用 周 波 数 の 交 流 を加 え る 限 り,負
荷 の 軽 重 に無 関 係 な定 速 度 電 動 機 とな り,紡 績 関 係 な ど一 定 回 転 を必 要 とす る 分 野 に 用 い られ て い る。 さ ら に,パ ワ ー エ レ ク トロ ニ ク ス に よ って 開 発 が進 ん だ 可 変 周 波 数 電 源 を用 い れ ば,同 期 電 動 機 を可 変 速 電 動 機 と して 運 転 す る こ と もで き る。 ま た,発 電 所 の 発 電 機 は ほ とん ど同 期 発 電 機 で あ り,数 千kVAか kVAの (3)誘
ら百 万
大 容 量 機 が,日 夜 交 流電 力 を供 給 し続 け て い る。 導機
誘 導 電 動機 は,交 流 電 源 の 相 数 に よ っ て,三 相 機 と単 相 機
に分 け られ る。 工 場 の よ う に三 相 交 流 が送 られ て い る場 所 で は,大 得 られ る三 相 誘 導 電 動 機 が 用 い られ る。現 在,数kWか
ら数 千kWま
きな 出 力 を で の電 動
機 が 生産 され て お り,ポ ンプ,送 風 機,コ
ンベ ア な ど,そ の 用 途 は 多 岐 多 様 に
渡 り,そ の 出 力 を 総 計 す る と他 の 電 動 機 を 圧倒 的 に引 き離 して い る。 家 庭 や オ フ ィス の よ う に単 相 交 流 しか得 られ な い場 合 に は,単 相 誘 導 電 動 機 を用 い る 。 そ の 出 力 は数Wか
らせ いぜ い 数 百W程
度 の 小 容 量 で あ る が,扇 風 機,洗 濯 機,
冷 蔵 庫 な どの 家電 製 品 の 動 力 源 と して,そ の 生 産 台 数 は群 を抜 き ん で て い る 。 この誘 導 電 動 機 は 丈 夫 で安 価,高
効 率 で は あ るが,か
つては速度制御 の困 難
な電 動機 とみ な され て い た。 しか し,パ ワ ー エ レ ク トロニ クス にお け る イ ンバ ー タ の 著 し い発 達 に よ っ て可 変 周 波 数 電 源 が 普 及 し,誘 導電 動 機 の 可変 速 運 転 が可 能 と な っ た。 この 結 果,既 設 の 誘 導 電 動機 の 省 エ ネ ル ギ ー 化 が 進 み,さ
ら
に高 精 度 可 変 速 ドラ イ ブ の分 野 で も誘 導 電 動機 が 直 流 電 動 機 に とっ て か わ りつ つ あ る。 (4) 変 圧 器
静 止 器 に は移 相 器 や 分 路 リア ク トル な ど も あ る が,使 用 実
績 か らい っ て変 圧 器 が 代 表 とい え よ う。 変 圧 器 は交 流 電 圧 を昇 圧 あ るい は降 圧 で き,数kVAか
ら数 十 万kVAが
送 配 電 系 統 に使 用 され て お り,さ らに 各 種 装
置 の電 源 部 に も数 多 く組 み込 まれ て い る。 以 上 の 電 磁 誘 導機 器 の 中 で,比 較 的 実 用 例 が 多 く,特 に重 要 と考 え られ る 直 流 電 動機,誘
導電 動機 お よ び変 圧 器 に つ い て,次 項 以 降 で そ の 原 理 や特 性 を 述
べ る。
〔2〕 直 流 電 動 機 (1)
原理
に お い て,電
図5・4は,直 流Iaは
ル 辺A2→
整 流 子C2→
A1,A2は
磁 極N,Sに
流 電 動 機 の 動 作 原 理 を 示 し た も の で あ る 。 図(a)
直 流 電 源V→
ブ ラ シB1→
ブ ラ シB2→Vの
整 流 子C1,→
これ に よ り トル クTが
は 下 向 き の, A2に
示 す よ う に,フ は 上 向 き の 力fが
レミング 作 用 し,
発 生 し て コ イ ル は 反 時 計 方 向 に 回 転 す る 。 コ イ ル が 図(a)
の 位 置 か ら180° 回 転 す る と コ イ ル 辺 の 位 置 は 左 右 逆 と な り,電 経 路 はV→B1→
コイ
経 路 を 通 っ て 流 れ る 。 この と き コ イ ル 辺
よ る磁 界 中 に あ る の で,図(b)に
の 左 手 の 法 則 よ り コ イ ル 辺A1に
コ イ ル 辺A1→
整 流 子C2→
コ イ ル 辺A2→
コ イ ル 辺A1→
流Iaの
流 れ る
整 流 子C1→B2→Vと
図5・4 直流 電 動機 の動 作 原 理
な るが,ト
ル ク の 方 向 はや は り変 わ らず,コ
イル は 回 転 し続 け る。 これ が 直 流
電 動機 の 動 作 原 理 で あ る。 した が っ て,直 流 電 動 機 は 直 流 電 源 よ りブ ラ シ を経 て コ イル に電 気 エ ネ ル ギ ー の 供 給 を受 け,こ れ を 回転 エ ネ ル ギ ー に変 換 す る 回 転 機 械 で あ る とい う こ とが で き る。 さて,図5・4(a)に
お い て,電 流Iaの
流 れ る 回路 を電 機 子 回路 とい い,こ の
回路 に 流 れ る電 流 を電 機 子電 流 とい う。 この 電 機 子 電 流 は,オ ー ムの 法 則 に よ り,〓(Ra:回 ば,〓
路 全 体 の抵 抗 で,か な り小 さ い)で 定 ま る とす る と,例 え の と き,〓
もの 電 流 が 流 れ る こ
とに な る.し か し実 際 に は,電 動 機 が 回 転 し て い る限 りに お い て は これ よ りか な り小 さい 電 機 子 電 流 が 流 れ る。 こ れ は,導 体(コ 転)す る と,フ レ ミ ング の 右 手 の法 則 に よ り,ち
イ ル)が 磁 界 中 を運 動(回
ょ う ど電 流Iaの 流 れ を妨 げ る
方 向 に逆 起 電 力 が発 生 す る か らで あ る。この 逆 起 電 力 をE0と
す る と,次 式 が成
立 す る。 (5・1)
た だ し,E0は 回 転 角速 度ωm,電 機 子 コ イ ル の磁 束 鎖 交 数Ψaな
ど に比 例 し,
次 式 で 表 せ る。 (5・2)
こ こ で,p は 磁 極 の 極 対 数 で,例
え ば,図5・4の
場 合 の 磁 極 は2個
あ る か ら,p
図5・5 等価 回路
=1で
あ る 。 式(5・1)よ
り,図5・5の
よ うな 直 流 電 動機 の 等 価 回 路 が 得 られ る。
〔例 題 〕5・1 2極 の 直 流 電 動 機 の 電 機 子 回 路 に100Vの た と こ ろ,1500rpmで 子 電 流Iaを
回 転 し た 。 こ の と き の(a)逆
求 め よ 。 た だ し,電
交 数Ψa=0.605〔Wb〕
式(5・1)よ
さ て,式(5・1)の
起 電 力E0,(b)電
機
Ω〕,電 機 子 コ イ ル の 磁 束 鎖
とす る 。
〔解 答 〕 (a) 式(5・2)よ
(b)
機 子 抵 抗Ra=0.5〔
直流 電圧 を印 加 し
り,
り,
両 辺 にIaを
乗 じ る と,次
式 が 得 られ る 。 (5・3)
上 式 の左 辺 は直 流 電 源 か ら供 給 され る 直 流 電 力,右 辺 第2項 消 費 され る電 力(電 機 子 銅 損)で あ るか ら,右 辺 第1項 のE0Iaは
は電機子 抵抗 で 回転 エネ ルギ
ー す な わ ち機 械 的仕 事 に変 換 され る電 力 とな る。 この 機 械 出 力PMは 度 ωmと 電 動 機 の発 生 す る トル クTと
回転 角速
の積 で あ るか ら, (5・4)
上 式 のE0に
式(5・2)を 代 入 し,ト
ル ク を求 め る と次 式 が 得 られ る。 (5・5)
この 式(5・5)で 与 え られ る トル クが 負荷 トル クTLに 定 の 回 転 速 度 で 回 転 を続 け るの で あ る。
等 しい と き,電 動 機 は 一
〔 例 題 〕5・2〔
例 題 〕5・1の 場 合 の,電
〔 解 答〕
式(5・5)よ
り,
〔 別 解〕
式(5・4)よ
り,
(2) 励 磁 方 式
動 機 の 発 生 トル クTを
求 め よ。
直 流 電 動 機 を外 か ら見 る と,例 え ば,図5・6の
って い る。図 のAHJKの4つ
よ うに な
の端 子 は,外 部 か ら電 力 を供 給 す べ き端 子 と考 え
図5・6 直 流電 動 機
られ るが,図5・4で
は,こ の よ う な端 子 は コ イ ル に電 気 エ ネ ル ギ ー を送 る2つ
の 端 子 の み で十 分 の は ず で あ る。 残 りの2つ か?。
これ は,通 常,磁
の端 子 は何 の た め に あ る の だ ろ う
極 は電 磁 石 を用 い て つ く るの で,そ の た め に 必 要 とな
る の で あ る。 も ち ろん 永 久 磁 石 を使 用 す れ ば,こ 電 磁 石 に よ り磁 極 を つ くる 方 法,す
れ は 不 要 とな る。
な わ ち励 磁 方 法 は,界 磁 鉄 心 に巻 い た 界
磁 巻 線 に どの よ うな 電 流 を い か な る電 源 か ら供 給 す る か に よ っ て,次 の よ う に 分 類 で き る。
他励式 電磁 石 に よる励 磁 方式
分巻式 自励 式 直巻式
複 巻式 以 下,こ
れ らの 方 式 に つ い て説 明 し よ う。
他 励 式 この 方 式 は,図5・7の
よ うに,電 機 子 回 路 の電 源 と は全 く別 の 直 流
図5・7 他 励 式
電 源 を用 意 し,こ れ よ り界 磁 巻 線 に界 磁 電 流Ifを 流 す もの で あ る。 自励 式 図5・8に 示 す よ う に,界 磁 回路 の 電 源 は い ず れ も電 機 子 と同 一 の 電 源 か ら と る方 式 で あ る。 分 巻 式 は,図(a)の
図5・8
並 列 に接 続 し,図 の 抵 抗Rfを す る方 式 で あ る。 また,図(b)は
よ うに,界 磁 回路 を電 機 子 回 路 に
自励 式
調 節 す る こ とに よ り界磁 電 流Ifの
大 きさ を加 減
直 巻 式 を示 し,こ れ は界 磁 巻 線 に直 接 電 機 子
電 流 を流 す 方 式 で あ る。 さ ら に,複 巻 式 は上 述 の 分 巻 式 と直 巻 式 とを組 み 合 わ せ た もの で,分
巻 界 磁 巻 線 と直 巻 界 磁 巻 線 を併 用 す る 方 式 で あ る。 な お,直 流
電 動 機 は これ ら採 用 さ れ る励 磁 法 に応 じて,そ れ ぞ れ 他励(直 巻 電 動 機,直
巻 電 動 機,複
巻 電 動 機 な ど と呼 ばれ る。
流)電 動 機,分
これ らの 励 磁 方 式 は,負 荷 す な わ ち被 駆 動 機 の 要 求 す る トル ク特 性 に応 じて 選定 され る。
(3) 速 度 制 御 法
直 流 電 動 機 は速 度 を 自由 に変 化 す る こ との で き る 可変
速電 動 機 で あ る か ら,速 度 が 何 に よ り調 整 で き るか を知 る こ と は極 め て 重 要 で あ る。 こ こ で は まず,他 励 電 動 機 の 速 度 制 御 法 に つ い て考 えて み よ う。 直 流 機 の 回転 角速 度 は,式(5・1)に 式(5・2)を 代 入 し て変 形 す れ ば,次 式 の よ う に求 め られ る。 (5・6) 上 式 中 のIaは,式(5・5)に て 負 荷 トル クTLに
示 し た よ う に,電
比 例 す る か ら,式(5・6)は
動 機 の 発 生 トル クT,し さ ら に 式(5・7)の
たが っ
よ う に変 形 で き
る。
(5・7)
さ て,式(5・6)お
よ び 式(5・7)のΨaは,す
磁 束 鎖 交 数 で あ る が,こ
で に 述 べ た よ う に,電 機 子 コ イ ル の
れ は 界 磁 電 流Ifを
用 い て次 式 に よ り表 せ る。 (5・8)
た だ し,M
は 電 機 子 巻 線 と 界 磁 巻 線 との 相 互 イ ン ダ ク タ ン ス で あ る 。
式(5・8)を 式(5・7)に 代 入 す る と,次
式 が 得 ら れ る。 (5・9)
この 式(5・9)よ り,速 度ωmを 制 御 す る に は, ① 電 機 子 電 圧Vを
調 整 す る。
② 界 磁 電 流Ifを 調 整 す る。 ③ Raに 直 列 に抵 抗Rを
挿 入 し,そ れ を調 整 す る。
の3種 類 の 方 法 が あ る こ とが わ か る。 ① の 方 法 は レオ ナ ー ド法 と呼 ばれ,速 度ωmが 電 源 電 圧Vに とか ら,速 度 制 御 が 容 易 で 広 く用 い ら れ て い る。図5・9(a)は,界 メ ー タ と したωm-V特
ほぼ比例 す る こ 磁 電 流 をパ ラ
性 を示 した もの で,Ifを 一 定 とす る と,ωmはVに
比例
図5・9 他励 電 動 機 の速 度 特 性
す る。 ま た,同 一 のV
に対 して は,ωmはIfの
② の 方 法 は,図5・9(b)に
示 す よ うに,Ifの
小 さ い ほ ど大 き くな る。 減 少 に伴 い ωmが 増 加 す る が,If
を極 端 に 減 少 す る と速 度 が大 幅 に変 化 し不 安 定 に な りや す い。 また,運 転 中 に 図5・7の 界 磁 電 圧Vf(し
た が っ てIf)を 誤 っ て零 に し な い よ う,十 分 注 意 し な
けれ ば な ら な い 。 ③ の 方 法 は,電 機 子 電 圧Vも とい え るが,i)負
界 磁 電 流Ifも 調 整 す る必 要 が な く,簡 易 な 方 法
荷 トル クTLが
あ ま り広 く取 れ な い,ⅱ)効
小 さ い と き は,式(5・9)よ り,速 度 の変 化 幅 を
率 が 悪 い,な
〔 例 題 〕5・3 定 格10kW,200V,電 を 負 っ て1500rpmで
どの 欠 点 が あ る。
機 子 抵 抗0.2Ω
回 転 し て い る 。 こ の と き の 電 機 子 電 流Ia=50〔A〕
荷 トル ク は 速 度 に よ ら ず 一 定 と す る 。(1)機 ル ク は 何kg・mか か 。(4)負 を 何Vに
の 他 励 電 動機 が あ る 負 荷
。(3)負
械 出 力 は 何Wか
で,負
。(2)発
生 ト
荷 トル ク が 零 に な れ ば 回 転 速 度 は 何rpmに
な る
荷 トル ク を 変 え ず に 回 転 速 度 を750rpmに
す る に は,電
機子電 圧
すれ ばよいか。
〔解 答 〕(1)
PM=E0Ia=(200-0.2×50)×50=9500〔W〕
(2)
T=E0Ia/ωm=190×50/157=60.5〔N・m〕=6.17〔kg・m〕
(3)
Ia=0と
な る か ら, V=E0=200〔V〕
。E0と
回 転 速 度 は 比 例 す る か ら,
N=1500×(200/190)=1579〔rpm〕 (4)750rpmの よ い か ら,電
と き の 逆 起 電 力E0'=190×(750/1500)=95〔V〕
にな れ ば
機 子 電 圧V'は,
分 巻 電 動 機 の 速 度 制 御 法 は,図5・8(a)のRfを
変 化 す る こ と に よ りIfを
調
整 で き る か ら,こ れ ま で 述 べ て き た 他 励 電 動 機 の 場 合 と同 じ よ う に 考 え て よ い 。 直 巻 電 動 機 で は 界 磁 巻 線 に 電 機 子 電 流Iaが TL)は,式(5・5)に
式(5・8)を
代 入 し,If=Ia=Iと
流 れ る か ら,発 お い て,次
生 ト ル クT(=
式 の よ う に表 せ る。 (5・10)
あ る い は, (5・11)
こ れ を 式(5・9)に 代 入 す る と, (5・12)
式(5・12)よ り,直 巻 電 動 機 の 回 転 速 度 を制 御 す る に は, ① Vを 調 整 す る レ オ ナ ー ド法 ② 電 機 子 直 列 抵 抗 調 整 法 な どの 方 法 の あ る こ とが わ か る。さ ら に,同 式 よ り速 度-ト ル ク特 性 を求 め る と 図5・10の よ う に な る 。これ よ り負 荷 トル クの 減 少 と と も に速 度 が 上 昇 し,無 負
図5・10 直巻 電 動機 の速 度-ト ル ク特 性
荷 時(負 荷 トル クTL=0)に
な る と速 度 無 限 大 とな る か ら,こ の よ うな場 合 の 運
転 は 避 け な けれ ば な らな い 。 した が っ て,直 巻 電 動 機 は一 般 動 力 用 に は 不 向 き で,も
っ ぱ ら電 車 や 荷 役 機 械 な どの 駆 動 に 用 い られ る。
〔 例 題 〕5・4 直 巻 電 動 機 が あ り,供 500rpmで
給 電 圧500V,電
rpmに
回 転 し て い る 。 電 機 子 電 流 が20Aに な る か 。 た だ し,電
〔 解 答 〕Ia=100〔A〕
機 子 電 流100Aの
とき
な っ た と す る と,回 転 速 度 は 何
機 子 な ら び に 界 磁 巻 線 の 全 抵 抗 は0.5Ω
とす る。
の 時 の 逆 起 電 力E0は,
E0=500-0.5×100=450〔V〕 と な る か ら, pM=E0/(Iωm)=450/(100×52.4)=0.086〔H〕 Ia=20〔A〕
と な る と 逆 起 電 力E0'は, E0'=500-0.5×20=490〔V〕
に な る か ら,こ
の と き の 回 転 速 度ωm'は,
ωm '=490/(0
(4)始
動法
.086×20)=285〔rad/s〕=2722〔rpm〕
図5・11は,分 巻 電 動 機 を始 動 す る場 合 の 結 線 図 を示 した も
ので あ る。 電 動 機 の 始 動 時 に は,逆 起 電 力E0=0(式(5・2)参 図 の 始 動 抵 抗Rsを
照)で あ る か ら,
挿 入 し な い場 合,電 機 子 回路 には 電 源 電 圧Vの
印 加 直 後 にV
/Raの 非 常 に 大 き な電 流 が 流 入 し,そ の 結 果,電 機 子 コイ ル や 電 源 そ の 他 に 悪
図5・11 分 巻電 動 機 の始 動 法
い影 響 を与 え る こ とに な る 。 そ こで,始 動 電 流 が 過 大 に な らな い よ う,図 に示 す位 置 に始 動 抵 抗Rsを て きた らRsを
挿 入 す る の で あ る 。 電 動 機 が 始 動 し回 転 速 度 が 上 昇 し
次 第 に減 少 させ て,定 常 運 転 状 態 で はRs=0と
す る。
他 励 電 動 機 や 直 巻 電 動 機 の 始 動 も同様 な方 法 で 行 う。
〔3〕 変 圧 器 (1) 変 圧 器 の 原 理
変 圧 器 は,あ
る交 流電 圧 を大 き さの 異 な る 同 一 周 波
数 の 交 流 電 圧 に変 換 す る静 止 エ ネ ル ギ ー 変 換 機 器 で あ り,図5・12に そ の 原 理 図 を示 す 。 こ こで は,ま ず 変 圧 器 の基 礎 特 性 を 理解 す る た め,鉄 心 の磁 気 抵 抗 が 零(透 磁 率 μ=∞)で,か
つ,す
べ て の 損 失 を 無視 し た理 想 変 圧 器 に つ い て 考 察
し よ う。
図5・12 変圧 器 の 原理
図5・12の
一 次 側 に 交 流 電 圧υ 1を 印 加 す る と,鉄 心 中 に 磁 束 φ が 生 じ*,こ
と き 一 次 巻 線 に は,フ
ァ ラ デ ー の 法 則(式(1・62)参
る 方 向 に 次 式 で 与 え ら れ る 逆 起 電 力e1が
照)に
よ り,φ
の
の 変 化 を妨 げ
誘 導 さ れ る。 (5・13)
* 磁 束 φ を生 ず る ため に は
,一 次巻 線 に電 流(こ れ を励 磁 電 流 とい う)が 流 れな けれ ばな ら
な いが,鉄 心 の磁 気 抵 抗が 零 で あ る ため 励磁 電 流 は零 とな る。
これ は電 源 電 圧 と等 しい か ら,次 式 が成 り立 つ 。 (5・14)
い ま,一
次 電 圧 をυ1=√2V cos ωtと
お く と,
(5・15)
た だ し,
(5・16)
式(5・16)よ り,鉄 心 中 の磁 束 は印 加 電 圧 に よ り決 定 され る こ とが わ か る。 一 方,二 次 巻 線 に も一 次 巻 線 の 鎖 交 磁 束 と同 じ磁 束 が鎖 交 す るか ら,次 式 で 与 え られ る起 電 力 が 誘 導 さ れ る。 (5・17)
式(5・17)に
式(5・15)を
代 入 し て 整 理 す る と,
(5・18)
あ る い は,フ
ェ ー ザ(式(2・38)参
照)で
表 示 し て,
(5・19)
た だ し,〓 式(5・18)あ
巻数比
る い は 式(5・19)よ
り,二
(5・20)
次 側 に も一 次 印 加 電 圧 と 同 位 相 の 電 圧 が
誘 導 さ れ,そ の 大 き さ は 一 次 電 圧 の 大 き さ と巻 数 比 に よ り決 ま る こ と が わ か る 。 次 に,図5・13に
お い て,ス
イ ッ チSを
閉 じ る と,二 次 側 に はI2=E2/ZLの
流 が 流 れ る こ と に な る 。 こ の と き 鉄 心 中 の 磁 束 はI2に
電
よ り減 少 す る も の と 考
図5・13 理 想変 圧 器
え が ち で あ るが,実 際 に は 変 化 しな い 。 そ れ は,す で に説 明 し た よ う に,磁 束 は 印加 電 圧 の み に よ り決 定 され る か らで あ る 。そ こで,二 次 電 流I2に
よ る起 磁
力 を打 ち消 す よ う に 一次 側 か ら一 次 負 荷 電 流I1’ が 流 入 して,磁 束 は 一 定 に 保 た れ る こ と にな る。 した が っ て, (5・21)
式(5・19),式(5・21)よ
り,一 次 側 の 皮 相 電 力 を 求 め る と,次
式 の よ う に な る。 (5・22)
上 式 よ り,一
次,二
次 の 皮 相 電 力 は 相 等 し い こ と が 明 らか で あ る 。
以 上 の 結 果 を も と に,理 び 式(5・21)よ
想 変 圧 器 の 等 価 回 路 を 求 め て み よ う。 式(5・19)お
よ
り,
(5・23)
式(5・23)よ
り,図5・14(a)の
よ うな 一 次 側 か らみ た等 価 回 路 が 得 られ る。
同 様 に し て,二 次 側 か ら み た 等 価 回 路 を 求 め る と,図5・14(b)の
よ う に な る。
図5・14 等 価 回路
〔例 題 〕5・5 出 力3kVA,一 使 用 す る 場 合 の,(1)
次 電 圧3000V,巻
一 次 電 流,(2)
数 比15の
二 次 電 流,(3)
荷 イ ン ピ ー ダ ン ス の 大 き さ を求 め よ 。 た だ し,変
変圧 器 を 全 負 荷 で 二 次 電 圧,(4)
圧 器 は理 想 変 圧 器 とす る。
負
〔解 答 〕(1)
V1I1'=3000〔VA〕
(2)
I2=aI1'=15×1=15〔A〕
(3)
E2=V1/a=3000/15=200〔V〕
(4)
ZL=E2/I2=200/15=13.33〔
よ り,I1'=3000/3000=1〔A〕
Ω〕
〔 例 題 〕5・6 図5・15(a)で,R2で
消 費 さ れ る 電 力 を 最 大 に す る た め に はR2
を 何 Ω に す れ ば よ い か 。 ま た,そ
の と き の 消 費 電 力 は 何Wか
。
図5・15 整合 変圧 器
〔解 答 〕
図5・15(a)を
な る 。 こ れ よ りR2で
一 次 換 算 の 等 価 回 路 で 表 す と,図5・15(b)の 消 費 さ れ る 電 力Pを
〓つ ま り
こ の と きR2で
〓の と きPは
よ うに
求 め る と,
最 大 に な る か ら,
消 費 さ れ る 電 力 は,
P=1002/(4R1)=25〔W〕
この よ うに,負 荷 か ら取 り出 され る電 力 が最 大 に な る よ うに 負 荷 イ ン ピー ダ ンス を選 ぶ こ と(一 定 負 荷 に つ い て は,巻 数 比 を選 ぶ こ と)を イ ン ピー ダ ン ス 整 合 と い い,ま た この よ う な 目的 で 用 い られ る変 圧 器 を整 合 変圧 器 とい う。 (2) 実 際 の 変 圧 器
実 際 の変 圧 器 は,(1)磁
束 φ を作 るた め の磁 化 電
流(φ と同位 相)が 流 れ る。(2)鉄
心 の ヒス テ リシ ス現 象 に基 づ く ヒス テ リシ
ス損 や,う ず 電 流 に起 因 す る うず 電 流 損 な どの鉄 損 が 発 生 す る 。(3)一 二次 巻 線 自 身 の抵 抗 や,そ
次,
れ ぞ れ の 巻線 だ け に鎖 交 す る漏 れ磁 束 に起 因 す る漏
れ リア ク タ ンス な どが存 在 す る。 な どの 点 で 理 想 変 圧 器 と異 な る 。 そ こで,図5・13の
理 想 変 圧 器 を も と に実 際 の変 圧 器 の 回 路 を 求 め る と,図5・
16の よ う に な る。同 図 で 中央 の 破 線 に囲 まれ た部 分 が 理 想 変 圧 器 に相 当 す る。 そ れ ぞ れ,r1,r2は
一 次,二 次 巻 線 の抵 抗,x1,x2は
ア クタ ン ス で あ る。 さ ら に,g0は
一 次,二
次巻線 の漏れ リ
鉄 損 に相 当 す る有 効 電 流,す
な わ ち鉄 損 電 流
Iwの 流 れ る励 磁 コ ン ダ ク タ ン ス,b0は 印 加 電 圧 よ り90°位 相 の 遅 れ た磁 化 電 流 Iμの 流 れ る励 磁 サ セ プ タ ンス で,こ れ を合 成 し たY0=g0-jb0を ンス とい い,ま たI0=Iw+Iμ
励磁 ア ドミタ
を励 磁 電 流 あ る い は 無 負 荷 時 に も流 れ る意 味 で無
負荷 電 流 とい う。
図5・16
図5・16で,一
実 際 の変 圧 器
次 漏 れ イ ン ピー ダ ン スr1+jx1に
よ る影 響 は小 さい の で,計 算
を容 易 に す るた め励 磁 電 流 の 流 れ る 回路 を これ の 左 側 に移 動 し た う えで,図5・ 14(a)と
同様 な一 次 換 算 等 価 回路 を求 め る と,図5・17の よ うな 実 際 の 変 圧 器 の
等 価 回路 が 得 られ る。 この 等 価 回路 を用 い て 変 圧 器 の種 々 な 特 性 を計 算 す る こ とが で き る。
図5・17 実 際 の 変圧 器 の 等価 回路
〔例 題 〕5・7 定 格 出 力10kVAの の銅 損 は200W,鉄
損50Wで
変 圧 器 が あ る。 負 荷 力 率100%で
あ る。(1)25%負
全負荷時
荷 時 の 効 率 は い く らか。(2)
効 率 は 何%負 荷 の 時 最 大 に な るか 。 た だ し,い ず れ の 場 合 も負 荷 力 率 は100% とす る。 〔 解 答 〕(1)
効 率 ηは,
η=出 力/入 力=出
力/(出
力+損
失)=出
力/(出 力+鉄 損+銅 損)
で表 され る。 25%負
荷 の と き 銅 損pcは200×(0.25)2=12.5〔W〕
と な る が,鉄
損piは
変 わ
ら な い か ら,
(2) 〓 ま りpi(鉄
と 変 形 で き る か ら,〓 損)=I2'2R(銅
率 と す る と,pc=50=200×m2よ
損)の
の と き,つ
と き η は 最 大 と な る 。 し た が っ て,mを り,m=0.5と
な る 。 つ ま り,50%負
負荷
荷 の とき
効 率 は最 大 とな る。
〔4〕 誘 導 電 動 機 (1) 原 理
図5・18に 示 す よ うに,か ご形 を した 導 体 の外 側 に 回 転 で き る
構 造 の 磁 極 を配 置 し,こ れ を時 計 方 向 に回 転 させ る と,フ レ ミ ング の右 手 の 法
図5・18 誘 導 電 動機 の原理
則 に よ り,N極
の 近 傍 に あ る 導体 に は◎ 方 向 の,S極
の それ に は〓 方 向 の起 電
力が 誘 導 され る 。 この起 電 力 に よ り,端 絡 環 で短 絡 され た か ご形 導 体 に誘 導 電 流 が 流 れ る こ と と な る が,か
ご 形 導 体 は磁 極 に よ る磁 界 中 に あ る か ら,フ
ング の左 手 の 法 則 に よ り,こ れ に 磁 極 の 回 転 方 向 と同 方 向 の電 磁 力(ト
レミ
ル ク)
が作 用 して 回転 子 は 回転 す る。 しか しな が ら,こ の ま まで は電 動 機 とな り得 な い。 な ぜ な ら ば,回 転 子 を 回 転 させ るた め に 磁 極 も回 転 し な け れ ば な らな いか らで あ る。 そ こ で,三 相 交 流 を用 い て 回転 す る磁 極(回 転 磁 界)を
電 気 的 に発
生 させ る 方 法 が 考 案 され た。 図5・19に,三
相 交 流 に よ る 回転 磁 界 の 発 生 原 理 を 示 す 。図(a)の
定 子 鉄 心 にa,b,cの3巻 巻 き,こ れ に 図(b)の
線(一 次 巻 線)を そ れ ぞ れ120° ず つ位 相 を ず ら し て 三 相 交 流 電 流 を流 す と,図(c)に
生 す る。す な わ ち,図(b)の は-Im/2の
よ うに,固
時 刻t=t1で
は,a巻
示 す よ うな 起 磁 力 が 発
線 にIm,bな
らび にc巻 線 に
電 流 が 流 れ るか ら,こ れ らの電 流 に よ っ て生 ず る起 磁 力 をベ ク トル
的 に 合 成 した もの は,図(c)のF0の す る。同様 に して,t=t2,t3,t4に 巻線 軸 とそ の と きの 合 成 起 磁 力(磁 と も に回 転 す る こ と,さ
よ うに な り,そ の 方 向 はa巻 線 の 軸 と一 致 つ い て調 べ て み る と,巻 線 電 流 が 最 大 とな る 界)の 方 向 は 一 致 し,磁 界 は時 間 の 経 過 と
ら に磁 界 の1回 転 に要 す る時 間 は ち ょ う ど交 流 電 流 の
1周 期 と一 致 す る こ とな どが わ か る。 また,図(d)は,t=t1の
瞬 時 の磁 束 分 布
図5・19 三相 交 流 に よ る回転 磁 界 の発 生
を示 し,N,Sの2極
が 形 成 さ れ て い る こ とが 明 か で あ る。以 上 に よ り,三 相 巻
線 に三 相 交 流 電 流 を流 す こ と に よ り,回 転 磁 界 の 発 生 す る こ とが 明 か とな っ た 。 図5・18の 回 転 磁 極 を図5・19(a)の
よ うな 三 相 巻 線 を もつ 固 定 子 に置 き換 え た
のが三相誘導電 動機 である。
〔 例 題 〕5・8図 回 転 速 度 は 何rpmか
5・19で,三 。
相 交 流 電 流 の 周 波 数 が50Hzの
と き,回 転 磁 界 の
〔 解答 〕
回 転 磁 界 は1秒
間 に50回
(2) 同期 速 度 とす べリ 6極,…
転 す る か ら,50×60=3000〔rpm〕
図5・19に は2極 の誘 導電 動機 を示 した が,4極,
な ど極 数 の 多 い誘 導 機 も固 定 子 巻 線 の 数 や配 置 な どを 変 更 す る こ とに
よ り容 易 に構 成 で きる 。 この よ うな 多 極 機 に対 称 三 相 電 圧 を印 加 す る と,図5・ 19と 同 様 な 回 転 磁 界 が 発 生 す る が,そ の 回転 速 度 は磁 極 数 の 増 加 と と もに遅 く な り,電 源 の 周 波 数 を同 一 とす る と,4極 は 同 じ く1/3,… 速 度nsは,次
機 で は2極 機 の 場 合 の1/2,6極
な ど とな る。 一 般 に,2p極
機(pは
機で
極 対 数)の 回転 磁 界 の 回 転
式 で 表 され る。 (5・24)
た だ し,f〔Hz〕 式(5・24)のnsは
は電 源 の 周 波 数 で あ る。 同 期 速 度 と呼 ば れ て い る。
〔 例 題 〕5・9 周 波 数60Hz,8極
の 三 相 誘 導 電 動 機 の 同 期 速 度 を求 め よ。
〔 解 答 〕 ns=60×60/4=900〔rpm〕
さて,誘
導電 動 機 の 回 転 子 は,回 転 磁 界 と同 方 向 に発 生 す る トル ク に よ り回
転 す るの で あ るが,そ これ は,も
の 速 度 は必 ず 回 転 磁 界 の速 度(同 期 速 度)以
下 にな る。
し回 転 速 度 が 同 期 速 度 と一 致 した ら,回 転 磁 界 と回 転 子 の 相 対 速 度
が零 とな り,か ご形 導体 に は起 電 力 が誘 導 され な い 結 果,ト か らで あ る。 い ま 回転 子 の 回 転 速 度 をnと
ル ク が発 生 しな い
お き,同 期 速 度 に 対 す る 回転 磁 界 と
回転 子 の 相 対 速 度 の 比 を 求 め る と,次 式 の よ う に な る。 (5・25)
式(5・25)で
与 え ら れ るsは
表 す の に,こ のsを あ る か らn=nsし =1で
あ る
。
す べリ と 呼 び,誘
導 電 動 機 で は 実 際 の 回転 速 度 を
用 い る こ と が 多 い 。電 動 機 の 無 負 荷 運 転 時 で は トル ク=0で た が っ てs=0,ま
た 停 止 し て い る と き はn=0し
た が っ てs
〔 例 題 〕5・10
50Hz,4極
の 三 相 誘 導 電 動 機 が す べ り4%で
運転 してい る と
きの 回 転 速 度 を求 め よ。 〔 解 答〕
式(5・25)よ
り,回
転 速 度 は,
n=ns(1-s) で あ る。 い まns=50×60/2=1500〔rpm〕 n =1500(1-0
(3)
で あ る か ら,こ
れ を 上 式 に 代 入 し て,
トル ク特 性
.04)=1440〔rpm〕
図5・20に 示 す よ う に,三 相 誘 導 電 動 機 の 軸 に 負 荷 を 接
続 し,電 動 機 の電 源 端 子 に 三 相 交 流 電 圧 を 印加 す る と,固 定 子 巻 線(一 次 巻 線) に 三 相 交 流 電 流 が 流 れ,回
転 磁 界 が 発 生 して電 動機 は始 動 す る。 そ の 後,電
機 は 加 速 して,最 終 的 に は 一 定 の 回 転 速 度 で 回 転 す る。 以 下,こ
動
の定常運転 に
至 る過 程 を考 えて み よ う。
図5・20 三 相誘 導電 動 機 の 運転
図5・21は,誘 回 転 速 度n)を
導 電 動 機 の 電 源 電 圧 を 一 定 に 保 ち な が ら,す 変 化 さ せ た と き の,電
で あ る 。 図 のTsは,s=1す
な わ ち 停 止 時 の トル ク(始
トル ク を そ れ ぞ れ 表 し て お り,ま な っ て い る 。 一 方,TLは
動 機 の 発 生 トル クTの
たs=0で
は,す
べ りs(す
なわ ち
特 性 を 示 し た もの
動 トル ク),Tmは
最 大
で に 述 べ た よ う に,T=0と
負 荷 の トル ク 特 性 を 示 し た も の で,図
の 例 で は速 度 の
上 昇 と と も に 負 荷 トル ク が 増 加 し て い る こ と が わ か る 。 さ て,停 止 し て い る 電 動 機 に 電 源 電 圧 を 印 加 す る と,電 動 機 の 発 生 トル ク(= Ts)> 負 荷 トル ク(=0)で
あ る か ら,こ れ ら の 差 の トル ク に よ り電 動 機 は 次 第 に
図5・21
加 速 し,T=TLと
な る 点Pに
達 す る と加 速 トル ク=0と
トル ク-す べ り特 性
なって定常運転状態 に
は い る。 もち ろん 負 荷 の トル ク特 性 に よ って は安 定 な 動 作 点 が 定 ま ら ず,運 転 不 能 とな る場 合 も あ る。 一 般 に,最 大 トル ク を生 ず る すべ りsmは0.1∼0.3程 度 で あ り,定 常 運 転 時 の す べ りは,図5・21の
緑 色 ア ミで示 したsm>s>0の
囲 内 に 入 るの が普 通 で あ る。 この 定 常 運 転領 域 内 で は,す
範
べ りの 変 化 は小 さい
か ら,負 荷 変 動 に 対 す る速 度 変 動 は あ ま りな く,誘 導 電 動 機 は ほ ぼ 定 速 度 特 性 を有 して い る とい え る。 この よ うな 速 度 特 性 は ち ょ う ど一 定 励 磁 で 電 機 子 電 圧 を一 定 と し た場 合 の 直 流 電 動 機 の 特 性(式(5・6)参
照)と 類 似 して い る こ とが わ
か る。
〔 例 題 〕5・11 定 格 出 力22kW,50Hz,6極
の 三相 誘 導 電 動 機 が あ る。全 負
荷 時 の 入 力 は24.2kW,回
転 速 度 は960rpmで
り,(2)効
生 トル ク を 求 め よ 。
率,(3)発
〔 解 答 〕(1)
あ っ た 。 こ の と き の(1)す
同 期 速 度=60×50/3=1000〔rpm〕
∴ s=(1000-960)/1000=0.04 (2)
全 負 荷 時 の 出 力P0=22〔kW〕 効 率=(出
(3)
トル ク〓
で あ る か ら,
力/入 力)×100=(22/24.2)×100≒91〔%〕
べ
(4) り,次
速 度制御
誘 導 電 動 機 の 回 転 速 度 は,式(5・24)な
ら び に 式(5・25)よ
式 の よ うに 表 せ る。 (5・26)
式(5・26)よ り,誘 導 電 動 機 の 速 度 を制 御 す る に は,次 の3つ (1) 極 対 数p(極 数)を 変 化 す る。(2)
電 源 周 波 数fを
の 方 法 が あ る。
変 化 す る。(3)
す
べ りsを 変 化 す る。 以 下 これ らの 方 法 に つ い て簡 単 に 説 明 し よ う。 (a) 極 数 を切リ 換 え る 方 法 この 方 法 は,あ
らか じ め い くつ か の 固 定 子 巻
線 の 組 を用 意 し,そ の接 続 を変 更 す る こ とに よ り極 数 を切 り換 え て 同 期 速 度 を 変 化 す る もの で あ る。 構 成 は簡 単 で あ る が,連 続 的 に速 度 を制 御 す る こ とは で き な い。 (b) 電 源 周 波 数 を制 御 す る 方 法 近 年 急速 に 発 達 した,サ
イ リスタやパ ワ
ー トラ ン ジ ス タ な どの 電 力 用 半 導 体 素 子 を用 い た,可 変 周 波 の 交 流 電 源 が 比 較 的 容 易 に 入 手 で き る よ う に な っ た た め,最 近 多 数 採 用 され る よ う に な って き た。 この方 法 に よれ ば連 続 的 な速 度 制 御 が 可 能 とな るが,極
数切 り換 え法 や,以
下
に述 べ る一 次 電 圧 制 御 法 と比 べ て コス トが 高 くな る。 (c) 一 次 電 圧 を 変 化 す る方 法 誘 導 電 動 機 の トル クは,す る と,電 源 電 圧 の2乗
べ りを一 定 とす
に比 例 す る た め,電 源 周 波 数 を一 定 に保 った ま ま電 源 電
圧 の大 き さ を変 化 す れ ば す べ りが 変 化 して 速 度 が 制 御 で き る。 この 方 法 は,比 較 的簡 単 に実 現 す る こ とが で き る が,す べ りの 増 加 に伴 っ て効 率 が 著 し く低 下 す る た め,広 範 囲 な速 度 制 御 に は不 向 き で あ り,数 十kW以
下 の 小 容 量機 に の
み 適 用 され て い る。
〔 例 題 〕5・12 電 源 周 波 数 制 御 に よ り誘 導電 動機 の 速 度 制 御 を行 う場 合,電 源 電 圧 に対 して どの よ うな 点 に留 意 す べ きか 。 〔 解 答 〕 回 転 磁 界 に よ る磁 束 を ほ ぼ 一 定 に保 つ た め,V/f(V:電 一 定 とな る よ うに ,fの
変 化 と と もにVも
源 電 圧)が
変 化 させ る。 この よ う に電 源電 圧 を
制 御 す れ ば,周 波 数 が変 化 して も最 大 トル ク は ほ ぼ 一 定 とな る た め,広 範 囲 の 速 度 制 御 に 最 適 とな る。
(5) 単 相 誘 導 電 動 機 巻 線 の う ち任 意 の2つ
図5・19の 三 相 誘 導 電 動 機 に お け る3組
を取 り去 る と,図5・22の
の固 定子
よ うな単 相 誘 導 電 動 機 に な る。
図5・22 単相 誘 導 電 動機
同 図 の 電 源 端 子 に単 相 交 流 電 圧 を印 加 して も,三 相 誘 導 電 動 機 で発 生 した よ う な 回 転 磁 界 は生 じな い か ら,始 動 時 の トル ク は零 で 回 転 し な い。 と こ ろ が,外 部 か ら回転 子 を い ず れ か の 方 向 に回 して や れ ば,そ の 方 向 に トル ク が発 生 して, 三 相 誘 導電 動 機 と同様 に あ る す べ りで 回 転 す る。 この よ う に,こ の 電 動 機 は 自 己 始 動 で き な い た め,種 々 な始 動 装 置 を付 加 した もの が 実 用 され て お り,そ の 主 な もの を図5・23に 示 す 。 図(a),(b)は,い
ず れ も始 動 時 に,二 相 巻 線 に 二 相 交 流(ま
た は これ に近
い もの)を 印 加 して,三 相 の場 合 と同様 な 回 転 磁 界 を発 生 させ る よ うに し た も の で あ る。図(a)は 主 巻 線Mと90° 巻 線 電 流IMよ
分 相 始 動 形 と呼 ば れ る 方 式 で あ る。電 源 電 圧 を 印 加 す る と,
ず ら した 位 置 に配 置 し た,高 抵 抗 を有 す る補 助 巻 線Aに
は,主
り進 み位 相 の 電 流 が 流 れ る か ら,不 完 全 な が ら も二相 回 転 磁 界
が 生 じ て電 動 機 は 始 動 す る。 その 後,加 心 力 ス イ ッチSが
開 き巻 線Aは
速 して す べ りが0.2前
後 に な る と,遠
回路 か ら 自動 的 に切 り離 さ れ て,純 単 相 誘 導
電 動機 と して 動作 す る。 一 方,図(b)は
コ ン デ ンサ 始 動 形 で,こ の 場 合 は コ ン
(a)
(b)
分相 始動 形
(c)
コンデ ンサ 始動 形
く ま 取 り コ イル 形
図5・23 各種 の単 相誘 導 電 動機
デ ン サCの
作 用 に よ り,IMとIAの
位 相 差 を π/2に 近 くす る こ とが で き,ほ ぼ
完 全 な 回 転 磁 界 が 得 られ る。 した が っ て,始 動 特 性 は 図(a)の 優 れ て い る。 始 動 が 完 了 す る とス イ ッチSに お,始 動 時 も運 転 時 も巻線Aに
分相始動形 よ り
よ り補 助 巻 線 は切 り離 され る。 な
直 列 に一 定 の コ ン デ ン サ を挿 入 して お く永 久 コ
ンデ ン サ モ ー タ や,運 転 時,始 動 時 で コ ンデ ンサ の 容 量 を 切 り換 え る2値 デ ン サ モ ー タ も実 用 さ れ て い る。図(c)は
コン
く ま取 りコ イ ル 形 で,こ れ は磁 極 の
一 部 に銅 の 環 よ りな る く ま取 り コ イル を設 け た構 造 を有 す る
。 一 次 巻 線 に交 流
電 圧 を印 加 す る と,図 のA,Bの
部 分 に磁 束φA,φBが
生 ず る が,φBはφAの
変
化 よ り遅 れ て 変 化 す る。これ は,く ま取 り コイ ル に短 絡 電 流 が 流 れ る結 果 φBの 変 化 が 妨 げ られ る か らで あ る。この た め磁 束 は φAか ら φBに 向 か っ て移 動 し,
一 種 の 移 動 磁 界 が で き る。 この 移 動 磁 界 に よ り,電 動 機 は 図 の 方 向 に 回 転 す る の で あ る。
〔 例 題 〕5・13 分相 始 動 形 単 相 誘 導 電 動 機 の 回 転 方 向 を逆 に す る に は ど う し た ら よ い か。 また,く
ま取 り コ イ ル形 の 場合 は ど うか。
〔 解 答 〕 分 相 始 動 形 主 巻 線 と補 助 巻 線 の う ち,ど ち らか の接 続 を電 源 に対 して 反 対 に す れ ば よい 。 くま取リ コ イ ル 形 に向 か う の で,こ
5・3
回 転 方 向 は常 に くま取 りコ イ ル の な い部 分 か らあ る部 分
れ を変 更 す る こ とは で きな い。
パ ワ ー エ レ ク トロ ニ ク ス
〔1〕 分 類 と用 途 す で に 第5・1節 で述 べ た よ う に,パ ワー エ レ ク トロニ ク ス は サ イ リス タ や パ ワ ー トラ ン ジ ス タ 等 の 電 力 用 半 導体 素 子 を用 い て 電 力 変 換 を行 う分 野 で あ る。 これ は,電 力 工 学 と電 子 工 学 と制 御 工 学 の 学 際 領 域 で,装 置 作 成 に際 し て は こ れ ら3領 域 の 知 識 が 要 求 され る が,こ 主 眼 を お く。表5・1は,パ
こで は電 力 変 換 の 原 理 を 理 解 す る こ とに
ワー エ レ ク トロニ ク ス に お け る電 力 変 換 回路 の 分 類
を示 す。 以 下 に,そ れ ぞれ の 回 路 に つ い て 概 説 す る。 表5・1 電 力 変換 回 路 の 分類
(1) 整 流 回 路
サ イ リス タ整 流 回路 は,交 流 を直 流 に順 変 換 す る と同 時
に,そ の 直 流 出力 電 圧 を調 整 で き る機 能 を もつ 。1958年 に サ イ リス タが 発 表 さ れ た 後,直
ち に実 用 化 され た の が この 装 置 で あ り,以 後,数 量 の点 か ら も容 量
の 点 か ら も数 年 前 まで サ イ リス タ 応 用 装 置 の 大 半 を 占 め て い た。 そ の用 途 と して は,銅 や ア ル ミ等 の 金 属 精 錬 工 業,塗 理 工 業 な ど多 方 面 に わ た っ て い るが,最
装 や め っ き等 の 表 面 処
も大 き な需 要 は直 流 電 動 機 を可 変 速 運
転 す る た め の 直 流 電 源 と して で あ る。この 可 変 速 ドラ イ ブ シ ス テ ム は サ イ リス タ レオ ナ ー ドあ るい は静 止 レオ ナ ー ドと呼 ばれ,1970年
代 に は既 に10MWも
の 大 容 量 シ ス テ ム が 実 用 化 さ れ て い る。 また,素 子 の 大 電 流 高 電 圧 化 や 直 並 列 接 続 技 術 も発 達 し,275kVの
送 電 系 統 の 交 流 →直 流 変 換 や 周波 数 変 換 を行 う ま
で に至 って い る。 この サ イ リス タ 整 流 回路 に つ い て は,本 節 〔2〕項 で 述 べ る 。 (2) イ ンバ ー タ回 路
イ ンバ ー タ 回 路 は,直 流 電 力 を交 流 電 力 に逆 変 換
す る 回路 で あ り,サ イ リス タ の 出 現 に よ っ て最 も進 歩 した 電 力 変 換 技 術 で あ る。 た だ し,サ イ リス タ を用 い た場 合 に は,本 節 〔4〕項 で 述 べ る強 制 転 流 回 路 が 必 要 で あ るた め,開 発 当初 は その 経 済 面 か ら ほ ぼ 数 百kVA以
上 の 中,大 容 量 機 に
限 られ て い た。 しか し,こ の 数 年 来,強 制 転 流 回 路 を不 要 とす るパ ワ ー トラ ン ジ ス タ やGTOサ
イ リス タ の 大 容 量 化,低 廉 化 が 急 速 に 進 ん だ た め,数kVAの
小 容 量 機 で も十 分 採 算 可 能 とな って 爆 発 的 に 普 及 して い っ た。 本 節 〔5〕項 で そ の 原 理 に つ い て述 べ る。 こ の イ ンバ ー タ 回路 を用 い れ ば 周 波 数 変 換 装 置 を得 る こ とは容 易 で あ る。 す な わ ち,整 流 回路 で 商 用 周 波 数 の 交 流 を直 流 に順 変 換 し,イ ンバ ー タで そ の 直 流 を任 意 の 周 波 数 の 交 流 に逆 変 換 す る。 直 流 部 に蓄 電 池 を付 加 し,さ ら に 出 力 周 波 数 を一 定 に保 て ば無 停 電 電 源 と な り,コ ン ピ ュー タや 重 要 施 設 の電 源 に 用 い ら れ る。 ま た,イ
ンバ ー タ の 出 力 周 波 数 を 変 化 させ れ ば可 変 周 波 数 電 源 とな
り,誘 導 電 動 機 や 同 期 電 動 機 の 可 変 速 駆 動 を 可 能 に す る。 この シ ス テ ム は,直 流 電 動 機 の サ イ リス タ レ オ ナ ー ドに比 べ て 高 効 率 で保 守 が 容 易 で あ る た め,数 千kWの
大 容 量 機 か ら家 庭 用 エ ア コ ン の 数kWの
小 容 量 機 に至 る まで 最 近 の
普 及 ぶ りは 目 ざ ま し く,か つ て可 変 速 ドラ イ ブ シ ス テ ム を ほ ぼ独 占 して い た サ
イ リス タ レオ ナ ー ドに逆 転 す る勢 い で あ る。 (3) 交 流 電 力 調 整 回路 お よび チ ョ ッパ 回 路
変 圧 器 は,一 定 交 流 電 圧 を
他 の任 意 の大 き さ の交 流 電 圧 に変 換 で き るが,こ
れ を連 続 的 に変 え る こ とは で
きな い。 しか し,本 節 〔3〕項 で 述 べ る サ イ リス タ交 流 電 力調 整 回 路 は,こ れ を 可 能 とす る。さ ら に,一 定 直 流 電 圧 か ら可 変 直 流 電 圧 を得 る た め に は,本 節 〔4〕 項 の チ ョ ッパ 回路 を用 い れ ば よ い。 前 者 は,調 光 装 置,電 熱 装 置,誘 の 一 次 電 圧 制 御 に応 用 され,ト
導電動機
ラ イ ア ック使 用 に よ って 小 形 で経 済 的 とな るた
め,家 電 製 品 に まで 用 い られ て い る。後 者 に は,逆 導 通 サ イ リス タ が使 用 され, 主 と し て電 車 用 の 直 流 直 巻 電 動 機 の 速 度 制 御 に 適 して い る。
〔2〕 整 流 回 路 交 流 電 力 を 直 流 電 力 に 変 換 す る こ と を順 変 換 とい い,こ 路 とい う。図5・24は,純
の 変 換 回路 を整 流 回
抵 抗 負荷 を も つ最 も簡 単 な 整 流 回 路 で あ る。ダ イオ ー
ドを用 い た 場 合 は,図(a)に
示 す よ う に,電 源 電 圧υ が 正 の 半 サ イ ク ル の 間 だ
(a) ダ イ オ ー ド整 流 回 路
(b) サ イ リ ス タ 整 流 回 路
図5・24 単相 半 波 整 流 回路
け電 流 が 流 れ る。 サ イ リ ス タ を 用 い た 整 流 回 路 で は,サ イ リス タ の 点 弧 時 刻 を 変 え て直 流電 圧 の 平 均 値 が 変 化 で き る。 負 荷 電 流 は,図(b)に ス が 与 え られ る時 刻,す 電 源 電 圧υ=√2Vsinθ
示 す ゲ ー トパ ル
な わ ち 制 御 角 αだ け運 れ た 時 刻 か ら流 れ 始 め る 。 とす る と,負 荷 電 圧 の平 均 値Vdは, (5・27)
た だ し,〓 とな る。 式(5・27)は,図5・25に
示 す よ う に,α=0の
と きVd/V0=1で
最 大 値 と な り,
図5・25 制御 角 に対 す る 負 荷電 圧 曲 線
α=π の と きVd/V0=0で,制
御 角 を変 え る と負 荷 電 圧 が制 御 で き る。 この よ う
に,サ イ リス タの 点 弧 位 相 を制 御 す る こ と を位 相 制 御 とい う。α=0の 電 圧 はV0と
な り,ダ イオ ー ドを用 い た 整 流 回 路 と一 致 す る。
図5・26 誘 導性 負 荷 の整 流
と き負 荷
誘 導性 負 荷 を もつ 単 相 半 波 整 流 回路 は,図5・26の ス の た め に電 流 の 立 ち上 が りが 遅 れ,さ
よ う に,負 荷 イ ンダ クタ ン
ら に電 源 電 圧 の 負 の 半 サ イ ク ル に 入 っ
て も流 れ 続 け る。 した が っ て,負 荷 電 圧 に は負 の電 圧 が 現 れ,純 抵 抗 負荷 の 時 よ り平 均 負 荷 電 圧 は減 少 す る。 定 常 状 態 で は,イ 圧 は0と な る の で,図 の面 積S1とS2は 抗 に加 わ る電 圧idRの 図5・27(a)は 24(b)に
ン ダ ク タ ンス に加 わ る平 均 電
等 し くな る。 よ って,υdの 平 均 値 は 抵
平 均 値 に一 致 す る。
セ ン タ タ ップ 形 整 流 回路 を示 す 。 純 抵 抗 負荷 の場 合 は,図5・
示 し た半 波 整 流 の 動 作 を半 サ イ ク ル ご とに繰 り返 す こ と とな り,負 荷
電 圧 お よ び 電 流 波 形 は 図5・27(b)で,そ
の 平 均 直 流 電 圧 は半 波 整 流 の と きの 式
(b) 純 抵 抗 負 荷
(a) 整流回路
図5・27
(c) 誘導 性 負荷
セ ン タタ ップ形 整 流 回路
(5・27)の2倍 とな る。 誘 導 性 負 荷 の 場 合 に は,負 荷 電 流 が 断 続 す る と き と,連 続 して 流 れ る2つ の 場 合 が あ る。 電 流 が 断 続 す る と きは 半 波 整 流 の半 サ イ ク ル ご との 繰 り返 し動 作 と同 じ に な る。イ ン ダ ク タ ン ス分 が大 き く,ま た 制 御 角 が小 さ くな る と,図(c) の よ う に負 荷 電 流 は連 続 して 流 れ る。この 電 流 連 続 の状 態 で の 平 均 直 流 電 圧Vd は, (5・28)
た だ し,〓 と な り,α を0か
ら π/2ま で 変 化 さ せ る と,Vd/V0は1か
ら0ま
で連 続 的 に変 わ
る。π/2< α<π で は 式(5・28)のVdは
負 に な り,直 流 側 か ら交 流 側 へ 電 力 が 変 換
され るイ ンバ ー タ 動作 とな る。 この 回路 を,イ ンバ ー タ と して 動作 さ せ続 け る に は,直 流 電 流 を 流 し続 け る よ うに 負荷 側 に直 流 電 源 を接 続 す る必 要 が あ る。 この よ う な イ ンバ ー タ を他 励 イ ンバ ー タ と い う。 他 励 イ ンバ ー タ は直 流 送 電 の 変 換 器,50Hzと60Hzの
異 周波連 系の周波数変換 器や無整流 子電動機 の イ ン
バ ー タ とし て用 い られ て い る。
〔 例 題 〕5・14 図5・27の 負 荷 が 純 抵 抗 の 場 合,負 荷 で 消 費 す る平 均 電 力 を 求 め よ。 〔 解 答 〕 図(b)の
よ うに,電 流 は αか ら π まで 流 れ,π 以 後 は そ の繰 り返 し
波形 と な る の で,負 荷 で消 費 す る 平 均 電 力Pdは,
(5・29)
た だ し,P0=V2/R と な る 。α=0の
と きPd/PO=1か
ら,α=π
の と きPd/P0=0ま
で 連 続 的 に変 え ら
れ る。
〔3〕 交 流 電 力 調 整 回 路 交 流 電 力制 御 は,電 源 電 圧 の 正 負 両 方 向 の 制 御 が 必 要 で あ るの で,図5・28に 示 す よ うに,2個
の サ イ リス タ を逆 並 列 に接 続 して 位 相 制 御 す る。
2個 の サ イ リス タ を1個 の トラ イ ア ッ ク に 置 き換 え て も制 御 機 能 は同 じ に な る。 い ま,電 源 電 圧υ=√2Vsinθ
で,制 御 角 α を調 整 した と き,純 抵 抗 負 荷
時 の 負 荷 電 圧υ aの 実 効 値Vaは, (5・30)
とな る。 αを0か
ら π ま で変 化 す る と,Vaは0か
ら最 大 値Vま
で連続制御 で
き る。しか し,位 相 制 御 に よ っ て 負荷 電 圧 に は高 調 波 成 分 が 多 く含 まれ,α が 大
(b) 純 抵 抗 負 荷
(a) 回 路 図 (c) 誘 導 性 負 荷
図5・28 単 相 交流 電 力 制御
き くな る に伴 っ て基 本 波 に対 す る 高 調 波 の 含 有 率 が 著 し く増 加 す る。 誘 導性 負 荷 の と きに は,α が0か も,負 荷 電 圧 は 最 大 値 のVの
ら負 荷 力 率 角 φ=tan-1ωL/Rま
で 変 化 して
ま ま変 化 しな い 。αが φ よ り大 き くな る と負 荷 電
流 は 断続 し,負 荷 電 圧 は減 少 す る。 し たが って,φ ≦α≦π の範 囲 で,負 荷 電 圧 の制 御 が で き る。 図5・28の 回 路 を3組 用 いれ ば三 相 交 流 電 力 制 御 が 可 能 にな る。
〔4〕 チ ヨ ッパ 回 路 (1) 強 制 転 流 回 路 と 自 己 消 弧 形 素 子
サ イ リス タ は 自 己 消 弧 能 力 が な い
た め,直 流 電 流 を遮 断 す る に は強 制 的 にオ フ状 態 に も どす 工 夫 が 必 要 に な る。 サ イ リ ス タ を 用 い た チ ョ ッパ 回 路 や イ ンバ ー タ 回路 にお い て,種 々 な強 制 転 流 回路 が 考 案 さ れ て い る。例 え ば,強 制 転 流 動 作 を図5・29の カ ソー ド パ ル ス式 チ ョ ッパ 回 路 で 説 明 す る。 初 め に補 助 サ イ リ ス タTh2を サ電 圧υcは ほ ぼ+Vま
オ ン し て コ ン デ ンサCを
で 充 電 され,電
状 態 にな る。 次 に,主 サ イ リス タTh1を
充 電 す る。 コ ンデ ン
流i2は 減 少 して零 に な る とTh2は オ ンす れ ば 負 荷 抵 抗Rに
オフ
直 流 電 圧V
図5・29
カ ソー ド パ ル ス式 回路
が 印加 され てV/Rの スLと
負 荷 電 流 が 流 れ る。 さ ら に,コ ンデ ン サC,イ
ダ イ オ ー ドDの
閉 回 路 が 構 成 され,υcは ほ ぼ-Vま
性 が 反 転 され る 。次 に,Th2を
オ ンす る とTh1はυcが
ンダ ク タ ン
で 充 電 され,そ の 極
印加 され,そ の逆 バ イ ア
ス電 圧 で オ フ状 態 へ も ど る。 この よ うに,主 サ イ リス タTh1は,υcの
逆 バ イア
ス電 圧 に よ り導 通 状 態 か ら阻 止 状 態 に も どす こ とが で き る。 この 方 法 は 強 制 転 流 と呼 ば れ,こ の 目的 の た め に付 加 され た 回 路 を強 制転 流 回路 とい う。 パ ワー トラ ンジ ス タ,GTOサ
イ リス タ や パ ワーMOSFETな
ど の電 力 用 半
導体 素 子 は,自 己 消 弧 形 素 子 と呼 ばれ,素 子 自身 で オ フ機 能 が あ る。 この 素 子 を用 い れ ば強 制 転 流 回 路 が 不 要 に な り,回 路 構 成 が 簡 単 に な る。 電 力 用 半 導 体 素子 の 進 歩 に よ り,最 近 で は 自己 消 弧 形 素 子 が 広 く用 い られ て い る。 な お,強 制 転 流 回路 ま た は 自己 消 弧 形 素 子 を 用 い た 変 換 回 路 を 自励 変 換 器 と 呼 び,本 節 〔2〕項 の 整 流 回路 の よ う に電 源 電 圧 に よ っ て転 流 を行 わ せ る 回路 方 式 を他 励 変 換 器 とい う。
〔例 題 〕5・15 図5・29で,主
サ イ リ ス タTh1を
圧 の 極 性 が 反 転 で き る の は な ぜ か,ま 〔解 答 〕Th1を
た 反 転 時 間 を 求 め よ。
オ ン す る と 図5・30(a)の
Vを 初 期 値 と し てLC振
オ ン に し た と き コ ンデ ンサ 電
閉 回 路 が で き,コ ン デ ン サ 電 圧υc=
動 電 流 が 流 れ る 。 閉 回 路 の 方 程 式 は, (5・31)
図5・30
極性 の 反転
と な り,t=0の
と きυc=V,dυc/dt=0を
用 い て解
く と,
(5・32)
と な る 。電 流icは
ダ イ オ ー ドDの
働 き で,半 サ イ ク ル 以 後 はic=0,υc=-Vが
保 持 さ れ る 。 極 性 の 反 転 時 間t0は,式(5・32)をυc=-Vと
置 い て 解 く と, (5・33)
とな る。
(2) 直流 チ ョ ッパ 回 路
直 流 チ ョ ッパ 回 路 は,直 流電 力 を 直 接 に異 な る
電 圧 の 直 流 電 力 に変 換 す る 回路 を い う。図5・31はGTOを
用 い た直 流 チ ョ ッパ
回 路 を示 す 。 図 のGTOが
周 期Tで
オ ン オ フ を繰 り返 す と き,イ ン ダ ク タ ン スLが
十分
大 き けれ ば,負 荷 に は 一 定 電 流 が 流 れ,負 荷 電 圧 も一 定 電 圧 が 得 られ る が,そ
図5・31
降 圧 チ ョ ッパ 回 路
の平 均 電 圧V0は
ダ イ オ ー ド端 子 電 圧 の 平 均 値 に一 致 し,次 式 と な る。 (5・34)
た だ し,通
流 率 λ=Ton/T,
T=Ton+Toff,TonはGTOの
オ ン 時 間, Toffは
オ フ時 間 で あ る。 平 均 入 力 電 流I,負 力VIは
荷 電 流I0と
負 荷 電 力V0I0に
す れ ば,エ
ネ ル ギ ー 保 存 則 よ り,平
均 入力電
等 し い か ら, (5・35)
とな る。した が っ て,通 流 率 λは5・2節 の変 圧 器 の巻 数比aに
等価 で あ る か ら,
直 流 チ ョ ッパ 回 路 は直 流 変 圧 器 と考 え られ る。
〔 例 題 〕5・16 図5・31の 平 均 負 荷 電 圧 とダ イ オ ー ド端 子 の 平 均 電 圧 が 一致 す る こ と を示 せ 。 〔 解 答 〕 ダ イ オ ー ド端 子 電 圧υd,負 荷 電 圧υ0,負 荷 電 流i0と す れ ば,回 路 方 程 式 は, (5・36)
とな る。定 常 状 態 にお い て,両 辺 の平 均 値 は,右 辺 の 第1項
目 が0に な るか ら, (5・37)
とな り,ダ イ オ ー ド端 子 の 平 均 電 圧Vdと
平 均 負 荷 電 圧V0は
等 しい。
〔5〕 イ ンバ ー タ 回路 直 流 電 力 を交 流 電 力 に 変 換 す る 回路 を イ ンバ ー タあ る い は逆 変換 とい う。 本 節 〔2〕項 で 述 べ た他 励 イ ンバ ー タ に 対 し て,強 制 転 流 回路 また は 自 己 消 弧 形 素 子 を用 い た イ ンバ ー タ を 自励 イ ンバ ー タ と呼 び,電 源 や 負 荷 側 に独 立 した 周波 数 の 交 流 が 発 生 で き る。 自励 イ ンバ ー タ は,出 力 周 波 数 と出 力 電 圧 とを 任 意 に 変 化 で き るVVVF(可 うなCVCF(定
変 電 圧 可 変 周 波 数)やUPS(無
停 電 電 源 装 置)の よ
電 圧 定 周 波 数)装 置 に用 い られ て い る。
図5・32(a)は,パ
ワー トラ ン ジス タ を用 い た単 相 イ ンバ ー タ回 路 で あ る。図
(a) イ ン バ ー タ回 路
(b) 方 形 波 イ ン バ ー タ
(c) PWMイ
図5・32
ンバ ー タ
電 圧 形 単 相 イ ンバ ー タ
(b)の 上 側 は 各 トラ ン ジ ス タ の 動作,下
側 は 負荷 電 圧 波 形 を示 し,半 周 期 ご と
にパ ワ ー トラ ン ジス タ を 交 互 に オ ン オ フ して 方 形 波 の 交 流 電 圧 が得 られ る 。出 力 電 圧 の調 整 は入 力 直 流 電 圧Vを
変 化 させ る。周 波 数 の調 整 はべー ス信 号 を制
御 して,ス イ ッチ ン グ周 波 数 限 度 まで 任 意 に可 変 で きる。 図(c)は,半 図(c)の
周 期 内 にパ ワ ー トラ ンジ ス タ を 複 数 回 オ ンオ フ を繰 り返 して,
下 側 の 出 力 電 圧 波 形 が 得 られ る。 この 方 式 はPWMイ
い,PWMパ
ンバ ー タ とい
タ ー ンの 決 定 に は,正 弦 波 信 号 と三 角 波 信 号 の 比 較 よ り決 ま る正
弦 波変 調 や,マ イ ク ロ コ ン ピ ュー タ に よ りパ ル スパ タ ー ン を発 生 させ る プ ロ グ ラムPWM方 PWMイ
法 等が ある。 ンバ ー タ は,パ ワー トラ ン ジス タの ス イ ッチ ン グ動 作 で 出 力 周 波 数
と出 力 電 圧 の 調 整 が 同 時 に で き る。 こ の 方 法 を 用 い る と回 路 構 成 が 簡 単 な VVVFイ
ンバ ー タが 得 られ る。
UPSは
定 電 圧 で あ る と共 に 出 力 電 圧 の 波 形 ひ ず み も小 さ い こ とが 要 求 さ れ
る。 ひ ず み率 の 低 減 の た め に,大 容 量 イ ンバ ー タ は第3,5,7な 波 が発 生 しな い よ う に 方 形 波 イ ンバ ー タ を 多 重 化 し て,フ る。中容 量 イ ンバ ー タ はPWM制
ィル タの 低 減 を は か
御 で 出 力 電 圧 に含 まれ る低 次 高 調 波 の 除 去 を
は か っ て お り,小 容 量 で はパ ワ ーMOSFETな で 高 調 波PWMパ
どの低 次 高 調
ど の高 周 波 用 ス イ ッチ ン グ素 子
ル ス を発 生 させ て 低 次 高 調 波 含 有 率 の極 め て 低 い 出 力 を得
て い る。 三 相 イ ンバ ー タ は,三 相 ブ リ ッジ 回路 や 単 相 イ ンバ ー タ を3台 用 い て構 成 さ れ る。 交 流 電 圧 を得 る方 法 に は,交 流 電 圧 か ら直 接 に異 な る 周 波 数 の 交 流 電 圧 を得 るサ イ クロ コ ンバ ー タ が あ る。 この 方 式 は,出 力 周 波 数 が 高 くな る と波 形 ひ ず み 率 が 増 加 す るた め,電 源 周 波 数 の1/3以
下 の低 い周 波数 を得 る大 容 量 の 装 置
に 用 い られ て い る。 例 え ば,電 動 機 の超 低 速 運 転 用 電 源 に利 用 され て い る。
演 〔 問 題 〕1. 150〔V〕,電
機 子 電 流Ia=50〔A〕
す る と回 転 速 度 は 何rpmに る。
ク が1/2に
問
題
他 励 電 動 機 が1750rpmで
逆 起 電 力 を 求 め よ。(2)発
〔問 題 〕2.
習
〔5〕
回 転 して お り,そ の と きの 電 機 子 電 圧V= で,ま
た 電 機 子 抵 抗Ra=0.2〔
生 トル ク は 何N・mか
。(3)電
機 子 電 圧 を50Vに
な る か 。た だ し,負 荷 トル クは 速 度 に よ らず 一 定 と す 答((1)140V,(2)38.2N・m,(3)500rpm)
直 巻 電 動 機 が200V,100A,1000rpmで な っ た ら,(1)電
く ら に な る か 。 た だ し,電
回 転 し て い る と き,負
機 子 電 流,(2)速 機 子 抵 抗,界
度,(3)出
力
荷 トル
はそれ ぞれ い
磁 抵 抗 は と もに 無 視 で き る もの とす る 。
答((1)70.7A,(2)
〔 問 題 〕3.
Ω〕で あ る 。(1)
図5・33の 単 巻 変 圧 器 に お け るI1,I2,I3お
い く らか 。 た だ し,変 圧 器 は理 想 変 圧 器 とす る 。
1414rpm,(3)14.14kW)
よ びE2の
大 きさは それ ぞれ
図5・33 単 巻 変圧 器 答(I1=1〔A〕,I2=2〔A〕,I3=1〔A〕,E2=100〔V〕)
〔問 題 〕4.
(1)
200V,60Hz,4極
の 誘 導 電 動 機 の 同 期 速 度 を 求 め よ。
(2)(1)に
お い て,周
波 数 が50Hzの
(3)(1)に
お い て,極
数 が3倍
お い て,電
源 電 圧 を150Vで
(4)(1)に 答((1)
〔問 題 〕5.
1800rpm,
200V,50Hz,2極
(2)
場合 は どうか。
に な っ た ら ど うか 。 運転 した場合 は どうか。
1500rpm,
(3)
600rpm,
あ っ た 。こ の と きの 電 動 機 の 出 力 な ら び に す
べ りを 求 め よ。
答(5
.5kW,6%)
つ ぎ の 術 語 を 説 明 せ よ。
(1) 位 相 制 御,(2)
〔 問 題 〕7.
1800rpm)
の 三 相 誘 導 電 動 機 の 全 負 荷 時 の 速 度 は2820rpmで
あ り,ま た 発 生 トル ク は1.9kg・mで
〔 問 題 〕6.
(4)
PWMイ
〔 問 題 〕8.図5・27(a)の
他 励 イ ン バ ー タ,(3)
強制 転流
ンバ ー タの 特 徴 を 述 べ よ。
整 流 回 路 を 用 い て,〔 問 題 〕1.の直 流 電 動 機 を1000rpm
で 回 転 す る た め の 制 御 角α を 求 め よ。た だ し,電 源 電 圧Vは200V,電
機子電 流
が 一 定 とみ な せ る 直 流 リア ク トル が 接 続 され て お り,そ の 巻 線 抵 抗 は0お イ リス 夕 の 順 電 圧 降 下 は 無 視 で き る もの とす る 。
〔 問 題 〕9.図5・26に
お い て,負
荷 に 流 れ る 平 均 直 流 電 流Idを
よび サ
答(α=π/3)
求 め よ。
答〓
〔 問 題 〕10.
図5・34の 負 荷 電 圧 は 入 力 直 流 電 圧Vよ
り高 い 電 圧 が 得 られ るが,そ
の 原 理 を 説 明 せ よ。 この 回 路 は 昇 圧 チ ョ ッパ と い う。
図5・34
昇圧 チ ョ ッパ 回路
第6章 回路 の応用 と電子機器
この 章 で は,回
路 の応 用 と電 子機 器 に つ い て学 ぶ。 これ まで に学 ん だ
様 々 な素 子 や 回 路 が 使 わ れ て い る の で,応
用 の し くみ を学 ん で ほ しい 。
6・1 計 測 と制 御 の シ ス テ ム ア ナ ロ グ あ るい は デ ィ ジ タ ル 素 子,回 路 な らび に エ ネ ル ギ ー 変 換 機 器 な ど を 組 み 合 わ せ て,我
々 は様 々 な シス テ ム を構 成 す る。
図6・1は 一 般 的 な 計 測 シ ス テ ム の構 成 を 示 す も の で,検 う),信 号 処 理 回路,表
出 器(セ
ンサ とい
示 ・記 録 装 置 か らな る。 検 出器 は人 間 の 感 覚 器 官 に相
当 す る もの で あ り,検 出器 に要 求 され る基 本 的 な機 能 は,測 定 対 象 の状 態,言 い換 え る と測 定 す べ き物 理 量(以 下,測
定 量 と い う)を 的 確 に と ら え,我 々 に
図6・1 計 測 シス テ ムの 構成
とっ て有 用 な 信 号 に 変 換 す る こ とで あ る。 測 定 量 は光,音,圧
力,変
位 な ど非 常 に 多 く,ま た 同 じ物 理 量 で も様 々 で,
例 え ば温 度 を測 定 す る場 合,気
体,液 体 また は固 体 が対 象 とな り,し か も極 低
温 か ら超 高 温 ま で と極 め て変 化 に富 ん で い る。 こ の よ う に多 種 多 様 な物 理 量 を我 々 に と って 有 用 な信 号 に変 換 す る に は,そ れ ぞ れ の 目的 に応 じ て物 理 法 則 を直 接 応 用 した り,あ るい は コ ン デ ンサ 形 変 位 検 出 器 の よ う に構 造 的 な変 換 技 術 を活 用 す る。 と ころ で,検 処 理,表
出 器 の 出力 信 号 は
示,記 録 な どに便 利 な物 理 量 で な けれ ば な らな い の で,電 気 信 号 で あ
る こ とが 多 い。 検 出 器 は測 定 対 象 と測 定 装 置 との接 点 で あ り,測 定 対 象 か ら得 られ る情 報 の 質 と量 とは検 出 器 の性 能 の み で 決 ま っ て し ま う。 検 出器 の 出 力 は 一 般 に ア ナ ロ グ量 で あ る。 この信 号 は微 弱 な の で,表 示 お よ び記 録 をす る た め に増 幅 す る必 要 が あ り,ま た,雑 音 が 重 畳 し て い るの で,こ れ を取 り除 くた め に フ ィル タ 回 路 が必 要 で あ る。 な お,図
に示 した よ う に,必
要 に応 じて デ ィ ジ タ ル 表 示 をす る た め に,ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 変 換 器,演
算
回路 を付 加 す る。 次 に,実 例 を示 そ う。 図6・2は 機 械 や 構 造 物 の ひ ず み を測 定 す る シ ス テ ム で あ る。 図 に示 す よ う
図6・2
ひず みの 測 定 シ ステ ム
に,ひ ず み ゲ ー ジ,増 幅 器,指 示 計 お よび 記 録 器 な どか ら な る。 ひ ず み ゲ ー ジ は抵 抗 素 子 で あ り,伸 び縮 み さ せ る と抵 抗 値 が 増 減 す る こ とを 利 用 した もの で あ る。 ご く細 い抵 抗 線(直 て台 紙(べ
ー ス とい う,厚
は1∼5mmで
さ20∼60μm)に
径25μm*以
下)を 何 回 も折 り返 し
張 っ た も の で,通
常,ゲ
ー ジ長
あ る。 接 着 剤 を 用 い て,ひ ず み ゲ ー ジ を被 測 定 物 の 表 面 に直 接
貼り付 け る。 被 測 定 物 が 変 形 す る と,ひ ず み ゲ ー ジ の 抵 抗 が変 化 す るの で,こ
の変化 をホ
イー トス トン ブ リ ッ ジ を用 い て電 圧 に変 換 す る。 抵 抗 変 化 は微 小 で 〓Ω の オ ー ダ で あ り,こ の 微 小 な 変 化 を精 度 よ く測 定 す るに は ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ(以 下,単
に ブ リ ッジ とい う)が 極 め て有 効 で あ る。
検 出 ブ リ ッ ジ の 出 力 電 圧 はmVな
い し μVを 単 位 と し て 測 る程 度 で あ り,
指 示 計 また は記 録 器 の ガ ル バ ノ メ ー タ を駆 動 す る こ とが で き な い の で,増 幅 し な け れ ば な ら な い。 増 幅 器 に 要 求 され る性 能 は,安 定 で 直 線 性 の よい こ と,十 分 な電 力 が 得 られ る こ とで あ る。 図 に示 した シ ス テ ム で は変 流 ブ リ ッ ジ を用 い て お り,"ひ ず み"信 号 で 搬 送 波 を振 幅 変 調 し,増 幅 す る。 被 変 調 波 を 検 波 回 路 で 復 調 し,元 の現 象 を示 す 波 形 を得 る。 この 信 号 を ロー パ ス フ ィル タ を 経 て,直 流 増 幅 器 に 導 き所 要 の電 力 を得 て,指 示 ・記 録 装 置 を作 動 さ せ る。 別 の 例 と し て,身 近 に 多 くの 例 を見 る こ とが で き る制 御 系 に つ い て 述 べ よ
図6・3
フ ィ ー ドバ ッ ク 制 御 系
う。 図6・3は 制 御 系 の 構 成 を示 す もの で,標 準 的 な フ ィー ドバ ッ ク制 御 系 の ブ ロ ッ ク線 図 で あ る 。 制 御 系 は 制 御 対 象 と制 御 装 置 か ら な り,制 御 装 置 は比 較 部,制
御 演 算 部,操
作 部 お よ び検 出 部*か ら な る。 比 較 部 は 目標 値 と制 御 量 また は制 御 対 象 か ら フ ィー ドバ ッ ク され る信 号 とを比 較 す る部 分,制 御 演 算 部 は 目標 値 に 基 づ く信 号 と検 出 部 か らの 信 号 を も とに して制 御 系 が 所 要 の働 き を す るの に必 要 な信 号 を 作 り,操 作 部 へ 送 り出 す 部 分,操 作 部 は制 御 演 算 部 か らの 信 号 を 操 作 量 に変 え て,制 御 対 象 に 働 きか け る部 分,そ
して 検 出部 は制 御 対 象,環 境 な どか ら制 御
に必 要 な信 号 を取 り出 す 部 分 で あ る。
図6・4
カメ ラの 自動 焦 点合 せ シス テ ムの ブ ロ ック線 図
図6・4は 制 御 系 の 一 例 で あ り,カ メ ラ の 自動 焦 点 合 せ シ ス テ ム の ブ ロ ッ ク線 図 で あ る。 焦 点 合 せ 用 セ ン サ は,例 え ば,レ
ンズ 系 とCCDラ
イ ン セ ンサ か ら
な る。 撮 影 レ ン ズ か ら入 っ た光 を フ ィル ム面 等価 位 置 に導 き,そ の 像 を レ ンズ 系 を通 してCCDラ
イ ンセ ンサ 上 に結 像 させ,そ
の 結 像 か ら不 合 焦 点 量 を検 出
す る。 セ ン サ の 出 力 信 号 を ア ナ ログ ・デ ィジ タ ル 変 換 し,マ イ ク ロプ ロセ ッサ で演 算 処 理 す る。 ピ ン トのず れ量,方
向 が 算 出 され,撮 影 レ ン ズ の位 置 指 令 が
マ イ ク ロ プ ロ セ ッ サ よ り出 さ れ,電 動 機 の 回 転 方 向,回 転 速 度 が 定 ま る。 こ の 信 号 を デ ィ ジ タ ル ・ア ナ ロ グ変 換 し,増 幅 し て撮 像 レ ン ズ駆 動 用 電 動 機 を 作 動 させ る。 電 動 機 の 回 転 は 歯 車 列 を介 して レ ン ズ に伝 え られ,レ
ン ズ を合 焦 位 置
に移 動 す る。 また,電 動 機 の 回 転 速 度 を ホ トエ ン コー ダで 検 出 し,電 動 機 の 速 * 自動 制 御 用語―
一 般(JIS
Z
8116)
度 制 御 を し て い る。 シ ス テ ム の 構 成 例 と し て,計 機 能 は,図6・1と
測 と制 御 の シ ス テ ム を 示 し た 。 構 成 要 素 と そ の
図6・2,図6・3と
図6・4を
比 較 して 理 解 して ほ し い 。
6・2 ア ナ ロ グ 信 号 と デ ィ ジ タ ル 信 号 我 々 は,感 覚 器 官 に よ っ て周 囲 か ら様 々 な情 報 を得 て生 活 して い る。 自 然 界 の 現 象 は連 続 で あ る の で,我 々 が 自然 界 か ら得 る情 報 は ア ナ ロ グ量 で あ り,そ の情 報 に も とづ く我 々 の挙 動 も連 続 で あ る。 感 覚 器 官 また は 四 肢 の代 用 あ るい は延 長 させ る もの と して,我 々 は様 々 な セ ンサ を用 い,ま
た シ ス テ ム を構 成 す
る。 い ろ い ろ な事 象 か ら検 出 さ れ る情 報 は ア ナ ロ グ信 号 で あ り,し た が っ て 我 々 が シ ス テ ム を利 用 し,使 い こな す に は,そ の 出 力 が ア ナ ログ 量 で あ る こ と が 望 ま し い。 シ ス テ ム へ の 入 力 と出 力 が ア ナ ロ グ 信 号 で あ っ て も,近 時,シ
ス
テ ム 内 の 信 号 を デ ィ ジ タ ル 化 して処 理 す る傾 向 が 強 く,前 述 した 自動 焦 点 合 せ シ ス テ ム も そ の 一 例 で あ る。 この よ う な シ ス テ ム を デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム とい う。 図6・5に デ ィ ジ タル シ ス テ ム の基 本 的 構 成 を示 した 。 こ の シス テ ム へ の 入力 は ア ナ ロ グ信 号 で あ り,セ ンサ あ るい は ア ナ ロ グ シス テム の 出 力 で あ る。 入 力 信 号 は調 整,雑
音 除 去 され て,サ
ンプ ル&ホ
波 形 の 信 号 に変 換 され る。 次 い で,ア パ ル ス に変 換 さ れ,イ
ー ル ド回路 に 入 れ られ,階
段状
ナ ロ グ ・デ ィ ジ タル 変 換 器 に よ っ て2進
ンタ フ ェ ー ス 回 路 を介 して,マ
り込 まれ る。 イ ン タ フ ェ ー ス 回 路 の機 能 は,コ
イ ク ロ コ ン ピュ ー タ に送
ン ピ ュー タ か らの 命 令 の 解 読 と
図6・5 デ ィジ タル シス テム の基 本 的構 成
実 行,コ
ン ピ ュ ー タへ の デ ー タ の 送 信(ま
は加 算,乗
あ る。 コ ン ピ ュー タ で
算 な どの 基 本 演 算 と条件 判 断 を組 み合 わ せ て,取
処 理 す る。 コ ン ピ ュー タの 出力,す へ て,デ
た は受 信)で
り込 ん だ デ ー タ を
なわ ち2進 パ ル ス は イ ンタ フ ェー ス 回路 を
ィ ジ タ ル ・ア ナ ロ グ変 換 器 に入 れ られ,階 段 状 波 形 の信 号 に変 換 され
る。 こ の信 号 を 出力 フ ィル タ に入 れ 不 必 要 な 高 周 波 成 分 を除 去 し,ア ナ ロ グ 信 号 を得 る。 デ ィ ジ タ ル シ ス テ ム は映 像,音
響 あ る い は通 信 な どの シス テ ム に,例
画 像 計 測,画 像 認 識,音 声 合 声,音 声 認 識,デ
ー タ通 信,リ
え ば,
モ ー トセ ン シ ン グ
な どに応 用 さ れ て い る。 応 用 範 囲 は ます ます 広 ま っ て い るが,こ れ は 表6・1に 示 す よ う に,デ
ィ ジ タル 信 号 が雑 音 に左 右 され ず,複 雑 な処 理 をす る こ とが で
き,し か も精 度 が よい か らで あ る。 これ に加 え て 半 導 体 製 造 技 術,集 積 化 技 術 が 飛 躍 的 に 向 上 し,多 数 の 部 品 が 必 要 で しか も信 頼 性 の高 い デ ィ ジ タル 信 号 処 理 回 路 が 安 価 に で き る よ う に な り,同 時 に情 報 処 理 技 術 が 高 度 に 発 展 した た め で あ る。 表6・1
アナ ログ信 号 とデ ィジ タル 信 号
6・3 電 子 機 器 の種 類 とその 応 用 日常,テ
レ ビ ジ ョン,テ ー プ レ コ ー ダ,電 話,ラ
ジ オ,電 動 機,コ
ンピュー
タ な ど,様 々 な電 気 製 品 を使 用 し て い る。 これ らの 機 器 は 四肢 や 感 覚 器 官 を代 用 し,ま た は 延 長 す る も の とか,対 話 や 簡 単 な 思 考 過 程 を代 用 す る もの で あ り,前 章 に述 べ た機 器 を代 表 とす るエ ネル ギ ー 変 換 に 関 連 す る機 器 と,情 報 に 関 連 す る機 器 とに 分 け る こ とが で き る。 前 者 を エ ネ ル ギ ー 変 換 機 器,後
者 を電
子 機 器 とい う。 電 子 機 器 を応 用 面 か ら分 類 す る と,制 御 用 電 子 機 器,医 法 用 機 器 な ど に分 け る こ とが で き るが,情 って 分 類 す る と,画 像 機 器,音
報 の 伝 達,測
用 電 子 機 器,電
波航
定 な ど機 器 の機 能 に よ
響 機 器,通 信 機 器,計 測 機 器 お よび 情 報 処 理 機
器 に分 け る こ とが で き る。
〔1〕 画 像 機 器 我 々 が 周 囲 か ら得 る情 報 の 多 くは視 覚 を通 して 得 る とい わ れ て お り,し か も その 情 報 に よ り全 体 像 を容 易 に把 握 す る こ とが で き るば か りで な く,必 要 に 応 じて 局 部 的 で 詳 細 な情 報 を も得 る こ とが で き る。 我 々 の 周 囲 に生 じ る い ろい ろ な事 象 の映 像 を工 学 上 画 像 とい う。 我 々 は 画像 に よ っ て情 報 を表 現 し,ま た 画 像 を見 て,そ の 意 味 を理 解 す る こ とが で き るの で,画 像 に よ り様 々 な情 報 を伝 達 し て い る。 テ レ ビ ジ ョ ン受像 機 の ス イ ッチ を入 れ る と,直 ち に 色 彩 豊 か な 映 像 が で て くる し,文 字,写
真,図
面 な どを伝 送 す る フ ァ ク シ ミ リ は事 務 用 ば か
りで な く,一 般 の 家庭 で も手 軽 に使 わ れ て い る。 い ろ い ろ な事 象 の 映 像 化 は, 情 報 伝 達 の 手 段 と し て使 わ れ る ば か りで な く,画 像 情 報 に よ る 物 体 の 寸 法 測 定,形 状 の解 析 な ど を行 う画像 計 測,ま
た 文 字,記 号,図
形 な どの 画 像 を見 分
けて,基 準 とす る 画像 と の一 致 の 程 度 か ら,そ れ が 何 か を決 定 す る画 像 認 識 な ど に応 用 され て お り,我 々 に とっ て 極 め て有 益 な もの で あ る。 画 像 計 測 を例 と して 画 像 情 報 処 理 の概 要 を説 明 し よ う。
図6・6 画像 計 測
画 像 計 測 は,製
品検 査 の 自動 化,赤
外 線 応 用 温 度 測 定 やCTな
ど医 学 検 査 の
結 果 の 画 像 化 な ど に応 用 され て お り,画 像 情 報 を も とに,測 定 対 象 の 位 置,長 さ,面 積 な どの 計 測 や,基
準 との比 較,判
断 をす る技 術 で あ る。
図6・6に 画像 計 測 に お け る信 号 処 理 の 過 程 を示 した 。 三 次 元 ま た は 二 次 元 に 分 布 す る対 象物 の 像 を,光 学 系 を経 て,イ
メ ー ジセ ンサ の感 光 面 上 に 結 像 さ せ
る。 イ メー ジ セ ンサ は各 画 素*の 光 の強 弱 に応 じ た電 気 信 号 を出 す。 この 映 像 信 号 は ア ナ ロ グ信 号 で あ る。 信 号 処 理 部 で は,ア ナ ロ グ,デ 音 除 去,画 像 強 調,2値
化,測
ィ ジ タル 変 換,雑
定 範 囲 の 設 定 な どが行 わ れ る。 す な わ ち,コ
ン
ピ ュー タが 画 像 情 報 の 内容 を理 解 し,判 断 で き る よ う に信 号 を処 理 す る と こ ろ で あ る。 識 別 判 断部 で は,数 値 化 さ れ た 画 像 デ ー タ に も とづ い て,測 定 対 象 物 の 有 無,位 して,あ
置(座 標)の
決 定,面
積 の算 出 な どが行 わ れ る。 この 結 果 を画 像 と
る い は測 定 値 と して表 示 し,必 要 に応 じて記 録 す る。
この よ う な シ ス テ ム と画 像 処 理 の 対 象 との 接 点 に存 在 す る もの が,イ
メー ジ
セ ンサ で あ り,ま た シ ス テ ム と我 々 と を結 び つ け る もの が デ ィス プ レ イ で あ る。 以 下 様 々 な 分 野 で用 い られ,重
要 な 役 割 を はた して い るイ メー ジ セ ンサ とデ
ィ ス プ レイ につ い て述 べ る。 (1) イ メ ー ジ セ ンサ
イ メ ー ジセ ン サ は,光 学 的 な 画像 情 報 を電 気 信 号
に変 換 す る素 子 で あ る。 か つて,撮 像 管 と呼 ば れ る電 子 管 が使 わ れ て い た が, 現 在 で は半 導 体 技 術 を利 用 して 固 体 化 した 固 体 撮 像 素 子 が 撮 像 管 に と って 代 わ り,様 々 な機 器 に組 み 込 まれ て 使 わ れ て い る。 固体 撮 像 素 子 は,基 本 的 に は 単 体 の光 セ ン サ の集 合 体 で あ り,感 光 面 は 光 電 変 換,蓄
積,走
査 の3つ
の 機 能 を もつ 多 数 の 画 素 で 構 成 され て い る。 す な わ
ち,微 小 な 光 電 変 換 素 子 を多 数 平 面 上 に配 列 し,光 電 変換 素 子 で得 た 信 号 電 荷 *眼
の網 膜 は微 細 な 視 細胞 の 集 ま りで
,網 膜 上 の 像 を無 数 に 分 割 し,各 細 胞 が 光 の 強 さ に 応 じた 刺激 を出 す。 イ メー ジセ ンサ も同 じよ うに,感 光 面 上 の 光 学 像 を微 小 な 部 分 に分 割 し,そ の部 分 の光 の強 さに対 応 した 電気 信 号 が 取 り出 せ るよ う,微 小 な 光 セ ンサ を感 光 面 上 に多 数配 置 して あ る。 この よ う に分割 した 微 小 な部 分 を画 素(ま た は絵 素:picture ment略
してpixe1)と
い う。
ele
を走 査 して 取 り出 し,出 力 を得 る もの で あ る。 画 素 の 位 置 が定 ま って お り,走 査 を電 子 回 路 に よ っ て行 う こ とが で き るの で,図 形 ひ ず み が 少 な く,ま た,消 費 電 力 が 少 な い,小 形 軽 量 化 が 可 能 な ど多 くの長 所 を もっ て い る。 固 体 撮 像 素 子 は,走 査 方 式 に よ っ て,X-Yア
ドレ ス 方 式 と信 号 電 荷 転 送 方
式 に よ る もの に 分 け る こ とが で き る。 また,画 素 の 配 列 に よ って 分 類 す る と, 一 次 元 と二 次 元 に配 列 した もの に分 け る こ とが で き,前 者 を ラ イ ンセ ンサ,後 者 を エ リア セ ンサ とい う。 (a) X-Yア
ドレ ス方 式 の イ メ ー ジ セ ンサ 感 光 素 子 とス イ ッ チ ン グ 素 子
か らな る光 電 変 換 素 子,す
なわ ち画 素 を図6・7に 示 す よ う に格 子 状 に配 置 して
あ り,画 素 を選 択 して その 画 素 が もつ 光 の強 弱 に応 じた 電 荷 像 を読 み 出 す もの で あ る。 図 に示 す よ う に,そ れ ぞれ の 画 素 を水 平(X)お 線 で 結 び,二 とn番
次 元 の 画 面 をX-Y座
目 のY選
よ び垂 直(Y)選
標 系 で 表 す 。 例 え ば,m番
択 線 を選 ん で,座 標(m,n)の
を読 み 出 す の で あ る。 代 表 的 な もの にMOS形
目 のX選
択 択線
画 素 を 指 定 し,そ の 画 素 の 信 号 撮 像 素 子 が あ る。
(b) 信 号 電 荷 転 送 方 式 の イ メ ー ジ セ ン サ こ の 方 式 の セ ン サ の 代 表 が
図6・7
X-Yア
ド レ ス 方 式 の イ メ ー ジ セ ンサ
図6・8 電 荷 転 送 素子 の 動作
図6・9
CCD
(charge
couple
フ レー ム転 送 方 式 の イ メー ジ セ ンサ
device;電
荷 結 合 素 子)で
あ る 。CCDは
光 学 像 を光 電
変 換 し て 画 素 に 電 荷 と し て 蓄 積 し,電
荷 像 を 得,そ
に,同
像 信 号 を読 み 出 す もの で あ る。
時 に,一
方 向 へ 順 次 転 送 し,画
の 電 荷 を 図6・8に
示 す よ う
CCDを
用 い る場 合,素
子 へ の 入 射 光 が 常 時 存 在 す る と,転 送 の 過 程 で 転 送
した い電 荷 に次 々 と電 荷 が 加 わ り,画 像 信 号 が 混 ざ り合 っ て し ま う。 そ こで 多 くの場 合,撮
像 部 と蓄 積 部 とを 分 離 した構 造 に な って い る。
例 え ば,図6・9は よ う に,ほ
フ レー ム転 送 方 式 に よ る イ メ ー ジセ ンサ で あ る。 図 に 示 す
ぼ 同 一 の 構 造 を も つ2つ
のCCDか
あ り,他 は光 シー ル ドさ れ た 蓄 積 部CCDで
ら な り,1つ
は 撮 像 部CCDで
あ る。 信 号 は 次 の よ う に転 送 さ れ
る。 撮 像 部 で 光 電 変 換 さ れ た 信 号 を短 時 間 の う ち に蓄 積 部 へ 転 送 す る。 そ し て,撮 像 部 で は 次 の 信 号 が 蓄 え られ 始 め る。 この 間,蓄 積 部 で は1ラ
イ ンず つ
信 号 電 荷 を読 出 し部 に送 り,順 次 信 号 を読 み 出 す 。 す べ て の ライ ンの 読 出 しが 終 わ る と,再 び撮 像 部 か ら蓄 積 部 へ と信 号 電 荷 が転 送 さ れ る。
図6・10
ラ イ ン転 送 方 式 の イ メ ー ジ セ ン サ
フ レー ム 転 送 方 式 の ほか に,ラ イ ン転 送 方 式,イ が あ る。 ラ イ ン転 送 方 式 は撮 像 部,蓄 多数 配 列 し た構 造 で,図6・10に
ンタ ー ラ イ ン転 送 方 式 な ど
積 部 の 別 が な く,CCD一
示 す よ う に,1ラ
て,信 号 を読 み 出 す 方 式 で あ る 。 ま た,イ
次 元 セ ンサ を
イ ンず つ 信 号 電 荷 を転 送 し
ン タ ー ラ イ ン転 送 方 式 は,図6・11
に示 す よ うに,感 光 部 と転 送 部 が 隣 接 し対 に な っ て い る。 転 送 部 の 電 荷 を1ラ イ ンず つ順 次 転 送 し,信 号 を読 み 出 す 方 式 で あ る。 (2) デ ィス プ レイ
時 計,計
算 機 の 数 字 表 示 に 用 い られ て い る発 光 ダ イ
図6・11
オ ー ド(LED)や ン管(CRT)な ほ か に,エ
イ ン ター ラ イ ン方式 の イメ ー ジ セ ンサ
液 晶 パ ネ ル,テ
レ ビ ジ ョ ン受 像 機 に用 い られ て い る ブ ラ ウ
ど,我 々 は様 々 な表 示 装 置 を 身 近 に見 る こ とが で き る。 この レ ク トロ ル ミネ ッセ ンス,プ
ラ ズ マ デ ィ ス プ レイ,レ
ー ザ デ ィス プ
レイ な ど が あ り,そ れ ぞ れ 使 用 目的 に応 じて使 い 分 け られ て い る。 ブ ラ ウ ン管(陰
極 線 管)は,テ
レ ビ ジ ョン受 像 機,オ
シ ロ ス コ ー プや レ ー ダ
の表 示 管 な ど,様 々 な 用 途 を もつ。 電 子 ビ ー ム を発 生 す る電 子 銃,電 を偏 向 さ せ る偏 向 系,電
子 ビーム
子 銃 に対 向 し て お か れ 画 像 を 表 示 す る 蛍 光 面 か ら な
る。 蛍 光 体 に電 子 ビ ー ム をあ て て発 光 させ,表 示 を す る もの で,用 途 に 応 じて 様 々 な もの が 作 られ て い る。 表 示 装 置 の 画 質 の 良 否 は,輝 度,コ
ン トラ ス ト,解 像 度,鮮
鋭 度,階
調,色
再 現 忠 実 度 な ど で判 定 す る。 一 般 に,表 示 装 置 に対 して,画 質 の 良 さ は い う ま で もな く,安 定 で取 り扱 い が 容 易 で あ り,安 価 で長 寿命 で あ る こ とが 要 求 され る。 カ ラ ー 画 像 を表 示 す る た め の ブ ラ ウ ン管 に は 多 くの 種 類 が あ り,電 子 銃 の
数,電 子 ビー ム の本 数,蛍 光 膜 の 構 造 な どが 異 な っ て い る。 こ こで は シ ャ ドウ マ ス ク形 ブ ラ ウ ン管 に つ い て,簡 単 に述 べ て お こ う。 シ ャ ドウ マ ス ク形 ブ ラ ウ ン 管 は,赤(R),緑(G),青(B)を して あ る蛍 光 面,3つ
発 光 す る点 状 蛍 光 体 を 規 則 正 し く配 列
の 色 そ れ ぞ れ の信 号 を受 け持 つ3つ の 電 子 銃,蛍
光面 と
電 子 銃 の 間 に,蛍 光 面 に接 近 して 置 か れ た シ ャ ドウ マ ス ク,偏 向 系 な どか ら な る。 シ ャ ドウ マ ス ク は蛍 光 面 上 の 点 状 蛍 光 体 に対 応 して あ け られ た 孔 を も つ金 属 製 薄 板 で,蛍 光 面 に平 行 に置 いて あ る。3つ の 電 子 銃 の軸 は シ ャ ドウ マ ス ク の孔 の 中 心 で交 差 させ て あ り,こ の 孔 を通 っ た電 子 ビー ム が 点 状 蛍 光 体 に あ た り,所 要 の 色 を発 光 させ る の で あ る。 液 晶 デ ィス プ レイ は,デ ス ク トップ ・パ ソ コ ンの デ ィ ス プ レ イ,カ ゲ ー シ ョ ン ・シ ス テ ム,ビ
ー ・ナ ビ
デ オ ・カ メ ラ,デ ィ ジ タ ル ・スチ ー ル ・カ メ ラ,携
帯 電 話 や 家 電 製 品 の動 作 表 示 な ど に用 い られ,そ
の応 用 は多 岐 にわ た って い
る。 情 報 表 示 機 器 と し て,場 所 を と らず,電 力 消 費 の 少 ない とい う特 長 を もつ の で,用 途 は さ らに 広 が りつ つ あ る。 液 晶 パ ネ ル は,僅 か に(約5μm)隔 隙 に充〓 し た液 晶,マ
て て 置 い た2枚
トリ ッ ク ス駆 動 用 の 透 明 電 極,偏
の ガ ラ ス 基 板,そ
圧 に よ っ て分 子 の 向 きが 変 わ る液 晶 を使 い,マ
の間
光 板 な どか らな る。 電
トリ ッ ク ス駆 動 に よ っ て 必 要 と
す る画 素 の 部 分 に 電 圧 をか け,液 晶 パ ネ ル 背 後 に 置 い た バ ッ ク ・ラ イ トの 光 の 透 過 量 を調 節 し,文 字 や 図 形 を表 示 させ る もの で あ る。 現 在,カ
ラ ー画 像 を表 示 す る液 晶 デ ィス プ レ イ の 主 流 はTFTカ
ラ ー液 晶 デ
ィス プ レ イ で あ る。 色 彩 を 受 け持 つ の は,上 記 構 成 要 素 に加 え て 前 側 の ガ ラ ス 裏 面 に 置 か れ た,赤,緑,青
の マ イ ク ロ ・カ ラ ー ・フ ィル タ で あ る 。 す な わ
ち,白 黒 表 示 した 画 素 に フ ィル タ で 色 を付 け,カ を出 す た め に,赤,緑,青 るの で あ る(デ
の フ ィル タ を付 け た3つ の 画 素 を使 い,色
ィ ス プ レイ 上 の1画
な る)。 ち な み に,TFT(thin
ラー 化 を して い る。 任 意 の色
素 は赤,青,緑
の3つ
の"原 色"画
を合 成 す 素から
film transister,薄 膜 トラ ン ジ ス タ)は 表 示 の
速 さ を早 め,ま た 鮮 明 な 画 像 を得 るた め に 用 い る,ス イ ッチ 役 を す る トラ ン ジ ス タで あ る。 マ トリ ッ クス の各 交 点 に置 か れ,後 側 の ガ ラ ス の 電 極 部 に あ る。
現 在,メ
ー カ各 社 は それ ぞ れ独 自の 液 晶 技 術 に よ っ て液 晶 デ ィス プ レ イ を作
って い る。 使 用 す る液 晶,液
晶分 子 の 制 御 法,製
造 技 術 な ど,新 しい技 術 の 導
入 と開 発 に しの ぎ を けず っ て お り,そ の 成 長 は 著 しい。
〔2〕 音 響 機 器 日常 生 活 の 中 で我 々 は様 々 な手 段 を用 い で情 報 を交 換 し て お り,社 会 の情 報 化 が 進 め ば 進 む ほ ど,必 要 な情 報 を迅 速 か つ 正 確 に伝 達 し な け れ ば な ら な い 。 情 報 伝 達 の 手 段 は様 々 だ が,我 り,情 報 の 量,質,伝 が っ て,我
々 に と っ て 音 声 は最 も容 易 な伝 達 の 手 段 で あ
達 の早 さ,い ず れ も他 の 手 段 に比 べ て優 れ て い る。 した
々 の 身 近 に は電 話,ラ
ジ オ な ど数 多 くの 音 響 機 器 や シ ス テ ム が あ
り,日 常 生 活 の 必 需 品 に もな って い る。 音 響 シ ス テ ム は一 般 に 入 力 装 置,増 器,出
幅
力 装 置 か ら な る。 入 力 装 置 と して マ イ ク ロ ホ ン,オ ー デ ィオ テー プ レ コ
ー ダ ,CDプ
レー ヤ,チ
ン な ど を用 い るが,マ
ュー ナ な ど を,ま た 出 力 装 置 に は ス ピ ー カ,ヘ イ ク ロ ホ ン な どの 出 力 は微 弱 な の で,ス
ッ ドホ
ピー カ を作 動 さ
せ る た め 増 幅 器 が 必 要 で あ る。 と こ ろで,こ
れ らの音 響 シ ス テ ム に加 えて,近
て そ れ に応 じて 作 動 す る機 器 や,必
年,人 間 が話 す 言 葉 を 理解 し
要 な情 報 を音 声 と して 出 力 す る機 器 が 用 い
られ る よ う に な っ て き た。 音 声 は,人 間-機 械 系 に お け る 入 出 力,例 装 置 へ の 指 示,機
械 装 置 か らの 注 意 の喚 起,操
え ば機 械
作 や 確 認 の 指 示 な ど,人 間 と機
械 との間 の情 報 伝 達 の手 投 と して優 れ た 点 を もっ て い る。 す な わ ち,音 声 に よ る情 報 の 入 出 力 の 利 点 は,他 の 作 業 を しな が ら も,音 声 が 明確 に到 達 す る範 囲 で あ れ ば,入 力 が 可 能 で あ り,ま た 出力 も受 け る こ とが で き る こ と,入 操 作 と し て特 別 な訓 練 も必 要 が な い こ と,多
・出 力
くの情 報 を早 く伝 達 す る こ とが で
きる こ と な どで あ る。 この よ う に人 間 と機 械 とを音 声 で 結 び つ け る技 術 が,音 声 認 識 技 術 で あ り,音 声 合 成 技 術 で あ る。 音 声 合 成 は,機 械 装 置 に予 め音 声 生 成 用 デー タ を記 憶 さ せ て お き,機 械 装 置 か ら出 力 さ れ る情 報 を この デ ー タ を用 い て 音 声 化 す る技 術 で あ る。 音 声 合 成 に は大 き く分 け て2つ
の 方 式 が あ り,1つ
は 波 形 符 号 化 方 式,他
はパ ラ メ ー タ合
成 方式 で あ る。 波 形 符 号 化 方 式 は,音 声 波 形 を一 定 周 期 で サ ン プ リ ン グ し,そ の 値 を 符 号 化 しデ ー タ と して 記 憶 さ せ て お き,こ の デ ー タ を読 み 出 して 再 び ア ナ ロ グ 信 号 に 変 換 して 音 声 とす る方 法 で あ る。 音 質 は 良 い が,記 憶 さ せ る デ ー タ の量 が 膨 大 に な る欠 点 を もつ 。 デ ー タ の量 を少 な くす るた め に,音 声 信 号 の 処 理 の 際 に情 報 密 度 を高 め る よ うに種 々 の工 夫 を し て い る。 パ ラ メ ー タ 合 成 方式 で は,音 声 の 生 成 過 程 を モ デ ル化 し,モ デ ル 各 部 の パ ラ メ ー タ を変 化 させ て,音 声 を生 成 す る。 この 方 式 で は,記 憶 させ て お くデー タ はパ ラ メ ー タ を変 化 させ る命 令 で あ り,予 め 音 声 よ り抽 出 し て お く。 パ ワー ス ペ ク トル に 着 目 して音 声 合 成 を行 うの で,記 憶 させ るデ ー タ を少 な くす る こ と が で き る。 音 声 認 識 は,機 械 装 置 に 音 声 の も つ意 味 を認 識 さ せ る 技 術 で あ る。 こ こ で は,特 定 話 者 方 式 の音 声 認 識 につ い て述 べ よ う。 我 々 の 言 語 が 学 習 す るの と同 じ よ うに,機 械 装 置 に対 して,特 定 の話 し手 の 言 葉 を聞 か せ る。 機 械 装 置 は言 葉 を分 析 し,正 確 に そ の特 徴 を と らえ て,そ の 特 徴 の分 布 の 有 様(こ
れ をパ タ
ー ン とい う)を 記 憶 す る。 記憶 させ た特 定 の 話 し手 の音 声 パ タ ー ン を 標 準 パ タ ー ン と呼 ぶ 。 い ま,あ る人 の 言 葉 を入 力 す る と,そ の 言 葉 を分 析 し特 徴 を と ら え,標 準 パ ター ン と比 較 し,特 定 の話 し手 の 言 葉 で あ るか 否 か を判 定 し,機 械 装 置 は話 し手 に応 じた 応 答 を す る。 図6・12に 音 声 認 識 の過 程 の 一 例 を示 した 。 識 別 の 方 式 に もよ るが,言 葉 の 特 徴 を記 憶 させ る の に数 キ ロ ビ ッ トは 必 要 で あ
図6・12 音 声 認 識 の過 程(特 定 話 者 方式)
り,ま た特 徴 の 比 較 に も複 雑 な演 算 が 必 要 で あ る。 先 に述 べ た 音 声 合 成 と比 べ て,技 術 的 に む ず か しい 問 題 が 多 い 。 これ まで に述 べ た音 響 シ ス テ ム と我 々 との 接 点 に あ るの が,マ あ り,ス ピー カ で あ る。 以 下,こ (1) マ イ ク ロホ ン
イ ク ロ ホ ンで
の 両 者 に つ い て簡 単 に述 べ て お こ う。
マ イ ク ロ ホ ン は音 響 を 電 気 信 号 に変 換 す る装 置 で あ
る。 様 々 な 原 理 を用 いた もの が つ く られ て お り,種 類 が 多 い。 ダ イ ナ ミッ ク マ イ ク ロホ ンは,磁 界 内 に置 い た 可 動 導 体 を音 波 で 動 か し,こ の 導 体 の 速 度 に 比例 し て誘 起 す る起 電 力 を利 用 す る もの で あ る。 可 動 導 体 と し て ま っ す ぐな線,リ
ボ ン あ るい はコ イ ル を用 い る。 図6・13は 可 動 コ イ ル 形 の
構 造 図 で あ る。 ドー ム状 の 振 動 板,可
動 コ イ ル,ヨ
ー ク,永 久 磁 石 か らな る。
振 動 板 に コイ ル を直 接 取 付 け,そ の コイ ル を磁 気 回路 中 に 保 持 し て あ る。 振 動 板 に音 圧 が 加 わ る と,コ イ ル が 振 動 し,コ イ ル 両 端 に起 電 力 が 生 じ る。 こ の マ イ ク ロ ホ ン は,周 波 数特 性が 良 い,雑 音 や ひ ず み が少 な い,温 度 や湿 度 の 影 響 が 少 な い な どの 利 点 が あ り,機 械 的 に も丈 夫 で 取 り扱 い や す い た め,放 送,録 音,測
定 な ど に広 く使 わ れ て い る。
コ ン デ ンサ マ イ ク ロホ ン は,振 動 数 と これ に対 向 して 置 い た板 とか らな り, こ の板 をわ ず か な 隙 間 を設 け て 平 行 に置 き,コ
図6・13
ンデ ンサ を形 成 させ,こ
ダイ ナ ミッ クマ イ ク ロ ホ ンの構 造
れの静
電 容 量 の 変 化 に よ っ て 電 気 信 号 を 得 る マ イ ク ロ ホ ン で あ る。 振 動 板 が 軽 量 な の で,音 圧 の変 化 に よ く追 従 し,構 造 が 簡 単 な の で 周 波 数 特性 の平 坦 な ものが 得 や す い 。 また,絶 対 校 正 が 容 易 な の で,感 度 測 定 の 標 準 と な る標 準 マ イ ク ロ ホ ン と して,あ
る い は精 密 測 定 用 と して 広 く用 い られ て い る。
圧 電 マ イ ク ロホ ン は,圧 電 素 子 の 変 形 に よ って 生 じ る起 電 力 を利 用 した もの で,圧 電 素 子 と して 水 晶 や ロ ッ シ ェル 塩 な どの 結 晶,チ コ ン酸 鉛 な ど を用 い る。 構 造 が簡 単 で,出
タ ン酸 バ リウム,ジ
力 電 圧 が 高 く,小 形,軽
ル
量 であるな
どの 特 徴 が あ る。 (2) ス ピー カ
ス ピー カ は,電 気 信 号 を音 に変 換 し て,空 間 に放 射 す る
機 器 で あ る。 動 作 方 式 に よ り,動 電 形,静 電 形 に分 け る こ とが で き る。 動 電 形 ス ピー カ は,均 一 磁 界 内 に置 い た コイ ル に音 声 電 流 を流 して,コ
イ ル に直 結 さ
せ て あ る振 動 板 を動 か して 音 波 を発 生 す る もの で あ る。 また,静 電 形 ス ピー カ は,コ
ン デ ン サ ス ピ ー カ と も い い,振 動 板 と固 定 電 極 とで コ ン デ ンサ を形 成
し,直 流 電 圧 を印 加 して 振 動 板 上 に電 荷 を蓄 積 して お き,こ れ に信 号 電 圧 を加 え る と ク ー ロ ン 力 が 作 用 し て 振 動 板 が 動 き,音 波 を 発 生 す る もの で あ る。 ま た,音
を空 間 に放 射 す る方 法 に よ って 動 電 形 ス ピー カ を 分 け る と,コ ー ンス ピ
ー カ とホ ー ンス ピ ー カ に大 別 す る こ とが で き る。 図6・14(a)は,コ
ー ン ス ピー カ の構 造 図 で あ る。 円 錐 状 の 振 動 板(コ
図6・14
ス ピー カ の 構 造
ーン
とい う),磁 石,ヨ
ー ク,可 動 コ イ ル(ボ
イ ス コ イ ル とい う)か
らな る。 この
ス ピー カ は,構 造 が 簡 単 で,小 形 で あ り,そ の う え周 波 数 応 答 が か な りの 周 波 数 範 囲 で 平 坦 で あ る の で,広
く用 い られ て い る。 また,図(b)は
ホ ー ン ス ピー
カ の構 造 図 で あ る。 振 動 板 は ドー ム状 に な っ て お り,そ の 前面 に断 面 積 が 徐 々 に変 化 して ゆ く管(ホ
ー ン とい う)を つ け,音
を空 間 に放 射 す る よ う に な っ て
い る。 ホ ー ンを 用 い る と高 能 率 で動 作 させ る こ とが で き,ま た ホ ー ン を う ま く 組 み合 せ る と任 意 の 指 向性 を得 る こ とが で き るの で,大 規 模 な 音 響 再 生 に適 し て い る。 な お,図 中 の位 相 等 化 器 は 振 動 板 各 部 で 発 生 した音 波 の 位 相 を ホ ー ン 入 口 で 合 わ せ るた め の もの で,必
要 に応 じて 設 け る。
〔3〕 通 信 機 器 日常,我
々 は 各 種 の通 信 機 器 を 用 い,音 声,文
字,画 像 な ど を電 気 信 号 に 変
換 し,こ の信 号 を電 線 あ るい は電 波 に よ っ て 伝 達 し,遠 方 に い る人 との 対 話 や い ろい ろ な情 報 の 交 換 を して い る。 電 線 に よ る通 信 を有 線 通 信 とい い,電 よ る通 信 を無 線 通 信 と い う。 有 線 通 信 機 器 に は電 話,フ り,ま た無 線 通 信 機 器 に はAM送
波に
ァ ク シ ミ リな どが あ
・受 信 機 を 代 表 と す る各 種 の 送 ・受 信 機 が
あ る。 (1) 有 線 通 信 機 器― 電 話
遠 隔 地 間 で 「声 」 を や り と りす る通 信 シ ス テ
ム で あ り,話 し手 の 音 声 を電 気 信 号 に変 換 し,信 号 波 形 を くず さ ず,雑 音 を入 れ な い よ う に して遠 方 に伝 え,再
び音 声 に も ど し,聞 き手 に伝 え る シ ス テ ム で
あ る。 音 声 を電 気 信 号 に,ま 話 器,受
た電 気 信 号 を音 声 に変 換 す る装 置 が 電 話 機 で あ り,送
話 器,信 号 発 生 装 置,呼
の 電 話 線 を1箇 所 に 集 め,多
び 出 し用 ベ ル で構 成 され て い る 。 あ る地 域 内
くの 電 話 機 の 中 の希 望 す る2つ の電 話 機 を接 続 し
て,通 話 で き る よ う にす る こ と を電 話 交 換 とい うが,こ れ に用 い る装 置 が 電 話 交 換 機 で あ る。 電 話 とい う通 信 シ ス テ ム は,磁 石 式,共
電 式 と称 す る電 話 交 換 手 に よ る手 動
式 電 話 交換 の 時 代 を へ て,現 在 で は 自動 式 電 話 交 換 が 行 わ れ て い る。 電 話 機,
電 話 交 換 機 な どは,「 音 声 を 忠 実 に伝 え る に は どの よ う に す れ ば よ い か 」,「大 勢 の 人 が こ の通 信 シ ス テ ム を 有 効 に利 用 す る に は ど う した ら よ いか 」 を 目的 に 開 発 され た もの で あ る。 (2) デ ー タ通 信 機 器
電 話 や電 信 は一 般 に会 話 や 文 書 の 伝 送 に 用 い られ
る ば か りで な く,デ ー タ の 伝 送 に も使 わ れ て い る。 例 えば,列 車 の座 席 予 約, 企 業 にお け る生 産 管 理 や 在 庫 管 理,銀
行 の預 金 業 務 な ど多 くの例 をみ る こ とが
で き る。
図6・15 デー タ通 信 シス テ ム の構 成
図6・15は デ ー タ通 信 シ ス テ ム の 構 成 を示 す もの で,図 装 置,変
復 調 装 置,伝 送 線 路,通 信 制 御 装 置,情
に 示 す よ う に,端 末
報 処 理 装 置 か らな る。 端 末 装
置 は情 報 を コ ン ピ ュー タ で 処 理 で き る よ う な電 気 信 号 に変 換 して 送 り出 した り,送
られ て き た信 号 か ら文 字 を 打 ち 出 し,画 像 を再 現 す る 装 置 で あ る。 変 ・
復 調 装 置 は 端 末 装 置 お よ び コ ン ピ ュー タ か ら送 り出 され た 信 号 を,伝 送 路 に適 した 変 調 波 に変 換 し,受 信 側 で そ れ を復 調 す るた め の 装 置 で あ る 。 ま た,通 信 制 御 装 置 は デ ー タ通 信 シ ス テ ム を制 御 す る装 置 で あ り,コ ン ピ ュー タ との デ ー タ の 授 受,通
信 状 態 の 監 視 な ど を行 う。
(3) 無 線 通 信 機 器−AM送
・受 信 機
無 線 通 信 シ ス テ ム は,送 信 機,
送 信 ア ン テ ナ,受 信 ア ン テ ナ,受 信 機 か ら な る。 無 線 送 信 機 よ り発 生 した 高 周 波 電 力 を信 号 波 で 変 調 して ア ン テ ナ に供 給 し,電 波 を放 射 させ る。 無 線 受 信 機 は空 間 に存 在 す る多 くの電 波 の 中か ら,必 要 とす る電 波 を選 択 し,復 調 し て信 号 波 を再 現 す る。 例 と し て,AM送 AM送
・受 信 機 に つ い て述 べ よ う。
信 機 の構 成 を 図6・16に 示 す 。 発 振 器 は発 振 周 波 数 が 安 定 して い る水
図6・16 AM送
図6・17
信機 の構 成
ス ー パ へ テ ロ ダ イ ン受 信 機 の 構 成
晶発 振 器 を用 い,緩 衝 増 幅 器 を 介 し て,逓 倍 増 幅 器 と接 続 して あ る。 数 段 増 幅 して 電 力 増 幅 器 の 入 力 と し て必 要 な電 力 を得 る。 終 段 の電 力 増 幅 器 は送 信 に必 要 な 電 力 増 幅 を し,振 幅 変 調 して ア ン テ ナ へ電 力 を供 給 す る。 AM受
信 機 と して 用 い られ て い る スー パ へ テ ロ ダ イ ン受 信 機 の 構 成 を 図6・
17に 示 した 。 受 信 ア ン テ ナ か ら入 っ て きた 高 周 波 信 号 を増 幅 し,次 い で 周 波 数 変 換 器 で よ り低 い周 波 数 に し,増 幅 す る。 そ れ か ら検 波 して 信 号 波 を取 り出 し,増 幅 して ス ピー カ に 送 り,音 声 を再 現 す る。 微 弱 な電 波 を検 出 し,微 小 な 高周 波 電 圧 を何 段 に も重 ね て 増 幅 す る と,発 振 す る こ とが あ る の で,受 信 周 波 数 よ り低 い周 波 数(中 ン方 式 と い う。
間 周 波 数)に
し て増 幅 す るが,こ
れ を ス ー パ ヘ テ ロダ イ
(4) 画 像 通 信 用 機 器― フ ァク シ ミ リ,テ
レビ ジ ョ ン
文 字,写
真,絵,
図 面 を電 気信 号 に変 え て 送 信 し,受 信 側 で 原 画 を再 現 す る通 信 方式 を フ ァ ク シ ミ リ とい う。 図6・18に 送 ・受 信 の 過 程 を示 す 。 送 信 画 を画 素 に分 割 し,画 素 の 濃 淡 に比 例 した 電 気 信 号 に変 換 す る。 この 信 号 を変 調 して 伝 送 す る。 受 信 側 で は信 号 を増 幅,復 調 し,各 画 素 を組 み立 て て画 を再 生 す る。 時 々 刻 々 と変 化 す るあ る地 点 の光 景 を電 気 的 手 段 に よっ て 映 像 と し,遠
く離
れ た 場 所 で 見 る もの が テ レ ビ ジ ョ ン で あ る。 テ レ ビジ ョンの 原 理 は,送 信 側 で 画 面 を分 解 して 送 り,受 信 側 で画 面 を組 み 立 て る写 真 電 送 の 技 術 を 発 展 さ せ た
図6・18
図6・19
フ ァ ク シ ミ リ送 ・受 信 の 過 程
テ レ ビ ジ ョ ン 送 ・受 信 シ ス テ ム の 構 成
も の で あ り,し
た が っ て 走 査 の 仕 方,同
い る 。 し か し,大
期 の 取 り方 は フ ァ ク シ ミ リ と相 似 し て
きな 違 い は フ ァ ク シ ミ リが 静 止 画 像 を伝 送 す るの に対 して
,
テ レ ビ ジ ョ ン は 主 と し て 動 的 画 像 を 伝 送 す る こ と が で き る こ と で あ る 。 図6・ 19に
テ レ ビ ジ ョ ン の 送 ・受 信 シ ス テ ム の 構 成 を 示 し た 。
〔4〕 計 測 機 器 近 年,電
子 計 測 器 の性 能 が ます ます 高 ま り,多 くの 機 能 が 付 与 され る よ う に
な り,工 学 の各 分 野 で 活 用 され て い る。 以 下,各 種 計 測 機 器 を列 挙 す る。 (1) 測 定 用 信 号 源 フ ァ ン ク シ ョン ジ ェ ネ レ ー タ 0.001Hzか 数 範 囲 で,正 弦 波,方 形 波,三
角 波,の
ら数 十MHzに
わ た る広 い 周 波
こ ぎ り波 な ど,い ろ い ろな 波 形 の信 号
波 を発 生 す る こ とが で き る信 号 発 生 器 で あ る。 電 子 機 器,回 過 渡 特 性 の測 定,機 械 装 置 の振 動 試験,材
路 の 周 波 数 特 性,
料 の疲 労 試 験 な どの 信 号 源 と して用
い る。 掃 引 発 振 器(ス
イ ー パ)必
要 とす る広 い 周 波 数 範 囲 に わ た り発 振 周 波 数 を
連 続 して 変 化 させ る こ とが で き る発 振 器 で あ る。 増 幅 器,フ 数 特 性 の 測 定 に 用 い る。 オ シ ロ ス コ ー プ,X-Yレ
ィル タ な どの 周 波
コー ダ を接 続 して 用 い る と,
測 定 対 象 の 周 波 数 特 性 を直 接 観 察 す る こ とが で き る の で,観 察 し な が ら特 性 の 調 整 を す る こ とが で き る。 周 波 数 シ ンセ サ イ ザ 発 振 周 波 数 可 変 の 正 弦 波 発 振 器 で あ る。 基 準 と して1 個 の 水 晶 発 振 器 を用 い,発 振 周 波 数 を逓 倍 また は 分 周 して,数 多 くの 単 位 周 波 数 をつ く り,こ れ か ら希 望 す る周 波 数 を合 成 す る。 した が って,出
力周波数 は
基 準 に した水 晶 発 振 器 と同 じ安 定 さ と正 確 さ を もっ て お り,測 定 用 信 号 源 と し て だ けで な く,周 波 数,時
間 の標 準 器 と し て も用 い る こ とが で き る。
パ ル ス 発 生 器 パ ル ス繰 り返 し周 波 数 を広 範 囲 に変 え,ま た パ ル ス幅 も 自 由 に 変 え る こ と が で き る信 号 源 で あ る。 パ ル ス 繰 り返 し周 波 数 が0 .1Hz∼1 MHzに
わ た り各 種 の もの が あ る。 デ ィ ジ タ ル 回 路,論
析,機 器 の 動 作 特 性 の 測 定 な どに 用 い る。
理素 子 な どの特性 解
(2) 波 形 測 定 器 オ シ ロス コ ー プ 電 圧-時 間 の 関 係 を ブ ラ ウ ン管 上 で 観 察 で き る よ う に し た 装 置 で あ り,直 流 か ら高 周 波 ま で広 い 周 波 数 範 囲 に お け る波 形 観 測 に 用 い る。 形 状,機
能 な ど様 々 な種 類 の もの が あ り,例 え ば,2つ
ン管 上 に 表 示 す る2現 象 形,現
の現象 を同時 にブ ラ ウ
象 を記 憶す る メ モ リ形 な どが あ る。
スペ ク トラ ム ア ナ ラ イザ フ ィル タ な どの ろ 波技 術 を用 い て,周
波数成分 を
求 め,各 成 分 の 振 幅-周 波 数 の 関 係 を ブ ラ ウ ン管 上 に 表 示 さ せ る 装 置 で あ る。 変 調 波,高 調 波 ひ ず み,機 械 振 動 な どの物 理 現 象 か ら得 る電 気 信 号 を周 波 数 領 域 で 観 測 す る の に 用 い る。FFTア
ナ ラ イ ザ は リア ル タ イ ム 方 式 の ス ペ ク トラ
ム ア ナ ラ イザ で あ る。 ロジ ッ ク ア ナ ラ イ ザ グ の 実 行 状 態,タ
デ ィ ジ タ ル 回 路 に お け る,論 理 の判 定,プ
ロ グラ ミン
イ ミ ング の 判 定 な ど に用 い る測 定 器 で あ る 。 ソ フ ト解 析 に 用
い る ロ ジ ック ス テ ー トア ナ ラ イ ザ とハ ー ドの解 析 に用 い る ロ ジ ッ ク タ イ ミ ン グ ア ナ ラ イ ザ が あ る。 (3) 周 波 数,時 間 の 測 定 器 周 波 数 カ ウ ン タ 周 波 数 お よび 周 期 な どの 測 定 に用 い る計 数 器 で あ る 。 測 定 精 度 が高 く,操 作 が容 易 で あ る。 周 波 数 カ ウ ン タ の 基 本 的 な構 成 を 図6・20に 示 した 。 周 波 数 の 測 定 を す る場 合,被 測 定 波 は入 力 回 路 部 で,増 幅,波
図6・20
形 成 形 し,パ ル ス に変 換 し て,ゲ
周波 数 カ ウ ンタの構 成
ート
回 路 にパ ル ス を 送 る。 一 方,基
準 発 振 器,分
周 器 に よ り基 準 時 間 パ ル ス をつ く
り,ゲ ー ト回路 に加 え る と,そ の 間 の み に入 力 パ ル スが ゲ ー トを通 る。 この よ う に して一 定 時 間 に ゲ ー トを通 過 し たパ ル ス 数 を計 数 して,周 波 数 を求 め,こ れ を表 示 す る。 周 波 数 の 測 定 の ほ か,時 間,周 期,周
波 数 比 の測 定 機 能 を もた せ た もの をユ
ニバ ー サ ル カ ウ ン タ とい う。 図6・20に 示 し た切 換 ス イ ッチ を2の 状 態 に す る と,時 間 測 定 をす る こ とが で き る。 基 準 時 間 パ ル ス をゲ ー ト回 路 に入 れ,測 定 し よ う とす る 時 間 の ス タ ー ト信 号 とス トッ プ信 号 で ゲ ー トを 開 閉 し,ゲ ー ト回路 を通 過 した基 準 時 間 パ ル ス の 数 を計 数 し,そ の時 間 を求 め表 示 す る。
6・4 制 御 要 素 と して の 素 子,回 素 子 や 回 路,電
路,電
動機
動 機 は制 御 系 を構 成 す る要 素(以
下,制 御 要 素 とい う)と
し
て 使 わ れ る。 回 路,電 動 機 を制 御 要 素 と し て取 り扱 っ て み よ う。
〔1〕 モ デ リ ング 制 御 系 や 制 御 要 素 を解 析 した り,設 計 す る に は,実 体 あ る い は 数 学 的 な構 造 模 型 を用 い て そ の特 性 を把 握 し,そ の 特 性 を記 述 す る必 要 が あ る。 以 下,数 的 な 構 造 模 型(以 下,数
学
学 的 モ デ ル とい う)に つ い て 述 べ よ う。
数 学 的 モ デル は制 御 系 や 制 御 要 素 の 特 性 を 記 述 す る式 で あ る。 こ こで は制 御 系 や 制 御 要 素 の 入 力 信 号(以 下,入
力 とい う)お よ び 出 力 信 号(以
下,出 力 と
い う)を 変 数 と して,変 数 間 の関 係 式 を導 き,特 性 を 記 述 し て み よ う。 例 え ば,抵 抗,コ
イ ル お よ び コ ンデ ンサ を 負 荷 素 子 と し よ う。 各 素 子 に時 間
的 に 変 化 す る電 流i(t)を 流 す と,各 素 子 の 端 子 間 電 圧υ(t)は そ れ ぞ れ 抵 抗 : υ(t)=Ri(t) こ こで,Rは
抵 抗 で あ る。
(6・1)
コ イ ル:
(6・2)
こ こ で,Lは
自 己 イ ン ダ クタ ン ス で あ る。
コ ン デ ン サ
: (6・3)
こ こ で,Cは
キ ャパ シ タ ンス で あ る。
で 与 え ら れ る。 ま た,図2・55に
示 すR-C直
列 回 路 お よ び 図2・61に
に 時 間 的 に 変 化 す る 電 圧υ(t)を
加 え た と き,そ
示 すR-L-C直
列回路
れ ぞ れ の 回 路 の コ ンデ ン サ 端
子 間 電 圧υc(t)は (6・4)
および (6・5)
で与 え られ る。 式(6・1)∼ 式(6・3)で,電 た,式(6・4)お
流i(t)を 入 力,端
よ び 式(6・5)で,電
子 間 電 圧υ(t)を 出 力 と し,ま
圧υ(t)を 入 力,コ
ンデ ンサ の端 子 間 電 圧
υc(t)を 出 力 と す る と,入 力 お よび 出力 を変 数 とす る微 分 方 程 式(0階
∼2階)
を得 る。 これ らの 式 が 入 力 と出 力 間 の 関係 式 に よ っ て素 子 や 回路 の 特 性 を記 述 し,各 素 子 お よ び 回路 を表 す 数 学 的 モ デ ル で あ る。 ち な み に,入
出力 に 加 え て状 態 変 数 も変 数 と して用 い た と き の 数 学 的 モ デ ル
を求 め て み よ う。 式(6・5)で 記 述 さ れ たR-L-C直
列 回 路 は,式(2・131)の
導
出 と同 様 に して (6・6)
(6・7)
式(2・132)(状
態 変 数 ベ ク トル)お
力 変 数 を そ れ ぞ れu(t)[=υ(t)]お
よ び 式(2・133)を よ びy(t)[=υc(t)]と
用 い,入 し,
力変 数 お よび 出
(6・8)
と お く と,
(6・9)
(6・10)
を 得 る 。 式(6・9)を
状 態 方 程 式,式(6・10)を
こ れ ま で 述 べ て き た よ う に,対
出 力 方 程 式 と い う。
象 とす る制 御 系 や そ の 要 素 の 特 性 を 記 述 す る
こ と をモ デ りン グ とい う。
〔2〕 伝 達 関 数 前 項 で制 御 系 や制 御 要 素 の 数学 的 モ デ ル を得 た が,入 出 力 関 係 に よ っ て特 性 を記 述 す る式 は,一 般 に微 積 分 方 程 式 とな る。 この ま まで も数 学 的 に取 り扱 う こ と もで き る が,ラ プ ラス 変 換*を す る と,微 積 分 方 程 式 が 代 数 方 程 式 に変 換 され,取
扱 い が容 易 に な る。 ラ プ ラ ス変 換 を用 い た 入 出 力 関 係 の 表 し方 の1つ
に伝 達 関 数 が あ り,こ れ を使 っ て 上 述 した 素 子 と回 路 を表 現 して み よ う。 伝 達 関 数 はす べ て の 初 期 値 を0と
した と き の,入 力 の ラ プ ラ ス 変 換 に対 す る
出 力 の ラ プ ラ ス 変 換 の比 で あ る。 す な わ ち,入 力 お よ び 出 力 を そ れ ぞ れu(t) お よ びy(t)と
し,い ず れ も ラ プ ラ ス 変 換 可 能 で,
とす る と,伝 達 関 数G(s)は (6・11)
で ある。
前 項 の素 子 と 回 路 の伝 達 関 数 を 求 め て み よ う。i(t),υ(t)お よ びυc(t)は ラ プ ラ ス 変 換 可 能 で あ り, * 付録1「 ラプ ラ ス変 換表 」 を参 照 しな さい
。
抵 抗 コ イ ル
:
式(6・5)を
ラ プ ラ ス 変 換 す る と,
:V (s)=RI(s)
(6・12)
V(s)=LsI(s)
(6・13)
コ ン デ ン サ
R-C直
:(6・14)
列 回路: (6・15)
こ こ で,T=CR.
R-L-C直
列 回路 :
(6・16)
ここで,〓
:
と す る 。 式(6・1)∼
を 得 る 。 ま た,
と し て,式(6・9)お
よ び 式(6・10)を
ラプラス変換 す ると
sX(s)-x(0)=AX(s)+bU(s)
(6・17)
Y(s)=cX(s)
(6・18)
を得 る。 よ っ て,各 素 子 の伝 達 関 数G(s)は 抵 抗 : コ イ ル
:
G(s)=R
(6・19)
G(s)=Ls
(6・20)
: (6・21)
コ ン デ ン サ
で あ る。 また,回 路 の 伝 達 関 数 は,す べ て の 初 期 値 を0と R-C直
して
列 回路 (6・22)
R-L-C直
列 回路 :
(6・23) で ある。
な お,状 態 方 程 式,出 式(6・18)よ
力 方程 式 で表 した 場 合 の伝 達 関 数 は,式(6・17)お
よび
り
G(s)=c(sI-A)-1b と表 さ れ る 。 こ こ で,Iは
(6・24)
単 位 行 列,(sI-A)-1は(sI-A)の
逆 行 列, sは ラ
プ ラ ス の 演 算 子 で あ る。
〔3〕 制 御 要 素 とそ の 応 答 入 力 の 変 化 に対 す る出 力 の 変 化 の様 相 を応 答 とい う。 こ こ で は,素 子 や 回路 の 応 答 につ い て考 察 し よ う。 抵 抗 は式(6・1)に 示 した よ う に,入 力 に比 例 す る大 き さ の 出 力 を 出 す 。 伝 達
関数が G(s)=K(=const.),
Kは 比例定数
(6・25)
で あ る 要 素 を比 例 要 素 とい う。 コ イ ル は入 力 の時 間 微 分 値 に 比 例 す る大 き さ の 出力 を 出 す 。 伝 達 関 数 が
G(s)=s
(6・26)
で あ る 要 素 を微 分 要 素 とい う。 コ ンデ ン サ は入 力 の 時 間 積 分 値 に比 例 す る大 きさ の 出 力 を 出 す 。 伝 達 関 数 が (6・27)
で あ る 要 素 を積 分 要 素 とい う。 回路 に つ い て は過 渡 応 答*を 調 べ よ う。 図6・21に 示 す 入 力 を 単 位 ス テ ッ プ 入 力 とい う。 大 き さ が1,ス
テ ップ状 に変 化 す る入 力 で あ る。 この 入 力 に対 す
る応 答 を単 位 ス テ ッ プ応 答 とい う。 *定
常 状 態 に あ った 入 力 が別 の 定 常状 態 へ と変 化 した とき
,定 常 状 態 に あ っ た 出 力 も変 化
して別 の定 常状 態 に達 す る。 この と きの 出力 の 変 化 の様 相 を過 渡 応 答 と い う。 イ ンパ ル ス 応 答,ス テ ップ応 答 は代 表例 で あ る。
図6・21
R-C直 0,す
単 位 ス テ ップ入 力
列 回 路 の 単 位 ス テ ッ プ 応 答 は,式(2・106)に
な わ ちυc(0)=0と
お い てV0=1,初
お くと
υc(t)=1-e-t/T
を得,出
期 値 を
(6・28)
力 は 図6・22(図
中,出 力 をx(t)と
した)に
示 す よ う に変 化 し,出 力
が 入 力 か ら遅 れ る。 す な わ ち動 作 遅 れ が あ る。 伝 達 関 数 が
で あ る要 素 を1次 遅 れ 要 素 とい う。 こ こで,Tは R-L-C直
時 定 数*で あ る。
列 回 路 の単 位 ス テ ッ プ応 答 は,ζ の 大 き さ に よ っ て 異 な り,次 式
の よ うに な る。
図6・22 一 次遅 れ 系の 単位 ス テ ップ応 答 * p .91を
参 照 し な さい。
① ζ<1の と き(不 足 減 衰)
(6・29)
② ζ=1の
と き(臨 界 減 衰) (6・30)
③ ζ>1の と き(過 減 衰) (6・31)
出力 は図6・23(図
中,出 力 をx(t)と
した)に
示 す よ う に 変 化 し,出 力 が 入
力 か ら遅 れ る。 す な わ ち,動 作 遅 れ が あ る。 伝 達 関数 が
で あ る 要 素 を2次 遅 れ 要 素 とい う。 ま た,ωnを
固 有 角 周 波 数*,ζ
数 とい う。
図6・23 二 次遅 れ 系 の単 位 ス テ ッ プ応答 * p
.105を
参 照 し な さ い 。
を減 衰 係
〔4〕 直流 電 動 機 多 くの制 御 系 で電 動 機 は操 作 部 を構 成 す る主 要 な要 素 と して使 わ れ て い る。 特 に,直 流電 動 機 は速 度 制 御 が 容 易,か よ っ て,サ
つ 高 精 度 で行 え るの で 応 用 例 が 多 い 。
ー ボ 系 で 使 わ れ る他 励 直 流 電 動 機*の 数 学 的 モ デ ル を求 め て み よ
う(図5・7に
示 す 界 磁 電 流Ifは 一 定 とす る)。
直 流 電 動機 の 等 価 回路 は,図5・5に
示 す 通 りで あ る。 い ま,電 機 子 回路 に印
加 さ れ る電 圧 をυ(t),電 機 子 電 流 をia(t),逆
起 電 力 をe0(t)と す る と,式(5・
1)よ り (6・32) を 得 る 。 ま た,ロ 度 をωm(t)と
ー タ(電
機 子 。 以 下,機
す る と,式(5・2)に
械 部 品 と し て 表 現 す る)の
回転 角速
よ り (6・33)
で あ り,こ
こ で,Kmは
比 例 定 数 で あ る。
電 動 機 の 発 生 トル ク を τ(t)と す る と,式(5・5)に
よ り (6・34)
を 得 る 。 こ こ で,Kは
比 例 定 数 で あ る。
電 動 機 の 出力 軸 に 関 す る 回 転 部 の 慣 性 モ ー メ ン トをJm, 出 力 軸 軸 受 け部 の 粘 性 摩 擦 係 数 をλm,負 荷 トル ク をτL(t)とす る と (6・35) を得 る。 次 い で,入 速 度ωm(t)と し,す
力 を 電 機 子 回 路 に 印 加 さ れ る 電 圧υ(t),出 し,伝
達 関 数 を 求 め よ う 。 式(6・32)∼
べ て の 初 期 値 を0に
* p .197を
参 照 し な さ い 。
す る と
力 を ロー タの 回転 角
式(6・35)を
ラプ ラ ス変換
(6・36) (6・37) (6・38)
(6・39) を 得 る 。 よ っ て,伝
達関 数は
(6・40) で あ る。
〔5〕 ブ ロ ック 線 図 直 流 電 動 機 の 数 学 的 モ デ ル と伝 達 関 数 が 求 ま っ た が,電 動 機 内 部 で どの よ う に信 号 が伝 達 さ れ るか が わ か らな い。 これ を解 決 す る た め,ブ い て み よ う。 ブ ロ ック線 図 は 制御 系 の 構 成,構
ロ ッ ク線 図 を 用
成 要 素 間 の 信 号 伝 達 を表 現 す る
た め に 用 い る線 図 で あ る。 この 線 図 で は,構 成 要 素 を ブ ロ ッ ク と呼 ぶ 四 角 形 で,要 素 間 の 信 号 を,伝 達 す る向 き に合 わ せ た 矢 印 で 表 す 。 また,信 号 の分 岐
図6・24
ブ ロッ ク線 図
お よ び加 減 算 を そ れ ぞれ 引 き出 し点 お よ び加 え合 わ せ 点 で 表 す 。 この線 図 は代 数 式 の 図式 表 現 で あ る。X,Y,Zを K2=const.と
変 数 す な わ ち 信 号,K,K1,
して Y=KX
を図6・24(a)の
よ う に表 す 。 また,信 号 の和 また は差
X±Y=Z を同 図(b)と
表 し,こ の 点○ を 加 え合 わ せ 点 と呼 ぶ 。 さ らに,信 Y1=K1X
図6・25
式(6・36)∼
式(6・39)の
ブ ロ ッ ク線 図
図6・26 他 励 直 流電 動 機 の ブ ロ ック線 図
号の分岐
Y2=K2X を 同 図(c)と
表 し,こ
式(6・34)∼(6・37)を
の 点 ● を 引 き 出 し点 と 呼 ぶ 。 ブ ロ ッ ク 線 図 で 表 現 す る と 図6・25の
れ た ブ ロ ッ ク 線 図 を 信 号 伝 達 に 従 っ て 結 合 す る と 図6・26を
よ う に な る。 得 ら 得,電
動機 内部 で
信 号 が どの よ う に伝 達 され て い る か を知 る こ とが で き る。
演 〔 問 題 〕1.歪
習
問
題
〔6〕
ゲ ー ジ を 用 い た 応 力 測 定 シ ス テ ム で,信
号 が どの よ う に 処 理 さ れ て
い る か を 説 明 せ よ。
〔 問 題 〕2.サ
ー ボ 系 で,信 号 が ど の よ う に変 換 さ れ,伝
達 されて い るか を説 明 せ
よ 。
〔 問 題 〕3.ア
ナ ロ グ信 号 とデ ィ ジ タ ル 信 号 の特 徴 を あ げ,比
〔 問 題 〕4.セ
ン サ を3つ
あ げ,そ
較 せ よ。
の セ ン サ に 応 用 さ れ て い る物 理 法 則 と信 号 変 換
に つ い て 説 明 せ よ。
〔問 題 〕5.CCD(charge 明 せ よ。
coupled
device:
電 荷 転 送 素 子)の
電 荷 転 送 の原 理 を 説
演習問題の解答
第1章 電 気 の基 礎 〔問 題 〕1.(a)オ
演 習 問 題 ー ム の 法 則 か ら,
(b) (c) 2 〔問 題 〕
(c) (e) (f) (h) (i) (j) (k) (l)
(m) (n)
.(a)
(b)
(d)
〔1〕(p.37)
(o) (p) 3.
〔問 題 〕
〔問 題 〕 4.極
ま た,極
ま た,コ
板 の 帯 電 量Q〔C〕
板 間 の 吸 引 力F〔N〕
図1.(a)の
で き る磁 界H1は,右
ら,
は,式(1・45)か
ン デ ン サ の キ ャ パ シ タ ン スC〔F〕
〔問 題 〕 5.解
向 で,そ
は,式(1・35)か
よ う に,導 体Aに
ら,
は,式(1・36)か
流 れ る電 流I1〔A〕 に よ っ て,導 体Bに
ね じ の 法 則 か ら,図(b)に
の 大 き さH1〔A/m〕
は,式(1・58)か
解 図1.
ら,
示 す よ う に,導 体Bに ら,
直角 な 方
この 部 分 の 磁 束 密 度B1〔T〕 は,真 空 の 透 磁 率 をμ0と す れ ば,B1=μ0H1で
ある
か ら,
と な る。 した が っ て,導 体BにI2〔A〕 F1〔N〕 は,式(1・61)か
真 空 の 透
第2章
た りの 電 磁 力
ら,
率μ0=4π ×10-7〔H/m〕
電 気 回 路
〔問 題 〕1.
の 電 流 が 流 れ て い る と き の,1m当
図2・65のR3,R5,R6の
を代 入 す れ ば,
演 習問題
〔2〕(p.106)
と ころ は,合 成 抵 抗R'=R3+R5R6/(R5+R6)
=4.0〔Ω〕で お きか え て 同 図 を 画 き直 す と,解 図2.の よ う に な る。R1に
解 図2.
解 図3.
はE1が
直
接 加 わ る か ら,そ よ っ て,こ
の 電 流i1は,i1=10/10=1〔A〕
のR1は
除 い て,解
ー プ に つ い て キ ル ヒ ホ ッ フ 第2法
と まず 決 ま る。
図2.のI1,I2の
よ う に,ル
則 に よ っ て ,次
ー プ 電 流 を 決 め,各
の 式 を つ くる 。
整 理 し て,
これ を解 い て,
各 抵 抗 の 電 流 を そ れ ぞ れ 解 図3.の
よ うにi1∼i6と 名 付 け れ ば,
ま た,
〔問 題 〕2. す る と,解
図2・22の 図4.に
閉 路PGS,
PQRSお
よ びPQBの
お い て,P=2,Q=5,R=1,S=3,Rl=3,
電 流 を そ れ ぞ れil,i1,i2と B=1〔
解 図4.
Ω 〕,E=
ル
16〔V〕 で あ る か ら,そ れ ぞ れ の 閉 路 に つ い て,次
の 式 が つ くれ る 。
上 式 を整 頓 して,
こ れ を 解 い て,il=1〔A〕=Ilと
な る 。 な お,〓
も
求 め られ る 。 〔問 題 〕3.等 正n角 n -2)個
し い 抵 抗Rが
図2・23の
よ う に正 五 角 形 に 結 ば れ た 場 合 を 拡 張 し て
形 と した 場 合 を 考 え る 。この と きは,解 図5.の の 頂 点 間 に抵 抗 を 結 び
,ab間
よ うに,ab点
か ら残 りの(
に電 圧 を 加 え た と き,残 りの 頂 点 の 電 位 はab
解 図5.
間 の 電 位 の1/2と が な く,ab間
な り,す べ て 同 電 位 で あ る。 し た が っ て,抵 抗 を結 ん で も影 響
の 合 成 抵 抗 はRと2Rが(n-2)個
が 並 列 に結 ば れ た も の とが 並 列
に な る の で,
と な る 。n=5の
場 合 は,
〓と な る 。
〓で あ る か ら,回 路 の イ ン ピ ー ダ ン スZは,
〔 問 題 〕4.
ゆ え に,消
〔問 題 〕5.抵
費 電 力Pは,
抗Rに
流 れ る電 流IRは,
で あ る か ら,電 力Pは,
とな り,Pの
最 大 の 条 件 は,上
式 の 分 母 を 最 小 とな る よ う に す る。
ゆ え に,R=ωLのとき〓 と な る か ら,位
最 大 とな る。こ の 時,│IR|=│IL|,IR=jIL
相 角 φ=45°
で あ り,cosφ=0.707と
〔問 題 〕6.図2・69は,図2・48に
等 価 変 換 で き る 。 す な わ ち,相
で あ る 。 よ っ て,〓
ま た,〓
7 〔問 題 〕
同 様 に,
電 圧〓
と な り,
と お く と,
.〓で あ る か ら,
ゆ え に,
よ っ て,実
な る。
〓で あ る 。 よ っ て,
〓と お く と,
効 値Iは,
〔 問 題 〕8.
ラ プ ラ ス変 換 表 を用 い て,
上 式 を 整 理 す る と,
この 式 の ラ プ ラ ス逆 変 換 は,
で 求 ま る。 ま た,電 流 に つ い て は,
とな る 。
回 路 の 各 素 子 の 定 数 が 一 定 で あ る 回 路 に お い て,入
力 が 直 流 で あ る と き,応 答
の 定 常 項 は 常 に 直 流 と な る。 同 様 の こ と が 交 流 入 力 に つ い て も成 り立 つ 。 9.
〔 問題 〕
こ こで
,〓と す る 。
と な る。
以 上 の 関 係 を ベ ク トル 図 で 示 す と,解
解 図6.
入 力 電 流 がi=√2Icosωtで
図6.と な る 。 こ こ で,基
準 ベ ク トル は,
解 図7.
与 え られ て い る の で 縦 軸 上 に と っ て あ る。
こ の よ う に,過 渡 応 答 か ら得 ら れ た 定 常 値 は,す で に2・2節 で 述 べ た 結 果 か ら も直 接 に得 ら れ る 。 解 図7.の 関 係 か ら,
が 求 め られ,過 〔問 題 〕10.
渡 応 答 か ら算 出 さ れ た値 と等 しい こ とが わ か る。
与 え られ た 各 定 数 か ら,
〓(不足振 動) 固 有 角 周 波 数 β0は,
周 波 数f0は,
周 期T0は,
減 衰 の時 定数Tは, 〓を 用 い た 系 行 列 〔A〕は,
解 図8.
状 態 ベ ク トル の初 期 値 〔X(0)〕は,
と な る の で,式(2・138)を
用 い て コ ン ピ ュ ー タ で 求 め た 結 果 を 解 図8.に
第3章 半 導 体 デ バ イ ス 〔問 題 〕 1.削
略
〔問 題 〕2.削
略
〔 問 題 〕3.削
略
第4章
電子回路
〔 問 題 〕1.省
略
〔 問 題 〕2.省
略
〔 問 題 〕3.省
略
〔 問 題 〕4.省
略
〔問 題 〕5.一
般 に,解
図9.の
回 路 で,V2は
示す。
演 習 問 題
〔3〕(p.133)
演 習 問題
〔4〕(p.187)
次 の よ う に な る。
解 図9.
〓で
こ こ で,図4・18(a)で, あ る の で,上
式 にZ1,Z2を
代 入 す れ ば,式(4・41)が
得 られ る 。
〔 問 題 〕6.
〔問 題 〕7.カ
ル ノ ー マ ッ プ は,次
の ようにな る。
解 図10.
簡 略 化 し た 式 は,
と な る 。
〔 問 題 〕8. は,R入
RSフ
リ ップ フ ロ ッ プ で は,S=R=1は
力 部 のNANDゲ
ー トの働 きで,S=R=1の
ッ トと な る。 そ の ほ か の 動 作 は,RSフ フ リ ッ プ フ ロ ッ プ を セ ッ ト優 先RSフ 〔問 題 〕9.
8ビ
解 図11.の
ま ず2進
と きQ=1と
な り,動 作 は セ
リ ップ フ ロ ッ プ と 同 じ で あ る(こ の よ う な リ ッ プ フ ロ ッ プ と い う)。
よ う に な る。
ッ ト の 信 号D7D6D5…D2D1D0に
〔問 題 〕10.
入 力 禁 止 で あ る。 本 問 の 回 路
数11101010を10進
よって スイ ッチ を動 かす。 数 に 変 換 す る と,
1・27+1・26+1・25+1・23+1・21=234 と な る 。234を5の
べ
き 乗 を 用 い て 表 す
と,
234=1・53+4・52+1・51+4・50 と な る 。 し た が っ て,234を5進
数 で 表 す と,1414と
なる。
解 図11.
第5章
エ ネ ル ギ ー 変 換 機 器
〔問 題 〕1.(1) (2) (3)
と そ の 応 用
演 習 問 題
〔5〕(p.228)
逆 起 電 力E0=V-RaIa=150-0.2×50=140〔V〕
トル クT=E0Ia/ωm=140×50/(2π 電 機 子 電 圧 を50Vに
と な る か ら,こ
×1750/60)=38.2〔N・m〕
す る と,逆
起 電 力E0'=50-0.2×50=40〔V〕
の と きwmは,
ωm=E0Ia/T=40×50/38.2=52.36〔rad/s〕=500〔rpm〕 〔問 題 〕2.(1)
式(5・11)よ
り,負
荷 トル ク が1/2に
な る と,電
機 子 電 流は√1/2
に な る か ら,I'=100/√2=70.7〔A〕 (2) (3)
式(5・12)よ
り,速
度 は√2倍
に な る か ら,N'=1000×√2=1414〔rpm
出 力=200×70.7=14140〔W〕=14.14〔kW〕
〔問 題 〕3.
E2=200×100/200=100〔V〕
I2=E2/50=100/50=2〔A〕
〕
式(5・21)よ
り,
〔問 題 〕4.(1)式(5・24)よ
り,
(2) (3)
(4)
同 期 速 度 は 変 化 し な い か ら,1800rpm
〔問 題 〕5.
出力〓 す べ り〓 〔問 題 〕6.5・3節
参 照
〔 問 題 〕7.(1)
周 波 数 と出 力 電 圧 の 調 整 が 同 時 に で き る。
(2)
ス イ ッチ 周 波 数 を 高 め て 出 力 電 圧 に 含 まれ る低 次 高 調 波 分 が 減 少 で き る 。
(3)
電 圧 制 御 の 応 答 性 が よい 。
(4)
直 流 電 圧 は,ダ
(5)共
イ オ ー ド整 流 回 路 で よ い か ら,交 流 電 源 の 力 率 が よ い 。
通 の 直 流 電 源 に 多 数 台 のPWMイ
〔問 題 〕8.電
機 子 電 圧Vは,
〔問題 〕9.平
均 直 流 電 流Idは,
〔 問 題 〕10.定
常 状 態 に お い て,GTOが
きの 磁 束 減 少 量 と は 等 し い か ら,オ
ンバー タが接 続 で きる。
オ ン の と きのLの
磁 束 増 加 量 とオ フ の と
フ時間 の イ ンダ ク タ ンス端 子 間 の平 均 電 圧
VLは,
で あ り,平 均 負 荷 電 圧V0は,
と な る。 コ ン デ ン サ の 値 が 十 分 大 き い 時,オ 0≧Vと
な る。
ン期 間 もV0は
一 定 で,上 式 か ら,V
第6章
電 子 機 器 と そ の 応 用
〔問 題 〕1.解
図12.は,歪
演 習 問題
〔6〕(p.231)
ゲ ー ジ に よ る応 力 測 定 シ ス テ ム の 基 本 的 構 成 で あ る 。図
解 図12. 歪 ゲ ー ジ に よ る応 力測定 シ ステ ムの 基本 的構 成
に 示 す よ う に,歪 ゲ ー ジ,ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ,増 幅 器,低 な る。 歪 ゲ ー ジ は 金 属 抵 抗 体(ま
た は 半 導 体)で
域 フ ィル タ か ら
あ り,歪 を 加 え る と電 気 抵 抗 が
変 化 し,そ の 変 化 率 は 歪 に比 例 す る。 ゲ ー ジの 抵 抗 変 化 は 非 常 に小 さ い の で,ホ イ ー トス トン ブ リ ッ ジ で 精 密 に 測 定 し,電 圧 に 変 換 す る 。次 い で,こ 幅 す る。 差 動 増 幅 器,低
の電圧 を増
域 フ ィ ル タ に よ り雑 音 を 除 去 す る 。 低 域 フ ィ ル タ の 出 力
を表 示 ・記 録 装 置 へ 導 き,測 定 結 果 を 表 示 ・記 録 す る。 ま た,必 域 フ ィ ル タ の 出 力 を ア ナ ロ グ ・デ ィ ジ タ ル 変 換 し,コ 表 示 ・記 録 す る。
解 図13.
サ ー ボ機 構 の 例
要 に応 じて,低
ン ピ ュー タ で 信 号 を処 理 し,
〔 問 題 〕2.解
図13.は
サ ー ボ 機 構 の 一 例 で,回
転体 を入力 軸 の動 きに追 従 させ る
制 御 シ ス テ ム で あ る 。 シ ス テ ム 内 の 信 号 の 変 換 と伝 達 の 有 様 を解 図14.に
示 す。
解 図14. 信号 の 変換
〔問 題 〕3.第6章6・2節 〔問題 〕4.(1)
「ア ナ ロ グ 信 号 とデ ィ ジ タ ル 信 号 」 参 照 。 歪 ゲ ー ジ は 力 の 測 定 に 用 い る セ ン サ で あ る。原 理 は 「物 体 に 力 が
作 用 す る と変 形 す る。 この 変 形 量 を検 出 し,作 用 し て い る 力 を求 め る 」 もの で あ り,フ
ッ クの 法 則 と ピ エ ゾ抵 抗 効 果 と を応 用 し た セ ン サ で あ る 。 次 の よ う に 信 号
が 変 換 さ れ る。 力 → 物 体 の 変 形 → 金 属 線 の 抵 抗 変 化 →(電 気 信 号) フ ッ ク の 法 則 :弾 性 限 度 内 に お い て,歪
は 応 力 に比 例 す る 。
ピ エ ゾ抵 抗 効 果 :金 属 線 に 張 力 を加 え た り,半 導 体 に 圧 力 を加 え る と電 気 抵 抗 が 変 化 す る 。 (2) 熱 電 対 は 温 度 の 測 定 に 用 い る セ ン サ で あ る。 ゼ ー ベ ッ ク 効 果 を応 用 した も の で,次
の よ う に信 号 が 変 換 さ れ る。
温 度 → 熱 起 電 力(電
気 信 号)
ゼ ー ベ ッ ク 効 果 :異種 金 属 線 の 両 端 を接 合 し,2つ と,ル ー プ 電 流 が 流 れ る。1つ
の 接 合 点 に 温 度 差 を与 え る
の 接 合 点 を 切 り離 す る と起 電 力 が 生 じ る 。 この 起
電 力 を 熱 起 電 力 と い う。 (3) 光 導 電 セ ル(CdS, 応 用 し た もの で,次
PbSな
ど)は 光 計 測 用 セ ンサ で あ る 。 光 導 電 効 果 を
の ように信号 が 変換 され る。
光 → 電 気 伝 導 度 の 変 化 → 光 電 流(電
気 信 号)
光 導 電 効 果 :光 を 照 射 す る と電 気 抵 抗 が 変 化 す る。 〔 問 題 〕5.基
本 的 な 三 相 駆 動 のCCDの
す よ う に,p形
動 作 原 理 に つ い て 説 明 す る。解 図15.に
シ リ コ ン基 板 の 上 に 酸 化 膜(SiO2)が
属 電 極 が 一 列 に 並 べ ら れ て い る。 電 極 は2個
示
あ り,こ の 膜 面 上 に 多 数 の 金
お き に 共 通 の 線 に つ な が れ て お り,
三 相 の 電 圧 が 印 加 され る。 電 極Aに
電 圧 を加 え,酸 化 膜 の 下 の シ リコ ン の 表 面 に 空 乏 層 を つ くる 。 こ の 空
乏 層 は 電 位 の 井 戸 の よ う に な り,電 子 を た め る こ と が で き る。 い ま,こ
解 図15. CCDの
強 度 に 対 応 し た 電 荷,す
電 荷 転送 の原理
な わ ち電 子 が 蓄 積 さ れ た と す る 。 電 極Bに
圧 を加 え て 深 い 井 戸 を つ くる と,電 子 は 電 極Bの を 電 極Aの
こ に光 の
よ り大 き な 電
下 に移 動 す る 。 そ こ で,電 極B
初 め の 状 態 と同 じ に す れ ば,蓄 積 され た電 子 は 電 極Aか
へ と移 り,こ の よ う な操 作 を 順 次 繰 り返 す と,電 子 をAか さ せ る こ とが で き る 。 これ が 電 荷 転 送 の 原 理 で あ る。
ら電 極Bの
らB,C,D,…
下
と移 動
付 〈付 録1.〉
ラプラス変換表 の一例
〈付 録2.〉MIL記
号 ・JIS記
号 対照表
録
索
ア
R-2Rラ
ダー
引 A/D変
換(analog
to
digital
A/D変
換 回 路(analog-to-digital
行
182
回 路(R-2R
ladder
circuit)
134,183
131
AM受
ア ク セ プ タ(acceptor)
117
ANDゲ
ア ド ミ タ ン ス(admittance)
ア ナ ロ グ ス イ ッ チ(analog
switch)
圧 電 マ イ ク ロ ホ ン(piezo
microphone)
receiver)
ト(and
信 機(AM
significant
178
nチ
ャ ネ ル(nchannel)
n形
半 導 体(n-type
39
160
transmitter)
134
185
bit)
185 127
semiconductor)
controlled ー
249
bit)
significant
SCR(silicon XORゲ
250
gate)
MSB(most
247
網 目(mesh)
ー
LSB(least
134,138
signal)
信 機(AM
AM送
68,70 circuit)
ア ナ ロ グ 信 号(analog
converter)
181
ア イ ソ レ ー シ ョ ン(isolation)
ア ナ ロ グ 回 路(analog
ト(XOR
of
conversion)
gate)
33,67
イ ン ピ ー ダ ン ス(impedance)
69
イ ン ピ ー ダ ン ス 整 合(impedance
matching)
エ ネ ル ギ ー(energy)
21 gap)
エ ミ ッ タ(emitter)
位 相 差(phase
difference)
62
control)
220
位 相 制 御(phase 位 相 変 調(phase
modulation(PM)) -order
system)
ウ ィ ー ン ・ ブ リ ッ ジ 発 振 器(Wien oscillator) う ず 電 流 損(eddy
current sideband)
154 88
loss)
connection) 122
nescence)
lumi 242
エ ン ハ ン ス メ ン ト 形(enhancement
type) 127
演 算 増 幅 器(operational
amplifier) 139
,94
bridge
114 121
エ ミ ッ タ 接 地 回 路(common-emitter
エ レ ク ト ロ ル ミ ネ ッ セ ン ス(electro
oscillator) 153
上 側 波 帯(upper
243
206
移 相 形 発 振 器(phase-shift
一 次 系(first
crystal display)
エ ネ ル ギ ー ギ ャ ッ プ(energy
160,192,226
128 162
184
イ ン ダ ク タ ン ス(inductance) イ ン バ ー タ(inverter)
115
rectifier)
液 晶 デ ィ ス プ レ イ(liquid EOC(end
conversion)
O Rゲ
ー ト(OR
gate)
160
152
オ イ ラ ー の 式(Euler's
formula)
65
207
応 答(response)
154
オ シ ロ ス コ ー プ(oscilloscope)
253
オ ー ム の 法 則(Ohm's
5,6
258
law)
オ フ 状 態(off-state)
128
オ ン 状 態(on-state)
128
Q値(共
振 の 鋭 さ)(resonance
76 キ ャパ
カ
sharpness)
シ タ ン ス(capacitance)
行 12,18,19,67
ガ ウ ス の 定 理(Gauss'theorem)
17
カ ウ ン タ(counter)
174
カ ル ノ ー マ ッ プ(karnaugh
map)
カ ゴ 形 導 体(squirrel-cage
114
キ ル ヒ ホ ッ フ の 法 則(Kirchhoff's
40,59 基 準 電 圧(reference
209 semiconductor)
voltage)
起 磁 力(magnetomotiv 起 電 力(electromotive
115
軌 道(trajectory)
198
基 本 波(fundamental
winding)
198
逆 起 電 力(counter-electromotive
階 段 接 合(step
junction)
119
回 転 機(rotating
machine)
回 転 磁 界(rotating 回 路 素 子(circuit
magmetic
field)
element)
回 路 網(network) potential)
角 周 波 数(angular 過 減 衰(over
192
共 振 周 波 数(resonance
209
強 制 転 流(forced
of
pair
禁 制 帯(forbidden
ク ロ ッ ク パ ル ス(clock ク ー ロ ン の 法 則(Coulomb's
pulse)
(shaded-pole
single-phase single-phase
組 合 せ 論 理 回 路(combinational
response)
環 状 電 流(ring 完 全 応 答(complete
current) response)
induction
layer)
118 logic
circuit)157
84,86,88,94,96,100,258
amplifer)
13
216
空 乏 層(depletion
緩 衡 増 幅 器(buffer
12,24
ゲmoter)
113
state)
law) force)
価 電 子 帯(valence
過 渡 状 態(transient
172
く ま 取 り コ イ ル 形 単 相 誘 導 電 動 機
43 145,166
term)
195 114
145
過 渡 項(transient
poles)
band)
加 算 積 分 器(summer-integrator)
過 渡 応 答(transient
224
of
ク ー ロ ン 力(Coulomb's
superposition)
band)
75
commutation)
極 対 数(number
99
113 of
75
frequency)
60
semiconductor)
加 算 器(summer)
118
curve)
119
damped)
重 ね の 理(principle
force) 195
共 振 曲 線(resonance
frequency)
化 合 物 半 導 体(compound
82
characteristic)
195
39,61
拡 散 電 位(diffusion
wave)
逆 方 向 特 性(reverse
1,39
4 102,104
current)
speed)
58
force)
界 磁 巻 線(field
angular
178
force)
界 磁 電 流(field
回 転 角 速 度(mechanical
law)
164
conductor)
外 因 性 半 導 体(extrinsic
キ ャ リ ア(carrier)
繰
り 上 が り(carry)
167
88,95 85,86 144 80 88,90
ゲ ー ト(gate)
125 ,160
ー ト タ ー ン オ フ サ イ リ ス タ(gate off
thyristor)
系 行 列(system 傾 斜 接 合(graded
matrix) junction)
turn 129 101 119
結 合 係 数(coefficient
of
サ ン プ リ ン グ(sampling)
coupling,coupling
factor)
サ ン プ ル&ボ
37
ー ル
113
滅 算 器(subtractor)
145
最 大 値(maximum
155
最 大
121
コ レ ク タ 接 地 回 路(common-collector
60 torque)
212
tube,camera
三 角 結 線(delta
tube)
55
コ ン ダ ク タ ン ス(conductance)
6,70
コ ン デ ン サ(condenser,capacitor)
19,21
コ ン デ ン サ 始 動 形(capacitor-start
type)
193,210
残 留 磁 気(residual
CVCF(constant
micro
phone)
magnetism,remanence) 27
215 コ ン デ ン サ マ イ ク ロ ホ ン(condenser
induction
motor)
122
238
connection)
三 相 誘 導 電 動 機(three-phase
connection)
hold)
value)
ト ル ク(maximum
撮 像 管(pickup コ レ ク タ(collector)
and
182
結 晶 質(crystal)
検 波(detection)
187
ド(sample
voltage
constant
frequency)
246
コ ン プ リ メ ン タ リ電 力 増 幅 器
GTO(gate GTOサ
226 turn-off)
128
イ リ ス タ(gate
turn-off
thyristor) 225
(complementary-symmetry,power 148
JKフ
降 伏 現 象(breakdown
phenomenon)
1211
シ フ ト レ ジ ス タ(shift
降 伏 電 圧(breakdown
voltage)
121
ジ ュ ー ル 熱(Joule
amplifier)
合 成 抵 抗(combined 高 調 波(higher
resistance) harmonics)
交 流(alternating
current(AC))
交 流 回 路(alternating 交 流 機(AC
9
current
voltage)
交 流 電 流(alternating 交 流 電 力 制 御(AC
current) power
control)
交 流 負 荷 直 線(AC-load line) 交 流 ブ リ ッ ジ(AC
anguler
cal
60
磁 位 差(magnetic
symmetri 130
potential)
25
potential
difference) 25
222
74
磁 界(magnetic
field)
25
磁 界 の 強 さ(intencity
of
magnetic
frequency)
field) 25,58
磁 荷(magnetic
charge)
磁 化 電 流(magnetizing 行
117
switch)
60
105
サ
11 barrier)
シ リ コ ン 対 称 ス イ ッ チ(silicon
磁 位(magnetic
148
bridge)
固 有 角 周 波 数(natural
law)
シ リ ア ル(rerial) 176
192
11
ジ ュ ー ル の 法 則(Joule's
4,60 94
176
heat)
4,82
circuit)
172
register)
シ ョ ッ ト キ ー 障 壁(schottky
machine)
交 流 電 圧(alternating
リ ッ プ フ ロ ッ プ(JK flip-flop)
24 current)
磁 化 率(susceptibility)
206 26
サ イ ク ロ コ ン バ ー タ(cycloconverter)
228
磁 気(magnetism)
サ イ リ ス タ(thyristor)
128
磁 気 回 路(magnetic
circuit)
57
70
磁 気 抵 抗(magnetic
reluctance)
58
サ セ プ タ ン ス(susceptance)
1
磁 気 誘 導(magnetic 磁 気 量(quantity
of
磁 極(magnetic
induction)
32
magnetism)
24
pole)
24
磁 極 の 強 さ(strength
of
magnetic
linkage)
磁 束 密 度(magnetic
line
26,58
of
force
force)
下 側 波 帯(lower
line
実 効 値(effective
159
of
value)
61
140,142,144
セ ッ ト(set)
212
正 弦 波 交 流(simusoidal(sine)wave
circuit)
130
周 波 数 変 調(frequency
modulation
circuit)
receiver)
power)
静 電 気(static
logic
順 方 向 特 性(forward
characteristic)
circuit)
value) carrier)
40
静 電 誘 導(electrostatic
vector) variable)
自 励 式(self-excitation 真 性 半 導 体(intrinsic
equation)
整 流作
98,100,101
method)
19
induction,static 12 force)
整 流 回 路(rectifier
102
14 capacity)
静 電 力(electrostatic
118
101,102
13
induction)
157
115
21
field)
静 電 容 量(electrostatic
86,99
少 数 キ ャ リ ア(minority
12 energy)
electricity)
39
7,62
順 序 回 路(sequential
60
magnetism)
静 電 界(electrostatic
1
瞬 時 電 力(momentary
静 磁 気(static
248
4 alter
静 電 工 ネ ル ギ ー(electrostatic
充 電(charge)
206
wave)
114
139
element)
sinusoidal
current)
15
network)
受 話 器(receiver,telephone
n ating
wave,
正 孔(hole)
FM)
状 態 方 程 式(state
transformer)
torque)
60
状 態 ベ ク ト ル(state
220
正 弦 波(sine
周 波 数(frequency)
受 動 素 子(passive
170 angle)
整 合 変 圧 器(matching
60
受 動 回 路 網(passive
211
259
周 期(period)
4受 動 回 路(passive
253
制 御 角(control
constant)
集 積 回 路(integrated
analyzer)
す べ り(slip)
impedance)
ト ル ク(starting
247
ト ラ ム ア ナ ラ イ ザ(spectrum
154
出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス(output
状 態 変 数(state
table)
ス ピ ー カ(loudspeaker) ス ペ ク
24,25 sideband)
初 期 値(initial
wave) 154
真 理 値 数(truth
195
density)
磁 力 線(magnetic
始 動
modulated
24,25,58
磁 束 鎖 交 数(flux
時 定 数(time
154
振 幅 変 調 波(amplitude
24,25
magnetic
modulation(AM))
pole)
磁 束(magnetic flux)
振 幅 変 調(amplitude
13
circuits) 135,192,218,219
用(rectifying
action)
109
整 流 子(commutator)
193
整 流 子 機(commutator 正 論 理(positive 接 合 形 電 界 効 果 field
machine)
158
ト ラ ン ジ ス タ(junction
effect transistor)
198
積 和 形 式(sum-of-products
115
絶 縁 体(insulator)
semiconductor)
192
logic)
type 111,124
expression) 164 112
絶 縁 物(insulator) 接 合
ト ラ ン ジ ス タ(junction
大 規 模 集 積 回 路(1arge
transistor)
111,121 39
節,点(node) 遷 移 領 域(transition 全 加 算 器(full
region)
119
adder)
線 間 電 圧(line
168
voltage)
線 形 回 路 網(linear
network)
線 形 常 微 分 方 程 式(linear
ordinary
線 形 素 子(linear
element)
線 図(graph) セ ン サ(sensor)
対 生 成(production
of
a
hole-electron
pair)
116
帯 電(charging,electrification)
40
多 数 キ ャ リ ア(majority
band
1
theory)
113
carrier)
多 相 交 流(poly-phase
115
AC)
86
他 励 式(separate
40
単 位 行 列(unit
39
単 相 誘 導 電 動 機(single-phase
80
integrated 112
80
231 current)
scale
circuit)
帯 理 論(erergy
differ
ential equation)
線 電 流(line
150
12
78
excitation
method)
197
matrix)
103 induction
motor)
194,215
単 元 素 半 導 体(element
semiconductor) 113
ソ ー ス(source)
124
掃 引 発 振 器(sweep
signalgenerator)
相 互 イ ン ダ ク タ ン ス(mutual
voltage)
80
相 補 形MOS(complementary
MOS)
132
双 対 性(duality)
161
測 定 量(measurand) 速 度 制 御(speed
control)
素 子 間 分 離(isolation) 阻 止 状 態(bloking
state)
相 反 の 定 理(reciprocity 相 電 流(phase
theorem)
183
逐 次 近 似 用 レ ジ ス タ(successive mation
type
中 性 点(neutral 注 入 効 率(injection
128
超 大 規 摸 集 積 回 路(very
219
ド ブ リ ッ ジ 全 波(diode
bridge 135
ダ イ ナ ミ ッ ク マ イ ク ロ ホ ン(dynamic
micro
phone) タ イ ム チ ャ ー ト(time ダ ー
chart)
リ ン ト ン 回 路(Darlington
circuit)
energy)
21
point)
80
efficency)
122
Iarge
scale
circuit)
inte 112
直 並 列 回 路(series-parallel 直 巻 式(series
full-wave)
184
131
grated
approxi
register)
214
行
approximation
method)
231
80
ダ イ オ ー ド(diode)
125
逐 次 近 似 方 式(successive
circuit)
excitation
直 流(direct
ダ イ オー
209
蓄 積 エ ネ ル ギ ー(stored
47
current)
タ
ring)
チ ャ ネ ル(channel)
inductance) 78,199
相 電 圧(phase
端 絡 環(end
252
method)
50,59 197
current)
4
直 流 安 定 化 電 源(stabilized
DC
supply)
power 134
直 流 回 路(direct
直 流 機(DC
current circuit)
machine)
88
192,193
246
直 流 チ ョ ッパ 回 路(DC
chopper)
172
直 流 電 動 機(DC
motor)
225 193
直 流 発 電 機(DC
generator)
193
直 列(series)
19
直 列 回 路(series
9,48,88,90,94,98 直 列 共 振(series
電 界 の 強 さ(intensity
of
electric
field,
electric field intensity,electric
circuit)
field
strength)
resonance)
75
13
電 界 効 果 トラ ン ジス タ(field
effect transistor) 124
ツ ェ ナ ー 過 程(Zener
D/A変
process)
換(digital-to-analog
121
conversion)
178 D/A変
換 回 路(digital-to-analog
converter)
リ ッ プ フ ロ ッ プ(Dflip-flop)
173
Tフ
リ ッ プ フ ロ ッ プ(Tflip-flop)
173
換(Δ-Ytransformation)
デ ィ ジ タ ル 回 路(digital
circuit)
デ ィ ジ タ ル 信 号(digital
signal)
テ ブ ナ ン の 定 理(Thevenin's
196
電 機 子 電 圧(armature
voltage)
199
電 機 子 電 流(armature
current)
195 1
circuit)
電 気 機 器(electrical
1,2
machinery
and
resistance)
134
電 気 力 線(electric
line
134,178
electric 44
type)
of
5
force,line
15 of
electricity)
電 源(power
251
電 磁 エ ネ ル ギ ー(electromagnetic
1,6
source)
4 energy)
5,8
抵 抗 温 度 係 数(temperature
coefficient
定 常 項(steady
電 磁 石(electromagnet)
11
電 磁 力(electromagnetic
resistance)
term)
定 常 状 態(steady 定常値(steady
state
定 電 圧 ダ イ オ ー
value)
85 voltage
loss) loss
current)
電 圧(voltage)
diode)
電 位(electric
follower)
potential)
電 位 差(patential 電 位 障 壁(potential 電 荷([electric]charge) 電 界(electricfield)
difference) barrier)
force)
ト ラ ン ジ ス タ(point
31
contact
伝 導 帯(conduction
207
伝 導 電 子(conduction
motor,motor)
113
electron)
114
channel)
125
電 流([electric]current) 電 流 力(electrodynamic
3,14
電 力([electric]power)
13
189
band)
3,15
117
16
134
電 流 通 路(current
1,13
density)
電 池(battery) 電 動 機(electric
145
16
電 束 密 度(dielectric flux
207
tran 110
電 束(dielectric flux)
121
1,3,14
電 圧 フ ォ ロ ワ ー(voltage
点 接 触 形
197
sistor)
84,86
ド(constant
鉄 損 電 流(core
8
88,95,96
state)
34
of
resistance) 抵 抗 率(resistivity,specific
of
force)
電 気 量(quantity
127
抵 抗(resistance)
apparatus)
190
電 気 抵 抗(electric
テ レ ビ ジ ョ ン(television)
鉄 損(iron
resistance)
55
theorem)
デ プ レ イ ッ シ ョ ン 形(depletion
195
電 機 子 抵 抗(armature
電 気 回 路(electric
Dフ
Y変
circuit)
電 気(electricity)
134,178
Δ-
電 機 子 回 路(armature
force)
電 力 増 幅 器(power 電 力 量(electric
1 38 6,7
amplifier)
147
energy)
電 言 舌機(telephone;telephone
6 set)
248
TRIAC(triode
AC
switch)
128,130
能 動 回 路 網(active
ド ナ ー(donor)
116
ド ・モ ル ガ ン の 定 理(de
network)
能 動 素 子(active
Morgan's low)
39
element)
ハ
40
行
16 1 ト ラ イ ア ッ ク(triac)
219,222
ト ル ク(torque) ド レ イ ン(drain) resistance)
リ ッ プ フ ロ ッ プ(clocked
RS 172
同 期 機(synchronous
machine)
同 期 速 度(synchronous
motor)
透 磁 率(permeability)
state)
同 電 位(equipotential,same
tor)
パ ル ス 発 生 器(pulse
surface)
semiconductor
field
8 ,13
190,192,217 ト ラ ン ジ ス タ(power
gate)
2値 信 号(binary
process)
signal)
二 次 系(second-order
二 重 積 分 方 式(dual-slope
162
conductivity)
は し ご形 回 路(1adder
入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス(input
OR)
52 162
波 高値(crest
from)
4
value)
60
発 光 ダ イ オ ー
121
発 電 機(dynamo,generator)
189
半 加 算 器(half
168
98
method)
8
type circuit)
162
156
system)
transistor)
192 導 率(percent
排 他 的 論 理 和(exclusive
行 gate)
electronics)
パ ワ ー
波 形(wave
ー ト(NOR
effect transistor)
228
%電
conductance)
な だ れ 過 程(avalanche
oxide
15
導 電 率([electric]conductivity,specific
NORゲ
metal
パ ワ ー エ レ ク ト ロ ニ ク ス(power
15
ー ト(NAND
252
128
等 電 位(equipotential)
NANDゲ
176 generator)
パ ワ ーMOSFET(powe
15
ナ
121
193
potential)
等 電 位 面(equipotential
131
パ ラ レ ル(parallel)
112
導 通 状 態(conducting
150
integrated
circuit)
211
25,58
導 体(conductor)
parameter(h-parameter))
バ イ ポ ー ラ トラ ン ジ ス タ(bipolar ntransi
192,193
speed)
同 期 電 動 機(synchronous
(hybrid
174
ラ メ ー タ)
バ イ ポ ー ラ 集 積 回 路(bipolar
9
fl ip-flop)
counter)
ハ イ ブ リ ッ ドパ ラ メ ー タ(hパ
125
等 価 抵 抗(equivalent
同 期 式RSフ
バ イ ナ リ カ ウ ン タ(binary
196
183
impedance)
ド(light
diode)
adder)
搬 送 波(carrier) 半 値 域(half 反 転 層(inversion
241
153
power
width)
75
layer)
反 転 増 幅 器(inverting
139,141,143
eitting
反 転 入 力 端 子(inverting
127
amplifier) input
141,142 terminal)
139 NOTゲ ノ ー
ー ト(NOT
gate)
ト ン の 定 理(Norton's
能 動 回 路(active
circuit)
160 theorem)
45 139
半 導 体(semiconductor)
半 導 体 集 積 回 路(semiconductor circuit)
112
integrated 112
半 導 体 デ バ イ ス(semiconductor
device)
半 波 整 流 回 路(half-wave
rectifier
B-H曲
比 誘 電 率(specific
circuit)
表 面 準 位(surface
states)
VVVF(variable
voltage
push-pull
27
power
amplifier)
構 造(pnpn
187 110
147
four-1ayer
合(p
pn接
合 理 論(p
119
n junction
theory)
ン バ ー タ(pulse
width
pチ
ャ ネ ル(pchanne1)
p形
半 導 体(p-type
226
ビ ッ ト(bit)
ピ ン チ オ フ(pinch
wave)
ひ ず み 率(distortion
ray
極 線 管)(Braun
242
32
hand
167
負 荷 トル ク(load
33
4 torque)
196
複 素 イ ン ピ ー ダ ン ス(complex
impedance)
4,82
69
83
複 素 計 算 法(complex
calculation)
182
復 調(demodulation)
否 定(negation)
159
複 巻 式(compound excitation
非 晶 質(amorphous)
113
非 正 弦 波(non-sinusoidal
wave)
非 線 形 回 路 網(non-linear
network)
比 透 磁 率(specific
4
power)
比 帯 域 幅(relative
band
非 反 転 増 幅 器(noninverting
負 論 理(negative logic)
12
分 極 電 荷(polarization
分 相 始 動 形(split-phase
width)
machine)
99 158
分 極(polarization)
分 巻 式(shunt
charge)
12
type)
215
method)
198
excitation
192 べ ー ス(base)
amplifier) 143,144
非 反 転 入 力 端 子(noninverting
semiconductor) 115
62
75 非 同 期 機(asynchronous
不 純 物 半 導 体(impurity
不 足 減 衰(underdamped)
25
frequency
method) 198
40
permeability,
permeabiliy)
64 155
40
element)
magnetic
right
rule)
比 較 器(comparator)
皮 相 電 力(apparent
170 left
rule)
負 荷(1oad)
factor)
非 線 形 素 子(non-linear
63
tube,cath
tube)
207
off) 126
ひ ず み 波(distorted
ode
hand
115
loss)
ブ ラ ウ ン 管(陰
フ レ ミ ン グ の 右 手 の 法 則(Fleming's
127
ヒ ス テ リ シ ス 損(hysteresis
63 diagram)
フ レ ミ ン グ の 左 手 の 法 則(Fleming's
modulation
semiconductor)
251
フ ェ ー ザ(phasor)
フ リ ッ プ フ ロ ッ プ(flipflop)
110
inverter)
fre 226
フ ェ ー ザ 図(phasor
structure)
n junction)
variable
quency) フ ァ ク シ ミ リ(facsimile)
1 28 pn接
relative
13
theorem)
146
B級 プ ッ シ ュ プ ル 電 力 増 幅 器(B-class
PWMイ
capacity)
標 本 化 定 理(sampling
線(B-Hcurve)
pnpn4層
inductive
109
input
terminal)
139
121
べ ー ス 接 地 回 路(common-base 平 均 電 力(mean
connection) 122
power)
7
平 衡 負 荷(balanced
並列(parallel)
load)
80
19
並 列 回 路(parallel
207 漏 れ 磁 束(leakage flux)
circuit)
ヤ
並 列 コ ン デ ン サ 平 滑 回 路(shunt-capacitor filter)
135
並 列 変 換 方 式(direct
conversion
method)
変 圧 器(transformer)
190,194,203
UPS(uninterruptible
power
supply) 226
power)
62
誘 電 体(dielectric)
12
誘 電 率(permitivity)
signal)
変 調 度(modulation
行
有 効 電 力(effective
183
変 調 信 号(modulating
78
10,49,92,96
degree)
13
154
誘 導 機(induction
154
誘 導 性 イ ン ピ ー ダ ン ス(inductive
impedance)
247
誘 導 性 サ セ プ タ ン ス(inductive
susceptance)
machine)
192,193
69 ホ ー ン ス ピ ー カ(horn
棒 磁 石(bar
loudspeaker)
magnet)
24
包 絡 線 検 波(envelop
detection)
155
包 絡 線 復 調(envelop
demodulation)
155
星 形 結 線(star
connection)
補 出 力(complementary
55 output)
マ
171
70 誘 導 性 リ ア ク タ ン ス(inductive
reactance)
68 誘 導 電 動 機(induction 誘 導 電 流(induced
motor)
193,208
current)
32
行 容 量 イ ン ピ ー ダ ン ス(capacitive
impedance)
マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ(microcomputer)
70 178
マ イ ク ロ ホ ン(microphone)
246
マ ス タ
173
・ ス レ ー ブ(master-slave)
巻 数 比(turn
MIL規
ratio)
格(military
specification
effect
160
積 回 路(MOS
integrated
circuit)
界 効 果 ト ラ ン ジ ス タ(MOS transistor)
無 効 電 力(reactive
field
70 reactance)
68
ラ
行
ラ ッ チ(latch)
171
ラ プ ラ ス 逆 変 換(Laplace
inverse
power)
86
ラ プ ラ ス 変 換(Laplace
transformation)
88,256
62 99
current)
漏 れ リ ア ク タ ン ス(leakage
207
reactance)
trans
formation)
111,126
無 損 失(lossless) 無 負 荷 電 流(no-load
容 最 性 リ ア ク タ ン ス(capacitive
and
132 MOS電
sunceptance)
204
standard)
MOS集
容 量 性 サ セ プ タ ン ス(capacitive
リ セ ッ ト(reset) 力 率(power
170
factor)
量 子 化(quantization)
62 181
量 子 化 回 路(quantization circuit)
182
理 想 変 圧 器(ideal
203
transformer)
臨 界 減 衰(critical
damped)
レ オ ナ ー ド 法(Leonard
99
system)
レ ー ザ デ ィ ス プ レ イ(laser 励 磁 ア ド ミ タ ン ス(exciting
励 磁 電 流(exciting
current)
零 状 態 応 答(zero-state
response)
零 入 力 応 答(zero-input
response)
199
display)
242
203
87,88,92,94,96
87,88,92,98,100,101
admittance)
207 励 磁 コ ン ダ ク タ ン ス(exciting
conductance) 207
励 磁 サ セ プ タ ン ス(exciting
susceptance) 207
論 理 積(logical
product)
論 理 代 数(Boolean 論 理 変 数(loeic
algebra) variable)
論 理 和(logicalsun)
160 157 157
160
〈 監修者紹介〉
宮 入 庄 太 学
歴
職
歴 東京工業大学名誉教授 東京電機大学名誉教授 工学博士
東 京工 業 大 学 電 気工 学 科 卒 業(1945)
磯 部 直 吉 学
歴
職
歴 東京電機大学名誉教授 工学博 士
電 機 学校 高 等 工 業科 卒 業(電 気科)(1939)
前 田 明 志 学
歴
東 京 電 機大 学 大 学 院博 士課 程 修 了(1965)
職
歴
東京電機大学理工学部教授 工学博士
基礎 電 気 ・電子工 学 第2版 1987年4月20日
第1版1刷
発行
1999年3月20日
第1版12刷
発行
2000年4月20日
第2版1刷
発行
2007年3月20日
第2版7刷
発行
著
者 片 野 義 雄 磯 部 直 吉 富 田 英 雄 前 田 明 志 本 間 和 明 大 庭 勝 實 宮 下 収 中 村 尚 五 飯 田 祥 二 西 方 正 司 羽根吉寿正 川 島 忠 雄 学校法人 東 京電機 大学
発行所 東 京電機 大学 出版 局 代表者 加藤康太郎 〒101-8457
東 京 都 千代 田区神 田錦 町2-2 振 替 口座
電話
業)
(03)5280-3422(編
集)
印刷 三 美 印刷 ㈱ 〓1987,2000
製本 渡辺製本㈱ Printed in Japan *無 断 で転 載 す る こ とを禁 じます。 *落 丁 ・乱 丁本 はお 取替 え いた し ます 。 ISBN978-4-501-10890-8
C3054
00160-5-71715
(03)5280-3433(営
電気工学図書 電気 設 備 技 術 基 準 審査基準 ・解釈
第 一 種 電 気 工 事 士 テ キ ス ト 第2版
東京電機大学 編 B6判 458頁 電気設備技術 基準および その解釈 を読みやす く編 集。関連す る電 気事業法 ・電 気工事士法 ・電気工 事業法を併 載 し,現 場技術 者および電気を学ぶ学 生 にわか りや すい と評判。
電気工事十試験受験 研究会 編 B5判 288頁 今までに 出題 された問題の傾 向を十分に検討 し, 基礎理論か ら鑑別 の写真 まで を体 系的にま とめて あるので,学 校 の教科書や独学 で学ぶ人に最適で ある。
改訂 早わかリ 第 二 種 電 気 工 事士 受験 テ キ ス ト
図解 第 二 種 電 気 工 事士 技 能試 験 テキ ス ト
渡邊 敏 章 他共 著
合格のための直前対策や 総 まとめのテキ ス トと し て好評の前書を,電 気 工事士法の改正 に伴い 内容 を全面的に見直 し訂正 した。
東京電機大学 「合 格 へ の 道 る こ とを 目的 間 の 中 で どの が つ く。
基礎テキス ト 電気理論
基礎テキス ト 回路 理 論
間邊 幸 三良 著
A5判 244頁
B5判 224頁
出版 局 編 B5判 122頁 2色 刷 しる べ 」 と して,試 験 直 前 ま で 使 え に編 集 した もの で,限 られ た練 習 時 よ うな 形 式 の 問 題 に も 対 応 で き る 力
間 邊 幸 三 郎 著
B5判 274頁
電 気 の基 礎 で あ る霜 磁 気 に つ い て,電 界 ・電位 ・ 静電 容 量 ・磁 気 ・電 流 か ら 電 磁 誘 導 まで を,例 題 や 練 習 問題 を 多 く取 り 入 れ や さ し く解 説 。
直流回路 ・交 流回路 の基礎か ら三相回路 ・過渡現 象までを平 易に解 説。難解な数式 の展開をさけ, 内容の理解 に重点 を置い た。
基礎テキス ト 電 気 ・電 子 計 測
理工学講座 基礎 電 気 ・電 子 工 学 第2版
三好正 二 著
宮入庄太/磯部直吉/前田明志 監修 A5判 306頁
B5判 256頁
初級技術者や 高専 ・大学 ・電験受験 者のテキス ト として,基 礎理 論か ら実務 に役立つ 応用計測技術 までを解説。
電 気 ・電 子 技 術 全 般 を 理 解 で き る よ うに 執筆 ・編 集 して あ り,大 学 理 工 学 部 の 基 礎 課程 の テ キ ス ト に 最 適 で あ る 。2色 刷 。
詳解付
詳解付
電気 基 礎 上 直流回路 ・電気磁気 ・基本交流回路
電 気 基 礎 下
川 島純 一/斎藤広吉 著
A5判 368頁
本 書 は,電 気 な 基 礎 か ら 初 め て 学 ぶ 人 の た め に, 理 解 しや す く,学 び や す い こ とを 重 点 に お い て 編 集。 豊 富 な 例 題 と詳 し い解 答 。
交流 回路 ・基本電気計測 津村栄一/宮崎 登/菊池諒 著 A5判 322頁 上 ・下巻 を通 して 学 ぶ こ と に よ り,電 気 の 知 識 が 身 に つ く。 各 章 に は,例 題 や 問,演 習 問 題 が 多 数 入れ て あ り,詳 しい 解 答 も 付 け て あ る。
*定 価 ,図 書 目録 の お問 い 合 わせ ・ご要望 は 出版 局 まで お 願 い い た し ます 。 URL
http://www.dendai.ac.jp/press/
EA-001