言語学大辞典 セ レクション ヨー ロッパ の 言 語 亀 井 孝 ・河 野 六 郎 ・千 野 栄 一[編 著]
三省堂
〓Copyright First
Made
and
Printed
1998 Published
in
JAPAN
装 丁=三
by
Sanseido
Co.,Ltd.
1998
at
the
Sanseido
省 堂 デ ザ イ ン室
Press,TOKYO
ま え が き
10年 余 に わ た る準 備 の後,1988年 言 語 名 索 引 編 」,お よ び,1996年
か ら1993年 に か けて 刊 行 さ れ た 「世 界 言 語 編」 「補 遺 ・ に刊 行 さ れ た 「術 語 編 」 か ら な る 「三 省 堂 言 語 学 大 辞 典』
は,わ が国 内外 の 言 語 学 界 を は じめ,広
く社 会 か ら認 め られ,好 評 裡 に受 け入 れ られ る と こ ろ
とな った.扱 っ た言 語 の 豊富 さ と記 述 の 精 確 さ,術 語 編 の的 確 な記 述 と そ の思 想 は,特 に高 い 評 価 を得 て い る. しか し,一 方 で 同辞 典 の 大 き さ とそ れ に 伴 う価 格 の高 さ は,読 者 の 方 々 に負 担 を 負 わ せ る こ とに もな っ た.そ こで読 者 個 人 に と って特 に必 要 な部 分 を集 めて 手 頃 な一 冊 を 作 れ な いか と い う考 え が浮 上 し,そ れ を要 望 す る読 者 か らの声 も強 か ったの で,そ れ に応 ず る こ と と した. 現 行 の大 辞 典 を 全面 的 に縮 小 して一 冊 の辞 典 を作 る こ と は,作 業 そ れ 自体 が 困 難 で あ り,大 辞 典 が持 つ 長 所 を殺 す こ とに もな りか ね な い の で考 慮 の 対 象 か らはず し,系 統 な り地 域 な りで 一 括 で きる何 冊 か の分 冊 を考 え た.そ の うち,日 本 内 外 で 一 番 要 望 が 強 い と思 わ れ た 『日本列 島 の言 語』 を,そ の シ リー ズ の 第 一 巻 目 と して1997年1月 い,手 頃 な 分冊 と して世 に受 け入 れ られ る こと と な った.そ
に 上 梓 す る こ とが で き た.さ い わ こで この度,そ
の続 巻 と して,こ
こ に 『ヨー ロ ッパ の言 語 』 を世 に送 る こと に した. 本 分 冊 は,採 用 範 囲 を いわ ゆ る ヨー ロ ッパ 地 域 に限 定 した.そ の主 体 は イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 の 言語 が 占 め るが,ウ
ラ ル語 族 の フ ィ ンラ ン ド語 や 孤 立言 語 の バ ス ク語 な ど,別 系統 の言
語 も含 まれ る. また,原 則 と して 現 代 にお いて 話 され る言 語 を 中心 に採 り上 げ た が,イ
ン ド ・ヨー ロ ッパ 語
族 を は じめ 「ゲ ル マ ン語 派 」 「ケ ル ト語 派 」 「ス ラ ブ語 派」 等 の全 体 を俯 瞰 す る項 目 や,ギ
リシ
ア語,古 代 教 会 ス ラ ブ語 を は じめ,現 代 の 言 語 の 理解 の た め に必 要 と思 われ る古 典 言 語 を も一 部 採用 した.収 録 言 語 の 詳 細 は 目次 にあ る とお りで あ る. 本書 の原 本 で あ る 「世 界 言 語 編 」 に 採 択 した言 語 に 関 す る記 述 は,専 門 分 野 に わ た って それ ぞ れ の専 門 家 に よ る もの で あ って,精 緻 な 文献 研 究,意 欲 的 な フ ィー ル ドワ ー ク に よ って 裏 付 け られ た科 学 的 言 語 研 究 の 成 果 で あ る.ヨ ー ロ ッパ の諸 言 語 の個 別 研 究 お よ び比 較 研 究 の 進 展 の た め に,本 書 が 大 い に 活 用 され る こ とを 切望 す る. 残 念 な こ とに,同 辞 典 の 編 修 主 幹 の ひ と り,亀 井 孝 氏 は,「 世 界 言 語 編 」 完 成 後,「 術 語 編 」 の 編 修 の途 次 に不 帰 の 客 と な っ た.ま
た,プ
ロ ヴ ァ ンス語 を 担 当 せ られ た 高 塚 洋 太 郎 氏 も,
「世 界 言 語 編」 の 完 成 後 永 眠 さ れ た.こ
こ に本 書 を両 氏 の霊 前 に捧 げて ご冥 福 を お 祈 りす る次
第 で あ る. 本 書 を編 修 す るに あ た って は,原 本 で あ る 「言 語 学 大 辞 典 』 の 活版 清 刷 を利 用 して再 編 成 し
た.し たが って,原 本 刊 行 以 降 の執 筆 者 お よ び学 界 の 動 向 に触 れ る こ と はで きな か った.対 処 した の は,ご く少 量 の誤 記 ・誤 植 の訂 正 で あ る.た だ し,ロ シ ア ・東 欧 の政 治 的 ・経 済的 変 動 に よ って生 じた変 化 を 本 文 中 に も若 干 反 映 させ,ま た追 記 の 形 で 項 目末 尾 に 付 した.こ こ に, 各言 語 が 収録 され た各 巻 の 発行 年 次 を記 し,本 書 の 記 述 は原 則 と して そ の 時点 で の到 達 点 で あ る ことを 明 らか に して お く.
「世 界言 語 編 」 第1巻(上)
1988年3月1日
「世 界言 語 編 」 第2巻(中)
1989年9月10日
「世 界言 語 編 」 第3巻(下‐1)
1992年1月20日
「世 界言 語 編 」 第4巻(下
1992年1月20日
‐2)
「補 遺 ・言 語 名 索 引編 」 第5巻
1993年7月10日
本 書 に よ り,国 の内 外 を問 わ ず,数 多 くの 方 々 が これ らの言 語 につ い て の知 識 を広 げ,そ の 考 察 が一 段 と深 ま る こ と を願 う もの で あ る.
1998年3月1日 河 野
六 郎
千 野
栄 一
目
次
ア イ ス ラ ン ド語 … …1
秦
宏一
ア イ ル ラ ン ド語 … …5
土居
敏雄
ア ル ザ ス 語 … …24
橋本
郁雄
ア ル バ ニ ア 語 … …26
直野
敦
ア ・ル ー マ ニ ア 語 … …34
倍賞
和子
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン語 … …36
町 田
健
イ ス トロ ・ル ー マ ニ ア 語 … …37
倍賞
和子
ア イ ル ラ ン ド ・ゲ ー ル 語(=ア
イ ス パ ニ ア語(→
イ ル ラ ン ド語)
ス ペ イ ン語)
イ タ リ ア 語… …38
長神
悟
イ タ リ ッ ク 語 派 … …52
蛭沼
寿雄
イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 … …55
蛭沼
寿雄
イ タ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 … …57
長神
悟
イ デ ィ ッ シ ュ 語 … …59
上 田
和夫
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 … …77
原
イ ン ド ・ゲ ル マ ン語(族)…
…78
風間喜代三
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 語 族 … …78
風間喜代三
ヴ ァ ン ダ ル 語 … …91
橋本
ウ ェ ー ル ズ 語 … …92
水谷
宏
ウ ク ラ イ ナ 語 … …106
山本
富啓
英
語 … …109
福 島
エ ス トニ ア 語 … …116
誠
郁雄
治/木
松村
一登
桜井
隆
カ タ ロ ニ ア 語 … …140
塩 田
洋子
ガ リ シ ア 語 … …146
黒沢
直俊
ガ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 … …149
長神
悟
教 会 ス ラ ブ 語 … …150
栗原
成郎
ギ リ シ ア 語 … …153
松本
克 己
近 代 ギ リ シ ア 語 … …160
松本
克 己
ケ ル ト語 派 … …163
蛭沼
寿雄
ゲ ル マ ン語 派 … …167
秦
宏一
オ ク シ タ ン語(=プ オ ッ ク 語(=プ
ロ ヴ ァ ン ス 語)
ロ ヴ ァ ン ス 語)
オ ラ ン ダ 語 … …133 カ ス テ ィ ー ヤ 語(=ス カ タ ラ ン語(=カ
ペ イ ン語)
タ ロ ニ ア 語)
ク ロ ア チ ア 教 会 ス ラ ブ語(→ ゲ ー リ ッ ク 諸 語(→ ゲ ー ル 諸 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
島 嶼 ケ ル ト語)
島 嶼 ケ ル ト語)
現 代 ギ リ シ ア 語(→
近 代 ギ リ シ ア 語)
ゴ イ デ リ ッ ク 諸 語(→ ゴ イ デ ル 諸 語(→ 高 地 ドイ ツ 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
島 嶼 ケ ル ト語) ドイ ツ 語)
村
建 夫/秦
宏一
古 サ ク ソ ン語 … …172
秦
宏一
千野
栄一
秦
宏一
古 ノ ル ド語 … …186
秦
宏一
古 プ ロ シ ア 語 … …188
千野
栄一
長神
悟
橋本
郁雄
山本
文明
ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 … …212
土居
敏雄
ス ペ イ ン語 … …225
原
ス ラ ブ 語 派 … …233
千野
栄一
ス ラ ブ 祖 語 … …236
千野
栄一
ス ロ バ キ ア 語 … …237
長與
進
ス ロ ベ ニ ア 語 … …241
千野
栄一
栗原
成郎
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 … …176 古 代 ギ リ シ ア 語(→ 古 代 ス ラ ブ 語(→
ギ リ シ ア 語)
古 代 教 会 ス ラ ブ語)
古 典 ギ リ シ ア 語(→
ギ リ シ ア 語)
ゴ ー ト語 … …180
サ ル ジ ニ ア 語(=サ
ル デ ー ニ ャ語)
サ ル デ ー ニ ャ語 … …189 ジ プ シ ー 語(=ロ
マ ー ニ ー 語)
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語 小 ロ シ ア 語(=ウ
…200
ク ラ イ ナ 語)
ス イ ス ・ ド イ ツ 語(→
ドイ ツ 語)
ス ウ ェ ー デ ン語 … …204 ス オ ミ語(=フ
ィ ン ラ ン ド語)
ス カ ン ジ ナ ビ ア 語(=ノ
ル ド語)
ス コ ッ ト ラ ン ド語(=ス
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲー ル 語)
セ ル ビ ア 教 会 ス ラ ブ 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 … …242 セ ル ボ ・ク ロ ア チ ア 語(=セ 俗 ラ テ ン語(→
誠
ル ビア ・ク ロ ア チ ア 語)
ラ テ ン 語)
ソ ル ブ 語 … …246
千野
ダ ゴ ・ル ー マ ニ ア 語(=ル
栄一
ー マ ニ ア 語)
ダ ル マ チ ア 語 … …247
倍賞
和子
チ ェ コ語 … …248
千野
栄一
チ ェ コ教 会 ス ラ ブ 語(→ 低 地 ドイ ツ語(→
教 会 ス ラ ブ語)
ドイ ツ語)
デ ン マ ー ク語 … …254 ドイ ツ語 … …262 島 嶼 ケ ル ト語 … …287
山本
文明
橋本
郁雄
土居
敏雄
ド ロ ミテ 語 … …292
富盛
伸夫
ノ ル ウ ェ ー 語 … …296
山本
文明
ノ ル ド語 … …303
秦
宏一
ノー ン語 … …305
秦
宏一
白 ロ シ ア 語 … …306
大平
陽一
バ ス ク語 … …312
田村 す ず子
バ ル カ ン ・ロ マ ン ス 諸 語 … …324
倍賞
和子
バ ル ト語 派 … …325
村 田
郁夫
ハ ン ガ リ ー 語 … …335
早 稲 田 み か/徳
フ ィ ン ラ ン ド語 … …346
松村
一登
フ ェ ー ロ ー 語 … …362
秦
宏一
永
康元
ブ ラ ジ ル ・ポ ル トガ ル 語 … …369
黒沢
直俊
フ ラ ン ク 語 … …371
橋本
郁雄
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 … …374
長神
悟
フ ラ ン ス 語 … …377
町田
健
フ リ ウ リ語 … …395
富盛
伸夫
フ リ ジ ア 語 … …400
桜井
隆
佐藤
純一
ブ ル グ ン ド語 … …410
橋本
郁雄
ブ ル ト ン語 … …412
堀 井 令 以知
フ ラ マ ン語(→
オ ラ ン ダ語)
フ リ ー ス ラ ン ド語(=フ
リ ジ ア 語)
ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ リ タ ニ ッ ク 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ リテ ィ ッ シ ュ 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ リ トニ ッ ク 諸 語(→
島 嶼 ケ ル ト語)
ブ ル ガ リ ア 語 … …403 ブ ル ガ リ ア 教 会 ス ラ ブ 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 … …415
高 塚 洋 太郎
ベ ラ ル ー シ語(=白
ロ シ ア 語)
ベ ロ ル シ ア 語(=白
ロ シ ア 語)
ベ ロ ロ シ ア 語(=白
ロ シ ア 語)
ベ ン ド語(=ソ
ル ブ 語/ポ
ラ ブ語)
ポ ラ ブ語 … …420
千野
栄一
ポ ー ラ ン ド語 … …422
小原
雅俊
ポ ル トガ ル 語 … …441
黒沢
直俊
マ ケ ドニ ア 語 … …449
中島
由美
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 … …454
倍賞
和子
モ ル ダ ビ ア 語 … …454
倍賞
和子
ヤ ト ヴ ィ ン ギ ア 語 … …455
村 田
郁夫
ラ デ ィ ン語 … …456
富盛
伸夫
ラ テ ン語 … …458
中山
恒夫
ラ ト ヴ ィ ア 語 … …476
村 田
郁夫
ラ ン ゴバ ル ド語 … …482
橋本
郁雄
リ トア ニ ア 語 … …486
村 田
郁夫
ル ク セ ン ブ ル ク 語 … …495
橋本
郁雄
ル ー マ ニ ア 語 … …502
倍賞
和子
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 … …512
富盛
伸夫
レ フ 諸 語 … …520
千野
栄一
ロ シ ア 語 … …521
佐藤
純一
マ ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語(=ア
モ ル ドバ 語(=モ
ル ダ ビ ア 語)
レ ッ ツ ェ ブ ル ク 語(=ル レ ッ ト語(=ラ
・ル ー マ ニ ア 語)
ク セ ン ブ ル ク 語)
ト ヴ ィ ア 語)
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語(→
教 会 ス ラ ブ 語)
ロ マ ー ニ ー 語 … …533 ロ マ ニ ア 語(=ル
風間喜代三
ー マ ニ ア 語)
ロ マ ン シ ュ 語 … …535
富盛
伸夫
ロ マ ン ス 諸 語 … …539
富盛
伸夫
ワ ロ ン語(→
フ ラ ン ス 語)
まえ が き
……ⅲ
目
次 … …ⅴ
凡
例 … …ⅰⅹ
言語名和文索引
… …563
IPA(1979年
改 訂 版)… … 表 見 返 し
IPA(1989年
改 訂 版)… …
裏見返 し
凡
例
0. 編 修 の立 場
言 語 現 象 に 対 して 異 な った 解 釈 が ほ ど こ され て い た
0.1 本 書 は,『言 語 学 大 辞 典 』 「世 界 言 語 編 」 「補 遺 ・
り す る場 合 が あ る.ま
言 語 名 索 引 編 」 全5巻 の 中 か ら,い わ ゆ る 「西 欧」
た,項
目 あ る い は執 筆 者 に
よ って,用 語 法 や 表 記 法 が 必 ず しも一 致 しな い場 合
「中欧 」 「北 欧 」 「南 欧」 「 東 欧」 に お い て 用 い られ る
もあ る.こ う した,立 場 や 解釈 の ち が い に起 因 す る
言 語91項
記 述 の ず れ は,そ れ 自体 が 研究 の 現状 の正 確 な反 映
目 を抜 き 出 し,分 冊 と して 一 編 に ま と め
た もので あ る.
で あ り,そ の 意味 に お い て,そ れ らの統 一 を あ え て
0.2 採 択 の範 囲 は,同 地 域 で,言 語 人 口 の い か ん に か か わ らず,現 在,現 実 に話 され て い る言 語 を中 心 に,そ の 個別 言 語 の所 属 す る語 族 ・語 派 ・諸 語 の 項 目,な らび に現 代 語 の理 解 の上 で 重 要 な歴 史 的 言 語 (死語)を 含ん で い る.そ の 詳 細 は,目 次 を参 照 され た い.ヨ ー ロ ッパ 大 陸 の 言 語 とい う設 定 に 伴 って,
行 な わ な か った場 合 が あ る.ま た,関 連 諸 項 目間 に お け る記 述 内容 の重 複 に つ い て も同様 で あ る. 0.8 記 述 に あ た って は,語 例 や 文 例,ま
た,図 表 類
を豊 富 に用 い て,可 能 な限 り具 体 的で あ る よ うにつ とめ た. 0.9 執 筆者 名 を,項 目 の 末尾 に 示 した.
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族(地 域 を 異 に す る イ ン ド ・ イ ラ ン語 派 や,同
じイ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 に あ っ
て も地 域 を 異 に す る ア ル メ ニ ア語 な ど は 除 く)のみ で な く,バ ス ク 語 や ウ ラル 語 族 の 言 語 も収 め て あ り,ヨ ー ロ ッパ で 使 用 され る諸 言 語 が俯 瞰 で き るよ うに した.
1. 見 出 し形 1.1 ヨー ロ ッパ の 諸 言 語 の 名 称 を,力
1.2 見 出 しに は,主 と して 個 別 の 言 語 を と り あ げ た が,一 部 の 方 言 や,分
0.3 分 冊 の 編 修 にあ た って は,ロ
シア ・東 欧 ・中 欧
の政 治 上 ・社 会面 で の変 動 に伴 う記 述 の変 更 等 を 中 心 と した本 文 の 訂正,追 記 を行 な った ほ か は,本 体 で あ る 「世 界 言 語 編 」 「補 遺 ・言 語 名 索 引 編」 刊 行 時 の 内容 を そ の ま ま採 用 す る こ と を原 則 と して,ご
タ カ ナ に 翻字
して,五 十 音 順 に 示 した.
類 上 の 位 置 に か か わ る名 称,
す なわ ち,語 族,語 派,語 群,諸 語等 も,必 要 に応 じて と りあ げ た. 1.3 現 在 用 い られ て い る言 語 の み な らず,過 去 の言 語(い わ ゆ る死 語)も と りあ げ た. 1.4 カ タ カ ナ へ の 翻 字 は,「 外 来 語 の 表 記 」(平 成3
く少 量 の 修正 と誤 記 ・誤 植 の訂 正 を行 な うに と どめ
年6月28日
た.し たが って,そ の後 の 研 究 の 進 展,研 究 書 等 の
ず し もそ れ に と らわ れ る こと な く,現 在 の慣 用 に も
刊 行 につ い て は原 則 と して ふ れ て いな い.
内閣 告 示)を ひ とつ の 目安 と した が,必
十分 留 意 す る よ う につ と め た.
0.4 記 述 的 な研 究 が す す み,資 料 の 蓄 積 が よ く行 な
1.5 慣 用 と して 広 く用 い られ る異 称 を,可 能 な 限 り
わ れ て い る言 語 につ いて は,そ れ にみ あ った 詳 細 な
空 見 出 しと して 掲 げ た.
記 述 を 行 な った.し か し,一 方 で は,言 語 内容 の 具
例)オ ッ ク語(空 見 出 し)=プ
ロヴ ァ ンス語
体 的記 述 に まで 詳 し く立 ちい る こ とが で きな か った
カ ステ ィー ヤ語(空 見 出 し)=ス
言 語 もあ る.こ の よ うな 項 目 の 大 小,記
ス カ ン ジナ ビア語(空 見 出 し)=ノ
は,主
述 の精粗
と して,そ の 言語 に 関 す る記 述 的研 究 の進 展
状 況 を反 映 して い る.
ジプ シー語(空 見 出 し)=ロ
ル ド語
マ ー ニ ー語
1.6 カ タカ ナ 表 記 の ゆ れ が い ち じる しい 場 合 は,ど
0.5 執 筆 者 自身 の調 査 研 究 に よ る,豊 富 な 第1次 資
の 異 表 記 か らで も引 け る よ う,別 に 空 見 出 しを設 け
料 を有 す る言 語 に つ い て は,そ の 資料 を存 分 に と り
た.
こん だ精 密 な記 述 を行 な った.
例)サ ル ジニ ア語(空 見 出 し)=サ
0.6 話 者 人 口 の 多 い,い
ペ イ ン語
わ ゆ る 大 言 語 や 国 際 語 に,
と くに大 きな紙 面 を あ て る方 針 は と らなか っ た.大 言 語 も小 言語 も,言 語 学 的 記 述 の 対 象 と して は,同 等 で な けれ ば な らな いか らで あ る. 0.7 関 連 諸 項 目 の記 述 に お い て,同 一 言 語 が異 な っ た 分類 上 の位 置 や名 称 を 与 え られ て いた り,同 一 の
ルデ ィ ーニ ャ語
モ ル ドバ 語(空 見 出 し)=モ ル ダ ビ ア語 1.7 空 見 出 しの参 照 先 は,2種
類 の記号 を用いて区
別 して 示 した. →:矢 印 の先 の項 目 に,そ の言 語 につ い ての 記 述 が 含 まれ て い る こ と を表 わす. =:イ
コ ー ルで 結 ば れ た両 者 は,同 一 言 語 の 異 称
で あ り,イ コー ル で示 さ れ た項 目 で,具 体 的 な 解 説 が な され て い る こと を表 わす.
含 まれ る こ とが あ る. 3.5 本 文 中 の 言 語 名 に は,本 書 に見 出 し と して と ら
1.8 見 出 しは,長 音 記 号 「ー」 お よ び漢 字 「語 」 は 無 視 して,五 十音 順 に配 列 した.
れ て い な い もの につ い て,そ の項 目 の初 出個 所 に カ タ カ ナ表 記 と そ の 原 綴 りを示 す こ と を原 則 と し た. な お,見 出 しに と られて い る言 語 名 につ いて は,そ
2. 原 綴 りと原 籍 の表 示
の 項 目 の 初 出個 所 も 含 あ,カ
2.1 見 出 し形 の 直後 に,そ
の 見 出 し形 に対 応 す る原
綴 り と原籍 を示 した.
3.6 本 文 中 の 民 族 名,人
2.2 そ の 言 語 の研 究 に 関 連 の 深 い 各 言 語 に よ る綴 り を,必 要 に応 じて,原 則 と して,以 下 の 順 に 並 べ て 示 した. 自称,英 語,ド
名,地
名 に は,そ の項 目の
初 出個 所 に カ タカ ナ 表 記 とそ の 原 綴 りを示 し,2回 目以 降 は カ タ カナ の み で 表 記 す るの を 原 則 と した. 3.7 音論 の記 述 に は,国 際 音 声 字 母(The
イ ツ語,フ
ラ ンス 語,ロ
シア語,
ス ペ イ ン語,そ の 他 の 言 語
tional Phonetic
Interna
称IPA)の1979年
改
的 な 慣 用 に 従 わ ざ る を え な か っ た場 合 が 少 な くな
な か った.な お,自 称 の綴 りを本 文 の記 述 中 で示 し
い.な お,1979年
た場 合 があ る.
に掲 出 した.
2.4 原 籍 は,上 の 英,独,仏,露
西 と,伊(イ
タリ
ア語),蘭(オ ラ ンダ語)は漢 字 に よ る略 称 で,そ の他 は カ タカナ で 示 した. 2.5 原 綴 り は,第1字
Alphabet,略
訂 版 を用 い る こ とを 原 則 と した が,各 言語 の研 究 史
2.3 自称 によ る綴 り の場 合 は,原 籍 の 表 示 は行 な わ
西,露
タ カ ナの み で 表 記 し
た.
版,1989年
版 のIPA表
を見返 し
3.8 文 字 に関 す る具 体 的 な記 述 は,「 世 界 文 字 編 」 で 扱 った. 3.9 本 文 中 の 引 用 文 献 は,「 参 考 文 献 」 欄 に記 載 の な
を,英,独
は 大 文 字 で,仏,
い もの は,記 述 中 に そ の 著 者 名,論 文 名(書 名),出
は小 文字 で示 した.た だ し,英 語 に よ る綴 り
版 社,刊 行 年 な ど を 示 し,「 参 考 文 献 」 欄 に掲 げ ら
と他 言 語 に よ る綴 り が 同 形 の 場 合 に は,簡 略 化 し
れ て い る もの につ いて は,著 者 名 と刊 行 年 の み に よ
て,英 語 に よ る綴 りのみ を 示 す こ とを 原 則 と した.
る略 式 の表 示 を行 な うこ と を原 則 と した.
2.6 そ の言 語 名 の も っ と も一 般 的 な ロー マ字 表 記 を,
例)サ
便 宜 上,英 語 に よ る表 記 と して 示 した 場 合 が あ る.
ピア(E.Sapir,1930)
メイ エ と コエ ン(A.Meillet
et M.Cohen,
1952) 3. 本
文
ま た,本 文 中 で 論 文 名 や 書 名 を 省 略 形 に よ って示 し
3.1 見 出 しに掲 げ た言 語 の,名 称,系 統,分 布,人
口,音 韻,形
態,統 語,方 言,語
類,分
彙,語
史,
研究 史,作 品 等 を,可 能 な 限 り最 新 の デ ー タを用 い て記 述 した.
た場 合 が あ るが,そ
の場 合 は,「 参 考 文 献 」 欄 に 全
形 を 掲 げ るよ うに した. 3.10 項 目末 の 「参 照 」 欄 と は別 に,本 文 中,そ こ で 話 題 に な って い る事 柄 に つ い て の 参 照項 目を,カ
3.2 大 項 目,中 項 目 に は,適 宜,上
記 の 内 容 に対 応
ッ
コ内 に → で 示 した .そ の 場 合,『 大 辞 典 』 と して掲
した小 見 出 しを 設 け る こ と を原 則 と した.な お,そ
げ られ た 言語 名 は,本 書 の元 版 で あ る 『 言語学大辞
れ ぞれ の言 語 の研 究 事 情 に応 じて,言 語 構 造 以 外 の
典 』 に 掲 載 さ れ て い る項 目 で あ る こ と を 示 して い
文 化 的,社 会 的,歴
史 的 な背 景 等 に関 す る記 述 を
「概 説 」 と して ま と め た り,「 形 態 」 と 「統 語 」 を 「文 法」 と して ま と め た り,さ
ら に は 「音 韻 」 と
る. 3.11 本 文 中 の 略 語 は,特 殊 な もの につ いて はそ の 項 目内 で,一 般 的 な もの につ い て は凡 例 で 説 明 す る こ
「文 法 」 を 「 言 語 特 徴 」 と して ま と めて 記 述 した 場
とを原 則 と した.後 出 の略 語 一 覧 を参 照 され た い.
合 が あ る.小 項 目 に は,原 則 と して 小 見 出 しはつ け
3.12 言 語 名 の 略称 は,各 項 目 の記 述 中 で説 明 した.
なか った. 3.3 語 族,語 派,語
群,諸
語 等 の 分 類 上 の 名 称 を,
本 文 中 で は慣 用 的 に簡 略 化 した 形 で 用 い る こ とが あ る.た とえ ば,ケ ル ト語 派,ロ マ ン ス諸 語 に 属 す る 個 々 の言 語 を,そ れ ぞ れ ケ ル ト語,ロ とよ ぶ類 で あ る.さ らに,た
マ ン ス語 な ど
とえ ば,イ
ロ ッパ 語 族 に属 す る諸 言 語 を,ま
ン ド ・ヨー
とめて イ ン ド・
ヨー ロ ッパ(諸)語 な ど と よぶ 場 合 もあ る. 3.4 分 類 の 方 法 に よ っ て は,諸 語 の 中 に 別 の 諸 語 が
4. 辞
書
4.1 これ ま で に 出 版 さ れ た そ の言 語 に関 す る辞 書 の うち,代 表 的 な もの を 精 選 して 示 した. 4.2 学 習 ・研 究 向 き の す ぐれ た辞 書 や,研 究 史 的 に 重 要 な意 義 を もつ 辞書 を と りあ げ る こ とを主 眼 と し たが,必 要 に 応 じて,語 源 辞 典,古
語辞 典,外 来 語
辞 典,百 科事 典 等 の特 殊 辞 書 も と りあ げ た. 4.3 そ の言 語 自体 に よ る辞 書 ば か りで な く,二 言 語
(例:1968).
対 照 辞 典 も と りあ げ る よ うに した. 則 と して と り あ げ な
5.10 欧文 文 献 中,漢 字 の 該 当 す る著 者 名 に は,欧 文
か った が,語 彙 集 で は あ って も,実 質 的 に辞 書 と し
ス ペ リ シ グの す ぐ後 に,〔 〕 を 用 い て,可 能 な 限
て の 内 容 を備 え て い る もの に つ いて は,辞 書 と して
り漢 字 表 記 を 補 入 した.
4.4 簡 略 な 語 彙 集 の 類 は,原
と り あ げ た場 合 が あ る. 4.5 内 容 的 に不 十 分 な 辞 書 で は あ っ て も,そ れ が, そ の言 語 に関 す る唯 一 の 辞書 で あ る場 合 に は,そ の
6. 参
照
6.1 項 目末 に,必 要 に応 じて 参 照 項 目を お き,そ の 言 語 を よ り よ く理 解 す る た め の 補 助 情 報(周 辺 地 域
辞 書 を と りあ げ て示 す こ とを 原 則 と した. 4.6 語 族 等 の,上 位 レベ ル に 属 す る項 目で は,比 較 言 語 学 的 な観 点 か ら編 まれ た 比 較辞 典 の類 を と りあ
の 諸 言 語 分 布 図,近
縁 諸 言 語 の 系 統 分 類 表,研
究
史,言 語 特 徴 等)の 所 在 を示 した. 6.2 相 互 に 関 連 した 複数 の 項 目間 で,記 述 の 重 複 を
げ た. 4.7 掲 示 した 辞 書 の そ れ ぞ れ に つ い て,そ の特 色 を, ご く簡 略 に解 説 す る よ うにつ とめ た.
さ け る た め に,内 容 の書 き分 けを 行 な っ た場 合 が 少 な くな い.こ の よ う な場 合 は,参 照 に よ って,単 な
4.8 書 誌 的 な デ ー タの 記 載 は,後 述 の 参 考 文 献 の 記
る補助 情 報 の範 囲 に と ど ま らな い,必 要 情 報 の所 在 を 示 した.
載 法 に準 じた.
6.3 本 欄 の 中 で,『 大 辞 典 』 と して 掲 げ られ た言 語 名 5. 参 考 文 献
は,本 書 の元 版 とな った 『言 語 学 大 辞 典 』 に掲 載 さ
5.1 そ の言 語 に 関 す る参 考 文 献 の 中 か ら,学 習 や 研
れ た項 目で あ る こ とを示 して い る.
究 に有 益 なす ぐれ た 文献,研 究 史 的 に重 要 な意 義 を 7. 使 用 記 号 一 覧
もつ 文 献 を精 選 して 示 した. 5.2 そ の言 語 の 全 体 像 を 概観 的 に と らえ た 文 献 を と
本 書 で 使 用 した 主 な記 号 類 の 用 法 は,大
略,以
下
り あ げ る こ とを 主 眼 と し,個 別 的 な言 語 現 象 を テ ー
の と お り で あ る.な お,こ
マ と した特 殊 文 献 は,原 則 と して と りあ げ な か っ
特 殊 な 記 号 類 に つ い て は,本 文 中 の 該 当 箇 所 に そ
た.
れ ぞ れ説 明 を 付 した.
5.3 参 考 文 献 の 選 定 は,執 筆 に あ た って利 用 した文
( )言
こに あ げ られ て い な い
語 名,民 族 名,地 名,人 名,書 名 の 原綴 り
献 と い う観 点 で は な く,こ れ か らそ の言 語 を学 習 し た り研 究 した り す る上 で の 必 読 の 文献 と い う観 点 か
そ の部 分 省 略可 能
ら行 な った.た だ し,そ の 言 語 の研 究 状 況 に よ って
文例の提示
は,両 者 は,事 実 上,一 致 す る こ とが少 な くな い.
文 例 の 逐 語訳 一 般 に,補 足 的 説 明
5.4 参 考 文献 は,著 書,雑 誌 論 文 の 別 な く示 した.
執 筆 者 の表 示
5.5 そ の 言 語 自体 に よ る文 献 ば か りで な く,他 の 諸 〔 〕
言 語 に よ る文 献 もと りあ げ た. 5.6 著 者 名,刊
行 年,書
名,シ
リー ズ名,出
文法的機能 一 般 に,( )に 準 じる補 足 的 説 明
版 社,
出版 地 の デ ー タを,こ の順 序 で 記 載 した.雑 誌 論 文 の 場 合 は,著 者 名,刊
行 年,論
文 名,雑 誌 名,巻
略 称,略 語
[ ]項
目 中 の小 見 出 し
[ ]発
音表 記
この 順 序 で記 載 した.た だ し,雑 誌 につ いて は,出
/ /音
素
版 社(発 行 機 関)や 発 行 地 の 記 載 を 省 略 した場 合 が あ
{ }形
態素
る.ま た,単 行 本 収 録 論文 の場 合 は,著 者 名,刊 行
< >図
年,論 文 名,編 者 名,書
〈 〉
一 般 に,語 句 の 強調 な ど
《 》
小 見 出 しの 中 の 区分 け
数,号
数,出
版 社(発 行 機 関),発 行 地 の デ ー タを,
名,シ
リー ズ 名,出 版 社,
出 版 地 の 各 デ ー タを,こ の順 序 で記 載 した.
文 法 的 機能
5.7 同 一 著 者 が 同 一 年 に 刊 行 した 複 数 の著 作 を 表 示 す る場 合 は,刊 行 年 の 後 に,a,b,cな
どを 付 して 区
「 」
き る限 り そ
れ を 示 す よ う につ と めた. 5.9 第2版 以 降 の 版,お
よ び そ の 刊 行 年 は,刊 行 年
の右 肩 に 版 数 を 添 え て 表 示 す る こ と を 原 則 と した
語 例,文 例 の 日本 語 訳 日本 語 によ る論 文名 一 般 に ,強 調 や特 定 の 術 語 な どの 指 示
別 した. 5.8 復 刻 版 や 日本 語 訳 の あ る文 献 は,で
表 の指 示
『 』 ' '語
日本 語 によ る書 名,雑 誌 名 例 ,文 例 の英 語訳 一 般 に,強 調
" "欧
文 に よ る論 文 名
abl.
一般 に
,強 調 韻 論 的条 件 に よ って 決 ま る)異形 態
∼(音
生 没 年 な どの つ な ぎ 一 般 に ,省 略語 句 の代 用
ablative
abs.,
absol. ①absolutive,②absolute
Abt.
Abteilung(独)
acc.
accusative
A.D.
Anno
∞(形態論 的条 件 に よ って 決 ま る)異形態 〓語 根
Domini(=in
our adj.
adjective
>,<
語 形 変 化,派 生
adv.
adverb
→ ,←
語 形 変 化,派 生
aor.
aorist
→
参 照 項 目の指 示
AP
adjective
approx.
approximate(ly)
art.
article
aux.
auxiliary
B.C.
before
Bd.
Band(独)
Bde.
Bande(独)
〓(表中 で の)参照 の 指 示 等 ,等 価
=同
参 照 項 目の指 示 /,/音 …(文
韻 や 形 態 の対 立,交 替,択 一 例 中 の)省略 語 句 の代 用
φ
ゼ ロ要 素(主 と して 形 態素)
#語
の境界
+
ゼ ロ要 素(主 と して 形 態 素)
ca.
形態素の境界
caus.
causative
cf.
confer
立
語 例 や 文 例 の例 示 *(左 肩)再 構 形(再建 形)
chap.
chapter
cl.
class
② comparative
×非 文 法 的 な文 や表 現
compar.
comparative
cond.
conditional
〇
存在
conj.
conjunction
×
非存在
dat.
dative
‐接 辞
degree degree
der.,deriv. ①derivative,②derivation
形 態 素 間 の 区切 り(欧文)
dl.
dual
原綴 りの分 綴
do.
ditto
ed.,eds.
editor(s)
文献 の刊 行 年 な どの つ な ぎ 形 態 素 間 の 区切 り(欧文,和 文)
e.g.
exempli
encl.
enclitic
人 名等 の カ タカ ナ表 記 の 区 切 り 一 般 に,並 記
esp.
especially
−形 態 素 間 の 区切 り(和文)
_(下
Christ
comp. ①compound,
*(右 肩)注
=人
phrase
circa
音 声 上 の 吸気
・
year
C ①complement,②consonant
‖形 態 素 の 境界 :対
the
Lord)
et
名等 の カ タカ ナ表 記 の 区 切 り 線)(文 例 中 の)語句 の 強調 や指 定
イ タ リ ッ ク体 活 字
欧 文 に よ る書 名,雑
誌名
al.
et
alii(=and
etc.
et
cetera(=and
ex.
example
excl.
exclusive
(文例 中 の)語 句 の 強 調 や
f.
feminine
指定
fasc.
fascicule
fig.
figure
fut.
future
8. 略 語 一 覧
gratia(=for
本 書 で 使 用 した 主 な略 語 は,大 略,以 下 の と お り
gen. ①genitive,②general
で あ る.な
ger.
gerundive
Hrg.,Hrsg.
Herausgeber(独)
お,言 語 名 の 略 称 に つ い て は,本 文 中
の該 当個 所 に そ れ ぞ れ説 明 を付 した. A
adverbial
hrsg.
herausgegeben(独)
abbrev.
abbreviation
ibid.
ibidem(=in
example)
others) so
the
same
on)
place)
of
i.e.
id
poss.
possessive
impf.
imperfect
p.p.
past participle
incl.
inclusive
pref.
prefix
ind.
indicative
prep.
preposition
inf.
infinitive
pres.
present
inj.
injunctive
pret.
preterite
inst.
instrumental
procl.
proclitic
inter.
interrogative
pron.
pronoun
intr.
intransitive
IPA
The
pronom. pt.
pronominal part
1.,11.
line(s)
pt. rep.,repr.
participle reprint
lit.
literally
rev.
revised
loc.
locative
rt.
root
m.
masculine
S
subject
mimeo.
mimeograph
ser.
series
manuscript(s)
sg.
singular
N①noun,②new
sic.
so,thus
N°numero(仏)
suf.
suffix
neuter
Suppl.
supplement
n.d.
no
t.
tome(仏)
neg.
negative
tl.
trial
No.,Nos.
number(s)
tr. ①transitive,
est(=that
International Alphabet
MS.,MSS.
n.,neut.
is)
date
Phonetic
②translation
nom. ①nominative,②nominal NP
noun
N.S.
New
O ①object,②old p
proto-
p.
past
p.,pp.
page(s)
pass.
passive
phrase Series
or
voc.
vocative
Vol.,Vols.
volume(s)
VP
verb
vs.
versus
phrase
〓(露) 〓(露) 〓(露),
perf.,pf.
perfect
pers.
person
pl.
plural
T.
TOM(露)
plate
TT.
B…TOMax(露)
plt.,pt.
translated
V①verb,②vowel
〓(露)
by
〈u〉[Y]は,い
あ
の狭い
わ ゆ る あ い ま い 音 で,ド
Ⅱ)音
声 上 の特 徴
ア ク セ ン トは,原 ア イ ス ラ ン ド語
islenzka,英Icelandic,
[概
説]
ル ド語)に
属 す る言 語 で,現
国 の 公 用 語 に な っ て い る.ア
在 は,ア
イ ス ラ ン ド共 和
イ ス ラ ン ド(Island)と
「氷 の 国 」 の 意 味 で あ る.ス 語 な ど の 東 部 方 言 に 対 し,西
ウ ェ ー デ ン 語,デ
は
Islendingur[〓]「
ンマ ー ク
部 ノ ル ウ ェ ー 語 諸 方 言,
ェ ー ロ ー 語 に も っ と も近 い が,形
占 め て い る.ア
Ⅲ)母
態
短母音 長母音
妨 げ る よ う な 自 然 の 要 害 も 少 な い の で,理
解を困難に
す る ほ ど の 方 言 上 の 差 異 は な い. ア イ ス ラ ン ドは,9世
ル ウ ェ ー よ り植
植 民 の 書 」 に よ れ ば,
最 初 の 植 民 者 は 西 ノ ル ウ ェ ー 出 身 の イ ン ゴ ゥル ヴ ル ・ ア ウ ド ナ ル ソ ン(Ingolfur
Arnarnson)で,877年,
の よ う な 事 情 か ら,ア
イ ス ラ ン ド語 は 中 世 ノ
ル ウ ェ ー 語 と ほ ぼ 同 一 の 言 語 で あ っ た.エ
ッ ダ 詩,サ ガ
文 学 な ど が 特 に ア イ ス ラ ン ドで 栄 え た の は,こ
二 重 母音 発 音 と綴 り字 の 関 係 で 特 殊 な も の は,次
1)〈y〉 語では 2)歴
は,古
語 で 中 舌 母 音 の[u]で
の とお りで
史 的 に は 開 音 節 で,古
代
語 の 短 母音 は すべ て 長
の 島が
現 代 語 で は 長 さ で は な く,音
bite',
vi〓bitum[〓]'we
bit'
3)短
母 音 は,p,t,k+v,j,rの
は な か ろ う.ア イ ス ラ ン ド語 で 国 外 へ で る こ と をfara
vokvi[〓]'juice'
の 母国
質 の 違 い と な っ た.
vi〓bitum[〓]'we
母 国 を は る か に 離 れ た 孤 島 で あ っ た こ と と も無 関 係 で
海 外 か ら 帰 朝 す る 」 と 表 現 す る の は,そ
あ る が,近
〈i〉と 合 流 し た.
betri[〓]'better'
utan「
奥舌
音 と な っ た の で,〈i〉 と 〈i〉,〈U〉 と 〈u〉 と の 対 立 は,
現 在 の首 都 レイ キ ャヴ ィ ー クの 地 に居 をか まえ た とさ れ る.こ
中 舌
あ る.
紀 の 後 半,ノ
民 が 始 ま っ た.Landnamabok「
国民の」
音 前 舌
通を
強
ア イ ス ラ ン ド人 」〓
[〓]「
代 ノ ル ド語 の 中 で 特 異 な 地 位 を
イ ス ラ ン ド島 は 面 積 も 小 さ く,交
数)」
お い て 先 の 音 節 に2次
勢 が 発 生 す る.
フ ェ ー ロ ー 語 な ど と と も に 西 ノ ル ド語 を 形 成 す る.現
の 複 雑 さ に お い て,現
外 国(複
3音 節 以 上 の 語 で は,1つ
ゲ ル マ ン 語(ノ
節 に あ る.
戦 い」
utlond[〓]「
ア イ ス ラ ン ド語 は,北
存 す る 方 言 中,フ
則 と し て 第1音
bardagi[〓]「
独Islandisch,仏islandais
イ ツ語 な ど
〈o〉 に 似 て い る.
4)〈ng,nk〉
の 前,あ
前 で 長 音 と な る.
る い は 重 複 子 音 の 前 で は,
か ら み て,「 帰 っ て く る こ と 」が ア イ ス ラ ン ドか ら み る
かつ て は 単 母音 で あ った もの が 長 母 音 あ る い は二 重 母
と 海 外 へ で る こ と を 意 味 し て い た か ら で あ る.
音 と同 じ扱 い に な っ た(し
現 代 ア イス ラ ン ド語 の 概 要 は,次
発 音 さ れ る).
の 通 り で あ る.
[音 声 ・音 韻] Ⅰ )字
母
i→i
fingur[〓]「
u→u
ungur[〓]「
a→a
anga[〓]「
か し,〈i〉 〈u〉 は 短 く鋭 く
指」 若い」 匂 う」
langur[〓](「
長 い 」の男 性 主格 単
数) o→au
long[〓](<langurの
女 性 主格 単
数) e→ei
lengi[〓]「
長い間」
〈gj,gi〉 の 前 で, a→ai
hagi[〓]「
e→ei
segja[〓]「
i→i
stigi[〓]「
5)二 〈q〉 お よ び ]と
〈w〉 は,そ
読 む が,本
な い 文 字 で あ る.近
れ ぞ れ[〓][〓
年 の 正 書 法 改 革 で,〈z〉
と書 か れ る こ と に な っ た が,本
項では
は
〈s〉
〈z〉 を 用 い る.
suld[〓]「 Ⅳ )子 [〓]は
言 う」 梯子」
重 子 音 の 前 で,〈〓
piddur[〓]「
来 の ア イ ス ラ ン ド語 で は 用 い ら れ
牧草地」
〉 は 短 く発 音 さ れ る.
溶 け た 」(〓
の 過 去 分 詞)
霧 雨」
音 〈n〉 の,[q](gの
摩 擦 音),[x](同
左 の無
声 音)は
有 声 破 裂 音 〈g〉の,環 境 に 応 じ た 変 種 で あ る.
enginn[〓]<einn'one'+gi(否
定 詞)〓
[〓]<leggjaの lagt[〓]< [x]音
中 性 名 詞 は,主
過 去形
単数
同上 の 過去 分 詞
は,ま
た 字 母 の 〈x〉[〓]に
格 と対 格 が 常 に 同 形 で あ る ほ か は,
男 性 名 詞 に よ く似 た 変 化 を す る.
複数 み ら れ る.
綴 り字 と 発 音 の 関 係 で 特 殊 な も の は,次
「国 」
弱 変 化 の 例:「
の とお りで
目」
単 数(全
あ る.
格 同 形)
複数
1)前
舌 母 音 の 前 でxお
よ びgの
音 は ,口
蓋化 さ
3)女
れ る.
性名詞
単数
hja[〓
ヒ ャ ウ]「 … の も と で 」〓 [〓
2)kl/kn/kk,pl/pn/pp,tl/tn/ttは hk,hp,htと
ガ,歴
史」
複数 4)特
欠 乏」
殊 な 変 化 を す る名 詞
単数
heppni[〓]「
幸運」
dottir[〓]「
娘 」,な
3)‐rn/‐llは,そ
物 語,サ
単数
れぞれ
れ を 前 気 音(pre‐aspi‐
よ ぶ.
ekla[〓]「
「港 」
弱 変 化 の 例:「
,そ
発 音 され る .こ
ration)と
複数
イ ー ギ ャ イ ル]「 昨 日」
複数 ど.
れ ぞ れ[dn/dl]の
「父 」
上 の 類 例:「 よ う に発 音 す
兄弟」
単 数(主
る.
格)(主
格 以 外)
複数 barn[〓]「
子 供」
gamall[〓]「 ま た,barns「
古い」
子 供 の 」,vatns「
Ⅱ )冠
水 の 」は,[〓][〓]
娘」
冠 詞(akve〓ni
greinirinn)の
み で,不
定 冠 詞 は な い.
[語 形 変 化]
現 代 ア イ ス ラ ン ド語(islenzka)に
の よ う な 品 詞 が 認 め ら れ る.
Ⅰ)名
詞(nafnor〓)
定 冠 詞 は,数,性,格
に 応 じ て 変 化 す る.一
ル ド語 の 特 徴 と して,名
詞 に 定 冠 詞 を つ け る 場 合,形
容 詞 が あ れ ば,冠 詞 を,英
数(tala)―
単 数(eintala)と
複 数(fleirtala)
性(kyn)―
男 性(karlkyn),女
性(kvenkyn),
格(fall)―
主 格(nefnifall),属
先 頭 に お き,形
与 格(pagufall),対 1)男
〓 stora
格(polfall)
容 詞 が な け れ ば,名
な ど が 変 化 の 目 安 に な る.古
ノ ル ド語 の 語 幹 に よ る 変
代 ア イ ス ラ ン ド語 で は 難 し くな っ て
い る.
た だ し,こ
Ⅲ )数
hus「
れ は 文 語 で あ り,口
の 順)
数 字 は,性,格
て い る 場 合 は,こ er
24(tuttugu
基 数 詞 「馬 」 「1」
単数 複数
「ビ ‐ ル 」
「2」 「3」
単数 「4」 複数
「場 所 」 雄 鶏」 格)(主
「5」
格 以 外)
「6」 「7」
性 名詞
に よ っ て 変 化 す る.5以
「8」
詞 に1∼4が
降 は, 含 まれ
の 部 分 が 変 化 す る.
「私(男 性)は24歳
複数
複数
語 で は,stora 〓
名 詞 扱 い で 属 格 を 要 求 す る が,数
単数
単 数(主
そ の 大 きな 家 」
詞(〓)
1∼4の
Eg
男 性(主,属,与,対
弱 変 化 の 例:「
詞 の う しろ につ け
の よ う に い う.
男 性 名 詞 は,属 格 語 尾 が‐sか ‐arか,単 数与格 に ‐iが あ る か な い か ,複 数 主 格 の 語 尾 が‐arか‐irか,
化 類 の 区 別 は,現
イ ッ 語 の よ うに語 群 の
〓 「そ の 家 」
格(eignarfall),
性 名詞
語,ド
般にノ
る.
中 性(hvorugkyn)
2)中
姉 妹 」,「
詞(greinir)
冠 詞 は,定
と 読 む.
は,次
「母 」
上 の 類 例:「
og
fjogra)ara
で す 」(fjograは,複 序数詞
gamall. 数 属 格)
単数
「9」
複 数(す
「10」
《女 Ⅳ )代
名 詞(fornofn)
1)人
単数
称代 名 詞 主 格
《単
べ て の 格 に 共 通)
性》
属 格
与 格
複 数(す 対格 《中 数》
べ て の 格 に 共 通)
性》
単数
1人 称 複 数(す 2人 称 3人 称
べ て の 格 に 共 通)
形 容 詞 の 比 較 級 と最 上 級 に は,3種
男
類 の っ くり方 が
あ る. 女
1)原
級 に‐ari(比
較 級),‐astur(最
上 級)を
つ
中 《複
け る もの
数》
1人 称
rikur‐rikari‐rikastur「
2人 称
skyldur‐skyldari‐skyldastur「
3人 称
2)原
男 女
称 と し て 使 わ れ た が,今
上 す た れ て い る.ま
た,3人
が 含 ま れ る と き は,中 2)指
日で は 事 実
称 の 複 数 で,男
性 のpauが
性 と女性
《単 》〓
は 複 数,属
これ 」 《複 》hinir/hinar/hin「
あ
sem(不
変 化);er(同,古
∼ の 中 で 」)で あ る.最
風)―
これ らの語 は前
er
halli
en 〓.「
氷 は ガ ラ ス よ り滑
skemmstur.「
今 の 時期 も っ と も
〓
化 の 形 式 は,ド
よ び,比
較 級,最
上級の
イ ツ 語 な ど と 同 じ く,
dyrara
en
er
fegurst
平 ら な 」 の 強 変 化(主,属,与,対
〓― betri―bestur「
の
mikill―meiri―mestur「
非常
の よ うな もの も あ
よ い 」(英'good') 小 さ い 」(英'little') 多 くの 」(英'many') 大 き い,多
く の 」(英
'mickle')
複数
vondur―verri―verstur「
性》
原 形 が な く,比
単数
較 級,最
悪い」 上 級 の み の 形 容 詞 に は,次
の よ う な も の が あ る.
複数
〓―〓 「よ り遠 い,も
性》
単数
fremri―fremstur「
複数
ytri―ystur「
《男
グブズルー
年 を と っ た 」(英'old')
margur―meiri―mestur「
性》
単数
2)同
alla kvenna.「
な 美 人 だ)」
litill―minni―minstur「
《中
肉 は 魚 よ り値 が は
不 規 則 な 形 を も つ 形 容 詞 に は,次
gamall―eldri―elstur「
容 詞 の 変 化 例 を 示 す.
順)
《女
fiskur.「
る(英 語 な ど と共 通 の 語 が 多 い).
強 変 化 と弱 変 化 を 区 別 す る.
1)flatur「
er
ン は す べ て の 女 の 中 で も っ と も美 し い(=
に よ る 変 化,お
以 下 に,形
dagur
る」
i.
容 詞(r〓)
区 別 が あ る.変
er
日が 短 い」 Kjot
,sem(ま た は er)eg by house which I live in'
数,性,格
《男
上級
格 の 名 詞 を と る こ と が で き る.
Isinn
Nu
置 詞 と 直 接 結 合 し な い.〓
Ⅴ )形
健 や か な」
エ ネ ル ギ ッ シ ュな」
らか だ」
係 代 名 詞(tilvysunarfornofn)
'the
浅 い」
混成
比 較 の 接 続 詞 はen(「
「そ れ 」
れ」 3)関
記1と2の
otutull―otulli―otulastur「
《複 》〓
pessi/pessi/petta「
grunnur―grynnri―grynstur「 3)上
つけ
「少 な い 」
heill―heilli(<*heilri)―heilastur「
用 い られ る.
示 代 名 詞(abendingarfornofn)
《単 》〓
上 級)を
音 に 注 意)
far―〓―〓
ver,perは,敬
縁 の深 い」
級 に ‐ri(比 較 級),‐stur(最
る も の(変
中
富 め る」
上 の 弱 変 化(配 性》
列 は 上 に 同 じ)
な ど. Ⅵ )動
詞(〓)
よ り 前 の,も
よ り外 側 の,も
っ と も遠 い 」 っ と も前 の」
っ と も外 側 の 」,
動 詞 は,ド
イ ツ 語 な ど の よ う に,人
行 な う.時 vera+
制(〓)は,現
過 去 分 詞)の
Eg
hef
Jon
去,完
bokina.'I
have
kominn.'John
read
the
book.'
er
〓 lesa
同 様 に,完 Eg
bok.'I
a〓+ 不 定 詞
の形 式
in
the
middle
of
複数
私 は 読 書 中 だ」
buinn
〓 lesa
reading
the
bokina.'I
am
through
現在分詞
book.'
Ⅶ )準
と 表 わ す こ と が で き る. 法 は,直
態(mynd)は,能
+ 過去 分 詞)で
し て は,再
fnhattur),助
別 が あ る.
英 語 や ド イ ツ 語 と 同 じ く,現
受 動 態(pol あ る.特
す る.不
別 な形 と
帰 代 名 詞 が 動 詞 と融 合 し た 中 間 態 と称 す べ
き もの が あ る. 例)〓
sig→〓 berjast「
彼 ら は 互 い を 打 つ;殴
りあ い を す
互 い に 挨 拶 す る 」,な
の 変 化 様 式 を も っ て い る.強
ル マ ン語 独 自 の 発 達 で あ る.こ ス ラ ン ド語 で は,英
ど.
変化 は母 音 交替 変化 は ゲ
の 両 者 の 区 別 は,ア
語 な ど と違 い,か
〓〉 で あ る.
の 主 な もの は次
で き る,可
イ
な り忠 実 に 保 存
す る術 を知 って い る」
能 で あ る」
∼ だ ろ う」 ∼ す べ き だ」
vilja「 ∼ す る つ も り だ 」 Ⅷ )前
置 詞(forsetning)
a〓'at',(a)eftir'after',fra'from',fyrir 'for' Ⅸ )副
,gegn'against',な
ど.
詞(〓)
《形 容 詞 か ら 派 生 す る も の 》
強 変 化 動 詞 の 人 称 変 化 例:at 'to choose'と
kjosa「
選 ぶ 」(英
語
同 系)
〓
「遅 い 」 →
〓
「遅 く」
《場 所 の 副 詞 》
在》
fram,,frammi,framan「
前 へ,前
inn,inni,innan「
単数
中 へ,中
upp,uppi,uppan「
複数 去 》
外 へ,外
か ら」
か ら」
に,上
に,外
heim,heima,(〓)heiman「
複数
に,前
に,中
上 へ,上
ut,uti,utan「
単数
か ら」
か ら」 家 へ,家
に,家
か
ら」
弱 変 化 動 詞 の 人 称 変 化 例:at
《時 の 副 詞 》
tala「 話 す 」
nu「
在》
今 」,pa「
「決 し て 」,oft「
単数
そ の と き」,lengi「 し ば し ば 」,seint「
長 く」,aldrei 遅 く」,な
ど.
《様 態 の 副 詞 》
複数 《過
詞 は,
在 分 詞 と過 去 分 詞 を 区 別
do'
∼ で き る,∼
mega「
skulu「
さ れ て き た.
《現
あ る.分
助 動 詞 は か な り 発 達 し て い る が,そ
munu「
heilsast「
に 基 づ く伝 統 的 な 造 語 法 に よ っ て 作 ら れ,弱
《過
定 詞 の 印 は,〈
〓 gera'to
kunna「
「服 を 着 る 」
ア イ ス ラ ン ド語 の 動 詞 は,ゲ ル マ ン 語 の 伝 統 に 従 い,
《現
定 詞(na
動 詞(hjalparsogn)が
の とお り で あ る.
る」
強 弱2種
詞(〓),不
令 法(〓
動 態(germynd)と
mynd:vera/〓
動詞
準 動 詞 と し て は,分
説 法(framsoguhattur),命 続 法(〓)の
p eir
去》
了 の 意 味 も辞 書 的 に,
er
peir
《過 単数
am
a book.'「
with
),接
複数
is(=has)come.'
英 語 な ど で い う進 行 形 は,vera
reading
在》
単数
了(hafa/
を も っ て 表 現 す る こ と が あ る. Eg
《現
別 が あ る.
lesi〓
er
在,過
称 に よ る変 化 を
vel「
去》
よ く」,illa「
ん な ふ う に 」,svo「
単数
svona「
複数
本 動 詞 の ほ か,完 ッ コ 内 は 接 続 法).
be'の
変 化 を 示 す.こ
れ は,
了 お よ び 受 動 の 助 動 詞 で も あ る(カ
以 下 に,比
手 に 」,pannig「
そ の よ う に,そ
そ の よ う に 」,mjog「
「全 く」,〓 次 に 存 在 動 詞vera'to
悪 く,下
「少 し 」,な
非 常 に 」,alveg ど.
較 変 化 の 例 を 示 す. 〓
lengi―lengur―lengst「
「広 く」 長 く」
そ
れ ほ ど に 」,
hatt―
〓
「高 く」
vel―betur―bezt「
よ く」
illa―verr―verst「
悪 く,下
Ⅹ )接
〓(Leiftur,Reykjavik)―
は も と よ り,語
手 に」
続 詞(samtenging)
ⅩⅠ )間
,な
〓(〓,Reykjavik) ―コ ン サ イ ス ・オ ッ ク ス フ ォ ー ド辞 典(通 称COD) 定 的 な 問 い に対 して 相 当す
を も と に 編 ま れ た も の.簡
単 な 例 文 つ き.
《ア イ ス ラ ン ド語‐フ ラ ン ス 語 辞 典 》 Boots,Gerard(1955),Islenzk‐Fronsk 〓
る); ha?「
は?」;〓'hallo';ho「
[統 語 法]ア 語,ド
お っ と」,な
ど.
イ ス ラ ン ド語 の 構 文 で 特 に 目 立 つ の イ ツ 語 に 比 較 し て,非
れ る こ とで あ る.こ
れ は,古
の とお りで あ る.英
人 称 文 が 多 く使 わ
れ ら を ま と め る と,以
下
is raining/snowing.'
〓 vorar.'Spring 〓 ljomar Isa
af
degi.'Day
Batna〓i
getting
Agli.'Egil
got
dreymdi.'I
Mig
minnir.'I
had
chilled.'
Haugen,Einar(1976),The
well.'
hefur
peninga(対
upp
ma
the
story
be
〓logum gum
特 定 な 場 合(助 動 詞 と と も に)》
segja.'You skal
ey〓a.'A
is destroyed 彙]
can
land state
by
say
byggja is made
so,too.'
en 〓 olo by
law
[概
説 ]
東 部6州
人(1981).四
外 来 語 と し て は,次 akkeri「
動 く像
船 」,kirkja「
dla「 取 引 す る 」,smakka「 書]
〓 ,Arngrimur(1970),Islenzk‐Ensk
存 す る ケル で あ る.
ー ロ ッ パ に 現 存 す る イ ン ド ・ヨ ー ロ 典 語 を 除 い て もっ と も古 い 文 献 を
世 の 頃 に は,神
話,伝
説 に 基 づ く文 学 が 豊 か
くの 写 本 を 残 し て い る.近
世 初 期 に は,古
典 的 韻 律 に 基 づ く詩 や 散 文 も 多 く,よ
言 語 的 な 特 徴 と し て は,語 教 会 」,han
試 食 す る 」,な
《ア イ ス ラ ン ド語‐英 語 辞 典 》
イ ル ラ ン ド語 は,現
く ケ ル ト的 伝 統
を 伝 え て い る.
の よ う な も の が あ る.
錨 」,batur「
元 前 よ り ケ ル ト人 が 住 み
っ と も 重 要 な 言 語 の1つ
ッパ 語 族 の 中 で,古 も ち,中
映画」<
の 島 に は,紀
た が っ て,ア
ト語 の う ち,も
に 栄 え,多
口 は3,443,405
国 ・九 州 ・中 国 地 方 を 合 わ せ た 大 き さ に
も 及 ば な い.こ
限 り排 除 し,必 要 な も の は 翻 訳 す る 方 針 を と っ て い る.
+ 油,kvikmynd「
の 北 ア イ ル ラ ン ドを 除 く,約7万
ア イ ル ラ ン ド共 和 国 で あ る.人
来 語 が き わ め て 少 な い が,こ の 国 で は,外 来 語 を で き る
石 油 」< 石
イルラ
の 島 で,北
こ の 言 語 は,ヨ
統 的 語 彙 ば か りで 外
s〓mi「 電 話 」 < 「電 線 」,steinol〓a「
ア イ ル ラ ン ド共 和 国 の 国 語.ア
ー ロ ッパ の 北 西 岸 に あ る ブ リ テ ン 諸 島 西 端
つ き,し and
lawlessness.'(諺)
語 彙 の 面 で は,伝
宏 一)
Gaeilge,英Irish,独Irisch,
ン ドは,ヨ
km2が
og
Lan
Faber,London)
仏irlandais lack
gins.'
Svo
Scandinavian &
ア イ ル ラ ン ド語
格).'I
soguna.'Now
般 的,不
学校用
(秦
I remember.'
,
money.'
《主 語 が,一
Namsboka,Reykjavik)―
教 科 書.
生 ま た は 終 結 す る こ と》
格)skortir
すでに
a dream.'
think
《事 態 が あ る こ と,発
Hop
Press,Baltimore)―
guages(Faber
Mig
Modern
Gu〓finnsson,Bjorn(1958),Islenzk 〓
《精 神 現 象 》
Her
University
(Rikisutgafa am
in
Buske,Hamburg)
is breaking.'
is melting.'
svalar.'I
Course
of Iceland,Reykjavik)
内 容 が 古 く な っ て い る.
《生 理 現 象 》
Mig(対
〓 ,Jon(1977),A Icelandic(University
Petursson,Magnus(1978),Islandisch(Helmut
is coming.'
leysir.'Ice
Mer
[参 考 文 献]
kins
rignir/snjoar.'it
手 頃 な学
形 変 化 の 表 示 あ り.
Einarsson,Stefan(1972),Icelandic(Johns
語 の 表 現 法 と 比 較 さ れ た い.
《自 然 現 象 》 Hann
(〓,Reykjavik)― 習 辞 典.語
語 に つ い て も現 代 語 に つ
い て もい え る こ と で あ る.そ
[辞
っ さ い な い.
Orn(1966),Ensk‐Islenzk
ど.
投 詞(upphropanir)
肯 定 的 に 答 え る と き の 言 葉.独'doch'に
[語
形 変 化 の 表 示 は,い
Bogason,〓
ja,yes',nei'no',ju(否
は,英
イ ス ラ ン ド語 の 発 音
《英 語 ‐ア イ ス ラ ン ド語 辞 典 》
〓'that',ef'if',pegar'when',pott 'though'
ア イス ラ ン
ド人 向 け に つ く ら れ た も の.ア
ど.
や 鼻 音 化(nasalization)が 目的 語(VSO)の pronoun,す
よ く 知 ら れ,動
語 順 や,屈 な わ ち,代
従 っ て 変 化 す る 前 置 詞)の の 構 造 を も ち,ア
頭 の 緩 音 現 象(lenition) 詞 ‐主 語 ‐
折 前 置 詞(prepositional
名 詞 と 融 合 し て,数 使 用 な ど,ケ
イ ル ラ ン ド語 は,言
と人 称 に
ル ト語 に 特 有
語 学 者 に も一 般
学 習 者 に も極 め て 興 味 深 い も の が あ る.文 な 地 位 を 占 め る,い
学 の 作 家 の 英 語 に は,よ い 特 徴 が あ る.こ て い る が,そ
く 知 ら れ て い る よ う に,著
の 英 語 はIrish
Englishと
れ ら の 特 徴 は,ア
っ た も の が 多 い.し
し
よば れ
イ ル ラ ン ド語 法 を な ぞ
た が っ て,ア
ン グ ロ ・ア イ リ ッ シ
ュ 文 学 の 理 解 に は も ち ろ ん,Irish も,ア
学 史 に 特異
わ ゆ る ア ン グ ロ ・ア イ リ ッ シ ュ文
Englishの
研究 に
イ ル ラ ン ド語 の 知 識 は 極 め て 有 用 で あ り,む
し
ろ 必 須 と い っ て い い. し か し,こ
イ ル ラ ン ド)に
イ ル ラ ン ド語 の 話 し 手 は 次 第 に そ の 数 を 減 じ て きた. た 学 校 そ の 他 で の ア イ ル ラ ン ド語
し て,ヒ
ベ ル ニ ア(Hibernia=ア
は ア イ ル ラ ン ド語 が 話 され て い た.ア
イ ル ラ ン ド語 の も っ と も 古 い 資 料 は,オ ガ ム 文 字(Og ham
alphabet)で
あ る.こ
れ は ラ テ ン文 字 の ア ル フ
ァ ベ ッ ト を い わ ば 暗 号 化 し た も の で,直 み 合 わ せ た 母 音 字5,子 2,お
よ び4を
音 字15か
参 照).石
線 と斜 線 を組
ら な っ て い る(図1,
に 刻 ま れ て,そ
の ほ とん どが
人 名 で あ る. い ま,図2の
こ 数 百 年 の 間 に,英 語 の 力 に 圧 さ れ て,ア
今 日 で は,政 府 や,ま
人 の 島 で あ っ た.そ
碑 文 を 転 写 す れ ば,
DEGOS
MAQI
lister
1945,No.197)
と な り'of
Daig
MOCOI
son(of
TOICAKI(Maca
one)of
the
descendants
学 習 の 奨 励 に も か か わ らず,社 会 生 活 一 般 に お い て,英 語 が 事 実 上,ア イ ル ラ ン ド語 に と っ て 代 わ り つ つ あ る.
<図1>オ
ガム文字
ア イ ル ラ ン ド西 部 の ア イ ル ラ ン ド語 常 用 地 域 と さ れ て い る 地 方 で す ら,地 1981年
現 在,す
域 の 人 口7万5千
人 中22.6%
は,
で に英 語 使 用 者 と し て 報 告 さ れ て い
る. [歴 史 的 展 望 と そ の 背 景] 1)古
期 ア イ ル ラ ン ド語(Old
大 陸 の ケ ル ト語 に は,ゴ
Irish)
出 典:バ
ー ル 語(Gaulish),ガ
ラテ
A 注:図
ィ ア 語(Galatian),ケ
あ る.ゴ
わ ゆ るp‐
属 す る.最
of the Irish Languageに
中YはZの
誤 り.な
よ る.
お,図4参
照.
ル トイ ベ リ ア 語(Celtiberian,
Hispano‐Celtic)が て,い
ラ ン シ ー(Ch.Vallancey,1781),
Grammar
群 に,ケ
近 で は,レ
ー ル 語 は,大
体 にお い
ル トイ ベ リア 語 はq‐
ー ポ ン ト語(Lepontic)を
ト語 とす る 見 解 も 有 力 で あ る.島
<図2>オ
ガ ム碑 文
群 に ケル
嶼 ケ ル ト語 の う ち,
ブ リ タ ニ ッ ク ま た は ブ リ ソ ニ ッ ク(Brythonic)諸
語,
す な わ ち,ウ ェ ー ル ズ 語,コ ー ン ウ ォ ー ル 語 お よ び ブ ル ト ン 語 はp‐ な わ ち,ス
群 に,ゴ
イ デ リ ッ ク(Goidelic)諸
コ ッ トラ ン ドゲ ー ル 語(Scottish
マ ン 島 語(Manx),お 分 類 さ れ る.こ
Gaelic),
よ び ア イ ル ラ ン ド語 はq‐ う し た 分 類 は,印
/kW(qu)/が,ケ と な り,他
語,す
ル ト諸 語 に お い て,一 方 で はq(c)/k/で
群に
欧 祖 語 にお け る音 素 方 で はp/p/
現 わ れ る事 実 に基 づ い
て い る. e.g.―Gaulish Welsh (Lat
pempe,Welsh pimp'five'/Ir
pump<Old cuig<OIr
coic
quinque)
Welsh
pwy'who'/Ir
ce<OIr
cia(Lat
quis) Gaul
epo‐,Welsh
ebol<*epalo‐/OIr
ech(Lat
equus),'horse',etc. し か し,p/kの2音
は 聴 覚 的 に 類 似 し,そ
の 故 に,か
え っ て 区 別 の 生 じた 音 響 上 の 現 象(dissimilation)と 考 え られ,特
別 の 意 味 は な い(→
ケ ル ト語,ケ
ル トイ ベ リ ア 語).
紀 元 前55∼54年 ア(Britannia)に
に,シ
大 陸 ケ ル ト語,島
ー ザ ー(Caesar)が
渡 っ た 時,ブ
嶼
ブ リタ ニ
リ テ ン 諸 島 は,ケ
ル ト
注:ケ リー(Kerry)州 ー ル マ ゴ ー ト(Cool magort)に
ク
あ る もの.
of
Toecach',す
な わ ち,「
イ グ の(墓)」
トイ カ ハ 族 の1人
の 意 で あ る.ま
MODDAGNI
の息子 ダ
た,
MAQI
GATTAGNI
MUCOI
LUGUNI(Macalister,No.307) は,OIrの
Luigni.「
tagnas)の
息 子 の モ ダ ガ ス の(墓)」 尾 の‐I(属
行 す る 子 音 を 口 蓋 化(後
と な り,各
Gaithain
と な る.そ
格)が
第2音
ガ ム 碑 文 の 多 く は,5世
紀 半 ばの 語 末 音 節 の脱 紀 後 半 には 終 わ って
後,古
れ だ け に,原
Irish,∼5世
紀)の
変 化 を と げ つ つ も,全 っ て い た.そ 離 れ,ロ
き に,
ア イ ル ラ ン ド語
紀)は,た
Milan
glossesな
の た め,こ
た.し
か し,1169年
ー ロ ッパ に 冠
絶 し,ま
あ っ た.そ
Irish)
Boru)大
王 が,1014年
戦 死 し た 後,し
ばら
に 始 ま っ た ノ ー マ ン人 の 侵 入 は,
と え ば,
barda<warde'guard'
えず内的
聖 徒 の 時 代 と 称 さ れ る ケ ル ト文 化 は,ヨ
buirgeis<burgeis'borough' contae<cuntee'county' palas<palais'palace' seomra<chambre'room' siucra<sucre'sugar' paiper<paper'paper' cuirteis<curteis'courtesy',な
の
ど.
この 期 の ア イ ル ラ ン ド語 を 中 期 ア イ ル ラ ン ド語(お
の よ う な 語 彙 に も よ く う か が わ れ る.
peccad(Lat
ラ ン ・グ ロ ー
ア ン グ ロ ・ノ ー マ ン 系 の 語 彙 を 大 量 に ア イ ル ラ ン ド語
継 承 さ れ,修 道 院 を 中 心 と し て 文 化 の 繁 栄 を 享 受 し た.
こ と は,次
ど が そ れ で あ る.図3は,ミ
ロ ン タ ル フ(Clontarf)で
こで は 古 典文 化 が 断 絶 す る こ と な く
紀)で
glosses(Wb),
く は ア イ ル ラ ン ドの 政 治 は も っ と も 自 律 的 な 発 達 を み
の島 が大 陸 の 騒 乱 か ら
さ に 黄 金 時 代(6∼8世
とん どが
glosses(Sg),Turin
期 ア イ ル ラ ン ド語(Middle
に,ク
ー マ帝 国 に侵 され る こ とが な か った か らで あ
る.そ
Gall
ブ ラ イ ア ン ・ボ ル(Brian
体 と し て は 比 較 的 よ く均 質 を 保
れ は 何 よ り も,こ
れ ら の 写 本 は,ほ
glosses(Ml),St
に も た ら し た.た
お も か げ が 濃 い.以
期 ア イ ル ラ ン ド語(6∼9世
ら な っ て い る が,そ
2)中
の よ う
い た は ず の 語 中 音 節 の 消 失(syncope)も,と これ を 免 れ て い た.そ
の期の
ス の 一 部 で あ る.
節 を 失 っ てLuigni
経 て お ら ず,6世
(primitive
テ ン語 に よ る 聖 書 注 釈 書 に 書
大 陸 で 発 見 さ れ た も の で,Wurzburg
の 際,
脱 落 す る前 に 先
語 と も 音 節 を 減 じ 変 形 し て い る.こ
落(apocope)を
失 は 甚 大 で あ っ た.こ
言 語 資 料 の 大 部 分 は,ラ
ses)か
述 「音 韻 」)さ せ,MUCOIは
語 尾 を 落 と し,LUGUNIは
に,オ
Maic
ル グ ニ オ ス 族 の ガ タ グ ナ ス(Gat
MODDAGNIは,語
写 稿 類 の 被 っ た 損 傷,逸
き 込 ま れ た 多 量 の ア イ ル ラ ン ド語 の グ ロ ー ス(glos
形 に す れ ば,Muadain
moccu
し は し た が,か れ ら の 事 と し た 収 奪 に よ っ て,修 道 院 や
よ そ10∼12世
peccatum),litir(littera),ec
紀)と
よ ぶ.資
料 に は,年
代 記,宗
教 書,
lais(ecclesia),leg(a)id(legit),lebor(liber),
神 話 や 伝 説,わ け て も ア ル ス タ ー 物 語 群 は 重 要 で あ り,
oroitま
11世 紀 終 わ り 頃 の 編 纂 に な るLebor
た はorait(oratio),cathair(cathe
dra),sacart(sacerdos),pridchaid(prae
Book
dicat),popul(populus),obair(opera),etc.
bala'The
他 方,社 会 的 に は,ア イ ル ラ ン ドは 大 陸 時 代 と大 差 な いtuath'a
tribe
成 単 位 と し,そ
and
the
の 上 に,3つ
land
か し,や
が て8世
人 の 来 寇 に よ っ て,こ れ る こ と に な る.彼 れ,ケ
構
Dun
頃)に
Book
Cow'や,Lebar of
na
hUidre'The
na
Leinster'(LLと
Nuachong 略 す.1150年
は,そ れ ら の 写 稿 が 多 く 含 ま れ て い る.か
11∼12世
紀 の ア イ ル ラ ン ド文 学 は,ギ
く て,
リ シ ア,ラ
の 古 典 文 学 を 除 く固 有 の 土 着 文 学 と し て は,そ
の 階 級 か ら な るri'king'
を 戴 く部 族 社 会 と して 存 続 し,永 か っ た.し
it occupied'を
of the
く統 一 国 家 を な さ な
紀 の 終 わ り頃 よ り,北
欧
<図3>ミ
ラ ン ・グ ロ ー ス(部 分)
の 島 は た び重 な る襲 撃 に さ ら さ ら の 移 住 に 伴 う都 市 が 各 地 に 生 ま
ル ト的 社 会 と 秩 序 は 混 乱 し,ア
イ ル ラ ン ド は,
よ う や く 中 世 の 世 界 へ と変 貌 し て い く.次
の 語 彙 は,
そ の こ と を 物 語 っ て い る. Ir
ancaire(ON
akkari)'anchor'
stiuir(styri)'rudder' bat(bad)'boat' marggad(〓
<Lat
mercatus)'mar
ket' fuindeoc(vindauga)'window' iarla(jarl)'earl',な
出 典:Collotype Dublin,1936)に
ど.
注:ラ
こ の よ う に,バ
イ キ ン グ(vikingr)は,交
易 を もた ら
Facsimile
ed.R.I.Best(RIA,
よ る.
テ ン語 本 文 の 行 間や 欄 外 に 書 き こまれ た グ
ロ ー ス は ミラ ン ・グ ロ ー ス35c‐dの
一 部.
テ ン
の豊 か
さ に お い て,ヨ
ー ロ ッパ 随 一 の 存 在 で あ っ た.
過 渡 期 を 映 す 言 語 の 動 き に は,新 加 え て,綴
の 特 徴 の1つ
しい語 彙 の流 入 に
りや 発 音 の 揺 れ を 示 す 変 種 の 多 い こ と が 何
よ り も 目 に つ く.た
と え ば,「 歓 迎 」 を 意 味 す るfailte
/〓/やfaoilte/〓/,ま
い っ た例 は 枚 挙 にい とま
が な い.「 年 」 を 表 わ すbliadainが,た 代 記(Annals blieinと
of Inisfallen)に
ま た ま同 じ年
わ ず か の 時期 を距 て て
記 さ れ て い る の も,そ
の1例
で あ る(「1201
年 」 と 「1270年 」 の 記 述;blieinは,も の 発 音 で あ る).次
あ い ま い で,そ
う ほ と ん ど現 代
に 目 に つ くの は 動 詞 で あ る が,ア イ
ル ラ ン ド語 で は,元
来,完
了 を表 わ す 時制 につ い て は
の た め に は,前
接 辞ro(ru)‐
を使 用
す る こ と が 多 か っ た.ほ か に,ad‐'to'や,未 お よ び 過 去 未 来 接 辞(conditional な ど も,そ
完 了過 去
particle)のno
fort(Atkinson,1887,2848)'he
sworn
against
nobeind father
should
saw
be
some
dobeind(ib.7489)(adciに
これ は,当
じ書 物
つ い て は,辞 べ てdo‐
書 の4を
くて,完
が 単 な る 過 去 の マ ー ク と な り,noが
了 のro
勢 力 を え て,
bi動
去 の 標 示 と な っ て い っ た.現
文 面 か ら 落 ち る こ と が 多 い.こ
tar
代 ア イ ル ラ ン ド語 で,完 在 形ta,過
了 の 意 味 は,
去 形bhi)+
前置詞句
動 詞 的 名 詞(Verbal
Noun)
で 表 わ す こ と が で き る. Ta
se(he)tar
eis teacht
coming
after
aren't
you
Father has 等 々,少
read
と さ れ の る が,キ
ン ド史 綱 要 」1634)の 数 の 歴 史 文 書,地
abhaile(home)'he
home→he
after
has
come
home'
have
felt
アイルラ
の 時 代 に は,多
Fenian
教 書,
Cycle),系
図,
く に 編 纂 さ れ た 法 令 の,幾
「バ リ モ ー トの 書 」(The
世紀
き留 め られ た写 稿 の 断 片
の1葉
Book
は,上
of
Ballymote,1391)
か ら と っ た も の で あ る―,ま
レカ ン の 黄 書 」(The
Yellow
Book
of Lecan,
に あげ た 各 種 資 料 の 一 部 や 断 片が
多 く含 ま れ て い る.な お,D.A.Binchy,Corpus uris
か く て,1600年
記 の法
に お け る 教 育 あ る ア イ ル ラ ン ド人 士
か し,そ
統 に培 わ れ た 豊 か な標 準 語 で あ っ
れ は 一 種 の 文 学 語 で あ り,一
般庶民の
話 し言 葉 と は お の ず か ら別 種 の も の で あ っ た.古
ぐれ たfilidは,や
風 な
は り時 代 に 沿 っ て な
だ ら か な 文 体 に つ と め て い た.と ど も,庶
は い え,彼
ら とい え
民 の 言 葉 を 写 す も の で は な か った.
15世 紀 に 書 か れ た 『オ デ ュ ッ セ イ ア 』 の 断 片 の ア イ
ペ ネ ロ ペ の や り と り で あ る(R.T.Meyer Uilix
maic
saying?=haven't after
reading
you
said?
it=Fr.Reilly
な か ら ぬ い わ ゆ る ア ン グ ロ ・ア イ リ ッ シ ュ作 そ れ は 文 字 通 りIrish
English
,Merugud
Leirtis,DIAS,1958,ll.250‐255).
P."A
daine
maithi,carsa
mac
Leirtis
P."Ni
tu
int
Uilix
U,"Is
me
co
deimin
P."Caidi
it(Synge,Playboy)
家 の 中 に み ら れ る―
Eirenn(「
名 古 説(dinnsheanchas),宗
か に わ た っ て 受 け つ が れ,書
martha feeling=I
Reilly's
ar
散 文 で あ る.こ
の ほ か,早
の
ー テ ィ ン グ(Geoffrey
Feasa
U."Uilix
こ の な ぞ りが, I'm
こ の 時 期 に あ た り,そ
ル ラ ン ド語 版 が あ る.次 は,故 郷 に 還 っ た ユ リ シ ー ズ と
eis'after'+
is after
古 典 の1つ
紀)が
Keating)のForas
あ っ た が,す う
法全 般 につ い て大 きな変 動 の あ った こ
詞(現
準 語 とし 期近代 アイ
用 語 と韻 律 に し ば ら れ て 佶 屈 晦 渋 な 文 を 弄 す る 詩 人 も
と を う か が わ せ る. ち な み に,現
もい わ れ
近 く,こ の 国 に 君 臨 し た.初
ル ラ ン ド語(13∼17世
た.し
し た 現 象 は,そ の 背 後 に お い て 夥 し い 語 彙 の 新 陳 代 謝, 語 形 そ の 他,文
ー ド'rhymesters'と
れ ら の 用 語 と用 法 が 権 威 を も ち,標
て,以 後400年
の 共 通 の 用 語 は,伝
原 義 を失 っ て 無
は 混 用 さ れ,doが
ほ か の 接 辞 に か わ り,過 のdoも
た が,か
に は,バ
し て 知 ら れ,
伝統 を受けつ ぐも
令 文 写 稿 類 の 集 大 成 で あ る.
で お き 換 え ら れ て い る.
い ま い とな っ て い た こ と を 示 す.か
内 容 化 し た と き,2つ
Danaと
hibernica,6Vols.(Dublin,1978)は,上
時 す で に そ れ ら接 辞 の 原 義 が 忘 れ ら れ,あ
今 で は,こ
の と し て,後
14世 紀 末)に
の ほ か の 箇 所 で は,doderb(Atkinson,ib.7631),
ご と く,す
の 人 々 は,Aes
ドル イ ドdraoi(pl.draoithe)の
た,「
ど.
イ タ リ ッ ク の 部 分 が 該 当 す る 動 詞 で あ る が,同
参 照)の
な 言 語 とそ の 用 法 を 身 に つ け た 新 し い 職 業 的 詩 人 階 級
―図4は,そ
adci)ni(1317)'she
thing',な
Irish)
よ ば れ,伝 統 的
が 残 っ て お り,い ず れ も貴 重 な 資 料 で あ る.牛 皮 写 本 の
doib(ib.6107)'I
to you(pl.)',
atchi(OIr
Modern
紀 の 終 わ り頃,fili(pl.filid)と
年 代 記,そ has
you',
athair
12世
い わ ゆ る フ ィ ン 物 語 群(The
れ ぞ れ の 機 能 を 帯 び て 使 用 さ れ て い た.
roderb
で あ る.
期 近 代 ア イ ル ラ ン ド語(Early
が 台 頭 し た.こ
た,「 家 」 はteach
/t'ex/やteagh/〓/,と
3)初
cia
sib‐si etir?"
misi."
rob
aichnid
ocus
duinne."
indesad
mo
muinter
masa
cho
duit." do
delb
ocus
do
tu
Uilix?" U."Docuadar
amugu."
P.よ
う こ そ.と
U.わ
し は ラ エ ル テ ス の 息 子 の ユ リ シー ズ だ.
P.そ
こ ろ で,ど
ち ら さ ま で.
な た さま は 妾 ど もの 知 って い る ユ リシー ズ
で は ご ざ り ま せ ぬ わ. U.た
文 法 を 一 歩 も は ず れ ぬ い わ ば 正 統 派 の 文 学 語(the
しか に こ の わ し だ.君
には 身 の あ か し をた
て る よ. P.そ
な た さ ま の 顔 だ ち は い か が な す っ て?ユ
ⅹⅲ ),原
ら ば,ご
リ
家 来 衆 は.
語 的 に は13世
注:オ
リモ ー トの 書(The
Book
the
poets)で
あ り,ど
こに も
Murchu,1985). 代 ア イ ル ラ ン ド語(Modern 戦 い(1601)以
Irish) 降,イ
ギ リス
の 苛 酷 な 支 配 下 に お か れ た ア イ ル ラ ン ドの 社 会 は,次
の ま まで 立 派 な
人 公 た ち の 身 分 を 考 え て も,や
<図4>バ
of
方 的 あ るい は 階 級 的 特 徴 は うか が い え
キ ン セ イ ル(Kinsale)の 紀 の も の で あ る が(Meyer
文 の 綴 り を 若 干 改 め る と,そ
現 代 文 で あ る.主
な い(O 4)現
く方 し ら ず だ.
これ は,言
dialect
そ れ ら し い,地
シ ー ズ で す っ て,な U.行
standard
は り
第 に 活 力 を 失 い,や
of Ballymote)
ガ ム文 字 の ア イル ラ ン ド語 に よ る解 説.牛
が て バ ー ド制 度(Bardic
を 支 え て い た 貴 族 階 級 が 没 落 す る と,文
皮写 稿,38×25cm.
Order)
化 的 活 力 もま
た急 速 に萎靡,沈 滞 して い っ た.英 語 勢 力 の侵 潤,拡
二 重 母 音 を 表 わ さず,次 の 子音 の 口蓋 化 を 示 す こ とが
大 に よ って,ア イ ル ラ ン ド語 は徐 々 に西部 海 岸 地 域 に
多 い.二 重 母音 を明 示 す る場 合 は,ai,oiな
せ ばめ られ,そ
な お,aiお
の 上,ゲ ル タハ ト(Gaeltacht=ア
イ
ル ラ ン ド語 常 用地 域)は,南 北 に分 断 され る結 果 と な っ
よびae,oiお
よびoeは,そ
ど と記 す. れぞれ同音
異 綴 りで あ る.
た.し か し,1800年 現 在,ア イル ラ ン ド語 は な お,ア イ ル ラ ン ド人 の 言語 で あ った.1846∼48年 うち続 く国 内 の疲 弊,そ て,1841年
の大 飢 饉 と,
の上,多 数 の 海外 脱 出 に よ っ
の 人 口 約800万 人 が,1851年
万 人 に激 減 した.1851年
現 在,ア
イル ラ ン ド語 の話 し
手 は,32州 全 人 口の25%の152万4千 26州 につ い て は148万5千 (ZCP ⅩⅩⅡ,312).こ べ る と,お よそ 図5の
に は,約600
人(う ち,南 の
人 で29%)と
な っ てい る
3)子
れ を,1961年 現在 の 状況 と比 ご と くで あ る.
この地 図 は オ ー キ ー ブ(O
Cuiv,1969)に
摩擦 音
添 付 の地
図 に基 づ い て,住 民 半 ば以 上 が ア イ ル ラ ン ド語 常 用 の 地域 に限 定 して,1851年
と1961年
話 し手50%以
鼻音
の情 勢 を 比較 した
もの で あ る(Bammesberger,1982).し
た が っ て,
下 の 地 区 を捨象 した略 図 で は あ るが,ゲ
ル タハ トの 衰 退 の 経 過 を よ く示 して い る.1981年 査 に よれ ば,総 人 口の31.6%の100万
音
破裂音
の調
入 余 りが ア イ
流音 上 記 中,/N,R,L/は,n,r,lが 二 重 音 のnn,rr,llで 前 やt,d,s,l,r,nに い 音 で あ る.な
語 頭 に あ る と き, 現 わ れ る と き,s,l,r,nの つ づ く と き,な
お,以
上 の 子 音,す
ル ラ ン ド語 の話 し手 と報 告 され て い る.し か し,こ の
ン ド語 で い う 広 い(leathan)音
大部 分 は,実 際 には 英 語 を 日常語 とす る もの で,今 日の
応 す る 狭 い(caol)音,す
学校 教育 にお け る 自国 語 へ の 帰属 意 識 が 主 観 的 に反 映
lized
counterparts)が
され た もの と思 わ れ る.ア イ ル ラ ン ド語 使 用 者 の 実数
ben/〓/「
は不 明 で あ るが,現 在,共 和 国 に お いて,お よそ10万
(acc.)」
人 と推 定 され る(O
or/〓/「
Murchu,1985).19世
紀 後 半 の,
に は,そ
な わ ち(硬)口 あ る.た
どの や や 強
な わ ち,ア
イル ラ
れ ぞ れ に対
蓋 音(palata
と え ば,
婦 人 」 ∼bein/〓/「
金 」 ∼oir/〓/「
婦人 を
金 の(gen.)」
アイ ル ラ ン ド文 芸 復 興 の 情 熱 の炎 が ヨー ロ ッパ 諸 国 に 与 えた 影 響 は大 き く,日 本 の英 文 学 研 究 に も少 な か ら ぬ刺 激 を与 えた こ とは 周 知 の とお りで あ る.こ の 運 動 を通 して,ア イ ル ラ ン ド人 は 民族 的 自信 を と り戻 し, 1922年,こ の 国 は,数 世 紀 にわ た る英 国の 桎 梏 を は な れ て,独 立 国 と な った.同 時 に,ア イ ル ラ ン ド語 を 国語 とす る悲 願 は,こ
こに 達 成 され た.し か し,そ れ ま で
数 世紀 に わ た って放 置 され てい た 話 し言 葉 と綴 字 の 問 題 は紛 糾 の ま ま残 され て いた.こ の 問 題 に つ い て は, 後 述 の 「方 言 と共通 語 」 で 再 度 と り上 げ る. [音
韻]
古期 ア イ ル ラ ン ド語 の 音 韻 は,大 略 次
の よ うで あ る. 1)母
音
ア イ ル ラ ン ド語 で は,綴 し,ア 2)二
字 の 上 の'の
記 号 は長 音 を示
ク セ ン トで は な い. 重母音
こ の 言 語 で は,ai,oi,ei,uiな
ど のiは
必ず しも
<図5>過
去1世 衰退
紀 間 の ゲ ル タハ ト地 区 の
音 韻 記 号 右 肩 の'が み に,こ
そ の 子 音 の 口蓋 音化 を 示す . ち な
の 対 応 は 偶 然 な が ら,ロ シ ア 語 の 硬 音(hard)
∼ 軟 音(soft)の
組 織 的 対 応 に 匹 敵 し,か
つ,そ
今 日 ま で ア イ ル ラ ン ド語 の 特 徴 で,ウ み ら れ な い.そ
の ほ か,shま
れ る 無 声 摩 擦 音/h/が
あ る.OIrの
発 音 に つ い て は,
よ う に,同
よ う に 発 音 す る.な
音 節 が 弱 ま り,OIr以 ち な み に,上
(p)
t
b/bh
d/dh
母音
n
i
e
k
o
l u
i(e)
a(o)
ル ト語 でi,aに れ を ラ テ ン語 と比 較 す
つ て か な り の 期 間,互
い に密
接 な 関 係 に あ っ た こ と を 示 唆 し て い る.
用 し た の は,今
容 詞,冠
名 詞 に は,3性,単
リ ス ト教 の 渡 来 と前 後 して ア イ ル ル フ ァ ベ ッ トの う ち,実
際 に使
日 と同 じ18字,
・複 ・双 数,5格
ソ ニ ッ ク 諸 語 で は,こ 性 お よ び 双 数 は,そ
の 頃 す で に な か っ た.次
幹 男 性 名 詞fer'man'の
た,1)‐oiは
語 尾 よ り,2)‐osはNpl.の
で あ っ て(こ の 文 字 の 呼 称 に つ い て は,「 ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 」 の 「辞 書 」 の4Dwelly's
複,男
語 尾 を 借 用)
女2性
と な り,屈 折 に つ い て は,南
部 方 言 で は 今 も な お,か な り古 い 格 形 を 残 して い る が, 現 今 の 文 法 指 導 要 領(Gramadach
na
Dictionary
は,共
す る の み で あ る.し
数 形 で は,Mid
か し,複
お く な ど の 工 夫 が な さ れ た が,そ
音 と綴 字 の 問 題 は 最 初 か ら 複 雑 で
あ っ た.こ
の 問 題 は,今
い な い.は
じ め は 一 種 の 異 音(variant)に
ら ず,語
形 態,文
は ‐gh/〓/と
日 もなお 十 分 に は解 決 され て
紀 の 頃 ま で に は,音
す ぎな か っ 素(phoneme)
の 口 蓋 音 素 化 は,音
声 現象 に止 ま
法 組 織 に ま で 入 り込 み,こ
豊 か に か つ 複 雑 に し た.複 て,‐idh/〓/は12世
の た め,別
雑 と い え ば,摩
の言 語 を 擦 音 につ い
紀 初 頭 に 崩 れ 始 め,1世
融 合 し,の
ち に は,そ
紀後 に
の 多 くが異 な る条
Irに
言 も 交 え,各
名 詞 の 使 用 も,実
際 は そ れ ほ ど 簡 単 で は な い.
種 各 様 の 異 形 が あ り,
の ヨ ー ロ ッ パ 語 と 大 差 な い.し
辞(copula)is'(it)is'の is I',is
tu'it
し,く
だ,疑
は,代
か し,
名詞主格は繋
補 語 に な る 場 合(is
is thou')の
お
に さ らに新 た な語
尾 も加 わ っ て,方
る た め,常
の他
音 の前 後 に前 方 母 音
通 格 と属 格 を区別
い て 子 音 語 幹 の 語 尾 が ひ ろ が り,後
て 不 十 分 で あ っ た.そ
の た め,bh,dh,gh,そ
gaeilge,後
述 「方 言 と 共 通 語 」を 参 照)で
こ と は な い.た
と し て 定 着 し た.こ
ア
も と代 名 詞 の
V 今 日 で は,単
を 参 照),多 数 の 摩 擦 音 や 口 蓋 音 を 表 わ す た め に は 極 め
た 口 蓋 音 も,6世
語
は,原
sg.pl.dual
代 名 詞 は,他
考 案 し,子
リ
は,o‐
変 化 で あ る.(*形
特 異 な 点 も 少 な く は な い.OIrで
個 の 困 難 が 生 じ,発
折 に は,母
れ ら の 区 別 は 早 く に くず れ,中
r,s,t,u
(e,i)を
が あ っ た.
呼 格 は 主 と し てo‐ 語 幹 名 詞 に 現 わ れ る.屈
a,b,c,d,e,f,g,h,i,l,m,n,o,p,
の 合 字(digraphs)を
詞
A 融合
母 音 と も相 互 に 精 確 に 対 応 す る.こ
ラ ン ド に 入 っ た が,ア
名 詞,形
u
れ ぞ れb,d,gに
変 わ っ た こ と を 示 し て い る.こ
ラ テ ン 文 字 は,キ
詞,代
D
し た こ と を 示 し,母 音(e)(o)は,ケ
語 が,か
態]
G
s
ケ ル ト語 に お い て,そ
の こ と は,2言
[形
N
ケ ル ト諸 語 に お い て 脱 落 し,b/bh,d/dh,
母 音,長
れ らは 綴 り と 発 音 と方 言 の 入 り 組 ん だ ア イ ル ラ
ン ド語 音 韻 史 の 困 難 な 一 面 で あ る.
の よ う で あ る.
g/gh
r
a
ち さ ら に,sh/h/と
言 に よ って微 妙 に 交 錯 しつ つ 今 日に至 っ
イ ル ラ ン ド語 の 再 建 形.ま
前 に 消 失 した.
m
れ ば,短
よ び 第4
記 の 音 韻 を 印 欧 祖 語 の そ れ と比 較 す れ
子音
表 中,(p)は
中
末音 は早 く
い 語 に あ っ て は 第2お
い に 直 接 対 応 す る 音 韻 は,次
g/ghは
口蓋 化
時 は‐ch/x/,の
紀 の間に
音 語 幹 の ほ か,幾 種 類 か の 子 音 語 幹 の 別 が あ っ た.ブ
長 音 を 示 す.語
た,長
変 わ り,一
た.こ
りは そ の ま ま で あ っ た.
同 じ こ ろ 動 揺 を き た し,13世
も 重 な り,方
OIrの
様 にg,b,
お,sの
則 と して 語 頭 に あ り,語
の 母 音 字 の 上 の 記 号'は か ら消 失 し た.ま
/h/に
1)名
音 で あ る.
ア ク セ ン トは 強 勢 で,原
ば,互
よっ て 表 わ さ
除 い て,c,p,tは
母 音 間 や 語 末 で は[g,b,d]の
S'はs[〓]の
れ は,
ェー ル ズ語 に は
た はsに
少 数 の 例 外(e.g.macのc)を
dは[〓]の
ま た,th/〓/も
の も
つ 文 法 的 機 能 も相 互 に 極 め て 類 似 し て い る.こ
件 の 下 で 無 音 と な っ た が,綴
ほ か は,文
me'it
章に現われ る
問 代 名 詞 は,元 来 す べ て 主 格 で あ
に ゼ ロ形 の 繋 辞 を 伴 い 一 種 の 関 係 文 を 構 成
り 返 し構 文(reprise
とが 多 い.次
の 文 は,疑
construction)を 問 詞cid'what'で
なす こ 始まって
い る. Cid
dia
mboi
longes
mac
nUisnich?(後
述
「語 頭 子 音 の 変 化 と リズ ム 単 元 」 例 文1を 直 訳:'What(is of
the
sons
it)for of Usnig?'(す
which
was
な わ ち,フ
les fils d'Usnech
参 照). the
exile
ラ ンス語
'Pourquoi
est‐ce que
exiles?'に
対 応 す る)「 ウ ス ナ の 息 子 ら が 放 浪 し た
の は なぜ な の か 」 こ の 事 情 は,今
日 で も 原 則 的 に 同 じ で あ る.
se sont
Ce
a
chonaic
tu?'Who(is
saw?=Qui
est‐ce
it)that
que
tu
as
vu?'「
you
で あ る.
きみ は誰
《単
数》 m
を見 た の です か 」 Ce
a
duirt
to?=A
tu?'Who(is
qui
it)that
est‐ce que
tu
as
you
talked
N
parle?'「 君 は 誰
に話 しか け ま した か」 この 点,フ
ラ ン ス 語 は ケ ル ト語 に 大 変 よ く似 て い る.
queen,Archivum な お,く
senti
senti
sentas
sento
sento
senta
A
senton
sen
sentan
数》 m
N G D A
り 返 し構 文 に つ い て は,「 方 言 と 共 通 語 」末 尾, 参 照.
代 名 詞 が 前 置 詞 の 目 的 語 と な る と き は,例 れ と融 合 し,そ
外 な くこ
の 人 称 と 数 に 応 じ て 特 種 の 形 を と る.
agam'at
me'(ag+meと
agat'at
は,な
you',aige'at
orm'on
me'(ar+meで
you',air'on
っ て い な い),
him',な
him',な
ど(以
これ を 屈 折 前 置 詞(prepositional
上,Mod
い う.
これ ら の 形 態 は ウ ェ ー ル ズ 語 と は 一 致 し な い が,文 の 初 め よ り両 言 語 に み ら れ,島
sen(a?) senton sentobis sen(a?)
sentas senton sentabis sentas
は,語
は,次
《単
数》
《複
数》
あ っ た た め,語
末 音 が 脱 落 し,文
Irishで
て い た.OIrで
Ir).
pronoun)と
f
に 前 よ り(proclitic)で
弱 ま り,語
のArchaic
は な い),ort'on
n
*senti senton sentobis sentos
冠 詞 は,常 のsが
ど.
*senta
D
Linguisticum ⅠⅩ,66,1957).
聖 書 の 例 文4を
*sen
G
《複
あ る い は ケ ル ト語 の 影 響 か と も 思 わ れ る(Cf.J.Mac‐
f
n
*sentos
頭
献 に現 わ れ る 直 前
幹 が*(s)indo‐
とな っ
の よ う で あ る.
献
嶼 ケ ル ト語 の 特 質 を な
して い る. 挿 入 代 名 詞(infixed pron.)に
pron.),接
つ い て は,別
尾 代 名 詞(suffixed
に 「動 詞 と 文 の 構 造 」1,2,3
で 述 べ る. 形 容 詞 は,修
飾 さ れ る 名 詞 に つ づ く の が 原 則 で,名
詞 属格 が他 の名 詞 の あ と につ い て そ の 修 飾 語 と な る こ と は 極 め て 多 い.OIrに お い て は,形 容 詞 に は,原 級 の ほ か,同 た.比
等 級(equative),比
較 級,最
上級 が揃 って い
較 文 の 基 本 型 は,Adj(comp)+Pivot
ard(dat.)で
Stand
あ っ た.
is ardu(higher)sleibib(than
mountains)
「そ れ は 山 よ り も高 い 」 こ こ で,sleibibは people,the
与 格 で あ る.た
biggest
manの
だ し,the
older
よ う な 句 で は,必
ず関
係 節 を 構 成 し た. doini
ata
in fer
as
siniu'people moam'the
の ご と く な る.上
are
who
is biggest'
記 のsiniuはsen'old'の
moamはmor'big'の の3rd
man
who
最 上 級.ち
older'
比 較 級,
な み に,ataはis
pers.rel.pl.,asはisの3rd
rei.sg.以 至 る ま で,基
上 の よ う な 用 法 は,Mid
経 て 今 日に
本 的 に は 変 わ っ て い な い.
冠 詞(article)も,広 だ,定
冠 詞(ア
い)は
元 来,指 示 的 小 辞*senに,印
で あ
イ ル ラ ン ド語 に は 不 定 冠 詞 は な
数,主
格,対
格 を 除 い て)付
は次
鼻 音 化(nasalize)
は 二 重 音(gemination)を
の 語 尾 を と っ て い た 箇 所 で あ る.ま
で あ る が,い
と,‐tos,‐tas
た,‐intな
ど の‐
加 さ れ た 形 で,原 よそ 次 の よ う
ま1,2の
例 を 加 え る と,Goidelic*sin‐
dos 〓(<IE*〓)はProto‐Irishで*sin‐ 〓 ,こ 音 節 のaの
ケ ル ト語 に お け る 変 化 を 想 定 す る と,お
じく
表 中,右 肩 の
起 こ す こ と が あ る こ と を 示 し て お り,も
欧語の代名詞語幹
to‐,ta‐(cf.Gk〓Lat is‐ta'that')が(中 性,単
形 で あ る.上
は 前 置 詞 が 先 行 す る 場 合 を 示 す.以 上 が,定 冠 詞 の 行 状
い 意 味 で は 形 容 詞 の1つ
る.た
にinの
の 子 音 が 緩 音 に な り(lenite),Nは す る こ と を 示 す.同
pers. Irを
双 数 で は,常
an
れ がArchaic 消 失)を 経 て,OIr
t‐athair'the
*sinda
father'と
sulis>Proto‐Ir*sinda
Ir*a〓(中 int
間
ath(a)ir,Mod
な る.同
じ くGoidelic
hulis>Archaic
Ir
Ir*(s)indhuil>OIr an
suil'the
ばMod
int suil/hu:l'/,Mod
eye'.今,the
Irでsuil
冠 詞anは
fhir
男 性 属 格 で,今
に,fをfhに 合,最
an
eye
of the
と い う.こ
Ir
「動 詞 と文 の 構 造 」1,2,3で
ら
b)動
の 場 合,定
も古 代 の 名 残 り を そ の ま ま
緩 音 化 して い る.な
初 のtheに
manな
あ た るanは
お,こ
の よ うな場
省 略 す る こ と が,ケ
ル ト語 一 般 の 通 則 で あ る. bia
na
gcat'the
of
the
cats=the
(単
の 通 り で あ る.
数)
(複
m 音
ing
mf
anL
の 前ant
音の
前nah 音naN
t‐,nahはna
of knowledge'で
様 に,denum will
of
will
genitive)と
tuile
God'.し
dae
使 っ て,tol will
of God'と
of God
an
h‐ の ご と くな る も の を
dorais'shutting
doras
do
of the
dhunadh'the
door'の
door
場 合 に は,Agent+do+VN+N(obj.gen.)の
a)概
観
the
door'と
弱 の2種
の変化
do marbad
(lit.D.for
killing
Mane)'と
の 用語 は ゲル マ ン語 の そ れ を借 用 し た も
的 語 が 初 め に く る と,N(obj.)+do+VN+do
変 化 と は,語
+Agentの
な ど が 接 尾 さ れ た,本
来の動詞 に
幹 が 主 と して 名 詞 お よび 形 容 詞 か ら
派 生 し た もの を 弱 変 化 動 詞 と い う.後
と ‐aで 終 わ る(Lat
対 応 す る)か,‐iに
態(voice)に
Ir以
は,能
降,徐
動,受
に は,直
説,接
さ れ る.こ
verbが
含 ま れ る),法
続 お よ び 命 令 の 別 が あ る.接
subjunctive,お
よ びa‐subjunctiveを
と 現 在 の2つ
しか な い が,直
含 む)に は 過 去
説 法 に は,現
在,過
さ ら に,こ
去,未
trog
snig'the
sons
fall'は
'for the は'It
の ほ か,接
し て い る(H.Pedersen,Vergleichende matik
der
加 え て,各
keltischen
(conjunct 詞 に は2種
Gram
Sprachen Ⅱ).
の異 な る語 尾 体 系 を備 えて
を 絶 対 形(absolute form)と
よ ぶ.こ
form),他
を連 結 形
れ と関 連 し て,複
の ア ク セ ン ト型 が あ り,目
み ず か ら の 中 に と り込 ん で い た.こ
Uisnig'とdo
Conchobor,for
to fall'と tirib
countries
他 方 に お い て,VNは,種
変 化形
+oc(Mod
trog
namatは'in
the
the
is grievous,
sons
of
訳 す れ ば, な る.Is
体 で'It
of
Uisnig
enemies.'で
to
あ る.
々 の 前 置 詞 と結 び つ い て,
副 詞 句 や 形 容 詞 句 を つ く り 出 す.な (at)taの
thuitim ,英
of Uisnig
Ui
か んず く実動 詞
Ir ag)'at'+VNは,
も っ と も頻 繁 に 現 わ れ る.
動 詞 は 大 部 分 の 時 制 と法 に わ た っ て,単
複 各 人 称 を と お し て,2つ い た.1つ
数
極 め て 複 雑 な様 相 を呈
of
do
お い て,meic
of enemies',全
fall in the
Uisnig
namat.に
is grievous',i
countries Oh
の 不 規 則 動 詞 を 擁 して,OIrは
代 英 語for
ネ クサ ス関 係 に あ り
sons
よ び 過 去(能 動 と 受 動 に 分 か れ る)そ れ らに別 の語 幹
る い は,現
Chonchobuir meic
tirib
来,お
化 形 に は 欠 如 が 多 く,無
a
thuitim i
現 在,未
続 法 に は,さ
係の
定 法 つ き 対 格(ac
同 じ機 能 を 果 た す こ と が 多 い.
件 法(過 去 未 来)の 時 制 を も つ.か
の 上,変
Dubthach
ネ ク サ ス(nexus)関
infinitive),あ
来,条
が 用 い ら れ る.そ
do
の 枠 組 み と な っ て,不
完 了,未
ぞ れ の 語 幹4つ
つ,
marbad
のdo+VNの
with
+toと
do
ア ル ス タ ー の 少 女 た ち を 殺 した 」
配 列 は,1つ
'to
続 法(s
Ulad
「D.は
例)Is
動 に は ‐r語
か し,目
順 序 と な る.
ingenrad
cusative う した
々 に 消 失 し た.
動 の 別(能
尾 を と る 異 態 動 詞deponent
の 特 徴 で,
‐are,Goth‐onに
終 わ る か に2分
区 別 は し か し,Mid
者 は 数 も多 く,
有 す る の が1つ
Mane
な る.し
の で あ る.強
幹形成母音
為者 を表 わ す
Mane'D.killed
of
が あ る が,こ
根 の 部 分 に,語
shutting→to
い う こ と が 多 い.行
型 でDubthach
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 の 動 詞 に は,強
語 幹 が,も
do
代 わ り に,an
for
shut
s‐preteriteとf‐futureを
denum
現 代 ア イ ル ラ ン ド語 で も 「戸 を 締 め る 」の は,dunadh
詞
つ い て い う.語
do
doing→to
す る こ と も早 く か ら 行 な わ れ た.
2)動
‐e/o‐,na‐,‐i‐
格の代わ りに
dae
for
み
Ml545'do
か し,属
示 して い る.
の
あ る が, 属格で
わ ゆ る 目的 属 格(objective
30a18'the
the
詞
も あ る た め,
は た ら き を もす る.Fursunnud
illuminating
of the
Wb
の 前na antはan
詞的名
詞 的 名 詞 は,動
actionisで
前 置 詞do'for,to'を
na,母
anL,na,母
のnomen
英 語 のgerundの
な され る.同
数)
f
an,母
G
の 機 能 を もつ1種
あ り,い
現 代 ア イ ル ラ ン ド語 の 定 冠 詞 は,次
定 法 が 発 達 し て お ら ず,動
こ の と き,fissはrofitir'knows'のVNの
cats'food'
NDA
こ の 言 語 で は,不
Noun)
詞 が そ の 代 わ り を つ と め て い る.動
fissは'the food
改 め て 述 べ る.
詞 的 名 詞(Verbal
合動
的 格 の代 名 詞 を
れ ら に つ い て は,
at‐to(a‐tai,at‐ta)oc are,he
is)drinking
oc marbad ing
ol uisci'I
am(you
water',at‐ta(at‐taat)
Chonairi'he
is(they
are)kill
Conaire'.
こ の 構 文 は,お
そ ら く英 語 の 進 行 形 の 発 達 に 何 ら か の
影 響 を 与 え た も の と 思 わ れ る.ま
た,sitting,stand
ing,lying,sleeping,waking,dwelling,そ
の
他,あ
と
る 条 件 下 の 状 況 や 身 分 を 示 す 場 合 に も,taと
も に,関
係 す る 動 詞 のVNで
ta
se ina
ta
Sean
慣 用 的 表 現 を 形 成 す る.
sheasamh'he ina
is standing'
chodladh'John
is
た が っ て,能
そ の 傾 向 は す で に,9世 紀 の 終 わ り に は,異
(Kegan
使 用 さ れ て い る.な
of
日 ま で 一 貫 して
あ っ た.今,そ
の 形 は,異
'is placed'
leicid'lets
go,leaves(behind)'→leiciud
た す こ と が で き な い.そ 身 の 形 が,や
guidid'prays'→guide
態 動 詞(deponent verb),受
verb),自
律 動 詞(auton
no‐m‐leicthir'I
動 形(passive).
と前 置 詞iar(m)‐'after'と ' puts
after'のs‐pret.3.sg.が, の 際,suidigedar of
語 尾 に ‐igの つ い た 弱 変 化 動 詞 で あ
て,‐edarの
形 は,前
接 要 素iarmi‐
に つづ い
て い る と こ ろ か ら,連 結 形 と い わ れ る.こ 単 純 形 な ら‐idirの
当 た る が,能
令 法,直
す べ て の2人
の 語 形 は,
称単数命 よ び,
称 複 数 に お い て,区 別 が な い.今,現
在形
form),Bは
単 純(す
form)で
を,我
々 を,あ
「残 す 」 の"主
語"は
の"自
B(連
suidigidir 'places' sg.
suidigedar 'places'
buailtear
me直
して 多 用 され て
人 称 と 数 を 超 え,他 時 制 に つ い て"受
だ,あ あ る.
struck e「 彼 を そ れ が ぶ た れ る →he
さ ら に,teitear「 Teitear
Domhnach「 →one
go…)」
1 suidigmir
お い て,古
異 態 動 詞 は,OIrに
お い て,す
e.g.Oscan
で に 多 くが 欠 如 動 詞 と
そ こ
goes…(people
明 確 な 主 語 を さ け る こ の ‐r語 尾 の 使 用 は,印
‐suidigetar
is
行 か れ る 」 で は,
ann(there)gach
3 suidigidir ‐suidigedar
3 suidigitir
身"を
くま で非 人 称 的 受 動 態
struck
1 (欠 如) ‐suidigur
2 suidigthe ‐suidigid
動詞は
訳 「私 を そ れ が ぶ た れ る →I
へ 日曜 ご とに 行 か れ る
‐suidigmer
は,
称複数 を
の 非 人 称 自 動 詞saorbhriathar
verb)と
(passive‐impersonal)で
2 suidigther ‐suidigther
pl.
味 的 に は,1種
も ち ろ ん 自 動 詞 に も 及 び,各
結 形)
「そ れ が
Irで
立 の 代 名 詞 と し て3人
表 わ す こ とが で き る.た
am
れぞれ
現 わ れ て い な い.Mod
律 動 詞"は
buailtear 対 形)
目 的 格 で あ り,主 格 し くは,そ
れ ぞ れ の 動 詞 の 後 に お か れ,V+Oの
順 序 に な る が,意
あ
こ ろ で,挿 入 さ れ た 代
な た 方 を 残 さ れ た 」 で あ り,
こ れ ら の 代 名 詞 は,独 も ふ く め,そ
に つ い て は,「 動 詞
後 述 す る.と
た が っ て,正
る. A(絶
left'
pron.m,t,n,bは
な わ ち 絶 対)形(absolute
連 結 形(conjunct
are
頭 のno‐
で は な い.し
い る.こ
件 法,お
の 活 用 を 次 に 示 す.Aは
続 法 過 去,条
left',
名 詞infixed
私 を,君
left',
are
(autonomous
中 動 態(middle
動 態 の 活 用 と は,3人
説 法 未 来 完 了,接
no‐b‐leicthir'you
ら
left', art
と い っ た 具 合 で あ る.文
異 態 動 詞(deponent)
欧 語(Indo‐European)の
voice)に
れ に 対 し て,
語 尾 を と る.こ れ ら2つ
異 態 動 詞 の そ れ で あ る.OIrの は,印
put
部 分 がsuide'sitting'(VN
saidid'sits')の る.さ
had
れ は,suidigedar
の 臨 時 合 成 語iarmisuidigedar と文 の 構 造 」 の3で
用 い ら れ た 形 で あ る.そ
のsuidigの
am
no‐n‐leicthir'we
な わ ち,'he
意 で あ る.こ
称単数受
と え ば,
left'か
no‐t‐leicthir'thou
は'after‐has‐(he)‐placed',す aside(disregarded)'の
在3人
が て そ れ ぞ れ の 人 称 代 名 詞 を 伴 っ て,他
leicthir 'he(it) is
ミ ラ ン ・グ ロ ー ス13a7のiarmu‐ru‐sudigestar
は,そ
‐suidigter
称 の み で は 必 要 をみ
こ で ま ず,現
の 人 称 に 拡 が っ て い っ た.た
do‐gni'does'→denum,etc.
perfectに
‐suidigther
placed'
他 動 詞 が 受 身 に 転 ず る と き,3人
ibid'drinks'→ol
omous
'are
結 形)
marbad
saidid'sits'→suide
c)異
称 の み に対 応 し
B(連
pl. 3 suidigtir marbaid'kills'VN
Society
態 動 詞 の 受 動 形 と共 通 で
対 形)
sg. 3 suidigthir
多 い.
Philological
の 現 在 形 を あ げ る と, A(絶
個 々 の 動 詞 に よ っ て 異 な る が,a‐ 動 詞 に は ‐ad,‐ath,
the
と 能 動 態 の 単 複3人
て 存 在 し た が,そ
お,動 詞 的 名 詞 の 形 態 は 一 定 せ ず,
i‐動 詞 に は‐(i)ud,‐(i)uthが
紀 後 半 か ら み ら れ る.12世
態 動 詞 は 少 な く な っ て い た(J.
Paul,London,1891‐94),444∼566.
受 動 の 形 は,も 伴 うす べ て の 用 法 は,OIr,Mid
通 し て 多 少 の 消 長 は あ っ て も,今
動 態 が こ れ に 代 わ る が,
Strachan,Transactions asleep',
な ど. 本 項 に あ げ たVNに Irを
な っ て お り,し
one
欧語 に
くは 中 動 態 と 並 存 し た 非 人 称 的 受 動 態(cf. loufir'is
is gone')の
pleased
to',Umbr,ier'that
ケ ル ト的 名 残 り と い え よ う.事
態 動 詞 と 受 動 形 は 形 態 的 に 同 一 で あ り,意
実,異
味 的 に も極
め て 密 接 な 関 係 に あ っ た.発
生 的 に,そ
teller,gen.)Conchobuir(of
こ に は共 通 の
根 が あ っ た の で あ る(J.Lloyd‐Jones,Miscellany Kuno
for
his
se
da
律 動 詞 でmoltar
mholadhと
praising→he
Batar oc olは(they)
eと
す れ ば,'he
is
is(being)praised'と
なっ
て,英 語 の 受 身 形 に 相 当 す る文 が で き る.行 為 者 が 「私 」 な らagam'by て,あ
me',「
君 」 な らagat'by
と に 添 え れ ば よ い.す
+ag+Agentの
ta an
fhuinneog
window
bristeと
imithe'he
3)Bai(was)dano(now)ben(wife)ind(of the)Feidlimthe(gen.)oc(at)airiuc(attending,
そ
the)tsluag(host)osa(os'over'+a'their')
VN
(Breath
of aric'attends')don(on
cind(head)is(and)si(she)thorrach(being pregnant)
お け ば 受 身 に は な る が,
「フ ェ ズ リ ミ ド の 妻 立 ち て,あ
様 に,ta se
え し ら い し が,こ
is gone'.
[語 頭 子 音 の 変 化(Initial group)]前
mutation)と
リズ ム単 元
章 に お い て,す
で に い くつ か
の ア イ ル ラ ン ド語 の 特 性 に つ い て ふ れ た が,こ
Bai
oc
airiuc
ま た indは
do
こ と をFが
次 の 語 の 初 頭 音 で,ま
2)挿
入 代 名 詞 お よ び 動 詞 の 形 態 と機 能
はt/t/の
図6の
れ ら は 文 の 構 造 と分 か ち 難 く結 び
下,し
文 は,写
ば ら く実 際 に つ い て 観 察 す る.
本(LL)に
現 わ れ る 「デ ア ド レ物 語 」
1)Cid
dia
2)Batar
mboi
longes
Ulaid
Daill 3)Bai
oc
scelaige dano
don
nUsnig.
ol i taig
Feidlimthi
ind
osa
cind
is si
た,最
格単数名詞の
れ ぞ れ,Thurneysen,
さ て,こ
の よ う に,語
頭 に お け る母 音 間 の 子 音 の 緩
場 合 に は 消 失)す
る 現 象 を,lenition(緩
来 は よ く,aspirationと
thorrach.
よび 先 の 鼻 音
1)書
法 は そ の ま ま で,
2)鼻
音字 を 表 わ して,
it〕di(for)a(which)mboi
(was)longes(the nUsnig(of と な る.前
exile)mac(of
the
sons)
Usnig)?
述
「形 態 」1の
とお り,繋
辞isは
な い が,
そ れ を 補 っ て 訳 す と, 「ウ ス ナ の 息 子 た ち は な に ゆ え に 放 浪 し た の か 」 で あ る.文
中,diaは
そ のaの
前 置 詞diと
要 請 で,次
しmboiと
語尾
な っ て 脱 落 す る 前 に,Usnigの
decem
鼻 音化
boves,Ir
あ る が,こ
deich
れ を鼻 音
い う. mba'ten
cows'.
Ulstermen)oc 出)i(in)taig
(house)Feidlimthi(of
Fedlimid)meic(of
son)Daill(of
も
弱 ま り‐onと
(at)ol(drinking,VN前
the
デ ア ドレ物 語 」(部分)
頭 に付 着 して い た の
た,eclipsis)と
2)Batar(were)Ulaid(the
は,macの
‐omが
の 連 声(sandhi)で
化(nasalization,ま cf.Lat
fuit)は
前 のn‐
と のpl.gen.*macomの
で あ る.1種
複 合.
のboi(cf.Lat
な っ た.Usnigの
<図6>「
関 係 辞aの
Dall)scelaige(the
出 典:The
story
本
ル ト語 全 般 に 通 じ る 特 徴 で あ る.鼻
これ を 逐 語 的 に 英 語 で お き 換 え る と, 1)Cid(what)〔is
音 化)
よ ん で い た.日
音 変 化 の 主 な も の を 列 挙 す る と,
oc airiuc
の
後 のthorrachのth/〓/
語 の 連 濁 と 軌 を 一 に す る こ の 緩 音 化,お
meic
on. Feidlimthe
み(エ ネ ル ギ ー 節 約 の た め の 自 然 の 弱 ま り)か ら 摩 擦 音
変 化 の 現 象 は,ケ
Feidlimthe
attending
母 音 の 間 に 挟 ま れ て 消 失.そ
摩 擦 音 と な っ た(そ
と よ ぶ.従
Conchobuir.
ben
tsluag
mac
was
と の 形 は*sindi
1946).
化(fの
の 冒 頭 で あ る.
ご も りて あ り」
示 し て い る.2のFは,与
頭 子 音 の変 化
し て,こ
また な る 客 人 を あ
(she)
定 冠 詞 属 格,も
1)語
合 っ て い る.以
の 女,身 は
で あ り,f/f/は
の 言語
の 著 し い 特 徴 と し て は,
が あ る.そ
形 態 」2,
無 音 化 した こ と を
示 す.
is brokenを
も っぱ ら結 果 の 状 態 を 示 す こ と に な る.同
drinking(「
し
you'と
語 のbe+p.p.を
と え ば,The
were
b).FeidlimthiのFはf/f/が
な わ ち,ta+da+VN
型 で あ る.英
の ま ま 移 して,た
Connor)
息 子 フ ェズ リ ミ ドの 館 に て 酒 宴 の 席 に あ り た り」
Meyer,Halle,1912).
「か れ は ほ め ら れ る 」 を,自 す る代 わ り にta
King
「ア ル ス タ ー の 武 士 た ち,コ ナ ー 王 の 語 り人 ダ ル の
Facsimile of the
R.Atkinson(Dublin,1880)に
Book
of Leinster,ed. よ る.
/〓/,/〓/,/〓/の
b→mb/m/,d→nd/N/,g→ng/〓/ 3)or'gold'→a
n‐or/〓/'their
以 上 の うち,1はMid a
Irよ
bpeann,a
りMod
dteach,a
の よ う に 書 き 示 す こ と に な っ た.な の 黒 点 は,次
は,口
す か ら で あ る.た
だ し,現
イ ル ラ ン ド語 史2千 ど
混 同 を きた
代 語 に っ い て は,'の
記号
年 を 通 じ て 絶 え ず 存 続 し,今
こ の 言 語 を 支 え て い る 大 き な 特 徴 の1つ を 許 容 し て き た も の は,一
れ
に文 献 以 前 よ り存 在 した ア
group)で
あ っ た.こ
の 言 語 で は,「 語 」 は 連 続 し て1 な し,そ
の中で各語は楽
に 滑 ら か に 発 音 で き る よ う に 密 接 に 連 な り,し
じ く,
日も
で あ る.そ
イ ル ラ ン ド語 に 特 有 の リ ズ ム 単 元(rhythm〔breath〕
つ の 語 群(word‐group)を
を 用 い る の が 普 通 で あ る. 緩 音 化 に つ い て は,同
る す が た は,
か け て,
お,/〓/な
蓋 化 音 の 記 号'と
容"す
bhfuil
の 音 節 に ア ク セ ン トの あ る こ と を 示 す の
に 使 わ れ る.'で
の 自 在 に"変
一 見 ま こ と に 捉 え ど こ ろ が な い .そ し て こ の 変 容 は,ア
Irに
gceann,a
よ う に,語 尾 と と も に
語 頭 が 屈 折 す る.こ
gold'
融 合 して,リ る.ゆ
ズ ム(息
の 段 落)の
ば しば
構 成 にあ ず か って い
え に,「 語 」 は そ の 段 落 内 に お い て,と
メ レ オ ン の ご と く変 貌 す る.こ
きに カ
れ が 緩 音 と鼻 音 を 交 え
た リ エ ゾ ー ン の 発 現 で あ っ た.こ の 現 象 は,uber'ein, uber'all,uber'raschen,er'innernの
ご と く,語
とそ の構 成 要 素 が お の お の そ の独 自性 を主 張 して 止 ま た だ し,OIrで
は,b,d,g,mな
ま ま で あ っ た.ち
どの スペ ル は そ の
な み に,こ
語 頭 の み な ら ず,同
のlenitionの
現 象 は,
様 に 類 推 に よ っ て 複 合 語 の 第2要
素 の 初 頭 音 に 生 じ る こ とが あ る.上 記,例 のch/〓/が <Conchobor)の
そ れ で,コ
文2のConchobuir
ナ ー 王(King
Connor
ぬ ドイ ツ 語 に は,絶
ア イ ル ラ ン ド語 の 文 章 も,今 に 分 か ち 書 き を す る.し
ロ ー ス の 筆 者 た ち は そ うで は な く,息 書 き 進 め て い っ た.そ
れ ゆ え,1綴
の段 落 に従 っ て
り は 通 常2つ
以 上,
)nimunaccammar<ni‐immu‐naccammar.
か ら'hound‐desiring'で
あ っ た とい え る.こ
複 合 語 の 形 成 は,今
の種 の
も な お 活 発 で あ る.
Wb
な わ ちtrade
18d3'we
have
not
seen
one
another'
β)indaroncomarlecis<in‐da‐ro‐ncom‐arlecis. Ml77d6'into
ceardchumann<ceard'artisan'+cumann
us(to
union;
which
自律 動 詞 」
実 は 極 め て や さ し く,か
緩 音 化 の 起 こ る 条 件 は 類 推 に よ っ て 拡 が り,あ
るい は
い た.い
thou
hast
permitted
fall)'
一 見 複 雑 な こ の 書 記 法 は,筆
saorchriathar<saor'free'+criathar ' word'「
語 ご と
期 ア イ ル ラ ン ド語 グ
で あ っ た. α
'desires'
,す
日で は 無 論,単
か し,古
と き に は 数 個 の 語 な い し要 素 を 含 む 語 句 あ る い は 文 章
原 意 は,
con'hound'+*c(h)o‐bur'desiring'<ad‐cobra
'society'
え て み ら れ ぬ と こ ろ で あ る.
者(話
し 手)に
と っ て,
つ 自然 に 言 語 の 法 則 に 従 っ て
つ の 時 代 で も,言
語 を語 の 正 しい 分 か ち 書 き
慣 習 に よ っ て 行 な わ れ る も の も あ り,鼻 音 化 も 含 め て,
に 従 っ て 書 く こ と は 高 い 教 養 を 必 要 とす る.こ
こ れ ら の 変 化 は 形 態 音 素 論(morpho‐phonemics)の
筆 稿 者 が ラ テ ン 語 の 文 法 に 拘 束 さ れ る こ と な く,母
問 題 で も あ る が,あ
の リズ ム に 従 っ て の び の び と 綴 っ て い っ た 語 群 に は,
ら ゆ る 文 脈 に お い て,毎
ほ と ん ど 毎 行 頻 繁 に 現 わ れ る(な
お,語
ペ ー ジ,
頭子音変化 の
起 こ る 条 件 と ル ー ル に つ い て は,Thurneysen(1946), 現 代 語 に 関 し て は,The Dillon
and O
Christian
Brothers(1977),
Croinin(1966)を
参 照). た か も 定形 な き
が ご と く す が た を か え て 現 わ れ る.ボ
ー トは 今 も 昔 も
あ る が,現
ramh na
an baid
seolta don
a
'the na
bhad'
dosna
bhaid
実 に は, 'the
oar
to
期 せ ず し て ア イ ル ラ ン ド語 の 基 本 構 文 が あ ま す と こ ろ な く示 さ れ て い る.た 1)動
the
badaibh'to
詞Vを
は,infixed
pron.
connective)+V―
上 例 α,
β な ど. b)prev+pron+(prev+)V+suf.pron.
of
the
―(dum‐gnesseadae<du‐mgne‐sse,a
boat'
dae'(thou) sails
of
the
boats'
(下 述 2)名
boat' the
と え ば,
核 と す る も の(Vに
a)relative(or
boats'
mbad 'the
語
を 包 摂 し た も の を 含 む)
そ の 結 果,「 語 」 は 常 に 変 形 し,あ
bad/〓/で
こ で,
boats'
bhada'oh,boat!'
と な る に つ れ て,/〓/は/〓'/,/〓/,/〓/,
shouldst‐make‐me,Oh
「動 詞 と 文 の 構 造 」1,例
詞 を 核 と す る も の(例
a)prep+art(or
God' 文eを
文 略).
pronom.adj.,poss.pron.,
numeral)+N b)art+N+adj.(or
demons.pron.)
参 照)
c)(art)+N+(pron.+)N
in
genitive
ら ば"と
d)interjection+N
な る.こ
junct
そ の 他,副
詞 句 や 繋 辞isで
は じ ま る 文 型 も 多 い.
(preverb)と
次 は,オ
レ ア リ ー(Peter
O'Leary)の
はguididの
ア ナ 』(Seadna,1904)の 今,ゲ
作 品 『シ ェ
綴 り に 直 し,中
世 修 道 院 の 写 字 生 が し た よ う に,息
段 落 に 従 っ て 区 切 る とす れ ば,お う.こ
こ に,ア
よそ 次 の よ う に なろ
イ ル ラ ン ド語 の 特 質(genius)が
Bhi‐fear‐ ann‐fado
の
あ る.
air/na‐Seadna.
agus‐is‐e‐ainm‐a‐bhi‐ Greasi‐ab‐ea‐e.Bhi‐tigh
beag‐deas‐cluthar‐aige thaobh‐na‐fothana.
形 を と る.こ
ag‐bun‐cnoic,/ar
'gives'を
ば,次
,‐beirに
通 語 」 を 参 照)
上 の 表 中,独 Verb)]
次 の テ キ ス トは,ミ
対 形)
‐beir(連
結 形)
の 第2音
ラ ン ・グ ロ ー ス か ら と っ た も の
示すれ
dobeir(deutero tonic) ‐ tabair(proto tonic)
立 絶 対 形(こ
こ で はberid)は,文
外 に 現 わ れ る こ とが な い.ま
structure)
得 る.こ
(複 合動 詞)
berid(絶
(independent) (dependent)
頭 の 動 詞(VO
‐tabairを
(単純 動 詞)
文 の 発 音 と意 味 は 「方 言 と 共
あ る.
の よ う で あ る.
従属用法
1)文
対 して は
独 立 用 法 の 形 と い う.表
独立用法
nuair
当 た るOIr
結 形‐beirで
が 前 接 辞 に 連 な る と こ ろ か ら こ れ を 従 属 用 法,
う 意 味 で あ る.な
of the
bears'に
つ い て はdobeir(<do'to'+beir'carries')
beridとdobeirは
a‐bhiodh‐obair‐an‐lae‐criochnaithe...
[動 詞 と文 の 構 造(Syntax
よ ぶ.今,'he
これ ら の 単 純 動 詞 に 対 す る 複 合 動 詞 と し て,beridに
(斜 線 は,必 要 な ら ば そ こ を 息 の 段 落 と し て も よ い と い お,上
の 長 い 方 を 絶 対 形(absolute
の 形 を 考 え る と,絶 対 形berid,連
agus‐ba
gnath‐leis‐sui‐inti/um‐thrathnona
べて一 種 の 前 綴
接 辞 を と ら ぬ 場 合,‐guid
い 方 を 前 接 辞 に 続 く と こ ろ か ら 連 結 形(con form)と
の2つ
Bhi‐cathaoir‐shugain
aige/do‐dhein‐se‐fein‐do‐fein,
junct
と め て 前 接 辞(con
よ ば れ る が,す
考 え て よ い.前
form),短
初 め の 部 分 で あ る(図7).
ー ル 文字 の原 文 を通 常 の ロー マ字 に よ って 現 代
う し た 要 素 は,ま
particles)と
頭以
た,deuterotonicは
節 に,prototonicは
第1音
語
節 に ア クセ ン ト
が く る こ と を い っ た の で あ る. b)Dobeir(gives)a(the)n‐or(gold)do
で あ る. a)niguid
digail
corruanat
duthabairt
inna
arrad
foraib,acht
(to)Chonairiu(Conaire),acht(but)ni
42a4
thabair(not
こ れ を 直 訳 す れ ば,
it gives〔he〕)do(to)Chunn
(Conn).
ni‐guid(not‐prays〔he〕)di(for)‐gail(punishment)
「か れ は コ ネ ル に は 金 を 与 え る が,コ
du(to)‐thabairt(bringing)foraib
与 え ない 」 c)In‐tabair(does
(on‐them),acht(but)cor‐ru‐anat(that
give)in(the)sacart
may‐remain〔they〕)inn(in)‐a(his)arrad
(priest)libru(books)donaib(to‐the)mac
(company).
caib(sons)?
「彼 は,彼
ら が 罰 せ ら れ る こ と を 願 わ ず,か
え って
彼 らが彼 と と もにい られ る よ う に祈 って い る」
願 望 を 示 す 小 辞roと
は 屈 折 前 置 詞.文 を そ の ま ま に し て,niの は 疑 問 文(∼
代 わ り にinを
を願 う か),diaを
で 始 ま る 関 係 文 に,dianと
部分 お く と,全
た て れ ば,for す れ ば,条
件 文"も
doaib(to
gives〔he〕)
them),acht(but)ni‐tabair(not them).
「僧 侶 は 息 子 た ち に 書 物 を 与 え ま す か 」 「は い ,そ
の 結 合 形,foraib
頭 のniguidは,‐guidの
Do‐s‐beir(them
gives)biad(food)doaib(to
文 頭 の 動 詞 に 前 接 して い る の は 否 定 の 小 辞ni,corru‐ は 接 続 詞coと
ンに はそ れ を
体
which し∼ な
れ を 与 え ま す.し
か し食 物 は与 えて お り ませ ん」
こ の 中 でdobeir,‐tabairは,そ 形,bの
れ ぞ れ 独 立,従
‐thabairのthはtの
緩 音(後
d)Sligid(slays)Niall(人
属 の
述).
名)slogu(Eriu
Xll,214) 「ニ ア ル は 大 軍 を う ち 負 か す 」
<図7>オ
レア リーの 『シ ェア ナ 』(抜粋)
e)Du‐m‐gne(me
shouldst
make
thou)‐sse,
a(Oh)dae(God).Ml.42a8 「神 よ,あ
な た は 私 を つ く り給 う」
こ こ でdのsligidは
独 立 絶 対 形.eのdugneの
の ‐m‐ は 英 語 のmeに が ‐sseで
出 典:Peadar
ua
Laoghaire(1904),Seadnaに
よる.
あ る.た
当 た る が,そ だ し,強
中
の強 調 の 接 尾 辞
調 辞 も代 名 詞 も 自 ら の 上
に ア ク セ ン ト を と る こ と な く,常
に 後 に か え り,先
の 語 に よ り か か っ て(enclitic)い
る.与
行
格 は 前 置詞 と
融 合 し,対
格 は 動 詞 の 中 に と り 込 ま れ,挿
入 代 名詞 と
な っ た.cのdos‐beirの‐s‐
お よ びeの
れ で あ っ た.挿
行 の 音 と形 態 に よ っ
入 代 名 詞 は,先
て,単
複,各
人 称 を 通 して,25に
た.い
ず れ も1音
り,か
つ,し
の ぼ る変 化 形 が あ っ
節 を 出 な い が,ゼ
ロ形 態 の も の も あ
ば し ば 後 続 音 に 変 化 を起 こ す.bのni
thabairが
そ れ で,英
み え な い.こ
訳 のitに
行 す る 否 定 辞ni
表 面 か らす が た を 消 し た.け
失 に 先 だ ち,次
の 子 音tをth/〓/に
れ ど
ほ か にcoimmdiu'the
語 的(incorporating
or
あ り,既
ル ト語 の 非 印 欧 語 的
(J.Pokorny,E.Lewy,H.Wagner). 文 末 に あ る と き,動 い う な ら ば,動
語 と 目的語
現 わ れ る.し
語 順 を と る が,代
名詞になれ
倚 的 代 名 詞(enclitic
語は動詞の変
詞 の とった 形 に つ い て ま とめて
詞 は,特
詞 は 文 頭 に 位 置 し,主
的 語 は 動 詞 の 中 に と り こ ま れ,主
らか に 抱 合
polysynthetic)で
述 の 屈 折 前 置 詞 な ど と と も に,ケ
づ く と き,従
が 名 詞 の と き,VSOの
に そ の主 語 ま た は 目的 語 につ
属 用 法(単
純 動 詞 な ら ば 連 結 形,複
従 って
語 構 文 を と ら な い と き は,後 pron.),つ
ま り挿 入 代 名 詞 を 目
的 語 と し て と る こ と は な い.こ
れ を は じめ て 公 に 指
摘 した の は0.ベ
2)文
「ベ ル ギ ン の 法 則 」 の 解 釈 に つ い て は,J.Carney,
次 の 文 で は,い
structure)
ず れ も動 詞 が 文 末 に き て い る.
f)Conden
Drechlethan
Condenは'so
Eigse ⅩⅤⅡ
dailfa(Eriu16,146).
that
it'の
3)動
意,dailfaは'will
そ れ を 分 配 す る で し ょ う」
cain
atchichither(be
(LU3889).Cruthは
とす れ ば
seen
姿,cainは
will)
そ の 形 容 詞.
「美 し い 姿 が 見 ら れ る で し ょ う 」 h)Brechtaib(by
the
m‐berar(is
taken〔he〕)(Eg
「女 の 魅 力 に(彼 こ れ ら の 場 合,動 あ る.gは
は)と
88).
詞 の 語 尾 は,す
よ びhの
属 の 区別 はす で に
動 詞 が 独 立 用 法 な ら ば,
そ れ ぞ れ 絶 対 形 のdailfia,berairと ろ で あ る.同 i)Nim 42).中
が つ い た も の で,‐usは3sg.f.の れ は,と
の 意 味 に も 使 わ れ る.こ
の‐usの
語 のthem) 立
「私 は 評 判 に な っ て い る 」.さ
らに
す れ ば,そ
れ ぞ れ 「君 は 」 「彼
入 代 名 詞 の あ る と きは もち ろ ん
使 用 さ れ る こ と は な い.「 彼 女 を 有 名 に す る 」は,noi thiusと
と も に ‐s‐を 用 い てnosnoithidと
も で き た.ア の2つ
間 のaesは'age',argartは'hin
目的 格 を示 す 接尾
き に ま たpl.(英
代 わ り に‐umを
こ れ ら の 代 名 詞 は,挿
aes
n‐argart(Meyer,Misc.Hib.
cain
(ま た は そ れ)は 」 「我 々 は 」 「あ な た が た は 」 と な る.
様 に,
する こと
イ ル ラ ン ド語 前 史 の 頃 は,し
たが っ て こ
が 角 逐 し つ つ 共 存 し て い た と 思 わ れ る.
と こ ろ が,接
尾 代 名 詞(suffixed
pron.)は8世
紀中
dered'.
頃 を 頂 点 と し て 急 速 に 衰 え,9世
紀 に は 早 く も活 力 を
「齢 は わ た し に 妨 げ と は な ら な か っ た 」
失 い,半 ば は 形 骸 化 し て い た.代
償 と して,生 産 的 に 一
動 詞 文 末 の 位 置 は,す
で に1892年,ヴ
ル(J.Wackernagel)の
れ は,今
Forschungen
定 動 詞 文 末(OV型)の
らず,主
や 法 令 文)に
お い て も,
中 へ 目 的 語 の ‐m‐ の み な
で が 抱 き 込 ま れ た 結 果,こ
型 的 な 分 語 構 文(tmesis)が j)Nomchoimmdiu
おいて
存 在 は 早 くか ら 知 ら れ て い た.
詞ni‐argartの 語 のaesま
I)に
日 ほ ぼ 一 般 に み と め ら れ て い る.
ア イ ル ラ ン ド語 の 古 い 文 献(詩
は,動
ァ ッケ ル ナ ー ゲ
論 考 「印 欧 語 の 配 語 法 に つ い
て 」(Indogermanische 指 摘 され,そ
iで
な るべ き と こ
cruth
のnoithiusはnoithi(d)'celebrates'に‐us'her'
‐ut,‐i,‐unn,‐uibと
べ て 従 属 用 法 の形 で
立/従
accent)
姿 ・美 し い 」 と し て 表
れ を 主 語 と してnoithius
て れ ば,1sg.で
りつ か れ て い る 」
未 来 受 動 形 で,独
失 わ れ て い る が,fお
women)
and
cain「
「美 しい 姿 が 彼 女 を 有 名 に す る 」 と な る.こ
代 名 詞 で あ る.そ
spells)ban(of
law).
を 参 照.
詞 と ア ク セ ン ト(verb
わ し た.今,こ
「そ こ でD.は g)Cruth
ル ギ ン で あ っ た(Bergin's
「美 し い 姿 」 はcruth
distribute'.
合動
節 ア ク セ ン ト型prototonic)に か して,分
化 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る こ とが 明 らか と な っ た. 末 の 動 詞(OV
の
挿 入 さ れ て い る.
古 期 ケ ル ト語 の 古 層 に お け る す が た は,明
詞 な ら ば 第1音
以 上 に よ っ て,動
中 に,‐m‐
Lord'が
換えてい
た の で あ る.
ば,目
に お い て も,no‐coima'befriends'の
性 格 を強 調 す る学 者 が 絶 え な い の も 故 な し と し な い
当 た る 目的 語 のaが
の 軽 い 中 性 代 名 詞 は,先
の 母 音 と融 合 し,文 も,消
‐m‐ が こ
生 じ て い る.次 coima(ThesⅡ,290;Sg.
こ に典 の 例,
層 の 負 荷 が 複 雑 な 挿 入 代 名 詞 の 使 用 に か か っ て い た. 一 体 に 代 名 詞 は 軽 小 で ,挿 入 代 名 詞 は 特 に 然 り で,そ れ は 常 に動 詞 の前 接 要 素 に う しろ向 き に よ りか か る こ と と な る.そ は,前
こで単 純 動 詞 が 挿 入 代 名 詞 を と るた め に
接 辞no‐
を つ け て 形 式 を 整 え る 必 要 が あ っ た.
「彼 女 が 愛 す る 」 はcaraid(絶 愛 す る 」 と き はno‐m‐charaと 無 意 味 の1音
対 形)で
し な け れ ば な ら な い.
節 を 接 頭 し た の は(た
ヒ ッ タ イ ト語 のnu‐
あ る が,「 私 を
だ し,こ
に 対 応 して い る),お
のno‐
は
そ ら く,発
話 に おけ る整 調 の た め の 話 し手 の 無 意 識 の 要 請 で あ っ
204).
た に 違 い な い.こ
「主 は わ れ を い つ く し み 給 わ ん 」
‐m‐)を 従 え て で き た 新 し い 前 綴(P,こ
う し て,後 倚 的 代 名 詞(E,こ
こで は
こ で はnom‐)
は,ア
ク セ ン トを も つ 定 動 詞 語 幹charaに,前
(proclitic)に
か か る こ と に よ っ て,語
nomcharaを
え た の で あ る.図
より
詞 と して新 し く
示 す れ ば,下
の よ うで
あ る.
2重
に 対 立 し た 動 詞 組 織 に お い て,第2音
ト型 は 次 第 に 第1音
節 アクセ ン
節 ア ク セ ン ト型 の 方 に 解 消 し,接
辞 を と る 複 合 動 詞 は 次 第 に 単 純 動 詞 が と っ て 代 わ り, 総 じ て 動 詞 は 著 し く簡 易 化 の 方 向 に 向 か っ た.Mid は,い
わ ば こ の 動 揺 の 過 程 で あ っ た.近
説 法,接
続 法 と も に,総
Ir
代 以 降 は,直
合 的 よ り次 第 に 分 析 的 構 造 に
移 りつ つ あ り,か つ て の 独 立/従
属 の 区 別 は 消 滅 し た.
こ う し て ア イ ル ラ ン ド語 の す が た は 今 日 大 き く変 貌 し た.と
こ ろ が 近 代 に 入 っ て,新
dependentの
た なindependent/
対 立 が 生 じ た.そ
れ は 主 と して 文 章 論
的 に 規 定 され る 動 詞 の 変 化 で あ る.次 こ の 際,Pの tually
次 のEと,Vの
次 のEは
complementary)な
前 述 の と お り,単
相 補 的(mu
関 係 に あ っ た.
(do‐)chim'I
純 動 詞 の ア ク セ ン トは 語 頭 音 節 に
あ っ た.こ の 位 置 は 前 接 要 素 が つ く と き も変 わ ら な い. し か し,接 辞,す
辞 が2つ
重 な れ ば,ア
な わ ち,語
直 接 結 合 す る こ と は な い.動
ni
詞 は,ア
ク セ ン トを 直 前 く
do
not
see'
ni
me'I
fhaca
現 在,過
saw'
me'I
去,い
did
not
see'
ず れ も 「見 る 」 に つ い て,形
る 別 語 を 使 用 し て い る.一
方 は 肯 定 文,他
て 生 じ た 新 しい 語 幹 に 第2の
接 辞 を 冠 す る の で あ る.
そ れ ぞ れch‐/fh‐
と 対 立 し て い る.前
す な わ ち,複
与 え る 」 に お い て,話
dependent)形,後
者 が 従 属(dependent)形
手 はdo‐
に 対 し て ‐beirの
た の で あ ろ う.今,「 ni‐ を 必 要 と す る.す で あ る.そ が1つ
の 際,上
な わ ち2つ
接 辞ni‐
を迎 え るの で あ
くて,nitabair(nidobeirで
は な い)は
は 〕与 え な い 」 とな る―univerbation(1語 好 例 で あ る.と
こ ろ で,独
立/従
ち ま ち で ま だ 定 説 は な い.そ
あ る が,そ
令 法)に
究 者 の見 解 は ま
の 起 源 を 遠 く印 欧 語 の
遡 ら せ よ う とす る 最 近 の 説 も
1963,K.McCone
1982;K.H.Schmidt,
古 期 ケ ル ト語 動 詞 の 構 造 は,以 雑 を極 め,煩
瑣 な ル ー ル は,と
Mid
を 要 求 す る.挿
Ir)
な ど で,こ る.ま
れ ら は も っ と も頻 用 され る 不 規 則 動 詞 で あ
た,taやisの
上 の ご と く,微 妙,複
れ は言 語 の 改 変
入 代 名 詞 は 伝 統 的 に か な り後 代 ま で 残
が て,代
名 詞 が,主
格,目
的 格 と も に独 立
し て 用 い ら れ る よ う に な る と,そ れ も 廃 れ,VSOが
形chim'I
see'の
る よ う に,こ
dagniu‐sa
19世
た.そ
の 主 張 の1つ
は,国
と え ば, it,that'.
語 の 典 範 と して 初 期 現 代 ア
イ ル ラ ン ド語 の 古 典 を 採 用 す べ し と の 高 唱 で あ っ た. 他 方,自
然 淘 汰 の 理 を 説 く も の も あ っ た.結
局 は"民
衆 の 話 し 言 葉 を も っ て 書 き 言 葉 の 手 段 と す る"方 赴 い た.し
か し,こ
向 に
れ は 漠 然 と し た も の で,ア
中 で,官
do
Gaelic
盟 の 結 成 に よ っ て,ア
イ ル ラ ン ド語 再 興 の 声 は 一 層 か ま び す し く な っ て い っ
ン ド 自 由 国 の 成 立(1922)を
14d26'I
紀 末 に 起 こった 文 芸 復 興
結 成 を 促 した.同
詞 の あ とに 指 示 代
Wb
許 容 され て い
方 に お い て ゲ ー リ ッ ク 同 盟(the
入代名詞のあいま
sin
か し,今 対 す る肯 定
こ で も文 法 が 徐 々 に 整 理 され つ つ あ る.
の 初 め は,挿
名 詞 を 重 ね た こ とが 一 因 で あ ろ う.た
fheicimに
代 わ り にfeicimも
つ 強 調 す る た め,動
常 な 語 順 と な っ た.そ い さ を 補 い,か
正
変 化 も複 雑 で あ る.し
で は 慣 用 の 実 際 に 即 し て,ni
League)の
き に そ の話 し手 の 記 憶
に 絶 す る こ と も あ っ た に 違 い な い.こ
っ た が,や
teigh'go'
の 熱 気 は,一
期 ア イ ル ラ ン ド語 以 降(After
属形
か に,
[方 言 と 共 通 語]
KZ94,1980). 4)中
that'
こ と に 語 の 変 容 は,
dean'make,do',faigh'get',ith'eat',
の 解 決 は 今 後 に ま た な け れ ば な ら な い(cf.
W.Meid
で あ る.
こ こ で も ア イ ル ラ ン ド語 の 著 し い 特 徴 で あ る.従 を 有 す る の は,ほ
化)の
語 尾本 来 の機 能 と その
こ に 求 む べ き で あ る か.研
injunctive(指
「〔彼
者 が 独 立(in
a'all
な ど に 続 く と き に 用 い ら れ る.ま
属 の用 法 に従 っ て対
立 す るabsolute/conjunctの 来 由 は,ど
less',sara'before',relative
形 成 し,ア ク
を異 にす
は 否 定 文 で,
従 属 形 は,ほ か に 疑 問 文,従 属 節 の 中 で,す な わ ち, ni 'not' ,nach'that not',an(疑 問 辞),go 'that' ,ca?'where?',da'if',mara'un
ずdo+beir
に 融 合 し て 新 し く語 幹 ‐tabairを
る.か
定 の接辞
の接辞が重なるわけ
に 述 べ た 習 慣 で,ま
セ ン トが 前 に 移 り,第2の
し
部 分 に語 幹 を意 識 して い
与 え な い 」 とす れ ば,否
で
see'
fheicim'I
chonaic
の接辞が
の 前 接 辞 に 移 す こ と に よ り こ れ と 緊 密 に 融 合 し,か
合 語dobeir「
の1例
同 じ く過 去 は,
クセ ン トは最 初 の接
幹 直 前 の 部 分 に 移 り,2つ
は,そ
あ る.
イル ラ
挟む前後の社会的騒擾の
民 と も永 い あ い だ 積 極 的 に 国 語 政 策 に と り 組
む 余 裕 の な か っ た の は 惜 し ま れ る.よ し,1948年,ま
うや く機 は 熟
ず 新 ス ペ リ ン グ の 標 準 が で き,次
いで
1958年,文
法 と綴 り字 の 大 綱 が 法 制 局 よ り公 に さ れ た
(Gramadacha
na
Gaeilge
agus
litriu
こ れ は ガ イ ド ラ イ ン で あ っ て,方 に 過 ぎ な い が,数
ま で は,官
Focloir
庁 も学 校 も新 聞 も作 家 も,大 こで は,O
Gaeilge‐Bearla(1977)が
目 安 に な っ て い る(図8,後 し な が ら,こ
出
るdh,gh,mh,bhは,あ
体 にお
日,語
行 す る短 母 音 が,方
言 に よっ
る い は 長 母 音 あ る い は 二 重 母 音 に 変 わ っ て い る.
ず 発 音,次
次 移 り 動 い て い る.ワ 国88の
参 照)と
し て 上 梓 され た.い
(∼ の 左 は ゴ ル ウ ェ イ 州 コ シ ア ー リ ゲCois は コ ー ク 州 西 部 マ ス ケ リWest
Muskerryの
こ の 一 事 に 鑑 み て も,そ
纂 者 の1人
の辞典に統一
オ ー ホ ー ガ ンE.OhOgainの
述懐
cf.SCJ15,24). 節 に あ る.た
not
notice
ー ク,ゴ
点 に 求 め,相
較 し て み よ う(図9). thugas
fe
ndeara
37.nior
thug
me
faoi
e.
dear(ndeara)e.
[〓] 72.cha
dtug
me
fa
dear
し く は 第3音
節 に ア ク セ ン トを と る も の が あ る.
い ず れ も,強 ア ク セ ン トの ゆ え に,無 ア ク セ ン トの 部 分 で は 母 音 は あ い ま い 音/〓/に
な りや す い.し
瞭 な 母 音 性 を 失 わ な い 地 方 も あ る し,長 る と こ ろ も あ る.た bacax'lame'に
か し,明
母 音 が 短 くな
と え ば,scadan'herring'と つ い て み る と,
マ ン ス タ ー(Munster) /〓//〓/ ア ル ス タ ー(Ulster) /sgadan//bakax/ コ ナ ハ ト(Connacht) /〓//〓/ 方 に よ っ て 違 い が 大 き い.ア
イ ル ラ ン ド語
の 学 習 に お い て も っ と も困 難 な の は,如
上 の意 味 に お
い て 発 音 の 習 得 で あ ろ う.ア Poca'ポ
イ ル ラ ン ド政 府 出 版 の
ケ ッ ト愛 英 辞 典'(1986)の
わ ば 方 言 間 の,現
音声 表 記
時 点 で の も っ と も合 理 的 な 妥
協 音 を 示 し た も の で あ る. ア イ ル ラ ン ド の 方 言 は,大 れ は 次 の よ う で あ る.
略3つ
に 分 け ら れ る.そ
<図8>オ
ー ド ー ニ ィ ル(O
e.
Donaill)の
ル
互 に比
だ し,
西 部 マ ン ス タ ー 地 方 に お い て は 一 定 の 条 件 の 下 で,第
Focloir
did
[〓]
ア ク セ ン トは,原 則 と し て 第1音
と な り,地
ま"I
and
[〓]
の 時 点 で は,こ
あ る発音 表 記 の 記載 は放 棄 せ ざる を え な か った の で あ る(編
Atlas
参 考 文献 」を
当 た る 表 現 を,コ
よ び ドニ ゴ ー ル の3地
7.nior
発 音)
文 につ い て調 査
Dialects,4Vols.(「
him"(Vol.I,285)に ウ ェ イ,お
句,短
の 結 果 は,Linguistic
Irish
して 語 形
錯 し つ つ,順
ー グ ナ ー(H.Wagner)は,全
of
Fharrge,右
接 し,交
地 点 で,多 数 の 単 語,語
Survey
naomhtha'holy'
に 語 彙,そ
と文 法 が 微 妙 に 重 な り合 い,隣
adhmad'wood'/〓/
/〓/
は,い
ケ リー(Kerry) こ れ ら の 方 言 で は,ま
し 観 察 し た.そ
Ir
Munster)
コ ー ク(Cork)
leabhar'book'/〓/
そ の 他,naofa<Mid
Munster)
西 部 マ ン ス タ ー(West
音につい 中 に頻 出 す
righin'slow'/rain'∼ri:n'/
2も
東 部 マ ン ス タ ー(East
か
る種 の 音 声 環 境 に お い て
は す で に 無 音 と な り,先
言―
ウ ォ ー タ ー フ ォー ド(Waterford)
照).し
の 新 し い 正 書 法 に よ っ て も,発
,)およ び マ ヨ(Mayo)
マ ン ス タ ー(Munster)方
Donaill,
「辞 書 」1参
言―
ゴ ル ウ ェ イ(Galway
も っ と も手 近 な
て は 何 ら 示 唆 す る と こ ろ が な い.今
て,あ
コ ナ ハ ト(Connacht)方
き な 区 切 りが つ い た の で あ
い て こ の 基 準 に 則 っ て い る.そ
言―
中 心 部 ドニ ゴ ー ル(Donegal)
言 間の 大 ま か な 妥 協
世 紀 にわ た っ て放 置 され て い た話 し
言 葉 と 綴 り の 問 題 に,大 る.い
ア ル ス タ ー(Ulster)方
Gaeilge).
辞書
文 頭 のniorは,過 7で
去 否 定 の接 辞 で 次 音 を緩 音化 す る.
は,[〓]と
な り37と
fe,faoi,faで
異 な っ て い る.前
37.scartadh
発 音 も 形 態 も 異 な り,thugasは
tabhair'bring'のpret. は'notice'の
sg.1の
意.こ
notice→took
形.次
の 部 分 は'I
notice
of',そ
こ ろ が,37で
れ ぞ れ 主 格 代 名 詞 を 従 え,分
はthug
me,72で
ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 と 同 じchaと
ル タ ハ トに 赴 い て 実 地 に 学 ぶ に 如 くは な い.し す で に 多 くの 研 究 が あ り,必
はdtug
コッ ト
な り,か つ 次 音 を 鼻 音
上 か ら,現 代 ア イ ル ラ ン ド語 で はVSO
の 語 順 を も ち,文
法 的 に はnot+Past
under+notice
himの
型 と な る.そ
brought
are
you?"に
tan chaoi
音 に は,単
の 長 音,お
72.Goide
mar
ta
ま さ に 三 態 三 様 で あ る.こ
れ は1例
に す ぎ な い が,中
に 地 域 的 に あ ら わ れ た も の と 解 釈 で き よ う か.後 ヨ ハ ネ 伝1.5の
あ る.
そ の 口 蓋 化 音(palatalized
「光 」 も,
出の
counter
よび 摩 擦 音/s,s[〓],z,z[〓],x,x, ら び に 破 擦 音/c[〓]/が
あ る.
ー キ ー ブ は,/〓/に
対応す
る 無 声 化 音 を あ げ て い る.し
期 よ り 現 代 初 期 に か け て の は げ し い 語 彙 の 消 長 が,横
そ 重 母 音/〓
音 に は,/〓 /と
な お,オ
tu?
母 音/〓/と
/が b)子
〓,j,h/,な tu?
様 で は な く,こ
か し,無
声 化 の程 度 は 一
れ ら を 音 素 と み とめ る こ と に は 問 題 が
あ る. 前 出(「 語 頭 子 音 の 変 化 と リ ズ ム 単 元 」)のP. ア リーの 小 説
『シ ェ ア ナ 』 は,マ
言 の 相 対 的 位 置 と7,37,72の
ま,段
落 ご と
に そ の 抜 粋 箇 所 の 発 音 と 訳 文 を 示 す. 1)Bhi
地点
オ レ
ン ス ター 方 言 で 書 か
れ た も の で 広 く読 ま れ た も の で あ る.い
<図9>3方
ンス ター
言 の音 素 は 次 の よ
よ び 中 間 母 音/〓/;二
当 た る表 現 をみ
tu? bhfuil
よ れ ば,マ
う で あ る.
parts),お
7.Connas
Cuiv,1944)に
Muskerry,Co.Cork)方
の 発想 を分 析 す
る と(Vol.I,244),
37.Cen
オ ー キ ー ブ(O (West
a)母 I
れ ば,「 私 は 彼 を 注 意 の 下 に 持 っ て こ な か っ た 」.ち な 拶 用 語"How
か し,
要 に 応 じて そ れ ら を 参 照
す る こ と が で き る.
析的表現 をと
は 文 頭 の 過 去 否 定 の 小 辞 が,ス
化 し て い る.以
の よ う に 異 な っ て い る. ア イ ル ラ ン ド語 の 方 言 は,ゲ
under
の 目 的 語 がe'him'
meと,そ
っ て い る.72で
72.soillsiu
のdeara
brought
で あ る.と
み に,挨
7.taitneamh
置詞 は
fear
ann
(直 訳 的 に,'was
fado/〓/
2)agus
is
a man
e
ainm
there
a long
bhi
air/〓
a
time
ago'),
/〓/〓/('and it the
it's
name
which
was
on‐him,/namely,
Shiana'). 3)Greasai ab ea e/〓/('a cobbler
t'was
4)Bhi
tigh
cnoic/ar
he').
beag
deas
thaobh
na
cluthar
aige/ag
bun
fothana/
〓 /〓/〓 /('was by‐him/at tered
the
foot
little,nice of
a
hill/on
cathaoir shugain do
6)agus
had ba
made
ghnath
for
a hayrope
chair
himself'),
leis sui
inti
/um
thnona/〓
thra /
調 査 者 が 接 した 方 言 資 料 提 供 者
(informant)の 在 住 地 で,バ レ ビ コ ー ダ(Ballyma coda),カ ‐ ル モ ー ル(Carnmore),フ ルー ス リ の 呼 称.
shel
aige/do dhein se
/('was
(Creeslough)は
cosy
the
fein/〓
by‐him/he
注:⑦,37,72は
and
side').
5)Bhi fein
a house
〓/('and him
to
sit in‐it/in
t'was the
customary evening'),
そ れ ら 現 地 の ア イ ル ラ ン ド語 で
7)nuair a bhiodh obair an lae criochnai
with
the,…/〓/
語 の 発 想,表 現 と す こ ぶ る 類 似 して い る.こ
('when
was
the
訳:「 む か し,シ っ た.彼
day's
work
do+ 関 係 辞a'of(for)that
done,…').
ア ナ と い う 名 前 の 男 が い た.靴
屋 だ
自 分 で 作 っ た 藁 椅 子 が あ っ た.1日
2,4,5のbhi(taの ∼aige'by(at)him'の
で あ る.は
文 はBa
greasai
っ てい た 」
eに 同 じ.eaは
い 中 性 代 名 詞 . 形 容 詞 が い くつ か 並 ぶ と き,そ agus'and'は
入 れ な い.5のdo
完 了 に は 特 別 の 形 が な い.な
脈か
イ ル ラ ン ド語 で は 過 去 お,過
去 を 示 す 前 接do
ま で は 読 ま な い こ とが 多 い(前
と そ の 背 景 」2).7のnuair
出
「歴 史 的 展 望
aはwhen(接
意 . 完 了 を 示 す と き はta∼p.p.を
Maynooth(An
動
bheathaが
詞 に 当 た る も の に,繋 verb)ta(<Lat
an an
Briathar
ba
Dhia
an
ann
i dtus
eineacht
baire
agus
baire
in
is
ni
uile
dhearnadh
4.Is na
ann
a
aon bhi
ndaoine
5.Agus
ta
chadas,ach
eineacht
le
an an
trid
bheatha
nior
e
agus
ollamh
e'it's
フ ラ ン ス 語 のc'est
訳 す が,an 密 には
れ た 」 で あ る.否
ag
a professor,him.'→he
un
ghabh
an
sa
dor
dorchadas
e Sean
an
ollamh'it's
lui,Jean,le す な わ ち,フ
e.
こで は
ni「 す べ て の 物 」 が 主
「す べ て の も の を そ れ が つ く ら 係 文 の 中 で は,rinneadh
は 従 属 形(「 動 詞 と文 の 構 造 」4)を
と り,そ
つ く ら れ な か っ た 」,da
「つ く ら れ た も の の 中 で 」 と な っ て い る.す ろ ず の も の こ れ に 由 り て 成 り,成
これ に相
him,John,the
is the
professor.=c'est
professeur. ラ ン ス 語c'estの
機 能 が こ のisに
当た
の 後 半 は ま さ に こ の 構 文 で,「 そ れ は 人
来,目
的 格 で あ っ て 主 語 で は な い.そ
れ ぞ れni
ndearnadh な わ ち,「 よ
りた る物 に して ひ と
つ と し て 之 に よ ら で 成 り た る は な し」. 結 果 的 に,日 本
こ のe れ はis
る い は別 の語 句 に
よ っ て 反 復,確 認 す る と い う く り返 し(reprise)の
shining'が
強調
な っ て い る . な お,5節
tneamhはtaitin'shine'のVNで
のtai
「輝 き 」,し た
taitneamhは
進 行 形'the
本 義(「 形 態 」2のb).最
light
後 のeは
こ で は 「光 を 」. 目 的 語 と な る 代 名 詞 は,通
is
目的 常,
この 位 置 を と る. [辞 1)O
律 動 詞),こ
is
professeur,lui.が
professor.'→John
語,こ taitneamh
uile
定 文,関
に無 人 称 的 用 法 が あ
た,
が っ て,ta∼ag ba e solas
dean'make'のpret.auto
語 で は な く,厳
dhearnadh「
gan
bheatha.
solas
形(「 形 態 」2のc自
madeと
agus
ni da ndearnadh.
an
3節 のrinneadhは, nomousの
ni
こ
professor.
構 文(「 形 態 」1)と an
ペ イ
昔 よ り,別
は,OIrの
に よ っ て 提 示 さ れ た 語 句 を 再 度,あ
i dtus
の 用 法 は,ス
ろ がisに
も,元
Dia. 3.Rinneadh
実 動 詞(substantive あ り,そ
の 光,命 な り き 」の 気 持 ち . フ ラ ン ス 語 のluiも
le Dia,agus
Briathar.
se ann
辞isと
用 法 に ほ ぼ 平 行 し て い る.と
あ
ハ ネ 伝 の 初 め の数 節 で あ
in
との文 で 語 のbe動
ン 語serとestarの
is
Sagart,1981)で
Briathar
bhi
調 部 分 を この よ
文 法 的 主 語.英
stare)が
っ て い る.4節
2.Bhi
was
後 のan
Bio
る. 1.Bhi
beatha
う な 文 法 的 枠 組 み に よ っ て 示 す の で あ る.あ は,最
わ ば 共 通 語 で 書 か れ た 格 調 あ る現 代 文
の 範 例 で あ ろ う . 以 下 は,ヨ
の構 文 の 中 に挟 み
ク セ ン ト を お く の で は な く,強
似 し て い る.ま
れ は,い
語 のit∼that…
こ で は,annがis∼a…
は,ア
past)+crioch
終 わ っ た と き 」(前 出 「形 態 」2のc受
Naofa,
る.こ
men,the
命 が そ こ に あ っ た 」 で よ い . ア イ ル ラ ン ド語 で
a
形 を 参 照).
bla
of
ann「
こで
ア イ ル ラ ン ド語 で も っ と も新 し い 聖 書 は,An
light
and
っ た.
続 詞)の
用 い る.こ
はbhiodh(taの3sg.habitual naitheで,「
古
の間 に
dheinは,文
ら過 去 完 了 の 意 味 に な っ た.ア
life was
こ ま れ て 自 然 に 強 調 され て い る.普 通 な らbhi
him',bhi
構 文 で,通 常,∼ の 部 分 に 所 有
の 意 に な る.3の
,the
じ め の 文 は,英
に 等 し い.こ
当 た る 語 が な い.
され る 目 的 語 が き て,「 誰 々 が ∼ を 持 つ,持
the
life
の仕 事 が す む
過 去)∼air'on
God)that him)
して
と夕方 に は そ の中 に座 るの が 常 だ った」 ア イ ル ラ ン ド語 に は,英 語 のhaveに
のdaは,
鼻音化 をひき
の 直 訳 は,
it's there(=in 'twas it(or
に は さ っぱ り して 住 み心 地 の よい 小 さな
家 が 丘 の ふ も と の 奥 ま っ た 斜 面 に あ っ た.そ
は,い
起 こ す.4節
which'で
書] Donaill,Niall(1977),Focloir
Bearla(Stationery
編 修 長 オ ー ドー ニ ィ ル(N.O ァ ル ド ラ ー ヒ(Tomas て14名
Gaeilge
Office,Dublin)(ⅹⅱ
de
の ス タ ッ フ が 約20年
+1309)―
Donaill)の
下,ド
Bhaldraithe)を を 費 や し て,政
・ヴ
顧 問 とし 府 の刊行
物 と し て 出 版 さ れ た ア イ ル ラ ン ド語 ‐英 語 辞 典 . 新 綴 り字 法 に 則 っ た 最 初 の 本 格 的 辞 書 で あ る.特 は,動
詞 の 見 出 しが 従 来 の もの と 異 な り,命
称 単 数 の 形 に な っ て い る こ とで,そ
れ は,原
徴 の 第2 令 法2人 則 的に こ
の形 が人 称 語 尾 を除 い た現 在 形 語 幹 と等 しい か らで あ
る . 本 辞 典 は"現
代 ア イ ル ラ ン ド語 に お け る,も
も 普 通 の 語 彙 が 集 録,記
述 さ れ て"い
異 綴 り の 語(variants)も て あ っ て,便 が,一
る が,方
っ と
言 な ど,
利 で あ る.発
音 につ い て の 指 示 は な い
般 ア イ ル ラ ン ド人 の,ま
た,ア
参 照.な
お,本
書 に は,縮
Gaeilge‐Bearla(814ペ り出 版 さ れ て い る.持
milies
に文 教 局 よ
2)Dinneen,Patrick
Irish
の方が便利であ
S.(1927),An
Dictionary(The
Ireland,Dublin)(ⅹⅹⅹ
デ ィ ニ ー ン の 辞 書 と し て,初 られ て き た も の.本 て,い
Cois
いわ ゆる
特 有 の も の が み ら れ,興 同 時 に そ の こ とは,一
く結 果 と も な っ て い る.も 語 の 辞 書 で は あ る が,古
ち ろ ん,現
を 引 き 当 て る こ と が 困 難 な 場 合 が あ る.し
ま も極 め て 有 益 で あ る.
(Stationery
レ イ ン(T.O'Neill
Office,Dublin)
Lane)や,マ
は な か っ た.本 rap's
辞 典 で は,材
Shorter
French
に 範 を と っ て",多
English
み ら れ る.す
で に25年
の と こ ろ 手 に 入 る,一
者
1976年
Irish
(1966),The Three
Irish
Mac
the
sons
of
Association
n‐Uislenn
of
of
Materialsと
語 に お け るNEDの
America〔
以 下,MLA〕,
the
Goedelic
Languages",
British
Academy
あ る よ う に,ア
Old
and
よ う に,現
W.P.Lehmann(1975), to
and
Comparative
Old Irish(MLA,New
&
H.Pedersen(1937),A Celtic
Con
Grammar(Vanden
Ruprecht,Gottingen;repr.,1961) Inscrip
Insularum
Celticarum
(Stationery
to
irischen
idg.Grundlage absoluten
flexion(Otto O
Absolute
and
33(Dublin)
Meid,W.(1963),Die
イル ラン
und
der
konjunkten
alt
Verbal
Harrassowitz,Wiesbaden)
Cuiv,B.(1944),The
Irish
of
West
Muskerry,
Co.Cork(DIAS,Dublin) ―(ed.)
(1969),A
Language(Stationery
代語か ら
の 橋 渡 し と な る歴 史 的 辞
Pro
37(London)
Office,Dublin)
紀半
直 ち に 求 め る 語 を 引 く こ とが で き な い 憾 み が あ る が, ア イ ル ラ ン ド学 士 院 で は,そ
Lan
Gaelic'The
the
of
tionum
備 期 間 を 合 わ せ る と,
on
The
Uisliu(Modern
York)
Conjunct",Eriu
こ の 辞 典 は,1913年
Mainly
Language
Macalister,R.A.S.(1945),Corpus
Language(Royal
冊 を も っ て 完 了 す る ま で に,1世 題 に,Based
Moyen,
Candles,Dublin)
of
hoek
ド語 の 本 格 的 な 研 究 に は 欠 く こ と の で き な い 辞 書 で あ る . た だ,英
d'Irlandais
Introduction
cise
般 学 習 者 の た め の も っ と も有 用
冊 が 出 て い る が,準
Eng
York)
Dictionary
つ慣用的表現が豊富に
of the Irish
を 要 し て い る.副 Middle
impression,The
Press,London)
Lewis,Henry
余 り前 の 出 版 物 と な っ た が,今
Academy,1913‐76)―
に23分
Croinin(1966),Teach
McCone,K.(1982),"Further
4)Dictionary
に 第1分
An
ず し も実 際 的 で
な 辞 書 で あ る.
Irish
Universities
ceedings
くの 可 能 な 訳 語 の 中 か ら も っ と も 共
通 と 思 わ れ る も の が 選 ば れ,か
D.O
Lehmann,R.P.M.and
者 は 訳 語 に,後
料 の 選 択 と 配 置 を"Har
and
and
Evolution
ッ ケ ナ(L.McKenna)
は 見 出 し語 の 選 択 に 片 寄 りが あ り,必
Irish
Jackson,K.H.(1951),"'Common
「英 語 ‐ア イ ル ラ ン ド語 辞 書 」で は,以 前
の か な り大 部 な も の が あ っ た が,前
(1977),New
Irish(Revised
Exile
用 す れ ば,い
Dictionary
Institute 以 下,DIAS〕,Dublin)
Hull,V.(1949),Longes
New
(ⅹⅰⅰ +864)―
Myles
(The
れ
Bhaldraithe,Tomas(1959),English
of
2Vols.(Champion,Paris)
guage
Irish
Brothers
Greene,David
を一 種 の歴 史 的 辞 書 と して オ ー ドー ニ ィル の 辞 書 と併
3)de
of
Irish
Christian
lish
出し め る語
か し,こ
Handbook
Dottin,G.(1913),Manuel
代 アイ ル ラ ン ド
紀 の ま ま で,求
以
Winter,Heidelberg)
Studies〔
Yourself
や 均 衡 を欠
語 も ま た 少 な く な く,見
語 の 綴 りが し ば し ば12∼13世
Academy〔
Fhairrge,Co.Galway(Dublin
Dillon,
ま著 者
味 あ る 辞 書 と な っ て い る が, 般 辞 書 と し て は,や
Ho
Grammar(Fallons,Dublin)
『大 言 海 』 に 当 た る と
い え よ う. 見 出 し 語 の 選 択 と そ の 説 明 に は,ま
Irish
Advanced
The
版 以 来 も っ と も 広 く用 い
書 は オ ー ドー ニ ィ ル の そ れ に 対 し
わ ば旧 カナ文 語 体 の 大槻
Glossary(Royal
I(Carl
for
Company
+1344)―
the
Bhaldraithe,Tomas(19662),The
Irish
Educational
and
and
Breac:Text,Transla
Bammesberger,A.(1982),A
de
English
Leabhar
下,RIA〕,Dublin)
約 版Gearrfhocloir
ち 運 び に は,こ
Passions
from
tion
出
る.
of
[参 考 文 献] Atkinson,R.(1887),The
イ ル ラ ン ド語 学
ー ジ)が,1981年
で に そ の 事 業 を
進 め て い る.
か な り 多 く 見 出 し語 に 掲 げ
習 者 の 依 拠 し て 然 る べ き 現 行 唯 一 の 辞 書 で あ る.前 図8を
書 の 編 纂 を 継 続 事 業 と し て 決 定 し,す
O
View
Murchu,M.(1985),The (The
Department
of
the
Irish
Office,Dublin) Irish of
Foreign
Language
affairs,Dublin)
O
Siadhail,M.(1980),Learning
Irish(DIAS,
ス 住 民)の
Pokorny,J.(1923),A Old
Historical
Irish(Max
Reader
of
Niemeyer,Halle)
た,古
Workbook
Stokes,J.and
J.Strachan(1903),Thesaurus
Palaeohibernicus.A
collection
of
Glosses,Scolia,Prose,and University
Verse
by
(Cam
the
Tain
O.Bergin,RIA,Dublin;repr.,
1976)
ル ザ ス は,フ
ラ ン ク族 の 長 い 支 配 の
紀 か ら 神 聖 ロ ー マ 帝 国 の 一 部 と な っ た が,
そ の 後,三
十 年 戦 争,普
大 戦 と,戦
争 の た び に 勝 者 に 帰 属 し,国
た.し
from
仏 戦 争,第1次
る い は ドイ ツ と,め
大 戦,第2次
か し,深
籍 は,あ
Isles
in
(Cambridge
University
the
British
く根 づ い た 言 語 文 化 の 伝 統 は 消 滅 す る
こ と な く,ア
ル ザ ス 語 も住 民 の 間 に し ぶ と く生 きつ づ
け て き た.ド
イ ツ 文 学 史 を 繙 け ば,古
von
Press,Cam
Wei〓enburg)を
の1人
bridge)
高 ドイ ツ語 期 の
Grammar
of
Old
Irish(DIAS,Dublin)
of
世3大
叙事詩人
von
Stra〓burg),『
阿 呆 船 』(1494)の
者 ゼ バ ス テ ィ ア ン ・ブ ラ ン ト(S.Brant),16世 風 刺 作 家 ヨ ハ ン ・フ ィ ッ シ ャ ル ト(J.Fischart)等
Wagner,H.(1969),Linguistic Survey
は じ め と し,中
ゴ ッ トフ リー ト ・フ ォ ン ・シ ュ ト ラ ー ス ブ ル ク
(Gottfried
Thurneysen,R.(1946),A
A tlas
Irish
and
Dialects,4Vols.(DIAS,
<図>ア
ルザス語 内部 の言 語的 特徴
Dublin;repr.,1981) [参
照] 島 嶼 ケ ル ト語,ス
語,『 大 辞 典 』 ケ ル ト語 派,大
コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 陸 ケ ル ト語 (土 居
ア イ ル ラ ン ド ・ゲ ー ル 語
英Irish
敏 雄)
Gaelic
イ ル ラ ン ド語
ア ルザ ス語 [系
独Elsassisch,仏alsacien,英Alsatian
統]
ア ル ザ ス 語 は,フ
ス 地 方 の 土 着 の 言 語 で,約130万 て こ れ を 話 し て い る.系 北 か ら 南 へ,1)ラ kisch),2)低 3)高
るい
ま ぐ る し く変 わ っ
オ ッ ト フ リ ー ト ・フ ォ ン ・ヴ ァ イ セ ン ブ ル ク(Otfried
Trudgill,P.(1984),Language
=ア
意味
の ち,10世
は フ ラ ン ス,あ
Press,Cambridge)
Strachan,J.(1944),Stories (revised
Old‐Irish
源 的 に は 「他
ラ ンク族 が 居 住 地 を求 め て 侵 入 し定 着 した こ と
を さ し て い る.ア
(RIA,Dublin)
高 ドイ ツ 語
,語
国 に お け る 土 地 の 占 有 」(ali‐ は,「 他 の 」 の 意)を し,フ
Quin,E.G.(1975),Old‐Irish
bridge
逆 成 に よ る 国 名 と も,ま
*ali(‐lanti‐)sazの 縮 約 形 と も 解 され
Dublin)
ラ ンス 北 東 部 アル ザ 人 の住 民 が 母 語 と し
統 的 に は ドイ ツ 語 の 方 言 で,
イ ン フ ラ ン ケ ン方 言(Rheinfran
地 ア レ マ ン方 言(Niederalemannisch),
地 ア レマ ン 方 言(Hochalemannisch)の3つ
方 言 に 区 分 さ れ る.1は の 等語 線
①
の
中 部 ドイ ツ 語 に 属 し,〈
以 北 を 占 め る.2,3は,上
ア レ マ ン 方 言 に 属 し,大 部 分 を2が ン トガ ウ(Sundgau)の
図 〉
部 ドイ ツ 語 の 占 め,3は
南 部のズ
南 東 部 の小 地 域 で話 されて い
る に す ぎ な い.ア ル ザ ス の 原 住 民 は ケ ル ト人 で あ っ た. の ち,ロ
ー マ 人 が 支 配 し た が,3世
ン 人 の 侵 入 が 相 つ ぎ,4世 つ づ い て5世
紀 末 に フ ラ ン ク族 が ア レマ ン族 を破 って
こ の 地 を 統 治 し た .842年 以 降,フ
紀 ご ろか らゲ ル マ
紀 後 半 に ア レマ ン 族 が 侵 入,
の 「ス トラ ス ブ ー ル の 誓 約 」
ラ ン ケ ン方 言 と ア レ マ ン方 言 は,ヴ
(Vosges)山
地 を 境 に,古
れ る こ と に な る が,今 イ ツ 語 の 方 言 は,遠 す る . ち な み に,ア 名Alisatia)は,中
ォー ジ ュ
日,ア
フ ラ ンス 語 と 地 域 的 に 分 か ルザ ス で話 されて い る ド
くこれ ら ゲル マ ン の部 族 語 に淵 源 ル ザ ス の 古 名Alisaz(ラ 世 ラ テ ン 語Alesaciones(ア
テ ン語 ルザ
出 典:マ
ッ ツ ェ ン(R.Matzen)に
よ る(一 部 変 更).
作 紀の 々,
ア ル ザ ス は 実 に 多 く の 詩 人,作 つ て,ア
Tierer(標
家 を 輩 出 し て い る.か
ル ザ ス は ド イ ツ 文 化 の 源 泉 の1つ
で あ った の
で あ る. [言 語 的 特 徴]
ア ル ザ ス 語 の 大 部 分 は,ス
イス ・
同 じ く上 部 ドイ ツ 語
の ア レ マ ン方 言 に 属 し,両
者 には 共通 す る と ころ が 少
な く な い.以
韻 面 で の特 徴
ま ず 第2次
ブ ー ル(Wissembourg,ド
る(い
イ ツ 語 名Wei〓enburg)か ヴ ェル
北 側 を 西 へ走 る
な るk/ch等
音 の前 の
語 線 が ミ ュ ル ー ズ(Mulhous,
ドイ ツ 語 名Muhlhausen)の
わ
ま り,ア ル
ザス 語 は 大 部 分 が
との
圏内にある
母 音 と流 音 の あ と で は,b,gが
半 母 音 化 し て,そ
軟 口 蓋 音 化 し てngと
な る .
junge
Kalwel'dein
dys
Chalbliで
な る こ とが あ る.
な くwuま
た はwoが
ら な る.接
の 口蓋 音 化 を あ
な る 現 象 で あ る.た
家 」,Fues'Fu〓'「
2)形
在 完 了,過
足 」,Brue
態 面 の 特 徴
低 奥 舌 母 音)は,単
終 わ る.た
数2人
な る.動
だ し,不
つ い て は,〈
岸
の 口蓋 音 化 現 象 につ い
[現
況]
1945年
以 降,ア
ル ザ ス は フ ラ ンス に帰
し こ とば で あ る アル ザ ス語
の 文 章 語 で あ る ドイ ツ 語―
語 とは微 妙 な 差 異 を示 す
そ れ は 標 準 ドイ ツ
―に対 し て,き
び し い抑 圧
ち に 緩 和 の 傾 向 が あ ら わ れ た が,そ
の 政 策 に よ っ て,都 市 部 の,と く に 若 い 世 代 の あ い だ で ル ザ ス 語 と ドイ ツ 語 は 著 し く 後 退 し た,こ
標 準 ドイ ツ 語 と 名 詞 の 性 が 異
Elsassische
く に,文
Schickele,1940年 Rene
没)の
関 誌Les
バ イ リ ンガ リズ ム評 論 ―
そ わ れ ら が 未 来 』(第1号1968年,ス
二 言語使用 こ ト ラ ス ブ ー ル)を
ル ザ ス と ロ レー ヌ 地 方 に お け る 二 言 語 使 用
準 ド イ ツ 語'Bet
イ ツ 語'Herzen'),Mul'Maul'「 (標 準 ド イ ツ 語'Maule';y[〓]),Tier「
準 ド
口 」―Myler 動 物 」―
の よう
な 住 民 の ね ば り強 い 運 動 が 徐 々 に 効 を 奏 し て い る よ う に み え る.従
性 名 詞 で あ る.
Cahiers
Bilinguisme―Zweisprachigkeit:Unsere
Zukunft『
を 促 進 す る た め に 市 民 運 動 を展 開 し て い る.こ
部分 は中
ル
名 を 冠 し た サ ー ク ル(Cercle
Schickele‐Kreis)は,機
発 行 し,ア
心 臓 」―Harzer(標
Ditsch)
学 の あ ら ゆ る ジ ャ ン ル に お い て,ア
数 語 尾 ‐erが 新 高 ドイ ツ く,大
地
ザ ス の 二 重 性 を と り あ げ た 作 家 ル ネ ・シ ッケ レ(Rene
詞 は 格 語 尾 を も た ず,主
語 よ り(も ち ろ ん 中 高 ド イ ツ 語 よ り)多
のよ
ル ザ ス の 文 化 を 擁 護 し,超
域 的 な ア ル ザ ス ・ドイ ツ 語(das
du
の論 考 が知 られ て い る.
ベ ッ ド」―Better(標
過
図 〉を 参照
な る こ と は ま れ で は な い.名
ten'),Harz'Herz'「
称 ・ 詞の
規 則 動 詞(単
格 と対 格 は 区 別 さ れ な い.複
例)Bett「
制か
属 す る こ と に な っ た.フ ラ ン ス 語 を 普 及 さ せ る た め,当
る.と
買 う」
ル ケ ー(J.Four
イ エ(E.Beyer)ら
去 完 了 の3時
の 普 及 の た め に力 を尽 くす グル ー プ も あ ら わ れ て い
ラ イ ン右 岸 地 域 で はHusで,右
ニ エ ル(L.Tesniere),フ
quet),ベ
だ し,
兄,弟 」,koife'kaufen'「
と 左 岸 と で 対 立 が み ら れ る.こ て は,テ
ル ザス
音 ほ ど 広 域 に は わ た ら な い.
der'Bruder'「
行詞 が
にか か わ り
3人 称 で ウ ム ラ ウ ト し てhesch,hetと
う な 状 況 を 慨 歎 し て,ア
た と え ば,Husは
た,性,数,格
動 詞han'haben'(aは
は,ア
高 ド イ ツ 語 のu,uo,ouが,ア
例)Hus'Haus'「
Hund,
続 法 現 在 は,一 般 に 消 失 し て 用 い ら れ な い.
の1つ
他 の2母
groosse
用 い られ る.
げ な けれ ば な らな い . これ は アル ザス 語 の 顕著 な特 色
ou>oiは
Kalbchen'
地 ア レマ ン 方 言 と 同 様,先
物 で あ れ,ま
政 策 を と っ た.の
よ り もu音
語 で そ れ ぞ れu,ue,oiと
Hund'
あ る(y[〓]).
関 係 代 名 詞 は,高 人 で あ れ,事
と,そ 分 布 は 新 高 ドイ ツ 語 の そ れ と 同 じ で あ る
で,中
junges
地 ア レ マ ン 方 言 で はdyn
jung
局 は 住 民 の 母 語 で あ り,話
「子 供 」
ま た 母 音 に つ い て は,何
gro〓er
「君 の 幼 い 子 牛 」
行母音が二重母音
例)feif'funf'(英:five);Ching[〓]'Kind'
が,[〓]に
‐sの
さ れ た い,
朝」
ま え で は 鼻 音 が 消 失 し て,先
摩 擦 音chの
dyns
去 分 詞g(e)wan/gsi(n)に
化 す る . 南 部 で はndが
性通 格 で
音 節 動 詞)の 不 定 詞 は ‐nに 終 わ る .sin'sein'の
な る.
例)Morje'Morgen'「
‐er,中
Hund'dein
不 定 詞 は,‐e(n)に
(〈 図 〉 を 参 照).
れ ぞ れw,jに
groos
動 詞 の 時 制 は,現 在,現
南 側 を 走 っ て い る(い
ゆ る'Sundgau‐Bodenseeschranke').つ
性 通格 で
「君 の 大 き な 犬 」
な お,高
経 て,サ
イ ツ 語 名Zabern)の
わ ゆ る'Selz‐Lauterschranke').母
s,fの
例)dyner
ィ ッサ ン
語 線 が 低 地 ア レ マ ン方 言 の 北 限 を 形 成 し て い
kがchに
所 有 代 名 詞 は,男
子音推移がほぼ
デ ル ブ ロ ン(Niederbronn)を
ヌ(Saverne,ド p/pf等
数 通格 お よび 女 性 単 数 通 格
語 尾 を もつ .
下 に,主 要 な 特 徴 を い くつ か 列 挙 し よ う.
完 全 に 行 な わ れ て い る こ と が あ げ られ る.ヴ
ら,ニ
形 容 詞 の 強 変 化 で は,複 の 語 尾 は と も に ‐i.
ドイ ツ 語(Schwyzerdeutsch)と
1)音
準 ド イ ツ 語'Tiere')
来,部
分 的 に しか 認 め られ て い な か った
ドイ ツ 語 教 育 が,1982年
に は,幼
稚 園 か らバ カ ロ レ ア
ま で 全 面 的 に 復 活 し た. も ち ろ ん,そ
こ に は 政 治 的,
経 済 的 事 情 が 大 き く作 用 し て い る で あ ろ う. [辞
書]
ス トラ ス ブ ー ル 大 学 方 言 研 究 所 の マ ッ
ツ ェ ン(R.Matzen)ら
に よ る ア ル ザ ス 方 言 辞 典(Dic
tionnaire
des
parlers
alsaciens)の
あ る が,目
下 の と こ ろ は,19世
Lothringen(Duden‐Beitrage,Heft
編 集 が 進 行 中 で
紀 末 か ら20世
紀 初 め
に か け て 出 版 さ れ た マ ル テ ィ ー ン(E,Martin)と ー ン ハ ル
ト(H
.Lienhart)の
リ
ア ル ザ ス 方 言 辞 典 が,
手 に し う る ほ と ん ど 唯 一 の も の で あ る. 2と3は,シ
ュ ミ ッ ト(Charles
に 基 づ く.2は,初
期 の 新 高
が み ら れ る.1と3に 1)Martin,E.und
Schmidt)の
遺 稿
プ リ ン ト版 が あ る.
der
elsassischen
1974,de York)
2)
Schmidt,Ch.(1901),Historisches
buck
der
elsassischen
Worter Mundarten
graphie
und
Elsa〓(Deutsche
Dialektgeo
42,Elwert,Marburg) B.Martin(1927‐
1956),Deutscher
Sprachatlas(DSA)(Elwert,
Marburg)
SPRACHE.Verglei
chende
Betrachtungen
zum
schen
Kontaktbereich
in
Elsa〓
und'in
deutsch‐franzosi der
Luxemburg", und
Schweiz,im Zeitschrift
Linguistik
44
der Stra〓
照]
[追
Mundart(Trubner,Stra〓burg;Nach
ドイ ツ語
京 頼 三 訳(1987),「
(み す ず 書 房,東
ア ル ザ ス 文化 論 」
京)
[参 考 文 献]
(橋 本 R.Matzen(1969),Atlas
tique
et
Linguis
Ethnographique
de
du
Centre
Dialekts",in
Dialektologie.Ein
am
in Dialekt
Standardsprache
am
der
ニ ア,ト
des
der
源]
マ に 征 服 され,以
た め,ア
Morphology(Manchester
Analyse
Alsacienne
et
後,約500年
Dialekt―
einer Lorraine
Umfrage de
る.以 (So
Diffusion
は ロ ー マ 帝 国,つ
Schriftsprache
後,ア
は オ ス マ ン帝 国 の 北
ル バ ニ ア 語 の 起 源 は,19世
im
Elsa〓
der und
in
紀
Bopp)に
代 の こ とで あ
ル バ ニ ア 語 と古 代 の バ ル カ ン の 諸 言 語, ラ キ ア 語,ダ
キ ア 語,ヴ
ェ ネ ト語 あ
る い は エ トル リ ア 語 と の 関 係 が 論 じ ら れ て き た.し し現 在 で は,種
Besonderheiten
いで約
ル バ ニ ア 語 が イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の1
イ リ ュ リア 語,ト et
代の イ リ
の 地 方 は ロー
一 した 民族 国 家 を形 成 しえ な か った
ル バ ニ ア 人,ア
よ っ て,ア
d'Edition[SALDE),Strasbourg) Magenau,D.(1962),Die deutschen
よ ば れ て い る.
つ で あ る こ と が 確 認 さ れ た の は,1850年 elsassische
museumsreif?
ーマ メ リカ
の う ち,15∼16世
は じ め ま で 不 明 で あ っ た . ボ ッ プ(Franz
University
Press)
ciete
リ シア南 部 に
に,こ
1千 年 は ビザ ン ツ 帝 国,約500年
Dialects.Phono
Ladin,W.(1982),Der
人,
ル ガ リ ア,ル
現 在 の ア ル バ ニ ア の 地 は,古
配 下 に あ っ て,統
baden)
and
人,ギ
ク ラ イ ナ に 少 数 の 移 住 者,ア
ュ リ ア 地 方 の 一 部 で,B.C.167年
Elsa〓",ibid.
Sprache,Wies
Keller,R.E.(1961),German logy
ル コ,ウ
和国
和 国 に 約50万
人 の ア ル バ ニ ア 人 が 住 み,ブ
[起
Elsa〓",Muttersprache
deutsche
Gora)共
た ち は,ア ル バ レ シ ュ 人(arberesh)と
Domanenver
Situation
fur
ケ ドニ ア(Makedonija)共
合 衆 国 に 数 万 の 移 住 者 が い る.こ
nichtdeutscher
Hammacher,K.(1975),"Die im
人,マ
紀 に 移住 した イ タ リアお よび ギ リシア の ア ル バ ニ ア人
and
Beispiel
Sprache
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の コ ソ ヴ ォ(Kosovo)自
イ タ リ ア 南 部 と シ チ リ ア に 約8万
deutschen
内 の 人口 約
人 の ア ル バ ニ ア 人 の 母 語.
と ツ ル ナ ・ゴ ー ラ(Crna
約5万
York)
zwischen
(Gesellschaft
des
Dialektforschung,Halbbd.2
― (1983),"Tendenzen
国 外 で は,ユ
u.a.(eds.), zur
Gruyter,Berlin‐New
deutschen
Ent
Beispiel
W.Besch
Handbuch
allgemeinen
teilung
de
人 を 含 む,約500万
治 州 に 約120万
Fallstudie
elsassischen
(de
national
lexikalischer
wicklungen,Eine
und
270万
scientifique,Paris)
Hartweg,F.(1983),"Typen
郁 雄)
shqipe/shqipe,英Albanian,
ア ル バ ニ ア 人 民 共 和 国 の 公 用 語 で,国
S.Spindler(1985),
(Publications
recherche
gjuha
独Albanisch
Mensch;Bothorel
Witz,A.,Philipp,M.et
la
ア ル バ ニ ア語
L'Alsace(ALA),
Vol.I:L'Homme―Der
Vol.Ⅱ
(Steiner,
記]
F. オ ッ フ ェ,宇
1972,Valentin,Baden‐Baden)
Beyer,E.et
fur
Wiesbaden) [参
3)―(1885),Worterbuch burger
des
Dialektologie
(Trubner,
Stra〓burg)
druck
Geschichte
DIALEKT―STANDARD
Mundarten,2Bde.
(Trubner,Stra〓burg;Nachdruck Gruyter,Berlin/New
Stoeckicht,O.(1942),Sprache,Landschaft
Zimmer,R.(1977),"DIALEKT―NATIONAL‐
H.Lienhart(1899,1907),
Worterbuch
7,Biblio
Institut,Mannheim)
Wrede,F.,Mitzka,W.und
ドイ ツ 語 へ の 特 別 の 顧 慮
は,リ
graphisches
か
々 の 理 由 か ら,ア ル バ ニ ア 語 が 古 代 の イ
リ ュ リ ア 語 か ら発 展 して き た と 考 え る 研 究 者 が 多 い. し た が っ て,ア
ル バ ニ ア 語 は,イ
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族
の 中 で 同 一 の 語 派 に 属 す る 言 語 が な く,ア な ど と 同 じ く,1言
語 で1語
語 で あ る . 「ア ル バ ニ ア 」の 名 称 は,中 中 部 の1氏
ル メ ニ ア語
派 の扱 い を 受 け て い る言 世 の ア ルバ ニ ア
族 の 名 称 に 由 来 し,Arber,Arben人
の 意 味 で あ っ た と 考 え ら れ る.イ
の国
タ リ ア,ギ
リ シア に
[文
法]
1)名
詞
ア ル バ ニ ア語 の名 詞 は,男 性 お よび
女 性 名 詞 に分 類 され る. 一 部 の物 質 名 詞,形 容 詞 お よ び動 詞 の 非人 称形 か ら転用 され た名 詞 は,限
られ た 範
囲 で 中性 名 詞 と して 認 め られ てい る.
移 住 し た ア ル バ レ シ ュ 人 以 外,ア ル バ ニ ア 人 は,民 族 名
名 詞 の 曲用 は,ル ー マ ニ ア語,ブ ル ガ リア語,マ
と し て こ の 名 称 を 用 い ず,shqiptar「
ドニア 語 と同 じ く,名 詞 に後 置 され る定冠 詞 が 名 詞 と
Shqiperia「
ア ル バ ニ ア 人 」,
ア ル バ ニ ア 」,shqip「
ア ルバ ニ ア語 で」
結 合 して 接 尾 辞 化 し,さ
らに,形 容 詞 お よび 名 詞 属格
な ど を 用 い る.こ の 名 称 の 起 源 に つ い て は 定 説 が な く,
に前 置 され る形 容 定 冠 詞(i,e,te,se)も
shqipe,shqiponje「
複 雑 な形 を呈 す る.
shqipの
もつ
鷲,勇
「明 確 に,分
者 」 と関 連 づ け る 説 と, か りや す く」 す な わ ち 「理
与,対,奪
る.
詞 の場 合 には,属
[字 母 と 発 音]
現 代 ア ル バ ニ ア 語 は,基
そ の う ち,有
音,29子
声 の 硬 口 蓋 閉 鎖 音[〓]はgj,有
声 の 硬 口 蓋 歯 茎 摩 擦 音[〓][〓]は 有 声,無
本的 にラ
音 を 表 わ す.
[〓]はnj,歯
茎 顫 動 音[〓]はrr,軟
音[〓]はllの
よ う に,2文
鎖 音[〓]はqに [〓][〓]は
そ れ ぞ れx,cに
は 前 舌 弾 音[〓]で
れ る.補
主格
少 年,若 者 」
(不定 冠 詞 + 名 詞)
(定冠 詞形)
nje djale
djali
対格
(同上)
属格
i/enje
与格
nje djali
djalit
奪格
(同上)
(同上)
の他 の 子 音 に対 応 す るア ル
よ っ て 表記 さ
mark)を
djalin djali
b)vajze「
母 音[〓]はjに
助 記 号(diacritic
a)djale「
茎破擦音の
フ ァ ベ ッ トの 文 字 は,b,p,v,f,g,k,h,d,t, z,s,m,l,nで,半
とる名 詞 と定 冠 詞形 の 名詞 の 単数
声 の 硬 口蓋 閉
よ っ て 表 記 さ れ る.r
あ る.そ
形 が存 在 す る こ とに な る.し か し,定 冠 詞 形 を と る名
口蓋 化 歯 茎 側
字 に よ っ て 表 記 さ れ る.
よ っ て 表 記 さ れ る.歯
i/e djalit
少 女,娘 」
(不 定冠 詞 +名 詞)(定
冠 詞 形)
と るcはc,
2文 字 のdhはd,gjはgの,そ
れ ぞ れ 後 に続 く
主格
nje vajze
vajza
独 立 の ア ル フ ァ ベ ッ ト文 字 と し て 扱 わ れ る.sh,th,
対格
(同 上)
vajzen
xh,zh,nj,ll,rrな
属格
i/enje
舌半
与格
nje vajze
vajzes
舌 円 唇半 狭
奪格
(同 上)
(同 上)
ど も同様 で ある.
ア ル バ ニ ア 語 の 母 音 は,中 狭 母 音 の[〓],後 母 音 の[〓],前
舌 広 母 音 の[〓],中
舌 円 唇 狭 母 音 の[〓],後 舌 狭 母 音 の[i],前
前 舌 円 唇 狭 母 音 の[〓]の7つ
の う ち,文
よ っ て 表 わ さ れ る 音 は,ル
ル ガ リ ア 語 の〓
語 圏 に 共 通 の 現 象 の1つ 部 で は,方
ue,yeの
ル カ ン言
ルバニア語圏内
言,年 代 の 差 に よ る 発 音 上 の 差 異 が 大 き く,
無 強 勢 のeは のhも
で あ る が,ア
発 音 さ れ な い 傾 向 が 強 い . ま た,母
発 音 さ れ な い こ と が 多 い.母 ク ラ ス タ ー(cluster)は
強 弱 ア ク セ ン トで,ア な い が,shtepi「 の 音 節 に くる 語,お
よ び,lule「
ち は 働 い て い た 」 な ど,最 ト を と る 語 が 多 い.
音間
音 +j,ie,ua,
私 は 働 く」 な ど,最 花 」,punonim「
後 か ら2音
名 詞 の 複数 形 は,方 言 に よ って 大 きな差 が あ り,現
ない. 2)冠
詞
不 定冠 詞njeは,名
詞 に前 置 され,
格 変化 を し ない.ア ル バ ニ ア 語 の前 接(enclitic)定
冠
詞 は,名 詞 と結 合 して接 尾 辞化 す る. 単 数 の主 格 形 は, 男 性 ‐i,‐u,女 性 ‐a,‐ja,複 数 の 主 格 形 は ‐t(e)で あ り,名 詞 の格 変 化 と と もに 変化 す る.さ らに,形 容
二 重 母 音 と な る.
ク セ ン トの 位 置 は 一 定 し て い
家 」,punoj「
i/e vajzes
に よ り,い くつ か の異 な る複 数 形 を もつ 名 詞 も少 な く
ーマニ
に 近 い 音 で,バ
vajze
在 は,標 準語 の形 に統 一 され つ つ あ る. しか し,方 言
れ ぞ れ,文
よ っ て 表 記 さ れ る.こ
字eに
ア 語 のa,ブ
舌 半 広 母 音 の[〓],
か ら な り,そ
字a,e,u,o,i,e,yに
・
にお け る格 変 化 を示 せ ば,次 の 通 りで あ る.
口蓋 鼻 音
無 声 の 硬 口蓋 歯 茎 破 擦 音[〓]はc,無
・与 ・奪 格 形 が 一 致 し,他 方,主
対 格 も一 致 す る ので,実 際 に は,直 格 と斜 格 の2つ の
て,不 定 冠 詞njeを
そ れ ぞ れdh,th,
有 声 の 硬 口 蓋 歯 茎 破 擦 音[〓]はxh,硬
の5つ の 格 を もつ が,定 冠 詞 を と らな い名
詞 では,単 数 の主 格,対 格 は異 な る形 を と る. 例 と し
声,無
そ れ ぞ れzh,sh,
声 の 歯 裏 摩 擦 音[〓][〓]は
あ るた め,
名 詞 は,単 数,複 数 の そ れ ぞれ にお い て,主,属,
解 で き る 言 葉 で 」 の 意 味 に 由 来 す る と考 え る 説 とが あ
テ ン 文 字 を 用 い て,標 準 語 の7母
ケ
後 私た
節 目 にア クセ ン
定 冠詞 は,名 詞 属 格形,一
部 の形 容 詞,所 有 代 名 詞,
関 係代 名 詞,順 序 数 詞 に 前 置 され,限 定 され る名 詞 の 性,数,格
に よ り変 化 す る.そ の 際,名 詞 の定 冠 詞 形
につ く場 合 は,不 定 冠 詞 を と る名詞 につ く場 合 と一 部 異 な る形 を とる.例 と して,i/emire「 名 詞 の単 数 形 を示 す.
よい」 を とる
a)djale
kimik「
(不 定 冠 詞 + 名 詞 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) 主格
nje
djale
i mire
対格
nje
djale
te
属格
i/enje
与 ・奪 格
nje
te
mire
te mire
(名 詞 定 冠 詞 形 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) 主格
djali
対格
djalin
属格
i/edjalit
与 ・奪 格
djalit
kimike
数》 男
mire
djali
djali
《複
化 学 の」
性
女
性
te mire
te
te sotem
te
sotme
te
te
medha
medhenj
mira
trima
trime
kimike
kimike
i mire e
mire
4)代
te
te
mire
mire
名詞
代 名 詞 の 種 類 は,他
の よ う な 点 に 特 徴 が あ る.
a)人
普 通,述
称代 名 詞
語 とな る動 詞 の 語 尾 に
よ っ て 人 称 が 示 され る の で,主
b)vajze
ajo,ata,atoは nje
vajze
e
対格
nje
vajze
te
属格
i/enje
与 ・奪 格
nje
mire
の で,近
mire
vaize
vajze
こ と も あ る.主
対格
vajzen
属格
i/evajzes
与 ・奪 格
vajzes
な い),与
格,属
の 人」 が 用 い られ る
格(1・2人
称 の 属格 は 用 い られ
格,対
格,奪
格 の 格 変 化 形 を もつ が,そ
格 と対 格 に は,長
形(完
る 場 合 に は 強 形 も併 用 され,代
se
mire
形)と
に 目的語 が強 調 され 名 詞 の 二 重 使 用 とい う
バ ルカ ン言 語 圏 に共 通 の 現 象 が み られ る. 目的 語 が 名
mire
詞 あ る い は 他 の 代 名 詞 の 場 合 に も,人
称代 名 詞 短 形 に
あ る.
よ っ て く りか え さ れ る の が 普 通 で あ る.前
3)形
ル バ ニ ア語 の形 容
で は 必 ず 強 形 が 用 い ら れ る.
詞 は,限
上 述 の よ う に,ア
定 さ れ る 名 詞 の 性,数,格
形 容 定 冠 詞 を と る が,す と る わ け で は な い.名
に よって 変 化 す る
Koha
べ て の形 容詞 が形 容 定 冠 詞 を 詞 か ら 転 用 さ れ た 形 容 詞,近
形 容 定 冠 詞 を と ら な い.た
Ai
ル バ ニ ア 人,ア elektrik「
労 働 者,勤
勇 士,
勉 な 」,shqiptar「
ル バ ニ ア の 」,obiektiv「
ア
客 観 的 な 」,
に よ って変 化 す る タ
イ プ と,し な い タ イ プ が あ る.変
化 し な い 場 合 で も,形
容 定 冠 詞 を と る 形 容 詞 な ら ば,形
容 定 冠 詞 の形 に よ っ
て 性,数
た,性,数
を 示 す こ と が で き る.ま
応 じ て の み 変 化 す る タ イ プ も 多 い.4つ
の変 化 形 を も
と ん ど が 不 規 則 な 形 容 詞 で あ る.
以 下 の 例 は,定
《単
の 一方 に
冠 詞 形 で ない 名 詞 の 主格 を限 定 す る に よ る 語 尾 変 化 を 示 す.
数》 女
主格
与
une
ti 「君 が 」 ai 「彼 が 」 ajo 「彼 女 が 」
ty
shume
格,対 対
形)
形)
mua
me
me
te
「私 を 」 ty
「君 に 」 atij
i
i
ate
na
e 「彼 を 」
ate
「彼 女 に 」 neve
te 「君 を 」
「彼 に 」 asaj
格
(長 形)(短
「私 に 」 ty
格 の み)
e 「彼 女 を 」
ne
「私 た ち に 」
na 「私 た ち を 」
性 ju
emire
「君 た ち が 」
isotem「 今 日 の 」
esotme
ata
imadh「 大 き い 」
emadhe
「彼 ら が 」
trime
ato
勇敢 な」
格,与
格
mua
「私 が 」
imire「 よ い 」
trim「
meson
「彼 は す べ て を 知 っ て い る」
人 称 代 名 詞 の 格 変 化(主
ne
性
te
私 は友 人 に会 っ た」
gjitha.
「私 た ち が 」 男
e
く の こ と を 私 た ち に 教 え,君
shokun.「
i di te
(長 形)(短
形 容 詞 は 格 変 化 を せ ず,性,数
形 容 詞 の 性,数
ne
時 が,多
pashe
電 気 的 な」 な ど.
つ も の は,ほ
meson
置詞 のあと
に も教 え る 」
代
お よ び 現 代 の 国 際 的 に 共 通 な 新 造 語(neologism)は, と え ば,guximtar「
na
gjera.「
E
勇 敢 な」,punetor「
の 短形
形 は 動 詞 の 直 接 ・間 接 目 的
語 と し て 接 辞 的 に 用 い られ る.特
e mire
全 形,強
形 容 定 冠 詞 の 複 数 形 は,e,teで 容 詞
照 な
称 のai,
「あ れ 」 が 転 用 さ れ た も
こ れ,こ
(弱 形)の 両 形 が 存 在 し,短 e mire
se
調,対
te mire
te mire
(名 詞 定 冠 詞 形 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) vajza
指示代名詞
称 のky,kjo「
う ち,与
主格
格 形 は,強
ど の 特 殊 な 場 合 以 外 は 表 示 され な い .3人
(不 定 冠 詞 + 名 詞 + 形 容 定 冠 詞 + 形 容 詞) 主格
の ヨ ー ロッ パ 諸
語 と ほ ぼ 等 し い が,次
juve
ju
ju
「君 た ち に」 atyre
u
ata
「彼 ら に 」 atyre
u
ju 「君 た ち を 」 i 「彼 ら を 」
ato
i
「彼 女 らが 」
「彼 女 ら に 」
「彼 女 ら を 」
「彼 ら の,彼
女 らの」
「彼 ら の も の, 彼 女 ら の もの」
複 数2人
称 形 は,単
数 の 相手 に対 す る敬 称 とし て も用
い られ る.
法 を 示 す 助 詞teの
重 な る 場 合(ⅰ),動
詞 接続
あ と に 用 い ら れ る 場 合(ⅱ)に
は,
次 の よ うな融 合 形 が 生 じる.
me+i=m'i,i+i=ia,u+i=ua な ど.
t'ju,te+ju+e=t'jua,te+i+i= ど.
で あ る が,特
ル カ ン言 語 圏 に 共 通 の も の
に ル ー マ ニ ア 語 と平 行 す る点 が 多 い.
有 形 容 詞 ・所 有 代 名 詞 詞 に 後 置 され,名
ば,shoku
im「
達 」. し か し,親
詞 は 定 冠 詞 形 を と る.た
私 の 友 人 」,shoqja
ime「
族 名 称 に 限 り,1・2人
とえ
私 の 女友
称 単 数 の 所有
例)im
shoq「
私 の 姉 妹 」,ime
所 有 代 名 詞 形 は,名 ‐t,‐s,‐ve(t)の
mite「
‐i,‐e,‐te,
の 複 数 形,お
よ び3人
の 」,ityre「
単 fjalori
複 im
fjaloret
e mi
yne
fjaloret
tane
yt
fjaloret
e tu
mite
juaj
fjaloret
tuaj
i tij
yni
tanet
yti
te
tute
juajti
a tij
i tiji
tuajt
te
tijte
「彼 の も の 」 i saj
fjaloret
e saj
fjaloret
e tyre
isaji
te
sajte
「彼 女 の も の 」 tyre
ityri
れ」
目 」 が あ り,こ
の う ち,c',cfare,cili,sa,i
sati
は 形 容 詞 と し て 用 い ら れ る.c',cfare,seは
無 変 化,
格,対
sati「 何 番
格 お よび 奪格 を と る前 置 詞 の あ とで 用
い ら れ る .kush,saは
格 に よ る 変 化,i
よ び 格 に よ る 変 化(た 数,格
な に 」,i/e
satiは
だ し主 ・対 格 の み),ciliは
性 お. 性,
に よ る 変 化 を もつ .
以 上 の 疑 問 代 名 詞 の う ち,kush,c',cfare,cili, 行 詞 を と ら な い 非 限 定 関 係 代 名 詞 と し て も用 先 行 詞 を と る 場 合 に は,i
cili,e
cila
属節で動
詞 の 目的 語 の機 能 を もつ 場 合 に は 人 称 代 名 詞 短 形 に よ る 繰 りか え しが 必 要 で あ る . こ れ も,他
の バ ル カ ン諸
vajza,te
cilen
e takuat
dje,「 君 た ち が 昨 日 会
ciles
i fola「 私 が 話 し か
けた 女 性 」 5)数
詞
は,次
ア ル バ ニ ア 語 の 基 本 数 詞 の,1∼10
の 通 り で あ る. nje,dy,tre/tri,kater,pese,gjashte, shtate,tete,nente,dhjete
そ の う ち,3の
み,女
11∼19は,ス
ラブ語 の 影響 で
性 形triの
で 構 成 され,前
置 詞mbi「
古 形 を も っ て い る. 「10の 上1」
と い う形
… の 上 に 」 と 同 根 のmbe
が 用 い ら れ る.
tembedhjete「19」 10の
位 に は,一
njezet
部20進
法 が 保 た れ て い る.
「20」,dyzet「40」
他 の 十 位 の 数 お よ び 百 位 の 数 は,3×10,1×100,
「君 た ち の も の 」 fjaloret
だ れ,ど
れ だ け 」,se「
njembedhjete「11」,trembedhjete「13」,nen
「君 の も の 」
「彼 女 の 」 fjalorii
te
「私 た ち の も の 」
「彼 の 」 fjalori
imi
複
「私 の も の 」
「君 た ち の 」 fjalori
彼女
単
「君 の 」 fjalori
彼 の 」,isaj「
《所 有 代 名 詞 》
「私 た ち の 」 fjalori
君 の」
の よ う に な る.
「私 の 」 fjalori
私 の 」,yt「
女 らの 」 は形 容 定 冠 詞 を と
《所 有 形 容 詞 》
疑 問 代 名 詞 に は,
な に 」,cili「
語 と共 通 の 特 徴 で あ る.
im「 私 の 辞 書 」 に 対 応 す る 各 人 称 の 単 ・複
数 主 格 形 を 示 す と,次
容 詞
だ れ 」,c',cfare「
sa「 い く つ,ど
定 さ れ る 名 詞 の 性,数,
称 のitij「
彼 ら の,彼
る .fjalori
問 ・関 係 代 名 詞,形
った 娘 」,gruaja,se
ら に,im「
名 詞 の3
が 省 略 され た 形 で あ る.
私 の も の 」(単 数),
名 詞 は,限
有 形 容 詞,代
語 頭 母 音a‐
私 の も の 」(複 数)
所 有 形 容 詞,代
た,所
の よ う に 形 容 定 冠 詞 を と る ば か り で な く,従
詞 の定 冠 詞 と同 じ
格 に よ っ て 変 化 す る.さ
人 称 代 名 詞 に転 用 さ
い ら れ る.ciliは
ら に前 置形 容定 冠 詞 を と る場 合 もあ る.
te
の う ち,ai,ajoが
私 の 妻」
語尾 が 所 有 形 容 詞 に結 合 し た形 を と
atille によっ
私 の 夫 」,ime
shoqje「
例)im>imi,ime>imja「
こ の よ う な 」,i/e
示 代 名 詞 の 属 格 のatij,asaj,atyreの
saは,先
vella「 私 の 兄 弟 」,im
moter「
の 」,ai,ajo
人 称 形 は,指
seは,主
所 有 形 容 詞 は,普
形 容 詞 は 前 置 され 得 る.
り,さ
て 変 化 す る.こ
kush「
ⅱ)te+e=ta,te+i=t'i,te+ju=
以 上 の 特 徴 の 多 く は,バ
ketille「
こ れ,こ
「そ の よ う な 」 な ど の 指 示 形 容 詞 も,性,数,格
d)疑
t'iaな
の 」,i/e
ky,kjo「
れ る こ と は 上 述 し た.ま
ⅰ)me+e=ma,te+e=ta,ju+e=jua,
通,名
示 代 名 詞
「あ れ,あ
人 称 代 名 詞 の 弱 形 が2つ
b)所
c)指
te tyret
9×100の
合 成 型 の 数 詞 と な る.
tredhjete,njeqind,nenteqind 1,000以 nje
上 の 単 位 は,合 mije「l,000」,tre
成 型 と な ら な い. mije「3,000」,nje
mil
ion「1,000,000」 各 単 位 は,接 peseqind
続 詞eに
よ っ て 結 ば れ る.
a gjashtembedhjete
mije
a
shtate
qind
e katermbedhjete「516,714」
基 数 詞 は,名
単
詞 化 さ れ た 場 合 を 除 き,数,格
による
変 化 を し な い. 順 序 数 詞 は,i/e
pare「
第1の
」 を 除 き,基
形 容 定 冠 詞 + 基 数 詞 +te/tの i/edyte「
第2の
」,i/e
基 数 詞 と 異 な り,上
本的 に
形 で 合 成 さ れ る. katert「
第4の
数
複
数
1人 称
ha,ve
hame,veme
2人
称
ha,ve
hani,vini
3人 称
ha,ve
hane,vene
以 上 に 示 した 変 化 形 は す べ て 能 動 形 の 動 詞 の も の で
」
あ る が,多
位 の 数 も す べ て 合 成 さ れ て1語
く の 動 詞 は,中
動 ・受 動 態 は,も
と な る.
動 ・受 動 態 の 形 を も つ.中
と の 能 動 形 動 詞 の 意 味 か ら 離 れ て,
多 く の 新 し い 意 味 を も つ 場 合 が あ る.
i/egjashteqindedyzetekatert「644番 6)動
詞
目 の」
ア ル バ ニ ア 語 の 動 詞 は,古
活 用 語 尾 の 一 部 が 消 失 し,他 が 複 雑 に か ら み あ い,バ
方,法,時
称,態
用変
究 者 の 意 見 は 一 致 し て い な い.純
的 に 分 類 す れ ば,次 a)単
母 音/二
の3つ
重 母 音 +jに
終 わ る もの
な 規 則 動 詞 の 部 類 で,punoj「 半 過 去 形,接
続 法 現 在 形,ア
動 ・受 動 動 詞 は,無
fle「 眠 る 」 >flihet「 例)s'me
働 く」 の 直 説 法 現 在 形, の
く,諦
近 づ け る」 >afrohem
人 称 動 詞 と し て3人
称単
数 の 形 の み 用 い る 場 合 も 多 い.
典型 的
オ リ ス トを 示 せ ば,次
与 え ら れ る,行
念 す る 」,afroj「
「近 づ く」 ま た,中
形 式
の タ イ プ に 分 け ら れ る.
与 え る 」 >jepem「
め る,専
の体系
ル カ ン 諸 語 の 中 で は,活
化 が もっ と も複 雑 な タイ プ に 属 す る. 動 詞 の 活 用 タイ プ に つ い て,研
jap「
い語根や
眠 れ る」
flihet mire
ketu.「
私 は こ こ で は よ く眠
れ な い」 動 詞 の 述 語 形 に は,次 の よ う な 法,時 称 が あ る.afroj 「近 づ け る」,afrohem「
近 づ く」 の1人
称単 数 形 の み
を 例 と し て 示 す.
通 りで あ る.
《直 説 法 》 (現
在)
単 数
(半 過 去)
複 数
単 数
現
複数
在 afroj,afrohem
半 過 去 afroja,afrohesha 1人 称 punoj
punojme
punoja
punonim
2人 称 punon
punoni
punoje
punonit
3人 称 punon
punojne
punonte
punonin
単 純 過 去(前 過 去)
大 過 去 kisha
数
複
単 純 未 来 do
数
te
punoj
te
punojme
2人
te
punosh
te
punoni
3人
称 称
te
punoje
te
teafroj,do
(単 純 過 去) 数
punova
punuam
る 助 詞uが
2人 称
punove
punuat
在 す る).未
3人 称
punoi
punuan
音 に 終 わ る もの
る」.な ど で,語
hap「
開 く」,jap「
単
複
jap,flas
japim,flasim
2人 称
jep,flet
jepni,flisni
称
jep,flet
動 ・受 動 態 動 詞 の 語 尾 に対 応 す
詞dua「
の 法,時 望 む,欲
c)母
音 に 終 わ る も の
ha「 食 べ る 」,ve「
動 詞 が 多 い. haとveの
の 通 り.
の未
在 te afroj,te
afrohem afroheshe
afruar,te
jem
afruar,te
afruar
isha
afruar
の 多 くの ヨ ー ロ
ッ パ の 言 語 に お け る 不 定 法 を 接 続 法 が 代 行 す る. 《条 件 法 》 現
直 説 法 現 在 形 は,次
動 詞接
《接 続 法 》
大 過 去 te kisha
置 く」
す る」 に 由
来 形 も他 の バ ル カ ン 諸 語 と 共 通 の 現 象 で あ る.
近 過 去 te kem
の 部 類 に は ア オ リ ス トで 不 規 則 な 形 を と る
称 に も存
よ っ て 示 さ れ る.こ
バ ル カ ン 言 語 圏 に 共 通 の 接 続 法 で,他
な ど で,こ
詞 「い の場合
接 続 法 を 導 入 す る 助 詞te+
半 過 去 te afroja,te
japin'flasin
「持 つ 」
分 詞(こ
の 形 は,他
続 法(現 在 お よ び 近 過 去 形)に
現
数
1人 称
3人
与 え
話 す 」 の 直 説 法 現 在 形 は 次 の 通 り. 数
分 離 す る(こ 来 形 は,動
afruar
詞
動 ・受 動 態 動 詞 は,動
つ け て つ く ら れ る.中
来 す る 助 動 詞do+
幹 の 母 音 が 変 化 す る もの が 多 い .jap
「与 え る」 とflas「
te jem
単 純 過 去 形 に お い て は,‐hem,‐emの
1人 称
b)子
afrohem
る 」 に 由 来 す る 助 動 詞jamに
はafruar)を 複
te
afruar,do
に 由 来 す る 助 動 詞kam,中 punojne
数
afruar
直 説 法 の 能 動 形 に お け る複 合 時 称 形 は,動
る,あ
単
afruar
afruar
afruar,qenshe
完 了 未 来 do te kem 1人 称
afrova
afruar,jam
afruar,isha
先 立 過 去 pata
(接 続 法 現 在) 単
afrova,u
近 過 去(複 合 過 去) kam
在 do
近 過 去 do
te te
afroja, kisha
do
te
afrohesha
afruar,do
te
isha
afruar
E
ema
そ れ ぞ れ 接 続 法 の 半 過 去 お よ び 大 過 去 に 助 動 詞 のdo を 前 置 し た 形 を と る が,こ
れ を 接 続 法 の1つ
《願 望 法 》
njeri
i ditur「
fakti
i ditur「
副 動 詞 は,助
在afrofsha,u
近過去
paca
afrofsha
詞 で は,能
afruar,qofsha
afruar
本 来 の 願 望 法 の 意 味 で 用 い ら れ る ほ か,接 し」,edhe と,仮
ne「
は,前
続 詞ne「
も
た と え … で も」 と と も に 用 い ら れ る
kendofte
bijte
の 心 が 歌 う よ う に な,私 Edhe
ne
pas
ranca,do
e mi!「
murit.「
お前た ち
ん と か壁
afruakesha,u
近過去
paskam
大過去
paskesha
afruakesha
分 詞 で 構 成 され る
pyeste
ik
pa
na
こ の 構 文 は,分
afruar
nis
pa
zbardhur
ー マ ニ ア 語 のsupin ditur
gje!「
そ し て,私
が
zbuluar!「
Shkoi
受 動 態 動 詞 は,能
動 形 +u(hu)の
形 を と る.
非 述 語 形 動 詞 に つ い て は,研 通,ほ
ぼ 次 の3つ
詞
afruar,u
二次 的不定詞 duke
afruar,duke
u
詞
が あ り,joは とも
くの 機 能 を もつ が,
表 現 し,ま
能 動 と受 動 の 両 方 の 意 味 を も ち 得 る が,受
動的意味 で
Nuk
ね に能 動 の
Mos
去
A
在 の 状態 を さす 場 合 が
do me eshte
は1977年
1977,「
に 建 て られ た 建 物 で あ る 」
これ
君 は働 くの を止 め た」
詞以 外 の文 中 の語 を否 定 す る場 合 に 続 法,願
望 法,命
令 法 の 否 定,s'
の 他 の 動 詞 形 の 否 定 に 用 い ら れ る.
te vonohem.「 prit.「
私 は 遅 れ な い だ ろ う」
私 を待 つ な」
larg?Jo,eshte
い で す か?」 「い い え,大 aは,疑
あ る. me
疲 れ る」,mbaroj
直 説 法 の 反 語 的 疑 問 文 に 用 い られ る こ と も あ る.
用 い ら れ る 方 が 多 い . 自 動 詞 の 分 詞 は,つ
godine,ndertuar
奪
中止 す る」 な ど の補 語 として も用
用 い ら れ,mosは,接 お よびnukは,そ
eshte
性 名 詞 と し て 扱 わ れ る)の
疑 問 文 に 対 す る 否 定 の 答 え 「い い え 」 を
mosは
Kjo
atje.
否 定 の 助 詞 に は,jo,s',nuk,mos
た,動
る 場 合 も多 い . 形 容 詞 用 法 に お い て,他 動 詞 の 分 詞 は,
実 を さ す 場 合 と,現
彼 はパ
らは そ こに集 ま っ て い た」
se punuari.「
7)助
afruar
詞 の 意 味 と 文 脈 に よ っ て,過
buke.「
mbledhur
飽 く」,lodhem『
「終 え る」,pushoj「
限 定 され る 名 詞 の 状 態 を 示 す 機 能 か ら 形 容 詞 に 転 化 す
意 味 で 用 い ら れ る.動
te blere
い られ る.
t'u afruar
動 詞kam,jamと
合 時 称 形 を 構 成 す る ほ か,多
の 行 為,事
per
分 詞(中
Pushove
te afruar,per
分詞 をル
対 分 詞 構 文 で あ る.
さ ら に,te+
afruar
per
分 詞 で 「… す る と と も
muzgu,ishin
格 はmerzitem「
究 者 の意 見 は 一 致 し な
の 形 が あ げ ら れ る.
ア ル バ ニ ア 語 の 分 詞 は,助 に,複
dyqan
rene
上 の 例 は,絶 形 の み を もつ . 中動 ・
置 詞per(…
分 詞 の 構 造 を(二 次 的)不
と 同 じ機 能 を も つ 動 名 詞 と 考 え
「夕 暮 が 訪 れ る と,彼
現 在afro,afroni;afrohu,afrohuni
副動 詞
ne
te
《命 令 法 》
分
来 の 不 定 詞 を も た な い 点 で,他
ンを 買 い に店 に行 っ た」 Me
称(単,複)の
彼 は 夜 明 け 前 に(日
す るや 否 や 」 と い う 用 法 も あ り,te+
彼 らが 私 た ち を発 見 し
て い た とは!」
い が,普
dita.「
る べ き か も し れ な い.
な に ひ とつ 知 ら な か っ た と は!」
命 令 法 は,2人
私 た ち に知 ら せ な
味 す る 用 法 で あ る が,me+te+
特 徴 で あ る.
paskeshin
あ る声 が近
定 詞 と よ ぶ 場 合 が 多 い.「 … す る た め に,… に は 」 を 意
に,…
Na
afruar.「
lajmeruar.「
の た め に)+ 前 置 定 冠 詞te+
い 疑 い な ど を 示 す 動 詞 形 で,
s'paskam
u
の バ ル カ ン 諸 語 と 同 じ 特 徴 を 示 す が,前
し手 に と って 思 いが け ない 行 為 や 事 実 に
une
詞 あ るい は 分 詞
詞 に 主 文 と別 の 主 語 が つ い て 絶 対 分
他 のバ ル カ ン諸 語 に もみ られ な い ア ルバ ニア 語 固 有 の
Dhe
「… す る こ と な し
と考 え る こ と も で き る.
duke
ア ル バ ニ ア 語 は,本 afruar
afruar,qenkesha
き,強
動
が 明 る く な ら な い ま ま に)出 発 し た 」
afruar,qenkam
対 す る 話 し 手 の,驚
分 詞 で 構 成 され る が,他
詞 構 文 と な る 場 合 も あ る.
afruakam
半過去
感 嘆 法 は,話
ze
U
afruakam,u
知 る」
い で 行 か な い で くれ 」
《感 嘆 法(驚 嘆 法)》 在
母親
づ き な が ら問 い か け て い た 」 Mos
に よ りか か れ る だ ろ う」
現
詞duke+
と 同 形 の 動 名 詞 の 用 法 の1つ
te mbeshtetem
も し 私 は 倒 れ て も,な
qilim.「
も の 知 りの 人 」
し な い で 」 の 構 文 と 平 行 し,分
の 息 子 た ち よ」
te arrij
mbi
動 形 と 中 動 ・受 動 形 が 区 別 され る. こ の 形
Nje
zemra,o
fjetur
周 知 の 事 実 」 <di「
置 詞pa+
に,…
定 の 意 味 を 示 す.
Ju
bijen
は 娘 が じ ゅ う た ん の 上 で 眠 っ て い る の を 見 る」
の用 法 と
み な し て 独 立 の 法 と認 め な い 考 え も あ る.
現
e shikon
shume
afer.「
遠
変近 い で す」
問 詞 を 含 ま な い 疑 問 文 で,文
頭 に用 い られ
る助 詞 で あ る. 8)前
置詞
本 来 的 前 置 詞 の う ち,ne,meそ
の
他 は対 格 を,prejそ
の他,副 詞,名 詞 に 由 来 す る前 置
詞 は奪 格 を と る.例 外 は,te,tek,ngaな
どで 主格
ne kuzhine.「
Ajo
nuk
doli nga
私 は 台所 にい る」 kuzhina.「
ス ク 方 言 のvaに,ゲ
nが
彼 女 は台 所 か ら
対応 す
ス ク 方 言 のmb,ndに
は,ゲ
グ 方 言 のm,
対 応 す る.
以 上 の 方 言 的 差 異 を 示 す 例 を あ げ る.
出 なか った」 [統語 法]
グ 方 言 のvoが
る. 7)ト
を と り,そ の 際,主 格 は,必 ず定 冠 詞 形 と な る. Jam
6)ト
(ト ス ク 方 言)
人 称 代 名詞 の 二重 使 用,前 接 定 冠 詞,
(ゲ グ 方 言)
ア ル バ ニ ア Shqiperi
Shqipni
動 詞未 来形 の 構 造 動 詞 接 続法 の多 用,そ の他,統 語 法 上
声
ze,zeri(定
の 特殊 性 の多 くを,ア ル バ ニ ア語 は他 のバ ル カ ン諸 語
冠 詞 形)za,zani
木 材
dru,druri(")
dru,druni
と共 有 し,さ らに,語 順 や 文 構 造全 体 で も共 通 す る と
月
hene
han(e)
こ ろが 多 い.こ の よ うな文 法 上 の 共 通性 は,バ ル カ ン
女 性
grua
grue
言 語 学 の 研 究 対象 とな って い る.
punoj の 分 詞
punuar
punue
か ま ど
vater
voter
言 に大 き く分
名 誉
nder
ner
かれ る.両 方 言 の境 界 は,国 の ほ ぼ 中央 を東 か ら西 に
保 つ
mbaj
maj
[方
言]
(gege)方
アル バ ニ ア 語 の方 言 は,北
言 と南 方 の トス ク(toske)方
流 れ る シュ ク ンビ(Shkumbi)川
方のゲ グ
で,そ の南 岸 一 帯 は,
両 方 言 の 移行 ・中間 地 帯 で あ る.そ れ ぞれ の方 言 は, さ らに下 位 方 言 に 区 分 さ れ る が,特 に峻 険 な地形 を も
文 法 上 の 差 異 の う ち,主 要 な も の は 次 の 通 りで あ る. 8)ゲ
つ 北部 では,方 言 間 の差 異 が 著 し く,季 節 的 移 動 や商 業 活動 が早 くか ら発 達 して い た南 部 で は,比 較 的 方 言
グ 方 言 に は,前
置 詞me,me+
(ト ス ク 方 言) dua
te
(ゲ グ 方 言)
punoj
due(du)me(me)punue
間 の 差 異 は少 ない . ユ ー ゴス ラ ヴィ ア 内 の コ ソ ヴ ォ地
(punu)
方,マ ケ ドニ ア北 部 のア ル バ ニ ア 語 は ゲ グ方 言 に属 し, マケ ドニ ア南 部,ギ
リシア,そ して16世 紀 以 降,イ タ
リアへ 移 住 した ア ルバ レ シ ュ人 の ア ル バ ニ ア語 は トス
「私 は 働 き た い 」 9)ゲ
グ 方 言 で は,kam+
ク方 言 に属 す る.現 在 の 標 準語 は,20世 紀 に な って ト
(ト ス ク 方 言) do
te
も,一 種 の コイ ネ と して 民 謡,民 話 で 用 い られ るゲ グ
言 が 用 い られ る場 合 もあ る.し か し,新 聞,ラ
ジオ,
[語 史 ・研 究 史] 1462年
は,い
した. この変 化 は,か な り古 く,10世 紀 頃 ま で に生 じ た と考 え られ てい る.ル ー マ ニア の北 部方 言 に も同 じ 現 象 が み られ るが,そ の つ なが りは 解 明 され てい ない.
語,ト ス ク方 言 に は な い i,e,a,u,yの5鼻
ア ル バ ニ ア 語 の 最 古 の 記 録 は, 古 の 印 刷 され た
の 「時祷 書 」(Meshari)で
あ る.こ
れ
ず れ も 北 の ゲ グ 方 言 に よ っ て 書 か れ た も の で,
ン文 字 に よ っ て 書 か れ て い る.15世
トス ク方 言 で は,母 音 間 の ‐n‐ は,例 外 な く ‐r‐ に転化
音 の長 短
luftue(luftu)
カ ト リ ッ ク 教 の 普 及 活 動 と 結 び つ い て い た た め,ラ
ス ク 方言 に お け る ロタ シズ ム(rhotacism)
グ方 言 に お け る鼻母 音,母
me
の 洗 礼 儀 式 に 関 す る もの で,最
文 献 は,1555年
2)ゲ
kam
「私 は 戦 う だ ろ う 」
速 に進 ん で い る.
1)ト
分 詞)
(ゲ グ 方 言)
luftoj
テ レ ビ,教 育 の 普 及 に よ り,標 準 語 へ の 統合 過 程 は 急
両方 言 の主 要 な差 異 は,次 の よ う な点 で あ る .
不 定 詞(=me+
で 構 成 さ れ る 未 来 形 が 標 準 語 の 形 に 対 応 す る.
ス ク方 言 を も とに 成 立 して い る が,北 部 の ゲ グ 方 言 に
文 語 が 成立 して お り,現 在 で も,文 学 作 品 で は ゲ グ 方
分 詞 で構 成 さ
れ る 不 定 詞 が 存 在 し,ト ス ク 方 言 の 接 続 法 に 対 応 す る.
標準 母音 が
ゲ グ方 言 に はあ り,つ ね に ア ク セ ン トを もち,長 母 音
語 の 歴 史 に つ い て は,イ 関 係 が,地
名,人
紀 前のアルバニア
リ ュ リ ア 語,ト
ラキ ア 語 との
名 を中 心 とす る資 料 に よ って 研 究 対
象 と な っ て い る . そ れ 以 後,俗
ラ テ ン 語,そ
の発展形
態 で あ る バ ル カ ン ・ロ マ ン ス 語 か ら の 借 用 語,ま 古 代 お よ び 中 世 ギ リ シ ア 語 か ら の 借 用 語,南 の 影 響 な ど が,史 15∼16世
テ
た,
スラブ語
的 考 察 の 対 象 と な る.
紀 の ア ル バ ニ ア 語 に つ い て は,ト
ル コ語 と
と して発 音 され る .ま た,母 音 に は長 短 の 区別 が あ る.
近 代 ギ リシア語 か らの 影 響 が 重 要 な 研 究 課題 とな って
3)ト
い る.南
言 のaが 4)ア
ス ク方 言 の ア ク セ ン トを もつeに は,ゲ
グ方
対 応 す る. クセ ン トの ないeの 消 失 は,ゲ グ方 言 にお い
て 一 般的 で あ る. 5)ト
ス ク方 言 のuaに,ゲ
応 す る.同 じ くye,ieに,y,iが
イ タ リア に移 住 した ア ル バ レ シ ュ人 た ち の 最
古 の 文 献 は,1559年
Rada,1814‐1903)が
グ方 言 のue,uが 対 応 す る.
対
の キ リ ス ト教 教 理 問 答 の 書 で,ア
ル バ レ シ ュ 人 の 文 学 者 と し て は デ ・ラ ダ(Jeronim
de
有 名 で あ る.
南 ア ル バ ニ ア で は,18世
紀 に,ア
の 即 興 詩 を ま ね た 詩 人 が 輩 出 し,そ
ラ ビ ア,ペ
ル シア
の 詩 は ア ラ ビア 文
字 で 書 か れ た が,ト
役 割 を 果 た し て い る.19世
紀 に 入 り,民 族 の 独 立 と 統
一 を求 め る運 動 の 発展 と平 行 して 準 語,単
一 の 文 字,正
展 し た.ト
,ア
(Andon
Zako
字 法 を確 立 す る た め の運 動 が 進
Frasheri,1846‐1900),チ Cajupi)ら
大 き い .1908年
ャユ ピ
の モ ナ ス テ ィ ル(Monastir)の
グ 方 言 と トス ク 方 言 の 両 標 準 語 が 平 行 し て 存 在 大 戦 後,ト
ク 方 言 を 基 礎 に 標 準 語 と正 字 法 を 制 定 し た.そ
会 議 で,ア
わ れ て きた . マ イ ア ー(G.Meyer),ヴ
源 研 究 に は,レ
どで
著 作 と し て は,サ
もの が あ げ ら れ る.
言 学 で は,ギ
ほ か,国
ュヴ
ュ テ リ チ(Dh.S.Shuteriqi),
ド ミ(M.Domi),方
イ ナ リ(J.Gji
(1954),Fjalor
i
giuhes
e
shqipe
れ が 唯 一 の権 威 あ るア ルバ ニ ア語 辞 典 出 し 語 は2万7千
れ ほ ど 多 くな い.し
か し,標
語.文
章 の用 例 は そ
準 語 の基 礎 を確 立 す る
役 割 を 果 た し た.
Fjalor
i gjuhesise i gjuhes
se
e RPS dhe
sotme
te Shqiperise,
i letersise
語,現
代 語 の区 別
数 形,定
冠 詞 形 な どの 文法 項
目 は 正 確 で あ る. 4)Drizari,Nelo(1957),Albanian‐English
and
Dictionary(Frederick
Un
York)
つ い 最 近 ま で 簡 単 に 入 手 で き る 唯 一 の 辞 書 で あ っ た.し
か し,な
ん と い っ て も 語 数 が 少 な く,ま
tionary(Printed
グ,ト
(1980),
shqipe(Tirane)
ア ル バ ニ ア の 言 語 学 者 の 総 力 を 結 集 し た 現 代 ア ル バ
た,
点 が 目立 つ . Dic
in Italy) 出 し 語 が2万7千
語あ
ス ク の両 文 語 に も十 分 配 慮 した 編 集 で
益.
6)Buchholz,Oda,Fiedler,Wilfried
and
Uhlish(1977),Worterbuch Verlag
Gerda
Albanisch‐deutsch
Enzyklopadie,Leipzig)
見 出 し 語 は 約3万
語.文
法 的 説 明 が 正 確 で 詳 細.と
く に 動 詞 変 化 表 が つ け ら れ て い る の が 便 利. 7)Kokona,Vedat(1977),Fjalor jisht(Shtepia
e shkencave
準 語,古
点 の 多 い 辞 書.
〓(1950),
(VEB
で あ っ た.見
言,標
University
3)
あ り,有 i gjuhes
(Tirane) 最 近 ま で,こ
Instituti
も な く,欠
り,ゲ
《ア ル バ ニ ア 語 に よ る 解 説 辞 典 》
2)Akademia
語 数 は 多 い が,方
Albanian
(Cambridge
著 者 の 自 費 出 版 ら し い が,見
書]
letersise
例 が豊 富
5)Kici,Gaspar(1976),Albanian‐English ス
あ げ ら れ る.
i shkencavet,Sekcioni
Historical
Dictionary
誤 植 そ の 他 の 誤 り が 多 く,欠
外 の ハ ン プ(E.P.Hamp),デ
ニ ツ カ ヤ(A.V.Desnickaja)が
1)Instituti
で あ る が,用
特 徴.
gar,New
ャベ イ
ス タ ラ リ(A.Kostallari),ジ
ァ ニ(A.Xhuvani),シ
i
っぱ ら トス ク方 言 を 中心 と して い る の も
English‐Albanian
ン ドフ ェ ル ト(K.Sandfeld),最
(E.Cabej),コ
訳 辞 典 と して は 最 良
(MOCKBa)
クメ ジ
ア ル バ ニ ア の 代 表 的 な 言 語 学 者 と し て は,チ
Orientale,
出 し 語 は2万6千
語 数 は 多 くな い が,複
ル カ ン言 語 学 上 の
ゾ ル タ(G.R.Solta)の
nari)の
書
ク ル(N.Jokl),ス
ど が 寄 与 し た.バ
l'Europa
で あ る.も
Press,Cambridge)
法 書,辞
Albanese
per
の も の.見
ルバニ
ン(S.E.Mann),ペ
(G.Pekmezi)な
(Istituto
English
オ ッ テ ィ(A.Leotti),
ラ ン ベ ル ツ(M.Lambertz),ヨ コ ク(P.Skok),マ
り簡 略 化 し た ハ ン デ ィ な
現 在 で は 入 手 困 難 で あ る が,対
ァイ ガ ン ト
ル バ ニ ア 語 の 入 門 書,文
な ど の 編 集,語
(1984),
出 し 語 は 約3万4千.
欧比較
デ ル セ ン(H.Pedersen)な
te Shqiperise,
i letersise
se sotme(Tirane)
2)Mann,S.E.(1948),A
ア 語 の 研 究 は 主 と して ドイ ツ 語 圏 の 学 者 に よ っ て 行 な
あ る . そ の 後,ア
i shqipes
Italiano
れ に 基 づ く正 字 法 も,
ル カ ン地 域 研 究 な ど の 関 心 か ら,ア
(G.Weigand),ペ
e RPS dhe
Rome)
代 に 確 定 さ れ て い る.
言 語 学,バ
段 階 にお け る最 良 の
1)Leotti,Angelo(1937),Dizionario
の 後,
紀 の は じ め に か け て は,印
法項
《対 訳 辞 典― 年 代 順 》
ル バ ニ ア の標 準 語 を受 け入 れ る こ とを決 定
19世 紀 か ら20世
e shkencave i gjuhesise
辞 典.見
の プ リ シ ュ テ ィ ナ(Prishtine)の
し,単 一 の 標 準 語 が 成 立 し た.そ
[辞
Fjalor
ス
ゲ グ標 準 語 を用 い て い た ユ ー ゴス ラ ヴィ ア 内 の アル バ ニ ア 人 も,1968年
例 も 豊 富 で,現
2の 説 明 お よ び 用 例 を,よ
会議で 大戦まで
し て い た . ア ル バ ニ ア の 政 府 は,第2次
近では
3)Akademia Instituti
の 文 学 者 の 果 た した 役 割 は
ア ル フ ァ ベ ッ トの 統 一 は 実 現 し た が,第2次
1970年
目 も詳 し く,用
出 し語 は 約4万1千.文
辞 典 で あ る.
ル バ ニ ア語 の標
ス ク 方 言 を 基 礎 と す る 標 準 語 の 成 立 に は,
フ ラ シ ャ リ(Naim
は,ゲ
ニ ア 標 準 語 の 辞 典.見
ス ク方 言 の コ イ ネ 成 立 上 に大 き な
botuese《8
見 出 し 語,約2万5千 8)Duro,Ilo
shqip‐freng
and
Nentori》,Tirane)
の 辞 典. Ramazan
Hysa(1981),Fjalor
Shqipanglisht(Albanian‐English (Shtepia
botuese《8
Nentori》,Tirane)
Dictionary)
ア ル バ ニ ア で 出 版
さ れ た 辞 書 で,見
名 詞 の 定 冠 詞 形,複
数 形 な ど,文
く,ま
た,正
確 .5よ
A.B.(1968),
出 し 語 約2万, 法 に つ い て も詳 し
り 語 数 は 少 な い が,信
頼 度 は
(1982),
よ り高 い と い え る . 9)直
野 敦 編(1986),『
(大 学 書 林,東
ア ル バ ニ ア 語 基 礎1,500語
[追
京)
見 出 し 語,約1,800の 法 要 項 が 付
小 辞 典 . 簡 単 な ア ル バ ニ ア 文
a shkencave
Instituti
i
e
gjuhesise
RPS
dhe
drejtshkrimor
i
te
Shqiperise
letersise
nische
,
Leipzig)
(1976)
A
は,参
Wilfried
学 書 林,東
Fiedler(1986)
Grammatik(VEB
Verlag
,Alba
ギ リ シ ア,ア ニ ア),ブ
一 の 語 源 辞 典 で あ っ た.現
,
敦)
ル ー マ ニ ア aromana,
英 Macedo‐rumanian
Sprache(Strassburg;
考 文 献Cabej,Huldな
京)
Enzyklopadie
(直 野
Worter
lbanesischen
い 間,唯
ル バ ニ ア 語 入 門(大 und
ア ・ル ー マ ニ ア 語
reprint,Leipzig,1982) 古 い が,長
考 文 献)
i gjuhes shqipe(Tirane)
11)Meyer,Gustav(1891),Etymologisches der
記](参
敦(1989),ア
,
現 代 ア ル バ ニ ア 語 の 理 解 に 必 要 な 正 書 法 辞 典.
buck
直野
Buchholz,Oda
さ れ て い る.
10)Akademia
Fjalori
』
在 で
ど の よ り新 し い 研 究
が あ る.
ニ ア 語 の1種
ー ゴ ス ラ ビ ア(現
マケ ド
. マ ケ ド・ル ‐ マ ニ ア 語 と も い う. ル ー マ
ニ ア で 話 さ れ て い る,い は,ダ
[参 考 文 献]
ル バ ニ ア,ユ
ル ガ リアの 所 ど こ ろ で話 され て い るル ー マ
わ ゆ る ル ー マ ニ ア 語(正
コ ・ル ー マ ニ ア 語)と
確に
姉 妹 関 係 に あ る.9∼10
世 紀 に,ド ナ ウ 川 近 く の ル ー マ ニ ア 人 の 移 住 に 伴 い,ダ
Bevington,Gary
Loyd(1974)
nology(Otto
,Albanian
コ ・ル ー マ ニ ア 語 か ら 分 か れ た と い う 説 が あ る が,ダ
Pho
Harrassowitz,Wiesbaden)
コ ・ル ー マ ニ ア 語 と 共 通 の 祖 語 で あ る 共 通 ル ー マ ニ ア
Camaj,Martin(1969),Lehrbuch Sprache(Otto
der
albanischen
語 か ら発 展 し た 姉 妹 言 語 と み る 方 が 確 か で あ ろ う . 古
Harrassowitz,Wiesbaden)
―(1984),Albanian
い 形 を 残 し て い る の で,ダ
Grammar
(Otto
Harrassowitz,Wiesbaden)
人,ユ
Cabej,Eqrem(1986),Studime
‐Ⅱ
Dhrimo,A.,Angoni,E.,Hysa,E.,Lafe,E
.,
Likaj,E.,Agalliu,F.and Gramatika
a
Sh.Demiraj(1985) gjuhes
se
(morfologjia)(Enti mesimore
mente
ル バ ニ ア1万5千 einer
sotme
i teksteve
i Krahines
,
letrare dhe
socialiste
shqipe
い る が,そ
リ シ ア 内15万
人,ブ
ル ガ リ ア3万5
人(H.Haarmann,Ele
Soziologie
Europas,Band
(Rilindja,Prishtine)
者 数 は,ギ
ー ゴ ス ラ ビ ア 内5万5千
千 人,ア
gjuhesore.Stu
dime etimologjike ne fushe te shqupes Ⅰ
コ ・ル ー マ ニ ア 語 の 歴 史 的
研 究 に と っ て 貴 重 で あ る.話
der
Kleinen
Sprachen
1,Hamburg,1981)と
み られ て
れ ぞ れ 別 の 公 用 語 を使 用 して い る 国 の少 数
民 族 で あ る の で,減
少 の 傾 向 に あ る.
[音 韻 体 系] 1)母
i mjeteve
autonome
te
音
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 と 同 じ く,7つ
母 音 か ら な っ て い る.体
の
系 は,
Kosoves,Prishtine) Huld,Martin
E.(1984),Basic
mologies(Slavica
Albanian
Publishers,Los
Ety
Angeles)
Lambertz,Maximilian(1959),Lehrgang
nischen Halle
der
Sprache(VEB
Max
i は,ア
Alba
Niemeyer
Verlag
,
Newmark,Leonard,Hubbard
,Philip
Prifti(1982),Standard for
Albanian
.A
students(Stanford
and
Peter
Reference University
shkollor (Tirane,1978)
A.Toma, I,Shtepia
(Tirane,1975);Gjuha
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 に な い 音 と し て,
/〓/[〓]に
対 す る有 声 音/〓/[〓]が
/〓//〓/の
摩 擦 音/〓//〓//〓/が,ギ
あ る.ま
botuese
e shqipe
た,/〓/
リ シア語 の 影
コ ・ル ー マ ニ ア 語 よ り 古 い 形 が 多 い が,中
Radovicka,L.,Karapici,Z,and shqipe
音
響 を 受 け て い る 方 言 で 使 わ れ て い る.音
Press,Stanford,California)
Gjuha
ル バ ニ ア に 住 む フ ァ ル シ ェ ロ ッ ト(farserot)
と よば れ る人 々 の言 語 に は現 わ れ ない . 2)子
(Saale))
Grammar
と い う 三 角 形 で 表 わ す こ とが で き る.中 舌 母 音 の う ち,
des
Albanischen Ⅲ―Grammatik
韻 面 で は,ダ に は 新 しい
変 化 に よ っ て 生 じ た も の も あ る . ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 (略dr.)と
librit 2
の 比 較 と い う 形 で,い
す. a)唇
音 の 後 のeの
保 存.
くつ か の 例 を 下 に 示
dr.par「 b)語
梨 」,mar「
末 のu,iの
リ ン ゴ 」/per,mer
主 ・対 格 dr.cap「
頭 」,vad「
い 」(男
見 る 」(1単3複),alb「
iの
単),albi「
白 い 」(男
dr.iepure「
複)/capu,vedu,
属 ・与 格
保 存(dr.で
3)代
兎 」/l'epuru<lat.leporem
よ び 二,三
の 子 音 の 前 のaの
‐l'ei
‐lor
兄 弟 」(複 数)/fratil'i
・ル ー マ ニ ア 語 で は 使 用 さ れ る.
使 用 さ れ,尊
い う3人
4)動
ひ げ 」(単,複)/barbi,
barghi<lat.barba(複
コ ・ル ー マ
は 発 音 さ れ な い.
コ ・ル ー マ ニ ア 語 と比 べ,古 方,新
い形
し く変 化 し た と 考 え ら れ る
も の も あ る.
数 は 男 性 形 に な っ た)
くつ か が ダ コ
詞 で は,ダ
を 残 し て い る が,一
狼 」(複)/luk'<lat.lupi
dr.barba,barbi「
た,elu,ea,
称 の 人 称 代 名 詞 は,ダ
ニ ア 語 の よ う に,eが[je]と
胸 」/k'eptu<lat.pectus
当
称語 と して で な く
称 語 に 当 た る も の が な い.ま
el',ealeと
擦 音 の い
私 は 歌 う」/minecintu
た るnisu,nisa,nisi,niseが,尊
賞 め る 」(inf.)/alavdu<lat.lau
音 の 口 蓋 化.
dr.lupi「
称 代 名 詞 の 強 形mine,tineが,
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 の 尊 称 代 名 詞dinsul,dinsaに
川 」/ariu<lat.rivus
dr.piept「
家 」(属 格)/casel'ei
dr.eucint「
出 現.
dare
・ル ー マ ニ ア 語
と異 な
る.
a)複
合 過 去 の 助 動 詞aaveaの
じ形 を と り,ま
た,過
活 用 が 本 動 詞 と同
去 分 詞 がaを
伴 って 開 音 節 と
な る. dr.am,ai,a,am,ati,au+cintat「
dr.[〓]/[] 例)dr.cer「
た だ し,io,iuの
au+cintata
夕 食 」/tina
dr.ginere「
む
b)大
こ 」/dinire
歌 う 」(大
過 去)/
aveamu,aveai,avea,aveamu,aveati,
dr.zic「
言 う 」(1単)/dicu<lat.dicere
dr.zeama「 dr.joc「
avea+cintata
汁 」/dama<gr.zema
c)半
遊 び 」/gocu<lat.jocum
dr.june「
詞,形
合 形 で あ る.
cintaserati,cintasera「
男 の 子 」/ficoru<lat.fetiorus
dr.[〓]/[〓]
態]
過 去 は,複
dr.cintasem,cintasesi,cintase,cintaseram,
前 で は[〓].
dr.fecior「
歌 う」
(複 合 過 去)/amu,ai,are,avemu,aveti,
空 」/teru
dr.cina,「
若 者 」/gone<lat.juvenis
[語
詞 は,性,数,格
等,ダ
家 」(女
コ ・
単,複)/casi,casi
dr.sora,surori「
姉 妹 」(女 単,複)/sori,surari 男 の 子 」(男
単,複)/ficoru,
ficiori
彙]
水 」/apa
dr.cap「
頭 」/capu
dr.gura「
口 」/guri
dr.mina「
手 」/mini
単,複)/lupu,luki
dr.munte「
dr.sac,saci「
袋 」(男
単,複)/saku,sati
dr.vatam「
場 所 」(中 単,複)/loku,lokuri
dr.alb「
し る し 」(中 単,複)/semn,
・
れぞれの
山 」/munti 傷 つ け る 」(1単)/vatamu 白 い 」/albu「
ま た,dr.brinza「
seamni
冠 詞 は,ダ
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 と 共 通 の も の,ア
dr.apa「
狼 」(男
dr.semn,semne「
称 単,複)
ル ー マ ニ ア 語 だ け に保 存 され て い る も の,そ
dr.lup,lupi「
dr.loc,locuri「
形 で あ る.
歌 う」(半 過 去3人
言 語 で 別 の 意 味 を 表 わ す も の が あ る.
dr.casa,case「
dr.fecior,feciori「
称 単 複 が,同
/cinta
次 の よ う な 特 徴 が あ る. 容 詞,冠
過 去 の3人
dr.cfnta,cintau「
ル ー マ ニ ア 語 と 同 じ よ う な 構 造 で あ る .
2)定
‐lor
‐lui
名 詞 で は,人
対 し,ア
悪 い 」/arau<lat.reus
dr.lauda「
1)名
‐a ‐le
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 で は 主 格 と し て 使 用 さ れ な い の に
疥 癬 」/arin'e<lat.aranea
dr.rau「
[形
‐l'i
dr.fratii「
は 消 失 し て
亜 麻 」/l'inu<lat.linum
dr.riie「
f)破
‐lu
dr.casei「
dr.riu「
複数
た と え ば, 前 のi',n'の
dr.in「
e)唇
単 数
(ま た はle)
み).
d)r,お
複 数
白
albu,alghi c)e,iの
単 数
保 存 .
白 い 」,ま
「殺 す 」
た,「 幸 福 な 」
チ ー ズ 」 の よ う に,ア
ルバニア語
と共 通 の 単 語 が ア ・ル ー マ ニ ア 語 に も み ら れ,dr.baba コ ・ル ー マ ニ ア 語 と同 じ く後 置 し,
構 造 も 同 じ で あ る.
「老 婆 」,nevasta「
女 房 」 の よ う に,ス
ラブの古い単
語 も 両 ル ー マ ニ ア 語 に 入 っ て い る. (男
性)
(女
性)
[文
献]
テ キ ス トは,18世
紀 初 頭 に初 め て現 わ
れ た.ギ
リ シ ア 文 字 で 書 か れ た も の と,ラ
書 か れ た も の が あ る.18世
テ ン文 字 で
紀 の 末 に 出 た カ バ リオ テ ィ
(Th.Cavallioti)の"Protopiria"や,モ
ス コ ポ レア
ー ヌ(D.Moscopoleanul)の"Invatatura ducatoare"は,テ
キ ス トそ の も の よ り,巻
表 に 価 値 が あ る . 前 者 は,ア ア 語,ア
Intro
ル バ ニ ア 語,後
末の語彙
・ル ー マ ニ ア 語,ギ
者 は,そ
の3言
語 の ほ か,ブ
ル ガ リ ア 語 も対 照 さ れ て 示 され て い る.1850年 1940年
リシ
頃か ら
に か け て 文 学 作 品 な ど も 現 わ れ た が,大
な い.ま
た,一
部 の 人 は,ダ
方 言 で あ る フ ラ ン シ ア ン 方 言(francien)を う と い う 意 図 が 顕 著 だ っ た の で,こ ぶ の は,こ
の 時 期 ま で に 関 し て は 適 当 で は な く,あ
ま で も,大
陸 の,ノ
フ ラ ン ス 語(オ
ル マ ン 方 言(お
コ ・ル ー マ ニ ア 語 で 書 い
1)俗
書]
aroman
dialec
general si
etimologic(Bucu
ラ テ ン 語 の ア ク セ ン ト の あ る 音 節 末 の[〓],
[〓]は,フ
Th.(1932),
Aromanii.
Dialectul
M.(1968),
Fono‐morfolo
aro
(Bucuresti)
な る が,ア
ング
ら に 単 母 音 化 し て[e]
照]
ル ー マ ニ ア語
Marioteanu,Matilda(1997),Dictionar Aro
に 出 版 さ れ た の は,A‐Dの
記 述 が あ り,ア
史,地
項である
理 的 分布 等 の
・ル ー マ ニ ア 語 に つ い て の す べ て と
い っ て も過 言 で は な い .
[〓]>veeir
[〓]>veoir[〓]「
見 る 」(ア
ル マ ン 方 言 で は,vedeirの
段 階 の ま ま)
3)俗
ラ テ ン語 の 母 音 間 の[〓]は,フ
言 で は,摩
和 子)
ン グ ロ ・ノ
ラ ン シ ア ン方
擦 音 化 し て[〓 ] と な っ た 後 に 脱 落 し た
が,2のvedeirの
例 を み て も分 か る よ う に,ア の 子音 が保 持 され
る 傾 向 に あ っ た. 4)古
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン 語 仏 anglo‐normand ア ン グ ロ ・フ ラ ン ス 語(Anglo‐French)と
も い う.
ル マ ンデ ィー地 方 で 話 さ
フ ラ ン ス 語 の 名 詞 が も つ 特 徴 で あ る,主
(cas‐sujet)と 別 は,ア
非 主 格(cas‐regime)の
格
形 態論的区
ン グ ロ ・ノ ル マ ン 方 言 で も,お
おむね保
れ て い た ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言(normand)が,1066年
た れ て い た が,同
の ノ ル マ ン デ ィ ー 公 ウ ィ リア ム の イ ギ リ ス 征 服 に よ っ
す る と,両
者 が 混 同 さ れ る 傾 向 が 強 か っ た.こ
て,イ
こ と は,格
の 形 態 論 的 区 別 が,ア
ギ リス の 支 配 階 級 の 言 語 と な り,イ
用 さ れ る よ う に な っ た 結 果,フ
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン語 は,イ 学 な ど で 使 用 さ れ,『 Roland),ト (Tristan de
et Iseut),マ
France)の
紀 頃 ま で は,
ギ リ ス の 宮 廷,法
ロ ラ ン の 歌 』(La
マ(Thomas)の
ギ リス で使
ラ ンス 本土 の 諸 方 言 と
は 異 な る 独 自 の 発 達 を と げ た 言 語.13世
廷,大
Chanson
de
リ ー ・ ド ・ フ ラ ン ス(Marie ど の す ぐれ た 文 学 作 品
の 言 語 で も あ っ た.
ン 方 言 と そ れ ほ ど大 き な 差 異 は な く,し 語 の 話 者 た ち は,パ
陸 の ノル マ か も,こ
の言
リ を 中 心 とす る 地 域 の フ ラ ン ス 語
の
ン グ ロ ・ノ ル マ
で に 消 滅 しつ つ あ った こ と
を 示 唆 して い る. 紀 に な る と,フ
る こ と,お
よ び,そ
た 英 語 が,支
ラ ン ス 本 土 と地 理 的 に 離 れ て い
れ ま で もっ ぱ ら民 衆 の言 語 で あ っ
配 階 級 の 間 で も,ふ
た た び使 用 され る よ
う に な っ て き た こ と が 原 因 で,ア
ン グ ロ ・ノ ル マ ン 方
言 は,フ
ラ ン ス 本 土 の 諸 方 言 と異 な っ た 特 徴 を 示 す よ
う に な る.そ
こ の 時 期 の ア ング ロ ・ノ ル マ ン 語 は,大
時 期 の フ ラ ン シア ン方 言 と比 較
ン 方 言 に お い て は,す
13世
『ト リ ス タ ン と イ ズ ー 』
物 語 詩(lais)な
な
ング ロ・
ま ま に と ど ま っ た.
ン グ ロ ・ ノ ル マ ン 方 言 で は,こ (倍 賞
古 フ ラ ン ス 語 の 方 言 で,ノ
重 母 音 化 し て[〓]と
と 変 化 す る が,ア
ノ ル マ ン 方 言 で は,[〓]の
ー マ ニ ア 言 語 学 者 で あ り,
・ル ー マ ニ ア 語 の 特 徴,歴
ら に[〓]へ
vedere[〓]>vedeir
Enciclopedica,Bu
ア ・ル ー マ ニ ア 人 で あ る 著 者 に よ る こ の 辞 書 が 出 版 さ れ た.1997年
ラ テ ン 語 の ア ク セ ン トの あ る 音 節 末 の[〓]は,
っ た あ と,さ
に,ル
段 階 の ま ま)
フ ラ ン シ ア ン 方 言 で は,二
man(Macedo‐Vlah)(Editura curesti)―1997年
騎 士 」(フ ラ ン シ
ア ン 方 言 は,chevalierの
記] (参 考 文 献)
が,ア
重 母 音 化 し て[〓]と
caballariu(m)[〓]>chevalier[〓
2)俗
Aromana
Caragiu
ら変 化 した
ラ ン シア ン方言 を 代 表 とす る 古 フ ラ ン
]>chevaler[〓]「
Caragiu‐Marioteanu,
[参
フ ラ ンス語 の初 期 に お いて 俗 ラ テ ン
と な っ た.
man(Bucuresti)
[追
特 徴 とし
の よ うな点 が あ げ られ る.
ロ ・ノ ル マ ン 方 言 で は,さ
[参 考 文 献]
gie
で
紀 ま で の ア ン グ ロ ・ノ
よ び ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言)の
ス 語 で は,二
resti)
Capidan,
方 言 の1つ
語 の ア ク セ ン トの あ る 音 節 末 の[〓]か
Papahagi,T.(1909,1962),Dictionarul tului
イ ル 語)の
あ る と見 な し た 方 が よ い.13世
て は,次
く
カ ル デ ィー
ャ ンパ ー ニ ュ 方 言(champenois)な
ど と並 ぶ,古
あ る い は,古
[辞
ル マ ン デ ィ ー 方 言,ピ
方 言(picard),シ
作は
た.
模倣 し よ
れ を 「言 語 」 と よ
れ ま で も,ノ
お い て は,[〓]の し て,[〓
〕[〓]に
ル マ ンデ ィー 方 言 の 一 部 に
前 の 軟 口蓋 閉 鎖 音[〓][〓]が,口 な らず,閉
蓋化
鎖音のま まにとどまる と
い う 特 徴 が あ っ た の に 対 し て,ア
ン グ ロ ・ノ ル マ ン 方
言 で は,フ ラ ン シア ン方 言 と同 様 に 口蓋 化 す る とい う
で,そ
点 で,ノ ル マ ンデ ィ ー方 言 とア ング ロ ・ノル マ ン方 言
ロ ・ノ ル マ ン 語 を 第1言
れ ぞ れ 約1万
人,サ
ー ク 島 で550人
は異 な って い た の で あ るが,こ の 時 期 に は,さ ら に,
以 外 に も,数
万 人 が 第2言
次 の よ うな特 徴 が ア ング ロ ・ノル マ ン方 言 にみ られ る
島 ご と に,そ
れ ぞ れ,ジ
よ う にな っ て い た.
sey
1)語
末 の[〓]は,フ
ラ ン シア ン方 言 で は,17世
の後 半 にな って脱 落 す るが,ア
紀
ング ロ ・ノ ル マ ン
方 言 で は,す で に,こ の頃 に は脱 落 して い た. sire[〓]>sir[〓]「 2)俗
す るガ ロ ・ロマ ンス 語 にお い て は,一 般 に,[y] に変化 し たが,こ の 音 声 は,英 語 の話 者 が 一 般 に 習 得 す る とこ ろ とは な らず,[u]と
発 音 され る よ
う にな った.こ の こ とは,ア ング ロ ・ノ ル マ ン方
とい う綴 りを与 え られ て い る こ とか ら も実 証 さ れ
前 か ら消滅 しつ つ あ っ た名 詞 の2格 体 系 は,
フ ラ ン シア ン方 言 よ りも早 く消 滅 した. 4)動
French)な
き,dire「 言 う」の 代 わ りに,よ り規 則 的 なdiser が 使 用 され る な どの 例 が み られ た.
百 年 に わ た る 英 語 と の 接 触 で,chance「 力 」,pay「
な 」,very「
機
支 払 う」,strange「
非 常 に 」 な ど,お
奇妙
び た だ しい数 の語 彙 を
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン語 が 英 語 に 与 え た こ と は よ く知 ら れ て お り,英
語 の 語 彙 の 半 数 近 く は,ア
ング ロ ・ノル
マ ン語 起 源 で あ る. [辞
書]
Maistre,F.(1966),Dictionnaire francais(Don
jersiais
Balleine,Jersey) C.W.(1960),
A
glossary
of Jersey
French(Blackwell,Oxford)
Elcock,W.D.(1975),The (Faber
and
Romance
大 陸 の フ ラ ンス語 とは異 な っ た,こ の よ うな 変 化 を
Du
示 した ア ング ロ ・ノ ル マ ン方言 は,大 陸 の フ ラ ンス 語
Press
の 話 者 に とって,理 解不 可 能 とい う状 態 で はな か った
don)
自の 変化 の 方 向 が 出て き てい る とい う
点 で,独 立 した 「ア ング ロ ・ノル マ ン語 」 とい う言 語 と して の地 位 を獲 得 しは じめ た と言 っ て もよ い.し か
latin
a
of
de
l'ancien
R.Posner
1340年 に は,オ ッ クス フ ォー ド大 学 で,学 生 は会 話 に
Romance
langue:
francais(University York/Lon
parler
bas‐normand
de
Guernsey(Klincksieck,Paris)
Viatte,A.(1982),"French
し,14世 紀 以 後 は,こ の 言 語 の使 用 は さ らに衰 退 し,
la
America,Lanham/New
Sjorgen,A.(1964),Le l'ile de
languages
Faber,London)
Machonis,P.A.(1990),Histoire
and
outside
(Mouton,The
な い とい う布 告 が 出 され るほ ど に ま で な った.こ
の
[参
後,百 年戦 争(1339∼1453)の
に
France",in
J.N.Green(eds.),Trends.in
Linguistics
お いて は フ ラ ンス 語 か ラ テ ン語 を使 用 しな け れ ば な ら
時 代 とな り,1399年
ど
[参 考 文 献]
詞形 態 に お い て,類 推 の 作 用 が 強 くは た ら
で あ ろ うが,独
語 と し て 使 用 し て い る. ャ ー ジ ー 島 フ ラ ン ス 語(Jer
ー ク 島 フ ラ ン ス 語(Sark
Spence,Nicol
る. 3)以
れ
と よ ば れ る,
Le
固 い 」 がdour
ング
ー ン ジ ー 島 フ ラ ン ス 語(Guernsey
会 」,power「
ル マ ンデ ィー 方 言 の属
言 の文 献 に お いて,dur[〓]「
French),サ
ま た,数
領主」
ラテ ン語 の[〓]は,ノ
French),ガ
が,ア
語 と し て 使 用 し て お り,そ
and
Philology,Vol.3
Hague/Paris/New
照]
York)
フ ラ ン ス語 (町 田
健)
は,ウ ィ リア ム の イギ リス 征 服 以 来 初 め て の,英 語 を 母 語 とす る王 で あ るヘ ン リー4世 が 即 位 して,宮 廷 で
い
も,ア ング ロ ・ノル マ ン語 は使 用 され な くな っ た.こ う して,大 陸 とは離 れ た イ ギ リス とい う場所 で使 用 さ れ たが ゆ え に,言 語 的 に は独 立 した 位 置 を占 め る に至 っ た この フラ ン ス語 の1方 言 は,ま さ に同 じ理 由 に よ っ て,消 滅 へ の道 を た ど る こ と にな った.15世 紀 頃 に
イ ス ト ロ ・ル ‐ マ ニ ア 語 ル ー マ ニ ア
istroromana,
英 Istro‐rumanian イ タ リ ア 半 島 の つ け ね に あ た る イ ス ト リ ア(Istria,
は,日 常 的 に使 用 され る こ と は ほ と ん ど な くな った
ま た はIstra)半
が,法 律 用語 と して は,1731年
和 国 内)で 話 され て い る ル ー マ ニ ア 語 の1種.ル
まで 使 用 され 続 け た.
もっ と も,ア ング ロ ・ノル マ ン語 が 完 全 に死 語 とな
島(ユ
ー ゴ ス ラ ビア の ク ロア チ ア 共
ア 社 会 主 義 共 和 国 で 話 され て い る,い
ーマニ
わ ゆ るル ー マ ニ
っ たわ けで は な く,イ ギ リス 本 土 か ら離 れ た 海 峡 諸 島
ア 語,つ ま り ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 とは 姉 妹 関 係 に あ る.
(チ ャ ンネ ル 諸 島Channel
1950年
Islands)で
は,今 世 紀 の
頃 の 調 査 で,す
初 め まで は,か な り使 用 され て い た よう で あ る.現 在
と い わ れ て い た.ハ
で は,こ の諸 島 の都 市部 で は,英 語 に とって 代 わ られ
Elemente
た もの の,農 村 部 で は,ジ ャ ー ジー島 とガー ン ジー 島
Europas,Band
einer
で に1,500人
の話 者 しか い ない
ー ル マ ン(H.Haarmann)の
Soziologie
der
1(Hamburg,1981)の
Kleinen
Sprachen 資 料 で は,
1,200人
と な っ て い る.
言 語 の 特 徴 と し て は,セ 影 響 を 受 け,イ
ル ビ ア 語,ク
ロア チ ア 語 の
ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語 と同 様,ダ
コ ・
に,マ
ル タ共 和 国 に おい て 文 化 語 と して 用 い られ て い
る.一
方,旧 イ タ リ ア 領 ア フ リカ 植 民 地 の エ チ オ ピ ア,
ソ マ リア,リ
ビア に イ タ リア語 は 根づ く こ とが な か っ
ル ー マ ニ ア 語 と は 姉 妹 関 係 に あ る ア ・ル ー マ ニ ア 語 や
た が,エ
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 と 比 較 し て,古
こ と が 注 目 さ れ る(→
く,こ
の 言 語 で 発 達 し た 新 し い 要 素 が 多 くな っ て い る
こ と が あ げ ら れ る . 文 法 構 造 は,ラ い る が,単
純 化 し て い る.そ
ア 語(略dr.)と 1)二
の 違 い と し て,次
の 例 が あ げ ら れ る.
対 応 し て い る.
消 失 して い る.
示 す 」(inf.)/rata
音 と半 母 音 の 間 にlが
末 のlが
dr.cal「
dr.el「 5)動
人,南 190万
が 単 純 化 さ れ,接
続 法 や 単 純過
istroromane,
l'an
修,Un
2000(L'Harmattan/ につ い て タ リア語 が公 用 語 に な
ち,北
の他 の 国 にお
ア メ リカ 諸 国1,874,000
ー ス ト ラ リ ア53万
ー ロ ッパ 諸 国 人),計62,714,500人
タ リア語 は数 多 くの方 言 を擁 し
ル デ ー ニ ャ 島 に 残 る サ ル デ ー ニ ャ 語(サ
ル ジ ニ ア 語)は,イ
タ リ ア 語 諸 方 言 の1つ
と して で は
マ ンス 諸 語 に属 す る別 個 の 言 語 として 扱 わ れ た,ド
デ ィ ン語,イ
ロ ミテ ィ ・ア ル プ ス 山 中 で 行 な わ れ る ラ タ リア 北 東 部 の 都 市 ウ デ ィ ネ(Udine)
を 中 心 に 広 が る フ リ ウ リ語 も,イ タ リア 語 で は な く て,
Coteanu,I.(1957),Cum
dispare
o
レ ト ・ロ マ ン 語 の 一 員 と し て 分 類 さ れ る こ と が 多 い.
limba(is
イ タ リ ア 国 内 で 話 さ れ て い る,イ
troromana)(Bucuresti) (倍 賞
と して は,そ
和 子)
の ほ か に,国
タ リア 語 以外 の 言語
境 地 域 を 中 心 に分布 して い
る フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語(半
イ ス パ ニ ア語 → ス ペ イ ン語
Puglia州
に も,14世
あ る),オ
伊italiano,英Italian,独Italienisch,
ッ ク 語,ド
ら に,半
仏italien ロ マ ン ス 諸 語 の1つ.他
の ロ マ ン ス 諸 語 同 様,そ
の
イ タ リア 語(い
わ ゆ る 標 準 語 の ほ か,各 タ リ ア 共 和 国(人
種 の方 言 を
口,約5,700万
ー ロ ッ パ で は,サ
人)
イ ス の テ ィ チ ノ(Ticino)州
全域お よ の 一 部,コ
ル
ユ ー ゴ ス ラ ビ ア の イ ス ト ラ(Istra)半
岸 で 用 い ら れ て い る ほ か,フ ル ギ ー な ど に,そ
ラ ン ス,西
イ ツ 語,ス
ロ ベ ニ ア 語 が あ り,さ
島 南 部 か ら シチ リア にか け て 散 在 して い るア
ル バ ニ ア 語(15世
島沿
ドイ ツ,ス
シ ア 語(古
紀 以 降,バ
ル カ ン半 島 か らの 移 民 に
イ
れ ら の 国 に 帰 化 な い し居 住 し
域 に残 る ギ リ
代 の ギ リ シ ア 植 民 市 時 代 ま で 遡 る も の か,
そ れ と も 中 世 の ビ ザ ンチ ン 帝 国 支 配 期 に 移 植 さ れ た も の か,議
ン ・マ リ ノ 共 和 国,バ
び グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン(Graubunden)州
島 南 部 の プ ー リア
紀 末 の移 民 に遡 る言 語 的 離 島 が
よ っ て 移 植 さ れ た),半 島 最 南 端 部 の2地
源 は 古 代 ロ ー マ 人 の 用 い た ラ テ ン語 に 遡 る.
ス,ベ
en
ア メ リカ 諸 国1,639,000人,ヨ 人,オ
な く,ロ
2Vols.(Bucuresti?)
チ カ ン市 国,ス
言語 併 用 者 も
シ ヨ ン(Ph.Rossillon)監
de Latins
て い る が,サ
Puscariu,S.(1925‐26),Studii
を は じ め,ヨ
タ リ
人 を 含 め,約64万
Latine,Paris,1983)が,1980年
る.ま
も含 む)は,イ
チ カ ン市 ち,イ
公 用 語 と し て 用 い ら れ て い る.
後 述 す る よ う に,イ
・男 ・単)/ie
[参 考 文 献]
シ カ 島,旧
国 人 居 住 者 約42万
人,う
と な っ て い る.
陽 気 な 」/vese
過 去 は 消 失 し て い る.
イ タ リ ア 語
人),バ
イ ス連 邦(約640万
い て5,943,000人(う
消 失 し て い る.
詞 の 時 制,法
タ リア共 和 国 の ほ
口,約2万
っ て い る 国 に お い て56,771,500人,そ
失 う」(inf.)/pl'erde
彼 は 」(代
タ リア 語 は,イ
掲 げ て い る 統 計 表 に よ れ ば,イ
挿 入 さ れ る.
馬 」(単)/ca
dr.vesel「
ア 語 人 口 は,外
Union
鉄 」/fl'er
dr.pierde「
人),ス
milliard
dr.arata「
4)語
国(約1千
含 め る)の 数 は,ロ
見 つ け る 」(inf.)/fla
dr.fier「
お,イ
ン ・マ リ ノ 共 和 国(人
人)で
星 」/ste
頭 のaが
タ リ ア 語),な か,サ
『大 辞 典 』 エ チ オ ピ ア ・ピ ジ ン ・イ
全 世 界 に お け る イ タ リア 語 使 用 者(二
dr.afla「
3)唇
コ ・ル ー マ ニ
晩 」/sere
dr.stea「 2)語
テ ン語 を 踏 襲 し て
の ほ か,ダ
重 母 音eaがeで
dr.seara「
去,大
い要素が少な
チ オ ピア で イ タ リア語 系 ピ ジ ンの 生成 をみ た
論 が 分 か れ る),半
島 南 部 モ リ ー ゼ(Molise)
州 の セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語(15世 を 逃 れ て き た 移 民 に よ っ て 移 植),サ ア ル ゲ ロ(Alghero)市 ャ 語(カ 移 植),さ
ル コ支 配
ル デ ー ニ ャ島 の
に行 な わ れ て い るカ タ ル ー ニ
タ ロ ニ ア 語,14世 ら に は,イ
紀 に,ト
紀 の ア ラ ゴ ン王 朝支 配 期 に
タ リア 各 地 に 散 ら ば る ジ プ シ ー
て い る イ タ リ ア 語 話 者 が い る . ヨ ー ロ ッ パ 以 外 で は,
の 言語 が あ る. これ らイ タ リア 国 内 にお け る非 イ タ リ
ア メ リ カ 合 衆 国,カ
ア 語 使 用 者 の 総 数 は250万
ナ ダ,ア
ル ゼ ン チ ン,ブ
ラ ジ ル,
オ ー ス トラ リ ア な ど に 渡 っ た イ タ リ ア 人 移 民 の 間 で も
る . な お,フ
イ タ リア語 が 受 け 継 が れ て い る . イ タ リア 語 は さ ら
ァ ッ レ ・ダ オ ス タ(Valle
人 を 上 回 る と推 定 さ れ て い
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 話 者 の い る ヴ d'Aosta)州
で は フ ラ ンス
語 が,ド
イ ツ 語 系 住 民 の 数 が イ タ リア 語 系 住 民 の 数 を
上 回 る ア ル ト ・ア デ ィ ジ ェ(Alto ツ ァ ー ノBolzano県)で
Adige)地
方(ボ
は ドイ ツ 語 が,そ
ア 語,ボ
リ ツ ィ ア(Gorizia)県
ル ツ ァ ー ノ 県 の ラ デ ィ ン 語 も,学
他 の 面 で,法
ル
校 教育 そ の
か んず くフ ィ レ ン ツ ェ方 言 を基 盤 に して れ は 近 年,イ
め ざ ま し い 普 及 を み せ て い る が,そ
タ リア全 土 に
の か た わ ら,各
タ リ ア の 南 部,お
よ び 北 東 部 の 地 域),都
者 や 若 い 世 代 を 中 心 に,あ
2)ヴ
と
市居住
面 に よ っ て 使 い 分 け る イ タ リ ア 人 の 方 が 多 い.方
言 の
に 音 声 面 に お い て,地
a)フ
[方
言]
b)西
域 ご
c)シ
わ ば そ の 変 種 で あ る の に 対 し,
成 さ れ た も の で あ る. イ タ リ ア に お
詩 人 ダ ン テ(Dante,1265∼1321)が (De
vulgari
言 及 し て い る が,今 言 を 擁 し て い る.方
日 な お,イ
紀 の は じ め,
そ の 『俗 語 論 』
eloquentia,1303‐04頃
執 筆)の
中で
タ リア 語 は 数 多 く の 方
言 間 の 違 い は 一 体 に 大 き く,異
e)南
い . 方 言 の 分 類 は さ ま ざ ま に 試 み ら れ て い る が,妥 と思 わ れ る 分 類 を 以 下 に 示 す.方
言 名 の あ と に は,そ
の 分 布 地 域 を 付 記 し た(<図>参
照).
a)ピ
ピエ モ ン
ンバ ル デ ィ ア 方 言(lombardo)―
イ ス の テ ィチ ノ 州
グ リ ア 方 言(ligure)―
ria)州(含,ジ
ロ ンバ ラ ノ 市),
ト レ ン ト(Trento)県,ス
ェ ノ ヴ ァ 市)
ア レ ッツ ォ
よび そ の 近郊
部 トス カ ナ 方 言(toscano
meridionale) ロ ッ セ ー トGros
ル シ カ 方 言(corso)―
フ ラ ンス領 コル シ カ
Ⅲ)中
・南 部 イ タ リア 方 言 群
1)中
部 イ タ リア諸 方 言
a)ラ
ツ ィ オ方 言
(laziale)―
ツ ィ オ(Lazio)州(含,ロ b)ウ
ン ブ リ ア 方 言(umbro)―
(Umbria)州(含,ペ c)中
最南 部 を除 くラ ー マ 市) ウ ン ブ リア
ル ー ジ アPerugia市)
部 マ ル ケ 方 言(marchigiano マ ル ケ 州 中 部(含,ア
centrale)
ン コ ー ナAncona市)
部 イ タ リア諸 方 言
a)カ
ン パ ニ ア 方 言(campano)―
(Campania)州(含,ナ
カ ンパ ニ ア
ポ リ市),ラ
ツ ィ オ州
最南部
リ ノ 市)
ル デ ィ ア(Lombardia)州(含,ミ
c)リ
gallo‐italici)
レ ッ ツ ォ 方 言(aretino)―
島
―
エ モ ン テ 方 言(piemontese)―
テ(Piemonte)州(含,ト b)ロ
2)コ
2)南
ロ ・イ タ リ ア 諸 方 言(dialetti
ッ ルバ
シ エ ナ(Siena)市,
― トス カ ナ 州 南 部(含,グ
当
部 イ タ リア方 言 群
1)ガ
サPisa市,ル
seto市)
な
った 方 言 に よ る相 互 理 解 は 不 可 能 な 場 合 が 珍 し く な
Ⅰ )北
,ピ
ス トイ アPistoia市,エ
エ ナ 方 言(senese)―
(Arezzo)市,お
ずれ もそ の土 地 土
く14世
occidentale)
お よび そ の近 郊 d)ア
と よ ぶ.
け る 方 言 の 多 様 性 に つ い て は,古
部 トス カ ナ 方 言(toscano
カLucca市,ピ
地 で 話 さ れ て い た ラ テ ン語 が 長 い 年 月 に わ た っ て 変 化 を 遂 げ た 結 果,形
フ イ レン
Elba島)
の よ うに地 方 的 な特
次 に 述 べ る イ タ リ ア 語 諸 方 言 は,い
toscani)
よび そ の 近 郊
―ト ス カ ナ 州 西 部(含
「地 域 イ タ リ ア 語 」が 標 準 イ タ リ ア 語 を
基 に し て 生 ま れ た,い
ク ロ アチ ア領 イ ス
ィ レ ン ツ ェ 方 言(fiorentino)―
ツ ェ市,お
徴 を 含 ん で 実 現 さ れ る 標 準 イ タ リ ア 語 を,「地 域 イ タ リ regionale)」
リエ ス
ロ ア チ ア領 イ ス トラ半 島北 西 部 沿 岸
ス カ ナ 諸 方 言(dialetti
少 年 」 が ヴ ェ ネ トVeneto地
ア 語(italiano
ェネ ツ ィア ・
方(含,ト
スカナ方言群
と に 異 な っ た 特 徴 が つ け 加 わ る こ と が 多 く(た と え ば,
発 音 さ れ る),そ
Giulia)地
ス ト ラ方 言(istriano)―
口 の7%程 し言 葉 と
ヴ ェ ネ ト(Ve
ェ ネ ツ ィ ア 市),ヴ
トラ半 島南 西 部沿 岸
1)ト
方 で[〓]と
ロ ・イ タ リ ア 諸 方 言 の 言 語 的 離 島 が い くつ
テ 市),ク
Ⅱ)ト
ragazzo[〓]「
ル デ ー ニ ャ 島,コ
世 期 の移 民 に よ っ て形 成 され た もの
ェ ネ ト方 言(veneto)―
3)イ
の 上 で は 標 準 語 の み の 使 用 者 よ り 標 準 語 と方 言 と を 場
して 用 い られ る 際 に は,特
ロー ル ケ(Mar
ン ・マ リ ノ 共 和 国 チ リ ア 島,サ
ジ ュ リ ア(Venezia
らゆ る場 面 で標 準 語 のみ を
度 か と 推 定 され る). ま た 標 準 語 に し て も,話
北 部,サ
neto)州(含,ヴ
用 い る イ タ リ ア 人 の 数 が 増 加 し つ つ あ る と は い え,数
み の 使 用 者 も ま だ 少 な か ら ず 存 在 す る(人
エ ミリア ・ロ
ン バ ル デ ィ ア 州 南 部,マ
島 南 部,シ
ル シ カ 島 に は,中
地
に 残 る 方 言 の 勢 力 に は 依 然 根 づ よ い も の が あ り(こ に,イ
(emiliano)―
か 存 在 す る.
い わ ゆ る 標 準 イ タ リア 語 は トス カ ナ(Toscana)地
形 成 さ れ た も の で あ る.こ
che)州 な お,半
を 含 め,ガ
的 な 庇 護 を 受 け て い る.
方 の 方 言,な
ニ ャ 市),ロ
リエ ス テ の ス ロベ ニ
ミ リア 方 言
マ ー ニ ヤ(Emilia‐Romagna)州(含,ボ
れぞれイ
タ リ ア 語 と並 ん で 公 用 語 と し て 認 め ら れ,ト (Trieste)県,ゴ
d)エ
リ グ リ ア(Ligu
b)ア
ブ ル ッ ツ ォ 方 言(abruzzese)―
ツ ォ(Abruzzo)州(含,ペ 市),マ c)モ
アブル ッ
ス カ ー ラPescara
ル ケ州 南 部 リー ゼ 方 言(molisano)―
lise)州
モ リー ゼ(Mo
<図>イ
タ リア の 言 語 ・方 言 分 布
d)プ ー リ ア 方 言 (pugliese)― ー リ ア(Puglia)州(含 ,バ e)ル
南 部 を 除 くプ ー リBari市)
カ ー ニ ア 方 言 (lucano)―
(Basilicata)州,カ
バ ジ リカー タ
レ ン ト方 言(salentino)―
部 サ レ ン ト(Salento)地 b)カ
プー リア州 南
州 中 部,南 部(含,カ c)シ
カ ラ ブ リア
シ チ リア 島
イ タ リア の 各 地 に 多 数 の 方 言 が 生 じ,そ
う した状 況
が 今 日 に 至 る ま で 保 た れ て き た 背 景 に は,交
通 の障 害
に な る 丘 陵 地 帯 が 多 い と い う 自 然 的 条 件 に 加 え,そ そ も古 代 ロ ー マ 人 に よ っ て 征 服 さ れ,ラ
らの言 語 が ラ テ
こ と な ど の 歴 史 的 要 因 が 考 え られ る.一 ン ゴ バ ル ド族)を
方,ゲ
まざ
タ リア の さ ま ざ ま な 地 域 を 支 配 し た 外 ラ ブ,ノ
ル マ ン,ス
オ ー ス ト リア な ど)は,言
ペ イ ン,フ
テ ン語 の 語 形 で あ る こ とを示 す)が,北 caud,coltな
部方言群 では
ど とな り,中 ・南 部 方 言 群 で はcallo,
ど とな った の に 対 し,ト ス カ ナ 方 言(お
な って い る と い う
1例 に も うか が え る よ うに,ト ス カ ナ方 言 は,全 体 に ラ テ ン語 の姿 を よ く保 って い る とい う こ とが で き る. そ の原 因 と して,ト ス カ ナ地 方 に居 住 して ラ テ ン語 を 受 け入 れ た エ トル リア 民族 の言 語 が,ラ
土 地 の ラ テ ン語 の上 に は 及 ば ず,そ の純 粋 さが保 た れ た との意 見 が 出 され て い る.そ れ は さてお き,ト ス カ
は重 要 な変化 を及 ぼ す こ と
ナ方 言 を古 典 ラ テ ン語 か ら区別 す る特 徴 の うち,音 声 面 で は,紀 元3∼4世
紀 頃 ま で に,次 の よ うな 変 化 が
に 示 し た 方 言 分 類 に 関 し て 少 し補 足 し て お
起 こ った もの と考 え られ る.す な わ ち,
部 イ タ リ ア 方 言 群 と,そ
1)音
の南 に位 置 す る ト
・南 部 イ タ リ ア 方 言 群 と の 境 界 線 は,
ア ペ ニ ン 山 脈 を 間 に は さ み,イ
タ リア 半 島 の 方 言 群 を
大 き く南 北 に 分 か つ 重 要 な 境 界 線 で あ る.こ に,「 ラ ・ス ペ ツ ィ ア ‐リ ミ ニ(La
Wartburg)の
マ ン ス 諸 語 へ の 最 初 の 大 き な 分 化(西
う こ と に な る.た 言 の 領 域 は,ラ
だ し,テ
ロマ ニ ア と東 ロ
ィ レ ニ ア 海 側 で は,北
ガ リ ア(Senigallia)あ
に 起 こ った わ ず か な変
の 境 界 線 は(少
紀 頃 生 じた と思
わ れ る,開 音 節 に お け る 〓,〓 の 二 重 母 音 化(>〓, 〓)で あ る(例:PEDE(M)>piede「
2)h音
キ ロ南 の セ ニ
3)語
足 」,HOMO
男 」). の 消 失(「 文 字 ・音 韻 」 を 参 照). 末 の ‐m,‐tの 脱 落(例:AMAT>ama
「 彼 は愛 す る」). 4)母
音 の 前 のe,iの 半 母音(j)化(6,7の
5)v/w/お VINU(M)>vino「
よび 母 音 間 の ‐b‐の/v/音 ワイ ン」,HABERE>avere「
な く と もそ の 一 部 に お い て),ア ペ ニ ン 山 脈 と い う 自 然
つ 」).
的 条 件 を 反 映 す る も の で あ る が,古
6)‐lj‐>‐llj‐ >〓(例:PALEA(M)>*PALJA
く は,ケ
ル ト人 と
エ トル リア 人 と の 民 族 的 境 界 線 で あ り,よ り新 し くは ,
>*PALLJA>paglia/〓/「
ラ ヴ ェ ン ナ(Ravenna)大
7)‐nj‐>‐nnj‐ >〓(例:CASTANEA(M)>
司 教 管 区 と ロー マ大 司 教 管
の結
の 母音
化 を除 き,今 日 まで そ の ま まの 音 色 で ひ き継 が れ てい
部方
た りま で 北 部方 言 の 諸 特徴 が
及 ん で い る と 考 え る こ と が で き る.こ
/〓/は,後
>uomo「
キ ロ南 に あ るマ
ミニ よ り さ ら に60数
果,強 勢 母 音 に関 して 俗 ラ テ ン語 に生 じた7種
い
た り ま で 伸 び て い る と考 え ら れ,ア
ド リ ア 海 側 で は,リ
色,音 量(長 短)の 対 立 に基 づ く母 音 体 系 か ら,
音 色 の み の対 立 に基 づ く母 音 体 系 へ の 移 行.そ
る.後 に 起 こ った変 化 とは,6∼7世
テ ン語 か ら ロ
こ の 線 を 境 に し て 起 こ っ た,と
・ス ペ ツ ィ ア よ り20数
ッ サ(Massa)あ
」
ァ ル トブ ル ク(W.
主 張 に よ れ ば,ラ
マ ニ ア へ の 分 化)が
れ は一 般
Spezia‐Rimini)線
と し て 知 ら れ て い る も の で あ り,ヴ
テ ン語 とは完
彙 の面
が な か っ た.
ス カ ナ 諸 方 言,中
よ
タ リア語 の
語 的 に み る な ら,語
韻 や 文 法)に
テ ン語 のCALIDU(M)
「暑 い 」(以 下,大 文 字 の み で 示 し た 語 形 は,ラ
全 に異 質 の言 語 であ った ゆ え に,言 語 的 な 干 渉 が この
ラ ン ス,
で 無 視 で き ぬ 痕 跡 を 残 し て い る も の の,イ 基 本 構 造(音
ルマン
は じ め,さ
化 につ い て ま とめ て お きたい.ラ
び 標 準 イ タ リア 語)で はcaldoと
紀 後 半 の 国 土 統 一(1861)
に至 る まで 小 国 分 立 状 態 が何 世 紀 に もわ た っ て続 い た
来 の 勢 力(ア
こ こで は,標 準 イ
む トス カ ナ諸 方 言 を 中 心 に,ラ テ ン語 か らの言 語 的 変
cauroな
ン語 に 別 様 の 影 響 を 及 ぼ し た 可 能 性 の あ る こ と,5世
ー ト族,ラ
[ラテ ン語 か らイ タ リア 語ヘ]
も
テ ン語 を 受 容
し た 先 住 民 族 が 地 域 に よ り異 な り,彼
ま な 時 代 に,イ
が,か つ て,こ の方 言 の 分布 地 域 に 居 住 して い た こ と
タ リア 語 形 成 の基 盤 とな った,フ ィ レ ンツ ェ方 言 を 含
レ ル モPalermo市)
紀 の ロ ー マ 帝 国 滅 亡 後,19世
リ
古 代 ロー マ 人 に よば れ た ケ ル ト民族
に 因む.
タ ン ザ ー ロCatanzaro市)
チ リ ア 方 言(siciliano)―
(含,パ
von
ル デ ー ニ ャ語 の
な お ま た,「 ガ ロ ・イ タ リア 諸 方言 」 な る名 称 は,ガ ア人(Galli)と
方
ラ ブ リ ア 方 言(calabrese)―
く な ら,北
以 降 の ピサ 人 の進 出 に伴 い,本 来,サ
で もな く,今 日,この 島 の 公 用語 は フ ラ ンス 語 で あ る.
南 部 イ タ リア諸 方 言
な お,上
紀
トス カ ナ語 の 影響 を著 し く受 け た結 果 に よ る.い う ま
a)サ
民 族(ゴ
ル
シカ 方 言 が トス カ ナ方 言 群 に分 類 され るの は,11世
よ うに,古 い ロマ ンス 語 の タイ プ で あ った 島 の 方 言 が,
ラ ブ リ ア(Calabria)州
北部 3)最
区 との 境 界 線 で あ っ た こ とが 注 目 され る.な お,コ
わ ら」).
例 参 照). 化(例: 持
*CASTANJA
>
/〓/「
*CASTANNJA>castagna
/〓/「
イ チ ジ ク の 実 」,cf.標
> ロ ン バ ル デ ィ ア 方 言/〓/,ヴ
栗 の 実 」).
8)‐ct‐,‐pt‐ > ‐tt‐;‐x‐,‐bs‐,‐ps‐ >‐ss‐ と い う 一
/〓/「
連 の ア シ ミ レ ー シ ョ ン に よ り,新
2)重
た に 二 重 子 音 が形 成
紀 よ り 後 の 時 代 に 属 す る と 思 わ れ る変
化 に は,先
に触 れ た
〓> 〓,〓>
〓 の ほ か,次
の よう
口 蓋 母 音(e,i)の
化,破
前 で のk音,g音
の 口蓋
人 々 」).
1)ラ
平 ら な 」,FLORE(M)>fiore
「花 」). 3)‐rj‐ > ‐j‐.これ は 元 来,フ
ィ レン ツ ェ方 言 に 特
が,そ
の ロ マ ン ス 語 と多 か れ 少 な か れ
cf.標
証 人 」,AREA(M)>*ARJA>aia「 文 法 に 関 して は,他
麦 打 ち 場 」).
詞 の 発 生.
2)名
詞 お よ び 形 容 詞 に つ い て は,数
詞 に 関 し て は,助
性 が 失 わ れ て 男 性,女
遡 る 母 音 の/y/音
助 動 詞(の
は な く,そ
ち 語 尾)と
の現 在 完
して不 定 詞 と融 合
し た も の で あ る. 4)フ
説法 現 在
人 称 複数 の
語 尾 が す べ て の 活 用 型 の 動 詞 に つ い て,‐iamoと た(3世
/〓/「
な っ
紀 以 降).
象 を,ケ
cf.標
casa「
家 」 が[〓]
い つ 」,
鉛 」,cf.標
ナ ポ リ方 言
準 語piombo).―
な お,こ
ば し ば イ タ リ ッ ク語 基 層 の 影 響 に よ る も
テ ン 語 ‐i,‐uに 由 来 す る 語 末 母 音 に 起 因 す 音 変 異 な い し二 重 母 音 化(例:カ
ンパ ニ ア方 言
花 婿 」 〔単 数 ・複 数 〕 <SPONSU(M),
SPONSI,cf./〓/「
花 嫁 」 〔単 数 ・複 数 〕<SPONSA(M),
SPONSAE;/〓/「
美 し い 」 〔男 性 単 数 ・
複 数 〕 <BELLU(M),BELLI,cf,/〓/「 断
な る,「 トス カ ナ 喉 音(gorgia と よ ば れ る こ の 現 象 に 関 し て ほ,エ
に み られ る同 化 現 象
ナ ポ リ方 言/〓/「
準 語quando;PLUMBU(M)>
帯
草 原 」 が[〓]と,ripa「
崖 」 が[〓]と toscana)」
で あ る .la
> ‐mm‐,‐nn‐
の と 主 張 さ れ て い る.
/〓/「
と,prato「
の よ うな変 化 が あ げ られ る.
の 現 象 は,し
準語 に 採 り
擦 音)化
グ リア 方 言
・南 部 イ タ リ ア 方 言 群 の 多 くに 共 通 す る 現
(例:QUANDO>
イ タ リ ア 語 の 上 に も反 映 さ れ て い る が,標
気 音(摩
この 現
例 を 参 照).
1)‐mb‐,‐nd‐
る,母
音 間 無 声 閉 鎖 音p,t,kの
ボ ロ
準 語sale).―
除 く無 強 勢 語 末 母 音 の 消 失(リ
を 除 く;1の
ず れ も標 準
そ の 代 表 的 な も の は,母
準 語ruota;SALE(M)>
塩 」,cf.標
ル ト語 基 層 と 結 び つ け る 説 が し ば し ば 出 さ れ
2)ラ
入 れ られ て い な い,ト ス カ ナ 方 言 に 固 有 の 特 徴 も あ る.
壁 」,
ロ ンバ ル デ ィ ア 方 言
て い る.
上 の 音 声 ・文 法 上 の 変 化 は,い
な お,以
化 な ど の 一 連 の 母 音 の 口蓋 化
車 輪 」cf.標
/〓/「
ィ レ ン ツ ェ 方 言 で,直
トル
リア 語 基 層 の 影 響 に よ る も の と い う説 が 出 さ れ て い る 説 に は な っ て い な い.
美 し
い 」 〔女 性 単 数 ・複 数 〕 <BELLA(M),BELLAE). な お,語
末 無 強 勢 母 音 に 関 し て,南
言 で は,す
べ て の 母 音(あ
て の 母 音)が
元 さ れ る(ト
部 イ タ リア諸 方
る い は,aを
あ い ま い 音 化 し て/〓/と
タ リア 諸 方 言 で は,こ
上 記 の よ う な 変 化 を た ど っ た トス カ ナ 方 言 に 対 し,
遡 る
遡 る開 音節 の 強
ロ ン バ ル デ ィ ア 方 言/〓/「
象 と し て,次
ラ ン ス 語 や ス ペ イ ン 語 の よ う にHABERE
化,oに
化,aに
準 語muro;ROTA(M)>
一 方,中
件 法 が 発 達 し た.な
過 去)で
少
れぞ れ 異 な る 地 理 的 分 布 を も っ て 存 在 す る
2)aを 動
詞 の 不 定 詞 +HABEREの
由 来 す る 未 来 時 称,条
過 去)が
性
動 詞 を 伴 う完 了 時 称,受
言 法(動
件 法 は,フ
の対 立 が維 持
変 化 は 消 滅 し た.
の 未 完 了 過 去(半
が,定
テ ン 語uに
ー ニ ャ方 言/〓/「
1)冠
の 区 別 は,中
ェネ
ロ ・イ タ リア 諸 方 言 に 特 徴 的 な 現 象 と し て
(例:MURU(M)>
共 通 す る,次 の よ う な 変 化 が 中世 期 に お い て み ら れ た.
活 用 形)に
末母音に起因す
の よ う な も の が あ る.
勢 母 音 の/〓/音
公
有 の 変 化 で あ っ た(例:NOTARIU(M)>notaio「
態 が 形 成 さ れ,迂
準 語cavallo).
‐iに 由 来 す る,語
開 音 節 の 強 勢 母 音 の/〓/音
3)動
ェネ
少 年 た ち 」<TONSI,cf./〓/「
ま た,ガ
PLANU(M)>piano「
了(遠
馬 」,cf.標
テ ン語 の
ト方 言/〓/「
は,次
さ れ る 一 方,性
ピ
ン バ ル デ ィ ア 方 言/〓/,ヴ
ト方 言/〓/「 3)ラ
2)pl,bl,cl,gl,fl>/〓/(例:
お,条
子 音 の 単 子 音 化(例:CABALLU(M)>
年 」 <TONSU(M)).
擦 音 化(例:CENTU(M)>cento/〓/
「00」,GENTE(M)>gente/〓/「
の み の 対 立 とな り,格
ェ ネ ト方 言
準 語catena).
る 母 音 変 異(metafonesi,metafonia)(例:ヴ
な も の が 含 ま れ る. 1)硬
鎖 」,cf.標
エ モ ン テ 方 言,ロ
さ れ た(例:OCTO>otto「8」). 紀 元4∼5世
準 語fico;CATENA(M)
除 く他 の す べ な り,最
れ がi,a,uの3種
南部 イ
の母 音 に還
ス カ ナ 方 言 で は,i,e,a,oの4種).
北 部 イ タ リ ア 方 言 群 に 共 通 して み ら れ る 変 化 と し て
[イ タ リ ア 語 の 歩 み]
は,次
生 し た の か,と
い う よう な問 い に は正 確 に答 え る こ と
が で き な い.イ
タ リア 語 の 母 体 と な っ た 俗 ラ テ ン語,
の よ う な 点 が あ げ ら れ る.
1)母 FICU(M)>
音 間 無 声 子 音 の 有 声 化 な い し 脱 落(例: リ グ リ ア 方 言/〓/,ヴ
ェ ネ ト方 言
す な わ ち,古
ま ず,い
つ イ タ リア語 が 誕
代 ロー マ帝 国 の民 衆 の話 し言葉 で あ っ た
ラ テ ン語 は,何
世 紀 に も 及 ぶ 漸 進 的 な 変 化 を 経 て,イ
伸 張 を 背 景 に 市 民文 化 の 台頭 著 しか った フ ィ レ ン ツ ェ
タ リア語 諸 方 言 を 含 む ロマ ンス 諸 語 に移 行 した の で あ
で,俗 語 に よ る文 学 活 動 が盛 ん に な り,詩 作 や 散 文 作
り,ラ
品 の制 作 に,ト ス カ ナ方 言,フ
テ ン 語 と イ タ リ ア 語 の 間 に,明
瞭 な年 代 上 の境
界 線 を 引 く こ と は 不 可 能 だ か ら で あ る.書
き言葉 と し
て ラ テ ン 語 を 用 い る 伝 統 が 根 づ い て い る イ タ リ ア で, 「俗 語(volgare)」(ラ こ う よ ば れ た)が
テ ン 語 に 対 し て,イ
タ リア語 は
文 字 で書 き写 さ れ る よ う に な る の
は,よ
う や く9∼10世
紀 に な っ て か ら の こ とで あ る
が,民
衆 の 間 で 日 常 用 い ら れ て い た 言 葉 が,も
テ ン 語 と は よび え ぬ 状 態 に な っ た の は,そ
はや ラ
れ よ り以 前
ィ レ ンツ ェ方 言 が 用 い
られ た. この よ うな 状況 の も と,フ ィ レ ンツ ェ生 ま れ の ダ ン テ(Dante
Alighieri)が
登 場 し,そ の 畢 生 の 大 作
『神 曲』(Divina
Commedia,1309頃
成 功 に よ って,フ
ィ レ ン ツ ェ方言 の文 学 的 威 信 は決 定
的 な もの に な った.ダ
∼1321頃)の
ンテ は,前 に も触 れ た 『俗 語 論 』
の 中 で,詩 的 創 造 に 用 い られ る理 想 的 な「俗 語 」は いか
の こ と で あ る と 推 察 で き る.い
ず れ に せ よ,書
き残 さ
な る もの で あ るか を 論 じ,現 実 の イ タ リア諸 方 言 に は,
れ た 証 拠 に つ い て い う な ら,紀
元800年
ェ ロー
そ の ま ま で 詩 作 に ふ さわ しい もの は1つ
ナ(Verona)の
テ ン語 の 祈 祷 書 の 余 白
を離脱 した一 種 の人 為 的 な 共通 語 こそ 求 め られ るべ き
テ ン語 で あ る と もイ タ リア 語 で あ る と も解釈 し
だ と主 張 した が,彼 が 実際 の詩 作 に あた って 拠 り所 と
に,ラ う る,短
一 写 字 生 が,ラ
い
も な い9世
「謎 う た 」 を 戯 れ に 書 き記 し,そ 紀 の 前 半 に は,ロ
る 僧 侶 が,相
し て い る.イ
れ か ら間
ー マ市 の 外 れ に あ る カ タ
コ ン ベ の 地 下 礼 拝 堂 の 壁 に,ミ め を,さ
頃,ヴ
サ の 朗論 法 に関 す る戒
当 「俗 語 」色 の 濃 い 短 文 で 書 き残
タ リ ア 語 と ラ テ ン語 の 違 い が 明 瞭 に 対 比
さ れ た 最 初 の 記 録 は,960年3月 ナ ポ リ の 北 約30キ
ロ)の
裁 判 所 で 出 され た 判 決 文 を
ば れ る 資 料 に 遡 る.こ
Capuano)」
オLazio州
とよ
れ は,土 地 の 領 有 権 を め ぐ っ て,
モ ン テ カ ッ シ ー ノ(Montecassino)修 南 部)を
道 院(ラ
し,彫 琢 を加 え た言 葉 は,故 郷 フ ィ レ ンツ ェの 方 言 に ほ か な らな か った.『 神 曲』の成功(少 な く と も600の 写 本 が 残 され て い る ほ か,14世 紀 以 降,数 多 くの 注解 が書 かれ た)に 続 き,ペ ∼74) ,ボ
トラル カ(F.Petrarca,1304
ッカ ッチ ョ(G.Boccaccio,1313∼75)が
フ
ィ レ ン ツ ェ方 言 の 文 学 的 名 声 を高 め る の に貢 献 す る.
に カ プ ア(Capua,
記 し た 「カ プ ア の 判 決 文(Placito
も な く,方 言
ツィ
相手 どっ て 起 こされ た 訴 訟 に関
そ の結 果,ト ス カ ナ 地 方 以 外 の作 家 の作 品 に もフ ィ レ ン ツ ェ方 言 の 影 響 が 及 ぶ よ うに な る.フ ィ レン ツ ェ方 言 は イ タ リア の 他 の 諸 方 言 と比 べ,ラ テ ン語 の 面 影 を よ り忠 実 に伝 え て お り,ラ テ ン語 の知 識 の あ る者 には, トス カ ナ 以 外 の 人 間 に も容 易 に これ を学 ぶ こ とが で き
す る 判 決 記 録 で あ る . ラ テ ン語 で 綴 ら れ た 本 文 の 中
た で あ ろ う点 も,こ の方 言 の全 国 へ の,少
に,被
き言葉 レベ ル で の普 及 に 力 が あ った もの と思 わ れ る.
告 側 証 人3人
が カ ンパ ニ ア地 方 の 方言 を反 映 す
る イ タ リア 語 で 行 な っ た 証 言(い ko
kelle
trenta
terre,per anni
kelle
le possette
「私 は そ の 土 地 を,こ
ず れ も 同 文 で,Sao
fini
parte
que
ki
Sancti
contene, Benedicti
こ に 示 さ れ る 範 囲 に お い て,30
一方,ラ
テ ン語 は書 き言 葉 と して,あ
な くと も書
らゆ る分 野 で
依 然大 きな勢 力 を保 ち,時 の古 典 古 代 復 興 熱 と相 ま っ て,ラ テ ン語 の イ タ リア語 に対 す る 優 位 を 主 張 す る人 文 主 義 者 も少 な か らず い た.実 際,14世 紀 末 か ら1世
年間 聖 ベ ネ デ ィ ク ト側 が 所 有 し た こ と を 知 っ て い
紀 近 くの 間,俗 語 文 学 は低 迷期 に 陥 り,文 芸 上 の み る
る」)が そ の ま ま 引 用 さ れ て い る.そ
タ リア
べ き作 品 は,い ず れ も ラテ ン語 で書 か れ て い る.だ が,
るい は全 面 的 に用 い た碑 文 や 実 用 的 な
15世 紀 後 半 に は,古 典 語,古 典文 学 か ら多 くの養 分 を
語 を 一 部 に,あ 文 書(訴
訟 記 録,帳
簿,遺
地 に現 わ れ 続 け,13世 え る が,そ
の 後 も,イ
産 目 録 な ど)が
の頃 には す で に
イ タ リア 各
汲 み と り(こ の 時 代,多
くの 作家 は イ タ リア語,ラ
テ
の数 は急 激 に増
ン語 両 言語 で 作 品 を 発 表 した),俗 語 文 学 は 再 び 活 況
「俗 語 」 を用 い た 文 学 的 創
を呈 す るに 至 る.こ の 間,ア ル プス の 北 か ら もた ら さ
紀 に な る と,そ
作 も 試 み られ る よ う に な っ て い た,
れ た 印 刷技 術 に よ り,1470年
フ ィ レ ン ツ ェ 方 言 は,他
の 方言 に 先 ん じて そ の 地 歩
出 版 物 で あ るペ トラ ル カ の抒 情 詩 集 『カ ン ツ ォニ エー
を 固 め た わ け で は な い.む
し ろ,ア
チ ェ ス コ(San
Francesco
の 『被 創 造 物 の 歌 』(Cantico 26頃)や,数
ッシ ジの 聖 フ ラ ン
d'Assisi,1181頃 delle
∼1226)
レ』(Canzoniere)が (Decameron)も
に は,俗 語 に よ る最 初 の
現 わ れ,『 神 曲』 『デ カ メ ロ ン』 時 を経 ず して 印 刷 刊 行 され,フ
ィレ
ンツ ェ文 語 の知 識 階級 へ の普 及 に拍 車 が か け られ る こ
creature,1225∼
々 の 宗 教 詩 に 用 い ら れ た ウ ン ブ リア 方 言,
とに な っ た.俗 語 文 学 の活 況 は16世 紀 に も ひ き継 が
宮 廷 を 拠 点 に し た,「 シ
れ,フ ィ レン ツ ェのみ な らず,ヴ ェネ ツ ィ ア,フ ェラ ー ラ,ミ ラ ノ,ロ ーマ,ナ ポ リと,そ の拠 点 が各 地 に
チ リア派 」 の 詩 人 た ち の作 品 の基 盤 とな った シチ リア
林 立 す る よ う に な る.ラ テ ン語 に 対 す る 俗 語 の 興 隆
方 言 な ど が,文
が,
は,文 学 者,知 識 人 の 間 に,文 学 表 現 の用 具 とな る言
業の
語 は どの よ う な もの で あ るか につ い て改 めて 問 題 を提
神 聖 ロ ー マ 皇 帝 に し て シ チ リ ア 王 の フ ェ デ リ コ2世 (FedericoⅡ,1194∼1250)の
学 上 の 開 花 を 早 く迎 え て い た.だ
13世 紀 後 半 以 来,ト
ス カ ナ 地 方,こ
とに 経 済,産
起 し,さ ま ざ ま な意 見 が 出 され るな か,こ こ にい わ ゆ
語 イ タ リ ア 語 が,や
る 「言語 問題(questione
ぶ 傾 向 を 示 す に 至 っ た の は,自 然 の な り 行 き で あ っ た.
della lingua)」 をめ ぐ る論
や もす る と形 式 的 な 修 辞 技 巧 を 弄
争 が展 開 され る に至 った.ダ ンテ が 『俗語 論 』の 中 で 説
ヴ ェ ネ ツ ィ ア の ゴ ル ドー ニ(C.Goldoni,1707∼93),
い た よ う な,い ず れ の 方 言 に も偏 らな い超 地 方 的 な共
シ チ リア の メ ー リ(G.Meli,1740∼1815),ミ
ラノの
通 語 を用 い るべ きだ とす る説,同 時 代 の フ ィ レン ツ ェ
ポ ル タ(C.Porta,1775∼1821)ら
方 言 を採 用 す べ きだ とす る説 な どを 退 け,結 局,韻 文
言 に よ っ て 作 品 を 書 い た の も故 な い こ と で は な い.イ
に つい て は ペ トラル カ を,散 文 につ い て は ポ ッカ ッチ
タ リ ア 語 を 「死 語 」 と さ え 評 した,ミ
ョを模 範 にす べ き だ と す る, ヴ ェネ ツ ィア 人 ベ ン ボ
家 マ ン ゾ ー ニ(A.Manzoni,1785∼1873)は,自
(P.Bembo,1470∼1547)ら
の 小 説 『婚 約 者 』(I
の 主 張 が 大勢 を 占 め,14
が,生
Promessi
気 あ る方
ラ ノ生 ま れ の作 作
Sposi,初
版1827,決
世 紀 フ ィ レ ン ツ ェ方 言 を基 盤 とす る文 語 が,以 後 の 文
定 版1840‐42)を
学史 で標 準 語 の 地 位 を確 保 す る こ とに な った.こ の 事
る フ ィ レ ン ツ ェ 人 の 日 常 語 を 用 い る こ と に よ り,文
情 は 今 日 ま で基 本 的 に は変 わ って い ない.と こ ろで,
語 と して の イ タ リア語 に新 た な 息 吹 きを与 え る試 み に
ボ ッカ ッチ ョの 言 語 に し ろペ トラル カ の言 語 に し ろ,
成 功 し た.
他 の ヨー ロ ッパ 諸 国 に 先 駆 け て,イ タ リア に成 立 した
イ タ リ ア 語 が 話 し言 葉 と し て 全 土 に 普 及 す る の は,
近 代 市 民 文 化 の 表 現 手 段 にふ さわ しい近 代 性 をす で に もち 合わ せ て お り,こ れ を基礎 に据 え た標 準 イ タ リア 文 語 は,以 後,そ の 根 底 を揺 るが す よ うな大 き な変 化 を
19世
書 き改 め る に 際 し,同
紀 後 半 の 国 家 統 一 以 後 の こ と で あ る.言
デ ・マ ウ ロ(T.De
Mauro)の
り(う
の転 換 が15世
口 の わ ず か2.5%に
言 語 上 に も強 く反 映 され て,中 世語 と近 代 語 の間 に際
ち,ト
ー マ 人7万
%,も
る.1583年
に 従 う な ら9.52%に
人),全
の 数 字 は8.77%な
い し12.63
っ と も 妥 当 だ と思 わ れ る 「共 通 語 」 の と ら え 方
い る が,い
修 正 す べ きだ との 意 見 を 出 して
ず れ に せ よ,19世
紀 後 半,共
通 語 の 話 し
正 主義 の 拠 点 とな る. 同 学 会 の 刊 行 す る 『ク ル ス カ学 会 辞典 』(Vocabolario
れ,統
は,第11巻
版1612;も
degli
Accademici
dells
一 後 は 人 口 の 大 規 模 な 移 動,こ
まで 出 て 中断)は,こ れ を擁 護 す る にせ よ批
度 の 実 施,学
校 教 育 の 整 備 な ど に よ り,共
は 促 進 さ れ た.国 に 進 行 した.現
象 に され て い る. この よ うに して,文 語 として は 規 範 の定 ま った イ タ だ統 一 国 家 の 存 在 しな い イ タ リ
内 の 共 通 語 化 は,ま
首 都 と な っ た ロ ー マ を は じ め,北 の 影 響 が 指 摘 さ れ る.近 発 達 が,イ
は 程 遠 い状 況 で あ った.イ
と は い う ま で も な い.
タ リア語 を,学 習 に よっ て
以 下 の 記 述 に お い て は,現 て,そ
この よ うな 中 に あ っ て,例 外 的 な状 況 を示 した の が ロー マ で あ る. ロー マ方 言 は早 くか ら トス カ ナ方 言 の 影 響 を 受 け,話 し言 葉 に お い て も16世 紀 以来,「脱 方言 化 」 の 過 程 が進 ん だ.こ れ は全 国各 地 か ら集 ま る 聖職 者 が 支 配層 を形 成 し,一 般 住民 の間 に も さま ざま な地 域 出 身 の 移 民 を数 多 く抱 え る こ の都 市 にお い て,共 通 語 の 必 要 が 強 く求 め られ た た め で あ る. そ の 結 果,今 日の ロー マ方 言 は,中
・南 部 イ タ リア方 言 の 特徴 を は
部 の 有 力都 市 の 言 葉
代 標 準 イ タ リア 語 に つ い
の 主 要 な 特 徴 を 概 観 す る.
[文 字 ・音 韻] ト.26文
が 普 通 だ っ た.
の
タ リア 全 土 の 標 準 語 化 を 著 し く推 進 し た こ
ス カ ナ地 方 は別 に し て,彼
言 葉 とは 断絶 に近 い隔 た りの あ る土 地 の方 言 で あ る の
以 来,国
年 の マ ス ・メ デ ィ ア の 急 速 な
覚 え る こ との で き た少 数 の知 識 人 や 文 人 に して も,ト き
役制
通語 の普 及
ず 大都 市 を 中心
在 あ る 標 準 語 に は,1871年
ア にお い て,こ れ が話 し言葉 と して 全 国 に 普 及す るに
らが 日常 用 い るの は,書
もあ
と に産 業都 市 へ
の 人 口 の 集 中 を は じ め と す る 大 き な 社 会 変 動,兵
っ と も新 しい 第5版1863‐1923
判 す る にせ よ,以 後 の言 語 論 争 にお い て常 に言 及 の対
リア 語 で あ っ たが,ま
人
近 になっ
手 の 数 が 非 常 に 少 な か っ た こ と は 間 違 い な い.と
Crusca,初
人余
て,別 の 言 語 学 者 カ ス テ ッ ラ ー ニ(A.Castellani)が
ス ペ イ ン語,英 語 な ど)の 場 合 と大 き く異 な る点 で あ
ンボ の主 張 した 立場 を守 り,純
人,ロ
す ぎ な か っ た と い う.最
新 た に 推 計 を 行 な い,こ
della Crusca)は,ベ
語学者
推 定 に よれ ば,1861年
ス カ ナ 人40万
立 った違 い が 生 じた 他 の西 欧 諸 国 の 言 語(フ ラ ン ス語,
に 設立 され た クル ス カ学 会(Accademia
学
の 統 一 時 に 共 通 語 を 話 す こ と の で き た の は,60万
被 る こ とな く今 日 に及 ん だ.こ れ は,中 世 か ら近 代 へ 紀 末 か ら16世 紀 に起 こ り,そ の影 響 が
時代の教養 あ
使 用 文 字 は,ラ テ ン ・ア ル フ ァ ベ ッ
字 の う ち,j,k,w,x,yの5文
字 は,主
て 外 来 語 の 表 記 に 用 い ら れ る.hは さ ず,主
に 連 字(ch,gh)や
「私 は 持 つ 」 < 残 り の 文 字 は,大
語 源 的 な 綴 り(ho/〓/
ラ テ ン語HABEO)の 体
とし
固 有 の音 価 を表 わ
中 で 使 わ れ る.
「ロ ー マ 字 」 式 に 発 音 さ れ る が,
こ こ で 注 記 す べ き は,複
数 の 音 価 を 表 わ すi=/〓/,
e=/〓/,o=/〓/,u=/〓/,c=/k(a,o,uの 前),t∫(i,eの eの
前)/,g=/g(a,o,uの
前)/,s=/s,z/,z=/ts,dz/の
っ き り備 え て い た16世 紀 以 前 の 方 言 と大 き く違 って
る こ と,お
い る. 一 方,日 常語 か ら遊離 し古 い 規 範 に 縛 られ た文
の 前),ci=/〓/(a,o,uの
よ び,1つ
前),d〓(i, よ う な文字 が あ
の 音 価 を 表 わ すch=/k/(i,e 前),gh=/g/(i,eの
前),gi=/〓/(a,o,uの
前),gl(i)〓(母
は〓)/,gn=/〓(母 音 間 で は ∬)/の 常 にuを た,正
トの な い あ る 種 の 単 音 節 語)の
と重
音 化(raddoppiamento
徳 」),ま
た,同
有す る
音(ま
た は
ア クセ ン
ト と 重 ア ク セ ン トの 使 い 分 け に 関 し て は ゆ れ が み ら 者 を/〓/を
/を
表 わ すe,oを
表 わ すe,oの
上 に,後
者 を/〓
含 む他 の母 音 字 の 上 に付 す 方 式
が 一 般 的 だ とい え そ う で あ る が,e,o(/〓/)の にi,uの
ほか
た,音
上 に 鋭 ア ク セ ン トを つ け る こ と も あ り,ま 色 の 区 別 に 関 わ り な く,す
べ て の 母 音字 の 上 に
的 重 音 化 は,こ
sintattico)」
ア ク セ ン トの な い 位 置 で は,/〓/と/〓/,/〓/と/〓/ の 対 立 が 失 わ れ(通 実 現),5種 れ に21種
常 は,そ
書 法 上 つ な げ て 書 か れ る 「動 詞 + 前 倚
辞(人
か く」+detto「
して
区 別 さ れ る.こ
類 の 子 音/〓
言 え 」+mi「
が つ け 加 わ り,イ (表1を
類 の 半 母 音/〓/
タ リア語 の音 韻体 系 を構 成 して い る
ど を 除 い て,綴
「家 で 」). 音 節 構 造 は,母
音 で終 わ る開 音 節 と子 音 で終 わ る閉
音 節 とが あ る が,単
語 の 終 わ り で は,あ
る種 の 外 来 語
ス ポ ー ツ 」)や,近
年 そ の数 が
央 統 計 局 」=Istituto
Centrale
政府 中
di
Statistica)の
類
べ て 開 音 節 で あ る.
ア ク セ ン トは 強 弱 型 で,ア
ク セ ン トの あ る 開 音 節 の
母 音 は 語 末 母 音 を 除 き,ふ つ う長 音 化 す る(例:amare 愛 す る 」).た
だ し,ア
ク セ ン トの な い 母 瞭 に 発 音 され る の
が イ タ リ ア 語 の 特 徴 で あ る . ア ク セ ン ト の 位 置 は, 語 に よ っ て 異 な る. 語 末 か ら 数 え て2番
目の 音節 に
ア ク セ ン トの く る語 が も っ と も多 い が(例:zanzara
タ リア語 の音 韻
両唇 唇歯 歯茎 硬 口蓋 硬 口 軟 口 《子音》 音 音 歯音 音 歯茎音 蓋 音 蓋音
/〓/「
蚊 」),最 終 末 音 節 に く る 語(例:citta
/〓/「
町 」)や,語
末 か ら3番
(例:albero/〓/「
閉鎖音 破擦音 摩擦音 鼻 音 側面音 ふるえ 音 《母音》
via
彼 は 行 っ て し ま っ た 」,acasa/〓/
音 も あ い ま い 音 化 す る こ と な く,明
参 照).
<表1>イ
私に
私 に 」)な
り字 の 上 に 反 映 さ れ る こ と が な い(例:ando /〓/「
[〓]「 /,2種
言わ
称 代 名 詞 な ど)」(例:dimmi/〓/「
言 え 」 <di「
い を 除 き,す
れ ぞ れ 狭 い[〓]と
の 母 音(/〓/)が
辞
い わ ゆ る 」<cosi「
増 加 し つ つ あ る頭 字 語(例:ISTAT/〓/「
が 数 え ら れ る が,
と よ ぶ.統
れ た 」)や,正
さ て,イ
の と し て/〓/の7種
頭
「統 辞 的 重
/〓/「
(例:sport/〓/「
ク セ ン トを に な う も
れ を
れ を 内 包 す る 複 合 語(例:cosiddetto
重 ア ク セ ン トを 用 い る 方 式 も あ る. タ リ ア 語 の 母 音 は,ア
クセン
あ と に 続 く場 合,語
ア クセ ン ト
彼 女 を 」)に 用 い られ る.鋭
れ,前
末 母音 に ア ク セ
ク セ ン トの あ る 単 音 節 語,ア
の 単 子 音 が 重 音 化 す る 現 象 が あ り,こ
義 語 を もつ 単 音 節 語 を 区 別 す る た め(例:la
「そ こ に 」 ∼la「
音 で 終 わ る あ る 種 の 語(語
おま
末 に ア ク セ ン ト(強 勢)を
語 を 示 す た め(例:virtu「
な お,母
発 音 さ れ る.な
書 法 上 の ア ク セ ン ト記 号(鋭
ア ク セ ン ト)は,語
ン ト を も つ 語,ア
よ う な 連 字 の あ る こ と で あ る,qは
従 え て,qu=/〓/と
同 綴)異
音間で
音 間 で は〓)/,sc(i)=/〓(母
て,4番
木 」)も
目の 音 節 に くる語 あ る.語
末 か ら数 え
目以 上 の 音 節 に ア ク セ ン トが 遡 る も の は,動
詞 の 活 用 形(例:fabbricano/〓/「 製 造 す る 」)や,正
彼 らは
書 法 上 つ な げ て1語
の よ うに 書 か れ
る 「動 詞 + 前 倚 辞 」(例:ordinamelo/〓/ 「私 に そ れ を 注 文 せ よ」)の 以 上 の 長 さ の 語 に は,と
場 合 で あ る.ま
き に,副
れ る(例:fisicamente/〓/「
《半 母 音 》
た,3音
節
次 ア ク セ ン トが み ら 物 理 的 に 」).
な お,す
で に 述 べ た よ う に,正
号 は,ア
ク セ ン トの 位 置 を 示 す 印 と し て は,語
書 法 上 の ア ク セ ン ト記 末 母音
に ア ク セ ン トの あ る 語 の 場 合 以 外 は つ け る 必 要 が な い の で,/〓/「
錨 」 と/〓/「
ancoraと 子 音 に 関 し て は,常 に 単 子 音 と し て 実 現 さ れ る/〓/,
[文
母 音 間 で 常 に 重 複 し て 実 現 さ れ る/〓/
1)名
(例:legno/〓/「 を 除 く他 の 子 音 が,母
木 材 」,figlio/〓/「
息 子 」)
音 間 の位 置 で 単 子 音 と重 子音 と
の 対 立 を も ち う る 点 が 注 目 さ れ る(例;fato/〓/ 「運 命 」 ∼fatto/〓/「 は 飲 む 」 ∼bevve/〓/「
事 実 」,beve/〓/「 彼 は 飲 ん だ 」).
法]
名 詞 は,文
詞 法 上,男 性 名 詞,女 性 名 詞 の い ず れ か に 区
別 さ れ . お の お の の 名 詞 は,単 化 す る . た と え ば,男
彼
ま だ」が と もに
綴 ら れ る と い う よ う な こ と が 生 じ る.
数 形 で はlibri,女 で はcaseと
数,複
数2つ
性 名 詞 単 数 形libro「
性 名 詞 単 数 形casa「
な る.こ
の よ う に,名
の 形 に変 本 」 は複
家」は複数形
詞 の 複 数 形 が,ス
ペ イ ン 語,フ
ラ ンス語 な どの西 ロ マ ンス 諸 語 の よ うに
‐sの 添 加 に よ っ て 示 さ れ る の で は な く,語
末母音の変
ー マ ニ ア 語 に もみ ら れ る 特 徴 で あ る).歴
的 に い う な ら,西
表 わ す が(例:Hai る か 」),フ
化 に よ っ て 示 さ れ る の が イ タ リア 語 の 特 徴 で あ る(こ れ は,ル
若 干 の 量 や 数 の 意(「 い く ば くか の 」 「い く つ か の 」)を
史
ロ マ ンス 諸 語 の 名 詞 複数 形 が ラ テ ン
3)形
degli
amici?「
君 に は友 達 が い
ラ ン ス 語 に 比 べ る と使 用 範 囲 が 狭 い.
容詞
形 容 詞 も,共 起 す る 名 詞 の 性,数
に応 じて 語尾 変化 を
語 の 複 数 対 格 に 由 来 す る の に 対 し,イ
タ リ ア 語(お
び ル ー マ ニ ア 語)の
テ ン語 の 複 数 主
行 な う.品 質 形 容 詞 に は,‐o(男 性 単 数),‐i(同 複 数), ‐a(女 性 単 数) ,‐e(同 複 数)の4種 の 語 尾 を有 す る も
性名詞の語尾に
の(例:bravo,‐i,‐a,‐e「
名 詞 複 数 形 は,ラ
格 を ひ き 継 い だ こ と に な る.な は,例
に あ げ た ‐o(複 数 形
例:sapore,‐i「 blema,‐i「
お,男
‐i)の ほ か,‐e(複
味 」)や,‐a(複 問 題 」)な
よ
数 形 ‐i,
性 名 詞 の 語 尾 に は,‐a
優 秀 な 」)と,‐e(男
‐i(男 女 複 数)の2種
breve,‐i「
数 形 ‐i,例:pro
ど が,女
数)と
女単
の 語 尾 を 有 す る も の(例:
短 い 」)と が あ る.品
質 形 容 詞 が,名
詞を直
接 修 飾 し,そ の 名 詞 と と も に 名 詞 句 を 構 成 す る 場 合,形
(複 数 形 ‐e)の ほ か,‐e(複 数 形 ‐i,例:occasione, ‐i「機 会 」)な ど が 含 ま れ る.ま た,子 音 終 わ りの 外 来
容 詞 は 名詞 に後 置 され る場 合 と前 置 され る場 合 とが あ
語(主
対 比 的,限
に 男 性 名 詞.例:film「
の あ る 語(例:caffe「 「王 」)な る.な
ど,い
末 に強 勢
終 わ る 少 数 の 男 性 名 詞 は,通
終 わ る 複 数 形 を も ち,
両 複 数 形 の 間 に 意 味 の 分 化 が み ら れ る(例:単 数 形membri「
「四 肢 」).女
常
数形
性 複 数 形 の 冠 詞,形
容 詞 な ど と 共 起 し,主
で あ る(例:la
は,ラ
か あ る(例:un
2)冠
un
詞
イ タ リ ア 語 は 他 の ロ マ ン ス 諸 語 同 様,ラ 示 形 容 詞 に 由 来 す る 定 冠 詞,数
詞の
不 定 冠 詞 を も ち,お
起 す る 名 詞 の 性,数
の お の,共
応 じ て 違 っ た 形 を と る.す 数 形 と し てil/lo/l'(3形 種 類 に よ る.l'は
冠 詞 は,男
用 い られ る.不
性 形 と してun/uno(s類
本 的 に は,前
特 定 化 し う る,既
み 手)に
visto
人 を 見 か け た 」),と
性
者 が 文 脈 そ の他 に よ って
私 に そ の(例 の) き手(読
uno
straniero.「
私 は あ る外 国
い う こ と が で き る だ ろ う.な
な ど),所
い と し の 祖 国 」,un
お,
概略い うこと
詞 に 対 す る位 置 に よ
uomo「
か わ い そ う な 男 」,
貧 乏 な 男 」).
示 形 容 詞(questo,‐i,‐a,‐e「
有 形 容 詞(mio,‐ei,‐a,‐e「
不 定 形 容 詞(qualche「 詞(quale,‐i「
い く ら か の 」,な ど),疑
れ て 用 い られ る が,所
人 の で は な く)私
の 本 」).ま
た,所
有 形 容 詞 は 通 常,
mio
amico「
あ る 私 の 友 人 」).
の 形 容 詞 な ど を 伴 わ な い,単
数形の親族名
mio
caro
padre「
padre「
zii「 私 の お じた ち 」).
4)人
称代名詞
人 称 代 名 詞 は,主 を 含 み,お
語 人 称 代 名 詞 と補 語 人 称代 名 詞 と
の お の,単
数,複
人 称 を 区 別 す る.ま
た,人
数 に3つ
ず つ,計6つ
れ 自体 ア ク
セ ン トを に な っ て 発 音 し う る 強 勢 形 と,そ
れ 自身 は ア
ク セ ン ト を も た ず,後
続 ま た は 先 行 す る 動 詞 と一 体 に
な っ て 発 音 さ れ る 非 強 勢 形 とが あ る.イ
タ リア 語 の 人
由 来 す る 前 置 詞 と定 冠 詞 とが 融 合 し て で き た 部 分 冠 詞
6つ
し 相 手 を さ す2人
を も ち(男
のtu(補
複 数 形dei/ 複 数 形delle),
の
称 代 名 詞 は,そ
よ う で あ る.
性 単 数 形del/dello/dell',同
私
私 の い と しい 父 」,
称 代 名 詞 の 形 態 は,表2の
性 単 数 形della/dell',同
mio「(他
定 形 容 詞 な ど の 限 定 辞 を伴 って
イ タ リア 語 は,フ ラ ン ス 語 と同 じ く,ラ テ ン語 のDEに
degli,女
問形 容
比 的 に用 い られ libro
称 の 前 で は 定 冠 詞 は 使 用 さ れ な い(例:mio
imiei
ど),
般 に 名 詞 に前 置 さ
有 形 容 詞 は,対
示 形 容 詞,不
の 父 」,cf.il
こ の 」,
私 の 」,な
ど の 」 な ど)は,一
定冠
と って 未知 の もの を表 わ す 名 詞 の前 で 用 い ら
れ る(例:Ho
数 形 容 詞,指
た だ し,他
口で 説明 す る こ と
鍵 を 下 さ い 」),後 者 は 特 定 化 さ れ ぬ も の,聞
povero
povero「
使 用 さ れ る(例:un
用 い られ る. 定 冠 詞
dia la chiave.「
uomo
音の
知 の もの を表 わ す 名 詞 の前 で 使 わ れ
る の に 対 し(例:Mi
patria「
御 親 切 な お 招 き 」),と
っ き り と 意 味 を 分 化 さ せ て い る もの が い く つ
冠 詞,指
音 の 前)が,女
音 の 前)が
と 不 定 冠 詞 の 使 い 分 け に つ い て,一 は 難 し い が,基
他 の子音の
性 単 数 形 と し てla/l'(母
飾的 に 用 い られ る場 合
る 場 合 は 名 詞 に 後 置 され う る(例:il
性 複 数 形 と し てi/gli(s類
性 複 数 形 と し てleが
形 と し てuna/un'(母
に 性単
子 音z,gn,ps
音 と 略 記 〕 の 前,ilは
音 の 前)が,女
詞 は,男
」に由来す る
の 区 別 は,後 続 語 の 語 頭 音 の
前 で 用 い られ る)が,男
前)が,女
な わ ち,定
母 音 の 前,loはs+
〔こ れ ら を 以 下,s類
音,母
「
テ ン語 の指
容 詞 が 前 置 さ れ る の は,そ
が で き る. 形 容 詞 に よ っ て は,名 っ て,は
名 残 り で あ る.
dolce
invito「
letteratura
ま ざ ま な 文 学 が あ る な か で)イ 方,形
の 形 容 詞 が 主 と し て 記 述 的,修
と し て 集 合 的 な 意 味 を 表 わ す こ の ‐aで 終 わ る 複 数 形 テ ン 語 中 性 名 詞 複 数 形(‐a)の
vino
口 の で は な く)甘 口 の ブ ド ウ 酒 」,la
タ リ ア の 文 学 」),一
gentile
構 成 員 」,同membra
の 形 容 詞 が 主 と して
定 的 に 用 い ら れ る 場 合 で あ り(例:il
italiana「(さ
くつ か の 名 詞 は 単 数 と 複 数 が 同 形 で あ
‐iの ほ か に,‐aで
membro,複
容 詞 が 後 置 さ れ る の は,そ
dolce「(辛
コ ー ヒ ー 」),単 音 節 語(例:re
お ま た,‐oで
の複数形
映 画 」)や,語
る.形
の 人 称 形 の う ち,話 語ti,te)は,友
人,家
称 単 数形
族 な ど親 しい 間 柄 の
人 間 を さす 親 称 の 代 名 詞 と 用 い ら れ,そ
れ ほ ど親 し く
な い,あ
る い は 敬 意 を 表 わ す べ き相 手 を さ す 敬 称 の 代
しで も用 い られ るloro(た
だ し,位 置 は 動 詞 の 後)に
名 詞 と し て は,元 来3人 称 のlei(補 語la,le,lei)が 一 般 に 用 い ら れ る.敬 称 のleiに 対 す る動 詞 の 活 用 形
代 わ って,単 数形 として も用 い られ るgliが,話
は3人
形 の間 接 目的 補語 人 称 代 名 詞 と直接 目的 補 語 人 称 代 名
称 単 数 形 が 選 ば れ,ま
た,共
起 す る形 容 詞 は,
ふ つ う,該 当 す る 人 物 の 性 別 に よ り,男 ず れ か の 形 を と る . 一 方,2人 vi,voi)は,親
性 形,女 性 形 い
称 複 数 形 のvoi(補
語
称,敬 称 い ず れ の 代 名 詞 と し て も 用 い ら
れ,leiに 今 日 で は,ご
葉 を 中心 に 勢 力 を伸 ば しつ つ あ る.な お ま た,非 強 勢
詞 とが 同 時 に用 い られ る場 合 に は,ふ つ う前 者 が 後 者 に先 行 す るが,そ の際,前 者 の語 尾 ‐iが ‐eに変 わ る (gliとleは,glie‐ 5)動
形 の 上 で 対 応 す る 敬 称 複 数 形 のloroは, く改 ま っ た 表 現 を す る と き以 外,あ
ま り
主 語 人 称 代 名 詞 は,主
語 を 他 と対 比 さ せ て 強 調 した
とな る).
詞
イ タ リア 語 は,ラ テ ン語 の 動 詞 の 複 雑 な語 形 変 化 を ひ き継 ぎ,1つ
用 い ら れ な い.
し言
の 動詞 が さ ま ざま な 語 形 変 化(活 用)を
行 な う. 活 用 は,人 称 に よ る変 化 を もた ない 不 定 詞,
り,文 意 が 不 明 瞭 に な る の を 避 け た りす る と き 以 外 は,
現在 分詞,過 去 分詞,ジ ェル ンデ ィ オ と,主 語 の 人 称,
省 略 さ れ る こ と が 多 い(例:Ho
数 に よっ て6つ ず つ(命 令 法 は5つ)の
cf,Io
ci vado,e
tu?「
fame.「
私 は 空 腹 だ 」,
私 は そ こ に 行 くが,君
強 勢 形 の 補 語 人 称 代 名 詞 は,動 直 接 目 的 補 語 に な っ た り(た
語 形 変 化 を行
な う 「時 称形 」 に また が っ て行 なわ れ る. 時 称 形 は,
は?」).
詞の直後におかれて
直 説法(現 在,近 過去*,半 前 過去*,未
だ し,esso,‐i,‐a,‐eを
過 去,大 過 去*,遠
来,前 未来*の8時
称),接
除 く),前 置 詞 を 伴 っ て 間 接 目 的 補 語 や 状 況 補 語 に な っ
去*,半 過 去,大 過去*の4時
た りす る.直
れを特
の2時 称),命 令 法(現 在 の1時 称 の み)の い ず れ か の 法
つ う非 強 勢形 の
に 分 類 され る.時 称形 は ま た,動 詞1語 で 表 わ され る
接 目 的 補 語,間
接 目的 補 語 は,そ
に 強 調 し て 表 現 す る の で な け れ ば,ふ 代 名 詞 で 表 わ さ れ る が,強
勢 形 の代 名 詞 を用 い る こ と
に よ っ て 強 調 的 表 現 が 可 能 に な る(例:Io non
lei.「 私 は 君 が 好 き な の で,彼
な い 」,A
te dico
お う」).非
la verita.「
す る 動 詞 形 態),命
Ti
君 に は本 当の こ と を言 定 詞,ジ
ェ
行 形 や種 々 の副 詞 節 を形 成
令法 の一 部 の活 用形 な ど には そ の 直
un
libro.「
la verita?「
な お,3人
君 に 本 を1冊
贈 ろ う」, Puoi
君 は 私 に 本 当 の こ と が 言 え る か 」).
称 複 数 の 間 接 目的 補 語 と し て は,前
<表2>イ
単 純 時 称形 と,「助 動詞(avere〔 本 来 の意 味 は 「持つ 」〕 ま た はessere〔
置詞 な
の 説 明 で,*を 付 した もの が 複合 時 称 形 で あ る). さて,活 用 の型 は,不 定 詞語 尾 が,I)‐are(<
1人 称 2人 称 3人 称
「私」 「君 」 男性 形
と も多 くの 動 詞 を擁 し,ま た,新 語 形 成 に お い て も っ と も生 産 的 な の は‐are活 用 で あ り,‐ire活 用 が そ れ に次 ぐ.不 規 則 な活 用形(特
勢
lui,egli
「そ れ 」
女性 形
esso
数
〔非 強 直接補 語 人称代名詞
me te
mi ti
mi ti
lui
lo
gli
la
le
se
si
si
形〕
「彼 女 」
lei,ella
lei
「そ れ 」
essa
essa
1人
称
「我 々」
noi
noi
ci
2人
称
「君 た ち 」
voi
voi
vi
3人
称 男 性 形 「彼 ら」
loro,essi
loro,essi
li
essi
essi
loro,esse
loro,esse
esse
esse
「そ れ ら」 女 性 形 「彼 女 ら」 「そ れ ら」 再 帰 形 「自 ら 」
勢 形〕 間接補 語 人称代名詞
esso
再 帰 形 「自 ら」 複
に 直説 法 現 在,接 続法 現
補 人
語 称代名詞
io tu
「彼 」
ラ
テ ン語 ‐are活 用 動 詞),Ⅱ)‐ere(< ラ テ ン語 ‐ere, ‐ere活用 動 詞),Ⅲ)‐ire(< ラテ ン語 〓 活 用 動 詞)
タ リア 語 の人 称 代 名 詞 〔強
数
本 来 の 意味 は 「 で あ る」〕)+動 詞 の 過
去 分 詞 」 で 表 わ され る複 合 時称 形 とに分 け られ る(上
主 語 人称代名詞 単
件 法(現 在,過 去*
のい ず れ で ある か に よ って 異 な る.イ タ リア語 で も っ
の 他 の 動 詞 形 に は そ の 直 前 に お か れ る(例:
regalo
dirmi
te,
女 が好 き なの で は
強 勢 形 の 補 語 人 称 代 名 詞 は,不
ル ン デ ィ オ(gerundio,進
後 に,そ
amo
称),条
過 去,
続 法(現 在,過
se
ci
vi
le
si
si
在,直
説 法 遠 過 去,過
‐ere活
去 分 詞 に 多 い)を
含 む 動 詞 は,
用 に も っ とも多 い .
以 下 に,3つ 詞amare「
の 活 用 型 を,規
愛 す る 」,temere「
則 的 な 変 化 を 行 な う動 恐 れ る 」,sentire「
く」 の 単 純 時 称 形 を 例 に 示 し て お く(表3参
聞
am‐i
tem‐a
sent‐a
am‐i
tem‐a
sent‐a
am‐ia‐mo
tem‐ia‐mo
sent‐ia‐mo
am‐ia‐te
tem‐ia‐te
sent‐ia‐te
am‐i‐no
tem‐a‐no
sent‐a‐no
照). 《接 続 法 半 過 去 》
<表3>イ
タ リ ア 語 規 則 動 詞 の 活 用
《不 定 詞 》 am‐a‐re
tem‐e‐re
sent‐i‐re
《現 在 分 詞 》 am‐a‐nte
tem‐e‐nte
sent‐e‐nte
《過 去 分 詞 》 am‐a‐to
tem‐u‐to
sent‐i‐to
am‐a‐ss‐i
tem‐a‐ss‐i
sent‐i‐ss‐i
am‐a‐ss‐i
tem‐a‐ss‐i
sent‐i‐ss‐i
am‐a‐ss‐e
tem‐a‐ss‐e
sent‐i‐ss‐e
am‐a‐ss‐imo
tem‐e‐ss‐imo
sent‐i‐ss‐imo
am‐a‐s‐te
tem‐a‐s‐te
sent‐i‐s‐te
am‐a‐ss‐ero
tem‐e‐ss‐ero
sent‐i‐ss‐ero
am‐a
tem‐i
sent‐i
am‐i
tem‐a
sent‐a
《命 令 法 現 在 》
《ジ ェ ル ン デ ィ オ 》 am‐a‐ndo
tem‐e‐ndo
sent‐e‐ndo
《直 説 法 現 在 》 am‐o
tem‐o
sent‐o
am‐ia‐mo
tem‐ia‐mo
sent‐ia‐mo
am‐i
tem‐i
sent‐i
am‐a‐te
tem‐e‐te
sent‐i‐te
am‐a
tem‐e
sent‐e
am‐i‐no
tem‐a‐no
sent‐a‐no
am‐ia‐mo
tem‐ia‐mo
sent‐ia‐mo
am‐a‐te
tem‐e‐te
sent‐i‐te
各 活 用形 は,語 幹 +幹 母 音 + 時 称 標 識 + 人 称 標 識 か
am‐a‐no
tem‐o‐no
sent‐o‐no
ら形 成 され て い る と考 え られ るが,幹 母 音 以 下 の 要素 は 部 分的 ない し全 面的 に融 合 して い る場 合 も少 な くな
《直 説 法 半 過 去 》 am‐a‐vo
tem‐e‐vo
sent‐i‐vo
い.‐ire活 用 に属 す る規 則 動 詞 には,上
am‐a‐vi
tem‐e‐vi
sent‐i‐vi
動 詞 と並 ん で,そ の活 用 形 の い くつ か に ラテ ン語 の起
am‐a‐va
tem‐e‐va
sent‐i‐va
am‐a‐va‐mo
tem‐a‐va‐mo
sent‐i‐va‐mo
動 接 辞(「∼ し始 め る」の意 を表 わ す 要素)に 由来 す る ‐isc‐ を 語 幹 の 後 に挿 入 す る型 の もの が あ る(例:finire
am‐a‐va‐te
tem‐e‐va‐te
sent‐i‐va‐te
am‐a‐va‐no
tem‐a‐va‐no
sent‐i‐va‐no
《直 説 法 遠 過 去 》 tem‐e‐i
sent‐i‐i
am‐a‐sti
tem‐e‐sti
sent‐i‐sti
tem‐e
「終 え る」 の 直 説法 現 在finisco「 私 は 終 え る」). イ タ リア語 の動 詞 体 系 に関 して,そ
の形 態 お よび機
能 上 の主 要 な 特徴 につ い て さ ら に述 べ る な ら,次 の よ
am‐a‐i
am‐o
にあげた型の
sent‐i
う な こ とが 指 摘 で き る. ⅰ)ラ
テ ン語 の完 了 語 幹 に基 づ く活 用 形 が 衰 退 し
(標 準 イ タ リア語 に残 った の は,ラ テ ン語 直 説 法 現 在 完
am‐a‐mmo
tem‐e‐mmo
sent‐i‐mmo
am‐a‐ste
tem‐e‐ste
sent‐i‐ste
了 に 由来 す る 直説 法 遠 過去 と,ラ テ ン 語 接 続 法 過 去 完
am‐a‐rono
tem‐e‐rono
sent‐i‐rono
了 に 由来 す る接 続 法 半 過 去 の み),代 わ って 助 動 詞 を用
am‐e‐r‐o
tem‐e‐r‐o
sent‐i‐r‐o
ⅱ)ⅰ
am‐a‐r‐ai
tem‐a‐r‐ai
sent‐i‐r‐ai
在 +過 去 分 詞)と,ラ
am‐e‐r‐a
tem‐e‐r‐a
sent‐i‐r‐a
ひ き継 い だ 直説 法 遠 過去 との 間 に機 能 上 の対 立 が 生 じ
am‐e‐r‐emo
tem‐e‐r‐emo
sent‐i‐r‐emo
た.前 者 は,過 去 の 事 柄 を何 らか の 意 味 で現 在 とつ な
am‐a‐r‐ete
tem‐a‐r‐ete
sent‐i‐r‐ete
が り を もつ もの と して 表現 す るの に対 し,後 者 は,過
am‐e‐r‐anno
tem‐e‐r‐anno
sent‐i‐r‐anno
am‐a‐r‐ei
tem‐a‐r‐ei
sent‐i‐r‐ei
am‐e‐r‐esti
tem‐e‐r‐esti
sent‐i‐r‐esti
am‐e‐r‐ebbe
tem‐e‐r‐ebbe
sent‐i‐r‐ebbe
am‐e‐r‐emmo
tem‐e‐r‐emmo
sent‐i‐r‐emmo
い た,分 析 的 な表 現 で あ る複 合時 称 が 発 達 した.
《直 説 法 未 来 》
《条 件 法 現 在 》
tem‐e‐r‐este
sent‐i‐r‐este
am‐e‐r‐ebbero
tem‐e‐r‐ebbero
sent‐i‐r‐ebbero
動詞の直説法現
テ ン語 の現 在 完 了 を形 の 上 で
去 の 出来 事 を現 在 とは 切 り離 され た事 柄 と して 表 現 す る.こ の2つ
am‐e‐r‐este
の時 称 形 に,過 去 の 事 柄 を そ の 継 続 的 な
広 が りの うち に とらえ る直 説法 半 過 去 を 加 え た 用 例 を 次 に あげ て お く. Io sono
nato(近
過去)nel
(半過 去)5anni fini(遠 「私 は1940年
1940.Quando 過 去)la
avevo
guerra.
に生 ま れ た.私 が5歳 だ っ た と き,
戦 争 が 終 わ った 」
《接 続 法 現 在 》 am‐i
に関 連 し,直 説 法 近過 去(助
tem‐a
sent‐a
この よ う に,標 準 イ タ リア語(ま
た,そ の 土 台 とな
っ た トス カ ナ 方 言)で
は,近
対 立 が 保 た れ て い る が,北 タ リ ア 語 で は,近 と が 多 く,逆
過 去 と遠 過 去 の 機 能 上 の 部 イ タ リアの 方 言 や 地 域 イ
過 去 が遠 過 去 に とって 代 わ られ る こ
に,南
部 イ タ リ ア で は,遠
過 去 が 標 準語
と し て で は な く,仮
想 上 の そ れ として 表現 す る場 合 に
多 く 用 い ら れ る. 接 続 法 が,あ 句(affinche「
る種 の接 続 詞 や 持 続 詞
∼ す る よ う に と」,prima
前 に 」,senza
che「
che「 ∼ す る
∼ す る こ と な し に 」)の 後 で 自 動
の 近 過 去 の 機 能 を 兼 ね て 用 い られ る こ と が 多 い.
的 に 用 い ら れ る の も,あ る い は 同 じ 接 続 詞 で あ っ て も,
ⅲ)語
次 に 直 説 法 が く る場 合 と接 続 法 が く る 場 合 と で 違 っ た
形1つ
で 示 された ラ テ ン語 の受 動 態 の 活 用形
(例:AMOR「
私 は 愛 さ れ る 」)が 廃 れ,助
単 純 時 称 に お い て はvenire〔 も)と
意 味 に な る こ と が あ る(Dice
動 詞(essere,
本 来 の意 味 は
「来 る 」〕
過 去 分 詞 を組 み 合わ せ た分 析 的 な受 動 表現 が そ
れ に と っ て 代 わ っ た(例:Eamato 皆 に 愛 され て い る」).な 受 身 の 代 名 詞siを
da
tutti.「 彼 は
お,イ タ リ ア 語 で は こ の ほ か, 語 は3人
称に
限 られ る)も 広 く用 い られ て い る(例:Si
vedono
due
ombre.「
の 場 合,「 ∼
影 が2つ
用 い た 受 動 表 現(主
見 え る 」).た
だ し,こ
に よ っ て 」 に 当 た る 行 為 者 は 表 現 され な い の が 普 通 で
cosi
perche
ridete.〔 直
説 法 〕 「君 た ち が 笑 う の で 彼 は そ ん な ふ う に 言 う 」, Dice
cosi
perche
ridiate.〔
接 続 法 〕「君 た ち が 笑 う よ
う に と彼 は そ ん な ふ う に 言 う」)の も,仮
想上の事柄 を
表 わ す と い う 接 続 法 の 本 質 か ら し て 納 得 が い く.Cerco una
persona
che
l'abbia
visto.(接
続 法)「 私 は
そ れ を 見 た か も し れ ぬ 人 を 探 し て い る(現
実 にそ うい
う人 が 存 在 す る か ど う か は 判 ら な い が)」 una
persona
che
l'ha
visto.(直
と,Cerco
説 法)「 私 は そ れ を
あ る.
見 た 人 を 探 し て い る(そ
ⅳ)あ
ら)」 と の ニ ュ ア ン ス の 差 も,同 様 の こ と か ら 説 明 が つ
る 種 の 動 詞 が,主
再 帰 代 名 詞(1人
語 と同 一 の 人 や も の を さ す
称mi,ci,2人
称ti,vi,3人
称si)
け ら れ る.ま
う い う人 が 存 在 す る は ず だ か
た,現 実 に 起 こ っ て い る,あ る い は 起 こ っ
を 能 動 態 の 活 用 形 の 前 に お き,「 自 ら を ∼ す る 」 「自 ら
た 事 柄 で あ っ て も,そ
に ∼ す る 」 な ど の 意 味 を 表 わ す 場 合 が あ り,こ
情 な ど に 力 点 を お い て 表 現 が な さ れ る 場 合 に は,接
の よう
に 用 い られ た 動 詞 を 再 帰 動 詞 と よ ぶ(例:Ada guarda
allo specchio.「
る」,Mi
sono
si
ア ー ダ は鏡 で 自 らの 姿 を見
comprato
un
libro.「 私 は 自 分 に 本 を
法 が 用 い ら れ る(例:Sono venuto.「
contento
che
tu
私 は 君 が 来 て く れ た の で 嬉 し い 」).た
こ の 場 合,特
に 口 語 な ど で,当
テ ン語 の 直 説 法 未 来 形 が,「 不 定 詞 +HABERE (元 来 は,「 持 つ 」 の 意.イ
は,直 sei
タ リア 語 のavere)
説 法 の 使 用 も可 能 で あ る(Sono venuto.).同
じ く,主
contento
同 時 に,「
び 帰 結 節 の 条 件 法)に
不 定 詞 +HABEREの
現 在 完 了 形(avere
の 遠 過 去 形)」 か ら ラ テ ン語 に は な か っ た 「条 件 法 」 な
ば み ら れ る (例:Se
る 形 態 が 生 じ た(例:canterebbe「
compravo〔
彼 は歌 うだ ろ う
に 」<ラ テ ン 語CANTARE
HABUIT).条
件 法 は,
条 件 文 の 帰 結 節 で 用 い ら れ る ほ か,過
去 か らみ た 未
来 を 表 現 す る の に 用 い ら れ る (例:Mi tornato
に,他
subito.「
disse
ehe
彼 は す ぐ帰 る と 私 に 言 っ
の例 文 に も あ る よ う に,過
去 未 来 を表 わ す の
の い くつ か の ロ マ ンス 語 や古 い イ タ リア語 と
違 っ て,条
件 法 現 在 で はな く条件 法 過去 を用 い る のが
続 法 は,独
立 文 の 中 で 用 い られ て 願 望 を 表 現
し た り す る 場 合 も あ る が(例:Potessi 「私 に もそ れ が で き た ら な あ 」),普 用 い られ る.従
属 節 中 で は,意
動 詞 の 後(例:Voglio
che
早 く来 て も ら い た い 」),判
lui venga 断,意
meglio
望 を 表 現 す る主 presto.「
彼 に
見 を表 わ す 主 動詞 の che che
sia tu
vero.「
る 出 来 事,状
直 説 法 半 過 去 〕rieco
ら そ れ を 買 っ た の だ が 」,cf.Se 法 大 過 去 〕ricco
l'avrei
そ
態 を現 実 の もの
fossi
こ の よ う に,口 語 で は,し
comprato〔
lo
stato〔
接続
条 件 法 過 去 〕.).
ば しば 接 続 法 が 直 説法 に と っ
て 代 わ ら れ る と は い え,直
説 法 と 接 続 法 の 対 立 は,イ
タ リ ア 語 で は 一 般 に よ く保 た れ て い る と い っ て よ い. 6)語
順
最 後 に,文
を 構 成 す る 際 の 主 語(S),動
な ら,イ
ど の 配 置,い
殊 な 文 脈 の 支 え や,特
応,基
眠 っ て い る 」)で il biglietto.「 れ る が,た
あ る(aとbを
本 的 な 語 順(特
別 な イ ン トネ ー シ ョ ン を 必 要 と
し な い も の)は,SV(例:Marco
あ る).
詞(V),目
わ ゆ る語 順 につ い て 述 べ る
タ リア語 は 相 当柔 軟 な 統 辞構 造 を 備 え た 言語
dorme.「
あ り,SVO(例:Marco
マ ル コは compra
マ ル コ は 切 符 を 買 う 」)で あ る と 考 え ら
と え ば,Sに
lo accompagnassi. し た い 場 合 に は,次
「君 が 彼 に つ い て 行 く方 が よ か っ た 」)な ど で 用 い ら れ る な ど,あ
ero〔
で あ る と い う こ とが で き る.一
anch'io!
通 は,従 属 節 の 中 で
志,願
後 や 非 人 称 表 現 の 中(例:Credo れ は 本 当 だ と思 う」,Era
farlo
よ
代 わ って 直 説 法 の 使用 が しば し
直 説 法 半 過 去 〕.「 も し 私 が 金 持 ち だ っ た
的 語(O)な
現 代 標 準 イ タ リ ア 語 の 特 徴 で あ る. ⅵ)接
che
に 口 語 や くだ け た 文 体 で
は,「 非 現 実 」 の 条 件 文 の 中 で も 本 来 の 接 続 法(お
た 」).こ
だ し
の 感 情 を ひ き起 こす原
の 直 説法 現 在形 」 に よ って全 面 的 に作 り変 え られ る と
sarebbe
続 sia
因 と な っ た 出 来 事 に も力 点 を お い て 表 現 す る 場 合 に
1冊 買 っ た 」). ⅴ)ラ
れ に起 因 す る話 し手 そ の 他 の 感
特 に大 き な比 重 をか け て 表現
のaの
ほ か にbの
よ うな方 法 が
組 み 合 わ せ る こ と も もち ろ ん 可 能 で
a)Sの
部 分 が 浮 き彫 り に な る よ う,通
常のイ ン ト
ネ ー シ ョ ン を 変 え る.
b)VS(Dorme
度,話
Marco.「
マ ル コ が 眠 っ て い る(眠
マ ル コ が 切 符 を 買 う(切
は マ ル コ だ)」)の VS,VOSの
に用 い られ う る の は,ふ み 手)に
符 を 買 うの
よ う な 語 順 を 用 い る. よ う な 語 順 が,Sを
容 詞,一
わ ゆ る 「変 意 接 尾 辞(suffisso
中 で は,「 聞 き 手(読
ど),愛
称 接 尾 辞,蔑
ど),増
称 接 尾 辞(‐astro,‐accio
ら れ る 場 合 も あ る(例:casa「
を 表 わ す 要 素 に 先 行 す る 」 とい う 原 則 が 支 配 し て い る
casupola,casipola「
家 」→casina,casetta,
小 さ な(か わ い ら し い)家 」, ち っ ぽ け な 家 」,casona,casone
素 」 と そ れ に つ い て の 「陳 述 を 表 わ す 要 素 」 の 組 み 合
「大 き な(た だ し,そ
わ せ か ら な る と考 え る の な ら,「主 題 」の 要 素 は 「陳 述 」
っ と も な い 家 」;furbo「
の 要 素 に 先 行 す る の が ふ つ う で あ る.あ
「大 変 抜 け 目 の な い 」;presto「
題 」 化 す る と は,そ
れを
「既 知 の 要 素 」 に 転 化 さ せ る
こ と に ほ か な らな い の で,こ 行 す る こ と は,先
れが
「陳 述 」 の 要 素 に 先
に あ げ た 新 情 報,旧
情 報 の位 置 の原
主 題 化 した 文 と し て は,Il biglietto
Marco.「
詞 のOがVに
詞 を 受 け 直 す 代 名 詞(こ うで あ る(ち て
な み に,イ
先 行 す る 場 合,そ こ で はlo)を
の名
用 い るの が ふつ
タ リア語 の 最初 期 の文 例 と し
「イ タ リ ア 語 の 歩 み 」 に 引 用 し たSao
従 属 文 に も,こ
ko…
以下 の
れ と ま っ た く同 じ 構 造 の 文 が 用 い られ
次 に,イ
早 く」 →prestino
タ リア 語 の 語 彙 を そ の 起 源 に よ っ て 分 類 す
る な ら,古
代 ロ ー マ 時 代 以 来,今
日 に 至 る ま で,語
形
常 生 活 の 場 を中 心 に
そ の 他 の 語 彙 と に 大 別 す る こ とが で き る. 本 来 語 に は,代 ほ か,uomo「
用 頻 度 は そ う高 く な い とみ ら
名 詞,接
続 詞,前
人 」,padre「
「息 子 」,figlia「 「空 」,acqua「
娘 」,bue「
「高 い 」,buono「
置 詞,数
父 」,madre「
水 」,terra「
詞 などの 母 」,figlio
牛 」,cane「
犬 」,cielo
土 地 」,campo「
良 い 」,caldo「
愛 す る 」,credere「
る 」,vedere「
タ リア 語 で は,SOV,VSO,OSVの
語 順 も可 能 で あ る が,使
み
「ち ょ っ と早 く」).
amare「
て い る). こ の ほ か,イ
」,casaccia「
抜 け 目 の な い 」→furbone
連 綿 と 使 わ れ 続 け て き た 本 来 語(民 衆 語 と も よ ぶ)と,
lo compra
切 符 は マ ル コ が 買 う」 と い う よ う な 文 が 考 え
られ る が,名
う 美 し く な い)家
や と き に 語 義 を 変 え な が ら も,日
則 と も抵 触 し な い. Oを
小接
大接尾辞
る こ とが 多 く,ま た,指 小 接 尾 辞 が 蔑 称 接 尾 辞 的 に 用 い
か ら で あ る と思 わ れ る.ま
る 要 素 を 「主
alterativo)」
な ど)に 分 類 さ れ る が,指 小 接 尾 辞 は 愛 称 接 尾 辞 を 兼 ね
casarella,casarellina「
を 「主 題 を 表 わ す 要
き さや 程
れ は ふ つ う,指
尾 辞(‐ino,‐ello,‐etto,‐uccioな
とっ て既 知 の 情 報 を表 わ す 要 素 が 未知 の 情報
た,文
部 の 副 詞 に 添 え て,大
し 手 の 心 情 な ど に 関 わ る細 か な ニ ュ ア ン ス を 付
加 す る,い
(‐oneな
浮 き 彫 り に す る文
つ う,文
詞,形
il biglietto を き わ め て 豊 富 に も っ て い る.こ
っ て い る の は マ ル コ だ)」),VOS(Compra Marco.「
か に,名
畑 」,alto
暑 い 」,avere「
持 つ 」,
信 じ る 」,dormire「
見 る 」 等 々,現
眠
在 も頻 繁 に 用 い られ る
基 本 語 が 数 多 く含 ま れ る . 本 来 語 の 中 に は,ラ
テ ン語
に よ って他 言 語 か ら借 用 され 今 日の イ タ リア語 に伝 え
れ る. [語
彙]
タ リア 語 は
ら れ た 語,た
頭 辞,接
車 」 な ど の ケ ル ト語 起 源 と 思 わ れ る 少 数 の 語 や,aria
ま ず 語 形 成 に 関 し て は,イ
ラ テ ン 語 の 豊 か な 派 生 能 力 を ひ き継 ぎ,接 辞 の 添 加,あ
尾
る い は 逆 形 成 な ど の 手 段 に よ っ て 多 くの
派 生 語 を 生 み 出 して い る が(例:leggere「 rileggere「
読 み 直 す 」;auto「
手 」;dogana「
税 関 」 →sdoganare「
sdoganamento「 trasPortatore「
通 関 」;trasportare「 運 搬 人,コ
読 む 」→
車 」 →autista「
運転
通 関 す る」→ 運 搬 す る 」→
ン ベ ア ー 」,trasportabile
「運 搬 可 能 な 」,trasporto「
運 搬 」;comPuter「
ピ ュ ー タ 」→computerizzare「
コン
コ ン ビ ュー タ化 す る」
→computerizzazione「
コ ン ピ ュ ー タ 化 」),そ
の一
と え ば,becco「
「空 気 」,braccio「
来,さ
じ て 他 の 言 語(主
の 」,conferenza
stampa「
「公 け の 席 で の 話 」 +stampa「 タ リ ア 語 は,上
食 器 」,scala
mObile 可動
記 者 会 見 」 ←conferenza 報 道 陣 」).な
お,イ
に 示 した よ う な 通 常 の 派 生 接 尾 辞 の ほ
テ ン 語,ギ
た,書
物 を通
リ シ ア 語)か
ら導
生 や 合 成 な どの手 段 に よ っ
て イ タ リ ア 語 の 内 部 で 形 成 さ れ た 語 彙 が 含 ま れ る. 借 用 語 の う ち,量
さ れ て 以 来,文
階 段 」 +mobile「
に,ラ
入 し た 借 用 語(学 識 語),派
成 に よ る新 語形 成 が 近 年 とみ に 増加 しつ つ あ る
洗 う 」 +stovaglie「
タ リア 語 が そ の 形 成 期 以
語 か ら 採 り 入 れ た 借 用 語(外 来 語)や,ま
た,合
「エ ス カ レ ー タ ー 」 ←scala「
部 屋 」 な どの 数 多
ま ざ ま な 民 族 との 直 接,間 接 の 交 渉 を 通 じ て 他 言
テ ン語(文 語)か
laVare「
馬
く の ギ リ シ ア 語 起 源 の 語 が 含 ま れ る.
テ ン語 や 初期 の イ タ リア 語 に は 比較 的 乏 しか っ
食器 洗 い 機 」 ←
腕 」,camera「
本 来 語 以 外 の 語 彙 に は,イ
方,ラ
点 が 注 目 さ れ る(例:lavastovaglie「
く ち ば し 」,carro「
術,法
的 に も っ と も多 く重 要 な の は,ラ
ら の 借 用 語 で あ る.イ
律,行
語 ラ テ ン 語 は,思 政 な ど,多
あ る 分 野 を 中 心 に,絶 語 に 提 供 し,そ
学,芸
え ず 新 た な語 彙 を文 語 イ タ リア
れ は さ ら に,口
科 学 」,studio「
「自 由 な 」,giustizia「
教,科
少 と も知 的 な 活 動 と 関 わ り の
ま っ て い っ た(例:essenza「 scienza「
タ リア 語 が 形 成
想,宗
語 の イ タ リア 語 に も広 本 質 」,gloria「
勉 学 」,libro「
正 義 」,stato「
栄 光 」,
本 」,libero
状 態 」 等 々) .
場 合 に よ っ て は,文
ツ ィ ア な ど と の 通 商 関 係)を
語 ラ テ ン 語 か ら借 用 し た 語 が,同
反 映 し て,同
国の公用語
じ ラ テ ン 語 の 語 源 に 遡 る 本 来 語 に 属 す る 語 と,「 二
で あ っ た ギ リ シ ア 語 か ら も い くつ か の 語 が 採 り入 れ ら
重 語 」 を 構 成 す る こ と も あ る(例:CAUSA(M)>
れ た(gondola「
本 来 語cosa「
も の 」,借 用 語causa「
PENSARE>
本 来 語pesare「
語pensare「
原 因,訴
目方 を は か る 」,借 用
考 え る」;VITIU(M)>
「癖 」,借 用 語vizio「
訟 」;
欠 陥,悪
ど).文
語 ラテ
ン 語 か ら の 借 用 は 単 に 個 別 の 単 語 の み な ら ず,接 (inter‐ ultra‐
「間 の 」,extra‐
「外 の 」,semi‐
「過 度 の 」 な ど)や,接
る ‐ano,‐ese,‐ico,副
詞 を作 る ‐menteな
い は 合 成 語 の 造 語 成 分(uni‐ 「多 くの 」,audio‐
頭辞
「半 ば 」,
尾 辞(形 容 詞,名
詞 を作
ど),あ
る
「1つ の 」,multi‐,pluri
「オ ー デ ィ オ の 」,video‐
の 」,‐fero「
∼ を も た らす 」,‐forme「
に も及 び,こ
れ ら は ギ リ シ ア 語 起 源 の 接 辞,造
中 世 か ら 近 代,現
「ビ デ オ
∼ 形 の 」 な ど) 語成分
よ び 他 の 近 代 ヨ ー ロ ッ パ 諸 語)に お け る 新 語
ン ス 語 で あ る.中
世 期 に は,先
源 の 語 の ほ か,dama「 giallo「
近 代 以 降(こ
符 」,controllo「
treno「
ク 語(プ
語 が あ る.そ
れ に は,ゴ
少 数 の 語(bando「
語(guancia「
ル マ ン語 起 源 の 一 群 の 単
ー ト語 か ら入 っ た と 思 わ れ る
告 示 」,elmo「
張 り」 な ど),そ
成 され つ つ あ
兜 」,guardia「
見
れ よ り数 多 い ラ ンゴバ ル ド語 起 源 の ほ お 」,schiena「
ン チ 」,stamberga「
背 中 」,panca「
あ ば ら屋 」 な ど),い
ベ
つ どの よ う
「新 鮮 な 」,guerra「 む 」,bianco「 含 ま れ る.ま
戦 争 」,roba「
物 」,rubare「
白 い 」,biondo「 た,フ
盗
金 髪 の 」 な どの語 が
ラ ン ク語 起 源 の 語(dardo「
槍 」,guadagnare「
稼 ぐ」,giardino「
「休 戦 」 な ど)は,主
と し て,形
庭 」,tregua
ら に,地
名 や 人 名(Alberto,
ど)に
も ゲ ル マ ン語 に 由
ス ペ イ ン語 か らは,特 が な さ れ(13世
grandioso「
に16∼17世
快 活 さ」,etichetta「
に 残 っ て い る.ま
た,caeao「
バ コ」,patata「
し て,中 (algebra「
か ら1091年
さ れ た 物 産 の 名 称 も,ス
カ カ オ 」,tabacco「
世 の 文 語 ラ テ ン語 を 介 し て,数 代 数 」,cifra「
「ア ル カ リ」 な ど)が
数 字 」,zero「
入 っ た ほ か,通
に 採 り入 れ ら れ た.
業,ス
紀 以 後,政
gazzino「
倉 庫 」,tariffa「
arancia「
オ レ ン ジ 」,limone「
ン帝 国 との つ な が り(6世
と に 第2次
世 界 大 戦 後 は ア メ リカ英 語
か ら の 借 用 も 加 わ り,今
日,イ
タ リア語 の借 用語 の 中
で 英 語 起 源 の 語 の 占 め る 比 率 は 著 し く高 ま っ て い る. 英 語 か ら の 借 用 語 に は,bistecca「
の よ う に,音
的,形
ビ フ テ キ 」(複 数 形
快 適 さ 」(複 数 形conforti) 態 論的 にイ タ リア語 化 され た もの
が あ る 一 方,baby‐sitter,happening,standard, self‐service,testな
ど の よ う に,原
語 の 語 形(綴
そ の ま ま 保 た れ て い る も の も あ る.後
の よ う に,イ
と
着 し て,イ
タ リア 語 式 の 発 音(主
り
者 の中に
に 綴 り字 読 み)が 定
タ リア 語 の 語 彙 に 完 全 に 組 み 込 ま れ た と考 語 式,イ
ゼ ロ」,alcali
も の 発 音 が 可 能 な 語 も,借
用 年 代 の 新 しい 語 を 中心 に
ラ ビ
税 関 」,ma‐ 木 綿 」,
た,ビ
ザ ンチ
紀 以 降 の,特 に 南 部 イ タ リ ア 字 軍,ヴ
多 数 存 在 し て い る.な
ェネ
タ リア 語 式 い ず れ
お,「 敷 き 写 し(calque)」
によ
る 借 用 の 例 を 英 語 起 源 の 語 に 求 め る な ら,grattacielo 「摩 天 楼 」(英
語skyscraper),cartone
「ア ニ メ 映 画 」(英 語animated
レ モ ン」,ragazzo
を 中 心 とす る ビ ザ ン チ ン領 土 の 存 在,十
済,産
え て よ い も の の ほ か に,原
料 金 」,cotone「
「少 年 」 な ど の 語 が 採 り入 れ ら れ た.ま
治,経
ポ ー ツ な ど の 分 野 の 語 を 中 心 に 増 え 始 め,20世
多 くの 学識 語
商 な ど,ア
ア 人 と の 直 接 の 交 渉 を 通 して,dogana「
タ
大陸 か ら もた ら
ペ イ ン語 を 通 じ て イ タ リ ア 語
英 語 か らの 借 用 語 は,18世
ま
ア ラ ビ ア 語 か ら は,主
礼 儀 作 法 」, 日の イ タ リア語
ジ ャ ガ イ モ 」 な ど,新
は,film/〓/,sport/〓/,tennis/〓/
チ リ ア は,827年
ペ イ ン王 家 に ひ き
荘 重 な 」 な ど の 語 が,今
来 す る 名 称 が 残 さ れ て い る.
で ア ラ ブ 支 配 を 受 け た)の
紀 を中 心 に借 用
紀 後 半 以 降,ス
7世 紀 半 ば か ら,数 た イ ス ラ ム 教 徒(シ
騎 士 」,
紀 末 に始 ま る ア ラ ゴ ン王家 に よ る南 イ
字)が
世 紀 にわ た っ て地 中 海 を支 配 し
タ リ
フ ラ ンス の オ ッ
ら も,cavaliere「
bistecche),conforto「
成 され て 間 もな い フラ
ン ス 語 を 経 由 し て 入 っ た.さ Carlo,Riccardoな
投げ
世 期 に は,南
旅 行 」の よ う な 語 が 入 っ て い る.
紀 に 入 っ て,こ
な経 路 を た ど っ て 入 っ た の か は っ き り し な いfresco
愛
印 章 」,
タ ク シ ー 」 等 々 の 語 が,イ
ロ ヴ ァ ンズ 語)か
viaggio「
切
流 行 」,patriota「
官 僚 制 度 」,timbro「
お,中
継 が れ る),brio「
っ た イ タ リ ア 語 に 入 っ た,ゲ
紀 に 数 多 い)は,biglietto「
汽 車 」,tassi「
ア 語 に 入 っ た.な
軍 馬 」,
食 べ る 」 な ど の 語 が,
検 査 」,moda「
他 民 族 と の 接 触,交
ず 中 世 期 に,形
貴 婦 人 」,destriere「
と に18世
タ リ ア 支 配 は,15世
渉 を 通 じて イ タ リア 語 に 採 り 入
に あ げた フ ラ ン ク語 起
黄 色 の 」,mangiare「
形 成 に お い て,き わ め て 生 産 的 な 役 割 を 果 た し て い る.
れ ら れ た 借 用 語 に は,ま
代 に か け,ラ テ ン 語 を 別 に す れ ば,
国 者 」,burocrazia「
(mono‐ 「1つ の 」,psico‐ 「精 神 の 」,‐logia「 学 問 」, ‐metro「 尺 度 」 な ど)と 並 ん で ,こ と に 近 代 以 降,イ タ リ ア 語(お
ガ レ ー 船 」,falo
イ タ リ ア 語 に も っ と も多 くの 語 彙 を 提 供 し た の は フ ラ
本 来 語vezzo
習 」,な
ゴ ン ド ラ 」,galea「
「か が り火 」 な ど).
timana「
週 末 」(英 語weekend)な
animato cartoon),fine
イ タ リ ア 語 か ら他 の ヨ ー ロ ッ パ 諸 語 に,場 て は,さ
set
ど の 例 が あ る. 合 によっ
ら に 他 の 地 域 の 言 語 に 導 入 さ れ た(16世
紀
以 降 に 多 い)語 術,音
楽,文
彙 は,経
済,社
交,軍
事,海
事,建
Worterbuchに
築,美 源 辞 典.語
学 な ど の 広 い 分 野 に わ た っ て い る(banca
「銀 行 」,bancarotta「 balcone「
倒 産 」,cortigiano「
バ ル コ ニ ー 」,fresco「
「オ ペ ラ 」,concerto「
音 楽 会,コ
廷 臣 」,
第55分
[辞
源 と な る語 を 見 出 し 語 に 掲 げ,1997年
冊(*blastemareま
フ レ ス コ 画 」,opera
[参 考 文 献]
ン チ ェ ル ト」,sonet
De
で)ま
1)Tommaseo,N.e della
〔=Unione
lingua
italiana
Jaberg,K.und
(UTET
Tipografico‐Editrice
序 文 付 き複 刻
ちG.Barberi
(1961‐),Grande
della
und
dell'uso,grammatica
(Bompiani,Milano)
lingua
Migliorini,B.(19785),Storia
3)Zingarelli,N.(198311),Il
liana(Sansoni,Firenze)
Nuovo
della lingua
Zingarelli.
italiana(改
〔M.Dogliotti,L.Rosiello
Sudschweiz(Rin
G.Lepschy(1981),La lingua
italiana.Storia,varieta
italiana(UTET,Torino)
Vocabolario
der
gier,Zofingen,全8巻)
Squarotti)
dizionario
d'Italia(Rizzoli,
(1928‐40),Sprach‐und
Italiens
Lepschy,A.L.e
版1977,Rizzoli,Milano,全20巻) 2)Battaglia,S.(の
J.Jud
Sachatlas
Torinese〕,
Torino,全4巻7冊;G.Folenaの
linguaggio
Milano)
B.Bellini(1861‐79),
Dizionario
dell'
unita(Laterza,Bari)
Devoto,G.(1974),Il
書]
della
lingua
Rohlfs,G.(1966‐69),Grammatica
訂 第11版
lingua
編 〕,Zanichelli,
italiana e
4)Dizionario
enciclopedico
dell'Enciclopedia
storica
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suoi
Tagliavini,C.(19726),Le
italiano(Istituto
Italiana,
origini
delle
universale
dell'Enciclopedia
neolatine(Patron,Bologna)
Roma,1955‐61,全
italiano
(Istituto
イ タ リ ッ ク 語 派 英Italic,独Italisch,
印 欧 語 族(Indo‐European
6)Battisti,C.e
に 属 す る1語
G.Alessio(1950‐57),Dizio
etimologico
della lingua
italiana
(Za
だ し,い etimologico
量 ともに記 念 碑 的 な
紀 以 前 の 著 作 を 読 む 上 で,今
日 も有
在 刊 行 中 の 最 大 規 模 の 国 語 辞 典.初
期文献
か ら現 代 ま で の 出 典 を 示 し た 文 例 を 収 め る.1997年 在,第18巻(sik‐ 3は,12万7千
ま で)ま
現
の 地 に定
除 く.し
Dialects),
西 部 の エ トル
か し ま た,「 イ タ リ ッ
ク 諸 方 言(Italic
Dialects)」
ン ブ リ ア 語 等,非
ラ テ ン語 諸 方 言 に 限 定 さ れ る 場 合 が
快な語義説明
と い え ば,オ
書 とし
ス ク 語,ウ
属 す る が,他
下,Ital.で
群(→
示
イ ン ド ・ヨ ー ロ
の 印 欧 諸 語 に 対 し,そ
の特
の ご と くで あ る. 印 欧 語 〕*n,*m>Ital.en,em.
Lat.〔
come,go'>Ital.*gwemio:
ラ テ ン 語 〕venio,Osc.〔
オ ス ク 語 〕kum
bennieis 'conventus';
て の 語 の 解 説 も な お ざ り に さ れ て い な い.
IE*mnto‐s'to
在 ま で に 完 成 し た 最 大 の 語 源 辞 典. っ と も標 準 的 な 語 源 辞 典.読
2)IE*r,*l
stir'>Lat.com‐mentus >Ital.or,ol.
例)IE*krd‐'heart'>Lat.cord‐is;
め る 辞 典 と し て の 工 夫 が あ る. ァ ル トブ ル ク のFranzosisches
徴 は,次
イ タ リ ッ ク 語 派(以
ン ト ゥ ム(Centum)語
例)IE*gwm‐'to
よ る 発 音 表 示 を つ け て い る.
在 の と こ ろ,も
す)は,ケ
1)IE〔
本 で は 代 表 的 な 辞 典.IPAに
科 事 典 を 兼 ね た 著 作 で あ る が,辞
[言 語 特 徴]
ッ パ 語 族)に
で 刊 行 さ れ て い る.
の 見 出 し語 を 含 み,明
と適 切 な 用 例 で,1巻
4,5は,百
るい は ア
あ る.
用 で あ る. 2は,現
南 部 イ タ リア の ギ リ シ ア 語,中 ス ク 語(Etruscan)を
紀 に 刊 行 さ れ た,質
国 語 辞 典.19世
ル プ ス を 越 え て,あ
わ ゆ る イ タ リ ッ ク 前 諸 言 語(Pre‐Italic
ita
liano(Reichert,Wiesbaden) 1は,19世
か ら な る.ア
着 した 印 欧 語 民 族 の 諸 方 言 を 一 括 し た 名 称 で あ る.た
nichelli,Bologna,全5巻) 8)Pfister,M.(1979‐),Lessico
of languages)
ド リア 海 を 渡 っ て イ タ リ ア 半 島 に 渡 来 し,そ
P.Zolli(1979‐88),Dizio
etimologico
family
テ ン ・フ ァ リ ス ク 語 群(Latin
オ ス ク ・ウ ン ブ リ ア 語 群(Oscan‐Um
brian)と
全5巻)
nario
派 で,ラ
Faliscan)と
italiano(Barbera,Firenze,
7)Cortelazzo,M.e
悟)
仏italique,伊italico
Italiana,Roma,1968‐81,全
24巻)
8は,ヴ
lingue
(長 神
5)Lessico
7は,現
della
dialetti(Einaudi,
12巻)
6は,現
ita
Torino,全3巻)
Bologna)
nario
現 在,
で 出 版 さ れ て い る.
Mauro,T.(19702),Storia linguistica Italia
to「 ソ ネ ッ ト」 等 々).
範 を とっ た雄 大 な規 模 の語
etymologisches
IE*mldu‐'soft'>Lat.mollis〔
<*moldw‐is〕
3)IE*‐tl‐
<Ital.‐kl‐.
例)IE*‐tlo‐(手
tive)に 例)Lat.e
段 等 を 示 す 接 尾 辞)>Lat.pia
clum,piaculum
expiatory
sacrifice',Osc.
sakaraklumsacrum',Umbr.〔 pihaklu
ウ ン ブ リア 語 〕
Goth.mais,Osc.mais,Lat.magis〔
fera
tur';
8)能
namus 9)印
>Lat.humus,Osc.humanshomi
nes',Umbr.homonus'hominibus'
例)Lat.binitwo',ON〔
OHG
類 推 に よ り,Ital.‐ad,
10)「
.
Osc.suvadsua'
そ の 他,語
12)も
sum
イ タ ロ ・ケ ル
ル マ ン 語 と の 対 応 特 徴]
音 が
ル マ ン語 ‐s(s)‐
古 高 地
古 ア イ ル ラ ン ド 語 〕ro‐fess<*wid‐to‐m
ド イ ツ 語 〕gi‐wis(s)certain';cf.
語 が,そ
と原 始 イ タ リ ッ ク 語 の 無 声 摩 擦 音 に は,一
部,有
例)Lat.super‐bus〔
声 破 擦 音)に
発 展.
sibun〔
古 英 語 〕seofan,
‐b‐/‐f(v)‐ <Germ.(ゲ
ル マ ン 語)
.midjis,OEmid,
Lat.medius〔
‐d‐ <*〓
<IE*‐dh‐
wagan,OE
〓,Lat.uectus〔*ueg‐tos<
4)wに
ト相
し て,語
と完 結 相
とが 単 一 の 過 去 時
頭 重 複 は 漸 次 喪 失,
うか,そ
は 単 一 の 時 期 が あ り,こ
を 補 充 的(supple
な わ ち,イ
タ リッ ク語 派 に
れ よ り ラ テ ン ・ フ ァ リス ク 語
unity)」
賛 成 論 と,ラ
テ ン語
一 の イ タ リ ッ ク 語 な る も の は な く,そ
離 説(Separatism)と
欧 語
れぞ
な わ ち,分
が あ る. ル グ マ ン(K.Brugmann)以
ム ゼ ン(Th.Mommsen),ブ ォ ン ・プ ラ ン タ(R.von
ポ ル ツ ィ ヒ(W.Porzig),セ 構 成 に,印
るい は 共 通 イ タ リ ッ る もの が 存 在 した の か ど
欧 語 の 方 言 で あ る と す る 反 対 論,す
ネ(A.Martinet),ホ
verb)の
イ タ リ ック諸 言
群 と オ ス ク ・ ウ ン ブ リ ア 語 群 と が 生 じ た と す る 「イ タ
Breal),フ
cneowknew'
の 語 根*bheu‐,*es‐
to slope,lean')
の よ う な 時 期 が あ っ た の か ど う か に 関 し て は,
を な し,モ
在 動 詞(substantive
commun)な
単 一 説 は,ブ
示 代 名 詞.
の 同 じ2つ
ら(<IE*klei‐
れ ぞ れ イ タ リ ア に 入 る 以 前 に,原 始 イ タ リ ッ ク
あ っ て,単
例)Lat.is,ea,id,Goth.is,ija,ita 6)存
hill'か
リ ッ ク 語 単 一 説(Italic
よ る 完 了 形.
例)Lat.noui,OE 5)指
mound,grave'
ク 語(italique
れ,印
欧 語 の ア オ リ ス
称 に 融 合,そ
hlaiwa
と オ ス ク ・ウ ン ブ リ ア 語 と は も と も と別 個 の 印 欧 語 で
〕;OHG
IE*wegh‐to‐s〕 3)印
hleo
諸 家 の 見 解 は 分 か れ る.す
‐b‐<Ital.*f<IE*bh〕, ト 語 〕sibun,OE〔
*b<*f<IE*p〕;Goth
IE
.
mound,tombstone',OS,
語(proto‐Italic,Uritalisch),あ
が 有 声 摩 擦 音(後
OHG
OHG
hlaw
[イ タ リ ッ ク 語 派 単 一 性 の 問 題]
est'
始 グ ル マ ン 語
もに
tower')
の 「丘 」 を 意 味 す る 語,
は*kloiwo‐
OHG〔
ゴ ー
う1つ
hill'は,と ‐to
等.
OIr.〔
Goth.〔
hyll り(<IE*kel
grave',OE
と の 対 応 特 徴 も あ る.
と な る.
例)Lat.uasus<*uissos<*wid‐to‐sknown',
scitum
von
Lat.clavusslope',Goth.hlaiw,ON
イ タ リ ッ
と い く つ か の 共 通 の 特 徴 を 示 す が(→
ト語 群),ゲ
置 の2歯
oben',Goth.innana
形 成 にお け る共 通 性 は 多 くみ られ る.
*kln‐isよ
8)IE*esmi>Ital.*som:Lat.sum,Osc.
ト語
von
11)Lat.collis,OE
suis;Osc.DiumpaisLumpis'
ル
二 重 に よ り合 わ せ る 」
innen
類 推 に よ り,Ital.‐ais.
例)IE*sowois>Ital.*sowais:Lat.soueis,
ク 語 は,ケ
twins',
ど こ か ら 」 と い う 方 向 を 示 す 副 詞 は,IE*‐ne
Lat.superne
7)IE*‐ois(instr.pl.)の
2)原
zwirnen「
の
getwinne
な る 小 辞 に よ り形 成 さ れ る.
例)IE*sowod>Ital.*sowad:Lat.sua(d),
ト語,ゲ
‐no‐
twofold'〕,tvennen(pl.)「2つ
共 属 の も の(対 の も の)」,OE
6)IE*‐od(abl.sg.)の
[ケ ル
辞
古 ノ ル ド語 〕tvennr
〔<*dwisno‐
>Osc.ezum,Umbr.erom(r<
z)esse';Lat.ero.
1)並
欧 語 倍 数 副 詞*dwistwice,に,接
が つ い て 集 合 数 詞 が 派 生.
音 間)>Ital.z.
‐ed,‐ad
動 態 完 了 形 の 語 幹 に 長 母 音.
例)Goth.setum,qemum,Lat.sedimus,ue
IE*dhu‐mo‐ssmoke'>Lat.fumus;
例)IE*es‐
<*ma
is〕more'
>Lat.fero,Umbr.ferar
5)IE*s(母
is,feo
に よ る 形 容 詞 比 較 級.
例)Goth.sutizasweeter',Lat.suauior;
4)IE*bh,*dh,*gh>Ital.f,〓,,〓(>h).
IE*gh‐
stfuit,OE
7)‐yos‐,‐is‐
piaculorum'
例)IE*bh‐
使 用.
来 主流 レ ア ル(M.
Planta),マ
ルティ
ワ ッ トモ ー(J.Whatmough), メ レー ニ ュ イ(O.Szemerenyi)
等 が こ れ に 従 っ て い る が,単 も強 く擁 護 し た の は メ イ エ(A.Meillet)で
一 説 を もっ と あ る.彼
は,イ
タ リ ッ ク 民 族 を 推 定 し,彼
は ラ テ ン 語 と な り,他 な っ た と 考 え た.単
ら の 言 語 が,一
方 で は オス ク ・ウ ンブ リア語 と
一 説 の根 拠 は両 語 群 に お け る 共通
点 の 数 々 で あ る が,こ
と に,動
に,イ
方で
し た の は,ヴ
れ に 対 し,反
対 論 の先 駆 を な あ る.彼
ラ イ ヒ ャ ー(A.Schleicher)の
は,シ
ュ
系 統 樹 説 以 来 の,単
一
の イ タ ロ ・ケ ル ト語 の 概 念(→ イ タ ロ ・ケ ル ト語 群)に
1)ラ
Sprachen
の 言 語 群 を 提 示 し た.す
ー ン ウ ォ ー ル 語,ブ
3)オ
ス ク 語,ウ
で あ る.そ
ル トン語
あ る.す
な わ ち,彼
点 も共 通 点 に 劣 ら ず 多 く,オ テ ン 語 に 反 し て,ギ
り密 接 な
は,両
ク ・ウ ン ブ リ ア 人 か ら の 分 離 は,イ
リ ア 人 と ラ テ ン 人 と は,隣
で に2つ
ら の 分 離 は,ま
族 の 中 で 始 ま っ た,ラ と の 関 連 は 新 し く,そ
こ れ に 同 調 す る.ボ
ル ト人,ゲ
だ 合 一 して い た印 欧 語 民
ン フ ァ ン テ は,両
白 に 異 な っ た 層 を な し て,ラ
を 越 え て 南 下 し,オ を 渡 っ て,そ
主 張 す る.ピ
ン フ ァ ン テ(G.Bonfante)も 者 は イ タ リアヘ テ ン人 は ア ル プ ス
ス ク ・ ウ ン ブ リア 人 は ア ド リ ア 海
れ ぞ れ イ タ リ ア 半 島 に 移 動 し た と な す.
ミュ ラ ー(F.Muller)を
は じ め,ド
レ チ マ ー(P.Kretschmer),ク
ラ ー エ(H.Krahe),
ア ル トハ イ ム(F.Altheim),ア (D.M.Jones),ビ
イ ツ の 諸 学 者,ク
メ リカ の ジ ョ ー ン ズ
ー ラ ー(M.S.Beeler)等
も分 離説
を採 る. [辞
書]
Muller,F.(1926),A (Vandenhoeck
ltitalisches and
Worterbuch
Ruprecht,Gottingen)―
イ タ リ ッ ク 語 の み の 辞 書 は 珍 し く,お 唯 一 の も の で あ ろ う.見
そ ら く本 書 は
出 し は 原 形 に よ っ て い る.
対 応 語 お よ び 関 連 事 項 を 詳 し く 引 用 し て い る.巻
末
of
de
la
langue
Latin
28 dune latine
(Klineksieck,
イ タ リ ッ ク 語 派 の 問 題 」 『京 都 産
業 大 学 国 際 言 語 科 学 研 究 所 所 報 』「第8巻,第2号(京 都)
[参
ス ク
照]
『大 辞 典 』 ラ テ ン ・ フ ァ リ ス ク 語 群,オ
・ウ ン ブ リ ア 語 群 (蛭 沼
らが 他 の
の 異 な った領 域 を構 成
の 相 違 は 古 い,と
Relation
ル マ ン 人)
テ ン語 と オ ス ク ・ ウ ン ブ リ ア 語
ザ ー ニ(V.Pisani),ボ
は,明
接 し て い た が,彼
リ シ ア 人,ケ
と接 触 し た 時 に は,す
ス ク ・ウ ン ブ
indogermanischen
Winter,
Osco‐Umbrian",Language
蛭 沼 寿 雄(1987),「
オス
タ リ ック の事 象 で
Philological
Paris)
テ ン人 の オ ス
欧 語 方 言 の 事 象 で あ る,オ
西 部 印 欧 語 人(ギ
し て い た,彼
語群 間の 相違
の こ と か ら,ラ
des
Meillet,A.etJ.Perrot(1977),Esquisse histoire
ス ク ・ウ ン ブ リア 語 は,ラ
Latin
the
Heidelberg)
ヴ ォ ー ト(G.
リ シ ア 語 と の 一 致 が 多 い(→
ク ・ウ ン ブ リ ア 語 群)等
は な くて,印
Gliederung
Beeler,M.S.(1952),"The and
の 先 達 の 役 を 演 じ て い る の は,デ
of of
Sprachgebiets(Carl
と くに 単 一 説 に 反 対 す る の は イ タ リ ア の 学 者 た ち
Devoto)で
Relation
Osco‐Umbrian",Transactions Society(London)
関 係 に あ る と 説 い た.
で,そ
Foundationsof
Porzig,W.(1974),Die
テ ン 語 は ゴ イ デ ル 語 と,よ
Beziehungen
Italikern
Italy(Methuen,London)
Jones,D.M.(1950),"The
ス ク ・ウ ン ブ リ ア 語 は ブ リ ト ン 語
や ゴ ー ル 語 と,ラ
and
(Wagner,Innsbruck)
ン ブ リ ア 語 を 含 む 原 始 サ ベ ル 語,
し て,オ
sprachliche
Kelten
Whatmough,J.(1937),The
to
ェ ー ル ズ 語,コ
alteste zwischen
な わ ち,
を 含 む 原 始 ブ リ トン 語,
vergleichende
indogermanischen
J.Trubner,StraBburg)
Walde,A.(1917),Uber
テ ン 語, 2)ウ
der
I/i2(Karl
Roman
テ ン 語 と 古 ア イ ル ラ ン ド語 を 含 む ゲ ー ル ・ラ
der
Grammatik
詞 体 系 や シ ンタ ク ス の
ァ ル デ(A.Walde)で
抗 し て,3つ
[参 考 文 献]
Brugmann,K.(1897),Grundri
共通 性 は 共 通 イ タ リ ック語 の推 定 な しに は考 え られ な い と い う こ と で あ る.こ
タ リ ッ ク 各 言 語 を 含 む 索 引 が あ る.
<図>古
代 イ タ リア の 諸 言 語
寿 雄)
イ タ ロ ・ケ ル ト 語 群 英Italo‐Keltic,
等 に も み ら れ る. Lep.ualaunali,Ven.lo.u.ki'luci
独Italo‐Keltisch,仏italo‐celtique
sacred
イ タ リ ッ ク 語 派 と ケ ル ト語 派 の 共 通 点 に 基 づ い て, 両 者 が か つ て 単 一 で あ っ た と み な し て よ ぶ 名 称.す
な
わ ち,イ
の
タ リ ッ ク語 派 と ケ ル ト語 派 と の 間 に は,次
grove',Mess.blatθihi(‐ihi=
Mess.
メ ッサ ピア語
アルメニア語
MIr.
Av.
アヴェスタ語
MW
Br.
ブル トン語
Celt.
ケル ト語
Corn.
コーンウォール語 OCorn.
古 コーンウォール語
Dor.
ドーリア方 言
オガム文 字 で書 かれ
(ギ リシア語) OIr.
Gaul.
ゴール語
Germ.
ゲル マン語 派
古 アイル ラン ド語
Gk.
ギリシア語
Goth.
ゴー ト語
Hitt.
ヒッタイ ト語
Phryg.
プ リュギア語
IE
印欧語
Skt,
サンス クリッ ト
古 ラテン語
Osc.
オ スク語
OW
4)‐a‐ ク,ケ
ト両 語 派 に の み 保 存 ら は 除 去
to
れ は イ タ リ ッ
さ れ,他
の 言 語(ト
to come
come'),advenat
to'),pervenant(pervenio
reach'(Plautus)
Lat.fer‐a‐m,fer‐a‐s,fer‐a‐t,fer‐a‐mus, fer‐a‐tis,fer‐a‐nt(fero
to
bear')
Osc.fakiiad(=Lat,faciat)(facio
Ir.
アイルラン ド語 Toch.
Lat.
ラテン語
Lep.
レポン ト語
Lith.
to
Umbr.
OIr.bera(<*bherat:Lat.ferat)
ウンブリア語
.
ヴェー ダ語
(cf.Toch.B
lipatar〔subj.3.sg.med.〕
リトアニア語
Ven
.
ヴェネ ト語
(ind.lipetar
it
Marruc.
マル キニ語
W
MBr.
中 期 ブル トン語
1)両
語 派 に お い て,語
ウェールズ語
5)‐s‐
頭 のp‐ る(〈
‐o幹 の 属 格 単 数 が
が,後
続 音 節 のk‐
pf.).capso(capio)(fut.pf.),axim(ago),
表 〉 を 参 照). ‐iで あ る(IE
empsim(emo),ausim(audeo)(subj.pf.)
gen.
Osc.deiuast
sg.*‐osyo‐:Skt.vrkasya<IE*wlke/osio:Gk.〓)
Umbr.ferest
of
of a
a
wolf',vira
of
a man',agri
land'
filii'
<表>イ
will
he
will
bear',heriest
he
will
(s‐subj.,pres.simp.tiagu 6)‐r‐
の 現 象 は,イ
he
will
be'(ind.fut.
Olr.tiasu,tesi,teis,tiasmi,*te
viri'(<*wiri)(nom.fer=*wiros
み で は な く,レ
he
<subj.s‐aor.)
vir') し か し,こ
swear',didest
Osc.Umbr.fust
maqi
Ir.fir
will
want'
Gaul.Segomari(nom.Segomaros) Og(h)am
he
give'
.
Lat.lupi
remains'〕)
に よ る 動 詞 接 続 法 の 形 成.
Lat.faxo(facio)(fut.pf.),faxim(subj.
に 同 化(assimilation)す 詞
make')
トカ ラ語
Ved
2)名
カ ラ
さ れ た 古 い 用 法 で あ る.
Lat.venam(venio (advenio'to
古 ウェールズ語
smmos)(=Osc.
proximae')
に よ る 動 詞 接 続 法 の 形 成.こ
ル
語 を 除 く)か
OLat.
next'(<*ned‐
nessimas
た言 語
OIr.nessam
古 ブル トン語
Og(h)am
highest')
facillimus(<*facil‐ismmo‐s)easiest'
中 期 ウェールズ語 近 代 ブル トン語
OBr.
highest'(cf.Auximum
Lat.maximus(<*mag‐smmo‐s)'greatest',
中期 アイル ラン ド語
NBr.
ill'
Osimo'W.uchaf
Arm.
に よ る 形 容 詞
Lat.aeger‐rimes(<*‐simus)most Gaul.
アルバニア語
‐i)
3)*‐is‐mo‐,*‐ismmo‐,*‐smmo‐
語 名 の 表 示 は 次 の 通 り で あ る.
Alb.
タ リ ッ ク 語 派,ケ
ポ ン ト 語,ヴ
ェ ネ
ト 語,メ
ル
ト語 派 の
ッ サ ピ ア 語
a
の 最 上 級 の 形 成.
よ う な い くつ か の 共 通 点 が あ る.
以 下,言
of
sive),中
iste,tiasit I go')
に よ る 動 詞 非 人 称 受 動 態(impersonal 動 受 動 態(medio‐passive)の
Osc.sakrafir・(subj.pf.3.sg.)sacrifice
タ リッ ク語 派 とケ ル ト語 派 に お け るp‐ >kw‐ の 同 化
pas 形 成.
shall
be
performed,one
shall
consecrate'
IE
Umbr.fera‐r(subj.pres.3.sg.)=fera tur
one
must
Lat.itur
bear'
some
persons
go,any
person
it
ple,someone to
ar
*l
al
OIr.ard
be
gone')let
go'(<teit
peo
goes'<*steigh
ut…
it
that…
=OIr.
said'
こ の よ う な
‐r‐
'they
say,
形 式 は,イ
タ リ ッ ク 語 派,ケ
わ ゆ るr‐
ル
ト語
の ほ か,マ(ー)ル(ー)キ(ー)
ニ 語(Marrucinian)を
含 み,ヴ
ェ ネ
リ ュ ギ ア 語(Phrygian),ト
part.)
ト語,ア
ル メ ニ
カ ラ 語,ヒ
11)前
to
gather',
part.)
(<
置 詞 に 両 言 語 共 通 の も の が あ る.
OIr.di,OW
affert',
di(<*de)
Lat.cum(<com),Osc.com,con,Umbr.
Toch.B
yamtar(3.sg.),yamantor(3.
pl.)(<yam‐
to
Hitt.sari
he
cum Gaul.com‐,con‐,OIr.com‐,co‐,W.cyf‐,
make')
sits',artari(3.sg.),aran
taxi(3.pl.)(<ar‐to
cyn,‐cy‐,Corn.kev,OIr.con‐(<*kom)
stand')
Ir.midithir
he
Olr.sainseparate,special'(adj.)(<*〓
ご と く,受 ル
動 形
と
と 同 様,ア
adjective) イ ル ラ ン ド 語,ブ
動 態 過 去 形 の 語 幹 を 提 供 す る の に 用 い
イ ル ラ ン ド 語 で は,こ
の 形 は ま っ た
く動 詞
と し て と り 扱 わ れ る.
hanalium'(cf.Toch.Asne,B
snai)(<*seni‐,*〓) 12)語
彙 に お い て,両
Lat.vates
soothsayers',OIr.faith W.gwawd
inspire'
sing',Umbr.kanetu'canito'
cana'to
Lat.captus=OIr.‐gabad(gaibid'takes') ‐o(n)‐
prophet,poet',
poet'<IE*wat‐to
(imper.fut.),OIr.canid,W.cane,Br.
loves')
幹 を 接 尾 辞
語 派 に 共 通 の も の が あ る.
prophet,poet',Gaul.
Lat.cano'to
Lat.amatus=OIr,ro‐carad(car(a)id
sing'<IE*kan‐to
Lat.saeculum
に よ り 拡 張 す る 語 形 成.
Lat.men‐tio,‐onis,Umbr.native(abl.)
sing'
lifetime,age',Gaul.Deae
Setloceniae,W.hoedl'life‐time',OBr. hoetl,MBr.hoazl,NBr.hoal<IE*s〓
natione' Ir.toimtiu
s),OW
ト 語 の み の 特 徴 で あ る.
に よ る 動 詞 的 形 容 詞(verbal タ リ ッ ク 語 派
Lat.sine(<*seni)
judges'(act.<dep.),
judged'(pass.)の
中 動 形 と を 区 別 す る の は,ケ
tlom'aetas' thinking,opinion'(<*to‐metiu
Lat.terra'earth',OIr.tir
=Lat.mentio),toimten(gen.)
Corn.Br.tir Lat.veru
(cf,Arm.‐tiwn) 9)IE*r,*lの
(meto
Lat.de,Falisc.de,Osc.dat,Umbr.da‐,
Phryg.afficit',
8)‐ti‐
suffer',part.)(<
*metto‐)
offers',
ト ン 語 で,受
runs',
(<*‐ret‐tyo‐)
messus
Ven.toler,tolar(med.‐pass.3.sg.)
ら れ る.ア
‐st)
*pat‐to‐)
ッ タ
Marruc.ferenter'feruntur'
ル
言 語
inuasus'(rethid
Lat.passus(patior'to
ト語 の 諸 言 語 に わ た る.
7)‐to‐
が ‐ss‐ と な る(tt>tt>tst>sst>st)‐
(ゲ ル マ ン 語 も 同 じ.Skt.‐tt‐,他 OIr.ind‐risse
言 語(r‐Sprachen)は,
イ タ リ ッ ク 語 派 で は,こ
の 形 成.イ
wool'(<*vlana)
<*wlna) 10)*‐tt‐
派 の み で は な く,い
is
wool'
W.gwalan,Lat.lance (cf.Skt.urna,Lith.vilna,Goth.wulla
is
he
great',Gaul.Arduenna
high'(<*rdwo‐s)
IE*wlna
OIr.labritir=Lat.loquuntur
な お,
ul,ol
rect')
=OIr.sechur
mittir
ur,or
ir,ur
Dor.‐<*(〓)‐straight,
follows
OIr.labrithir=Lat.loquitur/Lat.sequor
イ
ir,ur
(cf.Skt.(v)urdhva‐h<*wrdhwo‐s,Gk.
sechithir(<*sek‐)
ア 語,プ
high,
Lat.arduos
stride,step,rise':Goth.steigan)
Lat.sequitur
it
,ra ,la
IE*wrdhwo‐s 'high'
goes'=Umbr.ier(ind.pres.impers.pass) OIr.tiagar(lit.let
Lat.‐Celt.Skt.Gk.Germ.
*r
と り 扱 い が,他
ル ト 語 と ラ テ ン 語 と は 同 じ で あ る.
の 言 語 に 対
し て,ケ
bir (gloss
land',OW earth'<IE*ters‐
to
dry'
spit,dart',Umbr.beru‐,OIr. spit'W.ber'lance,spit',OCorn.ber ueru),Br.ber
<IE*geru‐
pole,
'judge';Skt.yoh 'welfare',Av.yaos
lance' Osc.
'rightness,purity'
ner‐'vir'(Gk.〓)〔:Skt.nar‐,
Alb.njeri'man'〕,OIr.nert(<*ner‐to‐m)
Br.nerz'strength',Gaul.Nerto‐
当 た る 語 も,他
ル ト語 派 に も イ タ リ
ゆ え に,両
語 派 に は,共
unity)の
'res,property',Av.ra‐'to
(slavodeutsch)」 枝 と 「ア ー リ ア
タ ロ ・ケ ル ト
来,た
に よ り,印 Ursprache)な
と え ば,シ
・ギ リ シ ア ・ イ タ リ ッ ク ・ ケ ル ト
<IE*gherto‐'milk,butter' 7)OIr.aire'chief,nobleman',airech(gen.); Skt.arya‐,arya‐'master,lord,noble'
の 枝 と が 生 じ,後 者 は 「ギ
<IE*aryo‐'lord,ruler' 8)Umbr.arsfertur(*ad‐fertor)'priest'; Ved.prabhartar‐'one
と 「ギ リ シ ア 」 と に 分 か れ,「 イ タ リ
ァ
Vendryes,Jules(1918),"Les de
Memoires
史 時 代 に も 先 史 時 代 に も別 個 の 存 在 で あ っ た と み な さ
in
理 的 に ヨー ロ ッパ の
ン ド・イ ラ ン 語 群 と の 関 連,と
移 動 の 点 か ら よ く言 及 さ れ る.両
の
語 の 分布
institutions
d'une
histoire
vocabulaire indo‐europeennes
Ⅱ
des (Ed.de
Kretschmer,Paul(19702),Einleitung Geschichte
der
in
griechischen
die
Sprache(Vandenhoeck,
Gottingen) Porzig,Walter(1974),Die
1)Lat.rex,regis'king',OIr.ri,(fem.)
indogermanischen
rigain,'queen',Gaul.rix,OIr.rige'kingdom';Skt.
Gliederung Sprachgebiets(Carl
des Winter,
Heidelberg)
rajan‐king',(fem.)rajni
iovestod(=iustod)'just,righteous',judex
Vorgeschite
Minuit,Paris)
者 の対 応 語 を列 挙 す
' queen'<IE*reg‐'straight,to
der
Gruyter,Berlin)
Benveniste,Emile(1969),Le
の ご と くで あ る.
2)Lat.jus 'justice,law',justus,OLat.
Linguistique
de la langue latine(Klincksieck,Paris)
教 ・法 律 用 語 に
お い て 共 通 す る 語 彙 を も っ て い る こ と が,言
de
Ebert(ed.),Reallexikon VI(de
欧語 の東 端 に あ る イ く に,宗
Societe
Meillet,Antoine(19333),Esquisse
ル ト語 は か つ て ヨ ー
西 端 に 位 置 す る の み で あ る),印
れ ば,次
Max
タ リ ッ ク 語 派 と ケ ル ト語 派 と の 関 連 に つ
在 で は,そ
de la
et l'italoceltique",
Pokorny,Julius(1926),"Kelten,B.Sprache",
れ る.
ロ ッ パ に 優 勢 を 誇 っ た 言 語 で あ る が,現
entre l'indo‐iranien
20(Paris)
タ リ ッ ク 語 派 と ケ ル ト語 派 と は,歴
西 部 に 位 置 し て い る こ と か ら(ケ
correspondances
vocabulaire
対 す る も の が 次 々 と現 わ れ(Devoto,Marstrander,
れ ら両 者 が,地
offering', <IE*bher'to
carry'
異 論 を 唱 え て 以 来(1917),反
い て で あ る が,こ
makes
[参 考 文 献]
ば ら く 通 説 と な っ た が(M.Leumann,H.
以 上 は,イ
who
Av.〓'under‐priest'
の単一
Pedersen,A.Meillet,J.Vendryes等),ヴ
Watkins等),イ
stone'
6)MIr.gert'milk',Skt.ghrta‐'cream,butter'
ッ ク ・ケ ル ト」 か ら 「ケ ル ト」と 「イ タ リ ッ ク 」 と に 分
ル デ(A.Walde)が
o,bro,
Skt.gravan‐'pressing
「ゲ ル マ ン 」 の 意 〕 の
か れ た と 主 張 し た(Compendium,1861).こ
'heavy',
<IE*gwer‐'heavy'
欧 基 語(indogermanische
つ の 枝 に 分 か れ,前 者 は さ ら に,「 イ タ リ ッ ク ・ケ ル ト
説 は,し
'heavy,dull',gravis
Gaul.*brigo'strength',OIr.bra
リ シ ア ・イ タ リ ッ ク ・ケ ル ト」 と 「ア ー リア 」 と の2
(italokeltisch)」
give,thing'
系 統 樹 説(Stammbaumtheorie)」
〔「ド イ ツ 」 は
grant'<IE*re
W.breuan,OCorn.brou,Br.breo'millstone';
る 樹 幹 か ら,「 ス ラ ヴ ・ ド イ ツ
(ariogrecoitalokeltisch)」
(i)‐'to 5)Lat.brutus
時 期 が あ った と考 え られ
ー ベ ル(H.Ebel,1858)以
rai 'wealth,proper‐
ty';Ved.ram(acc.)'wealth',Skt.rdh
タ
通 点 が 列挙 され るが
ュ ラ イ ヒ ャ ー(A.Schleicher)は,「
re',ri
(dat.abl.sg.),MW
様 に,「 娘 」,英 語 の
の 言 語 に は あ る が,イ
語 派 の 関 係 は 密 接 で あ り,イ
単 一(Italo‐Celtic た.エ
4)Lat.res,rei,Umbr.re‐per'pro
ル ト両 語 派 に は 見 い だ さ れ な い.
以 上 の ご と く,両
<IE*kerd‐,*krd‐,
*kred‐'heart'
‐ に よ る 「息 子 」を 意 味 す る 語 は,大
ッ ク語 派 に も見 い だ さ れ な い.同
リ ッ ク,ケ
believe',Av.zrazda'to
believe'(<*kred‐dhe)
部 分 の 印 欧 諸 語 に 存 在 す る が,ケ
daughterに
believe';Skt.
srad‐dadhami'I
<IE
*ner‐'man'
根*su
*yewos 'rule,
3)Lat.credo,OIr.cretim'I
'strength',W.Corn.nerth 'manliness',
13)語
<IE
ordinance'
(蛭 沼
set straight' イ タ
ロ ・ロ マ
寿 雄)
ン ス 諸 語 伊italo‐romanzo,英ItaloRomance
ロ マ ンス諸 語 を,ヨ ー ロ ッパ に お け る地 理 的 分 布 を 主 た る手 がか り として 下 位 分 類 した場 合,イ
タ リア を
な らな い.イ タ リア 語 に は互 い に非 常 に 異 な る数 多 く の 方 言 が あ り,特 に 「ラ ・ス ペ ツ ィ ア‐ リ ミニ(La
中 心 とす る地 域 で話 され て い る言 語,方 言 を さす.し
Spezia‐Rimini)線
」 と よば れ る方 言 境 界 線 を は さん
た が っ て,イ タ リア語 をそ の 主 要 な構 成 員 とす る言 語
で,そ の 北 と南 とで は方 言 の 様 相 が 大 き く違 っ て い る.
グ ル ー プ と い うこ とに な るが,周 辺 に分 布 す る言 語,
た とえ ば,北 の 方 で は ラ テ ン語 の重 子 音 が 単 子 音 化 し,
方言 の どれ を イ タ ロ ・ロマ ンス語 に含 め るか は,研 究
母 音 間 の無 声 子 音 が すべ て 有 声 化 した が,境 界 線 の南
者 に よ って 意 見 が 異 な る.ま た,地 理 的 分 布 の ほ か に,
で は 重子 音 が 維 持 され,母 音 間 無 声 子 音 は長 ら くそ の
言 語 特 徴 に注 目 した 類 型 論 的視 点 を特 に重 視 し,イ タ
ま ま保 た れ た とい った具 合 で あ る.こ の境 界 線 の南 北
リア語 の 一 部 の 方 言 をイ タ ロ ・ロ マ ンス 語 か ら外 し,
の お の お のの 地 域 で は,さ らに 細 か な 方 言 分 化 が み ら
他 の言 語 グル ー プ に組 み 入 れ る分 類 を提 唱 す る学 者 も
れ る.イ タ リア 語 の すべ て の 方 言 に共 通 して み られ,
い る(下 記 の5を 参 照).そ
し か も他 の ロマ ンス語 には な い 言 語 的 特 徴 は 何 か,と
の こ とは,こ こで 問題 とな
る イ タ リア 半 島 お よび そ の 周辺 地 域 が,ヨ ー ロ ッパ の
い うよ うな 問 い に は,容 易 に答 え られ な い ゆ えん で あ
ロ マ ンス 語 圏 の 中 で も特 に 著 しい言 語 分 化 を 示 す 地 域
る.そ の よ うな わ け で,イ タ ロ ・ロマ ンス 語 に加 わ る可
で あ る こ と と関 連 して い る.
能 性 の あ る言 語,方 言 とイ タ リア 語 との 共 通 点 を探 る
さて,イ
際 に も,実 際 に は,一 部 の イ タ リア 語 方 言 との 共 通 点
タ ロ ・ロマ ンス 語 な る呼 称 が,具 体 的 に ど
の よ うな ロマ ンス 語,ロ マ ンス 語 方 言 を さす 名称 と し
をみ る こ とに な る よ うな場 合 が 多 い.し か も,こ こで
て 実 際 に 用 い られ て い るか を ま とめ て み る と,次 の よ
問 題 とな るダ ル マ チア 語,サ ル デ ー ニ ャ語,レ
う にな る.
マ ン語 の い ず れ もが 共通 語 を もた ず 多 くの 方 言 を抱 え
1)イ
て い るだ け に,比 較 は い っそ う部分 的 な もの に な ら ざ
タ リア 語,サ ル デ ー ニ ャ語(サ ル ジニ ア語),
レ ト ・ロマ ン語,ダ ル マ チ ア語 の 総 称 と して.こ れ は タ リア ヴ ィー ニ の 分類(Tagliavini,1972)に
み られ
る もの で あ るが,ダ ル マ チ ア語 は,そ の 言語 的 特 徴 か ら して,イ
タ ロ ・ロマ ンス語 とバ ル カ ン ・ロ マ ン ス 語
ト ・ロ
る を えな い(死 語 とな った ダル マ チ ア 語 に つ い て は, 不 明 の 点 も多 い). さて,ま ず ダル マ チ ア語 との言 語 的 関 連 で あ るが, この 言 語 は,名 詞 複 数形 が ‐sに よ っ て示 され な い と
(ルー マニ ア 語)と の橋 渡 し的 な性 格 を もつ 言 語 で あ る
い うル ー マ ニ ア語,イ
とされ て い る.
語 の 母 音 間無 声 子 音 が 有 声 化 しな い とい うル ー マ ニ ア
2)イ
タ リア 語,サ ル デ ー ニ ャ語,レ
ト ・ロマ ン語
タ リア 語 に 共通 の特 徴,ラ
テン
語 お よび 多 くの中 ・南 部 イ タ リア 方 言 に 共通 の 特徴 を
の総 称 と して(Mancarella,1978).
もつ ほ か,ラ テ ン語 の 直 説 法過 去 完 了 形 に 由 来 す る条
3)イ
件 法 を もつ 点 で,南 部 イ タ リア 方 言 の 一 部 と共通 の 特
cock
タ リア 語,サ ル デ ー ニ ャ語 の 総 称 と して(El
1975,Vidos
1959).
徴 を もつ.複 雑 な 母 音 変 化 の 出発 点 とな った 俗 ラ テ ン
4)イ タ リア 語 の実 質 的 な 同 義語 とし て.こ れ は ホ ー ル(Hall ,1974)に み られ る用 法 で あ るが,こ こ で
語 時 代 の 母音 体 系 も,ル ー マ ニ ア 語 型 の そ れ(i,e>
は 死語 と して 一応 別 扱 い され て い る ダ ル マ チ ア語 が,
語 方 言(お よび ガ ロ ・ロマ ンス 語,イ
e;o,o>o;u,u>u)で
は な く,多 くの イ タ リア ベ ロ ・ロ マ ンス
イ タ ロ ・ロマ ンス語 に組 み 入 れ られ る可 能 性 が 示 唆 さ
語)と
れ て い る.
次 に,サ ル デ ー ニ ャ語 との関 係 で あ るが,ま ず 北部
5)北
部 イ タ リア方 言 群 を 除 い た イ タ リア語 諸 方 言
イ タ リア方 言 群 を 除 くイ タ リア語 諸 方 言 とは,ラ テ ン
(ト ス カ ナ方 言群,中 ・南 部 イ タ リア 方 言 群)と サ ル デ ー ニ ャ語 の総 称 として(Bec ,1971).
語 の重 子 音 を維 持 した とい う共 通 点 を もつ ほ か,ラ テ
6)イ
タ リア 語,サ ル デ ー ニ ャ語,フ
称 と して(Pellegrini,1975).こ
リ ウ リ語 の 総
の 場 合,イ タ ロ・ロマ
ンス語 は,標 準 イ タ リア語 を古 くか ら 「導 き手 の 言 語 」 "lingua guida"と して 選 択 した イ タ リア 半 島 お よび 周 辺島嶼 部 の 言 語,方 言 の総 称 と して 用 い られ て お り, ドイ ツ語 をそ の よ うな 「導 き手 」 とす る ドロ ミテ ィ地
共 通 す る タイ プ の もの で あ っ た らし い.
ン語 ‐ll‐ に 由来 す る そ り舌 音[〓]の タ リア方 言(特 に シチ リア 方言)と
発 音 を 最南 部 イ 共有 して い る.ま
た,サ ル デ ー ニ ャ語 の 母 音体 系 の基 礎 に な っ た俗 ラ テ ン語 期 の古 風 な 母 音 体 系(i,i>i;e,e>e;a, a>a;o,o>o;u,n>u)は,南
イ タ リア の
一 部 の地 域(ル カ ー ニ アLucania地 Calabria州
方 とカ ラ ブ リア
との境 付 近)に もみ られ る.
方 の ラデ ィ ン語 は,ス イス の ロマ ン シ ュ語 と も ど も こ
最 後 に,レ
こに は含 まれ な い.
こ こで問 題 とな るの は,も
ト ・ロマ ン語 との言 語 的関 連 で あ る が,
次 に,上 にみ られ る よ うな 分 類 を 行 な う際 に問 題 と
との関 係 で あ る.レ
な る言 語 的 特 徴 に つ いて 述 べ る前 に,イ タ リア語 内 部
方 言群 には,ラ テ ン語 重子 音 の単 子 音化,ラ
に み られ る方 言 的 多様 性 に関 して一 言 触 れ て お か ね ば
aに 由来 す る母 音以 外 の無 強 勢 語 末 母音 の弱 化,脱 落
っぱ ら北 部 イ タ リア方 言群
ト ・ロマ ン語 お よ び 北部 イ タ リア テ ン語 の
(ヴ ェ ネ ト方 言veneto,リ く),一
グ リ ア 方 言ligureを
部 の 方 言 に み ら れ る ラ テ ン 語uに
音 の 存 在(フ
リ ウ リ 語,ヴ
除
(Zanichelli,Bologna)
由 来 す る[〓]
Pellegrini,G.B.(1975),Saggi
ェ ネ ト方 言 に は 存 在 し な い)
な ど の 共 通 の 特 徴 を も っ て い る が,こ れ ら は い ず れ も,
Tagliavini,C.(1972),Le
ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 に も 共 通 し て み ら れ る 特 徴 で あ る (上 記5,Bec,1971の
分 類 を 参 照).レ
と ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 と の 間 に は,さ 語末
‐sの 保 持,語
fl‐の 保 持,母
先 立 つk,gの
通 特 徴 が み ら れ る た め,レ
romanza
口蓋 化 な どの共
ト ・ロ マ ン語 は ガ ロ ・ロ マ
ンス 語 の 一 員 と し て 分 類 さ れ る こ と も あ る.し
ortigini
Vidos,B.E.(1959),Manuale
テ ン語 の
頭 の 子 音 群pl‐,bl‐,cl‐,gl‐,
音aに
照]
[追
記] (参 考 文 献)
Holtus,G.,Metzeltin,M.and Lexikon
der
Ch.Schmitt(eds.),
Romanistischen
Linguistik,Band Ⅳ
(1988),Italienisch,Korsisch,Sardisch(Max meyer,Tubingen)
等 の 子 音 群 が レ ト ・ロ マ ン語 に 地 理 的
W.D.Elcock,ヴ
(長 神
中 欧 系,東
個の
欧 系 ユ ダ ヤ 人(い
ム,Ashkenazim)が,か
い る 言 語.西
方,そ
あ る が,イ
る3つ
ィ ッ シ ュ 語 を さ す.ヘ
リ語)を
マ ン シ ュ 語,ラ
デ ィ ン語,フ
リウ
を 含 ん で い る と い え る.
強 さ,使
のロマン
と な ら ざ る を え な い.イ
に み た5の
デ ー ニ ャ 語 を 加 え る こ とで,グ
ループ全体の特徴が不
明 確 な も の に な る お そ れ が あ る.ガ
ロ マ ンス 語 と い う 名 称 を 用 い な い,あ と に 積 極 的 で な い 研 究 者 が い る(ヴ Wartburg,ロ
も,故
タ ロ・
るい は用 い る こ ァ ル トブ ル クW.
ー ル フ スG.Rohlfs,ラ
ル クH.Lausbergら)の
ン ド語,ウ
ehe)」,「
「姉 妹 語(Schwesterspra
娘 語(Tochtersprache)」,「
隣 接 語(Ne
隔 絶 語(Abstandsprache)」 と い わ れ る ほ ど,近
イ デ ィ ッ シ ュ 語 は,古
い 西 イ デ ィ ッシ ュ語 と新 しい
東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 と に 分 け ら れ る.前
紀末
者 は,か
つ て は ポ ー ラ ン ド,リ
de
philologie
トア ニ ア,白
ス ラ エ ル,ソ
of York) romanza
the
日 で は,そ
北 ア メ リ カ,オ
イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 話 者 は,あ
次 大 戦 前 に は(1935年 内 訳 は,次
history
連,南
ロ シ ア, の 中心
ー ス トラ リ
ア 等 に 移 動 し て い る.
languages
London)
Mancarella,P.G.B,(1978),Linguistica
者 は,18世
の な い こ とで は な
Romance
languages(Elsevier,New
,「 共
い 関 係 に あ る.
イ ツ お よ び そ の 隣 接 地 域 で 話 さ れ て お り,後
pratique
Hall,R.A.,Jr.(1974),External Romance
自 の 発 展 を 遂 げ た も の で あ る が,
ウ ク ラ イ ナ 等 で 話 さ れ て い た が,今
Faber,
ー ラ
ロ シア 語 等 の ス ラブ語 か ら
ま で,ド
Ⅱ (Picard,Paris)
and
ブ ライ 語 ・
紀 以 降 に は,ポ
bensprache)」,「
は,イ
Elcock,W.D.(19752),The (Faber
マ ン ス 語,ヘ
語(Co‐Sprache)」
フ リ
ウス ベ
[参 考 文 献]
romane
ラ ン ダ 語,ア
ゲ ル マ ン語 に 属 す る.中
ら に14世
依 然 と し て ドイ ツ 語 と は
い と思 わ れ る.
Bec,P.(1971),Manuel
の 混 成 語的 性格 の
イ ツ 語,オ
ク ラ イ ナ 語,白
強 い 影 響 を 受 け,独
ロ ・ロ マ ン ス 語,
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 と い う 名 称 は 用 い な が ら,イ
von
ア ラ ム 語 が 混 入 し,さ
よ うな 分類
マ ンス 語全 体 の 中 で独 自の 性 格 を有 す るサ ル
語,ド
世 ドイ ツ 語 諸 方 言 を 基 礎 に,ロ
な はだ あ い まい な もの
タ リア 語 そ の も の の 方 言 的 多
様 性 が ま ず あ る か ら で あ る.上
イデ
よ び 豊 富 な 文 学 か ら み て,
カ ー ン ス 語 な ど と と も に,西
の イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語 な る グ
ル ー プ 全 体 の 言 語 的 特 徴 は,は
用 人 口 の 多 さ,お
系 統 的 に は,英
マ ン ス 語 方 言 を 加 え て イ タ ロ ・ロ マ ンス 語 と
す る 立 場 に 立 つ 場 合,そ
で も,ロ
の 上,他
通,東
ブ ラ イ 語 が,宗 教,学 問 の 言 語 で
も っ と も 重 要 な 存 在 で あ る,
イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語 を ど の よ う に 解 釈 す る に せ よ,
ス 語,ロ
デ ィ ッ シ ュ 語 と い う と き は,普
い わ ゆ る ユ ダ ヤ 語 の 中 に あ っ て,そ
ト ・ ロ マ ン 語 の 位 置 づ け は 多 くの 困 難 な 点
イ タ リア 語 諸 方 言 を す べ て 含 め,そ
在 も使 用 し て
あ っ た の に 対 し,イ デ ィ ッ シ ュ 語 は 日 常 的 性 格 が 強 い.
統 一 的 に 扱 っ て い い の か と い う根 本 的 な 問 題
も あ り,レ
る い は,現
イ デ ィ ッ シ ュ 語 と東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 と が
も そ も レ ト ・ロ マ ン 語 と い う 総 称 で 言 い な ら わ し て い の 言 語 群(ロ
わ ゆ る ア シュ ケ ナ ジ ー
つ て 家族 あ る い はユ ダ ヤ人
社 会 の 中 で 使 用 し て い た,あ
ル コック
ィ ドスB.E.Vidosら)一
悟)
イ デ ィ ッ シ ュ 語 英Yiddish,独Jiddisch
ト ・ロ マ ン 語 を ガ ロ ・ロ マ ン
言 語 グ ル ー プ と し て 分 類 す る 立 場 が あ る(エ
Nie‐
ト ・
ス 語 に も イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語 に も 組 み 入 れ ず,別
linguistica
ロ マ ンス 諸 語
い る こ と,pl‐
ロ マ ン 語 と北 部 イ タ リ ア 方 言 群 と の つ な が り に も無 視
lingue
Firenze)
北 部 イ タ リア 方 言 群 に も ‐sが 部 分 的 に は 保 持 さ れ て
で き な い も の が あ る.レ
delle
di
(Olschki,
[参
か し,
に 近 い 方 言 の 一 部 で は 保 た れ て い る こ と な ど,レ
linguistica
neolatine(Patron,Bologna)
ト ・ロ マ ン 語
ら に,ラ
di
italiana(Boringhieri,Torino)
る 統 計 に よ れ ば,第2
現 在)1,069万
人 を 数 え た.そ
の 通 り で あ る.
東 欧 お よび 中 欧
北 ア メ リカ
西 ヨー ロ ッパ
6,767,000 2,987,000 317,000
の
パ レス チ ナ
か った.
285,000
南 ア メ リ カ,中
央 ア メ リカ
今 日で は,英 語 で はYiddishと
255,000
ア フ リカ
ツ語 のjudisch(ユ
56,000
ア ジ ア(パ
レ ス チ ナ を 除 く)
もの で あ る.Yiddishは,さ
14,000
オ ー ス トラ リ ア
(U.Weinreich,College
Yiddish,N.Y.,1971)
の 数 字 は,第2次
世 界 で イ デ ィ ッ シ ュ語 を話 して い る ユ ダ ヤ 人 程 度 で あ る と 考 え ら れ る が,
正 確 な 数 字 は つ か み 難 い.し
か し,イ
ダ ヤ 人 は,イ
音 は短 くな け れ ば な らな い か らで あ る. イ デ ィ ッシ ュ語 は,西 ゲ ル
マ ン語 に 属 す る とは い え,ラ テ ン文 字 を 使 用 し て 左 か ら右 へ と書 く他 の 言 語 とは違 って,22個
デ ィ ッ シ ュ 語 の ほ か に,自
分
るい
含 まれ る ‐dd‐とい う重 子 音 の前 の母
[文字 お よ び 正 書 法]
デ ィ ッ シ ュ語 の
み で 生 活 し て い る 人 の 数 は き わ め て 少 数 で あ ろ う.な ぜ な ら,ユ
表 記 す るの は 誤 りで あ る.な ぜ な らYiddishあ はJiddischに
人 の 数 は300∼400万
以 降に
な お,日 本 語 で 「イ ー デ ィ ッシ ュ語 」 と母 音 を 長 く
大 戦 時 の ナ チス の 蛮 行 に
よ っ て 激 減 し た. 今 日,全
の よ び方 は1886年
み られ る よ う にな った とい う.
計 10,690,000人
しか し,こ
らに ドイ ツ語 で はJiddisch
とな って 逆 輸 入 され た.こ
9,000
い う.こ れ は ドイ
ダヤ の)と い う形 容 詞 に 由 来 す る
の ヘ ブ ラ イ文
字 を 用 い て 右 か ら左 へ と書 く点 で特 異 な存 在 で あ る.
の 居 住 す る 国 の 言 語 を も母 語 と し て 使 っ て い る場 合 が
しか しそ の 際,原 則 と して 子音 文 字 し か もた な い ヘ ブ
ほ と ん ど で あ る か ら で あ る.
ラ イ文 字 を,母 音 を も表 記 す る必 要 の あ る イ デ ィ ッ シ
[名
称]
今 日 で は,Yiddish(英)あ
disch(独)と
る い はJid
い う よ び 方 が 定 着 し て い る が,か
実 に さ ま ざ ま に よ ば れ て い た.以 ー(J.Fischer)や
下 で は,フ
つ て は, ィ ッシ ャ
ア ル トハ ウ ス(H.P.Althaus)
で は,Leshonenu(わ shn
る い はTatsh
る い はLo
シ ュ ケ ナ ー ズ の 言 語)と
式 と ソ連 方 式 とで あ る. 1) YIVO方
れ はDeutschが
ブ ラ イ 語 に よる古 い ラ ビ文 学 れ わ れ の 言 語),あ
ashkenazi(ア
号 をつ け た り して,若 干 の修 正 を行 な っ て い る.
これ に は 大 き く分 け て2種 類 あ る.す なわ ちYIVO方
使 わ れ て い た が,こ
な ま っ た も の で あ る.ヘ
っ くりそ の ま ま 適用 す るわ け に はい か な い
た め,子 音 文 字 を母 音 文字 に転 用 した り,読 み 分 け符
イ デ ィ ッ シ ュ語 の ア ル フ ァベ ッ トを以 下 に示 す が,
ら を 参 考 に し て 述 べ る. 古 くは,数 世 紀 に わ た っ てTaytshあ (ド イ ツ 語)が
ュ語 に,そ
い う よび
一 方,民 衆 は,自 分 た ち の 言 語 の こ と をMame‐loshn (母 の こ と ば)と
かProst‐yidish(簡
ー ラ ン ド領 の ヴ ィル ナ に設 立 され,今
日で は,ア メ リカ の ニ ュ ー ヨー ク に本 拠 をお くイ デ ィ ッ シュ文 化 学 術 研 究 所(YIVO Research,略
方 もみ ら れ る.
式
1925年,ポ
Institute for Jewish
称YIVO)が,1936年
に定 め た 方 式 で,
ア メ リカ 合 衆 国 を は じ め 西 欧 諸 国 お よび ポー ラ ン ド
単 な ド イ ツ 語)
と よ ん だ.
で,も っ と も広 く用 い られ てい る も ので あ る. 2) ソ連 方 式
ドイ ツ で は16世
紀 以 降,学 術 用 語 と し て,ヘ ブ ラ イ ・
これ は,1926年
に ソ連 の イ デ ィ ッ シ ュ語 学 者 と関 係
ドイ ツ 語(Hebraisch‐teutsch,Hebraisch‐deutsch)
当局 に よっ て 定 め られ た もの で あ り,ソ 連 お よび ル ー
あ る い は ユ ダ ヤ ・ ドイ ツ 語(Judisch‐teutsch,Ju
マ ニ ア で 用 い られ て い る.ソ
disch‐deutsch),あ
とは異 な り,尾 字形 を一 時廃 止 して い た が,今
る い は ユ ダ ヤ 人 ドイ ツ語(Juden
teutsch,Juden‐deutsch)と い た が,今
日 で は,ド
い う よび 方 が 普 及 し て イ ツ語 と は 独 立 した 言 語 の 名 称
連 方 式 で はYIVO方
式 日で は
再び導 入 して い る.も っ と も,ユ ダヤ 人 自治 区 の新 聞 「ビ ロ ビ ジ ャ ンの 星 」(Birobidzhaner
shtern)の
よう
と し て は 不 適 当 と の 理 由 で 使 わ れ て い な い.Heb
に,あ い か わ らず 尾 字形 を 使用 して い な い場 合 も あ る.
raisch‐deutschの
アル フ ァ ベ ッ ト文 字 に関 して は,YIVO方
taytshは,宗 が,同
イ デ ィ ッ シ ュ 語 訳 で あ るIvri 教的 な 翻 訳文 学 を さす の に用 い ら れ た
様 に 今 日 で は,も
は や み られ な い.18世
紀 の ド
式 もソ連
方 式 もほ とん ど違 い は な い が,ヘ ブ ラ イ語 ・ア ラ ム語 起 源 の 単 語 の正 書 法 に関 して は 大 きな 違 い が あ る.す
イ ツの ユ ダヤ 人 啓 蒙 主 義 者 が好 ん で 使 った フ ラ ンス語
なわ ち,YIVO方
のJargon(隠
の 単 語 は 伝 統 的 な綴 りを保 持 す る.し た が って,一 見
語)は
軽 蔑 的 意 味 を 含 ん で い た が,東
欧 に 入 っ て か ら は 中 立 的 意 味 で 用 い ら れ た.そ Judisch(ユ
ダ ヤ 語)と
ル ン バ ウ ム(Nathan
い う よ び 方 も,ナ Bimbaum)の
の他
ー タ ン ・ビ
よ うな 近 代 の ユ
式 で は,ヘ ブ ライ 語 ・ア ラ ム 語 起 源
して,そ れ と見 分 け がつ き,文 字 と実 際 の 発 音 の 間 に は 隔 た りが あ る. 一 方,ソ 連 方 式 で は,ヘ ブ ライ 語 ・ア ラ ム語 系 の 単
ダ ヤ 人 思 想 家 に よ っ て な さ れ た こ と が あ っ た が,
語 も,簡 単 で 大 衆 に近 づ きや す い もの に す る とい う意
Judischと
図 の も と に,発
は 民 族 学 の 用 語 で あ り,ユ
ダヤ 人 の 民 族 語
で あ る か の よ うな 印象 を与 え る とい う理 由で 普 及 しな
音 通 り に 表 記 す る こ とに な って い る
(た だ し若 干 の 例 外 が あ る).し た が って,ヘ ブ ラ イ 語 ・
コフ
<表1>YIVO方
活字 体
式 に よ る ア ル フ ァベ ッ ト
筆記 体
ラテ ン文 字 表 記
読み方
備
ラメ ド
辞 書 では同 一
パセホ・アレフ a
の文 字 として
コメツ・アレフ o
扱 われる
尾 字 形:
l,L m
尾 字 形:
ヌン
n
尾 字形:
サメホ
s
アイン
e
メム
b
ヴェイズ
v
ギムル ダレド
kh
考
黙 音 アレフ ―
ベイズ
k
ホフ
g
ペイ d
ヘイ
h
ヴォヴ
u
フェイ メル プム ・ヴォヴ
p f
ツァデ ィク
ts
尾 字形: 尾 字形:
二重 ヴォヴ ヴォヴ・ユ ド
ザイェン ヘス テス ユド
レイシュ シン
z
ス ィン
kh
トフ
t i,y
ヒ ー レ ク ・ユ ド
二重ユド パセホ二 重 ユ ド
<例1>YIVO方
出 典:Di
クフ
Goldene
ソフ
No.113(Tel‐Aviv,1984)に
sh s t s
注:本 文 中 の ラ テ ン文 字 表 記(転 写)は これ に よ っ て い る. た だ し,軟 口蓋 音 のLに つ い て は 採 用 せ ず,単 に 小文 字 のlを 用 い て い る. 出 典:ヴ ァイ ン ラ イ ヒ(U・Weinreich,19715)に た だ し,一 部 改 め て あ る.
式 の 正 書 法 に基 づ い た イデ ィ ッシ ュ語
Keyt
k r
よ る.
よる .
ア ラ ム語 起 源 の単 語 で あ るか ど うか の見 分 け は,正 書 <表2>ソ
法 の 上 で は つ か な い. 以 上,2通
りの方 式 の ほ か に,独 自 の方 式 を採 用 し
文 字
連 方 式 に よ る ア ル フ ァベ ッ ト
発音 数値
文
字
発音 数値
て い る出 版 社 や新 聞 社 もあ るが,お お む ねYIVO方 式 で あ り,そ れ らの 間 の違 い は,さ ほ ど大 きい もの で は ない. [音声 ・音 韻] シ ュ語(Standard
以 下 に述 べ るの は,標 準 イ デ ィ ッ Yiddish,超
方 言 的 な,書
きこと
ば と して の イ デ ィ ッシ ュ語;後 述 の 「方 言 」 の 項 を 参 照)に 関 す る記 述 で あ る. U.ヴ
ァ イ ンライ ヒ(Weinreich)に
よれ ば,イ
デ
ィ ッ シュ語 の音 体 系 は,お お む ね,こ の 言語 の 母 体 で あ る ドイ ツ語 に規 定 され て い るが,ヘ ブ ラ イ語 ・ア ラ ム語 や ス ラ ブ語 の 影 響 を受 け て い るた め,異 な る点 も 多 い. イ デ ィ ッシ ュ語 は,顕 著 な 呼 気 ア クセ ン トを有 す る. 第2ア
ク セ ン トは ドイ ツ 語 ほ ど強 くな い.
母 音 は,i,e,a,o,uの5個
で あ っ て,ド イ ツ語
にみ られ る 円唇 母 音 のa,o,uは
な い. また,ス
ラ
ブ 語 の 影 響 に よ って 長 音 と短 音 の 対立 は な くな り,各 母 音 の 長 さは ドイ ツ語 の長 母音 と短 母 音 の 中 間 の長 さ で あ る.
二 重 母 音 はei,ai,oiの3つ 通,お
で あ り,閉
鎖音は普
こ ら な い.
注:1)古 代 ヘ ブ ライ 語 単 語 に の み 現 わ れ る文 字. 2)末 尾 文 字. 出 典 …〓(1966)に
子 音 は,m,n,n',b,d,d',g,p,t,t',k,
<例2>ソ
出 典:Sovetish
連 方 式 の 正 書 法 に 基 づ い た イ デ ィ ッシ ュ語
heymland,1984
8月 号 付 録 に よ る.
よ る.
nezer
v,z,z',z,r,f,s,s',s,x,h,l,l'の24個
d)‐
で あ る.
φ:fish「
魚 」―fish,shvester「
姉 妹 」―shves
ter e)‐im:bokher
「少 年 」―bokhrim,dokter「
医者 」
― doktoyrim f)‐lekh:meyd1「
少 女 」―meydlekh,yingl「
若者」
― yinglekh 2)属
に よ れ ば,文 語 イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 子 音 は 次 の21個
で
相 当 す る)を
ほ と ん ど で あ る.と
こ で はU.ヴ
a lid fun
ァイ ン ラ イ ヒに
従 っ て お く)
1)n',d',t',z',s',l'な れ る 口 蓋 音 が,イ
ど,ス
た はyの
ば,nyanye「
ラ ブ語 に み ら
前 で み ら れ る こ と.た
乳 母 」,dyegekhts「
「の ど 」,kazyoyne「
3)所
fun di
klas
soldatn
有形 容 詞 が名 詞 の後 にお か れ る こ と も よ くあ
der
tate
zayner「
彼 の パ パ 」,di
verter
zayne
「彼 の こ と ば 」
タ ー ル 」,tyokh
平 凡 な 」,osyen「
kinder
firer fun
秋 」,lyarem
4)ド
イ ツ 語 と違 っ て,前
置 詞 はつ ね に与 格 を支 配
す る.
2)単
語 末 の 有 声 破 裂 音b,d,gが,ド
よ う に 無 声 のp,t,kに 保 持 さ れ る こ と.た 色 い 」,ferd
変 わ ら ず,そ
mame
身 体 」,gelb「
「粗 野 な 」,barg「
hot
shul.「
の まま 有 声 音 が
と え ば,layb「
「馬 」,vild
Di
イ ツ語 の
gefirt
Gitelen
in
der
yidisher
ママ は ギ テ レをユ ダ ヤ 人 学 校 へ 連 れ て
行 った 」
黄
Ikh
山 」,tog
「日」.
trakht
vegn
mayne
kinder.「
私は 自分の
子 供 の こ と を 考 え る」
3)ヘ
ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語 系 や ス ラ ブ 語 の 単 語 の 流
入 に 伴 っ て,語
頭 に ドイ ツ 語 系 の 単 語 に な いdl‐,
gv‐,st‐,tl‐,th‐,cd‐,xr‐,xc‐
とい っ た 子 音 連 続
デ ィ ッ シ ュ 語 の 中 に と り入 れ られ る よ う に な っ
た こ と.た
と え ばdlonye「
た な ご こ ろ」,gvure「
stade「 家 畜 の 群 」,tlo「 ひ づ め 」,thom「 「真 夜 中 」,khropen「 以 上 の ほ か,イ
力 」,
深 淵 」,khtsos
い び き を か く」,tsdoke「
慈 悲 」.
5)南
ド イ ツ 方 言 や ス イ ス ・ ドイ ツ 語(Schweizer
deutsch)と
き る が,こ
味 的 区別 を行 な う こ とが で
の 分 野 に つ い て は,ま
[文
法]
以 下 で は,イ
デ ィ ッ シ ュ 語 と 「書 き こ Sehriftsprache)」
と の 相 違 点 を 中 心 に 記 述 す る . そ の 際,目 イ ツ 語 の 古 形 と ス ラ ブ 語,と
立つのは ド
く に ポ ー ラ ン ド語 の 影 響
詞 の 屈 折 ク ラ ス は,か
っ て で は な く,複 a)‐(e)n:tish「 b)‐s:zeyde「
つ て の よ う に語 幹 に よ
数 形 の 作 り方 に 従 う. 机 」―tishn,froy「
女 」―froyen ユ ダ ヤ女 」
In
droysn shney.「
gekoyft
a
石 」―shteyner,noz「
鼻 」―
radyo.
「私 は 彼 女
iz
gehat
ongefaln
a
gedikhter
外 で は 雪 が 降 りつ も っ て い た 」
デ ィ ッ シ ュ 語 の 動 詞 に は,ス
ラ ブ語 に似 た ア
ス ペ ク ト的 対 立 が み ら れ る も の が あ る . shraybn「
書 く」―onshraybn「
leyenen「
読 む 」―iberleyenen「
読 ん で し ま う」
trinken「
飲 む 」―oystrinken「
飲み干す」
行 な う」―opton「
ま た,こ
始 体,動
書 き下 ろ す 」
や り終 え る 」
の ほ か の ア ス ペ ク ト的 現 象 と し て,1回
作 の く り 返 し,ま
き
き ご と の開 始 を 示 す 開
た は 継 続 を 示 す く り返 し体,
習 慣 的 で あ っ た 行 動 を 叙 述 す る 過 去 習 慣 体 が あ る. 7)過
― yidenes c)‐er:shteyn「
れ に似 た 形 式 は 上部
もみ られ る.
り の 行 動 を 叙 述 す る 一 回 体,で
祖 父 」―zeydes,yidene「
あっ
に ラ ジ オ を買 ってや った 」
ton「
で あ る.
it gehat
過 去)で
現 在 人 称 変 化 +gehat
ドイ ツ 語(Oberdeutsch)に
6)イ
と ば の ド イ ツ 語(Hochdeutsche
去 完 了(前
+ 過 去 分 詞 」 で あ ら わ さ れ る.こ
K h'hob
デ
で あ る .こ れ ら の 時 制 の う ち,
の 形 式 は 「hobn/zaynの
だ十 分 な研 究 が な さ
れ て い な い.
去 時 制 が 消 失 し た 結 果,イ
と く に 注 目 す べ き も の は,過 て,そ
デ ィ ッ シ ュ語 で 重 要 な の は イ ン トネ
ま ざ ま な 統 語 的,意
同 様 に,過
ィ ッ シ ュ語 の 時 制 は5つ
ー シ ョ ン で あ る. 文 の メ ロ デ ィ ー を 変 え る こ と に よ っ
1)名
friling「 春 の 歌 」,di
る.
とえ
「騒 音 」.
て,さ
れ が唯 一
「兵 士 た ち の 指 揮 官 」
の 諸 点 で あ る.
デ ィ ッ シ ュ語 で もア ク セ ン トの あ る
音 節 の 中 のiま
イ ツ語
く に 無 生 物 の 場 合 は,こ
「ク ラ ス の 子 供 た ち 」,der
こ れ ら の 子 音 で 特 徴 的 な の は,次
が,イ
わ っ て 前 置 詞fun(ド
用 い て所 有 を あ らわ す 場 合が
の 方 法 で あ る.
あ る.b,g,d,h,v,z,z,t,c,j,x,l,m,n, s,p,f,c,k,r,s.こ
格 が す た れ,代
のvonに
(た だ し,ソ 連 の フ ァ リ コ ヴ ィ ッ チ(M.Falykovich)
去 時 制 の 消 失 に よ り,動
詞 の過 去 形 もな くな
っ た. し た が っ て,強 変 化 動 詞 と弱 変 化 動 詞 の 区 別 も,
実 質 的 に は な く な っ た と い っ て よい . ま た,混 動 詞 は,中
合変化
す こ とが で き る.
高 ドイ ツ 語 時 代 に は ま だ み ら れ な い た め,
Er
iz gegangen
8)イ
デ ィ ッ シ ュ語 の 複 合 動 詞 は,分
離 動 詞 の2種
類 だ け で あ り,分
た と え ば,ド
訳 す る)に
はiberzetsnの
み で あ り,そ
の 意 味 に は 「別 の 席 に 移
容 詞 の 述 語 的 用 法 の 場 合,短
fortog
10)比
iz an
14)イ
デ ィ ッ シ ュ 語 に は,い
Ikh
iz greser
Er
ken
fun
mer
hob
Hot
そ の話 は本 当だ」
相 当)を
対 応 す る.
ale
andere
15)条
ー ラ ン ド語 のsieに
人 称,数
に 応 じ て 変 化 せ ず,つ
talmidim.「
対 応 す る 再 帰 代 名 詞 は, ね に 不 変 で あ る(た
hob
gezetst
zikh
oyf
a
bank.「
Az
geven
er vet
a sakh
yingl
es
mit
るい は状 況 に応 じて決
beser,ven
zikh.「
nit
geregnt,volt
mitn
ortodoksishn
yid.
16)多
重 否 定,と
1回
大 限4個),意
keyn
gelt
nit.「
hob
keyn
mol
nit
「わ っ と泣 き 出 す 」,shpiln zikh「
「終 わ る」,ontrinken
zikh
勉 強 す る」,endikn zikh「
「私 は ユ ダ ヤ 人 と1度
zikh
Fun
質 的 に は 動 詞)hobn/zayn/vernを
ponem
hobn
zayn「
hobn「
楽 し
「あ わ れ む 」,mekalel
歓 迎 す る 」,oyle
ル へ 移 住 す る 」,mamshekh 13)不
zayn「
zayn「
zibn
dem mesles.
vald
darf
続 け る」
gedoyern
「森 を 通 り抜 け る に は7昼
hobn
さ,な
mit
keyn
yid.
も話 を した こ と が な か っ
mantsbil
hot
zi keyn
kompliment.「
mol
nit
どの 男 か ら も彼
も賛 辞 を 聞 い た こ とが な か っ た 」 小 詞 の 多 用,ド
イ ツ語 に み られ る 枠
万 能 の 」 関 係 代 名 詞vos,語
ど の 特 徴 が あ る が,こ
[語
彙]
が あ り,科 arum
動 物,農
夜 が必
順 の自由
れ ら も ま た,ポ
ーラ ンド
イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 総 語 彙 数 は,18∼20
学,工
学,軍
だ し,多
業 の 面 の 語 彙 が 乏 し い が,そ
対 人 関 係,社
少のかた よ り
事 面 の 語 彙 が 不 足 し,植
会 関 係,道
徳,知
性,感
の 反 面,宗
物, 教,
情 面 に 関 して は
豊 富 で あ る. gelebt
fun
baarbetn
di erd.「
ユ
ダヤ 人 は 土 地 を耕 す こ とに よ って 生 活 した」 ま た,不
私 に は お 金 が ない 」
geredt
万 程 度 で あ る と さ れ て い る.た
要だ」 Yidn
味 的 には
語 の 影 響 に よ る も の で あ る.
イ ス ラエ
定 詞 の名 詞 的用 法 が多 用 され る.
Durkhforn
keyn
女 は1度
構 造 の 欠 如,「
結 婚 す る 」,hanoe
む 」,rakhmones
eyn
以 上 の ほ か,縮
多 くみ ら れ る. hobn「
keyn
gehert
用
の 意 味 を あ ら わ す 迂 言 動 詞(Periphrastic
khasene
出す
た」
酔 っぱ ら う 」
変 の ヘ ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語 要 素 + ドイ ツ 語
い て1つ
aroysge
き り の 否 定 と 同 じで あ る. hob
Verbs)が
ikh
く に 二 重 否 定 が 多 く み ら れ る.
否 定 詞 は い く ら 重 ね て も(最
Ikh
系 の 補 助 詞(実
itst
し 雨 が 降 っ て い な か っ た ら,外
Ikh
12)不
hob
「も し 雨 が 降 っ て い な け れ ば,外
る の だ が./も
を必 要 とす る場 合 が し ば し ば ある .
「遊 ぶ 」,lernen
ikh
今 そ の 少 年 を連 れ てい
な し で 済 む もの で も,ポ ー ラ ン ド語 か ら の 類 推 でzikh
zikh
di yidn.
出 した の だ が 」
bakent
帰 動 詞 が 多 く, 対 応 す る ドイ ツ語 で はsich
tseveynen
bafrayen
る か に よか った の だ が」
volt
gangen.
私 はベ
「私 は 正 統 派 の ユ ダ ヤ 人 と 知 り合 い に な っ た 」 ま た,再
私
在 の 事 実 に反 す る仮 定 か過 去 の事 実 に 反
た ら,は
だ
ンチ に す わ っ た」 Ikh
in gas.「
定 され る こ と が 多 い.
東 方 言 に お い て は ドイ ツ 語 の よ う に 変 化 す る). zikh
loyft
件 法 は,ポ ー ラ ン ド語 に な ら っ て 簡 略 化 し て
dos
11)ポ
gezogt,az
い る た め,現
S'volt
hob
属 文 に もつ ね に 直
vi ir tate
す る 仮 定 か は,副 詞 に よ っ て,あ
dir. 「彼 は 君 よ り も 大 き い 」
fun
は 他 の す べ て の 生 徒 よ り た く さ ん 知 っ て い る」
Ikh
わ ゆ る 「時 の 一 致 」を
れ は ポ ー ラ ン ド語 に も み ら れ る
derzen
Pore
彼
し,南
mitn
「パ ロ は ユ ダ ヤ 人 を 解 放 す る と言 っ た 」
用 い る こ とが
れ は ポ ー ラ ン ド語 のodに
Er
haltn
現 象 で あ る.
夜 明 け は 冷 た い」
emese.「
イ ツ 語 のvonに
あ る が,こ
milkhome
伴 う 間 接 話 法 の 形 式 が な い の で,従
ラ ブ語 の 影
較 級 を 作 る 場 合,「 ∼ よ り も」 に 相 当 す る 部
分 にfun(ド
gekumen
は 彼 女 の 父が 通 りを 走 って い るの を見 た」
iz a kiler.「
mayse
彼は シナゴ
きた」
響 が 大 き い と 思 わ れ る.
Di
in shul.「
わ れ わ れ は 砂漠 と戦 うた めに や って
説 法 が 用 い ら れ る.こ
語 尾形 の ほ か に
長 語 尾 形 が よ く 用 い ら れ る . これ に は,ス
Der
zaynen
midber.「
こ う岸 へ 渡 す)
対 応 す る イ デ ィ ッ シュ語
す 」 と 「翻 訳 す る 」 の 両 方 が 含 ま れ て い る. 9)形
Mir
離動 詞 と非 分
離 ・非 分 離 動 詞 は な い.
イ ツ 語 のuber│setzen(向
― ubersetzen(翻
davnen
ー グ へ 祈 りに行 った」
イ デ ィ ッ シ ュ 語 に も な い.
定 詞 を運動 の動 詞 と とも に用 い て 目的 を 示
イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 語 彙 は,中 世 の ドイ ツ 諸 方 言(と
く
に 上 部 ドイ ツ 語 お よ び 中 部 ドイ ツ 語Mitteldeutsch) を 基 礎 と し て,そ
れ に,ヘ
ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語,ス
ラ
ブ 語,ロ
マ ンス語 等 が 加 わ った もの で あ る.
る 間 」,hagam「
∼ で は あ るが 」
イ デ ィ ッ シ ュ語 に お い て ドイ ツ 語 系 の 語 彙 が 占 め る
ス ラ ブ 語 要 素 と し て は,ポ
割 合 は,一
ク ラ イ ナ 語,白
し,イ
説 に は,75パ
ー セ ン ト と い わ れ る.し
か
デ ィ ッ シ ュ語 の 単 語 を ドイ ツ 語 の 単 語 に ひ き あ
て て,そ
の 意味 を 類 推 す る場 合 に は 十 分慎 重 で なけ れ
ば な ら な い.な
ぜ な ら,イ
デ ィ ッ シ ュ 語 が ドイ ツ 語 か
ら 分 か れ て 千 年 近 く の 間 に,双
方 の そ れぞ れ の 単 語 の
の 流 入 は18世
る.い
詞 と して は,名
1)名
詞:stade「
― Y.lodn「
川 」,G.Laden「
シ ャ ッ タ ー 」,G.Schule「
店」
Y.shu1「
学 校,シ
trachten
学 校 」―
ナ ゴ ー グ 」,G.schmeicheln
「へ つ ら う」―Y.shmeykhlen「
3)接
思
G.Was
du?「
makhst
ま た,イ
何 を して い る の か」
du?「
デ ィ ッ シ ュ 語 に は,ド
う な 形 が あ る.今,中
イ ツ語 の 標 準語 で は
言 に しか残 って い な い よ
世 ド イ ツ 語(Mhg.)と
と もに
今(Mhg.iezunt)」,haynt「
hint)」,eydem「 zeyger「
今 日(Mhg.
あ る 場 合 も 多 い.そ
の 場 合,た
はoys‐,pod‐
る」,ibergisn「
は
に そ れ ぞ れ 対 応 す る.
変 え る 」,unterhern「
立 ち 聞 きす
し み 込 ま せ る 」,aynhaltn
zikh
「つ つ しむ 」 教 的,精
(主 と し て タ ル ム ー ドや カ バ ラ か ら)の
神的 領 域
み な ら ず,日
常 的 領 域 に も広 く浸 透 し て い る. 品 詞 の 点 か ら み る と,名 が 多 い . な お,発
1)名
sotsializm「
際 的 な 単 語 もみ られ
社 会 主 義 」,komunizm「 大 学 」,telefon「
共 産 主 義 」,
電話」 くに注 目す べ き
った 言語 に起 源 を もつ 単 語 の一 部 ず つ が 融 し い1つ
の単 語 をつ くって い るケ ー ス が 非
常 に 多 く み ら れ る こ と で あ る.そ
1)ヘ
の 組 み 合 わ せ に は,
ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語 + ドイ ツ 語
kroyveshaft「
親 類 」,khavershaft「
kheyder‐yingl「
ヘ デ ル(宗
khoydeshlekh「
月 の 」,mazldik「
dabern「
友 情 」,
教 小 学 校)の
生 徒 」,
幸 せ な 」,
ぺ ち ゃ ぺ ち ゃ し ゃ べ る 」,sofekn「
疑
置 詞,接
続詞
デ ィ ッシ
置 詞:al‐pi「
「忠 告 」,mishpo
顔 」,shabes「
トー ラ ー 」,yontef
「休 日」
続 詞:kol‐zman「
主 要 科 目 」,velt‐milkhome「
世界
気象 台 員 」
ラ ブ 語 + ヘ ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語
bobe‐mayse「
大 げ さ な 話 」,mame‐loshn「
母
5)ド
さ ま よ う」,khapn「 ゆ っ く り と」
ひ っ つ か む 」,tsespuzhen「
馬を
お ど ろ かせ る」 6)ド
∼す
つ か ま え る」,
イ ツ 語 + ス ラ ブ 語 + ドイ ツ 語
aroyskhapn「 ∼ に
∼ の た め に」 ∼ す る 限 り」,beys「
ラ ブ 語 + ドイ ツ 語
blondzhen「 pamelekh「
もち
無 事 に」 ∼ に よ っ て 」,benegeye「
関 し て 」,lekoved「
3)ス
4)ス
安 息 日 」,
も し か す る と 」,avade「
ろ ん 」,besholem「
イ ツ 語 + ヘ ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語
hoypt‐limed「
語」
「真 実 」,eytse
詞:afsher「
2)ド
大 戦 」,veter‐novi「 詞,前
音 お よ び ア ク セ ン トは,イ
家 族 」,ponem「
toyre「
詞,副
動 し て い る.
詞:emes
khe「
4)接
般 的 傾 向 と して,国
う」
ヘ ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語 要 素 は,宗
ュ 風 に 変 音,移
読
次 の よ う な も の が あ る. ー
はunter‐,prze‐
はeyn‐,arayn‐
oysbaytn「
transla
と え ば,ポ
祈 る 」,leyenen「
安 息 日用 の 食 事」
る.
合 し て,新
く,実 際 に は ス ラ ブ 語 か ら の 借 用 翻 訳(loan
iber‐,w‐
日で は 若 干 残 って い る に
祝 福 す る 」,oren「
そ の 他,一
こ と は,違
時 計(Mhg.seiger)」
ラ ン ド語 のwy‐
一体」
イ デ ィ ッ シ ュ語 の 語 彙 に 関 して,と
義 理 の 息 子(Mhg.eidem)」,
見 か け は ドイ ツ語 的 で あ っ て も ドイ ツ語 起 源 で は な
3)前
ほ ら 」,zhe「
universitet「
atsind「
「∼
デ ィ ッシ ュ語 の 成 立 当時 は多 数 流
む 」,tsholnt「
示 す と,
2)副
の 他:ot「
bentshn「
元 気?」
す で に 使 わ れ な く な っ て,方
tion)で
∼ だ け れ ど も」,i∼i∼
す ぎ な い.
machst
Y.Vos
実 に 」,
∼ か ど うか」
入 し て い た と思 わ れ る が,今
文 に 関 す る も の で は,
夕 食 」,
残 念 な が ら」,take「
ロ マ ン ス 語 は,イ
「示 す 」
い か だ 」,kozak
肩 」,vetshere「
も っ と も」
続 詞:khotsh「
4)そ
続 詞 に多 い .
駅」
か ∼ か 」,tsi「
「証 明 す る」―Y.bavayzn
詞,接
群 」,tratve「
詞:nebekh「
same「
ほ ほ え む 」,G.
「得 よ う と努 力 す る 」―Y.trakhtn「
う 」,G.beweisen
2)副
常 的 な語 彙 に関 す る も
詞,副
「コ サ ッ ク 」,pleytse「 vogzal「
池 」―Y.taykh「
ラ ブ 語 は,日
の で,品
くつ か の 例 を 示 せ ば, G.Teich「
紀 末 の ポ ー ラ ン ド分 割 以 降 で あ り,も
っ と も新 し い.ス
意 味 領 域 は しば しば異 な っ て い る こ とが あ るか らで あ
ー ラ ン ド語 を筆 頭 に,ウ
ロ シ ア語 か らの語 彙 が 多 い . ロ シア 語
イ ツ 語 + ヘ ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語 + ス ラ ブ 語
shlimazlnik「
運 の悪 い奴 」
7)ド
殺 す 」,iberkhazern「
umberakhmonesdik「 [方
言]
今 日 で は,5大 は,ア
ス ク ワ,キ
く り 返 す 」,
た.以 下 で は,そ の主 な もの を図 式的 に 示 す.
無慈悲な」
以 上 の うち,今
イ デ ィ ッ シ ュ 語 が 話 され て い る 地 域 は
わ れ るの は,U.ヴ
陸 の す べ て に 及 ん で お り,そ
(M.Herzog)の
メ リ カ 合 衆 国(と
ス),お
多 くの 学 者 に よっ て,さ ま ざ まな 説 が と なえ られ て き
イ ツ 語 + ヘ ブ ラ イ 語 ・ア ラ ム 語 + ドイ ツ 語
derhargenen「
エ フ),ア
の 話 し手
く に ニ ュ ー ヨ ー ク),ソ ル ゼ ン チ ン(ブ
よ び イ ス ラ エ ル に 多 い.こ
連(モ
ァイ ン ライ ヒお よび ヘ ル ツ ォー ク 説 で あ る(カ
ッツD.Katzの
もの
は もっ と も新 しい 説 なの で,ま だ 評 価 が定 ま っ て い な
エ ノ ス ・ア イ レ
れ は か つ て,中
日 もっ と も広 い支 持 をえ て い る と思
い).こ
れ は,そ れ まで の もの と違 っ て,構 造 言 語 学
欧,
の理 論 を方 言 研 究 に応 用 した 点 に特徴 が あ る.し た が
東 欧 に 定 住 して イ デ ィ ッ シ ュ 語 の さ ま ざ ま な 方 言 を 担
って,以 下 で は,こ の 説 に基 づ い て記 述 す る こ と にす
っ て い た 話 し手 が 移 動 し た 結 果 で あ る .
る.
イ デ ィ ッ シ ュ語 の 方 言 区 分 と い う場 合 は,し 移 動 以 前 の,つ
イ デ ィ ッ シ ュ語 は,大
ま り歴 史 的 に な っ て し ま っ た ヨ ー ロ ッ
パ で の 状 況 を 記 述 す る の が 普 通 で あ る.し 項 で は,ま
か し,
た が って 本
ず 歴 史 的 方 言 区 分 に つ い て 述 べ,そ
き く西 イ デ ィ ッシ ュ語 と東 イ
デ ィ ッ シ ュ語 とに 分 か れ る.前 者 は,オ ラ ン ダ,ア ル ザス ・ロ レー ヌ,ス イ ス,ボ ヘ ミアお よび ドイ ツ の 大
の 後,
部 分 にお い て話 され て い た ドイ ツ語 的 色 彩 の 強 い イ デ
付 加 的 に新 しい土 地 で の イ デ ィ ッ シ ュ語 につ い て言 及
ィ ッ シ ュ語 で あ り,後者 は,ス ラ ブ語 の 強 い 影 響 を 受 け
す る.
た イ デ ィ ッ シュ語 で あ る.U.ヴ
イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 方 言 の 区 分 に 関 し て は,こ
<表3>J.ビ
ァイ ンラ イ ヒに よれ
ば,西 イ デ ィ ッシ ュ語 と東 イデ ィ ッシ ュ語 を語 彙 か ら
れ まで
ン ・ヌ ン(フ ィ ッ シ ャ ー)の 分 類 西
方
系
西 イ デ ィ ッ シ ュ語
(Westlicher
(Westjiddisch){
東
イ デ イ ッ シ ュ語
方
(Ostlicher
(Jiddisch){ 東 イ デ ィ ッシ ュ語 (Ostjiddisch){
Zweig)
系 Zweig)
西 中央 イ デ ィ ッ シ ュ語
中 央 イ デ ィ ッ シ ュ語
(Westmitteljiddisch)
(Mitteljiddisch)
東 中央 イ デ ィ ッ シュ語
北 東 イ デ ィ ッ シ ュ語
(Ostmitteljiddisch)
(Nordostjiddisch){
<表4>F.ベ
ラ ネ ックの 分 類 ク ー ル ラ ン ト ・イ デ ィ ッ シ ュ語(Kurlandisch‐Jiddisch) エ ル ザ ス ・イ デ ィ ッ シ ュ語(Elsassisch‐Jiddisch) 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 (Westjiddisch){
ア ム ス テ ル ダ ム ・イ デ ィ ッ シ ュ 語(Amsterdam‐Jiddisch) ズ デ ー テ ン ・イ デ ィ ッ シ ュ 語(Sudeten‐Jiddisch) 西 ス ロ ヴ ァ キ ア ・イ デ ィ ッ シ ュ 語(Westslowakisch‐Jiddisch) ブ ル ゲ ン ラ ン ト ・イ デ ィ ッ シ ュ 語(Burgenlandisch‐Jiddisch) ハ ン ガ リー ・イ デ ィ ッ シ ュ語(Ungarisch‐Jiddisch)
北 イ デ ィ ッシ ュ語 イ デ ィ ッシ ュ語 (Jiddisch){
(Nordjiddisch) 東 イ デ ィ ッシ ュ語
ポ ー ラ ン ド ・イ デ ィ ッ シ ュ 語(Polnisch‐Jiddisch)
(Ostjiddisch)
ウ ク ラ イ ナ ・イ デ ィ ッ シ ュ 語(Ukrainisch‐Jiddisch)
新 イ デ ィ ッシ ュ語 (Jungjiddisch){ 植 民 イ デ ィ ッ シ ュ語 (Kolonialjiddisch) 注:植
民 イデ ィ ッ シ ュ語 とは ア メ リカ 合 衆 国 で発 展 し た イデ ィ ッシ ュ語 を 指 す .
<図1>1936年
出 典:ビ
の 政 治 的 国 境 設 定 後 の イ デ ィ ッ シ ュ語 方 言 区 分
ン ・ヌ ン(J.Bin‐Nun,1973)に
<図2>F.ベ
よ る.
ラ ネ ック に よ る ヨー ロ ッパ に お
<図3>S.A.ビ
け るイ デ ィ ッシ ュ語 方 言 区 分
出 典:S.A.ビ
出 典:ラ ン トマ ン(S.Landmann,1962)に よ る. 注:詳 細 な 方言 区分 につ い ては 省 略 した. 分 類 表 参 照.
ル ンバ ウ ム に よ るイ デ ィ ッシ
ュ語 方 言 区 分
注:略
ル ン バ ウ ム(1979)に
語 に つ い て は 分 類 表 参 照.
よ る.
<表5>S.A.ビ
ル ンバ ウム の 分 類 西 イデ ィ ッ シ ュ語 (West
Yiddish)
中 央 イ デ ィ ッ シュ語 イデ ィ ッシ ュ語
(Central
Yiddish)
南
(Yiddish){ 東 イ デ ィ ッシ ュ語 (East
Yiddish){
南方 グループ (Southern
南
group)(E.Y.S.)
ァイ ン ライ ヒお よ びM.ヘ
東
part)(E.Y.S.W.) 部
(Eastern
北 方 グル ー プ (Northern
<表6>U.ヴ
西部
(Western
part)(E.Y.S.E.)
group)(E.Y.N.){
ル
<図4>U.ヴ ァ イ ン ラ イ ヒお よ びM.ヘ ル ツ ォ ー ク に よ る イ デ ィ ッシ ュ語 方 言 区 分
ツ ォー ク の分 類 西イディ ッ シ ュ語 Western Yiddish 北 東 イ デ ィ ッ シ ュ語 イ デ ィ ッ シ ュ語
Northeastern
(Yiddish){
Yiddish 東 イデ ィ ッ シ ュ語
南 東 イ デ ィ ッ シ ュ語
Eastern
Southeastern
Yiddish{
Yiddish 中 央 イ デ ィ ッ シュ語
出 典:YIVO発
行 のFacts
about
Yiddish(1946)に
よ る.
Central Yiddish
<表7>D.カ
ッツ の分 類 北 西 イ デ ィ ッ シュ語 西 イ デ ィ ッシ ュ語 (Westjiddisch){
(Nordwestjiddisch) 南 方 西 イ デ ィ ッ シュ語 (Sudliches
Westjiddisch){
中 央 ・西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 (Zentral‐Westjiddisch) 南 ・西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 (Sud‐Westjiddisch)
北 方 中 間 イ デ ィ ッシ ュ語 イ デ ィ ッシ ュ語 (Jiddisch){
中間 イデ ィ ッ シュ語 (Ubergangsjiddisch){
(Nordliches
Ubergangsjiddisch)
南 方 中 間 イ デ ィ ッシ ュ語 (Sudliches
Ubergangsjiddisch) 中 央 ・東 イ デ ィ ッ シ ュ語
南 方 東 イ デ ィ ッシ ュ語 (Sudliches
Ostjiddisch)
東 イ デ ィ ッ シ ュ語
(Zentral‐Ostjiddisch) 南 ・東 イ デ ィ ッ シ ュ語 (Sud‐Ostjiddisch)
(Ostjiddisch){ 北 東 イ デ ィ ッシ ュ語 (Nordostjiddisch){
み た 境 界 は,「 祈 る 」 を 意 味 す る 単 語 に 前 者 はdavnen
/kojfn flajs/と
を,後 者 はornを
な お,単 語,音 韻以 外 の特 徴 と して,東 イ デ ィ ッシ ュ語 の北 東 方 言 で は,名 詞 の文 法 上 の 性 は 男 性 と女 性
を,後
使 い,「 祈祷 書 」の こ と を 前 者 はsider
者 はtfileを
ま た,音
使 う こ と に あ る.
韻 か ら み れ ば,西
ィ ッ シ ュ語 で,koyfn ろ を,/kafn
イ デ ィ ッ シ ュ語 は 東 イ デ
fleysh
flas/の
「肉 を 買 う」 と 言 う と こ
よ う に/a/に
発 音 す る こ とで 区
分 さ れ る.
の み で あ り,中 性 を欠 い て い る. 次 に,ヨ ー ロ ッパ 以 外 の地 域 のイ デ ィ ッ シ ュ語 に つ い て,そ の 状 況 を述 べ る. 1)ア
西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 中 の 方 言 区 分 に つ い て は,U.ヴ
ァ イ ン ラ イ ヒは と く に 細 分 化 し て い な い(こ し て は ベ ラ ネ ッ クF.Beraneckお を 参 照)が,も
ち ろ ん,そ
よ びカ ッ ツの 分 類
の こ と は,そ
あ る こ と を 意 味 し な い(表4,表7参 東 西 の 間,カ
の 点 に関
こで は均 一 で 照).
発 音 す る.
メ リカ 合 衆 国 の イ デ ィ ッシ ュ語
1881年 以 降,ユ ダ ヤ人 の大 量 移 民 に伴 って ア メ リカ で新 しい イ デ ィ ッ シュ語 が形 成 され は じめ た . そ こ で の イデ ィ ッ シュ語 は,リ
徴 が あ る. そ して,そ れ らの 単 語 の 発 音 は,イ デ ィ ッ
ル パ チ ア 山 脈 の 南 に 位 置 す る 国 々 は,
シ ュ語 の 音 体 系 の 中 に同 化 され て い る. 以 下,ヨ
中 間 的 な 位 置 を 占 め て い る. 西 部,つ ま り モ ラ ヴ ィ ア,
ェ(Y.Yofe)に
ス ロ ヴ ァ キ ア 西 部,ハ
音 声 ・音 韻 面 で は,
ン ガ リー 西 部 は,語
ば 東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 と い え る が,音 デ ィ ッ シ ュ 語 で あ る.東
部,つ
ン ガ リー 低 地,
トラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア(Transylvania),カ ア(Carpathorussia)で
彙 か らす れ
韻 か らす れ ば 西 イ
ま り,ハ
(Chasidim,敬虔
派)の
リシア か らのハ シ デ ィ ー ム
トヴ ィ ア で 話 さ れ る
ー ラ ン ド と ガ リ シ ア 西 部 で 話 され る 中 央 方 言 れ ら3つ
の 方 言 の う ち,南
の 方 言 の 間 で,要
て 示 せ ば ,koyfn flejs/,北
東 方 言 が 残 りの
の 位 置 を 占 め て い る .例
fleyshを,南
東 方 言 で は/kejfn
南 イデ ィ ッ シ ュ語 南東 イ デ ィ ッシ ュ語
ト ア ニ ア,ラ
リシア 東 部 の 一 部
東 イ デ ィ ッ シ ュ語 北 東 イ デ ィ ッシ ュ語
なわ
北東方言
2つ
脱 落:matsh<march,piktshe
方 言 間 の 母 音 の対 応
中央 イ デ ィ ッシ ュ語
1)ウ ク ラ イ ナ,ル ー マ ニ ア,ガ で 話 され る 南 東 方 言 ロ シ ア,リ
<表8>各
西 イ デ ィ ッ シ ュ 語
の 方 言 が あ る.す
お む ね,
で あ る.こ
語 のrの
<picture
移 住 に よ っ て もた ら され た 方
東 イ デ ィ ッ シ ュ語 に は,3つ
3)ポ
(例) gas「 大 通 り」, shabes「 安 息 日」
によっ
東 方 言 で は/kojfn flejs/ ,中
trogn「
央方 言 で は
運 ぶ 」,
brokhe「
祝福」
sheyn「
美 し い 」,
meylekh「
<図5>D.カ
fleysh「
ッツ に よ るイ デ ィ ッシ ュ語 方 言
veg「
区分
自然 」
mayz「
ネ ズ ミ(複)」
hoyzn「
ズ ボ ン 」,
toyre「
モ ー セ五 書 」
hunt「
bruder「
ッ ツ(D.Katz,1983)に
よ る.
仲間」 兄 弟 」,
shure「
線」
hoyt「
皮膚」
ヴ ァ イ ン ラ イ ヒ(1971)に
部 改 め て あ る .
買 う」 犬 」,
shutef「
出 典:U.
王」 肉」
道 路 」,
teve「
koyfn「
出 典:カ
ッフ
くつ か の例 を あ げ る.
音》
a)米
ル パ トロ シ
言 とが 融 合 して い る.
2)白
《子
基 づ い て,い
話 さ れ る イ デ ィ ッ シ ュ 語 は,
西 カ ル パ チ ア 方 言 と,ガ
ち,お
トア ニ ア 方 言 とポ ー ラ ン ド方
言 が 混 合 した もの に米 語 の語 彙 が 流 入 して い る点 に特
よ る.た
だ し,一
b)θ
→d:deynks<thanks
mind
c)d→t:kort<card d→
脱 落:nevermayn<never
mind
e)s→ts:tsinglman<single
man
戦 前 の ワ ル シ ャ ワ,ヴ
→〓:geyngster<gangster,bleynket<
と して は,a)正
blanket
b)保
c)i→u
mitung<
meeting,bildung
down
《家 庭 》:bedrum「
寝 室 」,apstes「
「カ ー テ ン 」,kapet「
階 上 」,koytn
夕 食 」,ledesh「
映 画 」,tiket「
娯 楽 》:sho「
シ
切 符 」,sit「
図 書 館 」,naytsku]「
市 民 」,governer「
zayn
ort「 指 導 的 な 位 置 」(G.die
夜 学 」, 政 治 家 」,
市長」
nokh
nit aroysgezogter
ausgesprochener
単 語 で は 次 の よ う な も の が あ る.カ
語 の 単 語 に イ デ ィ ッ シュ
議 長 」→tsherlayt
bestn「
c)米
楽 しむ 」,stapn「
止 め る 」,
そ る」
olraytnik「
俗 物 」,boytshik「
少 年 」,skoytl「
ス
カ ー ト」
Ale
briv
zaynen
shoyn
geentfert
gevorn.
「す べ て の 手 紙 に は も う返 事 が な さ れ た 」 ま た 意 味 に 関 し て は,prapete(property)は の こ とで あ り,peyde(pay
day)は
「家 」 「俸 給 」 の 意 味
痛 み 」(veytik)等,多
節(clause)の
数.
代 わ り に長 い修
飾 語 句 を 使 う傾 向 が あ る. fun
di greste
afn
」
badaytung
tsuzamenfor
kontinent
ア フ リ カ 大 陸 に あ る最
大 の 水 力 発 電 所 の1つ
afn
afrikanishn
fun
der
ongenumener
sholem‐program「
会 議 で採
択 され た和 平 提 案 の非 常 な重 要 性 」 ロ シ ア 語 の 単 語 と し て は,
慣 用 句 で は,
opmakhn
続 け る 」(mamshekh
将 来 の 」(kumendik),shulter
ロ シ ア 語 の 影 響―
di kolosale
し か な い.
gebn
zayn),kinftik「
性 急 に」
狂 気 」(meshuges),tsveyfl
hidroelektrostantsyes「
動 表 現 が 多 い.
bestn),bahoyptn
「疑 い 」(safek),forzetsn「
eyne
統 語 面 で は,受
kitser,bekitser),
「主 張 す る 」(taynen),dringend「
「肩 」(aksl),shmerts「
語 名 詞 に イ デ ィ ッ シ ュ語 の 縮 小 詞 を つ け る.
「大 体 」 「招 待 す る」(farbetn),
一 番 よ い 」(tsum
(aylik),vanzin「 語 動 詞 に イ デ ィ ッ シ ュ語 の 動 詞 語 尾 を つ け
ッ コ内 は イ デ ィ
「選 択 」(oysklayb),umgefer
alzo「 要 す る に 」(a am
店 」→shaper,tsherman「
nicht
ッ シ ュ語 風 の 言 い 方 . oysval
語 の 語 尾 を つ け る.
彼の ま
noch
Beschlu〓)
(arum,beerekh),aynladn
数 形 を 作 る 場 合,米
と
leitende
bashlus「
だ 口 に 出 し て い な い 決 心 」(G.sein
座 席 」;
態 面 で は,
る.enzhoyen「
す るにイディ ッシュ
Stelle) お
大 学 」;《 政 治 》:politishn「
sheyfn「
「文 字 お よ び
の 例 で は 冠 飾 句 が 用 い ら れ て い る.
dosfirndike
車 掌 」,stimer い と こ 」,onkl「
お ば 」,mister<Mr.;《
《知 的 生 活 》:laybere「
え ば,次
レ タ ス 」;《交 通 》
歩 道 」,kandokter「
「蒸 気 機 関 車 」;《 家 族 》:kozn「
b)米
でに
こ で は と く に,cとdを
語 の 単 語 や 表 現 を ドイ ツ 語 風 に す る こ と で あ る.た
カ ー ペ ッ ト」;《食 物 》:lontsh
「ラ ン チ 」,saper「
shap「
ヘ ブ ラ イ語 化 の 傾 向 が あ る こ
が あ げ られ よ う.
ダ イ ッ チ ュ メ リ ッ シ ュ と は,要
ョ ウ」,muvis「
門
と り上 げ る.
語 彙 面 で は,
:saydvok「
シア 語
語 的 で あ る こ と,f)専
正 書 法 」 の 項 で 説 明 し た.こ
au→uy:kruyd<crowd
じ 」,ent「
イ ッ チ ュメ リ ッ シ
み ら れ る こ と,d)ロ
aの 正 書 法 の 問 題 に つ い て は,す
au→a:dantan<downtown,sidan<sit
大
ィル ナの もの に近 い. そ の特 徴
守 的 傾 向 が 強 い こ と,c)ダ
と,等
ei→ey:beysman<basement,beybi<baby
a)複
連
書 法 が ソ 連 固 有 の も の で あ る こ と,
用 語 が 多 い こ と,g)非
《複 母 音 》
そ の 他,形
よ れ ば,ソ
東 イ デ ィ ッ シ ュ語 方 言 と北 東
の 影 響 が 強 い こ と,e)口
→o:boks<box
sitizn「
生計 を立 て る」
ュ(Daytshmerish)が
<building
kaletsh「
the
lebn=to
イ デ ィ ッ シ ュ 語 方 言 とが 総 合 さ れ た も の で,第2次
→a,e:hat<hat,bek<bag
d)〓
living「
a
連 の イ デ ィ ッ シ ュ語
の イ デ ィ ッ シ ュ 語 は,南
音》
b)〓
fun=for
ビ ル ンバ ウ ム(S.A.Birnbaum)に
s→z:ayzkrim<icecream
a)〓
an
2)ソ
benefit
of「 ∼ の た め に 」,makhn
make
d)n→m:grempa<grandpa
《母
「決 心 す る 」,farn
benefit
an
ukaz「 order=to dem
give mayn=to
an
order「 make
命 令 す る 」, up
one's
指 令 」,boliatshke「
美 」,molodyets「
膿 物 」,khvalye「
若 者 」,zavod「
「日 本 人 」,stolove「
賛
工 場 」,yaponye
食 堂 」,bereze「
白 樺 」,
shmatke「 3)そ
れ て い る.こ の 頃,ロ エ ズ 語(Loez)あ
破 片 」,等 が あ る.
語(Laaz)と
の他 の 国 々 の イデ ィ ッ シ ュ語
るいはラアズ
い うユ ダ ヤ な ま りの ロマ ン ス語 を話 して
ア ル ゼ ン チ ン や メ キ シ コ の イ デ ィ ッ シ ュ語 に は ス ペ
い た ユ ダ ヤ人 が,フ
イ ン 語 が,イ
ら,ラ イ ン川,モ ー ゼ ル河 畔 の ロー テ ル(Loter)と
ス ラ エ ル の イ デ ィ ッ シ ュ語 に は 現 代 ヘ ブ
ラ ン ス北 部 お よび イ タ リア 北 部 か
ラ イ 語 が 流 入 し て い る.
ばれ る地 域 に入 り,ケル ン(Koln),マ
4)標
ヴ ォ ル ム ス(Worms),シ
準 イ デ ィッ シ ュ 語
上 述 した 諸 方 言 の 他 に,超
方 言 的 な書 き こ とば と し
て の イ デ ィ ッ シ ュ 語 が あ る.こ 語 と よ ぶ.こ
れ を標 準 イ デ ィ ッ シュ
定 住 した.彼
よ
イ ン ツ(Mainz),
ュ パ イ エ ル(Speyer)等
らは,は
に
じめの う ちは 彼 ら固有 の 言 語 を
使 用 して い たが,世 代 が 交 代 す る う ち にい つ しか これ を放 棄 し,周 囲 の キ リス ト教 徒 の もの と変 わ らな い ド
れ は 発 音 に 関 し て は 北 東 方 言 に 近 く,文
法 に 関 し て は 中 央 方 言 に 近 い も の で あ る.
イ ツ語 を話 す よ うに な った.し か しそ れ で も,か つ て
[語
使 って い た ロ エ ズ語 が 彼 らの ドイ ツ語 か ら完 全 に な く
史]
も,方
イ デ ィ ッ シュ語 の 歴 史 区 分 に 関 し て
言 の 場 合 と 同 様 に さ ま ざ ま な 説 が あ る が,こ
で は,便
宜 上 も っ と も代 表 的 な2説
1)M.ヴ
こ
を 紹 介 す る.
Yiddish)1250∼1500年
2)U.ヴ
Yiddish)1500∼1700年
りを完 全 に禁 止 され た.か
者の説の折衷
頂 点 に達 した.こ れ に よっ て彼 らは,南 東 ドイ ツ,ボ ヘ ミア,モ ラ ヴ ィア,ウ
Yiddish)1700年
を 中 心 に 記 述 す る.記
層 と して歓 迎 され た.
以降 時 期 の言 語 的 特 徴
述 の 際 に は,U.ヴ
ァ イ ンライ 多 くを負
っ て い る.
年)
始 イ デ ィ ッ シ ュ語(Oldest
して
ー ラ ン ドで は,ユ ダ ヤ 人 は貴 族 と農 民の 間 を 埋 め る 階
ヒ お よ び ア ル トハ ウ ス(H.A.Althaus)に
a)原
クラ イ ナ,白 ロ シア,そ
と くに,ポ ー ラ ン ドへ 大 量 に逃 げ のび た の で あ る.ポ
Yiddish)1500∼1700年
の 区 分 に 従 っ て,各
る い は ス ラブ 語 を話 す ユ ダ ヤ 人 と接触 した
こ とで あ る.す なわ ち,十 字 軍 に よ る迫 害 を 避 け るた
た ペ ス トに端 を発 す る キ リス ト教 徒 のユ ダ ヤ 人 迫 害 で
近 代 イ デ ィ ッ シュ語 (Modern
くに母 音 に関 して 違 い が 出 て きた.し か し,
ドイ ツ人 の 東 へ の 移動 の 際 に一 層 活 発 とな り,つ い に
Yiddish)1250∼1500年
以 下 で は,こ
Yiddish 1250∼1500
は14世 紀 中葉 に,ド イ ツ を 中心 に ヨー ロ ッパ で お こっ
Yiddish)∼1250年
中 期 イ デ ィ ッ シ ュ語 (Middle
この 時期 の イ デ ィ ッシ ュ語 は,ド イ ツ 語 とは 音
め に始 ま っ て い た,ユ ダヤ 人 の 東 へ の 移動 は,後 に は,
の 区 分 で あ る.
古 期 イ デ ィッ シ ュ語 (Old
期 イ デ ィ ッ シ ュ語(Old
年)
ラ ブ人,あ
以降
原 始 イ デ ィ ッ シ ュ語 (Oldest
り
そ れ よ り も注 目 すべ き こ とは,ド イ ツの ユ ダ ヤ 人 が,ス
当 と考 え られ て い る の は,両
案 と も よ ぶ べ き,次
らの 言 語 も徐 々 に,よ
b)初
韻 面,と
Yiddish)1500∼1750年
近 代 イ デ ィッ シ ュ 語
今 日,妥
ダヤ 人 は 限 られ
ユ ダ ヤ的 に と変 化 しは じめた の で あ る.
Yiddish)1250∼1500年
Yiddish)1750年
くして,ユ
を送 る こ とに な った 結 果,彼
Yiddish)∼1250年
中期 イ デ ィ ッシ ュ語
(Modern
らは,こ の こ とに よ
た居 住 区域 で,彼 らだ けの ユ ダヤ 教 を中 心 と した 生活
古 期 イ デ ィッ シ ュ 語
(Middle
ラテ ラ ン宗 教 会 議 以 後 の こ とで あ る.
っ て,今 ま で は,な され て い た キ リス ト教 徒 との 交 わ
原 始 イ デ ィ ッ シュ語
(Old
の イ ン ノケ ンテ ィ ウス3世 が
住 まわ せ る こ とが 決 定 され た.彼 以降
ァ イ ン ライ ヒ(U.Weinreich)説
(Oldest
くに ユ ダ ヤ 的 色 彩 を 帯 び る よ
うに な っ た の は,1215年
この会 議 に お い て,ユ ダヤ 人 を強 制 的 に一 定 の 区 域 に
近 代 イ デ ィッ シュ 語 Yiddish)1700年
ら
彼 ら の ドイ ツ語 が,と
主 催す る第4回
中 期 イ デ ィッ シ ュ語
(Modern
ダヤ 人 ど う しで は,彼
語 の単 語 や 言 い 回 し を使 って 話 して い た.
Yiddish)1000∼1250年
古 期 イ デ ィッ シ ュ 語
(Middle
だ,ユ
の宗 教 で あ るユ ダ ヤ教 を反 映 す るヘ ブ ライ 語 ・ア ラム
原 始 イ デ ィッ シ ュ語
(Old
イ デ ィッ シュ語 の 中 のい くつ か の 単 語 にみ られ る(「語 彙 」 の条 を参 照).た
ァ イ ン ラ イ ヒ(M.Weinreich)説
(Oldest
な っ て しま っ たわ けで は ない.そ の 名 残 りは 今 日で も
ポ ー ラ ン ドに定 住 した ユ ダ ヤ人 は,言 語 は これ ま で 使 って い た もの を 使 い つ づ け,ポ ー ラ ン ド語 を母 語 と して採 用 す る こ とは しな か っ た.そ の理 由 と して は, ア)自 分 た ち の 居 住 区 域 を持 って い た こ と,イ)ポ
Yiddish,∼1250
イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 起 源 に つ い て は,資 料 が 乏 し
い た め に は っ き り し て い な い が,大 体10世
紀 と推 定 さ
ー
ラ ン ドが ドイ ツ に 比 べ て 後進 国 で あ った こ と,ウ)ド イ ツに残 って い る同朋 との接 触 を保 つ た め に は,ユ ダ ヤ 的 ドイ ツ 語(西 イ デ ィ ッシ ュ語)の 方 が都 合 が よか
っ た こ と,等
が あ げ ら れ る.と
は い え,ユ
ダ ヤ 人 は,
欧 初 のユ ダ ヤ社 会 主 義 政 党 「ブ ン ド(Bund)」
によっ
市 場 な ど で 外 界 の ポ ー ラ ン ド人 と頻 繁 に 接 触 し た.そ
て,将 来 の ユ ダ ヤ人 の 文 化 的 自治 の 基 礎 と して 重 視 さ
の た め,ポ
れ た.
ー ラ ン ド語 が 彼 ら の 言 葉 の 中 に 多 く流 入 し
た.
この 時 期 す で に,比
較 的 均 一 な 文 語 が 発 達 して い た
と考 え ら れ る .
c)中
ノ ヴ ィ ッツ(Czernowitz)(ブ
期 イ デ ィ ッ シ ュ 語(Middle
1700年)
Yiddish
1500∼
東 の ユ ダ ヤ 人 共 同 体 の 精 力 的 な 拡 大 と,
そ の 結 果 と し て の ドイ ツ お よ び ドイ ツ 語 圏 か ら の ユ ダ ヤ 人 の 退 去(も
っ と も1648年
Chmielnickiの
の フ ミエ ル ニ ツ キ ーB.
反 乱 に よ り,ユ
も あ り は し た が)が
ポ ー ラ ン ド語(あ
ダヤ 人 の 西 へ の 逆 移動
の ユ ダ ヤ 人 は さ らに ひ き 続 い て
る い は ウ ク ラ イ ナ 語,白
の 単 語 や 言 い 回 し を と り 入 れ,音
ロ シ ア 語 等)
韻,語
彙,統
ら の イ デ ィ ッ シ ュ 語 は 西 の,ド
語面 に
イ ツ語 に近
い イ デ ィ ッ シ ュ語 と は 相 当 異 な る よ う に な り,こ
こに
東 イ デ ィ ッ シ ュ語 と 西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 別 が 生 じ た .
コ ヴ ィナBukovina)
で の イ デ ィ ッシ ュ語 会 議 で は,イ デ ィ ッ シ ュの 役割 が ユ ダ ヤ 民族 の 「一 」 民族 語(a the Jewish
People)と
national
language
of
規 定 され,ま た,イ デ ィ ッシ
ュ語 の正 書 法,文 法,演 劇 等 の 問題 が 論 じ られ た.こ の会 議 に よ って,イ デ ィ ッ シュ語 の威 信 が高 ま り,イ デ ィ ッシ ュ語 に よ る文 学,研
目 立 つ 時 期 で あ る.
言 語 的 に み る と,東
お い て,彼
この よ うな状 況 の 下 で,1908年,ビ ル ンバ ウム(N. Birnbaum)の よび か け に よ って 開 催 され た,チ ェル
究,出 版 が促 進 され た.
19世 紀 の末 頃 に は,ユ ダ ヤ人 は,と
くに ロ シ アに お
い て,相 次 ぐポ グ ロム(ユ ダ ヤ人 襲 撃)に 見 舞 わ れ, 1881年 以 降 は,ア メ リカ 合 衆 国(ニ ュー ヨー ク)や カ ナ ダ等 に 移 住 した.そ して,そ した 結 果,リ
こで 種 々 の方 言 が混 合
トアニ ア 方 言 を基 礎 とす る比 較 的 均一 な
イ デ ィ ッ シュ語 が 形 成 され た.
東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 で は 方 言 の 分 化 が 進 ん だ . 一 方,西
第2次 大 戦 中 には,イ デ ィ ッ シ ュ語 人 口は 大 幅 に減
イ デ ィ ッ シ ュ語 も ア ム ス テ ル ダ ム 付 近 に ま で 拡 が り,
少 した.死 を免 れ た 者 は,イ ス ラ エ ル や南 北 アメ リカ,
若 干 の 方 言 差 が 生 ま れ る よ う に な っ た.
イ ギ リス等 に大 量 に 移住 した.
d)近
代 イデ ィ ッ シ ュ 語(Modern
以 降)
Yiddish
1700年
こ の 時 期 に は,西 イ デ ィ ッ シ ュ語 が 衰 退 し,
こ り,そ
ル リン を中 心 に啓 蒙主 義 運 動 がお
れ は ユ ダ ヤ 人 に も 強 い 影 響 を 与 え た.ド
人 の 戯 曲 作 家 レ ッ シ ン グ(G.E.Lessing)と
シ ュケ ナ ジー ム 間 の意 思 伝 達 の 手 段 と し て
―す で に 述 べ た通 り,イ デ ィ ッ シュ語 は,第2次
大
戦 前 には1千 万人 を越 え る ア シ ュケ ナ ジー ム 系 ユ ダ ヤ と え住 む 国 が違 って い
よ う と も,彼 らは,こ の 言 語 に よ って お 互 い の意 思 を
興 し,「 正 し い ドイ
疎 通 させ る こ とが で きた の で あ る. 英 語 や フ ラ ンス語
デ ィ ッ シ ュ 語 を 軽 蔑 し た. こ の よ
の よ うな諸 民族 を超 え た 国 際 性 は もち え なか っ た けれ
う な 事 情 の 下 で は,イ
デ ィ ッシ ュ語 は 衰 退 せ ざ るを え
紀 末 ま で に は,オ
ハ ン ガ リ ー 等 の,ご
1)ア
ダヤ 近
代 化 運 動(ハ ス カ ラ,Haskalah)を
ず,18世
イ デ ィ ッ シ ュ語 は,東 欧,中 欧 にお い
人 に よ って 使 用 され て きた.た
Mendelssohn,
イ ツ 人 と の 同 権 を 目 ざ して,ユ
ツ 語 」 を 奨 励 し,イ
イツ
親 しか っ
た モ ー ゼ ス ・メ ン デ ル ス ゾ ー ン(Moses 1729‐86)は,ド
況]
て,こ れ まで 次 の よ うな3つ の役 割 を果 た して きた と 考 え られ る.
東 イ デ ィ ッシ ュ語 が 一 層 発 展 した . 西 に お い て は,ベ
[現
ラ ン ダ,ア
ル ザ ス,ス
イ ス,
く一 部 の 地 域 を 除 い て 使 わ れ な く
な っ て し ま っ た.
ど も,世界 の ア シ ュケ ナ ジー ム を結 び つ け る意 味 で は, イ デ ィ ッシ ュ語 は ま さに彼 らの 間 の 国 際語 で あ っ た. 2)ア
イデ ン テ ィ テ ィ確 立 の道 具 と して―
ッ シ ュ語 は また,ユ
イディ
ダ ヤ人 と して の アイ デ ンテ ィ テ ィ
肉
の確 立 に役 立 って きた.非 ユ ダヤ 人 世 界 に 囲 まれ た共
に も 民 衆 語 で あ る イ デ ィ ッ シ ュ 語 で 書 く多 くの 作 家 が
同体 の 中 で,彼 ら をユ ダヤ 人 と して 自覚 させ た もの は,
生 ま れ,イ
れ らの ハ ス カ ラ
ユ ダ ヤ教 で あ り,イ デ ィ ッ シ ュ語 で あ った. イス ラ エ
イ ッ チ ュ メ リ ッ シ ュ(「 方 言 」 の
ル で は(現 代)ヘ ブ ラ イ 語 が そ こに 住 む さま ざ まな 国 か
一 方,東
に お い て は,ハ
デ ィ ッ シ ュ 語 が 栄 え た.こ
作 家 た ち の 中 に は,ダ 条 の2,ソ
ス カ ラ 普 及 の た め に,皮
連 の イ デ ィ ッ シ ュ 語 を 参 照)を
多 用 す る者
が い た. 19世
ら移住 して きた ユ ダ ヤ 人 を ま とめ て い る よ うに,イ デ ィ ッ シ ュ語 は ガ ル ー ト(Galuth,流
紀 後 半 か ら20世
紀 前 半 に か け て は,メ
モ イ ヘ ル ・ス フ ォ リ ム(Mendele
Moykher
ンデ レ・ Sforim)
浪)に あ るア シ ュ
ケ ナ ジー ム を結 ぶ絆 の1つ で あ った. 3)ア
シュ ケ ナ ジ ー ム文 化 創 造 の道 具 と して―
イ
を パ イ オ ニ ア とす る イ デ ィ ッ シ ュ 文 学 の 黄 金 時 代 が 到
デ ィ ッ シ ュ語 は ま た,ア
来 し,そ
きた.こ の言 語 に よ る世 俗 文 学,演 劇 が 創 り出 され,
の 結 果,超
方 言 的 か つ 洗 練 され た 書 き こ と ば
イ デ ィ ッ シ ュ(Schrift‐Jiddisch)が
生 ま れ,こ
の 言語
の 地 位 そ の も の も 向 上 し た. イ デ ィ ッ シ ュ 語 は ま た,19世
シュ ケ ナ ジー ム文 化 を支 え て
この 言語 に よ る新 聞 に よ って,ア
シ ュケ ナ ジー ム の共
同体 の ニ ュー ス を含 む さま ざ まな 情 報 が伝 達 され て き 紀 末,ポ
ー ラ ン ドの東
た. この言 語 は,も
っぱ ら 宗 教,学 問 の た め の言 語 と
して使 わ れ て きた ヘ ブ ラ イ語 に代 わ って,ユ ダ ヤ人 の
人 口(も ち ろ ん ポー ラ ン ド語 や ヘ ブ ライ 語 を併 用 す る
世 俗 文 化 の あ らゆ る側 面 を映 し出 して きた の で あ る.
者 もい る)は,50∼60万
イ デ ィ ッ シ ュ語 が これ まで に生 み 出 して きた 文 化 遺 産
の た め に,ラ
に は,他 の ユ ダ ヤ語 に よ るそ れ をは る か に し の ぐ もの
れ て い る し,新 聞 や 単 行 本,文 芸 雑 誌 も発 行 され て い
が あ る.
る.講 演 や 映 画,演 劇 な どの文 化 活 動 も,と くに テル ・
しか し,こ の よ う に過 去 に お い て重 要 な 役 割 を果 た
今や,ニ
が 急 速 に衰 えて い る こ とは否 め ない.今
の 中心 地 で あ る.
シ ュ語 が話 され て い る主 な 国 々 につ い て,そ の 状 況 を み て み る と,19世
紀 末頃 か ら20世 紀 の 初 頭 に か け て
ら
朝 と夕 に 行 なわ
ア ビブ を 中心 に活 発 に行 な わ れ て い る. イ ス ラ エル は
して きた イ デ ィ ッシ ュ語 も,今 日にお い て は,そ の 力 日,イ デ ィ ッ
人 程 度 い る と考 え られ,彼
ジオ放 送(1日45分)が
ュー ヨー ク に代 わ る世 界 の イ デ ィ ッ シ ュ文 化
ソ連 で は,1934年
に,極 東 のハ バ ロ フス ク の 近 くに
ビ ロ ビ ジ ャ ン(Birobidzhan)を
首 都 とす る ユ ダ ヤ 人 自
イ デ ィ ッシ ュ語 人 口が 大量 に流 入 した ア メ リカ 合衆 国
治 区(Yidishe
で は,今 日 もニ ュー ヨー ク を 中心 と して数 種 の イ デ ィ
ア 語 と と も にイ デ ィ ッ シュ語 が そ こ の言 語 と定 め られ
ッ シュ語 の新聞,雑 誌,単 行 本 等 が 発 行 され,演 劇 も
た . この 試 み は 画期 的 な こ とで は あ っ たが,成 功 を お
autonome
gegnt)が
設 け られ,ロ
シ
細 々 なが ら上演 され て い る.し か し,イ デ ィ ッシ ュ語
さめ た とは い え ず,現 在 で は,人
人 口の 大 部 分(彼
千 人 程度 の ユ ダ ヤ人 が 住 ん で い るに 過 ぎ な い.な お こ
らに して もほ とん どの場 合,英 語 と
口 の2割 弱 の1万5
の バ イ リ ンガル で あ る)は 年 配 者 で あ り,今 後 の 発 展
こで は,「 ビ ロ ビジ ャ ン の星 」 とい う 新 聞 が,年260
は も と よ り維 持 す ら も あま り期 待 で きそ うに な い.
回,1万2千
一 方,若 い世 代 は 英 語 を 母語 と して い る もの が圧 倒
部 発行 され て い る とい う.
ソ連 に は,全 体 と して200∼300万
人のユダヤ人が
的 で あ り,彼 ら の知 って い る イ デ ィ ッシ ュ語 とい え ば,
い るが,そ
祖 父 母や 両 親 か ら聞 い た 断 片的 な語 句 にす ぎな い.も
は40∼50万
っ と も,最 近 で は,ユ ダ ヤ人 と して の ア イ デ ンテ ィ テ
も,ほ とん ど ロ シア 語 とのバ イ リ ンガ ル で あ る と考 え
ィ を求 め て,YIVO(イ
デ ィ ッ シ ュ文 化 学 術 研 究所,
ニ ュー ヨー ク),あ る い は 大 学 等 で,イ デ ィ ッシ ュ語
の うちイ デ ィ ッ シュ語 を 母語 と して い るの 人 程度 で あ る.し か し そ の よ うな 場 合 で
られ る. ソ連 にお け るイ デ ィ ッシ ュ語 に よ る文 化 活 動 は,政
の 初 歩 を 学 ぶ学 生 も若 干 ふ えて い る よ うで は あ るが,
府 の方 針 も あ って か低 調 で あ る.わ ず か に 『祖 国 ソビ
ユ ダ ヤ 人 の 若者 全 体 か らす れ ば,ま だ まだ 微 々た る も
エ ト』(Sovetish
の で ある.
Heymland,月
刊)と 若 干 の イ デ ィ
ッ シ ュ語 出版 物 が発 行 され て い る程 度 で あ る.
この ほ か,特 異 な存 在 と して,イ デ ィ ッ シ ュ語 を 日
以 上 の よ うに,世 界 の主 要 な 国 々 にお け るイ デ ィ ッ
常語 とす る正 統 派 ユ ダヤ 教 徒 もニ ュー ヨー クを 中 心 に
シ ュ語 の現 況 は,決 して 楽 観 す べ き もの で は ない.し
相 当数 い る よ うで あ るが,彼
か し,こ の言 語 が,よ
保存,普 及 には,と 南 米 で は,と
らは イデ ィ ッ シ ュ文 化 の
くに関 心 を もって い な い.
くに ア ル ゼ ンチ ン(ブ エ ノ ス ・ア イ レ
ス)を 中心 に,あ る程 度 のイ デ ィ ッ シ ュ語 人 口 が い る.
くい わ れ る よ うに,や が て 死 滅
す る運 命 に あ る と結 論 づ け る の は,い
さ さか 早 過 ぎ る
と思わ れ る. ユ ダ ヤ人 の 国 イス ラエ ル で は,国 家 と して 成 熟 して
そ こで は,イ デ ィ ッ シュ語 の 新 聞 や 雑誌 等 も発 行 され
い くにつ れ て,イ デ ィ ッシ ュ語,イ
てお り,YIVOの
再 評 価 し よ う とす る気 運 が 生 まれ つ つ あ る.イ デ ィ ッ
支所 もあ る.
デ ィ ッ シュ文 化 を
1948年 に誕 生 した イ ス ラ エル で は,移 民 国 家 と し て の 性格 か ら,世 界 各 地 か らの 移 民 ユ ダ ヤ 人 の 言 語 的
の1つ の あ らわ れ で あ る.ま た ご く最 近,テ ル ・ア ビ
シ ュ語 文 学,あ るい は歌 の ヘ ブ ラ イ 語 へ の 翻 訳 は,そ
自 治 を 認 め る わ け に は いか ず,公 用語 は,復 活 した ヘ
ブ近 郊 のバ ル ・イ ラ ン(Bar‐Ilan)大
学 に,イ デ ィ ッ
ブ ラ イ語 で な けれ ば な ら なか っ た.し か し,そ の ヘ ブ
シュ語 の み に よ って 講 義 を 行 な うイ デ ィ ッシ ュ文 学 科
ラ イ語 は 日常 語 と して は 成 熟 した 言 語 で は なか っ たた
が 設 け られ た こ と も,イ デ ィ ッシ ュ語 の 繁栄 を望 む 者
め に,建 国 当初 は,ユ ダ ヤ語 の中 で も っ と も勢 力 の あ
に と って は 朗 報 で あ る.
った イ デ ィ ッ シ ュ語 に対 す るヘ ブ ライ 語 主 義 者 の 敵 対 感 情 が相 当 強 か った . ヘブ ライ語 が公 的 に は圧 倒 的 に
これ らの努 力 に よ って,若 い世 代 が 彼 らの ル ー ツ と もい うべ き イデ ィ ッ シ ュ語 の もつ 重 要 性 に 気づ け ば,
普 及 し た現 在 で は,イ デ ィ ッ シュ語 を 日常 語 とす る正
ま だ まだ この言 語 は 生 き続 け るで あ ろ う.
統 派 ユ ダ ヤ人 を別 とす れ ば,イ デ ィ ッシ ュ語 の 影 はす
ま たイ ス ラエ ル 以 外 で も,イ デ ィ ッ シュ語 は過 去 に
っ か り薄 くな って い る. と くに若 年 層 に関 して は,イ
お け るほ ど,大 きな 意 味 は もち え な い こ とは確 か で あ
デ ィ ッ シ ュ語 そ の もの に対 す る関 心 もみ られ な い.
る に して も,冒 頭 に 述 べ た3つ の役 割 の うち,少 な く
しか しそ れ で も,イ ス ラ エル の イ デ ィ ッ シュ語 は,
と もどれ か1つ は,細
そ れ な り に繁栄 して い る とい え よ う.イ デ ィ ッ シ ュ語
い.
々な が ら果 た し続 け る に違 い な
[文
学]
た の に 対 し,イ
ヘ ブ ラ イ語 が 宗教 文 学 を生 み 出 して き
運 動 で あ る ハ シデ ィ ス ム(Chasidism)と
デ ィ ッ シ ュ語 は 多 く の ユ ニ ー ク な ユ ダ
(Haskalah)で
ヤ 世 俗 文 学 を 生 み 出 し て き た . 以 下,主 ス(L.Fuchs)と
と して フ ッ ク
ハ ウ(I.Howe),シ
Shmeruk)ら
に 基 づ い て,そ
ュ メ ル ク(Ch.
て,そ
の 内 容 は,具
体 的 で 単 純,か
Bratslav)の
ら れ て い る.ハ ュ 文 学,と
ォ ル ム ス(Worms)で
ドイ ツ の ヴ
発 見 され た,1272∼73年
ゾ ー ル(Makhzor)写
のマハ
本 と よ ば れ る 祭 日 用 の 祈祷 書 の
中 に み ら れ る 詩 句 で あ る. 紀 に な って作 られ る よ う
の 題 材 に は2種
類 あ る.1つ
の 騎 士 物 語 に 範 を と っ た も の で あ り,そ ス ト教 的 色 彩 が 除 か れ,ユ こ の 種 の も の で は,カ
は ドイ ツ
こ で は,キ
リ
ダ ヤ 風 に 改 め られ て い る .
イ ロ で 発 見 さ れ た,英
「グ ー ドル ー ン(Gudrun)」
雄叙事 詩
に 類 似 し た 『ド ゥ ク ス ・
ホ ラ ン ト』(Dukes
Horant,1382)が
り,発
イ ツ 語 学 者 か ら も相 当 の 注 目 を 集
見 当 初 は,ド
と くに有 名 で あ
め た.
18世
紀 半 ば に は,ハ
は,伝
統 的,宗
教 的 な もの で あ る. 中 で も
モ ー シ ェ ・エ ス リー ム ・ヴ ェ ア ル バ ア(Moshe 『シ ュ ム エ ル の 本 』(シ
フ,Shmuel
Esrim
っ と
こ で は ド イ ツ 語 の 形 式 とユ ダ ヤ 的
紀 か ら16世
ア ・ レ ヴ ィ ー タ(Elia 式,文
紀 の 北 イ タ リ ア で は,エ
Levita)が,イ
体 に 則 っ て 『ボ ヴ ェ(お
(ボ ヴ ェ ・ブ ー フ,Bove 16世
ば あ さ ん)の
Bukh,1507/08)を
紀 に は,祈 祷 文 学 が 栄 え た.こ
ヤ コ ブ ・ベ ン ・イ ツ ハ ク(Yakov 道 徳 の 本 『出 で て ・見 よ』(ツ
Yitskhak)の
代)が,い た,物
『物 語 の 本 』(マ イ セ ・ブ ー フ,Mayse
ォ リ ム(Mendele
わば婦人 語254を
集
Bukh,
紀 に は,ム
る 神 秘 的,宗
サ ー ル(Musar)文
か れ た が,特 筆 す べ き も の は な い.む ハ メ ル(Glikl
Hamel)に
Leybush
れ に よ っ て,当
学 と よば れ 史 詩 が 多 く書
し ろ グ リ ッ クル ・
注 目す べ き作 品 で
時 の ド イ ツ ・ユ ダ ヤ 人 社 会,
Perets,1859‐1916)の3人
ダ ヤ 人 集 落)の
の 隆 盛 に 力 を 貸 し た の は,相
対 す る2つ
の
ュ テ ト ゥル
平 凡 な 民 衆 を 描 い た.代
ン デ レ に は 『ベ ン ヤ ミ ン3世
表
の 放 浪 』(マ
ソ エ ス ・ベ ニ ア ミ ン ・ハ シ ュ リ ッ シ ー,Masoes Hashlishi,1878),シ
ョ レ ム ・ア レ イ ヘ
ム に は 『牛 乳 屋 テ ヴ ィ エ 』(テ ヴ ィ エ ・デ ル ・ ミル ヒ ゲ ル,Tevye
der
Milkhiger,1895)が
あ る.ペ
レ ツ は,
ヨ ー ロ ッパ 文 学 の 影 響 を 強 く受 け な が ら も,伝
シ ア,ア
統的 な
シ デ ィ ス ム の 短 編 な ど を 書 い た.
ロ シ ア 帝 国 の 崩 壊 後,イ
ド,ロ
デ ィ ッ シ ュ文 学 は ポー ラ ン
メ リカ 合 衆 国 の3つ
に 分 極 化 し た.
ナ チ スの 侵攻 ま で は世 界 の イ デ ィ ッ シ ュ文 学 の 中 心 で あ っ た ポ ー ラ ン ドで は,自
然 主 義,新
ロ マ ン 主 義,
表 現 主 義 な ど の グ ル ー プ が 次 々 と 生 ま れ た.
命 か ら1924年
デ ィ ッ シ ュ 文 学 は,1917年
ま で は,キ
を 中 心 に 栄 え た.し
エ フ,ミ
か し,1940年
の2月
ン ス ク,モ
革
ス クワ
代 後 半 に は彼 らの コ
ス モ ポ リ タ ニ ズ ム が 批 判 さ れ,1952年 デル
に は,ベ
ル ゲ
・ ニ ス テ ル(Der
連 の 代 表 的 イ デ ィ ッ シ ュ 作 家 や 詩 人 が,
ス タ ー リ ン の 粛 清 政 策 の 犠 牲 と な っ た. ア メ リ カ で は1881年
以 降,ニ
ュー ヨー ク を中 心 に ロ
ー ゼ ン フ ェ ル ド(M.Rozenfeld)や ッ ト(D.Edelshtat)ら 活 躍 し た.ま
ヒ,In
化 の 状 況 を知 る こ と が で き る.
で あ る.
メ ン デ レ と シ ョ レ ム ・ア レ イ ヘ ム は,シ
(shtetl,ユ
Zikh)」
エーデル シュタ
の プ ロ レタ リア 作家 や 詩 人 が
た,第1次
ィ ・ユ ン ゲ,Di
19世 紀 か ら は イ デ ィ ッ シ ュ 文 学 の 中 心 は 東 欧 に 移 っ た.そ
Aleykhem,1859‐
ル ソ ン(D.Bergelson)や
よ る 『回 想 録 』(ズ ィ フ ロ イ
ネ ス,Zikhroynes,1690‐1719)が
Sforim,1835‐1917),
よ び イ ツ ホ ク ・ レ イ ブ シ ュ ・ペ レ ツ(Yitshok
Nister)ら,ソ
教 的 教 訓 文 学 や 祈 祷 書,歴
ン デ レ ・モ イ ヘ ル ・ス フ
Moykher
シ ョ レ ム ・ア レ イ ヘ ム(Sholem 1916),お
よ っ て,
訓 的 散文 が つ
にイ デ ィ ッ シュ文 学 史
上 の 黄 金 時 代 を 築 い た の が,メ
ロ シ ア で は,イ
あ る.
17,8世
宗 教,文
書 い た.
ェ ー ネ ・ ウ ・ レ ー ネ,
向 け の 聖 書 と し て 広 く流 布 し た.ま
あ る.こ
語 る本』
の ジ ャ ン ル で は, ben
Tsene‐u‐rene,Krakau,1590年
Basel,1602)も
リ
タ リア語 の 形
ダ ヤ 近 代 化 運 動)を 蒙 主 義 者)に
か し 価 値 あ る も の は 少 な い.
ユ ダ ヤ の 民 話,ハ
な 内 容 と が 総 合 さ れ て い る.
ス カ ラ(ユ
ハ ス カ ラ を 出 発 点 と して,後
Beniamin
ュ ム エ ル ・ブ ー
Bukh,Augsburg,1544)は,も
も 完 成 度 が 高 く,そ
ま た,15世
代イデ ィッシ
ハ シ デ ィ ス ム 風 刺 文 学 や コ メ デ ィ ー,教
作 と し て,メ
Vearbaa)の
フ マ ン ・ブ ラ ッ ツ
頃 の象 徴 主 義 文 学 に 影 響 を及
説 く マ ス キ リー ム(Maskilim,啓
く ら れ た.し
本 格 的 な 文 学 は,12,3世
も う1つ
教
物 語 集 が もっ と も 知
シデ ィ ス ム の 文 学 は,近
く に1890年
Tov)を
自 な文 学 を
ぼ し た.
イ デ ィ ッ シ ュ 語 に よ る 最 古 の 記 録 は,西
めた
ラ ヴ(Nakhman
た がっ
つ現 実 的 で あ る こ
と を 特 色 とす る.
に な っ た が,そ
Shem
主 義)は,独
生 み 出 した . こ の ジ ャ ン ル で は,ナ
学 な婦 人 層 の啓 蒙
や 娯 楽 を 目 的 と し て 生 ま れ た も の で あ る.し
バ ア ル ・シ ェ ー ム ・ トー ヴ(Baal
祖 と す る ハ シ デ ィ ス ム(敬虔
の 流 れ を 略 述 す る.
イ デ ィ ッ シ ュ語 に よ る 文 学 は,無
ハ スカラ
あ る.
大 戦前 後 に は
Yunge)」
や
「若 者 た ち(デ
「内 省(イ
ン ・ズ ィ ッ
な ど の グ ル ー プ も生 ま れ た.
今 日 の 世 界 の イ デ ィ ッ シ ュ 文 学 の 中 心 地 は,イ エ ル で あ る.テ
ル ・ ア ビ ブ で は,詩
スラ
人 ス ツケ ヴ ェ ル
(A.Sutskever)が
編 集 す る季 刊 文 芸雑 誌
(デ ィ ・ゴ ル デ ネ ・ケ イ ト,Di 年 以 来 刊 行 さ れ て お り,そ
Goldene
と よ り,世
『金 の 鎖 』
(H.Strack)ら
Keyt)が1948
れ には イ ス ラ エル 国 内 は も
界 各 地 か ら 質 の 高 い 長 編,短
が 出 て,そ
れ ぞ れ イ デ ィ ッ シ ュ 語 と,
ロ シ ア 語(Zhitomir,1876),英
編, 詩 等 が 寄
語(N.Y.,1876),
ドイ ツ 語(Leipzig,1916)と
の 対 訳 辞 書 を つ く っ た.
2つ の 大 戦 間 に は,東
欧 ユ ダ ヤ 人 が 西 欧 の ドイ ツ 語
せ られ て い る.
圏 の 大 学 に,イ
ア メ リ カ 合 衆 国 で は,1978年
文 を 提 出 し た . 主 要 な も の と し て は,ビ
度 の ノ ー ベル 文 学 賞 を
受 賞 し た ズ ィ ン ガ ー(Y.B.Zinger)が が(1991年
死 去),彼
力 な 作 家,詩
ソ 連 で は1961年 ト』(ソ
der
以 来,月
刊文 芸 雑誌
で あ る.今
連 に は 約100人
米,オ
デ ィ ッ シ ュ文 学 は 細 々 な が ら,カ ー ス ト ラ リア,イ
ア フ リカ(ヨ
ギ リ ス,フ
ハ ネ ス ブ ル ク),ポ
ア 等 で も つ く ら れ て い る.な
und
お,ル
ナ
ラ ン ス,南
ー ラ ン ド,ル
Element
dialektischen
(J.Fischer)の
「イ デ ィ ッ シ ュ zur
Gliederung
der
Geschichte
jiddischen
れ に フ ィ ッ シ ャー
「イ デ ィ ッ シ ュ語 と そ の ドイ ツ 語 諸 方
言 と の 関 係 」"Das zu den
in
Sprache"(Leipzig,1923)と,M.
Sprache"(Marburg,1923),そ
の イ デ ィ ッ シ ュ作 家
と 詩 人 が お り,中 に は 優 れ た 才 能 を 有 す る も の も い る. そ の ほ か,イ
aramaische
語 の 歴 史 と そ の 方 言 区 分 考 」"Studien
の 原 則 は 社 会 主 義 リ ア リ ズ ム と時 事 性
日,ソ
und
jiddischen
若 干 の 小 説 類 が 毎 年 発 行 さ れ て い る.
前 者 の 場 合,そ
ダ,南
hebraische
ヴ ァ イ ン ラ イ ヒ(M.Weinreich)の
『祖 国 ソ ビ エ
ヴ ェ ー テ ィ ッ シ ュ ・ヘ イ ム ラ ン ド,Sovetish
Heymland)と
"Das
人は
ほ と ん ど 見 当 た ら な い.
ル ンバ ウム の
「イ デ ィ ッ シ ュ 語 に お け る ヘ ブ ラ イ 語 と ア ラ ム 語 要 素 」
健 在 である
の ほ か に は,有
デ ィ ッシ ュ語 学 に 関 す る多 くの 博士 論
Jiddische
deutschen
und
sein
Verhaltnis
Mundarten"(Heidelberg
,1936)
な ど が あ る.
ーマニ
ー マ ニア には 国 立
一 方,東
欧 で は1920年
従 事 す る3つ
代 に,イ デ ィ ッ シ ュ 語 研 究 に
の 機 関 が 設 け られ た.す
な わ ち,ヴ
ィル
の イ デ ィ ッ シ ュ劇 団 が あ る こ とを と くにつ け加 え て お
ナ にYIVO(Yidisher
こ う.
キ エ フ に ウ ク ラ イ ナ 科 学 ア カ デ ミ ー(Ukrainean
[研 究 史]
H.P.ア
ル トハ ウ ス に よ れ ば,ド
で の イ デ ィ ッ シ ュ語 に 対 す る 興 味 は,伝 上 の 必 要 性 か ら す で に16世 シ ュ語 の 学 問 研 究 は,ド
イツ
道 目的 や商 売
紀 に み ら れ る が,イ デ ィ ッ
イ ツ人 の ヘ ブ ライ 語 学 者 ブ ッ
ク ス トル フ(J.Buxtorf)に
よ っ て は じ め ら れ た.
ル ー マ ニ ア の シ ャ イ ネ ア ー ヌ ー(L.Saineanu)と
前 者 の 論文
オ
最 初 で あ る.
asupra
graiului
(Bucharest,1899)は,イ
evreo‐german"
形 成,ド
イ ツ 語 方 言 と の 比 較 な ど を 扱 っ て お り,後 「ガ リ シ ア ・ユ ダ ヤ 方 言 の 縮 小 詞 」"Das
Diminutivum (Deutsche
der
galizisch‐judischen
者
Mundart"
Mundarten,Ⅰ,1895)は,イ
デ ィ ッシ ュ
語 と ドイ ツ 方 言 と の 関 連 を 調 べ た も の で あ る. こ れ ら東 欧 系 の 学 者 に 対 し,ド (J.Gerzon)は,『
イ ツ のゲ ル ツ ォ ン
ユ ダ ヤ ・ ド イ ツ 語 』(Die
Sprache,Frankfurt
am
Academy
言 語 地 図 の 作 成,辞
書 の 編 纂 を 行 な い,ま
た,重
上 の う ち,今
要 な
日 もなお
存 続 し て い る の は ニ ュ ー ヨ ー ク に 本 拠 を 移 したYIVO の み で あ る.
こ の 頃 の ソ連,東
欧 の 個 人 研 究 者 と し て は,音
Spivak),そ
韻論
法 論 の レイ ゼ ン
レ ツ キ ー(A.Zaretski),文
シ ュ テ ィ フ(N・Shtif),語
体論 の
彙 研 究 の ス ピ ー ヴ ァ ク(Kh.
し て 方 言 学 の ヴ ェ イ ン ゲ ル(M.Veynger),
ヴ ィ レ ン キ ン(L.Vilenkin)ら ン キ ン は,最
が い る.と
初 の イ デ ィ ッシ ュ語 言 語 地 図
デ ィ ッ シ ュ 語 言 語 地 図 』(Yidishe Sovetn‐farband,Minsk,1931)を
くに ヴ ィ レ 『ソ連 の イ
shprakhatlas
fun
著 わ した こ とで知
られ てい る.
judischdeutsche 1930年
Main,1902)を
of Sciences)
れ ら の 機 関 は,イ デ ィ ッ シ ュ 語 資 料 の 収 集,
(Z.Reyzen),ザ
デ ィ ッシ ュ語 の形 態 論 や語
の論 文
科 学 ア カ デ ミー(Belorussian で あ る.こ
institut),
よび ミンス クに 白 ロ シア
の プ リ ル ツ キ ー(N.Prilutski),文
「ユ ダ ヤ ・ ド イ ツ 語 方 言 研 究 」"Studiu
dialectologie
of Sciences),お
研 究 誌 を 発 行 し た . し か し,以
し か し,近 代 的 方 法 論 に よ る イ デ ィ ッ シ ュ 語 研 究 は,
ー ス ト リ ア の ラ ン ダ ウ(A.Landau)が
Academy
visnshaftlikher
代 の 終 わ り と40年
代 の 西 欧 で は,イ
シ ュ 語 研 究 は 全 然 な され な か っ た.1940年
ディ ッ
に な って よ
書 き,イ
デ ィ ッ シ ュ語 と 中 世 ドイ ツ 語 と を 比 較 し た.
うや く,YIVOの
ま た,ガ
リ シ ア の ビ ル ンバ ウ ム(S.A.Birnbaum,
カ が 世 界 の イ デ ィ ッ シ ュ 語 研 究 の 中 心 と な っ た.こ
ウ ィ ー ン 生 ま れ)が (Praktische Wien,1915)は,今
書 い た 『イ デ ィ ッ シ ュ 語 実 用 文 法 』
Grammatik
der jiddischen
Sprache,
日 も入 手 し得 る ド イ ツ 語 に よ る 唯
で は4巻 fun
ニ ュ ー ヨ ー ク 移 転 と と も に,ア
本 の 『イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 歴 史 』(Di
der
したM.ヴ
yidisher
こ
geshikhte
shprakh,N.Y.,1973)を
ァ イ ン ラ イ ヒが,ニ
メ リ
著わ
ュー ヨー ク市 立 大 学 で
一 の文 法 書 と して版 を重 ね て い る.
イ デ ィ ッ シ ュ 語 講 座 を 担 当 し,今
日の イ デ ィ ッシ ュ語
辞 書 編 纂 の 分 野 で は,リ フ シ ッ ツ(Y.F.Lifshits),
学 研 究 の 基 礎 を お い た.YIVOの
創 立 者 の1人
ハ ー カ ー ヴ ィ (A.Harkavy),そ
る.そ
れ に シ ュ トラ ッ ク
の 息 子 で,標
準 的 イ デ ィ ッ シュ語 教 科 書
でもあ 『大 学
用 イ デ ィ ッ シ ュ 語 』(College
Yiddish,N.Y.,1949)
で 知 ら れ る コ ロ ン ビ ア 大 学 のU.ヴ
条 を 参 照)を
ァイ ンラ イ ヒは イ
デ ィ ッ シ ュ 語 学 界 の ホ 一 プ で あ っ た が 夭 折 し,現 は,『ポ ー ラ ン ド北 部 の イ デ ィ ッ シ ュ 語 』(The Language
in
1965)の
Northern
Yiddish
着手 した
は,U.ヴ
リ ス 等 に,少
and Gultural
Jewry,4巻
1985年
本)を
Atlas
完 成 させ,そ
秋 に 刊 行 さ れ た . こ の ほ か,文
準 イ デ ィ ッ シ ュ語 文 法 』(Gramatik klalshprakh,N.Y.,1978)を Mark),中
of
は き わ め て わ ず か で あ り,そ
の 第1巻
が
deryidisher (Y.
い る.言
社 会 学 者 フ ィ ッ シ ュ マ ン(J.Fishman)は ど と言 う な か れ.ユ
Years of
Yiddish
in
Hague,1981)と
Say Jewish
Life
Thousand and
Letters,
Beranek)が
い て,『 ピ ン ス ク の イ デ ィ ッ シ ュ
Jiddisch und
dischen
seine
Stellung
im
Yiddish
Pins
彙 は,英
で あ っ た が,ゲ
は,非
ユ ダ ヤ人
ル マ ニ ス テ ィ クの 中 で のイ デ ィ ッ シ ュ
語 の 重 要 性 を 説 く稀 な 存 在 で あ っ た.ヨ
ー ロ ッパ唯 一
の イ デ ィ ッ シ ュ学 講 座 を も つ ト ゥ リ ー ア 大 学 に は,テ ィ ム(E.Timm)が 的,文
い て,西
・イ,イ
女 は大
phonische
schen)を1987年 か,こ
Struktur
こに は
り,イ
Westjiddi
「イ デ ィ ッ シ ュ 語 」"Die
Sprache"(Germania Ⅶ 1968)の
des
中 に 公 刊 す る 予 定 で あ る.そ
っ て い な い 語 彙(と と き に あ る.例
jiddische
デ ィ ッ シ ュ語 と ドイ ツ 語 と の 関 連 性 を,主
彙 面 か ら 研 究 し て い た が,最
3)Moskovich,W.,Herzog,Marvin (1961‐),The
Great
the
Language(N.Y.;Jerusalem)―
最 初,ア
al.
Yiddish メ リカ
ヨ ッ フ ェ(Y.Yofe)に
よっ
ニ ュ ー ヨ ー ク(コ
ロ ン ビ ア 大 学)と
り,す
両 方 で,コ
で に4巻
エ ル サ レ ム(ヘ
ブ
ン ピ ュー タ ー を 使 って の 作 業 彙20万
を含む予定であ
ま で 刊 行 さ れ て い る.完
成 す れ ば,イ
デ ィ ッ シ ュ 語 に 関 す る 万 能 辞 典 と な る で あ ろ う. [参 考 文 献]
Birnbaum,S.A.(1979),Yiddish.A and
a
Survey
Grammar(Toronto
University
Press,
einer
Sprache
(Olten
Abenteuer nd
Freiburg
i.Br.,
Walter)
お
Encyclopaedia
名 も逸 す る こ とはで きない .
ス イ ス に は,ス
イ ス の 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 の 研 究 者 グ
ッ ゲ ン ハ イ ム = グ リ ュ ン ベ ル ク(F.Guggenheim い る.
Publishing
《文 法 書 》 上 田 和 夫(1985),『 林,東
イ デ ィ ッ シ ュ 語 文 法 入 門 』(大 学 書
京)
Weinreich,U.(1949,19715),College
Yiddish
(N.Y.) 《語
ド ゥ ク ス ・ホ ラ ン ト』(「文 学 」 の
Language",
Judaica,Vol.16(Keter
House,Jerusalem)
に語
近 は語 学 研 究か らや や 遠
ル(W.Roll)の
イ ス ラ エ ル で は,『
I.et
Dictionary of
Weinreich,U.(1971),"Yiddish
ざ か りつ つ あ る.ま た,こ の 講 座 の 重 要 な 一 員 と し て レ
Grunberg)が
くに ダ イ ッ チ ュ メ リ ッ
文 は ご く わ ず か で あ る.
Landmann,S.(1962),Jiddisch.Das
のほ
Judaica,Koln,Ⅳ.1965, ア ル トハ ウ ス(H.P.Althaus)が
語 を
Toronto)
著 『西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 の 文 字 お よ び 音 構 造 』(Graphi sche und
・英 の 部 そ れ ぞ れ 約2万
《概 説 書 》
イ デ ィ ッシ ュ語 の 語学
学 的 研 究 を 精 力 的 に 推 し 進 め て い る.彼
(N.Y.)
日の イ デ ィ ッシ ュ語 を読 む には 大 体 これ で 足
が 進 め ら れ て い る.12巻,語
Jiddistik,
編 集 し た.彼
Dictionary
て 始 め ら れ た イ デ ィ ッ シ ュ 語 辞 典 で あ る が,現 在 で は,
著わ し
Arbeitskreis fur
文 は な い.
―今 日 も っ と も よ く利 用 され て い る 標 準 的 辞 書 で あ り,語
lungen
dem
語,例
English
Yiddish‐English
ラ イ 大 学)の
aus
古 い が,ま
も 重 宝 で あ る . 語 彙 数 は 約3万5千
た ほ か,『 イ デ ィ ッ シ ュ 語 研 究 サ ー ク ル 報 告 』(Mittei
Butzbach,1955‐64)を
(1928),Yiddish
Dictionary(N.Y.)―
で マ ル ク(Y.Mark)と
gesamtjid
Sprachraum,Butzbach,1958)を
English‐Hebrew
シ ュ)も
ドイ ツ に は,ベ ラ ネ ッ ク
語 と そ の 全 イ デ ィ ッ シ ュ語 区 域 で の 位 置 』(Das
の うち 代 表 的 な もの とい
に な ろ う.
1)Harkavy,Aleksander
り る が,載
イ ツ語 との 関連 か ら西 イデ ィ ッ
シ ュ 語 の 研 究 が 盛 ん で あ る.西
の3点
含 む.今
い う 大 部 の 本 を 編 纂 し た.
ヨ ー ロ ッ パ で は,ド
(Franz
語
『死 滅 な
Die!A
ギ
今 日入 手 し う る イ デ ィ ッ シ ュ語 の 辞 書
2)Weinreich,U.(1968),Modern
ダヤ 人 の 生 活 と文学 の中 で の イ デ
ィッ シ ュ 語 一 千 年 』(Never
ス ラ エ ル,イ
代 の イ デ ィ ッ シ ュ語 学
だ 十 分 な 利 用 価 値 を もつ . 現 代 ヘ ブ ラ イ 語 に よ る 説 明
書 いたマル ク
シ ェ ヒ タ ー(M.Schaechter)が
書]
え ば,次
級 文 法 書 『イ デ ィ ッ シ ュ 語Ⅱ 』(Yiddish Ⅱ,
1986)の
ker
[辞
Ash
死
者 た ち が 育 ち つ つ あ る.
化
法 学 者 に は 『標
fun
メ リ カ 合 衆 国,イ
数 で は あ る が,次
に
『ア シ ュ ケ ナ ー ジ ー ・ユ ダ ヤ 人 の 言 語,文
地 図 』(Language kenazic
彼 の跡
ァ イ ン ラ イ ヒ が1959年
健 在 で あ る(1991年
去). この ほ か に も,ア
Poland,Bloomington,
著 者 ヘ ル ツ ォ ー ク(M.Herzog)が
を つ い で い る.彼
The
在 で
中 世 ドイ ツ 語 と 関 係 させ て 研 究 し た ヴ ァ
イ ス ベ ル ク(J.Weissberg)が
史》
Weinreich,M.(1973),History
of
the
Yiddish
Language
(Geshikhte
shprakh,4
Vols.,N.Y.,1973の
(Mc‐Graw
fun
der
方 言 を追 加 す る こ と もで き る.
yidisher
前 半 部 の 英 訳)
Die!A
Yiddish
in
Letters(Mouton,The
生 は,彼
Jewish
Life
and
話 され て い る とい う,い わ ば,単 純 な地 理 的 理 由 に よ る もので あ る.し か し,他 の 地 域 との 対 比 にお い て, イ ベ ロ ・ロマ ンス語 に共 通 の 音 声 的 特 徴 が ない わ け で
Hague)
は ない.た
とえ ば,ガ ロ ・ロマ ンス 語 に特 徴 的 な 円唇
誕
前 舌 高 母 音 の[y]が,ア
地 の ユ ダヤ 人 や イ デ ィ ッ シ ュ語 の 状 況 に 大 き
サ ン ウ ・ ミゲ ール(Sao
し てCIS(独
な 変 化 を も た ら した.す エ ト』(ソ 年1月
Thousand
記]
ソ連 邦 の 崩 壊,そ
ル トガ ル語 お
よぶ主 た る根 拠 は,そ れ ら が主 とし て イ ベ リア半 島 で
《イ デ ィ ッ シ ュ 語 に 関 す る 言 語 社 会 学 論 文 集 》 Fishman,J.A.(1981),Never Say
[追
ペ イ ン語,ポ
よび各 々の 下 位 方言 を総 称 し て イ ベ ロ ・ロ マ ンス語 と
Hill,N.Y.)
Years of
上記 のカ タ ロニ ア語,ス
立 国 家 共 同 体)の
な わ ち,文
芸雑誌
『祖 国 ソ ビ
ヴ ェ ー テ ィ ッ シ ュ ・ヘ イ ム ラ ン ド)は,1992
号 か らそ の 名称 を
『ユ ダ ヤ の 通 り で 』(ア
Miguel)島
島の
の ポ ル トガ ル 語 の
方 言 を除 け ば イ ベ ロ ・ロ マ ンス語 に は な い こ と,ま た, フ ラ ンス語,レ
フ ・デ
ゾ ー レス(Azores)諸
ト ・ロマ ン語,イ
タ リア 語,そ れ に ダ
ル マ チ ア語 で は強 勢 の か か った 母 音 の 変 化 の仕 方 が,
改
そ の 母音 が 開音 節 にあ る か 閉音 節 に あ る か で 異 な る
ダ ヤ 人 自 治 区 の ユ ダ ヤ 人 は,イ
ス ラエ
(も ち ろ ん,開 音 節 に位 置 して い る方 が 変 化 が は な は
ル や ア メ リ カ 合 衆 国 な ど へ の 移 住 の 結 果,今
日で は
だ しい)が,イ
ル ・イ デ ィ ッ シ ェ ル ・ガ ス,Af め た.ま
3,000人
た,ユ
der
yidisher
程 度 しか 残 っ て い な い.そ
の か,長
gas)に
れ が要 因 と な った
の新 聞
年 に わ た っ て 維 持 さ れ て き た イ デ ィ ッ シ ュ語 『ビ ロ ビ ジ ャ ン の 星 』(ビ
テ ル ン)は,1995年5月21日
ロ ビ ジ ャ ー ネ ル ・シ ュ
付 を も って つ い に廃 刊 と
ベ ロ ・ロ マ ン ス語 で は そ の よ うな こ と
は 起 こ らない,な
どを あ げ る こ とが で きる.
このイ ベ ロ ・ロマ ンス 語 に関 す る,前 世 紀 か ら の, お そ ら くは 唯 一 に して 最 大 の 問 題 点 は,カ タ ロ ニア 語 の プ ロ ヴ ァ ンス語 との親 近 関 係 で あ る. カ タ ロニ ア 成立 の経 緯 を ロー マ の 時 代 か らた ど って
な った . 旧 ソ 連 邦 に 住 ん で い た ユ ダ ヤ 人 の 数 は,現 ら い に な って い る か は つ か み 難 い.い
在 どれ く
ず れ に せ よ,国
外 へ の 流 出 者 の 中 に は イ デ ィ ッ シ ュ 語 作 家 や 詩 人 も相 当 数 い た た め,CISの
イ デ ィ ッ シ ュ文 化,ユ
ダ ヤ文 化
み る と,南 フ ラ ンス の地 中 海 沿岸 地 帯 と の緊 密 な結 び つ きが 顕著 で あ る こ とが分 か る.そ れ を反 映 す るか の よ うに,言 語 の上 で も,当 初,カ タ ロニ ア 語 とプ ロヴ ァ ンス語 とは平 行 的 な変 化 の過 程 を た ど った.と
ころ
は か な り の 痛 手 を 被 っ て い る と 思 わ れ る.
が,両 言 語 ともま だ文 学 的 表現 の手 段 とな りえ てい な
な お,本
か っ た12世 紀 末 に,プ
稿 中,「 ソ 連(方 式)」 と 表 記 して い る 部 分 に
つ い て は,適
宜,「 旧 ソ 連(方 式)」 と 読 み か え て い た だ
リモ ー ジ ュ(Limoges)方 ベ サル(Ramon
き た い. イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語
(上 田
和 夫)
言 で,ラ モ ン ・ビダル ・デ ・
Vidal de
Besalu)が
叙 情 詩 を書 い
た とき,カ タ ロニア の 吟 遊 詩 人 た ち は い っせ い にプ ロ
い た りす る よ うにな った.こ
ロ ー マ 帝 国 の,ヨ
で あ った
ヴ ァ ンス語(彼 らに と って の外 国語)で 詩 を吟 じた り書
西iberorromanico,
英Ibero‐Romance
て,ロ
ロ ヴ ァ ンス 語 の1種
ー ロ ッパ 各 地 へ の 伸 張 に と も な っ
ー マ 人 た ち が 話 し て い た 俗 ラ テ ン語 も ヨ ー ロ ッ
パ 各 地 へ 運 ば れ て い っ た . こ の 俗 ラ テ ン語 が,各
地 で
の 状態 は13世 紀 末 ま で
続 い た.こ の ことが,の ち に な っ て,カ タ ロニ ア語 は プ ロ ヴァ ンス語 と近 い とい わ れ る に至 った理 由の1つ とな る.
方 言 分 化 を起 こ し な が ら も,原 住 民 の 言 語 を 抑 え て,公
な るほ ど,カ タ ロニ ア語(カ と略 記)と プ ロヴ ァ ン ス
用 語 と して の地 位 を獲 得 した地 域 の 総 称 を ロ マ ニ ア
語(プ と略 記 . ま た,ス は ス ペ イ ン語)と で は類 似 点 が
(Romania)と
い う.こ
サ ル ジ ニ ア,西 う ち,西
の ロ マ ニ ア は,東
ロ マ ニ ア に3大
ロ マ ニ ア は さ ら に4つ
る . そ れ ら は,ガ
ロ マ ニ ア,
別 さ れ る が,こ
れ らの
の地 域 に下 位 区分 され
ロ ・ロ マ ニ ア(Galorromania),レ
ト ・ ロ マ ニ ア(Retorromania),北
語 か ら派 生 し た,い
あ る.俗
い 換 え れ ば,ラ
ン ス 系 の 諸 言 語 の う ち,こ
ラ テ ン語 の,強
勢 の か か っ た 短 母 音)>
カ,プo:スue 2)語
末 の ‐e,‐o> カ,プ
φ(ゼ ロ);ス 不 変.
れ に
3)語
頭 のPL‐,KL‐,FL‐
> カ,プ
ラテ ン
4)所
有 形 容 詞 複 数 のllur(<ILLORUM),代
イ タ リア,そ
イ ベ ロ ・ロ マ ニ ア(Iberorromania)で
な いわ け で は な い.以 下 に,そ れ を列 記 す る. 1)O(俗
テ ン系 また は ロマ
の イ ベ ロ ・ロ マ ニ ア で 話 さ
副 詞en(<INDE),hi(<IBI)が,カ
れ て い る もの を イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 と よ ぶ . そ の 代 表
とプ に残
しか し,両 言 語 の 類 似 点 は,以 上4点
ぐ らい の もの
ペ イ ン 語,ポ
ル トガ ル
で,こ れ以 上,両 言 語 間 に 類似 点 をみ つ け る の は至 難
ち ろ ん こ れ ら に,各
々 の下 位
の業 に近 い.こ れ に 反 して,カ タ ロニ ア語 とス ペイ ン
タ ロ ニ ア 語,ス
語 で あ る が,も
名
って い る.
的 な も の は,カ 語 の3言
不 変;ス〓
語 と の 音 声 的 類 似 点,そ
し て,カ
が で き る.こ
の こ と か ら,カ
情 は ど う で あ れ,地 ス 語 学 的 に も,や
以上列挙す ること
タ ロ ニ ア 語 は,歴
理 的 に は も ち ろ ん の こ と,ロ
タ ロ ニ ア 語 は,プ
東 は イ ン ド,中 央 ア ジ ア か ら,西 は ヨー ロ ッパ の ほ
印欧 語族 と もい う.
[ 分
Morel‐Fatio),マ
1)イ
・ リ ュ プ ケ(W.MeyerLubke),
グ リ エ ラ(A.Griera),ロ
ー ル フ ス(G.
ソポ タ ミア,北
シ リア,パ
レ
スチ ナで も活 躍 して い た ら し く,誓 約 の 神 の 名,多
く
の人 名,馬 の 調 教 の 用 語 な どに そ の 痕 跡 を残 して い る. タ ロ ニ ア 語 は,ガ
ロ マ ン ス 語 に も属 さ ず,む 々―
この 語 派 の 話 し手 の一 部 は,小
の王 族 と な った ほか,メ
Rohlfs). 2)カ
ン ド語 派
ア ジア に入 り,ヒ ッ タイ ト帝 国 に 隣 接 す る ミタ ンニ 国
レ ル ・フ ァ テ ィ オ(A.
イヤー
類] これ に属 す る主 な語 派 は,次 の とお り
で あ る(〈 図 〉参 照).
言で あ
ロ ・ロマ ンス語 的 性 格 を有 す る とす る人 々
―デ ィ ー ツ(F.C.Diez),モ
英Indo‐European,
ぼ全 域 に分布 す る一 大 語 族 . イ ン ド ・ゲル マ ン語 族,
世 紀 か らの ロマ ンス
ロ ヴ ァ ン ス 語 の1方
ロ ・ロ マ ンス 語 に も イ ベ ロ ・
イ ン ドに入 った イ ン ド ・ア ー リア語 族 は,古 代 か ら近
し ろ 孤 立 し た 言 語 とす る 人
代 ま で 膨 大 な資 料 を もっ て い る が,そ の 言語 の 最古 層
ヴ ァ ル トブ ル ク(W.von
ェ(P.Fouche),バ
Wartburg),フ
ー シ
デ ィ ー ア(A.M.Badia),バ
は ヴ ェー ダ 語 で,こ れ に,古 典 サ ン ス ク リ ッ ト(古 典
ル
梵 語)が 続 い てい る. 以 後 は,各 種 の プ ラー ク リッ ト
デ ィ ン ガ ー(K.Baldinger).
(中期 イ ン ド ・ア ー リア語)を 経 て,多
3)カ
か れ る.イ
タ ロ ニ ア 語 は,イ
とす る 人 々―
ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 に 属 す る
サ ロ イ ア ン デ ィ(J.Saroihandy),モ
ル フ(H.Morf),ア
ロ ン ソ(A.Alonso),ガ
ル ソ
キ ス タ ン の公 用 語 で あ る ウル ドゥー 語 をは じめ,マ ラ ー テ ィー 語 ,ベ ンガ ル 語,パ ハ ー ル 語 な ど,そ の 分布
と相 対 して い る.な お,ス
書]
Fontanillo,E.(1985),Diccionario de
de las
lenguas
Espana(Anaya,Madrid)
(ロ マ ニ ー 語)も,イ
Alonso,A.(1954),Estudios
linguisticos.Temas
in Romance
2)イ
代 ペ ル シア 帝 国 の王 た ち が残 した碑 文 の言 語,古 代 ペ ル シア語 で あ る. 中期 イ ラ ン語 と して はパ フ ラ ヴ ィー
Linguistics
語,す な わ ち,中 期 ペ ル シア語 とパ ル テ ィア 語 の ほか,
and
Philology,Vol.
Hague)
中 央 ア ジア の ソグ ド語,サ (原
イ ン ド ・ゲ ル マ ン 語(族)
誠)
現 在 で は 用 い な い.こ Indo‐germanischに
欧)語
族 の 別 名 で あ る が,
の 名 称 は,明
らか に ドイ ツ語 の
も と づ く も の で あ る.し か し こ れ
は ド イ ツ 語 だ け の 慣 用 で,一 般 に は 英 語 のIndo‐European の よ う に,イ
ン ド と ヨ ー ロ ッパ の 合 成 語 が こ の
語 族 の 名 称 と し て 用 い ら れ て い る.ち チ ス が,ド
な み に,第2次
イ ツ民 族 の 地 こそ 印 欧 語 族
の 民 族 は この 語 族 の 直 系 で あ る と い
う 考 え を 主 張 し た と き に,あ
た か も ヨー ロ ッパ を代 表
す る の が ゲ ル マ ン民 族 で あ る か の よ う な,こ 名 称 は,彼
レズ ム語 な どが こ
るが,そ の ほ か に,東 に はパ シ ュ トー 語,バ ル ー チ ー 語,カ
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ(印
カ語,コ
れ に属 す る. 近 代 イ ラ ン語 は,ペ ル シア 語 に代 表 され
英Indo‐Germanic,
独Indo‐germanisch
の 故 郷 で あ り,そ
この語 派 の 古 層 は2つ に分 かれ
J.N.Green(eds.)(1982),Trends
3(Mouton,The
大 戦 の 際 に,ナ
ン ド ・ア ー リア語 に属 す る.
ラ ン語 派
る. ゾ ロア ス ター の聖 典 を綴 った ア ヴ ェス タ語 と,古
espanoles(Gredos,Madrid) Posner,R.and
リラ ンカ の シ ンハ ラ 語 と,
ア ジア,ヨ ー ロ ッパ の 各地 に い る ジプ シー の 話 す 言語
[ 参考文献]
germanischの
くの近 代 語 に分
ン ド連 邦 の公 用 語 で あ る ヒンデ ィー 語,パ
は イ ン ド大 陸 の 北 部 全 域 に 及 び,南 の ドラ ヴィ ダ 語族
イ(J.Gulsoy). [辞
喜 代 三)
独Indo‐Germanisch,,仏indo‐europeen
マ ン
語 学 者 た ち の 説 を 簡 単 に 紹 介 す る と,次 の よ う に な る.
る と か,ガ
イ ン ド・ヨ ー ロ ッ パ 語 族
史的事
は り イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 に 属 す る と
す る の が 正 しい こ と が 分 か る.前
1)カ
(風 間
タ ロ ニア 語 と プ ロ ヴ
ァ ン ス 語 と の 音 声 的 相 違 点 は,10種
のIndo‐
らに と っ て 非 常 に 好 ま し い
フ カー ス に オ セ ッ ト語,遊 牧 民 クル ド族 の クル
ド語,さ
らに,近 代 ソ グ ド(ヤ グ ノー ビー)語
な どが
あ る.
なお,ヒ
ン ドー ク シ ュ山 脈 と クナ ル(Kunar)と
中 間の カ ー フ ィ リス タ ン(Kafiristan)で る一 群 の カー フ ィル 語 は,イ
の
話 され て い
ン ドとイ ラ ン両語 派 の 中
間的 な特 徴 を保 持 して い る.
3)ギ
リシア 語 派
読 され た 線 文 字Bで
この 語 派 の 資 料 は,戦 後 に解
書 か れ た文 書 の 資料 に始 ま り,
ホ メー ロ スの 叙 事 詩 か ら古 典 ギ リ シ ア 語 の 時 代 に 入 る.ア ッ テ ィカ(Attica)方
言 を 中 心 と して,多
くの
文 学 作 品 が この 時代 に残 され て い る . これ に続 くのが
も の で あ っ た . そ の た め に,戦 後,こ の 名 称 は 忌 避 さ れ
新 約 聖 書 に代 表 され る コイ ネ ー(共 通 語)の 時 代 で,
る傾 向 が あ っ た が,ド
ヘ レニ ズ ムか ら ロー マ 時代 にわ た っ て い る が,こ の時
イ ツ 語 で は,や は りIndo‐Europaisch
に と っ て か わ ら れ る こ と は な か っ た.
期 には,古 典 期 の ギ リ シア語 で書 か れ た擬 古 文 の文 学
も盛 ん で あ った. そ の 後,中 世 の ビザ ンチ ン時代 に は,
征服 され て しま っ た.そ
西 の カ トリ ック教 会 の ラ テ ン語 に対 して,東 の ギ リシ
は数 多 くの碑 文 と文 学 を残 す一 方,そ の 崩 壊 後 も,カ
して,ロ ー マ 時 代 の ラ テ ン語
ア正 教 の 用語 と して,ま た,東 地 中 海 か ら近 東 地 方 の
トリ ック 教会 の 用語 とし て,ま た,ヨ ー ロ ッパ 中世 の
共通 語 と して,広
学 術 の 共 通語 と して,長
く話 され てい た,こ の統 一 的 な ギ リ
く古 典 文 化 の維 持 と発 展 に貢
シ ア語 は,そ の ま ま近 代 ギ リシア 語 に移 行 し,今 日 に
献 した.ま た,ロ ー マ の軍 事 力が,イ ベ リア 半 島 か ら
及 ん でい る. ギ リシ ア は,4世
ガ リア(Gallia),ダ
に あ った とはい え,そ
紀 近 く トル コの 支 配 下
の言 語 は,バ ル カ ン半 島 の 一 角
キ ア(Dacia)に
まで 及 び,各 地 に
定 着 した ラテ ン語 は,そ れ ぞ れ違 った 変 化 を う け た結
を 占 め,印 欧語 の伝 統 を失 って い な い.
果,今 日の ロマ ンス諸 語 が 形 成 され る に至 った.イ
タ
4)イ
リア 語 は も と よ り,ス ペ イ ン語,ポ ル トガ ル 語,フ
ラ
タ リッ ク語 派
った 特 徴 を もつ2つ
この語 派 は,は っ き り と違
の方 言 群 か らな っ てい る,1つ
ラテ ン ・フ ァ リス ク語 群 で,も
ブ リア 語 群 で あ る.ま た,ポ ー(Po)川 約300の
は
う1つ は オ ス ク ・ウ ン の北 部 一 帯 に
碑 文 を もつ ヴ ェネ ト語 も,今 日で は,こ の語
ンス 語,ル ー マ ニ ア語,レ
ト ・ロマ ン語 は,み
なラテ
ン語 の 後裔 で あ る. 5)ケ
ル ト語 派
この 語 派 に属 す るの は,現 在 で
は,ア イ ル ラ ン ド語 お よび ウ ェー ル ズ語 と,ブ ル トン
派 に属 す る とみ る説 が有 力 で あ る. オス ク ・ウ ンブ リ
語 で,前2者
ア語 に しろ,ヴ
あ り,そ の話 し手 は二 重 言語 使用 者 で あ る.今 日で は,
ェネ ト語 に し ろ,紀 元 前 の時 代 に は広
は英 語,後 者 は フラ ンス語 の 公 用 語 圏 に
い 地 域 に話 され て い た が,ロ ー マ が そ の勢 力 を拡 大 す
この よ うに あ ま り有 力 な語 派 で は な い が,紀 元 前6世
る と と もに,言 語 的 に も,ラ テ ン語 が これ らの 言 語 を
紀 ごろ か ら ロー マ時代 に か け ては,北
徐 々 に吸 収 し て し ま った.イ タ リア半 島 には,こ の ほ
部 ヨー ロ ッパ,イ ベ リア半 島 に まで 広 くそ の話 し手 を
か,北 の エ トル リア(Etruria),南 ア ドリア(Adria)海
イ タ リア か ら中
の メ ッサピ ア(Messapia), もち,北 の ゲル マ ン語 に相 対 す る勢 力 を もっ て い た.
岸 な ど に,そ れ ぞ れ 違 っ
そ の証 拠 は,な に よ り も彼 らが つ け た 各 地 の地 名 に残
た言 語 が 話 され て い たが,こ れ ら もみ な,ラ テ ン語 に
って い る.し か し,彼 らは,ま と ま った 資 料 を ほ とん
<図>イ
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族
ど残 さず,ラ テ ン語 や グル マ ン語 の世 界 に 埋没 して し
ン トは,驚
ま った.こ れ に 対 して,ブ
のア クセ ン トと並 ん で,そ の研 究 に貴 重 な資 料 を提 供
リタニ ア か らア イ ル ラ ン ド
くほ ど古 風 で,イ
ン ド語 派 や ギ リ シア語 派
に渡 った ケ ル ト語 派 は,い ず れ も早 くか ら文 学 を もち,
す る.
多 くの文 献 に 恵 まれ て い る.そ の資 料 に よる と,こ の
9)ア
語 派 は,ア イ ル ラ ン ドを中 心 とす る ゲ ー ル語 系 と,ウ
献 は,5世
ェー ル ズ を 中心 とす るブ リ トン語 系 の2派
に分 か れ
の ア ル フ ァベ ッ トを 使 っ て綴 った 聖 書 や ギ リシ ア語 文
る. これ を 分 け る重 要 な等 語 線 が,イ タ リ ック語 派 の
献 の 訳 と,オ リ ジナ ル と して,歴 史 ・伝 記 ・宗 教 関 係
ラテ ン ・フ ァ リス ク語 系 とオ ス ク ・ウ ン ブ リア語 系 を
の 文 書 が あ る.12世
分 け る それ に一 致 して い るた め,一 部 に は,こ の 両 派
れ た ア ル メ ニ ア王 国 の下 で,多
は,も
の 文 献 が残 されて い る.そ して,17世 紀 ごろ か ら近 代
と1つ で あ った と考 え られ て い る.
6)ゲ
ル マ ン語 派
この語 派 は,現 在 の 英 語,ド
イ ツ語 に代 表 され るが,古
くは ゴー ト語 と,北 欧 の 古
ル メ ニ ア語 派
この 語 派 の もっ と も古 い 文
紀 に 聖 メ ス ロプ(Mesrop)が
工夫 した,独 特
紀 に キ リキ ア(Cilicia)に
つ くら
くの 中 期 ア ル メ ニ ア 語
語 に移 行 し,東 西 の2方 言 に分 か れ る.ア ル メ ニ ア の 地 は,古 代 以 来,イ
ラ ン系 の 民族 に支 配 され,と
くに
ノ ル ド語 と,そ れ に英 語,ド イ ツ語 の 属 す る西 ゲ ル マ ン
長期 にわ た って パ ル テ ィア 領 で あ った た め に,イ ラ ン
語 の,3つ
語 の借 用 語 が多 い . また,カ フ カ ー ス に近 い た め,そ
に 分け られ る.ル ー ン文 字(Runic
inscrip
tions)碑 文 を 除 く と,こ の うち,も っ とも古 い 資 料 は,
の言 語 の影 響 も強 く,た とえ ば,文 献 の は じ め か ら文
西 ゴー トの 僧 ウル フ ィ ラ(Ulfila)に よ る4福 音書 の ゴ ー ト語 訳 で あ る. しか し,こ の 系統 は,そ の 後死 滅 し
法 上 の 性 の 差 別 を も って い ない.ま た,ゲ ル マ ン語 と
て しま った.北 ゲ ル マ ン語 の古 い 資 料 は,中 世 の ア イ
10)ア ル バ ニ ア語 派
ス ラ ン ド文 学 を中 心 とす る もので あ るが,現 在 の ス ウ
あ る言 語 の 歴 史 は15世 紀 に始 ま るが,そ れ 以 前 につ い
ェー デ ン語,ノ
て は 明 らか で な い. ロ ー マ時 代 か ら次 つ ぎに 異 民族 の
ル ウェー 語,デ
ンマ ー ク語 は み な,こ
の 分派 に属 す る. 西 ゲル マ ン語 は,英 語,ド ほか,フ
リー ス ラ ン ドの フ リ ジア語,オ
イ ツ語 の
ラ ン ダ語 を ふ
くむ1群 で,古 英 語,古 高 地 ドイ ツ語 の時 代 か ら今 日
同 じよ う に,子 音 の 体 系 的 な変 化 を示 して い る.
支 配 下 に あ った た め,多
この バ ル カ ン半 島 の 一 角 に
くの語 彙 を借 用 した が,と
く
に ラテ ン系 の それ が 非常 に多 い.地 域 的 にみ て,か つ て この 地 に 存在 した で あ ろ うイ リュ リア 語,あ
るい は
まで の 豊富 な文 献 を誇 って い る.ゲ ル マ ン語 は,一 般
トラキ ア語 との関 係 が問 題 に な るが,イ
に,「グ リム の法 則 」と よば れ る子音 の体 系 的 な変 化 を
ラキ ア 両語 の正 体 が明 らか に され ない 以 上,こ の 論 議
経 験 して い る のが 特 徴 的 で,ド イ ツ語 だ けは,さ
らに
は 推 測 の 域 を で な い.
同 じよ うな変 化 を くり返 し示 してい る.
11)ト
カ ラ語 派
7)ス
fan)か
ら クチ ャ(Kucha)の
ラブ 語 派
この語 派 は,南,西,東
の3派
中 央 ア ジア の トル フ ァ ン(Tur 地 域 で,今 世 紀 は じめ
か ら構 成 され て い る. この うち,も っ と も古 い文 献 は,
に発 見 され た この 言 語 は,6∼8世
9世 紀 に,テ ッサ ロニ ケ(Thessalonike)の
仏 教文 献 の 訳 で,A,B,2つ
人 の僧 キ ュ リロス(Kyrillos)と
ギ リ シア
メ トデ ィ オス(Me
リ ュ リア,ト
紀 ごろ の 主 と して
の 方 言 に 分 か れ て い る.
古 い 印 欧語 として は珍 し く,名 詞 の 屈 折 に膠 着 語 的 な
thodios)に よ る聖 書文 献 の訳 で あ る.こ れ は,狭 義 に
特 徴 を 示 して い る.イ ラ ン語 圏 に 接 しな が ら,サ テ ム
は古 代 教 会 ス ラブ 語 とよ ばれ て い るが,そ の 言語 は,
群 で な く,西 のケ ン ト ゥム群 に属 す るな ど,そ の歴 史
南 ス ラ ブ 系 の ブ ル ガ リア 語 に近 く,古 ブ ル ガ リア語 と
は謎 に つ つ ま れ て い る.
よぶ 学 者 もあ る . この南 の 系統 に は,そ の ほ か に ユ ー
12)ヒ
ゴス ラ ビア の セル ビア ・ク ロ ア チア 語 ,ス ロベ ニ ア語,
語 は,ト カ ラ語 と並 ん で,今 世 紀 は じ め に,ト ル コの
さ らに,マ ケ ドニ ア語 が あ る.西 ス ラブ語 の系 統 には,
ア ンカ ラ近 くで多 量 の楔 形 文 字 で 書 か れ た 粘 土 板文 書
ポ ー ラ ン ド語,チ
が 発 見 され,間
ェ コ語,ス
ロバ キ ア語,ソ
ルブ 語,
ッ タイ ト(ア ナ トリア)語 派
もな く解 読 され て,新
ヒ ッタ イ ト
た に 印 欧語 の1
カ シュー ブ 方 言 が これ に属 す る.東 に は,こ の 語 派 を
語 派 と して 認 め られ た.こ の文 書 は,イ
代 表す る ロ シア 語 の ほ か,ウ ク ライ ナ語,白
ッパ 語族 の も っ と も古 い文 献 で あ る.そ して,hで
ロ シア 語
が あ る. 8)バ
ン ド ・ヨー ロ 表
記 され る 音 や 名 詞 の異 語 幹 曲用 な ど,印 欧 語 の 非 常 に ル ト語 派
この語 派 は,リ
トア ニ ア語,ラ
古 い特 徴 を十 分 に そ な えて い る.戦 後,こ の 言 語 の 研
トビア語 の ほ か に,17世 紀 に死 滅 した 古 プ ロ シア語 の
究 は著 し く進 ん だ が,こ れ に伴 って,同
3つ の言 語 か らな る.こ れ ら の言 語 の文 献 は,い ず れ
語 と して,パ ラ ー語,ル ウ ィー 語 の 資 料 も整 備 され た.
も16世 紀,宗 教 改 革 の 時代 の教 会 関 係 の 文 書 に 始 ま
紀 元 前1200年
る.し た が って,他 の 語 派 の 古 い 文 献 に くらべ て,は
小 ア ジア に は 印 欧語 と思 わ れ る言 語 資 料 が 指 摘 され て
るか に年 代 は下 る けれ ど も,印 欧 語 の 非常 に古 い 特 徴
い る. ま ず,象 形 文 字 ヒ ッタイ ト語 は,フ
を よ く保 存 して い る.と
とのパ ラ レル な碑 文 に よ っ て,戦 後 間 も な く解 読 され,
くに,リ
トア ニ ア語 の ア クセ
じ時 期 の 印 欧
ごろ に ヒ ッタイ ト帝 国 が滅 亡 した 後 も,
ェ ニ キ ア語
ル ウ ィー 語 との 関係 が 強 調 され て い る. 次 に,紀 元 前
ト語 派 の リ トア ニ ア,ゲ ル マ ン の諸 語 が対 象 と され て
千 年 代 の 半 ば ごろ を 中心 と した リュ デ ィ ア語 と リュキ
い るが,1857年
ア語 の ギ リシア 系 の文 字 に よ る多 くの碑 文 が あ る.ま
ブの2つ の 語 派 が 追 加 され てい る.ケ ル ト語 とア ル バ
た,フ
ニ ア語 につ い て も,ボ ップ 自身 が そ の 親族 関係 を 検 討
リュギ ア 語 も古 い ギ リシア 系 の文 字 を使 用 して
い るが,そ の 碑 文 は,紀 元 前7∼6世
紀 ご ろ の もの と,
紀 元 後 の ロー マ 時代 の もの とに分 か れ る.こ れ ら の言
の2版 で は,こ れ にア ル メ ニ ア とス ラ
した 論 文 を発 表 して い る. ただ,そ の 資 料 を 『比 較文 法 』 に利 用 す る ま で に至 らなか った の で あ る.
語 の 話 し手 が 死 滅 して か ら,こ の 地 に定 着 した 印 欧 語
語 族 の 設 定 に は,規 則 的 な音 対 応 の 事 実 と,そ の語
族 は ない.
族 に特 有 の文 法 的 な事 項 の一 致 が 不 可 欠 の条 件 で あ る
[ 研 究 史 ] 印欧 語 族 の研 究 は,1786年2月,イ
ン
が,音 対 応 を確 認 す る た め に は,音 変 化 に 対 す る認 識
ドの カ ル カ ッ タで行 なわ れ た ア ジ ア 協会 設 立3周 年 の
が 必 要 で あ る.確 か に,こ の初 期 の100年
記 念 の 席 で,イ ギ リス の法 律 家 で,後
に イ ン ド学 者 と
リム(J.Grimm)に
な った ジ ョー ンズ(W.Jones)が,「
イ ン ド人 につ い
うな大 き な発 見 が あ っ た.け れ ど も全 体 と して み れ ば,
て 」 と題 す る 講 演 の 中 で述 べ た 次 の 言 葉 に始 ま る とい わ れ て い る.「 サ ン ス ク リ ッ トは,そ
の古 さは ど うあ
この時 期,サ
の 間 に,グ
よる ゲ ル マ ン語 の 音 韻 推 移 の よ
ン ス ク リ ッ トをす べ て に古 い とみ る 誤 解
が支 配 的 で あ っ た とい う事 実 をみ て も分 か る よ うに,
ろ う と も,驚 くべ き構 造 を もって い る.そ れ は ギ リシ
音 法 則 とい う言 葉 は,ボ
ア語 よ り も完 全 で あ り,ラ テ ン語 よ りも豊 富 で あ り,
も,そ の 内容 は か な り恣 意 的 な もの で,音 変 化 の正 し
ップ以 来 好 んで 使 わ れ て い て
しか も,そ の い ずれ に も ま して 精 巧 で あ る.こ の2つ
い知 識 とは,ほ ど遠 い もの で あ った.し た が って,多
の 言 語 とは,動 詞の 語 根 にお い て も,文 法 の形 式 にお
くの語 派 の 資料 を対 象 に した とはい え,実 際 に利 用 で
い て も,偶 然 つ く りだ され た とは 思 え ない ほ ど顕 著 な
きる の は そ の うち の わ ず か の もの に限 られ,大 半 の 資
類 似 を も って い る.そ れ が あま り顕 著 で あ るの で,ど
料 が扱 え な い ま ま に な って い た.そ
ん な 言 語 学 者 で も,こ れ ら3つ の 言 語 を調 べ た ら,そ
言 語 研 究 に 対 す る文 献 学 者 た ち の不 信 が あ った.
れ らは,お そ ら くもは や 存 在 して い ない,あ
る共 通 の
源 か ら発 した もの と信 ぜ ず には い られ ない で あ ろ う.
こに,こ の 新 しい
この 傾 向 が,系 統 樹 説 で有 名 な シ ュ ライ ヒ ャー(A. Schleicher)の
『印 欧 語 比 較文 法 要 説 』(Compendium
これ は そ れ ほ ど確 か で は ない が,同 じ よ うな 理 由か ら,
der
ゴー ト語 とケ ル ト語 も,非 常 に違 った 言 語 と混 じ り合
manischen
vergleichenden
Grammatik
って は い るが,と も に サ ンス ク リ ッ トと同 じ起 源 を も
プ ツ ィ ヒの 青 年 文 法 学 派(Junggrammatiker)を
Sprachen,1861)を
der
indoger
最 後 に改 ま り,ラ イ 中
って い る と考 え られ る.ま た も し,こ の 場 で ペ ル シア
心 とす る本 格 的 な比 較 研 究の 時 代 に 入 った ころ に は,
の 古 代 に 関 す る 問題 を論 議 して も よい な らば,古 代 ペ
時 代 は 自然 主 義 に移 り,自 然 科 学 が 盛 ん に な っ て,言
ル シア 語 も同 じ語 族 に加 え られ よ う」
語 一 般 に関 す る認 識 も,前 の時 代 とは 大 き く違 って き
ブ ッダ を生 ん だ東 洋 の国 イ ン ドの 古 典 を綴 った 言語
て い た.レ ス キ ー ン(A.Leskien)が,1876年
と,ヨ ー ロ ッパ人 が 常 に尊 敬 して や まな い ギ リ シア,
「音法 則 に例 外 な し」 とい う有 名 な この 学 派 の 命 題 を
ロー マ の 古典 を綴 った 言 語 の 文法 の 一 致,そ
主 張 した とき に は,そ の 音法 則 は,音 変 化 の 規 則 性 と
こに 予想
に,
ラン
い う事 実 の確 認 の上 に立 っ て い た し,例 外 に は,合 理
ス 革命 を 目 の前 に した ヨー ロ ッパ の ロマ ン主義 の 精神 にマ ッチ した格 好 の テ ー マ で あ った . 確 か に,こ の3
的 な説 明 を あた え る こ とが 要 求 され た.シ ュラ イ ヒャ ー の 『比較 文 法 要 説』 か ら ブ ル ー クマ ン(K .Brug
つ の言 語 は非 常 に類 似 し て い るが,1つ
され る1つ の源 の言 語 の 存 在,そ の 探 究 こそ,フ
の 源 か ら分化
mann)の「印
した とい う仮 定 を ど の よ うに して 証 明 す るか.こ の論
lis sonans
証 が な くて は,そ の 他 の言 語 が こ の語 族 に属 す るか ど
sprache,1876)の
うか を 決 め る こ とは で き な い.ジ
い ない が,そ の 間 の変 化 は 著 しい.参 考 の た め に,シ
ョー ン ズ は,そ の
欧基 語 にお け る鼻 音 ソ ナ ン ト」(Nasa in
der
indogermanischen
研 究 ま で,わ ず か15年
Grund しか経 っ て
後,自 分 の この 発言 に は関 心 が な か った た め,研 究 の
ュ ライ ヒ ャー の想 定 した 印 欧 祖 語 の 音 組織 と,ブ ル ー
舞 台 は 大 陸 に 移 り,こ の語 族 設 定 の条 件 をめ ぐ る方法
クマ ン以 後 の そ れ を あげ て お こ う.
の 確 立 の た め に,100年
の歳 月が 費 や され た . この 間
に,対 象 とな る 言語 の数 も徐 々 に ふ えて い る.ド イ ツ で,比 較 文法 の 祖 とい わ れ,世 界 で初 めて 比 較 文 法 の 講 座 を ベ ル リ ン大学 で担 当 した ボ ップ(F.Bopp)が, 1833年 に公 に した『比 較文 法』(Vergleichende matik
des Sanskrit,
Send,…)で
ッ ト,イ ラ ンの ア ヴ ェス タ,ギ
Gram
は,サ ンス ク リ
リ シア,ラ テ ン,バ ル
シ ュ ラ イ ヒ ャ ー
母音 子音
ブ ル ー ク マ ン以 後
の もつ 子 音 の そ れ(〓
と表 記)と
の 矛 盾 が あ っ た.こ
の 間 隙 は 直 接 に は 埋 め ら れ な い.ま くつ 仮 定 さ れ る べ き か.ソ
こ れ を 比 較 して み て,kW,あ 仮 定 は 別 と し て も,シ 音rの
仮 定 は,彼
る い はnの
よ うな 音 の
ュ ラ イ ヒ ャ ー の 母 音a,i,u,子
ら れ な か っ た 証 拠 で,ひ
い て は,口
蓋 化 の 現 象,母
音交
替 な どの認 識 も不徹 底 で あ っ た こ とを物 語 って い る. こ の 学 派 の 研 究 は 着 実 に 進 め られ,念 の 再 建 も縦 横 に 行 な わ れ た.そ
願 の印 欧 祖 語
の 成 果 は,ブ
ン と デ ー ル ブ リ ュ ク(B・Delbruck)の 欧 語 比 較 文 法 』(Grundriss Grammatik
1886‐1900)の
は,パ
ウ ル(H.Paul)の
pien
der
し た き っ か け は,や
結 実 し て い る.
は り上 に あ げ た ブ ル ー ク マ ン の 鼻 の 想 定 は,今
内 的 再 建 の 先 駆 で あ り,n,mと トの 大 胆 な 仮 定 は,サ
ン ス ク リ ッ ト文 法 のr,lに
ヒ
が て ソ シ ュ ー ル(F.de
voyelles
dans
sur
le systeme
les langues
primitif
indo‐europeennes,
『覚 え 書 』 は,ブ
ル ー ク マ ンの ソ ナ ン
ト論 に お くれ る こ とわ ず か2年,1878年 さ れ た.こ
の 研 究 は,直
の暮 れ に発 表
接 に は 印 欧 語 の 長 母 音 とそ の
弱 ま り を 比 較 検 討 し た 結 果,そ れ は 祖 語 に お い て,ei/i, er/r,en/nな
ど の 母 音 交 替 と 同 じ よ う に,eH/Hと
推 定 され る こ と を 主 張 し た も の で あ る が,こ て,印
欧 語 の母 音 交 替 の現 象 が は じめ て組 織 的 に と ら
え られ る よ う に な り,そ
の後 の形 態 論 の研 究 に重 要 な
理 論 的 基 礎 づ け を あ た え た.こ
の ソ シ ュー ル の仮 説 が
学 界 全 体 に 認 め ら れ る よ う に な っ た と き に,ト
カ ラ語
れ と い くつ か のHと
較 対 応 の 上 か ら 正 確 に つ き と め,
分 類 す る 規 準 は な に か な ど,さ
ま ざ ま な問題 が 山積 し
て い る. こ の 喉 音 理 論 に か ら ま る も の に,語
根 形 式 の 問題 が
あ る .これ は,祖 語 の す べ て の 語 根 を 統 一 的 な 形 式 で と ら え,そ
の 派 生 の 過 程 を 理 論 的 に 整 理 し よ う とす る 狙
(Origines
こ で た と え ば,バ
ン ヴ ェニス ト
『印 欧 語 に お け る 名 詞 形 式 の 起 源 』
de
la formation des noms en
indo
europeen,1935)に
お い て 提 唱 し た 解 釈 に よ れ ば,す
べ て の 語 根 はCVC‐
と い う 形 式 に 還 元 され る.し
独essen)と
い う語 根 は 許 さ れ ず,常
が 仮 定 さ れ な け れ ば な ら な い.そ あ げ る と,た
と え ばu‐,あ
に 語 頭 に 子 音H
こ で,極
る い はr‐
をHeu‐/Hu‐,Her/Hr‐
端 な場 合 を
だ け で も,こ
と と ら え て,H‐
の 形 式 に 収 め る こ とが で き る.こ
の分
析 は,語
源 解 釈 に 新 し い 可 能 性 を 示 唆 す る が,そ
の反
面,Hの
音 の 仮 定 は 機 械 的 に な り,対
応 をは な れ て恣
ッ タ イ ト語 の 文 献 学 的 な
研 究 が 進 む と と も に,そ
のhを
応 が 求 め ら れ る か ら,こ
の 場 合 に は,Hの
か な よ り ど こ ろ が あ る が,そ
ふ くむ 形 に も確 実 な 対 想 定 に も確
れ 以 外 の 対 応 の 処 理 は,
ど の よ う な 語 根 形 式 を 予 想 す る か に よ っ て も,解
ル ー ク マ ン 以 後,多
くの学 者 が
想 定 し た 祖 語 の 閉 鎖 音 は,P,b,ph,bhの4系 あ っ た . し か し この 中 で,無 kwhを
支 え る 対 応 は,実
か つ て ソ シ ュ ー ル は,こ 想 し て い た.そ
列で
声 帯 気 音ph,th,kh,
際 に は わ ず か で あ る.ま のph<P+Hの
の た め に,一 時 は こ の 系 列 を 否 定 し て,
た.こ
れ に 対 し て,ヤ ー コ ブ ソ ン(R.Jakobson)は,
第2次
大 戦 後,オ
シ ュー ル が仮
相 当 す る か の よ う な 音 が,Hitt.hと
し
て 指 摘 され た . ポ ー ラ ン ドの ク リ ロ ー ヴ ィ チ(J.Ku rylowicz)は,こ
ゆ る 印 欧 語 の 喉 音(laryngales)理
わ
論 を 展 開 させ る に
至 っ た . こ の 理 論 が,戦
前 か ら 戦 後 を 通 じ て,印
研 究 の 大 き な 課 題 の1つ
と して多 くの学 者 の 関 心 を集
め た 背 景 に は,皮
肉 に も,ソ
の も つ ソ ナ ン トの 機 能(一
欧語
シ ュ ー ル が 考 え て い たH
般 に 〓 と 表 記)と,Hitt.h
列 を認 め る説 が有 力 で あ っ
ス ロで 開 かれ た 国際 学会 の講 演 にお
い て,類 型 論 的 な 観 点 か ら,こ の3系 た.P,b,phと
の 比 定 に 積 極 的 に と り組 ん で ,い
b,bhの bhの4系
い う3系
列 の仮 定 に反 対 し
列 の 言 語 は 存 在 す る が,p,
そ れ は 許 さ れ ず,そ
の 場 合 に は,p,b,ph,
列 で な け れ ば な ら な い と.こ
伝 統 的 なphの し か し,こ
た,
可 能 性 を予
と くに 後 者 に は,そ
う な 事 実 が い くつ も 発 見 さ れ た 上 に,ソ
釈 に
違 い が 生 じ る こ と は 否 定 で き な い.
祖 語 にP,b,bhの3系
定 し たHに
れ
の 消失 を
と ヒ ッ タ イ ト語 が あ い つ い で 印 欧 語 族 に 加 え ら れ た . れ まで の 研 究 の 成 果 を 裏 づ け る よ
たが
っ て,従 来 のes‐(英is,独ist,仏est),ed‐(英eat,
先 に み た よ う に,ブ
れ によっ
を考 え て い の関係は どう
母 音 の 交 替 が,形 態 論 的
意 的 に な る 危 険 性 が 多 い.ヒ
通 じ る 道 を 指 示 し て い た.
ソ シ ュ ー ル の
の 組 み 合 わ せ を,比
予 想 す れ ば,こ
『印 欧 諸 語 に お け る母 音 の 原 始 組 織 に 関
す る 覚 え 書 』(Memoire
1878)に
日で い う
い う母 音 的 な ソ ナ ン
ン ト を え て い る と は い え,や Saussure)の
の研 究の 方 法 論
の 大 き な転 換 を もた ら
音 ソ ナ ン トの 研 究 で あ ろ う.こ
欧 語 で はe/oの
(E.Benveniste)が
『言 語 史 の 原 理 』(Prinzi
Sprachgeschichte,1880)に
か.ま
い を も っ て い る.そ
Sprachen,7
大 著 と な り,そ
印 欧 語 研 究 に 限 っ て い え ば,こ
des
vergleichenden
der indogermanischen
Vols.,
ル ー クマ
手 に な る 『印
der
以 上 と す れ ば,Hitt.hと
た,印
要素 は い
シ ュ ー ル は2つ
た . も し2つ
に 重 要 な 役 割 を 演 じ て い る.こ
が ま だ サ ン ス ク リ ッ ト偏 向 を 改 め
た,Hの
の 発 言 以 来,
仮 定 が 復 活 す る に 至 っ た. の 発 言 が き っ か け に な っ て,再
建 に類 型
論 的 な 事 実 を 重 視 す る 傾 向 が 強 め ら れ た .祖 語 のbを め ぐ る 問 題 も,そ
の 一 環 で あ る と い え よ う.こ
の音素
を 支 え る 対 応 は,非 で は,bで
常 に 少 な い. と ころ が現 実 の言 語
は な く て,pがhか
こ とが よ くみ ら れ る.ケ Lat.
らゼ ロに な って い る
ル ト語 は,そ
の 一 例 で あ る.
〔ラ テ ン 語 〕pater(英father):OIr.〔
い て,現
は
法 を も ち,そ
来bで
あ っ た の で は な い か と い う 推 測 も 出 され
た こ と が あ っ た .こ の よ う な 疑 問 に 対 し て は,b,d,g
い . グ ル ジ ア の ガ ン ク レ リゼ(T.B.〓) と ソ ビ エ トの イ ヴ ァ ー ノ フ(B.B.〓)は,こ
の
欧 語 の破 裂 音 の組 織 の再 検 討 を提
以 下 に掲 載 され た
der
und
die
Rekonstruktion
gemeinindogermanischen
題 す る 論 文 で あ る.こ
Verschlusse")と
こで は,従
す る.こ
列 を 考 え る.そ
し て,
門 化 音),bhはb/bh,pはp/phと のp'の
仮 定 に は,著
制 に よ る基 本 的
ン ド と ギ リ シ ア で 著 し く一 致 し て
オ リ ス ト,完
説 法,命
了 の3区
分 で あ る.法
令 法 の ほ か に 接 続 法,さ
仮定
者 の 母 語 で あ るカ フ カ
ッ タ イ ト語 が 発 見 さ れ て,印
っ た . こ の 言 語 は,先 致 し て い る が,ま
の 違 い も 目 に つ く.た
名 詞 の 性 に し て も,ヒ 中 性 に 対 立 し て い る.は
た し て,こ
い う べ き2性
ル メ ニ ア 語 を 除 く多 くの 言 語
組 織 が,ア
の 生 物,無
ル メ ニ ア 語 の よ う に,性
こ の 言 語 は イ ン ド語 派 に 近 い 組 織 を も っ て い る . し か し,複
数 形 に は 穴 が あ っ て,独 ま り,単
自の 奪格 と具格 は 使わ
数 形 の 奪 格 ‐az(a)と
にそ の ま ま で よ り古 い層 を表 わ す こ と
れ て い る.複
数 の 与 ・奪 ・具 格 に,ゲ
ス ラ ブ の3派
は 共 通 の 語 尾*‐m‐
く り広 げ ら れ て い る が,問
そ の 他 の 語 派 は*‐bh‐
系列 の 仮
の 帯 気 性 と い う音 声 的 性 質 は,そ
こ
れ に 対 応 す る一 連 の
と,こ
ル マ ン,バ
と も複 数 形 に つ い て は,こ
い う推 定 が 可 能 に な っ て く る .
だ 形 成 さ れ て い な か っ た の で は な い か,と
お け る そ の 現 わ れ を 説 明 す る」 と著 者 は 述 べ て い る と
動 詞 組 織 に つ い て み る な ら ば,ヒ
お り,こ
ン ス ク リ ッ トや ギ リ シ ア 語 と違 っ て,現
容 易 に と ら え ら れ る か ら で あ る. 印 欧 語 研 究 は,サ
う2つ
ン ス ク リ ッ ト と ギ リ シ ア 語,ラ
ン 語 と の 類 似 が き っ か け と な っ て 誕 生 し た,そ に,長
い 間,こ
の ため
れ ら の 語 派 が 一 致 し て 示 す 組 織 が,す
べ て の 点 で も っ と も 古 く,そ と 考 え られ て き た.そ 再 建 は,「
テ
れ が 祖語 を 反映 し てい る
の 結 果,ブ
と え ば,名 あ り,格
の 伝 統 は 根 強 か っ た.た
詞 の 性 に し て も,男,女,中 も,イ
ン ド語 派 な ら ば,主
文 法 的 な 格 の ほ か に,具
・奪 ・於(ま
の 区別 が
・対 ・属
・与 格 の とい
う具 体 的 な 関 係 を 表 わ す 格 が 使 わ れ て い る. こ れ に 多 くの 場 合,主
格 と同 形 な が ら,呼
格 を加 え る と,8格 マ ン語 は,な
格 とい う よび か け の
の 区 別 が あ る.ギ
リ シ ア 語,ゲ
ぜ か 文 法 的 な 格 し か も た な い が,ラ
し か も た な い.し
か し,ど
Goth. 〔ゴ ー ト語 〕greipan‐graip「
ル テ ン
ち
つかむ」
の よ う に,語
幹 に 変 化 が み ら れ る.こ
知 る」
ッ タ イ ト語 は,noscoと
れ に 対 し て,ヒ
同 じ現 在 形 の マ ー ク で あ る
‐sk‐ を ふ くむ 動 詞 で も,daskizzi‐daskit「(く
の3性
た は 地)格
説 法 と命 令
テ ン語 も語 幹 と
Lat. 〔ラ テ ン 語 〕nosco‐novi「
わ ず か の ス ラ ブ 語 と バ ル ト語 の そ れ を 加 え た も の 」 と い う批 判 も き か れ た ほ ど,こ
も,直
ら も,
ル ー クマ ンの 祖 語 の
ら に,
在 と過 去 とい
の現 在 と過去 とい う対
ル マ ン語 に も み ら れ る し,ラ
して は 現 在 と完 了 の2つ
サ ン ス ク リ ッ ト と ギ リ シ ア 語 を 混 ぜ て,こ
れ に ラ テ ン 語 と ゲ ル マ ン 語 の ス パ イ ス を 加 え,さ
ッ タ イ ト語 は,サ
の 時 制 し か も っ て い な い.法
法 の 区 別 が あ る に す ぎ な い.こ 立 は,ゲ
なく
れ ら具 体 的 な 格 は 祖 語 の 段
階 で は,ま
語 派 へ の流 れ は比 較 的
ル ト,
を もつ の に 対 し て,
を ふ くむ 語 尾 を 示 す と い う 事 実
の 通 時 的 な 変 化 と,歴
の 仮 定 を 認 め れ ば,各
具 格 ‐it に併 用 さ
の ヒ ッ タ イ ト語 の 穴 を 合 わ せ て み る と,少
閉 鎖 音 の 関 与 的 な 特 徴 で あ り,こ れ が,そ れ ら(閉 鎖 音) 史 的 に 実証 され て い る諸 言 語 に
の
喪 失 の 過 程 に あ る と み る べ きだ ろ うか.格 に つ い て は,
に な る. この 東 欧 圏 の学 者 の新 説 を うけて 賛 否 両 論 が
つ い て は,「
生物 と
の そ れ よ り も 古 い 状 態 を 反 映 して い る の か,そ
れ と も ヒ ッ タ イ ト語 は,ア
れ ら は 数 の 対 立 が な く,単,複
にp'の
と え ば,
ッ タ イ ト語 で は 男 ・女 共 通 性 が
に 限 っ て,そ
ル マ ン 語 の よ う に 音 韻 推 移 を 経 た と考 え ら れ て
欧語の中
に あ げた 諸 言 語 と多 くの 点 で一
た,そ
と,ゲ
題 は,主
の
れ が も っ と も 古 い 文 献 を もつ こ と が 明 ら か に な
れ て い な い.つ
定 に あ る .b/bh,p/phのbh,phに
らに願 望
欧 語 の比 較 研 究 を促 進 す る原 動 力 で
ー ス の言 語 の 知 識 が 活 用 され て い る. この解 釈 を採 る
き た 言 語 が,逆
も
れ ぞ れ に 異 な る 語 幹 を 使 っ て い る.こ
と こ ろ が,ヒ
の3性
来の無声帯気音の系
列 を は ず し,b,bh,pの3系 bはp'(声
ー ジ
「言 語 類 型 論 と 共 通 印 欧 語 閉 鎖 音 の
再 建 」("Sprachtypologie
在,ア
よ う な 一 致 が,印
で,こ
案 し た . そ れ がPhonetica27巻(1973)の150ペ
ン ド語 派 に 近 い 区 別 を
あ っ た こ と は 疑 い な い.
の 有 声 破 裂 音 の 系列 全 体 が 考 慮 され な け れ ば な らな
点 か ら 出 発 し て,印
ル ト語 は,イ
詞 に つ い て み る と,時
な 語 幹 の 区 別 は,イ
同 様 に,直
の 対 応 の 少 な い 祖 語 のbは,本
な くて,pで
ラ ブ 語,バ
も っ て い る.動
古
ア イ ル ラ ン ド語 〕athir. そ こ で,こ
語,ス
と る 」 の よ う に,現 る.こ
れ は,ゲ
在 形 の 語 幹dask‐
り 返 し)
を固定 して い
ル マ ン 語 の 弱 変 化 の 動 詞 と 同 じ で,印
欧 語 と し て は 新 しい す が た だ と い わ ざ る を え な い.そ れ は, Lat.jungo‐jung‐s‐i>junxi「
しば る」
の 場 合 に,現 在 語 幹 の マ ー ク で あ る ‐n‐が,vinco‐vici 「征 服 す る 」 の よ う に 完 了 形 で 消 え な い で,そ
の まま
残 っ て い る,現
在形 中心 の組 織 に似 て い る. この よ う
‐si,‐tiの
前 に,‐m,‐s,‐tの
存在 が考 え られ な け れ
ば な ら な い . 後 者 は 過 去 時 制 で あ り,前
者 は 現 在形 で
語 派 や ギ リシア 語 派 の よ うな複 雑 な組 織 が 単 純 化 した
あ る.こ
ッ タ イ ト語 の
も の と 考 え ら れ よ う.こ
動 詞 組 織 に 通 じ る.
な 事 実 を み る と,ヒ
ッ タ イ ト語 の 動 詞 組 織 は,イ
の 簡 素 化 は,格
ン ド
の 融 合,消
失
に 似 て い る.
ま た,ヒ
と こ ろ が,こ 解 釈 も,ま
の よ うな 単 純 な 組 織 の方 が古 い とい う
っ た く不 可 能 な わ け で は な い.Skr.asti,
Gr.〔 ギ リ シ ア 語 〕 に 英isを
〓 と,Lat.est,独ist,さ
比 較 す れ ば,明
て い る.そ
こ で,こ
ら
らか に語 尾 の 部分 が 消 失 し
の 考 え 方 に 立 て ば,現
2.3.sg.*‐mi,‐si,‐ti,3.pl.
在 形 の1.
‐ntiと,過
現 わ れ る同 じ 人 称 語 尾*‐m,‐s,‐t,‐ntと 前 者 が 古 く,後
去形 に
の 間 で は,
者 は そ こ か ら つ く ら れ た とみ る の が 自
然 だ ろ う.と
こ ろ が,こ
う な 形 が,イ
ン ド語 派 の 古 い 文 献 に 活 躍 す る,に
接 続 法(injunctivus)と
の解 釈 に疑 問 を投 げ か け る よ
時 制 の 形 か ら,過
あ る加 音(augmentum)a‐
れ は,
去のマークで
を と り除 い た形 で あ る.
た と え ば,Skr.bhu‐
「… で あ る 」 と い う語 根 の ア オ
リ ス トがabhutで 形 はbhutで
せの
よ ば れ る 形 で あ る.こ
過 去 に 関 係 す る 第2次
あ る な ら ば,そ
あ る.未
(pres.bhavati)で
典期 に は も っ
と も に 禁 止 に用 い ら れ て い る が,ヴ
ェー ダ 時 代 に は,こ
の ほ か に,時
制 とか 法 に は 中立 的
の 動 詞 の 行 為 そ の も の を 端 的 に 表 わ す とい う 用
法 が 多 い.そ
し て,命
令 形,願
望 法 形,接
kada
martam
iva
sphurat/kada
anga
(RV〔
aradhasam
ksumpam
susravad
gira
イ プ と い う,語
こ で,こ
の ‐hiタ イ プ の 人 称 語 尾 を み る
と, 1.2.3.sg.‐ahhi,‐atti,‐ai/‐i,3.pl.‐anzi で あ る が,こ
の 単 数 形 の 古 い 形 と し て,‐ahhe,‐atte,
‐eと い う ‐eを も つ 語 尾 が 指 摘 され て い る . こ の 形 は 本 来,*‐hai,‐tai,‐aiで こ こ に も,‐iの な る.そ
あ っ た と解 釈 さ れ る か ら,
要素 が 加 え られて い る こ とが 明 らか に
の 証 拠 に,こ
の
‐iを 除 い た*‐ha,‐ta,‐a
去 時 制 の 語 尾 に 基 本 的 に 一 致 す る.す
た も の で あ り,ル 2人 称 は,‐attaで
ウ ィ ー 語 に ‐ahhaが
残 ってい る.
あ る か ら 問 題 は な い.3人
根 の 拡 大 辞 で,本
こ で,こ
れ ら の 現 在 型 の 語 尾*‐hai,tai,‐aiは,
来 の 語 尾 は ‐aで あ る . そ
れ は,ラ
再 建 さ れ る とす る と,こ
テ ン 語 の 完 了 形 の 語 尾 ‐i,‐(is)ti,‐i(t)と た,‐iを
と っ た 過 去 形 は,サ
「す る 」)に 見 い だ さ れ る . と い う こ と は,こ
わ け で あ る か ら,完
了 は,行
れ は 本 来,能
れ と 同 じ よ う に,
為 の結 果 の現 在 の 状 態 と
動 に 対 す る 中 間 態 と理 解 す る 了 の形 の 跡づ け が で
ッ タ イ ト語 の 動 詞 組 織 は,他
の 言 語 の3項
時 制 の そ れ よ り も 古 い と い う 解 釈 は 誤 り と は い え ず, 来
ろ う.英
語 の 歴 史 も こ れ に 似 て い る.と
の典 型 で あ こ ろ が,ヒ
ッ
タ イ ト語 の よ う な 単 純 な 組 織 が よ り 古 い と み れ ば,ア
称 単 数 の 語 尾 だ け が,
オ リ ス トを も つ イ ン ド語 派 や ギ リ シ ア 語 派 の よ う な 複
と い う語 幹 に つ け ら れ
雑 化 し て い く過 程 を 説 明 し な け れ ば な ら な い.こ
「こ の 」 時 点 を 指 示 す る要 素,す
と い う指 示 代 名 詞 の*ei‐/i‐
れ
の 言語 の完 了形 に相 当す る
こ こ に 比 較 文 法 の 転 換 が 要 求 され る こ と に な る.従
詞 に お い て も,
の よ う な 形 の い ず れ か に,‐iと
Skr.ayam,Lat.is,Goth.is「
一
ンス ク リッ ト
は,複 雑 な 組 織 か ら の 単 純 化 が も っ ぱ ら問 題 で あ っ た.
い う3人
る い はbhava‐
て い る に す ぎ な い.こ
称 ‐asの
‐sは ,語
き る と,ヒ っ と
い う 形 に は,な に も時 制 を 指 示
す る も の が な く,‐tと
な わ ち,
詞 の 語 尾 か ら入 っ
ラ テ ン 語 か ら ロ マ ン ス 諸 語 へ の 流 れ は,そ
(inj.)bhut,bhavatと
幹 形 成母
用 い た 規 則 変 化 の形 式 が新 しい こ と を示 唆
して い る.そ
こ とが で き よ う. この よ う に,完
ン ドラ よ」
ん の 語 尾 もつ い て い な い.そ
形bhavat‐iに
音e/oを
み れ ば,こ
(nom.sg.)Skr,nama,Gr,〓,Lat.
い う,現 在 の
れ は,thematicタ
の ‐hiタ イ プ の 変 化 は,他
nomen(英name)
語 根bhu‐,あ
い る.こ
彼(イ
い つ 我 ら が 讃 歌 を 聴 き と ど け る の か(susravad,
に は,な
‐hiと い う2
型 に 分 か れ ず に,‐miと
つ の異 な る人 称 変 化 をす る タイ プ に よ って 構 成 され て
の 完 了 の 同 じ人 称 形cakar‐a,cakar‐tha,cakar‐a
つ そ の 足 で け ち くさい 人 間 を き の
も原 始 的 な 形 な の で は な い か.名
い う 「語 幹
athematicの
(kar‐
こ の 時 制 や 法 の 対 立 を もた な い 動 詞 の 形 こ そ,も
‐miと
ン ド語 派
れ を用 い な い
indro
こ の よ う に 蹴 飛 ば す の か(sphurat,pres.inj.),
pf.subj.),イ
や ギ リ シ ア 語 派 の(1.sg.)‐oと
致 す る.ま
リグ ・ ヴ ェ ー ダ 〕I.84.8)「
ン ド ラ 神)は,い
れ
と え ば, pada
nah
ッ タ イ ト語 の 現 在 形 の 組 織 は,イ
*‐Hoi,‐t(H)oi,‐oi/eiと
続 法 形,そ
し て 直 説 法 形 と 連 続 した コ ン テ キ ス トに お い て,そ ぞ れ の 法 に 単 純 に 同 化 し て し ま う.た
制 の 対 立 は,ヒ
1.sg.‐ahhunの‐unは,‐mi動
ら ば,bhavat
の 形 は,古
幹 の2時
形 成 母 音 」 を 用 い るthematicと,こ
は,過
のinjunctivusの
完 了abhavatな あ る.こ
ぱ ら 否 定 詞maと
な,そ
の1語
な わ ち,
この 」 が 加 え られ た の が,現
な る と す れ ば,1.2.3.sg.*‐mi,
つ の 立 場 の 選 択 に あ た っ て,よ
これ も回 答 を せ ま ら れ る 課 題 で あ る. こ の よ う に,ヒ
在
の2
る べ き規 準 は な に か.
ッ タ イ ト語 の 研 究 に 伴 っ て,印
欧語
の 文 法 組 織 につ い て の 伝 統 的 な解 釈 は再 検 討 をせ ま ら れ て い る が,印
欧 語 の 屈 折 的 な 性 格 に つ い て は,19世
紀 の 初 頭 以 来,疑 き た.印
う余 地 の な い事 実 と して認 め られ て
欧 語 全 体 の 流 れ と し て は,孤
が 随 所 に 現 わ れ て い る.そ を,ド
れ は,英
立語化へ の傾向 語 や ヒンデ ィ ー語
イ ツ 語 や ロ シ ア 語 と く ら べ れ ば 明 ら か で あ る.
英 語 で は,か
つ て は,他
のゲ ル マ ン語 と同 じ よ う に も
っ て い た 名 詞 の 性,格,動
詞 の 人 称 変 化 な ど は,ほ
ん ど 消 滅 し て し ま っ た.そ
し て,動
の 区 別 も,助 mentionと
詞 の 時 制や 態 や 法
次 に 示 す の は,印 で あ る.各 り相 違
い う形 が,動
れ に 反 し て,古
な 典 型 的 な 屈 折 語 で,1つ
rexi「 能 動,直
称 ,単
語 で も,sing,sang,sungと
形 態 論 を そ の ま ま 伝 え て い る.大 彙 を 借 用 し,比 ア 語 で も,名
詞 に は,2つ
・対 ・属 ・与 ・奪
詞 は,現
在 と未完 了 と して,接
続 法,
願 望 法 と い う法 の 区別 も 維 持 され て い る. ヒッ
英is,独ist
,
ド語 〕mo〓er,Toch.Amacar
,
〔リ ト ア ニ ア 語 〕broter‐elis,Arm.〔 語 〕elbayr,Gr.
ア ル メ ニ ア 「フ ラ ー
ト リア の 一
〓ar,Toch.Apracar,Bprocer 4)英son―Skr.sunu‐,Av.hunu‐
,OCS.
synu,Lith.sunus,Gr.〓
,Goth.
5)英daughter―Skr.duhitar‐,Av
.〓
‐,
世 紀 に印 欧 語 の比 較
研 究 を 発 展 させ る 大 き な 要 因 と な っ た . こ れ は,こ 言 語 の も つ 屈 折 的 な 性 格 に よ る も の で,具 語 尾,人
嫁 」―Skr.snusa‐,OCS
.snu ,OE.
〔古 英 語 〕snoru
見 して互 い に関 連 す る と
思 わ れ る 形 が 示 さ れ た こ と が,前
.
xa,Arm.nu,Gr.〓,Lat.nurus
「は こ ぶ 」
を 表 わ す 語 根 部 だ け で,格
〓
員 」,Lat.frater,OIr.brathir,Goth.bro
6)独Schnur「
は こ ぶ 」,(2.pl.ipf.)Skr.
の よ う な 人 称 語 尾 に ま で,一
ア ヴ ェ
dauhtar,Toch.Aekacar,Btkacer
Skr.(1.pl.pres.)bharamah:Gr.〓:
abharata:Gr.〓
,Av.〔 bratu),Lith.
OCS.dusti,Lith,dukte,Arm.dustr,Goth
ぼ 完 全 な 一 致 で な く と も,
の
体 的 な意 味
称 語 尾,あ
るい は
接 尾 辞 な ど の 文 法 的 要 素 の 比 較 が で き な け れ ば,こ 語 族 の 設 定 は 容 易 で は な か っ た で あ ろ う.と
の
7)独Schwaher「
欧 諸 語 は,そ
い る か ら,同
じ 文 法 機 能 を もつ 形 で も か な り 大 き な 違
れ ぞ れ に違 った 変 化 を経 て
彙 の 対 応 も一 様 で は な い.た
と
え ば,英water,独Wasserは,
舅 」―Skr.svasura‐
,Av.
xvasura‐,Lith.sesuras,Gr.〓,Lat. socer,OHG.〔
古 高 地
ド イ ツ 語 〕swehur,Alb
〔ア ル バ ニ ア 語 〕vjeh〓rr 8)独Schwieger(‐mutter)「
姑 」―Skr.sv
asru‐,OCS.svekry,Arm.skesur,Gr.
同 時 に,
一 方 で は ,印
〓,Welsh〔
ウ ェ ー ル ズ 語 〕chwegr,Goth.
swaihro,OHG.swigar 9)英fee―Skr.pasu‐
「家 畜,獣
」,Av.pasu‐,
Lith.pekus,Lat.pecu,pecus,Goth.faihu 10)英cow―Skr.gauh,Av.gaus,OCS.
Skr.(nom.)udan,(gen.)udnah,Gr.
govedo,Arm.kov,Gr.〓,Lat.bos,
〓,Hitt.watar,wetenas,Goth.wato,
Ir.
watins
A
の よ う な 対 応 と 格 変 化 を も っ て い る.こ
の よ う な ,一
〔ア イ ル ラ ン ド 語 〕bo,OHG.chuo,Toch. ko
11)英(Phil)ip「
馬(を
愛 す る)」 ―Skr.asva‐,
見 無 関 係 と思 わ れ る 多 様 な違 いの 中 に一 致 が 見 い だ さ
Av.aspa‐,Lith.(f)asva,Gr.〓,Lat.
れ た の は,そ
equus,Ir.ech,OE.eoh,Toch.Ayuk,B
こ に,一
,
sunus,Toch.Ase,Bsoy
Skr.asti:Gr.〓:Lat.est:Hitt.〔
い を 示 し て い る し,語
古 ノ ル
ス タ 語 〕bratar‐,OCS.bratr
い印欧語の
量 に ラテ ン語 か ら語
の 性 と,主
の 変 化 が あ り,動
Goth.bairam「
,B
,
3)英brother―Skr.bhratar‐
い う母 音
単 純 過 去 の 人 称 変 化 を も っ て い る.そ
の よ う な,ほ
,
〕Apacar
〔古 代 教 会 ス ラ ブ 語 〕mati,Arm.mayr
ONorse〔
較 的 新 しい 資 料 し か も た な い ア ル バ ニ
タ イ ト語 〕eszi―
言)語
Bmacer
交 替 に よ る 動 詞 の 時 制 と 分 詞 の 区 別 は,古
格 と い う5格
数,
代 の 印 欧 語 に もな ん らかの 形 で継 承 さ
れ て い る.英
〔ト カ ラ(A,B方
Gr.〓,Lat.mater,OIr.mathir
接 法.
こ の 特 徴 は,近
,Arm.
pacer
酒 」;中 性,単 数 ,主 格 ま た は 対 格, 完 了1人
な
お 古 い
2)英mother―Skr.matar‐,Av.matar‐ OCS.
支 配 す る 」;regereの
く の 形 に は,な
OIr. 〔古 ア イ ル ラ ン ド 語 〕athir,Goth.fadar Toch.
文 法 的 機 能 を 担 っ て い る. Lat.vinum「
も多
〔ア ル メ ニ ア 語 〕hayr,Gr.〓,Lat.pater,
い 印欧
の 形 が い くつ もの
れ ぞ れ の 変 化 の 結 果,か
れ で
《対 応 例 》
うした 範 疇 の違 い を 示 す
印 が な い とい う こ と で あ る.こ
語 派 の 形 は,そ
し て い る が,そ
1)英father―Skr.pitar‐,Av.pitar‐
詞 に も名 詞 に も使 わ れ る と い
の 形 自 体 に,そ
欧 諸 語 の 代 表 的 な 語 彙 の 主 な 対 応
形 態 論 的 な 特 徴 が う か が わ れ る .
動 詞 に よ る迂 説 的 表 現 を 多 用 し て い る.
う こ と は,そ
語 は,み
と
い た か ら で あ る.
定 の 形 態 論 的 な 原 則 が 支 配 して
.
Lith.du,Arm.erku,Gr.〓,Lat.duo,
yakwe
OIr.dau,Goth.twai,Alb.du
12)英hound―Skr.svan‐,Av.span‐,Lith.
26)英four―Skr.catvara‐,Av.ca〓wara‐,
s uo(gen.suns),Arm.sun,Gr.〓,Lat. canis,OIr.cu(gen.con),Goth.hunds,
OCS.cetyre,Lith.keturi,Arm.corkh,
Toch.ABku
Gr.〓,Lat.quattuor,OIr.cethir,
13)英wolf―Skr.vrka‐,Av.v〓hrka‐,OCS.
Goth.fidwor,Toch.Astwar,B
stwer
27)英ten―Skr.dasa,Av.dasa,OCS.
vliku,Lith.vilkas,Gr.〓,Lat.lupus,
deseti,Lith.desimt,Arm.tasn,Gr.
Goth.wulfs,Toch.Bwalkwe 14)英mouse―Skr.mus‐,OCS.mysi,Arm.
〓 ,Lat.decem,OIr.deichn,Goth,tai
mukn,Gr.〓,Lat.mus,OHG.mus,
hun,Toch.A
Alb.mi
sak,B
sak
28)英hundred―Skr.satam,Av.sat〓m,
15)英tree―Skr.daru‐,Av.dauru,OCS.
OCS.suto,Lith.simtas,Gr.〓,Lat.
drevo,Lith.derva,Gr.〓,OIr.daur
centum,OIr.cet,Goth.hund,Toch.A
「か し の 木 」,Goth.triu,Hitt.taru 16)英rota(te)―Skr.ratha‐
kant,B 「車 」,Av.
kante
29)英do―Skr.dadhati,Av.da〓aiti,OCS.
ra〓a‐,Lith.ratas,Lat.rota,OIr.roth,
deti,Lith.deti,Arm.dnem,Gr.〓,
OHG.rad
Lat.facere「
17)英heart―Skr.hrd‐,Av.z〓r〓d‐,OCS.
「お
srudlce,Lith.sirdis,Gr.〓,Lat.cor
30)仏mourir「
す る 」,OHG.tuon,Hitt.dai
く 」,Toch.Ata‐,tas‐,Btes‐,tas‐ 死 ぬ 」―Skr.mriyate,Av.
(gen.cordis),OIr.cride,Goth.hairto,
miryeite,OCS.mreti,Lith.mirti,Lat.
Hitt.kardi‐
morior,Hitt.mer‐
18)英nose―Skr.nas‐,nasa‐,Av.nah,
31)英eat―Skr.atti,Av.(subj.)a〓aiti,
OCS.nosu,Lith.nosis,Lat.naris,OHG.
OCS.esti,Lith.esti,Arm.utem,Gr.〓
nasa
,Lat.edo,Goth.itan,Hitt.et‐
19)英tooth―Skr.danta‐,Av.data‐,Lith.
32)英know―Skr.janati,Av.(pl.)‐zan〓
‐
nti,OCS.znati,Lith.zinoti,Arm.(Aor.)
dantis,Arm.atamn,Gr.〓(gen.
caneay,Gr.〓,Lat.nosco,OIr.
〓),Lat.dens,OIr.det,Goth.tun〓u,
‐gninim,Goth.kunnan
OHG.zand 20)英nail―Skr.nakha‐,OCS.noguti,
33)英is―Skr.asti,Av.asti,OCS.jesti, Lith.esti,Gr.〓,Lat.est,OIr.is,
Lith.nagutis,Gr.〓,Lat.unguis,OIr.
Goth.ist,Hitt.eszi
ingen,OHG.nagal 21)英knee―Skr.janu‐,Av.znu‐,Arm. (pl.)cunr,Gr.〓,Lat.genu,Goth. kniu,Hitt.genu,Toch.Akanw,Bkeni 22)英foot―Skr.pad‐,Av.pad‐,Arm. (pl.)otn,Gr.〓(gen.〓),Lat.pes (gen.pedis),Goth.fotus,Hitt.pata‐,
[語 派 間 の 交 渉]
23)英red―Skr.rudhira‐,OCS.ruduru,
い.し
の 先 史 時 代
に お け る 動
た が っ て,各
こ と も む ず か し い が,イ 確 実 に,も
と は1つ
ら は,と
ン ド と イ ラ ン の 両 語 派 だ け は,
と 称 し て い る し,な
に
よ り も そ の 言 語 の 古 層 は あ ま り に 類 似 が 著 し く,こ
も に ア ー
リア 人
の
両 派 は,英
た と す ら 推 定
さ れ て い る.こ
ratre
と ス ラ ブ,イ
タ リ ッ ク と ケ ル
語 と ドイ ツ 語 よ り さ ら に 密 接 な 関 係 に あ っ
返 し 論 じ ら れ て き た が,い
mazoi,Arm.mec,Gr.〓,Lat.ma
現 在 で は,バ
gnus,MIr.〔
い と い え よ う .
ル
各 語 派 の 間 に は,い
「大 き い 」
し た が っ て,ど を 考 え る 上 に1つ
の 仮 定 を 除
く と,バ
ル
ト
トの 言 語 的 な 統 一 が く り
ず れ に も 強 い 反 対 が あ る.
ト と ス ラ ブ 間 の 統 一 の 方 に 賛 成 者 が 多
th.mikils,ONorsemiok,Hitt.mekis
25)英two―Skr.dva,Av.dva‐,OCS.duva,
れ
と ん ど 分 か ら な
の 共 同 体 を な し て い た と 考 え ら れ
Ir.ruad,Goth.rau〓s,Toch.Artar,B
中 期 ア イ ル ラ ン ド 語 〕maige,Go
き は,ほ
語 派 の 間 の 交 渉 を 正 確 に と ら え る
Lith.raudas,Gr.〓,Lat.ruber,
24)英mag(nify)―Skr.maha‐,Av.(dat.)
の 文 献 の
始 ま り か ら 歴 史 上 の 位 置 に つ い て し ま っ て い て,そ 以 前
る.彼
Toch.Ape,Bpaiyye
印 欧 語 の 各 語 派 は,そ
ろ い ろ な 等 語 線 が 交 錯
の 等 語 線 を 重 視 す る か が,語 の 重 要 な 決 め 手
と な る.た
し て い る. 派 の 関 係 と え ば,
動 詞 の 接 頭 辞 的 な 要 素 で あ るaugmentum(加 よ ば れ る 母 音 の 使 用 は,イ
音)と
ン ド ・イ ラ ン,ア
ル メ ニ ア,
派 と イ ラ ン 語 派 を 中 央 か ら け ず っ て い る. 文 法 的 な 要 素 は 別 に し て,語 彙 だ け に つ い て み て も,
ギ リ シ ア と い う,地 域 的 に 連 な る 語 派 に 認 め られ る.し
あ る 特 定 の 語 派 だ け に 対 応 が 認 め られ る 例 が あ る.た
か し,そ
と え ば,
の使 い方 は決 して 一 様 で は な い. この よ うな
内 容 の 違 い も考 慮 さ れ る べ き だ ろ う.*s>hの イ ラ ン,ア
ル メ ニ ア,ギ
こ の よ う な 変 化 は,ど
リ シ ア の3派
に み られ る が,
こ に も お こ りや す い 変 化 で あ る.
こ れ に 対 し て,i,u,r,kの 変 化 が,イ
変 化 も,
ラ ブ,(バ
ル ト)と い う,
い わ ゆ る サ テ ム 群 の 一 連 の 語 派 に 起 こ っ て い る.こ よ う な 共 通 の 変 化 は,注
目 に 価 す る.等
の
語 線 と し て,
と い う印 欧 語 の2大
区 分 は,*kとkwに
基 づ く も の で あ る が,ヒ 派 が,と
つ い て,東
はkとqu(p,t)と
い う明 瞭 な 違 い に
ッ タ イ ト と トカ ラ の 新 入 の 語
も に 歴 史 上 の 位 置 に 反 し て,西
た た め に,こ
の特 徴 を示 し
の等 語 線 は か つ て ほ どの魅 力 を失 っ て し
理 論 と し て 認 め ら れ て き た.こ theoryに
ば し ば有 効 な
の い わ ゆ るmarginal
と え ば,ケ ン ト ゥ ム 群 と サ テ ム 群 の 差 別 を,
後 者 を 中 央 部 に 配 し て 考 え て み る.そ の 場 合,*k>s, *kw>kの 変 化 が 中 央 か ら広 が っ て い っ て ,周 辺 の 西 群 の 諸 言 語 と,ヒ
ッ タ イ ト ・ トカ ラ 語 派 に は 及 ば な か
っ た と解 釈 す る こ と が で き る.か Meillet)は,中 ラ ブ,ギ
央 に,イ
リ シ ア,ゲ
つ て,メ
イ エ(A.
ン ド ・イ ラ ン,バ
Lat.vates「予
カ ラ,ア
西 の周 辺
と い う 対 応 は,イ
し て 認 め ら れ る.し
か し,メ
イ エ が 規 準 と し た の は, 愛 され る 」 の よ う な,
動 詞 の 中 動 ・受 動 態 の ‐r(‐)の 語 尾 と,名 性 の 区 別 で あ っ た . し か し,こ
詞 の 男 ・女
の 規 準 が本 当 に妥 当か
ど う か は 問 題 で あ る.
ル ト,ゲ
ル マ ン の3語
の よ う な 場 合 に は,こ
オス
か ら 借 用 し た もの か,あ
る い は 新 し く派 生 し た か,い
接 す る これ ら の 語 派 が も つ 新 し い 語
彙 層 に 属 す る も の と考 え られ る.と
こ ろ が,歴
史上 の
位 置 は ま っ た く離 れ た イ ン ド ・イ ラ ン語 派 と,イ ッ ク,ケ
ル ト とい う周 辺 の 両 派 の 間 に も,同
特 殊 な 形 が 共 存 し て い る.た
「心 を(?)お
ず
る」 Skr.rayi‐,Av.rayi‐
「財 産 」,Lat.res「
物事」
publica,英republic) 「王 」,Av.razan‐
rex,OIr.ri「
「規 定 」,Lat.
王」
Skr.prad‐(vivaka‐)「 Skr,pras‐
訴 え(を
き め る,裁 判 官)」,
「法 廷 で の 主 張 」,Lat.prex「
願
い」 Skr.ulba‐,Lat.volva,vulva「
子宮 」
こ の よ う な 対 応 は,そ
飲む」
の 形 か ら判 断 し て,お
語 の 時 代 の 伝 統 に 属 す る も の で あ ろ う.デ (G.Dumezil)に
ル メ ニ ア 語 派 に も み ら れ る.た
ン ド ・イ ラ ン 語 だ 用 法 が 違 うの
く,
信 ず る 」 とLat.credo,OIr.cretim「信
‐〓,Toch.AB‐tar,Hitt
これ ら に 代 表 さ れ る ‐r(‐)の 語 尾 は,イ
タ リ
じよ うに
と え ば,
Skr.sraddha‐,Av.zrazda‐
ク ・ウ ン ブ リ ア 語 〕 ‐ter,OIr.‐thar,Phryg. .‐tari
れ ら
の 話 し手 た ち が ど こかで 共 通 の 源
Skr.pibami,Lat.bibo,OIr.ibim「
(3.sg.pres.)Lat.‐tur,Osc‐Umbr.〔
派,ア
タ リ ッ ク,ケ
の3派
(Lat.res
範 疇 の 名 残 りが 共 通
左 の 」,
左 の」
派 に 特 有 の もの で あ る.こ
Skr.rajan‐
Lat.amatur(3.sg.pass.)「
吉 な 」,MIr.cle「
Goth.hleiduma「
ル メ ニ ア と,イ タ リ ッ ク,
詞 や 動 詞 の 両 数(dual)の
人 」,
と りつ か れ て い る 」
Lat.clivius「不
ケ ル トの 諸 派 を 配 置 し た . こ の 中 央 に お か れ た 諸 派 に は,名
ッ タ イ ト,ト
言 者 」,OIr.faith「詩
さ ら に は,
ル ト,ス
ル マ ン の 諸 派 を お き,東
芽 」,Goth.
とげ」
ず れ に し て も,隣
よっ て 印欧 祖語 にお け る 諸 派 の分 布 を考 え
る と き,た
に,ヒ
gazds「
竿,投 槍 」,MIr.gat「
あ る い は,
の 語 彙 は,こ
ま っ た. 辺 境 に 古 い 形 が 残 る と い う仮 説 は,し
魚」
Goth.wods(独wut)「
も っ と も有 名 な ケ ン ト ゥ ム と サ テ ム(centum‐sat〓m)
はsとk,西
fisks(英fish)「 と か, Lat.hasta「
後 に お け る*s>s,sの
ン ド ・イ ラ ン,ス
Lat.piscis(仏poisson),OIr.iasc,Goth.
よれ ば,こ
の よ う に,宗
そ ら く祖 ュメ ジ ル 教,政
治,
社 会 に 関 係 す る 特 別 な 語 彙 が これ ら 東 西 の 語 派 で 一 致 す る の は,彼
ら の 祖 先 が 維 持 し て い た 僧 侶,王
侯,
で,同 列 に 扱 う の に は 疑 問 が あ る が,ま っ た く関 係 が な
庶 民 と い う3階
層 の 社会 構 成 の 理 念 の 現 わ れ で あ る
い と も い え な い.ま
た,Hitt.(1.3.sg.)‐hari,‐tari
(L'ideologie
tripartie
の ‐riの 使 用 は,ラ
テ ン語 の よ うに確 立 して は い ない
Bruxelles,1955,『
状 態 に あ る.こ た の か,あ
の
‐r(‐)の 要 素 が,祖
る い はGr.〓
語 の もの で あ っ
「そ こ で,だ
か ら」 の よ
[故 郷 問 題] 題 は,こ
れ ま で く り返 し 論 議 され て き た.印
い う概 念 は,本 来,言
もの な の か,明
て い る の は,各
に イ ン ド語
Indo‐Europeens,
印 欧 語 族 の 故 郷 は ど こか,と
うな小 詞 が これ らの 語 派 で 語 尾 に 吸収 され て 固 定 した ら か で な い . メ イ エ も,後
des
神 々 の 構 造 』 松 村 一 男 訳,1987). い う問 欧語族 と
語 学 的 な も の で あ り,こ れ を 支 え
語 派 の 資 料 の 示 す 対 応 の 事 実 で あ る.
した が っ て,故 郷 を地 図 の 上 で 具体 的 に指 摘 す る こ と
tics of Proto‐Indo‐European
は,比 較 文 法 の 扱 い う る範 囲 を こえ て,本 来,歴 史 性
and
を もた ない 共 通 基 語 を歴 史 的 な 存在 とみ なす こ と に な
in History
る.に
studies
13,1985.ロ
ち は,山
岳,植
もかか わ らず,こ の 問 題 が と り上 げ られ るの は,
そ の究 明 には い ろい ろ な 方法 が考 え られ る.1つ は,
on
Studies
Indo‐European
シ ア 語 に よ る 原 文 は1980年
〓 物,農
業,輸
こ に 印 欧 語 とセ ム 語,そ
し て,南
カ ー ス 語 の カ ル ト ゥ ヴ ェ リ語(Kartvelian)と
そ の方 向 の集 ま る と ころ を選 ぶ とい う方 法 で あ る.こ
を 認 め る.た
れ が で きれ ば も っ と も確 実 で あ る と思 わ れ るが,実 際
はAkk.〔
に はむ ず か しい.各 語派 は 文献 の は じめ か ら歴 史 上 の
「甘 い 」 の 語 彙 が 一 致 す る.こ
位 置 につ いて い て,そ れ 以 前 の確 か な経 路 を記 憶 して
ら 借 用 し た,と
い な い か らで あ る.わ ず か に イ ン ド語 派 の話 し手 の 一
(英bee)は,エ
部 が,前14世
用 語 で あ る . 逆 に,印
紀 に,ヒ
ッ タイ トに 征 服 され た 小 ア ジ
と え ば,*medhu‐ ア ッ カ ド語 〕matq‐
の交渉
な ど,セ
ム 語 の*mtk
れ は,印 欧 語 が セ ム 語 か
著 者 た ち は み て い る.*bhei「蜜 ジ プ ト語bjtか
蜂」
らの 近東 に お け る借
欧語 起 源 の カ ル トゥヴ ェ リ語 と
し て は, *u〓 ‐el‐(IE .*iuk'‐om"yoke")
な 証 拠 しか な く,周 辺 の セ ム語 族 な ど の文 書 にそ れ ら
*e‐sw‐(IE
しい記 録 は残 され て い な い,彼
*diqa「
らが少 数 と はい え支 配
.*su‐"swine")
粘 土 」(IE
階 級 に あ った か ら こそ,そ の 固有 名 詞 が記 録 として残
*dew‐/dw‐
った わ けで あ るか ら,印 欧 語族 の優 秀 さ,と りわ け 馬
*gen‐/gn‐
くの 語 派 に分
カフ
「蜂 蜜 」(英mead)に
た こ とは確 か で あ るが,こ れ とて も,孤 立 した 言 語 的
の 調 教 にす ぐれ た 力 強 さは 明 らか で,多
者た
送 な どの語 彙 を検
各 語派 が 歴 史 上 の 位 置 に 至 る ま で の足 ど りを追 求 し,
ア の ミタ ンニ 王 国 を中 心 に,そ の 上層 階 級 を 占め て い
に,
に 発 表 さ れ た).著 物,動
討 し た 結 果,そ
Linguistic
Data",Soviet
22,1983=Journal of
や は り印欧 祖 語 が 再 建 され る以 上,そ の話 し手 が ど こ か に い た と考 え るの が 自然 だ か らで あ ろ う.
Based
Historico‐Cultural
な ど,多
.*dhegh‐om「
大 地 」)
「お く 」(IE・*dheH‐
〔u〕 ‐ 「お く 」)
「聞 く」(IE.*k'en‐/k'n‐
「知 る 」)
くの 語 彙 が あ げ られ て い る . そ し て,そ
の語
か れ た とはい え,こ の語 族 の もつ 力が,広 い 地 域 を 征
彙 を み る と,特
服 した の で あ る.こ の 小 ア ジア の イ ン ド ・ア ー リア 人
詞 や 身 体 の部 分 の よ うな 日常 の 用 語 ま で ふ くま れ て い
が,イ ン ドに入 って か ら,再 び か の地 に遠 征 した とは
る か ら,両
年 代的 に考 え られ な い か ら,こ れ は彼 らの祖 先 が 分 裂
え られ る.ま
た,IE.*k,en‐
して,そ の一 部 が 小 ア ジア に侵 入 した と推 定 され る.
リ語 〕*gen‐
の 関 係 か ら,声
この事 実 だ けで も,彼 らの 本 来 の居 住 地 が,イ
ン ドよ
殊 な 文 化 的 な 用 語 だ け で は な く て,数
者 の 接 触 は か な り親 密 な も の で あ っ た と 考 とkartv.〔
た 古 い 印 欧 語 の方 言 が そ こには 予 想 され る . 問題 とな
りは る か西 に あ った こ とを 示 唆 して い る.
る 語 彙 の 中 に は,現
在 の"wine"の
次 に有 効 と思 わ れ る方 法 は,印 欧語 族 と他 の 語 族 と
セ ム 語 の ほ か に,エ
ジ プ ト語,カ
の 接触 の解 明 で あ る.た とえ ば,イ
ン ド ・イ ラ ン語族
一 致 す る 形 が あ っ て,ど
よ う に,印
こが 源 か 分 か ら な い も の も あ
る.こ
った ら し く,多 くの この 語 派 に 特 徴的 な形 の借 用 語 が,
り う る 地 域 が 問 題 と な っ て く る.そ
の よ う な 接 触 を 重 視 す る と,当
フ ィ ン ・ウ ゴル 語 に認 め られ る.こ の事 実 は,こ の2
起 こ る た め に は,紀
元 前4千
つ の語 派 の話 し手 が,か つ て,フ ィ ン ・ウ ゴル 語族 の
ア ナ ト リア の 東,南
カ フ カ ー ス,北
て,ウ
にそっ
ラル 山 脈 に及 ぶ 地 域 に接 した と ころ に居 住 して
然,そ
れ の起 こ
こ で,こ
の接触が
年 代 に,原
印 欧 語 族 は,
メ ソ ポ タ ミア 一 帯
に 居 住 し て い た と 考 え な け れ ば な ら な い.こ
れ は,著
者 た ち の 予 想 す る 印 欧 語 族 の 故 郷 で あ る と同 時 に,著
い た こ と を示 唆 して い る.こ れ が そ の ま ま印 欧 語族 の
者 た ち 自 身 の 故 郷,あ
故 郷 で あ る と証 明 す る こ とは で きな いが,既 述 の イ ン
な ら な い.
ド・ ア ー リア 人 の 分 裂 か ら予 想 され る彼 らの 原 住 地 と,
欧語 と
ル ト ゥ ヴ ェ リ語 に も
は,フ ィ ン ・ウ ゴル 語族 と先 史 時代 に か な り交 渉 が あ
故 郷 と思 われ る ヴ ォ ル ガ 川 か ら カ マ(Kama)川
カ ル トゥベ
門 化 音 の 有声 化 が起 こ っ
る い は,そ
れ に近 い 地 域 に ほ か
こ の,メ ソ ポ タ ミア に 接 す る 地 域 を 故 郷 と み る 説 は,
この フ ィ ン ・ウ ゴル 語 族 との 関係 を考 え合 わ せ る と,
す で に,19世
紀 の 末 に波 紋 説 で 知 ら れ る シ ュ ミッ ト
黒 海 か らカ ス ピ海 の 北 の 地 域,南 ロ シア の 草 原 地 帯 が
(J.Schmidt)に
よ っ て 提 唱 され て い る . シ ュ ミ ッ ト
浮 か び 上 が っ て くる.
の 場 合 に は,12進
法 の 数 詞 の 体 系 や,Skr.parasu‐,
先 に,子 音 組織 の 問題 の 際 に ふ れた,ガ
ン ク レ リゼ
Gr.〓
「斧 」 の セ ム 系 ア ッ カ ド語 のpilakkuか
とイ ヴ ァ ー ノ フ は,他 の 語族 との接 触 を扱 い な が ら,そ
ら の 借 用 の 可 能 性 が 有 力 な 根 拠 と な っ て い た.こ
の 接点 で あ る 近 東 の 地 を 印 欧語 族 の故 郷 と推定 して い
対 し て,上
る(T.V.Gamkrelidze
の 借 用 関 係 を 中 心 に 展 開 さ れ て い る.そ
の う ち,セ
系 の 語 彙 の 扱 い に つ い て は,す
ィアコノフの
Ancient
Near
blem:Temporal
East
and V.V.Ivanov,"The and the Indo‐European and
Territorial
Pro
Characteris
に あ げ た 東 欧 の2人
の 学 説 は,多
で に,デ
批 判 が あ る(I.M.Diakonov,"Ontheoriginal
れ に
くの語 彙 ム
home
on
the speakers
Anthropology nal of
of Indo‐European",Soviet
and
り,さ
Archeology,23,1984=Jour
Indo‐European
Studies
ら に,テ
ィ ー メ が イ ン ド語 派(Skr.laksa‐
万 」,laksa‐
13,1985,な
お,
「赤 い う る し」,laksa‐
こ と に よ っ て,は
「十
「賭 金 」)を 加 え る
じ め て 共 通 基 語 の も の と み な され た
こ れ に 対 す る 著 者 た ち の 答 え が 同 誌 に み ら れ る).借
も の で,そ
用 の 証 明 は,常
に 容 易 で あ る と は い え な い が,著
こ う した 語 彙 に よ る 探 索 の 道 の む ず か し さ は,対
ち の よ う に,こ
れ が 再 建 形 に よ ら ざ る を え な い 場 合,
あ い ま い な 点 が 残 る の は や む を え な い.こ
者た
こ で,個
述 の よ う に,印
を 否 定 し て,声 て,こ
欧 語 の 有 声 破 裂 音bの
門 化 音p'を
示 す 意 味 の 違 い の 説 明 に あ る.ま
々
候 な ど の 語 彙 か ら,そ
の
先 史 時 代 に,現
の 語 彙 に つ い て の 考 証 も 重 要 な 課 題 で あ る が,2人 著 者 は,既
系列
主 張 し て い る こ と,そ
し
の調音 がカ フカ ー ス の 諸言 語 にみ られ る とい う
点 も,こ
の 故郷 問 題 の解 釈 に関 係 して い る よ うに思 わ
れ る.
た,植
danken
ル ベ ツ コ イ(N.S.Trubetzkoy,"Ge
uber
das
Linguistica
Indogermanenproblem",Acta
1,1939)は,従
陥 を 補 う 意 味 で,印 れ が,他
た 結 果,フ
来 の比 較 方 法 の もつ 欠
欧 語 の 類 型 論 的 な6つ
の特 徴 を あ
の語 族 と どの よ う に共 通 す るか を調 べ
ィ ン ・ ウ ゴ ル 語 族 と カ フ カ ー ス 諸 語,セ
応の
物や動物
気
の 分 布 地 を わ り 出 す に して も,
在 と同 じ状態 に あ っ た か ど う かは 分 か
ら な い し,古
代 人 の 証 言 も少 な い .
そ こ で,い
ろ い ろ な 語 彙 を 資 料 と し て,そ
れ らを総
合 し て 故 郷 の 地 を 決 め よ う とす る 試 み も く り返 し 行 な わ れ て き た.こ
の 場 合 に は,ま
ず 有 効 な対応 を選 ぶ こ
とが 必 要 で あ る . た と え ば,印
か つ て,ト
げ,こ
こ に,こ の 問 題 へ の 参 加 の き っ か け が あ る .
欧語族が
「海 」 と い う
語 彙 を も っ て い た か ど う か は,そ
の 故 郷 の決 定 に重 要
な ヒ ン トを あ た え る で あ ろ う.確
か に,独Meer,仏
merに
代 表 さ れ る 対 応 が あ る が,そ
パ の イ タ リ ッ ク,グ の5派
ル マ ン,ケ
に 限 ら れ て い る.こ
れ は,ヨ
ル ト,バ
ー ロッ
ル ト,ス
の よ う な 場 合 に,こ
ラブ
れが共
ム
通 基 語 の も の で あ っ た と い う保 証 は な い.多
くの 場 合,
語 族 と の 強 い 結 び つ き を 想 定 し て,原 印 欧 語 の 生 地 は,
そ の 判 断 は 研 究 者 に 委 ね ら れ て い る か ら,諸
説が分か
これ らの語 族 の間 に 求 め られ なけ れ ば な ら ない と結 論
れ る 結 果 と な る.は
じめ て言 語 に よ る先 史文 化 の解 明
し た .6つ
(Palaeontology)を
本 格 的 に 試 み て,こ
の 特 徴 と は,1)母
頭 の 子 音 組 織 が,語 な い,3)語
音 調 和 が な い,2)語
中 ・語 末 の そ れ に く ら べ て 貧 弱 で
は 必 ず 語 根 で 始 ま ら な け れ ば な ら な い,
と い う必 要 は な い.接 語 形 の 形 成 は,接
頭 辞 の な い 印 欧 語 は な い,4)
辞 の み な らず 語 幹 形 態素 内部 の ア
プ ラ ウ ト に よ っ て も 行 な わ れ る,5)ア
プ ラ ウ トの ほ
海 の 北 部 と西 部 の 地 域 に 印 欧 語 族 の 故 郷 を 求 め た が, そ の 最 大 の 理 由 は,イ
ン ド ・イ ラ ン 語 派 に は 西 側 の ヨ
ー ロ ッパ群 の諸 言 語 が もつ 農 業 の 語 彙 が み られ ない こ と,そ
して,こ
の 語 派 が,「 ブ ナ 」な ど,木
か,自
由 な 子 音 交 替 も形 態 論 的 な 役 割 を 演 じて い る,
参 加 し な い こ と で あ っ た.こ
6)他
動 詞 の 主 語 は,自
を離 れ て 農 業 を 知 ら な か っ た た め で,西
る,と
い う も の で あ る.こ
動 詞 の 主 語 と 同 じ扱 い を う け の6項
農 耕 の 双 方 が 可 能 な 地 域 と し て,上
記 の 地域 が も っ と
門 化 音 を も つ と い う仮 ヴ ァ ー ノ フ に と っ て, の故 郷 の 地 の 限 定 に
1つ の 支 え を あ た え た と考 え られ る. 第3の
方 法 と し て は,対
推 定 す る,古
ダ ー の 説 に つ い て は,改
っ と も有 名 な例
こ の シ ュ ラ ー ダ ー の 見 解 と,テ
郷は一挙
の と こ ろ,多
後 間 もな
て い る.ど
ィ ー メ(P.Thieme,DieHeimat der indo
germanischen
故 郷 の 地 を,こ
ン,バ
の 鮭 の 生 息 す る バ ル ト海 に 注 ぐ河 川 に
ル ト の2派
の ほ か に,ト
ラ ン(Osset.〔
の 魚 の 対 応 は,ゲ カ ラ(B方
オ セ ッ ト語 〕lasag)が
くの 学 者 は,こ
る い は,さ
ルマ
言laks 加わ
る い は西 のバ ル カ
説 よ り は 有 力 で あ る.こ
れ
の語 族 との接 触 か らみ て も う なず け
る と こ ろ で あ る.1960年
と,そ
ロ シ ア の広 い草 原 地 帯
ら に 東,あ
代 の は じ め こ ろ か ら,考
者 ギ ン ブ タ ス(M.Gimbutas)の に され つ つ あ る,い
在 まで
のい ず れ か の方 向 に傾 い
ち ら か と い え ば,南
は 先 に ふ れ た,他
ィ ー メ の そ れ は,故
北 に 対 照 的 で あ る が,現
ン 半 島 を 考 慮 す る 説 が,北
の 対 応 を め ぐ る 論 争 も,
求 め よ う と す る もの で あ る.こ
「魚 」),イ
を 中 心 に,あ
Gemeinsprache,Wiesbaden,1953)
の 提 出 し た 「鮭(独Lachs)」
イ ン ド・ 参 照 され た
い.
る.こ
た,戦
ュ ラー
意 見 が 加 わ っ て い る と は い え,O.Schrader‐H.Kra‐
郷 の 位 置 に 関 し て,南
に 西 ヨ ー ロ ッ パ に 移 さ れ て し ま う.ま
お,シ
he,DieIndogermanen(Leipzig,1935;『
問題であ
の 木 の 対 応 と 分 布 地 を 信 用 す る と,故
の牧 畜 と
訂 者 ク ラ ー エ(H.Krahe)の
ヨ ー ロ ッパ 語 族 』 風 間 喜 代 三 訳,1977)を
応 す る語 彙 に よ って 故 郷 を
典 的 な 手 続 き が あ る.も
も ふ さわ し い と 考 え ら れ た の で あ る.な
は,「 ブ ナ 」 の 木(英beech,独Buche)の
く,テ
畜か
ン ヴ ェ ニ ス トに よ っ
の 後 に,E.バ
こ の トル ベ ツ コ イ の 考 え 方 は,そ
群 は,牧
こ で,こ
ル ベ ツ コイ は具 体 的 に 故 郷 の地 を
定 を 提 出 した ガ ン ク レ リ ゼ,イ
らが早 くに故 郷
ら 農 業 へ の 移 行 を 反 映 し て い る.そ
て 否 定 され た し,ト
か し,声
れ は,彼
の対 応 に も
目 の特 徴 の束 を印 欧
語 とす る 考 え は,そ
指 定 し て は い な い.し
の 分 野 に大 き
な 業 績 を 残 し た シ ュ ラ ー ダ ー(O.Schrader)は,黒
わ ゆ る ク ル ガ ン(Kurgan)文
の 印 欧 語 族 と の 関 係 も,地
古学
研 究 に よっ て 明 らか
域 的 に は,シ
化 ュラ ー
ダ ー 説 に 近 い.ク
ル ガ ン文 化 と は,著
は ドネ ッ ツ(Donec)川,ヴ 海 の ス テ ッ プ を こ え て,東 stan)の
者 に よ れ ば,西
付 近 に ま で 広 が る,
考 古 学 上 の 先 史 文 化 の 名 称 で あ る.こ
れ が,前4千
代 の 半 ば ご ろ か ら西 に 拡 大 し,第3期
の 前3千
ル カ ン 半 島 か ら,ア
ラ ン に ま で 達 し,前3千 本 土,中 部,バ
年 年代の
ton
リシア
ス カ ン ジナ ビア の南
ル ト海 岸 ま で 浸 透 す る に 至 っ た.こ
れ が,
American
Mifflin
Company,Boston)― American
in
Languages
(The
the
斧 文 化 や 縄 文 土 器 文 化 と い っ た,早
応 形 が ま と め ら れ,語 くな い が,主
こ と,
ヒ ッ タ イ ト語,ト
の 遺 品 か ら推 測 され る 宗 教 や 家 長 制 な ど の 社 較 文 法 が 描 い て きた 構 図 に ほ ぼ一 致
す る こ と,
な い と,ギ
ン ブ タ ス は 主 張 し,賛
成 者 も 多 い.た
こ れ ら の 遺 跡 自 体 は 無 言 で あ る か ら,印
常 に 多 い が,"The
Archaeological
ンブ タ ス
Indo‐Europeans:
Problems",American
and
G.Cardona
Anthro
Indo‐Europeans,ed.
der
Urgeschichte
高 津 春 繁(1954),『 京)戦
だ し,
ル メ ニ ア 語,ア
ルバニ
印 欧 語 比 較 文 法 』(岩
波 全 書,東
前 の主 な参 考 文 献 は本 書 に収 め ら れ て い
そ の 後,発
chende fur
liche
verglei Beitrage
in
die ver
Sprachwissenschaft(Wissenschaft
Grammatik
I/1(1986),Ein
leitung(W.Cowgill)(CarlWinter,Heidelberg)
欧祖語
ナ ウ,ラ
ル ト海 か ら 黒 海 に の び る 幅 広 い 地
域 が 予 想 さ れ て い る(L.Kilian,Zum
das
Buchgesellschaft,Darmstadt)
Ⅰ/2(1986),Lautlehre(M.Mayrhofer)
参
欧 語 族 の 故 郷 は よ り 北 西 の,ド
in
Sprachstudium(Innsbrucker
Sprachwissenschaft,Innsbruck)
Ⅱ(1968),Akzent,Ablaut(J.Kury lowicz)
ン ド ・イ ラ ン語 派 の 祖 先 の も の と
イ ン川 よ り北 の,バ
刊 さ れ た 主 な も の を 下 に あ げ る.
Krahe,H.(1970),Einleitung
Ⅱ
説 に よ れ ば,ク ル ガ ン の 古 い 文 化 は,印
の も の で は な く,イ
der
カ ラ 語,ア
Indogermanische kur
hrg.vonK.J.Narr,Bern‐Munchen,1975を
推 定 さ れ,印
彙 数 は多
ア 語 は 扱 っ て い な い.
gleichende
Cul
et al.,Chicago,1970;"Die
gan‐Kultur",Handbuch
照).一
源 の 説 明 が あ る.語
要 な も の は ふ く ま れ て い る.た
Szemerenyi,O.(19802),Einfuhrung
65,1963;"Proto‐Indo‐European
ture",Indo‐European by
だ,
欧 語族 の 故
郷 問 題 に 確 証 を もた ら す も の で は な い(ギ
pologist
Press,
る.
の クル ガ ン文 化 は 印 欧 語族 の もの に違 い
の 研 究 は,非
of Chicago
[参 考 文 献 ]
会 構 成 も,比
な ど か ら,こ
Selected
Indo‐European
英 語 の 見 出 し に よ り,近 代 語 ま で の 対
の語 族 の もの と考 え られて き た特 徴 が指 摘 され る
d)そ
Principal
University
b)戦
られ る こ と,
語 の 語 彙索 引 が あ
Dictionary of
Synonyms
Chicago)―
の飼 育 や 車 の使 用 が盛 ん で あ った 痕 跡 が認 め
Ⅲ/1(1969),Formenlehre,Geschichte der
indogermanischen
Verbalflexion(C.Wat
kins)
Ursprung
Indogermanen,Bonn,1983).
[辞
書]
Pokorny,J.
(1959‐69),Indogermanisches
mologisches Bern)― 32)に
Worterbuch,2
代 わ っ て,著
比 較 語 源 辞 典.見
ety
Bde.
ヴ ァ ル デ(A.Walde)と
(Francke, の 共 著(1927‐
者が単独で書いた印欧語全体の 出 し は 再 建 形 に よ る た め,利
用 し
に くい面 が あ る. Indo‐European
parative
Dictionary
burg)―
形 式 は,ポ
と 同 じで あ る.英
近
(Helmut
Com
Buske,Ham
L'indo‐europeen
コル ニ ー(Pokorny)の
もの
項 に 参 考 文 献 が な い の で,利
用価値は低
steppes et
les
aux
oceans,
indo‐europeens(Payot,
Paris) 最 近 の 印 欧 語 研 究 の 問 題 と そ の 文 献 に つ い て は,次 く わ し い.
O.Szemerenyi(1985),"Recent in
語 で ま とめ られ て い る点 は便 利 で
く 英 訳 が 刊 行 の 予 定.
Martinet,A.(1986),Des
の も の に
Mann,S.E.(1984‐),An
あ る が,各
の
Dictionary)の
軽 に 利 用 で き る.
Buck,C.D.(1949),A
欧 語 族 の 分 布 の 拡 大 に 符 合 す る こ と,
c)馬
本 来 は,こ
Heritage
a)印
くか ら こ
Roots(Hough
巻 末 に つ け ら れ た 印 欧 語 辞 典.英 り,手
Heritage
of Indo‐European
辞 書(The
ナ ト リア,イ
年 代 の 終 わ り に は,ギ
部 ヨ ー ロ ッ パ の 東 側,西
Watkins,C.(1985),The Dictionary
は カ ザ フ ス タ ン(Kazakh
バ ル ハ シ(Balkhash)湖
半 ば ご ろ ま で に,バ
い.
ォル ガ 川 下 流 域 か ら ア ラル
of
Indo‐European Philosophical
各 語 派
developments linguistics",Transactions Society(London)
と そ の 関 係 に つ い て は,以
Birnbaum,H.andJ.Puhvel(eds.)(1966),Ancient
下 が あ る.
Indo‐European fornia
Dialects(University
Press,Berkeley
and
of Los
A.
Senn(1970),Indo‐European
and
(University
of
Pennsylvania
い う 部 族 名 は,彼
エ ン(Schlesien)の
(Tisza)川(ハ
Press,
ら の居 住 地
紀 末,ド
ン ガ リ ー)に,ア
言 語 の 系 統 と 歴 史 』(岩
波 書
400年
頃,フ
ラ ン族,ス
京)
Lockwood,w.B.(1972),APanorama of European
に,西
Indo
Languages(Hutchinson
University
ラ ン族(独Alanen)と
ン族 に 圧 迫 さ れ た ヴ ァ ン ダ ル 族 は,ア
エ ー ビ族(Sweben)な
ど,他
方 へ 移 動 を始 め,406年,ラ
ガ リア を 経 て,409年
部 族 と とも
イ ン 国 境 を 越 え,
に は ス ペ イ ン に 達 し た .418年
シ リ ン グ 族 が 西 ゴ ー ト族 に 敗 れ て 以 来,両
Library,London) (風 間
え,称
喜 代 三)
呼 は,ヴ
429年,彼
ァ ン ダ ル 族1つ
う
439年
に は,カ
ル タ ゴ を 占 領 し て,ア
数 千 の 捕 虜 と と も に,多
英 Vandalic 統]
ゲ ル マ ン民 族 の1部
(ラ テ ンVandali,タ 系 統 的 に は,イ
族,ヴ
ァ ン ダル 族
キ ト ゥス:Vandalii)の
言 語.
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の ゲ ル マ ン 語 派
に 属 す る.ゲ
ル マ ン 語 は,伝
東,西
の 言 語 群 に 大 別 さ れ る が(→
の3つ
ヴ ァ ン ダ ル 語 は,ゴ
ー ト語,ブ
に 東 の グ ル ー プ(東
ゲ ル マ ン 語)を
東 ゲ ル マ ン 諸 族 は,い
ドイ ツ 語),
ル グ ン ド語 な ど と と も
ず れ も6世
形 成 す る. 紀 か ら8世
ら の 言 語 も や が て 消 滅 し た.ウ
フ ィ ラ 聖 書 に よ っ て,そ
き わ め て 少 な く,ヴ
ル
の 全 貌 が か な り よ く伝 え ら れ
て い る ゴ ー ト語 は 別 と し て,他
の 部族 語 の言 語 遺 産 は
ァ ン ダ ル 族 の 言 語 に 関 し て も,出
土 し た 貨 幣 に 刻 ま れ た 王 名 や,ギ
数 の 戦 利 品 を ア フ リカ に 持 ち
れ が 悪 名高 い ヴ ァ ンダ ル 族 の ロー マ 略 奪 で
あ る が,フ
ラ ンス 革 命 期 の 革 命 派 の 指 導 者 の1人
あ っ た,ブ
ロ ア の 司 教 ア ン リ ・グ レ ゴ ア ー ル(Henri de
Blois)に
vandalisme,1793年 れ は,ゴ
よ る 造 語 「ヴ ァ ン ダ リ ス ム 」(仏 ま た は1794年)と
は 異 な り,そ
オ テ ィ エ(E.F.Gautier)の
主 張 す る よ う に,
死 後,ヴ
イ セ リ ック の
ァ ン ダ ル 王 国 は 衰 退 の 一 途 を た ど り,534年,
リシ ア語 や 特 に ラテ
[ 言 語 特 徴 ] は,イ
ロ ッ ク ウ ッ ド(W・B・Lockwood)
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 諸 語 を 概 説 し た 著 書 の 中 で,
ヴ ァ ン ダ ル 族 の 言 語 に 触 れ,「 わ ず か の 人 名 を 除 け ば, 何 も知 ら れ て い な い 」 と,き わ め て 簡 単 に 述 べ て い る . ヴ ァ ン ダ ル 語 の 資 料 は あ ま り に も 少 な い.ヴ
ァ ン ダル
ン語 の 文 献 に 散 見 さ れ る 少 数 の 人 名 を 手 掛 か り に,か
語 を 対 象 とす る モ ノ グ ラ フ ィ ー と し て は,ヴ
ろ う じ て,そ
(F.Wrede)の
の 片鱗 を うかが う こ とが で き る にす ぎ な
い. [部 族;ま
博 士 論文
て 』(1886年)が,ほ 族 ]
ド イ ツ 語 のWandalen(ヴ
た,Vandalenと
も綴 る)は,語
ル マ ン 祖 語*Wandal‐,‐il‐,‐ul‐ 動 詞wandeln,wandern(=
ァ ン ダル 源 的 に は,ゲ
に 遡 る.ド 英wander)と
イ ツ語 の 同 根 で,
『ヴ ァ ン ダ ル 人 の 言 語 に つ い
ー デ は ,古
典古 代 か ら中 世初 期 の著 述 家 た ち の 著作 の
中 か ら,ヴ
ァ ン ダ ル 族 の 言 語 遺 産 と 目 さ れ る 部 族 ・支
族 名4,人
名(多
こ とが で き た,動
くは 王 名)51,動
詞1個
を収 集 す る
詞 以 外 は 所 収 文 献 の 言 語,特
く は ラ テ ン 語 化 さ れ た 形 で 現 わ れ て い る.ヴ
あ る.
は,そ
ヴ ァ ン ダ ル 族 の 原 住 地 は,ス
カ ン デ ィナ ヴ ィア 南 部
一 部 族 で は な く,大
プ リニ ウス の
れ を,ゲ
(部 族 ・支 族 名) Wandalen;Hasdinge,Silin
か な り大 き な 部 族 集 団 の 呼 称 で あ っ た.紀
Ambri,Andwit,Ansila,Assi,Baudus,
Silingen〔pl.〕)の2支 な る.前1世
〕)と シ リ ン グ(独
紀 に は,オ
族 の混 成 部 族 に限 られ る こ とに ー デ ル(Oder)川
とヴ ィス ワ
レー デ
そ の す べ て を あ げ る.
ge,Gardinge(=Hasdinge);(人
ス デ ィ ン グ(独Hasdingen〔pl.
に,多
ル マ ン 語 に 還 元 し た 形 で 示 す.次
『博 物 誌 』 や タ キ ト ゥ ス の 『ゲ ル マ ー ニ ア 』 に よ れ ば, 元 後,ハ
レー デ
とん ど唯 一 の もの で あ る . ヴ レ
原 義 は,「 移 動 す る 者 た ち 」 「さ す ら う 者 た ち 」 の 意 で
と推 定 さ れ る が,単
で
つ い に 東 ロ ー マ の 将 軍 ベ リサ リ オ ス に 滅 ぼ さ れ た.
史 の 舞 台 か ら 姿 を 消 し(ヴ ァ ン ダ ル 王 国 は,6世
紀 前 半 に 滅 亡),彼
ー マ に 遠 征 し て,
芸 術 品 や 文 化 財 の 破 壊 で は な か っ た.ガ 紀 の間
らに
フ リカ の 全 ロー
帰 っ た.こ
Gregoir
統 的 分 類 に よ れ ば,北,
の も と,
ァ ン ダ ル 王 国 を 建 設,さ
マ 領 を 手 中 に 収 め た が,455年,ロ
ヴ ァ ン ダ ル 語 独Wandalisch,Vandalisch,
テ ンGeisericus,
イ ゼ リ ヒ)王
北 ア フ リカ に 渡 り,ヴ
,
支族名は消
にな る.
ら は ガ イ セ リ ッ ク(ラ
英Gaiseric,独Geiserichガ
に,歴
ナ ウ川 の 支 流 テ ィサ
と も に 共 存 し て い た.
服 部 四 郎(編)(1971),『
[系
シ ュ レー ジ
名 称 に 名 残 り を と ど め て い る.
ハ ス デ ィ ン グ 族 は,2世
Indo‐Euro‐
Philadelphia)
店,東
ー ラ ン ド)の 中 間 地 域 に 居 住 し て い た.
Silingenと
Cardona,G.,Hoenigswald,H.M.and
peans
(Wisla)川(ポ
Cali
Angeles)
Blumarith,Cyrila,Dagila,Etemund注), Fridamal,Fridubalth,Fridus,Fronimuth, Gabadus,Gamuth,Geilamir,Geilarith,
名)Amata,
に,
Geisarix,Gibamund,Gintun,Godagis,
以 上 が,ヴ
Godagisl,Gunthamund,Guntharith,Gunth
で あ る.こ
arix,Gunthimir,Guththeus,Harjarith
,
Hildica,Hildirix,Hohageis,Hohamir
,
Hraftus,Hraos,Hunarix,I(n)gila,Mariva
語 の 全 貌 を 知 る こ と は,ほ 音 韻 面 で は,た く,語
母 音aに
つ い て は,典
ェ ー ン フ ェル
折 形 を 示 さ な い 形 も ま じ る)人
トに よ れ
を ヴ レー デ が 読 み 違
ル マ ン の 人 名 ・部 族 名 辞 典 』(1911)か
ら,ヴ
族 関 係 の 人 名 表(同
引 用 す る.表
ー ジ)を
ァ ンダ ル 記
と え ば,Raptus,Raus
ゲ ル マ ン 人 の 可 能 性 の あ るDa
4世 紀
Visimar
4/5世
Stilico
5世 紀
― 息 子)Geilarith―
Godagisl―Geisarix [参 考 文 献 ] Hofler,O.(1956),"Die
hochdeutsche
thiricus],Heldica,Hunirix,Igil
Vandalen,Langobarden
lus(?),Marivadus,Obadus,
Anzeiger
Semno,Teucharia(F.),Teucha
Akademie
und
der
ihre
der
ter,Berlin)
clus,Gotthaeus,Gunthimer,
der
Germanen(GrundriB
.1970),Ge
Wandalen(C.H.Beck
,Munchen)
Schonfeld,M.(1911,19652),Worterbuch altgermanischen
Hoamer,Thrasamundus,Tzazo
(C.Winter,Heidelberg)
der
Personen‐und
ァン ダル 人 か 否 か を確 定 し が た
(C.Winter,Heidelberg)
形 に校 訂上 の 問 題 の あ
Steinhauer,W.(1950),"Die
る も の . た と え ば,Gaisaricusは,前
半 部 に異
ず れ が 本 源 的 で あ る か,断
定 しが た
い.
wandalischen
Stammeskunde
Namengebung
レ ー デ,シ
ェ ー ン フ ェ ル トの 資 料 に,フ
『東 ゲ ル マ ン 碑 文 集 』(O
Schmidt,Inschriftensammlung
zur ら,次
ィ
.Fiebiger‐L. Geschichte
Wien) die
Wandalen(Quellen
und
Sprache
Culturgeschichte
schen
59,K.J.Trubner,Stra〓burg)
Volker
der
(橋 本 ウ ェ ー ル ズ 語
Cymraeg,英
der
Forschungen
Sprach‐und
の 人 名 を追 加 す る
こ と が で き る:Gudulus,Hostrildi,,Tanca,Vilimut.
der
Stamme",DieSprache2(Sexl,
Wrede,F.(1886),Uber
Ostgermanen,1917)か
Volkernamen
Schwarz,E.(1956),Germanische
Raginari
Welsh
, ,
Osterr
Philologie9,W.deGruy
Hildirix(Hildimer,Vandalaricus),
い も の.注2)[]は,語
Burgunden"
Wissenschaften24(Wien)
germanischen
schichte
Goten
der
Schmidt,L.(1901,19422,Nachdr
Geilaris,Givamundus,Godigis
bei
und
Karsten,T.E.(1928),Die
Euagees=Oageis,Fridamal,Fri
Lautver
Gegenstucke
phil.‐hist.Klasse
der
Ammata,Ariarith,Blumarith,
dus,Fronimuth(?),Geilamir,
な お,ヴ
,Godagis,Geilarith
Geilamir;Geisarix―Hunarix,Theudarix;
rius(?),Theodericus,Vitarit
ー ビガ ー の
韻や構成要素 を
縁 関 係 を 示 し て い る.
構 成 要 素 が 共 通 す る 例:(父
schiebung
形 が 多 く,い
,血
― 息 子)Geisarix―Gintun;Gintun
Godagis,Gunthamund(us),[Gun
注1)(?)は,ヴ
続 法 現
の 単 母 音 化 が み ら れ る.
ァ ン ダ ル 人 の 名 前 は,頭
―Gunthamund
[Gaisaricus]2),Gamuth,Gento,
年 代 不 詳
く を期
の動 詞 と し
古 ゲ ル マ ン人 の 命 名 法 に 共 通 し た こ と
頭 韻 の 例:(父
Anduit,Dagila(F.?)1),Fredbalus,
6世 紀
だ1つ
ル フ ィ ラ ・ゴ ー ト語 のarmais
こ に,ai>eへ
[命 名 法 ]
除 い た.
Hasdingi,Raptus,Raus
紀
に 対 応 す る.こ
か し,屈
名 だ け か ら,多
憐 み た ま え 」 は,接
称 形 で,ウ
一 致 させ る こ と に よ って
mira,Fuscia(s),Sersao,Tuccianusは 3世 紀
祷 冒 頭 のarmes「
在 単 数2人
で あ る が,ヴ
は ヴ レ ー デ のHraftus,Hraosに,TzazoはTata に あ た る . な お,非
テ ン語 化 さ れ た(し
待 す る こ と は で き な い で あ ろ う.た て,祈
『古 グ
ま りに も不 明
な 点 が 多 い の で あ る. 形 態 面 に つ い て も,ラ
次 に , シ ェー ン フ ェ ル ト(M.Schonfeld)の
法 が ヴ レ ー デ と は 異 な る.た
拠 とな る例 が 見
集 し た 各 語 に つ い て,音
よ 憐 み た ま え).
え た も の)
書288ペ
レ ー デ は,収
韻 ・形 態 の 両 面 か ら解 明 を 試 み る が,あ 詞)
ば,〈itemundesupra〉
ゴ ー ト語 と 同 じ
音a,鼻
い だ せ な い.ヴ
(注:Etemundは,シ
音aは
末 音 の い ず れ に も現 わ れ る
が,長
armes(frojaarmes主
と え ば,短 中 音,語
Swesaon(?),Taihunhundafap,Tata(?),
Wandalarix,Wismar,Witarith;(動
ァ ンダ ル
とん ど 不 可 能 で あ る.
頭 音,語
dus,Pinta,Raginari,Stilica,Stutja,
Theudarix,Theudarju,Thrasamund,
der
ァ ンダ ル 族 の言 語 資 料 の ほ とん どす べ て の わ ず か な 資 料 を も と に し て,ヴ
zur germani
郁 雄)
.
[ 語
史 ]
ウ ェ ー ル ズ 語 は,ブ
ェ ー ル ズ 地 方 に お い て,現
リ テ ン島 西 部 の ウ
的 興味 を我 々に 示 して くれ る. 中 世 の行 政 区画 と方 言
人 の 人 々 に よっ
分布 の対 応 も,現 代 の 方 言 研 究 に 重 要 な課 題 を提 供 す
在,約50万
て 日常 生 活 に 用 い ら れ て い る,ケ 語 で あ る.ケ
ル ト諸 語 中,ア
ラ ン ド語,マ
ン島語 な どの
ル ト語 派 に 属 す る 言
イ ル ラ ン ド語,ス 「Qケ
言 」 か ら,コ
「ブ リ テ ィ
ー ン ウ ォ ー ル 語,ブ
ル
ト ン語 と と も に 分 化 し た 言 語 で あ る ウ ェ ー ル ズ 語 は, そ の 発 達 状 況 か ら,4つ
の 時 期 に 分 け 得 る.す
な わ ち,
1)「 原 ま た は 初 期 ウ ェ ー ル ズ 語 期 」(6∼8世 2)「
古 ウ ェー ル ズ 語 期 」(9∼11世
ェ ー ル ズ 語 期 」(12∼14世 語 期 」(15世
紀 以 後,現
代 ま で),で
中期 ウ
あ る.
紀 の 中 ご ろ には
Venerable toria
Ecclesiastica
れ る 地 名,人
の
ー ド(the
『英 国 教 会 史 』(His
Gentis
Anglorum)に
名 程 度 で あ る.し
fydd
ap Gwilym,1340∼80)よ
こ とが あ る. そ れ は,彼
(cynghanedd)」
とい う ウ ェー ル ズ 語独 特 の作 詩 法 か
散見 さ
た が っ て,資
料 ら しい
ベ リー(William
リア ム ・モル ガ ン(William
印 刷術 の導 入 とい う時 期 と も相 ま って,現 代 ウ ェー ル ズ語 の散 文 の基 礎 が 築 か れ て い く. 現 代 口語 ウ ェー ル ズ 語 に つ い て は,南 と北 の2大 方
とも可 能 で あ る.た だ,イ
くつ か の 散 文 や 詩 の 断 片 程 度 で あ る. た だ, 紀 ご ろ の 写 本 が こ の 期 の 形 を 残 して お
り,「 原 ウ ェ ー ル ズ 語 」に 比 較 す れ ば,多 に な る.『 サ ン ダ ー フ の 書 』(Llyfr イ リ ン の 書 』(Llyfr
Aneirin),『
(Llyfr
ど で あ る.
Taliesin)な
少は多い こと
Llandaf),『
アネ
タ リエ シ ンの書 』
に わ か に 多 く な り,現
存 す る写 本 の 元 に な っ た もの が
「古 ウ ェ ー ル ズ 語 期 」 の も の と 考 え ら れ る と こ ろ か ら, こ の2つ
の 時 期 の ウ ェ ー ル ズ 語 を 研 究 し て い く上 で 貴
重 な 資 料 を 提 供 し て くれ る.こ
の 時 期 は,英
国 の歴 史
上,「 ノ ル マ ン の 征 服 」 と い う大 き な 事 件 を 中 心 とす る た め,ウ 化,社
ェ ー ル ズ 語 史 上 の み な らず,ウ
会 の 研 究,さ
ら に は,英
ェー ル ズ の 文
国研 究そ の もの に とっ て
も 重 要 な 時 期 と い え る. す な わ ち,「 ノ ル マ ン 」の 影 響 は,イ
ン グ ラ ン ドに お け る以 上 に徹 底 して ウ ェー ル ズ
各 地 に 浸 透 し,そ
れ ま で は外 部 との接 触 をほ とん ど も
た な か っ た ウ ェー ル ズ も,異 っ た か ら で あ る.『 Iarlles
y Ffannawn)を
文 化 との 交 流 を も つ に 至
泉 の 伯 爵 夫 人 の 物 語 』(Chwedyl は じ め とす る 中 世 騎 士 物 語
集 『マ ビ ノ ギ オ ン 』(Mabinogion)は,全 的 広 が りを もつ 文 学 遺 産 の1つ
ヨー ロ ッパ
で あ る 「ア ー サ ー 王 伝
説 」へ の ウ ェ ー ル ズ の 寄 与 と よ ぶ こ とが で き る .ま た, 動 詞 前 虚 詞 を 高 度 に 発 達 さ せ た 中 期 ウ ェ ー ル ズ 語 は, 「緩 音 現 象 」とい う ケ ル ト諸 語 の 音 声 特 徴 か ら,「動 詞 + 主 語 」 とい う統 語 上 の 特 色 に 至 る ま で,多
くの 言 語 学
らに そ れ ぞ れ を東 西 に分 け る こ ング ラ ン ド地 方 と隣 接 す る
東部 の 諸 方 言 は英 語 化 の進 行 が著 し く,ほ とん ど死 滅 して し ま った とみ て よい . ま た,18∼19世
紀 の南 東
部 へ の 人 口集 中 に よ り死滅 した方 言 も多 く,反 対 に, この人 口集 中 の あ っ た 地方 で は,そ の方 言 が 現 代 の 社 会 階 層 方 言 の特 徴 の基 盤 に な っ て残 って い る場 合 もあ る よ うで ある.4つ
さ て,「 中 期 ウ ェ ー ル ズ 語 期 」に な る と,写 本 資 料 も
ウィ
Morgan,1545∼1604)
な ど に よ る聖 書 の 翻 訳 も見 逃 す こ とが で きず,こ こ に,
言 に大 別 で きる が,さ
の 期 も決 して 資 料 豊 富 とは
ィ リア ム ・ソー ル ズ
Salesbury,ca.1520∼ca.99)と
ら と い う こ と に な る が,こ
さ い わ い13世
の 使 用 した 詩形 が15∼16
ら,韻 律 上 の 一 致 が 語 形 を不 変 に し,こ こに文 語 の 基
資 料 が 出 て く る の は 「古 ウ ェ ー ル ズ 語 期 」 に 入 っ て か
い え ず,い
紀 以後 と され るが,
り始 ま る と いわ れ る
立 を もた ら した もの と して は,ウ
「原 ウ ェ ー ル ズ
文 の ほ か,ビ
Bede,673∼735)の
「 現 代 ウ ェー ル ズ 語 期 」 は15世
14世 紀 末 の 詩 人 ダ ヴ ィー ズ ・ア プ ・グ イ リム(Da
礎 が固 ま った と考 え られ るか らで あ る.現 代 文 語 の 確 い た い5∼
語 」 と よ ば れ る 段 階 に 達 し て い た よ う で あ る が,こ 期 の 資 料 は 非 常 に 少 な く,碑
紀
世 紀 の詩 人 た ち に 大 き な影 響 を与 え,「 カ ングハ ネ ズ
現 代 ウ ェー ル ズ
「ブ リ テ ィ ッ シ ュ 方 言 」 か ら の 分 化 は,だ 6世 紀 に 始 ま り,6世
紀),
紀),3)「
紀),4)「
紀 を 前 期 と し,14∼15世
で き る.
ル ト」 に 対 し,「P
ケ ル ト」 と よ ば れ る 古 代 ブ リ ト ン 人 の 言 語 ッ シ ュ(British)方
コッ ト
るの で あ る.12∼13世
を後 期 と して,中 期 ウ ェー ル ズ 語 の 発達 をみ る こ とも
の 方言 名 と地 図 上 の 相 対 的 位 置
(図1)を 以下 に 示 して お く. <図1>方
言区 分
ル ズ語 の話 し手 は 山 中 に ひ っ込 ん で生 活 して い た が た
北部方言 ヴ ェ ネ ド シ ア ン (Venedotian)―
め,両 者 の 直 接 の 交流 は きわ め て少 なか った.と
北 西部
ポ ウ イ シ ア ン (Powysian)―
が,ノ ル マ ンの 征服 は,イ
北 東 ∼ 中東 部
に お い て は る か に徹 底 して い た.ア ン グ ロ ・サ ク ソ ン
南部方言 中西 部 ∼南 西部
グ エ ン シ ア ン (Gwentian)―
南東部
王 国 が あ る程 度 の 中央 政 府的 な もの を樹立 して い た た
デ ィ ミ シ ア ン (Demetian)―
以 上,ウ
ころ
ング ラ ン ドよ り ウ ェー ル ズ
め,ノ ル マ ンは,こ の 中 央 政府 の征 服 には成 功 した が,
ェ ー ル ズ 語 の 歴 史 に つ い て 概 観 し て き た が,
地 方 に ま で 影 響 を 与 え る こ とが で き なか っ た の に 対
そ れ で は現 在 の ウ ェー ル ズ 語 の 状 況 は ど うで あ るの か
し,ウ ェー ル ズ に は この よ うな 中央 政 府 が な く,「ク ム
と い う点 を,も
ー ド(cwmwd,英
う 少 し 詳 細 に 述 べ た い.
ケ ル ト諸 語 は,一 般 的 に み て 「死 滅 に 向 か う言 語 」 と い わ れ る が,そ 諸 語 中,も 実,そ
の 中 に あ っ て ウ ェ ー ル ズ 語 は,「 ケ ル ト
っ と も 強 力 な 言 語 」 で あ る と い わ れ る.事
た 社 会 的 な 位 置 づ け に お い て も,現
る ケ ル ト諸 語 中 で は,も
述 の 聖書 の翻 訳事 業
Lewis,学
詩 人)や グ イ ン ヴ ォ ル ・エ ヴ ァ ン ズ(Gwynfor
yr
Iaith
の 「ノル マ ンの 征服 」が や が て英
国 とい う土 壌 に根 付 くこ ろ,ウ ェー ル ズ語 は新 しい 局 面 を迎 え る こ と に な る.1282年,ウ
ェール ズ 人 最 後 の
<図2>ウ
ェ ール ズ語 地 域
ル ト復 興 運 動 の ウ ェ ー ル ズ 版 とで も よ ぶ
べ き ソ ー ン ダ ー ズ ・ル イ ス(Saunders
政 治 家)な
マ ン の ウ ェー ル ズ へ の影 響 はそ れ だ け徹 底 した もの に
っ と も有 力 で あ る とい え る.
そ れ に 与 っ て 力 が あ っ た の は,前 を は じ め,ケ
存す
と よば れ る各 部 落
ご との 征 服 が 「 各 個 撃 破 的」 に行 なわ れ た た め,ノ ル
な った.次 い で,こ
の 話 し 手 の 数 に お い て も使 用 地 域 面 積 の 広 さ に
お い て も,ま
語 はcommote)」
者 ・
Evans,
ど に よ る 「ウ ェ ー ル ズ 語 協 会(Cymdeithas Gymraeg)」
党(Plaid
Cymru)」
の 設 立,そ
し て,「 ウ ェ ー ル ズ
の 結 成 な ど を 通 じて,1967年
「ウ ェ ー ル ズ 語 令(The
Welsh
Language
に
Act)」
が,
つ い に ウ ェス ト ミ ン ス タ ー 通 過 を み る に 至 り,ウ
ェー
ル ズ 語 が 英 語 と並 ぶ 社 会 的 地 位 を 回 復 し た こ と な ど で あ る . し か し,こ
う し た 努 力 も,「 英 語 化(Anglicisa
tion)」 とい う 激 しい 潮 流 の 勢 い を 多 少 は 弱 め た か も し れ な い が,こ
れ を完 全 に せ き止 め る ま で に は 至 らず,
ウ ェー ル ズ 語 も 他 の ケ ル ト諸 語 同 様,現 は,そ
時 点(1987)で
の 保 存 に 関 し て か な り困 難 な 状 況 に お か れ て い
る とみ な け れ ば な ら な い.ウ
ェ ー ル ズ 語 諸 方 言 中,東
部 イ ン グ ラ ン ド地 方 隣 接 地 域 で は,す
でに 死 滅 して し
ま っ た も の が 多 い こ と は 先 に も 述 べ た が,そ 域 で も,1970年
代 ま で は,ウ
生 き残 っ て い る と 考 え ら れ て い た,い (sanctuary)」
に お い て さ え,次
わ ゆる
「聖 域
第 に ウ ェー ル ズ 語 は
消 滅 し は じ め て い る の で あ る.そ は,18世
の他 の 地
ェー ル ズ 語 方 言 が 強 力 に
の 根 本 原 因 の1つ
<図3>19世
紀 末 の ウ ェ ―ル ズ 全 域 の 人 口 分
布の推 移
紀 以 後 の 英 国 社 会 に決 定的 な変 化 を与 え て き
た 「産 業 革 命(Industrial 業 革 命(Agricultural
Revolution)」 Revolution)」
な い し は 「農 ―
農業国 とし
て の 特 徴 の 濃 い ウ ェー ル ズ で は 後者 ― す な わ ち,そ
れ以 前 の
に よ る 変 革,
「自 給 自 足 経 済 社 会 」 の 崩 壊 で
あ り,「 ウ ェ ー ル ズ 語 社 会 」 そ の も の の 存 続 が 根 底 か ら くつ が え さ れ た こ と で あ る 。 こ う し た 過 程 を も う 少 し 詳 し く述 べ て み よ う. 古 い 時 代,つ
ま り,「 原 ウ ェ ー ル ズ 語 」や 「古 ウ ェ ー
ル ズ 語 」 の 時 代 に は,ロ
ー マ 軍 や ア ン グ ロ ・サ ク ソ ン 出 典:J.E.サ
と い っ た 征 服 者 た ち は 砦 の 中 に 居 住 し,一
方,ウ
ェー
guage
ウ ス オ ー ル(1895),The Censusof
1891,同1901,同1904に
Welsh
Lan よる.
<表1>19世
州 Mynwy
Morgannwg
Caerfyrddin
Penbro
Ceredigion
Brycheiniog
Maesyfed
Trefaldwyn
Fflint
紀 末 ウ ェー ル ズ語 使 用 者 数 の 変 化 ウェー ル ズ 語 の み
二言語併用
ウ ェー ル ズ 語 使 用 者
英語 のみ
合
計
ウ ェー ル ズ語 使 用 者 の%
Dinbych
Meirionydd
Caernarfon
Mon
合
計
「ウ ェ ー ル ズ 王 子(Prince
of Wales)」
で あ るサ ウ ェ
リ ン ・ア プ ・グ リ フ ィ ー ズ(Llywelyn が 殺 さ れ る に 及 び,イ
ap
Gruffydd)
ギ リス と の 併 合 の 道 を 押 し つ け
もに,英 語 の話 せ な い者 が ウ ェー ル ズ の公 職 につ く こ とを 禁 じた の で あ る.「 併 合 法 」は,な に よ り もウ ェー ル ズ人 か ら ウ ェール ズ 語 とい う表 現 手 段 を奪 い 去 り,
ら れ た ウ ェ ー ル ズ は,「 併 合 法(YDdeddfUno/The
ウ ェー ル ズ 全土 を 「英語 化 」 す る もの で あ った.し か
Act
し これ は,裏 を返 して み れ ば,ク
of
Union,1536)」
を も っ て,英
語 との相 剋 の歴
史 を 始 め る.
ロム ウ ェル の 心 配 す
る とお り,当 時 の ウ ェー ル ズ語 に は英 語 を しの ぐ力 が
世 界 の 言 語 史 上 で も,エ
リザ ベ ス朝 にお け る ウ ェー
ル ズ の 言 語 状 況 な い し 社 会 情 勢 ほ ど,2つ
の 言 語,言 語
あ った とい うこ とを示 して い る.ア (Aberystwyth)の
ベ ラ ス トゥイ ス
町 を唯 一 の例 外 と して,イ ギ リス人
社 会 の 相 剋 を 鮮 や か に 示 す もの は ない の で は なか ろ う
の作 っ た ほ とん どの町 へ の 立 ち入 りが 禁 止 され てい た
か . 当 時 の イ ギ リス 国 王 ヘ ン リー8世
ウ ェー ル ズ 人 は,周 辺 の 農 村 部 に 住 ん で いた とい うの
トマ ス ・ ク ロ ム ウ ェ ル(Thomas
の 重 臣で あ った
Cromwell)は,政
が 「併 合法 」以 前 の状 態 で あ った . 「 併 合 法」は ウ ェー
治 ・行 政 面 で イ ン グ ラ ン ド と本 質 的 な相 違 を 示 し,国 王 の 権 力 の 及 ば ぬ 地 域 ウ ェ ー ル ズ に 英 語 と ま っ た く異 な
ル ズ 語 を公 的 な場 で 禁 じる一 方,ウ
ェー ル ズ 人 の イ ギ
リス人 町 へ の立 ち入 りを許 可 す る もの で あ った た め,
る言 語 を話 す 住 民 が い る とい う こ とに危 惧 の 念 を抱 い
そ れ まで は 英 語 だ け しか 聞 か れ な か っ た,エ
た . そ し て,ウ
朝 の ウ ェー ル ズ の イ ギ リス人 町 に は ウ ェー ル ズ語 が氾
こ と で,そ
ェ ー ル ズ を イ ン グ ラ ン ド に 「併 合 」す る
う し た 相 違 を な くそ う と い う 意 図 の も と,
「こ の 王 国 と ま っ た く 同 様 に ウ ェ ー ル ズ に お い て 施 行 さ る べ き 法 と正 義 に 関 す る 法 令"An and
justice
as
it is in
Act て,英
to be ministered this
of Union)」
realm"」 を1536年
in Wales
Act
for
laws
in like form
と よ ば れ る 「併 合 法(The
リザ ベ ス
濫 し,英語 を 圧倒 す る勢 い が あ っ た.町 長 が 「 市 」の宣 言 を英 語 です れ ば,教 会 の 牧 師 は 同 じ宣 言 を ウ ェー ル ズ語 で 行 な う な ど,ウ ェー ル ズ語 は 少 な く と も英 語 と 対 等 の 力 を示 し,こ の と きが ウ ェー ル ズ に お け る ウ ェ ー ル ズ語 の 使 用 の最 盛期 で あ った と さえい え る の で あ
春 に成 立 させ た . こ う し
る.し か し,聖 書 の最 初 の ウ ェー ル ズ語 へ の 翻 訳 者 の
語 を ウ ェー ル ズの 公 用 語 と して 押 しつ け る と と
1人 で あ る ウ ィ リア ム ・ソー ル ズ ベ リー は,当 時 す で
<表2>「
州 Mynwy
Morgannwg
Caerfyrddin
Penbro
Ceredigion
Brycheiniog
Maesyfed
Trefaldwyn
Fflint
二 言 語 併 用 」 の2分 の1を ウ ェー ル ズ 語 の み
「ウ ェー ル ズ語 使 用 」 と認 め た場 合 二言 語 併 用 の2分 の1
ウ ェ ー ル ズ語 使 用 者
合
計
ウ ェー ル ズ 語 使 用 者 の%
Dinbych
Meirionydd
Caernarfon
Mon
合
計
に,ウ ェー ル ズ語 の保 存 の 必要 性 を感 じて い た . ま た,
み な ら ず,「 オ フ ァ の 土 手(Clawdd
そ れ と と もに,世 界 を 知 り世 に 出 る ため に は,ウ
ェー
い う に 及 ば ず,こ れ を 越 え て 東 側,現 在 の イ ギ リ ス 中 西
ル ズ 人 も英 語 を学 び,か つ 自 らの言 葉 で あ る ウ ェー ル
部 に ま で ウ ェ ー ル ズ 語 の 話 し手 が 住 ん で い た と思 わ れ
ズ 語 で 聖 書 を 読 む必 要 が あ る こ とを,同 胞 の ウ ェー ル
る . ヘ リ フ ォ ッ ド シ ャ(Herefordshire)や
ズ 人 た ち に説 き,後 世 の二 言 語 併 用 を予 知 した の だ っ
プ シ ャ(Shropshire)の
た.「 併 合 法 」が議 会 を通 過 した 以 上,こ れ が 「ウ ェー
ウ ェー ル ズ 語 を 話 し て い た とい う痕 跡 が 残 っ て い る と
ル ズ人 」ソ ール ズ ベ リー に は ぎ りぎ りの 選択 で あ っ た
い わ れ る ほ ど で あ る.し
の か もし れ な い.聖 書 の 翻 訳が,ウ
効 力 を 現 わ し は じ め る と,ウ
ェー ル ズ語 が 現 代
Offa)」
の西 側 は
シュロ ッ
英 語 方 言 に は,彼
らの 先 祖 が
か し,「 併 合 法 」が 次 第 に そ の ェ ー ル ズ 地 方 の 「英 語 化 」
ま で生 き残 る上 で 大 き な 力 とな った こ とは,聖 書 が 翻
は,た
訳 され な か った コー ン ウ ォー ル 語 が18世 紀 末 に死 滅 し
代 を 重 ね る に つ れ て 進 み,ま た 地 域 的 に は,東 か ら西 へ
た事 実 を考 え 合 わ せ る とき,首 肯 で き よ う.ま た,18
南 か ら 北 へ と 広 が っ て い く こ と に な る.た
世 紀 の 初 め に,「巡 回 学 校(Circulating
ろ は 人 口 調 査 が 行 な わ れ て い な か っ た の で 推 定 され る
School)」 を開
き,15万 人 を超 え る老 若 男 女 に聖 書 の 読 み方 を教 えた
ん に 言 語 だ け で な く社 会 的 に も 文 化 的 に も,世
だ け で あ る.手
グ リフ ィス ・ジ ョー ンズ(Griffith Jones,1683∼1761)
(Daniel
の偉 業 も忘れ る ことが で きな い.さ らに は,特 に メ ソ デ
row)の
近 な 資 料 で は,ダ
Defoe)や
だ,こ
の こ
ニ エ ル ・デ フ ォ ー
ジ ョー ジ ・ボ ロ ー(George
「旅 行 記 」な ど の 観 察 か ら,当
Bor
時 の よ うす を垣
ィ ス ト派 の強 力 な プ ロテ ス タ ン ト王 国 ウ ェー ルズ で,
間 見 る こ と も で き る.19世
紀 に 入 っ て か ら も,人
口調
18∼19世 紀 に かけ て キ リス ト教 諸 派 教会 が果 た した,
査 に よ り,「 人 口 移 動 」 の 資 料 は 入 手 で き る が,「
ウェ
ウ ェー ル ズ語 方 言 と伝 統 文 化 の 保 存 へ の 役割 も見 逃 す
ー ル ズ 語 人 口」 の 調 査 結 果 は
ことが で きない.礼 拝 は い う に及 ば ず,教 会 の諸 活 動
,世
紀 末 まで待 たね ば な
らな い.
を通 じ,ウ ェー ル ズ語 が 「 公 的 」 に 使 用 され たか らで
19世
あ る.
も 重 大 な 意 味 を も つ 時 期 と な っ た . 「ウ ェ ー ル ズ 語 使
16∼17世
紀 ご ろま で は,現
在 の ウ ェール ズ地 方 の
紀 末 の10年,そ
用 者(Welsh
れ は ウ ェ ー ル ズ 語 史 上,も
speakers)」
の 数 が,つ
っ と
い に総 人 口 の半
<表3>19世
紀 ウ ェー ル ズの 人 口推 移
Mon
Dinbych
Fflint
Caernarfon
Meirionydd
Trefaldwyn
Ceredigion
Brycheiniog
Maesyfed
Penbro
Caerfyrddin
Mynwy
Morgannwg
注:各 ()の
州 の位 置 は , 地 図 との参 照 の便 を図 り,地 図 上 の 相 対 的 位 置 に配 列 され て い る.ま 倍 数 は,1901年
の数 値 を得 る もの.
た,各 州 の1801年
の数値の後の
分 に まで 激 減 し,そ の 一 方 で,「英 語 との二 言 語 併 用 者 」
「自給 自 足型 」を特 徴 と した. 交通 も未 発 達 で,部 落 ご
が 激増 す る とい う,か つ て な い状 況 が生 じた の で あ る.
とに構 成 員 の生 活 要 求 に応 じて きた. た とえ ば,手 仕
「併 合 法 」 に よって 意 図 され た こ とが,360年
事 道 具 が古 くなれ ば村 の鍛 冶屋 に 行 き,自 分 に合 った
の年月を
越 え て こ こに実 現 した の で あ り,今 日の ウ ェー ル ズ の
道 具 を 目 の前 で作 っ て も らった ので あ る. そ して,こ
言 語 状 況 の基 盤 が で き あ が る の で あ る.ウ ェー ル ズ 語
の職 人 の仕 事 場 こそ,ウ
に と って,ま
さに 「世 紀 末 」 と な った.
られ た 「場 」で あ った.し か し,「 機 械 化」 に よ る製 品
1891年 に は,「 ウ ェー ル ズ語 の み 」の 話 し手 と,「 二 言 語 併 用者 」の話 し手 の数 は,54.5%を 対 し,1901年
で は50.1%と
示 して い るの に
か ろ う じて 過 半 数 を保 つ
まで に落 ち 込 ん で い る.これ を各 州(siroedd/shires) 別 に ま とめ た の が 表1で あ るが,そ
こ に見 られ る特徴
は,
の 「 規格化」 「 標 準 化 」が 進 行す れ ば,職 人 は仕 事 を奪 わ れ,鉄 や 石 炭 の生 産 が増 加 す る につ れ,南 東 部 工 業 地 帯 が出 現 す る.表3は,何
べて の 州 で 「ウ ェー ル ズ語 のみ 」 の人 口が 滅
少 し, 2)す
の で あ る.ウ ェー ル ズ 中,も っ と も 「英 語化 」の 進 行 の
イ(Mynwy)州
モ ル ガ ヌ ― グ(Morgannwg)州 ―
とマ ヌ
に 工 業 地 帯 が 出 現 した こ とに よ り,
ウ ェー ル ズ は,「 農業 国 」か ら 「工 業 国 」 へ と変 容 す る
べ て の 州 で 「二 言 語 併 用 」 の 人 口が 増 し,
3)「 英 語 のみ 」 の減 少 は,総
百 年 もの 歴 史 が 築 き上 げ
た 「 伝 統 的 ウ ェー ル ズ 農 村 社 会 」 の 崩 壊 の 姿 を 示 す も
著 しい2州 ―
1)す
ェー ル ズ語 方 言 が 生 きて 用 い
人 口が 滅 少 して い る
こ と にな る.19世 紀 の 学 校 教 育 まで もが 「 英語化」 に
か 「二 言 語 併 用」 が 激 増 して い る州 に限 られ て い
肩 を貸 し,ウ ェー ル ズ 人 子 弟 が,授 業 中 うっ か りウ ェ ー ル ズ 語 を 使 う と"WelshNot"(ウ ェール ズ語 禁 止)
る(ブ ラヘ イ ニ オ グBrycheiniogは
の 板 切 れ を 首 に 吊 る して 立 た され る体 罰 が 加 え ら れ
唯 一 の例 外),
の3点 で あ る.と ころが,こ の 「二 言 語 併 用 者 」 とい
た . か く して,19世
うの は英 語 の 使 用者 で も あ るの だ か ら,「ウ ェー ル ズ 語
用 者 」 は 激 減 す る こ とに な る.
使 用」 を半 分 と考 えた 場 合,表2と
今世 紀 に 入 っ て か ら も,工 業 地 帯へ の人 口流 入 は し
な る.と す れ ば,
紀 末10年
間 に,「 ウェー ル ズ 語 使
ブ ラヘ イ ニ オ グ の唯 一 の例 外 を の ぞ き,す べ て の 州 で
ば ら く続 い た.ま た,2度
「ウ ェール ズ 語使 用 者 」は 減 少 し,ウ ェー ル ズ語 の勢 力
は 多 くの話 し手 を失 っ た.1901年
は 今世 紀 の始 ま った 年 に,す で に3分 の1を 下 回 った
後 最初 に人 口 調査 を した年(1951)の1.7%に
の世 界 大 戦 で ウ ェー ル ズ 語 の15.2%か
ら,戦 ま で 「ウ
こ とに な る.し か し これ は,「二 言 語 併 用 者 」の数 を単
ェー ル ズ語 単 一 使 用 者 」 は減 少 し,そ れ 以後 は,事 実
純 に2分 の1と み た 場合 の こ とで あ り,「公 用語 」 と し
上0%と
て の地 位 の ない ウ ェール ズ語 は,公 共 の場 で は用 い ら
場 合,「 英 語 との 二 言 語 併 用 者 」 を さす こ とに な り,
れ ない の で あ るか ら,実 際 的 に は,英 語 との 力関 係 は
そ の数 とて 年 々減 少 傾 向 を示 し,1961年
4分 の1か ら5分 の1に ま で落 ち込 ん でい た とい う の
1971年 に20.84%,そ
が,19世
る. 世 界 大 戦 後 の ウ ェー ル ズ経 済 は,も はや 工 業 に頼
紀 末 の ウ ェー ル ズ の 言 語 状 況 で は なか ろ う
か . この よ う な英語 との 力 関 係 は,1967年
な る.そ し て,「 ウ ェー ル ズ 語 人 口」 とい う
して1981年
に26.05%,
には19.04%と
な
以 後 に,「公
れ ず 「観 光 産 業 」 とい う新 しい 要 素 に依 存 せ ざ る を え
用 語 」 として ウ ェール ズ 語 が 認 め られ た 後 に もみ られ
な くな る.他 方,停 年 退 職 者 が静 か な ウ ェー ル ズ 地 方
る. 筆者 自身 が,何 度 も体 験 した こ とで あ るが,数 人
に移 住 し,イ ング ラ ン ド地 方 よ りの 「 英 語 人 口」 と し
の ウ ェール ズ 人 と ウェー ル ズ 語 で 話 して い る と ころ へ
て 流 入 して きた.こ れ ら 「英語 人 口」 の西 部 海 岸 地 域
1人 の ウ ェー ル ズ 語 の 話 せ ぬ イ ギ リス人 が 加 わ る と,
へ の流 入 に よ り,「東 か ら西 へ 」 とい う 「英 語 化 」の波
ウ ェール ズ人 全 員 が 「ウ ェー ル ズ語 使 用」 を 中止 し,
のパ ター ンに,新 た に 「西 海 岸 よ り内 陸 部 へ」 とい う
「英語 使 用 」に変 わ るの で あ る.ウ ェー ル ズ の 言語 状 況
パ ター ンが加 わ って,ウ
に つ い て考 え る とき,英 語 との相 剋 は,イ ギ リス 軍 と
る形 とな り,「90%以
ェー ル ズ 語 を東 西 か ら挟 撃す
上 の ウ ェー ル ズ 語 人 口地 帯 」 は
戦 った ころ の 「 戦 場 」 か ら,現 在 の ウ ェー ル ズ人 ひ と
寸断 され て い った の で あ る.ウ ェー ル ズ 語 は家 庭 の言
りひ と りの心 の 中へ と,そ の 「場 」 を 移 して しま った
語,英 語 は公 的 な場 で の 言 語,と い う ウ ェー ル ズ にお
とい う事 実 を忘 れ る こ とはで き ない で あ ろ う.
け る二 言語 併 用 の 特 徴 が あ ろ う と も,90%以
さて,こ の よ うな 「英 語 化 」に 直 接手 を貸 した の は,
上 の 住民
が ウ ェール ズ語 を使 え る な らウ ェー ル ズ 語 は残 る.し
18∼19世 紀 の英 国社 会 に大 きな 変化 を もた ら した 「産
か し,そ
の よ う な地 域 は1971年
業/農 業 革 命(ChwyldroDiwydiannol/Amaethyd
立 して しま っ てい る.
以 後 は,ま
っ た く孤
dol)」 で あ った.そ の 影 響 は,特 に 羊 毛産 業 を 中 心 と
以 上,述 べ て きた ウ ェー ル ズ の 言語 状 況 は,主 に産 業
す る牧 畜 農 に大 き くみ られ る. 多 雨 多 湿 の 気候 条 件,
革 命 に よる社 会 変 化 に伴 う もの と して み て きた が,キ
山 の 多い 地 勢 とい った 自然 条件 は,ウ
ェー ル ズ を農 耕
よ り牧 畜 の農 業 国 と して 育 て,家 内工 業 的,零 細 型,
リス ト教 の衰 退 とい う事 実 も見逃 す こ とが で き ない. しか し,楽 観 はで きな い と して も,現 在 で は,ウ ェー
ル ズ 人 は ウ ェー ル ズ語 で 教 育 を 受 け る こ と もで き,ま た,ウ ェー ル ズ 語 の テ レ ビや ラ ジオ の放 送 もあ る以 上,
(母 音 の 前) 「山 」
ウ ェー ル ズ 語 が新 しい 生 命 力 をつ け て生 き続 け る こ と
「 丘」
も夢 で は な い. [文字 ・発音 ]
一 般 的 に は 発 音 に 近 く綴 ら れ る と 考 え て よ く
,英
ウ ェー ル ズ語 は,文 字 に書 き留 め
と 比 べ れ ば,発
られ る よ うに な って か ら,ず っ とラテ ン文 字 を使 用 し て お り,現 代 ウ ェー ル ズ語 は,次 の30の
文字または文
字 の組 み合 わ せ を 「ア ル フ ァベ ッ ト(Yr Wyddor)」
と
口 語 と の 差 は,た
と え ば,20年
べ る と,こ
ば か り の 間(1980年
こ5年
の 原 因 の1つ
例
前(1960年
意味
は,ウ
代 後 半)に 比
代)に,ず
なわ ち第 二 言 語 と して の ウ ェー
ル ズ 語 教 育 の た め に 考 案 さ れ た"Cymraeg
「父 」 「母 」
き た ウ ェ ー ル ズ 語 」 と よ ば れ る,学 標 準 語 形 の 普 及 が あ げ ら れ る.し 因 は,何
「犬 」
とい っ て も,言
の 変 化,つ
「あ な た 」 「あ り が と う 」 「日」(月 日 の)
ま り文 語 資 料 よ り も 口 語 資 料 を 重 ん じ る と
い う こ と へ の 変 化 で あ ろ う.し け る 入 門 書 な ど に も2種
た が っ て,現
類 あ っ て,い
「私(は)」
と よ ば れ る こ と も あ る.
し い 方 法 論 に 基 づ く も の が あ る.
「道 」
上 記30文
「庭 」
に お い て 用 い ら れ る も の で あ り,伝
字 中,jとtshと
「船 」
こ れ ら2文
「バ ン ゴ ル 」
え ば,「 日 本 」 を さ す 場 合,英
「ジ ャ ム 」
「現 用 ウ ェ ー ル ズ 語 」 統 的 な文 法 書 で は
「現 用 ウ ェ ー ル ズ 語 」 で あ り,伝 用 い る.興
の ほ か,John,Jenkinsな 名 前 で あ る が,こ
「息 子 」
ら れ る.し
「ジ ョー ン ズ 」 は,英
れ ら は,Sion,Siencynの
か し,同
形 も用 い
一 人 が 英 語 と ウ ェー ル ズ 語 とで こ
れ ら の 形 を 使 い 分 け る とい う の で は な く,そ
「印,マ
ま っ た く個 人 的 で あ る. さ て,phは,例
「イ ー ス タ ー 」
出)に
「彼 女 の 頭 」
sは,iと
「今 」 (北 部 方 言) 「走 る 」 「病 気 の 」 「お 前 」
は,単
な り,そ
あ る が,左
「音 」
unilateral
の ほ か で は[〓][〓]と
冠 詞,dyn[〓]「
な る.
男 」,dynion 山 」,
山(複 数)」 ェー ル ズ語 の特 徴 とい わ れ る こ と も
右 い ず れ か の 無 声 単 側 摩 擦 音(voiceless fricative)で
[緩 音 現 象 ] の
ついて
男(複 数)」,mynydd[〓]「
ll[〓]は,ウ
「20」
定冠 詞
声 と も に 顫 音. 店 」).uの[〓]
もに南 部 方 言 の 発 音 で あ
mynyddoedd[〓]「
「1」
の 「帯 気 変 異 」(後
声,無
音 節 の 機 能 語 と多音 節 語 の 最 終 音 節 以 外 の 音節
[〓]「
プ」
の選択は
部 方 言 で は[〓][〓].yの[〓][〓]に
例)yr[〓]定
「ポ テ ト チ ッ
は,有
と も に[〓](siop[〓]「
で は[〓]と
「手 紙 」
「∼ の そ ば に 」
に 見 る とお りp音
の み 用 い られ,r音
[〓]と,yの[〓][〓]は,と り,北
語
ど もウ ェー ル ズ 人 に多 い
「新 し い 」
「最 後 の 」
統的綴
味 深 いの は
し か 表 わ す こ とが で き な い 点 で あ る.そ
「本 」
ー ク」
と
語 か ら の 借 用 語Japan
ェー ル ズ 人 の名 前
式 のJonesで
Cyfoes)」
だ け が 用 い ら れ る.た
字 法 で はSiapan[〓]を 人 名 で,ウ
「ボ ー ル 」
は
字 を 省 い た28字
を用 い る のが
地で見か
わ ゆ る 「伝 統 的 」
後 者 は,特 に 「現 用 ウ ェー ル ズ 語(Cymraeg
「衣 服 」
り大 き な 要
語 の学 習 や 研 究 に対 す る態 度
「頭 」
「ワ イ ン」
生
習 者 向 け の一 種 の
「微 笑 」
(地 名)
Byw"「
か し,よ
な も の の ほ か に,新
「歴 史 」
っ と綴
ェー ル ズ 語 使 用 者 の 減 少 傾 向 を 止
め よ う と す る 努 力,す
「少 年 」
語
語 と
字 法 上 の 相 違 が 少 な く な っ て き て い る と 思 わ れ る.そ
して用 いて い る. 文 字 名 称 音 価
音 と 綴 字 法 と の 相 違 は 少 な い.文
あ る.
ケ ル ト諸 語 に は,音
「緩 音 現 象(lenition)」
が あ る.こ
声 的 特 徴 と して の 現 象,つ
ま り
「緩 み 調 音 」は,発
音 に 際 して の 口 腔 周 辺 の 筋 肉 が 緊 張
を 緩 め る こ と で あ り,大 1)声
別 し て,次
の3通
帯 を 振 動 さ せ る こ と に よ り,声
の 流 れ(velocity)を
弱 め,そ
り が あ る. 門以 後 の空 気
の 結 果,口
筋 肉 に か か る 空 気 圧 力 を低 下 さ せ,筋
腔周辺 の 肉 の 緊張 を
緩 め る.「 有 声 音 化(vocalization)」
と よ ぶ.
が 含 ま れ る. そ し て,こ
1)「
り,口
性 単 数 名 詞 +TM
(a)定
腔 内 圧 を 低 下 さ せ る.「
鼻 音 化(nasaliza
(ⅱ)所
例)[〓]→[〓]等.
い が,3の
顎 お よ び 舌 先(前 舌)の 弾 道 運
場 合 に は,下 movement)が
生 じ,下
こ の よ う な 一 般 音 声 学 的 現 象 が,ウ う特 定 言 語 に お い て
と よ び,9個
consonants)」
Meddal)に
' by',wrth'by'等 ar
る特 定 の 文 法 環
の
の
「有 声 音
鼻 変 異(Treiglad の 間 に,有
yng
は,原 形 と変 異 形 と
'three
帯 気 変 異(Treiglad
Llaes)に
は,3つ
3)「
辞yn+TM:tawel'quiet'→Rydwi'n
(ⅱ)肯
quiet'
rllena
定 標 示 +TM:darllen'read'→Fe i'I'll
(ⅳ)否
chi?'Did
you
i ddim'I
後 者 はsubstandardな
*llとrhと
は,と
き に変 異 しな い こ とが あ るの で 注 意 を
要 す る. な お,変 た.
yng
was
living
Dewch 異可 能子 音 の 変異 の種 類 の 各 名 称 は 略称 で 示 し
didn't
sleep',た
用 法.
Nghymru in Wales
ddwy two
i'n flynedd years
yn ol'I ago'
掛 標 示 +TM:pawb'everyone'→ i mewn,bawb'Come
in,every
one'
(ⅶ)疑
だ し,
詞 標 示 +TM:dwy'two'→Rown
byw
(ⅵ)呼
read?'
定 標 示 +TLl/TM:cysgu'sleep'→Chy
sges/Gysges
(ⅴ)副
dda
read'
問 標 示 +TM:darllen'read'→Ddarl
lenoch
変異 な し
gyn
early'
dawel'I'm
(ⅲ)疑
変異 な し
chi
機 能 変異」
(ⅰ)連
変 異 の 種 類 軟変異 鼻変異 帯気変異 変異 可能子音 TM TT TLl 綴字 音 価 綴字 音価 綴字 音 価 綴字 音 価
dog'→tri
意 語 +TM:cynnal'early'→rhy
nal'too の 「接 近 音 化 」
boy'→dau
boys',ci'a
dogs'
(ⅲ)強
声 と無 声 の 対 応 が あ る.
Cardiff'
詞 +TM/TLl:bachgen'a
fachgen'two
が 含 ま れ て い る.
Trwynol)で
Nghaerdydd'in
(ⅱ)数
「接 近 音 化 」([〓]→
[〓],[〓]→[〓],[〓]→[〓])と
+TM:cau'closing'→
gau'closed'
(b)yn'in'+TT:Caerdydd'Cardiff'→
は,5つ
化 」([〓]→[〓],[〓]→[〓],[〓]→[〓],[〓]→ [〓],[〓]→[〓])と,3つ
置 詞 +TM/TT
(a)ar'on',at'to',drwy'through',gan
頭 の 位 置 で 変 化 す る の で あ る.
軟 変 異(Treiglad
char
car'
接触変異」
(i)前
の 「変 異 可 能
が,あ
car'
称 単 数 女 性 +TLl:car→ei
' her
「文 法 的 」 に 利 用 され る と き,こ
「変 異(mutations)」
子 音(mutable
ェー ル ズ 語 とい
称 ・3人 称 単 数 男 性 +TM:car→dy/
(c)3人
2)「
car'→(fy)/(n)
car'
ei gar'your/his
顎 の場 合 は後 方
先 の 場 合 は 前 方 へ と調 音 点 が ず れ る.
境 で,語
称 単 数 +TT:car'a
(b)2人 は調 音 点 の ず れ は な い に 等 し
dda'a
有代名詞
nghar(i)'my
こ れ ら の 場 合,1と2で
ferch
girl'
(a)1人
と よ ぶ.
れを
後:merch→un
続 形 容 詞:da'good'→merch
good
擦 音 化(approximatization/fricativization)」
ferch
girl'
(c)後
似 調 音 に 変 え て 口 腔 内 圧 を 低 下 さ せ る.「 接 近 ・摩
へ,舌
詞un'one'の
' one
腔 内 で の 閉 鎖 調 音 そ の も の を な く し,接 近 ・近
girl'→y
girl'
(b)数
と よ ぶ.
動(ballistic
冠 詞 の 後:merch'a
'the
例)[p]→[m]等. 3)口
の
な もの を以 下 に
語頭変異」
(i)女
口 蓋 を 下 げ て 鼻 腔 へ も呼 気 流 を 流 す こ と に よ
tion)」
中 の 機 能 に よ り,次
あ げ る.
例)[p]→[b]等. 2)軟
れ ら の 変 異 は,文
3種 類 に 分 類 す る の が 便 利 で あ る.主
問代 名 詞 +TM:talu'pay'→Faint
daloch
chi?'How
(ⅷ)倒
did
you
3.命
令
詞 節 1.平
叙
2.疑
問
合 文 1.平
叙
pay?'
置 標 示 +TM:gweld'see'→Merch
weles [文
much
i'A
法]
girl
Ⅱ.名
I saw'
「緩 音 現 象 」 と い う 音 声 的 特 徴 に 加 え,
ケ ル ト諸 語 の も う1つ
の 特 徴 は,動
る と い う統 語 上 の 特 徴 で あ る.こ
詞が主語に先行す の 語 順 にみ られ る特
Ⅲ.混
TM=Treiglad
Meddal「
軟 変 異 」,TLl=Treiglad
Llaes
「帯 気 変 異 」
徴 と,動 詞 の 前 に 用 い ら れ る 「動 詞 前 虚 詞(Geirynnau Rhagferfol,pre‐verbal
particle)」
の 機 能 と か ら, 《例
文 》
次 の 変数 に よ りウ ェー ル ズ 語 の 基 本 文 型 の 分 類 が で き I.1.a.V
Fe
ganodd
hi.'She
sang'
る. C
統 語 変 数:I.主
節,Ⅱ.名
詞 節,Ⅲ.混
Roedd
叙,2.疑
問,3.命
was
here'
合文 b.V
法 変 数:1.平
hi yma.'She
Chanodd
hi
ddim.'She
didn't
令 sing'
極 変 数:a.肯
定,b.否
定 C
Dydy
hi
ddim
yma.'She
hi?'Did
she
was
《Ⅰ.主 節 》 は そ れ だ け で 独 立 の 文 と な り,《 Ⅱ.名 詞 not
節 》 は,主
文 中 に 用 い ら れ,目
的 語 と な る.《 Ⅲ.混 合 2.a.V
文 》 は 語 順 の 倒 置 に よ る も の.主
Ganodd C
Ydy
hi
Oni
chanodd
疑 問 と3の
yma?'Was
she
here?'
詞 節 で は3 b.V
合 文 で は2の
sing?'
節 に は 法 変 数 の3つ
の す べ て が 用 い ら れ る 可 能 性 が あ る が,名 の 命 令 が,混
here'
hi?'Didn't
she
命 令 とが そ れ ぞ sing?'
れ 欠 け る.ま
た,名
詞 節 の 疑 問 に は 極 変 数bの
否 定は C
用 い ら れ な い.
Oni
3.a.V
中 期 ウ ェ ー ル ズ 語 は 動 詞 前 虚 詞 を か な り 発 達 さ せ, 種 々 の 機 能 を 果 た し て い た.一
例 を あ げ る と,肯
完 了 」 「習 慣 ・反 復 」 「可 能 」 「希 望 」 な ど
を 表 わ す が,中
C
Byddwch
C
Peidiwch
yn
Peidiwch
be
の ほ か,肯
(t),y(d),ef,a,as,ys,否
dawel.'Be
silent'
a a
chanu.'Don't
sing'
bod
yn
ddiog.'Don't
lazy' Rydw
i'n
bydd
Sion
yma.'I
れ ら は,い
know
Rydw
i'n
第 に 縮 約 形 と な り,あ
yma.'I
る ものは 動 詞 と 2.a.
定 虚 詞 のefは,3人
know
be
na
here'
fydd
Ydych
語 が動 詞 に先 行 す る
倒 置 文 か ら 虚 詞 に な っ た も の と い わ れ,他
Sion
部)の
is
動 詞前虚
here'
os
fydd
you
know
John
here?' fydd
John Y
yn
who
car
golchi'r
car.'It
washes
fydd
the
Sion
car'
yn
ei
olchi.
ずれ も一 般 動 詞
き 言 葉)/r'‐(話
be'の
is
the
car
John
washes'
し b.
言 葉)の 諸 形 は 繋 辞bod'to
be
Sion
代
'It
た はyr(書
be
gwybod
yma?'Do
will Ⅲ.1.a.
れ ら は,い
chi'n
won't
の人称代名
詞 も そ の よ う な 倒 置 文 に 用 い ら れ る と こ ろ か ら,現 部)/mi(北
John
称 Sion
単 数 男 性 の 代 名 詞 か ら 発 達 し,主
詞 に な った と い わ れ る.こ
will
gwybod
ず れ も文 中 で 強 勢(stress)
結 合 し て し ま っ た り し た.肯
ウ ェ ー ル ズ 語 で はfe(南
John
どが 使 用 さ b.
の 前 に 用 い ら れ,yま
gwybod
定:ny(t),na(c),
疑 問:a,ae,a(t),pony(t),aenyな
Sion
na
fydd
yn
golchi'r
car.
who
washes
the
前 に 用 い られ る の 'It
で,2種
been?'
定:y(r),hu Ⅱ .1.a.
が な い た め,次
I
期 ウ ェー ル ズ語 の終 わ り ごろ には 次 第
に 用 い られ な くな っ た.そ
れ て い た が,こ
i?'Haven't
定虚 b.V
詞 のryは,「
fues
Canwch.'Sing'
類 の 文 に 分 類 す る こ と が で き る.一
is
not
John
般動詞型 car'
をV,繋
辞 型 をCと
し て,統
語,法,極
の各 変 数 を Y
用 い て 分 類 す る と,以
car
na
fydd
Sion
yn
the
car
that
ei
olchi.
下 の よ う に な る. 'It
is
not
John
washes'
統語
法
極 a.肯
I.主
節 1.平
叙
2.疑
問
定
さ ら に,ウ
b.否
定
ェ ー ル ズ 語 の 基 本 的 な 語 順 は 次 の 通
こ の う ち,Ⅱ 動 詞 とⅣ 述 部 の 残 余,の2か また は
り:
I Ⅲ { ⅡⅣ { { { 動詞前虚詞 動詞 主語 述部の残余 所 に用 い ら
れ る語 句 の種 類 か ら,以 下 の よ うに,主 節 を 分 類 す る こ と もで き る.
ⅰ ⅰ
Ⅰ
Ⅱ A.一
Ⅲ
また はmi(北
動
部)の 動 詞 前 虚詞 に先 行 され る の が そ の
非 叙 法:
詞
未
一 般 動 詞 に は,rhedeg'run',siarad'speak'
な ど が 用 い ら れ,Bの
繋 辞 に はbod'be',Cの
詞 に はdylai'should'な 制,人
称,数
助動
ど が 用 い ら れ,そ
単
れぞれ時
数
Ⅱ
Ⅲ
Roeddwn
2 Rwyt
ti
Roeddet
A.一
i ti
Roedd
詞 句
ⅱ.前 置 詞 句
般動 詞
叙
Ⅱ の 位 置 に 用 い られ るAの digmは,時
制,人
称,数
e/hi
動 詞bwyta'eat'を
の と お り と な る.
単
数
例 に あ げ る.
制:未
来(Amser
Dyfodol),未
完 了(Amser
去(Amser
Gorffennol)
Amherffaith),過 称:1人
称(Y
(Yr
Ail
Person
Cyntaf),2人
3 Maen
nhw
未
来
Berson),3人
称(Y
未
複
数
1 bwyt‐a
Byddwn
i
Byddet
ti
3 Bydd
e/hi
Byddai
fe/hi
過
単
去
数
複
1 ‐wn ‐en ‐(s)on
数
,ⅲ,ⅳ
3 ‐an ‐en ‐(s)on
が 現 わ れ る.
1
Bues
2
Buest
3
Buodd
1
Buon
2
Buoch
3
Buon
i ti e/hi ni chi nhw
下 に例 文 を あ げ
A‐i
「 相 」の 組 み 合 わ せ が み
られ る.
fwytodd
Ⅲ
進 行ⅱ
wnaethon
ni
(4)Fe
wnaeth
hi
(5)Fe
welodd
Mair
進 行
.
動 名詞ⅱ
. 完 了
動 名詞ⅲ
.
a
bana
y gwin.'We
made
the
wine'
. 完 了ⅲ . 完 了
ate
hoffwni hufen ia.'I would like ice
(3)Fe
相 .
fanana.'He
cream'
Ⅳ
辞
e
na'
(2)Fe
進 行 動 名 詞ⅳ
. 完 了 進 行 動 名 詞
た,繋 辞bodに
nhw
去
の そ れ ぞ れ に つ い て,以
(1)Fe
相 に は,yn「 進 行 」とwedi「
chi
Bydden
る.
Bの 繋 辞 の文 で は,Ⅳ 述 部 の残 余 に 「 相(Aspect)」
C.助 動 詞
nhw
以 上 の 諸 文 型―A‐ⅰ,ⅱ,ⅲ;B‐ⅰ,ⅱ,ⅲ;C‐ⅰ,ⅱ
2 ‐wch ‐ech ‐(s)och
B.繋
ni
bwyt‐ais
3 ‐iff/‐ith ‐ai ‐odd
Ⅰ Ⅱ
Bydden
chi Byddech
3 Byddan
2 ‐i ‐et ‐aist
Cの 助 動 詞 の 文 で はbodと
i
Trydydd
未完 了 bwyt‐wn
未完 了
i
2 Byddwch
数(Lluosog)
来
nhw
di
過
数(Unigol),複
chi
Roedden
2 Byddi
Person) c)数:単
ni
1 Bydda
1 Byddwn 称
Roedden
chi Roeddech
法:
一 般 動 詞 の 語 形 変 化Para に よ り,次
ni
2 Rydych
数
ⅲ .形 容 詞 句
複数
e/hi
1 Rydyn
Ⅳ ⅰ .名
単数
未完了
i
3 Mae
複
b)人
来
1 Rydw
の 変 化 が あ る.
Ⅰ
a)時
部)
特徴 と な って い る.
辞
C.助 Aの
して,「 叙 法 」 の諸 形 は,一 般動 詞 と同 様,fe(南
般動詞
B.繋
Ⅳ
the
made
yr
ardd.'Mair
wine' saw
garden'
A‐ⅱ (1)Fe
edrychodd
neeg.'Mair
Mair
ar
looked
yr at
ardd the
Siapa Japanese
garden'
完 了 」な どが あ る.ま
(2)Fe
は,「 事 実」を 表わ す 「非 叙 法 」と,話
to
し手 の 態 度 や 感 情 を 表 わ す 「叙 法 」 の 用 法 が あ る.そ
win.'She
(3)Fe
wrandawais the
i ar
y
radio.'I
listened
radio' anghofiodd
hi
am
y
cyngerdd.'She
forgot
about
(4)Fe
the
concert'
feddyliais
about
i am
あ り ま す か 」,北[〓]:南[〓]
y
peth.'I
thought
it'
(5)Fe
feddyliais
i amdani.'I
thought
about
droiodd
turned
to
Mair
the
at
y
頭 のchw‐
は,北
部 で は[〓]→[〓]が
edrychodd
Mair
yn
sal.'Mair
looked
(3)Fe
es
(4)Fe
ganodd
chi'n
i'n sal.'I
drist.'You became
Mair
yn
felt
sad'
ill' dda.'Mair
sang
yfed
cwrw.'He
was
drink
beer'
drunk
e
yfed
cwrw.'He
had
beer' e
been
wedi
bod
C‐ⅰ:Fe
drinking ddylai
yn
yfed
cwrw.'He
Mair
ddylai
Mair
have
C‐ⅲ:Fe
should
be
C‐ⅳ:Fe
wedi
ystudio.'Mair
fod
yn
Mair
fod have
ystudio.'Mair
以 上,ウ
wedi
し て も"Cymraeg
bod
been
yn
ystu
studying'
Byw"(「
た,そ
の 目 的 に 適 し て い る か ら で あ る.し
バ ラ エ テ ィ ー に 富 ん で お り,こ
の レベ ル に
の 方 が,本 か し,現
項 目
地での 日
れ ら を 「口 語 ウ ェ ー ル
と よ び,土
地,土
地の言葉
の 変 化 が 楽 し め る. 方 言 特 徴 は,南
北2大
方 言 に 分 け ら れ る が,そ
くつ か に つ い て 述 べ た い(図1参 声 特 徴
u,yの
部(Gogledd)で
のい
照).
文 字 で 綴 られ る母 音 の発 音 は[〓],南
と な る こ と は す で に 述 べ た が,そ
部(De)で
は[〓]
の ほ か で は,‐auで
終 わ る 名 詞 の 複 数 語 尾 が,北[〓]:南[〓]と 例)llyfrau「
な る.
本(複 数)」,北[〓]:南[〓] 二 重 母 音 も,北
に 発 音 す る の に 対 し て,南
部 で は 綴 り字 ど お り
部 で は,最
初 の 母 音 を長 音
化 す る. 例)cae「
ンブ ロの北 部 地 帯 で 集 めた 資 料 の 中 に
脚 」→[〓],mynydd[〓]
の 地 方 で は,前
2)語
述 のoes→[o:s]が
な る な ど,非
彙 特 徴
さ らに 変
常 に 興 味 深 い.
語 彙 に つ い て は,ど
に も み られ る よ う に,非
々が耳 にす る実 際 の ウ ェー ル ズ 語 は
Llafar)」
エ ル バ ル ジ ン(Caerfyrddin)
の言 語 の方 言
常 に 多 く の 異 形 態 が あ り,い
ち い ち 例 を あ げ る こ と は と う て い 不 可 能 で あ る.き
わ
め て 特 徴 的 な も の だ け を 以 下 に あ げ る.
生 き た ウ ェ ー ル ズ 語 」)
に 基 づ く抽 象 的 な 表 記 に 終 始 した.そ
常 生 活 の 中 で,我
の 州 には 旧 カ
ケ レデ ィ ギ オ ン(Ceredigion),
の よ う な 変 種 が み られ る.
ま た,こ
ェー ル ズ語 の主 な特 徴 につ い
て き わ め て 概 略 的 に 述 べ て き た.ま
ま た,ae,oeの
そ の1つ,ペ
化 し て[〓]と
should
者 が,こ
「山 」→[〓]
Mair
ddylai
ズ 語(Cymraeg
の 方 言 で あ る が,こ
coes[〓]「
studying'
dio.'Mair 言 ]
fod
studied'
ddylai
should
変 化 す る 場 合 す ら あ る.筆
地 調 査 を し て い る 地 域 は 南 西 部 一 帯 で,ダ
ベ ッ ド(Dyfed)州
は,次
should
1)音
[〓][〓]と
な っ た り,
が 含 ま れ る.
ystudio.'Mair
study' C‐ⅱ:Fe
な 息子」
部 で は[〓][〓]と
ペ ン ブ ロ(Penbro),カ
beer'
な
父 」,mab[〓]「
ウ ン テ ィ(County)の
B‐ⅲ:Roedd had
wedi
それか ら
が,南[〓]:北[〓]と
部 のtad[〓]「
こ数 年,現
B‐ⅱ:Roedd
では な る.
開 け る 」 が,南[〓]:北[〓]と
の 長 母 音 が,南 e'n
が,北
で は[〓]と
声 化 す る 例 と し て は,wedyn「
(afterwards)」
る.北
バ ラ(の 花)」
あ る の に 対 し て,南
り,agor「
well' B‐ⅰ:Roedd ing
[〓]で 反 対 に,無
deimloch
ある な ること
例)chwarae,北[〓]:南[〓]/[〓]
ill' (2)Fe
部 で は[〓]で
生 じ,[〓]と
有 声 化 の 例 で は,rhosyn「
(1)Fe
部方言
音 の 発 音 に も次 の よ うな
が 多 い.
ffenestr.'Mair
window'
A‐ⅲ
が,北
例 が あ る.語 が,南
(6)Fe
部 方 言 は 保 守 的,南
は 変 化 が 多 い よ う で あ り,子
her'
[方
ご く 一 般 的 に い っ て,北
(北
部)
(南
∼が
意
味
taid
tad‐cu
「祖 父 」
nain
mam‐gu
「祖 母 」
geneth
merch
「娘,少
agoriad
allwedd
「鍵 」
bwrdd
bord
「テ ー ブ ル 」
crio
llefen
「泣 く」
eisiau
moyn
「欲 す る 」
medru
gallu
「で き る 」
tyrd
dere
「来 い!」
dos
cer
「行 け!」
rwan
nawr
「い ま 」(副 詞)
allan
mas
「外 へ 」
fo,o
fe,e
「彼 は,彼
そ の ほ か,興
味 深 い 用 例 と し て は,ペ
地 帯 の 例 で あ る が,上 野 原 」,北[〓]:南[〓];oes「
部)
[〓]と[〓]の2つ
記 のmynydd「 あ っ て,前
女」
を」
ンブ ロ の北 部 山」の 異 形 態 が
者 は 「農 耕 地 」の
意 味 で 用 い ら れ る の に 対 し て,後 意 味 に 用 い ら れ る.し
「山 」 の
に 「山 へ 行 く」 こ と に な る.
文 特 徴
南 北 方 言 の 相違 を示 す きわ め て 特
徴 的 な 構 文 は 次 の2つ
(ⅱ)「
過去 時 制」 を表 わ す文
用 い る.「 私 は 車 を 持 っ て い る 」 と
南:Ma
car
i. fi.
過 去 時 制 」 を 表 わ す 文:北
詞darfod'to
end','to
部では 特定 の 動
happen'の
活 用 形 を 用 い,
南 部 で は 述 部 動 詞 の 活 用 形 を 用 い る.「
私は図書館へ
行 き ま し た 」 は, ddaru
南:Fe
es
i mi
fynd
i i'r llyfrgell.
ウ ク ラ イ ナ 語 は,ス
ロ シア
ー ラ ン ド,ハ
ン
部 で 約5
の 使 用 人 口 は,ス
を 形 成 し て い る.ロ
と も に,そ
シ ア 語,ベ
関 係 に あ る.ウ and
W.O.Thomas,Y
Newydd/The
New
(Christopher
Welsh
Geiri Dictionary
Davies,Llandybie)―
学習者 向
け で は も っ と も手 ご ろ な 辞 書 で あ り,前
半が
英 」,後 半 が
れ ぞ れ の末
「英 ・ウ 」 と な っ て い る.そ
名,地
名,動
「ウ ・
物 名 な ど の リス トが 付 録 と し
て 収 録 さ れ て い る ほ か,簡
単 な 文 法 が あ り,便
利で
あ る.
ロ ロ シ ア 語 と 同 じ く古 の独 立 した 発 展 が や っ と
声 面,文
と し て は,ス
るGeiriadur
ェー ルズ 大 学 か ら出版 され て い
Prifysgol
Welsh
語 源 の ほ か,年
Dictionary
が あ り,OED方
代 順 に 用 例,出
在 ま で に,34巻(1985)が dduw'ま
Cymru,A
Language
式 で,
典 が 示 さ れ て い る.現
出 て お り,項
目 は'lloer
で.
クラ イ ナ語 の東 ス ラ ブ語 的 な特 徴 の例
ど が あ る.
[音 と 文 字]
文 字 は,ロ
シア 語 と同 じ くキ リー ル
文 字 が も と に な って い る.ロ が な く,逆
シ ア 語 文 字 のbI,〓,〓,e
に ロ シ ア 語 に は な いi,i[〓],〓[〓]と
い う文 字 が あ る.ま
た,ア
ポ ス ト ロ フ ィ ー(')が
の子 音 が
ウ ク ラ イ ナ 語 の ア ク セ ン トは 強 さ ア ク セ ン トで,一 定 の 音 節 に お か れ ず,同
じ 語 で も語 形 変 化 な ど に よ っ
て ア ク セ ン トが 移 動 す る 場 合 も 多 い.ロ る 点 は,ウ
シ ア 語 と異 な
ク ラ イ ナ 文 語 で は 無 ア ク セ ン ト音 節 で も母 た,ア
ク セ ン トの な いoをa 起 こら ない こ とで
あ る.
Davies,Basil phrase ―1は
の 場 合 は,前
分離
軟 子 音 で は な く 硬 子 音 で あ る こ と を 示 して い る).
と 発 音 す る ア ー カ ニ エ(akan'je)が
習者向け
そ れ ぞ れc,zに
祖*svetja,*media:ウsvica,
音 は 完 全 に 発 音 され,ま
[参 考 文 献]
の言
彙 面 で 非 常 に多 く
ラ ブ 祖 語 の*tj,*djが
変 化 し た こ と(ス meza)な
法 面,語
の2つ
ぼ 方 言 的 と もい え る く ら い の 近 い
記 号 と し て 用 い られ て い る(こ
専 門 家 向 け に は,ウ
シ ア 語,ベ
の 東 の グル ープ
紀 以 降 に な っ て か ら始 ま っ た た め,こ
語 と の 間 に は,音
書]
尾 に,人
ラ ブ 語 派 に 属 し,ロ
ロ シ ア 語)と
の 共 通 点 が あ り,ほ
Evans,H.Meurig
and
Cennard
Davies(1980),Catch
音 構 造 は,a,e,i,〓,o,uの6つ
1,2(Sain,Penygroes,Caernarfon) 初級 用 ,2は 上 級 用.と も に,専
門 の声 優
が 吹 き込 ん だ カ セ ッ トテ ー プ が 付 い て お り,南
北方
代 の も
z,j,t,d,n,l,r,c,dz,s,z,k,g,ch, hの32の
子 音 か ら な る.母
iとyか
ら 形 成 さ れ たI(こ
っ と も 自 然 な 話 し言 葉 の 学 習 が で き る よ う 配 慮 され
ナ 語 の 文 字 は〓)と,eや
て い る.
閉 音 節 内 のoや,eか
究者向 け
Jones,J.Morris(1913),A
Welsh
の 母 音 と,p,b,
m,f,w,t,d,n,l,r,c,dz,c,dz,s,z,s,
言 の 話 し手 に よ る 録 音(解 説 付 き)で あ る.現
2)研
シ ア 共 和 国,白
た ソ 連 邦 外 で も,ポ
メ リ カ 合 衆 国 な ど で 使 用 さ れ,全
ロ ロ シ ア 語(白
13世
i'r llyfrgell.
と な る.
1)学
そ の ほ か 同 じ ソ連 邦 内 で は,ロ
代 ロ シ ア 語 に 起 源 を も ち,そ
北:Mi
of the
に ソ連
ラ ブ 語 の 中 で は ロ シ ア 語 に つ い で 大 き な も の で あ る.
(ⅱ)「
dur
在 で は,主
邦 ウ ク ラ イ ナ 共 和 国 で 公 用 語 と し て 用 い ら れ て い る.
千 万 人 が こ の 言 語 を 話 し て い る.こ
と な る.
[辞
ロ シア 語
と よ ば れ た こ と も あ っ た.現
ガ リー,ア
(gy)da
宏)
英Ukrainian,独
共 和 国 な ど で,ま gen
of Mid
Institute) (水 谷
置詞
い う 場 合, car
Grammar
Welsh(Dublin
ウ ク ラ イ ナ 人 の 国 語.小
部 方 言 で は,前
人 称 活 用 形 を 用 い る の に 対 し て,
北:Mae
Univer
Ukrainisch,仏ukrainien,露
所 有 」 を 表 わ す 文:北
南 部 で は,gydaを
Comparative(Oxford
ウ ク ラ イ ナ 語
所 有 」 を 表わ す 文
gan'by''with'の
dle
で あ る.
(ⅰ)「
(ⅰ)「
and
Press)
Evans,D.Simon(1970),A
く」 こ と に な る が,'myndi'r
い え ば,単
3)構
Historical sity
た が っ て,'myndi'rmwni'と
い え ば 「畑 へ(仕 事 に)行 mini'と
者 は 元来 の
Grammar,
音 で は,古
代 ロ シ ア語 の
の音を表わす ウクライ
弱 化 母 音 消 失 の 結 果 で きた
つ く(古
ロ sila,〓
ま た,古
ロ nos〓‐nosa:ウ
ら形 成 さ れ たiの ウ sila,〓:ロ nis‐nosa:ロ
区別が 目に sila,syn, nosnosa).
子 音 で は,有 声 のhの (文字 で はB)が
音(文 字 は〓)や 両 唇 音 のw
sin'ego)な
あ る こ と,唇 音 の 硬 軟(そ の ま まか 口
ど が あ げ ら れ る.
東 ス ラ ブ 語 の 動 詞 に は,時
蓋 化 され て い るか)が 意 味 を 区別 す る手 段 と は な ら な
体(完
了,不
完 了),相(能
い こ と(普 通,硬 音 で発 音 され る),f,gが
説,命
令,条
件),人
外来語や
制(現 在,過 動,中
去,未
動,被
来),
動),法(直
称(1,2,3),数(単,複)の
カ
擬 声 語 に しか現 わ れ な い こ と,な どが 注 意 す べ き点 で
テ ゴ リ ー が あ る.過
あ る.他 に は,ベ ロ ロ シア語 に もみ られ るが,前 舌 の
り に 性 の 区 別(単 数 だ け)が 動 詞 の 形 で 示 さ れ る.そ
長 軟 子 音(znann'a「
ほ か,人
知 識 」[〓])も
あげてお く
べ きで あ ろ う.
べ き点 は,ウ ク ラ イナ 語 の有 声 子 音 は,語 末 や無 声子 音 の 前 に きて も無 声 化 し ない こ とで あ る.た だ し,文 字〓 は無 声 子 音 の 前 で は 無 声 のchで
読 まれ る.文 字
の 表 わす 音 が前 の子 音 を 軟化 しな い こ と も ロシ
ア語 と異 な る点 で あ る. [文
法]
称 変 化 し な い 形 と し て は,形
ウ ク ライ ナ語 は,類 型 論 的 には 屈 折 的
ウ ク ラ イ ナ 語 の 動 詞 は,ロ 1変 化,第2変
化 の2つ
動 詞,副
3人 称 の 語 尾 の 最 後 の‐tが
ウznajut',nos'at':ロznajut,nos'at),
1人 称 複 数 の 語 尾 が‐moと
ク ラ イ ナ 語 で は,語 は,複
くつ か ウ ク ライ ナ 語 的 と もい え る特 徴 が 各 品 詞 シア語 と比 べ て 目
ウ ク ライ ナ語 の 名 詞 は,ロ
シア語 と同 じ く,性(男,
女,中),数(単,複),格(主,生,与,対,造,前
置,
数3人
な る こ と(ウznajemo, あ る.そ
の ほか ウ
幹 が 唇 音 で 終 わ る 第2変
化 の動 詞
称 で も語 尾 の 前 に1を
と る(ウl'ubl'at'
「愛 す る 」:ロl'ub'at). 未 来 時 制 の 表 わ し方 も,ほ が,ウ
につ くもの をみ て い くこ とに す る.
軟 化 し て い る こ と(3単
nosit;3複
カ テ ゴ リー は,ロ
の形 態 に認 め られ る.そ の うち,ロ
き く第
知 っ て い る 」,nos〓t'「 運 ぶ 」:ロznajet,
主 に各 語 の形 態 に よ って 示 され る.品 詞 の 構 成 や 文法 シア 語 や ベ ロ ロ シア語 と同 じで あ る
シ ア 語 と 同 様 に,大
の グ ル ー プ に 分 け ら れ る.現
ウznaje「
な タイ プ に属 し,語 と語 の 関 係 や語 の文 中 で の 役 割 は
ぼ ロ シア 語 と同 じで あ る
ク ラ イ ナ 語 に は,不 完 了 体 の 未 来 形 に2つ
存 在 し て い る.1つ (ロbyt');ち
の形が
は ロ シ ア 語 と 同 じ(補 助 動 詞but〓
な み に‐t〓は,ウ
クラ イ ナ 語 の不 定 詞 の
《呼》)のカテ ゴ リー を もち,男 性 名 詞 と女 性 名 詞 には,
し る し)活
用 形 と不 定 詞 とで 表 わ さ れ る 場 合 で,も
生 物 を表 わ す か 否 か で,活 動体,不 活 動 体 の 区別 が あ
1つ は,ロ
シ ア 語 に な い 形,不
る.格 体 系 にお け る ロ シア 語 との 大 きな違 い は,ウ
ク
ラ イ ナ語 に呼格 が 残 され て い る こ とで,単 数 男 性 ・ 女性 名 詞 で は,呼 び か け に主 格 とは 異 な った形 が 用 い られ てい る(単 主Ivan 呼Ivane
の
動詞 と
在 形 で ウ ク ラ イ ナ 語 の 動 詞 が ロ シ ア 語 と異 な る 点 は,
nos〓mo:ロznajem,nosim),で
が,い
称 の かわ
よ ば れ る 分 詞 と 不 定 詞 が あ る.
語 を 実 際 に発 音 す る際 に,ロ シア 語 と比 べ て留 意 す
eや〓
去 時 制 や 条 件 法 で は,人
Petrovic,Olena
Petrovicu,Oleno
Petrivna→
Petrivno).ま
単
た,単
定 詞 にjn'at〓
う
の 変化
形 を 付 け て 未 来 形 を 作 る 場 合 で あ る(「 読 む で し ょ う 」 ウ1単budu c〓tlat〓
あ る い はc〓tat〓mu,2単budesc
〓tat〓あ る い はc〓tat〓mes…). 過 去 時 制 で は,他
の 東 ス ラ ブ 語 と 同 様 に,ア
トや 未 完 了 時 制 形 は な く な っ て お り,今
オ リス
で は か つ て,
数 男 性 名 詞 の与 格 語 尾 に,‐(j)uと 並 ん で,か つ て のu
補 助 動 詞 の 現 在 人 称 形 と と も に 完 了 時 制 を つ く っ たl
語 幹 名 詞 に由 来 す る‐ovi,‐(j)eviが
で 終 わ る 分 詞 に よ っ て,過 去 が 表 わ さ れ て い る.た
使わ れ て い る こ
とも,東 ス ラブ 語 の 中 で は ウ クラ イ ナ語 に特 有 の 特 徴
ウ ク ラ イ ナ 語 で は,単 数 男 性 形 で 語 末 のlが 正 書 法 で はvで
で あ る. 形 容 詞 は,関 係 す る名 詞 の性,数,格
に応 じて 語 尾 を
変 化 させ る.現 代 の ウ ク ライ ナ 文 語 で は短 語 尾 形 の 使
書 き 表 わ さ れ て い る)に
(「読 ん だ 」 単 男 ロcital:ウc〓tav,単 c〓tala).ま
た,ウ
だ,
短 いu(u,
変化 して い る
女 ロcitala:ウ
ク ラ イ ナ 語 で 注 意 す べ き 点 は,人
称
用 は まれ で あ り,述 語 として も普 通,長 語 尾 形 が 用 い ら
形 は な くし なが ら も古 代 ロ シア語 か ら受 けつ が れ た過
れ る.形 容 詞 の 語 形 変 化 で 注 意 す べ き点 は,女 性,中
去 完 了 時 制(過
性 の単 数 主 格 と対 格 お よび 複 数(性 の 区別 は な くな る)
動 作 を 表 わ す)が
主 格 の語 尾 が,間
chodil〓,jsem〓
の‐j‐の 消失 に よっ て縮 約 して しま
っ てい る こ と(ロ 女単 主 dobraja「 <dobraa),ロ
よい」:ウdobra
シア 語 に比 べ て,ウ クラ イ ナ語 の形 容
詞 の大 部 分 が 硬 変 化 に属 して い る こ と(n'お
よびjで
終 わ る語 幹 の 形 容 詞 の み 軟 変化),ま
変化のア
た,硬
ナ ロ ジー と3人 称 の人 称 代 名 詞(ウ 男 単vin,joho, jomu:ロon,jego,jemu)の
影 響 で,軟 変 化 の 語 尾 の
多 くが 硬 変 化 の 語 尾 と一 致 して しま った こ と(た とえ ば,男 単 生 ウdobroho,sin'oho「
青 い」:ロdobrogo,
chodlv
去 に な さ れ た 動 作 よ り も前 に な さ れ た あ る こ と で あ る(古 byla
buv,chod〓la
chodila「
ロ jsem〓
byl〓
私 は 行 っ た 」:ウ
bula).
形 動 詞 は 動 詞 的 性 格 と形 容 詞 的 性 格 を か ね 備 え,副 動 詞 は 動 詞 と 副 詞 の 機 能 を 合 わ せ も つ 分 詞 で あ る.ウ ク ラ イ ナ 語 の 能 動 形 動 詞 現 在 は,接 ‐(j)ac‐ に よ っ て 作 ら れ る.た な く,そ
だ,そ
尾 辞‐(j)uc‐, の形は生産的では
の 使 用 は 制 限 さ れ て い る(「 読 ん で い る … 」 ウ
citajuc〓j:ロcitajuscij).ま
た,‐s〓jで 終 わ る 能 動 形
動 詞 は ま っ た く用 い られ な い.し
か し,非
生産的では
あ るが,接 頭 辞 つ きの完 了体 自動 詞 か らは,接 尾 辞‐l‐
使 用 な ど の 特徴 を もつ.南 東 方 言 は そ れ ほ ど文 語 と異
をつ け て能 動 形 動 詞 過去 が作 られ る(pocornil〓j「黒 く
な らな い が,文
な って い る… 」).接 尾 辞‐m‐ を もつ 被 動 形 動 詞 現 在
た り,軟 子 音 で 終 わ る語 幹 の 名 詞 の複 数 与 格,前 置 格
も,ウ ク ライ ナ語 で は使 用 され ず,か わ りに,接 尾 辞
に アル カ イ ッ クな 語 尾‐im,‐ich(文 語 は‐am,‐ach)
‐(j)uva‐ に よ って 派 生 され た 不完 了体 に‐n‐ を つ け
が用 い られ て い る な どの違 い が あ る.
て形 成 され た形 動 詞 が,被 動 形 動 詞 現 在 の 意味 で用 い られ て い る(「 書 き付 け られ る」 ウzap〓suvan〓j:ロ zapisyvajemyj).被
動形 動 詞過 去 は ロ シア語 とほぼ
[ 語
語 よ り も広 くrの
軟 化 が な され て い
史 ] 東 ス ラ ブ で初 めて 使 用 され た文 語 は,
10世 紀 に キ エ フ ・ロ シア に導 入 され た 南 ス ラ ブ 系 の古 代 教会 ス ラ ブ語 で あ る.こ の 文 語 は,や が て 東 ス ラ ブ
同 じ.副 動 詞 は古 代 ロ シア語 の能 動 分詞 女 性 単 数 主 格
的 な特 徴 を吸 収 し,教 会 ス ラブ 語 と よば れ る文 語 に変
の 形 が 使わ れ て い る(「 読 み な が ら」 ウ c〓tajuc〓:ロ
わ ってい く.11∼12世
citaja,「 読 み 終 え て 」 ウ proc〓tavs〓:ロ procitav) .
ロ シア文 学 が 栄 え,『イ ー ゴ リ遠 征譚 』の よ う な芸 術 性
統 語 面 で ウ クラ イ ナ語 に特 徴 的 なの は,被 動形 動 詞
の高 い 作 品 も生 ま れ た.当 時 は ま だ,ウ ク ライ ナ語 は
過 去 の 短 語尾 中性 形(‐no,‐toで
古 代 ロ シア 語 の 地 方 的 方 言 に す ぎ なか った が,12世 紀
終 わ る形)の 述 語 と
紀 には,キ エ フ ・ロ シ ア で古 代
直 接 目的語 とか ら な る無 人 称 文 の 使 用 で あ る.こ れ は,
中頃 か ら ウ クラ イ ナ 語 的 な個 々 の特 徴 が 文献 に現 わ れ
動 作 をそ の結 果 に お い て表 現 した もので(「仕 事 は終 え
て きて い る(た とえ ば,iとyを
られ た 」Robotu
13世 紀 か らはeのiへ
zakinceno),そ
れ に対 して,直 接
目的 語 を主 語 に した 表 現(た だ し,状 態 を表わ す)も 用
称 複 数 の語 尾‐moの
い られ る(「仕 事 は終 え られ て しま って い る」Robota
(キ エ フ ・ロ シ ア の崩 壊)か
zakincena).ま
ク ライ ナ,白
た,先 に述 べ た よ うに,ウ ク ライ ナ 語
で 能動 形 動 詞 が あま り用 い られ な い(s'a動
詞 か らは
表 わ す 文 字 の 混 同).
の変 化,14世 紀 か らは 現 在1人 使 用 な どが 認 め られ る.13世 ら14世 紀 に,ロ
紀
シア,ウ
ロ シア 各 民族 の 分化 形 成 が 強 く進 み,ウ
ク ライ ナ 語 も独 立 した 発展 を始 め る こ とに な る.音 体
ま っ た く形 動詞 が 作 られ な い)こ と と 関 連 して,sco
系 や文 法 組 織 の 面 で は,14世 紀 ま で に ウ ク ライ ナ 語 の
(ロcto)が,ロ
基本 的 な特 徴 は す で に形 成 され て い た.
シア 語 よ り も広 く定 語 的 な副 文 で 使
われ る こ とに も言 及 す べ き で あ ろ う(「読 ん で い る人 」
14∼15世 紀,ウ ク ライ ナ 語 は地 方 的方 言 の強 い 影響
toj,sco c〓taje:「 読 んで い た 人 」toj,sco
で 変 化 した ものの,キ エ フ ・ロ シア の文 語 の伝 統 を発
c〓tav).
ウ クラ イ ナ語 で は,ロ シア 語 と同 じ よ うに,文 中 で
達 させ た.15世
紀 の 終 わ りか ら文 語 を 口語 に近 づ け る
の語 と語 との関 係 は,そ れ ぞ れ の語 の 形態 や 前置 詞 な
最 初 の 試 み が な され,16世
ど に よっ て か な り明 確 に示 され るた め,語 順 は統 語 面
初 め頃 ま で に は,ウ ク ライ ナ に2種 類 の文 語 が 成 立 し
で は それ ほ ど重 要 な役 割 を果 た さな い.し か し,コ ミ
てい た.1つ
ュニ ケー シ ョンの 面 で は,語 順 は,既 知,未 知 や,テ ー
宗 教 文 献 で用 い られ た 文 語
マ,レ ー マ を区別 す る 大 切 な手 段 とな って い る.
で,も
[語
彙 ]
ウ ク ラ イ ナ語 の 語 彙 の 基礎 を な して い
紀 の 終 わ りか ら17世 紀 の
は教 会 ス ラブ 語 が も とに な って お り,主 に
う1つ は,口
語 的 要 素 の 強い
と よば れ る文 語 で あ る.後 者 は,さ ま ざ ま な タ イ プ の
るの は,古 代 ロ シア 語 か ら受 け つ い だ 共通 ス ラ ブ語 起
事 務文 書 に使 用 され,16世 紀 に は福 音 書 な ど を この文
源 の語 で あ る.し か し,ウ クラ イ ナ語 が独 立 して 発 展
語 に 訳 す 試 み も行 な わ れ た.16世 紀 の 終 わ りか ら文 法
す る過 程 で形 成 され た 語 も多 く あ る.借 用 は,ロ シア
書 が現 わ れ,特 に ス モ トリツ キー
語 や ポー ラ ン ド語 か らの もの が 多 い.ポ ー ラ ン ド語 は
の文 法 書(1619)や
ま た,特
(1627)が
に16∼17世
紀 に 外 来 語 を仲 介 す る こ とで,
ウク ライ ナ 語 の語 彙 を 豊 か に して い る. [方
言 ] ウ クラ イ ナ語 の方 言 は,大 き く北,南
ウ ク ライ ナ文 語 の 基 礎 に な った の は,南 東 方 言 に属 し,
また,さ
の辞書 の標 準化 に 影響
を与 えた.16世
西,南 東 の3つ の方 言 に 分 け られ る.こ の うち,現 代
ベ リン ダ
紀 の 終 わ りか ら17世 紀 の 前半 に は,
ま ざ ま な ジ ャ ンル(特 に論 戦 文 学)の 優 れ た作
品 が す で に現 わ れ て い る. 16∼17世 紀,ポ ー ラ ン ドの支 配 下 で,ウ
ク ライ ナの
広 大 な 地域 に広 が る ポ ル タ ヴ ァ ・キエ フ方言 で あ る.
文 化 と言 語 は,ポ ー ラ ン ド貴 族 や カ ト リッ ク教 会 に よ
各 方 言 の特 徴 をい くつ か あげ る と,ま ず 北方 言 で は,
り圧 迫 を受 け て いた が,1654年,フ
ア クセ ン トの あ る古 代 ロ シア語 のeの 位置 に二 重 母 音 ie(文 語 はi)が 現 わ れ てい る こ と,rが
こ とご と く硬
メ リニ ツ キ ー
に よ る独 立 運 動 が 成 功 し,ウ ク ラ イ ナ の 多 くの 地 は ロ シア と合 併 した.民 衆 の 口承 作 品,と
音化 してい る こ と,ま た,形 容 詞 の語 尾 が 縮 約 して い
りわ け この 独 立 運 動 の 時期 に発 達 した 作 品 は,語 彙 や
る こ とな どで あ る.北 方 言 の東 と中 央 の グル ー プ に は,
文 体 の面 で,書
ア ーカ ニ エ が 認 め られ る.南 西 方 言 は,有 声 子 音 の無
要 素 は ま す ま す広 く用 い られ る よ う に な り,18世 紀 を
声化 や,代 名詞 の短 形 の存 在,s'aの
通 じて,民 衆 の話 し言 葉 に直 接 基づ い た,新
動 詞 か ら分 離 した
き言葉 に 強 い影 響 を 与 えた.口 語 的 な
しい ウ ク
ラ イ ナ文 語 が 形 成 され てい った. 18世 紀 か ら19世 紀 へ の境 目で,資
本主義の成長 と
え
関 連 し て,教 会 ス ラ ブ語 に基 礎 をお く古 くか ら の文 語 は,こ の 新 しい 文 語 に とっ てか わ られ,廃 れ て い く こと に な っ た.こ の 古 い文 語 か ら新 しい 文 語 へ の 移 行 は, 作 家 の コ トリャ レ フス キ ー,
英 語
English,独
Englisch,仏
anglais,
露〓
1769‐1838)の 作 品 に,は っ き りと見 て とる こ とが で き
[現 代 世 界 に お け る 英 語 ] 英 語 を 話 す 人 口 は,1500
る.彼 は,そ れ まで の文 語 の保 守 的 な伝 統 と縁 を切 り,
年 頃 の イ ン グ ラ ン ド と ス コ ッ トラ ン ド南 部 で500万
作 品 の 中 に 自分 と同 時代 の民 衆 の 言 葉 や フ ォー ク ロ ア
く ら い で あ っ た.17世
の特 徴 を定 着 させ,そ れ に よ って 新 しい 文 語 の 発 達 の
来,現
基 礎 をつ くった.し か し,コ
う に な っ た が,そ
ト リャ レ フス キ ー の とっ
人
紀 に 海 外 へ と 広 ま り始 め て 以
在 で は 北 ア メ リカ を 中心 に全 世 界 で通 用 す る よ の 当 然 の 結 果 と し て,世
界各 地 にい
た言 語 手 段 は,主 と して,あ る特 定 の ジ ャ ンル の 創 造 に
ろ い ろ な 英 語 が 生 ま れ た.世 界 の 英 語 の 分 布 を み る と,
必 要 な も の に限 られ,ま た,彼 の 作 品 の言 語 に は多 く
北 米 大 陸,つ
の古 風 な要 素 が 存在 して い た.コ
ー ジ ー ラ ン ド,南
ト リャ レフス キー の
い で,イ
ギ リ ス,オ
ー ス トラ リ ア,ニ
ア フ リ カ で,英
ュ
語 は母 語 とな っ てい
あ と,現 代 ウ クラ イ ナ文 語 の形 成 に決 定 的 な 役 割 を果
る.さ
た した の が,詩 人 の シ ェフ チ ェ ン コ
複 雑 な言 語 事 情 を抱 え る国 々 で 公 用語 も し くは 共通 語
1814‐61)で あ る.彼 は,口 語 を ウ ク ライ ナ文 語 の 基 礎
と し て 英 語 は 不 可 欠 の も の で あ る.
にお き,そ れ を 測 り知れ ぬ ほ ど豊 か な もの に仕 上 げ た
そ れ ぞ れ の 地 域 に よ っ て そ の 英 語 に 特 徴 が み ら れ る
だ け で な く,口語 のわ くに とらわ れ ず,他 の 言語 か らの
が,そ の 差 は,文 法 面 よ り は 発 音 と 語 彙 に 多 く現 わ れ て
借 用 や 新 造 語 な どに よっ て文 語 を充 実 させ た.シ
い る.英
ェフ
チ ェ ン コ に よ って確 立 され た ウ ク ライ ナ 文語 は,19世
ら に,旧
植 民 地 の イ ン ド,ア
フ リ カ 諸 国 な ど,
語 の 変 種 と し て 特 殊 な も の に ピ ジ ン ・イ ン グ
リ ッ シ ュ(Pidgin
English)と
紀 末,帝 政 ロ シア で 禁止 され る ことが あ った もの の,
国 語,マ
ル ト ガ ル 語 な ど の 俗 語 を 混 合 し た,
さま ざま な分 野 で さ らに発 展 して い くこ とに な る.
英 語 に 似 て 非 な る も の で あ る.さ
文 語 の 成 立 過 程 の 点 で,ウ ク ラ イナ 語 と ロ シア 語 を
レ ー 語,ポ
称 す る も の が あ る.中
ら に,ニ
比 べ る と,ロ シア文 語 が教 会 ス ラ ブ語 の 要 素 を と り入
ュ ・ ド ・メ ー ル(Beche‐de‐Mer)も,英
れ て 形 成 され て きた の に対 し,ウ ク ライ ナ文 語 は,教
た 混 成 語 で あ る.
会 ス ラ ブ語 の伝 統 か ら離 れ て,主 に 口語 を基 礎 と した とい う違 い が あ る. [ 辞
以 下,各
語 を主 体 に し
地 の 英 語 の 特 徴 を ま と め る.
1)オ
書]
ー ス トラ リ ア 英 語
豪 州 大 陸 に独 特 な風物
を 表 わ すboomerang,kangarooな camp「
ど の 語 彙 の ほ か,
家 畜 を 集 め て お く場 所 」,creek「
も)」,bush
high,basin―bisonが Dic
tionary(Saphrograph,New
語で
存の語に
音 の 面 で は,hay―
同 音 と な る な ど,ロ
下 町 言 葉 で あ る コ ッ ク ニ ー(Cockney)方 る 特 徴 が 認 め ら れ る が,こ
York)
川(米
it「藪 の 中 で 野 宿 す る 」 な ど,既
新 し い 意 味 を 与 え る 場 合 も あ る.発
Podvesko,M.L.(1955),Ukrainian‐English
ュー ギ ニ ア
とそ の 周 辺 諸 島 で 共 通 語 と し て 用 い ら れ て い る ベ ッ シ
れ は,初
ン ドンの 言 を思 わ せ
期移住者の社会階
層 の 影 響 と 一 般 に 説 明 され て い る.
[参 考 文 献] Humesky,Assya(1980),Modern (Canadian
Ukrainian
Institute
of
Ukrainian
Studies,
Edmonton‐Tronto)
2)ニ
ュ ー ジ ー ラ ン ド英 語
浅 い た め,イ
ギ リ ス 英 語(特
植 民 の歴 史 が 比 較 的
に ス コ ッ ト ラ ン ド英 語)と
大 き な 差 異 は な い と い わ れ る.語
彙 中 に は,原
住民の
言 語 で あ る マ オ リ語 が 散 見 さ れ る(tapu=taboo,pa Medushevsky,A.etal.(1963),Ukrainian mar(Radyanska
shkola,Kiev)
Zhluktenko,Yuriy (Vyshcha
gram
O.et
(Otto
earth
al.(1973),Ukrainian
Sprache(Vierte
village,pakeha=white oven,etc.).オ
条 件 か ら,ア der Verbesserte
Ukrai Auflage)
Harrassowitz,Wiesbaden)
ー ス ト ラ リ ア 英 語 と 共 通 す る語
メ リ カ 英 語 の 影 響 も,あ
富 啓)
理的な る程 度 受 け て い
る よ うで あ る. 3)南
ア フ リ カ 英 語
民 地 と な る以 前 に,こ (山 本
man,hangi=
も あ る(sheila=girl,tucker=food)が,地
shkola,Kiev)
Rudnyckyj,J.B.(1964),Lehrbuch nischen
=Maori
カ ー ン ス 語(Afrikaans,オ
こ の 英 語 は,イ
ギ リス の 植
の地 域 の 公 用 語 で あ った ア フ リ ラ ン ダ 語 の 一 種)の
要素
を,発 音(pin[〓],cab[〓]),語 彙(apartheid "separation" ,trek"migrate",veldt"field"な
c)語 ど)
ン ド英 語
し た 英 語 は,独
英 国 の植 民 地 で あ った頃 に 普 及
立 後 も ヒ ン デ ィ ー 語 な ど と並 ん で 公 用
語 と して の 地 位 を保 っ て い る.し ス テ イ シ ョ ン][〓]と
発 音 し た り,vとwの
特 色 の あ る英 語 と な っ て い る.当 ン ド固 有 の 文 物,風
区別
発 音 す る な ど, 然 の こ と な が ら,イ
俗 を 表 わ す 語 が,ヒ
ンデ ィー 語 あ
る い は ウ ル ド ゥ ー 語 か ら と り 入 れ ら れ て い る:bunga low,curry,maharaja,pundit,khaki,etc. 米 大 陸 の 英 語
エ リ ザ ベ ス1世 Walter が,本
北 ア メ リ カ 大 陸 は,す
の 頃,サ ー
Raleigh)ら
でに
ウ ォ ル タ ー ・ロ ー リ ー(Sir
に よ っ て 開 拓 が 試 み られ て い た
格 的 な 植 民 は,1620年,メ
petrol=gasoline(gas),bonnet=hood,lorry= truckな
ど が あ る.backwoodsman,shantymanな
イ ・フ ラ ワ ー 号 の 一
manな
ど,米
6)カ
国 の 政 治 制 度 に 特 有 の 用 語 も あ る.
ナ ダ の 英 語
は,歴
英 語 は い う ま で も な く,「 英 国 国 人 もま た かつ て は移 住 者 で あ
っ た.大
ブ リ テ ン(Great
43∼407)に
明 で あ る.ブ
に は,カ
立 戦 争(1775∼83)
リフ ォル ニ ア が 合 衆 国 の 一 州
あ る.ケ
ク ト人Pictsな
紀 半 ば か ら始 ま り,主
わ っ た と さ れ て い る.彼
植 民 者 の 中 心 は,英
(Angles),サ
ほ か に ド イ ツ 人 や 北 欧 人 も お り,加 え て17∼19世 強 制 移 住 させ ら れ た 黒 人 が あ っ た.そ か ら の 移 民 が 続 き,俗
に
の 後,世
紀 に 界 各地
「人 種 の る つ ぼ 」 とい わ れ る
状 況 に た ち い た っ た.
と よ ば れ て い る.英
ラ ン ド語 で,イ
り 出 た も の で あ り,現
部 地 方 に お け る初 期 の 植 民 事
グ ル マ ン 人 が,先
る.た
ど.普
通 名 詞 で は,cookie,waffle,boss,Santa
Clausな
ラ ンス 語,ス ペ イ ン語 に つ い て も,同 様 な
事 情 を 指 摘 で き る:Luisiana,Detroit,Vermont,
ス 語),Florida,San
Superiorな
上,フ
Francisco,Los
上,ス
ラ ン
Angeles,
down/dune(sand
dune)な
ペ イ ン語). 挙 に暇 が
通 名 詞 と し て はhickory,op
どが
に ラ テ ン語 か ら の 借 用 語 に は,大
英 語 史 の 時 代 区 分 の 概 要 を 示 す と,次
古 期 英 語(古
英 語)―700∼1100年
中 期 英 語(中
英 語)―1100∼1500年
近 代 英 語 ―1500年
a)イ
ギ リス 英 語 に 比 べ て 方 言 上 の 差 異 が 小 さ い.
English)に
b)標
準 イ ギ リス 英 語 で は 使 わ れ な く な っ た17,8
世 紀 英 語 の 特 徴 を 一 部 留 め て い る 場 合 が あ る.近 語 初 期 に 子 音 と し て の 音 価 を 失 っ た[〓]を
Modern
代英
響かせ るこ
保 有 し て い る こ と,強
な い 音 節 を 明 瞭 に 発 音 す る こ と(dictionary[デ ど.
bin),
テ ン 語 か ら は,
陸時代の
も の も 含 ま れ て い る か も し れ な い.
近 代 英 語 は,こ
シ ョ ネ エ ア リ][〓])な
ど.ラ
str〓t(street),weall(wall),win(wine)な
posum,sequoia,skunkな ど が あ る. 一 般 に ,ア メ リ カ 英 語 の 特 徴 と さ れ る点 は,
と,fast,pathに[〓]を
お 現代 英 語 の 中 に残 され て い
ル ト起 源 の 語 は,bin(dust
の とお りで あ
る.
イ ン デ ィ ア ン の 言 語 に 由 来 す る 地 名 は,枚 な い ほ ど で あ る が,普
と え ば,ケ
入 っ た.特
ど(以
Nevada;mustang,bronco,sombrero,
canyon,plaza,tornado(以
代アイル
よ ぶ の は,サ
住 民族 お よび ロー マ 人 か ら借 用 した
た と え ば,Brooklyn,Harlem,Yonkersな
Sierra
ン グル の 形 容
ギ リス 人 をSasanachと
も の と 思 わ れ る語 が,な
Orleans,Lake
ン グル 人
ュ ー ト人(Jutes)
ク ソ ン 人 の 名 称 を も っ て 彼 ら を 総 称 し た か ら で あ る.
ア メ リカ 英 語 に は,東
New
族 が これ に 加
ら は そ れ ぞ れ,ア
語 のEnglishは,ア
詞 古 英 語AEngliscよ
細 は不
ル ト人 の 一
ル マ ン人 の 英 国 侵 攻
と し て3部
ク ソ ン 人(Saxons),ジ
情 を 反 映 し て,オ ラ ン ダ 語 に ち な む 地 名 が 少 な く な い.
ど が あ る.フ
う で あ る が,詳
リテ ン と い う 名 称 自体 が,ケ
と な り,大 西 洋 と太 平 洋 に 接 す る 巨 大 国 家 が 成 立 し た. 語 を 母 語 とす る 人 々 で あ っ た が,
語上最初
ル ト人 以 前 に も 先 住 民 族 が ど)よ
部 族 を さ し て い た も の で あ る.グ は5世
で,言
ー マ の 支 配 下(A.D.
お かれ る以 前 に大 陸 か ら 移 住 して い た ケ
バー モン
々 移 住 が 行 な わ れ た.独
Britain)島
に 注 目 さ れ る 民 族 は,こ の 島 が,ロ
い た(ピ
トへ と,続
音 の 両 面 で,
[英 語 史 の 概 要 ]
ル ト人(Celts)で
を 経 て,1849年
本 的 に は英 国 英
彙,発
の 言 語 」 で あ る が,英
に は メイ
は ロー ド ・ア イ ラ ン ド,1650年
理 的 条 件 か ら,語
米 語 と の 接 触 が 盛 ん で あ る.
す る.1629年
に ニ ュ ー ・ハ ン プ シ ャ,1630年
北 米 大 陸 の 中の カ ナ ダ の 英 語
史 的 に 英 国 の 影 響 下 に あ り,基
語 で あ る が,地
行 が マサ チ ュー セ ッツ に上 陸 した 事 件 を もって 嚆 矢 と
ン,1636年
の 順),
ど,新 大 陸 な らで は の 単 語 の ほ か,senator,congress
か し,stationを[イ
が あ い ま い で あ っ た り,[〓]を[〓]と
5)北
とな っ て
く 知 ら れ た 例 と し て は(以 下,英=米
autumn=fall,lift=elevator,cinema=movie,
の 面 で 残 し て い る. 4)イ
彙 の 違 い も ま た,英 米 語 の 差 の1つ
い る.よ
以 降
れ を 細 分 し て,初
English)と,後
期 近 代 英 語(Early
期 近 代 英 語(Late
Modern
分 か つ こ と も あ る.
[ 古 英 語 ]
古 英 語 の 文 献 は,断
か ら 現 わ れ る が,そ
片 的 に は7世
紀 頃
の も っ と も古 い 段 階 で は,な
お ゲ
ル マ ン語 の 特 徴 を 維 持 して い た.
勢の
1)古
ィク
a)グ
英 語 の一 般 的 特 徴 リム の 法 則 が 適 用 さ れ る こ と.こ の 時 代 は 外
来 語 が 少 な く,語
彙 の 大 部 分 が ア ン グ ロ ・サ ク ソ ン 系
で あ っ たの で,イ
ン ド ・ヨー ロ ッパ 祖 語 とゲ ル マ ン語
著 で あ る.例:fot―fet←*foti‐.こ
との 子音 対 応 の 法 則(所 謂 「グ リム の 法則(Grimm's
でo>eの
Law)」)は,は
bleed,food―feed,token―teachな
ぼ例 外 な く適 用 され る.ま た,「グ リム
の法 則 」 の 不 備 を 補 う意 味 を もつ 「ヴ ェル ナ ー の 法則
同 じ 理 由 に よ る.な
(Verner's
bugjan「
Law)」
も明 瞭 に 読 み と る こ とが で き る
b)上
記1に 関連 して,語 彙 の基 本 的 な 部 分 が,他
ど の 対 応 も,
お,古
英 語bycgeanと
蓋 閉 鎖 音(g,k)が
げ たgiest「
c)ア
(古 英 語giefan[〓])は
前舌母音の影響
発 音 す る.give
お そ ら く北 部 方 言 の 影 響
で[g]音
が 復 活 し た も の で あ ろ う.
るが,文 献 に現 わ れ る頃 に は,ア クセ ン トは主 に語 幹
3)古
英語の形態
に 固定 す る傾 向 が 強 か っ た.
古 英 語 の 名 詞 に は,3つ
d)動
つ の 格 が あ る が,主
の 文 法 性(男,女,中),4
格 と 対 格 は 同 形 な の で,実
存在 す る.
形 と な る.形
動 詞 でい う強 変 化 とは,印 欧 語 以 来 の 母 音 交 替 の原
数 に よ る 活 用 を 行 な っ た.動
則 に よ り語 形 変化(現 在 形 お よび 過 去 形)を 実現 す る
幹,過
去 語 幹,過
もの で あ り,弱 変化 とは,語 幹 の 形 を変 え ず に もっ ぱ
は,他
の ゲ ル マ ン 語 同 様,存
ら語 尾 に よ り上記 の 区別 を 表現 す る もの で あ る.後 者
説 法,接
は,す べ て 派 生動 詞 で あ る.現 代 英 語 で は,規 則 動 詞,
ど の い わ ゆ る 複 合 時 制 は,文
不規 則 動 詞 と よび 習 わ して い るが,前 者 は,か つ て の 弱 変化 動 詞 を主体 と し,後 者 は,か つ て の 強変 化 動 詞 に そ の後 不 規 則 にな っ た 弱 変 化 動 詞 を 多 数 含 ん で い
容 詞 は,現
詞 に は,不
定 形,現
在語
去 分 詞 語 幹 の 区 別 が あ る が,未
続 法,命
来形
在 し な か っ た.法
令 法 の3種
を 認 め る.完
は,直
了,進
行な
法範 疇 と して は ま だ確 立
し て い な か っ た. 4)文
の 構 成,そ
の他
古 英 語 の 語 順 は,こ
の 言 語 の 屈 折 的 性 格 か ら,な
る.し たが って,強 弱 の名 称 は,ド イ ツ語 な ど と異 な り,現 代 英 語 には 不 適 当 で あ る とい え る.
の 後 に お か れ た り(例:him
お
置 詞 が,名 詞,代 名 詞
beforan=before
him),
特 定 の 機 能 を 伴 わ な い 倒 置 も 盛 ん で あ っ た(例:〓fter
強 変 化 動 詞 の例:「 成 る」
〓 issum
単 数 過 去 複 数 過 去 過去 分詞
weor〓an wear〓
際 は3
代 ドイ ツ 語 に よ く似 た,性,
か な り の 自 由 度 を 擁 し て い た.前
不 定 詞
の 表 にあ
客 」 が そ の 例 で,[〓]と
ゲ ル マ ン語 で は語 頭 に ア ク セ ン トが 固 定 した と思 わ れ
詞 お よび形 容 詞 に,強 変 化,弱 変化 の 区別 が
ゴ ー ト語
で 変 質 す る こ と で あ る(g>j,k>ch).上
の ゲ ル マ ン諸 語 と共通 で あ る こ と. クセ ン トが語 幹 に固 定 して い る こ と.当 初,
影響
代 英 語 のblood―
買 う 」 を 比 較 さ れ た い.
口 蓋 化 と は,口
(→ゲ ル マ ン語 派).
こ で はiの
変 化 が 起 こ っ て い る.現
wurdon
for se h〓lend`after
5)古
(ge)worden
古 英 語 初 期 の 語 彙 は,ゲ
弱 変 化 動 詞 の例:「 愛 す る」
this went
the
lord').
英語 の語 彙 ル マ ン 系 の 語 彙 を 中 心 に,
不 定 詞 単数 過 去 複 数 過去 過去 分詞
若 干 の ラ テ ン語 と ケ ル ト語 の 借 用 語 か ら な っ て い た と
lufian lufode
思 わ れ る が,ほ
lufodon
(ge)lufod
形 容 詞 の 強 弱 の 変 化 は,活
用 に 際 して‐n‐ 語 幹 を
用 い る もの を弱変 化 とい い,そ
うで な い もの を強 変 化
とい う.一 般 に,強 変 化 は不 特 定 の 含 み を も ち,弱 変
ど な く,こ
れ に 教 会 ラ テ ン語 が 加 わ っ
た. a)第2期
の ラ テ ン 語 借 用 語
に か け て,英
6世 紀 か ら7世
国 へ キ リ ス ト教 が 伝 え られ る と,多
化 は特 定 の 概 念(「 そ の本 」 「か の 人 」 な ど)と 関 連 し
教 会 用 語 が 英 語 に も ち 込 ま れ た.ラ
てい る(→ ゲ ル マ ン語).
と り入 れ た 例 と し て は,apostol(apostle),biscep
2)古
(bishop),cyrce(church),munuc(monk),preost
a)古
英 語 の音 韻 英 語 の 一般 的 特 徴 のaで 述 べ た よ うに,ゲ ル
マ ン 系の 言 語 に は,す べ て 「グ リムの 法 則」 とよ ばれ る子 音 の対 応 関 係 が あ る.2,3の
例 を あ げ る と,
fisc giest
fiskr gestr
神 」,heofon「
l〓ran「
*p「 *gh「
魚」 異人」
ど が あ る.ま
た,既
テ ン語 を そ の ま ま
存 の語 彙 に新 しい 意 味
が 付 加 さ れ た も の も 少 な く な い.た god「
ラテ ン語 古 英 語 古 ノル ド語 ← 印 欧祖 語 piscis hostis
(priest)な
天 」,hel「
と え ば,gast「
地 獄 」,synn「
たに
作 ら れ た 語 に は,heahf〓der「
族 長 」,godspell「
福
音 」,h〓lend「
救 世 主 」 な ど が あ る が,こ
の 時 代 に は,
れ た い.
b)ノ
一
罪 」,
告 知 す る 」 な ど.新
多 数 の 訳 語 が 案 出 され た で あ ろ う と 想 像 さ れ る.
音(ウ ム ラ ウ ト)お よび 口蓋化 につ い て
霊 」,
説 教 す る 」,bodian「
の よ う にな る.詳 細 は 「ゲ ル マ ン語 派」 の項 を参 照 さ b)変
紀
数 の
ル ド語 の 流 入
に な っ た,北
こ れ は,8世
欧 人 の 英 国 に お け る,い
紀 頃 か ら盛 ん わゆ るヴァイキ
般 に,ア ク セ ン トの あ る音節 の 母 音 が,後 続 す る母音 の
ン グ 活 動 の 一 端 と し て 起 こ っ た こ と で あ る.ヴ
性質 を帯 び る現 象 を変 音 ま た は ウム ラ ウ トと称 す る.
ン グ(viking)と
古英 語 で は,後 続 母 音 が‐i‐で あ る場 合 が も っ と も顕
は,時
は,海
ァイ キ
外 へ 遠 征 し て 商 取 引 き,あ
るい
と 場 合 に 応 じ て 略 奪 行 為 を 行 な う こ と を い い,
これ に従 事 す る もの をvikingr(ヴ し た.彼
ァイ キ ング 者)と 称
らは,波 状 的 に英 国 の 東 海岸 を 襲 い,村 や修
な変 化 が 起 こっ た. a)同
道 院 を焼 き討 ち した が,中 には定 住 す る者 もあ った. 英 君 とい わ れ た アル フ レ ッ ド大 王(Alfred
義 語 の交 代
(以 前 の 表現)
(以後 の 表 現)
the Great
「僧侶 」
?‐899)は し ば し ば彼 ら と戦 った.し か し,や が て和 を
「平和 」
結 び,定 住 者 た ち との 平 和 的共 存 の道 を開 い た.彼
「戦 争 」
(総 称 して デ ー ン人Danesと
ら
「愛 」
い う)の 支 配 権 の お よぶ
範 囲 を デ ー ン ロー(Danelaw)と
い った.こ れ 以 後,
ブ リテ ン島 に お い て,言 語 的 に ご く近 い が,同
じ とは
い え な い2つ の言 語 が相 接 す る地 域 で 使 わ れ る よ うに
も ち ろ ん,こ
こで い う交 代 が一 朝 一 夕 に起 こっ た わ け
で は な く,ま
た,完
全 に 入 れ 替 わ っ た の で も な い.上
例 中 のpreost,lufuは,な
お現 代 英 語 に存 在 して い
な った.
る し,「 捕 え る 」 とい う意 味 でcatchと
デ ー ン人 の言 語 は,や が て英 語 に吸 収 され て い くが,
もlatch‐keyな
交 代 し たlatch
ど に 片 鱗 を 留 め て い る.
そ の 過 程 でお びた だ しい 数 の 語 を英 語 に残 した.そ の
特 殊 な 例 と し て,beef,veal,pork,muttonが
面 影 は,今
る.こ
日 なお,英 国 北 部 の方 言 に み る こ とが で き
る.現 代 標 準 英 語 に 入 った ノ ル ド語 の例 と して は,by
calf,pig(swine),sheepに
(「村,町 」 の 意 で,bylaw,Derbyな
knightは,古
cast,fellow,skirt,sky,to 一 般語 の ほ か
ど に残 る),to take,thrallな
,they―their―themと
どの
い う代 名 詞
が あ る. 6)古
対 応 し て い る.ま
英 語 のcneoht「
る 語 で あ る が,フ
b)新
古 英 語 時代 の英 国 人(ア ン グ ロ ・サ ク ソ ン人)が 当初 用 い てい た文 字 は,ル ー ン文 字(runes)と
よば れ る も
若 者,家
dame,nobleな
baron,champion,count,
ど 爵 位 に 関 す る も の,army,caitif,
combat,castleな
ど 騎 士 制 度 や 軍 事 に 関 す る 語,
warrant,council,pawnな
ヨー ロ ッパ 各 地 に知 られ て い る.お そ ら く大 陸 時代,
英 語 の 語 彙 に 新 た に 加 わ っ た. ノ ル マ ン 征 服 後3世
ど の 司 法 用 語 が,多 数,
紀 足 ら ず で,あ
る この文 字 は,石 碑 あ るい は武 器,装 身 具 な ど に刻 ま
が 復 活 し,英
れ,墓 碑 銘 か,さ
語 は 姿 を 消 す こ と に な る が,書
もな けれ ば,所 有 者 の 名 前,呪 文 な
どを記 した もの で,実 用的 で はな い.こ の文 字 列 は, 最 初 の6文 字 を とっ てfuparkと
よ ばれ て い る.英 国
らゆ る面 で 英 語
国の 土 地 か ら話 し言 葉 と して の フ ラ ンス
文 化 の 吸 収 は,そ calenge「
騎 士 」 の意
れ を 意 味 借 用(seman
い う こ と が あ る.
語 の 流 入
の で,北 欧 に多 数 の実 例 が 残存 してい る ほか,古 くか ら
す で に 使 用 され て い た もの で あ ろ う.直 線 を基 調 とす
き言 葉 に よ る フ ラ ンス
の 後 も 続 け ら れ た.cattle「
非 難 」,canceler「
家 畜 」,
書 記 官 」 な ど,初 期 の 借 用
で,ラ テ ン文 字 を用 い て本 格 的 に文 字 が使 用 さ れ るよ
語 に 対 し,chattel,challenge,chauncellorな
うに な っ た の は,キ
大 陸 か ら 新 し く借 用 され た もの で あ る(ch[〓]音
リス ト教 伝 来以 後 で あ る と考 え ら
れ る.本 来 の ラ テ ン文 字 で 表 わ しえ な い音 の 表記 に 際 して,例 え ば,goを[〓]と
読 ま せ る た め にgeoと
書
くな ど,綴 り字 の 使 い方 に,当 時 の ア イル ラ ン ド語 の 習 慣 が 認 め られ る.ま
た,若 干 の 新 文字(p,〓
な ど)
ル マ ン征服 とフ ラ ンス 語 の 隆 盛
古 英 語 の 末 期,英
2)中
ノ ル マ ン 征 服 に よ っ て,し さ れ た 英 語 は,民 か し,中
国
世 に は 標 準 語 と よぶ べ き もの は な お 存
くの 方 言 と し て 存 続 し て い た.そ
ソ ン(West‐Saxon)方
言,か
英 語 期 ア ン グ リア(Anglian)と
マ ンデ ィ公 国 との間 に争 い が 起 こ った.結 局,ノ ル マ
言(西
ン デ ィ側 の勝 利 に終 わ り,ウ ィ リア ム1世(1028∼87)
川 以 北 の 北 部 方 言 で あ る.こ
マ ン征 服 で あ る.こ の後,フ
れ が,い わ ゆ る ノル
ラ ンス 語 を母 国 語 とす る
貴 族 が 英 国 宮 廷 の主 流 を 占 め,行 政,経 済,軍 事,司 法 は,フ ラ ン ス語 で行 なわ れ る こ とに な った.こ
の当
れ ら は,
つ て の ウ ェ ス ト ・サ ク
言 の 系 統 を ひ く西 南 部 方 言,古
側 と,英 国 王 室 と縁 戚 関 係 に あ った北 フ ラ ンス の ノル
が英 国 王 とな っ た(1066年 末).こ
ば ら く公 的 な 場 か ら 追 放
衆 の 言 葉 と して着 実 に発 展 して い っ
南 部 の ケ ン ト(Kent)方
国 の王 位 継 承権 を め ぐって,英
よば れ た 地 域 の 中部 方
部 方 言 と東 部 方 言 を 含 む),ハ
ト ラ ン ド英 語 と し て,今
ン バ ー(Humber)
の 最 後 の も の は,ス
日 な お,特
コ ッ
色 を 維 持 し て い る.
一 般 に ,北
部 の 方 言 ほ ど,北
い る が,そ
の 理 由 は す で に 説 明 し た と こ ろ で あ る.
ロ ン ド ン の 英 語 は,そ
欧 系 の語 彙 を 多 く含 ん で
れ ら諸 方 言 の 中 で 特 別 に 重 要
然 の帰 結 とし て,英 語 は,種 々の 面 で この支 配 者 の言
な 意 味 を も っ て い た.14世
語 の 影 響 下 にお かれ,な
語 を 文 章 語 の 規 範 とみ な す 傾 向 が 顕 著 と な り,こ
か んず く語 彙 面 で,次 の よ う
に
英語の方言
在 せ ず,多
[古英 語 か ら 中英 語 へ] 1)ノ
ど は,
注 意).
た.し
も加 え られ た.
た,
来」に由来す
ラ ン ス 語 のchevalier「
味 で 使 わ れ る よ う に な っ た.こ tic borrowing)と
英語 の 文字
あ
れ ら の 語 は,食 肉 の 名 称 と し て,英 語 系 のcow,
紀 以 降,首
都 ロン ド ンの英 の方
言 が,後 に標 準 英 語 とし て確 立 す る た め の基 礎 が 作 ら 3)中
W.シ
ェ イ ク ス ピ ア(1564∼1616)の
の 『欽 定 訳 聖 書 』(the
れ て い った ので あ る. 世 諸 方 言 の一 般 的 特 徴
Version)は,そ
の 後 の 文 語 英 語 の 発 達 に 大 き な 影 響 を 与 え た.こ
古 英語 の諸 方 言 にみ られ る発 音 上 の 特色 は,変 化 を
書 は,テ
とげ な が らも中 英 語 に ひ き継 が れて い くが,な か んず
して い る こ と も あ っ て,世
く 〈y[〓] 〉 音 は,北
古 語 を 含 ん で い た と 思 わ れ る.現
〈y〉,南東部 で は
部 で 〈i〉,中西 部 か ら南 西 部 で
〈e〉 とな った.現
[〓],busy[〓]に
代 英 語 のbury
ィ ン ダ ル(Tyndale)の
り気 づ か な い が,そ
在,我
北 部 で は その 速 度 が 特 に 速 か っ た.今
して い た 複 数 形 は,こ
日の文 語 でI
い うの は古 英 語 以
詞 の 屈 折 に つ い て
さ れ た が,一
か つ て は 幾 通 りか 存 在
の 頃 ま で に,ほ
部 は な お,現
ぼ‐(e)sに
(children,oxenな
南 部 方 言 に保 存 され て きた もの で あ る.北 部 で は,中
意 味 す る ア ポ ス ト ロ フ ィ(')が
英 語 の 時 代,全 人 称 を通 して‐(e)sが あ らわ れ て い る
れ は じ め た の は17世
(これ は 古英 語 の北 部 方言 に す で に存 在 して い た).こ
複 数 形 に も 適 用 さ れ る よ う に な っ た.
の語 尾 の 起 源 につ い て は 諸 説 が あ る が,15世 紀 に は,
b)代
ロ ン ドンに ま で達 して い た こ とは確 か で あ る.
格 形 がthou,複
ど).文
長 ら く中世 西洋
字 の 脱 落 あ る い は省 略 を 所 有 格 の 印 と して 使 わ
紀 の 末 で あ る が,18世
名 詞 に つ い て
2人
紀 末 に はyeが
事 実 上 廃 れ て し ま っ た.今
い う の は,歴
史 的 に は,複
中世 も末期 に近 づ くとか げ りが み え 始 め た.チ ョー サ ー(G.Chaucer)を は じめ ,リ ッ ドゲ イ ト(Lydgate),
単 数 形,複
数 形 の 差 は,数
敬 称 の 区 別 を も 表 わ し て い た.こ
カ クス トン(Caxton)な
お,ヨ
ング ロ ・サ ク
英 語 で は,17世
た し,学 問 用語 として の ラテ ン語 の 使 用 は な お定 石 で
う で あ る が,ま
の 違 い で あ る ほ か,親 の 習 慣 は,現
itの
紀 中 葉 ま で は,な
お意 識 され て い た よ
所 有 格 と し てitsが
古 形 のhisと
は,16世
More,
系 の 借 用 語 で あ るthey―their―themに
Philip
を 譲 っ た(現 代 英 語 で も ま れ に'emの
1478∼1535),サ
ー フィ リ ップ ・シ ドニ ー(Sir
Sidney,1554∼86)な
ど の名 を あ げ る こ とが で き る.
これ らの 人文 主 義 者,す な わ ち,当 時 の 学 問 を代 表
紀 末 の こ と で あ る.古
中 英 語 の 関 係 代 名 詞 は,thatが 紀 頃 か らwhichの
い る人 た ち が いた.そ れ らは,a)愛
問 詞 か ら 転 用 さ れ,こ
使 用 を主 張 す る人 々,b)ウ
ィ ッ ク リ フ(J.Wyclif)に
代 表 され る民 衆 的 宗 教者,c)古
c)形
典 教育 を 受 け て は い
ない が 学 問 を め ざす新 興 勢 力,で あ る が,加 え て活 版
容 詞 に つ い て
主 で あ っ た が,14世
法 面 で は,more
リ
worse等
の,い
d)動
詞 の語 形 につ い て
ア)動
詞 変 化 に は,古
来,弱
や,哲 学や 科 学 思 想 の 表 現 に英 語 を 使 用 す る こ と も行
化 動 詞 へ の 転 換 が 急 速 に 進 ん だ.現
なわ れ 始 め た(F.ベ
g1ide,help,wash等
な ど). 2)初
で あ る が,一
期 近 代 英 語 の 特徴 とそ の 後 の発 達
の数少 better,more
変 化 と 強 変 化 の2態
知 ら れ て い る が,こ
ック
と え ば,strong
わ ゆ る 二 重 比 較 法 が 好 ま れ た.
発 達 し,中 産 階 級 の 言 語 生 活 に 変 化 が 生 じて きた こ と
ッブ ス,J.ロ
疑
形 容 詞 が,比 較 変 化 す る 際
代 英 語 のold―elder―eldestは,こ
シア,ロ ー マ の著 作 が 盛 ん に英 語 へ 翻 訳 され た.ま た,
ー コ ン,T.ホ
い でwhoも
―strenger―strengest;long―lenger―lengest
な い 名 残 り で あ る.語
紀 に な る と,大 陸 との 貿 易 に よる商 業都 市 が
形 で出 る こ とが
に 変 音 を 伴 う も の が 残 存 し て い た.た
を推 進 させ る結 果 とな った.大 陸 諸 国 に遅 れ て,16世
15,6世
欧
れ に 加 わ っ た.
な ど.現
く して,ギ
ま た,北
その地位
使 用 が 始 ま り,つ
印刷 の普 及 に よ る一 般 読 者 層 の 拡 大 も母 語 使 用 の 傾 向
紀 に文 芸 復 興期 を 迎 え た 英 国 で は,か
形hemも
交 代 す るの
あ る).
す る人 々 とは別 に,英 語 で もの を書 く必 要 に 迫 られ て 国 心 か ら母 国語 の
称,
在 もな
も な く標 準 英 語 か ら姿 を 消 し た.
の面 で は,サ ー
Thomas
日,youと
数 の 目 的 格 の 形 で あ る.
試 み も,さ さや かで は あ った が 進行 し始 め て い た.こ トマス ・モ ア(Sir
数主 か し,
ー ロ ッ パ の 言 語 に 広 く 認 め ら れ る もの で あ る.
ソ ン系の 語 彙 に飽 きた らず,ラ テ ン系 の 語 を と り入 れ
あ った.し か し,同 じ こ とを英 語 で 表 現 し よ う とす る
あ っ た.し
紀 半 ば に は 不 明 確 と な り,17世
世 界 の 共 通語 として 君臨 して きた ラ テ ン語 の 勢 い も,
どの文 人 は,ア
紀 に は,
称 の 代 名 詞 は,単
数 主 格 形 がyeで
この 格 の 区 別 は16世
[中英 語 か ら近 代 英語 へ]
統一
代 英 語 で も用 い られ て い る
来 の人 称 語 尾 を使 用 す る もの で あ る が,こ の伝 統 は,
章語 として の英 語 の地 位
ま
こ の 時 代 の 英 語 の 目 立 っ た 特 徴 は 次 の 通 り で あ る.
壊 は,中 英語 期 に入 って さ らに進 ん だ.南 部 に比 べ て
1)文
で に 多 くの 々が 手 にす る
の 差 は 決 して 無 視 で き る ほ ど小 さ
a)名
lovethと
手 に な る 旧訳 を も とに に 出 た と き,す
な も の で は な い.
古 英 語 末期 に,す で に あ らわ れ て い た 屈折 語 尾 の崩
lovest;he
の聖
刊 本 は 綴 り語 形 な ど を 現 代 風 に 直 し て あ る の で,あ
み られ る発 音 と綴 り字 の著 し
い 乖 離 は,こ の よ うな事 情 を 反映 した もの で あ る.
love;thou
作 品 群 と1611年
Authorized
の 時 代 に は,強
方 で は,現
は,古
が
変 化 動 詞 か ら弱変 代 英 語 のclimb,
くは 強 変化 して い た もの
代 英 語 に,gat=got,drave
=drove,spake=spoke,holden=held,holpen
=helped,writ=writtenな
どの 古 い 形 も断 片 的 に
在 し て い る.英
語 で は,中
へ 移 行 す る 過 程 で,主
存 続 して い る.
英 語 末 期 か ら初期 近 代 英 語
語 を必 要 とす る人 称構 文 へ 転 化
イ)英 文 法 で,3人 称 単 数現 在 の‐sと称 す る もの は,
し た(例:Me
歴 史的 に は,す で に 述 べ た よ うに,北 部 方 言 か ら広 ま っ
it behoves
た‐esが 南 部 英 語 の‐ethを 駆 逐 して 標 準 語 とな った
詞 し か と ら な い も の が あ る.し
もの で あ る.こ の‐(e)sは,シ
人 称 構 文 へ の 転 換 は 形 式 上 の こ と で あ り,主
ェ イ ク ス ピア で は‐eth
thinks→I me/it
think).現
seems
代 英 語 で も,
to meな
ど,特
か し,非
定 の代 名
人称構文 か ら 語が動詞
と並 ん で 用 い られ て い るが,古 風 な文 体 を維 持 して い
の 表 わ す 内 容 に,主
る と思 わ れ る 『欽 定 訳聖 書』(1611)に は 見 あ た らな い.
と い う,非 人 称 動 詞 の 本 来 の 意 味 は 不 変 で あ る(例:to
なお,2人
befall,to
称 単 数 の‐(e)stは,主
語 と してthouが
あ る限 り保 存 され た. ウ)近 代 英語 の特 徴 の1つ に,動 詞 と前 置 詞 あ るい
う こ とが あ る.そ のは た ら きは,動 詞 の意 味 の特 定 の 局 面 を 強 調 す る,あ るい は比 喩 的 な 意 味 を派 生 させ る こ とに あ る.ま た,通 常,多 音 節 語 で あ る ロ マ ンス 系 の語 の同 義語 とな る もの も多 い.た (=continue)a
happen,to
の ほ か,Woe
は 副 詞 が 結 合 す る,い わ ゆ る句 動 詞 の 急速 な増 加 とい
story,put
put off(=postpone)な
up
とえ ば,take
day!「
ど.こ れ らの 句 動 詞 は,容
pleaseな
降 る 」な ど,自
つ て は 無 主 語 で あ っ た が,こ
っ た. g)前
置 詞,接 続 詞 に つ い て
表 わ す 前 置 詞 と し て,17世
受動文で行為者を
紀 初 頭 ま で は,byよ
が 普 通 で あ っ た な ど,古
by
し い 前 置 詞 と 接 続 詞 が 生 ま れ て,文
way
of,for
the
sake
な ど が,一
して,特 別 の 助 動 詞to doを 使 用 す る の が,大 概 の近
一 般 化 し た .し
代 西 欧 語 に対 す る近 代 英 語 の一 特 徴 で あ る が,こ れ は
法 は 流 動 的 で あ っ た と い え る.
る場 合 に は 口調
(韻律)を 整 え るた め に,ま た他 の 場 合 で は,現 代 語 の makeの
よ う な使 役 的 な意 味 で あ っ た.
3)近
中 世 英 語 後 期 に 感 じ ら れ た で あ ろ う,語 は,前
か ら 多 くの 語 を 借 用 す る こ と で 補 わ れ た.な ラ テ ン 語 か ら の 借 用 語 は,1600年 か し,中
に は,フ
ラ ンス 語 を経 由 した もの や古
い 借 用 語 を 再 編 成 し た 場 合 も あ り,同
らの 意 味 内 容 も変化 し た.こ れ と平 行 して,接 続 法 の
bishop―episcopal,dish―disc,chamber―cam
使 用 が 少 な くな った.
era,chief―chefな
元 来,ゲ ル マ ン語 で あ る
ど.ま
た,doubt,receiptの
古 典 語 の 借 用 の 必 然 的 結 果 と し て,多
対応 す る屈 折 形 しか 存 在 して い な い が,こ れ に は,単 一
か り に くい 単 語 が 増 え た.そ 語)と ostent
willも 登 場 す る.ま た,完 了相 を 表 わすhave+ 分 詞 の形 式 と継 続 相 の表 現 と して のbe+
過去
現在 分詞の
showな
さ ら に 難 語 釈 義,あ
or
る い は 簡 易 辞 書 の よ う な も の も編
して,機 能上,単 純 形 と対 立 的 に 用 い られ る よ うに な
法,複
っ た.ま た こ の頃 か ら,受 動進 行 形(例:The
来 語 を き ら っ て,lunatic「
f)非
built)も
使 われ 始 め,現 在 に至 っ て い る.
人 称 構 文 につ い て
定 動 詞 を含 む 文 で,主
語 を文 法 上 表 現 し ない もの(た だ し,い わ ゆ る 「 省略」 の場 合 を除 く)を非 人 称 文 とい い,古 くか ら印 欧 語 に存
courage,
纂 さ れ る よ う に な っ た. 既 存 の 単 語 を 用 い る 造 語 法 に は,古
is being
give
words(難
どの よ うに 言 い 換 え も行 な わ れ,
形式 とは,18世 紀 に至 って よ うや く文 法 カ テ ゴ リー と
house
音節の 意味の分
れ ら はhard
よ ば れ る も の で,animate or
と え ば,
に 原 語 に 近 づ け て 復 活 した もの で あ る.
英語 の 動 詞 に は,現 在 と過 去 とい う2つ の 時 制 組 織 に
合 形 とが あ る.中 英 語 末期 に は,未 来 時制 を担 うshall,
系語 で あ りな が
な る 形 を と る に 至 っ た も の も あ る.た
‐ b‐,‐p‐ は,後
動詞 の屈 折 形 で あ る単 純 形 と,後 に複 雑 に 発 達 す る複
かんず く
頃 が ピー ク とい わ れ
ら,異
制 組織 につ い て
彙上の不足
述 の文 芸 復 興 期 の人 文 主 義 者 の活 躍 よ り古 典 語
な どの,い わ ゆ る法 助 動 詞 の使 用 が 頻 繁 とな り,そ れ
e)時
の頃 か ら
し て 現 代 英 語 に 比 べ る と,文
世 初 期 に お け る語 彙 の拡 充
る.し
オ)そ の ほか で は,can,may,shall,will,must
of,
ラ ン ス 語 を ま ね る 形 で,こ か し,概
の
の構 成 が 分
of,during,concerning
エ)平 叙 文 を 疑 問文 あ るい は否 定 文 へ転 換 す る に 際
部,フ
りof
い 用 法 も残 っ て い た が,こ
析 的 に な っ て き た.notwithstanding,because
降 の こ とで あ り,当 時 の 用 法 で は,あ
代英語で
立 て る こ とに な
手 段 と な った.
紀以
つては使われ
れ は,近
意 味 な"it"を
に代 わ り,動 詞 か ら名 詞 へ 品詞 転 換 を 行 な う際 の 常 套
現 代 語 の よ うに 特 定 の 機 能 との 結 び つ きは18世
the
然 現 象 を表 現 す る文
頃,新
定 訳 聖書 』 で も,本 動 詞 以 外 の 用 法 が 認 め られ るが,
上
worth
ん た る 悲 運 」 な ど も,か
易 に名 詞 に転 ず る こ とが で きる の で,か つ て の 接 辞 法
そ れ ほ ど古 い現 象 で は な い.シ ェイ ク ス ピ ア で も 『欽
ど).以
悲 し い か な 」,Woe
は 構 造 上 許 され ず,無
up
with(=tolerate),
あ あ,な
志 的 に 係 わ る こ とは ない
like,to
is me!「
て い た.「 雨(雪)が も,か
体 的,意
moonedと
合 法,混
英語 以 来 の 接 辞
成 法 な ど が ひ き 続 き 用 い られ た が,外 気 が 狂 った」 の 代 わ りに
い い,parableをbywordな
ど と言 い 換
え る 人 々 も い た. 4)近
世 後 期 の 語彙
近 代 英 語 後 期 か ら現代にかけ
て も語 彙 は増 え続 け る
が,新 で,借
しい 傾 向 と し て 借 用 語 の 数 が 相 対 的 に 減 る 一 方 用 の 範 囲 が 多 様 化 し た こ と が あ げ ら れ る.フ
ン ス 語cafe,aperitif,menu,ド
イ ツ 語hamster,
delicatessen,rucksack,オ
シ ア 語czar,ヒ た,ア
く,我 々の 耳 に は,「エ ウ」 の よ うに聞 こ え る こ とが あ る. [〓](betterな
ラ ン ダ 語waggon,
schooner,boss,ロ verandah,ま
ラ
ど)は,ア
ン デ ィ ー語
フ リ カ の 言 語 か らtsetseな
ど,
2)標
準英 語 の子 音
a)無
声 閉 鎖 音[〓]
b)有
声 閉 鎖 音[〓]
つ て の ア ン グ ロ ・サ ク
c)無
声 摩 擦 音[〓]
ソ ン系 の 要素 に代 わ って語 形 成 に重 要 な意 味 を もつ よ
d)有
声 摩 擦 音[〓]
う に な っ て き た.変
e)無
声 破 擦 音[〓]
f)有
声 破 擦 音[〓]
g)流
音[〓]
h)鼻
音[〓]
i)気
息 音[〓]
j)半
母 音[〓]
ま た,anti‐,contra‐,extra‐,non‐,trans‐
わ っ た と こ ろ で は,固
有 名 詞 の普
通 名 詞 化(boycott,lynch,sandwichな (aqualungな
ど),頭
文 字(laserな
科 学 技 術 の 発 達 も,語 て い る.た
ど),商
彙,語
ど)な
ど が あ る.
義 の 生 成 に大 い に 関 与 し
と え ば,skyline,broadcastな
層 建 築 」 「放 送 」 は,そ
標
どの
れ ぞ れ 「水(地)平
「高
線 」 「種 蒔 き 」
に 新 た に 加 え ら れ た 意 味 で あ る. 英 語 は,ゲ 進 み,語
[t]米 語 で は,latterとladderが
ル マ ン 語 の 中 で も,特
に形 態 の 簡素 化 が
形 に よ って品 詞 を区 別 す る こ とが ほ とん どで
き な く な っ て い る.そ
し て,こ
の こ とが外 来 語 の摂 取
[w]whichな
す よ う な 単 母 音,長
現 代 標 準 英 語 で は ,次
母 音,二
に示
重 母 音 を 区 別 し て い る.
どwh‐ で 表 記 さ れ る もの は,英 国
で は有 声 音 で あ るが,米 語 で は無 声 化 す る.
a)名
[ 現代の英語]
同 じ よ うに発 音
され る こ とが あ る.
3)形
を 容 易 に し て い る と 考 え ら れ る.
1) 標 準 英 語 の 母 音
舌 音 と な る場 合(米
語)が あ る.
な
借 用 の 範 囲 は 世 界 各 国 に 及 ん で い る.
ど の フ ラ ン ス 系 の 接 頭 辞 が,か
クセ ン トの ない 音 節 で は
[〓]と な る場 合(英 国英 語)と,反
態 上 の特 徴 詞・ 代 名 詞
近 代 英 語 で 名 詞 の 格 と称 す べ
き もの は 所 有格 の み とな った.し か も生 物 に限 って 使 うの が,現 代英 語 の原 則 にな って い る.無 生 物 につ い
単 母 音[〓]
て も,一 定 の範 囲 内 で所 有 格 の 使 用 が 認 め られ て は い
長 母 音[〓]
るが,外 国 人が これ を正 し く使 うに は 微 妙 な 語 感 が 必
二 重 母 音[〓]
要 とな ろ う.複 数 形 は,ほ ぼ‐(e)sに 統 一 され た.特
半 母 音 → 「子 音 」 の 項 英 語 と ア メ リ カ 英 語 で,際
殊 な 複数 形children,brethrenな だ っ た 違 い で あ る と考 え ら
れ る 事 項 を 下 に 記 す. [〓](bigな
は す べ て失 わ れ,性
ど)は,ア
メ リカ 英 語 で は 英 国 の 発 音 に
比 べ て や や 中 央 よ りに な る の で,sticker→ ー 」 な ど,特
に 日本 人 の 耳 に は[エ]の
「ス テ ッ カ よ うに聞 こ え
る こ と が 多 い. ど)も,や
は り米 語 で は 英 語 よ り も 開
い た 音 と し て 発 音 さ れ る. [〓](badな
ど)は,米
た 音 で あ る.ま
た,米
語 で は よ り長 く,よ
語 で はpath,laughな
り閉 じ ど に も,
[〓](Godな
ど)は,米
語 で は む し ろ 奥 ま っ た[〓] メ ン ト→ カ メ ン ト,コ
ラ ム→
カ ラ ム な ど.
し言 葉 で は ほ とん ど
使 わ れ な くな った. 容 詞
比 較 級,最 上級 は,‐er,‐estを 接
尾 辞 とす る方 法 と,more,mostを 2種 類 が あ るが,2音
併 用 す る もの との
節 語 まで は前 者 を,3音
節以上
し悪 しに よ って 決 め られ る こ と も あ る. c)動
詞 古 英 語 に存 在 した,強 変 化,弱 変化 の
区別 は,本 来 の 弱変 化 動 詞 に多 くの 不 規 則 形 が 発 生 し
[〓:](daughterな
ど)は,米
語 で は よ り開 い た 母
音 で あ る.
た た め に あ い ま い とな った.現 代 英 文 法 で は,そ れ ら を規 則動 詞(‐ed,‐edに よる),不 規 則 動 詞(上 記 以 外)
ど)は,米
語 で 通 常[〓]の
ように
発 音 され る. [〓](goな
受 け る.代 名 詞
に は,主 格,所 有 格,目 的格 が 保 存 され て い る が,疑
の 語 は後 者 に よ るの が原 則 で あ る.し か し,口 調 の 善
の よ う に 発 音 され る:コ
リ ア,ニ
て扱 う こ とが あ る.動 物 は,通 常itで
b)形
こ の 音 を あ て る.
[〓](newな
を明 記 す る 必 要 が あ る 場 合 は 自 然
性 に従 う.例 外 的 に,国 名 や船 名 な どを 女性 名 詞 と し
問代 名 詞 の 目的格whomは,話
[〓](bedな
どは,今 や 文 法 よ
りは む しろ辞 書 の 問 題 で ある とい え る.名 詞 の文 法 性
とよ ん で い る.た とえ ば,teach―taught―taught は不 規 則 動 詞 で あ るが,本 来 の変 化 形 式 を図 式 的 に表
ど)の
第1要
素 は,英
ュ ー ジ ー ラ ン ドで は,む
国,オ
ー ス トラ
し ろ 開 音 の[〓]に
近
現 す れ ば〓
で あ り,規 則 的
な変 化 を して い た こ とが わ か る.こ の‐t,‐tは,‐ed
と機 能 上,同
じ も の で あ る.同
putはput―put+te―put+tと catchは
外 来 語(フ
2)米
じ く,put―put― な る.な
ラ ン ス 系)で
あ りな が ら
お,
「不 規 則
れ,ド
了 形,進
行形 の機 能 が 大 幅 に拡 張 さ
イ ツ 語 や 北 欧 語 な ど に 比 べ る と,極
も の と な っ た.た
り だ 」 と い う 意 味 の 日本 文 に,ア)I
dining this
out
dine this
out
this
out
be
Third
to
dine
out
out
Thirdは
この 意 味).ウ
[参 考 文 献 ]
ofthe
去)と
複合
代西欧諸
在,も
本 来 の 前 置 詞(at,by,for
な ど)に 加 え て,多 数 の 前 置 詞 句 が 導 入 さ れ た.た side
of,in
front
ど.because,beforeな
of,in
ど も,か
spite
とえ ofな
(Otto
た,considering(given)
の ご と く,分
詞 が 前 置 詞 と し て は た ら く こ と も あ り,
situation
全 に 前 置 詞 に な っ て い る.
[ 辞
A
New
Dictionary(略
い た も の に,補
遺1巻
と
称NED)と
を 加 え て13巻
た な 補 遺(全4巻)が
代 を 通 し て,文
称 して
で あ っ た が,近
完 成 し た . 中 世,近
世,現
語 英 語 の正 確 な 理 解 に は な くて は な ら
な い も の で あ る.こ
の 大 辞 典 を も と に し て,数 種 の 中 ・
小 辞 典 が 作 ら れ た. a)The
Oxford
English
Oxford
Dictionary
Dictionary
Grammar
English(略
of
Cur
称COD)
Pocket
Oxford
Dictionary(略
称POD)
d)The
Little
Oxford
Dictionary(略
称LOD)
にcは
が,エ
村
建 夫/秦
宏 一)
Estonian,
ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派,バ
ル ト ・フ ィ ン
者 の 数 は,100万
人 を超 え る.
共 和 国 の1つ,エ
で は,ロ
ス トニ
人 の う ち の61.5%(96万3千
ス トニ ア 語 を 母 語 と して お り(1989),同
人) 共和国
シア語 と並 ん で 公 用 語 に相 当 す る地 位 を与 え
ら れ て い る.エ
ス トニ ア 語 の 話 者 は,こ
の 他 の 共 和 国(6万4千 ナ ダ(1万4千
人)や,ス 人),ア 人)な
の ほ か,ソ
連
ウ ェ ー デ ン(1万5千 メ リ カ 合 衆 国(2万
人),
ど に も 住 ん で い る.
エ ス トニ ア 語 は,ラ
て 表 記 さ れ る.用
テ ン文 字 を 用 い
い られ る 文 字 は,
p,r,s,s,z,z,t,u,v,o,a,o,u の27文
圧 縮 の 極 致 と う た わ れ,
字 で あ る.
母 音 は,i,e,a[〓],a[〓],o,o[〓],o[〓],
ず し も外 国 人 に は 向 い て い な か っ た.最
る)に
近 の 改 訂 で,
オ ッ ク ス フ ォ ー ド系 の 辞 書 の 他 に,ロ
節(ふ つ う主 強 勢 が あ
の 母 音 す べ て が 現 わ れ る が,第2音
節以
較 的 新 し い 外 来 語 を 除 い て,a,e,i,uの
4母 音 し か 現 わ れ な い.同
様 の 制 限 は,二
重母音につ
どか
い て も あ り,数
多 い 二 重 母 音 の う ち,エ
型の学習辞書が発売
有 の 語 の 第2音
節 以 降 に 現 わ れ る の は,ai,ei,uiの
ェ ン バ ー ズ 社(Chambers)な
数 の 外 国 人 向 け の 中 型,小
ング マ ン社
で あ る.第1音
は9つ
降 に は,比
幾 分 使 い や す く な っ た よ う で あ る.
さ れ て い る.
治/木 keel,英
estonien,露
ア 共 和 国 の 人 口157万
u,u[〓]の9つ
ら,多
eesti
ソ ビ エ ト連 邦 を 構 成 す る15の
戦 前 か ら わ が 国 の 英 学 界 で も て は や さ れ て き た が,必
(Longman),チ
国人 学 習 者 を念 頭 に お い て
a,b,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,
c)The
こ の 中 で,bとc,特
Communi
of English(Longman)―
[音 と文 字]
Concise
ど は,
お 価 値 を 失 っ て い な い が,
教 科 書 ふ う の 文 法 書.外
オ ー ス ト ラ リア(5千
(略 称SOD) b)The
Gram Parts
Leech,G.andJ.Svartvik(1975),A
人),カ
Shorter
rent
文 語 文 法 書 と し て は,な
諸 語 に 属 す る 言 語 で,話
称OED)で,も
Dictionary(略
English
Principles,7
Unwin,London,repr.1974)な
ウ ラ ル 語 族,フ
国 英 語 の 辞 書 で も っ と も 大 き い も の は,The
English
年,新
&
独 Estnisch,仏
English
Modern
Historical
(福 島
国系辞書
Oxford
on
エ ス トニ ア 語
書]
現 在,英
ンマ ー ク の英 語 学 者 イ ェス ペ ル セ ン
moment
の 品 詞 か ら転 用 さ れ た も の が 少 な く な い.
1)英
現 前 よ
親 切 に 書 か れ て い る.
接 続 詞 に は,after,before,while,,the な ど,他
Language(Longman)―
Jespersen)のA
cative
で あ っ た.ま
duringは,完
English
Grammar
現 代 英 語 の 研 究 に は 不 向 き で あ る.
つ て は複 合 前 置詞 the
Comprehensive
く読 ま れ た,デ
(Allen
the
小
文 法 書 の代 表 的 な も の の み を あ げ
っ と も 新 し く か つ 信 頼 の お け る 文 法 書.以
d)前
ば,by
名の
ェ ブ ス タ ー 系 の 辞 書 も,大
Svartvik(1985),A
mar
の 他
版1828)
で あ る(書
る.
語 の 中 で 特 異 な も の で あ る. 置 詞,そ
Dictionary(初
さ ま ざ ま な も の が あ る.
this
彩 な 文 法 形 式 が 対 応 し て い る.
行 形)の 厳 密 な 職 能 分 化 は,近
International
在 行 な わ れ て い る の は,第3版
Quirk,R.,Greenbaum,S.,Leech,G.andJ.
dining
代 英 語 に み ら れ る 単 純 形(現 在,過
形(完 了 形,進
this
evening.ウ)I'm
going
ど の,多
ま た,現
dine
evening.エ)I'll
evening.オ)I'm
evening.な
め て複 雑 な
と え ば,「今 日 は 外 で タ 食 を と る つ も
evening.イ)I'll
New で,現
変 化 」 を す る 珍 し い 例 で あ る. 時 制 組 織 は,完
国系の辞書
こ の 分 野 で 第 一 に あ げ る べ き も の は,Webster's
み で あ る.母
音 に は,短,長,超
ス トニ ア 語 固
長(short/long/
overlong,luhike/pikk/ulipikk)の3段 母 音 の 場 合 は,長,超 法 で は,長
長 の2段
階(二
重
る(elamine,majanduslikku).外
階)の 区 別 が あ る.正
書
主 強 勢 が 第1音
母 音 と超 長 母 音 の 区 別 を せ ず,短
音 文 字1つ(a,e,i等)で
表 わ し,長
母音 を母
母 音 と超長 母 音
は と も に 母 音 文 字2つ(aa,ee,ii等)で 2段
表 わ し て,
階 の 区 別 を し て い る の み で あ る.た
と え ば,
の 複 数 分 格;kaal「
魚」
重 さ」 の 単 数 属 格;kaal
別 が 心 要 な 場 合 に は,超
長 音 と して発 音 され
表 わ す 文 字 の 直 前 に 符 号(〓)を
つ
子 音 音 素 は,/p,t,t'(=〓),k,s,s'(=〓),h,v,
l,n/と
節)の
の 長 さ は,ふ
固 有 の もの
来 語 に は,/f,s(=〓),z,z(=〓)/も
現
蓋 化 し た 子 音/t',s',l',n'/は,/t,s,
正 書 法 上,区
ら ば,そ
別 が な い.た
化 を す る.語
湯 気 」,/〓/「
とん ま」
ラ ス で は,語
霜 」,/〓/「
灰 色 の」
水 差 し」,/〓/「
閉 鎖 音/〓/は
無 気 音 で,短
ら有 声 化 し て 発 音 さ れ(ウ
音はわずかなが
字 と し てb,d,gが
用い ら
と え ば, ひ げ 」,sada[〓]「100」,paadi ボ ー ト(paat)の
た と え ば,king[〓]「
豚」
表 記 さ れ る.
靴 」,kink[〓]「
丘 」.
発 音 し な い 話 者 も い る(hobune[〓
と ん ど の 子 音 に,短,長,超
段 階 の 区 別 が あ る が,正
長 の3
場 合(b∼p∼pp;d∼t∼tt;g∼k∼kk)を 字)と 長 音 ・超 長 音(2文
み で あ る.た
除 い て, 字)の 区 別 を す る の
程交替 も
階 程 交 替(astmevaheldus,英gradation)と
(valtevaheldus,英quantity
は,
表1の,そ
grade),右
質的
alternation)と
に
れ ぞ れ の 交 替 の タ イ プ に お い て,左
側 の
照).
側 を 弱 階 程(nork 的 交 替 は,語 階 程)と
aste,英 aste,英
strong
weak
grade)
の 長 さ の 長 さⅢ(強
階 程)と
の 間 の 交 替 と し て 特 徴 づ け ら れ る.
た と え ば,laev:laeva(「
船 」の 単 数 主 格;単
束 」 の 単 数 主 格;単
て,laevとkimpは kimbuは
的交替
alternation)と
音 の 組 み 合 わ せ を 強 階 程(tugev
数 属 格),
数 属 格)に
おい
強 階 程 で 長 さ Ⅲ,laevaと
弱 階 程 で 長 さ Ⅱ で あ る.こ
交 替 は,閉
と え ば,
程 交替 の ない ク
程 交 替 の あ る ク ラ ス で は,階
kimp:kimbu(「
書 法 上 は,/〓/の
程 交 替 の有 無 に よ
語 幹 の 形 の パ ラ デ ィ グ マ テ ィ ッ ク な 交 替 で,量
長 さ Ⅱ(弱
母 音 と 同 様 に,ほ
形変
語 形 変 化 の 手 段 と し て 用 い られ る.
と よ ぶ.量
]「 馬 」).
短 音(1文
エ ス トニ ア 語 で は,
詞 を 含 む)と 動 詞 が,語
形 変 化 は も っ ぱ ら接 尾 辞 の 付 加 に よ っ て
分 け ら れ る(表1参
」,siga[〓]「
直 前 の み に 現 わ れ,nで
語 頭 の/〓/を
名 詞,数
交 替(laadivaheldus,英quality
habe[〓]「 [〓]「
うで な け
の ク ラ ス に 分 け ら れ る.階
行 な わ れ る.階
お も ち ゃ」
ラル 言 語 学 の音 声 表 記 で は
表 わ す),文
あ り(maa,maad,maasse;
形 変 化 を す る 語 は,階
toss―/〓/「
kann―/〓/「
れ 以 外 の 場 合,
[語 形 変 化 お よ び 語 の 構 造 ]
っ て,2つ
hall―/〓/「
音 節,
「短 い 」(長 さ Ⅰ)と
katustega).
袋」
/〓/は/〓/の
節 が 短 い(開
形)は
に 「長 い 」(長 さ Ⅱ 〉と い う(katus,katuse,
名 詞(形 容 詞,代
と え ば,
で
節(主 強 勢 の あ る 音
も し,そ の 語(語 形)が 超 長 音 を 含 ん で い れ ば,そ の 長 さ
木 靴 」,/〓/「
[〓]で
の 語(語
は 「超 長 」(長 さⅢ)で
kott―/〓/「
れ る.た
quantity)」
つ う,第1音
長 さ に よ っ て き ま る.第1音
れ ば,単
j,l,l'(=〓),r,m,n,n'(=〓),〓/が
わ れ る.口
は,「 語 の 長 さ(sonavalde,英word
kott,kotta,kottade,kottadega),そ
長 音 を 示 す(kaalu,sauna).
で あ る が,外
強 勢 と並 ん で 重 要 な 概 念
い う(kala,kalaga,,kaladele).そ
る 母 音(二 重 母 音)を け て,超
エ ス トニ ア 語 の 韻 律 で,語
短 母 音)な
の 単 数 分 格) 以 下,区
1ine,filoloogia).
あ る.語
kalu:kaalu[〓]:kaalu[〓](kala「
来 語 の 場 合 に は,
節 以 外 に お か れ る こ と も あ る(poeeti
鎖 音/〓/の
れ に 対 し,質
的
短音が他の子音 と
交 替 し た り消 失 し た り す る現 象 と し て 特 徴 づ け られ, (ひ げ;hape「
酸 」 の 単 数 主 格;同
単 数 属 格) (テ ー
ブ ル ク ロ ス;1inn「 以 下,長
町 」の 単 数 属 格;同
単 数 分 格)
語 の 長 さ の 変 化 と は 無 関 係 で あ る.た toa(「 は,強
家 」 の 単 数 主 格;単
と え ば,tuba:
数 属 格)に
階 程 で 長 さI,toaは
音 と 超 長 音 の 区 別 が 必 要 な 場 合 に は,超
長音
階 程 交 替 を す る 語 の パ ラ ダ イ ム の,ど
と し て 発 音 さ れ る 子 音 を 表 わ す 文 字 の 直 前 に,母
音 の
が 現 わ れ,ど
化 の タ イ プ に よ っ て き ま る.た
king,kink,happe,linna).
屋 」 を 例 に と れ ば,単 強 勢(pearohk),副
rohk),無
強 勢 の3つ
つ う第1音
節 に お か れ(vana,vananeb),多
で は,副
強 勢 が 第3音
の レ ベ ル が あ る.主
強 勢(kaas
節(ま
た は 第4音
強 勢 は,ふ
節)に
と分 格seppaの 程 の 語 幹sepa‐
の位置に強階程
の 位 置 に 弱 階 程 が 現 わ れ る か は,語
場 合 と お な じ く符 号(〓)を つ け て 超 長 音 を 示 す(kott,
語 の 強 勢 に は,主
お い て,tuba
弱 階 程 で 長 さ Ⅱ で あ る.
と え ば,sepp「
数 形 で は,強
み で,そ
形変 か じ
階 程 が 主 格sepp
の 他 の格 形 で は す べ て 弱 階
が 用 い ら れ,複
数 形 で は,主
格sepad
音節語
が 弱 階 程 で あ る 以 外 は す べ て 強 階 程 で あ る.同
おかれ
ダ イ ム に 属 す る2つ
の 語 形 が,階
じパ ラ
程 の違 い のみ に よっ
て 区 別 さ れ る こ と も 多 い.た seppa:sepa(「
te‐le tudruku‐te‐le,「
と え ば,
か じ屋 」の 単 数 分 格;単
rikkas:rikas(「
数 属 格),
富 裕 な 」 の 単 数 内 格;単
数主
考 え 」 の 単 数 属 格;単
名 詞 は,数(単
数,複
形 変 化 す る(表2参
数)と
照).格
格(14格)に 語 尾 は,大
数 と複 数 で 共 通 で あ る.単
な く,語
高 い 」)が,異
一 般 的 で あ る(tore―toreda「
安 全 な 」, な る形 で あ る 方 が
す ば ら し い 」,teine
」,ilus―ilusa「
とが あ り,こ
窓 」,kimp―
数 分 格 は,と
数 の 主 格,属
分 格 が 同 じ形 に な る(saba―saba―saba「
格,
この3つ
数 属 格,複
と え ば,複
数
kone‐de,kone‐sid「
」;aken‐de,
窓」
以 外 の 複 数 の 格 形 は,す
べて
「複 数 語 幹 + 格
数 属 格 形 がそのま
べ て の 名 詞 に 共 通 で あ り,こ
幹 か らつ く ら れ る 複 数 の 格 形 を と よ ぶ.一
ら れ,こ
の複 数 形 を
た と え ば,tore「 date‐(複
数(de‐mit‐
の場 合 の語 幹 は複 数 分 格 か ら え 「i複 数(i‐mitmus)」
と よ ぶ.
す ば ら し い 」 に は,de複
数 属 格toredate)とi複
数 分 格toredaid)の2つ
数 のtore‐
数 のtoredai‐(複
の 複 数 語 幹 が あ り,た
とえ
ふ つ うde‐
だ し,到
格,様
格,欠
格,共
格 で は,
複 数 の 形 し か 用 い られ な い.
14の 格 の う ち,入 格,内 は,場
格,出
格,向
所 を 表 わ す 格 と し て,「
格,接
内 部― 表 面 ・
近 傍 」 と 「到 着 点 ― 静 止 位 置― 起 点 」 の2つ よ り,表3の
の基 準 に
の 分 格)」:kolmeaasta(属
tudruk:ilusa‐le
年」
格):kolmeaasta‐t
あ る が,性
の う え で,名
格):kolme‐l
格) の 人 称 と 単 数,複
の 区 別 は な い.人
形 が あ る(1人
称 単 数mina,ma;複
2人 称 単 数sina,sa;複
詞 と
tudruku‐le:ilusa‐
形 と短
数meie,me;
数teie,te;3人
数nemad,nad).指
2項 対 立 を な す.疑
称単 数
示 代 名 詞 は,see
こ れ 」 とtoo(複
数nood)「
問 代 名 詞 に は,人
称 と時 制,法
動 詞 の 人 称 形 に は,単
あ る.
に 従 っ て,語
数,複
あれ 」 の
お よび 高 等 動 物
そ れ 以 外 を さ すmisが
動 詞 は,人
数 の 区別 が
称 代 名 詞 に は,長
形 変 化 を す る.
数 の1人
称,2人
称,3
の ほ か に,「 不 定 人 称(umbisikuline,英
impersonal―
い わ ゆ る 「受 動 形 」)」 と よ ば れ る 特 別
の 形 が あ る. 時 制 は,現
在(olevik),過
去(lihtminevik),現
在 完 了(taisminevik),過 区 別 さ れ,法 法(tingiv
去 完 了(enneminevik)が
に は,直
説 法(kindel
koneviis),伝
命 令 法(kaskiv
koneviis),条
聞 法(kaudne
koneviis)が
件
あ る(表4参
koneviis), 照).
4つ の 時 制 が 区 別 さ れ る の は 直 説 法 に お い て の み の 法 で は 単 純 時 制 と完 了 時 制 が 区 別 さ れ る の み
で あ る.人
称 は,肯
定 形 で は,伝
聞 法 を 除 い て,語
尾
に よ っ て 明 示 され る が,否
定 形 で は,命
令法において
明 示 さ れ る の み で あ る.完
了 時 制 は,英
語 のbe動
に 相 当 す る 動 詞olemaの
変 化 形 と本 動 詞 の 完 了 分 詞
を 用 い て 表 わ さ れ る.単
純 時 制 で は,直
「語 幹 + 人 称 語 尾 」,直 説 法 過 去 が
よ う な 意 味 的 体 系 を な し て い る.
名 詞 を 修 飾 す る形 容 詞 は,数,格 一 致 す る(ilus
格,奪
詞 が 分格 と
詞 と 名 詞 は 格 に お い て 一 致 す る.
kolmaasta‐t「3年(aasta‐tはaasta「
で,他
数 入 格 に はtoredatesse,toredaisseの2つ
の 形 が あ る.た
格 の6つ
「de複
の語
部 の 名 詞 に 限 っ て 複 数 語 幹 が も う1
つ あ る こ とが あ り,こ
詞 は単数形で現われ
外 の 数 詞 が 主 格 の と き,名
た と え ば,
人 称 の6つ
ま 複 数 語 幹 に な る(konede‐,toredate‐,teiste‐,
ilusa‐m,
部 の 形 容 詞 の 場 合,
「数 詞 + 名 詞 」 の 構 造 で は,名
を さ すkesと
語 尾 」 と い う構 造 を し て い る.複
美 しい」 すべ ての う
ilusa‐m).
(複 数need)「
話 」;toreda‐te,toreda‐id
「す ば ら し い 」;teis‐te,teis‐i「 第2の
ば,複
=koige
tema,ta;複
分 格 の 順 に,
は,す
詞koige「
だ し,一
人 称 代 名 詞 に は,3つ
格 と分格 の 場
akende‐)の
上 級 は,副
幹 に接
「語 幹 +‐im」 とい う 最 上 級 形 も 可 能 で あ る(ilusa‐im
aasta‐l(接
合 に は 簡 単 な 規 則 が な い.た
mus)」
付 加 して つ く る(ilus:ilusa‐m,「 較 級).最
魚 」).
語 幹 +‐d」 と い う構 造 を し て い る が,属
こ の3つ
容 詞 の 比 較 級 は,語
の 原 級;比
以 外 の 単 数 の 格 形 は す べ て,「 単 数 語 幹(=
akna‐id「
数 共 格).形
(分 格):kolme‐staasta‐st(出
複 数 形 の う ち,主 格 は,す べ て の 名 詞 を 通 じ て,「単 数
格
美 しい 少 女 」
尾 辞‐mを
尾 」,
単 数 属 格 形)+ 格 語 尾 」 と い う 構 造 に な る.
格,共
な る(ilusa
tudruku‐te‐ga,「
な る 点 を 除 け ば,数
き に 属 格 と 同 じ形 の こ
の タ イ プ の 語 で は,単
kala―kala―kala「
の 単 数 共 格;複
る.1(uks)以
美 し い 」,mote
考 え 」,aken―akna「 束 」).単
数 属 格 形 ま た は 複 数 属 格 形)に
tudruku‐ga:ilusa‐te
格 と 同 じ形 で あ る こ と も 多 い
korge―korge「
kimbu「
格,欠
「美 し い 」 の 最 上 級).た
話 」,ohutu―ohutu「
―motte「
尾が
格,様
の 場 合,格 語 尾 は 主 名 詞 の み に 付 加 さ れ,形 容 詞 は 語 幹
ち で 」 と 比 較 級 に よ っ て つ く ら れ る(koige
数 主 格 は,属
第2の
部分の格の場
数 属 格 に は,語
(kone―kone「
―teise「
よ って語
だ し,到
そ の ま ま単 数 属 格 と して 用 い
幹(単 数 語 幹)が
ら れ る.単
数 主 格)
美 し い 少 女 」 の 単 数 主 格;単
数 向 格).た
の 形(=単
格), motte:mote(「
合,単
数 向 格;複
詞
説 法 現 在 が
「語 幹 + 過 去 標 識
(‐s/‐si‐,‐i‐)+ 人 称 語 尾 」,条 件 法 が 「語 幹 + 条 件 法 標 識(‐ks/‐ksi‐)+ 人 称 語 尾(現
わ れ な い こ と も あ る)」,
<表1>エ
ス トニ ア語 の階 程 交 替
〈 量的交替〉 A.母
音
単数主格
強 階 程
弱 階 程
単数 分格
単 数属格 「重 さ 」 「岬 」 「く さ び 」 「学 校 」 「暑 い,熱
い」
「喜 び 」 「曲 が り」 「ひ も 」 「壁 」 「船 」 「犬 」 「ふ る い 」 「日 」 「植 物 」 「干 草 」 「生 地 」 「乾 燥 し た 」 「部 族 」 「へ さ き 」 「泣 き 声 」 「サ ウ ナ 」 「悪 意 」 「上 昇 」 B.子
音 「か じ 屋 」 「木 ぐつ 」 「袋 」 「くつ 下 」 「上 薬 」 「束 」 「音 節 」 「鎌 」 「定 期 市 」 「樽 」 「ク ラ ン ク 」 「質(し
ち)」
「絵,写
真」
「猟 犬 」 「剣 」 「小 山,丘
」
「連 隊 」 「網,ネ
ッ ト」
「ネ ク タ イ 」 「水 ぶ く れ 」 (次 ペ ー ジ に 続 く)
<表1>エ
ス トニ ア語 の階 程 交 替(続) 単 数 主 格
強 階 程
弱 階 程
単 数 分 格
単数属格 「友 人 」 「森 」 「続 き 」 「オ オ シ カ 」 「頂 」 「ま く ら 」 「厚 い 」 「う じ 虫 」 「歩 み 」 「水 差 し 」 「お も ち ゃ 」 「霜 」 「灰 色 の 」 「こ ま 」 「反 乱 」 「ネ コ 」 「少 年 」 「墨 」 「フ リル 」 「か し ら,長
」
「金 庫 」 「王 手(チ
ェ ス で)」
「チ ャ ン ス 」 「ワ ル ツ 」 「マ ー チ 」 「く つ 」 「目 」 「武 器 」 「野 」 「ゴ ル フ 」 「草 地 」 「塔 」 「真 珠 」 「耳 」 「帆 」 「低 湿 地 」 「テ ス ト」 「か ぶ と」 「脂 肪 」 「も の,こ
と」
「グ ル ー プ 」 「香 り」 「ジ ュ ー ス 」 「軟 骨 」 「コ ー ヒー 」 「暖 炉 」 「荷 物 」 (次 ペ ー ジ に 続 く)
<表1>エ
ス トニ ア語 の階 程 交 替(続)
単数主格
強 階 程 弱 階 程 単数 分格 単数属格 「ダ ン ス 」 「 芸術」 「ひ と飲 み 」 「 仲 間」 「粗 い 毛 の か た ま り」 「衝 突 」 「居 酒屋 」 「医 者 」
<質 的 交替> 「家 」 「上 着 」 「病 気 」 「祝 い 」 「干 草 の 山 」 「力 」 「ホ ウ キ 」 「し り 帯(馬 具)」 「ナ ベ 」 「山 」 「端 綱(馬 具)」 「春 穀 物 」 「過 多 」 「あ ご 」 「手 」 「新 し い 」 「悪 い 」 「悲 し い 」 「ど ち ら 」 「農 村 共 同 体 」 「禁 止 」 「秩 序 」 「曲 が り」 「尾 」 「歩 く こ と」 「方 向 」 「カ ッ コ 」 「空 腹 」 「谷 」 「ハ チ の 巣 」 「茎 」 「箇 所 」 「く ぼ み 」 「命 令 」 「砲 弾 」
<表2>名
格 主 属 分 入 内 出 向 接 奪 変 到 様 欠 共
詞kone「
の
名
話 」 の 語 形 変化
称
単
格 格 格 格 格 格 格 格 格 格 格 格 格 格
数
複
「∼ の 」
「∼ の 中 へ 」 「∼ の 中 で 」 「∼ の 中 か ら 」 「∼ へ 」 「∼ で 」 「∼ か ら 」 「∼ に(な る)」 「∼ ま で 」 「∼ と し て 」 「∼ な し に 」 「∼ と と も に 」
<表3>場
所 格
kirjandus「
内部格
文 学 」,kirjanik「
入 格:‐sse
(向 格):‐le
(sisseutlev) 「∼ 中 へ 」
(alaleutlev) 「∼ の 上(表 面,近
静 止 位 置 内 格:‐s
起
点
傍)へ 」
kirjanduslik「
(alalutlev) 「∼ の 上(表 面,近
kirjastus「
出 格:‐st
傍)で 」
奪 格:‐lt
kirjutis「
格/向
内 格/接 出 格/奪
傍)か
ら」
れ ら か ら さ ら に, 出 版 業 者 」,
出 版 社 」,kirjendama「
帳簿に記入
記 述 」,kirjutaja「
書 くこ と」
な ど が 派 生 さ れ る. エ ス トニ ア 語 の 主 な 派 生 接 尾 辞 を 表6に
海 中へ 格 mere‐s
複 合 語 も よ く用 い ら れ,比
海 中で 格 mere‐st 海 中か ら
掲 げ る.
較 的 長 い もの もめず ら し
く な い.
海上で /mere‐lt 海 上か ら
oige│keelsus││sona│raamat「
正 用法辞典」
mere│││suur│tuki││vagi「
海 軍砲 兵 隊 」
taas││ules│ehitamis│││aeg「
伝 聞法 が 「語 幹 +vat」,命 令 法 が 「 語幹+命令法の人
複 合 語 に は,第1構
称 語尾 」,と い う構 造 を して い る.
1)主
不 定 人 称 形 は,「 語 幹 + 不定 人 称標 識(‐ta‐,etc.)」 とい う形 の 不定 人 称 語 幹 を も とにつ くられ る.
格 ま た は 子 音 で お わ る 語 幹(語
て い る もの(vesi│ravi「
2)属
物 」cf.vesi「
だ し,命 令法 で は,特 別 な否 定 を 表わ す形 式 が あ り,
cf.naine「
人 称 変 化 す る.動 詞 の不 定 形(不 定 詞 形,分 詞形,副
3)そ
動 詞 形)も 少 な くない(表5参
が あ る.3の
通 信 教 育 」cf.kauge「
水 」,naiste│vihkaja「
タ イ プ は,第2構
し た 名 詞(形 容 詞)で
複 合語 形 成 に よ る もの とに分 け られ る.1つ
複 合 動 詞 に は,対
り多 い.た とえ ば,kiri(語
る こ と が で き る も の,た abi│elu「
作文 」,
水棲 動
heli│lind「
照)
成 要 素 が 動詞 か ら派 生
あ る の が 通 例 で,対
い しは語 幹 か らつ くら れ る派 生 語 の 数 は,一 般 にか な
手 紙 」 か ら,
鉄
遠 い 」)
女嫌い」
れ 以 外 の 格 形 を して い る も の(表7参
が あ る と い う 特 徴 が あ る.
幹kirja‐)「書 かれ た もの,
形 を し
女 性 」)
エ ス トニ ア語 の語 構 成 は,派 生 接 尾 辞 に よる もの と の語 根 な
根)の
水 治 療 法 」,raud│tee「
格 の 形 を し て い る もの(vee│loom「
詞 で 表 わ され,本 動 詞 には,人 称 語 尾 が つ か な い.た
照).
再建期」
成 要 素 が,
道 」,kaug│ope「
否 定 形 は,一 般 に,否 定 を 表わ す不 変 化 詞eiと 本 動
kirjalik「 文 章 の,書 か れ た 」,kirjand「
書 き手 」,
書 か れ た もの 」,kirjutus「
格 merre(mere‐sse)/mere‐le 海上へ /mere‐l
色
書 く」
文 学 の 」,kirjastaja「
す る 」,kirjeldus「
(seestutlev) (alaltutlev) 「∼ の 中 か ら」 「∼ の 上(表 面,近 例:入
な ど が 派 生 さ れ,こ
出 版 す る 」,kirje 記 述 す る 」,kirju「
と り ど り の 」,kirjutama「
接 格:‐l
(seesutlev) 「∼ の 中 で 」
作 家 」,kirjama
「模 様 を つ け る 」,kirjastama「
外 部格
「帳 簿 記 入 」,kirjeldama「 到 着 点
数
応す る動詞句
応 す る複 合名 詞 か らの派 生 と考 え と え ば,
結 婚 」―abielluma「
結 婚 す る」
録 音 テ ー プ 」―helilindistama「
録音
<表4>動
詞elama「
肯
生 き る」 の語 形変 化
定 形
《直 説 法現 在 》
《直 説 法 現 在 完 了 》 「私 は生 きて い る 」
《直 説 法過去 》
《直 説 法 過 去 完 了 》 「私 は生 きて い た」
《条 件 法 現在 》
《条 件 法完 了》 「私 は生 き るで あ ろ う」
《伝 聞 法現 在 》
《伝 聞 法 完 了 》
「 生 き て い る そ うだ 」
《命 令 法現 在》
《命 令 法 完 了 》
「生 き な さ い 」
否
定
形
《直説 法 現 在》
《直 説 法 現 在完 了》
「 生 きて い な い」
(次 ペ ー ジ に続 く)
―<表4>動
詞elama「
生 きる」 の語 形 変 化(続)
《直 説 法過 去 》
《直接 法過 去 完 了》
「生 きて い な か った 」
《条 件 法 現 在》
《条 件 法 完 了 》
「 生 き な いだ ろ う」
《伝聞 法現 在 》
《伝 聞 法完 了》
「生 きて い な い そ うだ」
《命 令 法 現在 》
《命 令 法 完 了 》 「 生 き る な」
《非 人 称 形 ・肯 定 》
直説法現在 直説法過去 条件法現在 伝聞法現在 命 令法現在
直説法現 在完 了 直説法過 去完 了 条件 法完 了 伝聞法完 了 命 令法完 了 《非 人 称 形 ・否 定 》
直説法現在 直説法過去 条件法現在 伝聞法現在
直説法現在完了 直説法過去完了
命令法現在
命 令法完 了
条件法完 了 伝聞法完了
す る」 esi│etendus「 の ほ か に,動
初 演 」―esietendama「
初 演 す る」
<表6>エ
詞 に 副 次 的 な 意 味 を添 え る 副 詞 的 小 詞 が
つ い た も の,た
と え ば,
ス トニ ア語 の 主 要 な 派 生 接 尾 辞
1.「 動 作 主 」 な ど
kirjutama「
書 く」―alla
る 」,maha
kirjutama「
kirjutama「
書 き直 す」
kirjutama「
署名す
‐ja
opeta‐ja:opeta‐ 「教 え る 人,教 師 」:「 教 え る 」
書 き 写 す 」,umber ‐ nik
kirja‐nik:kirja‐ 「作 家 」:「 書 い た も の,手
が あ る.
2.「 動 作,行
後 置 詞 や 副 詞 の 中 に は,格
語 尾 が 識別 可 能 な もの が
‐
mine
opeta‐mine:opeta‐
多 く あ る.
「教 え る こ と 」:「教 え る 」
seal/sealt「そ
こ で/そ
こか ら」
kaugele/kaugel/kaugelt「
‐ us
遠 くへ/遠
opet‐us:opeta‐ 「教 え 」:「 教 え る 」
く で/ 3.「 場 所 」
遠 くか ら」 kuhu/kus/kust「
ど こへ/ど
ette/ees/eest「(∼
の)前
peale/Peal/pealt「(∼
こ で/ど
へ/前 の)上
こか ら」
で/前
か ら」
へ/上
で/上
‐l a ‐
sook‐la:sook 「食 堂 」:「 食 事 」
mu
ela‐mu:ela‐ 「住 居 」:「 住 む 」
か
ら」
4.集
日本 語 の い わ ゆ る形 式 名 詞 に相 当す る名 詞 の格 形 と考
合 名詞
‐stik
sona‐stik:sona 「辞 書,語 彙 集 」:「語,単
え ら れ る 場 合 も 多 い. vahe「 の)間
‐ kond あ い だ 」―vahele/vahel/vahelt「(∼ へ/間
で/間
[文 の 構 造 ]
5.「 性 質,状
エ ス トニ ア 語 の,文 の 基 本 的 語 順 は,
い ず れ の 場 合 も,主
動 詞 文,他
語 は 主 格 で 現 わ れ る.形
容詞修飾
後 置 詞 が 主 体 だ が,前 置 詞 も か な り 多 い.比 比 較 の 基 準 を 表 わ す 名 詞 句 は,形
疑 問 文 は,平
叙 文 の 文 頭 に,小
の 部 分 の 語 順 は,平
く ら れ る.い
haig‐us:haige 「病 気 」:「 病 気 の 」
6.あ
る性 質 が ある こ とを表 わ す 形 容 詞
‐ne
nahk‐ne:nahk 「皮 製 の 」:「 皮 」
較 構 文 で,
文1a,1b)・
詞kasを
‐l ine
sona‐line:sona 「こ と ば で 表 わ し た 」:「 語,単
「子 供 の よ う な 」:「 子 供 」 ‐ kas
ande‐kas:ande‐ 「才 能 の あ る 」:「 才 能 」
ず れ の 場 合 も,文 の 他
叙 文 の ま ま に保 た れ るの が ふ つ う
7.あ
る性 質 が ない こ とを 表わ す 形 容 詞
‐tu
kasu‐tu:kasu
で あ る.
「役 に 立 た な い 」:「 利 益 」
<表5>動
詞elama「
生 き る」 の不 定 形
8.副
詞
‐sti
kena‐sti:kena 「み ご と に,美
‐lt
ausa‐lt:ausa‐
《ma‐ 不 定 詞 》 ela‐ma 内
格 ela‐ma‐s 格 ela‐ma‐st
「生 き る こ と か ら」
変
格 ela‐ma‐ks
「生 き る た め に 」
欠
格 ela‐ma‐ta
「生 き な い で 」
9.動
詞
‐ ne‐ 《副 動 詞 》
kuku‐ta‐:kukku‐ 「落 とす 」:「 落 ち る 」 varske‐ne‐:varske 「元 気 に な る 」:「 元 気 な,新
ela‐des
「生 き な が ら」
詞》 動
受 動(不 定 人 称)
現
在 ela‐v
ela‐ta‐v
完
了 ela‐nud
ela‐tud
しい 」
talv‐iti:talv 「冬 ご と に 」:「 冬 」
(‐da‐)
ela‐da
能
‐(i)ti
‐ta‐
《da‐不 定 詞 》
し く」:「 よ い,美
「公 正 に 」:「 公 正 な 」
「生 き て 」
出
《分
語」
‐lik lapse‐lik:laps
つけるか
の 成 分 の どれ か を 疑 問 詞 で お き か え て 文 頭 に
移 動 さ せ て(2c)つ
‐ us
容 詞(の 比 較 級)の 前
に も後 に も 現 わ れ る こ とが で き る(表8,例
程 」:「 道 」
態 」 を 表わ す 名 詞
動詞文
句 と属 格 名 詞 句 は,と も に 修 飾 され る 名 詞 に 先 行 す る.
語」
tee‐kond:tee 「旅 行,行
か ら」
「主 語― 動 詞― そ の 他 の 成 分 」 で,自
(2b),文
紙」
為」
鮮 な」
従 属 節 に は,接 続 詞 を 用 い る もの(3a,3b)と,動
詞
2)通
の不 定 形(分 詞 形,副 動 詞形)を 用 い る もの(4a,4b)
常 の文 で 目的 語 として 現 わ れ る 名 詞 句 は,
「非 人 称 」構 文 で も 目的 語 の格 表 示 を うけ る(10a),
とが あ る.疑 問 文 は,そ の ま ま名 詞 節 に な る こ とが で
3)動
詞が 「 不 定 人 称 形 」 と よば れ る形 を とる,
きる(3c).
4)自
動 詞 か ら もつ くられ る(10b),
5)動
作 主(行 為 者)と して 常 に 人 間 が 想 定 され る,
関 係 節 に は,関 係 詞 を用 い る もの(5b,5c)と,動 の 分詞 形 を用 い る もの(5d)と
詞
が あ り,前 者 は 主 名 詞 の
とい う特 徴 が あ る.
後 に,後 者 は主 名 詞 の 前 に現 わ れ る.後 者 の タ イ プ の
使 役 は,英 語 のletに
関係 節 は,主 名 詞 が,関 係 節 の中 で,主 語 また は 直 接
相 当す る動 詞laskmaの
変化
形 と動 詞 の 不 定 詞 を用 い て 表 わ され る.動 作 主(cau‐
目的 語 として 解 釈 され る場 合 に限 って 用 い られ るが,
see)は,分
格 ま た は 接格 の 格 表 示 を うけ る.動
詞
前者 の タイ プの 関 係節 に は,そ の よ うな 制 限 は な い.
laskmaを
直 接 目的 語 は,「 対 格 」 も し くは 分格 で 表 示 され る.
(11b),そ
目的 語 が 「対 格 」 で表 示 され るの は,次 の3つ の条 件
存 在 文(お よび,そ の 特別 な場 合 と して の所 有 文)は,
が す べ て 満 た され てい る場 合 で あ る.
「場所 格 名詞 句 +動 詞ollaの3人
称単数形+主格 また
は 分格 の 名 詞 句」 とい う構 文 で 表 わ され(12),場
1)肯
定 文 で あ る(6a).
2)行
為 が,完 結,完 了 して い る か,完 結,完
所格
名 詞 句 が,存 在 場 所 な い しは 所 有 者 を表 わ す.存 在 す
了す
る こ とが 想 定 され る(7a). 3)行
用 い た 使 役構 文 の意 味 は,許 容 的 な こ と も うで ない こ と も あ る(11c).
る もの(ま た は所 有 され る もの)を 表 わ す 名 詞 句 は,肯
為 が 目的 語 の 表 わ す 対象 の全 体 に 及 ぶ(8a).
定 文 で は ふつ う主 格 で,否 定 文 で は 分 格 で 表 示 され る
こ こで 「対 格 」 とい うのは,統 語 的 概 念 で,単 数 の場
(13).存 在 文 とよ く似 た 構 文 を とる 自動 詞 が か な りあ
合 は 属格 また は 主 格 で,複 数 の場 合 は常 に主 格 で 表 示
り(14),こ
され る 目的 語 の こ とで あ る.単 数 の 「対 格 」 目的 語 が
考 え る こ とが で き る.
主格 で 表 示 され るの は,
[方
1)命
令 法(9b)
され て い る地 域 は,現 在 の エ ス トニ ア 共 和 国 の 領 土 と
2)動
詞 が 不 定 人 称 形(umbisiklik)の
3)動
詞 が 常 に3人 称 単 数 形 で 現 わ れ る 非 人 称 の
言]
8つ の方 言 区域 に分 け られ る が,こ れ らは3つ の 方 言 群 に ま とめ られ る.
な どに お い て で あ る.
1)北
エ ス トニ ア 語諸 方 言 (Pohjaeesti murderuhm) ― 東 方言(idamurre) ,中 央 方 言(keskmurre),
動 詞 が 不 定 人 称形 の構 文 は,お お む ね 受 身 の文 に 相 当す る と考 え て よ い が,こ の構 文 に は,
西 方 言(laanemurre),島
れ る こ とが で き な い,
内
出
入
格
格
格
接
格
奪
格
向
格
変
格
部 方 言(saarte
murre)
常 の文 の主 語 に あた る成 分(動 作 主)が 現 わ
<表7>複
エス トニ ア 共和 国 で エ ス トニ ア 語 が 話
ほ ぼ 一致 す る.
文(9c)
構 文(9d)
1)通
れ ら も広 い 意 味 で 「存在 文 」の 仲 間 と し て
2)南
エ ス トニ ア 語諸 方 言 (lounaeesti
murde
合 名 詞 の 第1構 成 要 素の 格 koolis│kaija 「学 校 に 通 う人 」
kai‐ 「行 く」
peast│arvutamine 「暗 算 」
arvuta‐ 「計 算 す る 」
meelde│tuletus 「思 い 出 さ せ る こ と」
kalal│kaik 「魚 を つ り に 行 く こ と」 kohalt│nihutus 「解 任 す る こ と」
欠
格toota│olek 「失 業 」
共
格
kaega│loomine loo‐ 「見 捨 て る こ と 」
tuleta‐ (midagi) 「引 き 出 す 」(「 何 か を 」)
kai‐ 「行 く」
marjule│minek 「野 い ち ご を 採 集 に 行 く こ と」 halvaks│panu 「軽 蔑 す る こ と」
kooli‐s 「学 校(内 格)」
pane‐ 「置 く」 ole‐ 「い る 」
「打 つ 」
kala‐l 「魚(接 格)」 koha‐lt 「位 置(奪 格)」
mine‐ 「行 く」
meel‐de 「心(入 格)」
nihuta‐ 「転 置 す る 」
pea‐st 「頭(出 格)」
marju‐le 「野 い ち ご(複 数 向 格)」
(midagi) (「何 か を 」) (millelegi) (「何 か へ 」)
halva‐ks 「悪 い(変 格)」 too‐ta 「仕 事(欠 格)」 kae‐ga 「手(共 格)」
<表8>エ 1.a.
ス トニ ア 語 の 文 の 構 造 Mati
on
peetri‐st
pike‐m.
マ ッ テ ィ で あ る ペ ー テ ル(出 格)長 b. Mati
on
pike‐m
である
長 い(比 較 級)よ
マ ッテ ィ 2.a.
Peeter on ペーテル い る
b. Kas c. Kus
3.a.
on
い る 家に
on?
ペーテル
いる
kodus?
「ペ ー テ ル は 家 に い る か 」 「ペ ー テ ル は ど こ に い る の か 」
Kuulsin,et
vend
私 は 聞 い た 接 続詞
兄
koneles
kusib,kas
Kuulsin
疑 問 小辞
vends
5.a.
Peeter
「 ベー
Antsu‐le
ーテル
Antsu‐le
Peeter ペーテル
b. Peeter ペ ー テ ル
kirja
「ペ ー テ ル が ア ン ツ に 送 っ た 手 紙 」
った
saatis
アン ツ 関 係代名詞(向格)ペーテル手紙(対格) 送 った
saadetud
ン ツ(向 格)送
kiri
る(分 詞 形)手
「ペ ー テ ル が ア ン ツ に 送 っ た 手 紙 」
紙
ostis raamatu. 買 っ た 本(対 格)
「ペ ー テ ル は 本 を 買 っ た 」
ei ostnud
「ペ ー テ ル は 本 を 買 わ な か っ た 」
raamatu‐t.
買 わ な か っ た 本(分 格)
7.a. Laine luges ライ ネ
読んだ
b. Laine loeb
raamatu
labi.
本(対 格)
通 して
「ラ イ ネ は 本 を 読 了 し た 」
raamatu‐t.
ライ ネ 読 む 8.a. Ostsin
本(分
「ライ ネ は 本 を 読 ん で い る 」
格)
kaupluse‐st leiva.
私 は 買 った
店(出 格)
b. Ostsin
「私 は(特 定 量 の)パ
店(出 格)
Peeter
ostab
ペ ー テル
買 う
b. Osta
「私 は パ ン を 店 で 買 っ た 」
パ ン(分 格)
raamatu.
「ペ ー テ ル は 本 を 買 う 」
本(対 格)
raamat!
買 い な さい
ンを 店 で 買 っ た」
パ ン(対 格)
kaupluse‐st leiba.
私 は 買 った
「本 を 買 い な さ い 」
本(主 格)
c. Raamat
oste‐takse.
「本が 買 わ れ る 」
本(主 格)買 う(不 定 人 称 形) d. Mind huvitab raamat 私(分 格)興 10.a.
saatis
ア ン ツ(向 格)送
Peeter
ペ ー テ ル(属 格)ア
9.a.
「ペ ー テ ル は ア ン ツ に 手 紙 を 送 っ た 」
テ ルが手紙を送った(ところの)アンツ
d. Peetri
6.a.
バ メ た ちが や って くる」
紙(対 格)
Peeter
手 紙 関 係 代 名 詞(対 格)ペ c. Ants,kelle‐le
「夏 が 来 る と,ツ
ツ バ メ(複)
kirja.
ア ン ツ(向 格)手
b. kiri,mille
「私 は 兄 が 部 屋 で 話 し て い る の を 聞 い た 」
paasukesed.
着 す る
saatis Antsu‐le
ペーテル 送 った
「マ ッ テ ィ は ペ ー テ ル は 家 に い る か と 尋 ね る 」
話 す(現 在 分 詞,分 格)
saabuvad
る(副 動 詞)到
バ メた ちが や っ て くる」
い る 家に
koneleva‐t.
屋で
tulles
夏(属 格)来
「夏 が 来 る と,ツ
on kodus.
ペーテル
toas
私 は 聞 い た 兄(分 格)部 b. Suve
「私 は 兄 が 部 屋 で 話 し て い る の を 聞 い た 」
paasukesed. ツ バ メ(複)
Peeter
マ ッテ ィ 質 問 す る 4.a.
toas.
話 して い た 部 屋 で
b. Kui tuleb suvi,saabuvad ∼ とき 来る 夏 到 着 す る c. Mati
「マ ッ テ ィ は ペ ー テ ル よ り 背 が 高 い 」
「ペ ー テ ル は 家 に い る 」
ペ ー テル
Peeter
ど こに
Peeter.
り ペ ー テ ル
kodus. 家 に
Peeter
疑問小辞
い(比 較 級)
kui
osta.
味 を も た せ る 本(主 格)買
Siin
ehita‐takse
こ こで
建 て る(不 定 人 称 形)新
b. Puhapaeva‐l 日 曜 日(接 格)行
「私 は 本 を 買 う こ と に 興 味 が あ る 」
う
uut
maja.
しい(分 格)家(分
kai‐akse
kulas.
く(不 定 人 称 形)お
「こ こ で は 新 し い 家 が 建 築 中 で あ る 」
格) 「日 曜 日 に は 人 の お 宅 に う か が う 」
客に (次 ペ ー ジ に 続 く)
―
〈表8〉 エ ス トニ ア語 の文 の構 造(続)
11.a.
Jaan laskis ヤー ン
mehi
b. Valvur laskis 看 守
vangi‐l
ta‐l
させ な さい Laua‐l
on
机(接 格)あ
い
Ajakirja‐l
る が,南
新 しい
tekkis
「私 は 新 し い ス ー ツ を 持 っ て い な い 」
ス ー ツ(分 格)
kaastoolisi.
「そ の 雑 誌 に は 投 稿 者 が(何 人 か)現 わ れ た 」
じた 協 力 者(複 数 分 格)
ム ル キ 方 言(mulgi murre),ヴ
murre),タ
ォ ル 方 言(voru
北 海 岸 方 言(kirde‐eesti
標 準 語 は,北
「机 の 上 に 本 が な い 」
本(分 格)
い
雑 誌(接 格)生
3)東
「私 は 新 し い ス ー ツ を 持 っ て い る 」
ス ー ツ(主 格)
ei ole uut ulikonda.
私(接 格)な
言(tartu
「机 の 上 に 本 が あ る 」
ei ole raamatu‐t.
b. Mu‐l
ruhm)―
彼 に そ れ を く り返 させ な さ い 」
り返 す
raamat.
る 新 しい
机(接 格)な
14.
korrata!「
れ(分 格)く
uus ulikond.
私(接 格)あ Laua‐l
看 守 は 囚人 を逃 が して や った 」
げる
る 本(主 格)
b. Mu‐l on 13.a.
pogeneda.「
seda
彼(接 格)そ
「ヤ ー ン は 男 た ち を 休 息 さ せ た 」
む
さ せ た 囚 人(接 格)逃
c. Laske
12.a.
puhata.
さ せ た 男(複 数 分 格)休
ル ト方
‐(h)n∼‐hで 6)動
murre)
rannikumurre)
語)で は‐si‐,南 エ ス トニ ア 語 で は‐i‐が 一 般 的
エ ス トニ ア 語 の 中 央 方 言 を基 礎 と し て い
エ ス トニ ア 語 の 要 素 も か な り と り入 れ られ て
で あ る. 7)南
い る. つ て タ ル ト方 言 に も とづ く独
自 の 文 語 を も っ て い た ・ 北 エ ス トニ ア 語 と南 エ ス トニ ア 語 の 間 に は,た とが で き る(表9参
と え ば,次
よ び 標 準 語)で は み ら れ な い
エ ス トニ ア 語 に あ る.
エ ス トニ ア 語 でi,uで 準 語)で
エ ス トニア 語 で は,名
‐ d(<*‐t)が 5)内
(<*‐sna/‐sna)で
<図>エ
東 北 海 岸 方 言 は,従 来,北 エ ス トニ ア 語 の グル ー プ
た とえ ば,次 の よ うな 違 い が 指摘 され る(表10参
はe,iで
1)東
終 わ る. 対 し,北
エ
詞 の 複数 主 格 形 の語 尾
エ ス トニ ア 語(標
は‐s
エ ス トニ ア 語 で は
ス トニア 語 の 方 言 区 画
央 方 言(標 準 語)で 消 失 して い る語 中や 語 末 の
母 音 が一 般 に保 た れ て い る. 3)中
準 語)で
照).
北 海 岸 方言 に は,中 央 方 言(標 準 語)に み られ
る長 音 と超 長音 の対 立 が ない. 2)中
対 応 す る.
あ る が,南
ニ ア 語 と は独 立 した 方 言 と考 え られ る よ うに な って い る.こ の 方 言 と北 エ ス トニ ア 語 の 中 央方 言 との 間 に,
一 般 に 消 失 し て い る.
格 語 尾 は,北
北 エ ス トニ ア語 に は 語 彙 の 点 で も 違 い が あ
る.
終 わ る 二 重 母 音 が,
エ ヌ トニ ア 語 の 長 母 音aa,ooに
ス トニ ア 語 で はea,oeが 4)南
8)南
に含 め られ る のが 通 例 で あ った が,最 近 は,北 エ ス ト
エ ス トニ ア 語(お
北 エ ス トニア 語(標 3)南
の よ うな違 い を あげ る こ
照).
母 音 調 和 が,南 2)南
エ ス トニ ア 語 で は 否 定 の 動詞 に 過 去 形 が あ
る.
南 エ ス ト ニ ア 語 は,か
1)北
あ る.
詞 の過 去 の標 識 と して,北 エス トニ ア 語(標 準
央 方 言(標 準 語)に み られ る超 長 の 子 音 を含 む
単 数 入 格 が 用 い られ ない. 4)様
格 が 用 い られ る.
5)否
定 動 詞 が 人 称 変 化 す る.
この 方 言 と フ ィ ンラ ン ド語(と くに南 西 方 言)と の 間 の 類似 性 は しば しば指 摘 され て お り,フ ィ ン ラ ン ド語 で エ ス トニ ア(お よび エ ス トニア 語)を さすviroと
い
う語 が,こ の方 言 の話 され てい る 地 方 の名Virumaa (maaは
「地 方,国 」)に 由来 してい る こ と と合 わ せ,
この地 域 か ら フ ィ ン ラ ン ド南 西 海 岸 へ の 移 住 が 行 な わ れ た と考 え る学 者 も い る. [歴
史]
今 日エ ス トニ ア語 と い う言 語 の成 立 に
は,後 期 フ ィン祖語(→ 『大 辞 典 」バ ル ト・フ ィ ン諸 語) が 統一 性 を失 って,し だ い に 分 裂 して い く過 程 で 生 ま れ た3つ の 「言語 」 が 関 与 した が,こ れ らは,現 在 の
北 エ ス トニ ア 語,南
エ ス トニ ア 語,東
北 海岸 方 言 と し
て 受 け 継 が れ て い る と考 え ら れ て い る.エ
で エ ス トニ ア(エ ス トニ ア 人)を 意 味 す るeesti(eestlane) は,本
来,他
称 で あ り,エ
人 々 」),自
「舌,言
国,地
方 」,
ス トニ ア 語 に 特 徴 的 な
音 調 和 は,17世
ごろま
紀 ご ろ か ら,北
エ ス トニ ア 語 地 域 の 中 心 タ リ ン
イ ツ 語 名Reval)と,南
域 の 中 心 タ ル ト(Tartu,ド て,そ
紀 ご ろ消 失 した もの と
トニ ア 文 語,南
エ ス トニ ア 語 の 記 録 さ れ た も の と し て も っ と も 古 い
ン マ ー ク の 検 地 記 録(Liber
Census Daniae,1241)に
1600∼57)が
(1637)を
zu
著 して,北
役 割 を 果 た し た.南
歴 史 は,比
ウ ィ ル ギ ニ ウ ス(Adrian
で き な い.現
存 す る も っ と も古 い エ ス トニ ア 語 の テ キ
ス トと し て は,1520年
代 に 書 か れ た 『ク ラ マ ー(Kullamaa)
の 祈祷 書 』 と通 称 され る 手 稿 が あ る が,印
<表9>北
刷
der
標準 語
Esthnischen
「疲 れ た 」 「時 間 」
エ ス トニ ア 文 語 の 作 品 と し て は, Virginius,1663∼1706)の
れ て い る.ま
た,グ
ー ツ ラ フ(Johann
JEsusse よ く知 ら Gutslaff,
南 エ ス トニ ア 語
「満 ち た 」 3)
「頭 」 「見 知 ら ぬ 」
4)
「目(複 数 主 格)」
5)
「森 で 」
6)
「(私 が)手 に と っ た 」
7)
「∼ で な か っ た 」 彙
「洗 う」 「恐 れ る 」 「泣 く」 「犬 」 「オ オ カ ミ」 「樺 」 「松 」
<表10>東
北海岸方言 と北エス トニア語の 中央方言 語
中央 方 言
1)
「黒 い 」 「手 に と る」
2)
「鉄 の」
3)
Sprach
Wastne Testament,1686)が
北 エス トニ ア語
2)
標 準
初 の エ ス トニ ア
エ ス トニ ア語 と南 エ ス トニ ア語
1)
8) 語
Stahl,ca.
は,最
新 約 聖 書 の エ ス トニ ア 語 訳(Meije Issanda Kristusse
「 針」 「 部 屋(単 数 入格)」
4)
「 若 い(単 数 接格)」
5)
「来 ない 」
エス 別 々に
エ ス トニ ア 文 語 の 成 立 に 大 き な
の 地 名 や 人 名 で あ る . こ れ よ り以 前 の エ ス トニ ア 語 の 較 言 語 学 的 方 法 に よ ら な け れ ば 知 る こ とが
おい
エ ス トニ ア 文 語 で 著 作 を 行
ュ タ ー ル(Heinrich
有 名 で あ る が,彼
語 文 法Anfuhrung
記 さ れ て い る エ ス トニ ア
イ ツ 語 名Dorpat)に
エ ス トニ ア 文 語 と よ ば れ る)が
な っ た 人 と し て は,シ
代 に 書 か れ た 『リ ボ ニ ア 年 代 記 』(Chronicon
エ ス トニ ア 語 地
れ ぞ れ の 方 言 に も とづ い た 独 自 の 文 語(北
用 い ら れ る よ う に な る.北
Livoniae)や,デ
教 理 問 答 集(Catechismus)
が 最 古 で あ る. 17世
考 え ら れ て い る.
もの は,1220年
イ ツ の ウ ィ ッテ
出 版 さ れ た ワ ン ラ ト(S.
コ ー ル(J.Koell)の
(Tallinn,ド
長 音 と超 長 音 の 対 立 を 含 む 階 程 交 替 は,1500年 で に 成 立 し,母
Wanradt)と
分 た ち の 言 語 をmaakeel(keel
語 」)と 称 し て い た.エ
に,ド
ンベ ル ク(Wittenberg)で
ス トニ ア 人 た ち は も
と も と 自 分 た ち をmaarahvas(maa「 rahvas「
され た もの と し て は,1535年
ス トニ ア 語
東北海岸方言
?∼1657)は,南
エ ス トニ ア 諸 方 言 に も と づ く 文 法
書 法,い
Observationes
Grammaticae
よ う と し て い た 人 々 に と っ て,決
Esthonicam(1648)を
著 し た.
い わ ゆ る 「旧 表 記 法(vana
kele,ramat―
と よ ばれ る
現 在 で はtema,mina;
現 在 で はkeele,raamat)が
た の は,17世
確立 し
何 と い って も聖 書 の 北 エ ス トニ ア 文 語 へ の 翻 訳(Piibli
タ ル トが 荒 廃 し,大
学 が 閉 鎖 さ れ た こ と も,南
割 を 果 た し た ヘ レ(Anton
Helle,1683∼1748)
Thor
い る が,こ
の 本 に は,7千
とわ ざ,慣
用 句,な
れ て い る.18世
Spracheを
数 多 く 出 る よ う に な る が,こ ペ ル(August
Wilhelm
知 ら れ て お り,彼
著 して
俗 的 な出 版 物 も
の 時 期 の 人 と し て は,フ
Johann
Wiedemann,1805∼87)が,資
て い な い 『エ ス トニ ア 語‐ ドイ ツ 語 辞 典 』(Ehstnischdeutsches
文 法 』(Grammatik 1 875)を
der
著 し た.1884年
『エ ス ト ニ ア 語 ehstnischen
に は,エ
Hupel,1737∼1819)が
keele
Grammatik)が
Sprache,
ス トニ ア 語 で 書 か
出 さ れ て い る.
高 等 教 育 を含 め た社 会 の あ らゆ る領 域 で 機 能 して い
が,文
よ く
味 を も っ た の は,1918年(ソ
し,エ
トニ ア 語 を,文
lehre fur
は,1万
(屈 折)の 標 準 化 と,文
ご ろ か ら,正
し て い た.改
ス
化 言 語 に し よ う とす る言語 改 革 の関 心
は,1910年
18世 紀 の 末 ご ろ か ら,エ ス トニ ア の 知 識 人 の 間 で は,
ビ エ ト ・ロ シ ア に よ る 独 ス トニ ア が 国 家 と し て 独 立
ス トニ ア 語 を 公 用 語 と 定 め た こ と で あ る.エ
Sprach
5千 語 を 越 え る 語 彙 集 が つ け ら れ て い る.
ス トニ ア 語
化 言 語 と しての 地 位 を確 立 す る のに 決 定 的 な 意
立 承 認 は1920年)に,エ
の 北 エ ス トニ ア 諸 方 言 と南 エ ス トニ
Hauptdialekte(1780)に
た,エ ーデマ ン
料 の 範 囲 と正 確 さ の 点 で 今 日 で も 言 語 学 的 価 値 を 失 っ
ア 諸 方 言 の 両 方 を 扱 っ た 著 作Ehstnische beide
Revalschen あ る.ま
る 言 語 を 「文 化 言 語 」 と よ ぶ とす れ ば,エ
ど が 付 録 と して つ け ら
紀 の 後 半 に な る と,世
Sprache
ス トニ ア 語 の 言 語 学 的 な 研 究 の 分 野 で は,ビ
Eesti
語 に 及 ぶ 語 彙 集 の ほ か,こ
ぞ な ぞ,な
Ehstnischen
れ た 最 初 の エ ス ト ニ ア 語 文 法(K.A.Hermann,
に,北 エ ス トニ ア 語 の 文 法 書Kurzgefaszte Ehstnischen
に 変え
Ahrens,1803∼63)の
Worterbuch,1869)と
エス ト
書の翻訳に中心的役
Anweisung zur
der
方 戦 争(1700∼21)で,
ニ ア 文 語 の 衰 退 を う な が し た.聖
は,1732年
Grammatik
(Ferdinand
北 エ ス トニ ア 文 語 が 優 位 に 立 つ 契 機 と な っ た の は,
あ る が,北
ー レ ン ス(Eduard
kirjaviis)」
定 的 な意 味 を もっ た
Dialektes(I,1843;Ⅰ‐Ⅱ,1853)で
紀 の 末 で あ る.
Ramat,1739)で
わ ゆ る 「新 表 記 法(uus
の は,ア
kirjaviis)」
正 書 法(temma,minna―
circa linguam
書 法 の 確 立 を含 め た 語形 変化
化 語 彙 を 豊 か に す る こ とに集 中
革 に 中 心 的 役 割 を 果 た し た ア ー ビッ ク
(Johannes
Aavik,1880∼1973)と
エ ス トニ ア 語 を 洗 練 して 地 位 を 高 め よ う と す る 動 き が
Voldemar
Veski,1873∼1968)の
活 発 に な る が,エ
す る 考 え 方 の 点 で 対 照 的 な と こ ろ が あ っ た.「 言 語 改
ス トニ ア 語 の 文 法 や 語 彙,あ
るい は
民 間 伝 承 な ど に 関 す る 討 論 の 場 を 提 供 し た の は,ロ ゼ ン プ レ ン タ ー(Johann 1782∼1846)の Kenntniss
Heinrich
あ っ た.正
書 法 にoを
ク(Otto
Rosenplanter,
主 宰 し た 雑誌Beitrage zur der ehstnischen
Wilhelm
ー
造(keeleuuendus)」
の雑 に は,エ
ス
あ る.ベ
ス キ の 立 場 は,1920年
会(Akadeemiline
に結 成 され た
Emakeele
Selts)」
『エ ス トニ ア 語 』(Eesti
トニ ア 学 識 者 協 会(Gelehrte
『エ ス トニ ア 語 正 用 法 辞 典 』(Eesti
Eesti
そ の 中 心 と な っ た の は,後
Selts)」
Gesellschaft;
が 結 成 さ れ た が,
に(1842∼50),タ
ル ト大 学
の エ ス トニ ア 語 の 講 師 を つ と め る こ と に な る フ ェ ー ル マ ン(Friedrich
Robert
Faehlmann,1798∼1850)
実 に存在 す
る言 語 体 系 を 内的 に豊 か にす る こ と をめ ざ した か らで
トニ ア 語 の 研 究 と 資 料 収 集 を 目 的 と し て 掲 げ る 「エ ス
O petatud
言 語 調 整(keelekorraldus)」
派 と よ ば れ た ベ ス キ は,現
Masing,1763∼1832)も,こ
Esthnische
革 に対
派 と よ ば れ た ア ー ビ ッ ク が,現
を 加 え る こ と を 主 張 し た の に 対 し,「
導 入 す る こ と を提 案 した マ シ ン
た,1838年
間 に は,改
実 に存 在 して い る言 語 体 系 に積 極 的 に外 か ら改 変 の 手
genauern
Sprache(1813∼32)で
誌 の 投 稿 者 の ひ と り で あ る.ま
ベ ス キ(Johannes
る ぎ な い もの と な っ た.し た 改 革 案 の う ち で,標 り(名
の 出 す雑 誌
Keel,1922∼40)が
1925∼37)の
代 表 し,
oigekeelsuse
完 成 に よ り,そ か し,ア
「母 語 協
sonaraamat,
の 優 位 は揺
ー ビ ック の提 案 し
準 語 に定 着 した もの は数 多 くあ
詞 の 複 数 の 標 識‐i‐,単
数 入 格 の 「短 形 」等 々,
で あ っ た.エ
ス トニ ア の 国 民 文 学 と よ べ る も の が 誕 生
語 彙 で は,relv「
す る の は,ち
ょ う ど,こ
「言 語 改 造 」の 立 場 も し っ か り と 足 跡 を 残 し て い る.
の 時 代 で あ る.フ
ェー ル マ ン
に よ っ て 構 想 さ れ た 国 民 的 叙 事 詩 『カ レ ビ ポ エ ク(Ka levipoeg)』 hold
は,ク
ロ イ ツ ワ ル ト(Friedrich
Kreutzwald,1803∼82)の
∼61),エ
Rein
手 で 完 成 さ れ(1857
ス トニ ア 人 の 民 族 意 識 の 形 成 に 大 き な 役 割 を
ま た,言
武 器 」,veenma「
語 改 革 と平 行 し て,方
サ ー レ ス テ(Andrus に 行 な わ れ,方 の 収 集 は,標
説 得 す る」 等 々),
言 の 体 系 的 な 調 査 が,
Saareste,1892∼1964)を
言 地 図 も 出 版 さ れ た.と
中心 くに 方 言 語彙
準 語 の 語 彙 を 豊 か に す る 点 で 大 き な意 味
果 た した.
を も っ た.
エ ス トニ ア 語 の 正 書 法 を 「旧 表 記 法 」 か ら 現 在 の 正
言 語 改 革 は,エ
ス トニ ア が ソ 連 に 併 合(1940)さ
れた
後 も続 け ら れ,今 と え ば,1960年
日 に 至 っ て い る が,そ
の 正 用 法 辞 典(Oigekeelsuse
と,そ
れ,全
体 が2語
い る.辞
に綴 ら れ て い る)が
sonaraamat)と
方 言 辞 典(Eesti
エ ス ト ニ ア 語 の 文 学 も,言 紀 末 か ら20世 花 を み た.こ
Hansen
る.ソ
格的 な 開 ン
彙]
mets
「大 地 」
「森 」
「雪 」
「火 」
suusk
動
ど がい
『言 語 と文 学 』(Keel ja
Kirjandus),
jaa 「氷 」
ala‐ ula‐ esi,ede‐ taga‐
「後 」
elama
jooma
kuulma lugema
「与 え る 」 「生 き る 」 「飲 む 」 「聞 く 」 「読 む 」 nagema
pelgama 「恐 れ る 」 tulema
olema
「見 る 」
panema
「あ る,い る 」 「置 く」
pidama 「手 に も つ 」 tooma
「来 る 」 「も っ て く る」
sooma 「食 べ る 」
tegema 「作 る 」
ujuma
viima
「泳 ぐ」
「も っ て い く」
ィ
るい は
『大 辞 典 』 バ ル ト ・フ ィ ン諸 語)に
ま で 起 源 を た ど る こ と の で き る も の に は,た 表12に
vesi
が 出 て い る.
『大 辞 典 』 ウ ラ ル 語 族)あ
そ れ ぞ れ,表11と
ilm
詞: andma
「行 く」
エ ス ト ニ ア 語 の 語 彙 の う ち で,フ
ィ ン祖 語(→
kivi
「石 」 「空 気 」 「水 」
uus
<表12>エ
ス トニ ア 語 の 語 彙 (バ ル ト ・フ ィ ン 系)
ウ ラ ル祖 語 に まで そ の起 源 を た ど る こ との で きる もの と,フ
jogi
「ス キ ー 」 「新 し い 」 「下 」 「上 」 「前 」
minema
Tuglas,1886∼1971),詩 Suits,1883∼1956)な
ン ・ウ ゴ ル 祖 語(→
kuu oo
語 改 革 と並 行 し て,19世
『創 作 』(Looming)の2つ [語
maa
tuli
か ら は じ ま っ た.
ビ エ ト体 制 に な っ て か ら も文 学 活 動 は 盛 ん で,
月刊 の 文 芸 雑 誌 として
talv
そ の 他:
Tammsaare,1878∼1940)
人 に は,ス イ ツ(Gustav
kuus
「秋 」 「冬 」 「月 」 「夜 」 「川 」
l umi 格
の 時 期 に 活 躍 し た 代 表 的 な 作 家 に,タ
ム サ ー レ(Anton
sugis
「夏 」
murrete
紀 前 半 に か け て の 時 期 に,本
や トゥ ク ラ ス(Friedebert
suvi
kirjakeele
的 な 方 言 辞 典 の 出 版 に 先 だ ち,『 方 言 小 辞 典 』(Vaike 出 版 が,1982年
kolm neli viis
自然 に 関 す る も の:
象 徴 的 に 物 語 って 語 辞 典(Eesti
出 版 の 準 備 が 進 め られ て い る.本
murdesorastik)の
kaks
「1」 「2」 「3」 「4」 「5」 「6」
い う属 格 形 が 用 い ら
書 の 編 集 に 関 し て は,国
sonaraamat)の
詞: u ks
の正 用法 辞
の タ イ トル の 違 い
版 で は,oigekeelsuseと
数
sonaraamat)
の 改 訂 版 で あ る1976年
典(Oigekeelsus‐sonaraamat)と (1960年
の よ う す は,た
と え ば,
人 体 に 関 す る も の: huul
nina
「唇 」
「鼻 」
juuksed 「髪 」
rind
higi
「胸 」
「汗 」
あ げ た よ う な 語 が あ る. 動 物 ・植 物 に 関 す る も の: hobune
<表11>エ
(フ ィ ン ・ウ ゴ ル 系,ま
た は ウ ラ ル 系)
親 族 等 に 関 す る も の: isa
ema
poeg, poiss
「父 親 」 「母 親 」 「息 子,少
neiu nimi
silm keel 「目 」 「舌,言
suu kasi jalg 語 」 「口 」 「手 」 「足 」
mahl 「果 汁 」
rasv 「脂 肪 」
間:
hobe
magi
「銀 」
「山 」
ida
pohi
「東 」
「北 」
neem 「岬 」
saar
soo
「島 」
「湿 地,沼 」 「雨 」
aeg
vihm
paev
「時 間 」
eile
「日 中,1日
」
「き の う」
人 間 の 活 動:
物 に 関 す る も の:
s ona
kiri
habi
「こ と ば 」 「手 紙 」 「恥 」 raha
voi 「バ タ ー 」
ilu laul 「美 」
onn
「歌 」 「幸 福 」
nalg
「貨 幣 」 「空 腹 」 そ の 他:
代 名 詞: sina
tema
meie
「わ た し 」 「あ な た 」 「彼,彼 女,そ れ 」 「わ た し た ち 」 teie
実 」
「マ ツ 」
「あ す 」
puu kuusk seen kala lind muna 「木 」 「モ ミ」 「キ ノ コ 」 「魚 」 「鳥 」 「タ マ ゴ 」
mina
vili 「穀 物,果
mand
「オ オ シ カ 」
homme
suda maks luu veri 「心 臓 」 「肝臓 」 「骨 」 「血 」 植 物,動
poder
「熊 」
自 然,時
年 」 「乙 女 」 「名 前 」
人 体 に 関 す る も の: pea 「頭 」
karu
「馬 」
ス トニ ア 語 の 語 彙
nemad
see
too
saun sugu talu linn 「サ ウ ナ 」 「一 族 」 「農 場 」 「都 市 」 形 容 詞:
「あ な た た ち 」 「彼 ら,そ れ ら」 「こ れ,そ れ 」 「あ れ 」
kallis
need
「大 切 な 」 「か た い 」 「短 い 」
nood
kes
mis
muu
「こ れ ら,そ れ ら 」 「あ れ ら」 「誰 」 「何 」 「ほ か の 」
paha
kova
paks
luhike
peen
must 「黒 い 」
pehme
noor 「若 い 」 pikk
「悪 い 」 「厚 い 」 「細 か い 」 「や わ ら か い 」 「長 い 」 puha selge suur sugav 「聖 な る 」 「は っ き り と し た 」 「大 き い 」 「深 い 」 tark terve tosi tais ohuke 「賢 い 」 「健 康 な 」 「真 実 の 」 「満 ち た 」 「薄 い 」
korts tatar tolk tubli 「酒 場 」 「ソ バ 」 「通 訳 」 「よ い 」 ス ウ ェ ー デ ン 語 か ら: paat 「ボ ー ト」
pagar 「パ ン 屋 」
sang 「ベ ッ ド」
tasku 「ポ ケ ッ ト」
ドイ ツ 語 か ら: 動
詞:
arst 「医 者 」
jooksma kondima lendama magama 「走 る 」 「歩 く」 「飛 ぶ 」 nutma 「泣 く」
otsima 「さ が す 」
tahtma
teadma
「寝 る 」
pogenema 「逃 げ る 」
paluma 「頼 む 」
uskuma
votma
「欲 す る 」 「知 っ て い る 」 「信 じ る 」 「手 に と る 」
hunt 「オ オ カ ミ」
kaart 「カ ー ド」
jah 「は い,え
kartul 「ジ ャ ガ イ モ 」
kaal 「重 さ」
え 」
kinkima klaas 「贈 る」 「ガ ラ ス 」
kleit kool korter kunst kook 「ド レ ス 」 「学 校 」 「ア パ ー ト」 「芸 術 」 「台 所 」 lihtne loss markama 「単 純 な 」 「城 」 「気 づ く」
naaber 「隣 人 」
paar 「対 」
vasima
peegel 「鏡 」
「疲 れ る」 借 用語 は,借 用 の 時 代,借 用先 の言 語 に よ って,い くつ か の グル ープ に分 け る こ とがで き る.も っ と も古 い もの は,す で に フ ィ ン ・ウゴ ル祖 語 の時 代(紀 元 前 4000年 ご ろ まで)に
印 欧 語(主 と して イ ン ド・ イ ラン
語 派)か ら借 用 され た と 考 え られ て い る語 で あ る.次 に古 い 借用 語 の グル ー プ は,前 期 フ ィ ン祖 語 時 代(紀 元 前500∼000年
ごろ)に バ ル ト諸 語 か ら借 用 され
た と され て い る もの で あ る.ま た,後 期 フ ィ ン祖 語 の 時 代(紀 元 前000∼
紀 元0年
ごろ)に は 多 数 の 語 彙
が ゲ ル マ ン語 か ら借 用 され た と考 え られ て い る.そ れ 以 後 も,ス ラ ブ語(主 と して ロ シア語),ス 語,ド イ ツ語,フ
ウ ェー デ ン
piibel pilt pliiats pood reede 「聖 書 」 「絵 」 「鉛 筆 」 「商 店 」 「金 曜 日 」
reisima riik raakima selts 「旅 行 す る 」 「国 家 」 「話 す 」 「協 会,団 suhkur 「砂 糖 」
tass 「茶 わ ん 」
trukkima 「印 刷 す る 」
tukk 「… 個 」
varske vary 「新 鮮 な 」 「色 」
teenima tudeng 「勤 め る 」 「学 生 」 vein viis 「ワ イ ン 」 「様 式 」
体」 tool 「イ ス 」
vorm 「形 」
oli 「オ イ ル 」
フ ィ ン ラ ン ド語 か ら: aine ala ese huvi mainima 「物 質 」 「領 域 」 「物 体 」 「興 味 」 「言 及 す る 」 mugav saabuma 「快 適 な 」 「到 着 す る 」
suhe 「関 係 」
suund 「方 向 」
sailitama tavaline tehas 「保 存 す る 」 「普 通 の 」 「工 場 」
ィ ン ラ ン ド語 な どか ら,た くさ んの
語 彙 が エス トニ ア語 に借 用 され て い る(表13参
照). エ ス トニ ア 語 の 語 彙 に 関 し て 注 目 し な け れ ば な ら な
<表13>エ
ス トニ ア 語 の 語 彙 の 中 の 借 用 語
い の は,20世
紀 に 入 っ て か ら人 工 的 に つ く られ た 語 が
か な り 存 在 す る こ と で あ る.た 印 欧 語(イ
ン ド ・イ ラ ン語 派)か
ら(フ
ィ ン ・ウ ゴ ル 祖
語 時 代): porsas 「豚 」
sada 「100」
sarv vasar 「(動 物 の)角 」 「槌 」
meri sein sild tuhat tutar vill 「海 」 「壁 」 「橋 」 「1000」 「娘 」 「羊 毛 」 ゲ ル マ ン 語 か ら(後 期 フ ィ ン 祖 語 時 代): juust 「チ ー ズ 」
kell kuld 「鐘,時 計 」 「金 」
nael noel pold 「ク ギ 」 「針 」 「畑 」
raud 「鉄 」
rongas 「輪 」
kaup 「商 品 」 「パ ン」
rikas 「富 裕 な 」
rukis sama tuba 「ラ イ 麦 」 「同 じ」 「部 屋 」 ス ラ ブ 語 か ら(ロ
シア語 か らの 比 較 的 新 しい借 用 語 も
含 む): aken 「窓 」 rist 「十 字 」
な ど の よ う に,す み ら れ る.人
思 い 出 す 」,
っ か り定 着 し て い る も の が,か
な り
工 的 に 語 を つ く る と い う 方 法 は,語
彙 を
豊 か に す る 手 段 の ひ とつ と し て,エ
も盛 ん に つ く り 出 さ れ て い る.た
ス トニ ア の 国 語 学
jaam lusikas nadal raamat 「駅 」 「ス プ ー ン 」 「週 」 「本 」 vaba varav kass 「自 由 な 」 「門 」 「猫 」
工 語 は,現
在で
と え ば,eirama「
視 す る 」,olbama「
注 視 す る 」,raal「
「ス モ ッ グ 」,teler「
テ レ ビ 」 な ど の よ う な 語 が,比
無
計 算 機 」,sudu 較
的 新 し い 人 工 語 と し て 新 語 辞 典 に 登 録 さ れ て い る. [辞
書 ] エ ス トニ ア 語 に は,ま だ 「国 語 辞 典 」 に
相 当 す る 辞 書 が な く,エ
ス トニ ア 語 の 語 彙 の 標 準 化
は,「 正 用 法 辞 典 」 と よ ば れ る1種 っ て 行 な わ れ て き た.も
turg 「市 場 」
ラ ム 」,kehtima
依 存 す る」
者 の 間 で 積 極 的 に 評 価 され て お り,人
kaunis 「美 し い 」
kuningas lammas leib 「王 」 「羊 」
武 器 」,siiras
聞 な ど の)コ
「有 効 で あ る 」,meenuma「 soltuma「
hein hernes hirv lohi 「干 草 」 「エ ン ド ウ 豆 」 「シ カ 」 「サ ケ 」
ja 「と(接 続 詞)」
と え ば,
治 療 」,relv「
「率 直 な 」,veerg「(新
バ ル ト諸 語 か ら(前 期 フ ィ ン 祖 語 時 代): hammas 「歯 」
heli「 音 声 」,ravi「
1976年
の 正書法辞典に よ
っ と も 新 し い 正 用 法 辞 典 は,
に 出 さ れ た(Oigekeelsussonaraamat,Valgus, Tallinn,896p.).1984年
い る.こ
の 辞 書 は,そ
ま で に4回
版 を重 ね て
れ ぞれ の 語 の 正 書 法 と活 用 の タ
イ プ を 示 す ほ か,特
殊 な 語 に は 使 用 分 野(古 語,方
出 し 語 は10万
単 に語 義 も
語 を 超 え て い る.
Kask,Arnold(1984),Eesti
エ ス ト ニ ア 語 と他 の 外 国 語 との 辞 書 は,一
般に外国
語 を 学 ぶ エ ス トニ ア 人 の た め に つ く ら れ て い る た め に,エ
ス トニ ア 語 の 名 詞 や 動 詞 の 活 用 に 関 す る 情 報 な
ど が 欠 け て い て,一 か し い.外
et
University
F.
Dictionary
Press,cxi+1180
Written
+518
出 し語 数 が 約7万
文 法 解 説 が つ い て い る.た
University,Bloomington)
Lavotha,Odon
(1973),Kurzgefaβte
語,か
だ し,西
p.)が
Mihkla,Karl
な り詳 しい
側 で 出 され た もの
の 分 類 に 準 拠 し て い な い とい う難 点 が あ る.後
suntaks
エ ス トニ ア 語 を 学 ぶ フ ィ ン ラ ン ド人 を 対 象 と し た 辞 書
形 を 用 い て い る 点 で,他
詞の見 出し
の 辞 書 が す べ て 「ma不
定詞」 定詞」
形 を 用 い て い る の と対 照 的 で あ る. 外 国 語 を 学 習 す る エ ス トニ ア 人 向 け の 辞 書 の う ち, の と お りで あ る.
J.Silvet(1980),Eesti‐inglise
sonaraamat(『
エ
ス トニ ア 語‐ 英 語 辞 典 』Valgus,Tallinn,第2版,
Aavo
Seura,
Valmis(1979),Eesti
fonetik(Uppsala
universitet,Uppsala) Raun,Alo
and to
Andrus
Saareste(1965),Introduction
Estonian
Linguistics(Otto
Harrassowitz,
Wiesbaden) Remes,Hannu(1983),Viron
kielioppi(Werner
Soderstrom,Helsinki) Tauli,Valter(1973,1983),Standard
Estonian
Grammar Ⅰ,Ⅱ(Uppsala
Eesti
University,Uppsala) and
keele
Nikolai
Remmel(19702),
grammatika(Valgus,Tallinn)
Valmet,Aino,Uuspold,Ellen
and
Ellen
keele
opik(Valgus,Tallinn) (松 村
sonaraamat(『
お
トニ ア 語‐ ロ シ ア 語 辞 典 』Valgus,Tallinn,第4
et
al.(1964),Eesti‐saksa
sonaraamat
(『エ ス トニ ア 語‐ ドイ ツ 語 辞 典 』Valgus,Tallinn,
オ ク シ タ ン 語 仏occitan =プ
984p.) K.Kann
and
N.Kaplinski(1979),Eesti‐prantsuse
sonaraamat(『
Valgus,Tallinn,603p.)
Worterbuch(『
R.Kleis
+635p.)と
et al.(1978),Voorsonade
外
あ る.
keele
NSV
foneetika Ⅰ,
Ulikool,Tartu)
Hint,Mati(1973),Eesti
keele Teaduste
Nederlands,英Dutch,
称]
sonafonoloogia
中 世 か ら近 世 初 期 に か け て はdietsch, よ ば れ,今
日 で も,特
さ す 名 称 と し てDietsが
に 中期 オ ラ ンダ 語 を
使 わ れ る.16世
紀 ごろ か ら
競 合 して 用 い ら
紀 以 後 は 後 者 に 統 一 さ れ た.1947年
の正 書
法 改 革 と と も にNederlandschはNederlandsと り,今
Akadeemia,Tallinn)
d'oc
NederduitschとNederlandschが れ,19世
[参 考 文 献] Ariste,Paul(19774),Eesti
Ⅰ(Eesti
[名 duutschと
leksikon(『
来 語 辞 典 』Valgus,Tallinn,第2版,664p.)が
Riiklik
仏langue ロヴ ァンス 語
estnisches 独Niederlandisch,仏neerlandais
エ ス トニ ア 語 逆 引 き 辞 典 』
Bayreuth,1979,lⅴⅲ
Ⅱ (Tartu
=プ
オ ラ ン ダ 語
殊 な 辞 典 と し て,Rucklaufiges
Universitat
ロ ヴ ァ ンス語
オ ッ ク語
エ スト ニ ア 語‐ フ ラ ン ス 語 辞 典 』
こ の ほ か,特
一 登)
エス
版,578p.) K.Kann
Turu
(1981),〓/Eesti
509p.) J.Tamm(1977),Eesti‐vene
kysymyksia
korgkoolidele(Valgus,Tallinn)
Valgma,Johannes
比 較 的 最 近 出 さ れ た 主 な も の は,次
Kirjallisuuden
Raag,Raimo(1981),Estnisk
者 は,
ィ ン ラ ン ド人 に 便 利 な「da不
kirjaviron
and
keele
エ ス ト ニ ア 本 国 で 出 た 学 習 辞 書 の フ ィ ン ラ ン ド版 で,
用 法 辞 典 に 準 拠 して い る が,動
estnische
Harrassowitz,Wiesbaden)
(Suomalaisen
ス トニ ア 本 国 に お け る 規 範 に 従 っ て い な い
語 形 と し て,フ
kirjakeel
Helsinki)
と こ ろ が あ る ほ か,活 用 の タ イ プ の 分 類 が,正 用 法 辞 典
で あ る.正
ja
Development of
Estonian(Indiana
sanakirja
Seura,Helsinki,ⅹⅱ
者 は,見
な の で,エ
estnischen
(Valgus,Tallinn) Kurman,George(1968),The
Grammatik(Otto
(『エ ス トニ ア 語‐ フ ィ ン ラ ン ド語 辞 典 』Suomalaisen
あ る.前
murded
Magiste,Julius(1970),Vanhan
p.)と,P.Kokla
al.(1971),Virolais‐suomalainen
Kirjallisuuden
der
般 に外 国 人 が 使 い こ なす の は む ず
国 人 を 対 象 と し て い る 辞 書 に は,Paul
Saagpakk(1982),Estonian‐English (Yale
Janes,Henno(1972),Grammatik Sprache(Liber,Malmo)
専 門 用 語 等)を 指 示 し,必 要 な 場 合 に は,簡 添 え て い る も の で,見
言,
な
日 に 至 っ て い る.
ち な み に,Nederduitschと
ド イ ツ 語 のNiederdeutsch
とは 注 意 深 く 区 別 し な け れ ば な ら な い.
Nederduitschが
オ ラ ン ダ 語 の み を さ す の に 対 し,
Niederdeutschは,ド
イ ツ北 部 に分 布 す る ドイ ツ語 諸
人,フ
オ ラ ン ダ語 が使 用 され て い る地 域
範 を も って い る の で,別 個 の言 語 と考 え るべ きで あ ろ
の 中 の1方
とす る者 もあ る が,ア フ リカ ー ンス語 はそ れ 独 自の規
ラ ン ダ1,200万
ラ ン ス の 東 北 隅(ノ
南 米 の ス リ ナ ム(Suriname,旧 万 人,カ
人,ベ
う.旧 オ ラ ンダ領 東 イ ン ド(現 イ ン ドネ シア)で も,か
ル ギ ー550万 人,
つ て は オ ラ ンダ語 が公 用 語 と して 使わ れ て い た が,独
オ ラ ン ダ 領 ギ ア ナ)30
立 と と もに イ ン ドネ シア語 に と ってか わ られ て い る.
ー ルNord県)10万
リブ 海 に浮 か ぶ オ ラ ンダ の 自治 領 ア ン テ ィル
(Nederlandse
Antillen)諸
島25万
人.こ
の ほ か,ア
メ リ カ,カ ナ ダ に,オ ラ ン ダ 語 を 話 す 者 が 少 な か ら ず お
<図1>ヨ
出 典:シ
照).
南 ア フ リカ の ア フ リカ ー ン ス語 を オ ラ ンダ 語 の方 言
ラ ン ダ 語 を,そ
に 数 え て い る の で あ る.
と話 者 の 数 は,オ
され る(図1参
万人 と推 定
言
方 言 の す べ て を さ し,オ
[地 域 と話 者]
り,世 界 全体 の オ ラ ンダ 語 人 口は,約2千
[系統 ・歴史] 語,フ る.
ー ロ ッパ に お け るオ ラ ンダ 語 使 用 地 域
ェ ッ タ ー(W.Z.Shetter,1974>Introduction
to Dutchに
よ る.
英 語,ド
イ ツ語,ア
フ リカ ー ンス
リ ジア語 と と もに,西 ゲ ル マ ン語 派 に 分 類 され
オ ラ ン ダ 語(Oudnederlands)フ ラ ン ス の 統 治 下 に あ り,自
一 番 古 い 時 期 の オ ラ ン ダ 語 は,古 と い う よ り も,ゲ
ル マ ン諸 語 の 中 の 古 低
フ ラ ン ク語(Altniederfrankisch)と
して 扱 わ れ る こ
と が 多 い.こ 中 に,地
の 頃 の 言 語 資 料 と し て は,ラ
名,人
名 が 散 見 さ れ る に す ぎ な い.ま
た 文 献 が 残 され て い る の は1200年 の 頃 か ら16世
紀 ま で を,語
て い る 地 域 は,今
とま っ
す る.そ
期 オ ラ ンダ
の 文 献 が 多 く残 っ
日 の フ ラ ン ドル 地 方 な の で,古
マ ン語(Oudvlaams)と
よ ば れ る こ と も あ る.16世
の 地 域 が ス ペ イ ン に 占 領 さ れ る と,人
に 難 を 避 け,こ
の 結 果,南
み られ る よ う な,文 と な っ た(下
記
日に
章 と会 話 の 使 用 語 彙 の 分 離 の 原 因 紀,北
部 のオ
外へ の 進 出 の 時 代 を 迎 え,植
民地
の 獲 得 と と も に 世 界 に オ ラ ン ダ 語 が 広 が っ た.ア
メ リ
カ,ス
ラン
リ ラ ン カ な ど に も,一
時 的 で は あ る が,オ
ダ 語 の 勢 力 が 花 開 い た こ と が あ る.ア 今 で も そ の 名 残 り が み ら れ る.た
メ リカ 英 語 に は と え ば,boss<
baas,cookie<koekje,dollar<dalerな 本 国 で は,1584年,ス Spiegel)が
字,構 1637年
Laurensz
『オ ラ ン ダ 文 学 対 話 』(Twee‐spraack Letterkunst)を
van
書 き,発
音,綴
文 を 含 む 広 範 な オ ラ ン ダ 語 の 規 範 を 確 立 し た. に は,聖
定 訳 聖 書)が
書 の オ ラ ン ダ 語 訳(Statenbijbel,国
完 成 し た が,こ
れ は,ル
意 味 を オ ラ ン ダ 語 史 の 上 に も っ て い る.こ 新 オ ラ ン ダ 語(Nieuwnederlands)と
Frans
Beweging)が
Willems),コ
起 こ り,ウ ィ レ ム ス(Jan ン シ エ ン ス(Hendrik
ら の 指 導 の も と に,方
要な
れ 以 後 を,
し て 分 類 す る.
っ と も 目 に つ く 変 化 は,長 母 音 の 二 重 母 音 化 で あ ろ う.
言 に よ る 文 学 の 復 興,
独 自 の 言 語 を う ち 立 て る べ きだ と す る 意 見 が あ り,現 か し19世
紀 後 半,オ
Nederlands)と
よ ば れ る―
1方 言 を も と に 成 立 し た も の で は な い.現
た.1830年,ベ
ル ギ ー 王 国 が 独 立,1883年,オ
し た.現
在,こ
の 地 域 の 教 育,放
送,新
聞 な ど に使 用
され て い る 公 用 語 は 標 準 オ ラ ン ダ 語 で あ る. も っ と も,方
言 と し て の フ ラ マ ン 語 は,と
と な く 日 常 に 使 用 さ れ 続 け て お り,オ
キ ロ の ハ ー レ ム(Haarlem)の [フ ラ マ ン 語]
ラ ンダ の オ ラ ン
オ ラ ン ダ 語 met∼rekening
houden
フ ラ マ ン 語 van∼rekening
houden
フ ラ ン ス 語 tenir compte
de∼
「∼ を 考 慮 に 入 れ る 」 オ ラ ン ダ 語 Ik weet niet wat te zeggen.
フ ラ ン ス 語 Je ne sais pas que dire. 「私 は 何 と言 っ て い い か 分 か ら な い 」 そ の 一 方,変
化 を許 さず 言語 の純 粋 さを保 と う とい
う,き わ め て 保 守 的 な 面 も あ る.た
と え ば,古 い2人
<図2>フ
ラマ ン 語 使 用 地 域
は, 定 の
西 約20
も の で あ る.
フ ラ マ ン 語(Vlaams,英Flemish,
独Flamisch,仏flamand)は,ベ 部(フ て,決
ラ ン ド ル 地 方)の して
か し,北
部 の オ ラ ン ダ 語,す
ラ ン ダ の オ ラ ン ダ 語 と 対 比 し た 場 合,そ 歴 史 な ど,い
ル ギ ー北
オ ラ ンダ語 諸 方 言 の総 称 で あ っ
「フ ラ マ ン 語 」 とい う単 一 の 存 在 が あ る わ
け で は な い.し
なわ ち オ
の 言 語 の 特 徴,
わ ば 南 オ ラ ン ダ 語(Zuidnederlands)と
し て ま と め ら れ る 共 通 性 が あ る とい え る(図2参 フ ラ ン ド ル 地 方 は,16世
紀 以 来,ス
ペ イ ン,つ
ぎれ る こ
ダ 語 と は 相 違 を 示 し て い る.
実 に使 用 さ
ム ス テ ル ダ ム(Amsterdam)の
ランダ
語 は よ う や く 同 国 内 の フ ラ ン ス 語 と対 等 の 地 位 を 獲 得
れ て い る言 語 で標 準 オ ラ ンダ 語 に も っ とも近 い と され て い る の は,ア
ラ ンダ
と 共 通 の 文 章 語 を 標 準 語 と し よ う とす る 勢 力 が 力 を え
日 の 標 準 オ ラ ン ダ 語―ABN(Algemeen
半 ば 人 工 的 に つ く り上 げ ら れ た も の で あ っ て,特
の中
で,オ ラ ン ダ と は 違 っ た 歴 史 を もつ フ ラ ン ドル 地 方 は,
u>ui(例:hus>huis),i>ij(例:min>mijn)
Beschaafd
Conscience)
こ の 言 語 の 公 的 使 用 の 権 利 要 求 が 行 な わ れ た.そ
中 期 オ ラ ン ダ 語 か ら新 オ ラ ン ダ 語 へ の 移 行 の 中 で,も
な ど で あ る.今
ッパ
フ ラ マ ン語 Ik weet niet wat zeggen.
ター の 聖 書 が 標
準 ド イ ツ 語 の 基 礎 を 築 い た こ と に 対 比 さ れ る,重
ーロ
ま ず 目 に つ くの は,フ ラ ン ス 語 直 訳 調 の 語 法 で あ る.
ど で あ る.
ピ ー ヘ ル(Hendrik
de Nederduytsche
動(Vlaamse
に そ の 試 み も な さ れ た.し
々 は北 部
北 の 方 言 が 混 合 し,今
「語 彙 」 を 参 照).17世
ラ ン ダ 語 地 域 は,海
フラ
らの 言 語 を公 的 に用 い る 紀 に な る と,ヨ
を 風靡 した 民族 主 義 の台 頭 と と もに フ ラマ ン語 擁 護 運
頃 か ら で あ る.こ
史 の 上 で は,中
語(Middelnederlands)と
紀,こ
テ ン語 の 文
こ と が 許 さ れ な か っ た.19世
照). いで
出 典:ロ
ッ ク ウ ッ ド(W.B,Lockwood,1965)An
Informal よ る.
History of the
German
Languageに
称
代 名 詞gijを
よ く 使 用 す る こ と,ま
オ ラ ン ダ 語 以 上 に 避 け,概
た,外
来語 を標準
念 を 翻 訳 し て と り入 れ よ う
とす る.
[語
彙]
会 話語(spreektaal)の
語 彙 と文 章 語
(schrijftaal)の 語 彙 は違 って い る.こ れ は,16世 紀 に お け る南 か らの 住 民 移動 が 原 因 で あ る.当 時,文 化 の
オ ラ ン ダ語
フラ マ ン語
進 ん で いた フ ラ ン ドル地 方 の方 言 は今 日の文 章 語 の 基
redacteur―opsteller「
編 集者 」
secretaris―geheimschrijver「 と は い え,く は,あ
礎 とな り,北 部 の 方言 は 会 話 語 と して 定 着 して い っ た
り返 す が,こ
秘書」
の で あ る.
会話語
の地 域 の 規範 とな る 言 語
く ま で も 標 準 オ ラ ン ダ 語 で あ る.そ
の 言語 的 特
文章語
fiets
rijwiel
「自 転 車 」
gooien
werpen
「投 げ る 」
ラ マ ン 語 」と し て の 独 自 性 が し ば し ば 強 調 さ れ る の は,
heel,helemaal
geheel
「す べ て 」
オ ラ ン ダ に対 して
heel,erg
zeer
「非 常に 」
sturen
zenden
「送 る」
vandaag
heden
「今 日 」
殊 性 は,方
張,そ
言 と し て の 域 を 出 な い.そ
し て,ベ
「フ
「ベ ル ギ ー 」 の 言 語 で あ る と い う 主
ル ギ ー 国 内 で も,南 部 の フ ラ ン ス 語(ワ
ロ ン 語,Waloon)に ろ う.言
れ で もな お
対 して 自 己 を 意 識す る た め で あ
語 自 体 の 特 性 も さ る こ と な が ら,多
分 に 社会
的 な 意 味 あ い の あ る 名 称 で あ る. [ド イ ツ 語 と の 関 係 ] 語 を ドイ ツ 語 の1方
よ う に,こ れ ば,方
の2言
統 一 が 失 わ れ て お か し な 印 象 を 与 え る.た
ドイ ツ 語 学 で は,オ
言,低
と し て 扱 う.な
ラ ンダ
ドイ ツ 語 Ein
い わ ば 文 章 語 を 話 す よ う な こ と が 行 な わ れ る.な
す べ て の 語 に,こ の よ う な二 重 性 が あ る わ け で は な く,
vreemde
heer
onderbreekt
話,文
章 の 両 方 に 用 い ら れ る.
ー ヘ ン ベ ー ク(Matthijs
の 綴 字 が 公 的 に 認 め ら れ,こ
Herr
unterbricht
ihr
者 の 類 似 に ば か り 気 を と ら れ て い る と,
幅 な 改 革 が 行 な わ れ,表
1対1に
綴 字 の 中 で 特 徴 的 な の は,長
verwardは(独)verwahrt「
つ 重 ね て 表 わ す:ga[xa:],gaan[xa:n]「
Lebzeit「
保 っ た 」 で は な く(独)
生 き て い た 時 」で は な く(独)Alter「
ま た,(蘭)gezichtは(独)Gesicht「 (独)Blick「
顔」ではな く
ま な ざ し」 で あ る.オ
場 に 立 て ば,両
者 は,や
ラ ンダ語 話 者 の立
は り別 の 言 語 な の で あ る.
低 地 ドイ ツ 語(Niederdeutsch)は (Hochdeutsch)の
二 重 母 音ij[〓]の 年 齢 」,
高 地 ド イ ツ語
勢 力 圏 に 併 呑 さ れ て し ま っ た 中 で,
オ ラ ン ダ 語 は そ の 独 立 を ま っ と う し た.こ
れ に は,そ
れ な り の 理 由 が あ る.オ
紀 ごろ か ら
都 市 が 発 達 し,都 え た.17世
で あ る.こ
で もijで
の 国 力 を 背 景 に,オ
れ を ドイ ツ 語 の1方
ラ ンダ 国 民 は独 自 の ラ ン ダ か らみ れ ば,こ
言 とす る の は,ド
イ ツ の シ ョー ビ
ニ ズ ム とい う こ と に な る. ドイ ツ 人 で も 用 心 深 い ゲ ル マ ニ ス トは,ド オ ラ ン ダ 語 を ひ と ま と め に し て 表 わ す 場 合,オ
」 とい う用 語 を 使 う こ と が あ る.
行 く」. ラ ン ダ語 独 特 の もの
で 書 く と き はyま か し,活
あ っ て,yと
た はyと
記 さ
字 で 記 す 場 合 は,あ
くま
い う字 母 を 使 う こ と は な い. と も に,オ
ラ ン ダ語 で は 外 来
語 以 外 に は 使 用 し な い 字 母 で あ る. ま た,正
書 法 を は な れ て,く
だ け た 会 話 の 発 音 をそ
の ま ま 文 字 に 表 わ す こ と も あ る. 標 準 体 Het
is een
会 話 体 't Is'n
goede
goeie
dag.
dag.
「い い 日 だ 」 [音
韻]
母 音 の 表 記 とそ の 音価 は 次 の通 りで あ
る.. 短 母 音:i[I],ie[i],u[y],e[〓],a[a],o[〓], oe[u]
イ ツ語 と ラ ンダ
国 民 を 刺 激 す る の を避 け る た め,「 大 陸 ゲ ル マ ン 語 (Kontinentalsudgermanisch,Festlandwestgermanisch)
れ は,手
そ もそ もyは,q,xと
ラ ン ダ は ヨ ー ロ ッパ 経 済 の 中 心
言 語 を う ち 立 て た の で あ る.オ
ぼ
音 節 に お い て は 字 母 を2
綴 り は,オ
れ る こ と が 多 い.し
市 貴 族 に 支 え られ た 独 自 の 文 化 が 栄
紀 に は,オ
に な っ た.こ
ラ ン ダ で は,12世
の後
記 と 発 音 が,ほ
母 音 の 表 記 で あ る.開
音 節 に お い て は 字 母1つ,閉
もつ れ た 」 で あ り,(蘭)leeftijdは(独)
ラ ンダ 語
対 応 す る 現 今 の 綴 字 に な っ た.
類 似 ゆ え に か え っ て 誤 り を お か す こ と に な る.(蘭)
verwirrt「
Siegenbeek)
れ に よ っ て,オ
使 用 地 域 全 体 に 共 通 の 正 書 法 が 確 立 さ れ た.そ 1947年,大
「見 知 ら ぬ 紳 士 が 彼 ら の 会 話 を さ え ぎ っ た 」
お,
記 ] 表 記 に は,ラ テ ン ・ア ル フ ァ ベ ッ ト を 使
う.1804年,シ
gesprek.
fremder
多 く は,会 [表
Gesprach.
しか し,両
的
る ほ ど,次 の 例 文 で 分 か る
言 と考 え る の も うべ な わ れ る.
hun
だ し,公
な 場 で の ス ピ ー チ な ど で は 文 章 語 の 語 彙 が 多 用 さ れ,
地 フ ラ ン ク 語(Niederfrankisch)
語 が きわ め て 類 似 し て い る こ と を み
オ ラ ン ダ 語 Een
こ の 両 者 に 意 味 の 違 い は な い が,混 同 す る と,文 体 の
長 母 音:e/ee[e:],eu[〓:],a/aa[a:],o/oo[o:] 二 重 母 音:ei/ij[〓],ui[oey],au/ou[au] 子 音 は,外
来 語 の み に 使 わ れ る 特 殊 な 音 を 除 い て,
次 の も の を 区 別 す る. b[b](語
末 で は[p]),d[d](語
末 で は[t]),f[f],
ch/g[x],h[h],j[j],k[k],l[l],m[m],n[n],
人称
p[p],r[r],s[s],t[t],v[〓],w[v],z[z] ち な み に,[g]と
強 勢 な し
い う 音 は 音 素 と し て は 存 在 し な い.
グ リ ム の 第 二 次 子 音 推 移 を経 て い な い の で,比 る と,ド
強 勢 あ り
《主 格 ・単 数 》
較す
イ ツ 語 よ り も 英 語 と の 一 致 を 示 す.
オ ラ ンダ語
英
語
ドイ ツ語
helpen[〓]
help[help]
helfen[〓]
eten[〓]
eat[i:t]
essen[〓]
maken[〓]make[meik]
日 常 の 会 話,朗
machen[〓]
読 で は,と
くに か しこま った 話 し方
を す る と き 以 外 に は,弛 緩 し た(lax)発 ま た,隣
接 す る 語,形
影 響 し,順
《主 格 ・複 数 》
音 が な さ れ る.
《所 有 格 ・単 数 》
態 素 の 初 頭 音 と末 尾 音 が 相 互 に
行 ・逆 行 同 化 す る こ と に よ り,子
音 が有 声
化 ま た は 無 声 化 す る. ik ben[〓]「
私 は∼ で す」
afzetten[〓]「
取 り外 す 」
語 の ア ク セ ン トは,第1音
節 に あ るの が原 則 で あ
る.た
だ し,ア
ク セ ン トの な い 接 頭 辞 が つ い た 場 合 に
は,そ
の 接 頭 辞 の 後 に な る. slapen[〓]「
《所 有 格 ・複 数 》
眠 る 」(原 形)
geslapen[〓]「
(後続 す る名 詞 の 性,数 に よ り2つ の形 が あ る)
眠 っ た 」(過 去 分 詞)
複 合 語 で は,ど の 構 成 要 素 が ア ク セ ン トを も つ か は, 一 定 し て い な い .こ の 点,ド イ ツ 語 と は 異 な る. fietsen[winkel[〓]「
自転 車 屋 」
stad│huis[stathoeys]「 [文
法 ] 名 詞 は,辞
女 性(vrouwelijk),中
1つ の 性=共
性(mannelijk),
し た が っ て,オ
つ く っ て い る.
ラ ン ダ 語 の 名 詞 の 性 は 事 実 上2つ,共 い う こ と に な る.共
わ す 場 合,通
常,男
stoel
の性が
実 の 言語 使 用 で は男 性 と 女性 が
性(gemeenslachtig)を
性 と 中 性,と
De
書 で は,男
性(onzijdig)と,3つ
区 別 さ れ て い る が,現
《目的 格 ・単 数 》
市 役所 」
heb
mooi.「
性 の3人
ik
gistern
性 名 詞 を代 名 詞 で 表
称 代 名 詞hijが
《目的 格 ・複 数 》
使 わ れ る.
gekocht.Hij
そ の 椅 子 を 私 は 昨 日 買 っ た.そ
is erg れは大変
す ば ら しい」 し か し,伝
統 的 な 男 性,女
し て い る 者 は,か
性 の 区別 をい ま だ に意 識
つ て の 性 分 類 に 従 っ て,も
詞 で あ っ た 共 性 名 詞 に は,女
性 の3人
と女 性 名
de
deur
これ は,純 粋 に 発 音 の相 違 で あ って,フ dicht!
Nee,zij
blijft open.「
ド
ア を 閉 め な さい 」 「い い え,そ れ は 開 い た ま ま に し
在 で は,上
記の よ
う に か な り混 乱 して い る と い え よ う.
り,そ
文 章 語 で,
jeとmoiの
ラ ンス 語 の
よ うに 機 能 の違 い が あ るわ け で は ない.
前 記 「表 記 」 で も述 べ た よ うに,く だ け た 会 話 の 発 音 をそ の ま ま文 字 に す る とい う習 慣 の ため,こ の よ うな
ます」 名 詞 の 性 と代 名 詞 と の 関 係 は,現
代 名 詞 は,強
一般 的 に使 わ れ る.henは
称 代 名 詞zijを
使 う こ と も あ る. Doe
(hunが
直 接 目的 語 と して のみ 使 わ れ る)
勢 の あ る場 合 と ない 場 合 で 発 音 が異 な
の 違 い が 綴 字 に 反 映 さ れ る こ と が あ る.
二 重 性 が 生 じ るの で あ る. 動 詞 は,人 称,数 に よっ て変 化 す るが,変 化 形 そ の ものは,同
じ形 が い くつ も現 わ れ,現 在 形 で3つ,過
去 形 で2つ
しか な い.werken「
働 く」を例 に と って 示
す と,次 の よ う に な る. 単
(diminutive)‐tjeが
数
複
数
を 表 わ し た り,単
《現 在 形 》 ik werk
wij werken
2
jij werkt
jullie werken
u
werkt
u
bier「
に 語 調 を や わ ら げ た りす る た め に 使
ビ ー ル 」:biertje「
ま た,副
werkt
詞,形
少 量 の ビー ル 」
容 詞 に 指 小辞 が つ け られ る こ と もあ
る.
hij werkt zij werkt
warm「
zij werken
het werkt
暖 い 」:warmpje「
最 後 に,オ
《過 去 形 》
ほ の 暖 い」
ラ ン ダ 語 の 文 とそ の 標 準 的 な 読 み 方,お
よ び 訳 を 示 し て お く.
1
ik werkte
wij werkten
2
jij werkte
jullie werkten
u
u werkte
3
れは
き と して 親愛 の 情
わ れ る.
1
3
つ け ら れ る こ と で あ る.こ
必 ず し も 小 さ い こ と を 意 味 せ ず,と
werkte
Behalve
het
nuttige zen
vee
heeft
de
huisdieren,zoals
boer
de
ook
andere
poes,die
de
mui
vangt.
hij werkte zij werkte
zij werkten
het werkte
(英 語 逐 語 訳.Besides 中 期 オ ラ ン ダ 語 に 比 べ る と よ り 整 理 さ れ て い る.こ の ほ か,名
詞 の 格 変 化,接
今 で は な く な り,文
also
続 法 の 特 別 な変 化 形 な ど も
法 の形 態 は簡 略 化 の一 途 をた ど っ
て い る とい え よ う.
the
the
語 よ り も単 純 に な っ
て い る.
the
the
useful
cat,which
cattle
domestic
関 係 代 名 詞 も格 変 化 を 失 い,英
de
as
other
catches
the
farmer
animals
mice.)「
cattle
the
farmer
animals,such
the
mice.=Besides
has
such
農 民 は,牛
has
domestic
as the
also
other
cat
which
の ほ か に,ネ
useful catches
ズ ミを捕 るネ コ
の よ うな 役 に立 つ 家 畜 を飼 って い る」 spreker
van
wie
(英 語 逐 語 訳.the
de
stem
schor
speaker of
hoarsely
sounded=the
hoarsely
sounded)「
who
klonk
speaker
the
[黒 人 オ ラ ン ダ 語] 18世
whose
voice voice
声 が か れ た 演 説 者」
文 法 で も っ と も特 徴 的 な の はerで い ろ い ろ な 用 法 が あ る.ま
ず,セ
役 割 を す る 場 合 で あ る.こ
れ は,他
あ る.こ
ン テ ンス へ の導 入 の の 言語 に 翻 訳す る
nog
more
veel
people
meer should
mensen be
komen.
に お い て,オ
イ ン ド諸 島 の セ ン
と セ ン ト ・ トマ ス(Saint
ラ ンダ 語 を も とに した ピ ジ ン
れ は 黒 人 オ ラ ン ダ 語(Negerhollands)
ま た は バ ー ジ ン 諸 島 ピ ジ ン ・オ ラ ン ダ 語(Virgin lands
Pidgin
Dutch)と
Is
よ ば れ る.1781年,こ
語 へ の 新 約 聖 書 の 翻 訳 が 行 な わ れ た.ピ
の言
ジ ン と し て は, 島 がアメ
リ カ 領 と な り,英 語 が 普 及 す る と と も に,こ の 言 語 は 急
coming.)
速 に 衰 退 し た.1969年,6人
「も っ と 多 く の 人 々 が 来 る に ち が い な い 」 次 に,部
紀,西
John)島
き わ め て 早 い 時 期 の も の で あ る.1917年,両
moeten
(A lot
Thomas)島
が 生 ま れ た.こ れ には
こ と は 難 しい. Er
ト ・ジ ョ ン(Saint
の 話 者 の 生 存 が 確 認 され
て い る の み で あ る.
分 を 表 わ す 場 合.
次 の 黒 人 オ ラ ン ダ 語 の 例 文 は,古
Hij
heeft
て 記 さ れ て い る の で,発 音 の 同 定 に は や や 難 が あ る が,
(He
has
er
drie.
three of
them.)
彼 は そ の う ち の3つ
今 日 の 標 準 オ ラ ン ダ 語 と比 べ た と き,冠
を持 っ て い る」
詞 の 欠 落,動
存 在 を 表 わ す 場 合 に も 使 わ れ る. Er
zijn
(There
veel are
draeg
maat
の
中 で 独 特 の 位 置 に 立 つ こ と が 多 い. stel
er
geen
(英 語 逐 語 訳.I take
no
interest
groot
belang take it
型
dief
grote
「泥 棒 は,彼
in. no
een
no
betrou
sie
maet
sak.
標 準 オ ラ ン ダ 語De
前 置 詞 と 結 び つ い た 代 名 詞 と し て の 用 法 も あ り,こ
Ik
容 詞 の 変 化 語 尾 の 消 滅 な ど,典
黒 人 オ ラ ン ダ 語Diefman
of people.)
「大 勢 の 人 が い る 」
場 合,文
詞,形
詞 や 従属 接 続
的 な ピ ジ ン の 形 態 が み て と れ る.
mensen. a lot
い正 書 法 に 基 づ い
zak
vertrouwt
niet
dat
zijn
draagt.
の相 棒 が大 き な 袋 をか つ い で い る
とい う こ とを 信 じな い」 interest
in.=I
in it.)「 私 は そ れ に 興 味 が な
い」 造 語 法 で 目 に つ くの は,会 話 で,名 詞 に 頻 繁 に 指 小 辞
[文 ち,出 (Joost
学]
オ ラ ン ダ 語 は,独
自の 文 学 の歴 史 を も
版 活 動 も さ か ん で あ る.17世 van
den
Vondel)は
紀 の フ ォ ンデ ル
国 民 的 な 大 詩 人 で あ り,
オ ラ ン ダ 語 に 多 くの 表 現 を 与 え,言
語生活をゆたかに
した.そ の 役割 は,英 語 に とっ て の シ ェイ ク ス ピア に なぞ らえ る ことが で き よ う.し か し,国 際 的 に評 価 さ
い る.
一 方,日
本 語 が オ ラ ンダ語 に与 え た 影 響 は 大 き くは
れ る作 家,作 品 は 少 ない よ うで あ る.オ ラ ン ダ語 で 書
な い.長 い 交 流 の 歴 史 を 反 映 し た 特 別 な も の と い え ば,
かれ た もの で有 名 なの は,歴 史 家 ホ イ ジ ンガ(Johan
Decima「
Huizinga)の
『中世 の 秋』(Herfsttijd ア ンネ ・フ ラ ンク(Anne
ンネ の 日記 』(Het
Achterhuis)な
Frank)の
『ア
書]
Engels
どで あ り,む しろ
江 戸時 代 に,日 本 と交 流 を も
った 唯 一 の ヨー ロ ッパ の 国 と して,オ ラ ンダ は 珍 奇 な
り も あ りが た い こ と に,一
bier,ギ ヤ マ ン<diamant,ズ
い.
ッ ク <doek,キ
ル ク<
ン ドセ ル <ranselな
り あ げ ら れ て い る語 彙,
語 釈 の 分 量 が 初 学 者 に と っ て 適 当 で あ り,そ
て い る.た
ル ゴー ル <orgel,ラ
Woordenboek(Elsevier,Amsterdam,
初 版 刊 行 年 不 明)で,と
事 物 と と もに多 数 の 外 来 語 を も た ら し た.ビ ー ル < kurk,オ
オ ラ ン ダ語 の 学 習 を 始 め る に あ た っ て
ま ず 最 初 に 手 に す る こ と を す す め た い の は,Kramers'
文 学 以 外 の もの が 広 く知 られ てい る. [日本 語 との 関 係]
出 島 」 とい う 語 く ら い の も の で あ ろ う.
der Middeleeuwen), [辞
して 何 よ
部 の単 語 に 発 音記 号 がつ い
い て いの オ ラ ン ダ語 辞 典 に は発 音 記 号 が な
学 力 が つ き,む
ず か しい 表 現 に 挑 戦 す る よ う に な る
どで あ る.蘭 学 の 中 で もっ とも重 視 され た 分 野 は 医 術
と,こ
の 辞 書 で は 不 満 に な る.普
通 にオ ラ ンダ 語 を読
で あ る.『解 体新 書』 に まつ わ る逸 話 は 日本 で は 広 く
み 書 き す る の に 一 番 役 に 立 ち,い
つ ま で も使 え るの が
知 られ て い る.医 術 の学 習 を通 し て,ま た 多 くの オ ラ
K.Ten
Bruggencate(1896),Engels
ンダ 語 が 日本 語 に 入 った.ア ル コー ル <alcohol,カ テ ー テ ル <katheter,メ チ ンキ <tinctuurな
ス <mes,ス
ポ イ ト <spuit ,
どが そ れ で あ る.中 に は,日 本
Woordenboek
(Wolters‐Noordhoff,Groningen)で
る の で,発 音 記 号 は も と よ り不 規 則 変 化 形 の 注 も な い.
語 に 翻 訳 され て と り入れ られ た 語 もあ る.た とえ ば,
上 級 者 向 き た る ゆ え ん で あ る.な
酸 素 <zuurstof(zuur(酸
Woodenboekenと
い)+stof(元
素))な
ど
で あ る.
り,こ
18世 紀 中 頃 か ら19世 紀 中 頃 に か け て,蘭
学者 はい
あ る.こ
れ は オ ラ ンダ人 が 使 う こ とを念 頭 に お い て作 られ て い
お 同 書 は,Wolters'
い う辞 書 の シ リー ズ の ひ と つ で あ
れ に は,蘭
独,蘭
仏 な ど も あ る.
こ の 言 語 を よ り深 く理 解 す る た め に は,ど
う して も
ろ い ろ な オ ラ ンダ語 文 法 書 を著 わ した.中 で も,藤 林
蘭 蘭 辞 典 を ひ く こ と に な る.蘭
普 山 の 『和 蘭語 法 解 』3巻 は,日 本 人 に よる 最初 の ま
ン ダ 語 の 辞 典 と して も っ と も 定 評 の あ るVan Dales'
とま っ たオ ラ ンダ語 文 典 と して 歴 史 に と どめ られ るべ
Groot
きで あ ろ う.辞 書 で は,ハ ル マ(Francoi
(Martinus
Halma)の
蘭仏 辞 典 をオ ラ ン ダ商 館 長 ドゥー フ(Hendrik らが 訳 して つ くった 『道 富 ハ ル マ 』― て 『和 蘭字 彙 』 と な る―
Doef)
後 に出 版 され
が代 表 的 な もので あ る.
Woordenboek Nijhoff,Den
て は な ら な い.た ま た,大
der
Nederlandse Haag,1872)を
発 音 辞 典R.H.B.de
(De
う と した 試み と して 有 名 で あ る.
よ び 語 源 辞 典,J.Frank,N.van
Nederlandse
de
をオ ラ ンダ通 詞 に 命 じた.わ が 国 の ヨー ロ ッパ 諸 言語
Den
Haag)が
の 学 習 は,こ う して,通 詞 の 「第2外 国 語 」 と して始
百 科 事 典 で は,Grote
ま った もの な ので あ る.こ の 頃 に は,オ ラ ン ダの 国 力
Amsterdam,1966)が,も
は相 対 的 に低 下 して お り,オ ラ ンダ語 の独 占的 地 位 は
信 頼 で き る.
た ち ま ち 崩 れ去 って しま った.明 治5年(1872),時
以 上 の 辞(事)典
の
Nederlandse
は,常
政 府 に 出 した が,か え りみ られ な か った.こ れ を もっ
最 後 に,ド
学 習 は,江 戸時 代 の伝 統 とは ま った く切 りは な され た
手 し,1864年
と ころ で 行 なわ れ て い る.し か も,第2次
大 戦 後40年
以 上 もの 間,新 た な 蘭和 辞 典 さえ 出 版 され ない あ りさ まで,そ
の学 習 レベ ル は,か え って 低 下 して しま って
C.B.
Taal(Martinus
Nijhoff,
Winkler
Prins(Elsevier,
に 改 訂 が 行 な わ れ,新
イ ツ語 の グ リム の辞 典 に 匹敵 す る もの と VriesとL.A.te
Taal(Martinus
あ げ て お く.
[ 参 考 文 献]
つ
しい 版
Winkelが
編集に着
に 刊 行 が 開 始 され たWoordenboek
Nederlandsche Haag)を
en
Woordenboek
っ と も 浩瀚 で あ り,か
が 刊 行 さ れ て い る.
し て,M.de
Taal
必 要 で あ ろ う.
在 日オ ラ ンダ公 使 は オ ラ ンダ語 学 習 継 続 の要 望 を 日本
て 蘭学 の終 焉 とみ て よい で あ ろ う.現 代 の オ ラ ン ダ語
Uitspraakwoordenboek
Nederlandse
Wijk
Haeringen(1949),Etymologisch der
源 に関 す
の 欠 を 補 う た め に,
Boekhandel,Antwerpen),お
van
シア 語 の 学 習
あげな く
Coninck(1970),Groot van
新 書 』は,蘭 文 典 に従 って 日本語 全 体 を分 析,説 明 し よ
な る と,幕 府 は,英 語,フ ラ ン ス語,ロ
Taal
部 の 辞 書 で あ る に も か か わ ら ず,語
えた.鶴 峯戊 申の 『語 学 究理 九 品 九格 総 括 図 式 』『語 学
幕 末 に至 り,西 洋列 強 の船 が近 海 に出 没 す る よ うに
ラ
だ,こ れ も 発 音 を 何 ら 示 し て い な い.
る 記 述 が な い の は 残 念 で あ る.そ
オ ラ ンダ語 文 法 は,わ が 国 の 国語 研 究 に も影 響 を与
蘭 辞 典 と い え ば,オ
Nijhoff,Den
der
Bakker,D.M.and (1977),Geschiedenis
van
Survey(Stanley
とeは,強
Language―
Reference
(Martinus
Nijhoff,Den
Holland
Nijhoff,
Rooij,J.and
M.
Toorn(1984),Algemene
S praakkunst
Nederlandse
さ れ る.二
発音
重 母 音 に は,ai,ei,oi,ui,au,eu,iu,
あ る.母
音 の 長 短 の 区 別 は な い.
〓/が
Allen&Unwin,London)
voor
Spraakkunst
Iedereen(Spectrum,Utrecht)
Vooys,C.G.N.de
(1975),Geschiedenis
Nederlandse
van
Taal(H.D.Tjeenk
Willink,
無 気 音 で あ る.ふ
よ び/l,m,n,s/の
後 で は,rと
表 記 さ れ る(rosa 米 」).こ
バ ラ の 花 」,arros[〓]「 き 音/〓/は,語
xま
」).
た はixで
の 前 で はjで,e,iの (jardi[〓]「
カ ス テ ィ ー ヤ 語
は,txま
西 castellano
ペ イ ン語
タ ロ ニア 語
仏 Catalan,独
/〓/は,a,o,uの Catalan,西
catalan,
500∼700万
方 を 中 心 に 話 さ れ て い る.話 人 と い わ れ,そ
ア 地 方 に 住 ん で い る.そ
で,
者 の 数 は, タ ロニ ペ イ ンの
バ レ ン シ ア(カValencia,西Valencia)地
諸 島(カLes Illes
方,バ
レア レス
Balears,西Las lslas
Baleares)
ピ レ ネ ー 山 間 の ア ン ドラ 公 爵 領 国(カPrincipat
d'Andorra)(こ
こで は 公 用 語 の1つ
で あ る),ま
た,
フ ラ ン ス 南 部 の ル シ ヨ ン(カRossello,仏Roussil 方,イ タ リ ア の サ ル ジ ニ ア(カSardenya,伊
Sardegna)島 伊Alghero)に
の ラ ル ゲ(ア
カ タ ロ ニ ア 語 は,ア ア ラ ゴ ン,お
ル ゲ ー ロ)(カl'Alguer,
広 が っ て い る(〈
図 〉 参 照).
ン ド ラ 公 爵 領 国 と,ス
前 で はtg
音 節 末 のlの
l・lと
ペ イ ンの
よ び バ レ ン シ ア 地 方 で 話 され て い る 西 カ
旅 行 す る」,
本 」). 後 にlで
始 ま る 音 節 が 続 く場 合 に は,
表 記 し二 重 子 音 の ご と く発 音 す る.し
に は,lの
<図>カ
にny
よ っ て 表 わ さ れ る(any[〓]
か し実 際
単 音 と し て 発 音 さ れ る こ と が 多 い.(pal・lid
方,ア
ラ ゴ ン(カArago,西Aragon)地
な る).
イ メ ー ジ 」)./〓/は,常
に よ っ て,/〓/は,llに 「年 」,llibre[〓]「
の 半 数 以 上 は,カ
れ 以 外 の 話 者 は,ス
半 分 」 の 場 合 は[〓]と 前 で はtjで,e,iの
imatge[〓]「
ス ペ イ ン 北 東 部 の カ タ ロ ニ ア(カcatalunya,西 cataluna)地
兄 弟 」)./t∫/ 表 わ さ れ る(des‐
に よ っ て 表 わ さ れ る(viatjar[〓]「
Katalanisch
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 の ロ マ ン ス 諸 語 の1つ
末 の み)で
処 理 す る 」.maig[mat∫]「5
月 」,た だ し,mig「
カ タ ラ ン 語 英 Catalan
よ っ て 表わ され る
庭 」,germa[〓]「 た はig(語
チ
箱 」)./〓/は,a,o,u 前 で はgに
patxar[〓]「
カ タ ロ ニ ア 語 catala,英
記 に 注 意 を 要 す る./∫/は,
表 わ さ れ る(xocolate[〓]「
ョ コ レー ト」,caixa[〓]「
か
れ に対 し
中 に し か あ ら わ れ な い(cara
次 に あ げ る 子 音 は,表
隆)
頭お
表 記 さ れ る が,
[〓]「
[〓]「顔 (桜 井
あ る./p,
る え 音 の/r/は,語
語 中 に あ らわ れ た 場 合 に は,rrと
て,弾
Groningen)
lon)地
よっ て 表記 さ
強 勢 の 場 合,aとeは[〓],oは[u]と
t,k/は
Tacx,J.P.M.(1960),Nederlandse
や
な の で,
Grammar of Modern
Dutch(George
=カ
で あ る が,
子 音 に は,/
Kruisinga,E.(1924),A
=ス
テ ン文 字 を 用 い
よ っ て,/〓/はoに
れ る.無
ouが
(Wolters‐Noordhoff,
Groningen)
de
カ タ ロ ニ ア 語 は,ラ
/〓/はeに
den
な る が,東
母 音 を 表 わ す 文 字 は,a,e,i,o,uの5つ
Leiden)
C.Van
も に[〓]と
母 音 は,/〓/の7つ
History
Belgium(Martinus
Geerts,G.,Haeseryn,W.,De
oriental)
て 表 記 さ れ る.
Linguistic
and
れ以 外
カ タ ロ ニ ア 方 言 で は,a
勢 が な い 場 合,と
[音 と 文 字]
Grammar
Haag)―
(1983),Dutch―A
言 と,そ
カ タ ロ ニ ア 方 言 で は 区 別 が 保 た れ る.
Thornes,Cheltenham)
Donaldson,B.C.(1981),Dutch
of
方 言 と に 大 別 さ れ る.西
Bosch) Dutch
occidental)方
の 地 方 で 話 され て い る 東 カ タ ロ ニ ア(カcatala
de Nederlandse
Taalkunde(Malmberg,Den Brachin,Pierre(1985),The A
タ ロ ニ ア(カcatala
G.R.W.Dibbets(eds.)
タ ロニ ア 語 の 分 布
[〓][〓]「
3対 立 で あ る が,実
青 ざ め た 」).
強 勢 は,原 則 と し て,二 重 母 音 を 除 く母 音,ま たは ‐s,‐en,‐inで 終 わ る 語 は,最 後 か ら2番 目の 音節 に,そ
立 と な っ て い る. 数 詞 は,名
れ 以 外 の語 は 最 後 の音 節 に あ る . 強 勢 の 位 置が
原 則 に 反 す る 場 合 に は,ア (cami「
道 」,musica「
ク セ ン ト符 号 を 用 い て 示 す
quatre,「5」cinc,「6」sis,「7」set,「8」 vuit,「9」nou,「10」deu,「20」vint,「21」
音 楽 」). ア ク セ ン ト符 号 は,
羊 」:be[〓]「
陽 」:sol[〓]「 [文
太
床 」).
法]
カ タ ロ ニ ア 語 の 名 詞 は,男
ど ち ら か の 性 に 属 し,単 形 容 詞(指
よ く」,sol[〓]「
性 か 女性 か
数 形 と複 数 形 を も つ . 冠 詞,
示 形 容 詞 も 含 む)は,名
詞 と,性,数
にお
い て 一 致 す る.
vint‐i‐un,「100」cent,「1,000」mil
quadre
1枚 の
絵
vell
続 法(subjuntiu),命
peratiu)が
quadres
数 枚の
絵
vells
casa
1軒
の ほ か に,直
在,完
了 過 去,
去 完 了,未
来完 了の
前 過 去 完 了 と い う時 制 が
々 に 用 い ら れ な く な っ て い る.完 perfet)と
不 完 了 過 去(preterit
者 が,過
了過去
imperfet)
去 の あ る時 点 で 動 作 や 状 態 が 行
い は く り返 さ れ る こ と(す
vella
家
点 に あ る . な お,完
古 い
用 形(次
《女 性 複 数 》
者 が,過
な わ ち 過 去 の 習 慣)を
る
示 し,
了 過 去 は,動
の 例 で はvas)と
詞anar「
行 く」 の 活
本 動 詞 の不 定 詞 を用 い て 表
わ さ れ る.
unes
cases
velles
家
Maria).た
般 に,修
quan
「彼 が 眠 っ て い る 時 に,君
音 で始 ま る 男 性名
Quan
ell
dormia.
彼
眠 る(不 完 了 過 去)
が入 っ て きた 」
teniem
Pere).
set
(私 た ち は)持 つ(不 完 了 過 去)か anavem
飾 す る 名 詞 の 後 に お か れ る が,
大 き い 」 等 は,ふ
人 称 代 名 詞 は,次
entrar 入 る(不 定 詞)
名 に 定冠 詞 を つ け る
だ し,子
な る(en
bo「 よ い 」,gran「
Vas
古 い
タ ロ ニ ア 語 で は,人
形 容 詞 は,一
で あ る.こ
在 完 了,過
そ の 動 作 や 状 態 が終 わ っ たか ど うか に は 無関 心 で あ る
una
の 前 で はenと
来,現
去 の あ る 時 点 で 動 作 や 状 態 が 継 続 し て い る こ と,あ
古 い
《女 性 単 数 》
(l'Alfons,la
あ る . 直 説 法 の 時 制 は,現
不 完 了 過 去,未
件 法 令 法(im
な わ れ て 終 わ っ た こ と を 表 わ す の に 対 し,後
uns
数軒 の
形 変 化 す る
に は 直 説 法(indicatiu),条
の 違 い は,前
《男 性 複 数 》
称 に よ っ て,語
(condicional),接
(preterit
古い
制,人
(〈 表 〉 参 照).法
あ る が,徐
un
ま た,カ
動 詞 は,法,時
7つ
《男 性 単 数 》
詞 の前 に お かれ る.
「1」un,una,「2」dos,dues,「3」tres,「4」
同 じ 語 形 で 意 味 の 異 な る 語 を 区 別 す る た め に も用 い ら れ る(be[〓]「
際 に は,aquestとaquellの2対
つ う前 置 され る .
a
beure
行 く(不 完 了 過 去)飲
わ き ala
font.
む(不 定 詞)
泉
「私 た ち は の ど が 乾 く と,泉 へ 水 を 飲 み に 行 っ た も
の 通 り で あ る.
の で あ った」 (単 1人 称
数)
(複
jo
君 は
ella
用 い ら れ る.文
語 で は,伝
純形
統 的 に単 純
そ の 差 は 文 体 的 な も の で あ る.
ells
一般的
形 が 用 い ら れ て き た が,今 で は 両 形 式 と も に 用 い ら れ,
君 た ち は
彼 は
の 形 式(複 合 形)が
レ ン シ ア や バ レア レス 諸 島 で は,単
(〈 表 〉参 照)も
vosaltres
ell
語 に お い て は,こ
で あ る が,バ
私 た ち は
tu
3人 称
今 日,口
nosaltres
私 は 2人 称
数)
条 件 法 に は,単
彼 らは
は,現
在,過
純 時 制 と 完 了 時 制 が あ り,接
去 と,そ
続法 に
れ ぞ れ の 完 了 時 制 が あ る.
elles 完 了 時 制 は,直 前 過 去 完 了 の 複 合 形 を 除 き,す べ て 動
彼女 は voste
彼 女 らは
詞haverの
vostes
あなたは
変 化 形 と本 動 詞 の 過 去 分 詞(男
あ な た方 は 進 行 形 は,動
tuとvosaltresは,家 用 い ら れ,初 vostesが3人
族 や 友 人 な ど,親
しい 間 柄 で
対 面 の 人 や 目上 の 人 に 対 し て は,voste, 称 の 動 詞 と と も に 用 い られ る.
指 示 形 容 詞 お よ び 指 示 代 名 詞 は,aquest「 れ 」:aqueix「
そ の,そ
れ 」:aquell「
性 単 数 形)
に よ っ て 表 わ され る .
あ の,あ
詞estarの
受 動 態 は,動
詞esserの
に よ っ て 表 わ され,過 こ の,こ れ」の
変 化 形 と本 動 詞 の 現 在 分 詞
に よ っ て 表 わ され る. 変 化 形 と本 動 詞 の 過 去 分 詞
去 分 詞 は,主
語 の 性,数
に一致
す る. 比 較 形 は,形
容 詞 や 副 詞 の 前 に,優
等比較 の 場合
mesを,劣
等 比 較 の 場 合menysを
「定 冠 詞 +mes(menys)+
お く.最
上 級 は,
形 容 詞 」 で 表 わ され る が ,
こ の ほ か に,「 非 常 に ∼ で あ る 」 と い う意 味 を 示 す 絶
re‐:passar「 [文 の 構 造]
句 は,ふ
て 作 る(rapid「
れ,後
と て も速 い 」).
カ タ ロ ニ ア 語 の 派 生 接 尾 辞 に は,次
の よ うな もの が
あ る.
つ う名 詞 の 後 に お か れ る. 前 置 詞 が 用 い ら
《自 動 詞 》
ほんの
‐dor/‐dora:cacar「
艦」
Maria
マ リア
狩
Han
教
評 価 す る 」;qualificacio「
評
confiat
els
seu
詞のあ
に 前 置 詞aを
伴 う.
fills al
供 たちを に
oncle.
「彼 ら は 自 分 た ち の お じ に 子 供 た ち を あ ず け た 」
りん ご畑 」
象 名 詞 を 作 る.
《原
級》
La
貧 し い 」;pobresa「
‐tat:digne「
貧困」
威 厳 の あ る」;dignitat「
威厳」
pel・licula
es
映画
で あ る お も し ろ い
‐os/‐osa:avaricia「
「映 画 は お も し ろ い 」
欲 ば り」;avaricios「
欲 ば
La
pel・licula
りな」
映画
8)動 詞 を 作 る. ‐ar:buit「 空 の 」;buitar「
que
esmes(menys)interessant で あ る
la novel・la
空 にす る」
象 徴 」;simbolitzar「
小説
象 徴 す る」
お も しろい
correspondent.
該 当す る
「こ の 映 画 は そ の 小 説 版 よ りお も し ろ い(お
詞 を作 る.
もし ろ
く な い)」
‐ment:breu「
勇 敢 な 」;breument「
接 頭 辞 の 主 な も の は,次
勇敢 に」
の 通 りで あ る.
受 動 態 の 行 為 者 は,ふ Cesar
定 を 表 わ す.
a‐/an‐:moral「
interessant.
《比 較 級 》
容 詞 を 作 る.
‐itzar:simbol「
形 容 詞 +que
+ 比 較 の 規 準 を 表 わ す 名 詞 句 」 と な る.
り ん ご 」;pomerar「
‐esa:pobre「
va
つ うperに
vencer
道 徳 的 な」;amoral「
幸 福 な 」;infelic「
不 道 徳 な」
不 幸 な」
生 き る 」;conviure「
ンペ イ ウス
「シ ー ザ ー は ポ ン ペ イ ウ ス を 破 っ た 」 Pompeu
と も に 」 と い う意 味 を 表 わ す .
よ っ て 導 か れ る. Pompeu.
シ ー ザ ー 破 る(完 了 過 去)ポ
co‐/con‐:viure「
fou
vencut
per
ポ ン ペ イ ウス 敗 れ る(完 了 過 去)∼
に よ って
Cesar.
一 緒 に住
む」
シー ザ ー 「ポ ン ペ イ ウ ス は シ ー ザ ー に 敗 れ た 」
∼ の 間 」 と い う意 味 を 表 わ す.
entre‐/intre‐:acte「
劇 の 幕 」;entreacte「
幕
使 役 は,「 す る,作
る 」 と い う意 味 の 動 詞ferを
い て 表 わ され る.
間」 過 度 に,∼
の 上 に 」 とい う 意 味 を 表 わ す.
sobre‐/super‐:produccio「
生 産 」;sobreproduccio
「過 剰 生 産 」 5)「
名 詞 の 場 合 を 除 い て,動
接 目 的 語 は,常
比 較 構 文 の 語 順 は,「mes(menys)+
合 名 詞 を 作 る.
‐ar:pomera「
4)「
話 す ス ペ イ ン語
あ ず け た(現 在 完 了)子
価」
3)「
l'espanyol.
自分 た ちの お じ
‐cio:qualificar「
2)「
と に お か れ る.間
育」
in‐:felic「
parla
動 詞 の 目 的 語 は,代
狩 り を す る 」;cacador「
人」
1)否
la cuina.
「マ リ ア は ス ペ イ ン 語 を 話 す 」
4)動 作,行 為 を 表 わ す 名 詞 を 作 る. ‐ment:ensenyar「 教 え る」;ensenyament「
9)副
a
「彼 女 は 台 所 に 行 く」
La 小 形 の 船 」;barcassa「
3)動 作 主,行 為 者 を 表 わ す 名 詞 を 作 る. ‐er/‐era:porta「 扉 」;portero「 門 番」
7)形
va
《他 動 詞 》
2)指 大 辞(augmentatiu) ‐as/‐assa:barca「
6)抽
主語
わ ゆ る属 格 名 詞
彼 女 行 く に 台 所 一 瞬 」;momentet「
一瞬」
5)集
,い
置 詞 は な い.
Ella
1)指 小 辞(diminutiu) ‐et/‐eta:moment「
再 び 通 る」
カ タ ロ ニ ア 語 の 基 本 語 順 は,「
‐動 詞 ‐目 的 語 」 で あ る . 形 容 詞 や
対 最 上 級 と よ ば れ る 形 が あ り,形 容 詞 に ‐issimを つ け 速 い 」:rapidissim「
通 る 」;repassar「
再 び 」 とい う 意 味 を 表 わ す .
El
pare
父親
fa
dormir
el nen.
さ せ る 眠 る(不 定 詞) 赤 ん 坊
「父 親 は 赤 ん 坊 を 眠 らせ る 」 Li
vaig
fer
dir
用
<表>動 直 説
詞CANTAR「
法
現
歌 う」 の活 用 現 在 完 了 「歌 っ て し ま っ た,歌
在 「歌 う」
canto(私
he
cantat
has
cantat
ha
cantat
hem
cantat
た ち は)
heu
cantat
な た 方 は,彼
han
cantat
は)
cantes(君 canta(あ
は) な た は,彼 は,彼 女 は)
cantem(私 canteu(君 canten(あ
た ち は)
ら は,彼 女 ら は)
過 去 完 了 「歌 っ て し ま っ て い た 」
不 完 了 過 去 「歌 っ て い た 」 cantava
havia
cantat
cantaves
havies
cantat
cantava
havia
cantat
cantavem
haviem
cantat
cantaveu
havieu
cantat
cantaven
havien
cantat
接 続 法
来
cantaren 「歌 うだ ろ う」
cantat
haver
cantat
va
haver
cantat
vam
haver
cantat
vau
haver
cantat
van
haver
cantat
cantat
hagueres
cantat
hague
cantat
haguerem
cantat
haguereu
cantat
hagueren
cantat
未 来 完 了 「歌 って しま って い る だ ろ う」
cantare
haure
cantat
cantaras
hauras
cantat
cantara
haura
cantat
cantarem
haurem
cantat
cantareu
haureu
cantat
cantaran
hauran
cantat
単純形
hagui
形︺
cantar
cantareu
haver
vas
純
van
cantarem
vaig
︹ 単
cantar
canta
形︺
vau
合
cantar
︹ 複
cantar
vam
形︺
形︺
va
cantares
純
合
cantar
︹ 単
︹ 複
vas
未
条 件 法
直 前過 去 完 了 「歌 った(と た ん に …)」
完 了過 去 「歌 った 」 cantar canti
vaig
「歌 った だ ろ う(に)」
完 了 形 「歌 っ て し ま っ て い た だ ろ う(に)」
cantaria
hauria
(haguera)
cantat
cantaries
hauries
(hagueres)
cantat
cantaria
hauria
(haguera)
cantat
cantariem
hauriem(haguerem)cantat
cantarieu
haurieu
(haguereu)
cantat
cantarien
haurien
(hagueren)
cantat
現 在 「 歌 う よ うに,歌 canti
っ た こ と が あ る」
うとは 」
現 在完 了 「歌 って しま って い る よ うに,歌 っ た とは」 hagi
cantat
cantis
hagis
cantat
canti
hagi
cantat
cantem
hagim
cantat
canteu
hagiu
cantat
cantin
hagin
cantat
過 去 「歌 う よ うに」 cantes
hagues
cantat
cantessis
haguessis
cantat
cantes
hagues
cantat
cantessim
haguessim
cantat
cantessiu
haguessiu
cantat
cantessin
haguessin
cantat
過 去 完 了 「歌 った とは 」
命
令
法 canta
不
定
詞
「君 は 歌 い な さ い 」
canti
「あ な た は 歌 っ て くだ さ い 」
cantem
「私 達 は 歌 い ま し ょ う 」
canteu
「君 達 は 歌 い な さ い 」
cantin
「あ な た 方 は 歌 っ て くだ さ い 」 「歌 う こ と 」
haver
cantat
「歌 っ た こ と」
現在分詞
cantar cantant
「歌 い な が ら」
havent
cantat
「歌 っ て し ま っ て 」
過去 分 詞
cantat
「歌 わ れ た 」
彼 に(私 は)さ
せ る(完 了 過 去)言
で あ ろ う」
う(不 定 詞)
la veritat.
副 詞 節 は,次 の よ う な 従 属 接 続 詞 に よ っ て 導 か れ る. Aquell home
真実 「私 は 彼 に 真 実 を 言 わ せ た 」 ま た,従
あの
属 節 を用 い て表 わ す こ と もで き る.
Fas
彼 ら
て い た」
語 と動 詞 の 位 置 を 入 れ か え て 作 り,文
ま た,従
vostes
話 す
catala?
接 疑 問 文 で あ る こ と も あ る.
あ なた 方 カ タ ロニ ア 語
que
diu aquesta
(私 は)わ か ら な い 何 を 言 う あ の carta.
「あ な た 方 は カ タ ロ ニ ア 語 を お 話 し に な り ま す
手紙 「私 は あ の 手 紙 が 何 を 言 っ て い る の か 分 か ら な い 」
か?」 疑 問 詞 を 用 い た 疑 問 文 も 同 様 で あ る が,文
末 のイン
トネ ー シ ョ ン は あ が ら な い.疑 問 詞 は 文 頭 に お か れ る. mengen
vostes
何 を 食 べ る
amb
関 係 節 は,先 行 詞 が 関 係 節 内 で 果 た す 機 能 に よ っ て, 次 の よ う に 分 類 され る. 1)先
2)そ
ポテ ト
で1以
「あ な た 方 は ポ テ ト と い っ し ょ に 何 を お 食 べ に な る の で す か?」 否 定 文 は,動
お く . 動 詞 は,人
称形
れ 以 外 の 場 合,す
場 合 で,関
1)Es
a l’hora.
着 く(未 来)時
続 詞queに pena
que
行 詞 が 人 の 場 合 はquiを,そ 用 い る.
una novel・la que
m'agrada 私 を 喜 ば せ る
「こ れ は 私 が と て も 好 き な 小 説 で す 」
よ っ て 導 か れ る.
2)La
estigui
ploma
ペ ン
amb
que escric
∼ で も っ て
no es
malalt.
(私 は)書
く
nova.
で あ る 新 しい そんなに 悪い
「私 が 書 く 時 に 使 う ペ ン は 新 し く な い 」
「君 の 具 合 が そ ん な に 悪 い の は 残 念 で あ る 」 Diran
ま た,関
que hi tornem う(未 来)そ
こ に (私 た ち は)も
係 節 に は,制
限 用 法 と非 制 限 用 法 の 区 別 が
あ る. どる
dema. (接 続 法 ・現 在)明
れ
とて も
で あ る 残 念 (君 は)で あ る(接 続 法 ・現 在)
行 詞 が 関 係節 内
置 詞 を伴 う要 素 で あ る
molt.
間通 り
「列 車 は 時 間 通 り に 到 着 し な い だ ろ う」
(彼 ら は)言
係 詞 は,先
用 い る.
な わ ち,先
で あ る 小 説
El tren no arribara
tan
係 詞 はqueを
外 の 斜 格 とみ な さ れ,前
の ま ま で あ る.
名 詞 節 は,接
係 節 の 中 で 主 語 ま た は 直 接 目的 語
以 外 の 場 合 はqueを
詞 の 前 にnoを
列車
行 詞 が,関
と解 釈 さ れ る 場 合 で,関
あ な た方 い っ し ょに
les patates?
una
属 節 は,間
No se
Parlen
Es
彼 どろ ぼ う
「あ の 男 は ま る で ど ろ ぼ う で あ る か の よ う に走 っ
来 る(接 続 法 ・現 在)
末 の イ ン トネ ー シ ョ ン は あ が る .
Que
る で∼ の よ うに
ell el lladre.
で あ る(接 続 法 ・過 去)
「君 は 彼 ら を 来 さ せ る」 疑 問 文 は,主
com si
fos
que ells vinguin.
(君 は)さ せ る
corria
男 走 る(不 完 了 過 去)ま
日
「彼 ら は 私 た ち が 明 日 そ こ に も ど る よ う に と 言 う
《制 限 用 法 》 Arribarem (私 た ち は)着 centre
く
de
a
la vila que es
∼ に
町
tota
la comarca.
で ある
中心
∼ の 全体 地 方
ク王 国 に よ って 設 け られ た. この地 方 の俗 ラ テ ン語 の
「私 た ち は こ の 地 方 一 帯 の 中 心 地 で あ る 町 に 着 く」 《非 制 限 用 法 》 Arribarem (私 た ち は)着
ラ テ ン語 か らカ タ ロニ ア 語 へ の移
es
行 期 に お い て,当
∼ に
町
であ る
話 さ れ て い た オ ッ ク 語 と密 接 な 関 係 を も っ て い た.13
tota
la comarca.
く
la vila,que
de
中心
∼ の 全 体 地方
世 紀 ま で,文
初,カ
地 で あ る」 ラテ ン語 に
さ か の ぼ る . 次 に あ げ る の は,ラ
テ ン語 か らカ タ ロニ
ア 語 へ の 音 変 化 の 特 徴 で あ る(例
は,ラ
ロ ニ ア 語 の 順 で,参
テ ン 語,カ
タ
考 と し て ス ペ イ ン 語(略esp.)を
最 後 に あ げ た.な
語 として 詩 人 が 用 い て い た の は オ ッ ク語
な お,こ
の 時 代(800∼1100年)の
お,ラ
が あ り,Glossarium
Mediae
る.ロ
マ ン ス 諸 語,と
あ る 中 世 ラ テ ン 語 の 新 し い 語 形,意
テ ン語 形 は 必 ず し も祖 語 形 と
1)語
消 失 す る.
空 」:cel(esp.cielo),DULCE「
甘
い 」:dulc(esp.dulce) 二 重 母 音 化 し な い.
SEPTE「7」:set(esp.siete),COLLU「
首 」:
coll(esp.cuello)
FARINA「
保 っ て い る.
4)語
頭 のpl‐,cl‐,fl‐
LACU「 6)語
紀 に 入 り,バ
海 外 発 展 は,そ
だ し,複 数 形 はpins)(esp.
当 時,ア
前 で,語
CLAVE「 8)母
末 のb,v,d,cが
母 音 化 す る.
鍵 」:clau(esp.llave)
音 間 重 子 音nnとllが
CANNA「
10)母
音 に 続 く ‐ce‐,‐ci‐の,cが
次 に,カ
隣 人,近
ル ジ ニ ア 島 で は,今
レ ア レ ス 諸 島, 日 な お,カ
タロニ
ア語 が話 され て い る. 紀 に か け て は,カ
タ ロニ ア語 が 独
展 の す が た を歴 史的
ム 教 徒 を 抑 え る た め,ピ
レ ネ ー 山 脈 ぞ い に,バ
ナ 伯 領(カComtat
Barcelona,西Condado
ルセロ de
中 心 とす る イ ス パ ニ ア 辺 境 国(カMarca Hispanica)が,フ
代 記 を 著 し た ラ モ ン ・ム ン タ ネ 人 ア ウ ジア ス ・ ど が い る.
し か し な が ら,1469年 に,ア ラ ゴ ン王 国 とカ ス テ ィ ー ヤ(カCastella ,西Castilla)王 国 が 合 併 し て,
消 失 す る.
か ら ヨ ー ロ ッパ に 侵 攻 し て き た イ ス ラ
Hispanica,西Marca
d'Organya)
世 に お け る ア ラ ゴ ン王 国 の
の ま ま カ タ ロ ニ ア 語 の 拡 張 で あ っ た.
ス ペ イ ン に 統 一 国 家 が 誕 生 し た と き,国 て 認 め ら れ た の は,カ
de
じ め て の 散 文 『オ
(Ramon Muntaner,1265∼1336),詩 マ ル ク(Auzias March,1397∼1459),な
に 述 べ る.
Barcelona)を
た,中
Llull,1235∼1315),年
れ ぞ れm,
所 」:vei(esp.vecino)
タ ロ ニ ア 語 の 成 立,発
9世 紀 に,南
の 間 に,
は,思 想 家 で あ り作 家 で あ っ た ラ モ ン ・リ ュ ル(Ramon
動 物 の 背 中 」:llom(esp.lomo)
VICINU「
に 接 して い
い え る. この 時代 の カ タ ロ ニア 語 文 化 の 担 い 手 と して
な る,
LOMBU「
シ ヨ ンを 含 む
立 した文 化 語 と して の地 位 を確 立 して い った 全 盛 期 と
葦 」:canya(esp.cana),CABALLU
中 の 子 音 群 ‐mb‐ と ‐nd‐ は,そ
nと
タ ロ ニ ア 語 に よ る,は
13世 紀 か ら15世
口 蓋 化 す る.
「馬 」:caball(esp.caballo) 9)語
ル セ ロ ナ 伯 領 が,ル
ラ ゴ ン 王 国 に 征 服 され た,バ
バ レ ン シ ア,サ
7)e,iの
変 貴 重 で 有 効 な 資 料 と な る で あ ろ う.
が 書 か れ て い る.ま
pino)
知 る 上 で も,大
ル ガ ー ニ ャ の 福 音 書 講 話 』(Homilies
消 失 す る.
松 」:pi(た
現 に重 き をお い て
成 す れ ば,中 世 カ タ ロ ニ ア 地 方 の 生 活,文 化 を
世 紀 末 に は,カ
口 蓋 化 す る.
末 のnが
収 録 され て い な い 単 語 を 主 に と りあ
次 第 に オ ッ ク 語 との 差 異 が 意 識 さ れ る よ う に な り,12
湖 」:llac(esp.lago)
PINU「
羅的
Latinae(Teubner,
カ タ ロニ ア 語 は,そ の 宮 廷 の 言 語 と な っ た.そ
を保 って い る.
平 原 」:pla(esp.llano),FLAMMA
頭 のlが
献
た ア ラ ゴ ン王 国 と合 併 し て,新 ア ラ ゴ ン王 国 が 誕 生 し,
「炎 」:flama(esp.llama) 5)語
法 を,文
イ ツ に て,1900
南 フ ラ ン ス の 海 岸 地 方 を 合 併 し た あ と,西
粉 」:farina(esp.harina)
PLANU「
Linguae
タ ロ ニ ア 地 方 独 自 の 語 彙,表
い る.完
12世
頭 のfを
Cataloniae
冊 が 出 版 され 現 在 な お 未 完 の,網
Leipzig)に げ,カ
勢 の あ る開 母 音e,oが
味,用
例 に よ っ て 年 代 順 に 紹 介 し て い る.ド
な 羅 羅 大 辞 典Thesaurus
末 母 音o,u,eが
Latinitatis
くに カ タ ロ ニ ア 語 へ 変 化 し つ つ
年 以 来,135分
3)語
カ タ ロニ ア 地 方
と い う語 彙 集 が バ ル セ ロ ナ 大 学 に て 編 纂 中 で あ
一 致 し な い) .
2)強
フ ラ ン スで
の 言 語 状 況 を 語 彙 の 面 か ら 明 ら か に し よ う と い う試 み
カ タ ロ ニ ア 語 の 起 源 は,俗
CAELU「
タ ロ ニ ア 語 は,南
で あ っ た.
「私 た ち は 町 に 着 くが,そ れ は こ の 地 方 一 帯 の 中 心
史]
が て カ タ ロ ニア 語 と よば れ る よ う
に な る . し か し,俗 a
centre
[歴
方 言 が 変 化 し て,や
ラン
ス テ ィ ー ヤ 語(ス
castella,西castellano)で ニ ア は,政
あ っ た.以
治 的 独 立 を 失 い,カ
れ た た め,カ
タ ロ ニ ア 語 は,凋
家の言語 とし ペ イ ン語)(カ 後,カ
タ ロ
ス テ ィ ー ヤ語 を 強要 さ 落 の 一 途 を た どる こ と
に な る. 19世
紀 に 入 っ て,よ
う や く,カ タ ロ ニ ア 語,カ
タ ロニ
ア 文 化 を 復 活 さ せ,国
家 と し て ス ペ イ ン か ら独 立 さ せ
よ う とす る 動 き(Renaixenca「 1833年
に 書 か れ た,ア
Aribau)の は,象
リ バ ウ(Bonaventura
『祖 国 へ 捧 げ る 歌 』(Oda
徴 的 で あ る,こ
の 運 動 は,目
は で き な か っ た が,そ が れ た.た
中 で実 感 として とらえ る こ とが で き るの が 特徴 で
復 興 」)が 起 こ っ た.
あ る.机
Carles a
la
Patria)
etimologic
的 を達 成 す る こ と
1987年
と え ば,碩 学 ポ ン ペ ウ ・フ ァ ブ ラ(Pompeu タ
現 在,6,7は
未 完)―
の 後 の 発 展 の原 動 力
ラ ン コ に よ っ て,カ
タ ロ
行 な っ て い る.ま
年 に な っ て よ う や く,カ
か わ ら ず,そ
タ ロ ニ ア に 自 治 が 認 め ら れ,
治,経
済,報
道,教
ゆ る 面 で 使 用 さ れ る よ う に な り,現
育 などのあ ら
在 で は,カ
1語1語
タ ロニ
4)そ
「復 興 」 が 着 実 に 実 現 さ れ つ つ あ る.
nola
[辞
書]
cions Maria
y
Moll(1930‐62),Diccionari
―10巻
Francesc
Vols.(Moll,Palma
de
年 の 準 備 を 重 ね,情
も の で,1932年,彼 継 が れ,さ
の 死 後,モ
ら に,2人
だ け あ っ て,情
報 量 は か な り豊 富 で あ り,そ
ス ペ イ ン 語 辞 典 に は,Vox
ず れ も 学 習 用 辞 典 で あ る.ま
basic
も あ る.規
れ を
い を 記 し,古
典 か ら現 代 文 学 ま で を 含 め た,す
タ ロ ニ ア 語 版;Eliseu
べ
に そ の単 語 の最 古 例 を 紹
た 成 果 が 盛 り込 ま れ て い る.大
ま ど,炉 」の 項 で は,4ペ
タ
と え ば,forn「
de
de
la llengua
lona;初
版1932)―
catalana Ⅰ,Ⅱ
la
llengua
que
(Instituto
catalana(Edhasa,Barce
Abadia
フ ァ ブ ラ(Fabra)は,カ
Moll
y
Historica
internacional de
San
Cugat
Casanovas,Francisco
タ ロ ニ ア 語 の 文 法 を 確 立 し,規 範 を 与 え,こ の 言 語
historica
ァブ
瓜 谷 良 平(1982),『
ラ に よ る こ の 辞 書 は,ク ル ミー ナ ス(Corominas)
de
Mallorca)
del
の意 味 に
味 内容 を文 脈 の
Catalana
Cultura
Romanica,
Valles) de
B.(1952),Gramaitica
catalana(Gredos,Madrid) カ タ ル ニ ャ 語 会 話 』(大
学 書 林,
東 京)
が,「 カ タ ロ ニ ア 語 の 辞 書 編 纂 の 礎 と な る 著 」 と評
対 す る 例 文 が 豊 富 で あ る の で,意
saber
de
(Teide,Barcelona)
gene
し た 通 り,信 頼 の お け る 名 著 で あ る.1つ
de
catalana
Griera,A.(1965),Gramatica
の 普 及 に 大 き な 役 割 を 果 し た 硯 学 で あ る.フ
s'ha
catalana(Moll,Palma
Fabra,Pompeu(1956),Gramatica
愛 情 が 深 く う か が え る.
ral
Climent,19842)
か
者 らの こ の地 に よせ る
2)Fabra,Pompeu(198317),Diccionari
国の交流を深め ると
catalana(Moguer,Barcelona)(カ
Corominas,Joan(19808),El
ー ジ に わ た り 各 地 のforn
の 絵 が の せ ら れ て お り,編
Catalana,Barcelona)
(Gredos,Madrid)
ロ ニ ア 語 は カ タ ロニ ア 文 化 の 担 い 手 で あ る と い う 姿 勢 に 貫 か れ て い る こ とで,た
catala‐japones,japones
―(19803),Gramatica
討 し
き な 特 徴 は,カ
日
Margarit,Antonio(1951),Gramatica
historica
説 を 比 較,検
た,対
[参 考 文 献] Badia
の単語 の地 域 に よ る意 味 や 発 音 の 違
源 に も ふ れ,諸
くつ か
i Graell,Albert(1984)
模 は 小 さ い が,両
て い る .1つ
介 し て い る.語
ど,い
い う点 で 意 義 深 い.
者へ の便 宜 を最 大 限 に図 っ
て の 文 献 に 例 を 求 め,常
Diccionari
castella‐catala,catala‐castella
のDiccionari
き た話 し
locu
62,Barce
選 した語 句 をて いね い に紹 介 し て あ
catala(Enciclopedia
べ て の 時 代,
i Jua de
fetes(Edicions
本 語 辞 典 と して,Torres
残 ら ず 集 め た と編 者 が 自 負 す る
て い ね い に 整 理 し,読
i de frases
あ る が,い
ひ き
献 も比
熟 語 辞 典 と し て は,Raspall
(Biblograf,Barcelona,19837)な
の 協 力 者 を え て完 成 さ れ た.
す べ て の 社 会 階 層 に み ら れ る語 形 を,生
タ ロ ニ ア 語 は,文
々の 受 難 の 時 代 を 経 た に もか
Marti(1984)のDiccionari
manual
ル ク ベ(Alcover)
ル(Moll)に
et
る.対
Mallorca)
に,ア
め細かい表記 を
の文 化 が 受 け継 が れ て きた よ うす が
lona)が,厳
B.
熱 を 傾 け て始 め た
カ タ ロ ニ ア 語 圏 の す べ て の 地 域,す
言 葉 も含 め,1つ
de
catala‐valenciabalear,
か ら な る こ の 大 著 は,ア
が,長
の 語 源 辞 典 で は,
を 通 じ て 伝 わ っ て く る 辞 典 で あ る.
の 他―
ア語の
1)Alcover,Antoni
ち,
語 源 辞 典 も手 が けて
た,カ
較 的 豊 富 で あ り,数
カ タ ロ ニ ア 語 は,政
llengua
ク ル ミ ー ナ ス は,
ラ ビ ア 語 か ら 入 っ た 語 の 音 の,き
紀 に 入 り,一 時 は,フ
la
形 の み な ら ず 音 に も 気 が 配 ら れ て お り,特
ニ ア 語 に よ る す べ て の 文 化 活 動 が 禁 止 さ れ た が,1977
10
de
お り,こ の 方 面 の 大 家 で あ る.こ
と な っ て い る. 20世
complementari
Vols.(Curial,Barcelona)(う
ス ペ イ ン 語(castellano)の
著 し た 文 法 書 と 辞 書 は,カ
ロ ニ ア 語 に 初 め て 規 範 を 与 え,そ
i
catalana,7
の理 念 は さま ざ ま な形 で 受 け 継
Fabra,1868∼1948)の
上 版 で あ る が,使 い や す い 大 き さ で あ る.
3)Corominas,Joan(1980‐),Diccionari
(塩 田 ガ
リ シ ア 語 英 Galician
galego,西
gallego,仏
洋 子)
galicien,
[概
説]
ス ペ イ ン の ガ リ シア地 方 を中 心 に話 さ
れ る ロ マ ン ス 語 の1方 が,正
言.ガ
確 に は ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 に 属 し,ポ
ガ ル 語 とは 互 い に 方 言 関 係 に あ る 言 語 で,相 可 能 な 場 合 も あ る.ス
ロ(Rosalia
ペ イ ン で は,1939年
ル ト
互理解が か ら1969
Curros
表 さ れ る,ガ
(galego が,形
と し て の 地 位 を 確 立 す る の は,1978年 そ の た め,話
regional)
の 憲 法 に よ る.
者 の ほ と ん ど が ス ペ イ ン語 との 二 言語 併
用 者 で あ り,そ
の 数 は200万
リ シ ア 語 は,コ
ル ー ニ ャ(Coruna),ポ
(Pontevedra),ル
人 前 後 と推 定 さ れ る.ガ ンテ ヴ ェ ドラ
ー ゴ(Lugo),オ
の ガ リ シ ア 地 方 の ほ か,ア レ オ ン(Leon),サ
ス ト ゥ リ ア ス(Asturias),
代 以 降,文 語 の 規 範―
comun)―
を確 立 し よ う と す る動 きが あ る
態 論 の 分 野 で,多
ガ リ シ ア 語 は,音
くの 問 題 を 残 し て い る.
韻,形
態,語
彙面 でカ ス テ ィー リ
ャ語 の 影 響 を 多 く 受 け て い る が,統
辞 面 で は,こ
う な 影 響 は ほ と ん ど 存 在 せ ず,ポ 性 が 濃 い.ポ
も話 さ れ る.
ル トガ ル 語 と の 言 語 境 界 は,ガ
ぼ 一 致 す る.こ
れ は,ガ
紀 に,ミ
z[〓]とc[〓]の
頃 ま で,ガ
の2つ[〓][〓]の
リシ
献 的 に は,‐s‐[z]と
混 同 は13世 無 声 化 は,比
た.し
ー リ ャ 語 の 影 響 で は な い . こ のs:tsに
か し,1350年
ア 地 方 で は,ガ
頃 か ら1450年
頃 に か け て,ガ
リシ
リシア とカ ス テ ィー リ ャの 詩 人 た ち に
立 は,東
た が っ て,こ
中 世 叙 情 文 学 の 動 き が 起 こ る.そ
の作 品 群
た は 歯 音[〓]と
は,1445年
前 後 に 編 纂 さ れ たCancioneiro
gallego
は,対
castellano(『
ガ リ シ ア ・カ ス テ ィ ー リ ャ 叙 情 詩 集 』,
編 者 デ ・バ エ ナJuan り,Cancioneiro
Alfonso
de
れ て い る が,1400年 優 勢 と な る.散
de
Baenaと
も よ ば れ る)に
以 降 は,カ
文 で は,14世
リ ャ語 版 よ り翻 訳 さ れ た
Baenaの
紀 後 半 に,カ
よ ば れ る).ま
る,語
源 的 に,g[〓]に
収め ら
摩 擦 音[〓]に
ス テ ィー
『ト ロ イ 年 代 記 』(Cronica
代 表 的 で あ り,こ
た,西
よ る 実 現,た
igual[〓]は,ガ
語 的 特 徴(vulgarismo)と
後,公
用
破 擦 音ch[〓]や
と 共 通 す る 点 が 多 い.共
リシア 語 は
de decadencia)を
「退 廃 の4世
む か え る.こ
紀 」(catro
seculos
の 間 の ガ リ シ ア 語 は,
17世 紀 末 の 文 学 に み ら れ る よ う に,そ
の 俗 語 的 性格 か
体 的 効 果 を 得 る た め に 用 い られ る 程 度 で あ り,
も っ ぱ ら 私 的 な 会 話 に の み 用 い ら れ,文 世 紀 初 頭 の も の を 最 後 とす る.い
献 的 に は,16
くつ か の 特 徴 的 な 変
化 や 方 言 的 差 異 が 拡 大 した の も,こ の 頃 で あ る.18世 紀 の サ ル ミ エ ン ト(Martin は,ガ が,実
Sarmiento,1695∼1772)
リ シ ア 語 の 問 題 に 最 初 に と り組 ん だ 人 物 で あ る 質 的 に,ガ
ピ ン トス(Xoan の 『風 笛 』(A
リ シ ア が 言 語 意 識 に 目覚 め る の は, Manuel
Gaita
Pintos
Gallega,18531)を
Villar,1811∼76) 経 て,カ ス ト
音 の鼻 音 性 の 音
二 重 母 音ou,eiの
は,そ
層 的 意 味 合い を含 む こ とに
の 発 生 の起 源や 年 代
韻 的 価 値 が 失 わ れ た 点 で も,ポ ル トガ ル 語 と異 な る が,
ー カ イ ッ ク な 特 徴 を 含 め て ,ポ
会 的,階
音 が現 わ れ る以 前
リ シ ア 語 は,母
語 の カ ス テ ィ ー リ ャ 語 と 「俗 語 」 の ガ リ シ ア 語 の 対 立 の ま ま,社
最 初 の例 と さ
ス テ ィ ー リ ャ語 の[〓]の
は は っ き り し な い.ガ
ス テ ィー リ
み な され て い
のprolojosが
の 文 献 的 調 査 が 不 可 能 な た め,そ
リ シ ア 地 方 土 着 の 貴 族 は 没 落 し,カ
よば れ
と え ば,galego[〓],
る.14世
ャ 出 身 の 貴 族 が 支 配 権 を握 る こ と に な る.以
部方言で
し て 実 現 す る(se
部 方 言 のgeadaと
の ガ リ シ ア 語 と ポ ル トガ ル 語 へ の 分 化 の 萌 芽 が み ら れ 紀 末 の カ ス テ ィー リャの 王 位継 承 争 い の 結
背 的 な[〓]ま
リ シ ア 語 に 特 徴 的 現 象 で あ る が,
一 般 に は ,俗
れ る が,カ
ステ ィ
対応 す る音 の主 に 口蓋 垂 無 声
る . 文 献 的 に は,1697年
れ ら の 文 語 の 中 に,後
尖 的 な[〓]:舌
立 が 中 和 し て 舌 背 的 な[〓]と
seoと
初
よ る語 源 的 対
し て 維 持 さ れ て い る が,西
名を と
ス テ ィー リャの 勢 力 が
の 無 声 化 現 象 は,カ
部 方 言 で は,舌
よ る 第2次
‐ss‐[s],
較的 早 くに起 きた も
の で あ る.し
ら,文
境 とほ
紀 か ら知 られ,最
ア ・ポ ル トガ ル 語 に よ る 叙 情 文 学 に 国 境 の 別 は な か っ
な り,ガ
リシア 語
の 不 在 を示 す
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 に 存 在
無 声 化 に よ る も の で,文
ー ニ ョ(Minho)
川 が 国 境 と し て 成 立 し た 後 も,1350年
果,ガ
の よ
ル トガ ル 語 との 共 通
し た 有 声 の 破 擦 音 と 摩 擦 音z[〓],‐s‐[],j[〓]の
紀 以 降 で あ り,12世
Troiana)が
代ガ リ
共 通 ガ リシア 語
境 界 線 が 国 境 の 北 部 を 平 行 し て 走 っ て お り,国
西側地域 で
ガ リ シ ア 語 と ポ ル トガ ル 語 の 分 化 が 決 定 的 と な る の は15世
どの詩 人 た ち に代
の 重 要 な 特 徴 で あ る 有 声 の 摩 擦 音z,〓
レ ン セ(Orense)
モ ー ラ(Zamora)の
ン ダ ル(Eduardo ン リ ケ ス(Manuel
リ シ ア ・ル ネ ッ サ ン ス で あ る.現
シ ア で は,70年
な か っ た.ガ
方 語(lengua
Castro,1837∼85),ポ
Enriquez,1851∼1908)な
年 ま で ス ペ イ ン語 以 外 の 言 語 は 公 式 に は 認 め ら れ て い リ シ ア 語 が,地
de
Pondal,1835∼1917),エ
リ シア方 言 とも よ ばれ る
て は,東
保 存 とい うア
ル トガ ル 語 の 北 部 方 言
通 ガ リ シ ア 語 は,音
韻 につ い
部 方 言 を 基 礎 と す る.
[文 字 と 音 韻]
ス ペ イ ン語 や ポ ル トガ ル 語 同 様,
ラ テ ン文 字 が 用 い ら れ る . 正 書 法 上 の 問 題 が 存 在 す る が,伝
統 的 に 行 な わ れ て い る も の は,ス
の に 近 い.た
ペ イ ン語 の も
と え ば,ll[〓],n[〓](cf.nh[〓]).
共 通 ガ リ シ ア 語 の 音 の 構 造 に つ い て は,母
音 は,強
勢 音 節 お よ び 強 勢 前 の 音 節 で[i][e][〓][a][〓][o] [u]の7母
音 が 対 立 す る が,後
現 わ れ る の は,縮 ら れ て い る.無
者 の 位 置 で[〓][〓]が
小 辞 ‐ino,‐inaで
終 わ る語 な ど に限
強 勢 語 末 で は[e][a][o],そ
の 強 勢 後 の 位 置 で は[i][e][a][o][u]が る.ポ
ル トガ ル 語 に み られ る よ う な,無
れ以外 現われ 強勢母音の弱
化 は 存 在 し な い . 二 重 母 音 の[〓][〓][〓][〓][〓] [〓][〓][〓][〓][〓]が [〓]が
域(西
認 め ら れ る(こ
認 め ら れ る 可 能 性 が あ る).母
の 他,
音 の 長 さ とそ の
部 沿 岸 部 の リ ア ン シ ョRianxo付
人 称 ・2人
な 活 用 分 詞(gerundio る . 文 献 的 に は,カ
子 音 は,/
の 作 品 中 のVoltandomos
は,強
弱 に よ り,位
か ら な り,ア
クセ ン ト
置 に よ って語 を 区別 す る.
/b,d,g/は,母
の 問 題 が あ る . 音 節 末 で,鼻 合,調
音 点 が 同 化 し,休
子音 は 子音 が後 続 す る場
止 の 前 で は[〓]が
母 音 間 で は,unha[〓](不 una[〓]の
さ れ,[〓]を し,こ
統 的 なガ リシ
節 の 区 分 は[〓][〓]で
の 場 合,語
の 弁 別 に 参 与 す る 要 素 は,調
ち が い で あ る と い う.母
音 間 に[〓]を
の 不 定 冠 詞 女 性 形 と そ の 複 合 形,語 のeに
音点の
を もつ 語 の 一 部 で あ る 語頭
に もつ 語 は 非 常 に 少 な い.[〓]と[〓],[〓]と[〓]が,
[文
法]
し て,文
較 的 ア ー カ イ ッ ク な 特 徴 を 保 持 して
い る . 前 置 詞 と 定 冠 詞 ・不 定 冠 詞 ・指 示 詞 と の 縮 合,代
そ の 組 み 合 わ せ,語
形 が 異 な る 場 合 が あ る. 定 冠 詞o(s)→co(s)
置 詞con+ 前 置 詞con+ 前 置 詞a+
最 後 の も の は,中 す る が,現
格 のti,vos,voce(s)に あ る.
nada.「 xoia
de
私 は何 も持 って い ない 」 muller.「
ス テ ィ ー リ ャ 語 か ら の 借 用 が 多 い が,ラ
ど,ガ
リ シ ア 語 だ け に 残 っ て い る も の,
froito(<FRUCTU‐),loita(<LUCTA‐)な
ど,
古 形 を よ く保 存 し て い る も の が 目 に つ く(cf.port,
言]
現 代 ガ リ シ ア 語 で は,形
語 形 の 地 域 的 バ リ ア ン トが 多 く,共 成 に 大 き な 障 害 と な っ て い る,し
態論 の 分 野 で
通 ガ リ シア語 の形
か し,そ
れ は,ガ
リ
シア 語 が 多 数 の 方 言 に分 化 した こ とを 主 張で き る ほ ど
1916∼)に
モ ー ラ ・ビ セ ン テ(Zamora よ れ ば,ガ
Vicente,
リ シ ア 語 の 方 言 は,大
西
語 」 の 項 の 〈 図 〉参 照).
の よ うな音 声 連 続 に
西 部 方 言 は,ラ ‐ANA>
テ ン 語 の 語 尾 ‐ANU> ‐anと
a mao.「
い つ も彼
詞 の 語 頭 のlは,
統 辞 的 に 母 音 間 の 環 境 が 作 り 出 さ れ る(fonetica
よ る が,全
体
と し て は ア ー カ イ ッ ク な 特 徴 を 多 く 示 し て お り,こ
れ
お よ びgeadaの
め に 脱 落 す る が(o<lo<ILLU‐),こ
lが 環 境 に よ っ て 保 存 さ れ る 場 合 が,ガ
の
リシア語 で は
os dias.
し か し,ポ ル トガ ル 語 に 存 在 す る 分 語 法 は 存 在 し な い. ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 同 様,
「助 動 詞 + 現 在 分 詞 」 が 一 般 的 で あ る が,コ ル ー ニ ャ南
も み ら れ る . 人 称 不 定 詞 も存 在 す る が,ご
変 化 と,seseo
不 在 を 特 徴 と す る.し
か し,カ
Calero
あ る と し て,上 味 し て4つ
の 特 徴 の ほ か に,形
に 分 け て い る.こ
不 定 詞 」の 形 く一 部 の 地
ルバ
,1910∼)は, 言 境 界 に問 題 が
態 論的 な もの を加
の 分 割 の 特 徴 は,ガ
リシ
ア 地方 の 中 央 部 が南 北 に 独立 した方 言 区域 として 設 定 さ れ る こ と で あ る.geadaが
と え ば,
部 と ポ ン テ ヴ ェ ド ラ で は,「 助 動 詞 +a+
‐aoの
特 徴 境 界 線 が 一 致 し な い こ と か ら,方
sin
その
の 合 一 が 生 じ る―,seseo
ー リ ョ ・カ レ ー ロ(Carballo
は そ れ を手 に持 っ て い た」
‐an―
対 立 の 中 和),geadaに
に 対 し て 東 部 方 言 は,‐ANU>
dias:port.todos
別嬪だ」
ま た はasemade(<SUMMATIM),con(<
(/s/と/〓/の
進 行 形 に 関 し て は,ブ
unha
密 感
テ ン 系 の も の で,domear(<DOMINARE),asomade
結果
ポ ル トガ ル 語 よ り多 い.た
teno
語 彙 は,カ
定 冠 詞o→o[〓]
o([〓])sempre
gal.todolos
E‐vos
世 ポ ル トガ ル 語 の 文 献 に も多 く 存 在
代 ガ リ シ ア 語 で は,次
き 手 の 注 意 を ひ き,親
洋 側 の 西 部 方 言 と東 部 方 言 に 大 別 さ れ る(「ポ ル トガ ル
定 冠 詞a(s)→coa(s)
ガ リ シ ア ・ポ ル ト ガ ル 語 で は,冠
tatica)た
che
の も の で は な い.サ
対 し て も適 用 され る. Tina
き手 に対 応 す る代 名 詞 の与 格 形 が 動 詞 に虚 辞
Non
ル トガ ル 語 同 様,存 在 す る が,
例)前
と よ ば れ る も の が あ る.
対 す るche,vos,lle(s)が
[方
法 面 で 両 者 の 特 徴 は よ く一 致 す る. し か し,
名 詞 の 複 合 形 な ど は,ポ
知 られ て
fruto,luta,port,arc,fruito,luita).
音 間 で あ る.
音 声 面 で の ポ ル トガ ル 語 と の 相 違 に 比
ガ リ シ ア 語 は,比
solidariedade)」
ど,inhabilida CONUS)な
(cf.inestabre,inadaptabilida).[〓][〓]を
そ れ ぞ れ 対 立 す る の は,母
と も,聞
尾 音 添 加(paragoge)
よ るcorazonhe,razonheな
の よ う な 接 頭 辞in‐
記
cimeterioが
き手 が 動 詞 の 表わ す 行 為 に 関係 してい な く
的 に 添 加 さ れ る も の で,聞
か
も つ 語 は,前
de
こ れ は,聞
あると
音 素 と し て 認 め な い 立 場 も存 在 す る.し
ao
を 表 現 す る 手 段 で あ る.主
定 冠 詞 女 性 単 数 形),
よ う な 対 が 存 在 す る が,伝
ア 語 学 で は,音
現 わ れ る.
ス テ ラ オ(Castelao,1886∼1950)
ガ リ シ ア 語 に の み 知 ら れ る 現 象 と し て,「連 帯 の 与 格
(dativo
頭 に 立 た ず,そ の 分 布 が 制 限 さ れ て い る た め,音 韻 論 上
語 形 が み られ
い る.
音 間 で 摩 擦 音 と な る ./〓/は,語
は,1 よう
flexional)の
鼻 音 化 は 音 韻 的 対 立 に 参 与 し な い.
〓/の19個
近)で
称 複 数 形 でvindomos,vindodesの
西側 の ほ か に レオ ン地 方
西 部 の ガ リ シ ア 語 で もみ られ る こ と,ま の ‐UCT‐,‐ULT‐
は,ガ
た,ラ
れ る の が 支 配 的 で あ る が(例:CONDUCTU‐ MULTU‐
テ ン語
リ シ ア 語 で は,‐oit‐ で 現 わ
>moito),古
>condoito,
形 ‐uit‐が,大
西洋岸
の 一 部 の 地 域 お よ び ガ リ シ ア 地 方 の 最 東 端 部 と,そ に 接 す る ア ス ト ゥ リ ア ス,レ
オ ン,サ
れ
モーラのガ リシ
ア 語 に もみ ら れ る こ と な ど を 考 慮 す る と,こ
の ような
分 割 に も無 視 で き な い 面 が あ る.西 部 方 言 に は,seseo が 音 節 末 で の み 起 こ り,語 < ‐an<
‐ANU)で
尾 ‐anに
点 が あ げ ら れ る(以
関 し て,‐a(<
現 わ れ る 地 域(コ
の ロ マ ン ス 語 に み ら れ な い 特 徴 と し て は,次
‐a
ル ー ニ ャ 北 部)
occ.は
オ ッ ク 語,fpr.は
を さ す.ま
た,大
リシア 地 方以 外 の ガ リシ ア語 は東 部 方 言 に
の 語 形 で あ る).
属 す る.方
言 境 界 線 と し て は,シ
1)ラ
[辞
書]
単 語 集 に 類 す る もの を 除 き,適
の は な い.し ン 語,お
ン トラ(Lindley
よ る 線 を 用 い て い る.
か し 実 際 的 に は,ポ
よ び,こ
ル トガ ル 語,ス
ペイ る程 度
まで 代 用す る こ とが で き る.
ガ リ シ ア 語 と ポ ル ト ガ ル 語 』(大
京)
elemental
(19797),Gramatica
del gallego
da
Vazquez
nie)地
dos
の 一 部 な ど,オ
de da
Filologia
方 の 一 部 で,ラ
し て 保 た れ た.ま
た,フ
de
母音 や 鼻子音 の 直前の
化 を 阻 ま れ た(例:NUDA(M)>
リ ウ リ語 を 除 く),ガ
Maria
2)す
ル トガ ル 語 の 一 部 の 方 言 に も み ら れ る .
べ て の 母 音 の 前 に お け る ラ テ ン 語kw(qu),
gw(gu)の
Albertina
を 除 く)
portuguesa
唇 音 要 素(w)の
消 失(語
「ど の 」 ポ ル トガ ル 語
た だ し,フ 直 俊)
ラ ン ス 語 ロ レー ヌ 方 言(lorrain),ワ
方 言(wallon),オ で は,[〓]が
仏gallo‐roman
3)ラ
ロ マ ン ス 諸 語 を,ヨ
ー ロ ッパ に お け る 地 理 的 分 布 を
主 な 手 が か りに し て 下 位 分 類 し た 場 合,旧
言 を さ す.具
フ ラ ン ス 北 部 で 形 成 さ れ た フ ラ ン ス 語,フ
保 た れ た.
テ ン語
‐kt‐> ‐it‐
fach[〓],fpr.[〓]「 オ ッ ク 語 で は,こ
体 的 に は,
(languedocien),ガ
ラ ンス 南 部
言 で は,ス
な され た 」
の 変 化 は 南 部 ラ ン グ ドッ ク 方 言 ス コ ー ニ ュ 方 言 に み ら れ,他
ペ イ ン語 や 一 部 の 北 イ タ リア 方 言,一
に 話 者 の い る オ ッ ク 語(ま た は プ ロ ヴ ァ ン ス 語),両
者
レ ト ・ ロ マ ン語 方 言 と 同 様,‐kt‐
の 間 に 位 置 し,フ
タ
こ っ て い る.‐kt‐
ラ ン ス 南 東 部 か ら ス イ ス 西 部,イ
リ ア 北 西 部 に か け て 広 が る フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 言 語 を さ す の が ふ つ う で あ る.た
だ し,以
の 言 語 に み ら れ る 顕 著 な 特 徴 の い くつ か が,カ ト ・ロ マ ン 語,北
上
タ ロニ
部 イ タ リ ア の ガ ロ ・イ タ リ
諸 方 言 の 一 部,カ
>
タ ロ ニ ア 語,ポ
4)名
詞,形
容 詞,冠
詞 に,2つ
は ラ テ ン 語 対 格 を,機
れ ら の言 語 や 方 言 の
を ひ き継 ぐ 斜 格(被 制 格)を
ラ ン ス語,オ
ック
5)指
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 を 中 心 に し て 記 述 を 進
系 列 で は な く,近
要 に 応 じて 他 の 関 連 す る ロ マ ン ス 語 に 言 及 す る
こ れ は,ダ 語,ガ
の 言 語 に ほ ぼ 共 通 し て み られ,他
の多 く
の 格,す
なわ ち ラ 態的 に
能 的 に は主 格 以 外 の す べ て の格 区 別 す る2格
示 代 名 詞 に お い て は,近
め,必
ま ず,3つ
ル トガ ル 語 に もみ ら
体 系 が,13世
紀 頃 ま で 保 持 さ れ た,
語,フ
こ と に す る.
ロ ・イ タ リア
テ ン 語 主 格 の 形 態 と機 能 を ひ き 継 ぐ主 格 と,形
語 的 特 徴 を重 視 して
さ せ る 研 究 者 もい る . こ こ で は,フ
部の
れ る.
ロ マ ン ス 諸 語 を 分 類 す る 場 合,こ
ロ ・ロ マ ン ス 語 に 属
の方
> ‐t∫ ‐の変化が起
‐it‐の 変 化 は,ガ
ア 諸 方 言 に も観 察 さ れ る の で,言
る い は そ の 一 部 を,ガ
ロニ ー
ッ ク語 ガ ス コ ー ニ ュ 方 言(gascon)
例)FACTU(M)>fr.fait[〓],occ.fait[〓],
ガ リア
方,す な わ ち,現 在 の フ ラ ン ス を 中 心 と す る
地 域 で 話 さ れ て い る 言 語,方
す べ て,あ
中母 音 間 の位 置
例)QUALE(M)>fr.quel[〓],occ.qual[〓]
ガ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 英Gallo‐Romance,
ア 語,レ
化 は, ロ ・イ タ リ
の 現 象 が ケ ル ト語 基 層 の 影 響 に よ る も の か ど
Lisboa)
(黒 沢
の3つ
テ ン
ラ ン コ ・プ ロ ヴ
裸 の 」 〔女 性 形 〕).ラ テ ン 語uの[〓]音
な お,こ
XXII(Centro
Universidade y
ッ ク語 圏 で
galego‐portu‐gueses", う か に つ い て は 意 見 が 分 か れ る.
Luz(19713),Gramatica
照]
(Gallia)地
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 圏 で は ス イ
レ ト ・ロ マ ン 語 圏(フ
galega
proposta
dialectos
Cuesta,Pilar da
語uが[〓]と
(Gredos,Madrid) [参
方 東 部,フ
ア 諸 方 言,ポ
Boletim Linguistica
Mendes
lingua
Filipe Lindley(1971),"Nova
classificacao
de
た だ し フ ラ ン ス 語 圏 で は ベ ル ギ ー の ワ ロ ニ ー(Wallo
[〓]「
Costa,Lisboa)
Cintra,Luis de
裸 の」
位 置 な ど で[〓]音
comun(Vigo,Galaxia)
―(1981),Problemas da
fpr.[〓]「
ァ ン ス 語 圏 の 大 部 分 で,uは
Calero,Ricardo
テ ン語
化.
は オ ー ベ ル ニ ュ(Aubergne)地
学 書 林,東
(Sa
テ ン 語uの[〓]音
ス の ヴ ァ レー(Valais)州
[参 考 文 献] 池 上 岑 夫(1984),『
Carballo
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語
例)NUDU(M)>fr.nu[〓],occ.nud[〓],
切 な も
れ ら の 語 源 辞 書 を も っ て,あ
の よ うな
フ ラ ン ス 語,
文 字 の み で 記 し た 語 形 は,ラ
が あ る.ガ
Cintra,1925∼)は,geadaに
下 の 語 例 で,fr.は
称,遠
ル マ チ ア 語,ル
称 の2系
称,中
称,遠
称 の3
列 のみ を 区別 す る.
ー マ ニ ア 語,レ
ト ・ロ マ ン
ロ ・イ タ リア 諸 方 言 も 同 様 で あ る.
次 に,フ
ラ ン ス 語,オ
ッ ク 語,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ
ン ス 語 を 区 別 す る 特 徴 を み る が,一 般 的 に い え る の は, フ ラ ン ス 語 が,出
発 点 とな った 俗 ラテ ン語 の す が た を
も っ と も大 き く変 え,ロ
マ ンス 諸語 全 体 の 中 で も特 異
な 存 在 に な っ た の に 比 べ,南
の オ ッ ク 語 は,ラ
テ ン語
か ら の 言 語 的 距 離 が ず っ と 小 さ い とい う こ と で あ る. フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は,類 語 に 近 い が,一
方,オ
型論的には フランス
ッ ク語 と共通 す る特 徴 もか な り
テ ン語 強 勢 母 音aの
閉 音 節 のaは
口 蓋 化―
そ の ま ま 保 ち,開
化 子 音 の 後 で はie)に そ の ま ま 保 持,フ
フ ラ ンス 語 は
音 節 のaはe(口
変 化 さ せ た.オ
蓋
ッ ク語 はaを
ッ ク 語,フ
先 立 つ ラ テ ン語k,gの
口 蓋 化―
言 で ま ず 破 擦 音t∫,d〓 化 し た.オ
フラ ン
ル マ ン デ ィ ー 方 言nor
カ ル デ ィ ー 方 言picardを
除 く),大
に な り,次
活 用 型 動 詞 と他 の 活 用 型 動 詞 とで 異 な る2種 を 有 す る.た
だ し,フ
る. ガ リ ア の 地 に もた ら さ れ た ラ テ ン 語 が,大
が る 北 フ ラ ン ス と,比
較 的 山岳 地 帯 の 多 い南 フラ ンス
住 に 伴 う言 語 層 の 形 成 に 異 な っ た
影 響 の 大 き さ が 異 な っ た 可 能 性 の あ る こ と,ラ
テ ン語
化 は 南 部 に お い て 早 く始 ま り,し
テ ン語
部 に は フ ラ ン ク族,
ロ ー ヌ 渓 谷 に は ブ ル グ ン ド族,南
に は 西 ゴ ー ト族 が 侵
ま ま 保 た れ た.フ
ラ ン コ ・プ
入 し,お
の お の の言 語 が 上 層 と して 異 な った 影 響 を 及
ぼ し え た こ と,と 語 の 影 響 は,西
ラ テ ン語 の 強 勢 母 音e,〓,o,〓
の二 重 母 音
は,開
音 節 に お い て4つ
の母 音 が い った ん二 重 母 音 化
>ie,o>ou,〓
>uo),そ
方 言 に よ り異 な っ た し か た で,単
の 後,
母音化や別の二重母
Bec,P.(1970‐71),Manuel
Guiraud,P.(1968),Patois
Paris)
は[〓][〓]に
後続 さ
pratique
et Universitaires
romanischen
例)TELA(M)>fr.toile,occ.tela[〓],fpr. 布」
PEDE(M)>fr.pied,occ.pe[〓],fpr.[ 〓 ]「 足 」 テ ン語 の 語 末 母 音(無 強 勢)の 扱 い―
フラン
し て も っ と も遅 く ま で 保 た れ た ‐a
[追
記]
1)参
考 文献
Lexikon
多 数 の 方 言 で[〓]と
な る)以
外
の 母 音 が す べ て 脱 落,一
方,フ
語 で は,‐aを
の 語 末 母 音 も比 較 的 よ く保 持
2)参
照
V,2(1991),Okzitanisch,
ロマ ンス諸 語 (長 神
き
ランコ・
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 に は 存 在 し,オ ッ ク 語 に は 存 在 し な い. 6)動
詞 の 主 語 を 示 す 人 称 代 名 詞 の 使 用―
フラ ン
V,1
Niemeyer,Tubingen)
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス
フ ラ ン ス 語,フ
der
Linguistik,Band
Katalanisch(Max
され て い る.
France,
Ch.Schmitt(eds.),
der Romanistischen
(1990),Franzosisch,Band
テ ン語 の 語 末 母 音 が 実 質 的 に す べ て 消 失,
素 と し て の 鼻 母 音―
de
Sprachraume(Francke,Berne)
Holtus,G.,Metzeltin,M.und
は じ め,他
dialectes
Wartburg,W.von(19502),Ausgliederung
れ た と き の み 二 重 母 音 化 し た.
オ ッ ク 語 で も,‐a(大
de philologie
romane Ⅰ,Ⅱ(Picard,Paris)
francais(Presses
二 重 母 音 化 せ ず 保 た れ,〓,〓
リア の 言
[参 考 文 献]
oは
5)音
々 の 点 が 指 摘 さ れ て い る が,お
語 分 化 が 促 進 さ れ た も の と 考 え ら れ る.
音 へ の 移 行 が 場 合 に よ り起 こ っ た . オ ッ ク 語 で は,e,
を 含 め,ラ
ゴ ー ト族 の そ れ よ り大 き な も の で あ っ
そ ら く こ う した 要 因 が 複 雑 に 絡 み 合 っ て,ガ
フ ラ ン ス 語 お よ び フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 で
ス 語 で は,‐e[〓]と
く に フ ラ ン ク 族 と ブ ル グ ン ド族 の 言
た は ず で あ る こ と,等
化―
[〓]「
た が っ て,ラ
に 摩 擦 音 ∫,〓 に 変
歌 う」
し(e>ei,〓
ル ト語 基 層 か ら の
部 と北 部 と で は 及 ぼ さ れ た
の 定 着 度 が 北 部 よ り大 き か っ た か も し れ な い こ と,ゲ
ロ ヴ ァ ン ス 語 で は,フ ラ ン ス 語 と 同 じ く 口 蓋 化 を み た.
fpr.[〓]「
き く3つ
大 な 平 野 の広
ル マ ン 民 族 の 侵 入 に つ い て も,北
例)CANTARE>fr.chanter,occ.cantar,
類 の語 尾
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 で は,
半 の方
ッ ク 語 で は,北 部 方 言 で は 口 蓋 化 を み た が,
そ の 他 の 方 言 で はk,gの
4)ラ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 で は,‐ar
影 響 が あ っ た に して も,南
雌 山羊」
ス 語 で は 口 蓋 化 が 起 こ り(ノ
フ ラ ン ス 語 で は,
様 相 を 与 え た 可 能 性 の あ る こ と,ケ 古fr.chievre,occ.cabra,fpr.
[〓]「
3)俗
る が,オ
の 諸 民 族 の 移 動,定
「野 原 」 CAPRA(M)>
説 法 半 過 去 の 活 用 語 尾―
す べ て の活 用 型 動 詞 につ い て 同 一 の 語 尾 変 化 が な され
と で は 地 理 的 条 件 に 違 い が あ り,こ れ が,先 史 時 代 以 来
ど に 変 化 させ た .
例)PRATU(M)>fr.pre,occ.prat,fpr.[〓]
mand,ピ
ッ ク語 で は 非 義 務 的 で あ る.
7)直
の 言 語 圏 に 分 化 し た 原 因 に つ い て は,広
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は 口 蓋 化 子
音 の 後 で の みieな
2)aに
的,オ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 で は一 般
2種 類 の 語 尾 の 一 元 化 の 現 象 も多 く の 方 言 で 観 察 さ れ
も っ て い る. 1)ラ
ス 語 で は 義 務 的,フ
教 会 ス ラ ブ 語 英Church
Slavonic,独Klirchen
悟)
57)は,ヤ
slavisch 教 会 ス ラ ブ 語 と古 代 教 会 ス ラ ブ 語 は,年 能 的 に も異 な る2つ な 連 続 性 と,超
の 言 語 で あ る が,両
代 的 に も機 者 は,歴
国 家 的 な 文 章 語 の 性 格 と,宗
史的
教的 な機
使 徒"キ
兄 弟,お た,ス
よ び,そ
(Novgorod)の
い う 一 写字 生 が,ノ
ブ ゴロ ド
市 長 オ ス トロ ミー ル(Ostromir)の
ラ ブ人 へ の
書 写 した ア プ ラ コス(aprakos)―
教会暦に従って抜
トデ ィ オ ス(Methodios)
粋,編 集 され た朗 読 用 福 音 書―
で あ る.原 典 を 忠 実
紀 後 半 に,"ス
ュ リ ロ ス(Kyrillos),メ
ー リイ(Grigorij)と
た め に,ブ ル ガ リア渡 来 の 古代 教会 ス ラ ブ語 原 本 か ら
能 とに よっ て 緊密 に連 結 して い る. 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 は,9世
ロス ラフ の子 ス ビ ャ トス ラ フ(Svjatoslav)
の 時 代 に作 成 され た写 本 で あ る.こ れ は,輔 祭 グ リゴ
の弟 子 た ちに よっ て創 造 され
ラ ブ 世 界 最 古 の 文 章 語 で,10世
紀 と11世
紀 の
に 筆 写 した もの で あ る ら し く,11世 紀 の ロ シア語 に は, す で に失 わ れて い た 超短 母 音uとi,鼻
母 音oとe
教 会 文 献 の 写 本 テ ク ス トの 形 で 現 存 す る. 古 代 教 会 ス
が,比 較的 正 確 に用 い られ て お り,そ の他 の面 で も,
ラ ブ 語 は,次
古 代 教会 ス ラ ブ語 の 特徴 が よ く保 持 され て い る. そ の
の よ う な 初 期 南 ス ラ ブ 語 の 音 韻 的 ・形 態
的 特 徴 を もつ.
た め,『 オ ス トロ ミー ル福 音 書 』 を古 代 教 会 ス ラ ブ 語
1)st,zd(<*tj,*dj)
文 献 に含 め る立 場 もあ るが,oとuの,ま
2)rat,trat,tlat,tret,tlet(<*ort,*tort, *tolt ,*tert,*telt)
の 混 同,eとeの
名 詞 の形 態 の混 交 な ど,音 韻 面 と形 態 面 にお い て,と
3)l(<*dl)
こ ろ ど こ ろ に ロ シア語 要 素 の露 出 が 認 め られ るた め,
4)鼻
母 音o,e
そ の言 語 は,も は や古 代 教 会 ス ラブ 語 で は な く,ロ シ
5)超
短 母 音u,i
6)‐ja‐
た,eとja
交 替,o語 幹 男 性 名 詞 とu語
幹男性
ア教 会 ス ラブ 語 で あ る と考 え る ほ うが よい.
語 幹,‐jo‐ 語 幹 の 名 詞 の 単 数 属 格 お よ び 複
数 主 格 ・対 格 の 語 尾 がeで
ロ シア 教 会 ス ラ ブ語 は,聖 書,典 礼 書,教 会 法 な ど の 教 会 文 献 の 言語 で あ った ばか りで は な く,中 世 ロ シ
あ る こ と.
以 上 の す べ て の 特 徴 を もた な い 教 会 文 献 の 古 写 本 の ス
ア の文 化 環 境 を消化 しつ つ,年 代 記,聖 者 伝,雄 弁 術
ラ ブ 語 は,も
は や 古 代 教 会 ス ラ ブ 語(Old
Slavonic)で
は な く,教
的 説 教,叙 事 詩 な どの文 学 ジ ャ ンル の 表 現 手 段 で あ る "〓"(古 代 ロ シア語 あ るい は 中世 古
Church
会 ス ラ ブ 語(Church
Slavonic)
と み な さ れ る.
期 ロ シア 語)と して発 達 して い った.た
教 会 ス ラ ブ 語 と は,古
代 教 会 ス ラ ブ 語 か ら 発 達 し,
とえ ば,『 原 初
年 代 記 』(12世 紀)の 言 語 は,そ の統 語法 に お い て は,
12世 紀 以 降,地
方 的 な ス ラブ 文 章語 や ス ラブ 方 言 の 影
関 係 代 名 詞 に よる複 文構 成,独 立与 格(ギ
響 を 受 け た,ロ
シ ア 教 会 ス ラ ブ 語,セ
独 立 属 格 を 模 した語 法)の 多用 な ど に み られ る よ うに,
ブ 語,ブ
ル ビア 教会 ス ラ
ル ガ リア 教 会 ス ラ ブ 語 な ど の よ う な,古
会 ス ラ ブ 語 の 新 し い"地 会 ス ラ ブ 語 は,さ
方 的 変 種"を
代教
さ し て い う.教
基 本 的 に は 教会 ス ラブ語 で あ る が,ロ
リ シア語 の
シア の地 に お い
て 生 じた,さ ま ざ ま な歴 史的 事 件 を報 じる必 要 上,現
こか ら国民 的 な文 章語
実 の 生 活 を反 映 す る生 きた 口語 要 素 や 異 民族 との接 触
方正 教会 圏 ス ラブ 人 お よび
に と もな う外 来 語 をふ ん だ ん に と り入 れ,一 方,地 方
ら に 後 代,そ
が 形 成 さ れ る ま で の 間,東
カ トリ ッ ク教 徒 ク ロア チ ア人 の文 学 活 動 の 主 要 な 表現
色 豊 か な 口承 文 芸 的 語 り口 を も導 入 し て い るた め に,
手 段 と な り,本
教会 ス ラ ブ語 の機 能 の枠 を は る か に超 え た文 章 語 とな
来 の 教 会 の 典礼 用 言 語 と して の機 能 の
っ て い る.
限 界 を は る か に 超 え る も の と な っ た. [ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語] 10世 在 位978頃
紀 末,キ
(Russian
Church
Slavonic) キ エ フ府 主 教 イ ラ リオー ン(〓)の
エ フ 大 公 ウ ラ ジ ー ミル(Vladimir,
∼1015)が,東
方 正 教 会 の キ リス ト教
を キ エ フ ・ロ シ ア の 国 教 と定 め る に お よび,教 会 文 献 と
説 教 『律 法
と恩 寵 につ い て の説 教 』(〓 ),『 原 初 年 代記 』 の 編 纂 者 の ひ と りで あ った キ エ フの 修 道 士 ネ ス トル(〓,12世
紀)の 筆 に な る
と も に 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 が ブ ル ガ リ ア か ら ロ シア へ 伝
『祝 福 された る殉 教 者 ボ リー ス とグ レー プの 生 涯 と殺
え られ る よ う に な っ た.キ
害 につ い ての 講 話 』(〓
リス ト教 は,ウ
の 子 ヤ ロ ス ラ フ 賢 明 公(Jaroslav ∼54)の
位1019
治 世 下 に 広 ま り,『 原 初 年 代 記 』(〓 )の
「1037年 」 の 項 に よ れ ば,ヤ
は,「 書 物 に 心 を 惹 か れ,昼 っ た.し
Mudryj,在
ラ ジー ミル
),お よび 『洞 窟 修 道院 長,聖 フ ェ オ ドー シイ 伝 』 ロス ラ フ公
も夜 も しば しば 書 を読 み 耽
か し て,あ ま た の 写 字 生 を 集 め,ギ
リ シア語 か
ら ス ラ ブ 語 に 翻 訳 させ た . 彼 ら は 数 々 の 書 物 を 筆 写 し た 」 と伝 え ら れ る.現
存 の ロ シ ア 最 古 の 文 献 『オ ス ト
ロ ミー ル 福 音 書 』(〓,1056‐
(〓)は,い
ず れ も,12
世 紀 の ロ シ アの 歴 史 的 現 実 に深 く関わ りなが ら,そ の 言 語 は,教 会 ス ラブ 語 の純 粋性 を保 って い る. しか し なが ら,ロ シア 教会 ス ラ ブ語 も,時 代 が くだ る につ れ,地 方 語 的 特 色 を 強 め て い く傾 向 を免 れ る こ とは で き なか った.正 教会 圏 ス ラ ブ世 界 にお い て,教
会 ス ラブ 語 の純 粋 性 を 汚染 す る,地 方 的文 章 語 の 伝 統
用 い て 写 本 を 作 っ て い た で あ ろ う こ と は,十
の影 響 力 を排 除 し よ う とす る 最 初 の 試み は,14世
で き る こ と で あ る.セ ル ビ ア 教 会 ス ラ ブ 語 に お い て は,
に,ブ ル ガ リア の タ ル ノ ボ(Turnovo)か
紀
ら 起 こ り,
o,e>u,e:y>i;v>uの
変 化,uとiの
や が て,ロ シア に もた ら され,古 風 で 複 合的 な文 学 ス タ
み られ る.最
イ ル を もつ 教 会 ス ラ ブ語 の 形 成 に つ な が った.い わ ゆ
書 』(Miroslavljevo
る"第2次
バ ル サ メ レ オ ン(Varsameleon)と
南 ス ラ ブ の 影 響"(BTopoe〓 )と い う現 象 が,そ れ で あ る.オ ス マ ン・トル
古 の福 音 書 写 本 で あ る
の2人
分に想像
混 同 が
『ミロ ス ラ ブ 福 音
jevandjelje)は,12世
紀 末 に,
グ リ ゴ リ イ ェ(Gligorije)
の 写 字 生 に よ っ て,フ
コのバ ル カ ン侵 攻 に と もな う,南 ス ラ ブに お け る政 治
現 在 の ヘ ル ツ ェ ゴ ビ ナ(Hercegovina)―
力 と教 会 文 化 の 衰 退 は,一 方 にお い ては,ロ シア教 会 ス
ロ ス ラ ブ(Miroslav)の
ム(Hum)― の 侯,ミ
た め に 書 か れ,細
密 画 と頭 文
ラ ブ語 の 重 要性 と影 響 力 を増 大 させ る原 因 とな った.
字 装 飾 を ほ ど こ し た 美 し い 羊 皮 紙 写 本 で あ る が,す
ロ シア 教 会 ス ラ ブ語 は,14世 紀 末,南 ス ラ ブ人 の 聖 職
に,上
者,学 僧 た ち が ロ シア の地 に入 った こ とに よ って,根
で
記 の セ ル ビ ア 語 の 特 徴 が み ら れ る.
セ ル ビ ア 教 会 ス ラ ブ 語 は,12世
紀 か ら15世
紀 にか
本 的 な 影 響 を受 け た.ブ ルガ リア人 で モス ク ワ府 主 教
け て 中 世 セ ル ビ ア 文 学 の 表 現 手 段 と な り,聖 サ バ(Sv.
(1390∼1406)で
Sava)の
あ った キ プ リア ン(〓),同
ブ ル ガ リア人 で キ エ フ府 主 教(1414)と ー リイ ・ツ ァ ン ブ ラ フ(〓) 紀 後 半 に は,セ
じく
な った グ リ ゴ ,15世
ル ビ ア 人 の パ ホ ミイ ・ロ ゴ フ ェー ト
(〓)が
聖者 伝 の徹 底 的 な 書 き直 しを
『ス テ フ ァ ン ・ネ マ ー ニ ャ 伝 』(Zitije Nemanje,1208頃),テ
Stefana
オ ド シ エ(Teodosije)
の 『聖 サ バ 伝 』(Zitije
svetog
Save,1292頃)な
ど
の 聖 者 伝 文 学 の 傑 作 が,こ の 言 語 で 書 か れ た . し か し, 17世
紀 末 か ら18世
紀 初 頭 に か け て,セ
行 な い,古 代 教会 ス ラ ブ語 の古 風 を復 興 す る と と もに,
ラ ブ 語 は,ト
形 容 辞,直 喩,隠 喩 を 駆 使 した,絢 爛 た る 装 飾文 体 を
の ハ ン ガ リー へ の 大 量 移 住 と,ロ
つ くりあ げ た.
と い う 歴 史 的 条 件 に よ っ て,ロ
ル ビア 教会 ス
ル コの 圧 政 を のが れ た セ ル ビア人 知 識 人 シア か らの教 育 援 助 シ ア教 会 ス ラ ブ語 の著
第2次 南 ス ラ ブ の影 響 を受 け た ロ シア教 会 ス ラブ 語
し い 影 響 を 受 け た.こ
は,16∼17世 紀 に,メ レテ ィ ・ ス モ ト リツ キ イ(Meletij
文 章 語(slavenoserbskiと
よば れ た ロ シア 教 会 ス ラ
Smotrickij),ラ
ブ 語 風 セ ル ビ ア 語)は,19世
紀 は じ め に,ブ
Zyzanij)ら
ブ レ ンテ ィ ・ジ ザ ニ イ(Lavrentij
傑 出 した 西 ロ シア 系学 者 が 教 会 ス ラブ 語
の新 しい規 範 を確 立 し た こ とに よ って,す べ て の正 教 会 圏 ス ラ ブ人 が,こ れ に範 を仰 ぐ よ うに な った.
ラ ジ ッ チ(Vuk
の 両者 の 混 合 体 で あ る人 為的 な
Karadzic,1787∼1864)に
改 革 が 起 こ る ま で の 間,教
ー ク ・カ よ る言 語
会 文 学 の み な らず世 俗 文 学
の 表 現 手 段 と し て も 用 い ら れ た.
[ブル ガ リア 教 会 ス ラブ 語] (Bulgarian Church Slavonic) ブ ル ガ リア教 会 ス ラブ語 の最 古 層 は,10,
[ク ロ ア チ ア 教 会 ス ラ ブ 語]
Slavonic)メ
(Croatian
トデ ィ オ ス は,ロ
11世 紀 の グ ラ ゴー ル 文 字 写本 と キ リー ル 文 字 写 本 に
際 し て ク ロ ア チ ア を 通 り,こ
み られ る言 語 で,古 代 教 会 ス ラ ブ語 と同 一 で あ る.し
(glagolitic
か し,11世
ラ ブ 語 に よ る 典 礼 方 式 を 定 め た.ク
紀 に,ブ ル ガ リア が ビザ ンチ ン帝 国 の支 配
alphabet)を
Church
ーマへの旅 の 往復 に
の地 方 に グ ラ ゴ ー ル 文字
広 め,882年
に,古
代 教会ス
ロ ア チ ア 人 は,ロ
下 にお か れ て か らは,ブ ル ガ リア にお け る文 学 活 動 は
ー マ ・カ ト リ ッ ク を 受 容 し た が
衰 退 し,12世 紀 の文 献 に は,す で に分 析 的言 語 へ の 発
に 抵抗 した . 古 代教 会 ス ラブ 語 の文 書 作 成 を異 端 視 す
達 の 特 徴 が現 わ れ は じめ,12∼16世
る カ ト リ ッ ク 教 会 は,925年
紀 の ブル ガ リア 文
章 語 は,中 世 ブ ル ガ リア語 と して,古 代 教会 ス ラブ 語 とは 区別 され る. た とえ ば,12世 紀 の文 献 『ドブ ロ ミ ー ル 福音 書 』(〓)に
は
,古
(Split)で
の 公 会 議 で,ス
を 通 過 さ せ た が,ク ず,グ
,ラ
と1060年
テ ン語 に よ る典 礼
の ス プ リ ッ ト
ラブ語 に よる 典 礼 の 禁 止 令
ロ ア チ ア 人 司 祭 た ち は これ に 屈 せ
ラ ゴー ル 文字 に よる教 会 ス ラ ブ語 の 文 書 活 動 を
代 教 会 ス ラブ 語 の 古形 が よ く保 たれ て はい るが,2つ
17世
の 超 短 母 音uとiの
た ちの 口語 で あ るク ロア チ ア 語 の ダ ル マ チ ア方 言 の ひ
うち,iだ
け が 用 い られ,動 詞 ア
紀 ま で 続 け た.ク
オ リス ト複 数3人 称 の語 尾 に,‐seの 代 わ りに ‐soが
と つ で あ る チ ャ(Ca)方
現 わ れ て,鼻 母 音eとoの
14,15世
混 同 がみ られ,新
しい方
言 的 変化 が 生 じて い る. [セル ビア教 会 ス ラ ブ語]
祭
言 の 著 し い 影 響 を 受 け た が,
俗 文 学 の 興 隆 と と も に,そ
の文章
語 と し て 栄 え た.
(Serbian
Church
Slavonic) [チ ェ コ 教 会 ス ラ ブ 語]
セ ル ビア ・ク ロ アチ ア 語 で 書 か れ た文 献 で, 12世 紀 以 前 の ものは 現 存 し ない.し ク ロア チ ア の聖 職 者 た ちが,キ
紀 に は,世
ロ ア チ ア 教 会 ス ラ ブ 語 は,司
か し,セ ル ビア,
ュ リ ロス,メ
トデ ィ オ
ス兄 弟 の弟 子 た ち の作 成 した 古 代 教 会 ス ラ ブ語 文 書 を
885年,メ 子 た ち は,フ
(Czech
Church
Slavonic)
トデ ィ オ ス の 死 後 ま も な く,彼 の 弟
ラ ン ク ・カ ト リ ッ ク 勢 力 に よ っ て モ ラ ビ
ア か ら 追 放 さ れ,"ス
ラ ブ 人 へ の 使 徒"キ
ュ リ ロ ス,
メ トデ ィ オ ス 兄 弟 の 最 初 の 伝 道 地 で の 事 業 は 実 を 結 ぶ
こ とは な か っ た.し 方 に の が れ,モ ア に 入 り,お
か し,彼
らの弟 子 た ちの 一 部 は 西
そ ら く侯 の 庇 護 の も と に,ラ
る 典 礼 と並 行 し て,古
テ ン語 に よ
ご ろ 創 設 さ れ た,南
ボ ヘ ミア の サ ー ザ バ(Sazava)修
道 院 は,古
ら オ ス マ ン ・トル コ に よ る そ の 崩 壊(A.D.1453)ま を 中 世 ギ リ シ ア 語,そ
部
代教会 ス
ま た,古
(Prague
シ ア 語,古
よ ば れ る著 し くチ ェ コ語 的
特 徴 を も つ 教 会 ス ラ ブ 語 の 典 礼 書 テ ク ス トは,11世 に,そ
こ で 書 か れ た も の と想 像 され る.し
年 に は,サ さ れ,ス
ー ザ バ 修 道 院 も弾 圧 を 受 け,修
紀
道士 は 追放
び,コ
ラ ブ 語 文 書 は 焚 書 の 憂 き 目 に あ い,ボ
ヘ ミア
チ ェ コ語 の 宗 教 用 語 の 中 に は,Hospodin「 「慈 愛 に 富 む 」,Spas「
ブ 語 か ら 継 承 さ れ た も の が あ り,初 歌
主 」,milosrdny
救 い 主 」 な ど,教
会 スラ
期 の チ ェ コ語 讃 美
「主 よ 我 ら を 憐 れ み た ま え(Hospodine
ny)」
も,写
本 は14世
pomiluj
紀 の も の で は あ る が,古
代教会
期 ビ ザ ン テ ィ ン 時 代(A.D.
ら に,ミ
ュ ケ ナ イ ・ギ リ
典 期 の ギ リ シ ア 語(前8∼4世
ネ ー(Koine,「 以 後)の3つ
で
代 ま で を近 代 ギ リ シ
代 か ら 中世 へ の過 渡 的 な 時代 で あ る.
代 ギ リ シ ア 語 は,さ
か し,1097
に お け る 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 の 伝 統 は と だ え た.し か し,
れ 以 後,現
ア語 と す る . た だ し,初 330∼565)は,古
ラ ブ 語 の 文 書 活 動 の 拠 点 と な っ た.『 プ ラ ー グ 断 片 』 Fragments)と
ザ ンテ ィ ン時代 の 開 始 と さ
れ る コ ン ス タ ン テ ィ ノ ポ リ ス へ の 遷 都(A.D.330)か
代 教 会 ス ラブ 語 に よる 典 礼 を続
行 し た も の と 思 わ れ る .1032年
ま で を 古 代 ギ リ シ ア 語,ビ
ラ ビ ア か ら離 れ た新 興 の小 侯 国 ボ ヘ ミ
紀 末),コ
共 通(語)」)の
ギ リ シ ア 語(ヘ
に 区 分 さ れ る.こ
こ で は,古
イ
レニ ズ ム
典 期,お
よ
イ ネ ー の ギ リ シ ア 語 を と り上 げ る.
な お,古
典 期 の ギ リ シ ア 語 の 中 で,前5∼4世
紀の
ア ッ テ ィ カ 方 言 に よ っ て 代 表 さ れ る ギ リ シ ア 語 を,と く に 「古 典 ギ リ シ ア 語 」 と よ ぶ こ と が あ る.
[ギ リ シ ア 祖 語]
述 す る よ う に,多
古 典 期 ま で の ギ リ シ ア 語 は,後
く の 方 言 に 分 か れ て い た が,こ
のよ
う な 方 言 分 岐 前 の 「ギ リ シ ア 祖 語(Proto‐Greek)」 い う も の は,ミ
と
ュ ケ ナ イ ・ギ リ シ ア 語 を 含 め た 諸 方 言
ス ラ ブ 語 の 面 影 を と ど め て い る.
の 比 較 と 印 欧 比 較 文 法 の 知 識 に 基 づ い て,そ
教 会 ス ラ ブ 語 の 写 本 は,カ レ ル4世(KarlⅣ,在 位 1346∼78)時 代 の ボ ヘ ミア に,さ ら に ,ヤ ギ ェ ウ ォ王
あ る 程 度 ま で 推 定 で き る.こ の よ う な 祖 語 が い つ ご ろ,
(Ladislaus
き な い け れ ど も,印
Ⅱ
Jagie〓o,在
ポ ー ラ ン ド に も,ク 会 ス ラ ブ 語 は,西
位1386∼1434)時
代 の
ロ ア チ ア か ら も た ら され た が,教 ス ラ ブ 世 界 に お い て は,文
章語の伝
ど こ で 話 さ れ て い た か を 確 定 す る こ と は,も
前3千
[参 考 文 献]
古 学 者 が 推 定 す る よ う に,
年 紀 の 終 わ り頃 だ とす れ ば,こ
学 上 の 「中 期 ヘ ラ デ ィ ク(Middle
Jagic,V.(19132),Entstehungsgeschichte Kirchenslavischen
der
Sprache(Weidmann
,Berlin)
ちろんで
欧 語 を話 す ギ リシア人 の 祖先 が ギ
リ シ ア へ 到 来 し た の が,考
の時期 か ら ミュ
ケ ナ イ 時 代 の は じ め(お よ そB.C.1600)頃
統 を も つ に 至 ら な か っ た.
の性格 を
ま で(考 古
Helladic)」)を,ギ
リ シ ア 祖 語 の 時 代 と み る こ と も 可 能 で あ る. 理 論 的 に 推 定 さ れ た,こ
の よ う な ギ リシ ア祖 語 の主
な 特 徴 を あ げ る と, Schenker,A.and
E.Stankiewicz(eds.)(1980),
The
Slavic
Literary
and
Development(Yale and
[参
Area
照]
1)音
Languages:Formation Concilium Studies,New
on
的 対 立 で,印
古 代 教 会 ス ラブ 語 成 郎)
gw,kwh)は,ま
語 で は あ る が,そ
の 中 の1語
あ り,こ
鼻 音,流
音 に 接 し た/s/か
らの 変化 に よ って 発 生 した
欧 祖 語 の 「喉 音(laryngeal)」
音 で,印
ン ス ク リ ッ ト語 と と も に 古 い 印 欧 語
れ て い た と 思 わ れ る.鼻
の 代 表 と し て 重 視 さ れ て き た.た
し か に,3千
に わ た る 豊 富 な 記 録 を 通 して,そ
の歴 史 的 変 遷 の あ と
を 連 綿 と た ど る こ とが で き る 点 で,ギ
年以上
リ シ ア 語 は,世
世 ギ リ シ ア 語,近
史 上 の 基 準 に 従 っ て,紀
の/h/は,母
常,古
代
代 ギ リ シ ア 語 の3つ 元 前2千
年紀 後 半
の ミ ュ ケ ナ イ 時 代 か ら ロ ー マ 時 代 の 終 わ り(A.D.330)
は,す で に 失 わ
欧 祖 語 に 想 定 さ れ る 成 節 的 な そ の 異 音[〓
]の
多 く は,ま
だ そ の ま ま 維 持 され て い た で あ う ち,/〓/は,Cjの
蓋 化 したdj,gjと
>dzugon「 2)形
合 流 し た(た
結合で
環 境 で は(hの
方 向 へ の)調 音 弱 化 が す で に 始 ま り,そ は,口
音や
音 は,/m,n,r,l/で
は 先 行 子 音 を 口 蓋 化 さ せ,(V)jVの
ギ リ シ ア 語 の 年 代 区 分 に 関 して は,
い ろ い ろ な 分 け 方 が 考 え ら れ る け れ ど も,通
に 分 け,歴
あ る が,印
音,流
ろ う . 半 母 音 の/〓/の
界 諸 言 語 の 中 で も 比 類 が な い.
・軟 口 蓋 音(kw,
だ 別 個 の 音 素 と し て 保 た れ て い た.
テ ン語 と と も に ヨー ロ ッパ の古 典語
ギ リ シ ア 語,中
い う三 項
摩 擦 音 に は,/s/と/h/が
と し て,ま
[年 代 区 分]
鎖 音 が,/p,t,
欧 祖 語 の い わ ゆ る 「有 声 有 気 音 」 は,す
派 を 形 成 す る.ラ た,サ
短 の 対 立 を もつ,/a, 音 は,閉
で に 無 声 有 気 音 に 変 わ っ て い た が,唇
英Greek,独Griechisch,仏grec
印 欧 語 族 に 属 し,1言
音 は,長
音 体 系,子
Internationalk,kw;b,d,g,gw;ph,th,kh,kwh/と
Haven)
(栗 原 ギ リ シ ア 語
韻 面 で は,母
e,i,o,u/の5母
し て,一
部 のj
と え ば,*jugom
く び き」). 態 面 で は,名
進 行 せ ず,少
詞 の 格 の 融 合 は,ま
だそれほ ど
な く と も 単 数 に お け る 与 格 と所 格,複
数
に お け る 与 格 と 具 格 は,別 詞 の 活 用 組 織 は,お
そ ら く古 典 ギ リ シ ア 語 に 近 い 形 の
もの が す で に で き あ が っ て お り,‐s‐ オ リ ス ト,重
イ オ リ ス 方 言(Aeolic
対 立 等 も,す
言(小
で に確 立
詞 の こ の 組 織 は,イ
イ ラ ン 語 派 の そ れ に も っ と も近 く,ア
ンド ・
諸 方 言(中
テ ィ ア(Boiotia),お の 諸 方 言(中
能 動 形 ‐wosの
され て い た と み ら れ る.動
3)ア
に よる未 来 や ア
了 分 詞 に お け る 中 ・受
複 に よ る 完 了,完
動 形 ‐menosと
ポ キ ス(Phokis)の
個 の 格 として 存 在 した . 動
Dialects)ボ
部 ギ リ シ ア);レ
4)イ
オ ニ ア ・ア ッ テ ィ カ 方 言(Ionic‐Attic 東 イ オ ニ ア(小
ナ ト リア諸 語 か
[方
イ アEuboia),ア
古 典 期 の ギ リ シ ア に は,ま
だ標準語の
れ ぞ れ の 地 域 の 方 言 が 各 ポ リス
の 公 用 語 と し て 用 い ら れ,ま
た,詩
5)ア
Dialects)ア 言(ペ
言 は,ギ
(地 中 海 東 隅).
な り の 程 度 ま で,そ
う か が い 知 る こ と が で き る.細
の特 徴 や 分 布 状 態 を か に み れ ば,小
さな ポ
リ ス ご と に 異 な っ て い た こ れ ら の 地 域 方 言 は,大 分 け る と,次 る(〈
の5つ
の グ ル ー プ に ま と め る こ とが で き
図 〉 参 照).す
1)ド
な わ ち,
ー リ ス 方 言(Doric
(Rhodos),コ
き く
Dialects)
ス(Kos),ク
ロ ドス
レ タ(Kreta),テ
ラ
こ の 中 で,古
リス 方 言 と イ オ ニ ア ・ア ッ テ ィ カ 方 言 で,ギ
ロ ポ ネ ソ ス).
西 ギ リ シ ア 方 言(North エ リ ス(Elis),ア
諸 方 言(ペ
ロ ポ ネ ソ ス);ア
ア カ ル ナ ニ ア(Akarnania),ロ
Greek
Dialects)
カ イ ア(Akhaia)の イ ト リア(Aitolia), ク リス(Lokris),
ッテ
典 ギ リ シア 語 の 模範 と仰 が れ る ま
で に な っ た.残 強 く,レ
り の 諸 方 言 は,い
化
わ ば辺 地 語 的 性 格 が
ス ボ ス な ど一 部 の 方 言 を 除 け ば,文
学の言語
と も 無 縁 で あ っ た. の グ ル ー プ 中 で,北
の2つ
西 ギ リシ ア方 言 と ド
語 的 に きわ め て 近 親 な関 係 に あ るた
をま とめ て
残 りの3方
「西 ギ リ シ ア 方 言 」 と よ び,
言(「 東 ギ リ シ ア 方 言 」 と も よ ば れ る)に
置 す る 見 方 が,従
般 的 に,き
て い る が,そ
対
来 か ら行 な わ れ て き た . こ の 西 ギ リ
シ ア 方 言 は,全
的 」,よ
典 期 の ギ リシ ア
リシ ア語
く に,ア
的 優 位 の た め に,古
わ めて 保 守 的 な性 格 を も っ
の 主 な 特 徴 と し て は,次
あ げ られ る.カ
<図>古
ー
紀 の ア テ ナ イ の 政 治 的,文
め,こ West
言
ィ カ 方 言 は,前5∼4世
ー リス 方 言 は,言
方 言(ペ
ュ プ ロ ス(Kypros)方
圏 を ほ ぼ 二 分 す る ほ ど の 勢 力 と な り,と
以 上,5つ
2)北
ウボ
諸方言.
典 期 に も っ と も 有 力 に な っ た の は,ド
コ ニ ア(Lakonia),メ
諸
イ オ ニ ア(エ
ル カ デ ィ ア(Arkadia)方
ロ ポ ネ ソ ス);キ
(Thera),メ ロ ス(Meros)の 諸 方 言(南 エ ー ゲ 海); メ ガ ラ(Megara),コ リ ン トス(Korinthos),ラ ッ セ ニ ア(Messenia)の
Dialects)
部 イオニア
ル カ デ ィ ア ・キ ュ プ ロ ス 方 言(Arcado‐Cypriot
や 散 文 の 言 語 も特
リ シ ア の 各 地 か ら 発 見 され た 多 量 の 碑 文 資 料
ア ジ ア),中
ッ テ ィ カ(Attika)の
定 の 地 域 方 言 に 基 づ い て 形 成 され て い た . これ らの 方
に よ っ て,か
ス ボ ス(Lesbos)方
ア ジ ア).
(キ ュ ク ラ デ スKyklades),西
言]
イオ
よ び テ ッ サ リア(Thessalia)
ら は も っ と も隔 た っ て い た.
よ う な も の は な く,そ
部 ギ リ シ ア).
ッ コ 内 は,そ
り正 確 に は,ア
の よ うな もの が
れ に 対 す る 「東 ギ リ シ ア
ル カ デ ィ ア ・キ ュ プ ロ ス お よ び
イ オ ニ ア ・ア ッ テ ィ カ 方 言 の 共 有 特 徴 で あ る.
1)動
詞 の3人
称 語 尾 ‐〓,‐ti(∼
は,ti>siと 2)‐*tj‐
‐〓,‐si)〔 こ れ
い う 音 変 化 の 反 映 で あ る〕
> ‐ss‐た と え ば,〓,tossos「
それ
ほ ど」(∼〓,tosos) 3)2人 4)冠
称 単 数 代 名 詞:〓,tu(∼〓,su) 詞=指
示 代 名 詞 の 複 数 主 格:〓,toi,〓,
tai(∼〓,hoi,〓,hai)
5)動 詞 の1人 ‐men)
6)不
称 複 数 語 尾:‐〓,‐mes(∼
定 詞 語 尾(非
幹 母 音 動 詞):‐〓,‐men(∼
‐〓,‐nai) 7)条
件 接 続 詞(`if'):〓,ai(∼〓
8)時
の 接 続 詞(`when,then'):〓,hoka,〓,
toka(∼〓,hote,〓,tote) 9)ム
ー ド助 詞:〓,ka(∼〓,an)
10)数
詞
kosi)
「20」:〓,wikati(∼〓,ei‐
,ei)
‐〓,
これ らは ま た,ギ リシ ア語 圏 を二 分 す る重 要 な 方 言
な り,後 者 が,新
しい,そ
特徴 で もあ るが,こ れ に関 して,ア イ オ リス方 言 は,
い る.散 文 は,ギ
リシア文 学 の最 後 に発 達 した ジ ャ ン
本土(ボ イ オ テ ィア,テ
ッサ リア)と 小 ア ジア(レ ス ボ
して優 位 な層 を形 づ く って
ル で,は じ めは イ オ ニ ア 方言,つ
いで ア ッテ ィ カ方 言
ス)の 間 で大 き な食 い違 い が あ り,た とえ ば,1,3,4,
が そ の媒 体 とな り,こ う して,ア
ッテ ィ カ方 言 に基 盤
10に つ いて,レ
を お く真 に古 典 的 な ギ リ シア文 語 が完 成 され た. 時 代
ス ボ ス方 言 だ け が,「 東 ギ リ シア的 」
な特 徴 を示 して い る.こ の 現 象 につ い て,か つ て は, レス ボ ス方 言 の 特 徴 を アイ オ リス方 言本 来 の もの とす る 見方 もあ った が,実 は,こ れ らの特 徴 は,ア イ オ リス
は,前5∼4世
紀 で あ る.以 下,こ
の ア ッテ ィ カ方 言
を 中心 に述 べ る. [文字 と音]
ギ リ シア語 の ア ル フ ァ ベ ッ トは,お
族 が小 ア ジア に移 住 した 後 で,隣 接 す る イ オ ニ ア方 言
そ ら く紀 元 前9世 紀 頃,フ ェ ニ キ ア文 字 を借 用 して つ
か らの 影 響 に よっ て生 じた もの ら しい.し た が って,
く られ た もの で,地 域 に よ り,い くつ か の 変 種 が 発 達
アイ オ リス 方 言 は,系 統 的 に は,従 来 の 「東 ギ リシア
した.そ の 中 で,前5世
方 言 」 よ り も,む しろ 「西 ギ リシ ア方 言 」 と近 親 だ と
採用 され,以 後,ギ
み なけ れ ば な らない .一 方,ミ
な った の は,イ
ュケ ナイ ・ギ リシア 語
紀 の半 ば過 ぎ に ア ッ テ ィカ で
リ シア語 の 標 準 アル フ ァ ベ ッ ト と
オ ニ ア で 発 達 し た 「ミレー トス 文 字
は,こ の よ うな方 言 特 徴 に 関 して,こ れ まで に例 証 さ
(Milesian
れ た か ぎ りで は,ア ル カ デ ィ ア ・キ ュプ ロス お よび イ
字 か らな って い る(カ
オニ ア ・ア ッテ ィカ 方言 の側 と一 致 して い る.こ の よ
ン時 代 の 草 書体 か ら発達 した もの).
Alphabet)」
とよ ばれ る もの で,次 の24文 ッ コ内の 小 文 字 は,ビ
ザ ンテ ィ
うな わ け で,最 近 で は,こ れ まで の 「東 ギ リシア」「西 ギ リ シア」 とい う区 分 に代 わ って,古 い 時期 の ギ リシ ア 方言 を南,北 の2つ に分 け,古 典 期 の ア ル カ デ ィ ア ・ キ ュプ ロス お よび イ オ ニ ア ・ア ッテ ィカ 方言(の 前 身) に ミュ ケ ナイ 語 を 含 めて,こ れ を 「 南 ギ リシ ア方 言 」 とし,そ れ に対 して,ド ー リス お よび ア イ オ リス 系 の
こ れ は,母
音 の 表 記 に 関 し て は,や
や 不完 全 で あ る
が,そ
の 他 の 点 で は,ほ
もち ろん,こ れ は諸 方 言 の 先 史 時代,具 体 的 には,ミ
り,音
素 と文 字 の 間 に 原 則 と し て1対1の
ュ ケ ナイ 時 代 の こ とで,そ れ 以 後の ギ リシ ア語 圏 は,
(た だ し,〓
方 言 を 「北 ギ リシア方 言 」 とす る 分類 が有 力 で あ る.
大規 模 な 住民 移 動 の 結 果,言 語 の分 布 図 も大 き く変 わ り,ま た,歴 史 時 代 に み る諸 方 言 の方 言 的 輪 郭 が形 作
ぼ 理 想 的 な 表 音 文 字 で,つ
は,そ
ア ッ テ ィ カ(お よ び イ オ ニ ア)方 言 は,そ が,ギ
時期(お よそB.C.1200∼800)で
語 の/a:/が/e:/に,/u/が/u/に
も
対応 がある
れ ぞ れ/dz/,/ks/,/ps/
と い う破 擦 的 な 子 音 群 を 表 わ す).
られ た の も,ギ リシア の 「 暗 黒 時代 」 と よば れ る この あ った ら しい.と
ま
の母音体 系
リ シ ア 祖 語 の そ れ と か な り 異 な り,ギ
リシ ア祖
変 わ る とい う重
あ れ,新 来 の ドー リス族 は,か つ て の ミェ ケ ナイ 王 国
大 な 変 化 が 起 こ っ て い る.ま
た,短
母 音 のe,oか
ら
の本 拠 地 で あ っ た ペ ロポ ネ ソス と南 エ ーゲ 海 の島 々 を
二 次 的 に 発 生 し た 長 音 が,本
来 の 長 母 音e:,o:と
は
占拠 し,古 い 「 南 ギ リシア 方 言 」 の 所有 者 た ち は,一 部
別 の 狭 い 長 母 音e:,o:と
は海 を越 え て小 ア ジア に渡 り,一 部 は ペ ロ ポ ネ ソス 内
ず,/a:,e:,e:,i:,o:,o:,u:/と
部 の 山岳 地 帯 や 地 中海 東 隅 の 離 れ 島 にか ろ う じて 生 き
系 と な り,つ
残 った.こ
に 変 化 し た./a:/>/e:/(広
うして 形 成 され た新 しい,つ ま り古 典期 の
ギ リシ ア語 が,不 器 用 な ミノア文 字(Minoan
Script)
い う 変 化 も,こ た も の で あ る.こ 言 は,短
リシア で は,文 学 の お の おの の ジ ャ ンル は,そ れ が 最
う し て,B.C.400頃
い う きわ め て 不 安 定 な 体 系 と な
子 音 は,閉
固 有 の 言 語 を発 達 させ た.す なわ ち,叙 情 詩 は レス ボ
(表 記 は,〓)で,ギ
ス方 言,合 唱 叙 情 詩 は ドー リス方 言,エ レゲ イ ア(Ele
シ ア 祖 語 のkw,gw,kwhは,e,iの
は イ オ ニ ア方 言,
とい う具 合 で あ る.ホ メ ロス の 言 語 は,口 誦 詩 の 長 い
a,oの
母 音 がA,E,I,O,〓
母 音 がA,H,EI,I,〓,O〓,〓
初 につ く りだ され た地 域 の方 言 に基 づ いて,そ れ ぞれ
geia)詩 や イ ア ンボ ス(Iambos)詩
の ア ッテ ィカ 方 母 音 が/a:,e:,
っ て い る . そ の 表 記 文 字 は,短 ,長
で あ る.
鎖 音 が/p,t,k;b,d,g;ph,th,kh/ リ
前 でp,b,phと,そ
と合 流 す る,と
音体
いe:),/u/>/u/と
母 音 が/a,e,i,o,u/,長
e:,i:,o:,u:,u:/と
最 後 に,文 学 と方 言 の関 係 につ い て 付言 す る と,ギ
母音 はま
い う 形 の7母
の長 母 音体 系 の変 化 に 随 伴 して 起 こ っ
字 に録 され て す が た を現 わす の は,よ に な って か らで あ る.
の 結 果,長
い で,/o:/は/u:/に,/u:/は/u:/
に代 わ って,ア ル フ ァベ ッ トとい うま った く新 しい文 うや く前8世 紀
な り,こ
前 でt,d,thと, し て,uの
い う 形 で 失 わ れ た.ま
伝 統 を反 映 して,そ の形 成 が 非 常 に複 雑 で あ るが,方
語 で 口 蓋 化 し て い たtj,kj,dj,gjは,形
言的 に は,ア イ オ リス方 言 とイ オ ニ ア方 言 の2つ か ら
を 間 に も た な いtj(た
と え ば,*totjos)は
前 でk,g,kh た,ギ
リシア 祖 態素境界 ‐s‐に,形
態 素 境 界 の あ るt‐jとkjは,イ
オ ニ ア 方 言 で は/‐ss‐/,
ギ リシ ア語 の形 態 法 の 中 で,も っ と も複 雑 な の は 動
ア ッ テ ィ カ 方 言 で は/‐tt‐/と
な り,dj,gjは/dz/
詞 の 活 用 組 織 で あ る.ま
(=Z),pjは/pt/と に,ま
な っ た.一
方,ミ
ュケ ナ イ 時 代
だ 完 全 に 保 た れ て い た 半 母 音 の/w/は,イ
オニ
別 す る.た だ し,こ の3つ が形 態 的 に 区別 され る の は,
で に記 録 前 の 時 期 に 失 わ
未 来 と ア オ リス トの2時 制 にお いて のみ で,そ れ以 外
ア ・ア ッ テ ィ カ 方 言 で は,す れ,そ
れ を 表 わ す 文 字F(デ
ィ ガ ン マ)も
ア ル フ ァ ベ ッ トか ら姿 を 消 し た.ま のsお れ,そ
よ びjか
イ オニ ア ・
た,ギ
ら 生 じ た/h/は,語
な っ た.な
オ ニ ア 方 言 で は,語
表 記 す る た め に 転 用 さ れ た が,ア
さ れ た.す
頭 の/h/も
は,摩
擦 音 が/s/(=Σ),鼻
音,流 れ は,ギ
ん ど 変 化 し て い な い.ギ に は 立 た ず,古
で表記
あ る.そ
の他 で
リ シ ア 祖 語 以 来,ほ
由 来 し,し
気 息 記 号/`/を
と
本 来,語 頭
して3種
の態 を区別 す るの は,他 の印 欧 語 に は例 の な と も と一 種 の 自動 詞 をつ くる形
成 辞 で あ った ‐e:‐また は ‐the:‐を,ア オ リス トの専 用 受 動 形 と して つ く り変 え た,ギ
リシア 語 の 比 較 的 新
記 で も必 ず
印 欧 語 の 古 い 態 の 体 系 か ら,「 能 動 」∼ 「受 動 」 とい う
< *srew
論 理 的 な対 立 に基 づ く,新 しい 態 の体 系 へ と前 進 した
た が っ て,表
伴 っ て い る(た と え ば,〓
わ け で,古 典 期 に み られ る3種 の態 の 共 存 は,古 い 体
法]
古 典 ギ リ シ ア 語 の 文 法 構 造 の,ま
詞 組 織 で 注 目 す べ き こ と は,格 て,主 格,対 法 格"に
項 的 対 立 で あ った.古 典 ギ リシア 語 の よ う に,範 疇 と
しい 時 期 の 改 新 で あ る.こ れ に よ って,ギ リシア 語 は,
「流 れ る 」). [文
な った,い わ ゆ る 「中 ・受動 態 」 と 「 能 動 態 」 との二
多
典 ギ リ シ ア 語 で 語 頭 に 現 わ れ るrの
く は*sr>hrに
解
く」の1人 称 単数 形.以 下,同 例 〕.も とも と印 欧祖 語
い こ とで,こ れ は,も
音 が/m,n,l,r/
リ シ ア 語 で,/r/は
(能) (中)(受)「
では,中 動 態 と受 動 態 の 区別 は な く,こ れ らが 一 体 と
母 音/e:/を
半 分 に し た〓
息 記 号 の/`/で
(=M,N,〓,P)で,こ
失わ
ッテ ィカ方 言 で は 保
の/h/は,Hを
な わ ち,気
(受)
の母音縮
れ,そ の た め に 不 要 と な っ た 文 字Hが,長
た れ て い た.こ
(能)(中)
頭以外では失わ
先 にみ た 二 次 的 長 母 音 の 源 泉 と
お,イ
では,中 動 態 と受 動 態 は 同形 で あ る.す なわ ち,未 来:
リ シア 祖 語
の 結 果 生 じ た 母 音 接 触(hiatus)が,後
約(contraction)や
ず,動 詞 の 「態(voice,di
athesis)」 は,「能動 態 」「中 動態 」「 受 動 態 」の3種 を 区
の 体 系 が,呼
格,属 格,与 格 とい う4つ
整 理 さ れ,所
が 失 わ れ た こ と で,こ い . ま た,ミ
格,具
の,い
格,奪
れ は,古
ず名
格 を除い わ ゆ る"文
格 な ど の"具
象 格"
い 印 欧語 として は 珍 し
ュ ケ ナ イ ・ギ リ シ ア 語 で は ま っ た く,ホ
系 か ら新 しい 体 系 へ 移 行 す る過 渡 期 の 現 象 とい って よ い. 動 詞 の 「法(mood)」
は,「 直 接 法 」 と 「命 令 法 」の
他 に,「 接 続 法(subjunctive)」
と 「希 求 法(opta
tive)」 の 区別 が あ り,接 続 法 は 主 として 話 者 の 主 観 的 な 意 志 や期 待 を,希 求法 は話 者 の願 望 や 事 柄 の可 能 性
メ ロ ス の ギ リ シ ア 語 で も例 外 的 に し か み い だ され な い
を 表 わ す.こ れ らの 法 が,文 の従 属 関 係 を標 示す る手
定 冠 詞 と い う も の が 散 文 の 言 語 で 確 立 され た こ と も,
段 として 用 い られ る よ うに な っ た の は,比 較 的 新 しい
他 の古 い 印 欧語 に は例 の ない こ とで あ る. 名 詞 の 他 の
時 期 の 発 達 で あ る. 直 接 法 ∼接 続 法 ∼ 希 求法 の もっ と
文 法 範 疇 と し て は,「 性 」 は 男 性,女
性,「 数 」
も一 般 的 な形 態上 の 実現 は,1人
の 多 くの
と,
は 単 数,複
数 の 他 に 双 数 を も ち,こ
性,中 れ は,他
印 欧 諸 語 と 共 通 す る . た だ し,双
数 は,ア
言 で は 比 較 的 よ く保 た れ た が,イ
オ ニ ア方 言 で は 早 く
ッテ ィカ 方
の よ うに な る.こ の よ うな4種 の 法 の 区 別 は,古 代 イ
か ら衰 退 の 兆 し を み せ て い た . 形 容 詞 の 比 較 法 で は,印 最 上級
欧 祖語 に遡 る比 較級
‐jos‐,
‐isto‐ に よ る 形 成 は,一 部 の 基 本 的 な 形 容 詞 に
残 存 し た が,す
で に 生 産 的 で な く,そ
れ に 代 わ っ て,
‐tero‐,‐tato‐ に よ る 形 成 法 が 一 般 化 し た(た 〓,neos「
最 上 級〓,neo:tatos).
な お,古
のhが
の ‐n‐が 挿 入 さ れ た
い 接 尾 辞
母 音 間 で 消 失 した た め に,支
〓 ,kakio:n〔 os〔 属 格 〕).
え音
‐ion‐とい う 形 が 新 た に つ く り 出
と え ば,〓,kakos「
悪 い」 の比 較級
単 数 ・主 格 〕,〓,kakion
ン ドの ヴ ェー ダ 語 の そ れ に ほ ぼ 呼 応 す る もの で あ る が,他 の 多 くの印 欧 語 で は,接 続 法 と希 求法 は,ど ち らか 一 方 が他 方 を吸 収す る とい う形 で,そ わ れ て い る.ギ
の 区別 が 失
リシア語 に おい て も,希 求法 の用 法 は
次 第 に 衰退 の方 向 に 向か い,コ イ ネ ー の 時 代 に至 って,
ュ ケ ナ イ ・ギ リ シ ア 語 で は ‐joh‐ と な っ
て い た が,こ
さ れ た(た
と え ば,
新 し い 」,比 較 級〓,neo:teros,
‐jos‐は ,ミ
称 複 数 形 を例 に と る
日常 語 か らは消 失 した. ギ リシ ア語 の 時 制(tense)の
体 系 は,ア ス ペ ク トの
そ れ と不 可 分 に結 びつ い てい る.す なわ ち,時 間 軸 に は 「 過去」 「 現 在 」 「未来 」,ア ス ペ ク ト軸 に は 「継 続 相」 「 瞬間相」「 結 果相(ま た は 完 了相)」 とい う,そ れ ぞ れ3種 の 範 疇 が あ り,両 者 が 組 み 合 わ され て,次
に
示 す よ うに,必 ず しも均 整 的 とは い え ない 複 雑 な時 制
体 系が つ く られ て い る.下 表 の 〔 〕内 は,具 体 的 な
の語 順 特徴 につ い て み る と,名 詞 句 の 構 造 は,関 係 節
テ ンス の 名称,示
は もち ろ ん,修 飾 的 形 容 詞 や 属 格 も被 修 飾名 詞 の後 に
され た語 形 は,〓
の1人 称 複 数 で
あ る.
お か れ る のが 普 通 で あ り,ま た,後 置 詞 で は な く前 置 詞 が,失 わ れ た"具 象 格"に 代 わ る もの と して,ギ
アスペク ト
継続相 時間 現
在
〔 現
瞬間相
在〕
結果相 〔 完
了〕
シア語 の統 語 法 に と って 不 可 欠 の 役割 を 担 っ て い る. これ らの点 で,ギ
去
〔 未 完 了〕 〔 ア オ リス ト〕〔 過去 完 了〕
リシ ア語 は,日 本 語 あ るい は ヒ ッタ
イ ト語 の よ うな厳 格 なSOV型 む しろVO型
過
リ
の 言 語 と は 異 な り,
の 語 順 が 優 勢 な言 語 で あ る と い え る.
す で に述 べ た 格 組 織 の 単 純 化,そ れ に と もな う前 置 詞 の発 達,定 冠 詞 の確 立,時 制 体 系 に お け る時 間 関 係 の
未 来
〔 未
来〕
〔 未来 完 了 〕
重視,統 語 法 にお け る従 属 構文 の 発達,そ お け るVO的
して 語 順 に
タイ プ の 優 勢化,等 々 に現 わ れ た 古 典 ギ
リシア 文 法 の 特徴 は,印 欧 語 の 西 の グ ルー プ,す な わ この 体 系 は,印 欧 祖 語 に想 定 され る もの とは相 当 に
ち,後 の ヨー ロ ッパ の 諸 言語 で 支 配的 とな った 文 法構
違 った もの で,少 な く と も,1)‐s‐ に よ る未来 時 制 の
造 の 前 触 れ とな る もの で あ った.ま た 実 際 に,こ の ギ
確 立,2)継
続相 ∼ 瞬 間 相 とい うア ス ペ ク ト対 立 の 文
リシア 的 諸 特徴 は,中 世 ラ テ ン語 か ら ロマ ンス 諸 語 へ
法 化,3)完
了形 にお け る 時 間 軸 に 沿 った3時 制 の 確
と受 け 継 が れ,ヨ ー ロ ッパ 言 語 史 を貫 く,ひ とつ の底
立,は ギ リシア語 にお け る改 新 で あ り,と くに,3は,
流(drift)と
きわ めて 新 しい時 期 に属 し,そ の用 法 も十 分 には 発 達
[コイ ネ ー(Koine)の
しな か った.そ れ に対 して,2は,ギ
め て独 自 な改新 で,そ の 時制 体 系 の根 幹 的 な役 割 を果
リシア は,政 治 的 に は都 市 国家 が 群 立 して全 体 的 な統 一 を 欠 き,言 語 的 に も多 くの 方 言 が 分 立 して,ギ リシ
た して い る. また,完 了 形 が,そ の 本 来 の結 果 相(行
ア語 圏 の全 体 に通 用 す る標 準 的 共 通 語 を確 立 す る こ と
為 の結 果 生 じた現 在 の 状 態)と
が で きなか った.こ の よ う な共 通 語 の 出現 は,ギ
リ シア語 の きわ
して の 機 能 か ら,行 為
な っ た の で あ る. ギ リシア 語]
古 典期 の ギ
リシ
の完 了へ と視 点が 移 るに つ れ て,そ の 機 能 が過 去 時 制
ア人 自 身 の手 に よ って で は な く,政 治的 に ギ リシ ア を
の ア オ リス トに次 第 に近 づ き,つ い に コイ ネー の 時 代
征服 した,し か し,文 化 的 には ギ リシア に征 服 され た
に至 って,ギ
リ シア語 の時 制 体 系 か ら消 滅 す る運 命 を
と もい え るマ ケ ドニ ア 人,す な わ ち ア ン クサ ン ドロ ス
た どった の に対 して,継 続 相 ∼ 瞬 間 相 とい うア スペ ク
大 王 とそ の 後 継 者 た ちに よ って 実現 され た,い わ ゆ る
トの対 立 は,ギ
ヘ レニ ズ ム的 世 界 国 家 の 中 で,は じめ て 可能 とな った.
リシ ア語 の 中 で,ま す ます そ の重 要 性
を強 め て い っ た.こ の よう なア スペ ク トの文 法 化 は,
コイ ネ ー(Koine)と
他 の印 欧 語 で は,た だ ス ラブ 語 にそ の 類例 を み るだ け
とい う意 味 で,ヘ
で,古 い 印 欧語 で は,ア スペ ク トは 動 詞語 幹 の派 生 と
シ リア,メ
い うよ うな語 彙 的 な手 段 に よ って い た.時 制 として の
こで 形 成 され た 一 種 の 共 通語 的 な ギ リシ ア語 を さ す.
未来 の 確 立,そ し て,過 去 時 制 の 標 識 と して の 「オー
そ の 母 胎 と な った の は,紀 元 前4世 紀 の ア ッテ ィ カ方
グ メ ン ト(augment)」e‐
言 で あ るが,今 ま で とは ま った く違 っ た時 代 と環 境 の
の 文 法 化 は,他 の 印欧 諸 語
は,ギ
リシア 語 で 「 共 通(語)」
レニ ズ ム 以 後,エ ジ プ ト,小ア ジア,
ソ ポ タ ミア を 含 む 広大 な地 域 に広 が り,そ
に も類 例 が み られ るけ れ ど も,ア ス ペ ク トと とも に,
中 で,こ の 言 語 は 大 きな 変 貌 を遂 げ る にい た った . そ
この よ うな 時間 的 な関 係 を も重 視 す る 時制 組 織 の 確 立
の 中 心 とな った と ころ は,プ
は,ギ
れ た エ ジプ トで あ る.
リシア語 独 自の もの とい って よい.
古 典期 の ギ リシア 散 文 は,複 雑,精 緻 な統 語 法 を発
[文語 と 口 語]
達 させ た が,と りわ け ギ リ シア 語 の語 順 は,き わ め て
ぶ 数世 紀 は,ギ
自 由か つ 柔軟 で,パ ー テ ィ クル(particle)と
ト レマ イ オス 王 朝 の おか
ヘ レニ ズ ム か らロー マ時 代 に お よ
リ シア 語史 上,お そ ら くも っ と も変 動
よば れ る
の は げ しか った 時代 で あ る が,日 常 語 の レベ ル で 起 こ
数 多 くの不 変 化 詞 の 使 用 と と もに,文 の レベ ル を越 え
った これ らの 変 化 は,必 ず しも文 字 言 語 にそ の ま ま反
た,談 話 な い し情 報構 造 の微 妙 な動 きを伝 え るの に 重
映 され な い.と
要 な 役 目を果 た して い る.し た が って,類 型 論 的 に,ギ
ア ッテ ィ カ方 言 が,文 字 通 り古 典 的 な文 語 をつ く り上
くに,ギ
リ シア語 の場 合 は,前 述 した
リシア語 の語 順 が,ど の よ うな タ イ プ に属 す るか を判
げ て い た の で,そ れ以 後 も,これ が 書 き こ とばの 規 範 と
定 す るの は 容 易 で な いが,動 詞 の も っ と も無 標 な位 置
仰 が れ,以 来,日 常語 に 基づ い て新 た な文 語 をつ くり出
は文 末,つ ま りSOV型
す とい う試 み は,近 代 ギ リシ ア に至 る まで ま った く行
とい って よい か も しれ な い.
しか し,動 詞 の後 は,文 の拡 張 的 成 分,あ る い は新 情
な わ れ な か った.と
報 の追 加 の た め の重 要 な位 置 で あ る. 動詞 の 位置 以 外
た 「ア ッ テ ィカ 語 運 動(atticism)」
くに,紀 元 後1世 紀 頃 か ら始 ま っ と よば れ る,言 語 ・
文 学 上 の 極 端 な 擬 古 主 義 に よ っ て,文
語 は 口語 と の 縁
ト の 変 化 と,そ
を完 全 に断 ち切 られ た . 古 典 期 の ア ッテ ィ カ 方言 を手 本 とす る こ の 擬 古 的 な ギ リ シ ア 文 語 は,か 字 階 級 の 手 に 守 ら れ な が ら,ロ 時 代 を 生 き ぬ い て,近 revusa)」
の
「民 衆 語(Dimotiki)」
[資
方,文
字の束縛を離れ
ま ざ ま な 転 変 を 経 て,現
料]
代 ギ リ シア
へ と つ な が る の で あ る.
こ の よ う な わ け で,ヘ
れ に 由 来す る母 音 の 長短 の 区別 の
わ ゆ る`isochrony')
で あ る . ま ず 最 初 に 起 こ っ た の は,/〓/(ど 表 記 はEIで,す
で に,ア
ち らも
ッ テ ィ カ 方 言 の 段 階 で,両
は 合 流 し て い た 可 能 性 が あ る)の/〓/へ
代 ギ リ シ ア の 「純 正 語(Katha
へ と 受 け 継 が れ,一
た 日常 口 語 は,さ
ぎ られ た識
ー マ か ら ビザ ンテ ィ ン
消 失(い
て,長
母 音,二
重 母 音 の 単 母 音 化,す
/>/〓/で,こ
レニ ズ ム ・ロー
/〓/>/〓/,お
そ ら く前3世
よ び/〓/>/〓/で
あ る が,こ
の 変 化 と 並 行 し て 進 ん で い た 上 述 のisochronyの
して豊 富 とは い えな い . 古 典 的 な 教 養 を も った人 た ち
果,お
とん ど す べ て,ア
ッテ ィ カ 文語 に の っ とっ
て 書 か れ て い る か ら で あ る.通
常,コ
され る の は,著 作 物 と し て は,ギ
リ シア 文語 の伝 統 の 圏
紀 に
い で 起 こ っ た の が,/ai/>/〓/,
マ 時 代 の 口 語 の す が た を 忠 実 に 伝 え る 文 献 資 料 は,決
の 著 作 は,ほ
し
な わ ち/〓
れ は,お
は 完 了 し て い た.次
者
の 合 流,そ
そ ら く ヘ レ ニ ズ ム 期 の 終 わ り 頃 に は,短
長 母 音 の 区 別 が 失 わ れ て,日
イ ネ ー の資 料 と
〓/の
れ ら 結 母音 と
常 語 の 母 音 体 系 は,/
よ うに な って い た と思 わ れ
る . こ こ か ら さ ら に,/〓/>/〓/,お
よ び/〓/>/〓/
外 で 仕 事 を し た 歴 史 家 の ポ リ ュ ビ オ ス(Polybios,B.
と い う 合 流 が 起 こ っ て,最
音 体 系 が もた ら
C.201頃
さ れ た . そ の 時 期 は,お
前1世
∼120頃),デ 紀 後 半),哲
D.55頃
ィ オ ド ロ ス(Diodorus
ど の 作 品 が あ る が,も
紀 に,ア
リ シ ア 語 訳,そ 2世 紀)の
っ と重 要
レク サ ン ド リア でつ くられ た
「70人 訳(Seputuaginta)」
と よ ばれ る 旧約 聖 書 の ギ
し て と り わ け,新
約 聖 書(紀
ギ リ シ ア 語 で あ る.こ
こ に は,古
や 伝 統 文 語 の 規 範 に 束 縛 さ れ な い,あ
子 音 で 起 こ っ た 重 要 な 変 化 は,無 声 音 の 摩 擦 音 化,す
化 よ り遅 れ て,お
典的教養
た . こ の 変 化 は,母
た が 色 濃 く映 し 出 さ れ て い る.し
語 表 記 や,ギ
プ トか ら大 量 に 出 土 し て い る,さ ュ ロ ス 文 献,と
く に,そ
ま ざ まな 内 容 の パ ピ
の 中 の私 的 な書 簡 の類 で あ る.
ギ リ シ ア 語 で 書 か れ た,こ 紀 元 前4世
典期以後の
の時期のエ ジ
の よ う な パ ピ ュ ロ ス 文 書 は,
紀 か ら 紀 元 後8世
紀 に お よ び,古
典後期 か
[文
法]
以 上 の 諸 変 化 の 中 で,と
大 が か り な 合 流 は,ギ
omen(直
詞〓,kalo:s「
音 体 系 の変 化 で あ る.
母 音 と し て,
/a:,e:,e:,i:,o:,u:,u:/の7個,そ
の 他 に,二
重母
音 と し て,/ai,ei,oi,ui,a:i,e:i,o:i,au,eu/ の9個,合
計21個
の 母 音 を 区 別 し て い た.こ
挙 に 起 こ っ た わ け で は な く,そ
に 至 る ま で に は,い
くつ か の 段 階 が あ っ た が,そ
一 連 の 変 化 は,結
局 の と こ ろ2つ
起 こ っ て い る.す
な わ ち,
1)‐iを 化(い 2)高
こ
れ ら
の プ ロセ ス に よ って
リ シ ア 語 の 文 法 は,こ
の 時 期 に 大 き く再 編 成 さ れ た. ま ず 名 詞 組 織 で は,双
数 が 失 わ れ,格
変化の類推的
進 行 し た け れ ど も,「 性 」や 格 の 体 系 そ の
も の は 変 わ ら な か っ た . 形 容 詞 で は,‐〓,‐teros; ‐〓
,‐tatosに
副 詞 は,中 kaの
よ る 規 則 的 な 比 較 の 形 成 が 広 が り,
性 複 数 形 に 基 づ く〓,kala;〓,ka
形 が〓,kalo:s;〓,kako:sの
型に と
動 詞 組 織 に 起 こ っ た 変 化 は,も
っ と 重 大 で あ る.そ
の 主 な も の を あ げ れ ば,
わ ゆ る'iotacism'), ら 強 弱(stress)へ
良 変化 以 外 の
っ て 代 わ っ た.
含 む 二 重 母 音 の 単 母 音 化 と前 舌 母 音 の 高 舌
低(pitch)か
良 く」∼ 形 容 詞〓,kalos「
い 」 も 同 形 と な っ て し ま う . も ち ろ ん,音
pateran)が
の 母 音 に 減 少 して し ま う の で あ る.
も ち ろ ん こ れ は,一
形 態 的 区 別 は 失 わ れ,副
規 則 化(た と え ば,子 音 幹 の 単 数 対 格 語 尾 ‐α,‐a> ‐〓,‐an,e.g.〓,patera「 父 を 」 >〓,
れ が,古
代 末 期 コ イ ネ ー の 最 終 段 階 で は,/a,e,i,o,u,u/ と い う 全 部 で6個
続法現
来)∼〓,lu:so:‐
続 法 ア オ リ ス ト)の
さ ま ざ ま な 要 因 も 加 わ っ て,ギ
で に 述 べ た よ う に,短
母 音 と し て,/a,e,i,o,u/の5個,長
と え ば,,〓,lu:‐
接 法 現 在)∼〓,lu:o:men(接
[音
っ と も 重 大 な の は,母
りわ け母 音 の
リシア 語 の文 法構 造 に とっ て も
重 大 な 関 わ り を も っ て い る.た
men(接
中 で,も
ー ト語 そ の 他 で の ギ リ シ ア
リシ ア文 字 の使 用 法 か ら間接 的 に確 か め
在),〓,lu:somen(未
古 典 期 の ア ッ テ ィ カ 方 言 は,す
記 上の 変 化 と して は現 わ れ な
る こ と が で き る.
ら ビ ザ ン テ ィ ン 時 代 に い た る,お よ そ1千 年 間 の ギ リ シ
この 時 期 に起 こ った 音 韻面 で の変 化 の
音 の 場 合 の よ う な音 素 合 流 をひ き
テ ン語,ゴ
ア 語 の 変 遷 を 跡 づ け る 貴 重 な 手 掛 か り と な っ て い る. 韻]
音の変
そ ら く紀 元 後 の 数 世 紀 の 間 に 起 こ っ
起 こ さ な か っ た の で,表 い け れ ど も,ラ
か し,古
れ は,母
元 後1∼
る い は む し ろ,
声 有 気 音 お よび 有
な わ ち,/ph,th,kh/>/〓
/,/〓/>/〓/で,こ
そ の よ う な も の か ら疎 外 され た 人 た ち の 日 常 語 の す が
口 語 資 料 と して も っ と も 重 要 な の は,こ
そ ら く初 期 ビザ ン テ ィ ン 時 代
で あ ろ う.
学 者 エ ピ ク テ トス(Epictetus,A.
∼135頃)な
な の は,前3世
Siculus,
終 的 な6母
の ア クセ ン
1)い
わ ゆ る ‐〓,‐mi動
詞 の 衰 退 と 消 滅,た
とえ
ば,〓 2)能
>〓
「与 え る 」
動 ∼ 中 動 ∼ 受 動 と い う3つ
の 態 の 対 立 か ら,
[参 考 文 献] 1)ギ
能動 ∼ 受動 の二 項 対 立 へ の 移 行 求法 の 消滅
4)接
続 法 と 直 接 法 の 形 態 的 合 流 と,そ
現 に よ る,新
と え ば,〓,thelo「
Geschichte
了 と ア オ リス トの 機 能 的 合 流 に よ る,完
現 在 分 詞(=継
b)eimi+
能動 完 了分 詞 また は ア オ リ ス ト分 詞
続 相)
能 動 ア オ リ ス ト分 詞 ま た は 受 動 完 了
分 詞(=能
動 完 了 形)
これ ら の 変 化 は,日
常語 の レベル で 長 期 間 にわ た って か も,書
き 残 され た 記 録 の 中 に は, き
こ と ば の 背 後 で こ の よ う に 変 貌 し た ギ リ シ ア 語 は,比
く ぐ り抜 け て,近
代 の ギ リ シ ア 語 口語 に そ の ま ま つ な
が っ て い る . 要 す る に,コ
イ ネ ー は,近
代 ギ リシア 語
書]
古 典 ギ リ シ ア 語 の 辞 書 と し て,現
も っ と も 標 準 的 な,そ and
在,
R.Scott(1968),Greek‐English
る . こ れ は,そ
か 版 を 重 ね て,全
Lexicon
University
の 初 版 が1843年
(Faber
を と も な っ て,も れ た 改 定 版 が1968年 用 さ れ て い る.な
Press)で
あ
に 出 さ れ て 以 来,何
の 後 さ ら に,補 と の2冊
に 出 さ れ,こ
お,こ
度
griechischen
に合冊 さ
れ が 現 在 一 般 に利 学者用の縮約
辞 典(Intermediate)も
あ る.
Worterbuch,3Bde.(Carl
Winter,Heidelberg)と,最
grecque
etymologique
de
リシア語 学 の最 新 の 成 果 を盛
わ め て 水 準 の 高 い も の で あ る が,同
Language
Faber,London)
高 津 春 繁(1960),『
ギ リ シ ア 語 文 法 』(岩
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Sprache Ⅰ
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Mycenien
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言
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Greek
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3)方
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d'une
Grecque(Hachette,Paris)
University
遺(Supplement)
本 が1冊
の 辞 書 に は,初
版(Abridged)と,中
&
2)文
面 的 に改 定 され た 新 版(第9版)が
に 完 成 さ れ た.そ
Langue
Grammatik,Ⅰ
して 信 頼 で き る も の は,H.G.
(rev.ed.,Oxford
la
1955,Wissenschaftliche
の 母 胎 に ほ か な ら な い の で あ る.
り込 ん だ,き
der
Harrassowitz,Wiesbaden)
京)
較的 変 動 の 少 な か っ た と思 わ れ る ビザ ンテ ィ ン時 代 を
あ り,と
Sprache
,Berlin)
Palmer,L.R.(1980),The
来)
必 ず し も一 律 の 形 で は 現 わ れ て こ な い け れ ど も,書
langue
griechischen
Meillet,A.(1913,19758),Apercu de
能 動 ア オ リス ト分 詞(=未
徐 々 に 行 な わ れ,し
la
der Gruyter
Sprachgeschichte(Otto
受動 完 了 分 詞 また は ア オ リス ト分 詞
e)ekho+
1940年
(1969),Geschichte Ⅰ ‐Ⅱ(Walter de
A.Scherer
動 完 了 形)
d)ekho+
Liddell
Sprachwissenschaft Ⅰ de Gruyter,Berlin)
Hiersche,R.(1970),Grundzuge
果 相)
c)eimi+
‐Ⅲ(Walter Hoffmann,O.,Debrunner,A.und
a)eimi+
[辞
die
Sprache(Vandenhoeck
Ruprecht,Gottingen;Nachdruck
ま ざま な 複 合 表現 の 発
な わ ち,
(=受
in
griechischen
Brandenstein,W.(1954‐66),Griechische
よ び 所 有 動 詞(〓,
助 動 詞 と す る,さ
(=結
京)
1970)
在 動 詞(〓,eimi)お
達,す
der
&
了形
時 制 の消 滅
e kho)を
ギ リ シ ア 語 の 歴 史 」 『言 語 の 系 統
Kretschmer,P.(1896),Einleitung
不定詞
7)存
京)
と 歴 史 』(岩 波 書 店,東
しい 未
欲 す る 」+
説
ギ リ シ ア 語 」 『世 界 言 語 概 説 』I
松 本 克 己(1971),「
合 的(periphrastic)表
来 形 の 発 達,た
(研 究 社,東
れ に と もな
う ‐s‐未 来 形 の 消 滅
6)完
リ シ ア語(史)概
高 津 春 繁(1952),「
3)希
5)複
大 変 読 み や す い 辞 書 で も あ る.
Nachdruck
Epigraphica
Graecarum Potiora(Leipzig;
1960,Olms,Hildesheim)
Bechtel,F.(1923‐24),Die
griechischen
Dia
波
lekte Ⅰ ‐Ⅲ(Weidmann,Berlin)
を通 じて,学 者 や 限 られ た支 配 層 の 間 で遵 守 され,一
Buck,C.D.(1968),The University
Greek
of Chicago
方,民 衆 の 日常 語 は,さ ま ざ ま な言 語 変 化 に さ ら され
Press,Chicago)
Thumb,H.,Kieckers,E.und
なが ら,文 字 言 語 と の距 離 を ます ます 拡 げ て い った.
A.Scherer(1932‐
59),Handbuch
der
‐Ⅱ(Carl Ⅰ
Dialects(The
Winter
griechischen
ビザ ンテ ィ ン帝 国 の崩 壊 に よ っ て,ギ
Dialekte
,Heidelberg)
や 教 会 の 中 で,細 々 と維 持 され た けれ ど も,政 治 的 な
Schmidt,R.(1977),Einfuhrung
in
die
griechischen統 一 と文 化 的 な 中心 を失 った 民 衆 のギ リシア 語 は,地
Dialekte(Wissenschaftliche
Buchgesellshaft, 域 方 言 へ の細 分化 を強 め な が ら,貧
Darmstadt) aux
Anciens(Editions
4)コ
Dialectes
19世 紀 に入 って,ギ リシ ア が よ うや く独 立 をか ち え
Peeters,Louvain)
た と き,独 立 国 ギ リシ ア の正 式 な言 語 と して 何 を選 ぶ か は 大 問 題 で あ った が,当 時 の 為政 者 た ち に よ っ て選
イネー
神 田 盾 夫(1958),『 書 店,東
新 約 聖 書 ギ リ シ ア 語 入 門 』(岩
波
Geschichte
der
griechischen
Sprache
Zeit
10.Jahrhundert
hellenistischen
bis zum
von
n.Chr.(Teubner,Leipzig;Nachdruck
zur
衆 の 日常 語 は,ギ リ シア の 「国語 」 と してふ さわ し くな
der
い と判断 され た か らで あ る.こ れ が,「純正 語(Katharevusa) 」 とよ ばれ る もの で,以 来,150年
1970,
Olms) griechische
Zeitalter
des
Sprache
Hellenismus(Walter
り法,文 法,そ de
Gruyter,Berlin)
Papyri
1‐3(Walter
aus de
Blass,F.und
der der
こ とも理 解 す る こ と もで きな か っ た.そ のた め に,「民 衆 語(Dimotiki)」
Greek Ⅰ
上 が り,以 来,純 正 語 と民衆 語 の対 立 は,ギ
Grammar
of
New
い わ ゆ る 「言語 問題(〓)」
Testament
て,し ば しば 大 きな政 治 問題 に ま で発 展 した.民 衆 語 は,1888年,プ
近 代 ギ リ シ ア 語 〓,英Modern
1919年 に,初 等 教 育 の 国 語 読本 で採 用 され,1941年
Greek,
ビ ザ ン テ ィ ン帝 国 の 滅 亡(A.D.1453)後
代 的 に は,
お いた 本 格 的 な文 法 書 が 書 か れ る な ど,次 第 に文 字 言
の,オ ス マ ン ・
語 と して の体 裁 を整 え なが ら,そ の 地 盤 を 固 め て い っ
トル コ の 支 配 時 代 か ら 現 代 ま で の ギ リ シ ア 語 を い う. リ シ ア が トル コ の 支 配 を 脱 し て 政 治 的 に 独 立
し て か ら(1830年 こ と も あ る.現
以 降)を,「
現 代 ギ リ シア語 」 とよ ぶ
リ シ ア 本 国 に 約870万
人,キ
改 正 とい う大決 断 に よ って,つ い に民 衆 語 は,純 正 語 に 代 わ る公 用 語 と して の 地 位 を獲 得 し,長 年 にわ た る ギ リシ ア の 「言 語 問題 」 とい う よ り,む し ろ 「言 語 戦 争 」 は,少 な くと も政 治 レベ ル で は,一 応 の解 決 をみ
ギ リ シ ア の 標 準 文 語 は,古
典
言 に基 づ い て確 立 され た
れ ほ ど 大 き な 改 変 を 加 え ら れ る こ と な く,
ヘ レ ニ ズ ム 期 以 後,ロ
の 言語 を め ぐる確 執 は そ の後 も続 い た が,1976
年,新 た に登 場 した ギ リシ アの 民 主 政 権 に よ る,憲 法
プ ロス を 含 む 諸 外
人 を 数 え る.
期 の ア ッ テ ィ カ(Attika)方
た,2つ
の 統 計 に よれ
在 の 話 者 人 口 は,1976年
[純 正 語 と 民 衆 話]
〓)に よ って,初 め て 民 衆 語 に 基 礎 を
欧語 の 中 で は もっ と も長 い
歴 史 を もつ ギ リ シ ア 語 の 新 し い 形 態 で,年
も の が,そ
に
は,セ サ ロ ニ キ大 学 の ト リア ンダ フ ィ リデ ィ ス(M.A.
3千 年 以 上 に 及 ん で,印
国 に 約100万
シ ハ リス の 『わ が 旅 』(〓:
て か ら(日 本 で,二 葉 亭 四 迷 の 『浮 雲 』 が 出 た 翌 年),
克 己)
独Neugriechisch
ば,ギ
とし
〓)に よ り初 め て ギ リ シア散 文 に登 場 し
近 代 ギ リ シア語 (松 本
ま た,ギ
リシ ア の
N.Turner
‐Ⅲ(Edinburgh)
照]
しめ られ て い た 日
す る運 動 が,文 学 者や 進 歩的 知 識人 の 間で 次 第 に盛 り
Griechisch(Vanden
Ruprecht,Gottingen)
(1908‐63),A
とよ ばれ て,卑
常 口語 を,正 規 の 書 き こ とば の地 位 に まで 高 め よ うと
A.Debrunner(196512),Grammatik
&
差 の な い もの で,そ の 発音 だ け は,現 代 語 風 に な され る
特 別 の 教 育 を 受 け た者 で な けれ ば,こ れ を正 し く使 う
Ptolemaerzeit,Bd.I,
Moulton,J.H.,Howard,W.F.and
[参
griechi
Gruyter,Berlin)
neutestamentlichen
hoeck
の言 語 は,綴
して語 彙 ま で も,古 典 ギ リシ ア語 と大
け れ ど も,日 常 の話 し こ とば とは,ま った くか け 離 れ,
Mayser,E.(1935‐70),Grammatik schen
近 くの間,
ギ リシア の 公 用語 と して,官 庁 は もち ろん,大 学,教 会,学 校,新 聞等 で用 い られ て きた.こ
Thumb,A.(1901),Die
des
ばれ た の は,過 去 の栄 光 に満 ち た伝 統 文 語 で あ っ た. 長 年 の 貧 困 と,ト ル コ語 の影 響 下 に放 置 され て きた 民
京)
Dietrich,K.(1889),Untersuchungen
im
困化 の 一 途 を た ど
った.
Duhoux,Y.(1983),Introduction Grecs
リシ ア文 語 の伝
統 は,オ ス マ ン ・トル コ の 臣下 と な った ギ リシア 官 僚
ー マ 時代 か らビザ ンテ ィ ン時 代
た. 以 下 に と り上 げ る の は,こ の民 衆 語 と よばれ る ギ リシア語 で あ る. [音 と文 字]
近代 ギ リシ ア語 の 基 盤 は,す で に古
代 末期 の コイ ネー(Koine,「
共 通(語)」)の
時代 に ほ
ぼ形 づ くられ,と
くに音 構 造 は,そ れ 以 来,基 本 的 に
小 さ く,文 法 組 織 も全 体 的 に み て か な り保 守 的 で あ る.
は,ほ と ん ど変 わ っ てい な い.ビ ザ ンテ ィン以 後 に起
ま ず,名
こ った,体 系 に関 わ る音 変 化 として 重 要 な の は,/〓/>
中 性,「 数 」 は,単
/〓/の 変化 だ け で あ る. これ に よ って,母 音 体 系は,
双 数 は な い . 「格 」 は,呼
6母 音 か ら5母 音 へ 変わ った.現 代 の 標 準的 な ギ リシ
の3つ
ア 口語 の 土 台 に な って い る の は,南 部 ギ リシ ア,と
格 変 化 は,古
に ペ ロポネ ソス(Peloponnesos)の
く
方 言 で,こ れ は音
韻 面 か らみ る と,比 較的 保 守 的 な性格 を もっ て い る. ま ず,母 音 は,/〓/と
い う安 定 した5
詞 の 文 法 範 疇 と し て は,「 性 」 は,男 性,女 性,
で,古
数 と複 数 の 区 別 で,コ 格 を 除 き,主
イ ネ ー 同 様,
格,属
格,対
格
代 語 に あ った 与 格 は属 格 に吸 収 され た. 代 語 に み ら れ る 子 音 幹 と母 音 幹 の 区 別 が
失 わ れ,そ
の 代 わ り に,男
の 区 別 が,一
性 名 詞 と女性 名 詞 の形 態 上
層 明 確 化 さ れ た.た
「父 」∼imitera「
母 」(‐sが,常
と え ば,o
pateras
に,男 性 単 数 主 格 の 標
母 音 の体 系 で,古 典語 にみ る よ う な長 短 の音 韻 的 対 立
識 と な る).し
は な い.
‐n(こ れ は ,単 数 対 格 の 標 識)の 消 失 が 進 行 し て,格
か し,口
語 レ ベ ル で は,語 末 子 音 と く に
ア ク セ ン トは,そ れ ほ ど強 くない ス トレス ・ア ク セ
尾 の 形 態 的 区 別 が 不 明 瞭 と な り,そ
ン トで,ア ク セ ン トの あ る 音節 で は,母 音 は,比 較 的
文 法 範 疇 の 標 示 と し て,冠
長 く発音 され る.ア ク セ ン トの位 置 は,古 典語 と同 じ
て い る.
よ うに,語 末 の3音 節 の 範 囲 内 で 自 由で あ る.
形 容 詞 で は,比
子 音 は,閉 鎖 音 が/〓/,摩
則 的 な ‐teros,‐tatosに
擦 音 が/〓
/,破 擦 音 が/〓/,鼻 音 が/〓/,そ 音)/〓/(前
音,流
して,半 母 音(ま た は 口蓋 摩 擦 舌 母 音 の前 のg,お
よび,母 音iか
ら発 生
失 い,ロ
と え ば,kalos「
kalos∼opiokalos,に
本 的 な 骨 格 は 古 代 語 と あ ま り変 わ
ず,動
と 受 動 態 の 対 立 で,そ じ よ う に,人 え ば,能
また,し ば しば 交 替 す る(た と え ば,opateras「
ome,fern‐ese,fern‐ete:「
父
父 を 」).し か し,語 頭 母 音 の 消
3人
詞の
「態(voice)」
は,能
の 形 態 上 の 区 別 は,古
動態
代 語 と同
称 語 尾 の 違 い に よ っ て 表 わ さ れ る(た
後 で 有 声化 した)の で,両 者 は相 補 的 な関 係 に あ り,
が 」 ∼tonbatera「
良 い 」∼pio
と っ て 代 わ ら れ た.
って い な い.ま
現 わ れ な い(つ ま り,鼻 音 の
代 語 で規
マ ン ス 語 に み る よ う な 副 詞pio(=`more')
とnだ けで あ る.な お,有 声閉 鎖 音b,d,gは,本
決 して無 声 のp,t,kが
上 級 の 形 成 は,古
よ る屈 折 的 な 型 が 生 産 性 を
に よ る 分 析 的 表 現,た
動 詞 の 組 織 も,基
来
語
詞 の
詞 の 役 割 が ま す ま す強 ま っ
較 級,最
した もの)で あ る.子 音 の 中 で語 末 に立 ち う るの は,s
は,鼻 音 の後 に しか 現 わ れ ず,そ して,こ の 位 置 に は
の た め に,名
動:fern‐o,fern‐is,fern‐i∼
称 単 数).次
に,動
と
受 動:fern‐
運 ぶ 」 の そ れ ぞ れ1・2・ 詞 の 「法(mood)」
は,直
接 法,
失 に よっ て,若 干 の 語 で,有 声 閉 鎖 音 が 語 頭 に現 わ れ
命 令 法,接 続 法 の ほ か に,ロ マ ン ス 語 に み ら れ る よ う な
る よ うに な った.ま た,/〓/は,i,eの
「条 件 法 」 が 発 達 した.接
蓋 化 したk,cで
前では 口
現 わ れ る.
続 法 と 条 件 法 は,古 代 語 の よ
う な 屈 折 的 手 段 で は な く,前
者 は,na+
文 字 は,古 代 以 来 の ギ リシア文 字 が そ の まま 使 わ れ
お よ び ア オ リス トの 接 続 法 形,後
て い るが,そ の 音 価 は大 き く変 わ った . 以下 が,そ の
形 に よ っ て 表 わ さ れ る,た
文 字 とそ れ ぞ れ の音 価 で あ る.
eferna(naは,古
古代語の現在
者 は,tha+
と え ば,na
過去時制
ferno,tha
代 語 のhina'that'に
由 来 す る).
動 詞 活 用 の 中 心 を な す テ ン ス と ア ス ペ ク トの 体 系
大文字 小文字 音 価
は,古
代 語 の 場 合 と ほ ぼ 同 じ よ う に,時
過 去,未
大文字 小文字 音 価k
来,ア
ア スペ ク ト
時 間
正 書 法 は,現 代 ギ リシア 語 に とっ て も っ と も厄 介 な
現 在 過 去 未 来
ス ペ ク ト軸 に,継
継 続 相 〔 現
間 軸 に,現
続 相,瞬
在,
間 相,完
了
瞬 間 相 完 了 相
在〕
〔 現 在 完 了〕
〔 未 完 了〕 〔 ア オ リス ト〕 〔 過去 完 了〕 〔 継 続 未 来〕 〔 瞬間未来〕 〔 未 来 完 了〕
問 題 で,純 正 語 にみ られ る極 端 な伝 統 主義 を是 正 して, 多 少 と も実 際 の 発 音 に綴 り字 を 近 づ け よ う とす る 試み
相 の そ れ ぞ れ3つ の範 疇 を 区別 し,両 者 が 組 み 合 わ さ
は 行 な われ て い る けれ ど も,民 衆 語 に お け る正 書 法 の
れ て,次 の よ う な体 系 を形 づ くる.下 表 〔 〕 内 は,
改正 は,今 後 の 大 き な課 題 で あ る.ま た,そ の 際,徹
具体 的 な テ ンス の 名 称 で あ る.
底 した 表音 主 義 を とる こ とが 望 ま しい か ど うか,少 な
この 体 系 は,継 続 相 ∼ 瞬 間相 の対 立 を未 来 時 制 に ま で
くと も現 状 で は 問 題 で あろ う.
拡 大 して い る点 で 古代 語 と異 な り,い っそ う,均 整 的
[文
法]
現 代 ギ リシ ア語 は,ラ テ ン語 か ら発達
した近 代 の ロマ ンス 諸 語 に 比 べ れ ば,変 化 の 度 合 い が
に な って い る. 動 詞活 用 の 形 態 面 で の 大 き な特 徴 は,古 い 屈 折 形 に
代 わ って,複 合 的 ・分 析 的 表 現 が 出現 した こ とで,す
わ れ る こ と,な
なわ ち,未 来 形 は,tha+
方 言 の 主 な 特 徴 は,前
い 接 続 法 形,完
現 在 お よび ア オ リス トの古
了形 は,助 動 詞ekho(=have)+
ア
[〓],[〓]と
ど が あ げ ら れ る.ま
発 音 さ れ る こ と(い
オ リス トの 古 い 不 定 詞 形(能 動 形 ‐i< ‐ein,受 動 形
語 末 の ‐nの 保 存,語
‐thi< ‐thein)に よ って 表 わ され る.未 来 を標 示す る
る 鼻 音 の 消 失,付
thaは,thelona(`I
お か れ る こ と,な
want
that')の 短 縮 され た形
動 はime`Iam')+
‐menosに
終 わ る過 去 受 動 分詞 と
ど で あ る.
ソ ス の 南 端 の マ ニ(Mani)方
言,同
て 重 要 な 役 割 を果 た した オ ー グ メ ン ト(augment)は,
者 は,古
し ば しば 消 失 し,時 制 の 標 示機 能 は ふ た たび 人 称 語 尾
ロ ポネ
じ くペ ロ ポ ネ ソ ス 言 が あ り,と
くに後
代 ギ リ シ ア の ラ コ ニ ア(Lakonia)方
とみ ら れ,現
代 諸 方 言 中,ほ
言の後裔
とん ど唯 一 の 古 代 方 言 の
生 き 残 り で あ る. ギ リ シ ア 本 国 以 外 で 重 要 な 方 言 は,お
動 詞 の 派 生 形 と して,古 代語 に あ っ た分 詞 お よび 不
におけ
立 し た 特 異 な 方 言 と し て,ペ
東 岸 の ツ ァ コ ニ ア(Tsakonia)方
の 方 に移 って きて い る.
わ ゆ る`tsitacism'),
中 の ‐mb‐,‐nd‐,‐ng‐
い う形 も あ る.な お,古 代 語 で,過 去 時制 の 標 識 とし
現 代 語 に も生 き残 った が,ア ク セ ン トの ない 音 節 で は
ー ゲ 海 の諸
前 で/〓/が
属 語 的 代名 詞 の 目的 語 も動 詞 の後 に
こ の ほ か に,孤
で あ る.他 に,完 了 形 の 表 わ し方 と して は,ekho(受
た,エ
舌 母 音i,eの
話 者 人 口 を もつ キ プ ロ ス の 方 言,イ
よ そ50万
人の
タ リア半 島 の 先 端
定 詞 の豊 富 な体 系 は す が た を消 し,分 詞 とし て残 った
部 サ レ ン ト(Salento)お
の は,‐ondasに
地 に か ろ う じ て 残 存 す る 南 イ タ リ ア の ギ リ シ ア 語,そ
(gerondif)的
よ る ロ マ ン ス 語 の ジ ェ ロ ンデ ィ フ な現 在 分詞 と ‐menosに
よ る過 去 受 動
し て,か
つ て200万
よび カ ラ ブ リ ア(Calabria)の
人 近 い 話 者 人 口を もっ て い た 小 ア
分 詞 だ け,ま た,不 定 詞 は 形態 的 範 疇 として は完 全 に
ジ ア の ギ リ シ ア 諸 方 言 が あ る.小
消 滅 し,そ
は,1923年,ト
の機 能 は,naに
よ る接続 法 に とっ て代 わ
ア ジア の ギ リ シア 人
ル コ と の 住 民 交 換 に よ っ て,ギ
リ シア
られ た . な お,不 定 詞 の 消 滅 は,周 辺 のバ ル カ ン諸 語
本 国 へ 強 制 送 還 さ れ て 各 地 に 離 散 し た た め に,そ
(アル バ ニ ア 語,マ ケ ドニ ア 語,ブ ル ガ リア語 な ど)に
言 は,事
も及 んで,重 要 なバ ル カ ン的 特 徴 の1つ に数 え られ る.
豊 富 に 保 存 さ れ て い る.小
現 代 ギ リシ ア語 の 語 順 は,古 代 語 に比 べて は る か に
定 詞 を は じ め,古
固 定 化 し,ロ マ ンス 諸 語 に近 い 型 に な ってい る.す な
(ポ ン トスPontos方
わ ち,SVO型
コ 語 の 影 響 に よ っ て,母
の完 全 な 前 置詞 言 語 で,付
属語的代名
実 上 消 滅 し た.し
発 達 さ せ た 方 言(カ
語 と同 じで あ る.修 飾 的 形 容詞 の位 置 は,名 詞 の後 と
ど もみ ら れ る. [辞
ア ジ ア の 方 言 の 中 に は,不
い 言 語 特 徴 を よ く保 存 し て い る も の
詞 の 目的 語 だ けが 動 詞 の 前 に お か れ る点 も,ロ マ ンス
前 が 共 存 す るが,属 格 は,被 限定 名 詞 の後 にお かれ る
言)も
あ る が,ま
ッ パ ドキ アKappadokia方
代 名 詞 に 代 わ って,不 変 化 のpu(=`where')が
い る の は,J.T.Pring,The
られ,先 行 詞 との 文 法 関 係 は,必 要 が あれ ば付 属 語 的
of
代 名 詞 の 挿 入(puと
lishの
み),最
た.し
か し,ど
[方
言]
現 代 の ギ リシア語 方 言 は,ご
く一 部 の
例 外 を除 き,古 代 の 諸 方 言 とは関 係 が な く,す べ て コ
ル
言)な
書]
現 代 ギ リ シ ア 語 の 辞 書 と し て,現
動 詞 の 間)に よ っ て明 示 され る.
た 一 方,ト
音 調 和 や トル コ 語 的 統 語 法 を
の が 普 通 で あ る.な お,関 係節 の導 入 詞 は,古 い 関 係 用い
の方
か し,そ れ ら の 方 言 資 料 は,
Modern
在 よ く利 用 さ れ て
Oxford
Greekで,初
Dictionary
版 は1965年(Greek‐Eng
近(1982),English-Greekも
十 分 で あ る.詳
出 され
ち ら も収 録 語 彙 数 が 少 な く,語 し い 辞 書 と な る と,今
釈 も不
の と ころ ギ リシ
イ ネ ー に源 を 発 し,諸 方 言 の分 化 した 時期 は,お そ ら
ア 語 の も の し か な く,こ
く ビザ ンテ ィ ン時代 後 半 か ら トル コの 支 配 時代 の 間 と
(1964),〓,
思わ れ る.地 域 に よる言 語 差 は,細 か に み る と多種 多
I‐ⅩⅤ(〓)が
もっ と も浩瀚 か
様 で あ るが,大
つ 詳 細 で,古
代 語 か ら現 代 語 ま で 収 録 し う る か ぎ り の
き く分 け る と,本 土 で は,中 部 ギ リ シ
の 中 で は,〓
ア か らペ ロ ポ ネ ソ ス にい た る南 部 方 言 と,テ ッサ リア
語 彙 を 網 羅 し て い る . ほ か に 手 頃 な も の で は,同
(Thessalia)以
者 の
北 の北 部 方 言 が 区別 され,一 方,ク
レ
タ 島 を含 む エ ー ゲ諸 島 は,本 土 方 言 に 対 して,ま た別
(〓,1969),M.B.〓
の方 言 圏 を形 成 す る.
(1975?),〓(〓
現 代 の標 準 ギ リシ ア語 の基 盤 と な って い る の は南 部 方 言 で あ るが,こ れ に対 して,北 部方 言 の主 要 な特 徴
〓)な
して,u,iが
した が って,間 接 目的 語 に は属 格 の代 わ りに対 格 が 現
た,語
源辞書
〓(〓
ゼ ロに な っ た こ と,文 法
面 で は,古 い 与 格 が 属 格 で は な しに 対格 に吸 収 され た,
ど が あ る.ま
と して は,N.Ⅱ.〓(1971),〓
と して は,音 韻 面 で は,ア クセ ン トの ない 音 節 のo,e がu,iに,そ
じ著
〓
)が も の で あ る. [参 考 文 献]
ほ とん ど唯 一 の
《概 説 書 》
仏 celtique,伊celtico
Hatzidakis,G.N.(1892),Einleitung neugriechische
in
Grammatik(Breitkopf
Leipzig;2nd
&
die Hartel,
ed.1975,Athens)
し,大
〓,M.A.(1938),〓
〓) and
Modern
源 で あ る.た Modern
University
Greek
Language
Press)
ritum「
水
島)
元 前5世
紀 頃,鉄
」,raeda「
製 武 器 と新 し
輪 車 」,petor 旅 行 用 馬 車 」,cisium を 備 え て,ケ
ル
な わ ち,フ
ラ
ト民 族 は 再 び 精 力 的 な 拡 張 を 始 め た.す ア(Gallia)に
浸 透 し,
西 進 し て 海 峡 を 越 え て ブ リテ ン 島 に 進 み(ア 現 代 ギ リ シ ア 語 文 法 』(泉 屋 書 店,大
阪)
ド,ス
コ ッ ト ラ ン ド,イ
でに 文 化)
とん ど ゴー ル 語 起
荷 馬 車 」,等)と
わ ゆ る ガ(ッ)リ
部ス
し て,す
「ラ テ ー ヌ(LaTene)」
と え ば,carpentum「二
四 輪(馬)車
ン ス 全 域,い
関 本 至(1968),『
ル ト民
西 ドイ ツ,北
物 の ラ テ ン 語 は,ほ
「二 輪 車 」,carrus「
現 代 ギ リ シ ア の 言 語 と 文 学 』(溪
法》
ン グ ラ ン ド,ウ
イル ラン
ェ ー ル ズ),
ガ リア か ら南 進 し て ピ レ ネ ー 山 脈 西 部 を 越 え,イ
Thumb,A.(1915),Handbuch
der
Volkssprache(Walter
neugriechischen de
Gruyter,
Berlin)
ら に,中
Mirambel,A.(1949),Grammaire &
Pring,J.T.(1983),A Greek(Oxford
University
福 田 千 津 子(1985),『
Grec
Larose,Paris)
Grammar
of
Modern
学書
た 時 期 に は,す
エ ク ス プ レ ス 現 代 ギ リ シ ア 語 』(白
ギ リシア 語
らの 間 で 地 域 に よ り言語 上 の
な わ ち,次
の ご と くで あ る.
1)ガ
リ ア の ガ リ ア 語,す
2)ブ
リ テ ン 島 の ケ ル ト語,後
な わ ち,ゴ ー ル 語(Gauish).
克 己)
Gaelic),マ
ン 島 語(Manx),お
(Welsh),コ
ー ン ウ ォ ー ル 語(Cornish),そ
4∼6世
紀 に,ア
ケ ル ト人 が,イ ル(Cornwall)よ
く 英Croatian
に,ア
イルラ ンド
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語(Scottish
ル ト ン語(Breton)等 (松 本
ク ロ ア チ ア 教 会 ス ラ ブ 語
ーマ を
方 へ 進 攻 し た とい わ れ る).
で に,彼
語(Irish),ス
京)
照]
に は,ロ
Press)
現 代 ギ リ シ ア 語 入 門 』(大
荒 木 英 世(1986),『
ア ジア の ガ ラテ ィ
進 して ア ル プ ス を 越
ル ト人 が そ の 領 域 を も っ と も拡 張 し
相 違 が あ っ た.す
京)
水 社,東
ら に,南
こ の よ う に,ケ
du
Moderne(Maisonneuve
ま で 至 っ た.南
部 イ タ リ ア を 制 し た(前390年
略 奪 し,さ 〓)
ベ リ
部 ヨー ロ ッパ を東 進 して バ
ル カ ン 半 島 か ら 黒 海 沿 岸 に 達 し,小
え,北
〓(〓)(〓
林,東
ア 半 島 に 進 出,さ
ア(Galatia)に 〓,M.A.(1941),〓
[ 参
わゆる
い 輸 送 機 関(乗
Greek(Hutchinson,London) MacKridge,P.(1985),The
《文
在 の 東 部 フ ラ ン ス,南
を 発 展 さ せ て い た.紀
Browning,R.(1969),Medieval
社,広
体,現
独 立 の 文 化(い
(Oxford
派.ケ
欧 語 民 族 の 原 住 地 よ り西 方 に 移 住
イ ス の 境 界 を 越 え た 地 域 を 占 拠 し た.そ
〓(〓
関 本 至(1987),『
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族 に 属 す る1語 族(Celtae)は,印
よ び,ウ
と な っ た.こ
ェール ズ語 れ に,ブ
の 最 後 の 言 語 は,
ン グ ロ ・サ ク ソ ン人 の 侵 攻 を 受 け た
ン グ ラ ン ド南 西 部,こ り,ガ
とに コー ン ウ ォー
リ ア 北 西 隅 ア レー モ リカ(Aremorica)
<図>ケ
ル ト諸 語 の 分 布
注:(
)は 古 代 の 言 語,□
Church
Slavonic → 教 会 ス ラ ブ語
け ゲ ー リ ッ ク 諸 語
英Gaelic
= ゴ イ デ リ ッ ク 諸 語,→ ゲ ー ル 諸 語
英Gaelic
languages
= ゴ イ デ リ ッ ク 諸 語,→ ケ ル ト語 派
languages 島 嶼 ケ ル ト語
島 嶼 ケ ル ト語
英Celtic,Keltic,独Keltisch,
は 近 代 に消 滅.
に 逃 れ て 定 住 す る こ と と な り,こ の 地 が ブ ル タ ー ニ ュ(Bretagne)と
よばれ る よ うに な っ てか ら
(ロ ー マ 人 は,BrittaniaMajorと Minorと
区 別 してBrittania
称 し た た め),ブ
ル ト ン語(Breton)と
現 在 ま で 維 持 され て い る(し
か し,有
に 押 さ れ が ち で あ る こ と は,ア
(nom.),hawr(gen.<*p〓tros),har‐kh(nom. pl. <*p〓teres),Gk.
して
力 な フ ラ ンス 語
イ ル ラ ン ド語 や ウ ェ ー
OFris.
ベ リ ア ・ケ ル ト語(Iberian
古 ノ ル
Germ.〔
4)北
イ タ リ ア の 北 イ タ リ ア ・ゴ ー ル 語(な お,北
イ タ リア の レ(ー)ポ と み な す 説 と,然 こ れ ら は,地 1)大
ン ト語(Lepontic)を,ケ
の ご と く分 類 さ れ る.
ル ト ・イ ベ リ ア 語,北
古 高 地
OIr.〔
a)ゴ
ゴー
イ タ リア ・ゴー ル
Celtic)
イ デ ル 諸 語(Goidelic)―
語,ス b)ブ
〓)
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語,マ
語,コ ま た,こ
ー ン ウ ォ ー ル 語,ブ
ン 島 語.
aithrib(dat.pl.<*(p)ater‐o‐bis),Gaul.〔 ー ル 語 〕Ater‐onius(m
1)Q‐
ル ト ン語 .
ン 島 語,ケ
ル ト ・
イ ベ リ ア 語. 2)P‐
ル ズ 語,コ
ケ ル
OIr.secht,MW〔
ゴ ー ル 語,ウ
ー ン ウ ォ ー ル 語,ブ
[言 語 特 徴]
ト 語 〕.,ft>
(Skt.sapta,Av.hapta,Arm.ewthn,Gk.
ェー
ル トン語 .
〓s>ss
OIr.lassar'flame',W.〔
ウ ェ ー ル ズ 語 〕llachar
' gleaming'
印欧 語 と して の特 徴 を備 え て い る こ と は 当 然 で あ る
Opruss.
が,し
Gk.〓'toshine'<*la‐m‐p‐'toshine'<IE
い,い
の 独 立 し た 印 欧 語 と し て,他
の
る い は若 干 の言 語 と しか共 有 し な
くつ か の 特 徴 を も っ て い る.そ
れ は,次
のごと
くで あ る. Ⅰ)IE〔
〔レ ッ ト 語(ラ
ト ヴ ィ ア 語)〕lapa'torch',
〔古 プ ロ シ ア 語 〕lopis'flame<*laps‐,
*lap‐'tolight') 3)IE*pl,*pr>Celt.bl,br OIr.diabul'double'
印 欧 語 〕*pが
IE*pは,他
喪 失 す る.
の 印 欧 諸 語 で は,ほ
持 さ れ て い る が,ケ
(Gk.〓,Lat.du‐plus'double'<*‐plo‐
とん ど その ま ま保
ル ト語 で は ゼ ロ と な る.た
ア ル メ ニ ア 語 で は,h‐,ゼ で は,第
ト ン 語 〕
〓,Lat.septem<IE*septm)
(Lett.
か し ま た,1つ
ブ ル
seiz'seven',Gaul.SEXTAMETOS'seventh'
ケ ル ト語 は,印 欧 語 族 に 属 す る ゆ え,
印 欧 語 に は な い,あ
〓t
中 期 ウ ェ ー ル ズ 語 〕seith,Corn.
2)IE*ps>Celt.*fs>
ケ ル ト語(P‐Celtic)―
れ ぞ れ 前 後 関 係 に
(<*septmto‐s)
ア イ ル ラ ン ド語,
ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語,マ
後 あ る い は
の ご と き 変 化 を な す.
〔コ ー ン ウ ォ ー ル 語 〕seyth,Bret.〔
述
の ご と く で あ る.
ケ ル ト語(Q‐Celtic)―
よ り,次
ゴ
.),Ater‐onia(f.)
喪 失 が 原 則 で あ る が,直
1)IE*pt>Celt.〔
ウ ェ ー ルズ
れ ら を 音 韻 変 化 に よ っ て 分 類 す れ ば(後
の 「言 語 特 徴 」 を 参 照),次
,a(i)thir(nom.pl.=
直 前 の 音 韻 が 次 の ご と き 場 合 は,そ
アイルラン ド
リ ト ン 諸 語(Brittonic)―
トカ ラ 語 〕
古 ア イ ル ラ ン ド 語 〕athir,athar(gen.<
こ の よ う に,pの
嶼 ケ ル ト語(Insular
古 サ ク ソ ン
ド イ ツ 語 〕fater(<
〓),aithrea(acc.pl.=〓),
語. 2)島
古 英 語 〕f〓der,
ゲ ル マ ン 語 〕*fader),Toch.〔
*(p)atros=
陸 ケ ル ト語(ContinentalCeltic)―
ル 語,ケ
ド 語 〕fa〓ir,OE〔
ト 語 〕fadar,
Apacar,Bpacer
ル ト語
ら ざ る も の と が あ る).
域 に よ り,次
ゴ ー
〔 古 フ リ ジ ア 語 〕feder,OS〔
語 〕fadar,OHG〔
Celtic).
ウ ン ブ リア
語 〕patre(dat.sg.),Goth.〔 ON〔
な わ ち,イ
〔オ ス ク 語 〕patir(nom.
sg.),paterei(dat.sg.),Umbr.〔
3)イ
ベ リア 半 島 の ケ ル ト ・イ ベ リ ア 語(Celti
〓
〔ラ テ ン 語 〕pater,
patris(gen.),Osc.
ル ズ 語 の 英 語 に 対 す る 場 合 と 同 様 で あ る).
berian),す
〔ギ リ シ ア 語 〕
(gen.),〓(acc.),Lat.
だ し,
ロ,‐w‐ と な り,ゲ ル マ ン 語
一 音 韻 推 移 に よ りfと
な る.そ
の一例 とし
て,「 父 」 を 意 味 す る 印 欧 諸 語 を み る と,次 の ご と くで, 最 初 の ブ ロ ッ ク はpを の ブ ロ ッ ク はpを
保 持 し て い る が,次
の ケ ル ト語
保 持 し て い な い.
>Celt.*‐oun‐,*‐aun‐
>
‐uan‐ OIr.suan,W.Corn.Bret.hun'sleep'(<*so‐ pno‐s)
*swep‐'tosleep')
e/οs(gen.)
5)IE*sp>(語
Skt. 〔 サ ン ス ク リ ッ ト〕pitar‐(stem),pita(nom.),
語 〕pita(nom.),Arm.〔
'doubt') 4)IE*‐opn‐,*‐apn‐
(Skt.svapna‐s,Gk.〓,Lat.somnus<IE
IE*p〓ter‐(stem),*p〓te(r)(nom.sg.),*p〓tr‐
Av・ 〔ア ヴ ェ ス タ 語 〕pitar‐,Opers.〔
<
IE*pel‐'tofold',Goth.tweifl(acc.sg.)
古 ペル シ ア
ア ル メ ニ ア 語 〕hayr
頭)Ir.s,,Brit.〔
ブ リ ト ン 諸 語 〕.f/
(語 中)W.ch,Corn.h OIr.seir'heel'(<*speret‐) W.ffer'ankle',OCorn.〔
古
コー ン ウ オ ー ル 語 〕
OIr.ri'king',rig(gen.),W.rhi'prince',
fer(gloss'crus')'shin,leg' (Skt.sphurati'to 'to
Gaul.Rigo‐magus'royal
kick,tread',Av.sparaiti
tread,go',Gk.〓'to
fish)'<*〓
gasp(of
dying
'tribal
<IE*spr‐yo,Lat.sperno'to
despise,scorn',ON*spurna,OE kick,spurn'<IE*sper‐'to
the
foot')
MW
strike
OIr.ben'woman'<Celt.*bena,mna(gen.) <Celt.*bnas,W.benyw,Corn.benen
ucher,OCorn,gurthuher'evening'<
(Ved.〔
night') そ れ で は,ケ
ル
ト 語 に はpな
う で は な く,他
る 音 韻 は 存 在
し な い か
な わ ち,次
の2つ
2)名
IE*penkwe>Celt.*kwenkwe'five',OIr.coic
詞o‐
ト語,ヴ
pimp,Corn.pymp,Bret.pemp'five',
幹 の 属 格 単 数 は ‐iで あ る(IE
ェ ネ ト語,メ
4)‐a‐
IE*ekwos'horse',OIr.ech'horse' W.OCorn.ebol,Bret.ebeul'colt'(late
存 さ れ,他
古 い 用 法 で あ る.
コ リ ー ニ ー
・カ レ ン ダ ー 〕EQVOS
(Skt.asvah,Gk.〓,Lat.equus,Ose. Epics) ら れ る ご と く,pと
た が っ て,こ
れ る).*kwは1つ し て,*kwは2つ
*kwと*kwと
れ ら の 言 語 はQ‐Celticと
ガ ロ
.で
に よ る動 詞 接 続 法 の 形 成. に よ る 動 詞 非 人 称 受 動 態(impersonal
・ カ レ ン ダ ー(後1世
る 月 名)と,‐qv‐
紀)で
は
,Eqvos(2月
を 存 し て い る(カ
教 用 語 はarchaismを
と
語 〕a,Lith.e,0CS〔
a)
ア ル メ ニ ア 語,プ
形 成.こ
ル キ ニ 語,ヴ
リ ュ ギ ア 語,ト
カ ラ 語,ヒ
ェ ネ ト語, ッタイ ト
に よ る 動 詞 的 形 容 詞(verbal
は,ま
は,Ital.と
同 様,受
adjective) 動態過去形 は,こ
の形
っ た く動 詞 と し て と り扱 わ れ る. 幹 を,接
尾辞
‐o(n)‐
に よ り拡 張 す る 語
と り 扱 い が,他
の 言 語 に 対 し て,
形 成.
Celt.とLat.と
は 同 じで あ る.
な っ
IE
Celt.Lat.
*r
ar
*l
al
Skt.
Germ.
リー ニ に 当 た
レ ン ダ ー は 宗 教 に
〔イ ン ド ・ イ ラ ン 古 教 会 ス ラ ヴ 語 〕e,Arm.
i,Alb.o,Gk.〓,Lat.e,Osc.i,Umbr.e,
言 語 に は,マ
9)IE*r,*lの
存 す る た め か).
Ⅱ)IE*e>Celt.i(Ind.‐Iran.
動 受 動 態(medio‐passive)の
わ ゆ るr‐
の 語 幹 を 提 供 す る の に 用 い られ る.Ir.で
な る の は,
あ る に か か わ ら ず,コ
の,い
の 形 成.Ir.,Brit.で
は 子
は 重 な り,*kwもpと
らは 除 去 され た
よ ば
か し,IE*kw
・ブ リ ト ン 諸 語 〕pと
除 く)か
6)‐r‐
8)‐ti‐
,Ir.で
消 え た か ら で あ る.し
れ は,Ital.
5)‐s‐
7)‐to‐
の 音 韻 で あ る か ら,Skt.‐sv‐,Gk.
がCelt
Goth.e,OHG
に よ る形 容 詞
して
な る の は よ い
等 と な る.OIr.echは
た か ら で あ る.Gaul.で
属 し,宗
ポン
語 な ど が 該 当 す る.
な わ ちIr.,
マ ン 島 語 〕 は 喉 音 を 存
の 音 韻 ゆ え,pと
‐ππ‐,Lat.‐qu‐
>Gallo‐Brit.〔
よ び
れ ら の 言 語 はP‐Celtic
ゴ イ デ ル 諸 語 〕,す
〔ゲ ー ル 語 〕,Manx〔
音 の あ と のwが
な っ て い る の は,
な わ ちW.,Corn.,Bret.,お の た め に,こ
と よ ば れ る),Goid.〔
い る(し
の 言 語(Toch.を
passive),中 こ に 見
あ っ て(そ
Gael.
の 現 象 は,レ
ッ サ ピア 語 等 に もみ ら れ る).
に よ る 動 詞 接 続 法 の 形 成.こ
tohorses',Epona'horse‐goddess':Coligny‐
と もBrit.,す
gen.
〔イ タ リ ッ ク 語 派 〕,Celt. 〔ケ ル ト語 派 〕両 語 派 に の み 保
Bret.
p>b)Gaul.Epo‐sognatus'well‐accustomed
2例
‐kw‐
最 上 級 の 形 成.
b)IE*kw>Brit.Gaul.p
し,こ
が後続音の
3)*‐is‐mo‐,*ismmo‐,*‐smmo‐
Gaul.pinpetos'fifth'
Gaul.で
頭 のp‐
sg.*‐osyo:Skt.vrkasya)(こ
'five'
ー
語 派 に お い て,語
に 同 化 す る.
a)IE*kw>Brit.Gaul.p
た だ
quena<IE
ル ト語 は,イ タ リ ッ ク 語 と い くつ か の 共 通 点
1)両
calendar〔
〓,Goth.
cwene,OHG
を もつ とい う特 徴 が あ る.
の 場 合 が
あ る.
ボイ オ テ ィア 方 言〕
qino,ON kona,OE *gwena'woman') Ⅳ)ケ
の 音 韻 か ら 変 化 し てpと
な っ た も の が 存 在 す る.す
ヴ ェ ー ダ 語 〕gana‐,Skt.gna'goddess',
Gk〓,Boeot.〔
(Gke〓,Lat.vesper<IE*we‐spero‐'evening,
OW
オス ク・
ウ ン ブ リ ア 語 〕b〔後 舌 母 音 の 前 で 〕)
with
Celt.*vesperos
と い う と,そ
king'
Ⅲ)IE*gw>Celt.b(Gk.Osc.‐Umbr.〔
spornan
'to
field'<Celt.*rig‐
(Skt.raj‐,Lat.rex,regis(gen.)<IE*reg‐
10)*‐tt‐ Germ.も
12)語
ur,or ir,ur
ul,ol
が ‐ss‐と な る(tt>tst>tst>sst>st;
同 じ;Skt.‐tt‐,他
11)前 *kom等
,ra, ir,ur ,la
置 詞 に,両
言 語‐st‐).
語 派 共 通 の も の が あ る.*de,
. 彙 に お い て,両
語 派 に 共 通 の も の が あ る.
13)語
根*su‐
に よ る 「息 子 」 を 意 味 す る 語 は,大
部 分 の 印 欧 諸 語 に 存 す る が,Celt.に だ さ れ な い.Celt.はOgam〔
もItal.に
(a)rich(Catu‐,OIr.cath'fight'<IE*kat‐ 'fight')
も見 い
Gaul.Cluto‐rix:OFrank.〔
オ ガ ム 文 字 表 記 〕MAQ‐,
' puerum',Pael.〔 (dat.pl.)で
'to
パ エ ー リ グ ニ 語 〕puclois'pueris'
語 のdaughterに
女 性 形 で あ る.
用 例 等 に つ い て は,「
イ タ ロ ・ケ ル ト 語 群 」
ル ト語 に は,ゲ か し,そ
し か も,借
れ は,ほ
の‐tio‐
の 方 が ふ つ う の よ うで あ る.た
ら の 借 用 が 明 白 なGerm.に
Goth.reiks(<*rik‐
と え ば,
は,
下 役,仕
*amb(i)‐aktos;Gaul
Ⅵ)ケ
上 階,塔
と し て は,Celt. ‐pia‐ に よ る
あ る. ト語 は,か
つ て ヨ ー ロ ッ パ に 優 勢 を ほ こ っ
在 で は,そ
い る . こ の ケ ル ト 語 と,そ
の 西 端 に 位 置 を 占 め て
し て イ タ リ ッ ク語
欧 語 の 東 端 で あ る イ ン ド ・イ ラ ン語
え る 者 」(<Celt.
.ambactus「
走 り使
[ケ ル
」(<Gaul.celicnon
イ タ ロ
・ケ ル
トの 語 意]
ュ ビ オ ス は
「ケ ル
と,特
と が,印
に 宗 教
・法
例 等 に
ト語 群 」 の 項 を 参 照).
ヘ ロ ド ト ス,ク
セ ノ ポ ン,ポ
ト 人 」 を〓
ト ラ ボ ン は〓
Celtaeが
「塔 」)
で,こ
こ れ に 当 た る.カ
と記
リ
し て い る が,
れ は 後 の 形 で あ る.Lat. エ サ ル の
『ガ ッ リ ア 戦 記 』
の 冒 頭 に,
等 が あ る.Celt.とGerm.と う な も の で あ る が,そ
に 共 通 な 語 は,以 の 中 に は,借
「彼 ら 自 身 の 言 語 で ケ ル タ エ(Celtae),我
下 のよ
語 で(す
用 と み な され る も
な わ ち,ラ
テ ン 語 で)ガ
々 の 言
ッ リ ー(Galli)と
よ ば れ る 」
の も あ る. OIr.oeth「
と あ る.こ
誓 い 」:Goth.aips,ON ei〓r,OE
ap,OFris.OS
eth,OHG
OIr.orbe「
minent'に
eid(<Germ.*aipa
z<IE*oi‐to‐s<*ey‐'to
遺 産 」:Goth.arbi(<IE*orbh‐'to
OIr.run「
卓 越 せ る も の 」 の 意 で あ る(cf. 中 期 ア イ ル ラ ン ド
〔リ ト ワ ニ ア 語 〕keliu'to
lift',Holder
Pokorny,Indogermanisches
I,888;
etymologisches
Wοr
terbuch,Francke,Bern,1959544).
「神 秘 」) OIr.lethar「
皮 」:ON
ledr,OE
leper,OHG
leder(<Germ.*lepra<IE*letro‐ Gaul.Uidu‐,OIr.fid「
[参 考 文 献] Holder,Alfred,Alt‐celtischer
「皮 」) 木 」(<Celt.*vidu‐
」):ON
OHG
根*ket‐'ragen,tobepro
由 来 し,「
語 〕coll'leader',Gaul.celicnon'tower',Lith.
神 秘 」:Goth.runa(<IE*runo‐
「木,森
の 語 は,語
Lat.ex‐cellere'toexcel',MIr.〔
go')
put asunder')
vidr,OE
widu,OS
Sprachschatz,
Ⅰ(1896),Ⅱ(1904),Ⅲ(1907)(Teubner,Leipzig)
vudu,
Pedersen,Holger,Vergleichende der
witu(<Germ.*widu<IE*widhu‐
「木 」)
keltischen
Grammatik
Sprachen,Ⅰ(1909),Ⅱ(1913)
(Vandenhoeck,Gottingen)
Gaul.‐dunum,OIr.dun「 *dunon「
陣 営,要
要 塞 」):ON
OS
OFris
.OE
塞 」(<Celt.
Dottin,Georges(1920),La
tun.,OHG
grammaire,textes
垣 を 巡 ら した 場 所 」(< ⅠE*dhuno‐
さ れ た,囲
「防 衛
ら借 用 し た と さ れ る も の に,Celt.
ズ ボ ン 」 <Germ.*brok‐
る 説 も あ る . ま た,固 Gaul.Catu‐rix:OE
Langue et
が あ る が,逆
Paris)
Heado‐ric,OHG
der
Kommission Lewis,H.and
Hadu‐
Sprache
Festlandkelten",20.Bericht
にみ
有 名 詞 で 共 通 な も の に,
gauloise:
glossaire(Klincksieck,
Weisgerber,Leo(1931),"Die
ま れ た 場 所 」)
Celt.がGerm.か braca「
法 上 の 共 通 点
な わ ち,OIr.altae'reared':
た 言 語 で あ る が,現
ス
Goth.kelikn「
ル
つ い て は,「
い 」)
zun「
ら に,文
律 用 語 に お い て 共 通 す る 語 彙 を も っ て い る(用
<Celt*rig‐)
Goth.andbahts「
sigi;maros'great'<IE
に よ る 受 動 分 詞 が,Germ.の
も の と 対 応 す る.す
ルマ ン語 との一 致 もみ ら れ と ん ど 語 彙 に 限 られ て い る .
用 か 同 源 か を 明 確 に し え な い 場 合 が 多 い.
Celt.>Germ. Celt.か
OHG
Goth.alpeis'old'で
の 項 を 参 照). Ⅴ)ケ
sigor,OS
sigr,
*me‐'big') 等 が あ る.さ
quality'),Lat.filiaは,filiusの
る.し
OE
に は見 い だ され な い .
inigena,OIr.ingen(cf.Lat.in
gennus'native,indigenous',ingenium'innate
(Ⅳ.の
Ir.seg(h)'strength';Goth,sigis,ON
当 た る 「娘 」 の 語 も,他
の 言 語 に は あ る が,Celt.,Ital. Celt,はOgam
hear')
Gaul.Sego‐maros:Germ.Segi‐merus(Sego,
あ る.
14)英
古 フ ラ ン ク 語 〕Hlode
ricus(Cluto,OIr.clo‐th'famous'<IE*kleu‐
OIr.macc,Ital.はLat.filius,Osc.puklum
Comparative
1930
H.Pedersen(19612),A Celtic
der romischgermanischen
Grammar(Vandenhoeck,
Concise
Gottingen)
ゴ ー ト語ainlif「11」,twalif「12」
Thurneysen,Rudolf(1946),A
Grammar of
Irish(trans.byD.A.Binchy Bergin,The
0ld
and
Dublin
Institute
for
Osborn Advanced
1)過
Jackson,Kenneth(1953),Language in Early
and
Britain(Edinburgh
History
University
Dialects of
Gaul:Grammar
Part
I(Edwards,
(Harvard
Dialects
University
of Ancient
Names:A
Study
of Some
照]
Continental
University
島 嶼 ケ ル ト語,イ
Celtic
Press,Oxford)
germanischen
寿 雄)
languages,
Sprachen, germaniques
群.ゲ ル マ ン と い う 名 称 は,も 接 に は,ラ
す る . 彼 ら 自 身 は,(英
と ケ ル ト語 で あ っ た と い
日い う と こ
系 の 語 は,イ
ン トア
kuningas(ON〔
古 ノ ル ド語 〕konungr)「
lammas(ONlamb)「 「剣 」(以 上,フ
ゲ ル マ ン人 の 原 住 地 は,現
在 の 北 ドイ
「乳 」(以 上,ラ
ィ ン語)
lib're(ONlivr)「
に,ラ
テ ン 人 の 諸 民 族 に 接 して い た. くつ か共 通 す る要 素
《ケ ル ト語 》
ア イ ル ラ ン ド語 〕riadhim「 古 英 語 〕tun「
古
乗 り物 で い く」
城 市 」―OIrdun「
砦 」Cf.
DunEidin=Edinborough
1)英
「話 す 」Mod.Ir.
話 す 」―OIrraidim
〔現 代 ア イ ル ラ ン ド語 〕ra
し ろ ラ テ ン語 と の 共 通 点 が 目 立 つ .
《バ ル ト ・ス ラ ブ 語 》 数 字 の 作 り方: 数 字 の11と12を,そ
語,オ
れ ぞ れ 「残1」
現 す る.
2)ド
イ ツ語 ―
3)北
欧 諸 語(フ
リ トア ニ ア 語vienuo1ika「11」,dvylika「12」
と表
リ ジ ア 語―
低 地 ドイ
高 地 ドイ ツ 語 ィ ン ラ ン ドを 除 く)―
ー ト語(死 語)―
ル マ ン 語*〓agas「
ノ ル ド語
ゴ ー ト語
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 祖 語*dhoghos「 日 」)は,実
熱?」(共
際 の 方 言 で は,次
通ゲ の よ
う に な っ て い る. 語 幹 母 音 お よ び 格 語 尾 が 失 わ れ た.
イ)tac1
に 同 じ.第2次
ウ)〓agaR
語 幹 母 音 お よび 格 語 尾 が保 存 され
子 音 推 移 を 経 る.
て い る. エ)dags
「残2」
ラ ン ダ 語,フ
ツ語
ア)d〓g
ゴ ー ト語 〕rodjan「
肝 臓 」,miel'ke(ONmjo1k) ッ プ 語)
[ゲ ル マ ン 諸 語 の 名 称 と 特 徴]
4)ゴ
古 高 ドイ ツ 語 〕ritan「 馬 で い く」―OIr〔
王 」,
羊 」,miekka(ONmakia)
民 族 」).
は ラ ッ プ ・フ ィ ン人,
ほ ど が 確 認 さ れ て い る が,
ほ ど あ る と 主 張 す る 学 者 も あ る.
民 族 」,ゲ ー ル 語tuath「
が 認 め ら れ る.
ケ ル ト語 は,む
あ っ た(「 ゲ ル マ ン 語 の フ ィ ン語 へ の 影 響 」,1896).現
ラ ッ プ 語 に は600語
前 は,今
ン マー クの 言 語
学 者 ヴ ィ ル ヘ ル ム ・ ト ム セ ン(VilhelmThomsen)で
い っ
そ れ ら の 民 族 の 言 語 と の 間 に,い
Goth.〔
らの 言語 に保 存 され て い る
語 で い え ば)Teutonsと
は バ ル ト ・ス ラ ブ 人,北
OE〔
な り古 くか ら生活 上 の交 流
が あ っ た ら しい こ と は,彼
在 ま で に,フ ィ ン語 で400語
ツ か ら東 ヨ ー ロ ッパ に 及 ぶ 地 域 で あ っ た . 西 は ケ ル ト
OHG〔
ゲ ル マ ン人 との 間 に は,か
由来
ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 諸 方 言 に 広 く分 布 し て い る(リ
南 は ケ ル ト人,後
《ラ ッ プ ・フ ィ ン 語 》
テ ン 語 のGermaniaに
イ ツ 語 のdeutschも,以
[ 原 住 地]
然性 を
ま り重 視 し な い 方 が よ い か も し
の 本 格 的 研 究 に 先 鞭 を つ け た の は,デ
ろ の ゲ ル マ ンの 意 味 に 用 い て い た.同
ニ ア 語tauta「
通 語 彙 の 有 無 に 関 し て は,偶
排 除 で き な い の で,あ
お び ただ し い借 用 語 に よ って 推 測 で き る. この 借 用 語
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 語 族 に 属 す る 言 語
わ れ る が,直
異 邦人 」
れ な い.
タ ロ ・ケ ル ト語 群,
(蛭 沼
langues
客 」―Lat.hostis「
こ れ ら の 言 語 は イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 で は な い が,
英 Germanic
称]
首 」―Lat.collus(<*qwolsos),
一 般 的 に み て ,共
『大 辞 典 』 大 陸 ケ ル ト語
ゲル マ ン 語 派
彙.
Goth.gasts「
Personal
Formations(Oxford
人,東
詞 の 活 用.
Goth.hals「
Gaul
Press,Cambridge,Mass.)
Evans,D.Ellis(1967),Gaulish
た.ド
ラ テ ン語 〕
Goth.pahaip'heissilent,Lat.tacet 3)語
(1970),The
[名
去 形 に 長 母 音 を 用 い る.
Goth.qemum'wecame'Lat.〔
2)動
Michigan)
仏 Les
ルマ
fregimus
Ancient
Die
同 様 に 唱 え る が,ゲ
の み で あ る.
venimus,Goth.brekum'webroke'Lat.
Press) Whatmough,Joshua(1963),The
独
上 の2語
《ラ テ ン 語 》
Studies,Dublin)
[参
リ トア ニ ア 語 で は,14∼19も ン 語 で は,以
上 に 示 し た4方
格 語 尾 が 保 存 され て い る. 言 の 伝 統 的 な 地 理 的 区 分 は,次
う で あ る. 1),2)―
西 ゲル マ ン語
の よ
3)―
北 ゲル マ ン語
4)―
東 ゲ ル マ ン語
Gr.〔 ギ リ シ ア 語 〕deiknumi,…Goth.‐teihan [〓]「
ゲ ル マ ン人 の 部 族 名 は 多 数 知 ら れ て い る が,中 で も, ア ン グ ル 人,サ
ク ソ ン 人,ジ
ュ ー ト人(ユ
トラ ン ドの
名 称 と,一 応 は 関 係 が あ る で あ ろ う が,詳 大 陸 か ら ブ リ テ ン 島 へ 渡 り,後
細 は 不 明)は
に ア ン グ ロ ・サ ク ソ ン
人 と よ ば れ る よ う に な っ た . フ ラ ン ク族 の 名 は,国 フ ラ ン ス に 残 る.ゴ の 名 は,イ
ー ト族 の ひ とつ,ラ
名
ン ゴ バ ル ド人
タ リ ア の ロ ン バ ル デ ィ ア と な っ た.ま
ヴ ァ ン ダ ル 人 は,文
3)イ
た,
明 の 破壊 者 と して歴 史 に名 を と ど
ン語 の 短 音
faran「
こ の 事 実 か ら,ゲ
言 語 の 名 称 は,多
あ る い は 民 族 名 を 踏 襲 し,必
く国 名
ず し も言 語 上 の 事 実 を 反
映 し た も の で な い こ と は 周 知 の 通 り で あ る.言
語上の
ル マ ン 諸 語 に 現 わ れ るo音
で は あ り え な い こ と が 分 か る(通
よ るu>oで
々 の 言 語 が 示 す,地
理 的,時
間 的 な差 異 は 複 雑 に入 り
組 ん で お り,あ ら ゆ る 条 件 を 満 足 させ る こ と は 難 しい. 方 言 分 類 の 一 般 原 則 は,対
例2)ド
イ ツ 語Gold<*gulpa‐
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 の 長 母 音<*a>は,ゲ
マ ン 語 のに Skt.〔
象 と な る 諸 言 語 の,
サ ン ス ク リ ッ ト〕bhratar‐
Skt.matar‐ 《子 音 の 対 応 》
法 上(統 語 法 上)の 特 徴
とめ に し て,何
々 語 族,あ
の 特 徴 に つ い て,ゲ
るい は何 々語派 あ るい は何 下,と
くに 発 音 と形 態 上
鎖 音 の 系 列 に,次 *gh―g〔Skt
shift)
イ ン ド・ヨ ー ロ ッ
ル マ ン語 にみ られ る際立 った音 韻
*d―t〔Gr
イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 祖 語 の 閉
.dhu‐
.deka―
英ten〕
鎖 音 系列 に起 こ った 一 連 の 系 統 的 な 音 変化 で あ る. そ
.tenuis―
れ ら の 音 変 化 を 体 系 化 し た も の を,「 音 法 則(英
*p―f〔Lat
.piscis―
law/ド
イ ツ 語Lautgesetz)」
語
と い う.
共 通 グ ル マ ン 語 〕*iに
の条件の 対 応 す る.
前 で; 歌 う」
フ ィ ン語 に 借 用 さ れ たrengas「
輪 」 は,ゲ
ル マ
ン語 の 古 形 を と ど め て い る.
見 いだ す 」 前 で;
IE*ueli‐,…Goth.wilja「 エ)次
の 音 節 に あ るuの
前 で;
ス ク は,こ
の 論 文(「
習 慣」
IE*bhereti,…Goth.bairip「 や 遅 れ てGmciへ
ノ
デ ンマ ー
幸 に も 国 外 の 学 者 の 広 く注 目 か し,ラ
ス クの この
イ ツ の 言 語 学 者 ヤ ー コ プ ・グ リ ム(Jacob 大 き な 影 響 を 与 え た.彼
ル マ ン 語 文 法 』(Deutsche
法 則(Grimm's
は,そ
の 大 著 『ゲ
Grammatik,1822‐37)の
の 音 韻 変化 を体 系化 す る こ とに成
功 し た . グ リ ム の 文 法 は,当 響 を与 え た こ と か ら,こ
ク セ ン トの な い 音 節 で;
2)IE*eiは,や
ク 語 で 書 い た た め に,不
音 韻 論 に お い て,こ
意 志」
IE*s(u)edhu‐,…Goth.sidus「 オ)ア
か し,ラ
す る と こ ろ と は な ら な か っ た.し
Grimm)に
音 + 子 音 の 前 で;
の 音 節 に あ るi/jの
あ っ た.し
.
ル ド語 あ る い は ア イ ス ラ ン ド語 の 起 源 に つ い て 」 と 題
発 見 は,ド
IE*penth‐,…Goth.finpan「 ウ)次
Rask)で
ンマ
ラ ス ク(RasmusK
す る デ ン マ ー ク 学 士 院 の 懸 賞 論 文,1818)を
IE*sengwh‐,…Goth.siggwan「
イ)鼻
英thin〕 英fish〕
ー ク の 言 語 研 究 家 ラ ス ム ス ・K・
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 〕*eは,次
ア)ng,nk,nxの
英hundred〕
初 め て こ の 点 に 明 確 な 論 証 を お こ な っ た の は,デ
《母 音 の 対 応 》
も と でGmc〔
英bear〕 英kin〕
*b―*p〔?〕 .centum―
者 で は と く に,閉
英go〕
英deer〕
.bharati―
*t―p〔Lat
干 の 母 音 と 子 音,後
―
.genus―
*k―x〔Lat
上 の 特 色 は,若
ノ ル ド語 〕mo〓ir
.ha‐(<*gha‐)―
*dh ―d〔Skt
*g ―k〔Lat
の 推 移(sound
「兄 弟 」―
の よ う な 一 貫 し た 変 化 が 起 こ っ た.
*bh ―b〔Skt
ル マ ン語 の 輪 郭 を 述 べ る .
音上 の特 徴
パ 語 の 諸 方 言 中,ゲ
「母 」―Nor.〔
1) グ リ ム の 法 則
較 的 多 くの特 徴 を共 有 す る もの を ひ とま
々 語 と名 づ け る の で あ る.以
ル
対 応 す る.
Goth.bropar
音上 の 特 徴
に 着 目 し,比
い ゲ ル マ ン語 か ら の 借
用 語 で あ る(‐u‐ に 注 意).
態上の特徴
1)IE〔
音 に
差 し出
な お,フ ィ ン 語 のkultaは,古
Ⅰ)発
sound
来
常,a変
例1)ONbo〓inn<*bupana‐"bjo〓a「
Ⅱ)形
A)音
は,本
説 明 さ れ る).
4)イ
特 徴 を も っ て 方 言 分 類 の 基 準 と す る 場 合 も あ る が,個
Ⅰ)発
行 く」
す 」"の 過 去 分 詞.
[ゲ ル マ ン 語 派 の 特 徴 ]
Ⅲ)語
字 の)8」
Lat.porto―OE
の*o音
ルマ
〈a〉 に 対 応 す る.
Gr.〓―Goth.ahtau「(数
め て い る.
示 す」
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 の 短 音<*o>は,ゲ
時の 言 語 学 界 に非 常 な影
の 音 対 応 の 法 則 は,「 グ リ ム の
law)」
と よば れ るに至 っ た.
こ の 名 称 を 初 め て 使 っ た の は,ド
イ ツ に 生 ま れ,後
彼は運ぶ」
に 英 国 に 帰 化 し た 言 語 学 者 フ リー ド リ ヒ ・マ ッ ク ス ・
移 行 し た.
ミ ュ ラ ー(Friedrich
Max
Muller)で
あ った と もい
わ れ る.そ 「第1次
の 真 偽 は と も か く,グ
子 音 推 移(die
よ ん で い る.し
erste
リ ム 自 身 は,こ
際 に ゲ ル マ ン語 に 認 め ら れ る 音
変 化 の す べ て が 説 明 さ れ る わ け で は な い.た ラ テ ン 語 の 数 詞septemに は,無
声 音fが
た,イ
る . ラ ス ク は,*bは
例 証 す る こ とは 困難 で あ
変 化 し な い と 考 え,ギ
リシ ア語
「膨 れ る 」 と 古 ア イ ス ラ ン ド語 のbrunnr「
を 比 較 し て い る が,む 2)ヴ
ろ ん,こ
ェ ル ナ ー の 法 則
々 の 例 の ほ か,古
泉」
れ は 誤 りで あ る.
「捉 え る 」(単
とdが
同
わ ゆ る 「文 法 的 交 替 」 で あ
る. weor〓an‐wear〓
音 楽 ア ク セ ン トで あ り,か イ プ の も の は,古
‐wurdon‐geworden
か ん ず く バ ル ト ・ス
頭 音 へ の 影 響
子 鎖
erlauben,erspringenな
頭 お よび 語 幹 以 外 の 音 節 るい は脱 落 す
つ 語 が あ る が,Ur‐
し,「 摩 擦 音(〓
な ど)の
期 の 形),er‐
ち な け れ ば,そ
れ ら は 有 声 音(b/〓/g/z)な
直 前 に ア ク セ ン トが 落 どへ 移 行 す
れ を ヴ ェル ナ ー の
リムの 法 則 の不 備 を補 う意 味 を もつ も ル マ ン 語 に お い て も,
た と え ば,ド
休 暇 」,Ursprung「
音 の 直 前 に 必 ず母 音 の弱 階 程 が現 わ れ る こ と に 着 目
イ ツ語 に,
起 源 」な ど とな らん で, ど,er‐
とい う前 綴 りを も
は ア ク セ ン トを お く と き の 形(初
な ど の 非 強 勢 形 は,後
に 接頭 辞 お よ び接
尾 辞 を 伴 う語 で は 語 幹 に ア ク セ ン トが お か れ る よ う に な り,語 頭 音 が 弱 化 し た 結 果 生 じ た も の で あ る.現 代 ド イ ツ 語 に 例 が 多 い.er‐,ge‐,ent‐(Antwort),ver‐ な ど に 含 ま れ る<e>の
ア ク セ ン トが 可 動 的 で あ っ た 時 期 が あ っ た こ と の 間 接
2)語
的 な 証 明 で も あ る.
は,英
起 源 は さ ま ざ ま で あ る.
末 音 の 脱 落 語 でday,ド
同 様 に,「 日 」 とい う意 味 の 語
イ ツ 語 でTag,ゴ
ー ト語 でdags,
ON
ノ ル ド語 でdagrな
ゲ ル マ ン祖 語 の想 定 形
(ル ー ン 碑 文 と い う)にdagar(単
数),dagoR(複
と あ り,語 尾 が 短 縮(‐s,‐r)ま
た は 脱 落(day,Tag)
Skt.
ど と い う が,古
し て い る こ と が 分 か る.こ
ヴ ェ ル ナ ー の 法 則 に 関 わ る 子 音 の 交 代 は,次 り で あ る(主
に,古
の とお
・過)(複
い ノ ル ド語 の 資 料
の こ と は,今
数)
日 な お,ア
セ ン トが 移 動 す る バ ル ト ・ス ラ ブ 語 に は,比
ク
較 的複 雑
な 語 尾 変 化 が 保 存 さ れ て い る 事 実 と無 関 係 で は な か ろ
英 語 の 例).
う. な お,現 「言 う」(単
来
る こ とに な った .
「第1次
の で あ る . この 法 則 は ま た,ゲ
のタ
グ ヴ ェ ー ダ の 言 語,
音 の 区 別 が あ い ま い に な る か,あ
音 推 移 の 例 外 に つ い て 」 と題 す る 論 文 に お い て,閉
る 」 と い う事 実 を 明 ら か に し た.こ
代 語 で は,な
定 し た こ との 結 果 と して,語
1)語
法 則 と い い,グ
わゆる
つ 可 動 型 で あ っ た.こ
い と こ ろ で は,リ
Urlaub「
に発 表 した
捕 獲物 」
イ ン ド ・ヨー
語 頭 に 固 定 す る 傾 向 が 顕 著 に な っ た . ア ク セ ン トが 固
コペ ンハ ー ゲ ン大 学 の ス ラ ブ語 教 授 で あ っ た ヴ ェル ナ ,1875年
・過)/「
ラ ブ 諸 語 に 認 め ら れ る . ゲ ル マ ン 系 の 言 語 で は,従
ー(Karl
Verner)は
・過)(複
ク セ ン トの 固 定 と そ の 結 果
ロ ッパ 語 の ア ク セ ン トは 音 調 の 高 低 に よ る,い
で,母
OE
去 分 詞)/
の 高 低 ア ク セ ン トが 強 弱 ア ク セ ン トへ と 変 質 し,か つ,
に あ げ た 数 詞 な ど,個
英 語 な ど に み ら れ るp/〓
じ語 の 内 部 で 交 替 す る,い
B)ア
古 典 ギ リ シ ア 語,現
グ リム の法 則 にお け る例
外 の 中 で 特 に 重 要 な も の は,上
・過)(過
際 は 有 声 音v
ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 で は,
理 論 上 想 定 さ れ る*b>*pを
・過)(複
cf.Lat.sequor
を 含 む 語 は ご く わ ず か し か 知 ら れ て い な い の で,
〓
「見 る」(単
と え ば,
対 す る 英 語seven(v<
期 待 さ れ る が,実
が 現 わ れ て い る.ま b音
「隊 長 」
と
か し,グ リ ム 自 身 も認 め て い る よ う に,
こ の 法 則 に よ っ て,実
b)で
れを
Lautverschiebung)」
・過)/「
諺」
代 ゲ ル マ ン語 の 中 で,ア
イ ス ラ ン ド語 は
依 然 と し て か な りの 屈 折 言 語 で あ る が,多 音 節 語 に は, 現 代 英 語 の フ ラ ン ス 語 系 借 用 語 の 場 合 と 同 じ く,2次
「切 る 」(単 ・過)(複
・過)/「
切 れ 目」
ア ク セ ン トが 発 達 し て い る . 英 語:irresponsibility/〓/
「死 」 「死 ん だ 」
necessarily/〓/(米 ア イ ス ラ ン ド語:Islendingur「
「選 ぶ 」(単 ・過)(複
・過)(過
去 分 詞)/
cyre
ア イ ス ラ ン ド人 」
/〓/ C)ゲ
「選 択 」
語 の 発 音)
の 影 響
ル マ ン語 に お け る 変 音(ウ
ム ラ ウ ト)現 象 と そ
ウ ム ラ ウ ト と は,「 後 続 す る 音 声 の 影 響 で,
母 音 の 音 質 が 変 化 す る現 象 で あ る 」 と一 応 説 明 す る こ 「引 く」(単
・過)(複
・過)(過
去 分 詞)/
とが で き る.し
かし,厳
密 に い え ば,音
が変質するの
は,発 せ られ る音 自体 に原 因 が あ るの で は な く,発音 す
a‐ 語 幹(*o‐ 語 幹)dags「
る側 の 心理 的 な「か ま え」に起 因 す る とい う方 が 事 実 に
ja‐ 語 幹(*io‐
近 い . た とえ ば,共 通 ゲ ル マ ン語 にお い て,*foti‐ を
Wa‐ 語 幹(*uo‐
発 音 す る と き,第2音 節 の母 音 を意 識 す るた め に,調 音
o‐ 語 幹(*a‐
器 官 が 早 目に そち らの方 へ 動 く. そ の 結 果,が
jo‐ 語 幹(*ia‐
「オー 」 か ら 「オ エ」 に 変 じ て,前 び る よ うに な る.こ
舌母音の性格を帯
の例 の 場 合,第2音
節 の 母音が
i‐語 幹(*i‐
語 にみ る ウ ム ラウ トの模 式 図 を,以 下 に あ げ て お くが,
u‐ 語 幹(*u‐
方言 に よ り,ま た 時代 に よ り変 音 が 発生 す る条 件 が違 うの で,詳 細 は,各 言語 の 文 法 書 に つ い て事 実関 係 を
(原因 とな る音) (影 響 を 受 け る音) (結果) 1)
i/j
a
u/w
3)
a
た はg
R
*sofir>sofr「
分 詞 起 源 の 名 詞(frijonds「
2) *landu>lond「
て い る . 古 形 を も っ と も よ く保 存 し て い る の は,や
o
男 性 hana(語 女 性 tuggo「
i
e
中 性 augo「
a
e
e
2)形
重 い」
し い バ ラ 」 をpulchra
と え ば,ラ
rosaと
本的 に
テ ン 語 で,「 美
書 け る が,日
本語同様
で も あ り,「 例 の 美 し い バ ラ 」 で も あ り え た.特
沈む」
の を さ し てista
角」 男 」(Lat
弱両
に 定 冠 詞 を も た な い ラ テ ン 語 で は 「任 意 の 美 し い バ ラ 」
国」 の複 数 形
pulchra
が い う と こ ろ の)奇 .vir)
ガ ラ ス」
態上 の 特 徴
rosa「君
容 れ
語 幹 に よ る 屈 折 を 行 な う よ う に な っ た.こ
を 形 容 詞 の 弱 変 化 と い う . 「弱 」 と は,ド あ ま り(変 化)し
weak(こ 本語 の
れ も,schwachの
を 用 い た.ラ
と し て ゴ ー ト語 の 語 形 と祖 語 の 再 建 形 を 示
る い は,英
語の
直 訳 で あ り,日
容 詞 か ら,そ
の
性 質 を も っ た 人 や 物 を さ す 名 詞 を つ く る 際 に,n‐ 語 幹
Cato,属
音 語 幹 は 大 幅 に 退 化 し た.
訳 語)の
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 で は,形
い で い る が,上
《母 音 語 幹 》
な い 」,あ
イ ツ語 の
「弱 い 」 とい う イ メ ー ジ は 当 た ら な い.
お お む ね イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 祖 語 の 変 化 様 式 を 受 け 継 に 説 明 し た 語 末 音 の 弱 化 に よ り混 乱 が
ル マ ン 語 で は,
詞 がn‐
元 来,イ ゲ ル マ ン語 の 名 詞 変 化 は,
か し,グ
名 詞 が 既 知 の も の と し て 特 定 化 さ れ て い る と き,形
schwach「 起 因 す る もの
定の も
の 持 っ て い る(君
麗 な バ ラ 」 と い う と き も,pulchra
に は 形 態 上 の 変 化 は な い.し
打 つ 」 の 過 去 分 詞)
Ⅱ)形
す.
ゲ ル マ ン語 にみ られ る形 態
容 詞 の 変 化 と 動 詞 の 活 用 に,強
は 名 詞 の そ れ に 一 致 す る.た
防 ぐ」
後 に 続 く同 じ 音 節 中 のに
下 に,例
推 に よ り生 じ た と思 わ れ る 〕
容 詞 の 弱 変 化
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 語 の 形 容 詞 の 変 化 は,基
ム ラ ウ トと は 一 応 別 物 で あ る.
起 き て い る . と く に,子
が
数 属 格augane).augoの
変 化 を導 入 し た こ とで あ る.
彼 は 眠 っ て い る」
で,ウ
詞 変 化 の 概 要
雄鶏」
目」 〔語 幹 は,augan‐/augen‐
‐oは ,類
「重 さ」 <pungr「
は
舌 」(語 幹 は,tuggon‐)
期 待 さ れ る(複
haurn(<*hurnam),wair(<*wiraz)
1)名
幹 は,hanan‐/hanen‐)「
o
奇 妙 な こ と に,ゴ ー ト語 に は ウ ム ラ ウ トの 形 跡 が な い.
な ど は,直
し ろ造 語 力 を 強 化 し
り ゴ ー ト語 で あ る.
u
4) slaginaR>sleginn(sla「 5) *glaz>gler「
ど が あ る.
y
*senkwan>sokkva「
*wiraz>verr「
友 人 」)な
在
変 化)》
a
客 」(Lat.hostis)
3) *hurnam>horn「
城
兄 弟 」),現
u
友人 」
*varjan>verja「
根 名 詞(baurgs「
に 終 わ る親 族 名 詞(bropar「
上 の 特 異 点 は,形
*pungipu>pyng〓
財 」*peku
o
《ノ ル ド語 の 例 》
*weniR>vinr「
語 幹)faihu「
o
a
1) ‐gastiR>gestr「
水 」*akwo 客 」*ghostis
《子 音 語 幹 》
(口 蓋 ウ ム ラ ウ ト) 5)
語 幹)gasts「
幹 の み は ゲ ル マ ン 語 に お い て,む
eo
4) kま
乙 女 」) 語 幹)a〓a「
祖 語 か ら 受 け 継 い だ 子 音 語 幹 が 衰 退 す る 中 で,n‐ 語
e i
2)
語 幹)bandi<*bhondhi
《n‐ 語 幹 名 詞(弱
e
雪 」*sneigwhos
贈 物 」*ghebha(?)
子 音 に 終 わ る 名 詞 と し て は,語 塞 」),r‐
確 認 され た い.
語 幹)giba「
語 幹(*ua‐
で あ るの で,i‐ 変音 と称 す るの で あ る,ゲ ル マ ン
軍 」*korios
語 幹)snaiws「
cf.kanya(Skt.「 wo‐
日」*dhoghos
語 幹)harjis「
テ ン語 のcatus「
格‐tonis「
マ ン語 も,こ
鋭 い 」 か ら固 有 名 詞
性 格 が 鋭 い 人 」 が で て い る.ゲ
ル
の習 慣 を 受 け継 いだ の で あ る.
弱 変 化 形 は,本
来 は 独 自 に 機 能 し て い た が,限
文 脈 に 多 く現 わ れ る こ と か ら,指
定的
示 詞 あ るい は 冠 詞 と
不 可 分 と 感 じ ら れ る よ う に な っ た . し か し,形
容詞 の
中 に は な お,弱
変 化 形 を と ら な い も の や,逆
変 化 を す る も の が あ る . ゴ ー ト語 で は,代
に常 に弱 名詞 的 形 容
詞 は 弱 変 化 し な い. anpar「2番 ら 」,〓
目 の 」,〓
「2つ の う ち の ど ち
「ど ち ら の 」,swaleiks「
sums「
あ る 」,な
そ の よ う な 」,
ど.
第1の
同 じ も の 」;比 較 級 の 形 」,aftuma「
「次 の 」,hleiduma「
〓
ど.
と い う が,そ
性 主 格 単 数)を
と る の で あ る.同
ば〓
と い う が,こ 常 の 場 合,古
去 形 の 接 尾 辞 に*dhe/*dhoを
ル マ ン 語 の 特 殊 性 と い わ れ る の で あ る. a)強
変化動詞
変化語尾
(現 代 口 語 で,〓)と
ー ト語 を 例 と し て あ げ て お く.
現 在 語 幹 単 数 過 去 複 数 過 去
単
i
au
u
u
目
第3類
eRT
aRT
uRT
uRT
‐i(男
第4類
eR
ar
(E) RuR
第5類
eT
aT
(E)T
第6類
a o o
る い は指
i
eT a
ア) beidan‐baid‐bidum‐bidans「
待 つ」
イ) kiusan‐kaus‐kusum‐kusans「
選 ぶ」
ウ) wairpan‐warp‐Waurpum‐waurpans「
す る.
成
る」
世 ノ ル ド語)》 ッ コ 内 は 弱 変 化)
運ぶ」
オ) giban‐gaf‐gebum‐gibans「 数
与 え る」
カ) faran‐for‐forum‐farans「 エ と オ の 複 数 過 去 形,お 更 さ れ て い る(Eで
際 に は,長
る(*burum→berum,etc.).こ
数
行 く」
よび オ の過 去 分 詞 の母 音 が変
示 し た も の).理
が 予 定 さ れ て い る が,実
複
過去 分 詞
ai
エ) bairan‐bar‐berum‐baurans「 「良 き 王 」(カ
ぎの
通 ゲル マ ン語 の 音
eu
れ は 呼 び か け に 用 い られ 示 詞,あ
韻 を 示 し,ゴ
ず,共
i
示 詞 よ り 発 達 し た 定 冠 詞 を 伴 い,pessi/hinn 〓
男性
選ん れがゲ
第2類
じ く 「良 い 人 」 な ら
語 を 含 め て,指
《形 容 詞 の 変 化 例(中
の 方 言 に 見 あ た ら な い こ と か ら,こ
第1類 目の 人 」を
れ ぞ れ の 文 脈 で 「1番
の 人 」 は お の ず と特 定 さ れ る か ら,弱
る.通
だ,過
類
後 者 」,iftuma
左 の 」,な
ノ ル ド語(現 代 ア イ ス ラ ン ド語)で,「1番 fyrsti
で あ る.た だ 例 は,他
よ う な 構 成 に な っ て い る.ま
自 身 」,sasama「
容 詞;fruma「
持 つ 」 を下 敷 きに して い る こと は周 知 の事 実
母 音 交 替 に よ る ゲ ル マ ン 語 の 強 変 化 動 詞 は,つ
常 に 弱 変 化 す る も の は, silba「
habeo「
論 上 は,ゼ
ロ 階梯
母音 が現 わ れ て い れ は,す
べてのゲ
ル マ ン 語 方 言 に 共 通 で あ る. b)弱
変 化動 詞
弱 変 化 動 詞 は,す
べ て 派 生 動 詞 で あ る. 派 生 元 が 名
詞 ま た は 形 容 詞 で あ れ ば 名 詞 派 生 動 詞(denominativum, 動 詞 で あ れ ば 動 詞 派 生 動 詞(deverbativum) 強 変 化 に は,一
部 に代 名 詞 の 語 尾 が混 在 して い る
(‐um,‐an,‐ra). 3)動
詞 の 強 変 化 と 弱 変 化
語 の 動 詞 は,造
ー ト語 が も っ と も完 全 に 古 形 を と ど め て い
る の で,例
に 示 す(3人
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ
語 法 上 よ りみ て,本
に 大 別 す る こ と が で き る.前
とい う.ゴ
源 動 詞 と派 生 動 詞
者 は,母
第1類
音交替法に より
動 詞 の 諸 機 能 を 形 態 的 に 実 現 す る も の で,イ ン ド・ヨ ー
第2類 第3類
来 の 動 詞 を 接尾 辞 へ 転 換 す
る 方 法 は,イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 に は 古 く か ら 知 ら れ て い る.た
と え ば,ラ
テ ン 語 のamabo,habebo,ゲ
ル 語dunfad'Iwill *bhu‐(Skt .bhavati「 考 え ら れ る し,ロ
do'な
ど の 未 来 形 に は,動
マ ン ス 諸 語 の 未 来 形 は,ラ
salbop
salboda
haban
第4類
habaida
habaip
fullnan
fullnoda
fullnip
「満 ち る 」 c)語
根 重 複 動詞
こ れ は 強 変 化 の 一 種 で あ る が,便 て お く.構
詞
は 二 重 母 音で
テ ン語 の
fullida
salbon
ー
∼ に な る 」)が 含 ま れ て い る と
fulleip
fulljan
「持 っ て い る 」
派 生 動 詞 の 過 去 形 を 作 る に 際 し,語 尾 に 「置 く」 と い う 意 味 の 動 詞 を 使 用 す る.本
(過 去 形)
「軟 膏 を 塗 る」
く られ た 動 詞 で あ る.両 者 と も に 古 今 の イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 に 広 く分 布 して い る が,ゲ ル マ ン語 で は,そ れ ら
(現 在 形)
「満 た す 」
ロ ッ パ 語 の 根 幹 を な す 部 分 で あ る.後 者 は,す で に 存 在 し て い る 名 詞,形 容 詞,動 詞 か ら 接 辞 法 に よ り 新 た に つ
称 単 数 形).
る(ゴ
宜 上,別
成 上 の 特 徴 は,語 幹 母 音 が+
ー ト語 が,も
立 て とし 子 音,ま た
あ る動 詞 に 限 られ る こ とで あ っ と も こ の 点 で は 保 守 的 で あ る).
ゴ ー ト語 halda‐haihald‐haldans「
保つ 」
古 英
Prokosch,Eduard(1939),A
語 healdan‐heold‐healdan
ゴ ー ト語 haitan‐haihait‐haitans「 古
英
語 hatan‐het(古
呼ぶ」
了 動 詞(praeterito‐praesentia)
古 典 諸 語 に は,完
と え ば,ギ
同 上 」 な ど.こ
同 上 」,ラ テ 代 ドイ ツ
な ど),ド
来 の 存 在 動 詞*es‐
ら 読 む べ き で あ る.参
(秦
くに注 意 をひ が ま っ た く使 わ
続 法)に,*wes‐
ノ ル ド語 で は こ の 語 根 の み が,古
は
が,ゴ ー ト語,
英 語,ド
イ ツ語 な ど
代 語)の
の 傾 向 は,
ご と く,ド
イツ
Grammar
of
Proto‐Germanic,Vo1.3,Bibliography(Benjamins, Amsterdam)―
ゲ ル マ ン語 に 関 す る 論 文,
languages
独 Hochdeutsch
古 サ ク ソ ン 語 [分
類]
英 Old
Saxon,独
ル マ ン 系 の 言 語 で,北
は エ ル ベ川 にそ っ て キ ー ル
ら ラ ウ エ ン ブ ル ク(Lauenburg)へ
で あ る.の
紀 か ら12世 ち に,中
部
西 を ラ イ ン川 お よび エ ル ベ
に は さ ま れ,東
(Kiel)か
Altsachsisch
古 サ ク ソ ン 語(ま た は,「古 ザ ク セ ン語 」
至 る地 域
紀 の 間 に使 わ れ て い た 言 語
期 低 地 ドイ ツ 語(Mittelnieder
よ ば れ る よ う に な り,現
在 で は,低
ドイ
ツ 語 の 一 部 と な っ て い る.
Hermann,Hirt(1931‐34),Handbuch manischen,3Bde.(Carl
des
Urger
Winter,Heidelberg)
―多 くの 資 料 を 圧 縮 し て あ る わ り に は 分 か りや す 者 独 自 の 見 解 も あ り,初
心 者 向 け で は な い.
W.Meid(1969),Germanische
Sprachwissenschaft,3Bde.(de Goschen〕)―
伝 統 的 な ス タ イル の 入
門 書.第3巻
の語 形 成 論 が と くに よい.
Meillet,Antoine(1937),Caracteres
generaux
germaniques(Hachette,Paris)
― 古 典 的 名 著 で あ る が,本
書 の説 明 を十 分理 解 す
な り の 予 備 知 識 を 必 要 と す る.
古 サ ク ソ ン 語 の 一 般 的 な 特 徴 と し て は,古 英 語;Englishと の 意 で あ る)に 語(→
は,元
来,「
近 い と も思 わ れ る 要 素 と,高
ドイ ツ 語)の
彙 の 両 面 で,古
英 語(→
ア ン グル 人 の こ とば 」 地 ドイ ツ
要 素 を 兼 ね 備 え て お り,そ
両 方 言 の 中 間 に 位 置 づ け る こ とが で き る が,文
Gruyter,Berlin
〔Sammlung
る に は,か
ドイ ツ 語
deutsch)と
較文法
langues
英 Goidelic
→ ドイ ツ 語
に お い て,9世
著 書 の詳 細 な 目録 .
des
高 地
(Elbe)川
Markey,T.L.etal.(1977),A
languages
→ 島 嶼 ケ ル ト語
は ア イ ダ ー(Eider)川,東
献 目録
Krahe,H.und
ゴ イ デ ル 諸 語
「古 期 低 地 ドイ ツ 語 」)は,ゲ
く に 際 立 っ て い る.
[参 考 文 献]
い.著
英 Goidelic
→ 島 嶼 ケ ル ト語
は過 去 形 にあ て
で は 他 の 語 根 と混 用 さ れ て 使 わ れ る.こ bin,seiend,gewesen(現
2)比
ゴ イ デ リ ッ ク 諸 語
に も み ら れ る共 通 点 と と も
ら れ る が,不 定 詞 お よ び 分 詞 で は,*wes‐
1)文
Greek
こ
よ り種 々の 語
れ ら両 語 の 近 親 性 を窺 わ せ る.一 般 に,*es‐
語 で,と
英 Modern
宏 一)
た,そ れ ら の 扱 い は,方 言
くの は,ゴ ー ト語,ノ ル ド語 に*bhu‐
説 法/接
考 書 目 は 便 利 に 使 え る.
に 加 え て,
お よ び*bhu‐
れ て い な い こ とで あ り,他 に,こ
に は極 論 と思わ れ る も
→ 近 代 ギ リシア 語
に よ って か な り の 相 違 が 認 め ら れ る.と
現 在 形(直
IndoEuropean 音 韻法
用 に特殊 な点 が あ
substantivum)
形 を 借 用 す る に い た っ た.ま
of
韻 法 則 の 事 実関 係 を十 分 に承 知 して か
現 代 ギ リ シ ア 語
ゲ ル マ ン 語 で は,本
Laws
則 に 関 す る 最 近 の 論 説 集.中 の も あ り,音
る.
通 常 の 動 詞 で あ る*wes‐
で に古
(Benjamin,Amsterdam)―
ど,比 較 的 よ く 保 存 され
在 動 詞(verbum
豊
解 の 一 部 は,す
く な っ て い る.
イ ツ 語 で 話 法 の 助 動 詞 と い わ れ る も の は,か
e)存
か し,見
Collinge,N.E.(ed.)(1985),The
代 英 語 で 助 動 詞(can,shall,may,ought
つ て の 完 了 動 詞 の タ イ プ で あ り,活
Winter,Heidelberg)―
富 な 資 料 を 含 む.し
英 語 にwat;witon,
古 ノ ル ド語 にveit;vitumな て い る.現
Grammatik(Garl
リ シ ア 語 のoida
の 語 根 は,現
語 にwissen;ichweiss,etc.,古
英 語 で 書 か れ た本 格 的 な ゲ
Streitberg,Wilhelm(1896,1963),Urgermanische
「私 は 知 っ て い る 」,サ ン ス ク リ ッ トveda「 ン語(g)novi「
Germanic of America,
ル マ ン語 比 較 文 法 書 と し て は 唯 一 の も の.
了形 が現 在 の意 味 を表 わ す動 詞 が
若 干 数 存 在 し て い る.た
Society
Philadelphia)―
形heht)‐haten
重 複 法 は,他 の 方 言 に は 痕 跡 ほ ど しか 残 って い な い . d)完
Comparative
Grammar(Linguistic
れ らの 法,語
英 語 と は 特 に 近 い.
フ リー ジア 語 (ア ン グル 方 言 を含 む) 西 ゲル マ ン語 低 地 ドイ ツ語 (南 ゲル マ ン語 と も){ (現代 の オ ラ ン ダ語 を含 む) 高 地 ドイ ツ語 西 ゲル マ ン語 の 「西」 は,ゴ ー ト語 を グル マ ン語 の 東 部 方 言,す な わ ち東 ゲル マ ン語 と して 位 置 づ け た こ
発音
と に 対 す る も の で あ る.
綴 り
方 言 の 分 類 に は い ろ い ろ な 考 え 方 が 可 能 で あ り,そ
a
れ に も と づ い た 具 体 的 な 提 案 も 行 な わ れ て い る.た え ば,ア
akkar「
と
ン グ ル 語(方 言)と フ リ ー ジ ア 語(方 言)の 総 称
言 の 分 類 表 は,書
の よ う な も の で あ り,そ
古 フ リー ジ ア 語 と の 著 し い 類 似 点 は,次 の2点 a)鼻
音[〓]が,摩
擦 音[〓]の
魚 」,wika「
u
で あ る. 前 で脱 落 e
luft「 空 気 」,kust「
選 択 」,
jung「
若 い 」;hus「
家 」,
bean「
住む」 垣 根 」,ettar「
erl「
古 サ ク ソ ン 語
古英語
fif「5」
fif
us「 我 ら に 」
us
kud「
cu〓
知 ら れ た 」
(高 地 ドイ ツ 語 で は,そ b)定
e
lef「
bindad=(現
bindet,sie [ 伝
頃 成 立.「 ヘ ー リ ア ン 良 の 写 本 は,大
英博 物 館
く」/liof「
約 聖 書 の 「創 世 紀 」 を 扱 っ て お り,
上 記 の 作 品 に 類 す る も の.バ
テ ィ カ ン 所 蔵.こ
英 語 訳 で 知 ら れ て い た が,ゲ
者 ジー フ ェ ル ス(E.Sievers)の
3)語
の作 品
ル マ ン語 学
予 想 ど お り,古
サ ク
岩 」,[〓]euwa
火 」,[〓]heoban「
嘆
い と しい 」
形 変化
a)名
詞
名 詞 は,語
異 な っ て い る が,古
本 で あ る.
b)Genesis:旧
確 な発音 の 提 示 は
利 口 な 」,[〓]leia「
「汝 ら の 」,[〓]fiur「
音 書 の 内 容 を 韻 文 で 再 話 した もの.
所 蔵 のCOTTONC写
異 綴 り が 多 い の で,正
[〓]glau「
で あ る.
ト」 と は,「 救 世 主 」の 意.最
初,古
《二 重 母 音 》 困 難 で あ る.
6千 行 か ら な る 頭 韻 詩 で,830年
は,当
binden,ihr
古 サ ク ソ ン語 最 古層 の 文 献 で 最 大 の も
a)Heliand:福
金 」;
雌 牛 」,
stol「 椅 子 」
代 ド イ ツ 語)wir
下 の2つ
報 酬 」
開 い た 」,gold「
flod「 流 れ 」,ko「
binden
承]
の は,以
終 わ り 」,
異 郷 」;
病 」,meda「
opan「
動 詞 の 複 数 語 尾 が 同 形 に な っ た.
wi
ロ バ 」,endi「
elilendi「
れ ぞ れfuenf,uns,kund)
毒 」,
男 」
esil「
o
豚 」,
名 声 」
eder「
す る.
週 」,
船 」;swin「
tir「
英 語 お よび
行 為 」,
月 」
fisk「 skip「
れ に よっ て 事 実 関 係 に変 化 が
塩 」,
客 」;dad「
mano「 i
物 に た とえ れ ば 目次
お よ ぶ わ け で は な い . 古 サ ク ソ ン語 と,古
畑 」,salt「
gast「
で あ る ア ン グ ロ ・フ リ ー ジ ア 語 を 独 立 さ せ る 学 者 も あ る . し か し,方
語例
幹 に よ り変 化 の タ イ プ が
サ ク ソ ン語 の 名 詞 変 化 は,お
おむ
ね 共 通 ゲ ル マ ン語 の 変 化 様 式 に 従 う. た だ し,資
料上
の 限 界 か ら,完 全 な 変 化 表 は 作 成 で き な い も の が 多 い. 以 下 に,2,3の
例 を 引 く に と ど め る.
語 幹 単
数
複
数
意
味
ソ ン語 の 原 文 が 存 在 す る こ と が 確 認 さ れ た. a‐
ほ か に,韻
文,あ
るい は散 文 の作 品 の一 部 あ る い は
断 片,ラ
テ ン語 の 原 文 に 添 え ら れ た 古 サ ク ソ ン語 の 逐
語 訳(い
わ ゆ るinterlinear
glosses),ラ
テ ン文 書 中
o'‐
に 散 見 さ れ る 古 サ ク ソ ン語 の 単 語 な ど が あ る. [言 語 特 徴]
現 存 す る 写 本 か ら,9世
ク ソ ン語 の 音 韻 と形 態 を 再 構 成 す る と,ほ
xはcsで
紀 頃の古サ
文 字 は,ラ テ ン 文 字 で あ る.た
代 用 し,yは
2)音
主 ・与 ・対
「舌 」
tungun 属 tungono
主 ・属 geba
主 ・対 geba
与 ・対 gebu
属 gebo,
「贈 り物 」
だ し,
二 重 母 音[〓] 韻 と綴 字
《単 純 母 音 》
使 用 さ れ て い る.
ど の[〓 ]音.な
別 の文 字 を使 わ ない .
両唇摩擦音
与 gebum
外 国 名 の 表 記 に の み 使 わ れ る.
signs)が
英 語 のthisな
と綴 り,特
o/u―
与 dagum
主 tunga
tungun ,wo' ‐
ぼ次の よう
ラ テ ン語 に は な い 音 を 表 記 す る た め に,補 助 記 号(い
b―
与 dage
「日 」
属 dago
gebono 字
わ ゆ るdiacritical d―
主 ・対 dagos
属 ・与 ・対
に な る. 1)文
主 ・対 dag, dages
お,無
語 幹 の 種 類 は,上 (弱 変 化),子
記 の も の の ほ か,ja‐,wa‐,i‐,u‐,n‐
音 語 幹 な ど が あ る.
声 音 はth b)数
詞
「1」 en 「2」 twene(男);twe(中);two,twa 「3」 thria,‐e,threa(男,女);thriu(中) 「4」 fiawar(etc.)
「5」
fif
「6」
sehs,ses
「7」
sibn
「8」
ahto
「9」
nigun
「10」 tehan
themu,
them,
thera
them
then
対 thena, thana
thia,
that
thea,thia
thea
これ 」 が あ る.
定代名詞
sum「
「14」 fiertein
あ る 」(ゴ ー ト語sums),en「
詞 の1),enig「
「15」 fiftein
hwilik「
詞 に つ い て 留 意 す べ き点 は,以 は,形
「3」 の 属 格,与
下 の とお り
容 詞 の 強 変 化 に 同 じ で あ る.「2」
格 は,そ
な る.「11」
法 に したが って 10位
れ ぞ れtweio,twem/thrio
「12」 は,ゲ
「余 り1」
の 意 味 で あ る.
の 数 は,「20」twentig,「30」thritigな
ひ と」,wiht「
thena
balkon beam
antahtoda,nichonteと
thia
the
ま た はhunderodと
は,hund,
い う.
i)人
d)形
主 ik
thu
wit
git
wi,we
gi,ge
属 min
thin
unkero
inker
user
euwar
与
mi,
thi
unk
ink
us
eu
mik, thik
unk
ink
us
eu
対
mi,
来 は,前
承 的(anaphoric)な
よ い 」 の 格 変 化 を 示 す(カ
男性 単数
主 god
属 godes (goden)
主 he,hie,hisiu
(複 数)
中性 it
sia(中
iru(etc.)is,es
ⅱ )指
im
sia(etc.)it
sia ⅱ)比
示 代名 詞
the,thie「そ
(godon) 複 数 主 goda
ira
与 imu(etc.)iru(etc.)imu(etc.) 対 ina,ine
対 godan
siu
と も) 属 is,es
(goden)
ほ ぼ共 通
れ」
ア)比
(単数)
主the,thie
女性 thiu,thia
(複 数)
中性 that
ほぼ共通 thea,thia
女性
中性
god
god (goda) godes (goden) godum
(goda) godera (godun) goderu (godun) goda (godun)
(goden) god (goda)
goda
god
属 godaro
godaro
godaro
与 godum
godum
godum
対 goda
goda
god
較 法 較 級(‐ira/‐ora,‐ara,‐era)
ald'old'―aldira
男性
ッ コ内 は
だ し 別 形 は 省 略).
与 godum
女性
ゲ ル マ ン語一 般 に共 通 の 強 変
定 され て い る 場 合 は 弱 変 化 と な る.
弱 変 化,た
あ っ た.
男性
was
was'
特 定 の もの で あ る場 合 には 強 変
代名詞で
(単数)
hie he
後 続 す る 名 詞 が,不
(godo)
3人 称 は,本
fulfilled'
つ 比 較 法 に よる変 化 を行 な う.
以 下 に,god「
(etc.)
me
been
whence
容 詞 の 活 用
(etc.)
me
have
sindon
化 と 弱 変 化 が あ り,か
化,特
(etc.)
habes have'
knuosle,thanan land
ど を用 い る
容 詞
ⅰ )形
(単 数) (双 数) (複 数) 1人 称 2人 称 1人 称 2人 称 1人 称 2人 称
thu you
gifulda
that
'to the
称代名詞
the
thar
'things
ど ち ら もな い」
示 副 詞 な ど で 代 用 す る.
which
te them 名詞
何 か」
辞the,the,thie,thiな
示 代 名 詞,指
'the
唱 え る.「100」
だ れ か 」,
の う ち どち ら
れ も ∼ な い 」,newethar「
関 係 文 は,小 ほ か,指
どの
あ る 」(数
れ か 」,hwe「
定代名詞
nigen「だ
ル マ ン語 一 般 の 造 語
「余 り2」
か 」,man「 ⅳ)否
ど れ か,だ
だ れ か 」,endihwedar「2人
よ う に ‐tigを つ け る.「70」 ∼ 「90」 は,a(n)tsibun,
c)代
thera
theru,
ⅲ )不
「13」 thriutein
thrimと
thero,
与 themu, them
(女),thit(中)「
「12」 twelif
で あ る.「1」
themu, them
こ の 他,本 来 の 指 示 代 名 詞 と し て,these(男),thius
「11」 e11evan
な お,数
thera, theru
属 thes
engi'narrow'―engira lang'long'―lengira liof'dear'―liobora
《強 変化 動 詞(不 定 詞beran「
skoni'beautiful'―skoniera swoti'sweet'―swotiera イ)最
(現在)
上 級(‐ist/‐ost)
運 ぶ」)》
(過 去)
単数
ald'old'―eldist
1 biru(bere)
bar(bari)
nah'near'―nahist
2
bari(baris)
triuwi'true'―triuwist
3 birid(bere)
bar(bari)
複数
fagar'fair'―fagarost ウ)不
biris(beres)
規 則 な 比 較 ・最 上 級
こ れ は,ゲ
ル マ ン語
berad(beren)
命 令 法 単 数
に 共 通 す る も の が 大 部 分 で あ る.
複 数
god―betera―bezto
barun
2 ber,bir 1 beren 2 berad
('good'―'better'―'best' ubil―wirsa―wirsisita
《弱 変 化 動 詞(不
('evil'―'worse'―'worst')
(過去)
単数
(古 ノ ル ド語mikill―meiri―mestr) 容詞 として の原 級 を もた な い もの で
あ る.
1 fremmiu(fremmie)
fremida(fremidi)
2 fremis(fremmies)
fremides(fremidis)
3 fremid(fremmie)
fremida(fremidi)
ferristo'farthest',e'risto'earliest',
複数
furthira'largest',な
fremmiad(fremmien)
e)副
ど.
詞 に語 尾
fremidun(fremidin)
命 令 法 単 数 2 fremi
詞
ⅰ )形
推 進 す る 」)》
(現在)
mikil―mera―mesta
以 下 の 例 は,形
定 詞fremmian「
容 詞 起 源 の 副 詞
古 サ ク ソ ン語 で は,形
‐oを 加 え る こ と に よ り,副
複 数
容
詞 を派 生 させ る
こ と が で き る.
命 令 法1人
2 fremiad
称 複 数 は,「 さ あ,∼
ⅱ )強 変化 動 詞 の 形 成
し よ う」 の 意 .
強 変 化 動 詞 は,母 音 交 替
derni'secret'―darno
の 原 理 に 基 づ き各 種 の 活 用 形 が つ くられ る. 第1類 か
lang'long'―lango
ら第5類 ま で は,不 定 形 お よび現 在形 がe‐階 梯,単 数
garo'ready'―garo,な た だ し,godの
過 去 形 がo‐階 梯,複 数 過 去 形 お よび 過去 分 詞 形 が 消 失
ど.
副 詞wella,wallaの
よ うな 不規 則
階 梯 で あ る.
不定
な 例 も あ る. ⅱ )副
詞 の 比 較 法
por'moredeeply'と
第1類
原 級 に ‐or,‐urを 付 け てdio し,最
所,時
上 級 はlengist'longest,
第2類 biodan
を表 わ す副 詞
第3類 第4類
hwar(od)'whither',hwanna(n)'whence',
第5類
hinan(a)'hence',hwan'when',
第6類
ju'already',simbla'ever' の他 の 副 詞
filu'very',tesodon'soothly',
ⅲ )弱 な ど.
bindan
beran
lesan
faran
band
bundun
gibundan
bar
barun
giboran
las
lasun
gilesan
for
forun
gifaran
変 化 動 詞 の 形 成
生 動 詞 で あ る が,ゴ
詞
ン 語 で は1つ ル マ ン語 の 特 徴 で あ
第1類
fremmian(語
第2類
salbon(語
続 法(ま た は 希 求 法),命
令 法 の3種
で
あ る. 以 下 に,変 化 形 式 の 実 例 を 示 す(カ
第3類 第1類
ッ コ 内 は 接 続 法).
hebbian(混
save')と
は,語
弱 変 化 動 詞 は,す
ー ト語 の4種
減 っ て3種
る強 変 化 動 詞 と 弱 変 化 動 詞 の 区 別 を 保 存 し て い る . 法 説 法,接
gibundan
「行 く 」
hweo'how',so'so',thus'so',sama'justso',
は,直
budun
「読 む 」
tho'then',nu'now',
サ ク ソ ン 語 の 動 詞 は,ゲ
bod
「運 ぶ 」
her'here',herod'hither',
i)古
gigripan
「縛 る 」
thanna(n)'thence',hwar'where',
f)動
gripun
「 提 供 す る」
thar'there',thar(od)'thither',
ⅳ )そ
grep
「〓 む 」
の よ う に 形 容 詞 の 最 上 級 を 流 用 す る. ⅲ )場
単数過去 複 数過去 過去分詞
gripan
サ クソ
類 で あ る. 幹 ‐ja‐) 幹 ‐o‐) 合 語 幹)
幹 母 音 が 短 い も の(た
長 い も の(た
類 に 対 し,古
べ て派
と え ば,nerian'to
と え ば,menian'to
mean')
と が あ り,過
去 形,過
去 分 詞 を 形 成 す る に 際 し て,若
分 詞 は,wesan'to
干 の 差 異 が 生 ず る.
be',werdan'to
nerian‐nerida,menian‐menda
wurdun
(語 幹 末 の ‐i‐ の 出 没 に 注 意)
「彼 の 頬 が 輝 い た 」
以 下,若
become'と
結 ぶ こ と が あ る. im
er than
干 の 特 例 を 示 す.
is wangun
thi wirdid
blikandi
kind
giboran
sellian'togive'―salda―gisald
「汝 に 子 が 生 ま れ る ま で は 」
tellian'totelle'一talda―gitald
sint
leggian'tolay'―lagda―gilegid
「汝 の 介 添 者 た ち は い た く酔 い つ ぶ れ て い る 」
上 例 中 のeとaの
交 替 は,iに
よ る 変 音(ウ
ム ラ ウ ト)
h)前
の 有 無 に よ る. 第2類
makon'to
make',bedon'to
こ の ‐o‐は,ゴ
i)接
ー ト語 で は 長 音 で あ る が,古
サ クソン
に 所 属 す る 動 詞 は,古 持 ち 上 げ る」,seggian「
言 う 」,libbian「
の み で あ る.そ
の 活 用 の 例 を 次 に 示 す.
seggian―sagda―gisagd
の 他 の 変 化 類(変
化 表 の 一 部 を,例
示 す る)
Worter
Grammatik
Niemeyer,Halle)
2 thubist,bis
sis
3 is,ist
si
(ed.),Kurzer
Elementarbuch
Winter,Heidelberg)
sin
Philologie
in
現 在 分 詞 wesandi
[参
1 dom,duom
doe,duo
2 dos,duos
duoas
3 dod,duod
doe,duo
照]
bis
I(Walter
語,ド
英
Old
Church
wet
字 が 考 案 さ れ て か ら,人
ラ ブ語 に文
為 的 に 定 め ら れ た11世
ラ ブ 語 で 書 か れ た 文 献 の 言 語 で,ス
紀末 ま
ラ ブ語 に
お け る 最 初 の 文 語 で あ る.す べ て の ス ラ ブ 語 の 中 で,も *skulan
*mugan
っ と も古 い 特 徴 を 備 え て お り,一 ば,比
較 言 語 学 上,ス
skalmag
ほ ど の 古 さ を 保 っ て い る.し
skaltmaht
よ り,こ
3 kan
skalmag
に 分 類 さ れ る.ま
skulun
ブ 語 の 文 献 の 言 語 と い っ て も,す
mugun
の ゲ ル マ ン 語 同 様,現
過 去 分 詞 が あ る.
在
部 の 特 徴 を除 外 す れ
ラブ 祖語 の 代 わ りと して 使 え る
2 kanst
分 詞(‐andi)と
宏 一)
Slavonic,
紀 中 頃,ス
1 kan
分 詞 は,他
イ ツ語
ポ ー ラ ン ド starocerkiewnos〓owianski
'can' 'shall' 'can,may'
詞
de
独 Altkirchenslavisch,
法 の助 動 詞 の 例
複 数 kunnun
Schmitt
germanischen
1500,Band
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 と は,9世 west,3
Erich der
ゲ ル マ ン語 派,英
古 代 教 会 ス ラ ブ 語
で の,ス
*kunnan
Ludwig
Grundriβ
(秦
doen
1 wet,2
undMittelniederdeutsch",
Gruyter,Berlin)
複 数 witun
g)分
ど.
Holthausen,F.(1954),Altsachsisches
(Carl
詞witan'toknow'
単 数
∼ よ り」,な
∼ のよ う
Krogmann,Willy(1970),"Altsachsisch
複 数dod
エ)話
あ る い は 」,efdo…efdo 一 方 で は 」,so「
書]
接続法
詞don'todo'
単 数
[辞
(Max
1 bium si
不 定 詞 wesan
ウ)動
ど.
Holthausen,F.(1921),Altsachsisches
複 数 sind(un),sint
単 数
の
Gallee,J.H.(1910),Altsachsische
在動詞 直 説 法
イ)動
の
∼ の 上 で,∼
[参 考 文 献 ]
(古 ノ ル ド語segja―sag〓i―sag〓r)
単 数
∼ の と こ ろ で,∼
buch(Munster‐Koln)
hebbian―habda―gihabd
ア)存
格),な
そ して 」,efdo「
に 」,than「
生 き
∼ の 前 で 」(与 格), ∼ な し で 」(対 格),
格),obar「
「∼ か ∼ か 」,botan「 サ ク ソ ン 語 で は,heb
格 と結 合 す る.
続詞
endi「
語 で は す で に 短 くな っ て い る.
suido
格,対
∼ を 通 し て 」,at「
上 へ 」(与 格/対
の 活 用 の 例 を あ げ る.
ⅳ)そ
前 置 詞 は,与
と こ ろ へ 」(与 格/対
て い る 」の3語
druncane
∼ ま で 」(対 格),ano「
thuruh「
pray',fragon
makon―makoda―gimakod
第3類
置詞
and「
の よ うな もの が あ る.
'toask'
bian「
druhtingos
af「 ∼ か ら 」(与 格),biforan「
に 属 す る動 詞 に は,次
次 に,そ
thine
か し,そ
の一部の特徴 に
の 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 は,南 た,9世
ス ラ ブ 諸 語 の1つ
紀 か ら11世
ブ 語 の 文 献 と認 め る わ け で は な く,あ 徴 を 有 す る 場 合 は,古
紀 末 まで の ス ラ
べ て を 古代 教 会 ス ラ る種 の 方 言 的 特
代 教会 ス ラ ブ語 の 文献 とは 認 め
な い こ とが あ る. ど の方 言 的 特 徴 に よ って古 代 教 会 ス
巨視 的 にみ る と,「 古 代 ブル ガ リア語 」 とい う名 称
ラ ブ語 の文 献 と認 め るか 否 か は,国 に よ り,ま た 学 者
は,ブ ル ガ リア以 外 で は 使 わ れ な くな っ て お り,「 古
に よ り異 な って お り,諸 国 や 諸 学 者 の研 究 を比 較 す る
代 教 会 ス ラ ブ語 」 とい う名 称 もゆ っ く りで は あ る が,
と き,い さ さか 事 情 を複 雑 にす る.さ
ユ ー ゴス ラ ビア や 東 ドイ ツで み られ る よ うに,「古 代 ス
らに この資 料 の
範 囲 の問 題 は,こ の 言 語 の 名 称 の 問題 と も関 連 し て く る.仮 に,資 料 の範 囲 を も っ と も限定 す る立 場 に立 っ
ラブ 語 」 とい う名 称 に 移 行 しつ つ あ る. [資料 の 範 囲 と性 質]
古 代 教会 ス ラブ 語 で 書 かれ
て も,す で に西 のマ ケ ドニ ア 方言 と東 の ブル ガ リア方
た 文献 で あ る と認 定 され る基 準 は,必 ず し も定 ま っ て
言 の 区別 が 認 め られ て い る よ うに,古 代 教 会 ス ラブ 語
い るわ け で は な く,個 々の 文献 に現 わ れ る方 言 的 特 徴
の名 で よ ばれ て い る 言語 は,決
して統 一 され た 単 一 な
もので は ない.ま た,時 間 的 に も,2世 る.と
紀半の幅があ
りわ け 事 情 を複 雑 に してい る のは,9世
紀後半
を,個 々 の 研 究 者 が ど う評 価 す る か にか か わ って い る. 比 較 言 語 学 的 見 地 か ら再 建 形 と して 認 め られ る*tj(お よび,こ れ と同 じ対 応 を 示 す*kt),*djに
対 して,古
にお こ った この文 字 言語 の文 献 が,最 初 に行 な わ れ た
代 教 会 ス ラ ブ語 はst,zdが
聖 書 の 翻 訳 の オ リジ ナ ル で は な く,現 存 の 資 料 は,い
うそ く」 〔nostb「夜 」〕,mezda「
ず れ もオ リ ジナ ル の 翻 訳 の何 度 め か の コ ピー で あ る こ
は,現 在 の ブル ガ リア語 も同 じで,そ
とで あ る.以 上 の事 情 か ら,こ の 言 語 の 記 述 に は,常
(nost),mezdaで
に一 定 の 「ゆ れ」 を認 め な けれ ば な らな い.時 に厳 密
由 とな っ て,古 代 教 会 ス ラ ブ語 は 南 ス ラブ諸 語 に属 す
な体 系 の 記述 が要 求 され る場 合 に は,9世
紀 中頃 に 最
対応 す る(例:svesta「
あ る.こ
ろ
境 界 」).こ の 対 応 形 れ ぞ れsvesta
の対 応 が 主 な る1つ の 理
る1つ の 言 語 とみ な され る.ち なみ に,ス ラ ブ 祖 語 の
初 の 翻 訳 が行 なわ れ た時 代(す な わ ち,直 接 の資 料 が
再 建 形 は,そ れ ぞれ*svetja(*noktb),*medjaで
何 もな い 時代)の 言 語 を 「キ ュ リ ロス ・メ トデ ィ オ ス
る.こ の*tj(*kt),*djの
語(cyrilometodejsky
る見 方 は,古 代 ス ラ ブ語 の文 献 を狭 く限定 す る傾 向,
jazyk)」
と よん で,そ の よう
な 記述 を行 な う こ とが あ る. [名
称]
対応 形 のst,zdを
あ 重視 す
さ ら には 「古 代 教 会 ス ラ ブ語 」 とい う名 称 を用 い る傾
上 記 の 言 語 は,伝 統 的 に古 代 教 会 ス ラ
向 へ とつ なが り,一 方,こ の対 応 形 を,こ の 言 語 が ほ
ブ語 とよ ばれ て きた が,近 年 で は古 代 ス ラブ 語 と よぶ
か の ス ラ ブ 語 に 対 して もつ 音 韻的 に古 い 特 徴 の1つ
こ とが 多 くな って きて い る.こ れ は,単 に名 称 の 問 題
み る見 方 は,文 献 を広 く認 め る傾 向,「 古 代 ス ラブ 語 」 とい う名 称 を用 い る傾 向 へ とつ な が る. 後 者 の 場 合,
で は な く,研 究 の 歴 史 と対象 とす る資 料,さ
ら に研 究
者 の出 身 国 の ナ シ ョナ リズ ム そ の ほ か と も関 係 した,
と
狭 く限定 され た文 献 の 言 語 は,古 代 ス ラ ブ語 の ブル ガ
か な り面 倒 な 状 況 を 反映 して い る.
リア ・マ ケ ドニ ア 型 とい う.な お,現 在 のマ ケ ドニ ア
古 代 教 会 ス ラブ 語 とい う名 称 は,こ の言 語 が 古 い 時
語 は,対 応 形 と してk',g',す
代 の ス ラ ブ語 で,そ
meg'aの
の言 語 で 書 か れ た資 料 の 圧 倒 的 大
部 分が 宗 教 関 係 の 文 献 で あ り,後 に 教会 の 言 語 と して
な わ ちsvek'a(nok'),
形 を もって い る.
この よ うな音 韻 的 特 徴 で,*tj(*kt),*djと の 鼻 母 音e,oが
並んで
用 い られ た 「教 会 ス ラ ブ語 」 の 先 駆 的 な言 語 で あ る こ
重 要 視 され るの は,2つ
とを示 して い る.こ れ に対 して,古 代 ス ラブ 語 とい う
れ て い る か どうか,ま た,b(短
正 し く書 か
名 称 を主 張 す る立 場 は,文 献 の形 で残 され た もの は た
で表 記 され て い る2つ の 母 音 が 正 し く書 か れ て い る か
ま た ま文 献 と して 固 定 され た もの で,そ の 背 後 に は 多
ど うか で あ る.主 として,以 上 の3つ の 音 韻 論的 特 徴
くの人 に用 い られ た ス ラブ 語 が あ る と考 え て,そ れ を
に よ り古 代 教 会 ス ラブ語 の 文 献 で あ る か ど うか が判 定
いi)とb(短
いu)
も考 慮 に入 れ よ う とす る立 場 で あ る.し た が って,後
され,判 定 に際 して の 重 要 度 も上記 の順 で あ る. 具 体
者 は この 言 語 で 書 か れ た 資 料 の範 囲 を,前 者 よ り広 く
的 な1つ の例 と して,「キ エ フ 断 片(Folia Kijevensia)」
解 釈 し よ う とす る 傾 向 が あ る.
を あげ る と,こ の文 献 資 料 は10世 紀 に 書 かれ た もの と
現 在,主
推 定 され,明
と して 「古 代 教 会 ス ラ ブ語 」 とい う名 称 を
用 いて い るの は,ド イ ツ 語Altkirchenslavisch,英 語Old
Church
Slavonic,ポ
ー ラ ン ド語starocerkiewnos〓owianski ろ が,*tj,*djの
で,「 古 代 ス ラ ブ語 」 を 用 い る の は ロ シア 語〓,チ フラ ンス語vieux
らか に現 存 最 古 の 写本 で あ り,鼻 母 音 も
2つ の短 い母 音 も期 待 され る形 で現 わ れ て くる.と 対 応 がc,zで
こ
な され てい る ので,
現 在 の ス ラ ブ語 中,こ の 対 応 を もつ チ ェコ 系 の文 献 と
ェ コ語staroslovensky, み な され,狭 義 の 古 代 教 会 ス ラ ブ語 の文 献 とは 認 め ら slaveな
どで あ る.ま
れ な い. し か し,古 代 教 会 ス ラ ブ語 を広 く解 釈 す る立
た,ブ ル ガ リア の学 者 は,こ の言 語 を 「 古 代 ブル ガ リ
場 の 研究 者 は,こ の 文献 を も古 代 ス ラ ブ語 の文 献 と認
ア 語(〓)」
め,古 代 ス ラブ 語 の チ ェ コ(ボ ヘ ミア)型
とよび,そ の ほ か の名 称 を
頑 強 に拒 否 して い る. この名 称 は,か つ て ドイ ツ語,
の ほ か の型 と対 比 させ る.さ
ポ ー ラ ン ド語 で も使 用 され た こ とが あ る.
ロ ミール 福 音 書(Evangeliarium
として,そ
らに も う1例,「
オス ト
Ostromiri)」
の
例 を あ げ れ ば,こ とbの
の 福 音 書 は11世
区 別 な ど,古
て い る も の よ り,よ てz,ま に,ロ
く 区 別 さ れ て い る が,*djに
た 鼻 母 音e,oに
対 して'a,u,と
対 し
い うよう
シ ア 的 特 徴 が と き に 認 め ら れ る た め,し
ばしば
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語 の 文 献 と し て 処 理 され る.以 よ う に,古
学 界 で は,ス ラ ブ の文 字 の創 始 者 コ ンス タ ンテ ィ ノス
紀 中 頃 の も の で,b
代 教 会 ス ラ ブ語 の 文 献 と認 め られ
上の
代 教 会 ス ラ ブ 語 と そ れ に 続 く教 会 ス ラ ブ 語
の 間 に は,明
確 な 境 界 は な く,ひ
関 し て い え ば,し
ば し ば,教
と つ ひ とつ の 特 徴 に
会 ス ラ ブ 語 の 文 献 の 形 が,
古 代 教 会 ス ラ ブ語 の もの よ り古 い 形 を 示 す こ とが あ る . 比 較 言 語 学 的 立 場 か ら,あ
る べ き姿 を 保 つ 古 代 教
会 ス ラ ブ 語 を キ ュ リ ロ ス ・メ トデ ィ オ ス 語 とい い,時 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 の 標 準 正 書 法(normalized と よ ぶ.こ
の 標 準 化 さ れ た 形 は,人
も の で,個
に
よ び,そ
た,こ
1)ゾ 2)マ
リア 写 本(Codex
ッ セ マ ー ニ 写 本(Codex
4)シ
ナ イ 詩 篇(Psalterium
5)シ
ナ イ 祈祷 書(Euchologium
6)ク
ヘ ミズ ム」 と称 す る チ ェコ語 的 要 素 が含 まれ てい るの もそ の傍 証 に な る.こ の2つ の 文字 は,そ れ ぞれ 対 応
Sinaiticum)
す る よ うにつ くられ て い るが,時
Clozianus)
に1対2で
対 応 した
り,ま っ た く対 応 の ない 場 合 が あ り,こ の対 応 の あ り
プ ラ シ ル 写 本(Codex
9)エ
Sabbae)
ニ ナ ・ア ポ ス トル(Praxapostlos…codicis
方 か ら も,グ ラ ゴ ー ル文 字 が キ リー ル文 字 よ り古 い こ
Suprasliensis)
とが 読み とれ る.さ
Eninensis)
らに,ま った く形 の 違 う2つ の文
字 に 若 干 の 共通 の文 字 が あ るが,こ の 文 字 の 構 成 の 原
上 記 の 資 料 を,そ
新約
理,発 展 の あ り方 もグ ラ ゴー ル 文 字 が キ リー ル 文字 に
よば れ
先 行 して い る こ とを 示 して い る.ま た,こ の2つ の 文
の 内 容 面 か ら み る と,1,2は
音 書,3は
ア プ ラ コ ス(aprakos)と
る 福 音 書 の 抜 粋,4は
詩 篇,5は
7は ア プ ラ コ ス,8は
聖 者 伝 と 説 教 集,9は
と 使 徒 行 伝 の 抜 粋,お
よ び 典 礼 聖 歌 で ある.上
祈 祷 書,6は
グ ラ ゴ ー ル 文 字 で,7∼9は
説 教 集, 使徒書簡
字 は,数 値 を示 す の に も用 い られ るが,グ 字 の 配列 が 数 の 順 と一 致 す る の に,キ
配 列 の 順 に 不 同 が あ り,こ の事 実 も グ ラ ゴー ル 文 字 が
キ リー ル
最 初 に発 明 され た文 字 で ある とい う説 明 に好 都 合 で あ る.言 語 学 的 事 実 以 外 の 状 況 と して,グ
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 の 文 献 は,グ
ル 文 字 と キ リー ル 文 字 の2つ
ラ ゴー ル 文
リー ル 文 字 で は
記の資
文 字 で 書 か れ て い る. 字]
「 大 モ ラ ビア 帝 国」 へ の 布教 の 目的 で この文 字 を発 明
文字 で 書 か れ た文 献 ほ ど,「 モ ラ ビズ ム」あ る いは 「ボ
Assemanianus)
バ の 本(Liber
[文
ては,古 代 教 会 ス ラ ブ語 で 書か れ て い る文 献 の うち, 特 にそ の 古 さが証 明 され て い る古 文 書 の大 部 分 は グ ラ
ル 文字 で 書 かれ て い る こ とは,こ の 文字 が キ リール 文
Sinaiticum)
8)ス
料 は,1∼6は
の文 字 を巡 って数 多 くの 論争 が あ った が,現 在 で は,
字 よ り古 い とい う有 力 な証 拠 で あ る.古 い グ ラ ゴー ル
7)サ
聖 書 の4福
この2つ の文 字 の い ず れ が古 い か,文 字 の 創始 者 キ ュ リロス が っ くっ た の は どち らの文 字 か な ど,ス ラ ブ
る チ ェ コ語 的 特徴 を備 え た方 言 の 古 い 書体 の グ ラ ゴー
Zographensis)
ロ ー ツ 文 書(Glagolita
祖 で あ る.
断片 」 が,大 モ ラ ビア 帝 国 で使 わ れ て い た と予 想 され
Marianus)
3)ア
は別 人 で あ る. この 文字 は,現 在 の ロ シア語 の文 字 の
した とい う事 実 に 照 ら して,現 存 最 古 の文 献 「キ エ フ
が あ げ ら れ る.
グ ラ フ ォ ス 写 本(Codex
つ け られ て い る が,こ
の キ リー ル は,ス ラ ブ の文 字 をつ くった キ ュ リ ロス と
の
認 め ら れ る 文 献 に は,数 の9つ
ス ラブ 名 キ リー ル(〓)が
多 くの断 片や 少 数 の
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 を 一 番 狭 く解 釈 す る 立 場 で,そ
碑 文 を 除 け ば,次
キ リー ル文 字 は,グ ラ ゴー ル 文 字 に お くれ る こ と約 50年 で 考 案 され た と判 定 され,そ の名 に キ ュ リ ロス の
ゴー ル 文字 で 書 か れ て い る こ とが あげ られ る.ま た,
の 規 範 に 近 い 文 献 をcanonと
れ を古 代 教 会 ス ラブ 語 の文 献 と して認 め る.
canonと
に改 名 して キ ュ リロス(Kyrillos)
の考 え 出 した文 字 で あ る とされ て い る.
ほぼ 上 記 の よ うな結 論 に 到 達 してい る.そ の 理 由 と し
form)
工 の規 範 化 され た
々 の 現 実 の テ キ ス トを 研 究 す る 場 合 の よ り
ど こ ろ と な る.ま
(Konstantinos),後
ラ ゴー
で 書 か れ て い る.こ
の両
ラ ゴー ル 文 字
とキ リー ル 文 字 で 書 か れ た パ リ ンプ セ ス ト(貴 重 で あ った 羊 皮 紙 を節 約 す るた めに,1度
書 かれ た もの を消
者 は 原 則 と し て 混 同 さ れ て 用 い ら れ る こ とは な く,文
し て,そ の上 に も う1度 書 い て つ く った写 本)を
献 は 上 記2つ
と,グ ラ ゴ ール 文 字 を消 して キ リー ル文 字 を書 い た も
の 文 字 のい ず れ か で 書 かれ るの が 普 通 で
あ る . と き に 後 代 の 書 き 込 み や,グ
ラゴ ール 文 字 か ら
キ リ ー ル 文 字 へ の 転 写 に 際 し て の 混 同 な ど で,2つ
の
文 字 が 混 ざ る こ と が あ る が,そ れ は ご く 限 ら れ て い る. グ ラ ゴ ー ル 文 字 は,独 れ,い
創 的 で ユ ニ ー ク な 文 字 とい わ
か な る文 字 を手 本 に した か には い ろ い ろ な説 が
あ り,明 ら か で は な い.た
だ し,そ
の 字 体 か らみ て,1
人 の 人 間 の 考 案 に よ る も の と 考 え ら れ て お り,現
在の
見る
の は あ っ て も,そ の逆 は ほ とん ど とい って い い ほ どな く,し か もそ の数 少 ない グ ラ ゴー ル文 字 は後 代 の もの で あ る こ とが証 明 され て い る. 最初,ス
ラ ブ語 圏 の文 化 の 中 心 を 拠 点 に して広 が り
を み せた グ ラ ゴ ール 文 字 は,や が て ス ラブ 語 圏 東 部 で は キ リー ル文 字 に駆 逐 され,ロ シア の 地 で の グ ラ ゴー ル文 字 の 存 在 は ご く限 られて い る.ま た,ス
ラブ 圏 の
西 半 分 で の キ リー ル文 字 の使 用 も認 め られ な い. ス ラ
(b,b)の
ブ 圏 の西 側 の グ ラ ゴー ル文 字 も,ク ロ アチ ア教 会 ス ラ
献 の時 代,方 言 的 地 位 が 定 め られ る.
ブ語 で余 命 を保 った ほ か は,そ の 存 在 はそ う長 くな く,
[文
あ り方 に主 とし て反 映 され,こ れ に よ って文
法]
古 代 教 会 ス ラブ 語 を現 代 の ス ラ ブ 諸語
カ ソ リ ックが ビザ ンツ 系 のギ リシア 正 教 に とって 代 わ
と比 較 した と き,文 法 の 面 で 目に つ くの は,そ の 古 風
る につ れ,ロ ー マ字 と交代 して い る.
さで あ る.こ の こ と は,古 代 教 会 ス ラブ 語 で,変 化 す
文字 の 分析 か ら得 られ る古 代 教 会 ス ラ
る語 を2分 す る格 変 化(曲 用)と 活 用 変 化 の そ れ ぞ れ に
ブ語 の音 の体 系 には,研 究者 に よ り,あ るい は2つ の
お い てみ る こ とが で き る. まず,こ の 両 者 にわ た る文
文 字 の う ち どち らを基 本 にす るか に よ って,若 干 の違
法的 カ テ ゴ リー と して 双 数(両 数)の 存 在 が あ げ られ,
い が あ る が,キ
単数,複 数 と と もに数 のカ テ ゴ リー を形 成 す る.
[音
論]
音 に次 の11を
リー ル文 字 を基 礎 に し た分 析 で は,母 認 め,そ れ らは 前 舌 母 音 か 後 舌 母 音 か
で,次 の2つ の グル ー プ に分 類 され る. 前 舌 母 音
格 変 化 に代 表 され る曲 用 で は,名 詞,代 名 詞,形 容 詞 お よび数 詞 の一 部 に格 が あ り,印 欧 語 の 格 の うち,
ieebe
生格 と合 流 した奪 格 だ け を欠 い た7格,す
後 舌 母 音 yuoabo
な わ ち主 ・
生 ・与 ・対 ・呼 ・処 ・造 格 を有 す る.名 詞 は,さ
この う ち,e,oは
鼻 母 音 で,そ の ほ か は 口母 音 で あ
る.ま た,b,bは,お
そ ら く短 くか つ あい ま い に発 音
され た の で 弱 化 母音(redueed
vowel)と
よび,そ の
らに
文法 性 に よ り,男 性,女 性,中 性 の3性 を区 別 し,さ らに別 の基 準 に よ り語 幹 別 の 区 分が な され て,o‐,jo‐ 語 幹(m.n.),u‐
語 幹(m.),i‐
語 幹(m.f.),a‐,
ほ か の完 全 母 音(full vowel)と
区別 す る.
ja‐語 幹(m.f.),子
子 音 は,調 音 の位 置,方 法,お
よび 有 声,無 声 の 別
分 す る.す な わ ち,古 い 印 欧 語 に典 型 的 な屈 折 的 タ イ
に よ り,次 表 の よ うに整 理 され る.こ
こでjを た て る
プ を示 して い る.1例
音 語 幹(m.f.n.)の5つ
を区
として,男 性 名 詞 の 単 数 ・生格
の は,古 代 教 会 ス ラ ブ語 のキ リー ル文 字 の文 献 を基 礎
の形 を 示 せ ば,rab‐a「
に と った こ とを 示 して い る.
「道 」;slug‐y「 使 用 人 」,junos‐a「 若者 」;ka‐men‐e
唇
音
歯
音
硬口 軟口 蓋音 蓋音
奴 隷 」,kon‐ja「 馬 」;pot‐i
「石 」 とな る. 形 容 詞 は,名 詞 と同 じ格 変 化 をす る短 語 尾 変 化 と,
閉鎖音 無声 有声
代 名 詞 の 変 化 と結 合 した長 語 尾 変 化 が あ り,そ れ ぞ れ
破擦音 無声 有声 摩擦音 無声 有声 鼻 音 有声 流 音 有声 半母音 有声
活 用 も,ほ か の ス ラ ブ語 に比 較す れ ば,古 風 な形 式 を
に硬 変 化 と軟 変化 の バ リア ン トが あ る.
さま ざま な文 法 的 カ テ ゴ リー に よ って 表現 して い る. まず,3つ
の 人 称 と3つ の 数 に よ り9つ の語 尾 が 区分
され,時 制 に現 在,未 完 了 過去,ア
オ リス トの別 が あ
る.さ らに,命 令法 と条件 法 も,一 部 で 独 自の 語尾 を 有 す る.活 用 は,テ ー マ動 詞 と,5つ
の 非 テ ー マ動 詞
で大 き な差 を みせ る.こ の ほ か,分 詞 との 組 み 合 わ せ
古 代 教 会 ス ラブ 語 の 音 論 で,こ の言 語 の 大 き な特 徴 とな って い る のは,1つ
に は 「開音 節 の法 則 」と よ ばれ
で 完 了 と過 去 完 了が 形成 され る. また,「体 言形 」と も よぶ べ き5つ の 分 詞,動 名詞 が
る,音 節 が 常 に母 音 で 終 わ る とい う現 象 で,そ の 結 果,
あ り,前 者 は形 容 詞,後 者 は名 詞 と同 じ変 化 を す る.
この言 語 には,語 末 の 子 音 の 消失,音 節 の再 構 成,鼻 母
不 定 法 と 目的 分詞(supine)は
音 の成 立 な どが ひ きお こ され てい る.も うひ とつ は, 「子 音 の 口蓋 化 」と一 般 に いわ れ て い る,子 音 と母 音 の
幹 の い ず れ か か ら形 成 され,こ
連 続 に際 しての 一 定 の 制 限 で あ る.こ の 現 象 は,主
か な り異 な ってい る.
して軟 口蓋 音k,g,xに の前 でc,z,sに 重 母 音oi,ai起
関係 し,k,g,xが
交 替 す る第一 口蓋 化 と,eお 源 のiの
と
古 いe,i よび 二
前で 同 じ くk,g,xがc,
〓,sに 交 替 す る第二 口蓋 化,さ
ら に,こ の2者 ほ ど厳
密 に起 こ るわ け で は な い が,前 行 す る前 舌 母 音i,b, eの あ とで 第 二 口蓋 化 と同 じ交替 の み られ る第 三 口蓋
変 化 し ない.
これ らの か な り複 雑 な活 用 は,不 定 法 語 幹 と現 在 語 の 点 で 古 い 印 欧語 とは
動 詞 に は,ス ラブ 語 に特 徴 的 な体(aspect)の す なわ ち完 了体(perfective)と
区別,
不 完 了体(imperfective)
の別 が あ る. 前 者 は,動 作 を 瞬 間 ま た は結 果 に お い て と らえ,後 者 は,そ れ以 外,す
な わ ち過 程 そ の
もの に お い て と らえ る. なお,未 来 時 制 の 表現 に は,完 了体 動 詞 の 場 合,現
化 が 認 め られ る.
在 形 で,不 完 了体 動 詞 で は,他 の動 詞 を 助動 詞 として
音 論 に 関 す る実 際 の文 献上 での 偏 差 の 主 な る も の
組 み 合 わ せ てつ くる.こ の 後 者 の場 合,助 動 詞 は ま だ
は,鼻 母 音 の 状 況,イ
そ れ ぞ れ の本 来 の 意 味(た とえ ば,「な る」「望む 」な ど)
ェル と よば れ る2つ の短 い 母 音
を も っ て い て,純
粋 に 時 制 だ け を 示 す も の で は な い.
absolutus)」
が あ る.こ
の 構 文 は,時,原
ど さ ま ざ ま な 状 況 を 示 す と き,従 詞 や 代 名 詞 が 与 格 に お か れ,述
因,条
件 な
節 の主語にあたる名
ギ リシア 語 の
テ ン語 の
「独 立 属 格 」,リ
「独 立 奪 格 」,
トア ニ ア 語 の
「独 立 与
彙]
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 の 語 彙 は,そ
の音論
や 形 態 論 が ス ラ ブ祖 語 の 代 用 を な し う る ほ ど古 い形 を 示 し て い る の と比 較 す る と,か で い る.ま
た,グ
な り新 し い 要 素 を 含 ん
ラ ゴー ル 文字 の文 献 とキ リー ル文 字
の 文 献 の 語 彙 に も か な り の 差 が あ り,グ
ラ ゴー ル文 字
文 献 の 方 が 古 い 姿 を よ く と ど め て い る.全 ス ラ ブ 的 色 彩 が 濃 く,こ
体 と して南
の 言 語 が 南 ス ラ ブ 語 の1つ
あ る とす る 説 の 有 力 な支 え の1つ
で
代 教会 ス ラブ語 で 書 か れ
た 文 献 の 内 容 に 制 限 が あ る か ら で,血 自 然 現 象,動
植 物 名,住
縁 ・社 会 関 係,
居 ・道 具 の4つ
の分野が中心
に な っ て い る.
成 法 に よ っ て つ く られ た 語 も 多 い.こ
リ シア 語 の 構
て 文 化 面 の 語 彙 で,聖
れ ら は,主
とし
書 関 係 が そ の 大 部 分 を 占 め る.
[ゴ ー ト族 と ゴ ー ト語]
これ ら の 名 称 は,な
Diels,P.(19632),Altkirchenslavische (Carl
Grammatik
(statni
jazyka
staroslovenskeho
ped.nak1.,Praha)
Vondrak,V.(19122),Altkirchenslavische (Weidmannsche
Buch
Grammatik handlung,Berlin)
Leskien,A.(19628),Handbuch
der
ネ ス(Jordanes)が
か ん ず く9世
し て お ら ず,言
用 い て い る も の で あ る が,東
紀 の 半 ば 頃 ウ ル フ ィ ラ(Ulfila, ど と 書 か れ る)が
る 聖 書 の ゴ ー ト語 訳 で あ る.こ
い.こ
れ は,西
Ⅰ‐Ⅱ filologu
staro
(Didakticky v
kruh
klubu
Praze,Praha)
zu
de
den
altkirchenslavischen
16世 紀 の 半 ば 頃
交 特 使 と し て 旅 行 中 に,そ
ク リ ミヤ半 島 を外
の 地 で ゲ ル マ ン系 の言 語 に
ほ ど を 書 き 留 め た 書 簡("Legationis 伝 わ っ て い る.こ
Turcicae
の 言 語 に は,
ウ ル フ ィ ラ ・ゴ ー ト語 と は 違 っ た 特 徴 も認 め ら れ る が, リ ミヤ ・ゴ ー ト語 と し て ゴ ー ト語 に 属 す る も
の と考 え ら れ て き た .
「ク リ ミヤ ・ゴ ー ト語 」
ウ ル フ ィ ラ ・ゴ ー ト語
mine
mena「
schuuester
swistar「姉
妹」
singhen
siggwan「歌
う」
月」
akademie
英 Ancient
ved(1958‐),Slovnik
Greek
しい 人 名,単 語,断 句 な どが あ るが,方
言 を 特定 す る
には至 っ てい ない. ゴ ー ト語 の文 字
シア文 字,ラ テ ン文 字,ル ー ン文 字 を母 体 につ く られ て い る.個 々の 文字 の原 字 を特 定 す る こ とは必 ず し も
Winter,Heidelberg)
容 易 で な く,学 説 も分 かれ て い るが,字 母 の配 列 法, 字 母 に数 値 を あて,数 字 に代 用 す る 習慣 な ど,ギ リシ
(千 野
→ ギ リ シア語
Busbecq)が
[ウル フ ィラ ・ゴ ー ト語 の 概 要]
staroslovenskeho(Academia,Praha)
古 代 ギ リ シ ア 語
の 他]
ラ ン ド ル の 政 治 家 デ ・ブ ス ベ ッ ク
は27文 字(う ち2文 字 は,数 字 専 用)か らな り,ギ リ
Sadnik,L.undR.Aitzetmuller(1955),Handworterbuch
Ceskoslovenska
ー ト語
片,ラ テ ン語 で 書 かれ た文 献 に散 見 され る ゴー ト語 ら
Weingart,M.(1937‐38),Rukovet'jazyka
Texten(Carl
の こ と か ら,ゴ
ゴ ー ト語 で あ っ た と い わ れ る.
Ghiselin
接 し,86語
訳 した とい わ れ
ル フ ィ ラ ・ゴ ー ト語 を さ す と 考 え て よ
[ク リ ミ ヤ ・ゴ ー ト語,そ
(Ogier
の部
ほ と ん ど 資 料 を残
語 研 究 の 対 象 とは な らな い . この 言語
最 大 の 文 献 は,4世
と は 事 実 上,ウ
紀 の歴 史 家 ヨル ダ
聖 書(下 記 参 照)の 他 に は,ゴ ー ト語 を 含 む教 会 暦 の断
Winter,Heidelberg)
modernich
紀 頃 の ス ペ イ ンを
altbulgarischen
(altkirchenslavischen)Sprache(Carl
slovenskeho
者 は8世
常,
者 は6世
いわゆる
Winter,Heidelberg)
Kurz,J.(1969),Ucebnice
さ れ る.前
族(Ostrogothae=orientales)は
従 来,ク
東 京)
ー ト族 は ,通
最 後 に 歴 史 の 舞 台 か ら 姿 を 消 し た.
epistolae")が 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 入 門 』(白 水 社,
gotique,
ゲ ル マ ン民族 に属 す る ゴ
ゴ ー ト族 に2分
紀 に イ タ リア で 消 滅 し,後
[参 考 文 献] 木 村 彰 一(1985),『
Gotisch,仏
ー ト人 の 言 語 を ゴ ー ト語 と よ ぶ,ゴ
(1560∼62),フ
外 来 語 で 目 立 つ の は ギ リ シ ア 語 で,ギ
jazyka
英 Gothic,独
Greek
露〓
Vulfila,Wulfilaな
で あ る.
現 在 の ス ラ ブ 諸 語 に 受 け つ が れ て い る 古 い 文 化 的 な 語 彙 に 片 寄 り が あ る の は,古
英 Classical
東 ゴ ー ト族 と,西
格 」 と平 行 し た 現 象 で あ る . [語
古 典 ギ リ シ ア 語 → ギ リシア語 ゴ ー ト語
語 に あ た る もの が,分
詞 で 与 格 に な り,主 語 に あ た る 名 詞 や 代 名 詞 と,数 と 性 に お い て 一 致 す る . こ れ は,ラ
古 代 ス ラ ブ 語 露 〓 →古代教会スラブ語
統 語 論 の 面 で 特 徴 的 な も の に,「 独 立 与 格(dativus
栄 一)
ア語 の影 響 が も っ と も顕 著 で あ る. ゲ ル マ ン語 に特 有 の摩 擦 音[p]を
記 す文 字 〓 は,ル ー ン文 字 よ り借 用
された.書 体 は,2種
類 ほ ど知 られ て い る(書 体1,書
体2).書
在 の フ ラ ンス お よ
octo
び ドナ ウ川 流 域 の い ず こ か で 使 わ れ 始 め た と 推 定 す る
体1は
一 種 の 筆 記 体 で,現
た だ し,後
学 者 も あ る.書
タ リ ア 北 部 の 東 ゴ ー トの 地
な る こ と が あ る.
よ び ゴ ー ト語 聖 書 の 翻 訳 者
rectus
raihts[〓s]「
vir
wair[〓]「
体2は,イ
で つ く られ た.
が ゴ ー ト人 の 司 教 ウ ル フ ィ ラ で あ っ た こ とは,教 家 の 間 で は,共
通 の 認 識 で あ っ た ら しい.た
ソ ク ラ テ ス(380頃
∼440)は,「
会史
と え ば,
ゴ ー ト人 の 司 教 ウ ル フ
ィ ラ が ゴ ー ト文 字 を 発 明 し,聖 書 を ゴ ー ト語 に 訳 し て, 神 の 言 葉 を 未 開 人 に 教 え る端 緒 を 開 い て 云 々 」 と 記 し て い る.
ル マ ン 語 に 共 通)
続 す る 音 の 影 響 で,[i]と
ラ テ ン語
ゴ ー ト文 字 の 考 案 者,お
は な ら ず に[〓]と
ゴ ー ト語 真 っす ぐな」 男」
類 似 の 環 境 の も と で,[u]→[〓]も
見 い だ さ れ る(他
の ゲ ル マ ン語 で も同 様). *wurda‐ b)ゴ
>waurd
,英word,独Wort
ー ト語 の 長 母 音[a:]は,融
合 に よ り新 た に
生 ま れ た も の で あ る.
ウ ル フ ィ ラ は311年
頃 生 ま れ,341年
の 司 教 に 就 任,382年
な い し は383年
ノ ー プ ル に 没 した,と
さ れ る.
[資
ahtau「8」(ゲ
料]
に 西 ゴ ー ト族 頃 コンス タ ンチ
料 は,旧 約 聖 書 の 一 部 と,新 約 の か な り の 部 分 を 含 む 聖 い で,Skeireins「
聖 書 の 注 釈 が あ る.翻 1)聖
書
訳 は,ギ
リ シ ア 語 か ら な され た.
satjan「
英 語)
据 え る 」―setja(古
ノ ル ド語)
《二 重 母 音 》 二 重 母 音 は,[iu]の 「選 ぶ 」).ウ
み で あ る(kiusan
ル フ ィ ラ の 綴 字 法ai,auが,二
Argenteus(銀
で は,否
重母音 を
意 味 す る か 否 か に っ い て は 諸 説 が あ る.し
て い る もの で,336枚
中187枚
に,Codex
文 字 写 本)と
よば れ
が 現 存 す る(ウ プ サ ラ 大
ゴ ー ト語
ギ リシア 語
Paitrus
Petros「
ペ ト ロ 」(人 名)
Pawlus
Paulos「
パ ゥ ロ 」(人 名)
2)注
釈 書
aiwlaugja
eulogia「
賛辞」
pairh
し くは,Skeireins
Ⅰohannen)と
伝 の 注 釈 書 一 部(8枚)が
称 す る,ヨ
伝 わ っ て い る.引
ル フ ィ ラ 訳 に 一 致 す る が,用
語,文
ハネ
用 文 は,ウ 釈
ゴ ー ト語 の 音 韻 と 形 態 の 概 要 は,以
下 の と お り で あ る. 1)文
字
ゴ ー ト文 字 は,ギ
リ シ ア 文 字,ラ
テ
図 〉参 照).
韻 と綴 字
《母 り,次
音 》
〈 〉 内 は,対
応 す る 文 字 を 表 わ す.
摩擦 音 流
音
鼻
音
半母音
ン文 字 を主 体 と し て っ く られ た(〈 2)音
音 》
閉鎖音
体 な ど か ら,注
の 著 者 は ウ ル フ ィ ラ で は な い と 判 断 さ れ る. [言 語 特 徴]
《子
ゴ ー ト語 の 母 音 体 系 は 比 較 的 単 純 で あ
3)語
形 変化
a)名
詞
さ れ る.そ
れ ら の 変 化 類 は,大
も の と が あ る が,大
ゴ ー ト語 の 名 詞 は,次
の よ う に分 類
規 模 な もの と小 規 模 な
が 小 を 合 併 吸 収 す る 傾 向 は,ゴ
の よ う に な る.
単 純 母 音
〈 〉 内 は,綴
長母音
り字 で あ る.長
<図>ゴ
短 の 区 別 は,本
ー ト文 字
来 は表 示
さ れ な い. 《音 韻 に 関 して 注 意 す べ き 点 》 a)印 [a]に
在
定 的 な 見 解 が 支 配 的 で あ る.
種 類 の 断 片 が 知 られ て い る. SKlEIREINS(詳
Carolinus
か し,現
な ど,数
aiwaggelions
Gissensis,Codex
ムラ
ー ト語 に は 片 鱗 も認 め ら れ な い.
nati「 網 」―nett(古
ゴ ー ト訳 聖 書 の 写 本 で も っ と も 大 部
の も の は,Codex
学 所 蔵).他
釈 義」 と称 す る
捕 らえ る」
と ん ど の ゲ ル マ ン 語 に み ら れ る 変 音(ウ
ウ ト)が,ゴ
現 存 す る も っ と も重 要 な ゴ ー ト語 の 資
書 の 翻 訳 で あ る.つ
fahan←*fanxan「 c)ほ
欧 祖 語 の 短 母 音*e/oは,ゴ
ー ト語 で は[i],
対 応 し て い る. ラ テ ン語
ゴ ー ト語
edo
itan「 食 べ る 」
出 典:Braune/Ebbinghaus(1966)に
よ る.
ー
ト語 にお いて も顕 著 で あ る. ア)語 幹 が,aに
(女)「 頬 」 オ)語 幹 が 子 音 に終 わ る もの(男 性,女 性,中
終 わ る もの(男 性 お よび 中性).
i)弱
a‐語 幹(カ ッ コ 内は,中 性名 詞):
主
格
属
格
与
dagis
daga
(waurdis)
(waurda)
dage
dagam
単 dags (waurd)
複 dagos (waurda)
(waurde)
同 類:stains(男)「
n‐語 幹 男 性名 詞: 主 格
gumin
guman
gumam
gumans
ⅱ )そ
網」
の 他 の 子 音 語 幹 名 詞
名 詞 は,印
下 僕 」;
幹 が長 い も
欧 祖 語 以 来 の 古 い 語 が 多 い が,そ
bropar「
与 格 gibai
gibos
複 gibos
gibo
gibom
gibos
同 類:〓
な ど,古
民 族 」,saiwala「
懇 願 」,
魂 」,stibna「
声」
乙 女 」;sunja「
「地 獄 」,wrakja「
ウ)語
幹 がiに
名 詞 は,両
腐蝕」
性 名 詞 がa‐
い れ た た め に,単
数 に お い て 差 異 が 生 じ た.中
語 幹 の 変化 様 式 を と り
客 」,ansts「
性 は失
恩 寵 」(女 性 名 詞)
の 例 を 示 す. 属
単 gasts
格
gastis
(ansts)
複 g
asteis
与
格
(anstais)
(anstai)
gaste
gastim
同 類:gards(男)「 (女)「
対
(anstim) 家 」;qens(女)「
部 分 」,ahaks(女)「
女 」,dails
幹 がuに
終 わ る もの で,男
鳩 」,taikns
女 の 変 化 語 尾 は,同
u‐語 幹:sunus(男)「 daupus(男)「
性,女
性,中
性
一 で あ る.
「3(preis)」
死 」;handus(女)「
使 者 」,
手 」,kinnus
も形 容 詞 で あ る が,性,
に よ り独 自 の 曲 用 を 行 な う.
「11」 「12」 は,ゲ
ル マ ン語 一 般 の 造 語 法 に した が っ
て,「 余 り1」 「余 り2」 の 意 で あ る. 「100」 は,taihuntehundま
た はtaihundtaihund
は,twai
hundaで
あ る.
数詞
fruma'first',anpar'second',pridja'third'. そ の 他 は,基 c)代
数 詞 に‐taを
詞,不
名 詞
付 け た も の を 用 い る.
代 名 詞 に は,人
定 代 名 詞,再
ア)人
帰 代 名 詞,所
称 代 名 詞
(人 称) 単 1. 2.
息 子 」,airus(男)「
容 詞 の強 変化 に 同 じで あ
称 代 名 詞,指
示代名
有 代 名 詞 が あ る.
単 数 形,複
数 形 の ほ か,双
主 格
属 格
与 格
対格
ik
meina
mis
mik
*ungkara
ugkis
ugkis
igkara
igqis
igqis
が 保 存 さ れ て い る.
(女)「 印 」(他 の ゲ ル マ ン語 で は,中 性 名 詞)
を 含 む.男
の 曲 用 は,形
る.「2(twai)」 数,格
イ)序
格
gast (*anst) gastins (anstins)
gasta
(anste)
(ansteis)
エ)語
数詞
と唱 え る.「200」
格
月(時 間)」
「15」fimftaihun,「20」twaitigjus
の語 幹 の
ゴ ー ト語 で は,男
主
テ ン 語nox);manna(男)
「1」ains,「2」twai,「3」*preis,「4」
「1(ains)」
性 お よ び 女 性 名 詞 を 含 む.こ
下,gasts「
夜 」(ラ
」,menops(男)「
ainlif,「12」twalif,「14」fidwortaihun,
愛 」,nidwa「
性 の 変 化 形 が 本 来 は 同 一 の は ず で あ る が,
わ れ た.以
語 尾 が 付 け られ る変
「8」ahtau,「9」niun,「10」taihun,「11」
真 実 」,halja
終 わ る も の.
i‐語 幹 は,男
語 幹 に 直 接,格
詞
ア)基
迫害」
wo‐ 語 幹:frijapwa「
娘 」,
ど.
fidwor,「5」fimf,「6」saihs,「7」sibun,
(ド イ ツ 語Stimme) jo‐ 語 幹:mawi「
の 類 で あ る.
父 」,dauhtar「
い 語 が 含 ま れ る.
b)数
「水 」(ラ テ ン語aqua),bida「 piuda「
れだけ に
の よ う に よ ぶ.
「人 間,男 gibos
姉 妹 」,な
nahts(女)「
対格
単 giba
基 本 的 な 親 族 名 称 は,こ 兄 弟 」,fadar「
swistar「
化 類 を,こ 属 格
語 幹 が子 音 に 終 わ る
他 の よ り大 き い 変 化 類 へ の 同 化 も 進 ん で い る.
《語 根 名 詞 》
べ て 女 性 名 詞 で あ る.
o‐ 語 幹: 主 格
対格
gumane
《‐r語 幹 》
終 わ る 語 幹 は,す
与 格
gumins
の と短 い も の が あ り,両 者 は 曲 用 に 若 干 の 違 い が あ る. な お,oで
属 格
複 gumans
羊 飼 い 」,andeis(男)
終 わ る も の で あ る が,語
化
性,中 性 の 例 が あ る.
木」
幹 がoに
よ る変 化 類 を,特 に弱 変化 と よぶ.変
に バ ラ エ テ ィが 少 な い,と い う意 味 で あ る.男 性,女
単 guma
雪 」,pius(男)「
性).
テ ン語homo,
国土 」
床 」,nati(中)「
語 幹:snaiws(男)「
IE*‐en/‐on(ラ
枝 」,
空 」;land(中)「
「終 わ り」;badi(中)「
イ)語
hominis)に
格
dag (waurd) dagans (waurda)
(waurdam)
ja‐ 語 幹:hairdeis(男)「
triw(中)「
対
石 」,tains(男)「
himins(男)「
wa‐
格
変 化 名 詞
pu peina pus puk
双 1.wit 2.
*jut
数形
複
1.
weis
2.
unsara
jus
uns,
uns,
unsis
unsis
izwis
izwis
izwara
「い か な る 下 僕 も2人
の 主 人 に仕 え る こ と はで
きな い 」 ⅳ )〓/〓「
3人 称 は,も
と指 示 代 名 詞 で あ った が,指 示 力 が 弱
ま り,前 承 的(anaphoric)な
(3人 称) 主 格
)〓/〓「2人
意 味 を もつ にい た った.
属 格
与格
is is
imma ina
女 性
si izos
izai ija
中 性
ita
複 男 性
is
だ れ か 」;〓(中)「
帰 代 名 詞(単
格sis,対
有 代 名 詞
格sik
ゴ ー ト語 の 所 有 代 名 詞 は,形
eis
ize
im ins
ijos
izo
im ijos
中 性
ija
ize
im ija
詞 の 強 変 化 に 準 ず る. meins'my',peins'thy',unsar'our',izwar ' your' カ)関
係 文
もの は な い.英
ゴ ー ト語 に は,特
示代名詞 こ れ,そ
Aflet こ れ ら は ギ リ シ ア 語 のhoutos「
こ れ 」,autos「
そ
れ 」 の 訳 語 に あ て ら れ る ほ か,定
冠 詞 に 訳語 として 対
応 さ せ る場 合 が あ る.た
ー ト語 に は 定 冠 詞 は
な い.
uns
属 格
与 格
eiは ま た,人
複 男 性 pai
parei
pizo
paim
pos
中 性 po
pize
paim
po
apaustaule,ikei
ni im
apaustaulus(コ
リン ト
っ と も 至 ら ぬ 者 で あ る.使
ist
huzd
izwar,paruh
izwar(マ
ist
jah
タ イ 伝6,21)
「汝 ら の 宝 の あ る と こ ろ に 汝 ら の 心 あ る べ し」(関 係 副 詞 の 例)
接 辞 し た も の は,強 意 形 で あ る. d)形 こ れ は,定
auk
hairto
sah(<sa+uh),panuh 「こ の 」
sa smalista ei haitaidau
徒 の 名 にふ さわ し くない 」
pamma pata
女 性 pos
ⅱ )hi‐
im
「私 は 使 徒 の 中 で,も
pize paim pans
上 記 の 諸 形 に‐uhを
タ イ 伝6,12)
人 へ の 第Ⅰ の 手 紙15,9)
pana
pis
sijaima(マ
称 代 名 詞 と も結 合 して 関 係 文 を つ く る
waurps
女 性 so pizos pzai po 中 性 pata
skulans
こ とが あ る.
対格
単 男 性 sa pis pamma
patei
「我 ら が 負 債 を 免 じ給 え 」
Ik auk 主 格
辞ei
接 辞 した もの を代 用 す
る. れ」
だ し,ゴ
に関 係 詞 と称 す る
語 な ど で い う関 係 代 名 詞 は,小
を 指 示 代 名 詞sa,so,pataに イ)指
容
imma ita
女 性
i)sa,so,pata「
何か」
複 同 形)
属 格seina,与
対格
オ)所 単 男 性
の ど ち ら も が 」 ⅵ
)〓(男),〓(女)「 エ)再
文 法 性 の 区別 は,こ こに 由来 す る.
だ れ も が 」 ⅴ
型 句 の み が残 っ て い
る.
容 詞 と そ の 曲 用
し た が って,強
ゲ ル マ ン語 一 般 の 特 徴 に
変 化 と弱 変 化 が あ り,か
つ比 較 法 に よ
る 変 化 を 行 な う. himma
dage「
ま で 」,und
こ の 日 に 」,und
hita「
hina
Jah
曲 用 は,形 warp
今 日
今 まで 」 あ れ 」(ギ
リ シア語
in jainaim
dagam(マ
健 康 な 」 の 男 性 強 変 化 を 例 示 す る.
主 格
属 格
与 格
対格
単 hails
hailis
hailamma
hailana
複 hailai
hailaize
hailai
hailans
ル コ 伝1,9)
定代 名 詞
ⅰ )sums,suma,sum/summata「
あ る」
こ の 語 は 代 名 詞 で あ る の で,複
よび 述 部 形 容
定 さ れ て い る 場 合 は 弱 変 化 と な る.
下 に,hails「
容 詞 の 強 変 化 と 同 じで あ る.
「そ の こ ろ の 出 来 事 で あ っ た 」 ウ)不
後 続 す る 名 詞 が 不 特 定 で あ る 場 合,お 詞 は 強 変 化,特
ⅲ )joins,jaina,jainata「 ekeinos)の
dag「
数 属格 の名 詞 を要 求
《強 変 化 の 文 例 》 in
ahmin
weihamma(マ
ル コ 伝16,5)「
聖 なる
魂 で」
す る. manne(G.pl)sums'a ⅱ )manna(ni
certain
manna‐hun
du
man'
の 形 で)「 だ れ も∼ な
ainamma
bigetun
い」 ⅲ )ains‐hun(ni
ainshun
の 形 で)「
だ れ も∼ な
例)ni
ainshun piwe
skalkinon(ル
mag
カ 伝16,13)
twaim
fraujam
mann(エ
ペ ソ人 へ の
あ る新 来 の 人 に 」(限 定 的 用 法)
pana
skalk
hailana(ル
カ 伝7,10)「
彼
ら は そ の下 僕 の病 が 癒 えて い るの を知 った 」 manweip
い」
niujamma
手 紙2,15)「
staigos
wig gudis
fraujins,raihtos unsaris(マ
道 を 準 備 し な さ い.我
waurkeip ル コ 伝1,3)「
主の
らの 神 の 通 り を真 っす ぐ
に しな さい」(述 語 的 用 法) 次 に,同 じhailsの 主 格
sware「
男 性 弱 変化 を 例 示 す る.
属 格
与 格
対格
単 haila
hailins
hailin
hailan
複 hailans
hailane
hailam
hailans
虚 し く」
副 詞 の 比 較 は,上
記 の 形 容 詞 の 比 較 ・最 上 級 よ り末
尾 音 を と り去 っ た も の に 等 し い. hauhis(<hauhiza)'higher',mais(<maiza) ' more',aljaleikos'otherwise',な f)動
《弱 変 化 の 文 例 》 pata
niujo
カ 伝5,37)「
そ の 新 しい ワ
izwara
コ 伝5,16)「
goda
waurstwa(マ
ル
そ の人 々 に あ なた がた の 善 行 を見
て も ら うた め に」 seinana
第 Ⅰの 手 紙4,8)「
サ ロニ ケ 人 へ の
そ の人 の清 浄 な る魂 」
《比 較 法― 比 較 級,最
接 法,接
中,(
で あ る.次 )内
続 法(ま
に,変
化形式
は 接 続 法,〔
〕 内 は過
去 を 表 わ す. 《不 定 詞bair‐an「 単 数
運 ぶ 」(強 変 化)》
1.baira(‐au)
〔bar(berjau)〕
2.bairis(‐ais)
〔bart(bereis)]
3.bairip(‐ai)
上級》
較),‐ists(最
上)
manags―managiza―managists'many'
双 数
1.bairos
複 数
1.bairam
〔bar(beri)〕 2.bairats 2.bairip
3,bairand
接 続 法 語 尾
juggs―juhiza'young' alpeis―alpiza'old' ‐oz a(比
は,直
令 法 の3種
類
示 代 名 詞 な どの 限 定 語 を と もな う
が,形 容 詞 の 意 味 内 容 が そ れ 自 体 で 限 定 的 で あ るsama 'same' ,silba'self'な ど は,単 純 で も弱 変 化 を す る.
‐ iza(比
た は 希 求 法),命
合 変 化 と も称 す べ き ノ ル ド語 同 様,4種
の 変 化 様 式 を 残 し て い る.法
の 実 例 を 示 す.表
weihana(テ
つ う,指
変 化 動 詞 は,古
ー ト語 に
変 化 動 詞 で は,6種
の 母 音 交 替 に よ る 活 用 の ほ か,混 も の が あ る.弱
ei gasai〓aina
後 者 は,ふ
ど.
古 ゲ ル マ ン語 の 動 詞 は,ゴ
も っ と も よ く保 存 さ れ て い る.強
wein(ル
イ ン」
ahman
詞
較),‐osts(最
上)
双 数
1.‐aiwa〔‐eiwa〕
2.‐aits〔‐eits〕
複 数
1.‐aima〔‐eima〕
2.‐aip〔‐eip〕
3.‐aina〔‐eina〕
frops―frodoza―frodosts'wise' 命 令 法
swinps―swinpoza'strong' 《不 規 則 な 比 較 級,最 こ れ は,ゲ
上級》
ル マ ン 語 に 共 通 す る も の が 多 い.
gops―batiza―batists'good'
2.bair
双 数
2.bairats
mikils―maiza―maists'great'
複 数
1.bairam
単 数
の 語 は 原 級 を も た な い.
fruma―frumists'prior' auhuma―auhmists'high' e)副
詞
《場 所,時
を表 わ す 副 詞 の例 》
か.
〔walida(walidedi)〕
1.waljos
複 数
1.waljam
2.waljats 2.waljip
3.waljand
3.waljadau
2.waljip
ゴ ー ト語 に は,現
動 態 語 尾 が あ る.現 容 詞 か ら派 生 す る 次 の よ うな
3.waljandau 在 形 に 限 り特 別 の 受
在 語 幹 に,sg.1.,3.‐da(‐aidau),
2.‐aza(‐aizau),pl.‐anda(aindau)を
加 えた もの
が そ れ で あ る.
ア)a‐,ja‐,i‐,u‐
な ど の 語 幹 に‐baを
強 く」,sunjaba「
「確 か に 」,な 根 にo‐
glaggwo「 ウ)語
3.waljip(‐ai) 双 数
《受 動 態 》
も の が あ る.
イ)語
〔walida(walidedjau)〕 (walides(walidedeis)〕
複 数 1.aljam 〓an'when',nu'now',ju'already',simle
abraba「
1.walja(‐au) 2.waljis(‐ais)
双 数 2.waljats
〓ar'where',〓apro'whence',〓a'whither',
本 来 の 副 詞 の ほ か,形
3.bairandau
選 ぶ 」(弱 変 化)》
単 数 2.walei
her'here',hidre'hither';
,ほ
2.bairip
命令法
par'there',papro'thence',pap'thither',
'once'
3.bairadau
《不 定 詞walj‐an「
ubils―wairsiza'evil'
ま た,次
単 数
根 にe‐
加 え た も の.
ま こ と に 」,arniba
ど.
を 加 え た も の.
原 理 に 基 づ き,各 ら 第5類
を 加 え た も の. 正 確 に 」,andaugjo「
《強 変 化 動 詞 の 形 成 》
ま で は,不
数 過 去 形 がo‐ あか らさ ま に」
音交替 の
種 の 活 用 形 が っ く ら れ る.第1類 定 形 お よ び 現 在 形 がe‐
階 梯,複
階 梯 で あ る.第5類
強 変 化 動 詞 は,母
か
階 梯,単
数 過 去 お よ び過 去 分 詞 が 消 失
で は,消
失 階 梯 が期 待 され る と こ
ろ に 長 母 音 が 現 わ れ て い る が,こ
れ は現 存 す るす べ て
の ゲ ル マ ン語 方言 に共 通 して み られ る現 象 で あ る. 不 定
第1類
単 数 過 去 複 数 過 去 過 去 分 詞
greipan
graip
gripum
単 数
1.kann
双 数
2.kunnu
複 数
gripans
第3類
1.kunnnam
ⅱ )*skulan(skal―skulum)(bairanに
準 ず る)
ⅲ )*magan(mag―magum)(gibanに
準 ず る)
bindan
ⅳ )witan(greipanに
baug
bugans
bugum
band
bundan
bundun
bairan
bar
baurans
berum
giban
gaf
詞
h)前
gibans
gebum
分 詞 は,他
置 詞
前 置 詞 は,属
hindana'on
farans
forum
this
く 」
《弱 変 化 動 詞 の 形 成 法 》
taujan(語
第2類
魚 を取 る」
jabai「 驚 く」 去 形 の形 成 に 重
letan―lailot―letans(母
ア)存
在動詞
「あ る,で
単 数 1.im
あ る」
2.is
1.siju
1.sijum
定 詞wisan,現
ウ)過
去形
o!「
も ま た 」; ま た は 」; とも
∼ よ り も(比 較 級 と と も ど.
書]
苦 し き か な 」(ギ あ あ ∼ で あ り せ ば 」,な
リ シア語 ど.
下 記 の 語 源 辞 典 が あ る.
der
Etymologisches
gotischen
Sprache(E.J.Brill,
出 版 年 代 は 古 い が,豊
富 な 資 料 を駆 使
在 も な お 最 良 の 語 源 辞 典.
Holthausen,F.(1948),Gotisches
在 分 詞wisands
2.wast
複 数 1.wesum
Etymologisches
Worterbuch(Carl
Winter,Heidelberg)―
便 な も の で,内
容 的 に は 上 記 に お よ ば な い.
1)原
3.was
簡
2.wesup
3.wesun
典
Streiberg,W.(1965),Die
(接 続 法:wesjau) 了 現 在 動 詞
と よ ぶ.印
語 形 上 は 完 了 形 で あ る が,意
欧 語 諸 方 言 に み ら れ る が,ゲ
ル マ ン 語 内 部 で 新 し く つ く られ た もの も あ る ら し い. i)*kunnnan(強
変 化 動 詞bindanの
gotische
Bibel(Wissenschaftliche
Buchgesellschaft,Darmstadt) ギ リ シ ア 語 と の 対 訳 で,巻
味 上 は 現 在 形 に 等 し い 一 群 の 動 詞 をpraeteritopraesentia 2)文
る)
∼ の み な らず ∼
[参 考 文 献]
単 数 1.was
エ)完
∼ も ∼ も 」;nih
∼ の よ う に 」;な
あ あ 」,wai「
し た,現 3.sind
数の格
投詞
Leiden)―
2.sijup
front
も し ∼ な ら ば 」;patei,pei,ei3語
Worterbuch
2.*sijuts
ど
格).
よ う に,複
Feist,S.(1939),Vergleichendes
(接 続 法:sijaima,sijaits,sijaina) イ)不
jah「
ouia),wainei「 [辞
3.ist
(接 続 法:sijaiWa,sijaits) 複 数
j)感
と し て 掲 げ る.
(接 続 法:sijau,sijais,sijai) 双 数
と え ばfaurの
2っ の 意 を もつ;pauh「
音 交 替 有 り)
変 化 表 の 一 部 を,例
the 上,対
∼ も∼ も な い 」;aippau「
に)」;swe「 音 交 替 な し)
of',な
そ れ ぞ れ 「∼ と い う こ と を 」 「∼ す る た め に 」 の
複 法 を 用 い る 一 群 の 動 詞 が あ る. haitan―haihait―haitans(母
格);af'of,
ど(以
そ し て 」;jah…jah「
nih…nih「
読む」
幹na‐)
ゲ ル マ ン 語 に は,過
上,属
of',us'out
格);and'along',faur'to
patanei…ak
残 る 」,usgeisnan「
《他 の 変 化 類 》
よ び対 格
続詞
jah「
幹e‐)
fullnan(語
《重 複 動 詞 》
格,お
と結 合 す る も の が あ る. i)接
幹o‐)
沈 黙 す る 」,anakunnan「
例)flifnan「
(以 上,与
front
前 置 詞 の 中 に は,た 号泣 す る」
心 配 す る 」,fiskon「
haban(語
第4類
在
of',innana'within',
of',wipra'against',な
幹ja‐)
salbon(語
例)slawan「
べ て派
類 で あ る.
褒 め る 」,wopjan「
例)karon「 第3類
弱 変 化 動 詞 は,す
ー ト語 で は4種
例)hazjan「
格,与
ど(以
from',faura'in
第1類
side
utana'outside',な
生 動 詞 で あ る が,ゴ
の ゲ ル マ ン語 同 様,現
過 去 分 詞 で あ る.
と結 合 す る.
for
faran 「行
g)分
分 詞(‐ands)と
「与 え る 」
第6類
準 ず る)
な ど.
「運 ぶ 」
第5類
2.kunnp 分 詞kunnands,kunps
「曲 げ る 」
biugan
「縛 る 」
第4類
3.kann
3.kunnuts
3.kunnun
「掴 む 」
第2類
2.kannt
活 用 に準 ず
末 に 語 彙 が あ る.
法書
Braune,W.andE.Ebbinghaus(1966),Gotische Grammatik(Max 大 学 用 の 教 科 書 で,た Hempel,G.(1966),Gotisches
Niemeyer,Tabingen)― び た び 改 訂 さ れ て い る. Elementarbuch
(Walter
de
Gruyter,Berlin)―
小 冊 子 だ が,
必 要 な こ と は す べ て 書 い て あ る. Krahe,H.(1948),Historische des ―
Winter,Heidelberg)
des
の 方 言 は,次
Gotique
簡 潔 に し て 要 を え た 入 門 書. the Gothic Press,Oxford)―
Language
mal,英
高 地 ドイ ツ 語 で は,二
宏 一)
ル マ ン語 とよ ばれ る現 代 の ス カ ン ジ ナ ビア 諸 語(フ
ィ
ンラ ン ド語 を除 く)の古 層 を さ し て古 ノル ド語 とい う. 古 ノ ル ド語 は,ゴ ー ト語 と音 韻 ・形 態 上 の 類 似 点 が 多 く,か つて は同 一 の 方 言群 を形 成 してい た と考 え られ ごろ か ら800年 ご ろ まで の
お よそ600年 間 で あ るが,600年
樫 の
重 母 音 が 保 存 さ れ て い る.
ご ろか ら,言 語 にか な
料]
と よ ば れ る 特 異 な 文 字 で 記 され て い
る が,7,8世 以 後 は16文
紀 を 境 に し て そ れ 以 前 は24文 字 か ら な っ て い る.文
数 の 減 少,形
態 の 平 均 化 な ど,言
こ れ ら の 文 字 は,ブ 身 の 回 り の 小 道 具,刀
ウ ェー デ ン語 な ど,個 別 言 語 の 歴
字 数 の 変 化 は音 韻 語 の 簡 素 化 を反 映 し
や 槍 な ど の 武 器 に 刻 み つ け られ
働 き を し た も の で あ ろ う.
以 後 は方 言 の分 化 が 著 し く,
ち 主 の 名 前 を 記 す 他 に 呪 文,祈
願 文 な どの
ア ル フ ァ ベ ッ トの 名 称 が ア ル フ ァ ・ベ ー タ か ら 出 て い る よ う に,こ
の文 字 列 も最初 の 数 文 字 を と って
史 へ と続 い てい く.し か し,古 期 ノ ル ド諸 方 言 を一 括
サ ル ク 」〓
して 古 ノル ド語 と称 す る こ と も多 い ので,800年
に よ り文 字 の 形 態 に 若 干 の 特 徴 が み ら れ る.
以前
れ
ロ ー チ や 腕 飾 り な ど の 装 身 具,
200∼600年
を後期古
字,そ
た も の で あ る.
て お り,持
を 前 期 古 ノル ド語,600∼800年
ど.
古 ノ ル ド語 の 最 古 の 資 料 は,「 ル ー ン文
字(英Runes)」
りの 変化 が 認 め られ るの で,通 常,こ れ を二 分 して,
ア イ ス ラ ン ド語,ス
小 さ い 」,
Bein,breit,Teil,heil,Stein,klein,な [資
ノル ド語 とす る.800年
石 」,klene「
部
な ど.
Old Norse,
ゲ ル マ ン語 の方 言 分 類 にお い て,北 ゲ
る.時代 的 には,西 暦200年
完 全 な 」,sten「
広 い 」,del「
木 」)
独Altnordisch 史]
骨 」,bred「
古 サ ク ソ ン 語 の 例:del,sten,ek(=Eiche「
(秦
[歴
分 」,hel「
ゲ ル マ ン語 派
古 ノ ル ド語 〓
陸
の と お りで あ る.
古 フ リ ー ジ ア 語:ben「
や や古 い
語 で 読 み た い 人 に は 便 利 な 参 考 書. 照]
これ ら の」
の ご と く後 期 の ル ー ン 文 字 で は 短 音 化 し て い る.大
Wright,J.(1954),Grammar of
[参
扱 い をみ
石 」,thausi→thusi
(=thosi)'these'「
伝 統 的 な文 法 書
de la Langue
(Clarendon
の結 西 部)
来 の 二 重 母 音ei/au/oyの
stain→stin(=sten)「
Gotischen
容 的 に や や 古 風 で あ る.
(Aubier,Paris)―
南 部),西(北
る と,
(C.H.Beck'sche,Munchen)―
が,英
例 と し て,本
伝 統 的 な 文 法 書.
Mosse,F.(1956),Manuel
へ 進 ん で 南 部 ノ ル ド語 へ と波 及 し た.こ ル ド語 内 部 に お け る 東(東
Formenlehreの 方 言 の 分 化 は い っ そ う 明 確 な も の と な っ た.
Laut‐und
Gotischen(Carl
Krause,W.(1968),Handbuch
で,内
向 は,北 果,ノ
と よ ば れ る.な
の ノ ル ド語 を,特 に原 始 ノル ド語(独Urnordisch)と
[文 字 の 形 態]
よぶ こ と もあ る.
《古 ル ー ン 文 字 》(24文
お,出
「フ
土 す る地 域
字)
古 ノ ル ド語 時 代 の 北 欧 人 は,ス カ ン ジ ナ ビ ア半 島 北 部 お よび北 東 部 で,異 民族 で あ る ラ ップ人 お よび フ ィ ン人 と,南 部 は ヨー ロ ッパ 大 陸北 部 で サ ク ソ ン人 と頻 繁 に 接 触 して いた とみ られ る.シ ー ザー(J.Caesar), プ リニ ウス(G.P.Plinius)な
ど,ロ ー マ人 の著 作 に
数 十 に お よぶ ゲル マ ン部族 の 名 が 登 場す るが,そ れ ら の 中 で,Germani,Harues,Suiones,Rugii,Heruli
〓14は,開 は,母
な どは ノ ル ド系の 部 族 で あ る.ゲ ル マ ン とい う名 称 が,
フィン
地 方 で5世
よ び〓23
ウ ェ ー デ ン の ゴ トラ ン ド(Gotland)
紀 の は じめ ごろ に 制 作 され た と思 わ
れ る ル ー ン石 に 刻 ま れ て い る も の で,〓
語 お よび ラ ップ語 に現 在 もな お残 るゲル マ ン語 か らの
る3つ
借 用 語 をあ げ る こ とが で き る.第2に
て あ る).
大 陸 北 部 に居 住
で あ る.〓18お
音 間 で 有 声 摩 擦 音 と な る.
上 に 示 し た の は,ス
当初 は 一部 族 の名 で あ った こ とは 注 意 して よい. 部族 間 の接 触 の言 語 上 の 証 拠 と して,第1に
い た[e]音
の グ ル ー プ に 分 け ら れ て い る(幾
し,の ち に ブ リテ ン島 へ 移 住 した ア ング ル人 の言 語 と,
各 文 字 に は,名
古 ノ ル ド語 との あい だ に語 彙 上 の 類似 点 が 少 な くない
時 代 の 名 称 を 再 構 成 し た も の を 下 に 例 示 す る.
とい う事 実 が あ る.ま 頃),サ
た,時
代 は 少 し下 るが(900年
ク ソ ン語 圏 に始 ま った 二 重 母 音 の短 音 化 の 傾
〓*fehu「
が 与 え ら れ て い る.共
とよ ばれ 分,簡
財 産 」
〓*purisaz「
通 ゲ ル マ ン語
〓*naupiz「
巨 人 」 〓*〓sa「
素化 し
困窮 」 氷」
〓*ehwaz「
馬 」
《新 ル ー ン文 字 》(16文 こ れ に ほ,お
神族」
本 来 の閉 鎖 音 が 摩 擦 音 に 転 じた のか,あ
に あ る も の と2系
ル ウ ェー,ス
ウ ェー デ ンの 碑文
統 の 文 字 が あ り,細 部 に 違 い が あ る.
紀 以 後 は,前
るい はそ の逆
の 過 程 を 想 定 す べ きか,学 説 が 分か れ てい る.
もに デ ンマ ー クで 発 見 され た碑 文 に使
わ れ て い る も の と,ノ
11世
〓*ansuz「 字)
者 が ス ウ ェー デ ン に も 普 及 し て い
っ た.
4)pは,母
音 間 で 有 声 に発音 された と考 え ら れ る.
この 場 合 は,後 に〓
と書 か れ る.
ル ー ン碑文 に 見 い だ され る語 形 を用 い て,こ の 時 代 の 名 詞 変 化 を再 構 成 した例 を下 に掲 げ る.
a‐語幹推定 碑文の語形 形(単 数) 主*‐az
frawardaR
属*‐asa
godagas
a‐語幹推定 形(複数)
碑文の語形
*‐oz
stainaR
(人 名) *‐om
(人 名) デ ン マ ー ク で 使 用 さ れ た 旧 文 字 と比 較 し て,音 変 わ っ て い る 点 が 注 意 さ れ る.aは,鼻
価が
母 音 を表 わ し
〓
な ど,明
た に つ くられ た 文 字
動 詞 の 活 用 形 で は,現 gibu'I が,過
も あ る. デ ン マ ー ク の ル ー ン 学 者 モ ル トケ(E.Moltke)に れ ば,も
っ と も 古 い ル ー ン文 字 は 西 暦100年
stAibA
「石 」
ら か に ラ テ ン文 字 を 写 し た と 思 わ れ る な ど,新
*‐anz
staina
ル ー ン 文 字 の 起 源 に つ い て は 諸 説 が あ る が,〓
も の が あ る 反 面,〓
‐ umR
(不 詳)
対*‐am
て い る.
*‐omiz
walhakurne
与*‐oi
よ
在 形 にwaritu'I
give',bariutip'he
write',
breaks'(=briutip)
去 形(弱 変 化)に,
古 ノル ド語
ゴー ト語
tawi〓o
'I
tawida[〓]
tawi〓e
'he
前 後,ヨ
ー ロ ッパ 大 陸 北 部 の ロ ー マ 文 化 の 間 接 的 な 影 響 の も と
made'
tawides[〓]
に,南
部 デ ン マ ー ク に お い て 成 立 し た と考 え る こ と が
made'
tawida[〓]
で き る. 下 に,ル
な ど が あ る.
ー ン 碑 文 を 若 干 例 紹 介 す る.
〈2,3世
こ こ に み ら れ る‐〓o/‐〓eな ど 開 音 節 の 長 母 音 は,ゴ
紀 〉
〓
ー ト語 よ り も古 い 段 階 を 残 し て い る .
raunija[R]
こ れ は,槍
の 穂 先 に き ざ ま れ た 文 句 で,「 試 み る(も
の)」 の 意 で あ ろ う. 〓
は,語
形 上 は 「ビ ー ル 」
と い う 意 味 の 古 い ア イ ス ラ ン ド語olと 細 は 不 明.こ
る ら し い.後
の 語 に は,呪
半 部 は,英
ラ ン ド語:〓)で
お な じで あ る
1)音
語'good'に
同 じ(古
アイス
*sati〓e'he
gu]〓agastiR
runo
faihi〓o「 余,グ
ズガス
現 象(ウ
holtijaR
horna
[旧 ル ー ン 時 代 の ノ ル ド語] と場 所 に よ り異 な り,正
文 字 の 音 価 は,時
代
確 に把 握 す る こ とは 困 難 で あ
わ ゆ る変 音
ム ラ ウ ト). 紀)→‐gestumR(dat.pl.syn
mariR'famous'→〓 変 音 現 象 は,1と
密 接 な 関 係 が あ り,か
た り発 生 し た と 考 え ら れ る が,そ
3)短 にrと
合流
の 時 期,規
つ 数 次 にわ 模に関 し
音 間 で 摩 擦 音 と し て 発 音 さ れ た.
母 音 が 二 重 母 音 化 す る 「割 れ 」(英breaking,
独Brechung).「 音eの
す る. 3)b,d,gは,母
set'
て は 諸 説 が 行 な わ れ て い る.
り に 示 さ れ な い. 音 化 した もの で,後
り逆 推)→
cope+umlaut)
tawi〓o.余,
くつ か の 注 意 点 を 述 べ る.
2)RはzがR‐
set'よ
音 が 後 続 す る 音 に 影 響 さ れ る,い
‐ gastiR(5世
hlewagastiR
音 は,綴
set'(sati〓o'I
sAte'he 2)母
ホ ル トの 息 子 フ レ ワ ガ ス テ ィ ル こ の 角 を 細 工 す 」
1)変
紀)→horn
staina→stAin
あ る.
テ ィ ル この ル ー ンを 刻 む」
る.い
節 内 部 の母 音 の 脱 落 に よる音 節 数 の減 少
horna(5世
術 的 な意 味 合 い が あ
〈5世 紀 〉 ek
以後の碑文に
(syncope).
〈3世 紀 〉 [ek
600年
れ 以 前 の も の と 比 較 し て,
次 の よ う な 特 徴 が み ら れ る.
alugod
女 性 の 名 前 と思 わ れ る.alu‐
が,詳
[新 ル ー ン 時 代 の ノ ル ド語] 反 映 さ れ る ノ ル ド語 は,そ
割 れ 」 は,ア
み に 起 こ り,後
響 を 受 け て,そ
ク セ ン トの あ る 母
続 す る 音 節 中 の 母 音a,uの
れ ぞ れea,euに
影
変 ず る も の で あ る.
e→ea→ea→ia:
dagum
*helmar→hjalmr(古
ア イ ス ラ ン ド語)「
兜」
e→eu→eu→io: *fer〓a→fjor〓r(‐o‐ 変 音)「
,u‐
ウム ラ ウ トに よ る
フ ィ ヨ ル ド」
石 」 を 例 に と る と(P.Skautrup1968に
ン を 刻 む.か
1)古
(複 数) 旧ル ー ン
新 ルー ン
*Stainum*staini*stainumR*stainum
対 格
*staina*stain*staino*staina
1525),近
ル マ ン語 に 伝 統 的 な
去 の 区 別 は あ る が,完
了形 お よび
未 来 形(助 動 詞 に よ る)は 未 発 達 で あ る.分
詞 は,現
成 立 し た と 思 わ れ る 文 法 形 式 の な か で 重 要 な も の は, 動 詞 に 代 名 詞sik/ser(「
自 身 」)を 加 え て つ く られ る,
4)ル
て い る.
も 増 え,か
以 降)ま で 下 る と 碑 文 の 数
つ 長 文 の も の が 少 な くな い.方 下 に,若
言の特徴 も
干 の 文 例 を 示 す.
rhulfR
Hrolf
ー ン ・ス ウ ェ ー デ ン語(800∼1225),古
stain
nuRa
sunu
sin...
satti
st〓in,NoRa
kupi
bro〓ursunu
aft
kupumut
brupur
(1526∼)
1)概
説
Haugen,E.(1976),The
Scandinavian &
Go〓umund
Languages
Faber,London)
Kuhn,H.(1970),Altnordisch(Kurzer der
germanischen
de
Gruyter,Berlin)
2)ル
Grundri〓
Philologie
bis
1500,Walter
ー ン碑 文
Eliott,R.W.V.(1959),Runes(Manchester Press)
Norse(Oxford
Introduction University
Krause,W.(1977),Die go〓i,〓ft
スウ
代 ス ウ ェー デ ン語
[参 考 文 献]
Gordon,E.V.(1957),An
sati
to
Old
Press)
Sprache
Inschriften(Carl
sinn...
der
urnordischen
Winter,Heidelberg)
(1970),Runen,Nr.1244/44a(Sammlung
(L.Wimmer,L.Jacobsenに
よ る;古
デ ンマ ー
Goschen,Berlin) Musset,L.(1965),Introduction
ク 語 訳) 「ノ ラ の 神 官 ロ ー ル フ,わ が 甥 グ ズ ム ン ド を 偲 び て こ の 石 を建 っ 」 〈10∼11世
期 デ ン マ ー ク 語(1500∼
ェ ー デ ン 語(1225∼1526),近
University
〈9世 紀 〉
デ ンマ ー
代 デ ン マ ー ク 語(1700∼)
(Faber 座 る」
代 ノ ル ド語 に お い て も頻 繁 に 使 用 さ れ
ヴ ァ イ キ ン グ 時 代(800年
代 ノ ル ウ ェ ー 語(1525∼)
ク 語(1100∼1500),中
い わ ゆ る 中 動 相 に 類 似 し た 形 式 で あ る. 自 身 を 据 え る 」 →setjask「
ノル ウ
期 ノ ル ウ ェ ー 語(1350∼
ー ン ・デ ン マ ー ク 語(800∼1100),古
1700),近
在
分 詞(gAlande'crying')お よ び 過 去 分 詞(slaginaR 'slayn')の 用 例 もむ ろん 記 録 され て い る .こ の 時 代 に
代アイス ラ
ー ン ・ノ ル ウ ェー 語(800∼1050),古
3)ル
新 ル ー ン の 言 語 に お い て も,ゲ
顕 著 で あ る.以
後 の ノ ル ド語 は,
ン ド語(1550∼) 2)ル
語 形 変 化 は,簡 素 化 さ れ な が ら も お お む ね 維 持 さ れ た.
こ の 形 式 は,現
霊 降 臨祭 に この ル ー
ア イ ス ラ ン ド語(1170∼1550),近
ェ ー 語(1050∼1350),中
与 格
sik「
ル ウ ェー
した り」
属 格*stains*stains*staina(nR)*staina
setja
um
次 の よ う に 分 類 さ れ る.
*stainaR*stain(n)*stainoR*stainaR
在,過
ioanom
の 朝 ヨ ハ ン ナ と お お い に 楽 しみ を な
ヴ ァ イ キ ン グ 時 代(800∼1100)以
の よ う で あ る.
動 詞 で は,現
af
よ る;ノ
「ソ ー ル ス テ ン ・ブ レ イ ジ,聖
(単 数) 旧 ル ー ン 新 ルー ン 主 格
gaman
語 原 文)
つ て の 格 語 尾 の 母 音 が 弱 化 ま た は 脱 落 し て し ま っ た.
よ る),次
mikit
p〓r
(L.Wimmer,L.Jacobsenに は
新 ル ー ン 時 代 の ノ ル ド語 は 形 態 の 簡 素 化 が 進 み,か
stain(n)「
m...
morginin
a la Runologie
(Aubier,Paris) Noreen,A.(1923),Altislandische
紀 〉
and
Grammatik(Max
altnorwegische
Niemeyer,Tubingen)
uirikR:resti:stan:eftiR:pialfa:brupur: sin:trak:pan:aR:uaR:miR:knuti: V〓ringr
reisti
sinn,dreng (Sven
stein pann,er
Jansson
「ヴ ェ ー リ ン グ ル,カ
[参
aftir var
に よ る;ス
me〓
Knuti
brei(pi)
ウ エ ー デ ン 語 訳)
ヌ ー トの 従 者 た り しわ が 兄 弟
reist
ゲル マ ン語 派
runar pessar
(秦 古 プ ロ シ ア 語
者 シ ャ ル ヴ ル を 偲 び て こ の 石 を建 つ 」 Porstein
照]
pjalfa,bro〓ur
仏 vieux
英 Old
Prussian,独
prussien,露
古 プ ロ シ ア 語 は,か
つ て の プ ロ シ ア(プ
の 言 語 で,東 プ ロ シ ア の 地 で 話 され,古 a
pikiz
宏 一)
Altpreu〓isch,
プ ロ イ セ ン 語,あ
ロ イ セ ン)人
プ ロ シ ア 語,古
るい は単 にプ ロ シ ア語 な ど とよ ば れ
て い る.近
問 答 書 と は 同 じ 方 言 で あ る が,Ⅰ
年 の ロ シア語 で は,単〓
「プ ロシ ア語」 と書 か れ る こ とが 多 い.バ ル ト語 派 に属
前 者 が 長 いeを
す る1つ の言語 で,現 存 す る リ トア ニ ア 語 とラ トビア
を 使 う と い う 差 が あ る.
語 が そ の東 の グ ル ープ を形 成 す るの に 対 し,そ れ とは
4)第
使 っ て い る と こ ろ に,後
訳 者 不 詳.こ
派 は,ほ か に も数 多 くの言 語 や方 言 が知 られて い たが,
さ れ て い な い. 5)教
の 資 料 も,正
答 書(Ⅲ.Katechismus)
トア ニ ア南 部,白
小 さ な 本 は,牧
〓方 言 とか,現 在 の ラ ト ビア と リ トア ニ ア の 境 界 のバ ル ト海 岸 に広 が って いた クル シ ュ〓
者 で は 長 いi
同 じ く
字 法 お よび 方言 の点 で 統 一
会 問 答 提 要(Enchiridion)ま
こ の言語 と近 い 関 係 に あ っ た,ポ ー ラ ン ド東 北 部,リ ロシ ア 西 部 で 話 さ れ た ヤ トビ ャ グ
の 間 に は,
Ⅱ 教 会 問 答 書(Ⅱ.Katechismus)
か な り違 う西 の グル ー プ を代 表 す る.か つ てバ ル ト語
古 プ ロ シア語 が18世 紀 の初 頭 に消 滅 し た の と同様 に,
と,Ⅱ,Ⅲ
の 訳 で,ほ
た は第 Ⅲ 教 会 問
1561年
に現 わ れ た この
師 ア ベ ル ・ ビ ル(Pastor
Abel
か の 資 料 よ り量 が 多 い の み か,ア
Will)
クセ ン ト
の あ る 長 い 母 音 が し ば し ば 正 し く書 い て あ る の で 有 用
方 言 な ど,一 連 の 方 言 が 消 え て し ま って い る.
で あ る が,訳
は,い
わ ゆ る 逐 語 的 直 訳 で,あ
ま り正 し
これ らの方 言 は,ラ テ ン語,ド イ ツ語,ポ ー ラ ン ド語,
い 資 料 と は い え な い.
ロ シア語 な どの文 献 中 の 語 彙 や 地 名 の 資 料 が 残 って い
6)単
る にす ぎな い.バ ル ト語 の 地 域 で 文 献 が 現 わ れ た の は
欧 語 の 古 い タ イ プ を 比 較 的 忠 実 に 保 っ て お り,資
カ トリッ クに対 す る宗教 改 革 の 時 代 で,一 連 の 補助 記
よ る 制 限 は あ る が,か
な り明 白 に 屈 折的 タ イ プ で あ る
号 のつ い た ラ テ ン文 字 が使 わ れ て お り,そ の一 部 が残
こ と を 示 し て い る.名
詞 で は,語
って 古 プ ロ シア語 の 資料 とな っ て い る.
プ の 格 変 化 が み ら れ,性 格 で,造
[古プ ロシ ア語 言語 資 料] 1)エ
ル ビン グ(Elbing)の
ドイ ツ ・プ ロ シ ア語 彙 集
1400年 頃 に書 か れ,語 彙 集 の前 部 に ドイ ツ語 で書 か れ た リュ ーベ ック(Lubeck)と
ポ メ ザ ン(Pomesan)と
古 代 ポ ー ラ ン ドの法 律 が つ い て い る.資 料 末 の 筆 者 名 は,ペ
トル ス ・ホ ル チベ ッ シ ェル(Petrus
scher).こ
独 の 語 お よ び 固 有 名 詞
Holczwes
の語 彙 集 は802の 語 を含 み,そ
の 内 容 は,
主 として 名 詞 と色 彩 を示 す 形 容詞 か らな る.語 は,ア
(短 語 尾 形)と 定 形(長 語 尾 形)を 動 詞 の 活 用 に つ い て は,資
で 集 め た と推 定 され る.ま た,こ の資 料 は オ リジナ ル で は な く,さ らに古 い写 本 ま た は オ リジ ナル の コ ピー か ら写 され た もの で あ る.し た が って,そ の 内容 には, か な りの誤 りが あ る. 2)シ
モ ン ・グ ル ナ ウ(Simon
り,こ
僧 シモ ン・グル ナ ウ に よ って1517∼1526年
容 詞 は,不
定形
も つ が,後 者 は 少 な い.
料 の面 か らい ろ い ろ 不 明 の
な り古 い 形 を も
欧 語 比 較 研 究 者 の 注 目の的 と もな
れ ま で に エ ン ツ ェ リ ン(J.Endzelin),フ
レン
ラ ウ トマ ン(R.Trautmann) 在,ト
ポ ロ フ(B.H.TonopoB)
の 大 き な 辞 書 が 刊 行 中 で あ る. [参 考 文 献] Endzelin,J.(1944),Altpreussische (Verlag
Latrju
Grammatik
Gramata,Riga)
Fraenkel,E.(1950),Die (Carl
Grunau)の
は5
は 単 数 と 複 数 で,
資 料 の 面 で 限 界 が あ る と は い え,か 保 っ て い る の で,印
な ど の 研 究 が あ り,現
著 者 は ドイ ツ人 で,さ ま ざ ま な方 言 を い ろ い ろ な場 所
の タイ
こ と が 多 い.
ケ ル(E.Fraenkel),ト
Sterne「 星 」 とい うふ う に な っ て い る.こ の語 彙 集 の
料 に
の3つ,格
格 と処 格 は ほ ぼ 消 失 し,数
Gott「 神 」に 続 いて,Engel「
空 」,
幹 に よ り7つ
は 男,女,中
双 数 は 痕 跡 を と ど め る に す ぎ な い.形
ル フ ァベ ッ ト順 で はな く,概 念 の連 想 に よ って お り, 天 使 」,Himmel「
こ の 言 語 は,印
baltischen
Sprachen
Winter,Heidelberg)TonopoB,B.H.(1975,1979,1980,1984)(HayKa,MoCKBa)
語彙集 に書 か れ
た プ ロシ ア年 代 記 の 中の100の 語 彙 で,組 織 的 にで は
[参
照]
バ ル ト語 派
な く,た だ 単 に集 め られ た もの で あ る.そ の 中 には 他
(千 野
栄 一)
の 資 料 に は 出て こな い もの が あ り,お そ ら くポー ラ ン ド語 か,場 合 に よ って は リ トア ニ ア語 の語 形 と思 わ れ
さ
る もの もあ る.ま た,語 尾 を欠 い てい た り,変 形 され た もの もあ る こ とか らみ て,資 料 と して の 価 値 が低 く, ここで も,異 な っ た い くつ か の 方 言 の 存 在 が 想 定 され る. 3)第Ⅰ
教 会 問 答 書(Ⅰ.Katechismus)
にケ ー ニ ッ ヒス ベ ル ク(Konigsberg)で
1545年 発 見 され,訳
サ ル ジ ニ ア 語 英 Sardinian =サ ル デ ー ニ ャ語 サ ル デ ー ニ ャ 語
sardu,伊
sardo,英
地 中 海 の サ ル デ ー ニ ャ(Sardegna)島
者 の 名 は不 詳.序 文 に よ って,こ の 訳 の前 にす で に手
る,ロ
書 きの訳 の あ った こ とが 知 られ る.第 Ⅱ,第 Ⅲ の教 会
ル ジ ニ ア 語 と もい う.紀
マ ン ス 諸 語 に 属 す る 言 語.サ 元 前238年
Sardinian で 話 され て い
ル デ ィ ニ ア 語,サ に始 ま る古代 ロー
マ 人 に よ る政 治 的 支 配 に 伴 っ て 島 に 移 植 され た ラ テ ン
方 言 圏 の 南 方,4の
語 が,主 と して 中世 紀 に お け る変 化 を経 て,形 成 され
す る.島
た 言語 で あ る.島 北部 で話 され る サ ッサ リ方 言,ガ
の 地 方 を 含 む.
ッ
ル ー ラ方 言 の 分 類 に関 して は 問題 が あ る とは い え,少 な く と も,ロ グ ドー ロ方 言,カ
ン ピダ ー ノ 方言 とい う
地 理的 変 種 を含 む サル デー ニ ャ語 を,た
とえ ば,イ タ
リア語 の1方 言 とい う ので は な く,イ タ リア語,フ
ラ
ンス語 な ど と並 ぶ固 有 の言 語 と認 め る点 で 研 究者 の意 見 は一 致 して い る(「方 言 」 を参 照).な
お,同 島 は,
今 日,イ タ リア 共和 国 のサ ル デー ニ ャ州 を構 成 し,島 の公 用 語 は イ タ リア語 で あ る.
カ ン ピダ ー ノ方 言 圏 の北 方 に分 布
北 西 部 の ロ グ ドー ロ(Logudoro)地
4)カ
ン ピ ダ ー ノ 方 言(伊.campidanese)
グ ドー ロ 方 言 圏 の 南 方,カ
テ ン語 由来 の 古 風 な特 徴 を数 多 く保 ち,ロ マ ンス 諸 語 の う ちで 共通 の 源た る ラテ ン語 に も っ と も近 い す が た
ロ グ ドー ロ 方 言 と の 境 界 線 は,西 ノ(Oristano)湾
都 市 は,州
部 海 岸 の オ リス タ ー
北 部 と 東 部 海 岸 の オ ロ ゼ イ(Orosei)
湾 南 部 と を 結 ぶ 線 に よ っ て,お
お よ そ 示 さ れ る.中
都 で も あ る カ リ ア リ(Cagliari)市
ノ 方 言,特
カ ンピ ダー
ら に,い
くつ か の 下
位 方 言 に 分 類 す る こ と が 可 能 で あ る. ロ グ ドー ロ方 言 は,全
体 に外 来 の 影 響 を受 け る こ と
が 少 な く,サ
語 全 体 の 中 で特 異 な位 置 を 占 め る言 語 に な って い る.
る も の で あ る が,中
幾 多 の 方 言,下 位 方 言 に 分 か れ る サ ル デ ー ニ ャ語 に,
島 中 央 東 部(ヌ
い わ ゆ る標準 語 や 共通 語 は 存 在 せ ず,ま た,統 一 的 な
む)の
正 書 法 も確 立 して い な い.島 の 公 用 語 で あ り国語 で あ
て は,こ
るイ タ リア語 の 普 及 に した が い,特 に 都 市 部 や若 い世
方 言(伊.nuorese)と
代 の あ い だで,サ ル デ ー ニ ャ語 の 使 用 は 徐 々に 後退 し
に 分 類 す る 立 場 も あ る.一
て きて は い る もの の,今 な お,そ の 活 力 は 比 較的 よ く
来,イ
保 た れ てい る とい え る.サ ル デ ー ニ ャ語 に よる文 筆 活
ル ー ラ 地 方 に は,近
動 もな され て は い る が,こ の言 語 の 使 用 は,主
渡 っ て き た こ と を 反 映 し,今
ル デ ー ニ ャ語 本 来 の す が た を よ く と ど め で も際立 っ て保 守 的 な特 徴 を 示 す
オ ロNuoro市,ビ
ッ テ ィBitti市
島 そ の他 の 地 域 に移 住 した者 を含 め,100万 人 か ら120 万 人 くらい で あ ろ うと推 定 され る.そ の大 多数 は,イ タ リア語 との 二 言語 併 用 者 で あ る. な お,サ ル デー ニ ャ島 北 西 部 の ア ル ゲ ロ(Alghero) 市 で は,14世 紀 半 ば に,ア ラ ゴ ン王 家 の軍 事 的 占拠 に 伴 うカ タ ロニ ア人 の入 植 が 行 なわ れ た結 果,今 日で も, サ ルデ ー ニ ャ語,イ
タ リア語 と並 ん で,カ
タ ロニ ア 語
が話 され て い る.ま た,南 西 部 沿 岸 に あ るサ ン ・ピ エ トロ(San 市,お
Pietro)島 の カ ル ロ フ ォル テ(Carloforte)
よび,サ ン・タ ンテ ィ オ コ(Sant'Antioco)島
カ ラセ ッタ(Calasetta)市
で は,18世
の
紀 半 ば に,ベ ル
ベ ル 人 の 迫 害 を逃 れ て チ ュニ ジア 沿 岸 か ら移 住 した ジ ェノ ヴ ァ人 移 民 の 子 孫 の あ い だ で,イ タ リア語 リグ リ ア方 言(伊.ligure)が [方
言]
受 け継 が れ て い る.
サ ル デ ー ニ ャ語 の 方 言,お
分布 地 域 は,以 下 の よ うで あ る(<図>を 1)サ
ッサ リ 方 言(伊.sassarese)
よび,そ の も参 照). サ ッサ リ
(Sassari)市 を含 む 島 の北 西 端 部 に 分布 す る. 2)ガ
ッル ー ラ 方 言(伊.gallurese)
端 部 ガ ッル ー ラ(Gallura)地
島 の北 東
方 に 分布 す る(含,オ
ル
ビアOlbia市). 3)ロ
グ ドー ロ 方 言(伊.logudorese)
上 記2
を含
ロ グ ドー ロ方 言(中 央 部 ロ グ ド ー ロ 方 言)に
つい
れ を サ ル デ ー ニ ャ語 中 央 部 方 言 な い し ヌ オ ロ し て,ロ
グ ド ー ロ方 言 と は 別 個
方,島
の 北 部 に は,中
タ リ ア 語 の 影 響 が 強 く及 ん だ こ と,ま 世,コ
<図>サ
世以
た,ガ
ッ
ル シ カ 島 か ら多 く の 移 民 が 日 の サ ッ サ リ方 言 お よ び
話 し言葉 の レベ ル にお け る もの で あ る.サ ル デ ー ニ ャ 語 の 話者 の 正 確 な 数 は知 られ て い な い が,イ タ リア半
心
で あ る.
ロ グ ド ー ロ 方 言,4の
に 前 者 に 関 し て は,さ
を とどめ る一 方,独 自の 特 徴 を も発 達 させ,ロ マ ンス 諸
と して
ロ
ン ピ ダ ー ノ(Campidano)
平 原 を含 む,島 の ほ ぼ 南 半 分 を 占 め る地 域 に 分 布 す る.
上 記 の う ち,3の
サル デ ー ニ ャ語 は,他 の ロ マ ンス 語 に は失 わ れ た ラ
方 そ の他
ル デ ー ニ ャ島 の 言 語 ・方 言 分 布
ガ ッル ー ラ方 言 に は,本 来 のサ ル デ ー ニ ャ語 に み られ
小 国 分 立 時 代 を含 む11世 紀 末 か ら15世 紀 に か け て,
ない 特 徴 が 数 多 く存 在 す る,そ の う ちの 重 要 な もの の
サ ル デ ー ニ ャ語 を用 い た 公的 な文 書 が 多数 作 られ て い
い くつ か,た
る こ とが 重 要 で ある(こ の 時期 の サ ル デ ー ニ ャ語 を,
尾 の‐sに
とえ ば,1)名
詞,形 容 詞 の 複 数 形 が 語
よ って示 され ない,2)ラ
で は な くILLEに
古 サ ル デ ー ニ ャ語 と よ ぶ).島
テ ン語 のIPSE
由 来 す る定 冠 詞 を 用 い る,3)不
定
北 部 の トッ レス 国 の 統
治 者 マ リアー ノ ・ デ ・ラ コ ン(Mariano
de
Lacon)が
詞 と助 動 詞 の融 合 に よ って 生 じた 未来 形 ・条 件 法 を も
ピサ 人 に通 商 上 の 恩 典(免 税)を 認 め る 旨 を記 した 特 許
つ,4)ラ
状(1080∼85の
テ ン語 のPL‐,BL‐,CL‐,GL‐,FL‐
に
あい だ に作 成)は,そ
う した 文 書 の う
ア語 に も共 通 してみ られ る もの で あ り,サ ッサ リ方 言
ちの 最 古 の もの の1つ に数 え られ る.ま た,古 サ ル デ ー ニ ャ語 に よ る文 書 の 中 には ,教 会 や 修道 院 で 筆 写 さ
お よび ガ ッル ー ラ方 言 をサ ル デ ー ニ ャ語 で は な く,イ
れ,集 成 され て きた,資 産 に関 わ る法 的 な 証 書 な ど を
タ リア 語 の 方 言 と して分 類 す る研 究 者 もい る.
集 めた コ ンダ ー ゲ(伊.condaghe)と
口蓋 化 が起 こっ てい る,な どの諸 点 は,(標 準)イ タ リ
[語
史]
紀 元 前3世 紀 後 半 に,古 代 ロー マ 人 が
よば れ る記 録 が,
相 当数 含 まれ てい る.な お,古 文 献 に用 い られ た サル
ラ テ ン語 を もた らす 以前 の 島の 言 語 状 況 に つ い て は,
デ ー ニ ャ語 に は,文 書 作 成 地 域 の 違 い を 反 映 す る,ロ
知 られ る と こ ろが 少 な い.前9世
グ ドー ロ方 言 とカ ン ピダー ノ方 言 の 違 い が,す で に う
フ ェニ キ ア人,次 い で,前6世
紀 頃,島 に 到 来 した 紀 以 降,活 発 な植 民 活
動 を始 め た カル タ ゴ人 に よって,沿 岸 部 を中 心 に,彼
か が え る.ま た,イ タ リアや フ ラ ンス に お い て は,い ま だ ラ テ ン語 が全 面 的 に用 い られ て い た 公 文 書 の領 域
ら の母 語 た る セ ム系 言語 が 行 なわ れ た ことは 間 違 い の
に,サ ル デ ー ニ ャ語 が早 期 に登 場 した の は,中 世 ラ テ ン
ない とこ ろ で あ るが,新 石 器時 代 に遡 る遺 跡 を残 し,
語 文 化 の 振 る わ なか っ た島 の 文 化 状 況 を 示 す もの と, 一 般 に 解 釈 され てい る.
前2千 年 紀 の半 ば以 降,特 (伊.nuraghe)に
異 な 石 造 建 築 物 ヌ ラー ゲ
象 徴 され る文 明 を築 い た先 住(諸)民
さて,11世 紀 以 降,島
に進 出 した ピサ,ジ
ェノヴァ
族 の言 語 に関 して は,古 代 の イ ベ リア語,ベ ル ベ ル語,
両 国の うち,後 者 は 主 と して 島 の北 西部 に そ の 勢 力 を
リグ リア語,エ
伸 ば した が,南 部 を中 心 に島 全体 に よ り大 きな 支 配 力
トル リア 語 な ど,さ ま ざ ま な言 語 との
関 係 が 指 摘 され て い る もの の,確 実 な こ とは分 か っ て
を確 立 したの は ピサ で あ る.ピ サ 人 の用 い るイ タ リア
い な い.な
語 トス カ ナ方 言(伊.toscano)の
お,サ ル デ ー ニ ャ(ラ テ ン語 名,サ ル デ ィ
ニ アSardinia)と
い う名 称 は,ギ リシ ア人 の 用 い た 呼
称 サ ル ドー 前238年
に 由来 す る もの で あ る.
影 響 が,カ
リア リ市
を 中心 とす る南 部 地 方,ま た,北 部 の 沿岸 地 域 に及 び (島北 西 部 に は,ジ ェ ノ ヴ ァ人 の 用 い る リグ リア 方 言 の
以 後,先 住 民族 の言 語 との 共存 期 を経 な が
影 響 も加 わ っ た),そ の結 果,こ れ らの 地 域 と,イ タ リ
ら(ロ ー マ 時 代 に作 られ た,ポ エ ニ 語 〔Punic,古 代 カ
ア語 の 影 響 を こうむ る こ との 比 較 的 少 な か った 島 中央
ル タ ゴ人 の言 語 〕 に よ る一連 の碑 文 が 島南 部 で 発 見 さ
の地 域 との方 言 的 差 異 が 広 が って い った.
れ て い る),徐
14世 紀 以 降,島 の 政 治 的 支 配 権 は,イ ベ リア 半 島 の
々 に勢 力 を 伸 ば して い った ラテ ン語 は,
紀 元 後1世 紀 半 ば頃,全 島 に そ の根 を下 ろす に至 っ た
ア ラ ゴ ン王 国 の握 る とこ ろ とな り,1476年
もの と推 定 され て い る.そ の後,西
王 国 とカ ス テ ィ リャ王 国 の合 併 に よ り誕 生 した ス ペイ
に先 立 つ456年
か ら約80年
ロー マ 帝 国 の 滅 亡
間,サ ル デー ニ ャ島 は,北
以 後 は,同
ン王 国 が そ の支 配 を ひ き継 ぐこ と に な った.こ れ に伴
ア フ リカ に本 拠 を置 くヴ ァ ンダ ル民 族 の支 配 を受 け た
い,支 配者 の 言語 とし て 島 に導 入 され た カ タ ロニ ア 語,
あ と,534年
つ い で ス ペ イ ン語 が,上 層 言 語 と して,サ ル デ ー ニ ャ語
か ら9世 紀 初 め まで は,ビ
ザ ン チ ン帝 国
の 支 配 下 に あ った.ビ ザ ンチ ン帝 国 支 配 期 に は,同 国
に 影 響 力 を 及 ぼ す こ とに な る.カ タ ロニ ア 語 は,カ
の公 用 語 で あ るギ リ シア 語 を用 い た 公 文 書 が 作 られ,
ア リを は じめ とす る南 部 の諸 都 市 を 中心 に広 ま っ た.
そ の 語 法,文 体 は,後 に 出現 す るサ ル デ ー ニ ャ語 に よ
ス ペ イ ン語 が 上層 言 語 と して のカ タ ロニ ア 語 に とっ て
る公 文 書 に影 響 を及 ぼ す こ とに な る.
代 わ る よ う に なる の は,17世 紀 以 降 の こ とで あ る.ス
8世 紀 初 め には,以 後,何 百 年 か にわ た って くり返 され るサ ラ セ ン人 の 侵 寇 が 始 ま る.11世
紀 以 後 は,サ
ラセ ン人 の 襲 撃 を排 除 す るの に 力 あ った,ピ サ,ジ
ェ
ペ イ ン語 は,主
と して,カ
よ び,島 の北
部 に勢 力 を伸 ば した.ア ラ ゴ ン ・ス ペイ ン支 配 期,イ ベ リア半 島 の 言 語 を用 いて 作 品 を著 した 作 家が 多 か っ
ノ ヴ ァ両 海 洋 共 和 国 の 勢 力 が 島 の 各 地 に 及 ぶ よ う に
た 中 で,15世
な るが,そ
オ ッラ(G〔H〕.Araolla)ら
の 頃 に は,ユ ー デ ィ ケ(古 サル デ ー ニ ャ語
リア リ市,お
リ
紀 の カ ー ノ(A.Cano),16世
紀 のアラ
に よ り,サ ル デ ー ニ ャ語 を
iudice)と よ ばれ る統 治 者 をそ れ ぞ れ 戴 く4つ の 小 国
詩作 に 用 い る試 み が始 め られ た こ とが注 目に値 す る ・
(ガ ッル ー ラGallura,ト
い しログ
そ う した試 み は,後 の18世 紀 に は,こ とに 数 多 くな さ
リア リ
れ た が,一 方,サ ル デ ー ニ ャ語 を用 い た 文 学 的 な 散 文
ドー ロLogudoro,ア Cagliari)が
ッレスTorresな ル ボ レアArborea,カ
自立 を遂 げ てい た.言
語 史的 に は,こ の
の 発 達 は み られ なか った.
18世 紀 初 頭,数 あ と,1718年
年 間,オ
に,島
ー ス トリア の支 配 に服 した
は,北
イ タ リア の サ ヴ ォ イ ア家 の
領 有 す る と こ ろ と な る.以
後 の 島 の 歴 史 は,国
タ リ ア 王 国 期(1861∼1946)を
る ま で,イ
タ リ ア 半 島 の 歴 史 と 直 接 に 関 わ り合 う こ と 校 教 育 は,イ
よ う に な り,サ
ル デー ニ ャ語 を用 い た 詩 人 の 試 み や 民
衆 詩 の 流 れ が あ る 一 方,著 述 家 の 間 で は,イ タ リ ア 語 に よ っ て 作 品 を 発 表 す る こ と が 一 般 的 に な っ た.今 あ ら ゆ る社 会 階 層 に お い て,サ
日,
ル デ ー ニ ャ語 に も っ と
も大 きな 影 響 を及 ぼ して い る言語 が イ タ リア語 で あ る こ と は い う ま で も な い. [文 字 ・表 記 法]
ルデーニ
紀 末 な い し12世
紀 初 め に 遡 る文 書 に,ギ
リ
[benneru]「
娘 む こ」 ∼[〓]「
は,ラ
よ う に,同 じ 音 色 の 母 音 ど う し が 一 体 と な る こ
と に よ っ て 成 立 し た も の で あ る.ラ I,Uが,そ
れ ぞ れE,Oか
糸 」,[beru]「
字 架 」,[muru]「 島 南 部 の 方 言,イ
き わ め て め ず ら し い.
は 確 立 さ れ て い な い.本
項 の 記 述 に お い て は,古
下 の 記 述 に お い て,sard.は
log .は
ロ グ ドー ロ 方 言(文 脈 に よ っ て は,中
央 部 ログ
ドー ロ 方 言 を 除 く ロ グ ド ー ロ 方 言),sass.は リ方 言,cat.は
カ タ ロ ニ ア 語,it.は
は ポ ル トガ ル 語,rum.は イ ン 語 の 略 語 で あ る.ラ [音
韻]
サ ッサ
イ タ リア 語,ptg.
ル ー マ ニ ア 語,sp.は
ン ト(強 勢)の 位 置 は,ラ
弱 型 で あ る.ア
クセ
テ ン 語 に 直 接 遡 る語 の 場 合,
原 則 と し て ラ テ ン 語 で 強 勢 の あ っ た 音 節 に く る.実 に は,単
音 節 語 は 別 に し て,語
な い し3番 い.サ
ル デ ー ニ ャ 語 に は,一
般 に,最
camp.[〓](<COR)「 [tui](<TU)「
際
終 音節 の ア ク セ
と え ば,log.[r〓],
目の 音節 に移 され
母 音 体 系 に つ い て 述 べ る な ら,ロ
グ ドー ロ 方 言 に お
て い る.
音 が 音 韻 論的 に 区別 さ
音 は,語
中 で の 位 置,強
わ ら ず 現 わ れ う る./e/と/o/に
/e,o/が
後 の 音 節 に/i,u/,も 含 ま れ る 場 合,そ
と し て 実 現 され,そ
勢の有無に関
関 し て は,い
る 母 音 変 異 の 現 象 が み ら れ る.す は,直
移 か ら う か が わ れ る).一 [o]と[〓]の
は,後
わ ゆ
な わ ち,/e/と/o/
し くは,/i,u/に
先立 つ
れ ぞ れ,半 狭 母 音 の[e][o]
れ 以 外 の 場 合 に は,半
の み に な っ た.ま 紀 以 降,島 の 南 端 部 か
方,強
広母音の
献上の表記法の推
勢 母 音 の[e]と[〓],
区 別(母 音 変 異 に よ っ て い た も の)は,以 れ ら の 区 別 が,共
時的 に
続 母 音 の 種 類 に よっ て規 定 され る もの で は な く
な っ た.し
た が っ て,今
日 の カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,
強 勢 母 音 に 関 し て,/i,e,〓,a,〓,o,u/の7母
音が
音 韻 論 的 に 対 立 し て い る と 考 え る こ と が で き る./e/ と/〓/,/o/と/〓/の [beni]「 [oru]「
対 立 を 示 す 例 と し て,
来 い 」 ∼[b〓ni](<[〓])「 へ り 」 ∼[〓
な ど の 対 が あ げ ら れ る.カ
的 に は,対
〕(<[〓])「
よ く」 金」
ン ピ ダー ノ方 言 圏 の西 部 を テ ン 語 の 語 中 の‐N‐
は た ら き に よ っ て 生 じた 鼻 母 音(音
韻論
応 す る 口 腔 母 音 の 異 音 と 解 釈 で き る)が
存
在 す る. 例)[mau]「
の5母
末無 強 勢 母 音 の
ら 徐 々 に 北 上 し て い っ た こ と が,文
(の ち 消 失)の
ク セ ン トが 語 末 か ら2番
れ る.こ
ち,語
変 化 し た(そ の 結 果,語
中 心 と す る相 当 広 い 地 域 に は,ラ
源 に な い 語 末母 音 が 添
い て は,/i,e,a,o,u/の5母
グ ドー ロ 方 言 と
/e/が/i/に,/o/が/u/に
目,
心 」 やlog.[〓],camp. 君 が 」 に は,語
じ め,ロ
同 じ 母 音 体 系 が み ら れ た が,の
目 の 音 節 に ア ク セ ン トの お か れ る こ と が 多
ン ト を 避 け る 傾 向 が あ り,た
加 さ れ,ア
末 か ら 数 え て2番
カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,は
前 の ま ま に 保 た れ た の で,そ
スペ
テ ン 語 は,大 文 字 で 表 記 し た.
ア ク セ ン トは,強
との 境 に 位 置 す る僻 地
た,こ の 語 末 母 音 の 変 化 は,11世
ガ ッ ル ー ラ 方 言,
ル シカ
マ ン ス 語 圏 全 体 の 中 で は,
末 無 強 勢 母 音 は,/i,a,u/の3種
カ ン ピ ダ ー ノ 方 言,centr.
は 中 央 部 ロ グ ドー ロ方 言,gall.は
太 陽 」)は,コ
タ リ ア 半 島 ル カ ー ニ ア(Lucania)地
・現 代 の 著 作 家 の 表 記 法 に は
お,以
十
壁 」,[〓]「
代 語 に関 して 統 一 的 な 正 書法
サ ル デ ー ニ ャ 語,camp.は
本 当 の 」;CRU
CE(M),MURU(M),SOLE(M)>log.[〓]「
か な り個 人 差 が あ り,現
い て 表 記 す る.な
合体
し た 現 象(NIVE(M),FILU(M),VERU(M)>log.
例 外 的 な 存 在 で あ る.近
用
テ ン語 の 強 勢 母 音
ら 区 別 さ れ,I,Uと
の 方 言 に も み ら れ る が,ロ
文献
音体 系
テ ン 語 の 母 音 が 長 短 の 区 別 を 失 い,I,I>i,E,
E>eの
ビ ザ ンチ ン 帝 国 支 配 期 の 名 残 と い え る こ の 表 記 法 は,
式)を
来 る」
歴 史 的 に い う な ら,/i,e,a,o,u/の5母
方 と カ ラ ブ リア(Calabria)州
際 音 声 字 母(IPA方
よ い 」 〔女
性 単 数〕
シ ア 文 字 で サ ル デ ー ニ ャ 語 を転 写 し た も の が あ る が,
に 現 わ れ る形 を 除 き,国
よ く」
よ い 」〔男 性 単 数 〕∼[b〓na]「
[nie]「 雪 」,[filu]「
最 初 期 の 文 献 以 来,サ
ャ 語 の 表 記 に は,ラ テ ン ・ア ル フ ァ ベ ッ トが 用 い ら れ て い る.11世
来 い 」 ∼[〓]「
[bonu]「
経 て現 在 に至
タ リア語 を 使 って な され る
し て 実 現 さ れ る.
例)[beni]「
土統一
運 動 期,イ
に な っ た.学
[〓][〓]と
BENE,な
手 」 <MANU(M),[〓]「
よ く」 <
ど.
子 音 体 系 は,方 言 に よ り,ま た,そ
の 下 位 方 言 に よ り,
細 部 に お い て か な り の 違 い が み ら れ る(Contini,1987 は,サ
ル デ ー ニ ャ語 諸 方 言 の 子 音 体 系 の 型 を10通
下 位 体 系 を 含 め る と40通 ば,中
り に 分 類 し て い る).た
央 部 ロ グ ドー ロ方 言 の う ち,ヌ
て い る 方 言 で は,ラ
り, とえ
オ ロ市 で 話 され
テ ン語 の 音 韻 に 直 接 由 来 す る,
/p,b[b,β],t,d〔〓],d,k,g[〓],dz,
f[f,v],s[s,z],m,n[〓],l,r/
央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 で は,一 般 に 元 の 音 色 を 保 っ た.
の よ う な 子 音 群 と 半 母 音/j/が,外 ら れ る/〓/と
来語 の 発音 に 用 い
と も に 使 わ れ て い る.有
音[〓][〓][〓][v][z]は,主
と して母 音 間 に現 わ
れ る/b//d//g//f//s/の
異 音 で あ り,[〓]
軟 口 蓋 子 音 の 前 に 現 わ れ る/n/の [〓]は,同
異 音,そ
じ くそ り 舌 音 の[d]の
の 異 音 で あ る.な
声 摩擦
は,
り舌 音 の
前 に 現 わ れ る/n/
お,/r/は,ヌ
例)GENERU(M)>centr.[generu]「
娘 む こ」.
cf.log.[benneru],camp.[〓]「
娘
む こ」 2)D以
外 の 子 音 に先 立 た れ な い ラ テ ン語 の半 母音
I[j]が,中
央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 を 中 心 に 保 持 さ れ た.
例)IAM>centr.[ja]「
オ ロ 市 方 言 を 含 め,
す で に 」.cf.log.[〓],
camp.[〓]「
す で に」
サ ル デ ー ニ ャ 語 で は,一 般 に,い わ ゆ る 巻 き舌 の[r]と
MAIU(M)>log.[maju],camp.[ma(j)u]
し て 実 現 さ れ る.
「5月 」
ヌ オ ロ 市 方 言 以 外 の 方 言 で 用 い ら れ る 個 々 の 子 音 に 言 及 す る な ら,ま
ず,ヌ
代 わ ら れ た が,他
オ ロ 市 方 言 で は[t]に
の 中 央 部 ロ グ ド ー ロ 方 言 で 広 く用 い
ら れ て い る無 声 歯 間 摩 擦 音 の[〓]が 例)[〓]「3月 ま た,中
とって
あ げ られ る.
門閉鎖
用 い る 地 域 が あ る.
「場 所 」 <LOCU(M)
央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 以 外 の ロ グ ドー ロ 方 言
圏 で は,地
域 に よ り,摩 擦 音 の[∫][〓],破
用 い られ,カ
母 音[w]の
れ ら の 摩 擦 音,破
擦音 の 使用
使 用 と と も に 一 般 的 で あ る.ま
北 東 部 の ロ グ ド ー ロ 方 言,サ の 系 列 に,硬
擦 音 の[t∫]
ン ピ ダ ー ノ 方 言 や サ ッ サ リ方 言,
ガ ッル ー ラ 方 言 で も,こ が,半
た,
ッ サ リ方 言 に は,摩
口 蓋 音 の[〓],軟
仙 女」
音 間 の 無 声 閉 鎖 音‐P‐.,‐T‐,‐C[k]‐
が,中
口 蓋 音 の[x]が
擦音 み られ
る.
例)CUPA(M)>centr.[kupa],log.,camp. 樽」
ACETU(M)>centr.[aketu],log.[〓], camp.[〓]「 4)ラ GN>nnな
ど の 同 化 現 象 な ど に よ り2次
が 生 じ,現 関 し,単
酢」
テ ン語 の 重 子 音 は 原 則 と し て 保 た れ,ま
よ び,
他 の 主 要 な サ ル デ ー ニ ャ語 方 言 の 子 音 組 織 と,ラ
テン
の よ うな点 が 注 目
さ れ る. 1)母
音 に 先 立 た れ な い ラ テ ン 語 のC[k]が,ロ
ドー ロ 方 言 で は,A,O,Uの
前 の み な らず,Ⅰ,Eの
前 で も そ の 音 色 を 保 っ た.こ 全 域 で,こ
れ は,今
や[r]音
ロ グ ド ー ロ方 言 圏 の 多 くの 地 域 で は,母
音 に先 立 た れ
も保 た れ て い る.な
ダ ー ノ 方 言,ガ
ッル ー ラ 方 言,サ
央部
お,カ
ンピ
ッ サ リ方 言 で は,お
そ ら く イ タ リ ア 語 の 影 響 も あ り,Ⅰ,Eに 一 般 に 破 擦 音 な い し摩 擦 音 に変 化 した. 例)CENTU(M)>log.[kentu],camp.,gall. [t∫entu],sass.[tsentu]「100」 CILIU(M)>log.[kidzu],camp.[t∫illu] 「眉 毛 」
先 立 つCは,
母 音 間 で み ら れ る.
(<CARRU(M))「 一 方 ,閉 鎖 音,摩 い て,母
親 愛 な る 」∼[karru] 馬(牛)車
」
擦 音 の 系 列 で は,多
くの 方 言 に お
音 間 の 単 子 音 が 弛 緩(有 声 化,摩
た 重 子 音 と の 違 い が,量 な く な っ た.中
擦 音 化)し
的 な対 立 のみ に よ る もの で は
央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 で は,母
音 間 の無
れ らの音 は 重 子 音 に近 く 発 音 され る傾 向が
強 く,本
来 の重 子 音 との 音 声的 差 異 が しば し ば失 わ れ
て い る. 5)ラ
テ ン語 の 語 末 子 音 は,サ
に よ く保 持 され た(サ 除 く).特
ル デ ー ニ ャ語 で 一 体
ッ サ リ方 言,ガ
ッル ー ラ方 言 を
に,他 の ロ マ ン ス 語 で ほ と ん ど 失 わ れ た‐T
の 保 持 が 注 目 さ れ る. 彼は歌
う」 6)ラ
光」
記3を
参 照),こ
ニ ャ語 方 言 で,そ
音 に 先 立 た れ な いGI,GEのG[g]も,中
た
う した変 化 を起 こ さ な か っ
声 閉 鎖 音 は 単 子 音 で も そ の 音 色 を 保 っ た が(上
[drutt∫i]「 甘 い 」
[〓]「
大 き い」
[karu](<CARU(M))「
LUCE(M)>centr.[〓],log.[〓],camp.
ま た,母
手 」∼
[mannu](<MAGNU(M))「
例)CANTAT>log.,camp.[kantat]「
DULCE(M)>log.[〓],camp.[durt∫i],
に
子 音 と重 子 音 の 音 声的 かつ 音 韻 論 的 な対 立 が
り脱 落 し た り し た た め,そ
日の ロマ ン ス語
の 方 言 の み に み られ る 特 徴 で あ る.中
たCI,CEの[k]音
グ
た,
的 な重 子 音
代 サ ル デ ー ニ ャ語 で は,[n]音
例)log.,camp.[manu](<MANU(M))「
ヌ オ ロ 市 方 言 を含 む 中 央 部 ロ グ ドー ロ方 言,お
語 の そ れ と を 比 較 し て み る な ら,次
れ
一 般 に 有 声 摩 擦 音 に 変 化 した .
[〓]「
さ ら に,中
[〓]が
3)母
に 対 し,他 の ロ グ ドー ロ 方 言 や カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,
央 部 ロ グ ド ー ロ 方 言 圏 の 南 部 に は,声
例)[〓][lohu〕
仙 女 」.cf.log.
[〓],[dzana],camp.[〓]「
央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 で は 有 声 化 せ ず に 保 た れ た.こ
」 <MARTIU(M)
音[〓] や 無 声 声 門 摩 擦 音[h]を
DIANA>centr.[jana]「
テ ン 語 の 重 子 音‐LL‐
が,す
り 舌 音 の[dd]に
べてのサルデー 変 化 し た.
例)NIGELLU(M)>centr.[〓],sass., gall.,log.,camp.[nieddu]「
黒 い」
な お,こ
れ と 同 じ変 化 が,イ
タ リア 半 島 南 部,シ
ア 島,コ
ル シ カ 島 南 部 の 方 言 に も み ら れ,サ
ャ 島 を 含 め た これ ら の 地 域 に,共
チ リ
ルデーニ
通の言語基層を想定
す る 説 が 出 さ れ て い る. 7)語
頭 の 子 音 群PL‐,BL‐,CL‐,GL‐,FL‐
は,
現 象 が 起 き な い こ と も 多 い).こ p‐,t‐k‐
の ログ ド 声 摩 擦 音〓
,〓,〓
に 変 化 す る.た
[tempus]「 合,中
満
pus],[〓]で
ちた」
は,一 な る.
〕
「花 」
し[〓]と
し てB‐
ヅ ル ー ラ 方 言,お
れ を[v]な
い
と の 区 別 を 保 っ た サ ッ サ リ方 言,ガ よ び 一 部 の 中 央 部 ロ グ ドー ロ 方 言(ビ
ッ テ ィ 市 方 言 な ど)を 除 き,大 し て[b]と
は,こ
半 の 地 域 で,B‐
と合 流
な っ た.
9)ラ
ッ テ ィ 市),
風」
の 系 列 に 変 化 し,他
グ ドー
中 で は,[bb]と
も)に 変 化 し た.カ
般 に,d‐(>〓‐)を ば,[〓]「
除 い て,b‐,g‐
牛 」,[〓]「
冠 詞 を 伴 っ た 場 合,中
も,母
な る.カ
そ ら く,イ
タ リア 語 トス カ ナ 方 言 の 影 響
無 声 摩 擦 音 のf‐
の回帰が
[kwat(t)ru]「4」 水 」
ANGUILLA(M)>log.[ambidda],camp. [〓]「
部 で は,母
の北 部 で は そ の ま
音 が そ の 前 に 添 加 さ れ た.
[〓],[〓]「
い 」 <NECな
の 南 部 で は,[i]を
音[i]を
の北
その前に
添 加 し ない 形 が
後 の 環 境 に よ っ て 変 質 す る,統 数 多 く存 在 す る の で,こ 頭 子 音 は,語
辞 上 の音 変 化 が 非 常 に
た,借
逆 に,語
用 語 に 関 し て は,こ
ッルー
の よ うな
ば し
グ ドー ロ 方 言 に お い て,語
声 閉 鎖 音 やs‐
の 前 で 保 た れ る が,他
の 子 音 に 同 化 さ れ た り(l‐,n‐ の 前
る い は,[r]に
変 化 し た り す る.ま
た,母
の 犬 」,[〓]
の ク ル ミ」,[〓]「3人
末 の‐rが,無
の 息 子 」,
の 友」 声 閉 鎖 音 やs‐
の 前 で[s]音
化 す る 地 域 も あ る. 例)centr.[〓](ヌ (cf.[〓]「4人
群 中 で 母 音 間 の位 置 に き た場
合,弛 緩 な い し 脱 落 す る 現 象 が 広 くみ ら れ る(ガ ラ 方 言 を 除 く.ま
と え ば,ロ
[〓]「3人
の 共 時 上 の 現 象 に 言 及 す る.
頭 子 音 は,し
音 の 前 で は 有 声 化 す る.
学校」 頭音 や 語 末 音 が 前
∼ も∼ な
定 の音 環 境 で 統 辞 上 の 音 変 化 を す る
の 子 音 の 前 で は,そ
「3個
ル デ ー ニ ャ 語 に は,語
∼ に,∼
嘆文 を導 入 す る 小
時的 変 化 に よ り語 末 子 音 の 脱 落
例)log.[〓]「3匹
camp.,gall,[〓]「
ま ず,語
問 文,感
そ して そ の よ うに」
語 末 子 音 も,一
な ど),あ
舅 」→(定 zokru]
緩 ・脱 落 現 象 は 起 き な い.
例)log.[〓]「
例)SCHOLA(M)>log.[〓],sass.[〓],
最 後 に,サ
viku],[su
そ し て 」 <ET,[〓]「 ど,通
末 の‐sは,無 を もつ 語 は,島
部(ガ ッ ル ー ラ 方 言 を 除 く)で は,母 添 加 し た 形 が,島 一 般 的 で あ る.
∼ か(疑
こ と が あ る.た
車 輪」
頭 にSP‐,ST‐,SC‐
リ
音 間 の 位 置 で,
くつ か の 母 音 終 わ り の 単 語([a]「
ば 重 子 音 化 し,弛 は,島
例)ROTA(M)>log.,sass.,gall.[〓],camp.
一 方,語
は,母
し た 語 が 多 い)に 先 立 た れ た 場 合,語
ウ ナ ギ」
テ ン語 の 語 頭 のR‐
ち,カ
イ チ ジ ク 」,[sokru]「
冠 詞 を 伴 っ た 場 合)[sa
辞)」 <AUT,[〓]「
AQUA(M)>log.[abba],camp.[akwa]「
と
子 音 に 近 い 発 音 で,b(b)‐,
お よ びs‐
へ 」 <AD,[a]「
例)QUATT(U)OR>log.[〓],camp.
ま 保 た れ た が,南
般 に[〓],[〓],[su
声 化 す る.
一 方,い
み ら れ た.
通, の ロ
が 多 く の 語 に お い て 復 活 し た.
例)centr.[fiku]「
10)ラ
央 部 ロ グ ドー ロ方 言 で は,普
音 間 で 脱 落 す る 現 象 が み られ た が,の
d(d)‐,g(g)‐
とえ
猫 」 は,定
ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,b‐,d‐,g‐
が,の
く の 語 に お い て,[kw][gw]へ
は 脱 落 す る.た
家 」,[gattu]「
な る が,他
通 常,有
ち,お
音 間 の 位 置 で,
[〓],[〓],[〓]と
ン ピダ ー ノ方 言 で も同 様 の 変 化 が 起 こ った と思 わ れ る
に よ り,多
は,母
の ロ グ ドー ロ 方 言 で は,一
ア リ市 方 言 を 中 心 に,重
テ ン語 のQu[kw],GU[gw]は,ロ
ロ 方 言 で,[b](語
tem
の ロ グ ドー ロ 方 言 で
声 閉 鎖 音b‐,d‐,g‐
attu]と
オ ロ 市),[ventu](ビ
sass.,gall.[〓]「
冠 詞 を 伴 った 場
中 央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 で は 有 声 摩 擦 音 β‐ な い しv‐,〓
グ ドー ロ 方 言 で は,一
例)VENTU(M)>log.,camp.[bentu],centr. [bentu](ヌ
犬 」 は,定
パ ン 」,
般 に,[〓],[〓],[〓]と
,〓
テ ン語 の 語 頭 のV[w]‐
と え ば,[〓]「
あ る が,他
次 に,有
FLORE(M)>centr.[〓],camp.[〓
8)ラ
時 」,[〓]「
通,有
央 部 ロ グ ド ー ロ 方 言 で は[〓],[su
CLAVE(M)>centr.[〓],camp.[krai] 「鍵 」
央 部 ログ ド
ー ロ 方 言 や カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,普
の 一 帯 で,[pr][br][kr][gr][fr]に 例)PLENU(M)>centr.,camp.[prenu]「
音 に は さ ま れ た 場 合,中
ー ロ 方 言 で は 一 般 に そ の ま ま 保 た れ る が,他
中 央 部 ロ グ ドー ロ 方 言 を 含 む 島 中 央 か ら 南 部 に か け て 変 化 し た.
は,母
れ に よ り,無 声 閉 鎖 音
動 詞 語 尾 に 現 わ れ る‐tは,後 常,同
化 す る.
オ ロ 市)「4匹
の犬 」
の 息 子 」) 続 の 語 頭 子 音 に,通
例)log.[〓]「 ま た,語
彼 は 上 手 に 歌 う」
末 の‐nも,f‐,s‐,m‐,l‐,r‐
前 で 同 化 現 象 を 起 こ し,否 は,さ
ら に,母
由 来 す る.
な ど の 子音 の
定 辞[〓]「
∼ な い 」 の‐n
音 の 前 で は 脱 落 す る こ と が 多 い.
例)centr.[〓]「
す る な 」,[〓]「
形 容 詞 は,修
応 じて 語 尾 変 化 を す る.品
末,な
出
い し文 中 の 休 止 の 前 に 位 置 し
ル デ ー ニ ャ語(ガ
方 言 を 除 く)で
は,そ
ッ ル ー ラ 方 言,サ
ッサ リ
の子 音 の 後 に母 音 を添 え て 発音
す る こ と が 多 い.そ
の 寄 生 母 音 は,原
則 と し て,子
の 直 前 に あ る 母 音 と 同 種 の も の で あ る.こ
sg.),‐as(f.pl.)と4通
り に 語 尾 変 化(カ
と,log.[〓]「 ‐es(m.f.pl.)と2通
り に 語 尾 変 化(カ
言 で は,‐i,‐isと
変 化)す
こ と も あ り う るlog.,camp.[bellu]「 it.),[bonu]「
時 」→(休
止 の 前)
彼 は 探 す 」→(休
止 の 前)
辞 上,母
に 位 置 し た 場 合 に は,語
末母 音 の省 略 が しば しば み ら
音 は じま りの語 の 前
詞 や無 強 勢 の 補 語 人 称 代 名 詞 につ い て
末 母 音 の 省 略 が 規 則 的 に な さ れ る. の)
男」
彼 の 」,な
ど)も,.ロ
法] 名 詞 は,男
性(m.),女
数(sg.),複
性(f.),い 数(pl)の
ず
変化 を
性 単 数 の 語 尾 は,log.‐u,‐e,camp.‐u,‐i,
例)log.[fidzu た だ し,サ
meu]「
グ ドー ロ 方 言,カ
ある
ン ピ ダー ノ方 言 の 名
ロ マ ン ス 諸 語 と 同 じ く,単
を 添 加 す る こ と に よ っ て 示 さ れ る(た
4)人
称 代 名 詞
た,そ
数 形 に‐s
だ し,log.‐u
れ 自体 ア ク セ ン ト を 有 し,動
詞 との間 に他 の 要 れ 自 体,通
常
強 勢 形)と に 大 別 さ れ
オ ロ市方 言 の人 称 代 名 詞 の 形 を例 と し
て 掲 げ る(主 表1で,1人
数 に
に 後 続 な い し先 行 す る動 詞
に 接 合 して 用 い ら れ る 接 合 形(非 る.表1に,ヌ
数,複
称 代 名 詞 は ,ま
素 の 介 在 を ゆ る す 離 接 形(強 勢 形)と,そ
と し て,Pittau,19722に
よ る).
称 単 数 お よ び2人
称 単 数 の 補語 人 称 代
名 詞 離 接 形[〓](<MIHIMET), [〓]は,常
「壁 」
語 人 称代 名詞
の お の,単
の 人 称 を 区 別 す る.人
例)log.[muru](m.sg.),[muros](m.pl.)
に 前 置 詞[a]を
伴 っ て,直 接 な い し 間 接 目
的 補 語 と して 用 い ら れ る 形 態 で あ り([〓]
[〓](m.sg.),[〓](m.pl.)「
パ ン」
[〓](f.sg.),[〓](f.pl.)「
ッ サ リ方 言,ガ
「私 を,私
バ ラ」
詞[kin]「
[〓](f.sg.),[〓](f.pl)「
妻」
ッル ー ラ 方 言 の 名 詞 複 数 形 は,
添 加 に よ っ て で は な く,語
末 母 音 を‐iに
変え る
こ と に よ っ て え ら れ る.
る.前
ッル ー ラ 方 言 の 所 有 形 容 詞
人 称 代 名 詞 は,主
(sg.)→‐os(pl.)).
2)冠
ンピダ
私の息子」
ッ サ リ方 言,ガ
は ア ク セ ン トを も た ず,常
女 性 単 数 の 語 尾 は,log.‐a,‐e,camp.‐a,‐iで
‐sの
君 の 」,
ー ノ方 言 で は 名詞 に 後置 され る.
3つ ず つ,計6つ
れ か の 文 法 性 を 有 し,単
な お,サ
私 の 」,[tou]「 グ ド ー ロ 方 言,カ
と補 語 人 称 代 名 詞 と を 含 み,お
詞 複 数 形 は,西
詞に
は 名 詞 に 前 置 さ れ る.
例)log.[su]+[〓]→[〓]「(そ
こ と が 多 い.ロ
美 し い 」(<
あ る 悪 い 男 」,[
所 有 形 容 詞(log.[meu]「 [sou]「
語 末 無 強 勢 母 音 が,統
も つ.男
詞 に前 置 され る
よ い 」 な ど の 少 数 の 例 を 除 き,名
例)log.[〓]「
centr.[kirkata],log.[〓]
詞
質
〓 「そ の 大 き な 家 」
centr.,log.[kirkat]「
[文
ン ピダ ー ノ方
る 型 の も の とが あ る.品
形 容 詞 が 名 詞 を 直 接 修 飾 す る 場 合,名
[tempuzu]
1)名
る型 の もの
後 置 さ れ る の が 原 則 で あ る.
例)log.,camp・[tempus]「
は,語
変 化)す
ン ピダ ー
強 い 」 の よ う に,‐e(m.f.sg.),
末
の 際,語
に述 べ た 語 頭 子 音 の母 音 間 に お け る 音 変 化
に,冠
に
質 形 容 詞 に は,log.[bonu]
音
と 同 じ 変 化 を 受 け る.
れ る.特
飾 す る 名 詞 の 性,数
ノ 方 言 で は,‐u,‐us,‐a,‐asと
語 末 子 音 が,文
子 音 は,先
容 詞
「よ い 」 の よ う に,‐u(m.sg.),‐os(m.pl.),‐a(f.
る な」
た 場 合,サ
3)形
詞
[unu](m.),[una](f.)),後 ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,IPSE「
定 冠 詞 と定 冠 詞 と が あ に 由 来 し(log.,camp.
と と も に 」 を 伴 っ て 用 い ら れ る 形 態([kin 君 と と も に 」 な ど;cf.sp.contigo「
も に 」),[〓],[〓]は,そ
君 とと
の他 の前 置 詞 を伴 って
用 い ら れ る形 態 で あ る([〓]「
私 か ら 」,[
者 は,ロ グ ドー ロ 方 言,カ 自 身 」 に 由 来 す る(log.,
語 人 称 代 名 詞 は,特
ル デ ー ニ ャ語 で
に主 語 を 強 調 す る場 合 以 外
は 使 わ れ な い こ と が 多 い.ま
た,直
補 語 と な る 代 名 詞 に つ い て は,普
接 な い し間接 目的 通,接
合 形 を 用 い,
離 接 形 は そ れ ら の 補 語 を 強 め る 場 合 に 用 い る.離
pl.),[sas](f.pl.),camp.[is](m.f.pl.)).な
お,
ッ ル ー ラ 方 言 の 定 冠 詞 は,他
ん ど の ロ マ ン ス 語 と 同 じ く,ILLE「
他 の 多 く の ロ マ ン ス 語 と 同 じ く,サ も,主
camp.[su](m.sg.),[sa](f.sg.),log.[〓](m.
サ ッ サ リ方 言,ガ
置
〓]「 君 の た め に 」 な ど).
冠 詞 に は,不
者 は,数 詞UNUS「1」
tekus]「
に 」 な ど),[mekus],[tekus]は,前
そ の,あ
接形
の 補 語 人 称 代 名 詞 は,関
連 す る動 詞 との位 置 関 係 につ
のほ と
い て 制 約 が 少 な い が,接
合 形 の 補 語 人 称 代 名 詞 は,普
の」に
通,動
詞 の 直 前 に お か れ る.
例)log.[lu
nar〓]「
た だ し,命
私 は そ れ を言 う」
言,ガ ッル ー ラ方 言 で は,**の
令 法 や ジ ェル ン デ ィ オ(伊.gerundio,進
形 も単 純 時 称 形).表2
に,ヌ オ ロ市方 言 に お い て,規 則 的 な語 形 変化 をす る
行 形 や 副 詞 節 相 当 表 現 を つ く る 動 詞 形 態)に 対 し て は,
[〓]「
そ の 直 後 に お か れ る.
え る」 の 活用(複 合 時 称 形 を 除 く)を 示 す(主 として,
例)log.[nara
lu]「 そ れ を 言 え 」,[〓]「
歌 う」,[〓]「
Pittau,1972に
そ
れ を言 いつ つ 」
恐 れ る 」,[〓]「
終
よ るが,異 形 の一 部 は省 略 した).
単 純 時 称形 に関 して 特 に注 目 す べ き点 と して は,ま
接 合 形 の 間 接 補 語 人 称 代 名 詞 と 直 接 補 語 人 称 代 名 詞
ず,ヌ オ ロ市 を 含む ログ ドー ロ方 言 圏 の い くつ か の 地
が 同 時 に 用 い ら れ る と き は,前
点 に 残 存 す る接 続 法 半 過 去 が,他 の ロ マ ンス語 で ほぼ
例)log.[ti 5)動
lu 詞
で あ る.不
nar〓]「
者 が 後 者 に 先 行 す る.
私 は 君 にそ れ を言 う」 類
き継 ぎ,そ の機 能(の 一 部)を 継 承 してい る点 で あ る.
定 詞 語 尾 が,
例)centr.[〓]
a)log.‐are,camp.‐aiと
な る 第1活
用,
例)log.[〓],camp.[kantai]「
な る 第2活
例)log.[〓],camp.[〓]「 な る 第3活
例)log.〓],camp.[〓]「 で あ る.第1活
第2活
用 は‐ERE活
用 は‐IRE活 で あ る.動
た だ し,幹 母 音 に‐e‐を もつ 第2活 用 の 接 続 法 半過 去 が,他 活 用 の 動 詞 に も及 ぶ よ うに な った 方 言 もあ る.
用,
ま た,カ ン ピダ ー ノ 方 言 や サ ッサ リ方 言,ガ
感 じる」
方 言 で は,ラ テ ン語 接 続法(半)過 去 の形 態 は失 わ れ,
用 を,
そ の機 能(の 一部)は,イ
用 を,第3活
称 に よ る 変 化 の な い,不
ェ ル ン デ ィ オ と,主
応 じ て 語 形 変 化 を す る13の
な わ ち,直
に 由来 す る形 態 に ひ き継 が れ て い る. 古 サ ル デ ー ニ ャ語 に は,単 純 時 称 形 の1つ に,ラ テ
に
ン語 直 説法 完 了 に 由来 す る形 態 が あ った が,の ち,ほ と
説法
ん どす べ て の 方 言で 用 い られ な くな り(た だ し,一 部 の形 態 は,直 説 法 半 過 去 の 形 態 に 採 り入 れ られ た),そ
現 在 ・近 過 去*・ 半 過 去 ・大 過 去*・ 未 来**・ 前 未 来***, 接 続 法 現 在 ・過 去*・ 半 過 去 ・大 過 去*,条 過 去***,命
令 法 現 在)と
の う ち,*を
称形
付 け た もの は 助 動 詞 と過去 分 詞 の 組 み 合
わ せ か ら な る 複 合 時 称 形,**を
前 置 詞)+ 助 動 詞
分 詞 か ら な る 複 合 時 称 形 で あ る.残 動 詞1語
の み か ら な る 単 純 時 称 形 で あ る(サ
<表1>サ
組 み 合 わ せ に よ る直 説 法 近 過去 に と って 代 わ られ た. 例)log.[〓],も
付 け
直 説 法 近 過 去 は,過 去 の 事柄 を継 続 的 な 広 が りの う
称 形 が,
ち に把 え る直 説 法 半過 去(例:log.[〓]「
ッ サ リ方
歌 って い た 」)と,機
ル デ ー ニ ャ語 の 人 称 代 名 詞(ヌ
(離
2人 称
「 私」 「君 」
3人 称 男 性形 「 彼,そ れ 」 女 性形 「 彼 女,そ れ 」 再 帰形 「自 ら」 複 数 1人 称
「 私 た ち」
2人 称
「君 た ち 」
3人 称 男 性形 「 彼 ら,そ れ ら」 女 性形 「 彼 女 ら,そ れ ら」 再 帰形 「自 ら」
私は
能 上,対 立 す る.
オ ロ市 方 言) 接
主 語 人称代名詞 単 数 1人 称
し くは[〓
]「 私 は歌 った 」
の不 定 詞 +過 去
り の5時
持 つ 」 も し くはESSE
「で あ る」 に 由来 す る動 詞)の 直 説 法 現 在 と過 去 分 詞 の
付 け た も の は 助動 詞
(+ 前 置 詞)+ 不 定 詞 か ら な る複 合 時 称 形,***を た も の は 助 動 詞(+
の機 能 は,助 動 詞(HABERE「
件 法 現 在**・
に わ た っ て な さ れ る.時
タ リア語 トス カ ナ方 言 や ス ペ
定
語 の 人 称,数
時 称 形(す
ッルー ラ
イ ン語 と同 じ く,ラ テ ン語 の接 続 法 大過 去 〔 過去 完 了〕
れ ぞ れ 主 と して ひ き継 い だ もの
詞 の 活 用 は,人
去 分 詞,ジ
用,
用 は ラ テ ン 語 の‐ARE活 用 お よ び‐ERE活
用 を,そ
分 か った だ ろ う に」(非 現 実 の仮 定)
恐 れ る」
c)log,‐ire,camp.‐i(ri)と
の3つ
「も しア ン トー ニが 今 こ こ にい て くれ た ら,君 に は
歌 う」
b)log.‐ere,camp.‐i(ri)と
詞,過
完 全 に 消 滅 した ラ テ ン語 の接 続 法(半)過 去 の形 態 をひ
動 詞 の 語 形 変 化(活 用)の 型 は3種
形)
補 語 人称代 名詞
(接
合
間接補語 人称代名詞
形)
直接補語 人称代名詞
独 自の 形 態 を有 し,肯 定 命 令 に使 わ れ る命 令 法 現 在
法 現 在 に 由来 す る助 動 詞 +前 置 詞[a]+
に対 し,ロ グ ドー ロ方 言,カ ン ピダー ノ方 言 の 否定 命
て構 成 され る.
令 は,non+
例)log.[〓],camp.[app
接 続 法 現 在 に よ って 表現 され る.
例)log.,camp.[〓]「
kkantai]「
言 う な」
不 定 詞 に よっ
a
私 は 歌 うだ ろ う」
複 合 時 称形 で 注 目に値 す る のは,直 説法 未来 と条件
ログ ドー ロ方 言 に は,DEBERE「
法 の形 態 で あ る.サ
説 法 現 在 に 由来 す る助 動 詞 + 不 定 詞 か らな る未 来 形 も
ッサ リ方 言 とガ ッル ー ラ方 言 は,
標 準 イ タ リア語 な ど と同様,単 純 時 称形 と して の 未来 形,条 件 法 現 在 形 を有 す るが,ロ グ ドー ロ方 言,カ
ン
ね ば な らな い 」の 直
あ る. 例)[〓]「
君 は 歌 うだ ろ う」
ピダー ノ方 言 に はそ れ が み られ な い.こ れ らの方 言 に
なお,未 来 の こ とが ら は,こ の よ うな 複 合 時 称 形 に よ
お い て,未 来 形 は,一 般 に,HABERE「
らず,直 説 法 現 在 形 で 表 現 され る こ と も非 常 に多 い.
持 つ 」 の 直説
例)log.[〓]「 <表2>サ
ルデ ー ニャ語 規 則 動 詞 の活 用 (ヌ オ ロ市 方 言)
《不 定 詞 》
《過 去 分 詞 》
私 は 明 日出 発 す る」
条 件 法 現 在 形 は,ロ グ ドー ロ方 言 で は,DEBEREの 直 説 法(半)過 去 に 由来 す る助動 詞 + 不 定 詞 に よ り,カ ン ピ ダー ノ方 言 で はHABEREの
直 説 法(半)過 去 に
由 来 す る助 動 詞 + 前 置 詞[a]+ 不 定 詞 に よ り,そ れ ぞ れ 構 成 され る.
《ジ ェ ル ン デ ィ オ 》
例)log.[〓],camp.[〓] 「彼 は 歌 うだ ろ うに」
《直 説 法 現 在 》
直 説法,接 続 法,条 件 法 の機 能 上 の対 立 は,標 準 イ タ リア語 や 西 ロマ ンス諸 語 にみ られ るそ れ と,お お よ
単
そ 同 じで あ る. ま た,ESSEに
由来 す る動 詞 と ジ ェル ンデ ィ オの 組
み 合 わ せ に よ って 表 現 され る進 行 形 は,サ ル デ ー ニ ャ
複
語 で よ く用 い られ る. 例)centr.[〓]「 《直 説 法 半 過 去 》 単
6)語
順
す る主 語(S),動 SVで
複
私は読んでい るところ
だ」 サ ル デ ー ニ ャ語 に お い て,文 を構 成 詞(V),目
的 語(0)の
あ り(例:log.[〓]「
は 歌 う」),SVOで
基本的語順 は マ リー ア
あ る(例:log.[〓
]「 マ リー ア は(そ の)戸 を閉 め る」)と 考 え られ 《接 続 法現 在》
る が,場 合 に よ り,そ の他 の語 順 も可 能 で あ る. 目的 語(直 接 目的 補 語)に 関 して,サ ル デ ー ニ ャ語 で
単
は,こ れ が人 を さす 普 通 名 詞(一 般 に 冠 詞 を伴 わ ない もの),固 詞[a]を
複
有名 詞,離 接 的 人 称 代 名 詞 で あ る場 合,前 置 伴 っ て表 現 され る こ とが 注 目 され る.
例)centr.[〓]「
私は君の
父 親 を見 た」,[〓]「 《接 続 法 半 過 去 》
ま た,VとOの
単
彼
らは私 を呼 ん で い る」 語順 に関 し,Oを
る よ うな文 では,VOの
主 題 化 して 表現 す
代 わ りにOVの
語 順 が 可能 で
あ る.た とえ ば,centr.[〓]「
複
そ の雌 馬 を見 た 」 とい うVOの
私は 文 に 対 して,[〓
]「そ の雌 馬 を私 は 見 た」 とい うOVの
文
もあ り うる.こ の よ うな語 順 の 場 合,上 例 に み られ る 《命 令法 現 在》 単 複
よ うに,名 詞 のO(〓
「雌 馬 」)を もう1度 接 合 形
の代 名 詞(l(a)「 それ を」)で 受 け 直 す の が 普 通 で あ る.OVの
語 順 は,な お ま た,Oが
疑 問 の焦 点 とな る
疑 問 文(例:centr.[〓]「
誰 を君 は見 るの
か 」)に お い て は も ち ろ ん,疑 も,し
問 詞 を 含 ま ない 疑 問 文 で
ば し ば み られ る.
う の か 」,[〓]「
源 の 語 は,島
そ の雌 馬 を君 は
れ ら れ て い た 語 を 継 承 す る も の で あ る か(log.,camp. [〓]「
サ ル デ ー ニ ャ 語 の 語 彙 は,ラ
ら 直 接 ひ き継 い だ 語 を 中 心 に,イ 語 か ら借 用 し た 語,サ
ル デー ニ ャ語 に影 響
君 た ち は油 を 買
見 た か」 彙]
語 的 に,サ
を 及 ぼ す こ と が ま っ た く とい っ て い い ほ ど な く,今
テ ン語 か
タ リア語 そ の他 の 言
ル デ ー ニ ャ語 内 部 で 新 た に 形 成
さ れ た 語 を 加 え て 成 り 立 っ て い る.
に も た ら さ れ た ラ テ ン 語 に す で に 採 り入
腰 」,centr.[〓]「
酸 敗 し た 牛 乳 」,な
ど),あ
る い は,イ
あ る(た
と え ば,log.,camp.[rikku]「
[〓]「
タ リ ア 語 等 を 通 じ て 入 っ た もの で
[brau]「
青 い 」 な ど は カ タ ロ ニ ア 語 か ら 入 っ た).
と して 動 植物 や地 勢 な ど を表 わ
ビ ザ ン チ ン帝 国 支 配 期 に は,
す 名 称 の う ち に は,ラ
テ ン語 導 入 以前 に この島 で 行 な
古sard.eniu,eneu(log.[enju])「 相 続 人 の い な い 者 」,
た と え ば,
古sard.condake,condage(log.[〓])
独 身 者,
わ れ て い た 言 語 に 遡 る と 思 わ れ る語 が 見 い だ さ れ る.
「証 書 録 」,
テ ン(貂)」,centr.[〓],
log.[〓]「
カ エ デ 」,camp.[〓
い 丘 」,[〓]「
肥 沃 な谷 あい 」
な ど が そ れ で あ り,こ
log.,camp.[〓]「
] 「低
な ど が,ギ
れ ら に つ い て は,古
代 の イベ リ
代 官 」 な ど,行 政 や 社 会 の 制 度 に 関 わ る語
は,そ
る が,正 確 な 語 源 は 知 ら れ て い な い も の が 多 い.camp.
の が 多 い.
[tsippiri]「
400年
は,古
湧 き水 」 な ど
代 カ ル タ ゴ人 の 用 い た ポ エ ニ語 に遡 る もの と さ
れ る.
ナ イ フ 」,
リ シ ア 語 か ら 借 用 さ れ た が,古sard.
curatore「
ア 語 や バ ス ク語 そ の他 の 言語 との関 連 が指 摘 され て い
ロ ー ズ マ リ ー 」,[mittsa]「
は,法
う し た 制 度 の 消 滅 に 伴 い,使
に 及 ぶ,ア
ラ テ ン語 を 直 接 ひ き継 い だ 語 の う ち に は,他
な っ た も の が あ り,サ
のほ と
律 ・行 政 用 語 か ら 生 活 に 密 着 し た 語 に 至 る ま で,
用 が一 般 的 で な く
イ ン 語 か ら 入 っ た.カ
も の に し て い る.た
税 関 」,[gravellu]「
ネ ー シ ョ ン 」,[sindrja]「
log.,camp.[kras]「
明 日」(<CRAS),
log.[〓],camp.[〓]「
「黄 色 い 」,camp.[fusteri]「
大 工 」,[kull〓ra]
〔奪 格 〕),
「ス プ ー ン 」,[palaja]「
シ タ ビ ラ メ 」,[〓]
log.[〓],camp.[〓],[〓]
「聖 人 讃 歌 」,[〓]「
醜 い 」,[〓]「
「戸 」(<IANUA(M),IENUA(M)),
う に 」, 大 き い 」(<MAG‐
な ど の 語 の ほ か,敬
NU(M)), 言 う」(<NAR‐
方,ス
log.,camp.[autu]「
log.[〓]「
log.[〓]「
に は, 尋ね
る 」(<PERCONTARE;cf.sp.preguntar,
log.[〓],camp.[〓]「
な ど,イ
知 る 」(<SCIRE;
知 る 」),
ベ リ ア 半 島 や ル ー マ ニ ア な ど,ロ
紀 前 半 に 島 を支 配 した ゲ ル マ ン
聖人讃
す ぐ に 」,
な ど の 語 が あ る. サ 人,ジ
ェノ ヴ
ァ 人 が 島 で 盛 ん に 活 動 し た 中 世 期 に 始 ま り,イ
ベ リア
く,ピ
半 島 の 勢 力 が 及 ん で い た 時 代 に も途 絶 え る こ と な く行 な わ れ,18世
マ ンス語 圏
の 周 辺 部 に の み 同 系 語 が 残 っ て い る例 も あ る. 5世 紀 後 半 か ら6世
醜 い 」,[〓]「
イ タ リ ア 語 か らの 借 用 は,古
尋 ね る 」),
終 え る 」,
ス プ ー ン」,[〓]「
歌 」,[feu]「
log.[〓],camp.[〓]「
ptg.perguntar「
窓 」,log.[ak‐
kab(b)ar〓],camp.[akkab(b)ai]「 叫 ぶ 」(<IUBⅠLARE),
な ど が そ れ で あ る.中
証 書 」,[kal(l)entura]
「熱 」,[ventana],[fentana]「
結 婚 させ
る 」(<CONIUGARE),
cf.rum.sti「
あ な た 様 」 な ど が 含 ま れ る.一
ペ イ ン 語 か ら の 借 用 語 に は,
RARE), log.[〓],camp.[〓]「
この よ
称 の 代 名 詞log.[〓],camp.
[〓],[〓]「
log.[〓],camp.[〓]「
カー
ス イ カ 」,camp.,centr.
[ka〓ira]「 椅 子 」,log.[〓],camp.[〓]
家 」(<DOMO
log.,camp.[mannu]「
に
は,
log.,camp.[duana]「
と え ば,
タ ロニ ア語 お よび ス ペ
タ ロ ニ ア 語 か ら の 借 用 語(特
カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 に 多 い)に
ル デ ー ニ ャ語 の 語 彙 を 特 色 あ る
わ れ な くな った も
ラ ゴ ン,ス ペ イ ン 両 王 国 支 配 時 代 に
お び た だ し い 数 の 借 用 語 が,カ
ん ど の ロ マ ン ス 語 で 消 滅 し た り,使
金 持 ち の 」,
白 い 」 な ど は イ タ リ ア 語 か ら,camp.
地 名 は さ て お き,主
log.[〓]「
日
の サ ル デ ー ニ ャ語 の 語 彙 に 含 ま れ る 少 数 の ゲ ル マ ン 起
例)centr.[〓]「
[語
の ヴ ァ ン ダ ル 族 は,言
紀 以 降,島
化 さ れ た あ と は,増 に,お
そ ら く,ト
る 語 で,今
と イ タ リ ア と の つ な が りが 強
加 の 一 途 を た ど っ て い る.中
世期
ス カ ナ 方 言 か ら借 用 さ れ た と思 わ れ
日 に 残 る も の と し て は,
log.[〓],camp.[〓]「 [〓]「
老 い た 」,
さ お ば か り」,log.[〓],camp.
[〓]「
差 し押 さ え る 」,centr.[〓]
例)log.[〓]「 た ぶ ん 」,
ェ ノ ヴ ァ 方 言(伊.genovese)か
sass.,gall.,log.[〓]「
ら は,
砂 糖 大 根 」,log.[baina]「
ら借 用 され た
輪 の)こ し き 」,[〓]「
ら し な い 」,log.,camp.[〓]「
い.た
と え ば,カ
ン ピ ダ ー ノ 方 言 で は,ス
源 の[〓]「
起 こ る 」,[〓]「
入 っ た[〓]「
住 む 」(<it.)→[〓]
起 こ る 」,[〓]「
log.[〓],camp.[〓]「
必 も の,こ
[〓]「
緑 色 の」
人 々 」,
log.[〓],[〓],camp.[〓] 眼 鏡 」,
log.[〓],[〓],camp.[〓],
1)Wagner,Max
―全3巻,う
始
め る 」,log.[〓],camp.[〓]「
否 定す
る 」,log.[〓],camp.[〓] 「逆 に 」,log.,camp.[〓],centr.[〓]
ー ジ,索
引1巻
2)Porru,Vincenzo〔Vissentu〕(1866),Dizio sardu‐italianu(Stamperia
Nazionali,
Cagliari;repr.1976,A.Forni,Bologna)―
全
ー ジ.
3)Spano,Giovanni(Johanne 52),Vocabolario
sardo‐italiano
Ispanu)(1851 e italiano‐sardo
Nazionale,Cagliari;repr.1975,A.
Forni,Bologna)― だが」
Winter,Heidelberg)
篇2巻1,333ペ
ー ジ.
(Tipografia
「い く ら か の 」,log.,camp.[ma]「
木 づ ち」
Leopold(1960‐64),Dixiona sardo(Carl ち,本
2巻,1,443ペ
兵 士 」,log.[〓]「
の 」 +[〓]「
書]
nariu
「本 」,log.[〓],[〓]「
オ タマ ジ ャ クシ」←
[〓]+[〓]「 [辞
頭 」を
カ モ の 一 種 」 ←[〓]+
log.[〓]「
507ペ
と 」,log.
[〓],[〓],camp.[〓]「
怒 り」 に 引 い た[〓]「
の よ う な も の が あ げ ら れ る.
log.[〓]「
rio etimologico
の も の が あ げ られ る.
要 」,log.,camp.[〓]「
含 む も の と し て,次
貼 る 」, 上
怒 る 」(<sp.,
cat.)→log.,camp.[〓]「
貼 る 」,
タ リ ア 語 か ら サ ル デ ー ニ ャ語 に 採 り入 れ ら
最 後 に,サ
詞 か ら名 詞 を派 生 させ る例
合 成 語 の 例 と し て は,先
タ リア語 か ら
] 「待 つ 」 の 使 用 が 優 勢 に な っ て い る.以
れ る な ら,他
大 きな
log.[〓],camp.[〓]「
ペ イ ン語 起
待 つ 」 に 代 わ っ て,イ
[〓]「
形 成 に よ り,動
例)log.[〓]「
流 し 台 」,
つ て 使 わ れ て い た ス ペ イ ン語 起 源 の 語
タ リア 語 か ら の 借 用 語 に お き 換 え ら れ た 例 も 多
れ た 語 に は,次
→[〓]「
も少 な く な い.
だ
が,イ
の ほ か,イ
鍬(鋤)」
「住 ま い 」
camp.[〓]「(車
[〓]「
ち と っ て も小
鍬(鋤)」
と 思 わ れ る 語 に は,
な ど が あ る.か
よ くみ
さい」
ス レ
ヴ ォイ ア 家 支 配 時 代 を中 心
に,ピ エ モ ン テ 方 言(伊.piemontese)か
に 前 者)も
小 さ い 」→[〓]「
log.[〓]「
ま た,逆
な どが 借 用 さ れ て い る.サ
使 用(特
ょ っ と 小 さ い 」,[〓]「
ア マ ツ バ メ 」,
ー ト」,
[〓
な ど)の
大 接 尾 辞(log.
ら れ る.
「食 べ る 」,log.,camp.[〓]「
sass.[〓]「
ど)や,増
〓,camp.〓
他 の 」,log.[〓],camp.
[〓]「
な ど が あ る.ジ
camp.‐eddu,‐〓ddaな
1は,サ
全2巻,994ペ
ー ジ.
ル デ ー ニ ャ語 研 究 に 多 大 の 寄 与 を な し た,
ル デ ー ニ ャ語 の 語 形 成 の 手 段 に つ い て 触
ド イ ツ の 碩 学 ヴ ァ グ ナ ー(1880∼1962)が,生
の ロ マ ン ス 語 の そ れ と,格
に 完 成 さ せ た サ ル デ ー ニ ャ語 語 源 辞 典.各 見 出 し語(通
あ ま り な い と い え る,す
な わ ち,主
か ら ひ き 継 い だ 数 多 く の 接 頭 辞,接 成 よ りは 派 生 に よ っ て,多
log.,camp.[〓]「
テ ン語
頭 」(<CONCHA 基 に し て,
思 い つ く 」,log. 分 か ら せ る 」,log.[〓
],camp.[〓]「
常,語
う つ ら うつ らす る 」
も あ る)の
も と に,古
文 献 に 現 わ れ る 語 形 か ら,著
ま ざ ま な ヴ ァ リア ン トま で を 豊 富 に 示 し,問
介 しつ つ,疑
面 を 惜 し ま ず,諸
者
問 の 解 明 に 迫 っ て い る.サ
(R.G.Urciolo)の
ルデ ー ニ ャ語 ル チ ョー ロ
手 に な る 詳 細 な 索 引 篇(第3巻)は,
ヴ ァ リ ア ン ト索 引,語
源 とな っ た語 お よび 関 連 語 の 言
語 別 索 引,イ
含 み,き わ め て 有 用 で あ る. 2は,同
題 を含 む
説 を批 判 的 に紹
の 本 格 的 な 研 究 に 必 須 の 辞 書 で あ る.ウ
(→log.[〓],camp.[〓]
小 接 尾 辞(log.,
語 の場合
の 度 重 な る現 地 調 査 の 折 に採集 され た現 代 諸 方 言 の さ
「頭 を 振 る こ と 」), の よ う な 派 生 語 が 生 ま れ て い る.指
涯の最後
源 に も っ と も近 い 形 を 保 つ 方 言 形.古
語 源 に 関 し て は,紙
石 頭 の 」,log.[〓
],camp.[〓]「 [〓]「
と して,ラ
尾 辞 を 活 用 し,合
く の 新 語 が 形 成 さ れ て い る.
た と え ば,log.,camp.[〓]「 「貝 殻(に 似 た 容 器)」)を
別 異 な る点 は
タ リ ア 語‐ サ ル デ ー ニ ャ 語 対 照 リ ス トを
じ 著 者 に よ る 『サ ル デ ー ニ ャ 南 部 方 言 に つ
い て の 文 法 試 論 』(Saggio
di grammatica
meridionale,Cagliari,1811)を た も の で,カ
ン ピ ダ ー ノ 方 言 を 見 出 し 語 に立 て,こ
に 対 応 す る イ タ リア 語 訳 を あ て て い る.1832年 本 書 の 初 版 は,サ
(長 神
sul sardo
れ
初 に
代 の 古 さ に も か か わ ら ず,
記 述 は 正 確 で あ る. ル デ ー ニ ャ語 の 北 部(ガ
リ)方 言,中 ノ)方
部(ロ
言 の3者
グ ドー ロ)方
ッ ル ー ラ,サ
言,南
部(カ
ッサ
ジ プ シ ー 語 英 Gypsy =ロ マ ー ニ ー 語 ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン 語
ン ピダ ー
単 に,ジ
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語(Siebenburgisch)と
っ と も多 く 収 録 され て い る 中 部方 言
も い う.ジ
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン(Siebenburgen)は,ル
だ し,も
は,多
く の 場 合,著
者 の 生 ま れ 故 郷 で あ る 北 ロ グ ドー
ロ 地 方 の 方 言 形 に よ っ て 代 表 さ れ て い る.第1巻 ル デ ー ニ ャ語 を,第2巻 お,著
はサ
は イ タ リア 語 を 見 出 し語 に 立
者 の ス パ ー ノ は,ロ
グ ドー ロ方 言
に つ い て の 最 初 の 本 格 的 文 法 書(北 部 ・南 部 方 言 へ の 言 及 も含 む)で
独 Siebenbur‐
gisch‐Sachsisch
とイ タ リア 語 と を 対 照 させ た 大 部 の 辞
典.た
て て い る.な
し
に遡 る
ル デ ー ニ ャ語 の 辞 書 と し て,最
出 版 さ れ た も の で あ る.年
3は,サ
悟)
補 完 す べ く著 され
あ る 『サ ル デ ー ニ ャ 国 語 正 書 法 も し く は
ー マ ニ ア の 中 央 北 部 ,ト
ラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア(Transil‐
vania,英Transylvania)の
ドイ ツ 語 名 で あ る.英
で はTransylvanian,フ
語
ラ ン ス 語 で はtransylvanien
と い う. ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン 語 は,12,13世
紀以
来,ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン に 入 植 定 住 し た ドイ ツ 人,い わ
イ タ リア 語 と 比 較 さ れ た る ロ グ ドー ロ 語 の 文 法 』(Ortografia ゆ る 「ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン の ザ ク セ ン人(Siebenbur sarda lingua
nazionale
logudorese
ossia
gramatica
paragonata
Cagliari,1840)の
della
all'italiana,
著 者 と し て も 知 ら れ て い る.
Teresa(1982),Sardegna(Profilo
dialetti
italiani
あ る.し
20,Pacini,Pisa) linguistica
Sardegna(Beiheft
romanische
zur
Philologie
Zeitschrift
202,Max
Niemeyer,
phonetique du
et
de
de phonetique
(Edizioni
et
Romance
languages
del sardonuorese
Leopold(1938‐39),"Flessione del
sardo
dialettale
Philologie Saale)―
antico
Lautlehre
zur
e
moderno",
Zeitschrift
93,Max
des
fur
Sardischen
romanische
を 含 む イ タ リア 語 版 が あ る(Fonetica
よ る序 論 と補遺 storica
〔Land zu
lingua
項 で
方 名 Bayern
den〕Bayern)な
del
sarda.Storia,spirito
ど,ド
ツ の 地 名 に よ くみ ら れ る 複 数 与 格 形 で あ る.字 の ブ ル クBurg(城=都
の 意 で あ る.エ
市)の
グ リ(J.J.Egli)の
イ
義的に
あ る と ころ」
『地 名 語 源 辞 典 』 Lexikon,1888)に
よ れ ば,Burgは
シ ュ ト ゥ ー ル(Stuhl)の
ト ゥ ー ル と は,ハ
ンガ リー 国 王 直 属 の 行 政 単位 と して
う.ま
た,プ
た,ジ
(1150年 た.ジ
ュ
紀 以 降
市 建 設 と関 係 の あ る命 名 で あ ろ
ロ ッ ツ ェ(H.Protze)に
よ れ ば,ジ ー ベ ン
ル マ ン シ ュ タ ッ ト(Hermannstadt)
の 古 名 に 由 来 す る.ア (Zibin,ま
意 で,シ
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン は,13世
用 い ら れ た 名 称 で,都
ル ト(Alt)川
ビ ンSibin)に
の 支 流 ツ ィー ビ ン 沿 うヘ ル マ ン シ ュタ
ッ ト(ル ー マ ニ ア 名 シ ビ ウSibiu)は,最
sardo,G.Trois,Cagliari,1984). (1951),La
Siebenburgenは,地
ビ ュ ル ゲ ン は,ヘ
Niemeyer,Halle/
パ ウ リ ス(G.Paulis)に
e forma(Francke,Bern)
称]
の 都 市 を 言 う.ジ
14,15(Pisa)
(1941),Historische (Beiheft
さ さ か 不 適 切 な 名 称 と 言 うべ き で あ
(Etymologisch‐geographisches
verbale
ク セ ン 人'と
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン の ドイ ツ 人 」 「ジ ー ベ ン ビ ュ
は,「7つ
Helm,London/Sydney)
L'Italia
般 に,'ザ
の 伝 統 的 な 名 称 が 広 く通 用 し て い る が,本
(バ イ エ ル ン;<
(Patron,Bologna)
nominale e
イ ツ の 鉱 山 労 働 者 を,一
言 い な ら わ し て き た.「 ザ ク セ ン 語 」 と い う 名 称 に つ
[名 M.Harris
Pittau,Massimo(1972),Grammatica
ず し もザ クセ ン
世の南 東 ヨー ロ ッパ で
phonetique ル ゲ ン 語 」 を 用 い る こ と に す る.
album
dell'Orso,Alessandria)
N.Vincent(eds.),The
Wagner,Max
は,ド
は,「
instrumentale
sarde,I.Texte,Ⅱ.Atlas
(Groom
身 地 は さ ま ざ ま で,必
の 出 身 者 ば か り で は な い.中
る.こ
geographie
Jones,Michael(1988),"Sardinian",in and
か し,「 ジ ー ベ ン ビ ュル ゲ ンの ザ ク セ ン 人 」 と
い て も 同 様 で,い
Tubingen) Contini,Michel(1987),Etude
エ ル ン方
の 諸 方 言 の 混 成 語(Mischsprache)で
は い っ て も,出
Ferrer,Eduardo(1984),Storia della
fur
の 子 孫 の 間 で 話 さ れ て い る ドイ ツ 語
部 フ ラ ン ケ ン 方 言(Mittelfrankisch),
言(Bairisch)等
Atzori,Maria
Blasco
Sachsen)」
の 方 言 で,中
東 中 部 ド イ ツ 語(Ostmitteldeutsch),バイ
[参 考 文 献]
dei
ger
頃)で あ る が,1224年
初 の 入植 地
に は,Sibinburgと
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン と い う 名 称 は,こ
言 っ
の古 名 に 由
来 す る.ル
ク セ ン ブ ル ク(Luxemburg)が
よ う に,都
市 名 が地 方 名 に 拡 大 転 用 され た の で あ る .
ち な み に,ト
そ うで あ る
ラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア は,ハ
エ ル デ ー イ(Erdely)が
ジ ャ ル 人 は,ハ
ンガ リー
の 平 原 か ら 山 地 の 多 い こ の 地 を 望 見 し て,エ
ル デ ーイ
と命 名 し た . ル ー マ ニ ア 人 は,ア
近 は,ハ
ア ル よ り も,ラ
紀半ばハ
た.い
ず れ も,ラ
イ ン左 岸,中
の 移 民 で あ っ た.そ
して,最
収)に
ン ラ ン ト(Burzenland)が,南
と 主 要 都 市 は,次 1)南 1150年
頃 入 植:ヘ
1200年
れ ら の3つ
の 地域
参 照).
ル マ ン シ ュ タ ッ ト(Hermann
名 セ ベ シ ュSebes),レ
プ ス(Reps;ル
頃:メ
ア 名 メ デ ィ ア シ ュMedias),シ burg;ル
西 方 に あ る ブ ロ ー ス(Broos;ル
の 都 市 は,す
約17万9千
1977年
約17万8千
1983年
約13万7千
人
で に12世
ーマ
あげ な けれ ば な ら 紀 に 成 立 し て い た が,
を 下 ら な い.名
頃 入 植:ビ
も い う.ル
,ま
た は,
ー マ ニ ア 名 ビス ト
リチ ャBistrita) 1200年
頃:ザ
ル ー マ ニ ア 名 レ ギ ンReghin),テ (Tekendorf;ル
数 形63,
Worterbuch
の序 は,144語
と え ば,ア
ー ル バ ハ(Haarbach)川
ル トラ ン ト地 方 の ハ
沿 い に近接す る村落 では,
家 」 に 対 応 す る 語 が,ho〓s,heus,hius,hoas 母 音 を 異 に す る の で あ る.<表>に,北
こ こ で 注 意 す べ き は,o,uの
ジ
例 を 示 そ う.
よ うな 丸 口の 音 が み ら
れ な い こ と で あ る. 南 ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 方 言 の 子 音 組 織 に つ い て は,
ク セ ン ・ レ ー ン,ま
た は,ザ
クセ ン ・
レ ー ゲ ン(Sachsisch‐Reen,Sachsisch‐Regen;
3)ジ
が ち ょ う 」 は,単
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン の 市 町 村 に つ い て ,数 ス ト リ ッ ツ(Bistritz
ヴ ァ リア ン
う し ろ に 」 も,65
市 町 村 で 話 され て い る さま ざ ま の 音形
が 掲 げ ら れ て い る.た
な ど と,幹
も い う)
ネ ー ゼ ンNosenと
置 詞hinter「
詞Gans「
緑 色 の」 に対
中 で,68の
異 形 が 判 明 し て い る.
に つ い て,51の
Haus「
1170年
容 詞grun「
査 地 点232の
Siebenburgisch‐Sachsisches
2)北 nerlandと
音組 織 の 音形 の 多種 多様 さは驚 くば と え ば,形
文 に 付 せ ら れ た 音 形 表(XLVIII‐LXXI)に
再 移 住 が 行 な わ れ た. ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン(ネ ー ズ ナ ー ラ ン トNos
人
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語 の 顕 著 な 特 徴
りわ け,母
複 数 形54の
人
言 の多 さ と個 々の 方 言 間 の 相 違 の 多 様 さ で あ
応 す る 音 形 は,調
ェ ス ブ ル ク(Scha〓
ニ ア 名 オ ラ シ ュ テ ィ エOrastie)を な い.こ
1956年
人
ーマニア
ジーベ ンビ ュル ゲ ン の ウ ン タ ー ラ ン ト
(Unterland)の
人
約18万6千
か りで あ る.た
ー マ ニ ア 名 シ ギ シ ョア ラSighisoara)
こ の ほ か,南
約15万7千
ーマニア
ーマニ
人 を 数 え た が,第
少 の 一 途 を た ど っ た.
ト を 示 し て い る.前
ー デ ィ ア シ ュ(Mediasch;ル
ー ベ ン ビュ ル ゲ
1966年
は,方
名 ル ペ アRupea) 1245年
の 人 口 調 査 に よ れ ば,ジ
1948年
る.と
ュ ー ル バ ハ(Muhlbach;ル
所
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン に お け る ドイ ツ 人
[言 語 特 徴 ]
ー マ ニ ア 名 シ ビ ウSibiu)
頃:ミ
よ っ て,ジ
2次 大 戦 後 は,減
ジー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン
stadt;ル
ァー
Bevolkerungsent‐
ン に 住 む ドイ ツ 人 は,約24万8千
北 両 ジー ベ ン ビ ュル ゲ
の とお りで あ る(<図>を
メ リカ合 り わ け,北
in Siebenburgen",O.Schuster〔1984〕
1941年4月
東部のブルツ ェ
ン の 植 民 者 に よ っ て 開 拓 さ れ た.こ
ナ ダ,ア
人 口 の 増 減 の 実 態 を 示 そ う. 入植 し
部 フラ ンケ ン地 方 か ら 後 に,南
ー ス ト リ ア,カ
グ ナ ー の 報 告(E.Wagner,"Die wicklung
頃 南 部 の ア ル ト ラ ン ト(Altland)に,第2陣 部 の ネ ー ズ ナ ー ラ ン ト(Nosnerland)に
イ ツ,オ
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン の 出 国 者 の 数 が 激 増 し た.ヴ
初 の 移 民 は,
な
紀 半 ば以 来 今 日に至 る
衆 国 な ど へ 出 国 す る 者 が 年 々 増 加 し た.と
敵 の 防 御 と 経 済 の 発 展 を 促 進 す る た め に,
は,北
ラ ン シル ヴ ァニ ア 全体 と
イ ツ 人 移 民 の 支 配 領 域,す
イ ツ の 言 語 と文 化 を 継 承 し て き た が,第2次
大 戦 後,ド
配者はめま
ー ザ2世(Geza
ドイ ツ 人 移 民 の 誘 致 に 力 を 入 れ た.最
初 は,ド
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン は,12世
多 くの 民 族 が 共 生 し て い る
イ ツ 人 の 入 植 は,12世
紀 か ら16世
記 の 言 語 島 だ け を さ す こ と も あ っ た.
ま で,ド
ン ガ リ ー 王 国 の 支 配 下 に 始 ま っ た.ゲ
1150年
紀 に か け て,ヘ
わ ち,上
傾 向 が 強 い.
Ⅱ)は,外
ーマニア名ブラ
シ ョ ヴBrasov)は,15世
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン は,ト
テ ン 系 の トラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア を 用 い る
ぐ る し く変 わ っ た.ド
北両 心 都市
ク ロ ー ン シ ュ タ ッ ト(Kronstadt;ル
一 致 す る が ,当
ン ガ リー 語 の 音 訳 で あ る ア ル デ
[ド イ ツ 人 の 入 植 地]
ま で の 間 に,南
ル マ ン シ ュ タ ッ ト と と も に 商 業 都 市 と し て 繁 栄 し た.
族意識が高 ま
トラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア の 歴 史 は 波 瀾 万 丈,支
か ら25年
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン か ら移 住 が 行 な わ れ た.中
ル デ ア ル(Ardea])
と トラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア を 併 用 す る が,民
も い う)
こ の 地 域 は,1211年
ンガ リー語 の
ラ テ ン 語 化 さ れ た も の で,「 森
の 彼 方 の 国 」 の 意 で あ る.マ
る に つ れ,最
Burzenlandと
ケ ン ドル フ
ー マ ニ ア 名 テ ア カTeaca)
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン南 東 部(ブ
ル ツェンラ ント
閉 鎖 音,摩
擦 音 が,第2次(高
経 て い な い こ と,喉 の 前 のn音 で き る.nの
地 ドイ ツ 語)子 音 推 移 を
頭 音 化 や 鼻 音 化 の 現 象,摩
の 脱 落,な 脱 落 は,た
擦 音s
どを 特 徴 と して あ げ る こ とが と え ば,所
(男 性 ・中 性 単 数 与 格 形,例:hinter
有 代 名 詞unserm unserm
Hause
「私 た ち の 家 の 裏 で 」)が,南
ジ ー ベ ン ビ ュル ゲ ン各 地
お よ び 北 ジ ー ベ ン ビ ュ ル グ ン の 東 部,南
部,北
3)人
ど の 形 で 現 わ れ る.n音
は,北
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン の 一 部 に ,anserem,aunsemと
形 態 面 で は,個
格 で はhが
い
は〓
る(カ
ッ コ 内 は,対
1)名
に,若
韻面 に
干 の 注 意 す べ き点 を 列 挙 す
応 す る標 準 ド イ ツ 語).
詞 の 複 数 形 に,r型
bat〓r(Bette「
ベ ッ ド」),schten〓r(Steine
「石 」),wajan(Wagen「
waj〓n,hlfは,単
複 同 形 とな るの を 避 け るた め の ウ
性名詞の単数与格が
定 冠 詞 の 後 で 強 変 化 す る.
<図>ジ
た る 語 は,南
4)す 尾‐nを
容 詞 の 変 化 語 尾 で は,女
dlt 〓?(=Was
る か 」),た
ans〓rで
ム ラ ウ ト化 で あ ろ う. 2)形
だ し,wat
よ びK.K.Klein
und
調 され な い 場 合
tut
er?「
彼 は何 を し て い
dlt
〓t?(=Was
tut
称 複 数unser「
es?
わ れ わ れ の」に 当
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語 で は,nが
な る(aは,aとoの
中 間 音).し
消失 し
か し,北
は ,nは
べ て の 動 詞 の1人
称 単 数 直 説 法 現 在 形 は,語
も つ(ル ク セ ン ブ ル ク 語 も 同 じ).
ix
max〓n(=ich
ix
gin(=ich
mache「 gebe「
L.E.Schmitt(eds.)(1961‐80)に
よ る.
私 は な す 」)
私 は 与 え る 」)
ジ
消 えず
あ る.
ーベ ン ビュル ゲ ン語 の 分 布
出 典:Fr.Krau〓(1986‐),お
格 で も,強
ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 語(ネ ー ゼ ン方 言)で
車 」),hlf(Haufen
Hand
「そ れ は 何 を し て い る か 」)
てaszと
「堆 積 」)
linken
3人 称 単 数 男 性 形)は,斜
消 失 す る.主
所 有 代 名 詞 の1人
や ウ ム ラ ウ ト型 が 目 立 つ .
der
で あ る. wat
々 の 地 域 方 言 間 の 差 異 は,音
hant(=mit
称 代 名 詞hi〓(er
ジ
う形 で 余 喘 を 保 っ て い る に す ぎ な い.
比 べ る と 少 な い.次
d〓r 〓
「左 手 で 」)
西 部
で,asem,asem,easem,eausem,osem,osem. ausem,ausem,な
mat
た だ し,北 は,特
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語(ネ
定 の 母 音 の 後 で‐nは ix
fe(=ich
ix
mialk〓(=ich
nが
ー ゼ ン 方 言)で
イ ツ 語 の 境 界 地 域 で み ら れ る 現 象 で あ る.
fange「
脱 落 す る.
d〓t Rotkepxa
私 は 捕 え る 」)
melke「
hat
私 は 乳 を 搾 る 」)
in
前 の 子 音 に 同 化 す る こ と も あ る. ix
blaibm(=ich
5)助
bleibe「
動 詞seinで
は,不
数 直 説 法 現 在 形 は,南
な る.過
称複
去 分 詞 は,た
4)前
schtlsztで
あ る.こ
[辞
下 の とお り
ツ 語 で は,中
定 詞 を 文 頭 に お く.ド
高 ドイ ツ 語 以 降,他
イ
の方 言 に は み られ な
くな っ た 現 象 で あ る . nemi
〓 〓!(=Rede
viel!「
も う い い 加 減 し ゃ べ る の は や め な さ い 」)
net
go〓k
nicht
du〓r!(=Geh
nicht
mehr
hin!「
so
行 くの は
scht〓rx
drangl〓
drangeln
sich
sij
al
beim
flejan.(=Die Fliegen.「
machte
び なが
sij af auf
在 完 了 形 で は な く,過
deutschen
Aka
Verbindung
demie
der der
mit
der
Wissenschaften
Akademie
der
zu
以
Berlin,hrsg.
sozialistischen
Republik
Rumanien,Bd.3:G(1971);Bd.4:H‐J(1972) Gruyter,Berlin/Akademie
Verlag,
Bukarest)
den
Worterbuch(Bohlau,Koln/Wien)
ジ ーベ ン ビュル ゲ ンの方 言 研 究 に大 きな 業 績 を
Siebenburgische
Wolf
狼は出かけま し
去 完 了 形 を 好 ん で 用 い る.次
現 在 完 了 と 過 去 完 了 の 混淆 で,上
編 修 室 を もつ ジ ー ベ ン
Landeskunde
作 業 が 進 め ら れ,既
burgischen
e.V.)に
あ る. der
nordsieben‐
Handwerkssprachen(F.Schmitt,
ー ベ ン ビ ュル ゲ ン語(北 ジ ー ベ ン ビ ュル ゲ ン)の 方 言 間 の音 形 比 較 ドイ ツ 語
名
ビス ト リ ッツ ボーチ ュ デュルバハ メ タ ー ドル フ レー ン テ ケ ン ドル フ
Ganse(pl.) 「が ち ょ う 」
gehen 「行 く」
fur よ って
刊2巻,Bd.1:A‐C(1986),
(1957),Worterbuch
の 例 は,
部 ドイ ツ 語 と 中 部 ド
没)の
イ ツ の グ ン デル ス ハ イ ム
ビ ュ ル ゲ ン 地 域 研 究 チ ー ム(Arbeitskreis
d〓 wex.(=Der Weg.「
Krau〓,1978年
来,ド
Bd.2:D‐G(1990)が
<表>ジ
Sieben
Gruyter,Berlin/Leipzig);(1957年
(Gundelsheim/Neckar)に
た 」) 物 語 で は,過
Wolffs, fur
(W.de
残 し た ク ラ ウ ス(Friedrich
広 く用 い ら れ る.
sich
Vereins
降:)In
遺 稿 を 基 に,1980年
去 時 を 表 わ す に は,現
maxt
Johann
des
Landeskunde,Bd.1:A‐C(1924);
sachsisches
ら ひ し め き 合 っ て い る)」)
d〓r wulf
Sammlung
Mit
Bd.2:D‐F(1926);Bd.5:R‐Salarist(1931)
こ うの
と りた ち は ひ し め き 合 っ て 飛 ん で い る(飛
去 形(Prateritum)が
対 格 を支 配
Krau〓,Fr.(1986‐),Nordsiebenburgisch‐
な が ら 」 の 意 に な る.
Storche
uns
Worterbuch
Ausschu〓
(W.de 現 在 分 詞 と と も に 用 い て,「 ∼ し
bei
向 で は な く,場 所 を 示 し て い る.
der
hrsg.vom
von
よせ」 詞 的 なalを
ist
書]
burgische
で あ る.
地
か も,方
Benutzung
統 語 面 で 注 意 す べ き 点 を 列 挙 す れ ば,以
止 の 命 令 文 で は,否
配)
準 ドイ ツ 語 と用 法 を 異 に す る 場 合
Siebenburgisch‐sachsisches
部 フ ラ ン ケ ン 方 言,東
中 部 ドイ ツ 方 言 と も 共 通 で あ る.
1)禁
る と狼 に 出会 い ま し た」
与 格 を 支 配 す る が,tsaは
し て い る.し
れ ぞ れ,dlszt,glszt,
れ は,中
ist
赤 ず きん ち ゃ ん は森 の 中
彼 は 私 た ち の と こ ろ に い た 」)
tsa=zu.zuは
立 っ て い る 」)の2・3
人 称 単 数 直 説 法 現 在 形 は,そ
war und
〓s a tsa 〓s 〓.(=Er
す る,な す 」),gon(=gehen
「行 く」),schton(=stehen「
Rotkapchen
くはhaben支
置 詞 は,標
い て い,〓(=gewesen)
詞dan(=tun「
3)過
begegnet.「
gewesen.「
6)動
d〓
Wolf
unt
が 少 な く な い.
はsaiと
で あ る.
2)副
b〓gent.(=Das
g〓ga〓〓n
Busch(=Wald)gegangen
begegnenは,古
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語 でsen, ー ゼ ン方 言)で
d〓 basch
に 入 っ て い き ま し た.す
定 詞 お よ び1・3人
北 ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 語(ネ
d〓 wulf den
dem
私 は 留 ま る 」)
wor an
kochen
hoher
Loffel
Fu〓e(pl.)
「料 理 す る 」
「よ り高 い 」
「ス プ ー ン」
「脚 」
Siegburg)
namen.Ein Beitrag zum Wortschatz der (1970),Treppener
Beitrag
zum
Worterbuch,Ein Worter
buch(Elwert,Marburg)― pen)は
ビ ス
Siebenburger
Nordsiebenburgischen
ト レ ッ ペ ン(Trep
ト リッ
ツ の 西 北 に あ る 村 で,ク
in
ラ ウ ス
vier
Scheiner,A.(1887),"Die
Agricola,E.,Fleischer,W.und (1969),Kleine
H.Protze(eds.) Enzyklopadie.Die
Sprache,Bd.1(VEB
Beitrage
deutsche
deutschen
Bibliographisches
In
und
des
Werden
Siebenburgisch‐Sachsischen",Forschungen Volks‐
und
Germanistik
Sprache
und
8
(Der
Verlag
(1922),Die
in und
3/1988
(Gesellschaft
fur
im
Kulturwerk,Munchen)
mit
dem
Mundart
des
der
(=Berichte uber
die Akademie
Leipzig
der
Zeitschrift
fur
・語 彙 地 図 と し て,次
の も の が あ る.
L.E.Schmitt(eds.)(1961‐
Sprachatlanten
K.Rein
[参
28(Steiner,
照]
ド イ ツ 語,ル
ク セ ン ブ ル ク 語 (橋 本
小
ロ シ ア 語 =ウ
Wiesbaden)
(1979),
(Elwert,Marburg)
Siebenburgen",
Mundartforschung
(eds.)
Siebenburgisch‐Deutscher Wortatlas〔SDWA〕
Wissenschaften
in
Sprachatlas
Teile(=Regionale
Hildebrandt,R.und der
104/3)(Akademie,Berlin)
(1961),"Flandenses
des
1)(Elwert,Marburg)
Siebenburgen
Verhandlungen
Sieben
Kulturwerks,Munchen)
〔SDSA〕,3
mittelalterlichen in
der
Sachsen(Verlag
80),Siebenburgisch‐Deutscher
Siedlungen
Sachsischen
der
Zipser
Klein,K.K.und
Siedlungsgeschichte
Sprachgeographie
(Bohlau,
Sachsen
Herkunft
und
言 語 地 図
以 下,
DDG〕20(Elwert,Marburg)
deutschen
41
Siebenburger
Sudostdeutschen
Deutschen
Dialektgeographie〔
Klein,K.K.(1959),Zur
von fur
20.Jahrhundert(Bohlau,Koln/Wien)
burger
Sprachatlas
Reichs",Deutsche
Landeskunde
Schwarz,E.(1957),Die
Bistritzer
Sachsen Vereins
Schuster,O.(ed.)(1983,19842),Epoche
Linguistik
Klein,Hermine(1927),"Die
der des
Entscheidungen.Die
(1990),Germanistische
Burzenlander
Koln/Graz)
Rumanien.1945‐1985.Bibliographie
verglichen
Mundart
siebenburgische
Bibliographie",
Sprache,Wiesbaden)
(Sudostdeutsches
der
18)(Elwert,Marburg;
(1923),"Die
Kelp,H.(1988),"Ortssprachenforschung
deutsche
Mundart
Hermannstadt",Archiv
Siebenburgen.Bericht
Siebenburger
Neudruck:Sandig,Walluf/Nendeln,1974)
H.Kelp(Sudostdeut
Kulturwerk,Munchen)
Muttersprache
der
Sandig,Vaduz,1991)
der
Studien.Auswahl von
der
Literatur〔PBB〕12
Mundart
Sachsen(=DDG
(1990),Linguistische Bibliographie
Geschichte
Sachsen(Engehorn,Stuttgart;Neudruck:
zu
Landeskunde
Mundart",
zur
(M.Niemeyer,Halle)
Akademie,Hermannstadt/Bukarest)
sches
Geschichte
(1896),Die
Capesius,B.(1965),"Wesen
zu
zur
Mediascher
zur
stitut,Leipzig)
und
Ortsmun
Studien
6)(Elwert,Marburg)
[参 考 文 献]
in
Transferemzen
siebenburgisch‐sachsischen
d arten(=Marburger
の 生 地.
und
Sachsen(Casllner,Bistritz)
Ney,K.(1984),Rumanische
郁 雄)
露
ク ラ イ ナ 語
(1963),Transsylvanica,Gesammelte Abhandlungen
und
Aufsatze
Siedlungsforschung
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burgen(=Buchreihe Historischen
der Kommission
zur
Sprach‐und
Deutschen
in
す
Sieben
Sudostdeutschen 12)(R.Oldenbourg,
ス イ ス ・ド イ ツ 語
独Schweizerdeutseh
→ ドイ ツ 語
Munchen) (ed.)(1966),Luxemburg burgen(=Siebenburgisches
und Archiv
Sieben 5)(Boh
lau,Koln/Graz) Krau〓,Fr.(1943),Nosnerlandische
ス ウ ェー デ ン 語
svenska,英Swedish,
独Schwedisch,仏suedois,露 イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の ゲ ル マ ン 語 派 に 属 す る 言
Pflanzen
語 で,フ
ィ ン ラ ン ド語,ラ
ップ 語 を 除 く他 の 北 欧 の 諸
言 語 と と も に,一
般 に 北 欧 語,あ
る い は ノ ル ド語 と よ
ば れ る北 ゲ ル マ ン語 を 形 成 す る(ま
た,ス
ア 〔 諸 〕語 と い う 名 称 も あ る が,こ ド語 全 体,狭
義 に は ノ ル ウ ェ ー 語,ス
ン マ ー ク 語 を さ す.以 語 の 名 称 は,後
カ ン ジナ ビ
れ は,広
義 に は ノル
ウ ェ ー デ ン語,デ
下 で 用 い るス カ ン ジナ ビア 〔 諸〕
者 を 意 味 す る).現
国 の 公 用 語 で あ る が,フ
在,ス
ウ ェ ー デ ン王
ィ ン ラ ン ド共 和 国 で も,フ
ン ラ ン ド語 と並 ん で 公 用 語 と な っ て い る.そ 連 邦,エ
の 他,ソ
イ ツ 語 や フラ ンス語
に も存 在 す る,前 母 音 で あ り なが ら 円唇 の あ る 母 音 で あ る.ま た[〓]は,oの
文 字 に対応 す る音 で,英 語 の
[u]よ り も円唇 が あ り狭 く,[〓]は,uの
ス トニ ア 共 和 国 の 海 岸 地 帯,ア メ リ カ 合 衆 国,
文 字 に対 応
す る音 で,英 語 の[u]に 似 て い るが,舌 の 位置 が もっ
ウ ェー デ ン系 住 民 の 日常 語 で あ
と前 よ りでス ウ ェー デ ン語 に 特 徴 的 な 音 で あ る. な
し な べ て,北 欧 以 外 で の こ の 言 語 の 使 用 は 減 少
お,多 くの 言 語 につ い て い え る こ とで あ るが,母 音 は,
カ ナ ダ に お い て も,ス る が,お
ィ
この うち,[y]と[〓]は,ド
し つ つ あ る.言
語 人 口 は,約850万
言 語 名 は,英 よ う に,小
人 と推 定 さ れ る.
語 な ど と違 い,svenska,engelskaの
[〓]に対 して[〓]の
文 字 で 書 き起 こ す.
よ うに,別 個 の 音 声 記 号 で 表わ す
こ とが あ る.ま た,強 勢 の な い音 節 に現 わ れ る あ い ま
ス ウ ェ ー デ ン語 は,二
重 母 音 の 単 母 音 化 な ど,若
の 方 言 上 の 特 徴 か ら,デ
ン マ ー ク 語 と と も に,ノ
語 東 部 方 言 に 分 類 さ れ る.な
rの 前 後 で広 くな る傾 向 が ス ウ ェー デ ン語 に もあ り,
お,ス
干 ル ド
い 母音[〓]が
数 詞 の 「1」
「買 う 」
点 が高 い.こ の うち,最 後 の[〓]は[〓]の
3)子
ス ウ ェー デ ン語
長母音 に
当 た り,ス ウ ェー デ ン語 独 特 の 音 で,初 め は 円唇 が 少 な く最 後 は[w]に
東 部 方 言(東 ノ ル ド語)
前 で〓)
]が あ り,対 応 す る短 母 音 に比 べ る と調 音
ウ ェー デ ン北 部 に
住 む ラ ッ プ 人 の 言 語 は,ま っ た く別 系 統 の 言 語 で あ る.
これ に加 わ る.
長 母 音 には,[〓(rの
近 い 音 と な る.
音
閉 鎖 音
デ ンマ ー ク語
側音
摩 擦 音
弾音
ア イ ス ラ ン ド語
破 擦 音
半子音
ノ ル ウ ェー 語(西 部)
鼻
西 部 方 言(西 ノ ル ド語)
フ ェ ー ロー 語
[s]の 有 声 で あ る[z]は,存
古 ノ ル ド語 の[p,t,k]は,語 て,デ
頭 以 外 の位 置 にお い
ン マ ー ク 語 で 有 声 音 に 推 移 し た が,ス
ウ ェー デ
スbita―デbide[〓]「 [文 字 と 発 音] らZま
Zzは,固 る.こ
噛む」
に よ り発 生 し
た 反 り舌 音 で あ る.
で あ る.
字 の ほ か,A a[o:],A a[〓],O o
「客 」,「 の 前 で);「
字 を 加 え た も の で あ る.Cc,Qq,
有 名 詞,外 の う ち,A aは
来 語 な ど,特
別 の場 合 に限 られ
古 ノ ル ド語 のaに
世 の ス ウ ェ ー デ ン 語 で はaと 1526年
在 しない. 行 す るr音
文 字 は,ラ テ ン 文 字 で,英 語 な ど の
で の26文
[〓]の3文
[s][t][d][n][l]は,先
特 に注 意 す べ き綴 り字 と発 音 の 関 係 は,次 の とお り
ン語 で は こ の 変 化 は 起 こ ら な か っ た.
Aか
音
す る 」(前 舌 母 音 は い 」;「
(goraの
由 来 し,中
輪 」;「
光,ろ
「山 」,「
綴 ら れ て い た も の で,
動 物 」;
過 去 形);「
車
う そ く」;
悲 しみ 」
の新 約 聖 書の ス ウ ェー デ ン語 訳 以 来 用 い ら れ
て い る.な
お,追
の う ち,デ
ン マ ー ク 語 と ノ ル ウ ェ ー 語 で は,A a,〓
加 の3文
字 は,ス
「ス カ ー ト」;「
カ ン ジナ ビア 諸 語
ドラ イ ブ
す る」
を用 い る. 1)字
「海 」;「
母
N,O,P,Q,R,S,T,U,V,W,X,Y,Z, A,A,O
o,p,q,r,s,t,u,v,w,x,y,z,a,a,o
音
ト レ ス ・ア ク セ ン ト
ス ウ ェ ー デ ン 語 は,
英 語 や ドイ ツ 語 と 同 様 の 強 弱 に よ る ス ト レ ス ・ア ク セ ン ト を 有 し,そ 第1音
2)母
星 」;
「船 」(前 舌 母 音 の 前 で) 4)ス
a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,
チ ェ ス 」;
「小 屋 」;「
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,
の 位 置 は,ゲ
節 が 原 則 で あ る. tala[〓] 「話 す 」
ル マ ン 語 の 特 徴 を 示 し,
た だ し,ラ テ ン語,フ
ラ ンス 語 等 か らの 借 用 語 で は,
他 の 音節 に あ る こ とが 多 い. 楽 的 ア クセ ン ト
詞 の 性 と冠 詞
語 で は 中 性 名 詞 の み が 残 り,男
ス ウ ェー デ ン語 に は,上
記 の ス トレス ・ア クセ ン トに加 え て,2種
類 の音 楽的
ア ク セ ン ト(高低 ア クセ ン ト),す なわ ち単 調 ア ク セ ン トと複 調 ア クセ ン トが あ る.こ の 音 楽 的 ア ク セ ン トは,
区 別 が な く な り,共
冠 詞 に は,不
ル ド語 の う ち,ア
ett(stort)hus「(大
節 語,あ
るい は そ れ 以 上 の 音節 を有 す る語
boken huset
節 で再 び 高 い位 置 か ら下 降す る. 「 花」
や れ(あ
ⅱ )形
きれ た もの だ)」 と言 う と きの 調 子 に 似 て い
る. また,と
きに は,こ れ ら2種 類 の ア クセ ン トに よ
'the
数 で,共
性 が‐na,中
性 が‐en,
性 が‐enで,接
book'(bockerna
'the
roda
stora
husen
数 で,共
数 で,共
books')
houses') 性 がdenと
性 がdeと‐na
,
同 時 に 用 い る. boken
bockerna det
な お,こ
'the
容 詞 を 伴 う 場 合 は,単
den
buren'carried'
'the
house'(husen
中 性 がdeと‐enを
例 を示 す. cage'
数 で,共
‐en, 中 性 がdetと‐et,複
って,意 味 が 異 な る場 合 が あ る.高 低 を 図 示 しな が ら
buren'the
き な)家 」
辞 の 形 で 名 詞 の 後 に つ く.
し,第2音
っ くり 「や れ,
い)本 」
容 詞 を 伴 わ な い 場 合,単
中 性 が‐et,複
にお いて 認 め られ る.最 初 の 音節 で 高 い位 置 か ら下 降
この複 調 ア ク セ ン トは,日 本 語 で,ゆ
ェ ー ロ ー 語 に は,
定 冠 詞 は, ⅰ )形
トで,2音
'the
'the red
huset 'the 'the
big
red
book'(de
roda
books') big
house'(de
stora
houses')
の よ うに 定 冠 詞 が 接 辞 の 形 で後 置 され る こ と
が ノ ル ド語 全 般 の 特 徴 で あ る た め,英 フ ラ ン ス 語 等 の 文 法 に お い て,名
語,ド
イ ツ 語,
詞 の前 につ け る ゆえ
に 「冠 詞 」 と よ ば れ て き た 日本 の 伝 統 的 用 語 は,ノ ド語 の 場 合 に は そ ぐ わ な い とい う 印 象 を 与 え る . 2)代 な お,こ
の 音 楽 的 ア ク セ ン トは,ノ
ら 存 在 し て い た と考 え ら れ,現 語 の ほ か,ノ
ル ド語 に 古 くか
在 で は,ス
ら に,デ
ン マ ー ク語 に 特 徴 的 な 声 門 閉 鎖 音
史 的 に は,音
楽 的 ア ク セ ン トの う ち の 単 調 ア ク
は,歴
a)人
名詞 称 代 名 詞
表1を
参照.
ウ ェー デ ン
ル ウ ェ ー 語 に も 類 似 の ア ク セ ン トが 認 め
られ る.さ
<表1>ス 《単
ウ ェー デ ン語 の 人 称 代 名 詞
数》
人称 主格
目的格
所有格
目的格
所有格
セ ン トに 対 応 す る. [形
態]
1)名
詞
a)名
詞 の 格 変 化
性,数,格
ス ウ ェー デ ン語 の 名 詞 には ,
の 区 別 が あ る が,か
格, 与 格,対
格 の 諸 格 は,属
か た 消 失 し た.古
い 格 形 は,い
つ て 存 在 し た 主 格,属 格(‐s)を
に 保 存 さ れ て い る . た と え ば,till fodaはfot「 い,ぴ
格 で あ っ た.
foda「
足 」 の 複 数 属 格,lagom「
っ た り し た 」 は,現
で あ る が,も
残 し て,お
と は,名
詞lag
お
わ ば 化 石化 して 断 片的 徒 歩 で」 の ち ょ うど よ
在 で は 形 容 詞 あ るい は 副 詞 'law,order'の
複数与
た,
だ し,ノ
不 定 冠 詞 に 複 数 形 が あ る). en(rod)bok「(赤
節 にま た が る ア ク セ ン
性 と対
あ る.ま
数 形 は な い(た
イ ス ラ ン ド語,フ
って も,こ の ア ク セ ン トに変 化 は ない.ま た,動 詞 の
複 調 ア ク セ ン ト(')は,2音
性 がettで
イ ツ 語 等 と 同 様,複
に定 冠 詞 が つ いた り複 数 形 に な っ た りして2音 節 に な
付 加 につ い て も,同 様 で ある.
し て,中
定 冠 詞 と 定 冠 詞 が あ る.
単 調 ア クセ ン ト(')は,下
節 語,あ るい は本 来,単 音 節 で あ っ た語 にみ られ,名 詞
ウ ェー デ ン
ー セ ン トは 共 性 に 属 す る.
不 定 冠 詞 は,共 性 がen,中 英 語,ド
降型 ア ク セ ン トで,単 音
は,古
性 名 詞 と女 性 名 詞 との
性(realgenus)と
立 し て い る . 名 詞 の75パ
ス トレス ・ア クセ ン トと組 み 合 わ さ って現 わ れ る.
現 在 形 の語 尾‐erの
印 欧 祖 語 以 来 の3性
ノ ル ド語 に は 十 分 に 保 存 され て い た が,ス
general[〓] 「 将軍」 5)音
b)名
《複
数》
人 称 主格
ル
c)そ
sig
の他 の 代名 詞
vad[va]「 形 の 上 で は,与 い る が,migは
格 と対 格 は 融 合 し,目
的 格 とな って
か つ て の 対 格,honomは
かつ て の与
Ⅰは,標
準 語 で は,古
語 あ る い は 文 語 に 限 ら れ る が,
関 係 代 名 詞 と し て は,somが
3)形
容詞 イ ツ 語 な ど と同 様,強
有 格 に 代 わ る 所 有 形 容 詞 で あ る.
詞 の 性,数
い わ ゆ る 親 称 で あ り,ni(手
る と,簡
素 化 さ れ て い る.現
の 語 は,所 な お,duは
ば っ た 文 体 で は,Niの
ッコ 内
紙文や形式
よ うに 大文 字 で書 くこ とが あ
れ に 対 応 し て 他 の 格 形 も,Eder,Erが
用 い ら
god
ス ウ ェ ー デ ン語 に 独 特 の 事 情 が あ る . ス ウ ェ ー デ ン で
en
vacker
は,最
ett
vitt
職 業 名 を 冠 す る の が 正 式 で あ り,代 タ ブ ー と さ れ て い た.こ
「あ な た 」 は 使 え な い.わ
号 あ る いは
使用は意識的 に
上,年
る も の で あ ろ う.な kallen Ⅰ
お,こ
な ど の,語
の2人
が 融 合 して 生 じ た も
ア ン デ シ ュ ソ ン さ ん(=あ
Svensson「
Far
jag
生(=あ
fraga な た)に
lange
重 い 」―tyngre―tyngst
ni
varit
Jag
sag
er
i gar.「
har?「
あ なた が こ こ
ⅲ )mera,mestを alskad「
昨 日あ な た をみ か けま し
のniは,奇
妙 な こ とに異 性 間 で は抵 抗 感
者 の 間 で は,最 り もduの
3人 称hanは,機 den/detはitに
を 呼 ぶ こ と が 比 較 的 多 い.た
方 が 好 ん で 用 い られ る 傾 向 が あ る. 能 的 に は,英
語 のhe,honはshe,
相 当 す る が,denは
は 中 性 名 詞 を 受 け て 用 い ら れ る.ま 語 体 で,de,demの
共 性 名 詞,det た,複
god「
数 のdom
代 わ りに しば し ば用 い ら
中 に は,inre「
名 詞manとdet
manは,ド
イ ツ語 な
4)数
詞
に,10の
は,ド
regnar.「
よう
位 を先 にい う. カ ン ジ ナ ビ ア 諸 語 の う ち,デ
ン マ ー ク語 で
イ ツ 語 同 様,enogtyve('one‐and‐twenty')
た,detは,非
det
の とお り
法 で あ り,21,22,23...も
英 語 と 同 様,tjugoen,tjugotva,tjugotreの
の よ う に,1の
att
基 本 的 な も の を 示 す と,次
で あ る . 原 則 と し て,10進
者 を 併 用 す る.
人 称 文 の 主 語 と し て も 用 い る.
も っ と も 奥 の 」の
容 詞 と し て は 原 級 を も た な い も の も あ る.
ど と 同 じ く,「 人 は,世 間 で は 」 とい う 意 を 表 わ す.ま
sager
よ り奥 の 」―innerst「
よ う に,形
な お,ス
れ る.
古 い 」―aldre―aldst
よ い 」―battre―bast
liten「 小 さ い 」―mindre―minst
だ し,若
近 くだ け た 言 語 使 用 が 一 般 的 と な り,
alskad
規則 な形 式
gammal「
が よ り少 な い と い う.こ の よ う な 煩 わ し さ が あ る た め, こ の 国 で は,姓
用 い る も の.
愛 され た 」―mera
―m est alskad イ)不
た よ」 し か し,こ
味 に よ っ て 形 式 が 異 な る 場 合 が あ る.
lag「 卑 し い 」―lagare―lagast
題 は な い.
har
幹の母音
変 音 が 起 こ る).
tung「
先
へ い ら して どれ く らい で す か」
だ」
則 と し て,語
大 き な 」―storre―storst
sak?「
形 容 詞 で も,意
Hur
Man
な る も の(原
stor「
en
stora.)
語 幹 に 接 辞 す る.
professorn
om
roda.)
美 し い 」―vackrare―vackrast ⅱ
lag「 低 い 」―lagre―lagst
お 訊 ね した い こ とが あ る ので す
同 年 配 の 間 で は,問
b)代
ar
ス ヴ ェ ン ソ ン 夫 人(= あ な た)」
が」
は,口
数:Husen
に,a>a,o>o,u>yの
fru
ar
則 的 な 形 式 ⅰ
)‐re,‐stと
た)」
niよ
数:Bockerna
そ の 家 は 大 き い 」(中 性 単 数
較 級 と最 上 級
)‐are,‐astを
な
そ の 本 は(表 紙 が)赤 い 」(共 性
stort.「
vacker「 Andersson「
きれ い な娘 」
無 語 尾)(複
―‐t)(複 b)比
の で あ る. herr
に
白い 家 」
rod.「
ar
ア)規
称 の 代 名 詞niは,
hus「
単 数―
れ わ れ が,「 先 生,ご 主
末 のnとⅠ
イ ツ語 に な
善 良 な男 」
flicka「
ar
Huset
上 の相 手 に対
長 さ ん 」 な ど と い う の と心 理 的 に は 軌 を 一 に す
代 の 英 語,ド
語 に比 べ
語 的 な 用 法 に お い て も,性,数
man「
Boken
名 詞 を使 う こ とは
の た め,niの
避 け られ て き た . 日 本 語 で も,目
変 化 の 区別 が
よ る 変 化 が 保 存 され て い る こ と が あ る. en
近 ま で 敬 意 を 表 す る 相 手 に 対 し,称
変 化,弱
に 応 じ て 変 化 す る が,古
い 特 徴 と し て は,述
応 は 敬 称(単 数 お よ び 複 数)と い わ れ る が,
れ る)は,一
して
も っ と も 多 く 使 わ れ,
あ り,名
複 数 と し て 普 通 に 使 わ れ る.カ
ど ち ら 」,
何 も… な い」
語 で 用 い ら れ る.
a)ド
方 言 で は,duの
人,社
誰 」,vilken「
何 か 」,ingenting「
vilkenは,文
格 で あ る.
る.こ
何 」,vem「
nagonting「
位 を 先 に い い,ノ
ル ウ ェ ー 語 で は,両
雨 模 様 とい う 話 基 数 詞
序数詞
bara―bar―burit('bear―bore―borne') dricka―drack―druckit('drink―drank― drunk') ま た,buro,druckoの 形 も あ る が,現 c)弱
よ う に‐oに
変 化 動 詞
過 去 形 で,‐ade,‐te,‐de,‐dde,
過 去 分 詞 で,‐ad,‐t,‐d,‐ddの
歯 音 語 尾 を つ け,規
則 的 な 変 化 を す る 動 詞 で,そ 分 類 し,第2類 る 時 制,お
に
下 位 分 類 す る.主
た
に よ る 変 化 形 を,そ
表 的 な 動 詞kalla「
d)ス
の 変 化 の 様 式 か ら3類
を さ ら にa,bに
よ び,態
る 」,bo「
終 わ る複 数 過 去
代 口 語 で は 使 わ な い.
呼 ぶ 」,kope「
れ ぞ れ の 類 の代
買 う 」,boya「
住 む 」 に よ っ て 示 す と表2の
曲 げ
よ う に な る.
ウ ェ ー デ ン語 の 動 詞 を 活 用 さ せ る た め に 必 要
な 語 形 は,不
定 詞 形,現
在 形,過
去 形,現
在 分 詞 形,
過 去 分 詞 形 で あ る. 不 定 詞 は,原 kalla
形 で 用 い る ほ か,attを
'to call'の
幹 に‐andeあ boendeの
る い は‐endeを よ う に い う.過
化 類 に応 じ て,形 過 去 分 詞 は,基
在 分 詞 は,語
接 辞 し てkallande,
去 分 詞 の 語 尾 は,動
が 若 干,異
容 詞 と して は た ら く も
了 形 を つ く る と き に 使 用 され る 不 変 化
の 過 去 分 詞 を,ス
ウ ェ ー デ ン語 文 法 で は,ラ
法 に な ら っ て,特
に ス ピ ー ヌ ム(supinum)と
い る.こ
詞 の変
な っ て い る.
本 的 に は,形
の で あ る が,完
前 置 し てatt
よ う に も 用 い る.現
れ は 元 来,過
テ ン語 文 よん で
去 分 詞 の 中 性 形 で あ り,弱
動 詞 で は,そ れ ぞ れ‐at,‐t,‐t,‐tt,強
変化
変 化 動 詞 で は,
fallit 'fallen',druckit 'drunk'な
ど の よ う に‐itに
終 わ る. e)時
制 に は,現
在,過
去,未
来 の3種
が あ り,そ
れ ぞ れ に 完 了 形 が 加 わ る.
5)動
詞
a)動
完 了 形 で は,英
詞 は,形 態 面 か らみ る と,強 変 化 動 詞 と弱 変
化 動 詞 に,機 能面 で は,本 動 詞 と助 動 詞 に分 け られ る.
態,法
で あ る が,現 代 の 口語,お
har,過
去hade,ス
制,
に い う.
よ び,こ れ を反 映 す
Har
旧文 語 の動 詞 に認 め られ る範 疇 は,人 称,数,時
語 な ど と 同 じ く,他
du
varit
i
ス トッ クホ ル ム
Stockholm?「
に行 った こ とが あ りま す か 」 Doktorn
har
kommit.「
数
複
数
の よう
先 生 が い ら した」
単 純 な 未 来 は,skola('shall';現 skulle,ス
在
用 い,次
る文 章 語 に お い ては,人 称 と数 の 区別 が 消 失 して い る.
単
動 詞に
ピ ー ヌ ムhaft)を
kalla「 呼 ぶ 」の現 在形 の人 称 変 化 を示 す と,次 の よ う に な る.
動 詞,自
よ る 助 動 詞 の 使 い 分 け は な く,ha(va)('have';現
在skall,過
去
ピ ー ヌ ムskolat)/komma('come')att…
で 表 わ さ れ る.
旧文語
Jag
skall
gora
det
i morgon.'I
shall
do
it
tomorrow.' f)態
現 代 口語
は,形
式 上,能
動 態,受
動 態,中
間 態 の 区別
が あ る. 受 動 態 は,bli('become,get';現
b)強
変化 動 詞
ゲ ル マ ン諸語 に 特徴 的 な 母 音 交
替 に よ り語 幹 母 音 を 変化 させ る動 詞 で あ るが,古 語 に 比 べ て,か な り不 規 則 に な って い る.
単 数blev,過 過去分詞
去 ・複 数blevo,過
在blir,過
去 ・
去 分 詞bliven)+
に よ る 複 合 形 と,動 詞 の 語 幹 に‐sを
中 間 態 を 用 い る 単 純 形 と が み ら れ る.
つけ る
<表2>ス
ウ ェー デ ン語 の弱 変 化 動 詞 の 変 化 1 kalla「
現
在
過
去
完
了
受
動(過 去)
中
間(完 了)
Han
2(a)
呼ぶ」
blir alskad./Han alskas.'He
前 者 の 方 が 使 用 頻 度 が 高 く,話
boya「
is loved'.
skola
者 は,反
復
aro,過
去 ・単 数var[va:],過
在 ,過
複 数 形 も代 用 す る)+ 過 去 分 詞 ar
alskat
alskas
av
av
byggt.(bygga「
kallas(現 kallats(完
わ ず,‐sを
の場 合
よ う に,定
つ け て 作 ら れ,受
minnas「
定形 を 問
動 態 の 用 法 の ほ か,「 互
覚 え て い る 」,skammas「
sikに
史 的 に は,古
由 来 す る も の で,本
れ て い た が,現
い3人
恥 ず か しい 」 称 の再 帰代 名 詞
来 は,3人
在 で は,す
称 にの み 用 い ら
べ て の 人 称 にそ の 用 法 が拡
直 説 法,接
助 動 詞 の 発 達 に よ り,接 た れ た.過
続 法,命
令 法 が あ る.話
続 法,特
に現 在 形 の 使 用 は す
去 形 も 直 説 法 を 流 用 す る.次
法の
の 例 で は,助
voro
battre.(古
battre.(口 命 令 形 は,現
在 形 が‐arで
不 定 詞sitta)で
終 わ る 弱 変 化 動 詞 で は,
ma
在,過
去 ・単 数(過
Matte
もつ
det
ヌ ム の 形 を 示 す. fa'may'(far,fick(fingo),fatt)
in.「
入 り ま し ょ う 」
入 り た い 」 入 れ る 」
vad
ga
詞
man
vill「
言 い た い こ と
dig
val.「
ピー
う ま くい く と い い ね 」
形 容 詞 と 同 じ く,比
較 級,最
上 級 を
も の も あ る. har「
こ こ 」,hit「
こ こ へ 」,dit「
「 ど こ に 」,bort「 nu「
今 」,da「
そ こ へ 」,var
向 こ う へ 」 当 時 」,snart「
す く"」,lange「
長
く」 mycket「
多
く 」,val「
ja 'yes',nej
8)前 av
な お,ス
よ く」
'no',jasa「 幸 福 に 」(<
「 し ば し ば 」(比
来 し,英
置 詞
上 級oftast)
主 な 前 置 詞 は,次
'of',i ,vid
な る ほ ど」 形 容 詞lycklig),ofta
較 級oftare,最
'in',med
の とお
'with',pa
り で あ る. 'on',till
'at' ウ ェ ー デ ン 語,デ
ン マ ー ク 語,ノ
語 のuponと
ノ ル
続 詞
med
att 定 詞
skriva!「
主 な 接 続 詞 は,次
従 属 接 続 詞:att
'that',om
'although',medan
ち ょ っ と 書 く
の と お り で あ る.
'and',men 'but',eller
な お,attは,古
由
と 自 由 に 結 合 す る.
等 位 接 続 詞:och
ehuru
ル ウ ェ ー
ド 語 のuppaに
同 語 源 で あ る.
の を 待 っ て 」 の ご と く,不 9)接
の とお り で あ る. 去 ・複 数),ス
in.「 in.「
saga
前 置 詞 は,Vanta
stilla!「 じ っ と座 っ て お い で 」;
主 な 助 動 詞 は,次
りな さ い 」
入 らね ば な ら な い 」
語 に 共 通 の 前 置 詞paは,古
あ る.
動 詞 は,現
vara
ご ら ん 」;不 定 詞titta)で,
他 は,語 幹 と 同 形(Sitt
( )内
skulle
語 的)「 そ れ が い い で し ょ う」
不 定 形 と 同 じ(Titta!「
6)助
風)=Det
入
in.「
stiga stiga
7)副
'to'
動 詞 も過 去 形 に お か れ て い る こ と に 注 意 さ れ た い. Det
in.「
stiga
kan
入 っ て も よ ろ し い で す か 」
stiga
lyckligen「
大 し た. g)法
in?「
を 言 っ て よ い 」
去 形),jag
形,不
stiga
Man
家
呼 ば れ る」(不 定 詞),
kallades(過
了 形)の
skall
vill
Du
な っ た 意 味 を 有 す る.
kallas「
stiga
maste
Jag
い に … し あ う」 の 意 味 を もつ が,慣 用 的 な 表 現 も 多 い.
Jag
家が
byggs.「
jag
Lat(=latom)oss
alla. と 同 義 で あ る が,Huset
在 形),jag
こ の‐sは,歴
Du
なに
建 て る 」 の 過 去 分 詞)は,「
間 態 は,att
har
Far
に も受動 的 な意 味 が あ
alla.「 そ の 子 は,み
は 建 築 中 で あ る 」 と は,異
jag
ma 'may'(ma,matte,―)
去 と も単 数 形 で,
完 成 し た 」 と い う結 果 を 意 味 し,Huset
な お,中
'let'(later,lat(lato),lalit)
kunna 'can'(kan,kunde,kunnat)
ピ
か わ い が ら れ て い る 」 の よ う に 状 態 を 示 す.こ はBarnet
住 む」
masta 'must'(maste,maste,mast)
在 ・複 数
去 ・複 数voro,ス
語 で は,現
り,Barnet
bo「
vilja 'will'(vill,ville,velat)
在 ・単 数ar[〓],現
ー ヌ ムvarit;口
3 曲 げ る」
'shall'(skall,skulle,skolat)
lata
慣 性 を 表 わ す.
ま た,vara('be';現
ar
買 う」
し こ と ば で 好 ま れ,一
度 か ぎ り の 動 作 や 事 実 に つ い て 用 い る.後 性,習
2(b)
kope「
'if',nar
'or' 'when',
'while'
ノ ル ド 語 のpat 'that'の
語 頭 音
が 消 失 し た も の で,英
語that,ド
イ ツ 語〓
と同語
源 で あ る. ス ウ ェ ー デ ン語 の 従 属 文 に 複 合 時 制 が 含 ま れ て い る と き,次
の よ う に,助
Sedan
動 詞 が し ば し ば 省 略 さ れ る.
jag〔 助 動 詞 〕varit
traffas
med
投 詞
bravo「
ス ウ ェ ー デ ン 語 に は,次
dar,kunde
イ ツ 語 と 同 様,定
部 方 言(Sydsvenska
の6方
言が認
inte
mal)
ェ ー タ 方 言(Gotamal) ヴ ェ ー ア 方 言(Sveamal)
4)北
部 方 言(Norrlanska
mal)
に会 って い な い」
5)東
部 方 言(Ostsvenska
mal)
次 の よ う な もの が あ る.
6)ゴ
や れ や れ」
動 詞 が 文 の 第2要
ッ ト ラ ン ド方 言(Gotlanska
mal)
この う ち,南 部 方 言 は 文 字 ど お りス ウ ェ ー デ ン 南 部,
統 語 的 に も っ と も重 要 な 点 は,ド
主 語 が 文 頭 に く る 場 合 は,SVの 詞(節)等
jag
1)南
3)ス
ブ ラ ボ ー 」,ack「
[統 語 的 特 徴 ]
語,副
言]
2)イ
honom.
「あ の と き 以 来,彼 10)間
[方
め ら れ る.
イ ェ ー タ 方 言 は 東 西 イ ェ ー タ ラ ン ド(Gotaland)で
素 と し て 現 わ れ,
語 順 を と る が,目
的
の 主 語 以 外 の 要 素 が 文 頭 に く る と,VS
い ら れ る.ス
プ サ ー ラ(Uppsala)の
方 言 で,ス
トッ クホ ル
言 語 は こ こ に 含 ま れ る.
北 部 方 言 は ノ ル ラ ン ド(Norrland)で,東
「 私 は昨 日彼 女 に会 った 」
用
ウ ェー デ ン中 央 部 の
ス ヴ ェ ー ア ラ ン ド(Svealand)の ム,ウ
の 語 順 に な る こ と で あ る.
ヴ ェ ー ア 方 言 は,ス
部方言 はフ
ィ ン ラ ン ド,エ
ス トニ ア で 使 用 さ れ て い る ス ウ ェ ー デ
ン 語 を い う.ゴ
ッ トラ ン ド方 言 は,バ
ト ラ ン ド(Gotland)の
ル ト海 の 島 ゴ ッ
言 語 で,早
い 時 期 か らそ の 独 自
古 ノ ル ド語 が,現
代 の ノ ル ド諸 語 に 分
性 を 示 し て い る. [語
史 ]
か れ 始 め る の は バ イ キ ン グ 時 代 で あ る が,ス
ウ ェー デ
ン語 が 独 自 の 歴 史 を も つ よ う に な っ た の は,9世 [語
彙]
ス ウ ェ ー デ ン語 の 語 彙 の 基 本 部 分 は,
他 の 北 欧 語 と 同 じ く,ノ ル ド系 の 単 語 か ら な っ て い る. し か し,非
ろ か ら で あ る.ス
少 の 異 同 が 認 め られ る.ア
ca.800∼1225
イス ラ
ル ー ン ・ス ウ ェー デ ン 語
1225∼1375
前 期 古 ス ウ ェー デ ン語
ン ド語 が も っ と も語 彙 の 点 で は 排 他 的 で あ り,次 い で,
1375∼1526
後 期 古 ス ウ ェー デ ン語
西 部 ノ ル ウ ェ ー 語(nynorsk,ニ
1526∼1732
前 期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語
1732∼
後 期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語
語 が 少 な い.フ
ー ノ シ ュ ク)も
ェ ー ロ ー 語 も同 様 で あ る が,こ
外来 ち らは
デ ン マ ー ク 語 の 影 響 が 強 い . ス ウ ェ ー デ ン語 は,デ マ ー ク 語 と お な じ く,ロ
マ ンス 系 お よ び ドイ ツ 系 の単
語 が か な り 入 っ て い る が,す た と え ば,次
ン
こ し傾 向 が 違 っ て い る.
の よ う な 例 が あ る(<
は,直
接の借用関
係 を 示 す). デ ンマ ー ク語
武 器 に き ざ ま れ た24文 っ た の に 対 し て,16文 れ て い る.こ
ノ ル ド語 が 装 飾 品 や
字 か らな る古 ル ー ン 文 字 で あ 字 か ら な る 新 ル ー ン文 字 で 書 か
の 文 字 は,死
んだ 血 縁 者 の 記 念 に 建 て ら
の も の が も っ と も 多 い.新 ド諸 語 の う ち,ス
「窓 」
(< ドイ ツ語)
(< ノ ル ド語)
(< ラ テ ン語)
(< フ ラ ン ス 語 〕
「天 才 」
「歩 道 」 (< フ ラ ンス語)
(< ノル ド語)
「少 年」
豊 富 で,そ
紀,12世
ル ー ン 文 字 の 碑 文 は,ノ
ル
ウ ェ ー デ ン語 に よ る もの が も っ と も
の 数 は 約2千
に の ぼ る.そ
の 中 で も貴 重 な
もの は,東
イ ェ ー タ ラ ン ドの レ ー ク(Rok)石
よ そ750文
字 を 用 い た150の
資 料 は,正
字 法 の 不 統 一 の た め,不
が,ス
紀
碑 で,お
単 語 か ら な る.こ
れ らの
確かな部分 もある
ウ ェー デ ン語 の 初 期 の 状 態 を 知 る上 で 重 要 で あ
る. (< フ ィ ン ラ ン ド語)
(< ノル ド語)
「馬 鈴 薯 」 (< 英 語) 一 般 的 に み て
ル ー ン ・ス ウ ェ ー デ ン 語 は,古
れ た 石 碑 に き ざ み こ ま れ た も の で,11世 ス ウ ェ ー デ ン 語
の
とお り で あ る.
ノ ル ド語 か ら の 借 用 語 の 扱 い を め ぐ っ て,
北 欧 語 の 内 部 で,多
紀 ご
ウ ェ ー デ ン語 の 歴 史 的 区 分 は,次
(< ドイ ツ 語)
,宗 教改 革 の 時代 以 来,ド イ ツ語 の影
響 が 強 く,18世 紀 か らは フ ラ ン ス語 が,19世 英 語 が多 く借 用 され た.さ ら に,第2次
前 期 古 ス ウ ェ ー デ ン 語 か ら ラ テ ン文 字 に よ る 資 料 が 現 わ れ,法
紀以降は
大 戦 以 後 は,
ア メ リカ 英 語 の語 彙 が 多 く とり入 れ られ て い る.
に は,ル
律 文 書 や 宗 教 関 係 の 写 本 が あ る が,言
語 の 特 徴 が う す れ は じ め た 時 期 で あ る.と で は,古
くに 音 の点
ノ ル ド語 の 二 重 母 音 が 単 母 音 に な り(た
ば,auga>〓gha「 子 音 +rで
語的
ー ン ・ス ウ ェ ー デ ン語 に 残 っ て い た 古 ノ ル ド
目 」,steinn>sten「
終 わ る 語 で,rの
石 」,な
とえ ど),
前 に 母 音 が 挿 入 さ れ た(た
と え ば,fiskr>fisker「 動 詞 の 変 化 は,単 3つ
魚 」)こ と な ど が 特 筆 さ れ る.
純 化 が 目 立 ち,現
の 人 称 と も語 尾 に‐rの
詞 , 形 容 詞 は,主
格,対
在 ・単 数 形 で は,
つ く同 形 に な っ た が ,名
格,与
格,属
格 の4格
をま だ
残 して い た. 後 期 古 ス ウ ェ ー デ ン語 の 時 代 に は,口
音 で は,古
はa)と
く に,音
語 において大
変 化 が 著 しい.た
ノ ル ド語 以 来 のaがaの
な り,短
とえ
音(文
字
母 音 +短 子音 にお い て 母 音 が 長 くな
っ た(tala>tala「
話 す 」).
子 音 で は,古
音 は 摩 擦 音 か らtに
連 続 で は,同
化 に よ っ てnn,mm
人 称 代 名 詞 も,対
実 上,格
格
方,
か ら 始 ま る が,
般 に,ヨ
教 改 革 に と も な っ て お こ っ た,聖
書 を 自国
刷 技 術 の 発 達 と あ い ま っ て,
終 わ る よ う に な り,古
由 来 す るaが
っ て い たg,k,skの
変 化 は,例
外 的 な もの を除
格 以 外 は ほ と ん ど な く な っ た.
語 彙 の 点 で は,宗
地 ドイ ツ 語
書 の 翻 訳 を 通 し て 多 大 の 影 響 を 与 え た.
刊 の 芸 術 雑 誌Then に 始 ま り,そ
Ⅲ,1771∼92)は,ス
(Svenska 法,正
英 語,第2次 に よ り,大
,
Argus
の 口 語 的 な 散 文 は, ス タ ー ヴ3世
ウ ェー デ ン語 の 保 護 と
Akademien)を
設 立 し た が,こ
字 法,語
彙 は,こ
Dalin
に ス ウ ェ ー デ ン ・ア カ デ ミ ー
彙 な ど に お い て,現
で そ の 規 準 が 示 さ れ,標 ま た,語
von
swanska
語 彙 と語 順 に お い て 影 響 力 が 強 い.グ
洗 練 の た め,1786年
れに よっ 在 に至るま
準 語 の 確 立 に 貢 献 し て い る.
の 時 期 に,フ
大 戦 以 後 は,と き く増 大 し た.
名 前 が,光 ウ
オ ンブ ズ
干 の 商 品 名 な どが あ る
も っ と も 大 部 で 詳 し い ス ウ ェ ー デ ン語 に 第1巻
ラ ン ス 語,さ
が 出 た,ス
らに は
くに ア メ リカ英 語 の流 入
ウ ェ ー デ ン ・ア カ
Svenska
K.Gleerup,Lund)で
Spraket(C.W.
あ る が,1985年
の時 点 で ,
項 の 途 中 ま で しか刊 行 され て い ない . 次 に
大 き な も の と し て,Olof Ostergren Ordbok,10
は,Sture
編(1919‐72),
vols.(Wahlstrom る.使
selte,Stockholm)を が1,500ぺ
た,さ
Molde
Svenska
Ordbok(Es
あ げ る こ とが で き る .全1巻
ー ジ を 超 し,10万
Bertil
&
い や す い 辞書 で
Allen編(1986),Svensk
以 上 の 語,成
し絵 入 り ・図 解 辞 書 と し て は,
och
Duden
だ
句 が 収録 さ
編(19643),Illustrerad
Svensk
Kultur,Stockholm)
,お
よ び,
Bildlexikon(Bibliographisches あ る.
ス ウ ェ ー デ ン 語 ・英 語 の 辞 書 で は,Rudolph tesson
編(1968),Svensk‐engelsk
selte,Stockholm)が
る .Modern
れ に は, あ
Ordbok(Prisma,
便 利 な 辞 書 で,分
か り に くい 発
音 記 号 が 示 され て い る.
ア メ リ カ で 出 版 の,Ruben Modern
た ,こ
Pocketordbok(1973)が
Svensk‐Engelsk
音 に は,発
San
Ordbok(Es
定 評 が あ る.ま
Stockholm,19763)も
人 で あ り歴 史 家 で あ
っ た , オ ロ フ ・フ ォ ン ・ダ リ ー ン(Olof
(Gustaf
書]
縮 小 版Svensk‐engelsk
教 改 革 に と も な い,高
後 期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 は,詩
を 創 刊 し た1732年
学者
Nobel,1833∼96)の
Institut,Mannheim,19662)が
ス ウ ェー デ ン語 時 代 に始 ま
前 母 音 の 前 で の 軟 化 は 一層 進 み,
現 在 の 音 に 近 く な っ た.格
て,文
ノル ド
綴 り に 初 め て 登 場 し た の も,
た,古
と え ば,化
Angstrom,1814∼74)の
Ordbok(Natur
こ の と き で あ る.ま
1708∼63)が,週
[辞
れ て い る.ま
ウ ェ ー デ ン語 も
そ の 例 外 で は な い. 動 詞 の 不 定 詞 は,‐aで
ウ
れ らは英 語 を
理 学 者 オ ングス トロー ム
Widstrand,Stockholm)があ
ー ロ ッ パ の キ リス ト教
文 語 と 綴 り字 の 確 立 に 貢 献 す る が,ス
が,聖
Jons
ま だ,Sの
の 年 に新 約 聖 書 の ス ウ ェーデ ン語 訳 が 刊 行
語 に 翻 訳 す る 試 み が,印
け ば,属
(Anders
Nusvensk
さ れ た こ と に よ る.一
Bernhard
名 前 が ノ ー ベ ル 賞 と し て,物
デ ミー 編 のOrdbok over
地 ドイ ツ 語 か ら 多 く の 単 語
前 期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 は,1526年
語 のaに
ノ ー ベ ル(Alfred
と な っ た.
が と り入 れ ら れ た.
国 で は,宗
通 し て と り入 れ ら れ た も の で あ る.た
の 辞 書 は,1898年
リス ト教 の 影 響 で ラ テ ン 語,
工 業 の 分 野 で,低
ウ ェー デ
ン 語 か ら 日本 語 に 直 接 入 っ た 語 は ほ と ん ど な く,ス
に な っ た.
ギ リ シ ア 語 起 源 の 借 用 語 が 目 立 つ よ う に な り,一
そ れ は,こ
係 の あ る も の が わ ず か に あ る に す ぎ な い.ス
マ ン と し て 入 っ て い る ほ か,若
格 と対 格,与
の 数 は2つ
格 と与 格 が 融 合 し,3格
の 時 期 に は,キ
本文化に関
に す ぎ な い.
詞 の 屈 折 が 単 純 化 し,主
の 区 別 が な く な り,事
商 業,手
空 手 」 等,日
ェ ー デ ン 特 有 の 行 政 監 察 官ombudsmanが
と な っ た こ とが 特 筆 さ れ る.
ま た,こ
日本 語 か ら ス ウ ェ ー デ ン 語 に 入 っ た 語
柔 道 」,karate「
の 波 長 を 測 定 す る 単 位 オ ン グ ス ト ロ ー ム と し て,ス
ノ ル ド語 のpの
な り,nd,mbの
さ ら に,名
用]
ェ ー デ ン語 起 源 の 借 用 語 が あ っ て も,そ
き な 変 化 が 起 こ り,と ば,母
[借 は,judo「
Nojdほ
か 編,Mckay's
English‐Swedish/Swedish‐English
tionary(David
Mckay,New
が あ る が,内
容 は 古 く,印
Dic
York,1979第11刷) 刷 もわ る い.
ス ウ ェ ー デ ン 語 ・ド イ ツ 語 の 辞 書 と し て は ,Svensk tysk
Ordbok(Svenska
19602),お
Bokforlaget,Stockholm
よ び,Langenscheidt
Handworterbuch
, Prisma
Schwedisch‐Deutsch(Berlin
Munchen‐Wien‐Zurich
1980 ,19845)が
同 社 のTaschenworterbuch Deutsch‐Schwedischは 表 記 が あ り,便
社の
利 で あ る.
あ る.ま
た,
Schwedisch‐Deutsch/ ,ポ
ケ ッ ト判 な が ら,発
音
ス ウ ェ ー デ ン譜 ・ 日本 語 の 辞 書 と し て は,松 三,古
城 健 志 編(1987),『
(大 学 書 林,東
京),日
本 語 ・ス ウ ェ ー デ ン 語 の 辞 書 と
し て は,松 下 正 三 編(1985),『 辞 典 』(大 学 書 林,東
下正
ス ウ ェー デ ン語 日本 語 辞 典 』
京)が
日本 語 ス ウ ェー デ ン語 小 あ り,簡
潔 で あ る が,直
接,
の ラ テ ン 語 でScotiaと な 表 現 で,と
よば れ て い た .現 今 で も詩 的
き に そ の よ う に 使 わ れ る こ と も あ る が,
そ れ は ラ テ ン 語 で,「Scot(t)iの っ た.Scot(t)iと Irish)を
は,も
住む土地」の義であ
と,ア
イ ル ラ ン ド人(the
意 味 す る 中世 ラ テ ン語 で あ る. した が って ,
日本 語 で の 情 報 を 得 る の に は 便 利 で あ る.
元 来Scotiaは
語 源 辞 典 と して は,Elof
そ の 意 味 で 使 わ れ る こ と が 多 か っ た(Skene,1886).
Etymologisk Lund)が
Hellquist(1948),Svensk
Ordbok,2vols.(C.W.K.Gleerup,
詳 し く,簡 潔 な も の に,Elias
Kortfattad
Etymologisk
(Svenska
今 日,ス
Ordbok,Vara
Ord
ド に 接 し,面 年).中
百 科 事 典 と し て は,Svensk Uppslagsbok,32vols. 非 常 に 詳 し く,
sprakhistoria(Prisma,Stockholm)
Bokforlaget
Orjan
(Akademisk
Scottish
あ る. language)
類 の 言 語 が 含 ま れ る.そ
の第
用 語 と し て 用 い ら れ る 英 語,第2は,も
語(Gaelic)で
Press,London)
とノ
部 か ら 派 生 し,主
し て 第3は,5世
に よ
紀 頃,
と して 高 地地 方 お よ
あ る.こ
れ ら の 言 語 は,古
ラ ン ドの 政 治 と 関 連 しつ つ,時
(1977),Svenskt
uttal
い る.以
下,こ
Gaelicに
Forlag,Copenhagen)
尾 崎 義(1955),『
ス ウ ェ ー デ ン 語 四 週 間 』(大 学 書 林,
の 第3の
来,ス
Thorell,Olof(1973),Svensk
grammatik(Es
ゲ ー ル 語,す
な わ ちScottish
つ い て 述 べ る(→ 島嶼 ケ ル ト語).
[歴 史 的 背 景]
ケ ル ト人(the
初 の 印 欧 語 民 族 で あ る が,ス
selte,Stockholm)
初 め て 接 触 し た の は,ゲ
Wellander,Erik(1939),Riktig handledning
svenska:en
i svenska
sprakets
(La
vard(Esselte,
(Old
vols.(Almqvist
sprakhistoria,3
&
Schwedische
Wiksell,Stockholm;ド
de
vols.,
Celts)は,ス
ス ウ ェ ー デ ン語 の 入 門 』(白
水 社,
(山 本
た はGallo‐Brythonic)で
Riada 'portion
出 し,植
ス コ ッ ト ラ ン ド語
英 Scottish
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語
of
Kingdom
英 Scottish
Gaelic,独
仏 gaelique
ecossais
the
Long‐Armed',cf. 朝のスコ ッ
紀 の 後 半,エ Mor
Mac
リク の息 Eiric)王
在 の ア ー ガ イ ル(Argyll)地
方 に進
民 を 行 な っ て 以 来 の こ と で あ っ た.Argyll 中 期 ア イ ル ラ ン ド語 〕Airer
of the
Gael'の
トラ ン ドの 王 国 は,以
後,数
意 で あ っ て,こ
Gaidel のスコ ッ
世 紀 に わ た っ て,ア
イル
ラ ン ドの 政 治 機 構 の 一 部 と し て 存 続 し た.
Schottisch‐Galisch,
ス コ ッ トラ ン ド(Scotland)は,中
of
在 の ア イ ル ラ ン ド北
Daelreodi)王
イ ル ラ ン ド人)が,5世
'coastland
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 Gaidhlig,
日ま
あ る.
に あ っ た ダ ー ル リア ダ
Chronicle
と は,Mid.Ir.〔
Gaelic
あっ
ェー ル ズ 語(Welsh)で
形 成 され た の は,現
に 率 い ら れ て,現
英 Scandinavian
ル ド語
説]
背 景 とす る ブ リ ト
子 フ ェ ル グ ス ・モ ー ル(Fergus
ス カ ン ジ ナ ビ ア 語
・テ ー ヌ
な わ ち 古 ブ リソニ ック語
部 の ア ン ト リ ム(Antrim)州
ト人(=ア
suomi
ィ ン ラ ン ド語
器 時 代B)を
ス コ ッ ト ラ ン ド の 王 国(Scottish
Anglo‐Saxon
文 明)
コ ッ ト ラ ン ドの 先 住 民 が
ー ル 語 で は な く,ラ
言 語,す
で 残 存 す る の が,ウ
(Dal
東 京)
コッ
性 の 知 られ た 最
の 後裔 の 一 つ と し て 独 自 の 発 達 を 遂 げ,今
Dalriada)が
Gruyter,Berlin,1970)
横 山 民 司(1978),『
化(鉄
Brythonic,ま
た.そ イツ
Sprachgeschichte,3
Tene)文
ン 人(Britons)の
Stockholm) Wessen,Elias(1965),Svensk
コ ッ ト
代 を 経 て 現 代 に至 っ て
ト ラ ン ド に 移 り住 ん だ 民 族 の う ち,素
東 京)
[概
コ ッ ト ラ ン ド語(the
ア イ ル ラ ン ドか ら も た ら さ れ,主
Yourself
University
Ohlsson,Stig
ス オ ミ 語
人(1981
び 西 部 の 島嶼 な ら び に 海 岸 地 帯 で 話 さ れ て い る ゲ ー ル
Swedish(English
Walter
ング ラ ン
口511万6千
ば れ る ス コ ッ ト ラ ン ド英 語,そ
Norstedts,
McClean,R.J.(1947,19693),Teach
=ス
今 日,ス
北
低 地 地 方 で 使 用 さ れ て 発 達 を み た,一 般 にScotsと Swedish
Stockholm)
=ノ
積77,170km2,人
ー サ ン ブ リア(Northumbria)北
svenska
Bjorkhagen,Im.(19629),Modern
語訳
King
Britain)島
心 都 市 は,エ デ ィ ン バ ラ(Edinburgh)で
1は,公
[参 考 文 献] Bergman,Gosta(1968),Kortfattad
ギ リ ス(United
ブ リ テ ン(Great
と よ ば れ る も の に は3種
伝 統 的 ス ウ ェー デ ン 文 化 を 知 る の に 有 益 で あ る.
=フ
一 部 で,大
紀 までは
部 を 占 め る 地 域 と な っ て い る . そ の 南 は,イ
あ る.
(Forlagshuset,Malmo,1947‐552)が
コ ッ トラ ン ド は,イ
dom)の
Wessen(1966),
Bokforlaget,Stockholm)が
Grammar(Svenska
ア イ ル ラ ン ドの こ と で,9世
一 方 ,ピ 世
ク ト人(the
Picts)が
し て 文 献 に 現 わ れ る の は,A.D.297と
ラ テ ン 語 のPictiと さ れ る が,ピ
ク ト人 は,ア
ー ガ イ ル 地 方 を 除 い て,早
ニ ー ヌ ス の 防 壁(Antonine ク ラ イ ドClyde両 ドの 各 地,特
Wall;フ
く か ら,ア ン ト ォ ー スForth,
河 口 を 結 ぶ 線)以 北 の ス コ ッ トラ ン
は カ イ ス ネ ス(Caithness)ま
Gobraig's
pet‐ は,W.〔
での
よ び 西 部 の 諸 島 を 含 む ス コ ッ ト ラ ン ドの 大 部
,B.〔
Latin
petia,pecia>F.〔
さ せ る.こ
ラ テ ン 語 で あ り,9世
混 成 語(Celtic で あ り,他
Pictish
は,非
は,ケ
種 の ケ ル ト/ピ
of Gallo‐Brythonic
ル
ク ト語 の descent)
Deer)に
比
想定 Book
も現 わ れ て い る.『 デ ィ ア の 書 』 の 本 文 は 紀 の も の と さ れ る が,そ
の余白
あ る . こ の 書 き込
の 手 に よ っ て な り,遅 く と も12世
印 欧 語 系 の ピ ク ト語 で あ っ た.こ
の
認 め ら れ て い る.こ
そ ら く先 住 の 民 族 で あ っ て,後
に
よ る 最 古 の ま と ま っ た 記 述 で あ り,ブ
後 者 の 話 し手 は,お
コー ン ウ ォ 'a piece'に
フ ラ ン ス 語 〕piece)を
に ゲ ー ル 語 の 覚 え 書 き(notitiae)が み は5人
Puir の場 合
れ ら の 地 名 は,『 デ ィ ア の 書 』(The
そ の 言 語 に は,2種
類 が 知 られ て い る.1つ
in
ゴ ー ル 語 〕*petia(cf.Medieval
of
な わ ち,一
意 で,Pet
ブ ル ト ン語 〕pez
定 さ れ て,Gaul.〔
分 を 占 拠 し て い た . ピ ク ト人 の 来 由 は 不 明 で あ る が,
ト系 ピ ク ト語,す
son'の
英 語 式 に な っ て い る.こ
ウ ェー ル ズ 語 〕*Peth,C.〔
ー ル 語 〕*peth
に 北 部 お よ び 東 部 に 住 み つ い て い た.ダ
8世 紀 ま で に は,北
of
は 今 で はPitfourと
ー ル リ ア ダ 王 国 の 成 立 以 後 も 彼 ら は そ の 版 図 を 広 げ,
地 域,お
Estate
紀 の もの と
れ が ス コ ッ トラ ン ドの ゲ ー ル 語 に ハ ン(Buchan)
来 住 し た ピ ク ト人 と交 わ る よ う に な っ た も の と思 わ れ
に あ る デ ィ ア 修 道 院 の 由 来 記 な ど を 含 ん で い る(図1
る.こ
参 照).
れ ら の 問 題 が 未 詳 な の は,主
資 料 が 乏 し く,地
名 の ほ か は,少
と し て ピ ク ト語 の
8世 紀 前 半(730年
数 の 種 族 名 や20あ
代)に,ピ
ま りの未 解 読 の 碑 文 が 残 存 す る に す ぎ ない か らで あ る
王 国 に 降 り,約1世
(Wainwright,1956;→
ス コ ッ トラ ン ド北 部,東
さ て,ス 移 り,広
ピ ク ト語).
コ ッ ト人 は5世
紀 以 後 もつ づ い て こ の 国 に
が っ て い っ た が,ゲ
ー ル 語 の 主 た る基 層 語 の
1つ は,前 述 の よ う に ケ ル ト 系 ピ ク ト語,す Celticで に,そ
あ った . 今 日残 存 す る 古 い ゲー ル 語 の 地 名 の 若 干 を う か が う こ と が で き る.そ
と も顕 著 な もの は,pet(t)‐ で あ る.た Pett the
な わ ちP‐
と え ば,Pet in
mec‐Cobrigは,そ pasture','the
の 中で もっ
を含 む か な り多 数 の 地 名 Puir,Pett
in
れ ぞ れ,'the Estate
of
the
Mulenn,
portion Mill','the
(Perthshire)の 道)の
紀 ご ろの ス コ ッ トラ ン ド
コ ッ ト人)は,
部 一 帯 を お お い,パ
ス ク ン(Scone)に
統 治(あ
リ ア ダ の 王 マ カ ル ピ ン(Kenneth (843年
頃),ス
に 至 っ た.か
Mac
ク ト語(Celtic
Pictish)の
こ ろ が 一 方,ス
欧 人 の 侵 入 を う け て,西
11世
ール
Alpin)の
とき
ク ト人 と
る い は ピ ク ト人 を 支 配 す る こ と と な っ た.
し く狭 め られ た.と は,北
るいは伝
ら に,ダ
くて ス コ ッ トラ ン ド王 国 は,ピ
融 和 し,あ
ース 州
コ ッ トラ ン ドの主 要地 をほ ぼ 支 配 す る
失 っ た(図1).し <図1>5∼11世
紀 後 に は,Scoti(ス
中 心 を お く ま で に な っ て い た.さ
そ の 結 果,ピ of
ク ト人 は ダ ー ル リア ダ
部 諸 島 に お け る地 盤 を
か し,結 局,北
紀 に か け て,ゲ
使用範囲は著
コ ッ ト ラ ン ド王 国
欧 人 を 追 い 払 い,9∼
ー ル 語が ア ン トニ ー ヌ ス の 防 壁 の
北 部 か ら 今 日 の ス コ ッ トラ ン ド一 帯 に 広 が っ て い く . こ の 頃 か ら,こ も,ア
の 国 の 古 称,カ
ル バ ン(Alban)も,ラ
レ ド ニ ア(Caledonia) テ ン語 形 でScotia,す
な わ ち ス コ ッ トラ ン ド と よ ば れ る よ う に な る が,上 防 壁 の 南 に は,2つ そ の 西 部 で は,ブ thclyde)が11世
の 王 国 が 生 ま れ て い た.す
リ ト ン 人 の ス トラ ス ク ラ イ ド(Stra 紀 初 め ま で 続 き,お
ッ ク 語(Cumbric)が 東 部 で は,6世 Angles)の
掲
な わ ち,
そ ら くカ ン ブ リ
話 さ れ て い た(Jackson,1953). 紀 の 中 頃,2つ
王 国 が 生 じ,た
の ア ン グ ル 人(the
が い に 競 合 し て い た.1つ
は ベ ル ニ シ ア(Bernicia)で,タ
イ ン(Tyne)川
か らフ
ォ ー ス 湾 岸 に か け て 広 が り,も
う1つ
置 す る デ イ ラ(Deira)で,タ
イ ン 川 よ りハ ン バ ー
(Humber)川 shire)に
は そ の南 部 に 位
に わ た り,一 部 は 現 在 の ヨ ー ク 州(York か か っ て い た.し
か し,7世
紀 に 至 り,両 国 は
合 し て ノ ー サ ン ブ リア 王 国 を 形 成 す る.種 経 る が,デ 10世
ー ン 人(the
Danes)の
紀 半 ば に ウ ェ セ ッ ク ス(Wessex)に
ス コ ッ ト ラ ン ドで は,や
が て,政
々 の経 緯 を
侵 入 後,そ
の南部 は
併 合 さ れ た. 治 の中心がス クン
よ り エ デ ィ ン バ ラ へ 移 っ た . 以 後,次 語 勢 力 に 押 さ れ,1300∼1500年 イ(Galloway)を
に か け て,ギ
除 い て,英
バ ネ ス(Inverness)に
ズ 諸 島(Hebrides)に
ー ル 語 使 用 の 主 な 地 域 は,
き)の
・外 へ ブ リ デ ィ ー
局 限 され る に 至 っ た . 加 う る に,
紀 終 わ り よ り19世
紀 前 半 に か け て,い
Clearances(高
こ れ は,19世
わ ゆ る
地 地 方 よ りの強 制 立 ち退
政 策 が,「 改 良 」の 名 に お い て,急
行 な わ れ た 結 果,こ
激かつ苛酷 に
の地 域 のゲ ー ル語 人 口が 激 減 した.
紀 半 ば,た
上,今
日 で は,そ
み ら れ る.一
の 割 合 は,は
方,住
す ぎ な い が,西
る か に低 下 して い る と
民 の 絶 対 数 は44,499人(1971)に
部 諸 島 に お け る そ の 話 者 の 割 合 は,以
前 か ら そ れ ほ ど 変 わ っ て い な い こ と が 分 か っ て い る.
高 地 地 方 よ り西 北 部 海 岸 地 帯 と,内
Highland
ャロウェ
語 は 東 海 岸 に 沿 って イ ン
達 し た.
か く て 近 代 初 期 に は,ゲ
18世
第 に 北 上 す る英
ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 の 伝 統 は,ヘ
よ い.な
お,ノ
バ ・ス コ シ ア の ゲ ー ル 語 使 用 者 は,1931
年 現 在,2万4千
人 余 り を 数 え て い た が,20年
こ こ で も6,789人
に 激 減 し た.1971年
後 に は,
現 在 で は,1,420
人 とな って い る. [共 通 ゲ ー ル 語(Common 1)13世
び 重 な っ た 飢饉(1845∼49)に
ブ リデ ィ ー ズ
諸 島 に お い て も っ と も濃 厚 に 保 持 さ れ て き た と い っ て
Gaelic)]
紀 ま で の ゲ ー ル 語
ス コ ッ トラ ン ド の ゲ
つ い で 起 こ った 海 外 脱 出 に よ って 人 口 の激 減 し た ア イ
ー ル 語 は,ア
ル ラ ン ドの 惨 状 に も比 す べ き,痛 ま し い 状 態 で あ っ た.
ル に 侵 入 し て 以 来,数
ス コ ッ ト ラ ン ド よ り カ ナ ダ の ノ バ ・ス コ シ ア(Nova
広 が っ て い っ た そ れ ぞ れ の 地 域 に お い て,徐
々 に異 な
っ た 方 言 へ の 道 を 歩 ん で い た に相 違 な い.ま
た,ア
Scotia)へ
の 大 量 移 住 も,1790∼1830年
の 時 期 に,
19世 紀 初 め(1801)の
調 査 に よ る と,人
口1,608,420
今 世 紀 に 入 る と,こ
の 割 合 は 急 速 に 下 が る.表1は,1881年
以 降100年
間
の ゲ ー ル 語 人 口 の 推 移 を ま と め た も の で あ る.同
の1世
し か し,こ
ー ル 語 の み の 話 者 は,18.5%,297,823人
に な っ て い た(Thomson,1983).
よ れ ば,総
世 紀 の 間 に,話
し 言 葉 と し て は,
表に
人 口 に 対 す る ゲ ー ル 語 使 用 者 の 比 率 は,こ
紀 に わ た っ て 減 り 続 け,こ
の ま ま で は,今
世紀
を 出 で ず して 消 滅 しか ね な い.た
だ,1961年
ー ル 語,英
ず か なが らふ えて い
語 兼 用 者 の 実 数 が,わ
以 降,ゲ
れ に は,今
の と こ ろ徴 す べ き 口語 資 料 が 残
っ て い な い . 他 方,書
き 言 葉 と し て の ゲ ー ル 語 は,そ
の 準 拠 を,長
イ ル ラ ン ド語 に 求 め て い た . お
よ そ10世
い 間,ア
紀 ま で は,ア
イ ル ラ ン ド語 と,マ
ン島 語 お よ
び ス コ ッ トラ ン ド の ゲ ー ル 語 は ほ と ん ど 同 一 で あ っ た が,そ
の 頃 よ り若 干 の 違 い が こ の2つ
た.し
か し,13世
紀 ま で は,や
れ る よ う で あ る.さ そ ら く15世
ら に,マ
紀 ま で は,ほ
の 間 に生 じ始 め
は り同一 言 語 と認 め ら ン 島 語 と ゲ ー ル 語 は,お
とん ど共通 の 変 化 を た ど っ
る 事 実 は 注 目 に 値 す る.
<図2>ゲ <表1>ス
ール語使 用 者の分 布
コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 使 用 者 数 (1881∼1981)
(% ) 対 人 口比
兼 用 者
と英 語 の ゲ ー ル語
(% ) 対 人 口比
現 在,ス
使 用 者
の み の ゲ ー ル語
ス コ ット
総人口 ラ ンド の
調査 年
図2は,1951年
コ ッ トラ ン ドにお け る ゲー
ル 語 使 用 者 の 地 域 別 人 口比 を図 示 した もの で あ る.図 中 の 数 値 は,そ れ ぞ れ の 地 域 で の 平均 値 を示 す.こ れ に よれ ば,も
イ
ル ラ ン ドの ア ン ト リ ム に お い て も 同 様 で あ っ た ろ う .
そ の 頂 点 に 達 し た.
人 の う ち,ゲ
ン ト リ ム の ダ ー ル リア ダ 王 国 が ア ー ガ イ
っ と も広 い,平 均11%の
地 域 で は,ゲ ー
ル 語 使 用 者 は,当 時 ほ と ん ど高 齢 の老 人 で あ った 関 係
出 典:ジ に よ る.
ャ ク ソ ン(K.Jackson,Lochlann
I,1951)
た(Jackson,1951).し
コ ッ トラ ン ドと
robo
紀 頃 ま で は,基
本 的 に言語 共 同
in
ア イ ル ラ ン ドは,13世
て み れ ば,ス
体 を な し て い た こ と に な る.こ は,ス
の 意 味 で,ジ
通 ゲ ー ル 語(Common 2)『
Gaelic)と
の1葉
デ ィ ア の 書 』 で,下
部 で43葉
で あ る が,こ
え 書 き(notitiae)は,あ
『デ ィ ア の 書 』
の 最 初 の 部 分 の 前 半 で あ る.い
ま,ジ
転 写 し,そ
Cille
tangator gonic'
hI
mar
ro
doib
sl,iar
do‐rodloeg
10 go‐ndas mac
tabrad do
7 o
ル ン バ は,そ
長 ベ デ に 乞 う た.だ
が,首
ar do,7
doib
in
ele,7 fa
llan
in
galar,iar
na
デ ィ ア の 書 』Folio
が 瀕 死 の 病 い に か か っ た.そ
go
ち の も と に 赴 き,〔 も と の 身 体 に 癒 る よ う 息 子 の た
as
め に 祈 っ て ほ し い と〕 懇 願 し た.
saere
rath
glerec,7
ri De.
3)品
び,母 ro
詞,そ
こ で,首
の 形 態 と 機 能
長の息子 長は聖徒た
以 下 し ば ら く,上
テ キ ス ト を 主 な 資 料 と し て,語
記
彙 の 分 類 と形 態,お
音 と 語 頭 子 音 の 変 化 に つ い て,そ
よ
の 大 要 を再 構
し て み よ う. a)名
詞,形
容 詞
る も の は 脱 落 し,あ
3b(裏)
長 は 肯 ん じ なか った .
徒 た ち を し り ぞ け る と,首
名 詞 に は,単
の ほ か に 呼 格 が あ っ た.し <図3>『
れ を 給 え と,首
ro
tharat.Acus
n‐ere
神 の 恩 寵 にみ た
e
mormaer.i.Bede nl
ル ンバ は喜 ん だ―
と こ ろ が,聖
do‐raten do
永 く
robo
cruthnec ess
て,
は,そ の 後,他 の 修 道 院(Deer)
さ れ た の で あ る.コ
ginn;7
の 到来 と と も
そ こ の 修 道 院 を 首 長 と族 長 の 手 か ら 離 し,末
に 移 っ た.コ
Dia
息
ク ト人 ベ デ は ブ ハ ン の 首 長 と な っ た.し
彼 ら に 与 え た.2人
a dalta
thosec.Tangator
in cathraig
Cille
Acus
a
nden ndlsad
の導 き に よ りア イ オ ナ 島 よ
Cosgreg
gathraig‐sain
mormaer
athle‐sen
Colum
in
ar
に,ピ
ャ クソ ン
(f)alseg
go go
〕 は この 部 分 が 次 ペ ー ジに わ た
の よ う に な る.
Bede
Buchan
braith o
gab
mac
Abbordoboir,7
thidnaig
a
Drostan
a
mormaer 5
7
do〕.(〔
do‐chuid
glerec mac
り ア ベ ル ダ ワ ア に や っ て 来 た.2人
れ を ロー マ字 に
の 日 本 語 訳 を 示 す と,次
1 Colum
na
n‐ernacde lesin
子 ド ロ ス タ ー ン は,神
所 に す ぎ な い.図
の 解 釈 に 従 っ て(Jackson,1972),こ
sen
コ ル ン バ と そ の 弟 子 コ ス ク ラ ハ(Coscrach)の
うした ゲ ー ル 語 の覚
わ せ て6か
bec.Iar
っ て い る こ と を 示 す)
半 分 が ゲ ー ル 語 に よ る 書 き 込 み で あ る.
写 稿 は,全
は,そ
述
mad
mor(maer)d'attac
15 slante
よ ん で い る.
図3は,前
act
daes〔in
ャ クソ ン
コ ッ トラ ン ド の ゲ ー ル 語 とア イ ル ラ ン ド語 を 共
marb
か し,そ
複,2性,4格 れ らの 語 尾 の,あ
る も の は くず れ,そ
の 混 清 の状 態
は 中 期 ア イ ル ラ ン ド語 の そ れ に 劣 ら ず 激 し か っ た.し た が っ て,名
詞 の 語 幹 に よ る 分 類 も,形
で に 困 難 で あ っ た . テ キ ス ト に は,固
の 上 か ら はす 有 名 詞Colum
Cille,Bede,Drostan,Buchan,Iな
ど を 含 め て,
か な りの 数 の 名 詞 が み ら れ る(以 句,文
章 の 次 に(
)で
下,例
に あ げ る 語,
示 し た 番 号 は,テ
キ ス トの 行
数 を 示 す). a
dalta(1)「 b,ⅱ
彼 の 弟 子 」.こ
代 名 詞)は,緩
の 意 味 のa(後
音 化(後
出
出4,b,i)を
ひ
き起 こす . cruthnec(3)m.「
ピ ク ト人 」
mormaer(4,13)m.「 ar a
首長 」
ginn(4)ginn(<cenn「
詞arの
頭 」)は,前
要 求 で 与 格.'before
は 「彼 ら を 迎 え て 」 の 意.こ 音 化(後 in
出4,b,ⅱ)を
monastery'
も に 対 格 で 鼻 音化(4,b,ⅱ,ウ)を
し て い る . た だ5で あ る.7で
head'と
の 意 味 のaは,鼻 ひ き起 こ す.
gathraig(5,7)f.acc.'the 5,7と
their
置
は,発
起 こ
音 ど お りgと
書 いて
は,ス ペ ル は も と の ま ま のcで
あ る.
後 者 の 方 が 多 か っ た. 出 典:ス
チ ュ ア ー ト(J.Stuart,The
Edinburgh,1869).
Book
in
saere(5)f.dat.<saire「
go
braith(5∼6)acc.m.<brath
自 由 に」
of Deer,
'Dooms
day' 「永 久 に 」
that'「
o thosec(6)dat.sg.<toisech「
族 長 か ら 」.
oは 緩 音 化 を 要 求 す る. do(=de)rath na
De(8)「
神 の恩 寵 で」
ⅲ )前
健康」
る」,marb(12)「
小 さい 」
は,い
容詞 が修 飾 的
例 外 を 除 い て,す
べて
わ
め て 普 通 で あ っ た. son'
置 詞,接
数 はnaで
と と も に 」 は,le('along ず,lesin ⅱ )代
ス あ る.
行 す る前 置 詞 や後 続 の名 詞 に よ って 形 が 変
異 す る こ と は し ば し ば で あ る.た
mac(14)と 名 詞
と え ば,「 そ の 息 子
with')in
macと
はな ら
な っ て 現 わ れ る.
辞isの
far
as'の
air'because'の
の 意 味 に つ い て は,次 c)動
詞
造 」),こ
な か っ た.中 (infixed
れ らは すべ て 動 詞 前 接 辞 立 の形 と して は 現 わ れ
期 ア イ ル ラ ン ド語 に な る と,挿
pronoun)は
っ て い た.そ
減 り,主
れ は,こ
格 代 名 詞 の 使 用 も始 ま
ri Colum
か し,挿
入 代 名 詞,特
は か な り 遅 く ま で 使 わ れ て い た.す do(10)のdasは,目
に3人
的 格 の'it'で
の 間 に 挟 ま れ て い る.直 give〔he〕to
him'で
詞 で,in
it'と
it
のテキ
monastery
act bec
を 参 照 さ れ た い. 文,副
文 あわ
ま り の 文 が 含 ま れ て い る.ゲ 原 則 で あ り(後
cruthnec
robo
始 め ら れ て い る . これ は,本 書 で あ る た め,写
出
ール
「動 詞 と 文 の 構 だ,最
mormaerの2つ
初 と3 の文
文 が デ ィア 修 道 院 の 由 緒
字 生 が 修 道 院 開 基 に 関 わ る主 要 人 物
を 意 識 し て の 例 外 と考 え ら れ る. ⅰ)時
制
ま ず,do‐chuid(12)(=Mid.Ir.
dochuaid)'went'は,teit'goes'の3人
称 ・単 数 ・
過 去 ・独 立 形(independent).古
接 辞,し
期 ア イ ル ラ ン ド語 で
形 も あ っ た.も
た が っ て,'has
と,ro‐
gone'の
た . この よ うな 転 用 の 例 は,ほ は,し
ば し ばro‐
は完了の前
意 で あ っ た が,そ に とっ て代 わ ら れ
か に も多 い.そ
の 残滓 が み ら れ る.こ
の形 に
の よ う に完 了
形 と 過 去 の 区 別 は 文 脈 に よ る こ と が 多 い. ro(f)alseg(2)Sc.G.fhoillsich<OIr.〔 期 ア イ ル ラ ン ド語 〕foillsigid'reveals', ro‐gab(10∼11)'took'3rd.sg.pret.< OIr.gabaid'takes',
尾 的 に 使 われ た指 示代 名
gathraig‐sain(5)'the
の 動 詞 のⅲ
目に mad
act
れ ぞ れ 固有 名 詞 の コル ンバ とベ デ を主 語 と して
benact'he
の 個 所 に 出 て い る.
よ び‐senは,接
marb
の 意 味 が う す れ て 過 去 と な り,do‐
あ る が,
should
のdasは,次
縮 約 さ れ て,ro‐s
し て,別
称単数形
ら'as
目 のiarは,
上 掲 テ キ ス トに は,主
は,rochuaidの
接 続 法 過 去 形)
訳 す れ ば,'that あ る.こ
ス トで は さ ら にsに
‐sainお
si
な わ ち,go‐ndas
go‐ とtabrad(<dobeir'gives'の
blessed
Cille
そ れ は コ ル ンバ を 喜 ば し た 」 のsi'it'が,
そ れ で あ る.し
tabrad
入代名詞
の言 語 にお け る構文 の 大 きな 変
化 を 示 す もの で あ っ た.do‐raten (7∼8)「
節 で,
come'か
の テ キ ス トで も然 り で あ る.た
が,そ
類 も 多 く形 態 も軽 い1音 か し,そ
あ る が,robo
語 の 語 順 はVSOが
補 語 に な る場
you
誤 記 と解 せ ら れ る.12行
'but',ma 'if'が
行 目 のBede
超 え て い た.し
あ
よ う な形
複 合 接 続 詞 と な っ て い る.8行
目 的 格 の 代 名 詞 は,種
と 本 動 詞 の 間 に 挿 入 さ れ て,独
him'で
意 な らdoib(2,5)の
gonic(e)<con‐icciは,'till
合 の ほ か は,通 常 ほ と ん ど 使 う こ と が な か っ た . 一 方,
20を
と え ば,
mar(2)'as',go(3)'till'で,
せ て お よ そ10あ
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 に お い て は,独
立 の 主 格 を 表 わ す 代 名 詞 は,繋
折 ま た は活 用 前
い う.た
do(10)のdoは,'to
them'の
ⅳ)接 続 詞
数 は す べ てin(Sc.G.〔
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 〕an),複
pronoun)と
を と っ て い る こ と が 分 か る で あ ろ う.
続詞
不 定 冠 詞 は な く,定 冠 詞 の み で,女 性
除 い て,単
た だ し,先
tabrad
る が,'to
Cosgreg(1)'Coscrach's
詞
go‐ndas
種 の融 合形
名 詞 の 人 称 や 数 に応 じ て 形 を 変 え る.こ
置 詞(prepositional
詞 属 格 を 使 用 し て 修 飾 的 に 使 う こ と は,き
ⅰ )冠
こ れ ら の 前 置 詞 が 代 名 詞 に つ く と き は,特 が 生 じて,代
れ は ケ ル ト語 に 共 通 の 現 象 で あ り,屈
ele「 ほ か の 修 道 院 へ 」
名 詞,前
の よ うな 前 置 詞 が
'on,before'
出c動
被 修 飾 語 の あ と に つ く.
詞,代
テ キ ス ト 中 に,次
(こ れ は ア イ ル ラ ン ド 語 で は 使 わ れ な い),ar
ず れ も 繋 辞(copula;後
補 語 と し て 使 わ れ て い る.形
cathraig
置 詞
(=de)'from',iar 'after',ri(<fri)'toward'
ほ か の 」 の み で あ る.
に 用 い ら れ る と き は,2,3の
属 格 のnaを
なわ
a(s)'from',go 'till',do(=d')'to,for',do
満ちてい
死 ん で い る」,bec(12)「
は じ め の3つ
mac
は 「そ の あ と で 」 キ ス トで も 頻 出 し,
み え る.
こ で は,llan(8)「
と,ele(7)「
b)冠
that'と
あ る.
形 容 詞 は 少 な く,こ
ま た,名
remainder
称 代 名 詞 所 有 格aは,テ
ち,'his'(leniting),'her,their'(nasalizing)で
病 気 を」
slante(14)f.「
in
its
athle‐sen(6∼7)
意 味 に よ っ て 後 続 音 に 変 化 を 起 こ し て い る.す 'of the
priests' galar(11)acc.m.「
詞,ⅲ)の
of
の 意.3人
glerec(11,13)gen.pl.<clerech
の3つ
' out
あ の 修 道 院 を 」,as a
ro
thidnaig(4∼5)'〔he〕granted'cf.Mid.
古
Ir.ro‐thidnaic'grants'
full
do‐raten'pleased'は,も
と完 了 を 表 わ す た め,OIr.
do‐aitni'pleases'にro‐
が 挟 ま れ*do+ro+aitni
で あ っ た が,ro‐ ratenに
の 意 味 が 失 わ れ,単
縮 約 され た.ま
(10)'〔they〕gave〔not〕'は,そ の 過 去 の,単 ⅱ )独
数,お
立/従
来,す
属 形 と は,動
例do‐rat,tharatに
接 続 法 過 去 で,同
might
perform〔a
refusing
they〕
属形すなわち第
た,fangator(2,6)
glerec(13)'to
ask
neget
'prays'
音,お
よ び 語 頭 子 音 の 変 化(consonant
a)母
音
単 母 音 に は,a,e,i,o,uが
そ れ に 長 短 が あ る.二
な どが 認 め られ,こ れ ら に も長 短 が あ る . こ の う ちae お よ びoeは,そ
れ ぞ れOIr.ai,oiを
受 け て い る が,
お そ ら く[〓(:)]お
同 様 で あ る. 期 ア イ ル ラ ン ド語(=Old
始 め,や
が て 消 失 し た . 本 テ キ ス トで は,す
Gael‐
の 型 の 区別 は 次 第 に くずれ で に その
思 わ れ る.当
do‐rodloeg(9)'besought'<OIr.dotluchethar
(Tory)島
(deponent
verb)で
終 わ る いわ ゆ る異 態 動 詞
あ っ た.し
か し,異
くか ら 受 動 態 と の 混 同 が 生 じ,消
態 動 詞 も早
(Wagner
す で に 単 な る 他 動 詞 に 変 わ っ て い る .(動 詞 の 独 立 形/
b)語
よ び 異 態 動 詞 に つ い て は,「 ア イ ル ラ ン ド
語」の項の を,そ
「動 詞 と 文 の 構 造 」1∼3,「
形 態 」2のc
ⅲ )繋 book'な
辞is
似 て,主
だ け の 一 種 のpredicative っ て,そ
me,it's
1981,O'Rahilly
particle(叙
述 助 辞)で
あ
対 す るestar
は 異 な っ て い る.次
の例が
ⅰ )緩
音 化(lenition)
緩 音 化 と は,破
裂音が母
腔 内 の 筋 肉 が 緩 み,対
応 す る摩
後に 後 に こ の よ う な 変 化 は,元 る と き,語
来,先
頭 で 起 こ っ た 自 然 の 音 声 現 象 で あ っ た が,
う し た 変 化 形 は,綴
に よ っ て,語
化 と な っ た も の で あ る.こ
'if it be(were)'の
た.そ
do(8)'〔he〕was
示 さ れ た.後 中,語
に は,類
推や慣用
尾 に も しば しば この 綴 りが 現 わ れ
の 結 果,gh,dhの2つ
語 頭 で は/〓/に
わ ゆ る形 態 音 素
字 の う え で は,ph,th,chや,
b(h),d(h),g(h)で
3人 称 ・単 数 ・接 続 法 ・現 在 ま た は 過 去 の 形 で, 意 と な る.
行 す る語 詞 が 母 音 で 終 わ
や が て 文 法 的 機 能 を 帯 び る に 至 り,い 的(morpho‐phonemic)変
is he'
mad(<ma'if'+bed)(12)のbedは,isの
fa(=ba,Sc.G.bu)llan
1976).
頭 子 音 の変 化
my
み え る. ess(=is)e(4)'it
コ ッ トラ ン ド を 通 し て 観 察 さ れ る か らで あ る
語 に賓 辞 を結 び つ け る
の 用 法 は(ス ペ イ ン語 のserに
に あ た り)実 質 動 詞thaと
記 号 を 使 用 し て い る)に わ た
擦 音 に 変 わ っ た こ と を い う.
繋 辞 isは,'it's
ど の'is'に
円唇の
類 を 下 ら ぬ 方 言 音 の 存 在 が,ア イ ル ラ
音 に 挟 ま れ た と き,口
れ ぞ れ 参 照 さ れ た い)
り[〓(:)](非
ー グ ナ ー は ア イ ル ラ ン ド北 端 の ト ー リ
よ そ10種
ン ド,ス
こ で は,
従 属 形,お
滅 し た.こ
み ら れ る が,
代,[i(:)]よ
の 方 言 に[λ]の
る,お
の 発 音 は,
近 い 音 で あ った か と
時 も 今 も,「 羊 」 を 表 わ す 単 語 の 綴 字 に,
こ れ ら の 発 音 は,現 [u]で,ワ
来,‐rで
よ び[〓(:)]に
の2つ
大 き く 分 け て,caora,coera,curaが
語 形 の 区 別 は 少 な か ら ず あ い ま い に な っ て い る .な お,
' beseeches'は,元
あ り,
重 母 音 に は,eo,ia,ua,ae,oe
come'も
の 後 期 か ら は2つ
priests
ernacde(13∼14)'〔they〕should
中 期 以 後 の 多 様 な 変 化 か ら み て,こ
し か し な が ら,古
of the
a prayer'のernacde<OIr.ar‐
(=Mid.Ir.tancatar)'〔they〕came'<tic‐'to
ic)も,そ
the
'refuses'
mutations)
that
prayer〕'も,従
1音 節 ア ク セ ン ト型 で あ る.ま
glerec(11)'after
ndendaes
4)母
変 化 形go
ndendaes(13∼14)<OIr.‐dentais'〔so
na
perform
最 後 の2
じ くdogni'makes'の
ゲ ー ル語 に は 不 定法
い て い は 動 名 詞 が そ の役 目を果
〔to pray〕'のattac<OIr.adteic'beseeches' go
属2つ
give'は,dobeir'gives'の
noun)
n‐ere na
d'attac
詞 語 幹 が 種 々の 前接 辞 を とっ
対 し て,tabrad(10)<OIr.
‐taibred'〔he〕might
a
た が っ て 「ほ と ん ど死
priests'のere<OIr.eraid
節 にア ク
詞 の 大 き な 特 色 で あ っ た.iの
but',し
名 詞(verbal
iar
対 し て,
の 独 立/従
ら'all
was
if it were
た し て い る.
備 え て い る動 詞 が多
て 合 体 し た と き の 語 形 で あ る が,こ
は'he
becは,'but
が 発 達 し て お ら ず,た
合語の場合
合 語 の 場 合 は 第1音
セ ン ト を と るprototonic型)を
のrobo
mad
と
marb
ん で 」 の 意. ⅳ )動
上 のiに
立 形(複
bec
little'か
べ て 独 立 形 の 語 尾 を と って い
従 属 形(dependent,複
の 区 別 は,動
marb
mad
dead',act
数 の 形 で あ る.
節 ア ク セ ン トdeuterotonic型)に
か っ た.従
act
よ び,(ni)tharat
期 ア イ ル ラ ン ド語 で は,独
は,第2音
な み に,robo
な る 過 去do
属 形 語 尾 お よ び 異 態 動 詞
の つ い た 形 で,も
は 完 了 を 表 わ し て い た.ち
れ ぞ れdobeir'gives'
よ び,複
あ げ た 語 形 は,元 た.古
robo(3,12)'was'は,ro‐
た,do‐rat'〔he〕gave'(テ
キ ス トに は 現 わ れ て い な い が),お
of'
な っ た が,語
は,し
ば し ば 混 同 し,
尾で は 無音にな ること
が 多 く な った . ro
二 重 子 音 に な る こ と が あ る.一
thidnaig(4∼5)<tidnaig「 る 」(roに
つ い て は,c「
do‐chuid(12)過 'goes'
動 詞 」iを
け
参 照)
tharat(10)否
「与 え な か っ た 」 ある
こで は綴 りは も との ま ま に な っ
て い る(前 出). 発 音 は,口
け れ ば[w]の
発 音 に 近 か っ た.そ
音 化 す る とmhと
綴 ら れ,と
性 を 伴 い つ つ も,bhの
な り,綴
mar
よ びfhに
の ほ か,/m/が
緩
同 を生
よ び/φ/と な っ た が,無
Dia(2)「
音 化(nasalization)
音 にな
行 す る語
終 わ る と き,後
続語
の 語 頭 音 に 起 こ っ た 種 々 の 変 化 を さ す.
/'after
そ のmが
とiarm‐ 弱 ま りnと
refusing'
な っ て 脱 落 す る前 に,後
in
続の
じ く,
n‐ernacde(14)/〓/「
こ の 場 合,変
祈 り」
化 形 の 綴 り は 変 わ ら ぬ こ とが 多 か っ た の よ うに も
they
prayer〕' come〔to
the
こで は お お む ね も との ま ま で あ
い が,こ
りが 同 じ ゆ え,確
実では な
の 変 化 の 可 能 性 が あ る.
ginn(4)(前
は,発
一 見 不 規 則 に み え る,と
出3,a).ginnの
音 綴 字(pronunciation
重 子 音(gemination)
対
目 のiarはairの
誤記 ご と き,
き に 誤 っ た 綴 字 で あ ろ う.し
期 ア イ ル ラ ン ド語 自 身,も
っ と も流動 的 か つ
と に 当 時,ア
イ ル ラ ン ドよ り
共通 ゲ ー ル語 の 高 度 に伝 統 的 な 書記 法 を身 に つ け て 実 践 し て い た と は 考 え られ な い こ と を 思 え ば,些 し ろ,こ
細 な綴 の外 的 差
が て あ らわ と な る ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー
[現 代 ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語(Modern
スペル spelling)の
好
下,単
声 と 音 素
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語(以
に ゲ ー ル 語 と略 す)に
は 多 く の 方 言 が あ り,今
言 間 の 差 異 は 多 様 で あ る が,標
か し,上
記
準 とす べ き もの
の 問 題 を論 ず る に あ た って と 分 恣 意 的 とな ら ざる をえ な
「歴 史 的 背 景 」 に お い て 観 察 した と
ブ リ デ ィ ー ズ の 方 言 を 中 心 に み る こ とは
不 当 で は な い と 思 わ れ る.さ
い わ い,こ
の 方 面 に は,
ル ー イ ス島 レー ル
ボ ス トの ゲ ー ル 語 』(Oftedal,1956),『 素 分 析 』(Ternes,1973),『
ゲ ー ル 語 」(Clement,1984),
下 は 主 に,ル
の ゲ ー ル 語 を 典 型 と し て,そ 音 と,10の
ゲ ール 語 の 音
東 部 サ ザ ラ ン ドのゲ ー ル
項 に 述 べ る と こ ろ も,多
先 学 に 負 っ て い る.以
ぞ れ9つ
の
る べ き方 言 地 図 が 出 版 さ れ て い な い . し か
り 上 げ る 方 言 の 選 択 は,幾
a)母 m,n,l,r,sは,
Scottish
Gaelic)]
そ の 他 が あ る.本
例 で あ る. ⅲ )二
キ ス ト8行
語 』(Dorian,1978),「
gathraig<cathraig(5,7)'monastery'
ar a
と え ばdorothaigに 様 にaithle∼athle(7),
依 拠 す べ き す ぐ れ た 最 近 の 研 究,『
出 「歴 史 的 背 景 」).
固 有 名 詞 の う え,綴
や 気 のつ く こ
と 思 わ れ る),doraitne∼do‐raten(7)の
こ ろ か ら,ヘ
ま 発 音 ど お り に 綴 ら れ る こ と も あ っ た. i〔n〕Puir/〓/(前
質的に中期アイルラ ン ド
時 代 の ア イ ル ラ ン ド語 の ス ペ ル に く ら べ て こ
ar∼air(8.テ
い.し
ウ)/p‐,t‐,c(k)‐/→/b‐,d‐,g‐/
in
の 面 に お い て も,本
こ で は 変 異 形 が 多 い こ と.た
も,方
should
son〕'
Pet
読 み 違 え た もの で あ る.
も な い . し た が っ て,こ
go‐ndisad(14)'〔health〕would
変 化 形 の 綴 りは,こ
と 「島 」 の
代 北 欧 語 でIoua
語 と異 な ら な い と い う こ と が で き る.や
と こ ろ,依
例 で あ る.
go‐ndendaes(13∼14)'that perform〔a
弱 ま りhと
以 上 を 通 し て,『 デ ィ ア の 書 』の ゲ ー ル 語(11∼12世 紀)は,ど
1)音
呪 い の 言 葉 」 の例 が 現 わ れ
は,/d‐/→/n‐/の
っ た が,ま
と い っ た の をIonaと
異 こ そ は,や
書 い た . テ キ ス トの 先 の 方 に,i〔n〕mbrether(<in
る が,次
イ オ ナ とい う の は,古
置 詞as
ル 語 の 自 律 的 発 達 を 暗 示 す る も の で あ っ た.
時 に そ れ ぞ れ,mb‐,nd‐,ng‐,f‐
brether)/〓/「
of')のsが
字 の 違 い は 異 と す る に 足 り な い.む
イ)/b‐,d‐,g‐,f‐/→/m‐,n‐,〓,v‐/
が,同
も
も っ と も僻 遠 の 地 で あ っ た こ の 修 道 院 の 筆 耕 た ち が,
と 鼻 音 で 終 わ っ て い た が,
語 頭 に く っ つ い て 残 っ た 形 で あ る.同
は,前
な っ た も の で あ る.Iは,も
不 安 定 な 時 代 で あ り,こ
iar n‐ere(11)/〓
e reの
Iona'で
ラ テ ン 語 〕ex'out
か し,中
音 の前 で
こ のiarは,も
hI(2)'from
hIと
bradは
つ い て も 同 様 で あ っ た.
す るdo‐rodloeg(9).同
神 の 導 きの ま ま に」 こ れ は,先
ま た は 前倚 語(proclitic)が‐nで
ア)母
(<Lat.〔 な り,a
と は,同
き と し て 字 面 か ら も 脱 落 し た. ro(f)alseg
ⅱ )鼻
な
き に よ って 幾 分 の鼻 音
よび/f/は,/h/お
り字 はshお
っ たfhは,と
な る が,で
発 音 と 同 様 に な り,混
じ た . ま た,/s/お
ち な み にa
意 で あ る が,ア
蓋 化 す る と[v']に
え ざ る政 治的 不安
一 あ る文法 的 規範 を 求
braith(6)とgo
と よ り,as(6)とassに
dhalta(dh=/〓/)と
べ き と こ ろ.こ
重
め る 余 裕 が ゲ ー ル 語 の 世 界 に は な か っ た の で あ る.
「族 長 か ら 」
定 辞 +過 去 形
a dalta(1)は,a
bhの
子 音 に 限 ら ず 異 綴 り が 多 か っ た.絶
l anとllan(8),go 置詞+名詞
般 に こ の 時 期 は,二
定 と 激 し い 転 換 期 に あ た り,統
去 接 辞 + 動 詞 < 不 規 則 動 詞teit
o thosec(6)前 ni
ゆ る す,授
く,こ
れ ら
ー イ ス(Lewis)島
の 概 略 を記 す .
母 音 音 素 に は,長
短 の 単 母 音が そ れ
二 重 母 音 が 認 め ら れ る(表2).
単 母 音 は,無
ア ク セ ン ト の と き は 常 に 短 音 で あ る.
は 少 な か らず くず れ,p,b,m,f,vの
し た が っ て,長
短 の 区 別 の あ る の は,ア
瞭 な 口蓋 化 が 区 別 で き に くい .
る と き に 限 ら れ る.そ
クセ ン トを と
の 条 件 は 簡 単 で は な い が,一
般
に,
ⅱ )破
裂 音 に つ い て,先
/p,t,k/は,古
ⅰ )有
気 破 裂 音(aspirated
plosives)の
前では き
わ め て 短 く, ⅱ )他
の 無 声 子 音 の 前 に お い て や や 長 く,
ⅲ )有
こ で は 有 声/無
声 子 音,お
よ び,母
音 接 続(hiatus)の
前で
し た(た
在 の(ス
コ ッ トラ ン ド ・ゲ ール 語 の 母 音 音 素
コ ッ ト ラ ン ド・)ゲ ー ル 語 で は 消 滅
だ し,綴
字 法 の う え で は,そ
/bog/「
お
や わ らか い」
pog/po:g/∼Sc.G.pog/pho:k/<OIr.
poc/po:g/「
キ ス,口 づ け 」
今 日 の ゲ ー ル 語 で は,古 (voiceless)と
二重母音
代 の 破 裂 音 は,す
化 し,対
気(unaspirated)へ
応 は,有
語 の そ れ を反 映 して い る こ とが 多 い.な お,ア ク セ ン
tan/tha:n/「
こ こで,母 音 の 鼻 音 化 に つ い て 触 れ る必 要 が あ る.
京 語)に
す なわ ち,上 記 母 音 には,e:,〓,〓(方
「濁 音 」 は 関 知 し な い. ⅲ )p,t,cに
異 な り,鼻 音 は,当 該 母 音 に と どま らず そ の前 後 に波 及 し,場 合 に よ って は,い
語 尾 に お い て 母 音 に 続 く と き は,通
な る こ と(post‐aspira
上 で み た とお りで あ る が,こ
い 気 音 が 入 り込 ん で く る,こ 帯 気 子 音(pre‐aspiration)と
の あ る音節 に起 こ り,鼻 音 が 前後 に広 が るが,そ の 範
れ らが,語
常,そ
中,
の 間 に,強
の わ た り音 の 現 象 を,前 い う . た と え ば,
「勇 敢 な,か
し こい 」
「猫 」
囲 は 単語 内 に と どま り,接 頭 辞 ま で は遡 行 せ ず,ま た,
「息 子 」
こえ て広 が る こ とは ない.し た が
って,表 記 は,核 母音 のみ に鼻 音 記 号 をつ け れ ば よい.
わ ゆる
よ っ て 表 わ され る 音 が 語 頭 に く る と,
tion)は
は 核 と しての 作 用 をす る.そ の鼻 音化 は,ア ク セ ン ト
国 語(北
お け る有 気 と無 気 の 対 立 に 等 し く,い
気 息 を 帯 び て[ph,th,kh]に
るい
厚
対 立 は,中
あ る.し か し,そ の あ り よ うは,フ ラ ンス語 な ど とは
くつ か の 音節 全 体 が 鼻 音 化
運 命」
い」
反 し,ゲ ー ル語 で は,こ れ が きわ め て特 徴 的 で あ る.
す る.そ の と き,当 該 母 音 は,鼻 音化 の 中心,あ
つ つ きの
舟 」 ∼garbh/karav/「
こ の/ph:p,th:t,kh:k/の
除 い て,対 応 す る鼻 音 が存 在 す る ので
無
法廷」
家 畜 」 ∼ddn/ta:n/「
鼻 母 音 は,ア イル ラ ン ド語 で 次 第 に衰 えつ つ あ る の に
言 に よ って
気(aspirated)∼
か け す,き
類 」 ∼barra/paRa/「
carbh/khar〓v/「
トは 原 則 と して 語 の 第1音 節 に あ る.
べて無声音
と変わ っ て い る.
Sc.G.parra/phaR〓/「
歴 史 的 にみ る と,単 母 音 の 長 さは,古 期 ア イ ル ラ ン ド
破 裂 音(plosive)を
の 区 別 が,な
bog/bog/∼Sc.G.bog/pok/<OIr.boc
Irish
はe,o,〓)を
の対
日 もそ のま ま存 続 して
保 た れ て は い る). Irish
<表2>ス
声 が 対 応 し て い た.そ
イ ル ラ ン ド語 で は,今
い る が,現
は も っ と も長 く な る.
に み た 共 通 ゲ ー ル 語 で は,
期 ア イ ル ラ ン ド語 の 頃 と ほ と ん ど 変
わ らず,そ 応 は,ア
音 に は,明
し か し,方 言 に よ っ て は,こ
のpre‐aspirationの
程
度 が わ ず か で 一 定 し な い 地 方 や(Watson,1974),起 こ ら な い 地 方 も あ る.東 land)地
サ ザ ラ ン ド(East
方(Dorian,1978),ま
た,ア
Suther
ラ ン(Arran)
地 方 な ど もそ の 例 で あ る(Holmer,1957). 古 期 ア イ ル ラ ン ド語 の 有 声 破 裂 音 は,ス ドで は 無 声 に 変 わ っ た.ゆ こ の 鼻 音 化 を,テ ル ン ズ(E.Ternes)は,long component(超
分 節 鼻 音 連 鎖)と
よ び,母
つ に 数 え て い る(『 大 辞 典 』 第6巻936ペ b)子
音
nasal 音音 素 の一 ー ジ を 参 照) .
ゲ ー ル 語 の 子 音 の 特 徴 と し て,い
く
つ か を あ げ る こ とが で き る. ⅰ )ア
イ ル ラ ン ド語 で は,今
ゲ ー ル 語 に 頻 出 す る 顕 著 な 特 徴 と な っ て い る.た れ は,通
常 の 帯 気 音(post‐aspiration)と
だ こ
は 発生 す
る 分 布 位 置 が 相 補 的 な 関 係 に あ り,[hp,ht,hk]は, /ph,th,kh/の
異 音(allophones)と
み な さ れ,音
素
的 には 問 題 は 起 こ らな い . 日 ま で,/h/を
す べ て の 子 音 に 口 蓋 音(palatalized して 存 在 し て い る が,ゲ
コ ッ トラ ン
え に,pre‐aspirationは
sounds)が
ー ル 語 に お い て は,こ
除 い て, 対応 の体 系
ⅳ )b/p/,d/t/,g/k/は,鼻 行 さ れ る と き,有 と が あ る.そ
音m,n,ngに
先
声 破 裂 音[b,d,g]で
れ は,と
き に 語 中 に お い て,し
現 われる こ か し,多
<表3>ス
amhraidh/〓/「
コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル語 の子 音 音素
冬 の風 」
流
音
音
半母音
側
音
摩擦音 有声 摩擦音 無声
鼻
破裂音 有気 破裂音 無気
ⅱ )有 気破 裂音 は,無 声摩 擦 音 に変 わ る.
posadh/〓/「
結 婚 す る 」 →an
i?/〓/「
唇 音 歯 音 軟音化 歯 音 後 口蓋 軟 音 後 口蓋音 声門音
ceann/〓/「
頭 」 →anns a'
/〓/「
na
立 っ て い る こ と 」 →tha
mo
sheasamh/〓/「
こで は,"palatalized"を
ス ラ ブ語 の 用 語 を借
b)鼻
音 化
前 述 し た と お り,/n/ま
一 層 前 進 した 段 階 で あ る.
述 の 通 り,や や長 め の後 口蓋 音 で
イ ル ラ ン ド語 との 違 い に 著 し い も の が あ っ た.こ
N,mh,Nh/な
な わ ち,initial
さ れ る.こ
mutationの
系 列 は,若
き起 こ voiced
干 の 他 の 方 言 に もみ ら れ る 事 実
素 体 系 の 整 合 上,独
れ ば,/p,t,k/お
立 の 音素 とみ とめ られ
よ び/ph,th,kh/の
立 て な け れ ば な ら な い.し
い ま は し ば ら く措 き,以
ほ か に,/b, か し,こ
の 系列 は
上 述 べ た 諸 点 を 考 慮 す れ ば,
別 表 の 子 音 音 素(表3)を
う る.こ
ど.ま
た,/m/→/v/の
mo
母 」 に 対 し て,
mathair/〓/「
わ が母 」 の ご と き も
の で あ る. な お,方
言 に よ っ て は,/p∼ph/→/b/や,/f/→
/v/,/s/→/z/な が,こ
ど の 交替 が み られ る と ころ も あ る
れ らは 一 般的 で は な い.
3)語
頭 以 外 の 変 化(non‐initial
これ に は,子 a)口
の 表 中,N,L,R
音 の み な ら ず,母
の は,唇
nd;l,ll;r,rrに
子 音 は 地 域 に よ り異 な り,ま
当た る もの を受 けつ い で い る こと
t'h/は,ア
た 一 般 に,/t',
イ ル ラ ン ド語 の 口 蓋 音/d',t'/よ
層[〓]に
近 い.ち
だ,語
だ し,thuは u/'thou
ご と く,/h/で
音 間 で は 無 音 とな
っ て 母 音 接 続 を 表 わ す の に 使 わ れ る こ と が あ る.
良い」
fitheath/〓/「
大 が らす 」
こ の 際 ハ イ フ ン は,音
ⅰ )無
多 くの 場 合,こ
頭 子 音 変 化(initial
様 に,
猫 」 →cait/〓/(gen.sg.,ま
膝 」 →glune/glu:n/「
mutation)
膝 の」
ど.
音 変 化(vocalic
mutation)
これ は,ゲ
ル マ ン 諸 語 に 多 い ウ ム ラ ウ トに 当 た る . 名 詞,形 容 詞, おいて
動 詞 な ど に み ら れ る.そ a∼〓:cat/khaht/「
」 →mo
dheise/〓
猫 」∼/〓/(gen.sg.
a∼〓/khas/「 a'
息 子 」 ∼/〓/(gen.
sg.)
「私 の ス ー ツ 」 冬 」 →gaoth
の若 干 例 を示 す.
m.) a∼i:mac/maxk/「
geamhradh/〓/「
少 年 」→balaich/〓/(gen.
(gen.sg.),な b)母
声 摩 擦 音 に変 わ る .
ス ー ツ,服
末 に お け る 性,数,
の 他 の 区 別 に 役 立 っ て い る.
た は,nom.pl.)
glun/glu:n/「
た,athairが/a‐ir'/
「共 通 ゲ ー ル 語 」4,b,iに
deise/〓/「
者 の見 解 も一 定 し イ ル ラ ン ド語 の 口 蓋
た は,nom.pl.)
代 語 に つ い て 主 な 点 を あ げ る と,
気 破 裂 音 は,有
れ ら の 変 化 は,語
場 合 に よ っ て は 格,そ
cat/〓/「
節 の 切 れ 目 を 示 す.同
道 路 」.ま
音 化
れ らの
ー ル 語 と 対 照 を な し て い る.
balach/〓/「
の よ う に な る 地 方 も あ る(ア ー ガ イ ル 地 方 な ど).
も ふ れ た が,現
だ し,こ
た,学
の 点,ア
音 は 一 貫 し て お り,ゲ
sg.,ま
math/ma(h)/「
a)緩
て い る わ け で は な い.こ
暖 か い」
rathad /〓/「
この変 化 を被 る
音 以 外 の 次 の 子 音 で あ る.た
例 外 で/u/.
art')の
末 で は よ く落 ち,母
blath/bla:/「
音 の 変 化 も含 ま れ る.
な み に,thは,tha/ha/'is',
thug/huk/'gave'(た thu/ha
りも一
mutations)
蓋 音 化(palatalization)
は,歴 史 的 に,そ れ ぞ れ 古 期 ア イ ル ラ ン ド語 のn,nn,
が 多 く,や や 長 め の 後 口 蓋 音 で あ る.ま
変 化もあ
る . た と え ば,mathair/〓/「
結 果,ひ
の 無 気 有 声 破 裂 音(unaspirated
に 鑑 み,音
2)語
こで
若 干 の 破 裂 子 音 を あ げ る と,/p,t,ph,th/→/m,
くは 語 頭 に お け る 形 態 音 素 的(morpho‐phonemic)な
あ る.た
た は/m/
が 前 後 す る 母 音 と 連 係 し て 機 能 す る 点 が 強 く 出 て,ア
あ る.
e.g.tha
mi
私は立ってい
ま す」
3)/N,L,R/は,前
d,g/を
cheann
頭 の 中 で」
seasamh/〓/「
りて 「軟 音化 」 と し た. 2)/〓/は,/k/の 軟 音/k/が
stops)の
phos
ⅲ )/f,s,∫/→/φ,h,h/
注:1)こ
変 化,す
do
彼 女 は結 婚 しま した か」
ghe
m.)
足 」 ∼/〓/(dat.sg.
a∼u:alt/aLt/「
指 関 節 」 ∼/〓/(gen.
が っ て 比 較 級,最
sg.m.) 手 」 ∼/Laiv/(gen.
ⅰ )繋
sg.f.)
is
〓::tabh/〓/「
す くい 網 」 ∼/〓/
sg.f.)
あ る が,先
詞
ⅲ )最
定 冠 詞 に は,an,naの2つ
同 じ た め,用 か に5つ
法 も ほ ぼ 平 行 し て い る.名
o語 幹,a語
幹,i語
幹,u語
ぼ 対 応 し て い る.ほ 今 で は,男,女
幹 お よび 子 音 語 幹 に ほ
と な り,主
部 諸 島 以 外 で は,お
格,対
格 の 区 別 も失
幹 名 詞)の み で あ る.し
か し,語
容詞 も含 め て 一 見捉 え ど ころ の な
as
は,第1型
の 男 性 名 詞bard「
格
属
格
baird
baard
与
格
bard
baird
詩
単 数bard
ご と くで あ る(カ
単
格 の
bard
is oldest
of
ッ コ の 中 は,強
こ れ ら は,表 調 形).
数
複
数
2人 称 3人 称 《所 有 格》
bhaird a ‐aibhの
母音 の前
1人 称
3人 称
bharda
形 は,詩
文 そ の 他 の 作 品 で, 表 中 の
は,次
mathair '
の よ う に な る.
音 にlenitionを mother',
起 こ す こ と を 示 す.
do
mhathair 'your
mother'
数》 格 am
複数 子音の前
2人 称
baird
定 冠 詞 と と も に 用 い ら れ る と,次
bard 'the
属
格 a'bhaird 'of
与
格 air a'bhard 'on
対
格 am
《複
数》
ceann'head',mo
poet' the
the
bard'the
7)屈
poet'
ば,aig'at'とmi'me'は 現 わ れ る.2人
baird'the
poets'
pl.againn,agaibh,acaと い て も,そ
格 na 格 nam
与
格 air
対
格 na
baird'the
5)形
容 詞
少 数 の も の を 除 き,先
na
baird'on
は,慣
poets'
行 す る名 詞 の
とえ な って
の 前 置 詞 につ れ らの 融 合 形
用 的 表 現 を と っ て,さ
述用法 で は形 は 不変 で あ
tha
cu
agam'I
tha
cu
againn'we
ま ざ ま な 意 味 を 表 わ す.
当 た る 動 詞 を も た な い ケ ル ト語
(こ こ で は ゲ ー ル 語)で は,こ 表 わ す.
た
こ で は,た
融 合 しagamと
な る.他
格 は 主格 に とっ て
節 以 上 の も の は 語 頭 以 外 は 不 変 で あ り,し
pronouns)
の 形 成 は 同 工 異 曲 で あ る.こ
た と え ば,'have'に
poets'
に 応 じ て 変 化 す る が,属
代 わ ら れ る こ と も 多 い.叙
poets' the
head'
称 以 下,agad,aige(m.),aice(f.),
the
主
bard'of
cheann'my
折(活 用)前 置 詞(prepositional
ケ ル ト語 に 共 通 の 特 徴 で あ る が,こ
poet'
poet'
属
る.2音
teaghlach
who
子音の前 母音 の前
ま れ に 使 わ れ る 古 い 形 で あ る)
性,数,格
de'n
Mary
1人 称
複 数baird
(*bdrdaibh)
主
she
単数
主
《単
sine(oldest)
称 代 名 詞 お よ び そ の 所 有 格
人 」 の 変 化 形 で あ る.
(*与
関係 用法 の 形
<表4>人 称代 名詞 と所 有 格 《人 称 代 名 詞 》
た が っ て,
い 印 象 を 与 え る.次
格 a
よ び,isの
訳する James,)
family'
6)人
頭子
語 の 変 貌 は,動 詞,形
呼
than
上 級 で は,is,お
お む ね 単 複 の 区別 が 認 め ら
音 や 母 音 の 変 化 は 相 変 わ ら ず 頻 出 す る.し
格
Seumas(直
用 い る.
the
4の
na
is older
格 と して 形 態 を 残 し て い る の は 第1
と のo語
対
sine
what
(直 訳 す る と,'is
ま との
用 い る と き は, 関 係 構 文 を と る.
か に 少 数 の 不 規 則 名 詞 が あ る.現
の2性
れ る に す ぎ ず,呼
詞 に は,大
れ は 歴 史 的 に,も
nas
Mary
is i Mairi
の 出 自 が ア イ ル ラ ン ド語 と
の 型 が 認 め られ る.そ
の 型(も
asを
行 の 前 置 詞 や 後 続 の 名 詞 の 諸 形 に 従 っ て,
か な り の 変 異 が 生 じ る.そ
せ,西
が
is older
詞 の 変 化 形thaを
Mairi
と,'is
〔過 去 〕)
型 を 用 い る.
Seumas'Mary
is')+ 比 較 級 +naの
tha 失 う 」∼/〓/(pret.
na
James'
nas('what
黒 い 」 ∼/〓/(gen.
au∼ai:call/khauL/「
詞,名
比 較 級 +na('than')の
Mairi
ⅱ )bi'be'動
〓:dubh/〓/「
4)冠
辞is+ sine
than
(gen.sg.m.) u∼
較 におい
て は,
a:∼ai:lamh/〓/「
a:∼
上 級 の 形 は 同 一 で あ る.比
have
の連 語 を 使 用 して 所 有 を
a dog' have
a
dog'
所有者 は
前 置 詞le'with'+
す な わ ち,'it is leat,し
ら'the
book
mine'な
な らis
book
代 名詞 らis
belongs
is his'と
leis
to
語 は,ア
him'あ
verb)に
ール
で は,airと
則 的 で あ る.現
称 単 数 に 現 わ れ て い る)か の 点,き
単 純 現 在 形 に は 独 自 の 形 が な い.代 総 じ て,bi 'be'動
れ ら
わ め て規 の た め,
わ っ て 時 制 に は,
詞 の 変 化 形 + 前 置 詞(aig 'at'お
よ びair 'after')+
動 名 詞(VN)の
迂 言 形 式(periphrastic (後 述,1の,aお
構造―
form)が よ びbを
あ る.動
詞 的 要 素 の ほ か は,各
taken
my
' my
語 ま
の 後 方 に位
ago)/bha was
cat
air
mor
John
am
Dolly's
ais(since
big
bathach
Iain
cat
Dholly
前 に お か れ,最
で あ る(説 明 は,後 述 の 文 例ⅹⅰ に 再 出).な が 動 詞 の 目 的 語 で あ る 場 合 は,文
お,代
名詞
末 に くる のが 普 通 で
to
意 味 は,実
の型が
常 時 頻 出 す る. a)進
行 相V+S+aig+VN
VNが
特 定 名 詞
目的 語 とす る と
き は,そ
だ し,不
の 名 詞 は 属 格 に お か れ る.た
詞 の 場 合 は 主 格 の ま ま で あ る.目 は,そ の 所 有 格 形 がaigと i)Tha (of
e your
a'
先 行 す る.
gabhail(a‐getting)do
food)'he
こ こ で,bhidhはbiadhの
特定名
的 語 が代 名 詞 の 場 合
融 合 し てVNに
is taking 属 格,bh‐
bhidh your
food'
はdoの
ⅲ )Tha
e a'gabhail e ga(at
biadh'he
is taking
す で に 触 れ た が,ケ
対 等 す る 動 詞 が 欠 け て い る. languages)で
は,所 有 の
verb)thaを
伴 う活 用
下)の 形 式 に よ っ て 表 わ す. agam'I
have
a
house'
称leis,等)を
称leat,3人
の 融 合 形(1人
称
繋 辞(cop
と も に 用 い る.
is
legt'it
is yours'
is
leis an
leabhar'the
book
is his'
ま た,isに
つ い て は,強 調 あ る い は 話 題 提 示 の た め の
構 文 で,'s
e(=is
e),'s
ら も,it's…(that)…
ⅶ )'S
annの
型 式 が あ る.ど
ち
で 示 され る発 想 に類 似 す る の
然,it'sとthatに
挟 まれ る部 分 が卓 立 す る理
イ ル ラ ン ド語 の 項 の
「方 言 と共 通 語 」 を
な わ ち, e cat that
a
John
thug gave
に み る よ う に,'seの
Iain
do
to
James'
次 に は,直
Seumas'it's
接 目 的,主
a
語,名
詞
句 な ど が く る. ⅷ )'S
e cat
Iain'it's
a thoirt to
do
give
Seumus
a cat
a rinn(did)
to James
that
John
did' ⅶのa
thug,ⅷ
ⅸ )'S
ann
'it's to
its)ghabhail'he
a
take→
food'
調 の 型
leam,2人 ula)isと
to
のa
rinnのaは,関
係詞 で
あ る. 要請
で 緩 音 化 し て い る. ⅱ )Tha
my
bhiadh
food
代名詞
cat
(定 冠 詞 ま た は 代 名 詞 所 有 格 + 名 詞)を
have ghabhail
mo my
所 有 者 な ら,le 'with'+
参 照).す
ー ル 語 で は,こ
iarraidh asking
take
taigh
よ びairを,動
,ゲ
ag
前 置 詞(agam以
で,自
一 種 の ア ス ペ ク トで あ る が
take→I
語 の 不 定 法 の よ う に,多
動 詞(substantive
屈 で あ る(ア れは
ghabhail
bhiadh a
ゴ イ デ リ ッ ク 諸 語(Goidelic
動 作 の 進 行 ま た は 完 了 に は,そ れ ぞ れ の 助 辞aigお と も に 用 い る.こ
to
の ま ま で 枠 構 造 を な して い
有 の 表 現,強
あ る.
名 詞(VN)と
a
food
意 で,mo
'I am
I want
初 の部 分 は副 詞 句
後 の 部 分 はadjunct
its
it'
bhiadh
my
mi
ghabhail
cow‐house).
の 部 分 か ら な る が,最
詞bhaの
a year
a'comhnuidh(a
a‐living)/ann
上 文 は,3つ で,動
bliadhna
mo
to take'は,そ
Tha chionn
こ
目 的 に よ く 使 わ れ る.
置 す る. Bho
air after
ル ト語 で は,'have'に
詞 の 前 に お き う る も の は,副
か し,こ
a ghabhail(after
taken
の よ う な 枠 構 造 は,英
c)所 word‐order)
こ の 場 合 に も,目
am)air
food'の
food
る.こ
頻 繁 に用 い られ る
た は そ の 他 の 付 加 的 要 素(adjunct)は,文
(in
mi am
e.g.tha
種 の 動 詞 前 接 辞 で あ る.補
後 出 の文 例
先 行 す る.し
have
ⅵ )Tha ⅵは,'I
いわ ゆ る
参 照).
に お け る 語 の 配 置(basic
語 順 は,VSOで
mi(I
taking)'I
方,
多 数 の 動 詞 は,そ
在 形 は 未 来 時 制 に 当 て られ,そ
miee)―
は 融 合 し な い.
ⅴ )Tha
現 在 形,未 完 了 形 は,
派 生 す る 一 様 の 活 用 語 尾 を も ち,そ
the
了 相V+S+air+VN
動詞
Verb)]
ほ と ん ど 消 失 し,接 続 法 の す が た も 影 が う す い.一
令 法2人
e a'marbhadh(a‐killing) (of
ⅹⅰ を 参 照.
る か に 簡 易化 が進
受 動 形 が 一 貫 し た 体 系 を な し,大
biodh
luchainn
的 語 が 代 名 詞 な ら ばVNに
つ い て は,ゲ
合 的(synthetic)な
ぞ れ の 基 本 形(命
am
nan
る い は'the
of the
of
イ ル ラ ン ド語 に 比 して,は
1)文
ⅳ )Gus
leabharな
b)完
jugation
ん で い る.総
is yours'
an
な る.
[動 詞 と 文 の 構 造(Syntax の 活 用(con
leam,'it
た が っ て,is
it'
の 変 化 の 型 で,
food'
is takig
の ご と く,is
do
Seumas
a
James
that
John
annの
次 に は,間
加 的 要 素 を お く こ と が で き る.
thug gave
Iain the
接 目 的,そ
an
cat
cat' の他の付
ⅹ)'S
ann
a
thoisich
Iain
fhein
ag
drainn(missing)iseanan(of 'it's
John
himself
chickens'― 2)文 は,オ
who
began
後 述 の 文 例ⅹⅱ
例,発
こ れ は 春 が く る ま で う ま く い っ た の で す.
ionn
chickens) to
lose
一 部
訳 と 発 音 転 写,お
よ び 日本 語
Bha
bliadhna ann
e
gle
h‐uile
air
am
mhath
am
an
a
John
big
be
to
of
in
a
fhein
the
'n
ag
to
い,2,3の
に 入 りや す
辞 書 を あ げ る と,
and
English‐Gaelic
Dictionary(Glasgow)―
Dictionary
in
Pronouncing
Two
partsと
eighechd
an
would
all
ann
Gaelic
い わ れ て い た も の を,
very
robh a
bha
デ ィ ンバ ラ で1832年
ッ ケ ン ジ ー(John
で1冊
iad
thoisich
カ ル パ イ ン(Neil
よ る260ペ 後 ,こ
書 は そ の ま ま版 を重
語 に一 般 向 きの 簡 単 な発 音
表 記 が つ い て お り,辞 書 に 先 だ ち,45ペ "Rudiments of Gaelic Grammar"(主 あ り(1975年
は 外 さ れ て い る),実
ー ジ にわ た る に 名 詞 と動
の リ プ リ ン ト版 で は,こ れ
用 的 に は 便 利 な 辞 書 と い え る.
2)Macbain,Alexander(1896),An
leo. (逐 語 的 に;People were him
at
began
losing
who
of
began
John
chickens,and
he
which
was
them
away.)
moving
は,す
し,オ
shouting that
they
chickens.But himself
knew
a‐missing
that
along
it's
with
'twas
the
Dictionary
of
in
verness)―
of
日 ま で 唯 一 の も の.35ペ
cat
them=taking
Gaelic
Etymolog
the
Gaelic
Language(In
こ の 種 の 学 術 的 な も の と し て は,今 ー ジ の 序 論"Outlines
Etymology"に
を 除 く,6,900語
つ づ く375ペ
上 文 中6か
所 の 鼻 音 化 の 部 分 の 表 記
フ テ ダ ル の/〓/を/〓/に
べ て/b,p/を/p,ph/の
変 更.破
裂 音
要 領 で 変 え て あ る.
ing
and
Etymological
Pronounc Dictionary of
Language
(Edinburgh;repr.1979,Aberdeen
University
Press)―
し た が っ て,同 だ し,語
生語
が 含 ま れ て い る.
the
Gaelic
マ ッ ク ベ イ ン(Macbain)の
語 源 辞 書 に よ り,上
ⅹⅰ)
of
ー ジ に,派
3)Maclennan,Malcolm(1925),A
《発 音 転 写 》 を修 正
the
ical
の2部
MacAlpine)は,
で 亡 く な っ た が,辞
詞 の 活 用 表)が
a'falbh
Mackenzie)に
日 に 至 っ て い る.各
版は
の 出 版.1845年
部 が 補 充 さ れ,以
と な る.マ
1867年,81歳
iseanan,agus a
に,マ
ね,今
gun
cat
ー ジ,エ
ー ジ あ ま り のE∼Gの
spring.)
's
e
he
was
the
of
him,giv
that
ionndrainn gur
ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 の 語 彙 の 集
紀 の 末 に 遡 る が,使 用 に 堪 え る 辞 書 の 出 版 は
紀 以 降 の こ と と い っ て よい . 現 在,手
281ペ
cow‐house
mice.This
came
ag e
書]
こ れ は 従 来,MacAlpine's
backwards
good
iseanan.Ach
dh'aithnich
year
day,so
the
daoine nan
Iain
biadh
mhath,gu
a
very
every
there
ⅹⅱ )Thoisich
of
was
killing
わ と り を盗
1)MacAlpine,Neil(1975),Gaelic‐English
a'marbhadh
gle
a‐living
food
good,until
a'call
e
a'
れ で ジ ョ ン は,に
判 型 を 大 き く し て リ プ リ ン ト した も の で あ る.初 end
cat
him
at
mor Dholly.
t‐earrach.
Dolly.He
ing
cat
dha
seo
(逐 語 的 に;From was
bha Iain
biodh
luchainn.Bha
tainig
ais
bathach
dha,a'toirt
latha,gus
nan
[辞 録 は17世 19世
chionn
ョ ンの方 で もにわ と りが い な く
な り始 め た の で す.そ
訳 を 添 え た.
comhnuidh
々 は に わ と りが 減 っ て い く と 騒 ぎ 始
が,ジ
ん で い る の が 猫 で あ る こ と に 気 づ き ま し た.
以 下 の 文 例
フ テ ダ ル(M.Oftedal,Texts5,1956)の
ⅹⅰ)Bho
こ ろ が,人
め ま し た.だ
に 再 出.
音 転 写 お よ び 日 本 語 訳
よ り 引 用 し た も の で,英
ⅹⅱ )と
記1の
辞 書 に 語 源 を 加 え た も の.
書 よ り約65ペ
ー ジ 増 加 し て い る.た
彙,発 音 表 記,解 説 に 関 し て は 多 少 の 入 れ 替 え
は あ る も の の,語
源 を 除 い て は,も
との 辞 書 と ほ ぼ同
じ で あ る. 4)Dwelly,Edward(19738),Faclair
ⅹⅱ )
gu
Beurla
Gaelic
(以上 の 転写 でa= 〓 と
to
le
English
も っ と も詳 し く,特
《日本 語 訳》
た も の.13.3×20.5cm,左
異 な 辞 書.本
か け て33分
前 か ら大 きな 猫 が ジ ョ ンの牛 小 屋 に住 み つ き
ま した.ジ
ョンは 大 変 か わ い が って毎 日餌 を与 え ま
した の で,猫 は よ くね ず み を捕 らえ(殺 し)ま した.
ジ.著
Illustrated
Dictionary)(Glasgow)―
解 して もよい)
ⅹⅰ )1年
Gaidlig
Dealbhan(Dwelly's
書 は,1901∼11年
冊 で 出 た もの を,1920年
者 は,も
に1冊
右2欄77行1,034ペ
と英 国 陸 地 測 量 部 に 勤 務,バ
奏 者 . こ の 著 者 が ゲ ー ル 語 に魅 せ ら れ,独 か け て 作 り上 げ た こ の 辞 書 に は,数
に
に ま とめ ー グパ イ プ 力で生涯 を
多 くの 事 典 的 ま た
語 法 的 事 項 が ス ペ ー ス を 構 わ ず 注 記 さ れ,使 著 者 の 情 熱 と,利
が 解 説 の 節 々 に 感 じ ら れ る.特 物,す
な わ ち,植 物,動
物,鳥
が,ゲ
書 は,今
辞 書 で あ る(図4).こ
習 に は,欠
Aよ
り順 次,ailm「
バ ミ」,dair「 プ ラ 」,fearn「 はibar「
榛 の 木 」,gort「
イ チ イ 」,luis「
「ブ ド ウ,つ
ギ 」,teine「 シ」,ur「 こ れ ら は,オ
ヒ イ ラ ギ 」,(h)uath「
skrift
ヤナ
2)18種
of Skye for
Linguistic
and
Ross‐shire(Norsk
Tids
以 下,NTS〕,Vol.
Ⅱ,Oslo) Gaelic
Grammar(Glas
Publications)
Clement,R.D.(1984),"Gaelic",in
イル ラン
(ed.),Language
か し/h/
bridge
University
in
(Dublin
た が っ て 植 物 名 も 存 在 し な い.huath
Institute
P.Trudgill the
British
Isles(Cam
Press,London)
Dorian,N.C.(1978),East
冠 した
Survey
Scotland,The
Sprogvidenskap〔
Ⅱ Suppl.Bind
Sutherland for
Advanced
Gaelic
Studies〔
以 下,
DIAS〕,Dublin)
は 単 な る 伝 承 に す ぎ な い.
注:1)カ
Irish(Royal
Dialects of
Calder,G.(1923),A
オ ガ ム 文 字 と 関 連 し て,
辞 書(1977年
Language―Based Middle
gow;repr.1972,Gairm
は 声 門 に お け る 強 い 呼 気 を 示 す に す ぎ ず,Hを
<図4>Dwellyの
Gaelic
Dialects エ
字以 来 のア ル フ ァベ ッ ト
表 わ す も の とみ な さ れ て い る.し
本 来 の 名 詞,し
Irish and
Academy,Dublin,1913‐76)
of the
西 洋 サ ンザ
ま で は 廃 れ て い る(ア
ド語 も 同 じ).た だ し,uathは
the Old
[参 考 文 献 ]
リ ン ボ ク」 ガ ム(Ogham)文
コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 の
在 の とこ ろ次 の も のが も っ と も
Borgstrom,C.Hj.(1941),A
た
トネ リ コ 」,onn「
on
Irish
ポ
ツ タ」,ioghま
of
mainly
ハ シ
ニ ワ ト コ」,suil(sail)「
の 呼 び 名 で あ る が,い
huathを
松 」が
カ バ 」,coll「
刷 本 は も ち ろ ん,口
つ 信 頼 が で き る.
Dictionary
ナ ナ カ マ ド」,muin
る 草 」,nuin「
ニ シ ダ 」,ruis「
役 に 立 ち,か
字の数 に応 じて
ー ク 」,eadha(edad)「
格
授 首 唱 の も と にプ
稿 本,印
お,ス
歴 史 的 な 研 究 に は,現
所 に 使 わ れ て い る.
楡 」,beith「 柏,オ
ム ソ ン(D.S.Thomson)教
続 け ら れ て い る.な
の デ ザ イ ンに あ しらわ れ た植 物
除 か れ,デ ザ イ ン用 にbeithが2個
以 来,本
承 伝 承 の 未 収 録 語 彙 を も網 羅 し た 資 料 の 収 集 と整 理 が
く こ との で き な い
類 の は ず で あ る が,ラ テ ン 語 借 用 語 のpin「
ラ ス ゴ ー 大 学 で は,1966年
ロ ジ ェ ク トが 組 ま れ,手
味 深 くま た貴 重 で
の 言 語 の ア ル フ ァ ベ ッ ト18文
18種
め,ト
具 な ど の 挿 絵 は,
日 の 発 達 し た 辞 書 以 前 の もの で あ る
ー ル 語 の 研 究,学
は,こ
ち な み に,グ
的 な ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 の 歴 史 的 辞 典 編 纂 の た
に ス コ ッ ト ラ ン ドの 風 類,器
ど の 辞 書 に も み ら れ な い 特 徴 で,興 あ る.本
う ほ ど に,
用 者 の た めに 行 き届 い た 配 慮 の あ と
Fraser,John(1915),"The
Present
版 の カ バ ー ジ ャ ケ ッ ト)
バ ー デ ザ イ ン はAlasdair
Grayに よる. 類 の 樹 木 の 名 称 が ゲ ー り ッ ク ・ア ル フ ァベ ッ トの18文
字 を 表 わ し て い る .(本
文 の 説 明 参 照)
and
Future
Tenses
of
the
Zeitschrift
Verb
fur
in
Celtische
Scottish Philologie
Niemeyer,Halle,London/New
forlaget,Oslo)
Gaelic",
[参
X(Max
Holmer,N.M.(1957),The
[追
Gaelic of Arran
O
(DIAS,Dublin) Jackson,K.H.(1951),"Common Proceedings
Gaelic",
of
the
British
照]
ア イ ル ラ ン ド語,島嶼
ケ ル ト語,『 大 辞
典 』 ケ ル ト語 派
York)
記] (参 考 文 献)
Murchu,M.(1989),East Social
Academy
37
Perthshire
History,Phonology,Texts,and
Lexicon
(DIAS,Dublin) (土 居
(London)
Early
(1953),Language
and
Britain(Edinburgh
University
(1972),The
Gaelic
of (Cambridge Deer
History
Notes
in
University
Books,The
in Press)
the
[名
Universities
称]
日本 語 で
「イ ス パ ニ ヤ 語 」 と よ ば れ る
の 「イ ス パ ニ ヤ 」 と は,イ
に 由 来 す る 言 葉 で あ る.し
た が っ て,そ
トガ ル が 含 ま れ て し ま い,あ
Press,Lon
ベ リア 半 島
の中にはポル
ま り適 当な言 葉 とは い え
な い.ま た,一 部 の ス ペ イ ン 人 お よ び 中 南 米 の ス ペ イ ン
don) Maclaren,J.(1971),Gaelic
Self
Taught(Gairm
語 圏 の 人 々に よ って
Oftedal,M.(1956),A the
Gaelic
Linguistic Dialects
of
イ ス ラ ム 教 徒 が 北 ア フ リ カ か ら ジ ブ ラ ル タ ル 海 峡 を
Gaelic
越 え て イ ベ リ ア 半 島 に 侵 入 し て き た8世
Lewis,NTS,Vol.Ⅲ
の 内 陸 部 の 北 半 分 に お い て は,非
IV(Oslo)
O'Rahilly,T.F.(1932),Irish and
Dialects
Present(repr.1976,Mount
を 除 き,東
Past
Salus
ン 系 の3言
Pedersen,H.(1909),Vergleichende keltischen
Grammatik
Sprachen(Gottingen;repr.
1976,Vandenhoeck
&
Ruprecht)
Scottish
Based
on
the
Dialect of Ap
テ ィ ー ヤ 地 方 の 言 語 が,15世
紀 末 に な る と,他
じ め は,レ
Thomson,D.S.(1983),The Companion
to
Grammar of
Old
vey of
Irish
and
Sur
Problem
(Philosophical
Library,New
of York)
Watson,W.J.(1926),History of the
Celtic
University
Vowel
Remarks",Lochlann,Vol,ⅵ(Universitets
System
Catolica)に
いた っ
ペ イ ン 国 と い う統 一 国 家 を 形 成 す る た
Nebrija)に
よる 最 初の Castellana
『カ ス テ ィ
,1492)は,ま
さ に こ の た め に 編 纂 さ れ た の で あ る. 統]
ス ペ イ ン語 は,印
語 派 に 属 し て い る.こ
欧 語 族,イ
の イ タ リ ッ ク 語 派 は,さ
タ リッ ク ら にラ
テ ン ・フ ァ リ ス ク 方 言 と オ ス ク ・ウ ン ブ リア 方 言 と に 2大 別 さ れ る.い
Press,Shannon)
Gaelic
I la
め の,有 力 な 手 段 と し て カ ス テ ィ ー ヤ 語 を 考 え て い る.
[系
Scotland(Edinburgh/London;
Watson,J.(1974),"A Ross‐shire:the
the
コ ン キ ス タ)の
の有 名 な カ ス テ ィー ヤ
ラ ゴ ン王 国 と 自分 の カ ス テ ィー ヤ王 国 とを合
ー ヤ 語 文 法 』(Gramatica
DIAS,Dublin)
repr.1973,Irish
て は,ア
ネ ブ リ ー ハ(A.de
Dialects,Vol.4(repr.1981,
Wainwright,F.T.(1956),The
Place‐Names of
立 役 者 に な っ た か ら で あ る.か
併 し て(1479)ス
Irish(DIAS,Dublin)
オ ン王 国 か 紀 になる と
ス ラム 教 徒 を イ ベ リア半
の 女 王 イ サ ベ ル1世(Isabel
Blackwell,Oxford)
Atlas
の理由はひ と
紀 に,レ
島 か ら 追 放 せ ん と す る 国 土 回 復 運 動(レ
Wagner,H.(1958),Linguistic
の有力
オ ン王 国 の 一 部 を なす 伯 爵領 にす
逆 に レ オ ン 王 国 を 併 合 し,イ
Buske,Ham
Thurneysen,R.(1946),A
ラ ゴ ン地 方
治 的 に影 の薄 か った カ ス
ら独 立 し て カ ス テ ィ ー ヤ 王 国 と な り,11世
burg)
Scotland(Basil
言 とい う ラ テ
時 は,ア
ぎ な か っ た カ ス テ ィ ー ヤ が,10世
Analysis of
plecross,Ross‐shire(Helmut
Gaelic
オ ン(Leon)方
語 が 話 さ れ て い た.当
ステ
や レ オ ン地 方 に 比 べ る と,政
え に,は
Phonemic
Gaelic
言,カ
れ を 確 固 た る もの に す る に い た っ た.そ
Scotland,
Douglas,Edinburgh)
Ternes,E.(1973),The
言,レ
島
2方 言 を 圧 倒 して 標 準 ス ペ イ ン 語 の 地 位 を 獲 得 し,そ
Skene,W.F.(1886,18902),Celtic 3 vols.(David
紀 初 頭,半
印 欧 語 系 の バ ス ク語
か ら西 へ ア ラ ゴ ン(Aragon)方
ィ ー ヤ(Castilla)方
Press,
Dublin)
der
れ は標 準 ス ペ イ ン語 の発
祥 地 に ち な ん だ 呼 称 で あ る.
Survey of
Scotland,The
Leurbost,Isle of Suppl.Bind
「カ ス テ ィ ー ヤ 語(castellano)」
と よ ば れ る こ と も あ る が,こ
Publications,Glasgow)
Picts
敏 雄)
espanol,英Spanish
全 体 を 意 味 す る ラ テ ン 語 の 「ヒス パ ニ ア(Hispania)」 Yourself
English
ス ペ イ ン 語
こ とが あ る が,こ
Book
Press)
Mackinnon,R.(1971),Gaelic(Teach
of
Gaelic
Dialect and
of
N.E.
General
語 で あ る.ロ
わ ゆ る ラ テ ン 語 は,前
ー マ が 発 展 し て,領
者 に属 す る 言
土 を 着 々 と拡 大 し て
い っ た 頃 か ら,ラ テ ン 語 は,文 語 の ラ テ ン 語 す な わ ち 古 典 ラ テ ン語 と,口
語 の ラ テ ン語 す なわ ち俗 ラテ ン語 と
の 差 異 が は な は だ し く な っ て き た.ロ nia)各
マ ニ ア(Roma
が 用 い ら れ,一
地 に 運 ば れ て い き,方 言 分 化 を 起 こ し な が ら も,
原 住 民 の 言 語 を 抑 え て,の 台 と な っ た の は,い
ちの ロマ ンス 諸 語 成 立 の 土
う ま で も な く 後 者,す
な わ ち,俗
ロ マ ン ス 諸 語 成 立 の 舞 台 と な っ た ロ マ ニ ア は,ロ ロ マ ニ ア,サ
ロ マ ニ ア に3大
マ
ル ジ ニ ア(Sar
別 され,さ
ら に,こ
の中の
ベ ロ・
さ れ る.こ
のイベ
ロ ・ロ マ ニ ア で 話 さ れ る ロ マ ン ス 諸 語 を イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 と よ ん で い る が,そ
の 代 表 的 な 言 語 に,カ
ニ ア 語(カ タ ル ー ニ ャ語),ポ
ル トガ ル 語,そ
タロ
してスペ
メ リ ー ヤMelilla),以
上 が,ス
Canarias),北
キ シ コ,グ
カ ラ グ ア,コ
ド ミニ カ,プ
ル ー,ボ
南米で
ン ジ ュ ラ ス,エ
ルサル
ナ マ,キ
ネ ズ エ ラ,コ
リ ビ ア,パ
ル ゼ ン チ ン,チ
が 話 され て い る.そ で,ス
よび,感
ュ ー バ,
ロ ン ビ ア,
ラ グ ア イ,ウ
リの19か
国 で,ス
い,ス
た,ア
ル グ
[音
韻] 音 音 素
せ な い 人 が か な りい る.フ
国
ペ イ ン語 し か 話
ィ リ ピ ン で は,タ
5種 類 あ り,次
の よ う に な る.
閉 母 音,e,o,aは
開 母 音 で あ る.
前 方 母 音 中 央 母 音 後 方 母 音
高母音 中母音 低母音 2)半
ガ ログ語
母 音 音 素
の 場 合,半
yとwの2種
母 音 音 素 と は,た
類 が あ る が,こ
と え ば,次
y―aire「
空 気 」,piano「
calle「 通 り」,hielo「 w―auto「
自 動 車 」,bueno「
く ら ま せ る 」,hueco「 3)子
ピ ア ノ 」,mayo「5月
音 音 素
合 計17種
良 い 」,ahuecar「
類 あ る.し
ペ イ ン語 か ら の 借 ィ リ ピン人 の姓 名
い う こ と に な る.し
れ は,16世
言 や 中 南 米 の ス ペ イ ン 語 な ど で は,/〓/が
か ら19世
紀 ま で こ の 地 域 が ス ペ イ ン人 に よ っ て 支 配
さ れ て い た か らで あ る.そ
う は い っ て も,現
今 で は,
ス テ ィ ー ヤ 語 と 記 す)の 音 素 の 数 は,合
つ 減 っ て23種 は,次
か し,大
類 と な る.カ
1968年
の 統 計 に よれ ば,ス 話 さ れ,こ
え る 中 国 語(北 第3位
万 人 に よ って
無 声 ・破 裂音 系列
万 人 を数
有 声 ・破 裂音 系列
の 話 者 の 数 か らい え ば,4億9千 京 官 話),3億
人 の 英 語 に 次 い で,世
と の こ と で あ る.1億7千
と い う理 由 で,ロ
シ ア 語 を 第3位
万 人 の 話 者 を有 す る と す る 統 計 も あ る が,
ス ペ イ ン語 圏 の 人 口増 加 に は 著 し い も の が あ り,現 で は,2億
[文
今
人 が ス ペ イ ン語 を話 して い る と考 え るの が
常 識 な の で,話 第3位
界
者 数 か ら み た 場 合,ス
ペ イ ン語 の 世 界
で あ る.た
ス ペ イ ン語 の 使 用 文 字 は,ラ
だ し,英 語 で 用 い ら れ て い る26文
に,ch[〓],ll[〓],n[〓],rr[〓]の4文
な い た め,1
ス テ ィー ヤ 語 の 子 音 音 素
無 声 ・摩擦 音 系列 鼻 音 系列 流
音
/〓/は,英
語 の それ が摩 擦 が弱 く円熟 性 を有 す るの
に対 し,カ ス テ ィ ー ヤ語 の それ は摩 擦 が 強 く粗 擦 性 を 有 す る.ま た,カ ス テ ィ ー ヤ語 の/s/は,上
表 で は,
硬 口蓋 音 序 列 に組 み入 れ られ て は い る もの の,実 際 は,
は 動 か な い と考 え て よ い. 字]
部 分 の ア ンダ ル シー ア方
唇音 歯(茎) 硬 口蓋 軟 口蓋 序列 音序列 音序列 音序列
の ヴ ァ ー グ イ ン(J.Verguin)
ペ イ ン 語 は1億4千
下 で
計24と
の よ う に な る.
日 常 会 話 に ス ペ イ ン語 は ま っ た く用 い られ て い な い. [話 者 数 ]
た が っ て,標
準 ス ペ イ ン語 と さ れ て い る カ ス テ ィ ー ヤ 方 言(以
を は じ め と す る 原 住 民 の 言 語 に,ス
紀後半
ふ
うつ ろ な」
用 語 が 相 当 数 入 っ て お り,ま
に ス ペ イ ン語 風 の も の が 目立 つ.こ
」,
氷」
は,カ
た,フ
の よ うな単 語
の 中 の イ タ リ ッ ク 体 の 文 字 の 部 分 の こ と で あ る.
ペ イン語
れ に ス ペ イ ン を 加 え る と,20か
メ リカ 合 衆 国 で も,ス
の い か な る 言 語 で も用 い ら れ な
ペ イ ン語 独 自 の 記 号 で あ る.
1)母
ペイ ン語 が公 用 語 と して 用 い られ て い る こ とに
な る.ま
た,疑 問 の 音 調 で
嘆 の 音 調 で 読 ま れ る べ き部 分 の 冒 頭 に 付 さ れ
る 〓と い う記 号 は,他
ペ
の ほ か,中
ス タ リカ,パ
エ ル ト リ コ,ベ
エ ク ア ドル,ペ ア イ,ア
と よ ば れ る記 号 ¨ が 必 要 で あ る.ま
よび
ペ イ ン 国 に 属 し,ス
ア テ マ ラ,ホ
表わすた
た は デ ィ エ レ シ ス(dieresis)
ア
ウ タCeuta,お
イ ン語 を 用 い て い る 地 域 で あ る.こ
日 本 」),そ れ に,gui[gi],
対 す るgui[gwi],gue[gwe]を
イ ベ リ ア 半 島 の 東 部 お よび 西 部 を 除 ナ リ ア ス 諸 島(Islas
フ リ カ の 小 さ な ス ペ イ ン 領 土(セ
バ ドル,ニ
gue[ge]に
こ の う ち,i,uは
イ ン 語 が あ る. [分 布 地 域]
一 の文 字 と して扱 わ れ て い
読 ま れ る べ き部 分 の 冒 頭 に 付 さ れ る 〓 とい う記 号,お
イ タ リ ア,イ
ロ マ ニ ア(Iberorromania)に4分
は,メ
字 は,単
の ほ か,強 勢 の 例 外 的 な 位 置 を 示 す 強 勢 符 号(た
め の ク レ ー マ(crema)ま
ロ ・ ロ マ ニ ア(Galorromania),レ
ト ・ロ マ ニ ア(Retorromania),北
い た 内 陸 部,カ
ペ イ ン語 の ア ル フ ァ ベ ッ ト
と え ば,Japon[〓]「
ン ス 語 学 的 見 地 か ら,東
西 ロ マ ニ ア が,ガ
般 に は,ス
文 字 か ら な っ て い る と され て い る.な お,
ch,ll,rrの3文 る.こ
ラ テ ン語 の 方 で あ る.
degna),西
は,合 計30の
テ ン文 字
舌先 ・ 歯 茎 音 で あ る.ま た,流 音 の/r/は
字 のほか
は ふ るえ 音 で あ る.と
字
弾 き音,/r/
ころで 以 前 は,カ ス テ ィー ヤ 語
の子 音音 素 体 系 に は,硬 口蓋 ・ 側 面 音 の/〓/が
加え ら
れ て い た が,現 今 で は,首 都 マ ドリー ドで す ら聞 かれ
接 続 法 現 在 完 了
haya
ず([j]と
接 続 法 過 去 完 了
hubiera
発 音 され て い る),旧 カ ス テ ィー ヤ の 辺境 の
農村 地 帯 へ 行 って,や っ と聞 か れ る とい っ た 状 態 な の で,あ え て カ ス テ ィー ヤ 語 の 音 素 目 録 か ら削 除 した. ス ペ イ ン語 で は,声 門 閉 鎖 音 は無 論 の こ と,た とえ
人 称 は,1人
称,2人
と 複 数 の2つ
称,3人
で あ る.そ
人 称,数
混 在 し て い る の で あ っ て,ど
か らな っ て い る こ と,呼 気 の続 くか ぎ り,語 と語 の 間
ど の 部 分 が"数"を
はつ な げ て発 音 され る こ と,/b,d,g/は,上
は,原
い
と い う4つ
称 の3つ,数
則 と し て 不 可 能 で あ る.た
て,直
らか に 発 音 され る
と え ば,cantaron
了 過 去,3人
り の ‐aronが 称,複
み に な っ て い る. 2)再
帰 動 詞 の 数 が 目 立 っ て 多 い.ス ペ イ ン 語 で は ,
他 動 詞 的 なlevantar[〓]「
子音 体 系 に,有 声 ・摩 擦 音 系列 を欠 い て い る こ とも,
代 名 詞se「
見逃 して は な らない 音 声 的 特徴 で あ ろ う,
自 身 を 起 こ す 」 と い う形 に よ っ て,自
4)強
勢
強 さの 強 勢で あ り,音 の 高 低 は,非
次 の よ う な興 味 深 い 最 小対 立 が 生 まれ る. habito[〓]「
「私 は 住 む 」:habito[〓]「
制,人 称 ,数 が
表わ され る,法 に は,直 説 法,接 続 法,命 令 法 が あ り, 時制 に つ い て は,直 説 法 の 中 に,現 在,完 完 了過 去,未 来,過 去 未 来 の5つ,接
了過 去,不
続 法 の中 に,現
在 と過 去 の2つ が あ り,こ れ ら7つ の時 制 の お の お の に,複 合 時 制 とも よ ばれ る完 了形 が あ る. た と え ば,動 詞hablar「
語 で は,た
こ と が 頻 繁 で あ る が,ス
hablo
hablamos
称
hablas
hablais
3人
称
habla
hablan
hable「
制,人
述 べ た よ う に,動
称,数
の で,と
を,た
く に1人
que
manana?「
動 詞creesに
crees
que
vendra
manana? の こ と は,ス ペ イ ン語 で は,
ラ テ ン 語 ほ ど で は な い に せ よ,主
わ ち,主
自 由 で あ る 上 に,疑
接 続 法 現 在
hable
よ う なdo,does,didと
hablado
直 説 法 過 去 完 了
habia
直 説 法 未 来 完 了
habre
直 説 法 過 去 未 来 完 了 habria
hablado hablado hablado
な
部 + 述 部 」 の 順 に 並 べ る 必 要 は な い. 5)4で
述 べ た と お り,主
部 と述 部 の 語 順 が 比 較 的
問 文 や 否 定 文 に な っ て も,英
語の
い う代 動 詞 を 用 い な い の で,
全 体 疑 問 文 と そ の 全 体 疑 問 文 に相 応 す る 平 叙 文 と を 区 称単
別 す る も の が,イ
ン トネ ー シ ョ ン 以 外 に は ま っ た く な
い と い う 事 態 が 十 分 起 こ り う る.た he
部 と述 部 の 語 順 が 比
部 を も っ た 文 の 場 合 で も,平 叙 文 の 場 合,「 主
hablaria
直 説 法 現 在 完 了
主語人称代名詞の
つ け て,
直 説 法 過 去 未 来
数 形 を 示 す.
君は彼が明 日
や っ て 来 る と思 う か い 」
私 は 話 して い た」
た はhablase
称 の主 語 人 称 代 名 詞 は あ ま
と え ば, vendra
私 は話 す だ ろ う」
れ ぞ れ の1人
とつ の 動 作 を 表 わ す の
とえ 混在 的 にで は あれ 表 現 で き る
り 用 い ら れ な い.た
hablare「
hablaraま
詞,
較 的 自 由 で あ る とい う こ と に もつ な が っ て い る.す
私 は 話 した」
類 に つ き,そ
∼ を(じ
詞 の 活 用 語 尾 が,法,時
称,2人
直 説 法 未 来
合 時 制6種
with「
わ ゆ る分 析 的方 法 を 用 い る
の よ う に,ひ
直 説 法 不 完 了 過 去 hablaba「
接 続 法 過 去
up
ピ ュ ラ ー な 動 詞,副
ペ イ ン 語 は こ れ と は 反 対 に,
とす る 必 要 は 普 通 な い.こ
称 単 数 形 だ け を示 し て お く.
直 説 法 完 了 過 去
4)1で
Tu
そ の 他 の 法,時 制 に つ き,
自分
動 詞 的 な 「起 き
れ ぞ れ 単 一 の 形 を し た 動 詞 を 用 意 す る.
2人 称tuを
称
い で にhablarの
に,そ
と い う疑 問 文 で は,主
2人
次 に,複
と え ば,put
複数
1人
そ れ ぞ れ の1人
3)英
Crees
話す 」の 直 説 法 現 在形 は,
単 数
帰
る 」 と い う 意 味 を 出 す.
aguantar「(同)」
詞 の 活 用形 に よ って,法,時
と な る.つ
自 分 自 身 を」 を つ け たlevantarse「
前 置 詞 を 組 み 合 わ せ た,い
彼 は 住 ん だ」
[文法 的 特 徴] 1)動
起 こ す 」 に,再
っ と)我 慢 す る 」 の よ う に,ポ
衣服,習 慣 」:habito[〓]
定
全体 と し
数 形 を 表 わ す仕 組
は ス ペ イ ン語 を 詩作 に適 した言 語 に して い る.ま た,
関 与 的 で あ る.た とえ ば,強 勢 の位 置 の変 化 に よ って,
表 わ し,
ま で が 動 詞cantar(不
な どの 理 由が 加 わ って,ス ペイ ン語 には,語
とい う音 声 学 的 一 大 特徴 が あ り,こ の 特 徴 が,ひ い て
詞の活用語尾の 中に
表 わす の か を明 瞭 に 指 摘 す る こ と
詞)「 歌 う」 の 語 根 で あ り,残
間 の 切 れ 目が 分 か らな い ように,滑
数 制,
の 部 分 が"法"を
「彼 ら は 歌 っ た 」 は,cant‐
説 法,完
は,単
れ ら の,法,時
の 要 素 は,動
う摩 擦 異 音 の 形 で 現 わ れ る場 合 が 圧 倒 的 に多 い こ と, と語 との
たは
hablado
し て,こ
に嫌 う.そ れ に,基 本 的 な音節 構 造 が 「子 音 +母 音 」
表 では
habladoま
hubiese
ば,日 本 語 の促 音 の よ うな 喉頭 の 緊 張 を伴 う音 を極 度
有 声 ・破 裂 音 と した もの の,実 際 には[〓]と
hablado
た 全 体 疑 問 文 を,そ Crees
que
と え ば,4で
あげ
れ に 相 応 す る 平 叙 文 の,
vendra
manana.「
君 は 彼 が 明 日や
って 来 る と思 って い る」 と 比 べ る と,両
者 は,表
記 の 上 で は,疑
問 符 が ない か
ぎ り ま っ た く 区 別 で き な い.ス
ペ イ ン語 が 疑 問 の音 調
種 類 に つ い て,以
で 読 ま れ るべ き部 分 の 冒頭 に 〓をつ け る こ とに した理
は,ガ
由 は,こ
れ は,同
[語
の あ た りに あ る の で あ ろ う. 彙 ]
ス ペ イ ン語 の 祖 語 が 俗 ラ テ ン語 で あ る
下 に 簡 単 に 説 明 す る.な
リ シ ア(Galicia)方
1)レ
方 言 が,ポ
言
か つ て の レオ ン王 国 の
ペ イ ン語 の語 彙 の大 半 は ラテ ン系 の もの で あ
使 用 言 語 と い う勢 威 は ど こ へ や ら,現
る が,ラ
テ ン語 以 外 の言 語 か らの 借 用 語 彙 もな いわ け
ィ ー ヤ 語 の 勢 い に 押 さ れ,こ
1)ロ
か ら の 借 用 語 ら し い が,語 barraca「
バ ラ ッ ク 」,barro「
た ま り 」,manteca「 2)バ
樺 」,alamo「
taza「
豚 」,toro「
とん
雄牛」
芽 」,espia「
ス パ イ 」,
ナ ス 」,jarra「
カ ッ プ 」,zanahoria「
壺 」,
に ん じん 」
雪 崩 」,consome「
コ ン ソ メ 」,de ス テ ー キ 」,flan
け だ る さ 」,interviu
ミ ー テ ィ ン グ 」,water[〓]
行 音 と よ ぶ)の 前 で は,
二 重 母 音 化 す る が,Eは は,い
二
ず れ も二 重 母 音 化 し
い う,ポ
ル トガ ル 語 的 な 二 重 母 音
が 豊 富 で あ る. 末の
‐oと
‐eが,そ
れ ぞ れ ‐uと
部 の レ オ ン 方 言 で,ウ
‐iに 閉
ム ラ ウ ト現
象 が 聞 か れ る. ⅴ )語
頭 のF‐
が,そ
の ま ま 保 た れ る(カ.で
は,F‐
頭 のL‐
る(カ.で ⅶ )語
が 口 蓋 化 し た り,[〓]に
は,不
頭 のN‐
な った りす
変).
も,n‐
と 口蓋 化 す る(カ.で
は,不
変). 19世
(F.Schlegel),お
紀,ド
イ ツ の シ ュ レー ゲ ル
よ び フ ン ボ ル ト(W.von
Hum
boldt)の
た て た 言 語 の 類 型 的 分 類 に よ れ ば,ス
語 は,語
の 実 質 的 な 意 味 を 表 わ す 部 分 と文 法 的 な 意 味
を 表 わ す 部 分 と が 分 離 で き な い ほ ど,密
接 に結 合 して
ち お う屈 折 型 と 考 え ら れ る.し 「君,私
ペイ ン
に キ ス し て お くれ 」:Me
か し, besa.
「彼 は 私 に キ ス を す る 」 の よ う な例 を み る と,孤 blanca「
立 型 の よ う で も あ る し,ま た, 白 い 家 」:las
れ を 要 す る に,上
casas
blancas
着 型 の よ うな気 も して
記 の シ ュ レー ゲル と フ ンボ
ル トの 分 類 に 強 い て 従 う な ら ば,ス け 屈 折 型 の 言 語 で あ る が,結
が,[〓]を
に な っ て い る(カ.で ⅸ )‐CT‐,‐LT‐ (カ.で 2)ア
は,さ
経 て,[t〓]と
は,[〓]で
か[ts]
止 ま る).
が,‐it‐ の 段 階 に と ど ま っ て い る ら に 変 化 が 進 ん で[t〓]に
ラ ゴ ン(Aragon)方
言
ス テ ィ ー ヤ 語 に 圧 倒 さ れ て,現
な る).
かつての アラゴン
王 国 の 使 用 言 語 ア ラ ゴ ン方 言 も,レ
の 音 声 的 特 徴 は,次 ⅰ )終
オ ン方 言 以 上 にカ
今 で は,ピ
レネ ー 山 脈
局 は,混
ペイ ン語 は と りわ 合 型 な の だ,と
い う こ とに な ろ う.
目 の音節 に強 勢 が か か る語 に つ
れ を 終 わ り か ら2番
た と え ば,medico「
目 の 音 節 に か け る.
医 者 」 をmedicoの
よ うに
発 音 す る. ⅱ )強
勢 の か か っ たOとEを,そ
れ ぞ れuaとia
に 二 重 母 音 化 す る. ⅲ )強
ス ペ イ ン 語 の 主 た る 方 言5
の よ う な 点 に あ る.
わ り か ら3番
い て,そ
の 複 数 接 尾 辞 に 注 目 す る と,膠
[方 言 の 種 類 と 分 布]
ⅷ )PL‐,CL‐,FL‐
中 の 渓 谷 の 村 々 で 話 さ れ る だ け に な っ て し ま っ た.そ
「白 い 家 々 」
く る.こ
よ び 硬 口 蓋 子 音[〓](こ 常,ヤ
重 母 音 化 し な い(カ.で
ⅵ )語
ク ラ ブ 」,esplin「
[類 型 論 的 特 徴]
casa
は,
>h‐ > φ).
「 トイ レ」
la
口 蓋半 母 音[j]お
じ る た め に,一
デ ビ ュ ー す る」,filete「
「会 見 」,mitin「
Besame.
ⅱ )硬
ⅳ )語
語 か ら の 借 用 語,
い る の で,い
れ ぞ れuoま
二 重 母 音 化 す る(カ.で
な い).
ラ ン ス 語 か ら の 借 用 語.
club「
よ びiaに
ⅲ )eiとouと
「プ リ ン 」 7)英
お,文
文字 はラテン
勢 の か か っ たOとEが,そ
れ ら を 総 称 し て,通
着 物」
砂 糖 」,berenjena「
butar「
ⅰ )強
強 勢 の か か っ たOは
ガ チ ョ ウ 」,ropa「
avalancha「
の よ う な 点 に あ る.な
「カ ス テ ィ ー ヤ 語 」 の 略,大
た はua,お
ラ ビ ア 語 か ら の 借 用 語,
azucar「
リ シ ア と境 を 接
ueとie).
ポ プ ラ 」,berrueco「
糸 枠 」,brote「
ganso「
6)フ
広野」
ル マ ン語 か ら の 借 用 語.
aspa「
か し,依 然 と し て,
中 や,ガ
そ の 音 声 的 特 徴 は,次 中,カ.は
左 の 」,pestana
黒 板 」,vega「
が り岩 」,puerco「
5)ア
水
犬」
ル ト語 か ら の 借 用 語.
abedul「
カ ン タ ブ リア(Cantabria)山
語 で あ る.
ベ レ ー 帽 」,izquierdo「
「ま つ 毛 」,pizarra「
4)ゲ
泥 」,charco「
ラ ー ド」,perro「
ステ
す る レ オ ン地 方 に お い て 根 強 く 用 い ら れ て い る.
ス ク 語 か ら の 借 用 語.
boina「
3)ケ
源 不 詳 の も の.
今 で は,カ
の 方 言 の話 され て い る範
囲 が 縮 ま った こ とは 確 か で あ る.し
ー マ 侵 入 以 前 の イ ベ リア 半 島 の 原 住 民 の 言 語
こで
ル トガ ル 語 に 属 す る か ら で あ る.
オ ン(Leon)方
以 上,ス
で は な い.
お,こ
言 に つ い て は 扱 わ な い.そ
勢 の か か っ たOとEの
で あ っ て も二 重 母 音 化 す る.
両 方 を,ヤ
行音の前
ⅳ )語
末 の ‐oと
(カ.で
は,そ
ⅴ )[∫]音
‐eが,多
く の 場 合,ゼ
ロに な る
の ま ま 保 た れ る).
や[ts]音
ⅱ )語
ⅵ )語
頭 のF‐
が,そ
の ま ま 保 た れ て い る.
ⅶ )語
頭 のJ‐
を[〓]と
ⅷ )母
音 間 の 無声 破 裂 子 音 の有 声 化 が 起 こ ら な い
ⅸ )PL‐,CL‐,FL‐
し て 保 つ(カ.で
ⅹ )‐CT‐
や‐ULT‐
(カ.で
ロ).
[〓]で 止 ま る(カ.で
は り ‐it‐に と ど ま る
は,そ
は,[x]に
ス ラ ム の 最 後 の 拠 点,グ
に,イ
ス ラ ム 教 徒 の み な らず,ユ ら は,中
フ リカ 北 部 に 逃 れ,そ
い ま だ に15世
の変化が
な る).
声 的 特 徴 は,次 ⅰ )[v]音
た,ス
ペイ
重 な 資 料 を 提 供 し て い る.そ
の音
の よ う な 点 に あ る.
じ き 音[〓]で
在 し な い). あ る(カ.で
は,
ふ る え 音[r]). 発 音 さ れ,前
と[〓]音
方母音の前ではゼ ロと
が 残 っ て い る(カ.で
は,そ
れ ぞ
な っ た).
残 っ て い る(カ.で
が,[ts]は
ⅵ )語
残 っ て い な い(カ.で
‐lと ‐rが 混 同 され て,す
べて
な っ て い る)
は,[ts]も[〓]と
ⅶ )母
音 間 の[〓]が,ゼ
ロに な る こ とが
多 い. ⅷ )iで 述 べ た よ う に,‐s> ‐h> ‐ φ と な る.ま た, ‐s+β‐> ‐φ‐(無 声 ・両 唇 ・摩 擦 音) ,‐s+δ ‐> ‐θ ‐, ‐s+〓‐> ‐x‐と い う 同 化 現 象 も起 こ る . 末 の ‐dは,ゼ
た り,ゼ ⅹ )語
ロ に な る(カ.で
は,‐θ に な っ
ロ に な っ た り す る).
末 の ‐nは[〓]に
5)中
な り,さ
南 米 の ス ペ イ ン 語
に 運 ば れ て い き,123種
い て,公
ら に,先
1492年
行の母音を
の コ ロ ンブ ス
ペ イ ン語 は,新
大陸
類 もあ っ た と い わ れ る 原 住 民 エ ル ト リ コ を 含 め た19か
用 語 と し て 用 い ら れ て い る.と
ら の 国 々 が,ま
が 残 っ て い る.
時 期,す
ン ダ ル シ ー ア(Andalucia)方
言
こ の よ う な 一 項 目 を 設 け た け れ ど も,ア は,国
便 宜 上,
ンダ ル シー ア
土 回 復 運 動 と と も に,13世
紀 以 降,
ス ペ イ ン南 部 へ 運 ば れ て 行 った カ ス テ ィ ーヤ 方 言 の一
国 にお
こ ろ で,そ
れ
だ ス ペ イ ン の 植 民 地 で あ っ た 頃,新
し
な わ ち16世
紀 初 頭 に,ス ペ イ ン か ら渡 っ て い
っ た ス ペ イ ン 人 の 中 に は,ア
ン ダル シー ア 出 身 の 人 々
が 圧 倒 的 多 数 を 占 め て い た が た め に,い の ス ペ イ ン 語 は,ア
ま で も中南 米
ン ダ ル シ ー ア 方 言 と酷 似 し た 音 声
的 特 徴 を 示 し て い る.
変 種 に す ぎ な い.歴 史 的 に は そ の とお り な の で あ る が,
以 下 に,そ
そ れ で は,現
に 記 し て お か ね ば な ら ぬ こ と が あ る.そ
今 で も,ア
ンダル シー ア方 言 の 諸 特 徴 は
れ ら の 音 声 的 特 徴 を 列 挙 す る が,そ れ は,中
カ ス テ ィ ー ヤ 語 の そ れ に 酷 似 し て い る か と い う と,そ
の ス ペ イン 語 の ど ん な 音 声 的 特 徴 に せ よ,中
れ が 案 に 相 違 して,そ
ペ イ ン語 圏 の す べ て の 地 方 で 聞 か れ る と い っ た,広
う で は な い.い
ま こ こ に,そ
の
音 声 的 特 徴 を 列 記 す る. ⅰ )語
‐rと
発 音 さ れ る.
い ス ペイ ン語 が公 用 語 と して定 着 す る も っ と も大切 な
頭 のF‐
方 言 と は,実
音素論的対立
発 音 す る 地 方 が あ る.
の 言 語 を 抑 え て,プ は,[〓]と
な っ た).
4)ア
発音
ン ダ ル シ ー ア 北 西 端 に は,文
に よ る ア メ リカ 大 陸 発 見 以 降,ス
れ[s]と[x]に ⅴ )[dz]は
方 と も[j]か[〓]で
鼻 母 音 化 す る.
な る. ⅳ )[z]音
字
音 素 論的 対 立 を
を 維 持 し て い る 地 方 も あ る.
ⅸ )語 は,存
で 発 音 す る地
つ い て,/〓/:/y/の
節末 の
れまた閉鎖的な
で 発 音 す る地
ス テ ィ ー ヤ 語 の よ う に,文
だ し,ア
ⅵ )音
が 残 っ て い る(カ.に
ⅲ )llは[j]と
さ れ る.た
字chを[∫]と
ら の ス ペ イ ン語 に は,
れ以上 は
保 つ 地 方 も あ る.
ⅴ )文
れ ら 各 地 で,こ
が,は
た,カ
ダ ヤ人 まで もス ペ イ
ペ イ ン 語 史 の 研 究 上,ま
頭 のr‐
方 と も[s]音 方 と も粗 擦 の[〓]音
ラ ナ ー ダの 陥 落 と と も
紀 末 の ス ペ イ ン語 の 特 徴 が 一 部 そ の ま
ン語 の 方 言 学 上,貴
ⅱ )語
1492
か し,そ
つ い て,/s/と/〓/の
字llとyに
東 や バ ル カ ン 半 島,ア
の た め,彼
ま 残 っ て お り,ス
字sとzを,両
方 も あ れ ば,両
ⅳ )文 字llとyは,両
年,イ
社 会 を 形 成 し た.そ
に な る.し
ロ に は な ら な い.
sとzに
ダ ヤ ・ス ペ イ ン 語(judeo‐espanol)
ン か ら 追 放 され た.彼
ⅲ )文
の母
の 数 が 倍 増 し た.
がh‐
方 も あ る.ま
な る).
ⅹⅰ )‐LY‐,‐C'L‐,‐T'L‐,‐G'L‐
3)ユ
は,ゼ
の ま ま 保 た れ る.
は,や
は,[〓]に
頭 のF‐
進 ま ず,ゼ
の 方 言 の み で あ る). は,そ
い う新 し い5つ
音 音 素 が 生 ま れ,そ
が 存 在 す る.
(西 ロ マ ニ ア で は,こ
め,/i//〓//a//〓//u/と
末 の ‐s> ‐h>
素 の 倍 増.た
囲 に わ た る も の な ど は1つ ‐φ の 変 化 に 起 因 す る 母 音 音
と え ば,‐s>
「家 」 とcasas「 が な く な る が,こ
は 単 ・複 の 区 別
れ を 避 け る た め,複
母 音 が 開 母 音 化 し た.こ 母 音/i//e//a//o//u/に
数形末尾の
の 開 母 音 化 現 象 が5つ
の
ついて起 こ った た
中 南 米 の ス ペ イ ン 語 に つ い て,い
南米
南米 のス 範
ず れ も局 部 的 な
か も,そ
が 互 い に 微 妙 に 交 錯 し て い る の で,方
‐h> ‐φ の 結 果,casa
家 」(複 数 形)と
も な く,い
も の で あ る と い う こ と で あ る.し
の前
れ らの 特 徴
言 学 者 た ち が,
くつ か の 方 言 学 的 小
区 分 を 設 け よ う と 思 っ て も,な か な か う ま く い か な い. そ れ に,ス
ペ イ ン語 民 の 一 人 ひ と りが,自
分の話すス
ペ イ ン語 が 最 良 の も の だ と い う意 識 の 持 ち 主 な の で,
ど う や ら 中 南 米 の ス ペ イ ン語 は,今
後 ます ます 方 言 分
さ て,い
ず れ も局 部 的 で は あ る が,中
ⅱ )ea,oaと
南米のスペイ
交 替 が み ら れ る.
ア ル ゼ ンチ ン,ウ ル グ ア イ,パ ラ グ アイ,中 米 等 で聞
うに な る. 単 数 1人 称 (yo「 私 」)
キ シ コ シ テ ィ ー の 一 部 に お け る,無
強勢 母 音
2人 称 (vos「
の 消 失. ⅴ )子
usted「
音 間 の[〓]の
消 失.
ⅶ )破
擦 音[〓]の
摩 擦 音 化 は,中
南 米 で も聞 か れ
2人 称 (ustedes「
ⅷ )fは,し
ば し ば 両 唇 ・摩 擦 音 の[〓]と
頭 のF‐
が,h‐
な る.
っ て い る 地 方 も あ れ ば,ゼ あ る.両
も あ る が,大
して 保
ロ に して しま う地 方 も
文 字 と も,[〓]と
か[〓]で
多 数 の 人 々 は,両
発音す る地方
文 字 と も[j]で
発
音 し て い る.
ustedes「
リ コ で は,こ
性 お よ び 女 性 の ピ ア ニ ス ト), 性 の ピ ア ニ ス ト)
serviciala(ア.女
ⅱ )縮
南 米 の ス ペ イ ン語 の 音 声 的 特徴 の ほ と
ん ど す べ て に,ア
ン ダ ル シ ー ア 方 言 の 諸 特 徴 と共 通 す
る と こ ろ が あ る こ と が 分 か る で あ ろ う.し ダ ル シ ー ア 方 言 に も,中
か も,ア
ン
南 米 の ス ペ イ ン語 に もみ られ
る 共 通 の 一 大 特 徴 と し て,発 ー を 消 費 す る こ と な く,聞
音 の 際,余
分なエネルギ
き手 に 自分 の 意 思 を通 じさ
せ ん とす る 「た る み 」 の 傾 向 が 明 ら か に 感 じ ら れ る. そ の も っ と も極 端 な 例 は,あ
る音 をゼ ロに して しま う
こ と で あ ろ う.
ⅲ )前
張 り」 の あ る,い
わば余分なエ
ネ ル ギ ー を 消 費 し て い る カ ス テ ィ ー ヤ 語 は,い よ り 合 理 的 な 南 方 の ア ン ダ ル シー ア 方 言(お 米 の ス ペ イ ン 語 〉 に 圧 倒 さ れ,消 い か と さ え 予 測 で き る.現
に,首
ず れ, よび 中南
き わ め て 多 く用 い る. 今 す ぐ」
置 詞 の 後 に く る 形 が,miで
な くてyoで
あ
る. 例)conmigo「 ⅳ )男
私 と と も に 」 の 代 わ り にcon
性の
例)ella
用 い る. lo amaba.「
ⅴ )delante delante
yo.
「あ な た を 」 「彼 を 」 と い う と き,leで
な く,loを
de
彼 女 は 彼 を愛 し て い た 」
el「 彼 の 前 に 」 と い う 代 わ りに,
suyoと
い う.
来 無 主 語 の は ず のhubo
が あ っ た 」 を,hubieron
desgracias「 desgraciasと
不幸
数一致 さ
せ る. ⅶ)単
純 未 来 形 を,複
え て し ま うの で は な 府 マ ド リー ドの 言 語
cir. ⅷ )no
合 未 来 形 に す る.
彼 は 言 う だ ろ う 」 の 代 わ り にva
mas「
た っ た … だ け 」 が,強
a de
めの 意 味 で 用
い ら れ る.
始 め て い る の で あ る. 音 声 的 特 徴 と 同 じ く,中
ペ イ ン に はser
い う 形 し か な い.
今 」 >ahorita「
例)dira「
ンダル シー ア方 言 的 な音 声 特 徴 に よ って侵 され
性 の 召 使),ス
小 辞 ‐ito,‐illo,‐inを
ahora「
ⅵ )本
こ う い う わ け で,「
中 南 米 の ス ペ イ ン 語).
い ら れ な い 名 詞 の 男 性 形 ま た は 女 性 形 の 創 造.
pianisto(ア.男
‐h> ‐ φ の 現 象 も,も ち ろ ん 起 こ っ て い る.
だ っ た もの を あげ る
pianista(カ.男
どひこ
よ う に 軟 口 蓋 音 化 す る,
hablan
ペ イ ン の ス ペ イ ン 語(カ ス テ ィー ヤ 語)で は 用
vicialと
以 上 か ら,中
南 米 の ス ペ イ ン語 圏 全 体 に
わ た る よ う な 文 法 的 特 徴 は,動
hablais)を
ⅰ )ス
エル ト
‐nは,[〓]の
と え ば,hablar「
(カ.は カ ス テ ィ ー ヤ 語,ア.は
た,プ
音 化 す る. ⅹⅱ )語 末 の
hablan
あ なた が た」
そ の 他 の 文 法 的 特 徴 の う ち,主
れ を フ ラ ン ス 語 の よ う に,の
ⅹⅰ )ふ る え 音 が よ く摩 擦 音 化 す る.ま
hablamos
3人 称 ellas「 彼 女 ら 」
に と どま って い る地 方 も あ
発 音 に つ い て は,llを,[〓]と
我 々」) 君 た ち」)
ellos「 彼 ら 」
る. ⅹ )llとyの
habla
あ な た」
複 数 1人 称 (nosotros「
る.
は,ア
hablas
3人 称 ella「 彼 女 」
母 音 化 す る.
ⅵ )母
ⅹⅲ )‐s>
hablo
君 」)
el「 彼 」
音 群‐ct‐ のcが,iに
ⅸ )語
つ うの
用 い る こ と)で あ る.こ れ は,
hablar「 話 す 」 の 直 説 法 現 在 形 を例 に とる と,次 の よ
よ う な 母 音 ど う し の 衝 突 を,ai,au
と す る こ と に よ っ て 回 避 す る. ⅳ )メ
称 単 数 形 の 主語 人称 代 名 詞 に,ふ
か れ る現 象 で,そ れ らの地 方 で は 動 詞 の 活 用 形 は,
い う 開 母 音 ど う し の 衝 突 を,ia,ua
と す る こ と に よ っ て 解 決 す る. ⅲ )ai,auの
voseo(2人
tuの 代 わ りにvosを
の よ う な も の で あ る.
ⅰ )eとi,oとu,aiとeiの
用 い る こ とを除 い て は,す べ て 局 部 的特 徴
で あ る.そ の 中 で も比較 的 広範 囲 に流 布 して い るの は,
化 を 起 こ して い くの で は な い か と考 え られ る.
ン 語 の 音 声 的 特 徴 と は,次
hablan)を
詞 の2人
話 す 」 な らvosotros「
ま っ た く用 い ず,3人
称 複 数 形(た 君 た ちは 」
称 複 数 形(ustedes
例)alli
no
mas「
ま さ し くそ こに」
ⅸ )recienが,recientemente「
最 近 に」の 代 わ り
に 用 い ら れ る. [語
史]
ロ ー マ 侵 入 以 前 の イ ベ リア 半 島 に つ い
て は不 明 な点 が 多 い.か ろ う じて 分 か って い る のは,
1)ヤ
行 音 が 後 に き た 場 合 を 除 い て,強
原 住 民 族 と して,バ ス ク人,イ ベ リア 人,タ ル テ シア
たoとEは,そ
(Tartesia)人
化 す る.
が いた とい う こ とで あ る.バ ス ク人 は,
ピ レネ ー 山脈 の南 北 両 側 に 居住 し,非 印欧 語 系 のバ ス
SEPTEM>siete「7」 2)軟
に よ く分 か って い な い.イ ベ リア 人 は,半 島 の 東 海 岸 に居 住 し,バ ス ク語 と似 た イ ベ リア 語 を 話 して い た.
口 蓋 子 音 の,前
「コ ウ ノ ト リ 」 kが
ダル シー ア西 部 お よ び ポル トガ ル 南 部 で,タ ル テ シア
トル リア語 と関 係 あ りとす る説 もあ れ ば,聖 書
ロ ド トス は,タ
後 のiに
ひ か れ て 前 寄 り の[〓]に
ら に[〓]か 3)母
ら[〓]に
重 子 音 の単 子音 化 ・
例)CIPPU>cepo「 b)無
ル テ シア の王 アル ガ ン トニ オ は ギ リシ ア人 に城 壁 を 作
杭」
声 子 音 の 有 声 化.
例)LUPU>lobo[〓]「
オ オ カ ミ」
るの に十 分 な だ け の銀 を与 え た と も伝 え て い る).
俗 ラ テ ン語 の‐P‐ は,[〓]を
ケ ル ト人 は,ド イ ツ南 西 部 に 発 し,紀 元 前6世 紀 に
た.
は 半 島 南 西 部 に ま で達 して い た.と
くに,イ ベ リア半
c)有
島 の 中 央 部,西 部,北 部,北 西部 に定 住 し,イ ベ リア
ギ リ シア人 は,東 海 岸 に 定 着 し,彼
らの高 度 の文 明 を
半 島 に紹 介 した.ま た,リ グ リア(Liguria)人
FOEDU>feo「 4)F‐
に,た
5)歯
>
φ‐ ス ク語 の 下層 言 語説 が有 力 で あ
/c//z/;/s//z/;/∫//〓/;/c/
とえ借 用 語 とい う形 だ け にせ よ,言 語 的 影響 を
と い う7つ
と こ ろで み た よ う
の 歯 擦 音 素 を も っ て い た が,こ れ らが,
/〓//s//x//c/の4つ は,も
って は,さ
い え な い.
ら に,カ ス テ ィー ヤ 語 のF‐ >h‐ > φ‐と
い う変 化(た とえ ば,ラ テ ンFORMOSU>hermoso
に 減 っ た.こ
を果 た した,と い うの が定 説 とな って い る.
元5世
り文 化 の 程 度 が 低 く,好
3世 紀 末 の こ とで,そ れ以 後,原 住 民 の 部 分 的 抵 抗 は
カ ス テ ィ ー ヤ 語 は,彼 で あ っ た(「 語 彙 」 の4を
りか,ロ ー マ 人 が話 してい た 俗 ラ テ ン語 も,彼 ら原 住
し た 西 ゴ ー ト王 朝 が,衰
民 族 の 諸 言 語 を圧 倒 して し ま った の で あ る.そ
頭 に は,こ
して 当
か 数 年 の 間 に,ほ
う ロー マ 人 の 俗 ラ テ ン語 も,時 を経 るに従 い,ま た,
ま う.こ
ロー マ の 植 民 が イベ リア半 島 各地 に根 を下 ろす に 従 っ
フ マ ー ン3世(Abderraman
て,の ち の カ タ ロニ ア 語,ア ラ ゴ ン方 言,カ
代(10世
ル語)へ
ス テ ィー
ち の ポ ル トガ
と方 言 分化 して い く兆 し をみ せ 始 めた の で あ
った.そ の うち のカ ス テ ィー ヤ方 言 が,現 在 の 標 準 ス
は,全
ら は,ロ
方 から ゴー ト ーマ人 よ
た が っ て,
ら か ら若 干 の 借 用 語 を え た の み 参 照).イ
ベ リア 半 島 に 成 立
退 そ の 極 に 達 し た8世
紀 の初
ん ど は 南 か ら イ ス ラ ム 教 徒 が 侵 入 し,わ
初 は,い ち お う単一 の言 語 と考 え て も よか った で あ ろ
リシア方 言(の
通,西
戦 的 で あ っ た.し
あ った もの の,結 局,ロ ー マ 人 は 彼 らを圧 倒 した ば か
擦 音 素 とは
紀 の 初 頭 に,北
ゲ ル マ ン 系 の 民 族 が 半 島 に 侵 入 す る.普 族 と よ ば れ て い る人 々 で あ る が,彼
ロー マ 人 が イ ベ リア半 島 に入 って きた の は,紀 元 前
の う ち,/x/
は や ど う ひ い き 目 に み て も,歯
時 は 相 前 後 す る が,紀
美 しい 」)にとって,下 層 言 語 と して の 役 割
ヤ 方 言,レ オ ン方 言,ガ
世 か ら 近 世 に か け て,カ
ス テ ィ ー ヤ 語 は,
に,バ ス ク語 とケ ル ト語 だ けで あ る.バ ス ク語 にい た
[〓]「
浅瀬」
擦 音 素 数 の 減 少.中
の民 族 の 言語 の う ち,現 在 の スペ イ ン語
及 ぼ した の は,「 語 彙 」 の2,3の
た は 消 失.
る.
で共 通 の もの が多 い か らで あ る. 以 上,7つ
>h‐
なっ
み に くい 」
前 述 の よ う に,バ
居住の
証 拠 もあ る.リ グ リアの地 名 と イ ベ リア半 島 の そ れ と
声 破 裂 音 の 摩 擦 音 化,ま
経 て[〓]と
例)VADU[〓]>vado[〓]「
人 と よ く混 血 して,ケ ル ト ・イ ベ リア族 を形 成 した. フ ェニ キ ア人 は,半 島南 部 に商 館 を多 数 建 設 した.
な り,さ
変 わ っ た.
音 間 子 音 の 軟 音 化.
a)二
に 出 て く る 「タル シ シ」 は タル テ シア の こ とだ とい う 説 もあ り,混 沌 として い る(ま た,ヘ
た はヤ 行音 へ の同
例)CICONIA[〓]>ciguena[〓]
語 を話 して い た ら しい.タ ル テ シア 語 は,現 在 の ア ン
る.エ
舌 母 音,ま
化.
タル テ シア 人 は,半 島南 西 部 に 居 住 し,タ ル テ シア
人 に よ って 話 され て いた と され る詳 細不 明 の 言 語 で あ
二 重 母音
例)NOVEM>nueve「9」
ク語 を 話 して いた.バ ス ク語 系 の地 名 が 全 イ ベ リア半 島 に残 って い る事 実 を ど う説 明 す べ きな の か,い ま だ
勢のかかっ
れ ぞ れueとieに
の ア ラ ビ ア 支 配 の 絶 頂 期 は,ア
紀)で
あ り,当
Ⅲ)の
ブ ド ゥ ル ・ラ
西 カ リフ 帝 国 の 時
時 の 首 都 コ ル ドバ(Cordoba)へ
ヨ ー ロ ッパ か ら 留 学 生 が 殺 到 し た と い う.こ
一 事 を み て も ,ア
ず
と ん ど 全 イ ベ リア 半 島 を 占 拠 し て し
の
ラ ビア 語 か らカ ス テ ィー ヤ 語 に入 っ
た借 用 語 の数 が 膨 大 な もの で あ る こ とが納 得 で きる で
ペ イ ン語 に な る まで にた ど った,主 た る音 変 化 を以 下
あ ろ う(「 語 彙 」 の5を
に紹 介 す る.
語 の 音 声 面 や 文 法 面 に は,ア
参 照).し
か し,カ
スティーヤ
ラ ビ ア 語 は 何 ら影 響 を 及
ぼ す こ とが で き な か っ た.カ る,俗
ス テ ィー ヤ語 の 中 に占 め
ラ テ ン語 の 土 台 が い か に し っ か り し た も の で あ
っ た か が 分 か る.
de
Emilianenses)で
テ ン語 の 文 章 の 欄 外 に,修
あ る.こ
れ は,古
典 ラ
道 士 た ち が カ ス テ ィー ヤ 語
で 走 り書 き し た 注 記 で あ る が,専 年 の も の と 鑑 定 さ れ た.こ い う こ とは,俗
門 家 に よ っ て,977
の よ うな 注 記 が 存 在す る と
ラ テ ン 語 を経 た 当 時 の カ ス テ ィ ー ヤ 語
典 ラ テ ン語 か ら,い
か に か け 離 れ た もの に な っ
と い う年 は,ス
ず,イ
か ら 追 放 し た 年 で あ り,こ
Carpio)と
Calderon
か,カ de
ル デ ロ ン ・デ ・ラ ・バ
la Barca)等
く の 傑 作 戯 曲 を 書 い て い る.そ
さ れ る か ら,い
れ だ け に 倒置 法 が多 用
さ さ か 難解 で あ る.時
世 紀 の バ レ ー ラ(Juan
Valera
代 が 下 っ て,19
y Alcala
パ ラ シ オ ・バ ル デ ス(Armando ペ レ ス ・ガ ル ドス(Benito
の重大
ス ラ ム教 徒 を スペ イ ン
れ に よ っ て 逆 に,カ
ー ヤ 語 の 地 位 は い や が 上 に も高 ま る .次
に,コ
の 大劇 作 家
れ らは い ず れ も
Galiano)や,
Palacio Perez
Valdes),
Galdos)と
で の 中 級 の 読 物 と し て 適 当 で あ る.現
な る と,
在,世
ー ム を巻 き起 こ して い る 中南 米文 学 は こ と も さ る こ と な が ら,用
学
界的なブ
,内
容の難解な
語 や 文 章 が ス ペ イ ン文 学 の
そ れ とい さ さ か 異 な っ て い る の で,ス
ペ イ ン に と っ て,3つ
な 意 味 を も っ て い る.ま
y
も う現 代 ス ペ イ ン 語 の 文 章 と 同 じ と い っ て よ く,大
て い た か を 如 実 に 物 語 る も の で あ る. 1492年
Vega
韻 律 詩 の 形 で 書 か れ て お り,そ
Millan
道 院 で 見 つ か っ た 「サ ン ・ ミヤ ン の 注
記 」(Glosas
が,古
グ ロ ー ニ ョ(Lo
サ ン ・ ミャ ン ・デ ・コ ゴ ー ヤ(San
Cogolla)修
de
ル カ(Pedro が,多
カ ス テ ィ ー ヤ 語 の 最 古 の 文 献 は,ロ grono)県
pe
ペインのスペイ
ン語 に 慣 れ て い る 人 に は 違 和 感 が あ る か も し れ な い. [日 本 語 と の 関 係]
日本 語 に は,ス
ペ イ ン語 と同
ステ ィ
系 統 の ポ ル トガ ル 語 か ら の 借 用 語 が 多 く,純
ロンブ
イ ン 語 か ら の 借 用 語 は,「 メ リヤ ス(<medias「
粋 な スペ ス ト
ス に よ る ア メ リカ 大陸 発 見 の 年 で あ る か ら,こ れ 以 後,
ッキ ン グ 」)」 た だ1つ
カ ス テ ィ ー ヤ 語 は 中 南 米 に 運 ば れ て い き,そ
ス ペ イ ン 王 立 ア カ デ ミー 編 の 『ス ペ イ ン 語 辞 典(第20
の 地 で,
公 用 語 と して の 地 位 を 獲 得 す る に 至 る.さ ら に,「 名 称 」 の 節 で 述 べ た よ う に,ネ
ブ リー ハ が,は
版)』(1984)に
じめ て カ ス テ
び ょ う ぶ 」,bonzo「
ィ ー ヤ 語 で カ ス テ ィー ヤ 語 の 文 法 を 書 い た 年 で あ り,
名 」,haraquiri「
これ に よ っ て,カ
cado「
て の 地 位 は ゆ る ぎ な い も の と な っ た,と
い う こ とが で
き よ う.
rai「 侍,武
こ の あ と,16世
と,18世
紀 か ら17世
紀 にか け ての 黄 金 世 紀
ス テ ィー ヤ語 に よる文 学 上 の傑 作 の輩 出
紀 初 頭 の ス ペ イ ン 王 立 ア カ デ ミー の 創 設 と
に よ っ て,カ
ス テ ィ ー ヤ 語 = 標 準 ス ペ イ ン 語 は,ま
す
ま す 隆 盛 の 一 途 を た ど っ て い くの で あ る. [文 学 上 の 傑 作]
酒 」,samu
将 軍 」,soja「
大 豆」
本 語 か ら ス ペ イ ン語 に 入 っ た 借 用 語 が 載 疑 問 で あ る.
書]
《西 西 辞 典 》 Real
Academia
nario
de
Espanola(1739,198420),Diccio la
Madrid)―
ス ペ イ ン 語 最 古 の 文 学 は,12世
士 」,shogun「
大
う る し 」,mi
着 物 」,sake「
っ て い る が,maqueとsojaは [辞
僧 侶 」,daimio「
切 腹 」,maque「
帝 」,quimono「
と い っ た,日
に お け る,カ
対 に,
は,
biombo「
ス テ ィ ー ヤ 語 の 標 準 ス ペ イ ン語 と し
だ け とい わ れ て い る.反
lengua
espanola(Espasa‐Calpe,
こ の 種 の も の で,も
っ と も 標 準 的.ア
紀 中 葉 の 作 と考 え ら れ る 『わ が シ ー ドの 歌 』(Cantar
カ デ ミ ー 編 だ け あ っ て 規 範 的 で あ り,一
de
常 会 話 に 出 て く る 語 が 載 っ て い な い こ と が 多 い.相
Mio
Cid)と
い う 叙 事 詩 で あ る.さ
す が に 中世 カ
ス テ ィ ー ヤ 語 で 書 か れ て い る だ け あ っ て,現 ン語 しか 解 し な い 人 に は,こ
代 スペイ
の 上 な く 難 解 で あ る.近
当,厚
手 の2冊
本 ゆ え,机
般大衆の 日
上 用 と し て は 不 向 き.
Moliner,Maria(1966,198812),Diccionario
代 文 学 の 幕 開 け と もい う べ き 『ラ ・セ レ ス テ ィ ー ナ 』
uso
(La
ー の 西 西 辞 典 の 記 述 に 反 旗 を 翻 し た 意 欲 作 .用
Celestina,1499)や,最
初 の ピ カ レ ス ク 小 説 『ラ
サ リー ヨ ・デ ・ トル メ ス 』(La de
Tormes
1554)も,近
y de
sus fortunas
ド ン ・キ ホ ー テ 』(El
Quijote 年)と
y
世 初 頭 の 産 物 と は い え,シ
ス ペ イ ン語 と は 相 当 異 な り,か し,『
vida
de la Mancha,前 な る と,セ
de
な り難 解 で あ る.し hidalgo
編 が1605年,後
い る が,こ
か
Don
編 が1615
ル バ ン テ ス と同 じ 日 に 死 ん だ と い わ
や す い ス ペ イ ン 語 で 書 か れ て い る.セ 紀 か ら17世
の 時 代 に,ロ
な り分 か り
ル バ ンテ ス が 生
紀 を 「黄 金 世 紀 」 と よ ん で ー ペ ・デ ・ベ ー ガ(Felix
は り2冊
アカデ ミ
Lo
lengua ―
espanola
机 上 用 と して
Larousse
y en
Planeta
de
la
usual(Planeta,Barcelona) ,も っ と も 手 頃 な1巻
富 な の が 最大 の長 所 Garcia‐Pelayo
例 が
か ら な る.
Marsa,F.(1982),Diccionario
ン タ クス が 現 代
ingenioso
espanol(Gredos,Madrid)―
比 較 的 多 い.や
adversidades,
れ る シ ェ イ ク ス ピ ア の 英 文 に 比 べ れ ば,か
き て い た16世
Lazarillo
del
de
本.用 例 が 豊
語 義 の 説 明 が 簡 潔 に し て 明 快.
Gross,R.(1976),Pequeno
color(Larousse,Paris)―
辞 典 そ れ 自 体 と し て は 前3者
西西
よ り劣 るか も しれ な い
が,語 義 の 解 説 が 簡 単,明 瞭.巻
末 の 固 有 名 詞(人 名,
地 名)の
の 上 な し.
説 明 が 便 利 な こ と,こ
《西 英 辞 典 》
Garcia‐Pelayo
y Gross,R.and
Diccionario
moderno
M.Durand(1976),
espanol‐ingles
Spanish(Larousse,Paris)―
だ し,他
の 中 で は,こ
れ が 最 良で あ
の 辞 書 で は 成 句 と して認 め てい な
い 句 を 成 句 と し て 認 め る 傾 向 が 顕 著 で あ る.
れ と 同 様 に,文
た と え ば,‐e/o‐ 「狼 よ 」:ラ
西 和 辞 典 増 訂 版 』(白 水 社,東
初 版 が 出 た の が1958年
の こ と ゆ え,こ
典 の 古 さ を 非 難 す る 人 は 多 い.し て も,1989年
か し,そ
テ ンlupe,ギ
の辞
うはい っ
ブ 語 派 は,こ suto「100」
の 語 族 を2分
す る 大 き な 方 言 区 分 で は,
に,バ
り よい西 和 辞典 の出 現 が 望 ま
ア の 諸 語 派 と と も に サ テ ム(〓)諸
J.A.Pascual(1980),Dic critico
etimologico
ル ト,イ
ン ド ・イ ラ ン,ア
か ら な り,コ
ロ ミー ナ ス(Corominas)ひ
え た が,1989年
現 在,6巻
バ ス ク 語,カ
e
以 前 の 版 は4巻
ス ク ワ ル(Pascual)が
と り の 作.
協 力 し て6巻
目 は 未 刊.ポ
タ ロ ニ ア 語,モ
にふ
ル トガ ル 語,
サ ラ ベ(mozarabe)方
た,こ
の 区 分 と同 じ よ
ン ド ・ヨー ロ ッパ 語族 には 型 が あ る が,ス
University
language
例)ス
ラ ブ synumu「
息 子 た ち に 」:サ
de
la
ス ラ ブ
gostimu「
客 た ち に 」:ラ テ ン hostibus
記2つ
の 等語 線 は全 体 を区 分 す る の に は十 分 して,さ
ら に 全 体 に は 及 ぼ な い が,
若 干 の 語 派 だ け に 関 係 す る 多 くの 共 通 点 が あ る.そ
de
lengua
una
de
la
lengua
espanola(Gredos,Madrid) ス ペ イ ン語 入 門 』(岩 波 書 店,東
2)ゲ
京)
イ ベ ロ ・ロマ ンス 諸 語
自 身 」,bog「
税 」,な ど.逆
派 生 し た 諸 言 語 で 形 成 さ れ る.イ
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語
の よ う に コ ンパ ク ト な ま と ま り を み せ る
語 派 は 他 に は な く,一
見 し て,そ
の 同 系 関 係 は 明 らか
れ ら の 諸 言 語 を 比 較 す る と き,時
代 を 遡 れ ば 遡 る ほ ど,そ
豊
き」→ 3)バ 派 は,他
の 同 系 は 確 実 な 事 実 で あ る.
ル ト語 派
ン ド・
ス ラ ブ 語 派 に と っ て,バ
ル ト語 の両語
派 の 間 の 対 応 は 非 常 に 数 が 多 く,語 法 に ま で 及 ん で い る の で,そ
と え ば,ス
ラ
彙 の み な ら ず,文
の 理 由 を 追 求 す る,い
ゆ る 「バ ル ト ・ス ラ ブ 共 通 基 語 問 題 」 が あ る.こ
結 果 とみ る か,ま
て は,い
す
あ る.
の 語 派 と は 違 う 特 別 な 関 係 に あ る.こ
通 起 源 と み る か,平
た は,そ
わ
れ は,
行発達 の
の両 者 の組 み 合 わ せ とみ る
在 ま で,こ
は 大 き く分 か れ て い る.こ
[イ ン ド・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 に お け る ス ラ ブ 語 派]
通行
方 向 の 借 用 の 例 と し て,plug(「
ドイ ツ 語 のpflug)が
か の 問 題 で あ る.現
ス ラ ブ 語 の 語 彙 の 中 の 基 本 的 な も の に は,イ
「ガ ラ ス 」,myto「
こ の 両 語 派 の 関 係 を,共
の 類 似 が 明 白 に な る こ とか ら
ヨ ー ロ ッパ 語 族 の 他 の 語 派 の もの と ,た
神 」,bogat「
複 数 与 格 の 語 尾*‐m‐ の ほ か,
〓 「か ま 」,〓
らか に そ の 共 通 起 源 を な すス ラブ 祖 語 か ら
か も,こ
,イ ラ ン語 か ら の
ど.
ル マ ン 語 派
露,英Slavic,
法 構造 と基 礎 語 彙 で 著 しい 対 応 を示 す 諸 言 語 か
で あ る.し
にみ られ る対 応
対 応 が あ る.
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 を 形 成 す る 有 力 な 語 派 の1
族 の 中 で,こ
同 じ くサ テ ム 諸 語 に 属 す る ほ か,
ゲ ル マ ン 語 か ら ス ラ ブ 語 へ の 借 用 を 中 心 とす る 語 彙 の 誠)
独Slavisch,仏slave
ら な り,明
ス ラ ブsam「 か な 」,な
(原 ス ラ ブ 語 派
ラ ン語 派
の
の 語 派 で あ る.
借 用 あ る い は 対 応 と 考 え ら れ る語 彙 の 共 通 性 が あ る.
Lapesa,R.(19809),Historia
照]
1)イ
一 定 の 条 件 で のs音
espanola
(Espasa‐Calpe,Madrid)
原 誠(1979),『
ンス ク リ ッ
ト sunubyah
と は い え な い.そ
Library,Lon
Espanola(1973),Esbozo
gramatica
型
に 属 す る.
中 で ス ラ ブ 語 と 関 係 す る の は,次 の3つ Academia
ラ
ブ 語 派 は,バ ル ト語 派,ゲ ル マ ン 語 派 と と も に*‐m‐
雑 で,上 Spanish
don)
nueva
イ ン ド・
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の 中 で の 各 語 派 の 関 係 は 複
[ 参考文献]
today(Hutchinson
属 す る.ま
い 差 異 と して,イ
ルバニ
語(→
「敵 た ち に 」
言 に 語 源 を 有 す る 語 ま で 扱 う.
Stevenson,C.H.(1970),The
ル メ ニ ア,ア
複 数 与 格 の 語 尾 に*‐bh‐ 型 と*‐m‐
castellano
ン ド・
の語 族 の 中 で の ス ラ
ひ と も,よ
hispanico(Gredos,Madrid)―
も,そ
ラ ブ 語 派 は,イ
れ よ りす ぐれ た西 和 辞 典 は 他
cionario
ンス ク リ ッ
とい う古 代 教会 ス ラ ブ語 の形 が 示 す よ う
う に,古
つ.文
な わ ち,ス
現 在,こ
Corominas,J.y
ラ ブvlic‐e
り古 い ‐eか ら き て い る)の
ヨ ー ロ ッ パ 語 族 に 属 し て い る.こ
ヨ ー ロ ッパ 語 族)に
[参
リ シ ア〓,サ
尾 ‐aは,よ
《語 源 辞 典 》
Real
法 上 の 対 応 も み ら れ る.
語 幹 の 呼 格 の 語 尾 は,ス
れ る と こ ろ で あ る.
新 版 は,パ
リ シ ア,サ
にみ られ る よ うな対 応 を 示 す も
よ う な 対 応 が あ る.す
高 橋 正 武 編(1979),『
に な い.ぜ
の が 多 く,こ
トvrk‐a(語
《西 和 辞 典 》
京)―
母 」:ラ テ ンmater,ギ
ン ス ク リ ッ トmatar‐
西 英 ・英 西 辞 典
も数 多 く 出 て い る が,そ ろ う.た
ブmati「
English
の 分 野 の専 門 家 の見 解
の両 語 派 の 共 通 の 現 象 と し
くつ か の 音 的 対 応 の ほ か,o‐
語幹の名詞の単
数 属 格 に 古 い 奪 格 形 が 共 通 し て 保 た れ て い る こ と,形
容 詞 に長 語 尾 形 と短 語尾 形 の あ る こ と,否 定 属 格 が存
語,下
ソル ブ語,c)チ
ェ コ語,ス
在す るこ とが あげ られ る.ま た,語 彙 に関 して は,ス
して きて い る.こ の う ちのaを
ラ ブnoga「
Narzecza
足 」:リ トア ニ アnaga,ス
「頭 」:リ トア ニアgalva,ス アrankaな
ラ ブ*golva
ラ ブ*roka:リ
トア ニ
ど,重 要 な語 で も一 致 し,イ ン ド ・ヨー
ロ ッパ 語族 の他 の 語 派 の形 と対 立 して い る. [分 群),西
類 ] ス ラブ語 派 は,通 常,東 ス ラ ブ(西 方 群),南
方 群 には,ロ
3)南
ポ ー ラ ン ドpiec「5」,ポ pjac,チ
ロシ
ェ コ語,ス
ソ
ロバ キア 語 が 属 す る.
くつ か の特徴 で 南 ス ラ ブ諸 語 と共 通 す
と西 の か な り違 い の あ る2つ の グル ー
プ に分 類 され,東 に は ブ ル ガ リア 語 と マ ケ ドニ ア 語 が,西 には セル ビア ・ク ロア チ ア語 とス ロベ ニ ア 語 が 属
方 群 には,ブ ル ガ リア 語,マ ケ ドニ ア語,セ
ル ビア ・ク ロ アチ ア語,ス
ソル ブ
る. 南 方 群 は,東
ソル ブ 語,下
ラ ブPat:上
ェ コpet
ま た,cは,い ク ラ イ ナ語,白
方 群 には,ポ ー ラ ン ド語,上
ル ブ 語,チ
レ フ諸 語 に共 通 した特 徴 の ひ とつ と して,鼻 母 音 の 存
の
ア 語 が 属す る. 2)西
シア
区 別 す るが,そ の
在 が あ る.
ス ラ ブ(南 方 群)の3つ
シア語,ウ
レフ方 言(ポ ー ラ ン ド
る い は レ フ 諸 語(ロ
と よび,b,cと
ス ラブ(東 方
グ ル ー プ に分 類 され る. 1)東
lechickie),あ
ロバ キ ア語 が 発 達
ロベ ニ ア 語 が属 す る.
す る.南 方 群 の諸 言 語 も,ス ラ ブ の 故 地か らバ ル カ ン 半 島 へ 移 住 す る以 前 に分 か れて い た と考 え られ て い る
現 代 のス ラ ブ語 と して は,上 記 の12の 文 語 が 認 め ら
が,バ ル カ ン半 島 で の 平 行発 達 に よ る 「 バ ル カ ン言 語
れ て い る.
同 盟」 の 結 果 が,南 方 群 を東,西2つ
の グル ー プ に 区
この ほか,歴 史 時 代 に存 在 し,現 在 は 死滅 し たス ラ
分 す る 基 礎 とな って い る.こ れ はス ラ ブ語 に絶 え ず作
ブ 語 と して,ス ラ ブ最 古 の 文 語,古 代 教会 ス ラ ブ語 と,
用 して い た 分 散 へ の 方向 と対 立 す る収 束 の 方 向 で あ る
西 方 群 それ もポー ラ ン ド語 と近 い 関 係 に あ っ た ポ ラブ
が,文 語 に お け る収 束 の傾 向 と,分 散 の結 果 で あ る実
語 が あ る.前 者 は個 々 の教 会 ス ラブ 語 の 中 に解 消 され,
際 の方 言 の あ り方 は一 致 せ ず,方 言 の 間 に 線 を 引 くこ
後 者 は,エ ル ベ(Elbe)川
と と もに ドイ ツ化 の波 の 中 に消 えて しま って い る.こ
と は難 し い.カ シ ュ ー ブ方 言,ス ロ ビ ンツ 語 な どが ポ ー ラ ン ド語 の方 言 とみ な され る よ うに な った の も,セ
の ほ か に,ポ ー ラ ン ドの 北部,グ ダ ンス ク(Gdansk)か
ル ビ ア語 とク ロ ア チ ア語 が セル ビア ・ク ロア チ ア 語 に
ら西 の地 域 に あ るカ シュ ー ブ方 言(Dialekt
な った の も収 束 の傾 向 を示 す もの で あ る.以 上 か ら,
ski)は,ポ
流 域 で,他 の い くつ か の方 言
kaszub
ー ラ ン ド語 と大 き く異 な って い る ので,か
ス ラブ 語 を,東 方 群,西 方群 レフ方 言,西
方 群非 レ フ
つ て 独立 の言 語 と して と り扱 わ れ た こ とが あ る.し か
方 言,南 方 群 東 グル ー プ,南 方 群 西 グ ル ー プ の5つ に
し,現 在 で は,ポ ー ラ ン ド語 の 方 言 とみ な され,独 立
分 類 す る立 場 を と る研 究 者 もあ る.
の言 語 として は と り扱 わ れ て い な い.ま た,こ のカ シ ュー ブ方 言 の1つ で,カ
シ ュー ブ 方 言 と もか な り違 う
小方 言 が,ス ロ ビ ン ツ語(Slovinzisch)と
[分
布]
ス ラ ブ祖 語 の話 され て いた 地 域,す
わ ち ス ラ ブ の 原 住 地(ロ シア)に
な つ
よ ばれ た こ
い て は,現 在 の ポ ー ラ ン ドの東 南 部 か ら 白 ロ シ ア あ る
大 戦 後 には 消 滅 して い る.以 上 の
い は ウ ク ラ イ ナ に接 す る地 方 が 有 力 で あ る.他 の語 派
ス ラ ブ語 の ほか に,文 語 は もた な い が,あ る地 域 で の
の 分布 の 状 況,植 物 ・動 物 名,自 然 現 象 名,地 形 名 な
とが あ るが,第2次
共通 語 として 用 い られ て い るス ラブ 語 が あ り,そ の言
ど と,考 古 学 的 資料 を考 慮 して 定 め られ る故 地 は,か
語本 来 の地 域 とは 違 う場 所 で 使 わ れ て い る.そ の一 番
つ て は,や や ポ ー ラ ン ド寄 りに 定 め られ て い た が,現
有 名 な例 は,オ ー ス ト リア の 山 中 で 話 さ れ る ク ロア チ
在 で は,東 経25°,北 緯50° の地 点 を 中 心 に,多 くの川
ア語 で あ る.
の分 水 嶺 に あ た る一 帯 を正 しい 故地 と して い る.
ス ラ ブ語 を東,西,南
の3つ に 分 類 す る こ とは,広
こ こか ら,ス ラブ 語 地 域 は西 と南 と東 の3方 に 広 が
く承 認 され た 分 類 で は あ るが,そ の ひ とつ ひ とつ の 内
った こ と にな る.西 で は,一 時,エ
部 で の親 縁 関 係 の 程 度 は 一 様 で は な い.こ の中 で も っ
広 が った が,ポ
と も問 題 が 少 な い の は 東 方 群 で,こ
後 ドイ ツ 化 され,現 在 で は,ポ ー ラ ン ドと の 国境 ま で
語 に 当 た る古 代 ロ シ ア語 が14世 に な って,や
こで は東 方 群 の 祖
紀 ま で存 在 し,そ の後
っ と方 言 的 差 異 の レベ ルか ら3つ の 文語
が成 立 して い る.
ル ベ川 一 帯 に ま で
ラブ 語 の 消滅 にみ ら れ るよ うに,そ の
ドイ ツ 語 地 域 で あ るが,ド イ ツ民 主 主 義共 和 国 の 東 南 部 に,2つ
の ソル ブ語 が言 語 島 と して 残 され て い る.
南 へ進 ん だ ス ラブ 人 は バル カ ン半 島 の南 端 に達 し,一
そ れ に比 べ る と,西 方 群 で は,西 方群 の祖 語 の よ う
部 は エ ー ゲ 海 の 島 々に ま で及 ん だ が,現 在 で はや や後
な も の は考 え られ ず,す で に ス ラ ブ祖 語 の時 代 に3つ
退 して,ギ
の グル ー プ が 考 え られ,そ れ か ら,後 のa)ポ
ーラ ン
の ドイ ツ 連 邦 共 和 国 内 に も,ギ リシ ア 国 内 に も,数 多
ド語,ポ
ソル ブ
くの ス ラ ブ起 源 の地 名 が あ る こ とが,そ の 事 実 を証 明
ラブ 語,カ
シ ュー ブ 方 言 ほ か,b)上
リ シア との 国境 の線 まで 下 って い る.現 在
ーロッ
ニ ア 語 の ほ か は,か な り よ く古 い す が た を伝 えて い る.
くシベ リア に 進 出 して い る.か つ
しか し,い わ ゆ る 「バ ル カ ン言 語 同 盟 」 に属 す る上 記
にま とま って い たス ラブ 語 圏 は,9世 紀 末 に,ハ
の2言 語 で は,格 変 化 が 失 わ れ,語 順 お よび 前 置 詞 に
ンガ リー 民族 が 現在 の地 域 に 入 り込 ん だ こ と に よ り,
よ って,格 語 尾 で 示 され て い た 機能 が 示 され る.格 変
今 日で は,東
化 を保 って い る諸 言語 で も,イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 か
して い る.一 方,東 へ 向 か った ロ シ ア人 は,ヨ パ の枠 を越 え て,広 て1つ
ヨー ロ ッパ か ら シベ リア にか けて の北 の
地 域 と,バ ル カ ン半 島 に あ る南 の 地 域 に2分 され て い
ら受 け つ い だ語 幹 に よ る格 変 化 か ら,文 法 性 に よ る格
る.北 は,チ
変 化 へ の 移 行 が み られ る.す な わ ち,そ の移 行 とは,
ェコス ロバ キア,ポ ー ラ ン ド,ソ 連 で あ
か つ て い くつ もあ った 語 幹 に よ る変 化 形 式 が,男 性,
り,南 は,ユ ー ゴス ラ ビア とブ ル ガ リア で あ る. [文
字]
な って,ビ
ス ラ ブ の最 初 の 文 字 は,9世
ュザ ンテ ィ オ ン(Byzantion)の
タ ンテ ィ ノス(Konstantinos)に
紀後半に 哲 人 コ ンス
よ って 作 られ,古 代
女 性,中 性 の3つ の文 法 性 に よ る変 化形 へ 変 わ って い くこ とで,と
りわ け 男性 名 詞 で は そ の傾 向 が 強 い.そ
れ と比較 して,女 性 名詞 は,‐a語 幹 と ‐i語幹 の2つ
教 会 ス ラブ 語 の 文献 の主 な もの が 書 か れ て い るグ ラ ゴ ール(glagol)文 字 で あ る .そ の50年 ほ ど後 か ら,ス ラ
を保 持 して い る.
ブ語 圏 の東 で は キ リール 文字 が 使 われ る よ うに な り,
は,代 名 詞 を付 加 した 長 語 尾 形 が,本 来,修 飾語 とし
この文 字 は 若 干 の訂 正 を へ て,今
日で もス ラブ 語 圏 の
バ ル ト諸語 と共 通 す る形 容 詞 の 長 語 尾 形 と短 語 尾 形
て用 い られ(例:ロ
シア 語
「美 しい
ラブ 語 圏
町 」),短 語尾 形 は述 語 と して も修 飾 語 と して も用 い ら
の西 で 使 わ れ た が,や が て ビュザ ンテ ィオ ンの 影 響 力
れ たが,時 代 と ともに 短 語 尾 形 は述 語 と して のみ 用 い
が弱 ま る につ れ て ラ テ ン文 字 と交 替 し,ア
られ る よ うに な って きて い る.た だ,セ ル ビア ・ク ロ
東方 で 使 わ れ て い る.グ ラ ゴール 文 字 は,ス
ドリア 海 北
部 の島 の 典 礼 書 で 用 い られ て,短 い期 間 で す が た を 消
ア チア 語 は,現 在 で も両 語 尾 形 の パ ラダ イ ム が保 た れ
して い る.
て い る.
現 在,ソ 連 邦 内 の3つ の ス ラ ブ語 と,ブ ル ガ リア 語,
数 は,単 数,複 数 の ほ か,両 数 もあ った が,古 代 教
マケ ドニ ア 語 は,キ
会 ス ラ ブ語 で よ く保 た れ た ほ か,現 代 語 で は,ス ロ ベ
リー ル文 字 を一 部 変 更 した 文 字 を
使 用 し,西 ス ラブ諸 語 とス ロベ ニ ア語 は ラテ ン文 字 に
ニ ア語,2つ
補 助 記 号 を加 え て用 い て い る.セ ル ビア ・ク ロア チ ア
動 詞 は,名 詞 よ り変 化 が 著 し く,単 純 過 去 の ア オ リ
の ソル ブ 語 で も保 た れ て い る.
語 は1言 語 と して数 え られ るが,セ ル ビア 語 は キ リー
ス トと不完 了過 去 は,ブ ル ガ リア,マ ケ ドニ ア の両 言
ル 文 字,ク
ロア チ ア語 は ラ テ ン文 字 を使 うの で,ユ ー
語 と2つ の ソル ブ語 で は よ く保 た れ,セ ル ビア ・ク ロ
ゴス ラ ビア は,東 の キ リール 文 字(セ ル ビア語 とマ ケ
ア チ ア 語 で は一 部 が 保 た れ た が,他 の ス ラ ブ語 で は失
ドニ ア 語),西
わ れ て い る.
の ラテ ン文 字(ク ロア チ ア 語 とス ロベ ニ
全 体 的 には,依 然 と して 屈 折 的 タ イ プ が優 勢 で あ る
ア語)と い う文 字 の境 界 線 が 国 内 を走 って い る. [歴史 的 変化]
ス ラ ブ諸 語 成 立 の 初 期 の時 代(10
が,東,西,南
の3群 で,い
さ さか 異 な る傾 向が み ら
ラブ 語 は 音 声 面 で大 きな変
れ る.西 方群 が,格 変 化 に お い て よ り保守 的 で,活 用
化 を起 こ し,音 声 と音 韻,形 態 な どの 面 で い ろ い ろ な
形 が新 しい傾 向 を もつ の に対 し,南 方 群 は,活 用 形 が
差 異 が 生 じた.そ れ らの よ うす は,す で に古 代 教 会 ス
保 守 的 で,格 変 化 が 新 しい 傾 向 を 示 し,東 方群 は,そ
ラブ語 に 反映 され て い るが,〓
の 両 者 の 中間 の傾 向 を 示 して い る.
世 紀 末 か ら12世 紀)に,ス
と〓 の完 全 母音 へ の
移 行 や そ の 消失 は,そ の 一 例 で あ る.こ の結 果 もあ っ
[参考文 献]
て,語 末 に は子 音 も立 つ よ うに な り,ス ラ ブ祖 語 が も って い た 「開音 節 」 の 原 則 は 失 わ れ る こ と とな っ た. ア ク セ ン トに関 して は,ス ラ ブ 祖 語 か ら個 々 の ス ラ ブ 語 へ の移 行 の過 程 で 多 くの 変 化 が み られ る.東 方 群 の ス ラ ブ語 は,ア クセ ン トが 語 の い ず れ の位 置 に も く る こ とがで き る 自由 な タ イ プ を受 け つ いだ が,西 方 群 は,語 に お け るア クセ ン トの位 置 が定 ま って,た ば,チ
ェコ語,ス
とえ
ロバ キ ア 語,ソ ル ブ語 は第1音 節 に,
Horalek,K.(1962),Uvod
Slawski(1954),Przeglad jezykow
では,マ ケ ドニ ア語 だ けが 語 末 か ら3つ 目の音 節 に ア
nictwo
文 法 の 面 で は,ス ラブ 諸 語 は 非 常 に 保守 的 で あ る. 名 詞 お よび 代 名詞 の 格 変 化 は,ブ ル ガ リア語 とマ ケ ド
studia
slovanskych
Lehr‐Splawinski,T.,Kuraszkiewicz,W.i
ポー ラ ン ド語 は語 末 か ら2つ 目の 音 節 に あ る.南 方群
クセ ン トが あ り,そ の他 は制 限 が な い.
do
jazyku(Praha) F. i
charakterystyka
slowianskich(Panstwowe
Wydaw
Naukowe,Warszawa)
Ivsic,S.(1970),Slavenska
poredbena
gramatika
(Zagreb) Vaillant,A.(1950‐74),Grammaire
comparee
des
langues
slaves
Ⅰ‐Ⅳ(Lyon‐Paris)
に よ る三 角 形 の体 系 か ら,4母
音 か らな る四 角形 の 体
系 に な っ て い る.こ れ は,a,oの
母音 が1つ にな っ
たた めで あ る.こ の4つ の 母 音 は,そ れ ぞれ 長 短 の2 つ の形 を もつ よ うに な り,8つ [参
照]
ス ラブ祖 語 (千 野
ス ラ ブ 祖 語 露
栄 一)
英Proto
slavic,独Urslavisch,仏slave
commun
の 母音 を区 別 す る よ う
にな った が,長 母 音 は,上 昇 と下 降 の2つ の イ ン トネ ー シ ョンに よ りさ らに倍 に な り ,短 母 音 の 倍 の数 とな って い る.こ の ほ か,ス ラ ブ祖 語 には 数 多 くの二 重 母 音 が イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 祖 語 か ら 受 けつ が れ て い る.
現 存 の ス ラ ブ諸 語 や,死 滅 した が文 献 に残 って い る
子 音 の体 系 も,ス ラ ブ祖 語 の 初 期 は 簡 単 で,ほ ぼ 次
ス ラブ 語 を比 較 す る と,歴 史 を さか の ぼ る につ れ て,
の よ うで あ った と考 え られ て い る(〈 表 〉).
文 法 構 造 お よび 基 礎語 彙 に お い て,こ れ ら の諸 言 語 の 一 致 あ るい は類 似 が ます ます 顕 著 にな る とい う事 実 か
て続 いた が,第2期
ら,こ れ らの諸 言 語 は,か つ て 存 在 した1つ の言 語 か ら 派 生 して きた もの で あ る と推 定 せ ざる を え な い.こ の,
このか な り簡 単 な 音 韻体 系 は,比 較 的 長 期 にわ た っ
<表>ス
無声
現 在 あ る資 料 か ら推 定 し,再 建 しな けれ ば な ら ない.
をみ て も,ス ラ ブ 諸 語 間 の類 似 は 明 らか で あ り,よ く ま とま って い る の で,ス ラ ブ祖 語 は,ゲ ル マ ン祖 語,
ラブ祖語初期の子音体系 閉鎖 音
も との 言語 で 書 か れ た もの は何 も残 っ て い な い ので,
この 言語 の こ とを ス ラ ブ祖 語 と よぶ.現 存 の ス ラブ 語
に 入 る と変 動 の時 期 を迎 え る.こ
摩 擦 音
有声
無声
有声
鼻音
流音
有声
有声
唇 音 前舌音 軟 口蓋音
バ ル ト祖 語 とい うよ うな 同 じイ ン ド ・ヨー ロ ッパ語 族
の時 代 に な る と,変 化 の 一 部 はす べ て の ス ラ ブ語 に及
内 の祖 語 と比 べ る と,そ の再 建 形 は,は るか に 具体 的
ぼ な くな って きて お り,ス ラ ブ祖 語 の崩 壊 へ と向 か う.
で あ る.さ らに,ス ラ ブ語 派 中 最 古 の 資 料 を もつ古 代
これ らの 変 化 の うち,特 に重 要 な も の は子 音 の 口蓋 化
教 会 ス ラブ語 は,か な りよ くス ラ ブ祖 語 の 最後 の段 階
で,こ れ に は第1,第2,第3の3種
の よ うす を反 映 して い る と考 え られ て お り,こ の祖 語
代 教会 ス ラ ブ語 にそ のす が た が 反 映 して い る.ま た,
のす が た を明 白な も のに して い る.
閉 音節 の 消失,語 末 子 音 の 消 失,鼻 母 音 の 成 立,ま た,
しか し,こ の ス ラブ 祖 語 が そ こか ら派 生 して きた と
い わ ゆ る流 音 の音 韻 転 換 な どを 引 き起 こ して い る.こ
推 定 されて い るイ ン ド ・ヨー ロ ッパ祖 語 は,西 暦 前3 千 年紀 には す で に 崩 壊 して い る の で,理 論 的 には,そ
の音 韻 転 換 に よ る変 化 の うち,2子
ロバ キ ア 語,チ
して,ス ラブ祖 語 が個 々 のス ラ ブ語 へ の 分 化 を始 め た
ラ ブ 語,東 ス ラ ブ語 の,3つ
のが,西 暦 後1千 年 紀 の後 半 と い うこ とで,研 究 者 の
られ る.
し,イ ン ド ・ヨー ロ
音 間 の‐or‐,‐ol‐,
‐er‐,‐el‐ の対 応 形 は,南 ス ラ ブ 語 とチ ェ コ語 お よ び ス
の と きか らス ラ ブ祖 語 は存 在 し て い る こ とに な る.そ
見 解 は ほぼ 一致 し て い るの で,も
が 認 め られ,古
ェコ語 お よ びス ロバ キ ア語 を除 く西 ス
ス ラ ブ祖 語 に は,男,女,中
ッパ 祖 語 崩壊 の時 期 に誤 りが な けれ ば,ス ラ ブ 祖語 は,
両,複
おお よそ3千 年 間 続 いた こ とに な る.イ ン ド ・ヨー ロ
ま た,名 詞 類 には,母
の異 な っ た対 応 形 が 認 め
の3つ の文 法 性,単,
の3つ の数,名 詞 類 で は7つ
の格 が 認 め られ る.
音語幹 ‐ a,‐o,‐i,‐u,‐uと 子
ッパ 祖 語 か ら歴 史 時 代 の ス ラブ 語 へ の橋 渡 し と してス
音 語 幹 ‐s,‐nt,‐n,‐rがあ り,こ れ に よ り豊 か なパ ラ
ラブ 祖 語 を考 え る と き,数 多 くの 事 実 を矛 盾 な く説 明
ダ イ ム が で き る.形 容 詞 は,ス ラ ブ祖 語 の後 期 に代 名
す るた め に,さ ま ざま な仮 説 が 考 え られ る.し か し,こ
詞 と結 合 した 長 語尾 形 が で きて,短 語 尾 形 と とも に用
の い ず れ もが 実 際 の 資 料 の裏 付 け の ない もの で あ る.
い られ て い る.
現在 明 らか な こ とは,当 然 の こ とな が ら,ス ラブ 祖語
動詞 は,現 在 語 幹 と不 定 法 語 幹 の2つ か ら さま ざ ま
の初 期 の段 階 に は不 明 な こ とが 多 く,後 期 で も時 代 が
な 活 用形 が派 生 す るが,動 詞 の カ テ ゴ リー は,ほ ぼ 古
新 し くな るにつ れ て 明確 にな って くる とい う事 実 で あ
代 教会 ス ラ ブ語 のそ れ と同 じで あ る.
る.多
くの研 究 者 は,ス ラ ブ 祖 語 に2つ の時 期 を区 別
語彙 の一 番 古 い 部 分 は イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 と共 通
し,ゆ る いテ ンポ の発 展 を とげ た比 較 的 長 い 期 間 の 第
の語 彙 で あ り,そ れ 以外 の 新 しい 語 彙 に は,隣 接 の他
1期 と,ス ラブ語 の 音韻 体 系 の根 本 的 改 変 を もた ら し,
の 語 派 か らの 借 用,タ ブ ー に よ っ て で きた新 し い語 が
比較 的 短 期 間 に,次 々 とか な り速 く変 化 が 起 こ った 第
あ る.
2期 の2つ を立 て る.こ の 第2期 が,本 来 の ス ラ ブ祖
ス ラ ブ 祖 語 は,音 韻 を 中心 に形 態 論 の研 究 が 進 め ら
語 の音 韻 変 化 の時 代 で あ る.
れ,メ イ エ(A.Meillet),コ
ス ラブ 祖語 は,そ の初 期 に,そ れ 以 前 の5つ の 母音
rinek),ベ
イ ク(N.van
ジ ーネ ック(J.M.Ko Wijk) ,ミ コラ(J.J.Mik
kola)な
ど,新
し く は,ベ
コ語 に はlの
ル ン シ ュ テ イ ン(〓),
ビ ル ン バ ウ ム(H.Birnbaum)な
ど の研 究 が
例)sl.chvala,chvil'a:ces.chvala,chvile [文 字 と 音 声 ]
知 ら れ て い る.
Meillet,A.(19342),Le
slave
g,h,ch,i,i,j,k,l,l,l',m,n,n,o,
Mikkola,J.J.(1913‐50),Urslavische matik
Ⅰ‐Ⅲ(Carl
Gram
problem
o,o,p,q,r,r,s,s,t,t',u,u,v,w,
Winter,Heidelberg)
Birnbaum,H.(1975),Common
x,y,y,z,z
Slavic
in
the
Progress
原 則 と し て1文 ch[x]は,例
reconstruction(Slavica
Publishers,Cambridge) Korinek,J.M.(1948),Od jazyka
indoeuropskeho
す.た
akademia
umeni,Bratislava)
(Columbia
Prehistory of
Slavic
Press,New
と え ば,c,d,l,n,s,t,zの
を 示 す.長
slovencina,slovensky
さ は,短
栄 一)
jazyk,
ス ロ バ キ ア 共 和 国 に 住 む460万
リ ー(12万
人(1995年
現 在)の
人),新
メ リ カ 合 衆 国(51万
人 のスロ
人),ハ
ユ ー ゴ ス ラ ビ ア(8万5千
ンガ
人)な
どに
ス ロ バ キ ア 語 は,系
統 的 に み る と,チ
の 西 の グ ル ー プ に 属 す る.中 は 非 常 に 近 く,両 で 話 し て も,ほ か し,次
ェ コ 語,ポ
・下 ソ ル ブ 語 な ど と と も に,ス で も,チ
ー
ラ ブ語 派
ェコ語 との関 係
語 の 標 準 語 使 用 者 は,た
が い に母 語
ぼ 完 全 に 理 解 し あ う こ と が で き る.し
の よ う な 言 語 学 上 の 差 異 に よ っ て,ス
dz,チ
ラ ブ 祖 語 の*djは,ス
はzと
は
な る.
ロバ キ ア 語 で は
あ る い はje‐
と な る.
キ ア 語 で は 音 節 を な すr,lと
ロバ な り,チ
ェ コ語 で
ェ コ 語 に はrとrの
ア 語 に はrの
ら な る.iとyの
書 法 上 の 慣 習 に 基 づ くに す ぎ ず,あ
区別
る限 られ た
条 件 下 以 外 で は 同 じ音 を 示 す. 例)bit'[〓]:byt,[〓]
例)sud「
の 意 味 の 区 別 に 関 与 す る.
桶 」:sud「
裁 判 」,
形 」:tvar「
顔 」
二 重 母 音 は,音 節 を な さ な い 短 い[i]あ め の1音
ス ロ バ キ ア 語 に は,27の
対 立 が あ る が,ス
ロバ キ
み で 対 立 が な い.
ロ バ キ ア 語 に はlとl'の
こ れ ら の 子 音 は,次 1)音
の 有 声,無
z,z),無
る い は[u]と,
節 で あ る.
子 音 が あ る.
の よ う に 分 類 す る こ と が で き る. 声 に 基 づ く 分 類
有 声 子 音(b,
声 子 音(c,c,f,ch,k,p,s,s,t,t').
こ の う ち,次 等 し く,そ
の 有 声 子 音 と無 声 子 音 は,調 れ ぞ れ ペ ア を な し て い る.
b:p,d:t,d':t',dz:c,dz:c,g:k,
例)sl.hora,repa:ces.hora,repa 5)ス
は,正
d,d',dz,dz,g,h,j,l,l',m,n,n,r,v,
な る.
例)sl.krv,blcha:ces.krev,blecha 4)チ
の 二 重 母 音(ie,ia,o,iu)か
l',m,n,n,p,r,s,s,t,t',v,z,z
ラ ブ 祖 語 の*r,*r,*l,*lは,ス
は し ば し ばre,leと
の 短 母 音(i(y),e,a,
の 長 母 音(i(y),e,a,o,u),4つ
b,c,c,d,d',dz,dz,f,g,h,ch,j,k,l,
例)sl.idem,ihla:ces.jdu,jehla 3)ス
ス ロバ キ ア 語 の 母 音 は,6つ
例)miesto[〓],kos[〓]
ラ ブ 祖 語 の 語 頭 の*jは,ス
i‐,チ ェ コ 語 で はj‐
来 語 を 表記 す る場
例)whisky[〓],telex[〓]
短 母 音 か ら な る,長
例)sl.priadza,hradza:ces.prize,hraz 2)ス
発 音 を 表 わ す.
q[〓],w[〓],x[〓]は,外
tvar「 ロ バ キ ア 語(sl.)で
ェ コ 語(ces.)で
音
合 に の み 用 い ら れ る.
母 音 の 長 短 は,語
ロバ キ
ア 語 は チ ェ コ語 と 区 別 され る. 1)ス
重 母 音[〓]の
a,o,u),5つ
散 在 す る ス ロ バ キ ア 系 移 民 の 間 で も話 さ れ て い る.
ラ ン ド語,上
つ う は[〓]の
例)osmy[〓],stol[〓]
憲 法 で同 国 の国 語 と規 定
ェ コ共 和 国 に 居 住 す る31万
バ キ ア 系 市 民 や,ア
で あ る.aは,広
音 を 示 す が,ふ
例)pat'[〓],najma[〓] δ は,二
た,チ
上 に
と 同 じ に 発 音 され る.
露
さ れ た.ま
ら か く"発
が長 く発 音 され る こ と
い 音 の ほ ぼ2倍
く開 か れ た 母 音[〓]の
英Slovak,独Slowakisch,仏slovaque,
ス ロ バ キ ア 人 の 母 語.1992年
上 につ け られ
が 口 蓋 化 し て"軟
つ け られ る 長 音 記 号( )は,音
ス ラ ブ語 派
ス ロバ キ ア 語
を 表 わ す.
音 され る こ と を 示 す.a,e,i,l,o,r,u,yの
York)
(千 野
を 表 わ す が,dz[〓],dz[〓], 字 で1音
る 軟 音 記 号( )(')は,音
University
照]
字 で1音
外 で,2文
例)dzus[〓],Cech[〓] 一部の文字 は ,補 助 記 号 が つ け ら れ て 別 の 音 を 表 わ
pra
k praslovancine(Slovenska a
Shevelov,G.Y.(1965),A
[参
字 か ら な る.
a,a,a,b,c,c,d,d,,dz,dz,e,e,f,
commun(Champion,
Paris)
vied
ス ロ バ キ ア 語 の ア ル フ ァ ベ ッ トは
ラ テ ン 文 字 を 使 い,46文
[参 考 文 献]
and
み で 対 立 が な い.
対 立 が あ る が,チ
ェ
v:f,z:s,z:s
音の位置が
有 声 子 音hと が,同
無 声 子 音chは,調
音 の位 置 は こ とな る
様 に ペ ア を な して い る.有
n,n,r)は,ペ 2)調
声 子 音(j,l,l',m,
ア を な す 無 声 子 音 を も た な い.
音 の 方 法 に 基 づ く分 類
唇 歯 音(f,v),歯
両 唇 音(b,p,m),
音(k,g,ch),喉
l,g,k,h,ch),軟
こ の 分 類 は,i(i)とy(y)の
と に はi(i)が
て,後
書 き わ け の た め の も の で,
子 音 の あ と に はy(y)が,軟
子音 のあ
書 か れ る.『 中 立 子 音 の あ と に,い
ずれ
の 文 字 が 書 か れ る か は 定 ま っ て い な い. ス ロ バ キ ア 語 は,書 原 則 で あ る.し
の よ う な 場 合 は,表
記 と発 音
が か な ら ず し も 一 致 し な い. 1)軟
音i,i,eの
前で
は 軟 音 記 号 が 省 略 さ れ る.
例)jeden[〓],tiger[〓]
末に
中 で あ と に 無 声 子 音 が 続 く場 合 に は,
無 声 化 す る.
声 子 音vの
み 起 こ り,語
名 詞,数
詞,前
置 詞,接
名 詞 に は,ほ
無 声 化 は,語
性 に は,男
つ う,単
続 詞,小
性(z.),中
性(s.)の3つ
べ て の 名 詞 は,原
数 主 格 の 形 の,語
生 命 」,muz「 詩 」:s.mesto「
さ ら に,男
声 子 音 の 有 声 化
声 子 音(p,t,t',c,c,k,f,s,s,ch)は,あ
と
声 子 音 と ペ ア を な す 有 声 子 音 が 続 く場 合 に は,
と に,無
声 子 音 とペ ア を な 声化 す る
数 にお い
数 主 格 ・複 数 対 格kohuty 数 と複 数 の2つ
が あ る.大
方 を あ わ せ も っ て い る が,単
数 あ る
い は 複 数 だ け で し か 用 い られ な い 語 も あ る. 例)listie「
植 物 の 葉 」,l'udstvo「
格(3格),対 6つ
格(4格),前
格(1格),生
格(2格),与
置 格(6格),造
の カ テ ゴ リ ー か ら な る.か
格(7格)の
つ て あ っ た 呼 格(5格)
こ と が あ る.
は,標
例)kupme[〓],sest'uholnik[〓]
呼 び か け る 場 合 に は,ふ
前 置 詞sとkは,あ
た だ し,一 部 の 男 性 名 詞 に は 呼 格 の 名 残 り が み ら れ る.
と に 無 声 子 音 が 続 か な い 限 り,す
べ て 有 声 化 す る. 例)s
matkou[〓],k
準 語 で は,す
人 類 」:noznice
ク リス マ ス 」
ス ロ バ キ ア 語 の 格 は,主
音 が 続 く場 合 に も,有
お ん ど り」:
機械」
物 の 名 称 を さ す 語 の 大 部 分 は,複
「は さ み 」,Vianoce「
合 語 な ど で は,あ
活
分 類 さ れ る.
オ ー ク 」,stroj「
部 分 の 名 詞 は,両
有 声 化 す る. 例)kde[〓],prosba[〓]
間 の男 性 お
少 年 」,kohut「
数 の カ テ ゴ リー に は,単 有 声 子 音 とペ ア を な す 無
女 」,
海」
動 体(ziv.,人
れ 以 外 の 語)に
neziv.dub「
例)複
男 」:z.zena「
般 名 称 と 固 有 名 称 を さ す 語)と,不
つ う音 節 を な さ な い 短 い[u]の
例)vtak[〓],spev[〓],pravda[〓]
の
詞 の 性 は,ふ
町 」,more「
性 名 詞 の み は,活
よ び 動 物 の,一
のカ
則 と し て,こ
末 の 文 字 に よ っ て 決 ま る.
て は 不 活 動 体 と して 変 化 す る.
音 と して
詞,間
か の 大 部 分 の ス ラ ブ 諸 語 と 同 様 に,性,
性(m.),女
basen「
頭 に くる場 合 に の
の変化す 詞)と,5つ
の 文 法 的 カ テ ゴ リ ー が あ る.
た だ し,動
さ な い 有 声 子 音 や,母
詞,動
分 類 され る.
例)ziv.chlapec「
発 音 さ れ る.
ま た,複
容 詞,代
末 に くる場 合 と語 中 で あ とに子 音 が 続 く
場 合 に は,ふ
に,無
ス ロ バ キ ア 語 の 品 詞 は,5つ
動 体(neziv.,そ
例)hrad[〓],otazka[〓]
3)無
投 詞)に
無 声 子 音 とペ ア を な す有
声 子 音(b,d,d',dz,dz,g,z,z,h)は,語
た だ し,有
法]
例)m.zivot「
声 子 音 の 無 声 化
く る 場 合 と,語
[文
る 品 詞(名 詞,形
3つ の 性 の う ち の い ず れ か に 属 す る.名
た だ し,表 記 ど お り 硬 子 音 と し て 発 音 さ れ る 語 も あ る.
則 とし
例)sl.krasny,davam:ces.krasny,davam
テ ゴ リ ー が あ り,す
例)deti[〓],lenivy[〓]
2)有
の 音 節 が 連 続 す る 場 合 に は,原
の 音 節 が 短 縮 さ れ る.
数,格
子 音d',t',n,l'は,母
音 はア ク セ ン トの有
に 明 瞭 に 発 音 さ れ る.
の 変 化 し な い 品 詞(副
か れ た とお りに発 音 され る のが
か し,次
た,母
母 音 の 長 短 に か か わ る ス ロ バ キ ア 語 独 自 の 現 象 と し
本 来 長 い,2つ
立 子 音(b,p,m,r,s,v,z,f).
原 則 と し て,硬
ク セ ン トは
ク セ ン トと母 音 の
て,1語 内 で は 原 則 と して 長 い 音 節 を 隣 接 さ せ な い "リ ズ ム の 法 則"が あ る .語 形 変 化 に 際 し,語 源 的 に は
硬 子 音(d,t,n,
子 音(d',t',n,l',dz,c,z,
s,dz,c,j),中
ロバ キ ア 語 で は,ア
無 に か か わ ら ず,常 口蓋
頭 音(h).
書 法 の 観 点 か ら の 分 類
ク
oknom[〓]
長 短 の 間 に 関 係 は な く,ま
音(t,d,n,c,dz,s,z,l,r),
硬 口 蓋 音(t',d',n,c,dz,s,z,j,l'),軟
4)正
mnou[〓],pod
1音 節 の 接 続 詞 や 人 称 代 名 詞 な ど に は,ア お か れ な い.ス
音 の 位 置 に 基 づ く分 類
節 にお か れ る
節 を な す 前 置 詞 と 語 が 結 合 す る 場 合 に は,ア
例)so
面 音(l,l'),
ふ る え 音(r). 3)調
弱 ア ク セ ン トで あ
つ う は 第1音
セ ン トが 前 置 詞 の 方 に 移 行 す る こ と も あ る.
擦 音(c,dz,c,dz),
摩 擦 音(v,f,z,s,z,s,j,h,ch),側
ま り 強 く な い.ふ
が,音
閉 鎖 音(b,p,d,
t,d',t',g,k,m,n,n),破
ス ロ バ キ ア 語 の ア ク セ ン トは,強 る が,あ
例)boh「 otcovi[〓]
で に 使 わ れ て い な い.今
神 」→boze,clovek「
形 容 詞 は,性,数,格
日 で は,
つ う 主 格 の 形 が 用 い ら れ る.
に お い て,従
人 間 」→clovece 属 す る 名 詞 に一
致す る.ス ロバ キ ア 語 の特 徴 の ひ とつ は,所 有 をあ ら
形 動 詞 の 形 態 に は,能
わす 場 合,物 主形 容 詞 が よ く用 い られ る こ とで ある.
去,被
例)otcov
形 は な い.ま
kabat「 父 の コ ー ト」,Puskinova
basen
「プ ー シキ ンの 詩」
動 形 動 詞 現 在,能
動 形 動 詞 過 去 の3つ た,被
が あ り,被
動形動詞過
動形動詞現在の
動 形 動 詞 過 去 の 短 尾 形 も な い.
ス ロ バ キ ア 語 の 動 名 詞 の 大 部 分 は,他
か つて あ った形 容 詞 の短 尾形 は,今 日で は,す で に 用 い られ ず,一 部 の語 に 名残 りが み られ るの み で あ る. ス ロバ キ ア語 の 人 称 代 名 詞 に は,単 数 の 生格,与 格 対 格 にお い て,長 形 とな らん で 短 形 が み られ る.長 形
動 詞 か ら形成
さ れ,被 動 形 動 詞 過 去 の 形 と 関 連 し て い る.ま
た,不 完
了 体 動 詞 か ら も完 了 体 動 詞 か ら も ひ と し く形 成 さ れ, 体 の 意 味 が 保 た れ る. [語
は,前 置 詞 と結 び つ く場 合 と,語 が 強 調 さ れ る場 合 に
は,チ
彙]
ス ロバ キ ア語 の語 彙 の か な り の 部 分
ェ コ 語 と 共 通 し て い る.両
言 語 は,ス
ラ ブ祖 語
用 い られ る.短 形 は,そ れ 以 外 の 場 合 に 用 い られ るが,
起 源 の 語 彙,あ
る い は,さ
らに古 い起 源 の語 彙 を共 有
文 頭 には 立つ こ とが で き ない.人 称 代 名 詞 の 主格 は,
し て い る ば か り で な く,歴
史 時 代 以 降 もス ロ バ キ ア 語
論 理 的,感 情 的 に強 調 され る場 合 以 外 には,あ ま り用
は,チ
い られ な い.
か ら借 用 し て い る.
ス ロバ キ ア語 で は,基 数 詞 の2,3,4が,主
格お よ
ェ コ文 化 と の 接 触 の 中 で,多
例)bajka「
寓 話 」,cit「
感情」
び そ れ と等 しい 対 格 の位 置 で,名 詞 と結 びつ く場 合,
と は い え,よ
名 詞 は複 数 主格 に な る.5以
は こ と な っ た 語 も少 な く な い.
上 の基 数 詞 の場 合 は,名
詞 は 複 数 生格 に な る.ま た,21か
ら始 まる複 合数 詞 は
例)dve
く使 わ れ る 語 彙 に お い て も,チ
例)sl.teraz「
1語 と して 書 かれ る.
い ま 」,izba「
の本 」,pat'knih「5冊
本 」,dvadsat'jeden
knih「21冊
の
部 屋 」:ces.ted',
称),数(単
数,複 数),時 制(現 在,過 去,未 来),法(直
説法,命
令法,条 件 法),態(能
のカテゴ
動 態,受 動 態)の,5つ
ま た,チ
ェ コ語 か らの 借 用語 を こ と な った 語 にお き換
え る 傾 向 も あ る.
の本 」
ス ロバ キ ア語 の 動 詞 は,人 称(1・2・3人
リー に よ って特 徴 づ け られ る.ま た,ほ か の ス ラ ブ諸
例)ovsem→pravda「
も ち ろ ん 」,valka→vojna
「戦 争 」 ド イ ツ 語(nem.)か
ら は,12世
の 東 方 植 民 を 通 じ て,多
語 と同 様 に,ス ロバ キ ア語 の動 詞 に は,不 完 了体 と完
い れ ら れ た.
了体 と よ ばれ る2つ の体 が あ る.不 完 了 体 動 詞 は,行
例)nem.Zucker→cukor「 →farba「
為 の経 過,非 限定,未 完 了 を表 現 し,完 了体 動詞 は,
紀 に は じ ま る ドイ ツ 人
くの語 が ス ロバ キア 語 に と り
砂 糖 」,nem.Farbe
色」
行 為 の限 定,完 了 を 表現 す る.大 部 分 の 動 詞 に おい て
ハ ン ガ リ ー 語(mad'ar.)か
は,不 完 了 体 と完 了体 は ペ ア を形 成 して い る.
般 に 考 え ら れ る ほ ど 多 く は な い.
動 詞 の 形 態 に は,不 定 形,能 動 態(直 説 法 の現 在 形,
直説 法 の 現在 形 は,人 称 と数 に よ って 異 な った接 尾 ロバ キ ア語 の場 合,1人
称 単 数 の接 尾
うわ さ」
ル パ チ ア(Karpaty)山
フ(valach)の
脈 ぞ い の,山
入 植 に よ っ て,ル
過 去 形 は,動 詞byt'「 あ る」 の現 在 形(som,si,je, 尾 辞 ‐lで終 わ る 動 詞 の 形 動 詞
形 に よ って 形成 され る が,3人
称 の単 数 と複 数 で は,
現 在 形 は欠 落 す る.ま た,過 去 形 に含 まれ る形
動 詞 形 は,性 と数 に した が っ て変 化 す るが,ス
ロバ キ
ー マ ニ ア 語(rum.)か
[方
言 ]
部 方 言,東
羊のチーズ」
ス ロ バ キ ア 語 の 方 言 は,西
部 方 言 の3つ
こ の 区 別 は 歴 史 的 に 古 く,す
で に,15世
紀 には 形 成 さ
れ て い た と い う. 1)西
部 方 言
ト レ ン チ ー ン(Trencin),ニ
(Nitra),ト
用 い られ る.
ス ラ ブ 祖 語 の*ort‐,*olt‐
ル ナ バ(Trnava),ザ
こ と,一 が,そ
が 守 ら れ な い こ と,な
い.完 了 体 動 詞 か ら形 成 され る副 動 詞 過 去 は,今 日で
2)中
は廃 れ た 形 とみ な され て い る.
riec),ズ
れ ぞ れc,dzと
部 方 言
の 方 言 の 特 徴 は,
がrot‐,lot‐
部 の 方 言 に 軟 ら か いl'が
ひ とし く形 成 され,性
トラ
ー ホ リ エ(Zahorie)
な ど の 下 位 方 言 か ら 構 成 さ れ る.こ
副 動 詞 現 在 は,不 完 了体 動詞 か ら も完 了体 動 詞 か ら も と数 に よっ て 変 化 す る こ とは な
部 方 言,中
に 大 別 さ れ る(〈 図 〉 参 照).
ア語 にお い て は,性 に よる変 化 は単 数 で のみ 生 じ(‐l, ‐la ,‐lo),複 数 にお い て は,す べ て の 性 に接 尾 辞 ‐liが
副 動 詞 で は,副 動 詞現 在 の形 のみ が 使わ れ てい る.
岳民バ ラ
ら 羊 飼 養 に か か わ る 語 が 入 っ て い る. 例)rum.brinza→bryndza「
辞 は ‐mの み で あ る.
byt'の
魔法使い」
mad'ar.hir→chyr「 ま た,カ
副動 詞,形 動詞,受 動 態,動 名 詞 が あ る.
ら の 借 用 語 も あ る が,一
例)mad'ar.boszorkany→bosorka「
未来 形,過 去 形 お よび完 了過 去 形,命 令 法,条 件 法),
sme,ste,su)と,接
ェ コ語 と
pokoj
knihy「2冊
辞 を と るが,ス
くの語 を チ ェコ語
に変 わ った
な い こ と,t',d'
発 音 さ れ る こ と,リ
ズ ム の法 則
ど で あ る. オ ラ バ(Orava),ト
ボ レ ン(Zvolen),ゲ
ゥ リ ェ ツ(Tu
メ ル(Gemer)な
ど の下
位 方 言 か ら構 成 さ れ,3方 ち ば ん 広 い.こ *olt‐ がrat‐
,lat‐
変 わ っ た こ と,接 ‐ lが,音
言 の 中 で は,分
の 方 言 の 特 徴 は,ス
に 変 わ っ た こ と,dl,tlがlに
節 を な さ な い 短 い[u]と
発 音 さ れ る こ と,リ
中 部 方 言 に は,南
ど で あ る.
ス ラブ 諸 語 と共 通 の特 徴 が み とめ ら
れ る と い う説 も あ る. 3)東
部 方 言
,),シ ャ リ シ(Saris),
どの下 位 方言 か ら構 成 され
る.こ
ラ ブ 祖 語 の*ort‐,*olt‐
の 方 言 の 特 徴 は,ス
rot‐,lot‐ に 変 わ っ た こ と,t',d'が
が
そ れ ぞ れc,dz
い 音 節 が な い こ と,ア
クセ ン ト
め の 音 節 に お か れ る こ と,な
どで あ
る.
こ の 文 章 語 は,ス
づ い て い る が,語
お む ね 中 部方 言 に基
彙 と語 形 成 の 一 部 に は,西
要 素 も と り い れ られ て い る.起
源 的 に は,西
東 部 方 言 が 近 い と さ れ て い る が,分 ら い え ば,西
ン ガ リ ー 国 家 の 版 図 に 組 み 込 ま れ,以
定 住 し た と さ れ る紀 元5世
ら れ た.一
着 の ス ラブ語 の方 言 を書 き あ らわ す
方,土
ほ ど大 き
し言 葉 と し て は,
一 貫 し て ス ラ ブ 語 の 方 言 が 用 い られ て い た .ス ア 地 域 の ス ラ ブ 人 が,ほ 成 し た 最 初 の 国 家 は,大 833∼906)と
<図>ス
出 典:『
紀 以 降,古
い 形 の チ ェ コ 語,い
わ
導 入 さ れ た が,18世
紀 後 半 に 顕 著 に な っ た 民 族 覚 醒 運 動 の 中 で,カ
トリッ
ク 系 知 識 人 の 間 に ス ロバ キ ア 人 独 自 の 文 章 語 制 定 の 動 き が 起 こ り,民 族 啓 蒙 家 ア ン ト ン ・ベ ル ノ ラ ー ク(An ton
Bernolak,1762∼1813)の
手 に よ っ て,い
ベ ル ノ ラ ー ク 語(bernolactina)が
わゆ る
考 案 さ れ た.こ
の文
部 ス ロ バ キ ア 方 言 に 基 づ い て 作 ら れ,同
代 の 詩 人 ヤ ー ン ・ホ リ ー(Jan
音 派 の 知 識 人 た ち が,伝
響 力 を も つ こ と が で き な か っ た.1843年 家 リ ュ ド ビ ー ト ・ シ ト ゥ ー ル(L'udovit 56)ら が,ス
時
Holly,1785∼1849)ら
的 な チ ェ コ 語 の 使 用 に 固 執 した こ と も あ っ て,広
在 の ス ロバ キ ア 地 域 に
紀 以 来,話
紀 中葉
部方言 と
か りや す さの点 か
部 方 言 は 標 準 語 か らか な り 隔 た
ス ラ ブ 人 が,現
来,19世
家 の公 用 語 と して は ラ テ ン語 が 用 い
に,民
統 い影
族啓 蒙
stur,1815∼
ロバ キ ア 全 体 に よ り広 く流 通 し て い た 中 部
方 言 に 基 づ い て,あ
史]
ロバ キ ア 地 域 は,ハ
に よ っ て 用 い ら れ た が,福
っ て い る. [語
紀,ス
部方 言の
部 方 言 と 中 部 方 言 の 差 異 は,さ
く な い の に 対 し て,東
か し,
ロ バ キ ア 地 域 に は 定 着 し な か っ た.
に い た る ま で,国
章 語 は,西
現 在 の 標 準 ス ロ バ キ ア 語 は,お
弟 の 手 に よ っ て,古
ゆ る 聖 書 チ ェ コ 語(biblictina)が
ゼ ム プ リ ー ン(Zemplin)な
が 終 わ り か ら2番
メ トデ ィ オ ス(Metod)兄
文 章 語 と し て,15世
ス ピ シ(Spis
と 発 音 さ れ る こ と,長
ン ス タ ン テ ィ ノ ス ・キ ュ リ ロ ス(Konstantin
大 モ ラ ビ ア 国 崩 壊 後 の11世
容 詞 の 中性 単 数 主 格 の
あ る こ と(標 準 語 で は‐e),な
徒"コ Cyril)と
代 教 会 ス ラ ブ 語 が 文 章 語 と し て 導 入 さ れ た.し
尾 辞 ‐lで 終 わ る 動 詞 の 形 動 詞 形 の
ズ ム の 法 則 が 守 ら れ る こ と,形 語 尾 が‐uoで
布範囲がい
ラ ブ 祖 語 の*ort‐,
ら た に 表 記 法 と 文 法 を 制 定 し た.
こ の 試 み は 後 年,言 語 学 者 マ ル テ ィ ン ・ハ タ ラ(Martin Hattala,1821∼1903)ら
の 手 に よ っ て 若 干 「修 正 」 さ
ロバ キ
れ て,標
準 ス ロ バ キ ア 語 と して の 地 位 を 確 立 し た.し
か の 西 ス ラ ブ諸 族 とと もに 形
か し,こ
の 標 準 語 の 影 響 力 は,ス
モ ラ ビ ア 国(Vel'ka
よ ば れ る が,こ
の 時 代 に,"ス
Morava, ラブ 人 の 使
ロバ キ ア 語 の 方 言 分 布
ス ロ バ キ ア 語 地 図 』第1巻(1968)に
よ る.
そ の も の が 相 対 的 に 弱 く,ま た,ハ
ロバ キ ア の 民族 運 動 ンガ リー政 府 の側 か
ら の 強 力 な 同 化 政 策 の せ い も あ っ て,19世
紀 後 半 を通
じ て,限
定 さ れ た も の で あ っ た.1863年
slovnik,SPN/Vydavatel'stvo《Rusky
に開 設 され た
slovenska)も,1875年 キ ア 語 が,社
に は 閉 鎖 さ れ た.標
で は,ア
準 ス ロバ
[借
用]
メ リ カ で 出 版 さ れ た
あ る が,ス
つ い て は,『 外 来 語 辞 典 』(Maria
Ivanova‐Salingova
a Zuzana
cudzich
Ruzicka,J.(red,)(1966),Morfologia
pedagogicke Bratislava,19832)に100語 が,大
slov,Slovenske
nakladatel'stvo〔
部 分 は,日
jazyka
「(日本 風 の)き も の 」 な ど,十
Slovenska
腹
数 語 で あ る.ス
ロバ キ ア
書 林,東
テ ル ・ トブ ル デ ィ ー(Peter
チ ェコ語 (長 與
ス ロ ベ ニ ア 語 slovenski
Tvrdy,
slovnik,Spolok
a
あ る.第2次
成 す る.と
化 団 体 マ チ ツ ァ ・ス ロ ベ ン ス カ ー か ら
本格的な 詳解 辞 典
Jona,Slovnik
slovenskeho,Matica
者 の 数 は 約170万
す る 諸 国,イ
ロバ キ
タ リア,オ
広 が っ て い る.ま
ア 科 学 ア カ デ ミー か ら 『ス ロ バ キ ア 語 辞 典(全6巻)』
ル ゼ ン チ ン,オ
(Slovnik
の 話 者 が い る.
Slovenskej
jazyka,Ⅰ akademie
Bratislava,1959‐68)が
‐Ⅵ,Vydavatel'stvo vied〔 以 下,SAV〕,
出 版 さ れ た.こ
の 辞 典 は,完
結 し た 初 め て の 本 格 的 な 詳 解 辞 典 で あ り,標 か に,方
準語 のほ
言,ス ラ ン グ,廃 語 な ど も 含 め て,12万4千
が 収 録 さ れ て い る.最
近,同
語 小 辞 典 』(Kratky
の詳 解 辞 典
slovnik
Veda,vydavatel'stvo
語
じ く ア カ デ ミー か ら,約5
万 語 を収 録 し た 標 準 的 な1巻
外 に も,ア
ー ス トラ リ ア な ど を 中 心 に,約30万
文 字 は,ロ
ー マ 字 を 用 い,い
ロ ア チ ア 語 に あ るcは
くつ か の 補 助 記 号 を 援 な い.
ス ロ ベ ニ ア 語 は,ス
ラ ブ諸 語 の 中で 古 い形 を保 って
い る こ と で 有 名 で,特
に語 彙 と統 語 の 面 にお い て顕 著
か し,形
態 面 で は,同
ま た,も う1つ
じス ラ ブ語 派 の南 方
よ く知 ら れ た 事 実 は 方 言 の 多 様 性 で,
シア 語 関 係 が 比 較 的 充 実 して
る.共
通 語 は,首
都 リ ュ ブ リ ア ー ナ(Ljubljana)の
お り,『 露 語 ・ス ロバ キ ア 語 大 辞 典(全5巻)』(Vel'ky
言 を 基 礎 に し て い る が,ご
rusko‐slovensky
市 マ リ ボ ル(Maribor)の
slovnik Ⅰ
‐Ⅴ,Vydavatel'stvo
SAV,Bratislava,1960‐70),『 大 辞 典(全6巻)』(Vel'ky
,ソ
ス ロバ キ ア 語 ・露 語 slovensko‐rusky
Ⅰ‐Ⅵ,Veda,vydavatel'stvo ほかに
人
相 互 に 理 解 不 可 能 な 数 多 くの 方 言 の 存 在 が 知 ら れ て い
2か 国 語 辞 典 で は,ロ
‐95)の
ン ガ リー に も
メ リ カ 合 衆 国,ア
保 っ て い る カ テ ゴ リ ー の 中 で 欠 い て い る も の も あ る.
刊 行 さ れ た.
ー ス ト リ ア,ハ
た,海
群 に 属 す る セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 や ブ ル ガ リア 語 が
jazyka,
SAV,Bratislava,19973)も
ロベ ニ ア 共 和
ー ゴス ラ ビア と隣 接
用 す る が,ク
で あ る.し
『ス ロ バ キ ア
slovenskeho
人 で あ る.ス
国 内 に 集 中 し て 住 ん で い る が,ユ
刊 行 され は じめ た 代 に,ス
り わ け ク ロ ア チ ア 語 と は 近 い 関 係 に あ る.
語 で,話
slovenska,Turciansky
中 絶 し た.1950∼60年
slovenskeho
jezik
ラ ブ 語 派 の 南 方 群 に 属 し,そ
国 の西 北隅 を 占 め るス ロベ ニ ア 社 会 主 義 共 和 国 の公 用
spisovneho
Martin,1946‐49)が
母Jで
で,ス
ユ ー ゴ ス ラ ビ ア 社 会 主 義 連 邦 共 和 国 を 形 成 す る,同
『標 準 ス ロ バ キ ア 語 辞 典 』(Anton
Eugen
進)
jezik,英Slovene,
graficka Unia, の 西 の グ ル ー プ を セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 と と も に 形
Praha‐Presov,19332)で 大 戦 後 に は,文
ス ラ ブ 語 の1つ
Svateho
Vojtecha,Trnava,1931;Ceskoslovenska
が,字
京)
照]
編 纂 し た 『ス ロ バ キ ア 語 語 法 辞 典 』(Slovensky 露〓,セルビア・クロアチアslovenacki
frazeologicky
Svaty
[参
slovencina(SPN)
ス ロ ヴ ァ キ ア 語 会 話 練 習 帳 』(大 学
世 紀 に入 って か らで あ る. 最 初 の 国語
1850∼1935)の
jazyka
gramatika(SPN,Bratislava)
長 與 進 編(1984),『
ス ロバ キア 語 に関 す る辞書 類 が整 い は
詳 解 辞 典 は,ペ
Janosik
J.Stolc(19685),
Mistrik,J.(1984),Moderna
空 手 」,kimono
語 か ら 日本 語 に 借 用 さ れ た 語 は 見 あ た ら な い.
じ め た の は,今
SAV,Bratislava)
Pauliny,E.,Ruzicka,J.a
柔 道 」,harakiri「
い け ば な 」,karate「
書]
slovenskeho
(Vydavatel'stvo
近 くが 登 録 さ れ て い る
く知 ら れ て い る も の は,dzudo「
[辞
[参 考 文 献]
以 下,SPN〕,
本 に 固 有 の 現 象 を 示 す 語 で あ る.広
切 り」,ikebana「
Sokol,Passaic,
ロ バ キ ア 本 国 で は,ポ
ケ ッ ト 辞 典 程 度 の も の し か 出 て い な い.
日本 語 か らス ロバ キ ア語 に入 った 語 に
Manikova,Slovnik
『ス ロ バ キ ア 語 ・英 語 語
Katolicky
N.J.,1969)が
語 関 係
Phraseological
Dictionary,Slovensky
の チ ェコ ス ロバ
キ ア 国 家 成 立 以 降 の こ と で あ る.
あ る.英
法 辞 典 』(J.J.Konus,Slovak‐English
会 生活 全 般 を担 う こ との で きる近 代 的言
語 と して の 体 裁 を 整 え た の は,1918年
jazyk》,
Bratislava/Moskva,1976)も
民 族 啓 蒙 文 化 団 体 マ チ ツ ァ ・ス ロ ベ ン ス カ ー(Matica
連 と共 同 出 版 さ れ た
語 ・露 語 辞 典 』(Dezider
slovnik
SAV,Bratislava,1979
Kollar
a
『ス ロ バ キ ア
ini,Slovenskorusky
話 し 言 葉 に は,共 つ つ あ る.こ
く近 年 に な っ て 北 東 部 の 都 方 言 が 力 を 得 は じ め て お り,
通 語 に2つ
の ほ か,国
ロ ベ ニ ア 語Trst)で
方
の バ リ ア ン トが 認 め られ
外 の ト リ エ ス テ(Trieste,ス
独 自 の 共 通 語 の 話 し 言 葉 が あ る.
[文 字 と 音 論]
ス ロ ベ ニ ア 語 は25の
原 則 と し て1音1文
字 の ロ ーマ 字 に よ るア ル フ ァベ ッ
文 字 を 有 し,
ト方 式 に 忠 実 で あ る.し を 表 記 す る た め に,補
か し,ラ
文 字 が あ り,ま た,[c]の い ら れ る.音
テ ン語 にな か っ た音
助 記 号 を 使 用 し た,c,s,zの3
文 字 と し て 存 在 す る の で28の こ と に な り,文
さ ら に,い
有 声 音 を 示 す た め にdzが
素 の 数 は29で,dzはd,zが
用
それぞれ
音 素 を25の
文字で示す
字eは/e//〓//〓/の3つ
の 音 素 を,
文 字oは/o//〓/の2つ
の 音 素 を 示 し て い る.29の
音 素 の う ち,母
音 が21で,子
音 が8,子
無 声 で 対 立 を な す6つ い3つ
の ペ ア ー と,ペ
の 無 声 子 音,6つ
音 素 は,半
音 は,有
の 有 声 子 音 と か ら な る.子
よ び,無
b,の3つ
音
声 子 音b,d,
ア 人 と 共 存 し た こ と も方 言 分 布 を 複 雑 に し て い る.こ れ は,ス
ロ ベ ニ ア 語 の 方 言 が,西
クセ ン ト
字 表 記 で 〈表 〉の よ う に 図 示
さ れ る.
東 と西 の2つ (Fran
ッ チ)の 音 の 対 応 に よ り,
Miklosic,1813∼91)に
に 区 分 さ れ た が,現
よ り,
在 で は,ラ
Ramovs,1890∼1952)に
史]
よ る7方
モウシュ
言,46下
位
(無 ア ク セ ン ト)
ス ラ ブ 学 上 有 名 な 文 献 は,ス
ロベ ニ ア
『フ ラ イ ジ ン グ 文 書 』(Brizinski,Spomen
iki)で,10世 い る.し
16世
ロベ ニ ア語 の母 音 音 素 (有 ア ク セ ン ト)
初e(ヤ
ミク ロ シ ッ チ(Franjo
紀 末 か11世
紀 初 頭 の も の と見 な さ れ て
か し,こ れ 以 後 の も の は す で に14,15世
も の で,そ
<表>ス
して ス ラ ブ
語 的 特 徴 を よ く保 っ て い る こ と か ら も 明 ら か で あ る.
語最古の で,ア
部 で よ り複 雑 で,東
部 で は セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 に 近 く,概
[語
に 分 類 さ れ る.
母 音 音 素 は,i,e,〓,a,o,〓,u,〓
の 原 因 で あ る.
イ ツ人 あ る いは イ タ リ
方 言 の 分 類 が 一 般 に 認 め ら れ て い る.
声 子 音p,f,t,s,s,c,c,k,
の 有 無 と 長 短 に よ り,文
く つ か の 地 域 で,ド
方 言 の 分 類 は,最
声,
ア ー を な さな
子 音m,n,r,l,j,vと,有
z,z,dz,gお
文 化 的 中 心 を も た な か っ た こ と も1つ
紀の
の い ず れ も が 方 言 的 特 徴 を 反 映 し て い る.
紀 に な り,ト ル バ ル(Primoz
Trubar,1508∼86)
に よ っ て 初 め て 文 語 の 試 み が な さ れ,最 確 立 し た の は19世
紀 の70年
終 的 に文 語 が
代 で あ る.
[参 考 文 献] Toporisic,J.(1960),"Slovenski(slovenacki)jezik", Enciklopediu naklada
(長 母 音)
(短
[歴史 的音 論]
母
語 のカ イ(kaj)方 す.目
ス ロベ ニ ア 語 は全 体 とし て セ ル ビ
言 とは,ま っ た く漸 進 的 な 移 行 を示
す る(例:sveca「 2)*oに
) Toporisic,J.(1976),Slovenska
対 してc,jを
有
[参
slovnica(Zalozba
Maribor,Maribor) 照]
ス ラ ブ 語 派
ろ うそ く」,noc「 夜 」,meja「 境 」),
対 してo(例:roka「
手」),*〓,*bで
され るい わ ゆ るイ ェル に対 して,ア 母 音 で はa,そ
(〓
obzorja
ラ ブ祖 語 の*tj/*kt,*djに
れ 以 外 で はeで
i
FNRJ,Zagreb)
〓,O.C.(1977),"〓",〓
りわ け ク ロ ア チ ア
につ く音 的 特 徴 は,
1)ス
4(Izdanje
zavoda
音)
ア ・ク ロ ア チ ア語 と近 く,こ の 両 者 の 間 に明 確 な方 言 上 の区 分 を定 め る こ とは 難 しい.と
Jugoslavije
leksikografskog
(千 野
栄 一)
示
クセ ン トの あ る長
せ
対 応 す る(例:danes
「今 日」). [文
法]
形 態 論 で 目 につ くの は 両数 の存 在 で,
曲 用 に お い て も活 用 にお いて もカ テ ゴ リー を な して い る.曲 用 は,全 体 として セ ル ビア ・ク ロア チ ア 語 よ り も古 風 で あ るが,呼 格 は 失 わ れ て い る.動 詞 で は,セ
セ ル ビ ア 教 会 ス ラ ブ 語 英Serbian
→ 教 会 ス ラブ語 セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語srpskohrvatski
ル ビア ・ク ロア チ ア語 よ り不 定 法 が 多 用 され る こ と と,
hrvatskosrpski
目的 分 詞(supinum)の
独 Serbokroatisch,仏serbo‐croate,
にl(エ
保 持 が 特 徴 的 で,未 来 を 示 す の
ル)分 詞 が使 われ る.ス ロベ ニ ア 文 語 は,南 ス
ラ ブ諸 語 中,た だ1つ 単 純 過 去 を もた な い. 統 語 論 の 面 で 目 につ くの は,述 語 的 造 格 の欠 け る こ とで,造 格 は常 に前 置詞 と と もに用 い られ る. [方
言]
ス ロベ ニ ア 語 は 多様 に して複 雑 な方 言
Church
Slavonic
jezik,
jezik,英Serbo‐Croatian,
露 〓 ユ ー ゴ ス ラ ビ ア 社 会 主 義 連 邦 共 和 国 に3つ
あ る公 用
語 の1つ
ル ナ ・ゴ
で,セ
ー ラ(Crna
ル ビ ア 人,ク
Gora
ス ニ ア(Bosnia)回
ロ ア チ ア 人,ツ
,モ ン テ ネ グ ロMontenegro)人,ボ 教 徒 の 国 語.言
分 布 で 知 られ る.こ れ は,ア ル プ ス の 東 部 とい う地 理
万 人(1971年
的 な 条 件 と,歴 史 的 発展 の結 果 で,長 い期 間,経 済 的,
同 じ 国 内 の ス ロ ベ ニ ア 語,マ
国 勢 調 査 に よ る)で
語 人 口 は,約1,500 あ る.
ケ ドニ ア 語,お
よ び,
隣 国 の ブ ル ガ リア 語 と と も に,ス 語 群 に 属 す る.セ は,方
ラ ブ語 派 の 南 ス ラブ
ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 は,具
体 的に
言 的 差 異 と文 語 伝 統 の 相 違 に 基 づ い て,セ
ア 語 と ク ロ ア チ ア 語 と に 分 か れ る が,標
ル ビ
準文 章語 とい
う 理 念 か らみ れ ば,同 一 の 言 語 で あ る.こ
の 言 語 は,セ
ル ビ ア で は セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語(srpskohrvatski jezik)と
よ ば れ,ク
jezik)な
い し 「ク ロ ア チ ア
語 あ る い は セ ル ビア 語(hrvatski
ili srpski
jezik)」
と よ ば れ る. [方
母 音 と も短 母 音 と も な る .
子 音 は,b,p,m,v,f,z,s,d,t,c,n,nj,l, lj,z,s,d,c,dz,c,r,j,h,g,kの25個 あ る が,こ
で
の う ち,j,lj,nj,c,dは
音)で あ り,他
は 硬 音(非
文 字 に は,キ る.キ
軟 音(口
口 蓋 化 音)で あ る.子
チ(Vuk
音rは
リー ル 文 字 と ラ テ ン文 字 の2系
St.Karadzic)が
蓋 化
指 」).
リー ル 文 字 は,1818年
次 の30文
言]
れ ぞ れ に,長
成 節 的 で も あ り う る(例:prst「
ロ ア チ ア で は ク ロ ア チ ア ・セ ル
ビ ア 語(hrvatskosrpski
5母 音 が,そ
に,ブ
統 があ
ー ク ・カ ラ ジ ッ
改 良 し た もの を 基 と し て,
字 か ら な る.
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 は,「 何 」 を
意 味 す る 疑 問 代 名 詞 の 語 彙 の 差 異 を 基 準 と し て,3つ の 方 言 に 分 類 さ れ る.す
な わ ち,「 何 」 を 《kaj》 とい
う 方 言 を 「カ イ 方 言(kajkavstina)」,《ca》 方 言 を 「チ ャ 方 言(cakavstina)」,《sto》 を 「シ ュ ト方 言(stokavstina)」
とい う とい う方 言
と す る.こ
の6文
字 は,独
の う ち,
特 の 改 良 文 字 で あ り,他
の キ リー ル 文 字 に は 見 ら れ な
セ ル ビア ・ク ロア チ ア 語 の標 準 語 の 基 礎 にお か れ るの
い も の で あ る . 一 方,ロ
シ ア 語 の キ リー ル 文 字 に 見 ら
は,シ
れ る 田,〓
ュ ト方 言 で あ る . こ の シ ュ ト方 言 は,共
ブ 語(Common
Slavic)の
応 じ て,さ eで
ら に,3つ
た はije(長
継 承 の しか た に
の 下 位 方 言 に 分 類 さ れ る.eを
継 承 した 方 言 を
節)ま
母 音*eの
通ス ラ
ル 文 字 を 用 い る が,今
「エ 方 言(ekavstina)」,je(短
音 節)で
(jekavstina)」,iで
継 承 した 方 言 を
音
「イ ェ 方 言
イ ェ方 言 で あ る.エ
化 的 に 重 要 な の は,エ
方 言 は,セ
話 さ れ,イ
方言 と
ェ 方 言 は,ツ
ル マ チ ア北 西 部 な どで 話 され る
ス ニ ア 西 部,ス
エ 方 言 は,習
ラボ
方言の文化
ル ビア 共 和 国 の首 都 ベ オ グ ラー ドにあ
ン チ ン文 化 圏 に あ っ て,主
方 正 教 会 の 伝 統 下,ビ
ザ
に キ リー ル 文 字 を 用 い る.
慣 上,「 セ ル ビ ア 語 」 と よ ば れ る.一
イ ェ 方 言 は,そ
方,
の 文 化 的 ・教 育 的 中 心 を ク ロ ア チ ア 共
この う ち,D,dはDj,djで
リ ー ル 文 字,ラ
ラ ジ ッ チ の 提 唱 以 来,
「話 す と お り に 書 け 」 を 原 則 と し,1文
ア ク セ ン トは,音 別 さ れ る.上 ( ):vrat「
[文
法]
は,性(男 格:主
エ方 言
イ ェ方 言
イ方言
格,生
ペ ク ト(完
*vera「
信 仰 」
vera
vjera
vira
乙 女 」
deva
djeva
diva
法(直
mlijeko
mliko
時 称,未
sijeno
sino
(単 数,複
*seno「
牛 乳 」 mleko 干 し 草l seno
性,女
了 体,不
母 音 は,i,e,a,o,uの
基本的 な
足 」,下 降
容 詞,代
性),数(単
格,対
格,造
完 了 体),態(能
格,呼
制(過
去 時 称,現
称,無
数),性(分
詞 形 で,男
・女 ・中 性)の
制 形 態 は 複 雑 で,過
完 了 過 去,完
了,大
在
人 称),数 カ テゴ
去 時 称 に は,ア
過 去 の4形
ス
動 態),
称(1・2・3人
リス ト,未
格)の
る . 動 詞 は,ア 動 態,受
令 法),時
詞)
数),格(7
格,所
用(格 変 化)す
続 法,命
名 詞,数
数,複
来 時 称),人
リ ー を も つ.時 [音 と 文 字]
性,中
格,与
説 法,接
が区
降長母音
目 」. 名 詞 類(名 詞,形
カ テ ゴ リ ー を 有 し,曲
*deva「 *mleko「
を 表示
の4種
手 」,下
首 」,上 昇 短 母 音('):noga「
短 母 音("):oko「
共 通 ス ラ ブ語
字 が1音
楽 的 ア ク セ ン トで,次
昇 長 母 音('):ruka「
テ ン 文 化 圏 に あ っ て,
ア 語 」 と よ ば れ る.
テ ン文
す る.
ー マ ・カ ト リ ッ ク の 伝 統 下 ,ラ
慣 上,「 ク ロ ア チ
代 用 さ れ る こ と も あ る.
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 は,キ
の 方 言 の 使 用 者 は,ロ
ェ方 言 は,習
よっ
字 の い ず れ を 用 い る に せ よ,カ
和 国 の 首 都 ザ グ レ ブ に お き,こ
ラ テ ン文 字 を 用 い る.イ
Gaj)に
l,Ljlj,Mm,Nn,Njnj,Oo,Pp,R
方 言 は,ボ
の 方 言 の 所 有 者 は,東
ュ デ ビ ッ ト ・ガ イ(Ljudevit
紀 の30
r,Ss,Ss,Tt,Uu,Vv,Zz,Zz
ニ ア(Slavonia),ダ
り,こ
紀以
日 の 文 字 体 系 は,19世
d,Ee,Ff,Gg,Hh,Ii,Jj,Kk,L
ル マ チ ア(Dalmacija,英Dalmatia)南
的 中 心 地 は,セ
ロ ア チ ア 文 学 に お い て,14世
Aa,Bb,Cc,Cc,Cc,Dd,Dzdz,D
ス ニ ア,ク
化 言 語 と し て の 価 値 は 現 在 な い.エ
ル ビア語 領 域 にお い
て 設 定 さ れ た も の で あ る.
ル ナ ・ゴ ー
部 な ど で 話 さ れ る.イ
が,文
ラ テ ン 文 字 は,ク
ル ビア とボ イ ボデ ィ ナ
ル ツ ェ ゴ ビ ナ(Hercegovina),ボ
ロ ア チ ア,ダ
日 で は,セ
ル ビ ア ・ク 統 的 に キ リー
て も ラ テ ン 文 字 が 使 用 さ れ る 場 合 が 少 な く な い.
年 代 に,リ
シ ュ ト方 言 の う ち,文
ラ,ヘ
ル ビ ア 人 は,伝
継 承 し た 方 言 を 「イ 方 言(ikavstina)」 来 用 い ら れ て き た が,今
と い う.
(Vojvodina)で
は,セ
ロ ア チ ア 語 に は な い.セ
オ
態 が あ り,
未 来 時 称 に は,Ⅰ 式 とⅡ 式 の2形 態 が あ る.過 去 時 称 の うち,ア オ リス トと未 完 了 過去 は,活 用 に よ る屈 折 形 態 で あ り,主 として,前 者 は 完 了体 動 詞 か ら,後 者 は 不完 了体 動 詞 か ら形 成 され る.完 了 と大 過 去 は,助 動 詞 と分詞 の 結 合 か らな る分 析形 態 で あ り,前 者 は, 存 在動 詞bitiの
現 在 人 称 定 形 に ‐l分 詞 を付 加 して
つ く られ,大 過 去 は,存 在動 詞bitiの
完 了 ない し未
完 了過 去 の 形 態 に ‐l分 詞 を 付 して 形 成 され る.未 来 形 のⅠ 式 は,動 詞hteti「
欲 す る」 の現 在 人 称 定形 の
ア ク セ ン トの な い形 に動 詞 の不 定 形(完 了 体動 詞 も可) を付 して つ く り,Ⅱ
式 は,存 在動 詞bitiの
在 形(budem,budes,…)と
複数
完 了体 現
‐l分詞 との結 合 か らな
る.Ⅱ 式 の 未 来形 は,接 続 詞 を伴 う従 属節 に お いて の
《未 来 形Ⅱ 式 》
単数
み 用 い られ る.
<表>動
《未 来 形1式 》
単数
詞の主要 な形態 複数
《不 定 形 》 pitati 「尋 ね る 」
tresti 「揺 す ぶ る 」
govoriti 「話 す 」
《現 在 時称 》 カ ッ コ内 は,人 称代 名 詞 .
《命 令 形 》
単数 複数
単数
複数
冠 詞 は 存 在 し な い が,形 限 定 性/非 例)star 'the
《ア オ リス ト》
容 詞 の 語 尾 の 長/短
によ り
限 定 性 の 意 味 が 表 わ さ れ る. seljak'an old peasant'
old
peasant'/stari
seljak
単数 統 語 関 係 は,他 前 置 詞,接
れ る . 主 語 は,ふ
複数
の ス ラ ブ 語 と 同 様 に,語
続 詞,語
音 調 の総 合 に よ っ て表 現 さ
つ う,名
詞 類 が主 格 にお かれ る こ と
に よ っ て 表 わ さ れ る が,動 た め に,代
《未 完 了過 去 》
名 詞 の1・2人
例)(ja)radim「
単数
の 変 化 形 態,
順,文
詞 の人 称 定 形 が 明 確 で あ る 称 は,ふ
つ う 省 略 さ れ る.
私 は 働 く」,(ti)radis「
君 は働
く」 連 辞 動 詞 に よ っ て 結 合 され る 名 詞 述 語 は,東 や 西 ス ラ ブ 語 と 異 な っ て,主 Njen
複数
brat
je bio
ス ラブ 語
格 に お か れ る.
glumac.「
彼女の兄は俳優だ
った」 語 順 は,き 《完
了 》 カ ッ コ 内 は,女
性 形.
単数
わ め て 自 由 で あ る が,代
語 順 は,微
称
妙 で 複 雑 な 規 則 性 を もつ.た
が あ る(カ
《大 過 去》 あ ま り用 い な い.単 数1人 称 の み を例 示 す る.カ ッ コ 内は,女 性 形.
詞,助 の
代 名 詞 の 対 格 形 に は,次
複数
名 詞,動
詞 に エ ン ク リ テ ィ ッ ク(前 倚)形 が い ろ い ろ あ り,そ
ッ コ 内 は,ア
と え ば,人
の よ う な エ ン ク リ テ ィ ッ ク形 ク セ ン トの あ る 自立 形).
me(mene)
「私 を 」
nas(nas)「
我 々 を」
te(tebe)
「君 を 」
vas(vas)「
君 た ち を」
ga(njega)
「彼 を,そ れ を 」ih(njih)「
ju,je(nju)
「彼 女 を,そ れ を 」
Ja sam
dao knjigu
bratu.「
彼 らを」
私 は弟 に本 を与 え
た 」 と い う文 に お い て,4個
の 語 に は ア ク セ ン トが あ
の 及 ば な か っ た ダ ル マ チ ア 地 方 に お い て は,15世
る が,存
在 動 詞 の 現 在 ・1人
称 の エ ン ク リテ ィ ック形
ら17世
立 形 は,jesam)だ
け は ア ク セ ン トが な い の
旧 名 ラ グ ー ザRagusa)を
sam(自 で,直
前 の 語 に 前 倚 し て,Jasamと1語
音 さ れ る . も し,こ
の よ うに発
の 文 に お い て,話
し 手 がknjigu
な る. 〔 〕 内 は,エ
順 が 変 わ り,次
の よ うに
ン ク リ テ ィ ッ ク 形 が 前 倚 し て,1
語 の よ うに発 音 され る こ とを示 す . Ja
sam
je
は,Dao
dao
sam
je
dao…
bratu.〔Daosamje
彙 と 語 法 に お い て,若
音 と
干 の相 違 が
み られ る. 1)語
セ ル ビ ア 語 領 域 の 文 章 語 は,18世
紀 に ロ シア 教 会 ス
ラ ブ 語 の 著 し い 影 響 を 受 け た.18世
紀 後 半 に な る と,
セ ル ビア語
ら れ,『
紀 に 入 る と,カ
編 ま れ て,民
革 が 提 唱 さ れ,『 (Kratka
serbskoga rjecnik,
衆 語 に 基 づ い た,セ
よ っ て,ク
ル ビ ア 人,
horvatsko‐slavenskoga
1830)や,新
「パ ン」
書 法 が 実 践 さ れ,国
「タ オ ル 」
聞,雑
pravopisanja,
誌 の 発刊 に よ って 新正
語 の 標 準 化 が 推 進 さ れ,カ
チ の 言 語 改 革 と呼 応 し て,今
「誰 」
ロア チ ア語 の文 語 改
ク ロ ア チ ア ・ス ラ ブ 語 正 書 法 要 理 』
osnova
「紙 」
ラジッ
日 の セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ
ア 標 準 文 章 語 に 至 る 道 が 開 拓 さ れ た.
月名 は,セ ル ビア語 はjanuar,februar(1月,2 と,ラ テ ン系 の外 来 語 を用 い るが,ク
語 はsijecanj,veljaca,…
[辞
ロア チア
書]
Benson,Morton(1971),Serbo‐Croatian‐English Dictionary(Prosveta,Beograd)―
と,ス ラブ 古 来 の 名 称 を
用 い る.
と も頼 り に な る対 訳 辞 典 で,1980年
法 の面 では,ク
ロア チ ア 語 が 動 詞 の不 定形 を
用 い る状 況 にお い て,セ ル ビア語 が接 続 詞da+
動詞
の現 在 人 称定 形 とい う従 属 節 を用 い る 傾 向が 目立 つ. ロア チ ア語ja
ja moram
moram
citati./セ
ル ビア語
da citam.
史]
訂 第2版
srpskohrvatskoga
Ⅵ(Matica
knjizevnog
srpska,Novi
jezika
Sad,1967‐76)―
っ と も 標 準 的 な 詳 解 国 語 辞 典.1985年,補 が 出 て い る.セ
セル ビア ・ク ロア チ ア 語 の 担 い 手 の 先
も 遺 付 きで
ル ビ ア 版 は 完 結 し た が,ク
ロ
紀 に は,セ
ル ビ
[参 考 文 献] 《入 門 書 》 Lord,Albert(1958),Beginning
ア ・ク ロ ア チ ア語 は,北 部 の ス ロ ベ ニ ア 語 か ら 離 れ た.セ ル ビア人 とク ロア チ ア人 が 政 治 組 織 と文 化 的 伝 統 を異 にす る民族 と して 形 成 され た の は,9世
(Mouton,The
Serbo‐Croatian Hague)
Partridge,Monica(1964),Serbo‐Croatian
紀以降
で あ る.
Grammar
and
Reader(McGraw‐Hill,
London)
セ ル ビア ・ク ロア チア 語 の 最 古 の 文 献 は12世
紀の
〓(1969),〓
もの で,ボ ス ニ アの 封 建 領 主 の文 書 や 『ミロス ラブ福 音 書』(Miroslavljevo
Ⅰ‐
ア チ ア 版 は 出 版 の 進 行 が 中 断 し て い る.
紀 か ら7世 紀 にか け て カ ル パ チ ア 山脈 の北
側 か らバ ル カ ン半 島 に 進 出 し,9世
もっ に,改
が 出 て い る. Recnik
第2版
「私 は 読 ま な けれ ば な ら ない 」
祖 は,6世
St.
ク ロ ア チ ア 人 に 共 通 の 標 準 文 章 語 の 基 礎 が 築 か れ た. 一 方 ,ク ロ ア チ ア に お い て は,詩 人 ガ イ(Ljudevit
ク ロ ア チ ア語
「駅 」
[語
ラ ジ ッ チ(Vuk
セ ル ビ ア 語 辞 典 』(Srpski
「大 学 」
例)ク
芸復興の
よっ て文 章 語 改 革 が す す め
セ ル ビ ア 語 文 法 』(Pismenica
jezika,1814),『
Gaj,1809∼72)に
2)文
Obradovic,
啓 蒙 活 動 に よ っ て,文
Karadzic,1787∼1864)に
「劇 場 」
月),…
ブ ラ ド ビ ッ チ(Dositej
1742∼1811)の
1818)が 彙
自 の 文 学 と文 章 語 が 発 達 し,
日の ク ロア チ ア の 言語 文 化 に継 承 され
兆 し が み え,19世
両者の差異
が 方 言 的 な も の で あ る こ と は す で に 述 べ た が,発
タ リ ア ・ル ネ サ
て い る.
〕,ま た
bratu〕
[セ ル ビ ア 語 と ク ロ ア チ ア 語 の 相 違]
文 字 法 の ほ か に,語
中 心 に,イ
セ ル ビ ア に お い て,オ
bratu.〔Jasamje
紀 か
ゥ ブ ロ ブ ニ ク(Dubrovnik,
ン ス 文 化 を 摂 取 し つ つ,独 そ の 伝 統 は,今
「本 を 」 の 代 わ り に 代 名 詞 の エ ン ク リ テ ィ ッ ク 形je 「そ れ を 」 を 用 い る な ら ば,語
紀 に か け て,ド
evandjelje)な
どの12世
紀
末 の古 文 献 は,古 代 教 会 ス ラ ブ語 に セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 の 口語 要 素 を流 入 させ た言 語 で書 かれ た.セ ル ビア語 領 域 にお け る文 書 活 動 と文 章 語 の 発 達 は,14世 紀 末 の トル コ侵 攻 に よ って 停 滞 した が,ト ル コの 侵 略
《記 述 文 法 》 Meillet,Antoine Grammaire Ancienne
et de
la
Andre
Honore
langue
Vaillant(1924,19522), serbo‐croate(Librairie Champion,Paris)
Practical
Hamm,Josip(1967),Grammatik
aerbokroatischenる こ と とな
der
Sprache(Otto
ころ が さま ざ ま な 保 護 措 置 に もか
道 を た ど って いて,第2次
Wiesbaden) Brabec,Ⅰ.,Hraste,M.and Gramatika
い わ れ た 言 語 人 口は,今
S.Zivkovic(1955),
hrvatskosrpskoga
世 界 大 戦 終 了後,15万 日,約10万
人と
人 とい わ れ て い
る.し か も,こ の 人 た ち の い ず れ もが ドイ ツ語 を話 す
jezika(Skolska
二 重 言 語 者 な ので,完 全 に ドイ ツ 語 化 す る危 険 性 に絶
knjiga,Zagreb) Stevanovic,Mihailo(1973),Savremeni
srpskohrvatski
jezik Ⅰ/Ⅱ(Naucna
・ク ロ ア チ ア 語
= セ ル ビ ア
えず さ ら され て い る とい え る. 第2次 世 界 大 戦 後,ソ ル ブ 語 が 文 語 の地 位 を獲 得 し
knjiga,Beograd) (栗 原
セ ル ボ
った.と
か わ らず,巨 視 的 に み れ ば,ソ ル ブ 語 の 人 口は 減 少 の
Harrassowits,
成 郎)
た とき,古
くか らの 方 言 的 区分 の ほ か,政 治 的,経 済
的,文 化 的 理 由 に よ り,上 ソル ブ 語(シ ュ プ レー 川 の 上
英Serbo‐Croatian
・ク ロ ア チ ア 語
流)と,そ
れ よ り北 の下 ソル ブ 語 の,2つ
の 文 語 を同
時 に成 立 させ る こ ととな った.方 言 の 分 布 は 必 ず し も この2つ の区 分 とは 一 致 せ ず,し か も,上 ソル ブ語 も
そ
下 ソ ル ブ語 もそれ ぞれ ま とま った 地 域 を 占 めて い るわ け で もな い.こ
俗 ラ テ ン 語 英Vulgar → ラ テ ン語
〓)が,東
Latin
の こ とは,か
つ て シ チ ェルバ(
部 の ム ジ ャコ フ(Muzakow)方
1言 語 と考 え た こ とが あ る とい う事 実 に よ って も知 ら
ソ ル ブ 語 serbscina,英Sorbian,独Sorbisch,
れ る.ま た,現 在 で は十 分 に発 達 し た文 語 と して 機 能
露.〓 ドイ ツ 民主 共 和 国,い わ ゆ る 東 ドイ ツ の南 東隅,シ ュプ レー(Spree)川
の 上 流 に ドイ ツ 語 に 囲 ま れ た言 語
島 をな す,ス ラブ 語 派 の西 方 群 に属 す る言 語 であ る. ソル ブ 人 は,自 称 をSerbja,つ
ま り,「セル ビア人 」 と
して い る上 ソ ル ブ語 が,長 い 期 間,言 語 学 的 には そ れ ほ どの差 が な い の に,プ ロテ ス タ ン トとカ ト リッ クの 2つ のバ リア ン トを も った 文 語 と して 存 在 した こ と も あ る.
い うの で,こ の 人 た ち の 言語 は セ ル ビア語 と よばれ る
今 日,ソ ル ブ全 体 の文 化 の 中 心 は,上
べ きで あ るが,こ の 名 称 は,す で に 同 じス ラ ブ語 派 中
心 で も あ る ブ デ ィ シ ン(Budysin,ド
の 有 力 な 言語 , ユ ー ゴス ラ ビア の セ ル ビア語 を さす た
ェ ンBautzen)で,下
め に 用 い られ て い るの で,他 の 名 称 を 用 い る こ とが 行
(Chosebuz,ド
なわ れ て い る.よ
ソル ブ語 は,上
(Luzica)の serbscina(ソ
言 を,
上,下 の ソ ル ブ語 とは異 な る1つ の ま とま りを も った
く使 わ れ て い る の は,「 ル ジ ツ ァ
セル ビア 語 」 とい う意 味 を も つ〓uziska ル ブ 語)と い う名 称 で,ロ
シア語 で も
〓を 用 い て い る こ とが あ る.ド イ ツ 語 で はSorbischと
い う名 称 が定 着 し,こ れ の 日
本 語 訳 で あ る ソル ブ語 とい う名 称 は,ユ ー ゴ ス ラ ビア
ソル ブ語 の 中
イ ツ名 は バ オ ツ
ソル ブ 語 の 中心 は,ホ シ ェブ ス
イ ツ 名 は コ トブ スCottbus)で
あ る.
・下 ソル ブ 語 共 通 に,ポ ー ラ ン ド語
あ る い は チ ェ コ語 と同 じ特 徴 を 共 有 す るが,前 者 とは, 意 味 を区 別 す る母 音 の 長 短 の な い こ と,1人
称複数の
動 詞 の現 在 の語 尾 が ‐myで あ る こ とな ど,後 者 とは, 第1音 節 に ア クセ ン トの あ る こ と,ま た,運 動 を示 す 動 詞 の未 来 形 に接 頭 辞po‐ をつ け る こ と,な どが,そ
の セ ル ビア語 との 区 別 も可能 な の で,日 本 で もいず れ
の共 通 の特 徴 の例 として あげ られ る.
定 着 す る と思 わ れ る.な お,こ の ソル ブ語 の こ とを ベ
上 ソル ブ語 と下 ソル ブ 語 の 間 に も数 多 くの 差 異 が み
ン ド語(Wendisch)と
られ る.母 音 に つ い て は,本 来 の 鼻 母 音eに 対 し,上
い うこ と も あ る.
こ の ソル ブ 語 は,か つ て,よ
り広 い土 地 に 広 が って
ソル ブ語 で は'aやjaが,下
ソル ブ語 で はeま
たは
い て,北 でポ ラブ 語,東 で ポ ー ラ ン ド語,南 で チ ェ コ
eが 対 応 す る こ と,子 音 で は,上 ソ ル ブ語 がg>hの
語 と接 してい た が,激
移行 が あ る の に,下 ソ ル ブ 語 に は そ れ が ない こ と(し
しい ドイ ツ語 化 に さ ら され て,
現 在 で は,東 独 の コ トブ ス と ド レス デ ンの2つ の 地 方
た が っ て,下 ソル ブ語 のhは,借
の11の 県 に,50万
的 に発 生 した もの に 限 る),上
人 の ドイ ツ人 中,10万
と して 残 って い るに す ぎ な い.こ
人の言語島
れ は,10世
ラ ンク人 に よ って 支 配 され て以 来,千
紀にフ
年 に わ た って 自
詞 の 「何 」は,下 ソ ル ブ 語 でco,上 あ る こ と な どが 目立 つ.
第2次 世 界大 戦 後,1948年
ソル ブ 語 の文 献 は,上
の ドイ ツ 民 主 共
和 国 の進 歩 的 憲 法 に よ り,初 め て ソル ブ 人 の 文 化 的,
とい う接
頭辞 に,下 ソル ブ 語 はhu‐ で対 応 す る こ と,疑 問 代 名
分 た ち の代 表 を支 配 階 級 に もた な か った か らで あ る. と1950年
用語 と,語 頭 に2次 ソ ル ブ 語wy‐
ソ ル ブ語 でstoで
ソル ブ 語 の方 が 早 くか ら存 在
し,15世 紀 末 には 「ブデ ィ シ ン市 民 の誓 い」 が あ らわ
政 治的 な 自治 が 確 立 し,こ の 言 語 に よ る学校 教 育,印
れ るが,最 古 の書 籍 は ル タ ーの 『教 理 問 答』で,17世
刷 出版 な どが 公 認 され,ソ ル ブ 語 は 新 しい 時 代 を迎 え
紀 後 半 か ら18世 紀 に か けて 『新 約 聖 書 』 の 訳 が 出 さ
れ て い る.19世
紀 に な る と,文
は,バ
シ ン ス キ ー(J.Bart‐Cisinski,1856∼
ル ト=チ
1909)が
詩 人 と し て,ア
1871∼1908)が
学 も発 達 し,そ
の中で
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語
ン ド リ ッ キ ー(M.Andricki,
ダ ル マ チ ア 語 英Dalmatian,独Dalmatisch
散 文 作 家 と して 有 名 で あ る.
下 ソ ル ブ 語 の 最 初 の 文 献 は,1543年 書 断 片 」 で,1548年
ユ ー ゴ ス ラ ビ ア の 北 西 部,ア マ チ ア 地 方 で,主
の 「リ ヒ テ ル 文
に は,下 ソ ル ブ 語 の 東 部 方 言 で 『新
め ら れ る が,や
[言 語 特 徴]
が て ドイ ツ 化 の 波 が 押 し 寄 せ,19世
困 難 な 道 を 歩 み 始 め た の は,第2次
c,gが
紀
食 事 を す る 」;rom.〔
ラ テ ン語 〕
ル ー マ ニ ア 語 〕cina「
夕
食 を と る 」)と い う 保 守 的 面 を 合 わ せ も っ て い る.イ
字 と し て ラ テ ン 文 字 を 使 い, つ て,一
説 は な い が,ダ
部 で ドイ ツ 語
タ
ソ ル ブ 語 は,類 プ に 属 し,豊
型 論 の 見 地 か ら す れ ば,屈
折 的 タイ
保 っ て い る.し 変 化 は6つ
た が っ て,そ
の 差 に な っ て い る.ま
献 で は 指 示 代 名 詞 が 多 用 され,そ
訳文
は,ル
わ け 下 ソ ル ブ 語 に 多 い.ま
た,上
北 部 の べ グ リ オ ッ ト(Vegliot)方
[歴
し て き た 後,次
語 を
し,も
Grammatik(Volk
obersorbische
und
rece
(Domowina,Budysin) Grammatik
で,1898年,最
亡 し て,こ
の 言 語 は 死 滅 し た . さ い わ い,バ の 話 し 手 の 存 命 中,そ
を 研 究 し た も の が あ り,数
tische,1906).な 〓1977)
献 と し て は,13世
(千 野
栄 一)
現,ザ
[参
ダ ルZadar)の 照]
後 の話 死
ル ト リ の 言語
少 ない ダル マ チ ア語 に つ い Dalma
の言語で書かれた 最古 の文
紀 の ラ グ サ(Ragusa;現,ド
ブ ニ クDubrovnik)の
ス ラ ブ語 派
た
お,こ
Susak)
Udina)が
て の 文 献 と な っ て い る(M.G.Bartoli,Das
(Domowina,Bautzen)
照]
の 言 語 が 話 され て い た フ ィ
エ カ ・ス シ ャ クRijeka
(M.G.Bartoli)が,こ
Janas,P.(1976),Niedersorbische
第 に 普 及 した ク ロア チ ル マ チ ア語 の話 者 は 減 少
し手 ア ン ト ニ オ ・ウ デ ィ ナ(Antonio
hornoserbskeje
移住
行 者 に よっ て この 言 語
の 近 く の べ グ リ ア(Veglia)島
Wissen,Berlin)
H.(1968),Gramatika
紀 に は,旅
っ と も 遅 く ま で,こ
ウ メ(Fiume;現,リ
[参 考 文 献]
ラブ系の クロ
第 に これ らの新 しい言 語 が 使 用 され る
ア 語 や セ ル ビ ア 語 の 陰 で,ダ
ソ ル ブ 語 ‐ロ シ ア 語 辞 書.
Wowcerk,P.(19553),Kurzgefasste
紀,ス
セ ル ビ ア 人(Serbian)が
の 存 在 が 検 証 さ れ て い る が,次
s〓ownik(Domowina,Budysin)―3万6千
言 と南 部 の ラ グ サ
ロー マ の属 州 とな っ て 俗 ラ テ ン語 が 話
よ う に な っ た .12世
書]
収 録 す る,上
史]
ア チ ア 人(Croatian)や
語 か ら の 借 用 も 多 い.
来
言 の 別 が あ っ た.
さ れ る よ う に な っ た が,6∼7世
ソル ブ語 には チ ェコ
た,未
俗 ラ テ ン語 〕
歌 う」).
ン(Ragusan)方
り
Trofimowic,K.K.(1974),Hormjoserbsko‐ruski
い う単 語 の 保 存
ー マ ニ ア 語 以 外 に は み ら れ な い.ま
cantaro「
イ ツ 語 か ら の 借 用 語 が 目 に つ き,と
白 い 」,dens
湿 っ た 」)と
完 了 も残 し て い る(kantuora<Lat.〔
の 機能 は とき に冠 詞
を 思 わ せ る. 語 彙 で は,ド
保 存,
4)albus,densus,udus(rom.alb「
オ リ
イ ツ 語 の 影 響 で,翻
い う 子 音 連 続(siapto<Lat.septem
「濃 密 な 」,ud「
の 言 語 で は 完 了 体 と不 完 了 体 た,ド
ま
保 存,
「7」;rom.sapte)の
詞 に 単純
ス ラ ブ 語 で は め ず ら し く,ア
ス ト と不 完 了 過 去 は,こ
音 間 の 閉 鎖 音 の 保 存,
数 に は 呼 格 が あ り,7つ),
形 式 を もつ こ と に な る.動
過 去 が あ る の も,西
テ ン 語 のauの
2)母
数を
の双 数 の た め 名詞 の 曲 用
の 格(た だ し,単
3つ の 数 で,19の
1)ラ
3)ptと
か な 曲 用 型 と活 用 型 を 有 す る. ス ラ ブ 語
派 中 で も 古 い 型 を 保 存 し て い る こ とで 知 ら れ,双
ル マ チ ア 語 に み ら れ る 次 の 現 象,つ
り,
の い わ ゆ る 亀 の 子 文 字 が 使 わ れ た こ と が あ る.
[参
前 の
リア 語 と ル ー マ ニ ア 語 の ど ち ら と 近 い 関 係 に あ る か 定 ル ブ 語 は,文
多 く の 補 助 記 号 を 用 い る が,か
Sewc
よ う な 先 進 的 面 と,eの
軟 口 蓋 音 を 保 つ(kenar<Lat.〔
cenare「
世界大戦以後か ら
で あ る. 現 在,ソ
[辞
ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で 独 自 の 存 在 で,
u>oi,e>ai,o>auの
紀 に も宗 教文 献 を 中心 に翻 訳 が進
に は 学 者 の 研 究 対 象 と な っ た ほ ど で あ る .真 に 自 立 の
ド リア 海 に 面 し た ダ ル
と して 中世 に 話 され て い た ロマ ンス
系 の 言 語.
約 聖 書 』 が 訳 さ れ て い る. そ の 後,17∼18世
英Daco‐Rumanian
=ル ー マ ニ ア語
公 文 書,1397年
ブロ
の ザ ラ(Zara;
手 紙 が あ る.
ロ マ ンス 諸 語,ル
ーマニア語 (倍 賞
和 子)
語 彙 の 面 で は,両 る も の が あ る.そ
ち
言 語 に は,し
brambor(チ):zemiak(ス)「
じ ゃが い も」
kapsa(チ):vrecko(ス)「
チ ェ コ 語cesky
jazyk,cestina,露〓
独Tschechisch,英Czech チ ェ コ語 は,チ
ェ コス ロバ キ ア社 会 主 義 共 和 国
(Ceskoslovenska に お い て,ス
socialisticka republika,CSSR)
れ て い る言 語 で,同 国 の 人 口15,395,970人(1983年)
zeli(チ):kapusta(ス)「
キ ャベ ツ」
jatra(チ):pecen(ス)「
肝臓」
kruta(チ):morka(ス)「
七面鳥」
cap(チ):bocian(ス)「
こ う の と り」
な ど の 例 は,有
万 人 に よ って 話 され,国 外 で も,
ポ ケ ッ ト」
hrbitov(チ):cintorin(ス)「
ロバ キ ア 語 と と もに公 用 語 と して 認 め ら
の3分 の2,約1千
ば し ば ま っ た く異 な
の 中 で も,
[音
墓場」
名 で あ る.
論]
チ ェ コ 語 の 母 音 は,a,e,i,o,uの5
ソ連 邦,ア メ リカ 合 衆 国,オ ー ス トリア,カ ナ ダ な ど
つ で,そ れ ぞ れ が 長 母 音 と短 母 音 を 有 す る.長
に 約100万
母 音 の 上 に'を
人 の 話 者 が い る.チ ェコ語 は,チ ェ コス ロ
バ キ ア の 西 部,チ
ェ コ共 和 国 を形 成す るチ ェ コ地 方 で
用 い られ,こ の チ ェ コ地 方 は,歴 史的 に も,現 在 の 行
つ け て 表 記 さ れ る.な
(語 頭 で 用 い る)とu(語 長 いuを
母 音 は,
お,uに
は,u
中 と語 末 に 用 い る)の2つ
示 す 文 字 が あ る.長
母 音 の う ち,o,す
ち 長 いoは,moda「
る.モ ラ ビア か ら さ らに 東 に進 む と,ス ロバ キ ア 地 方
ー ン 」,gol「
ゴ ー ル 」 な ど,借
に な り,こ こで は,ス
子 音 は,文
字 面 で 独 自 の 表 現 形 式 を も た な い,少
政 区 分 で も,西 の ボ ヘ ミア と東 の モ ラ ビア に 区 分 され
チ ェコ語 は,ス
ロバ キ ア語 が話 され る.
ロバ キ ア 語 と と もに,ス ラ ブ 語 派 の
の,位
モ ー ド」,ton「
音 調 」,zona「
ゾ
用 語 に し か み ら れ な い. 数
置 の 違 い に よ る バ リ ア ン トを 除 け ば,p,b,m,
西 の グ ル ー プ の 成 員 で あ る. しか し,同 じ西 の グ ル ー
f,v;t,d,n,t',d',n;l,r;j;s,z,c;s,z,c;
プ で も,ポ ー ラ ン ド語,ポ ラ ブ語,上 下2つ の ソル ブ
r;k,g,ch,hの25で
語 か ら な る レフ 諸語 とは異 な り,西 の グ ル ー プ 内 の南
hは[〓],rは[〓]を
の下 位 グル ー プ を ス ロバ キ ア語 と と もに形 成 す る.
こ れ ら の 子 音 の 体 系 化 に 際 し て,有
チ ェ コ語 とス ロバ キ ア語 は,語 彙 の 面 で も,文 法 構
の なわ
あ る.こ
の う ち,chは[x],
示 す. 力 な対 立 を なす
の は,p―b,f―v,t―d,t'―d',s―z,s―z,k―g,
造 にお い て も,非 常 に よ く似 て お り,相 互 に よ く理 解
ch―hが
し合 え る とい う点 で は,1つ
t',d―d',n―nが
形 成 す る 硬 子 音 と 軟 子 音 の 対 立,
s―s,z―z,c―cが
形 成 す る 鋭 い音 と鈍 い 音 の 対 立 で
どで あ る.一 時期,チ
の 言 語 とい って も よい ほ
ェコ ス ロバ キ ア語 とい う1つ の
文 語 を考 え る方 向 もなか った わ け で は な いが,こ
の考
形 成 す る 無 声 音 と 有 声 音 の 対 立,ま
た,t―
あ る.
え方 は 否 定 され て,現 在 は,2つ の 言語 として と り扱 う
子 音 の 中 で 独 特 の 位 置 に 立 つ の は 声 門 閉 鎖 音(glot
方 針 が 確 立 され て い る.そ の よ うなわ け で,2つ
tal
の言
stop)で,母
音 で 始 ま る 語 の 語 頭(ano「
okno「
分 離 へ の 傾 向 が 強 か った が,現 在 で は,ス ロバ キ ア語
い 目 の 」),さ ら に は,母 音 で 終 わ る 接 頭 辞 や 否 定 詞 の 後
もチ ェ コ語 との関 係 を重 視 して い る.国 の政 策 で も,
に 母 音 が く る,naostrit「
両 言 語 の 存 在 を 認 め なが ら も無 限 に 分 離 して い く方 向
公 式 の 」 な ど に 現 わ れ る.こ
は 考 え ず,相 互 理 解 の 必 要 性 が 考 慮 され て お り,教 育
文 字 は な く,音
機 関 の レベ ル に応 じて,母 語 とは 別 に,相 手 の言 語 に
dro'oki:]な
つ い て の 授 業が 行 なわ れ て い る.放 送 や テ レ ビは,そ
ま た,子
音 の 中 で,rとlは
れ ぞ れ の言 語 で 行 なわ れ て い るが,番 組 に よ って は,
あ り,vlk「
狼 」,trn「
も う一 方 の言 語 の乗 り入 れ が 行 な われ て お り,ス ポー
「(動物 の)毛
ツ の 中継 な どで は,し ば しば2つ の言 語 が交 互 に用 い
て い る.ま
られ てい る.
ク リ ー ム 」 な ど,子 音 が5つ
両 言 語 の 差 は,主
と して音 声 面 に あ り,音 素 の 数 や
性 格 の点 で,ま た,そ の頻 度 の点 で も異 な って い る. そ の原 因 は,a>e,u>iな
ど,古 代 チ ェ コ語 に お け る
窓 」),合
ハ イ 」,
語 が 成 立 した 初 期 に は,そ れ ぞ れ の独 自性 を主 張 す る
成 語 の 境 界 の 母 音 間(modrooky「
skrz
の 声 門 閉 鎖 音 を表 記 す る
ど の よ う に'で
」 な ど,多
示 され る. 音 節 を形 成 す る機 能 が
茨 の と げ 」,srp「
の1」,zmrzlina「
アイス
続 く こ と は,そ
うめ ず ら し
口 こ と ば のstrc
指 を の ど に 突 っ 込 め 」 で あ る.ま
と き に は,m,nも
た,
音 節 を 作 り,そ の 例 は,osm「8」,
sedm「7」,Sternberk「
差 は 体 系 的 で あ るの で,一 方 の 言 語 の 話 し手 は,も う 一 方 の 言語 を 容 易 に類 推 に よ って 理 解 で き,統 語 面 で
人 名)」
は,ほ
多 く,m,nの
は,そ
鎌 」,srst
くの 語 が 子 音 だ け で 形 成 され
た,ctvrt「4分
krk「
非
声 表 記 で は,['ano],['okno],[mo
音 韻 の変 化 に よ る とこ ろ が大 きい.形 態 論 の レベ ル の
とん ど差 が ない.
鋭 く す る 」,neoficialni「
く な い. こ の 種 の 例 で 有 名 な の は,早 prst
青
シ ュ テ ル ン ベ ル ク(地
な ど に み ら れ る.と
名,
は い え,[osm][sedm]
れ ぞ れ,[osum][sedum]と 音 節 形 成 は,あ
発 音 され る こ とが くま で例 外 的 で あ る.
ア ク セ ン トは 強 弱 ア ク セ ン トで あ る が,そ 差 は 少 な く,た 詞 は,チ
と え ば,doma「
の強 弱 の
在 宅(で)」
とい う 副
ェ コ 語 で も ロ シ ア 語 で もdomaでoに
セ ン トが あ る が,ロ
シ ア 語 のoの
か つ 長 く 発 音 され る.チ
ア ク
方 が は る か に 強 く,
ェ コ 語 の ア ク セ ン トが そ う強
く発 音 さ れ な い こ と か ら,ア
ク セ ン トの な い 場 合 と あ
る 場 合 と で 母 音 の 性 質 が 変 わ る こ とは な い.ま ク セ ン トの 有 無 は,母
た,ア
音 の 長 短 と も無 関 係 で あ る.
ア ク セ ン トは 常 に 語 の 第1音
る . こ の よ う に,対
に 第1音
原 則 で あ る が,1音
Praha[〓]「
節 に あ って 不動 で あ るの が
〓]「 プ ラ ハ へ 」 の よ う に な る.ま の 語 で は,副
Prahy[
た,3音
あ り,接
さ ら に 弱 く,し
れ は,第1音
例)zuzit「
し か し,2つ
di,ny:niの
令 文 な ど は,そ
d'i],[ni:n'i]の
ン トネ ー シ ョ 問
の種 類 に 対 応 す る イ れ に よ っ て,ま
[文
字]
hacek),°(ク は,1音1文
ャ ー ル カcarka),(ハ
ーチェック
ロ ウ ジ ェ クkrouzek)を
用 い る.こ
れ
字 の ア ル フ ァ ベ ッ トの 原 則 を 守 る た め で,
ラ テ ン 語 の た め に 作 ら れ た ロ ー マ 字 で は,音
素の数が
多 い チ ェ コ語 を 表 現 し き れ な か っ た か ら で あ る.こ
の
補 助 記 号 を 用 い る 結 果,2つ
の 文 字 で1つ
の はch[x]だ
ル フ ァ ベ ッ ト化 は か な り
け に な り,ア
忠 実 に 守 ら れ て い る.こ は 辞 書)で 'は
は,hの
のchは,文
示 す .uだ 末 で のuを
け は,語
あ る こ と を 示 す.た
るい
中,語
が つ く の は,uだ
け で あ る.
ギ リ シ ア 語 の よ う な,イ
型 的 に は,ラ
語 と似 て い る . す な わ ち,屈 て い る ほ か,語
ハー
は[mn'e]を,他
語 は,ま 語 は,名
ず,変
詞,形
men)と,動 る.前
化 語 と 不 変 化 語 に2分
容 詞,代
名 詞,数
を 示 し て い る.
さ れ る.変
詞 か ら な る 動 詞 類(Verbum)に
うで は ない 場 合
区 分 され
は 人 称 変 化 で あ る.
詞 が 入 り,副
詞,前
1)名
詞
性,数,格
が あ り,文 は,単
呼 格,前
置 詞,接
詞 の 一 部 は,比
続 詞,小
較 級,最
嘆
性,女
性,中
性 の3
数,複
数 の2つ,格
は,通
常,数
字 で よ
か ら7格
ま で の7つ
が あ る.格
置 格,造
法 性 は,男
格 で,古
格,生
格,与
つ の 数 に よ る,14の が る が,必
い る の で,最 低4つ
ず,い
の 名 称 は, 格,対
格,
い イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 の
格 だ け が 生 格 と合 体 し て い て,ス
ブ 語 派 に あ り う る7つ
も,語 末 の 有 声 子 音 字 は,そ れ に 対 応 す る 無 声 子 音 を 表 発 音 され
詞,感
上 級 を 有 す る.
名 詞 の 文 法 的 カ テ ゴ リ ー に は,ま ず,
わ す . た と え ば,osud「
運 命 」 は[osut]と
化
者 に共 通 す る の
ラ
の 格 全 部 を 所 有 し て い る.
文 法 性 は 名 詞 で は 固 定 して い る の で,7つ
文 字 と 音 は よ く対 応 し て い る.そ
詞 の
詞 を 含 む 名 詞 類(No
者 に 共 通 す る の は 格 変 化 で,後
格 組 織 の う ち,奪
の 場 合 は[je]
た,動
複 合 時 制 で は 孤 立 的 傾 向 もみ ら れ る.
数 字 で よ ば な い と す れ ば,主
音eに
折 的 要 素 が 色 濃 く現 わ れ
形 成 や 動 詞 で は 膠 着 的,ま
ば れ る1格
代 用 さ れ る.母
常 に豊
テ ン語 や古 代
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 の 古 典
すでに用い
刷 上,d',t'で
示 し,meで
形 態 論 か ら み た チ ェ コ 語 は,非
れが軟子音
チ ェ ッ ク が つ け ら れ た e は,te,de,neで[t'e,d'e, n'e]を
[形 態 論]
だ,d,tに
つ い て,そ
の 区 別 は,記
字法改正における一つの焦点にな
つ,数
来 のd,tは
記で意味 を区
っ て い る.
不 変 化 詞 に は,副
音 が長 母 音 で あ る こ とを
打つ」
た が っ て,こ
れ が つ か な い 子 音 とは 別 な 音 素 で
で あ る こ と を 示 す と き,本 られ ず,印
字 の 表(あ
頭 の 長 母 音 を 示 すuと,語
区 別 す る.°
は 子 音 に つ き,そ
の音を示す
次 に お か れ て い る.
母 音 の 上 に お か れ,母
憶 の 負 担 に な り,正
の
洗 う」
っ た く 同 じ 発 音 で,表
か で 複 雑 な 形 態 を 有 し,類
文 字 に は,ロ ー マ 文 字 が 用 い ら れ,補 助
記 号 と し て'(チ
れ ぞ れ,[ti:t'i][di:
あ る 」:bit[bi:t]「
分 し て い る に す ぎ な い.し
た 発 話 の 情 動 性 も表 現 され る.
区 別 さ れ る の は,ty:ti,dy:
持 つ 」:myt[mi:t]「
byt[bi:t]「
ン トネ ー シ ョ ン の パ タ ー ン を 有 し,そ
の文字 で 表現す るこ
よ う に 区 別 し て 発 音 さ れ る が,そ
な ど の よ う に,ま
の 種 類 に よ っ て 異 な り,平
れ ぞ れ,文
問 題 は 小 さ な問 題 で あ る の
と き だ け で,そ
mit[mi:t]「
問 詞 を も た な い 疑 問 文 と,イ
頑固な」
と は,母 語 の 学 習 者 も含 め た,す べ て の 学 習 者 に と っ て
っ くり した て いね い な発 音 の
ン に よ っ て の み 区 別 さ れ る こ と も あ る . 平 叙 文,疑 文,命
の 長 いuの
他 の 場 合 で は,
か も,ゆ
見,
精 算 す る 」;
凶 作 」,neustupny「
節 の ア ク セ ン トよ り
イ ン トネ ー シ ョ ン は,文
叙 文 が,疑
狭 くす る 」,vyuctovat「
neuroda「
際 に 現 わ れ る に す ぎ な い.
頭 辞 や 否 定 の 小 詞 が く る 場 合 に,uが,一
語 中 で用 い られ て い る よ うにみ え る場 合 が あ る こ とだ
大 問 題 で あ る .iとyが
節 以上
次 的 な ア ク セ ン トが 原 則 と し て 奇 数 番 目
の 音 節 に あ る が,こ
則 と し て,
そ れ ぞ れ 語 頭 とそ れ 以 外 の 場 合 に用 い る とい う区別 が
に 対 し て,[i]をiとyの2つ
ク セ ン トは,そ の 前 置 詞 に 移 り,
プ ラ ハ 」 に 対 し て,do
れ ぞ れ,uとu,iとyの2
つ の 文 字 で 書 き 表 わ さ れ る.uとuは,原
け が 問 題 で あ る.
節 に あ り,し た が っ て,
節 の 前 置 詞(do,na,pro,…)が
名 詞 に 先 行 す る と,ア
習 に
あ た っ て,理 屈 ぬ き の 記 憶 を 強 制 さ れ る こ と は な い.た だ,[u:]と[i]は,そ
ア ク セ ン トは 語 の 区 分 を 示 す 機 能 を も つ に す ぎ な い. ア ク セ ン トは,常
応 は ル ー ル 化 さ れ て い て,学
の 格 と2
語 形 を有 す る名 詞変 化 表 が で きあ くつ か の 語 尾 は 同一 の語 尾 を有 して か ら 最 高10ま
で の異 な った 格 語 尾
を有 す る こ と にな る. 例 と し て,最 で 終 わ り,そ と,最
格
語 尾 を 有 す る もの の う ち,‐a
の 前 に 子 音 の く る 女 性 名 詞zena「
低 の4つ
staveni「
こ れ の そ れ ぞ れ が,違
高 の10の
の 語 尾 を 有 す る,‐iで
建 物 」 の 変 化 を 示 せ ば,次
単数
複数
女」
終わ る 中性 名 詞 の と お り で あ る.
単数
複数
全 体 と し て,名 と り わ け,チ
ェ コ 文 語 は,他
の現 代 ス ラ ブ語 と比較 す
る と,上 述 の 複 数 与 格 の3つ
の 語尾 に見 ら れ る よ う に,
古 い ス ラ ブ 語 の 格 変 化 に お け る名 詞 変 化 の 複 数 で の 差 異 を よ く伝 え て い る.
1(主)
2)動
2(生)
人 称(1人
3(与)
制(現 在,過
4(対)
態(能 動 態,受
5(呼)
っ た 複 雑 な 変 化 を す る.
詞 類 の 格 変 化 は 非 常 に 古 め か し く,
詞
動 詞 は,も
称,2人
っ と も語 形 の 多 い 品 詞 で,
称,3人
去,未
称),数(単
来),法(直
数,複
説 法,命
動 態),体(完
了 体,不
数),時
令 法,条
件 法),
完 了 体)の
カテゴ
リー に よ り 活 用 す る.
6(前 置)
ま た,動
詞 は,接
頭 辞 と接 尾 辞 に よ り,体
7(造)
tionsart(様
態)の
違 う他 の 動 詞 を 形 成 す る.体
この よ う な名 詞 の 変 化 形 式 は,形 容 詞 か ら派 生 した,
完 了,不
形 容 詞 と ま った く同 じ変 化 をす る名 詞 を 除 い て14あ
Aktionsartで
る.す な わ ち,名 詞 は,文 法 性,男 性 名詞 で は活 動 体
願 望 な ど が 表 現 され る.
(animate)か
動 詞 の 現 在 変 化 は,3人
不活 動 体 か,単 数1格 の語 尾 が 子音 か母
完 了 の 別 の ほ か,再 は,開
音 か,そ の 子 音 が 硬 子 音 か 軟 子 音 か,そ の母 音 が ‐o, ‐e,‐iのい ず れ で あ る か ,さ らに,単 数2格 の語 尾 の
形 式 が,第1式
い か ん に よ って,14の
は,さ
パ ラ ダ イ ム へ と分類 され る.
名 詞 の格 変化 の 特徴 は,第1に,そ
のパ ラ ダ イ ムが
(‐ne,‐jeを
被 動 の 形 動 詞,動
よ び,複 数 の主 格 で も,不 活 動 体 と異 な って い る.そ
の 形 を 数 え 上 げ る と,た
して,さ ら に,複 数 の与 格,前 置 格,造 格 で も,古 い
で,不
くつ か の格 語 シア 語 が,
分 詞(現 在,過
名 詞,不
計413の
了 体 のdatが205,
形 が あ る . こ の う ち の 大 部 分 は 複 合 形 で,単
純 形 は,直
説 法 現 在,命
令 形 な ど,ご
く少 数 で あ る.
そ の 他 の 名 詞 類 には,形 容 詞,代 名 詞,数 詞 が あ り,
%,複
合 形 で,過
そ れ ぞ れ 格 変 化 を もつ が,他 の ス ラ ブ語 との対 比 に お
で,計40.84%,そ
い て,よ
活 用 形 の 変 化 を 歴 史 的 に 眺 め る と,ま
の 性 に よっ て
純 形 で,現 在 が39.03
定 法11.01%な
ど で,計53.49
去 が34.43%,条 れ に,受
件 法5.07%な
動 態 が5.67%で
オ リ ス ト と不 完 了 過 去 の2つ つ い で,1人
称 の 単 数 で ‐mの
部 の 語 彙 に短 語 尾 形 が 認 め られ る.ま た,具 体 的 に人
第4式,第5式
の,prosit「
間 お よび動 物 を示 す 名 詞 か ら,男 性 ‐uv,女 性 ‐inで
prosim,delamと
終 わ る所有 形 容 詞 が 形 成 され,長 語 尾 形 と短 語 尾形 の
な ど と は 違 う,新
混 じ った独 自 の格 変 化 をす る.
ま た,現
代 名 詞 は,人 称 代 名 詞,所 有 代 名 詞,指 示 代 名 詞,
pros(男
疑 問 代 名詞,関 係 代 名 詞,不 定 代 名 詞 が,疑 問 ・関係 ・
(複 ・現),…
不 定 代 名詞 の一 部 で 共 通 の 格 変 化 をす る ほか は,そ れ
が,こ
ぞ れ 異 な っ た格 変 化 を し,豊 か な 形 態 を示 す が,他 の
は 補 助 動 詞 と してbytiの
ス ラブ語 との 間 に 目立 った 差 異 は な い.
を用 い る が,こ
数 詞 も,基 数 詞,序 数 詞,そ の他 に 分 類 され,序 数
西 ス ラ ブ 諸 語 の 場 合 と 同 じ で あ る.
詞 は,形 容 詞 と同 じ く,語 尾 に よ り硬 軟2つ の格 変化
ま た,動
方 」,tri 「3」 とctyri「4」,そ
とoba「 両
の他,な どに 分 か れ,
ど あ る.
ず 第1に,ア
の 単 純 過 去 形 が 消 滅 し,
変 化 し,長 語 尾 硬 変 化 形,長 語 尾 軟 変 化 形,ま た,一
をす る.基 数 詞 は,jeden「1」,dva「2」
動,
れ らす べ て
と え ば,「 与 え る 」 と い う動 詞
完 了 体 のdavatが208,完
令 形2.56%,不
の 数,3つ
制,
去),能
定 法 が あ る.こ
%,命
の 格,2つ
れ ら
活 用 変化 の パ
の カ テ ゴ リ ー に よ る 活 用 変 化 が 加 わ る.ま
詞 の 非 定 形 と し て,副
動 詞 の カ テ ゴ リー の 頻 度 は,単
形 容 詞 は,7つ
の変化
記 の 人 称,数,時
実 質 上,1つ の 語 尾 を有 す るの と比 べ て,‐um,‐am, ‐imの 形 が あ る.
り 目に 立 つ と こ ろは そ う多 くな い.
役,
よ り,そ
部 で14の
タ ー ン が あ る . こ の ほ か に,上
尾 は,単 数 の主 格 だ け で は な しに,与 格,前 置 格,お
続,使
ま で に 分 類 さ れ る.こ
ら に 下 位 区 分 さ れ,全
た,動
尾 を有 す る.た と え ば,複 数 与 格 には,ロ
間,継
称 ・単 数 ・現 在 の 語 尾 ‐e
か ら 第5式
法,態,体
格 変 化 の もつ 区別 を保 ち,そ れ ぞれ,い
止,瞬
除 く),‐ne,‐je,‐i,‐aに
ス ラ ブ語 の 特徴 で あ る . ま た,男 性 名 詞 の 活 動 体 の 語
で は,
度 性,多 回 性 も表 現 さ れ,
始,終
豊 か な こ とで,こ れ は,他 の ス ラ ブ語 よ り 目 に立 つ 西
やAk
語 尾 が 新 し く ひ ろ が り, 願 う 」,delat「
な っ て,ロ
す る 」 で,
シ ア 語 の〓
し い 語 尾 を もつ こ と が 認 め ら れ る .
在 で は あ ま り使 用 され な く な っ た 副 動 詞 は, ・単 ・現),prosic(女 の よ う に,性
・単 ・現),prosice と数 に よ り 異 な る 形 を も つ
よ るmam
れ は アー カ イ ック な特 徴 で あ る. 不 完 了 体 未 来
れ は,ロ
詞mitと
未 来 形(budu,budes,…) シ ア 語 や ポ ー ラ ン ド語 を 除 く
被動 の形 動 詞 との 組 み 合 わ せ に
uklizenoの
や 口 語 形 に み ら れ る が,こ
タ イ プ の 複 合 完 了 形 が,方 れ は,西
言
ス ラブ の 一 部 の 言
語 で み ら れ る の と平 行 し た 現 象 で,ド
イ ツ語 の影 響 と
考 え ら れ る. [統 語 論]
文 の 構 成 の 原 理 で は,い わ ゆ る イ ン ド ・
ヨ ー ロ ッ パ 語 の 典 型 的 な 特 徴 が,ほ
とん どそ の ま ま観
文 の 基 本 は,主 の2つ
を 中 心 とす る 両 肢 文
の 間 に す で に 明 白 な 照 応 が あ り,人
数 の ほ か,過 は い え,主
語 と 述 語 の2つ
称,
語 は,必
ス ラ ブ 諸 語 と比 較 し た と き,チ
ず し も代 名 詞,名
詞 な どで 表 現 さ
詞 の活 用 語 尾 で 示 され る こ とが
Hus,1371(?)∼1415)の
例)Mate?「
お 持 ち で す か?」―Nemam.「
持 っ
て い ませ ん」
ら れ た 浄 化 運 動 に も か か わ らず,数
これ は,あ
た か も ラ テ ン 語 と 同 じ で,一
よ う に み え る が,実
見,単
肢文 の
は 両 肢文 で あ る.
名 詞 の 修 飾 語 や,動
語 か ら 借 用 し た 語 彙 を,新
シ ア語 を は じめ とす る
ス ラ ブ 語 の 素 材 を 用 い て い る . そ の 結 果,ポ
よ って単 数 女 性 形 で文 法 性
れ て い る.
が か な り借 用 さ れ,第2次
大 戦 後 は,ロ
例)Tato
se
rada
zabyvala
こ の 若 い 日本 女 性 は 音 楽 を 習 い た が
柔 道 」,bonsai「
と と も に 入 っ た もの が い くつ か あ る だ け で あ る.チ
格 変 化 や 活 用 語 尾 に よ り,文
中 の語 の 相 互 関 係 が し
で 借 用 さ れ たrobot「
ば し ば 明 白 に 示 さ れ る 結 果,統
語 機 能 の 表 示 か ら解 放
pistole「
さ れ て,語
順 は,文
法 的 とい う よ り,文
有 す る.そ
こ で 語 順 は,い
体論的価値を
わ ゆ るFSP(現
実 分 析)を
ポ ル カ 」 は,1831年
現 実 分 析 の 立 場 か ら,文
が 中 世 に フ ラ ン ス に 入 り,そ
れ,通
常 は,後
れ る.し
話 の核 とよ ばれ る新 情 報 とに 分 析 さ
者 が 文 末,す
か し,情
合 が あ り,そ
話 の 基 礎 と よば れ る
な わ ち,前
動 的 な 文 や,命
者の後におか
令 文 な どで は 逆 の 場
わ ち,人 動 詞byt「
ら が ア ク セ ン トを も た な い 語 で,す
称 代 名 詞 の 短 形,se,siな
る 語,あ
る い は,意
中 で,最
ど の 再 帰 代 名 詞,
初 に ア ク セ ン トを 有 す
味 的 にま とま りを もっ た い くつ か
の 語 の あ と に お か れ,そ
の 際 に,次
の よ うな順 序 が確
立 され て い る . 1)動
詞bytの
3)人
称 代 名 詞 の 短 形 の 与 格(mu,ji,…)
4)人
称 代 名 詞 の 短 形 の 対 格 と 生 格(ho,ji,je,…) bratr
by1
naucny,Praha)は27(+1)冊(1888‐1909)
jazyka
jich4
na
neco
[方
zeptal.
mu3
ji4 uz
vcera?
た,国
言]
語
slovnik で出 版 され
語 が採 られ て い る. 方 言 は,歴
ヘ ミア と モ ラ ビ ア の2つ
史 的 観点 か ら区 分 され た ボ の 地 域 で 発 達 し,い
両 地 域 の 差 が 感 じ ら れ る が,言
な わ ち,文
れ ぞ れ,ど
ま な お,
語 学 的 に は,次
に 大 き く 区 分 さ れ る(〈 図 〉 を 参 照).4つ 語 のdobry mouku「
の4つ
の方 言 差 を strycek よい 小 麦
う対 応 す るか を 並 べ て あげ る
下 の よ うに な る.
1)ボ
「私 の 弟 は 彼 ら に 何 か 聞 き た が っ て い ま し た 」 jste1
補 遺 を も つ.ま
ceskeho,Praha,1935‐57)が9冊
て お り,25万
と,以
se2
科 事 典 に は 多 くの 語 彙
ら に12冊(1930‐43)の
粉 を 」 が,そ 帰 代 名 詞(se,si)
界 にpistoletの
大 の 『オ ッ トー 百 科 事 典 』(Ottuv
「善 良 な お じ ち ゃ ん 」 と,dobrou
…)
Dala
が 採 られ て お り,最
表 わ す キ ー ワ ー ド,す 補 助 詞(jsem,jsi,…;bych,bys,
2)再
例)Muj
な
あ る 」 の 複 合 時 制 を 表 現 す る際 の 補 助 な ど
で あ る . こ れ ら は,文
代 チ ェ コ 語 のpist'ala
れ が,世
辞 典 で は,『 チ ェ コ 語 座 右 辞 典 』(Prirucni
チ ェ コ 語 の 語 順 で 注 目 され る の は,前 接 辞(enclitic) と よ ば れ る,自
ピス トル 」 は,古
チ ェ コ語 の 語 彙 は 豊 か で,百
で,さ
ン トネ ー シ ョ ン に よ っ て 強 調 さ れ た り す る.
造
形 で 広 ま っ た も の で あ る.
slovnik
こ に 論 理 的 ア ク セ ン トが お か れ た り,イ
ロ ボ ッ ト」 は, Capkove)の
に,チ ェ コ で 新 し く踊 ら れ た
ダ ン ス の 名,「
は,発
ポ ル カ 」,
ピ ス トル 」 が 知 ら れ て い る.「
チ ェ コ の 作 家 チ ャ ペ ッ ク 兄 弟(Bratri 語,「
ェ
界 中 の 多 くの 言 語
ロ ボ ッ ト」,polka「
表 現 す る 手 段 と な っ て い る.
既 知 の 情 報 と,発
本 語 か ら入 った 語 に
盆 栽 」 な ど,日 本 の 文 物
コ語 か ら 日本 語 に 入 っ た 語 に は,世
って い ま した 」
ど)
シ ア語 か らの
影 響 が 大 き い . ま た 最 近 で は,技 術 の 分 野 を 中 心 に,英
は,dzudo「
Japonka
ー ラン ド
彙 面 で か な り大 き な 違 い が あ る と い わ
語 か ら の 借 用 が 目 立 っ て い る.日
mlada
れ 以 前 に ドイ ツ
し く形 成 さ れ た チ ェ コ 語 の
き に は,ロ
が 強 く表 現 され る.
hudbou.「
多 くの語 彙 の 移入
紀 末 か ら の 民 族 復 興 運 動 に 際 し て,
近 代 に 入 り,い わ ゆ る 国 際 語(例:kapitalismな
詞 の 一 部 が,文 法 性 で も照 応 し,
次 の 文 に み る よ う に,‐aに
ロ ック 時 代 に み
文 語 の 制 定 を 目 標 と し た 啓 蒙 家 は,そ
語 と の 間 に,語
来語 ず,ヤ
時 代 か ら興 った
新 し い 語 彙 の 移 入 は そ の 後 も続 き,バ
単 語 で お き 換 え,と
多 い.
ェ コ語
較 的 新 し い 語 彙 に,外
か ら 新 し く造 語 さ れ た 語 が 多 い こ と で あ る.ま
が み ら れ る.18世
去 時 制 で は 文 法 性 に よ る 照 応 が あ る.と
れ る わ け で は な く,動
彙]
の 語 彙 で 目 に つ く の は,比
ン ・フ ス(Jan
察 さ れ る と い っ て も 過 言 で は な い.
で,こ
「そ れ を も う 昨 日 彼 に 渡 し ま し た か?」 [語
ヘ ミ ア(ceska)方
言
ボ ヘ ミア と 西 部 モ ラ
ビ ア で 話 さ れ る. dobrej 2)ハ あ り,モ
strejcek,dobrou
ナ(hanacka)方
言
mouku ボ ヘ ミア 方 言 の 東 南 に
ラ ビ ア 中 部 で 話 され る.
dobre
strecek,dobro
3)モ
ヘ ミア の 方 言 を基礎 と し て成 立 し,今
moku
ラ ビ ア ス ロ バ キ ア(moravskoslovenska)方
言
一 名 東 モ ラ ビ ア 方 言 と も い う よ う に,ハ
の さ ら に 南 東 に あ り,ス
ナ方言
ロバ キ ア語 へ の移 行 を 示 す方
言 で あ る. dobry 4)ラ
日で は ,都 市 を
中心 にモ ラ ビア地 方 に広 ま って い る. 近 年,こ の共 通 チ ェコ語 は 勢 力 を の ば し,公 共 の場 で の発 言 や文 学 に も入 り込 ん で お り,共 通 チ ェ コ語 と は 何 か,チ ェ コ文 語 との 関 係 を ど う定 め るか な ど をめ ぐって,そ
strycek,dobru シ(lasska)方
ア(Slezsko)地
muku
言
モ ラ ビア東 北 部 と シ レ ジ
方 に 分 布 す る.母
ク セ ン トが 語 末 か ら2つ
音 の 長 短 が な く,ア
目 の 音 節 に あ り,ポ
ー ラ ンド
[歴
史]
チ ェ コ語 の歴 史 は,10世
紀 か ら11世
紀 の 古 代教 会 ス ラブ語 文 献 に現 わ れ る,い わ ゆ るボ ヘ ミズ ム(チ ェコ的 特 徴)や,11世
紀 の ラテ ン語 で 書 か
れ た 古文 書 にみ られ る個 々の 語 な ど を除 け ば,13世 紀
語 へ の 移 行 を 示 す 方 言 で あ る. dokbry
の研 究
が 進 め られ つつ あ る.
strycek,dobru
muku
末 の文 献 か ら始 ま る.そ して,14世 紀 初頭 か らは,か
こ れ らの 方 言 は,さ ら に 下 位 方 言 へ と 分 類 さ れ る が, か つ て の 封 建 主 義 の 時 代 に 発 達 し た 方 言 は,近
年の交
な り発達 した 文 化 語 と して登 場 して く る. 音 論で は,ま ず,ア
クセ ン トの 第1音 節 へ の 固定 化
通 や マ ス メ デ ィ ア の 発 達 な ど に よ り 弱 め ら れ て お り,
が起 こ り,つ い で,ス
ラブ語 に 共通 のgに
ボ ヘ ミ ア で は ほ と ん ど 全 部 が,モ
が現 われ る.
消 失 しつ つ あ る. チ ェ コ で,方
ラ ビア で も大 部 分 が
て い る の は 周 辺 の 地 域 で,南 地 方,北
言 が 依 然 と して 保 た れ 西 部 の ホ ッ コ(Chodsko)
部 の クル コ ノ シ ェ(Krkonase)山
麓地帯な ど
で あ る.
城 」,セ ル ビア 語〓
ロ シア 語〓
「町 」
い 地 域 に,共
方 言地 域 を越 え る広
通 の特 徴 を もっ た 上位 方言 が形 成 され て
い る . ハ ナ 上 位 方 言,ラ
シ 上 位 方 言 も そ の 例 で あ り,そ
の 中 で 一 番 重 要 な 意 味 を もつ の が 共 通 チ ェ コ 語(obecna cestina)と
よ ば れ る もの で あ る.こ
ェ コ語 の 方 言 分 布
れ は,中
部 ボ
「町」,
さ らに,チ ェコ語 独 特 のrが 現 わ れ る . これ ら3つ の 点 で,チ
方 言 の 消 失 は 完 全 で は な く,各
<図>チ
チ ェ コ語hrad「
対 してh
ェコ語 は,同
じ西 ス ラブ 語 に
属 す るポ ー ラ ン ド語 とは異 な っ て い る. 本 来 あ った 鼻 母 音eは,先 に,oはuに
行 の 軟 子 音 の あ とでa
変 わ っ たが,こ のa,uは,一
に変 化 して い る.弱 化 母 音 の〓,〓 他 は と もにeに
な って い る.
部で さら
は,一 部 で 消 失 し,
〓>den「
日 」,sen「
夢 」;ロ
シ ア語
の は,18世
紀 末 か ら19世
復 興 」運 動 で,文 〓 上 記 の チ ェコ語 史 の初 期 に起 こ った変 化 以 外 で は,
紀 前 半 に か け て 興 っ た 「文 芸
語 の 規 範 化 と 術 語 の 制 定 が 行 な わ れ,
チ ェ コ語 に よ る 文 学,学
術 研 究 が 開 花 期 を 迎 え る.
14世 紀 ま で に,軟 子 音 と硬 子 音 の 関係 に 変 化 が 起 こ
1918年
り,16世 紀 まで に,長 母 音 の 変 化 が起 こって い る.
和 国 が 成 立 す る と,チ
ェ コ 語 は そ の 公 用 語 と な り,両
文 法構 造 で注 目す べ き変 化 が 起 こっ た のは,14世 紀
大 戦 間 の 時 代 に は,チ
ェ コ 文 学 が 開 花 し,文
の 末 か ら で あ る.
大 戦 が 終 わ り,チ
のス ラブ 語 が古 代 に も って い た
3つ の過 去 時 制 で あ る,ア オ リス ト,不 完 了 過 去,複 合過 去 の うち,前2者
を失 って,14世 紀 末 か らは現 在
と同 じ く複 合 過去1つ
と な って い る.ま た,数 の カ テ
紀 に双 数 を 失 い,今
「2」,oba「 両方 」 とい う数 詞 と,ruce「
日 で は,dva 両 手 」,oci
「両 目」 な どの 名 詞 に そ の す が た を とどめ て い る に す ぎ ない.ま た,活 動 体 と不 活動 体 の 区別 が 男 性 単数 対 格 で あ らた に 起 こ り,逆 に 男 性複 数 主 格 で は,不 活 動
[辞
spisovneho
Slovnik
spisovne
cestiny
版 . 約5万 Prirucni
動 詞 で は,上 記 の2つ の過 去 形 の消失 の ほ か,15世 称単 数 現 在 に,非 テ ー マ 動 詞
jsem「 あ る」,dam「 与 え る」な どの影 響 で,‐im,‐am
記 の4巻
本 を1巻
語 彙 の面 で は,12世 紀 に は,す で に 国 内で 文 化 の 言
slovnik
jazyka
語 を 収 め,こ
kladalelstvi,
れ ま で で 最 大 の 辞 典.Ⅰ‐Ⅷ
slovnik(CzechEnglish
(Statni
pedagogicke
)― 6万2千
上 下2巻
slovnik
(Statni
ceskeho
ェ コ語,ス
a
slovenskeho(Nakladatelstvi
と事 情 は 一 変 し,チ ェ コ語 に は危 機 の 時代 が 到 来 す る. 多 くの 都 市 で ドイ ツ 語 が 広 ま り,文 化 面,行 政 面 での チ ェ コ語 の 社 会 的 意 味 が 失 わ れ る.こ の状 況 を変 えた
チ は,
M.Tesitelova(1961),
slov,slovnich jazyoe(Statni
Praha)―
druhu
a tvαru
pedagogicke
と品 詞 と語
形 の 頻 度 数 の 辞 典.
trogradni slo
vnik
Praha)―
J.Kralik(1986),Re saucasne
cestiny(Academia,
現 代 チ ェ コ 語 逆 引 き 辞 典.
[参 考 文 献] Bauer,J.a
M.Grepl(19752),Skladba
cestiny(Statni
pedagogicke
v
nakladatelstvi,
チ ェ コ 語 に お け る,語
Tesitelova,M.,Petr,J.a
ハ プス ブ ル ク家 の カ ト リッ ク軍 に プ ラ ハ近 郊 で敗 れ る
ved.,Praha)―
ロ バ キ ア 語 の 代 表 的 語 源 辞 典.第2版
チ ェ コ語 の み を収 録 す る.
ceskem
ェ コの 非 カ トリ ック連 合 軍 が,
na
最良のチ ェ
slovnik
akademie
Jelinek,J.,Becka,J.V.a
して は,カ ル ク(calque)に
しか し,1618年,チ
pedagogicke
コ語 ・ ドイ ツ 語 辞 典.
Frekvence
獣 医 」→ チ ェ コ語zverolekar
べて変化
Machek,V.(1957,19682),Etymologicky
え て,豊 か さを増 してい る. ラテ ン語 や ドイ ツ 語 に 関
ドイ ツ語Tierarzt「
化 す る 語 に は,す
Praha,1968,19712)―
Ceskoslovenske
秒」 → チ ェ コ語vterina
の チ ェ コ 語 ・ ロ シ ア 語 辞 典.
表 番 号 が つ け ら れ て い る.
jazyka
ラ テ ン語secunda「
nakladatelstvi,Praha,
語 を 収 録 し,変
出 して い る.
よる語 彙 も多 い.
チ ェ コ語 ・英 語 辞 典 の
1973;〓,〓
独 壇 場 で あ った 哲 学,宗 教 の分 野 に も,チ ェ コ語 が 進
らに 行 政や 軍 事 で は,ド イ ツ語 か らの 借 用 も加
na
slovnik(〓)
kladatelstvi,
ン語 か らの 借 用,軍 事面 で は,ス ペ イ ン語 や イ タ リア
に分
pedagogicke
Praha)―
Cesko‐rusky
使 用 に耐 え る豊 か な語 彙 を備 え て い る.14・15世 紀 は,
ェ コ語 は,16世 紀 に安 定 期 を迎 え,ラ テ
akademie,
座 右 辞 典 と あ る が,約
最 良 書.
Ceskonemecky
か な語 彙 を有 し,当 時 の ヨー ロ ッパ で は,ラ テ ン語 の
に縮 め た 普及
ceskeho(Ceska
Poldauf,I.(1986),Cesko‐anglicky
紀 の 末 か らは,文 語 と して の
古代 チ ェ コ文 学 の 開 花 期 で,宗 教 面 で も世 俗 面 で も豊
averejnost
語 を 収 録 す る.
Praha,1935‐57)―
と第5式
の パ ラ ダ イ ム を形 成 してい る.
語,さ
skolu
Dictionary)(Statni
的 の み な らず述 語 的 に も用 い られ な くな って い る.
ved,Praha,
学 校 お よび 公 共 用 に
と記 さ れ て い る,上
複 雑 にな って,屈 折 性 が高 ま っ て い る.
語 と して使 用 され,13世
pro
(Academia,Praha,1978)―
か れ て お り,全9冊.
の語 尾 が生 じ,現 在 の動 詞 活 用 変 化 の 第4式
akademie
本 の 標 準 的 文 語 辞 典.
25万
形 容 詞 で は,16世 紀 以 降,い わ ゆ る短 語 尾 が,定 語
術
ceskeho(Nakladatelstvi
Ceskoslovenske
化 で は,パ ラ ダ イ ム の 消失 や,硬 軟 を区 別 す る パ ラ ダ
紀 の は じめ か ら,1人
jazyka
1960‐70)―4巻
動 体 名 詞 との 間 に差 が 生 じて い る.以 上 の ほ か,格 変
イ ムの 成立 が あ る. そ の結 果,名 詞 の 格 変化 は 非常 に
化,学
日 に至 っ て い る .
書]
Slovnik
体 名 詞 で 対格 が主 格 に 入 って,本 来は 区別 の あ った活
そ の 後,チ
ェ コス ロバ キ ア 共
の す べ て の 面 で チ ェ コ語 が 使 わ れ,今
古 代 チ ェ コ語 は,他
ゴ リーで は,15世
に 第1次
spisovne nakladatelstvi,
Praha)―
基 礎 的 な 統 語 論.
Ceskoslovenskavlastiveda,dilⅢ:Jazyk(SFINX, Praha,1934)―
『郷 土 学 』 の 第3巻
方 言 を は じ め と す る,当 Ceskoslovenska jazyk 1936)―
時 の 言 語 状 況 を 記 す.
vlastiveda,rada Ⅱ:Spisovny
cesky
a
低 地
za
デ ン マ ー ク 語dansk,英Danish,独Danisch,
skolou(Orbis,Praha,1974)―
すで
に 学 校 を 出 た 人 の た め の 母 語(チ
ド イ ツ 語 独Niederdeutsch → ドイ ツ 語
slovensky(SFINX,Praha,
チ ェ コ 語 と ス ロ バ キ ア 語 の 文 語 史.
Cestina
て
「言 語 」 編.
ェ コ 語)に つ い て の
仏danois. [系 統 ・分 布]
デ ン マ ー ク,お よ び,そ
リ ー ン ラ ン ド,フ ェ ー ロ ー ズ(Faeroes)諸
概観. 千 野 栄 一,千
野 ズ デ ン カ(1975),『
(白 水 社,東
チ ェ コ語 の 入 門 』
ま た,西
ドイ ツ の デ ン マ ー ク と 境 を 接 す る 地 域 の 人 々,
ア メ リ カ 合 衆 国,カ
京)
Dostal,A.(1956),Nastin
dejin
ceskeho
a
jazyka.Skriptum(Sta.tni nakladatelstvi,Praha)―
ナ ダ,オ
slovenskeho 民 の 間 で も用 い られ る.言
pedagogicke よ くま と ま っ
た 学 校 用 チ ェ コ語 史 . mluvnice
jazyka
(Ⅰ,Ⅲ,1‐2,Ⅳ,Ceska
Akademie
デ ン マ ー ク 語 は,イ
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 の ゲ ル マ
ceskeho
語,ア
ved
北 欧 語,あ
Havranek,B.a
Praha)―
pedagogicke
意 味 す る.以
nakladatelstvi,
標 準 的 チ ェ コ 語 文 法.
(Statni
ceske
pedagogicke
は,後
skladby
nakladatelstvi,Praha)
者 を さす.さ
音 論,語
態 論,統
む 学 術 的 文 法.全3巻,計1,848ペ
―(19722),Nauks
o
pedagogicke
cestina
a
Praha,1932)―
[参
照]
ス ラ ブ 語 派,ス
en
k〓be
en
kopa
einn
kaupa
西 ノ ル ド語
kaupa keypa[ceipa]
な お,〓
チ ェコ の言 語 文 化 につ い
ein
の 綴 り に み ら れ る よ う に,古
[p,t,k]は,語
頭 以 外 の 位 置 に お い て,デ
ロバ キア 語
同 様 のAか
らZま
文 字 は ラ テ ン文 字 で,英 で の26文
[〓],Aa[〓]の3個 よ りチ ェ コ共 和
を 有 す る. 1)字
(千 野 Church
栄 一) Slavonic
ノ ル ド語 の ン マー ク
語 で は 有 声 音 に 推 移 し た. [文 字 ・発 音]
国 が 成 立 した.
→ 教会 ス ラ ブ語
デ ンマ ー ク語
フ ェ ー ロ ー 語
記]
チ ェ コ 教 会 ス ラ ブ 語 英Czech
東 ノ ル ド語
ノ ル ウ ェ ー 語(西 部)ein
kultura(Melantrich,
チ ェ フ ス ロ バ キ ア は 解 体 し,1993年
「買 う 」
ア イ ス ラ ン ド語
jazyku
て の 諸 論 文 を 収 録 す る.
[追
詞)」
ceskem
nakladatelstvi,Praha)
jazykova
ウ
ノル ド
古 典 的 な 統 語 論.
―コ ン パ ク トな チ ェ コ 語 概 説 . Spisovna
重 母音
ェ ー デ ン 語 と と も に 東 ノ ル ド語 に 分 類 さ れ,西
ス ウ ェ ー デ ン語
skladba(Nakladatel
Ing.Mikuta,Praha)―
(Statni
語 論 を含
ー ジ.
Smilauer,V.(1947),Novoceska
ン マ ー ク 語 は,二
語 と対 立 す る.
‐Ⅱ 1986,
形 成 論,形
義
ンマーク語 を
干 の 方 言 上 の 特 徴 に よ っ て,ス
「1(数
cestiny(Academia,Praha,Ⅰ
Ⅲ1987)―
ウ ェ ー デ ン語,デ
ら に,デ
―基 礎 的 な 統 語 論 . Mluvnice
とい う名
義 に は ノ ル ド語 全 体 を,狭
下 で用 い る スカ ン デ ィ ナ ビ ア 語 の 名 称
の 単 母 音 化 な ど,若
Kopecny,F.(1958),Zaklady
カ ン デ ィ ナ ビ ア(諸)語
れ は,広
に は ノ ル ウ ェ ー 語,ス
A.Jedlicka(19632),Ceska
mluvnice(Statni
般 に,
ル ド語 と よ ば れ る北 ゲ ル マ ン 語
を 形 成 す る . ま た,ス
古 典的 で 大 部 な歴 史 文 法 .
ル ウ ェー
ェ ー ロ ー 語 と と も に,一
る い は,ノ
称 も あ る が,こ
ved,Praha,19582,
ウ ェ ー デ ン 語,ノ
イ ス ラ ン ド語,フ
a umeni,1894‐1929;Ⅲ,1‐2,Nakladatelstvi akademie
人 と推
定 さ れ る.
Ceskoslovenske 19602)―
ー ス ト ラ リア な ど へ の 移 語 人 口 は,約500万
ン 語 派 に 属 す る 言 語 で,ス
Gebauer,J.,Historicka
の自治領グ 島 の 公 用 語.
母
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M, N,O,P,Q,R,S,T,U,V,W,X,Y, z,〓,〓,A a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m, n,o,p,q,r,s,t,u,v,w,x,y, z,〓,〓,a
語 などと
字 の ほ か,〓[〓],〓 の 独 自な 母 音 を 示 す 文 字
特 に 最 後 の 文 字Aとaは,1948年 一 般 に は ,そ
の 改 正 以 前 は,
れ ぞ れAa,aaと
ル ド語aの
長 母 音aに
代 の 人 た ち で,Aa,aaの 地 名 や 人 名,た
書 か れ,こ
由 来 す る.現
れ は,古
在 で も,古
と え ば,Kierkegaard(キ
来 語 な ど,特
2)母
発 音 上,デ
ル ケ ゴ ー ル)
節 が 原 則 で あ る.
ン マ ー ク 語 の 特 徴 と し て 目 に つ く の は,首
都 コペ ンハー ゲ ン を中 心 と して 認 め られ る声 門閉 鎖音 [〓](デ
綴 り を 用 い る 人 も い る し,
に そ の 名 残 りが あ る . ま た,Cc,Qq,Zzの 固 有 名 詞,外
ノ い世
置 は,他 の ゲ ル マ ン 語 と 同 様,第1音
ン マ ー ク 語 で は,特
の 存 在 で あ る.た man[man](「
使 用 は,
に〓[〓]と
人 」cf.ド
mand[〓](「
別 な 場 合 に 限 られ る.
の よ う に,声 も あ る.声
イ ツ 語man):
男 」cf.ド
hun[hun](「
音
い う)
と え ば,
イ ツ 語Mann)
彼 女 」):hund[〓](「
犬 」)
門 閉 鎖 音 の 有 無 で 意 味 が 区 別 され る こ と 門 閉 鎖 音 の 存 在 は,デ
ン マ ー ク 語 ら しい 発
音 とい う 点 で 注 目す べ き で あ る が,ユ 部 の よ う に,こ こ の う ち,y,〓,〓 在 す る,前
は,ド
イ ツ語 や フ ラ ンス 語 に も存
母 音 で あ り な が ら 円 唇 性 の あ る 音 で あ る.
ま た,多
くの 言 語 に つ い て い え る こ と で あ る が,デ
マ ー ク 語 に お い て も,母 音 は,rの 点 が 下 が る 傾 向 が あ り,特
に,a,〓
に つ い て は,細
く区 別 し た 音 声 記 号 を 用 い る こ と が あ る.さ 勢 の な い 語 尾 な ど に 現 わ れ る,あ に 加 わ る.長
か
ら に,強
い ま い 母 音〓 が こ れ
あ る が,こ
の う ち,a'は,か
認 め ら れ な い . な お,こ
ル ド語 に
古 くか ら 存 在 し て い た と 考 え ら れ て い る2種
の音楽的
ア ク セ ン トの 名 残 りで,歴
ま た,デ
ン マ ー ク 語 で は,母
音 の 後 や 母 音 間 で,子
ー 語 や ス ウ ェー デ ン語 に比 べ て
デ ンマ ー ク語
,母
[ 形
1)名
a)名
が あ る. 音
lege[〓]「
ル ウェ
音 が 多 い とい う印
遊ぶ」
cf. ノ ル ウ ェー 語leike,ス
と な っ て い る.
yu,〓
ウ ェ ー デ ン 語leka
態] 詞 詞 の格 変 化
デ ン マ ー ク 語 の 名 詞 に は,性,
閉 鎖 音 p/b,t/d,k/g
数,格
摩 擦 音 f/v,〓,s,∫,r,h
与 格,対
鼻音
m,n,〓
紀 ご ろ か ら 融 合 し は じ め,属 格(‐s)を
側音
l
消 失 し た.古 い 格 形 は,い わ ば 化 石 化 し て 断 片 的 に 保 存
有 声 音 で あ るzは,他
の ノ ル ド語 と 同 様,存
在 し
デ ン マ ー ク 語 の 子 音 で,も 英 語 の[〓]と ま ま,舌
っ と も特 異 な 音 は〓で,
は 異 な り,舌 の 先 は 下 の 歯 の 裏 に つ け た
先 よ り 少 し後,あ
茎 に 軽 くふ れ さ せ,わ
るい は 舌 の中 央 部 を 上 の 歯
ず か に 摩 擦 させ る . 摩 擦 の 度 合
い が 小 さ い た め,母 音 間 で は,事 あ る(た
と え ば,〓[〓]「
gは,母
音 やl,rの
事 実 上,母
実 上,脱
落する場合が 着 せ る 」).
後 で 摩 擦 音 化 し,口
語 で は,
音 化 す る(た と え ば,flag[〓]「
旗」の
よ う な 前 母 音 の 後 で は[g]は[i]に,bog[〓] 「本 」 の よ う な 後 母 音 の 後 で は[g〕 る).rは,基
つ て 存 在 し た,主
に 少 な く,特
近 くな
比 べ る と,摩
擦 が は るか
に 母 音 の 後 で は 母 音 化 す る(た
と え ば,
記 憶 す る 」 の 現 在 形husker[〓]は,
事 実 上,[〓]の
よ う に 発 音 さ れ る).
ク セ ン トは,ス
ト レス ・ア ク セ ン ト で,そ の 位
格,
残 して ほ と ん ど
私 に,私
彼 女 に,彼
を」 は
女 を」は与
生 き て い る」 のliveは
liv「 命 」 の 単 数 ・与 格,〓 はhand「
格,属
の ノ ル ド語 に さ き が け て12世
か つ て の 対 格,hende[〓]「
「手 中 に 」の〓
手 」 の 単 数 ・与 格 で あ る.
b)名
詞 の 性 と冠 詞
来 の3性
は,古 ノ ル ド語 に は 十 分 に 保 存 さ れ て い た が,
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 祖 語 以
デ ン マ ー ク語 で は 中 性 名 詞 の み が 残 り,男 性 名 詞 の 区 別 は な く な り,ひ 性(〓)と
よ び,デ
性 名 詞 と女
と つ と な っ た.こ
れを共
ン マ ー ク 語 の 名 詞 の 約75%
は 共 性 に 属 す る. 冠 詞 に は,不
は[u]に
本 的 に は 口 蓋 垂 の 摩 擦 音 で あ る が,フ
ラ ン ス 語 や ドイ ツ 語 のrに
4)ア
格 の 諸 格 は,他
格 で あ っ た . さ ら に,ilive「
な い.
huske「
の 区 別 が あ る が,か
され て い る. 人 称 代 名 詞mig[mai]「
半 子 音w,j sの
ウ ェー デ ン語
音 が 弱 く な っ て 母 音 化 す る 傾 向 が あ る た め,ノ
二 重 母 音 に は,ai,〓,au,〓,〓,〓,eu,iu,
3)子
史 的 に は,ス
や ノ ル ウ ェ ー 語 の 単 調 ア ク セ ン ト に 対 応 す る.
な り平 た い 音
代 デ ン マ ー ク口 語 の 特 徴 の1つ
素 とは
の 声 門 閉 鎖 音 は,ノ
象 を受 け る.
母 音 に は,i',e',〓',y',〓',〓',a',
u',o',〓'が で,現
ン
前 後 で広 くな り調音
トラ ン ド半 島 南
の 音 を 用 い な い 地 域 も あ り,音
共 性 がen,中
定 冠 詞 と 定 冠 詞 が あ る.不 性 がetで,英
複 数 形 は な い(た ド語,フ
だ し,ノ
語,ド
ル ド語 の う ち,ア
ェ ー ロ ー 語 に は,不
en(stor)
定 冠 詞 は,
イ ツ 語 等 と同 様, イス ラン
定 冠 詞 に 複 数 形 が あ る).
dreng'a(big)boy'
et(stort)hus 'a(big)house' 定 冠 詞 は,形 容 詞 を と も な わ な い 場 合,共 性 ・単 数 が ‐en,中 性 ・単 数 が ‐et,複 数 は,両 性 と も ‐(e)neが
接 辞 の 形 で 名 詞 の う し ろ に つ く ・ そ の 意 味 で,英 は じ め,ヨ
hvem'who',
ー ロ ッパ の 諸 言 語 に つ い て伝 統 的 に 用 い ら
れ て き た 定 冠 詞 と い う 日 本 語 の 用 語 は,ノ し て は,そ
hvis'whose',
ル ド語 に 関
hvilken(hvilket,hvilke)'which',
ぐ わ な い 印 象 を 与 え る.
drengen'the
boy'(drengene'the
huset'the
単 数 がdet,複
数 は,両
store
dreng'the
(de
store
drenge 'the
store
hus'the
(de
store
huse'the
こ の 点 で は,デ 様 で あ る が,ス
big big
hvem'who,whom',
前 置 さ れ る.
hvad'what,which', hvilken(hvilket,hvilke)'which',
boys')
house'
big
な ど が あ る.
houses')
ン マ ー ク 語 は,英
こ れ ら の 代 名 詞 で,hv‐
語 や ドイ ツ 語 と同
huset('the
big
よ う に 二 重 に 定 冠 詞 を つ け,ノ
der'which,who',
性 ・
boy'
カ ン デ ィ ナ ビ ア 語 の う ち,ス stora
som'which,who',
性 ・単 数 がden,中
big
det
関 係 代 名 詞 と して は,
houses')
性 と もdeが
den
ン 語 は,det
boys')
house'(husene'the
形 容 詞 を と も な う 場 合 は,共
ウ ェーデ
house‐the')の
ル ウ ェ ー 語 は,デ
で は じ ま る 語 の 語 頭 のhは,
実 際 に は 発 音 さ れ な い が,イ
の
の 用 法 を 併 用 す る.
か ら もhが
名詞
a)人
称代名詞
(英 語 のwhomに あ っ た.こ
表1を
で に綴 り
消 失 し て い る).hvemは,元 相 当)で,古
の 形 は,19世
来,目
い 主 格 はhvo'who'で
係 代 名 詞 の う ち,今
日
日の 用 法
で 頻 度 の 高 い の は,der,somで,hvilkenは
参 照.
的語
紀 ま で は 用 い ら れ た が,今
で は す が た を 消 した.関
2)代
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語*kw‐
以 来 の 古 い 形 を 形 態 的 に は 残 して い る(た だ し,ス カ ン デ ィ ナ ビ ア 語 の う ち ス ウ ェ ー デ ン 語 で は,す
ンマ
ー ク 語 とス ウ ェ ー デ ン 語 の 中 間 と も い うべ き で ,こ 2つ
hvad[〓]'what',
語 を
文語的
で あ る.
<表1>デ 《単 数 》 主
ンマ ー ク語 の 人称 代 名詞
格
目的格
所 有格
1.jeg
mig ―
2.du/De
dig/Dem ―/Deres
3.han'he'
ham
hans
hende
hendes
hun 'she' den'it,(共
化 と,定
冠 詞 類 の 後 に 現 わ れ る 弱 変 化 の 区 別 が あ り, に 応 じ て 変 化 す る が,ド
所 有 格 vores
2.I/De
jer/Dem
jeres/Deres
(eder)
(eders)
b)比
較 級,最
ⅰ)規
則 的 な形 式 の例
な い の で,所 で は,親
称du/Iと
敬 称Deと
で は,初 対 面 で もduを Iの
よ びduの
有 形 容 詞min,dinを
目的 格eder,所
ロ)‐re,‐stを
所 有格 は
上級
大 き い 」,〓,〓 若 い 」,yngre,yngst
ハ)mere,mestを
近
almindelig「
Man c)そ
god「
中 に は,形 siger
at det
の他の代名詞
regner.「
雨 模様 とい う話 だ」
疑 問 代 名 詞 と して は,
bla,mest
bla
古 い 」,〓,〓 よ い 」,bedre,bedst
lille「 小 さ い 」,mindre,mindst
人 称構 文 の主 語 とな る こ とで
あ る.
almindelig,mest
規 則 な形 式 の例
gammel「
イ ツ語 な ど と
間 で は 」 とい う意 を 表 わ す.detの
用 法 で 注 目 す べ き は,非
幹
原 級 の 前 に 用 い る: 普 通 の 」,mere
bla「 青 い 」,mere ⅱ)不
同 じ く,「 人 は,世
則 と し て,語
almindelig
語 でのみ用い
manは,ド
語 幹 に 接 辞 す る(原
ung「
称
用 い る こ と が 多 く な っ て い る.
名 詞man,det
語 幹 に 接 辞 す る:
stor「
の 区 別 が あ る が,最
る. b)代
ち ら も形 容 詞 の 語 尾 に ‐e
の 母 音 が 変 音 す る):
代 用 す る.2人
有 格edersは,文
に よ る変 化 が保 数 で は,強 変 化,
〓 「高 い 」,〓,〓
deres
現 代 デ ン マ ー ク 語 で は,jegお
イ ツ語 と異 な る
語 的 な 用 法 に お い て も,性,数
イ)‐ere,‐estを os
dem
変
を つ け る(表2).
1.vi
3.de
ドイ ツ 語 な ど と同 様,強
弱 変 化 の 区 別 は な く な り,ど
dets
目的 格
変化
存 され て い る こ とで あ る. た だ し,複 dens
性)det
格
変 化,弱
点 は,述
数》 主
容詞
a)強
名 詞 の 性,数
性) den
det'it'(中 《複
3)形
容 詞 と し て の 原 級 を もた ず,副
ind'in'が,indre,inderstの 詞,副
詞/前
よ う に 変 化 し,形
詞 と し て 用 い ら れ る こ とが あ る.
置詞 容
<表2>デ
ンマ ー ク語 の形 容詞 の 強 変 化 と弱 変 化
単
数
en ung den
複
mand
unge
et hvidt
mand hus
det hvide
'a young
(弱 変 化)
'the young
(強 変 化)'a
hus
(弱 変 化)
Bogen
er 〓
Huset
er stort
詞
動 詞 は,形
4)動
(強 変 化)
unge 〓
man'
white
de unge 〓
house'
hvide
'the white
house'
(強 変 化)
'The
book
is red' 〓
(強 変 化)
'The
house
is big'
称,数,時
制,態,法
詞に認
で あ る が,
huse
de hvide
huse er 〓
Husene
現 在 形,過
態 的 な 特 徴 に よ っ て,強
変 化 動 詞 と 弱 変 化 動 詞 に 分 け ら れ る . 元 来,動 め ら れ る 範 疇 は,人
man'
数
去 形,現
不 定 詞 は,原 お い て,at
er store
在 分 詞,過
去 分 詞 で あ る.
形 の ま ま で 用 い る ほ か,at[〓]を
kalde'to
call'の
現 代 デ ン マ ー ク 口語 お よ び これ を 反 映 す る 文 章 語 に お
詞 は,語
い て は,人
よ う に い う. 過 去 分 詞 の 語 尾 ‐(e)tは,元
a)強
称 と数 の 区 別 が 消 失 し て い る(表3). 変化動詞
ゲ ル マ ン諸 語 に 特 徴 的 なdrik
ke‐drak‐drukket('drink‐drank‐drunk')の に,ア
で,現
よう
運 ぶ」 〕「与
変化動詞
歯 音 語 尾 に よ って 変 化形 を示 す
在 形 は 語 幹 に ‐(e)r[〓]を
過 去 形 で ‐ede[〓],過
け る 第2類 c)動
つ け る が,
去 分 詞 で ‐et[〓]を
去 形 で ‐te[〓],過
つ な が れ た 犬 」(共
在,過 去,未 来 が あ り,そ
過 去 形skulle,過
定 詞,
在 形skal,
去 分 詞skullet)'shall',ville(現
去 形ville,過
去 分 詞villet)'will'や,助
Jeg
skal 〓
'I shall
do
det
atを
不定
が 広 く,人
i morgen.
it tomorrow
ま た,skulle/villeは,英
詞 を 活 用 す る た め に 必 要 な 語 形 は,不
れ ぞ れ に完 了
動 詞skulle(現
詞 の 前 に 用 い て 表 わ さ れ る.
つ
と に 分 け ら れ る(表4).
性)
性)
動 詞 的 に 用 い ら れ るkomme('come')til
つ ける
去 分 詞 で ‐t[d]を
性形
に応 じて 変 化 す る こ と が あ る.
在 形vil,過
規 則 動 詞 で,現
来,中
通 は 無 変 化 で あ る が,
つ な が れ た 鹿 」(中
形 が 加 わ る .単 純 未 来 は,助
え る」
と,過
hund「 dyr「
の よ う に,性
give[〓]‐gav[〓]‐givet[〓
第1類
bunden bundet
時 制 に は,現
〓 ‐bar‐baret「
b)弱
en
規 則 な 変 化 を す る.
「縛 る 」
接 辞 し て,kaldendeの
代 デ ン マ ー ク語 で は,普
et
binde[〓]‐bandt[〓]‐bundet[〓]
在分
形 容 詞 的 に 用 い ら れ る 場 合,
プ ラ ウ ト に よ り語 幹 母 音 を 変 化 さ せ て 過 去 形,
過 去 分 詞 を 形 成 す る 動 詞 で,不
幹 に ‐ende[〓]を
前 に
形 で も 用 い る.現
.' 語 のshall/wilIよ
り用法
称 に 関 係 な く 未 来 を 表 わ す.
完 了 形 で は,ド イ ツ 語 な ど と同 様,往 来 や 発 着 な ど を
<表3>動 詞 の 活 用 例(1) 《kalde「 呼 ぶ 」》
意 味 す る 自 動 詞 の 場 合 に は,〓(現 var,過
単
数
複
去 分 詞〓)'be'+
在 形er,過
去形
過 去 分 詞 で,そ れ 以 外 の
数 自 動 詞 お よ び 他 動 詞 の 場 合 は,have[ha(〓)](現 形har,過
去 形havde,過
在
去 分 詞haft)'have'+
過去
分 詞 を 用 い る. 《drikke「
単
飲 む 」》
数
複
数
Han
er
Han
har
Han
kommet.'He
has
spist.'He
har 〓
has
come.' eaten.'
bogen.'He
has
read
the
book.' た だ し,往
来 を 表 わ す 自 動 詞 の 場 合,haveを
と 継 続,v〓reを
用 い る と完 了,結
用い る
果 を表 わ す こ とが
あ る. <表4>動
詞 の 活 用 例(2)
Han
(第1類)
kaste「
(第2類)
投 げ る 」bo「
住 む 」〓
「買 う 」
現 在 jeg kaster
jeg bor
jeg 〓
過 去 jeg kastede
jeg boede
jeg 〓
完 了 jeg har kastet
jeg har boet jeg har 〓
har 〓
「彼 は5kmを Hunden 態 に は,能 幹に
‐(e)sを
5km.(at 〓
run')
ず っ と走 っ て き た 」 er 〓 〓.「
犬 は 逃 げ て し ま った」
動 態 と受 動 態 が あ り,後
者には動詞の語
つ け る 単 純 形 と,blive[〓]+
去 分 詞 で 表 わ す 複 合 形 が み ら れ る.
過
det
kastes/det
前 者 は,反
bliver
復 性,習
性 を 示 す が,話
kastet'it
慣 性 を 示 し,後
者 は,個
し こ と ば で は,分
mest)「 殊
'yes'
過去
ま た,形
別 性,特
析 的 なblive+
分 詞 の 方 が 好 ま れ る 傾 向 が あ る.ま 過 去 分 詞 は,受
is thrown'
た,〓
動 態 と い う よ り,動
の 再 帰 代 名 詞 で,古 [sai])に
ノ ル ド語sik(デ
由 来 し,元
来 は3人
在 で は,す
ま た,若
史 的 に は,3人
称
ン マ ー ク 語sig
《基
詞 数》
称 に のみ 用 い られ て い た
は 受 動 態 で あ るが 意 味 は 能
動 的 な 中 間 態 が み ら れ る. 〓 「望 む 」,mindes「 「会 う」,〓 る 」,な
思 い 出 す 」,〓
「しか る 」,synes「
思 う,見 え
ど.
法 に は,直
説 法,接
続 法,命
令 法 が あ る . こ の う ち,
接 続 法 は,話 法 の 助 動 詞 の 発 達 に よ り ほ と ん ど す た れ, 現 在 は 不 定 詞 と 同 形,過
去 も 直 説 法 を 流 用 す る.用
法
も決 ま っ た 表 現 に 限 られ て い る. Kongen
leve!「
命 令 形 は,2人
国 王万 歳 」
称 に の み あ り,動
単 数,複
数 の 区別 は ない.
5)助
動詞
詞 の 語 幹 を 用 い,
複 合 時 制 を つ く る 際 の〓,have,
受 動 態 の 際 に 用 い ら れ るblive以
外 の,主 な 助 動 詞 は,
次 の とお り で あ る. Du
skal
betale
skat.「
君 は税 金 を払 わ ね ば な
ら な い 」(不 定 詞skulle) Jeg
skal
nok 〓
det
i morgen.「
明 日は き
kop
コ ー ヒー
っ とそ れ を し ます 」 Jeg
vil gerne
を1杯
《序
have
en
kaffe.「
の み た い 」(不 定 詞ville)
Han
kan
tale
ゃ べ れ る」(不 Ma
jeg
dansk.「
彼 は デ ンマ ー ク語 が し
定 詞kunne)
komme
ind?「
入 っ て い い で す か 」(不
定 詞matte) Nej,det
ma
Man 〓
ikke
du
ikke.「
い え,だ
sla 〓.「
め で す」
子 供 をた た い て は い
け な い 」(不 定 詞burde) Jeg 〓
sige
min
mening.「
私はあえて意見 を
言 う」(不 定 詞turde) Gider
du
se
filmen?「
その映画を見たいです
か 」(不 定 詞gide) 6)副
詞
形 容 詞 と 同 じ く,比
較 級,最
上級 を
も つ も の が あ る. her「
こ こ」,der「
「向 こ う へ 」;nu「 ぐ」;〓(〓(e)〓)「 (oftere‐oftest)「
そ こ」,hver「 今 」,da「
ど こ 」,bort
当 時 」,snart「
す
長 く」,ofte し ば し ば 」,meget(mere
「甘 く」
と ん ど の 前 置 詞 は 副 詞 と し て も 用 い ら れ る.
7)数
べ て の 人 称 に そ の 用 法 が 拡 大 し た.
干 の 動 詞 に,形
ど.
fin「 す ば ら し い 」―fint「 す ば ら し く」 さ ら に,ほ
動 態 の 単 純 形 の ‐sは,歴
よ く 」;ja
容 詞 に ‐tを つ け る と副 詞 と な る. 〓 「甘 い 」―〓
態 を
表 わ す. な お,受
が,現
,nej'no',な
+
作 の 結 果,状
多 く」,vel(bedre‐bedst)「
数》
い て,多
様 な 動 詞 句 を形 成 す る.な
ス ウ ェ ー デ ン 語,ノ 古 ノ ル ド語upp 基 数 の(
)内
は,通
上 記 の よ う に,数
常,省
略 さ れ る.ま
た,序 数 は,
9)接
習 で あ る.
イ ツ語 式
現 代 英 語 式 の ス ウ ェ ー デ ン 語 と は 異 な る.ま ウ ェ ー 語 は,デ
ン マ ー ク 語 式,ス
方 を 併 用 し て い る.な
お,基
た,ノ
ル
ウ ェ ー デ ン語 式 の 両
数20のtyveは,古
ル ド語 のtiogu,tuttugu(「2×10」
ノ
の 意)に
ノレ ド語Prir
tigir'three
ノ
tens',fjorir
tigir'four
同 様 な 語 形 成 よ り な っ た.ま
た,「50」
「60」
ン マ ー ク 語 特 有 の 数 詞 で,20進
「3」‐sinds「 倍 」‐tyve「20」 firs(indstyve)は,fir「4」 な わ ち 「4×20」
'when'
「4番
halvfems(indstyve)は
10)間
だ し,広
告,小
(indstyve)な
Det
す
7時30分 halv
et
はhalv
半 分 」,「90」
'half
one'と
regner
「昨 日,私
jeg
目 の1が
ま た,副
れ も,「8時
は
der Der な お,従
er
(i)mod'against',med'with',pa'(up)on',
Han ど.
「デ ン マ ー ク語 を 学 ぶ た め に 学 校 に 行 く」 ま た,他
の ゲ ル マ ン語 同 様,前
置 詞 は,動
詞 と結 び つ
O
adv.
pa
O
hotellet. adv.
用 い る 非 人 称 構 文 は,
her.'It
is cold
here.'
属 接 続 詞 に 導 か れ る 節 で は,ikke'not', ど の 副 詞 の 位 置 が 移 動 し,構 文 上 の
Han 〓
dansk.
igar.
is said'
koldt
違 い が 起 こ る.
for'for,to',i'in',(i)gennem'through',
at 〓
S
siges'it
置詞
for
hende
詞der('there')を
8)前
例 の ご と く,不 定 詞 と 自 由 に 結 合 す る.
hende
S
V
aldrig'never'な
til'to',uden'without',ved'at',な
i gar.
デ ン マ ー ク 語 の 特 徴 の 一 つ と な っ て い る.
に向か
が半 分 」 とい う意
adv .
hotellet
jeg
jeg
adv.
刻 を 表 わ す の に,
i gar .
adv.adv.
adv.V
一 原 理 の 上 に 立 っ て い る.
i skole
pa
hotellet 〓
Igar 〓
た,デ
hotellet
VS
が 半 分 」「1時 に 向 か う60分
gar
pa
は彼 女 にホ テ ル で 会 った 」
Hende 〓
Pa
meget.
S
adv.
う60分
Jeg
det
hende
味 で,同
前 置 詞 は,次
adv.
SVO
字 を明
eight' ,12時30分
い う が,こ
語
i Danmark.
V
O
れ も そ れ ぞ れ,「2番
'half
meget
Jeg 〓
ど をhalvtreds
イ ツ 語 同 様,時 otte
regner
adv.V
半 分 」を意 味
半 分 」 を 意 味 し て い る.ま
素 と し て 現 わ れ,
語 順 を と る が,目 的 語,
の 主 語 以 外 の 要 素 が 文 頭 に く る とVSの
S
と え ば,11/2をhalvanden(andenは,'sec
ンマ ー ク 語 で は,ド
統 語 的 に も っ と も 重 要 な 点 は,
「デ ン マ ー ク で は 雨 が よ く降 る 」
意),21/2をhalvtredie(tredieは'third'の
目 の1が
ほ お っ,な
順 に な る こ と で あ る.
な お,デ ン マー ク語 で は,1/2を 含 む 分数 を 表 わ す と
意)の よ う に い う が,こ
と同 語 源 で
え っ 」 な どが あ る.
主 語 が 文 頭 に く る 場 合 はSVの
ど の 代 わ り に 用 い る.
半 分 」「3番
お お っ,え
IDanmark
幣 等 で は,数
確 に 表 わ す た め に,femti'fifty'な
イ ツ 語〓
av!「 痛 い つ 」,na(h)!「
[統 語 上 の 特 徴]
同 義),「70」
目 の20が
切 手,紙
投 詞
る ほ ど」,a(h)!「
「70」「90」 の 数 え
目 の20が
「5番
語that,ド
語頭音が消
あ る.
ら に 独 特 で,「50」halvtreds(indstyve)は
halvfjerds(indstyve)は
ど.
ノ ル ド語 のpat'that'の
失 し た も の で,英
す な わ ち 「3×20」,「80」
半 分 」(halvはhalfと
ど.
,om'if',selvom'though',な
な お,atは,古
副 詞(節)等
‐sinds「 倍 」‐tyve「20」
を 意 味 す る.「50」
「3番 目 の20が
き に,た
続 詞
ドイ ツ 語 と 同 様,定 動 詞 が 文 の 第2要
法 が 基 盤 と な っ て い る.「60」tres(indstyve)は,tre
ond'の
同語源
at[a]'that',fordi'for',〓'before',nar
形 が 変 わ っ た も の で,英 語 のtwenty,thirty,
「70」「80」 「90」 は,デ
す る.た
語 のuponと
《従 属 接 続 詞 》
由来 す
数30のtredive,40のfyrre(tyve)は,古
方 は,さ
由 来 し,英
og'and',men'but',eller'or',な
よ う に,ド
に い い,同 じ ス カ ン デ ィ ナ ビ ア 語 で も,tjugoen 'twenty ‐one' ,tiugotva'twenty‐two'の よ う に,
fortyと
aに
《等 位 接 続 詞 》 は,enogtyve'one‐and‐twenty',
toogtyve'two‐and‐twenty'の
tens'の
ン マ ー ク 語,
で あ る.
字 の あ とに ピ リオ ドをつ け る の が慣
基 数 の21,22,…
る.基
お,デ
ル ウ ェ ー 語 に 共 通 の 前 置 詞paは,
ikke siger,at
en han
bog.「 ikke 〓
彼 は 本 を読 ま ない 」 en
bog.「
彼
は本 を読 ま ない とい う」 [語
彙]
デ ン マ ー ク 語 の 語 彙 の 基 本 部 分 は,他
の 北 欧 語 と同 じ く,ノ が,ド
ル ド語 系 の 単 語 か ら な っ て い る
イ ツ と の 地 理 的 な 近 さ と 政 治 的 影 響 の た め に,
近 世 ま で,ド
イ ツ語 か ら の 借 用 語 が 多 か っ た.18世
紀
か ら19世 紀 に か け て の ナ シ ョナ リズ ム の台 頭 は,ド イ
の変 化 を しは じめた こ ろで,主 要 な 資 料 は,一 般 の 人
ツ語 の影 響 を脱 して デ ンマ ー ク語 を見 つ め直 す こと を
を対 象 に書 か れ た地 方 の法 律 で あ る.こ の 時 代 の デ ン
促 した が,語 彙 の 点 で も,ロ マ ン ス語,特 に,ラ テ ン
マ ー ク語 の特 徴 とし て,発 音 の 面 で は,二 重 母 音 の 単
語や フ ラ ンス語 か らの 借 用 語 が 増 え,さ らに,19世
母 音 化(た とえ ば,bein>ben),強
末 か らは英 語 が,特
に,第2次
紀
大 戦 以 後 は ア メ リカ 英
音 が あい まい に な った こ と,無 声 閉 鎖 音p,t,kが,
語 が 多 くと り入 れ られ て い る.
母 音 の 後 で,そ れ ぞれ,b,d,gに
[方
jo>y,tn>n(現
言]
デ ン マー ク語 の 方 言 は,古 デ ンマー ク
勢 の ない 語 尾 の母
な った こ と,ja>〓,
在 の 綴 りで は,‐ndと
して 現 わ れ
語 の現 存 の資 料 に よ って 大 別 す る と,現在,ス ウ ェー デ
る),a>aa,p>tな
ン領 の ス コー ネ(Skane)地
屈折 の 面 で は,他 の ノ ル ド語 に さ きが け て,古
holm)島
方 とボ ル ンホ ル ム(Born
の こ とば に代 表 され る東 デ ンマ ー ク方 言,首
都 コペ ンハ ー グ ンの あ る シ ェ ラ ン(〓)島,フ ー ン(Fyn)島,フ ァル ス タ ー(Falster)島,ロ (Lolland)島
どの 変 化 が あ げ られ る. ノル
ド語 以 来 の4つ の格 の うち,主 格,対 格,与 格 が 融 合 し,斜 格 と して は属 格 の み が残 った . また,語 彙 の点
ユ ラン
で は,キ リス ト教 の 影 響 で借 用 語 が 目立 つ よ う に な り,
の こ と ば に代 表 され る島 嶼 方言,お よび,
ラ テ ン語 の単 語 が,ド イ ツ語 を経 て 入 って きた こ とが
ユ トラン ド(Jylland)方
言 の3つ
に区 分 され る. た だ
し,そ れぞ れ の 方 言 の中 に も差 異 が あ り,特 に ユ トラ
認 め られ る. 後期 中 デ ンマ ー ク語 で は,在 来 の 接 頭 辞,接 尾 辞 に,
ン ド半 島 には,文 法 上 の 性 の 区 別 が な い西 部 方 言,声
ドイ ツ 語 の 接 頭 辞,接 尾 辞 が 多 く追 加 され たた め,語
門 閉 鎖 音の ない南 部 方 言 が あ る な ど,そ の特 異 性 が 目
彙 が 増 大 し,よ り豊 か な表現 が可 能 とな っ た.
立 つ.
以 上 の ル ー ン ・デ ンマ ー ク語,前 期 中 デ ン マ ー ク語,
[語
史]
ノル ド語 の 話 し手 たち が,現 在,そ
の
後 期 中 デ ンマ ー ク語,す な わ ち,800∼1500年
ご ろ の言
子 孫 の 住む 北 欧 の 地 に,い つ ご ろ定 住 した の か,明 確
語 を ま と めて 広 義 に 古 デ ンマ ー ク語 と よ ぶ こ と が あ
には 分 か ら ない が,言 語 的 には,4世
る.そ れ に対 して,1500年
紀 の ゲ ル マ ン民
以 降 の デ ンマー ク語 を近 代
族 の 大 移動 の ころ ま で に,古 ノル ド語 は ゲル マ ン祖 語
デ ンマ ー ク語 とよび,さ
か ら分 かれ て いた と考 え られ る.さ らに,古 ノル ド語
デ ンマ ー ク語 と後期 近 代 デ ンマー ク語 とに 分 け る.近
の中 で 分化 が すす み,9世
代 デ ンマ ー ク語 が 確 立 す るた め に は,い
紀 以 降,デ ンマ ー ク語,ス
ら に下位 分 類 して,前 期 近 代
くつ か の 社会
ウ ェー デ ン語 か ら な る東 ノ ル ド語 は,西 ノル ド語 との
的 要 因 が あ った . 中 で も,宗 教改 革 と印刷 術 の発 明 が
違い を示 しは じめ た.デ
デ ンマ ー ク語 訳 の 聖 書 の 刊 行 を促 した こ と,コ ペ ンハ ー グ ン大 学 の 設 立(1479)に よ り学 問的 研 究 が さか ん に
ンマ ー ク語 自体 の 歴 史 的 区 分
は,次 の とお りで あ る.
な った こ とは,デ
古 デ ンマ ー ク語 800∼1100年 ル ー ン ・デ ンマ ー ク語
ンマ ー ク文 語 の統 一 に 向 け て の原 動
力 とな った.
1100∼1350年
前 期 中 デ ンマ ー ク語
前期 近 代 デ ンマ ー ク語 は,古 ノ ル ド語 以 来 の名 詞 の
1350∼1500年
後 期 中 デ ンマ ー ク語
性 を3つ と も残 して い るな ど,古 め か しい 点 もあ った が,口 語 で は,一 般 に,動 詞 の単 数,複 数 を もは や 区別
近 代 デ ンマ ー ク語 1500∼1700年 前 期 近 代 デ ンマ ー ク語
し な くな り,今 日の デ ンマ ー ク語 に 大 き く近 づ い た .
1700年 ∼
重 要 な こ とは,語 彙 の 点 で,そ れ ま で の 低地 ドイ ツ語
後 期 近 代 デ ンマ ー ク語
デ ンマー ク語 の も っ と も古 い 時 代,す な わ ちル ー ン・
か らの 借 用 ば か りで な く,高 地 ドイ ツ語 の単 語 が 大量
デ ンマ ー ク語 の資 料 は,文 字 ど お りル ー ン文 字 で書 か
に入 って きた こ とで あ る.
れ て い る.古 ノル ド語 の最 初 の資 料 が,身 の まわ りの 装 飾 品 や武 器 に刻 み 込 まれ た24文 字 か らな る 古 ル ー
後期 近 代 デ ンマ ー ク語 の 時代 の特 徴 は,正 字 法 の統 一 に向 け て の 動 きで あ り,こ れ に関 して は,コ ペ ンハ
ン文 字 に よ る もの で あ った の に対 し,こ の時 代 の ル ー
ー ゲ ン大 学 の歴 史学 の 教 授 で あ り劇 作 家 で もあ った ホ
ン文 字 は文 字 の 数 が16に
ル ベ ア(Ludvig
な った新 ル ー ン文 字 で あ る.
Holberg,1684∼1754)の
死 者 を記 念 して 建 て られ た 石碑 に 刻 み 込 ま れ た も の
きい.さ
で,デ ンマ ー ク,お よび,現 在 の ス ウ ェー デ ンの ス コ ー ネ地 方 に250余 りが 見 つ か って い る.短 い も の は
Rask,1787∼1832)な
2,3語 か ら な り,も っ と も長 い もの で49文 字 とい う,
貢献が大
らに,19世 紀 には,言 語 学 者 ラ ス ク(Rasmus どの 努 力 に よっ て,正 字 法 は,ほ
とん ど現 在 の もの と変 わ ら な くな って はい たが,童 話
これ らの資 料 は,当 時 の デ ンマ ー ク語 の 状 態 を 知 るの
作 家 ア ンデ ル セ ン(Hans Christian Andersen,1805 ∼75)や 言 語 学 者 イ ェスペ ル セ ン(Otto Jespersen,
に十 分 とは い え ない が,バ イ キ ン グ時 代 の デ ンマ ー ク
1860∼1943)な
語 の 直接 的 な資 料 と して は 唯 一 の もの で あ る.
統 一 が み られ た.ド イ ツ語 の影 響 に よ る,名詞 の 最 初 の
前 期 中デ ン マー ク語 の 時 代 は,デ
文 字 を 大 文字 に す る習 慣 が な くな り,古 ノル ド語aに
ンマ ー ク語 が 独 自
どの 用 い た 正 字 法 に も,ま だ若 干 の 不
由 来 す るaaが
ス ウ ェ ー デ ン語 に な ら っ てaに
さ れ る な ど の 最 終 的 な 正 字 法 の 確 立 は,1948年
統一 の文部
省 令 に よ る 改 正 を 待 た ね ば な ら な か っ た.
な お,1955年
に,デ
〓)が
設 立 さ れ,専
門 家たちによる 正字法 ンマ ー ク語 の保 護 に 努 め
[借
用]
日本 語 か らデ ンマ ー ク語 に入 っ た単 語 発 音 さ れ る)やkarateな
ご くわ ず か で,デ
ど,
ン マ ー ク語 か ら 日 本 語 に 入 っ た 語 も,
デ ン マ ー ク 人 の い こ い の 公 園 「チ ボ リ(Tivoli)」
が,
レ ス ト ラ ン な ど の 店 の 名 前 で と り入 れ ら れ た り,一
部
の 商 品 名 が デ ンマ ー ク語 の ま ま用 い られ た りす る ほか は,ほ [辞
と ん ど み ら れ な い.
and
bog(19769),フ
Sprog,28
ぶ 際 に 不 可 欠.発 が 区 分 さ れ,そ
ンマ ー ク語 を専 門 に学
音 表 記,語
源 に 続 き,詳
細 に語 義
れ ぞ れ に 出 典 を 示 した 豊 富 な 用 例 が
つ い て い る . な お,1966‐70年 ル(Gyldendal)社
か ら,内
に,同
じギ ュ レ ンダ
容 は 同 じ で,型
小 さ れ た 写 真 版 が 刊 行 され,現
在,流
だけが縮
布 し て い る.
(197910),Nudansk
Ordbog,2
Koefoed
and
Einar
一 般のデ ン
マ ー ク 人 を 対 象 に 編 集 さ れ た 辞 書 で,小
型 な が ら,
名 も扱 い,明
改 訂 さ れ る た め,新 習 者 な ら,外 Dahl,B.T.and
解 な 語 源 も あ る.ひ
んぱんに
し い 情 報 も多 い . 中 級 以 上 の 学
国 人 に も 便 利.
ペ イ ン語 で は,Arne
Ordbog(19762)が
あ る.
Henningsen;Henning(1956),Danisch‐Deutsch/
,Dansk
Folket,2vols.(Gyldendal/Nordisk
Forlag,Copenhagen/Kristiania)―
義 の説 明 の 点 で す
ぐ れ た 有 益 な 辞 書 で あ る.
書 で,発
C.A.Bodelsen(19762),
音 表 記 は な い が,外
語辞
国 人 使 用 者 に とって は
十 分 な 数 の 見 出 し語 を 有 し,慣 専 門 用 語 な ど の 文 体,語
用 句,口
語,俗
語,
法 表 示 に も 詳 し い.ま
た,
英 訳つ きの 豊富 な用例 も特 色 .
上記の英
語 ・デ ン マ ー ク 語 版 .
penhagen)―
発 音,日
音 に 関 し て,標 常 的 発 音,俗
準 発 音 の ほ か,く
だけた
語 的 発 音 が 並 記 さ れ,発
音辞
典 と し て 使 用 で き る. Sprogbrug(Gyldendal
,
Copenhagen)―
コ ロ ケ ー シ ョ ン の 辞 典 で ,デ ン マ ー ク 語 を 書 く際 に 非 常 に 有 益 . Nielsen,Niels
Age(19663),Dansk
etymologisk
Ordbog(Gyldendal,Copenhagen)―
Blangstrup,Chr.et
al.(1915‐302),Salmonsens Leksikon,26
Copenhagen)― 大,最
デ ンマ ー
型 な が ら 情 報 は 多 い.
vols.(Schultz,
デ ン マ ー ク の 百 科 事 典 で は,最
良 の もの で あ る が,現
ロ ッ プ(Kr.Nyrop),ペ
在 で は,古
に 言 語 学 の 分 野 で は,ト
ムセ ン
ェ ル ナ ー(K.Verner),ニ
ユ
デ ル セ ン(H.Pedersen),
イ ェ ス ペ ル セ ン(O.Jespersen)等 筆 し て お り,学 Bang,Jorgen
で,現
書店でな く
の 国 の文 化 を 知 るた め に は不
の言 語 学 者 が 執
問 的 水 準 が 高 い. et
Leksikon,10
al.(1978),Gyldendals
Ti
vols.(Gyldendal,Copen
一 般 人 向 け に平 易 に表 わ した 百 科 事典 代 デ ン マ ー ク を 知 る 上 で 便 利 で あ る.
[参 考 文 献 ] and
19798),Dansk‐Engelsk
デ ン マ ー ク 語 ・ス ウ ェ ー デ ン語 の 辞 書 で
あ る が,発
hagen)―
Ordbog(Gyldendal,Copenhagen)―
Ordbok
(Laromedelsforlagen/Sprakforlaget,Stock holm)―
binds
Nielsen,B.Kj〓ruff(1964,1974),Engelsk‐Dansk
Vinterberg,Herman
Molde,Bertil(1958,19682),Dansk‐Svensk
(Vilh,Thomsen),ヴ
デ ン マ ー ク 語 と英 語 の2言
例 は あ ま り多 く な い が,
発 音 表 記 が あ る の が 便 利.
可 欠 な 事 典 で,特
Ordbog,2vols.(Gyldendal,
Copenhagen)―
ケ ッ ト版 辞 書(Taschen
一 つ で,用
て は 手 に 入 らな い.こ
and
Dansk‐Engelsk
言 語 辞 書 の シ リー ズ,ポ
Konversations 現在では,
古 書 店 で し か 手 に 入 ら な い が,語
Vinterberg,Herman
ラ ン ゲ ン シ ャ イ ト社 の2
ク 語 の 語 源 辞 典 で,小
H.Hammer(1907‐14) for
Ord‐
Krog‐Meyer編Dansk‐
Bruun,Erik(1978),Dansk
vols.(Politiken,Copenhagen)―
人 名,地
Kaper編
Ordbog(19555),Fransk
Ordbog(19788),ス
worterbuch)の
紀 か ら現 代 に 至 る デ ン マ ー ク
語 に 関 す る 最 大 の 辞 書 で,デ
Oxenvad,Erik
over
vols.(Gyldendal,Co
penhagen)―18世
Ernst
ラ ン ス 語 で は,N.Chr.Sorensen
chen/Wien/Zurich)― et al.(1918‐56),Ordbog
danske
Ordbog
Bork
Ordbog(19786),Tysk‐Dansk
編Dansk‐Fransk
Spansk
れ ら と同 じギ ュ
赤 い 辞 書 」)シ リー
様 な編 集 方 針 で つ く ら れ た ドイ ツ 語 と
語 辞 書Egon
Dansk
た,こ
ordboger(「
Deutsch‐Danisch(Langenscheidt,Berlin/Mun
書]
Dahlerup,Verner det
の2言
Dansk‐Tysk
は,judo([〓]と
ズ の 中 に,同
くで きた 辞 書
編 者 に よ るEngelsk‐Dansk
あ る.ま
レ ン ダ ル 社 のrode
て き て い る.
で,外 国 人 に は 便 利.同 Ordbog(197910)も
ン マ ー ク 国 語 審 議 会(Dansk
辞 典 の 編 纂 を 行 な う な ど,デ
編 の 辞 書 の 小 型 版 だ が,親 版 と 同 様,よ
Jens
Axelsen(1960,
Ordbog(Gyldendal,Co
上 記Vinterberg
and
Diderichsen,Paul(1946,19763),〓Dansk Grammatik(Gyldendal,Copenhagen)
Bodelsen
Hansen,Erik(1977),〓
Port(Hans
Reitzel,Copenhagen) Hansen,Erik grafi
族 語 集 団 が 区 別 さ れ,図1に
and
over
Nana
moderne
Riemann(1979),Biblio dansk
rigssprog
ジ ア 語,オ
1850‐1978
(Gjellerup,Copenhagen) Hansen,Aage(1956),Udtalen
i Moderne
Dansk
Dansk,3vols.(Gra
Lyd(Akade
の グ ル ー プ に遡
部以南の
「高 地 ドイ ツ 語 」 は
イ ツ 語 は,上
記 の3つ
水 社,東
ち な み に,「
西 ゲ ル マ ン(Westgermanisch)」
Yourself
「西 ゲ ル マ ン語 」 とい う 抽 象 概 念 の 使 用 を 避 け る 学 者
Books,English
University
Press,
も い る.し
London)
か し,西
ゲ ル マ ン 諸 語 の あ い だ に は,い
り,東
ゲ ル マ ン語 や 北 ゲ ル マ ン語 と は 対 照 的 な 一 つ の
(Lehmann&Stage,Copenhagen;repr.1975,
ま と ま り が 認 め ら れ る の で,研
Hans
は,部
Reitzel)
森 田 貞 雄(1971,19815),『 学 書 林,東
デ ン マ ー ク 語 文 法 入 門 』(大
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岡 田 令 子,菅
族 的 に で は な く,類
原 邦 城,間
瀬 英 夫(1984),『
現代デ ンマ
京)
ン 語 」を 統 一 体 と し て 扱 う の が 便 利 で あ る.な
manisch)」,「 sisch古
Skautrup,Peter(1944‐70),Det
Danske
古 サ ク ソ ン 語 」(ド イ ツ 語 名:Altsach 「古 低 ドイ ツ 語(Alt
が 用 い られ る こ と もあ る.
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[高 地 ドイ ツ 語 と 低 地 ドイ ツ 語]
Forlag,Copenhagen)
北 部 の 低 地 ド イ ツ 語(Niederdeutsch,略,Nd.)と
Stemann,Ingeborg(19695),Danish:APrac tical
部,中
Reader(H.Hagerup,Copenhagen) for
〓(Nordisk 山 野 辺 五 十 鈴(1986),『 書 林,東
い う 地 理 的 対 立 概 念 は15世
Forlag,Copenhagen) 自 習 デ ン マ ー ク 語 文 法 』(大 学
ゲ ル マ ン 語 派,古
ノ ル ド語,ス
ウ ェー
(山 本
次(あ
る い は,高
oder
hochdeutsche
地 ド イ ツ 語)子
文 明)
り,ゲ
zweite
れ は 第1次(あ
もっ と る い は,ゲ ル マ
ル マ ン 語 の 無 声 閉 鎖 音p,t,kは,古 頭,子
そ れ ぞ れ,破
と
い だ,あ
音(l,r,m,n)の
る い は,語
推 移 し た.ま
ド イ ツ 語Deutsch,英German,仏allemand ドイ ツ 語 は,イ
の ゲ ル マ ン語 派 に 属 す る.ゲ 分 説 に よ れ ば,北,東,西
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 ル マ ン 語 は,伝
の3つ 語,フ
の グル ー プ に大 別 さ
ゲ ル マ ン 語 の 圏 内 に は,5世
海ゲ
ェー ザ ー ・ライ
ン ・ゲ ル マ ン 語(Weser‐Rhein‐Germanisch),エ ベ グ ル マ ン 語(Elbgermanisch)と
Hd.よ
で あ る.さ
紀 以 来,北
よ ば れ る3つ
音 のあ
は,一 種 のs音),hh(h)に
た,ゲ ル マ ン 語 の 有 声 閉 鎖 音b,d,gは, な っ た.こ
け に 起 こ っ た の で,ゲ
て い るNd.
音 の 場 合 に,
変 わ り,母
末 に あ っ て 母 音 に 続 く場 合 に は,
無 声 化 し てp,t,kに Hd.だ
高 ドイ ツ
と,Hd.の
の よ うな 子音 推移 は
ル マ ン語 の 子 音 を保 存 し
子 音 組 織 を基 盤 と して 成立 し
た 標 準 ド イ ツ 語 と を 対 比 す る こ と に よ っ て,Nd.
リ ジ ア 語(Friesisch)や,
ゲ ル マ ン 語 の1つ
ル マ ン語(Nordseegermanisch),ヴ
統 的 な3
後,重
擦 音pf,tz(z),kchに
摩 擦 音ff(f),〓(〓)(〓
イ ツ 語 は,英
と
わ ゆ る 第2
音 推 移(die
Lautverschiebung)が
も 顕 著 な 現 象 で あ る.こ
語 で は,語
オ ラ ン ダ 語 と同 じ く,西
低 地(Nieder‐)」
紀 以 来 用 い ら れ て い る が,
ン 語)子 音 推 移 の 帰 結 的 現 象 で あ る が,こ の 音 変 化 に よ
ル ウ ェー 語
統]
南
言 語 的 に 両 者 を 区 別 す る 基 準 と し て は,い
京)
照]
デ ン語,ノ
Dansk
ドイ ツ 語 圏 は,
部 の 高 地 ドイ ツ 語(Hochdeutsch,略,Hd.)に
大 別 さ れ る.「 高 地(Hoch‐)」,「
Wiwel,H.G.(1901),Synspunkter
お,「 西
「南 ゲ ル マ ン 語(Sudger
ザ ク セ ン 語)の 代 わ り に
niederdeutsch)」
Sprogs
究の現段階 に お い て
型 論 的 観 点 か ら,「 西 ゲ ル マ
ゲ ル マ ン語 」 の 代 わ り に
ー ク 語 入 門 』(大 学 書 林,東
ら に,西
わ
ゆ る 「西 ゲ ル マ ン語 子 音 重 複 」な ど,一 連 の 共 通 点 が あ
Mikkelsen,Kr.(1911),Dansk 〓
れ,ド
と
い う 部 族 的 統 一 体 は 歴 史 的 に 存 在 し な か っ た と し て,
Koefoed,H.A.(1958,1973),Danish(Teach
[系
の グル ー プ
年 を 超 え る均 一 化 の
過 程 を 経 て,単 一 の 言 語 と し て 統 合 成 立 し た の で あ る.
デ ン マ ー ク 語 の 入 門 』(白
京)
[参
わゆ る
ラ ンダ 語 や 英 語 と同 じ く 北 海
が 合 流 し影 響 し合 い な が ら,1千
Forlag,Copenhagen)
秦 宏 一(1978),『
イ ツ 北 部 の 低 地 地 帯 の ドイ ツ 語 方 言,い
母 胎 と し て い る.ド og
リ
ヴ ェ ー ザ ー ・ラ イ ン ・ゲ ル マ ン 語 と エ ル ベ ゲ ル マ ン 語 を
fisk Forlag,Copenhagen) Heger,Steffen(1974),Sprog misk
イ ツ 語 は 西 ゲ ル マ ン 語 の3つ
る.ド
ゲ ル マ ン語 に 由 来 し,中
(1967),Moderne
語,フ
が,ド
「低 地 ドイ ツ 語 」 は,オ
(Gyldendal,Copenhagen)
示 す よ う に,英
ラ ンダ語 は北 海 ゲ ル マ ン語 の 流 れ を 汲 む
ル の部
が
り もむ し ろ オ ラ ン ダ 語 や 英 語 に よ り 近 い 関 係 に
あ る こ と を 知 る こ と が で き る.以 と 標 準 ド イ ツ 語 の 比 較 を 示 す.カ オ ラ ン ダ 語 と英 語 で あ る. 1)Nd.p,t
vs.Hd.pf,tz(z)
下 に,現
代 のNd.
ッ コ 内 は,対
応す る
〈図1〉
西 ゲ ル マ ン語 と ドイ ツ語
Piep(蘭pijp,英pipe)vs.Pfeife
ラ ン ク フ ル ト(Frankfurt)に
Appel(蘭appel,英apple)vs.Apfel
ラ ー ト線(Benrather
Tung(蘭tong,英tongue)vs.Zunge
の 命 名)で
setten(蘭zetten,英set)vs.setzen
ラ ー ト線 の 北 方 を 走 り,ク
Hart(蘭hart,英heart)vs.Herz 2)Nd.p,t,k
よ ば れ て い る.Nd.
Schaap(蘭schaap,英sheep)vs.Schaf
移 に 限 ら な い が , 第2次
eten(蘭eten,英eat)vs.essen
が,Nd.とHd.を
wat(蘭wat,英what)vs.was
て お り,地 域 的 に は,等
maken(蘭maken,英make)vs.machen
の 北 側,す
ik(蘭ik,古
で あ り,南
第2次
へ 向 か っ て 徐 々 に 広 が っ て 行 き,も
の 速 か っ たk>chは,1000年
っ と も推 移
頃 に は,ケ ル ン(Koln)の
南 方 に 達 し て い た . し か し,す
べ て の 推移 が均 一 的 に
起 こ っ た わ け で は な く,そ の 度 合 い は,北 に 行 く ほ ど 弱 くな り,言 語 地 図 に は,Hd. な ど,多
の 内 部 に,p/f,t/s,p/pf
くの等 語 線 が 段 階 的 に引 か れ る こ とに な る.
maken/machenお とHd.
よ びik/ichの
両 等 語 線 が,Nd.
の 境 界 線 と な っ て い る.両 等 語 線 で あ り な が ら,西
seldorf)の
川 を 横 切 り,カ (Magdeburg)の
ーヘ ン
ュ ッ セ ル ドル フ(Dus
ン ラ ー ト(Benrath)付
ッ セ ル(Kassel)の 南 を 経 て,オ
じ/k/→
語 線 は,ア
北 に は じ ま り,デ 南,ベ
者 は,同
部 にお い て 部 分 的 に重
な ら な い .maken/machen等 (Aachen)の
とHd.を
北,マ
Linie)と
区 別 す る特 徴 は 子 音 推
語 線maken/machen,ik/ich
な わ ち,maken,ikの
地 域 がNd.の
側 のmachen,ichの
地 域 がHd.の
言 語(Sprache)な
議 論 の あ る と こ ろ で,ヤ は,Nd.に
近 で ラ イ ン川 を
子 音 推移 に よ って 生 じ た差 異
り や 」 と い う 問 題 は,Nd.の 紀 頃,上 部 ドイ ツ 語 に は じ ま
イ ン地 方 で ベ ン
レー フ ェ ル ト(Krefeld)の
分 か つ も っ と も顕 著 な 特 徴 と な っ
あ る.「Nd.は
vs.Hd.t
子 音 推 移 は,5世
り,北
語 線 は,ラ
ル デ ィ ン ゲ ン 線(Urdinger
slapen(蘭slapen,英sleep)vs.schlafen
英ic,英I)vs.ich
わ ゆ るベ ン
ェ ン カ ーG.Wenker
東 方 ユ ル デ ィ ン ゲ ン(Urdingen)付
Dag(蘭dag,英day)vs.Tag
/x/の
あ る.ik/ich等
横 切 る の で,ユ
vs.Hd.f(ff),s(ss),ch
3)Nd.d
達 す る.い
Linie.ヴ
つ い て10に
広 義 のNd.に
は,低
りや 方 言(Dialekt)な 境 界 設 定 の 問題 と と もに
ン ・ホ ー セ ン ス(J.Goossens) の ぼ る 定 義 を 紹 介 し て い る. 地 フ ラ ン ケ ン語 の大 部 分 を 占
め る オ ラ ン ダ 語 や フ リ ジ ア 語 を も 含 め る が,こ こ れ ら を 含 め ず,Nd.を,ヴ
地域 地域で
ェ ー ザ ー 川,エ
こで は ル ベ 川,
オ ー ダ ー 川 の 流 域 諸方 言 の総 称 と 解 す る こ と に し た い . も ち ろ ん,Nd.と
オ ラ ン ダ 語 と の 緊 密 な 関 係 は,
さき に掲 げ た 子音 推 移 の 例 語 を み て も一 目瞭 然 で あ る が,正
書 法 の 整 った 統 一 的 な書記 言 語 を もつ オ ラ ン ダ
語 に 対 し て,17世
紀 以 降 のNd.は,も
こ と ば で あ り,書 記 言 語 で は な い.ハ
っぱ ら話 され る ンザ(Hanse)の
繁 栄 と と も に,北 欧 は じ め 海 外 に 広 ま っ た,ハ
ン ザ の統
近でライ ン
一 的 な 通 用 語 で あ っ た 中 低 ドイ ツ 語 と,方 言 と し て,標
クデブル ク
準 ドイ ツ 語 の 屋 根 の 下 に あ る今 日 の 低 地 ドイ ツ 語(プ
ー ダ ー(Oder)河
畔 のフ
ラ ッ ト ドイ ッ チ ュPlattdeutsch)と
は,大
い に事 情 を
異 に す る(Nd.に
つ い て の 詳 細 は,「 方 言 」 を 参 照).
な お,Hochdeutschは
「標 準 的 な ド イ ツ 語 」 の 意
味 で 用 い る こ と も 少 な く な い.こ
の 場 合 のHoch‐
は,
も ち ろ ん 地 形 的 意 味 で は な く,「 高 尚 な 」の 意 味 に 用 い ら れ て い る. ドイ ツ語 を 母 語 とす る 話 し 手 の 数
界 中 で,お
お よ そ1億1千
万 人 で,そ
ヨ ー ロ ッ パ に 居 住 し て い る.ヨ ば,話
し 手 の 数 は,ロ
を 占 め る.ド
の90%が
ー ロ ッパ に 限 って い え
シ ア 語 に 次 い で ドイ ツ 語 が 第2位
イ ツ 語 を 国 語 と し て い る の は,ド
邦 共 和 国(西
ドイ ツ),ド
イ ツ 民 主 共 和 国(東
オ ー ス ト リ ア 共 和 国,ス ン 公 国 の5か
国 で,各
れ ぞ れ,6,100万 3万 人 で,ス
イ ス 連 邦,リ
の 公 用 語 で あ る.ス
人,420万
国 で は,ド
イ ツ語 が 唯 一
タ リア 語,レ
に,
ト ロ マ ン 語(ロ
語 が 国 語 と し て 定 め ら れ た が,話
し 手 の 数 は ドイ ツ 語 が も っ と も 多 く,全 い で フ ラ ン ス 語,イ
語 で,レ
第2次
大 戦 前 の ドイ ツ 語 圏 は,現 在 よ り も,は る か に
タ リ ア 語,レ
トロマ ン トロ マ ン語
の 公 用 語 に と ど ま っ て い る.古
く
ラ ンス 語 と ド イ ツ 語 が 公 に 用 い ら れ て い た ル
ク セ ン ブ ル ク 大 公 国 で は,1984年2月24日
に制 定 さ
ル ベ川 以 東 の ス ラ ヴ地
域 が ド イ ツ 語 化 し,さ
ー ラ ン ド,チ
ヴ ァ キ ア,ユ
さ れ た.し
大 戦 の 結 果,お
西 ド イ ツ に 強 制 送 還 さ れ た.こ
1939年
を 境 と し て,大
以 前 に は140万
ラ ン ドに は,も
人 も の ドイ ツ 系 住 民 の い た ポ ー
は や,ま
と ま っ た 集 団 は 存 在 せ ず,総
は 〓 み が た い.1939年
以 前 に は350万
2万 人 に,ハ した.ル
イ ツ国 籍 を も
人 を 数 え る に す ぎ な い.1939
ン ガ リ ー で は62万
ー マ ニ ア に は,か
イ ツ 語 の 話 し 手 が,ト nia,ド
つ て は79万
人 に激 減
人 にの ぼ った ド
ラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア(Transilva
れ ぞ れ19万5千
バ ナ ト(Banat)
人,17万3千
人 を 数 え,ジ
よ ば れ る 混 合 語 を 話 し て い る.ソ
Schwa ヴ ィ エ ト連
人 も の ドイ ツ 系 住 民 が お り,そ
ッ ツ ェ ブ ル ク 語(Letzebuergesch)
大 戦 中 に 西 部 に 住 ん で い た 大 部 分 の 住 民 は,ア
と よ ば れ る が,も
と も と住 民 の 日 常 語 で,言
域,特
イ ツ 語 の 方 言(モ
frankisch)で (1986年 万7千
あ る.外
現 在)は36万7千
国 人 を含 め た大 公 国 の 人 口 人 で,そ
の う ち の70%(25
の ほ か,ド
イ ツ と境 を 接 す る 国 境 地 域 に は ド
イ ツ 語 を 日 常 語 と し て 用 い る 地 区 が 散 在 し て い る. ベ ル ギ ー の 東 部 オ イ ペ ン(Eupen),ザ ト(St.Vith)地
区 に は,約6万
国,カ
ナ ダ,ブ
ン ク ト ・フィ ー
人 の ドイ ツ 語 の 話 し手
る . ま た,南
リ カ 共 和 国 に も,ド
す る 家 庭 は5万9千
にボ
イ ツ 語 名 ボ ー ツ ェ ンBozen)
人 を 超 え る.デ
地 域 に は,約2万5千 フ ラ ン ス 北 東 部,ア
し
ンマ ー ク の ドイ ツ 国 境
人 の ド イ ツ 語 使 用 集 団 が 住 み, ル ザ ス と ロ レ ー ヌ の 一 部 に は,ド
衆 国 に は,幼
時 に ドイ ツ語 を
第2言
人以上 もい る と
較 的 新 し い 統 計 に よ れ ば,ド 世 帯 に す ぎ ず,ま
語 とす る の は,82万2千
りわ け 注 目 さ れ る の は,東
イ ツ 語 は 地 域 公 用 語 と し て 認 め ら れ,話
ア フ
イ ツ 語 を 母 語 と す る 集 団 が い る.
し く後 退 し つ つ あ る.合
辺 で も,ド イ ツ 語 の 方 言 が 話 さ
手 の 数 は20万
ラ グ ア イ,
ル ジ ェ リ ア,南
母 語 と し て い た ア メ リカ 人 が,600万
部 ア ル ロ ン(Arlon)周
県 で も,ド
ル ゼ ン チ ン,パ
メ リカ 合 衆
カ ナ ダ とア メ リカ合 衆 国 に お け る ドイ ツ語 の使 用 は 著
い うが,比
ル ツ ァ ー ノ(Bolzano,ド
を 渡 り,ア
オ ー ス ト ラ リ ア,ア
域 公 用 語 と な っ て い る し,南 東
イ タ リア の 南 テ ィ ロ ー ル(Tirol),特
カ ザ フ ス タ ン(Kasachstan) ら に,海
ラ ジル,ア
が お り,ド イ ツ 語 は,地
れ て い る.北
ジ ア地
チ リな ど に 入 植 し た ドイ ツ 移 民 も か な り の 数 に の ぼ
人)が ル ク セ ン ブ ル ク 人 で あ る(→ ル ク セ ン ブ ル
ク 語).こ
に 西 シ ベ リア,北
へ 移 住 さ せ ら れ た.さ
ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン 語Mosel
の3分
ドイ ツ 語 を 母 語 と し て 常 用 し て い る が,第2次
語 は,一 般 に は,レ
語地理学
ー
Sach
ナ ト ・ シ ュ ヴ ァ ー ベ ン 語(Banater
邦 に は,185万 の2が
人 から
人 か ら25万
イ ツ 語 名Siebenburgen)と
に,そ
数
人 もの ドイ ツ 系
年 当 時 と比 べ る と,ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア で は54万
bisch)と
クセ ン ブル ク
イ ツ語
き く 変 貌 す る に 至 っ た.
sisch),バ
イ ツ 語 の3
と して
う し て,東 欧 諸 国 に 散 在
し て い た ド イ ツ 語 の 孤 島 は 大 部 分 消 滅 し,ド 圏 は,1945年
い が,ル
上 は,ド
ーマニ
お よ そ1,400万
nationale)
ラ ン ス 語,ド
ェ コス ロ
ン ガ リ ー,ル
小 さ ま ざ ま の ドイ ツ 語 の 言 語 の 島 が 形 成
か し,第2次
と 定 め た . 「公 用 語 」 と い う 明 確 な 表 現 は 用 い て い な
言 語 が 事 実 上 の 公 用 語 に な っ て い る.ル
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア や,ハ
ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語(Siebenburger
国 語(langue
ク セ ン ブ ル ク 語,フ
ら に,ポ
クセ ンブ ル
わ ゆ る 「3言 語 法 」 に よ っ て,ル
ク 語(Luxemburgisch)を
紀 以 降盛 ん に な っ
た ドイ ツ の 東 方 植 民 に よ り,エ
つ 住 民 数 は わ ず か に8万
ト ロ マ ン 語 は グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン
(Graubunden)州
れ た,い
ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン 語) 人 を数 え る .
住 民 の い た チ ェ コ ス ロ ヴ ァ キ ア に は,ド
体 の 約65%
語 の 順 で あ る . ス イ ス 連 邦 の 公 用 語 は,レ
か ら,フ
イ ンフラ
人 も の ドイ ツ 系 住 民 が そ の 住 地 を 追 わ れ て,主
人,
イ ス は 多 言 語 国 家 で,1938年
マ ン シ ュ 語)の4言
を 除 く3言
ド イ ツ),
概 数 は,そ
人,750万
ラ ン ス 語,イ
を 占 め,次
ン ケ ン 語Rheinfrankisch,モ を 母 語 と す る 住 民 が130万
ア な ど に,大
イ ツ連
ヒテ ン シ ュ タイ
国 の 人 口(1986年)の
人,1,600万 イ ス を 除 く4か
ドイ ツ 語,フ
レマ ン 語Alemannisch,ラ
広 大 な 地 域 を 占 め て い た.12,13世
[分 布 ・人 口] は,世
イ ツ 語 の 方 言(ア
イ ツ語 を常 用 た,ド
イツ語 を
世 帯 で あ る と い う.と 部 の ペ ンシル ヴ ェ ニア 南 東
部 で 話 さ れ て い る ペ ン シ ル ヴ ェ ニ ア ・ド イ ツ 語(Penn silfaanisch,英 こ れ は,18世
語:Pennsylvania 紀 前 半 に,ラ
(Rheinland‐Pfalz)地
Dutch)で
あ る.
イ ン ラ ン ト ・プ フ ァ ル ツ
方 や ス イ ス な どか ら入 植 した 移
民 団 の 方 言 が 混 じ り 合 い,ア
メ リカ英 語 の影 響 を強 く
に比 べ,音
受 け た 特 異 な ド イ ツ 語 で,話
し 手 の 数 は,約30万
語 の 音 素 とそ の 基 礎 にな る音 は,次 の とお りで あ る.
人
で あ る.
1)母
以 上 の ほ か,ア
シ ュ ケ ナ ジ ム(Aschkenasim,中
欧
系 ・東 欧 系 ユ ダ ヤ 人)の
あ い だ で 形 成 され た イ デ ィ ッ
シ ュ 語(Jiddisch)は,中
高 ドイ ツ語 の諸 方 言 をベ ー ス
と し て 独 自 の 発 達 を と げ た 言 語 で,語 イ ツ 語 系 で あ る が,ド
イ ツ 語 の,特
彙 の75%が
音組織
母 音8,二
デ
母 音 音 素 は,18個(短
重 母 音3)で
〈表1〉
母音7,長
あ る(表1).
ドイ ツ語 の 母音 組 織 前
ド
に 隠 語 に は,イ
ィ ッ シ ュ 語 か ら の 借 用 語 が 少 な く な い.イ
と文 字 の ず れ が 比 較 的 少 な い.現 代 ドイ ツ
舌
後
(非 円 唇)(円
舌
唇)
《短 母 音 》
デ ィ ッ シュ
高 語 は,今
日 で は,主
イ ス ラ エ ル,ア さ れ,ユ
と し て 合 衆 国 の ニ ュ ー ヨ ー ク や,
中
ル ゼ ン チ ン な ど のユ ダヤ 人 に よっ て話
ダ ヤ ・ ド イ ツ 語(Judendeutsch)と
低
もよ ばれ
《長 母 音 》
る(→ イ デ ィ ッ シ ュ 語).
高 [文 字 と音 ]
Ⅰ)ア
中
ル フ ァ ベ ッ ト
は 英 語 と 同 じ く26文 字 で,大 の 名 称 は,以
閉
ドイ ツ 語 の ア ル フ ァ ベ ッ ト
開
文 字 と 小 文 字 が あ る.そ
低
下 の と お りで あ る.
《二 重 母 音 》 /a:/は,標 (オ ー ス ト リ ア で は
準 ド イ ツ 語 で は/e:/と
な 音 で あ る が,長 て,母
域 的 に は,た
と え ば,北
「名 誉 」 とAhre[〓]「
ム ラ ウ ト(変 母 音)を
oO[〓],uU[〓]と,[s]の
無 声 のs[s]を'scharfes s'と
い う).〓
s',有
はsとzの
声 のs[z]を'weiches
合 字 と し て,14世
以 来 用 い られ て い る が,ssで
代 用 さ れ る こ とが あ る.
〓 は 語 頭 に 現 わ れ る こ と は な く,大 字 で 書 く場 合 は,SS(誤 て,ま
れ にSZ.た
文 字 を 欠 く. 大 文
解 の お そ れ の あ る場 合 に限 っ
と え ば,MASSEとMASZE)を
用 い る . ス イ ス で は,正 用 い られ る.な
紀初め
書 法 上,〓
お,グ
の 代 わ り にsz
を 用 い て い る. 印 刷 文 字 は,一 る.わ
般 に ラ テ ン 文 字(Antiqua)を
用い
が 国 で 俗 に 「亀 の 甲 文 字 」 と称 し て い る 「ドイ ツ
文 字 」,そ の も っ と も標 準 的 な 活 字 体 で あ る 「フ ラ ク ト ゥー ア(Fraktur)」
は,今
日 で は,装
飾 的 な 目的 で 新
聞 の 見 出 しや 広 告 な ど に 用 い ら れ る ほ か は,ほ 使 用 さ れ な く な っ た . フ ラ ク ト ゥ ー ア は,す 年 ご ろ,マ
ク シ ミ ー リ ア ー ン1世
て い る が,17世 盛 を極 め た.そ
紀 に,バ し て,20世
の皇 帝 庁 で 用 い られ
紀30年 に,ナ
文 字 を 標 準 字 体 に 指 定 し て 以 来,急 素 と発 音
で に1500
ロ ッ クの趣 向 にマ ツチ して 隆
文 学 書 に 愛 用 され た が,1941年
Ⅱ)音
とん ど
ドイ ツ語 は,英
代 ま で,と
りわ け
チ 政 府 が ラテ ン 速 に 廃 れ た. 語 や フ ラ ンス 語
の 音 素/e:/が
の 場 合,母
音 音 素 は17個
い し
設 定 され る こ と な る.ま
た,
シ ュ ワ ー[〓]を
音 素/〓/と
/a:/と/〓/を
音素 組 織 に組 み入 れ る か 否 か に よっ
て,ド
し て 認 め る 学 者 も い る.
イ ツ 語 の 母 音 音 素 は17な
ドイ ツ 語 の 二 重 母 音 に は3種 母 音 が 第2母 (fallender
の 代 わ り にssが
リ ム 辞 典 で は,〓
と も 多 い.そ
発
区 別 せ ず,[〓]な
[〓] と し て 実 現 す る1個
が あ る(一 般 に は,
も に[〓]と
者 は異 綴 同 音異 義 語 で あ る.
し た が っ て,/a:/と/e:/を
表 わ すaA[〓],
音 価 を も つ[〓]
(オ ー ス ト リ ア で は[〓])と
ドイ ツ で は,Ehre[〓]
穂 」 は,と
音 さ れ る こ と が 多 く,両 こ の ほ か,ウ
一 の 開音 で あ っ
音 組 織 にお け る閉 音 と長音 の 相 関 関係 と矛 盾 す
る.地
(オ ース トリア で は
対 立 す る 示 差的
母 音 音 素 の 中 で,唯
2)子
い し19個 あ っ て,い
に な る. ず れ も第1
音 よ り も聞 こ え の 大 き い 下 向 き 二 重 母 音 Diphthong)で
音組織
ある.
子 音 音 素 は,21個
で あ る(表2).
硬 口 蓋 音[c](Ich‐Laut)と
軟 口 蓋 音[x](Ach
Laut)と
い し/c‐x/)の
は,と
も に/x/(な
(Allophon)で,両 auの
異 音
者 は 相 補 的 分 布 を 示 し,a,o,u,
あ と だ け に[x]が
現 わ れ,他
の 音 の あ と で は[c]
が 現 わ れ る. 舌 先 ふ る え 音[r](Zungenspitzen‐R)と る え 音[R](Zapfchen‐R)は,示 わ ち,[r]と[R]に い.両
者 は,と
を示 さな い
な
よ って 意 味 が 区別 され る こ とは な も に/r/の
異 音 で あ る が,相
補 的 分布
「自 由 な 」 異 音 で あ る./r/は,日
音 と し て は[R]が て,口
口蓋垂ふ
差 的 で は な い.す
一 般 的 で あ る が,さ
常 の発
らに 簡略化 し
蓋 垂 の 振 動 を 伴 わ な い 有 声 摩 擦 音[〓]に
と が 多 い.[〓]は,語 [〓]と 発 音 され る.
末 ま た は 子 音 の 前 で は,通
なるこ 常,
〈表2〉
ドイ ツ語 の子 音 組 織
唇
音
歯 歯 茎 舌先音
両 唇音 唇歯音 閉鎖音
口蓋 音
音
硬 口蓋 舌背音
歯茎前部 舌 背音
口蓋 垂音
軟 部口蓋 後 舌 背音
声門音
無声 有声
破擦音 摩擦音
無声 有声
鼻 音 側 音 ふ るえ音 例)Wasser[〓]→[〓]「 た だ し,母
水」
(末 尾 音 で)〈d〉tot,statt,Stadt,Tod;/k/=
音 が あ と に つ づ く場 合 は 母 音 化 し な い.
例)Weigerung[〓]「 語 末 あ る い は 子 音 の 前 のrは,長 除 く)の
〈k〉
拒否 」 母 音(通
あ と で 非 音 節 的 な[〓]に
〈ck〉
〈=kk〉,(末
尾 音 で)〈g〉,(quの)
〈q〉,(chsの)〈ch〉,〈x〉(=/k/+/s/)Kohl,
常,[〓]を
Rock,Berg,Quelle,Ochse,Hexe;/b/=〈b〉
な るの が ふ つ うで あ
〈bb〉Blume,Ebbe;/d/=〈d〉
る.
〈dd〉Dank,
Kladde;/g/=〈g〉
例)Meer[〓]「
海 」,Tur[〓]「
horsam[〓]「
従 順 」,Pferd[〓]
「馬 」,た だ し,Turen[〓]「
な ど)のrも,母
.)」
schlafen,spitz,Stein;/s/=〈ss〉
と な る.
音 点 の 隣 接 す る/pf/と/ts/は,単
Haus,Text;/x/=〈ch〉,(‐igの
一
(quの)〈u〉,〈v〉Wein,quer,Vase;/z/=
語 頭 の 母 音 の 前 に しか 現 わ れ る こ との ない 声 門 閉 鎖
3)音
i)母
素 と書 記 素(文 字 素)ド
=〈m〉
イ ツ語 の 音 素 と書
の と お り で あ る.
の)〈n〉singen,sinken;/l/=〈l〉 still;/r/=〈r〉
〈a〉Bett,
ha〓lich;/i/=〈i〉bitten;/o/=〈o〉offen;
イ ツ 語 の 音 素 の3分
に/i:/は4個,/k/は6個)の
書 記 素 に 対
長 母 音 の 表 記 法 に は,単
〈aa〉 〈ah〉Tag,Saal,Bahn;
/e:/=〈e〉
〈ee〉 〈eh〉weg,see,sehen;
/a:/=〈a〉
〈ah〉Bar,Fahre;/i:/=〈i〉
表 記 に よ る も の,hの る .
二 重 母 音:/ai/=〈ei〉
〈au〉heute,
Baume
「ク ー ス(地
ゾ ー ス 名)」,Voigt[〓]「
音 組 織/p/=〈p〉
に 限
ら れ る.特 れ ぞ れ,
ト(地
名)」,Kues[〓] フ ォ ー ク ト(人
た だ し 一 般 に,ae,oe,ueは,a,o,uと
〈pp〉,(末
尾 音 で)
〈tt〉〈dt〉,
同 価 で
あ る. 例)Goethe[〓]「
〈b〉Lupe,Puppe,Grab;/t/=〈t〉
〈oo〉
名)」
〈ai〉Seite,Saite;/au/
=〈au〉Baum;/oi/=〈eu〉
〈ee〉
重
り が あ
長 音 を 表 わ す こ と が あ る.
例)Soest[〓]「
〈oh〉schon,
〈uh〉Tur,fuhlen
一 母 音 字 に よ る も の,二
付 加 に よ る も の の3通
有 名 詞 に お い て,oe,ue,oiが,そ
o,u,oの
〈oo〉 〈oh〉Ofen,Boot,Sohn;/u:/=
〈u〉 〈uh〉Mut,Kuh;/o:/=〈o〉
二 重 表 記 は,〈aa〉
に,固
〈ie〉〈ih〉 〈ieh〉Lid,Lied,ihm,Vieh;/o:/
Hohle;/u:/=〈u〉
の2は,2個
応 す る.
〈u〉funf 長 母 音:/a:/=〈a〉
〈ll〉Land,
〈rr〉rot,irren
以 上 の よ う に,ド 以 上(特
/u/=〈u〉Kunst;/o/=〈o〉Holle;/u/=
=〈o〉
〈mm〉Mund,kommen;/n/=〈n〉
〈nn〉nehmen,nennen;/〓/=〈ng〉,(nk
音組 織
短 母 音:/a/=〈a〉Ball;/e/=〈e〉
ⅱ)子
(母 音 の 前 で)〈s〉Sohn;/j/=〈j〉jung;/m/
素 に は 数 え られ な い.
記 素 の 関 係 は,次
末 尾 音 の)
〈g〉Bach[〓],richtig[〓];/v/=〈w〉,
音 素 と評 価 さ れ る.
音[〓]は,音
〈〓〉,(末
尾 音 の)〈s〉,〈x〉(=/k/+/s/)hassen,Fu〓,
破 擦 音 を 単 一 音 素 とみ る か 否 か は 議 論 の あ る と こ ろ で あ る が,調
,
〈ff〉 〈v〉funf,
Schiff,viel;/∫/=〈sch〉,(sp,stの)〈s〉
やher‐(herbei,hervor‐
音 化 し て[〓],[〓],…
〈tz〉 〈ts〉 〈zz〉Zahl
Platz,stets,Skizze;/f/=〈f〉
ドア(pl
ま た,接 頭 辞er‐,ver‐,zer‐
〈gg〉grun,Egge;/pf/
=〈pf〉Pfeife;/ts/=〈z〉
ド ア 」,Ge‐
ゲ ー テ 」,Goetz[〓]「
ッ ツ 」 特 に,大
文 字A,O,Uは,し
ば し ば,Ae,Oe,Ue
ゲ
で 代 替 さ れ る.hの み られ る が,正
付 加 は,す
べ て の母 音 の長 音 化 に
書 法 の 原 則 に 従 い,流
音 と鼻 音 の 前,
母 音 間 の 音 節 の 切 れ 目 お よ び 語 末 に お い て,延
例)Ohr[〓]「
Strumpf
KKKVKKKK
pfropfst
音 節 構 造 は,1個
耳 」,Stuhl[〓]「
に0∼3個,語
椅 子 」,zehn
[〓]「10」,sehen[〓]「
音 に つ づ くh(ギ
リシ ア語
系 のrh,thのh)は
黙 音 で あ る.
例)rauh[〓]「
ざ ら ざ ら し た 」,Reihe[〓]
で,KVKK,KKVKと
「列 」;Rhythmus[〓]「 [〓]「
リズ ム 」,Rhein
ラ イ ン 川 」(こ のhは,ギ
音 の 模 倣),Thron[〓]「 た だ し,ギ
リ シ ア 語 系 のphは
〔f]音 で あ る.
KVKを
音/鼻
回 」 ―Mahl[〓]「
宴
「弦 」
クセン ト
音)とK(子
のKの
のV(二
ⅰ)V
ン ツ エ ラ ー ト(P.
に 従 っ て,単
音 節 語 を分 析 し よ う.
ドイ ツ 語 の ア ク セ ン トは,強
Automat
節)に,外
Polizist
「学 問 」,Autobus
尾 辞
「バ ス 」; 「学 生 」,
「警 官 」
接 頭 辞be‐,ent‐,ge‐,er‐,ver‐,zer‐,mi〓 ア ク セ ン トを も た な い.た
だ し,mi〓
ク セ ン ト を も つ こ と も あ る.特 頭 辞 と し て は,お
に,名
‐は
‐ は,と 詞,形
きにア 容 詞 の接
お む ね ア ク セ ン ト を もつ.
(0.36%)
VK
in
(1.98%)
用 す る 」,Mi〓brauch
VKK
Art
(2.7%)
「疑 り深 い 」
VKKK
Obst
(0.5%)
VKKKK
Ernst
(0.15%)
VKKKKK
impfst
例)vertehen
「理 解 す る 」,mi〓brauchen「
2要 素(基 礎 語)よ
悪
「悪 用 」,mi〓trauisch
合 成 語(複 合 語)で は,通
常,第1要
素(規 定 語)が 第
り も 強 く発 音 さ れ る.
例)Worterbuch
「辞 書 」,Sprachwissen
schaft 「言 語 学 」
da
(3.3%)
KVK
Tor
(27.4%)
KVKK
Bild
(24.6%)
合 成(複 合)動 詞 の 第1要
KVKKK
Furcht
(5.36%)
て,ア
KVKKKK
Herbst
(0.14%)
KVKKKKK
kampfst
例)ubersetzen ―ubersetzen
durch‐,hinter‐,uber‐,um‐,unter‐,wider‐ 素 と な る と き は,意
が 味 によっ
ク セ ン トを もつ 場 合 と も た な い 場 合 と が あ る. 「(川を)渡 る;渡 す 」(分 離 動 詞) 「翻 訳 す る 」(非 分 離 動 詞)
Schnee
(1.15%)
以 上 の 原 則 に 従 わ な い 例 も あ る.
KKVK
Brot
(17.2%)
例)Leben[〓]「
KKVKK
Schrank
(11.3%)
KKVKKK
Brunst
(1.88%)
KKVKKKK
schrumpft(0.05%)
セ ン ト に よ っ て 意 味 を 区 別 す る も の な ど も あ る.
KKVKKKKK
schrumpfst
例)negativ―negativ
ⅲ)KKV
ⅳ)KKKV
Stroh
生 命 」>lebendig[〓
]「 生 き生 き し た 」 は,き ま た,ア
(0.26%)
―Konsum「
Stramm
(1.2%)
KKKVKK
Strand
(0.57%)
[品
わ め て 例 外 的 で あ る.
ク セ ン トの 位 置 が 動 揺 して い る も の,ア
「区 分 」―Abteilung
KKKVK
さ
来 語 で は,接
「自 動 販 売 機 」,Student
Ei
ⅱ)KV
擦 音 と流
に 位 置 す る こ とが 多 い.
よ って 記 号 化
重 母 音 を 含 む)と0
さ ま ざ ま な組 み 合 わ せ が み ら れ る.
ク レ ッ ツ ァ ー(J.Klotzer),メ Menzerath)ら
音)に
音 とい う組 み 合 わ せ
に 多 い の は,摩
続 語 や ド イ ツ 語 化 し た 借 用 語 で は,
例)Wissenschaft
構 造 をV(母
多型 部 と後
い う タ イ プ で あ る.
語 幹 形 態 素(ふ つ う 第1音
ドイ ツ 語 の 単 音 節 語(Ein
す れ ば,下 表 の よ う に,1個
のタイプ に
音(例:kuhl,Ton),
音 と 流 音/鼻 な る.次
ア ク セ ン トで,相
側 面 」 ―Saite[〓]
音 節 語 の構 造
れ ら3つ
挟 むKは,前
音(例:fahl,Sinn)と
5)ア ひ ば り」 ―Larche[〓]
会 」,Seite[〓]「
音/流
(例:Mal,rein)に
と が あ る.
「か ら 松 」,Mal[〓]「
続 き,こ
さ ら に 分 析 す れ ば,Vを
あ る い は,鼻
な る書 記 素 に よって 区別 され る こ
例)Lerche[〓]「
可能
の う ち,も っ と も 頻 度 の 高 い 型 はKVK
部 が,そ れ ぞ れ 閉 鎖 音 と鼻 音/流
哲学者」
同 音 異 義 語 が,異
任意的要素
よ っ て 単 音 節 語 の 大 部 分 が 占 め ら れ て い る.最
リシア 語 の帯 気
王座」
例)Philosoph[〓]「
頭部
を 示 し,組 み 合 わ せ に よ っ て,上 表 の よ う に,24の 性 が 生 じ る.そ
な い し8個
中 核 と し て,語
の 子 音 が 位 置 す る.記
い う構 造 に な る . カ ッ コ に 包 ま れ た(K)は
二 重 母 音 に つ づ くh,子
silbler)の
の 母 音(V)を
末 部 に0∼5個
号 化 す れ ば,(K)(K)(K)V(K)(K)(K)(K)(K)と
見 る 」,Kuh[〓]
「雌 牛 」
4)単
(0.05%)
KKKVKKKKK
音符 と
して の 機 能 を 果 た す.
KKKVKKK
詞]
ク
「否 定 的 な 」;Abteilung 「部 門 」;Konsum「
消費」
消 費 組 合(の 店)」 ドイ ツ 語 の 単 語 は,伝
統 的 な 分類 に よ
れ ば,動
詞,名
詞,副
詞,代
詞,前
名 詞,形
置 詞,接
詞 を 独 立 さ せ れ ば,10品 品 詞 は,語
容 詞(数 詞 を 含 む),冠
続 詞 お よ び 間 投 詞 の9品 詞)に
現 在 分 詞:‐end
詞(数
分 け られ る.最
命 令 法:単
後 の4
形 変 化 を行 な わ ない ので 不 変 化 詞 と よば れ
る . これ に 対 し て,他 の 品 詞 を 一 括 し て 変 化 詞 と よ ぶ. 動 詞 は,人
称(1人
在,過
来,現
去,未
(能 動 態,受
称,2人
称,3人
在 完 了,過
動 態),法(直
称),時
去 完 了,未
説 法,接
制(現
れ を,Konjugationと
い う.変
語 との一 致 が 要 求 され
る . 名 詞 的 品 詞(名
詞,代
性(男
性),数(単
性,女
属 格,与
性,中
格,対
格)に
を,Deklinationと 1)動
名 詞,形
容 詞,冠
数,複
詞)は,
数),格(主
詞
ト(a→a,o→o,au→au)し
例)fahren「(乗
り物 で)行
ト)す
動 の
態 受 動sein)が
あ る.
siehst,er
母 音 が 交 替(ア
定 詞 ―en,過
去 ―(e)te,過
sieht プラ ウ
系 列 が 区 別 で き る. ど は 別 系.
例(3基
本 形)
去 分 詞ge
所属す る動詞 数
1.ei―i―i
reiten―ritt―geritten
23
2.i―a―u
finden―fand―gefunden
19
3,ei―l―l
bleiben―blieb―geblieben
4―l―o―o
schlie〓en―schlo〓
16 11
geschlossen
5.l―o―o
bieten―bot―geboten
6.e―a―o
gelten―galt―gegolten
9
7.e―o―o
dreschen―drosch
7
現 在 分 詞:‐end(‐nd) 命 令 法:単
本 形 は,幹
る . ア プ ラ ウ トに は,39の
―
則 動 詞(弱 変 化 動 詞)の 変 化 語 尾(表3) 本 形:不
見 る」 →du
fahrst,er sprichst,er
れ
了の助
来 の 助 動 詞werden),受
助 動 詞(動 作 受 動werden,状
(3基 ―(e)t)
く」 →du
話 す 」 →du
動 詞 と 助 動 詞 が あ る.
制 の 助 動 詞(完
プ ラ ウ ト
た りす る も の の あ る こ と を 示 す.
アプラウト系 列
mussen,sollen,wollen),時
a)規
た り,ア
(e→i,ie,o→i)し
た だ し,gehen,stehen,tunな
の 助 動 詞(durfen,konnen,mogen,
動 詞haben,sein;未
称で幹母音 がウムラウ
格,
応 じ た 語 形 変 化 を 行 な う.こ
動 詞 に は,本
数:‐(e)t
数2・3人
不 規 則 動 詞 の3基
い う.
助 動 詞 に は,法
は,単
spricht;sehen「
令 法)に
応 じ た 語 形 変 化 を 行 な う.こ 化 に あ た っ て は,主
数:‐(e),複
+
fahrt;sprechen「
来 完 了),態
続 法,命
上表の
11
―gedroschen
数:‐(e),複
8.i―a―o
数:‐(e)t
schwimmen―schwamm
6
―geschwommen
例)lieb‐en「
愛 す る 」,lachel‐n「
微 笑 す る 」;ar‐ 9.a―u―a
beit‐en「 b)不 (3基
働 く」,offn‐en「
規 則 動 詞(強 変 化 動 詞)の 変 化 語 尾(表4) 本 形:不
〈表3〉
定 詞 ―en,過
数 単
去 ―,過
人 称
直 説法
在)
(過
接 続 法Ⅰ
去)
接 直続 説法 法Ⅱ /
1. ‐e ‐e ‐(e)t‐e 2.‐(e)st ‐est ‐(e)t‐est
複
6
11.e―a―o
5
12.e―a―e
essen―a〓
13.e―o―o
heben―hob―gehoben
―gegessen
5 5
14.a―u―a
schaffen―schuf―geschaffen
4
15. a―l―a
blasen―blies―geblasen
4
16.a―l―a
fallen―fiel―gefallen 3
17.e―a―o
stehlen―stahl―gestohlen
3
18.a―o―o
garen―gor―gegoren
3
19.u―o―o
lugen―log―gelogen
3
20.i―o―o
glimmen―glomm
2
3.‐(e)t ‐e ‐(e)t‐e
1. ‐en(‐n)‐en(‐n) ‐(e)t‐en
―geglommen
3.‐en(‐n)‐en(‐n) ‐(e)t‐en
〈表4〉 不規 則動詞の変化語尾 (現
数 人称
直説法
在)
(過
3.‐(e)t
去)
接続法Ⅰ 直説法 接続法Ⅱ
1.‐e ‐e ―
2.‐(e)st
複
sprechen―sprach ―gesprochen
2.‐(e)t ‐et ‐(e)t‐et
単
6
10.e―a―elesen―las―gelesen
去 分 詞ge―en)
規 則 動 詞 の変 化 語 尾 (現
fahren―fuhr―gefahren
開 け る」
21.au―i―au
laufen―lief―gelaufen
2
22.au―o―o
saugen―sog―gesogen
2
23.a―i―a
fangen―fing―gefangen
2
24.i―a―e
sitzen―sa〓
1
25.i―u―u
schinden―schund
1.‐en ‐en ‐en ‐en
26.i―a―e ‐e
bitten―bat―gebeten
1
27.i―a―e
liegen―lag―gelegen
1
28.a―o―o
schallen―scholl
1
―(erschollen)
2.‐(e)t ‐et ‐(e)t ‐(e)t 3.‐en ‐en ‐en ‐en
1
―geschunden
‐e ‐ est ‐(e)st‐(e)st +‐ e ―
―gesessen
29.e―u―o
werden―wurde―geworden
1
30.e―a―o
nehmen―nahm―genommen
1
て 明 示 さ れ る. 31.o―a―o
kommen―kam―gekommen
1
32.o―l―o
sto〓en―stie〓
1
33.u―l―u
―gesto〓en
rufen―rief―gerufen
男 性 名 詞:der た)雄
1
34.a‐i‐a
hangen―hing―gehangen
1
35.a―a―o
gebaren―gebar―geboren
1
36.o―o―o
erloschen―erlosch―erloschen
1
37.o―o―o
schworen―schwor
1
Mann「
牛 」,der
Ochse「(去
勢 し
Mut「
勇
気」 女 性 名 詞:die Gabel「
Frau「
das
女 」,die
フ ォ ー ク 」,die
中 性 名 詞:das
―geschworen
Kind「
Messer「
Kuh「
saufen‐soff‐gesoffen
1
リ ス ト教 」
39.ei―l―ei
hei〓en―hie〓
1
(der,die,dasは,そ
雌 牛 」,die
Freiheit「
子 供 」,das
ナ イ フ 」,das
38.au―o―o
―gehei〓en
男 」,der
Loffel「 ス プ ー ン」,der
自 由」 Kalb「
子 牛 」,
Christentum「
れ ぞ れ,男
性,女
キ
性,中
性
の 定 冠 詞) 《6時 制 》fahren「 現 在:Er
車 で 行 く」
fahrt
nach
Wien.「
無 生 物,抽
彼 は ウ ィー ンへ 行
象 名 詞 が 必 ず し も中 性 名 詞 と い う わ け で
は な い の で 厄 介 で あ る が,意 に よ っ て,性
く」 過 去:Er
fuhr
nach
現 在 完 了:Er ist 過 去 完 了:Er 未 来:Er
Wien.
nach war
wird
nach
未 来 完 了:Er
nach
名 詞 に は,単
Wien Wien
wird
gefahren.
型 単 数属格/複数主格
Wien
gefahren
Ⅰ.‐(e)s/‐
sein.
打 つ 」 〓geschlagen
werden
Der
Junge
schlug
hat
Ⅱ.‐(e)s/‐e,‐e(強)
den
den
Hund.(過
Hund
去)/
(der Tag「
Hund
去)./Der
geschlagen
worden.(現
(強)
Staat「
Jungen〕ge
Hund
ist〔vom
ist
て い る 」〓(動 Uhr
〔男 の 子
V.‐s/‐s(強)
(das Auto「
Ⅵ.‐(e)n/‐(e)n(弱)(der
過去分詞 geoffnet.「
作 受 動)Die
geoffnet.「
wird
um
10
求 話 法,間
接 話 法,非
令,要
求,願
認 容 譲 歩 な ど を 表 わ し,接 beachte
望,祈
願,と
Ⅶ.‐
φ/‐φ,‐ φ(強)
現
り き め,
Ⅷ
. ‐φ/‐e,‐e(強)
「規 定 に 注 意
と し て 接 続 法 Ⅰ を 用 い る が,接
Ⅹ . ‐φ/‐s(強)
Ⅰ∼ Ⅴ は 男 性 ・中 性 名 詞,Ⅵ
fragte
sie,wen
sie
besucht
女 に 誰 を 訪 問 し た の か,と
非 現 実 話 法 は,も er
「彼 は,ひ
habe.「
彼
たず ね た 」
っ ぱ ら 接 続 法 Ⅱ を 用 い る. Zeit
hatte,ginge
ま が あ っ た ら,散
er
spazieren.
歩 に 行 くの だ が(ひ ま
が な い の で 行 け な い)」 2)名
詞
(die Kamera
「カ メ ラ 」)
続法 Ⅱ
も 用 い られ る.
例)Wenn
(die Frau 「女 」) der Frau/die Frauen
der Kamara/die Kameras
間 接 話 法 も,主
は,彼
娘 」)
(die Hand「 手 」) der Hand/die Hande
Ⅸ . ‐φ/‐(e)n (弱)
さ れ た し」
例)Er
(die Tochter「 der Tochter/die Tochter
続 法 Ⅰを 用 い る.
die Vorschriften.
Autos
Jungen
に開 店 され る」
実 話 法 が あ る.
例)Man
自 動 車 」)
Junge「 少 年 」) des Jungen/die
銀 行 は ま だ開 い
Bank
銀 行 は10時
接 続 法 の 主 な 用 法 に は,要
要 求 話 法 は,命
国 家 」)
des Autos/die
noch
Tage
家 」)
des Staat(e)s/die Staaten
Jungen〕
在 完 了)「 犬 は
《状 態 受 動 》sein+ Bank
Apfel
日 」)
des Hauses/die Hauser
に 〕 な ぐ られ た 」
Die
「リ ン ゴ 」)
(das Haus「
Ⅳ.‐(e)s/‐(e)n(混)(der
wurde〔vom
schlagen(過
Ⅲ.‐(e)s/‐er,‐er
geschlagen.(現
在 完 了)「 男 の 子 は 犬 を な ぐ っ た 」 受 動:Der
Apfel
des Apfels/die
des Tag(e)s/die
Junge
の
例
φ,‐φ(強)(der
「打 た れ る 」 能 動:Der
者 の 関 係 は,次
fahren.
nach
《態 》schlagen「
数 と複 数 が あ り,両
と お り で あ る.
gefahren.
Wien
味 的 あ るい は 形 態 的 特 徴
を 判 別 で き る も の も 少 な く な い.
女 性 名 詞,VとXは
は 男 性 弱 変 化 名 詞,Ⅶ 主 と して 外 来 語 で あ る. 女
性 名 詞 は 単 数 で 変 化 し な い.複 例)den
Tagen,den
た だ し,VとXは,複 3)形
容詞
数 与 格 は ‐nで 終 わ る.
Hausern,den
は,主
性 ・女 性 ・中 性 名
と して 冠詞 類 に よ っ
Handen
数 全 格 ‐sで あ る(表5). 名 詞 に 付 加 さ れ る形 容 詞 は,形
を と り 巻 く環 境 に 支 配 さ れ,名
す べ て の 名 詞 は,男
詞 の い ず れ か に 属 す る.性
∼Xは
容詞
詞 の 示 格 力 を 補 う. す
な わ ち,名 詞 そ の も の の 示 格 力 が 弱 く な っ て い る の で, 形 容 詞 の 前 に 規 定 詞 を 欠 くか,あ
っ て も,基
数詞 のよ
〈表5〉 《単
名詞の変化語尾
〈表6〉 形 容詞 の 変 化 語 尾 《強 変 化 》 (単 数)
数》
性 男 性 ・中 性
男 性(弱)
女性
男
性 女
(複
性 中
性
数)
男・ 女・ 中
格 主
格‐er
‐es
‐e
属
格
‐en(‐es)‐er
‐en
‐er
与
格
‐em
‐er
‐em
‐en
対
格
‐en
‐e
‐es
‐e
主 属 与 対 《複
‐e
《弱 変化 》
数》
男
型 格
詞(定 冠 詞,指
定
示 代 名 詞 な ど)の 示 格 力 が 強 け れ ば,形
(複 性
‐e
‐e
‐e
格
‐en
‐en
‐en
‐en
与
格
‐en
‐en
‐en
‐en
対
格
‐en
‐e
‐e
‐en
示 代 名 詞,関
係 代 名 詞,疑
‐en
問 代 名 詞,不
実 例 は 少 な い(表6). Wein「
Weines,(与)gutem
gesunder
弱 変 化:das 〓 ponisten「 4)数
詞
Geist「 Leben
健 全 な精 神 」
des
beruhmten
称unser,2人
例)mein Kom
称 親 称euer,敬
Zweiten
Weltkrieges「
第2
次 世 界 大 戦 中 に 」(序 数) 名詞
称 代 名 詞,所
有代 名
格 にsichが
詞 を 伴 い,こ 例)sich
代 名 詞 に は,人
私 の 父 」,der
6)冠
Hut
私 の 父 の 帽 子 」,ihre
再 帰 代 名 詞 と し て は,3人 与 格,対
des
meines
Mutter「
彼女の
君 た ち の叔 母 さん 」 称,お
よ び 敬 称 の2人
用 い ら れ る.慣
1人 称
複
数
数
2人
称 の
用 的 に再 帰 代 名
れ と 一 体 化 し た 動 詞 を 再 帰 動 詞 と い う. beeilen「 詞
急 ぐ」,sich
冠 詞 に は,定
setzen「
座 る」
冠 詞 と不 定 冠 詞 が あ
〈表7〉 ドイ ツ語 の 人称 代 名詞 の 変 化
単
称
者 を 混 同 し て は な ら な い.
母 」,eure(<euere)Tante「
容 詞 に準 ず る語 形
変 化 を 行 な う. 例)wahrend
称Ihr,
性sein;
称ihr
Vater「
Vaters「
そ の 有 名 な作 曲家 の 偉 大 な 生涯 」 一 部 の 数 詞 は,形
語 の人 称代 名 詞
称 親 称dein,敬 性ihr,中
詞 の 属 格 に 由 来 す る が,両
(主)ein
どに
で,不 定 冠 詞 型 の 変 化 を す る . 所 有 代 名 詞 は,人 称 代 名
Wein,(対)guten
Wein
5)代
称mein,2人
Ihrer,3人
上 等 の ワ イ ン 」,(属)
示 す. himな
格 支 配 の 前 置 詞 な どの 目的 ど,英
3人 称 男 性sein,女 複 数 は,1人
強 変 化:(主)guter guten
単 数 は,1人
くは 規 定 詞 を 伴 う の で,
容 詞,属
you,of
の 所 有 格 に あ た る の は 所 有 代 名 詞 で,
男 性 弱 変 化 名 詞 の 性 質 上,多
詞,形
me,of
語 と な る .my,your,hisな
男 性 弱 変 化 名 詞 の 場 合 の 形 容 詞 語 尾 は ‐esで あ る が,
あ た り,動
語 のof
sの 重 複 を 避 け て,次
だ し,
定代名
詞 な ど が あ る . 人 称 代 名 詞 の 変 化 を,表7に 属 格 は,英
数)
男・ 女 ・中
格
容 詞 は 弱 変 化 す る . 男 性 ・中 性 名 詞 は,単 数 属 格 で ‐(e)s語 尾 を も つ の で ,形 容 詞 の 語 尾 は,17世 紀 以 降, 第 に ‐enに 変 わ っ た.た
属
詞,指 容 詞 が 強 変 化 し,規
数) 性 中
主
主 属 与 対 う に 示 格 力 を もた な け れ ば,形
(単 性 女
称
3人
称
親称
敬称
男性
女性
中性
主
格
ich
du
Sie
er
sie
es
属
格
meiner
deiner
Ihrer
seiner
ihrer
seiner
与
格
mir
dir
Ihnen
ihm
ihr
ihm
対
格
mich
dich
Sie
ihn
sie
es
主
格
wir
ihr
Sie
sie
属
格
unser
euer
Ihrer
ihrer
与
格
uns
euch
Ihnen
ihnen
対
格
uns
euch
Sie
sie
り,性,数,格
7)前
置詞
に 応 じ て 語 形 変 化 を 行 な う.
う な 枠 構 造 は,8語
不 変 化 詞 は 約200語
ほ ぼ100%実
現 さ れ,文
の 場 合 は,文
が 長 く な れ ば な る ほ ど,枠
klammerung)の
傾 向 が 強 くな る.
前 置 詞 が 占 め る.前 って,与
置 詞 は,格
の4種
格 支 配,対
支 配(Rektion)に
格 支 配,与
類 に 分 類 され る.属
分 以 上 を 数 え る が,多
で,そ の60%を よ
・対 格 支 配,属
格 支配
格 支 配 の 前 置 詞 が 全体 の 半
くは 官 庁 用 語 で,重
要 な もの は
ま た,い も,ド
で,こ
れ ら は,行
為,動
示 す と き は 与 格 を,動
der
dem
auf
den
8)副
Tisch
Tisch
詞
liegen「 机 の 上 に あ る 」,etwas
legen「
あ る も の を 机 の 上 へ 置 く」
形 容 詞 と分 詞 の 大 部 分 が 副 詞 的 に 用
い ら れ る の は ドイ ツ 語 の 特 徴 で あ る.し 副 詞 を 形 容 詞 に 用 い る こ と は な く,例
か し,本
‐weiseな
来の
teilweiser
副 詞 の 中 に は,心
Erfolg「
年,注
年 以 降,急
速 に 増 加 し,19世
文 体 を 生 ん だ.そ
日 で は,理 よ
い.上
これ
は や っ ぱ り知 っ て い る よ う な 気 が す る よ 」 9)接
続詞
る が,後
das
Bild,das
属 節)を 導 く. そ の 際,副
と な る.関 に,ド
並 列 接 続 詞 と従 属 接 続 詞 に 分 類 さ れ
者 は 副 文(従
kam
er
keine
Zeit
文の定
順]
tik,19844)に
hatte.
語 の 語 順 は,英
語 に 比 べ る と か な り 自 由 で あ る が,定
2位
を,副
文(従 節)で
の 構 文 と し て は,い
文(主 節)で は 第
は末 位 を 占 め る. ドイ ツ語 特 有
わ ゆ る 「枠 構 造(Rahmenbau)」
Betrachtern
Bild
ausstellung wieder
ist von
gelobt
auf
der
vielen worden.「
das
gelobt
2つ SOV型
で あ っ て,も
う一 つ の 型 は,そ
彙]
綴 り)と
で 枠 を つ く る が,こ
定 され て い る.そ 動 詞 が4分
分 離 す る こ と に よ っ て,話
の よ うな 複 合 的 な述 語 が し手 な い し 読 み 手 の 注 意 を
文 が 終 わ る ま で 持 続 さ せ る.全 の 後 置 も 同 じ 効 果 を 生 む.し
文 否 定 にお け る否 定 詞 か し,統
計 上 は,こ
のよ
成文法家 の中に
ドイ ツ 語 の 総 語 彙 は,際
immer
根 動 詞 と 分 離 し て 文 末 に く る 分 離 成 分(前
れ か ら変 形 に
よ っ て 導 き 出 さ れ た と説 く学 者 が,生
の1,形
の う ち,約2分
限 な くつ く り
お よ そ50万 語 と推 の1を
名 詞 が 占 め,
容 詞 と 副 詞 が6分
の1の
割合 であ
る と い う(W.Jung).
旺 盛 な 造 語 力 が あ げ ら れ る.た
動 詞 も,基
文)の
本語順 は もともと
は 少 な く な い.
Kunst
の 文 成 分 を 包 み込 ん でい る. 分 離
その絵が
は 知 っ て い る」 文)とSOV(副
の 語 順 類 型 を 示 し て い る が,基
1)語
し て 枠 を つ く り,他
ist.「
ドレー ス デ ン美術 展 で 多 くの鑑 賞者 に よ って く り
Dresdner
形 部 と不定 形 部 に分 離
Betrachtern
worden
ン 美 術 展 で 多 くの 鑑 賞 者 に く り か え し 賞 賛 さ れ
合 的 述 語 が,定
Dresdner
vielen
た」 こ こ で は,複
述の よう
Bild auf der
von
wieder
Betrachtern
そ の 絵 は ド レー ス デ
immer
ist
出 され る 科 学 用 語 を 別 とす れ ば,お
例)Das
Kunst
係 文 に お け る定 動 詞 の 後 置 は,前
wei〓,daβ
[語
が あ る.
か し,今
Dresdner
vielen
worden
ドイ ツ 語 の 語 順 は,SVO(主
の 文 型 が 提 示 さ れ て い る.ド イ ツ
動 詞 の 位 置 は か な り 固 定 し て お り,主
der
か え し賞 賛 され た こ と を,私
『 ド ゥ ー デ ン文 法 』(Duden‐Gramma‐ は,37種
von
Kunstausstellung
「彼 は ひ ま が な か っ た の で 来 な か っ た 」 [語
auf
gelobt
immer
nicht,weil
束 力を も
イ ツ語 の 副文 の 著 しい 特徴 で あ る.
例)Ich
動 詞 は 末 尾 に お か れ る. 例)Er
紀 半 ば 以 降,拘
っ そ う 助 長 さ れ た 観 が あ る.し
wieder vor.「
れ は,18世
解 を妨 げ る長 大 な冠 飾 句 を避 け る傾 向 が強
ausstellung
bekannt
の
掲 の 冠 飾 句 を 関 係 文 で 言 い 換 え る な ら ば,
目 され て い る. 陳述 内容
doch
紀 に 頂 点 に 達 し た.こ
文 体 は,特 に 官 庁 に お い て 愛 好 さ れ,複 雑 な 入 れ 子 式 の
ど を い う. mir
来,
人 文 主 義 者 た ち の ラ テ ン 語 の 習 慣 に 淵 源 す る が,1600
に 対 す る 話 し手 の 心 的 態 度 を 示 す,aber,denn,ja,
kommt
gelobte
詞 に 先 置 さ れ た 拡 張 付 加 語 群 は,元
dochな 例)Das
von vi
wieder
ド レ ー ス デ ン美 術 展 で 多 く の 鑑 賞 者 に く り
に よ っ て,い
部分的成功」
態 詞(Abtonungspartikel)と
ば れ る も の が あ り,近
immer
つ よ う に な っ た 名 詞 の 大 文 字 書 き(Gro〓schreibung)
外 的 に,zu,
どが形 容 詞 として 用 い られ るに す ぎな い.
例)ein
と え ば,
Kunstausstellung
か え し 賞 賛 され た そ の 絵 」 の よ う な,名
例)auf
Dresdner
Betrachtern
Bild「
作 の 行 なわ れ る場 所 を
配 す る.
auf
elen
作 の 方 向 を 示 す とき は 対格 を支
文
外 構 造(Aus
イ ツ 語 に 特 有 の 表 現 形 式 で あ る.た
auf,hinter,in,neben,uber,unter,vor,zwischen の9語
法 規 範 と な っ て い る が,長
わ ゆ る 「冠 飾 句 」(関 口 存 男 に 由 来 す る 用 語)
das
少 な い . 与 格 あ る い は 対 格 を 支 配 す る 前 置 詞 は,an,
以 内 の語 か らな る短 文 に お い て は
彙 の特 徴
い え ば,接 動 詞(複 て,多
頭 辞(前 合 動 詞)の
綴 り)に
と え ば,動 よ っ て,あ
象性 と
詞 につ い て る い は,合
成
基 根 動 詞 を入 れ 換 え る こ と に よ っ
様 な 動 作 を 表 現 す る こ と が で き る . た と え ば,
steigen「 ち,上
語 彙 の 特 徴 と し て は,具
乗 る 」 は,本
来,ニ
ュ ー トラ ル な 性 質 を も
下 い ず れ の 方 向 へ の 移 動 に も 用 い ら れ る.
Bahnsteig「
プ ラ ッ トフ ォ ー ム 」 は,乗
ば 降 り場 で も あ る .steigenの
り場 で も あ れ
こ の よ う な 中立 性 に方
向 を 与 え る た め に は,前
ド」,Kindesentfuhrung「
置 詞や 接 頭 辞 の助 け を借 りる
例)in
幼 児 誘 拐 」,Kindslage
「胎 位 」,Frauenfrage「
こ と に な る. Bus(ein)steigen「
バ ス に 乗 り 込 む 」,
aus
dem
den
Bus(aus)steigen「
バ ス か ら 降 り る 」,
von
der
U‐Bahn
in den
Bus
umsteigen「
下 鉄 か ら バ ス に 乗 り 換 え る 」,な ま た,hineingehen「
地
schichte「
言 語 史 」(<Sprache+Geschichte),
〓
婦 人 問 題 」,Sprachge
「食 堂 」(<essen+Zimmer),な
語 形 成 に お け る 総 合 性 は,派
生 に も 現 わ れ る.現
ドイ ツ 語 の 生 産 的 な 接 尾 辞 に は,名
ど.
代
詞 を つ く る ‐er
(‐ler),‐ung,‐ei,‐heit,‐keit,形
容 詞 を つ く る ‐bar,
「行 く」 は,移
動 を 表 わ す も っ と も一 般 的 な 語 で あ る
‐ig,‐ischな
立 語 が 接尾 辞化 した
が,gehenの
代 わ りに他 の動 詞 を用 い る こ とに よ っ
擬 似 接 尾 辞 が 愛 用 さ れ る 傾 向 が あ る.こ
て,動
中 へ 入 る 」 の 基 根 動 詞gehen
ど.
作 を い っ そ う 具 体 的 に す る こ とが で き る.
例)hineinfahren「 fliegen「
2)語
形成
逆 に,分
ど 馬 に乗 っ
造 語 の 面 で は,形
が 増 大 し つ つ あ る . 合 成 語(複
態 や統 語 の 面 とは
合 語)Haustur「
れぞれ
Hauses〉
zum
〈Tur
am
Garten〉
Eingang
〈Laube
胃 薬 」,Hustenmittel「
Mittelと,Magenま
im
Garten〉
咳 止 め(の 薬)」 の
た はHustenと
そ れ ぞ れfurとgegenで,相 schutz「
の 関 係 は,
反 し て い る.Natur
自 然 保 護 」 とLarmschutz「騒
合 も同 様 で あ る .Pflegekind「 tern「
里 親 」 は,そ
gegeben Pflege
wird〉
れぞれ
pflegen「
里 子 」 とPflegeel‐ 〈Kind,das
hat〉
in ein
in
の 意 で あ る か ら ,規
定語
後 者 は 能 動 的 に は た ら い て い る.こ
者 は 受 動 的 に,
の よ う に,合
な ど が あ る.
例)Hauptgewinn「1等
賞 」,hochinteressant
「非 常 に 興 味 深 い 」,な
る.‐barは,受
ど.
れ る.た
と え ば,〈Das
mieden
werden.「
を用いて
成語
とり あげ
動 的 可 能 性 の 表 現 と して 好 ん で 用 い ら
〈Das
Risiko
kann
nicht
Risiko
ist unvermeidbar.「
リス ク
は 不 可 避 だ 」〉 と簡 略 化 す る こ と が で き る.エ Risiko
vermeiden.Man
mu〓
と い う2文
damit
la〓t
Risiko
mu〓
man
dem
rechnen.「
リ ス ク は 考 慮 に 入 れ て お く必 要 が あ る 」〉 と い う1文 に 統 合 し た の ち,さ
ら に,unvermeidbarの
に 派 生 名 詞 を 用 い れ ば,こ
代わ り
れ に付 加 語 を加 え て 意味 を
合 成 語 を,そ れ が 由 来 す る 語 群 と 比 較 す れ ば,記 述 の 簡
〈Man
潔 さ とイ メ ー ジ の鮮 明 さ にお い て 合 成 語 が ま さ って い
des
る し,ま た,文 体 的 効 果 も大 き い.ド
慮 に 入 れ て お く 必 要 が あ る 」〉の よ う に,動
よ う に,語 態 上,種
イ ツ語 は 造語 力 の
や 語 彙 素 が 容 易 に 結 び つ く.も
ち ろ ん,形
々 の 接 合 タ イ プ が あ る が,長 大 な 語 を つ く る こ
と も可 能 で あ る . し ば し ば 引 用 され るDonaudampf
abholstelle「
の 合 成 は 少 な くない .
例)Kernwaffenversuchsstopp「
核 兵 器 実験 停 止 」
合 成 に あ た っ て,‐(e)s‐ , ‐(e)‐,‐(e)n‐,‐er‐,な つ な ぎ の 要 素 を 必 要 と す る も の,つ 要 と し な い も の,語
尾 ‐eや
で 接 合 す る もの な ど,接 例)Kindbett「
どの
な ぎを ま った く必
‐n,‐enな
どを省 い た上
合 タ イ プは 多 様 で あ る.
産 褥 」,Kinderbett「
mit
Risikos
der
absoluten
rechnen.「
リス クの絶 対 不 可避 性 を考
名 詞 化 す る こ と に よ っ て,さ は 増 大 す る.そ
な わ ち,
Unvermeidbarkeit
し て,こ
詞的 内容 を
らに意 味 の 拡充 の可 能 性
れ は,現
代 語 に お け るい わ ゆ
る 名 詞 文 体 の 傾 向 と も 深 くか か わ っ て い る と い う. 続 語 と借 用 語
現 代 ドイ ツ 語 の 語 彙 は,年
代 も 由 来 も さ ま ざ ま な 単 語 の 集 積 で あ る . ま ず,イ
ドナ ウ 汽 船 会 社 船 長 寡 婦 年 金 支 給 所 」 は
極 端 な 例 で あ る が,3,4語
mu〓
3)相
schiffahrtsgesellschaftskapitanswitwenrenten
unver 不可避の
い っ そ う拡 充 で き る こ と を 示 唆 し て い る.す
た か も列 車 の 車両 を 連結 す る
nicht リス ク は
の こ と を 考 慮 し て お く 必 要 が あ る 」〉
か ら な る 陳 述 内 容 を,〈Mit
meidbaren
ガース
sich
rechnen.「
に お け る規 定 語 と基 礎 語 の 関 係 は さ ま ざ ま で あ る が,
旺 盛 な 言 語 で あ っ て,あ
ver
リス ク は 避 け ら れ な い 」〉は,‐bar
避 け られ な い.そ
Pflege
Kind
養 う」は,基 礎 語 に 対 し て,前
擬 似 接 頭 辞 に は,Haupt‐,hoch‐
(H.Eggers)は,〈Das
音 防 止 」の 場
〈Ehepaar,das
genommen
自 然 環 境 を 損 わ な い,無
派 生 に お け る総 合 性 の 一 例 と し て,‐barを
eines
と い う よ う な 語 群 の 凝 縮 し た 形 と 考 え ら れ る.Ma genmittel「
容
ど が あ る.
例)umweltfreundlich「
玄関
庭 へ 通 じ る ド ア 」,Gartenlaube
「園 亭 」 は,そ
合
公 害 の」
析 的 多 様 性 か ら総 合的 統 一 性へ 移 行す る傾 向
〈Tur
‐losな
ど.
の ドア 」,Gartentur「
れ に は,集
詞 を つ く る ‐frei,‐feindlich,‐freundlich,〓,
飛 ん で 中 へ 入 る 」,hineinpoltern「
て 中 へ 入 る 」,な
た,独
名 詞 を つ く る ‐gut,‐werk,‐wesen,‐zeugや,形
乗 り物 で 中 へ 入 る 」,hinein
た ば た と 中 へ 駆 け 込 む 」,hineinreiten「
ど が あ る.ま
子供用ベ ッ
ド・ヨ ー ロ ッパ 基 語 に 遡 り う る も の,ま 語 だ け に 共 通 な 語,す
な わ ち,相
ば れ て い る も の で あ る.た 「10」,hundert「100」 frei「 自 由 な 」,jung「
よ
と え ば,eins「l」,zehn
若 い 」,rot「
貧 し い 」,
赤 い 」,wei〓
ぶ な 」,Eiche「
ぼ だ い 樹 」 な ど の 樹 木 名,Bar「
「狐 」,Hirsch「
ン
ル マ ン諸
続 語(Erbwort)と
な ど の 数 詞 や,arm「
い 」 な ど の 形 容 詞,Buche「 Linde「
た,ゲ
鹿 」 な ど の 野 獣 名,Hund「
「白
オ ー ク 」,
熊 」,Fuchs 犬 」,Katze
「猫 」,Ochs「
牡 牛 」,Schaf「
ど の 家 畜 名,Vater「 子 」,Tochter「 「姉,妹
羊 」,Schwein「
父 」,Mutter「
娘 」,Bruder「
兄,弟
Nase「
」 な ど の 親 族 語,Auge「 鼻 」,Ohr「
わ す 語,そ
」,Schwester
歯 」な ど身 体 部 分 を表
essen「
耕 地 」,Samen「
太 陽 」,Mond「
食 べ る 」,〓
gehen「
言 う」,な
ど)に は,イ
と推 定 され る.ま
た,See「 嵐 」,方
「南 」,Osten「
次 の よ う な 新 し い 借 用 語 は,ふ
湖 」,Ruder「
櫂 」,Segel
西 」,さ
泥 棒 」 な ど は,ゲ
世 紀:Party「
用 造語
ⅰ)逐
語 訳 借 用 語(Lehnubersetzung):Montag
(lat.dies
ば'Fenster(lat.〔
自 然 」 は,借
は,「
窓」や
ⅲ)借
イ
ドイ ツ 語 の 文 中 に 常 用 され,ド
Polenz)
い う呼 称 を 用 い る こ と に 批 判 的 で あ
る . そ れ は,も
は や ドイ ツ 語 に と っ てfremd(な
み の な い も の)で
は な い か ら で あ る.
借 用 語 彙 は,直
接 の 語 借 用(Wortentlehnung)と,
a)語
鐘 」,Reich「
《ラ テ ン 語 か ら 》Pflanze「 梨 」,Pflaume「
ン 」,Kuche「
国 」,な
袋 」,〓
関 税 」,Kloster「
果 実 」, ワイ
語 彙 は,た
え ず 変 動 す る . 語 形 成 や 借 用 に よ っ て,
語 彙 は 増 大 し,廃
語 彙 は,地
語 や 語 の 消 滅 に よ っ て,絶
修 道 院 」,Altar ど.
に,「
域 的,社
準 語,教
た,借
えず 新 陳
用語彙の国際化 の傾
会 的,階
養 語,日
業 語,集
言,特
団 語 な ど)な
る 言 語 形 態 で,広
体的諸観点 か 殊 語(専 門 語,
ど に 分 類 され る. 特 は 標 準 語(Hoch
方 言(Dialekt)の
両 体 系 の 中 間 に位 置 す
地 域 に 共 通 な 話 し こ と ば を い い,標
準 語 に 対 す る 影 響 も 大 き い. 言]
ドイ ツ 語 圏 は,通
群 に 大 別 さ れ る(図2を コ
層 的,文
常 語,方
日常 語(Umgangssprache)」
[方
門 」,Tisch
「街 道 」,Munze「
書 く」,な
救 世 主 」,schneiden(engl.cut)
「無 視 す る 」
sprache)と
料 理 人 」,Keller
窓 」,Pforte「
イ ン 」,Zoll「
「祭 壇 」,schreiben「
人 質 」,
プ ラ ム 」,Wein「
「机 」,Sack「
自動車」
salvator)「
ら,標
ど.
植 物 」,Frucht「
台 所 」Koch「
「地 下 室 」,Fenster「
に 分 け ら れ る.
公 職 」,Geisel「
ラ ジ オ 」,
味 借 用 語(Lehnbedeutung):Heiland(lat.
公 用 語,職
《ケ ル ト語 か ら 》Amt「
Birne「
<Automobil<fr.
向 も 注 目 さ れ る. な わ ち,
借用
Glocke「
米 語 〕radio)「
Kraftwagen(1917年
代 謝 が 行 な わ れ て い る.ま
ドイ ツ 語 の 語 彙 の 中 の 要 素 を 使 用 し た 造 語,す 借 用 造 語(Lehnpragung)と
じ
環 境 」,Rundfunk(1924
年 <Radio<amerik.〔
automobile)「
イ ツ語 の 語 彙 の
半 島 」,Ge
用 新 造 語(Lehnschopfung):Umwelt(fr.
ⅳ)意
意 味 体 系 の 中 に 固 有 の 位 置 を 占 め る 語」 に 対 し て Fremdwortと
祖
対象」
〔フ ラ ン ス 語 〕milieu)「
音 楽 」 やNa
ー レ ン ツ(P.von
沈着 」
genstand(lat.objectum)「
用 語 と外 来 語 を 峻 別 す る こ と は 必
ず し も容 易 で は な い.ポ
mind)「
分 訳 借 用 語(Lehnubertragung):Vater
国 」,Halbinsel(lat.paeninsula)「
入 時 期 が 古 くて も,Fremdwort
か し,借
of
英
land(lat.patria<lat.pater"Vater")「
とえ
壁 」 は 借 用 語 で あ る が,ド
ツ語 の 音 韻 体 系 に 適 合 し な いMusik「
と な る.し
な わ ち,
い う.た
月 曜 日」(他 の 曜 日 も 同 じ く逐
履 歴 」,Geistesgegenwart(engl.〔
語 〕presence ⅱ)部
ラ テ ン 語 〕fenestra)「
Mauer(lat.murus)「
tur「
lunae)「
語 訳 借 用 語),Lebenslauf(lat.curriculum
全 に ドイ ツ 語 の 言 語 体 系
に 合 致 す る 場 合 に 限 っ てLehnwortと
テ ィー ン
コ ル ホ ー ズ 」,Sputnik
b)借
こ の よ う な 相 続 語 の ほ か に,多 数 の 借 用 語 彙 が あ る.
外 来 語 」)を 区 別 す る こ と が 多 い.す
ス ト ライ キ 」;20
「ス プ ー トニ ク 」
vitae)「
発 音 も 綴 り も語 形 変 化 も,完
紀:Streik「
パ ー テ ィ」,Teenager「
《ス ラ ヴ 語 か ら》Kolchose「
の あ る 語 で あ る.
wort(「
コ ス チ ュー
エ ー ジ ャー」
ら に,Konig
借 用 語 」)とFremd
来 語 と よ ばれ
文明」
《英 ・米 語 か ら》19世
ル マ ン語 だ け に対 応 語
ドイ ツ 語 で は,Lehnwort(「
つ う,外
れ に 対 し て,
紀:Kostum「
ム 」,Zivilisation「
の ぼる
北 」,Suden
印
て い る.
問 う 」,
の1に
位 のNorden「
東 」,Westen「
「王 」,Dieb「
結 ぶ 」,
天 使 」,
境 界 」,Petschaft「
世 の 古 い 借 用 語 で あ る.こ
《フ ラ ン ス 語 か ら》18世
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 基 語 語 彙 の5分
教 会 」,Engel「
ど.
ど.
こ れ ら は,中
星 」,
立 っ て い る」,fragen「
に 遡 り う る 相 続 語 が 多 く,全
「帆 」,Sturm「
種 子 」,Pflug
章 」,な
来 る 」,sein「 あ る 」,sitzen
「座 っ て い る 」,stehen「 sagen「
屋 根 」,
「噛 む 」,binden「
行 く」,kommen「
近
月 」,Stern「
悪 魔 」,な
《ス ラ ヴ 語 か ら 》Grenze「
常 の 生 活 と か か わ り の 深 い,身
ド ア 」,Acker「
「鋤 」,Sonne「
Teufel「
口 」,
な 事 物 あ る い は 行 為 を 表 わ す 語(例:Dach「 Tur「
《ギ リ シ ア 語 か ら 》Kirche「
息
目 」,Mund「
耳 」,Zahn「
の 他,日
豚」な
母 」,Sohn「
Ⅰ)低 Ⅱ)中
常,次
の3つ
の方言
参 照).
地 ドイ ツ 語(Niederdeutsch,Nd.) 部 ドイ ツ 語(Mitteldeutsch,
Md.)
高 地 ドイ ツ語 (Hoch‐
〈図2〉
ドイ ツ 語 の 方 言 分 布(1965年
出 典:プ ロ ッ ツ ェ(H.Protze;in:J.Schildt ただ し ,一 部 変 更.
ご ろ)
et al.,Kleine
Enzyklopadie,Deutsche
Sprache,Leipzig,1983)に
よ る.
Ⅲ)上
deutsch, Hd.)
部 ド イ ツ 語(Oberdeutsch, Obd.)
語) 1)北
バ イ エ ル ン 語,2)中
中 部 オ ー ス ト リ ア 語,3)南 各 方 言 群 は,音
韻,語
彙,文
法 等 を 基 準 と し て,さ
らに
C)シ
つ い て は 異 説 が 多 い.Md.とObd.を
一 括 して 高 地 ドイ ツ 語 と よ ぶ が 念 規 定 に つ い て は,す 3大 方 言 群 は,さ Ⅰ)低
概
下 の よ う に 細 分 さ れ る.
地 ドイ ツ語
A)西
地 フ ラ ン ケ ン 語,2)北
3)ヴ
ェ ス ト フ ァ ー レ ン 語,4)オ
低 地 ザ ク セ ン 語, ス トフ ァ ー
レ ン語
ク レ ン ブ ル ク ・前 ポ ン メ ル ン 語,2)中 ル ク(ブ
1)中
部 フ ラ ン ケ ン 語(リ
プ ア ー ル 語,モ
ーゼ
イ ン フ ラ ン ケ ン語(ラ
イ ン プ フ ァ ル ツ 語,ヘ
ッ セ ン 語)
ユ ー リ ン ゲ ン語,2)上
3)ラ
ウ ジ ッ ツ 語/ソ
部 ザ ク セ ン語,
ル ブ語
とik/ich線
がNd.と
の 境 界 線 に な っ て い る(図3
の ほ か,Nd.の
特 徴 と し て は,語
のsp,stが,[∫p][∫t]で
は な く[sp][st]と
上 部 ド イ ツ 語)
フ ラ ン ケ ン語,2)南
あ る こ と,
人 称 代 名 詞er,wir,mir/mich,unsが,Nd. は,そ
で
れ ぞ れ,he,wi,mi,usで,mi,usに
み る
格 と対 格 の 区 別 が な い こ と な ど を あ げ る こ
Nd.は,西
stadt)を
フ ラ ンケ ン語
イ エ ル ン ・オ ー ス ト リア 語(東
低 地 ドイ ツ 語 と 東 低 地 ドイ ツ 語 に 大 別 さ ぼ,リ
上 部 ドイ ツ
結 ぶ,い
ュ ー ベ ッ ク(Lubeck)―
マクデブ
ハ ル バ ー シ ュ タ ッ ト(Halber わ ゆ るmak(e)t/make(n)線
ウ ブ ル(C.A.M.Noble,Modern だ し,一 部 変 更.
German
Dialects.Peter
が低
地 ド イ ツ 語 を 西 と東 に 分 か つ 境 界 線 と な っ て い る . す な わ ち,動
詞 の 直 説 法 現 在 複 数 の 人 称 語 尾 が,西
子音 推移 と方言区 分
よ る.た
頭音 発音 さ
準 語 の/∫l//∫m//∫n//∫v/が,そ
ル ク(Magdeburg)―
部 フ ラ ン ケ ン語(北
1983)に
体に
ー ワ ー ドは,makenとikで,
な わ ちHd.)と
れ る が,ほ
部 ドイ ツ 語
出 典:ノ
た はPlattと
とが で き る .
1)テ
<図3>第2次
ドイ ツ の諸 方 言 の
子 音 推 移 を ま っ た く受 け て い
な い こ と で あ る.キ
よ う に,与
中 部 ドイ ツ語
1)東
高 地 ア レ マ ン語
例)schlafen:Nd.slapen,schwarz:Nd.swart
ル フ ラ ン ケ ン語),2)ラ
B)バ
共 通 す る 特 徴 は,第2次
れ ぞ れ,/sl//sm//sn//sv/で
中部 ドイ ツ語
A)上
Nd.は,北
地 ア レ マ ン 語,
常 的 に は,Plattdeutschま
れ る こ と,標
部 ドイ ツ 語
Ⅲ)上
地 ア レ マ ン 語,4)最
地 ドイ ツ 語
を 参 照).そ
ラ ンデ ンブ
ル ク)語
B)東
3)高 Ⅰ)低
Md.(す
(なか)ポ ン メ ル ン 語,3)マ
A)西
ュ ヴ ァ ー ベ ン 語,2)低
等 語 線maken/machen線
低 地 ドイ ツ 語
1)メ
上 部 ドイ ツ
い う(「語 史 」の 「中 低 ドイ ツ 語 」 を 参 照).Nd.全
1)低
Ⅱ)中
1)シ
総 称 で,日
低 地 ドイ ツ語
B)東
ュ ヴ ァ ー ベ ン ・ア レ マ ン 語(西
語)
,Hd.とNd.の
で に 略 説 し た(「 系 統 」を 参 照).
ら に,以
バ イ エ ル ン 語/南
オ ー ス トリア語
細 か く 区 分 さ れ る が,方 言 区 画 に つ い て は 諸 説 が あ り, 特 にNd.に
部 バ イ エ ル ン語/
Lang
,New
York/Berne/Frankfurt
on
the Main.
低 地
ドイ ツ 語 で は 各 人 称 と も ‐(e)t(例:wi/gi/se k(e)t),東
ma
低 地 ド イ ツ 語 で は ‐e(n)(例:wi/gi/se
make(n))に
統 一 さ れ て い る.た
ン語 は,中
部 ドイ ツ 語,東
‐en,‐et,,‐enで
上 部 ドイ ツ 語 と 同 じ く,直
A1)低
称,そ
make(n)線
B)東
だ し,低 地 フ ラ ン ケ
説 法 現 在 複 数 の 人 称 語 尾 は,1・2・3人
mak(e)t/wi
れ ぞ れ,
あ る.
を越 え て い る .
低 地 ドイ ツ 語 は,エ
ル ベ 川 とオ ー ダ ー 川 に 挟
ま れ た 地 域 で 話 され る 方 言 群 で,こ
の 地 域 は,か
は ス ラ ヴ 人 の 居 住 地 で あ っ た が,12,13世 イ ツ 東 方 移 民 に よ り,移
民 の 出 身地 の方 言 を基 礎 とす
る 新 し い 方 言 が 行 な わ れ る よ う に な っ た.
地 フ ラ ン ケ ン 語(Niederfrankisch)は,
1)メ
ク レ ン ブ ル ク ・前 ポ ン メ ル ン語(Mecklen‐
デ ュ ッ セ ル ドル フ の 北 側 の 下(しも)ライ ン 地 方 で 話 さ れ,
burgisch‐Vorpommersch)は,ヴ
ま た,下
語 と オ ス ト フ ァ ー レ ン語 の 影 響 で,標
る.ベ
ラ イ ン 方 言(Niederrheinisch)と
も よばれ
ル ギ ー 北 部 で も話 さ れ て い る が,特
ダ 語 は,13世 に,独
紀 以 来,低
に,オ
ラン
地 フラ ンケ ン語 の 基 礎 の 上
自の発 達 を遂 げ た言 語 で あ る. 低 地 フラ ンケ ン
語 の 子 音 組 織 は,Nd.の
他 の 方 言 と大 き な 違 い は な
い が,母 音 組 織 に は,し ば し ばHd.(特 ケ ン語)と 2)北 は,さ
に,中
部 フラン
脱 落,gesternのeの
と え ば,標
準 ド イ ツ 語lieb,Schnee,Buch,Kuchen,Bruder に は,leif,Schnei,Bauk,Kauken,Braurerが 応 す る .Braurerは,母
対
音 に 挟 ま れ たdがrへ
転位
し た 形 で あ る. ポ ン メ ル ン 語(Mittelpommersch)で
た 語 に 対 応 す る.指
は,p,t,kが
声 音 に な る こ と,Nachtのtや,接
準 ドイ ツ 語 の 長
は,
lef,Schne,Bok,Koken,Broderが1)に
ら に 数 個 の 小 方 言 に 下 位 区 分 さ れ る . 特 に,ホ
ル シ ュ タ イ ン 語(Holsteinisch)で
ェス トフ ァー レ ン
母 音 に 対 し て 二 重 母 音 が 現 わ れ て い る.た
2)中
の 対 応 が み ら れ る. 低 地 ザ ク セ ン 語(Nordniedersachsisch)
徴 的 で あ る.シ
つ て
紀以降 の ド
有
3)マ
尾 辞 ‐igのgの
円 唇 化(gustern)な
ル ン語 は ‐ing,中
どが 特
ル ク(ブ
ホ ル シ ュ タ イ ン 語 と 共 通 の 特 徴 を も っ て い る が,動
詞
‐chenに
datで
あ る が,こ
相 当す る前 ポ ンメ
ポ ン メ ル ン語 は ‐keで
あ る.
ラ ン デ ン ブ ル ク)語(Markisch
〔‐Brandenburgisch〕)は,低 が 顕 著 で あ る.標
ュ レ ス ヴ ィ ヒ語(Schleswigsch)は,
小辞
列挙 し
地 フ ラ ンケ ン語 の 影 響
準 語 の"das"は,Nd.で こで はdetで
は 一般に
あ る(た だ し,南
マル
の 直 説 法 現 在 複 数 の 人 称 語 尾 が 東 低 地 ドイ ツ 語 と 同 じ
ク 語 で はdat)."gut"は,メ
ク レ ン ブ ル ク ・前 ポ ン メ
く,‐e(n)型
ル ン 語 で もgutで
こ で は,中
に 統 一 され て い る 点 が 著 し く異 な る 点
で あ る . 北 低 地 ザ ク セ ン 諸 方 言 の 中 で,ア
ク セ ン トの
と同 じ くjutで
あ る が,こ あ る.同
ポ ンメ ル ン語
様 に,jrin"grun",jehulpm
な い 語 尾 ‐eを 保 存 し て い る 唯 一 の 方 言 で も あ る.ま
" geholfen"な
ど."lieb","Kuchen","Bruder"は,
た,フ
そ れ ぞ れ,北
マ ル ク語 で はlef,Koken,Broder,中
リ ジ ア 語 の 影 響 で,zu+
り に,un(=und)を 例)Nu Jetzt
is
不 定 詞 のzuの
代わ
用 い る. dat
ist es
Tiit
un
plucken
Zeit,Apfel
zu
Appeln.=
pflucken.「
いま
南 マ ル ク 語 で はSchnei,"hinten"は,北
特色
で あ る.南
で はhinnenで
リ ン ゴ の 取 り入 れ 時 期 だ 」 3)ヴ
ェ ス トフ ァ ー レ ン語(Westfalisch)の
は,schが,[〓]ま
た は[〓]と
た と え ば,waschen「 [〓]で
発 音 さ れ る こ と で,
あ る.北
洗 う 」 は[〓]ま
たは
低 地 ザ ク セ ン 語 ま た は オ ス トフ
ァ ー レ ン語 と ヴ ェ ス トフ ァ ー レ ン 語 と の 境 界 は,前 のschap/makenに
者
対 す る 後 者 のschap/maken
あ る が,中
線 の 中 間 地 帯 を 占 め,た mach'ik
nach
とmaken/machen
とえ ば,ベ
Schnauze.「
ま ま に や る よ 」 と 言 う. オ ー ダ ー 川 の 東 側 に 隣 接 す る 東 ポ ン メ ル ン語(Ost pommersch)や
低 地 プ ロ イ セ ン 語(Niederpreu
準 語 の 長 母 音 に 対 し て,二
つ は,与
格 と 対 格 の 別 な し に,mik(=mir,mich),
dik(=dir,dich),juck(=euch)な こ とで,ju/juck線 な っ て い る.ju/juck線
以 降,そ
Ⅱ)中
ス ト フ ァ ー レ ン 語(Ostfalisch)の
特 徴 の一
どが 用 い ら れ る
が 北 低 地 ザ ク セ ン語 と の 境 界 線 に は,西
の 方 で は ヴ ェ ス トフ ァ
ー レ ン 語 域 に か な り くい 込 ん で お り,東
の 方 で は ,わ
ず か な が ら 東 低 地 ドイ ツ 語 地 域 と の 境 界 を な すwi
ル リ ン 子 は,Det
そ れ を 私 は 自 分 の思 う
が 追 放 さ れ る と と も に 消 滅 し た.
重 母 音 が 現 わ れ る こ と も特
あ る が,
・南 マ ル ク 語 で はhingen
〓isch)も
徴 的 で あ る.
あ る.
マ ル ク語
マ ル ク 語 は,ik/ich線
で あ る(schapは"Schaf",aは[〓]).ま た,Haun "Huhn"「 鶏」 ,saut"〓"「 甘 い 」 な ど の よ う に,標
4)オ
・
南 マ ル ク 語 で は〓,Kuoken,Bruoderで "Schnee"は ,北 ・中 マ ル ク 語 で はSchneで
東 低 地 ドイ ツ 語 に 含 ま れ て い た が,1945年 の 地 域 が ポ ー ラ ン ドに 帰 属 し,ド
部 ドイ ツ 語
が,Obd.ほ
子 音推 移 を受 けて い る
ど 徹 底 せ ず,Nd.とHd.の
在 し て い る.Md.全 中 間 音 のppが apfelがObd.と
特徴が混
体 に 共 通 す るNd.的 残 存 し て い る こ と で,等
特 徴 は, 語 線appel/
の 境 界 を な し て い る(図3を
そ の ほ か,nd,ntが u>oの
第2次
イ ツ 系住 民
口蓋 化 し てngに
参 照).
な る 現 象 や,
母 音 降 下 現 象 も特 徴 に 数 え ら れ る .
例)Ende:Enge/Engde「
終 わ り」,hinten:hin‐
gen 「う し ろ に 」,Luft:Loft「 Hond「
犬 」,な
Md.は,等
空 気 」,Hund:
neが
語 線pund/fundに
分 さ れ る(図3を A)西
よ っ て 西 と 東 に2
中 部 ドイ ツ 語(Westmitteldeutsch)の あ る が,dat/das線
分 さ れ る.中
部 フ ラ ン ケ ン語 は,さ
線 に よ っ て,リ
が ほ ぼ 完 全 に 行 な わ れ て い る.キ
に 分 か れ る.ラ
イ
に よ っ
B)東
Facher)と
に 分か れ る. 図
よ ぶ こ と が あ る.
中 部 ドイ ツ 語(Ostmitteldeutsch)の
ー ド はFund"Pfund"で,さ
キー ワ
ー リ ン ゲ ン 語 は ,古
下 位 区 分 さ れ る.テ
ュ
い 部 族 語 の 一 つ で あ る が,上
ク セ ン 語 と一 体 化 し た た め,通 う に 扱 わ れ る が,不
定 詞語 尾
常,移
る の も,顕
Obd.は,上
部ザ
民 方 言 と同 じ よ
‐nの 消 失 に よ っ て,上
上 部 ザ ク セ ン 語 は マ イ セ ン 語(〓)に
た はaとeに
A)上
よ って
れ ぞ れ,oま と え ば,Mhd.
は,マ
と も に 単 母 音 化 し てaに
以 前 に は,シ
newe"neben")な
ど を あ げ る こ と が で き る.上
方 植 民 に よ り, ュ
レー ジ エ ン は ま さ に 方 言 の る つ ぼ で あ っ た.し か し,今 ュ レ ー ジ エ ン語 は,ス
(Ostfrankisch)と,そ
の南 西 に 隣 接 す る南 フ ラ ンケ
ン語(Sudfrankisch)と
に 下 位 区 分 さ れ る.両
た,語
ラヴ語 圏 内 に散 在 す
B)バ
され,キ
方 に
言 語 の島 が
ー ワ ー ドは,人
称 代 名 詞2人
与 格 ・対 格 のenkで く 複 数2人
語 のihr,euchに
相 当)と
民 は ソ ル ブ 語 と ドイ ツ語 の 二 言 語 を 併 用 して
部 フ ラ ン ケ ン 語 と 同 じ く,中
い る.こ
こ で 話 さ れ る ラ ウ ジ ッ ツ 語 は,か
い ら れ る(例:Lewe"Leben").
つ てのシュ
レ ー ジ エ ン 語 に 属 し,上(か み)・ 西 ・東 ・下(しも)ラ ウ ジ ッツ語
バ イ エ ル ン 語 は,1)北
の4つ
に 下 位 区 分 さ れ る .こ の ほ か,上
risch),2)中
側,東
西 両 ラウ ジ ッツ に挟 まれ た 地域 で話 さ れ る ソ ル
ラ ウ ジ ッツの 北
ッ カ ー(H.Becker)は,「
ジ ッ ツ 語 の 特 徴 と して は,d:t,b:pな
と 命 名 し た.ラ
新 ウ
ど の 有 声 と無 い 副 詞ok(=nur)
イエ
ー ス トリア を含 む広 大 な 地 域 で 話
あ り,住
声 の 対 立 が 解 消 しつ つ あ る こ と,古
者 で は[st]
に バ イ エ ル ン 語 と も い う が,バ
両 数 で あ る が,広
の 西 側 ラ ウ ジ ッ ツ(Lausitz)地
ラ ウ ジ ッ ツ語(Neulausitzisch)」
者 で は 平 口 で 発 音 され
末 のstが,前
者 で は[∫t]と 発 音 さ れ る こ と,な
ル ン だ け で な く,オ
ナ イ セ(〓)川
ブ語 訛 り の ドイ ツ語 を,ベ
者の著
準 語 と 同 様,
イ エ ル ン ・オ ー ス ト リ ア 語(Bairisch‐Oster‐
(os)と
ラ ヴ 語 系 の ソ ル ブ語(Sorbisch)の
者 で は,標
中,語
reichisch)単
る 言 語 の 島 と し て か ろ う じ て 余 喘 を 保 つ に す ぎ な い.
は,ス
ュ
中 心 と す る 東 フ ラ ン ケ ン語
ど で あ る.
シ ュ レ ー ジ エ ン に ド イ ツ 各 地 の 方 言 が 流 入 し,シ
日 で は,シ
ン
イ ロ イ ト(Bayreuth),ニ
で あ る の に 対 し,後
ュ レ ー ジ エ ン語(Schlesisch)
も 東 中 部 ド イ ツ 語 に 編 入 さ れ た.東
部 フ
ュ ル ッ ブ ル ク(Wurzburg),バ
唇 の 円 め を 伴 うの に 対 し て,後
あ る.
な っ た こ と(例:
brat<mhd.breit"breit",Bam<mhd.boum "Baum") ,bに 代 わ る 中 間 音w(例:awwer"aber",
る こ と,ま
イ セ ン 語 で はBom,Fra,Gledで
の
高 ドイ ツ 語 の 二 重 母 音eiと
し い 相 違 は,o,u,euが,前
のboum"Baum",vrouwe"Frau",kleit"Kleid"
1945年
の大 方
部 フ ラ ン ケ ン語(Oberfrankisch)こ
方 言 群 の 特 徴 と して,中
ラ ン ケ ン語 は,ヴ
高 ド イ ツ 語(略,Mhd.)
変 わ っ た こ と で あ る.た
ュ ヴ ァ ー ベ ン ・ア
イ エ ル ン ・オ ー ス ト リ ア 語 の3つ
ル ン ベ ル ク(Nurnberg)を
単 母 音 化 し て,そ
在
言 が 日常 語 に与 え る影 響
部 フ ラ ン ケ ン語,シ
レ マ ン 語,バ
obersachs.machen).
のou(ouwe)とeiが
法
著 な特徴 の一 つ で あ る. 日常 生 活 に おい て
方 言 の 占 め る 比 重 が 重 く,方
ベ ル ク(Bamberg),バ
の 特 徴 は,中
参 照).文
詞 の 過 去 形 と過 去 完 了 形 が 消 滅 し て,現
部 ザ ク セ ン語 と 区 別 され る(例:thuring.mache/
代 表 さ れ る.そ
よび
対 応 す る(図3を
完 了 が 過 去 時 を 表 わ す ほ と ん ど 唯 一 の 時 制 と な って い
ouが
部 ザ ク セ ン語(Obersachsisch),
ラ ウ ジ ッ ツ 語(Lausitzisch)に
子 音 推移
ー ワ ー ドは,Apfel
言 群 に 分 か れ る.
ら に,テ ュ ー リ ン ゲ ン語
(Thuringisch),上
は,第2次
も 大 き い.
み る 方 言 の 扇 状 分 布 地 域 を,「 ラ イ ン 扇 形 」
(Rheinischer
Obd.で
Nd.のAppel,Pundに 面 で は,動
モーゼル
南 部 の ラ イ ン プ フ ァ ル ツ 語(Rheinpfalzisch)
‐Aに
部 ドイ ツ 語
とPfundで,Md.のAppel,Pund/Fund,お
ら に,fescht/fest線
と 東 北 部 の ヘ ッ セ ン語(Hessisch)と
属 し て い た.
Ⅲ)上
ら に,dorp/dorf
フ ラ ン ケ ン語(Moselfrankisch)と
たは
ュ レ ー ジ エ ンか ら の 移 民 に よ っ て 生 じ た 高 地 プ
を
に下位 区
プ ア ー ル 語(Ripuarisch)と
ン フ ラ ン ケ ン語 は,さ
代 わ り に,noま
ど を あ げ る こ と が で き る.な
キ
部 フ ラ ン ケ ン語(Mittelfrankisch)
と ライ ン フ ラ ン ケ ン 語(Rheinfrankisch)と
て,西
お,シ
参 照).
基 準 と し て,中
用 い ら れ る こ と,な
ロ イ セ ン語(〓)も,Md.に
ー ワ ー ド はPund"Pfund"で
3,Ⅱ
が 残 存 して い る こ と,nichtの
ど.
称 複 数 の 主 格es
あ る.こ
れ ら は,本
称 代 名 詞(そ
して 用 い ら れ る.ま 間 音bに
た,上
代 わ っ てwが
部 オー ス ト リア語
(Mittelbairisch/Mittelosterreichisch),3)南
1の 特 徴 は,二
derは,そ
バ
オ ー ス ト リ ア 語(Sudbairisch/Sud
osterreichisch),に
用
バ イ エ ル ン 語(Nordbai
部 バ イ エ ル ン 語/中
イ エ ル ン語/南
来,
れ ぞ れ 標準
下 位 区 分 され る. 重 母 音 に あ り,標
準 語 のlieb,Bru
れ ぞ れ,leib,Brouder(2,3で
は,
liab,Bruader)で
あ る.
底 的 に 起 こ っ て い る.
2が 話 さ れ る 地 域 は,ミ
ュ ン ヒ ェ ン(Munchen),
ザ ル ツ ブ ル ク(Salzburg),ウ み,lの
ィ ー ン(Wien)を
含
母 音 化 が 特 徴 的 で あ る.
例)Holz「
木 材 」>Hoiz,stolz「
alt「 古 い 」>oit,Welt「
最 高 地 ア レ マ ン 語 は,ア
3は,テ
誇 ら し い 」>stoiz,
世 の 中 」>Woit
ィ ロ ー ル(Tirol)や
ケ ル ン テ ン(Karnten)
音kが
子 音 推 移 が 完 全 に 行 な わ れ て お り,閉
破 擦 音kch[〓]に
C)シ
鎖
寒 い」
ツ 南 西 部,す
baden)の
イ
諸 地 方,ス
バ ー デ ン(Sud
イ ス の ドイ ツ 語 地 域,オ
(Monte 6か
Rosa),お
国 に わ た り,レ
語 に 接 す る.ア は,動
ヒテ ン シュ タ イ ン公 国 の
ヒ(Lech)川
の 東 側 で,バ
詞gehen「
行 く」 とstehen「
で あ る こ と,バ
立 っ て い る 」 が,
同 じ く,gen,stenで
の に 対 し,ア レ マ ン 語 で は,Nd.と
日 」が,バ
イエル ン
レ マ ン 語 と バ イ エ ル ン語 の 大 き な 差 異
バ イ エ ル ン 語 で は,Md.と
マ ン語 で は
ラ ン
タ リア の モ ン テ ・ロー ザ よ び,リ
ある
同 じ く,gan,stan
‐le,‐li,‐laで あ る こ と,Dienstag「
イ エ ル ン語 で はErtagま
レ
火曜
い うこと
bisch),2)低 3)高
ュ ヴ ァ ー ベ ン 語(Schwa
地 ア レ マ ン 語(Hochalemannisch),4)最
の 境 界 線 は,学
彙,文
法
ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 妨 げ る も の で は な い. な わ ち,ド
す る ス イ ス の 貢 献 度 は,オ
イ ツ文 学 に 対
ー ス ト リ ア に 劣 ら ず,き
よ ば れ る 話 し こ と ば に あ る.ス
わ
イ ス ・ ドイ ツ 語 と
イ ス ・ ドイ ツ 語 は,ス
イ ス の ドイ ツ語 地 域 全体 に 共通 す る話 し こ とば では な い.そ
れ は,チ
ュ ー リ ヒ ・ ドイ ツ 語(Zurituutsch),
ベ ル ン ・ ド イ ツ 語(Barndutsch),バ 語(Baselditsch),ベ 語(Berner
ー ゼ ル ・ ドイ ツ
ル ン ・オ ー バ ー ラ ン ト ・ ドイ ツ
Oberlanderdeutsch),ザ
ン ・ ドイ ツ 語(Sankt
Galler
ン ク ト ・ガ レ
Deutsch),ヴ
ドイ ツ 語(Walliserdeutsch)な
ど,諸
ァ リス ・
方言の総称であ
言 名 の ‐tuutsch,‐dutsch,‐ditschに
違 い が 歴 然 と し て い る よ う に,同 で も,東
調音の
じ ス イ ス ・ ドイ ツ 語
部 の ス イ ス ・ ドイ ツ 語 は,ベ
ル ン ・ ドイ ツ 語
し ろ リ ヒテ ン シ ュ タ イ ン 公 国 や,オ
リ ア の フ ォ ー ア ア ル ル ベ ル ク 南 部 や,ド
ー ゼ ル ・ ドイ ツ 語 は
地 ア レ マ ン語(Niederalemannisch),
,チ
ース ト
イ ツの 上 部 シ た,バ
ュ ー リ ヒ ・ドイ ツ 語 や ベ ル ン ・
ドイ ツ 語 よ り も,上(かみ)ライ ン 地 方 で 話 さ れ る 方 言 に 近 高
地 ア レ マ ン語(Hochstalemannisch),に れ る が,そ
音,語
ュ ヴ ァ ー ベ ン で 話 さ れ る ドイ ツ 語 に 近 い し,ま
な ど を あ げ る こ と が で き る. ア レ マ ン 語 は,1)シ
ち ろ ん,発
干 の ス イ ス 特 有 の 慣 用(Helvetismus)は
よ り も,む
た はErgetagで
レ マ ン 語 で はZistagと
準 ドイ ツ 語 と 大 き
く 異 な る と こ ろ は な い.も
る.方
イ エ ル ン 語 の 指 小 辞 ‐lに対 し て,ア
あ る の に 対 し て,ア
イ ス に お け る ス タ ン ダ ー ド な ドイ ツ 語
(Schweizerhochdeutsch)は,標
ス イ ス の ド イ ツ 語 の 特 異 性 は,ス
ース ト
リア の フ オ ー ア ア ル ル ベ ル ク(Vorarlberg),フ ス の ア ル ザ ス(〓),イ
尾 に 完 全 母 音 が現 わ
め て 高 い.
ュ ヴ ァ ー ベ ン(Schwaben),ヴ
ュ ル テ ン ベ ル ク(Wurttemberg),南
りわ け 古 風 で,語
高 ドイ ツ 語 の 面 影 を と ど め て い る.
ド イ ツ 語 で 書 か れ た 文 学,す
に ア レマ ン 語 と も い う が,ド な わ ち,シ
語 の 中 で も,と
あ る が,コ
ュ ヴ ァ ー ベ ン ・ア レ マ ン 語(Schwabisch‐
Alemannisch)単
ル カ イ ッ ク な ア レマ ン
の 面 で,若
推 移 し て い る.
例)kchalt"kalt"「
ヴ ァ レー 」)地 方 な ど,
南 ス イ ス の ドイ ツ 語 を い う.ア
さ て,ス
の地域
ル プ ス 山 地 の ヴ ァ リス
ラ ン ス 語 名Valais「
れ,古
を 含 む オ ー ス ト リ ア の 南 部 で 話 さ れ て い る.こ で は,第2次
(Wallis,フ
下 位 区分 さ
者 に よ り必 ず し も 一 致 し な
い. こ の よ う に,国
内 よ り も 国 外 の ドイ ツ 語 方 言 と 近 い
関 係 が あ る 場 合 も あ っ て,ス
イ ス ・ ドイ ツ 語 の 言 語 的
い.
特 徴 を 述 べ る に は,方
シ ュ ヴ ァ ー ベ ン 語 の 著 し い 特 徴 の 一 つ に,m,nの
ス ・ドイ ツ 語 に 共 通 した 著 しい 特 色 は,身 分 や 職 業 に よ
前 の 短 母 音 の 二 重 母 音 化 と通 鼻 音 化 が あ る(例:Zins
る 階 層 的 差 別 の な い こ と,都
「利 子 」>Zei's[〓]).ま
く 話 され,方
zit,husな
ど は,シ
た,中
高 ドイ ツ 語 の 長 母 音
ュヴ ァーベ ン語 で は 二 重 母 音 化
し て,そ
れ ぞ れ,Zeit(Zait,Zuit,Zaat),Housと
な る 方 言 は,ス
れ は,低
で あ っ て,ス
イ
市 部 で も農 村 で も差 別 な
言 を無 教 養 人 の こ とば と して 蔑視 す る こ
と が ま っ た く な い こ とで あ ろ う.そ
な る.こ
地 ア レ マ ン 語 で 二 重 母 音 化 せ ず,そ
言 ご と に 扱 う ほ か な い が,ス
れ ど こ ろ か,母
語
イ ス 人 の 日 常 語(Umgangssprache) イ ス 人 同 士 で あ れ ば,雇
用 者 と被 雇 用 者
の ま ま長 母 音 と して残 存 す るの と対照 的 で あ る .
の あ い だ で あ れ,教
上 ラ イ ン(Oberrhein),ア
ら 「方 言 」 に よ っ て コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 成 立 す る .
ル ザ ス,フ
ォー ア ア ル ル
授 と 学 生 の あ い だ で あ れ,も
ベ ル ク北 部 の 各 地 方 で 話 さ れ て い る 方 言 は 低 地 ア レ マ
大 学 の 講 義 や 教 授 会 で はSchweizerhochdeutschが
ン 語 で あ る.い
使 わ れ て も,小
tutsch,標
わ ゆ る スイ ス ・ ドイ ツ 語(Schwyzer
準 ド イ ツ 語 で はSchweizerdeutschと
う)の 中 核 を な し て い る の は,高 高 地 ア レ マ ン語 で は,第2次
い
地 ア レ マ ン語 で あ る. 子音 推 移 が きわ め て 徹
っぱ
委 員 会 の や り と り や 同 僚 間 の 会 話,あ
るい は 面会 時 間 に お け る学 生 と教 授 の あい だ に交 わ さ れ る こ と ば は,そ わ ち,ス
の 地 の,も
し く は 出 身 地 の 方 言,す
な
イ ス ・ド イ ツ 語 で あ る.「 ス イ ス の ドイ ツ 語 地
域 で 話 さ れ る こ と ば の,実 に99%が
が 否 定 の 相 殺 と な ら ず,否
方 言 」(H.Rupp)
定 の 強 調 と な るの も中高 ド
イ ツ 語 と一 致 す る.
な の で あ る. ス イ ス ・ ド イ ツ 語 の 大 部 分 は,前
述 の よ うに高 地 ア
[語
史]
ドイ ツ 語 は,グ
レ マ ン 語 に 属 す る が,一 部,北 西 部 に 低 地 ア レ マ ン 語 が
来,古
あ り,ま た,南 部 に は,最
(約1050年
∼1500年),新
代)の3期
に 区 分 さ れ,前2者
る.低
高 地 ア レマ ン 語 の 方 言 区 が あ
地 と 高 地 両 ア レ マ ン語 を 区 別 す る の は,等
kind/chind[〓]で,低
地 の[〓]と
語線
高 地 の[〓]が
対
例)Kalb/Chalb「
子 牛 」,Kopf/chopf「
Kirche/Chile「 は,lの
頭 」,
教 会 」,な ど.
消 失 は,流
ま た,語
あ と でchが
消 失 して い る が,rとl
音 の あ と,長
ター の 登 場 を もって は じま
が 多 く 保 存 され て お り,中
母 音 や 二 重 母 音 の あ と,
設 定 し,高
1)古
な く[x]と
させ て 発 音 す る こ と は な い し,長
出 典:フ
発 音 さ れ
3)初
に 区切
母 音 の あ とで母 音 化 子音 に な
在 完 了形 で 不 定 詞 の 前 に お か れ 定 詞 の 後 に く る). 二 重 否 定
高 ドイ ツ 語(Mittelhochdeutsch,Mhd.):
期 新 高 ドイ ツ 語(Fruhneuhochdeutsch, Fnhd.):約1350∼1650年
4)新
高 ドイ ツ 語(Neuhochdeutsch,Nhd.):約 1650年
蓋 垂 を振 動
じ子 音 字 が 重 な る と,重
る(標 準 ドイ ツ 語 で は,不
<図4>ド
地 ドイ ツ 語 の 変 遷 を 次 の よ う に4期
約1050∼1350年
ル カ イ ック な発 音 や 語 法 高 ドイ ツ語 に 似 た と こ ろ が
ね に 舌 先 ふ る え 音[r]で,口
の 助 動 詞 は,現
年 は,
高 ド イ ツ 語(Althochdeutsch,Ahd.):約
2)中
ど のchは,[c]で
す る こ と も な い.同
か し,近
る こ とが 多 い .
少 な く な い . 若 干 の 例 を あ げ れ ば,ich,Liecht(=
る.rは,つ
称 の 「古 」 「中 」 「新 」
750∼1050年
ス イ ス ・ ドイ ツ 語 に は,ア
Licht)な
∼現
を一 括 して 古 ドイ ツ語
は 時 代 を,「 高 」 は 高 地 を 意 味 す る.し
末 で 起 こ る.
例)Zuri(=Zurich),duur(=durch)
る.法
よ び,ル
高 ドイ ツ語
中 高 ドイ ツ 語 と新 高 ド イ ツ 語 の あ い だ に 過 渡 的 時 期 を
の 交 替 は 高 地 ア レマ ン 語 の 目 立 つ 特 徴 の 一 つ で あ る. chの
(Altdeutsch)と
∼1050年),中
高 ドイ ツ 語(約1500年
る新 高 ドイ ツ 語 と 対 比 させ た.名
立 す る.
Chileで
高 ドイ ツ語(約750年
リム(J.Grimm)以
こ こ で は,い
∼ 現代 ち お う上 記 の 区 分 に 従 い,中
語(Mittelniederdeutsch,Mnd.)を が ら,ド
低 ドイ ツ
も考 慮 に入 れ な
イ ツ 語 の 変 遷 を 略 述 す る こ と に す る(図4を
参 照).
イ ツ 語 の 時 代 区 分 に 関 す る諸 提 案
ィー リ ッ プ(G.Philipp,Einfuhrung
た だ し,一 部 補 足.
ins Fruhneuhochdeutsche,Quelle&Meyer,Heidelberg,1980)に
よる.
1)古
高 ド イ ツ 語(約750年
∼1050年)
化 の 担 い 手 は 聖 職 者 で,拠
Ahd.文
点 と な っ た の は,上
音f(ff),〓(〓),hh(=ch)に
部 ドイ
変 わ り,語
流 音 の あ と,子
音 重 複 の 場 合 に,そ
ツ 語 ・中 部 ドイ ツ 語 地 域 の 修 道 院 や 司 教 座 所 在 地 で あ
tz(z),kchに
な っ た.ま
っ た.
音b,d,gは,有
751年
に カ ロ リ ン グ 王 朝 が 始 ま り,768年
帝 が 即 位 し た.キ
リス ト教 的 理 念 に 基 づ く文 化 政 策 を
強 力 に 推 し 進 め た 大 帝 は,聖 な く,民
にカ ー ル 大
職 者 た ち に,ラ
テ ン語 で
職 者 た ち は,進
さて,こ
イ ツ 〔語 〕の)の
来 に 触 れ て お き た い .deutschのAhd.形diutisc が 文 献 に は じ め て 現 わ れ る の は,1000年
著 作 の 中 で あ る が,そ れ よ り200年 中 世 ラ テ ン 語theodiscusの
部 族,民
っ てdiutisceと
衆 」 の 形 容 詞 形)の
ラテ ン
い う形 が 勢 力 を 得 る が,や
代わ
念 が 加 わ り,さ
ら に,政
紀 末 に,民 族 的,地 理 的 概
治 的 概 念 を も 包 摂 し な が ら,時
ド イ ツ 語 最 古 の 文 献 は,770年
(Freising)で
頃,フ
れ は,ア
に よ っ て,Abrogans(「 る.こ や,欄
ラ イ ジ ング
初 の 見 出 し語
謙 虚 な 」の 意)と 命 名 さ れ て い
れ に 類 し た 学 習 用 の ラ テ ン 語 ・ ドイ ツ 語 単 語 集 外 注,行
間 逐 語 訳 は,ほ
古 の 行 間 逐 語 訳 と し て,9世 chenau)で
か に も 残 っ て い る が,最
紀 初,ラ
フ ル ダ(Fulda)修
道 院 で 翻 訳 された
観 福 音 書 』(Tatians
ahd.bruoder"Bruder" 8世 紀 以 降,後 変 音 す る,い り,a>eの
『タ ツ ィ ア ー ン 共
Evangelienharmonie),ヴ
よ っ て 完 成 し た,ド
初 の 大規 模 な 脚 韻 詩 863∼871年
頃),英
debrandslied,9世
ァ von
イ ツ語 に よ る 最
『福 音 書 』(Evangelienbuch,
片 『ム ー ス ピ リ』(Muspilli,9世
界 の 終 末 を歌 っ た断 紀 初 頭),す
の 語 中 音,母
ぐれ た
によりもま
子 音 推 移 の 影 響 を あ げ な けれ ば な らな い .
音 の あ と の 語 末 音 で,そ
子 音 推 移 と は 逆 に,北
部 へ 広 が り,Ahd.末
期 以 来,次
第 にa以
ム
部 か ら南 外 の 変音 可
は不 徹 底 に終 わ っ た .
例)bluoma"Blume",muodi"mude",trahho "Drache" ,ladon"laden" 文 法 面 で は,10世 動 詞 の 直 説 法1人
音間
れ ぞ れ 無 声摩 擦
紀 ま で に,具 格 は ほ と ん ど 消 滅 し, 称 の 複 数 語 尾 ‐mesが
受 動 態 や 未 来 ・完 了 時 制 が,助
廃 れ た.ま
た,
動 詞 の 使 用 に よ って 分
析 的 に 表 現 さ れ る よ う に な っ た こ と,指 示 代 名 詞der, の 定 冠 詞 へ の 転 用,語
み ら れ る ラ テ ン語 の 影 響,な
順や分詞構文な どに
ど も,Ahd.の
特 徴 に数
え ら れ る. 語 彙 面 で 特 筆 す べ き は,語
よ る,抽
ゲ ル マ ン語 の 無 声 閉 鎖 音p,t,kは,Ahd.で,母
前 で は 変 音 し な か っ た.ウ
ラ ウ ト現 象 は,第2次
Ahd.の ず,第2次
変 音が 起 こ った .
よ う に,ht,hs,wの
辞
韻 面 で は,な
よ
た だ し,nahti"Nachte",wahsit"(er)wachst"の
翻 訳 家 ノ ー トカ ー ・ラ ー ベ オ の 著 作 な ど が あ る. 言 語 的 特 徴 は,音
影響で 語幹 母音が
ム ラ ウ ト(i‐Umlaut)に
例)ahd.gast"Gast":gesti(pl.)"Caste",
diu,〓
雄 詩 『ヒ ル デ ブ ラ ン トの 歌 』(Hil 紀 半 ば),世
続 音 節 のi,jの
わ ゆ るiウ
語 尾 の 完 全 母 音 も 目 に 立 つ 特 徴 で あ る.
頃,
イ セ ン ブ ル ク修 道 院 の オ ッ トフ リ ー ト(Otfried Wei〓enburg)に
ル マ ン 語 の 長 母 音 がAhd.
能 な 母 音 に 及 ん だ が,Obd.で
成 立 し た,ア レ マ ン語 に よ る 『ベ ネ デ ィ ク ト あ る.830年
紀 に は,ゲ
例)got.her:ahd.hiar"hier",got.bropar:
イ ヒ ェ ナ ウ(Rei
修 道 会 会 則 』(Benediktinerregel)が
前 で はgerm.au>ahd.
ahd.lamb"Lamm":lembir(pl.)"Lammer"
ル フ ァ ベ ッ ト順 に 配 列 され た 一 種
の ラ テ ン 語 ・ ドイ ツ 語 類 義 語 辞 典 で,最
音 お よ びhの
な っ た.
母 音 化 し てgerm.ai
変 化 が 起 こ っ た.
ま た,8,9世
成 立 し た 『ア ブ ロ ガ ン ス 』(Abrogans)
で あ る.こ
前 で は,単
germ.e2:ahd.ia,ie,germ,o:ahd.ua,uo
生ま
代 と と もに さま ざ ま な 意 味 の展 開 をみ せ る の で あ る.
ル マ ン語 の 二 重
で 二 重 母 音 化 し た.
に お い て は,も っ ぱ ら 言 語 に
つ い て 用 い た こ の 語 は,11世
紀 以 降,ゲ
れ ぞ れ,Ahd.のei,ouに
ahd.mer"mehr",got.augo:ahd.ouga "Auge" ,got.auso:ahd.ora"Ohr"
が て,こ
の ラ テ ン 語 と 音 形 の 酷 似 す るAhd.形diutiscが
レ
例)got.gaits:ahd.geiz"Geiz",got.maiza: 用い
紀 以 降,theodisceに
れ る こ と に な る.Ahd.期
>ahd.e,歯
ル マ ン 語*peudisk
語 化 さ れ た 形 で あ る.9世
バ イ エ ル ン/ア
got.giban―frank.geban―bair.kepan
oの
以 上 前(786年)に,
副 詞 形theodisceが
ら れ て い る .theodiscusは,ゲ (*peudo"Volk"「
ン ク ト・
Labeo)の
〔フ ラ ン ケ ン
マ ン 語 〕peran,
た だ し,h,w,rの
頃,ザ
ガ レ ン の ノ ー トカ ー ・ラ ー ベ オ(Notker
変 わ っ た.
〔ゴ ー ト語 〕bairan―frank.
母 音ai,auは,そ
語 義,由
経 て,Ahd.
声 閉 鎖 音p,t,kに
母 音 組 織 に つ い て は,7世
こ で,deutsch(ド
音 ・
擦 音pf,
ル マ ン語 の 有 声 摩 擦
語 〕beran―bair./alemann.〔
ん で キ リス ト教 関 係 書
の ド イ ツ 語 訳 に 従 事 し た.
た,ゲ
声 閉 鎖 音b,d,gを
に,Obd.で)無
例)got.
衆 語 で 説 教 す る よ う に命 じた. この 民 衆 語 奨
励 に 応 じ て,聖
で は(特
頭 音,鼻
れ ぞ れ,破
彙 の キ リ ス ト教 化 と 接 尾
‐heit,‐scaf(t)"‐schaft",‐tuom"‐tum"な
どに
象 名 詞の 形 成 で あ る .
借 用 語 に つ い て は,キ
リス ト教 の 布 教 や,ロ
ーマ人
の 技 術 文 化 に 関 係 し た も の が 多 い. Kirche「
教 会 」,Kloster「
修 道 院 」,Messe「
ミ
サ 」,predigen「 Fenster「
説 教 す る 」,Mauer「
窓 」,schreiben「
校 」,Tinte「 2‐a)中 は,通
壁 」,
書 く」,Schule「
イ ン ク」,な
期(約1050∼1170年),盛
1250年),後
短 母 音
た め に,た と え ば,ア
レク サ ン ダー 大 王 の 遠 征 を歌 っ た
司 祭 ラ ン プ レ ヒ ト(Pfaffe
Lamprecht)の
『ア レ ク
サ ン ダ ー の 歌 』(Alexanderlied,1140/50年
頃)の
よ
う な 世 俗 的 な 題 材 も と り あ げ る よ う に な っ た.し
か
職 者 階級 だ け で は 多様 な世 俗的 な テー マ に応 じ
き れ な く な り,世 俗 人 の 中 か ら遍 歴 楽 人(Spielmann) が 現 わ れ,新
しい 文 学 の 担 い 手 と し て 活 躍 す る が,彼
紀 後 半 か ら13世
紀 前 半 は 騎 士 階 級 の 全 盛 期 で,と
け 宮 廷 文 学 は 開 花 期 を 迎 え,騎 人 が 輩 出 し た.の
ン(Hartmann
りわ
17個
von
Aue),ヴ
Stra〓burg)や,叙
の 活 躍 に よ っ て,ド
の 黄 金 時 代 が 現 出 す る.宮 ン ス に 求 め た.ゲ
3種
ォ ル フ ラ ム(Wolfram
von
をフラ
頃)に
廷 で も 自 ら の 作 品 が 理 解 さ れ,歓
迎 され る よ う,方
の 特 異 性 を で き る だ け 除 去 し,超
地 域的 な一 種 の共 通
わゆ が生
も に 衰 退 の 一 途 を 辿 り,つ
Dichtersprache)」
こ れ ら は,そ 様 に[y:]と
練 され た 文 体 と 語 彙 廷社会に
る.ま
た,マ
Eckhart)ら
化 す る 試 み は,ド
代 記 な ど,ド
Mhd.の Mhd.の
た,Mhd.に
イ ツ語 の 歴 史 に 登 場す
著 し い 相 違 と し て,母 期 のAhd.と
可 知 な もの を言 語
観 察 で き る.新 b,d,gに
ず 音 韻 面 で は,Ahd.と
― v,h―chの
音 音素の増加をあげる 盛 期 のMhd.の
母音
声的 に
末 音 な い し音 節 あ る.語
末音
無 声 化 して
と え ば,lop"Lob"―
格),vriunt"Freund"―vriundes
高 ド イ ツ 語 で は,正
統 一 し て い る が,発
あ る(Lob[〓]―Lobes[〓]).こ
こ と が で き る.中
は,音
,tac"Tag"―tages"Tages",gelouben "glauben"―geloupte"glaubt e"の 主格 や 過 去 形 に
イ ツ語 の 学 術語 に寄与 す る と ころ大
言 語 的 特 徴 は,ま
は一
が あ る.
な る 現 象 で,た
lobes"Lobes"(属 "Freundes"
で あ っ た.
のe音
あ る い は 硬 音 の 前 の 音 節 末 音 のb,d,gが
イ ス タ ー ・エ ッ ク ハ ル ト(Meister 神 秘 主 義 者 に よ る,不
発 音 され る.ま
末 音 の 無 声 化(Auslautverhartung)が
p,t,kに
イ ツ 語 独 自 の 実 用 的 散 文 が,ド
ウ ム ラ ウ ト/酉/(/iu/〉/IU/>/琶/)
子 音 組 織 に お け る 顕 著 な 変 化 に,語
士階級の没落 とと
用 文 書,年
由 来 す る 二 重 母 音ahd./iu/が
れ ぞ れ 由 来 を 異 に す る が,Mhd.で
異 な った6種
い に統 一 語 に至 る こ とは な
教 文,公
由 来 す るahd./u/
ahd.liut,liuti(pl.):mhd.(liiite>)liute "Leute"
か っ た. 後 期 に な る と,説
ゲル マ ン語 〕/u/に
ⅲ )ah(1./iu/の
ア レマ ン 語 と 東
準 語 と な る 萌 芽 を 秘 め な が ら,宮
の
(ich)biutu"biete"
言
る 「宮 廷 的 詩 人 語(hofische
限 定 さ れ た 身 分 語 で あ っ た の で,騎
は,次
(germ.*beudu‐)ahd.(ih)biutu:mhd.
この 宮
フ ラ ン ケ ン 語 を ベ ー ス と し て 磨 き 上 げ ら れ た,い
を も ち,標
を数 え るに
あ る.
ⅱ )germ./eu/に
も
人 た ち は,ど
ま れ た . こ の 宮 廷 的 詩 人 語 は,洗
期 に は24個 除 く).mhd.iuに
長 母 音 化 し た/u/.
フ ラ ン ス 語 の 影 響 が み ら れ る.詩
語 に よ る 詩 作 を志 し た . こ う し て,北
の数は
音 の 独 立 に よ って 母音 音 素
(germ.*hnsa‐)ahd.hus,husir(pl.)>
ル マ ンの 伝 説 に 材 を と った英 雄 叙 事
『ク ー ドル ン 』(Kudrun,1230/40年
の 後,異
重 母 音/iu/を
の/u/が
紀 後 半 に は,/e/(閉
区 別 さ れ る よ う に な り,そ
hiusir:mhd,hus"Haus",hiuser(pl.) "Hauser"
『ニ ー ベ ル ン ゲ ン の 歌 』(Nibelungenlied,1200年
頃)や
に な っ た.そ
音音
の ウ ム ラ ウ ト/u/.
イ ツ文 学 最初
廷 文 学 の 多 く は,範
音)が
ⅰ )germ.〔 von
情 詩 人 ヴ ァ ル タ ー(Walther
Vogelweide)ら
紀 前 半 ま で は,母
で あ っ た が,す で に8世
至 っ た(二
大 叙 事 詩 人 ハ ル トマ
ッ トフ リ ー ト(Gottfried
な わ ち,8世
数 は さ ら に 増 加 し,Mhd.盛
ち,都 市 の 勃 興 に 伴 い,市 民 出 身 の 詩
Eschenbach),ゴ
期,す
音)と/e/(開
士 階級 か らす ぐれ た 詩
人 も こ れ に 加 わ る こ と に な る.三
Ahd.初
素 は16個
ら の 作 品 は 文 学 的 価 値 の 高 い も の で は な か っ た.12世
詩
二 重母 音
の 名 残 を と ど め て い る が,
職 者 た ち は 新 しい 情 勢 に 対 処 す る
der
長 母 音
に 区分 され
12世 紀 に 入 る と,聖
von
高 ドイ ツ語(中 期)と 中 高 ドイ ツ語 (盛 期)の 母音 音 素
期(約1170∼
期(約1250∼1350年)の3期
る . 初 期 の 前 半 はAhd.期
と お り で あ る.
<表8>古
ど.
高 ドイ ツ 語(約1050∼1350年)Mhd.
例,初
し,聖
組 織 は,表8の
学
Mhd.に
書 法 上,表
記 を
音 は,[p][t][k]で の ほ か,f
交 替 も あ る. は 黙 字 は な く,hを
こ と は な い.hは,語
延 音 記 号 と して 用 い る
頭 音 な い し 音 節 頭 音 で はNhd.
と 同 じ く有 声 気 音 で あ る が,語 /t//s/の
末 ・音 節 末 音,ま
前 で は 摩 擦 音/x/で
形 態 面 で は,語
は 別 の,独 立 し た 言 語 と し て 扱 う の が 適 当 で あ ろ う(→ 古 サ ク ソ ン 語).第2期
あ る.
尾 の 弱 化 に 伴 い,屈
失 わ れ た た め,冠
たは
が い え る が,ハ
折語尾の機能が
し て い っ たMnd.は,文
詞 や 代 名 詞 へ の依 存 が 強 ま った . 具
格 は ほ と ん ど消 滅 し て,前
のMnd.に
置 詞 句 に よ って 代 替 され る
つ い て も同 じ こ と
ン ザ の 没 落 後 は,急
中 低 ドイ ツ 語(Mnd.)は,初 よ う に,ラ
テ ン語 の 模 倣 に 終
始 す る こ と が な く な っ た.語
順 は,Nhd.に
か な り 制 約 は ゆ る や か で,接
続 詞 な し に従属 関 係 が つ
く ら れ る こ と も多 い.ま
年),盛 期(約1350年
比 べ れ ば,
た,性,数,格,人
称 の 不一
定 が 重 複 し て も,相
殺 され て
致 は め ず ら し く な い.否
傾斜
中 世 オ ラ ン ダ 語 と は 著 し く事 情 を 異 に す る.
よ う に な っ た. 統 語 面 で は,Ahd.の
速 にHd.に
章 語 として 独 自の 道 を 歩 ん だ
年)の3期
期(約1200年
∼1500年),後
∼1350
期(約1500年
∼1650
に 区 分 さ れ る.And.とMnd.の
は,文
献 上,約150年
And.の
文 献 は,ほ
あいだに
も の 空 白 が あ り,12世
紀 に は,
とん ど伝 え られ て い ない .オ ス トフ
ァ ー レ ン 出 身 の ア イ ケ ・ フ ォ ン ・ レ プ ゴ ー(Eike Repgow)私
肯 定 に な る こ と は な い.
von
撰 の 『ザ ク セ ン シ ュ ピ ー ゲ ル 』(Sach
ラ ン ス 語 か ら騎 士 文 化 に か
senspiegel,1221‐24年)が,ド
か わ る 多 く の 語 を 借 用 し た .そ の 大 部 分 は 消 滅 し た が,
書 と し て 重 要 で あ る.私
Abenteuer「
だ け で な く,オ ラ ン ダ や ポ ー ラ ン ド の 法 書 の 範 と な り,
語 彙 の 面 に お い て は,フ
冒 険 」,Lanze「
「ダ ン ス 」,Turnier「
槍 」,Preis「
試 合 」 な ど は,現
賞 」,Tanz
在 で も使用 さ
も,当
時,フ
ラ ン ス 語 か ら 借 用 さ れ た.ま
義 者 に よ っ て 造 成 さ れ た 抽 象 語 は,哲
た,神
ま た,各
れ て い る . 今 日 き わ め て 生 産 的 な 接 尾 辞‐ei,‐ieren 秘主
学 用 語 の基 礎 と
Nd.の
さ て,こ
こ で,同
時 代 の
れ た 東 方 植 民 に よ り,ま
常,次
の3期
∼1200年:古
か し,拡
deutsch,And.) ⅱ )約1200年
∼1650年:中
時 代 区 分 に な ら った もの で あ
はAltsachsisch(古
ク ソ ン語)の 別 称 で,古
ザ クセ ン語 ま た は 古 サ
英 語,古
北 海 ゲ ル マ ン語 に 属 し,Hd.と
オ ラ ン ダ 語 と 同 じ く, は,系
統 的 に 隔 た りの
あ る 言 語 で あ る(図1参
照).「 低 地 ドイ ツ 語 」 と い う概
念 が 現 わ れ る の は15世
紀 で あ る が,当
部 族 名(Sassen=Sachsen)に よ ば れ て い た.す
(低 地 ザ ク セ ン 語)の
時,一
な わ ち,Niedersachsisch
準 的 なHd,に
特 徴 に よ る とす る 説(し
Plat 'verstandlich'「
分 か りや す い,平
す る とす る 説 な ど,諸
ま り,
比 し て 「素
し ば し ば 蔑 語 的 ニ ュ ア ン ス を 帯 び る),オ
Platt(deutsch)は,話
な わ ち,古
紀 半 ば か ら15世
さ れ た.次
な わ ち,
し 手 の 意 識 の 上 か ら も,ド
サ ク ソ ン語 は,む
イ の
し ろ ドイ ツ 語 と
に法 律 心地
う し て,14世
紀 に か け て,方 言 色 を 残 し た 方 言 的 文 ュー ベ ッ クを 中心 に形 成
ⅰ )動
に,形 態 上 の 特 徴 を い く つ か あ げ て お こ う. 詞 の 直 説 法 現 在1・2・3人
称 の 複 数 語 尾 は,
‐enに 統 一 さ れ て い る(wi/gi/se maken,geven "geben") .こ れ は,東 低 地 ドイ ツ 語 地 域 の 特 徴 で,西
ⅱ )過
一 語 尾 は‐etで
あ る い はe‐ ⅲ )人
方,ge‐
称 代 名 詞 の1人
ⅳ )人
を も た な い か,
称 複 数 の 与 ・対 格 は,uns(他
多 い)で
称 代 名 詞 の1人
あ る.
称 単 数 の 与 ・対 格 は,mi(オ
ス トフ ァ ー レ ン 語 で は,mik/mek)で 数 もdi(オ Mnd.盛
物語
を もつ(例:
の 場 合 が あ る.
方 言 で は,usが
あ る.
去 分 詞 は,文 章 語 で は 接 頭 辞ge‐
gemaket,gegeven)が,他
明 な」 に 由来
説 が あ る .Nnd.す
章語 を必 要
期 に 至 っ て,中
移 っ た.こ
章 語(Schriftdialekt)が,リ
た が っ て, ラ ン ダ語 の
ツ 語 の 三 大 方 言 群 の 一 つ と し て 扱 わ れ る が,第1期 And.,す
は リ ュ ー ベ ッ ク(Lubeck)に
い う 呼 称 に と っ て 代 わ ら れ る が,
意 味 に つ い て は,「 平 坦 な(土 地)」,つ
最
ンザ都 市 間 の コ
ス ト フ ァ ー レ ン 語 が,特
低 地 ドイ ツ 語 地 域 で は,統
こ と で あ る.Sasseschは,17世
「低 地 の 」 こ と ば と す る 説,標 朴 で 粗 野 な 」Nd.の
ッ
期 に は,オ
語 の 分 野 で 影 響 力 を も っ た が,盛
般 に は,
よ っ てSassesch(サ
部
子 音 推 移 の 波 は,Mnd.の
ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 容 易 に す る た め に,文
低 ドイ ツ 語(Neunieder
と し た.初
紀 後 半 以 降,Plattと
リ ジ ア 語 を 圧 迫 し た.し 干 の 失 地 も あ っ た.上
ハ ン ザ の 商 業 語 で あ るMnd.は,ハ
∼ 現 代:新
こ の 区 分 は,Hd.の
セ ン語)と
部 で は,フ
地 一 方 で は な く,若
盛 期 に お い て も北 上 を や め る こ と は な か っ た.
低 ド イ ツ 語(Mittel
deutsch,Nnd.)
る.And.
ルベ 川 以 東 のス ラ ヴ語 地 外 に と ど ま っ た の は,わ
プ ロ イ セ ン の ドイ ツ 騎 士 団 の 移 住 地 に す ぎ
ドイ ツ に は じ ま る 第2次
niederdeutsch,Mnd.) ⅲ )約1650年
紀 のハ ンザ の 繁 方 へ と言 語 圏 を 拡
う して,エ
な い . さ ら に,西 低 ドイ ツ 語(Altnieder
た,14,15世 た 西 方 へ,北
圏 内 に 入 り,圏
ず か に,東
に 区 分 さ れ る.
ⅰ )約800年
plattの
方 へ,ま
域 がNd.の
状 況 に 目 を 転 ず る こ と に し た い.Nd.は,通
イ ツ
紀 か ら14世 紀 に か け て 盛 ん に 行 な わ
大 し て い っ た.こ 低 ドイ ツ 語
法 な が ら権 威 を も ち,ド
地 の 都 市 法 に も大 き な 影 響 を 与 え た.
Mnd.は,12世
栄 に 伴 い,東
な っ た. 2‐b)中
イ ツ 語 に よる最 初 の法
あ り,2人
ス ト フ ァ ー レ ン 語 で は,dik/dek)で 期 の 主 要 作 品 と し て は,作
『狐 ラ イ ン ケ 』(Reinke
de
称単 あ る.
者不 詳 の韻 文 の
vos)が
あ る.1498
年,リ ュ ー ベ ックで 初 版 が 刊 行 され た.Nd. 訳 の 最 初 の 聖書 は,1478年,ケ
ル ンで 出版 された が,1494年
に
に さ れ た. ル タ ー は,「 ザ ク セ ン の 官 庁 に 従 っ て 」,す な わ ち,
印 刷 され た,い わ ゆ る 『リ ュー ベ ッ ク聖 書 』(Lubecker
マ イ セ ン ・ ドイ ツ 語 を 用 い て,聖
Bibel)は,「 北 ドイ ツ の 印刷 技 術 の 生 んだ 傑 作 」(シ ュ
事 した が,彼
の ド イ ツ 語 は,民
タム ラ ーW.Stammler)と
鮮 に な り,一
般 に も親 し ま れ や す か っ た の で,広
た た え られ た.
16世 紀 に 入 る と,ハ ン ザ は衰 退 の 一 途 を た ど り, Mnd.の た.ハ
商 業 語 も国際 舞 台 か ら退 場 せ ざ る を え な か っ ンザ 都 市 の 中心 は,リ ュー ベ ッ クか らハ ンブ ル
クへ 移 った が,Mnd.の
文 章語 を 支 え て き た 諸 官 庁
は,次 第 に官 用 語 と してHd.を
採 用 す る こ とが 多 く
れ た.い
期 新 高 ドイ ツ語(約1350年
市 の 興 隆,第2段
に,新
に は,旧
階 に入 った東 方 植 民,大 学 の 創 設,
タ ー 聖 書 は,西
へ,北
へ,そ
南 部 へ 浸 透 し て い っ た.ル
と し て,ク
ル(J.G.Schottel(ius))も
の も と に,共 通 文 章 語 へ の 道が 拓 かれ て い く,種 々の
高 く 評 価 し て い る.シ
可 能 性 を秘 めたFnhd.期
(Teutsche
Arbeit
的 著 作 で あ る.
業語 を 中心 とす るMnd.の
の共通文章
タ ー の言 語 を
ョ ッテル の
『ドイ ツ 語 法 』
SprachKunst,1641年),『
(Ausfuhrliche
印刷 業 者,宗 教 改 革 者,人 文主 義 者,文 法 家 た ちで あ
ドイ ツ に は,ハ ンザ 都 市 の 商
法 書(1578年)
ま た,ル
Sprache,1663年)は,Fnhd.期
っ た.中 世 後 期 に,ド イ ツ語 圏 に は,3つ
一的
紀 最大 の 文 法 家 とい わ れ る シ ョ ッテ
れ る.文 化 の担 い 手 は,市 民 階級,と りわ け,手 工 業 者,
語 が あ っ た. 第1に,北
後 に カ ト リ ック の
ラ ー ユ ス(J.Clajus)は,文
宗 教 改 革 と人 文 主 義 等 々,新 しい 社 会 的,文 化 的 状 況
して 注 目 さ
し て,最
タ ー の ド イ ツ 語 が,統
ター の ドイ ツ語 を ドイ ツ語 の 模範
を 著 し た が,17世
は,単 な る過 渡期 で は な く,
あ
章 語 の 地 な ら し の た め に 果 た し た 役 割 は,
諸 官 庁 にお け る ドイ ツ語 使 用の 増 加,印 刷 術 の 発 明,
ま った く独 自 の語 期(Sprachperiode)と
く歓
約 聖 書 が 直 接 原 典 か ら翻 訳 さ
約 ・新 約 全 聖 書 が 完 訳 され た . ル
き わ め て 大 き い.ル
∼1650年)都
衆語 に よ って 表 現 が新
わ ゆ る 『九 月 聖 書 』(Septemberbibel)で
る .1534年
なNhd.文
な った. 3)初
迎 され た.1522年
書 の ドイ ツ 語 訳 に 従
以 下 に,Fnhd.の Fnhd.の
von
der
ドイ ツ語 詳 説 』 Teutschen
Haubt
の掉 尾 を 飾 る 記 念 碑
言 語 特 徴 を 述 べ る.
前 期(約1350年
∼1500年)に
は,Mhd.
が 色 濃 く名 残 を と ど め て お り,後 期(約1500年
文 章語 が あ り,第2に,東
中部 ドイ ツ に は,東 方 政 策 に よっ て,13世 紀 以 来,マ
年)は,ル
∼1650
タ ー の ドイ ツ 語 に よ っ て 代 表 さ れ る.
イ セ ン ・上部 ザ ク セ ン地 域 には,入 植 者 の 方 言 が 混 じ
音 韻 面 で は,特 に 母 音 組 織 に 顕 著 な 変 化 が み ら れ る.
り合 っ て,一 種 の平 均 的 ドイ ツ語 が生 まれ て い た.こ
(Fnhd.の
れ は さ ら に,エ ア フル ト(Erfurt)を 中心 に形 成 され た
の で,Nhd.の
テ ユー リ ンゲ ン ・上 部 ザ ク セ ン地 域 の商 業 語 兼 通 用 語
主 な 特 徴 は,そ
の ま ま,Nhd.に
通 用す る
例 を 用 い る).
ⅰ )Mhd.の
二 重 母 音ie,uo,ueは,単
母音化 し
を 併 せ て,「 東 中部 ドイ ツ文 章語 」 が成 立 した.第3
て 長 母 音i,u,uに
な り,逆
は,上 部 ドイ ツ 語地 域 に,皇 帝 庁 の ドイ ツ語 を範 と し
i,u,iu[y:]は,二
重 母 音 化 し て,ei,au,eu/
て 成立 した 上 部 ドイ ツ文 章 語,い わ ゆ る 「 共 通 ドイ ツ
auに
語(das
mhd.lieben
Gemeine
Teutsch)」
で あ る.低 地 ドイ ツ語
の文 章語 は,ハ ンザ の衰 微 と ともに,統 一 的 な共 通 語 の 指 導 権争 い か ら脱 落 し,東 中部 ドイ ツ文 章語 が 低 地 ド
mhd.min 〓
イ ツ 語 地 域 を も支 配 した .一 方,16世 紀 に は,ス イ ス
Haus「
レマ
ⅱ )開
guoten
hus>nhd.mein
音 節 の,ア
mhd.sagen>nhd.sagen「
賞 賛」
は,e,iが
統 一 的 な 標 準 語 が 成 立 す る.標 準 語 の 母 胎 とな った の は,従 来,東 中部 ドイ ツ語 で あ った と説 か れ て きた が,
mhd.finf>nhd.funf「5」
1960年 代 以 降,都 市 の 記 録文 書 の精 細 な 研 究 に よ っ
子 音 組 織 で は,次
て,東 中 部 ドイ ツ語 だ け で な く,上 部 ドイ ツ語 地 域 を
ⅰ )流
円 唇 化 し て,o,uに
の 特 徴 が 認 め ら れ る.
音 の あ との 音 節 頭 音h,uの
含 めた,諸 官 庁 を中 心 とす る地 方 的 共 通 語 が互 い に 影 響 し合 って,均 一化 の過 程 を た どる 中 で,統 一 的 な 共
mhd.schouwen>nhd.schauen「
通 語 が成 立 した こ と,し か も,均 一 化 は,話
mhd.bevelhen>fnhd.bevelen>nhd.(延 音 符hが
な っ た.
地獄」
音wが
で は な く,文 章 語 の レベ ルで 行 な わ れ た こ とが 明 らか
音化
言 う」
mhd.lop>nhd.Lob「
mhd.helle>nhd.Holle「
し こ とば
neues
ク セ ン トの あ る 短 母 音 は,延
ン語 の 共 通 文 章 語 が 生 ま れ たが,17世 紀 の あ い だ に,
ⅲ )Obd.で
gute
私 の新 しい家 」
上 部 ドイ ツ文 章 語 に吸 収 され,ド イ ツ語 は,東 中 部 ド
に入 る.そ して,18世 紀 末 か ら19世 紀 初 め に か け て,
brueder>nhd.liebe
愛 す る よ き兄弟 た ち」
し た.
イ ツ文 章 語 と上 部 ドイ ツ文 章語 の 対 立 の ま ま,18世 紀
長母音
な っ た.
Bruder「
に,同 地 の 印 刷 業 者 の バ ックア ップ に よ って,ア
に,Mhd.の
あ との 音 節 頭
脱 落 した.
加 わ り)befehlen「
見 る」
委 ね る」
ⅱ )dとtが
しば しば交 替 し た.
も,18世
deutsch:teutsch ⅲ )語
中 音,語
末 音 の 同 化 現 象.
形 態 面 で は,次
子羊」
の 特 徴 が 認 め ら れ る.
変 化 動 詞 の 過 去 時 制 の 単 数 と複 数 が 同 一 の 幹
ⅱ )現
half,wir
half,wir
hulfen
halfen
ー
る 古 典 派 や,こ
ラ ー(Fr.Schiller)を
で は4つ
ある
を 中 心 と し て,ド
は 未 曾 有 の 黄 金 時 代 を 迎 え た が,文
の 変 化 体 系 が あ り,地
域的 に
異 な る.
え ら れ て,広
育,交
ヤ ー コ プ ・グ リム(Jacob
Grimm)に
1世 紀 余 の 歳 月 を 経 て,1960年 (Deutsches
の 聖 書 の 翻 訳 と並 ぶ 壮 挙 で あ る.
は,ウ
統 語 面 で は,ラ
の 体 系 に 統 合 さ れ た)
テ ン 語 の 影 響 に よ り,論
16世 紀 以 来,定
動 詞 の 位 置,特
に,従
属 文 に お け る定
動 詞 の 後 置 が 固 定 化 し た. 語 彙 面 で は,外
来 語 の 流 行 と,こ
れ を阻 止 す るた め
の 国 語 浄 化 運 動 が 特 徴 的 で あ る.1617年,ヴ 設 立 され た
ァイ マ ル 称,棕
Gesellschaft
に は,高
oder
名 な詩人 や 文 法 家 た ち
が 会 員 と して名 を 連 ねて い る. ∼ 現 代)
17世 紀 以
範 文 法 を 求 め て努 力 を重 ね て き
紀 に 入 る と,語 学 界 の 大 御 所 ゴ ッ ト シ ェ ー ト
(Joh.Chr.Gottsched)と Adelung)が,指
ア ー デ ル ン グ(Joh.Chr. 導 的 役 割 を 演 じ た.名
詞 をHauptwort(主
解 す る彼 らの
ら は,上
部 ザ クセ ン
衆 語 を純正 で な い もの
と し て し り ぞ け た の で,ル タ ー に よ っ て 拓 か れ た 道 が, 一 時 的 に 閉 ざ さ れ る 結 果 に な っ た .し ェ ー ト と そ の 一 派 が,規
か し,ゴ
ッ トシ
範 文 法 へ の 努 力 を 通 して,明
晰 な 文 体 の 建 設 に 多 大 の 寄 与 を し た こ と は,否 な い . そ の み ご と な 開 花 を,啓 レ ッ シ ン グ(G.E.Lessing)に 17,18世
で は,フ
事,建
築,服
に,
み る こ とが で き る.
装,料
会 万 般 にわ た
理,流
行等の分野
ラ ンス 語 系 の外 来 語 が 氾 濫 した . この よ うな
外 来 語 の 洪 水 に 対 す る 抵 抗 は,国 語 浄 化 運 動(Sprach purismus)に
発 展 し,19世
1901年
紀 ま で つ づ い た が,中
紀 初 め にか 源
ウ マ ー(R.von
主 張 す る慣 用 重 視 の 正 書 法 が 勝 利 を 占 め,
に ベ ル リ ン で 開 か れ た 第2回
正書法会議の成果
ン ラ ー ト ・ ド ゥー デ ン(K.Duden)の
『正 書 法 辞 典 』(Orthographisches が 出 版 さ れ た.オ
Worterbuch,1902)
ー ス ト リ ア,ス
に 同 調 し た の で,ド
イ ス も,こ
イ ツ 語 圏 全 域 に,統
が 行 な わ れ る よ う に な っ た.ド
シ ェ ー ト以 来,一
の正書法
一 的な正書法
ゥー デ ン の 正 書 法 は, りわ け,ゴ
ッ ト
般的 に な った 名 詞 の 大文 字 書 きに 対
す る 風 当 た り は 強 か っ た.し 書 法 改 革 に 関 す る,い
か し,第2次
大 戦 後,正
わ ゆ る 「ヴ ィ ー ス バ ー デ ン 勧 告
Empfehlungen,1958)」
を は じめ
と す る 再 三 の 改 革 案 に も か か わ ら ず,ド 国 の 歩 調 が 揃 わ ず,い
イ ツ 語 圏4か
ま だ に名 詞 の 小 文 字 書 きは 実 現
す る に 至 っ て い な い. 発 音 の 統 一 も,19世 年,フ
典 』(Deutsches
の
紀 以 来,よ
う や く機 が 熟 し,1885
ィ ー エ トル(W.Vietor)の
『ドイ ツ 語 発 音 辞
Aussprache‐Worterbuch)が
づ い て,1898年
に,ジ
刊行
ー プ ス(Th.Siebs)
『ド イ ツ 語 舞 台 発 音 』(Deutsche Buhnenaus
sprache)が
出 版 さ れ た.こ
重 視 す る も の で あ っ た が,低
れ は,舞
い 傾 斜 が 特 徴 と な っ て い る.フ 記 号 を 用 い た の に 対 し,ジ
台 俳 優 の発 音 を
地 ドイ ツ 語 の 発 音 へ の 強 ィ ー エ トル が 国 際 音 声
ー プ ス は,方
に 用 い ら れ る 記 号 を 用 い る な ど,学
言の音声記述
問 的 に は,フ
エ トル が す ぐ れ て い た に も か か わ ら ず,学 で
ター
書 法 は,語
を 重 視 す る 歴 史 的 正 書 法 に 対 し て,ラ
さ れ,つ
定 でき
蒙 主 義 者 た ち,特
紀 の フ ラ ン ス 語 の 影 響 は,社 に,軍
紀 末 か ら20世
う や く実 現 の 運 び に な っ た.正
案(Wiesbadener
詞 の 大 文字 書
要 品 詞)と
文 法 観 に 基 づ く も の で あ っ た.彼 語 を 文 章 語 の 模 範 と し た が,民
イ ツ 語 史 上,ル
も ち ろ ん 数 々 の 矛 盾 を 含 ん で お り,と
高 ドイ ツ 語(約1650年 法 家 た ち は,規
け て,よ
に 基 づ き,コ
「実 り を 結 ぶ 会,別
櫚(しろ)の ゆ 会(Fruchtbringende
っ た が,特
は じ ま る ドイ ツ
準 語 の成 立 の た め の必 須 の 条件 と され る正
書 法 と 発 音 の 統 一 は,19世
Raumer)の
に 設 立 さ れ た 一 連 の 言 語 協 会(Sprachgesellschaft)
Palmenorden)」
Worterbuch)は,ド
さて,標 理関係の明
確 さ が 求 め られ る よ う に な っ た . 複 合 文 が 多 用 さ れ,
き は,名
し て,
に完 成 した グ リム辞 典
エ)‐(e)n,‐(e)n,‐(e)n
た.18世
聞 等 に支
一 語 へ の 道 を 着 実 に 進 ん で い く.
ウ)‐(e)n,‐(e)t,‐(e)n
来,文
通,新
語 の 科 学 的 研 究,国 民 の 言 語 意 識 の 高 揚 と あ い ま っ て, ドイ ツ 文 章 語 は,統
4)新
学 を通 して 磨 き上
く 一 般 の 階 層 に 浸 透 し て い っ た.そ
イ)‐(e)n,‐(e)nt,‐(e)nt
(Weimar)に
人,思 イ ツ文 学
つ て の 中高 ドイ ツ語 の 詩 人 語 の
ア)‐(e)nt,‐(e)nt,‐(e)nt
(Nhd.で
代 表 とす
れ に つ づ く ロ マ ン派 の 作 家,詩
よ う に 衰 退 す る こ と は な く,教
3人 称 そ れ ぞ れ は,‐(e)n,‐(e)t,‐(e)ntで
der
ツ 語 の 文 章 語 を 文 化 言 語 の レ ベ ル に 高 め た の は,ゲ
げ ら れ た 文 章 語 は,か
在 人 称 変 化 の 複 数 語 尾 は,Mhd.で,1・2・
が,Fnhd.
イ
想 家 た ち で あ っ た.1800年 助 け る 」:ich
>nhd.ich
作 を 通 じ て, か し,ド
テ(J.W.Goethe),シ
母 音 に な っ た. mhd.helfen「
ン ペ(J.H.Campe)は,著
ドイ ツ 語 の 語 彙 に 大 き な 影 響 を 与 え た.し
mhd.lember>nhd.Lemmer「
ⅰ )強
紀 の 語 彙 を大 辞 典 に ま で ま と め あ げ た ア ー デ
ル ン グ や,カ
ィー
界 にお け る
ジ ー プ ス の 権 威 が,「 舞 台 発 音 」 に よ っ て 発 音 の 規 範
を つ く り 上 げ た.ジ
ー プ ス の 発 音 辞 典 は,そ
の 後,た
2.2. ―(eds.)(1983),Duden.Deutsches
び た び 版 を 改 め,「 舞 台 発 音 」 の タ イ トル も 削 ら れ た .
Universalworterbuch(Bibliographisches
シ ュ テ ッ ツ ァ ー(U.Stotzer)を
tut,Mannheim/Wien/Zurich)―3段
代 表 と す る 東 ドイ ツ
の 研 究 グ ル ー プ に よ る 新 し い 発 音 辞 典 は,社 的 立 場 に 立 っ て,慣
会言語学
用 に規 準 を 求 め て い る.ま
範 性 を 重 ん ず る ド ゥ ー デ ン の 発 音 辞 典 も,改 っ て,慣
た,規
西 両 ドイ ツ,オ
の ドイ ツ 語 は,そ
れ ぞ れ の 標 準 語 を も っ て お り,微
ー ス ト リア,ス
イス 妙
の ドイ ツ の ドイ ツ 語 は,統
語 面 で は ほ と ん ど 変 わ ら な い が,語
彙 面 で は,政
治体
ドイ ツ で は,「 政 治 的 広 報 活 動 」 を 意 味 し,ポ
ン ビ ナ ー ト)な
Verlags‐Anstalt,Wies
baden/Stuttgart)―
き.文
全6巻,5,121ペ
語 . う ち,外
以 来,版
Worterbuch 組 み,1,493ペ を 重 ね(1980年
は,Bertelsmann,Gutersloh),3.1.の
ベー スにな
語 が 豊 富 で あ る.
4.1. Springer,O.(ed.)(1974‐75),Langenscheidts
und
deutschen
und
D.Sanders,2.Teil:Deutsch‐Englisch
nautと
ドイ ツ で は,ロ
い うが,と
な お,東
シ ア 語 に な ら っ て,Kosmo
も に ギ リ シ ア 語 系 の 語 で あ る.
西2つ
の ドイ ツ が 誕 生 し,言
分 が 消 滅 し た1945年
Ⅰ)現
期の
1.1. Klappenbach,R.und
W
(1964‐77),Worterbuch
Gro〓worterbuch deutschen
der
Verlag,Ost‐Berlin)― 出 し語,約10万
.Steinitz(eds.)
englischen
Kleine
deutschen
Gegenwartssprache 東 京)―2,882ペ
ー ジ.見
家 賞 を 受 賞.語
彙の細かい
の 辞 書 に も 影 響 を 与 え た.重
Kleines
(Schwann,Dusseldorf)
Ⅱ)語
der
deutschen
Gegenwartssprache
語 . 上 のWDGの
2.1. Drosdowski,G.et
出
簡 約 版. al.(eds.)(1976‐81)
Duden.Das 〓
Worterbuch
Sprache(Bibliographisches /Wien/Zurich)― 語 彙 が 豊 富 で,日
全2巻.見
常 語,専
源 の 記 載 も あ る.
der
,
deutschen
Institut ,Mannheim 全6巻.2,958ペ
ー ジ.
門 語 も多 数 採録 され て い
に, 版
des
,
DDR‐Wortschatzes
東 ドイ ツ の 新 語 』(同 学 社,東
京)
義 の 歴 史 的 変 遷 を 記 述 し た 新 高 ドイ ツ 語 辞 典
1.1. Grimm,J.und
,Handwor
語.特
科 項 目 を 多 く採 録,図
B.Stube‐Edelmann(1980) Worterbuch
7. 根 本 道 也(1981),『
た(例:deutsch).
独 和 大 辞 典 』(小 学 館,
出 し語,約16万
も豊 富 で あ る. 6. Kinne,M.und
版に際
(Akademie‐Verlag,Ost‐Berlin)―
,19972),『 ー ジ.見
し て,特 に,政 治 的 な 観 点 か ら語 義 に 改 変 が 加 え ら れ
1.2. Kempcke,G.(ed.)(1984‐85)
.1.の 簡 約
重 要 語 の 記 述 が 詳 し い.百
全6巻.4,551ペ
に,DDR国
und
Muret‐San‐
ー ジ.
5. 国 松 孝 二 他 編(1985
語 .最 初 の 本 格 的 な 現 代 語 辞 典 と し
文 体 区 分 は,他
る.語
der
Sprache,"Der
補 訂 版.1,296ペ
〔略 称,WDG〕(Akademie
し語,約6万
E .Muret
Berlin/Munchen/Wien/Zurich)―4
代 語 を対 象 とす る一 般 語 義 辞 典
terbuch
englischen
ders",Deutsch‐Englisch(Langenscheidt,
書]
て,1978年
der
4.2. Mensinger,H.(ed.)(1982),Langenscheidts
を も って 言 語 史 の 上 で の新 しい
は じ ま り と み な す 学 者 も い る. [辞
Worterbuch Sprache,Begr.von
― 「独 ・英 の 部 」 全2巻.
語 の 島の 大 部
語 期 , 「現 代 ドイ ツ 語(Gegenwartsdeutsch)」
ー
版 まで の 出版 社
enzyklopadisches
と い い,東
出
源 つ
明 示 し て い る. 3.2. ―(1986),Deutsches
系 の 語 彙 素 か ら な っ て い る の が 特 色 で あ る.「 宇 宙 飛 語 に な ら っ て,Astronaut
語.語
詞 と形 容 詞 の 統 語 関 係 を
行 士 」は,西
ドイ ツ で は,米
ー ジ.見
来 語 約8万
型 番 号 に よ っ て,動
ジ .1966年
典語
Worterbuch(F.A.
Brockhaus/Deutsche
っ た.新
ど,古
al.(eds.)(1980‐84),Brockhaus
然
団),Exponat
圧 縮 した簡
語.一巻 本 の 中 で
Wahrig.Deutsches
(Mosaik,Munchen)―3段
シ ア 語 か ら借 用 され た も の が 少 な く
(陳 列 品),Kombinat(コ
‐
ジ
テ ィ ヴ に 解 され る . 東 ドイ ツ に お け る 外 来 語 は,当
な い が , そ の 多 く は,Kollektiv(集
の1に
っ と も内 容 が充 実 してい る.
し 語,約22万
制 の 違 い か ら,意 味 を 異 に す る こ と が め ず ら し くな い. 一例 を あ げれ ば ,Agitation「 煽 動,ア ジ テー シ ョン」
の こ と な が ら,ロ
内 容 を3分
3.1. Wahrig,G.et
わ け で は な い.東
は,東
は,も
全 な 意味 で統 一 され て い る
な 差 異 を 示 して い る .2つ
ー ジ .2.1.の
約 補 訂 版 . 見 出 し語 数,約12万
版 に あた
用 を顧 慮 し て い る.
ド イ ツ 語 の 標 準 語 は,完
1,504ペ
Insti 組 み,
W.Grimm(1854‐1960),
Deutsches
Worterbuch[DWB)(S.Hirzel,
Leipzig)―
全16巻(=32冊).1977年
にQuellen
verzeichnis
1巻 が 加 わ っ た.通
称,『 グ リ ム 辞 典 』.
グ リ ム 兄 弟 の 生 前 に は,第4巻 で し か 進 ま な か っ た が,遺 継 が れ,立
案 か ら120年
の 印 刷 年 は1960年
の 途 中 のFruchtま
業 は,後
代 の 学 者 に受 け
余 り を 経 て 完 了 し た.最
で あ る が,最
終
終 分 冊(widrig
Wiking)の
配 本 は,1961年1月.最
辞 典 で,16世
紀 以 降 の 高 地 ドイ ツ 語 を 見 出 し語 と し
大 の ドイ ツ 語
て,語
形,語
引 例 は,し
義,用
例 の 変 遷 を 詳 細 に 跡 づ け て い る.
ば し ば 中 世 に 遡 り,そ
随 を ゆ る さ な い.1984年
の豊 富 さは 他 の 追
にペーパ ーバ ックに よる
リ プ リ ン ト版dtv‐Deutsches Jacob
Grimm
und
が 刊 行 さ れ,入
Wilhelm
von
der
DDR
in
der
Wilhelm
von
Worterbuch
Akademie
von
der
Jacob
mit
Wissenschaften
zu
Grimm
以 来,分
東 ドイ ツ,D‐Fを
Ⅴ)語
冊が刊行中であ
西 ドイ ツ が 担 当 し て
,
常 語 的,俗
出 し 語,約12万
語.慣
語 的 表 現 の 集
用 句 の 由 来 や 年
版 は,1,200点
代
に も 上 る.
源 辞 典 W.Mitzka(eds.)(197521),
Etymologisches
西両
Worterbuch
Sprache(de
der
deutschen
Gruyter,Berlin/New
York)
ド イ ツ 語 の も っ と も 代 表 的 な 語 源 辞 書 で,通 Kluge.
称 は,
典 拠 や 文 献 が 示 さ れ て い て 便 利 で あ る.初
版 は,1883年.
い る. 2. Gotze,A.und
W.Mitzka(eds.)(1939‐57),
Trubners
Deutsches
Berlin)―
全8巻.語
者Karl
Trubnerを
半 に は,ナ
拠 を
チ文 献 か ら
名 は,〓
の出版
の 第5版
著.東
ドイ ツ で も,時
に よ り,新
し て,次
刊 が 予 告 さ れ て い る 大 辞 典
York)―
たSchulzの
遺 志 をBaslerが
に は,Mannheimの
O.Springer(eds.)(1988‐), Worterbuch
受 け 継 ぎ,最
終的 fur
と え ば,『 グ リ ム 』 に は,
欠 け て い る が,本
料 目 録,逆
引 辞 典)が 分 冊 の 形 で 刊
も多 く の 外 来 語 が 含 ま れ る が,両 の2書
ドイ ツ
der
(Bibliographisches /Wien/Zurich) 3. Kufner,R.(ed.)(1977,19802),〓
Enzyklopadie",
Sprache,2
Bde.
Institut,Leipzig)
al.(eds.)(1973,19802),Lexikon
Germanistischen
Linguistik〔LGL〕(Niemeyer,
Tubingen) Besch,W.,Knoop,U.,Putschke,W.und
H.E.
Wiegand(eds.)(1982‐83),Dialektologie. Handbuch
zur
deutschen
und
Dialektforschung(=Handbucher zur
allgemeinen Sprachund
Kommunikationswissenschaft,hrsg.von G.Ungeheuer
Institut,Mannheim
deutsche
Bibliographisches
Althaus,H.P.et
が あ る.
2. Drosdowski,G.(ed.)(19824),Duden.Fremdworterbuch
Deutschen(Akademie‐Verlag,
al.(eds.)(1969‐70),"Kleine
(VEB
Ein
行 中 で あ る.
の 手 ご ろ な 外 来 語 辞 典 と し て,次
+
[参 考 文 献] Agricola,E.et
書 のKultur,
項 の 解 説 は 詳 細 を 極 め る).1984年
以 降,第7巻(資
全8巻 ド イ ツ 語 の 語 源 辞 典.
全3巻.
Die
化
来 語 の 手 薄 な グ リム辞 典 を補
う 役 割 を 果 た し て い る(た
des
Ost‐Berlin)―
刊 行 以 来,70
年 を 経 て 完 成 し た . 外 来 語 に 関 す る 言 語 史 的,文
Cultur/Kulturが
Worterbuch
に戦 没 し
ドイ ツ 語 研 究 所(Institut
史 的 資 料 集 と し て,外
Althochdeutschen
5. Pfeifer,W.(ed.)(1989),Etymologisches
Gruyter,
よ り,第1巻
des
(Vandenhoeck,Gottingen)―
全6巻.1915年
Sprache)に
etymologisches
)
Etymologisches
ド イ ツ のH.
Fremdworterbuch(de
と
の も の が あ る.
別 巻 「イ ン デ ッ ク ス 」. 古 高
Berlin/New
Ⅰ .2,Ⅰ.3.に
よ び,近
4. Lloyd,A.L.und
を 同 じ く し て,A.Schirmer お,西
目数
Worterbuch(C.Winter,Heidelberg
O.Basler(eds.)(1913‐83),
Zivilisationの
項
り も 多 い.
版 は,1897年.
来語辞典
deutsche
はKlugeよ
版 が 進 行 中 で あ る.
1. Schulz,H.und Deutsches
Sprache(Bibliographisches
Institut,Mannheim/Wien/Zurich)―
史 的 変 遷 を簡 潔 に 解 説 した名
に よ る 改 訂 版 が 現 わ れ た.な Henneら
deutschen
3. Hiersche,R.(ed.)(1986‐),Deutsches
に 基 づ く改 訂 版.初
語 義 の 本 源 に 遡 り,歴
der
分 冊 刊 行 中,お
記 念 し て 命 名 さ れ た. W.Betz(eds.)(19818)Deutsches
Worterbuch(Niemeyer,Tubingen)― 1935年
al.(eds.)(1963,19892),
Duden.Etymologie.Herkunftsworterbuch
Gruyter,
義 の 歴 史 的 展 開 を,典
の 引 例 も 少 な くな い.書
3. Paul,H.und
2. Drosdowski,G.et
Worterbuch(de
示 し な が ら 説 明 し て い る.前
Ⅲ)外
全8巻.日
1. Kluge,Fr.and
Akademie
部 の 新 訂 版.東
ドイ ツ 協 力 の 下 に,1965年 る.A‐Cを
der
Lexikon
Umgangssprache(Klett
が 記 さ れ て い る.図
der
Institut,
語 辞 典
deutschen
大 成.見
Gottingen,S.Hirzel,
Leipzig)―DWBのA‐Fの
常 語 辞 典,俗
Stuttgart)―
Wissenschaften
Zusammenarbeit
Ⅳ)日
der
Grimm.Neubearbeitung(Hrsg.
Bibliographisches
Kupper,H.(ed.)(1982‐84),Illustriertes
Grimm(33巻)
手 しや す く な っ た.
1.2. Deutsches und
Worterbuch
(VEB Leipzig)
2
Halbbde.〔HSK
New
York)
Fremdworterbuch Besch,W.,Reichmann,O.and
und
H.E.Wiegand,Bd.1), 1〕(de
Gruyter,Berlin/
S.Sonderegger
許 容 さ れ る.
(eds.)(1984‐85),Sprachgeschichte.Ein Handbuch
zur
deutschen
Sprache
Erforschung(=Handbucher
und
zur
und
Sprach‐und
し語 数 は20万
Gruyter,Berlin/New
und
Wortgeschichte,
Gruyter,Berlin/New
(eds.)(1951‐80),Deutscher
エ)前
mologisches
Wortatlas〔D
(1989)は,旧
der
水 社,東
ド イ ツ 語 史 』(白
al.(eds.)(1983),"Kleine
Bibliographisches
Institut,Leipzig)
der
Mundart Laut‐und
deutschen
von
Mundarten.Aus
und
dem
Russischen
う し ょ)ケ ル ト語
ラ テ ィ ア 語,お
1500,Bd.1:
る.ケ
(1969)(E.Schmidt,Berlin) W.Mitzka(eds.)
(1926‐56),Deutscher
は,破 gwhの 独 が 西 独 に 吸 収
し た.言
治 体 制 を 異 に
語 面 で は,影
さ れ る 形 で,
響 の 一 つ と し
した 東 部 の 人 た ち の 語 彙 使 用 の 誤
法 が 承 認
イ ツ 語 を 公 用 語
と す る 国 家 間 で,新
さ れ,1998年8月1日
な っ た.改 今 回 も 見 送
ら れ た.な
し い 正 書
か ら 施 行 さ れ る こ と に
正 は 一 般 に 控 え 目 で,名 お,従
よ び,ブ
コッ ト
リソニ ッ ク リタ
る い は ブ リテ ィ ッ シ ュBritish な わ ち,ウ
ェ ー ル ズ 語,コ
ー ンウォ
括 し て よぶ 名 称 で あ
ル ト語 の 分 類 に は,以 上 の 地 理 的 区 分 の ほ か に,
詞 の 小 文 字 書 き は
来 の 正 書 法 は2005年
ま で
系 列 で あ る.こ
れ ら が,原
の 段 階 で のbに
よ びgwが
経 てgに に,残
は,も
と のbの
合 流 し,有
ほ
声 帯 気 音 は す っか り消失 し
る 口 蓋 唇 音(labiovelar)kWは,や
合 流 す る.一
(allophone,)と
た は
含 ま れ て い る . な お,gwhは,
て 唇 音 の 要 素 を す てkと (c)と
ケ ル ト語(ま
お い て は,(p),t,k,kW;b,d,g
と な っ て い た.こ か に,bhお
た.次
っ と も顕 著 な 存 在
裂 音p,t,k,kw;b,d,g,gw;bh,dh,gh,
共 通 ケ ル ト語)に
ghを
り や 戸 惑 い が あ げ ら れ よ う. 2)ド
イ ル ラ ン ド語,ス
ン 島 語),お
印 欧 祖 語 に お け る 子 音 の 中 で,も
Sprachatlas〔DSA〕,23
記]
ドイ ツ 統 一 が 実 現
な わ ち,ア
イデル
るい は ゲ ー ル
あ る種 の 音 韻 に つ いて も併 せ 考 え る の が常 で あ る.
Lieferungen(Elwert,Marburg)
1)1990年10月3日,東
ー ロ ッ パ 大 陸 の ケ ル ト語 に 対
ー ル 語 ,お よ び,ブ ル ト ン 語)を,一
Bde.+Registerband
ル トイ ベ リ ア
近 で は し ば し ば レ(ー)
き に ブ リ トニ ッ クBrittonic,ブ
と もい う)語 群(す
Stammler,W.(ed.)(1952‐57,1957‐622),Deutsche
Wrede,F.,Martin,B.und
Celtic,
ー ル 語,ケ
よ び,最
ニ ッ クBritannic,あ
im 〓,3
郁 雄)
insulaire
き に ゲ ー リ ッ クGaelic,あ
(Brythonic,と
Sprachgeschichte(E.Schmidt,Berlin)
Philologie
庫 の
リ テ ン 諸 島 に 伝 わ る ゴ イ デ リ ッ ク(ゴ
ラ ン ドゲ ー ル 語,マ bis
英Insular
celtique
嶼 ケ ル ト語 と は,ゴ
語,ガ
と も い う)語 群(す
Philologie
Verlagのdtv文
(橋 本
Goidelic,と
Berlin)
て,政
を 重 ね て い る(1995,19972).
し て,ブ
bearbeitet
Schmitt,L.E.(ed.)(1970),Kurzer 〓
[追
Taschenbuch
ポ ン ト語 を も 含 め た,ヨ
wissenschaftlich
ー ジ)と の縮 刷 版
[ケ ル ト諸 語 の 分 類 と そ の 相 対 的 年 代]
W.Fleischer(Akademie‐Verlag,Ost
germanischen
+1,665ペ お,第2版
一 冊 と し て ,版
島 嶼(と
イツ
発 行 さ れ た.
がDeutscher
1)島
Formenlehre
(Originalausgabe,Moskau,1956) ubersetzt
本(ⅩⅩⅦ
容 に 縮 小 は な い.な
独Inselkeltisch,仏
Schirmunski,V.M.(1962),Deutsche
Bde.
東 独 の イ デ オ ロ ギ ー と は 無 縁 で,ド
Enzyklopadie",
Sprache(VEB
kunde.Vergleichende
導 下 に 成 っ た 《Ety des Deutschen》3
じ出 版 社 か ら 第2版(1993)が
な っ た が,内
京)
Deutsche
の 第22版(1989),
出 し語 数 は 約14,000語.
判 型 の 変 更 に よ っ て2巻
Gruyter,Berlin/New
岩 崎 英 二 郎 他 訳(1974),『
Schildt,J.et
ペ ー ジ
よ る 全 面 的 改 訂 版.
+822.見
Worterbuch
統 一 後,同
Polenz,P.v.(19728,19789),Geschichte
York)―
《Kluge》
掲Ⅴ)5.のW.Pfeifer指
R.Hildebrandt
WA〕,22Bde.(E.Schmitz,〓)
Sprache(de
源辞典
総 ペ ー ジLⅩⅤ
York)
Mitzka,W.,Schmitt,L.E.und
deutschen
よ る 本 格 的 な 改 訂 版.総
第23版(1995)は,E.Seeboldに
H.Rupp(eds.)(Bd.1,Bd.2:
Bde.(de
の 第9版(1992).H.Henne/
ウ)Ⅴ)1:語
Wachholtz,Neumunster)
19743;Bd.3:19783),Deutsche
出
ⅩⅩⅩⅠⅩ +1130.
Literatur,Bd.1:Sprache(K.
Maurer,F.und
ペ ー ジ4,090+ⅩⅩⅣ.見
を 超 え る と い う.
G.Objartelに
Goossens,J.(ed.)(1973,19832),Niederdeutsch.
der
語 ・新 語 義 ・例 解 等 豊 富
イ)Ⅱ)3:《Paul》
Sprache
イ ツ語 大 辞 典 》
で き わ め て 有 用 な 辞 書.総
York)
3
書]Ⅰ)2.1:《Dudenド
の 第2版(1993‐95).全8巻.新
G.
H.E.Wiegand,Bd.2),2
Halbbde.〔HSK2〕(de
要辞 典 の新 しい改 訂 版 な ど
ア)[辞
Kommunikationswissenschaft,hrsg.von Ungeheuer
3)重
ihrer
な り,す
が
方 に お い て,は
で に 存 在 し て い たk じ めkwの
し て 唇 音 的 要 素 が 強 ま り,そ
異 音 の結果生
な っ た(こ
の
過 程 は,『 大 辞 典 』 「大 陸 ケ ル ト語 」 の 項 を 参 照).こ
じ た[p]が,や
が て 別 個 の 音 素/p/と
れ
だ け な ら ば,い
わ ゆ るP‐CelticとQ‐Celtieの
別 に
は 特 別 の 意 味 は な い .ホ ワ ッ トモ ー(J.Whatmough) に よ れ ば,kとpは the
Celtic
Second
International
Studies,University の 区 別 は,一
Congress
of
Wales,
の2つ
lation)に
よ る も の と 考 え られ る か ら で あ る .こ の い わ
ば 物 理 的 現 象 が,ケ
種 の 異 化 作 用(dissimi
に か か わ る と き,q/pの
区 分 は,に
3)上
印 欧 祖 語 〕*kw(*kw)
語 で は,一 般 に/p/と に も,pの
a)原
な る が,事
実 は,ゴ
Calendar),な
余 の も の か ら 分 か れ,イ
し た.こ
ール語の内部
か),こ
り)の よ う だ
あ る(Lejeune,1971).
こ れ を シ ュ ミ ッ ト(K.H.Schmidt)は,次 のkw→Pの
変 改 は,ガ
リア の中
ン ト語 地 域 に は 達
イ ル ラ ン ド人 お よ び ケ ル トイ ベ リア 人 は,
こ の 変 化 の 波 が 到 達 す る 以 前 に,す
で にそ れ ぞ れ の 地
記 の ほ か,注
*m ,*nが
あ る が,こ
〓 ,そ の 他),お
の 時期 の 初 め に 位 置 す
つ い て,am/an>em/en
れ に は 問 題 が あ り,か
つ,そ
の変 化 の
か し,こ
の よ うな
よ り よ き 体 系 的 知 識 を う る た め に は 不 可 欠 で あ ろ う. [2語 1)ア
群 の 共 通 点 と 差 異] ク セ ン ト
不 明 で あ る が,ゴ )に
原 ケ ル ト語 の ア ク セ ン ト体 系 は
ー ル 語 で は,末
尾 第3音
節(antepenult
ア ク セ ン トが あ っ た こ と が,部
分 的 なが ら
Tricasses,Bodiocasses,Durocasses>F.〔
よ び,異 音 の‐im‐(Cimberius
yaouank<Bryth.〔
Bituriges,Caturiges>F.Bourges,Chorges
た だ し,Nemausus,Arelate>F.Nemours,
ブ ル トン語〕
ブ リ ソ ニ ッ ク 語 〕*iouanko
よ び,そ
の 異 音‐in‐(iouinco)(E
vans,1983); Celtib.〔 ケ ル トイ ベ リア 語 〕am,an(Am mbhi,Can
Pi<
Tom<*kmtom);W.cant,B.
1937).
に あ っ た 形 跡 が あ る が,ウ 尾 第2音
節(penult)に
で は,オ
ー ガ ム(Ogham)文
,1971;し
な わ ち,sistes<
移 っ て い た.ゴ
蓋 化 音(palatalized
ラ ン ド語 は,子
か し,cf.Schmidt,
Pedersen, 節(ultima) で に末
イデ リッ ク語
字 の 頃 よ り第1音
節 にあ
れ が基 本 的 に今 日 まで一
consonants)ア
音 の 口 蓋 化 に つ い て,早
イル くか ら敏 感 に
意 識 し て い た.前 古 期 ア イ ル ラ ン ド語(Archaic
1986);
5c∼6c)に ゴ イ デ リ ッ ク 語 〕em(im),en(in).
and
尾 第1音
ェ ー ル ズ 語 で は,す
っ た . こ の グ ル ー プ で は,こ
2)口 ン ト語 〕en,す
ど の 例 もみ ら れ る(Lewis ブ リ ソ ニ ッ ク 語 で は,末
貫 し て 続 い て い る.
kant レ(ー)ポ
フ
ラ ン ス 語 〕Troges,Bayeux,Dreux
Arletな
*sedens(Lejeune
お,レ(ー)
構 図 の 設 定 は,ケ ル ト語 の 再 構 と 発 達 の 過 程 に つ い て,
〔ウ ェ ー ル ズ 語 〕ieuanc,B.〔
Goid.〔
と 考 え る が,そ
れ は 次 の よ うで あ る.
人 名);
Lep.〔
am/an)
ぼ ゴ ー ル 語 の 時 期 に 当 た る.な
シ ュ ミ ッ トは,em/enに
目 す べ き も の に,母 音 的 鼻 音PIE
ゴ ー ル 語 〕am,an(ambi‐,ande‐,
' young',お
リ
知 ら れ て い る.
2)上
W.
古態
る(Schmidt1986,1988).
らの言 語 に はそ の波 が 及 ば な か った
(Schmidt,1980).
Gaul.〔
み な し,
形 を と る.ブ
条 件 を 特 定 す る こ とが で き な い.し
の よ うに解
心 部 か ら東 部 に ひ ろ が っ て レ(ー)ポ
に 移 住 を 終 え,彼
Celtic)と
の 際,*kw→kwは
ポ ン ト語(em/en)は,そ
れ ぞ れ
ラ テ ン語 〕‐que)が あ る.た
ン ト語 で は‐peで
し た が,ア
ー ル 語(*kw→p,こ
が,ほ
れ と 同 じ 意 味 で,
ず れ もPIE*kweよ
な 後 接 的 接 続 詞(=Lat.〔
釈 す る . す な わ ち,こ
の諸
ベ リア 半 島 に 定 着
的 例 外 と み な す)は,am/anの
あ るが
イ ル ラ ン ド語 に は,そ
よ び‐ch(い
イデ
ず,他
テ ン 島 で は ブ リ ソ ニ ッ ク 語(Brythonic
ケ ル トイ ベ リ ア 語,ア
し,レ(ー)ポ
'horse'(Coligny
当 た る ゴ ー ル 語 にeticが
(シ ャ マ リ エ ー ル の 鉛 板,ほ
‐c(u)e,お
後,ゴ
の ケ ル トイ ベ リア 語 よ り や や の ち ま で
を,前 古 期 ケ ル ト語(Archaic *kw→kwを そ の 特徴 とす る.
ど.
こ こ に ラ テ ン 語etに
Celtic)以
い で,ケ ル トイ ベ リア 語(am/an‐language)
が,自
一 部 混 在 して い るか らで
Seine',equos
ュ ミ ッ トは,
の よ うに 考 え た .
語 よ り 分 岐 した.
c)ゴ 'the
略,次
ケ ル ト語(Primitive
b)次
あ る. Sequana
ら に新 しい
リ ッ ク語(em/en‐language)が,ま
ー ル 語 お よび ブ リ ソニ ッ ク諸
ほ か,ku(qu)が
として
ル ト諸 語 相 互 の 相 対 的 年 代 を
そ れ ら を 手 立 て と し て,大
ル トイ ベ リ ア 語 と ゴ イ デ リ ッ ク 語 で は/k(u)/
で 現 わ れ る の に 反 し,ゴ
記 の デ ー タ の み で は 不 十 分 で,さ
測 る い ち お う の め ど と は な り え よ う.シ
わ か に 意 義 を 帯 び,
い さ さ か 複 雑 と な っ て く る.PIE〔
交 え つ つ も,主
現 わ れ て い る.
資 料 を 必 要 と す る が,ケ
ル ト語 全 域 に 広 が り 分 布 す る 事 実
,1946).
はem/en,P‐Celtic
で は 異 音‐im‐,‐in‐(‐en)を am/anで
1966),こ
は,ケ
以 上 を 約 言 す れ ば,Q‐Celticで
聴 覚 的 に き わ め て 類 似 して お り
(Proceedings of of
し, 破 裂 子 音 の 前 に お い て(Thurneysen
ただ
お い て す で に,こ
は 音 素 化 し,機
の 口 蓋 音,た
能 的 とな り,/p/に
Irish,
と え ば[p]
対 応 す る別 個 の 音
素/p/と
な っ て い た.こ
の よ う に,[h]を
除 いて 全 子
音 が そ れ ぞ れ 対 応 の 口 蓋 音 を もつ に 至 り,音 化 し,し
た が っ て,名
詞,動
素 数 が倍
詞 な どの語 尾 変 化 もそれ
だ け 豊 富 か つ 複 雑 と な っ た . こ の 状 態 は,ひ
き 続 き,
今 日 ま で 継 続 し て い る. OIr.〔
る が,属
格 に お か れ たin
kat(t)i
koiliを
∼caitt/kat/gen.,Ir.〔
音 声 現 象 で は な く,形
cat'
ア イ ル ラ ン ド語 〕cat
Ir.croi/kri:/,M.〔
OIr.boc/bog/'soft'∼boic/bog/gen.sg.
/kolon/,Leon
m.,Ir.bog/bog/∼boig/bog/gen.sg.m. ア イ ル ラ ン ド語 で は,こ
の 口蓋 化 音 をcaol「
う で な い も の をleathan「
つ,そ
れ ら の 文 法 的 機 能 も,偶
な が ら,相 互 に き わ め て 類 似 し て い る.以 ゴ イ デ リ ッ ク 語 に 特 有 の も の で,ウ
上 の 特 徴 は,
ェー ル ズ 語 に は み
コ ッ ト ラ ン ド ゲ ー ル 語 に お い て は,
で は,明
瞭 な 口 蓋 化 が 区 別 で き に くい 状 態 に 立 ち い た
通 ケ ル ト語 に お け る 子 音
の 大 部 分 が 系 列 を な し て 強 弱 の2つ
に 対 立 し て い た こ と が 知 られ て い る.こ
と,上
ご と く破 裂/摩
だ し,無
声 破 裂 音 につ
擦 の 対 立 が あ っ た が,ウ
声/有
音 に 際 し て,発
れ ら は,該
の差 異
当 子音 が 発
音 器 官 の 緩 み に よ って 生 じた
音 」 で あ る こ と に 違 い は な い . こ れ は,人 通 す る 一 種 の 普 遍 的 現 象 で あ り,日 そ の 一 つ で あ る.西
galoun
の ご と く で あ る.し
か し,こ
れ に 類 似 の 現 象 は,サ
ル
デ ィ ニ ア(サ ル デ ー ニ ャ)島 の 方 言 に も み る こ と が で き る. ロ グ ドル(ロ
ン グ ドー ロ)方
coro/koro/>su
coro
言(Logudorese):
tou/su
goro
dou/'the
your'
サ サ ル(サ >lu
ッ サ リ)方 言(Sassarese):cori/kori/
to cori/lu
do
gori/'the
your
heart'(cf.
Bonaparte,1884) と は い え,こ を な し,組
こで の 変 化 は,ケ
ル ト諸 語 ほ ど に は 体 系
織 的 に は た ら い て い る わ け で は な い.
大 陸 ケ ル ト語 に お け る 緩 音 現 象 に つ い て は,そ
の萌
芽 は あ っ て も 資 料 に 乏 し く,こ
れ を十 分 明 らか に す る
こ と が で き な い.緩
る い は,島
音 化 は,あ
に お け る 改 新(innovation)で た だ 最 近,大
嶼 ケ ル ト語
あ った か もしれ ない .
陸 ケ ル ト語 に お け る 緩 音 化 を 証 明 し よ
う とす る 論 考 が い くつ か 提 出 さ れ て は い る(Evans,
い ま,島
嶼 ケ ル ト語 に 現 わ れ る 緩 音 の 主 な も の を, 世 ウ ェ ー ル ズ 語(MW.),ブ
ル トン 語 の そ れ ぞ れ に つ い て み る と,〈 あ る.左
欄 は,共
表 〉の よ うで
通 ケ ル ト語 の 原 音(radical;R.)で
あ る.
「ゆ る み
間言 語 に 共
本 語 の連 濁 現 象 も
<表>島
嶼 ケ ル ト語 の 主 な緩 音
R.OIr.MW./W.B.
同 様 で あ る(cf.Lat.
Lord's
prayer').
ル ト語 に 特 有 な の は,語
頭 音 の 変 化(initial
mutation)に
もの が あ る こ とで あ る.OIr.in た 猫 」 は,Goid.*sindos
da
ス ペ イ ン 語 〕,
ポ ル トガ ル 語 〕padreも
pater>W.pader'the しか し,ケ
Breton
部 ロ マ ン ス 語 に み ら れ る,Lat.
liber>F.livre,Lat.patrem>Sp.〔
ず,語
ェー ル
記 の ア クセ ン トとの 関係 の有 無 につ い て は 不 明 ず れ に し て も,こ
galon/〓/,C.dha
古 期 ア イ ル ラ ン ド語,中
声 の そ れ に 変 質 し て い た.こ
chree
1983).
で に/p/∼/b/,/t/∼/d/,c/k/∼/g/の
で あ る が,い
Port.〔
の 強/弱
イ ル ラ ン ド語 で は,/t/∼th/θ/,c/k/∼ch
ズ 語 で は,す よ う に,無
余 の もの が 弱 音 と な
声 破裂 音 にお い て は 破 裂
擦 の 対 立 と な っ て い た.た
/x/の
頭やその他一
献 資 料 に 現 わ れ た と き,こ
の 対 立 は す で に 解 消 し て,有
い て は,ア
う した
がて 独 立 の 音 素
音 は,語
定 の 子 音 結 合 に お い て 起 こ り,自 か し,文
とえ
れ らが 位 置 に よ っ て生 じた 異 音
す ぎ な か っ た の が,や
と な っ た もの と考 え られ る.強
/摩
れ を,た
よ う に 示 す.こ
と は,そ
(variants)に
caloun/kalun/
galun/
heart
対 立 は,も
Breton
chroi/〓/(lenition),M.dty
/da
諸音
っ て い る.
ば,L/l,M/m,T/t,D/dの
コ ー ン ウ オ ー ル 語 〕colon
/〓/,W.dy
然
の 体 系 は 大 き く く ず れ,p,b,m,f,vの
の 特 徴 と し て,そ
マ ン島 語 〕cree/kr:/,W.
golon/〓/,Leon
今 日,こ
っ た.し
Ir.do
狭い」
広 い 」 と よ ぶ. 対 す る軟 音(soft)
音(lenition)共
と
で あ る が,「 汝 の 心 」 な ら,
ス ラ ブ 語 に お け る 硬 音(hard)に
3)緩
「形 態 」 「語 頭 子 音 の 変
え ば,「 心 」'heart'は,
/kat/∼cait/kat/
ら れ な い . た だ,ス
はや 単なる
態 音 素 的(morphophonemic)
な 変 化 で あ る(ア イ ル ラ ン ド語
c alon/kalon/,C.〔
の 対 応 に 類 似 し,か
coiliは,*sindi れ は,も
化 と リズ ム 単 元 」 を 参 照). 現 代 ケ ル ト諸 語 で は,た
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 〕catt/kat/'a
と い い,そ
chaiti
想 定 さ せ る.こ
cat
cat(t)os
中音 に とど ま ら む し ろ著 しい coel「 そ の や せ koilosか
らで あ
[語
彙]
数 詞 その 他 の 基 礎語 彙 に,上 記 の 諸 語
に 共 通 す る も の が 多 い こ と は い う ま で も な い.「 犬 」は,
工 異 曲 で あ る.す
Ir.cu,M.co,W.ci,C.ky,B.c'hi,「
eem,W.ymenyn,B.Amannは,そ
家 」 は,そ
れ ぞ れ,teach,thie,ty,chy,tiで 音 声,語
あ る.こ
形 と も 共 通 で,一
し か し,中
に は,ゴ
の よ う に,
M.Ta
イ デ リ ック語 群 とブ リソ ニ ック語
と な る.こ
異 な っ た 道 を た ど っ た か ら に ほ か な ら な い.他
方,こ
の 両 語 群 で ま っ た く異 な る 語 彙 を 使 用 す る こ と も,ま た ま れ で は な い.
B.のa
マ ル コ 伝4:17に
Standard
行 形
ケ ル ト語 で は,印
欧 祖語 か らの現 在
使 用 に よ っ て 代 行 し て い る.そ
名 詞(VN)は,前
置 詞 +VNの
中 に 現 わ れ る.目
的 語 は 属 格 に お き,動
訳:was
he
of the
baint
e a' gearradh
eh(ec)giarrey ynfaiyr.
W.Yr
oedd
ef yn
torri'r
目的 語 が 代 名 詞 の と きは,一 間 に 挿 入 す る.た
格 形 容 詞 をVNの
fheoir.
だ,マ
ン島 語 の み は,所 有
前 に お く 代 わ り に,前 置 詞 な し で そ
is beating
me.「
se ag
bhualadh(Is
he
e'gam bwoailley
W.Mae'n 2)所
fy
bhualadh('gam=at mee(Is
nharo
有 の 表 現
he
ケ ル ト語 で は,通
置 詞(pronominal
prepositional す,Ir,Ta
pronoun)を im
agam.(is
は バ タ ー が あ る 」 で,ロ
me).
Hogen('but')n'eus
ket('is
な お,上
本 的発 想 にお い て 軌 を一 に す る類 詞 の 構 成,不
変 化 の 関 係 詞 な ど,
例 中,Ir.agam,M.aym/W.gennyf,
B.ganenは,そ
れ ぞ れ,前
置 詞ag,oc'at'+1
pers.sg.と
pers.
分 析 す る こ とが
素 は,こ こ で 合 成 さ れ た も の で は な
献 以 前 よ り分か ち難 く融 合 して 使 わ れ て い た . 嶼 ケ ル ト語 に
欧 語 で は ま れ な 現 象 で あ る.し
の 構 成 要 素 か ら,2群
た
た は,
種 々 の 点 で,大
か し,そ
に 共 通 す る活 用 前 置 詞 の 原 形 を
先に
「ケ ル ト諸 語 の 分 類 と
く,ゴ イ デ リ ッ ク 語 は,ケ ル トイ ベ リ ア 語 に 近 い . こ の
す な わ ち,断 い て は,主
「私 に と同
リ ソ ニ ッ ク 語 は,
陸 ケ ル ト語 中 の ゴ ー ル 語 に も っ と も 近
関 係 は,文 中 の 語 順 に つ い て も ほ ぼ 同 じ こ と が い え る.
butter シ ア 語 の〓
not')gwrisienn
ほ か に も 数 多 い.
合 わ せ 用 い て,所 有 を 表 わ me)は
yn
れ ぞ れ の 言語 にお け る実 際 の用 法 に は 出
そ の 相 対 的 年 代 」 に み た ご と く,ブ 詞に
融 合 し た 活 用(ま
at
Newydd
them').
[語 順 と 動 詞 の 構 造]
preposition,ま
eu
Testament
再 構 す る こ と は で き な い.
常,'have'に
の た め,'be'動
た は,gan'with'が
は 屈 折)前
my).
i(fy∼i=my).
あ た る 語 を 使 う こ と が な い.そ ag ' at',ま
striking
not')ganddynt('by
こ れ を ブ ル ト ン 語 に お き か え る と,
共 通 す る,印
S.Gael.Tha
not')fraue('root')
こ れ ら を 含 む い わ ゆ る 活 用 前 置 詞 は,島
striking).
M.T'eh
oes('is
で き る が,こ の2要
at my
fein,
Gymraeg,London,1975.
く,文
mo
is not')
hene,―D.B.Gregor,
sg./gan(d)'with'+1
彼 は 私 を打 って い る」
の よ う に な る.
Ir.Ta
nid
似 の 表 現 形 式 に は,数
様 に そ の所 有 格 を前 置 詞
は,
them')iontu
vel('is
入 りは あ っ て も,基 gwellt.
こ で'they'と
Naofa,Maynooth,1981.
them')ayndoo
こ の 種 の,そ
の あ と に 代 名 詞 を お く こ と が で き る.
は,次
Biobla
hunain,―Y
の 直 訳 英 語 と同
an
in
地 に 落 ち た 種 で あ る. ケル
bhionn('there
('root')enno('in
M.Va
root
them')(g)wreiddyn('root')ynddynt
じ語 順 で あ る. S.Gael.Bha
no
while.'(Revised
1980.
grass)
ェー ル ズ語 で
An
W.Ond
コ ッ トラ ン
ン島 語,ウ
の よ う に な る . ど の 場 合 も,上
He
have
a
下 の よ う で あ る.
oc('at
詞 の 後 に した
se ag
at cutting
の 文 は,
自 分 の 中 に 根 が な い の で,し
M.Agh('but')cha
語 尾 が 退 化 した ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語 で は,形
ドゲ ー ル 語(S.Gael.),マ
とVNの
they for
freamh('root')acu('at
え 間 な く文
彼 は 草 を 刈 っ て い た 」 で あ る が,ス
は,次
Version)「
―
の た め,動
結 合 で,絶
の 上 で は 属 格 は 区 別 が つ か な い.Ir.Bhi
は,「
た が っ て,こ
は,'And endure
ト語 で は,以
me).
順 序 で あ る.
Ir.Ach('but')ni
fheir.(直
i(with me).
同 じ.し
meの
themselves,but
分 詞 を ひ き 継 い で お ら ず,そ の 機 能 を,動 名 詞(verbal
an
is with
種 蒔 く も の の た と え で,砂
「共 に 」―le,lesh/gan,gans,gant
が え る.格
gennyf
a zo ganen(with
zoは'is'と
[慣 用 表 現]
noun)の
ymenyn
ば ら く続 く だ け で あ る 」 と あ る.こ
「行 く」―dul,goll/mynd,mones,mont
1)進
me).
mae
Butter
れ ぞ れ の言 語 群 で 音 韻 が
れ ぞ れ バ ター
aym(at
B.Amann
な り,
の 種 の も の は,そ
eem
W.Y
群 で 別 の 形 を と る も の も少 な く な い.「 男 」 は,Ir.
「8」は,Ir.ocht,M.hocht/W.wyth,C.eth,B.eiz
下 の と お り で あ る.M.
の 意 で あ る.
見 して 分 か る も の が 多 い .
fear,M.fer/W.gwr,C.gour,B.gourと
な わ ち,以
Vの
片 的 な 資 料 に す ぎ な い が,ゴ 語(S)ま
た は 目 的 語(O)が
ー ル 語 にお
先 行 す るS/O+
配 置 が も っ と も 多 い が,V+S(+O)もO+S+V
も ま た 存 在 し た(大
陸 ケ ル ト語
cf.Lewis,1942).こ W.)に
「文 の 構 造 」 を 参 照.
の こ とは,中 世 ウ ェ ー ル ズ 語(Mid
お い て,動
詞 に 先 ん じ て 名 詞(相
頭 に で る 文(noun‐initial
事 実 に よ く反 映 さ れ て い る.そ ー ル ズ 語(Mod
W
い た.そ
当 語 句)が
sentence)が
文
正常 で あ っ た
れ は 同 時 に,現
め よ り複 雑 で,語
代 ウ ェ
.)に お け る 基 本 的 配 列,V+S/Oの
尾 に よ り主 語 の 人 称 と数 を 明 示 し て
の 上,人
称 代 名 詞 は き わ め て 軽 小 で,通
主 格 の 代 名 詞 す ら コ ピ ュ ラisの か は,独
目 的 語 と な る 場 合 は,例 pron.)と
な っ て 動 詞 の 中 に 組 み こ ま れ た . そ れ ゆ え,
古 期 ア イ ル ラ ン ド語(6c∼9c)で ま た は 節 を な す こ と が 多 く,抱
前 古 期 ア イ ル ラ ン ド語(5c∼6c)に 位 置 は,む
現 わ れ る動 詞 文 末 の
る(「ケ ル トイ ベ リ ア 語 」 の 項 の 参 照).
language)的
biursa
「動 詞 と文 の 構 造 」 を
ュ ミ ッ トが,原
ケ ル ト語 よ り最 初 に 分 離 し た も の と す
る 説 に は 根 拠 が あ る と い え よ う(Schmidt,1986). ウ ェ ー ル ズ 語 文 法 で は,上 を,伝
か し,こ
て 行 な わ れ て い る . そ の 機 能 は,通 (verb‐initial こ れ は,一
sentence)と
は,被
常 の動 詞 文 頭 の 文
中 の動 詞 以 外 の 要 素 を強 調
sentence)と
成 文(mixed
say
they
れ,広
it',amal
may
raise
asind
themselves'(「
く使 用 され る よ う に な る の は,中
ア イ ル ラ ン ド語 で は,古
ミ
に は,文
形 で全 体 を複 文
らに 以 前 の こと
は 前 に 述 べ た が,そ れ ぞ れ の 場 合,動 詞 は 語 尾 を 異 に す くの 動 詞 に は,一
)と よ ぶ.連
対の異なる語
合 に 応 じて 使 い 分 け ら れ て い た
の で あ る .一 を 独 立 形(absolute),他
に混
う し て,ア ク
か し,さ
末 に く る こ と も ま れ で は な か っ た,こ
る の が 常 で あ っ た.多
れ を,特
期 な い し初 期
期 ア イ ル ラ ン ド語 以 来,動
詞 は 文 頭 の 位 置 が 正 常 で あ っ た.し
尾 が 備 わ っ て お り,場
よ ん で い る.こ
said
it',arndacumcabat 'in
ラ ン ・グ ロ ー ス 」Ml.46a12)
の際
す る も の で,こ
sentence)と
that
I
よ って文 頭 に ひ き
出 し,自 余 の 部 分 を 関 係 辞a+verbの (complex
こ ろ が,
須 の 構 文 と な っ て い る.そ
強 調 部 分 を 繋 辞(copula)に
で文
近 代 ア イ ル ラ ン ド語 以 降 に 属 す る .
日 も依 然 と し
変 わ り は な い,と
方 に お い て,文
し よ う と す る と き,必
sentence
sentence)」
の 構 文 は,今
詞1語
主 格 と と も に 目的 格 の 代 名 詞 が 独 立 し て 文 中 に 現 わ
記 のnoun‐initial
統 的 に 「変 則 文('abnormal'
と よ ん で い る.し
has
'as
order
こ の 意 味 か ら も,ゴ イ デ リ ッ ク 語 に つ い て,シ
は,動
合 語(incorporating
性 格 が き わ め て 濃 厚 で あ っ た.
asidrubart'who
し ろ ケ ル トイ ベ リ ア 語 の そ れ に 共 通 し て い
た,
外 な く 挿 入 代 名 詞(infixed
古 期 ア イ ル ラ ン ド語(OIr.)に
なわ ち
補 語 と な る場 合 の ほ
立 し て 文 に 現 わ れ る こ と が な か っ た.ま
す が た を もす で に 示 唆 し て い た . ア イ ル ラ ン ド で は, 先 行 す る 古 層,す
常 は,
を 連 結 形(conjunct
結形 は 動 詞 語 幹 が 各種 の前 接 辞 と合
体 し て と る 形 で あ っ て,こ れ が 複 合 動 詞 の 場 合,第1音
セ ン トに よ らず 文 型 に よ って 強 調 部 分 に焦 点 を与 え る
節 ア ク セ ン ト(prototonic)型
形 式 は,古
の 独 立 絶 対 形 は,文 頭 以 外 に は 現 わ れ な い .複 合 動 詞 の
くか ら ケ ル ト語 の あ ら わ な 特 徴 の 一 つ に な
っ て い る .Mid
W.Ys
mi
a'e heirch.「
彼 女 を さが
独 立 形 は,語
is I who
型 と な る.そ
し て い る の は(そ れ は)私 だ 」,す な わ ち,'it seek
her'で
あ る. こ のysは,前倚
的(proclitic)で,
必 ず 次 の 語 に 寄 り か か っ て 支 え ら れ,や a…'it's
I who…'の
脱 落 し,mi dywedaf
a'e
形 を 経 て,早
heirchと
が て's
くに文 の表 面 よ り
な っ た.同
様 に,Mi
a'e
yt.「 僕 が 君 に そ れ を 話 そ う」.ま た,「
女 が 私 を 見 た 」 は,Hi
a'm
で あ る . こ の よ う に,そ
sise a
あの
の 後 は,ysを
はず す の が ウ ェ
chonaic
方,ア
me.と
イル ラン ド
い う.こ
こ で は,
ン ド語 」 の 項 の
ン ド,ウ
(Wb.10d7).'it
is
we
ata
are
oxen…'の
who
boves
… よう
に 出 て い る . 上 の ウ ェ ー ル ズ 語 の2文
は,フ
で は,そ
れ ぞ れ,C'est
le dirai;c'est
elle
m'a
qui
vue.と
moi な り,こ
qui
te
の 点,フ
ラ ンス 語
ラ ンス 語 の 構
文 は ケ ル ト語 に酷 似 し て い る(「 ア イ ル ラ ン ド語 」の 項
ア イ ル ラ ン ド語 の 動 詞 は,ウ
ェー ル ズ語 に 比 して初
「動 詞 と 文 の 構 造 」 を 参 照). 日 で は,英
語 の 侵 入 を う け,ア
ェ ー ル ズ と も,事
実 上,二
っ て い る . 二 言 語 併 用 の 結 果 は,お
言 語 に と っ て,明
イル ラ
言語併用地域 とな お む ね,政
治的に
日 の 前 途 は き わ め て 微 妙 で,
難 が 多 い とい わ な け れ ば な ら な い.こ
は,フ
の事 情
ラ ンス語 に囲 まれ た 対 岸 の ブ ル ター ニ ュ に と っ
て も,ほ
ぼ 同様 で あ る.
[参 考 文 献] Bowen,J.T.and (Teach
T.J.R.Jones(1960),Welsh
Yourself
Books,London)
Bonaparte,Louis‐Lucien(1884),"Initial tions
の 「形 態 」 を 参 照).
ェ
有 力 な言 語 が他 を圧 す る のが 歴 史 の示 す と ころ で あ っ
本 的 に 変 わ る こ とが な か っ た.「
ヴ ュ ル ツ ブ ル ク ・グ
れ ら は,ウ
ア イ ル ラ ン ド語 の もつ 興 味 あ る側 面 で あ る(「 ア イ ル ラ
か つ,困
snisni
か し,こ
ら か に 古 態 を 示 す も の で あ り,印
欧 語 の 探 究 や 原 ケ ル ト語 の 再 建 に は 貴 重 な 鍵 と な る,
た.両
と え ば,Is
節 ア ク セ ン ト(deuterotonic)
お 不 明 の 点 が 多 い.し
ー ル ズ 語 に 比 べ ,明
こ の構 文 が 文 献 の は じ め よ り一 貫 し て 今 日 に 至 り,基
ロ ー ス 」 に は,た
純動詞
の 構 造 の メ カ ニ ズ ム と語 尾 の 由 来 に つ い
と も あ れ,今
gwelodd.(Evans,1976)
ー ル ズ 語 の ル ー ル と な っ て い る .一 語 で は,Is
て は,な mi
尾 が 第2音
の 語 尾 を と る.単
and
in the Italian
Living
Muta
Celtic,Basque,Sardinian,
Dialects",Transactions
of
the
Philological
Society〔TPS〕(Oxford)
[参
Evans,D.Ellis(1983),"Continental Linguistic the
Celtic
and
International
Studies(Dublin
大辞 典 』 大 陸 ケ ル ト
(土 居
Congress
Institute
for
of
Celtic
Advanced
Studies
〔以 下,DIAS〕,Dublin) Evans,D.Simon(1976),A
Grammar of
(Que
et
sais‐je,Presses
litterature
bretones
Universitaires
de
名 を と っ て,ド
の 方 言 群 が 北 イ タ リア高 原
ロ ミテ 語 の 名 が 与 え ら れ る.話
は 「ラ デ ィ ン 」 語(ladin,ラ と よ ぶ が,い
France,Paris) Gregor,D.B.(1980),Celtic―a Study(The Hemon,Roparz(1975),A
Historical
Syntax of
Morphology
Britain(The
じ レ ト ・ロ マ ン
で 話 さ れ る ロ マ ン シ ュ 語 の 一 方 言, 方 の ラ デ ィ ン語 を さ す こ
と も あ る の で 混 同 され る お そ れ が あ る.他
and
History
Edinburgh
in
ア人 学 者 に よ る名 称
方,イ
ト ・ロ マ ン ス 語 の 総 称 と
し て も 用 い ら れ る た め に,誤 解 を 生 ず る お そ れ が あ る.
Press,Edinburgh) Jones,J.Morris(1913),A
Welsh
(repr.1955,Clarendon
し た が っ て,地
Grammar
Grammar of
Language(Scolar
the
ド ロ ミ テ 語 の 推 定 言 語 人 口 は,約3万
Lejeune,Michel(1971),"Documents de
Gaulois
Cisalpine",Etudes
et
者 の ほ と ん ど が,イ た,か
the
British
in
人 と考 え ら れ
タ リア 語 との二 言 語 併
タ リア 語,ド
イ ツ語 との三
言 語 併 用 者 も少 な くな い.
Welsh",
[分 類 ・分 布]
Academy〔PBA〕28
ド ロ ミテ 語 の 使 用 地 域 は,高
千 メ ー トル 級 の 山 々 の 連 な る セ ル ラ(Sella)山
(London) Lewis,H.and
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Celtic
Vandenhoeck
&
keltischen
イ ツ 語 名 で は,南
Ruprecht,Gottingen)
の 水 系 で,ピ
&
Schmidt,K.H.(1980),"Continental the
Celtic
Reconstruction fur
of
vergleichende
as
an
(1986),"Zur
Rekonstruktion und
Verbum",Zeitschrift 41(Max
fur
des
kelti
den
phonologischen
of
Dif
Celtic
Society
じ レ ト ・ロ マ ン ス 系 の フ リ ウ
Grammar
of
Old
Irish
ル ラ 山 塊 に 対 し て4
方 向 の 谷 ご と に 下 位 区 分 さ れ る. 1)北
の 町 ブ ル ー ニ コ(Brunico)に
デ ー ラ(Gadera)川 は,現
Japan)
Thurneysen,R.(1946),A (DIAS,Dublin)
Celtica
Series,No.1(The
ラ ンチ ェス カ
降 の イ タ リ ア 方 言 学 者 ら は,
前 者 の ア デ ィ ー ジ ェ 方 言 は,セ
ferenzierungsmerkmalen",Studia Japonica,New
の エ ル ト方 言 に つ い て は,フ
リ語 の 一 変 種 と し て い る.
Philologie
Niemeyer,Tubingen) (1988),"Zu
谷 で 話 さ れ る 方 言 群 は, と一 括 さ れ る こ と が あ る.
ー ト(G .Francescato)以 ド ロ ミ テ 語 に 含 め ず,同
inselkeltisches
celtische
し 離 れ た ヴ ァ ジ ョ ン ト(Va
の エ ル ト(Erto)渓
し か し,こ
schen.Festlandkeltisches
し て,少
「カ ド ー レ方 言(cadorino)」
(Gottingen)
た,別
源 流 地 方 の コメ リ コ
ル テ ィ ー ナ ・ダ ン ペ ッ ツ ォ(Cortina
d'Ampezzo),そ gionto)川
Proto‐Celtic",
Sprachforschung
の 方(ド
主 で,「 ア デ ィ
と ま と め て よ ば れ る .ま
ア ー ヴ ェ(Piave)川
(Comekico)や,コ
Ruprecht,Gottingen)
Adige)地
チ ロ ルSud‐Tirol)が
ー ジ ェ方 言(atesino)」
Grammatik
度3
塊 を中
こ か ら 源 を 発 す る ア デ ィ ー ジ ェ(Adige)川
上 流 地 帯 ア ル ト ・ア デ ィ ー ジ ェ(Alto
Sprachen,2Bde.(Nachdruck,
Vandenhoeck
to
心 に,そ
Concise
Grammar(repr.1961,
Pedersen,H.(1976)Vergleichende
こ で は,
つ て の オ ー ス ト リア の 統 治 下 に
あ っ た 地 域 に お い て は,イ Sentence
of
て い る.話
用 者 で あ り,ま
Celtiques
ⅩⅡ(=Lepontica)(Paris) Lewis,Henry(1942),"The Proceedings
り正 確 な 名 称 で あ る が,こ
簡 潔 に ド ロ ミ テ 語 と よ ぶ こ と に す る.
Manx
Press,Menston,Yorkshire)
Para‐gaulois
方 名 と 自 称 を 組 み 合 わ せ た 「ド ロ ミテ ・
ラ デ ィ ン」 語 が,よ
Press,Oxford)
Kneen,J.J.(1973),A
Zeitschrift
タ リ
「ラ デ ィ ー ノ 」 語(ladino)は,こ
の ド ロ ミテ 語 の み な ら ず,レ
University
ら)
イ ス の グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン
エ ン ガ デ ィ ン(Engadin)地
Breton(DIAS,Dublin)
Jackson,K.(1953),Language
わ ゆ る ラ デ ィ ン 語 は,同
(Graubunden)州
Press,Cambridge)
方
者 自身
テ ン語LATINUか
ス 語 の 一 下 位 区 分 で あ る,ス
Comparative
Oleander
Early
[系 統 ・名 称 ・人 口] イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の 一分派 ,ロ マ ンス 諸 語 に 属 す る レ ト ・ロ マ ン ス 語 の 一
地 帯 の ド ロ ミテ 地 方 で 用 い ら れ て い る こ と か ら,地
Gourvil,F.(1968),Langue
and
敏 雄)
ド ロ ミ テ 語 英Dolomite
下 位 グ ル ー プ の 通 称 で,こ
Middle
Welsh(DIAS,Dublin)
Aid
ア イ ル ラ ン ド語,『
ル ト語 派
Reconstruction",Proceedings of
Sixth
der
照]
語,ケ
向 け て流 れ る ガ
の バ デ ィ ー ア 渓 谷(Val
地 名 で バ デ ィ オ ッ ト(badiot)と
用 い ら れ,文
化 的 中 心 地 は,サ
Martino)で
あ る.こ
Badia)で
よ ば れ る方 言 が
ン ・マ ル テ ィ ー ノ(S.
の 支 流 で あ る マ レ ッ ベ(Marebbe)
渓 谷 の 方 言 マ ロ(maro)も 2)セ
ザ ル コ(Isarco)川
に 合 流 す る ガ ル デ ー ナ(Gardena)渓 ダ イ ナ(gherdeina).こ (Ortisei)が
の 渓 谷 で は,オ
言 は,行
に あ り,言
わ せ て17,700人
ル
ル ティゼイ
政 区 分 で は,ボ
く)に 例)ラ
上 が これ を
た 地 方 フ ァ ッ サ 渓 谷(Val (Trento)県
に 属 し,モ
ァ ッ サ 方 言(fashan)が ン 語 人 口 は75%を 4)セ
di Fassa)は,ト
話 さ れ る.住
中 心 に,フ
民 の う ち,ラ
(Livinallongo)地
ヴ ィ ナル ロ ン ゴ
方 の フ ォ ド ム 渓 谷(Val
ォ ドム 方 言(fodom)が
語 と し て い る.こ
di Fodom)
用 い ら れ る.こ
の 方 言 は,次
ベ ル ル ー ノ(Belluno)県
ま た,ラ
テ ン 語 のCA‐,GA‐
れ る が,こ
に,ロ
例)ラ
と同 じ く,ガ れ が,レ
に 起 こ る子 音 の 口蓋 ロ ・ロ マ ン ス 語 的 特 徴 と さ
ト ・ロマ ンス 語 を イ タ リア 語 と区
口 の約
ー マ 軍 に よ っ て 征 服 さ れ,ラ
ル プ ス 一 帯 か ら 北 に,現
住 民族 の
仏.chevre/〓/(< champs/〓/(<
同/〓),バ
2)語
の 特 徴 は,上
と 同 様,ガ
例)ラ
テ ン語PLUS「
/pju/に
よ り多
対 し て,仏
の北イ
タ リ ア ・フ リ ウ リ地 方 で 話 さ れ る フ リ ウ リ語(約50万 人)が
あ り,こ
の ド ロ ミテ 語 は,中
と し て 位 置 づ け ら れ る.こ 政 治 的,社 な く,共
れ ら3地
史 上,
会 的 統 一 が か つ て 一 度 も行 な わ れ た こ と が 通 の 言 語 が 生 ま れ る 条 件 が な か っ た に もか か
わ ら ず,ひ
方 言 で は,そ
‐ Sが
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語(ス
ッ ク 語 な ど),イ
ペ イ ン語,ポ
分
重 な り合 う 特 徴 を もつ こ と は
ベ
ル トガ ル 語 な ど)
す る顕 著 な 特 徴 と さ れ て い る . 例)ラ
に音 声 的 な 特 徴 を共 有 す る
ル ー プ の 言 語 と 共 有 し て い る が,部
ー
に レ ト ・ロマ ンス諸 語 を加 えた 西 ロ マニ ア 圏 を区 分 け
テ ン 語ILLAS
AURICULAS「
occhiに
耳(複 数)」
対 し,仏.les
oreilles,ド
ロ ミ テ 語 ・ガ ル デ ー ナ 方 言la uredles,ま
ロ ミ テ 諸 方 言 も レ ト ・ロ マ ン ス 語 的
(特 に,ヴ ェ ネ ト方 言)と
[言 語 特 徴]
テ ン語 語 末 の 屈 折 語 尾
タ リ ア 語 を 含 む 東 ロ マ ニ ア 圏 に 対 し,ガ
> 伊.gli
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 や 北 部 イ タ リ ア の 諸 方 言
当 然 で あ る.
に 変 化 し て い る.
ロ マ ン シ ュ 語 ・エ ン ガ デ ィ ン 方 言las
し た が っ て,ド
的 に は,ガ
れ ぞ れ,tl‐,dl‐
態 論 の レ ベ ル で は,ラ
マ ニ ア 語,イ
か ら で あ る.
特 色 を 他 の2グ
デ ィー ア 方 言 とガ ル デ ー ナ
保 存 さ れ る こ と が 特 色 で あ る . こ の 点 が,ル
と つ の 言 語 群 と して ま とめ ら れ る の は,通
時 的 見 地 か ら み た と き,主
は,バ
伊.piu
ロ ミテ 語 ・
ル デ ー ナ 方 言plu
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語(フ ラ ン ス 語,オ
央 レ ト・ロ マ ン ス 語 域 に は,歴
た だ し,KL‐,GL‐
3)形
人)と,東
語 人 口 約5万
ラ
共通 に も
く の」 >
.plus/ply/,ド
ー マ人 の もた ら した 民 衆 ラ テ
ス ・ ロ マ ン シ ュ 語(言
ロ ・ロ マ ン ス 語(フ
ち,イ タ リ ア 語 と は 一 線 を 画 す る 際 立 っ た 特 色 で あ る.
チ ア 語 が 基 層 と な り,ロ
のスイ
の保
ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 の 大 部 分 は 除 く)と
/plu/
の ほ か に,西
デ ィー ア 方 言
頭 子 音 群 のPL‐,BL‐,KL‐,GL‐,FL‐
バ デ ィ ー ア 方 言plo/〓/,ガ
さ れ る.
対 し,
/tso:ra/,/tsamp/
か し,通 説 で は,彼 ら の 言 語 レ
「レ
原」 >
古 代 仏 語/〓),
に ま で 広 が る 広 大 な 地 域 に 住 ん で い た と さ れ る が,そ
レ ト ・ ロ マ ン ス 系 言 語 に は,こ
イ タ リ
羊 」,CAMPU「
の 詳 細 は 不 明 で あ る.し
ト ・ ロ マ ン ス 」 語 で あ る,と
れ は,北
伊 .capra/kapra/,campo/kampo/に
在 の ドナ ウ 川
ン 語 と 混淆 し て 形 成 さ れ た ア ル プ ス 地 方 の 言 語 が
だ し,こ
テ ン語CAPRA「
存.こ
よ ば れ た.先
デ ィー
ア の ガ ロ ・イ タ リ ア 系 諸 方 言 に も広 く み ら れ る 進 化 で
も に,
イ ス ・グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン地 方 と
チ アRaetia)と
レ チ ア 人 は,ア
ロ ミテ 語 で は,バ
あ る.
の リヴ
れ を 母 語 と し て い な い.
元 前15年
エ テ ィ ア(=レ
伊.nudo/nudo/
ミ ロ テ 語nut/nyt/
の 進 化 現 象 は,ド
化 現 象 も,上
に 属 す る 前 述 の コル テ ィー
ド ロ ミ テ 地 方 は,ス
裸 の 」>
ア 方 言 の み に み ら れ る も の で あ る.
の カ ド リー ノ 方 言 と の
ナ ・ダ ン ペ ッ ツ ォ 地 方 の カ ド リ ー ノ 方 言 は,人
同 様,紀
テ ン 語NUDU「
に 対 し,仏.nu/ny/,ド
フ ォ ドム 方 言 を 母
移 行 形 態 を 示 す と さ れ る . こ の 東 に 隣 接 し,と
か,こ
の フ リ ウ リ語 の 大 部 分 は 除
別 す る 根 拠 と な っ て い る.た
ィ ナ ル ロ ン ゴ地 方 で は,約90%が
30%し
デ ィ
越 す.
ル ラ 山 塊 の 南 東 に 広 が る,リ
で は,フ
レ ン ト
エ ー ナ(Moena)を
ル
共 通 し て み ら れ る も の で あ る.
た だ し,こ
ル ラ 山 塊 か ら南 西 に 流 れ る フ ァ ッ サ 川 に 沿 っ
れ は,ケ
ラ ンス や ス イ ス 西 部 の
ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 的 口蓋 化 現 象 と一 般 に よ ば れ る が,
ル ザ ー ノ(Bol
人 口 の90%以
な る.こ
ト人 の 残 し た 特 徴 と い わ れ,フ
の 統 計 で は,合
母 語 と し て い る. 3)セ
ラ テ ン語 強 勢 長 母 音Uは,調
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 言 語(東
語 人 口 は,1981年
を 数 え,全
蓋 化 現 象
音 点 が 口 腔 前 方 に 移 り,u[y]と
谷 の 方 言,ガ
中 心 の 町 で あ る.
以 上 の2方 zano)県
1)口
こ れ に 含 め る.
ル ラ 山 塊 か ら西 に 伸 び,イ
た, urelias,
フ リ ウ リ語lis orelis た だ し,ガ
ル デ ー ナ 方 言 に お い て は,こ
わ れ は 不 安 定 で あ り,た は2通
り の 形‐s,‐iが
例)(定 ani;形
と え ば,男
の‐Sの
表
性 名詞 の複 数 形 に
あ る.
冠 詞 付 き の)「 年 」(単
数)l'an:(複
数)i
容 詞 で も 同 様 に,「 良 い 」(単 数)bon:
(複 数)boni
第1次 大戦 後 はイ タ リア に 併 合 さ れ,3県
「 友 人 」(単 数)amich/amik/:(複 「日」(単 数)di:(複 dur:(複
数)dis;「
数)amichs,
に 分 割 され
た た め に,こ の分 断 状 態 は 決 定的 な もの とな り,共 通
硬 い」(単 数)
数)dures
語 形 成 の可 能 性 は 薄 れ て しま っ た.フ
ァ シズ ム の 勃 興
と と もに,ド ロ ミテ 語 を イ タ リア語 系 方 言 の 一 変 種 と
近 年,イ タ リア 語か ら の借 用 的 影 響 に よる‐iの 形 もみ
す る政 治 的 立 場か ら,こ の 言 語 の 独 自性 が 危 ぶ まれ,
られ る.
イ タ リア人 学 者 や,ド イ ツ な い しス イ ス 系 の 学 者 た ち
例)「 外 国 人」(単 数)furesto/〓/:(複
数)
た.第2次
furesti 4)統
を巻 き込 ん だ,い わ ゆ る 「ラデ ィ ン語 論 争 」 が 白熱 し
語 面 に お い て も,ド ロ ミテ 語 は,周 辺 地 域 に
大戦 後 は,ひ とつ の言 語 グ ル ー プ と して の
比 べ て,比 較 的 古 い時 期 の特 徴 を保 って い る反 面,近 隣
自立 的 地 位 が 与 え られ る傾 向 が進 ん で い る.母 語 と し て の 教 育 で は,ボ ル ザ ー ノ 県 の バ デ ィー ア 渓 谷 と ガ
の 北 部 イ タ リア諸 方 言(東 部 で は,特 に ヴ ェネ ト方言)
ル デ ー ナ渓 谷 にお い て,幼 稚 園 で は ド ロ ミテ 語 の使 用
か らの 影 響 を は じめ,イ タ リア 語 や ドイ ツ語 の絶 え ざ
が 法 的 に保 証 され て い る が,小 学 校 か らは,ド イ ツ語,
る干 渉下 に あ る .他 の レ ト ・ロマ ンス語 に お い て も同
イ タ リア語 の比 重 が高 ま る.高 学 年 に な る と,ラ デ ィ
様 の 状 況 で あ るが,ド
ン語 の授 業 は週2回 に減 り,ド イ ツ語 とイ タ リア語 が
ロ ミテ語 は,言 語 接 触 の格 好 の
同 じ時 間数 に設 定 されて い る.現 在,新
研 究 素材 を提供 して い る. 例)(ガ
ル デ ー ナ 方言)dagiut「 早 く」:plu
dagiut
聞 を は じめ,
マ ス コ ミを利 用 した啓 蒙 運 動 は盛 んで,上 記 の各 方 言
「昔,過 去 に」 ← 独.fruher
ご とに,主 要 な 町 に言 語 文 化 復 興 の た め の研 究所 が お
tume「
か れ,そ の 活 動 は活 発 に な って きて い る.
落 ち る 」:tume
ite「 あ る考 え を抱 く」←
以 下 に,ガ ル デ ー ナ方 言 とバ デ ィー ア方 言 を対 照 し
独.einfallen また,副 詞(相 当語 句)が 文 頭 に立 つ とき,主 語 と動
語 全 般 に通 用 す る統 一 され た 綴 字 法 は 存 在 し な いが,
詞 が 倒 置 す るの も,ド イ ツ語 傍 層 の 影 響 と され る. 5)語
彙 面 で は,ド
ロ ミテ語 は,他 の2つ の レ ト ・
ロマ ンス 諸 方 言 と同 じ く,基 本 語 彙 の 約4分 の3が
ラ
テ ン語 系 で あ る. しか も,ラ テ ン語 の 古 い 時 期 の 語 彙 層 を残 存 させ て い る 語 もあ る. 例)ラ テ ン語CASEOLU「 方 言ciajuel(こ
て,音 韻 面 と形 態 面 の一 部 を記 述 す る.な お,ド ロ ミテ
1987年 以 来,ボ ルザ ー ノ県(バ デ ィー ア 方 言,ガ ル デ ー ナ方 言)で は,新 しい 綴 字 法 が 公 布 され て い る. [音
韻]
1)ガ チー ズ 」> ガ ル デ ー ナ
《母
ル デ ー ナ 方言(A.Bammesbergerに
よ る)
音》
れ に 対 し,伊.formaggio,
仏 .fromage) さ らに,ケ ル ト語起 源 と思 わ れ る語 彙 で,ガ
ロ ・ロ
マ ンス諸 語 に も共 通す る と考 え られ る語 もわ ず か な が ら確 か め られ るが,ア ル プス 特 有 の 語 彙 で,他 に は み られ な い語 を特 定 す る の は,現 在 の 段 階 で は 難 しい よ うで あ る.
この うち,/〓/は,フ
例)cesa/〓/「
ドロ ミテ地 方 は,特 に,北 のゲ ル マ ン世 界 と南 の イ タ リア とを結 ぶ 交 通 の要 所 で あ った た め に,中 世 か ら 現 代 に 至 る まで,ド イ ツ語,イ タ リア 語 か ら直 接 借 用 さ れ た語 彙 が著 し く多 い こ とは 当然 で あ る.た とえ ば, バ ンメ ス ベル ガ ー(A.Bammesberger)に ガ ル デ ー ナ方 言 の/〓/「 妹 の子 供 た ち」 で は,名 詞/kindri,〓/が
よれ ば, 私 の姉
ラ ンス 語 の/〓/の 音 に近 い が,
強勢 下 で現 わ れ る点 で 異 な る.
/e/は,/r/の と/o/(広
家」 前 で は広 く発 音 さ れ る([e])が,/o/
口母 音)は 対 立 関 係 に あ る.
二 重 母音 に は,〓
が
あ るが,バ ンメ ス ベ ル ガ ー は,二 重 母 音 を認 め ず,単 母 音 の連 続 として 解 釈 して い る. 《子
音》
子 音 の種 類 は,以 下 の とお りで あ る.
ドイ
ツ 語 か らの借 用 で あ るが,こ の よ うな外 来 語 の 使 用 は, 話 者 の語 感 に まだ 十分 に な じん で い な い よ うで あ る. [歴
史]
ドロ ミテ 語 の 歴史 は,6世
紀 の ゲル マ
ン民 族 の 侵 入 か ら20世 紀 初 頭 に至 るま で,ド イ ツ語 圏 とイ タ リア語 圏 との 狭 間 に お か れ た,チ ロル ・ア ル プ ス 南 端 の辺 境 の歴 史 で あ る.谷 ご とに分 断 さ れ た ま ま,バ ヴ ァ リア ない しオ ー ス トリア の支 配 下 に あ っ た 一 方 で ,ヴ ェネ チア の経 済 ・文 化 圏 に含 ま れ て い た.
/r/は,フ
ラ ン ス 語 と 同 じ 口蓋 垂 の 振 動 音 で あ る./n/
と/〓/と 例)/an/「
は,音
韻 論 的対 立 関係 に あ る .
年 」:/〓/「
わ れ わ れ は 持 っ て い た 」(avei
「持 っ て い る 」 の 直 説 法 過 去 形) 強 勢 ア ク セ ン ト は 弁 別 的 で あ り,音
声 表 記 で は,鋭
(3・ 複 ・男/女)
ア ク セ ン ト記 号 を も っ て 区 別 さ れ る . 例)uni/uni/「
お の お の の 」:uni/uni,/「
来 る,
成 る」 2)バ
デ ィ ー ア 方 言(J.B.Altonら
《母
に よ る)
音》
母 音 体 系 に,ウ ム ラ ウ トで表 記 され た/u/[y],/o/, /e/([〓]に
近 い音)の
あ る こ とが特 徴 的 で あ る./e/
と/〓/,/o/と/〓/は,開 綴 字 で は,た
口度 にお い て 対 立 す る.
とえ ば,so/soの
よ うに,ア クセ ン ト記
号 で 区別 す る(/o/,/〓/〈o〉).こ
のア クセ ン ト記 号
は,語 末 母 音 に弁 別 的 な 強勢 ア ク セ ン トの あ る場 合や, 同音 異 義 語 を 区 別す るた め に も用 い られ るの で注 意 を 要 す る.
「法 」 に は,不
法 が あ る.直
例)a(前
置詞)―a(動
直 説 法現 在1人
詞avei「
持 って い る」 の
称 単数 形 と3人 称 単 数 ・複数 形)
母 音 の 量的 対 立 が あ り,長 短 の区 別 を 例)a/a:/(aveiの
で示 す.
直 説 法 未 完 了過去1人 称 単 数
音 》
定 法,直
説 法 は,現
時 制 形 の ほ か に,完 を も つ.接
在,未
了,過
説 法,接
在,未
令
来 の 単純
来 完 了 の複 合形
完 了 過 去,完
合 形 の 形 成 に は,助
ま た はester(vester)を
続 法,命
完 了 過 去,未
去 完 了,未
続 法 に は,現
完 了 の 形 が あ る.複
形 と3人 称 単数 ・複 数 形) 《子
動 詞 の
了,過
去
動 詞 にavei
選 択 的 に 用 い,動
詞の過去分
詞 を 付 け る.
子音 の 種類 は,以 下 の とお りで あ る.
受 動 形 は,助 /uni/「 の 性,数
動 詞 と し て,ガ
来 る,な
ル デ ー ナ 方 言 で はuni
る」 を 用 い,動
詞 の 過 去 分 詞 を主 語
に 一 致 さ せ て つ く る が,バ
助 動 詞 と し て,gni「
来 る,な
デ ィ ー ア 方 言 で は,
る 」 とester「
∼で あ
る 」 の ど ち ら を 用 い て も よ い. [辞
子 音 の 表 記 に は,文 法 書 に よ って 揺 れ が あ り,特 に, 摩 擦 音,破 擦 音 の系 列 で は 統一 が とれ て い ない. [形
態]
〈表 〉に,ラ
て い る」 とESSE「
テ ン語HABERE「
in
持っ
∼ で あ る」 お よ びAMARE「
愛
す る」 に 由来 す る動 詞 の 直説 法 現 在 活 用 を人 称 代 名詞 (強 勢 形)と と もに 掲 げ る.
書]
辞 書 に は,古
Schneller)のDie
Sudtirol(Gera,1870)が
れ た も の の,学
<表>ド
不 統 一 の た め に,ほ
バ デ ィー ア 方 言 人 称代名詞
動詞
(2・
単) 単)
Worterbucher",
方 言 語 彙 集 の 解 題 を 行 な っ て い る. 方 言 別 辞 書 と し て は,バ
デ ィ ー ア 方 言 に は,次
複)
の よ
う な も の が あ る.
aus
den
Zeitschrift
Worterbuch
Dolomitentalern",Beiheft fur
romanische
italiano",Archivio (1・ 複)
ラマ ー
Schlern,No.47(Bozen,1973)で,
73
per
badiotto l'Alto
Adige
(Firenze) Pizzinini,A.(1966),Parores
zur
Philologie(Halle)
Martini,G.S.(1950),"Vocabolarietto
(2・
ロ ミテ 語 全 般 に
と ん ど不 可 能 で あ ろ う.ク
Gartner,Th.(1923),"Ladinisches (1・
に再版 さ
言 差 の 大 き い こ と と正 書 法 の
(J.Kramer)は"Dolmitenladinische
ロ ミテ 語 動 詞 の 活 用 と人 称代 名 詞
人 称 代 名詞 動 詞
Volksmundarten あ り,1970年
問 的 信 頼 度 は 低 い.ド
わ た る 辞 書 の 編 集 は,方
Der
ガル デ ー ナ方 言
く は シ ュ ネ ル ラ ー(Ch.
romanischen
ladines,Vokabulare
44
badiot‐tudesk(E.〓,Bregenz)
Mondo
Ladino.Bollettino
ガ ル デ ー ナ 方 言 に つ い て は,次 の よ う な も の が あ る. Lardschneider‐Ciampac,A.(1933),Worterbuch der
Grodner
Mundart(lnnsbruck)
Martini,G.S.(1953),Vocabolarietto Italiano(Sansoni
dell'Istituto
Ladino(Istitut di
Fascegn",Vigo
[参
照]
Cultural di
Culturale
Ladin"Majon
Fassa,1977‐)
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語
Gardenese
(富 盛
伸 夫)
Antiquariato,Firenze)
[参 考 文 献]
通 時 的 視 点 に た つ 研 究 書 と し て は,
レ ト ・ロ マ ンス 語 学 の 基 本 文 献 で あ る,次
の
の もの を あ
げ る. Ascoli,G.I.(1873),Saggi glottologico
ladini,Archivio
italiano,Vol,1(Ermano
ノ ル ウ ェ ー 語
Loescher,
gisch,仏norvegien
Roma/Torino/Firenze)
[系 統 と 分 類]
Gartner,Th.(1910),Handbuch manischen
der
Sprache
und
Kramer,J.,Historische
ratoro
Literatur(Halle) Grammatik
い る . 言 語 人 口 は,約400万
des
Dolo
ノ ル ウ ェ ー 語 は,イ
Ver bei
Pellegrini,G.B.(1972),Saggi mitico e
sul
語,ア
Wurzburg)
sul
friulano(Casa
ladino
dolo Edi
記 述 的 文 法 書,参
考 書 と し て,入
門 者 の役 に立 つ も
言 ご と に 次 の も の が あ り,本
項 の用 例
Ladin
Badia
の 参 考 に し た.
(A.Weger,Brixen)―
dla
du
parler
Val
ladin
Gardena",Bulletin
des
romanistes,No.20(Strasbourg)―
ガ
Obletter,A.(1985),Rujnon illadino(Comitato Soggiorno
Coordinatore della
Val
delle Aziende
Gardena,Ortisei)―
Tals,Worter
Mundart
und
2(Carl
Sachen;Der
des
Fassa
Neuen
Folge,
Winter,Heidelberg)―
Craffonara,L.(1987),I
ファ
Ru",San
Michele/
ド ロ ミテ 語 全 般 の 概 説 書.
言 語 の み な ら ず,民
俗,文
載 さ れ る 雑 誌 と し て,次 Der
de
Dolomiti
化 に関 す る論 文 が 随 時 掲
Schlern,Zeitschrift
fur
und
Volkskunde(Bozen) Ladinia,Sfoi (Istitut Martin
de
ク 語,ス
ェ ー ロ ー 語 を 西 ノ ル ド語,デ
ンマー
ウ ェ ー デ ン語 を 東 ノ ル ド語 と よ ぶ こ と が あ る.
し か し,ノ
ル ウ ェ ー 語 の 場 合 は,他
ェ ー デ ン,デ
の 北 欧 諸 語 とは
ル ウ ェ ー は,1397年
に 独 立 す る ま で,隣
のカ
国のス ウ
ンマ ー クの 政 治的 な 影 響下 に あ った が . ご ろ か ら は ス ウ ェ ー デ ン語 の.15 紀 に 国語 運 動 が起 こる ま で は デ
ン マ ー ク 語 の 影 響 が 強 か っ た . そ の 結 果,現 ウ ェ ー で は,デ
在,ノ
ル
ン マ ー ク語 を 基 盤 と し た リ ク ス モ ー ル
(riksmal'official
language')に
音,イ
ノ ル ウ ェー 語 的 な
ン トネ ー シ ョ ン を 加 え て 成 立 し た ブ
ー ク モ ー ル(bokmal'book 首 都 オ ス ロ で,ま
た,元
language')が
東 部 お よび
来 の ノ ル ウ ェー 方 言,ラ language')を
た ニ ー ノ シ ュ ク(nynorsk'new
ンス
基盤 とし
Norwegian',以
下,
省 略)が 西 部 で 用 い ら れ て お り,ベ
ギ ー 等 の 国 々 と 同 様,言
ル
語 対 立 を ひ き 起 こ し て い る.
デ ン マ ー ク の 政 治 的 ・言 語 的 支 配 下 に あ っ た こ ろ は,
cultural Cultral
語 学上
重 母 音 の単 母 音化
な ど の 若 干 の 方 言 上 の 特 徴 に よ っ て,ノ ル ウ ェ ー 語,ア イ ス ラ ン ド語,フ
し ば し ばNNと
Heimat‐
義には ノ
ン マ ー ク 語 を さ す.
ラ ル 語 族)の 言 語 で,言
モ ー ル(landsmal'country
の も の が あ げ ら れ る.
般 に,
理 的 に 近 接 して い る フ ィ ン ラ ン ド語
っ た く 別 系 統(ウ
正 字 法,発 ladini delle
Ladin―"Micura
Appiano)―
だ し,地
世 紀 の 中 葉 以 降,19世
ッ サ 方 言 の 記 述 的 研 究 書.
(Istitut
る).た
言 語 的 に も,1370年
ガ ル デ ー ナ 方 言 の 会 話 入 門 書(テ ー プ 付 き). Elwert,W.Th.(1943),Die
義 に は ノ ル ド語 全 体,狭
ウ ェ ー デ ン語,デ
ル マ ル 同 盟 以 後,1905年
Ladin.Parliamo
ン マー ク
カ ン ジ ナ ビ ア 〔諸 〕語 と い う 名 称 も
か な り 言 語 事 情 が 異 な る.ノ
ル デ ー ナ 方 言 の 記 述 的 論 文.
Beiheft
た,ス れ は,広
の 北 欧 に は 含 ま れ な い . さ ら に,二
バ デ ィ ー ア 方 言 の 文 法 書.
Bammesberger,A.(1974),"Le dolomitique
Val
ウ ェ ー デ ン 語,デ
ェ ー ロ ー 語 と と も に,一
以 下 で用 い るス カ ン ジナ ビア語 の名 称 は後 者 を 意 味 す
は,ま
Alton,J.B.(1968),L
di
形 成 す る(ま
ル ウ ェ ー 語,ス
の と し て は,方
人 と 推 定 さ れ る.
る い は ノ ル ド語 と よ ば れ る 北 ゲ ル マ ン 語 を
あ る が,こ
trice,Bari)
jeunes
イ ス ラ ン ド語,フ
北 欧 語,あ
Adriatica
メ
ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 の ゲル マ
ン 語 派 に 属 す る 言 語 で,ス
Formenlehre(1978)(Wissenschaftlicher A.Lehmann,Gerbrunn
ノ ル ウ ェ ー の 公 用 語 . ま た,ア
リ カ 合 衆 国 や カ ナ ダ な ど へ の 移 民 の 間 で も用 い ら れ て
mitenladinischen,I.Lautlehre(1977),Ⅱ.
lag
norsk,英Norwegian,独Norwe
dai
ladins
Ladin"Micura
Tor,1977‐)
dles Dolomites de
Ru",San
ノ ル ウ ェ ー 人 は,高
度 な学 問 を修 め るに は コペ ンハ ー
ゲ ン大 学 で 学 ば ね ば な ら な か っ た.ナ 台 頭 と と も に,ノ
シ ョナ リズ ムの
ル ウ ェ ー 本 来 の 言 語 が 求 め ら れ,20
世 紀 前半 に はニ ー ノ シ ュ クが 優 勢 で あ るか の よ うな現
は,古
象 を 呈 し た が,第2次
っ て い る こ と で,こ
大 戦 後 は 再 び ブ ー クモ ー ル が 勢
ノ ル ド語 以 来 の〓
力 を 増 し た . 現 在 で は,80%以
上 の 国 民 が ブ ー クモ ー
て 著 し い . ち な み に,デ
ル を 用 い る と い わ れ て い る.両
者 を 統 一 し よ う とい う
で は,こ
動 き も あ る が,現 要 す る に,基
在 ま で の と こ ろ,成
の 特 徴 を,ニ
本 的 に は,ブ
ー ク モ ー ル は 東 ノ ル ド語
下 に,若
ンマ ー ク語 や ス ウ ェー デ ン語
れ ら の 音 は 単 母 音 化 し,東
3)子
干 の 例 を 示 す.
ノ ル ド語
ノ ル ド語 の 特 徴 を
音
閉 鎖 音
側 音1
摩 擦 音
震 え 音r
鼻 音 「(数 詞 の)1」
「遊 ぶ 」
sの
半 子 音j
有 声 音 で あ るzは,他
の ノ ル ド語 と 同 様,存 在
デ ン マ ー ク 語
en
lege
し な い .rは,東
ス ウ ェー デ ン 語
en
leka
西 部 お よび 南 部 で は パ リ の フ ラ ン ス 語 の よ う に 口 蓋 垂
ブ ー ク モ ー ル
en
leke
の 摩 擦 音 で あ る.
ア イ ス ラ ン ド語
einn
leika
お り で あ る.
フ ェ ー ロ ー 語
ein
leika
ニ ー ノ シ ュ ク
ein
leika
2)西
ノ ル ド語
な お,legeの
ja[ja]「 ノ ル ド語
頭 以 外 の 位 置 に お い て,デ
ク 語 で は 有 声 音[b,d,g]に
推 移 し た が,ブ
ル は デ ン マ ー ク 語 起 源 で あ り な が ら,度 の 改 革 に よ っ て,元 [文 字 と 発 音] らZま
[j]<j‐,g‐(+i,y,ei),gj‐,hj‐,lj‐
綴 り に み ら れ る よ う に,古
で の26文
Aa[〓]の3個
は い 」,gi[ji:]「
[〓]「
ンマ ー ー クモ ー
で 行 く 」,kirke[〓]「
文 字 は ラ テ ン 文 字 で,英
「キ ス 」
sj〓[〓]「
海 」,〓[〓]「
さ ら に,東 l,sの
abcdefghijklmnopqrstuv
と が あ げ ら れ る.た
wxyz〓a
前 のrが
Karl[〓]「 後 の 文 字Aaは,1917年
ル ド語 の 長 母 音aに
の正字法改正
書 か れ た が,こ れ は 古 ノ 由 来 す る.な
お,Aaの
文 字 自体
ウ ェ ー デ ン 語 か ら 借 用 した も の で あ る.ま
Cc,Qq,Zzの
使 用 は,固
有 名 詞,外
来 語 な ど,特
た, 別な
場 合 に 限 られ る. 2)母
切 る 」,ski
音
後 続 の 音 に 同 化 し,反
舌音化 す る こ
と え ば,barn[〓]「
カ ー ル(人
る と,[∫]の
名)」.と
よ う に 聞 こ え る.た
子 供 」, く に,sに
同化 す
と え ば,norsk[〓]
「ノ ル ウ ェ ー 語 」. こ の 現 象 は,ス
ウ ェ ー デ ン語 に も 認
め ら れ る. 4)ス
ト レ ス ・ア ク セ ン ト
ノ ル ウ ェ ー 語 は,英
語 や ドイ ツ 語 と 同 様 の 強 弱 に よ る ス ト レス ・ア ク セ ン トを 有 し,そ
母 音 の 体 系 は,以 下 の と お り で あ る.
雲」
部 方 言 に 特 徴 的 な 子 音 と し て,t,d,n,
WXYZ〓A
は,ス
教 会 」,kys[〓]
[∫i:]「 ス キ ー 」,sky[∫y:]「
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUV
以 前 は,AはAa,aはaaと
車
[∫]<sj‐,skj‐,sk‐(+i,y,〓y)>
母
と く に,最
大鎌」
親 愛 な る 」,〓[〓]「
来 の 音 を 示 す 綴 り を 残 し て い る.
字 の ほ か,〓,
か
家 」,lja[〓]「 >
kj〓r[〓]「
語 な どの
>
始 め る 」,gjemme[〓]「
[c]<kj‐,ki‐,ky‐
重 な る正 字 法
の と
与 え る 」,begynne
くす 」,hjem[jemm]「
の 独 自の 母 音 を 示 す文 字 を有 す る .
1)字
部 方 言 で は 舌 先 の 震 え 音 で あ る が,
と く に 注 意 す べ き 発 音 と 綴 り字 と の 関 係 は,次
の[p,t,k]は,語
Aか
くにニ ー ノ シ ュ ク にお い
示 し て い る.
ー ノ シ ュ ク は 西 ノ ル ド語 の 特 徴 を 有 し て
い る と い え る.以 1)東
功 して い な い.
が残
れ は,と
の 位 置 は,ゲ
ル マ ン 語 の 特 徴 を 示 し,第
1音 節 が 原 則 で あ る(例:tanke[〓]「 た だ し,ラ
テ ン語,フ
考 え 」).
ラ ンス 語 等 か らの 借 用 語 で は 他
の 音 節 に あ る(例:student[stu'dent]「
学 生 」)こ と
が多い. 5)音 こ の う ち,〓 rの
は,〓[〓]「
前 で 現 わ れ る.ノ
強 い」の よ うに
ル ウ ェ ー 語 に 特 徴 的 なuは,
他 の 言 語 に 比 べ か な り前 よ り で,oは さ ら に,強
舌 の 位 置 が 高 い.
勢 の ない 語 尾 な ど に現 わ れ る あい ま い 母 音
〓が こ れ に 加 わ る.長
母 音 も 短 母 音 に 対 応 し て,i:,
e:,〓,y:,〓,a:,u:,o:,〓 〓は 短 母 音 に 比 べ 狭 い.二
が あ る が,e:,〓, 重 母 音 で 注 目す べ き こ と
楽 的 ア ク セ ン ト
ノ ル ウ ェ ー 語 に は,上
の ス ト レス ・ア ク セ ン トに 加 え て,2種 ク セ ン ト(高 低 ア ク セ ン ト),す ト と複 調 ア ク セ ン トが あ る.こ は,ス
記
類 の音 楽 的 ア
な わ ち,単
調 ア クセ ン
の音 楽的 ア クセ ン ト
ト レ ス ・ア ク セ ン ト と組 み 合 わ さ っ て 現 わ れ る.
単 調 ア ク セ ン ト(')は
上 昇 型 ア ク セ ン トで,単
音節
語 あ る い は 本 来 的 に 単 音 節 語 で あ っ た 語 に み ら れ,名 詞 に 定 冠 詞 が つ い た り複 数 形 に な っ た り し て2音
節 に
な っ て も こ の ア ク セ ン トに 変 化 は な い.
(た だ し,ノ
dag[〓]'day,→dagen[〓]'the
day'
複 調 ア ク セ ン ト(')は,2音 トで,2音 し,次
節 に ま た が るア クセ ン
節 の うち の 最初 の音 節 で高 い位 置 か ら下 降
る い は,そ
れ 以 上 の 音節 を有 す る語 にお い て
tanke[〓]「
考 え」
vanskelig[〓]「
field'(女
king'(男
定 冠 詞 は,形
queen'(女
単 調ア クセ ン ト
中 性 ・単 数 は‐et(huset;た
hender[〓](hand[〓]「
手 」 の 複 数 形)
hender[〓](hende[〓]「
起 こ る」
の 音 楽 的 ア ク セ ン トは,ノ
ら 存 在 して い た と 考 え ら れ,現
ら れ る.さ
ル ド語 に 古 くか
在 で は,ノ
ル ウ ェー 語
ン マ ー ク語 に 特 徴 的 な 声 門
詞
対 格 の 諸 格 は,属
つ て 存 在 し た,主 格,属 格,与 格,
格(‐s)を
残 し て ほ と ん ど 消 失 し た.
格 の 用 法 の 中 心 的 機 能 で あ る所 有 を表 わ す
場 合 に は,mannens
barn'the
う よ り は,口 語 で は,barnet man'の
man's
child'と
til mannen'the
た,til
bords'at
よ う な 熟 語 に は,古
が 残 さ れ て い る.そ
い
table',til
の 他 の 格 形 も,い
わ ば化 石 化 して
は,古
ノ ル ド語 で は
de store husene 'the
big
houses'(ブ
dei store husa 'the
3)代
称 代 名 詞
の 所 有 格 は な く,所
来
称 で は,親
語 で は,du/dereを
守 的 で,男
性 と女 性 の 区別 が残 って い る. デ ン マー ク
参 照.
性 名 詞 は限 ら
man detは,非
sier
性 がet,共
イ ツ 語 と 同 様,複
c)そ 性 がen,
数形 は ない
よ びvi
称du/dere(NN 語,と
代用 du/de)と
敬
くに若 い世 代 の 言
manは,ド
イ ツ語 な ど
間 で は 」 と い う 意 を 表 わ す.
'they say' 人 称 構 文 の 主 語 を 表 わ す.
det regner 'it 不 定 冠 詞 と 定 冠 詞 が あ る.
eg),duお
有 形 容 詞min,din,varを
名 詞man,det
性 とと もに共 性
に 含 ま れ る.
ー ノシ
用 い る こ と が 多 くな っ て い る.
と同 じ く,「 人 は,世
語,ド
表1を
の 区 別 が あ る が,口
の ノ ル ウェー 語 の 方 言 を基 盤 と した ニー ノ シ ュ ク は保
女 性 がeiで,英
houses'(ニ
名詞
a)人
b)代
詞
big
ュ ク)
す る.2人
男 性 と 女 性 が 融 合 し て 共 性 と な る 傾 向 が 強 い が,元
ー クモ
ー ル)
称Deと
ブ ー ク モ ー ル の 不 定 冠 詞 は,中
ル ウェ
chair'
chairs'
性 の み が 独 立 し て 残 り,
実 上 は,男
ン マー
house'
big
ル ウ ェー語 で は 区別 が あ
2)冠
big big
de store stolene 'the
い ま い に な っ て き て い る.中
れ た 語 に の み 用 い ら れ,事
'the
det store huset 'the
十 分 に 保 存 さ れ て い た が,ノ
語 に 基 づ く ブ ー ク モ ー ル に お い て は,女
ら に,
併 置 す る こ とが 多 い . こ の 定 冠 詞 の 二
ノ ル ウ ェ ー 語 で は,jeg(NN
印 欧 祖 語 以 来 の3性
ークモー
前 置 さ れ る.さ
ウ ェー デ ン語 で は 義 務 で あ り,デ
den store stolen
fots
くか ら の属 格 の用 法
断 片 的 に 保 存 さ れ て い る. b)性
性)・ 単 数 は
口 語 体 で は,こ れ ら の 定 冠 詞 に 加 え て,‐en,‐et,‐(e)
child
よ うに 前 置 詞 を 用 い て 分析 的 に表 わ
す 方 が 好 ま れ る.ま foot'の
性(男 性,女
数 は 両 性 と も,ブ
ー 語 は両 者 の 中 間的 位 置 に あ る とい え る.
ノ ル ウ ェ ー 語 の 名 詞 に は,性,数,
格 の 区 別 が あ る が,か
語 をは
ル ド語 に 関 し て は
ク 語 に は 英 語 な ど と 同 様 に こ の 現 象 は な い.ノ
変 化
し か も,属
の 意 味 で,英
ー ノ シ ュ ク でdeiが
重 使 用 は,ス
1)名
the
性 ・単 数 はdet,複
ne(NN ‐a)を
態]
a)格
ー ノ シ ュ ク で は,中 性 ・複 数 は‐a(husa))
形 容 詞 を と も な う 場 合,共
ら に,音
史 的 に は,デ
発音 さ
そ ぐ わ な い 印 象 を与 え る.
ル でde,ニ
閉 鎖 音 に 対 応 す る. [形
般 に,tは
じ め ヨー ロ ッパ の 言語 の 文法 で 伝統 的 に用 い られ て き
ウ ェ ー デ ン 語 に も 類 似 の ア ク セ ン トが 認 め
セ ン トは,歴
だ し,一
と も‐(e)ne(stolene,husene,
が 接 辞 の 形 で 名 詞 の 後 に つ く.そ
den,中
楽 的 ア ク セ ン トの う ち の 単 調 ア ク
性 ・単 数 と
性 ・単 数 は‐a(marka),
た 定 冠 詞 と い う 日本 語 の 用 語 は,ノ
の 現 在 形)
の ほ か,ス
数 は3性
markene;ニ
な る 場 合 が あ る.
な お,こ
れ な い),複
性)
性)
容 詞 を と も な わ な い 場 合,共
複 調ア クセ ン ト の 音 楽 的 ア ク セ ン トに よ っ て 意 味 が 異
の と お り で あ る.
性)
eit hus 'a house'(中
の よ う に な る.
ェー ロ
性)
ニ ー ノ シ ュ ク の 不 定 冠 詞 は,次
男 性 ・単 数 は‐en(stolen),女
と き に は,こ
' on
性)
ei dronning 'a む ず か しい」
高 低 を 図 示 す る と,次
to
性)
et hus 'a house'(中
ein konge 'a
認 め ら れ る.
イ ス ラ ン ド語,フ
en stol 'a chair'(共
ei/en mark 'a
の 音 節 で 再 び さ ら に 高 い 位 置 に 上 昇 す る.2音
節 語,あ
ル ド語 の う ち,ア
ー 語 に は 不 定 冠 詞 に 複 数 形 が あ る).
is raining'
の 他 の 代 名 詞
疑 問 代 名 詞 と し て は,ブ
ク モ ー ル で,hva[va]'what',hvem[vem]'who', hvis[vis]'whose',hvilken(hvilket,hvilke)
ー
〈表1〉
ノ ル ウ ェー語 の人 称 代 名 詞
数
主
(ブ ー ク モ ー ル)
単
人称
(ニ ー ノ シ ュ ク)
所有格
meg ―
2
du(De)
3
han(男
deg(Dem) 性) han,ham
格
eg
meg
(Deres)
du(De)
deg(Dykk)
(Dykkar)
han
han,honom
hans
ho
ho,henne
hennar,hennes
性) henne
hennes
den(共
性) den
dens
det(中
性)
dets
det
oss ―
vi,me
oss
2
dere(De)
dere(Dem)
deres(Deres)
de(De)
dykk(Dykk)
dykkar(Dykkar)
3
de
dem
deres
dei
dei
deira
どが あ る.
強 変 化 単 Veien(Vegen)er
関 係 代 名 詞 と し て は,somが い ら れ,英
road
も っ と もひ ん ぱ ん に 用
語 のwho,whom,which,thatの
て の 用 法 を 兼 ね る.somの
語 的 で あ る.そ
用
強 変 化 単 Huset
どが あ る.
ル マ ン祖 語*hw‐
名 残 り で あ る(た だ し,ス ウ ェ ー デ ン 語 で は,こ す で に 綴 り か ら も 消 失 し て い る).な
に 対 し てkva,hvemに
対 してkven等
英
と し て 現 わ れ,hva が 用 い られ
は,述
に 応 じて 変 化 す る が,ド
変
イ ツ 語 と異 な る 点
語 的 な 用 法 に お い て も,性,数
存 され て い る こ と で あ る.た
に よ る変 化 が保
だ し,複
数 で は,強
変 化,
弱 変 化 の 区 別 は な く な り,ど ち ら も形 容 詞 の 語 尾 に‐e を つ け る(カ
だ し,こ
ッ コ 内 は,ニ
ー ノ シ ュ ク を 示 す).
強 変 化 単 en(ein)
stor vei(veg)'a
big
road'
弱 変 化 単 den store veien(vegen)'the road'
複 de(dei)store 強 変 化 単 et(eit)stort 複store
veiene(vegane) hus'a
big
house'
big
house'
hus
弱 変 化 単 det store huset'the 複 de(dei)store
husene(husa)
ど.た
ー ノ シ ュ ク で は‐are,‐astを な る.
語 幹 に 接 辞 す る(原
則 と し て,語
幹
の 母 音 が 変 音 す る). ど.
規則 な形 式
god「
よ い 」―bedre(NN
betre)―best,
liten「 小 さ い 」―mindre―minst,な ま た,形
容 詞 と して の 原 級 を も た な い,位
ど. 置関係 を
示 す 語 が あ る. indre
'inner'―innerst
'inmost',
fremre 'anterior'―fremst 'foremost',な 5)数
詞
基 本 的 な も の を 示 す と,次
で あ る.原
則 と し て10進 基 数 詞
複 store veier(vegar)
big
の 場 合,ニ
接 辞 し,gladare―gladastと
ⅱ )不 ドイ ツ 語 な ど と同 様,強
化 と定 冠 詞 類 の 後 に 現 わ れ る 弱 変 化 の 区 別 が あ り,名 詞 の 性,数
語 幹 に 接 辞 す る.
stor―〓―〓,な
容詞
store.
う れ しい 」―gladere―gladest,な
イ)‐re,‐stを
相 当す る語 は な い.
変 化 と弱 変 化
is
則 的 な形 式
ア)‐ere,‐estを glad「
のhは
お,hvemは
はkv‐
4)形
の
来 は 与 格 で あ っ た . な お,
ニ ー ノ シ ュ ク で は,*hw‐
た,hvisに
house
較 級 と最 上 級
ⅰ )規
で は じ ま る 語 の 語 頭 のhは
発 音 さ れ な い が,印 欧 祖 語*kw‐,ゲ
当 た り,元
er stort.'The
複 Husene(Husa)er b)比
語 のwhomに
store.
big.'
の ほ か,der
' who',hvilken'which',hvad'what,which'な
これ ら の 代 名 詞 で,hv‐
stor.'The
is big.'
複 Veiene(Vegane)er
すべ
所 有 格 と し てhvisが
い ら れ る こ と も あ る が,文
a)強
所有格
称 の( )内 は 敬 称 .
' which'な
る.ま
目的格
hans
hun(女
det
主
vi
数 1
注:2人
目的格
jeg
数 1
複
格
ど. の とお り
法 で あ る(→ ゲ ル マ ン語 派). 序数詞
toogtjue(tyve)('two‐and‐twenty')の 多 用 さ れ る.す
な わ ち,ス
方が現在で も
カ ン ジ ナ ビ ア 諸 語 の う ち,
ス ウ ェ ー デ ン 語 は 英 語 式 で,デ 式,ノ
ンマ ー ク語 は ドイ ツ 語
ル ウ ェ ー 語 は 両 者 の 用 法 を 併 用 し て い る.さ
に,13以
上 の 序 数 詞 の 語 尾‐endeは,ニ
で は,‐andeと 6)動
ー ノ シュ ク
な る.
詞
動 詞 は,形
詞 と弱 変 化 動 詞 に,機
態 面 か ら み る と強 変 化 動
能 面 で は 本 動 詞 と助 動 詞 に 分 け
ら れ る . 文 語 で 動 詞 に 認 め ら れ る 範 疇 は,人 時 制,態,法
で あ る が,現
代 の 口 語,お
反 映 す る 文 章 語 に お い て は,人 て い る.た
ら
称,数,
よ び,こ
れ を
称 と数 の 区別 が 消 失 し
と え ば,「 投 げ る」 と い う 動 詞(ブ ー ク モ ー
ルkaste,ニ
ー ノ シ ュ クkasta)の
現 在 は,1・2・3
人 称 の 単 数 あ る い は 複 数 の 主 語 に 対 し,kaster(ブ ク モ ー ル),kastar(ニ
ー
ー ノ シ ュ ク)と い う1つ
の形 し
か もた な い . a)強
変 化 動 詞
ゲル マ ン系 の諸 言語 に 特 徴 的 な
drikke―drakk―drukket(NN
drikke―drakk―
drukke)'drink―drank―drunk'の
よ う に,ア
ウ トに よ り語 幹 母 音 を 変 化 さ せ る 動 詞 で,不
プラ
規 則 な変
化 をする. binde―bandt―bundet(NN bunde)「
縛 る 」,〓
― bar―bore)「
binde―batt― ―bar―baret(NN
gje/gi―gav―gieve/gitt)「 b)弱 な お,sju「7」,tjue「20」
は,1938年
革 に よ っ て 導 入 さ れ た が,デ モ ー ルsyv,tyveの 21,22…
の 綴 り字 改
方 が 広 く用 い ら れ て い る.ま
な ど も,1951年
は,不
た,
が 採 用 さ れ た が,デ
ど.
参 照.
動 詞 を活 用 させ るた め に必 要 な 語 形
定 詞,現
在 形,過
不 定 詞 は,原
ンマ ー ク
(NN
去 形,現
在 分 詞,過
形 の ほ か,aを
a kasta)「
去分 詞で
前 に お い てa
投 げ る 」 の 形 を と る.現
ー ク モー ル で は
語 に よ っ たenogtjue(tyve)('one‐and‐twenty'),
<表2>ノ
用
与 え る 」,な
表2を
あ る.
に英 語 や ス ウ ェー デ ン語 の よ
う にtjueen,tjueto…
変 化 動 詞
c)活
ン マ ー ク語 起 源 の ブ ー ク
bere
運 ぶ 」,gi―ga/gav―gitt(NN
,語 幹 に‐endeを
kaste
在 分 詞 は,ブ
接 辞 し てkastende
ル ウ ェー 語 の 弱変 化 動 詞
(ブ ー ク モ ー ル) 1類
2(a)類
不 定 詞
kaste「
現
在
kaster
投 げ る」
過
去
kastet/kasta
完
了
har
〓
2(b)類 「買 う 」
〓
〓
har
曲 げ る 」
〓
〓
kastet/kasta
3類
〓 〓
har
na「
達 す る」
nar nadde 〓
har nadd
(ニ ー ノ シ ュ ク) 1類
2(a)類
不 定 詞
kasta 〓 〓
現
在
kastar
過
去
kasta
完
了
har
注:skiljaな
ど の4類
kasta は,ブ
2(b)類
〓
〓
〓 har
〓 〓
ー ク モ ー ル で はskilleと
har し て2類
〓d に 含 ま れ る.
3類
4類
na
skilja「
nar
skil
分 け る」
nadde
skilde
har nadd
har skilt
の よ う に い う.こ
れ は,デ
ニ ー ノ シ ュ ク で は,語 andeの
ン マ ー ク 語 と 同 じ で あ る.
幹 に‐andeを
よ う に い い,こ
す る.用
れ は,ス
接 辞 し てkast ウ ェ ー デ ン語 と 同 じ
rike
komme.'Thy
Kongen
で あ る. 制
時 制 に は,現
在,過
去,未
来 の3種
が あ り,そ
れ ぞ れ に 完 了 形 が 加 わ る.完
際 に は,ブ
ー ク モ ー ル で は ドイ ツ 語 や デ ン マ ー ク 語 な
ど と 同 様,往
来,発
了形 をつ くる
着 等 を 意 味 す る 自 動 詞 の 場 合 に は,
〓(現 在 形er,過 + 過 去 分 詞(han
去 形var,過
er
去 分 詞〓)'be'
kommet'he
has
そ れ 以 外 の 自 動 詞 お よ び 他 動 詞 の 場 合 は,ha(現 har,過
去 形hadde,過
詞 を 用 い る.た
ー デ ン 語 と 同 様 ,自 動 詞,他
動 詞 の 区 別 な く,ha(va)
(変 化 形 は ブ ー ク モ ー ル と 同 一)'have'+ い る.な
お,最
近 で は,ブ
な ど の よ う に,決 は2人
kastast)'it
過 去 形ble(v),過
7)助
分 詞blitt〕 vart,過
動 詞
あ る い はverta〔
わ す 複 合 形det kasta)'it
blir
Jeg
習 慣 性 を 示 し,後
det
者 は,個
別 性,特
な お,受
再 帰 代 名 詞 で,古 に 由 来 し,‐skを
去 分 詞vore/‐i〕)+
用 さ れ る よ う に な っ た.ニ ン ド語,フ
者
た,ニ
語werdenと
minnast)「
(NN
会 う 」,synes(NN
m〓)「
う」,な f)法
ikke
詞
ま た,形
令 法 が あ る.
こ の う ち,接
続 法 は,話
法 の助 動 詞 の発 達 に よ り ほ と
ん ど 廃 れ,現
在 は 不 定 詞 と同 形,過
去 も直 説 法 を 流 用
kvar)
da)「
当 時 」,snart 長 く」,ofte
し ば し ば 」;
meir〕―mest)「
良 く」,mye
多 く 」,ja「
は い 」,
ど.
容 詞 に‐tを
つ け た 中性 形 も副 詞 と して 用
pen「
す ば ら しい 」―pent「
す ば ら し く」,lang
長 く」,sen「
遅 い 」―sent「
置 詞
av'of',for'for',i'in',med
' with',pa'on',til'to',ved'at',な
ど が あ る.ノ for a 〓
人 に な る の を 恐 れ て 」 の よ う に,不 す る.な は,古
遅
ど.
ル ウ ェ ー 語 の 前 置 詞 は,redd 続 法,命
較 級,最
い ら れ る.
9)前
説 法,接
級,比
そ こ 」,hvor(NN
nei「 い い え 」,な
く」,な
法 に は,直
彼 は1人
betre〕―best)「
「長 い 」―langt「
ど.
く床
byrja)
む こ う へ 」;
no)「 今 」,da(NN
(mer〔NN
イツ
思
は)早
i 〓.「
形 容 詞 と同 じ く,原
vel(bedre〔NN
思 い 出 す 」,〓
alene
(oftere―oftest)「
イスラ
synast)「
ga
「す ぐ 」,lenge(lenger―lengst)「
べ て の 人 称 に適
語 尾 が これ に 対
til sengs.「(人
こ こ 」,der「
na(NN
干 の 動 詞 に 中 間 態 が み ら れ る.
minnes(NN
tidlig
「ど こ」,bort「
称の
イ ス ラ ン ド語〓,ド
na.「 も う 行 か な く て は い け ま せ ん 」
b〓r ga
her「
も語 源 を 同 じ くす る.
さ ら に,若
入 っ て い い で す か 」(不
上 級 を も つ も の が あ る.
去形
ー ノ シ ュ クの 分 析 的 な 受動 態 に 用 い
る 助 動 詞vertaは,ア
ga
8)副
態 を 表 わ す.
ー ノ シ ュ ク で は,ア
ェー ロ ー 語 と同 様,‐stの
応 す る.ま
inn?「
で 暗 が り を 歩 く勇 気 が な い 」(不 定 詞tore)
ル ウ ェ ー 語seg)
な り,す
ノ ル ウ ェー語 を しゃ
に つ くべ き で す 」(不 定 詞burde,NN
過去分
史 的 に は3人
ノ ル ド語sik(ノ
vilje) norsk?「
komme
Han 〓
日で
vere〔 現 在 形,過
経 て‐sと
私 は 先 生 に な りた い 」
snakke
jeg
Man
blir/vert
示 や 広 告 な ど に 多 用 さ れ る が,今
動 態 の 単 純 形 の‐sは,歴
De
Jeg ma
者 は ,反 復 性,
殊 性 を 示 す.前
動 態 と い う よ り 動 作 の 結 果,状
私 は 明 日出 か け ま
べ れ ま す か 」(不 定 詞kunne)
去形
在 形 と法 助 動 詞 の 後 の 受 身 の 不 定 詞 の 用 法 に 限
詞 は,受
Kan
去
質 上,公
は ブ ー ク モ ー ル に 同 じ,過
の と お り で あ る.
i morgen.「
定 詞matte)
は,現
た,〓(NN
reise
動 態 に 用 い るbli,verta
vil 〓 〓.「
Ma
は,性
ら れ て い る.ま
ー ノ シ ュ ク で は,
複 合 時 制 を つ く る 際 の〓(NN
skal
Jeg
過 去 分 詞 で表
み ら れ る.前
数 投 げ
す 」(不 定 詞skulle)
kastes
現 在 形vert,過
kastet(NN
is thrown'が
令形
数,複
飲 め 」,kast「
だ し,ニ
ha(va)),受
(不 定 詞ville,NN
去 形blei,過
去 分 詞vorte/‐i〕'become')+
with
は,命 令 形 は 不 定 詞 と 同 形 で,kasta
以 外 の 主 な 助 動 詞 は,次
在 形blir,
現 在 形blir,過
と え ば,drik「
vere),ha(NN
去 分 詞blitt)'become,get'(ニ
ー ノ シ ュ ク で は ,bli〔
詞 の 語 幹 を 用 い,単
「買 え 」,な ど.た
ーノ シ
つ け る 単 純 形det
be
と な る.
動 詞 の場合 で も助動
is thrown'と,bli(現
king.'
ま っ た 表 現 に 限 ら れ て い る.命
の 区 別 は な い.た
態 に は,能 動 態 と 受 動 態 が あ り,後 者 に は
動 詞 の 語 幹 に‐s(NN‐st)を
the
dykk.(NN)'God
称 の み に あ り,動
広 く用 い ら れ る よ う に な り つ つ あ る.
e)態
come.'
you.'
過去 分 詞 を用
ー ク モ ー ル で も,ニ
ュ ク や そ の 他 の 方 言 の 影 響 で,自 詞haが
過去分
ー ノ シ ュ クで は英 語 や ス ウ ェ
live
med
弱 変 化 動 詞 第1類 在形
去 分 詞hatt)'have'+
だ し,ニ
vere
ろ 」,〓
come')で,
kingdom
leve.'Long
Herren
d)時
(NN
法 も,
Ditt
お,ス
alene「1
定 詞 と 自 由に結 合
カ ン ジ ナ ビ ア 諸 語 に 共 通 の 前 置 詞pa
ノ ル ド語upp
aに
由 来 し,英
語 のuponと
同
語 源 で あ る.
び,そ
10)接
続詞
a)等
位 接 続 詞
'or'
,な
og'and',men'but',eller
[辞
属 接 続 詞
at'that',enda(NN
,mens(NN
medan)'while',nar'when',
'though' om'if',な
enda)
ど が あ る.
な お,atは,古
書]
ノ ル ウ ェ ー 語 の 辞 書 の 中 で は,Norsk
Ordbok/Norwegian‐English
aryが,外
国 人 学 習 者 に も っ と も 使 い や す く便 利 で あ れ は,ハ
ウ ゲ ン(Einar
「ほ お っ,な
年 に,Universitetsforlaget(Oslo)とUniversity
と同 語 源
of
イ ツ 語〓
あ あ 」,bravo「
る ほ ど」,a(h)「
ブ ラ ボ ー 」,na
え え っ,お
お 」,な ど が
Wisconsin
Pressか
[統 語 的 特 徴]
統 語 的 に も っ と も 重 要 な 点 は,ド
と る が,他
動 詞 が 文 の 第2要
の 要 素 が 文 頭 に く る とVSの
Det
regner
i dag.「
S
V
I dag
regner
Adv Jew 〓
語 順 に な る.
今 日は 雨 降 りです 」
が ノ ル ウ ェ ー か ら 出 た.ブ
ー 語
i London.「
私 は この
Adv
bilen 〓
jeg V
I London 〓
jeg V
denne
bilen.
er
fire vegger
「室 に は4つ こ れ は,元
er'it
と
ル ウ ェー 語 特 有 の用 法 とな っ
と え ば,受
Verta,muna'will,may'〔cf.ア turva'need'〔cf.ア
動 態 をつ くる際 に用 い る イ ス ラ ン ド語munu〕,
イ ス ラ ン ド語purfa〕
の 成 立 の 背 景 ゆ え に,デ
ー
ンマ ー ク語 の
影 響 が 強 い.
Ordbok(Kunn ー ジ,
の 見 出 し 語 を 有 し,発
音 表 記 は な い が,ノ
ノ ル ウ ェ ー 語 か ら 日 本 語 に 入 っ た 語 は,ス
キー関係
接 に 日本 語 に と り 入 れ ら れ た の で は
語 を と お し て の 場 合 が 多 い.た だ し,ノ
ル
っ と も 大 き く,情
ニ ー ノ シ ュ ク の 辞 書 と して は,ス Skard)に
よ るNynorsk
カ ル ド(Matias
Ordbok(Aschenhoug
あ り,簡
トル ヴ ィ ク(Ingvald
Nynorsk
と え ば,ス
キ
ル ウ ェ ー 語 の 発 音 は[∫i:]),お
よ
,
便 な も の と し て は,セ
Ordliste(Fabritius
ル リエ
Torvik)の
,Oslo,1959)が
あ る.
旅 行 用 の 簡 便 な も の で は あ る が,Berlitz(Lau sanne)のEngelsk‐Norsk/Norsk‐Engelsk あ り,小
語 源 辞 典 と し て は,ト Etymologisk 1919年
Ordbok
型 な が ら 発 音 を 示 し て い る. ル プ(Alf
Torp)のNynorsk
Ordbok(Aschenhoug,Oslo,1963;
版 の 写 真 版)が
定 評 が あ る.
百 科 事 典 で は,ホ ル ム ス ラ ン(Arthur
の 語 が 多 い が,直
,た
あ る.
補 さ れ た キ ル ケ ビ ー(W.
よ るNorsk‐Engelsk
(1974,1981)が
な どの 助
動 詞 は 他 の ス カ ン ジ ナ ビ ア 語 で は 用 い な い)で,ブ ク モ ー ル は,そ
訂,増
(Einar 〓)と
ー ノ シ ュ ク は,ア イ ス ラ ン ド語 と と も に,語 彙 の
な く,英
近,改
報 量 も 多 い.た だ し こ れ も ブ ー ク モ ー ル の 辞 書 で あ る. 代 名 詞detが
ノ ル ウ ェ ー 語 の 語 彙 の 基 本 部 分 は,他
点 で も 保 守 的(た
よ るNorsk
ウ ェ ー 語 ・英 語 の 辞 書 と し て は,も
の 北 欧 諸 語 と 同 じ く ノ ル ド語 系 の 単 語 か ら な っ て い る が,ニ
ぎら
リス ト フ ァ ー セ ン(R.Christophersen)
Oslo,19657)が 彙]
クス モール
Ordbok(Gyldendal,Oslo,19664)が
7万5千
て い る. [語
の構 成 で 出版 され て
名 に も あ る と お り,リ
skapsforlaget,Oslo,19862)は,約1,400ペ
is'の
意 味 で も 用 い る.
の壁 が あ る」
っ て 代 わ っ た も の で,ノ
よ るNorsk
な わ ち ブ ー ク モ ー ル の 辞 典 で,ま
Kirkeby)に
i et 〓.
来 の 副 詞der'there'に
(riksmal),す
ま た,最
O
is(are)'の
Knudsen)
Sommerfelt)に
(Aschenhoug,Oslo,1937‐57)
れ は,書
Engelsk
非 人 称 構 文 を 導 く代 名 詞detは,det
Det
ヌ ド セ ン(Trygve
と ス カ ヴ ェ ニ ウ ス(H.Scavenius)に
Adv
S
用 法 の ほ か に'there
大 き な 辞 書 で は,ク
さ ら に,ク i London.
S
考
わ しい 発 音 は 記 号 で 示 され て い る.
車 を ロ ン ドンで 買 った 」
Adv
ー ジ 余 り の 序 文 で の 文 法 ・発 音 解 説,参
い る.こ
O
O
ま た,30ペ
文 献 の リ ス トは 有 益 で あ る.
が,Ⅰ(2巻),Ⅱ(2巻),計4巻
S
V
Denne
類 の 音 楽 的 ア ク セ ン トの 別 を 示 し,
Riksmalsordbok
bilen
補 さ れ,
ク モ ー ル と ニ ー ノ シ ュ ク の 両 方 の 語 彙 を 収 録 し,熟
と ソ マ ー フ ェ ル ト(Alf
det.
denne
S
語順 を
Adv
V
メ リ カ で 改 訂,増
発 音 の ま ぎ ら わ し い も の に は 発 音 表 記 もつ い て い る.
素 と して現 わ れ る
語 が 文 頭 に き た 場 合 に はSVの
よ っ て1965
ら出版 され た ノル ウ ェー 語 ・ に,ア
さ ら に,1984年,第3版
に も 詳 し く,2種
あ る.
こ と で あ る.主
Haugen)に
語頭音が
ah「
イ ツ 語 と同様,定
Diction
語that,ド
英 語 の 辞 典 で,1974年 投 詞
どが
Engelsk
る.こ
で あ る. 11)間
ス
名),な
ノ ル ド語 のpat'that'の
消 失 し た も の で,英
ー(ski
レ マ ー ク(<Telemark,地
そ れ で あ る.
ど が あ る.
b)従
の 関 連 語 ク リス チ ャ ニ ア(<Kristiania,オ
ロ の 旧 名),テ
他 に よ るAschenhougs
Konversasjons
18vols.(Aschenhoug,,Oslo,1954‐614)が 良 で,ノ
Holmesland) Leksikon, 最 大,最
ル ウ ェ ー の 文 化 を 知 る の に す ぐ れ て い る.
[参 考 文 献]
Berulfsen,Bjarne(1971),Norwegian
b)ノ
Grammar
(Aschenhoug,Oslo) Haugen,Einar(1937,19573),Beginning
Norwe
Teach
and
Yourself
Alf
Norwegian(The
English
Uni
れ て い る.後
ー クモ
ー ノ シ ュ ク に関 す る情 報 は ほ と
〓 ,Olav(19652),Norsk 〓
ブ ー クモ
ー ル の 文 法. Grammatikk
(Universitetsforlaget,Oslo)―
ニーノ
シ ュ ク の 文 法. and
Ingvald
Spraket
Vart(Gyldendal,Oslo)―
Scandinavian
to
the
Deutsch,
々 の 言 語 の 発 音,文
法 を簡潔に
示 し た も の. Conflict
Planning(Harvard
Press,Cambridge)―
and
University
ブ ー ク モ ール と ニ ー ノ シ
デ ン マ ー ク 語,ス
ウ ェ ー デ ン 語,古
ノ
(山 本
っ た.そ
の 後,ハ
ン ド ・ヨ ー
ル マ ン語 派 に 属 す る 言 語 の 総 称 で,北
ヴァ
音 に忠 実
の入 れ る と ころ とな ら なか
ン マ ー シ ュ ハ イ ム(V.U.Hammers
haimb,1819∼1909)が,中
世 ノ ル ド語 を も と に し た 用 さ れ た.こ
修 正 を 経 て,今
日 に 至 っ て い る.上
そ れ で あ る.日
常 生 活 に お い て は,デ
れ は,若
干の
に 示 し た 綴 り字 が ンマ ー ク語 の混
用 が 頻 繁 に 行 な わ れ て い る.
a)デ
部方言 ン マ ー ク 語
デ ン マ ー ク 本 土,お
よ び,フ
リー ン ラ ン ドで 使 用 さ れ て い る.標
解 を 招 きや す い.た
ジ ナ ビ ア の フ ィ ン ラ ン ド語 は,非
b)ス
準デ
門 閉 鎖 とい わ れ る一 種 のつ ま り音 が
ス ウ ェ ー デ ン 本 国 と,か
つ
て の 植 民 地 で あ っ た 西 部 フ ィ ン ラ ン ドで 使 わ れ,フ
ウ ェ ー デ ン 語
ィ
は,地
理上
ン ラ ン ドで,フ
とえ ば,ス
カ ン
る.ノ
カ ン ジ ナ ビ ア 語 と もい う.後2者
の 名 称 で あ り,誤
,発
特 徴 と な っ て い る.
ヨ ー ロ ッパ で 話 さ れ て い る,イ
ロ ッ パ 語 族,ゲ
発 音 す る(ア イ ス
ー ボ(J.Chr.Svabo,1746∼1824)は
ン マ ー ク語 は,声
文 明)
英Nordic
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ
c)ノ
ィ ン語 と 並 び,公
ノ ル ド語 に 属 す る 言 語 は,次
の とお り
で あ る.
ー ン語
以 前 は,ス
ン ド諸 島(Shetland 使 わ れ て い た.こ
部方言 イ ス ラ ン ド語
ア イ ス ラ ン ド共 和 国 の 公 用
語 で,現
代 ノ ル ド語 の 申 で も 「古 風 」 な 言 語 と し て 知 の 理 由 と して は,ア)名
の 変 化 お よ び 活 用 が,中
詞,形
容 詞,動
詞
世 ア イ ス ラ ン ド語 と大 き な 差
ま な お,外 来 語 を ほ と ん ど 受 け つ け ず,
語 彙 の 発 達 が 一 貫 し て い る,な
どの 点 を あ げ る こ とが
コ ッ ト ラ ン ド北 部 に あ
Islands)お
Islands)に
よ び シ ェ トラ
も,ノ ル ド系 の 言 語 が
れ を ノ ー ン 語 と い う.し
領 主 の 弾 圧 政 策 に あ い,18世
a)ア
用 語 に指 定 され て い
ル ウ ェ ー 語 に よ く似 た 音 楽 ア ク セ ン ト を も つ.
る オ ー ク ニ ー 諸 島(Orkney
語 系 の 言 語 で あ る.
が な い,イ)い
イ ス ラ ン ド語eg
日」 と綴 っ て[〓]と
ェ ー ロ ー,グ
ル マ ン語 派
ら れ る.そ
擦 音 の 変 化 が 著 し い.
読 む(ア
ラ ン ド語dagur[〓])
2)東
ュ ク の 言 語 対 立 に 関 す る 名 著.
で き る.
eg「 私 」 と 書 い て[〓]と
古 風 な 正 書 法 を 提 唱 し,採
Haugen,Einar(1966),Language
1)西
態 と も に 単 純 化 し て い る.特 鎖 音,摩
な 正 書 法 を 案 出 し た が,世
ス カ ン ジ ナ ビア 諸 語 に つ い て の 概 説
類]
ル ウ ェー か ら の植 民 イ ス ラ ン ド語 と の 類 似
フ ェ ー ロ ー 人 は 久 し く文 字 を もた な か っ た.ス
Languages(Andre
書 で あ り な が ら,個
欧 語,ス
韻,形
重 母 音 の 発 達,閉
ノル ウ ェー
Walsche,M.O'C.(1965),Introduction
現 在,北
デ ンマ ー ク の 自 治領 で あ る フ
に よ り も た ら さ れ た も の で,ア
dagur「
Torvik(1967),
語 の 歴 史 を 扱 っ た も の.
ノ ル ド語
弱 ア ク セ ン トと と も
わ ゆ る 音 楽 ア ク セ ン トが あ る.
ェ ー ロ ー 語
に,二
功 績が
[〓])
Lundeby,Einar
ル ド語,ゲ
紀 の 国 語 愛好 家 イ ー
ル ウ ェ ー 語 に は,強
低 の,い
点 が 目立 つ が,音
Torvik,Ingvald(1954,19662),Nynorsk
[分
に,高
新 ノ
Aasen,1813∼96)の
ェ ー ロ ー 諸 島 で 使 わ れ て い る.ノ
til skolebruk
og 〓(Fabritius,Oslo)―
照]
な り
方 言 が公 用語 と して認 め ら
者 に つ い て は,19世
大 で あ る.ノ
c)フ
ん ど な い.
[参
部 の 方 言 を も と に し て,か
,西
ヴ ァ ル ・オ ー セ ン(Ivar
こ れ ら の 文 法 書 は 平 易 で 分 か り や す い が,ブ ー ル の 文 法 で あ り,ニ
Language
ンマ ー
ー ル(bokmal)と
ル ウ ェ ー 語 」 の 意)の2大
Sommerfelt(1967),
Press,London)
London)―
ノ ル ウ ェ ー の 国 語.デ
部 を 中 心 に 勢 力 を もつ ボ ー ク モ
人 為 的 に 整 理 さ れ た ニ ュ ー ノ シ ュ ク(nynorsk「
gian(Harrap,London) Marm,Ingvald
versities
ル ウ ェ ー 語
ク 語 の 系 統 を ひ き,東
け て 滅 び て し ま っ た.前
か し,英
紀 の 末 か ら19世
世 紀 の 後 半,フ
ェー ロー の言
語 学 者 ヤ ー コ プ ・ヤ ー コ プ セ ン(Jakob 1864∼1918)が
源 辞 典 』(Etymologisk Sprog
pa
Jakobsen,
調 査 を 行 な っ た と き に は,な
り の 単 語 が 記 憶 さ れ て い た.そ
国
紀 にか
お,か
な
の 成 果 は,『 ノ ー ン 語 語
Ordbog
Shetland,1908‐21)と
フ ィ ン ヌ ル ・ヨ ウ ン ス ソ ン(Finnur
over det 〓 し て,彼 Jonsson)の
の 死 後, 手 で
完 成 され た.ク
レイ ギー(W.Craigie)ら
に よ る英 訳
もあ る(→ ノー ン語). [歴
が 減 っ て い る)が あ り,言
語 上 の 変化 を 反映 した
も の で あ る.
史]
1)資
形(数
ル ー ン碑 文 に 記 録 さ れ た 言 語 は き わ め て 古 風 で あ
料
ス カ ン ジナ ビア に 移 り住 ん だ ゲ ルマ
ン人 につ い て は,古 代 の歴 史 家 の 著述 に,若 干 の民族
り,ゴ
ー ト語 よ り保 守 的 な と こ ろ も あ る.た
5世 紀 の 半 ば の も の と さ れ る,ガ
と え ば,
レ フ ー ス(Gallehus)
名が 記 され て い る の み で,詳 細 は不 明 で あ る.言 語 上
出 土 の 角 形 の 金 盃 に 刻 ま れ た 碑 文 の 文 面 は,次
の資 料 と して は,い つ の時 代 か,フ ィ ン語 お よび ラ ッ
で あ る.
プ語(サ ー ミ語)に,ゲ
ル マ ン語(ノ ル ド語?)よ
り借用
ek
され た 単語 が,原 型 に よほ ど近 い と思 わ れ る形 で残 存
hlewagastiR
「余,ホ
holtijar
こ こ に 見 え て い る‐gastiR(ゴ
参照).
か ら,こ
ほか に,ノ ル ド語 の資 料 で あ る ル ー ン 碑 文(runic
2)文
字
の 語 がi‐
こ と が で き る.ま
対 し,北 ゲル マ ン語 と も よば れ,す で に死 滅 した ゴ ー ト語 と近 い 関 係 にあ る.大 陸 と異 な り,キ リス ト教 の 代),そ
の受 容 の
方法 が 緩 や か で あ っ た こ とな ど か ら,中 世 の ノル ド語 は,異 教 時 代 の要 素 を多 分 に残 して い た よ うで あ る. ラテ ン文 字 が 輸 入 され る前 は,ル ー ン文 字(runes)
た,〓
と称 す る,直 線 を基 調 と した 独 自の文 字 を使 用 して い
3)語
史
も,長
母 音 を保
頭 に ア ク セ ン トが 固 定 さ れ る 傾 子 音 推 移(い
則)を 経 て い る,ⅲ)形 ⅳ)動
詞 に 強 弱 の 変 化 が あ る,な
き る が,他
に,ノ
も知 られ て お り,ま た,大 陸 で も,こ の 文 字 で 書 か れ く,ゲ ル マ ン人 の 間 に普 及 して いた 時 代 が あ った の で あ ろ う. 北 欧 で は,巨 大 な 石 に 故 人 の事 跡 を刻 ん だ墓 碑 銘 が , 各地 に多 数 現 存 して い る.こ の ほ か に は,装 身具,剣 な ど の武 器 に,持 ち 主 の名 前,あ るい は呪 文 な ど を刻 んだ もの が 出 土 して い る.こ れ らの うち で,特 に 古 い 紀 頃 ま で遡 る とす る学 者 もあ る.こ の文
字 列 を,ア ル フ ァベ ッ トの命 名 法 に ち な んで フ サル ク よ ぶ.ル ー ン文字 の 字 体 には,古 形 と新
ど を あ げ る こ とが で
ル ド語 独 自 の も の と し て,次
のよう
な 事 項 が 指 摘 さ れ る. a)ゲ
ル マ ン 祖 語*wwが,gwwと
b)ゲ ddjと
し て 現 わ れ る.
ー ト語triggwa(古
英語
ル ド語ggj,ゴ
ー ト語
ー ト語twaddje(古
英語
ル マ ン 祖 語*jjは,ノ な る.
ノ ル ド語tveggja,ゴ で は,twegra「2つ c)2人
の 」)
称 単 数 過 去 形 の 語 尾 が,‐tに
古 ノ ル ド語pu
gaft「
古 英 語pu 〓
タ ク ス)の 1)定
終 わ る.
汝 は 与 え た」
「(同 上)」
[現 代 ノ ル ド語 の 一 般 的 特 徴] 面 で,次
文 法(形
態,シ
ン
の よ う な 特 徴 が あ る.
冠 詞 が 名 詞 の 後 ろ に 接 続 す る.た
語 のthe
ル ド語 の 文 字
わ ゆ る グ リム の法
容 詞 に 強 変 化 と弱 変 化 が あ る,
で は,treo'true')
た碑 文 が見 つか っ てい る とこ ろ をみ る と,広
ル マ ン語 に 共通 す
る 特 徴 と し て,ⅰ)語
ノ ル ド語triggvi,ゴ
<図>ノ
客 」)
向 が あ る,ⅱ)第1次
影 響 も認 め られ る.こ の文 字 とほ ぼ同 じもの が英 国 に
(futhark)と
の〓
ノ ル ド語 に は,ゲ
た.〈 図 〉か ら も分 か る よ うに,一 部 に ラ テ ン文 字 の
もの は,2世
ー ト語 で は,gasts「
語 幹 で あ る こ とを 明瞭 に読 み とる
存 す る 古 い 形 で あ る.
ノル ド語 は ,英 語,ド イ ツ 語 な どに
伝 来 がや や 遅 れ た こ と(西 暦1000年
horna 〓
ル テ の 息 子 こ の 角 を 作 る(刻 む)」
して お り,貴 重 な もの で あ る(「ゲ ル マ ン語 派 」 の項 を
inscriptions)が あ る.
の よう
book,the
deskを,デ
と え ば,英
ン マ ー ク語 で は,
そ れ ぞ れbogen(bog‐en),bordet(bord‐et)の
よう
に い う. 2)形
容 詞 の 述 部 的 用 法 に は,英
な り,文
法 性 に よ る 語 形 上 の 差 異 が 残 っ て い る.た
え ば,ア
イ ス ラ ン ド語 で, 〓 er 〓
er
Mennirnir 3)現
stor「
stort「 eru
イ ツ 語 と異 と
そ の 男 は 背 が高 い 」
そ の家 は 大 きい 」 storir「
そ の 男 た ち は 背 が 高 い」
代 ゲ ル マ ン 諸 語 の 中 で,動
り の タ イ プ,お
語,ド
よ び,重
詞 の 弱 変 化 の4通
複 法 に よ る 過 去 形 な ど は,ア
イ ス ラ ン ド語 に 保 存 さ れ て い る が,他
の 言 語 で は,英
語 な ど の よ う に 簡 素 化 さ れ て い る. 4)中 出 典:モ ル トケ(Erik Moltke)『 デ ンマ ー クの ル ー ン と そ の 起 源 』(1976)に よ る.
た が,ア
世 ノ ル ド語 で は,非
人 称構 文 が頻 繁 に使 わ れ
イ ス ラ ン ド語 に は よ く保 存 さ れ て い る.た
と
え ば,I
dreamをMig
dreams
dreymir(直
to me')と
す る な ど.し
1)古
訳 で は,'It
か し,他
古 ノ ル ド語
お お か た 人 称 構 文 へ 転 化 し て し ま っ た. 5)語
彙 の 面 で は,a)英
語,ド
イ ツ 語 のto
(ich)binな
ど に 対 応 す る語 根*bheu‐
な い,b)英
語to
do,ド
定 形*dhe/dha)が
be,
独 立 語 と し て 存 在 し て い な い,な の ゲ ル マ ン語
と お お む ね 共 通 で あ る. ノ ル ド語 で は,中
世 か ら現 代 へ 向 か っ て,音
韻 ・形
態 上,著 し い 簡 素 化 が 進 行 し,ノ ル ウ ェ ー 語,デ ンマ ー ク 語 ,ス ウ ェ ー デ ン 語 な ど は,程 度 の 差 は あ る が,
haf'sea'
vakr'alert'
voker'healthy'
damr'taste'
doma'taste,smell'
berg'cliff' 〓 'good'
berg'mountain,rocky hill' gue'good'
bu'abode'
bu'abode'
古 ノ ル ド語 の 無 声 摩 擦 音 の[〓]は,ノ
Haugen,Einar(1976),The (Faber
Scandinavian &
Languages
Faber,London)―
料 を駆 使 し て い る が,比
treat
ー ン 語 で[t]
し て 現 わ れ る.有 声 摩 擦 音 の[〓]は,[d]
と し て 保 存 さ れ る か,さ [参 考 文 献]
or
haf'sea'
あ る い は[d]と
現 代 英 語 の よ う な 屈 折 的 言 語 と な っ た.
health ment'
欧祖語の想
本 語 彙 は,他
ノ ー ン語
bani'death'bani'bad
が 知 られ て い
イ ツ 語tun(印
ど の 点 が 注 意 さ れ る が,基
ノ ル ド語 との 対 応
の 言 語 で は,
古 ノ ル ド語
も な け れ ば 失 わ れ た.
ノ ー ン語
フ ェー ロー 語
膨 大な資
較 的 読 み や す く,内
容 も信
頼 で き る. Wessen,Elias(1941,19699),De (Almqvist
&
edition:Die
nordiska
spraken
Wiksell,Stockholm;German nordischen
Sprachen,Walter
Gruyter,Berlin,1968;日
de
本 語 訳:『 新 版 ・北 欧 の
言 語 』 菅 原 邦 城 訳,東
海 大 学 出 版 会,1988)―
小冊
子 で あ る が 概 観 に 便 利. 尾 崎 義(1972),『
北 欧 語 の 話 』(大 学 書 林,東
京)―
名 詞 の 格 語 尾 は,現
北 欧 語 に つ い て 初 め て 読 む 人 向 き.学 術 書 で は な い. [参
照]
ゲ ル マ ン語 派 宏 一)
男 性 単 数 主 格‐r: ilder(ON:eldr)'fire';
英Norn
ノ ル ド語 に 属 す る 言 語 で,ス あ る オ ー ク ニ ー 諸 島(Orkney ラ ン ド諸 島(Shetland
mader(ON:matr)'food'
コ ッ トラ ン ドの 北 方 に Islands)お
Islands)に
よび シ ェ ト
お い て,19世
同 上(弱 変 化)‐i: andi(ON:andi)'breath';
紀初
spadi(ON:〓)'spade'
頭 ま で 日常 語 と し て 使 用 さ れ て い た.ノ ー ン と は,古 ノ ル ド語(Old
Norse,以
下ONと
略 称)の〓
が転
化 し た も の で,「 北 方 の 」 と い う 意 味 で あ る.上 島 は,ノ
ル ウ ェ ー,フ
ェ ー ロ ー 諸 島(Faeroe
kupa(ON:kupa)'cup'
の言
れ らの 地 域 か らの植 民者 に よ り当地 に もた ら
紀 に ス コ ッ ト ラ ン ド人 領 主 の
底 的 な 弾 圧 と 搾 取 を 受 け,19世
に 入 る と島 民 の 言 語 も南 部 か ら 次 第 に 英 語(ス
紀
コッ ト
資 料 に 基 づ い て い る.ヤ
た とえ ば,'to は,'bon'は
ェー ロ Jakob
ー コプ セ ン以 前 に こ
の 言 語 が 学 問 研 究 の 対 象 と さ れ た こ と は な く,標 は も と よ り正 書 法 も存 在 し な か っ た.
準語
say bon words'「 お祈 りを す る」 で
古 ノル ド語bon「
祈 り」 と思 わ れ るが,
す で に 英 語 のbonnie'good'と 2)シ
し て い っ た.
[言 語 特 徴] 以 下 の ノ ー ン 語 の 記 述 は,フ ー の 言 語 学 者 ヤ ー コ プ ・ヤ ー コ プ セ ン(Jakob sen)の
低 地 ス コ ッ トラ ン ド方言 が定 着 した後 も,多 くの ノ ー ン語 の単 語 が 英 語 の 表 現 に混 在 す る形 で保 存 さ れて い る.し か し,原 義 が 忘 れ られ て い る場 合 もあ る.
こ れ ら の 諸 島 は,15世
ラ ン ド方 言)化
brena(ON:brenna)'burning';
Islands)
さ れ た も の で あ る.
手 に 渡 っ て 以 来,徹
女 性 単 数 主 格‐a:
記の諸
と ス コ ッ トラ ン ド を結 ぶ 交 通 の 要 路 上 に あ り,こ 語 も,そ
ー ン語 に お い て も
一 部 の 単 語 に 見 い だ され る. (秦
ノ ー ン語
在 で は ア イ ス ラ ン ド語 と フ ェ ー
ロ ー 語 に の み 保 存 さ れ て い る が,ノ
ン タ クス,そ の 他
混 同 さ れ て い る. ノ ー ン語 の資 料 は量 的
に も質 的 に も限 られ て い るた め,シ
ンタ ク ス の詳 細 は
不 明 で あ る.ヤ ー コプ セ ンが 調査 した 時点 で は,代 名 詞,前
置詞 な どい わ ゆ る機 能語 は英 語 に な って い る も
の が 多 い.ま た,ノ ル ド語 の特 徴 で あ る接 尾 辞的 定冠 詞 は ほ ぼ忘 れ られ,英 語 のtheの
変 形 で あ るdeが
用
い ら れ て い る.
ク 語 が 使 わ れ て い た よ う で あ る.
ノ ー ン 語
古 ノ ル ド語
下 に 示 し た 引 用 文(Jakobsen
K warna farna? mader to de bjadni Fo me a dek. Oba donja.
Hvert ferr pu? matr tilbarns Fa mer ein drykk. Opna dyrnar.
ご ろ ま で シ ェ ト ラ ン ド島 北 部 に お い て 葬 儀 に 実 際 に 使
My
Min 〓
midder me.
kaller o
kallar
わ れ て い た 告 別 の 辞 で,14・15世
《原
du
'food
for
'Give
the
me
' Open '
Op
going?'
is
calling
me.'
英
Goden
'Good
dag! dag
til dora!
語
yurden fra
day
も い う.こ
ク 語 な ど のmor[〓]に
英語
れ は,デ
er
du
skabt
var
Opstaa,
syne
du,for
Og
til jorden
Op
fra
ンマ ー
bastnan
blaa.
af jorden
ら な る 民 謡 の 断 片
タ リ ック で
息 子 が ス コ ッ トラ ン ド
「都 会 の 言 葉 」 を 覚 え て き た こ と を 自 慢 す
の 代 名 詞 は 英 語 のheを
用 い る が,こ
ル ド語 のhan(n)も
skal
Herren
nar
du
du
er)dod,
opsta,
lader(i)sin
thou
basun 〓.
称単数
の例 に あ る よ う
of
earth
the earth
Lord
shall
ま た,de 'the
ど は,古
earth
thou
shalt last
when when
sea',de
burning
poetry)の
De
文》 vare
when
gue
一 部 に な って い る の は興 味 深 い 事 実 で あ る. 書]
min
guid
〓 ca' big
sossa
the
Norn
;英
mare
Sprog
Ordbog pa
Shetland(〓
訳
An
Etymological
Language
in
Dictionary of Shetland,David
Nutt,London,1928‐32;repr.1985,AMS bere
klovandi
New
Press,
York)
[参 考 文 献]
taings...
Barnes,Michael(1984),"Orkney
《英 訳 文 》
he
det 〓
to Kadanes:
eld fire
when
over ti
sone
It was
in my
a
good
son
can
call
went
rossa
big
Norn",in
hour,
the
to Caithness
British
and
Shetland
Trudgill(ed.),Language Isles(Cambridge
in University
Jakobsen,Jakob(1957),Greinir
bere(=barley)
klovandi
Peter
Press,Cambridge)
mare
eld〔ON:eldr〕
og 〓
(H.N.Jacobsen,Torshavn) ,fire [参
taings(=tongs)
照]ノ
ル ド語 (泰
(J.ヤ 4)語
彙
用
れ ら の語 が ノー ン語 の 日常 語 の
Jakobsen,Jakob(1908‐21),Etymologisk 《原
ljog
one,fire'な
ノ ル ド語 の ス カ ル ド詩(Skaldic
語 に 通 じ る も の で,こ
now arise
trumpet.
deep,open
brenjer'the
thou wast
returns thou
blow the
djup'the
sea',de
[辞
散 見 さ れ る.
art,for
dead.From the
ー ン語 とス コ ッ トラ ン ド英 語(イ
vender(du
jorden
made,...to
近 い.
る 親 の 気 持 ち を 歌 っ た も の で あ る と い う.3人
に,ノ
doed. du
《英 訳 文 》
to you!'
敬 称.midderは
ー ン語 で はmoraと
へ 出 か けて
ven
skal laar
Jorden
Earth
示 す)か
nu
yurden
Herren
nar
day!'
'Good
dor/doraはdu(thou)の
3)ノ
af yurden
door!'
ノ ー ン 語
で,ノ
fur
《デ ン マ ー ク 語 訳 文 》
drink!'
mother
Goden
art
skav'd
naar
child'
a
the
My
du
vis
Oktoa you
紀 に成 立 し た もの と
文》
Yurden
a
mik.
are
紀
い わ れ る.
英 語 'Where
CXVII)は,18世
ー コ プ セ ン の 語 源 辞 典 よ り 引 用)
語 彙 の 面 で,特
に 日 常 生 活,自
境 お よ び 漁 業 に 関 す る も の は,ノ
然環
と 共 通 点 が 多 く認 め ら れ る.ま
は
ル ウ ェー 語 の 諸 方 言
ー ク の 領 土 で あ っ た こ と か ら,か
た,15世
紀 まで デ ン マ
な りの数 の デ ンマー
白 ロシ ア語
英
宏 一)
Byelorussian,露
格)
ベ ロ ル シ ア 語,ベ
ロ ロ シ ア 語 と も い う.
ソ 連 邦 を 構 成 す る 共 和 国 の1つ,白
ロシ ア共 和 国 に
お い て 主 に 行 な わ れ て い る 言 語.白
ロ シ ア は,ヨ
ッ パ ・ ロ シ ア の 西 部 地 域 を 占 め,西
は ポ ー ラ ン ド,南
は ウ ク ラ イ ナ,北
東 は ロ シ ア,北
人(う ち,757万
共 和 国 に 居 住)の74.2%に
あ た る700万
お,白
万 人 お り,そ
に
[系
統]
e)ス ら れ る.
ラ ブ 語 派 に 属 し,ロ
ン ド ・ヨ シ ア 語,ウ
イ ナ 語 と と も に 東 の グ ル ー プ を 形 成 す る.以 ロ シ ア 語 と,他
の2つ
クラ
下 に,白
シ ア 語(略Rus.),ウ
と 違 っ て,非 related
音/〓//〓/で b)ふ
BR.〓
ク ラ イ ナ 語(略Ukr.)
鎖 音 で は な く,破
で も,白
シ ア 語 は,音
し て 何 よ り,文
声 面,語
彙 面,そ
い て 著 し い 類 似 を 示 す.了
互に
ロ シア 語 と ロ 法 にお
解 度 と い う 観 点 に 立 って
ロ シア人 に と っての 最 大公 約 数 的 な 印 象 の よ う で あ 方,白
ロ シ ア 人 に と っ て も,ロ シ ア 語 は,「 第2
下 の 記 述 で も,ロ
う した 事 情 か
シ ア語 へ の 言 及 が しば し ばな
[文 字 お よ び 正 書 法] い る.ロ
蓋 化 と い う相 関 標 識 に 関 し
文 字 は,キ
シ ア 語 との 相 違 は,次
1)ロ
な さ な い.
BR.〓
ス ラ ブ 語 は,相
き わ め て 近 い と され て い る.中
さ れ る こ と に な ろ う. 擦
わ ゆ る).
る え 音/r/は,口
て,対(pair)を
蓋化」がみ
「手 」:Rus.〓
以 上 の よ う な 相 違 は あ る が,東
ら,以
「相 関 対(cor
を な す の が,閉 あ る(い
「第2口
の 母 語 」 の ご と き も の で あ る と い う.こ
口 蓋 化 音/d//t/と
pair)」
「飲 ん だ 」:Rus.〓 ラ ブ語 史 で言 う と ころの
る.他
ロ シ ア 語 固 有 の 特 徴.
a)ロ
対 す る 非 音 節 主 音 的 な[w]
も,「 白 ロ シ ア 語 は 習 わ な くて も 分 か る 」 と い う の が,
の 東 ス ラブ 語 との関 係 を示 す 特
徴 を あ げ る. 1)白
「清 潔 な 」
BR.〓
人 強 の 母語 で
白 ロ シ ア 語(略BR.)は,イ
べ て 硬 音 で あ る.
シ ア 語 の/l/に
人 が 白 ロ シア
い る.
に対
を 有 す る.
連
人 が ポ ー ラ ン ドに 居 住 し て
ュ ー 音)+j」
み ら れ る.
「判 事 」:Rus.
ュ ー 音 は,す
BR.〓
ロ シ ア 人 は ソ連 邦 国 外 に も約22
の う ち,18万
ー ロ ッ パ 語 族 ,ス
BR.〓 c)シ
d)ロ
ソ連 邦 で 実 施 さ れ た 調 査 に 基 づ く統 計 に よ れ ば,ソ
あ る と い う.な
複(gemination)が
西 は ラ トヴ ィ ア,リ
料 に よ っ て か な り異 な る.1979年
邦 内 の 白 ロ シ ア 人946万
シ ア 語 の 「軟 子 音(歯 音,シ
し て,重
ー ロ
トァ ニ ア と国 境 を 接 す る. 言 語 人 口 は,資
b)ロ
リー ル文 字 を用
の と お り で あ る.
シ ア 語 の 正 書 法 の 母 音 字〓
に 対 し,iが
用い
られ る.
「列 」,(私
が)喫 煙 す る 」:Rus.〓
2)[w]を
示 す た め,発
音 区 別 符(diacritic)が
用
い ら れ る. c)両
唇 音 に あ っ て は,語
位 置 で,口
末,お
よ び,/j/の
蓋 化 に よ る 対 立 が な く な る(次
前の
の 例 で は,
「ず っ と 以 前 に 」 3)分
母 音 の 前 で は 対 立 し て い る). 数 ・生 格)
ロ シ ア 語 と ロ シ ア 語 が 共 有 す る が,ウ
クライ
BR.〓
a)ア
区 別 さ れ な い(い
母 音/a/と
非
わ ゆ る,
). 代 ロ シ ア 語(略OR.)の〓
音字
を 用 い な い.
BR.〓
ク セ ン トの な い 音 節 で は,低
b)古
ポ ス トロフ
「合 同 」:Rus.〓
4)子
ナ 語 に は み ら れ な い 特 徴.
低 母 音/e//o/が
で は な く,ア
ィ ー を 用 い る.
「鳩 」(単 数 ・主 格):(単 2)白
離 記 号 と し て は,〓
は,/e/と
合流 し
た.
「も の 惜 し み し な い 」:Rus.〓
正 書 法 は,ロ
シ ア 語 と比 べ て,よ
に 近 い.す
な わ ち,ロ
い〓
が,白 BR.〓
り音 素 表 記 の 原 則
シ ア語 で は正 書法 に反 映 され な
ロ シ ア 語 で は 正 書 法 で 示 さ れ る. 「都 市 」(単 数 ・主 格),〓(複
数 ・
主 格):Rus.〓 OR.〓
c)古
「時 代 」:BR.BeK:Ukr.BiK 代 ロ シア語 の弱 化 母 音
る 場 合,b>o,b>eと 3)白
と は い え,口 が完全母音 にな
な っ た.
の2文
ロ シ ア 語 と ウ ク ラ イ ナ 語 が 共 有 す る が,ロ
シ
ア 語 に は み られ な い 特 徴. a)ロ
有 す る(そ
1)母 れ
ぞ れ,〓). BR. 「血 」:Rus.〓(と
も に 単 数 ・前 置
音 の 前 では
い う 音 素 に 対 し,
字 が 当 て ら れ て い る 点 な ど か ら み て も,音
素 的 原 則 は,そ [音
シ ア 語 の 子 音 間 で ア ク セ ン トの な いpo,pe, に 対 し て,を
蓋 化 に よ る 子 音 の 対 立 が,母
母 音 字 に よ っ て 表 わ さ れ る 点,/i/と
れ ほ ど 徹 底 し た もの で は な い.
韻] 音
白 ロ シ ア語 の母 音 を記 述 す る に 際 し
て は,併
せ て ア ク セ ン トを 考 慮 す る の が 妥 当 で あ る.
a)ア
ク セ ン トの あ る 母 音―/i/,/u/,/e/,/o/,/a/
の よ う に,そ の 目 録 は 最 大 と な る.関
与 的 で あ る の は,
「高 さ」 と 「円 唇 化 」 で あ る. 高 母 音(/i/,/u/):非 さ ら に,非
と き,目 につ く特 徴 と言 え よ う,伝 統 的 に,口 蓋 化 音 に/〓/を 加 え た 子音 を軟 子 音,そ れ 以 外 の 子 音 を硬 子
高 母 音(/e/,/o/,/a/)
高 母 音 は,
低 母 音(/a/):非
音 と よび な らわ して い る.
低 母 音(/e/,/o/)
同 じ く硬 口蓋化 に よ る対 立(硬:軟
円 唇 化 母 音(/u/,/o/):非
円 唇 化 母 音(/i/,/e/)
こ こ で 断 っ て お か ね ば な ら な い の は,母 され る 前 舌 母 音[i]と,〓 に つ い て で あ る.こ
の2つ
は,音
ⅰ )上 述 の〓(/t/と/ts'/,/d/ 表わ
声 的 に か な りの 違 い
き に2つ
あ る が,実
補 分 布 を な す.
際 に は,相
音 字iで
で 表 わ さ れ る 中 舌 母 音[i]
が 認 め ら れ る た め,と
b)ア
この相 関 に 入 らな い.
ⅲ )音 声 的 実 現 の 際,白
声規則
ⅰ )有 声,無 声 の相 関対 を なす 子 音 の 前 では,同
く有 声,無 声 の 対 を な す子 音 は,有 声 性 に関 して 後 続
〓 「小 さ な キノ コ」:〓
子 音(主
/C‐/
〓 「 頼 み 」:〓
と し て,非
/i/
口 蓋 化 音)に 続 く場 合,
子 音(主
ⅱ )軟 子音 の前 で は,対
蓋 化 音)に 続 く場 合,
〓 「盛 り土 の上 に」:〓 「森 の 」:〓
「森
ⅲ )や
は り軟 子 音 の 前 で,シ
す る(軟 子 音 の 前 で は,ス 〓 「春(複 数)」:〓
「春(単.数)」:〓
ⅳ )/v/と/v'/は,前
区 別 さ れ な い.
と,語
音 に 後 続 し子 音 に 先 行 す る 母 音/u/は,非
節 主 音 的 な[w]と
音
[w]と
〓 「小 さ な 雌 牛 」:〓
〓 「彼 女 は 兄 の と こ ろ に い た 」
表 の 中 で カ ッ コ で く く っ た 音 素 は,外 に 現 わ れ る だ け の,周
<表1>白
〓 「ひ き 臼 」:〓
ら れ た 分 布 で し か み ら れ な い.
来 語 等 に散 発 的
v)/l/は,先
ロシ ア語 の 子音
「雌 牛 」 「立 て る 」
こ の 規 則 の た め,/v/:/f/,/v'/:/f'/の
と お りで あ る.
辺 的 な 音 素 で あ る.
に 子 音 とい う環 境
し て 実 現 さ れ る.
し て 実 現 す る.
子 音 体 系 は,表1の
に 母 音,後
末 に 位 置 し 先 行 す る の が 母 音 とい う 環 境 で は,
〓 「彼 は 兄 の と こ ろ に い た 」:
音
「(君 は)洗
う」
ア ク セ ン トが な い 音 節 で は,/a/,/o/,
2)子
名簿」
〓 「(君 は)体 を 洗 う 」:〓
声 規 則 ⅰ
ⅱ )母
ュー 音 とス ー 音 が 交 替
ー 音 が 現 わ れ る).
〓 「ノ ー ト」:〓「
「春 の 」
/e/は
「盛 り土 」
(ただ し,正 書 法 上 は,そ れ ぞれ,〓)
材 」:〓
番 の」
)〓
男 ・中 性 名
詞)」
/e/
c)音
をな す 口蓋 化 音 を有 す る非
〓 「2(+ 女 性 名 詞)」:〓「2(+
と し て,口
/C'‐//i//u/
「森,木
「キ ノ コ」
「 頼 む」
口蓋化 音 は,口 蓋 化 音 と交 替 す る.
/u/
/a/ イ)軟
じ
の 子 音 に同化 す る.
/u/
れ以外の位置
ア)硬
ロ シア語 の硬 子 音 は軟 口蓋
化 を伴 って い る.
/a/ ⅱ )そ
対 を な す).
ⅱ )/r/が
b)音
ク セ ン トの あ る 音 節 の 直 前
/i/
と/〓/が
の音 素 とされ る こ と も
ク セ ン トの な い 母 音
ⅰ )ア
の 対 立)を 有 す る
ロ シア 語 との相 違 は,次 の3点 で あ る.
高 母 音 と 非 低 母 音 は,
対 立 は,限
行 す るの が 母 音 で 後 続す る のが 子 音
と い う 環 境,お
よ び,語
末 に お い て,[w]と
して 実 現
さ れ る. 〓 「正 午 」:〓
「軽 い 昼 食 」
〓 「来 た(男 性 形)」:〓
「来 た(女
性
形)」 3)音
節構造
a)開
音 節
CCCVの4種 b)閉
白 ロ シ ァ 語 で は,V,CV,CCV, が 可 能 で あ る.
音 節
最 終 音 節 以 外 に は み られ な い.閉
音
節 は,VC,VCC,VCCC;CVCC,CCVCC,
a)白
ロ シア語 の子 音 体 系 にお い て,相 関 標 識 で あ
CCCVCC,CCCCVC,CCVCCCの8種
る の は有 声 性 と口蓋 化 性 で あ る.と りわ け,口 蓋 化 が
あ る.
相 関 対 をな す こ とは,西 ヨー ロ ッパ の 諸 言 語 と比 べ た
4)ア
ク セ ン ト
で
強 め ア ク セ ン トで あ る.そ
の位
置 は,音
声 的 に 規 定 さ れ て お ら ず,自
し た が っ て,ア [形
由 ア ク セ ン トで,
ク セ ン ト は 弁 別 的 機 能 を もつ.
態]
白 ロ シ ア 語 の 文 法 構 造 は,音
ま し て ロ シ ア 語 の そ れ に 近 く,相
<表2>白 《単 数 》
ロシ ア語 の 名 詞 の格 語 尾
声面 に も
違 は,個
々 の屈 折語
尾 に し か な い と言 っ て も 過 言 で は な い. 1)名
詞類
a)文
法 カ テ ゴ リー
格―
主 格(N),生
(A),造
格(属
数.単
数(sg.),複
性―
格)(G),与
格(具 格)(Ⅰ),前
性(f.),中
義 の 性 に は,活
(Inanim.)の
格
数(pl.)
男 性(m.),女
さ ら に,広
格(D),対
置 格(位 格)(L)
性(n.)
動 体(Anim.),不
活 動体
カ テ ゴ リー も 含 ま れ る.
狭 義 の 名 詞 で は,上
記 の カ テ ゴ リー は,本
来 的 な選
択 的 カ テ ゴ リー と よ ば れ る も の で あ る が,形 詞 の 場 合 は,そ
れ が 限 定,修
容 詞,数
《複
数》
飾 す る名 詞 に 合 わ せ て 一
致 す る,「 形 式 上 の 一 致 」 に す ぎ な い. 白 ロ シ ア 語 は,概 に,さ
し て 屈 折 的 で あ り,数
ら に 単 数 に あ っ て は 性 も,1つ
て 表 現 さ れ る(す な わ ち,複 こ れ に 対 し,対 は,単
は格 ととも
の形 態 素 に よ っ
数 で は 性 の 標 識 は な い).
格 に現 わ れ る活 動 体 と不 活動 体 の 対 立
数 で は 男 性 名 詞 に 限 ら れ て い る が,複
数 で は3
つ の 性 の す べ て に み ら れ る. b)曲
用 タ イ プ
白 ロ シ ア 語 の 名 詞 は,3種
用 タ イ プ に 大 別 で き る(表2を 第1変 ‐eの
化 に は,Nsg.〓
注:1)Anim.:A=G,Inanim.:A=N
の 男 性 名 詞,Nsg.‐o/‐a/
中 性 名 詞 が,第2変
が 主 に 属 し,第3変
の曲
参 照).
化 に は,Nsg.‐aの
化 に は,Nsg.〓
2)こ
女性名詞
の 表 は,簡
略 化 し て あ る.
の女 性 名 詞 が 属
す る.
の 区 別 ば か り か,曲
c)そ
の 他 の 注 目す べ き 点
白 ロ シア 語 の 名 詞 に
用 の タ イ プ の 区 別 も消 え つ つ あ る
と言 え そ う で あ る.と
は い え,白
は,「 語 彙 ・文 法 カ テ ゴ リー 」 と も よ ぶ べ き も の が,部
か な り不 安 定 で あ り,文
分 的 に で は あ る が 認 め ら れ る.同
うに,曲
一 の 曲 用 タ イ プ に属
語 に み られ る 傾 向 に 反 す る よ
用 の タ イ プ を複 数 で も保 存 して い る方 言 もあ
す る 名 詞 の 格 語 尾 に 複 数 の 異 形 態 が 認 め られ る 場 合,
る.他
方,文
た い て い は,語
第2変
化 ・女 性 名 詞 のDsg.,Lsg.に
幹 末 の 子 音(語 幹 の タ イ プ)に よ っ て そ
の 格 語 尾 は 決 定 さ れ る.し
か し な が ら,第1変
性 名 詞 に お い て は 事 情 は 異 な っ て い る.ま で は,抽
象 名 詞,物
を と り,そ
質 名 詞,集
に,Lsg.に
る 名 詞 は す べ て‐yと む ね,語
な る.た
も っ て 論 争 が 続 い て お り,不
は で き な い.次
ず,Gsg.
合 名 詞 は‐yと
れ 以 外 の 名 詞 は,‐aと
ケ ー ス は,今
化 ・男
い う語 尾
だ し,こ
の
語 に 残 る ア ー カ イ ッ ク な 要 素 と し て は,
交 替)を 指 摘 で き る.
d)代
の 人 称,2つ
数)が
名 詞 に は,3つ
あ る.さ
中 性 の3つ
の 数(単 数,複
称 ・単 数 で は,男
の 性 が 区 別 され る(表3を
性,女
参 照).
お い て も,「 人 」 を 意 味 す
な り,そ
名 詞Gpl.(〓/‐oy/‐ay/),第2変 あ る.こ
れ 以 外 の 名 詞 は,お
お
<表3>白
ロシ ア語 の 人 称 代 名 詞 単
化 ・中 性
化 ・女 性 名 詞Gpl, う し た ゆ れ と,第1変
化 ・
1人 称 2人 称 3人 称
で あ る こ と(古 代 ロ シ ア 語 で は
‐a)を 考 え 合 わ せ る な ら ば,複 数 に お け る パ ラ ダ イ ム の 統 一 化(unification)は
ら に,3人
用意に断定
曲 用 の 語 尾 に ゆ れ が み られ る の は,第1変
中 性 名 詞Npl.が〓
み ら れ る 第2次
硬 口 蓋 化(g//z',x//s'の
幹 の タ イ プ に よ っ て 規 定 され る.
(〓/oy/‐ay/)で
ロシ ア文 語 の規 範 は
ロ シア 語 以 上 に 進 ん で お り,性
2)動
詞
数
複
数
性,
a)文
法 カ テ ゴ リ ー
つ の 法(直 説 法,命 直 説 法 に は,時 去,未
来).さ
人 称(1人
定 法)が
ず,3
2 3
区 別 さ れ る.
制 の カ テ ゴ リ ー が 存 在 す る(現 在,過 ら に,現
称,2人
過 去 時 制 は,数
動 詞 に あ っ て は,ま
令 法,仮
在 時 制 は,数(単
称,3人
称)の
数,複
ら に,単
数 に
だ し,人
称 に
辞]
統辞 論 の 分野 にお い て も,白 ロ シア語
そ れ は,既 知 と未知 の 区別 に,主
単 数 男性
と して語 順 が 関 与 す
女性
る点 に つ い て も同様 で あ る.以 下 に,目 に つ く特 徴 を
中性
あげ る に と どめ る. 1)す
数
す べ て の 動 詞 は,完
了体 か不 完 了体 のい ず れか に属
す る(「 体(aspect)」
の カ テ ゴ リー).体
命 令 法 は,数
と 人 称 の 形 式 を 有 す る.こ
れ る の は,2人
称 ・複 数 形 が,2人
こ で注 目 さ
称 ・単 数 形 に〓
を
は,数
た が って,
1人 称 の 場 合 な どで は 余剰 的 と 言 え る.し ら,2人
しか に
か しな が
称 単 数 や3人 称複 数 で は,代 名 詞 は 一 定 の機
能 を果 た す.な ぜ な ら,「一 般人 称 文 」(述 語 動 詞 が,だ
「読 め 」).一 般 に 屈 折 的 傾 向 が 優 勢 な 白 ロ の〓
法 や 時 制 と と もに人 称 も活 用 語 尾 に よ って 表現 され て
人 称 代 名 詞 と現 在形 の 動詞 を用 い る こ とは,た
添 加 す る こ と に よ っ て 形 成 され る こ とで あ る(〓
シ ア 語 に あ っ て,こ
で に 述 べ た とお り,直 説 法 の現 在 時制 に は,
い る(こ こで も,屈折 的 傾 向 がみ られ る).し
の 区 別 は,3
つ の 法 の そ れ ぞ れ に お い て 保 た れ る.
を 示 す に す ぎ ず,膠
れ に も あて は ま る行 為 を意 味 す る.主 語 を 欠 く1成 分 文)の 述 語 動 詞 が,多
くの場 合,2人
称 単 数 と同 形 で
あ り,「不 定 人 称 文 」(動 作 に のみ 注 意 が 向 け られ,動
着 的 で あ る. 仮 定 法 は,動
詞 の 過 去 形 と小 詞〓(〓)に
よって 表
作 主 は 問 題 と しな い.主
語 を欠 く)の 述語 動 詞 は3人
称 複 数 と同 じ形 を と るた め,代 名 詞 が使 わ れ た 文 は,
わ さ れ る.
主 語 を有 す る2成 分 文 で あ る こ とを 明 示 す る こ と にな
〓 「も し し た な ら」(単 数 ・男 性 形),
るか らで あ る.
〓(単 数 ・女 性 形) こ こ で は,分
2)白
析 的(孤 立 的)な 傾 向 が み て と れ る.
「相(voice)」 (passive),再
に 関 し て は,能
動 相(active),被
帰 相(reflexive)が
区 別 され る.被
完 了 体 動 詞 で は,postfix(通
と は 違 っ て,変
ロ シ ア語 で は,分 詞 形(形 動 詞 形)は,も
ら完 了体 動 詞 にお い て の み 用 い られ る.し か も,そ の
動相
また 一 部 の動 詞 か ら しか,能 動分 詞 は 形 成 され ず,受
常 の 接 尾 辞suffix
添 加 し た 動 詞 の 定 形 に よ っ て 主 に 表 現 さ れ,
動 分 詞 の方 が は るか に広 く用 い られ る. ま れ に能 動 分 詞 を用 い る場 合 で も,必 ず 前 か ら名 詞 を修 飾 す る.ま
た,た
動 分 詞 ・過 去 の 短 語 尾 形 と〓
b)活
用
の タ イ プ に 分 け ら れ る(表4を
が 分 詞形 で,〓
動 詞 は,現 在(非 過 去)変 化 に 関 し て, 参 照).
とえ ば,ロ
シア 語 の〓,
〓 「新 聞 を読 ん で い る人 」(〓
詞)の 結 合 に よ っ て 表 わ さ れ る.
大 き く2つ
っぱ
動相
化 語 尾 の う し ろ に 位 置 す る)の〓
完 了 体 動 詞 で は,受 (be動
[統
と ロ シア 語 との 間 に,本 質 的 な差 異 は 認 め られ な い.
よ っ て は 変 化 し な い).
(〓)を
3
カ テ ゴ リー を 有 す る.
の カ テ ゴ リ ー が あ り,さ
は,不
2
数)と
限 っ て 性 の カ テ ゴ リ ー が 表 現 さ れ る(た
複
(複)1
「新 聞 」〔 対 格 〕は そ の 補 語.
この2語 か らな る句 が,前 の〓
「人 」〔 主 格〕を
修 飾 して い る)の よ うな限 定 的 な語 結 合 は,〓, 〓… の よ うに,関 係 代 名 詞(〓)を
<表4>白
ロシ ア 語 の動 詞 の 活 用 タ イ プ (例)語
尾
《Ⅰ タ イ プ 》
[語 1)語 「待 つ 」 (単)1
彙] 彙 の構 成 な らび に借 用
白 ロ シ ア語 の語 彙
の基 礎 と な って い る の は,古 代 ロ シア語,さ らに は,ス ラ ブ祖 語 に まで 遡 り,多 くは,ロ
2
用
いた 節 に よ って 表 わ され る.
シア語,ウ
ク ライ ナ
語 と共 通 す る語 彙 で あ る.こ の ほ か に も,後 代 に な っ
3
て,ス ラブ 諸 語 に 共 通 す る語 根 に 接 辞 を 添加 して形 成 (複)1
され た語 が 少 な くな い.も ち ろ ん の こ と,か つ て は 白
2
ロ シア の地 で も話 され て い た ポ ー ラ ン ド語 や リ トア ニ
3
ア語 か らの借 用 をは じめ と し,他 の ス ラブ語,ス
《Ⅱ タ イ プ 》 「見 る 」
(単)1
語以 外 の諸 言 語(チ ュル ク系,フ
ラブ
ィ ン・ウ ゴル 系,ス カ
ン ジナ ビア の諸 言 語)か らの 借 用 も知 られ て い る.
2)語
形 成
ア ニ ア 大 公 国 の支 配 下 に入 った 「黒 い ロ シ ア」 に 対 し
語 形 成 に お い て 生 産 的 な 手 段 は,語
て,い
幹 の 合 成 お よ び 接 辞 添 加 で あ る. 接 辞 添 加 の 場 合,接
頭 辞 に よ る 語 形 成 と接 尾 辞 に よ
る 語 形 成 は,品
詞 に よ って非 常 に異 な った生 産性 を示
す.動
則 と し て 接 頭 辞 添 加 に よ り形 成 され る
詞 が,原
の に 対 し,名
詞,形
容 詞 の 形 成 は,も
っぱ ら接尾 辞 添
〓 「書 く」 >〓
「書 き な お す 」;
〓 「文 字 」 >〓
言]
ま ず,A)基
「文 書 の 」
幹 方 言 群 と,B)ポ
ク 方 言 群(〓)に
レス
大 別 さ れ,基
ら に,東
北 方 言,西
南 方 言,中
文 書 等 が ふ え 始 め る.リ
トアニ ア 大 公 国 では,事
16世 紀 初 頭,偉
〓 )が 現 わ れ,教
幹方言群
部方 言 に細 分 さ
大 な 文 化 人 ス コ リナ( 会 文 書 を 白 ロ シ アの 民 衆 に理
解 可 能 な こ と ばに 翻 訳 した.こ の 翻 訳 に は,す 〓 ,硬 いrの
基 幹 方 言 群 と ポ レ ス ク 方 言 群 の 特 徴 を ま と め る と, お お よ そ,次
務上
が 用 い られ て い た の で あ る.
れ る.
1)ア
トア
ニ ア 大 公 国 の 支 配下 に お い てで あ った.
の公 用 語 と して,当 時 の西 ロ シア 語(後 の 白 ロシ ア 語)
「作 家 」,〓
〓 「閨 秀 作 家 」,〓
は,さ
しか し,皮 肉 に も,独 立 した 言 語 と し て の 白 ロ シア 語 が 成 立 し,最 初 の 言語 文 化 が 花 開 い た の は,リ
14世 紀 に な る と,そ れ以 前の 宗 教 文 献 と並 ん で,公
加 に よ る.
[方
まだ 自 由な る地域 を 「白い ロ シ ア」 と名 づ け た
とい うの で あ る.
ア 語 の 主 要 な特 徴 が現 わ れ てい る. しか し,1569年
の よ う に な ろ う.
ク セ ン トの な い 音 節 で,/a/,/o/,/e/を
区
で に,
よ うな,白 ロ シ
に,リ
トアニ ア 大 公 国 が ポ ー ラ ン ド
を併 合 して ポ ー ラ ン ド・リ トアニ ア 王 国 が 成 立 す る と, 白 ロ シア 語 は,禁 止 され た わけ で は な い に し ろ,次 第
別 す る か? A(基)し
な い."〓":B(ポ)す
2)/t/,/d/と
に,ポ ー ラ ン ド語 に 公用 語 として の 地 位 を奪 わ れ る よ
る."〓"
対 を なす 口蓋 化 音
うに な った.1696年
に な る と,い よい よ公 用 語 と して
A/ts'/,/dz'/"〓,〓":B/t'/,
の 白 ロ シア 語 の 使用 が禁 じ られ,1795年
/d'/
再 併 合 され た 後 も,白 ロ シ ア語 に よ る教 育 や 出 版 は 禁
A[〓]:B[〓]「
ら は)欲 し か っ た 」
3)Lsg.m.の
文 学 も生 ま れ て くる.
詞 の3.pl.現
20世 紀 に な って,ヤ ンカ ・クパ ラ(〓),
在 形 の 活 用語 尾
ヤ ク ブ ・コラ ス(〓)の
A‐(a)〓',‐(y)〓,:B‐(a)T,‐(y)T 5)形
容 詞 のLsg.の
格語尾
[語
史]
十 月革 命 で あ った と言 え よ う.
今 日の 白 ロ シ ア 語 の 基 盤 と な っ た の
シ ア,ウ
ク ラ イ ナ,そ
の3言
い う こ と は,そ
もか な り不 安 定 で あ る.そ の 上,あ ま りに も ロ シア 語
よ び,そ
の 方言
と近 い た め,こ の2つ の 言 語 を 区 別 す る こ とは,話
の 頃 に は ま だ,東
スラブ
語,お
語 の 違 い は 大 き い も の で は な く,容
解 が 可 能 だ っ た の で あ る.し
か し,古
易 に相 互 理
代 ロ シ ア の領 土
の 一 部 が リ トア ニ ア 大 公 国 の 支 配 下 に 落 ち,ま
言 的 分 化 は 顕 著 に な っ て い っ た,と
紀
し
手 に とっ て さえ 困難 で あ る とい う.実 際,白
ロ シア 共
和 国 に お け る 白 ロ シ ア語 の 保 持 率 は90.1%で
あ るの
に対 し,白 ロ シア共 和 国 以 外 に居 住 す る白 ロ シア 人 の 間 で の保 持 率 は,わ ず か40.8%に
た,他
の 地 域 が,「 タ タ ー ル の くび き」 の も と に 屈 し た8世 に な る と,方
した が っ て,現 代 白 ロ シア文 語 の歴 史 は浅 く,規 範
ロシ ア を含 む古
し て,白
代 ロ シ ア で 用 い られ て い た,文 で あ っ た.と
よ うな 文 学 者 が 登 場
した が,最 終 的 に白 ロ シア 文語 の成 立 を促 した の は,
A‐〓,‐〓:B‐〓
は,ロ
19世 紀 に 入 る と,白 ロ シア 語 は 口承 文 芸 を 通 じて 洗 練 され て い き,出版 は 禁 じられ て い た に もか か わ らず,
格語尾
A‐e,‐y:B‐os'〓 4)動
シア に
止 され た ま ま で あ っ た.
子 供 た ち」
A[〓]:B[〓]「(彼
に,ロ
[辞
す ぎな い.
書]〓 (〓)(1977‐84),
推測
さ れ る. そ も そ も,ど
の よ うな 理 由 で
「白 ロ シ ア 」 な る 名 称
〓 .(MiHCK)―
が 用 い ら れ る に 至 っ た か に つ い て は,定
説 が な い.こ
る が,第5巻
の 呼 び 名 は,す で に ロ シ ア 最 古 の 年 代 記
『原 初 年 代 記 』
105,056語.文
(〓)の
現 存 す る 写 本 の1つ
『イ パ ー チ ー 写 本 』(〓)に れ る が,一
説 に よ れ ば,そ
み ら れ は,13世
た 白 ロ シア 西 部 地 域 を さす表 現 想 か ら生 ま れ た,と
さ れ る.す
紀 に使 わ れ て い
「黒 い ロ シ ア 」 と の 連 な わ ち,い
ち早 くリト
最 大 の 詳 解辞 典.全5巻
と な って い
は2つ の 分冊 に分 か れ て い る.総 語 数 語 と して歴 史 の 浅 い 白 ロ シア 語 の 語
彙 に つ い て,意 義,文 法 特 性,文 体 の 面 か ら規 範 を 確 定 し よ う とい う 目的 を もつ.用 例 は,文 学 作 品, 雑 誌 等 か ら引 か れ て い る.第5巻
の 第2分 冊 に は補
遺 が 含 ま れ,そ の 用例 の 大半 が,70年
代 の 作 品か ら
採 られ て い る.規 範確 立 へ の 努 力 の 一 方 で,up‐to
dateな
辞 書 に し よ う と す る 努 力 が う か が え る.
バ(Araba/Alaba),ナ
バ ラ(Nafarroa∼
Garaia〕/Navarra)の4県,フ
〔Nafarroa
ラ ンス 側 西 南 端 の ラ ブ
ー ル(Lapurdi/仏Labourd)
,低
な水 準 に達 した の は,ま ず,ロ シ ア語 との 対 訳 辞 典
Beherea/Basse‐Navarre),ス
ー ル(Zuberoa/Soule)
に お い て で あ った.本 辞 典 の総 語 数 は約9万.た
の3郡,計7つ
―白 ロ シァ語 の 辞 書 が 今 日的
し,4半
だ
世 紀 も前 の もの で あ り,用 例 も少 な く,文
体 上の 問題 が 多 い とい う.
の 州(=県,郡)が,こ
ス ク 語 を 話 す 人 は,約60万 ス ペ イ ン 側,4分
り,国
籍 上 は ス ペ イ ン人,フ
る特 殊 な辞 典 が 続 々 と 出版 され つ つ あ るが,こ の 語
二 言 語(あ
ま で 刊 行 され て い る.
方 言 辞 典 も,白 ロ シア 全 域 を カ バ ーす る もの は ない が,特 定 の 方 言 を対 象 とす る もの が刊 行 され て い る.
の1が
フ ラ ンス 側 に住 ん で お ラ ン ス 人 で あ る.み
米,中
米,南
米 を は じ め,世
伝 え 保 っ て 使 用 し て い る人 々 も い る.日
お,16世
な,
界 各 地 に移
住 し た バ ス ク 人 や そ の 子 孫 が 住 ん で お り,バ
な い.な
の4分
言 語)併 用 者 で あ る.
師 等 と し て 来 日 し,長
ス ク語 を
本 に も,宣
教
年住 ん で い る バ ス ク人 も少 な く
紀 に,イ
エ ズ ス 会 宣 教 師 と し て 日本
へ 来 た フ ラ ン シ ス コ ・ザ ビ エ ル(シ
―大 百 科 事 典.
の う ち,バ
ペ イ ン語 また は フ ラ ンス 語 を使 う
る い は,多
ほ か に,北
人 弱 で,こ
人 と 言 わ れ る.そ
の3が
バ ス ク 語 の ほ か,ス
現 在,4巻
れ に 入 る.
バ ス ク 地 方 の 総 人 口 は,300万
白 ロ シ ア語 研 究 の 発 展 とと も に,白 ロシア 語 に関 す
源 辞 典 も,1990年
ナ バ ラ(Nafarroa
エ チ ェ ベ リ アEtxeberria,「
ャ ビ ェ ルXabier<
新 し い 家 」 の 意)も
バス
ク 人 で あ っ た.
―小 百 科 事 典.ロ シ ア語 で 出版 され た も
[方
言]
細 か くみ れ ば,ほ
の で,手 軽 に 白 ロ シ ア を 知 る こ とが で きる.
差 が あ る が,バ
[参考 文 献]
カ ヤ(Bizkaiera/西vizcaino),ギ /guipuzcoano),北 /alto
高 ナ バ ラ(lparraldeko
navarro
goinafarrera/alto
),西 bajo [参
照]ロ
シ ア 語,ス
ラ ブ語 派 (大 平
陽 一)
バ ス ク 語 euskara,英Basque,仏basque, 西vasco,独Baskisch [名
称]
(eskuara),エ
ス ク 語 を,エ
ウ ス ケ ラ(euskera)な
バ ス ク 語(共 通 語,公 用 語)で は,エ と言 う.バ kalduna)と
ス ク 人 の こ と は,エ
ス クア ラ
ど と よ ぶ.統
一
ウ ス カ ラ(euskara) ウ ス カ ル ド ゥ ナ(eus
言 う.「 バ ス ク 語 を も つ も の 」 の 意 味 で,
国 籍 に 関 係 な く,バ
ス ク 語 を 伝 え て い る 人 々,す
なわ
ち バ ス ク 民 族 を さ す. 〔分
布] 主 に,ス
ス ク 地 方(Euskal Euskadiと
navarro
meridional),東
behenafarrera/bajo
ペ イ ンと フ ラ ン スに また が るバ Herria,「
バ ス ク 語 の 地 域 」 の 意.
も.euskalは,euskaraが,派
生 接 尾
低 ナ バ ラ(Mendebaldeko
behenafarrera/
occidental),ス
ー ル(Zuberoera/suletino
)の8方
言 へ の 分 類(19世
紀 の ボ ナ パ ル ト公 の 分
れ を 訂 正 し た,ビ
ス コ ア,ラ
ブ ー ル,高
ナ バ ラ,低
ス カ ヤ,ギ
ナ バ ラ,ス
[系 統 ・歴 史]
分 類)で
バ ス ク 語 の 系 統 は,分
い.現
在 周 囲 を と り ま い て い る,ラ
は,系
統 関 係 が な い.
起 源 に 関 して は,今 が 提 出 さ れ て い る.1つ
日,大
テ ン系 の 諸 言 語 と
フ カ ー ス 諸 語)と が,1つ
の
ス 語 族 」 を な す と す る 説 で,文
「バ ス ク ・ コ ー カ サ
法構 造 上 の類 型 的 類 似
と,語
彙 の 一 部 の 類 似 を 根 拠 に し て お り,バ ス ク 人 は,
昔,カ
フカ ー ス 地方 か ら西 ヨー ロ ッパ に移 住 した 民 族
れ て い る.バ
脈 の
バ ス ク 民 族 は ク ロ マ ニ ヨ ン 人 の 直 系 で,最
で,ス
ス ケ ー(Biscay)湾
ペ イ ン 側 で は,ビ
Vizcaya),ギ
ス カ ヤ(バ
に面 し た地 域 ス クBizkaia/西
プ ス コ ア(Gipuzkoa/Guipuzcoa),ア
う1つ
の 説 は,考 古 学 的 発 見 を 根 拠 に,
場 所 に 住 ん で い た と す る 説 で,バ 言 語 の 系 統 に も 属 さ な い,あ
ラ
の仮説
ス ク語 とコ ー カ サ ス 語
だ と も 言 う.も
西 北 の 裾 野 一 帯,ビ
あ る.
か って い な
き く言 っ て,2つ
は,バ
プ
ー ル,ロ
言 へ の分 類
紀 の ア ス ク エR.M.deAzkueの
使 わ
レネ ー(Pyrenees)山
oriental
navarro
辞 の 前 や 後 続 の 名 詞 を 修 飾 す る と き に と る形)で ス ク地 方 は,ピ
低 ナバ
navarro
参 照)と,こ
族(カ
ブール
高 ナ バ ラ(Hegoaldeko
類,図1を
(20世
goinafarrera
septentrional),ラ
ン カ リ(Erronkariera/roncales)の7方 バ ス ク 人 は,バ
ス
プ ス コ ア(Gipuzkera
(Lapurtera/labortano),南
ラ(Ekialdeko
と ん ど村 ご と に 方 言
ス ク で 多 く と られ て い る 分 類 は,ビ
る.い
ず れ に せ よ,バ
ス ク 語 は,他
る い は,系
ス ク 人 が,イ
初 か ら今 の の どの
統 不 明,と
す
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ
<図1>バ
出 典:バ
スク語 の方 言分 布
ス ク 政 府 教 育 部 編,『 バ ス ク語 地 域 地 図 』(Atlas
de
語 民族 の侵 入以 前 か らイ ベ リア 半 島 に 住 ん で い た こ と は 明 らか で あ る.
Herria,erein,1982)に
はブ ル ゴス(Burgos),南
ラ ゴサ(Zaragoza)を
りま で,北 はボ ル ドー(Bordeaux)ま 使 わ れ て い た(図2を
は,
よ る.
残 っ た.紀 元10世 り,今
紀 元1世 紀 頃 は,西 ソ リア(Soria),サ
Euskal
紀 に は,そ の 半 分 の 地域 だ け に な
日で は,図1に
10,000km2)に
見 る よ う な,ご く狭 い地 域(約
ま でせ ば ま っ た.
結ぶ線のあた
近 世 以 来,商 工 業 の 発展 に 伴 い,バ ス ク地 方 にバ ス
で,バ ス ク語 が
ク人 以 外 の 民族 が どん どん 入 って 来 た.特 に,ス ペ イ
参 照).
ン側 で,主 に ス ペ イ ン語 の 話 し手 が 職 を求 めて 多 数 流
バ ス ク語 が 話 され て い た地 域 に,ラ テ ン系 の民 族 が
入 し,ス ペ イ ン語 が 優 勢 とな って きた.そ の上,ス ペ
次 々に入 って 来 る と,言 語 も次 々に ラ テ ン系 の言 語 に
イ ン側 で は,1936∼1975年
の み こ まれ て い き,バ ス ク語 は,そ の よ う な他 民 族 の
バ ス ク語 の 公 的 使 用 が 禁 止 され た40年
あま り入 ら なか った 山 の 中や,ご
語 の 話 し手 人 口は ぐ っ と減 少 した.
く北 の隅 の 方 にだ け
の フ ラ ンコ将 軍 独 裁 の 時 代,
[共通 バ スク語(公 用語)]
<図2>バ
スク語使 用 地域 の歴 史 的推 移
間 に ,バ
スク
バ ス ク語 死 滅 の 危 機 は,
す で に19世 紀 か ら叫 ば れ て い た. 1918年 に は,バ ス ク 語 の擁 護 と研 究 を 目的 とす る公 的 機 関,ス ペ イ ン王 立 バ ス ク語 ア カ デ ミー が 設 立 され た. 20世 紀 後 半,バ ス ク 語 ア カ デ ミー は,バ ス ク語 の 公 用 語,つ ま り,共 通 書 き言 葉(Euskara
batua;従
来,
「統 一 バ ス ク語」とい う誤解 を 招 きや す い訳 語 が使 わ れ て い る)の 制 定 を始 め た.主 に,ギ プス コア,ラ ブ ー ル,ナ バ ラ の各 方 言 の 特徴 を集 め て,ま ず,正 書 法 と 名 詞 の 曲 用 が1968年 形 変 化 や,数 詞,月 られ て,1980年
に 決 定 され,そ の 後,動 詞 の語 名 等 の語 彙 につ いて も会議 が 重ね
前 後 ま で に大 体 の決 定 をみ た.
この 決 定 は,決 して言 語 を1つ に 「統 一 」し よ う とい う意 図 に 基づ く もの で は な い.た 出 典:エ Borroka
ル カ ル ・ラ ネ ア ン(Elkar Euskal
Bilbo,1979)に
Lanean,Hizkuntz
Herrian,Euskaltzaindia,E.V., よ る.
とえば,一 般 の 語彙
につ い て は規 制 もな く,各 方 言 の習 慣 に基 づ い て使 っ て い くこ とに な る.日 常 生 活 で の話 し言 葉 に は,も ち
ろ ん 方 言 の 使 用 が 当 然 と さ れ て い る.し
か し,バ
ス ク
語 を 覚 え ず に 成 人 し た 人 が 習 得 す る バ ス ク 語 は,多 の 場 合,共
通 バ ス ク 語 で あ る.そ
日 常 の 話 し 言 葉 と し て も,共
の た め,最
く
近 で は,
通 バ ス ク 語 が,あ
る程 度
の フ ラ ン コ死 亡 後,ナ
を 除 くバ ス ク地 域 の 自 治 が 認 め ら れ,1980年 府 大 統 領 が 選 ば れ た.以
降,バ
ス ク語 教 材 の 開 発,成
語 教 育 機 関 の 設 立,バ
に 自治 政 及 は,
富 な予 算 がつ ぎ こ
・中 学 校 で の バ ス ク語 教 育,教
ク語 教 育,バ
バ ラ
ス ク 語 の 擁 護,普
バ ス ク 政 府 の 中 心 的 政 策 と な り ,豊 ま れ,小
師 に対 す る バ ス
人 に対 す るバ ス ク
ス クテ レ ビに よ る放 送 等 々が 成
果 を あ げ て い る.こ
れ と 並 行 して,フ
若 年 層 の 積 極 的 な 活 動 に よ っ て,同
ラ ン ス 側 で も,
様 の バ ス ク語 教 育
な い.古
く は,ロ
の 墓 碑 に,バ り,11世
バ ス ク 語 は,固
有 の 文 字 を もた
ー マ 時 代 の ア キ タ ニ ア(Aquitania)
紀 頃 か ら の 古 文 書 に は 普 通 名 詞 が,そ な どの 文 章 も現 わ れ る.各
ル 等 の 書 蔵 庫 に は,ま
だ,膨
々 と,解
読,公
後,続
れ る.印
刷 され た 最 初 の 出 版 物 は,低
1545)で
あ る.聖
し て,
地 のカ テ ドラ
ナバ ラ の司 祭 ベ
d'Echepare,デ
チ
『詩 集 』(Olerkiak,Bordeaux,
書 の バ ス ク 語 訳 も,16世
紀 か ら出 版
フ ラ ン ス 語 式 あ る い は ス ペ イ ン 語 式 に 使 わ れ て い る. バ ス ク 語 の 文 法 書 と 辞 書 が 出 る の は,18世 ず,ス
ペ イ ン 側 で,マ
デ ィ(Manuel
ス ク 語 文 法 』(El
de
lengua
紀 か らで
ヌ エ ル ・デ ・ラ ラ メ ン
de Larramendi)の
事.バ
『征 服 さ れ た 不 可 能
imposible
の2枚
くの 業 績 を 残 し た が,中
の 地 図 』(Deux
basques,1869)と
(Diccionario y latin,San
こ の 頃 か ら,続
フ ラ ン ス 側 で,マ Harriet)の
出 版 さ れ,次
い で,
ル テ ィ ン ・ ド ・ハ リエ ッ ト(Martin 『フ ラ ン ス 語 を 学 び た い 人 の た め に 書
Jan
Van
(Grammaire
comparee
des
dialectes
Vinson)の,『
de
la
langue
basque,Paris,1891)お
Paris,1898),ア
ル
Campion)の
ト ゥ ー ロ ・カ ン ピ オ ン(Arturo
『バ ス ク 語 の4文
de los cuatro
学 方 言 の 文 法 』(Gramatica
dialectos
literarios
euskara,Tolosa,1884,復 紀 初 頭 に 出 た,レ
Bayonne,1741)が ム・フ
nahi
公 刊 さ れ た.言
ォ ン ・フ ン ボ ル ト(Wilhelm
が,1799年
に,初
francez
dutenen
faboretan,
語 学 者 ウ ィル ヘ ル von
Humboldt)
め て バ ス ク を 訪 問 し て 以 来,バ
語 に 興 味 を 抱 い た こ と は よ く知 ら れ て い る.フ ス ク=ミ
シ ェ ル(Francisque‐Michel)の
そ の 民 族,言
語,風
習,文
ど で あ る.
ス レ ク シ オ ン ・マ リ ア ・デ ・
ア ス ク エ(Resurreccion
Maria
de
Azkue)の
vasco‐espanol‐frances,1905‐06)は,各
と して,今
『バ ス
1918年
に,バ
Lengua
方言におけ
っ とも信 頼 で き る辞 典
日 ま で 版 を 重 ね て き た.ア
ランシ
Pays
ス ク エ は,ま
ス ク 語 ア カ デ ミ ー(Academia
Vasca,本
会 長 を 務 め,そ
の機 関 誌
の 他,多 de
くの 業 績 が あ
Urquijo)は,『
international
略,RIEV〕)を
国際
de los
創 刊(1907),編
バ ス ク 語 に 関 す る 論 文 の ほ か,古 の 刊 行 に 尽 く し て,後
主
か に,『 バ ス ク 語 形 態 論 』
リ オ ・デ ・ウ ル キ ホ(Julio
vascos〔
la
す る まで
『バ ス ク 語 』(Euskera)を
vasca,1925),そ
バ ス ク 研 究 』 誌(Revista
た,
de
拠 は ビ ル バ オ)を 創 立,没
幹 編 集 し た(1912∼1936).ほ
es 集 し,
い未 印刷 の テ キス ト
の バ ス ク 語 学 に 貢 献 し た.
こ の 頃 か ら,ヨ ー ロ ッ パ 各 国 の 学 者 に よ る,各 分 野 の
話 し 手 が 激 減 し た 間 も,研 1975年,フ
ペ イ ン で は,1936
間 続 く フ ラ ン コ 独 裁 時 代 に,バ
ス ク語 の
究 活 動 は 途 絶 え な か っ た.
ラ ン コ 将 軍 の 死 亡 後,バ
禁 に な る と,バ ス ク
『バ ス ク 地 域.
学 お よ び 音 楽 』(Le
de la lengua
刊1977)な
年 か ら40年
ikhasi
よび
et Supplement,
バ ス ク 語 研 究 が 続 々 と出 始 め る.ス
hitzcunca
basques,
バ ス ク 語 文 献 目 録 』(Biblio‐
『補 足 と追 加 』(Complement
20世
basque‐
ラ ヴ ィ ダ 語 学 者 で も あ る ジ ュ リア ン ・ ヴ ァ ン
ソ ン(Julien
その
書
『バ ス ク 語 諸 方 言 の 比 較 文 法 』
escuaraz
francesez,composatua
ラ ンダ
Eys)の,辞
『バ ス ク 語 ・フ ラ ン ス 語 辞 典 』(Dictionnaire
か れ た バ ス ク 語 と フ ラ ン ス 語 の 文 法 』(Gramatica eta
で sept の方
々 と研 究 業 績 が 現 わ れ る.オ
francais,1873)と
tudios
del castellano,vascuenze
Sebastian,1745)が
des
い う 言 語 地 図 は,彼
の ヴ ァ ン ・エ イ ス(Willem
る.フ
ス ク 語,ラ テ ン 語 の 三 言 語 辞 典 』
trilingue
cartes
言 研 究 の 大 き な 成 果 で あ る(「方 言 」 を 参 照).
(Morfologia
vencido.Arte
vascongada,Salamanca,1729),お
よ び,『 ス ペ イ ン語,バ
de
も,『バ ス ク7州 provinces
イ ・ リ ュ シ ア ン ・ボ ナ
ラ ンス とス ペ イ ンの バ ス ク地 方 で フ ィ
る 語 の 正 確 な 記 述 と用 例 で,も
こ れ ら の 記 録 で は,大 ざ っ ぱ に 言 っ て,ラ テ ン 文 字 が
la
ス ク の 言 語 に つ い て は,そ
の 甥,ル
ク 語 ・ ス ペ イ ン 語 ・フ ラ ン ス 語 辞 典 』(Diccionario
さ れ て い る.
あ る,ま
musique,Paris,1857)は,バ
ー ル ド ・ワ ー ク を 重 ね ,多
刊 され る こ とが 予 想 さ
ル ナ ト ・ ド ・エ チ エ パ レ(Bernat
et sa
ポ レ オ ン1世
大 な 古 文 書 が 収 蔵 され て
お り,今
ェ パ レ と発 音 す る)の
の 頃,ナ
graphie
ス ク語 の 人 名 が ラテ ン文 字 で 刻 まれ て お
次 第 に,祈祷
litterature
langue,ses 〓,
ス ク 民 族 の 紹 介 で あ る.バ
1879),ド
普 及 運 動 が 進 ん で い る. [記 録 ・研 究 史]
sa
population,sa
パ ル ト公 が,フ
使 わ れ る よ う に な っ て き て い る. ス ペ イ ン側 で は,1975年
Basque.Sa
ス ク語 の使 用 が解
ス ク 人 の 民 族 意 識 の 高 揚 と と も に,バ
ス ク 語 を 死 滅 か ら 守 る こ と を 目 的 と し て,バ
ス ク語 で
書 か れ た 書 物 も 大 量 に 出 版 さ れ る よ う に な る.ま 同 じ 目 的 で,バ 1980年,ス
た,
ス ク 語 研 究 の 重 要 性 も 叫 ば れ る. ペ イ ン側 で バ ス ク の 自 治 が 始 ま っ た 年 に
(「共 通 バ ス ク 語 」 の 記 述 を 参 照),バ は,初
ス ク 語 ア カ デ ミー
の 国 際 バ ス ク 語 学 会 を 開 催 し た.そ
(z[〓]とx[〓]の
お り,そ
学 会 は 回 を 重 ね て お り,学 会 記 録 集 も 出 版 さ れ て い る.
て い る.
近 年,辞
た,ア
メ リカ 合 衆 国 に お い て,国
書 や 文 法 書 の 類 も,各
れ て い る.最
で あ る バ ス ク 語 に 興 味 を 示 し,他
史 的 研 究 や 比 較 研 究 も 進 め ら れ,数
hotza「
か ら は,バ
の1つ
と し て,大
1997年
現 在,デ
寒 さ」(定 形),hotsa「
々 の成 果 が 刊行 さ
指 小 表 現 で,z,s,tz,tsの
代 わ り に,x,txが
以 下 の 記 述 で は,主
1)母
ま っす ぐ」 →xuxen「
samur「
刊 準 備 中 で あ る. と し て,統
や わ らか い,穏
て も や わ ら か い,穏
一バ ス
zerri「
在 用 い ら れ て い る正 書 法 に よ っ
音
母 音 は,ほ
o,uの5個,フ
と ん ど の 地 域 で,a,e,i,
ラ ン ス 側 の ス ー ル 方 言 だ け は,こ
か に,u[y]を
もつ.二
のほ
や か な 」 →xamur「
と
ラ ン ス 側),txerri(ス
lo「 眠 り」 →llo「
重 母 音 は,ai,ei,oi,ui,au,
子 音 に は 地 方 差 が あ る が,多
域 に ほ ぼ 共 通 す る 子 音 は,次
た,lの
くの地
節
た,閉
日本 語 の よ う に 開 音 節 が 多 い が,ま
音 節 も あ る.音
節 末 尾 に立 つ 子 音 は限 られ て い
る.
の と お り で あ る.
音 節 の 頭 に も 末 尾 に も,子
(ス ペ イ ン側 の 一 部 で[〓],そ
で 現 わ れ る.音
尖 ふ る え 音,フ
の 他 で[〓]);tz[〓],
尖 は じ き音),rr[〓](舌
ラ ン ス 側 で は,口
れ,音
蓋 垂 の[R]も
聞
か れ る);l,ll[〓];m,n,n[〓] き と し て,dd[〓],dz[〓],dx[〓]も
ら れ る.フ
ラ ン ス 側 の 一 部 に は,p,t,kと
有 気 のph,th,khが
あ る.有
用い 対 立 し て,
気 のlh,nhが
あ ると
言 う研 究 者 もい る. フ ラ ン ス 側 の 諸 方 言 で は,日
本語のハ行子音の よう
そ の,そ
れ」
ス ペ イ ン側 で は,hの
書 法 上,書
記の語 か れ るだ
け で あ る. 小 表 現 で の み 用 い ら れ,tの
代 わ りに
現 わ れ る も の で あ る. aita「 父,お
お と う ち ゃ ん,
パパ」 れ と並 行 し
擦 音 に,tz[〓],ts[〓],tx[〓]の3種 地 方 差 が あ り,ス
が あ る.
ペ イ ン 側 で は,舌
を
そ ら し て 舌 尖 を 歯 茎 な い し そ の 後 部 に 近 づ け る,舌
尖
の 歯 茎 音 な い し そ り舌 音 が 多 く(便 宜 上,[〓]で
表 わ
ラ ン ス 側 で は,舌 を そ ら さ ず に 舌 尖 ま た は 舌 端
を 歯 茎 に 近 づ け る 音 や,日
どの限 られ た子
本 語 の シ の 子 音 の よう な 音
は,音
節 初頭に
国 語 か らrやrrで
ま る 語 を と り入 れ る と き は,そ
始
の 前 に 母 音 が 添 え られ
る. Erroma(<Roma)「
ロー マ 」
arrazoi(<razon)「
道理」
ク セ ン ト と メ ロ デ ィ ー
フ ラ ンス 側 の西 の
型 ア ク セ ン ト ら し く,平
る 傾 向 が あ る.ス
ら に単 調 に発 音 す
ペ イ ン側 の 西 の 方 で は,大
き な高 低
の メ ロ デ ィ ー を つ け る 傾 向 が あ る.し
か し,多
くの方
言 で,語
れ が,地
方に よ
の 高 低 ア ク セ ン トが あ り,こ
っ て 異 な っ て い る.
し く,固
形 も,多
telefonoa「
た,最
ペ イ ン語 の ア ク セ ン トそ の ま ま の
数 学 」(西matematica) 電 話 」(定 形)(西telefono)
法] 徴
で あ げ る と,次 a)き
ラ ンス語 の 影 響 が著
く聞 か れ る よ う に な っ て い る.
matematika「
[文 1)特
ペ イ ン語,フ
有 の ア ク セ ン トが く ず れ つ つ あ る.ま
近 の 借 用 語 で は,ス
歯 擦 音 に,z[〓],s[〓],x[〓]の3種,こ
こ の う ち,sは
た が っ て,外
こ こ数 十 年 は,ス
と う さ ん 」,aitta「
一
ス ク 語 に 固 有 の 語 に も よ く出 る.
は 立 ち え な い.し
方 で は,一
音 は す で に 脱 落 し,上
発 音 され る.hは,正
tt[〓]は,指
く の 場 合,単
節 末 尾 に は,‐st,‐rtz,‐ltzな
音 群 の み が,バ
4)ア
あ る. hori[〓]「
音 は,多
節 初 頭 の子 音 群 の 多 くは借 用 語 に み ら
上 に 掲 げ た 子 音 の う ち,rとrrと
ほ か に,と
現われ
ねんね」
b,d,g;p,t,tt[〓],k;f,z[〓],s[〓],x[〓],j
ts[〓],tx[〓];r[〓](舌
代 わ り に,ll[〓]が
る こ と も あ る.
3)音 音
は[〓]と
ず う っ とま っす
や か な(感 じ の い い)」
ブ タ 」→xerri(フ
指 小 表 現 で は,ま
あ る.
2)子
す),フ
現
ペ イ ン側)「 ブ タ(ち ゃ ん)」
て 表 記 す る.
て,破
音 声 」(定 形),kutxa
ぐ」(感 情 を こ め た 表 現)
が か り な 方 言 調 査 が 行 な わ れ た. ー タ処 理,公
韻]
zuzen「
ス ク語 ア カ デ ミー の プ ロ ジ ェ ク ト
ク 語 を 中 心 に 扱 い,現
なhが
シ ャ ビエ ル
わ れ る こ と が あ る.
1985年
euが
売 る 」,Xabier「
「箱 」
た,歴
れ て い る.
[音
な る正 書 法 上 の問 題 とな っ
(人 名)」
の能
格 言 語 と の 対 照 研 究 な ど を も行 な っ て い る.ま
ス カ ヤ の大
区 別 が す で に な くな っ て
の 使 い 分 け は,単
zaldi「 馬 」,saldu「
国で相次いで出版 さ
近 は,類 型 論 を 研 究 す る 言 語 学 者 た ち が,
能 格 言 語 の1つ
聞 か れ る.ビ
部 分 で は,zとs,tzとtsの
の 後 も,バ 際
ス ク に お い て,ま
中 間 の 音)も
バ ス ク語 の 文 法 的 特 徴 を か い つ ま ん の と お り で あ る.
わ め て,論
理 的,膠
着 的 で あ る.
b)語
順 は,基
語 が 先,動
本 的 に は,日
本 語 と 同 じ く,SOV(主
詞 部 が 文 末 に お か れ る)型
要 因 に よ り,こ
れ に 転 換 が 加 え ら れ,さ
が 実 現 す る(5の c)前
で あ る.各
Patxik
diru‐a
パ チ は
お 金 を(定 単)
(='Patxi
has
種の
ま ざ ま な 語順
Liburu‐ak
「統 語 」 を 参 照).
置 詞 を 用 い ず,後 置 詞 や 格 語 尾 を 用 い る(2の
「語 形
成 」 を 参 照). e)動
雑 な 変 化 組 織 を もつ.自
詞 と で 変 化 が 異 な り,法,時 て 変 化 す る.人
制,態,人
動 詞 と他 動 称,数
に よっ
称 に つ い て は,主 語 の 人 称 の み な ら ず,
間 接 目 的 語 の 人 称,直
接 目 的 語 の 人 称 に も呼 応 し て,
何 重 に も 入 り く ん だ 変 化 を す る(3の
「動 詞 ・動 詞 句 」
を 参 照).
.
表1に
は,無
情 物(inanimate)の
情 物(animate)の
が あ る.14な
場 合 は,語
い し16の
例 を示
形 に 多 少 の 相違
格(kasu/case)が
あ る と され
て い る. こ れ ら の 格 の 中 で,構 格,能
格,与
格,お
絶 対 格 は,語
文 法 上,主
よ び,2つ
要 な も の は ,絶
わ ゆ る 「能 格(ergative)言
動 詞 文 の 主 語 は,他
に お か れ る(2の 動,受
で,自
動 詞 文 の 目 的 語 と 同 じ格,す
ち 「絶 対 格 」 に お か れ,他
g)能
語 」 の1つ
を 代 表 す る 格 で あ り,ま
た,他
動詞文
他 動 詞 文 の 主 語 に な る.
「統 語 」 を 参 照).
da.(自
動 詞 文)
来
た
ama
ikusi
du.(他
動 詞 文)
ス ク語 文 法 の 特徴 を な す い くつ か の 点 に (能 格)(絶
詞 ・名 詞 句
名 詞 に も,代
名 詞 に も,文
法
的 性 の 区 別 は な い. 数 は,単
格 は,い
だ け で あ る が,数
の 区別
sintagma)全
bea/indefinite)は
べ て,1つ
の 名 詞 句(名
詞統
見
た
aita
ikusi
du.(他
見
た
母 が
不 定 形(無
父(を)
無 表 示,定
形(限
ama‐ri
ekarri
定 形mugatua/
詞(artikulua/article)と
の た め,「
よば れ る定
形 で の み 単 数 形, 単 数,複
数,不
dio.(他
定
の 数 のカ テ ゴ リー が あ る」 と ま とめ る研 究 者 も
動 詞 文)
詞 の 付 加 語(連 体 語)に な っ て,名
詞 句 を つ く る. aita‐ren
etxea
父 の(所 有 属 格) 家 mendia‐ren
絶 対 格(bの
山 の(所 有 属 格) 名 前
「格 」 を 参 照)の 場 合 の 例 を あ げ る.‐a 複 数 形 語 尾 で あ る.
izena
etxe‐ko
atea
mendi
(不 定)「 山 」
家 の(位 置 属 格) 出 入 口
mendi‐a
(定 単)「 山 」
mendi‐ko
mendi‐ak
(定 複)「 山 々 」
山 の(位 置 属 格)
mendi
zuri
(不 定)「 白 い 山 」
c)代
mendi
zuri‐a
(定 単)「 白 い 山 」
人 称(聞 き 手),3人
mendi
zuri‐ak (定 複)「 白 い 山 々 」
定 形 語 尾(冠 詞)は,英 な 場 合 も 含 め て,広 zer
mendi?
何
山(不 定)?「
語 で は'the'を
使わ ないよう
い 範 囲 に 用 い ら れ る.
表2の
木
名 詞 と 人 称
に 単 数(1人)と 称 に は3種
zuhaitza
人 称 は,1人
称(第 三 者)の3種
複 数(2人
類 あ る(表2を
用 い ら れ,「2単
称(話
し 手),2
類 で,そ
以 上)が あ る.た
れ ぞれ
だ し,2人
参 照).
「2単 親 」hiは,親
っ て 言 う と き や,親 何 と い う 山?」
動 詞
っ て き て あ げ た)
い る(Lafitte,1979).
詞),‐kは
動 詞 文 で も,自
gona
持 っ て き た(買 2つ の 属 格 は,名
に 無 関 係 で あ り,定
複 数 形 が 区 別 さ れ る.こ
接 目的 語 に な る.他
文 で も 使 わ れ る.
父 が(能 格) 母 に(与 格) ス カ ー ト(を)
限 定 形mugaga
形 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.
は 定 形 語 尾(冠
動 詞 文)
対 格)
Aita‐k
体 の 後 に 付 く.
定 と 数
不 定 形 は,数
母(を)
Ama‐k
与 格 は,間
語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.
定 形 語 尾 も格 語 尾 も,す
definite)は,冠
父 が
定 の 区 別 が 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.
ろ い ろ あ り,格
a)定,不
対 格)
(能 格)(絶
数 と 複 数 と の2つ
と 同 時 に,定,不
合 体izen
etorri
(絶 対 格)
Aita‐k つ い て 概 観 す る. 2)名
Aita
父(が) 動 の 区 別 は な い.
以 下 に,バ
格 は,
なわ
動 詞 文 の 主 語 の み が 「能 格 」
「名 詞 ・名 詞 句 」,5の
対
の 属 格 で あ る.
の 直 接 目 的 語 に な り,自 動 詞 文 の 主 語 に な る.能
f)い
の3つ
dituzte
sell books.')
b)格 す が,有
詞 は,複
も って い る
money.')
saltzen
(='They
頭 辞 は 少 な く,接 尾 辞 を 多 用 す る(4の
some
本 を(定 複) 売 っ て い る
「名 詞 ・名 詞 句 」 を 参 照). d)接
dauka.
や 祖 父 母 が 子 や孫 に 向か
密 な 友 人 ど う し の くだ けた 会 話 で
敬 」zuは,そ
れ 以 外 のす べて の場 合
<表1>バ
ス ク 語 の 名 詞 の 格(例:mendi「 不
定
定
単
山」)
数
定
複
数
絶 対 格
「山,山 を,山 が(+ 自動 詞)」
能
格
「山 が(+ 他 動 詞)」
与
格
「山 に」
所 有 属格
「山 の(も つ て い る∼)」
対 象 関 与格
「山 に とつて,山 の た め に」
動 機格
「山 ゆ え に,山 の た め に」
共
格
「山 と(と もに)」
具
格
「山 に よつて,山 に つ い て」
位 置 属格
「山 の(と ころ に あ る∼)」
内
格
「山で,山 に(お いて)」
方
格
「山へ 」
到
格
「山 ま で」
方 向 格
「山の 方 に向 か って 」
奪
格
「山か ら」
分
格
「ひ とつ の山 も/で も」
補 説格
「山 と(し て)」
<表2>バ スク語の人称代名詞 絶対格 能 格 与 1単
(句)と
格 所有属格
ni「 私 」
同 種 の 格 変 化 を す る.
Nor‐i
eman
diozu
dirua?
だれに
与 え
た(あ な た が)お
金(を)
2単 親 hi「 お 前 」
「だ れ に お 金 を あ げ た の?」
3単
(hura「
Elkarr‐ekin
bazkalduko
dugu.
1複
gu「
私 た ち」
お互 い とい っ し ょに
昼食 を とろ
う(私 た ち)
2単 敬 zu「
あ な た」
「い っ し ょ に お 昼 を 食 べ よ う」
2複
あれ」
zuek「 あ な た 方 」
3複
(haiek「
3)動
あ れ ら」
詞 ・動 詞 句
こ と に よ り,各
動 詞,動
種 の,法,時
詞 句 の語 形 が 変 わ る
制,態,人
称,数
が表現
さ れ る. に 用 い ら れ る.zuは,フ vous,ustedな
ラ ンス 語 や ス ペ イ ン 語 の
ど と は 異 な り,も
称 単 数 代 名 詞 で あ る が,語 特 徴 を 示 す(3の
っ と も 一 般 的 な2人
形 の 上 で は,複
称 複 数 で あ っ たzuの
人 称 が,1人
を 表 わ す た め の 代 名 詞 が,zuに
く は2人
け で あ る.3人 hau「
れ ら1人
称 お よ び2人
称 の 人 称 代 名 詞 は な い.そ
こ の,こ れ 」,hori「
そ の,そ
接尾
あ れ 」 と い う 指 示 連 体 詞(連 し て 使 わ れ る)が bera「
ど)や,こ
「何 か 」,norbait「
か に,疑
た,
何 」,nor「
件 法)
bazkal 昼 食 を食 べ る
Zazpi 7つ の
dezakegu.(可
Herriak
バ ス ク語 の
国 を1つ
egin
dezagun.(接
す る
よ う に(私 た ち が そ れ を)
bat
続 法)
を1つ
に しよ う」
Euskara
jalgi
hadi
バ ス ク語 よ
出て行
け(お 前 が)
mundura.
能 法)
こ と が で き る(私 た ち)
Euskal
「私 た ち は バ ス ク7州
れ か ら派 生 し た 不 定 代 名 詞(zerbait
れ ら の 代 名 詞 は,名
ginateke.(条
山で
だ
(命 令 法)
世界へ
だ れ か 」)や,ま た,相 互 代 名 詞(elkar
「互 い 」)な ど い ろ い ろ あ り,こ
続 法,
ba‐zina
Mendian
の ま ま名 詞 と
そ の 同 じ 人 」 を さす の に 用
問 代 名 詞(zer「
能 法,接
喜 ぶ で し ょ う に(私 た ち は)
あ の,
尾 の 形 は,一 般 の 名 詞 と 少 し だ け 異 な る.
代 名 詞 に は,ほ れ 」,な
体 詞 は,そ
だ
の 代 わ り に,
指 示 代 名 詞 と し て 用 い ら れ,ま
同 じ(も の)」 が,「
い ら れ る.語
称 の5語
れ 」,hura「
件 法,可
も し来 る と し た ら(あ な た が)
poztuko
以 上 の 聞 き手
複 数 語 尾‐ekを
etorriko
あなたが
さ せ る こ と に よ っ て つ く ら れ た の で あ る. 人 称 代 名 詞 は,こ
Zu
の聞 き手 に対 して
用 い ら れ る よ う に な っ た の に 伴 い,2人
直 説 法 の ほ か,条
命 令 法 が あ る.
数 の人 称 の
「動 詞 ・動 詞 句 」 を 参 照).古
a)法
詞
「バ ス ク 語 よ,世 b)時
制 と態
界 に 出 で よ」 時 制 は,現 在 と過 去 の2種
で あ る.
<表3>動 現 完
「少 年 た ち は 山 を 歩 い た 」(過 去 完 了)
詞 の 時 制 と態 在
了 ikusi
過
du
ikusi
「(今 日)見 た 」 不 完 了 ikusten
来 ikusiko
zuen
ikusten
Maiteri
giltza
galdu
zaio.
マイテに
鍵が
な くな っ
た
「マ イ テ の 鍵 が な く な っ た 」
「(昨 日)見 た 」
du
「見 て い る 」 未
去
cf.Maitek zuen
「見 て い た 」
du
ikusiko
「見 る だ ろ う 」
giltza
れ と,完
他 動 詞 のizan(ukanと
「見 た だ ろ う」
了,不
とが 組 み 合 わ さ っ て,6種
完 了,未
来 の3種
の態
の 基 本 的 な範 疇 を形 づ くっ
例 と し て,表3に,他
時 制,態,法
る の で,全
ぐ ら い の 語 形 が あ る こ と に な る.
動 詞ikus「
見 る」 の直 説 法 の
部 で2千
に,そ
れぞれの形があ
時 制 は 助 動 詞 の 形 に よ っ て,態
る.
は本 動 詞 の形 に よ っ
本 動 詞 の 語 形 は,原
形(ikus),完
名 詞(ikuste)の3つ
了 分 詞(ikusi),動
の 基 本 の 形 と,さ ら に,語 尾 の 付 い
た 未 来 分 詞(ikusiko),不
完 了 分 詞(ikusten)な
動 詞 の 語 形 は,法
や,主
どが あ
語 の 人 称,直
称 表 現
動 詞 は,主
zaitを
り で な く,直 接 目 的 語,間 分 析 的 な 形 で は,人 さ れ る.自
称 は,す
フ ラ ン ス 語 のetre,ス (「自 動 詞izan」)が 助 動 詞 と し て は,英 avoir,ス
ペ イ ン語 のserに
用 い ら れ(表4,5を
izan,ま
ペ イ ン語 のhaberに た,ukan」)が
以 下 に,自
詞,フ
Baionatik
バ イ ヨ ン ヌ か ら 来
etorri
た(私 が あ な た を)
マイテに
本
bat
eman
←1冊
与 え
diot. た(私 が 彼 に そ れ を) Maitek
niri
liburu
batzu
eman
マイテが
私 に
本
数 冊の
与 え
←
dizkit.
d)凝
縮 動 詞 形
凝 縮 動 詞 形(aditz
trinkoak)
naiz. た(私 が)
制,人
称,数
は,不
規 則 な 部 分 が あ る.態
ziren.
少年 たちは
山 で
歩い
た(彼
<表4>自
動 詞izanの
を,1語
以 外 の 態 で は,分 ら が)
不 完 了 態 も,分
で 表 わ す も の を 言 う.そ は,不
過去
(条
仮 定
の語形 に
完 了 態 の み で,そ
析 形 の み が 用 い ら れ る. 析 形 と凝 縮 形 の 両 方 で 表 わ さ れ,多
主 語 に よ る人 称 変 化 (直説 法)
2単 敬
見
関 す る 例 を 示 す.
と よ ば れ る も の は,本 動 詞 と 助 動 詞 に 分 か れ ず,法,時
ibili
1複
敬の印
付 け て,zaitut
た(彼 が 私 に そ れ ら を)
mendian
3単
前 に2単
の 印tを
zaitut.
私 が
ラ ンス語 の
Mutilak
現在
「あ な た 」 で
た 」 と い う形 に な る.
liburu
動詞の
(現 在 完 了)
2単 親
根uの
敬
ikusi
Maiteri
詞,
用 い た 例 を あ げ る.
私 は
1単
あな た を
用 い ら れ る.
動 詞izanを
代名詞
私が
相 当 す る 動 詞(「 他 動 詞
Ni
人称
zu
あ た る動 詞
参 照),他
語 のhave動
Nik
Nik
べ て 助動 詞 の形 で表 わ 語 のbe動
後 に1単
次 に,表7に
接 目 的 語 の 人 称 を も表 わ す.
動 詞 の 助 動 詞 と し て は,英
「私 」 の 場 合 は,語
付 け,uの
分 け して 表 示 され
接 目 的 語 が2単
「私 が あ な た を ∼ す る/し
接 目的 語
語 の 人 称 を 表 わ す ばか
と え ば,直
主 語 が1単
や 間 接 目 的 語 の 人 称 や 数 に よ っ て 変 化 す る. c)人
よ う に 分 析 し,色
表6で,た
て 表 わ さ れ る.
ス
ク 語 の 動 詞 変 化 を 学 ば せ る た め の 本 や 文 法 表 で は,通 常,表5,6,7の
3複
語の人称だ
接 目的語 の 人 称 に よ って も
語 形 変 化 を す る.各
「彼 が 彼 を(そ れ を)∼ 」 の 形 を示 す.
2複
も い う)は,主
接 目 的 語,間
バ ス ク 語 を 習 得 せ ず に 育 っ た バ ス ク 人 子 弟 に,バ
て い る.
る.助
du.
な く し た
「マ イ テ は 鍵 を な く し た 」(他 動 詞 文)
zuen
け で な く,直 直 説 法 で は,こ
galdu
マ イ テ が 鍵 を
件
帰 結現在
法)
帰結過去
れ
<表5>自
動 詞izanの
主 語 と間 接 目 的 語 に よ
<表6>他
動 詞izanの
直 接 目的 語 と主 語 の2項 に よ る 人 称 変 化(直説 法現 在)
る人 称 変 化(直 説 法 現 在)
主語 語根
主語 の 間接 目的語 (主 語 の 複 数) 複数
直接 直接 目的 目的語 語複数
1単
1単
2単 親(男)(女)
2単 親
3単
3単
1複
1複
2単 敬
2単 敬
2複
2複
3複
3複
語根
(直 接 目的 主語 語 複 数)
注:上 の 見 出 しの 「主 語 」「 主 語 の複 数 」な ど は,そ れ ぞ れ,「 主 語 の 人 称 を示 す 部 分 」 「主 語 が 複 数 で
<表7>他
あ る こ とを 示 す 部分 」… を意 味 す る(以 下,同 様). 1複 以下 の 人 称 の‐zki‐は,複 数 の指 標 で あ る. 2単 敬 は,古
くは複 数 形 だ っ た ものが,1人
直 接 目的 語,間 接 目的 語,
主 語 の3項 に よる 人 称 変 化(直 説 法現 在)
直接 (直接 目的 目的語 語根 語 複数) 間接 目的語 主語
に対
す る敬 称 形 と して使 わ れ る よ うに な った た め,さ ら に複 数 指‐teを 付 け て,新 しい2複 が つ く ら
動 詞izanの
1単 2単 親(男)(男)/
れた.
(女)(女) 3単
くの場 合,分 析 的 な不 完 了形(bの
「時制 と態 」を参 照)
1複
は,反 復 ・習慣(「いつ も∼ す る/し た」 「とき ど き∼ す
2単 敬
る/し た 」)を,凝 縮 形 は,進 行 中 の あ る時 点 で の 状 態
2複
(「今 ∼ して い る と こ ろだ/だ eramaten
du(分
った 」)を表 わ す.
析 形)「彼 は いつ も(毎 日,と き
3複 注:直
接 目的 語 は,3人
どき)そ れ を持 っ て歩 く」
指 標 の あ と に,さ
darama(凝
tはda,2単
縮 形)「彼 は今 そ れ を持 っ て歩 い て い
称 に 限 ら れ る.間
接 目的 語
ら に 語 尾 が 付 く と き は,1単
親 のk,nは
そ れ ぞ れa,naと
の な る.
る と ころだ 」 自動 詞joan「
行 く」 の 直 説 法 現 在 形 の例 を あ げ る
多 い.前
部 が 後 部 を 修 飾 す る 場 合 が も っ と も 多 ぐ,前 ・
(‐oa‐ が語 根 で,そ の前 後 の 接 辞 で 人 称 が 表 わ され る.
後 部 が 並 列 関 係 に あ る 場 合 もか な り あ る.後
た とえ ば,doazは,d‐
を 修 飾 す る 場 合 は 少 な い.
が 主語3人 称 を,‐zが 複 数 を
idazmakina「
表 わ す).
タ イ プ ラ イ タ ー 」=idatz「
1単
「私 が 行 く」
makina「
2単 親
「お前 が 行 く」
neskamutilak「
3単
「あ れ(あ の人)が 行 く」
1複
「 私 た ち が 行 く」
b)派
2単 敬
「あ なた が行 く」
く,使
2複
「あ な た た ちが 行 く」
3複
「あれ ら(あ の 人 た ち) が 行 く」
青 少 年 男 女 」(定 形)=neska「
い 娘 」+mutil「 生
若 い 男 性 」+‐ak(定
凝縮 動 詞 形 を もつ 動 詞 は,か っ て は 数 十個 もあ った
詞,主
聞 く」:e‐ra‐ntzun「
詞 の ほ か,形
の 人」
が 接 合 して,い ろ い ろな 合 成 語(複 合語)や 派 生 語 が つ
a)合
成(複 合)
‐txo/‐txu(指 て,小
合 成 語(複 合 語)は,特
に名 詞 に
小 辞,愛
さ い こ と,愛 umetxo「
くられ る.
詞なども
所 を 表 わ す名
と し て 地 名 に 付 い て,「 ∼ 出 身 の 人 」 を 意 味 す
donostiar「Donostia(=サ
るい は,語 根 と接 辞
容 詞,動
る.
る形 もあ る. 語 根 と語 根,あ
答 え る 」(< 「聞 か せ
と え ば,‐r/‐tarは,場
古 風 な,あ るい は,文 学 的 な 表 現 と して のみ 残 って い 形 成
形 複 数)
接 頭 辞 ・接 中 辞 は,ほ と ん ど な い.古
る 」)
が,現 在,日 常 に 使 わ れ る の は,ご
4)語
若
役 の 接 中 辞‐ra‐ が あ っ た 痕 跡 が 残 っ て い る.
entzun「
つ く ら れ る,た
く頻 度 の 高 い 少 数
書 く」+
機械」
接 尾 辞 は 豊 富 で,名
の動 詞 のみ で,そ れ も部 分的 に欠 落 し た も のが 多 い.
部が前部
txikitxo「
ン ・セ バ ス テ ィ ア ン)
称 辞)は,名
詞,形
容 詞 に付 い
ら し い こ と,少 な い こ と を 表 わ す.
赤 ち ゃ ん 」(umeは,「 と て も ち っ ち ゃ な,か
子 供 」) わ い い 」(txiki
は,「 小 さ い 」) ‐ garriは,主
イ)Patxi‐k
と し て,動
詞 に 付 い て,「 ∼ さ れ う る,
∼ に 値 す る」 とい う意 味 の 形 容 詞 をつ くる. maitagarri「
愛 す べ き,か
maiteは,「 ‐tuは,名
を つ く る.ラ
わ い い 」(maita<
容 詞 等 に 付 い て,動
とけ る,と
askatu「
ederki「
美 し く,立
ⅲ )A=Bの
詞 化 す る.
が 組 み 合 わ さ っ て,よ
美 し い,立
合 成(複
り長 い,さ
合)と 派 生
まざ ま な 語 が つ くら
れ る.
aurre「
眼 鏡 」(定 形 複 数)=bet‐
バ ス ク 語 の 話 し 手 に な る/す バ ス ク 語 」+du「
形 語 尾)+‐du(=‐tu)(動 5)統
る」
∼ を 持 つ 」+‐n(連
体
本
間 投 詞 だ け の 文 や,名
の 文 も頻 繁 に 用 い ら れ る が,文 る の は,動
本
詞だけ
の基 本 的 な 骨 組 み にな
詞 部 を 述 語 と し て もつ 構 造 で あ る.そ
う な 文 で は,SOVの
語 順 を と り,動
詞 部 は,文
詞 の 要 求 す る1個
動 詞 部 の 前 に,そ
な い し3個
の
の 本 liburu
ど の 本 biblioteka‐ko
liburu‐a
の よ
図 書 館‐ の
本(定 単)
末 に
Patxi‐ren
対 格(NP),能
格(NP‐k),与
ず れ か に お か れ る(2の
の主 動
liburu
の 場 合,名 格(NP‐ri)の
「名 詞 ・名 詞 句 」,bの
on
Maite
「格 」 を
マ イ テ(が)来
自 動 詞 文)
ideia
zaio.(複
←
雪(が)
降 っ た(と
詞 部
ⅰ )動
ona
マ イ テ ーに 考 え
egin zuen
の dio‐n
etorri
egun‐a こ ろ の)
動 詞 部 は,基
動 詞 か ら な る(3の
た
Maite‐ri
eman
本(定 単) Elurra
d)動
da.(単
Maite‐ri
liburu‐a
い
主 語)
etorri
bat
良 い ←1つ
パ チ ーが マ イ テ ーに 与 え た ーと こ ろ の 詞
参 照). 動 詞 文(NPが
Patxi‐k
の 名 詞 句 が お か れ て,自
動 詞 文 ま た は 他 動 詞 文 が つ く ら れ る.そ
ⅰ )自
1つ
liburu
パ チ‐の 本 ←
の 基 本 的 骨 組 み
句 は,絶
この
←
お か れ る. b)文
ろ か ら か か る もの
bat
hiru 3冊
詞 だ け,副
飾 語 に は,後
hau
←
zein
a)文
一 の名 詞 だ け
や 後 ろ にい ろい ろ な 要素 が加 わ って
か ら か か る も の と が あ る.
liburu
詞 化 接 尾 辞)
語
名 詞 句 に は,単
で き る も の も あ る.修
liburu
=euskal「
だ
詞 句 の 構 成
の も の の ほ か,前
形複数
語 尾)
naiz.
私 は バ ス ク 人
「目 」+
前 」+‐ko「 ∼(の 所)の 」+‐ak(定
euskaldundu「
dio.
主 語)
euskalduna
と,前
betaurrekoak「
な い 文 も あ る.
begiratu
構 文(NP1が
Ni
c)名
成 ・派 生 の 組 み 合 わ せ
接 目 的 語NPの
Maite‐ri
「パ チ が マ イ テ を 見 た 」 自 由 な 」)
派 な 」) c)合
Patxi‐k
水 」)
派 に 」(ederは,「
与 え
他 動 詞 文)
パ チ ーが マ イ テ ーに 目 を 向 け た
解 放 す る 」(aska<askeは,「
容 詞 に 付 い て,副
eman
た
詞(完 了 分 詞 形)
か す 」(urは,「
liburua
マ イ テ ーに 本(を)
イ の 変 種 と し て,直
テ ン 語 に 由 来 す る と 言 わ れ る.
urtu「
‐ kiは,形
dio.(複
愛 す る 」)
詞,形
Maite‐ri
パ チ ーが
日(定 単)
本 的 に は,本
動 詞 と助
「動 詞 ・動 詞 句 」 を 参 照).
詞 の 完 了 分 詞 形 と 結 び つ く動 詞(群)が,少
数
あ る.
よ い 来
Berehala
自動 詞 文)
ale
bat
ま も な く 部 ←1
た
bialdu
ahal
送 る
こ とが で き
dizugu.
「マ イ テ に よ い 考 え が 浮 か ん だ 」 ⅱ )他
動 詞 文(NP‐kが
ア)Patxi‐k
主 語,NPが
Maite
ikusi
パ チ ーが マ イ テ(を)見 ア の 変 種 と し て,主
語NP‐kの
Euria
hasi
du.
雨
始 ま っ た
「雨 が 降 り出 し た 」
る(私 た ち が あ な た に そ れ を) 直 接 目 的 語)
du.(単
他 動 詞 文)
た な い 文 も あ る.
Ogia
erosi
パ ン(を)
買 わ な け れ ば な ら な い(私 が)
behar
dut
Maite‐k
etorri
nahi
zuen.
マ イ テ‐が(は)
来
た か っ た
ⅱ )助 動 詞 の 直 前 に お か れ る 小 辞 が,数
個 あ る(凝
動 詞 の 場 合 は そ の 前 に お か れ る). Patxi‐k
Maite
ikusi
omen
du.
縮
パ チーが(は)
マ イ テ(を)見
Maite
poztuko
マ イ テ(は)
喜ぶ
e)連
ote
3人 っ と も基 本 的
か し,実 際 に は,そ
者 の 発 話 意 図 に よ っ て,さ ondo
の と きの 話
egiten
バ ス ク 語 で よ く 話
で.こ
mendira
ⅰ)疑
問文
ま た,主 か?」(主
cf.Patxik
こか ら 」,nola「 あ る.疑
(al)
da?
(か?)
た
何 」,nora「
昇 音 調 を付
ez zuen
ez
見
zue‐lako
な か っ た か ら
Maite
ikusi.
ⅴ)間 接 引 用 節 文 末 の 助 動 詞 ま た は 合 成 動 詞 に, ‐la「∼ と」 を 付 け る . Patxi‐k
∼
Maite
ikusi
パ チ ‐が マ イ テ(を)
問 文 に用 い ら
見
zue‐la
uste
た ‐と
思
dut. う(私 が) cf.…ikusi
ど こ へ 」,nondik「
ど
い つ」 等 々の 疑 問 詞 が
詞 部 の 直 前 に お か れ る.文
る 場 合 が 多 い(gのⅲ
ikusi
zuen.
「… 見 た 」
ど う」,noiz「
問 詞 は,動
「∼ す
「パ チ は マ イ テ を 見 な か っ た 」
「マ イ テ は 来 た か?」 nor「 だ れ 」,zer「
Maite
パ チ ‐が マ イ テ(を)
∼ だ ろ う か な?」 が あ る.
マ イ テ は 来
「∼ の で 」,(baldin)ba‐
∼す
詞 部 が 省 略 さ れ る 場 合 も あ る.
Patxi‐k
問 文 に な る.
etorri
称 単 数 の 形)
つ く ら れ る.動
動 詞 の 直 前 に お か れ る 疑 問 の 小 辞al「
Maite
的 語3人
す る 時 」,‐lako「
い る(彼)
に ギ プ ス コ ア 方 言 で,yes‐no疑
れ る),ote「
語
ろ い ろ な語 形 や 語 尾 に よ っ て連 用 節 が
平 叙 文 は そ の ま ま で,上
け る こ と に よ り,疑
称 単 数,目
∼ す る と,∼
た か ら 」,bait‐
gara.
ろ い ろ な 文 の つ く り方
語3人
れ は,主
∼ す る よ う に 」(他 動 詞 節
れ ば 」 等 々,い
行 こ う(私 た ち)
f)い
接続法 のいろいろな
du.
して
joango
あ した 山 へ
れ は,主
や,‐la(‐larik)「
「彼 は バ ス ク 語 で 上 手 に 話 し て い る 」 Bihar
izanの
∼ す る よ う に 」(自 動 詞 節 で.こ
称 単 数 の 形),dezan「
る/し
ま ざ ま な 位 置 に 現 れ る. hitz
用 節(副 詞 節)
形dadin「
連 用 語 は,も
か ら か か る.し
Euskaraz
ⅳ)連
da?
だ ろ う か
用 語 の 入 る位 置
に は,前
た そ う だ
「語 順 転 換 な ど」 の,ア
g)話
し手 の 意 図 や 気 持 ち の 表 現
ⅰ)関
係 す る 人 物(等)を,主
Akerra‐k
頭 に く とイ を参
語 や 目的 語 に お く.
adarrak
okerrak
ヤ ギ ‐が(は) 角(定 複) 曲 が っ た も の(と
照).
し て)
ditu. Noiz
ikusiko
du
Maite
い つ 見 る だ ろ う
Patxi‐k?
持 っ て い る(彼 が そ れ ら を) 「ヤ ギ は 角 が 曲 が っ て い る」
マ イ テ を パ チ‐ は
「パ チ は い つ マ イ テ に 会 う だ ろ う か?」 ⅱ)否
定文
助 動 詞(ま
た は 凝 縮 動 詞)の
(直 前 の 小 辞 が あ る 場 合 は そ の 前 に),否 な い 」 が お か れ,本
cf.(Akerra‐ren)adarrak
動 詞 とez以
直前 に
定 辞ez「
下 の 助動 詞 群 とが 入
曲 が った もの
で あ る(そ れ ら が) 聞 き 手 に 対 し て 敬 意 や 親 し み を 表 わ す た め に,実
Maite
ez
マ イ テ(は)
da
etorri.
な か っ た ← 来 る
に は 行 為 者 や 対 象 で な くて も,語 場 合 が あ る.た
「マ イ テ は 来 な か っ た 」 cf.Maite
き,naiz「(私
etorri
マ イ テ(は)
da.
来
' you
た
体 節(関 係 節)
have
基 本 的 語 順 の ま ま で,文
末
ikusi
パ チ ーが 見
た
Sartu
naiz‐en
入 っ
た(私)
Mutile‐k
du‐en
体 形 語 尾(関 係 辞)
Goikoetxea
nauzu,
arazo
horren
件
そ の ・の
←
arduraduna. 担 当者
少女
「私 は そ の 件 の 担 当 者 の ヨ ン ・ゴ イ コ エ チ ェ ア で ご
hi「 お 前 」 の 人 称(2の ikusi
kalea「
そ れ 」 の 属 格 形)
ざ い ます 」
出入 口
Maite
と も い う)
代 わ り に,nauzu
形 を 用 い る と,よ り て い ね い に な る.
(horrenは,hori「
atea
dute‐n‐eko
対 面 の人 に 自己 紹 介 す る と
neska
少 年 た ち ‐が マ イ テ(を)見 (…ikusi
際
の格 に お く
ヨ ン ゴ イ コ エ チ ェ ア (あ な た が 私 を)持 つ
付 け る.
Patxi‐k
と え ば,初
形 上,そ
は)で す 」'(I)am'の me'の
Jon
の 助 動 詞 ま た は 凝 縮 動 詞 の 後 に,連 ‐(e)nを
okerrak
角 は
dira.
∼ し
れ 替 わ る.
ⅲ)連
ヤ ギ‐の
dute‐n た
見 た(と
kalea
道路 き)の 道 路 」
「名 詞 ・名 詞 句 」,cの
「代 名 詞
と人 称 」 を 参 照)で 話 す と き は,naiz'(I)am',gara '(we)are'の gaituk'thou の 例,以
代 わ り に,nauk'thou hast 下 同 じ).他
us'等
hast
me',
の 形 が 用 い ら れ る(男 性 形
動 詞 で は,2単
親 を与 格 に お い
て,du'He
has
thee'と
it'の 代 わ りに,dik'He
言 い,さ
ら に,dit'He
わ り に,zidak'He ⅱ)非
has
人称表現
it to
to
it to
me'の
thee'と
代
cruce)
言 う」は
称 単 数 形 に し て,
hori
言 う
euskaraz?
題 項(焦
語,フ
mitin「
点galdegaia/focus)を
動 詞 部 の直
充す
け 足 し を 後 に お く,
し て 入 っ た 語 も あ る.ま
deklinabidea「
の 結 果,実
ま ざ ま な 語 順 が 実 現 す る.ま
た,呼
が 文 の 途 中 に 入 っ た り,文
2)数 honetan
intentsiboa
し て,バ
ス ク語 で
常 語 で,「 名 前 」)
bost,「6」sei,「7」zazpi,「8」zortzi,「9」
に,そ
は ベ ル ベ ル 語 のafust「
こ ぶ し」 に,zazpi
こ の 」 の 内 格 形.gaude い る,あ
る 」 の 直 説 法 主 語1人
称
11か
ちろんバ
れ る).20を
す ぐに
で は,10のhamarと1か
ら9ま
だ し,11,18,19に,特
表 わ す 語 は,ケ
で と
殊 な 形 が含 ま
ル ト語 起 源 か も し れ な い
…,「17」hamazazpi,「18」hamazortzi∼he‐
lez,
な た が 私 た ち に そ れ を)と
mezortzi,「19」hemeretzi,「20」hogei
お り, 20よ
bidaltzen
り上 は,20進
法 で あ る(多 少,形
の変わ るところ
も あ る).
送 り
dizkizut
「21」hoge(i)ta
inkestak.
ま す(私 が あ な た に そ れ ら を)ア
ンケ ー ト を
「お っ し ゃ っ た と お り,す ぐ に ア ン ケ ー ト を お 送 り し ま す 」(下 線 部 は,前
マ
「11」hamaika,「12」hamabi,「13」hamahiru,
zenigun
berehala
は,ロ
と言 わ れ る.
ス ク 語 で(で す)」
言 っ た(あ
ら19ま
の 合 成 で あ る(た
集 中 講 座 を 受 講 して(い る の で す),も
は ベ ル ベ ル 語mrau
れ ぞ れ ひ き 当 て ら れ て い る.sei「6」
ン ス 語 に 似 て い る.
「私 た ち は こ の す ば ら し い キ ャ ン プ 場 に い ま す,
1),…
bat(<hogei‐eta‐bat;20と
「30」hoge(i)ta
hamar(20と10)
「40」berrogei(2・20) 「60」hirurogei(3・20)
置 き)
「80」la(u)rogei(4・20)
彙] 用語
ラ テ ン 語,ス
か ら の 借 用 語 が 特 に 多 い.そ ア ラ ビ ア 語,英 語 彙 の80パ
名 詞 」(定 形)(日
「7」 は コ プ ト語 に,hamar「10」
複 数 現 在 の凝 縮 形 〔'we are'〕)
1)借
の ま ま利 用 し て い る
bederatzi,「10」hamar
もち ろ ん
は,egon「
ち ろ ん,
詞
bost「5」
noski!
(honetanは,hau「
形 は,
法 」 で あ る.も
「1」bat,「2」bi,「3」hiru,「4」lau,「5」
gaude
egiten,euskaraz
集 中
部分 が
曲 用 」)で,bide(定
バ ス ク 語 の 「道,方
izena「
の一 部 が 省 略 され た りす る
eder
曲 用 」(定 形)で は,deklinaの
場 合 も 多 い.
キ ャ ン プ 場 す ば ら し い こ の ・ に い る(私 た ち)
[語
用 語 を も と に し て,バ
バ ス ク 語 で 日常 使 わ れ る 語 を,そ
際 に は,さ
び 掛 け語 や挿 入句
こ と も多 い.
Esan
た,借
西declinacion「
bidea)は
な ど の 語 順 の 転 換 が 起 こ る.そ
←
宇宙飛行
討 議 会 」 の よ う に,英 語 か ら ス ペ イ ン 語 を と お
借 用(<
入 部 を 前 に お く,
講 座
プ ラ ス チ ッ ク 」,astronauta「
ス ク 語 の 語 形 成 法 に 合 わ せ て つ く ら れ た 語 も 多 い.
る こ と を 次 に,付
ikastaro
ペイ ン
士」
し手 の 意 図 や気 持 ち
ち ば ん 言 い 表 わ し た い こ と を 最 初 に,補
Kanpin
ス ク
ラ ンス 語 等 か ら 積 極 的 に と り入 れ て い る. plastiko「
種 の 文 や節 をつ
前 に お く,
ウ)導
形)は,バ
に い ま す も の 」が
近 代 の 生 活 や 科 学 技 術 等 に 関 す る 語 彙 は,ス
と)言 い ま す か 」
く る と き の 語 順 転 換 と は 別 に,話
奪格〕
し か し,「 神 」 を 表 わ す 語Jainkoa(定 主,上
ラ
ラcrux,〔
縮 ま っ た 形 で あ る.
そ れ は バ ス ク 語 で
上 述fの,各
身体」 魂 」(<
十 字(架)」(<
語 に よ る 表 現Jaun‐goiko‐a「 da
テ ン 語 か ら入 っ
ラ〓),gorputz「
動 詞 に か か わ りな く,自
を 表 現 す る た め に,
イ)い
」(<
と え ば,esan「
順転換な ど
ア)問
空,天
動 詞,他
「そ れ は バ ス ク語 で ど う(何 ⅲ)語
zeru「
anima),gurutze「
れ を 自 動 詞3人
esaten
どう
リス ト教)語 彙 の 多 くは,ラ
て い る.
言 う.
次 の よ う に 言 う. Nola
宗 教(キ
数 種 の 非 人 的 表 現 法 が あ る が,
称 単 数 形 に す る.た
他 動 詞 で あ る が,こ
me
has it to
(< ラcorpus),anima∼arima「
そ の ひ と つ と し て,自 動 詞3人
has
ペ イ ン 語,フ
ラ ンス語
の 他 の ラテ ン系 の言 語や
語 等 々 か ら の 借 用 語 も 合 わ せ る と,全
ー セ ン トに も の ぼ る と 言 わ れ て い る.
「100」ehun 「1,000」mila 「1,000,000」milioi 「1,000」
と
「1,000,000」
は,ラ
テ ン語 か らの 借 用 で
あ る.
1)概
[ 辞
書]
Azkue,Resurrection
Maria
de(19692),Diccionario
vasco‐espanol‐frances,2vols.(Editorial La
Gran
Enciclopedia
1905‐06,Bilbao/Paul 15+xlⅶ
Vasca,Bilbao;初
版
Geuthner,Paris―Vol.1,
+561ペ
ー ジ;Vol.2,ⅹⅲ
+487ペ
ー ジ+
ー ジ.約4万7千
た 語 が,そ
の 土 地 で の 発 音 ど お り に 表 記 さ れ,用
が そ え ら れ て い る.意
項 目.各
地 で 採 集 され 例
味 の 記 述 と 用 例 の 解 釈 は,ス
ペ イ ン 語 と フ ラ ン ス 語 で 付 け ら れ て い る.現
在 まで
っ と も信 頼 で き る 語 彙 記 述 と さ れ て い る 辞 典
(Dialectes
labourdin,basnavarrais,
ー ジ.約5万6千
掲 の ア ス クエ の
俗 関 係 の 用 語 や 挿 し絵 が
豊 富 で あ る. vasco‐castellano,
2vols.(Mensajero,Bilbao)―Vol.1, ー ジ;Vol.2,1,005ペ
用 的 辞 典 で あ る.同
数,用
項 目.
例の豊かな実
basque
Bayonne)―
訂 版,Ikas,
フ ラ ン ス 側 の バ ス ク 語 の 概 説 書.フ
ラ ン ス 語 で 書 か れ て い る.初
版1944年,再
版1962
2000(Elkar,
+ⅹⅹⅹⅱ+854ペ
ペ イ ン語 辞 典(45,600項 語 辞 典(33,600項
ー ジ.バ
目)と,ス
ペ イ ン語 ‐バ ス ク
目)か ら な る.統
一 バ ス ク語 の学 習
彙,方
2,San
言,参
較 の 成 果,音
論,形
vasca
Sebastian)
態 論,統
考 書 目 か ら な る.ス
語 論,語
ペ イ ン語 で 書 か れ
て い る.
(Nevada
University
Dictionary
Press,Reno,Nevada)
―最 初 の バ ス ク 語 ‐英 語 辞 典.108+558ペ 項 目 数 約5万.英
New
York)―
vasco.Orotariko
euskal
Brouver,S.A.)―
Lehen
韻 論,語
ー ジ,
彙を
Gramatika:
Urratsak(Comunidad y Real
Academia
Foral de la
Lengua
de
Navarra Vasca
新 進 の学 者 が 中
同 研 究 と 会 議 を 重 ね な が ら作 っ て い る
バ ス ク 語 ア カ デ ミー 編 の 文 法 書 で,バ れ て い る.第4巻
ス ク語 で書 か
ま で 刊 行 さ れ て い る.
Euskaltzaindia(1979),Euskal
Aditz
Sebastian)―
詞 の 変 化 表 を,4色
Batua(Graf
統一バス ク語の動
刷 り で 示 し た も の.
史
Michelena,Luis(1960,19772),Fonetica vasca(Diputacion
hiztegia
バ ス ク語 学 の 最 高
de
historica
Guipuzcoa,San
―(1988a),Palabras del
Pais
権 威 ミチ ェ レ ナ の 半 世 紀 に わ た る 研 究 の 集 大 成 が, 継 者 た ち によ って 出 版 され つ つ あ る.
本 辞 典 は そ の1つ
で,バ
ス ク語 ア カ デ ミー が 力 を 入
れ て 出 版 に こ ぎ つ け た.全13巻 途 中)ま
の 予 定 で,1997年
れ だ け で,必
現
で 出 て い る.上 掲 の ア ス ク エ
の 辞 典 の 記 述 も こ の 中 に 含 め られ,こ
れが完結すれ
要 な語 彙 資 料 は すべ て 間 に合 う
こ と を め ざ して つ く られ て い る. 吉 田 浩 美(1992),『
態 論,音
Sebastian)
Sarasola(1988‐),Dic
general
在,第9巻(Jの
統 語 論,形
Euskaltzaindia(1985‐89),Euskal
2)語
語 ‐バ ス ク 語 辞 典 も 出 た.
Michelena,Luis&Ibon
そ の 死 後,後
Helm,
語 で 書 か れ て い る.
Valverde,San
Aulestia,Gorka(1989),Basque‐English
バ ス ク 語 常 用6000語
簡 単 な 文 法 が 付 い て い る.
[参 考 文 献]
Vascongadas
語 史 ,比
心 と な り,共
ス ク 語 ‐ス
用 の 辞 典 で あ る.
de
―
lengua
Euskaltzaindia,Pamplona)―
Taldea(1984),Hiztegia
Bilbao)―ⅹlⅸ
東 京)―
de
フ ラ ンス語 で
書 か れ た,初 心 者 の た め の バ ス ク 語 概 説 書.
じ 著 者 に よ る,ス ペ イ ン語‐ バ ス
ク 語 辞 典 も あ る.
ば,こ
pratique
Picard,Paris)―
Lafitte,Pierre(1979),Grammaire
含 む.英
ー ジ.約6万
バ ス ク 語 ‐ス ペ イ ン 語 辞 典 で,語
(Desclee
b asque(Edition
Saltarelli,Mario(1988),Basque(Groom
Mugica,Placido(1981),Diccionario
cionario
修 館 書 店,東
て い る 唯 一 の 本 で あ る.
(Monografias +
項 目.上
辞 書 を も と に し て い る.民
Ekiten
多 方 面 に わ た っ て,バ ス ク を 日 本 語 で 紹 介 し
basquefrancais Tovar,Antonio(19542),La
souletin)(G.Beauchesne,Paris)―lⅱ
1,093ペ
京)―
年.
Lhande,Pierre(1926‐38),Dictionnaire
1,117ペ
言 語 ・民 族 ・文
知 ら れ ざ る バ ス ク の 全 貌 』(大
(navarro‐labourdin litteraire)(改
で あ る.
et
バ ス ク 語 入 門―
化―
Allieres,Jacques(1979),Manuel
補 遺102ペ
で,も
説 書 ・文 法 書
下 宮 忠 雄(1979),『
― (1988b),Sobre vols.(Diputacion 後 の2書 め ら れ,公 3)雑
学 書 林,
textos(Universidad
は,著
historic de Guipuzcoa,San
Sebastian)
者 の 死 後 に後 継 者 た ち に よ っ て ま と
誌 ・叢 書
Euskera(1919‐,Euskaltzaindia〔Real de
de la lengua,2
刊 さ れ た 論 文 集 で あ る.
la Lengua
Fontes linguae de
Academia
Vasca〕,Bilbao)―
デ ミー の 機 関 誌.古 』(大
y
Vasco,Bilbao)
vasconum〔
略 称,FLV〕(Diputacion
Navarra,Pamplona,1969‐)―
ス ク 語 学 の 学 術 誌.
バ ス ク語 ア カ
い 号 の 多 く は,復 刊 さ れ て い る.
バ
IKER(1981‐)―
バ ス ク 語 に 関 す る 研 究 書,研
論 文 集 の シ リ ー ズ で,バ
際 学 会 の 議 事 録 も兼 ね て い る.1989年 ま で 出 て い る.第4巻
は,ア
研 究 の 成 果 で,350枚 Revista
究
ス ク 語 ア カ デ ミー 主 催 の 国
internacional
de los
estudios
Enciclopedia
vascos〔 略
Vasca,Bilbao,
de
途 絶 え て い た が,1984年 て,29巻 4)文
に,ミ
フ
チ エ レナた ち に よ っ
bibliografia de
Pais
1976‐1980,
Vasco,Vitoria)
に わ た る 包 括 的 な 資 料 調 査 の 成 果.1976年
以 前 の も の は 絶 版,1980年
注(1988),『
ル
語 とい う名 称 か ら分 か る とお り,ル ー マ ニ アの 公 用 語
るが,こ れ は 適 当 で ない.と
い うの は,単
ニ ア 語 」 と言 った場 合 は,ダ
コ ・ル ー マ ニ ア語 を さす
に 「ル ー マ
マ ニ ア語 な ど と並 ん で,共 通 ル ー マ ニ ア語 の一 方 言 に
に は,そ れ独 自の 方 言 が あ るの で,単 に,「ルー マ ニ ア
村 す ず 子 筆 録 ・訳
日 本 と バ ス ク の 古 い 習 俗 に つ い て 』(カ
セ ッ トテ ー プ 付 き,早
稲 田 大 学 語 学 教 育 研 究 所,東
語 の方 言」 と言 う場 合 に は,こ の ダ コ ・ルー マ ニ ア語 の 方言 を さす の が 妥 当 で あ る. [ 歴
史]
バ ル カ ン半 島一 帯 が ロー マ の属 領 と な
る と,ラ テ ン語 は,次 第 に文 章 語 と は違 った もの に な
京) 吉 田 浩 美 編(1994),『 [追
バ ス ク の 伝 説 』(大 学 書 林,東
京)
習 用 の 辞 書 や 本,雑
の 多 く は,バ
書 か れ て い る.フ
で に,多 少 の 方 言差 が あ
っ た と考 え られ る.も ち ろ ん,こ の 違 い は,共 通 ル ー
ス クで 出 て い る学 習 書
バ ス ク で は 近 年,学 出 て い る.そ
っ て い く.こ う して形 成 さ れ た俗 ラ テ ン語 には,先 住 民 族 の 違 い な どに よ って,す
記]
6)バ
誌が数多 く
ス ク 語 ま た は ス ペ イ ン語 で
ラ ン ス 語 の も の も 少 数 な が ら あ る. (田 村
す ず 子)
マ ニア 語 に も受 け継 が れ て い た で あ ろ う.そ の後,6 世 紀 に,ス ラ ブ 民族 が バ ル カ ンに 南 下 して くる が,そ の 後 で,こ れ らの方 言 が 分 離 し,次 第 に,そ の違 い が 拡 大 され た も の とみ られ る.こ れ らの 方言 に は,ス ラ
バ ル カ ン ・ロ マ ン ス 諸 語 英Balkano‐Romance
ブ 語 の影 響 が 共 通 に み られ るか らで あ る.現 在,バ ル
Languages
カ ン半 島 各 地 に残 って い る ロマ ンス語 で あ る ア ・ル ー され
マ ニ ア語 等 の 由来 につ い て は,ド ナ ウ川 の 北 か ら,つ ま
用 語 と して ル ー マ ニ ア で話 され て い
そ の話 者 が も と も と南 部 に居 住 して い た とい う説 が あ
バ ル カ ン 諸 国 で 話 さ れ て い る か,あ
る い は,話
て い た ロ マ ン ス 語 の 総 称. こ の 中 に は,公 る,い
人 と言 わ れ て い た.ダ
す ぎな か った か らで あ る.ま た,ダ コ ・ルー マニ ア語
ス ク 語 ‐日本 語 の 対 訳 テ キ ス ト
ホ セ ・マ リ ・サ トル ス テ ギ 講 演,田
者 は30万
マ チ ア語 以 外 の これ らの ル ー マ ニ ア語 は,ル ー マ ニ ア
の に 対 し,こ の ダ コ・ルー マ ニ ア語 は,か つ て,ア ・ル ー
以 降 の も の は,刊 行 準 備 中
で あ る.
リ
シア の と ころ どこ ろで 話 され て い る が,上 の2つ の言
で あ る ダ コ ・ル ー マ ニ ア語 と非常 に近 い 関 係 に あ る.
vols.(Universidad
5)バ
名
「ル ー マ ニ ア 語 の方 言」 と して 扱 わ れ る こ と も よ くあ
献 目録
―40年
・ ル ーマ ニ ア語,別
マ ケ ド・ル ー マ ニ ア語(英Makedo‐rumanian)は,現
語 と同 時期 に,話
ま で 出 て,
が 出 さ れ た.
Bilbao,Jon(1988),Eusko 3
滅 寸 前 と考 え られ る.ア
人 しか 話 者
う,ほ ぼ 死 滅 した
在 で も,ブ ル ガ リア,ア ル バ ニ ア,マ ケ ドニ ア,ギ
Urquijo)が,1907
年 に 創 刊 し た,国 際 バ ス ク 語 学 雑 誌.28巻
お よび1万2千
が い ない と報 じ られ てい た ので,も か,死
1907‐36〔 フ ァ ク シ ミ リ復 刊1969‐76〕,1984)― リ オ ・デ ・ウ ル キ ホ(Julio
を ユー ゴ 国境 まで 遡 った あ た りで 話
され て い た メ グ レノ ・ル ー マニ ア 語 は,数 十 年 前,す で に,そ れ ぞ れ,1,500人
現 在,第5巻
ス ク エの 言語 地 理学 的
の 言 語 地 図 を 含 む.
称,RIEV〕(Gran
ダル(Vardar)川
り,ダ コ ・ル ー マ ニ ア語 の話 者 が 移 住 した とい う説 と,
わ ゆ る ル ー マ ニ ア(ロ マ ニ ア)語(limba
〔= ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語dacoromana〕),今
romana な お,と
る.ま た,同 こ
ろ ど こ ろ で 話 さ れ て い る ア ・ル ー マ ニ ア 語(aromana),
じ場所 に住 み 続 けた 場 合 もあ るが,同
場 合 もあ る.隣 接 言 語 と の類 似 点 や 相 違 点 か ら,そ れ
死 滅 の 途 を た ど っ て い る メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語(meglenoromana) ら の言 語 との関 係 を推 測 す る こ とは で き るが,こ と イ ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語(istroromana), そ し て,死
じ
南 部 の あ る場所 か ら別 の 場 所 に移 動 した と考 え られ る
の言
語 の 話者 の居 住 地 と移 動 状 況,移 動 時期 を特 定 す る こ とは不 可 能 で あ る.こ れ らの 諸 言 語 は,い ず れ も,ダ
滅 し た ダ ル マ チ ア 語(英Dalmatian)
コ ・ル ー マ ニ ア語 よ り古 い形 を保 っ てい るの で,ル ー
が 含 ま れ る. 公 用 語 とは異 な る少 数 民族 の 言 語 が 存 続 して い く こ
マニ ア 語 の歴 史 を知 る 上 で,非 常 に貴 重 な 存 在 で あ る.
と は 容 易 で は な く, ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 を 除 き,話
[言語 特 徴] 以 下,ダ コ ・ル ーマ ニ ア語 と他 の ル ー マ ニ ア語 との違 い を 中心 に述 べ る.
数 は 減 少 す る 一 方 で あ る.ダ い た ダ ル マ チ ア 語 は,1898年,最 死 語 と な っ た.ま マ ニ ア 語,サ
者
ル マ チ ア 地 方 で 話 され て 後 の 話 者 が死 亡 して
た,イ ス ト リ ア 半 島 の イ ス トロ ・ル ー
ロ ニ カ 湾(Golful
Salonic)に
注 ぐヴ ァル
音 韻 面 で は,ダ コ ・ル ー マニ ア語 で は,唇 音 の後 の e,iはa,iと な っ たが,他 の ル ー マ ニ ア語 で は,元 の音 を保 って い る.
Lat.〔
ラ テ ン 語 〕melum>ar.〔
ア 語 〕meru,dr.〔
ア ・ル ー マ ニ
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 〕mar「
リ
ンゴ」
dr.vazut:istr.〔 動 詞a
風」
vedea「
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 〕ved
dr.par:meg.per「
称 単 数 ・3人
称複数
1985)誌
蓋 化 し たl,n
ウ
Lat.clavem>ar.cl'aie,dr.cheie「 文 法 面 で は,ダ
鍵」
コ ・ル ー マ ニ ア 語 で は,人
的 と な る 場 合 に 前 置 詞peを マ ニ ア 語 に は,こ
が直接目
必 要 と す る が,他
のルー
れ が な い.
vad
pe
meu:ar.vedu
frati‐mi
た は 弟)を 見 る 」
過 去 は,他
ar.aveamu
の ル ー マ ニ ア 語 で は,ダ
コ ・ル
cintat:
そ の ほ か,バ
界 の 注 目を浴
ル ト語 派 に 属 す る 言 語 と し て は,ク
い っ た,い
ず れ も,現
然,豊
富 で
ラ ブ 語 の 影 響 は 南 の 諸 言 語 に も み ら れ る が,
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 に は,そ
の 他,ハ
代 ギ リ シ ア 語,ド
ラ ンス 語 か らの借 用 語 も
ンガ リー語 や古
代 社会 の 諸 分野 にお け る 事 象 を的 確 に表 現 す
る こ と が で き る の に 反 し,そ
の 他 の 言 語 の 語 彙 は,は
部,リ
トア ニ ア 南 部,白
除 く,死
在 の ポ ー ラ ン ド東 北
ロ シ ア 西 部 で,か
Manoliu(1965),Introducere
in lingvistica romanica(Editura
断 片 が あ る.こ
し て 知 られ る,古
の 資 料 は,14世
語 の 「エ ル ビ ン グ(Elbing)語
(Societatea din
de
o limba(istroromana)
stiinte
istorice
R.P.R.,Bucuresti)
彙 集 」(1400年
ま た,バ
ル マ チ ア 語,ル
トア ニ ア 語,ラ
ト語 派 リ トア ニ アBaltu valodas,英Baltic
kalbos,ラ
和 子) トヴ ィア
languages,独Baltische
〓
説 ]
さら
トヴ ィア 語 に よ るい ず
の 内容 は プ ロテ ス タ ン トない しカ トリ
バ ル ト諸 語 の 文 献 上 の 初 出 年 代 は,こ 韻,形
態 法 に お い て,よ に,リ
上 で,ラ
紀 に 属 す る. の よ うに 遅 い
く印欧 語 の古 態 を保 存
トア ニ ア 語 は,現
も っ と も 古 風 な 言 語 と して 知 ら れ,印
代 の 印 欧 語 中, 欧語比較文法の
テ ン語 に 匹 敵 す る 言 語 的 価 値 を も っ て い る. イ ツ の 学 者 ネ ッセ ル マ ン
(G.H.F.Nesselmann)に
よ っ て,そ
ロ シ ア 語 』(Die (倍 賞
頃)を
ル ト諸 語 の 書 物 と し て の 最 初 の 文 献 は,古
バ ル ト語 とい う呼 称 は,ド
[参 照 ] ア ・ル ー マ ニ ア 語,ダ ー マ ニ ア 語 ,ロ マ ン ス 諸 語
Sprachen,露
si
れまで
に 遡 る 貴 重 な 資 料 で あ る.
して お り,特
dispare
プ ロ シア 語 の
紀 の も の で,そ
に 知 られ て い た バ ル ト語 最 古 の 記 録 で あ る 古 プ ロ シ ア
が,音
si pedagogica,Bucuresti)
Coteanu,Ion(1957),Cum
ずれ も
に 発 見 さ れ た,「 バ ー ゼ ル の 警 句 」
epigram)と
ッ ク の 教 理 問 答 書 の 翻 訳 で,み な16世 Maria
つ て 話 され
トヴ ィ ンギ ア 語 を
語 と な っ た バ ル ト語 派 の 諸 言 語 は,い
れ の 文 献 も,そ
[参 考 文 献] and
紀 の
間 に 死 語 と な っ た 言 語 が 知 ら れ て い る.
プ ロ シ ア 語,リ
る か に 限 ら れ た も の で あ る.
Iordan,Iorgu
在 のラ ト
ヴ ィ ア と リ トア ニ ア の 境 界 域 で 話 さ れ,15∼16世
(Basel's
コ ・ル ー マ ニ ア 語 が,断
イ ツ 語,フ
ロ
ミガ リ ア 語(Semigalian),セ
ロ ニ ア 語(Selonian)と
な お,1974年
歌 って しま っ て いた 」
語 彙 の 面 で は,ダ
[概
上 に お い て,ジ ン キ ャ ー ヴ ィ チ ュ ス(Z.Zinkevicius)
人 名 や 地 名 が 知 ら れ る に す ぎ な い.
cintat(a):meg.veam
dr.cintasem「
語 派 で,バ
XXI,Vilnius,
て い た 言 語 と し て 知 ら れ て い た.ヤ
ー マ ニ ア 語 と違 っ て 複 合 形 で あ る .
Baltu
か
よ
前 述 の ヤ ト ヴ ィ ン ギ ア 語 は,現
fratele
「私 は 私 の 兄(ま
バ ル
考 え ら れ る 言 語 の,215語
ニ ア 語(Curonian),セ
filologice
の言 語 に限
に よ る 資 料 と論 文 が 発 表 さ れ,学
サ ギ」
didactica
上,3つ
プ ロ シ ア 語 に 近 い ヤ トヴ ィ ン
び た.
Lat.leporem>ar.l'epur,dr.iepure「
多 く,現
年,古
ら な る 語 彙 集 が 発 見 され,『 バ ル ト ・ス ラ ヴ 研 究 』(
の ル ー マ ニ ア 語 で は,1,nを
保 っ て い る.
あ る.ス
ル ト語 の 文 献 は,以
び 『バ ル テ ィ ス テ ィ カ 』(Baltistica
コ ・ル ー マ ニ ア 語 で は,口
ま た,大
プ ロ シア
〓,1984)お
梨」
変 化 す る が,他
こ れ ま で,バ
ら れ て い た が,近 ギ ア 語(Yatvingian)と
見 る」 の 過 去 分 詞
「見 る」 の 直 説 法 現 在1人
dr.il
が あ る.死
語 と し て 文 献 を残 す 重 要 な 言 語 と し て は,古
イ ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語 〕vezut
dr.vad:meg.〔
はiに
ッ ト語)の2つ
語 が あ る.
Lat.ventum>ar.vintu,dr.vint「
ま た,ダ
用 語 で あ る ラ ト ヴ ィ ア 語(レ
preussische
で 提 唱 さ れ た.今
の著書
『古 プ
Sprache,1845)の
中
日 で こそ 学 界 に 定 着 し て い る が,今
世 紀 の 初 め ま で は,単 に リ トア ニ ア 語 と か レ ッ ト語(ラ ト ヴ ィ ア 語)と か,あ
る い は,レ
ッ ト・リ トア ニ ア 語 と
よ ば れ る こ とが 多 か っ た.
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語(印 欧 語)族 の1
ル ト海 東 沿 岸 部 に 分 布 す る 言 語 群.
現 代 語 で は,ソ
連 邦 リ トア ニ ア 共 和 国 の 公 用 語 で あ
る リ トア ニ ア 語,同
じ く ソ連 邦 ラ ト ヴ ィ ア 共 和 国 の 公
今 世 紀 の 初 頭,リ
トア ニ ア を 代 表 す る バ ル ト語 学 者
ブ ー ガ(K.Buga)は,ア Sprache,Aisciu テ ィ ー(Aestiorum
エ ス テ ィ ー 語(Aistische kalba)な gentes)と
る 名 称 を 用 い た.ア は,タ
エス
キ ト ゥ ス の 『ゲ
ル マ ニ ア』(紀元 後1世 紀)に 現 わ れ るバ ル ト族,お そ ら
<図>1200年
頃 の バ ル ト語 域
くプ ロ シア人 の 一 部 を さす と思 わ れ る部 族 名 で あ る. 考 古 学,地 名 学 の 知 見 に よれ ば,バ ル ト人 は,紀 元 前3千 年期 後 半 には,西 は バ ル ト海 沿岸 地 域(ヴ クセ ルWeichsel川)か 〓
川,オ
ァイ
ら,東 は 中部 ロ シア(ヴ ォル ガ
カ〓
川,モ ス ク ワ近 郊)に 及 ぶ広 域
に拡散 して いた こ とが 知 られ て い る.そ の意 味 で は, バ ル ト語 とい う呼 称 は,若 干,適 切 さを欠 く う らみが な くは な い.紀 元 後5世 紀 頃 か らは じま る,ス ラ ヴ人 の 膨 張 拡散 に よ り,バ ル ト語 域 は しだ い に せ ば め られ るが,12∼13世
紀 頃 には,い ま だ,モ ス ク ワ近 郊 に バ
ル ト族 の ゴ リ ャー デ ィ人(〓),す デ ィア 人(Galindian)が
なわ ち,ガ リ ン
定 住 して い た.い ず れ に して
も,現 在 の バ ル ト語 域 は,往 時 の6分 の1程 度 の 領 域 を占 め て い るに す ぎ な い. バ ル ト地 方 が 真 の意 味 で歴 史 時 代 に入 るの は,ド イ ツ人 が,12世
紀 以 後,北 で は,リ ガ(Riga)を
中心に 注:リ ーブ 語 は,バ ル ト語 派 で は な く,バル ト ・フ ィ ン 諸 語 に属 す る別系 統 の 言 語 であ る.
剣 帯 騎 士 団 を,つ い で,リ ヴ ォニ ア 騎士 団 を,南 で は, 東 プ ロ シア に ドイ ツ 騎 士 団 を創 設 し,東 方 植 民 を 開始
terre Prussie)に
して か らで,こ の時 期 のバ ル ト地 域 の 民族 情 勢 は,バ
よ って 知 られ る.こ れ らの 文 献 は,
ル ト地 方 進 攻 の あ りさ ま を記 し た,『リ ヴ ォ ニ ア 押 韻
ドイ ツ語,ラ テ ン語 に よ って書 か れ て い るが,地
詩 年 代 記 』(Livlandische
トヴ ィ
『リヴ ォ ニ ア年
知 る上 で,バ ル ト文 献 学 的 に 重 要 な 資 料 とな っ て い る.
ゥス ブ ル ク(P.
〈図 〉は,1200年
Reimchronik),ラ
ア の ヘ ン リ クス(Henricus
Letus)の
代 記 』(Chronicon
Livoniae)や,ド
von
『プ ロ シ ア 年 代 記 』(Chronicon
Dusburg)の
<古 1)バ
頃 の バ ル ト語 域 で あ る.
バ ル ト語 は,そ の 言 語 的 特 徴 か ら,東
・西 バ ル ト語
プ ロ シ ア 語 の テ ク ス ト例> ー ゼ ル の 警 句(1974年
祖 語,リ
トア ニ ア 語,英 Kayle *kails
に バ ー ゼ ル 大 学 図 書 館 で 発 見 さ れ た 手 稿.上
か ら順 に,古
プ ロ シ ア 語,バ
語)
reky∫e,thoneaw *rikis *tu*n'au
sveikas,pone!
Tu nebe
Hellow,Sir!you
aren't
poyte,nykoyte,penega *pot *nik(v)〓itu gerti
(bet)nenori
to drink
(and)don't
want
(乾 杯,だ
ん な,お
ま えは
labonache *labans
thewely∫e,Eg *tevelis
*ik
geras
dedelis
jeigu
nori tu
good
fellow
if
you want
*penigan
doyte. *d〓t.
tu piniga
duoti.
you money
to pay.
太 え野 郎 だ
も し も,飲
koyte, *k(v)〓i‐tu
む こ と を 欲 し て い て,
金 を 出 す こ と を 欲 し な い な ら) 2)教
名,
人 名,種 族 名 の み な らず,バ ル ト人 の 宗 教,風 俗 等 を
理 問 答 書Ⅱ(1534)(ル
タ ー)(ド
イ ツ 語 原 文 に 対 す る 古 プ ロ シ ア 語 訳)
Vater
un∫er
der
du
bist
Thawe
nou∫on
kas
thou
〓
父 よ
わ れ ら の と こ ろ の 汝
name.Zukomme
いる
天 に
dein
emmens.Pareysey 名前が
jm himmel.Geheyliget 〓.Swyntits
来 る よ うに
noumans わ れ らに
「天 に ま し ま す 我 ら の 神 よ.御
twayia あ な た の
werde
dein
wir∫e
tways
あ が め ら れ る よ う に
Reych. ryeky. 国が
名 が あ が め ら れ ま す よ う に.御
国 が来 ます よ う に」
汝の
ル ト
に 分 け ら れ,東 ィ ア 語,セ は,古
バ ル ト語 に は,リ
ミ ガ リ ア 語,セ
プ ロ シ ア 語,ヤ
トア ニ ア 語,ラ
ロ ニ ア 語 が,西
バ ル ト語 に
トヴ ィ ン ギ ア 語 が 含 ま れ,東
西 バ ル ト語 の 中 間 言 語 と し て,ク る(表1を
トヴ
・
ロニ ア語 が あ げ られ
参 照).
元 前4∼3世
の 分 化 は,ブ
紀 に 遡 る と さ れ,東
ー バル
ト語 内 で の リ トア ニ ア 語 と ラ ト ヴ ィ ア 語 の 分 化 は,紀 元 後7∼8世
[ 音
紀 頃 と さ れ る.言
語 的 に は,リ
トア ニ ア
料 が 乏 し い 上 に,プ
*i ,*uは
料 と し て,き
う し た 資 料 の 乏 し さ と,西
aksah,OHG.〔
た,古
〔ロ シ ア 語 〕ocb
言 で,3つ
OCS.〔
ド(Samland)方
は1561年
言 で 書 か れ,言
お,「 グ ル ナ ウ(Simon
OPr.dessimts;cf.OCS.desgti,Lat. decem,Gk.〓,Skt.dasa
語 彙 集 」(1517∼1526
IE.*i:Lith.likti「
IE.*u:Lith.dukte「
トア ニ ア 語
eは[e:],yは[i:],uは[u:],
印 欧 語 の 長 母 音*a,*e,*i,*o,*uの *i ,*uは バ ル ト語 で 保 存 さ れ た が,*aと*oは
母 音 文 字 と よ ば れ るa[a:],e[〓:],
i[i:],u[u:]は,長
母 音 を 表 わ す.ア ク セ ン ト記 号 は,
下 降 音 調('),上
昇 音 調(∼),短
ア ク セ ン ト(')で
aと トヴ ィ ア 語
以 下 の 記 述 で は,ラ uoで
oは[uo]を
記 す.a,e,i,uは,長
ン ト記 号 は,下
<表1>バ バ ル 西
表 わ す.た
だ し,
降 音 調('),引
母 音 を 表 わ す.ア き 伸 ば し 音 調(∼),狭
ル ト諸 語 の音 韻 特徴 ト 祖 語
古 プ ロ シア 語
中(?)
ク ロニ ア 語
東
リ トア ニ ア 語 ラ トヴ ィア 語 セ ミガ リア 語 セ ロニ ア 語
クセ 窄
バ ル
ト ヴ ィ ア 語 と古 プ ロ シ ア 語 で は
し て 保 存 さ れ た が,リ
トア ニ ア 語 で はoと
して
現 わ れ て い る. IE.*a:OPr.brati「
トヴ ィ ア 言 語 学 の 慣 例 に 従 い,oを
う ち,*e,
ト語 内 で 異 な る 扱 い を受 け て い る. 印 欧 語 の*aは,ラ
あ る. 2)ラ
息 女 」,OPr.duckti;
cf.OCS.dusti,Gk.〓,Skt.duhita
[ 文 字 と発 音 ]
oは[o:]を,鼻
残 る 」,Latv.palikt;cf.
Lat.relictus,Gk.〓
語 的 に く ず れ て お り,資 料 と
し て の 価 値 は 劣 っ て い る.
1)リ
ま っ す ぐの 」;cf.Skt.
立 っ て い る 」,Lat.status
IE.*e:Lith.desimtis「10」,Latv.desmit,
ザム ラン
語 的 差 異 が 著 し い.な
Grunau)の
年 の 間 に 書 か れ た)は,言
出 版)は
古 代 教 会 ス ラ ヴ 語 〕ovica
IE.*〓:Lith.status「 sthitah「
の ル タ ー の 『教 理 問 答 書 』(2
り の1つ
羊 」,Latv.avs,OPr.
awins;cf.Lat.ovis,Gk.〓,Skt.avih,
語 の 文 献 中,「 エ ル ビ ン グ 語 彙 集 」 は ポ メ ザ ニ ア(Po
つ は1534年,残
サ ン ス ク リ ッ ト語 〕
古 高 ドイ ツ 語 〕ahsa,Russ.
IE.*o:Lith.avis「
ル ト祖 語 を プ ロ シア
古プ ロ
ラ テ ン 語 〕axis,Gk.
〔ギ リ シ ア 語 〕 〓,Skt.〔
バ ル ト語 と東 バ ル ト語 の 間
再 建 す る こ と は か な り 困 難 で あ る.ま
リ トア ニ ア 語 〕asis
ラ ト ヴ ィ ア 語 〕ass,OPr.〔
シ ア 語 〕assis;cf.Lat.〔
プロ
わ め て 不 完 全 で あ る.そ
印 欧 祖 語 〕*a:Lith.〔
「軸 」,Latv.〔
ロ シ ア 人 で は な く,
に 存 在 す る 大 き な 言 語 的 差 異 の た め に,バ
mesania)方
音 の 音 量 は よ く保 存 され
保 存 さ れ て い る.
IE.〔
こ の 言 語 を 十 分 に 知 ら な い ドイ ツ 人 に よ っ て 書 か れ て い る た め に,資
少の改変 を
1)母 音 印 欧 語 の 短 母 音*a,*e,*i,*o,*u, *〓 の う ち ,*a,*o,*〓 はaに 合 流 して い る が,*e,
トア ニ ア 人 と ラ ト ヴ ィ ア 人 の 意 思 の 疎 通 は,文
献 が 現 わ れ た 時 期 に す で に 可 能 で は な か っ た.古 シ ア 語 は,資
バ ル ト語 の 音 韻 組 織 は,多
欧 語 の 音 韻 組 織 を か な り 忠 実 に 継 承 し,
語 末 以 外 の 音 節 に お い て,母
語 は ラ ト ヴ ィ ア 語 の 祖 語 に 近 い 形 を 保 存 して い る.し か し,リ
韻 ]
へ て い る が,印
あ る.
て い る.
東 ・西 バ ル ト語 の 差 異 は 著 し く,そ ガ に よ れ ば,紀
ま た は 中 断 音 調(^)で
兄 弟 」,Latv.bralis,
Lith.brolis,broterelis;cf.Lat.frater, Gk.〓,Skt.brata,Goth.〔
ゴー ト
語 〕bropar
音 組 織 に 比 べ,非
印 欧 語 の*oは,東 れ て い る が,古
バ ル
ト語 で 二 重 母 音 と し て 現 わ
プ ロ シ ア 語 の 扱 い は,資
料 が 乏 し く 明
瞭 で な い. 与 え る 」,Latv.duot;
(th>t,dh>d,な
に 属
Lat.donum「
音 は,印
た だ し,期
贈 物 」
待 さ れ るuoの
代 わ り に,リ
ト ヴ ィ ア 語 でaと
そ の 場 合 は,ア
トア ニ ア 語
し て 現 わ れ る 例 が あ り,
ク セ ン ト を 受 け な か っ た と す る 説 が あ
る. Lith.dovana「
贈
り 物 」,Latv.davana
IE.*e:Lith.seti「 semen「
蒔
欧 語 に 由 来 す るsの
種 子 」;cf.OCS.seti,Lat.sevi,
し か し,今
ト 祖 語 に は,次
gospodi 息 子 」,OPr.souns;cf.
diups「
の う ち,*aiと*oiはaiに,*auと*ouはauに 変 わ
り,*eiは
古 プ ロ シ ア
ト語 で は ア ク セ ン トの あ る
し て 現 わ れ る こ と が 多 い.し
か し,eiと
兄 弟 」;cf.Skt.
IE.*t:Lith.tu「
あ な た 」,Latv.tu,OPr.
tou;cf.Lat.tu,Gk.〓,OCS.ty,Goth.
車 輪 」,Latv.rats; 古 ア イ
ア ヴ ェ ス タ 語 〕kaena
ル ラ ン ド 語 〕roth,OHG.rad
耳 」,Latv.auss,
IE.*d:Lith.du「2」,Latv.divi,OPr. dwai;cf.OCS.duva,Skt.dva,Lat.
OCS.ucho,Gk.〓,Goth.auso
duo,Gk.〓
IE,*ei:OPr,deiwis「
IE.*dh:Lith.medus「
神 」,Lith.dievas,
蜜 」,Latv.medus,
OPr.meddo;cf.Skt.madhu,Gk.〓
Latv.dievs;cf.Skt.devah,Av,daevo, Lat.deus,IE.*deiwos,な
IE.*k:Lith.kraujas「
お,Lith.deive
血 」,OPr.krawia;
ef.OCS.kruvi,Skt,kravih「
」 を 参 照.
IE.*eu:Lith.tauta「
IE.*kw:Lith.kas「
民 族 」,Latv.tauta,
OPr.tauto;cf.Goth.piuda,Osk.〔
オ ス
生 肉 」 な に が,だ
れ が 」,Laty.
kas,OPr.kas;cf.Lat.quis,Goth,〓as, Skt.kas
ク 語 〕touto
IE.*k:Lith.simtas「100」,Laty.simts;
印 欧 語 の 長 二 重 母 音*ei,*eu,*ai,*au,*oi,*ou し く,少
な く と も,バ
ル
ト語 で は,語
尾
印 欧 語 の ソ ナ ン ト*r,*l,*n,*mは,バ 常,ir,il,in,imと
ル し て 現 わ れ,ま
ト語 で れ に,
し て 現 わ れ て い る.
IE.*l:Lith,vilkas「
cf,Lat.centum,Skt.satam,Av.sat〓m, OCS.suto
に し か そ の 反 映 を 認 め が た い.
鶴 」,Laty.dzerve,OPr.
gerwe;cf.Gk.〓,ORuss.〔
IE.*gh:Lith,migla「
狼 」,Latv.vilks,OPr.
古
も や 」,Latv.migla;
cf,Gk.〓,OCS.migla IE.*gw:Latv.guovs「
wulfs,Lat.lupus,Gk.〓 バ ル ト 語 の 子 音 組 織 は,印
IE,*g:Lith.gerve「
語 〕zeravi
wilkis;cf.Skt.vrikah,OCS.vliku,Goth.
く ぼ み 」;cf.Goth.
深 い 」
cf.Skt.rathah,Lat.rota,OIr.〔
OPr,ausins(acc.pl.);cf,Lat.auris,
音
主 人 」;cf.Skt.patih,OCS.
pu
値 段 」;cf.Gk.〓,
IE,*au:Lith.ausgis「
ur,ul,un,umと
自 身 」,Latv.pats,OPr.
IE.*th:Lith.ratas「
IE,*oi:Lith.kaina「
の存 在 は 疑 わ
の よ う な 子 音 組 織 が 想 定 さ れ る.
bhrata
し て も 現 わ れ る.
「女
トヴ ィ ア
受 け 入 れ る に 至 っ た.
IE.*bh:Lith.bro1is「
印 欧 語 の 二 重 母 音*ai,*au,*oi,*ou,*ei,*eu
OCS.cena,Av.〔
擦 音fを
トア ニ ア 語 と ラ
IE.*b:Lith.dubus「
Skt.sunuh,OCS.synu,Goth.sunus
バ ル
息 音h,摩
欧 語 の 状 態 を 反 映 し て い る.
IE.*P:Lith.pats「 waispattin「
位 置 でieと
擦
ら にz
ソ ナ ン ト:r,l,m,n,y,w
dzivs,OPr.giwans;cf.Skt.jivah,Lat.
語 で 保 存 さ れ た が,東
ト語 は,気
と と も に,h,fを
vrrus,OCS.zivu
合 流 し,*euは(j)auに
ほ か に,s,z,さ
世 紀 に 入 っ て,リ 来 語
パ 語 族)
く し て,歯
歯 擦 音:s,s,z
生 き て い る 」,Latv.
IE.*u:Lith.sunus「
2)子
ル
発 達 さ せ る こ と な く,印
し て
口 蓋 子 音 を 歯
イ ン ド ・ ヨ ー ロッ ど).か
し
閉 鎖 音:p,b,t,d,k,g
semen,Goth.seps IE.*i:Lith.gyvas「
ト語 は,硬
テ ム 語(→
を 発 達 さ せ た.バ
バ ル
く 」,Latv.set,OPr.
口 蓋 唇 音 を 非 唇 音 化 ル
し て い る(k>s,g>z,な
語 は,外
は,通
ど),軟 ど).バ
擦 音 に 変 え,サ
cf.Gk.〓,Skt.dadati,OCS.dati,
鎖 音 系 列
声 お よ び 有 声 の 帯 気 子 音 を 非 帯 気 化
い る(kW>k,な
IE.*o:Lith.duoti「
でo,ラ
常 に 簡 単 化 さ れ て い る.閉
の 子 音 で は,無
欧 語 の 子
Gk.〓
牛 」;cf.Skt.gauh,
ロ シ ア
IE.*gwh:Lith,garas「
蒸 気 」,Latv.gars,
OPr.gorme;cf.Skt.gharmah,haras 「熱 」,Lat.formus,Gk.〓
1)名
a)バ
ル ト語 に は,男
の3性
IE.*g:Lith.zinoti「
知 っ て い る 」,Latv
.
zinat,OPr.ersinnat;cf.Gk.〓,
性(m.),女
が 再 建 さ れ る が,3性
男 性 名 詞 か,ま
冬 」,Latv,ziema,OPr.
湖 」,Lith.ezeras(m.),
Latv.ezers(m.);cf.Russ.o〓epo(n.)
semo;cf.Skt.himah,Lat.hiems,Gk.
た だ し,リ
トア ニ ア 語 は,代
中 性 形 を 残 し て い る.ラ
〓
印 欧 語 の 歯 擦 音*sは,バ
ル ト語 で 保 存 さ れ て い
Lith.geras(m.)「 座 る 」,Latv.sedet,
リ トア ニ ア 語 は,印
良 い 」,gera(f.),gera
Lith,grazus(m.)「
欧 語 の*sと*kを,sとsに
美 し い 」,grazi(f.),grazu
(n.)
トヴ ィ ア 語 と古 プ ロ シ ア 語 は,
Latv.labs(m.)「
そ れ を 混 同 し て い る.
良 い 」,laba(f.)
Latv.skaists(m.)「
印 欧 語 の ソ ナ ン ト*y,*wは,母
音 の 前 でj,vと
し
b)バ
て 現 わ れ て い る.
美 し い 」,skaista(f.)
ル ト語 に は,単
数,双
Lith.vyras(sg.)「
IE.*y:Lith.jungas「
軛 」,Latv.jugs;cf.
c)バ
数,複
ル ト語 の 中 で,東
バ ル ト語 は,主
与 格,対
Gk.〓,Russ.〓
ロ シ ア 語 に は,主
格,属
い.伝
欧 祖 語 に は8格
神 」;cf.IE,*deiwos
印 欧 語 の 鼻 音 と流 音 は,バ い る.し
か し,同
*in ,*unは,古
音 節 中(tautosyllabic)の*an,*en,
鎖 音 以 外 の 子 音 の 前 で は,鼻
化 を へ て 長 母 音a,e,i,uと 様 の 変 化 を た ど っ た.ラ
な り,語
末 に お い て も同
な り,語 末 に お い て は, な っ た.こ
れ は,バ
ル ト語 内
の 大 き な 差 異 で あ る. OPr.rancko「
第5の
」,Lith.penki「5」,
Latv.pieci Lith.ginti「
バ ル ト祖 語 の 子 音 結 合tl,dlは,古 は 保 た れ た が,東
バ ル ト語 で はkl,glに
OPr.deiw‐as「
格 の4格
が あ っ た と想 定 され
ル マ ン語 や 古 プ ロシ ア語 の よ
語幹 単数属
神 の 」,Lith.vilk‐o「
古 プ ロ シ ア 語 の 属 格 形 は,IE.*‐oso,あ タ イ ト語 のatt‐as「
狼 の 」,
る い は,ヒ
父 の 」 と 同 じIE.*‐osに
バ ル ト語 の 属 格 形 は,ス
欧 語 の 奪 格 形*‐o(d)に
e)古
プ ロ シ ア 語 は,複
存 し,古
形 を 示 し て い る.
ラ ヴ語 と と も
数 対格 形 に お い て鼻 音 を保
こ と ば を 」,Lith. 単 語 を」
手 を 」,Lith.rankas,
Latv.ruokas
プ ロ シ ア語 で
i‐語 幹:OPr.akins「
目 を 」,Lith.akis,Latv.
acis もみ の 木 」,Lith.egle,Latv.
代 名 詞:OPr.mans「
egle 3)ア
ク セ ン ト
ア 語 は,ア
バ ル ト語 の 中 で,古
プ ロ シア語
ク セ ン ト を語 頭 に 移 動 した.ア
トヴ ィ
ク セ ン トの
詳 細 に つ い て は,「 リ トア ニ ア 語 」の 項 を 参 照 さ れ た い. [形
態]
私 た ち を 」,Lith.mus,
Latv.mus
と リ トア ニ ア 語 は 自 由 ア ク セ ン トで あ る が,ラ
f)古
プ ロ シ ア 語 は,複
も ち,古
形 を 示 して い る.
OPr.nouson「
ッ
遡 るか
由 来 す る と さ れ る.
名 前 を 」,Latv.vardus「
a‐語 幹:OPr.rankans「
る. OPr.addle「
プ
しか な
Latv,vilk‐a;cf.OCS.vlik‐a
vardus「
変 化 して い
格,対
格,
の み を 祖 語 に 想 定 す る 説 が あ る.
o‐語 幹:OPr.wirdans「
軛 」,Latv.jugs
格,与
格,属
を も つ が,古
プ ロ シ ア 語 と 東 バ ル ト語 は,o‐
追 う 」,Latv.dzit
Lith.jungas「
格 の7格
格 形 に 異 な る 語 尾 を も っ て い る.
に,印
鳥 」,Lith,zasis,Latv.zuoss
OPr.penckts「
格,呼
年 で は,ゲ
も し れ な い.東 手 」,Lith,ranka,Latv.ruoka
OPr.sansy「鵞
d)古
トヴ ィ ア 語 で は,*an>uo,
,*in>i,*un>uと
そ れ ぞ れ,u,i,i,uと
音
格,位
統 的 に,印
て い る が,近 う に,4格
プ ロ シ ア 語 で は 完 全 に 保 存 さ れ た が,
リ トア ニ ア 語 で は,閉
*en>ie
ル ト語 で よ く保 存 され て
格,具
数 の 区 別 が あ る.
夫 」,vyru(du.),vyrai(pl.)
IE.*yugom,Lat.iugum,Skt.yugam,
IE.*w:Lith.dievas「
詞に
性形 は す
(n.)
OPr,ensadints;cf.Lat,sedere
よ っ て 区 別 し た が,ラ
名 詞 と 形 容 詞,分
ト ヴ ィ ア 語 で は,中
べ て 失 わ れ た.
る. IE.*s:Lith.sedeti「
性(n.)
れ に 女 性 名 詞 に 変 え て い る.
OPr.assaran(n.)「
IE.*gh:Lith.ziema「
性(f.),中
の す べ て を もっ て い る の
は 古 プ ロ シ ア 語 の み で,東 バ ル ト語 は 中 性 名 詞 を 失 い,
Lat.nosco,OCS.znati
詞類
数 属 格 形 に お い て ‐onを
私 た ち の 」,Lith.musu,Latv.
mnsu g)古 プ ロ シ ア 語 の 所 有 代 名 詞mais(m.nom.) 「私 の 」,maia(f.);twais(m.)「 あ な た の 」,twaia
(f.);swais(m.)「 語,た
自 分 の 」,swain(f.)は,ス
と え ば,ロ
〓
双1 2
と形 成 法 を 同 じ く し,東
え ば,ラ
ラヴ
シ ア 語 の〓, バ ル ト語,た
トヴ ィ ア 語mans,manaと
と
単 ・複 ・双3
は 異 な る.
バ ル ト祖 語 に お け るo‐ 語 幹 名 詞 の 変 化 を,表2に
示
す.
バ ル ト語 の3人
称 形 は,印
お り,現 在 形dirb‐aの *e/*oの*oに 遡 る .ま
<表2>バ
た,過
欠いて
欧語 の語 幹 形成 母 音
去 形dirb‐oの
‐oは,
ル ト祖 語 のo‐ 語 幹 名 詞 の 変 化 (例はdeiwas「 ニ ア語) 単
主
欧 語 の 語 尾*‐tを
‐aは,印
数
神 」.〔 〕内 は リ トア
印 欧 語 的 に*‐aに 語 尾 は,以
複
遡 る.単 数 お よ び 複 数 の 過 去 の 人 称
下 の ご と く形 成 さ れ た.
*dirbau>dirbau,*dirbai>dirbai,*dir
数
bame>dirbome,*dirbate>dirbote,*dirba
格
>dirbo ‐u,‐i,‐me,‐te,‐va,‐taの
属 格
語 尾 は,現
在,過
去,
未 来 に 共 通 し て い る. こ の よ う に,バ
与 格
く,単
対 格
現 在 形 で 興 味 深 い の は,3人 の語 尾
具 格
‐ont/‐entを
位 格
称 複 数形 語 尾 が 印 欧 語
在 分 詞 の 複 数 主 格 形 で あ る.
性 主 格dirbas(<
‐onts),女
性 主 格dir
性 主 格dirba(<
‐ont),女
性 主 格dir
banti 複 数:男
格
bancios(方
言 形dirba)
複 数 主 格 形 の み は,語
2)動
詞
古 プ ロ シア語 の文 献 が ル タ ー の 『教
ろ で,バ
ル ト語 は,伝
尾 の な い 語 幹 形 で あ る.と
人 称単 数 形 にお い て 語 尾
系 は 再 建 しが た く,実 質 的 に は,東 バ ル ト語,と
‐ontを
りわ
トアニ ア語 の動 詞 体 系が,バ ル ト祖語 の動 詞 体
こ
統 的 に 考 え ら れ て い る よ う に,3
理 問 答 書』 の 翻 訳 に 限 られ る た め,バ ル ト語 の動 詞 体
け,リ
制 に関 係 な
欠 い て い る こ と で あ る.
さ ら に 奇 異 な の は,現 単 数:男
呼
ル ト語 の 人 称 語 尾 は,時
純 な 唯 一 の モ デ ル し か な い.
‐tを,複
数形 に おい て 語 尾
,は た し て 喪 失 し た の で あ ろ う か.こ
れ は,バ
ル ト言 語 学 の 大 き な 謎 と さ れ て き た 問 題 で あ る.
系 の モ デル と して用 い られ て い る.バ ル ト語 の 動 詞 組
印 欧 語 の3人
称 複 数 形 は,前
織 は,印 欧 語 の動 詞 組 織 を大 き く再 編 しなお し,時 制
者 に よ っ て,現
在 分 詞 に 由 来 す る 形 で は な い か と考 え
を も と とす る近代 ヨー ロ ッパ 諸 言 語 の 一 変 種 と して 現
ら れ て き た.さ
ら に,こ
世 紀 か ら,多
の30年
の 間 に,印
わ れ てい る.バ ル ト語 に は,ア オ リス ト,完 了 は な く,
称 は 真 の 人 称 で は な く(動 詞3人
現 在,過 去,未 来 の3時 制 が あ り,法 として は,直 説
人 間 で あ る よ り も,事
法,希 求 法,命 令 法 が あ る.中 動 相 は な く,受 動 相 は,
も,本
来,事
単 数 形 は,語
バ ル ト語 の動 詞 を もっ とも特 徴 づ け て い る の は3人 称
に な っ て い る.と
形 で,3人
形 は,3人
称 形 は,バ ル ト諸 語 全 体 を 通 じて,語 尾 ゼ
物 で あ り,印
欧 語 の 原 初 の3人
す れ ば,3人
称 複 数 形 の 語 尾 ‐ontの
称 単 数 形 の ‐tよ り,は
る か に の ち の造 成 で
あ っ た は ず で,3人
数,双 数,複 数 を 区別 す るが,3人
称形 は,数 の 区別
語 幹 形 で あ っ た こ と が 想 定 さ れ る.
れ ば,表3の
ご と くで あ る.
<表3>バ
Toje
(リ トアニ ア語dirbti「 働 く」) 現
在
過
と こ ろ で,リ
称 複 数 形 も,古
トア ニ ア 語 に は,現
2
去
未
来
lygumelej
2
esanti(f.sg.)zalioji
pievele,viduj
tos
pievuzeles
緑 の didis
に そ の 草 地 の 〔中 に 〕 大 き な
dvarelis.Anksti 宅 が(あ
複1
尾 ゼ ロの
在 分 詞 が叙 述 用 法
そ の 小 さ な 平 地 に は あ る
草 地 が,中 単1
く は,語
と し て 頻 繁 に 使 わ れ る こ と が あ る.
ル ト語 の 動 詞 の 活 用 例
称
尾 ゼ ロ の 語 幹 形 で あ っ た と す る説 が 有 力
称 と2人 称 は,単
トア ニ ア 語 の 動 詞d〓rbti「 働 く」を例 に と
般 に,
欧 諸 言 語 の代 名詞
ロの,語 幹 形 そ の もの で あ る.1人
が な い.リ
欧 語 の3人
称 の 主 語 は,一
物 を さ し て い た),印
動 詞 の 再帰 形 が 使 わ れ るか,受 動 分 詞 が 用 い られ る.
くの 研 究
る).高
remi〓(m.pl.),zali
rumai い
建物 は vysniu
dangu 天 を sodai
支 え て お り,
緑の
桜の
園は
dadan「
saule temda(m.pl.).
dagis「
太 陽 を 暗 くして い る.
emmens「
ミル ク 」
vasara
名 前 」
こ こに は,男 性複 数 主 語 に対 して,語 尾 ゼ ロ の 分 詞形
garbis「
が使 わ れ て い る.と こ ろが,高 地 リ トア ニ ア語 東 方 言
kerdan「
で は,次 の例 の よ うに,女 性複 数 主語 に 対 して も分 詞
panno「
火」
gaylis「
白い 」
kails「
健 康 な」
語 幹形(た だ し,過 去 能 動 分 詞)が 使 わ れ て い る.こ の 方 言形 は,標 準 語形 よ り古 い形 で あ る とい わ れ る. Kalnai
kelmuoti,pakalnes
nuplike(f.pl.). 裸 に な って い る.
waist「
vasara vards
kalnas
kalns
laikas
laiks
ugnis
uguns
baltas
balts
時」
druwit「
piens
vardas
山」
sveikas
信 じ る 」 tiketi
seggit「
山 々は 伐 り払 わ れ,麓 は
pienas
夏」
な す」
sveiks ticet
daryti
darit
知 っ て い る 」 zinoti
zinat
上 に あ げ た 分 詞 の用 法 は きわ め て 示 唆 的 で,ト ポ ロー フ(〓)に
よ れ ば,こ の よ うな語 尾 ゼ ロの
古 プ ロ シ ア 語 と リ トア ニ ア 語 で 一 致 す る が,古
プ ロ
シア 語 と ラ ト ヴ ィ ア 語 で は 異 な る 語 が み ら れ る.
分 詞 形 が,印 欧 諸 言 語 の3人 称 複 数 形 の 起 源 で あ った
OPr.
Lith.
Latv.
と推 定 され る.そ うで あ る とす れ ば,印 欧語 の 古 層 の 時 代 には,動 詞3人 称形 は,バ ル ト諸 語 の よ う に,数
angurgis「
の 分 化 をい まだ 示 さず,純 粋 な語 幹 形 で 現 わ れ て い た
antis「
鴨」
antis
pile
ausis「
金」
auksas
zelts
の か も しれ ない.そ
して,以 後 の 印 欧 語 の 名 詞 の数 組
buttan「
う な ぎ 」 ungurys
家」
zutis
butas
maja kauns
織 の 発 達 に呼 応 して,動 詞3人 称 も数 の 分 化 を余 儀 な くされ,3人
称 複 数 形 と して,叙 述 用 法 の 分 詞 の語 幹
形 が 拡 大 的 に使 用 され て い った の か も しれ な い. バ ル ト語 には,上 例 の現 在o‐語 幹 の ほ か に,a‐ 語 幹 laikyti「保 つ」(3人 人 称 形turi)が
称 形laiko),i‐ 語 幹tureti(3
gidan「
恥」
geda
stogis「
屋根」
stogas
jumts
血」
kraujas
asins
krawian「 souns「 duckti「
息 子」
sunus
息女」
dels
dukte
meita
あ る.過 去 語 幹 として は,前 例 のa‐語 古 プ ロ シ ア 語 と ラ ト ヴ ィ ア 語 で 一 致 す る が,古
幹 の ほか に,e‐ 語 幹vesti「 連れ て 行 く」(3人 称 形 vede,現
在 形veda)が
あ る.未 来 形 は,不 定 形 語 幹
プ ロ
シ ア 語 と リ トア ニ ア 語 で は 異 な る 語 も あ る. OPr.
Lith.
Latv.
にsを 付 添 す る. 以 上 のo‐ 語 幹 動 詞,a‐ 語 幹 動 詞,i‐語 幹 動 詞 の ほ か に,‐mi,‐si,‐ti型 の 動 詞 が古 文 献 に見 い だ され る. た とえ ば,Lith.1人 3人 称esti,な [語
称esmi「 私 は あ る」,2人 称esi,
古 プ ロ シア 語 と東 バ ル ト語 に は,バ ル
taws「
父」
mergu「
娘」
clokis「
pele「
ねずみ」
pelky「
沼」
Lith.
Latv.
tevas
tevs
merga
merga
lokys
lacis
熊」
pele
ilgas「
labs「
良 い」
pele
持 つ」
わ ら」
bamba
naba
siaudas
[フ ィ ン諸 語 との 関 係] 紀 元前3千
salms
年期 後 半 に.
に進 出 し,北 側 に住 む フィ ン人 と隣 人 関 係 に入 った.
諸語 に残 る,バ ル ト語 か ら の多 数 の借 用 語 に反 映 して い る.フ ィ ン諸 語 の 中 で も,も っ と も古 態 的 な フ ィ ン ラ ン ド語 に は,今 日の リ トア ニア 語 に類 似 す る,バ ル ト語 か らの借 用 語 が数 百 知 られて い る.他 方,リ ニ ア語 に は,フ ィ ン語 か らの借 用 語 は,ほ
pelce
られ な い.そ れ ゆ え,フ ィ ンラ ン ド語 の 話 し手 の 祖 先 が,か つ て,ど こで バ ル ト人 と接 触 し た の か,沿 岸地
labas
labs
域 か,内 陸 奥 深 くか,ま た,リ
tureti
turet
れ とは 異 な っ た,そ の 後消 滅 し たバ ル ト人 と交 渉 を も
古 プ ロ シ ア 語 と 東 バ ル ト語 に は,異
な る語 もみ られ
トア ニ ア 人 に近 い が そ
っ た の か否 か な ど,さ ま ざ まな 議 論 が あ る. いず れ に して も,借 用 時 期 は,紀 元 前2千
る. OPr. aglo「
雨」
assanis「
秋」
ayculo「
針」
bitas「
夕 方」
トア
とん ど認 め
長 い 」 ilgs「 長 い 」
pelke
ilga「 長 く」
turit「
へそ」
そ の こ とは,バ ル ト ・フ ィ ン諸 語 や ヴ ォ ル ガ ・フ ィ ン
ト語 特 有 の 語 彙 が 見 い だ され る. OPr.
salme「
バ ル ト人 は,南 方 か らバ ル ト海沿 岸 地 域 と中部 ロ シア
どで あ る.
彙]
nabis「
Lith.
Latv.
lietus
lietus
ruduo
rudens
adata
adata
vakaras
vakars
な い し1
千 年 期 で あ ろ う と,言 語 学 者 や 考 古 学 者 た ち は考 え て い る.す な わ ち,両 民族 が 混 交 し あ っ た 初期 の 時代 に 属 す る こ とで あ る.そ れ らの 借 用 語 か ら,フ ィ ン人 が バ ル ト人 か ら農 業 や牧 畜 を学 ん だ こ とが 知 られ る し, 親 族 名 称 の 借 用語 か ら,両 民 族 の 間 に は 頻繁 な婚 姻 関
[ス ラ ヴ 語 派 と の 関 係 ]
係 が あ っ た こ と が 推 定 さ れ る. 以 下 に,フ (Est.)に
み
《農 業
ィ ン ラ ン ド 語(Finn.)と ら れ る バ ル
エ ス ト ニ ア 語
論 争 が 行 な わ れ て き た.し
Finn.siemen「
種 子 」,Est.seeme:Lith.
semenys(複
通 す る現 象 と し て,次
え ん ど う 豆 」,Est.hernes:
1)印
Finn.tarha「菜
山 羊 」:Lith.ozys
3)形 牧 人 」:Lith.piemuo(対
格
4)o‐
を 付 添 して,形
容 詞限 定 形
そ の 新 し い 」<naujas+(j)is:
語 幹 名 詞 単 数 属 格 語 尾*‐o(d),い
わゆる印
欧 語 の 奪 格 語 尾 の 代 用.
Finn.heimo「
親 族 」:Lith.seima「
家 族 」
Finn.sisar「
姉 妹 」:Lith.sesuo(対
格sese
Lith.vilk‐o「
5)現
Finn.tytar「
狼 の 」,Latv.vilk‐a:OCS.
vlik‐a
ri)
在 語 幹 ‐i‐の 動 詞 は,不
Lith.sed‐i‐me「
息 女 」,Est.tutar:Lith.dukte
定形
6)統
嫁 」,Est.morsja:Lith.
‐e‐を も つ.
私 た ち は 座 っ て い る 」,不
sed‐e‐ti:Russ.〓,不
(対 格dukteri) Finn.morsian「
辞 法 で は,否
定形
定 形〓
定 文 に お い て,対
格 形 に代 わ っ
て 属 格 形 が 使 用 さ れ る.
marti 《そ の 他 》
Lith.Jis
Finn.silta「
橋 」,Est.sild:Lith.tiltas
Finn.,Est.ratas「
neka
う な ぎ 」,Est.angerjas:
7)補
歯 」:Lith.zambas「犁
Latv.zuobs「
声 閉 鎖 音 を も た な い た め に,そ
さ れ て い る.そ
保 存 し,男
性 名 詞 の 干
ィ ン ラ れ ら の 音
8)バ
mokytoju.(彼
〔3人 称 代 名 詞 〕 ‐
‐asと
用 語 は,リ 性 名 詞 のo‐
似 の ア ク セ ン ト移
Lith.ranka「
手 」,対 格ranka:Russ.pyKa,
対 格pyky トア ニ 語 幹 の
区 別 し て い る.
し 草 」:Lith.sienas,Russ.
ル ト語 とス ラ ヴ 語 に は,類
動 が み ら れ る.
ル ト 語 のtiは,siと
の ほ か,借
ト ヴ ィ ア 語 で 失 わ れ た,中
Finn.heina「
格 形 が 使 わ れ る.
buvo
〓. ィ ン ラ ン ド 語 は,
し て 再 現 し て い る.フ
を 無 声 子 音 で 再 現 し て い る.バ
語 と し て,具
し て あ っ た(= 先 生 だ っ た)」:Russ.OH〓
歯 」,
歯 」
以 上 の 例 か ら も 明 ら か な よ う に,フ ト 語 のz,sをhと
9)バ
ル ト語 と ス ラ ヴ 語 に は,多
ら れ る.ト
トース ラ ヴ 語 辞 典 』(1923)に れ て い る.し
くの 共 通 語 彙 が み
ラ ウ トマ ン(R.Trautmann)の
か し,そ
『バ ル
は,約1,700語
れ ら の 語 は,必
が あげ ら
ず し も,バ
語 と ス ラ ヴ語 の み に 特 有 の 語 で は な く,他
ceHo(n.) 橋 」:Lith.tiltas,Skt.tirtham 渡 し 」
動詞
で あ っ た 〔過 去 〕‐先 生 〔単 数 具 格 〕)「 彼 は 先 生 と
〓 」:Lith.vaskas
Finn.hammas「
〔3人 称 代 名 詞 〕‐何
nezin.:Russ,OH 〓.
Lith.Jis
鮭 」,Est.lohi:Lith.lasis
Finn.,Est.vaha「
nezino.(彼
3人 称 〕)「彼 は な ん に も 知 ら な い 」,Latv.Vins
Lith.ungurys,OPr.angurgis Finn.lohi「
nieko
も 〔代 名 詞 属 格 〕 ‐知 ら な い 〔否 定 前 接 辞ne+
車 」:Lith.ratas
Finn.ankerias「
(n.)「
容 詞 に 代 名 詞io‐
OCS.novyi<novu+ji
sienas
Finn.silta「
ドイ ツ 語 〕
を 形 成 す る.
干 し 草 」,Est.hein:Lith.
《親 族 関 係 》
‐aを
人 々 」:OCS.ljudije,Russ.
Lith.naujasis「
Finn.heina「
して現 わ
Leute)
ガ チ ョ ウ 」,Est.hani:Lith.
piemeni)
形
欧 語 の 二 重 母 音*euは,(j)auと
〓(cf.IE.*leudh‐,Ger.〔
羊 毛 」:Lith.vilna
Finn.paimen「
狼 」:OCS.vliku,Russ.〓
Lith.liaudis「
zasis,OPr.sansy
ア 語,ラ
し
れ て い る.
雄 羊 」:Lith.avinas
Finn.hanhi「
し て 再 現
た はuRと
(cf.IE.*wlkwos,Skt.vrkah) 2)印
Finn.,Est.oinas「
ン ド 語 は,有
欧 語 の ソ ナ ン ト*Rは,iRま
園 」:Lith.darzas
・牧 畜 用 語 》
Finn.vuohi「
バ ル
ル ト語 と ス ラ ヴ 語 に 共
の 点 が あ げ ら れ る.
Lith.vilkas「
畝 間 」,Est.vago:Lith.vaga
Finn.villa「
に近 い
の 問 題 は 複 雑 で,
て 現 わ れ て い る(R=r,l,n,m).
Lith.zirnis
《家 畜
か し,こ
現 在 も 未 解 決 の 問 題 で あ る.バ
数 名 詞),OPr.semen
Finn.herne「
の た め に,「 バ
ル ト ・ス ラ ヴ 祖 語 」 の 存 否 を め ぐ っ て,100年
ト語 か ら の 借 用 語 を あ げ る.
・植 物 用 語 》
Finn.vako「
バ ル ト語 派 と ス ラ ヴ 語 派
の 諸 言 語 に は 多 く の 類 似 点 が み ら れ,そ
語 に 見 い だ さ れ る も の も あ り,真 の 語 は,100た
ら ず か,300な
ル ト
の 印 欧 諸言
に両 言 語 のみ に 特有
い し400し
か な い,と
もい
わ れ る.そ
の う ち の 若 干 の 語 を あ げ れ ば,以
下 の とお
り で あ る.
い う見解 を 述 べ て い る. そ れ に 対 して,ヴ
Lith.galva「
頭 」,Latv.galva,OPr.galwo:
Russ.〓,Pol.〔 Lith.ranka「
ポ ー ラ ン ド語 〕glowa
リ ック語 とケ ル ト語 との 間 に 認 め る よ う な遠 い 過 去 の
cko:Russ.pyka,Pol.reka
事 実 に関 す る こ とで は な く,ゲ ル マ ン語 の 一 体 性 とほ
指 」,Latv.pirksts,OPr.
とん ど同 時代 の 事 実 に関 す るこ とで,バ ル ト語 とス ラ ヴ語 は,ス ウ ェー デ ン語 と ドイ ツ語 ほ ど には 異 な って
pirsten:Russ.〓,Pol.parst Lith.karve「
雌 牛 」,OPr.curwis「
Russ.KopoBa「
雌 牛 」,Pol.
Lith.kiaune「
krowa「
雄 牛 」:
い ない 」 と述 べ,学 界 を驚 か せ た.そ して,バ ル ト ・
雌 牛」
ス ラ ヴ祖 語(彼
て ん 」,Latv.caune,OPr.
う な ぎ 」,OPr.angurgis:
て 崩 壊 し た,と 考 え た.ゲ オ ルギ エ フ(〓) は,両 語 派 の 一 体 性 の 時期 を前2千 年 ま で,崩 壊 期 を
も み の 木 」,Lith.egle,Latv.
前2千 年 か ら前1千
egle:Russ.〓,Pol,jodla OPr.assaran「
年 と想 定 し て い る.フ ァ ス マ ー
(M.Vasmer)は,ヘ
湖 」,Lith.ezeras,Latv.
(Neuroi)人
ロ ド トス に 現 わ れ る ネ ウ ロイ
を,前4世
紀 まで は ま だ 分化 して い な か
った バ ル ト ・ス ラ ヴ祖 語 の 担 い 手 と考 え て お り,キ パ
gzers:Russ.〓,Pol,jezioro Lith.ledas「
の 諸土 語 の束 が 祖 語 と され る)は,
紀 元 後 も 間 もな い,北 欧 か らの ゴー ト人 の侵 入 に よ っ
Russ.〓,Pol.wegorz OPr.addle「
に よ れ ば,タ キ ト ゥス に 現 わ れ る ヴ ェ
ネ デ ィーVenedi人
caune:Russ.〓,Pol.kuna Lith.ungurys「
バ
か な り最 近 ま で 続 い て い た.そ れ は,比 較 文 法 が,イ タ
手 」,Latv.ruoka,OPr.ran
Lith.pirstas「
ァイ ヤ ン(A.Vaillant)は,「
ル ト ・ス ラ ヴ語 の一 体 性 は,印 欧語 の単 一 時 代 以 後,
氷 」,Latv.ledus,OPr,ladis:
ル ス キ ー(V.Kiparski)や
Russ.〓
アル マ ー(P.Arumaa)
も,彼 に 同 調 して い る.
Lith.zvaigzde「
星 」,Latv.zvaigzne:Russ.
同 祖説 の 立 場 か らは,ほ か に も,さ ま ざ ま な見 解 が
〓,Pol.gwiazda Lith.vartai「
提 出 され て きた が,考 古 学 上 は,ま だ,分 化 して い な 門 」,Latv.varti,OPr.warto
いバノ レト人 とス ラ ヴ 人 の 文 化 圏 の存 在 は,今 日 ま で知
「戸 」:Russ.BopoTa,Pol.wrota Lith.minkstas「
られ てい な い.ス ラ ヴ人 の 故 地 と して,も っ と も穏 当
や わ ら か い 」,Latv.miksts:
な 説 は,カ
Russ.〓,Pol.mieki 以 上 の 音 韻 上,文
ル パ チ ア(Carpathian)山
ドニ エ プ ル(〓)川
法 上 の 共 通 現 象 は,共
て る に は 貧 困 の 気 味 が 感 じ られ る が,両
通 基 語 を立 語 派 は,明
ら
脈 の 北 東 部 と,
中 流 域 間 の草 原 地 帯 で,そ
の北
側 にバ ル ト人 が 住 ん で い た こ とが 知 られ て い る.考 古 学 者 ギ ンブ タ ス(M.Gimbutas)に
よれ ば,ド ニ エ プ
か に 類 似 し て い る.
ル川 上 流 域,プ
こ の2つ
フ の南 を含 む 森 林 地 帯 の南 限 が,青 銅 器 ・鉄器 時 代(紀
の 語派 の 系統 関 係 の問 題 が 印欧 言 語 学 の 主
要 な 課 題 の1つ Meillet)に
と な っ た の は,1908年
よ る,ブ
ル ト ・ス ラ ヴ 語 派 定 立 根 拠 の8項 る.メ
イ エ は,両
バ
目に 対す る批 判 で あ
語 派 が 地 理 的 に隣 接 し,同
的 条 件 の も と で,並 退 け た.メ
の メ イ エ(A.
ル ー ク マ ン(K.Brugmann)の
様の文化
行 的 に 発 達 し た と して,単
一説 を
イ エ に つ い で 単 一 説 に 強 く 反 対 した の は,
セ ン(A.Senn)で,彼
は,両
3世 紀 以 後 に は じ ま る,バ (symbiosis)に
語 派 の 類 似 点 は,紀
よ っ て 説 明 で き る,と
エ ン ゼ リ ン(J.Endzelin)は,印 ス ラ ヴ語 は,バ
欧 祖 語 の 崩 壊 期 に,
ン ド ・ア ー リ ア 語 が 位 置 的 に 遠 の
ば ら く の 期 間,ス
ラ ヴ 語 とバ ル ト語 は 共
の南 側,キ エ
元 前2千 年 か ら紀 元 後100年)を
通 じて,バ ル ト人 と
ス ラ ヴ人 の 境 界 線 で あ っ た.と
ころ で,単 一 説 を否 定
した セ ン は,通 行 不 能 な プ リ ピャ チ沼 沢 地 が バ ル ト人 とス ラ ヴ人 の 交 流 を妨 げ,必 然的 にバ ル ト人 とそ の 言 語 を孤 立 化 させ た とい う説 を,1953年
に提 起 した.こ
の セ ンの 地理 的 説明 は,同 祖 説 の 立 場 か ら激 しい 非 難 を浴 び た もの の,そ の説 は,支 持 者 も多 く,な お 有 力 で あ る.プ リ ピ ャチ川 は,ド ニエ プ ル 川 の 支 流 で,そ の 沼 沢 地 は,1,500kmに
主 張 し た.
ル ト語 と イ ン ド ・ア ー リア 語 の 中 間 に
位 置 し て い た が,イ い た の ち,し
元後
ル ト人 と ス ラ ヴ 人 の 共 生
リ ピ ャチ(〓)川
わ た って 東 西 に横 た わ って
い る.地 質学 が確 認 す る と こ ろで は,新 石 器 時代 に は, そ れ は 大 きな湖 を な して い た. 1962年,ト ポ ロー フ と トゥル バ チ ョー フ(O.H.Tpy 〓)は,著
書 『ドニ エ プ ル 川 上流 域 の水 名 の 分析 』
同 体 を形 成 し,若 干 の 近 似 現 象 を 生 ん だ,と 考 え た.ス
に よ り,白 ロ シア と ロ シア 西 部 に,約800の
タ ン グ(Chr.Stang)は,「
後 期 印 欧 語 時 代,若
源 の水 名(河 川 ・湖 名)が 潜 ん で い る こ とを明 らか に し
変 異 を含 み,お
質 で な い バ ル ト ・ス ラ ヴ
そ ら く は,同
方 言 領 域 が 存 在 し た.し っ た と い う 意 味 で,そ
か し,一
干の
連 の 共通 改 新 を行 な
の 方 言領 域 は一 体 性 を なす 」 と
た.も ち ろん,彼
バ ル ト語 起
ら以 前 に も,ロ シ ア の学 者 や,リ
ア ニ ア人 のブ ー ガ,そ
ト
して,フ ァ ス マ ー に よって,プ
リ ピャ チ沼 沢 地 の 北側 に バ ル ト系水 名 は 発 見 され て い
た.最
近 で は,さ
ら に 研 究 が 進 み,約2千
の 語 彙 と用 例 か ら な る 大 辞 典 で,3種
の バ ル ト系
水 名 が 知 ら れ て い る.
そ れ ら の 水 名 は,ス
ば,白
ラ ヴ 語 化 さ れ て お り,た
ロ シ ア に 知 ら れ る3つ
Lucesa)川
川)に
トア ニ ア の ラ ウ ケ
トア ニ ア 語 のlauk‐as「
Ⅰ‐Ⅳ(A‐L)(〓)‐
木の生えて
川 名 接 尾 辞 ‐esaに
地 名 は,と
地 の か つ て の エ ピ ソー ドを語 っ
き に は,大
パ ン カ(〓)川
ア ニ ア 語 のlape「
て,ロ
は,語 源 的 に,リ
と い う 川 に 注 ぐ.こ
他 の 住 民 は,リ
シ チ ュ カ(〓)と
シ ア 語 で,〓
人 が 移 り 住 み,そ
い で バ ル ト人 が,最
れ ぞ れ の 言 語 で,こ
名 で,バ
時,遠
や は り,セ
ル ト,ス ラ ヴ の 両 語 派 の 関 係 に 戻 る と,
ン が 唱 え た よ う に,バ
ル ト人 が 南 西 よ り プ
リ ピ ャ チ 沼 沢 地 の 北 に 移 動 し た 紀 元 前2千
年 頃 か ら,
J.Kabelka(1977),Latviuli
ラ トヴ ィ ア 語 ‐ リ トア ニ ア 語 辞 典.文
[参 考 文 献 ]
and
Morphology
lated
by
ラ ヴ 人 の 膨 張 拡 散 以 後,ふ
紀 頃 か ら,ス
た た び バ ル ト人 と ス ラ ヴ 人
接 な 関 係 に 入 っ た も の と考 え ら れ る.な
ル ト人 が プ リ ピ ャ チ 川 の 北 に 移 動 す る 以 前,い
お,バ
北 ヨ ー ロ ッパ 語 圏,す ラ ヴ 語 圏 に は,た
な わ ち,ゲ
と え ば,数
わ ゆる
ル マ ン ・バ ル ト ・ス
‐m‐(Goth.wulfam「
OCS.vlikom〔cf.‐bh‐ Lat.noctibus〕),「 bras,Russ.cepeopo)な こ れ ら3語
数与
狼 に 」,Lith.vilkams, を も つSkt.vrkebhyah,
銀 」(Goth.silubr,Lith.sida ど の 等 語 線 が 存 在 し て お り,
派 間 に は 古 い 交 渉 が あ っ た,と
考 え られ て
W.R.Schmalstieg
Jegers,Mouton,The
書]
Trautmann,R.(1923),Baltisch‐Slavisches
valsts
izdevnieciba,Riga,1948)―
形 態 論 の 中 で,統
辞 論 も扱 わ れ て い る.
Fraenkel,E.(1950),Die (Carl
baltischen
Winter,Heidelberg)―
含 む,バ
etymologi Winter,Heidel
berg) Muhlenbach,K.und Lettisch‐deutsches
印欧 語 民族 の原 郷 問 題 の権
古 学,地
名 学,言
ク ロ ア を 総 合 し た 研 究.た
ministrija,Riga)―
語 学,神
話 学,フ
ォー
だ し, ドイ ツ 語 版Die
Balten(Munchen,1983),お
よ び,リ
版Baltai(Vilnius,1985)で
は,新
トア ニ ア 語 しい 研 究 に よ
容 が 全 面 的 に 書 き 変 え ら れ て い る. filologijos
ivadas(Mok
バ ル ト文献 学 の最 新 の成 果 を示
Ⅰ‐Ⅳ(Izglitibas
ラ トヴ ィア の フ ォ ー ク ロア
baltischen
Rekonstruktion Grundwortschatzes(Peter
Lang,Frankfurt
am
Main/Bern/New
Maziulis,V.(1966‐81),Prusu l ai(『
J.Endzelin(1923‐32), Worterbuch
Sprachen
バ ル ト語 概 説 を
Balts(Thames&
Hudson,London)―
っ て,内
formas,
ル ト語 と 印 欧 語 と の 関 係 に 関 す る 研 究 書.
威 に よ る,考
des
Ⅰ‐Ⅱ(Carl
un
す 書.
tingen)
Worterbuch
トヴィ ア
skanas
Lanszweert,R.(1984),Die
Worterbuch(Vandenhoeck&Ruprecht,Got
sches
Benjamins
Hague/Paris;ラ
slas,Vilnius)―
Fraenkel,E.(1962‐65),Litauisches
and
valodu
Kabelka,J.(1982),Baltu
い る. [辞
Languages(trans
Gimbutas,M.(1963),The
詞 の 「1,000」(Goth.pu
sundi,Lith.tukstantis,OCS.tysesti),複
Phonology
of Baltic
Latvijas
格形
例 が豊 富 なす
ば ら し い 辞 典.
の が 妥 当 で あ ろ う.そ
元 後5世
クセ ン ト
etuviu kalbu zodynas(Mokslas,Vilnius)―
語 に よ る 原 著Baltu
し て,紀
izdev
語,ア
付 き の リ トア ニ ア 語 ‐ラ トヴ ィ ア 語 の 中 辞 典.
バ ル ト人 とス ラ ヴ 人 の 交 流 は 弱 ま っ て い っ た と 考 え る
は,密
valsts
見 出 し語5万
Endzelin,J.(1971),Comparative
と を 教 え て い る. ふ た た び,バ
古 プ ロシ ア語
vardnica(Latvijas
Balkevicius,J.and
の支 流
く東 に ま で 及 ん で い た こ
etimologijos
が 予 定 さ れ て い る.
nieciba,Riga)―
の 川 名 を借 用 し
の 川 は セ イ ム(〓)川
号
V.Subatnieks(1964),Lietuviesu
l atviesu
後にスラヴ
た こ と が 知 ら れ る.こ ル ト人 が,一
Bojate,A.and
よ ん で い る.す
な わ ち,こ の 地 に は,か
kalbos
Ⅰ(Mokslas,Vilnius)―
の 語 源 辞 典.全3巻
の 川 は,
ラ ン 系 ス キ タ イ 語raupasa
は り 狐 を 意 味 す る.す
つ て ス キ タ イ 人 が,つ
zodynas
源 学 的,記
行 中.
Maziulis,V.(1988),、Prusu
ト
の 川 の 名 を,
地 名,
プ ロ シ ア 語 資 料 の,語
学 的 研 究.刊
「狐 」 と関 係 して い る.さ
プ シ ャ 川 の 名 は,イ
で,や
人 名 を 含 む,古
分 析 され る.
狐 」 と 関 係 づ け ら れ る.こ
ロ プ シ ャ(〓)川
ル ト文 献 学 上 の
To〓opos,B.H.(1975‐84),〓,〓
トヴ ィ ア の ラ ウ ツ ェ サLaucesa
相 当 し,リ
な わ ち,ロ
言 形 と 語 源 解 説 を 付 し た,バ
最 重 要 書.
い な い 空 き地 」 と,河
て くれ る.ロ
る.方
とえ
の ル チ ェ サ(〓,
は バ ル ト系 の 水 名 で,リ
サ(Laukesa)川(ラ
の イ ン トネ ー
シ ョ ン か ら な る ラ トヴ ィ ア 語 の ア ク セ ン トを 記 載 す
kalbos
York) pamink
古 プ ロ シ ア 語 古 文 献 』)Ⅰ‐Ⅱ(Mintis/
Mokslas,Vilnius)― と 解 説,第2巻
第1巻
は写 真 版 テ クス ト
は 活 字 化 した テ クス トと全 テ クス ト
の リ トア ニ ア 語 訳,後
半 に は,「
リ トア ニ ア 語 ‐古 プ
ロ シ ア 語 語 彙 集 」 「ドイ ツ 語 ‐古 プ ロ シ ア 語 語 彙 集 」
Gottingen)
「古 プ ロ シ ア 語 逆 引 き 辞 典 」 が あ る. ―(1970),Baltu kalbu
ir
kitu
Zinkevicius,Z.(1984‐88),Lietuviu
indoeuropieciu
santykiai(Deklinacija)(『
バ ル ト語 と 他
の 印 欧 語 と の 関 係 』)(Mintis,Vilnius)―
バル ト
を予
定 す る リ トア ニ ア 語 史.第1巻,第2巻
で,印
欧祖
語 か ら バ ル ト祖 語 の 時 代 ま で が 書 か れ て い る. な お,ラ
書.
の 著 作 集 全6巻,Darbu
tyrinejimo
istorija(『
kalbos
ト ヴ ィ ア を 代 表 す る 言 語 学 者,エ
1971‐82)に
リ ト ア ニ ア 語 研 究 史 』)Ⅰ‐
Ⅱ(Mokslas,Vilnius)―
は,『 古 プ ロ シ ア 語 文 法 』 や
ま た,リ
文 を 収 め て い る.
集 全4巻,Rinktinialrastai(Valstybine
く紹 介 さ れ て お り,研
it mokslines
題 点 を 知 る 上 で,貴
Grammar(The
Old Pennsylvania
Press,University
Review
the field
and
in
Old
1945(The
Park
[ 参
照 ]
シ ア 語,ヤ
State
and
ラ ト ヴ ィ ア 語,リ
ウ ラ ル 語 族,フ
und
に 属 し,ハ
称 は,マ
に よ っ て 話 さ れ て い る.ウ
ラ ヴ語 お よ
話 し手 の 多 い 言 語 で,ハ
ン ガ リ ー 共 和 国(1,040万
ラ ビ ア(40万
人),ス
(16万
ー ス ト リ ア(7万
Oslo/Bergen/Tromso)― れ た 大 著.た
だ し,統
Finnischen und
辞 論 を 欠 く.
Nordisk
g de
Bog
de
ース ト
ラ リア な ど の ハ ン ガ リー 系 移 民 も 含 め る と,世
界中に
人 の 話 し 手 が い る.
ハ ン ガ リ ー 民 族 は,中
れ が,ヨ
〓,B.H.
ル ト語 間 の 借 用 語 に 関 す
ム セ ン の 著 作 集Samlede
第4巻
に,ド
のHun‐
は,5世
な い).自
と を 証 明 し た,詳
先史時代 ロシ
た が っ て,英
紀 に,カ
細 な 地 名 学 研 究 書. altpreuβischen
語 名Hungarian
ー ル パ ー トKarpat盆
称 の 「マ ジ ャ ル 」 は,系
(Mansi)」
と 同 源(ウ
統 的 に もっ と も近 い
に,ま
た,住
の 順 に 記 す.
所 は,氏
自称
ゴ ル 祖 語*〓)と
ハ ン ガ リ ー 語 で は,人
地 〔ハ
ー ロ ッパ全
名 称 とは 直 接 の 関 係 は
ウ ゴ ル 系 民 族 の ヴ ォ グ ル 人(Vogul)の
ル ト人 居 住 地 で あ っ た こ
S prachdenkmaler(Vandenhoeck&Ruprecht,
代 の 中 世 ラテ ン語 に お い て現
土 を 脅 か し た フ ン 族(Hun)の
―
Trautmann,R.(1910),Die
は,後
ン ガ リー 民 族 の 現 住 地 〕 を 拠 点 と し て,ヨ
O.H.〓(1962),〓
ア の ヨ ー ロ ッ パ 地 域 が,バ
の 中 の,英Hungarian,仏hongrois
わ れ た も の で あ る(し
Af
イ ツ 語 訳 が あ る.
〓〓
ュル
ー ロ ッパ の 諸 言 語 に 受 け 継 が れ て 現 在 に 及 ん
な ど の 語 頭 のh‐
バ ル ト語 の 先 史 お よ び 再 建 に 重 要 な 資 料
handlingerの
時,
辺 諸 民 族 の 当 時 の 文 献 に オ ノ グ ル の 名 称 で 記 さ れ,そ
Kgl.
1890)―
ィ ン 語,バ
名 称 に 由 来 す る.当
央 ア ジ ア の 黒 海 北 方 で,チ
フィ Lunos
だ の で あ る.そ
る 記 念 碑 的 研 究.ト
紀頃
ク 系 の オ ノ グ ル 族 と 密 接 な 関 係 を 保 っ て い た の で,周
Hof‐Bogtrykkeri(F.Dreyer),Kobenhavn,
を 提 供 す る,フ
どで 話 され て
finske o
baltiske(litaniak‐lettiske)Sprog(『
ン語 と バ ル ト語 の 交 渉 』),Bianco
人)な
クライナ
メ リカ 合 衆 国 や カ ナ ダ,オ
ク 系 オ ノ グ ル 族(Onogur)の
ンマ
mellem
人),ウ
ー ゴス
に,ハ ン ガ リー 民 族 が 密 接 な 共 存 関 係 に あ っ た,チ ュ ル
Forlag,Kobenhavn;デ
ー ク 語 に よ る 原 著Beroringer
の ほ か,ア
ロ バ キ ア(60万
人)
人),ユ
他 称 で あ る 「ハ ン ガ リー 」 の 語 源 は,5∼6世
Baltischen(Litau
isch‐lettischen)Sprachen(Gyldendalske handel
人),オ
は,約1,500万 zwischen
den
の 周 辺 諸 国 の ル ー マ ニ ア(200万
い る.こ
バ ル ト語 比 較 文 法 の 優
Thomsen,V.(1931),Beruhrungen den
der
Sprache(Universitetsforlaget,
ジ ャ ルmagyar)
ラ ル語 族 の 中 で は もっ と も
る大 著 . Grammatik
郁 夫)
ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派 の 中 の ウ ゴ ル 諸 語
ン ガ リ ー 人(自
と,そ
―(1966),Vergleichende
プ ロ
独Ungarisch,仏hongrois,露〓
London)
び バ ル ト語 動 詞 論 の も っ と も 優 れ た 研 究 と称 え られ
Baltischen
トア ニ ア 語,古
トヴ ィ ンギ ア 語
ハ ン ガ リ ー 語magyar,英Hungarian,
Dybwad,Oslo)―
印 欧 語 比 較 文 法 の 観 点 か ら 記 述 し た,ス
文 を収 め
(村 田 in
slavische
Verbum(Jacob
Literature
Stang,Chr.S.(1942),Das baltische
ル ト語 比 較 文 法 の 重 要 な 著 書,論
Prussian.A
Pennsylvania
Press,University
politines
leidykla,Vilnius,1958‐
て い る.
Univer
London)
of the Relevant
since
University
Prussian
State
Park
―(1976),Studies Critical
literaturos
62)も,バ
重 な 文 献.
Schmalstieg,W.R.(1974),An
sity
在の問
『バ ル ト語 比
トア ニ ア を 代 表 す る 言 語 学 者,ブ ー ガ の 著 作
ル ト語 に 関 す る 現 在 ま で の 研 究 史 が あ ま す と こ ろ な 誌,現
ンゼ リ ン
izlase(Zinatne,Riga,
較 文 法 』 等 の 著 書,論
リ トア ニ ア 語 お よ び バ
究 者 の 経 歴,書
is
全5巻
語 の 母 音 体 系 と名 詞 屈 折 体 系 に 関 す る 透 徹 し た 研 究
Sabaliauskas,A.(1979‐82),Lietuviu
kalbos
torija Ⅰ‐Ⅲ(Mokslas,Vilnius)―
名 は 姓 名,日
「マ ン シ
み ら れ る. 付 は 年 月 日の順
名 の 後 に,市,町,通
り,番
地
《子 音 音 素 》 表2を 参照.
[文 字 と 音 ] ハ ンガ リー 語 の ア ル フ ァ ベ ッ トは ラ テ ン 文 字 で 表 記 さ れ,そ こ の ほ か,外
の 発 音 は,次
の と お り で あ る.
来 語 や 固 有 名 詞 に,q,w,x,yな
使 用 さ れ る.長
母 音 は,a,o,u,e,〓,o,uの
く 表 記 され,若
干 の 子 音 は,2つ
<表2>ハ
ン ガ リー 語 の 子 音 音 素
どが ごと
ま た は3つ
の文 字 で
記 さ れ る(ty,gy,ny,ly,sz,dz,zs,cs,dzs).
《母 音 音 素 》
表1を
参 照.
母 音 に は,長 母 音7つ
<表1>ハ
子 音 音 素 は,25あ
し て は,硬
と 短 母 音7つ
が あ り,/i/,/y/,
る.ハ
鼻 音 のny[〓]が に,歯
ンガ リー語 の母 音 音 素
あ げ ら れ る.子
音 の 前 の/m/,/n/の
国防軍」
軟 口 蓋 音 の 前 の/n/の
異 音 と し て[〓]が, 私 を」
そ れ ぞ れ 現 わ れ る.ま が,/p,f,k/の れ ぞ れ 対 立 す る長 母 音 が あ る
記のほか
樟脳 」
honved[〓]「
engem[〓]「
は,そ
口蓋 ・
音 に は,上
異 音 と し て[〓]が,
kamfor[〓]「
/o/,/o/,/u/に
ン ガ リー 語 に 特 有 の 子 音 と
口 蓋 ・破 裂 音 のty[c],gy[〓],硬
た,2人
称 単 数 命 令 形 語 尾 の/j/
後 で 無 声 化[c]す
kapj[〓]「
る.
つ か め 」,rakj[〓]「
置 け」
が, orul[〓]「 /〓/,/〓/に
喜 ぶ 」,orul[〓]「
対 応 す る 長 母 音,/e:/,/a:/に
母 音 は な い.長
母 音/e:/の
開 き が 狭 く,短
母 音/〓/は
非 円 唇 母 音 で,口 た だ し,多 法 上 はeに れ をeと
子 音 の 前,あ
気 が 狂 う」 対応 す る短
方 が 短 母 音/〓/よ 円 唇 母 音,長
り口 の
母 音/a:/は
く の 方 言 に は 短 母 音/e/が
存 在 し,正
書
の/e/は,元
ン ガ リー 語 に あ っ た も の で,/e/と/〓/は
来,ハ 異 な る音 素
で あ る. く‐君 た ち は)「 君 た ち は 行 く 」
ment‐ek(行
っ た ‐彼 ら は)「 彼 ら は 行 っ た 」
ment‐ek(免
れ て い る 〔形 〕‐彼 ら は)「 彼 ら は 免 れ
て い る」
/e/は,19世
け る ‐私 は)「 私 は 助 け る 」
紀 末 頃 に は,北
の 方 言 に あ っ た が,今 (Budapest)を
子 音 に も長 短 の 区 別 が あ り,長
子 音 は,同
世 紀 に な っ て,首
都 ブダペス ト
中 心 に 急 速 に 消 え つ つ あ る. 母 音[a]も/〓/の
語hallo[〓]「
hal[〓]「 た だ し,正
魚 」,hall[〓]「
書 法 で は,ラ
聞 く」
テ ン 文 字2つ,あ
る い は,3 初 の1文
字 が く
り か え さ れ る. meggy[〓]「 ま た,正
さ く ら ん ぼ 」(gygy→ggy)
書 法 で は 短 子 音 で あ る が,長
く発 音 され る語
異 音 と し て,語
れ ぞ れ,/〓//〓/の
kisebb[〓]「 逆 に,正
よ り小 さ い 」
書 法 上 は 長 母 音 で あ る が,短
末以外
一 般 の 」,外 来
異 音 と して 現 わ れ る こ
とが あ る.
fiu[〓]「
少年」
ovoda[〓]「
あ れ へ」
保 育 園」
母 音 の 結 合 に 関 し て は,母 音 調 和 の 現 象 が み ら れ る. 母 音 は,前
舌 母 音(e,e,o,o,u,u,i,i)と
母 音(a,a,o,o,u,u)の2つ こ れ へ 」,arra[〓]「
く発 音 さ れ る こ
と も あ る.
も し も し」 等 に 現 わ れ る.長 母 音[〓]
erre[〓]「
一 文 字2
つ で 表 記 さ れ る.
egy[〓]「1」
東 部 方 言 を 除 くほ とん ど
の 閉 音 節 や,altalanos[〓]「
[〓]も,そ
発 音 さ れ る こ と も あ る.
イ ン ス ピ レ ー シ ョ ン」
が あ る,
ment‐ek(助
ま た,短
シ ャ ー(ペ ル シ ア 帝 王 の 称 号)」
つ で 表 記 さ れ る 子 音 文 字 の 場 合 は,最
men‐tek(行
書 法 上 は,h
ヨ ッ ト」
sah[〓]「
ihlet[〓]「
区 別 す る た め に,こ
表 記 す る こ と が あ る.こ
jacht[〓]「
末 の/h/(正
発 音 さ れ る こ と が あ る.
前 舌 母 音 の 後 で は,[c]と
の 開 き が よ り 大 き い.
対 応 す る の で,/〓/と
る い は,語
あ る い はch)は,[x]と
両 者 は,原
後舌
の グ ル ー プ に 分 か れ,
則 的 に 同 一 語 内 に お い て 共 存 し な い の で,
多 く の 単 語 は,前 korte「
舌 母 音 だ け か ら な る もの,
梨 」,beszel「
あ る い は,後
baratja[〓]「
話す」
ハ ンガ リー語 は,語 頭 の子 音 連 続 を き ら う.
舌 母 音 の み か ら な る もの,
ablak「
窓 」,olvas「
古 代教 会 ス ラブ 語
読 む」
舌 母 音 のi,iは,母
は 中 立 母 音 で,前
舌 母 音,後
音 調 和 に 関 して
舌 母 音 の どち ら と も共存
す る.
学校 」
単 語 の ア ク セ ン トは,第1音 ネ ー シ ョン は,平 叙文,お
節 に あ る.文 の イ ン ト
よび,疑 問 詞 で 始 ま る疑 問
文 は下 降 調 で,疑 問文 は 最 後 か ら2つ め の 音 節 で 上 昇
ido「 時 」,virag「 な お,前
花 」,kigyo「
舌 母 音 のe,eも,後
蛇」
し文 末で 下 が るの が一 般 的 で あ る.
舌 母 音 と共 存 す る 場 合
が あ る.
[ 形
態]
品詞 は,動 詞,名 詞類(名 詞,形 容 詞,
数 詞,代 名 詞),副 詞 類(副 詞,後 置 詞,動 詞 接 頭 辞),
kave「
コ ー ヒ ー」,beka「
ま た,名
音 調 和 が あ る.接
舌 母 音 と 後 舌 母 音 の2種
冠 詞,接 続 詞,感 嘆 詞 に 分 け られ る.こ の うち,動 詞
蛙」
詞 や 動 詞 の 活 用 語 尾,派
間 に も,母
生 接 尾 辞 と語 幹 の
尾 辞 や 活 用 語 尾 に は,前
類 が あ り,
ben「
家 の 中 に 」,kert
庭 の 中 に」
さ ら に,こ
れ に,前
唇母音 と
類 の 場 合 が あ る.
‐hoz/‐hez/‐hoz:hazhoz「
kerthez「
庭 へ 」,foldhoz「
a)派
地面へ」
な り,‐akが
含 む 単 音 節 の 単 語 の い く つ か は, 詞 の 複 数 形 は,iが
短 く
識 接尾 辞(jel)―
品詞 を変 え ず に 新 し い 意
味 を 付 け加 え る接 尾 辞 で,動 詞 の 時 制や 法 を 表 わ す接 尾 辞,名 詞 類 の 所 有 人 称 接 尾 辞,複 数 接 尾 辞 な どが こ れ に属 す る. 複 数 接 尾 辞 ‐k:haz「 家 」/hazak
nyil「 矢 」/複 数 形nyilak ir「 彼 は 書 く」/irok「
1人 称 単数 所 有 接 尾 辞 ‐m:hazam「 私 は 書 く」
inni「 飲 む 」 の 不 定 形/ivas「 れ ら の 単 語 の[i]が,か
c)関
係 接尾 辞(rag)―
さ ま ざま な文 法 的 お よび
意味 的 関係 を示 す 接 尾 辞 で,動 詞 の人 称 活 用 語 尾,名
つて後舌非円唇狭
詞類 の格 接 尾 辞 が あ る.
ル 祖 語 に あ っ た と さ れ る 母 音 で,10あ
ィ ン ・ウ ゴ る い は11世
紀
に は 消 滅 した. 子 音 の 結 合 に 関 す る 主 な 音 変 化 と し て は,同
化が あ
声 化 あ る い は 無 声 化 の,部 分 的 逆 行 同 化,
kertben[〓]「
庭の中で」
nyelvtan[〓]「
文 法」
完 全 逆 行 同 化,
対 格 接 尾 辞 ‐t:hazat「 家 を 」 これ らの 接 尾 辞 の 接 続順 は,a,b,c,と な る. tarsasagomban「 私 の サ ー ク ル で 」(tars「 仲 間 」,‐sag:集
合 名詞 派 生 辞,‐m:1人
有 接 尾 辞,‐ban:内 2)動
飼
わ れ わ れ は 行 な う」
動 詞 は,人 称(単 複,1・2・3人
時 制(現 在,過 去),法(直
完 全 順 行 同 化,
調 和 に よ って,い
称単数所
格 接 尾 辞)
異 な る接 尾 辞 を とる(表3を
esinaljuk[〓]「
私 の 家」
飲 む こ と」
あ っ た 痕 跡 で あ る.[i]は,フ
げ られ る.有
今 日の 」
動 詞 派 生 辞 ‐l:telefon「 電 話 」,telefonal「 電 話 す る」
付 く.
母 音[i]で
自 由 な」,szabadsag
「自 由」
b)標
hid「 橋 」/複 数 形hidak
こ れ は,こ
新 しい単 語 をつ くる.
形 容 詞 派 生 辞 ‐i:ma「 今 日」,mai「 舌母音の
コー ヒーヘ 」
後 舌 母 音 の 接 尾 辞 を と る.名
接 尾 辞 は,次 の3つ に分 類 され る.
生 辞(kepzo)―
名 詞派 生辞 ‐sag:szabad「
接 尾 辞 が 接 続 す る こ と が 多 い.
ま た,前 舌 母 音 のiを
ンガ リー語 の特 徴 で あ り,ハ
ンガ リー語 は膠 着 語 で あ る,と言 わ れ る ゆ え ん で あ る.
家 へ 」,
前 舌 母 音 と 後 舌 母 音 の 混 ざ っ た 単 語 に は,後
kavehoz「
る程度,副 詞 類 も)に さま ざま な 接 尾 辞
1)接 尾辞
舌 母 音 に 関 し て の み,円
非 円 唇 母 音 の 対 立 が 加 わ り,3種 向格 接 尾 辞
と名 詞 類(あ
が 付 く こ とに よって,い ろ い ろ な意 味 関 係 や文 法 関 係 が 示 され る.こ れ が,ハ
内 格 接 尾 辞 ‐ban/‐ben:hazban「
〓>asztal「 机 」
ラ テ ン語schola>iskola「
に 分 け ら れ る.前
彼 の友 だ ち 」
称),
説,仮 定,命 令)に よ って, 参 照).接
尾 辞 に は,母 音
くつ か の 異 形 態 が あ る.ハ
ンガ リー
語 で は,目 的 語 が 何 か特 定 の もの で あ る か な い か に よ
anyja[〓]「
彼の母」
って,動 詞 の活 用 形 が 異 な る.目 的語 が(省 略 されて
子 音 の前 あ るい は 後 ろ に別 の 子
い て も)限定 され てい ない(冠 詞 な しか,あ るい は,不
な ど が あ る.ま
た,長
音 が く る と,長
子 音 は 短 く発 音 さ れ る.
jobbra[〓]「 lanccal[〓]「 こ の ほ か,い
右 に」 鎖 で」
latsz[〓]「
く つ か の 融 合 現 象 が み ら れ る. あ なた は 見 る」
定 冠 詞 が 付 い て い る)場合 には,不 定 活 用(主 体 活 用 と も)を し, Egy
lany‐t var‐ok.(不 定 冠 詞 少 女‐対 格 待
つ ‐私 は 〔 不 定活 用 〕)「私 は1人 の 女 の 子 を待 って いる」
限定 され て い る(固 有 名 詞 か,あ
るい は,定 冠 詞が 付
定 法 形)の 組 み 合 わ せ に よ っ て 表 わ さ れ る.
いて い る)場 合 に は,定 活 用(対 象 活 用 と も)をす る. A
lany‐t var‐om.(定
私は〔 定 活 用〕)「私 は(そ の)女 の 子 を待 っ て い る」 目的 語 に人 称代 名 詞 が くる場 合 は,1・2人 定 活 用 を,3人 Var
称 は不
称 は定 活 用 をす る.
engem.(待
Var‐t‐am
冠 詞 少 女‐対 格 待 つ ‐
3単
volna.(待
つ ‐過 去 ‐私 は 動 詞vanの
仮 定 形)「 私 は 待 っ た も の を 」
動 詞 に 付 く 派 生 辞 は 非 常 に 豊 富 で,使 動 詞(ほ
役 動 詞,受
と ん ど 使 用 さ れ る こ とは な い),再
つ 〔 不 定3単 〕 私 を)「彼(彼 女)
ad「 与 え る 」,adat「 られ る 」,adodik「
Var‐ja
が で きる」
ot.(待 つ ‐〔 定3単 〕彼 〔 彼 女 〕を)「 彼(彼
女)は 彼 女(彼)を 待 ってい る」
与 え さ せ る 」,adatik「 生 じ る 」,adhat「
動 詞 の 語 幹 +niは,不 Szeret‐ek
動 詞 は,特 殊 な活 用 語 尾 ‐lak/‐lekをと り,主 語 と 目
る ‐不 定 詞)「 勉 強 す る の が 好 き で す 」
的語 は 省 略 され う る.
Szeret‐lek.「 私 は 君(君 た ち)が 好 きで す 」
在 分 詞 を, 笑 う 」,mosolygo「
語 幹 + ‐t/‐ttは,過 fagy「
語 幹 + ‐ando/‐endoは,未 jon「
fog「 つ か む 」 の 活 用形 と不 定 詞 の 組 み 合 わ せ で 表 現
つ く り,そ
す る こ と もで き る.
語 幹 + ‐va/‐veは,動
Fog‐ok var‐ni.(未 来 を表 わす 動 詞 ‐私 は 待 つ ‐
来 る 」,jovendo「
詞 を修 飾 す る 現 在 分 詞 と な る.
詞類
+ 人 称 接 尾 辞 」で,命 令 法 は,「動 詞 語 幹 十命 令 法 標 識 ‐j+人 称 接 尾 辞 」 で 表現 され る.も ち ろ ん,そ れ ぞれ
尾 変 化 で 重 要 な の が,所
に,定 ・不 定 活 用 が あ る.仮 定法 過 去 は,過去 形 とvolna
所 有 人 称 接 尾 辞 は,所
(英 語 のbe動
よ び,被
ン ガ リー 語 の 動 詞var「 〔 現
待 つ 」 とker「
詞 と 同 様 に 扱 わ れ,語
詞 を修 飾 し な い 尾 変 化 を す る.語
有人 称 接 尾 辞 と格 接 尾 辞 で あ
る. 有 者 の 単 複1・2・3人
頼 む」 の活 用 〔 過
不定活用
去〕
定 活 用
単1 2 3 複1 2 3
特殊語尾
不定活用 単1 2
3 複1 2 3
特殊語尾
〔 仮定法現在〕 定 活 用
称,お
所 有 物 の 単 複(複 数 標 識 は ‐i)に よ り 異 な る.
在〕
定 活 用
立 って 」
形 容 詞 と数 詞 は,名
と き に は,名
称単数仮
これ か ら来 る」
れ ぞ れ 名 詞 を 修 飾 す る.
仮 定 法 は,「動 詞 語 幹 +仮 定法 標 識 ‐na/‐ne/‐na/‐ne
詞 にあ た る,動 詞vanの3人
凍 っ た」 来 分 詞 を,
all「 立 つ 」,allva「 3)名
笑 って い る」
去 分 詞 を,
凍 る 」,fagyott「
わ す 標 識 接 尾 辞 は な く,現 在 形 が 使 わ れ る が,動 詞
不 定 詞)「 私 は待 つ で し ょう」
き‐私 は 〔不 定 〕 勉 強 す
mosolyog「
時 制 は,現 在 と過 去 が あ り,過 去 は,「動 詞語 幹 +過 去 標 識 ‐t/‐tt+ 人 称 接尾 辞」 で 表 わ され る.未 来 を 表
tanul‐ni.(好
語 幹 + ‐o/‐oは,現
Var‐lak.「 私 は君(君 た ち)を 待 ち ます 」
与 え
与え ること
定 詞 を,
また,主 語 が1人 称 単 数 で 目的 語 が2人 称 の 場 合 には,
不 定活 用
帰 動 詞,可
能 動 詞 な ど も 派 生 辞 に よ っ て つ く ら れ る.
は 私 を待 って い る」
<表3>ハ
身
〔 命令法現在〕 不定活用
定 活 用
た と え ば,「 家 」 はhaz,「 家k」
はhazaimと
あ る(表4を
私 の 家 」 はhazam,「
な る.母
音 調 和 に よ り,異
私の
因 格(causalis‐finalis)‐ert: hazert「
形 態が
家 の ため に」
こ れ に,接 尾 辞 な し の 主 格 を 加 え る と,全 部 で17個(同
参 照).
形 の 与 格 と属 格 を 別 々 に 数 え る と18個)の
<表4>haz「
家 」 とkert「 単
数
庭」の語形変化 複
数
単1
と に な る.格
格が あるこ
の 数 に つ い て は,さ ま ざ ま な 議 論 が あ り,
こ の ほ か,
a)標
2
識 接 尾 辞 の付 か な い単 語 に しか 接 続 しな い も
の,お
3
よ び,意
味 的,慣
用 的 に使 用 が 制 約 され る
も の, 複1
配 分 格(distributivus)‐nkent:
2
hazankent「 3
家 ご とに 」
共 伴 格(sociativus)‐stul/‐stul: hazastul「
所 有 人 称 接 尾 辞 や 複 数 接 尾 辞 な どの 標 識 接尾 辞 が付 い て で きた 単 語 の 後 に も さ らに付 くこ との で き る生産 的 な 格 接 尾 辞 は,次
の16個
hazat「
hazul「
peldakepp「 格genitivus)‐nak/‐nek:
家 に/家
haromkor「3時
nyaranta「
家 の中 で 」
Pecsett「 b)形
家 の 中か ら」
家 の 上 で」
foleg「
家 の上 へ 」
haromszor「3回
家 の上 か ら」
家 の所 で 」
家 の 方へ 」
家 の方 か ら」
点 の3つ
の 方 向 性 が,
詞 を修 飾 す る場 合 に は語 形 変 化
szep
alma(き
szep
alma‐t(き
れいな
りん ご)「 き れ い な りん ご 」
れ い な り ん ご ‐対 格)「
述 語 あ る い は 名 詞 的 に 使 わ れ る 場 合 に は,複
の 子 音 に 同 化 す る):
家 に(な る)」
Ezek
szep
ご ‐複 数)「 Ezek
鉛筆 で」
alma‐k.(こ
数接尾辞
れ らは
きれ い な
りん
これ らは きれ い な りん ごだ」
szep‐ek.(こ
れ ら は き れ い な ‐複 数)「
こ
れ らは きれ い だ」 Szep‐ek‐et
化 す る): 家 と と も に 」,ceruzaval「
きれ い
や 格 接 尾 辞 を と る.
具 ・共 格 (instrumentalis‐comitativus)‐val/ ‐vel(vは ,子 音 に 接 続 す る と き,そ の子音に同
hazzal「
部 ・表 面 ・近 傍 関 係 に つ い 点,着
な りん ご を」
家 と して」
変 格(translativus‐factivus)‐va/‐ve(vは,子
hazza「
止,起
を し な い が,
家 ま で」
音 に接 続 す る と き,そ
れ ぞ れ,静
れ ら
の 格 は,
き れ い に 体 系 づ け られ て い る.
様 格(essivus‐formalis)‐kent: hazkent「
の 格 を あ げ る 説 も あ る.こ 格 か ら 奪 格 ま で の9つ
形 容 詞 と数 詞 は,名
到 格(terminativus)‐ig: hazig「
な ど も 含 め,20∼28個 の 格 接 尾 辞 の う ち,内
て,そ
奪 格(ablativus)‐tol/‐tol: haztol「
」
場 所 格 と 言 え る も の で,内
向 格(allativus)‐hoz/‐hez/‐hoz: hazhoz「
主 に」
頻 度 格(multiplicativus)‐szor/‐szer/‐szor:
接 格(adessivus)‐nal/‐nel: haznal「
きれ い に」
様 態 格4(modalis‐essivus)‐lag/‐leg:
離 格(delativus)‐rol/‐rol: hazrol「
容 詞 や 数 詞 に し か 付 か な い も の,
szepen「
着 格 (sublativus)‐ra/‐re: hazra「
ペ ー チ で」
様 態 格3(modalis‐essivus)‐n/‐an/‐en:
上 格(superessivus)‐n/‐on/‐en/‐on: hazon「
夏 ご とに」
特 定 の 地 名 に 付 く場 所 格(locativus)‐t/‐tt:
家 の中 へ 」
出 格(elativus)‐bol/‐bol: hazbol「
に」
時 の 配 分 格(distributivus‐temporalis)‐anta:
入 格(illativus)‐ba/‐be: hazba「
例 と して 」
時 格(temporalis)‐kor:
の」
内 格(inessivus)‐ban/‐ben: hazban「
家 として 」
様 態 格2(formalis)‐kepp(en):
家 を」
与 格(dativus;属 haznak「
様 態 格l(essivus‐modalis)‐ul/‐ul:
で あ る.
対 格(accusativus)‐t:
家 ご と全 部 い っ し ょに 」
ker‐ek.(き
れ い な ‐複 数 ‐対 格
私 は)「 き れ い な の を下 さ い 」
頼む‐
形 容 詞 の 比 較 級 と 最 上 級 は,接
辞
‐bb,leg‐ … ‐bb
gyors「
速 い 」,gyorsabb「
gyorsabb「
よ り 速 い 」,leg
Fel‐megy‐ek
冠 詞 丘 ‐着 格)「 私 は 丘 へ 登 る 」
形 が 存 在 す る格 は,9つ
詞 と異 な り,格
の 場 所 格,お
格 で あ る.対
格 形 は,特
称代名詞
よ び,与
格,具
5)冠
・
殊 な 形 を と る(表5
ez/az「
れ 」,ezt/azt「 こ の 中 に/あ
名 詞 を 修 飾 す る 場 合 に も,形
れ
単 語 で あ り,ま
た,単
haz
mellett(家
haz
es
kert
定冠
点,着
asztal
[統
asztal),ま
庭
nagy.(定
語]
的 語,修
そ して
点 の3つ
人 称 接 尾 辞 を と る(表5を
横 に)
冠詞
接 尾 辞 と同
た,ど
の机か
の)
る い は,不 Peter
参 照).
語,述
的 語(O)か
あ る.目
olvas.(ペ
本的 語(S),
ら な る 文 で は,基
本的語順
的 語 が 無 冠 詞 か,あ な り,
ー テ ル 本 ‐対 格 読
む 〔不 定3単
〕)「 ペ ー テ ル は 本 を 読 む 」
Peter
konyv‐et
egy
法的 に
も可 能 で あ る.主
定 冠 詞 が 付 い た 場 合 は,SOVと konyv‐et
語,目
れ ら の 語 順 は,文
olvas.(ペ
詞 本 ‐対 格 読 む 〔不 定3単
詞 的 意 味 を付
asztal).
語 と 述 語 か ら な る 場 合,基
がSOVとSVOの2つ 横へ」
私 の 横 に」 詞 の 前 に 接 続 し,副
大 き い)「(そ
文 を 構 成 す る 要 素 は,主
飾 語 に 分 け ら れ,こ
述 語(V),目
の 形 が あ る. 横 か ら 」,melle「
机
冠 詞 が 付 く(az
か な り 自 由 で あ る.主
ー テル
不 定冠
〕)「 ペ ー テ ル は1冊
の 本 を読 む 」
加 し た り, megy「
行 く」,felmegy「
上 へ 行 く/登
る」
定 冠 詞 が 付 い た 場 合 に は,SVOと Peter
動 作 の 完 了 を 意 味 し た りす る. ert「 理 解 す る」,megert「
<表5>ハ
理 解 して しま う」
〔定3単
olvassa
a
な る.
konyv‐et.(ペ
〕 定 冠 詞 本 ‐対 格)「
ー テル 読む ペ ー テ ル は(そ の)
ン ガ リー 語 の 人 称代 名 詞 の 格 変 化 と後 置 詞 の 語 形 変 化
主格 対
2
こ に あ る 不 定 冠 詞
が新 しい情 報 と して 導 入 され る場 合
とい う よ う に,定
い く つ か の 後 置 詞 は,人 称 代 名 詞 の 格 変 化 の よ う に,
動 詞 接 頭 辞 は,動
机 」),
asztal.(こ
語 順 は 主 語 ‐述 語 で あ る が,逆
横 に 」,mellol「
mellettem「
egy
机 は大 き い」
立 した
横 に)「 家 の 横 に 」
場 所 関 係 を 表 わ す 後 置 詞 の 多 く に は,格 止,起
これ は机 で あ る」
こ こ に 机 が ひ とつ あ る 」
Az
能的には格接
書 法 上,独
「家 と 庭 の 横 に 」
mellett「
van
机)「
まざ
語 だ け で な く句 を 修 飾 で き る.
mellett(家
語や ンガ リ
が 限 定 さ れ る 場 合 に は,
詞 の 後 に 位 置 し,さ
置 詞 は,正
な る 点 は,ハ
の数 や どの机 か が 問 題 と な ら ない 場
に は 不 定 冠 詞 が 付 き(egy
この 家 の 中 で 」
後 置 詞 は,名
不定冠
の 用 法 は,英
と え ば, asztal.「
Itt
れ ‐内 格
ま な 場 所 ・時 間 ・状 況 関 係 を 表 わ す.機
3
冠 詞(a/az)と
あ り,そ
合 に は 冠 詞 な し(asztal「
こ の家 」
haz‐ban(こ
尾 辞 と 同 じ で あ る が,後
3
詞 の)1」)が
と い う よ う な,机
冠 詞 が 付 く.
家)「
冠 詞 丘 ‐着 格
ハ ン ガ リ ー 語 に は,ウ ラ ル 系 諸 言 語 の
と い う よ う に,机
詞 家 ‐内 格)「 詞類
あ る.た Ez
れ ‐対 格 定 冠 詞 家 ‐対 格 〕
ebben(←ez‐ben)a
複1
中 で は 例 外 的 に 冠 詞 が あ る.定
の 中 に」
通,定
定 冠詞
ez‐t a haz‐at(こ
2
fel.(定
ー語 で は 可 算 名 詞 に冠 詞 が付 か ない 場 合 が あ る こ とで
れ を 」,
容 詞 と異 な り格 変 化 し,
飾 さ れ る 名 詞 に は,普 a haz(こ
こ れ を/あ
「こ の 家 を 」
単1
詞
詞(egy「(数
詞 と 同 じ よ う に 格 変 化 す る.
こ れ/あ
ebben/abban「
様 に,静
megy‐ek
ドイ ツ 語 の そ れ と似 て い る が,異
指 示 代 名 詞 は,名
4)副
hegy‐re
行 く‐私 は 上 へ)「 私 は(塔 で は な く て)丘 へ 登 る 」
接尾辞の
を 参 照).
ez
ヘ ‐行 く‐私 は 定
A
形 態 素 に 人 称 接 尾 辞 が 接 続 し た 形 と な る.人
ま た,修
a hegy‐re.(上
詞 は 複 数 形 を と ら な い.
人 称 代 名 詞 の 格 変 化 は,名
ォー
れ が 動 詞 の 直 前 に 位 置 し,
の 家」
haz「2軒
共 格,因
トレ ス の お か れ る 要 素(フ
あ る 場 合 に は,そ
接 頭 辞 は 動 詞 の 後 ろ へ 分 離 す る.
も っ と も速 い 」
数 詞 が 付 く と,名 ket
意 味 的 に 強 調 さ れ,ス カ ス)が
を 付 け て つ く る.
格
与
格
内
格
入
格
出
格
mellett「 横 に 」
つ な げ る),イ
本 を読 む」 こ の 基 本 的 語 順 か ら,い つ く る こ と が で き,そ る.そ
くつ か の 異 な る 語 順 の 文 を
れ は 話 者 の 視 点 か ら決 ま って く
の 際 の 基 本 的 な 語 順 は,こ
話 題 と な る ト ピ ッ ク(topic)が
れ か ら述 べ る こ との 文 頭 に,ト
い て の 叙 述 で あ る コ メ ン ト(comment)が コ メ ン トに お い て は,も
「彼 は 本 を 読 む 」 (読 む 〔定3単 Olvassa
〕 定 冠 詞 本 ‐対 格)
a konyv‐et.
ピ ッ ク につ そ れ に 続 く.
っ と も 強 調 され る 要 素 で あ る
フ ォ ー カ ス(focus)が,コ
ン トネ ー シ ョ ン は 下 降 調 と な る.
メ ン トの 初 め に く る.ト
「彼 は 本 を 読 み ま す か 」 Olvassa
a konyvet?
ピ
ッ ク は,省 略 可 能 で あ る.述 語 動 詞 が フ ォ ー カ ス に な ら
「彼 は 本 を 読 み ま す か 」
な い 場 合 に は,フ
Olvassa‐e
る.た
ォ ー カ ス は,必 ず 述 語 動 詞 の 直 前 に く
a
konyvet?
と え ば, Peter
olvassa
a konyv‐et
ー テ ル 読 む 〔定3単 部 屋‐ 内 格)「 とい う,動
a szoba‐ban.(ペ
否 定 文 は,否
〕 定 冠 詞 本 ‐対 格 定 冠 詞
詞olvassa「
読 む 」 に ス ト レス が あ る 文 に
お い て は,「 ペ ー テ ル 」 が ト ピ ッ ク,「 読 む 」 が フ ォ ー カ ス で あ る.「 本 を 」 を 強 調 し た い 場 合 に は,こ 動 詞 の 前 に 移 動 し,そ Peter
a
の句 を
こ に ス ト レ ス を お き,
konyvet
olvassa
a
szobaban
olvassa
述 文 の 場 合 は,nem/semを, nem
olvassa
Ne
olvass!「
複 数 形)/sincs(en),sincsenek(sinceの
a
konyvet.
Nincs
a
szobaban.
A
と な り,「 部 屋 で 」 を ト ピ ッ ク に し た 「部 屋 で は ペ ー テ ル が 本 を 読 む 」 は, A
szobaban
konyv.「
と な る.こ
の よ う に,ハ
olvassa
a konyvet.
ン ガ リー 語 の 語 順 は,何
が ト
定 文 な ど も,こ の 原 則 に 基 づ い て 構 成 さ れ る.
疑 問 文 は,疑
問 詞 を 使 う も の と,そ
うで な い もの に
分 け ら れ る. 疑 問 詞 を 使 う 場 合 に は,疑
問 詞 が フ ォー
カ ス と な る の で 述 語 動 詞 の 直 前 に お か れ,必
ず し も文
頭 に く る 必 要 は な い. Mi‐t
olvas
mit
‐対 格 読 む 〔不 定3単
〕
olvas?「
ペ ー テ ル は何 を読 ん で い ま
す か」 疑 問 詞 の 並 列 や 複 数 形 も可 能 で あ る. Ki
mi‐t olvas?(誰
何 ‐対 格 読 む)「 誰 が 何 を
読 ん で い ます か 」 Mi‐k‐et olvas?(何
‐複 数 ‐対 格
読 む)「 何(複 数)
since.「
本 は ここ に な
定 辞 と と も に 用 い,二
olvas
semmi‐t.(な
重否定の形
い 読 む 〔不 定3単
〕
何 も な い ‐対 格)「 何 も読 ま な い 」 「AはBで
あ る 」 と い う 意 味 の 文 に,ハ
で は 繋 辞(copula)を Ez
asztal.(こ
Peter
ン ガ リー 語
用 い な い. れ
tanulo.(ペ
た だ し,主
語 が1人
(英 語 のbe動
机)「
これ は机 で す 」
ー テ ル 生 徒)「 ペ ー テ ル は 生
イ ン トネ ー シ ョ ン の み が 異 な る.叙
述 文 と 同 じ で, 述 文 は下 降 調 で あ
称,2人
En
tanulo
vagyok.「
Te
tanulo
vagy.「
O
tanulo.「
Mi
tanulok
Ok
Itt
在動詞
私 は 生 徒 です 」 あ なた は 生 徒 です 」
彼 は 生 徒 で す」 vagyunk.「
tanulok
vagytok.「
tanulok.「
vagy.「
Itt van.「
称 の 場 合 に は,存
詞 に あ た る も の)を 繋 辞 と し て 用 い る.
Itt vagyok.「
肯 定 か 否 定 を 問 う疑 問 文 の 構 成 は,叙
疑 問 文 に は,疑
Nem
Ti
を読 ん で い ます か 」
る の に 対 し,疑
itt,ott
徒です」
Peter?(何
ペ ー テ ル)「 何 を ペ ー テ ル は 読 ん で い ま す か 」 Peter
nincs
そ こに もな い 」
を と る.
ピ ッ ク で 何 が フ ォー カ ス か に よ っ て 決 ま っ て く る . 疑 問 文,否
で 始 ま る 形 は,「 ∼ も ま た ∼ な い 」 と い う意
konyv
い,あ
本 が ない 」
否 定 代 名 詞 は,否 Peter
複 数 形)を
用 い る.
味 の とき に使 う. olvassa
ペー テ ル は 本
読 む な」
上 記 のs‐
Peter
konyvet.「
命 令 文 の 否 定 に は,ne/seを,
と な る.「 本 」 を ト ピ ッ ク に し た 「本 は ペ ー テ ル が 部 屋
konyvet
a
を読 ま ない」
で 読 む 」 は, A
定 す る 語 の 前 に お く. 否 定
存 在 文 の 否 定 は,nincs(en),nincsenek(nincsの
a szobaban.
と な る.「 部 屋 で 」 を 強 調 す る と, Peter
辞 は,叙 Peter
ペ ー テ ル は 部屋 で本 を読 む 」
定 辞 を,否
私 た ちは生 徒 です 」 あ なた た ち は 生 徒 です 」
彼 らは生 徒 で す」 私 は こ こ に い る」(itt「
こ こ」)
あ な た は こ こにい る」 彼 は こ こに い る」
問 文 は 文 末 で 上 昇 し す ぐ に 下 降 す る.
Itt
vagyunk.「
私 た ち は こ こ に い る」
問接 尾 辞
Itt
vagytok.「
あ な た た ち は こ こにい る」
Itt
vannak.「
‐eを 疑 問 の 対 象 と な っ て い
る語 に 付 加 す る 方 法 も あ り(正
書 法 上 は,ハ
イ フ ンで
彼 ら は こ こ に い る」
所 有 者 が 代 名 詞 以 外 の 所 有 関 係 は,「 所 有 者 + 属 格
[語
(与 格 と 同 形)接 尾 辞
フ ィ ン ・ウ ゴ ル 祖 語,ウ
‐nak/‐nek‐ 被 所 有 物 +3人
称単
数 所 有 接 尾 辞 」 で 表 現 され,属 格 接 尾 辞 は 省 略 で き る. a tanulo
konyv‐e(定
接 尾 辞)/a
冠 詞 生 徒 本 ‐3単 所 有
徒 ‐属 格
tanulo‐nak 定冠詞
a tanulo
a
konyv‐e(定
冠詞
生
本 ‐3単 所 有 接 尾 辞)「 生 徒 の 本 」
konyv‐ei(定
数 所 有 接 尾 辞)/a
冠詞
生徒
tanulo‐nak
本 ‐3単
・複
a konyv‐ei「
生
持 っ て い る 」 と い う 所 有 文 は,「A+ 与 格 接
尾 辞 ‐存 在 動 詞 の3人
称 形van/vannak(否
は,nincs/nincsenek)‐B+ に はBが
定の場合
所 有 人 称 接 尾 辞 」 で,「A
あ る 」 と 表 現 さ れ る.
A
tanulonak
van
生 徒 は 本 を持 って
続 詞 あ るい は関 係 代 名 詞 を用 い て構 成
節 に 従 属 節 を 示 す 指 示 語(普
通 は,指
示代 名
az‐t mond‐ja,hogy
ヴァ
あ れ ‐対 格
Peter
言 う‐〔定3単
勉 強 す る 〔不 定3単
tanul.(エ
〕,接
続詞
ー
ペーテ
〕)「エ ー ヴ ァ は ペ ー テ ル が
関 係 代 名 詞 は,疑
問 詞 の 頭 にa‐
が 付 い た 形 で,後
に 格 接 尾 辞 や 後 置 詞 が く る こ と が で き る.関
ろ
係 節 は,
節 の後 ろ に くる.
Peter
olvas‐t‐a
ir‐t.(ペ
a konyv‐et,amely‐et
ーテ ル
対 格,関
読 む ‐過 去 ‐定3単
Eva 定冠詞
係 詞 ‐対 格 エ ー ヴ ァ 書 く‐過 去
本‐ 〔不 定
3単 〕)「ペ ー テ ル は エ ー ヴ ァ が 書 い た 本 を 読 ん だ 」 [敬 語 的 表 現 ]
ハ ン ガ リー 語 に は,日
な 敬 語 体 系 は な い が,呼 詞 の 活 用,話
び か け,人
法 な ど に,敬
称 敬 称 が あ り,そ
称 の 活 用 形 を と る.2人
magaの2種
類 が あ り,そ
変 化 を 行 な う.Onは,広
本語 の よう
称 と そ れ に 伴 う動
語的表現が存在する.ハ ン
ガ リ ー 語 に は 独 立 し た2人 動 詞 は3人
の 場 合,
さ れ る.た
と え ば,生
れ ぞ れ,複
数 変 化 お よび格
い 範 囲 で 使 用 さ れ る 敬 称 で,
徒 が 先 生 に,年
体,同
少 者 が 年 長 者 に,
レ ビや 講 演 な ど の 公 的 な 場 で 使 わ れ る.こ
に 対 し て,magaは,年
れ
齢 や 社 会 的 地 位 に 関 し て は,大
等 の 立 場 に あ る 比較 的 親 しい 人 間 関 係 の 場 合 に
使 用 さ れ る.し 使 う と,先
た が っ て,生
徒 が 先 生 に 対 して こ れ を
生 を 自 分 と 同 等 あ る い は 下 と見 な し て い る
こ と に な り 失 礼 に あ た る.magaは,公
的 な場 で は あ
ま り使 用 さ れ な い .2人
称 の 人 称 代 名 詞teは,親
弟,夫
婦,友
し い 間 柄 で 使 用 さ れ る.最
は,若
い 人 を 中 心 に,敬
だ ち 等,親
ィ ン ・ウ ゴ ル 祖 語 に ま で 遡 る
「魚 」),身
体 名 称(szem「
目」),親
理 の 娘 」)な ど が あ り,ウ
「外 へ 」)な
本 的 な 動 詞(el「
称 を 使 わ ず,最
話 す 傾 向 が 広 ま り つ つ あ る.
子兄
初 か らteで
義
ゴ ル 祖 語 に な る と,馬
鞭 」)や,形
容 詞,副
詞(jo「
に関 す
よ い 」,ki
ど が 現 わ れ る . こ れ ら の 古 い 語 彙 は,お
を 数 え,重
は,名
詞 と 動 詞 の 明 確 な 区 別 が な く,ど
要 な 基 層 を な し て い る.こ
」).ハ
よ
の 時代 に
ち らに も使 用
凍 る/霜
」,nyom
ン ガ リー 語 の 時 代 に な る と(紀
元 前
しい 固 有 の 語 彙 が 増 え る と と も に,原
始語
彙 か ら数 多 く の 派 生 語 が 生 ま れ(el「 「生 き か え る 」,el>elet「
も に,ハ
水 」,hal
族 名 称(meny「
そ1千
「押 す/跡
生 き る 」,
然 現 象 に 関 す る 語(viz「
生 き る 」>eled
生 活 」,el>elenk「
生 き生
派 生 語 が あ る),古 い 語 彙 と と
ン ガ リー 語 の 語 彙 の 大 部 分 を 形 成 し た .
こ れ ら 固 有 の 語 彙 の ほ か に,借 っ と も 古 い も の は,ハ
用語 が あ る. そ の も
ン ガ リー 民 族 が ウ ラ ル 民 族 発 祥 紀 末 に現
在 の カ ー ル パ ー ト盆 地 に 辿 り着 くま で に,異
民 族 と接
触 し て き た 過 程 で 借 用 さ れ た 語 彙 で あ る.そ
れ に は,
イ ラ ン 系 諸 語(tehen「
ル シ ア語
(var
「城 」,vasar「
「鐘 」,homok「
牛 」,tiz「10」),ペ 市 」),チ
砂 」)な
ュ ル ク 系 諸 語(harang
どか らの 借 用 語 が あ る.
特 に チ ュ ル ク 系 諸 語 の 影 響 は 大 き く,5∼9世 間 に,お よ そ300の 畜 産,農
業,住
単 語 が 借 用 さ れ て お り,そ
紀 の れ ら は,
居 に関 す る ものか ら知 的 な領 域 に ま で
及 ん で い る. diszno「
豚 」,sajt「 チ ー ズ 」,buza「
「り ん ご」,szek「
椅 子 」,ber「
小 麦 」,alma
賃 金 」,bolcs「
知
恵」
称 敬 称 に は,Onと
年 上 や 目 上,あ る い は,個 人 的 関 係 の な い 場 合 等 に 使 用
ま た,テ
hal「 死 ぬ 」),自
に 分 け ら れ る.
の 地 と い わ れ る ウ ラ ル 山 脈 の 辺 り か ら,9世
勉 強 して い る と言 う」
普 通,主
よ び,フ
名 詞 や 疑 問 詞,基
き し た 」 な ど,約150の
詞)が 使 わ れ る こ と が 多 い.
ル
語 彙 は,代
500年),新
従 属 節 は,接
Eva
ハ ン ガ リ ー 語 固 有 の 語 彙,借 用 語 の3つ ウ ラ ル 祖 語,お
ラ ル 祖 語,
ゴ ル 祖 語 に ま で 遡 る 原 始 語 彙,
さ れ る 語 が か な り あ っ た(fagy「
konyve.「
い る」
さ れ,主
ハ ン ガ リ ー 語 の 語 彙 は,ウ
る 語 彙(ostor「
徒 の 本(複)」 「AはBを
彙]
近
身 体 名 称 に も 借 用 語 が あ る こ と か ら,い
か に,チ
ュル
ク 系 諸 語 の 影 響 が 強 力 で あ っ た か が うか が わ れ る. kar「 腕 」,gyomor「
胃」
ハ ン ガ リ ー 民 族 が カ ー ル パ ー ト盆 地 に 定 住 し た あ と, チ ュ ル ク 系 諸 語 の 影 響 力 は 弱 ま っ た も の の,16∼17世 紀 に,ふ
た た び,今
度 は オ ス マ ン ・トル コ に よ っ て,国
土 の か な りの 部 分 を 占 領 され る に 至 り,い
くつ か の 単
語 が 入 っ て い る. zseb「
ポ ケ ッ ト」,kave「
コー ヒー」
カ ー ル パ ー ト盆 地 に 定 住 し た あ と は,周 民 族 に 囲 ま れ,ス
ラ ブ 系 諸 語 か ら は 約500の
りを ス ラ ブ 借 用語 彙
が あ る. gabona「
穀 類 」,kacsa「
所 」,kolbasz「
ア ヒ ル 」,konyha「
ソ ー セ ー ジ」,ruha「
台
衣 服 」,
csalad「
15∼17世
家族」
こ の 現 象 は,特
紀 に は,オ
ー ス ト リア ・ハ プ ス ブ ル ク 家 の
政 治 的 影 響 の も とで,ド 用 さ れ て い る.そ て,約300と
イ ツ語 か ら数 多 く の 語 彙 が 借
の 数 は,古
い 時 代 か ら の も の も含 め
され て い る.
polgar「 pisztoly「
と し て,ラ
紙 」,cukor「
砂 糖 」,
ピ ス トル 」
テ ン 語 の 影 響 が あ る.ラ
テ ン 語 は,10世
紀
末 に ハ ン ガ リー が キ リス ト教 に 改 宗 し て 以 来,19世 会 や 宮 廷,政
し て 機 能 して い た.そ
治,教
会 や 教 育 関 係 の借 用
教 会 」,iskola「
学 校 」,ceruza「
英 語 のcoach「
馬 車 」 は,Kocsと
鉛筆」
ン ガ リー 語 か
ら ほ か の 言 語 に 借 用 さ れ た 語 は 少 な い が,た
と え ば,
い う場 所 で つ く ら
れ て い た 馬 車 に 由 来 す る(kocsiは,形
容 詞 形)ハ
ンガ
リ ー 語 起 源 の 語 彙 で あ る. [方
言]
の8つ
に 分 け られ る(〈
図 〉
を 参 照).
2)ド
3)南
か わ り にoを
中 心 と した 南 部 方 言
な り,バ
ロー ツ方 言 地域 の
ロ ー ツ 方 言 地 域 の 中 部,
く の 方 言 に お い て,母
の,1が
落 ち,母
音 +l(音
音 が 長 く な る.
szilva>sziva「
プ ラ ム」
olvasol>ovaso「
あ な た は 読 む」
こ の よ う な 音 韻 変 化 に 伴 い,接 と え ば,標
格 接 尾 辞 は,パ
尾 辞 に もさ ま ざま な
準語では
‐bol/‐bolで
東 部 方 言 で は ‐bol/‐bol,テ
ゼ ー シ ェ ー グ 方 言,
ィ サ 方 言 地 域 の 一 部,パ
ー ツ 方 言 地 域 の 南 部 ,東 部,北
部 方 言 地 域,テ ナ ウ以 西 方 言 地
部 方 言 地 域 の 南 部 な.ど で は ‐bu/‐buと
格 接 尾 辞 の 用 法 に 関 し て も,さ ま ざ ま な 違 い が あ る. 部 方 言(nyugati;オ
ー ス ト リ ア 地 域 を 含 む)
ナ ウ以 西 方 言(dunantuli) 部 方 言(deli;ユ
部 方 言 で は,後
置 詞fele「
か わ り に,与 格 接 尾 辞 ‐nak/‐nekが
ー ゴ ス ラ ビ ア 地 域 を 含 む)
ロ ー ツ 方 言(Paloc;ス
た と え ば,西
た,北
東 部 方 言 で は,「 ∼ さ ん の 所 へ 」 と い う と
格接尾辞
‐hoz/‐hez/‐hozの
か わ り に,接
5)テ
ィ サ 方 言(Tisza)
接 尾 辞 ‐nal/‐nelが 使 わ れ る 傾 向 が あ る.北
6)北
東 部 方 言(eszaknyugati)
の 一 部 で は,形 容 詞 の 比 較 級 で,接
7)メ
ゼ ー シ ェ ー グ 方 言(Mezoseg)
8)東
部 方 言(keleti;セ
ン ゴ ーCsangoを
ロ バ キ ア 地 域 を 含 む)
り,ま き に,向
∼ の方 へ 」の
使 わ れ る こ とが あ
4)パ
(nagy‐obb
ー ケ イSzekely,チ
ャー
含 む)
メ ゼ ー シ ェ ー グ 方 言 地 域,お
ー ケ イ とチ ャ ー
ル デ ー イ(Erdely;
ト ラ ン シ ル バ ニ アTransylvania)と
の 異 音 が あ る.多 狭 い[e]の
韻 に 顕 著 で,特
書 法 上 は,ど
に,母
在 は
大 き い ‐よ り 定 冠 詞
(‐nyi)が
あ る.こ
者 は,方
あ る が,こ
れ ら は 異 な る 音 素 で あ る,こ
言 学 な ど で はeと
az
<図>ハ
apjatol).
,‐nol(‐nul)/‐nol(‐nul),‐ni れ ら は,人
名 に 付 い て,そ
の 人 の 家 か ら,そ
ン ガ リー 語 の 方 言 地 域
あ る が,
表 記 さ れ る)が の[〓]と[e]
の 方 言 区 域 に も属 さ ず,
そ こ で 話 さ れ て い る こ と ば が,ほ
ぼ,標
準 語 と一 致 す
る). こ の ほ か,方
言 に 特 徴 的 に み られ る 音 韻 変 化 に,標
ィ サ 方 言 を 基 礎 と す る;「 歴 史 」 を 参 照)のe お き か わ るi化
現 象 が あ る. 出典:ハ
ver>vir「
血」
and
イ ド ゥ(Hajdu,Finno‐Ugrian Peoples
Andre
Deutsche,1975)に
れ ぞ れ,
の人 の 家 へ」 と
ダ ペ ス トお よ び 北 東 部 方 言 地 域
の み で あ る(ブ ダ ペ ス ト は,ど
彼 格接
準 語 に は な い特 殊 な 格 接 尾 辞
音 に数 多 く
口の 開 きの よ り
ち ら もeで
便 宜 上,後
の 区 別 が な い の は,ブ
エ ル デ ー イ 地 方 に は,標
「そ の 人 の 家 で,そ
く の 方 言 に,[〓]と
区 別(正
apja‐nal〔
東部 方 言
の 父 ‐接 格 〕 「彼 の 父 よ り大 き い 」)の か わ り に,奪
‐nott/‐nett/‐nott
よ ば れ,現
ル ー マ ニ ア 領 に な っ て い る. 方 言 間 の 差 は,音
az
格
格 接 尾 辞 ‐nal/‐nel
尾 辞 ‐tol/‐tolが 使 用 さ れ る(nagyobb よ び,セ
ン ゴ ー を 含 む 東 部 方 言 地 域 は,エ
がiに
な
る.
準 語(テ
ロ
東 部 方 言 地 域 で は ‐bul/
ナ ウ 以 西 方 言 地 域 の 北 部,南
域 の 南 部,西
あ る出
ロ ー ツ方 言 地 域 の 西 部 お よび 中 部 で は
‐bo/‐bo ,西 部 方 言 地 域 の 北 部,メ
‐bul,ド
な る.ま
節 を 閉 じ る 場 合)
ィ サ 方 言 地 域 の 一 部 で は ‐bu/‐bu,ド
ハ ン ガ リー と そ の 周 辺 諸 国 に 広 が る ハ
ン ガ リー 語 の 方 言 は,次
1)西
た,多
育 の場 で の言 語 と
の 結 果,教
と り入 れ た 借 用 語 の 数 に 比 べ る と,ハ
西 部 な ど で は[l]と
形 が あ り,た
templom「
た,eの
ゲ ド(Szeged)を
ィサ
や セ ー ケ イ 方 言 に み ら れ る . 子 音 で は,ly[j]が,ド
紀
語 が 多 い.
使 う現 象 が,セ
チ ャ ー ン ゴ ー の 方 言 で は 口 蓋 化 し て[l']と
接 的 な 民 族 接 触 に よ る 影 響 と異 な る も の
に 至 る ま で,教
方 言 地 域 に 広 範 に み ら れ る.ま
ナ ウ以 西 方 言 地 域 の 西 部 と 南 部,バ
市 民 」,papir「
以 上 の,直
に ドナ ウ 以 西 方 言 地 域 の 北 部,テ
Languages よ る.
い う意味 を表 わ す.同
じ意味 は,標 準 語 で は,与 格 で
表 現 され る.
言 え る.
こ の と き,ハ ン ガ リ ー 人 が と り 入 れ た の は,キ
リス ト
この よ うな古 い 格 接 尾 辞形 を残 す エ ル デ ー イ地 方 で
教 と と も に 教 会 の 言 語 と し て 受 け 入 れ た ラ テ ン語 の 文
は,過 去 時 制 を,過 去,現 在 完 了,過 去 完 了 の3つ に 区別 して い る(後 述 す る,「 古期 ハ ンガ リー語 期 」の説
字 で あ る(そ れ と は 別 に,チ ュ ル ク 起 源 と さ れ る ロ ヴ ァ ー シ ュ 文 字rovasirasが あ るが ,こ れ に つ い て は,世
明 も参 照).
界 文 字 編 「ロ ヴ ァ ー シ ュ文 字 」 の 項 を 参 照).残
語 彙 に も,数 々 の方 言 差 が あ る.た
い る,ラ
とえ ば,kuko
存 して
テ ン文字 で 書 かれ たハ ン ガ リー語 の も っ と も
rica「 と う もろ こ し」は,西 部方 言,ド ナ ウ以 西 方 言,
古 い 記 録 は,ラ
南 部 方 言,パ ロー ツ方 言 で はkukoricaで
単 語 や 句,短 い 文 等 が 挿 入 さ れ て い る もの で あ る(Ha‐
サ方 言 で はtengeri,北 イ地 方 で はtorokbuzaと [語
史]
あ るが,テ ィ
東 部 方言 で はmale,エ
ル デー
よば れ てい る.
け られ る. 1)ウ
ラル祖 語 期(紀 元 前4000年
ま で),フ
まで),ウ
ィ ン・ウ
ゴ ル祖 語 期
まで)を 経 て,独 自 の道 を歩
み 出 す まで の前 ハ ンガ リー 語 期, 2)ウ
死 者 の 辞 』1192‐95,Omagyar
Maria
古 期 ハ ン ガ リ ー 語 マ リア 哀 歌 』1300).
15世 紀 に な る と,フ
kai
Kodex『
フ ス(Jan
ラ ン シ ス コ 派 等 の 影 響 で,宗
ヨ ー カ イ ・コ ー デ ッ ク ス 』1450).ま
Hus)の
改 革 運 動 も,ハ
に 貢 献 し た(Becsi 1450,Muncheni
ラル 山 脈 の あ た りか ら移 動 を開 始 し,現 在 の
地 に定 住 す る9世 紀 まで の,文 字 の な い原 始 ハ ン ガ リー 語 期, 3)そ
ンガ リー語 の
教
的 資 料 が ハ ン ガ リー 語 に 翻 訳 さ れ る よ う に な っ た(Jo
ゴル 祖 語期(紀 元 前2000年 (紀元 前1000∼500年
lotti Beszed『 Siralom『
ハ ン ガ リー語 の 歴 史 は,次 の3期 に分
テ ン語 の 文 書 の 中 に,ハ
ウ ィ ー ン ・コ ー デ ッ ク ス 』 ミュ ン ヘ ン ・コ ー デ ッ ク ス 』
1466). 文 法 的 に は,後
置 詞 が 名 詞 に接 続 して 新 しい 格 接 尾
辞 が 生 ま れ(bele「
れ 以 降 の,文 字 を有 す る時 期.
Kodex『 Kodex『
た,
ン ガ リー 語 の 文 字 化
中 へ 」 > ‐ba/‐be入 格 接 尾 辞),副
詞 派 生 辞 の 付 い た 名 詞 か ら新 し い 後 置 詞 が 生 ま れ,格
ハ ンガ リー 語 と して の歴 史 が 始 ま る前 ハ ンガ リー 語
接 尾 辞 と 後 置 詞 の 体 系 が 豊 か に な っ た.14世
期 に は,こ の 言 語 は す で に豊 富 な 派 生 辞 を有 して お り,
限 定 機 能 の た め に,原
1つ の 語 か ら数 多 くの派 生 語 を生 み だ す こ とが で き る
紀 に は,
始 ハ ンガ リー 語 期 に 形 成 さ れ た
動 詞 の 定 ・不 定 活 用 に 加 え て,定
冠 詞 お よび 不 定 冠 詞
状 態 に あ った . 標 識接 尾 辞 や 関 係 接 尾 辞 は,ま だ 十 分
が 現 わ れ る.時
に確 立 され て お らず,目 的 語 や 所 有 関 係 な どの 文 法 的
単 純 過 去,継
関 係 の多 くは 無 標 で あ っ た. 場 所 ・方 向 関 係 に関 して
が あ っ た . ハ ン ガ リー 語 は 文 字 言 語 に な っ た も の の,
は,意 味 的 な分 化 は み られ ない が,静 止,起 点,着 点
書 き こ と ば に は ラ テ ン 語 を 模 倣 し た 点 が 多 く み ら れ,
の 区別 は す で に 存 在 して いた.
話 し こ と ば と の 間 に は 大 き な 差 が あ っ た.ま
原 始 ハ ンガ リー語 期 は,ハ ンガ リー 民族 が,ほ か の
時 代 に は,宮
ウ ゴル 系 民 族 と分 か れ,馬 と と もに 遊 牧 ・牧 畜 生 活 を
書 き こ と ば の 萌 芽 が み ら れ る,し
営 み なが ら移 動 を して い く時 期 で あ る. この 時 代 に,
ス マ ン ・ トル コ の 侵 入 に よ っ て,つ み と られ て し ま う.
ハ ンガ リー 語 の 基本 的 文 法 体 系 が 形 成 され た . 場 所 関
制 は,現
続 過 去,現
在 よ り も 豊 か で,過 在 完 了,過
去 に は,
去 完 了 の4つ
の 区別
た,こ
の
廷 の 言 語 と 教 会 の 聖 典 等 の 言 語 に,標
準
中 期 ハ ン ガ リ ー 語 期 は,ハ
か し,こ
の 芽 は,オ
ンガ リーが モハ ー チ
係 の格 接 尾 辞 が 内部 ・表面 ・近 傍 関 係 に分 化 し,所 有
(Mohacs)の
人 称 接 尾 辞,複 数 接尾 辞,動 詞 の 人 称 接 尾 辞,副 詞 か
部 分 を トル コ と ハ プ ス ブ ル ク 家 に 占 領 され て か ら,18
ら発 展 した 後 置 詞,対 格 接 尾 辞 等 が 形 成 され て い る.
世 紀 後 半 に 解 放 運 動 が 盛 ん に な る ま で の 時 期 を さ す.
対 格 接 尾 辞 の ‐tは,元 来,主 と して 目的 語 の 限 定 性 を
戦 い(1526年)で
この 時 期 に は,エ
トル コ に 敗 れ,王
ラ ス ム ス(Desiderius
国 の大
Erasmus)の
示 す 要 素 で あ った の が,動 詞 の 定 活 用 の 発 達 の 結 果,
流 れ を 汲 む 人 文 主 義,ル
限 定 機 能 を失 い,対 格 接 尾 辞 に な った もの で あ る.
改 革 運 動,お
ハ ンガ リー 語 が文 字 言 語 にな って か らの 第3期 は,
に 大 き な 影 響 を与 え た . 人 文 主 義 者 た ち は,政
古 期 ハ ンガ リー 語期,中 期 ハ ンガ リー 語期,新
宗 教 的 に 分 断 さ れ た ハ ン ガ リー を 統 一 す る も の は 共 通
期ハ ン
よ び,印
タ ー(Martin
Luther)の
刷 技 術 の 誕 生 が,ハ
宗教
ン ガ リー 語 治 的,
ガ リー 語 期 に分 か れ る.
の 言 語 で あ る と し,さ
古 期 ハ ンガ リー語 期 は,ハ ンガ リー 民族 が 周 りの ス
範 言 語 と い う 考 え が 芽 生 え た.1539年
ラブ 民族 を征服 し,カ ール パ ー ト盆 地 に定 住 して か ら,
ス テ ル ・ヤ ー ノ シ ュ(Sylvester
トル コに 侵 入 され る16世 紀 ま で の 時期 で あ る.王
ン ガ リー 語 の 文 法 書 と い え る も の を ラ テ ン語 で 著 して
国
を築 き,キ リス ト教 を受 け 入 れ,生 活 様 式 の面 で も, 政 治 ・経 済 的 に も,大 き な転換 期 を 迎 え た. 言 語 史 の 上 で も,文 字 を 獲得 した 点 で重 大 な 転換 期 を 迎 え た と
い る.ま
た,カ
par,1590)や Peter,1604)が,聖
ま ざ ま な方 言 の上 に存 在 す る規 に は,シ
Janos)が,最
ル ヴェ 初のハ
ー ロ リ ・ガ ー シ ュ パ ー ル(Karoli
Gas
パ ー ズ マ ー ニ ュ ・ペ ー テ ル(Pazmany 書 を ハ ン ガ リ ー 語 に 翻 訳 し,ハ
ン
ガ リ ー 語 の 書 き こ と ば の 発 展 に 寄 与 した.こ き こ と ば は,主 い は,西
と し て,東
れ らの書
の テ ィサ 地 方 の 方 言,あ
の ドナ ウ地 方 の 方言 を代 表 す る もの で あ った .
文 法 的 に は,過
去 時 制 が1つ
に な り,そ
多 くの 接 続 詞 が 生 ま れ た.ま
文の発達に
た,敬
ラ ニ ュ ・ヤ ー ノ シ ュ(Arany
の 時 期 で あ る.こ
の 時 期 に は,上
語 の 成 立 が み ら れ た が,政 に あ り,公
治,文
的 な 言 語 は,ラ
述 の よ うに文
化 の 中 心 は ウ ィー ン
テ ン語 と ドイ ツ 語 で あ っ た.
18世 紀 後 半 に な る と,フ
ら れ ず,中
期 ハ ン ガ リー 語 期 に 入 る.
Janos)等
が 活 躍 す る.
代 のハ ンガ リー語 に至 っ て い る .動 詞 の
分 詞 形 の 使 用 が 減 り,そ れ に か わ っ て 複 文 が 発 達 し た. 動 詞 の 時 制 の 減 少 は,完 て 補 わ れ,同
了 を 表 わす 動 詞 接頭 辞 に よ っ
時 に,動
詞 の意 味 を変 化 させ る機 能 を 担
う よ う に な る. [辞
書]
ハ ン ガ リ ー 語 の 辞 書 の 古 い も の は,19
世 紀 後 半 に す で に 編 纂 さ れ て い る(Czuczor
り,ハ
Fogarasi
族 の 言 語 と し て の ハ ン ガ リー 語 の 権 利 が 叫 ば れ る よ う に な る.こ
う して,1844年
に は,国
会 で,ハ
ン ガ リー
作 家 の カ ジ ン ツ ィ ・フ ェ レ ン ツ(Kazinczy に よ っ て 推 進 さ れ た 近 代 化 運 動 は,一 に あ っ た が,新
語 の 導 入 に よ り,語
に 寄 与 し た.新
し い 語 彙 は,方
Ⅵ ,1862‐74).現
magyar 在 で は,ハ
っ て い る . 以 下 に,最
Ferenc)
方 で 激 しい 反 対 彙 と表現 力 の 増 加
べ て,ブ Amagyar
nyelv
と ん ど は,造
た 見 出 し 語 は 約6万
語 による
ン ガ リ ー 語 辞 典)―
的 辞 書.文
例 は,19世
れま
ナ ウ方 言 とテ ィサ方
et
esse,
A
Samuel,Affinitas
linguae
fennicae
originis
strata,1799)が,ハ
hungaricae
全4巻
demon
か し,ハ
ン
て い る.第4巻
法 辞 典)―
で は な か っ た.1880年
約8万5千
代 に は,ト
ル コ語 と の 同 系 を 主
張 す る ヴ ァ ー ン ベ ー リ・ア ー ル ミ ン(Vambery と,フ
パ ー ル(Hunfalvy (Budenz
Armin)
ィ ン ・ウ ゴ ル 系 説 を 主 張 す る フ ン フ ァ ル ヴ ィ ・ pal)や
Jozsef)と
の 間 で,「
ブ デ ン ツ ・ヨ ー ジ ェ フ ウ ゴ ル ・トル コ 戦 争 」 と
よ ば れ る 大 論 争 が 展 開 され た . トル コ 語 と の 共 通 語 彙 が 問 題 と な っ た の で あ る が,こ
れ は,結
に よ る 借 用 語 で あ る と結 論 さ れ,フ
局,言
語接触
ィ ン ・ウゴル 系説
が 確 立 さ れ た の で あ る. 19世
紀 に は,数
多 くの ハ ン ガ リ ー 語 の 文 法 書 や 辞 書
Idegen
出 し語 は,約1万2千
語.全
部
献 と とも に記 載 され
は 索 引. szotar,1961,19735(正
書
ア カ デ ミー の 正 書 法 規 則 に 基 づ い て, 語 の 正 書 法 が 記 載 さ れ て い る.
szavak
es kifejezesek
(外 来 語 ・表 現 辞 典)― Magyar
szotaraⅠ
ン ガ リ ー 語 歴 史 ・語 源 辞 典)―
tanacsado
ガ リー 語 の フ ィ ン ・ウ ゴ ル 系 説 は,容 易 に 確 立 さ れ た の
し
語増 えて
源 に も言 及 して い る.
語 の 歴 史 と語 源 が,文
Helyesirasi
出 し語 は,新
torteneti‐etimologiai
か ら な り,見
で 約6万
ン ガ リー 語 の フ ィ ン ・ウ ゴ ル 系 説
を 唱 え る 最 初 の 学 問 的 著 作 を 発 表 し た.し
nyelv
ンガ リー
後 に 出版 され た 国
生 辞 が 加 わ り,1万
‐Ⅳ,1967‐84(ハ cum
grammatice
門用
keziszotar,1972(ハ
語,語
magyar
ャ ル マ テ ィ ・ シ ャ ー ム エ ル(Gyarmathi
着 し た 外 来 語,専
刷 版 と も 言 え る が,見
全 部 で 約7万
idem
紀 の
上 記 の 辞 書 の10年
い 現 代 語 や 接 尾 辞,派
Janos,Demonstratio Lapponum
よ び,20世
語 等 も 含 む.
ertelmezo
語 辞 典 で,縮
言 語 学 の 分 野 で も,歴 史 言 語 学 が 発 展 し,シ ャ イ ノ ヴ
linguis
言,俗
語 小 辞 典)―
ん で い く.
1770)や,ジ
語,方
Magyar
第 に テ ィ サ 方 言 に 統 一 され て 標 準 語 化 が 進
Ungarorum
‐Ⅶ,1959‐
か ら な り,独 立 し
紀 の 文 語,お
標 準 語 か ら と ら れ て お り,定
ィ チ ・ヤ ー ノ シ ュ(Sajnovics
全7巻
語,小 見 出 し も 含 め る と 約20万
語,古
idioma
szotaraⅠ
語 . 現 代 標 準 語 と文 語 の 意 味 と 用 法 を記 述 し た 規 範
推 や 逆 形 成 的方 法 に よ って うみ だ
あ っ た 文 語 の 規 範 言 語(ド
Kiado刊).
ertelmezo
62(ハ
多 くの 新 し い 派 生 語 や 複 合 語 が,本
近 の 主 要 な 辞 書 類 を あ げ る(す
ダ ペ ス トのAkademiai
近 代 化 運 動 に よ り語 彙 が 豊 富 に な る と と も に,こ で2つ
Gergely szotara Ⅰ
ま ざ ま な辞 書 の 編 纂 に携 わ
さ れ た が,そ れ ら の 中 に は 定 着 し な か っ た もの も 多 い.
言)が,次
nyelv
ン ガ リー 科 学 ア カ デ ミ ー
付 属 の 言 語 学 研 究 所 が,さ
言 か らの導 入 や 古 語 の
復 活 に よ る も の も あ っ た が,ほ
来 の 方 法 の 他 に,類
Janos,A
っ て お り,外 国 語 ‐ハ ン ガ リー 語 の 対 照 辞 書 も 豊 富 に 揃
語 が 公 用 語 と し て 認 め ら れ た.
も の で あ っ た.数
作家 ア
法 的 に 大 きな 変化 は み
民 族 運 動 の 高 揚 と と も に ハ ンガ リー 語 へ の 関 心 が 高 ま ン ガ リ ー 語 の 近 代 化 運 動(nyelvujitas)や,民
ンガ
期 ハ ン ガ リー語 期 に 始 ま っ た 変 化 が ひ き 続
き 進 行 し,現
ラ ン スの 啓 蒙 主義 の 影 響で
独 立 運 動 が 盛 ん に な り,新
Sandor)や
新 期 ハ ン ガ リー 語 期 に は,文
称 を使い
た,ハ
ンガ リー の代 表 的 詩人 ペ
テ ー フ ィ ・ シ ャ ー ン ドル(Petofi
3人 称 の 動 詞 活 用 で 話 す 丁 寧 な 話 法 が 発 達 し始 め る の が,こ
書 法 が 確 立 さ れ て い く.ま
リー 文 学 も隆 盛 期 を 迎 え,ハ
の か わ り,
完 了 を 表 わ す 動 詞 の 接 頭 辞 が 形 成 され,複 伴 い,数
が 出 版 さ れ,正
る
szotara,1973,19868
見 出 し 語,約1万
szinonimaszotar,1978,19802(ハ
語 同 義 語 辞 典)―
見 出 し 語,約3万5千
Magyar‐angol nagyszotar Ⅰ ガ リ ー 語 ‐英 語 大 辞 典)―
語. ンガ リー 語 .
‐Ⅱ,1963,19775(ハ 見 出 し 語,約12万2千
語. Angol‐magyar nagyszotar Ⅰ‐Ⅱ,1976,19889(英 語‐ ハ ン ガ リー 語 大 辞 典)―
見 出 し語,約12万2千
ン
ィ ン 諸 語 と よ ば れ る グ ル ー プ に 属 す る 言 語 で,フ
語. こ の 英 語 と ハ ン ガ リ ー 語 の 対 照 辞 書 の ほ か に も,ロ シ ア 語,フ
ラ ン ス 語,ド
イ ツ 語,フ
ィ ン ラ ン ド語,ス
ペ
話 者 数 は,約500万
イ ン 語 等 の 主 要 言 語 と ハ ン ガ リー 語 と の 対 照 辞 書 が,
つ で,フ
そ れ ぞ れ,大,中,小
て い る(1995年
最 近,上 記 の
の 規 模 で 揃 っ て い る.
「ハ ン ガ リー 語 ‐英 語 大 辞 典 」 「英 語 ‐ハ
人.フ
ィ ン ラ ン ドの 公 用 語 の1
ィ ン ラ ン ドの 人 口512万 推 計),フ
人 の93%が
ィ ン ラ ン ド国 内 に は,フ
公 用 語 で あ る ス ウ ェ ー デ ン語(29.5万
訂 増 補 し た,比
語(ラ
較 的 入 手 し や す い 辞 書 が,ブ
フ ォ ー ド大 学 出 版 局(OUP)か A
Concise by
Magay
and
1990)―1,178ペ A
Concise by
フ ィ ン ラ ン ド語 の 話 者,使 デ ン(27万
Orszagh,OUP,1990)―1,052ペ
ー
nyelv
ele
and
Hungarian
Samu
標 準 語(yleiskieli)に
Language(Akademiai
次 の21文 Kiado,
(Ungarisches
Languages
フ ィ ン ラ ン ド語 は,ラ
テ ン文 字 を用
較 的新 しい外 来 語 を表 記 す る場 合
字 で あ る.
正 書 法 は,1音
Deutsch,London)
Lotz,Janos(1939),Das
Ungarische
Sprachsystem
母 音 音 素 は8つ
Institut,Stockholm)
magyar
(Tankonyvkiado,Budapest) Sauvageot,Aurelien(1951),Esquisse
de
la
hongroise(Klincksieck,Paris)
Tompa,Jozsef(ed.)(1961‐62),A rendszere,Ⅰ
mai ‐Ⅱ(Akademiai
magyar Kiado,
Budapest) ― (1968),Ungarische
Grammatik(Aka
Kiado,Budapest) 照]『
非 円唇 円
nyelv
よ う な 体 系 を な す.
音音素の体系 舌{
前 mai
字 対 応 の ほぼ 完 全 な 音 素 表 記 で
あ り,表1の
<表1>母
Ⅰ‐Ⅲ(〓) Racz,Endre(ed.)(1976),A
素1文
あ る.
〓(1955‐60),〓
[参
ィ ン ラ ン ド語 の
関 す る記 述 で あ る.
s,t,u,v,y,a,o
Peoples(Andre
demiai
ビ エ ト運 邦 の カ レ リ ア 自
a,d,e,g,h,i,j,k,l,m,n,o,p,r,
Budapest)
nyelv
ー ス トラ リ
を 除 く と,フ ィ ン ラ ン ド語 の 表 記 に 用 い ら れ る 文 字 は,
Imre(ed.)(1972),
Hajdu,Peter(1975),Finno‐Ugrian
langue
ウ ェー ナ ダ(4
用 語 に 準 じ る 地 位 を 与 え ら れ て い る.
い て 表 記 され る.比
tortenete(Tankonyvkiado,Budapest)
Benko,Lorand
人),オ
に 断 わ りの な い 限 り,フ
[音 と 文 字] magyar
人),カ
ど に 住 む フ ィ ン人 も考 慮 す る 必 要 が
あ る . フ ィ ン ラ ン ド語 は,ソ
以 下 は,特
trajza(Gondolat,Budapest)
and
人)な
治 共 和 国 で,公
[参 考 文 献]
Benko,Lorand(ed.)(1967,19782),A
プ お む ね,
用 者 と し て は,ス
ビ エ ト連 邦(7万7千
メ リ カ 合 衆 国(3万2千
ア(1万2千
句 数,約6万5千.
The
人),ソ
万 人),ア
Dictionary(ed.
magyar
の
ー ミ
フ ィ ン ラ ン ド語 と の 二 言 語 生 活 を して い る.
句 数,約9万5千.
Barczi,Geza(1963,19752),A
人)や,サ
シ ア語(15,900人),ジ
Orszagh,OUP,
English‐Hungarian
nyelv
ッ プ 語;1,700人),ロ
ィン
う1つ
シ ー 語 な ど を 母 語 と す る 人 々 も い る が,お
Dictionary(ed. Laszlo
ー ジ.語
Laszlo
ジ.語
ッ クス
ら刊 行 さ れ た.
Hungarian‐English
Tamas
ダペス ト
の 共 同 出 版 の 形 で,オ
母語 とし
ラ ン ド語 を 母 語 と す る フ ィ ン人 の ほ か に,も
ン ガ リ ー 語 大 辞 典 」 の 中 型 版 に 当 た る もの を 大 幅 に 改
のAkademiai Kiadoと
ィン
語 と も よばれ る.
唇奥舌{ 非 円唇 円 唇
高 中 低 す べ て の 母 音 に つ い て,長 短 の 対 立 が 弁 別 的 で あ る . 長 母 音 と短 母 音 の 対 立 は,音
声 学 的 に も持 続 時 間 の 差
と し て 現 わ れ,音
色 の 違 い は 観 察 され な い. 二 重 母 音
は,い
の 母 音 音 素 の ど れ か と 同 定 で き る2
ず れ も8つ
つ の 部 分 に 分 か れ て 聞 こ え る.こ
大 辞 典 』 フ ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派,ウ ラ ル 語 族 (早 稲 田 み か/徳
永 康 元)
長 母 音 は 同 じ短 母 音2つ
の た め,音
の 連 続,二
韻 論 上,
重 母 音 は 異 な る2
つ の 短 母 音 の 連 続 と し て 解 釈 す る の が 通 説 で,正
書法
もこれ に従 って い る. tule「
ふ
が)来
来 い 」:tuule「(風 る」:tuulee「(風
voi「 バ タ ー 」,tie「 フ ィ ン ラ ン ド 語 suomi(suomen
kieli),英Finn
ミ」,yo「
よ)吹 け 」:tulee「(彼 が)吹
道 」,tuo「
く」 あ れ 」,tai「
ish,独Finnisch,仏finnois,露〓
フ ィ ン ラ ン ド語 に は 母 音 調 和 が あ り,8つ
ウ ラ ル 語 族,フ
前 母 音(y,o,a),後
ィ ン ・ウ ゴ ル 語 派 の 中 の バ ル ト ・フ
シラ
夜」
母 音(u,o,a),中
の 母 音 は,
立 母 音(i,e)の
3つ の グ ル ー プ に 分 か れ る.同
一 形 態 素 内 に,前
母音
と 後 母 音 は 混 在 で き な い が,中
立 母 音 は どち らの母 音
母 音 間 に 喉 頭 閉 鎖 音 が 聞 か れ る こ とが あ る. muuta
poyta「
机 」:pouta「
sieva「
美 し い 」:sielu「
母 音 調 和 は ま た,名
ota
晴天」
な わ れ て お り,こ
数 分 格)
suo‐vat‐ko「
彼 ら は許 容 す るか 」
syo‐vat‐ko「
彼 らは 食 べ るか 」
d,h,v,j,〓
音m,n,〓,お
(舌 先 の ふ る え 音)の 計13個
で あ る.鼻
直 前 に の み,重
階 程 交 替 に お け る〓k(nkで 音 間 に の み 現 わ れ る.こ
の ほ か,比
に は,b,g,f,∫(s,shで 動 詞 の2人
表 記)な
称 命 令 形 や,名
一 部 の 母 音 で 終 わ る語(語
学 説」
鎖 音p,t,k,
mato「
よ び,lとr
kuka「
誰 」:kukka「
kisa「
競 技 」:kissa「
ネ コ」
音(n
palo「
火 事 」:pallo「
ボ ール 」
表 記)は
kero「
岩 山 の 頂 」:kerro「
音〓
音(ngで
は,独
自
ミ ミズ 」:matto「
じ ゅ うた ん」
花」
弱階 程 と して母
kimo「
あ し 毛 色 の 」:kimmo「
較 的新 しい外 来語
kana「
ニ ワ ト リ」:kanna「
表 記)の
無 声 閉 鎖 音p,t,k,お
ど が 現 わ れ る.
詞 派 生 接 尾 辞 ‐eな
形)の 直 後 に お い て ,後
は,階
ど,
弾 性」 運 べ」
よ び,そ
よ ば れ る 現 象 に 関 係 す る.こ
語(ま た は 前 接 語)の 語 頭 の 子 音 が 重 子 音 と し て 発 音 さ れ る 現 象 が あ る.後
上 の 長 さ の 語 幹 の 最 終 音 節 の 直 前)に
続 の 語 の 語 頭 が 母 音 の 場 合 に は,
ィ ン ・ウ ゴル 語 派 の 諸 言 語 の 地 理 的 分 布
出 典:〓(1974‐76)に
よ る.
の 長 音pp,tt,kk
程 交 替(astevaihtelu,gradation,Stufen
wechsel)と
続 の
語 れ」
(お よ び 形 容 詞),動
<図>フ
音間において長短
(単 子 音 対 重 子 音)の 対 立 が 可 能 で あ る .
の 文 字 が な く現 わ れ る 環 境 も限 定 さ れ て お り,短 で 表 記)は 子 音kの
を 除 く子 音 は,母
opi「 学 べ 」:oppi「
フ ィ ン ラ ン ド語 固 有 の 子 音 音 素 は,閉
行
の形 態 音 素 を子 音 音 素 に 含 め る考 え
方 も あ る.
aly‐kas‐ta「 利 発 な 」(単 数 分 格)
擦 音s,h,v,j,鼻
リ ン ゴを取 れ 」 該 の 語(語 形)の 末 尾 に 形
態 音 素(×)を 立 て る 分 析(muuta,taide,ota)が
詞 の 人 称 語 尾,派
ど に もお よぶ .
意 欲 的 な 」(単
芸術作品」
omena[ota(〓)omena]「
こ の 現 象 の 説 明 の た め に,当
魂」
詞 の 格 語 尾,動
接 語(enclitic)な
halu‐kas‐ta「
d,摩
引 っ越 せ 」
taideteos[taidetteos]「
と も混 在 し う る .
生 接 尾 辞,前
pois[muutappois]「
れ は,名
詞 の 語 幹 の 特 定 の 位 置(2音 お い て,一
詞 節以 定 の
環 境 にあ る 無 声 閉 鎖音 の 長 音 が 短 音 と 交替 した り(量 的 交 替,quantity
alternation),短
<表2>階
音 が 他 の子 音 と
交 替 す る か消 失 した り(質 的 交 替,quality
強 階程 (単数主格)
alterna
tion)す る現 象 で あ る.量 的 交 替,質 的 交 替 のい ず れ に お い て も,語 幹 に付 く,格 語尾,人
程 交 替
tt:t
称 語 尾,派 生 接 尾
ntt:nt
弱階程 (単数属格)
rotta:rotan
「ネ ズ ミ」
juntta:juntan
「くい 打 ち 器 」
辞 な どの音 形 に応 じて,交 替 す る閉 鎖 音 の 直 後 の 音 節
ltt:It
teltta:teltan
「テ ン ト」
が 開 音 節 とな るか 閉 音 節 とな る か に よ って,交 替形 の
rtt:rt
kartta:kartan
「地 図 」
pp:p
分 布 が ほ ぼ 決 ま る.開 音 節 の 場 合 に 現 わ れ る 交 替 形 (お よび,そ の 交 替形 の現 わ れ る語 幹)を 強 階 程(vahva aste,strong
grade),閉
音 節 の場 合 に現 わ れ る交
替 形(お よび,そ の交 替 形 の現 わ れ る 語 幹)を 弱 階程 (heikko
aste,weak
grade)と
言 う.名 詞 を例 に と
って,階 程 交 替 の タ イ プ を示 す と,表2の
noton)か
あ るか,も
soppa:sopan
「ス ー プ 」
的
m pp:mp
jumppa:jumpan
「体 操 」
交
lpp:lp
tolppa:tolpan
「く い,柱 」
torppa:torpan
「小 屋 」
kukka:kukan
「花 」
ankka:ankan
「ア ヒ ル 」
palkka:palkan
「給 料 」
nurkka:nurkan
「す み,か
pata:padan
「深 な べ 」
rpp:rp
替 〕
kk:k
よ う に な る.
語 強 勢 に関 して,音 節 は,主 強勢(paapaino)あ は 副強 勢(sivupaino)が
〔量
ηkk:肩k
るい
lkk:lk
し くは 無 強 勢(pai
rkk:rk
の い ず れ か に な る. 主 強勢 は,原 則 と して語
t:d
の第1音 節 にお か れ,多 音 節 語 の 最 終 音節 は無 強 勢 と な る(以 下,主 強 勢 を('),副 副 強 勢 は,第3音
nt:nn
強 勢 を(')で 表 わ す).
節 お よび そ れ 以 降 の奇 数 番 目の音
ka‐la,ka‐las‐tus
た だ し,5音
節 以 上 の語 で,第3音
〔質
的
節 お よ び それ 以 降 の 偶 数 番 目の 音 節 に お か れ,第2音 節 と第3音 節 以降 の奇 数 番 目の 音 節 は 無 強 勢 とな る.
「橋 」
rt:rr
parta:parran
「ひ げ 」
ht:hd
kohta:kohdan
「箇 所 」
lupa:luvan
「許 可 」
kampa:kamman
「く し」
p:v mp:mm
節 が 短 い 音 節(短
母 音 で終 わ る開 音 節)の 場 合 には,副 強 勢 は,第4音
「礎 」
silts:sillan
lt:ll
節 に お か れ,偶 数 番 目の 音 節 は無 強 勢 とな る. ka‐las‐tuk‐sen,ka‐las‐tuk‐ses‐tan‐sa
kanta:kannan
lp:lv
halpa:halvan
「安 い 」
rp:rv
arpa:arvan
「く じ」
k:〓 交
haka:haan
k:v
ka‐las‐ta‐mas‐sa,ka‐sit‐ta‐mat‐to‐mal‐la
「止 め 金 」
puku:puvun
:〓
ど」
「服 」〓
lanka:langan
「糸 」
複 合 語 の強 勢 のパ ター ンは,複 合語 を つ くっ て い る そ 替 〕
lk:l
jalka:jalan
「足 」
れ ぞれ の構 成 要 素 ご とに,上 の一 般 規 則 を適用 し,第
lk:lj
olki:oljen
「わ ら」
1構 成 要素 の主 強 勢 以外 の主 強勢 を 副 強 勢 に弱 め る こ
rk:r
virka:viran
「職 務 」
とに よ って え られ る.
rk:rj
kurki:kurjen
「ツ ル 」
hk:h
uhka:uhan
「脅 威 」
hk:hj
pohkeen:pohje
「ふ く ら は ぎ 」
yli=op‐pi‐las=tut‐kin‐to=lau‐ta=kun‐ta 文 の イ ン トネ ー シ ョン の特 徴 と して,文 叙 文,疑 問 文,等)に
の種 類(平
関 係 な く,文 末 が 下 降 音 調 にな
る こ とが あ げ られ る.
注:「 ふ くら は ぎ」の例 の み,強 階 程 が 単数 属 格,弱 階 程 が 単 数 主 格.
[語形 変化 と語 の 構 造] フ ィ ン ラ ン ド語 の 名 詞 (形容 詞,数 詞,代 名 詞 を含 む)と 動 詞 の 語 形 変化 は,
面,近 傍)」 と 「静 止 位 置― 起 点― 到 着 点」 の2つ の 基
膠 着 性 が 高 く,不 規 則 変化 が 少 な い.
準 に よ り,表4の
名 詞 は,数(単 数,複 数)と 格(14格;表3を 参 照) に よ って語 形 変 化 す る.格 語 尾 は,大 部 分 の場 合,単
名 詞 には,所 有 者 を表 わ す 接 尾 辞(所 possessive
よ うな体 系 を な す.
suffix;表5)が
有 接 尾 辞,
付 い て,「 私 の 家 で 」 「あ
複 共通 で あ り,そ れ ぞれ の格 形 は,単 数 で は 「語 幹 +
なた の 家 か ら」 の よう な意 味 を表 わ す が,そ の 場 合,
格 語 尾 」,複 数 で は 「語 幹 +複 数 標 識 + 格 語 尾 」 とい う
所 有 接 尾 辞 は,格 語 尾 の 後 ろ に付 く.所 有 接 尾 辞 は,
構 造 を して い る. 主 格 の 語 尾 はゼ ロ と考 え られ,し た
1人 称 と2人 称で は,所 有 者 が 単 数 で あ るか 複 数 で あ
が って,複 数 主 格 に現 わ れ る ‐tは,複
数標識の異形
態 と見 な され る.な お,共 格 と具格 には,単 数形 と複
るか が 区別 され るが,3人
称 で は そ の 区別 は な い . 単
数 主格,単 数 属 格,複 数 主 格 の3つ は,所 有 接 尾 辞 が
数 形 の 区別 が ない .
付 く と,形 が ま った く同 じ にな る.14の
14の 格 の う ち,内 格,出 格,入 格,接 格,奪 格,向 格
格 は,常 に所 有 接 尾 辞 が 付 い た形 で 用 い られ る.3人
の6つ は,場 所 関係 を 表わ す 格 と して,「内 部一 外 部(表
称 の所 有 接 尾 辞 は,‐nsa/‐nsaが
格 の うち,共
本 来 の形 で あ る が,
主 格,属
格,入
格,お
よ び,‐aa/‐aaで
tionaali,可
終 わ る単 数 分
格 形 以 外 で は,「 語 末 の 母 音 の 長 音 化 +n」 を 用 い る の が 普 通 で あ る.ま
た,話
し こ と ば で は,「 名 詞 + 所 有
接 尾 辞 」 の 構 造 は ほ と ん ど用 い ら れ ず,代
わ りに
た だ し,4つ
「人
詞 を修 飾 す る 場 合 に,名
み で あ る.動
詞 と,数
と格
talo,iso‐ssa
talo‐ssa,iso‐i‐ssa
詞 の 変 化 形 と本 動 詞 の 過 去 分 詞 去 分 詞 に は,主
純 時 制 の 動 詞 の 形 は,直
数 内 格,複
語 の 単 数,複 説法
現 在 が 「語 幹 + 人 称 語 尾 」,直 説 法 過 去 が 「語 幹 + 過 去 標 識(‐i‐)+人 称 語 尾 」,条 件 法 現 在 が 「語 幹 + 条 件 法 標
有 接 尾 辞 は,名
詞 に の み 付 き,形
容詞 に
識(‐isi‐)+人 称 語 尾 」,可
は 付 か な い.
能 法 現 在 が 「語 幹 + 可 能 法 標
識(‐ne‐)+ 人 称 語 尾 」,命 令 法 現 在 が 「語 幹 + 命 令 法 の
talo‐ni,iso‐ssa
talo‐ssa‐ni(そ
の 大 き な 家 」 の 単 数 主 格,単 形 容 詞 の 比 較 級,最 ‐mpi,‐inを
れ ぞ れ,「 私
人 称 語 尾 」 と い う構 造 を し て い る.受
上 級 は,そ
数 内 格)
幹 に
幹 に接 尾 辞
た 受 動 語 幹 か ら 導 か れ る.否
定 形 は,否
定 動 詞 と本動
詞 を 用 い て 分 析 的 に 表 わ さ れ,否 定 動 詞 が 人 称 変 化(た
iso,iso‐mpi,iso‐in(そ 較 級,最
動 形 は,語
受 動 の 標 識(‐tt(a)‐/‐tt(a)‐ ∼ ‐t(a)‐/‐t(a)‐)が 付 い
れ ぞ れ,語
付 け てつ くる.
級,比
語 のbe
数 の 別 が 表 示 さ れ る.単
数 内 格) こ の 場 合,所
iso
了 時 制 で は,英
形 を 用 い て 表 わ さ れ,過 talo‐i‐ssa
(そ れ ぞ れ,「 大 き な 家 」 の 単 数 主 格,単
純 時 制 と完 了 時 制 の 区 別 が さ れ る の
詞 の 変 化 形 は,完
動 詞 に あ た るolla動
に お い て 一 致 す る. iso
令 法imperatiivi)
の 時 制 が 区 別 さ れ る の は 直 説 法 の み で,
ほ か の 法 で は,単
称 代 名 詞 の 属格 形 + 名詞 」 が一 般 的 で あ る. 形 容 詞 は,名
能 法potentiaali,命
に よ っ て 語 形 変 化 す る(表6).
れ ぞ れ,「 大 き い 」 の 原
だ し,受
上 級)
動 で は3人
時 制,法(場
「数 詞 + 名 詞 」 の 構 造 で は,名
詞 が単 数 形 で 現 わ れ
る .1(yksi)以
外 の数 詞 が主 格 の とき名 詞 が 分 格 とな
る 点 を 除 き,数
詞 と名 詞 は,格
称 単 数 形 が 用 い ら れ る)し,受
合 に よ っ て は,主
語 の 単 数,複
も)は 本 動 詞 に 表 示 さ れ る . た だ し,命
(non‐finite
と え ば,
forms;不
定 詞,分
詞)が
数 の別
令 法 で は,否
定 動 詞 が 特 別 の 語 幹 と人 称 語 尾 を も つ.動
に お い て 一 致 す る.た
動,
詞 に 不 定形
多 い(表7)の
も フ ィ ン ラ ン ド語 の 特 徴 で あ る.
kaksi
talo‐a「2軒
の 家(kaksi「2」
は 主 格,
talo‐aはtalo「
家 」 の 分 格)」:kahde‐n
(属 格):kah‐ta
talo‐a(分
on(入
格):kahde‐lle
動 詞 は,人 称 の6つ
称(単
数,複
の ほ か に,「
定 人 称 形 が あ る),時 perfekti,現
格):kahte‐en
talo‐lle(向 数 の1人
称,2人
在preesens,過
在 完 了perfekti,過
perfekti),法(直
<表3>名
詞talo「
talo
根kirja「
本 」(古
く は,「
kirje「
称,3人
し る し,符
とよ ばれ る不
手 紙 」,kirjasto「
字 」,kirjava「
去im
か れ た,文
号 」 を 意 味 した)
図 書 館 」,kirjain「
jata「 書 留 に す る 」,kirjoa「
件 法kondi
し し ゅ う す る」,kir
jailla「 著 作 活 動 を す る 」
格
(nominatiivi,英nominative)
属
格
(genetiiv,英genitive)
分
格
(partitiivi,英partitive)
内
格
(inessiivi,英inessive)
出
格
入
「∼ の 」
「∼ の 中 で 」
複
数
talo
talo‐t
talo‐n
talo‐j‐en
talo‐a
talo‐j‐a
talo‐ssa
talo‐i‐ssa
talo‐sta
talo‐i‐sta
(elatiivi,英elative)
「∼ の 中 か ら 」
格
(illatiivi,英illative)
「∼ の 中 へ 」
talo‐on
talo‐i‐hin
接
格
(adessiivi,英adessive)
「∼ で 」
talo‐lla
talo‐i‐lla
奪
格
(ablatiivi,英ablative)
「∼ か
talo‐lta
talo‐i‐lta
向
格
(allatiivi,英allative)
「∼ へ 」
様
格
変
格
欠
格
(abessiivi,英abessive)
「∼ な し で 」
共
格
(komitatiivi,英comitative)
「∼ と い っ し ょ に 」
talo‐ine‐
具
格
(instruktiivi,英instructive)
「∼ で も っ て 」
talo‐in
ら」
数
talo‐lle
(essiiv,英essive)
「∼ と し て 」
(translatiivi,英translative)
「∼ に(な
る)」
talo‐i‐lle
talo‐na
talo‐i‐na
talo‐ksi
talo‐i‐ksi
talo‐tta
書
書 く」,kir
家」の格変化
主
文
色 と り ど り の 」,kirjallinen「
学 に 関 す る 」,kirjoittaa「
単
い し語 幹) と え ば,語
か ら,
去 完 了pluskvam
説 法indikatiivi,条
の 語 根(な
か ら さ ま ざ ま な 派 生 語 が つ く られ う る.た
格)
受 動 形passiivi」 制(現
派 生 接 尾 辞 が 非 常 に 多 く,1つ
talo‐n
talo‐i‐tta
<表4>場
所 格(local
cases)の
(interior cases)
静止位置 「∼ で 」
<表5>所
体系
内 部 格
外 部 格
local
(exterior cases)
有接尾辞 数
単 local
内 格:‐ssa/‐ssa
接 格:‐lla/‐lla
「∼ の 中 で 」
「∼ の 上(表 面,近
点
「∼ か ら」
称 ‐ni「私 の 」
‐mme「
私 た ち の」
2人
称 ‐si「あ な た の 」
‐nne「
あ な た た ち の」
3人
称
‐nsa/‐nsa∼
奪 格:‐lta/‐lta 「∼ の 上(表 面,近
入 格:‐(h)Vn,
単
ら」
向 格:‐lle
「∼ の 中 へ 」
格/接
「∼ の 上(表 面,近
on
ミッ コ
nyt
湖(内 格)
湖(接 格)
の 辺 に い る 」
格
Mikko
tulee
jarve‐sta/jarve‐lta.
くる
(出 格)
(奪 格)
「ミ ッ コ は 湖 か ら(上 が っ て)や
っ て く る/湖
の辺 か
らや っ て くる」
menee 行 く
「ミ ッ コ は 湖 へ(入
属
格
talo‐ni
talo‐j‐e‐ni
分
格
talo‐a‐ni
talo‐j‐a‐ni
内
格
talo‐ssa‐ni
talo‐i‐ssa‐ni
向
格
talo‐lle‐ni
talo‐i‐lle‐ni
格
talo‐mme
talo‐mme
属
格
talo‐mme
talo‐j‐e‐mme
分
格
talo‐a‐mme
talo‐j‐a‐mme
内
格 talo‐ssa‐mme
talo‐i‐ssa‐mme
向
格
talo‐i‐lle‐mme
talo‐lle‐mme
主
格talo‐si
talo‐si
属
格talo‐si
talo‐j‐e‐si
分
格talo‐a‐si
talo‐j‐a‐si
内
格talo‐ssa‐si
talo‐i‐ssa‐si
向
格talo‐lle‐si
talo‐i‐lle‐si
(向 格)
く/湖
ら に,こ
の 辺 へ 行 く」
れ らの 語 か ら,そ
の よ う な 語 が 派 生 さ れ る.
手 紙 で 」,kirjastollinen「
す る」,kirjaimisto「
「あ な た た ち の 家 」
図 書 館 に関
主
格
talo‐nne
talo‐nne
属
格
talo‐nne
talo‐j‐e‐nne
文 学,文
分
格
talo‐a‐nne
talo‐j‐a‐nne
登 録 」,kir
内
格
talo‐ssa‐nne
talo‐i‐ssa‐nne
向
格
talo‐ lle‐nne
talo‐i‐lle‐nne
ア ル フ ァ ベ ッ ト」,kirja
変 化 に と む こ と 」,kirjallisuus「
献 」,kirjoitus「
主
(入 格) っ て)行
と え ば,次
kirjeitse「
jonta「
書 く こ と 」,kirjaus「
し し ゅ う 」,kirjailija「
作家」
フ ィ ン ラ ン ド語 の 派 生 接 尾 辞 の 例 を,表8に 複 合 語 も 頻 繁 に 用 い ら れ,非
あ げ る.
常 に 長 い 単 語 もめ ず ら
し く な い. yli│oppilas││tutkinto│││lauta│kunta「
大学生試
「彼(女)の
家;彼(女)ら
格
talo‐nsa
talo‐nsa
属
格
talo‐nsa
talo‐j‐e‐nsa
分
格
talo‐a‐an
talo‐j‐a‐an
(∼ ‐nsa)
複 合 名 詞(複 合 形 容 詞)に は,次
の3つ
く こ と」 は,主
タ イ プ ラ イ タ ー 」(kirjoitus「
格
(∼ ‐nsa) talo‐lle‐en
tumma‐n│ruskea「
格 形)
(∼ ‐nsa)
(形容 詞)で あ る のが 通例 で,対 応 す る動 詞 句 が あ る と
人 類 」(ihmis‐
は,ihminen「
ヒ
い う特 徴 が あ る. 厳密 な 意 味 で の 複 合 動 詞 はま れ で, 複 合 動 詞 にみ え る もの は,複 合名 詞 か らの 逆 成(back
国 民経 済」 こげ茶 色 の 」
成 要 素 が そ れ 以 外 の 格 形(表9)
タ イ プ は,第2構
(∼ ‐nsa) talo‐i‐lle‐en
(∼‐nsa)
成 要 素 が属 格 形
kansa‐n│talous「
3の
向
(∼ ‐nsa) talo‐i‐ssa‐an
書
ト」 の 語 幹 形)
3)第1構
格talo‐ssa‐an
成要 素 が主 格 形 ま た は語 幹 形
ihmis│kunta「
2)第1構
内
のタイプがあ
る.
kirjoitus│kone「
の 家 」
主
験委員会」
1)第1構
talo‐ni
jarve‐en/jarve‐lle.
の よ う な 語 が 派 生 さ れ,さ
vuus「
数
talo‐ni
「あ な た の 家 」 格
Mikko
れ ぞ れ,た
複
格
「私 た ち の 家 」
jarve‐ssa/jarve‐lla.
い る 今
「 ミ ッ コ は 今 湖 の 中 に い る/湖
入 格/向
数
主
格
Mikko
出 格/奪
の 」
「私 の 家 」 出 格:‐sta/‐sta
傍)へ 」 例:内
‐Vn
「彼(女)の,彼(女)ら
「∼ の 中 か ら 」
傍)か
到 着 点 「 ∼ へ」
数
1人
傍)で 」 起
複
成 要 素 が 動 詞 か ら派 生 した 名 詞
formation)で
あ る こ とが 多 い.
huuto│kaupata「
競 売 す る」<huuto│kauppa「
競
売」 副詞 や後 置 詞 の 中 に は,格 語 尾 が 識 別 可 能 な もの が 多 くあ る.
<表6>動 〔 肯
定
詞puhua「
話 す 」 の語 形 変 化(完 了 時 制 形 を除 く)
形〕 《直 説 法 現 在 》
《直 説 法 現 在 完 了 》 olen
puhu‐nut
2
puhu‐t
2
olet
puhu‐nut
3
puhu‐u
3
on
puhu‐nut
単1
puhu‐n「
複1
単1
私 は話 す 」
複1
受
puhu‐mme 2
puhu‐tte
3
puhu‐vat
動
olemme
puhu‐neet
2 olette
puhu‐neet
ovat
puhu‐neet
on
puhu‐ttu
3
puhu‐ta‐an
受
動
《直 説 法 過 去 完 了 》
《直 説 法 過 去 》 単1
puhu‐i‐n「
単1
私 は 話 し た 」
2
olit
puhu‐nut
3
puhu‐i
3
oli
puhu‐nut
olimme
puhu‐neet
2
puhu‐i‐tte
複1 2
olitte
puhu‐neet
3
puhu‐i‐vat
3
olivat
puhu‐neet
oli
puhu‐ttu
puhu‐i‐mme
動
受
puhu‐tt‐iin
動
《条 件 法 完 了 》
《条 件 法 現 在 》 単1
puhu‐isi‐n
olisin
puhu‐nut
2
puhu‐isi‐t
2
olisit
puhu‐nut
3
puhu‐isi
3
olisi
複1
「私 は 話 す で あ ろ う 」
単1
puhu‐isi‐mme
受
複1olisimme
puhu‐neet
puhu‐isi‐tte
2
olisitte
puhu‐neet
3
puhu‐isi‐vat
3
olisivat
puhu‐neet
puhu‐tta‐isi‐in
受
動
olisi
《可 能 法 現 在 》 単1
puhu‐ne‐n
puhu‐ttu
《可 能 法 完 了 》
「私 は た ぶ ん 話 す で あ ろ う 」
lienen
puhu‐nut
2
puhu‐ne‐t
2
lienet
puhu‐nut
3
puhu‐ne‐e
3
lienee
puhu‐nut
複1
単1
puhu‐ne‐mme
lienemme
puhu‐neet
2
puhu‐ne‐tte
2
lienette
puhu‐neet
3
puhu‐ne‐vat
3
lienevat
puhu‐neet
動
複1
puhu‐tta‐ne‐en
受
動
lienee
《命 令 法 現 在 》 単2
puhu 3
puhu‐ttu
《命 令 法 完 了 》
「話 し な さ い 」
puhu‐koon
複1
単3
olkoon
puhu‐nut
olkoot
puhu‐neet
olkoon
puhu‐ttu
puhu‐kaamme
受
2
puhu‐kaa
3
puhu‐koot
動
koa「
複3
puhu‐tta‐koon
taalla/taalta「 外 で/外
「(∼ の)近
luona/luota「(∼
受
こ こ で/こ
こ か ら 」,ulkona/ul
形 が,後
か ら 」,lahella/lahelta/lahelle
くで/近
edesta/eteen「(∼
ま た,日
puhu‐nut
2
動
受
puhu‐nut
puhu‐i‐t
複1
受
olin
2
く か ら/近 の)前 の)許
で/許
か ら/前
置 詞 と し て 用 い ら れ る こ と も 多 い.
vali「 間 隔,す
く へ 」,edessa/
で/前
動
へ 」,
か ら」
本 語 の い わ ゆ る形 式 名 詞 に相 当す る名 詞 の格
valiin「(∼ [ 文 の 構 造]
き ま,あ
の)間
で/間
い だ 」>valissa/valista/ か ら/間
フ ィ ン ラ ン ド語 の 文 の 基 本 的 語 順 は,
「主 語 ‐動 詞 ‐そ の 他 の 成 分 」 で,形 詞 句,お
よ び,数
へ」
詞 は,と
容 詞 修 飾 句,属
格 名
もに修 飾 さ れ る名 詞 に 先 行 す
〔否
定
形〕 《直 説 法 現 在 》
単1
puhu
2
et
puhu
2
et
ole
puhu‐nut
3
ei
puhu
3
ei
ole
puhu‐nut
emme
puhu
emme
ole
puhu‐neet
2
ette
puhu
2
ette
ole
puhu‐neet
3
eivat
puhu
3
eivat
ole
puhu‐neet
ei
puhu‐ta
ei
ole
puhu‐ttu
複1
受
《直 説 法 現 在 完 了 》
en
動
単1
enole
複1
受
動
《直 説 法 過 去 》 単
《直 説 法 過 去 完 了 》
1
en
puhu‐nut
en
ollut
puhu‐nut
2
et
puhu‐nut
2
et
ollut
puhu‐nut
3
ei
puhu‐nut
3
ei
ollut
puhu‐nut
emme
puhu‐neet
emme
olleet
puhu‐neet
2
ette
puhu‐neet
2
ette
olleet
puhu‐neet
3
eivat
puhu‐neet
3
eivat
olleet
puhu‐neet
ei
puhu‐ttu
ei
ollut
puhu‐ttu
複1
受
動
単1
複1
受
動
《条 件 法 現 在 》 単1
《条 件 法 完 了 》
en
puhu‐isi
en
olisi
2
et
puhu‐isi
2
et
olisi
puhu‐nut
3
ei
puhu‐isi
3
ei
olisi
puhu‐nut
複1
受
単1
emme
puhu‐isi
emme
olisi
puhu‐neet
ette
puhu‐isi
2
ette
olisi
puhu‐neet
3
eivat
puhu‐isi
3
eivat
olisi
puhu‐neet
ei
puhu‐tta‐isi
ei
olisi
puhu‐ttu
複1
受
動
《可 能 法 現 在 》 単.1
《可 能 法 完 了 》
en
puhu‐ne
en
lienepuhu‐nut
2
et
puhu‐ne
2
et
liene
puhu‐nut
3
ei
puhu‐ne
3
ei
liene
puhu‐nut
emme
puhu‐ne
emme
liene
puhu‐neet
2
ette
puhu‐ne
2
ette
liene
puhu‐neet
3
eivat
puhu‐ne
3
eivat
liene
puhu‐neet
ei
liene
puhu‐ttu
複1
動ei
単1
複1
puhu‐tta‐ne
受
動
《命 令 法 現 在 》 単2 3 複1
受
puhu‐nut
2
動
受
puhu‐nut
《命 令 法 完 了 》
ala
puhu
alkoon
puhu‐ko
alkaamme
puhu‐ko
単3
2
alkaa
puhu‐ko
3
alkoot
puhu‐ko
alkoon
puhu‐tta‐ko
動
受
alkoon
olko
puhu‐nut
複 3
alkoot
olko
puhu‐neet
動
alkoon
olko
puhu‐ttu
る.前 置 詞,後 置詞 とも に用 い られ るが,後 置 詞 の 数
疑 問 詞(の 適 当な 格 形)で お きか え て文 頭 に移 動 させ る
の方 が圧 倒 的 に多 い.比 較 構 文 で 比 較 の基 準 を表 わ す
(2c)こ
名詞 句 は,形 容 詞(の 比 較 級)の 前 に現 われ る こ と も後
の他 の成 分 の語 順 は,そ の ま ま に保 た れ る のが 普 通 で
ろ に現 わ れ る こ と もで き る(表10の
あ る.
例 文1a,1b).
とに よ ってつ くられ る.い ず れ の場 合 も,文
疑 問 文 は,文 の 成 分 の どれ か に前 接 語 ‐ko/‐koを付
従 属 節 に は,接 続 詞 を用 い る もの(3a,3b)と
けて 文 頭 に移 動 さ せ る(2b)か,文
詞 の不 定 形 を用 い る もの(4a,4b)と
の 成 分 の どれ か を
動
が あ る.た だ し,
<表7>動 第1不
詞puhua「
話 す 」 の 主要 な 不 定形
る性 質,特 徴 を も って い る こ とを表 わ す 形 容 詞
‐inen
「日 の あ た る 」 ‐kas/‐kas
短 形 puhu‐a
「話 す 」
長 形 puhu‐akse‐ni
「私 が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐si
「あ な た が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐en
「彼(女)が
puhu‐akse‐mme
「私 た ち が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐nne
「あ な た た ち が 話 す た め に 」
puhu‐akse‐en
「彼(女)ら
話すために」
が話すために」
9.あ
内 格 puhu‐essa
10.副
‐(i)ttain
(受 動) puhu‐tta‐essa
「話 し な が ら」
具 格 puhu‐en
11.使
「話 す こ と で 」
vari‐ton 「無 色 の 」
<vari 「色 」
ahkera‐sti 「勤 勉 に 」
paiv‐ittain
<paiva
「毎
日 」
「日,一
maksa‐tta‐ 「支 払 わ せ る 」
定詞 「話 し な が ら」
出 格 puhu‐ma‐sta
「話 す こ と を や め て 」
入 格 puhu‐ma‐an「
話 しに」
」
日 」
役 動 詞
‐tta‐/‐tta‐
内 格 puhu‐ma‐ssa
「太 陽 」
詞
‐sti
‐(i)ttain/
「話 し な が ら 」
vara‐kas 「裕 福 な 」
る性 質,特 徴 が欠 け てい る こ とを 表 わ す形 容 詞
‐ton/‐ton
定詞
第3不
< aurinko
aurinko‐inen
定詞
第2不
分
8.あ
<maksa‐ 「支 払 う」
疑 問 文 は,そ の まま の 形 で 名 詞節(間 接 疑 問 文)に な る
接 格 puhu‐ma‐lla
「話 す こ と に よ っ て 」
欠 格 puhu‐ma‐tta
「話 さ な い で 」
こ とが で き る(3c).関 の(5b,5c)と,動
詞
係 節 に は,関 係 詞 を用 い る も 詞 の 分 詞形 を 用 い る もの(5d)
とが あ り,前 者 は主 名 詞 の 後 ろ に,後 者 は主 名 詞 の前
能 動 現 在 puhu‐va 受 動
完 了 puhu‐nut
puhu‐tta‐va
動 作 主 分 詞
puhu‐tt‐u
puhu‐ma
に現 わ れ る. 後 者 の タ イ プ の関 係 節 が,主 名 詞 が関 係 節 の 中 で主 語 また は 直接 目的 語 と して解 釈 され る場 合 に 限 っ て用 い られ る の に対 し,前 者 の タ イ プ の関 係 節 には そ の よ うな制 限 は な い.動 詞 の 不 定 形 を用 い た 従
<表8>主
要な派生接尾辞
属 節(関 係 節 も含 む)の 主 語 は,一 般 に,属 格 の 標 示 を
1.「 動 作主,行 為 者 」 を表 わ す 名 詞 ‐ja/‐ja
laula‐ja 「歌 手 」
2. 「 動 作,行 ‐minen
うけ る(4a,4b,5d). フ ィン ラ ン ド語 の格 表 示 体 系 は,基 本 的 に は,対 格 型
<laula‐ 「歌 う 」
為」 を表 わ す名 詞
の 直接 目的 語=対 格)の1タ
lahte‐minen
<lahte‐ 「出 発 す る こ と」 「出 発 す る 」
3.「 行 為の 結 果,産 物 」 を表 わす 名 詞 ‐e
monist‐e 「複 写 物 」
lask‐in 「計 算 機 」
8a)が,典
格,他
動詞文
イ プ と考 え られ る(2a,5a,
型的 な対 格 型 格 表 示 の体 系 とは異 な った 特
徴 が は っ き りと観 察 さ れ る. 対 格 型格 表示 の言 語 で対 格 表 示 され る名 詞 句,す な
<monista‐ 「複 写 す る 」
4.「 道 具 」 を表 わ す名 詞 ‐in
(自動 詞 文 の主 語=他 動 詞 文 の主 語=主
わ ち,い わ ゆ る直 接 目的 語 に相 当 す る名 詞 句 は,フ ィ ン ラ ン ド語 の格 表 示 体 系で は,分 格 で表 示 され る分 格 目的 語 と,分 格 以 外 の格(便 宜 上,《対 格 》と総 称 す る)
で 表 示 され る対 格 目的 語 の2つ の タ イ プ に分 か れ る.
「計 算 す る 」
言 い か え る と,フ ィ ン ラ ン ド語 に お け る主 語 と直接 目 5.「 場 所 」 を表 わ す名 詞 ‐mo/‐mo
‐la/‐la
katso‐mo 「観 客 席 」 kahvi‐la
「喫 茶 店 」
6.集
的 語 の 間 の形 態 論 的 対 立 は,《 主 格 》対 《対 格 》 とい う
単純 な 図 式 で は表 現 で きな い. 2つ の 目的 語 の う ち,無 標(unmarked)と
「コ ー
ヒー 」
考 え られ
るの は 分格 目的 語 で あ る.対 格 目的 語 が用 い られ る の は,一 般 に,次 の3つ の 条 件 が す べて 満 た され る場 合
合 名詞
‐(i)sto/
kirja‐sto
‐(i)stto
「図 書 館 」
7.「 性 質,状 態 」 を表 わ す名 詞 ‐(u)us/
vapa‐us
‐(y)ys
「自 由 」
<vapaa 「自 由 な 」
で あ る(8a,9a,10). 1)肯
定 文 で あ る.
2)行
為(現 象)が,完 結(完 了)し て い るか,完 結(完
了)す る こ とが 予 定 され て い る. 3)行
為(現 象)が,目
的 語 の 表 わす 対 象 の 全 体 に お
<表9>複
合 名 詞 の 第1構
内 格
tyossa│kaynti「
出 格
maasta│muutto「
入 格
matkaan│lahtija「
接 格
taksilla│ajo「
奪 格
lomalta│paluu「
向 格
palstalle│kirjoittaja「
様 格
ministerina│olo「
変 格
piispaksi│tulo「
成要素の格
仕 事 に 通 う こ と」
←kay‐
国 外 へ 移 住 す る こ と 」 旅 行 に 出 か け る 人 」 タ ク シ ー に 乗 る こ と」 休 暇 か ら帰 る こ と 」
大 臣 で あ る こ と」
lakitta│olija「
具 格
kasin│lajittelu「
帽 子 を か ぶ ら な い で い る 人 」 手 で 仕 分 け る こ と 」
よぶ もので あ る.
←lahte‐
格 目的語 が 用 い られ る(8b,9b,11).
国 」(出 格)
「出 か け る 」matka‐an「
←aja‐
「乗 る 」taksi‐lla「
←palaa‐
休 暇 」(奪
「書 く」palsta‐lle「
←ole‐
「あ る 」ministeri‐na「
←tule‐
「な る 」piispa‐ksi「
←ole‐
格)
コ ラ ム 」(向 格) 大 臣 」(様 格)
主 教 」(変 格)
「い る 」laki‐tta「
←lajittele‐
旅 行 」(入 格)
タ ク シ ー 」(接 格)
「帰 る」loma‐lta「
れ るが,6bの
以 上 の 条件 の う ち の1つ で も満 た され な い 場 合 は,分
仕 事 」(内 格)
「引 越 す 」maa‐sta「
コ ラ ム に 寄 稿 す る 入 」 ←kirjoitta‐
主 教 に な る こ と 」
欠 格
「行 く」tyo‐ssa「
←muutta‐
帽 子 」(欠 格)
「仕 分 け る」kas‐in「
手 」(具 格)
よ うな 非 人 称 構 文 の 属 格 名 詞 句 と と も
に,主 語 的性 格 が 非 常 に 強 い とい う特 徴 を も って い る. フ ィ ンラ ン ド語 で,「受 動(passiivi)」 とよ ばれ てい
分 格 目的 語 が 分 格 に よ って統 一 的 な形 態 論 的 表 示 を
る不定 人 称 構 文 に は,次 の よ うな特 徴 が あ る.
うけ る(8b,9b,11)の
1)能
に対 し,対 格 目的 語 は,統
語論
的 観 点 か ら立 て られ た概 念 で,形 態 論 的 な統 一 性 を欠 い て い る. 1)6つ
2)能 の 人称 代 名 詞(mina,sina,han,me,te,
he)と 疑 問詞kuka「
的 語 は主 格 で 表示 され る)を う け る(10b,11b).
存 在 し,対 格 目
3)動
の 他 の 場 合,対 格 目的 語 は,単 数 で は 属格 ま
4)自
動 詞 が 自由 に 受 動形 にな る(12b).
た は 主格 と同 じ形 とな り,複 数 で は常 に主 格 と同
5)人
間 の動 作,行
的 語 は こ の形 に よ って 示 さ れ る. 2)そ
詞 は,「 受 動 形 」 とよ ばれ る人 称 の ない 形(不
定 人 称 形)を とる(10b,11b,12b).
じ形 とな る.
為 を 表 わ す場 合 以外 は用 い ら れ
ない.
「 彼」人称代名詞 主
動文 の 目的 語 に 対応 す る名 詞 句 が,受 動 文 で
も,目 的 語 の格 表 示(た だ し,一 般 名 詞の 対 格 目
誰 」 の場 合 は,語 尾 ‐tをも
つ,い わ ゆ る対 格 形(10a,10b)が
動 文 の 主 語 に あた る成 分(動 作 主)が 現 わ れ る
こ とが で き ない(10b,11b).
格 han
「熊 」(一般 名 詞,単 数)
使 役 に は,使 役 を表 わ す 派 生 動 詞(使 役 動 詞)を 用 い る方 法(13b,c,d)と,antaa「
karhu
属
格 hanen
karhun
分
格 hanta
karhua
《対 格 》 hanet
karhun
panna「
与 え る」,saada「 得 る」,
置 く」 な どの 補助 動 詞 を 用 い て 分 析的 に 表現
す る方 法(14)と
が あ る.前 者 の 方法 が 可 能 な場 合 は,
動 詞 が 語 彙 的 に 限 られ てお り,後 者 の方 法 が広 く用 い られ る.
karhu
格 表 示 との関 連 で 注 目す べ き 点 に,「 存 在文(exis
対格 目的 語 が一 般 名 詞 の 場合,複 数 で は常 に主 格 形
tential sentence,eksistentiaalilause)」
で 現 わ れ るが,単 数 で は属 格 形 の 場 合 と主 格 形 の 場 合
る 自動 詞 構 文 が あ る.存 在 文 を つ く る こ との で き る 自
が存 在 す る.一 般 名 詞 の 単 数 の 対 格 目的 語 が 主 格 形 と
動 詞 は,少 な くと も270語 ほ ど指 摘 され て い るが,い
な る の は,義 務 ・当然 等 を表 わ す 非 人称 構 文(6b),2
ず れ も,広 い 意 味 で,「 存 在 す る/し ない 」 ない しは
人 称 の命 令 文(6c),受
「存 在 す る よ うに な る(生 じ る,現 わ れ る,等)/存
動 文(10b)な
どで,い ず れ も,
と よば れ
在す
動 作 主 が 主格 で 表 わ され な い か,ま っ た く明示 され な
る の をや め る(消 え る,な くな る,等)」
い構 文 で あ る . 動 作 主 を表 わす 名 詞 句 は,6bの
疇 に属 す る動 詞 として 特 徴 づ け られ る点 で 共 通 性 が あ
な 非 人 称構 文 で は属 格 で現 わ れ,6cの で は通 常 現 わ れ ず,10bの
よう
よ うな 命 令文
ような 受 動 文 で は ま った く
現 われ る こ とが で きな い. 分 格 目的 語 の み を と る他 動 詞 の 中 に は,7の
る. 存 在 文 は,「 場 所 格名 詞 句 + 自動 詞 + 主 格 ま た は 分 格 の名 詞 句 」 とい う構 造 を し て お り,動 詞 がolla 「あ る」 な らば,英 語 のthere構
よ うに,
とい う意 味 範
文 やhave動
詞 を用
い た 所 有 文 に相 当 す る意 味 を もつ 文 として 用 い られ る
目的 語 を もつ が 主 語(主 格 名 詞 句)の な い構 文 をつ くる
(15,16).
ものが あ る.こ の構 文 をつ くる動 詞 は,一 般 に,人 の
の 主 語 と見 なす とす れ ば,存 在 文 は,一 般 の 自動 詞文
場 所 格 名 詞 句 で は ない 方 の 名 詞 句 を存 在 文
精 神 的 あ る い は 肉体 的 状 態 を表 わ し,目 的 語 も人 に限
(「普 通文normal
られ る.こ の非 人 称 構 文 の分 格 目的 語 は,文 頭 に 現 わ
れ る)と 比 べ て,次 の よ うな特 徴 を もつ.
sentence,normaalilause」
と よば
<表10>文 1.
a.
の
Matti
構
造
on
Mikko‐a
∼ で あ る b.
Matti
on
pite‐mpi
格)長
kuin
い(比
a.
Mikko
menee
kotiin.
行
家 へ
く
b. Menee‐ko
Mikko
較)
Mikko.
よ り 2.
「マ ッ テ ィ は ミ ッ コ よ り背 が 高 い 」
pite‐mpi.
ミ ッ コ(分
(同 上)
ミ ッ コ
「ミ ッ コ が 家 へ(帰
っ て)行
く」
「ミッ コは 家 へ帰 って 行 き ます か?」
kotiin?
行 く(疑 問) c.
Minne
Mikko
「ミ ッ コ は ど こへ 行 き ま す か?」
menee?
ど こ へ
3. a. Mina
tiedan,
etta Mikko
わ た し 知 っ て い る (接 続 詞) b. Kun
Matti
on
saapui,Liisa
∼の とき
到 着 した
kotona.
「わ た し は
い る 家 で
ミッ コが 家 に い る こ と を知 っ
て い る」
oli
「マ ッ テ ィ が や っ て 来 た と き,リ ー サ は 出
リー サ ∼ で あ っ た
か け る とこ ろだ っ た」
lahdossa. 出 か け る と ころで c.Liisa
kysyi,menee‐ko
Mikko
「リー サ は ミッ コが家 へ 帰 っ て 行 くか ど
kotiin.
うか 質 問 した」
質 問 し た 4.
a.
Matti
Miko‐n
言 っ た
ミ ッ コ(属
ole‐va‐n い る(現
「マ ッテ ィ は ミ ッ コ が 家 に い る と 言 っ た 」
sanoi
格)
kotona.
在 分 詞
・対 格)
b. Mati‐n
家 で
saapu‐essa
Liisa
マ ッ テ ィ(属 格) 到 着 す る(第2不
定 詞 ・内 格)
「マ ッ テ ィ が や っ て 来 た と き,リ ー サ は 出 か け る とこ ろだ った 」
oli lahdossa. 5.
a.
Mikko
b.
osti
kirja‐n
kirjakaupa‐sta.
買 っ た
本(対
本 屋(出
格)
kirja,jo‐n‐ka 本(関
c.
Mikko
係 詞
(関 係 詞
osti
kirja‐n
kirjakaupa‐sta
osta‐ma
kirja
「ミ ッコが 本屋 で 買 っ た本 」
買 う(動 作 主 分 詞)
osta‐t
kirja‐n.
買 う
本(対
b.Sinu‐n
「あな た が本 を 買 う」
格)
pitaa
osta‐a
「あな た は本 を 買わ な けれ ば な ら な い 」
kirja.
あ な た(属 格) ね ば な ら な い 買 う(不 定 詞)本(主 c.Osta
「ミ ッ コ が 本 を 買 っ た 本 屋 」
・出 格)
ミ ッ コ(属 格)
あ な た
「ミ ッ コ が 本 屋 で 買 っ た 本 」
kirjakaupa‐sta
Mikko
本 屋
6.a.Sina
osti
・対 格)
kirjakauppa,jo‐sta
d.Miko‐n
「ミッ コが本 屋 で本 を 買 った 」
格)
格)
「(あな た は)本 を買 い な さい 」
kirja!
買 う(命 令 形) 本(主 格) 7.Mikko‐a
nukuttaa.
「ミ ッ コ は 眠 い 」
ミ ッ コ(分 格) 眠 く さ せ る 8.a.Liisa
b.Liisa
ostaa
kirja‐n.
買
本(対
ei
う
osta
買 わ な い
9.a.Liisa
「リー サ が 本 を 買 う 」
格)
「リー サ が本 を買 わ な い 」
kirja‐a. 本(分
格)
on lakaissut
lattia‐n.
掃 い た(現 在 完 了)床(対 b.Liisa
lakaisee
lattia‐a.
掃
床(分
く
格)
「リー サ が床 を掃 い て しま った 」
格)
「リー サが 床 を掃 い て い る」
10.
a.
Liisa
ampui
karhu‐n
撃 っ た
b. Karhu
(Hane‐t)
熊 11.
a.
12.
熊(対
格)
「熊(彼)が 撃 た れ た(撃 ち 殺 され た)」
ammu‐tt‐iin.
ampui
(han‐ta). 彼(分
格)
Karhu‐a
(Han‐ta)
a.
Huomenna
he
あ す
彼 ら 行
Huomenna
men‐na‐an 行
Pekka
b.
Liisa
c.
Liisa
d.
Marja
menevat
「熊(彼)が 撃 た れ た(同 上)」
く(受
「あす 彼 らが ヘル シ ンキ へ 行 く」
Helsinki‐in.
く
ヘ ル シ ン キ(入
格)
「あ す ヘ ル シ ン キ へ 行 く」
Helsinki‐in.
動)
laulaa
(laulu‐n).
歌 う
歌(対
「ペ ッ カ が(歌 を)歌 う 」
格)
laula‐tta‐a
「リー サ が ペ ッ カ に 歌 わ せ る 」
Pekka‐a. 役)ペ
laula‐tta‐a
ッ カ(分
格)
(Peka‐lla)
歌 わ せ る(使
ッ カ に)歌 を 歌 わ せ る 」
格)
(Liisa‐lla)
役)
「リー サ が(ペ
laulu‐n.
ペ ッ カ(接 laula‐to‐tta‐a
antoi
た,あ るい は 傷 が 致命 的 で な か った)」
格)
ammu‐tt‐iin.
歌 わ せ る(使
14. a. Liisa
「リー サ が熊(彼)を 撃 った(命 中 しな か っ
karhu‐a 熊(分
b.
13.a.
彼(対
彼(対 格) 撃 た れ た(受 動)
Liisa
b.
「リーサ が 熊(彼)を 撃 っ た(撃 ち 殺 した)」
(hane‐t).
格)
リ ー サ(接
Peka‐n
「マ リヤ が(リ ー サ を 通 じ て)ペ
Pekka‐a.
ッカ に歌 わ
せ る」
格)
laula‐a.
「リー サ が ペ ッ カ に 歌 わ せ た 」
与 え た ペ ッカ(属 格) 歌 う(不 定 詞) b. Liisa
sai
Peka‐n
c.
Liisa
pani
Peka‐n
置 い た
15. a. Lauku‐ssa
on
b.
16.
Lauku‐ssa
a.
Liisa‐lla
b.
Liisa‐lla
「リ ー サ が ペ ッ カ に 歌 わ せ た 」
格)
kirja
「か ば ん の中 に 本 が あ る 」
(kirjo‐ja).
る 本(単 主 格) 本(複 分 格) ei ole
kirja‐a
な い
本(単
on
リ ー サ(接
定 詞 ・入 格)
laula‐ma‐an.
ペ ッ カ(対
か ば ん(内 格)あ
「リー サが ペ ッカ に 歌わ せ た 」
laula‐ma‐an.
得 た ペ ッ カ(対 格) 歌 う(第3不
kirja
「か ば ん の中 に本 は な い 」
(kirjo‐ja).
分 格)
「リー サ は 本 を も っ て い る 」
(kirjo‐ja).
格) ei
17. a. Kahvila‐an
ole
kirja‐a
tuli
tytto
「リー サ は 本 を も っ て い な い 」
(kirjo‐ja).
「喫茶 店 へ少 女(た ち)が や っ て来 た」
(tytto‐ja).
喫 茶 店(入 格) 来 た 少 女(単 主 格) 少 女(複 分 格) b.
Kahvila‐an
a.
Kirja
ei
tullut
tytto‐a
来 な か っ た 18.
on
b. Kirja‐t
(ei
ole)
ovat
19.
a.
Tytto
tuli
b.Tyto‐t
(ei
少 女(単
分 格)
「本 はか ばん の 中 に あ る(な い)」
lauku‐ssa.
(eivat
本(複 主 格) あ る(複)
「喫茶 店 へ少 女(た ち)が 来 な か っ た」
(tytto‐ja).
ole)
「本(複 数)は か ば ん の 中 に あ る(な い)」
lauku‐ssa.
な い(複)
tullut)
tulivat
(eivat
「少女 は 喫茶 店 へ 来 た(来 な か った)」
kahvila‐an.
tulleet) kahvila‐an.
「少女 た ちは 喫 茶店 へ 来 た(来 な か った)」
少 女(複 主 格) 来 た(複) 来 な か っ た(複)
1)普
通 文 の 主 語 は,常
19)が,存
格(15a,16a,17a),否 17b)で 2)普
に 主 格 で 表 示 され る(18,
在 文 の 主 語 は,肯
定 文 で 主 格 また は 分
くつ か 欠い て い るほ か,格 表 示 の 点 で,他 動 詞 文(と
通 文 の 動 詞 は,人
称,数
に お い て 主 語 と一 致
在 文 の 動 詞 は,常
に3人
称単
数 形 で あ る(15,16,17). 3)普
在 文 の主 語 は,動 詞 の 後 ろ に お かれ る
の が普 通 で あ る(15,16,17). この よ うに,存 在 文 の主 語 は,主 語 と して の特 性 をい
定 文 で は 分 格(15b,16b,
表 示 さ れ る.
す る(18,19)が,存
19)が,存
通 文 の 主 語 は,普 通,動 詞 の 前 に お か れ る(18,
りわ け,単 数 の 対格 目的 語 を 主 格 で 表 示 す る構 文)の 目的 語 に 準 じた 扱 い を うけ る とい う特 徴 を もつ. [方
言] フ ィ ンラ ン ド語 の話 さ れ てい る地 域 は,
フ ィン ラ ン ド共和 国 の領 土 とほ ぼ 一 致 す る.た だ し,
オ ー ラ ン ド(Aland,フ 島 と そ の 周 辺 の 島 々,お
よ び,フ
ス ニ ア 湾(Pohjanlahti,ス viken)岸 り,こ
地 方 は,ス
お よ び,同
an
ィ ン ラ ン ド語 と ス ウ ェ ー デ ン 語 の 併 お,ソ
連 領 内 の,ラ
ィ ン ラ ン ド語 名Laatokka)湖
大 戦 前 ま で,か
pohjoispohjalaiset
ソ 連 領 に な っ た の に 伴 い,ほ 土 へ 移 住 し た.フ 国 境 地 帯 に は,サ
に,こ
ー ミ語(ラ
れ らの 地 域 が
と ん ど が フ ィ ン ラ ン ド本
ィ ン ラ ン ド北 部 の,ノ
ル ウ ェー との
ボ 方 言(savolaismurteet)
7)南
東 方 言(kaakkoismurteet)
東 西 の 諸 方 言 の 間 に は,次 の よ う な 違 い が み ら れ る(表 11). 1)母
く西 部 諸 方 言(lanaimurteet)と
音 間 の ‐t‐の 弱 階 程(フ
イ ン 祖 語〓[〓];共
通
語 ‐d‐)が,東 部 諸 方 言 で 一 般 に 消 失 して い る の に
ッ プ 語)を 母 語 と す る サ ー
対 し,西 部 諸 方 言 で は 何 ら か の 形 で 保 た れ て い る.
フ ィ ン ラ ン ド語 の 方 言 区 分 で は,普 通,7つ
teet)に2分
murteet)
6)サ
ッ プ 人)が 住 ん で い る.
域 が た て ら れ て い る(図1).こ
murteet)
北 方 言(Perapohjolan
東部諸方言
な りの数 の フ ィ ン ラ ン ド
語 系 住 民 が 住 ん で い た が,1944年
・中 部 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言(keski‐ja
5)極
ドガ
の 北 岸,
murre)
4)北
部の フ ィ ン ラ ン
湖 と フ ィ ン ラ ン ド湾 に は さ ま れ た 地 峡 地 帯
に は,第2次
ミ人(ラ
オ ス トロ ボ ス ニ ア 方 言(Etela‐Pohjanma
ウ ェー デ ン語 単 用 地域 とな っ て お
用 地 域 で あ る(図1).な (Ladoga,フ
メ 方 言(hamalaismurteet)
3)南
ィ ンラ ン ド中部 の ボ
よ び,南
西 方 言(lounaismurteet)
2)ハ
ウ ェ ー デ ン語 名Bottniska
れ ら の 地 域 の 周 辺,お
ド湾 岸 地 方 は,フ
1)南
ィ ン ラ ン ド語 名Ahvenanmaa)
の方言区
れ ら の 諸 方 言 は,大
2)共
般 に,‐ht‐,‐ss‐
は ‐tt‐,‐〓‐[〓]等
東 部 諸 方 言(itamur
され る.
通 語 の ‐ts‐(フ イ ン 祖 語
言 で は,一
き
3)‐lke‐
西部諸方言
子 音(フ
‐ts‐)が,東 部 諸 方 等 で,西
部諸方言で
で現 わ れ る.
ま た は ‐rke‐ の,‐k‐
の弱 階 程 を 表わ す
ィ ン祖 語*‐〓 ‐[〓];共
通 語 手‐j‐)が,東
部 諸 方 言 で 一 般 に 消 失,西
部諸方言では
‐j‐で 現
わ れ る.
<図1>フ
ィ ン ラ ン ド語 の 方 言 区 画
4)西
部 諸 方 言 で,一
‐aa‐,‐aa‐)で
般 に,‐aa‐,‐aa‐(共
あ る の に 対 し,東
通語
部 諸 方 言 で は,
‐oa‐,‐ua‐;‐ea‐,‐ia‐ と二 重 母 音 化 し て い る. 5)東
部 諸 方 言 で,一
般 に,‐uo‐,‐yo‐,‐ie‐(共
語 ‐uo‐,‐yo‐,‐ie‐)で あ る の に 対 し,西 で は,一
通
部諸方言
般 に,‐ua.,‐ya‐,‐ia‐,‐ia‐
の よ う に,
二 重 母 音 の 後 半 の 弛 緩 化 が 起 こ っ て い る. 6)語
幹 が1音
尾 が,東
節 の 動 詞 の,3人
部 諸 方 言 で は,一
祖 語*‐pi)で
般 に,‐p(i)(フ
あ る の に 対 し,西
(共 通 語 も ゼ ロ)で 7)内
部 諸 方 言 で は,一
‐ssa(共 通 語 ‐ssa/‐ssa)で は ‐sa/‐saで
ィン
部 諸 方 言 で はゼ ロ
あ る.
格 の 語 尾 が,東
8)東
称単数現在形の語
般 に,‐ssa/
あ る が,西
部諸方言で
あ る.
部 諸 方 言 と 西 部 諸 方 言 の 間 に は,語
彙 的 な違
い が あ る(共 通 語 形 に 下 線). 共 通 語(yleiskieli)は,さ り 込 ん で い る た め,現
ま ざま な方 言 の 要 素 を と
在 で は,ど
れ か特 定 の 方 言 に基
づ い て い る とは 言 う こ とが で きな くな って い る. 最 近 は,マ
ス コ ミな ど を 通 し て,首
と ば が,し
都 ヘ ル シンキ の 話 し こ
だ い に 全 国 に 浸 透 しつ つ あ る. ヘ ル シ ン キ
の 話 し こ と ば を 共 通 語 と 比 較 す る と,た
と え ば,次
の
よ う な 違 い が 観 察 さ れ る(表12). 1)語 2)第2音
末 の 母 音 や 子 音 が,し
ば し ば 消 失 し て い る.
節 以 降 の 二 重 母 音 ‐ai‐,‐oi‐ な ど が,‐a‐,
‐o‐な ど と な っ て い る.
<表11>東
西 の方言の比 較
共通語
西
部
東
部
1)
pata:padan
「深 な べ 」
paran,palan,〓,padan
paan
2)
metsa
「森 」
metta,me〓a
mehta,messa
3)
kulke‐:kuljen
「歩
く 」
kulke‐:kuljen
kulke‐:kulen
kurke‐:kurjen
「ツ ル 」
kurke‐:kurjen
kurke‐:kuren
4)
maa,paa
「土 地 」 「頭 」
maa,paa
moa,pea;mua,pia
5)
tuo,tyo
「あ れ 」 「仕 事 」
tua,tya
tuo,tyo
mies,miekka
「男 」 「剣 」
mias,miakka
mies,miekka
saa
「∼
saa
soap(i),suap(i)
6)
juo
し て よ い 」
「飲 む 」 kylassa
jua
「 こ の 村 で 」
juop(i)
7)
tassa
tasa
8)
「夕 方 」
ehtoo
「夏 」
suvi
kesa
「小 麦 」
nisu
vehna
puhua
haasta
vihta
vasta
「話 す 」 「葉 ぼ う き(サ
ウ ナ 用)」
kylasa
tassa
「雄 牛 」
sonni,mulli
harks
「∼ す る 気 に な ら な い 」
en
en
3)‐ea,‐eaが,‐eeと 4)代
viitsi
な っ て い る.
名 詞 や 数 詞 の 語 形 が,短
8)動
く な っ た り,変
わっ
く使 わ れ る い く つ か の 動 詞 の 語 幹 が,1音
節
た り し て い る. 5)よ
称 の 代 名 詞,お
よ び,動
詞 の 変化 形 が異 な
っ て い る.
史]
通 語 とヘ ル シ ンキ 方 言 の比 較
共 通 語 1)yksi puhunut 2)punainen semmoinen 3)kauhea tarkea 4)mina minun
れ ら4つ
古 方 言 に 対 応 す る の が,ス オ ミ(suomi),ハ
メ(hame),
ヘ ル シ ンキ方 言
5)minaolen tulet
6)kirjani「
8)me
tulevat
メ 方 言,サ
「赤 い 」
punanen
サ ボ 地 方(Savo),カ
「重 要 な 」
tarkee
「私 」
ma
「私 の 」
mun
oon
「あ な た が 来 る 」 sa
tuut
mun
ボ 人(savolainen),カ
ウ ェ ー デ ン 語 名Abo)を
kirja
も つ の は,そ
フィ
メ 地 方(Hame), メ人 レ リア 人
対 立 す る こ と ば で あ っ た,ト
が,Varsinais‐Suomi「
「私 は ∼ で あ る 」 ma
来 は,ハ
レ リ ア 地 方(Karjala)や,ハ
(hamalainen),サ
(Turku,ス
ィン
フ ィ ン ラ ン ド語 」,suomalainen「
(karjalainen)に
「25」 kakskytviis
に
フ ィン ラ ン
ド」,suomi「
kauhee
在
東 方 言(俗
ラ ン ド全 体 に つ い て 用 い ら れ るSuomi「
ン ラ ン ド人 」 と い う語 は,本
「ひ ど い 」
ボ 方 言,南
日,フ
puhunu
「そ の よ う な 」 semmonen
れ ぞ れ,現
の
言 う 「カ レ リ ア 方 言 」)の 基 盤 と な っ た.今
「話 し た 」
ゥル ク
中 心 とす る地 方
本 来 の ス オ ミ」 と い う 旧 称 を
の 名 残 り で あ る.フ
ィ ン ラ ン ド南 西 部 の
ご く狭 い 地 域 に 関 し て 用 い ら れ た こ と ば が,フ
ィンラ
ン ド全 域 を さす こ と ば と し て 用 い ら れ る よ う に な っ た の は,ス
ウ ェー デ ン との か か わ りの 強 か っ た フ ィ ンラ
「彼 が 来 る 」
se
tulee
ン ド の 政 治 的,宗
「彼 ら が 来 る 」
ne
tulee
オ ミ地 方 」 の 中 心 ト ゥル ク に お か れ て い た と い う歴 史
puhumme
me
puhutaan
「私 た ち は 話 す 」 puhukaamme
西 方 言,ハ
yks
私 の 本 」 tulee
レ リア(karjala)で,そ
「1」
kaksikymmentaviisi
he
期 フ ィ
Proto‐Finnic)
の 古 方 言 が 関 与 し た と 考 え ら れ て い る.こ
サ ボ(savo),カ
<表12>共
7)han
動 形 が用 い
フ ィ ン ラ ン ド 語 の 成 立 に は,後
ン 祖 語(myohaiskantasuomi,Late
の,南
sina
称 複 数 形 の 代 わ り に,受
が 統 一 性 を 失 っ て 分 裂 し て い く過 程 で 成 立 し た,4つ
有 接 尾 辞 が 用 い ら れ な い 傾 向 が あ る.
7)3人
詞 の1人
kehtaa
ら れ る. [歴
化 し て い る. 6)所
kylassa
ilta
教 的 な 中 心 が,長
的 事 情 に よ る も の で あ る. フ ィ ン ラ ン ド語 の 歴 史 は,文
puhutaan 「さ あ 話 し ま し ょ う」
期 に わ た り,「 ス
に し て,普 第1期
通,4つ は,文
語 の 成 立 と発 達 を 基 準
の時 期 に分 け られ る.
語 が 成 立 す る1540年
代 以 前 の 時 代 で,
る,フ
<図2>ア
グ リ コ ラ 『ABCの 本 』の タイ トル ペー ジ
ィ ン ラ ン ド西 部 の 諸 方 言 に 基 づ い た も の で あ っ
た. フ ィ ン ラ ン ド語 の 文 語 の 確 立 に 決 定 的 な 役 割 を 果 た し た の は,1642年 (Biblia,se
に完 成 した 聖 書 の 翻 訳 で あ る
on:Coco
Pyha
こ の 聖 書 訳 は,1776年 後,1930年
Ramattu,Suomexi).
に 大 幅 な 改 訂 を う け る が,以
代 に新 訳 が 完 成 す る まで 用 い られ た .
最 初 の フ ィ ン ラ ン ド語 文 法(EskilPetraeus,Lin guae
finnicae
1649年
brevis
institutio)が
出 さ れ た の は,
で あ る. ス ウ ェ ー デ ン語 と ラ テ ン語 を 併 記 した
語 彙 集(Henrik
Florinus,Nomenclatura
brevissima
rerum
latino‐sveo‐finnonica,1678;Daniel
Juslenius,Suomalaisen 1745)が,古
Sana‐Lugun
Coetus,
期 文 語 の 時 代 に 出 さ れ て い る.
第3期(1820年
か ら1870年
ご ろ ま で)は,初
期現代
フ ィ ン ラ ン ド語(varhaisnykysuomi,Fruhneufin nisch)の
時 代 と よ ば れ る.こ
ラ ン ド語 の 文 語 は,教 な り,教
の 時 代 に な る と,フ
ィン
会 関 係 者 た ち の専 有 物 で は な く
会 に 直 接 関 与 し な い 場 面 で も用 い ら れ る よ う
に な っ た. 使 用 範 囲 の 拡 大 に 伴 っ て,当
時 の フ ィ ン ラ ン ド語 文
語 の 欠 陥 も は っ き り と 意 識 さ れ は じ め た.当 て い た 書 き こ と ば は,西 た め に,東 っ て,あ
時使われ
部 諸方 言 に 依 拠 しす ぎて い る
部 のサ ボ 地 方 や カ レ リア 地 方 の 出 身 者 に と ま り使 い 勝 手 の よ い も の で は な か っ た し,主
と し て,宗
教 的用 途 に用 い られ て き た言 語 形 態 で あ っ
た た め に,語 彙 や 表 現 に,ス ウ ェ ー デ ン語 や ラ テ ン語 の 影 響 が 強 く み ら れ,フ 古 文 書 な ど に 残 っ て い る フ ィ ン ラ ン ド語 の 固 有 名 詞 な ど を 除 く と,文
献 資 料 の ま っ た く残 っ て い な い 時 期 で
あ る. フ ィ ン ラ ン ド語 で は,後 降,あ
期 フ ィ ン 祖語 の時 代 以
ま り大 き な 音 変 化 が 起 こ っ て い な い こ と が,方
言 間 の 比 較 や,他
の バ ル ト ・フ ィ ン 諸 語 と の 比 較 か ら
明 らか に さ れ て い る. 第2期
は,古
nisch)の
期 文 語(vanha
kirjasuomi,Altfin 代 か ら1820年
刷 さ れ た と推 定 さ れ る ア グ リ コ ラ(Mikael
2).ア 1548年
『ABCの
に印
Agricola,
本 』(Abckiria)で
あ る(図
グ リ コ ラ の 筆 に な る も の で 印 刷 さ れ た も の は, の 『新 約 聖 書 』 の フ ィ ン ラ ン ド語 訳(Se
Testamenti)を
含 め て,約2,400ペ
ン ド語 の 写 本,手
稿 も,比
ィンラ
較 的 多 く現 存 し て い る . こ
記 法 が,ラ
テ ン 語,ス
ウ ェー デ ン
語,ド
イ ツ 語 の 正 書 法 の 影 響 を う け て お り,ま
韻,形
態,統
語,語
Wsi
ー ジ に も の ぼ る.
ア グ リ コ ラ と 同 時 代 の ほ か の 聖 職 者 に よ る,フ
の 時 期 の 文 語 は,表
ィ ン ラ ン ド語 は,1820年
彙 の い ず れ の 点 で も,当
ご ろ か ら1840
年 代 ま で,「 方 言 間 の 抗 争(murteiden よ ば れ る,百
taistelu)」
に な る . こ の 結 果,音
韻,形
態 の 面 で は,ひ
た,音
時 の 政 治,
文 化 の 中 心 ト ゥ ル ク の あ っ た 南 西 方 言 地 域 を 中 心 とす
が て,今
き 続 き西
彙 や 表 現 の 面 で は,
折 衷 と も言 え る 言 語 形 態 が で き あ が っ た.そ 上 に,や
と
花繚 乱 の言 語 改 革 の 時 期 を体 験 す る こ と
東 部 諸 方 言 の 要 素 を 大 幅 に と り 込 ん だ,東 ごろま
古 の フ ィ ン ラ ン ド語 の 本 は,1543年
c.1510∼57)の
こ う し て,フ
部 諸 方 言 の 特 徴 を 保 持 し つ つ,語
時 代 と よ ば れ,1540年
で を さ す.最
ィ ン ラ ン ド語 と し て は 不 自然 な
点 が 多 か っ た.
西両方言の の基盤の
日 の 共 通 語 が 成 立 す る の で あ る.
こ の 方 言 間 抗 争 の 過 程 で 決 定 的 な 役 割 を 果 た し た 人 物 が,リ た.リ
ョ ン ル ー ト(Elias
Lonnrot,1802∼84)で
あっ
に 設 立 され た
「フ ィ ン ラ
ョ ン ル ー トは,1831年
ン ド文 学 協 会(Suomalaisen の 援 助 の も と に,カ
Kirjallisuuden
収 集 し た 口 承 文 学 を 編 集 し て,叙 (Kalevala,1835,1849)と だ.東
Seura)」
レ リ ア を 中 心 とす る地 域 を 旅 行 し, 事 詩
し て 出 版 し,反
部 諸 方 言 の 語 彙 や 表 現 は,フ
『カ レ ワ ラ 』 響 を よ ん
ィ ン ラ ン ド語 の 最
初 の 文 学 作 品 『カ レ ワ ラ 』 を通 じ て,共 通 語 に と り入 れ ら れ た と言 っ て よ い.ま
た,リ
ョ ン ル ー トが 晩 年 に 著
した 『フ ィ ン ラ ン ド語 一ス ウ ェ ー デ ン語 辞 典 』(Suomalais
Ruotsalainen
Sanakirja,1867‐80)は,『
フ ィ ン ラ ン ド 語 辞 典 』(Nykysuomen 1951‐61)が
出 さ れ る ま で,最
現代
sanakirja,
『ク レ ル ボ 』(Kul
は じ め とす る 数 々 の 戯 曲 や,小 veljesta,1870)を
Kivi,1834∼72)で
1863年
に は,ロ
説
1917年
に,フ
ド語 は,ス
ウ ェ ー デ ン 語 と と も に フ ィ ン ラ ン ドの 公 用 が て,フ
著 した キ ビ
が 厚 く な り,ス
ウ ェ ー デ ン語 系 知 識 人 と の 勢 力 関 係 が
が 出 さ れ,フ
ィ ン ラ ン ド語
達 』(Lauri ja
Hakulinen,Suomen
kehitys,Ⅰ
‐1941,Ⅱ
ラ ン ド語 文 法 』(Aarni 1957),『
言 語 が 法 的 に 完 全 に 対 等 に な る の は,フ
ィ
sanakirja,1951‐61),『
の 使 用 が 義 務 づ け ら れ る1902年
(Suomen
の こ と で あ る.
在 ま で)は,現
ド語(nykysuomi,Neufinnisch)の
代 フ ィ ンラ ン
時 代 と よ ば れ る.
高 等 教 育 を は じ め とす る社 会 の あ らゆ る分 野 で機 能 し て い る 言 語 を 文 化 言 語 と よ ぶ と す れ ば,フ の こ ろ か ら,文
ィ ンラ ン ド
化 言 語 と して の 道
を 歩 み は じ め た と 言 っ て よ い.1876年
に は,「 母 語 協 会
(Kotikielen
ィ ン ラ ン ド語 の
Seura)」
が 設 立 さ れ,フ
「洗 練(kielenviljely)」
と 「整 備(kielenhuolto)」,お
よ び,フ
ィ ン ラ ン ド語 の 研 究 者 の 養 成 に 力 が 入 れ ら れ
る.19世
紀 末 に,セ
∼1935)が
著 した
kielen
『フ ィ ン ラ ン ド 語 文 論 』(Suomen 『フ ィ ン ラ ン ド語 文 法 』
kielen
話 の変 遷
ど の 出 版 は,フ
sanakirja,1955‐
ィ ン ラ ン ド語 研 究 が,フ
し て き た こ と を 物 語 っ て い る(表13を [語
彙]
lehetit
seusist
ia
miaisit
henen
henen
tygens
Herodesen
mwtamat
paluelioist/etta
Phari he
sol
Sanasa.
派 生語 や 複 合 語 を 除 い た フ ィ ンラ ン ド
語 の 語 彙 の う ち で,借
用 語(外 来 語)は,約20%と
考 え
られ て い る . 借 用 語 の う ち で も っ と も 古 い も の は,す で に フ ィ ン ・ ウ ゴ ル 祖 語 の 時 代(紀
元 前4000年
ド ・ヨ ー ロ ッパ 語(イ
ン ド ・イ ラ ン 語 派)か
は,前
ご ろ ま で)に,イ
ら借 用 され
期 フ ィ ン 祖 語(varhaiskantasuomi)の
元 前1500∼
前1000年
ン
に古い借用語のグループ
ご ろ)に,バ
時 代(紀
ル ト諸 語 か ら入 っ
紀 元0年
た,後 ご ろ)に
期 フ ィ ン祖 は,多
数 の
の 後 も,ス
ラ ブ 語(主
語 か ら,多
数 の語 彙 が フ ィ ン ラ ン ド語 に 入 っ て い る
(表14を
と し て ロ シ ア 語),ス
ウ ェー デ ン
参 照).
フ ィ ン ラ ン ド語 の 語 彙 の 中 で,少
1642年 Ja
参 照).
語 が ゲ ル マ ン語 か ら 借 用 さ れ た と 考 え ら れ て い る.そ
1548年(Agricola) he
ィンラ
ン ド語 が 文 化 言 語 と し て 成 熟 す る の と あ い ま っ て 進 展
語 の 時 代(紀 元 前1000∼
『新 約 聖 書 』 「マ ル コ ス に よ る 福 音 」12:13
Ja
kielioppi,
フ ィ ン ラ ン ド語 語 源 辞 典 』 etymologinen
た と考 え ら れ て い る も の で あ る.ま
<表13>文
rakenne
ン テ ィ ラ の 『フ ィ ン
Penttila,Suomen
た と 考 え ら れ る 語 で あ る.次
タ ラ(EemilNestorSetala,1864
lauseoppi,1880)と
81)な
kielen
‐1946),ペ
現 代 フ ィ ン ラ ン ド語 辞 典 』(Nykysuomen
ン ラ ン ド語 系 住 民 の 住 む 地 域 の 役 人 に フ ィ ン ラ ン ド語
うや く,こ
ィ ン ラ ン ド語 系 の 知 識 人 の 層
逆 転 す る . ハ ク リ ネ ン の 『フ ィ ン ラ ン ド語 の 構 造 と発 に よ り
れ た が,両
語 は,よ
ィンラン
語 と な っ た.や
あ る.
以 降,現
の 本 は,
ィ ン ラ ン ドが 独 立 す る と,フ
に ス ウ ェ ー デ ン語 と 対 等 の 地 位 を 与 え る こ と が 宣 言 さ
第4期(1870年
の2つ
限 り な い 改 訂 の 手 が 加 え ら れ た も の の,現
『七
シ ア 皇 帝 ア レ ク サ ン ドル2世
「言 語 布 告(kieliasetus)」
そ の 後,数
文 学 の 創 始 者 と され る の
は,『 カ レ ワ ラ 』 に 題 材 を と っ た
(Aleksis
行 のフィンラン ド
在 で も 価 値 を 失 っ て い な い.
フ ィ ン ラ ン ド語 の 小 説,劇
人 兄 弟 』(Seitseman
kielioppi,1898)は,現
語 の 標 準 文 法 の 枠 組 み を つ く っ た.こ
大 の フ ィ ン ラ ン ド語 の 辞
書 と し て の 地 位 を 保 っ た.
lervo,1864)を
(Suomen
な くともフィン ・
ウ ゴル祖 語 の時 代 にま で 遡 る こ と の で き る も の の う
he
lahetit
seuxist
hanen
ja
tygons
muutamat
Herodianeist/solmezan
Phari
ち,主
な 語 を 表15に
あ げ る.
handa
[辞 sa noisa.
書]
Nykysuomen
sanakirja(Werner
Soderstrom,
1776年
Helsinki,1951‐61)― Ja
he
lahetit
Phariseuxista handa
hanen ja
tygonsa
muutamat
し て は 唯 一 の も の.見
Herodianeista,solmemaan
変 化 語 に つ い て,活
sanoisa.
he
出 し語 数 約20万
語.す
べての
用 の タ イ プ が指 示 され て い る .
Hurme,R.,Malin,R.‐L.andO.Syvaoja
1938年 Ja
フ ィ ン ラ ン ドの 国 語 辞 典 と
lahettivat
fariseuksia
ja
hanen
luoksensa
herodilaisia
kietomaan
muutamia hanta
sanoilla. 「さ て 人 々 は,イ う と し て,フ
(1984),Uusisuomi‐englanti Finnish‐English
suursanakirja/
General
Soderstrom,Helsinki)―
Dictionary(Werner
エ ス ス の 言 葉
じ り を と ら え て 陥 れ よ
ァ リサ イ 派 や ヘ ロ デ ス 派 の 人 を 数 人 イ
エ ス ス の と こ ろ に 遣 わ し た 」(共
同 訳)
フ ィ ン ラ ン ド語‐英 語
辞 典 と し て は も っ と も 大 き く,見
出 し 語 数 約16万
語. Hurme,Raija
and
Maritta
Pesonen(1973,
<表14>フ
ィ ン ラ ン ド語 の 語 彙 の 中 の 借 用 語
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語(イ
ン ド ・イ ラ ン語 派)か
jyva「(穀 物 の)粒 」,orpo「 sata「100」,vasara「 槌」
ら(フ ィ ン ・ウ ゴ ル 祖 語 時 代):
孤 児 」,mehilainen「
ミツ バ チ 」,sarvi「(動
物 の)角 」,porsas「
豚 」,
バ ル ト諸 語 か ら(前 期 フ ィ ン 祖 語 時 代): hammas「 歯 」,heina「 干 草 」,herne「 エ ン ド ウ 豆 」,hirvi「 ヘ ラ ジ カ 」,lohi「 seina「 壁 」,silta「 橋 」,tuhat「1,000」,tytar「 娘 」,villa「 羊 毛 」
サ ケ 」,meri「
海 」,
ゲ ル マ ン語 か ら(後 期 フ ィ ン 祖 語 時 代): hame「 ス カ ー ト」,ja「 と(接 続 詞)」,juusto「 チ ー ズ 」,kaunis「 美 し い 」,kauppa「 商 業,商 店 」, kello「 鐘,時 計 」,kulta「 金 」,kuningas「 王 」 lammas「 ヒ ツ ジ」,leipa「 パ ン 」,naula「 く ぎ 」, neula「
針 」,pelto「
畑 」,raaka「
ruis 「ラ イ 麦 」,sairas「
生 の 」,rauta「
病 気 の 」,sama「
鉄 」,rengas「
同 じ 」,viikko「
輪 」,rikas「
週 」,aiti「
富 裕 な 」,
母親 」
ス ラ ブ 語 か ら(比 較 的 新 し い ロ シ ア 語 か ら の も の も 含 む): ikkuna「
窓 」,lusikka「
ス プ ー ン」,raamattu「
聖 書 」,risti「
十 字 」,tavara「
品 物 」,
vapaa「 自 由 な 」,laatia「 作 成 す る 」,leima「 ス タ ン プ 」,siisti「 清 潔 な 」,viesti「 ス ウ ェ ー デ ン語 か ら(ま た は ス ウ ェ ー デ ン語 経 由 で フ ィ ン ラ ン ド語 に 借 用 さ れ た も の): housut「
ズ ボ ン 」,hylly「
sakset「 vaaka「 vari「
棚 」,kampa「
は さ み 」,sanky「 は か り」,herra「 色 」,tasku「
taulu「
ポ ケ ッ ト」,kartta「
絵,表 」,tusina「1ダ
<表15>フ
人 体 に 関 す る も の:paa「 sydan「
地 図 」,koulu「
ー ス 」,viina「
父 親 」,poika「 頭 」,silma「
心 臓 」,maksa「
動 植 物 に 関 す る も の:puu「
学 校 」,peili「
酒 」,oljy「
マ ル カ(貨 幣 単 位)」, 腰 掛 」,uuni「 隣 人 」,rouva「
鏡 」,peruna「
か ま ど 」, 婦 人 」,
ジ ャ ガ イ モ 」,
油」
代 名 詞:mina「
息 子,少 年 」,neiti「
目 」,kieli「
骨 」,veri「
群 衆 」,nimi「
口 」,kasi「
名前」
手 」,jalka「
足 」,
血」
シ ラ カ バ 」,kuusi「
卵 」,voi「
私 」,sina「
乙 女 」,vaki「
舌,言 語 」,suu「
肝 臓 」,luu「
木 」,koivu「
lintu「 鳥 」,muna「
ト ウ ヒ,モ ミ」,sieni「
キ ノ コ 」,kala「
魚 」,
バ ター 」
あ な た 」,han「
彼,彼 女 」,me「
私 た ち 」,te「
he「
彼 ら,彼 女 ら 」,tama「
こ れ 」,tuo「
あ れ 」,se「
そ れ 」,nama「
ne「
そ れ ら」,ken∼kuka「
誰 」,mika「
何 」,muu「
他 の」
あ な た た ち 」, これ ら 」,nuo「
あ れ ら」,
詞:yksi「1」,kaksi「2」,kolme「3」,nelja「4」,viisi「5」,kuusi「6」
自 然 に 関 す る も の:syksy「 metsa「
秋 」,talvi「
森 」,kivi「
suksi「
ス キ ー 」,uusi「
動
antaa「
与 え る 」,elaa「
詞:
聞 く」,lukea「 置 く」,pelata「
読 む 」,menna「
も っ て く る 」,uida「
suursana
kirja/English‐Finnish
General
kielen
Modern
Standard
Kirjallisuuden sanakirjaに
Dictionary Finnish(Suomalaisen
ら れ た,フ
飲 む 」,kulkea「
歩 く」,kuolla「 見 る 」,olla「
手 に もつ 」,syoda「 泳 ぐ」,vieda「
火」 「後 」
死 ぬ 」,
あ る,い
食 べ る 」,tehda「
る 」, 作 る 」,
も っ て い く」
H.Sulkala
(Werner of
(1979),Suomen Frequency
Suomen ィ ン ラ ン
kielen Dictionary
Soderstrom,Helsinki)―1960年
kielen
(Suomalais‐ugrilainen
taajuus of
Finnish 代
の 書 き こ と ば 資 料 を も と に 作 ら れ た,フ 語 の 頻 度 辞 典.収
Seura,Helsinki)―Nykysuo 基 づ い て 作
「前 」,taka‐
sanasto/A
と し て は も っ と も 大 き い も の.
kaanteissanakirja/Reverse
「上 」,esi‐ ∼ete‐
Saukkonen,P.,Haipus,M.,Niemikorpi,A.and
英 語 ‐フ ィ
Tuomi,Tuomo(ed.)(1972,19802),Suomen
大 地 」,
雪 」,tuli「
ド 語 の 逆 引 き 辞 典.
Dictionary
Soderstrom,Helsinki)―
川 」,maa「
氷 」,lumi「
行 く」,nahda「
恐 れ る 」,pitaa「
19762),Englantilais‐suomalainen
夜 」,joki「
水 」,jaa「
「下 」,yla‐
生 き る 」,juoda「
panna「
ン ラ ン ド語 辞 典
月 」,yo「
空 気 」,vesi「
新 し い 」,ala‐
kuulla「
tulla「 来 る 」,tuoda「
(Werner
冬 」,kuu「
石 」,ilma「
そ の 他:
men
医 者 」,markka「
上 着 」,tunti「1時 間 」,tuoli「 箱 」,lasi「 ガ ラ ス 」,naapuri「
ィ ン ラ ン ド語 の 語 彙(少 な く と も フ ィ ン ・ウ ゴ ル 祖 語 に ま で 起 源 を た ど る こ と の で き る も の)
親 族 等 に 関 す る も の:isa「
数
櫛 」,laakari「
ベ ッ ド」,takki「 紳 士 」,laatikko「
通信」
ィ ン ラ ン ド
録 語 数 約12,500語. etymologinen
sanakirja Seura,1955‐81)―
Ⅰ‐Ⅷ ウ
ラ ル 比 較 言 語 学 の 成 果 に 依 拠 し て 編 集 さ れ た,フ
ィ
ン ラ ン ド語 の 語 彙 の 語 源 辞 典.
フ ェ ー ロ ー 諸 島(Faeroes)で の1方
[参 考 文 献] Fromm,Hans(1982),Finnische (Carl
Grammatik
Hakulinen,Auli
Fred
Karlsson(1979),Ny
が,独
Kirjalli
Seura,Helsinki)
自 の 議 会 を も ち,地
在,デ
ンマ ー ク領 で あ る
域 内 の 自治 が 認 め られて い
る.
Hakulinen,Lauri(1941,1946;19612;19683;19794), kielen
どの島
イ ス ラ ン ド と ス コ ッ トラ ン ド を 結
ぶ 海 嶺 上 に 位 置 し て い る.現
lauseoppia(Suomalaisen
Suomen
話 さ れ て い る ノ ル ド語
音,[〓]).
か ら な る 群 島 で,ア
and
kysuomen
言(発
フ ェ ー ロ ー 諸 島 は,北 大 西 洋 上 に 浮 か ぶ18ほ
Winter,Heidelberg)
suuden
フ ェ ー ロ ー 語 〓,英Faroese
人 口 は,約4万
rakenne
ja
kehitys
Ⅰ‐Ⅱ
(Torshavn),主
人 で,首
フ ェ ー ロ ー 諸 島 に は,当
(Otava,Helsinki)
都 は,ト
要 産 業 は,漁
初,ア
イル ラ ン ドのカ ト リ
ッ ク 修 道 僧 が 移 住 し て い た が,9世
―(1953,1955),〓
ウ シュハ ウ ン
業 で あ る.
紀 頃 か ら,ノ
ル ウ
ェ ー よ り の 本 格 的 な 植 民 が 行 な わ れ た. フ ェ ー ロ ー 語 は,言 ―(1957,1960),Handbuch Sprache(Otto
finnischen
Harrassowitz,Wiesbaden)
―(1961),The of the
der
Structure
Finnish
示 し て い る.し
and
か し,文
イ ス ラ ン ド語 お よ
ル ド語 の 西 部 方 言 の 特 徴 を
章 語 の 伝 統 を もた ず,か
つ,
地 域 に よ る 差 異 が 顕 著 で あ る.
Development
Language(Indiana
語 分 類 上,ア
び ノ ル ウ ェ ー 語 に 近 く,ノ
[字
University,
母]
次 の28種
を も つ.
Bloomington) Ikola,Osmo(1961),Lauseopin malaisen
kysymyksa(Suo
Kirjallisuuden
Seura,Helsinki)
― (1962),"Entwicklungszuge Ausbildung
der
Ural‐Altaische
in
finnischen Jahrbucher
―(ed.)
der
Schriftsprache", 34
(1968),Suomen
kielen
kasikirja
(Weilin+Goos,Helsinki) ―(ed.)
(1971),Nykysuomen
kasik ir ja
(Weilin+Goos,Helsinki) Itkonen,Terho
(1979),"Subject
Marking
in
system in
and
Frans
inverted
an'ideal'ergative
Object ergative
sub‐system",
Plank(ed.),Ergativity.Toward
Theory of ic
and
Finnish:An
Grammatical
a
firra,saidnaと
Relations(Academ
(1983),Finnish
Grammar
kielioppi
malaisen
―(1947),Johdatus Kirjallisuuden
murteisiin
Kirjallisuuden
Seura,Helsinki)
7[o]
開5[〓]8[〓] 上 記 の う ち,2,12,14,15,16は は長 音 で の み 存 在 す る.11は,二 わ れ る([〓]).
Soderstrom,Helsinki) 照]
部 方 言)の
音 体 系
音》
2[〓]4[e] kehitys
Vesikansa,Jouko(1978),Johdokset(Werner
[参
フ ェ ー ロ ー 語(北
系 中間
閉1[i]3[e]6[o]9[a]10[u]12[u]15[〓]
Seura,Helsinki)
Pulkkinen,Paavo(1972),Nykysuomen (Suomalaisen
体系
の と お りで あ る .
の 音 の 音 の 音 の 音 の 音 母 音
Seura,Helsinki) suomen
韻]
i‐ 系 e‐系 o‐系 a‐系u‐
kirjasuomi(Suo
Kirjallisuuden
(Suomalaisen
は,次 《母
Soderstrom,Helsinki)
Rapola,Martti(1945),Vanha
[ 音 1)音
Soderstrom,Helsinki)
Penttila,Aarni(1957,19632),Suomen (Werner
れ ぞ れ,「 前 の 」「後 の 」 の 意 味
で あ る.
Press,London)
Karlsson,Fred (Werner
は,そ
《子
『大 辞 典 』 ウ ラ ル 語 族 (松 村
一 登)
音》
破 裂 音 [p,b;t,d;k,g]
11[〓] 13[〓] 14[〓]16[Y] 短 音 で の み,4,7,13 重 母 音 の 前半 部 に現
b)短
摩 擦 音 [〓]
母音 「す べ て の 」,
破 擦 音 [〓]
「恐 れ て い る 」
半 母 音 [〓] 鼻
(ng,nkの
音 [〓]
流
音 [〓]
び[z]が
音 体 系 は 単 純 で あ る. [dz]お
よ
ヨ ハ ン,人
名)」,「
海」 「雌 牛 」
存 在 し な い こ と に 注 意 さ れ た い.
2)正
書法
フ ェ ー ロ ー 諸 島 で は,長
は 使 用 さ れ て い な か っ た.初
め て,こ
い 間,文
字
の地 域 へ 文 字 を
一 般 に,長
で あ る.彼
ェー
(短 音):「
貫 した原 則 が
leata=lata(「
(短 音)「
前 で は,短
称 代 名 詞eg[e:]「 人,男
「80」
私 」 の 与 格)
」 の 単 数 主 格)
(長 音)「
れ が,お
おむ ね
語 の[θ]は,現
め,古
ノ ル ド語 の 文 字pは
代 語 音 の[t]に
古 ノ ル ド語
「島 」
対 応 して い る た 4)子
用 い ら れ な い.
音文 字 の発 音
<〓>―
古 ノ ル ド語 で は 有 声 摩 擦 音 で あ っ た[〓]は,
前 後 の 環 境 に よ っ て,以
→ 〓[〓]'that'(比
較:現
代
文 字 の 上 で 復 活 し,〓 a)〓(お
ア イ ス ラ ン ド語〓[〓]) と え ば,ilandinum(発
「忘 れ る 」
ま
→ tu'thou'
p at
「東 」
は完 全 に失
フ ェ ー ロ ー 語
pu
「哀 れ な 」
字 〓 を 古 ノ ル ド語 よ り借
「子 音 文 字 の 発 音 」 を 参 照).
た,古
ば[w]あ
音[〓])
る い は[j]が
音 文 字 の発 音
る ほ か に,次
a)二
冠詞 と と も
発 音 す る),
「男 」
か つ て の 長 母 音a,i,o,u
代 フ ェ ー ロー 語 の 二 重 母音 に対 応 す
c)[d]と
発 音 さ れ る こ と が あ る([d][n]の
よ び,g/vの
の よ う な 点 が 注 目 さ れ る.
前,お
後 で). 「驚 か す 」 の 単 数 過
〈a/ae〉:
「毛 深 い 」
「天 候 」(た だ し,定 に,と
音 節 で,現
挿 入 さ れ る.
発 音 され る こ と が あ る .
ン マ ー シ ュハ イ ム に よる正 書 法 の特 徴 を
解 説 す る.
ば し
「導 く」
音 に よ り近 い 綴 り方 を 使 う こ と も
あ る.
消 失 す る と こ ろ で,し
「良 い 」
b)[v]と
以 下 に,ハ
下 に 示 す よ う に 変 化 し た が, と書 か れ る.
よ びg/gd)が
書 く な ど,ハ ン マ ー シ ュハ イ ム の 表 記
法 を 若 干 修 正 し,発
主婦」 「∼ も ま た 」
「天 使 」
代 フ ェ ー ロ ー 語 で は,[〓]音
わ れ て い る(下 記4の
∼ の 中 か ら」
(短 音)「
日 に 至 っ て い る.
ハ ン マ ー シ ュ ハ イ ム は,文
荒天」
(長 音)「
ノル
ェー ロー語 の語 源 を考 慮
風 な 正 書 法 を 考 案 し た.こ
受 け 入 れ ら れ て,今
怒 れ る」
(短 音)「
ヴ ァー ボ の 一 族 で あ っ たハ ンマ ー シ ュハ
イ ム(V.U.Hammershaimb,1819∼1909)は,古 ド語 の 正 書 法 に 範 を と り,フ
母 音 とな る.
「10」,「9」,
放 す 」 の 不 定 形)
meavor=〓(「
3)母
私 の」 の 中性
た だ し,[〓]の
mear=〓(人
をilandinunと
∼の中で」
単 数 主 格 ・対 格 形)
称 ま た は3人
称 単 数 現 在 形)
な お,た
「戸 の 敷
「豚 」
skeal=skal(skulu'shall'の1人
用 し た が,現
愛」
(長 音)「
り字 標 準 化 の 要 求 に 十 分 に 応 え る こ と
が で き な か っ た.
しつ つ,古
船」
居」
《ス ヴ ァ ー ボ の 綴 り方 の 例 》
次 い で,ス
音 節 で二
「少 数 の 」('few')
り字 に 表 わ そ う と し た も の で あ る
言 が 多 様 な フ ェ ー ロ ー 語 で は,一
立 て に く く,綴
重 母 音 の 綴 り字 は,開 音 節 で 短 母 音 を 表 わ す.
(長 音)「
の 正 書 法 は,ラ テ ン 文 字 の 範 囲 内 で,フ
ロ ー 語 の 発 音 を,綴
母 音,二
重 母 音 を 表 わ し,閉
導 入 し た の は,ス ヴ ァー ボ(J.Ch.Svabo,1746∼1824)
が,開
長 い」 「イ ェ グ ヴ ァ ン(=
母 音 体 系 に 比 べ,子
が,方
前 で):「
去 形1・3人
重 母 音 ・長 母 音 「男 」,「 (aの
前 で)「
地 位」
水 浴 す る」
称),「
集 落」
「首 長 」(特 例, の 単 数 過 去 形1・3人
称,
at siga'to 〈k>― き,お
say'の
単 数 過 去 形1・3人
称)
子 音 お よ び 奥 舌 母 音[a,o,u]の
よ び,語
末 に お い て,[k]と
以 外 の 母 音 お よ びjが ch[〓]の
が 用 い ら れ る.
前 にある と
発 音 さ れ る.そ
続 く と き は,英
れ
語 のchurchの
前 置 詞tilは,対 結 合 し た.こ
Akur→til
「ア ザ ラ シ」
Toftir→
語 頭 に お い て は,[g]と
た 注 を 参 照),語 通 常,発
発 音 さ れ る が(た
前 で.下
中 で は,[v]あ
だ
記 の 特 例 につ け
る い は 無 音,語
末 で は,
音 さ れ な い. 「掘 る 」
Oyrar
heim)til
古 来 の 文 法 性,す
husa 「故 郷 へ(帰 な わ ち,男
性,女
る)」(成 句)
性,中
名 詞 は,男
性,女
性,中
性 に 分 か れ,そ
幹 に よ っ て,a‐
語 幹,ja‐
音 語 幹 な ど と 称 し て い た が,フ 「日」
化 が 進 み,語
「思 考,考 日」 の 対 格;比
え」
性 は,保
存 され て い る.
は,語
「注 意 を 払 う 」
(dagur「
数)
れ ぞ れ が,
さ ら に 種 々 の 変 化 様 式 に 細 分 さ れ る.古
無音
格 と
til Tofta (複 数)
(fara
音 お よ び[a,o,u]の
くは,属
干 の 地 名 お よび 成
Fugloyar
Oyri→til
「教 会 」
―
Akra(複
Fugloy→til
「湾 」
「買 う」('not')
し,子
お,若
〓→ til 〓
「衣 服 」
「鐘 」
日,な
句 に 保 存 さ れ て い る.
音 で あ る. 「王 」
格 を 要 求 す る が,古
れ は,今
ノ ル ド語 で
語 幹,wo‐
語 幹,子
ェ ー ロ ー 語 で は,平
幹 に よ る 分 類 は,も
均
は や 意 義 を失 っ て い
る.
較:
名 詞 の 変 化 の 例 を,表1に
示 す.
「今 日 は 」) 特 例 [〓](前
舌 母 音 の 前 で)「
与
<表1>名 詞変化の例 《男 性 》 [〓]「 ボ ー ト」
え る」 注)は,お
お む ね,と
「飾 り気 の な い 」 「喜 ん で 」 は,で
「昨 日」 二重子音である
「9」 〈ll〉は,母
音 間 お よ び 語 末 で,通 「悪 い 」,「
常,
〈vd〉 〈vg〉 は,語
中,語
尾 で,そ
batar
与
格
bati
batum
属
格
bats
性 》 [〓]「
batar
(bata)
娘」
数
複
格
genta
gentur
格
gentu
gentur
れ ぞ れ,[〓]
与
格
gentu
gentum
属
格
(gentu)
(genta)
《中
性》
ェー ロー 語 で は
[〓]「 船 」 単
古 ノ ル ド語 に 保 存 さ れ て い た 名 詞 の 格
数
複
主
格
skip
skip
の言語はい
対
格
skip
skip
に述 べ た ご
与
格
ン マ ー シ ュ ハ イ ム の 綴 り字 が 古 語 を 規 範 と し
属
格
相 当 に 簡 略 化 さ れ た.綴
り字 で み る と,こ
か に も古 風 な 感 じ を 与 え る が,こ
数
対
活発
変 化 を は じ め と す る 語 の 屈 折 形 は,フ
と く,ハ
bat
主
にす る」 態]
格
切 る」
「頭 」,「
[形
batur
数
格
単 前 で[〓]:
複
対
山」
船 」,skera[〓]「
数
主
《女
〈sk〉 は,語 頭 に お い て,前 舌 母 音[〓]の skip[〓]「
単
発 音 す る:
れ は,上
数
skipi
sk pum
skips
(skipa)
て い る こ と に原 因 が あ る. 1)名
詞
話 し こ と ば に お い て,属
ど使 わ れ な くな り,主
格,対
が 失 わ れ る 傾 向 は,ゲ
ル マ ン語 諸 方 言 の 中 で も め ず ら
し い 現 象 で あ る.公
文 書,学
格,与
格 が ほ とん
格 が 残 った . 属格
術 書 な ど で は,ア
ン ド語 の よ う に 属 格 を 使 う こ と が あ る が,こ 為 的 な 語 法 で あ る.し
か し,地
イスラ れ は,人
名 や 成 句 に は,な
お属
格 を 使 用 す る も の が あ る(下 例 を 参 照). 属 格 に 代 わ る 表 現 手 段 と して,今
日 で は,前
置詞 句
2)冠 a)定
詞 定 冠 詞 と不 定 冠 詞 が あ る . 冠 詞 に は,2種
i)第1の
類 あ る.
定 冠詞 は,表2の
語 尾 を名 詞 の末 尾 にお
く(末尾 が 母 音 の場 合 は,定 冠詞 の 母 音 を除 く). 第1の 定 冠 詞 の用例(単 数)を 以 下 に示 す. batur「 ボ ー ト」(m.)genta「 主 格 baturin
gentan
対 格 batin
gentuna
少 女 」(f.)
<表2>第1の
「1」
定 冠詞 主格 対格 与格
属格
「17」
「2」
「18」
「3」
「19」
男性(単)
「20」
(複) 女性(単) (複)
「4」
「21」
「5」
「30」
「6」
中性(単)
「40」
「7」
(複)
「50」(別
「60」(別
形)
「8」 与 格 batinum
gentuni
属 格 (batsins)
(gentunar)
中 性 は,主
格 と対 格 が,〓
「9」 「10」 「11」
「船 」 とな る ほ か は,
男 性 と 同 じ で あ る. ⅱ)第2の
定 冠 詞 は,指
(文 語)と
示 代 名 詞tannお
よ びhin
ず れ の場
合 で も,形
容 詞 は 弱 変 化 を し,末
定 冠詞 が
付 くが,こ
れ は,省
tann
ungi
drongurin「
tann
unga
gentan「
〓 stora b)不
尾 に 第1の
か れ る こ と も あ る. そ の若 い男 」
ein
その若い娘」
「15」
「100」
「16」
複 数 形 は,「1組
tjugu「
た,数
約20」)の
50∼90は,デ ein
gomul
昔 あ る と き,老
kona,sum
婦 人 が い た.彼
「あ る 」 とい う 意 味 で は,ein
dagin「
の 」 と い う意 味(einir
詞 と結 合 し て
意 味 で 用 い ら れ る. ン マ ー ク 語 法 に よ る 口 語 形 で あ る.
4)代
名詞
a)人
称代名詞
表4を
参 照(カ
b)指
示代名詞
表5を
参 照.
c)関
係代名詞
関 係 代 名 詞 は,sumとi〓
dagの
ッ コ 内 は,敬 称).
3)数
langt
詞
〓 var inni
ein 〓
i einum
〓 storum
skogi
,sum .「 昔,あ
詞の格変化 「1」
数
複
(男/女/中)
「2」
「3」
(男/女/中)
(男/女/中)
数
(男/女/中)
主格 対格 与格 属格 <表4>人
称代名詞 3人 称 1人 称
単 数 主格 対格 与格 属格
複 数
2人 称
単 数
単
複
で,
ど ち ら も格 変 化 し な い.
形
Eina
単
hjun
「お お よ そ 」(einir
atti
も可 能 で あ る).
<表3>数
れ は 廃 れ た.
女には
あ る 日」の よ
冠 詞 と 併 用 さ れ る こ と が あ る(ein
に よ る 格 変 化 を 行 な う(表3).
格 変 化 を し た が,こ
「夫 婦 」)と,ま
息 子 が ひ とりい た 」
うに,定
「90」
einの
詞 の 「1」 と 同 じ変 化 を す る(表
〓 var son.「
「80」
「13」
古 語 で は,4も
3を 参 照). Eina
「12」
数 詞1∼3は,性,数
〓 「そ の 大 き な 船 」
定 冠 詞 は,数
「14」
同 じ も の で,形 容 詞 お よ び 関 係 代 名 詞 な ど,形
容 詞 相 当 句 を 伴 う と き に の み 使 用 さ れ る.い
形sexti)
「70」
数
数
(男/女/中)
複
数
(男/女/中)
〓 る
<表5>指
詞 お よ び2つ
示代 名詞 男性
女性
tann 「そ れ 」1)単
複
主 格 tann
tann
ta〓
対 格 tann
ta
ta〓
与格
ti
ti
主 格 teir
〓
対 格 teir
〓
与 格 teimum 「こ れ 」2)単
主 格hesin
複
b)比
hetta(r)
与 格 hesum
hesum
主 格 hesir
hesar
hesi
hesar
hesi
hesum
のhは,古
語 のpに
較 級 と 最 上 級 は,以
較),‐stur(最
上)
長 い 」,longri,longstur
不 規 則 な 形 成 法 を と る も の と し て,以
下 の よ うな も
の が あ る.
hesum
〓
「よ い 」,betri,bestur
gamal「
対 応 す る(古 語pessi,
mikil「
「こ れ 」 と 同 様 の 変 化 を す
古 い 」,eldri,elstur 多 く の 」,fleiri,flestur 大 き い 」,meiri,mestur
litil「小 さ い 」,minni,minstur
る.
6)副 貧 し い 男 が 深 い 森 の 中 に 住 ん で い ま し た(∼
に住
stori
skjotur「
skogurin,sum
fat〓kri
ma〓urin
〓 を 「そ の 貧 し い 男 が 住 ん で い た,深 置 詞iを
待つ
ぐ も の は 港 を 見 る(待
てば海
路 の 日和 あ り)」 〓 に は,関
a)人
〓
is
「∼ の 時 に 」(10
me
〔 〕,hann
hevur
at takka
〔 〕he
has
to
kettuna,〔
for
the
〕eg
she‐cat〔 〕I
〈単
thank
a)弱
変 化 と 強 変 化
強 変 化 は,不
ら れ る.変
冠 詞,お
強 変 化:tungi tan「
keypti.
systir
min「
と時 制
運 ぶ 」,taka「
取 る」,kasta「
在》 数 〉 beri/taki/kasti
称 tu bert/tekur/kastar
3人
称 hann
ber/tekur/kastar
で
1人
称 vit
ェ ー ロ ー 語 に も 見 ら れ る.
2人
称 tit bera/taka/kasta
よ び,無
steinurin「
詞 の強 弱 変 化 と
を 区 列 す る. 重 い 石 」,unga
gen
〓 「古 い 家 」 〓
《過 〈単
数 〉
1人 称 eg
bar/tok/〓
2人 称 tu
bart/tokst/〓
3人 称 hann
冠
2人
bat/tok/〓
数〉
1人 称 vit に 文 語 に お い て,定
bera/taka/kasta
去》
〈複
「そ の 若 者 」,hin yngra
私の妹」
ェ ー ロ ー 語 で は,特
bera/taka/kasta
3人 称 teir
冠 詞 の 場 合 に,
示 代 名 詞 と と もに用 い
本 的 に は,名
・女 ・中 の3性
ungi
法 カ テ ゴ リー と し て は,
2人
bought.'
ゲ ル マ ン語 の 特 徴 の1つ
若 い 娘 」,gamla
弱 変 化:tann
称 変 化,数
語 に 風な特
を 区 別 し て い る.
数〉
よ び,指
化 形 式 は,基
同 じ で あ る.男
制,態,法
〈複
定 冠 詞 付 き,お
弱 変 化 は,定
現 代 フ ェ ー ロ ー 語 の 動 詞 は,古
1人 称 eg
容詞
あ る 形 容 詞 の 強 弱 変 化 は,フ
《現
喜 ん で 」,heldur
ど が あ る.
くぶ ん 簡 素 化 さ れ て は い る が,古
例:bera「
格 も 含 め て 省 略 す る こ と も あ る.
fyri
5)形
詞
〓… 「∼ の 場 所 で 」,〓…
〓 er
「わ ず か 」,な
比 べ る と,い
人 称,数,時
関 係 代 名 詞 は,主 'It
7)動
より
「も っ と も 速 く」
徴 も か な り残 さ れ て い る.文
「接 続 詞 」 を 参 照)
のまま副詞 と
速 く」,skjotari「
そ の 他 の 副 詞 の 例 と し てgjarna「
係 副 詞 と しての 用 法 もあ る.
hvar
速 い 」:skjott「
「む し ろ 」,〓
byr,〓,havn,〓.「
者 は 順 風 を 得 る.漕
形 容 詞 の 中 性 形 は,そ
速 く」,sjotast
い 森 」(前
伴 う場 合)
Hann 〓
詞
して 使 用 され る.
ん で い る と こ ろ の 貧 し い ∼)」 tann
な お,フ
上)
美 し い 」,vakrari,vakrastur
langur「
りの 語
幹 母 音 が 変 音 す る.
vakur「
mangur「
あ れ 」hassinも
下 の よ う に,2通
常,語
較),‐astur(最
ⅱ)‐ri(比
petta). 3)「
きわ め て 邪 悪 な トロル
賢 い 」,spakari,spakastur
容 詞 と と も に 定 冠 詞 と して も 使 わ れ る .
2)こ
versta「
spakur「 hetta(r)
対 格 hesar
fru「 そ の 財 産 家 の 婦 人 」
〓 hitt
ⅰ)‐ari(比
teimum
hes(ar)i
rika
尾 を 用 い る が,ⅱ)は,通
対 格 henda(n)hesa
与 格 hesum 注:1)形
tey
henda
hin 〓
tey
teimum
時 に 使 用 す る こ とが
(北 欧 神 話 に 登 場 す る 架 空 の 生 き物)」 ti
以 上 の 指 示 詞 を,同
で き る.
中性
boru/toku/〓
称 tit boru/toku/〓
投 げ る」
3人
称teir
boru/toku/〓
少 数 の 動 詞 は,中
現 在 分 詞 は,berandi/takandi/kastandi,過 は,barin/tikin/〓
と な る.
完 了 形 は,hava/vera+
中 性 形 を 要 求 す る が(例:〓/〓/〓),こ
vera('to
be')お
左 がveraの,右
がhavaの
単
ア)受
I
変 化 を 下 に 示 す(/の
Vagum
の3つ eitt
sigist
storsta.「
変 化 形).
数
間 態 に は,次
動 の 意 味 で:Ikki
の 用 法 が あ る. ti 〓.「
なに
ひ とつ網 に かか らな か った 」
よ ぶ.
よ びhavaの
よぶ ことが あ る.
そ の ほ か,中 の
間 態 で の み 用 い ら れ る(例:ottast
れ を ラ テ ン 文 法 に 倣 っ て,異 態 動 詞(de
ponentia)と
過 去 分 詞 で あ る.havaは,
形 を 特 に ス ピ ー ヌ ム(supinum)と
「恐 れ る 」).こ
去分詞
〓
at
hava
〓 hin
ヴ ォー ア ル で 被 害 が も っ と も大 きか っ
た とい われ て い る」
複 数
イ)「 互 い に ∼ し 合 う 」 の 意 で:Dreingirnir 現 在1.eg
er/havi
vit
eru/hava
2.tu
ert/hevur
tit
eru/hava
3.hann
er/hevur
teir eru/hava
過 去1.eg
var/〓
vit
vart/〓
3.hann
var/〓
veraお
よびhavaの
havtで
あ る.
Hevur
tit
り,形
teir voru/〓
ロ ー 語 に 独 自 の,音
韻,形
heim.「
れ ぞ れ,veri〓,
動 態 の ほ か に,受
tum
動 態 と中 間 態 が あ
説 法 の ほ か に,命
令 法,接
数 で 語 幹 の み,複
続 法 が あ る.
数 で ‐〓,1人
付 け る の は 古 語 の 場 合 で,実
okkum…(文
'let us'と
称複
際 に は,la
語),lat/〓okkum…(口
語)
言 う.
fara「 行 く」:Far!(単),〓!(複),Farum! (Lat
そ れ は 忘 れ ら れ る(だ
語
数 で ‐um(「 さ あ ∼ し よ う」 の 意)を 付 し て 表 わ す.た
と 過 去 分 詞 に よ っ て つ く ら れ る. ろ
okkum
接 続 法 は,現
fara!)(1複) 在 形 の み で,人
称,数
に よ る変 化 を行
な わ な い.
う)」 Ta〓
er
gloymt.
「そ れ は 忘 れ ら れ て い る 」(状 態
Og
間 態:能
krevja「
動 態 に,‐stを
<表6>動
噛む 」
brota「
破 る」
binda「
縛 る」
〓
「∼ に な る 」
geva「
与 え る」
ganga「
行 く」 得 る」
《弱 変 化 》 brenna「
燃 え る」 買 う」
telja「 語 る 」 kalla「
定 形),krevst
去 形)
3・ 単 ・現 在
《強 変 化 》
keypa「
〓:"〓
ljos!"
『光 あ れ 』 と い え ば,光
velsigni 〓.「
Og
呼 ぶ」
〓 var
あ り き」
神 が あ な た を祝 福 され ん こ
とを」 た だ し,若
干 の 成 句 に,過
去 形 が 残 って い る.
詞 の 強 変 化 と弱 変 化
不定形
bita「
Gud
加 え て つ く る.
求 め る 」:krevjast(不
(現 在 形),kravdist(過
faa「
Gud
ljos.「 神
的 受 身) ⅱ)中
は,直
命 令 法 は,単
語 で はbliva)/vera
〓ur gloymt.「
ェー
態 上 の 変 化 に よ っ て,古
と は か な り様 相 の 違 う も の に な っ た(表6).
イ ェグ ヴ ァ ンは も う
動 態:〓[〓](口
〓
ゲ ル マ ン語 の特 徴 で あ る強
本 的 に は 存 続 し て い る が,フ
成 法 が 異 な っ て い る.
ⅰ)受
変 化 と弱 変 化
だ し,‐umを
に は,能
. 「彼 は 腰 を お ろ
弱 変 化 の 区 別 は,基
家 に 帰 った」 b)態
〓
voru/〓
〓?「 夕 食 は 済 み ま し た か 」 farin
satst
した」
d)法
er
ber
少 年 た ち が 殴 り合 い を し て い る 」
帰 的 に:Hann
c)強
[〓]
ス ピ ー ヌ ム は,そ
tu
Jogvan
ウ)再
voru/〓u
[heiji] 2.tu
jast.「
単数過去
複 数過 去
過 去 分 詞
〓 gavi
satt.「
そ う だ と い い な あ 」(直 訳:神
efter
が 真 実 を 与 え て 下 さ る と よ い が) 8)助
動詞 不 定 詞)「 ∼ す べ き で あ る 」:
Hann,sum
einki
vita.「
kann
at loyna
,eigur
隠 し ご と の で き な い 人 は,も
kan
einki の を知 る
きま す」
Vit
minni
mar.「
vera
mugu
skula「
lygn.
力のない者
royna.
(〓 skulu
「一 度 や っ て み な け れ ば 」
doyggja.「
skaltu
君 は ど こ へ 行 くつ も り で す
か」
1)現
vil ikki
彼 は 来 た くな い と 言 っ て
い る」 Ta〓
置詞
当 す る の は,主
定 型 句,成
句,あ
る い は,古
に,与
格,対
動 詞 に はvera,他
支配 を
風 な 諺 な ど に,属
∼ へ,∼
を 用 い て,∼
と と も に 」,な
合 語 で あ り,単
「∼ に 接
Eg
∼ の 上 へ 」,な
さ ん お 金 を 儲 け た ら,き
kom.
∼ よ り前 に 」:〓
〓 alla
ど.
語bliva)「 er
3)条
件文
hevur
〓
hann her.「
koma 彼はた く
条 件 節 に は,接 また は,主
〓i
Kvivik.「
flog
私 は これ
な る」 は,veraを
とる .
〓(=blivin)〓.「
イ ェグ
非 現 実 話 法 は,次
の よ うに構 成 され
hent,arenn
eg
こ っ た こ とだ 」
続 詞um(口
語viss)を
用 い る か,
語 と動 詞 を 転 倒(下 の 例 文 を 参 照)す
節の 動 詞 に は,過
去 形(現
在 の こ と),過
る.主
去 完 了 形(過
去の こ と)が 用 い ら れ る. 〓
「そ れ は 私 が 来 る 前 に,起
yfir
間 飛 び 続 け て い る」
ヴ ァ ン は疲 れ て しま った」
常,複
っ と フ ェー ロー へ 戻 って
var
tima
る.
〓 hann
busetast
表わす.
〓 ein
空 港 上 空 を1時
havi
Jogvan
pening,skal og
フ
ま で ず っ とク ヴ ィ ヴ ィ クに 住 ん で き ま し た」
独 の も の は 少 な い.
nogvan
〓ir til 〓.「
ほ ど飛 行 機 で 行 っ た こ とが あ
hevur
havnin.「
来 て こ こ に 住 む つ も りだ 」 arenn「
〓 〓
〓
ど.
フ ェ ー ロ ー 語 の 接 続 詞 は,通
til 〓
必 要 とす る.
去 か ら の 継 続 も,havaで
〓(口
∼ の と き 」:Ta
動 詞 で も,
験 と して一 括 して
る」 ま た,過
「∼ よ り さ き に 」,〓[〓]
ogviliga
か し,自
〓.「 飛 行 機 は も う 飛 ん で 行 っ
havi
∼ のまわ
∼ か ら外 へ 」,〓
い 分 け は,自 原 則 で あ る(「形
て し ま った」
∼ の 下 か ら 」,undir「 ∼ の 下 に 」,
「∼ を 通 して 」,omana「 続 詞
在 形 を 当 て る.
動 詞 に はhavaが
〓 er
格 も残
本 的 に は,英
別 な 未 来 形 は な く,未
助 動 詞 と し て,havaとvera
表 現 す る と き は,havaを
合 前 置詞
framfyri
aftur
の 」,um「
在 進 行 中 の事
ウ シ ュ)ハ ウ ン で
去 形 は,基
た,特
ェ ー ロ ー 諸 島 へ2度
ur「 ∼ の 中 か ら 」,ut「 し て,∼
今(ト
動 詞 」 の 例 を 参 照).し
Eg
i「 ∼ の 中 に 」,ti1「
〓
在 完 了 形
格 で あ る が,
a「 ∼ の 上 に 」,at「 ∼ の 方 へ 」,fra「 ∼ か ら」, fyri「 ∼ の 前 に,∼ の た め に 」,hja「 ∼ の も と に 」,
ta(〓)「
〓i i Havn.は,「
来 の 意 味 を 表 わ す に は,現
純前置詞
10)接
現 在 形 は,現
う意 味 の 両 様 に 解 さ れ る.過
って い る.
りに 」,undan「
語 法 に もふ れ
の 他 の 要 点 を ま と め て お く.
こ れ ま で に く り返 さ れ た 行 為 を,体
フ ェ ー ロ ー 語 の 前 置 詞 は,格
行 な う.該
b)複
す で に,「 形 態 」 で,統
在 時 と過 去 時
態 」 の7「
vil eg.「 私 は そ う し た い で す 」
9)前
あ りが と う 」,tvi
ど.
が 用 い ら れ る こ と は す で に 述 べ た が,使
koma.「
お は い 」,
態 と 習 慣 的 な 行 為 の ど ち ら に も 使 わ れ る.
2)現
vilja「 ∼ し た い 」: Hann
る ほ ど 」,eyeyameg!「
働 い て い る 」 と い う 意 味 と,「そ こ に 職 場 が あ る 」 と い
すべての人は死ぬ定めであ
fara?「
eg
卓 の 準備 を し
!「 お や お や 」,ja「
語 な ど と 同 じ で あ る.ま
Hvar
a)単
語]
Eg
す る つ も りで あ る 」:
る」
[統
る 機 会 が あ っ た が,そ
「そ れ は 嘘 に ち が い な い 」
∼ す べ き で あ る,∼
あ あ,な
「な ん て こ と だ 」,な
luta,〓
〓,〓
nei「 い い え,な ん と ∼ 」,takk「
に ち が い な い ,∼ ね ば
せ ね ば な ら ぬ(諺)」
〓 ma
〓
投詞
や ま あ 」,Harragud
な ら な い 」: ma
a
私 が 食 事 を 作 る 間 に,食
a,aja,aju「
∼ で き る,∼
は,屈
efter
て お い て」
君 は 泳 げ ま す か」
eg.「 え え,で
mega[〓]「
Hann
kom
彼 は私 が去 った 後 にや って 来
「∼ す る 間 に 」:Set
11)間
tu svimja?「
Ja,〓
farin.「
matgeri.「
∼ で き る 」:
Kanst
var
〓
資 格 が な い(諺)」 kunna「
eg
た」
eiga[aija](+
at
〓 at「 ∼ の 後 で 」:Hann
at
um,at
tit meg, eg
fari
ta 〓 til
titg1ett
〓.「
私 を 愛 し て い る の な ら,私
tykkum
も しあ な た た ち が
が 父 の許 へ赴 くの を喜
ん で くれ る は ず で あ る 」(新 約 聖 書)
〓 eg ikki 〓 teirra…
slikar
ta 〓
teir
lish
gerningar
ikki
synd.「
Dictionary(Mansk‐Svensk,Peel,Isle
of
millum も し私 が
Man)
Johannes
らは 罪 を負 わず にい る こ とで あ ろ う
令文
Men
単 数 形 と 複 数 形 が あ る.
hann
〓
(単 数)「
〓!"
ま た イ エ ス が あ る 人 に,私
〓'!Si,eg
sendi
imillum
ulva.(複
mitt
に つ い て くる
う な も の だ 」(新 人称 文
主 語 文 は 衰 退 し,中
tykkum
ut eins
数)「
og
lamb
さ あ 行 き な さ い.
約 聖 書)
up
〓.'It
is laying
在 の と こ ろ,最
i.'It
わ か 雨,雪
cleared
[参
Anthologi(2
照]
ノ ル ド語
Brazilian
隙 間 風 が 通 る」
A.Cabral)に
に,ポ
対 格)は, す る.
体 的 な 主 語 を と る もの
’Itis thundering.’(tora「
欧 神 話 の 雷 神 トー ル(porr)と
雷」
関係のあ る
こ と ば で あ る) Ljosini
ガ ル 系 植 民 者 と,先
AElini
ganga.'It
Eldur
er
is lightning.'
i,'There
is a
fire.'(lit,'fire
is in
書 ]
デ ン マ ー ク 語 と の 対 照 辞 書 は,次
の も
donsk
〓(〓
〓,Tor
av
か ね て か ら,ト
〓(1967),Donsk‐f〓
人 とイ ンデ ィオ の 間 の 交 易語 と して 広 く
在 で は,ア
の ト ゥ ピ語 は,18世
〓
ぎ な い.
フ リカ の 諸 言 語 の 影 響 は,語
ーで 編 集 作 業 が 行 な わ れ て いた下 記 の辞 典 が 完 成 し, 刊 行 さ れ た. Young'G.V.C.and
も の を 除 い て,ポ ま た は,方
ウ シ ュハ ウ ンの フ ェー ロー ア カ デ ミ
‐Ensk
R.Clewer(eds.) 〓/Faroese‐Eng
ンデ ィオ や ア
彙 的 な 借 用 を 除 け ば,ほ
ラ ジル の低 い 階層 の 人 々の ポ レ オ ール 語 的 要 素 に
か し,一 般 的 に 言 っ て,ブ 部 の改 新 的 な
ル トガ ル 語 の ア ー カ イ ッ ク な 要 素,
言 的 要 素 と し て 解 釈 で き,そ
の 意 味 で,ブ
ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 は 保 守 的 性 格 を 有 し て い る. ブ ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 を 地 理 的 に 分 類 す る 試 み が な さ れ て お り,そ
Cynthia
紀後半以
マ ゾ ンの一 部 に残 って い る にす
類 似 し た も の も 存 在 す る.し
〓,Torshavn)
民 の 初 期 の時
岸 地 域 で 勢 力 を も っ て い た ト ゥ ピ語
ラ ジ ル 的 特 徴 と さ れ る も の の 多 くは,一
bok(〓
(1985),〓
時,沿
ル トガ ル 語 の 文 法 的 特 徴 に は,ク
Ch.Matras(1961),〓
shavn) Johannes
代 に は,当
と ん ど 存 在 し な い が,ブ
Jakobsen,M.A.and
れ
初 よ り ポ ル トガ ル 語 が 高 い 言 語 的
ス テ ー タ ス を 一 貫 し て 保 ち 続 け る が,植
ブ ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 に 対 す る,イ
の で あ る.
フリ
よ び,そ
ら の 混 血 に よ っ て 構 成 され る こ と に な る.
降 衰 え,現
aplace')
か ら ポ ル トガ ル 口 は,主 に,ポ ル ト
住 民 族 で あ る イ ン デ ィ オ,ア
用 い ら れ た . し か し,こ
is stormy.'
後,人
カ か ら奴 隷 と し て 連 れ て こ ら れ た 黒 人,お
(Tupi)が,白
ganga.'It
宏 一)
Brasil,英
ル トガ ル 人 カ ブ ラ ル(P.
よ り 発 見 さ れ,1532年
に よ る 植 民 が 開 始 され る.以
dream.'と
do
Portuguese
ブ ラ ジ ル で は,当 gongur.
Jakobsen)の
ブ ラ ジ ル ・ポ ル ト ガ ル 語portugues
up.'(lit.'he
dark.'
droymi.'I
や や 古 い が,非
ー コプ セ ン(Jakob
ブ ラ ジ ル は,1500年
is getting
全 に 人 称 化 し て,具
は,北
彙 か ら構 成 され
良 の 入 門 書.
(秦 な ど)
weather')
is draughty.,「
称 的 に,Eg
Toran
代 口語 を対 象 と し
よ び,語
snow')
も あ る.
[辞
て い る.現
み 物,お
だ 詳 細 な 単 語 集 が つ い て い る.
is snowing
down
showery.'(に
the
snowing.'
droymir.(megは,egの
ま た,完
た 記 述 文 法 と,読
編ん
〓(口 語hann)を
snows/is
〓 skymir.'It
現 在 で は,人
書 か れ た 唯 一 の 参 考 書 で あ る.現
富な
〓 gysur.'It
古 形 のMeg
英語で
読 み 物 と,ヤ
kavan
in
to Modern
常 に よ く で き た デ ン マ ー ク 語 に よ る 参 考 書.豊
〓
cleared
Lockwood,W.B.(1965),Introduction
古 ノ ル ド語 で 頻 繁 に 用 い ら れ た 無
〓.'It
Hann
ノ ノレ ド語 一
般 との 関 連 で 有 益 で あ る.
性 代 名詞 の
heavily.'(lit.'it Hann
Lan
vols.;repr.1969,Torshavn)―
Hann(〓)kavar.'It leggur
Scandinavian
Hammershaimb,V.U.,〓
用 い る よ う に な っ た.
Hann
(1976),The
Faroese(Munksgaard,Copenhagen)―
実 に あ な た た ち を送 るの は狼 の中 に 子 羊 を送 る よ
5)非
〓,Torshavn)
[参 考 文 献]
guages(Faber&Faber,London)―
〓 ein annan:"Fylg
よ う に と 言 っ た 」(新 約 聖 書)
Haugen,Einar
に 」(新 約 聖 書) 4)命
〓(ed.)(1984),Ensk‐〓
〓abok(〓
そ の よ うな 行 為 をそ の人 た ちの 間 で 行 な っ て い な か っ た ら,彼
av
れ に よ る と,北
部 と中南 部 の間 に方
言 的 対 立 が 存 在 す る と い う . し か し,実 的 差 異 よ り も,社 会 的,階
際 に は,地
理
層 的 な 言 語 差 の 方 が 大 き く,
逆 に,そ の よ う に設 定 され た 単一 の社 会 的 方 言 の 内部
綴 られ る音 は,Tras‐os‐Montes,vista,luzの
で は,全 国 的 にわ り あい 統 一 性 を保 って お り,ブ ラ ジ
み られ る よ う に,母 音 の 前 で は[z],有 声 子 音 の前 で は
ル で は,伝 統 的 方 言 研 究 の 枠 組 み は 成立 し ない.こ の
[〓],休止 お よび無 声 子 音 の 前 で は[∫]と 実 現 され るが,
分 野 の研 究 は,現 在,ま だ 不 十 分 で あ るが,ブ
ブ ラ ジル で は,リ オ ・デ ・ジ ャネ イ ロ を中 心 と した 地
ラ ジル
語に
の 言語 的 多 様 性 を 扱 う に あた って は,
域 を除 い て,[∫][〓]は現 わ れ ず,[s][z]と
1)lingua
comum(共
現 され る. これ は,ヨ ー ロ ッパ に お い て,16世
2)lingua
familiar(日 常語)
3)lingua
popular(俗
4)lingua
通 語)
して の み 実 紀 以 降,
こ の位 置 で,[s][z]>[∫][〓]の 変 化 が 起 きた こ とに よ る もの で,ブ ラ ジル で例 外 的 に存在 す る リオ の[∫][〓]
語)
の 発 音 は,1808年,ポ
regional(地 域語)
を区別 す る こ とが 出 発 点 とな る.1と2は
比較的教養
ル トガ ル 王 朝 が ブ ラ ジル へ 避 難
した こ とに よ る ポル トガ ル 化(relusitanizacao)の
影
の あ る 階層 の こ とば を,特 に2は 自然 な発 話 に 基 づ く
響 と され る./t//d/は,[i]の
そ れ を,3は
[c][〓]また は[c∫][〓]と して 実 現 す る./b,d,g/が,
低 い 階層 の こ とば を,4は
地 域 的 な変 種
前 で は 口 蓋 化 さ れ,
を,そ れ ぞ れ 示 す もの と して 用い られ る.こ の よ うな
母 音 間 で 摩 擦 音 と し て 現 わ れ る こ とは な い./〓/と
言 語 状 況 は,植 民 に 際 して,ポ ル トガル 各 地 か らの 植
/R/の 対 立 は維 持 され る が,分 布 が 異 な る 場合 が あ り,
民 者 の 間 で コイ ネ ー が 形 成 された こと と,植 民 地 特有
語 末 の ‐rが脱 落 す る発 音 も存 在 す る.た と え ば,fa
の 人 口 の 流 動 性 の結 果 で あ る.現 代 ブ ラ ジル の 標 準 的
zer,doutorの
なポ ル トガ ル語 とは,1と2,す
lhで 綴 られ る子 音[〓]に 対 す る[y]の
なわ ち,リ オ ・デ ・
発音 は,[〓],[〓]と
な る. 発 音(yeismo)
ジャ ネイ ロ,サ ンパ ウ ロ な ど,都 市 の 中産 階 級 の こ と
も存 在 す るが,こ れ は,誤 った 発 音 と見 な され て い る.
ば で あ る.
ポル トガ ル の ポ ル トガ ル 語 で は,強 勢 音 節 と無 強 勢
[ 音
韻]
音 の レベ ル で は,保 守 的側 面 と改 新 的
音 節 の 対 照 が 非 常 に は っ き り して い るが,ブ は,一 般 に,第1ア
蓋 化 され た[〓]の 母 音 化,/t,d/の[i]の
無 強 勢 が 交互 に現 わ れ る形 で,各 音節 は等 しい 長 さ で
化,/〓/と/R/の
前 で の 口蓋
分 布 の 相 違 な どは,改 新 的 側 面 に属
ク セ ン トまた は 第2ア
ラ ジル で
側 面 の対 照 が 比 較的 は っ き りして い る.音 節 末 の軟 口
クセ ン トと,
発 音 され る傾 向 が あ る.
す る.
ブ ラ ジル の ポ ル トガ ル 語 とポ ル トガ ル南 部 の 方 言 の
子 音 の音 韻 目 録 は,ヨ ー ロ ッパ,す な わ ち ポル トガ
間 の 音 声 的 共 通 性 が,こ れ ま で に指 摘 され て い る.ポ
ル の ポル トガル 語 に等 しい が,音 声 的 実現 が 一 部 異 な
ル トガ ル 南 部 の方 言 のい くつ か の 重 要 な音 声 的 特 徴 の
っ てい る.
う ち,[s][z]の
母 音 に関 して は体 系 的 な相 違 が あ り,強 勢 音 節 で,
ch[∫]の 音,二 重 母 音 の 単 母 音化 に よ る[o](<[ou]
[〓]の7母
<AU)と
音 が 対 立 し,強 勢 前 の
位 置 に は,ブ ラ ジル 北 部 で は[〓],中 で は[i,e,a,o,u]が [i,a,u]が
南部
現 わ れ る.無 強勢 語 末 で は,
い う特 徴 は,そ の ま ま,ブ ラ ジル の ポ ル トガ
ル 語 に あて は ま り,これ に 対 す る,ポ ル トガ ル 北 部 の 舌 先 的 な[s][z],[b][v]の
対立 の 中和,[t∫][ou]に
よ
植 民 に 際 して の,北 部 と南 部 の 出 身者 の割 合 に差 は な
二 重 母 音 は,[〓 設 定 され るが,最 後 の3つ は,
音 節 末 の 軟 口蓋 化 さ れ た[〓]が 母 音 化 したた め,新
し
く,当 時,北 部 の方 言 的 特徴 の い くつ か は,現 在 よ り 広 い 分布 を示 してい た と考 え られ,植 民 当時 の ブ ラ ジ ル に は,ポ ル トガ ル 全土 の方 言 的特 徴 が等 し く もち こ
く生 じた も ので あ る. 鼻 母 音 は,[i,e,a,o,u]の oi,ui]の5つ
音 韻 的 対 立,
る発 音 は,ブ ラ ジル で は 一 般 性 を もた な い.ブ ラ ジル
現 わ れ る.
〓]が
舌背 的 調 音,[b]と[v]の
単 母 音 と,[au,ei,ai,
の二 重 母 音 か ら な り,こ の[ei]と[ai]
が,リ ス ボ ンの ポル トガル 語 の[〓]に
対 応 す る.こ
ま れ た もの と考 え られ る.し た が っ て,上 記 の現 象 は, 植 民 者 の 間 で コイ ネ ー が形 成 され る際 に,当 時,言 語 的 に有 力 だ った 特 徴 が一 般化 したた め で あ る と解 釈 さ
れ ら,鼻 母 音 に お け る鼻 音 性 は,ポ ル トガル で よ り強
れ て い る.
く,鼻 子 音m,n,〓
[文
の前 に立 つ 強 勢 口母 音 に も,弱
法 ] 文 法面 で,ポ ル トガ ル の ポ ル トガ ル語
い鼻 音 化 が 認 め られ る こ とが 多 い.
と比 較 し て 目立 つ の は,進 行 形,呼 称,無 強 勢 人 称 代 名
無 強 勢 母 音 の弱 化 現 象 は,ポ ル トガ ル の ポル トガル
詞 な ど の用 法 で あ る.こ の分 野 で の 特 徴 につ い て も,
語 と異 な り,無 強 勢 語 末 に お い て の み起 こ り,‐e,‐o
音 の レベ ル の場 合 同様,保 守 的 な もの と改 新 的 な もの
で 綴 られ る母 音 は,そ れ ぞ れ,[i][u]と
に分 け て 考 え る こ とが で き るが,は
して 実 現 され,
っ き り し ない も の
[〓][〓]が現 わ れ る こ とは な い.こ れ は,18世 紀 初 頭 の
も多 い.
ポ ル トガ ル語 の体 系 に対 応 す る.
ブ ラ ジル で は,進 行形 の形 式 と して,「estar+
ポ ル トガル の ポル トガ ル 語 で は,音 節 末 の ‐s,‐zで
分 詞 」(例:Estou
escrevendo.
現在
「私 は 書 い て い る」)
が 普 通 に 用 い ら れ る が,ポ ジ ョ(Alentejo)地
ル ト ガ ル で は,ア
方 な ど の 一 部 を 除 い て,こ
「estar+a+
不 定 法 」(例:Estou
レ ンテ ー
[辞
の 形 は,
ル と ポ ル トガ ル の そ れ を 分 け る 習 慣 は 特 に 存 在 し な い
a escrever.)に
が,次
置 き換 え られ て い る. ま た,無
se levantou.
例)Vou
「ジ ョア ン は 起 き 上 が っ た 」 在,Joao
levantou‐se.
接 的 用 法 は 特 定 の 場 合 に 限 られ る.
cidade.「
私 は 街 へ 行 く」
と え ば,meu
常 に 限 ら れ て お り,omeu
carroの
使用 は非
よ うな定 冠 詞 付 き ラ ジ ル の ポ ル トガ ル
ず れ の 形 も か な り 自 由 に 用 い ら れ る.こ
よ う な 統 辞 的 自 由 さ は,ブ 徴 的 で あ り,無 は ま る.ま
の
ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 に 特
強 勢 人 称 代 名 詞 の 位 置 につ い て もあて
た,次
の よ う な,代
parece
Me
diga
que… uma
「私 に は … の よ う に 思 え る 」 私 に 言 っ て ご ら ん」
関 し て は,ポ
トガ ル 語 よ り 簡 潔 で あ り,基
称 で あ る, 称 のvo
よ り構 成 さ れ,voceは,フ
とtuの
ラ ン ス 語 のvous
中 間 位 置 を 占 め る と い う.tuは,ブ
ラ ジル 最
北 部 と 最 南 部 を 除 い て 用 い ら れ な い が,斜 ti,前
ー ジ.こ
れ は,1881年
Dicionario 1949‐59)に
格 形 のte,
置 詞 と複 合 し たcontigoは,voceに
流 れ を く む も の で,ブ
ラ ジル の ポ ル
da
de
Morais
Lingua
Portuguesa,12
対応 して
接 目 的 語 と し て の,o(s),a(s)の
代 わ り に,主 格 形 のele(s),ela(s)を
用 い る こ と,ま
詞 の 複 数 形 式 が,限
っ て 表 わ され る こ と な ど は,全
定 辞 のみ に よ
国 的 に 見 られ る 現 象 で
あ る.
[参 考 文 献 ] Neto,Serafim estudo tuto [参
da da
lingua
Nacional
Silva(1950),Introducao portuguesa
do
照]
no
Livro,Rio
de
語 彙 面 に お い て は,ト
ゥ ピ 語,ア
カ 系 諸 言 語 な ど か ら の 借 用 が 目 立 つ ほ か,ポ
Janeiro)
(黒 沢 直 俊)
→ オ ラ ン ダ語 独Frankisch,仏francique,
英Frankish [系
統]
西 ゲ ル マ ン の 一 部 族,フ
テ ンFranci,独Franken)の
ラ ン ク 族(ラ
言 語.
ドイ ツ 語 の 根 幹 を 形 成 し,次
の6つ
の 方言 に分 け ら
れ る. 低 地 フ ラ ン ク 語(Niederfrankisch) 中 部 フ ラ ン ク 語(Mittelfrankisch)
東 フ ラ ン ク 語(Ostfrankisch) 西 フ ラ ン ク 語(Westfrankisch) な お,Frankischは,現
フリ
ル トガ ル
方 言)や
代 ドイ ツ の 方 言 で は,「 フ イ エ ル ン北 部 の フ ラ ンケ ン地 方 の
伝 統 的 呼 称 に よ る 「東 フ ラ ン ケ ン方 言(Ost
frankisch)」
を さ す.
の ポ ル トガ ル 語 で 失 わ れ て し ま っ た 語 や 語 義 が 保 存 さ
系 統 的 に は,イ
れ て い る 場 合 が あ る.
派(西 ゲ ル マ ン 語)に 属 す る .
assistir(「 し か し,次
amor
∼ に な る 」 の 意 で)
e de,「
ど こ に 」)
ア フ リカ 系 の 諸 言 語 か ら の 借 用 で は,ポ 経 由 して 入 った もの が含 まれ る.
[部
族]
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の ゲ ル マ ン 語
Franciと
い う 部 族 名 は,カ
も タ キ ト ゥス に も 見 い だ せ な い.初
しい もの も 目立 つ .
virar(tornar‐se,「 cade(<que
de「 ∼ の た め に 」)
住 む 」 の 意 で)
の 例 な ど,新
ao
Brasil(Insti
ポ ル トガ ル 語
ラ ン ケ ン 方 言 」(バ
prumode(<por
vols.,
匹 敵 す る.
「日 常 語 」 で,直
彙 ]
的 に は,シ
Silva,Grande
ラ イ ン ・フ ラ ン ク 語(Rheinfrankisch)
[語
Aulete) da Lingua
南 ラ イ ン ・フ ラ ン ク 語(Sudrheinfrankisch)
俗 語 」 で,名
に ポ ル トガ
Caldas
用 い ら れ る場 合 が あ る.
た,「
Janeiro)
rio Contemporaneo
Portuguesa)の
フ ラ ンク 語
ル トガ ル の ポ ル
本 的 に は,敬
o(s)senhor(es),a(s)senhora(s)と,親 ce(s)に
― 本 文5,537ペ
de
フ ラ マ ン 語 英Flemish,仏flamand
coisa.「
呼 称(tratamento)に
Caldas
Delta,Rio
名 詞 が 文頭 に 立つ 用 法
も 口語 で は 可 能 で あ る. Me
Aulete,5vols.(Editora
ル バ の 辞 書(Antonio
有形 容 詞 の冠 詞
carroの
の も の が 普 通 で あ る の に 対 し,ブ
Con
Portuguesa
トガ ル 語 を 対 象 に 全 面 的 に 改 訂 さ れ,量
ポ ル トガ ル の ポ ル ト ガ ル 語 で は,所
語 で は,い
―こ れ は,
ら か に ア ー カ イ ッ ク な 特 徴 で あ る.
を 伴 わ な い 語 形,た
da Lingua
編 の 辞 書(Diciona
リ シ ア 語 に 残 っ て い る.
これ ら は,明
ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 の 語 彙 に 詳
ル で 出 版 さ れ た ア ウ レ ー チ(F.J.
動 を 示 す 用 法 が あ る.
na
現 在,ガ
ラジ
de(1958),Dicionario
temporaneo
―ポ ル トガ ル で は,現
前 置 詞emに,運
の も の は,ブ
Garcia,Hamilcar
の よ う な 後 接 的(pro
clitic)用 法 が 可 能 で あ る.
と な り,後
ポ ル トガ ル 語 の 辞 書 に 関 し て,ブ
し い.
強 勢 人 称 代 名 詞 の,次
例)Joao
書]
述 史 料 に 現 わ れ る の は,3世 族 は,原
エサルに
めて こ の呼 称 が記
紀 半 ば で あ る.フ
ラ ンク
住地 ラ イ ン川 右岸 か ら ロー マ領 へ 侵 入 した ゲ
ル マ ン の 多 く の 小 部 族 の 集 合 名 と し て 登 場 す る.フ ル トガ ル を
ラ
ン ク 人 の 原 義 は,「 自 由 の 人 」 と も,「 豪 勇 の 者 」 と も, ま た,ザ
ク セ ン人(Sachsen)と
同 じ く,「 投 げ 槍 を 携
え た者 」 と も解 され て い るが,被 征 服 者 の立 場 にあ っ
frankisch),古
た ロマ ンス 語 系 住 民 に 対 して,自
分 け る こ と が で き る.古
ら を隷属 し て いな い
自由人 と称 した とい う説 が 有 力 視 され て い る.
族 に 分 か れ る.サ リー族 が 北 フラ
ンス のガ リア 地 方 に 侵 入 し,メ ロ ヴ ィ ング家 の ク ロー トヴ ィ ヒ(ク ロヴ ィス;独Chlodwig)が
サ リー 族 の王
とな るや,リ ブ ア リア族 を 合 わ せ て全 フ ラ ン ク族 を支 配す る に 至 り,496年
頃,北 ガ リア を 中心 に,フ ラ ン
ク王 国 を建 設 した.751年
高 フ ラ ン ク 語 と い う名 称 は,
中 部 な ら び に 上 部 ドイ ツ 語 地 域 の フ ラ ン ク 諸 方 言 の 総
フ ラ ンク族 は,ラ イ ン川 を越 え た4世 紀 以 降,サ リ ー(独Salier)と リブ ア リア(ま た は リプ ア リア;独 Ribuarier)の2支
高 フ ラ ン ク 語(Althochfrankisch)に
の ク ロ ー トヴ ィ ヒ王 の 死後,
王 国 は次 第 に 衰微 し,メ ロヴ ィ ング家 に代 わ って,カ ロ リ ング 家 が王 国 を支 配 し,西 ロー マ帝 位 をえ たカ ー ル 大 帝 時代 に最 盛 期 を迎 え た.
称 と し て,ミ
ュ レ ン ホ フ(K.Mullenhoff)に
な ら っ て,
筆 者 が 便 宜 的 に 復 活 使 用 し た 呼 称 で,ゾ ンダ ー エ ッガ ー(S .Sonderegger)の 「中 部 フ ラ ン ク 語 と高 地 フ ラ ン ク 語(Mittel‐und
1)古
Hochfrankisch)」
低 フ ラ ンク 語
ラ ン ダ 語 の こ と で,低 界 線,い
わ ゆ る,ベ
古 低 フ ラ ン ク 語 と は,古
オ
地 ドイ ツ 語 と 高 地 ドイ ツ 語 の 境 ン ラ ー ト線(Benrather
北 の 低 地 の フ ラ ン ク 語 を い う.す 推 移 を 経 て い な い 点 が,古 る 点 で あ る.古
に あ た る.
Linie)以
な わ ち,第2次
子音
高 フラ ン ク語 と大 き く異 な
低 フ ラ ン ク 語 は,言
語 資 料 が 乏 し く,
ラ テ ン 語 文 献 中 に 散 見 さ れ る 地 名,人
名 の ほ か に は,
カ ー ル は,ヨ ー ロ ッパ 全 体 に帝 国 を拡 張 し た が,そ
聖 書 の詩 篇 の 部 分 的 翻 訳 が わ ず か なが ら残 存 して い る
の 死 後,帝 国 は3人 の 男子 が分 割 相 続 した.こ れ に よ
に す ぎ な い.
って,中 部帝 国,東 フ ラ ンク帝 国,西
フ ラ ン ク帝 国 が
成 立 した.の ち に,東 フ ラ ン ク帝 国(843∼911)は ツ 王 国 へ,西 フ ラ ン ク帝 国(843∼987)は
ドイ
フ ラ ンス 王 国
へ と発 展 す る.
2)西
フ ラ ン ク語
1050年)に,今
古 高 ド イ ツ 語 期(約750∼
日 の ドイ ツ 語 圏 の 境 界 線 以 南 に,フ
ン ク 語 を 話 す グ ル ー プ,あ
る い は,フ
ロ マ ンス 語(Galloromanisch)の
ラ ンク 語 とガ ロ・
二 重 言 語 の使 用 者 グ
[言語 特 徴] 5世 紀 か ら11世 紀 に 至 る フ ラ ンク
ル ー プ が 存 在 し た 可 能 性 は 大 き い が,確
語 は,ま た,古 フ ラ ン ク語(Altfrankisch)と
い . シ ユ ツ ア イ ヒ ェル(R.Schutzeichel)は,少
もい う.
8世 紀 半 ば ま で は,ま と ま った 文 献 は 伝 え られ て い な
と も9世
紀 に は,ガ
ラ
た る証 拠 は な な く
ロ ・ロ マ ン ス語 の 中 に,西
フランク
い が,こ の時 期 に,ド イ ツ語 の 生 成 の 基 礎 が 築 か れ
語 が 言 語 の 島 の 形 で 存 在 し て い た と 推 測 し て い る.支
た,と 考 え られ る.古
配 者 で あ る フ ラ ン ク 族 は,被
フ ラ ン ク 語 は,西 フ ラ ンク語
(Westfrankisch),古
低 フ ラ ン ク 語(Altnieder
の 住 民 に 対 し て,数 の で,結
<図>古
期 ドイツ語の方言分布
局,フ
支 配 者 で あ る北 フ ラ ンス
の 上 で も 文 化 的 に も劣 勢 で あ っ た
ラ ン ク 語 は,ガ
せ ざ る を え な か っ た.900年
ロ ・ロマ ンス 語 に屈 服
頃 に は,西
フ ラ ン ク 語 は,
消 滅 状 態 に あ っ た と 考 え ら れ る. 3)古
高 フラ ン ク語
フ ラ ン ク 語,南 諸 方 言 を,古 語 は,古
中 部 フ ラ ン ク 語,ラ
ラ イ ン ・ フ ラ ン ク 語,東
イ ン ・
フラ ン ク語 の
高 フ ラ ン ク 語 と総 称 す る.古
高 フ ラ ンク
ア レ マ ン語(Altalemannisch),古
ン 語(Altbairisch)と
と も に,古
構 成 要 素 で あ る(な
お,ラ
バイエル
高 ドイ ツ 語 の 重 要 な
ン ゴ バ ル ド 語 を,古
高 ドイ
ツ 語 に 含 め る 学 者 も い る). 古 高 フ ラ ン ク 語 の 特 徴 は,ま
ず,第2次 つ,南
受 け て い る こ と,第2に,人
称 代 名 詞erの
低 地 ドイ ツ 語heと 第3に,上 格語尾
‐in/‐unに
対 し て,フ
た,ド
あ る が,フ
で あ る こ と,等
der
deutschen
Spracheに
literarischen よ る.
Anfange
次 に,古 一 端 を ,上
代 わ りに,
用 い ら れ る こ と,
レ マ ン 語,バ
イ エ ル ン 語)の
ラ ン ク語 で は
イ ツ 語gehen「
「立 っ て い る 」 の 中 世 語 に は,地 sten/stanが
か ら北 へ 段 階 的 に
の 混 交 形herが
部 ドイ ツ 語(ア
と な る こ と,ま
出 典:H.D.Schlosser(1977),Die
子 音 推 移 を,
完 全 に で は な く部 分 的 に,か
‐en/‐on
行 く」,stehen
域 的 に,gen/gan,
ラ ン ク 語 は,e型(gen,sten)
々 で あ る.
高 フ ラ ン ク 語 の 各 方 言 の 第2次 部 ドイ ツ 語 と 対 比 し て 示 す.
子音推移の
〈 表 〉 に み る よ う に,P>pf,d>tに ラ ン ク 語 諸 方 言 の 中 で,東 な 推 移 が み ら れ る.ま
フ ラ ン ク 語 に だ け に,完
た,有
に 限 ら れ て お り,b,gで
料
つ い て は,フ 全
詩
声 閉 鎖 音 の 推 移 は,d>t
は,p,kへ
の推移は実現 し
と し て は,ヴ
ァ イ セ ン ブ ル ク 修 道 院 の 修 道 士 オ ッ ト
フ リ ー ト(Otfried
von 〓)の
『福 音 書 』(Evangelienbuch,863‐871,南
ン ・ フ ラ ン ク 語),作
て い な い,
(Ludwigslied,881頃,ラ
ゲ ル マ ン 語 の 長 母 音 の 二 重 母 音 化 に つ い て は,ラ
重 要 で あ る.
ン ・フ ラ ン ク 語 で,8世 o>uo,や
半 にgerm.o>uo,の
フ ラ ン ク 語 の 散 文 資 料 は,祈
仰 告 白,教
関 す る もの の ほ か,厄 誓 文 の 類 な ど,多
理 問 答 な ど,キ
紀後
dem
病 祓 い な ど の 呪 文 や,証
Eid,842)は,ラ
イ
Bonn)(Wis
Gram
H.Eggers(Niemeyer,
Tubingen) Brinkmann,H.(1965),"Sprachwandel Sprachbewegungen (Jena,1931),erneut
<表>フ
Ausgabe
lthochdeutsche Aufl.von
ン ・ フ ラ ン ク 語 で あ り,『 タ ツ ィ ア ー ン 共 観 福 音 書 』 フ
ラ ン ク 語 に よ る 唯 一 の 古 高 ドイ ツ 語 訳 で あ る.韻
in
Buchgesellschaft,Darmstadt)
(Tatians
Evangelienharmonie,830頃)は,東
J.Muller(1966),
der
matik,12
文,宣
文資
zur
Geschichte
und in
althochdeutscher abgedruckt
der
deutschen
Zeit" in
Studien
Sprache und
ラ ン ク語 諸 方言 に お け る第2次 子 音 推 移(例)
〔 無 声 閉 鎖 音
新 高 ドイ ツ 語 中 部 フ ラ ン ク語 ライ ン フ ラ ンク語 南 ラ イ ン フ ラ ン ク語 東 フ ラ ン ク語 バ イ エル ン語
ア レ マ ン語
〔 有 声 閉 鎖 音 新高 ドイツ語 中部 フ ラ ン ク語 ラ イ ンフ ラ ン ク語 南 ライ ン フ ラ ン ク語 東 フ ラ ン ク語 バ イ エル ン語
ア レ マ ン語
出 典:S.Sonderegger(1971),"Althochdeutsch",in der
germanischen
Philologie
L.E.Schmitt(Hrsg.),Kurzer bis
ど が
Kulturprovinzen
Braune,W.(197512),A
岐 に わ た っ て い る.『 シ ュ ト ラ ー ス
ブ ル ク の 宣 誓 』(〓
・ フ ラ ン ク 語)な
Rheinlanden,Gesohichto‐Sprache‐Volks‐
senschaftliche
祷 文,
ト ヴ ィ ヒ の 歌 』
[参 考 文 献 ]
kunde(Nachdruck
リス ト教 信 仰 に
ラ イ
『ル ー
イ ン
Kulturstromungen und
頃 に は,
フ ラ ン ク 語 で は,8世
者 不 詳 の
Aubin,H.,Frings,Th.und
よ う に 二 重 母 音 化 し て い る.
[ 言 語 資 料] 告 解 文,信
ラ イ ン ・フ
じ め,germ.o>ua,900年
支 配 的 に な っ た.東
イ
ゲ ル マ ン語 〕
や 遅 れ てgerm.e2>ea>ia,南
ラ ン ク 語 で は,は uoが
紀 半 ば にgerm.〔
長 大 な 脚 韻
1500.Bd.I:Sprachgeschichteに
Grundriβ ょ る.
Literatur,Bd.I: Verlag
Sprache
ヴ ァ ッ レ ・ダ オス タ(Valle
Franck,J.(1909,19712),Altfrankische
Auflage
ラ ンス 語(オ イル 語langue
Flexionslehre,Zweite
von
(langue
R.Schutzeichel(Vandenhoeck
Gamillscheg,E.(1934,19702),Romania
Ger manen
auf
dem
Boden
des
Gebhardt
Geschichte,Band
2
統 一 的 な共 通 語 を もたず,多
fran
Handbuch
しば,〓 言patoisと
der
Wege
リア の言 語 学 者 ア ス コ リ(G.I.Ascoli)で
vom
は 認 めず,た
Forschung,Bd.49)(Wissenschaft
keな
Grundlagen
Mitteldeutschen.Studien.zur
historischen
とえ ば,フ
ラ ンス 語 の 方 言 の1つ に 分 類
ど)も あ るが,い ず れ に せ よ,フ ラ ン コ ・プ ロヴ
ァ ンス語 を ひ とま とま りの 言 語(方 言)グ ル ー プ と して
Sprachgeographie.2.,stark
と らえ る点 で,ロ マ ンス 語学 者 の 意 見 は,ほ ぼ一 致 し て い る.
erw.Aufl.(Niemeyer,Tubingen) deutscher
下 位 方 言 の分 類 に 関 して は,ス イ ス に 分布 す る方 言
Sprach
の大 半 を北 部 方 言 群,他 の す べ て の 地 域 の方 言 を南 部
Sonderegger,S.(1979),Grundzuge Sprachgeschichte.Diachronie
des
systems,Bd.1(W.de
方言 群 に2分 す る 説 が あ る が,定 説 とは な っ て い な い.
Gruyter,Berlin/New
話 者 の正 確 な数 は 知 られ て い な い が,フ ラ ンス国 内
York) Wartburg,W.V.(1950),Umfang tung
der
gallien
und
germanischen
im
5.und
der
Sprache und
und
Schriften
Siedlung
der
im
に6万 人,イ タ リア の ヴ ァ ッ レ ・ダ オ ス タ 州 に7万 人
Nord
い る との 推 計 もな され て い る(ス イ ス に つ い て は 不 明).そ
Spiegel
Akademie
der
語 とを併 用 す る話 者 で あ る と思 わ れ る.
Berlin,H.36)(Akademie
[語
照 ]
史]
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス語 は,紀 元 前
1世 紀 半 ば に古 代 ロー マ 人 に よ って 建 設 され た,リ ヨ
Verlag,Berlin) [参
のほ とん どは,フ ラ ンス語 な い しイ タ リ ア 語
と,あ るい は,そ の 両 者 と,フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス
Ortsnamen(=Vortrage Deutschen
zu
Bedeu in
6.Jahrhundert der
Wissenschaften
ド イ ツ 語,ラ
ン ゴ バ ル
ド語,フ
ラ ン ス
ン(Lyon,古
名 ル グ ドゥー ヌ ムLugudunum)市
を中
心 とす る ラテ ン語 文 化 圏 に お い て,そ の ラ テ ン語 を 母
語 (橋 本 フラ
あ っ た.こ れ
す る よ う な 立 場(マ イ ヤ ー=リ ュ プ ケW.Meyer‐Lub‐
Schutzeichel,R.(1961,19762),Die westlichen
ば
に 対 し,フ ラ ン コ ・ プ ロ ヴ ァ ンス 語 を独 自の 「言 語 」と
Frankenreich(=
Buchgesellschaft,Darmstadt)
des
くの局 地 的 変 種(し
よば れ る)に 分 か れ て 存 在 す る,
そ こに 固有 の言 語 の存 在 を最 初 に指 摘 した の は,イ タ
Verlag,Munchen)
der
liche
お よび チ ェ
Vito村).
上 記 の地 域 の言 葉 の う ち に,共 通 の特 徴 を見 いだ し,
(Deutscher
Petri,F.(ed.)(1973),Siedlung,Sprache und Bevolkerungsstruktur
ー リア
ラ ン コ ・プ ロヴ ァ ンス語 の言
ッ レ ・サ ン ・ヴ ィ ー トCelle San
im
Reich",in
Taschenbuch
は オ ック 語
語 的 離 島 が存 在 す る(フ ァエ ー トFaeto村
alten
Gruyter,Berlin)
Lowe,H.(1973,19819),"Deutschland
deutschen
d'oil)圏,南
d'oc)圏,東 は ドイ ツ語 圏 お よび イ タ リア語 圏
14世 紀 頃形 成 され た,フ
Siedlungsgeschichte
Romerreichs,Bd.I(W.de
kischen
の 南 に連
の 一 部 を 含 み,北 は フ
(Puglia)州 北西 部 の 山 間 に は,北 か らの移 民 に よ っ て
Ger
Sprach‐und
der
タ リア の
に接 して い る.な お,イ タ リア 半 島南 部,プ
Ruprecht,Gottingen)
manica
方,イ
d'Aosta)州,そ
な る ピエ モ ンテ(Piemonte)州
Gram
matik.Laut‐und
&
イ ス ・ロマ ン ド(Suisse romande)地
(Padagogischer
Schwann,Dusseldorf)
ン コ ・プ
ロ ヴ
ァ ン ス 語
郁 雄)
仏francoprovencal,
体 に して 形 成 され た 言 語 で あ る.フ
ラ ン コ ・プ ロヴ ァ
ンス語 圏 内 の西 と東 に 位 置 す る,リ
ヨ ン市 と北 イ タ リ
franco‐provencal,伊francoprovenzale,franco
ア の ア オス タ(Aosta)市
provenzale,英Franco‐Provencal,独Frankopro
リア とイ タ リア を 結 ぶ 要 路 と して,古
venzalisch
た.ロ ー マ 帝 政末 期 の443年
[系 統
・分 布]
フ ラ ン ス 南 東 部,ス
タ リ ア 北 西 部 に か け て 分 布 す る,ロ ロ ー ヌ 川 中 流 域,ジ
の 一 部 を 擁 す る こ の 地 域 は,フ re)県,ロ
ー ヌ(Rhone)県,ア
(Isere)県,サ
南 部,ス
.
ア ル プ ス 山 塊
ン(Ain)県,イ
ュ ラ(Jura)県
ー
語 が,フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス語 の 形 成 に どの よ うに 関与 した か につ い て は,意 見 の 分 か れ る と ころ で あ る. 9世 紀 頃 には お そ ら く形 成 され て い た フラ ン コ ・プ ロ
ラ ン ス の ロ ワ ー ル(Loi
ヴ ォ ワ(Savoie)県,オ
(Haute‐Savoie)県,ジ (Doubs)県
マ ン ス 諸 語 の1つ
ゼ ー ル
ヴ ァ ンス 語 が 文 献 に 登 場 す る の は,13世 紀 の こ とで あ
ト ・サ ヴ ォ ワ
る.す なわ ち,こ の 時期 以 後,リ
南
ブ ー ル(Fribourg)の
部,ド
くか ら開 け て い
か ら534年 に か け て,こ
の地 域 に王 国 を構 え た,ゲ ル マ ンの ブ ル グ ン ド人 の言
イ ス 西 部,イ
ュ ラ 山 脈 南 部,西
とを結 ぶ 南 北2つ の 道 は,ガ
ゥ
イ ス の ジ ュ ラ 州 を 除 く い わ ゆ る ス
ヨ ンや ス イ ス の フ リ
周 辺 域 を中 心 に,こ の言 語 を 用 い
た 実 用 文 書(領 地 所有 証,遺 言 書,会
計 簿 な ど)が 作 成
され る よ う に な るが,ほ
どな く,威 信 を 高 め つ つ あ っ
た フ ラ ンス 語 の書 き言 葉 の 進 出 が 始 ま る.10世 紀 以 降,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス 語 圏 の 東 方域 を 中心 に,
般 に 前 舌 円 唇 母 音[y]に
変 化 し た が,鼻
音 に 先 行 し た 場 合 な どで は,そ 例)CRUDU(M)>A.[kry]「
生 の 」(男 性 形)
サ ヴ ォイ ア 家 の支 配 が 及 ぶ が,同 家 の 領地 で は,土 地
CRUDA(M)>A.[krwa][〓]「
の 言 葉 を使 った 証 書 類 は作 成 され ず,も っ ぱ ら,ラ テ
性 形)
ン語,の
ちに は フ ラ ンス 語 が用 い られ て い る.主 に16
世 紀 以 降,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス語 を用 い た文 芸 活
4)脱
ッ ク 語 以 上 に,よ
例)CUBITU(M)>A.[kudu][〓]「
で み られ た が,政 治 的 に 分 断 され,言 語的 中心 地 を も
fr.coude,occ.coide「
ラン
生 の 」(女
落 を 免 れ た ラ テ ン 語 語 末 無 強 勢 母 音 は,フ
ン ス 語,オ
動(詩 歌,演 劇 な ど)が,サ ヴ ォイ ア家 領 地 を は じめ各 地
た な い フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス 語 圏 に おい て,フ
子音や他の母
の 変化 が 阻 ま れ た .
ラ
く も と の 音 色 を 保 っ た. 肘 」,cf. 肘」
5)Aに
先 立 つ ラ テ ン 語 の 子 音C,Gが,フ
ス 語 や か つ て の オ ッ ク語(プ ロ ヴ ァ ン ス語)に 比 肩 で き
語 同 様,口
蓋 化 し た.
る,固 有 の 共 通 文語 の 形成 に は至 ら なか った.一 方,行
例)CAMPU(M)>A.S.[〓],I.H.SR.[〓]「
畑」
GALLINA(M)>A.[〓],I.[〓]「
雌
政 の ほ か,カ
トリ ック教 会 の説 教 や プ ロテ ス タ ン ト教
会 の 典礼 に も用 い られ た フ ラ ンス 語 は,話 し言 葉 とし て も,人 々 の生 活 に浸 透 してい った.19世
紀 末 に は,
鶏」 6)ラ
テ ン 語 母 音 間 閉 鎖 音 の 弱 化,脱
ま だ農 村 部 を 中心 に,相 当活 力 の あ った フ ラ ン コ ・プ
ス 語 同 様 に み ら れ た.
ロヴ ァ ン ス語 で あ る が,今
例)NEPOTE(M)>A.[〓]「
日で は,リ
ヨ ン,ジ ュネ ー
「甥 」
や 村 で,フ ラ ンス語 に全 面 的 に と って 代 わ られ,農 村
VITA(M)>A.[〓],A.H.[〓]「
部 で の後 退 も著 し く進 んで い る.一 方,1861年
fr.vie「
以後イ タ
次 に,共
落 が,フ
ラン
甥 」,cf.fr.neveu
ヴ,グ ル ノ ー ブ ル とい っ た都 会 は も と よ り,多 くの 町
タ リア領 とな っ た ヴ ァ ッレ ・ダ オ ス タ地 方 で は,イ
ラ ンス
生 活 」,cf.
生活」 時 的 に み た,現
代 フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス
リア語 の 普 及 が み られ る が,公 用 語 の扱 い を受 け る フ
語 の 音 韻 体 系 の 例 と し て,サ
ラ ンス語 と並 ん で,フ ラ ンコ ・プ ロ ヴ ァ ンス 語 の 使 用
(Hauteville)村
も廃 れて い な い.
1956)の
の そ れ を,マ
ヴ ォワ 県 オ ー ト ヴ ィル ル テ ィネ(A.Martinet,
分 析 に 基 づ い て 紹 介 す る(〈 表 〉 を 参 照).
以 下,フ ラ ン コ ・ プ ロ ヴ ァ ンス語 の 特 徴 に つ い て,音 韻 を中 心 に略 述 す るが,ラ テ ン語 か らの 変遷 に お い て,
<表>フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァン ス 語 の音 韻体 系 (オ ー トヴ ィ ル 方 言)
フ ラ ンス 語(オ イル 語)諸 方 言 と共 通 した変 化 が,し ば しば 認 め られ る.た だ し,フ ラ ンス 語 ほ ど徹 底 し た改
《母
音》
《子
音》
変 は 行 な わ れ ず,北 フ ラ ンス言 語 圏 の周 辺 に位 置 す る この言 語 の 保守 的 な性 格 が うか が わ れ る.オ ッ ク語 と の共 通 性 は,主 に そ の保 守 的 な 側 面 に関 わ る もの で あ る.な お,以 下 の記 述 で,A.は ト ・サ ヴ ォ ワ県,I.は
ア ン 県,H.は
オ ー
イ ゼ ール 県,S. は サ ヴ ォ ワ県,
SR.は ス イ ス ・ロマ ン ド地 方 に み られ る方言 を 示 す. ま た,fr.は
フ ラ ンス 語,occ.は
オ ッ ク語 の 略 号 で あ
り,大 文 字 の み で 記 した の は,ラ テ ン語 の語 形 で あ る. [音
韻]
まず,歴 史 的変 化 に関 して,次 の点 が
注 目 され る. 1)開
出 典:Martinet(1956)に
音 節 の ラ テ ン語 強勢 母 音Aは,硬
よ る.
口蓋(化 し
た)子 音 の後 で,フ ラ ン ス語 と同 様 に 口蓋 化 した が,他
母 音 体 系 に 関 し て,特
の環 境 で は,オ ック語 同様,も との 音 色 が 保 持 され た.
音 ∼ 鼻 母 音 の 対 立(ve[〓]「
例)BAIULARE>A.[〓][〓]「
ma[〓]「(ひ
AMARE>A.[〓]「 2)開
与 え る」 愛 する」
に,強
音節 の 俗 ラ テ ン語 強勢 母 音E,0が,一
般 に,
BOVE(M)>A.[〓],I.[〓]「 3)ラ
テ ン語Uは,フ
石」 雄牛」
ラ ンス語,オ ック語 同様,一
風 」∼ve[〓]「
と)月 」 ∼ma[〓]「
音 ∼ 短 母 音 の 対 立(mo[〓]「 雪 」∼na[〓]「
手 」,な ど)の
痛 み 」∼mo[〓]「 い い え 」,な ど)が
腔 母
ワ イ ン」,
勢 を も つ 口腔 母 音 の あ る も の に つ い て,非
na[〓]「
フラ ンス語 同 様,二 重 母 音 化 した. 例)PETRA(M)>A.[〓][〓]「
に 注 目 に 値 す る の は,口
ほか 短母 語 」,
み られる
点 で あ る. 子 音 に つ い て は,硬
口 蓋 音 の 系 列 に,4種
の 音 韻n
[〓],l[〓],t[〓],d[〓]が
み ら れ る こ と(di
「10」 ∼di
「(彼は)言 う」,な ど),母 音 間 の位 置 でr∼Rの
対立
(音 声 的 に は,舌 尖 弾 き音[〓]∼ 舌 尖 ふ るえ音[r]の 対 立,も し くは,舌 尖 ふ るえ 音[r]∼ が み られ る こ と(peri「洋 梨」∼peRi
舌 背 音[〓]の 対 立) 「腐 った(も の)」,
「男 は そ れ を 売 る 」 [語
彙 ]
根 幹 と な る 語 が,ロ
ち の 地 勢 も 反 映 し て か,前
な ど)が 注 目 され る.
る 語 も 散 見 さ れ る(ロ
な お,ア ク セ ン トは,‐a,‐e,‐o,‐oで 終 わ る語 につ
有 す る,A.S.H.I.[〓][〓]「
ー ヌ川 以 東 の オ ッ ク語 方 言 と共 モ グ ラ 」,ガ リア
語 起 源 と さ れ る,A.[〓],SR.[〓]「(穀
そ の他 の 語 につ い て は,語 末 音 節 の 母 音 の上 に落 ち る
ひ と か か え 分 」,な
[ 文 1)フ
らは)考 え る」∼[〓]「
頂 上」,な ど).
法] ラ ンス語,オ
ッ ク語 と同 じ く,中 世 期 に は, 体 系 が 保 た れ,主 格 と斜
格(主 格 以外 の 機能 を もつ 格)と が,形 態 的 に 区別 され
ラ テ ン 語 起 源 の 語 の 中 に は,早
[〓]「
ハ シ バ
[〓]「
雌 羊 」 <FETA(M),な
ら れ な い,[〓]「
の よ う な 語 が 含 ま れ る.
《所 有形 容 詞 +男 性 単 数 名 詞 》Nostri Sires(主 格) ∼Nostron Seignour(斜 格)「我 らが 主 」 《定 冠 詞 + 女 性 単 数 名 詞 》li aygui(主 aygui(斜
格)∼la
格)「水 」
丘,塚 」 <MOLARE(M)「
(A.S.H.SR.[〓]「
ポ ケ ッ ト」,な
最 後 に,フ
ラ ン ス 語 か ら の 借 用 の 例 は,中
部 で,従 (M))に
い.
[〓]「 誰 も ∼ な い 」(<NEC
ア ン県 ヴ ォー(Vaux)方
fr.personneが
〓]「(何
と りの)男 」(男性 名 詞)∼[(dez)
人 か の)男 」
[(na)fenna]「(ひ
数 多 く あ る.フ
fenne]「(何 人 か の)女 」
来 使 わ れ て い た,[naj][nej]「
詞主 語 を もた な い 動 詞 が人 称 変化 をす る場 合
Suisse
romande(現
Recherche
り,主 語 人 称 代 名 詞 が省 略 さ れ る こ と も あ り,事 情 は 一 様 では な い .
1は,最
語人 称代 名詞 と ともに 示 す.
francoprovencaux(Centre Scientifique〔
日 ま で に,A∼Eで
あ る.目
la
科的説明 も 始 ま る見 出 し
語 の ほ ぼ 大 半 が 刊 行 さ れ た. ュ ラ フ ー ル(A.Duraffour)の
て ま と め た も の.フ
基 本 的 語順 は,フ ラ ンス 語 と同 様,SVOで
de
イ ス ・ロ マ ン ド地 方 の 方 言 辞
加 え ら れ て い る.今
2は,デ
的語(0)の
la
des National
時 的 な 記 述 の ほ か,百
[〓],[〓],[〓] 詞(V),目
de
以 下,CNRS〕,Paris)
大 規 模 の,ス
カ ー ドを,ガ
を構 成 す る主 語(S),動
patois
典 ・ 語 の 共 時 的,通
[〓],[〓],[〓];
4)文
des
在 の 版 元 は,Droz,Geneve)
2)Duraffour,Antonin(1969),Glossaire
称 の種 類 な どに よ
称;複 数1,2,3
の一例
書]
代 名 詞や 否 定 辞 の 有 無 な ど)や,人
説 法 現 在 の 活 用 形(単 数1,2,3人
代 わ っ て,
使 わ れ る よ う に な っ た の は,そ
1)Gauchat,L.,Jeanjaquet,J.,Tappolet,E.
patois
歌 う」の 直
来 の[〓]
UNU(M))に
で あ る.
あ る.た だ し,方 言 に よ り,ま た,統 辞 環 境(補 語 人 称
以 下 に,ア ン県 ヴ ォー 方 言 で の,[〓]「
世 以 来,
雪 」(<NIVE た,従
et E.Muret(1924‐),Glossaire
(命 令 法 は除 く),主 語 人 称 代 名 詞 を伴 うのが 一 般 的 で
ラ ン
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 圏 の 北 部 や 西
代 わ っ て,fr.neigeが,ま
[辞
と りの)女 」(女性 名 詞)∼[(de)
ど)も,フ
源 に 異 論 の あ る 語 が 少 な くな い .
先 行 す る冠 詞類 の違 い に よ り数 が 区 別 され る ことが 多
[(n)〓]「(ひ
岩 山 」,
コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 語 彙 を 特 徴 づ け る も の で あ る
の 違 い に よ り形 態 変 化(単 数 ‐a,‐i∼複 数 ‐e〔 < ‐es< ‐AS〕 ,な ど)を す る が,男 性 名詞 は,形 態 変化 をせ ず,
言 の 例:
ラ ン コ ・プ ロ
の 言 語 に は ほ とん どみ
ゲ ル マ ン 系 の ブ ル グ ン ド語 に 由 来 す る と さ れ る 語
が,語
代 語 の 多 くの 方 言 で,女 性 名 詞 は,単 数,複 数
ど)や,フ
ヴ ァ ン ス 語 圏 一 帯 に み ら れ,他
て いた.
人 称)を,主
期 に ロー マ 化 され た
ミ の 実 」 <ABELLANA(M),A.
古 リヨ ン方言 の例:
3)名
物 の)
ど).
南 フ ラ ン ス の オ ッ ク 語 方 言 と 共 通 す る 語(A.[〓],I.
名 詞,形 容 詞,冠 詞 に,2格
2)現
が
ロ ーマ 時 代 に 遡 る と思 わ れ
いて は,そ の語 末 母音 か 次 末 音 節 の 母 音 の上 に 落 ち,
([〓]「(彼
ーマ 人 の もた ら し
た ラ テ ン 語 に 由 来 す る こ と は 言 う ま で も な い が,山
9,974の
遺稿 となった
ル デ ッ ト(P.Gardette)が
監 修 者 とな っ
ラ ン ス 国 内 の 方 言 を 対 象 と し た,
見 出 し語 を 含 む.
な お,ヴ
ァル トブ ル ク(W.v.Wartburg)の
記念碑
的 語 が 無 強勢 の代 名 詞(O')で 表現 され る場 合,原 則 と
的 な 語 源 辞 典,Franzosisches
してVに 前 置 され るの も フ ラ ンス語 と同様 で あ る.
Worterbuch(1922‐;現
ア ン県 ヴ ォ ー方 言 の例:
は,ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 の 全 域 を 対 象 と し て お り,フ
Etymologisches
在 の 版 元 は, Zbinden,Basel) ラ ン
[〓](SVO)
コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 新 旧 の 語 形 も 収 め ら れ て い る .
「男 は そ の 馬 を売 る」
[参 考 文 献 ]
[〓](SO'V)
Ascoli,Graziadio
Isaia(1878),"Schizzi
franco‐
provenzali",Archivio
Glottologico
Italiano
3
Duraffour,Antonin(1930),"Description logique,avec
notes
co‐provencal
de Vaux(Ain)en
des Langues
tion
phonetique
caux
etudies
morpho
syntaxiques,du
Romanes
dialectes
d'apres
ジ ア,マ
le parler de
d'evolu
de
la commune Ro
vencal
geographie
description au
phonolo
parler
franco‐pro
und
der
Akademie
Literatur
der
Wissen
バ ノ ンな どで 用
ド ル ー プ(Guade francaise),マ
ュ ー カ レ ド ニ ア(Nou
ラ ン ス 領 ポ リネ シ ア(Polynesie
ユ ニ オ ン(Reunion)な
ど で は,フ
ラン
民 の 多 く は,フ
ラ ン ス語 を
も と に し た ク レ オ ル 語 を 併 用 し て い る.こ
の フランス
イ チ,ト
リ ニ ダ ー ド ・ トバ
レ ナ ダ な ど で も 使 用 さ れ て お り,諸
in Mainz,Heft
du
ま た,公
用 語 で は な い が,ア
地 諸 国(ヴ
ェ トナ ム,カ
ク レオ ル 語
ジ ア の フ ラ ンス 旧 植 民
ン ボ ジ ア,ラ
ラ ン ス 語 が い ま だ に 通 用 す る し,ア
6)
イ ジ ア ナ 州 や,ニ
の よ う な も の が あ る.
Gardette,Pierre(1950‐76),Atlas ethnographique
Entwick
Frankoprovenzalischen
der
言 語 地 図 と し て,次
オ ス)で
は,フ
メ リカ合 衆 国 の ル
ュ ー イ ン グ ラ ン ド州 で は,一
部 の住
民 が フ ラ ン ス 語 を 話 し て い る.
linguistique
et
Lyonnais,5vols.(CNRS,
この よ うに広 大 な地 域 に わ た っ て使 用 され て い る フ ラ ン ス 語 は,国
Paris)
連 の 公 用 語 の1つ
で も あ り,フ
ラ ンス
政 府 の フ ラ ンス 語 お よび フ ラ ンス 文 化 普及 の た め の長
Martin,Jean
Baptiste
78),Atlas Jura
et Gaston
linguistique
et des
Alpes
Tuaillon(1971‐
et ethnographique
du
年 に わ た る 努 力 と も 相 ま っ て,わ が 国 を は じ め と し て, du
Nord,3vols.(CNRS,
この 言語 を 日常 的 に使 用 し ない 他 の 多 くの 国 々 に お い て も,フ
Paris)
ラ ン ス 語 を 学 ぶ 者 の 数 は 非 常 に 多 い.
歴 史 的 に み る と,フ 照]
悟)
ン ス 諸 言 語 の1つ.
ギ ー の 南 部(リ
ラ ン ス 本 国 で 約4,500万
エ ー ジ ュLiege,ナ
エ ノ ーHainaut,リ 各 州,お
人,カ
で 約500万
よ び,ブ
ミ ュ ー ルNamur,
ラ バ ンBrabant州
な わ ち,フ
ブ(Geneve),ヌ (Valais),ヴ
ナダ
人,ベ ル
romande)
リブ ー ル(Fribourg),ジ シ ャ テ ル(Neuchatel),ヴ
ォ ー(Vaud)の
リ ア の ア オ ス タ(Aosta)渓
ァ レー
各 州 で 約100万 谷 で 約10万
人,モ
2万 人 の 人 々 に よ っ て 話 さ れ て い る.こ ギ ー で 話 さ れ て い る フ ラ ン ス 語 は,「
人,イ
タ
ナ コ で約
の う ち,ベ ワ ロ ン語(wal
ル
と よ ば れ る こ と も あ る.
ま た,公
用 語 と し て は,上
に あ げ た,フ
の 場 合 の フ ラ ン ス 語 は,現
方 の 方 言(フ
ラ ン シ ア ンfrancien)で
西 の ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言(normand)で
代 フ
は あっ
た(方 言 に 関 し て は 後 述). マ ン ス 諸 語 の 中 で もい ち 早 く,王
の 居 住 地 で あ る パ リ で 話 され る フ ラ ン シ ア ン 方 言 が, そ の 政 治 的 優 位 性 を 背 景 に,標
準 語 と して の 地 位 を 占
め る よ う に な り,こ
ラ ン ス語 に よ る文 学 作
の 結 果,フ
品 の 創 作 が 盛 ん に な っ た . こ う し て,フ 特 に イ タ リ ア に お い て,ロ
ラ ン ス 語 は,
マ ン ス諸 語 の うち で も もっ
と も優 雅 な 言 語 と見 な さ れ る よ う に な り,イ で あ り な が ら,ブ
ラ ン ス,カ
大 な影 響 を
ラ ン ス 標 準 語 の も と と な っ た イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス(lle
中 世 後 期 に は,ロ
ュネ ー
と し て 語 彙 の 面 で,多
与 え る の で あ る が,こ
な く,北
の 南 部)で 約400
れ 以 後,数
ラ ン ス 語 は イ ギ リス の 公 用 語 で あ
語 に,主
de‐France)地
ュ ク サ ン ブ ー ルLuxembourgの
イ ス の,い わ ゆ る ロ マ ン ド(Suisse
地 方,す
世 紀 に わ た っ て,フ り 続 け,英
と し て ケ ベ ッ ク(Quebec)州
ギ リス の 支 配 階 級 の
言 語 が フ ラ ン ス 語 に な っ た と き で あ る.こ
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 の う ち の ロ マ
母 語 と し て,フ
の ノ ル マ ン デ ィー 公 ウ ィ リ ア
ム に よ る イ ギ リ ス 征 服 に よ り,イ
フ ラ ン ス 語francais,英French,独Franzosisch 況]
ラ ンス 語 が 初 め て本 格 的 に海 外
に 進 出 し た の は,1066年
ガ ロ ・ ロ マ ンス 諸 語 (長 神
lon)」
Caledonie),フ
ゴ,グ
zur
des
(Abhandlungen
万 人,ス
ュニ
の う ち で も も っ と も 均 質 的 で あ る と言 わ れ る.
lungsgeschichte
の,主
ァ ヌ ア ツ,レ
語 基 盤 の ク レ オ ル 語 は,ハ
d'Hauteville(Savoie)(Droz,Geneve;
Stimm,Helmut(1952),Studien
[概
ル ジ ェ リ ア,チ
ラ ン ス 領 ギ ア ナ(Guyane
francaise),レ
Minard,Paris)
[参
イ シ ェ ル,ヴ
ス 語 が 公 用 語 で あ る が,住
application
schaften
る い は,ア
ル チ ニ ー ク(Martinique),ニ
linguistique(Klincksieck,Paris) Martinet,Andre(1956),La
ー ロ
ダ ガ ス カ ル な ど を 中 心 と し た ア フ リカ 諸 国,
loupe),フ
velle de
ナ コ の ほ か, ン ド ラ,ヨ
ラ ン ス の 以 前 の 植 民 地 で あ っ た,コ
フラ ンス の 海 外 県 で あ る グ ア
Linguistique
Gardette,Pierre(1983),Etudes
タ リ ア,モ
ク セ ン ブ ル ク,ア
い ら れ て い る.
franco‐proven
8(Paris)
gique,avec
イ ス,イ
ン ゴ や カ メ ル ー ン,あ
ハ イ チ,セ
generaux
des
ッパ 以 外 で は,フ
fran
66(Montpellier)
Vaux(Ain)",Revue
mane
parler
1919‐1931",Re
―(1932),"Phenomenes
de
ル ギ ー,ス
ヨ ー ロ ッパ で は,ル
(Roma/Torino/Firenze)
vue
ナ ダ,ベ
Latini)は
タ リア人
ル ネ ッ ト ・ラ テ ィ ー ニ(Brunetto
フ ラ ンス 語 で
『百 科 宝 典 』(Li
livres
dou
Tresor)を 書 い た し,マ ル コ ・ポ ー ロ(Marco
Polo)
諸語 とは異 な った 特 徴 を与 え る要 因 とな った の で あ る
は,そ の 『東 方 見 聞録 』 を フ ラ ンス語 で 口述 した.ま
が,こ
た,民 衆 の間 で も,吟 遊 詩 人 が,フ ラ ンス語 の武 勲 詩
で あ る.ケ
を各地 で朗 唱 して 回 った こ とな どか ら,フ ラ ンス 語 の 影 響 は,少 なか らず あ っ た もの と考 え られ る. 近代 にな る と,強 力 な 王 権 を背 景 として,フ
ラ ンス
1)地
名
Verdun<Virodunum,な
紀 の 啓 蒙 主 義 の 時 代 に は,プ
2)農
ど.
業に関する語
arpent<arepennis「
ロ シア の宮廷 や ロ シア の 知 識 人 の 間 で も,フ ラ ンス語
ア ル パ ン(面
charrue<carruca「 ruche<rusca「
蜂 の 巣 」,
世 界 へ の拡 大 は,公 用語 と して の フ ラ ンス語 の 浸透 で
soc<*soccos「
鋤 の 刃 」,な
3)動
mouton<*multo「
この 言 語 を基 盤 と した ク レオ ル語 も広 く用 い られ て い
古 フaloe<*alauda(現
る こ とは,最 初 に み た とお りで あ る.
の 指 小 辞alouette)「
は,通 常,パ
「フ ラ ンス 語 」とい う場 合 に
リを 中心 と した イ ル ・ド ・フ ラ ンス 地 方
羊 」,
4)衣
braie<braca「
とを さす の で あ るが,フ ラ ンス 語 が 成 立 した 時 点 で は,
chemise<camisia「
ラ ンス,ベ ル ギー を中心 とす る地 域 で 話 され て い た言 語 の1方 言 に す ぎ なか っ た.こ の 言 語 は,俗 ラ テ ン語 が 変 化 して で きた ロマ ン ス 諸語 の うち の,ガ
ロ ・ロ マ
ン ス語(英Gallo‐Romance,仏gallo‐roman)に る,い わ ゆ る オイ ル 語(langue
属す
d'oil)で あ る.
よ ばれ た 現 在 の フ ラ ン ス に 導
入 され たの は,紀 元前125年
か ら118年
にわ た るガ リ
ア ・ナ ルボ ネ ンシス(Gallia narbonensis)の の併 合 の際 で あ るが,こ れ は,南
ロー マ へ
フ ラ ン スの 一 部 に と
ど ま り,本 格 的 な導 入 は,紀 元 前58年
か ら51年 の,カ
エ サル に よる ガ リア 全土 の ロー マ へ の 併 合 に始 ま る. この 当時,ガ
リア に は ケ ル ト人 が 居 住 して お り,彼
ど.
ズ ボ ン」,
語 彙 以 外 で,ケ て い る の は,ラ u)が,フ
シ ャ ツ 」,な
な わ ち,俗
ラ ン ス 語 で は 口 蓋 化 し てyと
ラluna>
フlune)や,ラ
続 が,フ
ど.
ル ト語 基 層 の 影 響 で あ る と 考 え ら れ テ ン 語 のu(す
ラ テ ン語 の
な る 変 化(例:
テ ン語 の ‐ctと い う 子 音 連
ラ ン ス 語 で ‐itに な る 変 化(例:ラfactum
> 古 フfait[〓]>[〓])で
この オ イル 語 の も とに な る俗 ラ テ ン語 が,初 めて, 当時 ガ リア(Gallia)と
カ シ ワ 」,な
類の名
で 話 され て い る方 言 を も と に して 作 られ た 標 準 語 の こ
この方 言,つ ま り,フ ラ ン シア ン方 言 も,現 在 の北 フ
代 フ ラ ン ス 語 で は,そ ひ ば り」,
chene<*cassanus「
ど.
植 物 の名
の 国 で,フ ラ ンス語 が使 用 され続 け て い る.さ ら に,
[ フ ラ ンス 語 の成 立 ]
積 の 単 位)」,
鋤 」,
が 話 され て い た.帝 国主 義 に よ るフ ラ ンス 植 民 地 の全
もあ り,大 部 分 の 植 民地 が 独立 した現 在 で も,数 多 く
の も の な どが あ
Lyon<Lugudunum,
の 政治 的 ・文 化 的 威 信 は ます ま す 高 ま り,17世 紀 と18
使用 され る.ま た,18世
っ と も明 確 に 認 め ら れ る の は 語 彙 の 面
ル ト語 起 源 の 語 彙 に は,次
る.
世 紀 を中 心 と して,フ ラ ンス 語 は世 界 の 外 交 語 と して
れ が,も
あ る が,こ
れ に対 して は
確 実 な 証 拠 は な い. 次 に,フ
ラ ン ス語 の形 成 に少 なか らぬ 影 響 を与 え た
の は,ゲ
ル マ ン 語 の 上 層(superstratum)で
リ ア の 地 に は,南
部 に は 西 ゴ ー ト族,ロ
渓 谷 地 域 に は ブ ル グ ン ド族,北 入 し た . 学 者 の 中 に は(た von
あ る.ガ ー ヌ(Rhone)
部 には フ ラ ン ク族 が 侵
と え ば,ワ
ル トブ ル クW.
Wartburg),こ
の ゲ ル マ ン民族 の支 配 して い た
地 域 の 区 分 が,ガ
リ ア に お け る 俗 ラ テ ン語 の そ の 後 の,
らは,ラ テ ン語 の 属す る イ タ リ ック 語派 に 近接 す る,
オ イ ル 語,オ
同 じイ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 の一 派 で あ るケル ト語 系
ァ ン ス 語provencal),フ
の 言語 を話 して い た.し か し,こ の ケル ト人 は,支 配
(franco‐provencal)の
者 で あ りか つ 文化 的 に もは る か に優 勢 な ロー マ 人 の 言
え る 者 も い る が,こ
語 を,比 較 的短 期 間 の う ち に完 全 に と り入 れ,こ
ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 の 分 化 は,言
語 に 内 在 す る 遠 心 性,
つ ま り,分
ル ト語 基 層,そ
て,ガ
うし
リア は ラ テ ン語 化 す る(も っ と も,農 村 部 な ど
では,5世
紀 頃 まで ケ ル ト語 が残 存 して い た ら しい).
ガ リア の ケル ト語 に関 して は,詳
しい こ とは 分 か っ て
い ない が,カ エサ ル の記 述 な どか ら判断 して,い
くつ
か の 方 言 に分 か れ て い た こ とは確 か ら しい.こ の ケル ト語 基層(substratum)に
お け る変 異 の存 在 が,フ
ラ
ッ ク 語(langue
d'oc,あ
る い は,プ
ロヴ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 言 語 区 分 に 対 応 して い る と 考 れ に 対 し て も確 証 は な く,結
化 へ の 傾 向 性 と,ケ
局,
し て,
ゲ ル マ ン語 上 層 が 組 み 合 わ さ っ た 結 果 で あ る,と
考 え
ら れ る. さ て,こ
れ ら ゲ ル マ ン 民 族 は,政
な っ た も の の,数
治 的 に は支 配 者 と
に お い て も 文 化 的 に も,被
支配民族
で あ る ガ リア 人 に 対 し て,は な は だ 劣 勢 に 立 っ て お り,
ンス語 を構 成 す る さま ざ ま な方 言 の よ っ て きた る原 因
彼 ら は,結
の1つ であ る と も考 え られ て い る.
得 し,自
さ て,ケ ル ト語 基 層 は,フ ラ ン ス語 に他 の ロマ ンス
西 ゴ ー ト族 と ブ ル グ ン ド族 は,支
局,ガ
リア 人 の 言 語 で あ る俗 ラテ ン語 を習
分 た ち の 言 語 を 捨 て 去 る こ と に な る.特
に,
配期 間 が短 か っ た こ
と も あ っ て,若
干 数 の 語 彙 を 除 い て は,言
ん ど 影 響 を 残 し て い な い.一 後 , 先 の2つ
方,フ
語的 にほ と
ラ ン ク 族 は,そ
の
の民族 の支 配地 域 を も併 合 して ガ リア全
を 除 く他 の ロ マ ンス 語 で は 生 じて お らず,し た が って, フ ラ ン ク語 の*helmは,フ あ るが,イ
ラ ン ス語 で はheaumeで
タ リア語 や ス ペ イ ン語 で はelmo,オ
域 を 支 配 す る よ う に な り,「 フ ラ ン ス 」 と い う 名 も,こ
語 で はelmで
の 民 族 名 が 与 え る こ と に な る.彼
は 発音 され て い た とみ られ,そ
ら の 言 語 も,最
終的
に は ガ リ ア 人 の 言 語 に 吸 収 さ れ て し ま う の で あ る が, 北 フ ラ ン ス 地 方 で は 比 較 的 人 口 が 多 か っ た の で,二
言
あ る.な お,こ の音 は,17世
ンス語 の いわ ゆ る有 声 のhで
ック
紀 頃 まで
の名 残 りは,現 代 フラ あ る.
次 に,ゲ ル マ ン語 に は,語 頭 に 両 唇 摩 擦 音 のwを
語 併 用 の 状 態 が 数 世 紀 に わ た っ て 続 き,こ
の 結 果,北
もつ語 が か な りあ った が,古 典 ラ テ ン語 に は 存 在 して
フ ラ ン ス の 俗 ラ テ ン 語(後
対 し て,あ
いた この 音 も,俗 ラ テ ン語 で は,す で に2世 紀 に はv
の オ イ ル 語)に
に変 化 して お り,wは,kw‐
る 程 度 の 影 響 を 与 え て い る.
ま ず,語
彙 の 面 で は,次
(francique)起
1)戦
の よ うな もの が フ ラ ンク語
用 す る と き,wで
争 に 関 す る語 フespiet)<*speot「
haubert<*halsberg「
2)法
待 ち 伏 せ る 」,な
「封 土 」,な
ラ ンス語 で はgarderで
ど.
音 をそ の ま ま受 い う形 に な
ラ ンス 語 で ア ク セ
ン トを とる 開音 節 に あ るe(=[e]),e(=[〓])やo(=
ザ リガ ニ 」, ブ ナ 」,な
[o]),o(=[〓])が
ど.
二 重 母 音 化 した こ との原 因 で あ る と
す る説 もあ るが,こ れ に関 して は,ケ ル ト語 基 層 説 を と る学 者 も あ る.
体 部 位 の名 称
echine<*skina「 古 フcane(現
あ る.
ま た,フ ラ ンク語 で,ア クセ ン トの あ る音 節 を特 に 強 く発音 す る習 慣 の あ る こ とが,フ
hetre<*haistr「
脊 椎 」,
形 態 の 点 で は,ガ
代 フ ラ ン ス 語 で は,そ
quenotte)<*kinni「(子
の 指 小 辞
供 の)歯 」,な
ど.
ロ ・ロマ ンス 語 で,他 の ロマ ンス
語 で は 消 滅 した ラ テ ン語 の格 変 化 が,単 純 化 され た形 で あ れ保 た れ て い る こ とは,ゲ ル マ ン語 の複 雑 な格 変 化 の 影 響 で あ る とい う説 が あ る.ま た,統 語 的 な影 響
の名 灰 色 」,
bleu<*blao「
青 」,な
と して は,古 フ ラ ンス 語(「フ ラ ンス 語 の 歴 史」を 参 照)
gris<*gris「
ど.
で,従 文 中 の動 詞 が 末 尾 に お か れ た こ とや,色 を 表 わ す 形 容 詞 が 名 詞 に先 行 して い た こ と な どが あ げ ら れ
情 を表 現 す る語
honte<*haunitha「
恥 」,
morne<*mornon(フ
る.し か し,こ れ ら,形 態 的,統 語 的 な影 響 は,現 代
ラ ン ク 語 で は 動 詞)「 陰 気
な 」,
フ ラ ンス語 にま で は 保 た れ てお ら ず,ま た,ゲ ル マ ン 語 に帰 せ られ る か ど うか も確 か で は ない.
hair<*hatjan「 8)そ
あ るが,フ
守
ペ イ ン語 で は
け 入 れ た の で,*wardonは,warderと
ハ イ タ カ 」,
ecrevisse<*krebitja「
7)感
と変化 した.し たが っ て,*wardon「
って い る.
垣 根 」,な
epervier<*sparwari「
6)色
目の 要 素 が
ス 北 部 お よび 東 部地 方 で は,こ のwの ひ じ 掛 け い す 」,
植物の名
5)身
ロ ・ロマ ン
ス語 で は11世 紀 か ら12世 紀 の 間 に,2番
た だ し,ゲ ル マ ン語 の 上層 の影 響 を強 く受 けた フ ラ ン
斧 」,
haie<*hagja「
ど.
活 に 関 す る語
hache<*happja「
タ リア 語 や イ ベ ロ ・
ロマ ンス語 で は比 較 的 よ く保 た れ た が,ガ
guardarで
抵 当 」,
fief<*fehu‐
4)動
とい う形 で と り入 れ る
る」 は,イ タ リア 語 で はguardare,ス
gage<*wadi「
3)生
は な く,gw
こ とに な った.こ の[gw]は,イ
落 ち て,gへ 布 告 」,
fauteuil<*faldistol「
ど.
律用語
ban<*ban「
槍 」,
鎖 帷 子 」,
guetter<*wahton「
とい う語 頭 の 子
ス 語 は,一 般 に,ゲ ル マ ン語 の こ の音 を もつ 単 語 を借
源 の語 で あ る.
epieu(古
やgw‐
音 連 続 に残 って い る だ け で あ っ た.こ のた め,ロ マ ン
憎 む 」,な
ど.
この よ うに して,ロ ー マ帝 国 の 崩 壊,ゲ ル マ ン民族 の侵 入,そ
の他
gagner<*waidanjan「 hardi(動
詞*hardir〔
「大 胆 な 」,な 音 韻 の 点 で,フ
<*hardjan〕
の後 の メ ロ ビン グ朝 の 弱 体 に伴 う社 会 的 混
乱 を経 て,8世
獲 得 す る 」, の 過 去 分 詞)
紀 に,シ ャル ル マ ー ニ ュ(カ ー ル 大 帝)
が古 典 ラ テ ン語 の 復 興 を企 て た頃 に は,ガ
リア の 俗 ラ
ど.
テ ン語 は,独
ラ ン ク語 が 北 部 の ガ ロ ・ロマ ンス語
た く異 な った様 相 を 呈 す る よう に な って い た.つ ま り,
に 与 え た 影 響 と し て 明 らか な も の は,ま ラ テ ン 語 の 段 階 で 消 滅 し て い たhと 導 入 し た こ と で あ る.こ
の 現 象 は,レ
ず,す
自の 発展 を 遂 げ て,も
との言 語 とは ま っ
でに俗
この 地域 の 言語 が個 別 の言 語 として,方 言 的差 異 を示
い う音 を ふ た た び
しな が らも,俗 ラ テ ン語 と も他 の ロ マ ン ス諸 語 とも異
ト ・ロ マ ン ス 語
な った特 徴 を示 す よ うに な っ てい た と い う こ と で あ
る.こ の 事 実 は,当 の 話 者 た ち に は,自 分 た ち の言 語
て 機 能 す る よ う に な っ た 結 果,ア
が 古 典 ラテ ン語 とは異 な る言 語 で あ る とい う事 態 と し
音 の 上 に 移 動 す る.
て 認 識 され た の で あ るが,事 情 は,他 の ロ マ ンス語 地
mulierem>mulierem(古
域,さ
filiolum>filiolum(フfilleul)「
らに は,ロ ーマ教 会 に 帰依 す る グ ル マ ン語 地 域
で も同 様 で,813年
の ツ ー ル の宗 教 会 議 では,こ
テ ン語 とは異 な っ た 日常 の言 語(つ 語,お
のラ
た.
フmoillier)「
部,
南 部 の3つ の 地域 で,そ れ ぞ れ 独立 した 言 語 と言 え る ほ ど まで に 発 達 を遂 げ て い た.北 部 と南 部 の言 語 は,
こ の ア ク セ ン トの 位 置 は,古
典 ラ テ ン語 の 規 則 か ら す
化 が 起 こ っ た 時 代 に は,そ
れ に 対 し て は,こ
され な か っ た の で は な い か と い う 説 明 が あ る. 2)後
ろ か ら3番
目 の 音 節 に あ っ て,他
続 さ れ,か つ ア ク セ ン トを もつuが
よ って,そ れ ぞれ 「オイ ル語(langue
脱 落 し た 結 果,ア
ク語(langue
ク セ ン トが1つ
の母音に後
半 母 音 化 し,そ し て 前 の 音 節 に 移 動 す る.
battuere>battere(フbattre)「
d'oc)」 とい わ れ る.「 オ イ ル 語 」は,フ
打 つ」
consuere>co(n)sere(フcoudre)「
ラ ンス 北 部 に成 立 した 諸 方 言 を 包括 す る名 称 で あ り, そ の意 味 で は 「フ ラ ンス 語」 と同義 で あ る.た だ し,
3)古
縫 う」
典 ラ テ ン語 で は,子 音 連 続 の 前 に あ る 母 音 は,
「フ ラ ンス 語」 とい う場 合 に は,前 述 の よ うに,パ リを
「位 置 に よ っ て 長 い 」,つ
中心 とす るイ ル ・ド ・フ ラ ンス 地方 の フ ラ ン シア ン方
音 の よ う な と り扱 い を 受 け た の で あ る が,子
言 を基 礎 と して 発展 した フ ラ ンス標 準 語 を さす こ とが
前 に あ る 母 音 は,そ
多 いの に対 し,「 オイ ル 語」 の 場合 に は,そ の よ う な特
2番
定 の方 言 に言 及 す る とい う 傾 向 は な い.「 オ ック語 」
っ た.し
は,そ の話 されて い る1地 方 の名 を とって,「プ ロ ヴ ァ
音 連 続 と同 じ と 解 釈 さ れ,こ
ンス語(provencal)」
った .
と もい わ れ る.最
後 に,東 部 の
ま り,短
目 の 音 節 に あ る 場 合 に は,ア か し,俗
ラ ン コ・プ ロヴ ァ ンス 語(franco‐provencal)」
音 +rも,他
層 言 語 と して の ケル ト語 の話 者 で あ る ケル ト人 の人 口
4)3人
雷鳴」 ヘ ビ」
称 複 数 完 了 の 語 尾 で あ る ‐eruntのeが
く な り,あ
る い は,2人
ク セ ン トが 語 幹 に 移 る .
密 度 が 北 に高 く,南 に低 か っ た こ と,南 部 には ギ リシ
cantaverunt>cantaverunt(フchanterent),
ア 語 の 基層 が存 在 した こ と,ま た,ラ テ ン語 化 の 程 度
cantavistis>cantastis(フchantas),
が 南 で は 北 よ り強 く,か つ 学 校 を通 して 行 な われ た の
cantavisti>cantasti(フchantastes>chan tates) 「(彼 ら,あ
ら には,先 に述 べた よ うに,そ れ ぞ れ異 な る ゲル マ ン
5)複
な た,あ
な た が た が)歌
形 態 素 の 切 れ 目 が 意 識 さ れ た 結 果,本
られ る.お そ ら く,そ の い ず れ もが 言 語 分 化 に関 与 し
ア ク セ ン トが 移 動 す る. recipit>recipit(フrecoit)「
れ る変 化 は,次 の よ うな もの で あ る.
残 る」 集 ま る,
同 意 す る」
古典 ラ テ ン語 の高 低 ア ク セ ン トは,俗 ラ テ ン語 で は, 3世 紀 か ら6世 紀 の 間 に 強弱 ア ク セ ン トへ と変 化 し た
い る. ろか ら3番 目の音 節 に あ っ て,他 の 母 音 に後
続 され,か つ ア クセ ン トを もつi,eが,半
母音 と し
詞 の 活 用 の 種 類 が 変 化 し た 結 果,ア
sapere>sapere(フsavoir)「 ridere>ridere(フrire)「
か った.し か し,次 の よ うな場 合 に は,ア ク セ ン トの ロマ ンス語 に も踏 襲 され て
6)動
クセン ト
が移動する.
の で あ る が,ア クセ ン トの位 置 は原 則 と して 移 動 し な
1)後
受 け取 る」
convenit>convenit(フconvient)「
ⅠⅠ)ア クセ ン ト
移 動 が み られ,こ れ は,各
来 の 語 幹 の方 に
*demorat>demorat(フdemeure)「
8世 紀 頃 ま で に,フ ラ ンス語 が 被 っ てい た と考 え ら
った 」
合 動 詞 の 接 頭 辞 に ア ク セ ン トが あ っ た の が,
民 族 が 異 な っ た程 度 で侵 入,定 着 した こ とな どが あ げ
た もの と考 え られ る.
短
称 単 ・複 数 の 完 了 の 語 尾 の
‐vi‐が 脱 落 し た 結 果,ア
で,そ の ラ テ ン語 も よ り 「 文 語 的 」 で あ った こ と,さ
の子
完全な」
colubra>colubra(フcouleuvre)「
され る よ うに な った原 因 に関 して は定 説 は ない が,基
ろか ら
の 母 音 が ア ク セ ン トを と
tonitrum>tonitrum(フtonnerre)「
れ る.
音 +rの
ク セ ン トを と らな か
ラ テ ン語 で は,子
integrum>integrum(フentier)「
とよば
母 音 で あ っ て も長 母
の よ う な 解 釈 を 受 け ず,後
言 語 は,上 の2つ の言 語 の 中 間 的特 徴 を示 すの で,「 フ
ガ ロ ・ロマ ン ス語 が,こ の よ うに3つ の言 語 に 区 分
の変
れ ほ ど母 音 の 長 短 は問 題 に
肯 定 疑 問 文 に 対す る肯 定 の 返 答 の際 に使 用 され る語 に d'oil)」,「オ ッ
小型
の シカ 」
る と不 可 能 な 位 置 で あ る が,こ
この 頃 ま で に,ガ ロ ・ロマ ンス語 は,北 部,東
女」
息子」
capreolum>capreolum(フchevreuil)「
ま り,諸 ロ マ ンス
よび,ゲ ル マ ン語)を 使 用す る こ とが 推 奨 され
ク セ ン トが 後 続 の 母
Ⅱ)音
韻
音
1)母
知 る」 笑 う」
す で に 俗 ラ テ ン 語 に お い て,古
テ ン語 の 短 母 音 と長 母 音 の 対 立 は 失 わ れ,a,a>a; i,e>e;e>e;i>i;o>o;o,u>o;u>u
典 ラ
と い う 変 化 の 結 果,母
音 の 質 の み が関 与 的 な母 音 体 系
lectum>lit「
へ と 移 行 し て い た.ま
た,古
factum>fait「
典 ラ テ ン語 のauを
二 重 母 音 は 短 母 音 化 し て お り,ae,oeは,そ e,eに
な っ た(た
だ し,フ
ラ ン ス 語,ス
の イ タ リ ア 語 で は,auは こ れ ら7つ 際 に は,ア な り,ア
部
な っ た).
ク セ ン トの あ る 場 合 と な い 場 合 で 結 果 が 異
あ る か 閉 音 節(子
音 節(母
音 で終 わ
音 で 終 わ る 音 節)に
ク セ ン トの な い 場 合 は,語
か が,さ
ペ イ ン 語,北
ラ ン ス語 に おい て 変 化 す る
ク セ ン トの あ る場 合 は,開
る 音 節)に か,ア
れ ぞ れ,
短 母 音 化 し てQと
の 母 音 が,フ
除 く
ある
中 の ど の位 置 に あ る
ら に 変 化 の 様 態 を 決 定 し た.
ま ず,ア
「(車 の)輻
口蓋
行 為,事
古 フhui「
*lucire>
古 フ luisir「 輝 く」,fructum>fruit
ア ク セ ン ト の な い 母 音 は,一
ferrum>fer「
語 末 の 音 節 に あ る 母 音 は,aを のaは,8世
mortem>mort「
死 んだ 」
*cortem>cort「
農 家の 庭
nullum>nul[nyl]「
,宮
糸」
murum>mur[myr]「 eとoは
壁」
二 重 母 音 化 し,そ
鉄」
音 脱 落 の 結 果,語 の 母 音 が,〓
cor>
野 蛮 な,高
と変化
慢な」
古 フcuor(>c〓ur)「 蓋 化 し てeに
古 フnostre「
eとoは
心 臓」
古 フoste「
frang(e)re>
古 フfraindre「
壊 す」
末 の 音 節 の 場 合 と 同 様 の 振 る 舞 い を し た. 古 フcitet「
町」
解 放 す る(古 フ),渡
rationabile>
海」
す」
装飾」
古 フraisnable「
道 理 を わ き まえ
た」
二 重 母 音 化 し,そ
れ ぞ れ,ei,ouへ
と変 化
ア ク セ ン トの あ る 音 節 の 直 後 に あ る 音 節 の 母 音 は,一 般 的 に 脱 落 す る 傾 向 に あ っ た.
pilum>
古 フpeil(>poil)「
florem>
viridem>vert「
毛」
古 フflour(>fleur)「
上 の よ う な 変 化 は,母
花」
音 独 自 の 変 化 で あ る が,周
8世 紀 ま で に 起 こ っ た こ の よ う な 変 化 は,主
囲
と し て,
母 音 の 口 蓋 化 で あ る. 蓋(化)子
部屋」
arborem>arbre「
木」
titulum>titre「
称 号」
た だ,こ
の 場 合 で も,語
頭 の 音節 に あ る母 音 だ け は保
持 さ れ た.
音 に 先 立 た れ る 開 音 節 中 のa(>
e)とe(>ei)は,そ
れ ぞ れ,ieとiに 古 フchief「
vindicare> -c era>cire「蝋
緑」
camera>chambre「
の 音 韻 の 影 響 を 受 け て 母 音 が 変 化 す る こ と も あ っ た.
caput>
主人」
ornamentum>ornement「
し た.
ま ず,口
」 われ わ れ の」
hosp(i)tem>
liberare>livrer「
な っ た.
mare>mer「
末 に子 音 連 続 が 現 わ れ る と い う形 で 保 持 され る こ と
古 フdoble「2倍
noster>
civitatem>
ferum>fier「
変 化 し た.
頭」
古 フvengier「
firmare>fermer「
movere>
慈悲」
音 に 後 続 さ れ る 開 音 節 中 で は,e>*iei>
こ の 場 合 は,ア
糸 にす る」 固 定 す る」 夫」
古 フmoveir「
durare>durer「
i;a>ai;o>*uei>ui[yi];o>oi;u>ui[yi] とい う 変 化 が 起 こ っ た.
filare>filer「
maritum>mari「 復 讐 す る」
」
mercedem>merci「 口 蓋(化)子
ferrum>fer「
∼ す る とき」 った」
ア ク セ ン トの あ る 音 節 の 直 前 に あ る 音 節 の 母 音 も,語
れ ぞ れ,ie,uoへ
し た.
aは,口
が)言
duplum> よ びy
保 た れ た.
filum>fil「
ぶ」
が あ っ た.
廷」
いか な る∼ もない 」
ア ク セ ン トの あ る 開 音 節 の 母 音 の う ち,iお (<u)は
が)運 持 つ」
古 フquant「
と き に は,そ
べ て 脱落
へ と 弱 ま っ た.
大地」
dixi>dis「(私
た だ し,母
部分」
落 す る傾 向 が強
除 い て,す
紀 頃 に〓
terra>terre「
quando>
鉄」
partem>part「
般 に,脱
か っ た.
habere>avoir「
緑」
声 」;
「果 実 」
の 音 質 が 保 た れ た.
vir(i)dem>vert「
「皮 」;
古 フvois「
portat>portet「(彼
千」
今 日 」,corium>cuir
vocem>
化 し て y に 変 化 し た ほ か は,す べ て 俗 ラ テ ン 語 の 母 音
mille>mil「
実 」,radium>rai
」;
hodie>
し た.こ
ク セ ン ト の あ る 閉 音 節 の 母 音 は,uが
寝 台 」;
動 か す」
固 く す る,持
続 す る」
ク セ ン トの あ る 母 音 と同 様 に,後
音 韻 の 影 響 を 受 け,音 *caballum>cheval「 placere>plaisir(古
続 の
質 が 変 化 す る こ とが あ っ た. 馬」 フ で は 動 詞)「 喜 ば せ る 」
negare>
古 フneiier「
否 定 す る」
potionem>poison「
2)子
音
飲 み 物,毒
のg,お
」
子 音 の 場 合 に は,語
中 の 位 置 が,そ
a)語
頭 の 子 音,お
よ び,語
し音 節 の 頭 に あ る子 音(た
中 で も,他
lunam>lune「
aが
音eとiの
れ ぞ れ,ts,〓
gelu>
前 で は,口
鹿」
古 フgiel[〓]>gel「
前 に あ る と き と同 様 に,〓
寒 さ,霜
」
gutta>
頭 で は,〓
主 な も の は,次
に 変 化 し た.
日」
素 が 脱 落 し て,そ
に な っ た.h‐,w‐
古 フome「
> ‐it-
factum>fait「
で あ る.
男」
魂」
ⅱ)‐ct‐,‐gt‐,‐gd‐
ル マ ン語 上 層 の と こ ろ で 述 べ た と お り
の うち
> ‐m-
an(i)ma>ame「
目に あ る 唇音 の 要
行 為,事
frig(i)dum>
実」
古 フfreit(>froid)「
寒 さ」
ⅲ )‐cl‐,‐gl‐,‐lj‐> 〓 中 の 母 音 間 の 子 音 は,お
auric(u)la>oreille[〓]「
し な べ て弱 化 す る傾
folia>
向 に あ っ た. 唇 音 のpは お よ び,本
有 声 化 し てbに 来 のbは,と
歯 音 のvに
faba>feve「 歯 音 のtは お よ び,本
な り,こ
の2次
的 なb,
も に 摩 擦 音 の β を 経 て,唇
vinea>vinia>vigne「
川岸 」
有 声 化 し てdに
な り,こ の2次
紀 頃,と
的 なd,
も に 摩 擦 音 の〓 に
古 フvidhe[〓](>vie)「
命」
古 フnudhe[〓](>nue)「
唇 軟 口蓋 音 のqu[〓]は のgu,お
裸 の」
有 声 化 し てgu[〓]に
よ び,本
嘆 い てい る」
ま た,sim(i)lare>sembler「
な っ た.
nuda>
ぶ ど う園」 ∼ してや る」
plangentem>plaignant「
ソ ラマ メ 」
似 て い る 」,ten(e)
rum>tendre「
柔 ら か な 」,mol(e)re>
dre>moudre「
挽 く」 な ど の 変 化 が 示 し て い る よ う
古 フmol
に,語
中 の ア ク セ ン トの な い 母 音 の 脱 落 に よ っ て 生 じ
た2次
的 な 子 音 連 続 の 発 音 を 容 易 に す る た め に,そ
な
末 の 子 音 は,俗
ラ テ ン語 に お い てす で に語 末
が 変 化 した も の も含 む)は,wgw>w〓w>wwを
し た 結 果,語
末 に 位 置 す る よ う に な っ た2次
経 て,6世
に 区 分 さ れ る.
*triuwa>
ル マ ン語 のW
c)語
的 な も の と,そ
aqua>*agua>
な っ た.
古 フewe(>eau)「 古 フtrieue(>trieve>treve)「
水」
ま ず,1次 休
戦」 kは,a,o,uの
な る.こ
sal>sel「
の 後,語
的 な 語 末 子 音 は,一
cantas>chantes「(あ cantus>chants「
前 で は 有 声 化 し てgに
の
間 に 別 の 子 音 を 挿 入 す る こ と も あ っ た.
に あ っ た1次
紀 初 め 頃 にwと
来 のgu(ゲ
葉」
+e‐/i‐> 〓
dignare>deigner「
来 のdは,6世
vita>
耳」
古 フfueille[〓](>feuille)「
ⅰⅴ )‐nj‐,‐gn‐,‐ng‐
な っ た.
ripa>rive「
り,こ
大 地 」)
hom(i)nem>
ま た,qu‐[〓],gu‐[〓]は,2番
b)語
水 滴」 美 しい 」
の よ う な も の で あ る.
ⅰ )‐mn‐,‐nm‐
結 合 す る」
古 フjorn[〓]「
に つ い て は,ゲ
古 フgoute「 古 フbele「
語 中 の 子 音 群 も さ ま ざ ま の 変 化 を 被 る が,そ
iungere>joindre[〓]「
れ ぞ れ,k‐,g‐
除 い て単 子 音 とな っ
マ ン ト」
(cf.terra>terre「
お ん ど り」
半 母 音 のjと,d+jも,語
喜 ばせ る」
cappa>chape「
に な っ た.
gallum>
な る が,g
王妃」
中 の 二 重 子 音 は,rrを
bella>
古 フjal[〓]「
経 てdzに
た.
に な っ た が,gは,e/iの
歌」
支 払 う」
道」
placere>plaisir[〓]「
らせ る 」
cantum>chant[〓]「
脱 落 し た.
と変 化 す る.
ま た,語 町」
凍 る,凍
前 で は,kは〓
diurnum>
蓋化
のjも
古 フpaiier(>payer)「
続 く と き は,kはtsを
はjへ
確かな」
い う 変 化 と な る.さ
regina>re〓ne[〓]「
古 フcitet[〓]「
gelare>geler[〓]「
母 音aの
の
に な っ た.
cervum>cerf[〓]「 civitatem>
e,iが
口 蓋 子 音kとgは,次
古 フseur「
>jj>jと
ruga>rue「 銀」
よ う な 変 化 を と げ た.母
な る.
先 行 さ れ る と き は,こ
pagare>
月」
の 位 置 で も,軟
し て,そ
頭」
擦音
」
続 く と き は,〓
ら に,o,uに
argentum>argent「 た だ し,こ
続 く と き は,摩
augustum>aout「8月
の 子音 に後 続
と え ば,fes‐taのt)は,
古 フteste(>tete)「
続 す る 母 音 に よ っ て,
securum>*segurum>
原 則 と して 保 持 さ れ た. testam>
来 のgは,後
化 し て 〓 に な っ た 後,yに
の 後 の 変 化 を 決 定 す る の に 関 与 的 で あ っ た.
よ び,本
次 の よ う な 変 化 を と げ る.o,uが
塩」
末 の母 音 が脱 落
般 的 に 保 持 され た.
な た が)歌 歌」
的 な もの
う」
cor>
古 フ cuer>c〓ur「
た だ し,tは,他 音 化 し て〓
心臓」 擦
に な っ た. 古 フportet[〓]「(彼
intrat>
古 フentret[〓]「(彼
し か し,次
が)運
ぶ」
が)入
る」
の よ う な 例 外 も あ る.
tenet>tient[tient]「(彼
が)送
つ」
で に 俗 ラ テ ン 語 に お い て,‐mは
単音節語 に れ は,‐nに
変
音 間 の 子 音(群)と
同様 の
応 す る無 声 音 の あ る有 声 音
は 無 声 化 し た. campum>champ[〓]「
野 原 」,
clavem>clef[〓]「
鍵 」;
arcum>are[ark]「
crucem>
古 フcroiz[〓](>croix)「
長 い 」,
何 の 」,
intrare>entrer[〓]「
ぶ ど う 酒 」,
性,女
性 が 男 性 に 合 流 して,男
性,女
詞 の 変 化 の 種 類 と し て は,ラ
を も っ て い た が,フ
ラ ン ス 語 で は,こ
れ
へ と減 少 し た.
2)形
容詞
様 に,格
の 表 示 を 男 性形 で しか 行 な わ ない もの が 大 部
形 容 詞 に 関 し て も,名
か し,男
詞 の 場 合 と同
性 形 と女 性 形 の 区 別 は, 末 母 音 の うち
よっ て 表 示 す る こ とが で き
た.
mort[mort]:morte[〓]「
presentet[〓]:presentede[〓]「
死 んだ 」 連 れ て行
よ うな語 尾 の対 立 で 性 を 区別
す る ラ テ ン 語 と も,次
の よ う に,語
末の子音の存在で
mort[〓]:morte[mort]
紀 か ら10世
fidem>
擦 音 化 し て〓
の子
に な っ た(こ
紀 頃 に 脱 落 す る).
古 フfeid[〓]「
amatum>
信頼 」
古 フamet[〓]「
上 級 は,古
愛 され て い る」
ン 語 で は,形
緑」
上 級 はmaximeと
語 末 の 子 音 の 脱 落(‐mは,対
格 の
末 の 母 音 の 音 量 の 音 韻 論 的 対 立 の 消 失(rosa 奪 格),さ
ら に は,お
に な っ た(最
較 級,最
だ,grand,bonな
mieldre(<melior)の
比 較 級 の 形 を 受 け 継 い だ.
と な っ て,ラ
3)冠
ス 諸 語 で は 消 滅 す る 傾 向 に あ っ た.し マ ン ス 語 で は,語
語 で あ っ た が,俗
末 の‐sが 保 持 さ れ た の で,格
変化 は
ille/ipse,お
る い は,被 制 格)
の 対 立 が 残 され た.こ
の 対 立 の た め に,ロ
マ ンス語 で
は 一 般 的 な,語 順 に よ る格(主 格 お よ び 対 格)の
表 示 は,
も っ と も古 い 段 階 の フ ラ ン ス 語 で は 完 全 に は 発 達 し て っ と も,こ
の 対 立 は,主
と して 男 性 名
よ う に,ラ
古 典 ラ テ ン語 は,冠
ロ ・ロ
格 と非 主 格(あ
い な か っ た.も
詞
か し,ガ
完 全 に は 消 滅 せ ず,主
ラ テ ン 語 で は,指
よ び,数
詞 の 定,不 う に な り,こ
詞 を もた な い言 示代 名 詞 で あ る
詞 で あ るunusが,そ
う し て,ロ
れ ぞ れ,名
マ ン ス 諸 語 は,こ
名詞
ラ
れ らの語 を
定 冠 詞 を 所 有 す る に 至 っ た.ガ
ロ ・ロ マ ン ス 語 の 定 冠 詞 は,illeの 4)代
テ ン語 の 屈 折 的 な
定 を 指 示 す る 機 能 を 果 た す こ とがで き る よ
起 源 と す る 定 冠 詞,不
どのよう
数 の 形 容 詞 だ け は,graindre(<grandior),
う 分 析 的 言 語 へ と い う言 語 の タ イ プ の 変 化 な ど が 原 因 マ ン
ラ ン ス 語 で は,plus
上級 の両 方 を表 示 す る よ う
そ ら く ラ テ ン 語 と い う屈 折 的 言 語 か ら ロ マ ン ス 語 と い
あ っ た 格 変 化 が,ロ
較 級は
上 級 に 必 ず し も定 冠 詞 が 付 け ら れ る と い
う こ と は な か っ た).た な,少
よ
ラテ
い う語 を お い て 分
析 的 に 表 示 す る 傾 向 が 強 ま り,フ の み を 用 いて,比
テ ン 語 で は6つ
上 級)の
容 詞 あ る い は 副 詞 の 前 に,比
magis/plus,最
古 フvert[vert]「
「バ ラ 」 は 主 格 で あ る が,rosaは
典 ラ テ ン 語 で は,-ior/-ius
う な 屈 折 語 尾 で 表 示 す る の が 普 通 で あ っ た が,俗
態 詞
grand[〓]:grande[〓] 比 較 級,最
(比 較 級),-issimus/-issima/-issimum(最
の よ う な 例 外 も あ る.
viridem>virde>
指 標),語
性,中
女 性 形 を 表 示 す る 現 代 フ ラ ン ス 語 と も異 な る.
有 声 化 し た も の も含 む)は,他
は,9世
1)名
般 的 に,中 に 減 少 した.名
こ れ は,-us:-um:-aの 名 前 」;
古 フmeis[meis](>mois)
音 に 先 立 た れ な い 場 合,摩
Ⅲ)形
詞 の 性 は,男
ー マ ニ ア語 を除 い た ロマ ンス
が,3つ
「月 」
し か し,次
間を
外 の格 を明 示 す
か れ た」
古 フnome>nom[nom]「
た だ,t,d(tの
の〓
テ ン語 で は,名 で あ っ た が,ル
テ ン語 は5つ
入 る 」,
mensem>mese>
格,対
テ ン語 よ り も高 い 頻 度 で 用 い
唯 一 保 持 さ れ た,‐e[〓]に 十
字 」;
vinum>vin[vin]「
格(こ
少 数 の 男 女 同 形 の 形 容 詞 を 除 い て は,語
古 フlonc(>long)「
nomen>
性 の3つ
分 を 占 め て い た.し
弓 」,
longum>
quale>quel「
ま た,ラ
性 の2つ
的 な 子 音 は,母
置 詞 を,ラ
語 で は,一
ラ ンス 語 で も 保 た れ た(例:rem>rien
と り扱 い を 受 け た の ち,対
と し て 属 格,与
る よ う に な っ た.
も ∼ な い 」).
語 末 の2次
の 格 は,人
る た め に,前
った 」
し か 保 た れ て い な か っ た の で あ る が,こ 化 し て,フ
ら に,主
格,そ
し て,時
の
で に フ ラ ン ス 語 で も衰 退 に 向 か
い つ つ あ っ た と い う こ と が 分 か る.さ
表 わ す 名 詞 の 非 主 格 に 限 定 さ れ る)以 が)持
misit>mist[mist]「(彼 た だ,す
性名 詞 で はす で に単 数 と複 数 し
か 形 態 的 に 区 別 され な か っ た と い う事 実 か ら も,こ 格 の 形 態 的 表 示 が,す
portat>
「物,何
詞 に 限 ら れ て い て,女
の 子 音 に 先 立 た れ な い 場 合 は,摩
方 に 由 来 す る.
テ ン 語 の 人 称 代 名 詞 は,1人
称
(ego>*eo,nos),2人 の 系 列 は,フ
称(tu,vos),再
ラ ン ス 語 に は,主
格,非
元 さ れ て 継 承 さ れ た が,3人 受 け 継 が れ,こ
称 は,illeの
こ で は,一
形 態 的 に 区別 さ れ た.こ
格 と与 格 が
の 人 称 代 名 詞 の 系 列 で は,ア クセ ン トが な く前 接 的
使 用 され る 弱 形 の 区 別 が 生 じ た(jo:je,
mei:me,eus:les,な
ど).こ
く る な ど,統
語 的 に は 分 布 が 異 な っ て い た が,意
味的
質 的 な 相 違 は な か っ た.
指 示 代 名 詞 に 関 し て は,ラ
5)動 詞 古 典 ラ テ ン 語 の ‐are,‐ere,‐ere, ‐ireと い う4つ の 不 定 法 の 型 は ,フ ラ ン ス 語 で も‐er/ ‐ier,‐eir> ‐oir,‐re,‐irの 型 へ と 継 承 さ れ た が,ラ テ ン語 に お け る 型 が,そ
の ま ま フ ラ ンス 語 で も保 持 さ と え ば,古
「笑 う」,respondere「
者が動詞の前に
と っ て 代 わ られ て い
る).
れ た わ け で は な い.た
の 強 勢 形 と 弱 形 は,
前 者 が 動 詞 や 前 置 詞 の 後 に 現 わ れ,後
に は,本
ス 語 で は,personneとrienに
に還
系列 のみ が
部 を 除 い て,対
ク セ ン ト を も つ 強 勢 形 と,ア (enclitic)に
帰 形(se) 主 格 の2格
*ridere,*respondereで
あ り,こ
フ ラ ン ス 語 で は,そ pondre)と
な っ て い る.逆
に,古
に よ っ て,「 話 し 手 に 近 い も の 」 「聞 き手 に 近 い も の 」 「話 し 手 と聞 き手 の 両 方 か ら 離 れ て い る も の 」 と い う
chaeir>cheeir>cheoir(>choir)で
「話 し 手 に 近 い も の 」(近 称),「 も の 」(遠 称)と に な っ た.形
い う2つ
ラ ン ス 語 で は,
ecceに
の 系 列 だ け が 区 別 され る よ う
態 も,hicの
系 列 は 消 滅 し,isteがecce
よ っ て 強 め られ たcilが
に な っ た.ラ さ れ たisの が,俗
近 称 を,illeが
る い は,再
使用
帰的指示代名詞で ある
ラ テ ン語 で は単 な る指 示 代 名 詞 として 機 能 す る
よ う に な っ て い たipseの
系 列 は,い
ず れ も,illeの
系
列 に と っ て 代 わ ら れ た.
quis/quis/quidの
系 列 と,疑
系 列 は,す
て 混 同 さ れ て い た が,フ 名 詞 の 形 は 同 一 に な り,男
問代名詞
で に俗 ラ テ ン 語 に お い
ラ ン ス 語 で は,関
係 ・疑 問 代
・女 性 で はquiが,中
性
(指 示 代 名 詞 と疑 問 ・関 係 代 名 詞 の 系 列 に は,中 存 在 し た)で
はquidが,そ
の 主 格,お
性形 も
よ び,対
・与
な ど の 不 規 則 な 不 定 法 は,い
vouloir)で
古 典 ラ テ ン 語 の,nasci「 な ど の,形
ゆ る 異 態 動 詞(deponent に,俗
ら れ て い た が,フ
que「 (<
と って 代 わ
ラ ン ス 語 で は,不
定 代 名 詞 と し て は,
,alcuns(>aucuns)を
与 え た.quis
そ れ ぞ れ の ∼ 」 の 機 能 は,俗 ギ リ シ ア 語〓)が
こ れ にunusが
ど の能 動形 を与 え られ
さ ら に,こ
付 い て,*cadhuns>cheunsと
な り,
の 形 と ラ テ ン 語 のquisqueが 生 じ た.否
nemo,nihilは,フ neuls(<nec neguns(<neque
混 交 し て,
定 の 意 味 を もつ
ラ ン ス 語 に は 残 存 せ ず,前 ullus)/neuns/nuns(<nec unus)/nesuns(<ne
後 者 はneient<nient(お に と っ て 代 わ ら れ た(そ
る.ま
た,古
な って い
典 ラ テ ン語 の 屈 折 語 尾 に よ る 受 動 態 は,
完 了 の 系 列 で は,過 去 分 詞 とesseの た も の で あ っ た が,後 列 で も,こ
活 用 形 を複 合 させ
期 俗 ラ テ ン 語 で は,未
ipse unus)
の 代 わ り にlaudatus
sum,laudatus
fui,な
ど).フ
sumの
れ ら も,現
,
代フラ ン
代わ り
ラ ン ス 語 で も,こ
の形 式
典 ラ テ ン 語 で は,時
過 去,未
来 と い う 未 完 了 の 系 列 と,完
説法時制体系で
あ る.古
制 形 と し て は,現 了,過
未 来 完 了 と い う 完 了 の 系 列 が あ っ て,そ
在,半 去 完 了,
れ ぞ れ,形
態
ラ テ ン語 で
そ ら く時 制 の 照 応 が 原 因 と な っ て,過 去 未 来(フ
ラ ン ス 語 の 文 法 用 語 で は,条 件 法 現 在 に 対 応),お
よ び,
そ の 完 了 形 と い う形 が 時 制 体 系 に 組 み 込 ま れ る こ と に な り,さ も,英
ら に,「habeo/sum+
過 去 分 詞 」 と い う形 式
語 の 現 在 完 了 と 同 じ機 能 で,時
で あ っ た,純
gentem)
完了の系
の 形 式 が 用 い ら れ る よ う に な っ た(laudor
す る に 至 っ た.こ
unus)/
そ ら く,<*ne し て,こ
者 は,
わ
,フ ラ ン ス 語 で も,
naistre(>naitre),morir(>mourir)と
は,お
ラ ン ス 語 で は,
死ぬ」
の 変則 性 ゆ え
的 に も整 然 と し た 対 照 を な し て い た が,俗
ラ テ ン 語 で はcata
ひ き 継 ぎ,フ
chascuns(>chacun)が
verbs)は,そ
も っ と も改 変 が 大 き か っ た の は,直
ラ テ ン 語 で,certus,ali
quis,*alicunus<aliqu(‐is)+unusに
*alicunusが
の
下 の とお りで あ る.
生 ま れ る 」,mori「
ラ テ ン 語 で は 早 く か ら 消 滅 し,*nascere,
不 定 代 名 詞 の 系 列 に は,大
あ る ∼ 」 は,俗
ず れ かの 規 則 的 な 型 に組
は 受 動 態 で あ る が 意 味 は 能 動 で あ る,い
が 踏 襲 さ れ て い る.
quidam「
た,
欲 す る」
あ る.
にlaudatus 幅 な 変 化 が 生 じた.そ
あ る.ま で き る 」,velle「
み 入 れ られ て,俗 ラ テ ン語 で は,*essere,*potere, *volereと な り ,フ ラ ン ス 語 で,estre(>etre),
格 の 形 を 与 え た.
主 な も の は,以
ラ ン ス 語 で,saveir>savoir,
存 在 す る」,posse「
*morireな
関 係 代 名 詞qui/quae/quodの
ラ テ ン 語で
poeir>pooir(>pouvoir),voleir>voloir(>
遠 称 を表 示 す る よ う
テ ン語 で 前 方 照 応 的(anaphoric)に 系 列,あ
esse「
話 し手 か ら 離 れ て い る
(「そ ら!」)に よ っ て 強 め ら れ たcistが
,*cadere,フ
典 ラ テ ン語 のsapere
落 ち る 」 は,俗
*sapere
3つ の 系 列 が 区 別 され て い た の が,フ
ラ テ ン語 で は,
れを直接 継承 す る
れ ぞ れ,rire,respondre(>re
「知 っ て い る」,cadere「
テ ン 語 で,hic/iste/ille
典 ラ テ ン語 のridere
答 え る」 は,俗
の た め,完
制形 として 機 能
了 形 は,そ
の意 味 の 一 部
粋 な 過 去 を 指 示 す る 時 制 形 と して 機 能 す
る 方 向 へ 向 か う.こ
の よ う に,ロ
フ ラ ン ス 語 の 時 制 体 系 は,完
マ ン ス 語,そ
し て,
了:未
完 了 とい う対 立 だ
け で は 説 明 す る こ と の で き な い,よ
り複 雑 な 体 系 へ と
移 行 す る.
主 語,動
時 制 形 そ の も の の 形 式 も大 き く変 貌 す る.ま 典 ラ テ ン 語 で は,‐bi‐ amabis〔
と い う 接 辞(amas〔
ず,古 現 在 〕:
未 来 〕「愛 す る 」〔2人 称 単 数 〕),あ
→ ‐e‐と い う 母 音 交 替(legis〔
る い は,‐i‐
現 在 〕:leges〔 未 来 〕「読
む 」 〔2人 称 単 数 〕)が 未 来 の 指 標 で あ っ た が,俗 語 で は,「 不 定 法 +habeo/debeo/volo」 な 形 態 が 発 達 し,ガ beoを
とい う分 析 的
ロ ・ ロ マ ン ス 語 は,こ
用 い る も の を 選 ん で,さ
ラテン
ら に,こ
語 尾 化 し て 未 来 形 を 作 り 上 げ た.現
の う ちhaの 動 詞 を屈 折
在 に対 す る完 了 を
意 味 す る 形 態 と して,「habeo/sum+
詞,補
語 の 語 順 は,ラ
テ ン 語 は,格
有 し て い た の で か な り 自 由 で あ っ た が,基 「主 語‐補 語 ‐動 詞 」 と い う 語 順 で あ っ た.俗
す る が,こ
れ が 規 則 化 し た わ け で は な く,初
ン ス 語 で も,主 か げ で,語
格:非
た だ,補
順 の 自 由 度 は そ れ ほ ど損 な わ れ な か っ た. 語 あ る い は 副 詞 が 文 頭 に く る 場 合 に は,ゲ
マ ン 語 の 影 響 か ら か,動 通 で あ っ た. si salvarai
eo「 そ う い う条 件 で 私 は 援 助 し よ う 」
(『ス ト ラ ス ブ ー ル の 誓 約 』) Buona
bebam+
娘 で あ っ た 」(『 聖 ユ ー ラ リ続 唱 』)
過 去 分 詞 」,未 来 完 了 は 「habere+habeo+
来の完了は
過 去 分 詞 」,さ
形 を と る よ う に な っ た(sumを habeoの
estre(>etre)は
た,過
古 典 ラ テ ン 語 に は 豊 富 に あ っ た,等
ラ ン ス 語 に 残 っ た の は,et<et,ni/
ラ ン ス 語 で は,
去 完 了 も 屈 折 的 な 形 式 が12
habuerat,voldret<voluerat,な
ど.も
ne<nec,o<aut,donc<duncな
っ と も,こ
る).
ど,少
消 滅 し て,そ
完 了 と し て 機 能 し て い たamavissemが
導 入 さ れ,現
了 で は,直
説 法 と同 様 に分 析 的 形 式 が
在に対する 完 了 は
詞 」,過 去 完 了 は に な っ た.フ
れ まで 過 去 半過去の 機
「habeam+
過去分
「habuissem+
過 去 分 詞 」 とい う 形
ラ ン ス 語 で も,こ
の 俗 ラ テ ン語 の 形 式 が
tiusな
ど は,そ
れ ぞ れ,si,mais,ainzと
命 令 法 は,単
数 で は,ラ
テ ン語 の形 が 継承 され て い
る が(canta>chante「
歌 え 」,*parti>
「分 け ろ 」),複
般 に,直
数 で は,一
説 法 の2人
古 フpart 称複数の
機 能 し て い たutは,quodに 知 覚,命
と っ て 代 わ ら れ,伝
れ た.こ
う し て,初
先立 たれ る名 詞 節 に 代 わ ら
を語 源 と す る 接 続 詞queが,き
古 典 ラ テ ン 語 で は,名
詞 と意味 的 に密 接 な関 係 が あ る
場 合 は 名 詞 に 先 行 し,そ 続 す る と さ れ て い た が,こ
うで は な い場 合 に は名 詞 に後 れ は,必
ず し もす べ て の 場
合 に 適 用 さ れ る 規 則 と い う わ け で は な ぐ,名 詞 の 語 順 は,比 で も,こ
詞 と形 容
較 的 自 由で あ っ た. 初 期 の フ ラ ン ス語
の 傾 向 は 同 じ で あ り,形
有 を 意 味 す る 非 主 格 の 名 詞 も,修 る こ とが で き た.し
か し,非
わ め て 多 くの 機 能 を も
つ 従 位 接 続 詞 と し て 残 り,こ れ を も と に し て,ainzque 「∼ す る 前 に,∼ tant
que「
よ り む し ろ 」,puis
[フ ラ ン ス 語 の 歴 史]
8世 紀 頃 ま で の 数 百 年 の 間
上 の よ うな 非 常 に 大 きな変 化 を と げて フ ラ ンス
語 は 成 立 し た.フ
ラ ン ス 語 で 書 か れ た 最 初 の 文 献 は,
シ ャル ル マ ー ニ ュの 孫 の ゲ ルマ ン王 ル ー トウ ィ ヒ と シ ャ ル ル 禿 頭 王 と の 間 に 交 わ され た 連 盟 の 約 束 を,歴
る .ま た,最
記 した de
唱 』(Sequence
de
Sainte
『ス ト ラ ス あ
の 『聖 ユー ラ リ続
Euialie)で,こ
れ 以 降,14
世 紀 半 ば く ら い ま で を 古 フ ラ ン ス 語,14世
紀後半か ら
16世 紀 ま で を 中 期 フ ラ ン ス語,17世
紀 か ら現 代 ま で
を 近 代 フ ラ ン ス 語 と い う よ う に,フ
ラ ンス語 の 歴 史 を
大 き く3つ
の 時 代 に 区 分 す る.
飾 す る名 詞 に先 行 す
初 期 の 古 フ ラ ン ス 語 は,上
早 い 時 期 に 名 詞 に 後 続 す る 傾 向 が 強 ま っ て い る.
史
Strasbourg,842)で
古 の 文 学 作 品 は,881年
Ⅰ)古
な り
∼ の 後 で 」,
∼ ま で 」 の よ う な,数 多 く の 複 合 接 続 詞 が
容 詞 の み な ら ず,所
主 格 名 詞 の 方 は,か
que「
作 り 出 さ れ た.
ブ ー ル の 誓 約 』(Serments 格 の 名 詞)は,
達,
期 の フ ラ ン ス 語 で は,quod/quia
家 ニ タ ル ド ゥ ス(Nithardus)が
る い は,属
典
令 な どを意 味 す る動詞 の後 に用 い ら れ て い た
ⅠⅤ)統
名 詞 を 修 飾 す る 形 容 詞(あ
た,古
ま ざ まな 意味 の補 文 を示 す 標 識 と して
形 が 借 用 さ れ て い る. 語
な っ て,
等 位 接 続 詞 と し て 機 能 す る よ う に な っ た.ま
に,以
踏 襲 され て い る.
数 であ
典 ラ テ ン語 で は 副 詞 で あ っ たsic,magis,an‐
不 定 法 も,quod/quiaに
接 続 法 に 関 し て は,い わ ゆ る 半 過 去 を 表 示 す る の に,
位 接
る が,古
ラ テ ン語 で,さ
な る過 去 しか 意味 し てい ない とい う説 もあ
能 を 継 承 し,完
位お よび従位接
続 詞 の う ち,フ
だ し,フ
俗 ラ テ ン語 で は,amaremが
ユー ラ リ は よい
過去分詞」 という
世 紀 頃 ま で 残 存 し て い た(furet<fuerat,auret<
の 形 は,単
Eulalia「
マ ン ス 語 で は 非 常 に 減 少 し た.等
ラ テ ン語 の 未 来 形 の 形 式 を か な り長
い 間 保 持 し た し,ま
fut
続 詞 の 数 は,ロ
助 動 詞 に と る 動 詞 は,
形 式 に 準 ず る).た
pulcella
去未
「habere+habebam+
ら に,過
ル
詞 が そ の次 に お か れ る の が 普
了 形 に 一 般 化 し,過 去 完 了 つ ま り 半 過 去 の 完 了 は 「ha
「habui+
期の フラ
主 格 と い う格 の 形 態 的 対 立 の お
達 し た こ と は す で に 述 べ た が,こ の 形 式 は,す べ て の 完
の完 了 の完 了 は
ラテ ン 語
で は,「主 語 ‐動 詞 ‐補 語 」 と い う語 順 の 頻 度 が 高 ま り は
過去 分 詞 」 が発
過 去 分 詞 」,新 し く純 粋 な 過 去 を 示 す よ う に な っ た 以 前
語尾 を
本 的 に は,
フ ラ ンス 語 に 記 した よ うな 変 化 の 結
果 を す べ て 備 え た 言 語 で あ る.一 語 」 と い う 場 合 に は,ク
般 的 に 「古 フ ラ ン ス
レ チ ヤ ン ・ ド ・ トロ ワ(Chre‐
tien
de
Troye)が
Rose)が
活 躍 し,『 バ ラ 物 語 』(Roman
書 か れ た,12∼13世
8世 紀 以 降,9世
de la
紀 の フ ラ ン ス 語 を さ す が,
紀 か ら11世
紀 ま で に も,次
の ような
変 化 が 起 こ っ て い る. 1)音
韻
音 韻 上 の も の で あ る.ま
ず,母
音 で は,鼻
子音 に 後 続
べ て 鼻 音 化 し た.
vinum>vin[vin]「
ts,〓,〓,〓
の よう
幹 が 単 数 主 格 で の み 異 な る 名 詞 が,若
干数 存
幹 が 人 称,数
二 重 母 音 も 生 ず る.
parler「
満ちた」
複 数parlez
plenum>plein[plein]「 panem>pain[pain]「
様 に鼻 音
愛 す る」
fem(i)na>feme[〓]「
a,bと
じ時 期 に起 こ った の で は な
っ と も 広 いaは10世
紀 の 末 頃 には鼻 音 化 して
っ と も狭 いiやyが た,こ
鼻 音 化 し た の は,13
の 時 代 に は ま だ,後
脱 落 し て い な か っ た の で,鼻
母 音 は,対
母 音 と音 韻 論 的 対 立 を な し て お ら ず,し 母 音 の 変 異 形 で は あ っ て も,独
続 のm,
す る 」―
現 在2人
称 単 数aimes:同
単 純 過 去1人
も に,俗
応 する 口
た が っ て,口
幹 が1つ
ん ど で あ る(た
だ し,devoir,pouvoirな
紀 に,語 頭 の 開 音 節 に あ るeが
弱 ま っ て,
導 く」
caballum>cheval[〓]>[〓]「
馬」
詞 の 活 用 形 だ け で 人 称 が 明 示 さ れ る の で,動
れ が 使 用 され る 場 合 に は,主
生 接 辞 の 使 用 に よ る 語 形 成 が,現
語 に 比 べ て,は
る か に 自 由 で あ っ た.た
richesseと 暑 い」
e)定
mol(e)re>moldre>moudre[〓]「
挽
く」
同 じ 意 味)な
る い は,口
蓋 化 音 が 接 し て い る場 合 に は,三 重 母 音 を 生 み だ し た.
冠 詞 が,抽
ず れ も,
象 的 な 意 味 を もつ 名 詞 や,国
前 に 用 い ら れ る こ と は な く,ま
の 複 数 形desは
た,不
は,一 は,12世
veclum>vieil「
年 とっ た」
は ま れ で あ っ た.
よ り よい」
f)接 は,11
世 紀 の 末 に は 脱 落 し た.
紀 頃 発 生 し た が,15世
紀 頃 ま で は,そ
の
定冠詞 い う形 分冠詞 の使 用
続 法 が,ま だ 法 と し て の 独 立 性 を 保 っ て お り,
主 文 で 願 望 や 命 令 の 意 味 を 伝 え る こ とが で き た し,条 件 文 に も か な り の 頻 度 で 使 用 さ れ た.
laudare>*loder[〓]>loer「 amat>aimet[〓]>aime「(彼
ほ め る」
g)ラ
は)愛 す る 」
こ の よ う な 音 変 化 の 結 果,古 ら に は,10個
ら に,不
対 の も の を 表 わ す た め に 用 い ら れ た.部
美 しい 」
名 の
定 冠 詞 は,そ
ま だ 生 ま れ て お ら ず,unsと
bellus>beaus「
や〓
富」 のほか
ど の 名 詞 が 作 ら れ た.
使 用 が 完 全 に 義 務 的 で は な か っ た.さ
フ ラ ン ス 語 の 初 期 に 存 在 し た 摩 擦 音〓
代 フ ラ ンス と え ば,riche
に,richee,richete,richor,richoise(い
な っ た.
軟 口 蓋 化 は,〓 が 前 に あ る 場 合,あ
語 を強 調
す る と い う 意 味 が あ っ た.
「豊 か な 」 と い う形 容 詞 か ら,richesse「
軟 口 蓋 化 し て,uに
cal(i)dum>chalt>chaut[〓]「
どの使 用 頻
幹 の 母 音 交 替 を 現 代 で も保 っ て い
詞 の 前 に主 格 の 人 称 代 名 詞 を使 用 す る こ とは義 務 的 で
d)派
minare>mener[〓]>[〓]「
推
に 統 一 され て い る も の が ほ と
る).
は な か っ た.そ
〓 に な っ た.
ク セ ン トの
代 フ ラ ン ス 語 で は,類
作 用 に よ り,語
c)動
こ とは で き な い.
melius>mieuz「
称 単 数fis:同2
ラ テ ン 語 に お け る,ア
位 置 の 違 い に 由 来 す る が,現
度 の 高 い 動 詞 は,語
立 した 音 素 と解 釈 す る
音 の 前 に あ るlが
称 単 数paroles:同
人 称 単 数fesis
女」
の 鼻 音 化 は,同
現 在2人
愛 す る 」―
faire「
amare>amer[amer]「
三 重 母 音,さ
常
複 数amez
化 は 生 じ た.
子 音 で は,子
に よ っ て 交 替 す る 動 詞 が,非
話 す 」―
amer「
パ ン」
母 音 と鼻 子 音 が 同 じ 音 節 に な い 場 合 に も,同
次 に,11世
主君」
に 多 い.
二 重 母 音 が 鼻 音 化 し た 結 果,鼻
世 紀 の 末 で あ る.ま
盗賊」
sire:seignor「 b)語
い る が,も
皇帝」
lerre:larron(s)「 破
unum>un[yn]「1」
こ のlの
の 他,次
emperere:empereor(s)「
野原 」
る」
た だ し,こ
古 フ ラ ン ス 語 の 形 態 ・統 語 的 特
に あ げ た と お り で あ る が,そ
在 す る.
rumpere>rompere>rompre[〓]「
nは
態 ・統 語
な も の も あ る.
言 葉」
campum>champ[〓]「
た,
代 フ ラ ン ス 語 に は 存 在 し な い,h,
を も つ こ とが 特 徴 で あ る.
徴 は,先
a)語
ぶ ど う酒 」
linguam>lenguam>lengue[〓]「
く,も
超 え る 数 の 母 音 を も つ 言 語 と な っ た.ま
2)形
こ の 時 期 の 変 化 と し て 重 要 な も の は,
さ れ る 母 音 は,す
し て30を
子 音 に つ い て は,現
フ ラ ン ス 語 は,二
以 上 の 鼻 母 音 の あ る,合
重 ・ 計
テ ン語 や 現 代 フ ラ ン ス 語 に 比 べ て,並
(paratax)の
使 用 頻 度 が 高 か っ た.こ
詩(chanson
de
geste)に
れ は,特
列構造 に武勲
特 徴 的 で あ る.
古 フ ラ ン ス 語 の 時 代 は,イ
ル ・ ド ・フ ラ ン ス 地 方 に
王 権 が 所 在 し,そ
こ の方 言 で あ る フ ラ ン シア ン方 言 が
共 通 語 と して 勢 力 を 伸 ば し 始 め て い た と は い え,封 制 度 の 最 盛 期 で あ り,言 い な か っ た.し し,独
a)二
な った 言 語 文 化 圏 を形 成
自 の 発 展 を 行 な っ て い た 南 部 の オ ッ ク語 地 域 は
別 と し て,オ
イ ル 語 の 内 部 に も,多
様 な 方 言,俚
言)は,次
部―
レ
ャ ン パ ー ニ ュ 方 言(cham
ⅲ)北
西 部―
ⅳ)西
部―
ピ カ ル デ ィ 方 言(picard),ワ
c)二
重 母 音 の音 質 の 変化
ノ ル マ ン デ ィー 方 言(normand) ポ ア ト ゥ方 言(poitevin),ア
geais),ベ
り,別 ンジュ
ン ト ン ジ ュ 方 言(sainton
中 部―
の 場 合 に は〓
のoは,12世
フ ラ ン シ ア ン 方 言(francien)
フ
e)鼻
aに
た,鼻
し て,
て,い
イ ギ リ ス に 輸 出 さ れ た ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言,つ
ま り,
が 起 こ っ た の は,16世
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン方 言 で も文 学 作 品 が 書 か れ た.し
で に13世
韻
紀 か ら17世
ま って 音化 し
とい う変化
紀 に か け て で あ る.
鹿 」) 馬 」)
〓 >〓(jambe[〓]>[〓]「 g)語
フ ラ ンス 語 の 方 言 分 布
紀 頃,広
擦 音 の摩 擦 音 化
脚 」)
末 の子音 の 脱 落
- ur,-orな
<図>古
は,12世
t∫ > ∫(cheval[〓]>[〓]「
フラ ンス語 か ら中 期 フ ラ ン ス語 へ の 変 化
1)音
e,〓
二 重 母 音 のei,aiは,単
ts>s(cerf[〓]>[〓]「
紀 に は 始 ま っ て い た.
な っ た.
ず れ も〓 に な っ た.i>〓,y>〓
f)破
ラ ン シア ン方 言 を 中心 とす る 共通 語 化 の 動 き
Ⅱ)古
ま っ てuに 宮廷 」
母 音 の 変化
カ ル デ ィ 方 言,そ
な
ア クセ ン トの あ る閉 音 節
紀 に は,狭
な っ た.ま
る 場 合 に はwaに
に な っ た.
母 音の質の変化
cort[kort]>[kur]「
学 語 と し て 有 力 で あ っ た の は,第1に
ラ ン シ ア ン 方 言 で あ る が,ピ
さ ら に 変 化 し て,あ
d)単
リー 方 言(berrichon)
こ の う ち,文
∼す
べ き で あ っ た 」)
ロニ ー
こ のweは
ー方 言(angevin),サ
は,す
神 」),な
ど.
方 言(wallon)
か し,フ
夜 」)
ei>oi>we(deveit>devoit[〓]「
東 部―
ⅴ)北
昨 日」)
ieu>j〓u>j〓(dieu[dieu]>[〓]「
penois) ⅱ)北
重 ・三 重 母 音 の 前 部 要 素 の 半 母 音 化
yi>〓i(nuit[nyit]>[〓]「
フ ラ ン シ ュ ・コ ン テ 方 言(franc‐comtois),ロ ,シ
花 」),な
ie>je(hier[ier]>[jer]>[〓]「
ブ ル ゴ ー ニ ュ 方 言(bourguignon),
ー ヌ 方 言(lorrain)
eu>〓u>〓(fleur[fleur]>[〓]「
b)二
な わ ち 古 フ ラ ンス 語 方
の よ う に 分 類 で き る(〈 図 〉 を 参 照).
ⅰ)東
牛 」)
ど.
こ の 時 代 の オ イ ル 語 方 言(す
釘 」)
uo>ue>〓(buof>buef>b〓f「
言が
存 在 し て い た.
す る」)
ou>u(clou[klou]>[klu]「
語 的 統 一 は まだ 達 成 され て は
た が っ て,異
重 母 音 の単 母 音 化
ai>〓(faire[〓]>[〓]「
建
た だ し,-rは,-eur,
ど の 語 尾 に あ る 場 合,-lは,-ail,-eil,
-euil,-el,-al,-ol,-ulな 持 さ れ る な ど,あ
どの語 尾 に あ る場 合 に は 保
る 条 件 下 で は,語
末 の 子 音 が残 る こ
と も あ っ た. h)子
音 の 前 のsの
teste>tete「
脱落 頭」
2)形
態 ・統 語
a)語
末 の 子 音-sの
脱 落 に よ り,格
が 不 可 能 に な っ た 結 果,主 的 対 立 が 消 滅 し た.こ
格:非
の形 態 的 区別
主 格 とい う格 の 機 能
の こ と に よ り,「 主 語‐ 動 詞‐補
語 」 とい う語 順 が 義 務 的 に な っ た ほ か,前
置詞 の 使用
が 拡 大 し た. b)類
推 の 作 用 に よ り,動
詞 の 活 用語 幹お よ び活 用
語 尾 が 統 一 化 さ れ た. amons>aimons「(わ (je)chant>chante「(私
出 典:ア
リエ ー ル(Jacques
de la langue francaise,1982)に
Allieres,La formation よ る.
れ わ れ が)愛 が)歌
す る」 う」
c)語
末 の 子 音 の 脱 落,活
結 果,動
詞 の 活 用 形 態 の人 称 に よる 変異 が 減 少 した の
で,主 d)抽
用 語 幹 ・語 尾 の 統 一 化 の
格 の 人 称 代 名 詞 の 使 用 が 義 務 的 に な っ た. 象 名 詞や 固 有 名 詞 の 前 の定 冠 詞 の 使用 が義 務
的 に な っ た.
形 で あ る).
la beaute「
美 」,le
Rhin「
ラ イ ン川」
escomengier→excommunier「 leun→legume「
e)部
分 冠 詞 が 作 ら れ た.
f)古
フ ラ ン ス 語 の 指 示 代 名 詞 の う ち,近
は 形 容 詞 と し て,遠
称 のcilは
よ う に な り,近,遠
の 区 別 は,‐ci:‐laの
orine→origine「
称 のcist
代 名 詞 と して 機 能 す る 対立が 担 う
よ う に な っ た. g)反
こ の 結 果,同
じ 語 源 に 由 来 す る 「民 衆 語 」 と 「学 者 語 」
が 共 存 す る よ う な 事 態 も出 現 し た(次
続 法 で は な く,条
件法
詞 を否 定 す る 小 辞 で あ るneの
機 能 を補 強 す
ど の,も
と もとは
「些
語 彙 の 借 用 は,ラ
ペ イ ン 語,オ
な っ た.
れ た し,接 っ た.こ
期 フ ラ ン ス語
上 に 記 し た よ う な 変 化 の 結 果 が,中 特 徴 を な す.古
フ ラ ンス 語 が,現
期 フ ラ ンス 語 の
代 フ ラ ンス語 とは あ
ら ゆ る 点 で ま っ た く異 な っ た 様 相 を 呈 し て い た の に 対 し,こ
の 時 代 の フ ラ ンス 語 は,構
造 的 に は,現
代のフ
ッ ク 語,周
ラ ン ス 語 の 語 彙 は,こ
ラ ブ レ ー(F.Rabelais)の
ル ビ ジ ョ ワ十 字 軍(1208∼29)以
後,南
部のオ
ッ ク 語 地 域 に 対 す る パ リ の 政 治 的 支 配 も確 立 し,北 の オ イ ル 語 地 域 は も ち ろ ん,こ
の 地 域 に も,フ
部
ランシ
る. ラ テ ン語 は,正
字 法 の 面 に も 影 響 を 及 ぼ し た.古
期 フラ ンス語 にな って か ら ラテ ン
語 の 語 源 を 意 識 して,実
際 に は発 音 され な い文 字 を綴
り に 加 え る こ と が し ば し ば 行 な わ れ た.た terの
影 響 で,autre「
し,set「7」
は,ラ テ ン語 がseptemで
準 フ ラ ン ス 語 の 使 用 は,か
が 改 変 され た 場 合 も あ り,た
な り以 前 か ら一 般 化 し て い 権 の強 力化 に伴 う国 家 意
の 語 源 は*sapereで
識 の 覚 醒 に よ り,公 用 の 文 書 に も,ラ テ ン 語 と と も に フ
れ て,cが
ラ ン ス 語 が 使 用 さ れ る よ う に な っ た.そ
よ う な,不
に は,ヴ
し て,1539年
ィ レ ル ・コ ト レ(Villers‐Cotterets)の
勅令が
出 さ れ,法 廷 で の フ ラ ン ス 語 の 使 用 が 義 務 づ け ら れ る. ジ ョ ア シ ャ ン ・デ ュ ・ベ レ ー(J.du ン ス 語 の 擁 護 と 顕 揚(Deffence langue
francoise)」
る し(1549),宗
Bellay)の
et Illustration
が 発 表 さ れ た の も,こ
教 改 革 者 た ち は,フ
挿 入 さ れscavoirと
と え ば,savoir「
[pje]「 足 」,mettre[〓]「 も っ と も,ラ
勘 定 」,doigt[dwa]「
テ ン 語 の 影 響 の ほ か に も,音
な い 文 字 が 加 え ら れ る 場 合 も あ っ た.こ
は,こ
ラ ン ス語 の あ らゆ る面 で の 隆 盛 に
の 発 音 と か け 離 れ た 正 字 法 に 対 し て,ド
の 時 期 は,ル
ネサ
メ グ レ(L.Meigret)な
ン ス に よ る 古 典 ラ テ ン語 復 活 の 時 代 で も あ る.し
退 を 余 儀 な く さ れ る が,こ
たが
こ と を 提 唱 す る学 者 も 現 わ れ た が,彼
に 語 彙 の 面 で,ラ
な か ら ぬ 影 響 を 与 え た.た
は,こ
テ ン 語 は,フ
ラ ンス語 に少
と え ば,academie「
アカ
ⅠⅤ)中
容 易 さ」 な どの よ うな語
1)音 a)鼻
園 」 やfacilite「
ま た,esmer「
評 価 す る 」 が,そ
語 のaestimareに 変 さ れ る な ど,語 例 で は,左
の語 源 で あ る ラ テ ン
よ り近 い 形 で あ るestimerに 彙 の ラ テ ン語 化 も 行 な わ れ た(次
側 が 古 フ ラ ン ス 語,右
改 の
側 が そ の改 変 され た
音 され
の よ うな実 際 レ(E.Dolet),
ど の よ う に,発 音 ど お り に 綴 る らの 意 見 が 受 け
入 れ ら れ る こ と は な か っ た.
の 時 代 に,ラ テ ン語 か ら 借 用 さ れ た も の で あ る.
デ ミー,学
韻変 化 に
よ っ て 生 じ た 多 数 の 同 音 異 義 語 を 区 別 す る た め や,手
政 の用 語 で あ った ラテ ン語
っ て,特
指 」,pied
置 く」
学,行
よ り,後
代 に ま で残 っ て
で 書 か れ た 文 字 の 判 読 を 容 易 に す る た め に,発
語 と し て 採 用 し た.
の
の 時代 に改 め ら れ
中 世 を 通 じ て,神 の よ う な,フ
知 る」
あ る と誤 解 さ
な っ て し ま っ た.こ
の よ う に,現
compte[〓]「
ラ ンス語 を教 会 用
源 を 誤 って綴 り
い る も の も あ る.
de
の頃 であ
に は,語
必 要 な 文 字 の 添 加 は,後
る こ とが 多 か っ た が,次
綴 られ た あ る の でsept
あ る の に,seireで
「フ ラ la
と え ば,al
他 の 」 はaultreと
と綴 ら れ る よ う に な っ た.中
紀 半 ば か ら は,王
フ
の綴 りはか な り忠 実 に発 音 を
ア ン方言 が 徐 々に 浸 透 し て い っ た. 文 学 語 と して の 標
た が,13世
の 時 代,無
の よ う な 混 乱 は,
作 品 に典 型 的 に 現 わ れ て い
反 映 し て い た が,中
ラ ン シ ア ン方 言 の 標 準 語 化 が さ ら に お し 進 め ら
辺 の 諸 方 言 な ど か ら も行 な わ
秩 序 と も 言 え る ほ ど に 拡 大 し た.こ
こ の 時 代 に は,す
れ る.ア
ネサ ン
ら に は,ス
辞 を 用 い た 語 の 派 生 も相 変 わ ら ず 盛 ん で あ う し て,フ
ラ ン ス 語 の 時 代 に は,語
た,フ
い」
テ ン 語 か ら だ け で な く,ル
ラ ン ス 語 と ほ と ん ど 同 一 の も の と考 え て よい. で に古 フ ラ ンス語 期 に始 ま って い
側
弱い」
ス 発 祥 の 地 の 言 語 で あ る イ タ リア 語 や,さ
細 な も の 」 を 意 味 す る 名 詞 を 使 用 す る こ とが 一 般 的 に
Ⅲ)中
ひ ど い,重
fragile:frele(<fragilis)「
る た め に,mie,pas,pointな
の 例 で は,左
「民 衆 語 」 で あ る).
grave:grief(<gravis)「
を 使 用 す る 傾 向 が 強 ま っ た. h)動
起 源」
が 「学 者 語 」,右 側 が
実 仮 想 の 条 件 文 に,接
破 門 す る」
野菜」
期 フ ラ ン ス語 か ら近 代 フ ラ ンス語 への 変 化 韻 母 音 に 後 続 す る 鼻 子 音 が 脱 落 し て,鼻
独 立 し た 音 素 と な っ た.bon[bon]>[bo]「 beau[bo]「
美 し い 」 と最 小 対(minimal
母音 が
よ い 」 は, pair)を
なす よ
う に な っ た. b)語
末 の[〓]の
存 在 の た め,鼻
母 音 に後 続 す る鼻
子 音 が 脱 落 し な か っ た 場 合 は,鼻 失 っ て,口
い と こ」
pomme[〓]>[〓]「
過 去 や 条 件 法 の 語 尾,お
claie「 垣 根 」,faible「
(< 古 フvoir(r)e)「
さ れ,文
よ び,Francais
a)形
弱 い 」,glaise「
粘 土 」,marais
古 フtonoire)「
雷 」,verre
ガ ラ ス 」 な ど の 単 語 で は,〓
れ 以 外 で は,waの
b)複
が選
方 が 選 ば れ た.し
い う 発 音 の 方 は,知
d)二
か
ラ ンス 革命 以 後
oに
J'ai
重 母 音eauが,単
c)動
母 音 化 して
こ れ ら の 面 で は,特
に顕 著 な変
レ ル ブ(Malherbe)に
ラ ン ス 語 の 語 彙 か ら,俗
代 表 さ れ る,ル
語 や 新 語 を 排 除 し,統
の よ う な フ ラ ン ス 語 純 化 は,パ bel
usage)」
リの 貴 族 階 級 の
ズ(Academie
創 設 さ れ,公
た,こ
ー ジ ユ ラ(Vaugelas)の
(Dictionnaire
的 に規 範 の
の 規 範 意 識 の 反 映 が,ボ
文 典(Remarques
langue francaise,1647)で
あ り,ア
de l'Academie,1694)で
レ(Richelet,1680)や
カ デ ミー の 辞 典 あ る.本
格 シュ
フ ュ ル テ ィ エ ー ル(Furetiere,
le vient
vient
de
va
promener.→Il
d)前
接 的(enclitic)な
あ なた の 愛 は彼
Ils sont
venus.「
ラ ンス
の 精 神 は,前
la lettre
que
j'ai ecrite「
そ の 他 の 特 徴 と し て は,次
f)直
世紀
raison
の時 代 の ル ソー や ヴ ォ ル テ ー
ル の 著 作 に 現 わ れ て い る.正
字 法 が 整 備 され た の も こ
期 フ ラ ンス語 に あふ れ て い た 余計 な文字
は と り 除 か れ(debvoir>devoir「 弁 護 士 」,な ど),ま
義 務 」,advocat> た,16世
法 の 一 定 し て い な か っ た,ア
な ど の 補 助 記 号 の 用 法 も 定 め られ た. teste>tete「
頭」
deffence>defense「
紀 に 導入 され て ク サ ン(accents)
が,16,17世
私 の書 い た手 紙 」
の 機 能 を,す
紀 の 文 法 家 た ち は,形
違 い に 結 び つ く は ず だ と考 え て,単 終 結 し た 期 間(ce 「去 年 」,な
matin「
ど)に
で に,古
nee「
今 年 」,な
g)接
Je
純 過 去 は,す
今 朝 」,l'annee
ど)に
derniere だ
今 日 」,cette
an
対 し て 用 い ら れ る と し た. 続 法 現 在 も,
ど の 動 詞 の肯 定 形 に支 配 され る名 詞
crois
qu'il
ait
raison.→Je
crois
qu'il
a
私 は 彼 が正 しい と思 う」
代 フ ラ ンス 語 に お け る変 化
1)音
韻
a)語
末 の〓
は,16,17世
紀 の 文 法 家 た ち に よっ
て そ の 保 持 が 奨 励 さ れ た も の の(paie[〓]「(私 払 う 」),17世
netre「
でに
合 過 去 は,ま
続 法 半 過 去 の 後 退 が 始 ま り,接
raison.「 Ⅵ)近
態の違いは機能の
対 し て 用 い ら れ,複
紀 の 後 半 以 来,脱
弱 ま り始 め,「 子 音+l,r」 擁 護」
の
の よ う な も の が あ げ られ
説 法 の 単 純 過 去 は,そ
節 で は 用 い ら れ な く な っ た.
よ び,こ
promener.
る.
Royal)の
文 法 書(Grammaire generale et
se
彼 ら はや って きた 」
croire,savoirな
nee,1660),お
va
人 称代 名 詞 の語 順 が 定 め ら
に 書 か れ た も の で は あ る が,ポ ー ル ・ロ ワ イ ヤ ル(Port
以 来,用
d'outrager.→Votre
l'outrager.「
終 結 し て い な い 期 間(aujourd'hui「
紀 は,「 理 性 」 の 名 の も と に,フ
語 に 明 晰 性 が 求 め ら れ た 時 代 で,こ
avocat「
定 法 の 直 前 にお
フ ラ ンス 語 の 時代 か ら複合 過 去 に侵 食 され 続 け てい た
も の が 出 て い る.
の 時 代 で,中
sa
e)過 去 分 詞 と,主 語 あ る い は 目 的 語 の,性,数 一 致 の 規 則 が 義 務 的 に な っ た.
sur la
的 な 辞 典 と し て は,ア カ デ ミー の も の よ り先 に,リ
次 に,18世
presse
れ た.
に は,リ
よ り ア カ デ ミー ・フ ラ ン セー
francaise)が
徹 底 化 が 図 られ た.ま
を も と に し て 行 な わ れ ,ま
か ら の 規 範 の 強 制 で あ っ た.1634年
シ ュ リ ュ ー(Richelieu)に
1690)の
pressee.→J'ai
「彼 は 散 歩 に 行 く と こ ろ だ 」
ネ
制 の とれ た 文 法 を確 立 し よ う とい う 動 き が 顕 著 に な っ
さ に,上
amour
Il se
サ ンス期 の 無 秩 序 な 語 彙 の拡 大 に対 す る反 動 の 時 代
「よ き 慣 用(le
main
私 は彼 女 の美 しい手 を握 り しめ た」
に 恥 辱 を与 え た 」
17世 紀 は,マ
た.こ
去 分 詞 の 後 にお く
詞 に 支 配 さ れ る 不 定 法 の 目 的 格 代 名 詞 は,以
amour
代 フ ラ ン ス語
で,フ
状, 置す る
か れ る よ う に な っ た.
化 は な い.
belle
main.「
Votre
態 ・統 語
Ⅴ)近
sa
belle
な っ た. 2)形
合 時 制 の 目 的 語 名 詞 を,過
前 は 動 詞 の 直 前 に お か れ て い た が,不
重 母 音au,三
彩,形
詞 起 源 の 形 容 詞 は,後
こ と が 義 務 的 に な っ た.
識 人 に よ って 攻 撃
法 家 に も 認 め ら れ る の は,フ
容 詞 と名 詞 の 語 順 が 定 め ら れ,色
国 名 を 示 す 形 容 詞 や,分 とい う 規 則 が で き た.
で あ っ た.
つ.
イ ギ リス 人 」 な ど の 国 民 名,
「沼 地 」,tonnerre(<
のwaと
この 時代 の 言語 は,統 語 の統 制 とい う点 で 特 色 を も
と変 化 し た 古 フ ラ ン ス 語 の 二
「フ ラ ン ス 人 」,Anglais「
ば れ た が,そ
世紀 で あ る.
リ ンゴ」
c)oi>we>wa/〓 重 母 音 は,半
∼ の 後 で」
も っ と も,正 字 法 が ほ ぼ完 全 に確 立 す る の は,次 の19
cousine[〓]>[〓]「
し,こ
apres>apres「
母音が鼻音の要素 を
母 音 化 し た.
窓 」,votre「
落 す る か,あ
が) る い は,
の 後 以 外 の 位 置 で は(fe
あ な た(が た)の 」),音
節 を形 成
す る こ とが で きな くな っ た. b)語
/l,r/),特
末 の 子 音 は完 全 に脱 落 す るが,逆
に,綴 り に
色 と し て は,破
子 音 の/〓/が
あ る文 字 は発 音 す る とい う傾 向 も,こ の 時 期 に始 ま っ
口 蓋 垂 ふ る え 音 の[R],あ
た.
[R]の
ほ か,口
舌 先 の ふ る え 音[r]と
il[i]>[il]「彼 」
る.近
重 母 音oiの
変 化 の 結 果 の1つ で あ るwaと
よ う にな っ た. d)口
る い は,そ れ が 無 声 化 さ れ た
して実 現 さ れ る こ と な ど が あ
年 の 英 語 か ら の 借 用 語 の 増 加 で,[〓]と
「討 論 会 」,な ど),ま
fille[〓]>[fij]「 e)rは,現
と変 化 し
娘」
ア ク セ ン ト は,語
節 は,ア
代 イ タ リア語 と同様 に,舌 先 の ふ る え
音 で あ ったが,こ れ が,[R]で
記 され る 口蓋 垂 ふ る え
音 に変 化 した.
ま た は 語 群 の 最 終 音 節 に お か れ,
規 範文 法 が制 定 され,1882年
義 務 教 育 制度 の発 足 以来,こ
の
れ が一 般 に も普 及 して い
た,ア
と い う こ と が な い の で,本 来 の 調 音 を よ く保 っ て い る. 中 期 フ ラ ンス 語 の 時 代 に 脱 落 し た 語 末 の 子 音 は,潜 代 フ ラ ン ス 語 で も,単
単 独 で 発 音 され る と き に は 発 音 され な い が,語
し て 発 音 され る よ う に な る.こ
続 けて い た 直説 法 の単 純 過 去 は,20世
徴 的 な リ エ ゾ ン(liaison)と
部 の方 言 を 除 い て完 全 に す が た を消 し,こ の完 了形 で
も,リ
エ ゾ ンは,文
あ る前 過去 も,す で に 中期 フ ラ ン ス語 か ら存 在 して い
合,す
な わ ち,
た 複 複 合 過去(avoir eu/ete+過
去 分詞)に とっ て代 わ
られ る こ とに な った.ま た,接 続法 の 半過 去 や大 過 去 も,方 言 や,あ る種 の きま り文 句(on
eut dit「 ま る
で∼ の よ うだ っ た」,fut‐ce「 た とえ ∼ で あ ろ う と」,
冠 詞+名
態
a)名
詞
に関 係 した新 語 が数 多 く参入 し,ま た,国 際 交流 の活
男 性,女
性 の 区 別 は,一 ‐oirな
ど で 終 わ る 語 は 男 性,‐erie,‐ite,‐itionな
で 終 わ る 語 は 女 性),名 と は で き な い.性
[現代 フラ ン ス語]
下 の も の で あ る.
Ⅰ)現 代 フ ラ ンス語 の 特 徴
ⅰ)名
冠詞
数 は減 少 した ものの,そ れ で も,他 の ロマ ンス語 に 比
un/le
し て,母 音 の 数 が多 い こ とが 特 色 で あ る.口 母 音 で は,
(た だ し,複
前 舌 の/〓/,中
les
/〓/,さ 全 部 で16個
らに,鼻 母 音 は/〓/が あ る./〓/の
で,[〓]や[〓]で
あ り,
音 声 的 実 現形 は か な り 多 様
あ る こ と もあ れ ば,ま っ た く発 音 さ
[pti]).半 母 音(あ るい は,半 子音)と して は,/〓
二 重 母音 と見
で は,単
絵 」:une/la
table「
数 で は,des/les
音
机」
tableaux:des/
tables) 容詞 tableau「
よ い 絵 」:bonne
tableau「 tableau「
table「 table「
私 の机 」
こ の 絵 」:cette
table「
この机 」
数 と複 数 の 区 別 が あ り,綴
数 形 に‐s(語
末 の 形 に よ っ て は,‐x)を
りの 上 添加
形 上 の変 化 は ない のが 普 通 で
か し,〓uf,b〓ufな
cheval:chevaux「
よい 机」
私 の 絵 」:ma
ど の 名 詞 で は,複
で 語 末 の 子 音 が 発 音 さ れ な く な る).た
数 え るが(閉 鎖 音/p,b,t,d,k,g/, 音/〓/,流
tableau「
し て 複 数 形 を 作 る が,音 あ る(し
なす 考 え方 もあ る.
摩擦 音/〓/,鼻
mon
詞 そ の もの の語 形 で判 断 す る こ
の 区 別 の 形 態 的 指 標 と な る の は,以
数 に つ い て は,単
/が あ るが,こ れ を母 音 と解釈 し,miel「 蜜 」の[je],
子音 は,17を
bon
ce
れ な い こ と もあ る(petit「 小 さい」[〓]∼[〓]∼
nuit「 夜 」 の[〓],roi「 王 」 の[wa]を
ⅱ)形
ど
詞 と と もに 名 詞 句 を構 成 す る要 素 と な り う る
古 フラ ンス語 の 時代 に 比 べ る とそ の
舌の
性 の 文 法 的 性 が 存 在 す る.
部 の 派 生 語 を 除 い て は(‐age,‐isme,
る こ とに もな っ た.
舌 の/〓/,後
小 さ
ず し も義 務 的 で は な い.
発 化 は,外 国語,特 に英 語 か らの借 用 語 を あ ふれ させ
韻
小 さな
enfants[〓]「
な子 供 た ち 」 な ど を 除 い て は,必
紀 に 制限 が加 え ら
っと
子供たち」
enfant[〓]「
子 供(単 数)」:petits
2)形
語 彙 は,17,18世
ラ ン ス語 に特
い う 現 象 で あ る.も
enfants[〓]「
詞petit
も,あ ま り用 い られ な くな っ た. 彙
れ が,フ
在化
法 的 機 能 の 区別 に役 立 つ 一 部 の 場
詞les
形 容 詞+名
な ど)を 除 い て は,話 し言葉 は もち ろ ん,書 き言 葉 で
れ た もの の,そ の後 の科 学技 術 の発 達 に よ り,こ れ ら
語が
群中 に
位 置 し て 母 音 で 始 ま る 語 が 後 続 す る と き に は,顕
っ たの で,こ の面 で の変 化 は ほ とん どな い が,後 退 を 紀 初 め に は,一
ク セ ン トの ない 音
ク セ ン ト の あ る 音 節 に 比 し て 弱 く発 音 さ れ る
在 的 に は 残 存 し て い て,現
態 ・統 語
1)音
い う音
企 画 」,meeting
だ 独 立 し た 音 素 と見 な す こ と は で
意 味 の 区 別 に 寄 与 し な い.ま
3)語
言 で,
き な い.
蓋化 され た側 面 音 で あ る〓 は,jへ
た.
2)形
ら に は,方
声 も 導 入 さ れ つ つ あ る が(planning「
い う発 音 は,フ ラ ンス革 命 以 後,一 般 に も認 め られ る
口蓋 鼻
音 声 的 実 現 が 多 様 で,
蓋 垂 摩 擦 音 の[〓],さ
finir[fini]>[finir]「 終 わ る」
c)二
擦 音 が な い こ と,硬
あ る こ と,/r/の
馬」
だ し,
数形
travail:travaux「 〓il:yeux「
消 滅 して い る.こ れ に代 わ って 人 称 の 指 標 とな って い
労 働」
るの が,主 語 が 名 詞 で あ る場 合 以 外 に は義 務 的 に 使 用
目」
な ど,数 十 の 語 は,単 数 と複 数 の 語 形 が 異 な る.現 ラ ン ス 語 で,名 ろ,名
詞 の 単 数,複
代 フ
され る人 称 代 名 詞 で あ る.こ れ を,人 称 を 示 す 単 な る
し
拘 束 形 態 素 として 機 能 して い る と考 え る こ と もで き る
数 を 区 別 す る の は,む
詞 に 先 行 す る 冠 詞(下 例 の 上 段),所
有 ・指 示 形
table:des/les
ma/cette
b)形
区 別 を す る.性 の は,綴
法 は,人 称 の 区 別 を もつ 法 と して,直 説 法,接 続 法,
tables
修 飾 す る 名 詞 に 一 致 し て,性,数 の 形 態 的 区 別 は,も
り の 上 で 女 性 形 に-eを
音 形 上,男
完 全 に独 立 性 を失 って い る とい うわ け で もな い.
tables
table:mes/ces
容詞
の
っ と も一 般 的 な も 添 加 す る,つ
ま り,
性 形 で潜 在 化 して い る子 音 を顕 在 化 させ る
vert[〓]:verte[〓]「
太 った 」
joli:jolie「
ず れ も 例 外 的 で あ る が,語
純 過去,過 去 未 来 〔 い わ ゆ る条 件 法 〕)と複 合 形 過 去,前
末 の子
助 動 詞 と して は,ほ
とん どの動 詞 がavoirを
部 の 自動 詞 お よび代 名動 詞 がetreを
neuf[〓]:neuve[〓]「
と り,一
と る.単 純 過 去
過 去 が そ の 時 制 的機 能 を受 け も って い る.接 続 法 は,
乾 い た」
trompeur[〓]:trompeuse[〓]「
嘘
単 純 形 と して現 在 と半 過 去 を,複 合形 と して過 去 と大 過 去 を もつ.条 件 法 に は現 在 と過 去 しか な く,不 定 法
つ きの 」
と分 詞 は,単 純 形 と複 合 形 が,こ れ らを支 配 す る動 詞
・女 性 形 の 異 な る も の,
beau:belle「
の指 示 す る時 点 と,そ れ ぞ れ 「同 時/後 」で あ る か 「前 」
美 しい 」
nouveau:nouvelle「
新 しい 」
vieux:vieille「
で あ るか を表 示 す るだ けで あ る.命 令 法 に は,現 在 し
古い」
か な い. 名 詞 節 を支 配 す る動 詞 と,そ の名 詞 節 中 の動 詞 の 間
な ど が あ る. 複 数 の 指 標 は,名
詞 の 場 合 と 同 様,綴
語 末 に 添 加 さ れ た-s(語
末 が-eauで
り の 上 で は, あ る 場 合 は,-x)
音 で 始 ま る 名 詞 に 先 行 し て,リ
起 こ る 場 合 以 外 は,こ
の-sは
(national:nationaux「 比 較 級 は,bon「
エ ゾ ンが
発 音 さ れ な い.た
終 わ る 形 容 詞 の 大 部 分 は,男
だ し,
性 複 数 形 が-aux
国 家 の 」)で
変 化 す る な ど の,ご
の 例 外 を 除 い て,fort「 先 行 さ せ て,分
強 い 」:plus
析 的 に 形 成 す る.最
冠 詞 を 付 け てle
plus
別 の 形 は な い.同
等 比 較 はaussi,劣
fortの
過去 時 制 の と き には,従 文 の動 詞 は,主 文 と同 じ時 を 指 示 して い る と きは 半 過去,主 文 よ りも時 間 的 に前 で あ れ ば 大 過去,主 文 よ り も後 で あれ ば過 去 未 来(条 件 法)が 用 い られ る. 形 成
派 生 に よ る新 語 の形 成 は,か
よ うに
上 級 は,定
よ う に す る だ け で,特 等 比 較 はmoins
れ ぞれ 形 容 詞 に先 行 させ る こ と に よ って 形 成 す
inter‐+entreprise>interentreprise「
人 称,法,時
制 に 従 っ て 活 用 す る が,
綴 り の 上 で は と も か く,音 形 に よ る人 称 の 区 別 は,1. 称 の 複 数 以 外 で は,少
数 の 不 規 則 動 詞 を 除 い て,
企業間
の」 c.g.t.「 労 働 総 同 盟」+‐iste>cegetiste「 労 働総 同 盟 員」,な ど. ただ し,接 尾 語 を付 加 す る こ とに よ る指 小語 の 形 成, す な わ ち, maison「 家 」+‐ette>maisonette「
る. 詞
な り盛
ん で あ る. くわ ず か
fortの
には,時 制 の 照 応 が み られ る.つ ま り,主 文 の動 詞 が
3)語
あ る.
よ い 」 がmeilleur/mieuxに,mau
vais「 悪 い 」 がpireに
c)動
過 去,
と前 過 去 は,口 語 で は使 用 され ず,複 合 過去 と複 複 合
新 しい 」
sec[〓]:seche[〓]「
2人
去,単
形 は,助 動 詞 と過 去 分詞 を組 み 合 わ せ て 作 られ るが,
可愛い」
音 の 交 替 に よ る も の,
を,そ
っ と も多 くの 時 制 を 区別 す る の
複合過去 未来〔 いわ ゆ る条 件 法 過 去〕)に分か れ る.複 合
社 会 の」
そ の 他 の 方 法 は,い
plusを
どの 否 定 形 に支 配 され る名 詞 節 の 中 に あ る
(複 合過 去,複 複 合過 去,前 未 来,大
女 の 音 形 が 同 じ と な る.
social:sociale「
- alで
penser)な
る種 の 動 詞(croire,
が 直 説 法 で,形 態 的 に は,単 純 形(現 在,未 来,半 過
性 形 で 潜 在 化 し て い る 子 音 の な い 場 合 は,
で あ る が,母
関 係 節 に あ る 場 合,お よび,あ
い う こ とで あ る).も
長 い」
gros[geo]:grosse[gros]「
そ し て,男
不 定 法,分 詞 が あ る.接 続 法 は,現 代 フ ラ ンス語 で は,
る(つ ま り,独 立 した 意 味 的機 能 を果 た して い な い と
緑 の」
long[lo]:longue[log]「
当 然,男
条 件 法,命 令 法 が,人 称 の 区別 を もた な い法 と して,
場 合 を 除 い て,使 用 され る統語 的 環 境 が 指 定 され て い
方 法 で あ る.
た だ し,男
どの 前 接 的
な語 を挿 入 す る こ と もで き る こ とか ら,形 態 素 と して
容 詞(下 段)の 方 で あ る. une/la
が,動 詞 との間 に,le,la,en,y,neな
mouche「
は え 」+‐eron>moucheron「
小 さ な 家」 羽虫」
な どは,現 代 フ ラ ンス 語 で は 生 産 性 を失 って い る. 派 生 に 対 して,複 合(あ るい は,合 成)に よ る形 成 は,
英 語 な ど に 比 べ る と 貧 弱 で あ る.こ ferme‐pilote「
が 作 ら れ て は い る が,数 ま た,お
の 方 法 に よ っ て,
モ デ ル 農 場 」,prix
choc「
激安」 など
そ ら く,俗
は 多 く な い.
ジ ャ ッ ク を 来 させ る 」 一方
,「AがBにCをVさ
語 で は 短 い音 節 の語 が 好 ま れ る
Francois テ レ ビ」
fac(<faculte)「
fait
a/par
大 学」
Jacques.「
心理学」
不 定 法 の 論 理 的 主 語 を 表 現 す る,特
順 に よ って示
合 は,不
定 法 を 従 え る 動 詞veuxの
動 詞 に先立 つ 名
te prie
de
主 格 お よ び 対 格 は,語
詞 句 が 主 格 で あ り,他
動 詞 に後 続 す る名 詞 句 が 対格 で
あ る.
veux
場 合 は,動
m'en
bat bat
Jean.「ピ Pierre.「
エ ー ル が ジ ャ ン を た た く」
与 格 や 属 格,お
ジ ャ ン が ピ エ ー ル を た た く」
よ び,そ
の 他 の 格 は,aやdeな
前 置 詞 を 用 い て 表 現 さ れ る.た
だ し,人
どの
称 代 名 詞 につ
い て は,与 格 に も前 置 詞 を 使 用 し な い 単 独 の 形 が あ る. lui/leur
donne
彼(女)に/彼(女)ら 疑 問 文 は,主
un
cadeau.「
に,贈
ポ ー ル は,
詞prieの
目 的 語 で あ る.
称 代 名詞 を 援用 す る特
aujourd'hui?「
マ リー は
般 に,イ
ン トネー シ ョ ン を 用 い る
置 を 避 け る 傾 向 が 非 常 に 強 い. 詞(ま た は,助
ん で 作 る の が,も
っ と も 一 般 的 で あ る.否
「な に も∼ な い 」 が,形 り,こ
挟
定の意味 を
れ ら が 用 い られ る と き に は,pasは 残 っ て い る.た
だ し,口
あ
表 示 され な
語 で は,neは
常
本 的 に は,「 被 動 作 主‐etre‐ 過 去 分
est
tue
par
Francois.「
バ レ リー は フ
ラ ン ソ ワ に 殺 され る 」 そ の ほ か に,代 Cet
名 動 詞 に よ る 方 法,
expression
s'emploie
souvent.「
そ の 表現
suis
fait
私 は 手術 を受 けた 」
ラ ンス 語 で は,最
m'en
aller.の
初 の 意 味 に対
よ う に不 定 法 の 使
目 の 意 味 で は,Je
veux
qu'il
よ う に 名 詞 節 を 用 い な け れ ば な ら な い.
と思 う 」 の 意 味 に 対 し て,英 to be
right.と,I
語 で は,I
believe
believe
him
to
be
my right.
の よ う に,両 方 に つ い て 不 定 法 の 使 用 が 可 能 で あ る が, 者 に は,Je
crois
と 不 定 法 が 使 用 で き る が,後 a raison.が
raison.の
avoir
raison.
者 に つ い て は,Je
正 し く て,Je
le
crois
crois
avoir
よ う に,不 定 法 を 用 い る の は 文 法 的 で な い.
関 係 節 化 は,主
格,対
格,与
格,属
格 の い ずれ の格
l'homme
qui
a achete
un
livre
pour
la jeune
fille「 そ の 少 女 に そ の 本 を 買 っ て や っ た 男 」(主 格) le livre
que
l'homme
a achete
pour
la jeune
(対 格)
livre「
fille pour
qui
l'homme
a
achete
le
そ の 男 が そ の本 を 買 って や った そ の 少 女 」
l'auteur
dont
l'homme
a achetele
livre
pour
la jeune
fille「 そ の 男 が そ の 少 女 に 買 っ て や っ た
文 中 の 名 詞 も関 係 節 化 で き る.
la jeune
fille dont
tu
crois
que
je l'aime「
私
が好 き だ と君 が 思 っ てい るそ の 少 女 」 詞faireを
用 い て,「AがBにVさ
る 」 と い う意 味 に 対 し て は,「A‐fait‐V(不
せ 定 法)‐B」
と い う 形 式 を と る. Francois
veux
aille.の
さ ら に,従 opere.「
な ど が あ る. 使 役 は,動
to
本 の そ の 作 者 」(属 格)
使 役 構 文 を 用 い る 方 法, me
him
(与 格)
は よ く用 い ら れ る 」
Je
し て は,Je
la jeune
詞‐par‐ 動 作 主 」 と い う形 式 で 表 現 され る. Valery
want
fille「 そ の 男 が そ の 少 女 に 買 っ て や っ た そ の 本 」
に 表 現 さ れ な い の が 普 通 で あ る. 受 動 の 意 味 は,基
私 は 出 て い き た い 」 と,I
の 名 詞 に つ い て も 可 能 で あ る.
だ れ も∼ な い 」,rien
容 詞 と してaucun,nulが
語 に比
語 で は,I want
私 は 彼 に 出 て い って もらい た い 」 の 両 方 の
文 が 可 能 で あ る が,フ
qu'il
動 詞)をne…pasで
も つ 代 名 詞 と し てpersonne「
い が,neは
out.「
フ ラ ン ス 語 で は,前
今 日来 ま す か」 口 語 に お い て は,一 な ど し て,倒
と し て の 独 立 性 が や や 劣 る.英
out.「
self
viendra‐t‐elle
主 語 で あ り,Je
私 を 待 っ て い て くれ 」 の
ま た,「 私 は 自 分 が 正 し い と思 う 」 と 「私 は 彼 が 正 し い
語 と動 詞 の 倒 置 に よ っ て 作 ら れ る が,
否 定 文 は,動
go
定の統語的手段
私 は 行 きた い 」 の 場
代 フ ラ ン ス 語 の 不 定 法 は,英
用 が 可 能 で あ る が,2番
別 の 倒 置 の 形 式 が あ る. Marie
to go
s'en
り物 を 贈 る 」
主 語 が 名 詞 で あ る と き に は,人
べ て,文
aller.「
m'attendre.「
こ の よ う に,現
pierre
gouvernement
フ ラ ン ソ ワは ジ ャ ッ ク に内 閣
語
常 の 肯 定 文 に お い て は,他
Paul
un
は な い.Je
され る.通
Jean
organiser
断 に よ る語 形 成 も頻 繁 に 行 な わ れ て い る.
4)統
とい う形 式
を 組 織 させ る 」
psycho(<psychologie)「 な ど の,切
定 法)‐C‐a/par‐B」
を と る.
傾 向 か ら か, tele(<television)「
せ る 」 と い う意 味 に 対 し
て は,「A‐fait‐V(不
fait
la
jeune
la jeune venir
Jacques.「
フ ラ ンソ ワ は
fille dont
tu
crois
qu'elle
m'aime
「私 の こ と を 好 き だ と君 が 思 っ て い る そ の 少 女 」
un
fille dont
cadeau「
tu crois
que
je lui ai donne
私 が 贈 り物 を 贈 っ た と君 が 思 っ て い
る そ の少 女 」 la
jeune
riche「
か な り多 数 の 住 民 に よ っ て 話 され て い る.特
fille dont
tu
crois
que
son
pere
est
父 親 が 金 持 ち だ と君 が 思 って い る そ の少
れ を 支 援 は し て い る が,こ は,す
女〕 5)語
彙
次 の 例 に 代 表 さ れ る よ う に,同
音異
cinq「5」,saint「
聖 な る」,ceint「
巻 か れ た 」,sein「
彼 が 巻 く;
胸 」,sain「 健 全 な 」(い ず れ も,
sot「 馬 鹿 な 」,sceau「
印 」,seau「
「跳 躍 」(い ず れ も,発 ま た,名
バ ケ ツ 」,saut
教 育 が フ ラ ン ス 語 で 行 な わ れ,テ
7)正
字法
の 音 韻 に 対 し て,複
群 が 対 応 す る例 が 多 い.た る
in(pin「
「パ ン」),aim(daim「
る の に 対 し,他
方 は,も
と の ラ テ ン語 か ら の 借 用 語 で
あ る 「学 者 語 」で あ る 場 合 が 多 い(次 の 例 で は,左 「民 衆 語 」,右 側 が dimanche「
側 が
「学 者 語 」 で あ る). 日 曜 の 」,
ete「 夏 」:estival「
成 熟 」,
pocket「
安全 」
実 業 家 」,jazz「
す り 」,speaker「
味 の 違 うfooting「 karting「
じ文 字(群)で
ジ ャ ズ 」,pick
エ ゾ ン の 際 に,顕
ら に,も
ジ ョ ギ ン グ 」 や,英
語 に は な い
ゴ ー カ ー ト レー ス 」 やcaravaning「
キ ャ
は[〓]で
現 代 フ ラ ンス 語 の方 言 の 分類
フ ラ ン ス 語 の 時 代 と 変 わ っ て い な い(「 フ ラ ン ス
オ ッ ク 語(プ
古 フ ラ ン ス 語 」 を 参 照).た
ロ ヴ ァ ン ス 語)と
下 し て い る.し
か し,現
の 境 界 は,中
代 で は,フ
だ し,
世 よ り も南
ラ ンス全 土 に お い
国 家 」) 古 い 」)
音 され な い 子音 字 が 挿 入 さ
末 の 場 合 は,女
性 形 あ るい は リ
在 化 す る 子 音 を 予 測 させ る と い う 機
arbre[〓]「
大 き な 」 は,単
中 で は,語
源 を予
測 さ せ る と い う 重 要 で な い 機 能 以 外 に は,何
こ の よ う な,文
の意味 も
勘 定 」 のp,vingt「20」
のg,
字 と 発 音 の 不 統 一 の 結 果,発
招 い て い る. ver「
虫 」,vert「
緑 の 」,vers「
e「 ガ ラ ス 」(い
ず れ も,発
∼ の 方 へ 」,ver
音 は[〓]).
な お,ア
特 に,都
ほ と ん ど 外 来 語 を 記 す た め に の み 用 い られ る.
現 代 フ ラ ン ス で は,フ ァ ン ス 語,オ
ッ ク語(プ
準 語 の 浸 透 が 著 し い.
ラ ン ス 語,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ
ロ ヴ ァ ン ス 語)と
ロ マ ンス 語 に 遡 る 言 語 だ け で な く,最
ロ ・
Ⅱ)現 1)音
方 で は カ タ ロ ニ ア 語,コ
英Corsica)島
で は イ タ リア 語 の 方 言,と
他 の ロ マ ン ス 語 が,ま よ び,ロ 語,北
レ ー ヌ(Lorraine)地 部 の ノ ー ル(Nord)県
と い う よ う に,ゲ (Bretagne)地 て,南
た,ア
ル シ カ(Corse,
a)語
い う よ う に,
ル ザ ス(Alsace)地
方,お
の 一 部 で は フ ラ マ ン 語,
ル マ ン 系 の 言 語 が,ブ
ゴ ー カ ー ト」,wagon「
方 で は ケ ル ト系 の ブ ル ト ン 語 が,そ
し
西 部 の ス ペ イ ン と の 国 境 地 域 で は バ ス ク 語 が,
車両」
代 フラ ンス 語 に お け る変 化 の傾 向 韻 末 に お い て,/e/と/〓/の
未 来 〕:je
対 立 が 失 わ れ,両
ferais([〓])〔
ferai
条 件 法 〕の
音 声 的 対 立 が 消 滅 し つ つ あ る). b)/a/と/〓/の
ル ター ニ ュ
字 の う ち,kとwは,
者 の 中 間 的 な 音 韻 が 優 勢 に な り つ つ あ る(je ([〓])〔
方の一部ではアルザス
ル フ ァ ベ ッ ト26文
kart「
南部 のルシ ヨン
(Roussillon)地
い う,ガ
音 は同
じ で も 綴 り の 異 な る 複 数 の 語 が 存 在 す る とい う 事 態 を
て,方 言 が 標 準 語 の 前 に 後 退 す る 傾 向 が 強 ま っ て い る. 会 の 若 年 層 の 間 で,標
独で
性 形grande[〓],grand
大 き な 木 」),語
な ど).
語 の 歴 史 」 のI.「
切 手 」),[s](nation「 歯 」),[〓](ancien「
あ る が,女
る. 言 と標 準 語
交 響 曲 」),
数 の 音 韻 を表 わ す 場 合 が
能 を も つ こ と も あ る が(grand「
との英 語 とは意
もた な い(compte「
は,古
も,複
れ て い る 語 が 多 い.語
ン ピ ン グ カ ーに よ る 旅 行 」 な ど の 語 を も 生 み だ し て い
6)方
名)」),yn
試 験 」)
語 末 あ る い は 語 中 に,発
ア ナ ウ ンサー 」
常 に 多 数 で あ る.さ
ラ ン ス(地
組 合 」),ym(symphonie「
en:[〓](dent「
借 用 語 は,現 代 で は 英 語 か ら の も の が も っ と も 多 く,
な ど,非
(syndicat「
t:[t](timbre「
成熟 した 」:maturite「
businessman「
単 純 な」),ain(pain
鹿 の 一 種 」),ein(peindre
あ る.
夏 の 」;
確 か な 」:securite「
と え ば,次 の と お りで あ る.
「描 く 」),eim(Reims「
逆 に,同
水 性 の 」,
タ リ
音 的 で は な い.
数 の文 字 あ るい は 文字
松 」),im(simple「
en(examen「
日曜 」:dominieal「
水 」:aqueux「
sur「
れ は 当然 の こ とで
[〓]に 対 応 す る 文 字(群):
い は 逆 に,形 容 詞 と そ れ に 対 応 す る 名 詞 を 考 え る と き, 「民 衆 語 」 で あ
務
ジオ も フ ラ
現 代 フ ラ ン ス 語 の 正 字 法 は,イ
一 方 が フ ラ ンス 語 特 有 の 音 変化 を経 た
mur「
レ ビ,ラ
あ る.
ま ず,1つ
音 は[so])
詞 と そ れ に 意 味 的 に 対 応 す る 形 容 詞,あ
eau「
れ らの地 域 の 住 民 の 大 多数
ア 語 や ドイ ツ 語 の そ れ と 異 な っ て,表
発 音 は[〓])
識
央政 府 も こ
で に フ ラ ン ス 語 と の 二 言 語 併 用 者 で あ る.義
ン ス 語 を 使 用 す る の で あ る か ら,こ
義 語 が 多 い こ とが 特 徴 で あ る.
に,知
人 を 中 心 とす る 言 語 保 存 の 運 動 も あ り,中
対 立 が 失 わ れ,/a/>/〓/と
い
う 変 化 が 起 こ りつ つ あ る. patte[pat]「(動 c)/〓/と/〓/の
物 の)脚
」 >[〓]=pate「
対 立 は,す
生地」
で に今 世 紀 初 め 頃 か
ら 消 滅 す る 傾 向 に あ り,/〓/が/〓/に る.こ
の 対 立 は,今
同化 しつ つ あ
日 の パ リ の 住 民 の 間 で は,ほ
とん
ど完 全 に 失 わ れ て い る と 言 っ て よ い. d)リ
エ ゾ ン は,義
る が,従
来,義
が 異 な り,地
響 を 与 え 合 っ た こ と は な い.し は,語
務 的 な 場 合 以 外 は 後 退 しつ つ あ
務 的 で あ る と さ れ て い た,「 助 動 詞 + 過
去 分 詞 」 の よ う な 連 続 の 場 合 で も,行
な わ れ な くな り
理 的 に も 離 れ て い る の で,相
Ils sont
alles./i(l)sotale/>/i(l)soale/「
彼
フ ラ ン ス 語 は,ゲ teau)な
ー トル(guetre)や
ど の 軍 隊 用 語,あ
ment),サ
リー ト(elite)な
用 語,デ
態 ・統 語
(engagement),デ
詞 の 人 称 を 指 示 す る 人 称 代 名 詞 の 接 辞 化 は,
ア リス ム(surrealisme)な
Pierre
il chante.「
た だ し,非
ピ エ ー ル が 歌 う」 脱落が
attendre.「
ま た,1人
お 待 ち 下 さい 」
称 複 数 形 は,「on+3人
換 え ら れ つ つ あ り(Nous va
au
cinema.「
allons
称 単 数 形 」 にお き au
人 称 代 名 詞nousは,強
来 の
勢 形 と して の み 機 能す る よ う
に な っ て い る. Nous,on b)い
ecoute.「
わ れ わ れ は 話 を 聞 く」
わ ゆ る 近 接 未 来 を 示 す,「aller+
形 式 が,未
不定法」の
来 形 を 徐 々 に 後 退 させ つ つ あ る.つ
現 代 フ ラ ン ス 語 で は,総
ま り,
続 法 半 過 去 は,文
か も,そ
れ も3人
の 使 用 は,時
も,文
語 に お い て す ら,接 の 結 果,接
時 制 が 何 で あ れ,過
称
制の照
応 の 規 則 を 満 た す と い う 目 的 に 限 られ て い る が,こ
れ て い る.こ
れ
続 法 現 在 形 に とって 代 わ ら
続 法 の 時 制 は,主
文の動詞の
去 と 非 過 去 とい う対 立 で と ら え ら
teau),パ
こ と が 教 養 の 一 つ の 証 拠 と さ れ て い る た め か,apres ∼ の 後 で 」 の よ う な,本
き 表 現 に ま で,接 e)倒
来,直
続 法 が 進 出 し て い る 例 も あ る.
置 に よ る 疑 問 文 の 形 成 は,ま
空 手 」,
bonsai「
盆 栽 」,ikebana「
風 」,bonze「
シ ョ ン の ほ か,‐ti(<t‐il)の
ン トネ ー
よ う な 形 態 も登 場 し て い
る. viendrez‐ti?「
あ な た は い ら っ しゃ るの で
問 詞 を 用 い る 疑 問 文 で も,次
の よ うな形 式 は
普 通 で あ る. Ou
tu
か し,中
手 家)な
vas?/Tu
[日 本 語 と の 関 係]
vas
ou?「
ど こに 行 くの」
フ ラ ン ス 語 と 日本 語 は,系
統
神
本 文 化 に特殊 で あ る事 物 に は,judoka(柔
道 家),
ど,日 本 で は あ ま り用 い ら れ な い
派 生 語 も 含 ま れ て い る. [辞
書]
現 代 フ ラ ン ス 語 の 大 辞 典 と し て は,次
の よ う な も の が あ る. Grand
Larousse
78),7
de la langue
francaise
(1971‐
vols.(Larousse,Paris)
Robert,P.(1985),Dictionnaire
こ の2つ
de la langue
が,現
alphabetique et francaise,9
vols.(Le
代 フ ラ ンス語 の 語 彙 に 関す る網 羅 的 情 者 は,説
明,用
例 と もに後 者 に
比 べ て 簡 潔 で あ る が,文 法 用 語 の 説 明 は 非 常 に 詳 し い. supplement)の
も
の の 全 面 的 改 訂 版 で あ る.類 義 語 を 参 照 さ せ る 方 法 や, 文 学 作 品 か ら,か
な り長 い,ま
た,数
て い る 点 は 前 版 と 同 じ で あ る が,語
く な ど,提
た,最
多 くの用 例 を ひい 義 の 説 明 が よ り詳
初 に 短 い 用 例 を い くつ か あ げ て お
示 の 方 法 に 進 歩 が み ら れ る.
Littre,E.(1972),Dictionnaire
す か」 ま た,疑
生 け 花 」,kamikaze「
坊 主 」 な ど,日
し くな り,ま Vous
柔 道 」,karate「
後 者 は,1951‐70年(6vols.et 1
す ま す 後 退 し,
疑 問 詞 を 用 い な い 疑 問 文 の 指 標 と し て は,イ
どの フ ラ ンス語 を用 い て い る
れ に比
報 を 与 え て くれ る.前
説法 を 使用すべ
パー
ャ トー(cha
べ る と ご くわ ず か で,judo「
d)接
que「
常 に多 く
近 で は,ア
日 本 語 が フ ラ ン ス 語 に 与 え た 語 彙 の 数 は,こ
Robert,Paris)
般 的 にそ の独 自 の意 味 を失 いつ つ
テ ィ ッ ク(boutique),ネ
例 もみ ら れ る.
analogique
あ る が,フ ラ ン ス の 社 会 で は,こ れ を 正 し く使 い こ な す
ー トクチ ュ
ゾ ン(maison),シ
レ(palais)な
れ る よ う に な っ た. 続 法 は,一
,ブ
ラ
ニャック
どの料 理 に関 す る
の 語 彙 を 日 本 語 に 与 え て き て い る.最
karateka(空
語 に お い て,そ
に し か 残 っ て お ら ず,し
gras),コ
ど の 服 飾 用 語 な ど,非
に 限 ら れ て い る.し
合 的 形 態 で あ る 未 来 形 が,ふ
た た び 分 析 的 形 態 へ 移 行 し つ つ あ る. c)接
couture)
トな ど の 名 前 に,メ
cinema.→On
わ れ わ れ は 映 画 館 に 行 く」),本
ル レ
ど の 学 問 ・思 想 用 語,グ
ペ リ チ フ(aperitif)な
グ リ ジ ェ(neglige)な
レ
ン ガ ー ジ ュマ ン
レ タ ポ ル テ(pret‐a‐porter),オ
ー ル(haute
顕 著 で あ る. Faut
用 語,プ
レ ッ ト(palette),ク
ォ ア グ ラ(foie
(cognac),ア
名 詞ilの
会 に関 す る
ジ ャ ヴ ュ(deja‐vu),シュー
タ ン(gratin),フ
人 称 表 現 に つ い て は,代
ー デ タ ー(coup
ど の 芸 術 用 語,ア
a)動
称 に お い て も進 行 し つ つ あ る.
グ レ マ ン(agre
ど の 外 交,社
ッ サ ン(dessein),パ
2)形
3人
者の関係
マ ン ト(man
る い は,ア
ボ タ ー ジ ュ(sabotage),ク
ヨ ン(crayon)な
らは行 った」
た が っ て,両
彙 の 貸 し借 り の 面 だ け に 限 ら れ る.
d'Etat),エ
つ つ あ る.
互 に深 い 影
francaise,7
de la langue
vols.(Gallimard‐Hachette,Pa
ris)―1863年
か ら1877年
の の 最 新 版.実
証 的 な 方 法 に 基 づ き,古
用 例 を 採 っ て い る.
に か け て 編 纂 され た も 典作家 か ら
Tresor
de la langue
Centre
francaise(1971―1994,16vols.,
national
Paris)―
de la
recherche
― 上 の 辞 典 の 欠 点 を 補 う,包
史 上 最 大 の フ ラ ン ス語 辞 典.コ
ン ピュ ー
タ 処 理 に よ っ て 編 纂 さ れ て い る. の よ うな もの で
francais(Larousse,Paris)―1巻
本 の 古 フ ラ
が も っ と 多 け れ ば,こ
足 で き る 唯 一 の も の.用
Petit
Robert
1(1967,Societe
tre,Paris)―
du
nouveau
Lit
類 義 語 や 反意 語 を 数 多 く あ げ る こ
と に よ っ て,語
義 の 説 明 を 補 足 し よ う と し て い る.
作 家 か ら の 用 例 が 豊 富 で あ る. Dictionnaire
du
francais
Larousse,Paris)― 利.語
contemporain
(1966,
学 習 用 の 仏 仏 辞 典 と して は便 数 は 少 な い.
立 し た 見 出 し と し て 出 て お ら ず,も
と
仏 和 大 辞 典 』(白 水 社,東 京) 例 は簡 潔
源 の 解 説 も あ る.
学 館 ロ ベ ー ル 仏 和 大 辞 典 』(小 学 館,東
法 も,詳
例 も豊 富.ま
小
京)―12万
た,基
の よ う な も の が あ る.
Worterbuch(R.G.Zbinden,Basel)
の ロ マ ン ス 語 へ の 言 及 も あ る.た
et struc
francaise(Francke,Berne) フ ラ ン ス 語 の 進 化 と 構 造 』,白 水
京,1976)
du
francais,3
historique
vols.(Klincksieck,Paris)
Bally,Ch.(1944),Linguistique
generale
W.von
林 英 夫 訳,『 一 般 言 語 学 と フ ラ ン ス 言 語 学 』,岩 波 書 京,1970)
Wartburg,W.von
et P.Zumthor(1947),Precis
syntaxe du
francais
Ulmann,S.(1952),Precis
contemporain
de
[参
照 ]
semantique
fran
ガ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 (町 田
フ リ ウ リ 語 furlan,lenghe
健)
furlane,英Friulian,
Friulan,仏frioulan,伊friulano
caise(Presses
ロ マ ン ス 諸 語 に 属 し,イ
Wartburg(1949,19898),
Dictionnaire etymologique
de la langue
Universitaires
fran
de France,
Paris)
― 現 代 フ ラ ン ス 語 か ら語 源 を 調 べ る の に 便 利.説
de la langue
etymologiqzue
[分 布 ・方 言 ]
Venezia
フ リ ウ リ語 の 主 な 分 布 地 域 は,行
リ ウ リ ・ヴ ェ ネ チ ア ・ジ ュ リ ア(Friuli
Giulia)自 よ び,ヴ
治 州(州
都 は ト リエ ス テTrieste)
ェ ネ ト(Veneto)州
語 数 は 多 く簡 潔 で あ る が,説 明 の 足 り な い 点 も あ る.
つ の 方 言 地 域 に 分 割 さ れ る.フ
古 フ ラ ン ス 語 の 辞 典 と し て は,次
け て,北
の よ うな もの が あ
る.
cienne langue Sciences
francaise,10 et
des
Arts,Paris)―Slatkine
社 か ら リ プ リ ン トが 出 て い る.用 豊 富 で あ る が,基
de l'an vols.(Librairie
例,語
彙数 と も に
本 的 な語 彙 で あ るの に 語 義 の 説 明
が あ ま り詳 し く な い 場 合 も あ る. E.Lommatzsch(1915‐),Altfran Worterbuch
(F.Steiner,Stuttgart)
の 一 部 で,3
リ ウ リ平 野 の 東 西 を 分
か ら南 に 流 れ る タ リ ャ メ ン ト(Tagliamento)
川 を 境 界 に,1)フ
Godefroy,F.(1880‐1902),Dictionnaire
ド リア 海 の
野 を 中 心 に,約50万
人 に よ っ て 話 さ れ て い る.
の 内 部,お
francaise(Larousse,Paris)―
タ リア 北 東 部,ア
北 方 に 広 が る フ リ ウ リ(Friuli)平
政 区 分 上 は,フ
確 で 簡 潔 で あ る.
Dauzat,A.(1938),Dictionnaire
zosisches
(小
フ リ ウ リ語 は,ロ マ ンス 諸 語 の 下 位 区 分 で あ る レ ト・
が あ る.
Tobler,A.und
et
francaise(Francke,Berne)
だ,
ず 下 記 の 語 源 辞 典 で語 源 を調 べ て お く必要
Bloch,O.et
明 は,正
de la langue
社,東
a
c aise(Francke,Berne)
語 源 か ら フ ラ ンス語 の形 を調 べ る よ うに な っ て い る の で,ま
origines
(Francke,Berne) Ety
―あ る語 源 か ら 発 展 し た 方 言 形 ま で も 詳 し く記 さ れ て い る.他
t ure
de
Wartburg,W.von(1922‐),Franzosisches mologisches
des
Wartburg,W.von(1946),Evolution
店,東
本 語 の用
し く解 説 さ れ て い る.
語 源 辞 典 に は,次
francaise
vols.(A.Colin,Paris)
linguistique
小 学 館 ロ ベ ー ル 仏 和 大 辞 典 編 集 委 員 会 編(1988),『
の 収 録 語 数 を 誇 り,用
Bruneau(1905‐69),His
de la langue
Fouche,P.(1952‐61),Phonetique
―わ が 国 で 初 め て 出 版 さ れ た 大 辞 典.用 に し て 豊 富 で あ り,語
Charles
toire
(田 島 宏 ほ か 訳,『
の 語 の 下 位 見 出 し と な っ て い る. 伊 吹 武 彦 ほ か 編(1981),『
[ 参考文献] Brunot,F.et
nos jours,13
義 も 平 易 に 解 説 し て あ る が,語
派 生 語 は,独
des
例
れ だ け で も か な り文 献 が 読 み
こ な せ る は ず で あ る.
あ る. Le
de l'ancien
ン ス語 辞 典 と し て は,満
1巻 本 の 辞 典 と し て 便 利 な の は,次
括 的 で 優 れ た 辞 典.
Greimas,A.J.(1968),Dictionnaire
scientifique,
リ ウ リ中 部 ・東 部 方 言,2)フ
リ西 部 方 言 が 分 か れ,そ
れ に,平
オ ー ス ト リ ア 国 境 に 接 す る,3)カ
リウ
野部の北に位置す る ル ニ ア(Carnia)方
言 が 加 わ る. こ の う ち,フ
リ ウ リ語 の 共 通 語(コ イ ネ ー)と
役 割 を 果 た し て い る の が,1の 言 で,口
語,文
ィ ネ(Udine)を だ し,ウ
語 と も に,平
して の
フ リ ウ リ中 部 ・東 部 方 野 の 中央 に あ る都 市 ウデ
と り ま く地 域 の 言 語 が 優 勢 で あ る.た
デ ィ ネ 市 内 で は,ヴ
ェ ネ ト語(veneto)と
イ タ
リア 語 が主 に用 い られ て い る.
2)語
[言語 状 況] フ リ ウ リ語 を と り巻 く現 在 の 言 語 状 況 と して は,ま ず,標 準(な い し共 通)イ タ リア語 との 二 言 語 併 用 状 態 が あ げ られ る.特 に,両 大 戦 間 に猛 威
頭 閉 鎖 音 +l(pl‐,bl‐,kl‐,gl‐,など)の 保 持.
イ タ リア 語 に対 比 して,ガ ロ ・ロマ ンス 諸 語,レ
マ ンス 諸 語 の保 守 的 特 徴 と して あ げ られ る点 で あ る. 例)CLAVE「鍵
」>[klaf],伊chiave;GLACIE
をふ る っ た 「イ タ リア化 」 政 策 以 来,公 文 書 の み な ら
「氷 」>[glace],伊ghiaccio;FLORE「
ず,日 常 生 活 にお い て もイ タ リア 語 の 普 及 は 著 し く,
[flor]「華 」,伊fiore;PLENU「
都 市 部 で は,フ
伊pieno;BLANCU「
リウ リ語 に と って か わ りつ つ あ る.同
じ レ ト ・ロマ ンス語 で も,ス イ ス の ロマ ン シ ュ語 の 場 合 と異 な り,フ リウ リ語 は,現 在 で も義 務 教 育 の言 語 に す らな って お らず,地 域 語 と して の 自立性 が 認 め ら れ て い な い. 歴 史 的 に,フ
リウ リ語 は,隣 接 す る 北 イ タ リア 系 ヴ
リウ リが ヴ ェネ チ ア共 和 国 の 支 配 下 に お か
れ,ヴ ェネ ト語 が 広 く浸 透 した た め で あ る.東 端 の ト リエ ス テ 地 方 で は,フ
リウ リ語 は,19世 紀 に ヴ ェネ ト
語 に よ って 駆 逐 され た. 他 方,フ
花 」>
満 ちた 」>plen,
白 」>blanc,伊bianco
た だ し,語 中 で 母 音 間 の‐GL‐ は,ア ク セ ン トの後 で,Gが
落 ち る.
例)*AURICULA「
耳」>orele,*SOLICULU
「 太 陽」>soreli(こ れ らの例 は,‐CULA,‐CULU
ェ ネ ト語 か らの影 響 を強 く受 けて い る.こ れ は,1420 年 に,フ
ト・ロ
のCが
有 声 化 し,Uが
脱 落 した,‐GLA,‐GLU
の段 階 を経 て い る) [音
韻]
フ リウ リ地 方 中 央 の 中 部 ・東 部 方 言 の
強 勢母 音 の体 系 は,イ タ リア 語 の そ れ と同 じ く,短 母 音 は7つ(〓)で
あ るが,こ れ ら と音 韻
論 的 に対 立 す る長 母 音 が5つ(〓)あ
リ ウ リ地 方 の 大 部 分 は,北 か らハ プ ス ブ ル
ク家 の 支 配 を 受 け,そ の た め,現 在 で も,北 部 と東部 に ドイ ツ語 圏 が残 って い る.ま た,東 隣 のユー ゴ ス ラ
る.
現 代 フ リウ リ語 は,共 時 論 的 に み て も,語 末 音節 の 長 音 / 短 音 の音 韻 論 的 対 立 を もっ て い る. フ リウ リ語 の 独 自な 点 は,強 勢音 節 の強 位 置/ 弱 位
ビア との国 境 に近 い 地 帯 で は,ス ロ ベニ ア語 が 話 され
置 の 対 立 で,母 音 の 変化 が決 定 され る こ とで あ る.す
て い る.こ の よ うな 言 語上 層 ない し傍 層 は,特
に語 彙
な わ ち,強 位 置 とは,俗 ラ テ ン語 で 強 勢 開 音 節 で あ っ
面 にお い て,ゲ ル マ ン系 お よび ス ラ ブ系 の 要 素 を もた
た もの が,語 末 母音 の脱 落 に よ り閉 音 節 の 位 置 にな っ
ら し,レ
ト ・ロマ ンス諸 語 の 中 で も特異 な 点 とな って
い る.
た 場合 で,こ の とき,語 末 閉 音 節 とな った 母 音 は 長 母 音 化 す る.
[言語 特 徴] ロマ ンス 諸 語 の下 位 区分 と して,レ ト ・ロマ ンス語 とい う場 合,こ の グル ー プ に は,フ
リ
ウ リ語 の ほ か に,ス イ ス の 東南 部 グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン (Graubunden,グ
リ ジュ ンGrischuns)州
の ロマ ン シ
例)PEDE「 LOCU「
足」>[pit],NOVU「 場 所 」>[luk]
新 しい 」>[〓],
しか し,西 部 方 言 の一 部 で は,同
じ強位 置 で も下 降
二 重 母 音 化 し,フ ラ ンス語 や,ス
イス のエ ンガ デ ィ ン
ュ語 と,こ の両 者 の 中 間 に位 置 す る,イ タ リア 領 内 南
(Engadin)地
ュテ ー ルputer方
チ ロル(Tirol)地 方 の ドロ ミテ(Dolomite)山
言)と 同 じ結 果 とな る.
塊の谷間
に 話 され る ドロ ミテ語 を含 め る.こ れ は,こ れ ら3言 語 が,東 ロマ ニ ア(Romania)言 語 とは 明 瞭 に異 な る,い
語群 に属 す る イ タ リア
くつ か の通 時的 特 徴 を共 通 に
も って い る か らで あ るが,そ れ ら の う ち,主 な もの は,
方 の ラ デ ィ ン語(ピ
例)[peit],[nouf],[louk] 上 記 以 外 の起 源 を もつ 音 節 は,弱 位 置 に あ り,短 音 ま た は上 昇 二 重 母 音(共 通 ロマ ンス語 的)が 現 わ れ る. 例)BELLUS「
次 の とお りで あ る(大 文 字 は,ラ テ ン語).
[lat],RIPA「
1)CA‐ お よびGA‐ の 口蓋 化.こ の レ ト ・ロ マ ン ス 語 を特 徴 づ け る現 象 は,フ ラ ンス 語 を含 む ガ ロ ・ロ
>[skuele]
マ ンス 諸 語 に は 共 通 して見 られ るが,イ な い.フ
タ リア 語 には
リウ リ語 で は,中 部 ・東 部 方 言 で はk'a,g'a,
西 部 方言 で はtsa,dzaに
変 化す る.
美 しい」>[biel],LACTE「 岸 」>[rive],SCHOLA「
乳 」> 学校」
[形 態 ] 名 詞,形 容 詞,名 詞 限 定 詞 な ど は,性 と数 を 有 す る.複 数 形 で は,ラ テ ン語 屈 折 語 尾 の名 残 りを と どめ る‐sを とる.こ の 点 で,フ
リ ウ リ語 を含
フ リウ リ平野 の 中央 部 にあ る ウ デ ィネ 周 辺 の 方 言
む レ ト ・ロ マ ンス 語 は,イ タ リア 語 や ル ー マ ニ ア 語 と 一線 を画 して,西 ロ マニ ア の グ ル ー プ に属 す る.
(区分 で は,中 部 ・東 部 方 言)の 例 と して,以 下 の よ う
例)la
な ものが あ る(フ
人 称 代 名 詞 には,強 形 で あ る 自立 形 と,弱 形 で あ る
リウ リ語 の正 書 法 は数 種 類 あ る が,
定 ま った ものは な い.正 書法 上,ゆ れ のあ る もの につ
rive「 岸 」(単 数):lis
rivis(複 数)
前 置 形(書 法 上 は,動 詞 に,ス ペー ス な い し ア ポ ス ト
い て は,発 音 記 号 のみ を示 す).
ロ フ をお い て 後 接)と 後 置形(動 詞 に,ス ペ ー ス を おか
例)ラ テ ン語CAPRA「 山羊 」>[k'avre],CASA 「 家 」 >[k'aze],CANTARE「 歌 う」 >[k'anta]
ず 直 接 に前 接)と の3種 類 が あ り,それ ぞ れ 人 称 と数 に 応 じて異 な った形 を とる.自 立 形 は,強 調 的 用 法 の 場
<表1>人
称代 名詞(自 立 形)
人称
語〕
数
複
単
〔 主
<表3>人
数
〔 直接 目的 補 語〕
単
数
複
数
人称
1
称代名詞(後置形) 〔 直接 目的補語〕 〔 間接 目的補語〕 単 数 複 数 単 数 複 数
1 2
2
3(男 性) (女 性)
3(男 性) (女性)
例)Cjalaimi!「 私 を見 て 下 さい」 Diseinus!「 私 た ち に 言 って 下 さい 」
合,な
い し,前
置 詞 と と も に 用 い られ る 場 合 の 形 で,
表1の
と お り で あ る(以
下 の 用 例 は,主
テ ィ 〔Marchetti,19773〕
に,マ
に よ る).
vualtrisが
か し,2人
直接 目的 補 語 人 称 代 名 詞 と間接 目的 補 語 人 称 代 名 詞 が と も に用 い られ る場 合 は,後 者 が先 行 し,融 合 形 と な る.前 置形 で は ア ポ ス トロ フ を記 す の に 対 し,後 置
1人 称 複 数 に は,noaltrisとnoの2つ
別 な く用 い ら れ る.し
ル ケッ
が あ り,区 称 で は,一
使 わ れ る の に 対 し,Voは2人
般 的には
形 で は 表 記 せ ず,動 詞 活用 語 尾 の一 部 の よ うに 書 く. 例)Tu
称単数の敬
称 と し て の み 用 い ら れ る. 例)Par
Vo,mari,'o
前置詞
2人 称 複 数
fas:動 duc':形
sfuarz.(par:
詞 男 性 複 数,sfuarz:名 「お 母 さん,あ
詞di「 言 う」 の 命 令 法2人
称複 数diseit「 言 って 下 さい」 の融 合 形,-m-:
冠
人 称 代 名詞 後 置形1人 称 単 数 間 接 目 的 格 「私 に」
詞 〔男 性 ・複 数 〕 「努 力 」)
の融 合 形,-al:人
な た の た め に私 は で き る 限 りの 努
力 を い た しま す」
詞di
れ を言 う」 Diseimal.(disei:動
称単数,
「す べ て の 」 の 男 性 複 数 ,i:定
称 代 名詞 前 置形
融 合 形,disis:動
「言 う」 の直 説 法 現 在2人 称 単 数)「 君 は ぼ くに そ
詞 〔 女 性 ・単 数 〕 称 単 数 主 格 「私 は 」,
す る 」 の 直 説 法 現 在1人
容詞
称 代 名 詞弱 形2人 称 単 称 代 名 詞 前 置形1人 称 単
男 性 単 数 直 接 目的 格luの
称 代 名 詞 自立形
「あ な た 」,mari:名 称 代 名 詞 弱 形1人
詞fa「
disis.(tu:人
数 間 接 目的 格 「ぼ くに」,-al:人 fas duc'i
「∼ の た め に 」,Vo:人
「母 」,'o:人
m'al
数 主 格 「君 は」,m':人
目的 格-luの 動 詞 に は,2つ
称代 名詞 後 置 形 男 性 単 数 直 接
融 合 形)「 私 にそ れ を 言 って下 さい」 の態(能 動 態,受 動態)と,6つ
の法
こ の 用 法 は,親 族 間 の 敬 称 と し て は 古 く な りつ つ あ り,
(直説 法,接 続 法,条 件 法,命 令 法,希 求法,不 定 法)
都 市 部 で は,親
称 のtuが
が あ る.直 説 法 は,8つ
と し て は,3人
称 のLui,Je,Lorが
広 が っ て い る.ま
人 称 代 名 詞 の 前 置(後 接)形 接 目 的 補 語 の2種
<表2>人
た,敬
称
広 く用 い ら れ る.
に は,直
接 目 的 補 語 と間
類 が あ る(表2).
人称
過 去,未 来;重 複 合 過 去,近 過 去,大 過 去,先 立 未 来) を もつ が,こ の うち,後 の4つ の時 制 は,複 合 形(助 動 詞veま
称代 名詞(前置形) 〔 主 語〕 〔 直接 目的 〔 間接 目的 補語〕 補語〕 単数 複数 単数 複 数 単数 複数
の 時 制 形(現 在,半 過 去,遠
た はjessi+ 過去 分詞)で 形 成 され る.規 則
動 詞 の活 用 型 は,4群(不
定 詞 で は,語 末 が-a,-e,i,
-i)に ま とめ られ る.表4は,第1群
活用 型 動 詞fevela
「話す 」 の活 用 の一 部 で あ る.動 詞 には 人称 代 名 詞 の 前 置形 が必 ず 付 加 され る こ とが,形 態 論 上 の原 則 で あ る.
1 2
[統
3(男
の語 法 として,主 語 と な る人 称 代 名 詞 の 強 形 に 加 え
性)
語]
形 態 統 語 面 で の 特 徴 の1つ に,倒 置 形
て,さ ら に,動 詞 の 後 にそ の 人 称 代名 詞 弱 形 を使 用 す
(女 性)
る点 が あげ られ る.北 部 の イ タ リ ア 語 や トス カ ー ナ 例)Tu tu mi disis.「 君 が,ぼ く に 言 う」 J dis.「(ぼ くは)彼(彼 女)に 言 う」 再 帰 代 名 詞 は,1人 はtiま 例)Si
た はsi,そ cjalarin.「
称 単 数 で はmi,2人 れ 以 外 の 人 称 で はsiで
方 の 俗 語,ヴ
ェネ ト方 言,レ
ト ・ロマ ン
ス語 系 の ドロ ミテ語 な どに も部 分 的 に見 られ る語 法 で
称単数 で
あ るが,フ
あ る.
動 詞 の活 用 の 一 部 と も言 え るほ どで あ る.こ の原 因 に
私 た ち/ 彼 ら は 自分 自身 を見 つ
め合 った」 後 置(前 接)形 は,動
(Toscana)地
リウ リ語 で は,こ の 現 象 は さ らに 拡 大 し,
は,動 詞 の1人 称 単 数 と3人 称 単 数 が,多
くの 場 合 に
同形 とな る こ とが あ げ られ るが,実 際 は,地 域 差 が大 詞 の 命 令 法,不
定 法 と と もに用
い られ,そ の 後 に 付 け て 表 記 さ れ る(表3).
き く,フ リ ウ リ語 一 般 に通 用 す る規 則 は 立 て に くい. 共通(コ イネ ー)フ
リ ウ リ語 の 例 を,下
に 掲 げ る.
<表4>第1群 人称
活 用 型 動詞 「話 す 」 の 活 用(一 部)
単
数
複
に は,ロ ー マ 時 代 に 商 業 と文化 が 栄 え,こ の町 の 民 衆 ラ テ ン語 が フ リウ リ地 方 に大 きな 影 響 を及 ぼ し た.特
数
に,帝 政 末 期 の 俗 語 とギ リシア 語 語 源 の混 淆 した 語 彙
《直 説 法 現 在 》
は,現 在 も保 存 され て い る.
肯 定 形 「∼ は話 す 」
例)muini「
聖 具 室 の番 人」 < ラ テ ン語MONACU
「修 道 士 」(cf.伊sagrestano) ロー マ 時 代 以 前 の 言 語 の 語 彙 で は,イ
リュ リア人,
ケ ル ト人 等 の 先 住 民 族 の遺 した少 数 の語 が 確 認 さ れ て
疑 問形 「 ∼ は 話 す か?」
い る.ラ テ ン語 化 した ケ ル ト語 起 源 の語 を あげ る と, 次 の とお りで あ る. 例)bragons「
ズ ボ ン」<BRACAE(cf.伊pan
taloni) 《直 説 法 近 過 去》
draz「 篩」 <DRAGIUM(cf.伊staccio)
肯 定形 「 ∼ は 話 した」
フ リ ウ リ語 の 語 彙 の顕 著 な 特 質 と して,中 世 前 期 か ら接 触 の あ った 東 隣 の ス ラブ 系,中 で もス ロベ ニ ア語 か らの借 用 語 が 多 い こ とが指 摘 で き る. 例)cespe「
疑 問 形 「∼ は話 した か?」
うめ」cf.ス
ロベニ ア語cesplja
cjast「 屋 根 裏 部 屋 」cf.ス ロベ ニ ア語kasca 'zime「 寒 波 」cf .ス ロベニ ア 語zima「 冬 」 フ リ ウ リ語 の語 彙 の歴 史 を通 じて,圧 倒 的 な 影響 を 与 え続 け て きた 言 語 は,と りわ け ヴ ェネ ト方 言 で あ る. 北 東 イ タ リア 地 方 の コイ ネ ー と して広 く用 い ら れ る こ
al,'o,'eは,冗
例)Un
rusignul
は)歌 Jo'o Jo
al cjantave.「
の 言 語 は,語 彙 の 面 のみ な らず,音 声 や統 語 の レベ ル ウ グ イ ス が(そ れ
って い た 」 rit.ま
た は,'E
ridie?ま
市 周辺 部 の 住 民 は,ヴ
jo?「 私 は 笑 う か?」
リウ リ地 方 の都 市 部 お よび都
ェネ ト方 言 と共 通 イ タ リア語 と
フ リ ウ リ語 との,三 言 語 な い し二 言語 併 用 者 が ほ とん
rit je.「 彼 女 は 笑 う 」
た は,Ridie
どで あ る.
je.「 彼 女 は 笑 う か?」
最後 に,ゲ ル マ ン語 系 の語 彙 が,他 の レ ト ・ロマ ン
動 詞 に ラテ ン
ス 諸 語 に お け るの と同 様 に,重 要 な部 分 を 占め て い る
∼ で あ る」 に相 当す る動 詞 を用 い るの に
こ とを 指 摘 しな け れ ばな らな い.北 の 山岳 地 帯 で ドイ
受 動 態 は,ロ 語 のESSE「
rit jo.「 私 は 笑 う 」
た は,Ridio
rit.ま
で も,フ リ ウ リ語 の 進 化 に言 語 傍層 な い し上 層 と して の 役 割 を担 って きた.フ
た は,'O
ridio?ま
Je'e Je
語 的 代 名 詞 で あ る.
マ ン ス 諸 語 の 多 くが,助
対 し,VENIRE「
来 る,∼
に な る」 に 由 来 す るvigni
を 使 う の が フ リ ウ リ 語 の 特 徴 で あ る.レ 語 の 中 で は,ス イ ス の ロ マ ン シ ュ 語(エ の ラ デ ィ ン 語)が,こ
れ ら2つ
ト ・ロマ ンス ン ガ デ ィ ン地 方
の 助 動 詞 を,中 世 以 来,共
ツ語 圏 と境 界 線 を分 か ち,オ ー ス トリア と接 し て い る この地 方 は,早
くか ら,ゲ ル マ ン世 界 と地 中 海 文 明 と
を結 ぶ 交 通 路 で あ り,中 世 前期 か らゲル マ ン民 族 の通 過 や定 植 が くり返 し行 な わ れ た.語 彙 面 で も,中 世 か
存 さ せ 使 い 分 け て き た が,次 第 にgnir(<VENIRE)
ら現 代 に 至 る まで,絶 え ず ゲル マ ン語 か らの 借 用 を受
に 統 一 さ れ つ つ あ る.そ
け て い る.
層(cf.独werden)が
あ げ ら れ る が,フ
合 は,vigniは,単
ル マ ン語 傍 リ ウ リ語 の 場
純 時 制 に し か 用 い ら れ ず,複
制 に は,ESSEに 詞 は,主
の 原 因 と し て,ゲ
由 来 す るjessiが
語 の 性,数
使 わ れ る.過
彙]
村落」
去分
cartufule「 じゃ が い も」< ドイ ツ語Kartoffel
に 一 致 す る.表5に,clama「
呼
混乱」
tartaifil「 お や おや(間 投 詞)」 < ドイ ツ語der Teufel「 悪魔 」
フ リ ウ リ語 語 彙 の う ち,約3分
中 世 以 来 の ラ テ ン語 か ら受 け 継 い だ 語 や,こ く造 語 が 占 め て い る.し
地 区」 < ゲル マ ン語burgs「
uere「 戦 争 」 < フラ ン ク語werra「
ぶ 」 の 例 を 示 す. [語
例)borc「
合時
か し,フ
位 置 と歴 史 的 条 件 を 反 映 し て,古
の2は, れ に基 づ
[辞
書]
フ リウ リ 語 の 辞 書 と し て,古
Pirona,J.(1871),Vocabolario
リ ウ リ地 方 の 地 理 的
が あ る が,1985年,ウ
くか ら,近
ウ リ語 文献 学 協会(Societa
隣の言語
の 語 彙 が 流 入 し て い る こ と は 各 層 に 認 め ら れ る. ア ド リア 海 に 近 い 植 民 都 市 ア ク イ レ イ ア(Aquileia)
くは,
friulano(Venezia)
デ ィネ で,リ プ リ ン ト版 が フ リ Filologica
Friulana)か
ら刊行 され た. 今 世 紀,長
い間,実 用 的 辞 書 と して通 用 し て い た も
<表5>動 人 称 単
詞 「呼 ぶ」 の 受 動態 の活 用(一 部) 数
複
数
単
数
複
数
《直 説 法 現 在 》(助 動 詞 は,vigni) 肯 定形
疑 問 形 「∼ は 呼 ば れ るか?」
「∼ は 呼 ば れ る 」
《直 説 法 近 過 去》(助動詞 は,jessiの
複 合 時制) 疑問形 「 ∼ は呼 ば れ た か?」
肯定形 「 ∼ は呼 ば れ た」
の に,Pirona,G.A.,Carletti,E.e (1935),Il
Nuovo
(Societa
Filologica
Pirona,Vocabolario Friulana,Udine)が
della
と し
あ げ ら れ
Pellegrini,G.B.(1972),Saggi
Frau,G.(1984),I Filologica
る. ま た,語
源,語
boni,A.et storico
dialetti
刊 行 中
tologico
del
Friuli(Societa
ladini,Archivio
glot
italiano,Vol.I(Fermanno
言 語 地 図 集 で は,パ もの が あ り,こ
[参 考 文 献] Marchetti,G.(1952,19773),Lineamenti grammatica
di
friulana
Loescher,
フ
上 げ た 文 法 書 で,語
リ ウ リ 語
コイ
し い.
and lit
erature(The Oleander
Press,New
英 語 で 書 か れ た,フ
ネ ー を と り
彙 と 音 声 進 化 の 記 述 に 詳
Gregor,D.B.(1975),Friulan.Language
ド ヴ ァ大 学 を 中 心 に 編 集 さ れ た
の 解 説 書 も 同 時 に 刊 行 さ れ て い る.
Pellegrini,G.B.(ed.)(1972‐86),Atlante linguistico-ethnografico
(Societa.Filologica
Friulana,Udine)―
York)―
storico
friulano
6 vols.(Societa,Filologica
(ASLEF),
Friulana,Padova/
Udine) Pellegrini,G.B.(1972),Introduzione
all'Atlante
storico‐linguistico‐ethnografico
リ ウ リ語 に 関 す る 一 般 向 け 概 説
cieta
Filologica
friulano
Friulana,Padova)―
(So 同 上 解説
書.
書. Matalon,Z.(1975),Dopra la
Grammatiche
to lenghe.
furlane(Clape
cultural
aquilee,
誌 と し て,Ce
furlane(Institut
di
studis
史,文
語 の 全 般 に わ た る雑
Filologica
Friulana,
リ ウ リ 語 学 の 叢 書 と し て, friulani(Societa
Friulana,Udine,1969‐)が
furlans,Gurizze/
化,言
fastu?(Societa
Studi linguistici
―(1977),Marilenghe.Grammatiche
Filologica
重 要 で あ る.
フ リ ウ リ語 文 学 の ア ン ソ ロ ジ ー と し て,次
Pordenon/Udin) Iliescu,M.(1972),Le
frioulan
parles
en
a
Roumanie
partir
des
dia
(Mouton,the
Hague/Paris)
(Societa,Filologica
friulana
Chiurlo,B.e
linguistici
A.Ciceri(1927),Antologia
della
friulana(Friulano
Editrice
Udinese,Udine;第2版,Edizioni《Aquileia》, Tolmezzo,1976)
Friulana,Udine)
―(1970),Studi
の もの が
充 実 し た 内 容 を も っ て い る.
letteratura
Francescato,G.(1966),Dialettologia
(Firenze)―
フ リ ウ リ 地 方 の,歴
Udine,1924‐)が,フ
Gurize/Pordenon/Udin)
lectes
dolomi
Roma/Torino/Firenze)
で あ る.
Nazzi
ladino
Friulana,Udine)
Ascoli,G.L.(1873),Saggi
etimologico
friulano(Casamassima,Udine)が
sul
古 典 的 な 価 値 を も つ も の と し て は,
史 面 の 研 究 成 果 を ふ ま え た,Zam
al.(1984),Dizionario
の
tico e sul friulano(Bari)
lingua
Editore,Udine)が
で も,次
も の が 最 新 の 研 究 成 果 を ふ ま え て い る.
あ る. ざ し た 辞 書
て,Faggin,G.(1985),Vocabolario Bianco
方 言 研 究 書 は 多 数 出 版 さ れ て い る が,中
friulano
フ リ ウ リ 語 の コ イ ネ ー の 確 立 を め
friulana(Del
い る.
G.B.Corgnali
sul
friulano
フ リ ウ リ語 関 係 の 論 文 が 集 め ら れ て
D'Aronco,G.(1982),Nuova letteratura
friulana(Ribis,Udine)
antologia
della
Belardi,W.e lana
G.Faggin(1987),La
del
poesia
Novecento(Bonacci
Dino,V.(19782),La Friuli,2
editore
flor‐letteratura vols.(Societa
friu
いた と思 わ れ る.ま た,9世
,Roma) ladina
Filologica
del
Friulana,
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語,ロ
そ れ ぞ れ別 の変 化 の道 を た どっ て い っ た.今
マ ンス 諸 語 伸 夫)
とき は,通 常,こ
Fries
以 下,西 統 ]
い う.ゲ
フ リー ス ラ ン ド語(Frieslandian)と
ル マ ン 語 派 の 中 で,英
も
語 に も っ と も近 く,こ
語 を ひ と ま と め に し て,ア
ング ロ ・フ リ ジア語
フ リジア 語,北
フ リ ジア 語
の それ ぞ れ につ い て 述 べ る. Ⅰ)西 フ リ ジ ア語
オ ラ ンダ 北 東 部 の フ リー ス ラ
ン ト(Friesland)州
一 帯 で 使 用 され て い る.話 者 は,
い う分 類 が な
約40万
さ れ る.ド
個 の小 グ ル ー
者 で あ る.し か し,一種 の 郷土 愛 に 守 られ て,今 の と
イ ツ 語,オ
ラ ン ダ 語 と は,別
だ し,今
日の フ リ ジ ア 語 の 外 見 は,長
に わ た る 言 語 接 触 の 結 果,オ て き て お り,英
年
ラ ン ダ 語 や ドイ ツ 語 に 似
語 と の 類 縁 性 は,た
だ ち に は 感 じ とれ
[語
史]
タ キ ト ゥ ス の 『ゲ ル マ ー ニ ア 』 に 紹 介
さ れ て い る フ リ ー シ ー 族(Frisii)が,こ 人 々 で あ る.し
か し,言
文 献 の 中 に,わ
の 言 語 を話 す
語 そ の も の に つ い て は,そ
ほ ど古 く ま で 遡 れ な い.紀
元1世
れ
紀 頃 か らの ラテ ン語
ず か な数 の単 語 を拾 う こ とが で き るの
み で あ る. こ れ 以 後 の 語 史 は,ま
とま った 資 料 のあ る西 フ リジ
ア 語(後 述)を 基 準 に 設 定 さ れ て い る.そ は,13世
紀 の 法 律 文 書 で あ る.し
語 の 語 史 も,こ
の 最 古 の もの
た が っ て,フ
こ を 始 ま り と し,1550年
フ リ ジ ア 語 」 と よ ぶ.こ
述)の 詩 以 外 に は,ほ
リジア
頃 ま で を 「古
れ 以 後,1800年
期 フ リ ジ ア 語 」 と す る が,こ
の 時 期 は,ヤ
ピ ッ ク ス(後
と ん ど文 献 が 存 在 せ ず,言
以 後 を,「 新 フ リ ジ ア 語 」 とす る.こ た び 文 献 が 増 え 始 め,現 ち な み に,こ
デ ミー(Fryske 言 語 の 普及,研
Akademy)が
リジ ア ・ アカ
設立 され,以 来,こ の
究,規 範 の 制 定 に あ た っ て き た.現 リジ ア語 は必 修 科 目 と さ
れ,法 廷 で も,そ の使 用 が 認 め られて い る.ま た,小 説,新 聞,さ ら に は言 語 学 の論 文 集 まで もが,フ
の よ う に 語 史 を3区
分 す る の は,近
は,も っ と もめ ぐ まれ た 境 遇 に あ る とい え よ う. 1)語 Beknopte
史 フ ォ ッケ マ(Klaas Fokkema)が, Friese Spraakkunst(1967)に 示 した音
韻 対 応(右 表)を み る と,フ リ ジア 語 は,歴 史 的 には, オ ラ ンダ 語 や ドイ ツ 語 よ りも英 語 に近 い こ とが 理 解 で き る.ア ング ロ ・フ リ ジア語 とい う分 類 が な され るゆ え ん で あ る.
<図>フ
リジ ア 語 使 用 地 域
頃
隣
も す べ て の 研 究 者 の 同 意 を 得 て い な い.ま
の言
言 語 に お け る 古,中,
新 の 各 期 の 年 代 と ず れ を 生 じ て い る.古 間 の 流 れ の 上 で は,中
語 と ほ ぼ 同 じ頃 な の で,こ
た,こ
フ リ ジア 語 の
期 英 語 や 中 高 ドイ ツ
れ ら の言 語 を 比較 す る際 に
の 点 に 注 意 し な け れ ば な ら な い. 言 ]
(Lauwers)川
か な り 早 い 時 期 か ら,ラ を 境 に,東,西2つ
た よ う で あ る.中
日 よ りは る か に 広 く,西
に 沿 っ て ハ ー レ ム(Haarlem)の
ウエ ル ス
の方言に分かれてい
世 初 期 に お い て は,そ
の分 布 す る地
フ リ ジ ア 語 は,北
海
さ ら に西 まで 延 びて
リジ
ア語 で刊 行 されて い る.ヨ ー ロ ッパ の 少 数 言 語 と して
代 に 至 っ て い る.
語 の 歴 史 が 相 対 的 に 短 い た め,他
時 期 は,時
に は,フ
の 期 に な る とふ た
ず し
域 は,今
こ ろ消 滅 の 危 険 は な い.1937年
語 の変
の ゲ ル マ ン 諸 語 の そ れ に 合 わ せ た も の で あ り,必
[方
ラ ンダ 語 との 二 言 語 併 用
頃 ま で を 「中
化 を 一 貫 し て あ と づ け る こ とが 困 難 で あ る.1800年
は,こ
人.そ の 全 員 が,オ
在,こ の地 の 小学 校 で は,フ
な い.
の西 フ リジア 語 を さす.
フ リジ ア語,東
(Anglo‐Frisian,独Anglofriesisch)と
プ で あ る.た
日,そ の
最大 の もの は西 フ リジ ア語 で,単 に フ リジア 語 とい う
フ リ ジ ア 語Frysk,英Frisian,独Friesisch,蘭
[系
・西 ・北 フ リ ジア語 の地
た.方 言 は,共 通 の標 準語 の下 に ま とま る こ と も な く, 照 ]
(富 盛
の2言
が 生 まれ た(〈 図 〉を 参 照).東
域 は,統 一 的 な 民族 共 同 体 を形 成 す る に は至 ら なか っ
Udine) [参
紀 頃 に は,東 フ リジ ア語
地 域 か らの 植 民 に よ り,孤 立 した 北 フ リ ジア語 の地 域
出 典:ロ
ッ ク ウ ッ ド(W.B.Lockwood
History
of the German
1965)に
よ る.
Language,Andre
An
Informal Deutsch,
フ リジ ア語 英 語
オ ラ ンダ語
weが,標
ドイ ツ語
準 語 形 と して採 用 され た.し か し,15世
紀
以 来 の状 況 は,な お 尾 を ひ いて お り,オ ラ ン ダ語 の 強
《母音 の 対 応 例》
い 影 響,フ
リジア 語 の社 会 的 威 信 の低 さ,都 市 部 と農
村 部 の言 語 の 違 い な どは,ま だ 克 服 され て い な い. 2)発
音
母 音 の音 素 は,〈 表 〉の と お りで あ
る.特 徴 的 な の は,二 重 母音 が き わめ て 多 い こ とで あ る.こ れ に は,初 め の 母音 にス トレス の あ る下 降 調 の もの と,2番 と,2つ
目の 母 音 に ス ト レス の あ る上 昇 調 の もの
の タイ プ が あ る.ま た,1つ
の 母 音 の前 後 に
半 母 音 の 付 い た もの が,三 重 母 音 と して と り上 げ られ る こ ともあ る. 「母 音 +n」 は,継 続 音/〓/の
前
で,鼻 母 音 化 す る. 子 音 に は,そ れ ほ ど特 殊 な音 は ない(〈 表 〉 を参 照). 他 の 音 との 結 合 に よっ て,同 化,消 失 な どが 起 こ るが, これ も格 別 に 複雑 な もの で は な い.有 《子 音 の対 応 例 》
〓/は,ド
〈nの 消 滅 〉
声 子 音/
イ ツ 語 や オ ラ ン ダ語 の よ うに,語 末 で
無 声 化 して,[〓]と
な る.
ア クセ ン トは,強 弱 ア ク セ ン トで あ るが,ス
トレス
の あ る音節 は,一 般 に,ピ ッチ もや や 高 くな る.位 置 は,原 則 と して,語 の第2音 節 で あ る. <表>フ リジ ア語 の音 素 体 系 《子 音 》
二重母音化〉
声 門音
か らは,そ の変 貌 は 決 定 的 な もの とな っ た.両 言 語 の
軟 口蓋音
け,特 に オ ラ ン ダ語 が 教会 で 使用 され る よ う にな って
音
リ
ジア語 自体 も,こ の 新 しい 支 配者 の 言 語 の 影 響 を 受
歯
公 用語 の 地位 を オ ラ ンダ語 に とっ て代 わ られた.フ
両唇音
唇 歯音
文 献 は,13世 紀 頃 か らの 法 律文 書 が残 されて い る. 15世 紀,そ の使 用 地 域 が オ ラ ンダ の 支配 下 に入 る と,
唇軟 口蓋音
〈eg,agの
閉鎖音 無声 有声 摩擦音 無声 有声 ふ るえ音 側 面音 わた り音 鼻 音 《母 音》
接 触 が 頻 繁だ っ た都 市 部 で は,ピ ジ ン と もい え る 「都 市 フ リ ジア語(Stedsk,ま Frisian,蘭Stadfries)」
た は,Stedfrysk,英Town が 生 まれ た.19世
紀 にな る
と,文 学 の創 作 活 動 が 活発 化 した.や が て,知 識 人 の 間 で,こ の言 語 の積 極 的 な使 用 が叫 ばれ,公 用 語 と し 出 典:テ
ィ ー ル ス マ(P.M.Tiersma,1985)に
よ る.
て の復 活 を夢 み る者 も現 わ れ た.こ の動 き は,20世 紀 ま で もひ き継 が れ,1945年
に は,フ リジ ア語 訳 聖 書 の
3)正
書 法
一 部 歴 史 的,一 部 表音 的 で,そ の 上
に オ ラ ン ダ語 正 書 法 の影 響 も加 わ り,音 との対 応 が錯
成 立 をみ た. フ リ ジア語 再 整 備 の過 程 で は,純 化 主 義 が と られ,
綜 し て い る.た と えば,[〓]に
は,eau,iuwと2つ
語 形 も,な るべ くオ ラ ンダ語 か ら遠 い もの が 好 ま れ る
の表 記 が あ り,一 方,eauは,[〓][〓]と
傾 向 に あ った.た
読 み 方 が あ る,と い った ぐあ い で あ る.
とえ ば,have動
hebbe,habbe,hewwe,hawweと,4つ
詞(蘭hebben)は, の形が行な
わ れ て い たが,オ ラ ンダ 語 か ら も っ と も 離 れ たhaw
4)文
法 ・語 彙
い う2つ の
文 法 は,オ ラ ン ダ語 の影 響 を大
き く受 けて い る.名 詞 の2つ の性,形 容 詞 の 活 用,時
制 の 体 系,語
順 な ど,オ
ラ ン ダ 語 そ の ま ま で あ る.強
い て 特 徴 的 な こ と を あ げ れ ば,動 が‐eで り,活
終 わ る も の と,‐jeで
詞 に は,原
しつ つ あ る.ま
形 の語 尾
終 わ る も の の2種
類があ
用 が 若 干 異 な る こ と で あ る.
低 ドイ ツ 語 の 影 響 を 強 く受 け,た
ど,
フ Nu
多 くは,形
英 Then
ラ ンダ語 か ら意 味 が 類 推 され
る.
geen
said
全 体 と し て,オ
の1方
ラ ン ダ 語 の 影 響 を 強 く受 け,今 立 の 言 語 と い う よ り も,オ
日の
ラ ン ダ語
言 と い っ た 方 が 実 感 に 近 い く ら い で あ る.次
の
例 文 を 比 べ ら れ た い. フ Wy
binne
vering ludsysteem 蘭 Wij ling
fan
英 We
van
have
5)文
de
学
goede
spel
moet
bij het
matter)that
correspond
language
to
as much
the
as
a sound
こ の言 語 に よ る文 学 の始 祖 と され る
の は,民 族 詩 人 と し て 名 高 い ヤ ピ ッ ク ス(Gysbert picx,1603∼66)で
あ る.彼
語 に 押 さ れ,公
は,前
Ja
世 紀 以 来,オ
ランダ
用 語 と し て の 地 位 を 失 い,衰
あ っ た フ リ ジ ア 語 に,新 し,こ
退 しつ つ
た な 活 力 を 吹 き こ ん だ.し
の 後 を 継 ぐ作 家 は し ば ら く現 わ れ ず,長
期 を 迎 え る.19世 刺 激 さ れ,ふ
.
紀 に 入 る と,ロ
か
い停滞
ー マ ン主 義 の 風 潮 に
た た び 文 学 活 動 が 盛 ん に な っ た.ハ
ルベ
者 は,推
滅 の 危 機 に 瀕 し て い る と い え る が,今
は,北
紀 に お い て も,文
学 活 動 は ひ き 続 き 活 発 で あ り,
作 品 の レ ベ ル も決 し て 低 くは な い.た 限 ら れ て お り,他
だ,読
者 人 口が
言 語 に 翻 訳 さ れ る こ と も な い の で,
地 域 的 な 名 声 を 博 す る に と ど ま っ て い る.
フ リ ジ ア 研 究 所(Nordfriisk の 言 語 の 記 録,研
フ リ ジ ア 語
14∼15世
あ り,ラ
ウ エ ル ス 川 か ら ヴ ェ ー ザ ー(Weser)川
北 海 沿 岸 で 使 用 さ れ て い た.こ 書 を 残 し て い る.し
か し,そ
紀 が,そ
の 時 期,多 の 後,オ
に至 る くの 法 律 文
ラ ンダ語 と低 ド
イ ツ 語 に 押 さ れ て 勢 力 が 衰 え,20世 ん ど 滅 び て し ま っ た.伝
の最盛期で
紀 初 め に は,ほ
え ら れ て い る 文 献 は,言
と
語の
保 存 と い う 観 点 か ら 編 ま れ た 単 語 集 や サ ン プ ル ・テ ク ス トで,積
極 的 な 文 学 作 品 は 見 当 た ら な い.今
ドイ ツ の ザ ー タ ー ラ ン ト(Saterland)に 団 が 残 っ て い る が,そ
の 数 は 約2千
日,旧 西
最後 の 話者集 人 で,さ
ら に減 少
紀 に行 なわ れ た 東 フ リ ジ 言が 多い こ
層 語 の 影 響 と考 え ら れ て い る が,そ
か な る 言 語 で あ っ た か は,は ン マ ー ク 語 と接 触 し,音 た っ て,強
に 設立
究 に あ た っ て い る.
北 フ リ ジ ア 語 は,9∼11世
と は,基
世紀
Instituut)が
ア 語 地 域 か ら の 植 民 に よ っ て 成 立 し た.方
れ が,い
っ き り し な い.後
韻,語
彙,文
い 影 響 を 受 け た.今
に,デ
法 な ど,全
日,北
般 にわ
フ リ ジ ア 語 が,
東 ・西 フ リ ジ ア 語 と き わ だ っ た 相 違 を み せ て い る の は, デ ン マ ー ク 語 か ら の 影 響 に よ る と こ ろ が 大 き い. 文 献 は,17世
紀 の 教 義 問 答 集 が 最 古 の も の で あ る. な ど が 散 見 さ れ る が,総
じて 量 は 多 く
学 的 伝 統 は,現 代 ま で 細 々 な が ら 続 い て お り, と し て,詩)が
北 フ リ ジ ア 語 を 論 じ る 場 合,比 る ニ ー ビ ュ ル(Niebull)地 と が 多 い.そ と2人
発表 されてい
較 的 勢 力 を保 って い
方の方言を 代表例 にとるこ
の 文 法 で 特 徴 的 な の は,代
称 に 双 数 形(wa`we
あ る こ と で あ る.こ
Ⅱ)東
員 が二 言 語 併 用 者
存 へ の 動 き が 活 発 化 し て き た.1965年
る.
20世
陸部 フ
言 間 の 差 異 は大
で あ る.消
そ れ ぞ れ の 方 言 で 作 品(主
を ひ き 起 こ した.
体
イツ語が共通語 となっ
こ で も,全
の こ と は,フ
Beweging)」
人.全
の 方 言 に,大
の 方 言 に 分 か れ る.方
文 字 言 語 と し て の 可 能 性 を あ ら た め て 認 識 さ せ た.こ
ジ ア 語 運 動(Fryske
∼1万
た が っ て,こ
な い.文
「フ リ
の北 海 沿岸
定5千
互 の 理 解 は 困 難 で,ド
デ イ ク ス トラ(Waling
リジ ア語 の 全 面 的 な復 権 を め ざす
gehen)and
て い る.し
そ れ 以 後 は,詩
が 小 説 を 発 表 し,
sik selwen…
sich
ドイ ツ の シ ュ レス ヴ ィ ッ ヒ ・
嶼 部 フ リ ジ ア 語 は3つ
リ ジ ア 語 は6つ
ル ツ マ 兄 弟(Eeltsje,Joast,TsjallingHalbertsma), Dykstra)ら
tou
in
嶼 部 フ リ ジ ア 語 と大 陸 部 フ リ ジ ア 語 に 分 か れ,
さ れ,こ
possible
quiid
pondered(独
で 使 用 さ れ て い る.話
中 頃 か ら,保
from(the
い う 語形で
ホ ル シ ュ タ イ ン(Schleswig‐Holstein)州
さ ら に,島 it
taal.
must
of the
by
een
aansluiten
started
spelling
system
sta
moat
hi in sik,un
he
フ リ ジ ア 語
き く,相
uitgaan,dat
mogelijk
luidsysteem
in goede
oanslute
de tael.
zijn ervan zoveel
good
mooglik
リジア
to himself…
Ⅲ)北
は,島
derfan uitgien,dat
safolle
と え ば,フ
使 わ れ て い る.
基 本 的 な も の に,独 自 の 語 形 を い くつ か 見 い だ せ る が,
フ リ ジ ア 語 は,独
員 が ドイ ツ 語 と の 二 言 語 併 用 者
語 に は 元 来 な か っ た 再 帰 代 名 詞 が,sikと
語 彙 は,heite(英father),jaan(英give)な
を み れ ば,オ
た,全
で あ る.
名 詞 の1人
two',jat`you
の 方 言 の 文 例 を,以
称
two')が 下 にあげてお
く. フ Padersdai frasche an
e uurs
英 Peter's in the the [辞
wus
di wichtigste
kalaner.Padersdai
old
winter
dai onj gungt
kamt. Day
was
Frisian goes
the
most
calendar.On and
the
spring
important Peter's comes.
書]
Buwalda,H.S.,Meerburg,G.enY.Poortinga (1971),Frysk
di uulje
e wunter,
Wurdboek‐Frysk‐Neder‐
day Day
lansk,Nederlansk‐Frysk(A.J.OsingaN.V.,
い る.な お,国 内 で は,ト ル コ人,ジ
プ シー,ア ル メ
Boalsert)―
ニ ア人,ユ
人 が,ブ ル ガ リ
フ リ ジ ア ・ア カ デ ミー の 後 援 で 刊 行
さ れ た,約1千 が,日
ペ ー ジ の 辞 書.フ
リー ス ラ ン ト市 民
ア語 を 第2言 語 と して用 い てい る. [文字 ・正書 法]
常 に 使 う も の で あ る.
ブ ル ガ リア は,キ
の地 と され て お り,9世
[参 考 文 献] 1)フ
ダ ヤ人 な ど,合 計 約100万
れ て き た が,19世
リ ジア語 全 般
紀 以 降,ロ シア の文 化 的 影 響 が強 ま
る に従 っ て,ロ
Markey,T.L.(1981),Frisian(Mouton,The
シア語 の 「民間 活 字 」 が 印刷 物 を通 じ
て急 速 に普 及 し,1878年,ト
Hague) 2)西
ル コ か らの 自治 回 復 達 成
の こ ろ ま で に,こ れ に キ リル 文 字 に よ る特 殊 な字 母
フ リ ジア語
Tiersma,Pieter
リル文 字 発 祥
紀 末 か らキ リル文 字 が 用 い ら
Meijes(1985),Frisian
を加 えた 統 一 的 な正 書 法 が 確 立 した.現 行 の ア ル フ ァ
Reference
ベ ッ トと正 書 法 は,そ の改 良 と して,1945年
Grammar(Foris,Dordrecht) (桜 井 フ リ ー ス ラ ン ド語 英
れ たが,次
隆)
に制 定 さ
の30字 母 よ りな る.
Frieslandian
= フ リ ジア 語 ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語 英
Brythonic
languages
→ 島 嶼 ケ ル ト語 ブ リ タ ニ ッ ク 諸 語
英 Britannic
ロ シ ア 語 の ア ル フ ァ ベ ッ ト と の 相 違 は,Ee,blbl,
languages
〓
→ 島 嶼 ケ ル ト語 ブ リ デ ィ ッ シ ュ 諸 語
英
British
languages
ブ リ ト ニ ッ ク 諸 語
英 Brittonic
英 Bulgarian
は,共
ル ・ ゴ リ ャ ム)は,中
〓/「角(か 母 音 の〓(前
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族,ス ス ラ ブ 諸 語)に 属 し,マ
ラブ
ケ ドニ ア 語 と
の 東 部 グ ル ー プ を 形 成 す る.南
に/j/を
接,ス
は,〓
と〓 だ け で,〓
明 瞭 で,書
が 用 い られ た.19世 の ち,マ 第2次
来,方
き 言 葉 と し て は,も
ル ガ リア語
「彼 女,そ
「詩 人 」
者 の分 離 は
「飲 む(現1単)」,な 2)子
ルガ リ
ア 人 民 共 和 国 の 基 本 住 民 を な す ブ ル ガ リ ア 人 で,1982 人 に 達 し,総 人 口 の 約88%を
め て い る.国
ル ガ リア語 人 口が も っ とも多 く
分 布 す る の は ソ 連 邦 で,ウ
の は,バ
の ほ か,比
ル カ ン 半 島 の 隣 接 地 域 で,ユ
は,マ
ケ ドニ ア を 中 心 に 約6万5千
万5千
人,ル
ー マ ニ ア と ギ リ シ ア に 各1万 た,南
は,/〓/な
「ろ う そ く 」 「欲 し た(半
ル コ に 約3
米 を 含 む 欧 米 諸 国 に も,
数 千 な い し数 百 の 単 位 で ブ ル ガ リア 系 住 民 が 分 布 し て
表 わ す の で注 意 を要
「幸 福 」
較的多い
人 程度のブ
い し/〓/を
「ま だ 」
ー ゴス ラ ビア に 人,ト
シ ア 語 と数 の
す る.
ク ラ イ ナ南 部 とモ ル ダ ビア
人 を 数 え る.そ
ル ガ リ ア 人 が 住 み,ま
占
で,ロ
上 で は 一 致 す る が,発 音 や 正 書 法 の 相 違 は 少 な く な い. 特 に,〓
年 の 調 査 で,約800万
ど.
音 字 母 は, の21個
外 で,ブ
ど.
「5」
決 定 的 と な っ た.
を 中 心 に,約35万
れ 」,な
「時 代 」
の 国語 と して独 自 の
ブ ル ガ リア 語 を 母 語 と す る 人 々 の 第1は,ブ
の 機 能 が な い.
こ れ に 対 し,
に,ユ ー ゴ ス ラ ビ ア 連 邦 加 盟
正 書 法 と文 法 の 規 範 を 定 め る に 至 っ て,両
よ び,
「た ば こ 」
紀 末 に トル コ の 支 配 か ら 脱 し て
大 戦 末 期 の1944年
み)」
「食 べ る(現1単)」
ケ ドニ ア 語 が 分 離 独 立 す る 傾 向 を 強 め た が,
の マ ケ ド ニ ア 共 和 国 が 成 立 し,そ
と〓 に は,そ
ラ
言 的 連続 性 が
っ ぱ ら,ブ
ど),隅(す
と も な う こ と),お
「南 」
ブ 基 語 か ら 分 化 発 達 し た も の と 考 え ら れ て い る が,ブ ル ガ リ ア 語 とマ ケ ドニ ア 語 は,古
舌 中 口母 音
直 前 子 音 の 音 韻 論 的 口蓋 化 を 表 わ す 機 能 を も つ 字 母
ス ラブ 諸 語
通 の 南 ス ラ ブ 基 語 の 段 階 を 経 ず に,直
.字
該 当 す る.
独
bulgare,露
[系 統 ・分 布]
と も に,そ
音 字 母 は,の8個
音 素/〓/に
ブ ル ガ リ ア 語
書法 ない し発音 上
の諸点に及ぶ.
母(エ
languages
→ 島 嶼 ケ ル ト語
語 派 の 南 方 群(南
母 を 欠 く 点 に あ る が,正
1)母
→ 島 嶼 ケ ル ト語
Bulgarisch,仏
の3字
の 相 違 は,次
過 去1単)」,な
ど. 3)字 て,母
母(エ 音 字 母oの
ル ・マ ラ ク)は,記 前 に 限 り,子
号 とし
音字 母 に 添 え て そ の 子
音 の 音 韻 論 的 口 蓋 化 を 表 わ す が,他
の 位 置 で は 一 切用
い られ ない.
現 わ れ る こ とは ない. 「塩鮭 」
5)/〓//〓/の
「池,水 た ま り」,な ど. 4)正
書 法 上,aな
りも 「軟 ら か い」 調 音 に よ る.一 方,/〓/は,ロ
い し〓 で 書 か れ る,動 詞 直 説法
現 在1人 称 単 数 の 語 尾‐a,〓
音 声 的 実 現 は,ロ シア語 の そ れ ら よ
同 じ く,3人 称 複 数 の語
6)/〓/は,/〓/の
前,お
尾‐aT,‐〓,な らび に,男 性 名 詞 の 単 数 斜 格形 を 示 す 後
素 の 後 にの み 現 わ れ る.な
置冠 詞‐a,‐〓の母 音 は,音 声 的 実 現 は,[〓]な い し[〓]
続 く ときは,そ の 間 に 音節 区 分が くる.
よび,母 音音
お,/〓/が 子 音 音素 の 後 に
「下 か らか じる(現1単)」
で あ り,音 素 表 記 で も/〓//〓/と な るの で 注 意 を 要 す ただ し,〓
る.
シア
語 よ り も 「硬 い」 調 音 に よ って 実 現 され る.
「着 せ る(現1単)」
の
よう な場 合 もあ る の で注 意 を要 す る. 7)音
「読 む 」
素 レベ ル での 子 音 の無 声 と有 声 の相 関 的 対 立
は,14組28音 「 座 って い る」 「飲む 」 「町」<〓 「日」<〓 [音韻 体 系]
母 音 音 素 は,ア
で は,/〓/の6種 舌 母 音/〓/は
素 に及 ぶ が,こ の対 立 が 生 ず るの は,母
音 お よび/〓/を 含 む ソ ノ ラ ン ト(/〓/な
方 が現 わ れ る. 8)/〓/お
な ど.
よ び ソ ノ ラ ン トを除 く有 声 子 音音 素 の前
クセ ン トの あ る音 節
に,無 声 子 音 音 素 が現 わ れ る こ とは な く,ま た,語 末,
類 が対 立 す る が,後
お よび 無 声 子 音 音素 の前 に,ソ ノ ラ ン ト以 外 の 有 声 子
円唇 化 を とも な う.ア クセ ン ト の な
音 音 素 が 現 わ れ る こ とは ない.
い音 節 で も この 区 別 を保 つ の が,舞 台 の 発音 や 講 演, 放 送 な ど の話 し方 の 規 範 で あ るが,く だ け た私 的 な会
〓 「 左 か ら」:〓
「上
か ら」 〓 「い つ わ り」:〓
話 な どでは,ア ク セ ン トの ない と き,中 舌 と後 舌 で は, 口 の開 きの 対 立 が 中和 して,そ れ ぞ れ1つ の母 音 に な るた め,/〓/の4母
ど)
の 前 だ け で,他 の位 置 で は,無 声 か 有声 の ど ち らか一
「派 遣 」
音 の 対立 とな る傾 向が あ
〓 「侯 爵 夫 人」:〓
る.
「侯 爵 」,な ど.
子 音 音 素 は,閉 鎖 音/〓
ア ク セ ン トの 位 置 は 自由 で,語 に よっ て定 ま っ て い るが,そ れ は,語 形 変 化 す べ て を通 じて 同 じ位 置 に保
/;隙 間 音/〓 /;破 擦 音/〓/;鼻 /〓/;側
面 音/〓/;ふ
の,合 計39音
音 る え音/〓/
素 が対 立 す る.子 音 組 織 の 特 徴 は,次 の
とお りで あ る. 1)非 組34音
素 に及 ぶ.こ の 相 関 に入 ら ない の は,/〓
/の5個
後舌 の 母 音/〓/の
前 だ け で,し た が っ て,
舞 踏 会 」 と〓
「白 い」 な ど の よ
うな,非 口蓋 化 子 音 と口蓋 化 子 音 の 音素 的 対 立 が現 わ れ る の も,こ の 位 置 だ け で あ る. 3)前
舌 母 音/〓/の
化 子 音 音 素 と/〓/に 〓/は,/〓/の れ,/〓/の
多 少 の例 外 が 認 め られ る.な お,同 一 語 根 か らの 派 生
[文
クセ ン トは必 ず し も同一 とは限 ら ない.
法]
通常 の 分 類 で は,名 詞,形 容 詞,数 詞,
代 名 詞,動 詞,副 詞,接 続 詞,前 置 詞,助 詞,間 投 詞 の10品 詞 を 区別 す るが,最 初 の6つ
に す ぎな い.
べ て の 子 音 音 素 の 対 立 が 生 ず る の は,中 舌 と
〓 /〓/「
形 や複 数 形,あ るい は,動 詞 の定 過 去 形 の一 部 な ど に,
語 では,ア
口蓋 化 子 音 と口蓋 化 子 音 の 相 関 的 対立 は,17
2)す
た れ る のが 原 則 で あ る.た だ し,名 詞 の冠 詞 付 き限 定
限 られ る.た だ し,/
前 の/〓/と
く部 分 的 な
もの で あ る. 1)名
詞 類
名 詞,形 容 詞,代 名 詞,お
よび,一
部 の数 詞 は,文 法 上 の 性 と数 を 表 示 す る形 態 の 区別 を もつ.名 詞,形 容 詞,お よ び,一 部 の代 名 詞 と数 詞 は,
前 に現 わ れ る の は,非 口蓋
前 で前 寄 りの[〓]で
には語 形 変化 が あ
る.た だ し,数 詞 と副 詞 の 語 形 変 化 は,ご
発音 さ 同 じ音 声 に
い わ ゆ る 「後 置冠 詞」 を添 え た限 定 形 で 用 い られ る こ とが あ る.ま た,一 部 の 名 詞 と代 名 詞 には,格 変 化 が 部 分 的 に保 たれ てい る. 2)文
法 性
名 詞 は,す べ て 男,女,中
の3性 の
なる が,こ れ は,軟 口蓋 子 音 だけ に特 有 の 音 声 的 現象
い ず れ か に属 す るが,自 然 の 性 別 と一 致 す る場 合以 外
なの で,音 韻論 的 に は,他 の子 音 音 素 の 場 合 と平 行的
の形 態上 の基 本 的 な区別 は,次 の とお りで あ る.
に,/〓/の
前 の これ らは,非 口蓋 化 子 音 音 素 と解釈
す べ きで あ る. 4)口
蓋 化 子 音 音 素 は,語 末 お よび 子音 音 素 の前 に
a)子
音 に終 わ る男 性 名 詞: 〓 「象」,〓
「切 符 」,〓
b)‐a,‐〓 に終 わ る女 性 名 詞:
「果 実 」,な ど.
〓 「薔 薇 」,〓 c)‐o,‐eに
「土 地 」,な
ど.
また,人 称代 名 詞 は,
終 わ る 中 性 名 詞:
〓 「湖 」,〓
〓 「私 」,〓
「野 」,な
ど. 「塩 」,〓
「骨 」,
〓 「愛 」 な ど の 子 音 に 終 わ る 女 性 名 詞 と,自 に 関 係 な く‐〓 に 終 わ る 指 小 語 は,す <〓
「人,男
よ び,指
名 詞 の 一 部 は,3つ 系 を も つ.す
」,〓
然 性
<〓
「姉,
の 文 法 性 を 区 別 す る語 形 変 化 の 体 の よ う に,そ
よ う に3性
用 い られ る こ とが
あ る. 「こ こ に 生 徒 が い る(無 限定= is a pupil.')」:
定 形 =`The
pupil is diligent'.)」
こ の 「後 置 冠 詞 」,すな わ ち,限 定 的 意 味 を加 え る最終
を 区 別 す る ほ か,「2」
は,〓
接 尾 辞(postfix)は,マ
れ が関 係 す る名 詞 の 性 に
よ っ て 区 別 す る.順
序 数 詞 は,形 容 詞 と 同 様,「 第1の
は,〓(男),〓(女),〓(中)の
」
ように
ケ ドニア 語 に も発 達 して い るほ
か,語 派 を異 にす る ル項 マ ニア 語 とア ルバ ニ ア 語 に も 同様 の現 象 が 認 め られ るの で,こ れ を,バ ル カ ンの言 語 圏 的特 徴 と考 え る学 者 もい る.ブ ル ガ リア語 で は, この 接尾 辞 は,名 詞 の 性,数 に よ る区 別 が あ る.
交 替 す る. の カ テ ゴ リ ー
大 多 数 の 名 詞 は,単
数 と複
男 性〓
数 で 形 態 を 異 に し て い る. 「切 符 」―〓
〓 「果 実 」―(以 ―
上,男 性)
「土 地 」―(以
「湖 」―
上
,女
「野 」―〓(以
な ど(単
女 性〓
数 と 複 数 で,ア
ただ し,〓 「薔 薇 」
と〓
は,性
上,中
性),
〓 「判 事 」 な どの よ うに,〓
で 終 わ る もの に は〓
「愛 」 や〓
「空 気 」 な ど の よ う な, 「や っ と こ」,〓
「履
「マ カ ロ ニ 」 な ど の よ う な,複
や 動 物,お
数形だ
な ど の よ うに,‐oで 終 わ る もの に は〓
「い くつ,ど
象 物 を表 わ す 男 性 名 詞 外 の 個 数 詞,お
の く ら い 」,〓
き は,こ の接 尾 辞 が‐a,〓 とな る.
と き,‐a,‐〓 の 語 尾 を も つ 特 別 の 形 に な る が,こ 「数 量 形(〓)」
よ
れ を,
と よ ん で い る. 〓 「2頭/5頭/数
頭の馬」
形 を も つ が,複 通 の1つ
の 複 数 は,〓),な れ ぞ れ,単
くつ ど.
バ ル カ ン の諸 言 語 に 広 が った一 般格(casus
数 で は 性 の 区 別 が な い の で,3性
に共
また,名 詞 が そ の 前 に形 容 詞的 修 飾 語 を もつ と きは,
わ ち,「
勤 勉 な 生徒(無 限 定)」 に
対 し,
「わ れわ れ の 勤 勉 な 生 徒(<〓
「わ れ わ
れの 」)」
〓 「黒 い(pl.)」(〓)
な ど の よ うに な る一 方,男 性 名 詞 に 付 く場 合 は,
れ(pl.)」(〓)
〓「私 の(pl.)」(〓),な
generalis)
数 形 の ほ か に 複数
の 複 数 形 が あ る に す ぎ な い.
〓 「こ の,こ
)」,な ど. しか し,こ れ を ス ラブ 語 の 格 変 化 の 名 残 りとみ る か,
こ の接 尾 辞 は 最 初 の修 飾語 の末 尾 に 添 え られ る.す な 〓 「3脚/10脚/い
形 容 詞 と代 名 詞 も,そ
「そ の 教 師 の 本(〓
の侵 入 とみ るか は,論 の 分 か れ る と こ ろで あ る.
の 複 数 は,〓)
の 机 」(「机 」〓
か」
「若 干,
い く らか」 な ど の よ う な数 量 を示 す 語 と と もに用 い る
(「馬 」〓
が 付 く.
な お,子 音 に終 わ る男 性 名 詞 に 限 り,主 格 以 外 の と
「そ の 生 徒 を 知 って い ます
よ び,具
音 で 終 わ る も の に 限 り,1以
び,〓
が 付 き,
〓 「父 方 の お じ」
け の 名 詞 も 少 な く な い.
で,子
とは無 関 係 に,名 詞 の 末 尾
〓 「父 」,
性);
ク セ ン トの 異 な る も の は
単 数 形 だ け の 名 詞 や,〓 物 」,〓
複数男 ・ 女性
の母 音 に合 わ せ て 用 い られ,男 性 名 詞 で も,
特 に 示 し た). し か し,〓
中 性〓
〓複 数 中性〓
〓 「象 」―〓
ま た,人
を末尾に
「そ の 生 徒 は 勤 勉 だ(限
数 詞 「1」 が,〓(男),〓(女),
(男)と〓(女,中)を,そ
名 詞 は,特 定 化 な い し
添 え た,限 定 形(〓)で
れ)」:〓(男),〓(女),〓(中)
数 詞 は,個
3)数
「 彼 ら;彼 女 ら;そ れ ら」
` Here
「私 の 」:〓(男),〓(女),〓(中)
〓(中)の
「お ま え た ち;あ なた 」,Te
4)「 後 置冠 詞」 と限 定 形
れ ぞ れ 交 替 す る.
「黒 い 」:〓(男),〓(女),〓(中) 「こ の(こ
〓 「わ れ わ れ 」,〓
限 定的 な意 味 を 表 わ す 「後置 冠 詞(〓)」
示代 名 詞 や 所 有 代 名 詞 な どの 代
な わ ち,次
に対 し,そ れ ぞ れ,次 の語 を用 い る.
べ て 中性 と な る
妹 」)原 則 な ど に 注 意 を 要 す る. 形 容 詞,お
「 彼;そ れ 」,〓 「彼
女;そ れ」,TO「 そ れ(中 性)」
た だ し,例 外 が か な り あ り,特 に,〓
(〓
「お ま え」,〓
「そ の 勤勉 な ど.
生 徒 を知 って い ま す か」
「新 し い 時 計 」:
<表1>人
称代名詞の格変化 (対
格)
(与
格) 「とて も気 に 入 る」:
(主格) 独立 形 付 接 形
独 立形 付 接形
な ど. この接 頭 辞 は,程 度 表 示 の 機 能 を拡 大 して,名 詞 や 動 詞 に も付 き,次 の よ うに も用 い られ る.
単
「よ りす ぐれ た 勇士(<〓
数
勇 士)」
「もっ と も好 む(<〓
好む〔 現
1単 〕)」,など.
複
な お,こ う した接 頭 辞 に よ る比 較 級 と最上 級 の形 成
数
も,バル カ ンの 諸言 語 の 多 くに認 め られ る特 徴 で あ る. 7)動
詞 の文 法 範 疇
動 詞 は,ア
ス ペ ク ト(完 了,
不 完 了)と 態(能 動,受 動)の 区 別 に関 して は,他 の ス
再帰
ラ ブ諸 語 と大体 共通 して い るが,そ の 時 称 組 織 は,古 「わ れ わ れ の 勤 勉 な 生徒 を知 って い ま す か 」 な ど の よ うに,主 格 以 外 の 形 を 区別 す る こ とが で きる. 5)格
の カ テ ゴ リー
格 を体 系的 に表 示 す るの は
人 称 代 名 詞 だ け で,そ の 全体 は,表1に
くか らの 特 徴 を他 のス ラブ 語 よ り比 較 的 多 く保 存 して い る一 方,不 定 形 の形 態 が 失 わ れ た こ と,ま た,法
示 した とお り
で あ る.付 接 形 は,普 通,動 詞 の直 前 に添 え て 用 い ら れ るが,文 頭 で は,動 詞 の 直後 に添 え られ る.ま た, 付 接 形 は,前 置 詞 と と もに 用 い る こ とはで き ない.与 格 の 独 立 形 は,す で に 分 析 的形 態 な の で,格 変 化 とす
(modus)の
「伝 聞 法 」 の 発達 した こ とな どは,ス
自の 格 と認 め られ る.付 接 形 は,ま た,名 詞
や 代 名 詞 が補 語 とな る こ とを 強 調 明 示 す るた め に,名 詞 や 代 名 詞 に重 複 的 に添 え て 用 い られ る こ とが 多 い. 「イ ワ ンは き ょ うは い な い」 「彼 女 に とっ て は寒 い」,な
不 定 形(infinitive)が
失 わ れ た た め,動 詞 の代 表 形
と して は,直 説法 現 在1人 称 単 数 形 を用 い る慣 行 で あ る. 〓 「読 む 」,〓 る」,〓
「す る,作 る 」,〓
「尋 ね
「与 え る」,な ど.
本 来 の 不 定形 の用 法 は,多
くの 場 合,「〓
+直説法
現 在 」 の 表現(こ れ を,接 続 法 とす る説 もあ る)に よ っ て 代 替 され る.た とえ ば,「
私 は読
み た い 」 は,「私 が 読 む の を 私 は 欲 す る」 とい う表 現 で あ り,ま た,「
ど.
ラ ブ語 で は,ブ ル
ガ リア 語 とマ ケ ドニア語 にの み 生 じた 改 変 で あ る.
る こ とに 無 理 が あ るが,付 接形 は対 格 と異 な って い る ので,独
分 野 で は,他 と共 通 の 直 説 法,命 令 法,仮
定 法 の ほ か に,話 者 が 目撃 し な か っ た 事 実 を 述 べ る
お ま えは 読 書 が 好
さ ら に,与 格 付 接 形 は,名 詞 に添 え て 所有 の意 味 を表
きか 」 は,「お ま えが 読む の を お ま え は 好 む か 」と表 現
わ す.
して い る よ うに,つ ね に主 動 詞 と同 じ人 称 形 を 用 い る. 「私 の 本
」,な ど.
た だ し,〓
「∼ す る な 」 を用 い る否 定 命 令 な ど の
こ うした 付 接 形 の機 能 や 用 法 は,す べ て,マ ケ ドニ ア
少 数 の場 合 に限 り,定 過 去2・3人
語 と共 通 す るだ け で な く,バ ル カ ン の諸 言 語 の 多 くに
を不 定形 の代 用 と して用 い る.
称 単 数形 と同 じ形
「読 む な」,な ど.
も認 め られ る もの で あ る. また,男 性 お よび 女性 名 詞 の 一部 に は,主格 と別 に,
8)時
称 組 織
直説 法 で は,3つ
の 単 一 時 称 形(現
在,半 過 去,定 過 去 〔 ア オ リス ト〕)と,6つ の 合 成 時 称
呼 び か け 専 用 の 形,す な わ ち, 「兄,弟 よ」
形(現 在 完 了 〔 ペル フ ェク ト〕,過去 完 了,未 来,未 来完
「姉,妹
了,前 未 来,前 未 来完 了)の,合
よ」
「同志 よ」
計9時
など
が あ るが,こ れ らは,古 い 呼 格 の 名残 り と考 え られ る.
第1,第2
なお,上 述 の 限 定 形 をつ くる 「後 置 冠詞 」 の 男 性 名
,お よび,第3
詞 に関 係 す る 「主 格 と主 格 以 外 の 区 別 」 に も,注 意 を
の 規 則 変 化 の いず れ か に 属 す る が,3つ
要 す る.
を,〓
6)比
較 級 と最上 級
形 容 詞 お よび副 詞 は,原 級
の個 々 の形 に,接 頭 辞〓‐ を加 えれ ば比 較 級,〓‐ 加 えれ ば 最上 級 の形 態 とな る.
称形 の 区別 が
あ る.動 詞 の 大 多数 は,現 在 人 称 変 化 の 型 に よっ て,
を
の単 一 時称 形
「読 む 」(不完 了 ア ス ペ ク ト,第1変
って 示 す と,表2の
化)に よ
とお りで あ る.
半 過去 は,終 了 や 結末 を 明 示 す る必 要 の ない,過 去 の 動作 や状 態 を述 べ るの に 用 い る形 で,普 通,不 完 了
<表2>〓
は す ま せ て しま った」
「読 む 」 の3つ の単 一 時 称形 現 在
半 過去
の よ うな,現 在 完 了 に よる結 果 の 表 現 とは 別物 で あ る.
定過去
現 在完 了 が,「 不 定 過 去 時 称」
単数
と も よば れ るの は,こ う した 時 間的 不 定 性 の た め で あ る. 過 去 完 了は,「 動 詞〓
複数
の半 過 去 + 定過 去 分 詞 」 の
形 態 に よ る合 成 時 称 で,過 去 の あ る時 点 以 前 に 生 じた 事 実 を述 べ るの に用 い られ る.〓
の半 過 去 人 称 変 化 に,〓(不
完)な い し〓(完)な
どが 添 え られ,た と え ば,次
の よう に な る.
ア スペ ク トの 動 詞 か ら作 られ る. 「そ の 時 私 は 自室 で
「5時
読 書 中 だ っ た」,な ど. 定 過 去 は,あ
に彼 は も う自分 の報 告 は す ま せ て い た 」
る時 点 で 終 結 な い し実 現 した 動 作 や 状
態 を述 べ るの に用 い,両 ア ス ペ ク トか ら作 られ るが,
未 来 は,「助 詞〓
+ 直説 法 現 在 」に よる 合 成 時 称 で,
両 ア ス ペ ク トか ら形 成 され る. 「あ し た私 は うち で 読 書
完 了 ア ス ペ ク トの 方 が 多 い の は,時 称 の 意 味 か ら当然 で あ る.特 に,不 完 了 ア ス ペ ク トの定過 去 形 の意 味 に
す る だ ろ う(不 完)」 「あ した 私 は そ の本
注意 を 要す る. を読 了 す る だ ろ う(完)」 「き ょう私 は5時 まで 報 告 を読 ん だ (=報 告 演 説 を した)が,そ
れ を読 み 終 え られ な か
った 」 〓は,5時
助 詞〓
は,動
形 と同 形 で,こ
詞〓
「欲 す る」 の 現 在3人 称 単 数
の形 を未 来 の 助 詞 と して 未 来 時 称 の 形
態 を作 るの は,マ ケ ドニ ア 語(ke),セ に終 結 した動 作 を示 す が,不 完 了 ア ス
チ ア 語(he/ce)と
ル ビア ・ク ロア
共 通 す るだ け で な く,ア ル バ ニ ア 語,
ペ ク トな の で 「結 果 達 成」 の意 味 は含 ま な い か ら,そ
ギ リシア 語,ル ー マ ニ ア 語 に も認 め られ る の で,バ ル
れ に つ い て は,別 の 完 了 アス ペ ク トの 動詞〓
カ ンの 諸 言 語 に 広 く分 布 す る特 徴 と し て,注 目 に値 す
み終 え る」 に よ って,改
「読
めて 言 及 されね ば な らない.
現 在 完 了は,「 動 詞〓(=be動
詞)の 現 在 + 定 過
去 分詞 」 の 形 態 に よ る合 成 時 称 で,〓 化
の現 在 人 称 変
に,
る. 未 来 完 了 は,「 助 詞〓
+現 在 完 了 」 の形 態 に よ る合
成 時称 で,未 来 の あ る 時点 以 前 に生 じて い る はず の事 実 を述 べ る の に用 い る. 「あ
「読 む(不 完)」) また は,
した5時
に私(男)は
も う報 告 を終 え て い るだ ろ
う」 「読む(完)」)
前 未 来 は,「 動 詞〓
「欲 す る」 の 半 過 去 +〓
+直
が 添 え られ る.こ の 時 称 は,具 体 的 な 実行 の 時 を指 示
説法 現 在」 の 形 態 に よ る合 成時 称 で,過 去 に お け る未
しな い過 去 の 動 作 を表 わ し,事 実 や経 験 の 有 無,な い
来,す な わ ち,過 去 の あ る 時点 以 後 に生 ず る は ず だ っ
しは,眼 前 の 結 果 を 述 べ るの に 用 い られ る.た と えば,
た事 実 を述 べ るの に用 い る.〓
の 半 過 去 人 称 変 化 は,
「私(男)は 大 い に読 書 した 」 は,「これ ま で に 大 い に 読 書 した」 とい う事 実,す な わ
で,た え ば,次 の よ うに用 い る.
ち豊 富 な 読 書経 験 の あ る こ とを 述べ る意 味 で あ る が, 「きの う 私 は 大 い に読 書 し た」
と
「き の う,君 が 電 話 して きた とき,ぼ
くは 読 書 す るつ
も りで い た 」
の よ うな定 過去 に よ る表 現 は,き の う行 な っ た具 体 的
前 未来 完 了 は,「 動 詞〓
な 行 為 を述 べ るだ けの もので あ る.こ の違 い は,完 了
了」 の形 態 で 表 わ し,過 去 にお け る未 来 完 了,す なわ
ア ス ペ ク トの 場 合 も同 様 で,
ち,過 去 の あ る時点 以 後 に,他 の 動 作 よ り前 に生 じて 「5時 に私 は 報
の半 過 去 +〓
+ 現在完
い た は ず の 事 実 を述 べ るの に用 い る.
告 を(読 み)終 え た 」 の よ うな,定 過 去 に よ る具体 的 な 行 為 の事 実 と, 「私(男)は も う報 告
「き ょ
<表3>直
したが,伝 聞 形 は,単 一 時 称形 で は,直 説 法 の 代 わ り
説 法 の 各 時 称 に 対 応す る第2直 説 法 の形 態(〓
読 む 」(不完)の3人
に,半 過 去 分 詞(〓)な
称単数
い し定 過 去 分 詞(〓)を
用
い,合 成 時 称 形 で は助 動 詞 の半 過 去 分 詞(〓)を
(男性)形) (第2直
説 法)
用 い るの に対 し,推 論 形 で は,そ れ に助 動 詞〓
(直説 法) 1.推 論 形
2.伝 聞 形
の現
在 諸形 が加 え られ,ま た,驚 異形 は,伝 聞 形 に〓
3.驚 異 形
の
諸形 が 添 え られ た もの,と い う基 本 的 な形 態 的 特 徴 が
現 在 半過去 定過去 現 在 完 了 過 去 完 了 未 来
明 瞭 で あ る.し か し,1・2人
称 で は,伝 聞 形 と推 論 形
が 同 形 で,た とえ ば,半 過 去 で は,と もに,〓 〓な ど とな るほ か,他 の 動 詞 で は,半 過 去 分 詞 と定 過去 分 詞 が 同形 の た め,第2直
説 法 の 現 在,半
過 去,定 過去 が すべ て同 じ に な る場 合 も少 な く ない. ま た,西 ブ ル ガ リア諸 方 言 で は,一 般 に 半 過去 分 詞 が な く,第2直
前未来
説法 の 形 態 を もた な い こ とが 多 い.第2
直 説法 は,ト ル コ語 の 影 響 の も とに,文 章 語(書
未 来 完 了 完 前未来 了
葉)に 生 じた形 態 と考 え られ て い る.3つ
き言
の形 の 用例
を半 過去 で比 較 すれ ば,以 下 の とお りで あ る. 「 彼 はたぶん この本 は読 んだ こ とが あ る ら しい」(推 論 形)
うあ な た は5時 に報 告 を終 えた(定 過去)が,彼 6時 に報 告 を終 え るは ず だ った(前 未 来),し
「 彼 は この本
は かし
は読 んだ こ とが あ る と言 ってい る」(伝 聞 形) 「彼 が この 本 を読 ん
私(男)は そ の前 に 自分 の報 告 を済 ま せ て い るは ず
だ とは(驚 い た,あ きれ た)」(驚 異 形)
だ った(前 未 来 完 了)」 9)「 伝 聞 法 」 また は 第2直 説 法
上 述 の 直説 法
の諸 形 態 は,す べ て 話 者 の 直接 体 験 な い し客 観 的判 断
命 令 法 は,他 の ス ラ ブ諸 語 と共 通 で,2人 「読 め」
と して の 事 実 を述 べ る もの であ るが,こ れ と別 に,表 3に 示 す よ うな 時 称 体 系 が あ り,従 来 は,こ れ を 「伝 聞法」ない し 「 再 話法
称の単数
と複 数 を区別 す る.
仮定 法 は,ス ラブ 語 古 来 の + 定過 去 分詞 」 の形 態 が あ るが,こ れ を
」の
形 態 と して きた.主 要 文 法 書 に お け る この形 態 の記 述
用 い る の は書 き言 葉 だ け で,話
はま ち ま ち で,し か も,多 くの 矛 盾 が認 め られ る.し
用 い,過 去 の こ とな らば,従 属 節 で過 去 完 了,主 節 で
し言 葉 で は,直 説法 を
か し,こ の 時 称体 系 が 単 一 の もの で は な く,ま た,そ
は前 未 来 ない し前 未 来完 了 が代 用 され る.た
とえ ば,
れ らの意 味 が 伝 聞 に 限 られ ない こ と は 明 瞭 で あ る 一 方,通 常 の 直 説法 の 時 称 の 区別 とは異 な る,5つ
ない
し4つ の 時称 形 態 で 対応 す る点 が 共通 して い るの で, こ こで は,第2直
説 法 と して ま とめて お く(表3).
ゲル ジ コ フ(1977)の
「きの う読 書 しな か っ た ら,公 園 を散 歩 した は ず だ」 と言 う代 わ りに,次 の よ う に言 う.
解釈 に よれ ば,
各時 称 ご とに4つ の 形 が 区別 され るが,そ の意 味 的対 立 は,伝 聞 性 と主 観 性 の2つ の 相 関 を軸 とす る,話 者
10)分
の関 与 度 の 違 い を表 わ す もので あ る.そ して,直 説法
形 態 は,
は,伝 聞,主 観 と も にマ イ ナス の,関 与 度 ゼ ロ の 表現
a)現
在 能 動 分 詞:
b)半
過 去 分 詞:
c)定
過去 分 詞:
で あ るが,第2直
〓 「読 ん でい た 」(不 完 の み)
ラス は,推 論形 で 「∼ ら しい 」 の ニ ュ ア ンス を表 わ し, 伝 聞 プ ラ ス ・非 主観 な らば,伝 聞 形 として 「∼ と言 わ
〓 「 読 ん だ」(不 完),〓
れ る」 の 意味 を もち,ま た,伝 聞 ・主 観 と も にプ ラス の 項 が驚 異形 で,「∼ とい うが あや しい,驚 い た 」 な ど の ニ ュ ア ン ス で事 実 を 述 べ るの で あ る. 表3で は,こ の点 で 最 大 の形 態 的 区別 を もつ,動 詞 〓 「読 む」(不完)の3人
称単 数(男 性)形 で比 較 を示
動 詞 か ら作 る,形 容 詞 的 機 能 を もつ
〓 「 読 んで い る」(不 完 の み)
説 法 の3つ の 形 は,そ の ど ち らか,
また は,両 方 が プ ラ ス の 意 味 を もつ.非 伝 聞 ・主 観 プ
詞
d)過
「 読 み終 え た」(完)
去 受動 分 詞: 〓 「読 み終 え られ た」(完 の み)
の4種 類 で,す べ て 性,数 の 変 化 を す る.た だ し,現 在 能動 分 詞 は,書 き言 葉 で しか 用 い られ ない.過 去 受
動 分 詞 は,動 詞〓
の 諸形 と と もに,受 動 態 の 述語 と
これ を,古 期 ブ ル ガ リア 語 と よぶ 慣 行 も認 め られ てい
「報 告 は彼
会 のス ラブ 典礼 の 言語 と して公 認 され た古(代)教 会 ス
して も用 い られ る.
る.こ の時 期 に,ブ ル ガ リア 教 会 が 独 立 して,東 方 教
に よ って 読 み 終 え られ た」
ラ ブ語 は,南 お よび 東 の ス ラ ブ人 の も とで 広 く受 容 さ
な お,他 の ス ラ ブ 語 で用 い られ る現 在 受 動 分 詞 は,ブ
れ,そ れ ぞ れ の 文語 の形 成 に 大 き な 役 割 を 果 た した.
ル ガ リア語 で は,〓
ブ ル ガ リア で は,東 の プ レ ス ラ フ
「記 述 可 能 な」,〓
「目
に見 え る」 な ど の よ うな,き わ め て少 数 の文 語 的 な例 に限 られ,借 用 に基 づ く もの と考 え られ る. また,副 詞 的 機 能 の 分 詞〓 完 の み)な
どは,書
言]
と西 の オ
が教 学 の二 大 中 心 を な し,多 数 の 古期
ブ ル ガ リア 語 の文 献 を残 した が,12∼15世
「読 み な が ら」(不
き言 葉 的 な 形 態 で,西 方 言,特 に,
マ ケ ドニ ア方 言 か ら標 準 語 に入 った形 と され る. [方
フ リド
部 のタルノボ
紀 に は,中
を 中心 と し て,ブ ル ガ リア ロ
語 の 要素 を ま じえ た 中期 ブ ル ガ リア 語 の文 献 が大 量 に 残 されて い る.
普 通,東 西2方 言 群 に 区別 され,そ の
14世 紀 末,オ
スマ ン ・トル コに 征 服 され て 後 は,ブ
境 界 は,ソ フ ィア の 東 方,東 経24度
線 か ら24度30分
ル ガ リア 文 化 は衰 退 した が,18世 紀 末 か らス ラブ の文
あ た りを,北 は ビー ト(〓)川,南
は メ ス タ(〓)
化 的 伝 統 の鼓 吹 が は じま り,19世
川 に沿 う形 で走 って い る.標 準 語 は,東 方 言 を骨 格 と
興 の 運動 は,反
紀 に入 る と,文 芸 復
トル コ独 立 運 動 に発 展 した.
して,西 方 言 の 一 部 の 要 素 を と り入 れ る形 で成 立 した
現 代 ブ ル ガ リア語 の諸 規 範 は,19世
もの で あ る.
バ シル ・レフ ス キ,リ
両方 言 群 の主 要 な 相 違 は,次 の とお りで あ る.
ロ フ,フ
1)古
期 ブ ル ガ リア語 の母 音〓(/e/)に
対 し,東 方
紀 後 半 以 降 の, ュ ベ ン ・カ ラベ
リス ト・ボ テ フ
,イ ワ ン ・ バ ゾフ
ら有 力 な詩 人 や
言 群 で は,多 くの場 合 月が対 応 す るが,西 方 言 群 で は,
作 家 の作 品 に よ って 具 体 化 され た が,抽 象 概 念 を表 わ
必 ずeが
す 語 彙 や 学 術 用 語 には,ロ
対 応 す る.た
〓 「夏,年 」,〓
と え ば,古 期 ブル ガ リア 語 の 「白 い(男 ・単 ・主)」,〓
シア 語 の 著 しい 影 響 が 認 め
られ る.
「白い(男 ・複 ・主)」 に 対 し,そ れ ぞ れ,次 の よ うに 対 応 す る.
[辞
書]
現 在 最 大 の ブ ル ガ リア 語 辞 書 は,科 学
ア カ デ ミー の
(東)(西) で あ る が,こ
(標 準語) 2)東
方言 群 で は,一 般 に,ア
クセ ン トの な い音 節
の 母 音 の弱 化 が 著 し く,特 に,a,e,oは,そ 〓と交 替 す るが,西 方言 群 で は,こ
うし た交 替
「父 」,〓
「姉 ま た
称 代 名詞1人 称 単 数 は,東 方 言 群 のa3に
なお,東 方 言 群 は,プ ロ ブ デ ィ フ(〓)と
成 す れ ば,十
で 出版 され
数巻 の 大辞 書 とな る はず で あ
1巻 本 と し て は,〓
対
他 の 編 纂 に よ る〓
〓1955,19632,19733,) が 標 準 的 で あ る. バ イ リ ン ガ ル 辞 書 と し て は,
ブル
東 西 に結 ぶ線 で,さ らに 南 北 に 分 け ら
れ る. [歴
か ら刊
しい
が,第8巻(1994)ま て お り,完
で に,1977年
「目」:(東)〓
し,西 方 言 群 で は〓 を用 い る(標 準語 はa3).
ガス(〓)を
や 古 い.す
る.
(標準 語 お よび 西)〓
3)人
行 さ れ は じ め た,新
れ ぞれ,
は生 じな い.
は妹 」,〓
れ は,や
1966,19752), お よび,他
の編
纂 に よる 史]
1975,19832), が 信 頼 で き る.
7世 紀 末 に,ド ナ ウ川 の南 の ス ラ ブ人
を従 え て ブル ガ リア 帝 国 を 築 い た 原 ブ ル ガ ル人 は,チ
日本 語 との 対 訳 辞 書 は,松 永 緑 弥 編 『ブル ガ リア語
ュル ク系 の遊 牧 民族 で あ った が,や が て ス ラ ブ化 し,
辞 典 』(大 学 書 林,1995)の
865年 に キ リス ト教 を 国教 化 した ボ リス(〓)帝
千 程 度 で あ る.
そ の子 シ メ オ ン(〓)帝
と,
の 時代 の ブル ガ リア は,当
時 の ス ラブ 世 界 最 大 の 政治 的,文 化 的 な 中心 とな った. 有 名 な キ ュ リ ロス ・メ ソ デ ィ オ ス(Kyrillos=Metho dios)兄 弟 が ス ラブ 人 の啓 蒙 布 教 に 用 い た 古(代)教 会 ス ラブ 語 は,兄 弟 の 出 身地 で あ る テサ ロニ キ(Thessa loniki)の ス ラ ブ人 の言 語 に基 づ く文語 で,当 時 の ブ ル ガ リア の ス ラ ブ人 の言 語 に きわ め て 近 い もの で あ り,
[参考文 献] 1)音
声 学,文 法
一 冊 の み で,語 数 約1万8
イ ン(Rhein)河
畔 の ヴ ォル ムス(Worms)を
て勢 力 を拡 張 す るが,ロ
首都 とし
ーマの 将 軍 ア エ テ ィ ウ ス
(Aetius)に 扇 動 され た フ ン族 に よ って,壊 滅 的 打 撃 を 与 え られ,グ
ンダハ ル も落 命 す る.こ の ブ ル グ ン ド族
惨 敗 の悲 劇 が,中 世 ドイ ツ の英 雄 叙 事 詩 『ニ ー ベ ル ン ゲ ンの歌 』(1200年 2)語
史
とは,よ
ごろ成 立)の モ チ ー フ と な っ た こ
く知 られ て い る.作 中 の ブ ル グ ン ド王 グ ンテ
ル(Gunther),フ
ン族 の王 エ ッツ ェ ル(Etzel)は,そ
れ ぞ れ,歴 史 上 の グ ン ダハ ル とア ッ テ ィ ラ(Attila)に [参
照]
ス ラ ブ語 派,マ ケ ドニ ア 語,古 代 教 会
スラブ語
あ た る.ち な み に,Etzelは,Attilaの
(佐 藤 ブ ル ガ リ ア 教 会 ス ラ ブ 語
英
Bulgarian
純 一)
生 き残 った ブ ル グ ン ド人 は,ア エ テ ィ ウス に よ り,
Church
ス イス の ジ ュネ ー ヴ湖 周 辺 の 地,サ
Slavonic
パ ウ デ ィア(Sapaudia)
へ 移 住 が許 され,443年,こ
→ 教 会 ス ラ ブ語
ブル グ ン ド王 国 は グ ン ドバ ド(Gundobad)王
Burgundisch,
仏 burgonde
(在位480∼516年)に
統]
こに新 しい 国 家
を建 設 した.
ブ ル グ ン ド語 英 Burgundian,独
[系
第2次 子 音 推
移 を経 た形 で あ る.
ゲ ル マ ン民族 の1部 族 ブル グ ン ド族 の
言 語 で,系 統 的 に は,イ
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 のゲ ル
の時 代
最盛 期 に達 し,ロ ー ヌ(Rhone)川
お よび ソー ヌ(Saone)川
沿 い に領 土 を 拡 張 した.516
年 に は,『ブ ル グ ン ド部族 法 典 』(Lex Burgundionum)
マ ン語 派 に 属 す る.ゲ ル マ ン語 は,伝 統 的 な 分 類 に よ
が 制定 され,ブ ル グ ン ド人 と先 住 の ロー マ 人 との 身分
れ ば,東,西,北
上 の平 等 が 宣 明 され た,6世
の3つ の 言 語 群 に 大 別 され るが(→
ドイ ツ語),ブ ル グ ン ド語 は,ゴ ー ト語,ヴ ァ ン ダル 語
国 は,王
な ど と と もに,東 の グル ー プ を形 成 す る.
反 目の激 化,フ
も っ と も,ブ ル グ ン ド語 を東 ゲ ル マ ン語 とみ る こ と
と王 弟 の 内紛,ア
紀 に入 り,ブ ル グ ン ド王 リウ ス派 とカ トリ ック との
ラ ンク族 や 東 ゴ ー ト王 国 の 外圧 な どに
よ って国 力 が 衰 退 し,534年,フ
ラ ンク 王 国 に征 服,
に批 判 的 な 学 者 もい る.た と え ば,ベ ハ ー ゲ ル(O.Behaghel) 合 併 され た. は,「 ブ ル グ ン ド語 に は,い わ ゆ る西 ゲ ル マ ン
[部族 名 の 由 来]
ラ テ ン 語 のBurgundiones,
語 子 音 重複 の 現象 が ない が,だ か ら とい って,こ の 西
Burgundiiは,そ
ゲ ル マ ン語 特 有 の音 現 象 の年 代 が 確 定 され な い 以 上,
地 で あ っ たボ ル ンホル ム(Bornholm)島
ブ ル グ ン ド語 を東 ゲ ル マ ン語 と決 め て しま うの は正 し くな い」 と述 べて い る.確 か に,ブ ル グ ン ド語 の 言語
れ ぞ れ 変異 形 が 多 い が,移 動 の通 過 の古 名Burgundarholmr
と,語 源 上 関 係 が あ る.こ
の古 ア イス
ラ ン ド語(holmrは,「 島 」の意)は,古 英 語Burgendas
遺産 は あ ま りに も少 な く,不確 実 な 要 素 が多 す ぎ るが,
と同 じ く,原 義 は 「 島 の 住 民 」 で あ る.前
ブル グ ン ド語 は,東 ゲ ル マ ン語 の1つ に数 え る の が普
gundionesとBurgundiiは,ゲ ル マ ン語 の形 容 詞 *burgund‐ 「高 い(所 の)」 に 由来 す る.両 者 は,そ れ
通 で あ る. [部族 の歴 史] (Plinius)の
ブル グ ン ド族 は,大
『博 物 誌 』(Naturalis
4巻 にBurgundionesの
プ リニ ウ ス
ぞ れ,「 人 」 を表 わ す接 尾 辞‐jan‐,所 属 を 表 わす 接 尾 辞‐ja‐に よ る派 生 語 で,「 高 い所 に住 む 人 び と」 と解
historia)第
名 で は じめ て登 場 す る(奇 妙
な こ と に,タ キ トゥス(Tacitus)に
は ブ ル グ ン ド族 の
す るこ とが で き る.確 定 的 な こ とは 言 え な い が,「高 い 所 」 とは,「 島 」を さす と も考 え られ る.な お,ド イ ツ 語 で は,ブ ル グ ン ド族 に 対 して,BurgundenとBurgunder
名 は見 いだ せ ない). ブル グ ン ド族 の 原 住 地 は,ス カ ンデ ィナ ヴ ィ ア半 島 と推 定 され て い るが,紀 元 前 に 故地 を離 れ,デ ク の ボル ン ホル ム(Bornholm)島 ヴ ィス ワ(Wisla;独
掲 のBur
ンマ ー
を経 て大 陸 に渡 り,
ヴ ァイ クセルWeichsel)川
っ て南 下,紀 元1世 紀 か ら2世 紀 の間,ヴ
に沿
ィス ワ川 下
の両 者 が 区別 な しに用 い られ て い るが,前 者 を 「(東ゲ ル マ ンの)ブ ル グ ン ド部 族 」,後 者 を 「ブ ル ゴ ー ニ ュ の土 着 民 」 の意 味 で用 い る提 案 が な され た こと もあ る. [言語 遺 産]
ブ ル グ ン ド語 に は,ま
とま っ た文 献
流 地 域 に定 住 した.そ の 後,方 向 を西 へ 転 じて,オ ー
が な い.ブ ル グ ン ド語 の音 韻 上,形 態 上 の 特徴 を記 述
デル(Oder)川
す るに は,そ の 言 語遺 産 が あ ま りに も少 な す ぎ る.し
中 流 地 域 に 進 出 す る.Burgundiiと
う部 族 名 が 記 録 に 登 場 す るの は,4世
あ る.ブ ル グ ン ド族 は,エ ル ベ(Elbe)川 を続 け,413年,グ
い
紀 以 降 の こ とで
ンダハ ル(Gundahar)王
を越 え て 西 進 の 下,ラ
た が っ て,ブ ル グ ン ド語 が ゲ ル マ ン諸 語 の 中 で どの よ うな位 置 を 占め るか を明 らか に す る こ とは,容 易 で は な い.言 語 資 料 と して は,ま ず,古 典 古 代 の 著述 家 た
ち や,同 時 代 人 の 記 録 に 現 わ れ る 固 有 名 が あ る.次 借 用 語 や 専 門 語,特
に 法 律 用 語 が あ る.ま
に,
子 の 名 前)の 対 格 形,Lianoは
ルグ
で 主 格 形 で,「(フ
要な資料で
し て)LianoがIddaの
た,ブ
ン ド族 に 由 来 す る ル ー ン文 字 の 銘 文 も,重
はIdda(男
女子の名前
ー サ ル ク を頼 りにル ー ン文 字 を解 読 名 前 を探 し出 せ ま す よ うに 」
と い う 意 味 に 解 され る(W.Krauseに
あ る. シ ェ ー ン フ ェ ル ト(M.Schonfeld)は,『 の 人 名 ・民 族 名 辞 典 』(1911)の
古ゲルマ ン
巻 末 の イ ン デ ク ス で,
こ の ほ か に も,マ Brandenburg)の
ル ク=ブ
よ る).
ラ ン デ ン ブ ル ク(Mark
ダ ー ム ス ドル フ(Dahmsdorf)の
槍
の 穂 先(3世
紀 半 ば)や,預
の 名 前 を,部
族 別 に 分 類 し て い る.〈Burgundiones〉
ッ ク ル(6世
紀)に 刻 ま れ た ル ー ン 文 字 な ど が あ る.
の 項 に は,異
解 の あ る2例
が あげ られ て
ブ ル グ ン ド語 は,ラ
保 付 き を 意 味 す る 〔?〕の 付 し て あ
部 族 法 典 』 の 中 に,専
の9例
に,若
古 典 古 代 か ら伝 え ら れ て い る5,6世
い る.そ
の う ち,留
る も の を 除 く と,次
紀 の古 ゲル マ ン
を 含 む,24例
が 残 る.
Hariulfus,Sigismundus 5/6世
朝,夫
6世 紀:Godigisclus,Gudomarus 明 を 加 え る な ら ば,Hanhavaldusは,ブ
べ て の ゲ ル マ ン語 に,anh>/〓/現
ッ ク(H.Beck)に
風 さ と い う よ り,む
象 が起
よ れ ば,こ
後 半 部ulfusは,wulfusのwが
二 重 母 音ai,auは,東
ゴ ー ト語 で は,す
れ ぞ れeとoに
で に4世
ど,さ
ェル トの イ ン デ ク ス で
きに あ げた シ ェー ンフ
〔?〕付 き の 女 名 に,こ
の二重母
ガ ミル シ ェ ク(E.Gamillscheg)の 人 名 ・地 名 研 究 は,詳
ブ ル グ ン ド語 の
細 を き わ め て い る.地
語 的 観 点 か ら だ け で な く,集
も検 討 が 加 え ら れ て い る が,彼 に 終 わ る 地 名 は,‐ingosに
名につい
落史的視点か ら
に よ れ ば,‐ens,‐ans
遡 り,ブ
ル グ ン ド語 起 源 で
れ に 対 し て,‐enge(s),‐ange(s)に
名 は,‐ingasに
遡 り,フ
に 由 来 す る と い う.し
終 わ る地
ラ ン ク 語 あ る い は ア レ マ ン語
か し,こ の ガ ミル シ ェ ク 説 に は,
一 般 語 彙 の 資 料 と し て は,ル
ー ン文 字 の 銘 が 重 要 で
つ て の ブ ル グ ン ド族 の 居 住 地 ブ ル ゴ ー ニ ュ
(Bourgogne)の,ソ
ー ヌ ・エ ・ロ ワ ー ル 県(Dep.de
la Saone‐et‐Loire)の
シ ャ ル ネ エ(Charnay)の
か ら 出 土 し た 婦 人 服 の 留 め 針 は,6世 部 に フ ー サ ル ク(Futhark),す 20文
字(最
な わ ち,ル
後 の4字〓
ー ン字 母 の
が 欠 如)が 刻 ま れ,下 側 に 〈dan liano〉
普 通,〈unpfinpai
Liano〉
upfnpaiはunpfinpaiの
墓地
紀 の も の で,頭
部 右 側 に 〈upfnpaiid〉,左
法 現 在3人
ブ ル グ ン ド語 に,聖
Iddan
金」
高 祭 司 」 で あ る.後 く,最
短 縮 形,動
称 単 数 形 の 語 尾(ゴ
紀 の
俗 両 界 の 最 長老 を さす 表 現 が あ っ 王 」 とsinistus「
者 は,ゴ
最
ー ト語 のsinistaと
上 級 の 形 で あ る が,前
で,ロ
者 は,ブ
ー マ 人 が 多 か っ た が,当
同じ
ル グ ン ド語 特 有
ル グ ン ド人 は 少数
然,語
彙 レベ ル の 言 語 か し,ブ
と あ り,
と 読 ま れ て い る. 詞 語 尾‐aiは
希求
ー ト語 と 同 じ),Ⅰddan
ルグ ン ド
語 の ロ マ ン ス 語 へ の 影 響 の 痕 跡 は 意 外 に 少 な い.ガ ル シ ェ ク は,フ
語 の 語 彙 を 約50語,ヴ burg)は70語 い て は,確 430年
中のブルグ ンド
ァ ル トブ ル ク(W.vonWart‐
以 上 と見 積 っ た が,研
究の現段階 にお
認 さ れ て い る語 は き わ め て 僅 少 で あ る. ご ろ,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 地 域 の 中 心
に あ る リ ヨ ン(Lyon)に
生 ま れ た 貴 族 シ ドニ ウ ス ・ア
ポ リ ナ リ ス(Sidonius 塗 り,ニ
Apollinaris)は,長
髪 にバ タ を
ン ニ ク と玉 ネ ギ の 悪 臭 を た だ よ わ せ た 大 飯 食
ら い の ブ ル グ ン ド人 の 粗 暴 を 罵 り,彼
らの 蛮 語 には ミ
歌 っ て い る.両
者の文化的落
差 が 大 き す ぎ た の で あ ろ う か. [参 考 文 献] Baesecke,G.(1940),Vor‐und des deutschen
Fruhgeschichte
Schrifttums,Band
I(Niemeyer,
Halle) Beck,H.etal.(1983),"Burgunden",Reallexikon der germanischen von
ミ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語(franco‐pro‐
ュ ー ズ も 口 を つ ぐむ,と
疑 問 が 提 出 さ れ て い る.
あ る.か
ロ ー マ の 史 家 ア ミ ニ ウ ス(Amminius)は,4世
vencal,独Frankoprovenzalisch)の
音 が 見 ら れ る.
あ り,こ
が 妻 に 与 え る 贈 り物 」,trigildus「3倍
干 渉 は 行 な わ れ た と 予 想 さ れ る.し
な っ た が,Aisaberga,
Audolena,Maurillaな
結婚初夜 の翌
ブ ル グ ン ド王 国 の 住 民 構 成 は,ブ
あ る.
て は,言
結 婚 の 持 参 金 」,
の 語 と し て 注 目 さ れ る.
消 失 し た 形(w‐Synkope)で
紀 以 降,そ
平 民 」,mahalareda「
た こ と を 伝 え て い る.hendinos「
れ は 言 語 の古
しろ 名 前 の保 守 性 を示 す もの で あ
る.Hariulfusの
下
「(売 買 結 婚 に お け る)花 嫁 の 代 価 」
ル
い う音 の 連 続 が 注 目 さ
こ っ て い る か ら で あ る(古 高 ド イ ツ 語 の 人 名Hahotを 参 照).ベ
門 語 と し て 散 在 し て い る.以
(ラ テ ン 語 と の 混 合 語),wittimon(独Wittum)
グ ン ドの 首 長 名 で あ る.anhと れ る.す
『ブ ル グ ン ド
morginegiba(独Morgengabe)「
紀:Hanhavaldus,sigistricus
2,3説
テ ン語 で 書 か れ た
干 の 例 を あ げ る. leudis「
5世 紀:Gundibadus,Hilpericus,Guntrammus,
言 者 ダー ニ エル に因 ん だバ
Altertumskunde(Begrundet
J.Hoops,2.,vollig
neu
bearbeitete
Auflage,BandⅣ)(W.deGruyter,Berlin/ NewYork) Gamillscheg,E.(1936),Romania
Germanica,
Band
Ⅲ(=Die
Burgunder)(W
.de
5∼6世
Gruyter,
Berlin/Leipzig) Janicke,O.(1974),"Betrachtungen
zu
Lexikalien
burgundischen ブ ル ト ン語 の 使 用 地 域 は,古
Romanica
33
(Francke,Bern) burgundischen
Wortgut
Frankoprovenzalischen",Vox
Romanica
altgermanische Stellung
der fur
des
る,‐acで
fara―
deutsche
37(Weidmannsche
Verlagsbuchhandlung,
Berlin) und
Burgunden",Zeitschrift and
fur
deutsche
Sprache
der
deutsches
Literatur
Altertum
85(Steiner,
ル ・エ ・ヴ ィ レ ー ヌ
ワ ー ル ・ア ト ラ ン テ ィ ク
の,そ
れ ぞ れ 半 分 近 くに も 用 い
ル ト ン語 が 話 さ れ る の は,フ 全 域 と,コ
ィニ ス テ ー ル
ー ト ・デ ュ ・ノ ー ル(Cotes
と モ ル ビア ン(Morbihan)県
の,そ
im alteren
ブ ル ト ン 語 の 使 用 は,こ 者 は,約90万
れ ら の地 域 内で 一 様 で は な
人 を 数 え る が,そ
の ほ と ん ど は,
Futhark
aus
der im
Breisgau)
ル トン 語 を 理 解 す る.ま
der
紀 か ら17世
Burgunden",Kleinere
Schriften,
ル ト ン語 は,植
民
証記録
紀 の 古 ブ ル ト ン語,12世
紀 中 頃 ま で の 中 世 ブ ル ト ン語 に 対 し て,
[方
言]
主 要 な4つ
ン 方 言(leonais),ト
Wartburg,W.von(1964),"Das
burgundische
frankoprovenzalischen
Zeitschrift
語 と
Sprachdenkmaler 17世 紀 中 頃 以 後 を 近 代 ブ ル ト ン 語 に 含 め る.
Band Ⅲ(Hirzel,Leipzig)
im
に わ た り,ブ
が 不 足 し て い る.11∼12世
1952,C.Winter,Heidelberg)
Superstrat
ル ト ン 語 を 第1言
altgermanischen者 の 子 孫 に よ る 上 流 階 級 の 言 語 で あ っ た が,文
Volkernamen(repr.
Wackernagel,W.(1874),"Sprache und
た,ブ
す る 人 も,フ ラ ン ス 語 を 容 易 に 使 用 す る こ と が で き る. 7世 紀 か ら約300年
Schonfeld,M.(1911),Worterbuch
der
ル トン語 圏
Runeninschriftenで フ ラ ン ス 語 を 日常 使 用 し て い る 人 の ほ と ん ど は,ブ
Merowingerzeit(Burg‐Verlag,Freiburg
Personen‐ued
れぞれ
約 半 分 の 地 域 で あ る.
フ ラ ン ス 語 と の 二 重 言 語 生 活 者 で あ る.ブ
Opitz,St.(1977,19873),Sudgermanische
fur romanische
の 方 言 に 分 け ら れ る.レ
レ ギ エ 方 言(tregorois),コ
ァ イ ユ 方 言(cornouaillais),お
Wortschatz", (vannetais)で Philologie
言 は,文
80(Niemeyer,Tubingen)
あ る.こ
よ び,ヴ
オ ルヌ
ァ ンヌ 方 言
れ ら の 方 言 の う ち,レ
オ ン方
語 と し て 一 定 の 優 越 性 を も っ て い る.各
方言
の 人 口 数 の 算 定 は む ず か し い. (橋 本
4方
郁 雄)
言 の 間 に は,語
彙 の 使 用 差 の ほ か に,次
の よう
な 相 違 が 認 め ら れ る.
ブ ル ト ン 語 Brezhoneg,英Breton,独Bretonisch, 仏breton
不 定 形 の 語 尾 は,「 粉 を 挽 く」 と い う 動 詞 に つ い て み
[系 統 と 使 用 地 域] 半 島(7世
フ ラ ン ス,ブ
に 面 す る 」 の 意)の
ル モ リ カArmorica;
縮 約 形,ブ
ル トン語 で
西 部 で 話 さ れ る.イ
ッパ 語 族 の ケ ル ト語 派,ブ ブ ル ト ン 語 は,古
ル タ ー ニ ュ(Bretagne)
紀 ま で の 旧 称,ア
Are‐moricaの
「海
ン ド ・ヨー ロ
リ ソ ニ ッ ク 語 群 に 属 す る.
代 の ガ リア で話 され て い た ゴ ー ル
語 の 存 続 し た も の で は な い.ゴ
ー ル 語 は,4∼5世
以 後,消 滅 の 一 途 を た ど り,6世
紀
紀 は じ め に は,す で に,
ラ テ ン 語 が ガ リア に お い て 優 位 を 占 め る よ う に な っ て い た.ブ
現 在,ブ (Finistere)県
い.話
Wiesbaden
ル ト ン語
ら れ て い た よ う で あ る.
du‐Nord)県
Mentz,A.(1954/55),"Schrift
の公国の
ル ター ニ ュ半 島 に残
方 の,イ
と,ロ
(Loire‐Atlantique)県
Sprachen",Zeitschrift
Altertum und
紀 に は,そ
な っ て い た.ブ
終 わ る 地 名 か ら推 測 す る こ とが で き る.現
(Ille‐et‐Vilaine)県
Burgundischen
germanischen
deutsches
Literatur
の1に
代 の 使 用 地 域 の ほ か,東
Anhang:Die innerhalb
盛 期 の3分
の 最 大 の 広 が り を 示 す 痕 跡 は,ブ
2(Droz,Zurich/Paris) Kogel,R.(1893),"Die
代 ブ ル タ ー ニ ュ公 国 全
域 に お よ ぶ こ と は な か っ た.10世 領 土 は,最
Jud,J.(1937),"Zum
ン グ ロ ・サ ク ソ ン 民 族 が イ ギ リ ス に 仏 海 峡 を 渡 っ て き た ケ ル ト民 族 の 言 語
frankoprovenzalischen で あ る.
vermeintlich
Ursprungs",Vox
des
紀 に,ア
侵 入 し た 頃,英
ル ト ン 語 は,ブ
リ ソ ニ ッ ク 語,特
ォ ー ル 語 と 著 し く類 似 し て い て,移
に コー ン ウ
民 に よ っ て,対
岸
の 大 ブ リ テ ン 島 か ら も た ら さ れ た 言 語 と 考 え ら れ る.
れ ば,レ
オ ン 方 言 で はmalaの
ト レ ギ エ 方 言 はmalanの 言 はmaleinの
終 わ る.
よ う に ‐anで,ヴ
よ う に‐einで,(高
方 言 はmaloの 言 で‐eurで
よ う に‐aで
よ う に‐oで
終 わ る.ま
終 わ る 名 詞toeur「
ァ ンヌ 方
地)コ ル ヌ ア イ ユ た,レ
オ ン方
屋 根 職 人 」 に 対 し て,
ト レ ギ エ 方 言 と(低 地)コ ル ヌ ア イ ユ 方 言 は,toerの う に‐erで
終 わ る.ヴ
イ ユ 方 言 は,toourの 以 下 の 音 韻,文
ァ ン ヌ 方 言 と(高 地)コ よ う に‐ourで
た.
の
終 わ る.
法 の 記 述 は,レ オ ン 方 言 を 基 準 と し,
グ ル ヴ ィ ル(F.Gourvil,1952),お (Garnier)版
よ
ルヌア
よ び,ガ
『ブ ル ト ン 語 辞 典 』(1986)を
ルニエ 参考 にし
[音 韻 と 表 記] 《母
〔女 性 形 〕を 含 む 構 成 で あ る)
音 》
a,e,i,o,u
,〓,〓.
《半 母 音 》
y,w,w.
《子
b,d,f,g,j,h,k,l,m,n
音 》
こ れ ら の 名 詞 に は,複
,p,r,
gwez「
母 音 のa,e,i,o,u,お
よ び,子
k,l,m,n,p,r,t,v,zは,フ
る.表
音 のb,d,f,j,
ね に[〓][〓]の
記ouは[〓]を,euは[〓][〓]を
鼻 母 音 の〓 ン ス 語huitのu[〓]),yで hは,ブ
つ て の ブ ル トン 語 に 存 在
で は,定
音 で あ る.k,g,n,lの
湿 音 は,そ
an
れ ぞ れ,ky,gy,
eun
ア ク セ ン トは,か った が,現 [文
特徴的で あ
目の音 節 に あ
で は,定
母 」(女 性 形)
leor「 本 」(男 性 形):taol「
同 じ 語 で あ っ て も,方
言 に よ っ て 語 尾 が 異 な る こ とが
音n,d,t以
冠 詞arを
lapoused「
小 鳥 た ち 」,merc'hed「
ned「
娘 た ち 」,loe
業 名 詞 に 付 く.
洋 服 屋 た ち 」,skolaerien「
小学校
の先生たち」 語 尾‐ouま
ァ ン ヌ 方 言‐eu,‐ieu)
質 名 詞 に 付 き,‐ed形
と 同 様 に,よ
く用 い ら れ
広 ま っ た. 数)」,gweleou「
単 数 と複 数 と が,別 den「
人 」:tud「
「馬 ど も」,ki「 単 数,複
penn「
yar,eur
gwen(ワ
形 容 詞 は,性,数
ベ ッ ド(複 数)」
「両 足 」(「2」
penn,eur
c'hoar)
と え ば,「 白 い ワ
イ ン ・白 い)と 言 う.
上 級 は‐aの
形 で あ る.
美 し い 」 の 比 較 級 はbravoc'h「
り 美 し い 」,最 上 級 はbrava「
よ
も っ と も 美 しい 」 と な
動 詞 の 不 定 形 は,一
般 に,単
行 く」,koll「
む 」,chom「
す べ て の 動 詞 に は,文
イ ン ド ・ヨー ロ ッパ語 に あ 数 は,身
体 部 位 に関 係 す
両 眼 」,daouarn「 を 意 味 す るdaoul〔
男 性 形 〕,diou
人称活
辞aを
伴 う主 語 人 称 代 名 詞 に よ っ
時 制 の 内 部 にお け る動 詞形 態 は不 変 眠 る 」 を 例 に と る と,そ
称me
称hen
a
未 完 了 過 去 形:me 両 手 」,diouar
脈 の 要 求 に よ っ て,非
の非 人
下 の と お り で あ る.
現 在 形:1人 3人
読
が あ る.
非 人 称 活 用 は,小
称 活 用 は,以
失 う 」,lenn「
止 ま る」
化 で あ る.kousket「
馬 」:kezeg
犬 ど も」
音 節 語 幹 の形 で 示 され
る.
人 々 」,marc'h「 犬 」:chass「
名 詞 に み られ る.
daoulagad「
c'hoar
と も 不 変 化 で あ る.
て 規 定 され る.各
っ た 双 数 が 見 い だ さ れ る.双 る,約15の
頭 」,ar
詞 の 後 に お か れ る.た
イ ン」 は,gwin
の 語 源 に 基 づ く語 が あ る.
数 の ほ か に,古
あ る.
「姉 妹 」
用 と人 称 活 用 の2種 机(複
leor)で
用 い る.
mond(moned)「
た は‐iou(ヴ
taoliou「
本」
る.
ァ ン ヌ 方 言‐ion)は,職
kemenerien「
人間」 arar,
外 の す べ て の子 音 の 前
め ん ど り」,ar
た と え ば,brao「
け もの た ち」
語 尾‐ien(ヴ
den「
あ る.
leor「
louarn,eul
形 容 詞 の 比 較 級 は‐oc'h,最 物 に 付 け ら れ る.
は,物
冠 詞 はalで
き つ ね 」,al
形 容 詞 は,名 た,
あ る. 語 尾 ‐edは,生
道 路 」,an
で あ る.
机 」(女 性 形)
く の 語 尾 に よ っ て 示 さ れ る.ま
前
な る.
前 で は,定
yar「
よ びhの
記 の 語 に 付 い て,eun
不 定 冠 詞 は,eur(eur
父 」(男 性 形):mamm「
名 詞 の 複 数 は,多
ar
性 形 と女 性
形 の 区 別 が 存 続 した. tad「
hent「
denと
前,歯
詞 を付 け
に 分 け られ る.
あ る.
」,an
hent,eun
3)yの
ブ ル ト ン語 に は,名 詞 の 格 変 化 は な い.
古 ブ ル ト ン 語 に あ っ た 中 性 形 は 消 滅 し,男
ル トン語 に は 定 冠
音(n,d,t)お
不 定 冠 詞 は,eul(eul
在 で は 語 末 に お か れ る.
法]
冠 詞 はanで arar「犂
al louarn「
よ う に 言 う.
つ て は 語 末 か ら2番
の蟻」
に は 関 係 が な く,冠
べ て の 母 音 と,歯
2)lの
え に し だ 」 をbalan,
バ ケ ツ 」 をkerlonの
詞 の 性,数
不 定 冠 詞 はeunで,上
記 す.
ブ ル ト ン語 の 音 位 転 換(metathesis)は 域 に よ っ て,banal「
蟻 ど も 」→merienen「1匹
系 の ウ ェー ル ズ 語 や コ ー ン ウ ォー ル 語 に
る 名 詞 の 語 頭 音 の 性 質 に よ っ て,3種 1)す
ドイ ツ 語Bachのch[〓]の
キ
の キ ャ ベ ツ 」,
詞 と 不 定 冠 詞 とが あ る.
イ ツ 語ichのch
し た.chは[〓],c'hは
kelorn「
merien「 冠 詞 は,同
冠 詞 は,名
あ り,ド
[〓]の 音 で あ る.[〓][〓]は,か
り,地
ラ
末 を 除 い て 有 声 音 で あ る.
ヴ ァ ン ヌ 方 言 に はcが
の 木 」,kaol「
数)」 →kaolen「1つ
は 定 冠 詞 が あ る だ け な の に 対 し,ブ
母 音 は,w,w(フ
あ る.
ル ト ン語 で は,語
gn,illと
音 であ
示 す.
が あ る.半
木 々 」→gwezen「1本
ャ ベ ツ(複
ラ ンス語 の音 価 と同
音 のsとgは,つ
尾‐en
に よ っ て 表 わ す.
s,∫,t,v,x,z.
じ で あ る.子
数 形 は な い.
複 数 集 合 名 詞 か ら 作 ら れ た 単 数 形 が あ り,語
a gousk,2人
称te
a gousk,
gousk a gouske,te
a gouske,hen
a gouske 未 来 形:me
a
gousko,te
a
gousko,hen
a
gousko 人 称 活 用 に お い て は,人 す る.そ
称 を 示 す語 尾 に よ って 変 化
の 活 用 に は,方 言 差 が あ る.ふ
る」 を 例 に と れ ば,そ
た た び 動 詞 「眠
の 人 称 活 用 は,以
下 の とお りで
て 用 い ら れ る.そ
の 前 置 詞 の 後 に は,人
く.た
と え ば,前
置 詞gant「
の た め に 」 は,各
人 称 で,補
ganin「 「眠 る 」:1人
kouskez,3人
称 単 数kouskan,2人
称 単数
称 単 数kousk,1人
komp,2人
称 複 数kous
に 」,evithan「
「眠 っ た 」:kousken,kouskes,
未 来形
「眠 る だ ろ う」:kouskin,kouski,kousko,
る が,「 私 の 頭 」 はva い う よ う に,語
ブ ル ト ン 語 に は 不 規 則 動 詞 が 多 い.中
で も,も
も代 表 的 な 不 規 則 動 詞 は,mond(moned)「 の 人 称 活 用 の 変 化 は,次
現 在 形:ez
an,ez
eez,ez
未 来 形:ez ま た,不
っと
行 く」 で
の と お りで あ る. a,ez
eomp,ez
it,
in,ez
fenn,「
数 詞 の1は,eun(独
君 の 頭 」 はda
立 形 はunan)で
4の 数 詞 に は,男
あ る.5か
pennで
あ
bennと
あ る.2,3,
性 形 と女 性 形 とが あ る.男
性 形 は,
性 形 は,diou,teir,pederで
ら20ま
で は 一 形 で,次
の とお りで あ る.
変 化) i,ez
ay,ez
imp,ez
定 形 は,mond(moned)で
afet,ez
int
あ る.
在 る 」 に は,4種
あ る が,そ
種 の 変 化 形 と重用 され る こ と
れ ぞ れ が,他
の 変化 形 が 数 の 数 え 方 は,20進
法 を 基 本 と し て い る.
「21」eun‐warn‐ugent(1・
は な い. 1)日
常 に 使 用 す る 普 通 の 活 用(主
語‐動 詞‐属 詞 の
an
bras.「
家 は大 きい 」
eo an
3)場
ti.「 大 き い の は 家 で あ る 」
「22フ ラ ン」 と言 う と き,名 詞 の と10位
所 を 指 示 す る 活 用(「 家 に 」‐動 詞‐主 語 の 語
順):
4)習
an
den.「
人 は 家 の 中 にい る」
慣 を 指 示 す る 活 用(「 家 に 」‐ 動 詞‐「一 日 中 」の
語 順): ti
lur
warn‐ugent(2・
epad
an
deiz.「
で あ っ て,daou 彙]
彼 は一 日中 家 にい
れ る.第1は,イ
の動 詞 に対 して補
600語
る」 ま た,動
す る 」 は,他
助 的 な 役 割 を 演 じ る.た
と え ば,「 私 は 読 む 」 「私 は 行
っ た 」 「あ な た は 歩 くだ ろ う 」 を,そ
れ ぞ れ,次
のよう
に 言 う.
a
む ・私 は す る)
ren.(行
bale'ri.(歩
く ・私 は した)
く ・あ な た は す る だ ろ う)
人 称 代 名 詞 に は,2種
あ る.主
語 人 称 代 名 詞 と補 語
人 称 代 名 詞 で あ る. 主 語 人 称 代 名 詞 は,非
数)
に分 け ら
以 上 が サ ン ス ク リ ッ トに,
以 上 が ゲ ル マ ン語 に,さ
ら に,そ
れ以 上 の 語 が
ギ リ シ ア 語 や ラ テ ン語 に も見 い だ さ れ る 語 で あ る.ま た,ロ
マ ン ス 諸 語,特
に フ ラ ン ス語 か らの 借 用 語 が 多
ル ト語 の 基 底 に あ っ た 基 層 の 語 彙 で,
他 の イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 の 語 派 に は 見 当 た ら ぬ 語 で あ る.第3は,ケ
ル ト語 派,ブ
リ ソ ニ ッ ク 語 群 の,ウ
ェー ル ズ 語 や コー ン ウ ォー ル 語 との 後 代 の交 流 に よ っ て 共 通 す る 語 彙 で あ る.
de‐Batz)に ・セ ン(Ile
ま ざ まの 前 置 詞 と組 み 合 わ せ
di(単
は 言 わ な い.
ン ド ・ヨー ロ ッパ祖 語 に 直接 結 び つ
言 語 地 理 学 的 に み る と,ブ 人 称 活 用 の 変 化 形 に お い て,
動 詞 に 先 行 す る. 補 語 人 称 代 名 詞 は,さ
数)と
ブ ル ト ン 語 の 語 彙 要 素 は,3つ
い.第2は,ケ a ran.(読
詞 に続 くと きは
の 家 」 は,daou
dier(複
く 直 系 の 語 彙 で あ る.400語 詞ober「
フ ラ ン ・上 に ・20)
数 の 意 味 で あ っ て も,数
単 数 の ま ま で あ る.「2軒
[語 e vez
「フ ラ ン 」 は,1位
の 数 字 の 間 に 入 れ る.
daou 名 詞 は,複
ti eman
そ し
て ・3・20)
現 を 誇 張 す る 活 用(属 詞‐動 詞‐主 語 の 語 順):
bras
そ し て ・
2・20),「79」naontek‐ha‐tri‐ugent(19・
ti a zo
2)表
上 に ・20,の 構 成) ,
「46」c'houec'h‐ha‐daou‐ugent(6・
語 順):
mond
有代 名詞 の後 の
頭 の 子 音 を 変 え る.
daou,tri,pevar,女
動 詞beza,bezout「
lenn
と え ば,所
eont
未 完 了 過 去 形:aet(不
en
の ケ ル ト諸 語 と 同 じ よ う に 緩 音
あ る.た
名 詞 は,「 わ れ わ れ の 頭 」 と 言 う と き はor
kouskimp,kouskoc'h,kouskint
あ る.そ
あなたのため
彼のために」
現 象(lenition)が
kouske,kouskemp,kousket,kouskent
en
私 の た め に 」,evidout「
ブ ル ト ン 語 に は,他
未 完了 過 去 形
あ な た と と も に 」,
彼 と と もに 」
evidon「
kont
ez
私 と と も に 」,ganit「
ganthan「
称 複 数kous
称 複 数kouskit,3人
∼
語 人 称 代 名 詞 と と も に活
用 す る.
あ る. 現在形
称活用形が続
∼ と と も に 」,evit「
おけ る de
Sein)に
が 同 音 と な る.同
ー ル ・ ド ・バ(Bourg
「犬 」 の 複 数 形kierと,イ
ル ・ド・
お け る 「猫 」 の 複 数 形kierと
音 に な っ て も,地
域 が 離れ て い るの
で,「 犬 」 と 「猫 」 と を 混 同 す る こ と は な い が,か は,コ
ル ヌ ア イ ユ 方 言 に お い て,kierは
両 方 の 意 味 を も っ て い た.そ は,混
bretonne(Presses
っ て
の た め に,「 猫 」 のkier
堀 井 令 以 知(1972),「
同 を 避 け て ト レ ギ エ 方 言 形 のkijer,kejerに
同 音 に な る 方 言 地 域 が あ る.ト はkejerと
言 う が,「
え て,同
が
れ ぞ れ,同
書]
Spoken gen)―
des
gloses
en
vieux
Paris,1964)が tig,teg,tiの
ー ン ウ ォ ー ル 語ti,古
techと
も 比 較 さ れ て い る.ギ
生 語bou‐tig「
牛 小
ウ ェー ル ズ 語
ア イ ル ラ ン ド語teg, リ シ ア 語〓
「屋 根 」,
grammaticales
sur
les
Ⅱ,E.Bouillon,Paris:1ere
partie,1895;2eme
partie,1896)が
現 代 ブ ル ト ン語 に つ い て は,ブ ゥ ア ル ヌ ネ(Douarnenez)で
ネの
Beginner's
z honeg.Douarnenez,Mouladuriou
Hor
Yezh,
語 の 発 音 が 示 さ れ,bonik
鱈 」 な ど は,写
Course
in
hag
Breton(Cork
真 を付 け て 説 明 され
て い る.
aes,A
University
Press.Ireland)
Geriadurig
Breton‐English
Dictionary,
Brezhoneg‐Saozneg(Cork
University
Press,Ireland) Camby,Philippe(1994),Proverbes du
l'ancien du
regime
et dictons
des
Felin,Paris) pratique
du
a nos jours(Presses
breton
de
Universitaires
Rennes,Rennes)
『ド ゥ ア ル ヌ ネ Bre
ブ ル 卜 ン語 の
京)
Delaporte,R.(1991),Brezhoneg…Buan
Broudic,Fanch(1995),La
Denez,Geriadur
あ る.各
周縁 的 文 化 の 変 貌 ―
伝 統 と フ ラ ン ス 近 代 』(三 元 社,東
bretons(Editions
あ る.
話 され る 語 彙 の う ち,魚
の ブ ル ト ン 語 辞 典 』(Per
「鰹 」,moulleg「
langues
地 ヴ ァ ンヌ 方
記 が 詳 し い.
(1992),Elementary
ル ター ニ ュ半 島 の ド
類 と 小 鳥 の 語 彙 を 収 め た 辞 書,ド
お け る,低
ル ト ン語 を め ぐ る 社 会 言 語 学 的 な 諸 状 況 に
原 聖(1990),『
moyen‐bre
celtiques,Tome
(堀 井
令 以 知)
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 proensal,proensales, 仏,英provencal,独Provenzalisch [名
称]
南 フ ラ ン ス の 多 数 の 方 言 の 総 称.オ
ク 語(langue
d'oc),ま
た は,オ
ッ
ク シ タ ン語(occitan
〔南 仏 語 〕)と も よ ば れ る.
ブ ル ト ン 語 と フ ラ ン ス 語 の 二 言 語 対 照 辞 典 と し て, Dictionnaire
breton:Breton‐francais,francaisbreton
(Garnier,Paris,1986))が
des
celtiques(Ophrys,Paris)―
第4部
langues が,ブ
ル ト
ン 語 の 歴 史 と現 状 の 記 述 に 当 て ら れ て い る. Denez,Per(1980),Geriadur
Brezhoneg
ルプス山
脈 か ら ピ レ ネ 山 脈 ま で の 領 域 を 含 め て)を,プ
ロヴァ
de
nouvelles
la langue
bretonne(Union
d'Edition,Paris)
Fleuriot,Leon(1964),Un dune
は,こ
よんだ ことか ら 出 た 名 称 で あ っ
紀 以 来 使 わ れ て き た.「
オ ッ ク 」 と は,も
の 言 語 が 話 さ れ て い る 国 を 意 味 し,ラ
で あ っ た.こ
言 わ れ た1つ
の 地 方名
の 語 を 言 語 名 と し て 用 い た の は,ダ 最 初 で,北
の オ イ ル 語(langue
と
テ ン語 で
ンテ
d'oil〔 フ ラ
ン ス 語 〕)と 対 比 し て 使 用 され た.ocとoilは,そ
Falc'hun,Francois(1981),Perspectives l'histoire
て,13世
(Dante)が
Yezh,Lesneven)
代 に ロー マ 属
よ ば れ た 地 域(ア
は オ ク シ タ ニ ア(Occitania)と Douarnenez,
1.Pesked;2.Laboused(Mouladuriou
Generale
世 の 人 々 が,古
romana)と
ン ス(Provence)と
[参 考 文 献]
sur
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は,中 州(Provincia
あ る.
Abalain,Herve(1989),Destin
Hor
な お,ブ
ル ノ ー の 『中 世 ブ ル
ト ン 語 語 彙 集 』(E.Ernault,Glossaire
Lesneven,1980)が
Niemeyer,Tubin
態 を 記 述 し た も の.
つ い て は,下
「覆 う 」 と の 同 源 関 係 も分 か る.
中 世 ブ ル ト ン 語 に つ い て は,エ
ton:Etudes
Breton(Max
of Modern
モ ル ビ ア ン県 の ゲ ム ネ ・シ ュ ル ・ス コル フ
言 の 音 韻,形
Fleuriot,Dictionnaire breton,Klincksieck,
按 察 官 」 な ど が 示 さ れ,古
tig,コ
ラ テ ン 語〓
ル リ
あ る.「 家 」 を 意 味 す る 語
項 を み る と,派
屋 」,ti‐ol「
Handbook
(Guemene‐sur‐Scorf)に
オ の 『古 ブ ル ト ン語 注 釈 辞 典 』(Leon
阪)
Gonidec,J.‐F.‐M.‐M.‐A.(1838),Grammaire
置 き換
音衝 突 を避 け
古 ブ ル ト ン語 の 辞 書 と し て は,フ
France,
Celto‐Bretonne(H.Delloye,Paris)
た 例 と し て 注 目 さ れ る. [辞
ル ト研 究 会,大
McKenna,Malachy(1988),A
レ ギ エ 方 言 で は,「 猫 」
雄 鶏 」 をkegi,kigiに
音 衝 突 を 避 け た.そ
Le
た,
「猫 」 の 複 数 形kejerと
de
ブ ル トン 語 の 同 音 衝 突 」 『ケ ル ト
研 究 』No.3(ケ
置 き 換 わ り,同 音 衝 突 を 避 け た こ と が 知 ら れ る.ま 「雄 鶏 」 の 複 数 形kejerと
Universitaires
Paris
「犬 」 「猫 」
れ ら2つ
の 言語に おける肯定 の答 え
breton,elements
et litterature
れ 「は い 」
を 意 味 す る語 で あ る. し か し,「 プ ロ ヴ ァ ン ス 」 と 「オ ッ ク 」 の2語
vieux
grammaire(Klincksieck,Paris)
Gourvil,Francis(1952),Langue
ぞ れ,こ
ず れ も,同
は,い
時 に 南 フ ラ ンス の 地 方 名 と そ の 方 言 名
(Provenceとprovencal;Languedocとlanguedocien) を も さ す 名 称 で あ る た め に,近
年 で は,む
し
ろ,Occitaniaの
形 容 詞occitanusか
ク シ タ ン 語(occitan〔 [分
布]
ら作 ら れ た オ
の フ ラ ンス 語 と
の 境 界 は,ガ
ドー ニ ュ 川(la か い,ア
ロ ン ヌ 川(la
Dordogne)の
Garonne)と
ドル
合 流 点 か ら出 て北 東 に向
ン グ レ ー ム(Angouleme)の
ラ ン ス の 人 口 は 大 幅 に 増 加 し た が,し と に 都 市 部 に お い て み られ る,著
ッ ク(P.Bec,1963)は,プ
ぐ に 覚 え 直 す こ と が で き る 人,と
右 を 通 り,大
き
そ の 数 を,お
ァ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は,フ
ヌ 川(le
ヴ ィ エ ン ヌ(Vienne)の
Rhone)を
越 え,グ
に 沿 っ て 南 下 し て 地 中 海 に 至 る.こ
ー(Bordeaux),ペ (Limoges),ク rand),ル
ぼ この 国境 線
の境 界 線 の 近 くに
ロ ヴ ァ ン ス 語 側 に は,ボ
リ グ ー(Perigueux)
,リ
ル ド
モー ジュ
・ピ ュ イ(LePuy),ヴ
ァ ラ ン ス,ブ
リア ン ソ
あ り,フ ラ ンス 語 と フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ
ァ ン ス 語 側 に は,ア
ン グ レー ム,ポ
モ ン リ ュ ソ ン(Montlucon),ヴ
ブ ル が あ る.な
お,北
ン・
ィ エ ン ヌ,グ
ル ノー
の フ ラ ン ス 語 との 境 界 線 に 沿 っ
て,「 月 形 地 帯(croissant)」
ラ ン ス の 総 人 口 の4分
の1弱
[系
統]
語 族,イ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は,イ
タ リ ッ ク 語 派 に 属 し,フ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語,カ ガ ル 語,イ
タ ロ ニ ア 語,ス
タ リア 語,サ
語 の1つ
ル デ ー ニ ャ 語,ル
で あ る.ま
た,こ
の う ち,フ
ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 と と も に,ロ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は,き あ っ て,こ
の 点,改
著 し い 対 照 を な す.フ
む し ろ,南
ス 人 の 数 を,お
<図>プ
ず フ
の 数 の推 定 は
ン ジ ャ(J.Ronjat,1930)は,
よ そ1,000万
ロヴ ァ ンス 語 地 域 と方 言 分 布
ラ
語,ポ
の 後,
しい
ロ ヴ ァ ン ス 語 に は,
ロ ヴ ァ ン ス 語 は,性 格 的 に は,
部 ロ マ ン ス 諸 語(カ
タ ロ ニ ア 語,ス
ル トガ ル 語)に 近 い 言 語 で あ る.フ
ロ ヴ ァ ン ス 語 と い う,同 じ2つ い ず れ も,古
っているフラ ン
人 と推 定 し た.そ
ラ ン ス 語,フ
マ ンス諸 語 の 中 の
ラ ン ス 語 の 特 徴 で あ る,激
ほ と ん どみ ら れ な い.プ
照).
る い は,知
マ ンス 諸
わ め て 保守 的 な性 格 の言 語 で
図 〉 を参
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 を 話 す,あ
ル ト
新 的 な性格 の 強 い フ ラ ンス 語 と は
間 的 な 性 格 を も った 言 語 の 地 域 が あ る(〈
き わ め て 困 難 で あ る.ロ
ランコ・
ー マ ニ ア 語,
ル マ チ ア 語 と 並 ぶ,ロ
音 声 的 変 化 や 形 態 的 改 新 な ど は,プ
ラ ン ス 語 との 二 言 語 併 用 者 で あ っ て,そ
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ
ペ イ ン 語,ポ
言語 の中
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 話 し 手 は,必
面
の人 々 に よ っ て
ラ ン ス 語,フ
と よ ば れ る,両
[話 者 人 口]
ま り,
の1の
ガ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 を 構 成 す る.
ワ チ エ(Poitiers),
ィ シ ー(Vichy),サ
テ チ エ ン ヌ(Saint‐Etienne),ヴ
人 と 推 定 し て い る.つ
ラ ン ス 全 土 の ほ ぼ3分
レ ト ・ロ マ ン ス 語,ダ
レ ル モ ン ・フ ェ ラ ン(Clermont‐Fer‐
ン(Briancon)が
積 で,フ
よ そ1,200万
た,す
い う 条 件 を つ け て,
用 い ら れ て い る言 語 な の で あ る.
ル ノ ー ブ ル(Grenoble)の
南 を 通 っ て イ タ リア と の 国 境 に 達 し,ほ
存 在 す る 都 市 の 中 で,プ
間 で ロー
ロ ヴ ァ ンス語 を 日
常 的 に 話 し て い な い ま で も容 易 に 理 解 で き,ま
く曲 線 を 描 き な が ら 中 央 山 岳 地 帯 の 北 側 を 回 り,ヴ ラ ン ス(Valence)と
しい
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 離 れ の 現 象 も 考 慮 せ ね ば な ら な い.そ こ で,ベ
北 東 の フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語(franco‐provencal) に 接 し,そ
の 間 に,フ
か し 同 時 に,こ
南 仏 語 〕)を用 い る こ と が 多 い.
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 は,北
50年
ペイ ン
ラ ンス 語 とプ
の ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 が,
代 ガ リ ア に 居 住 し て い た ケ ル ト民 族 の ゴ
ール 語 の 基層 の上 に ラテ ン語 が 導 入 され て 発展 しな が ら,こ
の よ うに性 格 の 異 な った言 語 に 進 化 した こ と に
は,ロ
ー マ 帝 国 に よ る,い
わ ゆ る ロ ー マ 化 が,南
フラ
ン ス に お い て,北
フラ ンス よ りは る か に 徹 底 して 行 な
わ れ た こ と と,北
フラ ン ス に重 大 な 変 革 を もた ら した
ゲ ル マ ン人 に よ る 植 民 地 化 が,反 は,ほ
対 に,南
フ ラ ンス に
とん ど 大 き な 影 響 を 与 え な か っ た こ とが 主 な 要
因 と し て 考 え ら れ る. [音
韻]
ま ず,ベ
ッ ク(P.Bec,1973)に
ラ ン グ ド ッ ク 方 言(languedocien)を さ れ た,現
よ っ て,
基 準 に して 作 成
代 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 音 素(母 音8と
子 音23)
の リス トを あ げ る. 《母
音》
《子
音》
以 上 の う ち,/〓/は,語 音 で,方
末 に の み現 わ れ る無 強 勢 の母
言 に よ っ て,[〓],[〓],[〓],あ
実 現 さ れ る./〓/は,北
外 に は 用 い ら れ な い./〓/は,方 出 典:ベ
ッ ク(P.Bec,La
よ る.
langue
occitane,19784)に
る い は,[〓]と
部 方 言 と プ ロ ヴ ァ ンス 方 言 以 言 に よ っ て,[〓]あ
る い は[〓],/〓/は,[〓]あ
る い は[〓],/〓/は,[〓]あ
る い は[〓],/〓/は,[〓]あ
る い は[〓],/〓/は,[〓]
あ る い は[〓],そ
し て,/〓/は,[〓]あ
る い は[〓]と
PANE>pan[〓]「
な る. 音 声 上 の 特 徴 と し て,次 る.母
パ ン」,VINU>vin[〓]
「ぶ ど う酒 」(フ ラ ン ス 語pain,vin) の も の を あ げ る こ とが で き
音 で は,
1)ラ
も,ラ
テ ン語 の 強 勢 母 音aは,保
PRATU>prat「 羊 」(フ
存 さ れ る.
古 フ ラ ンス語
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語pra,
外 の 無 強 勢 語 末 母 音 は,す
MURU>mur「
な る 方言 が,も
花 」;た
戸 」(こ の‐aが‐oに
お い て,[j]か[w]に
nuech「
存 さ れ る.
な る.
な る.
は,口
蓋 音 化 し な い(た
だ し,
歌 」,GAUDIU>gaug「
音 間 の‐tr‐,‐dr‐
VITRU>veire「
冠 詞 が,関
喜
な る.
capel
変 わ る(北 部 方 言 で は,
消 滅 す る).
彙]
が あ る.た
な
南 部 の ラ ン グ ドック
(フ ラ ン ス 語fait,faite)
母 音 化 の 跡 を 残 さず,完
末 子 音 とな った 全 に 消 滅 す る(ガ
ラン ス 語 お よ び カ タ ロ ニ ア ル トガ ル 語 と は 異 な る語
parlar「
ラ ンス
タ ロ ニ ア 語menjar):ス
ル トガ ル 語comer「
ペイン
食 べ る 」<COMEDERE
話 す 」 <*PARAULARE(フ
parler,カ
ラ ン ス語
タ ロ ニ ア 語parlar):ス ル トガ ル 語falar「
ペ イ ン語
話 す 」 <*FABU
LARE voler「
テ ン語 で 母 音 間 に あ
ス コ ー ニ ュ方 言 とプ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 を 除 く).
タ ロニ ア 語 で
食 べ る」 <MANDUCARE(フ
hablar,ポ
作 ら れ た 」,FACTA>facha
末 母 音 の 脱 落 の 結 果,語
黒い 帽 子 の人 」 ル トガ ル 語,カ
と え ば,
語,ポ
除 く).
instable;ラ
negre「
ペ イ ン 語,ポ
語manger,カ
ラ ン ス 語nue,ouir) 蓋 音 化 し てch[〓]に
と え ば,
語 源 が,フ
manjar「 裸 の 」,AUDIRE>
テ ン 語‐ct‐ は,口
示代 名
歌 って い る 女性 」
ペ イ ン語,ポ
語 と 共 通 で,ス
る(ガ ス コ ー ニ ュ方 言gasconと
係 節 や 限 定 補 語 の 前 で,指
canta「
lo del
[語
信 じ る」
聞 く」(フ
タ ロニ ア 語 と
も 同 様 で あ る.
ガ ラ ス 」,CREDERE>
NUDA>nuda[〓]「
歌 うな 」 書 くな 」
ル トガ ル 語,カ
詞 と し て 用 い ら れ る.た
こ れ は,ス
は,[〓]に
音 間 の‐d‐ は,[〓]に
pas.「 pas.「
ペ イ ン 語,ポ
la que
び 」(フ ラ ン ス 語chant,joie)
も の)は,鼻
の型
同 じ で あ る. 4)定
CANTU>cant「
末 の‐n(n
説 法 半 過 去 に2つ
と え ば,
と え ば,
こ れ は,ス
苦 しみ」
北 部 方 言 を 除 く).
FACTU>fach「
称 複 数can‐
止 を 示 す た め に,接 続 法 現 在 が 用 い ら れ る(否
(N')Escrigas
音 で は, 頭 のca‐,ga‐
っ たnが,語
あ る.た
(Non)Cantes
月」
DOLORE>dolor[〓]「
方 言languedocienを
称単
fasia,fasias,fasia...と,parlavi,parlaves,
定 命 令).た
蓋 音 化 し て[〓]に
ラ テ ン 語 の[〓]は,[〓]に
5)語
称 複 数cantam,2人
詞 の 活 用 形 の 中 で,直
3)禁
もの」
LUNA>luna[〓]「
ausir[〓]「
称 単 数cantas,3人
parlava...
テ ン語 のuは,口
4)ラ
2)動
心 」(フ ラ ン ス
CAUSA>causa[〓]「
3)母
の と お りで
称 複 数cantan
(‐iaと‐ava)が
テ ン語 の 二 重 母 音auは,保
creire「
語 人称 と え ば,
歌 う」 の 直 説 法 現 在 の 活 用 は,次
数canta,1人
語pied,c〓ur)
2)母
下 の諸点が注 目さ
詞 の 活 用 形 が よ く保 存 さ れ て い て,主
tatz,3人
足 」,COR>cor「
しろ南 部 ロマ ンス 諸 語
に,以
1人 称 単 数canti,2人
ラ ンス 語 の よ うな 自然 発 生 的 二 重 母音 化 は
ま た,子
形 態 お よ び 統 辞 上 で も 同 様 に,フ
あ る.
夜」
PEDE>pe「
1)語
1)動
古 い 」,NOCTE>nueit,
起 こ ら な い.
6)俗
狼 」,AMICU
ラ ン ス 語pre,loup,ami)
代 名 詞 を 使 わ ず に 人 称 と数 を 表 現 で き る.た
従 われ
な くと
れ る.
わ ゆ る 条 件 つ き 二 重 母 音 化 が 生 じ る.
VETULU>vielh「
5)ラ
[形 態 ・統 辞]
cantar「
っ と も 多 い)
テ ン語 のe,oに
し か し,フ
友 」(フ
ラ ン ス 語 と は 著 し く異 な り,む
べ て 消 滅 す る.
壁 」,FLORE>flor「
だ し,PORTA>porta「
4)ラ
>amic「
に 近 い 性 格 を も っ て い る.特
2)‐a以
3)ラ
般 に よ く保 存 さ れ る(少
ン グ ド ッ ク 方 言 と ガ ス コ ー ニ ュ 方 言 に お い て).
山
chievre)
た と き,い
末 子 音 は,一
PRATU>prat,LUPU>lop「
草 地 」,CAPRA>cabra「
ラ ン ス 語pre,chevre〔
chievre〕:フ
6)語
望 む 」<*VOLERE(フ
カ タ ロ ニ ア 語voler):ス querer「 cap「
ラ ンス 語vouloir, ペ イ ン 語,ポ ル トガ ル 語
望 む 」 <QUYOERERE
頭 」 <CAPUT(フ
ニ ア 語cap):ス
ラ ン ス 語chef,カ
ペ イ ン語cabeza,ポ
タロ
ル トガル
語cabeca「
(Drome)県,オ
頭 」 <*CAPITTIA
反 対 に,ス トガ ル 語)と
afartar「
ラ ン ス 語 と は 異 な る 語 も多 数
方 の ア ル プ ス 山北 部 地 域 2)南
と え ば, 満 腹 さ せ る 」 <AD‐FARCUS‐ARE
(ス ペ イ ン 語hartar,カ フ ラ ン ス 語rassasier「
a)ラ
ペ イ ン 語,カ
ラ ン ス 語se
ペ イ ン 語,カ
タ ロ ニ ア 語campana):フ
ラ ン ス 語cloche「
鐘」
ペ イ ン語lena,ポ
ル
<CLOCCA 薪 」 <LIGNU(ス
トガ ル 語lenha,カ ス 語buche「
タ ロ ニ ア 語llenya):フ
ラン
薪 」 <*BUSK
代 の ア キ タ ニ ア 民 族 の 言 語(現
代のバス ク
由 来 す る 語,た
と
魔 女 」(ス
ペ イ ン 語bruja),esquer
「左 」(ス ペ イ ン 語izquierdo),toja「
は りえ に し
さ ら に は,ア
仲 介 者 」(ス ペ イ ン 語alcahuete),al
quitran「
タ ー ル 」(ス ペ イ ン 語alquitran),es
な ど が,多 [方
部 方 言 と,ガ
別 し て,
ス コ ー ニ ュ方 言 の3つ
に分
部 方 言
ラ テ ン 語 のcaとgaが,そ
れ 口 蓋 音 化 し て,[〓]と[〓]に
れ ぞ
な る の が,こ
の方 言 の
GALLU>jal,PLAGA>plaja(南
部方言で
ら に,次
の3つ
の 一 部 を含 む.
末 子 音(特
ラ ン グ ドッ
の 方 言 の も っ と も顕 著 な 特 徴 に,複
数 の‐s)の
脱 落 で あ る.
来 の プ ロ ヴ ァ ン ス 地 方 で あ っ て,現
の 北 部,コ
ル
ドー ニ ュ
レ ー ズ(Correze)県,
オ ー ト・ヴ ィ エ ン ヌ(Haute‐Vienne)県,ク (Creuse)県
ォ ー ク リ ュ ー ズ(Vaucluse)県,ア
ル プ ・マ とガ ー ル 県 の
一 部 を 含む . ス コ ー ニ ュ 方 言(gascon)
な 性 格 を も ち,プ
きわ め て 特 異
ロ ヴ ァ ン ス 語 全 体 の 中 で,特
位 を 占 め て い る.そ
ルーズ
の南 部 ン タル
(Cantal)県
の 北 部,ピ ュ イ ・ ド ・ ド ー ム(Puy‐de
Dome)県,オ
ー ト ・ロ ワ ー ル(Haute‐Loire)県,
(Ardeche)県
(Gers)県
の 領 域 は,ラ
と ジ ロ ン ド県,オ
別 の地
ン ド(Landes)県, ェー ル
ー ト・ガ ロ ン ヌ 県,お
ア リ エ ー ジ ュ 県 の 一 部 を 含 む.音
声 面 で は,次
よ び, のよ う
テ ン 語 のfは,hに
ゼ ー ル(Lozere)県
とア ルデー シュ
の一 部
ー フ イ ー ヌ 方 言(dauphinois)ド
な る.
haria<FARINA,hlor<FLORE 音 間 の‐n‐ は,消
c)語
滅 す る.
頭 のr‐
の 前 の 語 頭 添 加 音aの
d)ラ
テ ン語 の 二 重 子 音llは,語
末 で,‐thま
な る.
beth,bet<BELLU そ し て,母
音 間 で は,‐rと
な る.
bera<BELLA e)子
音 群‐mb‐,‐nd‐
縮 約 さ れ る. ロー ム
発 展.
arrasim<*RACIMU,arroda<ROTA
‐tに
ー ヴ ェ ル ニ ュ 方 言(auvergnat)カ
お よ び,ロ
在
lua<LUNA,semiar<SEMINARE
に 区 分 で き る.
モ ー ジ ュ 方 言(limousin)ド
(Dordogne)県
c)ド
は,語
b)母
れ ぞ れ,canta,branca,gal,plaga)
こ の 方 言 は,さ
b)オ
ロ ン ド(Gironde)県
ロ ヴ ァ ン ス 方 言(provencal)
a)ラ
CANTAT>chanta,BRANCA>brancha,
a)リ
ン タ ル 県,
な 特 徴 が あ る.
も っ と も 大 き な 特 徴 で あ る.
は,そ
リエ ー ジ ュ(Ariege)県, ル ドー ニ ュ 県,カ
オ ー ト ・ピ レ ネ(Hautes‐Pyrenees)県,ジ
か れ る. 1)北
ー ト ・ガ ロ ン ヌ
ピ レ ネ ・オ リ ア ン タ ル(Pyrenees‐Orientales) 県,ジ
3)ガ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 方 言 は,大
ロ ー(Herault)
ゼ ー ル 県,オ
リ テ ィ ー ム(Alpes‐Maritimes)県
数 含 ま れ て い る.
北 部 方 言,南
し て,ロ
(Haute‐Garonne)県,ア
県,ヴ
朝 鮮 あ ざ み 」(ス ペ イ ン語alcachofa),
言]
ル ル ン
の ブ ッ シ ュ ・デ ュ ・ロー ヌ(Bouches‐du‐Rhone)
と え ば,
alcavot「
carchofa「
ッ ト(Lot)県,
ー ド(Aude)県,エ
県 と,そ
領 域 は,本
ラ ビ ア 語 起 源 の 語,た
の領 域
ン ・エ ・ガ ロ ン ヌ(Tarn‐et‐Garonne)県,タ
ク 方 言 に 対 す る,こ
だ 」(ス ペ イ ン 語tojo),
れ は,そ
っ と も重 要 な 方 言 で あ っ
ヴ ェ ロ ン(Aveyron)県,ロ
b)プ
え ば, brueissa「
きわ め
ロ ッ ト ・エ ・ガ ロ ン ヌ(Lot‐et‐Garonne)県,タ
ガ ー ル(Gard)県,ド
と の 言 語 と考 え ら れ る)に
の方 言
世 の 古 典 プ ロヴ ァ ンス語 に もっ と
の 大 き さ か ら み て も,も
(Tarn)県,オ
lenha「
に保
の2つ
ン グ ド ッ ク 方 言(languedocien)
て,ア 鐘 」 <CAMPANA(ス
の 方 言 に 比 べ て,特
も近 い す が た を 保 存 し て い る.こ
taire「 黙 る 」
<TACERE campana「
ロ ヴ ァ ンス 地
の 特 徴 で あ る.次
て 保 守 的 で,中 黙 る 」 <*CALLARE(ス
ま た,古
他 の2つ
よ び,プ
か ら な る.
満 腹 させ る 」 <R(E)
タ ロ ニ ア 語callar):フ
語 の,も
部 方 言
守 的 で あ る こ とが,そ
タ ロ ニ ア 語afartar):
ASSATIARE calar「
ト・ザ ル プ(Hautes‐Alpes)県,
ア ル デ ー シ ュ 県 の 一 部,お
タ ロ ニ ア 語(あ
共 通 で,フ
含 ま れ て い る.た
ー
る い は ポル
ペ イ ン 語,カ
coma<*CUMBA,lana<*LANDA
は,そ
れ ぞ れ,mとnに
た は
統 辞 面 で は,主 るqueに
節 が,提
示 詞(enonciatif)と
よ っ て 導 入 さ れ る こ と,た
que
canti「
そ し て,語 ず,お
よ ばれ
と え ば,
テ ン語 に も ゴ ー ル 語 に も属 さ
そ ら く古 代 の ア キ タ ニ ア 民 族 の 言 語 に 由 来 す る
と考 え ら れ る 多 数 の 語,た jordon「
木 い ち ご」,harri「
ひ き蛙 」,sarri「
か
物,牧
畜 な ど の 用 語 が あ る こ と,
[語 史 ・文 献]
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 最 古 の 文 献 は,
『ボ エ ス 』(Boece;ボ
エ テ ィ ウ ス に 関 す る断 片)と
女 フ ォ ワ の 歌 』(Chanson と で あ っ て,い
de
ず れ も11世
Sainte
Foi
か ら始 ま る.そ
de
ブ ル ー(Marcabru),さ ァ ン タ ド ー ル(Bernard
de
de
Born)な
か し,ア
ルノー ・
ル バ ドー ル 文 学 は
ル ビ ジ ョ ワ 十 字 軍(1209
ル バ ドー ル の 言 語 に
め か ら 明 ら か な 統 一 が あ り,方
と ん ど,ど
言 的 差 異 は,ほ
の 詩 人 の 作 品 に も現 わ れ な い.そ
種 の 文 学 共 通 語(コ イ ネ)で あ っ た.し 語 の 起 源 と成 立 に つ い て は,ま
こ
法,発
れ は,ト
ゥー ル ー
法,文
体 に関す
音,文
詩 の 規 準 を 示 し た も の で あ る.
の 頃 か ら,言
ロヴ ァ ン ス 語 は 転 換期 を 迎 え
語 に 明 ら か な 変 化 が 生 じ,方
言 間
の 差 異 が 著 し く拡 大 さ れ る.こ
の 時 期 を 境 に し て,こ
れ 以 前 を 古 プ ロ ヴ ァ ン ス 語,こ
れ 以 後,16世
紀 までの
間 を 近 代 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 に 至 る 過 渡 期,転 換 期 と し て,
れ は,一
か し,こ
う. こ の 期 間 に 生 じた 主 な 言 語 の 変 化 は,ま
porta[〓]),閉
よ る 戦 乱 と南 フ ラ ン ス 諸 地 方 の 荒 廃 の 結 果,
こ の 文 学 は 急 速 に 衰 退 し た.ト
退 し た プ ロ ヴ ァ ン ス 語,
あ っ て,そ
14世 紀 の 中 葉 に,プ
ルカ
ぐ れ た 詩 人 が 輩 出 し て,
紀 に か け,ト
最 盛 期 を 迎 え た.し
は,初
d'Amor,1356)で
で は,語
ル トラ ン ・ ド ・ボ ル ン
ど,す
が結
名 な 文 法 書 『レ イ ス ・ダ モ ー ル 』
ズ 方 言 を も と に し て,書
つづ
ル ナ ー ル ・ ド ・ヴ
Ventadour),ア
Daniel),ベ
12世 紀 中 葉 か ら13世
∼29)に
Rudel),マ
ら に は,ベ
ダ ニ エ ル(Arnaut
紀末
ヨ ー ム9世(GuillaumeⅨ,
Poitiers,1071∼1127)に
ョ フ レ ・ リ ュ デ ル(Jaufre
ガ イ ・サ
Saber)」
中期 プ ロヴ ァン ス語 と名 づ け る こ とが で き る で あ ろ
紀 の 作 品 で あ る.
の 最 初 の 詩 人,ギ
comte
『聖
d'Agen)
トル バ ドー ル(南 仏 吟 遊 詩 人)の 叙 情 詩 は,11世
(Bertran
で 編 纂 さ れ た の が,有
る.こ
な ど が 注 目 さ れ る.
い て,ジ
の 活 動 は,衰
る 規 則 を 定 め,作
物,動
del Gai
プ ロ ヴ ァ ン ス 文 学 の 復 興 を 目 ざ す も の で あ っ た.こ
(Leys
と え ば,
も しか 」, の よ う な,植
ゥ ー ル ー ズ(Toulouse)で,「
成 さ れ た が,そ
私 が 歌 う」
彙 面 で は,ラ
14世 紀 に,ト
ベ ー ル の 文 芸 団 体(Consistori
の共通
だ明 らか に され て い な
末 の‐aが
多 くの 方 言 で‐oに 音 のoと
avyeま
声面
前 強 勢 母 音 のoがuに
な る こ と(例:dolor[〓]),2音 節 化 し て‐yeま
ず,音
な る こ と(例:
節 の‐iaが
た は‐yQと
た はabyQ),な
単音
な る こ と(例:avia>
ど で あ る.
形 態 上 で は,曲 用 の2格
体 系 が 完 全 に 消 滅 し た こ と,
単 純 過 去 の 強 変 化 形 が 接 中 辞‐g‐ ま た は‐sk‐
を もっ
形 に 変 わ る こ と(例:volc>volguet,fetz>fas quet),な
ど で あ る.
15世 紀 末 か ら16世 ヴ ァ ン ス 語 は,ほ る.フ
紀 の 間 に,公
用 語 と して の プ ロ
とん ど完 全 に す が た を消 す こ とに な
ラ ン ス 語 の 進 出 の 前 に,プ
ロ ヴ ァ ンス 語 は俚 言
の 地 位 に 堕 ち た の で あ っ た.1539年
に 発 布 さ れ た 「ヴ
ィ レ ル ・コ ト レ の 勅 令(Ordonnance
de Villers‐Cotte
rets)」 は,法
律 文 書 に フ ラ ンス語 の 使 用 を命 じ る こ と
こ の 言 語 も衰 え た.
に よ っ て,消
滅 の寸 前 に あ った プ ロヴ ァ ンス 語 に最 後
法 律,行
の 止 め を 刺 す こ と に な っ た.
い.い
ず れ に せ よ,ト ル バ ド ー ル 文 学 の 衰 退 と と も に,
政 上 の 言語 として プ ロ ヴ ァ ンス 語 が用 い ら
れ 始 め る の も,ほ
全 なプ ロ ヴ
19世
エルグ地方
ミス ト ラ ル(Frederic
ぼ 同 じ 時 代 で あ っ て,完
ァ ン ス 語 に よ る 最 初 の 文 書 は,1102年,ル (Rouergue)に
現 わ れ る(ラ
れ る).こ
こ で も,プ
12世
紀 か ら13世
っ て,ど
紀 初 頭 か らみ ら
ロ ヴ ァ ン ス 語 は,方
で に 含 み な が ら も,ま
言的分化をす
だ 統 一 が 堅 固 に 保 た れ て い て,
紀 の 間,前
の時 代 の ラテ ン語 に代 わ
の 地 方 で も 共 通 し て 用 い ら れ た.文
ヴ ァ ン ス 語 の 最 盛 期 は,こ 文 学,言
の よ う に,ト
語 の そ れ と一 致 し て い る.し
半 か ら,こ
と に14世
紀 に 入 る と,こ
言 間 の 差 異 が 増 大 す る.そ が 文 書 の 中 に 侵 入 し,フ ス 語 は 駆 逐 さ れ て,次 す で に,プ
Aubanel)な
テ ン語 に プ ロ ヴ ァ ン ス 語
の 語 句 が 混 入 す る 文 書 は,す で に11世
して,同
書のプ ロ
ル バ ドー ル の か し,13世
紀後
紀 中 葉,ル ー マ ニ ー ユ(Joseph
(Felibrige)」 年),プ
Mistral),オ
Roumanille), ー バ ネ ル(Theodore
ど に よ っ て,「 フ ェ リ ブ リ ー ジ ュ と 名 づ け られ た 団 体 が 組 織 さ れ(1854
ロ ヴ ァ ン ス 語 の 維 持 と純 化,プ
の 復 興 と 発 展 の 運 動 が 起 こ され た.彼 ン ス 方 言 を も と に,書 作 品 を 世 に 送 っ た.中 ユ 』(Mireio,1859)が
ロヴ ァ ンス 文学 ら は,プ
ロヴ ァ
法 と文 法 を 統 一 し て,す
ぐれた
で も,ミ
ス ト ラ ル の 『ミ レイ
有 名 で あ る.
近 年 に な っ て,ラ
ング ドック方 言 を も とに して綴 字
の 統 一 は 乱 れ,方
と 文 法 を 統 一 し,共
通南 仏語 の樹 立 を 目 ざす 運 動 が 強
時 に,フ
力 に 進 め ら れ て い る.
ラ ン ス語
ラ ンス 語 に よ って プ ロ ヴ ァ ン 第 に そ の 地 歩 を 失 っ て い っ た.
ロ ヴ ァ ン ス 語 の 凋 落 は 確 定 的 で あ っ た.
[辞
書]
Mistral,Frederic(1879‐87),Lou Felibrige
ou
dictionnaire
tresor provencal‐francais,
dou
embrassant d'oc
les
divers
moderne,2
dialectes
de
la
1966,Biblio,Osnabruck)―
ミス
の 歳 月 を か け て 編 纂 し た 大 著.プ 基 準 で あ る が,同
時 に,プ
方 言 の 語 形 を 含 む.言
ロ ヴ ァ ン ス 方 言 が
ロ ヴ ァ ン ス 語 の す べ て の
語 辞 典 で あ る と 同 時 に,南
語 源 に つ い て は,多
少,不
巻 だ し,
正 確 な 面 が あ る)に
よ っ
de(1973),Lou
dictionnaire
Arles)―
Pichot
provencal‐francais
cais‐provencal(Culture
Tresor,
=白
ベ ロ ル シ ア 語
Dictionnaire 6
et fran‐
ベ ロ ロ シ ア 語
英Belorussian
ベ ン ド語 1)=
独Wendisch
ソ ル ブ 語,2)=
ポ ラ ブ語
de
ほ
の も の が あ る. roman
la
langue
des
troubadours,
ポ ラ ブ 語 独Polabisch,露〓 英Polabian
vols.(Paris;repr.1977,Slatkine,
Geneve)
[系 統 ・分 布 ・名 称]
Levy,Emil(1894‐1918),Provenzalisches ment‐Worterbuch,8
Supple‐ vols.(Leipzig;repr.
1973,Georg
Olms,Hildesheim)―
romanの
増 補 版
上 のLexique
と し て 編 纂 さ れ た.
(1909,19664),Petit
確,す
簡 約 版.小
冊 な が ら,
くつ か の
現 在 は 死 語 で あ る.
langue
sais‐je?》,Presses
occitane
す な わ ち,か
の 下 流 に は さ ま れ た 地 域,
つ て の 東 ドイ ツ(DDR)の
と どめ て い る.こ stokaか
Universitaires
北 部 一 帯 に は, ル ト海 に 近 い 港 町
よ う な 地 名 に,そ
の ロ ス ト ッ ク は,ス
の名 残 りを
ラ ブ 祖 語 の*ro
ら き て い て,「 流 れ が 分 か れ る 所 」 の 意 味 で,
ス ラ ブ 語 域 に は よ くみ ら れ る 地 名 で あ る.こ
France,Paris) (1973),Manuel
Pratique
d'Occitan
Alibert,Louis(1935),Gramatica parlars
occitana,segon lengadocians(Societat
d'Estudis
istorique(sic)des vols.(Societe
う ち で,も
chow),ダ
provencaux des
Langues
Romanes,Montpellier)
東 南 東 約50キ
ロ メ ー トル 東 の エル ベ川
ス ト ロ フ(Wustrow),リ
ュ ホ フ(Lu
ン ネ ン ベ ル ク(Dannenberg)な
ど の 近 郊 で,
こ の 地 域 の 言 語 を,「 エ ル ベ 川 沿 い 」 を 意 味 す る ポ ラ ブ 語 の 名 で よ ぶ.
Anglade,Joseph(1921),Grammaire
de
l'Ancien
ポ ラ ブ 語 は,周
Provencal(Klincksieck,Paris) フ ラ ン ス 語,フ
ラブ人
の地 域 の
っ と も長 く ス ラ ブ 語 を 失 わ な か っ た の が,
ハ ン ブ ル ク(Hamburg)の
左 岸 一 帯 の,ブ parlers
の ロス ト
も,ス
に あ る 町 リ ュ ー ネ ブ ル ク(Luneburg)南
Occitans,Tolosa) Ronjat,Jules(1930,1932,1937,1941),Grammaire
modernes,4
ッ ク 県 の 北 に あ る リ ュ ー ゲ ン(Rugen)島
の 居 住 地 域 で あ っ た こ と が 知 ら れ て い る.こ
Moderne(Picard,Paris)
照]
ル ベ(Elbe)川
ロ ス ト ッ ク(Rostock)の
(coll.《Que
ロ
に あ る ポ ー ラ ン ド語 に 対 し,い
数 多 く の 西 ス ラ ブ の 地 名 が あ り,バ
[参 考 文 献]
los
の レフ方
言 の 中 で,東
ポ ー ラ ン ド と ドイ ツ の 境 を な す オ ー デ ル(Oder)川
ぐ れ た 辞 典 で あ る.
Bec,Pierre(1963,19784),La
ー ラ ン ド語 と と も に,
い わ ゆ る レ フ 方 言(レ フ 諸 語)を 形 成 す る.こ
の 下 流 と,エ
romanとProvenzalisches
Supplement‐Worterbuchの 簡 明,正
pro
Winter,Heidelberg)
上 記 のLexique
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族,
ス ラ ブ 語 派 の 西 方 群 に 属 し,ポ
小 さ い 方 言 を は さ ん で 西 に 位 置 す る の が ポ ラ ブ 語 で,
dictionnaire
vencal‐francais(Carl
[参
英Belorussian
= 白 ロ シア 語
簡 便 な 実 用 的 辞 典.
古 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 辞 典 に は,次
語,ガ
ロ シア語
Meridionale,Raphele
Raynouard,Francois(1836‐45),Lexique
de
ベ ラ ル ー シ 語 英Belorussian
= 白 ロ シ ア語
ロ ヴ ァ ン ス 語 研 究 に 必 須 の 辞 典 で あ る.
Fourvieres,Xavier
ou
フ
折 判,各
ー ジ 余 の 豊 か な 内 容 と 正 確 な 記 述(た
て,プ
へ
ト ラ ル が20年
ラ ン ス に 関 す る 百 科 事 典 で も あ る.四 1,100ペ
langue
vols.(Aix‐en‐Provence;repr.
囲 の ド イ ツ 人 か ら は ベ ン ド語(Wendisch)
と よ ば れ た が,自 ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス
と も ス ラ ブ 語(sluvenst'a)と は,ド
・ロ マ ン ス 諸 語 (高 塚
洋 太 郎)
分 た ち も,ベ
イ ツ 語 で,ド
Drawein)と
ン ド語(venst'a)
も よ ん で い る.こ
ラ ベ ー ン(Drawehn,な
よ ば れ る が,こ れ は,明
らか にス ラブ 語 の
「森 の 繁 っ た 地 」を 意 味 す る ドル ビ ナ(〓)か た 地 名 で あ る.そ
こ で,と
き に,ポ
の一帯 い し は,
ら出
ラブ 語 の こ と を ド
ラ ベ ン 語 と 言 う こ と が あ る.こ 前 半 ま で,こ [資
の ポ ラ ブ 語 は,18世
紀
の 地 域 で 使 わ れ て い る.
料]
17世
紀 末 か ら18世
す る 流 音 の な い こ と と,鼻
紀 初 頭 に,ポ
ラブ語
き,oは
献 の 断 片 で は な く,滅
のeか
び ゆ く言 語 へ の 関 心 を 示 す た め
ち の 最 大 の も の が,ク
部 分 が 辞 書 で あ る.そ
Hennig,1649∼1719)の で あ る.こ
の 辞 書 は,1710年
る.ポ
ス ラ ブ 祖 語 の*tort(tは,任
き に は,ポ
でハ ノー バ ー 農 業 図 書館
れてい
ま ざ ま な記
の ほ か に,い
くつ か の 断 片 と,
*telt
,*toltがtlotと
ス ラ ブ 語 に お け る,い
わ ゆ る 弱 い イ ェ ル(弱
よ る 表 記 も,実
際 の 姿 を伝 え るの に 大 き な困 難 を もた
ら し て い る.ポ
ラ ブ 語 に よ っ て 歌 が 歌 わ れ た と い う記 際 に 残 っ て い る の は,結
婚の
で あ る.
が,ポ
ラ ブ 語 で は,語
の 最 初 の 音 節,と
ポ ラ ブ 語 は,ヨ
ー ロ ッパ の 真 ん 中 に位 の 言 語 に つ い て は,こ
ま で 数 多 く の 研 究 が あ り,そ
れ を 全 部 記 せ ば,そ
れ れが
そ の ま ま,ス ラ ブ 学 の 歴 史 を 語 る こ と に な る で あ ろ う. そ こ で,主
な 研 究 者 の 名 を あ げ る と,次
ま ず,ス
の よ う に な る.
ラ ブ 学 の 祖 ヨ ゼ フ ・ドブ ロ フ ス キ ー(Josef
Dobrovsky,1753∼1829)に 出 版 さ れ て お り,有
よ っ て,ヘ
ンニ ヒの断 片 が
イ ヒ ャ ー(August
名 な 言 語 学 者 ア ウ グ ス ト ・シ ュ ラ Schleicher,1821∼68)が,最
論 と 文 法 を 書 い て い る.ポ
初 の音
ラ ブ 語 と近 い 立 場 に あ る ソ
り わ け,ア
全 な 母 音 と な る.そ
の 際,ア
〓と な る. 音 韻 体 系 で 目 に 立 つ の は,完 が2,二
重 母 音 が5と,母 母 音(u,o,ほ
か)の 前 でt',d'へ
と で,t'un<kon〓 <gora「
全 母 音 が10,弱
「馬 」,t'osa<kosa「
山 」,d'olob<golob「
で あ る.ま
鎌 」,d'ora
「花 」,gozde<gvezda「
<chvost〓
交 替 し, 星 」,chost
「尾 」 と な る.
文 法 面 で は,ア
オ リ ス ト と不 完 了 過 去 の2つ
過 去 が 保 た れ た が,こ
れ は,17世
ブ 語 派 の 西 方 群 の 中 で は,た て い な い.ま
た,複
の 単純
紀 の 段 階 で は,ス
合 過 去 や 完 了 過 去 も あ り,後
は,「 持 つ 」 あ る い は 「あ る」 に 当 た る,mam,miam;
レ ン ツ(Fr.Lorentz,1870∼1937)が,
ben,seinの
そ れ ぞ れ い くつ も の 論 文 を 発 表 し て い る. 今 世 紀 に な る と,タ キ(Tadeusz
Lehr‐Splawinski,1891∼1965)が
ン ト と 文 法 を,ト 1890∼1938)が
音 韻 論 と 形 態 音 韻 論 を,セ
リシ チ ェフ
この言 語 全 体 の記 述
を と い う よ う に,そ 近 年 で は,ド
アクセ
ゥル ベ ッ コ ー イ(N.S.Trubetzkoy,
(A.M.〓,1886∼1942)が
り,白
[辞
デ ウ シ ュ ・レ ー ル=ス プ ワ ビ ン ス
れ ぞ れ が 大 き な 貢 献 を し て い る.
イ ツ の オ レ シュが 全 面 的 研 究 を進 め て お
ロ シ ア の ス プ ル ン(A.E.〓)が
手短な紹介
フ諸 語 と共 通 の い
い で,音 節 を 形 成
イ ツ 語 のha
書]
von
Christian
Hennig
Venedicum von
Jessen(Bohlau
Koln/Graz) [参 考 文 献] Lehr‐Splawinski,T.(1929),Gramatyka
polabska
(Lwow) Trubetzkoy,N.(1929),Polabische (Wien)
I
舌の硬子音の前での
非 口 蓋 化 が あ げ ら れ る.次
ら か に,ド
Olesch,R.(1959),Vocabularium
〓 ,A.M.(1941),〓, ポ ラ ブ 語 に は,レ
くつ か の 古 い 音 韻 特 徴 が あ り,前 e,e,rの
れ は,明
者 に
影 響 で あ る.
を 行 な っ て い る. [言 語 特 徴]
ラ
だ ソル ブ 語 に しか 保 たれ
jisが 使 わ れ る が,こ
と し て は,ロ
の例
子 音 ク ラ ス タ ー で,消
口 蓋 化 さ れ る と,k,g,x(ch)と
kot<kvet〓
音
変化す るこ
鳩 」 な ど が,そ
た,kv,gv,chvの
え たvが
化 母音
音 の 数 の 多 い こ と と,子
Muka,1854∼1932)が,ま
シ ュー ブ語 の専 門 家
ク
ク セ ン トの な い と き はe,
ル ブ 語 の 研 究 者 と し て は,ア ル ノ シ ュ ト・ム カ(Arnost た,カ
ク
セ ン トの あ る 音 節 の 場 合 や ア ク セ ン トの あ る 音 節 の 前
k,gが
置 し て い た こ と も あ っ て,こ
化母音
で,語 末 ま た は 完 全 な 母 音 か ら数 え て 奇 数 番 目 の も の)
セ ン トの あ る と き はaに,ア
イ ツ語 に
た,
の言語の古い
特 徴 と 言 え る.
の 音 節 の 場 合 に は,完
語 資 科 と し て は 十 分 で は な く,ド
ラ ブ 語 が,
変 化 し た の も,こ
ず れ も,言
[研 究 史]
シ ュー
ポ ー ラ ン ド語 と 共 通 の 特 徴 を 示 す こ と も あ る.ま
18世 紀 中 頃 に 書 か れ た 「主 の 祈 り」 な ど も あ る が,い
歌1つ
れ は,カ
す る諸 言 語 と 共 通 で あ る が,と
の コ ピー が 伝 え
ン ニ ヒの イ ン フ ォ ー マ ン トの 名
述 が 数 多 くあ る の に,実
意 の 子 音)に 対 し て,
の 対 応 形 が あ り,こ
ま で に 準 備 さ れ た も の で,
ラ ブ 語 が 消 滅 し て い く よ うす は,さ
前 ま で 分 か っ て い る.こ
な らな い と き
ラブ 語 との 中間 に位 置
ァ ク シ ミ リで 出 版(1959)さ
録 に 残 さ れ て お り,ヘ
ス ラ ブ 祖 語 のoと,e>aに ら 出 て く る.
trot/tartの2つ
の 言 語 の 専 門 家 で あ る オ レ シ ュ(R.
よ り,フ
前 に立たない と
ブ 語 を 含 む ポ ー ラ ン ド語 と,ポ
の う ち の1つ
に あ る も の が,こ Olesch)に
ス ラ ブ 祖 語 のeが
『ドイ ツ 語 ・ポ ラ ブ 語 辞 典 』
ヘ ン ニ ヒ 自 身 に よ る コ ピ ー を含 む4つ ら れ て い る.そ
のう
リス チ ア ン ・ヘ ン ニ ヒ(Kristian
で,aは
前 舌 の 硬 子 音(t,d,s,z,n,r,l)の
で 書 か れ た 資 料 が 若 干 残 っ て い る が,そ れ は,通 常 の 文
に 書 か れ た 言 語 素 材 で,大
母 音 の 保 持 が あ げ ら れ る.
鼻 母 音 は,aとoの2つ
〓
A.E.(1987),〓
Studien
,
kupie[〓]「 〓 [参
照]
ス ラ ブ 語 派,レ
一 方,東
フ 諸語 (千 野
ポ ー ラ ン ド語 jezyk
ン ド語 に も,若
栄 一)
polski,英Polish,仏polonais,
国 の 国 語 で,国
ポ ー ラ ン ド語 は,ポ
内 の 約3,800万
ナ ダ,ブ
こ の ほ か に,ポ
ー ラ ン ド共 和
人,国
ラ ジ ル,イ
ツ な ど)の 約1,000万
外(ア
ギ リス,フ
ー ラ ン ドと国境 を接 して い る チ ェコ ス
ク ラ イ ナ,リ
方,ソ
連
トア ニ ア に も少 数 の
統]
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ス
の 中 の 西 の グ ル ー プ に 属 す る.研 の 西 ス ラ ブ グ ル ー プ を,さ
ら に,南
の チ ェ コ 語,ス
ル ブ 語 を 含 む グ ル ー プ と,北
→ レ フ 諸 語)の2つ 語 は,9∼10世
で あ る(こ 18世
ラ ブ語 派
究 者 に よ っ て は,こ
レ ヒ タ 諸 方 言 グ ル ー プ(Lekhitic
分 か れ た,こ
の 方 言 群 に 区 分 す る.ポ 紀 に,こ
ロ
る 主 な 特 徴 に は,次
ー ラ ン ド語 の ほ か に, ラ ブ 語(Polabian
の よ う な も の が あ る(以
],/
下,イ
タ
ー マ ン体 は正 書 法 表
/付
き の 音 声 ・音 韻 は ロ
ー マ ン 体 で 表 記 す る). 口 蓋 化 に よ る 古 い 二 重 母 音*oi,*ai起
源
数,nom.):musze[〓]
の 変 化 は,ス
の グ ル ー プ に 属 し た チ ェ コ 語,ス
バ キ ア 語 と は 異 な る 発 達 を 遂 げ て,roT,loT,ま
ロ
た は,
な っ た. 雌 牛 」(cf.チ 泥 」(cf.チ
ェ コ 語krava),
ェ コ 語blato);ramie
[〓]「 肩 」,labedz[〓]「 一 方 ,南 の グ ル ー プ で は,raT,laTに
し た(例:ロ
の 位 置 で,い
シ ア 語〓
白鳥」 の み 変 わ っ た. わ ゆ る充 音 が 発 達
「雌 牛 」,〓
「沼 地 」).
1)鼻
母 音 の 保 存,
piec[〓]「5」(cf.チ 2)音
ェ コ 語pet)
節 主 音 の 鳴 音r,lの
「母 音 + 子 音 」 の 結 合 へ
の 変 化, う な じ 」,wilk[〓]「
狼 」(cf.
チ ェ コ 語krk,vlk) 舌 硬 子 音(t,d,n,r,l,s,z)の
前での母音変
な ど が あ げ ら れ る.ま に 変 化 し た.
ラ ブ 語 の 全 グ ルー プで
た,チ
上 ソ ル ブ 語 に 生 じ た,ス 変 化 は,ポ
ェ コ 語,ス
ロ バ キ ア 語,
ラ ブ 祖 語 の 子 音gのhへ
ー ラ ン ド語(と
下 ソ ル ブ 語)に
の
は 生 ぜ ず,g
を 保 存 し た. だ し,kv,gv群
kwiat[〓]「
に お い て は,k,gが
残 っ た.
花 」,gwiazda[〓]「
一 方 ,東 と南 の グ ル ー プ で は,k→c,g→dzへ
星」 の 変化
が 生 じた.
gora[gura]「
ラ ブ 祖 語 のtl,dl群
の 保 存.
2)全 な っ
の よ う な も の が あ る.ま
長 の 差 が 消 失 し,母
ず,母
音p′,b′m′,v′
音 で は,
音 の長 さが音 韻 的 に 役 割
3)す
歴 史 を 通 じ て,鼻
音 音 素 を保 ち 続 け た.
で に レ ヒ タ 方 言 群 の 時 代 に み られ た 前 舌 硬 子
音 の 前 で の 母 音 変 異 が さ ら に 進 み,そ
た. 4)pl,bl,ml,vlの,軟
ェコ
を 果 た さ な くな っ た.
彼 ら は 編 ん だ 」,mydlo[〓]
純 化 さ れ てlに
足 」(cf.チ
ポ ー ラ ン ド語 史 の 中 で 生 じ た 音 声 体 系 の 変 化 の 主 な
1)音
「石 け ん 」 と 南 の グ ル ー プ で は,単
山 」,noga[noga]「
語hora,noha)
も の に は,次
pletli[〓]「
純 化.
変化 で
異,
生 じ た.
一 方 ,東
ー ラ ン ド語 は ,南
3)前
の 変 化.
(単 数,dat.)「 はえ」 一 方 ,東 と南 の グ ル ー プ で は,xはs′
3)ス
ラ ブ 祖 語 の 語 頭 音 結 合orT,olTの
kark[〓]「
直 前 で の,xのsへ
mucha[〓](単
いで後 ろ
ス ラブ グ ル ー プの 中の 北 の グ ル ー プ に属 す る ポ
language) 東 の グ ル ー プ で は,こ 諸
ポー ラ ン
節 に,つ
レ ヒ タ 方 言 群 に 属 す る 根 拠 と な る 特 徴 と し て は,
リ ッ ク 体 は 音 声 ・音 韻 表 記 を,ロ だ し,[
な お,ス
じ め 第1音
目 の 音 節 に 固 定 し た.
bloto[〓]「
ポ ー ラ ン ド語 が 西 ス ラ ブ グ ル ー プ に 属 す る 根 拠 と な
2)た
ク セ ン トの 一 定 の 音 節 へ の 固 定―
krowa[〓]「
方 言 な ど が 属 し て い た).
k→c,g→dzへ
6)ア
の グ ル ー プ で は,
れ ぞ れ 異 な る 変 化 を 遂 げ た.
ド語 の ア ク セ ン トは,は
ー ラン ド
の グル ー プ で生 き残 って い る唯 一 の 言 語
夜 」
の グ ル ー プ で はc,zに,南
raT,laTと
group;
お よ び 中 世 の ポ モ ジ ェ 族(Pomeranian)の
1)第2次
,東
言 語 に よ っ て,そ
の レヒ タ諸 方 言 グル ー プ か ら
紀 に 最 終 的 に 死 滅 し た,ポ
のe,iの
一方
の 発 達.
ろ う そ く」,miedza[〓]
「畝 」,noc[〓]「
は,西
のい わ ゆ る
dialects
の グ ル ー プ に は,ポ
記 を 示 す.た
ルブ リ
よびkt′,gt′)のc,dzへ
か ら 数 え て2番
話 し手 を もつ .
バ キ ア 語,ソ
滴 」,Lublin[〓]「
swieca[〓]「
イ
人 の ポ ー ラ ン ド人 の 母 語 で あ る.
ロ シ ア,ウ
5)tj,dj(お
メ リカ合
ラ ン ス,ド
ロ バ キ ア 北 部 の チ ェ シー ン(Cesky,Tesin)地
[系
ー ラ
ン(地 名)」
[分 布 ・人 口]
邦 の,白
土」
保 存 し た.ポ
干 の 保 存 例 が み ら れ る.
kropla[〓]「
独Polnisch,露〓
衆 国,カ
私 は 買 う 」,ziemia[〓]「
と 南 の グ ル ー プ で は,lを
への単
′ e,お た.
よ び,′o:′e,ar:′erの
の 結 果,′a:
異 形 交替 が現 わ れ
wiara[〓](単
数,nom.):wierze[〓]
(単 数,dat.)「
m[m],n[n],n[n],l[u],l[l],r[r],j[i](以
信 仰 」(< ス ラ ブ 祖 語*vera:*vere)
lato[〓]「
夏 」:wlecie[〓]「
niose[〓]「
夏 に」
こ の よ う に,ポ ー ラ ン ド語 は,ほ か の 西 ス ラ ブ 諸 語 同
私 が 運 ぶ 」:niesiesz[〓]「
君
が 運 ぶ」 twardy[〓]「
固 い 」:twierdzic[〓]
様,ラ
テ ン文 字 を 用 い て い る.し
は,ラ
テ ン文 字 の 数 で は 表 わ し き れ な い 音 の ス ト ッ ク
を も つ た め に,補
「断 言 す る 」
に2文
ポ ー ラ ン ド語 の 母 音体 系 は,長 い 間 の 変 化 の の ち に,
そ の 一 方,母
す.一
消 失 に よ っ て,そ
れ
ま で 存 在 し な か っ た 大 量 の 子 音 群 を 発 生 さ せ た.イ
ェ
ル と は,古
い 短 母 音i,u起
の 弱 化 母 音 で あ る.〓 ぶ.語
源 の,〓,〓
を 軟 イ ェ ル,〓
中 に イ ェ ル が あ る と,そ
し くは 強 位 置(弱
い ず れ か に あ り,1000年
充 母 音 のeに
変 わ り(そ
口 蓋 化 を 受 け た),一 *〓
方,弱
>pies[〓]「
の 」;*〓
の 際,軟
頃,強
イ ェル は
イ ェル の 前 の子 音 は
イ ェ ル は 消 失 し た(例:
犬」 ,*〓
>sen[〓]「
犬
>sna[〓]
のc,dz,s,zへ
経 てz(綴
し い 音 素f,f′
字 はrz)へ
の 進 化,
の 発 生,
の 前 に の み 現 わ れ る 音x′
の 発 生,子
喪 失 と 唇 の み の 調 音 へ の,す
の 発 生,音 音lの
素i
歯閉鎖の
ど も 起 こ っ た.
ア ク セ ン トは,か の よ う に,14∼15世 ろ か ら 数 え て2番
[文 字 と 音]
紀 に 語 の 第1音
節 に,そ
述
の 後,後
目 の 音 節 に ス ト レ ス を お く,強
e[e],a[o](以
借 りた が ゆ え の,自
さの
ポ ー ラ ン ド語 は,次
の文 字 を もつ
― ラ ン ド式 音 声 転 写 で 発 音 を 示 す).
上,口 上,鼻
語 へ の 適 用 上 の 困 難 が 多 く,確
大 戦 後,改 行).こ
訂 が加 え られ た も
の 正 書 法 に は,ポ ー ラ ン
の 音 と同 一 に 発音 され る に至
一 の音 を複
つ て の 短 鼻 母 音 で,口
へ 移 っ た 鼻 母 音 は,今 か わ ら ず,古
いaの
た,同 と え ば,
調 音 の 音 色 がoの
日,[o]と
文 字 が 残 っ た.
ス カ を 付 け て,oと uと
紀 に は 音 素uと
日,
お,oと
書か
れ る. つ て,無 声:有
h[γ]が,共 [x]と 4)か
声 の 対 立 を も っ て い たch[x]:
通 語 で は 対 立 を 失 い,と
発 音 さ れ て い る が,両 つ て は,rの
で は,ふ
も に,無
声音
表 記 が 残 っ て い る.
摩 擦 ふ る え 音 で あ っ た が,現
在
るえ が 失 わ れ て 歯 茎 の摩 擦 だ け が 残 った ま っ た く同 一 の 発 音 を も つ が,異
なる
表 記 を 残 し て い る. 5)か
つ て は 前 舌 歯 音 のlで
[z];cz[c],dz[dz];s[s],z[z];c[c],dz[dz];k
節 副 音 の[u]に い る,な
声 音 の み).
クレ
書 き表 わ さ れ た)は,今
ま っ た く 同 じ 発 音 で あ る が,な
rzは,zと
上 ・ 無 声 ・有 声 が 対 応 す る も の).
方向
発音 され る に もか
つ て の 長 母 音 の 痕 跡 で,16世
[k],g[g](以
上,無
ー ラ ン ド学 士 院 の 手 で 統
発 音 と の 間 に 不 一 致 が み ら れ る.ま
母 音).
d[d];s[s],z[z];c[c],dz[dz];sz[s],z[z],rz
立
在 の 正 書 法 は,1918
字 と実 際 の
母 音).
子 音 を 表 わ す 文 字:p[p],b[b];f[f],w[v];t[t],
ch[x],h[x](以
テ ン ア ル フ ァ ベ ッ トを
っ た 音 声 を 表 わ す 文 字 が 残 さ れ て お り,文
3)か
母 音 を 表 わ す 文 字:i[i],y[y],e[e],a[a],o[o], u[u],o[u](以
尻 尾 」)〓 は,鼻
同 じ も の と し て 扱 わ れ 始 め た 閉 母 音o(oに
つ て の 移 動 ア ク セ ン トか ら,前
ア ク セ ン ト に 変 わ っ た.
([ ]内 に は,ポ
aの 文 字 の 下 の オ ゴ ネ ク(ogonek「
2)か
な わ ち,音 節 副 音 のuへ
よ う に,
字 と ク ロ プ カ で も表 わ す),e,
音 性 を 表 わ す.
1)か
立 し た 音 素 と し て のk′,g′
は,歯
か し,sz,cz,rz,dzの
る い は,2文
数 の 表 記 で 表 わ す こ と が あ る.た
が あ げ ら れ る.
の 変 化,な
2文 字,あ
ド語 の 発 達 の 過 程 で,他
硬 音 化,
3)rの,rz,rzを
ま た,独
茎 音 性 を 表 わ し(し
の で あ る(1956年,施
り完 全 な 口 蓋 化,
2)c,dz,c,dz,s,zの
4)新
文 字 の 上 の ク ロ プ カ(kropka)・
一 さ れ た も の に ,第2次
蓋 音 の 発 生 と,t′,d′,s′,z′
の,よ
ま た,z,dzの
馬」
女の 方 」(単 数,
年 の ポ ー ラ ン ド独 立 後 に,ポ
子 音 体 系 の 変 化 で は,
字iと
馬 」(単 数,nom.):konie[kone]「
す る ま で に 長 い 時 間 を 要 し た.現
「(古 ポ)夢 の 」).
1)口
kon[kon]「
ポ ー ラ ン ド語 の 正 書 法 は,ラ
>psa[〓]「
夢 」,*〓
音 性 を 表 わ す.
つ て存 在 した狭 め を表 わ
音 に 先 行 す る 子 音 の 軟 音 性 は,文
(複 数,nom.),pani[pani]「
位 置 の イ ェル の あ る音 節 に 先行 す る
音 節 中 で)の
方,母
nom.)
位 置(語 末,
を表 わす の
の 結 合 で 表 わ さ れ る.
を硬 イ ェル と よ
れ ら は,弱
は,軟
ク レ ス カ は,か
で 示 さ れ る2つ
あ る い は,充 母 音 を も っ た 音 節 に 先 行 す る 音 節 中 で),も
ー ラ ン ド語
助 記 号 を 用 い た り,1音
文 字 の 上 の ク レ ス カ(kreska)′ し か し,oの
音 変 異 が 一 連 の 口 蓋 音 音 素 を 発 生 さ せ,
か し,ポ
字 を 組 み 合 わ せ た り し て い る.s,z,c,dz,nの,
今 日 の ご くわ ず か な 音 素 か ら な る 体 系 に 帰 着 した が,
歴 史 初 期 に 生 じ た イ ェ ル(jer)の
上,
有 声 音 の み).
あ っ た が,今
発 音 さ れ て い るlの
日で は音
文 字 が残 っ て
ど.
ポ ー ラ ン ド語 は,先
に 述 べ た と お り,母
音の数がわ
ず か で あ る の に 対 し,子
音 の 数 が 多 い こ と,ま
構 造 に お け る 子 音 の 数 量 的 優 位,2∼5個
た,語
<表1>ポ
の子 音 か ら
な る 子 音 群 の 多 い こ と を 特 徴 と す る.多 音 節 語 が 多 い. ア ク セ ン ト は,外
ず れ も境 界 表 示 機 能 を 担 う.ア
あ る 音 節 は,他
〈硬 子 音 〉 唇
則 と して後 ろ
目 の 音 節 に ア ク セ ン トを も ち(paroxytone
accent),い
ー ラ ン ド語 の 子 音 と母 音 の 体 系
音》
来 語 の 一 部 が 後 ろ か ら 数 え て3番
目 の 音 節 に ア ク セ ン トを も つ ほ か は,原 か ら2番
《子
歯(茎)
歯茎 後部 硬 軟 硬 口蓋 歯茎 口蓋 口蓋
破裂音
ク セ ン トの
よ り い く ら か 長 め に 発 音 さ れ る が,他
破擦音
の 音 節 が 長 く発 音 さ れ る 場 合 も あ る. 母 音 の 長 短 は,語
音 韻 体 系 に つ い て は,表1を 音 素 目 録 に つ い て は,見 シ ェ ビ ッ チ(Zenon
参 照 さ れ た い.
解 の 差 が 大 き い.ク
Klemensiewicz)に
レメ ン
よ れ ば,母
音 素 は,i,y,e,a,o,uの6つ eの2つ
独 立 し た 音 素 で は な く,硬
か し,yに
つ い て は,
子音 の あ とに のみ 現 わ れ る
iの バ リ ア ン ト と 見 な さ れ る こ と が 多 か っ た.ま 鼻 母 音 に つ い て も,oは と と ら え る 立 場,鼻
独 立 し た 音 素,eは
ン ド語 の 鼻 母 音 が,音
れ は,ポ
た,摩
母 音 +鼻
母 音 が 実 現 さ れ る の は,摩
の 前 の 位 置 と 末 尾 音 に お い て の み(し
か も,eは
擦 音f,v,s,z,s,z,xの 前の
「母 音 +m」
擦音
前 の 「母
の 結 合 が,く
子 音 音 素 に つ い て も 考 え 方 に 差 が あ り,た 統 的 に 音 素iの
多 か っ た.口
破擦音 摩擦 音 鼻 流
音 音
随意
だけ
た 発 音 で は 鼻 母 音 と し て 実 現 さ れ る こ と な ど に よ る.
は,伝
〈軟 子音 〉
ーラ
声 的 に は 口共 鳴 の あ とに 鼻共 鳴
あ る こ と,鼻
半 母音
随意 音 素
が 遅 れ を 伴 っ て 付 け 加 わ る 非 同 時 的 発 音(口
音 +n」,fとvの
音 音
破裂音
た,
母 音 全 体 を 二 重 母 音 結 合 と考 え,
2音 素 の 実 現 と と ら え る 立 場 も あ る.こ
的)で あ り,ま
音
鼻 流
の 口 母 音 音 素 と,o,
の 鼻 母 音 音 素 を も つ.し
子 音)で
摩擦音
の 意 味 の 区 別 に 関 与 し な い.
半母音 《母
音》
〈口 母 音〉
〈鼻 母 音 〉
と え ば,i
結 合 変 異 体 と見 な され る こ とが
蓋 化 唇 音p′,b′,m′,f′,v′
に つ い て は,
口 蓋 化 歯(茎)音z′,s′,dz′,c′,d′,t′,l′,r′,口
蓋化 注:1)〔
後 部 歯 茎 音z′,s′,dz′,c′ が,あ い は/i/に
と に 続 く音 素/i/あ
条 件 づ け ら れ た 歯(茎)音
d,t,l,r,お
よ び,後
る
音 素z,s,dz,c,
部 歯 茎 音 音 素z,s,dz,cの
〕内 は,他 の 音 素 の バ リ ア ン ト(異 音). 号 は,ポ
ー ラ ン ド式 音 声 転 写 に よ る.そ
の う ち,IPAと バ リ
ア ン トで あ る よ う に,唇
音 音 素 の バ リ ア ン ト とす る 立
場 が あ る.ま
独 立 した音 素 とす る考 え方 も
た,[〓]を
2)記
る(=の
異 な る 記号 は 次 の とお りで あ
右 側 が,ⅠPAの
表 記).
あ る. 形 態 論 体 系 に お け る 役 割 の 点 か ら,子
音 は,次
の3
種 に 分 類 さ れ る. 1)硬
(口蓋 化 を 表 わ す)
子 音:p,b,m,f,v,t,d,s,z,n,u,
r,k,g,x 2)機
能 的 軟 子 音(音
声 学 的 に は 硬 子 音 で あ る が,
な お,n(歯 形 態 論体 系 の 中 で は 軟 子 音 と同 じ機 能 を 果 たす も
茎 硬 口蓋 鼻 音)に 対 応 す るIPAの
記 号 は な い.
の で,硬 子 音 の 口 蓋 化 を ひ き 起 こ す 形 態 素 の 前 で, 硬 子 音k,g,x,r,t,d,s,z,uの
交替 音 と
し て 現 わ れ る もの):c,dz,c,dz,s,z,l 3)軟
子 音:p′,b′,m′,f′,v′,k′,g′,x′;s,z,c,
dz,n,i
ポ ー ラ ン ド語 で は,次 の よ う な作 用 に よ って,音 韻 対 立 が 中和 を受 け る. 1)末
尾音 の有 声 音 は,有 声 性 を消 失 し,無 声 音 に
な る.
chleb[〓]「 2)語
パ ン」,staw[〓]「
中 で も,有
か,軟 語 幹 名 詞 か).
池 」
声 音 と 無 声 音 が 連 続 す る と き,先
行 音 は 後 続 音 に 同 化 す る.た 音 の と き,rzとwに
だ し,後
限 り,先
性 のカ テ ゴ リー は,統 語関 係 の一 致 に よ って,主 語
続 音 が有 声
と述 語 の間 の関 係,名 詞 群 の主 成 分 とそ の 限 定 辞 の 間 の関 係 を示 す.
行 音 に 同 化 し,無
例1)brat‐
声 化 す る. loz ko[〓]「
ベ ッ ド」,prosba[〓]「
た
φczyta‐l(主 語 ・ 男 人 名詞 単数 主 格‐述
語動詞 ・ 男 性3人 称単 数 過 去)「 兄(弟)が 読 ん で い
の み 」,trzy[〓]「3」,sweter[〓]
た」
「セ ー タ ー 」
siostr‐aczyta‐l‐a(主 語 ・女 性 名詞 単数 主 格‐述
3)ス
ー 音(s,z,c,dz),シ
語動詞 ・ 女 性3人 称単 数 過 去)「 姉(妹)が 読 ん で い
ュ ー 音(s,z,c,dz),
さ さや き 音(s,z,c,dz)の
た」
系列 の 子 音 か ら な る
音 群 で は,調
音 場 所 の 点 で の 同 化 作 用 が 生 じ る.
dzieck‐oczyta‐l‐o(主 語 ・中性 名 詞 単 数 主 格‐述
ssac[〓]「
吸 う 」:ssie[〓](ssacの3人
語 動 詞 ・中性3人 称単 数 過 去)「子 供 が 読 ん で い た」
在 単 数),zrzucac[〓]「 [形
態]
称現
例2)ten‐
投 げ 出す 」
ポ ー ラ ン ド語 は,豊
か な り保 守 的 な 言 語 で あ る.曲
用(格 変 化)に は,屈
語 尾 を 用 い た 総 合 的 屈 折 が 現 わ れ,活
用 に は,総
名 詞 類 の 曲 用 に は,数,性,格 詞 の 活 用 に は,人 が,そ
し て,い
か わ る.動
制,態,法
くつ か の 形 で は,性
詞 で は,ま
年 は」 t‐amal‐asiostr‐a,ktor‐a…(指
述).
た,体(ア
女 性 単 数 主 格)「 … と ころ のそ の 幼 い 妹 は 」
の カ テ ゴ リー
t‐omal‐edzieck‐o,ktor‐e…(指
の カ テ ゴ リー が か
ス ペ ク ト)も 重 要 な 役
中性 単 数 主 格)「 … と ころ のそ の幼 い 子 供 は 」 ポー ラ ン ド語 で は,少 な く とも,次 の5ク
詞類 の 曲 用
曲 用 パ ラ ダ イ ム に は,単
数,複
数 そ れ ぞ れ に,次
の
誰 が 」,co?「
2)kogo?「
何 が 」 に 答 え る主 格(nom.)
誰 の 」,czego?「
何 の 」 に 答 え る生格
3)komu?「
誰 に 」,czemu?「
何 に 」 に 答 え る与 格
性 不 活 動体(男 性 名 詞 で 人 間 と動 物
以 外 の も の を意 味 す る名 詞),中
性(中 性 名 詞),女
性
男 性 の人 間 を意 味 す る名 詞 は,普 通 名 詞 も固 有名 詞 も, 形 態 的 特 徴 い か ん に か か わ らず 男 性 人 間 性 で あ り(た
(dat.) 4)kogo?「
誰 を 」,co?「 何 を 」 に 答 え る 対 格(acc.)
5)zkim?「
誰 と」,czym?「
何 で」 に 答 え る造 格
(instr.) 誰 に つ い て 」,wkim?「
wczym?「
誰(の
何 の 中 に 」 に 答 え る 前 置 格(loc.)
ポ ー ラ ン ド語 で は,文 に 具 現 さ れ る.た
sierota,ta
法 カテ ゴ リー は 屈 折 語 尾 の 中
だ し,呼
と見 な さ れ て い る が,実
格 は,伝
際 に は,統
詞 型,代
タ イ プ を 区 別 す る.名
名 詞 型,数
統 的 に,格
の1つ
語 関 係 外 の 訴 えか
の カ テ ゴ リー を,そ
詞 型,形
容 詞 型 の4
詞 型 曲用 の 語 尾 は格 と数 の カ テ
数 の み,複
容 詞 型 の 語 尾 は 格 と 数 と性
れ ぞ れ 同 時 に 表 現 す る(た だ し,名
と し て,性
niedolega
ま る(一層 の 強 意 の た め に,こ の 原 則 を は ずれ る こ と も
も,ふ つ うは 女 性 で あ る(た だ し,女性 を限 定 す る語 と して,た
とえ ば,inzynier「
技 師 」,profesor「 教 授 」
な ど,職 業 の 類 を意 味 す る名前 の よ う に,男性
と,名
折 語 幹 末 尾 音 の 音 韻 構 造 に よ っ て 決 ま る(硬
人 間名
物 の種 を 表 わ す名 詞
の 性 は,男 性 活動 体 で もあ れ ば女 性 で もあ り う る.雌 雄 を表 わ す 名 称 の文 法 性 は,自 然 性 に従 う.生 命 を も た な い 事物 に も,男性 活 動体 を もつ ものが あ る(貨 幣 単 位,き の こ,ダ ンス の 名 称 な ど).若 い 動 物 の名 は,中 性 の こ とが 多 い.男 性 人 間 と男性 活 動 体 以 外 の 名 詞 の 性 は,お お む ね 単 数 主格 の形 で 決 め る ことが で き る(硬
数 の み の 名 詞 が あ る).
名 詞 の 曲 用 の タ イ プ は,主
niedolega,ta
「あ のの ろま 」)の文 法性 は,自 然 性 に よ って決
詞 が 用 い られ る こ と もあ る).動
名 詞 型 と集 合 数 詞 の 語 尾 は 格 の み を,数
詞 型 の 語 尾 は 格 と 性 を,形
sierota「 そ の 孤 児 」)
あ る).女 性 の 固有 名 詞 は 女性,女 性 を表 わ す 普 通 名 詞
け 機 能 の た め に 用 い ら れ る 形 で あ る.
ゴ リー を,代
る両 性 名 詞(例:ten
中)に 」,
び か け に 用 い られ る 呼 格(voc.)
曲 用 は,名
だ し,強 意 語 の‐iskoに 終 わ る指 大 形 は 中 性),い わ ゆ
と,語 尾‐aを もつ 強 意 語(例:ten
6)okim?「
詞 に は,単
意 味 す る名 詞),男
性活 動 体(男 性 名 詞 で 動 物 を
(女性 名 詞)で あ る.性 は,名 詞 の意 味 に も左 右 され る.
(gen.)
7)呼
ラス の名
詞 の性 を 区別 で き る.す な わ ち,男 性 人 間(男 性 名 詞 で 人 間 を意 味 す る名 詞),男
7格 が あ る. 1)kto?「
代 ・中 性 単 数
主 格‐形 ・中性 単 数 主格‐中性 名 詞 単 数 主 格‐関 代 ・
割 を 果 た す. Ⅰ)名
代 ・女 性 単 数
主 格‐形 ・女 性 単 数 主 格‐女性 名 詞 単 数 主 格‐関 代 ・
の カ テ ゴ リー が,動
称,数,時
代・
格‐関 代 ・男性 単 数 主格)「 … と ころ の そ の 幼 い少
折 合的
屈 折 と 分 析 的 屈 折 と が 現 わ れ る(く わ し くは,後
φmal‐ychlopiec‐ φ,ktor‐y…(指
男性 単 数 主 格‐形 ・男 性 単 数主 格‐男 人 名 詞 単 数 主
か な 屈 折 を も つ,
詞 の屈 語幹名詞
子 音 お よびdzとjに ‐ umに
終 わ る名 詞 は 男 性,‐o,‐e,‐e,
終 わ る 名 詞 は 中 性,‐a,‐iに
終 わ る名 詞 は 女
性).軟
子 音,あ るい は,dzを
sz,rz,z,cz,dz,l)お
除 く機 能 的軟 子 音(c,
よび,wに
<表2>名
終 わ る名 詞 は,男
性 も し くは 女 性 で あ る. 男 性 人 間 名 詞 の特 徴 は,単 数,複 数 の両 方 で の対 格 と生 格 の融 合,複 数 主 格 の語 尾‐owieも
数 格
で あ る(一 部 の 軟 語 幹 ・ 機 能 的 軟 語 幹 名 詞 を 除 く).
と主格 の 融 合,単 数 生格 で語 尾‐uが 可 能 で あ る こ と
数 造
=生
対
を 特 徴 とす る.中 性 名 詞 は,単,複 主格,対 格,呼
不活動体
中 性
女
性
与
と もに対 格
性不 活 動 体 名 詞 は,単,複
活動体
生 単
融 合 で あ る(複 数 で は,不 活 動 体 名 詞 と同 じ く,対 格 と 主格 の 融 合).男
性
人間
男
主
し く は′‐i/‐y
男 性 活 動体 名 詞 の特 徴 は,単 数 に お け る対 格 と生格 の
詞 曲用 の 語 尾
両方 の数 に お け る
=主
=与
前
格 の融 合(語 尾 は,単 数 で‐o,‐e,‐e,
複 数 で‐a),単 数 与 格 で 常 に語 尾‐uを と る こ と を特 徴
=主
呼
とす る.女 性 名 詞 は,単 数与 格 と前 置格 に特 有 の 融 合 が 現 わ れ,ま た,特 有 の 単数 屈 折 語 尾 を もつ.‐aに 終
主
わ る男 性 人 間 名 詞 と女 性 名詞 との間 の 対立 は,単 数 で は 全 面 的 に 中和 され,‐aに
終 わ る男 性 人 間 名 詞 単 数
は,女 性 名 詞 と同 じ変 化 をす る.ま た,軟 語 幹 男 性 不 活 動 体 名 詞(例:lisc「
木 の 葉」)とkosc「
生 複
骨 」 タイ プ
が 全 面 的 に 中和 され,す べ て の性 で 同 一 の 語 尾 を と る. 名 詞 型 代 名 詞 は,kto「
=生
対
の 女 性 名 詞 の 対 立 は,単 数主 格 と対 格 で は 中 和 され る. 一 方,複 数 名 詞 の 与 格,造 格,前 置 格 で は,性 の 対 立
与
数
=主
造 前
誰 が?」,nikt「 誰 も ∼ で な
い 」(以上,男 性 人 間 単 数),co「
何 が?」,nic「 何 も∼
=主
呼
ない 」(以上,中 性 単 数)の よ うに決 ま った 性 を もつ か, 人 称 代 名 詞 の うち のja「 私 は 」,ty「 君 は」,my「 た ち は」,wy「
私
君 た ちは 」,お よび,再 帰 代 名 詞(主 格
な し,生 格siebie,与
・前 置 格sobie,対
格siebie,
sie〔動 詞 に 支 配 され る ときの み〕,造格soba)の
よう
主 格:‐ φ(す べ て の 男 性),‐o(中 性),‐e(中
性 ・男 人),‐e(中
性)
生 格:‐a(す
べ て の 男 人,2語
を 除 く男 性 活 動 体,
あ る 種 の 男 性 不 活 動 体,す
べ て の 中 性),‐u(一
に性 の カ テ ゴ リー を もた な い.
部 を 除 く男 性 不 活 動 体,男
性 活 動 体 のwol「
動 詞(過 去 形 と合 成 未 来 に は,性 の カテ ゴ リー が 現 わ
牛 」bawol「
れ る),形 容 詞(形 容 詞 型 代 名詞,序 数 詞,統 語 機 能 と 形 容 詞 屈 折 を もっ た他 の数 詞 〔jeden,jedna,jedno; jedni,jedne「1」
〕を含 む),お よび,基 数 詞 は,こ れ
ら を支 配す る名 詞 の 性 に一 致 した文 法 性 を と る.し か し,文 の 主 語 あ る い は名 詞 群 の 主 成 分 が文 法 性 の な い 表現 や 数 詞 的 表現 で あ る とき には,述 語(形 容詞 の属 辞)は,中 性 形 を とる.無 主 語 文 で も,述 語 の動 詞 は 中
与 格:‐owi(男 主 に1音
性 の ほ と ん ど),‐u(す
性 人 間 と 男 性 活 動 体 で=生,男
造 格:す
べ て の 男 性 と 中 性 で,‐em(k,gの
前 置 格:す
べ て の 男 性 と 中 性 で,‐′e(k,g,ch/h
機 能 的 軟 語 幹,dom「
格)と 対 格 に のみ 現 わ れ,他 の格 で は,
屈 折 語 尾 に よって は 性 の対 立 は示 され ない.
単 数 に は,2系
列 の語 尾 が 現 わ れ る(表2を
参照).
第1系 列)男 性 名 詞(男 性 の す べ て の カ テ ゴ リー を 含 む)と 中 性名 詞 に特 有 の 語尾
幹,軟
語 幹,
家 」〔nom.〕 →domu〔loc.〕
の よ う な 若 干 の 男 性 の 例 外) 呼 格:男
性 で は ほ と ん ど = 前 置.chlopiec「
(nom.)→chlopcze(voc.)の わ る 男 性 人 間 は‐(cz)e,Bog「
名 詞 の曲 用 タ イ プ へ の分 類 は,単 数 と複 数 で異 な る.
あ と
で は,‐′em)
つ 語 の複 数 形 で は,き わ めて 大 きな 融 合 が み られ る.
は,主 格(=呼
性不活動
体 と 中 性 で=主
を 除 く硬 語 幹),‐u(k,g,ch/h語
の対 立 が 現 わ れ るのみ で あ る.形 容 詞 で は,こ の 対 立
べ て の 中 性,
節 の 若 干 の 男 性)
対 格:男
性形 を とる.こ れ ら,屈 折 カ テ ゴ リー と して の 性 を も
動 詞 と形 容 詞 で は,「 男 性 人 間 性」 と 「そ れ 以外 の 性」
雄
水 牛 」 の2語)
Boze(voc.)の
少年」
よ う に‐ecに
終
神 」(nom.)→
よ う な 若 干 の 例 外,中
性ではす
べ て= 主 格 (な お,ラ
テ ン 語 か ら と り入 れ ら れ た‐umに
わ る 中 性 名 詞 〔archiwum,muzeumな
終
ど〕は,
か か わ り な く,全 名 詞 に 共 通 で あ る ほ か は,そ れ ぞ れ の
単数 で は全 格 に わ た っ て無 変 化) 第2系 列)女 性 名 詞 に特 有 の語 尾
屈 折 形 で 異 な る い くつ か の 語 尾 が 並 行 し て 現 わ れ る.
主 格:‐a(‐aに 終 わ る男 性 人 間 名 詞 も,女 性 変 化
ど れ を 選 ぶ か は,主
と し て,名
を す る),‐φ,‐i,(‐o)(‐oに 終 わ り,人 間 の姓
の 末 尾 音 に よ っ て 決 ま る.ま
を意 味 す る 男性 人 間名 詞 も,女 性 変 化 を す る)
の 要 因 も 関 係 す る.
生 格:‐y(k,gを
除 く硬 語 幹 とlを 除 く機 能 的 軟
語 幹 の と き)あ るい は‐i(軟 子 音 に終 わ る女 性 名 詞 と,k,g,l語
幹 の 名詞 の と き)
1)kto「
態 論 上,語
の と お り で あ る.
φ(子音 に終 わ る女 性 名 詞 の
・前 置kim;主
co,生czego,与czemu,対co,造 2)人
るい は‐y(機 能 的軟 語 幹 の と き) 対格:‐e(母 音 に終 わ る名 詞 の と き.た だ し,pani
称 代 名 詞:ja「
・前 置czym)
私 は 」,ty「
君 は 」(主ja,生
mnie,mie,与mnie,mi,対mnie,mie,造 mna,前
置mnie,呼
格 な し;主
・呼ty,生cie‐
bie,cie,与tobie,ci,対ciebie,cie,造toba,
と き.=主)
前 置tobie)
造格:‐a
再 帰 代 名 詞(主
前 置格:=与 呼格:‐o(‐aに 終 わ る名 詞 の とき),‐i(‐i,軟子 音
格 な し,生siebie,与sobie,
対siebie,sie,造soba,前
置sobie,呼
に終 わ る 女 性 名 詞 の とき)あ るい は‐y(機 能 的
強 調 す る と き,文
軟 子 音 に終 わ る女 性 名 詞 の と き),‐u(‐aに終 わ
mnie,ciebie,siebie)を,動
る軟 ・ 機 能的 軟 語 幹 の女 性 名 詞 の 愛 称形 の とき) 複 数 名 詞 の屈 折 に は,基 本 的 に,た だ1つ の パ ラ ダ
に は,短 3)人
い 形(例:mie,cie,sie)を
称 代 名 詞:my「
用 い る.
私 た ち は 」,wy「
が 現 わ れ る のは,主 格(=呼
前 置nas,呼
格),生 格,お よび対 格(男
形 を とる)に だ け で あ るか らで あ る.複 数 名 詞 の語 尾 は,次 の よ うに な る.
格 な し;主
置was).こ
族 の 成 員,身 分,称 号 を表
わ す硬 ・軟 語 幹 男 性人 間),‐′iあるい は‐y(硬 語 幹 男性 人 間),‐yあ
る いは‐i(男 性 人 間以 外
の硬 語 幹 男 性,同 女 性),‐e(軟
の グル
格 の 補 充 形 が 特 徴 と な っ て い る.
形 容 詞 型 曲 用 に は,男
主 格=呼 格:‐owie(家
あな た た ち
・呼wy,生was,与
wam,対was,造wami,前 ー プ は,斜
い 形(例:
詞 に支 配 され る と き
イ ム しか ない と言 っ て よい.な ぜ な ら,性 に よる差 異
性 人 間 で は生 格 形 と,他 の名 詞 で は主 格形 と融 合 した
格 な し).
頭 に お く と き に は,長
は 」(主my,生nas,与nam,対nas,造nami,
性 単数 主格 の 語 尾 に 現 わ れ る
差 異‐ φ:‐y/‐iに 基 づ く2つ
の バ リ ア ン トが あ る.ま
ず,‐ φ の グ ル ー プ は, 所 有 代 名 詞:男 moje;男
・機 能 的 軟 語 幹
・単moj,女
人 ・複moi,男
・単moja,中
・単
人 以 外 ・複moje「
私
の全 男性 と女 性 の ほ と ん ど.機 能 的軟 子 音 に終
の 」,twoj,twoja,twoje;twoi,twoje「
君
わ るわず か な語 で‐y),‐a(す べ て の 中性)
の 」,swoj,swoja,swoje;swoi,swoje「
自分
生格:‐ow(‐owieに
終 わ るす べ て の 男性,硬 語 幹
自 身 の 」,nasz,nasza,nasze;nasi,nasze
の す べて の男 性,一 部 の機 能 的軟 語 幹 の 全 男 性,
「私 た ち の 」,wasz,wasza,wasze;wasi,
単 数 主 格 が‐umに
wasze「
終 わ る中 性),‐yあ るい は‐i
君 た ち の」
(軟 ・ 機 能 的 軟 語 幹 の 全 男 性,女 性 の多 く,同 中性
な お,所
の一 部),‐φ(母 音 に終 わ る女 性 名 詞 の ほ とん ど,
「彼 女 の,そ
中性 名詞 の ほ と ん ど)
所 有 名 詞 の 性 ・数 に か か わ り な く,単
対 格:男 性 人 間=生,そ
の 」,ich「
称jego「 彼(女)ら
彼 の,そ の,そ
一 の 形 し か もた
czyje「
誰の」
否 定 代 名 詞:zaden,zadna,zadne;zadni,za
幹・機 能 的 軟 語 幹 名 詞 に‐mi)
dne「
べ て の名 詞 にわ た って‐ach(一 部 の 語
の よ う に,中
に の み‐ech)
どれ も∼ ない」 性 単 数 主 格 で 語 尾‐eを
な お,‐a,‐oに 終 わ る 男性 人 間 名 詞 は,単 数 で は 第2
moje,twoje,swoje,nasze,wasze,czyje,zad‐
系列 の 変化(女 性 変化)を し,複 数 で は 男 性 人 間 名 詞変
ne)と,
化 をす る(混 合 変 化).
と る も の(例:
指 示 代 名 詞:ten,ta,to;ci,te「
以 上 か ら分 か る よ う に,複 数 与 格 の‐om,造 置格 の‐achの
語 尾 が,性,そ
の 」,jej
れ ら の 」 は,被
所 有 ・疑 問 代 名 詞:czyj,czyja,czyje;czyi,
の他 の全 性=主
造 格:す べ て の 名詞 に わた って‐ami(一 部 の軟 語
前 置格:す
有 代 名 詞 の3人
な い.
与 格:す べ て の 名 詞 に わ た っ て ‐om
‐ ami,前
彙論上
誰 が 」,co「 何 が 」 と,そ の 派 生 形(主kto,
生kogo,与komu,対kogo,造
与 格:‐′e(硬 語 幹 の とき),‐i(軟 語 幹 の とき)あ
1語 のみpania),‐
代 名 詞 型 曲 用 は,次
詞 の文 法 性 と屈 折 語 幹 た,形
格の
の他 の 特徴 に
こ の,そ
の,
あ の 」,tamten,tamta,tamto;tamci,tamte 「あ っ ち の 」,ow,owa,owo;owi,owe「
あ
の,そ
の」
〈表3〉 人 称 代 名 詞:on「
彼 は,そ
う け る),ona「
彼 女 は,そ
を う け る),ono「
形 容詞 型 曲 用 の 語 尾
れ は 」(男 性 単 数 名 詞 を
単
数
複
数
人
間
れ は 」(女性 単 数 名 詞
そ れ は 」(中 性 単 数 名 詞 を う け
る);oni「
彼 ら は 」(男
性 人 間複 数 名 詞 を う け
る),one「
彼 女 ら は,そ
れ ら は 」(男 性 人 間 以
男性
格
中性
女性 男 性
非 男性
主 ・呼
外 の 複 数 名 詞 を う け る)
生
基 数 詞:jeden,jedna,jedno;jedni,jedne
与
「1」 定 代 名 詞:sam,sama,samo;sami,same「 自 ら,ひ
∼
の よ う に,中 性 単 数 主 格 で 語 尾‐oを
と る も の(例:to,
tamto,owo,ono,jedno,samo)に 一 方
,‐y/‐iの
容 詞(例:硬
maly,mala,male;mali,male「
数 詞 型 曲 用 に も,格
安
下 の も の が 入 る.
を と る),お
よ び,5以
「2」:主
で あ る と こ ろ の 」,jaki,jaka,
格(男 性 人 間dwaj,男
女 性dwie),生
どん な」
格(男
性 と 男 性 非 人 間 ・中 性=主
「こ ん な 」
dwoma〔dwu〕,女
定 代 名 詞:kazdy,kazda,kazde「
お の お の の 」,
inny,inna,inne;inni,inne「
別 の」
「3」:主
「4」:主
」
形 容 詞 型 曲 用 の 屈 折 語 尾 は,表3の
と お りで あ る.
っ と も複 雑 な 屈 折 を も つon, 曲 用 を あ げ る と,次
の よ うに
な る.
格),造
niemu,mu),対 nie),造
格(onは
格(jemu,
格(男
ona:生
は,語
・与 格(jej,niej),対
格(nia),前
格(ja,nia),造
oni,one:生
格(ich,nich),与
対 格(oniは (nimi),前
格(im,nim),
に 用 い ら れ,ま 長 い 形 は,強
た,た
常 に前 置 詞 と と も
と え ば,jego,jemuの
よ うな
た は 文 頭 に お く と き に,
よ う な 短 い 形 は,動
詞 に支 配 され る
と き に 用 い る.
が 大 き く,実 際 に は,わ
り わ け 複 数 の)と 格 の 融 合
ず か な 数(11種)の
ら な る パ ラ ダ イ ム を 作 っ て い る.
格 以 外 の 全 格(男
尾‐u).た
だ し,造
と も に,語
格 で
尾‐oma
現 わ れ る. 性 人 間主 格 と して 生格 形 を用 い
基 数 詞 の 統 語 法 は,1∼4(お
屈 折語 尾 か
よ び,22,23,24;32,
え る 対 象 と の 性,数,格
以 上(22,23,24;32,33,34;…
の 一 致,5
を 除 く)は,数
え る対
象 が 複 数 生 格 を と る. 2以
上 の 基 数 詞 の,名
詞 お よ び 動 詞 と の 結 合 は,次
の よ う に な る. す な わ ち,主 czterejは
形 容 詞 型 屈 折 で は,性(と
〔 語 尾‐u〕),主
も,男
33,34;…)は,数
頭 にn‐ が あ る 形(niego,nie
調 す る と き,ま
ま た,go,muの
格
置 格(nich)
以 上 の 諸 形 の う ち,語
性 人 間=pieciu,sze
る こ と も で き る.
= 生 格,oneはje,nie),造
mu,nie,niej,nia,nich,nim)は
…;男
尾‐u(例:pieciu)と
ま た,2∼4で
格(男
格(czterema)
性 人 間 以 外:piec「5」,szesc
(例:piecioma)も
置 格(niej)
の 他cztery),
格),造
性 人 間 主 格 と 同 じ く,語
・前 置 格(nim)
・前
格(男 性 人 間=
格(czterem),対
格,他=主
sciu,siedmiu…
= 生 格,onoはje,
の 他trzy),生
格(trzema)
生 ・前 置 格(czterech),与
「5」 以 上:主
格,女
格(男 性 ・中 性
性 人 間czterej,そ
「6」,siedem「7」 格(jego,niego,go),与
格),造
格(trzem),対
格(男
性 人 間=生
短 語 形dwu〕), 性 人 間=生
格(男 性 人 間trzej,そ
生 格,他=主
第1の
ona,ono;oni,oneの
の屈 折 バ リ
性dwiema/dwoma)
置 格(trzech),与
序 数 詞:pierwszy,pierwsza,pierwsze;
補 充 法 が き わ 立 ち,も
容 詞 型 曲用
性 非 人 間 ・中 性dwa,
・前 置 格(dwoch〔
与 格(dwom〔dwu〕),対
指 示 代 名 詞:taki,taka,takie;tacy,takie
pierwsi,pierwsze「
述 の よ う に,形
上 の 基 数 詞 の,2つ
ア ン トが あ る.
疑 問 ・関 係 代 名 詞:ktory,ktora,ktore;ktorzy,
jakie;jacy,jakie「
と 性 の 融 合 が 目 立 つ.2∼4の
基 数 詞(基 数 詞 「1」 は,前
「高 い 」,軟 語 幹tani,tania,tanie;tani,tanie「
on,ono:生
=主
前 語幹
小 さ い 」,k,g語
ど の,∼
=生
造
幹wysoki,wysoka,wysokie;wysocy,wysokie
ktore「
=主
た は生
区 別 で き る.
グ ル ー プ に は,形
い 」)の ほ か に,以
=主,ま
対
と りで」
格 で は,男
性 人 間 形 のdwaj,trzej,
男 性 人 間 名 詞 複 数 主 格 と,男
男 性 ・中 性 形dwa,女 性 形trzyとczteryは,そ と結 合 し,動
詞 に も,同
性 形dwie,男
性人間以外の 性人間以外の全
れ ぞ れ の名 詞 の 複 数 主格 じ 数,性
を 要 求 す る.対
格で
は,男
性 人 間 形 は 名 詞 と と も に 複 数 生 格 形 を,そ
れ以
外 は 主 格 形 を と る. Dw‐ajpan‐owiesz‐li.「2人
の殿 方 が歩 い て い
った」
数 詞 は,前
tu
述 の よ う に,形
dwi‐e
ksiazk‐i.「 こ こ に 本 が2冊
あっ
た」
1)か
stoj‐a trzy
krzesl‐a.「
向 こ う に 椅 子 が3
脚 あ る」
つ て,格 の み で あ っ た と こ ろ に,「前 置 詞 + 格 」
の カ テ ゴ リー の 中 で,双
数 が 失 わ れ て(そ
れ
詞 の 双 数 形 も失 わ れ た),単
数
よ び,生
格 形 を 用 い た 場 合 の2
,3,
に 伴 い,形
4の 男 性 人 間 形 主 格 は,複
数 生 格 と結 合 す る .こ
の場
と複 数 の み に な っ た こ と.し
合 に は,述
語 の 動 詞 に も一 致 を 要 求 し,3人
称単数現
形 が,今
容 詞,動
日,reka「
在(過 去 と合 成 未 来 で は,そ
の 中 性 形)に な る(た だ し,
格rekoma,単
22,23,24;32,33,34;…
は,2,3,4と
数 主 ・対 格uszy,生
同 じ結 合 を
す る).
oko「
Przysz‐lopieckobiet‐
φ.「 女 性 が5人
やってき
か し,か
手 」 の 複 数 主 ・対 格rece,造
格uszu,造
目 」 の 複 数 主 ・対 格oczy,生
格oczyma;数
な ど に 例 外 的 に 残 っ て い る. の
一 方 ,生
格,与
格,造
格,前
置 格 で は,結
れ ぞ れ の 格 形 を と る.な
milion「100万
」 な ど,名
お,tysiac「1,000」,
い くつ か の 」,wiele「
の 」,pare「2,3の
」 な ど),数
多 くの 」 な ど)も,5以
た くさん
テ ゴ リー が,今 日 の5つ し か も,単
4)か
つ て,名
を 捨 て,今
日 の 形 容 詞 形 の も と に な る代 名 詞 的 格
出 し た こ と.い (=zdrowy「
dwoje「2」,troje「3」,czworo「4」,piecioro
加 え て,以
,
格・
下 の よ うな形 を
と る.
い 代 名 詞 を 付 加 し た)を 作 り
くつ か の 男 性 単 数 主 格 形zdrow
健 康 な 」),gotow(=gotowy「
準備
が で き て い る 」),winien(=winny「 wart「
格 と 対 格 以 外 で は 形 態 素‐g‐ を 加 え
格‐′em)を
の 性 の 状 態 に 再 編 成 さ れ,
詞 的格 変 化 を し て い た形 容詞 が それ
上の 基 数 詞 と同 じ統
そ こ に 中 性 名 詞 単 数 の よ う な 屈 折 語 尾(生 格‐a,与
で あ った 文 法 性 の カ
な る 形 態 的 カ テ ゴ リ ー か ら 形 態 的 ・統
変 化(形 容 詞 形 に,古
基 数 詞 に 接 尾 辞‐oj‐,‐or‐を 加 え て 作 っ た 集 合 数 詞,
は,主
の3性
詞 的 意 味 を もつ 名 詞
語 法 を と る.
前 置 格‐u,造
つ て,男,女,中
格dwoma
語 的 カ テ ゴ リー に 変 わ っ た こ と.
詞 曲 用 を す る 数 詞 も あ る.
不 定 基 数 詞(kilka「
(szereg「
合 す る名
3)か
格oczu,造
詞 「2」 の 女 性 複 数 主 ・対 格dwie,
Tamsiedz‐i/siedzia‐lo/bedziesiedzia‐lodw 向 こ う に2/5人
耳 」の複 格uszyma;
主 ・対 格 以 外 の 全 格 短 語 形dwu,造
och/pieci‐uprofesor‐ow.「
つての双数
数 前 置 格reku;ucho「
た」
教 授 が 座 っ て い る/座 っ て い た/座 る こ と に な る 」
は い え,格
の カ テ ゴ リー は よ く保 た れ た), 2)数
上 の 数,お
「5」 …
っ と も重要
下 の よ う な こ と で あ る.
の 結 合 を 用 い る 例 が 現 わ れ た こ と(と
Tam
詞 は,そ
容 詞 型 曲 用 をす
名 詞 類 の 曲 用 の 歴 史 的 変 化 の う ち で,も な の は,以
By‐ly
5以
な お,序 る.
… に 値 す る 」)な
罪 が あ る 」,
ど に,今
日な お,古
い名
詞 的 変 化 形 が 残 っ て い る. し か し,こ
れ ら の 変 化 に よ っ て,ポ
ー ラ ン ド語 の 名 詞
の 屈 折 タ イ プ が 崩 れ る こ と は な く,イ
ン ド ・ヨー ロ ッ
パ 語 後 期 の そ れ を よ く継 承 し て い る.
主dwoje,生dwojga,与dwojgu,対dwoje, 造dwojgiem,前
Ⅱ)動
置dwojgu
古 い 双 数 の な ご りで あ る集 合 数 詞 は,男 グ ル ー プ を 意 味 す る 名 詞,複
詞の活用
動 詞 の パ ラ ダ イ ム は,次 の 要 素 か ら 構 成 され て い る. 女 か らな る
数 の み の 名 詞,対
をな し
1)人
称 形(法
在,過
去,未
〔直 説 法,仮 来,ま
定 法,命
れ に,大
令 法 〕,時 制 〔現
過 去 〕,態
〔能 動 態,受
て 存 在 す る もの を 表 わ す 名 詞 と と も に 用 い ら れ る.主 ・
動 態,中
生 ・対 ・造 格 で は,名
複 数 〕,性 〔い くつ か の 形 が あ る〕に よ っ て 特 徴 づ け
詞 の 複 数 生 格 と結 合 し,与
前 置 格 で は,そ れ ぞ れ の 格 形 と 結 合 す る.動
詞 は,3人
称 単 数 現 在(過 去 と合 成 未 来 で は そ の 中 性 形)に Tr‐oj‐edziec‐iprzyjecha‐lo.「
格 と
子 供 が3人
な る. や っ
て きた 」 し か し,名
詞 と数 詞 が 一 致 し て い る と き は,動
詞 は,
称 形 を と る.
Ob‐oj‐erodzic‐ewyjecha‐li.「
両親 は両 方 と も
容 詞 あ る い は 被 動 形 動 詞 が く る と き に は,
そ れ ら は,単
変 化 形
だ し,語
根 がk,gに
ち 〕は)書
伴 う 非 人 称 形.
不 定 詞(屈 折 接 尾 辞‐cを
動 詞(副
も つ .た
終 わ る 動 詞 は,‐cに
詞 的 分 詞)pisa‐no「(そ
い て い た 」,pi‐to「(そ
〔 単 数,
終 わ
の 人 〔た
の 人 〔た ち 〕は)飲
ん で い た 」 タ イ プ の 非 人 称 過 去 形.
旅 に出 た 」 述 語 に,形
称 〕,数
ら れ る),お よ び,再 帰 代 名 詞sieを 2)不
る),副
そ れ ぞ れ の 性 の 複 数3人
動 態 〕,人 称 〔1,2,3人
数 中 性 主 格 あ る い は 複 数 生 格 を と る.
3)名
詞 形
動 形 動 詞(形
被 動 形 動 詞(形
容 詞 的 受 動 分 詞),能
容 詞 的 能 動 分 詞),動
名 詞.
態 の カ テ ゴ リ ー は 常 に 分 析 的 に,数,性 のカテ ゴリ ー は 総 合 的 に 表 わ さ れ る .分 析 的 屈 折 形 で は,数 の カ
テ ゴ リー は,動 詞語 幹 の名 詞 的 語 尾 と助 動 詞 の 人 称語
不 完 了 体 動 詞 か ら 完 了 体 動 詞 を 作 る 際 の 接 辞 は,い
尾 の 両 方 に よ って同 時 に表 わ され る.他 の カ テ ゴ リー
つ か(z‐/s‐,状
は,総 合 的 に,あ るい は,分 析 的 に表 わ され る.
po‐,o‐,ま
体(す な わ ち,ア ス ペ ク トは 動 詞 の 活用 に は 関 与 し な い が,不 完 了体 動 詞 と完 了体 動 詞 の2ク ラ ス の 各動 詞 は,基 本 的 に,い ず れ か 一 方 の ア ス ペ ク トを もつ)の
た,ま
れ にna‐,wy‐,prze‐,za‐)を
ポ ー ラ ン ド語 の 動 詞 の 多 く は,語 彙 的 意 味 が 同 一 で, 異 な る ア ス ペ ク トを 示 す 動 詞 が 対 を な し て い る. 完dac:不
不完 了体 は,あ る行 為 が 継 続 中 で あ る こ とを示 す の に
不 完robic:完zrobic「
完dawac「
対 し,完 了体 は,継 続 して い る行 為 の開 始 ま た は終 了
ふ つ う,完
の 時点 を強 調 す る.ま た,完 了体 が,あ る行 為 が完 結
が み ら れ る.す 1)不
完 了体 は,結 果 に つ い て は 何 も伝 え ない.ま た,不 完 了体 が,た え ず,あ
るい は,何 度 か反 復 され る行 為 を
与 え る」 す る」
了 体 動 詞 と 不 完 了 体 動 詞 の 間 に,動
不 完robic:完zrobic「
す る」
幹 内 部 の 接 尾 辞 を 変 え る.‐
i‐:‐a‐(完spozn‐i‐c:不
完spozni‐a‐c「(sieを
お よび そ の 派 生形 は,文 中 で用 い る とき,ど の よ うな
伴 い)遅 れ る 」)
行 為,状 態 を さすか に よっ て,ど ち らか 一 方 の 体 を選
‐ φ‐:‐wa‐(完da‐c:不
ば な け れ ば な らない.
‐ a‐:‐ywa‐(完pokaz‐a‐c:不
完da‐wa‐c「
i‐:‐owa‐(完kup‐i‐c:不 3)語
とか らな る総 合 的 屈 折 形 を もつ.一 方,受 動 態,仮 定
完otwi‐e‐r‐ac「
不 完br‐a‐c:完wzi‐a‐c「
化 の場 合)の2つ
の基 本 語幹 に基 づ く.名 詞 形 で は,
不 完wy‐chodz‐ic:完wy‐js‐c「
屈 折 語 尾 は,2次
的 な名 詞語 幹 と結 合 す る.
一 方 ,ど
動 詞 の パ ラ ダ イ ム構 造 は,動 詞 の体 に も左 右 され る.
同 時 分 詞)を
取 る」 出 る」
ち らか 一 方 の 体 しか もた な い動 詞 が か な り
1)不
完 了 体 の み の 例:miec「
持 つ 」,musiec「
し な け れ ば な ら な い 」,zyc「 2)完
了 体 の み の 例:行
為 の 「開 始 」,あ る い は,「 少
し」 の 意 味 を 表 わ す 接 頭 辞po‐,za‐
完 了 体 動 詞,不 完 了体 動 詞 の い ず れ か ら も作 られ る.
の 動 詞 な ど(例:pokrzyczec「(し
ひか らび た 」,zgnily
「腐 った 」タイ プの 分 詞 形 は,完 了体 自 動詞 のみ に現 わ
そ の 一 方,1つ
例:kazac「
の 動 詞 に よ って 動 機 づ け ら
れ て お らず,接 頭 辞 を もた な い ほ と ん どの 動 詞(例:
の 動 詞 で,不
な お,運
命 じ る 」,多
運 動 を 表 わ す 定 動 詞,す isc「(歩
biec「 走 る 」,leciec「
あ るい は,2)接
定 の 方 向 へ の進 行 中 の
く」,jechac「(乗
物 で)行
飛 ぶ 」,niesc「
ぶ 」,wiesc「
く」,
運 ぶ 」,wie
導 く」,plynac「
泳
ぐ」
完 了 体 動 詞 に よ って 動 機
づ け られ た 接頭 辞 を もつ 動 詞(例:na‐pisac「
書 く」),
頭辞 を も たず,接 尾 辞‐na‐を加 え て
作 られ た動 詞(例:krzyknac←
い て)行
zc 「(乗物 で)運
体 験 す る」〔 完 了 体prze‐zyc〕)で
くの 外 国 語 起 源 の 動 詞.
な わ ち,
つ う接 尾 辞 を も った完 了体 動 詞 に動 機 づ け られ た 動 詞
あ る. 一 方 ,完 了 体 動詞 は,1)不
完 了体 と完 了体 の両 方
動 の 動 詞 の う ち,一
grac「 演奏 す る」,pisac「 書 く」),あ る い は,2)ふ
(例:prze‐zywac「
を もつ す べ て ば ら く)叫 ぶ 」)
の 体 を もつ も の も あ る.
れ る. 不 完 了体 動 詞 は,1)他
∼
生 き る」
動 詞 の み で あ る.被 動 形 動 詞 は,他 動 詞 の み に 現 わ れ,
今 日,形 容詞 化 して い るuschly「
開 く」
あ る.
もつ の は不 完 了体 動 詞 の み で あ り,単 純
未 来 と副 動 詞過 去(副 詞 的 先 行 分 詞)を もつ の は 完 了 体
閉 め る」
っ た く別 の 語 幹 に よ る 補 充 の 例 も あ る.
合)と 現 在 語 幹(完 了 体 動 詞 で は 単純 未来 語 幹.現 在 変
現 在 時 制 と能動 形 動 詞,お よび,副 動 詞現 在(副 詞 的
帰 る」
完zam‐yk‐a‐c「
完otw‐o‐rz‐y‐c:不 し か し,ま
買 う」)
尾 辞 を 変 え る.
完wra‐c‐a‐c「
完zam‐k‐na‐c:不
を 伴 う非人 称 形 は,分 析 的 屈折 形 を もつ.
完kup‐owa‐c「
幹 内 部 の 音 を 交 替 さ せ,接
完wr‐o‐c‐i‐c:不
法,動 詞 の過 去,お よび,不 完 了 体 動 詞 の 未 来 の 形,sie
動 詞 活 用 の パ ラダ イ ム は,不 定 詞語 幹(過 去 変 化 の場
与 え る」)
完pokaz‐ywa‐c
「示 す 」)‐
よび,完 了体 動 詞 の
未 来 の 能 動態 人 称 形,命 令 形,不 変 化 形,名 詞(類)形 は,語 幹,お よび,そ れ と不 可 分 に 結 合 した 屈折 語 尾
機づ け
な わ ち,
完 了 体 動 詞 に 接 頭 辞 を 付 け る.
2)語
示 す の に対 し,完 了体 は1回 限 りの行 為 を示 す.動 詞
不完 了体 動 詞 の直 説 法 現 在,お
除 き,
動 詞 の 語 彙 的 意 味 の 変 化 を 生 じ さ せ る.
区 別 は,す べ ての 動 詞 形,動 詞 派 生 の 諸形 で保 た れ る.
し,一 定 の結 果 が 生 じて い る こ とを 示す の に対 し,不
く
態 の変 化 を表 わ す 動 詞 群 に 出 て く る
不 完krzyczec「
叫
と,そ
れ に 対 応 す る,さ
い は,往
復,反
ま ざ ま な 方 向 へ の 運 動,あ
る
復 の 運 動 な ど を 表 わ す 不 定 動 詞,す
な
わ ち, chodzic「(歩
ぶ」)で あ る.接 頭 辞 を もた な い完 了 体 動 詞(例:dac
通 う」,biegac「
「与 え る」,wziac「
nosic「
取 る」)は,例 外 的 で あ る.ま た,
い て)通
う 」,jezdzic「(乗
走 り回 る 」,latac「
何 度 も 運 ぶ 」,wozic「
り物 で) 飛 び 回 る 」,
何 度 も(乗 り物 で)
運 ぶ 」,wodzic「
何 度 も 導 く」,plywac「
よ く泳
の 子 音 交 替 が み ら れ る.
ぐ」
pi‐s‐a‐c―pi‐sz‐e,pi‐sz‐esz,…
に,同一
の 接 頭 辞 を 付 け る と,前
者 が 不 完 了 体 動 詞 と な っ て,対 不 定 動 詞 は,ど
を な す.な
お,定
動 詞,
在(お
よ び,完
了体 動詞 の単
称 語 尾 の 差 異 を も と に,ふ
つ う,次
の よう
‐ a‐〉の 動 詞 の 中 に は,‐eje‐ejeszの
変 化 を す る もの が
あ る. siwi‐e‐c―siwi‐ej‐e,siwi‐ej‐esz,…
Ⅰ型:pisz‐e,‐esz,‐e,‐emy,‐ecie,‐a「
2)第2の
Ⅱ 型:pal‐e,‐isz,‐i,‐imy,‐icie,‐a「
煙草を吸
う」(不 定 形 は,palic)
(ま れ に,‐dz‐aを
φ,‐a‐my,‐a‐cie,‐aj‐a
子 音 も し くは 機 能 的 軟
子 音 と の 子 音 交 替 が 生 じ る.す
な わ ち,単1,複3に
は, m,v,t,d,s,z,n,r,k,g が,そ
Ⅳ型:umi‐e‐m,‐e‐sz,‐e‐
φ,‐e‐my,‐e‐cie,‐ej‐a
(‐dz‐aを と る 動 詞 が あ る)「 で き る 」(不 定 形 は, umiec)
グ ル ー プ に 属 す る 動 詞 で は,現 在(単 純 未
来)語 幹 末 尾 音 で,硬 子 音 と,軟
と る 動 詞 が あ る)「 愛 す る 」(不
定 形 は,kochac)
「白 髪 に な る 」
l‐a‐c―l‐ej‐e,l‐ej‐esz…「注 ぐ」
書 く」
(不 定 形 は,pisac)
Ⅲ 型:koch‐a‐m,‐a‐sz,‐a‐
人称形
で 同一 の 形 態 を 保 っ て い る.
に 分 類 さ れ る.
の 他 の 人 称 形 に は,対
応 す る,
m',v',c,dz,s,z,n,rz,cz,z が 現 わ れ る. brac―bio‐r‐e,bie‐rz‐esz,bie‐rz‐e,bie‐rz‐
Ⅲ 型 とⅣ
型 に 現 わ れ る 接 尾 辞‐a‐,‐e‐ を 語 幹 末 尾 音
と 見 な せ ば,両 型 を 合 わ せ て Ⅲ 型 と す る こ とが で き る. Ⅳ型 に 属 す る 動 詞 は 少 な く,次 1)smi‐e‐c「
の 語 幹 の み で あ る.
あ え て ∼ す る 」,umi‐e‐c「 ∼ で き る 」,
rozumi‐e‐c「
理 解 す る 」(複 数3人
称 が,‐ej‐a)
2)wiedzi‐e‐c(wi‐e‐m,wi‐e‐sz,wi‐e‐ my,wi‐e‐cie,wi‐e‐dz‐a)「
φ,wi‐e‐
知 っ て い る 」,jesc
(j‐e‐m,j‐e‐sz,j‐e‐φ,j‐e‐my,j‐e‐cie,j‐e‐dz‐a) 「食 べ る」(複 数3人
称 が,‐dz‐a)
Ⅰ型 の 活 用 を す る 動 詞 は,現 類 に 従 っ て,2つ 1)第1の
在 語 幹末 尾 の子 音 の種
の グ ル ー プ に 分 け る こ と が で き る.
幹 が,軟
付 加 し て,現
在(お
よ び,
子 音 お よび機 能 的 軟 子 音 に 終 わ
り,次 の よ う に 活 用 す る.不 ‐ u‐ に 終 わ る1音
定 詞 語 幹 末 尾 が,‐i‐,‐y‐,
節 動 詞 で は,そ
の あ と に 接 尾 辞‐j‐を
在 語 幹 を 作 る. 「飲 む 」
不 定 詞 語 幹 末 尾 が,‐owa‐,‐iwa‐/‐ywa‐ は,そ
zmi‐emy,we‐zmi‐ecie,we‐zm‐a(brac「
れ を‐uj‐ に 変 え て,現
在語幹 を
取 る」
の 完 了 体 動 詞) こ の グ ル ー プ で は,語
幹 内 部 で,‐o‐ と‐e‐,‐a‐ と‐e‐
の 母 音 交 替 を 起 こす も の が あ る. Ⅱ 型 の 活 用 を す る 動 詞 は,2つ
の グ ル ー プ に分 け る
こ と が で き る. グ ル ー プ に 属 す る 動 詞 は,不
定詞の語幹
末 子 音 が, a)口
蓋 化 唇 音p',b',f',v',m'と
で,‐icが
歯 茎 硬 口 蓋 音n
加 わ っ た 動 詞,
b)後
部 歯 茎 音 のcz,dz,sz,z,rzで,そ
‐ycま
た は‐ecが
こ の グ ル ー プ で は,現
音(=後 に終 わ る動
取 る」
wziac―we‐zm‐e,we‐zmi‐esz,we‐zmi‐e,we‐
音 が,aで
pi‐c―pi‐j‐e,pi‐j‐esz,…
詞(の 多 く)で
emy,bie‐rz‐ecie,bio‐r‐a「
1)第1の
グ ル ー プ に 属 す る 動 詞 は,現
単 純 未 来)語
れ に,
加 わ っ た 動 詞. 在(お
よ び,単
は つ ね に 軟 子 音,bで
純 未 来)語 幹 末 子
は つ ね に機 能 的 軟 子
部 歯 茎 音)と い う よ う に,全
現 在 形 に わ た って
同一 形 を 保 つ. mowic―mowie[〓],mowisz[〓], mowi[〓],mowimy[〓],mowicie
作 る. prac‐owa‐c―prac‐uj‐e,prac‐uj‐esz,… 不 定 詞 語 幹 末 尾 が,‐awa‐ 変 え て,現
「働 く 」
に 終 わ る 動 詞 で は,‐aj‐ に
「残 る 」
そ れ ぞ れ の 現 在 語幹 の あ とに人 称 語 尾 を 加 え た も の 在 変 化 形 で あ る.こ
[〓],mowia[〓]「
の 型 の 活 用 を し,不
幹 が‐a‐ に 終 わ る動 詞 で は,不
定詞語
定 詞 語 根 末 尾 音 と現 在
(単 純 未 来)語 幹 末 子 音 と の 間 に,
言 う」
lezec―lez‐e,lez‐ysz,… な お,bの
在 語 幹 を 作 る.
zos t‐awa‐c―zost‐aj‐e,zost‐aj‐esz,…
が,現
「書 く」
こ の グ ル ー プ の 現 在(単 純 未 来)形 の 語 幹 は,全
不 定 詞 語 幹 が 〈軟 子 音 ま た は 機 能 的 軟 子 音 +‐e‐/
ち ら も 不 完 了 体 動 詞 で あ る.
動 詞 の 現 在 変 化 は,現 純 未 来)人
者 が 完 了 体 動 詞,後
の‐i‐は,歴
「横 た わ る 」
グ ル ー プ で は,単2∼ 史 的 に は,軟
複2の
音 で あ っ た が,現
子 音 化 し た 歯 茎 音 の あ と で あ る た め,‐y‐ ‐ ysz,‐y,‐ymy,‐ycieと
人称語尾中 在 は,硬 と書 か れ,
な る.
2)第2の
グ ル ー プ に 属 す る 動 詞 は,不
子 音 が,nを
除 く歯 茎 硬 口 蓋 音(c,dz,s,z)と
k:cz,g:dz,s:sz,z:z,t:cz,r:rz,m:m',
の 結 合 音sc,zdz,お
よ びlで,そ
p:p'
‐icが 加 わ っ た 動 詞 で あ る.こ
定 詞の語幹
れ に,‐ecま
それ ら たは
の グ ル ー プ で は,単1,
複3の
機 能 的 軟 子 音(c,dz,sz,z)と
zdz,お
よ びlと,そ
そ の 結 合 音szcz,
替 もみ ら れ る.
の他 の人 称 形 で の対 応 す る 軟 子
音(c,dz,s,z,sc,zdz,l')と
の,交
替 が 現 わ れ る.
「見(え)る
,
2)‐a(男
」
性3人
mogl「
「支 払 う」
た」
miescic―mieszcze[〓],miescisz[〓]
定 詞 語 幹 に(例
外 的 に,独
isc 「行 く 」― 男 性 単 数1人
自 の 過 去 語 幹 に)屈 折 接 尾 辞‐l‐(‐i‐の 前 で は,lと
交
数2人
加 え,さ
去
単 数1人
形 で は,人
称,数
ら に 人 称 語 尾 を 加 え て 作 る.過 の ほ か,性
に よ っ て も語 形 が 変 化 す
数 で は,男
(語 尾‐ φ:‐a:‐o)が,複
性:女
性:中
数 で は,男
尾‐'i:‐y)が,そ
語 尾 を と る).さ
性 人 間:そ
称 お よ び 数 の カ テ ゴ リ ー が,
未 来 形 は,完
称形
参 照).
性 単 数3人
称szlo;男
性
性
性 人 間 複 数2人 称szli;男
称szlysmy,男
称
性 人間以
性 人 間 以外 の複 数
性 人 間 以 外 の 複 数3人
了 体 動 詞 で は,総
称szly
合 的 屈 折 形(す
なわ もつ.
書 く」―napisze,napiszesz,...
不 完 了 体 動 詞 で は,助
動 詞bycの
未 来 形(bede,
bedziesz,bedzie,bedziemy,bedziecie,beda) と,不
数・ 人 称
称szedl;女
在 変 化 形 と 同 じ 変 化 を す る 単 純 未 来 形)を napisac「
φ)に 示 され る(中 性 形 は,3人
性単
称szlas,女
称szlismy,男
2人 称szlyscie,男
ち,現
称szedlem,男
性 人 間 複 数3人
外 の 複 数1人
移 動 が 可 能 な 語 尾(単1‐m,単2‐s,複1‐smy,複
<表4>pisac「
で き
の よう な もの が
性 単 数2人
称szla;中
szliscie,男
性
性 人 間‐li‐,そ れ 以 外‐ly‐ と い う ら に,人
し か な い;表4を
交 替.
私(男 性)は
性 単 数3人
称szlam,女
人 間 複 数1人
れ以外
性‐l‐,女 性‐la‐,中
称szedles,男
性 単 数3人
性 の対 立
れ ぞ れ屈 折 語 尾 に現 わ れ
数 で は,男
複3‐
の ほ か)の
彼 は で き た 」:moglem「
替 す る)を
‐l o‐,複 数 で は,男
私(女
あ る.
動 詞 の 過 去 変 化 形 は,不
る(し た が っ て,単
称 形)/o(そ
独 自 の 過 去 語 幹 を と る 動 詞 に は,次
...「収 容 で き る 」
2‐scie,単
私(男 性)は 取 っ た 」:wzielam「
3)o(男
placic―place[〓],placisz[〓]...
の 対 立(語
の ほ か)の 交 替.
性)は 取 っ た 」
「頼 む 」
の 変 化 は,単
彼
彼 ら は運 ん だ」
性 形 の み)/‐e(そ
wzialem「
prosic―prosze[〓],prosisz[〓],...
る.性
彼 女 は 運 ん だ 」:niosl[〓]「
は 運 ん だ 」:niesli[〓]「
widziec―widze[〓],widzisz[〓] …
niosla[〓]「
定 詞 も し くは 動 詞 の 過 去3人
称 形 とか らな る分
書 く」の過 去 形 男
性
女
性
中
析 的 屈 折 形(合
性
成 未 来 形)に
よ っ て 表 わ さ れ る(表5を
参 照). 単 数1 2
pisa‐l‐e‐m
pisa‐l‐a‐m
―
pisa‐l‐e‐s
pisa‐l‐a‐s
―
過 去 形 を 用 い た 形 は,主 不 定 詞 を 用 い た 形 は,書
3
pisa‐l‐φ
複 数1
pisa‐l‐a
pisa‐l‐o
男性人 間
それ以外
pisa‐l‐i‐smy
pisa‐l‐y‐smy
2
pisa‐l‐i‐scie
pisa‐l‐y‐scie
3
pisa‐l‐i‐ φ
pisa‐l‐y‐ φ
注:男 性 単 数1・2人 語尾‐m,‐sの
で あ る.な
お,様
合 わ せ て 用 い る.用
過 去 形 の 屈 折 には,次 の よ うな形 態 素 内部 で の 音 素 交 替 が み られ る. 子 音(男 性 人 間 形 以外 で)/軟 子 音(男 性 人 間
形 語 尾‐'iの 前 で),ま た,そ れ に伴 って 生 じ る母 行 子音 が 軟 音
で あ る こ とを示 す).
命 令 法 は,現
]「彼 らは 見 た」
が(現 在 語 幹 を2つ
も つ そ れ ぞ れ の 第2グ
数2人
は は い ず っ た」 くつ か の動 詞 の 語 幹 で は,'o/'o/'e'の 交
ルー プ で は,
称 の 現 在 語 幹(語
幹 末 尾 に 子 音 連 続 が 現 わ れ る と き は,そ 加 え た も の)が,単
態 素‐ φ ま た
型活用 では現在語 幹
・Ⅳ型 活 用 で は 複 数3人
れ に‐ij/‐yjを
称 命 令 形 と な る.
Ⅰ 型 1)pisac―pisz―e,pisz‐esz,... 書 け」
2)brac―bior‐e,bierz‐esz,... →bierz!「
彼ら
し こ とば で は ま っ
在(単 純 未 来)語 幹 に,形
加 え て 作 る.Ⅰ・Ⅱ
→pisz!「
彼 は 見 た 」:widzieli[〓
lazl[〓]「 彼 はは い ず った」:lezli[〓]「
ま た,い
途 は 限 ら れ,話
組 み
た く用 い ら れ な い.
軟 語 幹 が),Ⅲ
widzial[〓]「
去 形 とbycの
3人 称 過 去 形(byl,byla,bylo;byli,byly)を
称 で は,屈 折 語尾‐l‐と人 称
音 の 前 の'は,先
ね に過 去 形 が用 い
大 過 去(plusquamperfectum)は,過
間 に,は め込 み 母音‐e‐が加 わ る.
音 交 替'a/'e(母
態 の 動 詞 で は,つ
ら れ る.
は‐ij/‐yjを
1)硬
と し て 話 し こ と ば の 未 来 に, き こ とば の未 来 に 特 有 の 表 現
取 れ」
isc― id‐e,idzi‐esz,... →idz!「
行け」
biegnac―biegn‐e,biegni‐esz,...
<表5>動
数
詞 の 合 成 未 来 形(pisac「 bycの 未 来 形
人称
男性
書 く」)
女性
中性
る 変 化 が 現 わ れ る.分
析 的 屈 折 形 を も ち,動
3人 称 形 と前 接 語 の 助 詞byと 男 性 単 数chcialby,女
pisac
bede
1
pisal
単
pisala
pisal
動 詞bycの
男 性 単 数bylby
pisala
男性人間
性 単 数byloby
複 数byliby
chcieli,男
それ以外
pisac
bedziemy
pisaly pisac
beda
‐scie)に
男 性 単 数1人
pisaly
走 れ」
→mow!「
過 去―
b patrzec―patrz‐e,patrz‐ysz,... 見 ろ」
l bys
震 え ろ」
2)prosic―prosz‐e,pros‐isz,... →pros!「
愛せ」
で き る よ うに しろ」
称bylybysmy
chcieli,男
称bylybyscie
chcialy
pana
詞niechと
性
性人間以
の 内 容 の 不 確 実 さ,可
か え め な 命 令),て
性人
chcialy,男
外 の 複 数2人
在,未
能 性,願
い ね い な 表 現 等 を 表 わ す. o cos
zapytac.「
あなたに
節 と も に 仮 定 法 現 在 を 用 い た 条 件 文 は,現
来,過
分 詞 は,次 称 命 令 形 に人称 語
付 加 し て 作 る.
1)副
去 の い ず れ の 意 味 を も 表 わ す(過
去 につ
定 法 過 去 を 用 い る こ とが で き る). mial
czas,wpadl‐by‐m
do was.「
暇
っ て い る,
の よ う に 作 ら れ る.
詞的分詞
a)副 書 け」
動 詞 現 在(副 詞 的 同 時 分 詞)は,不
の 現 在 複 数3人
動 詞 の 直 説 法 現 在3
人 称 形 と か ら 作 る.
り,主
称 語 幹 に,接
完了体動詞
尾 辞‐acを
加えて作
節 と分 詞 を 用 い た 文 と の 時 間 が 同 時 で あ る
こ と を 示 す.
単 数3人
称niech
pan
複 数3人
称niech
czytaja!「
仮 定 法 に は,時
chciala;
chcieli,男
件,文
性単 称by
寄 る)ん だ が 」
ど.
書 こ う」,piszcie!「
称 命 令 形 は,助
称bylabys
が あ っ た ら 君 た ち の と こ ろ に 寄 っ た(寄
称 命 令 形 は,単 数2人
piszmy!「
chcial,女 性 単 数2人
称bylibyscie
Gdyby‐m
与 え る(不 完)」 →dawaj
尾‐my,‐cieを
3人
称bylibysmy
い て の み,仮
欲 す る 」→chciej
複 数1・2人
性 単 数2人
間 以 外 の 複 数1人
主 節,従
定 詞 語 幹 に 形 態 素‐jを 加 え て
持 つ 」→miej,な
称
お た ず ね した い こ とが ある の で す が」
dac「 与 え る(完)」 →daj
miec「
chcial,女
Chcial‐by‐m
命 令 形 を 作 る.
dawac「
称bylbym chciala,男
男 性 人 間 複 数1人
望(ひ
umiec―umiem,umiesz,...umiej‐a
chciec「
性 人 間 以 外 の 複 数2人
称bylabym
仮 定 法 は,条
chaj‐a
→umiej!「
性 人 間 複 数1人
人 間 複 数2人
頼 め」
kochac―kocham,kochasz,...ko
→kochaj!「
称chcialabys;男
男 性 単 数1人
数1人
drzec―drz‐e,drz‐ysz,... →drz‐yj!「
称chcialbys,
chcialybyscie
言え」
→patrz!「
性 単 数1
性 単 数2人
称chcielibysmy,男
1)amowic―mowi‐e,mow‐isz,...
い くつ か の 動 詞 は,不
と も語
称 カ テ ゴ リ ー は,
称chcialbym,女
人 称chcialabym,男 女 性 単 数2人
→biegn‐ij!「
Ⅳ 型
称 形 は,単,複
称 で は,人
よ っ て 表 現 され る.
現 在―
pisali
Ⅲ 型
しか った 」
移 動 可 能 な 語 尾(単1‐m,単2‐s;複1‐smy,複2
数
Ⅱ 型
定 法3人
尾‐ φ を も ち,1・2人
pisali 3
性人間
性 人 間 以 外 の 複 数bylyby
で き た ら ∼ し た か っ た,ほ
の よ う に 作 ら れ る.仮
pisaly pisac
bedziecie
2
性 単 数bylaby chcialo;男
(仮 定 法 過 去)
pisali
複
chcial,女
chciala,中
pisalo
chcialy「 1
仮 定 法 形 と動 詞 の 過 去3人
称 形 と か ら,
pisac
bedzie
3
性
で き た ら ∼ し た い,
ほ し い 」(仮 定 法 現 在) あ る い は,助
pisal
数
性
性 人 間 複 数chcieliby,男
人 間 以 外 の 複 数chcialyby「
pisac
bedziesz
2
性 単 数chcialaby,中
単 数chcialoby;男
pisala
詞 の過 去
か ら,
czyta!
制(現 在 と 過 去),人
czytajac「 読 ん で下 さい 」 称,数,性
によ
b)副
読 み な が ら」
動 詞 過 去(副
過 去 語 幹 に,接
詞 的 先 行 分 詞)は,完 尾 辞‐wszy(母
了体動詞の
音 の あ と で)ま
た
は‐lszy(子
音 の あ と で)を 加 え て 作 る.こ
分 詞 を 含 む 文 の 述 語 の 時 間 が,主
支 払 わ れ た」
男 性 人 間 複 数 主 格 の 語 尾‐'iの
前 で は,‐on‐
節 の 時 間 に先行
klascタ
書 き 終 わ っ た あ と」
wszed‐lszy「(do
pokoju部
副 詞 的 分 詞 は,も
屋 に)入 っ た あ と」
動 形 動 詞(形 容 詞 的 能 動 分 詞)は,不
詞 に の み 現 わ れ,副
動 詞 現 在 形‐acに
性‐y,女
性 人 間‐i/‐y,男
性‐a,中
完 了体 動
定 詞klasc,
称 現 在 単 数kladzi‐e)「
動 名 詞 は,被
置 か れ て い る 」:
性‐e;複
動 形 動 詞 と 同 じ 語 幹 に,接
‐'en‐,‐c‐ と,名
形 容 詞屈 折 数:男
詞 屈 折 語 尾‐eを
尾 辞 を 選 ぶ か も,被
性 人 間 以 外‐e)を 加 え て 作 る.
piszacy,piszaca,piszace,...「
則 と し て,す
書 い て い る ・い
能 動 形 動 詞 は,文 中 で そ れ が か か る 名 詞(あ 方,も
るい は
との 動 詞
pic(pi‐la)→picie「
が も ち,接
動詞のみ
尾 辞‐n‐,‐t‐,‐on‐ に 形 容 詞 屈 折 語 尾
plesc,klascタ
定 詞 語 幹 が‐a‐ ま た は
,‐u‐,お
よ び,Ⅰ
1音 節 動 詞 とtrzecタ の は,不 び,Ⅱ
イ プ の 動 詞,‐on‐
定 詞 が‐sc,‐zc,‐cに
動 名 詞 は 中 性 で あ り,本 も つ.
よ
尾 辞‐n‐,‐t‐ の 前 の 動 詞 語 幹 の 形 は,
単 数3人
称 過 去 女 性 語 幹 の 形 と同 じ で あ る.
pisac(pisa‐la)→pisany「
書かれている」
wypic(wypi‐la)→wypity「
飲 まれ た 」
た だ し,接
尾 辞‐na‐
で‐na‐ が‐nie‐
に 変 わ る.
1つ
ほ
gonic(goni‐e,gon‐isz,…)→goniony「
は)洗
動 詞 は 能 動 態 の み を,他
の 一 部 は 中 動 態 を も もつ.
動 詞 は能 動 態 と
完 了 体 動 詞 で は,助
来,過
在,未
去),完
来,過
動 詞bycの
przez+
屈折
了 体 動 詞 で は,zostacの
去)と
動態
を 洗 っ て い る」)を 区 別
し て い る.自
形(現 在,未
う」),受
わ れ て い る 」),中
は)(自 分 の)体
受 動 態 を,そ
受 動 分 詞(=被
対 格 」 の 構 文 を 用 い る.ポ
中 動 態 は,再
追われ
Matka
称現在
《受 動 態 》
て い る 」‐sc
帰 代 名 詞sieを
umyla
屈
動 形 動 詞)
作主は
「前 置 詞
ー ラ ン ド語 で は,
用 い て 作 る.
syna.(女
女 ・過‐synの 終 わ る 動 詞 で は,単
数3人
Syn
語 幹 と 同 じ で あ る. niesc(nios‐e,niesi‐esz,niesi‐e,...)→niesi 運 ば れ て い る」
umyty
母 は 息 子 を 洗 った」
przez
動 詞zostacの3単
matke.(男
男 ・過‐ 完umycの
単 主‐助 被 形 〔単 ・
対 格)「 息 子 は 母
に よ っ て洗 わ れ た」 《不 完 了 体 動 詞 受 動 態 》
焼 か れ た」
Ⅱ 型 活 用 動 詞 で は,複
zostal
対 格)「
単 主‐ 完umycの3単
主 格 〕‐前 置 詞przez‐matkaの
piec(piek‐e,piecz‐esz,piecz‐e,...)→piecz
あ る.
myty「(彼
sie「(彼
は)洗
《能 動 態 》
め られ た 」
ony「
動 態(myje「(彼
数 のみ を
受 動 構 文 は ま れ に しか 用 い ら れ な い.
chwilic(chwal‐e,chwal‐isz)→chwalony「
ony「
(myje
来 の 機 能 で は,単
の 主 格 と の 結 合 に よ っ て 表 わ され,動
在(単 純 未 来)語 幹 の 形 の
と 同 じ で あ る.
,‐zc,‐cに
統 的 に,能
動 態(jest
折 形(現 閉 ざ され た 」
‐o n‐ の 前 の 語 幹 形 は,現
態 は,伝
受 動 態 は,不
を もつ 動 詞 で の み,‐t‐ の 前
zamknac→zamkniety「
称 現 在 単 数kladzie)→kladzenie
を とる
終 わ る 動 詞,お
編
「置 く こ と」
イプの
型 活 用 の 不 定 詞 語 幹 が‐i‐/‐y‐に 終 わ る 動 詞
で あ る.接
称 現 在 単 数plecie)→plecenie「
klasc(3人
定 詞 語 幹 が‐a‐
型 活 用 のpic,szycタ
の前
む こ と」
こす る」タイ プ の 動 詞 を 除
く)に 終 わ る 動 詞,‐t‐ を と る の は,不
尾 辞‐'en‐
交 替 が 生 じ る.
plesc(3人
‐ e‐(‐t‐を と るtrzec「
歩
飲 む こ と」
イ プ の 動 詞 で は,接
で,c,dz:c,dzの
を 加 え て 作 る. 接 尾 辞‐n‐ を と る の は,不
書 く こ と」
くこ と」
の 人 称 形 と 同 じ支 配 を 保 つ. 動 形 動 詞(形 容 詞 的 受 動 分 詞)は,他
干の例外が
あ る).
chodzic(chodz‐e,chodz‐isz)→chodzenie「
が 一 致 し,一
の接
動 形 動 詞 の 場 合 と 同 じ で あ る.原
べ て の 動 詞 か ら作 ら れ る(若
pisac(pisa‐la)→pisanie「
代 名 詞)と 数,性,格
尾 辞‐n‐,
加 え て 作 る.ど
た ・い る で あ ろ う(と こ ろ の)」
b)被
の 前 で,
kladz‐eni
容詞的分詞
語 尾(単 数:男
尾 辞‐'en‐
交 替 が 生 じ る.
plac‐ony:plac‐eni,kladzi‐ony(不
との 動 詞 の 人 称 形 と同一 の 支配 を
保 つ.
a)能
イ プ の 動 詞 で は,接
c,dz:c,dzの
3人
2)形
は
‐en‐ に 変 わ り(例:niesiony→niesieni),plesc,
す る こ と を 示 す. napisa‐wszy「
placic(plac‐a)→placony「
れ は,
数3人
称 現 在 語 幹 と同 じで
Ksiazka
jest
czytana.(女
不 完 了 体 動 詞czytacの
単 主‐bycの3単
現‐
被形 〔 単・ 主 格 〕)「本 は 読
まれ て い る」
Otwarto
《完 了 体 動 詞受 動 態 》 Ksiazka
zostala
詞zostacの3単
przeczytana.(女
単主‐ 助動
女・ 過‐ 完 了体動 詞przeczytac
の被形 〔 単・ 主 格 〕)「本 は 読 み 終 え られ た 」
者 に は 明 ら か な あ る 主 体 が)
ポ ー ラ ン ド語 の 活 用 は,歴 史 的 に 大 き な 変 化 を 受 け, 多 く の 古 形 を 失 っ た.た 時 制,す
《中動 態 》 Matka
drzwi.「(話
ドア を 開 け た 」
な わ ち,ア
と え ば,中
世 に,2つ
オ リス ト(aorist,非
sie.(女 単 主‐ 不完mycの3単
現‐
再 代 ・対)「 母 は(自 分 の)体 を洗 ってい る」 動作 主 が不 定 の文 で は,sieを
用 いた 構 文 で,受 動
態 も表 わ す こ とが で き る. Plaszcz
sie wlasnie
‐副詞‐ 不 完szyc「
失 い,大
単 主‐再 代 ・対格
縫 う」 の3単 現)「 コー トは
い ま ち ょう ど縫 わ れ て い る と ころだ 」
の 一 方 で,合
過 去 形 と 合 成 未 来 形 を 作 り出 し た.合 終 わ る 旧 形 と 助 動 詞bycの
は,語
か ら作 ら れ,こ の 助 動 詞
順 が ひ っ く り返 し で も現 わ れ た.や
日 の3人
称 形 に な っ た.単
人 称 で は,助
去 と合 成 未来 で は,中 性)形 と形 態 素sieを 用 い て,分
の 語 尾 は,も
析的 に作 る こ とが で き る.
な お 移 動 が 自 由 な 性 質 を 保 っ て い る.
現 在:mowi
sie「(∼ とい う)噂 だ 」
過 去:mowilo
Co
sie mowilo「(∼
動 詞 が 人 称 語 尾 に 変 化 し た が,今
tam
widzial‐e‐s?(疑
ef.Co‐s
ま た,か
この 形 は,非 人 称 動 詞(人 称 変 化 をせ ず,外 見 上,単 数3人 称(中 性)形 を もつ に もか か わ らず,人 称 と性 の カ テ ゴ リー の お よ ば ない 動 詞),た swita(switac「
とえ ば,
「 夜 が 明 けて きた 」 brakowalo
mi
終 わ る 形 と助 動 詞bycの
し い 語 尾 と と も に,今
る 」〔 補 語 に生 格 を要 求 す る〕の3人 称 単 数 中性 過
Ⅲ)音
た,音
い‐eに
終 わ る分 詞 形 の消
素の交替
ポ ー ラ ン ド語 で は,あ の 中 で の み,屈
る 種 の 形 態 的,音
子 音 交 替)が 生 じ る.こ
要 求 〕‐女 性 名詞noc「 対 格‐ 動 詞spac「
夜 」 の単 数 前 置格‐ 再 代 ・
1)母
眠 る」の3人 称 単 数 現 在)「 夜
音 交 替
母 音 交 替 は,次
字 で は,o:o),/e/:/o/(文
お よ び,い
志 とは 無 関 係 で あ る こ とを示 す.
る.
詞chciec「
∼ した い」
の3人 称単 数 中性 過 去‐ja「 私 は」の与 格 〔 意味上 の 主 語〕‐ 再代 ・ 対 格‐動 詞spac「 眠 る」の不 定 詞) 「私 は 眠 くて仕 方 なか った 」 ま た,被 動形 動 詞 に現 わ れ る接 尾 辞 を も とに して 作 れ を と るか は 被動 形 動詞 の場 合 と同
じ)に 終 わ る副詞 形 は,す べ て の動 詞 か ら作 られ,過 去 非 人 称 の 能動 的 述 語 の 機能 を果 た す.
の と お りで あ る.
字 で はe:a)(例
は,
下 述)
の行 為(状 態)に 関 わ る 存在(与 格 形 で 示 され る)の 意
mi sie spac.(動
交 替(母 音 交 替,
くは独 立 した形 態
/o/:/a/,'/e/:'/a/,'/e/:'/o/,/o/:/u/(文
あ るい は,動 詞 に よ って 限定 され た 行 為(状 態)が,そ
った‐to,‐no(ど
の 交 替 は,多
論 的 機 能 は も た な い.
は寝 て い る」
Chcialo
韻 的 な 文脈
折 形 態 素 と語 形 成 形 態 素 に 付 随 し て,
し,主 語 の不 定 性,た
sie spi.(前 置 詞 「∼ の 中 に」〔 前 置格 を
尾への移行 な
な 変 化 と し て あ げ ら れ る.
形 態 素 内 部 で の 音 素(ま た は 音 素 群)の
nocy
紀
声 進 化 の 結 果 と し て の 不 定 詞 と命 令 法
の形 同様,無 主 語 文 にお け る 述語 と しての 機 能 を果 た とえ ば,
アオ
日の す が た を作 り出
い‐je‐ タ イ プ の 活 用 の‐(a)m語
ど が,主
〔 複 主 〕の生 格)「 私 は お 金 が 足 りな か った 」
widzial?
の 古 い 語 尾‐i‐ の 消 失,古
不足す
去‐ja「 私 は 」の与 格 〔 意 味 上 の 主 語〕‐pieniadze
称単数男
リス トか ら 作 ら れ て い た 仮 定 法 も 変 化 を 受 け,15世 以 後 に,新
失,古
pieniedzy(brakowac「
tam
つ て,‐lに
し た.ま
夜 が 明 け る」の3人 称 単 数 現 在)
代 ・対 格 「何 を 」‐副 詞
「君 は そ こ で 何 を 目 に した の か 」
sie「(∼ とい う)噂 に な る か
も しれ な い」
日,こ
と に な っ た 助 動 詞 が そ う で あ っ た よ う に,
性 過 去)
とい う)噂 に
な る」 仮 定 法:mowiloby
複
ち に,
複1・2
「そ こ で 」‐不 完 了 体 動 詞widziecの2人
sie「(∼ とい う)噂 だ っ た 」
合 成 未 来:bedzie
が て,単
3人 称 で こ の 助 動 詞 を 省 く こ とが 多 く な り,の 完 全 に 消 失 し,今
成
成 過 去 は,‐lに
現 在 人 称 形(jesm,jes,
jest,jesmy,jescie,sa)と
szyje.(男
完 了 過 去)を
過 去 の 用 法 に 制 限 を 加 え,そ
人 称 動 詞 の 非 人 称 形 は,全 人 称動 詞 の 単 数3人 称(過
W
限 定 過 去)と
イン ペ ル フ ェ ク ト ゥ ム(imperfectum,未
myje
の過去
くつ かの 語 根 に限 られ る 非 生 産 的 交 替 が あ
'/e/:/o/(niesc[〓](定)「 ](不
運 ぶ 」:nosic[〓
定)「 運 ぶ 」)
/u/:/y/(sluchac「 母 音 交 替 は,動
聞 く」:slyszec「
聞 こ え る 」)
詞 の 形態 論体 系 の 中 で の み規 則 的性
格 を もつ. bierze(brac「 (3人
取 る 」 の3人
称 現 在 単 数):biora
称 現 在 複 数)
jedzie(jechac「(乗
り物 で)行
く」 の3人
称 現在
単 数):jada(3人
取 る 」(完)の
去):wzial(男
性3人
mieli(miec「 mial(男
ま た,半
称 現 在 複 数)
wziela(wziac「
女 性3人
niosla(女
単 主pokoj:単
称 複 数 過 去):
称 複 数 過 去):
称 単 数 過 去):niosl(男
小 形.指
で き る」 の 男 性3人 性3人
称 単 数 過 去):
krzyknac「
交替 に は揺 れ が あ
叫 ぶ 」,krzyknawszy「
wyroslszy「 横 に な れ 」:przewoz!ま
た はprzewoz!
舌 硬 子 音(t,d,s,z,n,r)ま
交 替 は,「
た は/u/」
前
前 に は,'/o/,'/a/が
詞 変 化 で は,こ
女 性 名 詞 の 単 数 前 置 格 で は'/e/,他
(と き に'o.し
か し,wiosna「
格 〕 の よ う に,類
前 ・与
り 広 く生 じ る. 交 替 は規 則 的 で あ
る環 境 の 中 で 子音 群 を
め こみ 母 音 と φ と の 交 替 もみ ら れ る. っ と も よ く現 わ れ る の は/e/
れ に/i/,/y/,例
外 的 に/a/,/o/も
(φ が 現 わ れ る と き,先
の 交 替 は,派 生 に お
形 容 詞 屈 折 で は,'/e/と'/o/の
招 待 す る」 た,あ
は め こみ 母 音 と し て,も で,ま
推 〔ア ナ ロ ジ ー 〕に よ っ て 交 替 が 生 じ
な く な っ た も の が あ る)で あ る.こ い て,よ
・
で は'/a/,'/o/
春 」:wiosnie〔
了 体 動 詞 か ら不 完 了体 動 詞
zaprosic:zapraszac「
分 割 さ せ る,は
で は'/a/,'/o/,
女 性 名 詞 の 単 数 与 ・前 置 格 で は'/e/,他
交 替 は,完
ポ ー ラ ン ド語 に は,ま
現 わ れ る.名
れ ら の 交 替 の 範 囲 は 限 られ て お り,男
前 に
を 作 る 際 の 派 生 に の み 現 わ れ る.
と 「軟 子
音 ま た は 機 能 的 軟 子 音 」 の 交 替 に 条 件 づ け ら れ る.前 舌 硬 子 音 と/u/の
成 長 し た あ と」,posunawszy「
/o/と/a/の よ び,'/e/と'/a/の
叫 ん だ あ と 」,
動 か し た あ と」
「運 ん で 行 け 」 ,お
則 的 に現 わ れ
る.
る.
'/e/と'/o/
幹 末 子 音‐g‐
時 に 母 音 交 替 も 生 じ る)
不 定 詞 と副 動 詞 過 去 の 形 態 素 の 前 で,規
称 単 数 過 去)
令 形 に 現 わ れ るoとoの
poloz!「
指
「小 さ な リ ボ ン 」
mogl(moc「
た だ し,命
小 辞‐k‐ の 付 加 に 伴 い,語
→‐z‐ の 交 替 が 生 じ,同
性3人
称 単 数 過 去)
mogla(女
部屋」
wst‐e‐g‐a「 リ ボ ン 」:wst‐a‐z‐k‐a(wstegaの
運 ぶ 」の 男 性 人 間3人
性3人
生pokoju「
くつ か の 名 詞 の 語 形 成 接 尾 辞 の 前 に も 現 わ
れ,
称 単 数 過 去)
niesli(niesc「
母 音 の 前 に 現 わ れ る.
さ ら に,い
称 単 数 過 去)
持 つ 」 の 男 性 人 間3人
性3人
称単数過
軟 音 性 を 失 う).音
現われ る
行 子 音 が 軟 子 音 で あ れ ば,そ
節 を な さ な い 名 詞(類)語
動 詞 語 根 の 子 音 群,た
の
根 また は
と え ば,
単 主lz‐a:複
生lez「
複 主ps‐y:単
主pies「
涙」 犬」
za‐br‐ac:za‐bier‐ac(zabracの
不 完 了 体 動 詞)
「取 る 」
る. 男 性 単 数 主 格zmeczony:男 zmeczeni「
性人間複数主格
完spotk‐ac:不
疲 れた」
男 性 単 数 主 格wesoly:男
あ る い は,音
単 主matk‐a:複
た だ し,'/e/と'/a/の
交 替 は 生 じ な い.
男 性 人 間 複 数 主 格biali:男
単 主okn‐o:複
性 単 数 主 格bialy「
白
い」
と'/a/の
し 比 較 変 化 を 屈 折 的 事 実 と み な せ ば,'/e/
bialy「
性 単 数原 級 主 格
白 い」
の 短 語 形godzien「
交 替 は,末
尾 有声 子 音 の 前 の位 置
に 現 わ れ る.
れ る 子 音 群,た
と え ば,
przez‐emnie「
引 き 裂 く」 私 に よ って 」
屈 折 で 動 詞 語 根 に 生 じ る の は,/e/と の 交 替 に 限 られ,非
複 生glow:単
主glowa「
単 生meza:単
主maz「
男 性3人 声 子 音 の 前 で も現
わ れ る.
φ,/a/と
称 単 数 過 去tarl:不
定 詞brac「
取 る」
定 詞trzec「
こす
る」 ア ス ペ ク ト(体)派 生 で は,/i/,/y/,/e/と
複 生stop:単
主stopa「
単 主swieto:複 (比 較 変 化 で は,比 い 」)
生swiat「
φ との
交 替 が 規 則 的 に 生 じ る.
足の裏」
zegne(完zgiacの
祭 日」
較 級goretszy:原
φ
生 産 的 で あ る.
3人 称 現 在 単 数bierze:不
頭」 夫」
くつ か の 形 態 素 で は,無
「暑 い,熱
∼ に値 す る」
で 生 じ る.
eとa,oとoの
し か し,い
母」 窓」
頭 辞(お よ び 前 置 詞)と 語 根 の 境 界 に 現 わ
roz‐e‐drzec「
交 替 も 生 じ る こ と に な る.
生matek「 生okien「
godn‐y:そ あ る い は,接
男 性 単 数 比 較 級 主 格bielszy:男
会 う」 幹 末 尾 音 の 子 音 群,
た と え ば,
性 人 間 複 数 主 格weseli
「陽 気 な 」
し か し,も
完spotyk‐ac「
節 を な す 名 詞(類)語
級goracy
(不 完zginacの
現 在 単 数1人 現 在 単 数1人
wyschnie(完wyschnacの
称):zginam
称)「(折
り)曲 げ る 」
現 在 単 数3人
称):
wysycha(不
完wysychacの
現 在 単 数3人
称)
「千 か ら び る 」
kie[〓]「
rozedrze(完rozedrzecの rozdziera(不
女 単 主wysoka[〓]:男
現 在 単 数3人
完rozdzieracの
称):
現 在 単 数3人
女 単 主dluga[〓]:男
称)
「引 き 裂 く 」
替 は 規 則 性 を も ち,/e/が
φ との 交
現 わ れ る か ど う か は,語
根
が 音 節 を な す 母 音 を も つ か ど う か に よ る. 不 完z‐bier‐ac:完ze‐br‐ac「 ユ ー フ ォ ニ ー(euphony)に
sc ,zdz,c,dz,s/s〉 と る の は,語
集 め る」
よ る,は
zd,k,g,x〉:〈p',b',f',v',m',c,dz,s,z,n,l,zを(rz), 軟 子 音 お よび 機 能 的 軟 子 音 を
尾‐iを
とる 男性 人 間 名 詞 お よび 形 容 詞 の
複 数 主 格 と 単 数 全 性 の 語 尾‐eを
め こ み の/e/も
と る 前 置 格 で あ る.
男 単 主chlop[〓]:男
み ら れ る.
人 複 主chlopi[〓
]/男 単 前 置chlopie[〓]「
z‐e‐skoczyc「
飛 び お り る」
w‐ewtorek「
火 曜 日に」
よび,外
来 語 で/i/か/y/で,子
主krzesl‐o〕
に み ら れ る.音
「い す 」)と,音
節 をな
小 形cor‐e‐cz‐k‐a「
w,l,l,r,mに
娘 」〔←corka〕)
節 母 音 を も ち,k,c,j,
]「 悪 魔 」 女 単 主szkola[〓]:女
単 前 置szkole[〓]
「学 校 」 男 単 主maly[〓]:男
人 複 主mali[〓]
rとz(rz),kとc,gとdzの ,c,dzの
終 わ る 子 音 群 が 末 尾 に く る 語 根 で は,
交 替 が 起 こ ら な い こ と も あ り,ほ
人 複 主diabli[〓
「小 さ い 」
節 を な す 母 音 が 語 根 中 に な い と き,こ
の 交 替 は 規 則 的 に 起 こ る が,音
男 単 主diabel[〓]:男
音群が語幹 主ps‐y〕 「犬 」,複
さ な い 接 尾 辞 の 前 に 現 わ れ る と き(指 小 形pies‐e‐k「 小 犬 」〔←pies〕,指
人 複 主skapi[〓]
「け ち な 」
末 に 現 わ れ る と き(単 主pies〔cf.複 生krzesel〔cf.単
か の 子音 で は例 外 的
に し か 起 こ ら な い.
交 替 に お い て,z(rz),z
あ と のiは,正
書 法 の 規 則 に よ り‐yと
男 単 主aktor:男
子 音 交 替 は,「 硬 子 音 」 と 「軟 子 音
あ る い は 機 能 的 軟 子 音 」,お
よ び,「 機 能 的 軟 子 音 」 と
「軟 子 音 あ る い は 機 能 的 軟 子 音 」と の 交 替 で あ る.交 音 の 現 わ れ 方 を ま と め る と,以
替
下 の と お りで あ る.
な る.
人 複 主aktorzy[〓]「
俳
優 」 男 単 主dobry:男
音 交 替
百 姓」
男 単 主skapy[〓]:男
名 詞 の 語 根 と 接 尾 辞 に み ら れ る は め こ み 母 音 は,
2)子
単 主dlugi[〓]
「長 い 」 b)〈p,b,f,v,m,t,d,s,z,n,u,r,st,
上 の 例 に も み ら れ る 接 頭 辞 に お け る/e/と
/e/,お
人 以 外 複 主wyso‐
高 い」
人 複 主dobrzy[〓]「
男 単 主niski:男
良 い」
人 複 主niscy[〓]「
前 置 格 のkとc,gとdx,xとsの
背の低い」 交 替 は,女
性名
詞 前 置 格 に 特 有 の も の で あ る. 単 主matka:単 単 主droga:単
前 置matce「
母」
前 置drodze[〓]「
単 主mucha[〓]:単
道」
前 置musze[〓]
「は え 」 xとsの
交 替 は,男
性 人 間 形 に 現 わ れ る.
男 単 主mnich[〓]:男
人 複 主mnisi[〓]
「僧 侶 」 男 単 主cichy[〓]:男 名 詞 類,動 も,ま
た,そ
詞 類 の 屈 折 お よ び 派 生 に 広 くみ ら れ る 交 替 れ ぞ れ の 屈 折 に 特 有 の 交 替 も含 ま れ る.
動 詞 活 用 に 際 し て 現 わ れ る 子 音 交 替 に つ い て は,す に 述 べ た の で,こ
こ で は,名
音 交 替 を あ げ る と,次
詞 類 の 曲 用 に現 われ る子
の よ う に な る.
a)〈k,g〉:〈k',g'〉k',g'を
の 複 数 主 格 ・対 格,そ
れ に,形
と る と き で あ る.そ 男 単 主rok[〓]:男
よ び,男
数
性人間以外
容 詞 屈 折 で,語
尾‐i,
れ 以 外 で は,k,g.
中 単 主oko[〓]:中
形 容 詞 男 性 人 間 形 に は,sとs,z(z)とzの
比 男 単 主starszy[〓]:比
単 造okiem[〓]「
男 人 複 主starsi
年 長 の」
男 単 主duzy[〓]:男
人 複 主duzi[〓]「
sn,sm,su,znの
子 音 群 も,sn,sm',sl,znと
中 単 主krzeslo[〓]:中
世紀 」 目」
大
き な」
[〓]「 主wieki[〓]「
交替が
替 す る.
単 造rokiem[〓]
「年 」 男 単 主wiek[〓]:複
静か
現 わ れ る.
[〓]「 と る の は,単
の 男 性 名 詞 と 中 性 名 詞 の 造 格,お
‐eを
で
人 複 主cisi[〓]「
な」
女 単 主wiosna[〓]:女 [〓]「
単 前 置krzesle
椅子」
春」
単 前 置wiosnie
交
男 単 主dorosly[dorosuy]:男 [〓]「 [統
人 複 主dorosli
大 人 の」
語]
数,性,人
主 語 は ふ つ う主 格 形 を も ち,述
語 と,
spi.(中
性 名 詞 単 数 主 格‐単 数3人
称現
性 名 詞 単 数 主 格‐単 数3人
称
的 な 制 限 や 否 定 文 に お け る全 面 的 欠 乏 を
表 わ す 文 で は,生 Wod‐y
性 名 詞 単 数 生 格‐単 数3人
称
Smutno
詞‐1人
え ば,次
Egipt.(主
と
語 ・男 単3人 現在単
称 〕‐前 置 詞 「∼ を 通 っ て 」‐男 単 対)/Nil
przez
Egipt
Syn
kocha
przeplywa./Przez
Ojc‐a kocha (た だ し,文
Egipt
prze
ナ イ ル 川 は エ ジプ トを流 れ て い る」
ojc‐a.(男
人 単 主‐3現
単‐男 人 単 対)/
syn.「 息 子 は 父 を 愛 し て い る 」
ま た,人
称 述 語 形 が 形 態 論 的 には っ き り して い る た
多 い. Spa‐l‐e‐s.(‐l‐ は 男 性 過 去,‐sは2人
称 単 数)
「(ty「 君 〔男 〕は 」)眠 っ て い た 」 は 女 性 過 去,‐mは1人
称 単 数)
Powiad‐aj‐a.(powiadacの3人
wchodzic.(助
mowic「
nie
称 複 数 現 在)
mowi.(副
詞‐ 再 代 対 格‐ 否 定 辞‐ 称 現 在 単 数)「 そ う い う ふ う
palic!(否
Leje.(lacの3人 Mdli
しか し,語 あ る.
定 辞‐ 不 定 詞)「 禁 煙 」 称 現 在 単 数)「
mnie.(mdlecの3人
名 詞jaの
部,中 東 部 の マ ゾ フ シ ェ(Mazowsze)方
3)南
西 部 の シ ロンス ク(Slask)方 言
4)中
西 部 の ヴ ィエ ル コポ ル ス カ(Wielkopolska)
対 格)「(私
言
方言 5)バ
ル ト海 沿 岸 地 帯 の カ シ ュブ(Kaszuby)方
言
こ の うち,他 の 方 言 と も っ と も異 な る の は カ シ ュ ブ 方 紀 に は,別 個 の ス ラ ブ語 とす る考 え方 も現
わ れ た ほ どで あ る が,ヴ
ィエル コ ポル ス カ方 言 あ る い
る.カ シ ュブ 方 言(こ こ に は,ス ロ ヴ ィ ン ツ方 言gwary Slowincowも
属 す るが,本
来 の カ シ ュ ブ方 言 と はか
な り大 き く異 な る.こ の 方 言 は,第2次
大 戦 ま で,一
部 で は1950年
日で は 消 滅 し
代 初 め まで 残 った が,今
らか に他 の 方 言 と異 な る 特徴 を もつ 方
言 は,マ ゾ フ シ ェ方 言 で あ る.
の 母音 変 異,強
称 現 在 単 数‐1人
称代
は)む か む か す る 」
順 に つ い て は,次
の よ うな一 定 の 制 限 が
イ ェル のeへ
の 母 音 化,
弱 イ ェル の 消失(以 上,前 述 の 「系 統 」 を 参 照),代 延 長(16世
償
紀 に,有 声 音 に 終 わ る閉 音節 の 母音 に 生 じ
た もの で,後 続 音 節 で イ ェル が 消 失 した 結 果,本 来, さを獲 得 した 〔 例:*bog〓
古 ポbog「 神 」,*vozb>woz「
ど しゃ ぶ りだ 」
と南 の 方 言 で は異 な る
変 化 を とげ た 音 声 もあ る.し か し,前 舌 硬 子 音 の前 で
短 母 音 だ った 母 音 が,長
に は 言わ な い」 Nie
2)北
のeのoへ
詞‐不 定 詞)「 入 っ て も よ い 」
言 う」 の3人
言
重 要 な方 言 間 の 差 異 は,歴 史 時代 に生 じた もの で あ
「(人 々 が そ う)言 っ て い る 」
sie
主 と して,以 下 の よ う な方 言 が あ る.
東 部 の マ ウォ ポ ルス カ(Malopolska)方
るが,す で に,先 史 時代 に,北
無 主 語 文 も 多 い.
Tak
言]
1)南
た)以 外 で,明
「(ja「 私 〔女 〕は 」)眠 っ て い た 」
Mozna
[方
どは,文 頭 に
ど.
は マ ゾ フ シ ェ方 言 とい くつ かの 共 通 の 特 徴 を も って い
語 は 動 詞 の 人 称 形 の 中 に 隠 さ れ て い る こ とが
Spa‐la‐m.(‐la‐
名 詞 の 短 形mi,ci,go,sieな
立 て ない,な
言 で,19世
の 最 初 と 最 後 の 位 置 に お か れ た 語 は,
論 理 的 に 強 調 さ れ る)
め に,主
性 単数 主 格‐前 置 詞‐中 性
かれ る,
数3人
Nil.「
z dzieckiem(女
6)代
称 主 格‐ 述 語 動 詞 〔自動 詞przeplywacの
plywa
matka
折語尾が文
か の ど の 語 と結 合 す る か を 示
przez
性 単 数 主 格‐男 性 人 間 複 数
況 句 は,そ れ が 限 定 す る語 の 前 に も後 に もお
中 の 語 順 は か な り 自 由 で あ る.た
przeplywa
uczniow(女
語 は,そ れ が 結 び つ く語 の 後 にお か れ る,
の ど の 文 も 可 能 で あ る.
Nil
zabawa
5)状
は 悲 し い 」(い わ ゆ る 認 識 論 的 主 語)
し て い る た め,文
polski「 ポー ラ ン ド語 」
格 を用 い た 限 定 辞,前 置詞 と名詞 を用 い た 限
4)補
称 代 名 詞jaの
ポ ー ラ ン ド語 の 統 語 上 の 特 徴 と し て,屈 中 の 語 の 機 能 を 示 し,ほ
3)生
与 格)「 私
味 上 の 主 語 が 与 格 で 与 え ら れ る.
mi.(副
jezyk「 む ず か しい 言 語 」
単数 造 格)「 子 供 を連 れ た 母 親 」
現 在)「 水 が 減 っ て い る 」(い わ ゆ る 論 理 的 主 語) 無 主 語 文 で は,意
trudny
生格)「 生 徒 た ち のパ ー テ ィー 」
格 形 を と る(い わ ゆ る 部 分 生 格).
ubywa.(女
に,特 徴 を表 わ す形 容 詞 は,後 に お か れ て1つ の
定 辞 は,ふ つ う,限 定 され る語 の後 に おか れ る,
中 性 過 去)「 子 供 は 眠 っ て い た 」 し か し,量
質 を表 わ す 形 容 詞 は,そ れ が 限 定 す る語 の 前
jczyk
在)「 子 供 は 眠 っ て い る 」(い わ ゆ る 文 法 的 主 語) Dzieek‐ospa‐lo.(中
つ う,主 語 は,述 語 の 前 に お か れ る,
概 念 を構 成 す る,
称 が 一 致 す る.
Dzieck‐o
1)ふ 2)性
c,dz,rへ
の 変 化,音
>
荷車 」 〕),t',d',r'の
長 の差 の消 失 に よ る長 母 音 の 閉
母 音 へ の 変化(量 の差 か ら質 の 差 へ の 変 化)な ど,き わ め て 多 くの語 に わ た る一連 の 古 い 音声 変 化 を,す べ て の 方言 が 同 じよ う に た どっ た(細 かい 差 異 は後 期 の も の で あ る).
シ ュ ブ 方 言,
な く,ra‐,ja‐
ー ラ ン ド語 の
jablko「
ヴ ィ エ ル コ ポ ル ス カ 方 言 の 大 部 分,カ お よ び,い
くつ か の 小 方 言 群 を 除 き,ポ
方 言 の 大 部 分 に 現 わ れ る も っ と も重 要 な 特 徴 は,マ ジ ェ ニ ェ(mazurzenie)と ュ ー 音s,z,c,dzの
よ ば れ る,後
発 音 を,歯
ン ド語 圏 を2分 い る こ と,そ
綴 ら れ るzは
部 の 北 か ら南 の 端 に ま で 及 ん で
れ が 現 わ れ る 範 囲 が 昔 の ポ ー ラ ン ド諸 族
の 境 界 と一 致 し て い る た め で あ る.古
くか ら,マ
ェ ニ ェ が 現 わ れ た 時 期 や そ の 理 由,本 ぐ っ て は 議 論 が 多 い.近 っ て,方
年 は,共
史]
ズ ジ
来 の 広 が りを め
通語の普及 にともな
言 間 の 差 異 が 失 わ れ つ つ あ る.
ポ ー ラ ン ド語 は,オ
ら,12世
の 萌 芽 と い う ベ き も の が 現 わ れ た.そ
期,以
後 を 書 記 期 と 区 分 す る.10世
ド は,チ
形 成 し た.こ
の 頃,国
ィエル コポ ル スカ 地 方 の 方 言 に あ る
さ れ た.こ
こで は,今
日 の 文 語 の 主 な 特 徴 が,ど
て 多 い(主
1)ヴ
日 の 鼻 母 音 の 発 音,
b)ス
ー 音,シ
(マ ズ ジ ェ ニ ェ は,文
列の区別
ち に,ワ
水 曜 日」,zrodlo「
ル シ ャワ
泉」が一般化
の 保 存(例:chwala「
名 誉 」.マ
ウ ォ ポ ル ス カ 方 言 と マ ゾ フ シ ェ方 言 で は,chwが fに e)接
単 純 化 さ れ た),
方 の)お
な ど の 語 彙(マ
方 の)お
じ 」,trzymac「
じ 」,
つ か ん で い る」
ウ ォ ポ ル ス カ と マ ゾ フ シ ェ で は,
eze,ez,stryk,ujek,dzierzec), f)マ
数 前 置格 の
ウ ォポ ル ス カ 方 言 起源 の 特徴
a)軟
子 音 の あ と の 音 群ow(例:mezowie「
夫た
い 動 詞 形 の 消 失(例:bierze―
尾 辞od/ode(nad,pod,przedに
はotに e)主
の 破 擦 音 化,軟
子
どの 音 声 変 化 が 生 じて
期 ポ ー ラ ン ド語 期(16世
紀 ∼15/16世
紀 ∼18世
紀),新
る(Klemensiewicz,1974に
よ る).と
期
区分でき
き に,古
期,中
古 期 ポ ー ラ ン ド語 期 に は,ポ が 現 わ れ 始 め る が,主
ー ラ ン ド語 の 散 文,詩
と し て 話 し こ と ば に 限 ら れ,文
化 言 語 は ラ テ ン 語 で あ っ た.こ
消 失),形
の 期 の ポ ー ラ ン ド語 の
母 音 と短 母 音 間 の 対 立 の 存 在(15世 態 論 で は,ア
も に,過
去 時 称 の1つ)が た,双
な ど で あ る.こ
あ っ た こ と(15世
数 の 保 存,名
紀 に
詞 に お け る古 い三
通 ポ ー ラ ン ド語 の 規 範 の 動 揺,
の 期 に は,ド
イ ツ 語(都
家 制 度 の 面 で の 語 彙),チ
の 際 の 用 語,軍
紀 末に
オ リ ス ト と イ ン ペ ル フ ェ ク トゥ
隊 用 語),ラ
市 の 発 達,建
ェ コ 語(宗 教 書 の 翻 訳
テ ン 語(学 校 や 教 会 に 関 す
る 領 域 な ど の 面 で の 語 彙)起 源 の 語 彙 の 借 用 が 多 い. 立 っ て い る 」,bac
sie「 恐 れ る 」
(ヴ ィ エ ル コポ ル ス カ で は,stojac,bojac
も の.ヴ
ェル の 母音
紀 末 か ら 今 日 ま で)に
築,国
今 日 のbiore
「私 は 取 る」),
d)接
音 変 異,イ
ポ ー ラ ン ド語 期(18世
性 の 文 法 性 の 存 在,共
ち 」.ヴ ィ エ ル コ ポ ル ス カ と マ ゾ フ シ ェ で はew),
詞stac「
ど の 人 名.
述 の,母
期 ポ ー ラ ン ド語 期(12世
は 廃 れ る),ま
受 け 入 れ な か っ た こ と.
c)動
書 記 期 は,古
ム(と
去 時 制 の 新 し い 形‐ch,‐chmyを
2)マ
b)古
ど.
い る.
特 徴 は,長
ウ ォ ポ ル ス カ 地 方 で 広 ま っ た,複
語 尾‐och,過
キ リス ト 教 徒 」,
ミサ 」,な
期 を 合 わ せ て 古 期 と す る こ と も あ る.
続 詞ize,izや,stryj「(父
wuj「(母
教 会 」,msza「
紀 に は,前
れが
ち に な っ て か ら で あ る).
化 と 消 失,t',d',r'のc,dz,rへ
紀),中
音 群chw‐
教 や 祭 儀 に 関 わ る もの で,そ
音 と 硬 子 音 の 対 立 の 固 定 化,な
し た), d)子
イ ツ語 お よび チ ェ コ語
ま た,Adam,Jan,Pawel,Piotrな
語 に 入 ら な か っ た), 発 音(の
の 発 音sroda「
辞 法 に も大 き な変
天 使 」,chrzescijanin「
kosciol「
さ や き 音 の3系
c)srzoda,zrzodloの
の 時 期,ド
と し て,宗
10∼11世
ュ ー 音,さ
しこと リス ト教
ー ラ ン ド語 に 入 っ た 借 用 語 の 数 は き わ め
aniol「
ィエル コ ポル ス カ 方 言 起 源 の 特 徴
a)今
が て は,統
書 き と め ら れ た の は,の
の 方 言 で 発 生 し た か を み る と し よ う.
家 を
テ ン 語 の 影 響 を 受 け る こ と に よ っ て,ポ
ー ラ ン ド語 の 語 彙 や,や
ち ら
ー ラン
家 や 教 会 組 織 の 中 で,話
ば の 共 通 語 が 発 達 し 始 め た と 考 え ら れ る.キ
を 介 し て,ポ
か マ ウ ォポ ル ス カ地 方 の方 言 に あ るか をめ ぐ って 展 開
紀 末 に,ポ
ェ コ を 経 由 し て キ リス ト教 を 受 容 し,国
化 を も た ら し た.こ
文 語 の 起 源 が,ヴ
れか
語 の記 述 が次 第 に多 くな っ てい くまで の時 期 を書 記 前
な お 一 致 し た 見 解 が な い.論
ー ラン ド
ー
ィ ス ワ(Wi
紀 中頃 に ラ テ ン語 の 記 録 の 中 に ポー ラ ン ド
昔 か ら 論 争 が 続 い て お り,い くつ か の 問 題 に つ い て は, 争 の 中 心 は,ポ
ド ラ(Odra;オ
ァ ル タ(Warta)川,ヴ
の 受 容 は,ラ
ポ ー ラ ン ド文 語 の 起 源 と方 言 との 関 係 を め ぐ っ て も
朝 」,
流 域 に 住 ん で い た 諸 族 の 方 言 の 中 か ら,8∼9
世 紀 に,そ
の 現 象 が 注 目 さ れ る の は,ポ ー ラ
し,東
[語
デ ルOder)川,ヴ sla)川
音 の ス ー 音s,z,c,dz
で お き 換 え る現 象 で あ る(た だ し,rzと 変 化 を 受 け な い).こ
ズ
部 歯 茎音 の シ
に 均 一 化 さ れ た(例:rano「
り ん ご 」).
ィ エ ル コ ポ ル ス カ で はot,マ な ら っ て,nat,pot,przetと
と し て 語 頭 の 音 結 合 が,北
sie), な ら った ゾ フ シ ェで
は
刷 術 の 発 達,学
校 教育
生 活 に お け る ポ ー ラ ン ド語 使 用 範 囲
の 急 速 な 拡 大 が み ら れ る.ル ネ ッ サ ン ス 文 学 の 開 花 は, レ イ(Mikolaj ski)ら
書 い た), 部 のre‐,je-で
中 期 ポ ー ラ ン ド語 期 に は,印 の 発 展 に 伴 い,公
Rej),コ
ハ ノ フ ス キ(Jan
Kochanow
に 代 表 さ れ る ポ ー ラ ン ド語 に よ る 作 家,詩
生 み 出 し,ポ
人を
ー ラ ン ド文 語 の 規 範 化 の 意 識 的 探 究 が 始
ま っ た.こ
の 時 期 の ポ ー ラ ン ド語 に よ る 私 信 が,か
り多 く残 さ れ て い る.し た び ラ テ ン 語 が,学
か し,17世
校,教
紀 中 葉 か ら,ふ
な
で あ る.見
た
語 彙 を 網 羅 し,精
育 の 唯 一 の 言 語 と み な さ れ,
ポ ー ラ ン ド語 に 多 く の 新 し い ラ テ ン 語 の 借 用 が 現 わ れ,ま
た,ポ
わ ゆ る マ カ ロ ニ ズ ム(macaronism)が
流 行 し た.こ
の 期 の も う1つ
の 特 徴 は,リ
コ ヴ ァ(R.Grzegorczykowa),プ
トア ニ ア と
等 に よ っ て,こ
の 辞 書 のIndeks
polskiego(『
語 小 辞 典 』,PWN,Warszawa)が
キ の 辞 典 に よ り な が ら も,最
て,い
わ ゆ る 東 部 国 境 地 帯 ポ ー ラ ン ド語 が,ポ
ド文 語 の 語 彙,音
声 進 化(狭
め 母 音 の 消 失)に 影 響 を 及
ぼ し た. 18世
Konarski)の
カ ロ ニズ ムの 浄 化 が 意 識 的 にな
国 民 教 育 委 員 会 が,ポ
蒙 思 想 の 発 達,ま た,
ー ラ ン ド語 を,学
校 教 育 の 言 語,
教 育 科 目 と し た こ と に よ っ て,ポ ー ラ ン ド文 語 の 刷 新, 文 語 の 規 範 化 と 普 及 が も た ら さ れ,こ
の 時 期,共
通語
証 主 義 文 学 の 開 化 等 に よ っ て,ポ
共 通 ポ ー ラ ン ド語 の 話 し こ と ば,書
期,新
期 に は,音
で の言 語 体 系 の 変 化 は,細
関 わ りか ら,こ
声,形
れ ま で に あ げ た も の の ほ か に,イ
ラ ン ス 語 な ど か ら の 借 用 語 も 多 く,さ 大 戦 後 は,英
た.ポ
ー ラ ン ド語 に も19世
日 な お,き
徴 と す る.共
く穏 や か な もの
わ め て 豊か な借 用 語 を もつ こ と を特 と推 算 され て い
る. [辞
も っ と も古 い も の は,16世
語 対 訳 辞 典 に 遡 る が,本 て は,19世 Slownik
jezyka
polskiego(『
全6巻(Warszawa,1807‐15)が 第2次
大 戦 後 の 辞 書 で は,ド
Doroszewski)編 (Panstwowe
紀 のラテ ン
格 的 な ポ ー ラ ン ド語 辞 典 と し
紀 の リ ン デ(Samuel
のSlownik Wydawnictwo
PWN〕,Warszawa,1958‐69)全11巻
Bogumil
Linde)の
ポー ラ ン ド語 辞 典 』) 最 初 の も の で あ る. ロ シ ェ フ ス キ(Witold jezyka
polskiego
Naukowe〔
らNowa
個 別 領 域 を 扱 っ た 辞 典 に は,慣
以 下,
が 最大 の成 果
encyklopedia
powszechna
用 句 辞 典 に,ス
frazeologiczny jezyka
(全2巻,Wiedza
Powszechna〔
コル
polskiego
以 下,WP〕,Warszawa,
じ ス コ ル プ カ 編 のSlownik
wyrazow
bliskoznacznych(『
類 義 語 辞 典 』,WP,Warszawa,
1957),1937年
に 初 版 が 出 た シ ョベ ル(Stanislaw
Szober)のSlownik
ortoepiczny(『
典 』)に ド ロ シ ェ フ ス キ,ス Tokarski),ヴ Slownik
コ ル プ カ,ト
正 音学 辞 カ ル ス キ(J.
ィ エ チ ョル キ ェ ヴ ィ チ が 改 訂 を 加 え た
poprawnej
polszczyzny(『
用 法 辞 典 』,Panstwowy
Instytut
Warszawa,1968),ド
ポ ー ラ ン ド語 正 Wydawniczy,
ロ シェ フ ス キ と クル コフ ス カ
(H.Kurkowska)編 書]
に は,Wydawnictwo
が 刊 行 さ れ た.
プ カ 編 のSlownik
タ リ ら に,
紀 の 分 割 占領 下 で 言 語 純
通 語 の 語 数 は,約10万
お,1995年
PWNか
1967),同
語 と ロ シア語 か らの借 用 語 が 増 し
粋 化 の 動 き が 生 じ た こ と が あ る が,ご で,今
態論の領域
ー ラ ン ドが た ど っ た 歴 史 と の
第2次
PWN(全1巻,PWN,Warszawa, ど が あ る.な
Naukowe
か な も の に す ぎ な い.
ポ ー ラ ン ド語 に は,ポ
ア 語,フ
き こ とば の 文 法
popularna
(全1巻,PWN,Warszawa,1972),Encyklopedia
PWN,全6巻
期 ポ ー ラ ン ド語 期 の 終 わ り ま で に ほ ぼ 完 成
を と げ て お り,中
Encyklopedia
(全1巻,PWN,Warszawa,1962),Leksykon
ー ラ ン ド文 語 の 完 成 と 普 及 が 継 続 さ れ た .
体 系 は,古
powszechna
powszechna(全1巻,PWN,
Warszawa,1959),A‐Z
1982)な
マ ン 主 義,実
jezyka 出た
encyklopedia
encyklopedia
こ の あ と,国 も,ロ
中 型 辞 典Slownik
powszechna(全4巻,PWN,1973‐76), Mala
popularna
の間に
新 の 資 料 を と り 入 れ た,
(全13巻,PWN,Warszawa,1962‐70),Encyklopedia
の 全 面 的 発 展 の 基 礎 が つ く り 出 され た.ポ ー ラ ン ド は, 家 滅 亡 と 分 割 支 配 期 に 入 る が,そ
ロシ ェフ ス
(見 出 し 語 数 約8万).
タ ニ ス ワ フ ・コ ナ ル ス キ(Stanis 学 校 改 革 と,啓
は り,ド
polskiego(全3巻,PWN,Warszawa)が
百 科 事 典 に は,Wielka 紀 後 半 に は,マ
さ れ る と と も に,ス l aw
に は,や
シ ム チ ャ ク(M.Szymczak)の
ー ラン
ポーラン ド
編 ま れ た(収 録 語 彙
数 約3万5千).1978年
の 地 域 出 身 の作 家 を媒 介 と し
編
ェ ン ピ ツ カ(Z.Lempicka) jezyka
る と 同 時 に,そ
ン ド語 に と り 込 ま れ,こ
tergoが
ウデ ル
語 とウ ク ライ ナ 語 に か な り大 き な語 彙 面 の影 響 を与 え の土 地 の 語 彙 お よ び 音声 特 徴 が ポ ー ラ
a
コ ル プ カ(A.Skorupka),ア
に,1968年,ス
編 のMaly slownik
ー ラ ン ド語 は 白 ロ シ ア
ジ ェゴ ル チ
の辞 書 を も と
ス カ(H.Auderska),ウ
の 結 果,ポ
学作
た,こ
化 に よ っ て,ポ
ー ラ ン ド語 が 東 部 地 域 の 支 配 言 語 と な
紀 の
ズ ィ ニ ナ(J.Puzynina)
ま れ た(PWN,Warszawa).ま
ポ ー ラ ン ド王 国 内 の 多 く の 東 ス ラ ブ 貴 族 の ポ ー ラ ン ド
っ た こ とで あ る.そ
に19∼20世
密 な 言 語 学 的 説 明 が 付 さ れ,文
品 等 か ら の 引 用 が 豊 か で あ る.1973年,グ
ー ラ ン ド語 の 中 に ラ テ ン語 を 原 語 の ま ま
と り入 れ た,い
出 し 語 数 約12万5千,主
の
Slownik
poprawnej
polszczny.
(『ポ ー ラ ン ド語 正 用 法 辞 典 』,PWN,Warszawa, 1973),ブ の1927年
リ ュ ッ ク ネ ル(Aleksander
版 を1970年
etymologiczny
に 再 版 し た 語 源 辞 典Slownik
jezyka
polskiego(WP,Warszawa),
レ チ ェ ク(S.Reczek)編 slownik
dawnej
の 古 語 辞 典Podreczny
polszczyzny(Ossolineum,
Wroclaw/Warszawa/Krakow,1968),ト 編 の 外 来 語 辞 典Slownik wyrazow Warszawa,1971),ポ
Bruckner)
カルスキ obcych(PWN,
ー ラ ン ド語 の 音 声 を は じ め て 国
際 音 声 記 号 を 用 い て 示 し た,カ デ ヨ ヴ ァ(M.Madejowa)編 polskiej(『
ラ シ(M.Karas),マ のSlownik
ラ ン ド会 話 』(白 水 社,東
wymowy
小 原 雅 俊 編(1977),『
ポ ー ラ ン ド語 発 音 辞 典 』)(PWN,Wars
zawa/Krakow,1977)な 対 訳 辞 典 の う ち,ポ
Stanislawski)の
大 辞 典Wielki
語 を 収 録)が 定 評 が あ る.ポ
ー ラ ン ド語 ‐ ロ シ
ア 語 辞 典 で は,大 辞 典 に,ヘ ッ セ ン(Dymitr ス テ ィ プ ワ(Ryszard
Stypula)編
polsko‐rosyjski(WP,Russkij Warszawa,1967;見 テ ィ プ ワ,コ
slownik
万5千)あ
辞典にス
Kowalowa)編
の
polsko‐rosyjski(WP/Russkij
Jazyk,Warszawa/Moskwa,1976;見 る.ポ
ー ラ ン ド語 ‐ドイ ツ 語 辞 典 に は,大
プ レ ク(Jan
Piprek),イ
Ippoldt)編
のWielki
slownik
polsko‐niemiecki
ブ ズ デ ン ガ(Andrzej
語 収 録),中 Bzdega),ホ
ra),ク
ビ ツ ァ(Stefan
reczny
slownik
デ ラ(Jan
Kubica)編
にPodreczny
slownik
一,工
藤 幸 雄,吉
哲 士 朗,関 (1981)が
ーラン ド 辞典
ル(Elzbieta
あ る.ポ
ー
Sobol)編
wspotczes
(『現 代 ポ ー ラ ン ド語 辞 典 』 ル ジ ュ ビ ェ タ ・ソ ボ のpbdreczny
slownik
ど が 出 版 さ れ, ヴ ァ ・ゲ ッ レ ル
Galler)のSlownik
原 雅 俊,塚
本 桂 子 ,石
井
の新 版
(Wydawnictwo
Naukowe
slownik
PWN,Warszawa,1997),そ
の他 多 くの個
別 領 域 の 辞 典 が 出 た. (小 原 ポ ル
polskim(Ossoli
トガ ル 語portugues,英Portuguese,
[系 統 ・人 口]
属 し,ス
neum,Wroclaw/Warszawa/Krakow/Gdansk,
ポル トガル 共 和 国 お よび ブ ラ ジ ル ン ド ・ヨ ー ロ ッ
に イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 に
ペ イ ンの ガ リ シア語 とは互 い に 方 言 関係 に あ
る.
1978)
イ ベ リ ア 半 島 の 西 側 帯 状 の 地 域 は,こ
Klemensiewicz,Zenon(1974),Historia
jezyka
polskiego(PWN,Warszawa) Gramatyka
opisowa
せ て,ガ
niami Ⅰ,Ⅱ(Panstwowe
polskiego Zaklady
z cwicze
Wydawnictw
た,こ
ル 語(galego‐portugues)と
リ シア地
以 北 の ポ ル トガ ル 北 部 の14世
紀 頃 ま で の 言 語 を さ し て 用 い られ る 場 合 が あ り,ポ
ポ ー ラ ン ド語 学 習 の た め の 参 考 書 に は,次
の よ うな
も の が あ る.
トガ ル 語 学 で は,ガ
ポ ー ラ ン ド語 の 入 門 』(白
京)
arcaico)と
ポ ー ラ ン ド語 基 礎1500語
』(大
ヘ ン ル イ ク ・ リプ シ ツ,吉
半 島 で 重 要 な 文 学 語 の ひ と つ で あ っ た.そ 献 で は,ガ
上 昭 三(1976)
,『 標 準 ポ ー
い う名 称 が 使
わ れ る. 中 世 ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 文 語 は,当
京)
ル
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 の 代 わ り に,
古 ポ ル トガ ル 語(portugues
木 村 彰 一,吉 上 昭 三(1973),『
小 原 雅 俊 編(1982),『
の ガ リ シ ア ・ポ ル トガ い う名 称 は,ガ
方 と ドー ロ(Douro)川
Szkolnych,Warszawa,1972)
の 両者 を合 わ
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 の 言 語 領 域 に 属 す る も
の と し て 一 括 され る.ま jezyka
雅 俊)
独Portugiesisch,仏portugais,西portugues
パ 語 族 の ロ マ ン ス 語 派,特 o Jezyku
ortografi
新 ポ ー ラ ン ド語 正 書 法 辞 典 』,Wydawnictwo
連 邦 共 和 国 の 唯 一 の 公 用 語 で あ り,イ
wiedzy
an
反 対 語 辞 典 』MCR,Warszawa,1995),
PWN,Warszawa,1995),Nowy czny(『
jezyka
携 帯 ポ ー ラ ン ド語 辞 典 』(Wydawnictwo
余 の現 代 語 を主 村彰
代 に 入 っ て,
Dunaj)のSlownik
polskiego
PWN,Warszawa,1995)な
Naukowe
[参 考 文 献]
学 書 林,東
jezyka
Dabrowka,Ewa
口 時 正 共 編 の 『白 水 社 ポ ー ラ ン ド語 辞 典 』
水 社,東
nego
(Andrzej
あ る.
Encyklopedia
Naukowe
ン ジ ェ イ ・ド ン ブ ル フ カ,エ
「和 ポ 語 彙 」 を 付 し た,木 上 昭 三,小
polskiego
が 出 た.90年
ま た,ア
辞 典 が 出 て い な い.中
ラ ン ド語 ‐ 日本 語 辞 典 は,約2万2千 に 収 録 し,約3,300の
第1版
『外 来 語 辞 典 』
語 収 録)が
に は,こ
jezyka
Chode
polsko‐ francuski(全2巻,
WP,Warszawa,1969;約5万
Slownik
Naukowe
scheidt,Warszawa/Berlin/Munchen/Wien/Zu
語 ‐ フ ラ ンス 語 辞 典 は,大
は 別 冊 の 補 遺 が 付 さ れ,95年
独 自 の 編 纂 法 で 最 新 の 語 彙 を も収 め た ボ グ ス ワ フ ・
tonimow(『
あ る.ポ
『ポ ー ラ ン ド語 辞 典 』 の 改 訂 第
PWN,Warszawa)の
polskiego『
の 定 評 あ るPod
語 収 録)が
の
辞 典 に,
polsko‐niemiecki(WP,Langen
rich,1973;約7万5千
シ ム チ ャ ク の3巻
Wilga,Warszawa,1996)や,エ
ッ ポ ル ト(Juliusz
(WP,Warszawa,1971;約20万
ス ラ ブ語 派 書)
ド ゥ ナ イ(Buguslaw
出 し語 数 約3
辞 典 に,ピ
記](辞
ポーラ
京)
(『ポ ー ラ ン ド語 辞 典 』,Wydawnictwo
Jazyk,Moskwa/
ヴ ァ ロ ヴ ァ(Galina
Podreczny
照]
[追
学 書 林,東
の補 遺 が一 緒 に な っ た
stownik
出 し 語 数 約8万),中
[参
7版(1992年)に
Hessen),
のWielki
リ ス ト フ ・ス ト ン ベ イ コ(1980),『
ン ド語 基 本 文1000』(大
polsko‐angielski(WP,Warszawa,1969;
約18万
京)
直 野 敦,ク
ー ラ ン ド語 ‐英 語 辞 典 で は,ス
タ ニ ス ワ フ ス キ(Jan slownik
書 林,東
ど が あ る.
京)
ポ ー ラ ン ド語 会 話 練 習 帳 』(大 学
リ シ ア 語,ポ
も の が み ら れ る.し
時 の イ ベ リア の後期の文
ル トガ ル 語 の 差 異 を 反 映 す る
か し,言
語 的 に は,比
較的均質な
状 態 を 保 っ て お り,国
境 を な す ミー ニ ョ(Minho)川
の
<図1>ポ
両 側 の こ と ば の 差 は 小 さ か っ た と考 え ら れ る. ポ ル トガ ル 語 は,こ
の 半 島 西 北 部 の 言 語 が,11世
以 降 の レ コ ン キ ス タ(国 土 回 復 運 動)に
ル トガ ル 語 ・ガ リシ ア 語 関 係 地 名 図
紀
よ っ て 南 下 し,
北 の ガ リシ ア語 との 分化 が 決 定 的 な もの とな るに 至 っ て 形 成 され た もの で あ る. 16世 紀 以 降 の ポ ル トガ ル の 海 外 進 出 に 伴 い,ポ ガ ル 語 は 全 世 界 に 広 が っ た が,中 1822年
ル ト
で も ブ ラ ジ ル は,
ま で ポ ル トガ ル の 最 大 の 植 民 地 で あ り,言 語 も
ポ ル トガ ル 語 が 優 勢 を 占 め,国
語 の 地 位 を え る に至 っ
て い る. 話 し手 の 数 は,ポ て 約1億
人 強,う
ル トガ ル,ブ
ち,ポ
ラ ジル の 両 国 合 わ せ
ル トガ ル が 約1千
万 人 で あ る.
現 代 ポ ル トガ ル で は,リ ス ボ ン(Lisbon,ポLisboa), コ イ ン ブ ラ(Coimbra)を
中 心 とす る 地 域 の こ と ば が
標 準 的 と さ れ て い る. な お,本 す る.ブ
項 で は,ポ
ル トガ ル の ポ ル トガ ル 語 を 記 述
ラ ジル の ポ ル トガ ル 語 に つ い て は,「
ブ ラジ
ル ・ポ ル トガ ル 語 」 の 項 を 参 照 さ れ た い. [分
布]
ポ ル トガ ル 語 は,大
ル 領 の ア ソ ー レ ス(Acores)諸 諸 島 の ほ か に,イ
西 洋 上 の ポ ル トガ
島,マ デ イ ラ(Madeira)
ベ リ ア 半 島 で は,ポ
の ミ ラ ン ダ ・ ド ・ ドー ロ(Miranda 地 域,お
よ び,リ
ル トガ ル 北 東 部
do
ミル(Guadramil)の
飛 び 地(そ
の ポ ル トガ ル 語 の ほ か に,ス 語 と して 用 い ら れ る)を さ れ る ほ か,東
ペ イ ン語 レオ ン方言 が 母
占 め る が,こ り,母
ン ゴ ラ,モ
ニ ア ・ ビサ ウ,サ
ペ の 各 国 と,ポ
用 語 と して
除 い た 国 内 で,母
側 国 境 に そ っ た,ス
ア フ リ カ の,ア
近の ア ドラ
こ で は,公
語 として話
ペ イ ン国 内の い く
つ か の 飛 び 地 に も残 っ て い る(図1を
ェ ル デ,ギ
Douro)付
オ ド ノ ー ル(Riodonor),グ
参 照).
ザ ン ビ ー ク,カ
ー ボ ・ヴ
ン ・ トメ ・イ ・プ リ ン シ
ル トガ ル 領 マ カ オ で も公 用 語 の 地 位 を
れ ら の 地 域 で は,ブ
ラ ジ ル の 場 合 と異 な
語 と し て ポ ル トガ ル 語 を 話 す 人 口 は 少 な い.こ
れ ら ア フ リカ 諸 国 の ほ か に,イ ジ ウ(Diu),ダ 島 の 各 地,イ で は,ポ
マ ン(Daman),ス
ン ド の ゴ ア(Goa), リ ラ ン カ,マ
注:*の つ い た地 名 は,ス ペ イ ン国 内 の ポル トガル 語 が話 され る地 域(飛 び 地).
レー 半
ン ドネ シ ア 領 の 東 チ モ ー ル(Timor)な
ど
ル トガ ル 語 に 基 づ く ク レ オ ー ル 語 が 話 さ れ て
た と え ば,SALIRE,LUNAか
い る.
port.
[ガ リ シ ア ・ポ ル ト ガ ル 語 の 特 徴] 面 で は,ガ
文 法,語
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 は,イ
彙の
〔ポ ル ト ガ ル 語 〕sair:esp.
Port.lua(<lua古
ス 諸 語 の 中 で も保 守 的 特 徴 を 保 っ て い る.
PLICARE,CLAMARE,FLAMMA‐
音 声 面 で も,ス
れ,次
勢 母 音E,Oの
二重母音化が
port.chegar:esp.llegar「
起 こ ら な か っ た た め,依
然 と し て,俗
ラテ ン語 の 母 音
port.chamar:esp.llamar「
体 系 を 保 存 し て い る.し
か し,母
脱 落,語
頭 のPL‐,FL‐,CL‐>ch[∫](<[t∫]17世
頃 ま で)の 変 化 は,半
紀
島西 北部 に特 徴 的 な改 新 で あ る.
〔ス ペ イ ン 語 〕
形):esp.luna「
月」 よ り,そ れ ぞ
の よ う に変 化 した .
オ ン 方 言 で の よ うな,強
音 間 の ‐L‐,‐N‐ の
の と
salir「 出 る 」
ベ ロ ・ロ マ ン
ペ イ ン 語 の カ ス テ ィ ー リ ャ 方 言,レ
ら の 変 化 は,次
お りで あ る.
port.chama:esp.llama「 ま た,メ
タ フ ォ ニ ー(metaphonie),す
着 く」 呼ぶ」 炎」 な わ ち,強
母 音 へ の 後 続 す る 母 音 に よ る 逆 行 同 化 現 象 に は,yod
勢
と通 称 さ れ る,古 なe,iが
典 期 まで の ラテ ン語 にお け る成 節 的
母音 に 先行 す る位 置 で 半 母 音 化 した た め 生 じ
た[i],お
よ び,ラ
テ ン 語 の ‐I,‐Uに
に よ る も の が あ り,そ
の た め,一
容 詞 の パ ラ ダ イ ム に,語
部 の 動 詞,名
尾 変 化 の ほ か,内
母 音 交 替 が も ち こ ま れ て い る.こ ー の 例 は ,そ
れ ぞ れ,次
TERTIU‐
起 源 を もつ 母 音
部屈折的 な
の よ うな メ タ フ ォニ
ポ ル ト ガ ル で 標 準 的 と さ れ る ポ ル トガ ル 語 で は,強
の1」 私 は した 」
位 置 で は[〓][〓][u]が
れ る([〓]は,無 た,二
>corpo[o](〓(<O)>o)「
さ れ る.5つ
体」
よ る メ タ フ ォ ニ ー は,語
末 母 音 ‐U,‐Oの
ル トガ ル 語 以 外 で は,ス
イ ン 語 の ア ス ト ゥ リ ア ス 方 言(asturiano)に
ペ
み ら れ る.
強 弱 に よ り,そ
り,そ
れ ぞ れ,[e][o]と
な っ て い る.リ
や,無
な る.鼻
強 勢 母 音 の 弱 化 現 象 は,ポ
で あ り,北
の 位 置 に よって 語 を区 別 す る 場 合 が あ
口 蓋 垂 音[R]の
除 い た,23の
ラ
字 の数 と音 の 種類 の 数 が 補 助記 号 が 用
た,ch,nh,lh,rrの
組 み 合 わ せ で,そ た は[r])の
強 勢 母 音 の 弱 化 は,ブ
ル 語 に も存 在 す る が,内
は,1911年 トガ ル,ブ
在 行 な わ れ て い る正 書 法
以 後 の 一 連 の 正 書 法 改 革 に 基 づ くが,ポ ラ ジ ル 両 国 の 間 で は,細
か な 点 で,い
ル くつ
ポ ル トガ ル 語 は,母
は,ganha[〓]「(彼 直 説 法 現 在3人
音 の 体 系 が 複 雑 で あ り,鼻 母 音,
詞ganharの
落 し た 結 果 生 じ た も の で,特
期 ポル
う」:[〓](完
CUM>com[ko]「
在 形)「(私 了 過 去 形)「(私
代語 で
現 わ れ な い. た ち は)歌 た ち は)歌
っ
た」
トガ ル 語 の 時 代 に 起 こ っ た も の と 推 定 さ れ る. 具 体 的 な 変 化 は,次
称 複数 形 に お い て
前 に[a]は
cantamos[〓](現
に 二 重 鼻 母 音 の 成 立 は,
縮 合 に よ る も の で あ り,中
化 動 詞(‐ar)の
れ 以 外 の 場 合 で は,現
勢 音 節 で,m,n,nhの
声
利 益 」な
直 説 法 現 在 と直 説 法 完 了 過 去 の1人
は,強
こ の 動 詞 の 活 用 形 の 対 立 は 語 源 的 な も の で は な く,16
の と お り で あ る. ∼ と と も に」
世 紀 頃 に 成 立 し た もの で あ る.こ
CANTARE>cantar[〓]「
歌 う」
B6NUM>boo>bom[〓]「
よ い(男
の 起 源 に つ い て は,ガ 性単数
手」 犬(複 数)」
の[a]と[〓]の
2つ
のaが
対 立
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 の 時 代 に
多 数 存 在 し た 母 音 連 続 が 縮 合 した 結 果,中 ル 語 で,ganha<ga‐anhaの
形)」 MANUM>mao[〓]「
る 」(動
称 単 数 形),ganho[〓]「
み ら れ る だ け で あ り,そ
子音 が 先 行 の 母 音 を鼻音 化 した 後 に脱
CANES>cees[〓]「
に[〓]は,無
強 勢 位 置 で の対 立
は)得
歴 史 的 に は,鼻
ル トガ
綴 ら れ る母 音 は,多
し て 実 現 し,特
化,脱 落 の 傾 向 に あ る.[a]と[〓]の
二 重 鼻 母 音 の 数 の 多 い こ と が 目 に つ く.こ の 鼻 母 音 は,
母 音 連 続(hiatus)の
ラ ジ ル の ポ ル トガ
ど の よ う な 孤 立 的 な 例 を 除 く と,第1変
か 異 な っ て い る.
強 勢母 音
容 が 異 な っ て い る.ポ
く の 語 で[〓][〓][u]と
類 の 読 み 方 が あ る.現
対 立 と,無
ル トガ ル の ポ ル トガ ル 語 の 大 き な 特
ル の ポ ル トガ ル 語 で は,e,a,oで
の4種
ル トガ ル 語 で は ほ
強 勢 位 置 に お け る[a]と[〓]の の 弱 化 現 象 は,ポ
に 対 し て,ce,i‐,‐c‐,s‐,‐ss‐を 使 い 分 け る よ う な 語 源 は,[s][z][∫][ks]
音
と ん ど み ら れ な い.
的 区 別 が 守 ら れ る 反 面,文
字xに
先 音 の[s],歯
ス テ ィ ー リ ャ方 言 に み られ
る よ う な 脱 側 音 化(yeismo)は,ポ
色 で あ る.無
音 を 表 わ す .[s]
一 般 的 で あ り,
し て 現 わ れ る 語 源 的 対 立 は 維 持 さ れ な い.lh
で 綴 ら れ る 音 に 対 す る,カ 国語 の 固有
個人的 変種が
背 的 な[s,z]が
の[〓]と
音 字 に',,,の
れ ぞ れ,[∫][〓][〓][R](ま
先 音[r]と
ル トガ ル 語 に 特 徴 的
名 詞 等 の 表 記 に 用 い ら れ るk,w,yを
一 致 し な い た め ,母
は,舌
存 在 す る./s,z/は,舌
ス ペ イ ン 語 カ ス テ ィ ー リ ャ 方 言 で,舌
ポ ル トガ ル 語 で は,外
テ ン 文 字 が 用 い ら れ る が,文
/R/に
音 間 で 摩 擦 音[〓,〓, 節 末 で 軟 口蓋 化 を 受 け る.
母音の数の多い こと
部 の ガ リ シ ア 語 に は み ら れ な い.
[文 字 と 音 韻]
い ら れ,ま
ス ボ ン で は,
ク セ ン トは,
勢 を受 けた 母 音 は長 くな る.
〓 ]と し て 実 現 し,/l/は,音
eiは[〓],ouは[o]と
の二
対 立 す る.
か ら な り,ア
有 声 閉 鎖 音/b,d,g/は,母
母音化 によ
設定
子 音 は,/p,b,t,d,k,g,f,v,s,z,∫,〓,m,
(子 音 の 前)の 維 持 が,ポ ル トガ ル 語 の 特 徴 と さ れ る が,
部 で は,単
スボ
し て 実 現)[〓][ai][〓][oi][ui]が
実 際 に 二 重 母 音 と し て 実 現 す る の は,ポ
ル トガ ル 北 部
母音
が立て ら
の 単 鼻 母 音[i][e][〓][o][u]と,4つ
n,〓,l,〓,〓,R/の19個
る.強
ロ マ ン ス 語 の 二 重 母 音ei<A+Y,ou<AU,AL
の 方 言 と ガ リ シ ア 語 で あ り,南
た が っ て,単
強 勢 の 位 置 に の み 現 わ れ る異 音).ま
重 鼻 母 音[〓][〓][〓][〓]が
島 西 北部 で か な り遅 くま で保 た れ て
い た こ と に よ る も の で,ポ
対 立 す る.し
勢後の
重 母 音 と し て,[iu][eu][〓][au][ei](リ
ン で は,[〓]と
(過 去 形)
音 韻 的 区 別 が,半
音が対立
し,強 勢 前 で は[i][〓][a][〓][〓][〓][o][u],強
音 素 と し て は,/i,e,〓,a,〓,〓,o,u/の8つ
の と お り で あ る.
FECI>fezi>fiz(e(<E)>i)「
特 に,‐Uに
音 の 鼻 音 化 現 象 は 存 在 す る が,音
勢 音 節 で,[i][e][〓][a][〓][〓][o][u]の8母
詞,形
>terco[e](〓(<E)>e)「3分
CORPU‐
ガ リ シ ア 語 で は,母
韻 的 対 立 を な し て い な い.
期 ポ ル トガ
例 に み ら れ る よ う に,
ひ とつ に 結 合 し た こ と か ら 生 じ た[a]が
子 音 の 前 に も現 わ れ る よ う に な り,そ
鼻
こで 生 まれ た 音
韻 的 対 立 が 利 用 され た と 説 明 さ れ た り,ま つ の 活 用 形 の 問 題 の 部 分 が,北 部 の 方 言 で は[〓]に
た,こ
の2
部 の 方 言 で は[a],最
南
統 一 され て い る こ とか ら,方
影 響 が 推 定 され た りす る が,い
ず れ も,こ
<表1>ポ
ル トガ ル 語 の 母音 交替(名 詞,形 容 詞)
単
の対立の起
名
詞
形 容詞
源 を 明 確 に 説 明 した も の と は 言 え な い.
男 性 女 性
[文
法]
文 法 面 で,ポ
小 辞(diminutivo),お
増 大 辞(aumentativo)に
よ る 派 生,呼
人 称 不 定 詞 の 一 部 の 用 法 に は,文
ま た,形
<表2>ポ
corpo[o]
corpos[〓]
novo[o]
novos[〓]
nova[〓]
詞 の未 来 形
と 条 件 法 の 語 形 に 残 っ て い る 分 語 法(tmesis),た
と
私 は 体 を 洗 う だ ろ う 」,lavar‐me
詞dever「
[e]
deva
[e]
2人 称 単 数 deves
[〓]
devas
[e]
3人 称 単 数 deve
[〓]
deva
[e]
devamos
名
2人 称 複 数 deveis
}
詞me「
間
3人 称 複 数 devem
[〓]
名 詞 の 結 合 形 の 存 在,た
私 に そ れ を 」 ←me+o,tos「
←te+os,lhas「
彼(女)に
とえ
君 にそ れ らを」
そ れ ら を 」 ←lhe+as
,な
注:1)mover「
([〓])
devam
動 か す」 で は,[o]と[〓]が
を示 す. 2)複 数1人
称,2人
}
([〓])
devais
[e] 同様の分布
称で は,語 根 の母 音 は無 強 勢 とな
る.
ど が あ る. ま た,過
去 のあ る時点 以 前 の 内 容 を 表 現 す る た め に
用 い ら れ る 時 制 の 直 説 法 大 過 去 に は,語 去 完 了 と で も言 う べ き 複 合 形(tinha い た 」な ど)と,ラ RAMな
<表3>ポ
形 的 に は,過
amado「
(例:動
愛 して
愛 して いた 」
な ど)の 両 者 が,意 味 の 上 で は 等 し く用 い られ る 点 な ど が 目 に つ く.分
ル トガ ル語 の 母 音 交 替 詞dormir「
直 説法 現 在
眠 る」)
接 続 法現 在
テ ン 語 の 直 説 法 過 表 完 了(AMAVE
ど)に 起 源 す る 単 純 形(amara「
は,文
接続法現在
1人 称 単 数 devo
1人 称 複 数 devemos
私 を 」が 動 詞 の 語 幹 と 活 用 語 尾(‐ei,‐ia)の
∼ に ちが い な い」)
直 説 法 現 在
ia「 私 は 体 を 洗 っ た で あ ろ う」,に お け る よ う に,代
ば,mo「
novas[〓]
ル トガ ル語 の母 音 交 替 (例:動
体 論 的 レベ ル に属 す
態 論 の レ ベ ル で の 母 音 交 替,動
に 挿 入 さ れ る 用 法 や,代
数
よび
称 の 複 雑 さ,
国 人 学 習 者 に と っ て は 困 難 で あ る.
え ば,lavar‐me‐ei「
複
ル トガ ル 語 の 特 徴 と し て
あ げ ら れ る こ と の 多 い,指
る 問 題 が あ り,外
数
言的
語 法 と大 過 去 の 単 純 形 が 用 い られ る の
語 に 限 ら れ る.
1人 称 単 数 durmo
[u]
dnrma
[u]
2人 称 単 数 dormes
[〓]
dermas
[u]
3人 称 単 数 dorme
[〓]
derma
[u]
1人 称 複 数 dormimos
}([u])
2人 称 複 数 dormis
母 音 交 替 の 例 を,表1∼3に
示 す.表1は,名
詞 と
3人 称 複 数 dormem[〓]
durmamos durmais durmam
}([u]) [u]
形 容 詞 に お け る 典 型 的 な 例 で あ る.こ の よ う な 交 替 は, 歴 史 的 に は,語
末 の ‐Uの
勢 位 置 で 語 源 的 に は[〓](<O)と [o](ま
た は,[〓]>[o])の
な る べ き と こ ろ,O>
変 化 が 起 き た た め に 生 じた も
の で あ る . 以 下 の 例 に み ら れ る よ う に,男 外 の 語 形 で は,語
CORPU‐>corpo[o]「
勢母
>novo[o]「
あ る語 根 の母 音 にみ られ る(表2,3).こ
体(複 数)」 新
性 複 数)」
こ の タ イ プ の 母 音 交 替 を 示 す も の に は,上 語 源 的 な も の の ほ か,ア よ う に な っ た も の(強
例 のような
源 的 にOで
い 」,な
ど)が 含 ま れ る.し
「太 っ た 」,todo<TOTU‐ LUPU‐
「狼 」 な ど,男
の例 で,yodに
よ り,強 勢 母
よ るメ タ フ オニ ー の 認 め られ る1人 称
単 数 形 に対 し,2人
称 単 数 形 で は,強 勢 母 音 は,語 源
的 な音 価([〓]<O)を
保 持 して い る.
durmo<DORMIO「
あ る:formoso[o],formosos[〓],formosa[〓], formosas[〓]<FORMOSU‐,‐OS,‐A‐,‐AS「
て,活 用 語 尾 中 に か つ て存 在 したyodに
音 が閉 じた た め に生 じた もので あ る. た とえ ば,以 下
ナ ロ ジー に よ って交 替 を示 す 勢 位 置 の 母 音 が,語
れ は,直 説
法 現在1人 称 単 数 形 と,接 続 法 現 在 の全 活 用 形 に お い
NOVOS,‐A‐,‐AS>novos,‐a,‐as[〓]「 性 単 数,女
部 の第2(‐er),第3
(‐ir)変 化 動 詞 の,直 説 法 現在 と,接 続 法 現 在 の 強 勢 の
新 し い(男 性 単 数)」
し い(男 性 複 数,女
で,交 替 を示 さない もの も多 い. 動 詞 に お け る母音 交 替 は,一
ま ま で あ る.
身体」
cf.CORPOS>corpos[〓]「
る.
性単数形以
末 に ‐Uが 存 在 し な い た め,強
音 は 語 源 的 な 音 価 を 保 持 し,[〓]の
NOVU‐
注11)preferir「 よ り好 む 」 で は,[i]と[〓]が 同様の 分 布 を 示 す. 2)複 数1人 称,2人 称 で は,語 根 の母 音 は 無 強 勢 とな
メ タ フ ォ ニ ー に よ っ て,強
美 し
か し,gordo<GURDU 「す べ て の 」,lobo[o]<
性 単 数形 とそ れ 以外 の語 形 の 間
私 は眠 る(直 説 法 現在1人
称 単 数)」 cf.dormes[〓]<DORMIS「
君 は 眠 る(直 説 法 現
在2人 称 単 数)」 増 大 辞 と指 小 辞 に よ る名 詞 と形 容 詞 の派 生 は,ポ ル
トガ ル 語 で,特
に 発 達 し て い る が,中
い こ とや 愛 情,親 ‐zinhoは
,比
し か し,指
較 的 生 産 的 な 形 式 で あ り,多
用 さ れ る.
小 辞 の付 い た形 と付 か な い 形 の 間 の 意 味 の
ち が い は,は
父 親 」,cafe→cafezinho「
ー ヒ ー 」,anel→anelzito「
人 称 不 定 詞 の 起 源 は,は 解 釈 は,ポ
っ き り し て い な い . ひ とつ の
ル トガ ル 語 で は 接 続 法 未 来 形 の 一 部 と不 定
詞 が 語 形 的 に 一 致 す る た め,そ
こか ら不 定 詞 が 人 称 語
尾 を 類 推 的 に 発 達 さ せ た とす る 説 で あ る.ラ
っ き り し な い こ と が 多 い.
pai→paizinho「
て は い け な い」
で も,対 象 が 小 さ
密 感 な ど を 表 現 す る 指 小 辞 の ‐zito,
指 輪 」,な
コ
接 続 法 未 完 了(AMAREMな (UE)RIMな
ど.
ど),直
ど),接
説 法 未 来 完 了(AMA(UE)ROな
対 話 者 を 表 現 す る た め の 呼 称(tratamento)に
は,
ど)の
さ ま ざ ま の 方 法 が あ る が,2人
称の
維 持 さ れ ず に 合 一 す る こ と に な っ た.そ
称 のtuと,3人
voce(s),o(s)senhor(es)(男 senhora(s)(女
性 に 対 し て)を
の 形 は,複 は,ほ
性 に 対 し て),a(s)
数 を 示 す).2人
基 本 と す る(カ
ッ コ内
称 複 数 のvosは,現
在で
と ん ど 用 い ら れ な い,tu,voce(s)とosenhor
に 代 表 さ れ る 形 の 間 に は,親 こ れ は,16世
称 と 敬 称 の 対 立 が あ る.
紀 頃 ま で の,2人
称 のtuとvosの
立 を 基 本 と す る 体 系 に,3人 Vossa
Merceな
称 のVossa
(infinito
pessoal),ま
xionado)と
Senhoria,
た は,活
よ ば れ る.こ
が,強
称不定詞
用 不 定 詞(infinito
fle
の 活用 を示
の 両 者 の 活 用 形 は,規
変 化 動 詞 で は,接
則 動 詞 で は一 致 す る
続 法 未 来 形 の 語 幹 が ラ テ ン語
の 完 了 幹 に そ の 起 源 を も つ た め に 異 な る. た と え ば,強
変 化 動 詞ser「
不 定 詞 はser,seres… fores…
で あ る.人
の 使 い 分 け が,文 た と え ば,次
∼ で あ る 」 で は,人
称
体 論 的 レ ベ ル に 属 す る 領 域 が あ り,
の 例 で は カ ッ コ で 示 さ れ る よ う に,両
者
o desejo
de
aprender(em).「
彼 らは
下 の よ う な 場 合 に は,両
者は区別 さ
copiar
as
cartas.(不
定 詞)「 私 は そ れ
ガ ル 語 で は,ス
続 法 未 来 形 の1
人 称 ・3人
ペ イ ン語 と異 な り,接
receberes
a resposta,nao
(人 称 不 定 詞)「(君
saias
de
casa.
は)返 事 を 受 け と る ま で 外 出 し
に 対 し,esp.amare, こ の よ う な 語 形 的 一 致 と,イ
リ ア 半 島 の ロ マ ン ス 語 で,伝
「対 格 + 不 定 法 」
の代 わ りに用 い られ て い た とさ れ る
「主 格 + 不 定 法 」
の 構 文 か ら の 類 推 に 基 づ き,不
定 法 が 人称 語 尾 を接 尾
す る よ う に な っ た と 考 え ら れ て い る . し か し,そ は 別 に,ラ
(例:amar「 1人 称 単 数
amar
2人 称 単 数
amares
3人 称 単 数
amar
1人 称 複 数
amarmos
2人 称 複 数
amardes
3人 称 複 数
amarem
愛 す る」)
れ と
テ ン語 の 接 続 法 未完 了 が 無 接 続 詞 的 に用 い
ら れ る よ う に な っ た こ と に 起 源 を 求 め る 説 も あ る. [語
彙]
語 彙 面 で は,ラ
ル マ ン 系,ア
合 を 占 め る.ゲ
テ ン系 の もの が 主 体 と
ラ ビア 系 の 借 用 語 も重 要 な割
ル マ ン 系 の 語 彙 は,後
さ れ た も の は 少 な い.ア
期 ラテ ン語 の段
ベ リア半 島 で 直 接 借 用
ラ ビア 系 の 語 彙 の 数 は,ス
イ ン語 よ り 少 な く,1千
ペ
前 後 と み ら れ て い る . そ の 他,
ラ テ ン 語 経 由 で 入 っ た ケ ル ト 系 の 語cerveja「 車 」 な ど,イ
ビー
ベ リア 半 島 の 非 イ ン ド ・ヨ
ー ロ ッパ 語 系 の 語 彙esquerdo「
の う ち に は,ave<AVIS「
左 の 」,carrasco「
樫
テ ン 系の 語 彙
鳥 」,medo<METUS 食 べ る 」 な ど,イ
ベ リ ア 半 島 に 特 有 の も の,adro<ATRIUM「
ら の 借 用 も,相
[方
ラ ン ス 語,プ
当 数,存
在 す る,た
紀),jardim 紀)な
ど で あ る.
北 部 方 言 と 中 南 部 方 言 に 大 別 さ れ る(図
2を 参 照).北
部 方 言 は,全 体 と し て ア ー カ イ ッ ク な 特
徴 を 有 し,中
南 部 方 言 に は,レ
民 され た 地 域 が 含 ま れ,改 境 界 は,ド
ロ ヴ ァ ンス 語 か と え ば,trovador
旅 」(以 上,12,13世
帽 子 」(以 上,14,15世
言]
教会
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 に の み 残 っ て
い る も の も含 ま れ る.フ
「庭 」,ehapeu「
ル トガ ル 語 の人 称 不 定 詞
ベ
統的 な
「吟 遊 詩 人 」,viagem「
<表4>ポ
ル ト
称 単 数 の 語 形 が 不 定 詞 と一 致 し て い る(cf.
の 前 庭 」 な ど,ガ
らの 手 紙 を コ ピー す る よう命 じた 」 Ate
続
の 場 合,ポ
「恐 れ 」,comer<COMEDERE「
れ る. Mandei
本 的 に は,接
や オ リー ブ の 若 木 」 な ど が 目 に つ く.ラ
勉 強 した い と望 ん で い た」 こ れ に 対 し て,以
を ひ き 継 ぐ形 式 は,基
ル 」,carro「
の 使 用 が 可 能 で あ る. Tinham
らの 語 形 が採
階 で 借 用 さ れ た も の が 多 く,イ
称 不 定 詞 と人 称 変 化 し な い 不 定 詞
ル
テ ン語
法 未 来 形 と し て 残 る こ と に な っ た.こ
な る が,ゲ
と な る が,接 続 法 未 来 形 はfor,
は,ラ
の 接 続 法 過 去 完 了AMA(UI)SSEMか 用 さ れ,前3者
態 的 区別 は の た め,ポ
続 法 半 過 去amasseに
amares,amare…).
称 不 定 詞 の 語 尾 は,接 続 法 未 来 形 の 語 尾 と 等 し
い た め,こ
マ ン ス 語 で は,形
Port.amar,amares,amar…
の 人 称 語 尾 に よ り,不 定 詞 の
主 語 を 明 確 に す る こ とが で き る(表4に,そ す).人
対
ど が 導 入 さ れ た 結 果 で あ る.
不 定 法 に人 称 語 尾 を 備 え た も の が あ り,人
パ ラ ダ イ ム は,ロ
トガ ル 語 で は,接
テ ン語 の
続 法 完 了(AMA
コ ン キ ス タ 以 後,再
ー ロ 川 とテ ー ジ ョ(Tejo)川
域 が 相 当 し,そ
こ で は,い
植
新 的 傾 向 を示 す . 両 方 言 の に は さま れ る地
くつ か の 重 要 な 音 声 的 特 徴
を 示 す 境 界 線 が 交 錯 し て い る.シ ン トラ(Lindley
Cin
<図2>ガ
リシ ア ・ポ ル トガ ル 語 圏 に お け る
<図3>ガ
方 言分布
注:〓
リシ ア ・ポ ル トガ ル 語 圏 に お け る
言 語特 徴の 境界 線
は,北 部 方 言 の う ち,/s,z,s,z/の4
音 素 の 対 立 が 維 持 さ れ て い る 地 域.
tra)は,s,zの
舌 先 的 調 音 と舌背 的 調音 に関 す る境
界 で の 分割 を 提案 してい る.ま た,ポ ル トガ ル 語 諸 方 言 は,ガ
リシ ア語 とは,有 声 摩 擦 音[z][〓]の 無 声化 が
起 こ ら な い とい う点 で 区別 され る. 北 部 方 言 の 特 徴 は,次 の とお りで あ る(以 下,図3を 参 照.ま た,ガ
リシア語 内 部の 言 語 特 徴 につ い て は,
「ガ リ シア 語 」 の 項 を参 照 され た い). 1)bとvの は,bとvの 2)sとzの
こ の 現 象 は,ceceioと
音 韻的 対 立 が 失 わ れ て い る(中 南 部 で 語 源 的 対 立 は維 持 され る). 舌 先 的 調 音[s,z]が
維 持 され てい る
(中南 部 で は,舌 背 的 な[s,z]に
統 一 され て お り,
3)音
節 の 頭 位 に お い て,ch[t∫]とx[∫]の
あ る(中 南 部 で は,t∫ 4)二
よ ば れ る).
重 母 音ouが,中
対立が
> ∫). 南 部 方 言 にお け る よ うな単
母 音 化 を 受 け て い な い,な
ど.
こ れ に 対 し,中 5)二
南 部 方 言 は,上
重 母 音eiが
で は,二
の 特 徴 の ほ か に,
単 母 音 化 さ れ,[e]と
重 母 音ei,ouが
が,そ
な る(北 部
先 的 な/s,z/と
素 の 語 源 的 対 立,た
失 明 す る 」:segar[s]「
cozer[z]「
煮 る 」:coser[z]「
刈 り 入 れ る」
縫 う」
を 保 持 し て い る 地 域(最 北 部 の,ミ
先 的 な/s,z/の2音
ー ニ ョMinho地
方
縮
の/s,z,s,z/の4音
紀 頃 ま で は,s,z,ts,dzと
い う摩 擦
ル トガ ル 南 部 に 起 こ り,南
で
紀 末 の 文 献 か ら 知 られ る が,一 般 化 し た の は,
紀 末 頃 で あ る.現
在,こ
(Alamedilha)な
ど,い
の 破 擦 音ts,dzは,
た,15世
島 南 部 に 存 在 し た,イ
ラ ベ 語(mocarabe)の
影 響 が 推 定 さ れ る が,ス
最 近 の 研 究 で は,ガ
(Testamento
紀 に 発 見 され
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 で 書 か れ
de
の ア フ ォ ン ソ2世
AfonsoⅡ),お
る と さ れ て い る.ま
た,カ
つ も の が あ る が,同
史]
イ ベ リア 半 島 の 他 の 諸 言 語 同 様,ポ
トガ ル 語 の 形 成 に 関 し て も,レ 割 を 演 ず る,711年
紀 後 半 の 日付 を も
時 代 の 写 本 は 残 っ て い な い.そ
ま で の ラ テ ン 語 に 代 わ り,公
れ
文 書 な どが 実 際 に ポ ル ト
ガ ル 語 で 書 か れ る よ う に な る の は1255年
ル
1)ガ
の2文
以 後 で,そ れ
献 の み で あ る.最 略,以
コ ンキ ス タ が決 定 的役
の イ ス ラ ム 教 徒 の 侵 入 以 後,結 果 的
る 状 態 が 長 く続 き,現
在 の ポ ル トガ ル と ガ リ シ ア 地 方
に あ た る 半 島 西 側 で は,ド
Ⅱ)中
界 と な っ て い た.後
に,ポ
分 化 す る 言 語 は,こ
の 期 間 に,ド
形 成 さ れ た.9世
の境
ー ロ川以 北 の 地 域 で
紀 前 後 の この地 域 の ラテ
ル トガ ル語 を思 わ せ る語 形 が散 見
の 時 代 に は,す
Ⅲ)近
下 の よ うに 区
Ⅳ )現
で に,ガ
リ シ ア ・ポ ル トガ ル
語 と よ び う る 状 態 で あ っ た と考 え ら れ る . こ の 言 語 の
ポ ル トガ ル 語por
時 代(1200∼1400年
期 ポ ル トガ ル 語(portugues
medio)の
代 ポ ル トガ ル 語(portugues
時代
moderno)の
時
前 後)
代 ポ ル トガ ル 語(portugues
neo)の
前 後)
前 後)
代(1550∼1750年
ル トガ ル 語 と ガ リ シ ア 語 へ
紀 か ら10世
ン 語 文 献 の 中 に,ポ
紀 頃 ま で,そ
arcaico)の
(1400∼1550年
ー ロ 川 と モ ン デ ー ゴ(Mon
に は さ ま れ る 地 域 が,11世
リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語(古
tugues
北 に イ ス ラ ム 勢 力 と キ リ ス ト教 勢 力 が 対 立 す
され,こ
よ
分 す る.
徴 を 示 す.
dego)川
あ
ン テ ィ ー ガ(cantiga)と
初 の 文 献 の 登 場 以 後 の 時 代 を,概
に は,南
と1216
de Torto「
る没 落 豪族 が 被 った 不 当な 扱 い につ いて の訴 え」 で あ
以 前 の も の で 確 実 な の は,上
[語
の遺言書
よ び,1214年
る ポ ル トガ ル 語 は,全
南 部方 言 に近 い特
ペイ ン
さ い と 考 え られ て い る.
た 大 西 洋 上 の ア ソ ー レ ス 諸 島 と マ デ イ ラ 諸 島 で 話 され 体 的 に は,中
ス ラ ム支 配 下 の キ リ
ば れ る 当 時 の 叙 情 詩 の 中 に は,12世
ラ メデ ィー リャ
くつ か の ス ペ イ ン 国 内 の 飛 び
地 に 残 っ て い る に す ぎ な い.ま
ル トガル 語
の 場 合,半
年 の 間 に 書 か れ た と 推 定 さ れ るNoticia
部 で は,す
ポ ル トガ ル 国 内 に は 残 っ て お ら ず,ア
紀 前 後 に は,ポ
の ガ リ シア語 との分 化 を決 定 的 にす る. こ
た 最 初 の 文 献 は,1214年
音 と 破 擦 音 か ら な る 体 系 で あ っ た.ts>s,dz>z
15世
リ シ ア 地 方 は,別 リ シ ア ・ポ ル ト ガ ル
と し て,北
に お け る よ り は,小
素 の 対 立(seseio)へ
減 さ れ た 地 域 が 区 別 さ れ る.こ
に,13世
後,ガ
ス ト教 徒 に よ っ て 話 さ れ て い た ロ マ ン ス 語 で あ る モ サ
北 部 と トラ ズ ・ ウ ジ ュ ・モ ン テ スTras‐os‐Montes地
の 変 化 は,ポ
ー ニ ョ川 が 国 境 と し
語 は 南 へ も た ら さ れ,15世
舌 背 的 な/s,
と え ば,
cegar[s]「
素 体 系 は,15世
家 と し て の ポ ル トガ
の 道 を 歩 み 始 め る こ と に な る.ガ
北 部 方 言 の 内 部 に,舌
方)と,舌
の 過 程 で,12世
て 確 立 す る こ と を 意 味 し,以
維 持 さ れ て い る),
こ と で 区 別 さ れ る.
z/の4音
紀 中 頃,国
ル が 成 立 す る . こ れ は 同 時 に,ミ
時 代(1750年
contempora
前 後 ∼ 現 代)
ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 の 時 代 は,ポ
ル トガ ル に お
け る 言 語 的 中 心 が 南 部 へ 移 行 す る 時 代 で あ り,1383∼ 85年
の 王 朝 交 代 に 伴 う社 会 的 変 動 を 経 て,15世
に は,リ
ス ボ ン,コ
紀初頭
イ ンブ ラが 文 語 の 中心 地 として 確
立 す る.
成 立 を 説 明 す る た め に,半
島 の ロ ー マ 化 の 過 程 や,そ
ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 語 に よ る 中 世 叙 情 文 学 は,プ
の 俗 ラ テ ン 語 の 保 守 性,そ
れ以 前 の 非イ ン ド ・ヨー ロ
ロ ヴ ァ ンス の 口 承 文 芸 と ア ラ ブ 北 配 下 の モ サ ラ ベ と よ
ッパ 諸 語,お
よ び,ケ
ル ト語 の 基 層,ゲ
ル マ ン 語,ア
ラ ビ ア 語 の 影 響 が ひ き 合 い に 出 さ れ る が,最 マ ン語,ア
ラ ビ ア 語 の 影 響 は,語 彙 的 な 借 用 を 除 く と,
ほ と ん ど な い,基
層 言 語 の 影 響 に つ い て も,具
問 題 を 指 摘 す る の は む ず か し く,イ 前 後 の 言 語 状 況 と の 間 に,ど か,問
後のゲル
体的 な
ス ラ ム教 徒 の侵 入
の 程 度 の連 続 性 を認 め る
題 が あ る. の コイ ン ブ ラ攻
の リス ボ ン攻 略 と進 み,1249年
ベ(Algarve)地
で,1350年
頃 ま で 栄 え,そ
シ オ ネ イ ロ(cancioneiro)と
の 作 品 は,次
の3つ
のカ ン
通 称 さ れ る作 品 集 と し て
残 っ て い る. 1)Cancioneiro 情 詩 集 」(13世
da
Ajuda「
紀 末 か ら14世
ア ジ ュー ダ 図 書館 叙 紀 初 頭 にか け て の 写
本)
半 島 西 側 の レ コ ン キ ス タ は,1064年 略,1147年
ば れ た人 々 に よ る文 学 の 伝統 を 背 景 に 成 立 し た も の
方 の フ ァ ー ロ(Faro)攻
の ア ル ガル 略 で終 結 す る
2)Cancioneiro 情 詩 集 」(16世 3)Cancioneiro
da
Vaticana「
バ チ カ ン図 書 館 叙
紀 初 頭 の 写 本) da
Biblioteca
National
de
Lis
boa「
リス ボ ン 国 立 図 書 館 叙 情 詩 集 」(旧Colocci
Brancuti;16世
勢 母 音 の 弱 化 現 象 は,近 代 ポ ル トガ ル語 か ら現 代 ポ ル
紀 初 頭 の 写 本)
トガル 語 の 時代 に か け て 起 こっ た もので,歴 史 的 な音 変 化 の 大 部 分 は,18世 紀 後 半 に終 了す る.そ れ 以 後 の
こ れ ら の カ ン シ オ ネ イ ロ に 収 め ら れ て い る 作 品 は,3 つ の ジ ャ ン ル に 分 け られ る. 1)cantigas
d'amigo「
2)cantigas
d'amor「
3)cantigas
変 化 は,語 彙 ・統 辞面 が 中心 とな る. 女 性 が 謡 う愛 の 詩 」
[日本 との 関係]
男 性 が 謡 う愛 の 詩 」
d'escarnho
e de
mal
diner「
風 刺
(Alfonso
オ ン ・カ ス テ ィ ー リ ャ 王 ア ル フ ォ ン ソ10世 X,1221∼84,在
位1252∼84)が
教 詩 のCantigas
de
Santa
秀 吉 以後 の 禁教 政 策 を経 て,1639(寛
編 者 とな っ
Maria「
ア 賛 歌 集 」 も こ の 言 語 に よ る も の で,当
聖母マ リ
時 の叙 情 詩 の
言 語 と して の ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 文 語 の 地 位 を 示 し て い る.
永16)年
の鎖国
令 に よ って ポ ル トガ ル船 の来 航 が禁 止 され る まで,96 年 間 続 く.記 録 に残 って い る限 りで は,日 本 人 で ポ ル トガ ル語 を 最初 に 学 習 したの は,鹿 児 島 の 弥 次 郎(生 没 年 不 詳)で あ る. 言 語的 に は,両 者 の関 係 は,語 彙 の 借 用 に 限 られ,
14世 紀 後 半 以 降,文 ら れ,そ
文12)
年 の ポ ル トガ ル船 の種 子 島漂 着 以 降,日 本 と ポル トガ ル の 関 係 は,キ リス ト教 の布 教 と通 商 の 両 面 にわ た り,
詩」 ま た,レ
た,宗
ポ ル トガル 語 は,日 本 が 直接 に接
触 した 最 初 の ヨー ロ ッパ の言 語 で あ る.1543(天
の 結 果,中
学 形 式 と して の散 文 の発 達 が み
規 範 が 確 立 し,次
期 ポ ル トガ ル 語 の 時 代 に は,散
文の
の 時 代 へ の 文 語 が 準 備 され る.劇
家 ジ ル ・ヴ ィ セ ン テ(Gil の 諸 作 品 は,そ
Vicente,1465頃
作
そ れ らは,キ リス ト教 と通 商 関 係 の用 語 に 分 か れ るが, 禁 教 と鎖 国 のた め,今
日まで 残 って い るポ ル トガ ル 系
の 語 は 少 な い. 当 初 よ り,イ エ ズス 会 は,布 教 目的 の 日本 語 研 究 を行 な うが,そ の 成 果 は,イ エ ズ ス会 士 ヴ
∼1536頃)
の 後 期 に 属 す る. ガ リ シ ア ・ポ ル トガ
ァ リニ ャー ニ(A.Valignani)に
よ り,1590(天
正18)
ル 語 に多 数 存 在 した 母 音 連 続 が縮 合 を 受 けた の は この
年,印 刷 機 が も た ら され ての ち,一 連 の キ リ シタ ン物
時 代 で あ り,そ
と して結 実 す る.こ れ らは,宗 門 書,文 学書,語 学 書
の 結 果,ポ
ル トガ ル 語 に 特 徴 的 な 二 重
の類 に 分 かれ,日 本 語 を ロー マ字 で 記 した もの で あ る.
鼻 母音 が現 わ れ る. do‐or(<DOLORE‐)>dor「
痛 み 」,
ma‐o(<MANU‐)>mao「 ま た,1500年
手 」,な
頃 ま で,ts>s,dz>zの
な る.こ
の 体 系 は,現
さ れ,舌
体 系 が,s:s:z: 部 の方 言 に維 持
部 分 の 地 域 で は2音
素の対立へ縮減
先 的 なs:z(seseio)の
地 域 と,舌
地 域 と に 分 か れ る.文
背 的 なs:
‐z‐[z]
de
Camoes,1524頃
タ ニ ア の 人 々 』(Os
∼1580)の
Lusiadas,1572)を
あ った.
『ル シ
は じ め,多
く
の 文 学 作 品 が 生 ま れ た,ブ
ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 の 基
礎 と な っ た の も,ま
本 が か つ て 接触 を もっ たの
も,こ
た,日
の 近 代 ポ ル ト ガ ル 語 で あ る.最
初 の文 法 書 で あ
る フ エ ル ナ ン ・デ ・オ リベ イ ラ(Fernao の 文 法(Grammatica 1536)や,ジ 1496∼1570)の
da
文 法(Grammatica
が 書 か れ 始 め,ジ
辞 書(1562)が
da
de
Barros,
Lingoa
Por
ェ ロ ー ニ モ ・カ ル ドー ゾ(Jeronimo 最 初 の ポ ル トガ ル 語 ‐ラ テ ン 語
Christao→
キ リシ タ ン
漢字 が あて られ た た め,漢 字 音 を媒 介 と して 変化 し た音 もある ジ ュバ ン(襦 袢)←gibao,カ
ッパ(合 羽)←capa,
コ ンペ イ トウ(金 平 糖)←confeito 今 日ま で 残 って い るの は,ほ
とん どが通 商 関 係 用 語
に 分 類 され る,具 体 的 な 物 の名 称 で あ る. パ ン ←pao,カ
ス テ ラ ←(pao
重 母 音ou,eiの
節 末 の ‐s,‐zの 口 蓋 化([‐∫,‐〓])や,無 強
de)Castella,
カ ル タ ←carta 日本 語 か らポ ル トガ ル 語 へ入 っ た語 とし て は,qui mono(着 すJapanな
物),biombo(屏
風)な ど が あ る.日 本 を さ
どの 語 は,東 南 ア ジ ア の マ レー 半 島 あ た
りで の 発 音 が ポル トガ ル 語 のJapaoを
登 場 す る.
綴 られ たt∫ > ∫ の 変 化,二
単 母 音 化,音
de Oliveira) Portuguesa,
は じ め と し て,こ の 頃 か ら文 法 書
Cardoso,?∼1569)の
chで
Lingoagem
ョ ア ン ・デ ・バ ー ロ ス(Joao
tuguesa,1539‐40)を
の 子 音 連 続 は,日 本 語 で は 開音 節 に 変 え られ た が,当 時,挿 入 され た 母 音 は 子 音 連続 の あ との 母音 と同 じで
ル ト ガ ル の 「黄 金 時 代 」 と言 わ れ,カ
モ ン エ ス(Luis
濁,
音 便 形,助 動 詞 の 使 用 な ど,日 本 語 資 料 とな る記 述 が ポ ル トガ ル 語 を 日本 語 へ 借用 す る 際,ポ ル トガ ル 語
の 混 同 が 一 般 化 し 始 め る. 16世 紀 は,ポ
の ぼ る.キ リ
シタ ン物 に は,四 つ 仮 名 や 開 合 の 別,ハ 行音,清
含 ま れ て い る.
献 的 に は,1550年
頃 か ら,s‐,‐ss‐[s]とce,i‐,‐c‐[s],‐s‐[z]と
京 都 地 方 の標 準 語 に対 して,「下 」と記 した 九 州方 言 が 別 に示 され,語 数 は,合 わ せ て32,798に
代 で も,北
さ れ て い る が,大
z(ceceio)の
1603,補 遺1604)は 重 要 で,後 者 で は,「 上 」 と記 した
変化が起 き
た た め,そ れ ま で のts:s:dz:zの zと
中 で も,『 日本 大 文 典 』(1604‐08),『 日葡 辞 書』(本 編
ど.
介 して ヨー ロ
ッパ に広 が り,そ れ まで の 中 国語 起 源 の ジパ ング(Ci pango)に
代 わ った もの で あ る.
[辞
る.9版(出
書]
Corominas,Joan
y
Diccionario
Jose
Critico
A.Pascual(1980‐83),
Etimologico
Hispanico,6vols.(Editorial ―本 文4,583ペ 約8千.こ Etimologico
de
1954‐57を
目 ま で),見
la Lengua
トガ ル 語 へ の 言 及 も 多 く,現 諸 語 の 語 源 問 題 に 関 す る,も
ペ イ ン語 カ ス ル
ベ ロ ・ロ マ ンス
世 の テ キ ス トの 信 頼
め,本
格 的 な 語 源 辞 書 は 存 在 せ ず,本
説,テ
キ ス ト解 釈 に は 不 可 欠 の も の と な っ て い る. Geraldo
Etimologico
Nova
tuguesa(Nova 本 文839ぺ
Fronteira
ー ジ,見
省 き,組
辞 書 は,語
da de
か ら は,み
織 的 な構 成 に よ っ て,最
書 林,東
林,東
Por
Novo va
Dicionario
da
Fronteira,Rio
ジ,語
Nova
Albertina Portuguesa
Gredos,Madrid) y
Luis
Gramatica Joao
F.Lindley
Cintra(1984),
do Portugues Sa
da
Contemporaneo
Costa,Lisboa) de
langue
por
tugaise(Portugal‐Bresil)(Klincksieck,Paris)
本 文1,488ペ
ー
―(1980),Histoire
系 的,組
de
gaise(coll.《Que
la
langue
portu
sais‐je?》N1864,P.U.F.,
Paris
織
的 な 記 述 と構 成 を 有 し,現 在,出 版 さ れ て い る 中 で は 最 良 の 辞 書 で あ る.著
Maria
Teyssier,Paul(1976),Manuel
ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 に 特 有
現 も多 く収 録 し て い る が,体
y
da Luz(19713),Gramatica
Cunha,Celso
Portuguesa(No
de Janeiro)―
数 約10万.ブ
の 語 彙,表
Lingua
ラ
語 学的観点
ポ ル トガ ル 語 文 法 の 諸 相 』(大 学 書
Vazquez
(Editorial
Holanda(1975),
イ ツ 語,フ
京)
Mendes
Janeiro)― 例 等 を一 切
語,ド
ポ ル トガ ル 語 と ガ リ シ ア 語 』(大 学
―(1987),『
低 限 の 内容 を盛 り
de
オ ・デ ・ ジ
京)
(Edicoes Buarque
ル トガ ル 語 の 最 大 の 辞 書 で
[参 考 文 献] 池 上 岑 夫(1984),『
こん だ もの . Ferreira,Aurelio
学
る べ き もの は 少 な い.
Cuesta,Pilar
Lingua
出 し語 数 約2万.用
在,ポ
訳 辞 書 に 関 し て は,英
源
da(1982),Dicionario
Fronteira,Rio
植 物 名,科
者 の シ ル バ(1755‐1824)は,リ
な お,対
で き るエ デ ィ シ ョンが 少 なか っ た とい う事 情 の た
Cunha,Antonio
言 を は じ め,動
語,方
能 な 限 りの 語彙 を 収録 す る大 幅 な改 訂
ン ス 語 と の そ れ に 便 利 な もの が 多 い が,言
っ と も信 頼 度 の 高 い辞
ル ト ガ ル で は,中
語,古
ペー
前 後 で 構 成 さ れ,10
ャ ネ イ ロ 生 ま れ の ブ ラ ジ ル 人 で あ る.
リ シ ア 語,ポ
在,イ
版 で,新
あ る.著
Castellana,4vols.,
テ ィ ー リ ャ 方 言 を 中 心 と す る が,ガ
本,2千
か ら8万
が 行 な わ れ た.現
Critico
で は,2巻
定 語 数 約4万
用 語 ま で,可
出 し語 数
著 者 のDiccionario
大 幅 に 加 筆 し た も の で,ス
書 で あ る.ポ
e
Gredos,Madrid)
ー ジ(5巻
れ は,同
Castellano
版 年 不 明)ま
ジ 弱,推
[参
照]
ブ ラ ジル ・ポ ル ト ガ ル 語,ガ
リシア 語
(黒 沢
者 の フ ェ レ イ ラ(1910∼)は,
直 俊)
ブ ラ ジ ル に お け る 辞 書 編 纂 の 第 一 人 者 で あ り,他 に, 本 書 を も と に,用 例,語 Dicionario 1,781ぺ
da
Portuguesa,1980(本
ー ジ,語 数 約7万),お
文
よ び,語 数 を2万5千
ま で 落 と し た ポ ケ ッ ト 版 のMinidicionario Lingua
ま
源 等 を 省 い て 実 用 向 け に した
Lingua
Portuguesa,1977(本
da
文506ぺ
ー ジ)な
マ ケ ド ニ ア 語 〓,英Macedonian, 露〓 ス ロ ベ ニ ア 語,セ ル ビ ア/ク
ど も編 纂 し て い る . Silva,Antonio
de
Dicionario
da
Morais(1949‐5910),Grande
Lingua
Portuguese,12
(Confluencia,Lisboa)― 数 約30万
強.初
本 文12,146ぺ
版 は,ブ
ル トー(Rafael
1638∼1734)のVocabulario (8vols.,1712‐21;補 し,1789年 本 文1,678ペ
Bluteau,
portuguez
e latino
ニ ア は 同 連 邦 よ り 独 立 した が,国
と され た . [系
統] 語.セ
初 の本 格 的 辞 書 で 的,量
ル ガ リア 語 と と も に,そ
[分 布 ・人 口]
書の模範
約220万,う
と さ れ た.改 版 の た び に 語 彙 が 追 加 さ れ て い る た め,
人 は140万
的 に 優 れ て い た た め,20世
紀 前 半 ま で,辞
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ス ル ビ ア/ク
ロ ア チ ア 語,ス
各 版 を 比 較 して 語 彙 研 究 の 情 報 源 と す る こ と が で き
い る.ギ
1997年
ラ ブ語 派
ロ ベ ニ ア 語,
ブ ル ガ リ ア 語 と と も に 南 ス ラ ブ 語 に 属 し,中
典 作 家 の 語 彙 ま で 収 録 す る な ど,質
ケ ド
連 にお け る承認 国家
名 は 暫 定 的 に 「旧 ユ ー ゴ ス ラ ビ ア ・マ ケ ド ニ ア 共 和 国 」
の1言
後,18132(2vols.,
版 を 重 ね た.最
マ ケ ドニ ア 共 和 国 の 公 用 語 で あ っ た .1991年,マ
底 本 と
ー ジ),18239,18314,18445,18586,
1877‐787,18918と あ り,古
vols. ー ジ,語
遺2vols.,1727‐28)を
に 出 版 さ れ た.以
ロ ア チ ア 語 と と も に,ユ
ー ゴ ス ラ ビ ア 社 会 主 義 連 邦 共 和 国 の 主 用 言 語 の1つ.
で も,ブ
の 東 の グ ル ー プ に 属 す る. 現 在,マ
ケ ドニ アの 人 口 は
ち マ ケ ドニ ア 語 を 母 語 と す る マ ケ ドニ ア 人.そ リ シ ア,ブ
の他 の 大 半 は アル バ ニ ア人 が 占 め て ル ガ リ ア 等 の 周 辺 諸 国 や,オ
ース
ト ラ リア 大 陸,北
米 大 陸 な ど へ の 移 住 者 も含 め れ ば ,
マ ケ ドニ ア 語 を 母 語 と す る 人 口 は,200∼250万 と推 定 さ れ る.ま
た,マ
60万 人 の 諸 民 族(ア
人程度
ケ ドニ ア 共 和 国 に 居 住 す る 約
ル バ ニ ア 人,ト
ル コ 人 な ど)も,こ
に,バ
史]
法 等 も整 備 され た. [方言 と標 準語] 線 には,2つ
の 言 語 を 利 用 して い る. [語
イ ツ か らの解 放 を機 に 新 し く誕 生 し,翌 年 に は,正 書
ぼ 中央 を 流 れ るバ ル ダル(〓)川
マ ケ ドニ ア と い う 名 称 は,7∼8世
紀
ル カ ン 半 島 に 南 下 し て 古 代 マ ケ ドニ ア 王 国 の 故
地 に 住 み つ い た ス ラ ブ 人 が,の
ち に,そ
の 地 名 か ら,
の ツル ナ(〓)川
か ら,そ の 支 流
ま1つ は,首 都 ス コ ピエ(〓)付
近 か ら北 と南 を分
けて い る. この ような 等 語 線 の 分 布 か ら,マ ケ ドニ ア 語 の 方 言 は,大
来 す る .9世
プ に分 け られ る.
の 地 方 の 方 言 を 母 体 に し て,
は,共 和 国 の ほ
に か け て 共和 国 を東 西 に2分 し,い
自 ら を 「マ ケ ドニ ア 人 」 と よ ぶ よ う に な っ た こ と に 由 紀 に は,こ
マケ ドニ ア語 の方 言 特 徴 の 等 語
の 大 き な束 が あ る.1つ
き く,北,西,東
の3つ の 方 言 グ ル ー
ス ラ ブ 語 最 古 の文 献 言 語 で あ る 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 が 成
北 方 言 は,南 セル ビア の 諸 方 言 と共 通 の特 徴 を 多 く
立 し た.10∼13世
も ち,*o>u,vb,vb>uや,男
(〓)が,バ
紀 に は,マ
ケ ドニ ア の町 オ フ リ ド
ル カ ン に お け る キ リス ト教 文 化 の ひ と
つ の 中 心 地 と し て 栄 え た が,こ
う した 文 化 を 支 え る 独
立 し た 国 家 的 勢 力 が も て ぬ ま ま に,や
が て,オ
トル コ の 力 に 屈 し て し ま う . 以 来,500年 コ に よ る支 配 の 間,こ
ス マ ン・
に 及 ぶ トル
の 地 方 の ス ラ ブ 人 は,自
らの 文
こ の 間 に,こ の 地 方 の ス ラ ブ 語 は,名 詞 等 の 格 変 化 の
と 移 行 し,本
折 語 の タ イプ か ら孤 立 語 の タイ プ へ
来,ス
ラ ブ語 には なか った 特 徴 を もつ よ
う に な っ た . ギ リ シ ア 語,ル
とな ど,ほ か の 方 言 と著 し く異 な って い る. 東西 両 方 言 の主 な相 違 点 は,ま ず,ア クセ ン トに 表 われ て い る. 西 方 言 は,定 ま った 音節(主 と して,う しろ か ら3音 節 目)に 強勢 を もち,非 ア クセ ン ト母音 の あ い ま い化 が 起 こ らない の に対 し,東 方 言 は,自 由 ア ク セ ン トで,非
語 を 育 む こ と が で き な か っ た.
大 半 を 失 っ て,屈
性 名 詞 活 動体 に,
主 格形 と主格 以 外 の 格 に用 い られ る形 の 区別 が あ る こ
ー マ ニ ア 語,ア
ルバニア
語 な ど の,隣 接 す る 非 ス ラ ブ 系 諸 語 と の 接 触 が,こ た 変 化 を も た ら した も の と考 え ら れ る.こ
うし
れ らの 諸 言
ア クセ ン ト母 音 の あ い ま い化 が 著 しい .後 述 す る後 置 定冠 詞 は,西 方 言 が3種 類 を有 す る の に対 し,東 方 言 は1種 類 の み で あ り,「代 名 詞 二 重 使 用 」 は,西 方 言 に お いて,よ
り きわ だ っ て い る.
「 現 代 マ ケ ドニ ア語 文 章 語 」 (実質 的 に は標 準語)は , 上 記,西 方 言 の 中 央 部,プ リレ ップ(〓),ビ (〓),ベ
の 例 と し て,「 バ ル カ ニ ズ ム(Balkanism)」
さ れ た.現 在,人 口50万 人 余 の 首 都 ス コ ピエは,上 記
と よば れ て
レス(〓)等
トラ
語 と 共 通 す る い くつ か の 特 徴 は,「 言 語 群(言 語 同 盟)」
の 方 言 を母 体 と して 制 定
の 等 語 線 の 束 の 十 字 路 と い っ た 位 置 に あ り,も と も
い る. 18世 紀 後 半 か ら19世
紀 に か け て,バ
ル カ ン に も,民
と,北 方 的 な 要 素 の 強 い と ころ で あ る.加 え て,旧 セ
族 独 立 の 機 運 が 高 ま り,北 隣 の セ ル ビ ア で は,カ ラ ジ ッ
ル ビアの マケ ドニ ア 支 配 の 中心 地 で あ った上 に,現 在
チ(Vuk
で は,共 和 国首 都 と して セ ル ビア との 接触 も多 く,セ
Stefanovic
Karadzic,1787∼1864)に
文 語 確 立 の 作 業 が す す め ら れ た が,マ
よって
ケ ド ニ ア で は,
オ ス マ ン ・ トル コ の 弱 体 化 と と も に,正
教 会 を牛 耳 る
ギ リ シ ア の 文 化 的 な 支 配 が 強 ま っ て い た.こ し て,自
ら の 言 語 に よ る 著 述,出
く徐 々 に 行 な わ れ 始 め る.先
れ に対 抗
版 の 試 み が,よ
駆 者 と し て,ク
うや
ル チ ョフ
ス キ(〓,?∼1820),ペ
イ チ ノ ビ ッチ
(〓,1771∼1845)の2人
の 僧 や,ミ
[文字 と発 音]
使 用 して い る文 字 は,キ リル 文 字
31個 で あ る.一 部 の子 音 の有 声 ∼ 無 声 の 交 替 を除 い て,1文
字1音 の 原 則 が守 られ て い る. マケ ドニ ア 語
の表 記 の み に用 い られ る文字 は,s,〓,〓
の3つ で あ
ア チ ア語 の キ リル文 字 と共通 の もの は,〓,〓,〓,お
〓 ,1830∼62)ら の 時 代 に は,ギ
ロア チ ア語 の 影響 が 強 か った .
以 下,音 韻,文 法 の 記 述 は,標 準 語 に基 づ く.
る.ま た,ロ シア語 な ど とは 異 な るが,セ ル ビア/ク ロ
ラ デ ィ ノ フ 兄 弟(〓,1810∼62;
る.こ
ル ビア/ク
が 知 られ て い
リ シ ア へ の 対 抗 上,ブ
ル ガ リア
よ
び,[i]の 半母 音 と してjを 用 い る こ とで あ る(表1). sは,破
擦 音[dz]で
あ る.こ の 文 字 の 使 用 は,隣 接
と の 同 朋 意 識 が 強 く,「 マ ケ ドニ ア 語 」 と い う概 念 は,
す るセ ル ビア/ク ロ アチ ア語 な ど と比 べ て も特 異 で あ
ま だ,そ
るが,た だ し,sの
れ ほ ど 明 確 に は 意 識 さ れ て い な か っ た.活
な 言 論 活 動 に よ っ て,マ
発
ケ ドニ ア 民 族 と 「マ ケ ドニ ア
〓 「星 」(同 上〓),な
語 」の 独 立 を 主 張 し た の は,ミ シ ル コ フ(〓 ,1874∼1926)で な 概 念 や 正 書 法 等 は,そ
あ る.現 代 文 章 語 の 基 本 的 の 多 く が,ミ
シル コ フの 考 え
チ ス ・ド
ど. 〓
,〓 の標 準 的 な発 音 は,硬 口蓋 閉 鎖 音[c][〓]で
あ
る.た だ し,セ ル ビア/ク ロア チ ア 語 の〓[〓](ラ テ ン 文字 で はc),〓[〓](同
と一 致 す る も の で あ る. 現 代 マ ケ ドニ ア 文 章 語 は,1944年8月,ナ
現 わ れ る語 彙 は少 な い .
〓 「壁 」(古 代 教 会 ス ラブ 語〓)
じ くd)の
よ う な破 擦 音 か ら,
口蓋 化 した 軟 口蓋 閉 鎖 音[〓][〓]ま で の 自由 変 異音 が
の[f]へ の 変 化,な どで あ る.
ケ ドニ ア語 の 子 音 字 母
[アク セ ン ト]
軟 口蓋音
硬 口蓋音
歯︲歯茎音
唇歯音
両唇音
歯茎︲硬 口蓋音
<表1>マ
ア クセ ン トは,語 末 よ り3音 節 目
に お かれ る(単 音 節 語,2音
節語 で は,語 頭)・ 強 弱 ア ク
セ ン トで あ り,強 勢 の あ る母 音 は,強
く,少 し長 く,
少 し高 く発 音 さ れ る.例 外 は,副 動 詞 形(〓 「見 なが ら」)や 外来 語(〓
「電 報」)な ど で あ
る.語 末 に後 置 冠 詞 が 付 い て も,上 の 原 則 が 守 られ る.
閉鎖音 摩擦音 破擦音 鼻 音 側 音 流 音 半母音
〓 →〓
「牛 乳」
〓→〓 否 定 辞Heや のKeな
「狐」
人 称 代 名 詞 短形,未
来 を形 成 す る助 詞
どの よ うに,そ れ 自体 は ア ク セ ン トを も た な
い 語 が あ る(多 くは,単 音 節語).こ
れ らは,普 通,ア
ク セ ン トの あ る語 の 前 に お かれ るが,場 合 に よ って は, 前 接 辞(enclitic)と な る.そ の際 に は,文 節 全 体 につ い
き か れ る.〓
に は,歴
史 的 に,次
の よ うな もの が あ
て 原 則 が 適用 され る. 〓 「私 は 彼 が好 きだ 」(普通 の場 合)
る. 1)ス
ラ ヴ 祖 語 の*tj,*kt'/*djに
HOK「
夜 」,〓
2)‐tbj‐,‐dbj‐
な る場 合)
の‐b‐ が 脱 落 し て,新
た に‐tj‐,
〓 「兄 弟(複 数 形)」,〓 リ シ ァ 語,ト
「人 々」
〓 「 乾 いた + ぶ ど う → 干 しぶ ど う」
[文 〓 「タ イ ル 」(ギ
リ シ ァ 語〓)
部 で は,子
音連続
対 す る有 声 の 破 擦 音[〓]で,ト
ル コ
〓 「モ ス ク 」(ト ル コ 語cami)
対 格 形,後 者 は 与 格 形 に 由 来す る.そ れ ぞ れ に,長 形
〓 「ジ ャ ズ 」(英jazz) れ ぞ れ,口
用 い られ な い.も っ と も明 らか な痕 跡 は,人 称 代 名 詞 な どの 直 接 目的 形 と間 接 目 的形 の 区別 に み られ,前 者 は
年 で は 英 語 か ら の 借 用 語 に 多 い.
〓は,そ
が み られ る.か つ て の格 変 化 の 名 残 りは,一 部 の 人名 の 生 格 形 や 呼 格 形 にみ られ る が,現 在 で は まれ に しか
観 察 され る.
語 や,近
言語 類 型 論 上,マ ケ ドニ ァ語 は,ブ ル
り,曲 用 で は,屈 折的 タ イ プか ら孤 立 的 タイ プ へ の 移 行
対 応 す る 音 価 と し て,南
〓 は,〓[〓]に
法]
ガ リア語 とと も に,ス ラ ブ語 派 の 中 で特 異 な 位 置 に あ
〓 「店 」(ト ル コ語dukkan)
[〓][〓]が
〓 「す っぱ い + 牛 乳 → ヨー グ ル ト」
ル コ語 な どか らの借 用語 に現 わ
れ る も の.
な お,1に
「形 容 詞 + 名 詞」で,特 定 の もの を さ す場 合,や は り, 1文 節 と して,原 則 が 適 用 され る こ とが あ る.
‐ dj‐ と な っ た 結 果 に よ る も の.
3)ギ
〓 「私 は 彼 が好 きで は な い」(前接 辞 と
対 応 す る もの.
「境 界 」
と短 形 が あ って,用 法 が 異 な る(表2).こ 蓋 化 し たH,〓([〓][〓])で
の 短 形 は,長
形 や 一 般 の 名 詞 と と もに 文 中 で 重 複 し て 用 い られ, 「代 名 詞 二 重 使 用 」 と よば れ るが,マ ケ ドニア 語 で は,
あ る. 〓 「馬 」,〓
「愛 」
特 に 強 調 文 で な く と も,目 的 語 が 特 定 の もの に限 定 さ
無 声 子 音 の ペ ァ を も つ 有 声 子 音 は,語 る が,正
書 法 に よ り,有
ま た,‐B‐ は,常
は,動
に,無
「パ ン の1切
れ,小
完 了 の 語 尾で
語 論 的 に厳 密 で ない の で,短 形 が 直 接 目的/間 接 目的 の別 を明 示 す る こ とに よ って,意 味 が あ い ま い に な ら
声 化 す る.
〓(be動
〓 「 君 を待 つ 」 同 じ孤 立 語 タイ プで も,英 語 な どの よ うに語 順 が 統
が 付 い た 形)
詞 の ア オ リ ス ト,未
れ て さえ い れ ば,ほ ぼ 自動 的 に 重 複 が 起 こ る. 〓 「 君 に書 く」
声 子 音 で 表 記 さ れ る.
〓 「パ ン」[lep],cf.〓 片 」(指 小 語 尾〓
末 で無 声 化 す
詞 未 完 了 過 去,1人
称 複 数)[bef
ない よ うな仕 組 み に な って い る.さ
らに,こ の 重 複 に
よ っ て,関 係 代 名 詞 な ど も,屈 折 形 を 用 い ず に,よ
me] 母 音 は,〓,e,a,o,yの5つ は な く,ま
た,常
ほ か に,他 音 的 特 徴 は,〓
に,は
で あ る.長
短 の 区別
象 の観 察 は,屈 折 タイ プか ら孤 立 タ イ プ へ の 移 行 とい
っ き り と 発 音 さ れ る.
のス ラブ 語 との 対 比 に お い て 問題 とな る >e,*e>e,*Q>a,xの
代 語 に み ら れ るxは,ほ
と ん ど が,新
消 滅(現 しい 外 来 語 も し
くは 文 語 と し て 保 た れ て き た も の で あ る)あ
り
分 析 的 な形 式 に移 行 しや す くな って い る.こ う した 現
る い はx
う言 語 変 化 を考 え る上 で,興 味 深 い. 格 変化 を失 っ た代 償 と して,必 然 的 に前 置 詞 の 役 割 が 大 き くな って い る.マ ケ ドニ ア 語 で,も 用 い られ る前 置 詞 はHaで,生
っ と も多 く
格,与 格,対 格,前 置
「欲 す る」 とい う意 味 の動 詞〓 <表2>マ
ケ ドニ ア語 の 人 称代 名詞
基本形 単1「
〓 「私 は 読 む で あ ろ う」 これ に 対 し,未 来 の否 定形 に は,「持 つ 」 とい う意 味
私」
2「
君,あ
3「
の 動 詞 の否 定 形HeMaの3人
なた 」
彼」
〓 「(私は)読 ま な い だ ろ う」
「彼 女 」
一 方,過 去 時 制 では,ス ラブ 語 の 古 い 構 造 を保 って い る.単 純 過去 と して,ア オ リス トとイ ン ペル フ ェク ト
わ れ わ れ」 「あ な た,
2
(未完 了)の2つ
あなた方」 3「
称 単 数 形 が,や は り,不
変 化 で 用 い られ る.
「そ れ 」
複1「
の3人 称 単 数 形
に 由来 す る もので あ る.
を 区別 し,複 合 過 去 と して,be動
詞現
在 形 +過 去 分 詞形(〓)と い う形 式 を もっ て い る.こ の
彼 ら」
複 合 過 去 は,直 接 見聞 きせ ず,人 づ て に聞 い た物 事 の 注:〓
の'は,接
続 詞〓
「そ し て 」,否 定 辞He
伝 達 や,婉 曲 表現 な どに用 い られ る.し か し,マ ケ ド
と 区 別 す る た め に 付 さ れ て い る.
ニ ア語 の場 合 は,こ れ を 「 伝 聞 体 」 とは限 定 しに くい. 他 の ス ラ ブ語 と同 様,マ ケ ドニ ア 語 の動 詞 に は,完 了
格 な ど の 機 能 を 担 っ て い る. 次 に,マ 冠 詞 を,後
ケ ドニ ア 語 は,ス
ラ ブ語 に本来 な か った 定
置 冠 詞 と い う 形 で も っ て い る.こ
B形,H形,T形
の3種
<表3>マ
女性 形
イ ンペ ル フ ェ ク トは不 完 了体 の 動 詞 が用 い られ る.複 中 性形
合 過去 は,両 方 の 体 か らつ く られ る.動 詞 の用 法 中,
複数形
ス ラ ブ 語 と して特 殊 な もの は,「 持 つ 」 とい う意味 の B形
動 詞 + 被動 形 過 去 中 性単 数 形 とい う形 式 が,「完 了」や
H形
「経 験 」 を 表わ す こ とで あ る.被 動 形 が 用 い られ て は
T形
い るが,意 味 は能 動 で あ る.
そ れ ぞ れ,OBOj「
〓 「彼 は 来 て い る」
この」,OHOj「 あの」,TOj「 そ の」
とい う指 示 代 名 詞 に 由来 して い る.こ の う ち,B形
〓 「君 は 見 た こ とが あ るか?」
と
H形 は,そ の機 能 も指 示 代 名 詞 とま った く同 じで あ る. 〓 「 町 」:
[語
彙]
語 彙 の面 で 目につ く こ とは,何
トル コ語 か らの借 用 が 多 い こ とで,500年
→〓
「こ の町 」
→〓
「あ の町 」
た こ とが 分 か る(以 下,カ
して広 く用 い られ る.「 一 般 に … は ∼ で あ る 」 とい う 構 文 で,主 語 と して,T形
1)食
〓 「コー ヒー茶 碗 」(fincan)
付 きの 単 数形 が 現 われ る と
〓 「深 鍋 」(tencere) 〓 「ひ き肉 団 子」(kofte)
冠 詞 は,名 詞 の前 に,形 容 詞 や所 有 代 名 詞 な どの 修
2)衣
類 や 住 居 に関 す る語 彙 〓 「 靴 下 」(corab)
飾 語 が 付 く と,そ の先 頭 の もの の 末 尾 に移 動 す る. 〓 「犬」:
〓 「 部 屋 」(oda) 「 彼 の犬 」
→〓
3)接
「彼 の 黒 い 犬 」
とが あ げ られ る,不 定 用 法 に は,連 辞〓
続詞
aMa「 しか し」(ama)
動 詞 に関 す る特 徴 で は,ま ず,不 定 形 を もた な い こ を用 い る.
4)副
詞 〓 「ち ょう ど」(tamam)
〓 「 私 は読 み た い 」
〓 「朝 」(sabahleyin)
現在 変化 に は,3人 称単数 形 の末 母 音 が,‐aの もの, の もの,の3種
あ る.1人
称単 数 形 は,
す べ て の動 詞 で‐aMと な る.辞 書形 は,3人 在 形 で ある.た
ッ コ内 は,ト ル コ語).
の名 称.
〓 「犬 は 忠 実 で あ る」
もの,〓
の トル コ に
生 活 に関 す る語 彙 で,食 物 や 食 器,調 理 用 具
い う用法 もあ る.
→〓
より も
よ る支 配 が,生 活 の さま ざま な 面 に,深 い 影 響 を与 え
T形 は,指 示 代 名 詞 と同 じ機 能 の ほ か に,定 冠 詞 と
‐ eの
ン ペ ル フ ェク トは継 続的,線
的 な 過去 を 表わ す の で,通 常,ア オ リス トは完 了体 の,
が あ る(表3).
ケ ドニ ア 語 の冠 詞 男 性形
体/不 完 了体 の区別 が あ る.単 純 過 去 時 制 の うち,ア オ リス トは 点的 過去,イ
れ に は,
とえ ば,〓
称単数現
「読 む 」.
未 来 時制 は,不 変化 のke+ 現 在 形 で,こ のkeは,
最 近 で は,セ ル ビア/ク ロ ア チ ア語 か らの借 用語 が 増 え て きて い る.特 に,服 装 に関 す る語 彙 な どで は, セル ビア/ク
ロア チ ア 語 に とっ て 代 わ られ た もの も あ
る.た と え ば,「ス カ ー ト」につ い て,一 般名 称 と して は,セ ル ビア/ク
ロア チ ア語 に 由来 す る〓
を用
い,マ ケ ドニ ア語 の〓
は,民 族 衣 装 な どの
(マ ケ ドニ ア 語 ‐ロ シ ア 語 辞 典)(〓
特殊 な もの の み を言 う,な どで あ る. [マケ ドニ ア語 を め ぐる言 語 問題]以
上 に述 べ た
マ ケ ドニ ア語 の特 徴 の 中 に は,バ ル カニ ズ ム と して,
) [参 考 文 献]
多 くの学 者 が ほぼ 一 致 して指 摘 す る もの が あ る. 動 詞 不 定 形 の消 滅,人
〓(1952,19572 〓Ⅰ,1954 〓Ⅱ),
称 代名 詞短 形 の重 複 使 用,未 来 時制
の形 成方 法 な どが そ れ で あ る.ほ か に,分 析 的形 式 に よる形 容 詞 比 較 級 の形 成,た
と え ば,
〓 「若 い 」:〓
「よ り若 い 」:〓
「も
っ とも若 い 」
れ る こと,た とえ ば, 〓 「私 の 母 」
datelstvo
the
Macedo
Language(Drzavno
na
Slavonic
NR
knigoiz
Makedonija,Skopje)
Languages(J.M.Dent
ラブ 語 派 の 中 で,ブ ル ガ リア語
and
―(1980),Guide guages,part
にバ ル カ ン言語 群 の ひ とつ と して,上 述 の よ うな 特徴 を多 く共有 して い るか らで もあ る.
the
Sons,
to
the
Slavonic
Lan
3(Slavica,Columbus,Ohio)
〓 ,P.Ⅱ.(1985),〓 (〓)
現 在 の マ ケ ドニ ア 共 和 国 の領 土 は,第1次 戦 争(1912∼13)の 結 果,セ
to
London)
とも っ と も近 い 関 係 に あ るが,そ れ は,両 者 が,と も
バルカ ン
ル ビア に所 属 す る こ とに な
った 部 分(別 名,バ ル ダル ・マ ケ ドニ ア〓
Topolinska,Zuzanna(1981),Remarks Slavic
Noun
on
Phrase(Polska
Akademia
the
Nauk,
Warszawa)
)で あ る.し か し,マ ケ ドニ ア とい う地方 は, 現在 の ブ ル ガ リア西 部 に ま たが る地 域 で あ った.こ の
Friedman,Victor(1977),The Categories
よ うな 領土 問 題 もあ って,ブ ル ガ リア で は,マ ケ ドニ ア語 を独 自の 言 語 と認 めず,ブ
ル ガ リア語 の1方 言 と
見 な す傾 向 が あ る、 一 方,ギ
リシア も,ス
ラ ブ人 が
「マ ケ ドニ ア」 を 名 乗 る こ とを 好 まず ,自 国 内 の ス ラ
Grammatical
of Macedonian
―(1985),"The
indicative(Slavica) Sociolinguistics
of
Sociology
of
in
198,Otto
of
Language
Kramer,Christina
の存 在 は,隣 国2国 と の関 係 に お い て も,い ま だ に複
マ ケ ドニ ア 語 の 辞 書 は,現 在 の と こ ろ,
まだ 種 類 が 少 な い . 最 良 で 最 大規 模 の辞 書 は,次 の も の で あ る.
E.(1986),Analytic
Macedonian(Slavistische
Modality Beitrage,Band
Sagner,Munchen)
(1982),The
U.Cinque
Phonetics
of
Macedonian(Biblio
polis,Napoli) Mazon,Andre
et
geliaire
〓(TOM
the
52(Amsterdam)
Minissi,N.,Kitanovski,N.and
雑 な状 況 にお か れ て い る と いえ よ う.
literary
Macedonian",International.Journal
ブ系 住 民 の ギ リシ ア化 を す す めて きた . マ ケ ドニア語
書]
of
Literary
Bray,R.G.A.de(1951,19692),Guide
な ど も,そ の ひ とつ と され る こ とが あ る.
[辞
合 本1966,
Lunt,Horace(1952),Grammar nian
や,人 称 代 名 詞 間 接 目的 形 短 形 が 物 主的 意 味 に用 い ら
マ ケ ドニ ア語 は,ス
(〓;Ⅰ,Ⅱ 19672,19763,19814,19825,〓)
de
Andre
Vaillant(1938),L'evan
Kulakia,un
Parler
Slave
du
Vas
Vardar(Droz,Paris)
I:
1961,ToM Ⅱ:1965,ToMⅢ:1966,〓
〓(1960/61),"〓
新 版:1986,〓 )―
約7万
語 を 収 録 す る.
実 質 的 に は,マ ケ ドニ ア 語 ‐セ ル ビ ア/ク 辞 典 で あ る. 語 数3万
―(1983),"Asurvey Dialects",in
語 程 度 の 辞 書 は,主
要 言 語 の ほ とん どの二
言 語 辞 書 と し て 出 版 さ れ て い る が,内 の 辞 書 に は る か に 劣 る.そ
.ⅩⅠ ‐ⅩⅡ,KH.1‐2(〓)
ロ ア チ ア語
容 的 に は,上
の う ち,2,3を
記
紹 介 す る.
〓(1976),〓 (マ ケ ドニ ア 語 ‐ 英 語 辞 典)
cal (Carl
Macedonian
Koneski(ed.),A the
Macedonian
Histori Language
et
al.(eds.)(1981),Fonoloski
opisi
srpskohrvatskih/hrvatskosrpskih,slovenackih imakedonskih
ka
〓(1963),〓
of
the
Winter,Heidelberg)
Ivic,Pavle
skim
(〓)
Blaze
Phonology
of
govora
lingvistickim i umjetnosti
obuhvacenih
opstesloven
atlasom(Akademija Bosne
nau
i hercegovine,Sarajevo)
―汎 ス ラ ブ 言 語 地 図 作 成 の た め の 各 調 査 地 点 に お
け る,セ
ル ビ ア/ク
ビア 語),ス
ロ ア チ ア 語(ク
ロ ベ ニ ア 語,お
ロ ア チ ア/セ
よ び,マ
ル
ケ ドニ ア語 諸
も
方 言 の 音 韻 が 記 述 さ れ て い る. [参
照]
ス ラブ 語 派 (中 島
マ ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語 =ア
由 美)
英Macedo‐rumanian
モ ル ダ ビア語
英Moldavian,露〓
ソ連 邦 の,主
・ル ー マ ニ ア 語
と し て,モ
ル ドバ 共 和 国 で 話 さ れ て い
る 言 語 . 「モ ル ダ ビ ア 語 」は,ロ で,こ
doveneasca)」
め
シア 語 名 に 基 づ く表 記
の 言 語 に よ る 自 称 は,「 モ ル ドバ 語(limba で あ る.わ
が 国 で は,1990年
mol
以 降,モ ル
ドバ 語 と い う 表 記 を 用 い る こ とが 次 第 に 多 くな っ て き て い る.
メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語
1989年
ル ー マ ニ アmeglenoro
mana,英Megleno‐Rumanian
で,そ
エ ー ゲ 海 の サ ロ ニ カ(Salonika)湾 (Vardar)川
に注 ぐバル ダル
流 域 の ユ ー ゴ ス ラ ビ ア か ら,ギ
ま た が る 地 域 で 話 さ れ て い る,ル ル ー マ ニ ア で 話 さ れ て い る,い
リシ ア に
ー マ ニ ア 語 の 一 種. わ ゆ るル ー マ ニ ア 語
(正 確 に は,ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語)と は,姉 妹 関 係 に あ る . 話 し 手 は,1950年
頃 の 調 査 で,1万2千
み ら れ て い た が,マ
ケ ドニ ア 語,ギ
そ れ ぞ れ の 公 用 語 の 蔭 で,話 え ら れ る.こ
人 ぐらい と
リ シア 語 とい う,
者 数 が減 少 して い る と考
の 言 語 で 書 か れ た 文 献 は,ほ と ん ど な い.
ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語(略dr.)と
比 較 して,次
の よう
な 特 徴 が み られ る. 1)ダ
コ ・ル ー マ ニ ア 語 の 語 頭 のaが
加 え る」(1人
dr.afara「
脱 落 した形 で
の 起 源 は,2世
持 つ 」(半 過 去1人
マ ニ ア 語 で はaと
に 遡 る と 説 明 さ れ て い る.し
こ の 言 語 を,そ
見 る 」(1人
dr.par「
称 単 数,複
数):
保 存 す る(ダ コ ・ル ー
の地 方 に まで 支 ラ テ ン語
れ は,ま
さ に,
で あ る,モ
わ ゆ る ル ー マ ニ ア 語)の1方
ル ドバ 方 言(dialectul
言
moldovenesc)と
こ の 言 語 が 話 さ れ て い る,ル
見
ーマ ニ ア北 東 部 か ら ソ
髪 」:per
方 に か け て の 一 帯 は,1359年,ボ
称 複 数):ved
・ル ー マ ニ ア 語 と
モ ル ドバ 侯 国(ルTara
moldova)と
の ル ー マ ニ ア 侯 国(ルTara
も に,15∼16世
紀,ト
romaneasca)と
に,ベ
譲 さ れ た.1859年,両
侯 国 は 統 一 さ れ て,ル
の 後,王
dr.piatra「
石 」:k'atra
リ シ ア 語 が,ま
代 ブ ル ガ リ ア 語 の 両 方,お
た,ス
ルバ ニ
ラ ブ 系 で は 古 代 語 と現
よ び,ト
ル コ語 が 入 っ て い
る.
た,1945年
第3巻
が辞
こ の よ う に,こ
[参 考 文 献]
に,モ
わ っ た.し
ルーマニア語 和 子)
大 戦 中 の1940年 に は,そ
に は,
の 他 のル ー マ ニ ア
ル ドバ 方 言 が ル ー マ ニ ア 語
語 の1方
ル ドバ 方 言 を 固 有 の 言 語 と す る 運
国 政 府 の 言 語 政 策 が,と
か し,現
音 韻 体 系,文 (倍 賞
ーマ
シ ア 語 に 接 近 さ せ る試 み(1939∼55)が
あ っ た り し て,両
vols.(Bucuresti)
大 戦 で,ル
ッサ ラ ビア の 領 有
の 言 語 を話 す 地 方 の 帰 属 が た び た び と さ ら,モ
動(1933)や,ロ
Capidan,Teodor(1925‐35),Meglenoromanii,3
ーマニ ア
で あ る こ と が 強 調 さ れ る 時 期 が あ っ た り(1924∼28, 1937∼38),逆
書 と な っ て い る.
シ ア ー トル
領 の 一 部 も ソ 連 邦 領 と な る.
変 わ っ た 上,こ 下 記Capidan(1925‐35)の
か し,第2次
こ の 部 分 が,ま
主国
ッサ ラ ビ ア が ロ シ ア に 割
国 と な る が,第1次
を 認 め ら れ た.し
テ ン語 起 源 の も の に 加 え,ア
と
ル コ の 宗 主 権 下 に 入 り,宗
コ 戦 争 の 結 果,1812年
侯 国,そ
立 の
な った . この 国
ニ ア は 連 合 国 側 に つ き,1918年,ベ
共 通).
語 彙 的 に は,ラ
グダ ン
よ っ て 統 一 さ れ,独
の 国 際 紛 争 に 巻 き こ ま れ る こ と に な る.ロ
称 単 数,3人
音 の 口 蓋 化 が み ら れ る(ア
照]
か し,こ
タ
マ ン ス 語 の1
こ で 話 さ れ て い る ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語
(Daco‐Rumanian,い
)地
な る).
dr.vad「
[参
ラ ン ス 語,イ
ル ー マ ニ ア 語 の 歴 史 と 一 致 し て お り,ル ー マ ニ ア で は,
は,隣
テ ン 語 の 唇 音 の 後 のeを
書]
紀 頃,こ
(ルBogdan,露〓)に
veam
[辞
ペ イ ン 語,フ
ー マ ニ ア 語 な ど と並 ん で,ロ
配 の 手 を 伸 ば し た ロ ー マ 人 の 話 し て い た,俗
称 単 数):daug
外 で 」:fara
dr.aveam「
ア 語,ギ
シ ア 共 和 国 な ど に 居 住 す る.
ソ 連 邦 の 資 料 で は,ス
つ で あ り,そ
人
りが ウ
連 邦 領 ベ ッ サ ラ ビ ア(ル ー マ ニ アBasarabia,露〓
dr.adaug「
3)唇
ク ラ イ ナ 共 和 国,ロ
リア 語,ル
者 数 は 約307万
が モ ル ドバ 共 和 国 内 に,残
な し て い る.
対 応 す る.
2)ラ
の 国 勢 調 査 に よ る と,話
の う ち 約9割
法,基
き に よ り変
在 の モ ル ダ ビ ア(モ ル ドバ)語 本 語 彙 の ど の 面 で も,ル
言 以 外 の 何 も の で も な い.し
は,
ーマニア
か も,ル
ーマニ
ア 語 は,方
言 差 が 小 さ く,モ
ア 方 言(dialectul ニ ア 語 と,発
ル ドバ 方 言 も,ム
muntenesc)に
ンテ ニ
基 づ く共 通 ル ー マ
音 と語 彙 に わ ず か な 違 い が み ら れ る程 度
上 に 述 べ た 政 治 が ら み の 言 語 政 策 は,文 も み ら れ る.ル
字 に 関 して
ー マ ニ ア 語 に お い て は,1868年,そ
れ
ま で 使 用 し て い た キ リ ル 文 字 を ラ テ ン文 字 に 変 え て 以
1945年
方 よ り以 東),リ
白 ロ シ ア 西 部 に 及 ん で い た.ヤ で に,13世
紀 末 に,ド
彼 ら の 言 語 も,16世
で あ る.
来,一
ズ ー リMazury地
貫 し て ラ テ ン 文 字 を 使 用 し て い る が,1940年, と 相 次 い で,こ
な る や,キ
の 言 語 を 話 す 地 方 が ソ 連 邦領 と
リル 文 字 の 使 用 が 義 務 づ け ら れ た.し
か し,
か し,1860年
人 の 住 民 が,白 ら を,な
va,特
マ ニ ア 語 で あ っ て,モ
分 た ち の話 して い る の は ル ー ル ダ ビ ア(モ ル ドバ)語
とい うの
ロ シ ア,グ
トヴ ィ ン ギ ア 人 と 申 告 し て い た. 々 の 古 文 献 に お い て,
ー ド ゥ ヴ ァ(Sndva),ダ
に リ トア ニ ア で)と
土 地 で あ る こ と が,明 ア語 の文 献
イ ナ ヴ ァ(Daina
も よ ば れ,そ
れ らが 同一 の
確 に 述 べ ら れ て い る.古
プロシ
『教 理 問 答 書 』(Catechismus,1545)の
は,自
分 た ち の 言 語 に 対 す る政 治 的 ・人 工 的 名 称 な の
イ ツ 語 の 序 文 に は,ス
だ,と
堂 々 と 述 べ る よ う に な っ た の で あ る.
や や くず れ た こ と ば を 話 す が,プ
ド
ー ド ゥ ヴ ァ 人(Sudawen)は, ロ シ ア 語 を よ く理 解
す る とい う 趣 旨 の こ と が 述 べ ら れ て お り,古
[参 考 文 献]
語 と の 差 異 を,暗
〓(1966),"〓",〓 .1(HayKa,MocKBa)
(Limba
ヤ トヴ ィ ン ギ ア 語 は,文
ア ニ ア,白
moldoveneasca
献 を 残 し て お ら ず,こ 有 名 詞 や,ポ
ロ シ ア の 地 名 か ら,多
―(1973),"〓",〓
(W.R.Schmalstieg)のStudies
r.3
(A
Critical
Review
in
the Field
since
University
(MocKBa)
Old
Relevant
1945)(The
Press,1976)に
ト
ュマ ル ス テ ィー グ in
of the
れ ま
ー ラ ン ド,リ
くの研 究 が 積 み重 ね
ら れ て き た . 従 来 ま で の 研 究 は,シ
contemporana),B.1‐2(〓)
プロシア
に 示 唆 し て い る.
で 古 文 書 に 現 わ れ た,固
―(1969‐70),〓
literara
ロ ド ノ(〓,
の 住 民 台 帳 に は,約3万
ヤ トヴ ィ ン ギ ア 人 の 土 地 は,種 別 の 呼 称,ス
の 言 語 の 話 者 た ち は,自
の,旧
ロ シア語 に 同化 され
ロ シ ア 語 を 日常 言 語 と し な が ら も,自
お,ヤ
ラ テ ン 文 字 の 使 用 が 認 め ら れ る に 至 っ た.そ
紀 初 め に 死 滅 し,
トア ニ ア 語,白
現 在 の 白 ロ シ ア〓)県
ペ レ ス ト ロ イ カ の 波 は 言 語 政 策 に も お よ び,1989年, し て,こ
トヴ ィ ン ギ ア 人 は,す
イ ツ 騎 士 団 に よ っ て 征 服 さ れ, 紀 末 か ら17世
ポ ー ラ ン ド語,リ た.し
トア ニ ア 南 西 部,
Prussian Literature
Pennsylvania
State
要 領 よ くま とめ られ て い
る. 〓(Gramatica
istorica
a limbii
moldove
nesti)(〓,1964) ルーマニア
(倍 賞 モ ル ド バ 語limba =モ
(古 プ ロ シ ア 語gaylis,リ
和 子)
参 照)を
moldoveneasca
照)や,バ
参 照), トア
も っ て い た.
音 韻 的 特 徴 と し て は,古 い る こ と(leipa「
ル ダ ビア 語
「白 い 」
トア ニ ア 語baltasを
丘 」(古 プ ロ シ ア 語garbis,リ
ニ ア 語kalnasを
ル ーマ ニ ア語
「黒 い 」(古 プ ロ シ ア
トア ニ ア 語juodas),gaila‐
地 名 か らgarbas「
語 」 の 項 を 参 照 され た い. 照]
名 か らkirsna‐
語kirsnan,リ
ル ー マ ニ ア 語 の 参 考 文 献 に つ い て は,「
[参
語 彙 面 で は,水
い 二 重 母 音eiを
菩 提 樹 」,リ
保 持 して
トア ニ ア 語 のliepaを
ル ト祖 語 のs,zを,s,zに
参
変えている こと
が あ げ ら れ る. 以 上 の こ と は,こ
や
と こ ろ が,1978年 ヤ トヴ ィ ン ギ ア 語 リ トア ニ アjotvingiu ポ ー ラ ン ドjezyk
ト語 に 属 し,古
ganske
英Yatvingian,
立 した言 語 と
言 と す る 説 が あ り,見
ロ シ ア の 古 物 蒐 集 家 の 青 年 ジ ノ フ(〓.)
紀 以 降,諸
種 の文 献
日 の ポ ー ラ ン ド北 東 部(マ
の 未 知 の 言 語 が,問
ヤ トヴ ィ ン ギ ア 語 で は な か っ た か と,今 て い る.こ
の 手 稿 は,ラ
て い た が,青
ヤ トヴ ィ ン ギ ア 人 の 名 は,10世
と い う タ イ トル を もつ
に よ っ て 発 見 さ れ,こ
ル ト語 派 の 中 の 西 バ ル
プ ロ シ ア 語 に 近 い が,独 プ ロ シ ア 語 の1方
の 言 語 域 は,今
z Narewu)」
の 手 稿 が,白
jadzwinski
解 が 分 か れ る.
に 現 わ れ,そ
gwary
に,「 ナ レ フ 川 の 異 教 徒 の 方 言(Po
ポ ー ラ ン ド語 と 未 知 の 言 語 と の 対 照 語 彙 集(著 者 不 明)
kalba,露〓,
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族,バ
す る 説 と,古
の 言 語 が 古 プ ロ シ ア 語 に 近 く,リ
トア ニ ア 語 か ら 遠 い 言 語 で あ っ た こ と を 示 し て い る.
よ っ て,宗 っ た.た
日,推
測 され
テ ン語 の 宗 教 書 に 綴 じ込 まれ
年 が 兵 役 に 従 事 し て い た 留 守 中,両 教 書 と と も に 廃 棄 さ れ,湮
だ,幸
題の
い に も,青
親に
滅 に 帰 して しま
年 が手 稿 を判 読 す るた め に
筆 写 し て い た ノ ー トの み は 消 失 を 免 れ,そ ト語 派 の,も
れ が,バ
ル
っ と も重 要 な 近 年 の 発 見 と さ れ る に 至 っ
ら
て い る. こ の 語 彙 集 は,215語
の 対 照 語 彙 集 で あ る が,未
知
の 言 語 が,バ ル ト語 派 の 言 語 で あ る こ と は 一 目 瞭 然 で, 全 体 と し て は,リ か し,こ
トア ニ ア 語 に 近 い 言 語 と 言 え る.し
れ ら の 語 彙 の 採 集 地 ナ レ フ 川 は,ポ
の マ ズ ー リ地 方 の 北 に 位 置 し て お り,古
ーラ ンド
く か ら,ヤ
ト
で あ る.
イ ン ド ・ヨー ロッ パ 語 族 の1分
ロ マ ンス 諸 語 の う ち,レ
目 に は,唯
(ポ ー ラ ン ド語rzeka
一の固有名詞
Narew)が
あ げ ら れ,そ
し て,Nauraの
形 が 与 え ら れ て い る.こ
い う 川 名 は,き
わ め て 興 味 深 い.と
れ に対
のNauraと
い う の は,ヘ
トス の 『歴 史 』 に 現 わ れ るNeuroi人 起 原 と さ れ る)が,ス
「ナ レ フ 川 」
の 名 称(河
ラ ヴ 族 か バ ル ト族 か で,重
争 が あ り,バ ル ト語 の 音 変 化*eu>auか
ラ デ ィ ン 語 と は,ラ
テ ン語 のLATINUに
れ を 話 し手 自 身 に よ る 自 称 と し て 用 い る方 言 群 が2地 域 に 存 在 す る. 第1の
グ ル ー プ は,ス
イ ス,グ
ラ ウ ビ ュ ン デ ン
の イ ン(Inn)川
源 流 地 帯 で 話 され
(Graubunden)州
川名
る,ロ
マ ン シ ュ語 の 下 位 方 言 と し て の ラ デ ィ ン語 で あ
る.ス
イ ス で は,国
大 な論
内 の レ ト ・ ロ マ ン ス 語(独Rato
romanisch,仏rheto‐roman,伊retoromanzo)
が バ ル ト起 原
の 総 称 と し て,ロ
マ ン シ ュ 語(独Romanisch,仏
の 名 称 で あ る こ と を よ り 多 く支 持 す る 証 拠 を 与 え,こ
romanche,伊romanzo,英Romansh)と
の 問 題 に,一
慣 用 と な っ て い る が,こ
石 を投 じ る こ とにな る か ら で あ る.
語 彙 集 に あ げ ら れ て い る,1か
ら8ま
で の 数 詞ans,
る 名 称 で は,広
duo,tris,teter,pank,sziasz,geptis,aktisは,
た め に,民
明 ら か に バ ル ト語 で あ る が,4(cf.リ turi)お
よ び7(cf.リ
トア ニ ア 語ke
トア ニ ア 語septyni)の
私 」,tu「
っ て(与 格 形)」,名 「足 」,nakt「
君 」,es「
詞akmi「
石 」,dontis「
夜 」,sala「
太 陽 」,upa「
「言 語 」(ラ ト ヴ ィ ア 語valoda),動 る 」 な ど の 語 彙 は,典
彼 」,man「
私 に と 歯 」,kaj
詞giwatti「
型 的 な バ ル ト語 の 例 で あ る .
ー ラ ン ド語 か ら の 借 用 語seno「
り」 な ど3語
た,ド
tus「
が,ま
手 」,monda「
ら に,語
の 数 に の ぼ り,今
眠
化 さ れ て お り,必
デ ィ ン 語 の 名 称 を も つ 第2の
デ ィン語 の 系 統
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語
ロ マ ン シ ュ語
ン キ ャ ー ヴ ィ チ ュ ス は,詳
しい 調査 の
結 論 し て い る. バ ル ト語 派 (村 田
郁 夫)
ス ル ミ ラ ン語
照]
グ ル ー プ は,
ロマ ンス 諸 語
ス ヅト シ ルヴ ァン語
[参
し くは,
zodynelis?",Baltistica ⅩⅩⅠ,
の語 彙 集 が 青 年 の偽 造 に よ る もの で は 事 実 上
あ り え な い,と
ル ミ ラ ン 語(sur
イ タ リア 国 内 の北 部 山 岳 地 帯 で あ る 南 チ ロル の ド ロ ミ
ス ル シ ルヴ アン語
お,ジ
の レベ ル に お け る 名 称 で,ラ
「レ ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 」 「ロ マ ン シ ュ 語 」 の 項 を 参 照 さ
〓1983,〓,
結 果,こ
の方 言 群 に細 分 れ ぞ れの 名 称 で よば
ト
Vilnius,1985;"〓?",
1984).な
イ ス の レ ト ・ロ マ ン
並 立 関 係 に あ る(〈 図 〉 を 参 照.詳
ア ニ ア語 とロ シア 語 に よる詳 細 な論 文 が 発 表 され て い る("Lenku‐jotvingiu
ト ・ロ マ ン ス 語 を
ッ ト シ ル ヴ ァ ン 語(sutsilvan),ス
<図>ラ
よ っ て 研 究 さ れ,リ
要 に 応 じて,そ
デ ィ ン語 は,こ
ィ リニ ュス 大 学 の ジ ンキ ャー
ヴ ィ チ ユ ス(Z.Zinkevicius)に
付 け て,レ
な わ ち ロマ ン シ ュ 語)は,4つ
次 に,ラ
な り
後 の 研 究 が 待 た れ る.
こ の 手 稿 の 写 し は,ヴ
ス 語(す
の
前 提 とした レ ト
れ た い).
が 認 め ら れ る.さ
源 的 解 釈 の つ か な い 起 原 不 明 の 語 も,か
チ ア 人Raeti)を
示 さ ざ る を え な い . 実 際 に は,ス
miran)と
イ ツ 語 か ら の 借 用 語han
月 」 な ど18語
の ドイ ツ語 や イ タ リア語 に よ
イ ン 川 源 流 地 帯 の ス ル シ ル ヴ ァ ン語(sursilvan),ス
生 き
語 彙 の 中 に は,ポ
族 基 層(レ
れ る.ラ
川 」,walda
よぶ のが
義 の ロ マ ン ス 語 と区 別 で き な い.こ
(独Rato‐,伊reto‐)を
数 詞 の語
頭 音 は,い ず れ の バ ル ト語 と も 異 な る 音 を 示 し て い る. 代 名 詞as「
起源 を も
ト ・ロ マ ンス 語 の う ち で は,こ
ロド
ら み て,Na
と い う 名 称 の 存 在 は,Neuroi人
派,
ト ・ロ マ ンス 諸 語 に 属 す る 下
位 言 語 グ ル ー プ の 名 称.
つ 言 語 名 で あ る が,レ
語 彙 集 の96番
ura川
1adin,英Ladin,伊ladino
[系 統 ・名 称]
ヴ ィ ンギ ア 人 の 居住 地 として知 られ て い た 有 名 な 土 地 の1つ
ラデ ィ ン語
ドロ ミテ語 フ リ ウ リ語 (ド ロ ミテ ・ラ デ ィ ン 語)
ラデ イ ン語
ピ ユテ ー ル 語
ヴ ァ ラ ーデ ル 語
テ(Dolomite)地
方 で 話 さ れ る ド ロ ミテ 語 で あ る(→
ロ ミ テ 語). 正 確 に は,自
ド
称 で あ る ラ デ ィ ン を 付 け て,
「ド ロ ミテ ・ラ デ ィ ン 語(伊ladino
dolomitico)」
と
す る べ き で あ ろ う. な ぜ な ら,イ タ リ ア で は,ラ デ ィ ー ノ(ladino ,ladini)は,北 イ タ リア の 諸 方 言(つ ま り gallo‐italiano)に
対 立 さ せ て,レ
[言 語 特 徴] て,ど
体につい
1)ラ
テ ン語 の 語 末 の 屈 折 語 尾 ‐S,お
ナ
よ び,活
用語
尾 ‐Sの 保 存 2)ラ
テ ン語 の 語 頭 の 子 音 群PL‐,BL‐,KL‐(CL‐),
GL‐,FL‐
ス イ ス 国 内 の ラ デ ィ ン 語 は,ド
の よ うな点 が
あ げ ら れ る.
て用 い られ る総 称 で もあ る か らで あ る. [分 布 ・人 口]
部 は別 に し
時 的 に は レ ト ・ロ マ
ン ス 系 言 語 に ほ ぼ 共 通 し て み ら れ る,次
ト ・ロ マ ン ス 諸 語(ス
イ ス ・ロ マ ン シ ュ 語 や フ リ ウ リ語 を 含 む)全
言 語 的 特 徴 と し て は,細
ち ら の ラ デ ィ ン 語 に も,通
3)ラ
の保存
テ ン語 のKA‐(CA‐),GA‐
の 口 蓋 化 現 象(特
ウ 川 の 支 流 で あ る イ ン 川 源 流 の エ ン ガ デ ィ ン(独
に,ス
Engadin,ラ
方 で 用 い られ る ロ
ル 語 〕で は,同
ら に,こ
北 フ ラ ンス の ガ ロ ・ロ マ ン ス 的 特 徴 を 示 す)
デ ィ ンEngiadina)地
マ ン シ ュ 語 の1方
言 群 で あ る が,さ
の エ ンガ
デ ィ ン渓 谷 の 上 流(高 地 エ ン ガ デ ィ ンEngiadin'ota) と下 流(低 地 エ ン ガ デ ィ ンEngiadina ラ デ ィ ン 語 は 二 分 さ れ,前
bassa)と
で,
者 は ピ ュ テ ー ル 語(puter),
後 者 は ヴ ァ ラ ー デ ル 語(vallader)と
よ ば れ る.こ
方 言 の 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は,少
数 の 異 な る語 彙 きな
人 で,ド
イ ツ語 や イ タ リア 語 との
二 言 語 な い し 三 言 語 併 用 者 が 多 い.エ
ンガ デ ィ ン地方
全 域 を 対 象 に し た ラ デ ィ ン語 の 新 聞 と し て,サ ン(Samedan)で (Fogl
一 方 ,ド
メーダ
発 行 さ れ て い る 『フ ー イ ユ ・ラ デ ィ ン』
Ladin)紙
が あ る(1857年
創 刊,週2回
ロ ミテ ・ラ デ ィ ン 語 は,北
チ ロ ル 地 方 に 接 す る た め,ド
勢 母 音Aはeと
発 行).
し か し,共
時 的 に は,ラ
ロ ・イ タ リ ア 的 お よ び ガ ロ ・ ロ マ ン ス 的 特
デ ィ ン語 諸 方 言 の 統 一 的 共 通
[名 称 を め ぐ る 論 争]「 dino)」
イ ツ語 とイ タ リア語 の影
ラ デ ィ ン語(ladin,伊la
と い う 名 称 は,19世
Haller)が,南
紀 前 半 に,ハ
チ ロ ル,ド
中 で,初
較対 照 した研 究
た と さ れ る. そ の 後,北 が
イ タ リ ア 出 身 の ア ス コ リ(G.I.Ascoli)
『ラ デ ィ ン語 試 論 』(1873)を
著 し て か ら,ラ
い う 統 一 的 概 念 と と も に,ロ 着 す る よ う に な っ た.ア
マ ンス 言 語学 の うち に 定
ス コ リの 提 唱 した
Adige)の
ス,ド
あ る ピ ア ー ヴ ェ(Piave)
独 立 し た 言 語 グ ル ー プ を 設 定 す る か,北
d'Ampezzo)の
に
前 者 の ア デ ィ ー ジ ェ 方 言 は,ド
ロ ミテ地 方 の 中 心 部
塊 を 中 央 に と り囲 む よ う に し
の 谷 ご と に 下 位 区 分 さ れ る.す
な わ ち,セ ル ラ
山 塊 の 北 を流 れ る ガ ル デ ー ラ(Gardera)川 デ ィ ー ア 渓 谷(Val
Badia)の
バ デ ィ オ ッ ト語(badiot),
西 の ガ ル デ ー ナ 渓 谷(Val (gherdeina),南 Fassa)の
の 流 域,バ
Gardena)の
ガ ル ダ イ ナ語
西 に 伸 び る フ ァ ッサ 渓 谷(Val
フ ァ ッ サ 語(fashan),そ
し て,南
広 が る リ ヴ ィ ナ ル ロ ン ゴ(Livinallongo)地 ム 渓 谷(Val
di Fodom)の
こ れ ら の 下 位 方 言 は,そ
ョ ン は 容 易 で は な く,統
人,少
ォ ド あ る.
れ ぞ れ の 綴 字 法 を も ち,音
韻・
互 の コ ミュニ ケ ー シ
一 化 が進 ん でい な い .住 民 の
タ リ ア 語,ド
三 言 語 併 用 者 で あ り,言
方,フ
フ ォ ド ム 語(fodom)で
文 法 体 系 も 著 し く異 な る た め,相
ほ と ん ど が,イ
di
東方向 に
イ ツ語 との 二 言 語 な い し
語 人 口 は,現
な め に 推 計 し て 約3万
地 資 料 で 約7万
人 と さ れ る.
部 イ タ リア 諸
語 の 下 位 方 言 群 とす る か で 論 争 を 生 ん だ . こ の
大 別 さ れ る.
て,4つ
イ
イ ツ の ロ マ ンス 語 学 者 に大 きな 反 響 を ひ き起 こ
し,「 ラ デ ィ ン」 す な わ ち 「レ ト ・ロ マ ン ス 」 と し て の
川 源 流 地 方 に 話 さ れ る カ ド リー ノ 語(cadorino)と
に あ る セ ル ラ(Sella)山
「ラ デ ィ
タ リ ア,ス
コ ル テ ィ ー ナ ・ダ ン ペ ッ
メ リ コ(Comelico)や
ツ ォ(Cortina
デ ィン
在 の 「レ ト ・ロ マ ン ス 」 系 言 語 と
ン」 諸 語 の 統 一 性 と 自 立 性 の 主 張 は,イ
属 し,コ
イ
めて 言 語 学 上 の 名 称 と して 採用 し
響 下 に あ る . 分 布 上 は,ア デ ィ ー ジ ェ 川 上 流 地 帯(Alto の水 系 に
ラ ー(Joseph
ロ ミテ 地 方 の 方 言 と,ス
ン ガ デ ィ ン地 方 の 方 言 と を,比
書(1832)の
語 と い う 名 称 が,現
の オ ー ス トリア ・
ア デ ィ ー ジ ェ方 言(atesino)と,別
な り,
特 徴 を,ガ
ス,エ
支 障 が な い. 言 語 人 口 は 約1万
時 に,強
徴 に対 して差 異 的 に示 す こ とは 困 難 で あ る .
の両
と文 法 的 要 素 を 除 い て は 対 応 関 係 に あ る た め,大
イ ス ・ロ マ ン シ ュ 語 の ラ デ ィ ン 語 〔ピ ユ テ ー
し,特 よ び,ス
「ラ デ ィ ン語 論 争 」 は,20世 に 両 大 戦 間 に は,南
イ ス 東 南 部 ア ル プ ス 地 帯(ラ
領 土 併 合 問 題 と か ら ん で,政 た . ス イ ス で は,国
治 的 様 相 を帯 び る に 至 っ
種 と し て 確 認 し,1938年2月,国
て,ロ
マ ン シ ュ 語 を,ド
ア 語 に 次 ぐ第4番
イ ツ 語,フ
マ ン シ ュ語 民 投 票 に よっ
ラ ンス 語,イ
目 の 国 語 と し て 定 め た.こ
の 言 語 と 国 土 を,フ
の で あ る(現
デ ィ ン 語 地 域)の
内 の ラ デ ィ ン 語 を,ロ
の1変
り,こ
紀 に 入 って 白 熱 化
チ ロ ル ・ ドロ ミ テ 地 方,お
タリ れによ
ァ シズ ム の脅 威 か ら守 った
在 で は,1996年
以 降,「 公 用 語 」 と な っ て
い る). イ タ リ ア 人 学 者 は,現
在 で も,「 ラ デ ィ ー ノ 」 と い う
名 称 を も っ て,「 レ ト ・ロ マ ン ス 」 と い う概 念 を 表 わ す こ とが 多 い.し は,上
か し,こ
述 の よ う に,元
の 来,狭
「ラ デ ィ ン」 「ラ デ ィ ー ノ 」 義 に は,ス
デ ィ ン 渓 谷 の ロ マ ン シ ュ 語 と,ド 自 称 を 示 す の で,レ
イ ス の エ ンガ
ロ ミテ 地 方 の 言 語 の
ト ・ロマ ンス 語 全 体 を表 わ す の に
は 不 適 当 で あ ろ う.ま は,中
米 で,現
た,「
ラ デ
ィ ー ノ(ladino)」
Kramer,J.(1976),Historische
地 人 に と っ て の ス ペ イ ン 語 を さ す 名 称
と し て も 使 わ れ る.歴 リ ア 半 島(ス
史 的 用 語
ペ イ ン,ポ
用 者 に 対 し て,ス
ル
と し て は,中
ト ガ ル)で,ア
世 の イ ベ
て 用 い ら れ た こ と が あ り,さ
ら に,の
ち に ス ペ イ ン か
ら 追 放 さ れ た ユ ダ ヤ 人 の 自称 と し て も 用 い ら れ て き た た め,混
書]
Peer,O.(1962),Dicziunari
rumantsch
tudais‐ch(Lia
ladines,Vokabulare
badiot‐tudesk(E.Ru〓
des et
vocabulari
ladin
e frances‐rumantsch
a la morphologie
langues
romanes,tome anciens,et
lingua ed
J.Jud(1928‐40),Sprach‐und Italiens
und
des
Sildschweiz
照]
ド ロ ミテ 語,ロ
マ ン シ ュ 語,レ
ラ デ ィ ン 語 と,イ
cun
traducziun
da
1)書
ス イ ス の ロ マ ン シ ュ 語 の 方 言 で あ る
方 に 定 住 して い た ラ テ ィ ー ニ ー 人(Latini)の
タ リア の
す る が,本
ドロ ミテ
・ ラ デ ィ ン 語 に,
り,ギ
musica
vocals
retorumantscha
Rumantscha,Chur,1986)
[分
1950‐1977"Ⅰ,Ⅱ(Societa
リ ア 島,サ
Alton,J.B.(1968),L
Ladin einer
ladinischen,neu
dla
Grammatik
Val
des
bearbeitet
and
Badia
erganzt
von
italiano
1
(Loescher,Roma/
ladina,
sistematica
d'Engiadin'Ota(Lia
dal
Rumantscha,Chur)
―(1983),Grammatica matica ding
sistematica
ladina,Gram dal
Bassa…(Lia
rumantsch
Groden romanischen
einer Mundarten
in
d'Engia
Rumantscha,Chur)
Haller,J.(1832),Versuch ladinischen
rumantsch
Tirol,dann in
in im
Parallele Enneberg
Engadin
Graubunden(Innsbruck)
der und
und
der
イ
ル カ ン半 島 の
ギ リ ス 諸 島 に わ た っ て い た.ロ
ー マ ・カ ト リ テ ン語 の 通 用
世 に は さ ら に 広 が り,西
は ス カ ン デ ィ ナ ヴ ィ ア 半 島,東
ボ ヘ ミア,ハ
Ganzoni,G.P.(1977),Grammatica
ジ プ トを 除 ラ ン ス,ス
ッ ク 教 会 の 勢 力 の 伸 展 に と も な っ て,ラ
Firenze/Torino)
Grammatica
ベ リ ア 半 島,フ
ドイ ツ か ら ドナ ウ 川 流 域 全 体,バ
一 部 ,イ
ド,北
代 に は,
タ リア半 島 と シチ
ル デ ィ ニ ア 島 と コ ル シ カ 島,エ
す る 範 囲 は,中
ladini",Archivio
語 にな
こ ろ と認 定 さ れ る.
ラ テ ン 語 の 分 布 の 範 囲 は,古
くア フ リ カ 北 岸 地 帯,イ ス,南
Dolomiten
Vittur)(A.Weger,Brixen)
Ascoli,G.Ⅰ.(1873),"Saggi glottologico
布]
紀 で あ り,死
紀)の
ロ ー マ 帝 国 の 西 半 分 に 一 致 し て,イ
な 文 法 書 と研 究 書
Franz
リ シ ア 語 と並 ぶ ロ ー マ 帝 国 の 公 用 語 に な っ た.
っ た の は,ル ネ ッ サ ン ス(15世
Retorumantscha,Cuera)
zu
ー マ が 次第 に 政 治 勢 力
テ ン語 の通 用 す る地 域 も広 ま
最 古 の 碑 文 が 現 わ れ る の は 前5世 F.Giger(1977),
romontschs
言 にす ぎな か った .
紀 か ら,ロ
la
(1661‐1984)(Lia
(Beitrag
元 前4世
名 に 由来
テ ィ ー ニ ー 人 の 諸 方 言 の う ち,ロ
を 拡 大 す る に つ れ て,ラ
Decurtins,A.,Stricker,H.and
2)主
来 は,ラ
ー マ と そ の 周 辺 で 用 い られ た1方 し か し,紀
語.
タ リ ア 中 部 の ラ テ ィ ウ ム(Latium)地
Retorumantscha(1552‐1984)eBiblio de
Studis
Latina,英,仏Latin,独Latein
言 語 名 は,イ
Press,Samedan)
誌
grafia
ラ テ ン 語lingua
伸 夫)
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 語 族(印 欧 語 族)の1言
tudais‐cha,
直 接 関 係 す る 参 考 書 目 の み あ げ る .
Bibliografia
ト ・ロ
マ ンス 諸 語
vallader
(富 盛
inglaisa(Engadin
[参 考 文 献]
dolomi
Tempel,Bruges) 語地図
[参
scurznieu
lading
francesa
4:Sur ladin
Rumantscha,Cuoira)
Velleman,A.(1929),Dicziunari la
des
(Ringier&Co.,Zofingen)
vallader
ladin
Grammatik
Wurzburg)
engadinois
Sachatlas
dal
fundamental,rumantsch frances
bei
Jaberg,K.and
Verlag,Bregenz)
Wurzburg)
Mourin,L.(1964),Introduction
3)言
Rumantscha,Chur)
Taggart,G.(1990),Dicziunari
(Lia
menn,Gerbrunn
tique(De
ladin
des
Dolomitenladinischen,Lautlehre(A.Leh
silvan
Pizzinini,A.(1966),Parores
bei
―(1981),Historische
comparee
同 を 生 ず る 恐 れ が あ る.
[辞
menn,Gerbrunn
ラ ビ ア 語 使
ペ イ ン 語 使 用 者 を 意 味 す る 名 称 と し
Grammatik
Dolomitenladinischen,Formenlehre(A.Leh
ン ガ リー ま で,ラ
はアイル ラン は ポ ー ラ ン ド,
テ ン語 文 化 圏 に組 み 込
ま れ た. こ れ ら の 地 域 の う ち,ア
フ リ カ の ラ テ ン語 は,ア
ブ 人 に よ る 占 領 の 結 果,8世
紀 に は 消 滅 し た.ヨ
ラ ー ロ
ッ パ で も,近
世 に な って 自国語 が文 語 と して確 立 す る
に 及 ん で,ラ
テ ン語 は文 語 と して もほ とん ど用 い られ
な くな っ た が,た
だ,学
後 も 続 け ら れ,現
代 に至 って い る. い わ ゆ る ラ テ ン諸
国 で は,中
世 に,民
生 し て,現
在,そ
者 と聖職 者 に よる 使 用 は そ の
衆 ラ テ ン語 か ら ロ マ ン ス 諸 語 が 発 れ ら の 地 域 と,中
の 一 部 な ど で 用 い ら れ て い る.
南 米 諸 国,カ
ナダ
[系
テ ン語 の
8)ア
オ リス トと完 了 の 融 合 .
の い ず れ か の 印 欧 諸語 の 祖 先 と同一 で あ っ
9)接
続 法 と 希 求 法 の 融 合.
統]
祖 先 が,他
印 欧 語 が 分 裂 し た の ち に,ラ
た 時 期 が あ っ た か ど う か は 不 明 で あ る . ラ テ ン語 に も
し か し,こ
っ と も 密 接 な 関 係 に あ る の は,オ
に 侵 入 す る 以 前 に,い
ン ブ リア 語(Umbrian),サ
ス ク 語(Oscan),ウ
ベ ル 語(Sabellian),ウ
ル ス ク 語(Volscian)な
ォ
ど の イ タ リ ッ ク 諸 語 で あ る.
ラ テ ン語 と イ タ リ ッ ク 諸 語 の 類 似 は,ま
ず,印
て,そ
れ ら の 共 通 点 か ら,原
れ が ラ テ ン語 とイ タ リッ ク諸語 に分 か れ た とす
る 説 は,今
欧祖
ラ テ ン人 が イ タ リア
わ ゆ る イ タ リック語 派 が存 在 し
日 で は 否 定 さ れ て い る.類
比 較 的 新 し く,両
似 が 生 じた の は
言 語 の 話 し手 が 別 々 に イ タ リア半 島
語 か ら の 同 じ 音 韻 上 の 変 化 が 数 多 く存 在 す る こ と に み
に 侵 入 し て か ら の ち の こ と で あ る.し
られ る.
接 に よ っ て,格
*〓 >a;*eu>ou;*r>or;*l em;*n>en;有
>ol;*m>
音 間 のsの
*tt>ss;*p―qw>qw―qw;語
ー マ 入 が サ ビ ー ニ ー 人(Sabini)の
有 声 音 化; 末 の*t>d
女 た ち を 略 奪 して
結 婚 し た と い う 伝 説 に み ら れ る よ う な,原 ラ テ ン人 と, オ ス ク ・ウ ン ブ リア 語 の 話 し 手 の う ち の1つ
し か し,こ
れ らの一 部 は他 の 印 欧語 に も共通 す る特 徴
プ と が 合 体 し て,1つ
で あ り,一
部 は一 般 的 な音 声 変化 の現 象 で あ る. 残 り
の 類 似 性 が 生 ま れ た も の と 考 え ら れ る.
の 特 徴 も,地
理 的 に 隣 接 す る 言 語 か ら音 声 と音 韻 体 系
イ タ リ ッ ク 語 派 と ケ ル ト語 派 が,印 に,し
そ れ ら の 言 語 現 象 の 類 似 か ら,ラ
タ ロ ・ケ ル ト説(Italo‐Celtic
テ ン語 を 含 む イ タ リ
ッ ク 語 派 の 存 在 を 推 定 す る こ と は で き な い. くの
終 わ る 奪 格 形 が,o語
幹 以 外 の 型 に も広 ま
っ た こ と. 神 苑 」:オ
古 ラ テ ン 語mihei「 「自分 に 」:ウ
ン ブ リ ア 語mehe「
君 に 」,sifei
私 に 」,tefe「
君
自分 に」
説 法 未 完 了 過 去 の 形 成 法.
印 欧 祖 語*qwis>
オ ス ク 語pis,ウ
ェ ール ズ 語
変 化 が,両
語 派 に共 通 で
だれ」
ラテ
ン 語er‐a‐nt)は,ラ
テ ン 語 のama‐ba‐nt「
彼 ら
は 愛 して い た 」 と 同 じ接 尾 語*‐bhua‐ ス ク)/‐ba‐(ラ
〉 ‐fa‐(オ
テ ン)を 用 い て い る.
pinp;ラ
テ ン 語quinque;,オ
「あ る 」の 接 続 法 未 完 了 過 去3人
ち ら も,
称 単 数 で,‐si‐/
テ ン語 は
,母
音 間 で
s>r)
domini「 4)‐rに
神 に 捧 げ ら れ る 」:オ
ラ テ ン語observ‐a‐tum「 形 容 詞(gerundivum)の
オ ス ク語sakra‐nn‐as「
息 子 の 」,ラ
人 は 運 ば ね ば な ら ぬ 」,ア 人 は運 ぶ 」
よ る 受 動 相 と形 式 受 動 相,
ラ テ ン 語sequor「
従 う 」,sequitur;ア
同」
欧 祖 語*bhu(「
あ る 」)に 由 来 す る ラ テ ン語 の ル ト語 の ‐f‐に よ る 未 来 と
の 対 応,
捧 げ ら れ る べ き 」:ラ
同 」(‐nn‐ < ‐nd‐:同 化)
7)語
根 に ‐a‐ま た は ‐s‐を 加 え て っ く る 接 続 法,
ラ テ ン語advenat「 テ
私 は 立 ち去 るだ ろ
テ ン 語abi‐b‐o「 同 」
ア イ ル ラ ン ド語bera「
形 成 法.
イルラ
ン ド語sechur,sechithir
う 」;ラ
観 察 す る た め に 」:
テ ン語
主人 の 」
ア イ ル ラ ン ド 語leic‐f‐ea「 形 成 法.
ウ ン ブ リア 語anzeri‐a‐tu「
ン 語sacra‐nd‐ae「
スク
同」
的 分 詞(supinum)の
ス ク ・ウ ン ブ リア
‐i,
‐b‐に よ る 未 来 と,ケ
ラ テ ン語sacra‐tur「
ウ ェー ル ズ 語
よ る 非 人 称 形,
5)‐rに
6)印 よ る 受 動 相.
語sakara‐ter「
幹の単数属格
ア イ ル ラ ン ド 語maqi「
イ ル ラ ン ド語berir「
テ ン語fo‐re‐t(ど
‐re‐ が 対 応 し て い る;ラ
ア イ ル ラ ン ド語coic,古
ウ ン ブ リ ア 語ferar「
続 法 未 完 了 過 去 の 形 成 法.
オ ス ク 語fu‐si‐d:ラ
イ タ ロ ・ケ ル ト語*qwen
qwe,古
3)o語
彼 ら は ∼ で あ っ た 」(=
7)動
タ リ ッ ク語 の 一 部 とケ
語*pompe「5」
オ ス ク 語fu‐fa‐ns「
6)目
変 化 が,イ
印 欧 祖 語*penqwe>
私 に 」,tibei「
に 」,オ ス ク 語sifei「
5)‐rに
唱 え られ た こ
あ る こ と,
称 代 名 詞 の 与格 単 数 .
4)接
1)*qw>pの
2)*p―qw>qw―qwの
ス ク 語slaagid
「境 界 」
3)直
theory)が
の 根 拠 と さ れ る 両 語 派 の 共 通 点 は,
pwy「
古 ラ テ ン 語loucarid「
2)人
欧語 族 の分 裂 後
ル ト語 の 一 部 と に み ら れ る こ と,
類 似 点 が み ら れ る. 1)‐dに
言語
ば ら く同 一 の 言 語 集 団 を な し て い た と い う,イ
と が あ る.そ
下 の よ う な,多
の グ ルー
の 社 会 を 形 成 し た 結 果,両
の 影 響 を 受 け や す い と い う一 般 言 語 現 象 に 照 ら して,
重 要 な の は 形 態 上 の 類 似 で,以
な る隣
触 れ る 要 素 ま で 交 換 さ れ る こ と は あ り え な い か ら,ロ
声 帯 気 音 の 無 声 摩 擦 音 化(*bh,
*dh ,*gh>f,f,h);母
か も,単
や 時 称 や 法 の よ うな文 法 構 造 の根 幹 に
運 ぶ 」,tiasu「
行 く」;古
着 く」,faxo=fac‐s‐o「
作
る」 8)比
較 級 と 最 上 級 の 形 成 法(‐tero‐
に よ る比 較 級
と,‐isto‐に よる 最 上級 を失 っ た こ と),
ラテ ン語 に は ケ ル ト語 お よび ゲ ル マ ン語 と共 通 す るか
な どで あ る.し か し,こ れ らの事 実 も,イ タ ロ ・ケ ル
な りの数 の語 が あ る .原 ラテ ン人 は,紀 元 前 第2千 年
ト説 を裏 付 け るの に は不 十 分で あ る.た
紀 の終 わ りに近 い ころ,北 か らイ タ リア半 島 に 侵 入 し,
タニ ッ ク語(Britannic)と 通 の*qw>pに
とえ ば,ブ
リ
オス ク ・ウ ンブ リア 語 に共
つ い て 言 えば,印 欧祖 語 の語 頭 の*p‐
が ケ ル ト語 で す べ て 消 失 した とい う事 実 に 照 ら して, ブ リタ ニ ッ ク語 に お け る*qw>pの
現 象 は,共 通 ケ
しば ら くは北 イ タ リア に滞 留 して い た が,前1千
年こ
ろ南 下 して,ラ テ ィ ウ ム に 定 住 した,そ の 少 しあ とで, オ ス ク ・ウ ン ブ リア語 の話 し手 が,東 か らア ド リア 海 を渡 って イ タ リア に侵 入 し,そ の 一 部 が ラ テ ィ ウム に
ル ト語 の時 期 よ り も あ とで 生 じた もの,し た が って,
入 って原 ラテ ン人 と融 け合 った.ラ テ ン語 は,こ
オス ク ・ウ ンブ リア語 とは 無関 係 に 発 達 した もの で あ
て 原 ラテ ン人 の 言 語 と オ ス ク ・ウ ンブ リア語 の1方 言
る.ま た,た
との 融 合 に よ って 成 立 し た.イ
とえ ば,語 根 に ‐a‐を付 け る接 続 法 は ア
うし
タ リア 侵 入 の 以 前 に
ル カ イ ズ ム で,他 の語 派 で は 除去 され,ケ ル ト語 とイ
は,両 言 語 は か な り違 っ た こ と ばだ ったが,融 合 の結
タ リッ ク語 に の み残 った もので あ る.
果,語 彙 の 面 の み な らず 文 法 面 にま で類 似 が 生 じた.
語 彙 の 点 で も,イ タ リ ック語 派 とケ ル ト語 派 に のみ 共 通 す る一連 の語 が 指 摘 され た.し
か し,こ の点 で は,
さ らに 一 歩進 ん で,ケ ル ト語,ゲ ル マ ン語,イ ク語,バ ル ト・ス ラ ブ語 を含 み,ギ
タ リッ
リシ ア語 を除 い た,
イ タ リア に 侵 入 した 民 族 は,ほ か に も多 い.ラ
テン
語 は,そ れ らの 諸 民族 の こ とば か ら,大 な り小 な り影 響 を 受 け た.ま ず,シ ケ ル 人(Sicels,Siculi;シ ア人)は,原
チ リ
ラ テ ン人 よ り も早 くか ら,イ タ リア,特
西 グ ル ー プ の存 在 が 考 え られ,北 西 文 明 が か つ て 存 在
に ラ テ ィ ウ ム に 住 ん だ 印 欧語 民族 で,の ち に,シ チ リ
した とい う説 が唱 え られ た こ とが あ る. これ らの 語派
ア に移 住 した.ラ テ ン語 に,何
に 共通 の語 は確 か に多 数 あ り,し か も,そ れ らは 基本
とが推 測 され る,同 様 に,印 欧 語 民 族 のイ リ ュ リア 人
らかの 影 響 を 与 え た こ
語 彙 で あ って,共 通 の 祖 先 を推 定 す るの に 十 分 な 証拠
(Illyrians,Illyri)は,前8世
で あ る と考 え られ た.し か し,西 グ ル ー プ の 中 に ラ テ
長 い期 間 にわ た って,イ
ン語 に欠 けて い る重 要 語 が あ った り,逆 に,広
海 岸 地 方 の諸 方 言 にイ リ ュ リア語 の 名 残 りがみ られ,
く印 欧
紀 後 半 を頂 点 と す る
タ リア を侵 害 した.特 に,東
語 にわ た る語 で 西 グ ル ー プ に は 見 い だ され な い も の
ラ テ ン 語 に も若 干 の イ リュ リア 語 系 の語 が あ る.ま
が,ラ テ ン語 の 中 に あ る こ とに加 え て,ギ
た,イ
リ シア語 と
リュ リア 人 は,ギ
リシア 語 とギ リシ ア文 化 を イ
ラ テ ン語 に共 通 で,他 の 西 グ ル ー プ に は な い語 もあ る.
タ リア に もた らす 橋 渡 しの役 を演 じた ら しい.ヴ
語 彙 の 点 か ら系 統 を 論 ず る こ とは,は な は だ危 険 で あ
ト語(Venetic)も
る.
方 向 か ら北 イ タ リア に 入 り,ラ テ ィ ウム に ま で言 語 的
イ タ リッ ク語 とケル ト語 が,イ ヒッ タイ ト語,ト
ン ド ・イ ラ ン語 派,
カ ラ語(Tocharian)と
は共 通 に もつ
印 欧 語 に属 し,前9世
ェネ
紀 こ ろ,北 東
影 響 を及 ぼ した. エ トル リア 人(Etruscans,Etrusci)は,前8世
紀
け れ ど も,中 央 部 の ギ リシ ア語,ゲ ル マ ン語,バ ル ト・
に トス カ ナ(Toscana)地
ス ラブ語 に は欠 けて い る特 徴 も あ り,こ の こ とか ら周
族 で,次 第 に 支 配 圏 を 広 げ,前7世
辺現 象 が 提唱 され た こ とが あ る.し か し,こ の 説 は,
そ150年
共 時 言語 学 に のみ 適 用 され るべ き 方 言 地 理 学 の 方 法
政治 的,文 化 的 な影 響 が 大 きか っ たわ りには,ラ テ ン
を,通 時 的 に,し か も,資 料 の 年 代 の は る か に異 な る
語 に残 した 痕 跡 は 少 ない . 人 名 や 地 名 に はエ トル リア
諸 言 語 に応 用 す る とい う誤 りを 犯 して い る.
起 源 の もの が 多 く,人 名 体 系(個 人 名,氏 族 名,家 名)
ラテ ン語 は,印 欧 語 の 中 の ケ ン トゥム(centum)グ
方 に移 住 した非 印 欧 語 系の 民 紀 後 半 か ら,お よ
間,ラ テ ィ ウ ム の 大 部 分 とロ ーマ を支 配 した.
もエ トル リア 人 の習 慣 に 由来 す る.普 通 名 詞 の 借 用 は
ル ープ に属 す るが,し か し,ケ ン トゥム グル ー プ とサ
少 ない.し か し,そ れ以 上 に重 要 な の は,エ
テ ム(〓)グ
語 が ギ リシア 語 か らの多 数 の借 用 語 を ラ テ ン語 に もた
ル ー プ の 分 類 も,こ の 特 徴 が 他 の諸
特 徴 と一 致 しな い こ とか ら,ラ テ ン語 の 系 統 の 究 明 に
ら した こ とで あ る.
と って は 重 要 性 を もた な い.
ギ リシア 人 は,前8世
結局,印
に植 民 活 動 を開始 した.彼
欧 祖語 の 分 裂 の 時代 か ら歴 史 時 代 ま で の 間
トル リア
紀 に,南 イ タ リア と シチ リア らは,出 身地 の方 言 を,そ
に,ラ テ ン語 が 他 の い ず れ か の語 派 と同 一 グル ー プ を
の ま まイ タ リア に もち込 ん だ の で,植 民都 市 に もギ リ
つ く って い た と推定 す る の に十 分 な証 拠 は ない.確 か
シア語 の方 言 差 が存 続 し た.ギ
なの は,ラ テ ン語 が 他 の 印 欧諸 語 と複 雑 な関係 を もち,
年 ま で に,エ
類 似点 も相 違 点 も示 して い る こ とだ けで あ る.
は,エ
[成
立]
リシ ア文 化 は,前600
トル リア人 の 間 に深 く浸 透 した . ロー マ
トル リア 人 を仲 介 者 に して,ギ
リシア 語,ギ
リ
原 ラ テ ン人 は,か つ て,ヨ ー ロ ッパ 大 陸
シア文 化 の 影 響 を 受 け た. ギ リ シア語 の どの 方 言 か ら
の 中央 部 にい て,ケ ル ト人 お よび ゲ ル マ ン人 と隣 接 し
の借 用 語 な の か,ま た,そ れ が いつ 頃 ラ テ ン語 に入 っ
て 共通 の 文 化 圏 をつ くって い た ら し く,こ の た め に,
た のか,に つ い て の おお よそ の判 別 が 可 能で あ る. た
と え ば,macina「
機 械 」 は,ア
ッ テ ィ カ ・イ オ ー ニ ア
方 言(Attic‐Ionic
dialects)のa>
η の 変 化 を経 て い
な い か ら,ド
ー リス 方 言(Doric
か ら 入 っ た も の で あ る.デ
dialects)の〓
ィ ガ ン マ(F)は,ア
ッテ
も の で あ る.ラ し た か ら,こ
は,早
テ ン語 の 語 中 母 音 は,前4世
〓 ,macina<〓
紀 に弱 化 丸天井」 <
な ど は,そ
れ以 前 に 入
エ ト ル リア 語 の 影 響 の み ら れ る ギ リ シ ア 語 か ら の 借 トル リ ア 人 が ラ テ ィ ウ ム を 支 配 し た 時 代 に
入 っ た も の で あ る . た と え ば,amurca「 〓やgubernare「
油 の 泡」 <
操 舵 す る 」 <〓
み られ る 破 裂 音 の 不 安 定,cotoneum「
に
マ ル メ ロ」 <
〓に お け るt<dとo<u,cisterna「 下 水 槽 」 <〓
とlanterna「
地
灯 火 」 <〓
み ら れ る エ トル リア 語 の 接 尾 辞 ‐na,な る.陶
に
どが そ れ で あ
か め 」 <〓,な
ど),演
リ ア 語 を 経 由 して い る(た
劇 用 語 も エ トル
と え ば,persona「
〓 <〓).elementa「 リ シ ア 語*elepanta「 のp>mの
文字」 < ギ
象 牙 文 字 」 に は,エ
変 化 が み ら れ,forma「
リ ア 語*morma<〓
は,エ
〓の 変 化 を 受 け た の ち に,異 f―mに
仮 面 」<
トル リア 語
形」<
エ トル
紀 末 に,ケ
が,ラ
馬,馬
車,戦
女解放奴隷」
な ど の 音 韻 変 化 が み ら れ,さ
に は,ロ
争,衣
ら に,語
ー マ を荒 ら した
cra=cras「
明 日」,sta=stat「
ま た,次
の 点 も,フ
4)第2変
ァ レ リイ ー 方言 の特 徴 で あ る.
化 単 数 与 格‐oi.
zextoi=sexto「6番 5)3人
目の 」
称 単 数 ‐d.
douiad=det「 6)‐f‐
与える」の接続法
に よ る 未 来.
pipafo=bibam「 7)畳
立 つ 」,mate
母」
飲 む で あ ろ う」
音 完 了. 作 っ た 」(?)
プ ラ エ ネ ス テ(Praeneste)の
前6世
畳 音 完 了fefaced(=fecit「
紀 の 碑 文 で は,
作 っ た 」)に,中
弱 化 が ま だ み ら れ な い.ま
た,母
節 でi>e(fileai=filiae「
間 母音 の
音 前 お よび 語 中 開 音
娘 」),‐r‐ の 前 の 閉 音 節
で は 逆 にe>i(Mirquirios=Mercurius)と
なる
地 の 田 舎 方 言 に, ー マae),ai>e(ロ
ae),ei>e(ロ
ー マi),oi>o(ロ
eu>ou>o(ロ
ー マu),au>o(ロ
ーマ ー マu), ー マau)
な ど の 二 重 母 音 の 単 母 音 化 が み ら れ る . 第2変
ル ト語 は,ラ
服 な ど に関 す る若 干
主 格 ‐es,単
数属格
‐us(‐os)な
化複数
ど も各 地 に 現 わ れ て
い る.
の 語 を 与 え た. そ の ほ か に も,ベ
リ ン ツ ォ ー ナ(Bellinzona)付
近
ロ ー マ 自 体 の 古 ラ テ ン 語 の 最 古 の 碑 文 は,前5世
に い た 謎 の 民 族 が 使 っ て い た 印 欧 語 系 の レ ポ ン ト語
の も の で あ る が,前3世
(Lepontic)や,系
っ て し て も理 解 不 能 で あ り,わ
か ら,エ
末 子 音s,t,r
な ど が 失 わ れ て い る.
語 末 のai>a(ロ
テ ィ ウ ム に は 定 住 し な か っ た.ケ
テ ン語 に,乗
loferta=liberta「
そ の ほ か,各
化 に よ っ て,m―mが
ル ト人 が イ タ リ ア に 侵 入 し て,北
部 平 野 を 占 領 し た . 前390年
長官」 ー マi),
変 化 を 示 し て い る.
ト ル リ ア 語 でm<
変 わ っ た も の で あ る.
前5世
ー マ‐b‐),
ー マae),
fifiked=finxit「
器 の 名 は,す べ て エ トル リ ア 語 か ら入 り(urna,
urceus「
2)*ai>e(ロ
=mater「
っ た と 推 定 さ れ る.
用 語 は,エ
>‐f‐(ロ
欠 くで あ ろ う 」
3)*ou>o(ロ
い 時 期 に入 っ た
の 現 象 の み ら れ るcamera「
音 間 の*‐bh‐
pretod=praetor「
ィ カ ・イ オ ー ニ ア 方 言 で は も っ と も 古 くか ら消 え,ド
オ リー ブ 」 <〓
1)母
carefo=carebo「
ー リス 方 言 で は し ば ら く残 っ た の ち に 消 え た か ら, oliva「
出 土 の 碑 文 で は,
統 不 明 で,一
トル リ ア,ラ
時 は ポ ー(Po)川
テ ィ ウ ム,コ
ル シ カ,シ
ま で 及 ん で い た リ グ ル 語(Ligurian)な
流域
チ リア に
ど が,何
の 形 で ラ テ ン語 に 影 響 を 与 え た と 思 わ れ る.さ
らか ら に,
ず か2世
語 は,碑
文 の ほ か に,キ
前106∼43)や
ケ ロ ー(M.Tullius
名 を 提 供 し た 可 能 性 が あ り,plumbum「
28)が 保 存 し て い る 占 い 用 の 定 句,カ
ゆ り」,laurus「
「い ち じ く」 な ど は,基 [古 ラ テ ン 語]
月 桂 樹 」,ficus
層 語 に 由 来 す る と 思 わ れ る.
文 学 作 品 が 生 ま れ る,前3世
紀 後
ラテン
Cicero,
法 律 家 が 引 用 し て い る 十 二 表 法(前5世
紀)の 法 文,ワ
「す み れ 」,lilium「
紀 の 間 に,ラ
テ ン 語 が 激 烈 に 変 化 し た こ と を 示 し て い る.古
地 中 海 基 層語 が地 理 的 特 色 を表 わ す 語 や土 地 の動 植物 鉛 」,viola
紀
紀 の 古 典 ラテ ン語 の 知 識 を も
ル ロー(M.Terentius
Cato,前234∼149)の
Varro,前116∼ トー(M.Porcius
農 業 書 に 記 録 さ れ て い る 祈祷 文
な ど か ら 知 る こ とが で き る. 原 ラ テ ン 人 は,ラ
テ ィ ウ ムの 各 地 に分 散 して 田園 共
同 体 を 形 成 し,ゆ
る い同 盟 関係 に よ って 相 互 に結 ばれ
と古 典 期 の 作 家 の 引 用 に よ っ て 知 られ る . 古 ラ テ ン 語
て い た が,前4世
紀 に,ロ
は 多 く の 方 言 に 分 か れ,ロ
市 を 吸 収 し て い っ た . そ の 結 果,他
半 に 至 る ま で の ラ テ ン語 は,古 ラ テ ン 語 と よ ば れ,碑 文
つ に す ぎ な か っ た.た
ー マ の ラ テ ン語 もそ の ひ と
と え ば,フ
ァ レ リ イ ー(Falerii)
ー マ の 力 が 増 大 して 他 の 都 の方言が次第 にロ
ー マ の ラ テ ン語 に お き 換 え ら れ る と と も に,地
方の人
々 の 首 都 ロ ー マ へ の 流 入 に と も な っ て,田 形 が,ロ
ー マ の ラ テ ン 語 に,多
「赤 い 」,robigo「 マu)の
な ど に は,au>oが
音 間 のs>r)の
し,rufus「 b,dに
対 応 す るfを
チー
ー タ シ ズ ム
な い 田舎 方 言 に 由来
赤 毛 の 」,vafer「
ursus「
洗 わ れ た」
現 わ れ て い る.caseus「 カ エ サ ル 」 な ど は,ロ
(rhotacism;母
ー
尾 」,lotus「
ず る い 」 な ど は,都
示 し て い る.furnus「
く ま 」 は,or>urと
の
か ま ど」,
い う方 言 形 か ら 入 っ た
も の で あ る.
位 が 確 立 す る と,ラ
タ リア に お け る 政 治 的 優
語 を 非 常 に 豊 か に し て,や [古 典 ラ テ ン 語]
れ が ラテ ン
狭 義 の 古 典 期 は,前1世
あ る が,広
義 に は,前3世
典語は文語で
の 古 典 ラ テ ン 語 を さ す.以
古 典 ラ テ ン 語 の,文
字 と音 韻,文
を 改 良 し た も の で,エ 変 わ り,こ
Vを
法,話
典 期 中 葉 に,ギ
のmは,古
音 間 で は,古
ラ テ ン語 の
転 化 し た(ロ ー タ シ ズ ム).古
典語 の母音
ど か ら 変 わ っ た も の,あ
る
の 後 の 借 用 語 で あ る. 頭 に 強 い ス トレス ア ク セ ン
中 母 音 の 弱 化(can‐o「
ク セ ン トの 移 動 の 結 果,後
か ら2番
代 を通
な ら ば,そ
常,ラ
音 節(短 母 音 を も つ 開 音 節)な
下 に,
節 に ア ク セ ン トが お か れ る,と
目 の音 節 が長 音 節 る い は 閉 音 節)
こ に ア ク セ ン トが お か れ,ま ら ば,後
た,そ
れ が短
か ら3番
目の 音
い う規 則 に 変 わ っ た.
cru‐de‐lis「 残 酷 な 」,per‐pau‐per「 い 」,ma‐gis‐ter「 しか し,こ
歌 う 」:
典 期 に は,ア
(長 母 音 ま た は 二 重 母 音 を 含 む 音 節,あ
ギ リシ ア文 字
典
の韻 律 の計 測 の
非常に貧 し
先 生 」,dif‐fi‐ci‐lis「難 し い 」
の ア ク セ ン トが ス ト レ ス で あ っ た か ピッ
チ で あ っ た か は,議
れ を 変 形 し てGが
の文 法 学 者 は ピッチ で あ った こ と を ほ の め か し て い
つ く ら れ た.
除 く21文
字 で あ った
リ シア語 か らの 借 用 語 の 記 述 の
使 わ れ は じ め,ま
た,近
世 に な っ て,
音(I,U)と
子音
世 ヨ ー ロ ッパ 語 に 使 わ れ て も,
ラ テ ン 語 の 正 書 法 で は 用 い な い.小 書 体 か ら発 達 した も の で,古
文 字 は,の
代 に は,大
る.ま
た,詩
論 の 分 か れ る と ころ で あ る. 古 代
の リズ ム が ア ク セ ン トを 無 視 し た 音 節 の
長 短(quantity)に
よ っ て つ く ら れ て い る こ と か ら,ピ
ッ チ 説 を と る 学 者 が フ ラ ン ス と イ タ リ ア に 多 い.し し,ア
ち に草
文 字 し か なか
った.
か
ク セ ン トの 直 後 の 音 節 の 母 音 消 失 の 例 が あ る こ
と(audaciter>audacter「
区 別 の た め に 使 わ れ る よ う に な っ た.Wは,
重 ね た 文 字 で,近
に母 音 で始 ま
トル リア 人 の 仲 介 を 経 た た め に,
変 形 し たJとUが,母
格 の 短 音 化(iambic
大 胆 に 」),い
shortening)の
「愛 す る」,mihi>mihi 「
わ ゆ る短 長
存 在(amo>amo
私 に 」),お よ び,詩 人 た ち が
詩 行 の 終 わ り の 方 で ア ク セ ン ト と イ ク ト ゥ ス(ictus, 韻 律 上 の 強 め)を 一 致 さ せ よ う と す る 努 力 な ど か ら,ギ
母 音 は,a,e,i,o,uの5母
音 体 系 で,長
短 母 音 の 区 別 が あ る . の ち に,ギ 語 に,yが
れ に,偶
の 短 母 音 の 隣 接 か ら 生 じ た,eu,ei,uiが だ し,euは,ギ
で あ る が,発
音 が[ai][oi]で
字 通 り に[ae][oe]で
あ っ た か は,議
リシア 語 に 近づ け よ う とす る規 範 的 思 考
か ら出 た も の で あ ろ う.実
加
節 が,同
ら か に/ai//oi/
あ っ た か,そ
トレスの 存在 は否 定 で きな い . 古 代 の 学 者
発
リシア 語 か らの 借 用語
で は 純 二 重 母 音 で あ る.ae,oeは,明
リ シ ア 語 と は 異 な る 性 質 の ア ク セ ン トで あ る こ と が 推 定 さ れ,ス の 記 述 は,ギ
重 母 音 は,ae,
類 が 純 粋 な 二 重 母 音 で,こ
え ら れ る.た
母音 と
リシア語 か ら の 借用
使 わ れ る よ う に な っ た.二
oe,auの3種 的 に2個
に,次
と ん ど消 滅 し た.こ
の 後 にssな
い は,そ
し こ と ば,詩
ラ テ ン 文 字 は,西
は じ め は,J,U,W,Y,Zを
た め にY,Zが
テ ン語 本 来 の 語 に も 転 用 さ れ 化 し て,特
際 に は 無 視 さ れ た.sは,母
文 の こ とば につ い て 記 述 す る.
字 と 音 韻
(J,V)の
末 のmは,弱
る 語 が く る と,ほ
用 い
を 転 写 す る 際 に は,ph,
ce‐cin‐i「歌 っ た 」)か ら 推 定 さ れ る.古
紀 末 か ら 後2世
韻 と 文 法 の 変 化 は あ ま り な か っ た.通
IとVを
た.語
は,xを
文
の 有 気 無 声 破 裂 音 が,pulcher
「美 し い 」 の よ う な,ラ
トが あ っ た こ と が,語
紀(黄
テ ン語 と 言 え ば,こ
〓はCに
用 い た.こ
書かれ
音 と 同 じuの
重 子 音 の[ks]に
リ シ ア 語 の〓,〓,〓
th,chを
リ シア 語
加 え ら れ る.近
代 わ り に,母
古 ラ テ ン 語 の 時 期 に,語
が て 古 典 期 を 迎 え る.
語 の よ う に 時 代 的 変 遷 を 経 る こ と が 少 な く,古
が,古
る.ギ
間 のsは,そ
度 確 立 す る と頑 固 に 継 承 さ れ て い くの で,口
1)文
れ に,ギ
区 別 す る た め にjと
字 を 使 う こ と も あ る.二
時 代 にrに
紀 ま で を 古 典 期 と よ ぶ こ とが で き る.古
の こ と ば,散
音 のiと
る こ と も あ り,v[w]の
リシア 植
移 住 者 を 首 都 に迎 え 入 れ る こ と に な り,こ
じ て,音
世 以 後,iは,母
び た だ しい 数 の 新 しい
テ ィ ウ ム の み な ら ず,ギ
民 都 市 を 含 む 半 島 全 体 か ら,お
あ り,一
音 で,こ
語 で は 標 準 化 に よ っ て 復 活 し た が,詩
ロ ー マ の 力 が 増 大 して,イ
金 時 代)で
r,f,s,h,i,vの15子
か ら の 借 用 語 を 表 記 す る た め のzが
数 入 り 込 ん だ.robus
さ び 」 な ど は,*eu>ou>o(ロ
方 言 形 を 示 し,coda「
ズ 」,Caesar「
舎 の語 や語
れ と も,文
論の分かれ ると
時 に,高
際 に は,ス
トレス の あ る音
い ピ ッチ を 併 せ も って い た もの と思
わ れ る. Ⅱ )文
法の概略
1)語 あ っ て,名
の 形 成 詞,形
ラ テ ン 語 は,印 容 詞,代
こ ろ で あ る.
詞 は,屈
子 音 は,p,b,t,d,k(=c,q),g,m,n,l,
幹 と 屈 折 語 尾 か ら な り,語
折(inflection)を
名 詞,お
欧 語 系 の屈 折 語 で
行 な う.屈
よ び,動
詞 の4品
折 す る語 は,語
幹 は さ ら に,語
根 と接 辞 に
分 け ら れ る(副
詞,前
置 詞,接
変 化 詞 に つ い て は,記 語 根 は,語
続 詞,感
嘆 詞 な どの 不
屈 折 語 尾 は,名 と格 を,動
述 を 省 略 す る).
の 基 本 的 な 意 味 を 表 わ す 部 分 で,品
詞の
詞,形
容 詞,代
わ し,そ
詞 の 場 合 に は,人 の た め に,し
名 詞 の 場 合 に は,数
称,数,相(態)な
ば し ば,名
枠 を越 え て,名
詞 と 動 詞 の 間 で 共 通 で あ る.し
か し,
人 称 語 尾 な ど と い う 名 称 が 使 わ れ る.屈
多 く の 場 合,語
根 は 理 論 的 な も の に す ぎ ず,接
辞 と密
た,特
着 し て 語 幹 を 形 成 し て い る た め に,判
別 が 困 難 で あ
に 名 詞,形
容 詞,代
同 一 の 語 根 で も,母
音 交 替 に よ っ て,い
態 を も つ こ と が あ る.印 が 推 移 し た り,類
くつ か の 形
欧 語 本 来 の 母 音 交 替 は,音
推 が は た ら い た 結 果,ラ
か な り あ い ま い に な っ た が,そ
韻
テ ン語 で は
れ で も次 の よ うな 母 音
梯 とo階
pend‐o「
梯 の交 替
b)e階
名 詞,形
衣」
現 わ れ る.
贈 り物 」:da‐re「 中 辞,接
立場」
尾 辞 が あ る.接
了 幹 で は,e(と
化 名 詞)
手」
名 詞(第5変
こ の 区 別 は,形 i幹 頭辞
詞 の 現 在 幹 と完 了 幹 に
化 名 詞)
の 上 の も の で,意
と 子 音 幹 は,互
似 の 曲用 を
性 名 詞,女
性 名 詞 の3
示 す よ う に な っ た. 名 詞 は,ま
た,男
性 に 分 か れ,語
在 幹 で は,そ
種 類 が 同 じ な ら ば,男
き に,oま
れに母
は,一
た はu)を
味 と は 関 係 が な い.
い に 影 響 し 合 っ て,類
音(reduplication)
頭 音 を 重 ね る こ と で,現
化 名 詞)
都市 」
di‐e‐s「日 」
与 え る」
し ば し ば 現 わ れ る畳 音 で あ る.畳
添 え,完
化 名 詞)
名 詞(第4変
e)e幹
作 る」
の う ち で 特 に 重 要 な も の は,動
と は,語
性 名 詞,中
尾 に よ っ て,数
と 格 を 表 わ す.語
性 と 女 性 は 同 形 で あ る.中
部 の 格(主 格,呼
格,対
格)が,男
性
・女 性 形 と異
sto「 立 つ 」:si‐sto「 立 て る 」
数 は 単 数 と複 数 で,印
欧 祖 語 の 双 数(両 数)は,数
can‐o「 歌 う」:ce‐cin‐i「 歌 っ た 」(完 了)
のduo「2」
両 方 」 の2語
接 中 辞 の お も な も の は,現 infix)で
在 幹 に 現 われ る鼻 音 接 中 辞
あ る. 征 服 さ れ た 」(完 了
な 接 尾 辞 は,名
種 多 様 で あ る が,文
法 的 に も っ と も重 要
詞 や 動 詞 の 語 幹 末 に 現 わ れ て,屈
折 の
種 類 の 目 印 と な っ た り,さ
ら に 動 詞 の 場 合 に は,時
や 法 を 決 定 し た り し て,さ
ま ざ ま な形 態 論 的 機 能 を示
しな が ら,語
根 に,意
味 上 の 色 合 い を 与 え る.接
が い くつ も 重 な る こ と も あ る.な 音(thematic
vowels)のe/oは,多
お,印
用 動 詞 で は,i/uに
れ ら の 接 尾 辞 の 具 体 例 は,以
を参 照 され た い.
尾辞
欧祖語の幹母 く の 場 合,他
母 音 と融 合 し て 判 別 が 困 難 に な っ て い る が,第2変 名 詞 や 第3活
称
の 化
弱 化 して 現 わ れ てい 下 の 各 品詞 の説 明
に の み,化
詞 石化
し て 残 っ て い る.
与 格(間
格(主 語),呼
接 目 的),対
時,場
受 動 分 詞) 接 尾 辞 は,多
とambo「
格 は,主
vinc‐o「 征 服 す る 」:vic‐tus「
る.こ
幹 の
な る.
添 え る.
(nasal
の
主人」
名 詞 と 子 音 幹 名 詞(第3変
man‐u‐s「
sta‐re「 立 つ 」(不 定 法):sta‐tus「
音iを
名 詞(第2変
d)u幹
憎 し み 」:od‐i「 憎 む 」
頭 辞,接
よ ば れ る.
幹 末 の 音 に よ っ て,次
化 名 詞)
turr‐i‐s「塔 」,urb‐s「
母 音 の 系 列 で の 低 減 階 梯 は,aで
接 辞 に は,接
名 詞(第1変
c)i幹
sed‐eo「 座 る 」:sed‐i「 座 っ た 」
do‐num「
名 詞 は,語
domin‐u‐s「
fec‐i「 作 っ た 」:fac‐io「
名 詞 の 屈 折 は 曲 用(declension),
詞
b)o幹
種 族 」:gi‐gn‐o「 生 む 」
od‐ium「
時的観
puell‐a「 少 女 」
階 梯 と延 長 階 梯 の 交 替
d)長
容 詞,代
動 詞 の 屈 折 は 活 用(eonjugation)と
es‐t 'is':s‐unt'are' gen‐us「
れ ら が 融 合 し た 「語 末 」 の 特 徴 を,共
a)a幹
「重 り」
梯 とゼ ロ階 梯 の交 替
c)強
時 的 観 点 か ら語 幹 と語 尾 を 区 別 す る よ
5種 類 に 分 け ら れ る.
重 さ を 計 る 」:pond‐us
teg‐o「 お お う」:tog‐a「
幹 の最 後
別 が 困 難 で あ る.
点 か ら 記 述 す る 方 が 現 実 的 で あ る.
2)名
交 替 が み ら れ る. a)e階
り も,そ
詞の
折 語 尾 もま
名 詞 の 場 合 に,語
の 音 と 融 合 し て い る こ とが 多 く,識 し た が っ て,通
る.
どを 表
詞 の 格 語 尾,動
所,な
ど)の6種
domin‐us「
格(呼
び か け),属
格(直 接 目 的),奪 類 で あ る.
ご 主 人 さ ま!」(呼 格)
domin‐i「
主 人 の 」(属格)
domin‐o「
主 人 に 」(与 格)
domin‐um「
主 人 を 」(対 格)
a domin‐o「
主 人 か ら(aは
印 欧 祖 語 の 共 ・具 格(随 格(場 所)は,少
の よ う な,価
と は,奪
伴,手
前 置 詞)」(奪 格) 段)は,奪
数 の 普 通 名 詞(humi「
な ど)と 都 市 の 名(Neapoli「 だ け で,あ
段,
主 人 が 」(主格)
domin‐e「
さ れ,地
格(所 属),
格(分 離,手
格 に吸 収 地 上 に」
ナ ポ リ に 」 な ど)に 残 っ た
格 に(一 部 は,quanti「
い くらで 」
値 や 価 格 を 表 わ す 「価 値 の 属 格 」 に)吸 収
さ れ た.奪
格 は,し
た が っ て,本
来 の 奪 格 の ほ か に,
共 ・具 格 と地 格 の 役 割 も 備 え て い る . な お,斜 格 以 下 の4格)に
は,上
と用 法 が あ り,前
記 の ほ か に,さ
格(属
ま ざ ま な意 味
置 詞 を と もな う こ とが古 典 語 で は 比
較 的 少 な い. 3)形
ら れ る.完
名 詞 に 準 じて,a/o幹(第1第2変
お よ び 子 音 幹(第3変
類 に分 か
規 則 動 詞 は,現
第3変
・女),omn‐e(中)「
格),felic‐is(属 i幹
格)「
比 較 級 と最 上 級 は,原
,原
級の
化 だ け が,副
詞 のmagis,
pi‐us「 敬虔 な 」,magis 名 詞
く ぶ ん 異 な る.特
に,単
属 格ill‐ius,与
容 詞 とい
あ り(た と え ば,ille
格ill‐i),一
の 代名 詞
格un‐ius,与
人 称 代 名 詞 の 主 格(ego「
私 は 」,nos「
名詞
「そ れ 」:
部 の 形 容 詞 も,こ
的 曲 用 に 従 う(un‐us「1」,属
な ど)は,強
詞,形
数 の 属 格 と 与 格 に は,代
特 有 の 語 尾‐ius,‐iが
格un‐i).
わ れ わ れ は 」,
調 や 対 照 を 示 す と き 以 外 は 用 い ら れ な い.
そ れ は,動
詞 の 活 用 語 尾 か ら,主
語 の 人 称 と数 が 明 ら
か だ か ら で あ る. 冠 詞 は,ラ
要 な と き に は,指
詞的 な意 味 が 特 に必
示 代 名 詞(is「
そ の 」,ille「 あ の,例
の 」,iste「 君 の 言 う そ の 」,な ど)に 定 代 名 詞 のquidam「
よっ て定 冠 詞 的 な
詞
動 詞 は,法,相(態)
数 に 従 っ て 活 用 す る.法 法 が あ る . こ れ に,不 定 法 は,法
に は,直
説 法,命
称,人
称,
令 法,接
続
定 法 を 加 え る こ と も あ る が,不
動 相 と 受 動 相 で あ る.時
在,未
完 了 過 去,未
来 の3時
来 完 了 の3時
動 詞 の 代 表 形 に は,直
称 は,未
称,完
完 了 系 が,現
了 系 が,完
了,過
幹,目
幹
た,完
音延長完 了
leg‐e‐re「 読 む 」:leg‐i
ⅳ )子
音重複完 了
cad‐e‐re「 落 ち る」:ce‐cid‐i
ⅴ )s完 ⅵ )語
了
scrib‐e‐re
根完 了
称 単 数(amo「
目 的 分 詞 幹 は,‐t‐ ま た は ‐s‐に 終 わ る . こ れ も ま た,必
ず し も,現 am‐a‐re「
称,現
了 幹 か ら,完
在 分 詞,動 了 系3時
b)直
説 法
に よ っ て,直
名 詞,動
在 幹 や 完 了幹 の種 類 に対 応 し な い .
愛 す る 」:am‐a‐t‐um「 送 る 」:mis‐s‐um「
私 は愛 す る」 の例
説 法 の 活 用 の 概 略 を 記 述 す る.
現 在 は,現
在 幹 に 人 称 語 尾 を 付 け る.
称
能 動 相
受 動相
am‐o
am‐or
2人 称
am‐a‐s
am‐a‐ris
3人 称
am‐a‐t
am‐a‐tur
称
am‐a‐mus
am‐a‐mur
2人 称
am‐a‐tis
am‐a‐mini
3人 称
am‐a‐nt
am‐a‐ntur
説 法 と 接 続 法 を 通 じ て(た だ し,直 じ で あ る が,単
私
能 動 が ‐oま た は‐m,受
了
‐ba‐ を 付 け る .
在 幹,完 在 幹 か ら,未
形 容 詞 が,ま
称 能 動 相 が,さ
ら に,目
愛 し に」
送 りに 」
主 と し て,amo「
動 が ‐orま
未 完 了 過 去(「 ∼ し て い た 」)は,現
則 と し て,現
の 語 幹 を も つ.現
「書 く」:scrip‐s‐i
incend‐e‐re「 放 火 す る 」:incend‐i
説 法 完 了 を 除 く),同
説 法 現 在1人
動 詞 は,原
的 分 詞 幹 の3種
完 了 系3時
hab‐e‐re「 持 つ 」:hab‐u‐i
定
語 尾).
ⅲ )母
人 称 語 尾 は,直
称 で あ る.
は 愛 す る 」 な ど)を 用 い る 習 慣 で あ る. a)語
am‐a‐re「 愛 す る 」:am‐av‐i
了
複 数1人
で あ る よ り も む し ろ 動 詞 的 名 詞 で あ る.相
は,能
去 完 了,未
了
単 数1人
,時
称 を あ げ る.‐iは
ⅱ )u完
あ る 」 に よ っ て,不
定 冠 詞 的 な 意 味 を 表 わ す こ とが で き る.
ま ざ ま な 種 類 が あ り,
ⅰ )v完
mitte‐re「
テ ン 語 に は な い.冠
の よ う に,さ
類 の 分 類 法 に 対 応 し な い(語 例 は,不
法 現 在 と 直 説 法 完 了 単 数1人
代 名 詞 の 曲 用 は,名
根 をそのまま現在幹
vol‐o「 欲 す る」:vel‐le 完 了 幹 に は,次
pius
来 る」
あ る 」 :es‐se
現 在 幹 の4種
pius,maxime
送 る」
用):ven‐i‐re「
fer‐o「 運 ぶ 」 :fer‐re
‐usの
原 級 に 添 え る 複 合 形 で 表 わ さ れ る.
持 つ」
に 使 う 語 根 動 詞 が あ る.
れ ぞ れ,‐ior,
alt‐us「 高 い 」,alt‐ior,alt‐issimus
5)動
ⅳ )i幹(第4活
e‐o「 行 く」 :i‐re
級 の 語 幹 に,そ
愛 す る」
用):mitt‐e‐re「
s‐um「
付 け る単 一 形 を原 則 と し
maximeを
意 味 を,不
用):hab‐e‐re「
幸福 な」
前 に 母 音 の あ る 第1第2変
4)代
用):am‐a‐re「
詞 以 上 に 小 さ い.
と 子 音 幹 の 差 異 は,名
‐issimusを
・女 ・中/主
定法 現 在 能 動 相
語 尾).
不 規 則 動 詞 は 少 数 で あ る が,語
化 子 音 幹:felix(=felic‐s男
類 に 分 け ら れ る.
ⅱ )e幹(第2活
すべ
て の」
あ る」
しい規 則 化 の 傾 向
純 化 さ れ た(語 例 は,不
ⅲ )e幹(第3活
化i幹:omn‐is(男
第3変
在 幹 に よ っ て,4種
ⅰ )a幹(第1活 化:bon‐us(男),bon‐a(女),bon‐um
(中)「 良 い 」
来分詞がつ く
了 分 詞 にsum「
っ と多 様 で あ っ た が,著
を あ げ る.‐reは
れ る. 第1第2変
了 分 詞,未
の 未 完 了 系 を 添 え て つ く られ る 複 合 形 で あ る.
に よ っ て,単
化)の2種
的 分 詞,完
了 系 の 受 動 相 は,完
本 来 は,も
容 詞
化)と,i幹
的 分 詞 幹 か ら,目
数1人
称 だ け は,
た は ‐rで あ る . 在 幹 に,接
能 動 :ama‐ba‐m.ama‐ba‐s,ama‐bat, ama‐ba‐mus,ama‐ba‐tis,ama‐ba‐nt 受 動 :ama‐ba‐r,ama‐ba‐ris,ama‐ba‐tur,
尾 辞
ama‐ba‐mur,ama‐ba‐mini,ama‐ba‐ntur 未 来 は,第1活 辞
用 と第2活
語 幹 に し て,そ
用 で は,現
‐be/o‐ を 付 け る(e/oは,弱
在 幹 に,接
化 し てi/uに
尾
な る).
能 動 :ama‐b‐o,ama‐bi‐s,ama‐bi‐t,
受 動 :amare‐r,amare‐ris,amare‐tur,etc. 接 続 法 完 了 能 動 相 は,完
ama‐bi‐mus,ama‐bi‐tis,ama‐bu‐nt
を語 幹 に す る.1人
ama‐bi‐mur,ama‐bi‐mini,ama‐bu‐ntur 用 と 第4活
用 の 未 来 は,幹
と第4活
用audio「
用rego「
れ ぞ
治 め る」
接 続 法 完 了 受 動 相 は,完
amat‐us
reg‐e‐mus,reg‐e‐tis,reg‐e‐nt
1
3 amav‐it
動 相 は,完
amatus
amav‐imus
3
接 続 法 は,意
来 完了能
了 幹 に ‐eri‐を 付 け た も の を 語 幹 と す る.
過 去 完 了 :amav‐era‐m,amav‐era‐s,amav‐era‐t,
含 む.願
完 了 受 動 相 :amat‐us
di te
完 了 系3時
こ と に す ぎ な い.完
了 は,現
eram ero 称 と完 了 系3時
称 が,整
れ は,形
質 的 に,ギ
リシ
了,過
去 完 了 の4時
現 在 は,現 ‐e‐ ,第2活 変 え る(amo「
的,結
条 件 文 の 接 続 法 は,可 在 ま た は 完 了 を,非 合 に は,現
由 文(一 部),譲
歩
接 疑 問 文(す べ て),間
接
ど が あ る . 関 係 文 も,接
果,理
由,譲
続
歩 な ど を 表 わ す.
能 的 条 件 の 場 合 に は,接
続法現
現 実 条 件(事 実 に 反 す る 仮 定)の 場
在 の 仮 定 に 接 続 法 未 完 了 過 去 を,過
副 文 の 接 続 法 の 時 称 は,相
完 了 過 去,完
れ ぞ れ,第1活
‐a‐,第4活
用
対 時 称 で,主
称 対 応 が 行 な わ れ る.接
去 の仮
用
‐ia‐に
第1・ 能 動 :am‐e‐m,am‐e‐s,am‐e‐t,etc. 受 動 :am‐e‐r,am‐e‐ris,am‐e‐tur,etc. 第3・ 能 動 :reg‐a‐m,reg‐a‐s,reg‐a‐t,etc. 受 動 :reg‐a‐r,reg‐a‐ris,reg‐a‐tur,etc. 定 法 現 在 能 動 相 と 同 じ形 を
本 時 称,意 は,〈
文 との 間
続 法 の 未 完 了 系 は,主
文 の 時 と 「同 時 」で あ る こ と を 表 わ し,完
愛 す る 」 の 例).
接 続 法 未 完 了 過 去 は,不
件 文(一 部),間
に,時
称 で あ る.
用
間 文(一 部 接 続 法),理
文(一 部),条
前 」 で あ る こ と を 表 わ す.意
在 幹 の 幹 末 母 音 を,そ 用 ‐ea‐,第3活
(す べ て),時
続法 を 向結 果 文
定 に接 続 法過 去 完 了 を用 い る.
ven‐i: 「来 た 」(単 純 過 去 的 な 意 味) 在,未
使 わ れ る.接
的 文(す べ て 接 続 法),傾
法 を 用 い れ ば,目
称 体 系 で あ る と 言 え る.
接 続 法 は,現
に 副 文(従 属 節)で
了 した
nov‐i: 「知 っ て い る 」(現 在 完 了 的 な 意 味)
続 法
能性》
話 法 の 中 の 副 文(す べ て)な
在 完 了 の 意 味(完
た 」)に 用 い られ る こ と が あ る か ら,実
c)接
だ れ か が 言 う か も し れ な い 」 《可
式上の
純 過 去 の 意 味(過 去 の 一 回 的 行 為:「 ∼ し
ア 語 と同 じ7時
愛 そ う で は な い か 」 《意 図 》
用 い る 副 文 に は,目
行 為 の 現 在 に お け る 結 果:「 ∼ し て あ る」)に 用 い ら れ る こ と と,単
求 法 の もつ 意味 合 い
求 法 は 接 続法 に吸 収 され
serv‐e‐nt「 神 々 が 君 を 守 り ま す よ う に 」
接 続 法 は,主
然 と対 応 し て い る よ う に み え る が,こ
能性 の い ず れ か の意 味 を 来,希
テ ン 語 で は,希
dic‐a‐t aliquis「
称 単 数 の 例 を あ げ る.
sum
未 来 完 了 受 動 相:amat‐us
望,可
《願 望 》
了 受 動 分 詞 に,sum
過 去 完 了 受 動 相:amat‐us
時 称 体 系 は,未
図,願
am‐e‐mus「
amav‐eri‐mus,amav‐eri‐tis,amav‐eri‐nt 称 の 受 動 相 は,完
esset,
た.
未 来 完 了 :amav‐er‐o,amav‐eri‐s,amav‐eri‐t,
「あ る 」の 未 完 了 系 を 添 え る.1人
esses,amatus
望 と 可 能 性 は,本
だ っ た が,ラ
amav‐era‐mus,amav‐era‐tis,amav‐era‐nt
完 了 系3時
essem,amatus
etc.
amav‐erunt
了 幹 に ‐era‐ を,未
了 受 動 分 詞 に,sum
「あ る」 の 接 続 法 未 完 了 過 去 を 添 え る.
2 amav‐istis
過 去 完 了 能 動 相 は,完
sit,etc.
定 法 完 了能 動 相 と同 じ
接 続 法 過 去 完 了 受 動 相 は,完
了 幹 に 完 了 語 尾 を 付 け る. 複 数
sis,amat‐us
amavisse‐m,amavisse‐s,amavisse‐t,etc.
audi‐e‐mur,audi‐e‐mini,audi‐e‐ntur
2 amav‐isti
あ
形 を 語 幹 に す る.
第4・ 受 動 :audi‐a‐r,audi‐e‐ris,audi‐e‐tur,
1 amav‐i
sim,amat‐us
接 続 法 過 去 完 了 能 動 相 は,不
第3・ 能 動 :reg‐a‐m,reg‐e‐s,reg‐e‐t,
単 数
了 受 動 分 詞 に,sum「
る 」 の 接 続 法 現 在 を 添 え る.
聞 く」 の 例 を 示 す.
完 了 能 動 相 は,完
説 法未 来 完 了 と
amav‐eri‐m,amav‐eri‐s,amav‐eri‐t,etc.
末 母 音 を,そ
れ,‐a/e‐,‐ia/ie‐ に 変 え る . 第3活
了 幹 に ‐eri‐を 付 け た も の
称 単 数 を 除 き,直
同 形 で あ る.
受 動 :ama‐b‐or,ama‐be‐ris,ama‐bi‐tur,
第3活
れ に 人 称 語 尾 を 付 け る.
能 動 :amare‐m,amare‐s,amare‐t,etc.
了 系 は,「 以
味 上 の 現 在 また は 未 来 を
味 上 の 過 去 を 副 時 称 と よ べ ば,時
称 対応
表 〉の よ う に な る. Cura‐t,ut
vale‐a‐t.「 彼 は 元 気 で い る よ う に 気
を つ け て い る 」(目 的 文) Cura‐ba‐t,ut
vale‐re‐t. 「彼 は 元 気 で い る よ う
に 気 をつ け て い た」 Interroga‐t,quis
Romam
condid‐eri‐t.「
彼 は
だ れ が ロ ー マ を 建 国 し た か と 尋 ね る」(間 接 疑 問
<表>副
詞 語 尾 と を 付 け る):amat‐ur‐us(男),amat‐ur‐
文における接続法の時称対応 接 続 法
主文
「同 時 」
本時称
「以 前 」
現在
副時称
a(女),amat‐ur‐um(中) 動 詞 的 名 詞,動
未完了過去
の ほ か に,動
詞 的 形 容 詞 の 類 に は,不
名 詞(例
:ama‐nd‐um「
完了
動 形 容 詞(例
:ama‐nd‐us「
過 去完 了
目 的 分 詞(例
:対 格 形 amat‐um「
形 amat‐u「
愛 す る の に 」)が
愛 さ れ る べ き 」),お
る格 を 補 う(不
Interrogav‐it,quis
Romam
condid‐isse‐t.「 彼
あ る.動
名 詞 は,第2
令 法
命 令 法 現 在2人
Paratus
そ の ま ま 用 い る.複 単 数 ama「
数 は,そ
愛 せ 」
命 令 法 未 来 は,法 で,2人
称 と3人
称 単 数 は,現
2複
ama‐tote
ama‐to
3複
ama‐nto
不 定 法 は,一
種 の 動 詞 的 名 詞 で,原
在 幹 の 幹 末 の ‐eを 除 い た も の
動 相
か ら,正
し く は,中
受 動 相 は,本
来 は,中
動相 であった
・受 動 相 で あ り,中
動 的 な意 味 を
能 動 相 effer‐o「 揚 げ る 」,受 動 相 effer‐or「 登 る 」
添 え る):
特 に,形
が 受 動 相 で 意 味 が 能 動 の 形 式 受 動 相 動 詞(能
loqu‐or「
添 え る):
い 中 動 相 の 名 残 りで あ る.
話 す 」,hort‐or「
励 ま す 」,
pati‐or「 耐 え る 」 添 え る):amatum
iri
行 く」 の 受 動 不 定 法)
格 + 不 定 法 を,不
格 を 用 い る.対
び,さ
ま ざ ま な 動 詞 の 目 的 語 と し て 使 わ れ る.特
直 接 話 法 の 平 叙 文 は,間
h)語
令 文,副
定法構 文 とよ に,
折 が 明 確 で,語
文 は,間
れ で も,基
Poet‐a libenter
fili‐ae naut‐ae donav‐it.「
libr‐um
pulchr‐um
詩 人 は船 乗 りの娘 に美 しい
本 を喜 ん で贈 った 」
veni‐re.「
し か し,単
友 が 来 る と彼 は 言 っ
た」
調 さ を 避 け る た め に,こ
の よ うな 標 準 的 語
順 は あ ま り用 い ら れ な い. 名 詞 の 修 飾 語(形 容 詞 や 属 格 名 詞)は,名
受 動 分 詞,未
狭 義 の 分 詞 は,現
来 能 動 分 詞 の3種
在 能 動 分 詞,完
形 容 詞):ama‐n‐s,属
了
類 だ け で あ る.
現 在 能 動(現 在 幹 に‐nt‐ を 付 け た,第3変
完 了 受 動(目
順 は,ま
本 的 に はSOVの
詞 」 の よ う な 語 順 が 標 準 的 で あ る.
接 話 法 で
veni‐t.「 友 が 来 る 」
詞
順 に
語 順 で あ り,「 主 語 ‐間 接 目 的 語 ‐直 接 目的 語 ‐副 詞 ‐動
続 法 の 文 に 変 わ る).
amicum
ラ テ ン 語 は,屈
っ た く 自 由 で あ る が,そ
接 話 法 で は 不 定 法構 文 に 変 わ
る(直 接 話 法 の 疑 問 文,命
順
よ っ て 統 辞 関 係 を 表 わ す 必 要 が な い の で,語
文 の 主 語 と異 な る 主 語 が 必 要 な と き に
は,対
f)分
容 詞
eo.「 私 は 寝 に 行 く」
動 相 欠 如 動 詞)は,古
未 来 受 動(目 的 分 詞 にiriを
Dix‐it
格 奪 格 形 は,形
vi‐s‐u「見 る も不 思 議 な 」
g)受
esse
Amicus
動 の 意 味 の 動 詞 と と もに用 い
表 わ す こ と も ま れ で は な い.
未 来 能 動(未 来 分 詞 にesseを
は,接
語的に用い
est.
動 の 目 的 を 表 わ し,与
mirabile
esse
(iriは,eo「
lege‐nd‐us
Cubi‐t‐um
付 け る):ama‐re
完 了 受 動(完 了 分 詞 にesseを
不 定 法 に,主
あ る 」 と と も に,述
の 意 味 を 限 定 す る.
了 幹 に ‐isseを 付 け る):amav‐isse
amaturus
scribe‐nd‐um.
目 的 分 詞 対 格 形 は,移
に ‐iを 付 け る:reg‐i)
amatus
liber
ら れ て,移
現 在 受 動(現 在 幹 に ‐riを 付 け る):ama‐ri
完 了 能 動(完
Hic
詞 的 に は 用 い ら れ な い.
現 在 能 動(現 在 幹 に‐reを
用 で は,現
置詞 をとも
「こ の 本 は 読 ま れ る べ き で あ る 」
ama‐to
(第3活
ad
ら れ る.
令や格言な どに 用 い られ る もの
容 詞 的,副
sum
動 形 容 詞 は,sum「
称 が あ る.
定 法
定 法 に欠 け て い
よ び,前
「私 は 書 く用 意 が で き て い る 」
れ に ‐teを 付 け る.
3単
則 と し て,形
在幹を
複 数 ama‐te
2単
e)不
格,お
な わ な い 対 格 と し て し か 使 え な い).
は だ れ が ロ ー マ を 建 国 し た か と尋 ね た 」 d)命
定 法 は,主
よ び,
愛 し に 」,与 格 奪 格
変 化 中 性 単 数 の 斜 格 形 の み を も ち,不 文)
定 法 と分 詞
愛 す る こ と」),
動 詞 や 形 容 詞 の 修 飾 語 は,前
化子音幹
格ama‐nt‐is
的 分 詞 幹 に,第1第2変
合 分 詞
統 辞 上 の1つ
分 詞 構 文 と 同 じ よ う に,副
um(中)
時,原 と第1第2変
化形容
の 著 し い 特 色 は,分
詞 の 述 語 的 用 法 が 発 達 し て い る こ と で あ る.英
尾 を 付 け る):amat‐us(男),amat‐a(女),amat‐
未 来 能 動(目 的 分 詞 幹 に,‐ur‐
にお か れ る こ とが 多 い
(上 例 のlibenter). ⅰ )接
化 形 容 詞 の語
詞 の後 に お
か れ る こ と が 多 く(上 例 のnautaeとpulchrum),
因 理 由,付
ラ テ ン文 法 で は,接
随 行 為,条
文法 の
詞 的 副 文 の 代 用 と し て, 件,譲
歩 な ど を 表 わ す.
合 分 詞 と よ ば れ,そ
の 特 徴 は,第
1に,主
語 に 対 し て だ け で な く,呼
格 に 対 し て,述 第2に,分
語 的 な 関 係 に 立 つ こ と が で き る こ と,
詞 の み な ら ず,名
詞 と形 容 詞 も,述
同 格 に用 い ら れ る こ とで あ る.た ambula‐ns と言 え ば,現
格 を 除 くす べ て の
cogitav‐i「
語的な
私 は 歩 きな が ら考 え た」
在 分 詞ambulansは,cogitaviと
い う 私 」 の 述語 的
Christ‐um
nat‐um「
キ リス ト生 誕 前 」
名 詞Christumの
修 飾 語 で は な く,述
語 的 同格 で あ
た, consul
coniuration‐em
pate‐fec‐it.「 キ ケ ロ ー は,執
Catilin‐ae
政 官 の と き に,カ
テ ィ リー ナ の 陰 謀 を 暴 露 し た 」 に お い て,consulは,名
詞構文
述 語 的 な 分 詞 に 対 し て,主
語的
な 関 係 に 立 つ 語 が 主 文 の 中 に 存 在 し な い 場 合 に は,英
る が,そ
の 際,分
の 主 語 を分 詞 に 付 け
詞 とそ の 主 語 を,と
null‐o cerne‐nt‐e「
も に 奪 格 に す る.
だ れ も 見 て い な い と き に;
述 語 的 同 格 に な る.こ
格 分 詞 は,奪
格 名 詞 に 対 し て,
の 場 合 に も,分
詞 の 代 わ り に,
Ciceron‐e
consul‐e「
キケ ロー が 執 政 官 で あ った
とき に」 な お,分
語 のbeingに
詞 や 形 容 詞 が 用 い られ る
相 当 す るsum「
分 詞 が 存 在 し な い か ら で あ る,と Ⅲ)話
し こ と ば
ま で,す
あ る」の 現 在
言 え よ う.
ラ テ ン 語 は,碑
時 の 日 常 語 を そ の ま ま 知 る こ と は 不 可 能 で あ る . しか 学 の あ る 種 の ジ ャ ン ル は,書
かれ た 時代 の 日常
語 を あ る 程 度 ま で 反 映 し て い る と み られ る.プ ゥ ス(T.Maccius
Plautus,前254∼184)と
ィ ウ ス(P.Terentius よ び,キ
し こ と ば を書
し手 と 聞 き 手 の 緊 密 な
れ が 情 緒 的 緊 張 を 高 め て,誇
び な ど を 生 む.熟
は 首 尾 一 貫 性 を 欠 き,挿 ど,発
喜 劇,お
ケ ロ ー の 書 簡 が そ れ で あ る.話
接 触 で,こ
ラウ ト テ レ ンテ
Afer,前185∼159)の
き こ と ば と 区 別 さ せ る の は,話
嘆,叫
ま た,そ
puer‐um!「
ecastor
気 の き い た 少 年 だ!」
homin‐em
カ ス トル に か け て,ひ
periuri‐um.「
張,力
説,感
1)聞
どい 人 だ 」
き 手 の 注 意 を 促 す た め の く り 返 し.
Ab‐i ab‐i aper‐i‐te aper‐i‐te.「 ど け ど け,開
2)2人
3)人
si illa
invent‐a
格構 文な 況か ら
est
quam
omni‐um
「何 よ り も ま ず 第1に
magis 6)二
cert‐ius「
よ り確 か に 」
重 否 定 に な ら な い 否 定 詞 の 重 複. ego
hau
committ‐a‐m.「
ambo par
ま ざ ま な 冗 長 語 法 が み ら れ る, duo「2人
idem「
富 で,変
の両 方 」
等 し く同 じ 」 き 手 に 強 い 印 象 を 与 え る た め に,豊
化 に 富 み(dico「
「話 す 」,fabulor「
言 う 」 の 代 わ り に,narro
物 語 る」,memoro「
Ea
de‐mori‐tur
ど),
と り わ け,次 1)単
te.「 彼 女 は 君 に ぞ っ こ ん だ 」
の用 法 を好 ん で 用 い る.
純 動 詞 の,表
現 力の 豊 か な 複 合動 詞 へ の お き
換 え. de‐amo「
ぞ っ こ ん ほ れ る 」,com‐edo「
る 」,ad‐credo「 2)反
平 らげ
信 じ る」
復 動 詞 な ど の 強 調 形.
3)名
食 べ る 」<edo 眠 る 」<dormio
詞 と形 容 詞 の 指 小 形 . 小 鉢 」<catinus 少 し 」<paulum
下 に,そ れ を 列 記 す る と,
語 る」,な
坐 き 生 き と した 俗 語 も多 い .
paullum「
に 典 型 的 に 現 わ れ て い る.以
それ に私 は 全
然 そ ん な こ とを した くな い」
catillus「
ラ ウ トゥス の喜 劇
」
重 比 較 級 の 使 用.
の め か し,中
こ れ ら の 話 し こ と ば の 特 徴 は,プ
ille am‐a‐t「 彼 が
上 級 の 冗 長 表 現.
primumdum
判 断 で き る こ と を 詳 細 に 説 明 す る 必 要 が な い か ら,ほ 略 も許 さ れ る.
廷 へ 行 こう」
愛 して い る彼 女 が 見 つ か れ ば」 4)最
dormito「
成,破
ins.「 お 前,法
称 代 名 詞 と指 示 代 名 詞 の 過 剰 な 使 用.
esito「
縮,省
け
称 代 名 詞 の 使 用 に よ る 統 辞 の 乱 れ.
入,追
作 的 な 発 話 の 特 徴 が 現 わ れ る . ま た,状
断,短
何 と,
下 の よ う な 特 徴 を あ げ る こ と が で き る.
慮 して い る 暇 が な い か ら,文 加,混
スケ レ ド
れ が 間 投 詞 を と も な う こ と も あ る.
語 彙 も ま た,聞
文 か ら高級 文学
べ て 書 か れ た 資 料 で 伝 え ら れ て い る か ら,当
し,文
intus?「
感 嘆 の 対 格 も多 い .
そ の ほ か,さ
詞 の 代 わ り に,名
くそ っ」,eugepae
dorm‐i‐t Sceledr‐us
Neque
名 詞 ま た は 形 容 詞 が 用 い ら れ る こ と が あ る.
の は,英
an
5)二
だ れ に も見 つ か ら ず に 」 こ れ が 絶 対 的 奪 格 で,奪
あ あ 」,babae「
問 文 の 導 入 に も 使 わ れ る.
E‐a‐mus,tu,in
に 相 当 す る 述 語 的 同 格 で あ る.
文 法 の 独 立 分 詞 構 文 と 同 様 に,別
あ あ 」,
ろ開 け ろ」
詞 で あ りな が ら,分
対 的 奪 格
あ あ 」,heu「
くは ギ リ シ ア 語 か ら と っ た も
ル ス は 中 で 眠 っ て い る か ね?」
次 に,以
Cicero
j)絶
Eho
En
と い う 前 置 詞 句 に お い て も,完 了 受 動 分 詞natumは,
る.ま
の で あ り(attatae「
Facet‐um
同 格 で あ る が, ante
投 詞 が 豊 富 で あ る(vae「 お い 」,な ど).多
「よ し」),疑
と え ば,
1人 称 単 数 形 に 含 ま れ て い る主 語ego「
ま ず,間 heus「
文 は,短
文 や 短 い フ レ ー ズ を 接 続 詞 な し で 羅 列 し,
従 属 文 を 使 わ ず 間 接 疑 問 文 を 直 説 法 で つ く る.そ
のほ
か に,挿 2種
入 文 に よ る 中 断, あ と か ら の 追 加,破
格 構 文,
の 文 型 の 混 合 な ど も多 い.
さ れ た こ と ば を 用 い た と す る 説 も 誤 り で あ る.確
か
に,テ
典
レ ン テ ィ ウ ス で は ア ル カ イ ズ ム が減 っ て,古
以 上 が,プ
ラ ウ トゥス の喜 劇 に み られ る話 し ことば
語 の 規 範 に 近 づ い て い る が,プ
の 特 徴 で,こ
れ が 当 時 の 日常 語 だ った こ とが うか が え
カ イ ッ ク な 点 も あ る.抑
る . 最 大 の 特 徴 は,語
彙 の 豊 富 さ で あ る が,そ
の 中 に,
ギ リ シ ア 語 か ら の 借 用 語 が 目立 っ て 多 い.そ 術,学
問,教
育,経
済,政
び,流
行,ス
ポ ー ツ,演
域 に わ た っ て い る.こ 借 用 語 が,知
治,動
植 物,家
劇 な ど,あ れ は,当
れ は,技
ラ ウ ト ゥス 以 上 に ア ル
制 と洗 練 の 度 が 増 して,日
語 に 典 型 的 な 語 が 減 っ た と は い え,自
常
然 の 話 し こ とば
に 近 づ け よ う とす る 努 力 も み ら れ る . 頭 韻,同
具 什 器,遊
復,接
らゆ る 生活 文 化領
時 の ギ リ シア 語 か らの
識 人 に よ っ て 導 入 さ れ た も の で は な く,
続 詞 省 略 法(asyndeton),文
phora),交
音 反
頭 語 反 復 法(ana‐
差 配 列 法(chiasmus)等
の 文 体 的 装 飾 は,
教 養 あ る人 々 の 日常 会 話 の こと ばか らか け 離 れ た文 学 の こ と ば で あ る こ と を 示 して い る.し
た が っ て,テ
ン テ ィ ウ ス も ま た,文
と り 入 れ,下
て い る の で あ る . こ の よ う な 条 件 を つ け た 上 で,は
レ
ロー マ に移住 したギ リシア 人 との 接 触 に よ って 民 衆 が 層 階級 の 日常 語 の一 部 と して い た こ とを
示 し て い る.
め て,喜
文 法 構 造 の 点 で は,プ
ラ ウ ト ゥ ス の ラ テ ン語 も,黄
金 期 の ラ テ ン語 と 大 差 な い.ラ り を 前3世 も,黄
紀 とす る の は,そ
金 期 に は 使 わ れ な い 用 法 が,若
辞 の 点 で は,た
と え ば,間
格 支 配),都
ら 」 とin「 が,プ
れ で
干 み ら れ る.統
使 う」 の 対 格 支 配(黄 金 期
市 の 名 に つ け る 前 置 詞 のex「
に 」,な
ど,黄
か
金 期 で は 誤 り と され る用 法
ラ ウ ト ゥ ス に は み ら れ る.
形 態 の 違 い と して は,呼 よ 」),属
(=fac「 た 」),ア
元 老 院 の 」),分
(=fecerim,
facio「
‐ier(adducier=adduci「
か れ る 」),の
っ た 第3活
思 う 」),の
(=fervere「
沸 く」),な
ち に 第2活
定
彼 は 言 う」 落 と した
忘 れ る 」)やdinus(=divinus
3人
est(=factum
定 の 場 所 に 限 られ て い る こ と は,喜
est「
な ど の 古 い 語 形 は,叙 け られ て い る.彼
な され た 」),
事 詩 に 限 ら れ,彼
は,古
ラ ウ ト
形 に よ っ て,叙
い え,悲
劇 を は じ め,他
の 詩 の ジ ャ ンル もア ル カイ ズ
の 差 で は な い.
ア ル カ イ ッ ク な 調 子 を 出 す た め に,詩
人 た ち は,伝
劇 の こ とば が様 式
属 格 ‐ai(=‐ae),第2変
化 複 数 属 格 ‐um(=‐orum),
代 名 詞ipsus(=ipse「
自 身 」),olli(=illi「
常語 から
か な り離 れ た 文 学 語 で あ る こ と も確 か で あ り,プ
ラウ
quis(=quibus疑
近 く に 」)に み ら れ る‐terと
と は,誤
な 使 用,不
定 法 受 動 相‐ier(=i),未
レ ンテ ィ ウス は教 養 あ る人 々の 洗 練
(=‐iebat),完 等 々で あ る.
彼 ら 」),
等 し く」)やiuxtim
(=iuxta「
ラ ウ トゥス が 下層 階級 の こ とば を反 映 し
でに
な 古 形 は,
問 ・関 係 代 名 詞 複 数 与 ・奪 格),副
詞 で は,aequiter(=aeque「
トゥス の喜 劇 の こ とば が 日常 語 で あ っ た と断 定 す る こ りで あ る.
は
事 詩 と他 の 詩 と の 差 は 程 度 の 差
承 され て き た 詩 歌 や 宗 教 と 法 律 の こ と ば か ら,す
か
の
事 詩 の こ と ば は,
使 わ れ な く な っ た 語 や 語 形 を 採 用 し た.主
に 多 く の 日 常 語 の 要 素 を 含 ん で は い る が,日
同 様 に,プ
事 詩 の崇 高 さ の 原 則 は,彼
行 の 末 尾 な ど,特
化 さ れ た 技 巧 的 な も の で あ る こ と を 示 し て い る.確
た の に 対 し て,テ
の 悲劇 で は 避
悲 劇 の こ と ば よ り も い っ そ う 荘 重 に つ く ら れ た.と
で あ っ て,質 時 の 碑 文 に も み られ,プ
れ ら の ア ル カ イ ズ ム が,詩
人 間 を 」),
称 複 数 ‐ont(=‐unt),
ム を 利 用 し て お り,叙
ゥス が 話 し こ と ば を 使 っ た こ と を 証 拠 づ け て い る.し か し,こ
右 の 」),
す べ て の 後 継 者 に よ っ て 守 ら れ,叙
「神 の 」)もみ ら れ る. こ れ ら の 語 形 は,当
息 子 よ」),
dextrabus(=dextris「
fitum
ー ウィ
Andronicus,前204
と主 題 の 古 さ を 表 現 し よ う と し た.こ
ど が あ る.
彼 は 聞 く」),母 音 間 のvを
obliscor(=obliviscor「
用 とな
に お う 」)やfervere
語 末 音 節 の 長 母 音 は ま だ 保 た れ(dicat「 の 接 続 法,audit「
の ジ ャ ン ル で は ‐aiを 使 っ て い る.リ
homonem(=hominem「
連 れ て 行
ャ ンル に
い 属 格 形 ‐asを 詩 人 た ち は 叙 事 詩 に の み
filie(=fili「
ち に形 式 受 動 相 と な った 動 詞 の 能 動 形
用 のolere(=olere「
た と え ば,古
没)が 使 っ て い る,
もた ら し
リシ
も,ラ テ ン文 学 に と り 入 れ ら れ た . 初 期 の 詩 人 た ち は,
詞 と
行 な う 」 の 接 続 法 完 了),不
arbitro(=arbitror「
紀 後 半 に,
微 妙 な方 法 で ジ ャ ンル の こ とば を 区別 しよ う とした .
ウ ス ・ア ン ド ロ ニ ー ク ス(Livius
オ リ ス ト接 続 法 ・希 求 法 のfaxoやfaxim
法受動相語尾
ラ テ ン文 学 は,前3世
少年
‐i)に区 別 が な い こ と,命 令 法face
せ よ 」),畳 音 完 了tetuli(=tuli「
の こ と ば
よ って こ とば が異 な る とい うギ リ シ ア 文 学 の 習 わ し
用 い,他
格puere(=puer「
格senati(=senatus「
形 容 詞 の 奪 格(‐eと
Ⅳ )詩
ギ リ シ ア 文 学 の 圧 倒 的 な 影 響 の 下 に 始 ま っ た.ギ ア 語 の 影 響 が 急 激 に 高 ま っ た だ け で な く,ジ
接 疑 問 文 に 現 わ れ る 直 説 法,
目 的 を 表 わ す 不 定 法,utor「 で は,奪
じ
劇 に 話 し こ と ば が 反 映 して い る こ と を 認 め る
こ と が で き る.
テ ン語 の古 典 期 の 始 ま の た め で あ る.そ
学 語 に固 有 の 文 体 的 工夫 を 用 い
了 の 語 尾 ‐eruntと
‐timの
自由
完 了過去 ‐ere(=‐erunt),
‐ibat
ギ リ シ ア 語 の 影 響 は 大 き い が,喜 れ ば 真 面 目 な 詩 歌 は 保 守 的 で,エ 前239∼169)を
除 い て,で
劇 と民 衆語 に 比 べ
ン ニ ウ ス(Q.Ennius,
っそ
的 な 型 を 踏 襲 して い る.し か し,彼 と新 詩 人 派 の功 績 は,詩 形 と こと ば と韻 律 を高度 に 洗練 させ た こ とで あ
る . ラ テ ン文 学 は,ギ
れ だ け,い
リ シア文 学 の翻 訳 に よ って 始 ま
リ シア 語 の 単 語 を ど の よ う に ラ テ ン 語 化
す る か が,い
くつ か の 古 語 と古 形
を詩 的 伝統 と して 受 け入 れ,合 成 語 や 文 体 装 飾 も伝 統
彙 の 乏 し い ラ テ ン語 に 苦 心 し て い
人 た ち は,語
っ た か ら,ギ
ジ ャ ンル の規 則 に拘 束 され て,い
き るだ け ギ リ シア語 か らの
借 用 語 を 用 い な い よ う に し て い る.そ う,詩
し よ う と努 力 した.そ れ で も,彼 は,小 叙 事 詩 で は,
つ も問 題 に な っ た.典
シ ア 叙 事 詩 に 多 い 合 成 形 容 詞 で,ラ
型 的 な の が,ギ テ ン 語 は,す
リ で に
る. ウ ェル ギ リウス(P.Vergilius
Maro,前70∼19)
の 叙 事 詩 『アエ ネ ‐ イ ス』(Aeneis)に
至 っ て,ラ テ ン
詩文 学 は発 展 の 頂 点 に達 す る.主 題 の 荘 厳 さ と ジ ャ ン
人 た ち は,
ル の規 則 が エ ンニ ウス 風 の 色合 い に富 ん だ こ とば を 要
さ ま ざ ま な 苦 労 を し て 合 成 語 を 創 造 し た . し か し,
求 す るた め に,彼 の 詩 語 も基 本 的 に は先 人 た ち の そ れ
合 成 語 を つ く る 能 力 を 失 っ て い た の で,詩
‐osus ,‐ifer,‐igerな ず(frondosus「 corniger「
ど,少
数 の種 類 に限 らざ る を え
葉 の 多 い 」,florifer「
花 を つ け た 」,
つ の の あ る 」),性 質 の 属 格 ・奪 格 の よ う な
迂 言 法 に 頼 る こ と も,し rectis
foliis「
一方では
,新 詩人 た ちが 達 成 した 技 巧 の 洗 練 も受 け継
い で い る.そ れ で も,精 神 的,情 緒 的 な効 果 を破 壊 す るほ どに 重 圧的 な学 識 は退 け る.し た が って,先 輩 叙
ば し ば で あ っ た.
ま っ す ぐ な 葉 を つ け た 」(性
奪 格)<〓
で あ り,彼の 革新 も伝 統 的 な型 を はみ 出 して は い な い.
質の
「先 の 尖 っ た 葉 を つ け た 」
叙 事 詩 の 韻 律 に 合 わ せ る た め に も,エ
ン ニ ウ ス は,
新 しい 語 形 を 創 ら な け れ ば な ら な か っ た.imperare 「命 令 す る」 の 代 わ り の,induperareが,そ
の 例 で,
す で に 用 い ら れ な く な っ て い た 古 形 indu‐,indi‐
を
事 詩 人 た ち の こ とば に忠 実 で も,同 時 代 の 語 形 か ら あ ま り離 れ ず,多
くの 古 語,古 形,方
言 形,珍 語 を,粗
野 で あ る とい う理 由 で追 放 した.確 か に,彼
も,一 部
の古 形 は使 って い る.た とえ ば,次 の とお りで あ る. ‐ai=‐ae(第1変 化 属格) ,‐ier=‐i(不 定 法現 在 受動 相),‐ibat=
‐iebat(第4活 用 未 完 了過 去3
復 活 さ せ た.の
ち の 詩 人 た ち は,こ れ を 奇 異 と 感 じ て,
人 称 単 数),olle=ille「
imperitareの
よ う な 反 復 動 詞 で 解 決 し て い る.ほ
(関 係 代 名 詞 複 数 与 格 ・奪 格),faxo=fecero
に も,韻
律 上 の 理 由 か ら,単
用 い た り(gaudia「
数 の代 わ りに 詩的 複 数 を
喜 び 」,otia「
り(agrestum=agrestorum「 形),不
か
暇 」),古
形 に頼 っ た
田 舎 の 」 の複 数 属 格
定 法 現 在 を 不 定 法 完 了 に お き換 え た り し て い
る(continuisse=continere「
含 む 」).
彼 は」,quis=quibus
(facio「 す る」 の未 来 完 了1人 称 単 数),fuat= sit(sum「 =at「
あ る」 の接 続 法 現 在3人 称 単 数),ast
しか し」,ceu「 よ うに 」,pone「
あ とに」,
な ど. しか し,こ れ らは,無 意 味 に使 って い るの で は な く,
エ ン ニ ウ ス の 文 体 に は,本
質 的 に イ タ リア的 な 特 色
ある もの は韻 律 上 の 必 要 な い し便 利 さか ら,あ る もの
も み ら れ る.同
に 頭 韻),語
は先 人 の意 識 的 模 倣 の 文脈 の 中 で 利 用 し て い る.特
mentes「
音 反 復(特
精 神 」―dementes「
遊 び,caeli
caerula
狂 気 の 」 の よ うな 語 の
に,神 々の こ とば,巫 女 の こ とば,祈 願 の こ とば な ど,
天 の青 い 宮 」 の よ う
崇高 さ と荘 重 さを 必 要 とす る こ とば の 中 に古 語 を使 う
templa「
な 語 源 的 文 彩,explebant「
末 の 一 致,
補 う 」―replebant「
補充
す る 」 の よ う な 類 語 法 な どが そ れ で あ る. ル ク レ ー テ ィ ウ ス(T.Lucretius は,時
も,む
し ろ,エ
代 末 ∼ 後10年
ェル ギ リ ウス の繊 細 で意 識 的 な技 巧 で あ る.
ウ ェル ギ リウス の も う1つ の功 績 は,前1世 紀 にロ ー マ で も盛 ん に な っ た ギ リシア 修 辞 学 の 成 果 を ,叙 事
Carus,前55没)
代 の 標 準 語 化 の 影 響 を あ ま り受 け ず,ア
ト ゥ ス 時 代(前40年
のが,ウ
ウグ ス
代)の 詩 人 た ち よ り
ン ニ ウ ス や プ ラ ウ ト ゥス に 近 い ラ テ ン
詩 に応 用 して,き わ め て技 巧 的 な ペ リオ ドス(peri odus)を 開 発 した こ とで あ る.ペ の 節(clause)の
リオ ドス とは,多
く
積 み 重ね に よ って 構 成 さ れ る1つ の
語 を 使 っ た . ア ル カ イ ッ ク 時 代 の 文 学 と同 じ よ う な,
長 い 文(sentence)の
曲 用,活
ウス とカ ト ゥル ス は,そ れ を従 属 節 の積 み 重 ね に よっ
用,統
辞 の 型 を 用 い,エ
法 や 文 体 的 装 飾 を 利 用 し た.全
ンニ ウス の 好 ん だ 語
こ と ば を 用 い,日
体 と して は,同
時代の
て つ く った た め に,調 和 と均 衡 を 欠 き,修 辞 の 点 で問
か し,
題 を残 した . ウ ェル ギ リウス が 修 辞 学 の師 か ら学 ん だ
常 語 さ え と き に は 使 っ た が,し
ジ ャ ンル の 規 則 に 忠 実 で,叙
事 詩 の 韻律 に合 う語 形 を
創 造 し な け れ ば な ら な か っ た.こ
こ とで,前 の 世 代 のル ク レー テ ィ
れ に 対 し て,同
じ時
こ とは, 1)論
理 的 な 接続 詞 を使 わ ず に,主 節 を単 に並 列 さ
代 に 活 躍 し た 「新 詩 人 派 」 の カ ト ゥ ル ス(C.Valerius
せ る こ と,
Catullus,前84∼54)は,エ
2)修
辞 的 疑 問文 や 感 嘆 文 を利 用 す る こ と,
3)対
照 法,文 頭 語 反 復 法,語 末 同音,交 差 配列 法
判 的 で,都 形 を,粗
雅(urbanitas)を
ンニ ウ ス派 の 擬 古 文 に 批 重 ん じて,古
野 な 田 舎 風(rusticitas)と
風 な語 や 語
して 詩 語 か ら追 放
な どの 手 法 を 駆使 す る こと に よ って 生 み 出 され る,相
互 に 均 斉 の とれ た,短 い速 い 文 を次 つ ぎに連 ね る こ と
一の 時 代 に,は じめ て 全 面 的 に使 用 可 能 に な っ た.
な どが,強 烈 な 情緒 的 緊 張 をつ く る とい う こ とで あ っ
散 文 は演 説 か ら発 達 した た め に,文 の構 成 要 素 に 長
て,こ の 文 体 を,彼 は叙 事 詩 に と り入 れ た.彼 の ペ リ
さ の制 限 が 加 え られ,こ
オ ドス は,キ ケ ロー が最 良の ペ リオ ドス と よん だ4行
マ に分 割 す る文 体 が 開発 され,4コ
を 越 え る こ とが まれ で あ り,た とえ ば,2個
の ペ リオ
ドス が,お の お の3個 の並 列 の コー ロ ン(colon:ペ オ ドス の 下 位 区 分,1個
リ
ま たは2個 以 上 の節 か らな る)
こか ら,文 を コ ー ロ ン と コ ン ー ロ ンか らな る ペ
リオ ドス が 理 想 とされ た.快 感 を与 え る こ とを 目的 と す る歴 史 書 や 誇 張演 説 に は,長 い ペ リオ ドス が ふ さわ しい と して も,法 廷 や議 会 の演 説 は 説 得 を 目的 と し,
で構 成 され て い る とい う ような,均 斉 と簡 潔 性 が,彼
誠 実 さの 印象 を与 え る こ とが 必 要 で あ るの で,過 剰 な
の 語 りの 部 の 文 体 の特 徴 で あ る.せ
華 美 は避 け られ な け れ ば な らない と考 え られ,こ
りふ の部 は,や や
異 な り,か な り高度 に複 雑 な構 造 型 を示 す.ウ
ェル ギ
ら,調 和 的 均 整(concinnitas)が
こか
入 念 な 工 夫 に よ って
リ ウス の 手 に よ って,ラ テ ン語 は 洗 練 の 頂点 に 達 し,
追 求 され た.さ
そ の後 の 文 人 た ちに よ っ て模 範 と仰 が れ た.
に構 築 され た ペ リオ ドス を 最高 度 に洗 練 させ た のが,
Ⅴ)散 文 の こ とば
リズ ム の 型,す な わ ち,散 文 の韻 律(numerus)で
カ トー に代 表 され る 前2世 紀
らに,こ の調 和 的 均 整 を も って,論 理 的
の 散文 の こ とば は,指 小語,合 成 動 詞,冗 長 な 指 示 代
る.こ れ は,ペ
名 詞 お よび 指 示 副 詞,統 辞の 乱 れ を 特 色 とす る 日常 語
の 工 夫 で,い
を基 礎 に して,こ れ に 荘重 さ を与 え るた め に 古 語 や 古
も っ と も好 んだ の は,長 短長 ・ 長 短(〓),お
形 を散 りば め,さ
び,長 短 長 ・長 短 長(〓)の
らに伝 統 的 な文 体 装 飾 で 美 化 し,ギ
あ
リオ ドス の 末尾 の響 き を良 くす る た め
ろい ろ な 型 が 用い られ た が,キ ケ ロ ー が よ
リズ ム で あ る.
リ シア修 辞 学 の 光 を 当 て,同 時 代 の 詩 歌 の 花 を 加 え た,
この 均 整 と リズ ムの 典 型 的特 徴 を備 え て完 成 され た
奇 妙 な混 合 物 で あ った. それ が,次 の 世 紀 の 間 に 高 度
装 飾 文 体 も,いつ で も ど こで も使 っ て よい の で は な く,
に 洗練 され て,古 典的 な散 文 の こ とば に成長 した.こ
ジ ャ ンル の 適 正 さ(decorum)が
の過 程 は,ラ テ ン語 を そ の乱 れ か ら守 り,田 舎 風 の も
じカ エサ ル(C.Julius
の,地 方 的 な もの,外 国的 な もの を 排 除 し,純 粋 で都
も,『ガ リア戦 記 』な どの 手 記 と演 説 とで は文 体 が異 な
そ れ に優 先 した . 同
Caesar,前100∼44)の
文 章で
会 風 な正 しい ラテ ン語 を追 求 す る過 程 で あ った .粗 野
る.そ れ ばか りで な く,こ の文 体 の理 想 に,意 識 的 に
な発 音 が 追 放 され,性 の混 乱,屈 折形 と造語 法 の 流動
反 抗 す る作 家 た ち もい た.た
性 が規 制 され て,古 典 的 規 範 が確 立 した.統 辞 の面 で
(Q.Sallustius
も,た とえ ば,副 文 に よって 間 接 話 法 を構成 し,間 接
で あ る.彼 は,古 語 や 詩 語 を好 ん で 用 い,意 識 的 に 調
疑 問文 を 直 説 法 でつ くる 旧習 や,格 関 係 を 表 わ す の に
和 的 均 整 を破 り,韻 律 を排 除 す る.彼 の ア ル カ イ ズ ム
前 置 詞句 を 用 い る慣 行 も追 放 され た.雄 弁 家 た ち は,
は,並 列 文,主 語 を変 え て不 器 用 に組 み 立 て た ペ リオ
とえ ば,サ ル ス テ ィ ウス
Crispus,前86∼35)の
歴 史書がそれ
効 果 が な い とい う実践 的 理 由で,ま た,明 晰 さ と論理
ドス,指 示代 名詞isの
性,あ
組 み 合 わ せ,接 続 小 辞 の省 略,直 接 目的 語 を と る 目的
い ま い さの 回避 を重 視 す るギ リシア修 辞 学 の 影
響 もあ っ て,ア ル カ イ ズ ム と人 工 的 な 語 法 を や め た. 時 の 奪格 か らinを,手
段 の奪 格 か らcumを
り,形 容 詞 の付 か な い様 態 の 奪格 にcumを
と り去 冠 す る慣
冗長 な使 用,頭
韻 に よ る語 の
分詞 な ど,な じみ の もの で あ り,こ れ に標 準 的 な文 体 装飾 を加 え る.暗 喩(metaphor)を 体 に近 い.特 に,エ
多 く用 い,詩 の 文
ンニ ウスの 影 響 が,統 辞 と造 語 法
行 を定 着 させ,siに 導 か れ る 間接 疑 問 文 を廃 止 し,ut
と語 彙 に み られ る.
の 用 法 に制 限 を加 えた . 特 に語 彙 の面 に,古 典 主 義 の
リー ウ ィ ウス(T.Livius,前59∼ 後17)は,キ ケロ 一派 で ,サ ル ス テ ィウス 風 の 文体 を避 け,入 念 なペ リ
精 選(elegantia)の
態度 が よ く現 わ れ て い る. 風 変 わ
りで 耳 ざわ りな語,聞
き慣 れ な い語,非
合 成 語 が 追 放 され,新
しい 語 も俗語 の疑 い の あ る もの
ラテ ン語 的 な
オ ドス をつ くった.し か し,キ ケ ロー の 副 文 の 代 わ り に分 詞 構 文 を好 み,そ の 動 きの 遅 い ま ごつ い た 構 文 は
は 避 け られ た.
説 得 や 啓 蒙 の た め の もの で は な く,読 者 を楽 し ませ る
語 の 入 念 な選 択 に よ って 表現 の 明晰 さを確 保 す る一
た め の散 文 詩 で あ る.こ れ は,歴 史 の ジ ャ ンル が 詩 的
方 で,彼
ら は,副 文 の 組 み 合 わ せ に よる長 い 複 雑 なペ
リオ ドス の開 発 に手 腕 を発 揮 した .構 文 上 の 矛 盾,不 一 致 ,破 格 な ど,日 常 語 につ き もの の不 合 理 が す べ て
な色 彩 を要 求 す る か らで,リ ー ウ ィ ウス の文 章 は,詩 語 と詩 的 造 語 と詩的 統 辞 に満 ち て い る.特 に,最 初 の 10巻 まで は 神 話伝 説 を扱 って い るの で,古 語 と詩 の こ
リオ ドス を通 して 主語 を 変 え ない 長 文 が
と ばの 特 徴 を多 く含 む が,巻 が 進 む につ れ て,そ れ ら
発 明 され た . 主 語 の 統 一 に よ る長 い ペ リオ ドス を可 能
が 次 第 に減 少 して,古 典 主 義 に 近 づ く. これ は,ジ ャ
に した の は,分 詞 構 文(接 合 分 詞 と絶 対 的 奪 格)で
ン ル の適 正 さ に従 っ た もの で あ る.
解 消 され,ペ
あ
る.中 で も,現 在 分 詞 の動 詞 的 機 能 は,か つ て は,き わ め て 限 られ て い た が,次 第 に 開 発 が進 ん で,キ ケ ロ
キ ケ ロー の 演 説 とウ ェル ギ リ ウ ス の 叙 事 詩 に よ っ て,散 文 と詩 は,そ れ ぞ れ の辿 って きた 道 の 頂 点 に達
した.そ れ は,ジ ャ ンル の 特 性 を守 って きた伝 統 の 産 物 で,中 間 に歴 史 書 の 詩 的 散文 が あ る とは い え,散 文
ス ト レ ス ア ク セ ン トで あ る . 母 音 は,長
の ことば と詩 の こ とば の 間 に は 厳密 な 区 別 が あ った .
狭 く,短
この 区別 が,古 典 後 期 の 文 学 で ぼ か され た. 詩 が 散 文
〓/の9母
短 の 差 が な く な り,aを
母 音 が 広 く な っ た 結 果,/〓, 音 体 系 に な っ た.
を侵 略 し,修 辞が 詩 を支 配 した . す で に,ウ ェル ギ リウ
sebe/sIbI/<sibi
ス の 文体 が 高 度 に修 辞 的 な技 法 を含 ん でい た こ とが,
ficit/fecIt/<fecit
そ の 始 ま りで,そ の後 の 詩人 た ち は,演 説 家 を模倣 し て,詩 に修 辞 学 の あ らゆ る工 夫 を と り入 れ た . 逆 に,
そ し て,次 1)二
の よ う な 傾 向 が 現 わ れ た. 重 母 音 の 単 音 化(ae>e,oe>e,au>o).
雄 弁 家 た ち は,耳 の肥 え た聴 衆 か ら 楽 しさ と美 し さ を
que<quae(関
求 め られ て,詩 的 色彩 とエ ピグ ラ ム 風 の 速 さ を 特 色
penam<poenam「 2)弱
とす る新 しい 文体 を 開 発 し た.セ ネ カ(L.Annaeus Seneca,後65没)の
圧 縮 され た警 句 風 の文 体 が,そ の
代 表 で あ る.歴 史家 タ キ トゥス(P.Cornelius 55∼120)は,サ
Tacitus,
れ た エ ピグ ラム 風 の文 体 を完 成 した . 彼 は,わ ざ と調 和 的 均整 を避 け,す べ て の余 計 な語 を切 り捨 て て 表 現
由奔 放 で,高 度 に装
罰 を」
speclum<speculum「
鏡」
音 前 のiとuの
子 音 化.
congiugi[〓]<coniugi「 (coniuxの 与 格) 一 方 ,子 音 で は,次 1)母
音 間 のbの
の よ う な 傾 向 が み ら れ る.
摩 擦 音 化.
2)ti,ci,giな
寝室」
ど の 口 蓋 音 化.
飾 され,古 い もの で も新 しい もので も,日 常 語 で も荘
sapiensie<sapientiae「
重 な もので も,お よそ,こ
nuncius<nuntius「
とばが 提 供 す るす べ て の 工
生)で あ った,そ の 後 の 文人 た
3)母
と文 体 の 区別 は混 乱 し,古 典 ラテ ン語 は 衰 退 の 一途 を
[俗ラテ ン語]
5)子
口
治 的,社 会 的 な 要 因,そ のほ か,
くか ら あ り).
彼 は愛 す る」
音 連 続 に お け る 同 化.
isse<ipse「
自 ら」
rusum<rursum「
し ことば は着 実 に変 化 して い き,そ こか ら,の ち に ロ
に俗 ラテ ン語 と言 って も,話 す機 会 に よ る違い,階 層,
消 失(古 庭 を」
ama<amat「
い っそ う 日常 語 か ら遠 く な った.し か し,そ の 間 に,話
につ い て は,間 接 的 に しか 知 る こ とが で きない.一
毎年」
末 の‐mと‐tの
hortu<hortum「
古 典 主 義 は,都 雅 と精 選 を 追 求 し
マ ンス諸 語 が生 まれ た . そ の 祖 語 に あ た る俗 ラ テ ン語
場所 」
quodannis<quotannis「
て,ラ テ ン語 に,厳 格 な 語 形,統 辞,語 彙 の 制 限 を課
世 代,教 養 の差,政
音 間 の 無 声 破 裂 音 の 有 声 音 化.
4)語
した.古 典 後期 の ラテ ン語 は,古 語 と詩 語 に飾 られ て,
使者」
logus<locus「
ち は,過 去 の 模範 のい た ず ら な模 倣 に陥 り,ジ ャ ンル
辿 っ た.
知 恵」
septuazinta<septuaginta「70」
夫 を利 用 す る文 体 が あ り,そ の代 表 は,ア ー プ ー レイ ウ ス(Apuleius,123頃
配 偶 者 に」
Cuuiculo<cubiculo「
を圧 縮 し,荘 重 さを 出す た め に詩 的 な 表現 と構 文 を 利 用 した. 他 方 に は,豊 満 華 麗,自
係 疑 問 代 名 詞)
い 位 置 で の 母 音 の 消 失.
3)母
ル ス テ ィ ウス の文 体 を継 承 して,ア ル
カ イ ズ ム と詩 的 な 色彩 で豊 か に した,圧 縮 され 歪 め ら
除 いて 長 母 音 が
た だ し,こ
う しろ へ」
れ ら の 音 韻 の 変 遷 に は,時
が あ る. 名 詞 の 性 は,中 ら み ら れ,帝
性 の 男 性 化 に よ る2性
天」
fatus<fatum「
え が たい . そ こで,古 典 的用 法 か らの逸 脱 の 例 と,ロ
運 命」
マ ンス語 か ら推 定 され る祖形 とで一 致 す る もの を も っ
し か し,中
て,俗 ラ テ ン語 を 構 築 す るの が 常 で あ る.資 料 は,作
詞 の 複 数 形 に 使 わ れ た り,あ
家 た ちが 記 録 して い る 日常語,民
女 性 単 数 の 扱 い を 受 け る よ う に な っ た.
55ま た は66没)の Trimarchionis)の
衆的 な笑 劇 の 断 片,
『トリマ ル キ オ ー の 饗 宴 』(Cena 中 の対 話,400年
頃の尼僧が書い
性複数語尾の
digit‐a<digit‐i「
トロー ニ ウス(G.Petronius,
体 系 が 早 くか
政 期 に 進 行 した.
caelus<caelum「
さま ざ ま な理 由 に よ って 変化 が 多 く,実 に多 様 で と ら
キ ケ ロー の書 簡 集,ペ
代 差 と地域 差
castr‐a「
‐aは,形
だ け 残 り,男
る い は,集
指 」(男 性 複 数)
陣 営 」(女 性 単 数 < 中 性 複 数)
曲 用 で は,‐mの
消 失,‐sの
弱 化,母
音 の 変 遷 の結
た文 章,教 養 の な い人 々の書 い た無 数 の碑 文(呪詛 文
果,語
尾 が 大 幅 に 同 化 し て 格 体 系 が 崩 れ,8世
や,ポ ンペ イ の落 書 きや,庶 民 の墓 碑 銘),文 法 学 者 や
に2格
体 系 に な っ た.性
注釈 家が 「 正 し くな い 」 とか 「俗語 」 として あ げ て い
第1変
化 は 女 性,第2変
る もの,等 々で あ る.
第2変
化 か ら第1変
ア クセ ン トは,古 典 ラ テ ン語 と大 体 同 じ位 置 に くる
変 化 か ら 第1変
性 名
合 名 詞 と し て,
紀 まで
の 明 確 化 の 傾 向 が 現 わ れ て, 化 は 男 性 に 固 定 さ れ た た め に,
化 へ(nurus>nura「
化(tempestas>tempesta「
嫁 」),第3 嵐 」),
ま た は,第2変
化 へ(os>ossum「
か な り あ る.第4変 portico「
骨 」)と移 っ た 語 が
化 は 第2変
化 に(porticus>
柱 廊 」,manus>mano「
は 第1変
laborait<laboravit「
手 」),第5変
化 に(facies>facia「
でにプラウ ト
韻 の 変遷 で 語 尾 の 区別 が つ か な く
な る に 従 っ て 進 行 した .
完 了)は
の 他 で は 衰 え た . 長 母 音 完 了(母 音 交 替
衰 え(cep‐i>capu‐i「
標 準 形 の ‐eruntと
de
nav‐i‐bus
が あ っ た が,そ
e‐gred‐i「 船 か ら上 が る 」 典 語以 前 か らあ った
用 い る 分 析 的 比 較 級 と,二
maiores「
‐eruntは
magis
重 比 較 級(magis
よ りい っ そ う 大 き い 」)が 盛 ん に な り,二
接 尾 辞 に よ る 最 上 級(pe‐ssim‐issim‐us「
も っ と も悪
は,か
並 ん で,古
形の
不定冠詞 に
‐ereと
ま だ 使 わ れ 続 け た.す
了 分 詞 +habeo)が
ま残 っ た の は,不
定 法 現 在 能 動 相,現
は,不
在 分 詞,完
定 法 に お き 換 え ら れ た.動
名 詞 も,一
くか ら あ ど),ecce
っ て,現
ab‐ante「
フ ラ ン ス 語cet「
動 詞 で は,形
これ」
post「
動 形 容 詞(「 ∼ さ れ る べ き 」)は,の
後 か ら」
式 受 動 相)<dubita‐mus(能
動 相)
主 格 の 動 形 容 詞 は,現 iuba‐nd‐i
vocatur>se
est「 彼 は 愛 さ れ る 」 vocat「
用 は,一
部の
の よ う に な る(cf.
助 け に な る 」=iuva‐nt 説 法 に お き換 え られ た.古
文,疑
ecclesi‐a
惑 文 な どに も直説 法 を用 い る よ
valde
pulchr‐a
aimes,
etc.).
だ し,古
い ‐ibamも
volo,facere
debeo,facere
除 い て,あ 残 っ た.未
ま り 来 に
habeo(そ
す る こ と を 欲 す る 」 「し な け れ ば な ら な い 」
「す る こ と を 持 つ 」> す べ て,「 す る で あ ろ う」)の な 複 合 形 が 現 わ れ る.‐bo型
と‐am型
よう
の 混 同 もみ ら
れ る. dicebo<dicam「 habeam<habebo「
くの 従 属 文 で 接 続 法 が 使 わ れ,接
dign‐a
es‐t
く.特
言 う」 持つ」
了 で は 縮 約 形(‐avit>‐ait,
続 法 は単 な
に,quod,quia,
quoniam
と 接 続 法(ま
詞 節 が,古
典 語 の対 格 + 不 定 法 に代 わ って 普及 す る の
が,後
た は 直 説 法)に
よ ってつ くる名
期 ラ テ ン語 の 特 徴 で あ る.
語 彙 の 点 で は,文 な い . た だ,日 を 好 み,そ
学 語 と民 衆 語 は,基
常 の こ と ば は,色
れ が,次
失 っ て,単
復動
来 の 反 復 と起 動 の 力 を
純 動 詞 の 意 味 に な っ て い く.た
can‐ta‐reは,本 っ た が,単
本的に区別が
彩 豊 か な強 烈 な 表 現
第 に 強 烈 さ を 失 っ て い く.反
詞 と起 動 動 詞 が 好 ま れ る が,本
完 了 で は 規 則 化 の 傾 向 が あ り(praestavi<prae stiti「 与 え た 」),v完
vere
しい ほ ど美 しい 教会 」 逆 に,多
る従属 の指 標 に な って い
変 わ ら な い.た
ut
es‐se domu‐s De‐i「 ほ ん と う に 神 の 家 に ふ さ わ 化 して接 頭 語
フ ラ ン ス 語 j'aime,tu
未 完 了 過 去 は,‐iebam>‐ebamを
くか
う に な っ た.
混 ぜ る」
人 称 代 名 詞 の 主 語 の 使 用 が 定 着 し,弱
れ ぞ れ,「
理 由 のcumの
ぶ ら下 が る」
miscere>miscere「
書 か れ るべ き」
在 分 詞 の 代 用 も な し た.
ら あ っ た 直 説 法 に よ る 間 接 疑 問 文 の み な ら ず,結 果 文,
用 に 吸 収 され て 消 滅 し た.
pendent>pendunt「
sunt「
接 続 法 の 多 く は,直
呼 ば れ る」
活 用 の 種 類 の 混 同 が 多 く な り,第2活 地 域 を 除 い て,第3活
形 容 詞 の代 わ りに用 い られ る こ
scrip‐tur‐as=scrib‐e‐nd‐as「
言 法 や再 帰 動 詞 に お き換 え る傾 向
が 現 わ れ る.
は,facere
来 分 詞 が,動
と も あ っ た.
「わ れ わ れ は 疑 う 」
amatur>amatus
き に は,
mori‐e‐nd‐i「 死 の う と 」(=mori‐tur‐i) 逆 に,未
動 相 を,迂
務 の意 味
未 来 能 動 分 詞 の 代 わ り に 使 わ れ る こ と も あ っ た.
式 受 動 相)
「君 は 従 う 」
ま た,受
ち に,義
な る 未 来 受 動 分 詞(「 ∼ さ れ る で あ ろ う と
こ ろ の 」)と し て 使 わ れ る よ う に な っ た が,と
式 受 動 相 と能 動 相 の 混 同 が み られ る.
sequ‐i‐s(能 動 相)<sequ‐e‐ris(形
dubita‐mur(形
般 に,不
格 だ けは 生 き残
在 分 詞 の 代 わ り に 使 わ れ た.
を 失 っ て,単
合 化 が 進 ん だ.
前 か ら」,de
了分
dic‐e‐nd‐o「 言 い な が ら 」(=dic‐e‐ns)
で 強 め る 複 合 形 も 普 及 し た.
副 詞 と前 置 詞 も,複
の ま
ー マ ニ ア以 外 の地 域 で
っ た が,こ
istum>
普 及 す るの
な り の ち の こ と で あ る . 不 定 形 の 中 で,そ
変 わ っ た . 指 示 代 名 詞 の 複 合 化 の 傾 向 は,古
ecce
‐erunt 消 滅 し,
で に プ ラ ウ ト ゥス に
定 法 に お き 換 え ら れ て 消 滅 し た が,奪
の 傾 向 は の ち に も続 き(is ipseな
典語の
‐ereは
詞 の み で あ る . 目 的 分 詞 は,ル
定 冠 詞 に,unusが
了は
称 複 数 に,古
の う ち,‐eruntと
み ら れ た 複 合 的 完 了(完 重
い 」)も み ら れ る よ う に な っ た. 代 名 詞 で は,illeが
と ら え た 」),s完
発 展 し た . 完 了 の 語 尾 で は,3人
eum dic‐i‐t「彼 に 言 う 」
やplusを
贈 っ た」
畳 音 完 了 は,歯 音 幹 で は 盛 ん に な り(ed‐id‐it<ed‐it 「食 べ た 」),そ
ad
形 容 詞 の 比 較 で は,古
働 い た」
donaut<donavit「
化
顔 」)吸 収 さ れ た.前
置 詞 句 を 格 の 代 わ り に 用 い る 傾 向 は,す ゥ ス に あ っ た が,音
‐aut)が 好 ま れ た.
と え ば,
来,「 何 度 も 歌 う 」 と い う反 復 動 詞 だ
純 動 詞can‐e‐re「
り,dormi‐sc‐e‐re「
歌 う」 と同 じ意 味 に な
眠 り こ む,眠
り始 め る」 とい う
起 動 動 詞 は,dormi‐re
「眠(っ て い)る 」と い う 単 純 動
詞 の 意 味 に な る.
詩 人 で さ え も,キ
次 の よ う な 表 現 が 好 ま れ る よ う に な っ た の は,重
量
音 節 語 が,意
リス ト教 的 な ギ リ シ ア 借 用 語 を 使 う
よ う に な っ た. キ リ ス ト教 ラ テ ン 語 の 特 殊 性 は,語
感 が あ っ て 表 現 力 が 豊 か な た め で あ る. 1)単
や が て,芸 術 的 な キ リス ト教 散 文 作 家 に と り 入 れ ら れ,
味 の 同 じ多 音 節 語 に お き 換 え ら
れ る.
て い る.借
用 語 や 翻 訳 語 と並 ん で,新
れ た . こ れ も,主
vade=i「
行 け」
esto=es
「あ れ 」
longo
成 動 詞 が,単
語 も多 くつ く ら
に キ リス ト教 的 術 語 で あ る が(trini‐
tas「 三 位 一 体 」,incarnatio「
肉 化 」),特
教 的 とは 言 え な い も の に 対 し て も,特
tempore=diu「
2)合
彙 の面 に 限 られ
長い間」
れ た(veraciter「
純 動 詞 よ り も優 勢 に な る .
ま た,同
別 の 語 が つ くら
真 に 」,transgressor「
じ語 が,キ
違 反 者 」).
リス ト教 徒 の こ と ば と異 教 徒 の こ
per‐trans‐ire「
渡 る」
と ば で 意 味 を 異 に す る 場 合 も あ り(sapiens「
dis‐se‐parare「
分 け る」
教 徒 〕> 「ず る い 」 〔キ リス ト教 徒 〕),す で に 使 わ れ な く
3)指
小 名 詞,指
小 形 容 詞 が 好 ま れ る.
な っ た 語 で,そ
の 古 さ の ゆ え に,神
へ の祈 りに ふ さわ
鳥」
し い と考 え ら れ て 復 活 し た も の も あ る(orare「
vetulus=vetus「
古い」
> 「祈 る 」).
ま た,par
idem
「同 じ」 やitaque
ergo「
だ か ら」
語 彙 は 特 殊 で も,文 法 は,俗
キ リ ス ト教 が ま ず 下 層 民 に 与 え ら れ,宣 衆 の こ と ば で 説 教 し た こ と か ら,キ
に あ っ て,古
言 う 」)の よ う に,初
典 ラ テ ン語 に な く,ロ
て い る語 は,古
期 ラテ ン語
マ ンス 語 に現 わ れ
典 作 家 の都 雅 の基 準 に合 わ ない た め に
採 用 さ れ な か っ た け れ ど も,日 と を 示 し て い る.一
方,詩
常 語 に は生 きて い た こ
人 の こ と ば と俗 語 とに 共 通
に み ら れ る 語 や 用 法 が あ る . こ れ は,俗 存 さ れ て い て,そ
語 に古 語 が 保
の古 さの た め に高級 詩 歌 に と り入 れ
ら れ た もの で あ る. リ シア 語 との 関係 は
こ れ ま で に な く 緊 密 に な り,ギ と 模 倣 は,語 彙 の 面(た
リ シ ア 語 の 翻 訳 と借 用
と え ば,〓
>casus「
ち ら も 「落 下 」 の 意 味)に
文 法 に ま で 及 ん だ(in+
与 格 を,手
格」
と ど ま ら ず,
段 の 奪格 の意 味 に
用 い た 例 な ど). キ リ ス ト教 は,ギ
語 に よ っ て イ タ リ ア に 渡 来 し て,ま 話 す 移 民 の 間 に 広 ま り,2つ
ず,ギ
リシ ア
リシ ア語 を
の 言 語 の 話 し手 を 通 し て,
ラ テ ン 語 を 話 す 下 層 民 の 間 に 浸 透 し た.初
期 キ リス ト
教徒 か ら離れ て 彼 らだ け の社 会 を作 った の
部 の 者 に は 理 解 の で き な い 特 殊 な ラ テ ン語 を 開
発 し た.そ
れ は,ギ
に 散 りば め た,混 の 翻 訳 は,直
ラ テ ン 語 の あ ら ゆ る 特 徴 を 備 え て い る.
し か し,こ
の卑 俗 な こ とば が 神 の 崇 拝 に い つ も用 い ら
れ た 結 果,神 聖 さ と 尊 厳 を 与 え ら れ,や
が て,教
ウ グ ス テ ィ ‐ ヌ ス(Aulerius
Augustinus,354∼430)
で さ え も,俗
し ろ,俗
語 を 避 け ず,む
語 擁 護 論 を展 開
キ リス ト教 ラ テ ン語 が 始 ま っ た の は,ギ
リ シ ア 語 の 借 用 語 と翻 訳 語 を 無 数 乱 し た こ と ば で あ っ た.初
訳 調 で,誤
訳 も 多 く,と
期 の聖 書
き に は,語
順や
し て,ラ
テ ン語 に よ る 聖 書 と 著 作 へ の 要 求 が 高 ま っ た
2世 紀 頃 で あ る と 考 え ら れ る.3世 マ 教 会 が ラ テ ン 語 化 し て,教
紀 中 葉 に は,ロ
語 で 書 か れ た 著 作 も,こ 半 に は,も
じめ か らラ テ ン
の 頃 か ら 現 わ れ る.4世
わ れ 始 め る.キ
リ ス ト教 化 さ れ た ラ テ ン 語 を 最 初 に 大
(Q.Septimius
Florens
230頃)で,キ
ル ト ゥ リア ー ヌ ス
Tertullianus,150頃
ュ プ リ ア ー ヌ ス(Thascius
Cyprianus,200頃
∼258)や
Firmianus
世 紀 初 頭)を 経 て,ヒ
ラ ク タ ン テ ィ ウ ス(L. 紀 後 半 ∼4
エ ロ ニ ュ ム ス(Hieronymus,342
ラ テ ン 語 は 最 盛 期 を 迎 え る . し か し,そ
洗 礼 」),異 教 の に お い
ア ウ グ ス テ ィ ー ヌ ス に 至 っ て,キ
と 民 衆 が 創 造 し た こ と ば で あ り,そ
の す る ラ テ ン語 を 避 け て 借 用 語 を 使 う こ と も 多 か っ た
活 発 な 相 互 交 流 の た ま も の で,た
(propheta「
合 っ て い た こ と が,比
リ シ ア 語 は,す
預 言 者 」,ecclesia「 で に,古
浸 透 し て い た の で あ り,キ
教 会 」).し
か し,ギ
くか ら ロ ー マ 人 の 日常 生 活 に リス ト教 徒 は,こ
推 し 進 め た ま で の こ と で あ る.こ
の伝 統 を
の 民 衆 の こ と ば が,
∼ Caecilius
Lactantius,3世
頃 ∼420)と
天 使 」,baptisma「
紀後
っ と も保 守 的 だ っ た 典 礼 に も ラ テ ン 語 が 使
規 模 に 文 学 作 品 に 使 っ た の は,テ
Caecilius
ー
会 の 公 式 の通 信 に ラ テ ン
の 多 くは,ラ
テ ン語 に 対 応 す る 語 の な い 術 語 で あ る が
リシア 語 を
話 す キ リス ト教 徒 の 間 に ラ テ ン 語 を 話 す 改 宗 者 が 増 加
格 形 にま で ギ リ シア語 の直 輸 入 が 及 ん で い る .借 用 語
(angelus「
養のあ
る キ リ ス ト教 作 家 の こ と ば に も 深 い 影 響 を 与 え た.ア
語 が 使 わ れ て い る . 翻 訳 で は な く,は
[キ リス ト教 ラ テ ン 語]
教 徒 は,異
教 師 た ちが 民
リス ト教 ラ テ ン語
して い る.
ロ ー マ 帝 国 の 拡 大 に よ っ て,ギ
来,ど
の 文 法 は,俗
頼む」
ラ テ ン 語 と 同 じで あ る.
fabulari(=dicere「
で,外
賢 い 」〔 異
avicellus=avis「
の よ う な 重 複 法 の 流 行 も,力 強 さ を 求 め た もの で あ る.
は,本
に キ リス ト
リ ス ト教
れ は,も
え ず 文 通 し,往
来 し
較 的 一 様 な キ リ ス ト教 ラ テ ン 語
の 発 達 と 維 持 に 貢 献 し た.や
が て,改
宗 者 が 増 大 し,
キ リス ト教 が 帝 国 の 全 域 を の み 込 ん だ と き に,こ 殊 な 言 語 は,帝
とも
の普遍的な性格は
国 の 西半 分 の 共 通 語 に な っ た .
の特
[中世 ラ テ ン語]
古 代 末期 か ら始 ま った ゲ ル マ ン
人 の侵 入 は,ロ ー マ帝 国 を大混 乱 に 陥れ,476年
に,
よ く使 わ れ て い る も の を あ げ る. 1)ポ
ケ ッ ト版
西 ロ ー マ帝 国 は滅 亡 す る . ロー マ の 統 制 力 が 失 われ る
Menge,H.und
と,ラ テ ン語 は地 域 ご とに進 化 して い く.経 済 的 衰 退
scheidts
に よ って 学 校 が 閉 鎖 され,古 典 教 育 が 行 な わ れ な くな
und
った こ とが これ に拍 車 をか け て,俗 ラ テ ン語 は 無 制 限
Berlin/Munchen/Wien/Zurich)―
に 発 達 して,中 世 前 期 に,ロ マ ンス 諸語 に 変わ って い
要 な こ と は 記 載 さ れ て お り,簡
く.し か し,文 語 と して の ラテ ン語 は,そ の 後 も,聖
(E.Pertsch)の
職 者 や官 吏 の手 に よ って 生 き続 け る. これ が,中 世 ラ
が も っ と も 良 心 的 な 辞 典 と な っ た.
テ ン語 で あ る. そ れ は,古 代後 期 の キ リス ト教 ラ テ ン 語 を継 承 す る もので,初 め か ら俗 ラ テ ン語 の基 礎 の 上 に成 立 した もので あ るが,中 世 初 期 の,政 治 的,文 化 的 な混 乱 の 中 で,ま す ま す,地 方 色,俗 語 色 を 強 め, 8世 紀 に は,も は や,古 典語 の知 識 だ け で は理 解 不能
deutschen
2)小
Magnus,Charle
改 革 は,こ の 乱 れ た ラ テ ン
語 を,古 代 の 正 しい ラ テ ン語 に戻 そ う とす る 努 力 で あ った.彼 は,西 欧 各 国 か ら,学 者,文 人 を集 め,宮 廷 学 校 と フ ラ ン ク王国 全 土 の 修 道院 と司 教座 の学 校 を教 育 の 中 心 に した . カ ロ リン グ朝 ル ネ ッサ ンス と よば れ
Dictionary(Clarendon 級 者 向 け で,用
Press,Oxford)―
田 中 秀 央(1952,19662),『
が 詳 し く,現 3)中
語 と して 確 立 す る結 果 とな っ た. そ れ は,知 識 階級 の 共 通 語 と して,宮 廷 と教 会 で,の ち に は,大 学 に おい
羅 和 辞 典 』(研 究 社,東
francai
illustre
って,ふ た た び,ラ テ ン語 文 化 が 栄 え,教 育 が 普 及 し た.13世
紀 に は,修 道 院 や 司 教座 の付 属 学 校 と並 ん
latin
も っ と も優 れ て い る.語
中 辞 典 と し て は, 数 が 多 く,絵
入 りで あ る.
Pertsch,E.(1971),Langenscheidts
Hand
lateinisch‐deutsch(Langenscheidt
ケ ッ ト版 よ り,訳
語 と 解 説 が 詳 し い. latin
francais(Belin,Paris)― 示 し て,標
,
同 じ著 者 の ポ
Lebaigue,C.(196062),Dictionnaire
古 語 と新 語 を 記 号 で
準 的 古 典 語 と 区 別 し て い る.
4)大
紀 か らは,都 市 の 経 済 的
京)
辞 関係 の 記 述
代 科 学 用 語 も あ げ ら れ て い る.
s(Hachette,Paris)―
Lewis,C.T.and
発 展 と封 建 社 会 の安 定 とロー マ 教会 の 権 力 の 伸 展 に よ
,統
Gaffiot,F.(1934),Dictionnaire
て,ま た,国 際 交 流 の 場 で 用 い られ た . 民 衆 的 基 盤 を
続 けた .9世 紀 後半 か ら,再 び 異 民族 の 侵 入 に よ って
初
辞典
欠 いて い る と はい え,そ れ は,常 に 各 国 の 言 語 か ら影 響 を受 け なが ら,精 神 的,文 化 的 な ことば と して 生 き
Latin
例 も か な り 多 く あ げ ら れ て い る.
Berlin/Munchen/Wien/zurich)―
しろ,古 典 ラテ ン語 と も古 代 の キ リス ト教
音の 長 短 の 記述
Elementary
古 代 の こ とば に近 づ け られ た.し か し,こ の浄 化 は 徹
ラ テ ン語 と も異 な る 中世 ラテ ン語 を,西 欧 世 界 の 標準
ルチュ
辞典
worterbuch
西 欧 社 会 は混 乱 す る が,11世
最 低 限必 便 で あ る.ペ
改 訂 に よ っ て,母
る この改 革 に よって,ラ テ ン語 は俗 語 か ら清 め られ,
底 せ ず,む
lateinischen
Sprache(Langenscheidt,
― わ が 国 唯 一 の ラテ ン語 辞 典 で
シ ャ ル ル マ ー ニ ュ(Carolus 世768∼814)の
der
Lewis,C.T.(1891),An
な まで に変 貌 して しま っ た. magne,治
E.Pertsch(1963),Langen Taschenworterbuch
辞典 C.Short(1879),A
Dictionary(Clarendon
Latin
Press,Oxford)―
っ と も よ く 使 わ れ て き た も の で,現
も
在 で も,も
っと
も標 準 的 な 辞 典 で あ る. Glare,P.G.W.(1982),Oxford
Latin
tionary(Clarendon
Press,Oxford)―
も新 しい 大 辞 典.訳
語 よ り も,正
Dic もっと
確 な意 味 の記 述 に
で,大 学 が知 的 活 動 の 中心 にな っ て い く.古 典 作 家が
重 点 を お き,引
尊 重 され て,ラ テ ン語 の 質 は 高 め られた.し か し,一
期 ま で に 限 り,キ リ ス ト教 ラ テ ン 語 以 後 を 含 ま な い.
方 では,そ れ と並 行 して 発 達 した ス コ ラ哲 学 が ラ テ ン
用 例 が き わ め て 多 い.た
Georges,K.E.(19138),Ausfuhrliches
語 を極 度 に形 式 化 して,そ の 生命 力 を奪 った こ と も否
deutsches
定 で き ない . ル ネ ッサ ンス の 人文 主 義 者 た ちは,古 典
Basel/Stuttgart)―
ラ テ ン語 の復 興 を 目 ざ し,そ の 模倣 に努 め た た め に, か え って,ラ テ ン語 の 発 展 を止 め て しま った.以 後,
し く,引 Thesaurus
だ し,古
典
lateinisch
Handworterbuch,2
Bde.(Schwabe,
語 数 が 多 く,意
味の記述が詳
用 例 も多 い. Linguae
Latinae(1900‐,Teubner,
古 典 的 な ラテ ン語 は,一 部 の 哲学 者 や 科 学 者 に よ って
Leipzig)―
用 い られ るだ け にな り,今 日で も,西 洋 の 一 握 りの 古
十 分 冊 が 刊 行 さ れ,続
典 学 者 に よ って 書 き続 け られ てい る.一 方,中 世 ラテ
Pの
ン語 は,今
が で き上 が って い る. 古 代 の文 献 に 使 用 され て い る
日 も,カ
トリ ッ ク教会 の典 礼 の 中 で,わ ず
か に命 脈 を保 って い る. [辞
書]
無 数 に ある ラ テ ン語 辞 典 の うち,現 在,
最 大 の ラ テ ン 語 辞 典.現
る.
刊 中 で あ る.Nの
途 中 ま で が 既 刊 で,残
文 例 を 網 羅 し,詳
在 ま で に百 数
り も,編
項 を除 い て
集 本 部 にカ ー ド
細 な意 味 の 区 分 が ほ ど こ され て い
5)特
殊 な 辞 典
堂,東
Quicherat,L.et saurus
Poeticus
Linguae
Hildesheim)―
Latinae(Olms,
the
詩 人 の 作 品 と 断 片 に 現 わ れ る,す
べ て の 語 を と り 上 げ た 辞 典.
auteurs
都) Latina:A
Pronunciation
bridge
of
University
Guide
Classical
des
chretiens(Brepols,Turnhout)―
Press,Cambridge)
ン グ 朝 の 終 わ り ま で の,キ
リス
Lautlehre
Lateinischen(Winter,Heidelberg)
Kuhner,R.und
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ロ ヴ ィ
Ausfuhrliche
Grammatik
ト教 作 家 に 関 す る 辞
Sprache:Teil
1:Elementar‐,Formen‐
最 初 期 の テ ル ト ゥ リ ア ー ヌ ス の 時 代 か ら,メ
典.
der
lateinischen und
Wortlehre(Wissenschaftliche
6)中
世 ラ テ ン語 辞 典 C.Van Latinitatis
Leiden)― に,世
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Lexicon
Kuhner,R.und
Minus(Brill,
建 制 度)に
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praesertim
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vestigandas
res
Medii
ecclesiasticas
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pertinens(Brepols,Turnhout)
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etymologique
latine:histoire
des
de
la
langue
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Laut‐
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muller,Stuttgart)― (1893‐1980)の
縮 刷 版 で,5巻
Row,New
Andresen,C.et
the
zur
historischen
lateinischen
Sprache(Gruyter,Berlin)
von
der
den
and
Anfangen
der
alten
An
Historical
bis zum
Beginn a.M.)
Latin
Language
Latin
Language:
Account
of
Latin
Sounds,
Flexions(Hafner,New
York/
London) Hofmann,J.B.(19513),Lateinische
Welt(Artemis,Zurich/Stuttgart)
lateinischen
Faber,London)
Stems,and
York)
Lateins,
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der
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Bde.(Gleerup,Lund)
Sprache
Antike(Drucken
上 記,Pauly‐Wissowa
Yonah,M.A.and
Latin
und
Altheim,F.(1951),Geschichte
か ら な る.
der
Beitrage
Stolz,F.und も っ と
Pauly:Lexikon
New
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2
schaft(Druckenmuller,Stuttgart)― も 大 規 模 な 百 科 事 典 で,84冊
Latin,
(Methuen,London)
(Clarendon
も っ と も簡 便 な 百 科 事 典 .
Pauly,A.und
Early
vols.(Olms,Hildesheim)
Woodcock,E.C.(1959),A H.H.Scullard(19702),
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1:M.Leumann,
Latine(Klincksieck,Paris)
科 事 典
Umgangs
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波 書 店,
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東 京) 松 平 千 秋,国
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trated
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logie historique du latin(Klincksieck,Paris)
(Winter,Heidelberg)
Kleine
senschaftliche
Ernout,A.et Worterbuch
Ernout,A.,Meillet,A.et
clopadie
der
2:Satzlehre,2
Munchen)
Walde,A.und
The
Teil
Lateinische
源 辞 典
8)百
Grammatik
Sprache:
Lateinische
ト教 会 関 係 の 語 に 重 点 を お い た 中 世 ラ テ
ン 語 辞 典. 7)語
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fuhrliche
訳 語 に フ ラ ン ス 語 と 英 語 を 併 用 し,特 俗 の 制 度(封
Buchgesell
schaft,Darmstadt)
Niermeyer,J.F.et Mediae
to
Latin(Cam
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京/京
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E.Chatelain(192231),The
原 吉 之 助(1968),『
新 ラ テ ン 文 法 』(南 江
中 世 ラ テ ン 語 入 門 』(南
江 堂,東
都)
Harrington,K.P.(1975),Mediaeval
Latin
(University
of
Chicago
採用 され,実 際 の 発 音 に 即 した正 書 法 が つ くられ た .
Press,Chicago/
London) (中 山 ラ ト ヴ ィ ア 語Latviesu
恒 夫)
説]
河 川 名(た
と え ば,Late川)に
由 来 し,ラ
係 し て い る.他
方,レ
呼 称 は,
ラ トヴ ィア 語 は,現 代 イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 諸 言 語 の
トヴ ィア東
中 で は 古 風 な 言 語 で あ るが,リ トア ニ ア語 に 比 べ る と,
「ラ トヴ ィ ア の 端 」)と 関
ッ ト人 〔語 〕の 呼 称 は,フ
リ ー ブ 人 の よ び 方 に 由 来 し,特
ィ ン系
に ドイ ツ 人 は,ラ
ィ ア を,古
来,Lettland,ラ
と よ び,そ
こ か ら 英 語 で レ ッ ト語(Lettish)と
トヴ
ラ ト ヴ ィ ア 語 は,リ
も よば
トア ニ ア 語,死
語 で あ る古 プ ロ
紀 に 遡 る と され,古
よれ ば,
くか ら リ トアニ ア
人 とラ トヴ ィア人 の 意志 の疎 通 は不 可 能 で あ った.ラ
滅寸 前 に あ る,先 住 民 フ ィ ン系 リー ブ 人 の リー ブ 語 と
[文字 と 発音] ドビ
字22,補
ラ トヴ ィア語 の 文 字 は,ラ テ ン文
助 記 号 を付 した文 字11の,合
わ せ て33文
字
を用 い,組 み 合 わ せ 文 字 と して,dz[dz],dz[〓]の2
岸 地 域 の ソ連 邦 ラ トヴ ィ ア 共 和 国(Latvijas 住 民,ラ
日,消
の混 交 に あ る.
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ(印 欧)語 族,バ
バ ル ト海 に 注 ぐ ダ ウ ガ ヴ ァ(Daugava)川(西
Republika)の
リ トア ニ ア 語 は ラ トヴ ィア 語 の祖 語 に近 い と言 え る. 両 言語 の 分 化 の 時 期 は,ブ ーガ(K.Buga)に
トヴ ィア 語 の 変 容 の も っ と も大 き な要 因 は,今
ル ト語 派 に 属 す る 言 語 で あ る.
ナ 川)沿
音 韻 面,形 態 面 で 大 きな 変 化 を被 って お り,そ の 点 で,
紀 元後5∼7世
トヴ ィ ア 語 をLettisch
れ る よ う に な っ て い る.
シ ア 語 と と も に,イ
と も に,版 を 重 ね た ラ トヴ ィ ア
語教 本 を 執 筆 した .
レ ッ ト語(英Lettish,独Lettisch)と
部 の ラ トガ レ 地 方(Latgale
トヴ ィ ア 人 に よ っ て 話 さ れ て
い る.
つ が あ る. アル フ ァベ ッ トは,次 の とお りで あ る.
ラ ト ヴ ィ ア(Latvija)の ツ 人,ポ
土 地 は,13世
ー ラ ン ド人,ス
民 族 に よ っ て,相
紀 以 来,ド
ウ ェ ー デ ン 人,ロ
イ
シ ア人 の 諸
次 い で 北 配 さ れ て き た 経 緯 が あ り,
原 住 民 の ラ ト ヴ ィ ア 人 が 真 の 独 立 を か ち え た の は,第 1次 大 戦 後 で,独
用 語 と な っ た.し
ト ヴ ィ ア 語 は,よ か し,第2次
う や く,同
ソ連 邦 に 編 入 さ れ た た め,ロ
大 戦 後,ラ
は,1つ
国の公
トヴ ィア は
シ ア 語 が 公 用 語 と な り,
ラ トヴ ィ ア 語 は 民 族 語 と さ れ た. 独 立 国 時 代,1935年 の う ち,ラ
ア 人 は21万 査 で は,人
人(11%)で 口250万
シ の調
トヴ ィ ア 人 は134万
前 よ り 減 少 し,ロ
な っ て い る.第2次
ィ ア 人 は,約20万
人(73%),ロ
あ っ た . し か し,1979年 人 の う ち,ラ
人(53.6%)で,戦 (32.8%)と
の ラ トヴ ィ ア の 人 口 は,195万
トヴ ィ ア 人 は143万
後,ロ
シ ア 人 の 移 住 者 は,増
一 途 を た ど っ た . ラ ト ヴ ィ ア で は ,近 レ ス ト ロ イ カ の 過 程 で,非
年,進
加の
行 す るペ
ラ トヴ ィア 語住 民 の ラ トヴ
ィ ア 語 習 得 が 要 請 さ れ る に 至 っ て い る.
に す ぎ ず,最
初 の 書 物 は,1585年
紀 に遡 る
に 出版 され たカ ト リ
『教 理 問 答 書 』 で あ り,翌1586年
ー の 『教 理 問 答 書 』 も 出 版 さ れ て い る .い
に は,ル
タ
ず れ も,ド
文 字 は,長
い 間,ゴ
シ ッ ク文 字 が 使 わ れ,ド
イツ語
代 か ら ラテ ン文 字 が
じ たe音
と開 い た
ト ヴ ィア 言 語 学 で は,eの
記 号で
の 音 を 表 わ す.
閉 じ たe:zeme「
土 地 」,meness「
開 い たe:ledus「
氷 」,dels「
文 字oは,ラ
月」
息子」
ト ヴ ィ ア 語 本 来 の 語 で は 二 重 母 音uoを
表 わ す が,国
際 用 語 の 借 用 語 で は,短
/opera/「 子 音fとhは,ラ
母 音 のo,と
き
表わす.
ozols/uozuols/「
樫 の 木 」,国
際 用語
opera
オ ペ ラ」 ト ヴ ィ ア 語 に は 本 来 な か っ た 音 で,
国 際 用 語 の 借 用 語 の た め に 新 し く導 入 さ れ た 文 字 で あ る .k,g,l,nは,歴 し,軟
史 的 に,kj,gj,lj,njに
由来
音 化 さ れ た 口 蓋 化 音 を 表 わ す.kとgは,ロ と〓
1)有
の よ う な 点 が あ げ ら れ る.
声 子 音 と 無 声 子 音 の 連 続 で は,先
声 化 し,無
シ
に 近 い.
発 音 上 の 規 則 と し て,次
行 子 音 は無
声 子 音 と有 声 子 音 の 連 続 で は,先
行子
音 は有 声 化 す る. labs[laps]「
イ ツ 人 に よ る ドイ ツ 語 か ら の 翻 訳 で あ る.
式 の 書 法 が 行 な わ れ た が,1920年
の お の が,閉
近 く,ラ
示 す)の2つ
ア 語 の〓
も っ と も 古 い ラ ト ヴ ィ ア 語 の 文 献 は,16世
外 の文字
の 音 韻 を 表 わ し て い る.
e音([〓]に
人
長母音文
字 か ら な り,e,e,o以
文 字eとeは,お
トヴ
人 が ア メ リカ そ の他 の国 外 に流 出 し
た の に ひ き か え,戦
母 音 文 字a,e,i,u,oと
に は 長 母 音 のoを
シ ア 人 は82万
大 戦 終 結 前 後,ラ
母 音 文 字 は,短 字a,e,i,uの9文
立 国 ラ ト ヴ ィ ア 共 和 国(1918∼40)の
成 立 と と も に,ラ
ックの
Endzelins)
(K.Muhlenbach)と
も い う . ラ トヴ ィ ア(Latvija,英Latvia)の
人,そ
トヴ ィ ア の言
の寄 与 す る と ころ が 大 き く,彼 は,ミ ュー レ ンバ ッハ
valoda,英Latvian,
露〓 [概
ラ トヴ ィア 語 の 標 準 語 の 確 立 に は,ラ 語学 者 ヤ ー ニ ス ・エ ンゼ リー ンス(Janis
良 い 」,nakdams[na:gdams]「
来
な が ら」 2)語
末 の 有 声 子 音 は,対
応 す る無 声 子 音 と して 発
音 さ れな い .
3)*s,*z>s,z.
maz[maz]「 3)子
少 し」
音vとjは,同
sirds「 心 臓 」,Lith,sirdis;ziema「
じ 音 節 内 でa,e,i,uに
す る と き,お
の お のu,iと
nav[nau]「
な い 」,dzejnieks[dzeinieks]「
4)*an>uo,*en>ie,*in>i,*un>u.
母 音 化 す る. 歌
ruoka「
の 他 の発 音 .
svess[sve∫]「 [音
手 」,Lith.ranka;pieci「5」,Lith.
penki;miksts「
手」 4)そ
韻]
jugs「
見 知 ら ぬ 」,mezs[me∫]「
ラ ト ヴ ィ ア 語 に は,12の
重 母 音,26の
5)語
森」
母 音,10の
軟 ら か い 」,Lith.minkstas;
くび き 」,Lith.jungas
末 音 節 で,短
に 変 わ り,二
二
〉uに
子 音 が あ る.
母 音 は 消 失 し,長
重 母 音*ai,*ei,*ie>i,*au,*uo
acs「 目」,Lith.akis;lacis「
長 母 音:/i//e//e//a//o//u/
dari「
二 重 母 音:/ai//au//ei//ie//uo//iu/
み は保 存 され て い る.
蜜 」,Lith.medus
[ア ク セ ン トと イ ン トネ ー シ ョ ン]ラ
歯 擦 音:/s//z//s//z/
は,語
摩 擦 音:/f//v//h//j/
cent)を
鼻
音:/n//n'//m/
ヴ ィ ア 語 は,自
側
音:/l//l'/
な り,ア
ふ る え 音:/r/
欧 祖 語 の*aは,リ
トア ニ ア
もつ,固
由 ア ク セ ン トを も つ リ トア ニ ア 語 と異
ク セ ン トの 語 頭 化 に よ り,語
トア ニ ア 語 で はoと
トヴ ィ ア 語 で はaと
頭,語
保 存 し て い る . さ ら に,ラ 長 音 節,す
な
して 保 存 さ れ て
い る.
な わ ち,長
音 節 に は,イ
母 」,Lith.〔
リ トア ニ ア 語 〕mote「
女,妻 」
子 音*k',*g'>c,dz.
ciets「 固 い 」,Lith.kietas;dzerve
中 で は,母
母 音,二
重 母 音,お
<表1>名
ン トネ ー シ ョ ン(音 調)が 現 わ れ,リ
下 の3種
a‐語 幹
単 数 主 格
tevs「
roka「
属 格
teva
与 格
tevam
対 格
tevu
具 格
tevu
位 格 呼 格
父 」
rokas
トア
1)下
降 音 調(')(kritosa
nakts「
母音記号
調 記 号 の み が 付 され る.
i‐語 幹 手 」
合 もつ
が あ る . な お,
単 音 と し て の 長 母 音 の 音 調 を 記 す 際 に は,長
intonacija,英falling
詞 の 曲用 o‐語 幹
よ び,混
の 結 含)を
intonation)
gerve.
音 の量 を
ニ ア 語 よ り音 楽 的 で さ え あ る.
が は ず さ れ,音 「鶴 」,Lith.
末 音 節 の弱 化 を
トヴ ィ ア 語 の 特 徴 と し て,
イ ン ト ネ ー シ ョ ン に は,以
mate「
ac‐
定 ア ク セ ン ト型 の 言 語 で あ る . ラ ト
二 重 母 音(a,e,i,uとr,l,m,nと
下 に あ げ る.
トヴ ィア語
の 初 頭 音 節 に 強 い 強 勢 ア ク セ ン ト(stress
著 し く被 っ た . し か し,語 バ ル ト語 派 の 言 語 に 共 通 に 生 じ た 音 変
化 に つ い て は,「 バ ル ト語 派 」 の 項 に 譲 り,リ
2)軟
末 の*‐usの
medus「
破 擦 音:/c//c//dz//dz/
語 と異 な っ た 顕 著 な 音 変 化 の み を,以
私は
為 す 」,Lith.darau
破 裂 音:/p//t//k//k'//b//d//g//g'/
っ た が,ラ
熊 」,Lith.lokys;
あ な た は 為 す 」,Lith.darai;daru「
た だ し,語
/eu//oi//ou.//ui/
1)印
母 音 は短 母 音
短 縮 化 さ れ た.
短 母 音:/i//e//e//a//o//u/
[音 変 化]
冬 」,Lith.
ziema
後続
u‐語 幹 夜 」
tirgus「
nakts
tirgus
rokai
naktij
tirgum
roku
nakti
tirgu
roku
nakti
tirgu
teva
roka
nakti
tirgu
tev(s)!
roka!
nakts!
tirgu!
複 数 主 格
tevi
rokas
naktis
tirgi
属 格
tevu
roku
naksu
tirgu
与 格
teviem
rokam
naktim
tirgiem
対 格
tevus
rokas
naktis
tirgus
具 格
teviem
rokam
naktim
tirgiem
位 格
tevos
rokas
naktis
tirgos
呼 格
tevi!
rokas!
naktis!
tirgi!
市場」
tas(tas,代
名 詞tas「
Lith.tos,ギ sniegs「 2)引
そ れ 」 の 単 数 女 性 属 格),
述 用 法 に お い て も,名 詞 の性,数,格
リ シ ア 語〓;
雪 」,Lith.sniegas
容 詞 に,不 定 を表 わ す 単 純 形 と,特 定 を表 わ す 限 定 形
き伸 ば し 音 調( )(stiepta
sustained
intonacija,英
intonation.軽
い 上 昇,な
とが あ る.単 純 形 の 男性 形 はo‐ 語 幹 名 詞 の 語 尾 と,
い し,上
昇
saule「 3)狭
兄 弟 」,Lith.brolis;
容 詞 の 限 定 形(例:「 男性形
単 主
頭 」,Lith.galva,galvos(複
数 主 格)
labais
laba
属
laba
labas
与
labajam
labajai
対
labo
labo
れ ぞ れ 対 応 し て お り(下 降 音 調 の 符 号 は,
具
labo
labo
位
labaja
labaja
labie
labas
属
Iabo
labo
与
labajiem
labajam
対
labos
labas
具
labajiem
labajam
位
labajos
labajas
トヴ ィ ア 語 の 下 降 音 調 に
ラ トヴ ィ ア 語 で は('),リ の 向 き が 逆 で あ る),両
トア ニ ア 語 で は(')で,符
あ る. そ して,ラ
号
言語の音 調の 現われ方は 逆で
ト ヴ ィ ア 語 の 音 調 の 方 が,印
欧語的
トア ニ ア 語 よ り古 い 状 態 を 示 し て い る.さ
ら に,
ラ トヴ ィ ア 語 の 狭 窄 音 調 に 対 し て も,リ
トア ニ ア 語 の
下 降 音 調 が 対 応 し て い る が,こ
トア ニ ア 語 の
れ は,リ
ア ク セ ン ト移 動 型(語 根 と語 末 で,ア
ク セ ン トが 交 替 す
る)の 名 詞 の 下 降 音 調 に 対 応 し て い る こ と か ら,狭 窄 音 わ ば,引
複 主
き 伸 ば し音 調 の 変 種 で,ア
クセ ント
単 純 形:balts
zirgs「
限 定 形:baltais
形 容 詞 の 比 較 級 は,原
と 考 え ら れ る.な
く ら れ,最
(ozols)「
トヴ ィ ア 語 で は,/uozuols/
樫 の 木 」(参 照Lith.azuolas,azuolai〔
数 主 格 〕)の よ う に,各
複
長 音 節 に音 調 を示 す こ とが 特徴
的 で あ る. [形
ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,男 数,複
数 を 区 別 し,格
属 格(生 格),与
格,対
格,具
性 名 詞 と女 性 と し て,主
格(造 格),位
格,呼
格, 格 の
を もつ .
曲 用 は,大
あ る. 父 」,jo‐ 語 幹:bralis「
ⅱ )a‐
語 幹:roka「
手 」,e‐ 語 幹:zeme「
ⅲ )i‐ 語 幹:nakts「
とⅳ
兄弟」 土地」
夜」
語 幹:lietus「
一 般 に ,ⅰ
の
の とお りで あ る.同
雨」
較 級labak,最
とⅲ
は女性名詞 トア ニ
語 幹 名 詞 とa‐ 語 幹 名
語 幹 の 曲 用 変 化 を,部 分 的 に 浸 蝕 し て い る(表
1).
Riga
ir lielaka
(リ ガ 市 は
neka
語 幹,女
性形は
a‐ 語 幹 の 変 化 に 倣 う. 形 容 詞 は,修
Jelgava.
あ る 大 きい
よ り 〔接 続 詞 〕イ ェ ル ガ ヴ
(リ ガ 市 は あ る も っ と も大 き い 都 市 で ラ ト ヴ ィ ア で 〔位 格 〕)「リ ガ 市 は ラ トヴ ィ ア で も っ と も大 き い 都 市 で あ る」 3)代
名詞
人 称 代 名 詞 主 格 形:es「 容 詞 と 分 詞 の 男 性 形 はo‐
容 詞
上 級vislabak
文 を あ げ る.
Riga ir vislielaka pilseta Latvija.
は 男 性 名 詞,ⅱ
ア 語 に 比 べ 単 純 化 して お り,o‐
じ く,labs,labaの
場 合 に つ い て 示 す.
ァ 市)「 リ ガ 市 は イ ェ ル ガ ヴ ァ 市 よ り大 き い 」
で あ る . ラ トヴ ィ ア 語 の 名 詞 の 屈 折 体 系 は,リ
2)形
を付 し
場 合,次
最 上 級:vislabakais,vislabaka 副 詞 は,次
以 下,例
語 幹:tevs「
な お,形
と え ば,labs,labaの
よ う に な る.
原 級labi,比 別 し て4つ
ⅰ )o‐
詞 は,他
を 付 してつ
較 級 限 定 形 の 前 にvis‐
限 定 形:labakais,labaka 詞
名 詞 が あ り,単
ⅳ )u‐
上 級 は,比
て つ く ら れ る.た
そ の 白 い馬 」
級 の 語 幹 に‐ak‐
比 較 級:labaks,labaka
態]
1)名
7格
あ る 白い 馬 」
zirgs「
の 語 頭 化 に よ り引 き 伸 ば し音 調 が 阻 ま れ て 生 じ た 音 調 お,ラ
良 い」)
女性形
き 伸 ば し音 調 に は 下
上 例 に み ら れ る よ う に,ラ
は リ トア ニ ア 語 の 上 昇 音 調 が,引
調 は,い
<表2>形 数/格
rits「 朝 」,Lith.rytas;
降 音 調 が,そ
変 化 形)
intonacija,英broken
門 閉 鎖 な い し声 門 の狭 窄 に よ る,
急 激 な 声 の 弱 化 を 伴 う音 調)
に,リ
性)「良 い」の 場 合 は,
が添 え られ てで き た形 で あ る(表2).
窄 音 調(^)(lauzta
galva「
性),laba(女
リ トア ニ ア語 と同 様,単 純 形 に代 名 詞(*jisの
太 陽 」,Lith.saule
intonation.声
女 性 形 はa‐ 語 幹 名 詞 の 語 尾 と同 一 で あ る.限 定 形 は, た とえば,labs(男
を 抑 制 し つ つ 引 き 伸 ば し た 平 坦 な 音 調) bralis「
と照 応 す る.
ラ トヴ ィア語 に は,冠 詞が な く,そ の代 わ りに,形
vina「
彼 女 」;mes「
vini「 彼 ら」,vinas「 飾 用 法 に お い て も,叙
指 示 代 名 詞:sis,si「
私 」,tu「
君 」,vins「
私 た ち 」,jus「 彼 女 ら」 こ れ 」;tas,ta「
彼 」,
君 た ち 」,
そ れ」
そ れ ぞ れ,格
変 化 を す る.
4)動
詞
<表3>動
ラ トヴ ィ ア 語 の 動 詞 は,現
在,過
タイ プ 未 来 の3つ 現 在2人
の 時 制,直
説 法,命
令 法(基 本 的 に,直
称 単 数 ・複 数 形 に 同 じ),条
関 係 法 の5つ
の 法,能
件 法,義
動 形 と再 帰 形,迂
が,不
務 法,
1.celt rast「
ア ス ペ ク トの 区 別 が あ る.動
詞 前 接(preverb)の
「読 む 」,rakstit「
書 く」 は,行
死 ぬ 」mirstu
miru
cirst「
切 る 」certu
cirtu
完 了 体 動 詞 で あ る の に 対 し,動 uzrakstitは,行
と過 去 語 幹 の3つ 人 称,数
定 形 語 幹,直
を 区 別 す る が,3人
称 の み は,単
用,第3活
用 の3つ
た く を 終 え て い る」
「彼 は(彼
の タ
用 は,過
用 は,現
称 形 と が,同
制
表4に,現
過 去 形 は,過
去 語 幹 形 に,活
添
maja.
気 が 良 け れ ば,私
来 形 は,不
‐s;‐sim,‐sit(再
定 形 語 幹 に,活
用 語 尾‐su,‐si,
る.さ
件 文 の主 文 お よ び 従 属 文 に 使 わ れ
ら に,butuと
過 去 能 動 分 詞 主 格 形 の 複 合 形 で,
Ja
es
to
tad
帰 形 は,‐sos,‐sies,‐sies;‐simies,
あ る 」 は,不
butu
butu
to
そ の と き
zinajusi,
pateikusi.
そ れ を 話 し て い た
「も し 私 が そ れ を 知 っ て い た ら,そ
添 え て つ く ら れ る(表5).
動 詞but「
は家 の 中 に 座 って
い な い の に」
も し 私 が 〔女 性 〕 そ れ を 〔対 格 〕 知 っ て い た ら,
え て つ く ら れ る(表5). ま た,未
望 を 表 わ す.
laiks,es
過 去 の 事 実 と 反 す る こ と を 表 わ す.
用 語 尾‐u,‐i,‐a;‐am,
帰 形 は,‐os,‐ies,‐as;‐amies,‐sties)を
能 性,願
labs
座 っ て な い 家 の 中 に 〔 位格〕
節 多 い こ とを 特
在 形 の 活 用 語 尾 を示 す .
規 則 動 詞 で,次
の よ うな変
の と き私 はそ
れ を 話 して い た の に」 単 文 で 願 望 を 表 わ す.
化 を す る. 在 esmu,esi,ir;esam,esat
Kaut
過
去 biju,biji,bija;bijam,bijat
せ め て も っ と早 く 〔比 較 〕 始 まれ ば なあ
未
来 busu,busi,bus;busim,busit
現
完 了 形 は,butの
現 在,過
来 完 了 が つ く ら れ,行
去,未
saktos
春が
来 の各 形 と過 去 能 在 完 了,過
去完
為 が 終 わ って い る 状 態 を
「春 が も っ と 早 く来 れ ば よ い の に 」 ま た,条
件 法 は,命
令 形 を 用 い た 場 合 よ り丁 寧 な 依
頼 を 表 わ す.
表 わ す. 過 去 能 動 分 詞 は,過 単 数 男 性:celis(再
去 語 幹 か ら 導 か れ る. 帰 形celies),
女 性:celusi(celusies) 複 数 男 性:celusi(celusies), 女 性:celusas(celusas) 以 下 に,完
drizak
pavasalis!
動 分 詞 主 格 形 と の 迂 言 形 に よ っ て,現 了,未
定形
あ れ ば 良 い 天 気 が 私 は
上 例 の よ う に,条
a)時
‐sities)を
butu
「も し,今,天
じ 音 節 数 を も ち,
去 形 が 現 在 形 よ り1音
tagad
mood)は,不
称 変 化 が な い(例:celtu,
現 実,可
nesedetu
在 単 数1
徴 とす る.
‐at(再
添 え て つ く ら れ,人
も し 今
第3
浴 を 終 え て い る」(再 帰 形)
条 件 法(conditional
再 帰 形celtos).非
幹形 成 法 が
用(‐at,‐et,‐it,‐ot)と
女 は)入
b)法
Ja
活 用(‐it,‐et)は 派 生 動 詞 で,第2活
第3活
dzirdeju
mazgajies(mazgajusies).
詞 は,
数 形 と複 数
根 動 詞(不 定 形‐t)で,語
人 称 形 と 過 去 単 数1人
く」dzirdu
Vins(Nina)ir
に‐uを 用,第2活
用 は,語
聞
dariju
「彼 は(彼 女 は)洗
イ プ に 分 類 さ れ る(表3). 第1活
dzivoju
為 す 」daru
b.dzirdet「
説 法 の 現在 語 幹
形 が 同 じで あ る.
さ ま ざ ま で あ る.第2活
mazgaju
き る 」dzivoju
詞 前 接 を も つizlasit,
の 基 本 形 か ら つ く ら れ る.動
動 詞 は,第1活
生
3.a.darit「
為 の 完 結 を 表 わ す 完 了 体 動 詞 で あ る.
す べ て の 動 詞 形 は,不
洗 う 」mazgaju dzivot「
為 の 継続 を 表 わ す 不
radu
mirt「
ない
動 詞 は,一 般 に,不 完 了 体 動 詞 で あ る . す な わ ち,lasit
celu
見 つ け る 」rodu
2.mazgat「
完 了 体(perfective)の
過 去単数 1人 称形
「起 こ す 」celu
言 法 に よ る受
ラヴ語 ほ ど明 確 な対 立 は な い
完 了 体(imperfective)と
現在単数 1人 称形
不定形
説 法
動 形 と完 了 形 が あ る. ラ トヴ ィ ア 語 に は,ス
詞 活 用の タイ プ
去,
了 形 の 例 文 をあ げ る.
Vins(Nina)ir
mazgajis(mazgajusi).
Vai
tu
nevaretu
man
か 〔疑 問 小 詞 〕 君 は で き な い か 私 を 〔 与格〕 palidzet? 助 け る こ と が 〔不 定 形 〕 「君 は 私 を 助 け る こ と が で き な い か 」 義 務 法(debitive 直 説 法 現 在3人
mood)は,butの3人
称 +ja‐ +
称 の 迂 言 法 で 表 わ さ れ,「 ∼ ね ば な ら
<表4>動
詞 の現 在 形 活 用 語 尾 第1活 用
人称 単 数
単純形
1 ‐u 2
ゼ ロ
3
ゼ ロ ‐as
{
再帰形
単純形
再帰形
‐os
‐ju ‐jos ‐u
‐ies
ゼ ロ ‐jies ‐i ‐ies ゼ ロ
単1 起 こ す 」 celties「
起 き る 」
2.mazgat「
単3
celu
cel
cel
celam
celat
celos
celies
celas
celamies
celaties
mazgaju
mazga
mazga
mazgajam
mazgajat
daru
dari
dara
daram
darat
dzirdu
dzirdi
dzird
dzirdam
洗 う 」
b)dzirdet
「聞 く 」
eeltiesの
単 数2人
側 の 形 を と る.複
数3人
な い 」 の 意 を 表 わ す.た の3人
称 形 は,非
称 は,単
だ し,現
称 現 在)は,通
mazgatの
常,省
義 務 法 の 場 合,意
口蓋 化 音1を
数3人
在 時 称 で は,ir(but
略 さ れ る,た
と え ば,
味 上 の 主 語 は,与
格で表
私 は 〔 与 格 〕 洗 た くしな け れ ば な らな い 過
去:Man
bija
jamazga.
未
来:Man
bus
jamazga.
現
在:celot(再
未
来:celsot(再
dzirdat
用 語 尾 の う ち,斜
線の右
帰 形celoties) 帰 形celsoties)
複 合 現 在:esot+
過 去 能 動 分 詞celis(再
帰 形
他 動 詞 の 目 的 語 は,対
Meitene
esot(esot
娘 は
あ る よ う だ(あ っ た よ う だ)病
関 係 法 は,間 Tevs
格 形 で は な く,主
格形で表わ
bijusi)
slima. 気で
接 話 法 の 文 に お い て も使 わ れ る.
sacija,ka
rit
lisot
lietus.
父 は 言 っ た こ と を 明 日 降 る だ ろ う 雨 が 「父 は 明 日 雨 が 降 る だ ろ う と言 っ た 」
さ れ る. Man(ir)jalasa
gramata.
(参 照:直
な お,義
務 法 は,印
欧 諸 言 語 に は み ら れ な い,ラ
ト
ヴ ィ ア 語 独 自 の 発 達 で あ る. 関 係 法(relative
者 が 他 者 か ら聞 い た
者 が 行 為や 状態 の 内 容 に つ い て 確
信 し て い な い こ と が ら を 述 べ る 際 に 使 わ れ る.現 来 形,お 語 幹(現
よ び,複 在,未
この 法 の 名 称 は,動
合 現 在 形 が あ る.そ 来)に‐otを
在
れぞれの
添 え て つ く ら れ,
人 称 変 化 は し な い.
法 は,ラ
sacija,'Rit
lis lietus'.
「降 る 」 の 直 説 法 未 来 形)
組 み こ ま れ,関
mood)は,話
こ と を 述 べ た り,話
接 話 法Tevs
lisは,lit
私 は 読 ま ね ば な ら な い 本 を 〔主 格 〕
形 は,各
dzirdetは,第3活
複2
celies)
在:Man(ir)jamazga.
形,未
も つ.
複1
称 と 同 形.
わ さ れ る. 現
‐amies/‐amies
単2
「な す 」
注:celt,
ロ ‐as/‐as ‐am/‐am
‐sties ‐jat ‐jaties ‐at/‐at ‐sties/‐sties
《活 用例 》
3.a)darit
再 帰形 ‐os
‐jamies
‐at
1.celt「
単純形
‐jas ‐a/ゼ
複 数1 ‐am ‐amies ‐jam 2
第3活 用
第2活 用 {
{
詞 形 の 中 に,主
語以外の話者が
係 して い る と ころ か ら きて い る. 関 係
トヴ ィ ア 語 と リ トア ニ ア 語 に 特 有 な 文 法 現 象
で あ る. c)受
動
ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,受
の 制 約 が あ り,能
動表現に若干
動 文 が 好 ん で 使 わ れ,受
動 文 は,む
し ろ 避 け ら れ る傾 向 が あ る . そ の 理 由 は,ま
ず 第1に,能
動 文 「父 は 家 を 建 て る 」
に 対 し て,「 家 が 父 に よ っ て 建 て ら れ る」 と い う 現 在 形 <表5>動
詞 の 過 去 形,未
来 形 の活 用 例
(celt「 起 こ す 」,celties「 〔 過去形〕
起 き る」)
〔未 来 形 〕
の 受 動 文 は 不 可 能 で,「 父 に よ っ て 」の 部 分,す な わ ち, 動 作 主(agent)は 語 は,類
現 わ れ な い か ら で あ る.ラ
型 論 的 見 地 か ら み て,印
トヴ ィ ア
欧 諸 言 語 の 中 で,動
人 称 celt
celties
celt
celties
単1
celu
celos
celsu
celsos
第2に,ラ
ト ヴ ィ ア 語 の 受 動 文 は,現
在 ・過 去 ・未
2
celi
celies
celsi
celsies
来 完 了 か,現
在 ・未 来 進 行 を 表 わ す が,一
般 的 な 現 在,
3
cela
celas
cels
celsies
celam
celamies
celsim
celsimies
celat
celaties
celsit
celsities
複1 2
作 主 を 表 わ さ な い(agentless),ま
過 去,未
れ な 言 語 で あ る.
来 を 表 わ す こ と が で き な い.
受 動 は,but「
あ る」+ 過 去 受 動 分 詞(完 了 受 動),あ
る い は,tikt,tapt,ま
た は,klut「
な る 」+ 過 去 受 動
分 詞(進 行 受 動),の
迂 言 形 を と る.
Es
esmu(biju,busu)
私は
い る(い
Maja
た,い
macits. る だ ろ う)教
え られ て
Vienam つ あ っ た,つ
つ あ ろ う)
格 形 と 動 詞but「
tevam
bija
金 持 ち の 父 に 〔与 格 〕 い た
娘 が 〔主 格 〕
詞
ラ トヴ ィ ア 語 は,分
語 で,性,数,格
詞 形 が豊 富 な言
の 変 化 を す る可 変 分 詞,主
格 のみ で
性,数
の 変 化 を す る半 可 変 分 詞(半 分 詞),不
変化分詞
の3種
類 が あ る.以
下 に,主
格,単
数,男
・女 形 の 例
を あ げ る. 変》
「あ る 金 持 ち の 父 親 に1人 具 格 は,現
咲 い て い る」
現 在 受 動 分 詞 cel‐ams,‐ama「
に 使 わ れ る こ と が 多 く,手 ar
rakstu
私は
書 い て い る 新 しい
uz
過 去 受 動 分 詞 cel‐ts,‐ta「 起 こ さ れ た 」
diem(複
《半 可 変 》
par cel‐dams,‐dama「
《不 変 化 》
jaunu
起 き な が ら」
galda「
spalvu. ペ ン で 〔具 格 〕 れ ぞ れ,一
数 形 に 対 し て は,す
属 格)―uz
よ び,不 変 化 分 詞 は現 在 語
幹 か ら,過 去 能 動 分詞 は 過 去 語 幹 か ら,過 去 受 動 分 詞, お よび,半 分 詞 は 不定 形 語 幹 か ら,そ れ ぞ れつ くられ る.
gramatu「
書 物 に つ い て 」(gramataの
gramatam(複
既 出 の分 詞 以 外 の用 例 を,以 下 に あ げ る. 現 在 能 動分 詞:ziedosa
tirs
zelts「 純 粋 な 金 」,zelta
abele「 咲 い て い る リ ンゴ
現 在 受 動分 詞:dzerams udens「
彙]
gredzens「
飲 み水 」(可 能 を
siens「 刈 る べ き草 」(必 要 を
と の 混 交 に よ り,基
dziedadamas.
pajemu
「男 の 子 」,puke「
花 」,vai(疑
「∼ ね ば な ら な い 」,な
ligavinu,tevam
matei
tevu
plaujam
maurinu
「色 」,karogs「
週 」,gramata「
旗 」,kaposts「
私 は 見 る 父 が 〔 対格〕刈 っている 草 を 「私 は 父 が草 を 刈 って い るの を見 る」 ラ トヴ ィ ア語 は,語 順 が 比 較 的 自由 で
シ
期 ロ シア 語 か
数 形)「 休 日,祭
人 間 」,
文 書,本
」,svets 」,krasa
キ ャ ベ ツ 」,pirags
ど.
紀 か ら17世
紀 に か け て,ラ
ドイ ツ 人 領 主 に 支 配 さ れ,そ
.
ロ 日 も,ロ
と え ば,cilveks「
13世
格 形 と と もに用 い られ る.
こ か ら,今
よ ん で い る),古
教 会 」,svetki(複
「ピ ロ シ キ 」,な
redzu
リ ヴ ィ チ 人(〓,
ら 若 干 の 語 を 借 用 し た.た
知 らな い 間 に
不変 化 分 詞‐amは,対
紀 に ドイ ツ 人 が 到 来 す る よ り
baznica「
nezinot.
「 私 は父 も母 も知 らな い うち に 妻 を め と っ た」
問 小 詞)「 ∼ か 」,vajag
隣 接 し(そ
「聖 な る 」,nedela「
〔 与格 〕と母 〔 与格 〕が
とえ
家 」,puisis
ど.
部 ロ シ ア で,ク
ア の 国 名 をKrievijaと
格 絶 対 構 文 を とる.
私 は め とった 妻 を 父
[統辞 法]
本 的 な 語 を 借 用 し て い る.た
シ ア 人 の 一 部 族)と
「娘 た ちは歌 い な が ら行 っ た」
れ はや や 極 端 住 民 の リー ブ 人
数 形)「 結 婚 式 」,maja「
も以 前,北
娘 た ちは 行 った 歌 い な が ら(付 帯 状 況)
Es
ト ヴ ィ ア 人 は,先
ラ ト ヴ ィ ア 人 は,13世
半分 詞:
金の指
「ラ ト ヴ ィ ア 語 は リー ブ 人 の 口 を 借 り
ば,kazas(複
表 わ す)
不 変 化 分 詞‐otは,与
修飾語の
輪」 [語
で あ る と は 言 え,ラ
の 木 」(自 動 詞 のみ か らつ くられ る)
gaja
対
数) 詞 属 格 形 は,被
た 言 葉 」 と い う 言 い 習 わ し が あ る が,そ
Meitas
gal‐
数)
前 に お か れ る.
現 在 能動 ・受 動 分詞,お
表 わ す),plaujams
定
べての前置
の 格 形 は 同 一)を 支 配 す る.
修 飾 語 と して の 形 容 詞,名
cel‐am
とも
伴 を 表 わ す.
机 の 上 に 」(galdsの
格)―par
cel‐ot
置 詞arと
具,同
詞 単 数 形 に 対 し て は,そ
詞 が 与 格 ・具 格(2つ
過 去 能 動 分 詞 cel‐is,‐usi「 起 こ し た 」
半分詞
段,道
Es
の 格 を 支 配 す る が,複
起 こ す べ き」
の 娘 が い た」
代 ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,前
前 置 詞 は,名
現 在 能 動 分 詞 zied‐oss,‐osa「
Es
あ
meita.
建 て られ
《可
「∼ を もつ 」 を 表 わ す 動 詞 が 欠
bagatam
ある
celta.
d)分
有
れ を 表 わ す の に,与
る 」 が 使 わ れ る こ と が 特 徴 的 で あ る.
tiek(tiku,tiksu)
家 が つ つ あ る(つ
こ の 言 語 に は,所
け て お り,そ
トヴ ィ ア 人 農 民 は,
の 期 間 に,ラ
トヴ ィ ア語
は,中 世 低 地 ド イ ツ 語 か ら 語 彙 を 借 用 し た,た
と え ば,
meita「
娘,息
学 校 」,
tornis「
塔 」,stunda「
女 」,zens「
ま た,17∼20世
少 年 」,skola「
時 間 」,un「
紀 前 半 に は,ド
そ し て 」,な
イ ツ 語 か ら3千
ど. 語が
流 入 し た.そ
の後 の 徹 底 した 言 語 純 正 化 の運 動 に もか
あ るが,上 例 の 文 にみ られ る よ うに,基 本 的 に,SVO
か わ ら ず,現
代 語 の 中 に,brilles「
の 言 語 で あ る.
ー ド」,tinte「
イ ン ク 」 な ど,ド
眼 鏡 」,mode「
モ
イ ツ 語 か らの 借用 語
Erganzun
が,約500語,常
用 語 と し て 残 っ て い る.
[方 言 と 標 準 語] で,バ
gen und
ラ トヴ ィ ア に は,14∼16世
ル ト語 派 の ク ロ ニ ア 語(Curonian),ゼ
ア 語(Semgalian),セ て い た.リ
西 側 に は,今
リ ー ブ 語 を 話 す 人 々 が い る.現 言 は,そ
東 の 高 地 方 言 の3大
ずかながら
在 の ラ トヴ ィ ア 語 諸 方
の リ ー ブ 方 言,中
ム ガ レ(Zemgale),ク
ら に,ヴ
下 位 区 分 さ れ,ヴ
Bendiks,H.et
位 方 言 と し て,ラ
(1951),Latviesu
ら に3 部方言
トガ レ 方 言,セ
(Latvijas
vardnica
al.(1979‐81)
York)
,
(The
J.Kabelka(1977)
,Latviu‐
ministrija,
J.Endzelin
I‐Ⅳ(Izglitibas
唯 一 の,イ
,
in
Latvian
Press,London) dialektologija
izdevnieciba,Riga) Standardization
Latvian(Almqvist
&
Wiksell
,
Stockholm) Sokols,E.et
ン トネ ー シ ョ ン と 語 源 付 き 辞
al.
valodas
典. Endzelin,J.und
University
valsts
Process
von
Modern
Yourself
English
(Latvijas
Muhlenbach,K.(1923‐32),Lettisch‐deutsches fortgesetzt
,
Association
Ruke‐Dravina,V.(1977),The
Worterbuch,Redigiert,erganzt und
in
Latvian
Rudzite,M.(1964),Latviesu
lietuviu kalbu (『ラ zodynas ト ヴ ィ ア 語‐ リ トア ニ ア 語 辞 典 』)(Mokslas,Vilnius)
Riga)―
Course (American
Lazdina,T.B.(1966),Teach
Riga) Balkevicius,J.and
(Mintis
Lincoln,Nebraska)
,Latviesu‐vacu
ラ ト ヴ ィ ア 語‐ ドイ ツ 語 辞 典 』)(Avots
kalba
Lasmane,V.(1985),A Latvian
al.(1980)
Sprache und
Vilnius)
ラ トヴ ィ ア 語‐ロ シ ア 語 辞 典 』)Ⅰ‐Ⅱ
Bisenieks,V.et
Hague/
Hague/Paris/
Kabelka,J.(1975),Latviu
,Latviesu‐krievu
(Liesma,Riga)
vardnica(『
Lettische
Dialekte(Mouton,The
New
(『ラ ト ヴ ィ ア 語‐英 語 辞 典 』)(Avots,Riga)
The
York)
Gaters,A.(1977),Die
Trukina,E.(1982),Latviesu‐anglu
Grammar
Latvian Ⅰ‐Ⅲ(Mouton
Paris/New
ihre
gramatika
izdevnieciba,Riga) H.Gelson(1980),A
of Modern
書]
vardnica(『
valodas
valsts
Fennel,T.G.and
ロ
ニ ア 方 言 が あ る.
Beitina,M..et
Grammatik(Carl
Winter,Heidelberg)
ィ ゼ メ 方 言 と ゼ ム ガ レ方 言 だ け で あ る.
高 地 方 言 に は,下
Lesebuch(Carl
(1923),Lettische
ト
部 方 言 は,3大
っ と も保 守 的 な 状 態 を 示 し,さ
literaras
[参 考 文 献]
言に
種 の イ ン トネ ー シ ョ ン を 保 存 し て い る の は,中 の 中 で も,ヴ
al,(1972‐),Latviesu vardnica Ⅰ‐Ⅵ(Zinatne,Riga)
Winter,Heidelberg)
ル ゼ メ(Kurzeme)の3方
ヴ ィ ア 標 準 語 の 基 礎 と な っ て い る.中
valodas
Endzelin,J.(1922),Lettisches
ィ ゼ メ(Vidzeme),ゼ
ィ ゼ メ 方 言 と ゼ ム ガ レ方 言 が,ラ
方 言 の 中 で,も
al.(1987),Latviesu
va rdnica(Avots,Riga)
央 の 中 部 方 言, 図 〉を参
K.
Worterbuch
fonds,Riga)
valodas
方 言 に 分 か た れ る(〈
部 方 言 は,さ
[辞
(Kulturas Gulevska,D.et
れ ら の 基 層 言 語 の 上 に 成 立 し た.
ラ トヴ ィ ア 語 は,西
照).中
も,わ
残存 し
zu
Muhlenbach s Lettisch‐deutsches
ムガ リ
ロ ニ ア 語(Selonian)が
ガ(Riga)湾
Berichtigungen
紀 ま
(1959‐62)
,Musdienu latviesu
gramatika Ⅰ‐Ⅱ(LPSR
zinatnu
aka
demija,Riga)
E.Hauzenberga(1934‐46),
[参
照]
バ ル ト 語 派,リ
ト ア ニ ア 語,古
プ ロ シ
ア 語
<図>ラ
トヴ ィア 語 の 方 言 分 布 (村 田 ラ ン ゴ バ ル
ド 語
郁 夫)
独 Langobardisch,
英Langobardic,伊longobardo [系 族
統]
ラ ン ゴ バ ル
gobarden)の マ ン 語 派 nisch)に
ラ ン ゴ バ ル
ド 語 は,ゲ
ド 族(ラ
ンLangobardi,独Lan
言 語 で,イ の,い
わ ゆ
属 す る(→
西 ゲ ル マ ン 語 は,ま nisch)と
テ
ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ゲ る 西 ゲ ル
マ
ル
ン 語(Westgerma
ド イ ツ 語). た,南
も よ ば れ る が,そ
語(Nordseegermanisch),ヴ
ル マ ン 人 の 一 部
ゲ ル マ ン 語(Sudgerma の 内 部 に は,北 ェ ー ザ ー
海 ゲ ル マ ン ・ラ イ ン
・ゲ
ル マ ン語(Weser‐Rhein‐Germanisch),エ
ル ベ ・ゲ
<図1>西 ル マ ン語(Elbgermanisch)の3つ 区 別 さ れ,ラ
ン ゴ バ ル ド語 は,古
mannisch),古
ア レ マ ン語(Altale‐
バ イ エ ル ン 語(Altbairisch)と
エ ル ベ ・ゲ ル マ ン諸 語 の1つ
同 じ く,
で あ る.
古 ア レ マ ン語 と 古 バ イ エ ル ン 語 は,古
語(Altoberdeutsch)と
ゲル マ ン語 内 部 に お け る
の 大 きな方 言 群 が
総 称 さ れ,ヴ
上 部 ドイ ツ
ェ ー ザ ー ・ラ イ
ン ・ゲ ル マ ン 語 の 流 れ を 汲 む 古 フ ラ ン ケ ン 語(Alt frankisch)の
う ち の,中
と と も に,古
部 お よ び 高 地 フ ラ ンケ ン語
高 ドイ ツ 語(Althochdeutsch)の
を形 成 す る.ラ
ン ゴ バ ル ド語 は,最
中 部 ドイ ツ 語 に近 く,時
代 が 下 が る と,古
語 と の 一 致 が 優 勢 に な る.し
か し,ラ
古 高 ド イ ツ 語 に 含 め る か 否 か は,論 で,た
と え ば,ブ
上 部 ドイ ツ
ン ゴ バ ル ド語 を の 分 か れ る と ころ
ラ ウ ネ の 『古 高 ド イ ツ 語 文 法 』 の
改 訂 者 エ ッ ガ ー ス(W.Braune 197513)は,古
中 核
古 の 資 料 で は,古
und
H.
Eggers,
高 ドイ ツ 語 に 含 め る こ と に は 消 極 的 で あ
る.8世
紀 半 ば に 始 ま る ド イ ツ 語 の 時 代 区 分 に 従 え ば,
6,7世
紀 の ラ ン ゴ バ ル ド語 を 古 高 ドイ ツ 語 に 含 め に
く い と い う 事 情 も あ る.と
も あ れ,ラ
ン ゴ バ ル ド語 に
は,古 高 ド イ ツ 語 を 特 徴 づ け る古 高 ド イ ツ 語 子 音 推 移,
エ ル ベ 下 流 左 岸 地 域,今
日の 北 ドイ ツ の リ ュ ー ネ ブ ル
す な わ ち,第2次
Lautverschie
ク ・ハ イ デ(Luneburger
Heide)の
た,不
タ キ ト ゥス は,『 ゲ ル マ ー ニ ア 』(Germania)第40章
bung)の
子 音 推 移(die
zweite
影 響 が 歴 然 と し て い る し,ま
素 が あ る け れ ど も,古
確実な要
高 ドイ ツ 語 の 重 要 な 特 徴 の1つ
で あ る ウ ム ラ ウ ト現 象(‐i‐ お よ び‐j‐Umlaut)も め ら れ る の で,ゾ 1970)な
ど,ラ
ン ダ ー エ ッ ガ ー(S.Sonderegger,
[部 族 史]
参 照).
ィ ナ ヴ ィ ア 南 部 と推 定 さ れ て い る.前1世
移 動 し,こ
い,日
ァ ン ダ ル族
ラ ン ゴ バ ル ド語 〕Gwo ォー ダ ンの 妻 フ ラ 髪 で 顔 を覆
ァ ンダ ル族 に 先 ん じて ヴォ ー ダ れ を 見 た ヴ ォー ダ ン は,彼
らに勝
利 と 「長 ひ げ 族 」 と い う 新 し い 部 族 名 ラ ン ゴ バ ル ドを 与 え た.か
くて,「 長 ひ げ を 蓄 え た 者(〓
<〓'lang'+〓'Bart')」 が,広
く流 布 す る に い た っ た が,古
部 族 の 命 名 は,部 り,ま
た,部
紀 後 半 に い た り,ラ
武 に よ っ て よ く独 立 を 保 持
「高 貴 さ 」 を 讃 え て い る.2世
ン ゴ バ ル ド族 は,一
っ て,移
動 を 開 始 し た.今
部 が,エ
部 分 は,5世
ル ベ 紀 に入
日の リュー ネ ブル ク市 近 郊
の 小 都 市 バ ル ドヴ ィー ク(Bardowick)は,13世
紀 ま
の 中 心 地 で あ っ た.部 は,ラ
族 名 と関 係 の あ る こ れ ら の 地 名
ン ゴ バ ル ド族 が,長
くこ こ に居 住 して い た こ と
を 語 っ て い る.
ル マ ン の最 高
助 言 に 従 い,長
の 出 の 刻 に,ヴ
ン の も と に 赴 く.こ
の
の大部
で 記 録 に 名 を 留 め て い る バ ル デ ン ガ ウ(Bardengau)
衝 突 し た.
戦 勝 を 祈 願 す る に あ た り,ヴ
イ ア(Freia,lgb.Frea)の
の
在 の ドイ ツ の リ
ィ ニ ラ ー 族 は,ゲ
神 ヴ ォ ー ダ ン(Wodan,lgb.〔 dan)に
紀 頃,こ
こ で,ヴ
(ラ テ ンVandali,独Wandalen)と 古 伝 承 に よ れ ば,ヴ
カ ンデ
テ ンWinnili,独Win
コ リ ン ガ(Scorings,現
ュ ー ゲ ンRugen)へ
族 に 服 属 す る こ と な く,勇
下 流 地 域 を 離 れ て 南 下 し た が,大
ラ ン ゴ バ ル ド族 の 原 住 地 は,ス
地 に あ っ た ヴ ィ ニ ラ ー 族(ラ
ン ゴ バ ル ド族 が 小 部 族 な が ら,他
し て い る と して,そ
ン ゴ バ ル ド語 を 古 高 ドイ ツ 語 に 含 め る
学 者 も少 な く な い(図1を
niler)が,ス
に お い て,ラ 認
あ た り に 定 着 し た.
と い う通 俗 語 源 伝 承 に 由来 す る新
族 の ヴ ォー ダ ン信 仰 を示 す もので あ
族 の新 しい 戦 闘集 団 と して の 出発 を意 味
移 動 を 開 始 し た 彼 ら は,エ か い,シ mia)を
経 て,ド
は じめ に は,パ
ン ノ ニ ア(Pannonia)に
ツ 帝 国 の 皇 帝 ユ ス テ ィ ニ ア ヌ ス1世 ン(Alboin)王 年 に,ロ
に 率 い ら れ て,北
し て ,6世 進 出,ビ
の 死 後,ア
ン バ ル デ ィ ー ア(Lombardia)を
ルボイ
中 心 に,ラ に は,パ
占 領 し,こ こ を 首 都 と 定 め た が,さ
地 を 拡 大 して,国
境 沿 い に,自
族 共 同 体faraが
つ く ら れ た.諸
を 冠 し た 地 名 は,ラ
紀 ザ ン
イ タ リア に 侵 入,568
ン ゴ バ ル ド王 国 を 建 設 し た.572年 (Pavia)を
ヘ ミア(Bohe
ナ ウ 中 流 域 に 達 す る.そ
ヴ ィー ア らに征 服
由 戦 士 に よ る多 くの氏 所 に み ら れ るFara
ン ゴバ ル ド族 の 足 跡 を 示 す も の で
す る も の で あ ろ う.
あ る(図2を
さ て,ヴ
ラ ン ゴ バ ル ド族 は,5世
ァ ン ダ ル 族 を 破 っ た ラ ン ゴ バ ル ド族 は,
ル ベ 川 に 沿 って 南 東 に 向
ュ レー ジ エ ン(Schlesien),ボ
参 照). 紀 末 以 来,キ
リス ト教 に 接
<図2>イ
<図3>ベ
タ リア にお け る ラ ン ゴバ ル ド族 の
ゼ ニ ェの ル ー ン文 字 銘(6世
紀 後 半)
足跡
出 典:フ 注:本
テ ラー(C.J.Hutterer,1975)に 図 で は,翻
よ る.
字 に 大 文 字 は 用 い な か っ た.
発 見 さ れ た,A,B1組
の 銀 の 留 め 針(フ
裏 面 に 刻 ま れ た も の で あ る(図3を 普 通,A,Bは,そ
ィ ー ブ ラ)の
参 照).
れ ぞ れ,「Godahi(l)dは
「私Arsibodaは
祝 福 を」 と読 み ,留
歓 び を 」,
め針の所有者で
あ る 婦 人 に あ て た 祈 願 と祝 福 の 言 葉 と 解 さ れ て い る. Godahi(l)dもArsibodaも は,dとlの の で あ ろ う.ま (ahd.〔
婦 人 名 で あ る が,前
調 音 点 が 近 い の で,lが た,Bの
冒 頭 のkは,お
古 高 ドイ ツ 語 〕ih,nhd.〔
「私 」)の 略 記 で あ ろ う(以 下,新 出 典:ガ
ミ ル シ ェ ク(E.Gamillscheg,1935.)に
(た だ し,若 干 補 足).
し た.ア
wunnia`Wonne'「
リ ウ ス 派 を 奉 じ,7世
紀 前 半 に は,ア
リ ウス
派 の 推 戴 を 受 け た ロ ー タ リ 王(Rothari,在 652)が,ゲ
タ リ王 法 典 』(Edictus か し,王
Rothari,643)を
『ロ ー
ゴ バ ル ド族 の あ い だ に,徐
々 に,カ
ン ゴ バ ル ド人
と ロ ー マ 人 と の あ い だ の 異 宗 婚 に よ り,両
部 族 の同 化
が 深 ま る に つ れ て,一
体 として カ
層 促 進 さ れ た が,全
ト リ ッ ク に な る の は,7世
紀 末 で あ る.
ラ ン ゴ バ ル ド王 国 は,8世 (Liutprand),ア に,全
紀 前 半,リ
ウ トプ ラ ン ド 王の時代
イ ス ト ゥル フ は,751年
ビ ザ ン ツ 領 ラ ヴ ェ ン ナ(Ravenna)を
れ る.な
お,ア
ル ン ツ と ツ ァ イ ス(H.Arntz の2つ
に,「 私Arsibodaは
の 銘 を1文
占 領,ビ
ザ ンツ の
ラ ン ゴ バ ル ド語 の 言 語 資 料 と し て は,こ
れ ら,わ
とま った テ キ ス トは何
も 伝 え ら れ て い な い.た
ン ゴ バ ル ド族 の 王 た ち
だ,ラ
し て,そ
典 な ど の 中 に,単
語,主
れ も 大 部 分 は 人 名 で,他
と し て 法 律 用 語 が 散 見 さ れ る に す ぎ な い.ラ
れ る ゆ え ん で あ る.主
片 言 語)と
要 な 言 語 資 料 と し て は,ラ
conus,約720∼800年
ン ゴ バ ル ド族 を 破 り,ラ
の 滅 亡 に よ っ て,ラ わ け で は な い.ラ
ンゴ バ
か し,王
国
ン ゴ バ ル ド語 が た ち ま ち 消 滅 し た ン ゴ バ ル ド族 に よ っ て 南 イ タ リ ア に
建 て ら れ た ベ ネ ヴ ェ ン ト(Benevento)公 独 立 を 保 持 し つ づ け た し,ラ
国 は,な
お,
ン ゴ バ ル ド語 も 余 喘 を 保
つ こ と が で き た. [言 語 資 料] は,6世
史 』(Historia
紀 後 半 の ル ー ン(ル ー ネ)文 字 銘 が あ る.ハ
ガ リ ー 西 部 の ベ ゼ ニ ェ(Bezenye)村
ン
近傍 の墓地 か ら
頃)が
あ る が,こ
な み に,Edictus(よ
と は,Lex(法
は,ラ
紀 末)や
Rothari)が
典)に 対 し,立
ンゴ Dia
『ラ どが
に 発 布 さ れ た 『ロ と りわ け 重 要 で
り正 し くは,Edictum) 法 権 が な く告 示 権 だ け し
「告 示 法 典 」 を い う が,『
ロ ー タ リ王 法 典 』
ン ゴ バ ル ド部 族 の 法 典 の 中 で は も っ と も古 く,
ゲ ル マ ン 固 有 法 の 色 彩 が 濃 厚 で あ る.次 に,ラ
ン よば
『ラ ン ゴ バ ル ド
Langobardorum)な
れ ら 法 典 の 中 で は,643年
ー タ リ王 法 典 』(Edictus あ る.ち
著わ した
Langobardorum,8世
ン ゴ バ ル ド諸 法 典 』(Leges
か もた な い 残 存 す る ラ ン ゴ バ ル ド語 資 料 と し て
語 と
に 少 数 の 地 名 と専 門
フ ラ ン ク 族 の 王 カ ー ル 大 帝 は,774年,ロ
ル ド王 国 は フ ラ ン ク 王 国 に 併 合 さ れ た.し
ず
か な ル ー ン文 字 銘 を 除 け ば,ま
バ ル ド 人 史 家 パ ウ ル ス ・デ ィ ア コ ヌ ス(Paulus
救 援 要 請 に 応 じ て,ラ
順
よ 」 と 読 ん で い る.
勢 力 を 中 部 イ タ リ ア か ら駆 逐 し て,ロ ー マ を 脅 か し た. ーマ教皇の
H.
と し て,BAの
ゴ バ ル ド語 が,Trummersprache(破
に,
und
祝 福 と 歓 び を 祈 る,Godahi(l)d
の ラ テ ン 語 の 公 文 書 や 史 書,法
イ ス ト ゥ ル フ(Aistulf)両
盛 期 を 迎 え た.ア
神 の 祝 福 」 に 対 応 し,ラ
〓 ,1939)は,こ ン
トリ ック が広 ま っ
ら の カ ト リ ッ ク 改 宗 は,ラ
数 対 格 形,ahd.
無 上 の 歓 び 」 に 対 応,Bのsegun
は,ahd.segan`Segen'「
制 定 し た.し
の 後 継 者 が カ ト リ ッ ク を 信 奉 し た の で,ラ
て い っ た.彼
高 ドイ ツ 語 は`'で
ン ゴ バ ル ド人 の キ リス ト教 へ の 改 宗 を 示 唆 し て 注 目 さ
位636∼
ル マ ン 古 来 の 慣 習 法 を 多 く保 存 し た
そ ら く,ik
新 高 ドイ ツ 語 〕`ich'
示 す).Aのunjaは,wunjaで,単
よ る
者で
書 き落 と され た
にみ る よ う
テ ン 語 の 法 文 中 に ラ ン ゴ バ ル ド語 が 散 在 す る の
で,法
制 史 の 上 だ け で は な く,言
語 学 的 に も,き
わ め
て 貴 重 な 資 料 と な っ て い る. 372.Si
seruus
regis
actogild,et 373.Si seu
furtum
non
seruus
in
aut
fecerit,ita
aut
uuecuorin
qualibit
alia
conponat,sicut
exercitalium,quae
supra
decreta
sunt,
conponuntur. 374.De
sculdhais.Si regis
quis
sculdhais
occiderit
aut
utilitatem
regis
facientem,... Langobardorum
(Bearbeitet
von
643‐866
F.Beyerle)所
王 法 典 』372‐374章.た
収の
だ し,引
『ロ ー タ リ
用 に あ た っ て,
ラ ン ゴ バ ル ド語 を イ タ リ ッ ク 体 に 改 め た. 注)Cap.372:actogild「 nhd,'Geld'「
八 倍 金 」.後
屋 敷 へ の 闖 入 」.の ち,語
失 い,oberusと
頭
な る.uuecuorin「
路 道」
に あ た る.marahuorf「
馬 か ら の 突 き 落 と し 」.
marahはahd.march「
馬 」 に 対 応,後
はahd.,nhd.‐wurf(<werfen「
半‐uorf
投 げ る 」)に 対
応 す る.
' Schulthei〓'「
職 名.ahd.sculdheizo
[言 語 特 徴]
ラ ン ゴ バ ル ド王 国 の 書 き 言 葉 は,ラ 述 の よ う に,ラ
ラ テ ン 語 の 文 中 に,単
ン ゴ バ ル ド語 は,
語 の 形 で 現 わ れ る.転
写 に は,
ゲ ル マ ン語 の 古 いtに 例,そ
た はv,uで
き にt)で
代 替 され
擦 音pf,zz(z)[〓],kx
ン ゴ バ ル ド語 で も,P>pfの
推 移 は,
ほ と ん ど 完 全 に 行 な わ れ た が(例:as.〔
「け い れ ん 」),t>zz(z)は
古 サ ク ソ ン語 〕
一 部 に と ど ま っ た.た
し,古
上 部 ドイ ツ 語 の み に 現 わ れ るk>kxの
は,ラ
ン ゴ バ ル ド語 に は ま っ た くみ ら れ な い.
だ 推移
高 ドイ ツ 語 の 顕 著 な 現 象 で あ る ウ ム ラ ウ ト ル ッ ク ナ ー(W.Bruckner,1895)は,
ア ク セ ン トを も つ 短 音aの に よ る 変 音(a>e)だ
後 続 の ア ク セ ン トの な いi
け を 認 め,ま
(E.Gamillscheg,1935)は,ウ
た,ガ
ミル シ ェ ク
ムラ ウ ト可 能 な す べ
て の 母 音 に つ い て,‐i‐/‐j‐ に よ る 広 範 囲 の ウ ム ラ ウ ト を 認 め た が,ア 1987)は,イ
ル カ モ ネ(Maria
G.Arcamone,
タ リ ア 語 の 標 準 語 や 方 言 の 中 に,ラ
ンゴ
バ ル ド語 の 借 用 語 を 探 索 し,‐a‐ だ け で な く,‐u‐
表 記 す る こ と も少 な くな い.な
thing,ding'Thing'「
お,
も,
語 と 同 じ く,‐osあ
る い は‐asで
「宣 誓 補 助 者 」,scamaras「
頭 お よ び 語 中 で は[h],語 だ い に[h]へ
ち に 消 失 し た.お
語 の 影 響 に よ る も の で あ ろ う.た
で な く,ラ
ドィ ツ
末 で は[x]と
推 移 し た が,語 そ ら く,イ
タ リア
と え ば,arimannus
テ ン 語 で あ る と し,エ ッ ガ ー ス(W.Braune
H.Eggers,1975)も,こ
明 し て い る.一
方,ヴ
れ に 同 調 の態 度 を表 ァ ー グ ナ ー(N.Wagner,1987)
中 の ガ ウ(Gau,古
バ ル ド語 のa幹
と ま っ た く同 じ で,古 こ と を,納
な ど の 重 ね 子 音 字 は,古
畑 」),
ドイ ツ 語 と 同 じ く,「 長 い 」 子
ンゴ
高 ドイ ツ 語
サ ク ソ ン語 と は 語 尾 を 異 に す る
得 の ゆ く論 述 で 例 証 し て い る.
語 彙 面 で は,ラ 史 書,法
ン ゴ バ ル ド 語 は,ラ
テ ン語 の 公 文 書,
典 に 散 在 す る 単 語 の ほ か,今
数 え る が,そ
歯 」)のkk,nn
Lango
手 が か り に,ラ
方 言 に も借 入 さ れ て お り,そ
あ る.akkar[〓](ahd.ackar`Acker'「
genti
代 ゲル マ ンの行 政 区
の 男 性 名 詞 複 数 主 格 は,古
「戦 士 」 に あ た るharimannusの
頭 音 が 消 失 した 形 で
ー ン(Hans
れ ら の 語 尾 は ラ ン ゴバ ル ド語
は ラ テ ン語 化 し て い るが,ahd.hariman`Heermann'
zann[〓](ahd.zan`Zahn'「
あ る(例:gamahalos
密 偵 」)と 唱 え て 以 来,こ
域)名Scoringa,Mauringaを 字 は な い.hは,古
に,a
幹 の 男 性 名 詞 の 複 数 主 格 ・対 格 形 の 語 尾 は,古 サ ク ソ ン
bardorum)の
民 会 」,Saxo,ahd.Sahso
発 音 さ れ る.[x]は,し
ル ッ ク ナ ー が,1895年
は,『 ラ ン ゴ バ ル ド人 の 起 源 』(Origo
ザ ク セ ン 人 」).
ラ ン ゴ バ ル ド語 に は,黙
形 態 面 に お い て は,ブ
und
唇 音w[w]を
表 わ さ れ る(例:thinx=things,ahd.
頭 のh[h]は,の
同 様 に,ラ
Kuhn,1955/56)は,こ
由 来 す る 摩 擦 音z[s]やp
れ ぞ れs,th(と
た,k[k]とz[ts]をcで,両
語 と 同 じ く,語
れ ぞ れ,破
の 語 尾 を め ぐ っ て 論 争 が 絶 え な い.ク
テ ン 語 の 字 母 が 用 い ら れ た.
' Sachse'「
頭 音 お よ び 子 音 の あ と の 語 中 ・語
認 し て い る.
シ ュ ル トハ イ ス(執 行 官)」 に 対 応.
テ ン 語 で あ っ た.前
gs,hsはxで
音 のあ
擦 音ff(f),zz(z)[〓],
後 続 の‐i‐/‐j‐ に よ っ て ウ ム ラ ウ トを 起 こ す こ と を 確
Cap.374:sculdhais役
uuま
末 音 で は,そ
に つ い て,ブ
大 盗 人 」.
上 遮 断 」.前 半uuecはahd.weg'Weg'「
る.ま
た,語
ま た,古
半‐gildは
金 」 に あ た る.fegangi「
Cap.373:hoberus「
[〓]は,通
れ ぞ れ,摩
krampo∼ahd.krampf(o)`Krampf',lbd.krampf
テ キ ス トは,Leges
当 然,ラ
と の 語 末 音 で,そ
ルマ ン語 の
よ び,母
に 推 移 して い る.
actorem
音hを
バ イ エ ル ン語 で は,ゲ
音 に 挟 ま れ た 語 中 音,お
hh(h)に,ま
aliorum
高 ドイ ツ 語)子 音 推 移 を 受 け て
な わ ち,古
p,t,kは,母
culpa
ン ゴ バ ル ド語 は 古 バ イ エ ル ン 語 に き
わ め て 近 く,第2次(古 い る.す
hoberus
marahuorf
minorem
fecerit,reddat
sit fegangi.
regis
音 を 表 わ す. 音 韻 面 で は,ラ
日の イ タ リアの
の 数 は お お よ そ280語
の 大 部 分 は 小 農 階 級 の 語 彙 で あ る.ま
を た,
ス ロ ヴ ェ ニ ア 語 の 方 言 に も ラ ン ゴ バ ル ド語 が 入 り こ ん で お り,ラ
ン ゴ バ ル ド語 の 借 用 語 は,ラ
ン ゴ バ ル ド,
ス ロ ヴ ェニ ア両 民族 の 交渉 史 の貴 重 な 研 究 資 料 とな っ
buch(ARS‐Verlag,Gie〓en)
て い る. 統 語 面 で は,あ
Krause,W.(1966),Die
ま り に も 言 語 資 料 が 乏 し い の で,文
法 構 造 を 再 建 す る の は 至 難 の 業 で あ る が,古 語 と 本 質 的 に 大 き な 径 庭 は な い,と
高
alteren
ドイ ツ
hoeck
言 っ て も 間 違 い は
&
書]
nischen
「参 考 文 献 」 のBruckner,Gamill
scheg,Kobler,Schrobler(→Beyerle)を
参 照 さ れ
der
germa
deutsche
Literatur
86
(F.
Steiner,Wiesbaden) Opitz,S.(1977,19873),Sudgermanische
[参 考 文 献] Arcamone,M.G.(1987),"Der
i‐Umlaut
Langobardischen
nach
nischen",in
dem
Zeugnis
im
des
inschriften
Italie
R.Bergmann,H.Tiefenbach
und
Rhee,F.van Worter
(Bronder,Rotterdam) H.Zei〓(eds.)(1939),Die
mischen
einhei
Runendenkmaler
(Gesamtausgabe
des
der
Bd.Ⅰ)(Otto
alteren
germanischen schichte
deutschen
Worte
der
zur
Sprache und
Ge
einem
Glossar
der
von
部 族 法 典 の テ キ ス
Lan
ド
ー ジ)付
H.Eggers(197513),Althoch H.
Eggers)(M.Niemeyer,Tubingen)
schen
und
und
der
ド 語 辞 書 」 の3部
der
1500,Bd.I:Sprach
Gruyter,Berlin)
Tischler,J.(1989),"Zum
Langobardischen",in
H.Beck(ed.),Germanische
Rest‐und
mersprache(W.de
Trum
Gruyter,Berlin/New
langobardische
Nom.Akk.Pl.der
Endung
maskulinen ‐a‐
me",Zeitschrift fur
deutsches
Literatur
Stam
Altertum und
98(F.Steiner,Wiesbaden) (橋 本
郁 雄)
germani
り
序 章 」 「文 法 」 「ラ ン ゴ
か ら な る.た
だ し,修
正 を 要
der
リ ト ア ニ ア 語Lietuviu
Germanica germanischen
Philologie
Gruyter,Berlin)
Hutterer,C.J.(1975),Die
ラ ト ヴ ィ ア 語,死
Lilien,
全 住 民354万
人 中 の,271万
メ リ カ 合 衆 国 に40万 ロ ッパ 各 地 に15万
Wiesbaden,19872) Worter
ル ト
語 派 に 所 属 す る 言 語.
て 話 さ れ て い る.そ
Sprachen.Ihre Geschichte in Grundzugen
,Germanisches
語 で あ る古 プ ロ シア
ン ド ・ヨ ー ロ ッパ(印 欧)語 族,バ
ソ 連 邦 リ ト ア ニ ア 共 和 国(Lietvos germanischen
Kiado,Budapest;Drei
説]
語 と と も に,イ 11,
kalba,英Lithuanian,
独Litauisch,露 [概
Gamillscheg,E.(1935),Romania
Kobler,G.(1980,19822)
germa
zur
す る 個 所 も 少 な く な い.
Bd.Ⅱ,W,de
der
Gruyter,Berlin)
も っ と も 詳 細 な 文 法 概 説 書.「
(Akademiai
bis
LXXV,K.J.Trubner,Stra〓
burg;repr.1969,W.de
L.E. Grundri〓
Lan
Forschungen
Culturgeschichte
Volker
(Grundri〓
marphais", 14(C.Winter,Heidelberg)
Philologie
deutsche
(Quellen
H.Lauffer
Schutz,J.(1989),"Langobardisch
des
Grammatik,13.Aufl.(bearb.von
Sprache
langobar
und
Interferenz.Festschrift
Wagner,N.(1987),"Die
Bruckner,W.(1895),Die
Sprach‐
H.Kolb
York)
イ ツ 語 対 訳 を 除 い た 復 刻 版 が,第2版(1962)
と し て 刊 行 さ れ て い る. Braune,W.und
Gesetzen
W.Betz(M.Niemeyer,Tubingen)
geschichte(W.de
ラ ン ゴ バ ル
よ る グ ロ サ ー ル(11ペ
Mero
germanischen
dei
italiano",in
nischen
ト と ドイ ツ 語 対 訳 ・ シ ュ レ ー ブ ラ
.Schrobler)に
der
Sonderegger,S.(1970),"Althochdeutsch",in
I.Schrobler
Nachf.,Weimar)―
gobarden
langobardischen
Sprachwissenschaft
Literatur
Gesetze
gobarden,mit
deutsche
den
Schmitt(ed.),Kurzer
Beyerle,Fr.(1947),Die
き.ド
(1970),Die
(eds.),Sprachliche
59(M.Niemeyer,Halle)
(H.Bohlaus
in
fur
Gesetze",Beitrage der
der in
dismi
Runendenkmaler,
deutschen
aus
Scardigli,P.(1977),"All'origine
Festlandes
Harrassowitz,Leipzig)
Baesecke,G.(1935),"Die
Futhark
wingerzeit(Burg‐Verlag,Freiburg,i.Br.)
Winter,Heidelberg) Arntz,H.und
Runen
in alteren
L.Voetz(eds.),Althochdeutsch,Bd.Ⅰ(C.
バ ル
Gliederung
Sprachen",Zeitschrift fur deutsches
Altertum und
た い.
ー(I
im
Ruprecht,Gottingen)
Kuhn,H.(1955/56),"Zur
あ る ま い. [辞
Runeninschriften
Futhark,Ⅰ.Text,Ⅱ.Tafeln(Vanden
国 の 人 口 比 率 は,リ
の ほ か,ソ 人,南
Respublika)の
人 の リ トア ニ ア 人 に よ っ
米,オ
連 邦 内 に14万
人,ア
ー ス ト ラ リ ア,ヨ
人 の 話 し手 が い る.な トア ニ ア 人80%,ロ
お,同
ー 共和
シ ア 人9%,
ポ ー ラ ン ド人7%で,ソ 国 に 次 い で,他
連 邦 内 で は,ア
言 語 住 民 が 少 な い.文
ルメニア共和 字 は,ラ
テ ン文
リ トア ニ ア(Lietuva)の
名 称 は,1009年
古 文 献 に 言 及 さ れ る が,リ
トア ニ ア は,東
白 ロ シ ア 語 で あ り,次
ポ ー ラ ン ド語 を 日常 言 語 と し た.リ
Prasty
族 階 級 は,
トア ニ ア 語 の 文 献
タ ー の 宗 教 改 革 を 期 に,マ
Mazvydas)の
ー ジ ュ ヴ ィ ダ ス(M.
始 め と し,言
と も 重 要 な 文 献 ダ ウ ク シ ャ(M.Dauksa)の ッ ク教 の 説 教 書 』(Postilla の 宗 教 書,ド
rium ∼17世 れ,古
『カ ト リ
Cathoricka,1599)な
イ ツ 人 ク ラ イ ン(D.Klein)に
文 法 書(Grammatica
ど
よ る最 初 の
Lituanica,1653),シ
.Sirvydas)に
trium
ル ヴィ
次 大 戦 以 後,リ
2月
ー ガ(K.Buga)は,
方 の 予 想 に 反 し て 再 生 し,第1
トア ニ ア が 独 立 国 と な る に 及 ん で,公 大 戦 後,リ
び 公 用 語 に 復 活 し た.
[文 字 と 発 音] 字23,補
トア ニ ア が ソ連 邦 に
トア ニ ア 語 は 民 族 語 と な っ た が,1989年
に,再
リ トア ニ ア 語 の 文 字 は,ラ
助 記 号 を 付 し た 文 字9の,合
を 用 い,組
の とお り で あ る.
i,i,y,j,k,l,m,n,o,p,r,s,s,t,u,u, u,v,z,z.
母 音 文 字 は,短
母 音 文 字a/〓/,e/〓,(外
重 要 な ア ク セ ン トの 資 料 を 残 して い る.18世
紀中頃 に
i/i/,u/u/の4文
は,東
人 ドネ ラ
o/〓/,u/〓/,a/〓/,e/〓/,i/〓/,u/〓/の8
プ ロ イ セ ン 領 リ トア ニ ア に お い て,詩
トア ニ ア 文 学 の 最 高
傑 作 叙 事 詩 『四 季 』(Metai)を
しか し,ポ
書 き遺 し た.
ー ラ ン ド分 割 後,リ
支 配 下 に 入 り,さ
ら に,1865年
トア ニ ア は ロ シ ア の ま で の40
字,長
文 字 か ら な る.最 鼻 母 音,起
か ら1904年
後 の4文
短 母 音aとeは,ア
良 い 」).oは,本
シ ア 文 字 の 使 用 が 強 制 さ れ た た め,リ
母 音 で あ る が,国
物 は ほ と ん ど 出 版 され ず,リ
トア ニ ア 語
あ っ た.た
だ,東
プ ロ イ セ ン領 リ トア ニ ア で は,ド
ツ 語 化 の 波 に さ ら さ れ な が ら も,リ
イ
トア ニ ア 語 の 出 版
は 続 け ら れ て い た. 19世 紀 後 半,比
較 言 語 学 の 隆 盛 と と も に,シ
ブ ル ー ク マ ン(K.Brugmann),フ
シ ュ ー ル 等,錚
々た る印 欧
ロ イ セ ン領 と ロ シ ア 領 の リ トア ニ ア に,
現 代 印 欧 語 中 も っ と も 古 態 的 な リ トア ニ ア 語 の 実 地 研 究 に 訪 れ,フ
ォ ー ク ロ ア の 採 集,あ
ア 語 の 研 究 に 貢 献 した.最
る い は,リ
初 に,学
トア ニ
術 的 な リ トア ニ ア
語 文 法 書 を 著 わ し た シ ュ ラ イ ヒ ャ ー は,「
この よ うな
来,長 母 音/〓/ オ ペ ラ 」).
二 重 母 音 と し て,ai,au,ei,ie,uo,ui,お 外 来 語 の み に 現 わ れ るeuとoiが 重 母 音(mixed
母 音(例
よ び,
diphthong)と
あ る ほ か,混
組 み 合 わ せ に よ っ て で き る16個 :baltas「
合二
よ ば れ る,a,e,i,uと の二重
白 い 」)が あ る. 舌 母 音i,i,y,e,e,e
と 後 舌 母 音a,a,o,u,u,uの2系
列 に 分 か た れ る.
前 舌 母 音 に 先 行 す る 子 音 お よ び 子 音 連 続 は,口
蓋化音
(軟 子 音)と な る(例:geras/〓/).文
字iは,
母 音 と し て 発 音 さ れ る(例:pilis/p'il'is/「
城 」)以 外
に,先 号/'/と
行 子 音 が軟 子 音 で あ る こ と を示 す 単 な る軟 音 記 し て も用 い られ る.軟
後 舌 母 音(a,o,uな
ど)の
音 記 号 と し て のiは,
前 に の み 立 ち,先
行する
言 語 が 地 上 か ら 消 滅 し て い く こ とは な ん と 悲 し い こ と
子 音 お よ び 子 音 連 続 の 口 蓋 化 を 表 わ す(例:Vilnius
で あ る か 」 と 嘆 い て い る.し
/v'il'n'us/「
で,リ
か し,出
版禁止令の もと
トア ニ ア 語 の 父 と よ ば れ る ヤ ブ ロ ン ス キ ス(J.
Jablonskis)は,同 法 』(Lietuviskos
朋民族 のために kalbos
『リ トア ニ ア 語 文
gramatika,1901)を
地
お,
母音 と
際 的 用 語 の 外 来 語 で は,短
リ トア ニ ア 語 の 母 音 は,前
ォ ル ト ゥナ ー ト フ
(Φ.Φ.ΦOPTyHaTOB),ソ 語 学 者 が,プ
ュライ
ス キ ー ン(A.Leskien),
:geras「
と し て 発 音 さ れ る こ と が 多 い(例:opera「
r,l,n,mの
ヒ ャ ー(A.Schleicher),レ
由 来 す る.な
ひ き 伸 ば さ れ,長
止 さ れ,ロ
民 の 話 し言葉 と して生 きなが らえ て い る有 様 で
期 リ トア ニ ア語 で
ク セ ン トの あ る位 置 で 上 昇 音 調 を
して 発 音 さ れ る(例
は,農
字 は,古
と る と き,a/〓/,e/〓/と
トア ニ ア 語 に 固 有 の ラ テ ン 文 字 の 使 用 が 禁 トア
来 語)e/,
母 音 文 字y/〓/,e/〓/,
原 的 にan,en,in,unに
年 間 は,リ
ニ ア で は,書
字
が あ る.
a,a,b,c,ch,c,d,dz,dz,e,e,e,f,g,h,
ウ ク シ ャ の 文 献 は,
イ テ ィ ス(M.Donelaitis)が,リ
テ ン文
わ せ て32文
み 合 わ せ 文 字ch,dz,dz3つ
ア ル フ ァ ベ ッ トは,次
期 リ トア ニ ア 語 と よ ば
りわ け,ダ
ー ロ ッパ の 比 較 言 語
日で も価 値 あ る重 要 な 研 究 を遺
リ トア ニ ア 語 は,大
が 現 わ れ る.16
紀 の 宗 教 書 の 言 語 は,古
た,ブ
し た.
よ る 最 初 の 辞 典(Dictiona‐
linguarum,1629)等
い 言 語 状 態,と
っ
プ ロ
トア ニ ア に お け る 唯 一 の バ ル ト語 学 の
権 威 と し て 活 躍 し,今
編 入 さ れ,リ
語 学 上,も
た,東
期 的 な 文 法 書 と 辞 典(「 辞 書 」
著 作 し,ヨ
用 語 と な っ た.第2次
新 教 派 の 『教 理 問 答 書 』(Catechismusa
Szadei,1547)を
ー ダ ス(K
今 世 紀 初 頭,リ
世 後 期(14∼15世
の リ トア ニ ア ・ポ ー ラ ン ド王 国 時 代 に は,貴
ク セ ン ト学 史 上,画
「参 考 文 献 」 を 参 照)を
学 界 に 大 き く寄 与 し た.ま
ヨー ロ ッパ 最 大 の 国 家 と して 栄
え た が,当 時 の 官 房 語(公 文 書)は
は,ル
めて
トア ニ ア 語 の 文 献 は,16世
紀 前 半 か ら 始 ま る に す ぎ な い.中 紀),リ
に,初
語 教 育 の た め に 尽 力 し た.ま
イ セ ン の リ トア ニ ア 人 ク ル シ ャ ー ト(F.Kurschat) は,ア
字 を 基 礎 に つ く ら れ て い る.
下 出 版 し,国
ヴ ィ リニ ュ ス(首
都 名)」,ロ
シ ア 語〓
を 参 照). リ トア ニ ア 語 に は,前 み 合 わ せ 文 字 を 含 め,23の
述 の よ う に,ch,dz,dzの 子 音 文 字 が あ る.こ
組 の う ち,
j/j/(例:Jonas「
ヨー ナ ス(人 名)」)は,常 に軟 子 音
で あ るが,他 の 子 音 は,後 続 す る母 音 が 前 舌 母 音 で あ
流
音 側 音/〓/
る場 合 は軟 子 音,後 舌 母 音 で あ る場 合 は 硬 子 音 とな る. な お,ch,h,fの3文
字 は,外 来 語 にの み 現 わ れ る.
子 音 文 字 の 音 価 は,次 の とお りで あ る.
[音 韻 史]
変 化 と し て,次 1)*a,*o,*〓
2)*aが,長
3)*oが,uoへ
声 と無 声 の 子 音 連 続 に お い て は,後 行 子 音 は 後 続 子 音 に 同 化 さ れ,
そ れ ぞ れ,有
声 音 と し て 発 音 さ れ る.
atgal[adgal]「
元 へ 」,dirbti[dirpti]「
T=破
裂 音,R=流
擦 音,
飛 ぶ」
泣 くで あ ろ う(3人
称)」 た はRTSR(こ
音 お よ び 鼻 音),
alksta「
飢 え る(3人
音,混
称)」,linksmas「
幸 せ な」
音 節 の 核 を な す の は,単
合 二 重 母 音 で,子
母 音,二
重 母
音 は 周 辺 的 部 分 を な し,次
よ う に 切 ら れ る.
く の 場 合,特
に ア ク セ ン トを 受 け た
変 化 し た.
5)*euが,(i)auへ
6)語 末 に お い て*‐au,*‐ouが‐auへ,ま *‐euが‐iauへ 変 化 した .
7)*r,*l,*m,*nが,ir,il,im,in,ま
8)*k,*gが,s,zへ
9)同
変 化 し た.
「カ ラ ス 」,va‐ka‐ras「 子 音 連 続 の 場 合 は,最 z vaigz‐de「
た は,ur,
変 化 し た.
他 の 子 音 の 前 で は,鼻
の
10)語
夕方」
喜び」
<表1>リ
参 照.
鵞 鳥 」).
変 化 し た.
舌 母 音 の 前 に 立 つ*tj,*djは,そ
は,リ
木 の 」,
木 」).tとc,dとdz
ト ア ニ ア 語 の 形 態 上 に 現 わ れ る,唯
一の子
音 交 替 で あ る. 音 結 合*tt,*dtは,異
な お,上
長 母 音aを
字aは
よ り,リ
トア ニ ア 語 は,
欠 く こ と に な っ た.そ
文 字 体 系 に も 反 映 し,文 ま た,文
導 く(不 定 形)」,
私 は 導 く」).
記 の 変 化1と2に
短 母 音oと
化 作 用 に よ り,stと
:vesti<*vedti「
参 照:vedu「
長母音
れ ぞ れ,c,
dzとな っ た(例:medzio<*medjio「
な っ た(例
トアニ ア 語 の 母 音
短 母音
の
末 の*‐om,*‐am,*‐im,*‐um,*‐emは,そ
12)子 表1を
裂
母 音 を経 て 長 母 音 とな った
参 照:medis<*medjis「
終 子 音 の 前 で 切 る.
星 」,dziaugs‐mas「
音(12個)
鼻 音nは,破
れ ぞ れ,‐a,‐a,‐i,‐u,‐eに
戦 争 」,var‐na
韻]
1)母
た,
変 化 し た.
一 音 節 内(tautosyllabic)の
11)後
o‐la「岩 」,lie‐tus「 雨 」,ka‐ras「
[音
4)*eiは,多
(例:zasis<*zansis「 節]
母 音o
音 の 前 で 保 持 さ れ た が(例:penki「5」),そ
で あ る. [音
だ し,元
ク セ ン トを 受 け な か っ た*oは,長
ul,um,unへ
語 中 の 最 大 限 の 子 音 連 続 はRTSTま の 場 合,R=流
と 二 重 母 音 化 し た.た
語 末 に お け る 最 大 限 の 子 音 連 続 はRTS, verks「
合 流 し た. 変 化 し た.
音),
skraidyti「
が,aに 母 音oへ
場 合 に,ieへ
働 く」
語 頭 に お け る 最 大 限 の 子 音 連 続 はSTR(S=歯
の 点 が あ げ ら れ る.
と し て 存 続 し た よ う で あ る.
続 の 子 音 が 優 勢 で,先 声 音,無
/〓/
印 欧 祖 語 か ら リ トア ニ ア 語 へ の 主 要 な
来,ア 無 声 と 有 声,有
ふ るえ 音/〓/
/〓/
字oは
れ は,
本 質 的 に 長 母 音 を,
本質 的 に 短 母 音 の み を 含 意 す る よ う
に な っ た. [ア ク セ ン ト]
2)子
音(45個)
破裂音
リ トア ニ ア 語 の ア ク セ ン トは,語
の い ず れ の 位 置 の 音 節 に も落 ち う る 自 由 ア ク セ ン トで あ る.屈
折 変 化 語 の 中 に は,ア
ク セ ン トの 位 置 が 固 定
し て い る語 と 移 動 す る語 と が あ る.
破擦音
リ トア ニ ア 語 に は3種 ぞ れ,さ
歯擦 音
短 音 調(trumpine cent/intonation),上
摩擦音 音
priegaide,
gravis,英short
昇 音 調(tvirtagale
れ
宜 上, ac
priegaide
〔尾 勢 音 調 〕,cirkumfleksas,英rising/circumflex intonation),下
鼻
類 の ア ク セ ン トが あ り,そ
ま ざ ま な 呼 称 が 与 え ら れ て い る が,便
降 音 調(tvirtaprade
勢 音 調 〕,akutas,英falling/acute
priegaide〔 intonation)と
頭
よ ぶ.な
お,リ
ト ア ニ ア 語 の ア ク セ ン トは,強
抑 揚 が 微 妙 に か ら み あ っ た 混 合 体 を な し,純 (intonation)と
勢 と
粋 の音 調
母 音 に 固 有 の 短 い ア ク セ ン トで,
強 勢 を 主 と し て お り,専
門 家 に よ っ て は,音
の高 ま り
ranka「
娘 た ち 」,geresnis「
よ り 良 い 」,
手」
しか し,一
般 的 に は,高
上 昇 音 調(〓)と
下 降 音 調(〓)は,長
母 音,二
重 母 音, の 音 調 は,
kopti「
巣 箱 か ら蜂 蜜 を と る 」:kopti「
austi「
夜 が 明 け る 」:austi「
登 る」
常 の 二 重 母 音,混
成 長 す る 」,vilkas「
し か し,借 用 語 に お い て は,長
合二 重 母 音 に
末)を
お,ア
ク セ ン トを 受 殊 な 場 合(一 定
除 い て,短
き 伸 ば さ れ,上
vakaras<*vakaras「
音 調 と して 現
トヴ ィア
良 い 」(参 照:ラ
トヴ ィ ア 語
labs)
来,長
頭 に鋭 い 強 勢 が か か った下 降 的 音 調
母 音 と 長 い 二 重 母 音(起
原 的 に,*oi,*r
リシア 語〓(対
格)に 対 し て,
クセ ン トを移 し て い る. なわ
ン トは,後 続 の 下 降音 調 の音 節 に移 動 して い る(い わ ゆ る ソ シ ュー ル とフ ォル ト ゥナー トフ の ア ク セ ン ト移
ア クセ ン トとは 別 に,原
称 〕).な お,こ の 法 則 は,
リ トア ニ ア 語 の す べ て の 長 母
音 音 節,二 重 母 音音 節,混 合 二 重 母 音 音 節 に,音 調 が 存 在 して いた とい う仮 説 に基 づ い て い る.
音 調 の短 音 調 へ の 変 化(レ ス キ ー ンの法 則)が あげ られ *gera>gera「
良 い」(参 照:形
容 詞限 定形
太 陽 」,kelti「
上 げ る」
混 合 二 重 母 音 の う ち,iR,uR(R=n,m,l,r)の 音 調 に は,慣 「羊 毛 」).こ
習 上,短 れ は,リ
下降
アクセン
の よ う な 現 象 が 起 こ ら な か っ た 事 実 と も関 係
し て い る.saule,keltiに し か し,vilnaのiは な お,個
お い て は,a,eは
調 転 換(metatony)に
上 昇 音 調 や,二
りわ け,長
重 母 音ai,au,ei型
釈 が む ず か し い.印 い 二 重 母 音(oiな
き な 問 題 で,長
よっては
母 音 に現 わ れ る の 下 降 音調 の現 わ
欧 祖 語 の 語 根 に,果
た
ど)が
実 在 してい た か は 大
母 音 やeR(<*eR〓)型
の 語 と 同 様 に,
喉 頭 音(laryngeal)の
消 失 と の 関 連 か ら説 明 す る こ と
欧 語 の 古 い ア ク セ ン トの 位 置 を
トヴ ィ ア
り古 い状 態 を代 表 して い
る.そ れ につ い て は,「 ラ トヴ ィ ア語 」 の 項 を 参 照 さ れ た い. [形 1)名
態] 詞
リ トア ニ ア語 の 名詞 組 織 は,中 性 名
詞 を欠 くほか は,サ
ンス ク リ ッ ト語 に次 ぐほ ど の古 い
印欧 語 の状 態 を,今 日 も保存 して い る. 名 詞 に は,男 性 名詞 と女 性 名 詞 が あ り,単 数,複 数, 双 数(今 世 紀 初 め まで 保 存 され て い た)を 区 別 す る.格 は,主 格,属 格,与 格,対 格,具 格(造 格),位
問 が 残 る.
リ トア ニ ア 語 は,印
ラ トヴ ィ ア語 や 古 プ ロ シア語 に お い て は,そ れ ぞれ, 下 降 的 音 調 と上 昇 的 音 調 で 現 わ れ て お り,ラ 語 や 古 プ ロ シア 語 の 方 が,よ
々 の 語 の 上 昇 音 調 と 下 降 音 調 の 現 わ れ 方 は,
説 明 し が た い 例 が 多 く,と
れ 方 は,解
長 め に,
短 め に 発 音 さ れ る.
前 述 の 一 般 原 則 や,音
と,多 くの研 究 者 は 考 えて い る. なお,リ トア ニ ア 語 の 上 昇 音 調 と下 降 音 調 に対 して,
ト を 受 け て 延 長 化 さ れ る 傾 向 が あ る の に 対 し て,i,u に は,そ
トは語 頭 に あ るが,非 ア ク セ ン ト音節(長 母音,二 重母 音 の長 音 節)に お い て も,種 々の イ ン トネ ー シ ョンが 存 在 し,か つ て の リ トア ニ ア 語 に お い て も同 様 で あ っ た
音 調 記 号 が 使 わ れ る(例:vilna トア ニ ア 語 で,a,eが
ソ シ ュー ル の法 則 は,前 末 尾 と末 尾 間 に も認 め られ る. *ranka>*ranka>ranka(参 照:属 格rankos) ラ トヴ ィア 語 や 低 地 リ トア ニ ア 方言 で は,ア ク セ ン
固 有 の もの で あ っ た と 考 え ら れ て い る.
buti「 存 在 す る」,saule「
に は,疑
女 を」 は,ギ
格)「 息
geroji<gera+ji)
下 降 音 調 は,初
し て,長
トの語 頭 化 現 象 が 一 般 的傾 向 で,dukteri(対
る.
labas<*labas「
な ど)に
ら交 替 ア ク セ ン ト
トア ニ ア語 で は,ア ク セ ン
そ の他 の ア クセ ン ト現 象 と して,末 尾 にお け る下 降
昇 音 調 と な る.
タ 方 」(参 照:ラ
語vakars)
で,本
神 」 は,語 末 固 定
ン ト位 置,参 照:laiko〔3人
母 音 に も 現 わ れ る(例:
ぶ ど う 酒 」).な
わ れ る 代 わ り に,ひ
る.ま た,dievas(複
動 の法 則;以 下,単 に ソ シ ュー ル の 法 則).た と えば, *laikyti>laikyti「 保 つ 」(下 線 部 は ,元 来 のア ク セ
狼」
け る位 置 に 立 つ 短 母 音 のaとeは,特 の 文 法 カ テ ゴ リー,語
数dievai)「
ア クセ ン ト型(ヴ ェー ダ語devas)か
ち,上 昇 音 調 お よび短 音 調 の音 節 の上 に あ っ た ア ク セ
現 わ れ る.
vynas[〓]「
数vilkai)
ま た,ア ク セ ン トの後 続 音 節 へ の 移 動 現 象,す
冷 え る」
上 昇 音 調 は,緩 や か な 上 昇 に よ っ て 特 徴 づ け ら れ る.
augti「
ら語 根 固定 ア ク
「 狼 」 は,語 根 固 定 ア ク セ ン ト型(ヴ ェー ダ語vrkas)
語 中 か ら語 頭 へ,ア
意 義 の 差 異 に 関 与 す る.
来,通
男,夫 」 は,古 い語 末 固
セ ン ト型 へ 位 置 を変 え て お り,vilkas(複
型 に位 置 を変 え てい る.リ
ま りが 感 じ ら れ る.
混 合 二 重 母 音 に 現 わ れ る ア ク セ ン トで,2つ
こ の 音 調 は,本
とえ ば,vyras「
か ら語 根 と語 末 の交 替 ア ク セ ン ト型 へ 位 置 を変 え て い
を 認 め な い 人 も い る. dukterys「
くな い.た
定 ア クセ ン ト型(ヴ ェー ダ 語viras)か
は 言 い が た い.
短 音 調(〓)は,短
と どめ て い る語 が多 い が,変 化 を受 け て い る語 も少 な
格,呼
格 の7格 を もち,そ の ほ か,後 置詞(postposition)を
<表2>名
型
数
(1)単
複
詞 の 曲用 例
格 主
o‐語 幹
a‐語 幹 「 夫,男 」
「カ ラス 」
属
主 属 与 対 具 位 呼
与 対 具 位
型
呼 複
主
数
(3)単
主
属 与
与
対
対
「手 」
複
属
与
与
対
対
具
具
位
位 呼
主
(4)単
主
「天」
属
属
与
与
対
対
具
具
位
位
呼
「犬 」 (男性)
呼 「朝」
「頭 」
複
属
主 属
与
複
主
属
主
(女 性)
呼 「 車」
呼
(3)単
「息 女 」
位
呼
複
「息 子 」
具
位 主
子音語幹
属
具
(2)単
u‐語 幹
格
与
対
対
具
具
位
位
呼
呼
主 属
付 し た 周 辺 的 な 格 と し て,入
与
sive),向
格(allative)が
格(illative),傍
格(ades‐
あ る.
対 名 詞 の 曲 用 は,o‐ 語 幹,a‐ 語 幹,e‐ 語 幹,i‐ 語 幹,u‐
具
語 幹,子
位 呼 (4)単
主 属
音 語 幹(r‐,n‐,s‐
o‐語 幹,u‐
「 神 」
「枝 」
語 幹)が
語 幹 は 男 性 名 詞,a‐
は 女 性 名 詞 を 代 表 し て い る.子 女 性 名 詞 が 混 在 し,単
与
し い.名
詞 は,ア
対
に よ っ て,4つ
具
語 幹,8‐ 語 幹,u‐
あ る.一
語 幹,e‐
音 語 幹 は,男
性 名詞 と
数 主格 形 で は性 の判 別 が む ず か
ク セ ン トの 性 質,不
動 ・移 動 の 種 類
の 型 に 分 け ら れ る.一 語 幹,子
例 と し て,o‐
音 語 幹 名 詞 を,表2に
位
る.表
呼
リ トア ニ ア 語 の 前 史 に お い て,ア
中 の(1)∼(4)は,ア
般 に,
語 幹,i‐ 語 幹
あげ
ク セ ン トの 型 を 示 す. ク セ ン ト型1と2
の 名 詞 は 非 末 尾 ア ク セ ン ト型 名 詞,3と4は,子 幹 名 詞 を 除 き,末 さ れ る.2音
尾 ア ク セ ン ト型 名 詞 で あ っ た と 想 定
節 語(単
数 主 格 形)の1と3(た
音 語 幹 を 除 く)は,語 根 に,上
音語
詞 に3人
称 代 名詞 形 を付 し て つ く ら れ た 限 定形 が あ
る. 男 性 :gerasis(<geras+jis)「
だ し,子
昇音 調 ま た は 短 音 調 を もつ こ とが特 徴 的 で あ
比 較 級,最
上 級 は,次
比 較 級(男
る. ア ク セ ン ト の 移 動 は,*vyras>vyras(1)が
も
っ と も早 く起 こ っ た と 考 え ら れ る.次
dukteri)が,単 て 生 じ,さ
音 節 語suoの ら に,3お
い で,dukte
最 上 級(男
副 詞 形 :gerai「
語 幹,u‐ 語 幹,a‐ 語 幹
に も波 及 し,最 後 に,o‐ 語 幹 に お い て,一
層 の語 頭 化 現
性)geresne「
性)geriausias,(女
ア ク セ ン ト型 に な ら っ
よ び4のi‐
の と お りで あ る.
良 く」,比 較 級geriau「
最 上 級geriausiai「 3)動
詞
性)geriausia「
織 と比 較 し て,き
o‐語 幹 の ヴ ァ リ ア ン トio‐ 語 幹 名 詞 主 格dagys「
アザ
形 が 豊 富 な こ と が 特 徴 的 で あ る.
は,末
尾 ア ク セ ン トが 保 持 さ
ソ シ ュ ー ル の 法 則(上 記 を 参 照)は,さ
らに遅 い 時期
に,2・4型
の 単 数 具 格,複
数 対 格 に,ま
詞 で は,単
数 主 格 に も作 用 した と 想 定 さ れ る.
ラ ト ヴ ィ ア 語 で は,リ 調 は,virs(リ
トア ニ ア 語 の1と3の
トア ニ ア 語vyras),rits(リ
語rytas)の 3の
た,a‐ 語 幹 名
例 に み ら れ る よ う に,異
名 詞 が,古
トア ニ ア
な る 音 調 を 示 し,
く は 末 尾 型 ア ク セ ン トで あ っ た こ と を
示 し て い る. 2)形
と し て,直
複 数,双
容詞
形 容 詞 は,男 性 形 と 女 性 形 の ほ か に,
良 い 」
女 性 形 a‐語 幹:gera「
在 語 幹,過
去語
の 基 本 形 か ら 導 か れ る.活
用 形 は,単
数,
数(現 在 は 廃 用)を
の 区 別 を せ ず,形
vaikui「
動 詞 の 人 称 語 尾 に は,単
に,名
3種 類(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ),過
応 す る名 詞 語 幹 の 格 形 と
良 い 子 供 に 」,同
Siandien
Malonu
在 に
る.
詞 の 人 称 語 尾(単 純 形)
現在
過去
未来
yra
不 定 形 は‐tiで,活 て,次
の3種
用 は,3人
類 に 分 類 さ れ る.不
称 現 在 単 純 形 に よっ 規 則 動 詞 は,buti
「あ る 」 の み で あ る
複 数 主 格 形geri
用 dirbti「
働 く」,現 在dirba,過
第2活
用 mileti「
愛 す る 」,myli,mylejo
に 一 致 す る.
第3活
用 skaityti「
geri.
dirbti「
定 用 法 に お い て も,叙 詞 の 性,数,格
述 用 法 にお い て
読 む 」,skaito,skaite
働 く」 の,現 在 の 単 純 形 と 再 帰 形 の 活 用 は,
現在単純形
yra salta.
単
寒 い
susitikti
去dirbo
次 の よ う に な る.
い
人 称 構 文 に 現 わ れ る.
今 日 は 〔副 詞 〕
称 語 尾 は,現
類(Ⅰ,Ⅱ)あ
第1活
そ の 子 た ち は (あ る)良 中 性 形 は,無
去 に2種
大 きい」
と え ば,o‐ 語 幹 男 性 単 数 与 格 形
Vaikai
純 形 と再 帰 形 と が あ る.表
純 形 の 人 称 語 尾 を 示 す.人
複
良 い 子 供 た ち が 」,な ど.
形 容 詞 は,限
幹 形 成 母 音 のみ を もつ 形 で
あ る.
単
美 し い」
形 容 詞 の 若 干 の 格 形 は,対
vaikai「
称形は数
良 い」
e‐語 幹:didele「
geram
態 上,語
区 別 す る が,3人
美 し い 」 中 性 形grazu
ia‐語 幹:grazi「
同 形 で は な い.た
来
中 性 形gera
「大 き い 」
u‐語 幹:grazus「
慣 過 去,未
続 法(条 件 法,希 求 法
令 法 が あ る.
数 人称
の 語 幹 が あ る.
ii o‐語 幹:didelis
詞
定 形 語 幹,現
<表3>動
男 性 形 o‐語 幹:geras「
詞組
方 で,分
人称構文に使わ
れ る. 形 容 詞 に は,次
純)過 去,習
説 法,接
す べ て の 動 詞 形 は,不
3に,単
中 性 形 の 残 存(主 格 形 の み)が あ り,無
も,常
説 法 現 在,(単
か らな り,法
幹 の,3個 下 降音
わ め て 単 純 で あ る が,他
時 制 は,直
と も い う),命
よ り 良 く」,
リ ト ア ニ ア 語 の 動 詞 組 織 は,名
お,
ミ」(4)(<*dagiias)に
も
も っ と も 良 く」
象(単 数 主 格 を 参 照)が 起 こ っ た と想 定 され る.な
れ て い る.
より
良 い」
っ と も良 い」
照:単
同上」
性)geresnis,(女
数対格
の 語 中 か ら語 頭 へ の ア ク セ ン ト移 動(参
そ の 良 い」
女 性 :geroji(<gera+ji)「
根 に 下 降 音 調 を,2と4は,語
su
う れ し い 会 っ て 〔不 定 形 〕
jumis.
リ トア ニ ア 語 に は 冠 詞 が な く,そ
君 と の 代 わ り に,形
複 容
現在再帰形
1 dirbu(<‐uo<*‐o)
dirbuos(i)
2 dirbi(<‐ie<*‐ei)
dirbies(i)
3 dirba(<*‐o)
dirbas(i)
1 dirbame(<*‐ome)dirbames 2 dirbate(<*‐ate)
dirbates
リ トア ニ ア 語 の 人 称 語 尾 は,3人 過 去,未
称 以 外 は,現
来 を 通 じ て,‐u,‐i,‐me,‐teを
い る か ら,3個 れ る.未
の 基 本 形 か ら,活
来 形 は,不
る(例:3人
な お,3人
称 形 の み,下
慣 過 去 形 も,不
っ く られ る(例:3人
定 形 語 幹 に‐dav‐
称dirbdavo「
当然 の こ と な が ら,各
語 幹 は,母
義 務 分 詞:dirbtinas「
現 在 副 分 詞:dirbant「
働 き な が ら」
過 去 副 分 詞:dirbus「
働 きお わ って 」
見 す る こ とは必
在randa,過
去redo,未
働 くこ とを つ ね と
した 」 未 来 副 分 詞:dirbsiant「
来ras imti「 buti「
取 る 」,現
在ima,過
去eme,未
あ る 」 の 活 用 は 不 規 則 で,現
yra,esame,esate,過 称budavo,未
去3人
来3人
来ims 在esu,esi,
称buvo,習
称bus,1人
リ トア ニ ア 語 に は,ス
慣 過 去3人
称busiuと
が あ る.た
と え ば,rasti「
前 接 辞 付 き のatrastiは の 再 帰 形 はrastis「
dirbtu「
《半 分 詞 》
詞 の 否 定 は,否
定 辞ne‐
詞 の 構 成 は,否
完 了 形 は,buti「
去 形,未
の 迂 言 形 に よ って つ く
tekant,
[統 辞 法]
リ トア ニ ア 語 の 語 順 は,比
あ る.現
代 リ トア ニ ア 語 で は,SV型
SVO型
がSOV型
各 時 制 形 と現 在 受 動 分 詞 ど)と の
と して
Mokinys
skaito
knyga.
V
O
「生 徒 は 本 を 読 ん で い る」
れ ば,フ
tute
よ り,や
2人 称 単 数dirbk,複 下 の13個
数dirbkite
過 去 能 動 分 詞:dirbes「
働 い て い る」 働 い て い た」
習 慣 過 去 能 動 分 詞:dirbdaves「
化 石 と な っ て,古
働 い た もの で あ
に,こ
prota
gerbia.
O
V
「良 い 人 々 は 智 恵 を 尊 ぶ 」 Pirmi
gaidziai
Adj.
S
velnia
baido.
O
V
「一 番 鶏 は 悪 魔 を 怖 れ さ せ る 」 限 定 語 は,被
がSVO型
と わ ざ,謎
々 に は,
い 統 辞 法 が 残 っ て い る と言 わ れ る.
Adj.S
の変 化 をす る可 変 分 詞 》
研究に よ
ォ ー ク ロ ア の 言 語 で は,SOV型 や 優 勢 で あ る.特
Geri zmones
に 及 ぶ.
現 在 能 動 分 詞 :dirbas「
った 」
V
ア ン ブ ラ ー ザ ス(V.Ambrazas,1982)の
定 形 語 幹 か ら つ く ら れ る.
よ り,
倒 的 に 優 勢 で あ る.
verkia.
S
定 形 語 幹 を も と に つ く ら れ,主
よ り,圧
較 的 自由 で
がVS型
「子 供 が 泣 い て い る 」
dirbciau,dirbtum,dirbtu,dirbtume,dirb
《性,数,格
jis
太 陽 が 〔与 格 〕 上 る こ ろ 〔現 在 副 分 詞 〕 彼 は
S
願 望 を 表 わ す.
分 詞 形 は,以
家に
動 作 主 が 文 の 主 語 と一 致 しな い と き,
Saulei
迂 言 形 に よ っ て つ く ら れ る.
命 令 法 も,不
namo.
動 作 主 は 与 格 形 を と る.
彼 は 働 き お わ っ て い る」
ま た は 過 去 受 動 分 詞(dirbamas,dirbtas,な
接 続 法 は,不
sugrizo
起 きた 来 形)
男dirbes,女dirbusi,
受 動 形 も,同 様 に,butiの
分詞
の 主 語 と一 致 す る.
jis
Vaikas dirbes.「
般 に,
atsikele.
ら れ る. yra
変 分 詞 は,一
泣 きな が ら 彼 は 帰 った
定辞+前接辞
あ る 」(現 在 形,過
男dirbe,女dirbusios)と
動 作 主 は,文
《副 分 詞 》
称 形)「 現 わ れ な い 」
去 能 動 分 詞 主 格 形(単
あ る.可
ル ト語 独 自 の 発 達 で あ る.
Verkdamas
+si+ 語 幹 + 語 尾 の 順 序 と な る. ne‐at‐si‐rand‐a(3人
テ ン語 の ス ピ
働 く た め 」(例:eiti
古 代 印 欧 諸 言 語 の 分 詞 の 用 法 と 同 じ で あ る が,半
見 つ け る 」 は 持 続 行 為 を,
よ う に前 置 す る こ とに よ って つ く
た が っ て,動
働 き に 行 く」)が
と 副 分 詞 は,バ
接辞 と
働 い て 」,ス ピ ー ヌ ム(い わ
成 法 に お い て も,ラ
ー ヌ ム と 同 じ で あ る)dirbtu「
れ に近 い体
帰 辞‐si‐ は,前
働 く で あ ろ う」
定 形dirbte「
ゆ る 動 詞 状 名 詞.形
現 わ れ る」,そ れ に 対 し て,atrasti
語 幹 に よ っ て 抱 合 さ れ る.動
ら れ る.し
ま た,第2不
行 為 の 完 遂 を 表 わ す.rasti
の 再 帰 形 はatsirastiで,再
を,neatsirastiの
な る.
ラ ヴ語 の よ うな 明 瞭 な完 了体
と 不 完 了 体 の 対 の 動 詞 の 対 立 は な い が,そ
Jis
働 き な が ら」
習 慣 過 去 副 分 詞:dirbdavus「
rasti「 見 つ け る 」,現
複
を区 別 す る半 分詞 》
半 分 詞:dirbdamas「
ず し も容 易 で は な い.
と,過
働 か ね ば な らな い」
《無 変 化 の 副 分 詞 》
音交替や挿入辞な ど
に よ っ て 独 立 に 形 成 さ れ う る か ら,予
働 か され るで あ ろ う」
《主 格 形 の み が あ り,性,数
を添 え て
働 い た もの だ 」).
働 か され た」
未 来 受 動 分 詞:dirbsimas「
降音調
称dirbsiu,
働 か され る」
過 去 受 動 分 詞:dirbtas「
定 形 語 幹 に‐s‐ を 添 え て つ く ら れ
称dirbs〔
働 くで あ ろ う」
現 在 受 動 分 詞:dirbamas「
用 形 は 自動 的 に 導 か
が 短 音 調 ま た は 上 昇 音 調 に 変 わ る 〕,1人 な ど).習
未 来 能 動 分 詞:dirbsias「
在,
共 通 に して
限 定 語 の 前 に 立 つ.
senas zmogus「
Poss.Pron.
老人」
Adj.N
あなたの
penki
vaikai「5人
「私 の 本 は 君 の よ り 良 い 」
の子 供 た ち」
Kas uz
Num.N a ukso
ziedas「
geni
margesnis?
Pron.Prep.Acc.N
金 の指 輪 」
Gen.N
Comp.Adj.
何 が よ り キ ツ ツ キ
graziai
dainuoja「
―Svieta
美 し く歌 う」
ま だ らな
. N
Adv.V labai
geras「
と て も良 い 」
世の中 「キ ツ ツ キ よ り ま だ ら な 色 の も の は 何 か 」―
Adv.Adj. labai
gerai「
と て も 良 く」
の中 」 Visu
Adv.Adv. 間 接 目 的 語(IO)は,一
般 に,直
geriausia.
Pl.Gen.Pron.Super.Adj.
接 目的 語(DO)の
「す べ て の 中 で 一 番 良 い も の 」
前 に 立 つ. Senele
dave
S
V
mergytei obuoli. IO
上 例 の よ う に,リ SOV型,修
DO
トア ニ ア 語 に は,民
「老 婆 は 娘 に リ ン ゴ を 与 え た 」
年 の 印 欧 語 比 較 統 辞 論 の 観 点 か ら は,現
aklam
kelia
rodo.
語 に 比 べ,フ
S
IO
DO
V
方 が,統
「盲 人 が 盲 人 に 道 を 教 え る 」
[語
リ ト ア ニ ア 語 に は,前 置 詞 の 数 は 多 い が(下 記aを 有 の 後 置 詞 は な い.し
を 付 し た 二 義 的 な 格(入 (下 記bを
か し,後
格,傍
格,向
置 詞*‐na,*‐pi 格)が
存 在 す る
参 照).
a)apie
参
代 リ トア ニ ア
ォ ー ク ロ ア の 言 語 や 古 期 リ トア ニ ア 語 の
辞 法 上 古 い と言 え る. 彙]
て,古
衆 の 言 語 に,
飾 語‐被 修 飾 語 型 の 語 順 が 残 っ て お り,近
Aklas
照),固
「世
リ トア ニ ア 語 の 語 彙 の 基 本 は,主
い 印 欧 語 の 語 彙,バ
とし
ル ト語 派 特 有 の 語 彙(B),
バ ル ト語 派 と ス ラ ヴ 語 派 に 固 有 な 共 通 語 彙(BS)か
ら
な っ て い る. 現 代 標 準 語(後 述)に お け る 借 用 語 の 占 め る 比 率 は,
stala
近 隣 の ス ラ ヴ 語(ポ ー ラ ン ド語,白
ロ シ ア 語,ロ
シア
Prep.Acc.N
語)か
「テ ー ブ ル の 近 く に 」
騎 士 団 の 東 方 進 出 に 伴 っ て 到 来 し た,ド イ ツ 商 人(13∼
i
14世
miesta
ら 受 け た ス ラ ヴ ィ ズ ム(Slavism)1.5%,ド
紀)か
Prep.Acc.N
0.5%で
「町 へ 」
て,リ
del
to
ら 受 け と っ た ゲ ル マ ニ ズ ム(Germanism)
あ り,今
世 紀 に 導入 され た国 際 用 語 は別 に し
ト ア ニ ア 語 は,借
語 と言 え る.古
Prep.Gen.Pron.
く は,主
「そ れ ゆ え 」
用 語 の きわ め て少 な い純 正 言
く存 在 し た 借 用 語(ス
と し て,国
「そ れ ゆ え 」)
本 来 の 語 を 基 礎 に,新 干 の 基 本 語,暦
b)miskan illative
motina「
母 」,sunus「
「息 女 」,brolis「
miskiep
「夫 」,zmona「
adessive
ア ニ ア 語 特 有 の 語)marti「 《家
miskop
畜》
arklys「
「森 の 方 角 に(向 格)」
「犂」)
形 容 詞 の 比 較 級,最 Mano
上 級 の 例 を あ げ る.
knyga
Poss.Pron.N 私の ta vo.
yra V
本 は
あ る
《動
geresne
negu
Comp.Adj.Conj. 良 い
《人 よ り
物 》
vilkas「
羊 」,ozys「
す も の:arti「
狼 」,lape「
akis「
目 」,ausis「
歯 」,sirdis「
(BS)ranka「
ト
山 羊 」,
シ ア 語〓),(L)
を な め る も の:lakti「
体 》
dantis「
父 」,(L=リ
嫁」
犬 」,avis「 牝 牛 」(ロ
馬 」(=耕
「熊 」(=蜜
姉 妹 」,vyras
妻 」,(B)tevas「
suo「
下 に,若
息 子 」,dukte
兄 弟 」,sesuo「
(BS)karve「
allative
トア ニ ア 語
用 語 を あ げ る.
「森 の 中 に(入 格)」
「森 の き わ に(傍 格)」
わ っ て,リ
鋳 語 が つ く ら れ た.以
の 月 名,借
《親 族 名 称 》
ラ ヴ ィ ズ ム)の 多
語 の 父 ヤ ブ ロ ンス キ ス に よ っ て,
リ トア ニ ア 語 か ら 排 除 さ れ,代
(参 照:todel〔Adv.〕
イツ
耕 す 」,arklas
狐 」,(B)lokys な め る」) 耳 」,nosis「
心 臓 」,(BS)galva「
手 」(ロ シ ア 語〓),(B)
鼻 」, 頭 」,
koja「 《天
足」
低 地
体 》
saule「
zv aigzde「
太 陽 」,menuo「
星 」,(BS)zeme「
現 象 が 起
月 」,(BS) 大 地 」(ロ
シア語
〓) 《暦 》
原 的 に は 春,ロ
」(乾 燥),vasaris「2月
」(鳩),
会 」,pagonis「 「荘 園 」;(ポ
」(落 葉),gruo
紅 茶 」,kava「
教
領 主,貴
部 の3つ
部 屋 」,pinigas「
ペ ー ニ ッ ヒ 」),rumas「
[標 準 語 と 方 言]
殿」
ル ト海 寄 り 内 陸 部 の高
地 方 言 は,さ
ら に,西
部,南
方 部,東
地 西 部 方 言 の 中 の南 西 地 域 の農 民 た ち
つ て は,プ
リ トア ニ ア)に
の南 西 部 の 方 言 地 域
ロ イ セ ン領 リ トア ニ ア(い
連 な っ て お り,そ
ル ク(Konigsberg,現
わゆる小
の都 ケー ニ ッ ヒス ベ
在 の標 準 語 に
Bojate,A.and
V.Subatnieks(1964),Lietuviesu
latviesu
vardnica(Latvijas
こで は 触 れ が た い.な
valsts
お,
Senkus,J.(ed.)(1972),Dabartines lietuviu kalbos zodynas(Mintis,Vilnius) Lietuviu kalbos zodynas Ⅰ2‐ⅩⅤ(Mintis/Mokslas, ア カ デ
ミ ー 編.
Fraenkel,E.(1962‐65),Litauisches sches
etymologi
Worterbuch(Carl
Winter,Heidelberg)
[参 考 文 献] Dambriunas,L.,Klimas,A.and
W.R.Schmal to
anian(Franciscan
sakinio
Lithu York)
der
Sprachen Ⅰ‐Ⅱ(Carl
kalbu
Modern
Fathers,New
litauischen
Winter,Heidelberg)
Ambrazas,V.(1982),"Zodziu
リ トア ニ ア 語 の 方 言 分 布
izdevnie
ciba,Riga)
Senn,A.(1957‐66),Handbuch
く の 重 要 な 古 文 献 が 出 版 さ れ た.
諸 方 言 の 差 異 は 複 雑 で,こ
〈図 〉
Ruprecht,
Wor
stieg(1966),Introduction
在 の カ リ ー ニ ン グ ラ ー ド〓
ロ シ ア 共 和 国 飛 び 地)で は,現 近 い 方 言 で,多
&
Vilnius,1968‐87)―
の 方 言 に 分 か た れ る(〈 図 〉 を 参 照).
の 言 語 を 基 礎 に お い て い る.こ は,か
Schriftsprache Ⅰ‐Ⅴ(Carl
Winter,Heidelberg)
terbuch(Waisenhaus,Halle)
ウ ク シ ュ タ イ チ ェ イAukstaiciai)の2大
標 準 語 は,高
A.Salys(1932‐68),Worterbuch litauischen
Gottingen)
お金 」
邸,宮
リ トア ニ ア 語 は,バ
ェ マ イ チ ェ イZemaiciai)と
言 に 区 別 さ れ,高
odynas(Mokslas,Vil
Worterbuch Ⅰ‐Ⅳ(Vandenhoek
コ ー ヒ ー 」,bulve
(中 世 低 地 ドイ ツ 語 か ら)ama
tas「 手 職 」,kambarys「
地 方 言(ア
B.Svecevicius(1979),Lietuviu‐anglu kalbu z
Kurschat,F.(1883),Littauisch‐deutsches
《ゲ ル マ ニ ズ ム 》
の 低 地 方 言(ジ
各 長 音 節 に 示 し て
Kurschat,A.(1968‐73),Litauisch‐deutsches
王 」,dvaras
「ジ ャ ガ イ モ 」
(<pennig「
Piesarskas,B.and
Senn,A.und
(白 ロ シ ア 語 か ら)baznycia「
ー ラ ン ド語 か ら)ponas「
族 」,arbata「
調)を
要 な 資 料 を な す.
書]
der
異 教 徒 」,karalius「
ト ヴ ィ ア 語 と や や 類 似 す
nius)
」(霜)
《ス ラ ヴ ィ ズ ム 》
[辞
ク セ ン ト学 上,重
」(ラ イ
」(ラ イ 麦 蒔 き),spalis
「10月 」(亜 麻),lapkritis「11月 dis「12月
こ っ て い る 一 方,ラ
々 の イ ン トネ ー シ ョ ン(音
nas(Mokslas,Vilnius)
」(白 樺),
」(菩 提 樹),rugpjutis「8月
麦 刈 り),rugsejis「9月
ク セ ン トの 語 中 か ら の 語 頭 化
Lyberis,A.(19883),Lietuviu‐rusu kalbu zody
」(郭 公),birzelis「6月
liepa「7月
」
シ ア 語〓),kovas「3
月 」(ミ ヤ マ ガ ラ ス),balandis「4月 geguze「5月
る 種
お り,ア
(L)sausis「1月
(夏,起
リ ト ア ニ ア 語 は,ア
tvarka tipo
ir
baltu
rekonstrukcija",Baltistica
18(Mokslas,Vilnius) (1979),Lietuviu istorine
kalbos dalyviu
sintakse(Mokslas,Vilnius)
Schmalstieg,W.R.(1987),A Historical
Lithuanian Syntax
(Slavica
Publishers,
Columbus,Ohio)
Zinkevicius,Z.(1966),Lietuviu
dialektologija
(Mintis,Vilnius) (1980‐81),Lietuviu
kalbos istorine
gramatika Ⅰ‐Ⅱ(Mokslas,Vilnius) (1984‐91),Lietuviu
kalbos
istorija
の使 用 が 法 律 的 に認 め られ て い る以 上,こ れ を 「言 語 」
Ⅰ‐Ⅳ (Mokslas,Vilnius) Kazlauskas,J.(1968),Lietuviu
kalbos
と して 扱 う の が穏 当 であ ろ う.
istorine
ル クセ ン ブル ク語 は,階 層,職 業,公 私 の別 な く用 い
gramatika(Mintis,Vilnius) Schleicher,A.(1856‐57),Handbuch ischen
der
litau
Skardzius,P.(1943),Lietuviu mokslu
下 に お か れ て い る.し た が って,屋 根 付 きか 否 か が,
institutas,Vilnius)
Kurschat,F.(1876),Grammatik
der
両 者 の根 本 的 な 相違 とな っ て い る.む し ろ,ル クセ ン
littauischen
ブ ル ク語 は,オ ラ ンダ語 が,低 地 ドイ ツ語 とは 異 な り,
Sprache(Waisenhaus,Halle) Lietuviu
kalbos
gramatika Ⅰ‐Ⅲ
Mokslas,Vilnius,1965‐76)―
(Mintis/ ア カ デ
高 地 ドイ ツ語 に のみ 込 まれ る こ とな く,独 立 を完 う し た よ う に,ル ク セ ン ブル クの 公用 語 と して 長 い歴 史 を
ミ ー 編.
Sabaliauskas,A.(1990),Lietuviu
kalbos
もつ フ ラ ンス 語 の屋 根 の下 に も,ま た,系 統 的 に 深 い 親
leksika(Mokslas,Vilnius)
縁 関 係 に あ る ドイ ツ 語 の屋 根 の下 に も入 る こ とな く, い ず れ の 文 化 言 語 と も異 な る独 自 の道 を歩 もう と して
Buga,K.(1958‐62),Rinktiniai rastai Ⅰ‐Ⅳ
い る よ う にみ え る.
( Vilnius) [参
照]
ア 語,ヤ
似 て い るが,ス イ ス ドイ ツ語 は,
書 き言 葉 と して は用 い られ ず,標 準 ドイ ツ語 の 屋 根 の
kalbos zodziu
daryba(Lietuvos
られ る話 し言 葉 で あ る とい う点 で は,ス イ ス ドイ ツ語 (Schwyzerdutsch)に
Sprache Ⅰ‐Ⅱ(J.G.Calve,Prag)
バ ル
ト語 派,ラ
ト ヴ ィ ア 語,古
プ ロ シ
[分
布]
ル ク セ ンブ ル ク語 は,ル ク セ ン ブル ク
大 公 国 で 話 され て い るだ け で は な く,隣 接 の ドイ ツ語
トヴ ィ ン ギ ア 語 (村 田
地 域 に も,こ
郁 夫)
れ を 母語 とす る話 し手 が い る(〈 図 〉を
参 照). ベル ギ ー の ザ ンク ト ・フ ィー ト(St.Vith)と,ド
る
ツ の ラ イ ンラ ン ト(Rheinland)の burg)周
ル クセ ンブ ル ク語
辺 の西 アイ フ ェル(Westeifel)地
方 や,ベ ル
ギ ー 南 東 部 リュ クサ ンブ ー ル の州 都 アル ロ ン(Arlon,
仏luxembourgeois,
独Luxemburgisch,英Luxemburgish ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,ル (Grand‐Duche
de
Luxemburg)の
ク セ ン ブ ル ク 大 公 国
な わ ち,ル
般 に は,レッ
よ ば れ て い る.主
と し て 話 し言 葉 で あ る が,Koine(コ
イ ネ ー)と
る 共 通 言 語 が 形 成 さ れ て お り,1984年 よ って
「国 語(langue
[系
クセ ン ブル ク
ツ ェ ブ ル ク 語(Letze‐
buergesch,独Letzeburgisch)と
語 の1つ
クセ ン ブル ク領 の 分 割
Luxembourg,Gro〓herzogtum
土 着 住 民,す
人 の 母 語 で,一
<図>ル
nationale)」
よば れ
制定 の 言 語法 に と 定 め ら れ,公
用
に な っ て い る. 統]
ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,イ
ン ド ・ヨ ー ロ
ッパ 語 族,ゲ ル マ ン語 派 の 西 ゲ ル マ ン語 の1つ
で,言 語
地 理 学 的 に は,西 中 部 ドイ ツ 語(Westmitteldeutsch; 「ドイ ツ 語 」 の 項 を 参 照)の モ ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン 方 言 の 西 の グ ル ー プ(Westmoselfrankisch)に し,社
会 言 語 学 的 観 点 か ら,ル
イ ツ 語 の 方 言(Dialekt)で ダ 語,フ
リ ジ ア 語,イ
属 す る.し
イ ツ 語,オ
学 者 も い る(F.Coulmas,Sprache und York,1985を
参 照).ル
ク セ ン ブ ル ク 語 が,ル
み る Staat,
クセ ン ブル ク語
が 方 言 で あ る か 言 語 で あ る か の 判 定 は,必 で は な い が,ル
ラン
デ ィ ッ シ ュ 語 な ど と と も に,西
ゲ ル マ ン 語 を 形 成 す る 独 立 し た 言 語(Sprache)と
Berlin/New
か
ク セ ン ブ ル ク 語 は,ド
は な く,ド
ず し も容 易
ク セ ン ブル ク人
の 共 通 の 話 し 言 葉 で あ る だ け で は な く,公 用 語 と し て, き わ め て 制 限 さ れ て い る と は い え,書
き言 葉 の 領 域 で
出 典:ク
ラ ー マ ー(J.Kramer,1984)に
注:1)… 西 側―
… は 言 語 境 界 線:東
よ る. 側―
ゲ ル マ ン 語 領 域,
ロマ ン ス 語 領 域.
2)領 土 の 割 譲:1659年 → フ ラ ン ス,1815年 イ セ ン,1839年 → ベ ル ギ ー.
→ プ ロ
3)都 市 の 別 称:a― 独 ウ ル フ リ ン ゲ ン,b― 独 ア ー レル ,c― 仏 リ ュ ク サ ン ブ ー ル,d― 独 エ シ ュ ・ ア ン ・デ ァ ・ア ル ゼ ッ トe― f― 独
イ
ビ ッ トブル ク(Bit
独
デ ィー デ ン ホ ー フ ェ ン.
デ ュ ー デ リン ゲ ン,
独
ア ー レ ルArel),フ
デ ィ ー デ ンホー フ ェ
マ ンス 語 系 の 外 国 人労 働 者 の子 女 の 言 語 教 育 の問 題 も
ク セ ン ブル ク語 が 話 さ
か らんで,外 国 人 の増 加 が ル ク セ ン ブ ル ク語 に 与 え る
の テ ィ オ ン ヴ ィ ル(Thionvill,独 ンDiedenhofen)周 れ て い る.し は,衰
辺 で も,ル
か し,こ
れ ら の地 域 のル クセ ンブ ル ク語
退 の 一 途 を た ど っ て い る.そ
の ほ か,ア
合 衆 国 北 中 部 の ミネ ソ タ(Minnesota)で よ っ て,長 が,今
い 間,ル
は,英
メ リカ
も,移
民に
ク セ ンブル ク語 が 保 持 され て きた
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 語(Siebenburgisch)
わ ゆ る ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン
人 の 故 地 を ル ク セ ン ブ ル ク に 求 め る 試 み は,成
功する
に い た っ て い な い.
(1986年
ル ク セ ンブル ク大 公 国 の 面
方 キ ロ メ ー ト ル,総
調 査)で
あ る が,そ
人 口 は 約36万
の う ち の 約70パ
強 が ル ク セ ン ブ ル ク 人 で,30パ
国 人 労 働 者 の 流 入 は 年 々増 加 し,逆
人 は,出
生 率 の 低 下 な ど に よ り,年
に,本
国
々 減 少 し て い る.
表1,2は,1970年,1983年,1986年(い 現 在 の 調 査)の
人
ーセ ン ト
ー セ ン ト弱 が 外 国 人 で
あ る.外
31日
ず れ も,12月
ル ク セ ン ブ ル ク 人 と在 住 外 国 人 と
ク セ ン ブル ク は,ヨ ー ロ ッパ の
変 わ った が,言 語上 は,つ ね に フ ラ ンス 語 が 優 位 に 立 ち,1443年
以 降,今 日に い た る まで,ナ チ ス ドイ ツ 占
領 下 の4年 間(1940∼1944)を
除 い て,一 貫 して,フ
1815年 の ウ ィー ン会議 の結 果,ル ク セ ン ブル ク公 領 は 独 立 の大 公 領 とな り,オ ラ ンダ 国王 ウ ィ レム1世 が, ル ク セ ン ブル ク大 公 と して 同 君連 合 の形 で これ を統 治 す るこ とにな った の で,1830年
ま で の15年 間 は,オ
ラ ンダ語 が 第2公 用語 とな った が,1830年,ベ
ク セ ン ブル ク人 と外 国 人 の 人 口の 変 遷
ルギ ー
独 立戦 争 に さ い して,ル ク セ ンブル ク で もオ ラ ン ダ の 支 配か ら離 脱 を求 め る運 動 が起 こ り,ド イ ツ語 が オ ラ ンダ語 に とって 代 わ った.1839年 西 部領 域 がベ ル ギ ー に割 譲 され,今
の 人 口 の 比 較 で あ る.
<表1>ル
鼎 立 して お り,単 独支 配 的 な言 語 は 存 在 し な い.
ラ ンス 語 がル クセ ンブ ル ク の 主 た る公 用 語 で あ っ た.
[大 公 国 の 人 口 動 態] 積 は2,586平
大 公 国 に は,ル ク
セ ンブ ル ク語 と フラ ンス語 と ドイ ツ語 の3つ の言 語 が
列 強 の 抗 争 の は ざ ま に あ って,め ま ぐる し く支 配 者 が
ク セ ン ブ ル ク 語 と驚 く ば か り類 似 し て い る に も
か か わ らず,い
[ルクセ ンブ ル ク の 言語 状 況]
が あ る.建 国 以来,ル
ー マ ニ ア の トラ ン シ ル ヴ ァ ニ ア(Transyl
vania)の
影 響 は,無 視 す る こ とは で き な い.
ル クセ ンブ ル クに お け る 多言 語 使 用 に は,長 い 歴 史
語 が 優 勢 で あ る.
ま た,ル
は,ル
化 性 の 高 いル クセ ンブ ル ク人 の歴 史 を顧 み る と き,ロ
ラ ン ス 東 ロ レ ー ヌ(Lorraine)
た.1848年
の ロ ン ドン会 議 で, 日の領 土 が 確 定 し
に は,憲 法 に よ って,ド イ ツ語 は フ ラ ンス
語 と法 的 に対 等 の 資格 を与 え られ たが,心 理 的 に は, フ ラ ンス 語 が威 信 を 保 って い た.両 文 化 言 語 の使 用 分 総 人口
野 は,フ
ルクセンブルク人
ラ ンス 語 は,主
と して法 律,交 通 な どの 分 野
にお い て,ド イ ツ語 は,教 会,出 版 界 な どの 分 野 に お い て優 勢 を保 っ て き た.公 用語 は フ ラ ンス 語 と ドイ ツ
外 国人
語,日 常 語 はル ク セ ンブル ク語 とい う言 語 状 況 が,19 世 紀 半 ば に はす で に確 定 し て いた ので あ る. 注:カ ッ コ内 は,総 人 口 に対 す る百 分 比. <表2>ル
1896年,シ
ュポ ー(Caspar
Mathias
Spoo)は,議
会 に お け るル ク セ ンブ ル ク語 の使 用 を激 越 な 調 子 で 説
ク セ ン ブル ク の民 族 構 成
い た が,実 現 しなか った.ド イ ツ は,2度 で,ル
ルクセンブルク人
の世界大戦
クセ ンブ ル ク の 中立 を侵 した.わ け て も,第2
次 大 戦 中,大 公 国 を 占 領 した ナ チス ドイ ツ は,ル ク セ
ポ ル トガ ル 人
ンブ ル ク人 に対 して フ ラン ス語 の使 用 と学 習 を禁 じ,
イ タ リア人
フ ラ ンス 語系 の市 町 村 名,街 路 名,看 板 や,姓 名,ク
フ ラ ンス 人
リス チ ャ ンネ ー ム な どを,ド イ ツ名 に 変更 す る こ とを
ドイ ツ人
強 要 した(ち なみ に,ル ク セ ンブル ク人 に は,ゲ ル マ
その他
ン系 の姓 に フ ラ ンス 系 の名 とい う組 み 合 わ せ が 多 い). 注:「 そ の 他 」 は,ベ ン 人,イ
ル ギ ー 人,オ
ギ リ ス 人 な ど で,こ
ラ ン ダ 人,ス
ペイ
の 順 に 少 な くな る.
特 に,1941年10月10日
の悪 評 高 い国 勢 調 査 に際 して,
ル クセ ンブ ル ク人 に,ド イ ツ語 を母 語 とす る ドイ ツ 人
外 国 人労 働 者 数 は 年 々増 加 し,た とえ ば,首 都 で は,
た る こ とを公 け に認 め させ よ う とした が,ル ク セ ンブ
外 国 人 が首 都 人 口の20パ
ル ク人 の96パ
ー セ ン トを 超 え る.そ の 大
ー セ ン トが,敢 然 とこれ を拒 否 し,ル ク
部 分 を占 め る ロマ ンス語 系 の外 国 人 に と って は,ゲ ル
セ ンブ ル ク語 を母 語 とす るル ク セ ンブ ル ク人 で あ る こ
マ ン系 の ドイ ツ語 や ル ク セ ンブ ル ク語 よ り も,フ ラ ン
と を表 明 した.ナ チ ス ドイ ツ の強 引な 言 語 政 策 は,ド
ス 語 の使 用 が は るか に容 易 で あ る.他 民族 との 融 和 同
イ ツ人 と ドイ ツ語 に対 す る反 感 を強 め,1944年
以 降,
ドイ ツ語 は議 会 か ら締 め 出 され,ル ク セ ン ブル ク語 が
LetzeburgはLuxemburgの
これ に代 わ った.ド イ ツ 語 の地 位 が 弱 ま る一 方,ル
zelburgと
ク
セ ンブ ル ク語 の 重 要 性 は増 し,本 来 話 し言 葉 で あ るル
語(Mittelhochdeutsch)で,「
クセ ンブ ル ク語 の 文 章 化 が 促 進 され た が,方 言 を文 化
語 のlittleに
言 語 に 高 め よ う とす る試 み は,知 識階 層 の支 持 が 得 ら
古 名 で,ま
も 言 っ た.前
対 応 す る(lutzelは,今
ン方 言Alemannischに xemburgは
っ た ロ ー マ の 城 砦Lucilinburhuc(古
こ う して言 語 問 題 は,1945年
の憲 法第29条
ま ま先 送 りにな った が,1983年
か ら84年 にか けて の
が その
「小 城 砦 」 の 意 で,現 在 の 首 都 の 位 置 に あ
の 古 城 を 占 取 し た の ち,こ
関 す る1984年2月24日
des langues;以
1984
下,「 言 語 法 」 と略
こを 本拠 と して 周 辺 一 帯 を
は,「 ル クセ ンブ ル ク人 の 国語 は ル ク セ ン ブル ク語 で
へ と 名 称 が 変 遷 す る 過 程 で,城
あ る(La
て,さ
des
Luxembourgeois
らLutzelburgへ,さ
ら に,国
言 語 名 に つ い て 言 え ば,ド Luxemburgischが,い
フ ラ ンス 語 で作 成 され るべ き こ と を定 め て い る.第3
に 対 し,Letzeburgischは,ふ
条 は,行 政 ・司法 の用 語 と して,フ
よ う.し
か し,ド
で は,官 庁へ の 申 請 書 は,ル ク セ ンブ ル ク語,ド イ ツ
H.Kloss,1952),最
し,これ に応 ず る官 庁側 の 回答 書 は,"dans
強 ま る で あ ろ う.こ
la mesure
きる限 り)"申 請 者 が 選 ん だ 言 語 に よ
使 っ て き た し(た
術 書 に お い て も,し
「 言 語 法 」 の 成 立 に は,「 わ れ ら が こ と ば」(》Eis Sprooch《)の 発 行 な どを通 して,国 民 の母 語 の 擁 護 普
そ ら く,こ
の 傾 向 は,今
れ は,そ
の言 語 に よ る名 称 を用 い
[言 語 特 徴]
中部 ドイ ツ語 の西 モ ーゼ ル フ ラ ンケ
ン 方 言 に 属 す る ル ク セ ン ブ ル ク 語 の 音 韻 上 の 特 徴 は, い わ ゆ る 第2次(高
Letzebuergesch)」
標 準 ド イ ツ 語(' '内 は,対
の果 た した役 割 は 大 きい.ル ク セ
地 ド イ ツ 語)子 音 推 移 に 現 わ れ る. 応 す る 英 語)のich'I',
ンブル ク語 は,学 校 教 育 の場 で も,教 科 目 に採 り入れ
machen'to
られ た.し か し,言 語 問題 は,つ ね に社 会 的 問 題 で も
'that',was'what',Apfel'apple',Pfund'pound'
語 の習得 が 義務 づ け られ る生 徒 の負 担 の増 りわ け フ ラ ンス語 の学 力 の低 下 を招 き,就 職
make',Dorf'thorp',auf'up',das
に 対 応 す る ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,そ
dat[〓],wat[〓],Apel[〓],Pond[〓]
と もあ れ,ル クセ ンブ ル ク語 が文 化 言 語 に伍 し て 独 り
で あ る が,下
立 ち す る 日は遠 く,そ の 道 は決 し て平 坦 で は な い で あ
pfと
ろ う.
は,P>fの opに
か]
語 で は,第2次
用 い られ て い る よ うに,ル
クセ
線 を 施 し た 語 に は,p>f,t>s,p>
い う 子 音 推 移 が み ら れ な い.特
[言語 名―LuxemburgischかLetzebuergesch 「 言 語 法 」に添 え られ た ドイ ツ語 の翻 訳 で,das
れ ぞ れ,ech[〓],
maachen[〓],Duer(e)f[〓],op[〓],
に不 利 に な る ので は な い か と懸 念 す る声 もきか れ る.
Luxemburgischeが
後 い っそ う
る こ と に よ っ て,「 言 語 」 と し て の 独 自 性 を 主 張 し て い
及 に尽 力 した 「レ ッツ ェブル ク語 振 興 協会(Aktioun
大 は,と
ば し
る と も考 え られ る.
る べ き こ とを明 文 化 して い る.
あ る.3言
くか ら, と え ば,
ば ル ク セ ン ブ ル ク 人 の 母 語 に よ るLetzebuergesch が 用 い ら れ る.お
possible(で
だ ん 着 の 言 い 方 と言 え
近 は,学
て い る)の い ず れ に よっ て作 成 して も よい こ と,た だ
du
イ ツ 語 に よ る 呼 称 は,
イ ツ の 社 会 言 語 学 者 は,早
語,ル クセ ンブル ク語 の3言 語 の使 用 を認 め,第4条
とは逆 順 に,言 語 名 が あげ られ
し
わ ば よそ ゆ き の呼 称 で あ るの
好 ん でLetzeburgischを
語,フ ラ ンス 語(第3条
ら にLuxemburg 砦 名 は 都 市 名 へ,そ
名 へ と 拡 大 し て い っ た.
2条 は法 律 に関 す る条 項 で,条 文 な らび に 施行 規 則 は
ラ ンス 語,ド イ ツ
の
よ う な 建 国 の 事 情 に ち な ん で 命 名 さ れ た が,Lucilin burhucか
こ とが 謳 わ れ て い る.第
の の ロー マ
領 の 礎 を 築 い た.Luxemburgは,こ
す)の 制 定 をみ た の で あ る.ま ず,「 言 語 法 」 第1条 に
nationale
クセ ンブ ル
ジ ー ク フ リー ト(Siegfried)は,963年,こ
支 配 し,伯
langue
高 ドイ ツ 語 形
ク の 建 国 の 祖 と よ ば れ る ア ル デ ン ヌ(Ardenne)家
議 会 で,よ うや く言 語 法 問 題 が 討議 され,「 言 語 規 定 に 法」(Loi du 24 fevrier
レマ
な わ ち,Lu
で,「 小 城 砦 」 を 意 味 す る)に 由 来 す る.ル
改 正 は見 送 らざ る を えな か った.
est le luxembourgeois.)」
日 な お,ア
残 っ て い る).す
てい った.1948年
sur le regime
高 ドイ ツ
小 さ い 」 を 意 味 し,英
れ ず 挫 折 し,過 激 な 愛 国 主 義 は,大 戦 後,次 第 に冷 め の 憲 法 改正 で は,複 雑 な言 語 問 題 の
た,Lut
半 部lutzelは,中
推 移 がDuer(e)fに
に注 目 され るの は 起 こ り な が ら,
は 起 こ ら な か っ た こ と で あ る.ル 子 音 推 移(→
クセ ンブ ル ク
ドイ ツ 語)は,完
全には行
な わ れ て い な い の で あ る.
ンブ ル ク語 に対 す る ドイ ツ語 名 は,公 式 に はLuxem
ル ク セ ン ブ ル ク 語 の 内 部 は,東,西,南,北,4つ
burgischで
方 言 に 下 位 区 分 さ れ る.西
方 言 は 保 守 的 で,東
の 母 語 で は,Letzebuergesch(独Letzeburgisch)
は 対 照 的 で あ る.ま
方 言 に は ド イ ツ 語 の リプ ア
で あ る.一 般 に,「レ ッ ツ ェブ ル ギ ッ シ ュ語 」 とい う訳
ー ル 方 言(Ripuarisch)の
語 が行 な わ れ て い るが,本
ン 方 言(Bairisch)や
あ る と考 え られ るが,ル
語」 を用 い る こ とにす る.
クセ ンブ ル ク人
項 で は,「 レ ッツ ェブ ル ク
た,北
の小 方言 と
,南 方 言 に は 同 じ くバ イ エ ル ア レ マ ン方 言 の 影 響 が み ら れ る.
こ れ ら の 方 言 の 間 に は,音
韻,意
味,語
彙 の 面 で,大
き な 地 域 差 が あ る が,地
域 を超 え た 一 種 の 共 通 の 通 用
語 が 造 成 さ れ て い る.こ
れ を,コ
た は,共
イ ネ ー(Koine),ま
通 ル ク セ ン ブ ル ク 語(das
burgische)と
い う.こ
の は じ め 頃 か ら,方
c)ae,oe,ueは,二
Gemeinluxem 紀
言 文 学 の 分 野 に も用 い ら れ る よ う
に な っ た.
み よ う.
常,用
い ら れ な い(例:Pobel「
drink),Kand(独
[〓]の
唇音
暴 徒 」).
前 に 用 い る.
[〓](独Leute,英people),Wain[〓](独
greng(独grun)「
Wein,英wine) netは,ル
た だ し,人
ク セ ン ブ ル ク 北 部 で はnick,neckと
Wainは,北
東 部 で はWengと
い い,
な どや,Aarbecht(独Arbeit)「 Musik)「
い う.
通 常,eの
f)e[〓]は,接
fannen(独finden)「
で あ る. 見 い だ す 」,bal(独bald)
「ま も な く」,Enn(独Ende)「 (独halten)「
終 わ り」,halen
「時 間 」,Wonn(独Wunde)「 Gurtel)「
傷 」,Giirdel(独
を 使 用 し,Aか
ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,ラ
らZま
テ ン文 字
で の 大 小 そ れ ぞ れ26文
助 的 に,e[〓],e[〓],a[〓]な
字 に加
ど の ほ か,主
お,(^)は,長
音 を 示 す た め に用 い る こ
と も あ る(例:Maus/Maus[〓]「 1)母
音
a)単
母音
ネ ズ ミ」).
a,a,e,i,o,uに
は,長
Fuuss(独Fuchs)「
短 が あ る.
よ っ て も 表 わ さ れ る.
Biirger(独Burger)「
市民」
ま た,ド
イ ツ 語 のoの
舌 母 音eが
用 い ら れ る こ と が あ る(1のdを
ウ ム ラ ウ トの 代 わ りに,中
kennen(独konnen)「
g)多
で は,
用 い る.
参 照).
で き る」 太 鼓 」,(pl.)Tremm
音 節 語 の 主 ア ク セ ン トは,原
則 と し て,第1
音 節 に お か れ る. Aarbecht[〓]「
仕 事」
2)子
習 う,教
え る」
音
b,c,d,f,g,h,j,k,l,m,n,p,q,r,s,t,v,w,
代 わ り に,aaを
用 い る こ と が あ る.
chに
心臓」
あ る.二
素 が 音 節 主 音,第2
Haiser[〓](pl.<Haus[〓])「
は,ド
∼ の た め に 」,vir(独vor)
家」
準 じ る.
Dag[〓](独Tag)「 (独genug)「
日」,genuch[〓] 十 分 に 」,Krich[〓](独Krieg)
語 頭 のst‐,sp‐ ツ 語 の‐stは,し
人 び と」
は,[〓][〓]と ば し ば‐schtに
speit(独spat)「(時 習 う,
(独Stein)「
Ouer[〓](独Ohr)「
作 品」 耳」
意 す べ き 点 と し て,以
な る.
石」 客 」,gescht(er)(独gestern)
「き の う」 ル ク セ ン ブ ル ク 語 は,サ
下 の よ うな もの
発 音 さ れ る.ド
刻 ・時 期 の)遅 い 」,Steen
Gaascht(独Gast)「
教 える」 Wierk[〓](独Werk)「
両 音 が あ る.
私 」,Baach[〓](独Bach)
「戦 争 」
氷」
leieren[〓](独lernen,lehren)「
イ ツ 語 と 同 じ く,[〓][〓]の
語 末 のgは,chに 重 母 音 は,
降 二 重 母 音 で あ る.
Leit[〓](独Leute)「
ライ
「小 川 」
ai[〓],ai[〓],au[〓],ei[〓],
ei[〓],ie[〓],ou[〓],ue[〓]が
Ais[〓](独Eis)「
イ ツ 語 の そ れ と対 応 す る. 歌 」,Leiw(独Lowe)「
ech[ec](独ich)「
肉」
ドイ ツ 語 の 場 合 と 同 じ く,第1要
Lidd(独Lied)「
「∼ の 前 」
Fleesch/Flaasch(独Fleisch)「
要 素 が 音 節 副 音 を な す,下
大 部 分 の 子 音 は,ド
オ ン 」,fir(独fur)「
狐」
Haerz/Haarz(独Herz)「
そ の ほ か,注
頭 辞be‐,ge‐,ver‐,zer‐
代 わ りにeを
x,y,z
長 音 は,aa,ee,ii,oo,uuに
重母音
用 い る.
leieren[〓]「
と し て フ ラ ン ス 語 系 の 語 の 鼻 音 化 を 表 わ すa,e,i,o を 用 い る.な
末 の‐echt,‐ek,‐echは,
Tromm(独Trommel)「
帯」
[文 字 と発 音]
代 わ りにeを
通 常,eの
支 え る 」,Stonn(独Stunde)
仕 事 」,Musek(独
音 楽 」 な ど の,語
ど の 同 化 現 象 も,特
徴 の1つ
乾 い た」 緑 色 の」
称 代 名 詞ech(独ich),sech(独sich)
ま た,nd,nt>nn,n;ld,lt>l;rd,rt>rな
が あ る.
市 民」
イ ツ 語 を そ の ま ま 用 い る 場 合 以 外 は,円
o,uは,通
drechen(独trocken)「
b)二
城 」
Bierger/Biirger(独Burger)「
Kind,英child),net(独nicht,英not),Leit
ae,eeの
だ
e)e[〓]は,ch[〓],ck[〓],ng[〓],nk[〓],chs/x
drenken(独trinken,英to
え,補
あ る.た
前 で は 長 音 を 表 わ す.
Buerg/Buurg(独Burg)「
d)ド くつ か あ げ て
ウムラ
と え ば,ueは[〓]で
し,ue,ieは,rの
の よ う な 共 通 言 語 は,19世
代 表 的 な 共 通 ル ク セ ン ブ ル ク 語 を,い
重 母 音 で,a,o,uの
ウ トで は な い.た
frei(独fruh)「(時 fillen(独fuhlen)「
イ レ ン トのhを
欠 く.
刻 ・時 期 の)早 い 」 感 じ る」
イ
〓
の 代 わ りに,ssを
Fu〓en.)
用 い る.
Flaiss(独Flei〓)「
勤勉」
「彼 は は げ し く(手 と足 を 使 っ て)抵 抗 す る 」
フ ラ ン ス 語 系 のg,j[〓]は,し
ば し ば,jhに
綴 ら
ま た,古
風 な 表 現 で は,主
格 と対 格 が 区 別 さ れ る こ と
が あ る.
れ る. Jhandarem(仏gendarme)「
憲兵 」
Jhackett(仏jaquette)「
[文
1)名
2)形
ジ ャ ケ ッ ト」
詞
ド イ ツ 語 と 同 じ く,名 詞 は,語 頭 を 大
文 字 で 書 く.す
べ て の 名 詞 は,男
中 性(n.)の3つ
の 文 法 的 性 を も ち,た
イ ツ 語 と一 致 す る が,と Botter
性(f.),
い て い,標
準 ド
‐er;中
mei
al(独alter)「
n.)「 窓 」
jonk(独junger)「
‐schtに
リ ン ゴ 」,pl.Appel
石 」,pl.Steng
Kou(独Kuh)「 Maus[〓](独Maus)「
最後 の」
詞
もっ と も多 くの」
動 詞 に は,強
弱2種
の 変 化 が あ る.
と お りで あ る.カ
Deier(独Tier)「
動 物 」,pl.Deieren
Bild(独Bild)「
変 化.
家 」,pl.Haiser 絵 」,pl.Biller
指 小 辞‐chenの
複 数 形 は,‐ercherで
し,‐elchenの
複 数 形 は,‐elcherと
Blat(独Blatt)「
あ る.た
だ
な る.
葉 」:Blietchen,pl.Blieder 語 例:(弱)pleck‐en(独pflucken)「
cher Apel(独Apfel)「
(強)lei‐en(独liegen)「
リ ン ゴ 」:Appelchen,pl.
Appelcher
1・2人 格(主 格 と対 格 が 共 通),属
つ の 格 が あ る.た
だ し,1・2人
格 と対 格 が 異 な る の で,主 詞 は,通
で は,単
例,格
格,与
格 の3
称 の 人 称 代 名 詞 は,主
・属 ・与 ・対 格 の4格
語 尾 を も た な い が,慣
数 属 格 の‐s,複
数 与 格 の‐enが
にな
用的表現 残 存 して い
as
gesonnes
(独Er
Leifs
ist gesunden
gestuerwen. Leibes
(独Er
wiert
sech wehrt
mat sich
Hann mit
で あ る が,強
弱 は 必 ず し も 一 致 し な い(表4).
基 本 形 に は,不 分 詞 の4つ
称単数
イ ツ語 と同 じ
定 詞,過
去(直 説 法,接
続 法),過
が あ る. と ど ま る 」,blouf,bleif,
(ge)bliwwen 来 る 」,koum,keim,
komm
a mat Feissen. Handen
変 化 動 詞 に は,2・3人
で 語 幹 母 音 を 変 え る も の が あ る の は,ド
kommen(独kommen)「
gestorben.)
「彼 は 頓 死 し た(健 康 な 体 で 死 ん だ)」 En
摘 む 」, 横 た わ っ て い る 」.
称 単 数 の 変 化 語 尾 が 標 準 ドイ ツ 語 と は 異 な
る 点 が 注 目 さ れ る.強
bleiwen(独bleiben)「
る. En
変 化,
付 加 す る.
Haus[〓](独Haus)「
格 に は,通
ッ コ内
応 す る ドイ ツ 語 の 人 称 代 名 詞.(弱)=弱
<表3>動 詞の現在人称変 化語尾 人称 単 数 複 数
ネ コ」,pl.Kazen
る.名
最良 の 」
lescht(独letzt)「
(強)=強
ネ ズ ミ」,pl.Mais
付 加 す る.
尾‐erを
bescht(独best)「
は,対
Kaz(独Katze)「
e)語
もっ とも若 い」
現 在 人 称 変 化 語 尾 は,表3の
雌 牛 」,pl.Kei
尾‐enを
も っ と も 年 長 の(古 い)」
な る も の も あ る.
3)動
幹 母 音 を 変 え る.
い)」
あ る が,
meescht(独meist)「
友 人 」,pl.Frenn
数
原 級 」 を 用 い る.
よ り若 い」
aalst(独altest)「
末 子 音 を 変 え る.
Steen(独Stein)「
弱
よ り良
よ り年 長 の(古
最 上 級 語 尾 は,‐stで
の タ イ プ が あ る.
脚 」,pl.Been
Frend(独Freund)「
語 尾 を と り,強
の も の を 除 い て,「mei(独mehr)+
尾 を 加 え な い.
Been(独Bein)「
性
ロ),‐er,
よ り好 ま し い 」 な ど,少
jengst(独jungst)「
Apel(独Apfel)「
詞類 の有
れ ぞ れ,男
形 容 詞 の 比 較 級 は,besser(独besser)「
mei
の5つ
格,そ
性 形 は‐t,‐en,‐en/‐emの
n.)「 紙 」
f.(独Fenster
名 詞 の 複 数 形 に は,次
d)語
格,与
性 形 は‐ φ(ゼ
い 」,leiwer(独lieber)「
f.)「 バ タ ー 」
m.(独Papier
Fenster
性(m.),女
こ れ ら は,フ ラ ン ス 語 の 性 に 影 響 され た も の で あ ろ う.
c)語
格,属
変 化 の 区 別 は な い.
き に 異 な る 場 合 が あ る.
m.(独Butter
Pobeier
b)語
限 定(付 加 語)形 容 詞 は,冠
形 は‐en,‐en,‐en/‐em;女
法]
a)語
容詞
無 に か か わ ら ず,通
und
setzen(独sitzen)「 mit
gesiess
座 っ て い る 」,souz,seiz,
去
<表4>強
接 続 法 過 去 は,日
変 化 動 詞 の活 用 例
Hie
(語 幹 母 音 が変 わ る もの) ruffen
kafen
人 称 (独rufen)
mengt,
(独Er
kommen
常 語 に 多 用 さ れ る. ech
geing
meint,ich
him
wurde
alles
ihm
glawen.
alles glauben.)
(独kaufen)
(独kommen)
ruffen
kafen
kommen
riffs
keefs
kenns
「彼 は 私 が 彼 の 言 う こ と は す べ て 信 じ て い る と 思 って い る」
単1 2 3 複1 2 3
受 動 形 式 は,「gin(独geben)+ て,動
rifft
keeft
kennt
ruffen
kafen
kommen
rufft
kaaft
kommt
(独Die
kommen
「ジ ャ ガ イ モ の 皮 が む か れ る」
ruffen
kafen
D'Grompre
過 去 分 詞 は,原
則 と し て 接 頭 辞ge‐
の 動 詞fannen(独finden「 fond)やkommenな
ど は,中
去 分 詞 にge‐
完 了 時 制 は,助 sin(独sein)を hunの
を もつ が,完
了態
見 い だ す 」;過
去分詞
高 ドイ ツ 語 の 場 合 と 同
を 欠 く も の が あ る.
gouf
(keng=独keine,Wourechtf.=独Wahrheit
sein)+
過 去,gesot:soen(独
言 う」)の 過 去 分 詞) イ ツ 語 の 場 合 と 同 様,「sin(独
過 去 分 詞 」 を 用 い る.
D'Grompre
の と お り で あ る.
geschalt.)
gesot.
「真 実 」,gouf:ginの
状 態 受 動 に は,ド
用 い る.
現 在1・2・3人
Wourecht
werden
「本 当 の こ と は な に ひ と つ 言 わ れ な か っ た 」
sagen「
動 詞 と して,hun(独haben)と
変 化 は,次
gi geschielt.(gi=gin) Kartoffeln
Keng
じ く,過
過 去 分詞 」 に よ っ
作 受 動 を 表 わ す.
si geschielt.(si=sin)
「ジ ャ ガ イ モ の 皮 が む い て あ る 」
称
単 数:hun,hues,huet
語 順 に つ い て は,ド
複 数:hun,hut,hun
文 の 定 動 詞 は,ド イ ツ 語 と 同 じ く後 置 さ れ る.た
過 去1・2・3人
称
Ech
waiss,datt e
(独Ich
過 去 分 詞:gehat 接 続 法 現 在:hief(単
数),hiewen(複
接 続 法 過 去:hatt(2人 命 令 法:hief(単
数)
wei〓,da〓
(e=en.語
称 単 数:hatts/hass)
数),hut(複
こ れ は,中
er
kommen. kommen
soll.)
数)
[文
称
は,1290年
末nの
学]
ル クセ ンブル ク語 文 学 の 最 古 の 作 品 ご ろ 成 立 し た,フ
単 数:sin,bas,as 複 数:sin,sid,sin
(Yolanda)と
von
ィア ンデ ンの 修 道 士 ヘ
Vianden)作
い わ れ る.両
に 入 っ た,伯
称
消 失 形)
高 ドイ ツ 語 と 同 じ 語 順 で あ る.
ル マ ン(Hermann
過 去1・2・3人
soll
「私 は 彼 が 来 る こ と を 知 っ て い る 」
の とお りで あ る.
現 在1・2・3人
の 『イ オ ラ ン ダ 』
親 の 意 見 に逆 ら って 修 道 院
爵 令 嬢 イ オ ラ ン ダ の 一 生 を 歌 っ た,5,963
単 数:war/wor,wars,war
行 か ら な る 長 大 な 中 高 ドイ ツ 語 の 叙 事 詩 で あ る が,文
複 数:waren/woren,waart,waren
学 的 に は す ぐ れ た も の で は な い. 近 代 に お い て は,ま
過 去 分 詞:gewiescht 接 続 法 現 在:sief(単
数),siewen(複
命 令 法:sief(単
へ の 衝 撃 』(E
数),sid(複
sus,1829)1巻
数)
イ ツ 語 と 同 じ く,現
在 時 制 に よ る代
替 が 普 通 で あ る が,waerden(独werden)や sollenも,未 る.こ
の ほ か,英
Wat
法助動詞
来 あ るい は推 量 の 助 動 詞 と して用 い られ
「goen(英go)+ geet
(英What
語 のto
be
going
to
doに
不 定 詞 」 と い う 未 来 表 現 が あ る. hie
is he going
似た
tichリ
to do?)
Schreck
Parnas
エ ー ジ ュ(Liege,独Lut‐
学 の数 学 教 授 の この 詩 集 の 与 え
た 影 響 は 大 き か っ た.マ
イ ヤ ー 後30年
を 出 で ず し て,
ル ク セ ン ブ ル ク 文 学 は 黄 金 時 代 を 迎 え,劇 ク ス(Dicks,本 1891),抒
名Edmon
de
作家デ ィ ッ
la Fontaine,1823∼
情 詩 人 ミ シ ェ ル ・ レ ン ツ(Michel
Lentz,
物 叙 事 詩 『レ ネ ル ト』(Renert,1872)
の 作 者 ミ シ ェ ル ・ロ ダ ン ジ ュ(Michel ∼1876)の,三
(hie=hien.語
『レ ネ ル ト』 は,ゲ
消 失 形)
op de Letzebuerger
ュ ッ テ ィ ヒ)大
「彼 は ど う す る の だ ろ う」 末nの
ン ト ン ・マ イ ヤ ー(Anton
方 言 詩 集 『レ ッ ツ ェ ブ ル ク 詩 壇
が あ る.リ
1820∼1876),動
maachen?
ず,ア
Meyer,1801∼1857)の
数)
接 続 法 過 去:waer/wier
未 来 時 制 は,ド
動
詞 は 文 末 に こ な い.
複 数:haten,hat,haten
変 化 は,次
だ し,
法 助 動 詞 が 定 動 詞 と な り不 定 詞 を 伴 う 場 合 に は,定
単 数:hat,has,hat
sinの
イ ツ 語 と 大 き な 違 い は な い.副
Rodange,1827
大 詩 人 を 生 ん だ. ーテ の
『ラ イ ネ ケ 狐 』(Reineke
Fuchs)の
す ぐれ た 翻 案 で,「 国 民 叙 事 詩(National
epos)」
と称 え ら れ て い る.次
し,ド
に,冒
イ ツ 語 と 日本 語 に よ る 逐 語 訳 を 試 み る.テ
トは,Editioun
Guy
burg;Nachdruck
頭 の数 行 を 引 用 キス
Binsfeld(Letzebuerg,1987)
esou em d'Paischten, Alles an der Blei
Lidder
5 Du
all Drier
a
Leiw,de
op
の 複 雑 さ,語
all seng
Best.
war
es
die
ihre
Lieder
5
Da
im
spat
der
Tiere
es
auf
,
Rinnen,H.und
und
ein
Deutsch‐Luxemburgisches
Worterbuch
(Sankt‐Paulus,Luxemburg)―178ペ
Konig
,
ー ジ.
―(1980,19873),Petit
Fest
dictionnaire
fran
cais‐luxembourgeois(Saint‐Paul,Luxembourg) ―309ペ
all seine
こ で はDeierの
の よ う な も の が あ る.
W.Reuland(eds.)(1974,19876),
Kleines
fruh.
Tiere.
ー ジ.
Christophory,J.(ed.)(1980),Portugiesisch
目Best=Beischt(独Biestに
だ し,こ
記法
纂 の き っ か け と な っ た.
訳 小 辞 典 と し て は,次
Blute,
zusammen,
kamen
注:8行
Pfingsten
Lowe,der
Grunewald
und
die
in der
Vogelchen(,die)sangen
raft
alle
um
alles
und
方 の 語 彙 も 収 録 し た が,書
外 国 語 を 見 出 し語 と す る ル ク セ ン ブ ル ク 語 に よ る 対
so
stand
著
的 な 委 員 会 の 編 集.
源 の 不 正 確 さ な ど の 欠 点 が 指 摘 さ れ,
そ れ がLWB編
《 ドイ ツ 語 訳 》 1 Es
の 基 礎 と な っ た"Luxem
Worterbuch"(Manuskript,1870)の
首 都 だ け で な く,地
zesummen,
koumen
ー ジ.そ
者 ヴ ェ ー バ ー を 中 心 と す る,公
e Fest
Grengewald
an't
burger
Kinnek,
der
Mundart(M.Huss,Luxem
burg)―532ペ
frei.
廷 翻 訳 官 で あ る.
al.(eds.)(1906),Worterbuch
luxemburgischen
di songen
speit
rifft de
am
Weber,J.et ,
d'Villercher
bei
初 のル クセ ンブ ル
クセ ンブ ル ク市 内 お よび 周 辺 の 日常 語
著 者 ガ ン グ ラ ー は 警 部 で,法
1 Et war 't stung
hir
ク 語 辞 典.ル
ー ジ.最
彙 を 収 集 し,ド イ ツ 語 と フ ラ ン ス 語 の 両 言 語 で 解 説.
版 に よ る.
an
1973,M.Sandig,Walluf
Wiesbaden)―495ペ
対 応.た
意).
Letzebuergesch
Dictionnaire(Bourg‐Bourger,
Luxembourg)―204ペ
《日 本 語 訳 》
ー ジ.
―(1982),English‐Luxemburgish
と きは 聖霊 降 臨 祭 の ころ
nary.Englesch‐Letzebuergesch
百 花 咲 き匂 い
Teamwork
朝 な 夕 な に小 鳥 た ち は
Bourger,Luxembourg)―288ペ
彼 らの歌 を歌 った .
by
こ の ほ か に,シ
Lycee
Dictio Dictionnaire.
Michel
Rodange(Bourg ー ジ.
ェ フ ィ ー ル ド(Sheffield)大
学の方言
折 し も百 獣 の 王 た る ラ イ オ ン は
学 者 ニ ュ ー ト ン(G.Newton)と
す べ て の 動 物 た ち を 祭 りの た め に
共 編 の 英 語 とル クセ ン ブル ク語 の 対 訳 辞 典 が 進 行 中 で
グ リ ュ ー ネ ヴ ァ ル トに 呼 び 集 め る.
あ る.
そ こ で 配 下 の 動 物 た ち は 残 ら ず 馳 せ 参 じ た. [辞
Bruch,R.(1953),Grundlegung Worterbuch〔
略LWB〕
Worterbuchkommission 〓
im
2,238ペ
,hg.von Auftrag
Luxemburgischen
der
は 補 遺 . 第1巻
巻 頭 に,60ペ
ル ク セ ン ブ ル ク 語 概 説 が あ る.解
ー ジに及 ぶ
説 は,も
イ ツ 語 に よ る ・ ト ッケ ル ト(J.Tockert),パ (H.Palgen),ブ Meyers),デ Ludovicy),リ
―(1954),Das frankischen
,1950‐77)―
ー ジ・ 本 格 的 なル クセ ンブ ル ク共 通 語大 辞
典 ・ 第5巻
ル フ(R.Bruch),マ ュ モ ン(J.Dumon) ネ ン(H,Rinnen)ら
っぱら ド ルゲ ン
ド ヴ ィ キ ー(E. が,編
集 に 参加
し た.
Geschichte
Luxemburgische
im
west
Kreis(P.Linden,Luxemburg)
― (1955,19733),Precis grammaire
populaire
de
luxembourgeoise/Luxemburger
Grammatik
in
edition
revue
par
volkstumlichem
Abriβ.3e
L.Senninger
(P.Linden,
Luxembourg)
イ ヤ ー ス(J. ,ル
einer
des Luxemburgischen(P.Linden,Luxemburg)
Regierung,
5Bde.(P.Linden,Luxemburg
―(1965),Luxemburgischer 〔略LSA〕:Laut‐und Druck
vorbereitet
Sprachatlas
Formenatlas,fur von
den
J.Goossens,hg.von
L.E.Schmitt(N.G.Elwert,Marburg)
Gangler,J.‐F.(ed.)(1847),Lexicon burger
[参 考 文 献]
書]
Luxemburger der
リネ ン(H.Rinnen)
Umgangssprache(V.Hoffmann
der
Luxem
Goudaillier,J.‐P.(ed.)
,Luxem
Letzebuergeschen.Mit
(1987),Aspekte Beitragen
des von
J.‐P.
Goudaillier,F.Hoffmann (Helmut
und
F.Schanen
(ed.),Europaische Vergleich
Buske,Hamburg)
Hoffmann,F.(1965,1967),Geschichte burger
der
Mundartdichtung,2
Luxem
in
Luxemburg(Franz
of
Zeitschrift
Grenzgange(Georg
45(Franz
Olms,Hildesheim)
― (1988),"Sprachen
in
fur
istik ⅩⅩ,1(Peter
der
Situation
Internationale
of
Language
von
Sprache
(Handbucher
zur
Sprach‐und
und
tionswissenschaft,Band
le
Toponymie von den
des
und
schaft
fur
deutsche
Sprache,Wiesbaden) zur
Grammatik.
(Romanian),独Rumanisch,仏roumain 単 に ル ー マ ニ ア 語 と い っ た 場 合 は,ル
し 手 は,約2千 Press,
neuer
Kultursprachen
seit
1800
に あ た る(1984年
約2,270万
人).こ
通,モ [文
seldorf)
gesprochenen
Sprachen
1984",Germanistische
in
beim
ル ダ ビ ア 語(モ ル ドバ 語)と 字]
kilogramと
Jahresende
Mitteilungen
24(F.
1859年
に,そ
かwattの
れ は,普
よ ば れ て い る.
れ ま で の キ リル 文 字 を 廃
テ ン 文 字 を 使 用 し て い る.英
使 用 さ れ な い.補
Dummler,Bonn)
ーマニアの人
の ル ー マ ニ ア の 人 口 は,
の ほ か,ソ 連 邦 モ ル ドバ 共 和 国 で 約
フ ァ ベ ッ トの う ち,QとYが
Luxemburg
れ は,ル
の 人 々 が 同 一 言 語 を 話 し て い る が,こ
止 し て 以 来,ラ der
マ ン ス 語 派 に 属 し,話
万 人 で あ る.こ
口 の 約9割
300万
37,Schwann,Dus
Stand
さす
う 呼 び 方 も 次 第 に 増 え て い る).
Entwicklung
―(1986),"Der
ー マ ニ ア の公
(ル ー マ ニ ア 語 の 発 音 ロ ム ニ ア に 近 い,ロ マ ニ ア 語 と い
University
Gegenwart
郁 雄)
romana,英Rumanian
Publikations
Manchester)
und
luxem
Syntax(Elwert,Marburg)
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ロ
germanischer
des
98(Gesell
用 語 で あ る ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語(dacoromana)を
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la syntaxe
Schengen:l'enonce
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Dreilanderecke(Abteilung
mit
de
Franzosisch‐Deutsch,2.Band(Duden,Mann
saarlandisch‐lothringisch‐luxembur
Zusammenarbeit
of
heim) und
〓 Instituts
sur
luxembourgeois
burgischen
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besonderer
Sprachminderheiten
(Franz
語のアル
な く,ま た,KとWは, よ う な,限
られ た単 語 に しか
助 記 号 を 使 う も の に,a,i,a,s,tが
あ る.
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den
Buske,Hamburg)
を,ル
Dreisprachigkeit― und
Luxemburg",in
Letzebuergesch R.Hinderling
1993年,正
書 法 の 改 訂 が あ り,そ
れ まで原 則 と して
同 一 音 素 を 同 一 文 字 で 表 記 し て い た,つ
im
詞 以 外,iで とiを
ま り,/i/[i]
ー マ ニ ア と い う固 有 名詞 と そ れ に 関連 す る形 容 表 わ し て い た の だ が,そ
区 別 す る よ う に な っ た.し
の 位 置 に よ り,a
か し,ル
ー マ ニ ア語
の 歴 史 上,こ の表 記 は い ろ い ろ複 雑 に 変 わ っ たの で, 一 言 で 説 明 す るの はむ ず か しい .ど ち ら も同 じ音 素 を
oa/o―boala/boli「
1人 称 単 数/3人
表 わ す と考 え て よ いで あ ろ う, [音韻体 系] 1)母
病 気 」(単
遊 ぶ 」(直 説 法 現 在 の
称/1人
称 複 数)
i/i―cuvint/cuvinte「
音
単 語 」(単 数/複 数)
t/t―frate/frati「
母 音 は7個 で,次 の よ うな三 角 形 の
体 系 を な して い る.
兄 弟 」(単 数/複 数)
k/c―vaca/vaci「
雌 牛 」(単 数/複 数)
d/z―brad/brazi「
モ ミの 木 」(単 数/複
数)
g/g―drag/dragi「
親 愛 な る 」(男 性,単
数/複 数)
s/s―frumos/frumosi「 aは,発
音 は ま っ た くiと
同 じ で あ る が,Romania
「ル ー マ ニ ア 」 と か,roman「 う な,ル
z/j―obraz/obraji「
外 の 子 音 の 後 で,非
常 に 短 く発
の20個
で あ る.
〓/ 大 部 分,1文
字 が1音
に 対 応 して い る の で,文
っ て 音 素 表 記 と し た.同 場 合 は,補
じ文 字 が2通
字 をも
りに発 音 され る
助 記 号 を付 け た 音 素 表 記 を つ く り,音
声表
記 を 併 記 し た. /k/は,文
外 的 にkに
cとgは,i,eの
前 で は[〓],他
3)ア
発 音 す る.
ア ク セ ン トは,強
く発 音 さ れ る.た
さア ク セ ン ト
者 は 語 尾 に,後
韻 交替
格,属
格,与
は
ま た,ご
終 わ る(以 下,例
な く"マ
ー レ"
動 詞 の 活 用 や,名 尾 の 音 に よ っ て,語
詞,形
a/a―carte/carti「 a/e―para/pere,perisoara「
ban:bani「
bou:boi「
boiangiu:boiangii「
染物 屋 」
目」 ピ ー マ ン 」(単 複 同 形) 雄 の 家 鴨 」(単 複 同 形)
tata:tati「
父」
《女 性 名 詞 》 単 数 は,‐a,‐e,‐a,‐ea,複 ‐i ,‐leで 終 わ る. 家」 広 間」
vaca:vaci「
ま り 「箸 」 等) 黒 い 」(男 性 単 数/女 性 単
数) ea/e―ceapa/cepe「
玉 葱 」(単 数/複 数)
数 は,‐iで
数 の 順 で あ げ る).
王」
数 は,‐e,
雌牛」
basma:basmale「
ス カ ー フ」
sotie:sotii「
妻」
ridiche:ridichi「
e/ea―negru/neagra「
尾 ‐u,‐e,‐iで,
山林 」
sala:sali「
棒,杖 」(単 数/複 数,指
と
雄牛」
casa:case「
指 小 辞 形) a/e―bat/bete,betisor「
ず,性
お金」
codru:codri「
容詞 など
梨 」(単 数/複 数,
音 か,語
数:複
幹 の母 音 や 子 音 が
本 」(単 数/複 数)
は,
変 化 は,
詞 の 部 分 が 変 わ る の で,例
単 数 は,子
は,単
ratoi:ratoi「
レ"で
格 を 区 別 す る.格
く少 数 の 単 語 で は ‐aで 終 わ る.複
者 は 語 幹 に ア ク セ ン トを 付 け て
本 語 で は"マ
格,呼
の 区 別 が あ る. 数 と複 数,格
数 の 例 を 下 に 示 す.
ardei:ardei「
ク セ ン トが
は,単
「冠 詞 」 の と こ ろ で あ げ る こ と に し て,ま
ochi:ochi「
大 き い 」 は,ア
性,数
女 性 名 詞 単 数 を 除 い て,冠
子 供 」の 複 数
も にcopiiと
交 替 す る 現 象 が 広 くみ ら れ る.
小 辞 形,つ
主 格,対
書 く
た,mare「
に あ る が,日
の 屈 折 の 際,語
性,中
rege:regi「
と 書 く方 が 原 音 に 近 い. 4)音
名 詞 に は,性,数,格
性,女
い ところ
と え ば,copil「
コ ピ ー 」 の 複 数 は,と
発 音 さ れ る.ま ma‐
頭 辞ex
置 は 語 に よ っ て 決 ま っ て い る.強
と,copie「 が,前
音 は,chi,che,
の 他 で は[gz]と
クセ ン ト
で あ り,位
の文字
の 母 音 の前 で は
い う つ づ り字 で 表 わ す ・xは,接
と 子 音 の 前 で[ks],そ
は,長
対 応 す る.こ
発 音 す る.[ki,ke,gi,ge]の
ghi,gheと
詞
性 は,男
《男 性 名 詞 》
字c,例
[k,g]と
法]
1)名
/〓
性,単 数/複 数)
わ れ わ れ の 」(男 性,単
数/複 数) [文
子 音 は,次
悲 し い 」(男
str/str―nostru/nostri「
音 さ れ る. 音
蝿 」(単 数/複 数)
st/st―trist/tristi「
母 音 を 付 け て 発 音 さ れ る.
2)子
馬 」(単 数/複 数)
sk/st―musca/muste「
重 母 音 で あ る.
語 末 のiは,l,r以
性,単 数/複
頬 」(単 数/複 数)
l/φ―cal/cai「
古 く か ら あ る 単 語 の 語 頭 で,eが[je],oが[wo]の よ う に,半
美 し い 」(男
数)
ル ー マ ニ ア の」 とい うよ
ー マ ニ ア に 関 連 の あ る 語 に の み 使 用 さ れ る.
eaとoaは,二
数/複 数)
o/oa/u―joc/joaca/jucam「
zi:zile「
ラデ ィ ッ シ ュ」
日」
muncitoare:muncitoare「
女 性 労 働 者 」(単 複
同 形) sora:surori「
姉妹」
《中 性 名 詞 》
単 数 は,男
性 名 詞 と同 じ語 尾 で終 わ
り,複
数 は,‐e,‐uri,ま
tren:trenuri「
れ に‐iで 終 わ る.
riu:riuri「
主 ・対 格 baiatul:baietii
川」
ac:ace「
属 ・与 格 baiatului:baietilor
針」
呼
teatru:teatre「
劇 場」 虹」
bordei:bordeie「 bici:bice「
属 ・与 格unei 名 前 」(単 複 同 形)
詞
る.格
冠 詞,不
は,主
数では女性形 をと
格 と与 格 が 同 形 で あ る.呼
冠 詞 だ け で あ る . 定 冠 詞 は,そ
か か る 名 詞 ま た は 形 容 詞 に 後 置 し,接 っ つ け て 書 か れ る.そ
有
の別が
性 名 詞 と と もに使
数 で は 男 性 形,複
格 と 対 格,属
定 冠 詞,所
れ ぞ れ,性,数,格
性 形 と い う の は な く,中
格 が あ る の は,定
格
fete
fete:unor
fete
fato:―
定 冠 詞 と;
冠 詞 に は,定
わ れ る と き は,単
呼
研 究」
示 冠 詞 が あ る.そ
あ る が,中
少女」
主 ・対 格 o fata:niste
鞭」
studiu:studii「
冠 詞,指
baiatule:baietilor
不 定 冠 詞 と;
あ ば ら家 」
nume:nume「
格
《女 性 名 詞 》 fata「
curcubeu:curcubeie「
2)冠
定 冠 詞 と;
汽車 」
属 ・与 格fetei:fetelor 呼
格
―:fetelor
《中 性 名 詞 》 tren「
汽 車,電
車」
不 定 冠 詞 と;
れが
尾 辞 の よ うに く
れ ぞ れ の 屈 折 形 は,表1の
主 ・対 格fata:fetele
とお
りで あ る.
主 ・対 格un
tren:niste
属 ・与 格unui
trenuri
tren:unor
trenuri
定 冠 詞 と; 主 ・対 格trenul:trenurile
<表1>ル
属 ・与 格 trenului:trenurilor
ーマ ニ ア語 の 冠 詞
格 変 化 に お い て,名
《定 冠 詞 》 (単 男・ 中性
数)
(複
主 ・対 格
‐l,‐le,‐a ‐a ‐i ‐le
属
・与 格
‐lui,‐(e)i ‐i ‐lor
呼
格
‐le
―
女 性 名 詞 の 単 数 だ け で あ る こ と が 分 か る.
数)
男 性 女 ・中性
女性
主 ・対 格un 属 ・与 格
の少女の母」 の少年の母」 母 」 の 定 冠 詞 の 付 い た 形)
fratele baiatului「
数)
(複
unui
数)
その少年の弟」
男 ・女 ・中 性 呼 格 は,原
数
al
複 数 で は 定 冠 詞 の 付 い た 属 ・与 格 と 同 じ で あ る.単
unei
unor
の 呼 格 は,よ
複
数
主 baiat「
男 ・中 性
数) 女性
主 ・対 格
cel
cea
属 ・与 格
celui
celei
(複 男性 cei
数)
unchi「
女 ・中性
sora「
cele
数:複
語 に よ っ て 決 ま っ て い る.最 下 に,呼
格 少年」 叔父」
vulpe「
姉妹」
unchiule soro 母 」 の 呼 格 は,mamoで
使 う)
狐」
数 の 順).
Ion「 イ オ ン(男 性 の 名 前)」
少年」
Radu「 Ana「
不 定 冠 詞 と; 主 ・対 格 un baiat:niste 属 ・与 格 unui baiat:unor
baieti baieti
格
格 の 例 を あ げ る.
baiate,baiatule
主 格 のmamaを に
近 は,主
れを
呼 格
(た だ し,mama「
celor
これ ら の 冠 詞 と名 詞 の 使 用 例(格 変 化 の 例)を,次
《男 性 名 詞 》baiat「
詞 が 付 か な い 形 が あ る.ど
を 使 う 傾 向 が 強 い.以
ale
数
く使 わ れ る 少 数 の 名 詞 に 残 っ て い る が,
使 う か は,単
《指 示 冠 詞 》
(単
を 表 わ す 名 詞 に 使 わ れ る が,
niste
ai
a
あ げ る(以 下,単
則 と し て,人
o
冠 詞 が 付 い た 形 と,冠
単
兄 また は弟 」 の定 冠 詞 の
付 い た 形)
《所 有 冠 詞 》
性
unui baiat「1人
fratele fetei「 そ の 少 女 の 弟 」 ‐lor
男 ・中性 女 性
性
unei fete「1人
mama
(frateleは,frate「
(単
女
mama
(mamaは,mama「
《不 定 冠 詞 》
男
詞 そ の も の の 形 が 変 わ る の は,
vulpeo Ioane
ラ ド ゥ(男 性 の 名 前)」Radule ア ナ(女 性 の 名 前)」
Ano,Ana
指 示 冠 詞 の 例 を あ げ る. Stefan cel Mare「
シ ュ テ フ ァ ン大 王 」
な く
(celは,指
示 冠 詞 の 男 性 単 数 形.mareは,
な タ イ プ の 例 を,表2に
「大 き い 」 と い う 意 味 の 形 容 詞) cei bogati
si cei saraci「
富 め る者 た ち と貧 し き
級 に はmai
等 比 較 級 に はmai,劣
putinを,最
上 級 は,指
cei,cele)maiを,形
者 た ち」 (ceiは,指
示 冠 詞 の 男 性 複 数 形,主
bogatiは
「金 持 ち の 」,saraciは
Ion
・対 格. 「貧 乏 な 」 と
指 示 冠 詞 は,形
等 比較
示 冠 詞cel(cea,
容 詞 の 前 に 付 け て 表 わ す.
este
mai
inalt
decit
Virgil.
「イ オ ン は ヴ ィ ル ジ ル よ り背 が 高 い 」
い う形 容 詞 の 男 性 複 数 形)
(inalt「 高 い 」,decit「 Nicu
容 詞 の 最 上 級 で も用 い る(「形 容 詞 」 を
este
mai
∼ よ り」)
putin
inalt
decit
Virgil.
「ニ ク は ヴ ィ ル ジ ル よ り背 が 低 い 」
参 照).
Ion
所 有 冠 詞(属 格 冠 詞 と も い う)の 例 を あ げ る. al treilea
fiu al vecinului「
(alは,所
隣 人 の三 男」
有 冠 詞 の 男 性 単 数 形 で,数
「3」 に 付 け て 順 序 数 詞al
este
cel
mai
inalt
「イ オ ン は そ の3人
詞trei
treilea「3番
目 の」
(dintre「 ま た,同
dintre
cei trei.
の 中 で一 番 背 が 高 い 」
∼ の 中 で 」)
等 比 較 は,次
〔男 性 単 数 形 〕を つ く る 〔女 性 形 はatreia〕.fiu は 「息 子 」.次 のalは,vecin「
「マ リ ア は ニ ク と 同 じ く ら い の 背 丈 で す 」
隣 人 」の 定 冠 詞 の 冠詞 の付 い
て い な い 男 性 名 詞 単 数fiuを
修 飾 す る こ とを示
す は た ら き を す る) 3)形
容詞
と一 致 す る.も
れ が か か る 名 詞 の 性,
っ と も,女
性 単 数 の 属 ・与 格 を
修 飾 す る 場 合,女 性 複 数 形 と 同 じ形 と な る(fetei で あ っ て,fetei
bunaで
は な い)以 外 は,形
bune
の上では
tot
atit
de
(tot atit de∼ca… 4)代
名詞
問,不
形 容 詞 は,そ
este
の よ う に 表 わ す.
Maria
の 付 い た 属 格 形vecinuluiが,前
数,格
あ げ る.
形 容 詞 の 比 較 級 は,優
係,再
帰,尊
称,所
称 は,単
有,指
べ 有
称 代 名 詞,所
称 代 名 詞 は,表3の
ら 分 か る よ う に,人
数,複
示,疑
が あ り,人
称 の 別 が あ る.人
と お り で あ る.表3か
Nicu.
称 の 諸 代 名 詞 が あ る.す
て の 代 名 詞 に,性,数,格 代 名 詞 に は,人
ca
「… と 同 じ く ら い ∼ 」)
代 名 詞 に は,人
定,関
1・2人
inalta
称代名詞 の
数 と も属 格 が な い.
格 に よ る 違 い は な く,性,数
で 一 致 す る だ け で あ る.
所 有 を 表 わ す に は,所 有 形 容 詞 が 使 用 さ れ る.次
形 容 詞 は,多
飾 す る名 詞 の 後 に お か れ
例 を 示 す.
る が,前
く の 場 合,修
に く る 場 合 は,定
冠 詞 は 形 容 詞 の 後 に 付 く.
《男 性 名 詞 》 un
casa
baiat
unui
bun「
baiat
baieti
良い少年」
bun「1人
buni「
baietilor
」
casa
良 い 少 年 た ち の/に,良
い少年
た ち よ!」
fata
buna「
fetei
bune「
の 良 い 少 女 の/に
そ の 良 い 少 女 の/に
bune「
」
た り,後
そ の 良 い 少 女 た ち の/に,良
い少
pod
scurt「
複,つ ま り4つ 3つ
・与 格)」
数 で は 女 性 形 を と る.
性 単 数 の 属 ・与 格 は 複 数 形 と 同 じ で あ る か ら,
形 容 詞 は,も
や2つ,ま
参 照).
称 代 名詞 の弱 形 が 先 にお か れ
よ っ て,必
っ と も 多 い 場 合,男
性 の単 複 と女 性 の 単
の 異 な る 形 を も つ こ と に な る.し た,無
ろい ろ の 法 則 に
須 で あ る 場 合 と 自 由 で あ る 場 合 と が あ る.
と え ば,「 彼(ま
ーマニア語の特徴の た は 彼 女)が
て い る 」 と い う 意 味 を 普 通 に 言 う と,Ma
そ の 短 い 橋(複 数,属
数 で 男 性 形,複
変 化 の も の も あ る.こ
の 形 成 過 程 や 音 法 則 の 結 果 で あ る.い
に よ って
と 一 致 す る.
私 を待 っ asteapta.
で あ る が,「 私 を 」 を 強 調 し て 言 い た い と き は,Ma
そ の 短 い 橋(複 数)」
scurte「
中 性 名 詞 は,単
性 は,語
短い橋」
scurte「
あなた方 の
飾 さ れ る 名 詞 の 性,数 有 形 容 詞 は,性,数
で も う一 度 く り 返 さ れ る.い
1つ で あ る.た
podurilor
ま た,女
voastra「
こ の 人 称 代 名 詞 の 二 重 用 法 は,ル
女 た ち よ!」
podurile
私 の 家 」,casa
詞 の 強 形 で あ る と き,人
その良い少女たち」
bune「
あなた
直 接 目的 語 ま た は 間 接 目的語 が名 詞 また は 人 称 代 名
」
《中 性 名 詞 》 un
mea「
こ の 点 が 代 名 詞 と違 う(表4を
良 い少 女 」
bune「1人
vostru「
家」
形 を 変 え な い が,所
fete
fetelor
私 の 弟 」,fratele
代 名 詞 の 属 格 は,修
unei
fetele
meu「
ei「 彼 女 の 弟 」
ei「 彼 女 の 家 」
方の弟」
良 い 少 年 た ち」
buni「
lui「 彼 の 弟 」,fratele
lui「 彼 の 家 」,casa
fratele
の 良 い 少 年 の/に
《女 性 名 詞 》 o
fratele
に,
か し,
の不 規 則 ろい ろ
asteapta
pe
とな っ て,人 れ る.強
mine.ま
た は,Pe
形 だ け のAsteapta
あ る(peは,代
mine
ma
asteapta.
称 代 名 詞 対 格 の強 形 と弱 形 が二 重 に使 わ pe
mine.は,間
違 いで
名 詞 の 強 形 か 特 定 の 人 を 表 わ す 名 詞 が,
目 的 語 と し て 使 わ れ る と き 必 要 な 前 置 詞). 目 的 語 が 名 詞 の 場 合 も,同
様 に,代
名詞 の 弱 形 を二
重 に 使 用 す る こ と が あ る.「 デ ィ ヌ を 見 な か っ た 」 は,
<表2>ル
ー マ ニ ア語 の 形 容詞(例)
男 ・中性 単 数
女 性 単数
男 性複 数
女 ・中 性複 数
意
味
《4つ の 形 を もつ 形 容 詞 》 bun
buna
buni
bune
「良
い」
negru
neagra
negri
negre
「黒
い」
rau
rea
rai
rele
「悪
い」
さ い」
《3つ の 形 を もつ 形 容 詞 》 mic
mica
mici
mici
「小
rosu
rosie
rosii
rosii
「赤
folositor
folositoare
folositori
folositoare
「有
しい 」 益
な」
《2つ の 形 を も つ 形 容 詞 》 verde
verde
verzi
verzi
「緑
色
の」
vioi
vioaie
vioi
vioaie
「活
発
な」
dibaci
dibaee
dibaci
dibace
「器
用
vechi
veche
vechi
vechi
「古
feroce
feroce
feroci
feroce
「残
虐
な」
maro
「褐
色
の」
な」 い」
《不 変 化 の 形 容 詞 》 maro
maro
<表3>ル
maro
ー マ ニ ア 語 の 人 称代 名詞 (1人 称) 強 形
数 主 属 与 対
格 格 格 格
eu
数
格 格 格 格
noi ―
単
複
<表4>ル
主 属 与 対
(2人 称)
弱形
強 形
(3人
弱形
男 性 強形 弱形
(i)ti te
el lui lui el
tu
mie
(i)mi
mine
m(a)
tie tine voi ―
noua
ne,ni
noi
ne
voua voi
v(a),vi v(a)
称)
女 性 強形 弱形
(i)i (i)l
ea
-
ei
-
ei
(i)i
ea
o
ei ―
ele
―
lor ―
lor
―
lor
le,li
lor
le,li
ei
(i)i
ele
le
ー マ ニ ア語 の 所 有 形 容 詞
所 有 され る
名詞
男・ 中 性 単 数
女 性 単数
1人 称 単 数
meu
mea
mei
mele
「私 の 」
2人 称 単 数
tau
ta
tai
tale
「君 の 」
1人 称 複 数
nostru
noastra
nostri
noastre
「私 た ち の 」
2人 称 複 数
vostru
voastra
vostri
voastre
「あ な た 方 の 」
所有者
N‐am
vazut
(am 去1人
Dinu
nu
見 る」の 複 合過
A
spus
定 文 を つ く るnu
l‐am
l‐am vazut.と
与 格 の 場 合 も同 様 で,「
tot
mamei.
(aspusは,動
詞aspune「
言 う」の複 合 過 去
3人 称 単 数.mameiは,mama「
結 合 し た 形)
と も言 え る し,Nu
女 ・中 性複 数
は,
詞avedea「
称 単 複.n‐amは,否
とamが
Pe
pe Dinu.
vazutは,動
男性複数
vazut
pe
Dinu.ま
た は,
も言 え る. 彼 は母 に す べ て を 言 っ た」
母 」の 定 冠 詞
が 付 い た 与 格) が 普 通 で あ る が,「 母 に 」 を 強 調 す る と,I‐aspus mamei,ま
た は,Mamei
i‐a spus
tot.と
tot
な る(i‐ は,
<表5>ル
ー マ ニ ア 語 の 指 示形 容 詞 と指 示 代 名 詞 男 ・中性 単 数
主
・対 格
属
・与 格
主
・対 格
属
・与 格
女性単数
男性複数
女 ・中 性 複 数
acest(acesta)
aceasta(aceasta)
acesti(acestia)
aceste(acestea)
acestui(acestuia)
acestei(acesteia)
acestor(acestora)
acestor(acestora)
acea(aceea)
acei(aceia)
acele(acelea)
acelei(aceleia)
acelor(acelora)
acelor(acelora)
acel(acela) acelui(aceluia)
<表6>ル
<表7>ル
ー マ ニ ア梧 の 疑 問 ・関 係代 名 詞 の
ーマ ニ ア語 の 不 定 代 名 詞 の 格 変 化(例) (単
格変 化(例:care) (単
主 ・対 格 属 ・与 格
数)
(複
男 ・中 性
女性
care
care
数) 主 ・対 格
女性
数) 女 ・中 性
unul
una
unii
unele
altul
alta
altii
altele
caror(a)
citva
citava
citiva
citeva
unuia
uneia
unora
altuia
alteia
altora
carui(a)carei(a)
称 単 数 与 格iiがaと
男 ・中 性
男性
care
属 ・与 格
代 名 詞3人
(複
数)
citorva
結 合 す る と き の 形).
尊 称 代 名 詞 に は, 2人 称 単dumneata(属
・与 格 はdumitale),
3人 称 男 単dinsul,女 女 複dinsele(主
単dinsa,男
複dinsii,
指 示 代 名 詞 と 同 じ形 を と る.acesta「 「あ れ 」 の 変 化 形 を,表5に
・対 格 の み),
名 詞,ま
さ ら に 丁 寧 な 形 と し て,
女 単dumneaei,男 が あ る.こ 次 に,例
acest
称 男 単dumnealui,
acea
女 複dumnealor
れ ら の 尊 称 形 は,格
cineに
格 と し て)
(venitiは,a
veni「
voastraは,単
複 両 方 に 使 え る が,動
来 る 」 の2人
称 複 数.d‐ 詞 は複 数
は,属
d‐voastra?(属
にcine,物
を,表6に
と 物 に使 わ れ る.関
係 代 名 詞 は,疑
問 ・関 係 代 名 詞careの
容 詞 と して 名 詞 の 前 に 用 い ら れ
る.
格 と し て)
「ど れ(ど の 花)が 一 番 好 き で す か 」
格 と し て)
「あ な た は 音 楽 が 好 き で す 」
d‐voastra
va
invit
la mine.(対
格 と し て)
placea「
meu「
な た 方 の も の 」 の よ う に,所 を 付 け て つ く ら れ る.こ も の の 性,数,格
vostri「
の 所 有 形 容 詞 は,所
称 は,人
あ
有 形 容 詞 の 前 に所 有 冠 詞
と 一 致 す る.所
と お り で あ る.3人 る.再
私 の も の 」,ai
Al carui
有 され る
気 に 入 る 」 と い う 動 詞 の3人 este
Al
caruia
este
caietul?
「そ の ノ ー トは 誰 の も の で す か 」 (alに
関 係 代 名 詞careは
つ い て は,所
先 行 詞 を 含 み,ceは
両 方 の 場 合 が あ る.
指 示 代 名 詞 は,指
「吠 え る 犬 は 噛 ま な い 」
示 形 容 詞 の 語 尾 にaを
付 けて つ く
飾 す る 名 詞 の 後 に 付 く と き は,
care
有 冠 詞 の 説 明 を 参 照)
先 行 詞 を 必 要 と す る が,cineは
分 の 」 を 使 う.
示 形 容 詞 は,修
称 単 数)
caietul?
Ciinele
る.指
mult?
「そ の ノ ー ト は ど の 学 生 の も の で す か 」
称 代 名 詞 の 属 格 を使 用 す 自
cel mai
あ な た に = 与 格 」.placeは,a
student
有 形 容 詞 は,表4の
帰 の 意 味 を も つ 場 合 は,sau,sai,sa,sale「
place
ど れ が あ な た に 一 番 気 に 入 って い る
か 」.vaは,「
「あ な た を 私 の と こ ろ へ ご 招 待 し ま す 」 所 有 代 名 詞 は,al
floare)va
(直 訳 は,「
(直 訳 は,「 あ な た に 音 楽 が 気 に 入 る 」) Pe
問代 格変化
示 す.
Care(Care
muzica.(与
使 わ れ る.
どれ 」 を 意 味 す る
D‐voasta
place
こ の学 生 」 あの 女 子 学 生 」
にceが あ る.「
「あ な た の 家 は ど こ に あ り ま す か 」 va
に,
あれ が私 の 息子 で す 」
・与 格cuiが
‐aの な い 形 は,形 casa
acesta「 aceea「
fiul meu.「
名 詞 と 同 形 で あ る.疑
形 を と る) este
este
careは,人
「あ な た も い ら っ し ゃ い ま す か 」
Unde
student,studentul
疑 問 代 名 詞 は,人
d‐voastra?(主
示代
示 形 容 詞 の 後 置 の 場 合 で あ る.次
studenta,studenta
Acela
に よ っ て 形 を 変 え な い.
を あ げ る.
Venitisi
が,指
例 を 示 す.
2人 称 単 複 共 通dumneavoastra(d‐voastraと 短 縮 す る こ と が 多 い),3人
た は,指
こ れ 」 とacela
示 す.()内
latra
(latraはalatra「
nu
musca.
吠 え る 」 の,muscaはa
musca「 Nu
噛 む 」 の3人
cred
ce spui
称 単 数)
douazeci(20)de
tu.
順 序 数 詞 は,数
「君 の 言 う こ と を 信 じ な い 」 (credは,a
crede「
spuiは,a
unul「
言 う 」 の2人
他 の も の 」,cineva「
何 か 」,citva「
「他 の 誰 か 」,oricine「 unul,altul,citvaの
な お,‐cine‐
称 単 数.
誰
い く ら か 」,altcineva
誰 で も 」,な
格 変 化 を,表7に
ど.
の 付 く も の の 属 ・与 格 は,‐cui‐
とな
詞
基 数 は,次
adoua aunsprezecea
「14番 目 」al
a paisprezecea
詞
paisprezecelea 動 詞 は,態,時
態 に は,能
動,受
制,法
動,再
帰 の3つ
が あ る.受
過 去 分 詞 」 で つ く ら れ,過
「11」unsprezece
deschisa
de
catre
el.
「ドア は 彼 に よ っ て 開 け ら れ た 」
「12」doi(doua)sprezece
(過 去 分 詞deschisaは,usa「
「3」trei
「13」treisprezece
(定 冠 詞 付 き)と 一 致.decatreは,動
「4」patru
「14」paisprezece
「5」cinci
「15」cincisprezece
再 帰 態 は,他
「6」 sase
「16」saisprezece
s‐,与 格isi,‐si‐,1・2人
「7」 sapte
「17」saptesprezece
付 け て つ く ら れ る.受
「8」opt
「18」optsprezece
機 能 を も ち,よ
「9」noua
「19」nouasprezece
unu(un)は
男 ・中 性 形,douaは
示す
Ma
女 ・中 性 形,un,oは,
形 容 詞 の は た ら き を す る 場 合 の 形 で あ る(不
「53」cincizeci
後 に,si「
unu(una) si trei 使 わ れ る.10の
位の
法 は,述 法,蓋
「1,000」omie
「200万
」un
「20億
」doua
suta,mieは で あ る.し
de
mii
milioane
説 法,接
続 法,条
去 分 詞 法,動
続 詞saが
が,「 助 動 詞avoi+
miliarde
名 詞 法 が あ る. 続 法 で あ る.こ
た が っ て,2以
あ る の で,分 と し て,動
中性名詞
上 の 数 とい っ し ょ に使 わ れ 女性名詞 として 複 数
上 の 数 詞 が 名 詞 と い っ し ょ に 使 わ れ る と き は, お く. の学生」
れ ら の 例 を,動
い て あ げ る.
(eu)voi
merge
(tu)vei
merge
(el)va
merge
と
か り や す い.
詞 の未 来 形 が あ る
接 続 法 」,ま
た は,「 助
接 続 法 」 に よ る未 来 形 の 方 が 口 語
《voi+ 不 定 詞 》
は 言 わ な い.
nouasprezece(19)studenti「19人
動 詞 の 不 変 化 形o+ 的 で あ る.こ
で あ る.
不定 詞」に よ る未来 形 がや や 文語
的 で あ る の に 対 し,「aavea+
女 性 名 詞,milion,miliardは
件希求
述 語 的 法 と し て は,不
称 を 除 い て 直 説 法 と 同 形 で あ る 上,ほ
よ く使 わ れ る 用 法 の1つ
miliard
数 詞 と名 詞 の 間 にdeを
動 詞 と して の 機
は)東 京 に 住 ん で い る 」
令 法 が あ り,非
在 分 詞 法,過
ん ど の 場 合,接
る と き は 複 数 形 と な る.zeceも
20以
動 詞,他
ま た は 彼 女 は)ド ア を 閉 め る 」
語 的 法 と し て,直
活 用 は,3人
milion
形 を と る が,ozeceと
手 」 の 複 数 定 冠 詞 付 き)
の 接 続 法 の 多 用 が,ル ー マ ニ ア 語 の 特 徴 の1つ
zeci
」doua
「10億
様 な
彼 ら は手 を と りあ っ た」
直 説 法 の 次 に よ く使 わ れ る の が,接
mii
」un
人 称 な ど,多
私 は学 校 へ 行 く」
in Tokio.「(私 usa.「(彼
然 法,命
定 詞 法,現 mii
「20,000」doua
互,無
動 詞 「運 ぶ 」〔自 分 を 運 ぶ = 行 く〕.
詞 だ け で,自
Inchide
sute
「10,000」zece
格se,
く使 わ れ る.
miinile.「
Locuiesc
∼ と 」 を お く.
「100万
動,相
称 は,対
称 代 名 詞 と 同 形)を
能 を 果 た す.
「100」osuta
「2,000」doua
作主 を
∼ へ 」 と い う 意 味 の 前 置 詞)
能 動 態 は,動
複 数 形zeciが
「200」doua
称 は,人
(miinileは,mina「
「21」douazecisi
ら,zeceの
動 詞 に 再 帰 代 名 詞(3人
lascoala.「
Si‐au dat
「20」douazeci
20か
duc
l aは,「
定代名詞
ドア 」= 女 性 名 詞
「∼ に よ っ て 」)
(duceは,他
と 同 じ).
動 態 は,
去 分 詞 は主
に 一 致 す る.
「10」zece
「 2」doi,doua
を 区 別 し,そ
称 と数 に よ る 活 用 を 行 な う.
Usaafost
「1」unu(un), una(o)
doilea
「11番 目 」al unsprezecelea
語 の 性,数
の と お りで あ る.
性
例外で
intfi(a),prima
「助 動 詞afi+
5)数
性 形),‐a(女 お く.1は
「2番 目 」al
の 中 の い く つ か は,人
る.
詞 の 後 に‐lea(男
に 所 有 冠 詞al,aを
「1番 目 」intii(ul),primul
6)動
あ げ る.
の女子学生」
あ る.
称 単 数)
の も の が あ る.
あ る も の 」,altul「
か 」,ceva「
形)を 付 け,前
信 じ る 」 の1人
spune「
不 定 代 名 詞 に は,次
studente「20人
詞amerge「
行 く」 に つ
(noi)vom (voi)veti
merge
(ei)vor
merge
《avea+
Nu
merge
詞の不定詞で あ
よ う に示 す の が 普 通
で あ る.
sa mergi
(el)are
ど れ か で 終 わ る.
付 け て 用 い ら れ る こ と が 多 く,動
る と い う し る し に,amergeの
sa merg
(tu)ai
歌 うな」
不 定 詞(法)は,‐a,‐ea,‐e,‐i,‐iの
aを
接続法》
(eu)am
cinta!「
sa mearga
時 制 は,直
説 法 で は,現
去(未 完 了 過 去),単
在,未
来,未
純 過 去,複
来 完 了,半
合 過 去,大
(noi)avem
sa mergem
を 区 別 す る の に 対 し,接
続 法,条
(voi)aveti
samergeti
で は,現
在 と過 去 の2つ
し か 区 別 し な い.複
未 来,未
来 完 了 は,助
(ei)au
sa mearga
《o+接 続 法 》 merg
(tu)osa
mergi
+過 去 分詞
(el)osa
mearga
am
(noi)osa
mergem
(voi)osa
mergeti
(ei)osa
mearga
複 合 過 去:助
mers「
来:助 vor)+
動 詞 を 用 い る 複 合 形 で あ る が,
「∼ し な け れ ば な ら な い 」
続 法 を 使 っ て 表 わ す こ と が 多 い.下
に,例
を示
sacitesti.「
君 は読 む こ とが で き る」
putea「
で き る 」の2人
citestiは,aciti「
不定詞 は)行
る 」)
Trebuie
citiと
い う言 い 方 も あ る が,や
や
単 純 過 去:(vorbii,vorbisi,vorbi,vorbiram,
seram,vorbiserati,vorbisera)「
接 続 法,条
た は,あ
な た 方)は
来 なければならな
部分が
い」 ∼ ね ば な ら な い 」 は,不
主 語 が 「彼 」の 場 合 は,Trebuie る.aveniの 法 はsa
直 説 法3人
vinaで,3人
接 続 法 の 過 去 形 は,数,人 分 詞 」 で あ る.条 ar+ 不 定 詞(過
変 化.
sa vina.と
称 現 在 はvine,接
件 希 求 法,不
く」 の 上 記3法
続
動 詞 の 活 用 に は,同
られ て い る
称 共 通 で,「sa+fi+
あ る.直
説 法 現 在 に,も っ と も 多 様 な 活 用 が み ら れ る.
過 去
過 去 分 詞)」,蓋
4つ
然 法 は,「a 去 分 詞)」 と い
の タ イ プ に 分 け た 活 用,お
る の に 必 要 な 助 動 詞 と,そ
説 法 複 数 形 と 同 じ(2人
称)で
詞
称 と 同 形 の も の と,3
Calul
不 定 詞 」 で あ る.
の
este
frumos.
romineste
frumos.
「(彼 は)ル ー マ ニ ア 語 を き れ い に 話 す 」
称 と 同 じ)
来 る な」
示 す.
形 容 詞 の 男 ・中 性 単 数 の 形 は,そ
Vorbeste
令 法 の 前 にnuを
合時制 をつ く
ま ま 副 詞 の は た ら き を す る こ とが で き る.
称 と 同 じ)
数 で は,命
よ び,複
の 助動 詞 が本 動 詞 と して 使
わ れ る と き の 活 用 を,表8に
不 規 則 形 も あ る.
数 で は,「nu+
に よ る 活 用 が あ る.
語 は不要で
「そ の 馬 は 美 し い 」
veniti!「
称,数
に 明 確 に す る 必 要 が な け れ ば,主
数 の 命 令 法 は,2人
歌 え 」(3人
行
形 の 語 尾 も あ る が,限
人 称 と 同 形 の も の が あ り,動 詞 に よ っ て 決 ま っ て い る.
否 定 の 命 令 法 は,複
fi mers(merge「
の で,特
7)副
黙 れ 」(2人
動詞の
の 過 去 形)
動 詞 の 述 語 的 法 で は,人
う 形 で あ る. 数 は,直
mers,a
な
件 希 求 法 は,「as,ai,ar,am,ati, 去 は,fi+
定 詞 法 の 過 去 は,本
称 だ け 両 者 の 違 い が あ る)
活 用 形 +fi+ 現 在 分 詞(過 去 は,過
命 令 法 は,複
∼ は す で に話
「fi+過 去 分 詞 」 に な る.
sa fi mers,asfi
(こ のtrebuie「
Nu
∼ は話 した」
して し ま っ てい た 」
sa veniti.
「あ な た(ま
け る が,単
∼ は 話 して い た 」
vorbirati,vorbira)「
文 語 的 に な る.
Cinta!「
過去分詞
は)行 っ て し ま っ て い る だ ろ う 」
大 過 去:(vorbisem,vorbisesi,vorbise,vorbi
不 定 詞 を 使 うpoti
Taci!「
くだ ろ う」
動 詞avoi+fi+
fi mers「(彼
vorbeati,vorbeau)「
称 単 数.
直 訳 す る と,「 君 は 君 が 読 む と い う こ と を で き
あ る が,単
行 く」 の 過 去 分 詞)
半 過 去:(vorbeam,vorbeai,vorbea,vorbeam,
称 単 数.sa
読 む 」の 接 続 法2人
merge「
動 詞avoi(voi,vei,va,vom,veti,
未 来 完 了:助 va
(potiは,a
私 は 行 った」
vei merge「(君
す.
voiの
定詞 法 合 過 去,
動 詞aavea(am,ai,a,am,ati,au)
(mersは,a 未
「∼ す る こ と が で き る 」 や
Poti
件 希 求 法,不
そ の 他 の 時 制 は 統 合 形 で あ る.
(eu)osa
も,接
過
過 去 の7つ
そ の 他,副 付
8)前
置詞
詞 に 関 し て は,語 属 格,ま
る 前 置 詞 も少 し あ る が,大 る.
彙 の 問 題 と言 え る.
た は,与
格 と と も に使 わ れ
部分 は 対 格 と と もに 使 わ れ
impotriva
oamenilor「
そ の 人 々に反 対 して 」
(oamenilorは,om「
natie「
人 」の 定冠 詞 付 き複 数 属
格) 私 と と も に 」(mine対
よ く使 わ れ る 前 置 詞 を,下 pe「 ∼ の 上 に,∼
か ら 」,fara「
に よ っ て 」,pentru「 語 と 語,文
き を す る が,主
∼ に,∼
へ 」,
∼ な し に 」,prin「
∼
∼のために」
と文 を 結 び つ け る は た ら
な も の は 次 の と お りで あ る.
si「 ∼ と,そ
して 」,dar「
っ て 」,pentru
ca「
言 差 は,比
した が ∼で あ
言,
部,ユ
ー ゴス ラ ビア国 境 付 近 の バ ナ ー
(Banat)方 4)東
主 要 単 語 の10数
ガ リー 語,フ
パ ー セ ン トが ス ラ ブ
リ シ ア 語,ト ル コ 語,ハ
ン
ラ ン ス 語 か ら の 借 用 語 が み ら れ る.
ス ラ ブ 語 起 源 の 単 語:da「
北 部,ソ
連 邦 国 境 沿 い の モ ル ドバ(Moldova)
は い 」,nevasta「
[歴
史]
現 在 の ル ー マ ニ ア の あ た り に は,ロ
ー
マ の 進 出 前 に,イ ン ド・ヨ ー ロ ッパ 語 族 の ト ラ キ ア 系 ダ キ ア 人 の 奴 隷 国 家 が あ っ た(そ の 国 名 ダ キ ア は,Dacia
女 房 」,
iubi「 愛 す る 」
の ラ テ ン 語 読 み.ル
ー マ ニ ア 語 読 み は,ダ
チ ア).ロ
ー マ に よ る バ ル カ ン半 島 の 植 民 が こ の 地 に も 及 び
ギ リ シ ア 語:stup「
蜜 蜂 の巣 箱 」
暦106年,ロ
トル コ 語:sarma「
ロ ー ル キ ャ ベ ツ の 一 種 」,cioban
進 み,ラ
「羊 飼 い 」
ー マ の 属 州 と な っ て,次 テ ン語 が 公 用 語 と な る.ダ
併 用 を 経 て,次
ハ ン ガ リー 語:chin「
苦 悩 」,cheltui「
費 や す 」,
か弱い」
フ ラ ン ス 語:fotografie「
キ ア 人 は,二
言語
第 に文 語 とは 異 な るい わ ゆ る俗 ラ テ ン
語 を 話 す よ う に な る.こ ぶ の で あ る.東
写 真 」,telefon「
,西
第 に ロー マ 化 が
の 傾 向 は,次
第 に 教 会 に も及
西 ロ ー マ 帝 国 の 分 裂 以 来,こ
の地の ラ
テ ン 語 と 西 ロ ー マ の ラ テ ン 語 の 違 い が 大 き く な る.こ
電 話 」,
ー マ ニ ア 語 の 動 詞の 直 説 法 現 在活 用 第1活 用 「 歌 う」 「 働 く」
第2活 用 「 見 る」
不 定詞 過去分詞
cinta
lucra
vedea
incepe
merge
rupe
cintat
lucrat
vazut
inceput
mers
rupt
単 数1
vad vezi vede vedem vedeti vad
incep
merg
rup
incepi
mergi
rupi
incepe
merge
rupe
incepem
mergem
rupem
incepeti
mergeti
rupeti
incep
merg
rup
cint
lucrez
2
cinti
lucrezi
3
cinta
lucreaza
cintam
lucram
2
cintati
lucrati
3
cinta
lucreaza
「 始 め る」
第3活 用 「行 く」
「折 る」
第4活 用 「 逃 げ る」 「 働 く」 「 降 りる」 「恨 む」
3つ の 助 動 詞(そ の本 動 詞 も)の活 用 「 いる,ある」 「 持つ」 「欲 す る」
不 定詞
fugi
munci
cobori
uri
afi
a avea
過去分詞
fugit
muncit
coborit
urit
fost
avut
単 数1
fug
muncesc
cobor
urasc
sint
am
fugi
muncesti
cobori
urasti
esti
ai ai
3
fuge
munceste
coboara
uraste
este,e,i
aare
fugim
muncim
coborim
urim
sintem
am
2
fugiti
munciti
coboriti
uriti
sinteti
3
fug
muncesc
cobor
urasc
sint
注:「 い る,あ る 」 「持 つ 」 「欲 す る(vrea)」
は,こ
avoi
a vrea
voit
2
複 数1
ト
言,
方言
彙]
複 数1
較
2)西 部 か ら 西 北 部 に か け て の ク リ シ ャ ナ(Crisa na)方 言, 3)西
し か し」,deci「
な ぜ な ら ば 」,desi「
語 起 源 の 単 語 で あ る ほ か,ギ
<表8>ル
コ ・ル ー マ ニ ア 語)の
言 に 代 表 さ れ る.方
1)ブ ク レ シ ュ テ ィ(Bucuresti,ブ カ レ ス トBu charest〔 英 〕)を 中 心 と す る ム ン テ ニ ア(Mun tenia)方
るが 」
gin‐gas「
ル ー マ ニ ア 語(ダ
下 の4方
的 小 さ い.
に あ げ る.
を 通 っ て,∼ 続詞
格 強 形)
を(対 格)」,la「
de「 ∼ の,∼
[語
言]
方 言 は,以
cu mine「
9)接
[方
国民」
am
vrut
voi vreau vei vrei va vrea
avem
ati aveti au au
vom
vrem
veti vreti vor vor
れ らの 動 詞 が 本 動 詞 と して 使 わ れ る とき の 意 味 で あ る.
う し て,バ ル カ ン 半 島 一 帯 で 話 さ れ て い た ラ テ ン 語 は,
Enciclopedic(Editura
共 通 ル ー マニ ア語 と よぶ に ふ さわ しい もの に変化 して
Bucuresti)―
い くが,こ 方,6世
の 時 期 は,5∼8世
紀 頃 と 考 え ら れ る.一
紀 頃 か ら ス ラ ブ 人 が 移 住 し て 来 始 め た が,9
世 紀 に ブ ル ガ リア が ギ リ シ ア 正 教 を と り入 れ,こ ド ナ ウ北 岸 に も 広 げ,正
教 と と も に,教
り,外
れを
キ リ ル 文 字 が 教 会 で 使 用 さ れ る こ と に な り,ル
ー マニ
ア 語 に ス ラ ブ 語 彙 が 入 る こ と に な る の で あ る.ル
ー マ
Limbii Socialiste
語(英 語,日
1521年
で あ る.教
が,一
般 に は,次
な り,1859年
説明が要領
頃 で あ る.
ー マ ニ ア 語 で 書 か れ た もの で あ る が,他 本 語)と
の 対 照 辞 書 と し て は,以
会 で は キ リル 文字 が 使 用 され て い た
が 代 表 的 で あ る.
第 に ラ テ ン文 字 も 使 用 さ れ る よ う に
Panovf,Irina(1976),DictionarRoman‐Englez
に は,ラ
テ ン文 字 の 使 用 が 公 式 に 決 め ら
(Editura
深 い 思想 を美 しい ル ー マ ニ ア語 で うた
(Editura
Stiintifica
学]
っ た 詩 人 エ ミ ネ ス ク(Mihai
Emineseu,1850∼89),主
た サ ド ヴ ェ ア ヌ(Mihail ま た,長
Sadoveanu,1880∼1961),
Stancu,1902∼)な
[辞
Romane〔DLR〕(Editura sti)―1913年,王
集 が 続 け ら れ て い る.大
項,1984年
目 のsの
る ま で,用
直 野 敦(1984),『
目 のpの
項,
組 で15,6ペ
ージをあ
語 的 用 法 や 方 言 に至
例 を あ げ て 詳 し く説 明 し て い る.
Romane
Academiei
Populare
上 のDLRの
Romine,Bucu
Academiei
Romine,Bucuresti)―
Romane
Republicii
や 名 詞 複 数 形 の 不 規 則 な 語 も 分 か る.語
Roman,4vols.(Editura
に
詞の活用 源について
politica,Bucuresti) ら ゆ る 分 野 に つ い て,か
R.S.R.(1972),Mic
Limbii
Academiei
Republicii
Romine,Bucuresti;2nd Republicii
Popu
ed.1966,Editura Socialiste
Romane,Bu
curesti) Course
in Contemporary
Didactica
si Pedagogica,
Coteanu,Ion(1981),Structura Limbii
Romane(Editura
si Academiei
Evolutia R.S.R.,
Bucuresti)
Limbii
Enciclopedic
り 詳 し い 説 明 が 得 ら れ る. Academia
R.S.R.(1954),Gramatica
Dimitrescu,F.and
―(1962‐66),Dictionarul
Repu
Romane,Bucuresti)
Bucuresti)
も触 れ て い る.
真 入 りで,あ
blicii Populare
Rumanian(Editura
Popu
図 入 り な の で,特
V.Pamfil(1978),Istoria
Romane(Editura
Didactica
si Peda
gogica,Bucuresti) な
直 野 敦(1977),『
ル ー マ ニ ア 語 文 法 入 門 』(大 学 書 林,
東 京) Dictionar
京)
Limbii Academiei
Cazacu,Boris(1980),A
物 の 名 前 な ど を 調 べ る と き 便 利 で あ る.動
図 ,写
R.P.R.(1965‐69),Istoria
Academiei
文 学 作 品 な ど を 読 む 際 に 有 用 で あ る.
Moderne(Editura
例 が豊 富
詞 を 探 す の に 役 立 つ.
Romane,2vols.(Editura
lare
Limbii
羅
正 書 法 が 古 く,例
ル ー マ ニ ア 語 辞 典 』(大 学 書 林,東
Romane(Editura
縮 小 版 と も 言 う べ き も の で,
―(1958),Diotionarul
Academia
Academia
Literare,4vols.(Editura
Republicii
resti)―
山 青 松(1940),『
京)―
[参 考 文 献]
R.P.R.(1955‐57),Dictionarul
Limbii
津 憲 三,青
―巻 末 の 動 詞 活 用 表 が,動
項が 出 版 され て い
に つ い て,A4判2段
Aeademia
―
Englez‐Roman(Editura
で 役 に 立 つ 辞 書 で あ る.
に は11巻3
に は8巻5冊
に は10巻2冊
て る こ と もめ ず ら し く な く,俗
lare
Frazeologic
文 の 中 に 現 在 に 合 わ な い も の も あ る が,用
国 で あ っ た 頃 に 刊 行 が 始 ま り,
体 ア ル フ ァ ベ ッ トの 順 に 進 み,1983年
る.1語
I.Preda(1967),
日 辞 典 』(杏 林 舎 印 刷,東
Academiei,Bucure
体 制 が 変 わ っ た 現 在 も,編
冊 目 のtの
Roman‐Englez
Stiintifica,Bucuresti)
ラ ド ゥ ・ フ ロ ン ド ル,根 R.S.R.(1913‐),DiotionarulLimbii
1987年
L.Levitchi Frazeologic
Stiintifica,Bucuresti)
書]
Academia
Englez‐Roman
Nicolescu,A.,Popovici,L.and Dictionar
ど の 作 品 が,日
本 語 に も訳 さ れ て い る.
下 の もの
si Enciclopedica,Bucuresti)
(1966),Dictionar (Editura
編 小 説 で は現 代 ル ー マ ニ ア文 学 を代 表す る ス
タ ン ク(Zaharia
Stiintifica
Bantas,A.,Gheorghitoiu,A.and
と して短 編 小 説 の 中 に ル ー マ ニ ア の 自 然 と心 を凝 縮 し
言
si Enciclopedica,Bucuresti)
― (1981),Dictionar
[文
al
Republicii
Romania,Bucuresti)―
れ た.
Academiei
よ く ま と め ら れ て い て,手 以 上 は,ル
手 紙 が 書 か れ た の は,
Explicativ
Romane(Editura
(Neacsu
Cimpulung)の
め 細 か に 作 ら れ て い る.
―(1975),Dictionarul
ニ ア語 の 最初 の文 献 で あ る ク ン プル ン グの ネア ク シ ュ din
romana,
国語 につ い て は原 語 の 発 音 が分 か る よ うに配
慮 す る な ど,き
会 ス ラ ブ語 と
enciclopedica
固有 名 詞 が 後 半 に ま とめ られ て お
[参
照]
ア ・ル ー マ ニ ア 語,ロ
マ ンス 諸 語
(倍賞
和 子) <図>レ
ト・ロマ ン ス諸 語 地 域
れ レ ッ ツ ェ ブ ル ク 語Letzebuergesch, 独Letzeburgisch レ ッ ツ ェ ブ ル ギ ッ シ ュ(語)と
も い う.
= ル クセ ンブ ル ク語 レ ッ ト語
英Lettish
= ラ トヴ ィ ア 語 レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 ロ マ ン シ ュretorumantsch,英 Raeto‐Romance,仏rhetoroman,独Ratoroma nisch,伊retoromancio 上 記 の ほ か に,イ
タ リ ア 語 で,レ
を 総 称 し て,ladinoと [概
説]
ト ・ロ マ ン ス 諸 語
よ ぶ 場 合 が あ る.
c)ス
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 は,イ
ロ ッ パ 語 族 の ロ マ ン ス 諸 語 に 属 し,ス
ン ド ・ヨ ー
イス東南部のグ
ル メ イ ル(Surmeir)地
方:ス
ル ミラ ン語
(surmiran) d)エ
谷 地 方:ラ
デ ィ
ラ ウ ビ ュ ン デ ン(Graubunden)州
と,イ
ド ロ ミテ(Dolomite)地
タ リア 北 東 部 の フ リ
高 地 エ ン ガ デ ィ ン 地 方:ピ
ュ テ ー ル 語(puter)
の地 域 で 話 され る言 語 群 の
低 地 エ ン ガ デ ィ ン地 方,ミ
ュ ス タ イ ル(Mus
ウ リ(Friuli)平
方 と,イ
野 の,3つ
タ リア 北 部 の
ン ガ デ ィ ン(Engadin)渓
ン語(ladin)
総 称 で あ る. 言 語 人 口 は,推
tair)地 計,60万
2)イ
人 前 後 と さ れ る.
ア ル プ ス 山 岳 地 帯 の 先 住 民 族 で あ る レ チ ア 人(Rae ti)の 言 語 が,帝 た,と
政 ロー マ 期 に ラテ ン語 化 して形 成 さ れ
す る の が 通 説 で あ る が,言
明 な 点 が 多 い.ス は,北
イ ス,イ
方 を 強 力 な 国 家 に 囲 ま れ て,
戦 略 防 衛 上 の 要 衝 で も あ っ た.こ
れ ら の3地
理 的 に 隣 接 し て お ら ず,ま
た,歴
め わ め て 細 か な 方 言 群 に 分 か れ て い る.こ
在 も,き
が,レ
ト ・ロ マ ン ス 語 系 言 語 を 研 究 す る 上 で,大
さ れ る3地
1)ス
d'Ampezzo)地
・ ダ ン ペ ッ ツ ォ(Cortina ド リ ー ノ 語(cadorino)
リ ウ リ地 方:フ
方:ス
ア ン語(sursilvan) ッ トセ ル ヴ ァ(Sutselva)地
1)ス
ル ニ ア(Carnia)地
方:カ
ル ヴ ァ ン 語(sutsilvan)
ッ トシ
ル ニ ア 語(carni
れ ぞ れ の 言 語 状 況 に つ い て 述 べ る. イ ス,グ
ラ ウ ビ ュ ンデ ン州 の ア ル プ ス地 方
際 の 発 音 と 綴 りの ヴ ァ リ ア ン トは,下 ば れ,4方
方:ス
フ リ ウ リ語(fur
co) 以 下,そ
ル シル ヴ
通 フ リ
occidental)
ス イ ス の レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 は,ロ
ル セ ル ヴ ァ(Surselva)地
リ ウ リ語(furlan)
comun)
リ ウ リ平 野 西 部 地 方:西
c)カ
Romanisch,仏
ォ ドム語
リ ウ リ平 野 中 央 お よ び 東 部 地 方:共
lan
マ ン シ ュ語
称 に つ い て は,以 下
ァ ッサ 語
谷 地 方:フ
方:カ
タ リ ア,フ
ウ リ語(furlan
を 参 照)
b)ス
ル テ ィー ナ
3)イ
b)フ
(英Romansh,独Bundner
a)ス
ォ ド ム(Fodom)渓
e)コ
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 の 話
romanche,伊romancio,自
谷 地 方:フ
(fodom)
a)フ
ラ ウ ビ ュ ン デ ン 州:ロ
ルダイ
(fashan)
域 と そ の 方 言 名 を,西 か ら 東 へ 列 挙 す る と,
イ ス,グ
デ ィオッ ト
谷 地 方:ガ
ァ ッ サ(Fassa)渓
d)フ
きな
以 下 の とお り で あ る(〈 図 〉 を 参 照).
称 は
ナ 語(gherdeina)
課 題 と な っ て い る. [方 言 分 布 と 言 語 状 況]
ロ ミ テ 語,自
谷 地 方:バ
ル デ ー ナ(Gardena)渓
c)フ
の た め,他
の ロ マ ンス 諸 語 と 区 別 す る共 通 的 特 徴 と 分 類 の 問 題
デ ィ ー ア(Badia)渓
b)ガ
史 的 に も,共
通 語 や 標 準 語 が 形 成 さ れ な か っ た た め に,現
ロ ミ テ 地 方:ド
語(badiot)
域 は,外
に 開 か れ て い る と と も に 自立 的 な 生 活 圏 を 保 っ て い た が,地
a)バ
の ゲル マ ン語 圏 と南 の地 中海 ロー マ文 明圏 を結
ぶ 交 通 の 枢 軸 で あ り,四
タ リ ア,ド
ァ ラ ー デ ル 語(vallader)
ラ デ ィ ン語(ladin)
語 基層 につ い て は不
タ リア の ア ル プ ス高 原 地 方
方:ヴ
マ ン シ ュ 語(実 記 を 参 照)と
よ
言 群 に 分 け ら れ る.
言 語 人 口 は,グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン 州 内 で 約3万7千 他 の ス イ ス 各 地 方 に 住 む 話 者 を あ わ せ て,約5万
人, 人(ス
イ ス 全 人 口 の0.8%)と 票 に よ っ て,ド ぐ,ス
さ れ る.1938年2月
イ ツ 語,フ
イ ス 第4番
目の
の国民投
ラ ン ス 語,イ
ナEngiadina)地
タ リア 語 に 次
「国 語 」 と して,さ
方―
の 源 流 地 帯 で,避
ドナ ウ川 水 系 イ ン(Inn)川
暑 地 サ ン モ リ ッ ツ(St.Moritz,
ロ マ ン シ ュ語 名 サ ン ミ ュ レ ッ ツ ァ ンSan
らに最 近 に
Murez
の国
zan)を
中 心 とす る 高 地 エ ン ガ デ ィ ン(Engiadin'
民 投 票 に よ り 「公 用 語 」 と して い ち お う認 め ら れ て い
ota)地
方 と,同
な っ て 少 数 言 語 擁 護 の 世 論 が 高 ま り,1996年3月
る.し
か し,さ
らず,ド
ま ざ まな 再 生 の た め の努 力 に もか か わ
イ ツ 語 の 侵 食 に 従 っ て,次
第 に,そ
(Scuol)を dina
の勢 力 を
ス メ デ ィ ア の 影 響 で,ロ は,ほ
よ ば れ る.そ
は サ メ ー ダ ン(Samedan)に
イ ツ語 との二 言 語 併 用 者 とな って
動 が 展 開 さ れ て い る.後
紀 以 来,共
通 ロマ ン シ ュ語 の 必 要性 が 認識
語,ロ
マ ン シ ュ 語 名 は,ル
ざ ま な 試 み が な さ れ て き た が,特
方 言 が,オ
フ ェ ン(Ofen)峠
章語 の
ル セ ル ヴ ァ 地 方―
般 に,ス
方 言 名 は,ス
ル シル ヴ ァ
ン 語 ・ グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン州 の 州 都 ク ー ル(ド 語 名Chur,ロ は,ク
マ ン シュ語 名
エ ラCuera)か
が,イ
た
マ ンシ ュ語 名
の 町 で あ る.ル
ネ ッ サ ンス 時 代 に は,い
ロ マ ン シ ュ 語 の 印 刷 が こ こ で 行 な わ れ,以 語 文 化 の 擁 護 運 動 の 中 心 と な っ て い る.ロ ュ 語 で は,ロ 語 彙,統
モ ン チ ュ(romontsch)と
語 法 と も に,隣
れ ら と 区 別 せ ね ば な ら な い.
b)ス
域 が あ る.方
ッ ト セ ル ヴ ァ 地 方―
方 言 名 は,ス
リ ム ス(Flims)の
抜 け る 峠 道 が 南 に あ る た め,中 語 の 侵 入 が 著 し く,4地
ッ トシル
森 を 隔 て て,ス
セ ル ヴ ァ 地 方 の 下 流 に 位 置 す る一 帯.イ
ル
言 分 布 は,セ
語 化 さ れ て,言
地 と な っ て い る.ロ (rumantsch)と
tino‐Alto
Adige)自
と つ の 流 域 で,交
っ とも非
言 語 に 対 す る 呼 称 と し て,ラ
デ ィ ン(ladin)が
用い ら
こ こ で は,簡
潔 に,ド
中心
マ ンチュ
た る ま で,強
ロ ミテ 語 と総 称 す る こ と に す る.
ご と に 分 断 さ れ た ま ま,辺 た.第1次
ル ミラ ン語 ・
大 戦 後 は,イ
ほ と ん ど の 話 者 が,イ
通 の 要 所 で あ る テ ィー フ ェ ンカ
ミテ 語 の 言 語 人 口 は,資
サ ヴ ォ ー ニ ン(Savognin)
ら7万
マ ン シ ュ 語 で は,ル
マ
よ ば れ る.
ン ガ デ ィ ン(ロ マ ン シ ュ 語 名
エ ン ジ ヤデ ィー
3万
境 言語 の歴 史 を た ど って き タ リ ア に 併 合 さ れ て3県
に分
準 語 形 成 の 機 会 を 失 っ て し ま っ た.
る い は,ド
の ス ッ トシル ヴ ァ ン語 と近 い特
世 か ら現 代 に い
力 な ドイ ツ 語 圏 と イ タ リア 語 圏 の 間 で 谷
割 さ れ た た め,標
方 言 名 は,ス
イ ス の ラ デ ィ ン語 と の 混 同 を 避 け る
か ら発 す る ラ イ ン 川 の 源 流 の ひ
と め ら れ る こ と が 多 い.ロ
か くは,5
者 自身 に よ る この 地 域 全 体 の
チ ロ ル ・ア ル プ ス の 南 端 に 位 置 し,中 全 に ドイ ツ
徴 を 示 す た め に,「 中 央 ロ マ ン シ ュ 語 」 と し て ま
ン チ ュ(rumantsch)と
つ の 谷 に 分 類 さ れ る.話
ロ ミテ ・ラ デ ィ ン 語 と よ ば れ る 場 合 が 多 い.
ラ ン ツ(Ilanz)が
ス テ ル(Tiefencastel)や を 中 心 と す る.西
治 州 と,そ の 東 に 隣 接 す る ヴ ェ ネ
の 山 岳 地 帯 に ま た が り,細
た め に,ド
マ ン シ ュ 語 で は,ル
ル メ イ ル 地 方―
塊 を中 心 に
世末 期 か ら ドイ ツ
よ ば れ る.
ユ リ ア(Julier)峠
ル ラ(Sella)山
レ ン テ ィ ー ノ ・ア ル ト ・ア デ ィ ー ジ ェ(Tren
記,ス
方 の 中 で も,も
語 上 は,イ
ロ ミテ 諸 語 地
れ る が,上
ロ マ ン シ ュ 語 化 が 進 ん で い る.
d)エ
し て,ト
ロ を 隔 て て,ド
タ リア に
中 心 地 の ト ゥ シ ス(Thusis)は,完
c)ス
線 距 離 で 約100キ
ト(Veneto)州
ヴ ァ ン 語.フ
ス イ ス ・ロ マ
ン シュ語 の 話 され る グ ラ ウ ビュ ンデ ン州 の 南 端 か ら東
マ ンシ
強 い.
よぶ 場 合 が 一 般 的
タ リ ア 北 部 の ド ロ ミテ 地 方
に,直
接 す る ドイ ツ 語 の 影 響 が
地 名 で ラ デ ィン
ト ・ロ マ ンス 諸 語 を 総
な の で,そ
後,言
よ ば れ,
い し,現
る い は,レ
デ ィ ー ノ(ladino)と
2)イ
ち 早 く,
記 の ド ロ ミ テ 諸 方 言 を,ラ
称 し て,ラ
イ ツ語 名
ム シ ュ テ ー ルMuster)
よぶ のが 慣 例 と な っ て い る
タ リア 人 が,下
(ladin)と,あ
帯 の 谷 で,中 心 地 は,中 世 か ら ベ ネ デ ィ ク ト派 の 修
Disentis,ロ
を南 に越 え て イ タ リ
れ ら の 諸 方 言 を ま と め て,
デ ィ ー ニ(ladini),な
ら東 に 入 る ラ イ ン川 源 流 地
道 院 が あ っ て 栄 え た デ ィ セ ン テ ィ ス(ド
イ ス で は,こ
ラ デ ィ ン 語(ladin)と
イツ
コ イ ラCoira,ま
語 的特 徴 か ら は後 者 に属 す る小
ア と の 国 境 に 接 す る ミ ュ ス タ イ ル の 谷 に あ る.一
の 開 発 と普 及 が 進 め ら れ て い る. a)ス
発 な復 興 運
マ ン チ ュ(rumantsch)
た,言
Grischun)
の言 語 文 化 的 中心
者 の方 言 は ヴ ァ ラ ー デ ル
で あ る.ま
に 最 近 は,文
メ ー ンチ ュ
あ り,活
さ れ,中 間 地 帯 の ス ル ミ ラ ン語 を 中 心 言 語 と し て,さ ま
レベ ル で,統 一 ロ マ ン シ ュ語(Rumantsch
者 の 方言 は ピ
(rumauntsch)と
在で
ぼ 完 全 に,ド
い る.18世
方 と に 分 か れ る.前 マ ン シ ュ 語 名 は,ル
業 生 活,マ
マ ン シ ュ 語 の 話 者 は,現
中 心 と す る 低 地 エ ン ガ デ ィ ン(Engia
bassa)地
ュ テ ー ル 語 で,ロ
失 い つ つ あ る の が 現 在 の 趨 勢 で あ る. 小 学 校 高 学 年 か ら の ドイ ツ 語 教 育 や,職
じ谷 の下 流 地 域 の シュ ク オ ル
タ リ ア 語 と の 二 言 語 併 用 者,あ
イ ツ 語 を 加 え て 三 言 語 併 用 者 で あ る.ド 料 の と り方 に よ っ て1万
人 ま で の 幅 が あ る が,推
計,約2万5千
ロ 人か
人か ら
人 の 間 で あ る と 考 え られ る.
a)バ ト語
デ ィ ー ア 渓 谷 地 方―
方 言 名 は,バ
デ ィオ ッ
ト レ ン テ ィ ー ノ ・ア ル ト ・ア デ ィ ー ジ ェ 州,
ボ ル ツ ァ ー ノ(Bolzano)県
に 属 し,こ
政,教
言の使用 が公けに認め
育,教
会 な ど で,方
こ で は,行
られ て い る.険 しい 地 理 的 環 境 に あ るた め,長 い
して お り,若 干 の 語 彙 的 要 素 を 受 け 入 れ て い る.し か
間,中 央 イ タ リアか らの 「トス カ ー ナ語 化」 の影
し,現 在 で も,一 般 に,民 衆 の 間 で は,フ
響 を被 らな か った.そ の た め,歴 史 的 な保 守 性 が
メ デ ィア が 好 まれ,文 学 活 動 も活 発 で あ る.フ
リウリ
顕 著 で,ド ロ ミテ ・ラデ ィ ン語 の 典 型的 な特 徴 を
語 の 言語 学 的 研 究 は,主 に,ウ デ ィネ(Udine)大
学 と,
多 く示 す.し か し,隣 接 す る言語 文 化 圏 は,む
西 の パ ドヴ ァ(Padova)大
し
学 で な され,フ
ろ ドイ ツ 語 で あ り,そ の 影 響 は 無視 で き な い.文
の 言 語地 図 も刊 行 され て い る.
化 的 中 心地 は,サ ン ・ マ ル テ ィー ノ(San
a)フ
Martino)
で あ る. b)ガ
方 言 名 は,ガ ル ダイ ナ
リウ リ地 方
リウ リ平 野 中 央 お よび東 部 地 方―
は,フ
ル デ ー ナ渓 谷 地 方―
リ ウ リ語 の
(furlan
東部方言
リウ リ語 諸 方 言 の共 通 語(コ イネ ー)的 役 割 comun)を
果 た して お り,中 心 地 は ウ デ
語・ セ ル ラ山 塊 か ら西 に伸 び て イ ザ ル コ(Isarco)
ィネ で あ る.こ こに は,大 学 の ほか,フ
川 に合 流 す る この渓 谷 は,地 形 が穏 や か で,し か
文 献 協 会 が 出版 ・啓蒙 活 動 を行 な い,伝 統 的 言 語
リウ リ語
も,古 くか ら木 製 玩 具 の 製造 を産 業 として もって
文 化 の 擁 護 に 努 め て い る.こ の方 言 は,強 勢 音 節
い た.こ の た め,交 通 が 頻 繁 で,言 語 的 に も均 質
の 強 位 置/弱 位 置 に よ り,語 末 母 音 の 長/短
で あ り,人 口 の9割 以 上 が,こ の方 言 を母 語 と し
韻 論 的 対 立(i:/i,e:/e,etc.)を
て い る.バ デ ィー ア地 方 と同様,ド
る.
イ ツ語 か らの
影 響が 大 き い.中 心 地 は,オ ル テ ィゼ イ(Ortisei) で あ る. c)フ
b)フ
リ ウ リ平野 西 部地 方―
の音
もつ の が 特 徴 で あ
平 野 を北 か ら南 に流
れ,ア ド リア海 に注 ぐ タ リャメ ン ト(Tagliamento)
ァ ッサ渓 谷 地 方―
方 言名 は,フ ァ ッサ 語.セ
ル ラ 山塊 か ら南 西 に伸 び る谷 は,ト レ ン ト(Tren
川 を 隔 て て,西 の半 分 が,フ
リ ウ リ語 西 部 方 言
(furlan
occidental)地
to)県 に属 し,隣 接 す る北 イ タ リア の ヴ ェネ ト語
もに,こ
こで は,特 に,ヴ ェネ ト語 との 干 渉 現 象
(veneto)の
が 著 しい.東 部 方 言 の 長母 音/短 母 音 の対 立 は な
影 響が,音 韻 か ら構 文 上 まで 強 くみ ら
れ る.モ エ ー ナ(Moena)を ト以上 が,フ d)フ
中心 に,75パ
ーセ ン
ァッサ 語 の 話者 で あ る.
ォ ドム渓 谷 地 方―
セ ル ラ 山塊 の 南 東,リ
域 で あ る.海 岸 地 帯 と と
く,ス イ ス の エ ンガ デ ィン地 方 の ラデ ィ ン語 の よ うな 下 降 二 重 母 音 との 対立(i,a,u,ei,ou)と
方 言 名 は,フ ォ ドム語. ヴ ィ ナル ロ ンゴ(Livinal
な
る. c)カ
ル ニ ア地 方―
フ リウ リ平 野 の 北 で,オ ー ス
longo)地 方 は,ヴ ェネ ト州,ベ ル ル ー ノ(Belluno)
トリア 国 境 に近 い 山 間 部 の フ リ ウ リ語 は,カ ル ニ
県 に属 し,約90パ
ア 方 言 と よばれ,音 韻,語 彙 の面 で独 自の特 徴 を
ー セ ン トの住 民 が,こ の 方 言 を
母 語 と して い る. e)コ
示 す.強 位 置/弱 位 置 に よる音 韻 論 的 対立 は,西
ル テ ィー ナ ・ダ ンペ ッツ ォ地 方―
カ ドリー ノ 語.フ
ォ ドム地 方 と 同 じ行 政 区 分 に属
す るが,人 口の30パ は い な い.こ
方 言 名 は,
ー セ ン トしか この 方 言 の話 者
こで は,い か な る法 的,公 的 な 地 位
も与 え られ て お らず,ヴ ェネ ト語 に従 属 して い る. 3)イ
タ リア,フ リウ リ地 方
行 政 区 分 上 は,フ リ
ウ リ ・ヴ ェネ チ ア ・ジ ュ リア(Friuli‐Venezia
Giulia)
自治 州 に あ り,州 都 は,19世 紀 に,ヴ ェネ ト語 に よ っ
部 方 言 と同 じ タイ プ を もつ.カ
ル ニ ア 語 は,3つ
の 小 さな谷 に分 か れて 存 在 し,中 心 地 や共 通 語 は もた な い. [系統論 争 と名 称]
レ ト ・ロ マ ンス語 が他 の 言 語
との 間 に もつ 類 似 性 を発 見 し,書 物 の形 に ま とめ た の は,ス イ ス の エ ンガ デ ィ ン地 方 出 身で,イ ギ リス大 英 博 物 館 の 司書 を して い た プ ラ ン タ(J.Planta)で
あ った.
て 非 フ リ ウ リ語 化 され た トリエ ス テ(Trieste)で あ る.
彼 は,1776年 に,フ ラ ンス 語 最 古 の 文 献 『ス トラ ス ブ ー ル の宣 誓 』(Serments de Strasbourg ,842)と,
フ リ ウ リ語 は,主 に,中 央 の平 野 部 に残 され,言 語 人
エ ンガ デ ィ ン地 方 の ロ マ ン シ ュ語 方 言 で あ るラ デ ィ ン
口は50万
語 を比 較 して,そ の相 似 性 を指 摘 し た.そ の後,1790
人 を 越 え るが,公 け の場 や 義 務 教育 の 言 語 と
は な って お らず,地 域 語 と して の地 位 は低 い と言 え る.
年 に,ス ラブ 系 学者 のカ ル リ(J.R.Karli)は,聖
歴史 的 に,フ
リ ウ リ語 は,隣 接 す る ヴ ェネ ト語 の絶 え
『 創 世 紀 』の 冒 頭 部分 につ い て,や は り,エ ンガ デ ィ ン
ざ る 影 響 を 強 く受 け て お り,多 くの 共 通 の要 素 を見 い
地 方 の ラ デ ィ ン語 とフ リウ リ語 との 両 方 の翻 訳 文 を対
だ す こ とが で き る.日 常 的 に,大 部 分 の 住 民 は,ヴ ェネ
照 して,そ の 類 似性 を根 拠 に,こ れ らが 同一 の言 語 に
ト語 との二 言 語併 用 状 態 に あ る.さ ら に,今 世 紀 に な
属 す る2方 言 で は な いか と結 論 した.さ
っ て積 極 的 に 進 め られ た 「イ タ リア 化 」政策 に よ って,
リ語 が,ラ テ ン語KA‐
特 に,都 市 部 で は,公 的 に は,イ タ リア 語 が フ リ ウ リ語
折 語 尾 の ‐sな ど,フ
を駆 逐 して しま った.ま た,イ タ リア 国 境 内 部 で も,
か ら,イ タ リア 語 よ り,フ ラ ンス 語 に近 い こ とを主 張
周辺 部 で は,北 の ドイ ツ語,東 の ス ロベ ニ ア語 と接 触
した.現 代 の ロマ ンス 語 学 で 言 う 「西 ロ マ ニ ア」 的 特
ら に,フ
書の
リウ
の 口蓋 化,複 数 を示 す 語 末 屈 ラ ンス 語 との 共 通 点 を もつ こ と
徴 で あ る(後 述 参 照).
19世 紀 後 半 に,史
る と,レ
ス を 中 心 に,こ
的 音 声 学 の 方法 が精 密 に な って く
ト・ロ マ ン ス 諸 語 の 内 的 一 体 性 を 証 明 し よ う と
い う 試 み が な さ れ た.当
の 便 利 な 名 称 が 広 ま っ た が,ス
「ロ マ ン シ ュ語 」 を 言 う場 合 に も,広
第2の
不 都 合 が 生 じ た.最
ler)と,ス
manisch「
近 で は,狭
マ ン シ ュ 語 に 対 し て は,ド
ラ ウ ビ ュ ン デ ン州 の ロ マ ン シ ュ 語
諸 方 言 を 研 究 し て い た ラ ウ シ ュ(F.Rausch)は,と に1870年,フ
を 形 成 す る と論 じた.こ に,フ
も
リ ウ リ語 と そ れ ぞ れ の 言 語 が 同 一 言 語 群 れ ら の 主 張 を 受 け て,1873年
て,区
を 著 し,そ
『ラ デ ィ ン 語 試 論 』(Saggi
こ で,3つ
属 す る と い う 学 説 を た て た.本 語 学 は,ア
の言 語 群 に
さ ら に,東
は 「ノ リ ク ム(Noricum)」
と よ ば れ,レ
ッテ ィ ス テ ィ(C.Battisti)や ど,イ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 に,独
し て の 自 立 性 を 与 え ず,イ
タ リ ア 北 部 の ガ ロ ・イ タ リ
た が っ て,こ
の 点 に よ り,3つ
言 語 群 に そ れ ぞ れ 独 立 し た 地 位 を 与 え,さ
ら に,レ
の ト・
ー マ時 代 に チア には 含 ま
た が っ て,レ
チ ア とい
う地 方 名 な い し 民 族 基 層 を 共 有 し な い ド ロ ミテ 語 や フ
タ リア 人 学 者 の 多
ア 語 系 か ヴ ェ ネ ト語 系 の 方 言 に 連 な る も の で あ る と い う 立 場 を と っ た.し
れ て い な か っ た か ら で あ る.し
サル
自の 言 語 グル ー プ と
名 な どか ら
の フ リ ウ リ平 野 地 方 に ま で 広 く分 布 し て い
ト・ロ マ ン ス 語 が 「ラ デ ィ ン 語 」 と い ス コ リに な ら って の こ とで
代 民族
確 認 さ れ て い る も の の,イ タ リ ア 北 部 の ド ロ ミテ 地 方,
れ ら の 地 方 は,ロ
ヴ ィ オ ー ニ(C.Salvioni)な く は,レ
た る 平 野 地 方 に も 居 住 し て い た こ と は,地
た と は 考 え ら れ な い.こ
う 名 称 で よ ば れ る の は,ア だ し,バ
な わ ち,古
イ ス ・ア ル プ ス か ら 北 の ドイ ツ に い
タ リア 人
学 者 に よ っ て,レ
あ る.た
の 「レ ト ・ ロ マ ン ス 語 」 と い う 命 名 に は,
の レ チ ア 人 は,ス
格 的 な レ ト ・ロ マ ン ス
ス コ リ か ら 始 ま っ た と言 え る.イ
Ro
別 を す る よ う に な っ て い る.
歴 史 的 事 実 に 反 す る 誤 りが あ る.す
ladini)
の 地 域 の 言 語 が1つ
義 の ス イ ス ・ロ
イ ツ 語 でBundner
グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン州 ロマ ンシ ュ語 」 と言 っ
し か し,こ
リ ウ リ地 方 出 身 の イ タ リア 人 方 言 学 者 ア ス コ リ
(G.I.Ascoli)は
イスの
「レ ト・ロ マ
ン ス 諸 語 」 を 総 称 し て 言 う 場 合 に も使 わ れ る と い う,
時 の オ ー ス ト リ ア 領 ド ロ ミテ
地 方 の 方 言 を 研 究 して い た シ ュ ネ ッ ラ ー(Ch.Schnel イ ス,グ
義の
リ ウ リ語 に ま で,「
レ ト・ロ マ ン ス 」 の 名 を 与 え る の は
問 題 で あ ろ う. 同 様 に,ブ
ル シ エ(E.Bourciez)の
う に,langues
rhetiques「
め る こ と も,同
じ 理 由 か ら誤 解 を 生 ず る.
ま た,ガ
よ
レ チ ア 諸 語 」 と して ま と
ミル シ ェ ク(E.Gamillscheg)は,ア
ル プ
ス 固 有 の 語 彙 や 地 名 を 根 拠 に,Alpenromanischen
ロマ ンス語 と して系 統 的 一 体 性 を う ち た て よ う と し
「ア ル プ ス ・ロ マ ン ス 諸 語 」 と い う名 称 を 与 え た が,平
た,ス
野 部 の フ リ ウ リ地 方 は や は り排 除 さ れ,ま
イ ス や ド イ ツ の ロ マ ン ス 語 学 者 た ち と 鋭 く対 立
し た.こ
の 論 争 の 背 景 に は,第1次
大 戦 前 後 か ら,ド
イ ツ,オ
ー ス ト リ ア に 対 し て,南
チ ロル を め ぐっ てイ
タ リア 国 内 で ナ シ ョ ナ リ ズ ム が 勃 興 し つ つ あ っ た 反 面,他
方,ス
イ ス 人 側 で は,イ
併 合 の 野 望 を 警 戒 し た,自 と い う状 況 が あ っ た.ロ
衛 の 意 識 が は た らいて いた マ ン シ ュ 語 を,国
語 と し て 認 め る と い う,1938年 る 決 定 は,こ
タ リア 側 の 領 土 拡 大,
の正 式 な 言
他 方,イ
タ リ ア 人 学 者 の ほ と ん ど は,レ
ス 諸 語 全 体 を さ す の に,ド
は,狭
イ ス,ア
ル プ ス 地 方 一 帯 か ら ドイ ツ 南 部 に か け
エ テ ィ アRaetia)と,「
「レ チ ア 」(ま
た
ロ マ ン ス 」(< ラ テ ン語
代 の 「レ
ト ・ロ マ ンス 」 語 地 域 と は 一 致 し な い の で あ る.
を 用 い て い る.し
代 ロー マ 人 に よっ
ルプ
ル プス 地 方 一 帯 をお お う古 代
の 民 族 ・言 語 基 層 の 存 在 は 認 め る に し て も,現
デ ィ ン 語(ladin)」
て の地 域 に対 して 付 け られ た 地 方 名 は,ラ
適 当 で あ る.ア
の よ うな 歴史 的 文脈 の 中 で な され た の で
あ る.
て,ス
の で,不
の ス イ ス国 民 投 票 に よ
レ ト ・ロ マ ン ス と い う名 称 は,古
た,ア
ス 山 脈 南 西 部 の フ ラ ン ス ・ア ル プ ス ま で 含 ん で し ま う
ト ・ロマ ン
ロ ミテ 語 の 自 称 で あ る 「ラ
に 相 当 す るladino(複 か し,こ
数ladini)
の 語ladin(<LATINU)
義 の ド ロ ミテ ・ラ デ ィ ン語 の 名 称 と し て 用 い ら
れ る ほ か に,ス
イ ス,グ
ラ ウ ビ ュ ンデ ン州,エ
ンガ デ
ィ ン 渓 谷 地 方 の ロ マ ン シ ュ 語 の 自 称 で も あ る.さ に,「 ラ デ ィ ー ノ(ladino)」 っ て の 外 国 語,つ
ま り,ス
は,中
米 で,原
ら
住民に と
ペ イ ン 語 を 意 味 し,そ
の言
ROMANICE)と
い う 言 語 系 統 名 と の 合 成 語 で あ る.
語 を 理 解 す る 「白 人 と イ ン デ ィ オ と の 混 血 の 人 」 を さ
こ の 名 称 は,19世
紀 の 初 め,ス イ ス 人 で,デ ィ セ ン テ ィ
す こ と も あ る.ま
ス に 住 む ベ ネ デ ィ ク ト派 の 修 道 僧 で あ っ た,プ ラ チ ア ・
々 の話 す
シ ュ ペ ッ シ ャ(Placia
た が っ て,こ
ドイ ツ 語 で は,フ
Spescha)に
よ っ て 用 い ら れ た,
ラ ンス語 や イ タ リ ア 語 な ど を 含 む
「ロ マ ン ス 語 」 を 示 すRomanischが,ス
イスの
マ ン シ ュ 語 」 を 表 わ す の に も 使 わ れ て い た た め,誤 が 生 じ や す く不 便 で あ っ た.そ
こ で,古
解
代 の地 方 名 な
い し は 民 族 名 を 付 け て,Rato‐romanischと に よ っ て,区
「ロ
別 を 容 易 に し た の で あ る.そ
すること の 後,ス
イ
た,場
合 に よ っ て は,ユ
ダ ヤ 系 の人
「ロ マ ン ス 語 」 の 意 味 に な る こ と も あ る .し の よ う に多 義 で あ る
「ラ デ ィ ン 」 を,レ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 全 体 の 総 称 とす る こ と は 避 け る べ き で あ ろ う. レ ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 の 話 さ れ る3地 て,ベ
域の両端 をとっ
ッ ク(P.Bec)は,rheto‐frioulans「
レ ト ・フ
リ ウ リ諸 語 」 と い う 命 名 を し て い る が,内 性 は 認 め られ る に し て も,ま
だ,一
容的 な 妥 当
般 的 な 名称 とは な
って いな い. <表1>ラ 名 称 の 問 題 は,こ の言 語 群が,果 系 統 的 な,あ
テ ン語 の屈 折 ・ 活 用語 尾 ‐Sの 保 存
た して,ひ とつ の
るい は,類 型 的な 一 体 性 を もつ か ど うか
の 点 に もか か わ って くる.「 レ ト・ロ マ ンス 」 系 言 語 と
主
格
対
ラ テ ン語 (単数) (複 数) 「年 」 ANNUS ANNI
格
(単数) ANNUM
(複 数) ANNOS
い う名 称 を用 い る場 合,「 イベ ロ ・ロ マ ンス 」 「イ タ ロ・ ロマ ンス」 「バ ル カ ン ・ロ マ ンス 」 「ガ ロ ・ロ マ ン ス」 と並 列 に お か れ て,ロ マ ンス 諸 語 の一 大 言 語 群 と して の 位 置 づ け を す る こ と に な る.「 ガ ロ ・ロ マ ンス 」 的 特
東ロマニア イタリア語 anno
anni
ルーマニア語 an
ani
西 ロマ ニ ア
徴 を多 く もつ レ ト ・ロマ ンス 語 が,そ れ とは 別 に独 立
レト・
した グ ル ー プ を形 成 す るか ど うか につ い て は,議 論 の
ロマンス語
an/on
ans/ons
多 い と ころ で あ る.
フランス語
an
ans
スペイン語
ano
anos
[言語 特 徴]
レ ト ・ロマ ンス 語 は,数 多 くの 方 言
群 の総 称 で あ り,ひ とつ の 言 語 に 代 表 させ て,そ の特 徴 を網 羅 す る こ とは で きな い.以 下 に,レ
ト ・ロマ ン
‐ⅰの あ っ た 形 跡 を う か が わ せ る 語 尾 を と る .
ス語 を1つ の言 語 群 と して ま とめ る 特 徴 の み を 掲 げ る.下 位 言 語 グル ー プ に つ い て の個 別 的 な記 述 は,「ド
/nes/「
ロ ミテ語 」 「フ リウ リ語」 「ロマ ン シュ語 」 の各 項 目 を
声
語,ル
ア ス コ リの研 究 以 来,レ
ト ・ロマ ン
ス諸 語 の共 通 的特 徴 と して,一 般 に,次 の4点 が あ げ られ る. 末 屈 折 語尾 ‐Sの 保 存.
2)語
頭 子 音 群PL‐,BL‐,KL‐,GL‐,FL‐
3)KA‐,GA‐,U,Aに 4)特
タ リア 語 で は,‐iと
BELLAS
れ
れ に 対 し て,
な っ て い る.
DOMINAS
LA
UDAS.
レ ト ・ロ マ ン ス 語
ロ ・ロマ ンス 系 あ る い はガ
(ス ル ミ ラ ン)Tei
ロ ・イ タ リア 系 言 語 に も,あ る程 度 は共 通 して み られ ト ・ロマ ンス 諸 語 に お いて は,さ
(ヴ ァ ラ ー デ ル)Tu
Tu
テ ン語 の 語 末 屈 折 ・活 用 語 尾 の ‐Sの保 存
laudas
las
lodast
bialas
duonas.
belas
duonas.
las
フ ラ ンス 語
らに際 立 った 特 殊 性 が 指 摘 され う るの で あ る. 1)ラ
保 存 し て い る.こ
「君 は 美 し い 婦 人 た ち を 讃 え る 」
殊 な 二 重 母 音 化 現 象.
る もの で あ るが,レ
称 に,‐sを
も,「 西 ロ マ ニ ア 」 的 共 通 特 徴 で あ る.こ
ラ テ ン語
の 保 存.
起 こる 口 蓋化 現 象.
これ ら の通 時 的 現 象 は,ガ
タ リア
ー マ ニ ア 語 で は,noi,voi).
動 詞 活 用 語 尾 の2人
た と え ば,イ
1)語
数)(<*nes‐i) 残 し て い る.
ラ テ ン 語NOS,VOS>nus,vus(cf.イ
参照 された い. Ⅰ)音
鼻 」(単 数):/nes/(複
人 称 代 名 詞 の 複 数 形 も,‐sを
loues
les
belles
dames.
イ タ リア 語 Lodi
レ ト・ロマ ンス 語 地 域 で は,ラ テ ン語 の語 末 子 音 ‐S
le belle
donne.
は,発 音 上,消 滅 せ ず に 残 存 した.そ の た め に,イ タ
2)ラ
リア 語 地 域 とは 対照 的 に,こ の ‐sが文 法 機 能 の 標 識 と
PL‐,BL‐.,KL‐,GL‐,お
して 機 能 しつ づ け て い る.名 詞,形 容詞 等 の複 数 は,
は,ロ
ラテ ン語 の 対 格 複数 か ら形 成 され る.こ の複 数 を示 す
ロ マ ン ス 系 言 語 と レ ト ・ ロ マ ン ス 語 だ け が,完
形 態 素 ‐sは,フ
れ ら を 保 存 し た.こ
ラ ンス 語,ス ペ イ ン語,ポ ル トガ ル 語
テ ン語 の 語 頭 閉 鎖 子 音 に ‐L‐が 続 く子 音 群 の よ び,摩
擦 音 の 子 音FL‐
マ ン ス 諸 語 の 中 で 多 様 な 進 化 を と げ た が,ガ
の 保 守 性 は,レ
ロ・
全 にそ
ト ・ロマ ンス 語 を
な ど,ロ マ ンス 諸 語 の うち で,「 西 ロマ ニ ア」の 言 語 グ
ガ ロ ・ロマ ンス 系 言 語 の 中 に 含 め よ う とす る立 場 の有
ル ー プ が 共 通 して もつ 特徴 とさ れ る.他 方,イ
力 な 論 拠 と な る.
タ リア
語,ル ー マ ニ ア 語 は,ラ テ ン語 の主 格 複 数 か ら複 数 形 を受 け 継 い で お り,「 東 ロマ ニ ア」 の グル ー プ を 形 成 す る.レ
ト ・ロマ ンス語 は,イ タ リア北 部 の ロ ンバ ル
デ ィア 方 言 と同 じ く,こ の点 で,「西 ロ マニ ア 」系 の 言 語 で あ る と言 え る(表1を
参照).
ラ テ ン語PLANTA「
ラ テ ン 語CLAVE「
蓋化現象
し か し,レ な く,ス
る と こ ろ も あ る.こ
数形に
口 蓋 化 す る 傾 向 を も つ.
ト ・ロマ ンス 諸 語 に一 様 にみ られ るの で は
リア 語 の よ うに,主 格 複 数 か ら の ‐ Ⅰ を受 け 継 い で い
語 の 子 音 で終 わ る 男性 名 詞 の い くつ か は,複
リ
ガ ロ ・ロ マ ンス 語 的 特 徴 で あ る,
強 勢 母 音 ‐Aの 前 のKとGが
る こ とが 注 目 され る.た
とえ ば,ド ロ ミテ ・ラデ ィ ン
鍵 」 > レ ト ・ロ マ ン ス 語(フ
ウ リ)claf,仏clef(cf.伊chiave) 3)口
た だ し,ド ロ ミテ ・ラ デ ィン語 とフ リウ リ語 で は, 一部の名詞が ,対 格 複 数 か らの‐Sで は な くて,イ タ
植 物 」> レ ト ・ ロ マ ン ス 語(ヴ
ァ ラ ー デ ル)planta,仏plante(cf.伊pianta)
ル シ ル ヴ ァ ン 語 の よ う に,ka‐
を と どめ て い
れ は,近
隣 の ドイ ツ 語 か ら の 強 い
影 響 を 受 け て き た た め に,逆
行 現 象 が 起 きて い る と考
え ら れ る.す
な わ ち,ka‐
>k'a‐
ラ テ ン語KA‐:CAPRA「
>tsa‐
>ka‐.
俗 ラ テ ン 語 の 狭 口 母 音e[e]とo[o]が,フ
山 羊」
と 進 化 し,
イ タ リ ア 語ka‐:kapra
「ガ ロ ・ロ マ ン ス 的 二 重 母 音 化 」 と よ ば れ る が ,ス イ ス ・
レ ト ・ロー マ ンス 語
ロ マ ン シ ュ 語(ス ー デ ル 語)で
(ス ル シ ル ヴ ァ ン)ka‐:kaura
ル ミ ラ ン語,ピ
も
,同
ラ テ ン語SERA「
(ヴ ァ ラ ー デ ル)tsa‐:tsavra
伊sera;古
(ピ ュ テ ー ル)tse‐:tsevra
swa:r;レ
(西 フ リ ウ リ)tsa‐:tsavra
(ス ル ミ ラ ン)seira,(ベ
こ の よ う な 共 時 的 多 様 性 は,必
ず し も,口
蓋化の通時
Ⅱ)形
理 的 分 布 か ら 明 ら か で あ る.む
し ろ,隣
お い て は,ま
る ドイ ツ 語 や ヴ ェ ネ ト語 か ら の 傍 層 的 干 渉 作 用 を 原 因
た 格)と
と み る 立 場 が 有 力 で あ る.
ど っ た.上
ま た,ケ
前 舌 化 が,フ
リ ウ リ地 方 と ド
ロ ミテ地 方 ア デ ィー ジ ェ渓 谷 を除 く レ ト ・ロマ ンス 語 全 域 に み ら れ る.フ
現 代 レ ト ・ ロ マ ンス 語 の 形 態 ・ ず,格
体 系の 部 分的 保 存
テ ン 語 の 格 体 系 は,ロ
ず,主
い う2つ
格 と 斜 格(主
格 以 外 の 格 が融 合 し
述 の,ラ
テ ン 語 の 屈 折 語 尾 ‐Sの
ル プ ス 地 帯 に も認 め ら れ る こ と は,
1)形
容 詞 主 格 の ‐Sの
保存
ス イ ス ・ロマ ンシ
は,2格
体 系(主 格/斜
体 系 の 保 持 は,ガ
《レ ト ・ ロ マ ン ス 語(ス ル シ ル ヴ ァ ン)》 Igl
な っ て い る.こ
um
ei naschius
libers.
の 方 言 の 東 に隣 接 す る 中 央 グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン 地 方(ス
「人 は 自 由 に 生 ま れ て い る(生
ッ トシ ル ヴ ァ ン 語 と ス ル ミ ラ ン 語)で
自 由 で あ る)」
二 重 母 音 化 し てeiと
進 化 す る.さ
ギ ュ ン(Bergun)地
のiが,
方 で は,ekと
ら に,上
流のベル
[myr];レ
(cf.ラ
壁 」 > 伊muro;仏mur
ト ・ ロ マ ン ス 語(エ
ピ ュ テ ー ル)mur,(ス トシ ル ヴ ァ ン,ス
ンガ デ ィ ン地 方 の ッ
ル ギ ュ ン地
進 化 し た 広 口 母 音e[〓]と マ ンス 諸 語 に 広 く発 す るの
HOMO
(直 接 目 的 格)に り,対
格 のme「
加 え て,与
対 立 し て い る.た
与 格 的 な 機 能 は,前
く に お い て は,対
に し か 残 さ れ て い な い.た
な ど)に 対 し て,逆 ま た,ス
と え ば,エ
に,下
降 二 重 母 音(ei,ou)と
ル シ ル ヴ ァ ン 語 で は,二
ラ テ ン 語MEL「蜜 miele;仏miel;レ ン)mel,(ス
ン ガ デ ィ ン地 方
の 言 語 の 上 昇 二 重 母 音(ie,uo
」,俗
な る.
ュ テ ー ル)meil
接 目 的 格)の
だ し,ピ
私 に 」(ま
伊
格
形 があ た は,
ュ テ ー ル 語 で は,
用 い て,分
析 的 にame
代 ロマ ンス 諸 語 の 多
格 の 対 立 は,3人 と え ば,フ
称 の代 名詞
ラ ン ス 語 で は,
次 の よ う に な る.
(女)ら
を 」/leur「 彼(女)ら
こ の 与 格 の 保 持 は,定
ト・ロ マ ンス 語(ス ル シ ル ヴ ァ ル ミ ラ ン)meal,(ピ
格/与
除 く レ 格,対
le「 彼 を 」,la「 彼 女 を 」/lui「 彼(女)に
重 母 音 化 し な い.
ラ テ ン語*MELE>
格(間
な み に,現
こ ろ が,レ
ピ ュ テ ー ル 語 で は,他
称 代 名 詞 に,主
置 詞aを
の よ う に 示 さ れ る.ち
般 に,「 共 通 ロ マ ン ス 的 二 重 母 音 化 」 と よ ば れ
化 は 特 殊 な 方 向 を と る.た
エ ン ガ デ ィ ン地
私 を 」 と 与 格 のmi「
る.と
の変
NATUS
ュ テ ー ル 語 と ヴ ァ ラ ー デ ル 語)を
で,一
ト ・ロ マ ン ス 語 領 域 内 で は,こ
EST
称 代 名 詞 と定 冠詞 の与 格
ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 に は,人
ami)が
方 の ピ ュ テ ー ル)mekr ラ テ ン 語 の 短 母 音E,Oの o[〓]の 二 重 母 音 化 は,ロ
2)人
方 の 方 言(ピ
ル シ ル ヴ ァ ン)mir,(ス ル ミラ ン)meir,(ベ
テ ン 語ILLE
まれなが ら に して
LIBERUS)
い う寄 生 子 音 に 変
化 し て い る. ラ テ ン語MURU「
ロ ・ロ
ラ ンス 語 で は ,
中 世 後 期 に は 消 滅 し て い る.
上 記 の 口蓋 化U>u
イ ス ・ロ マ ン シ ュ 語 ス ル シル ヴ ァ ン 方 言 で は,
は,こ
の現象
格)の 段 階 の 痕 跡 を と ど め て い
マ ン ス 諸 語 に共 通 す る特 徴 で あ る が,フ
前 舌 化 傾 向 が 強 ま り,U>u>iと
詞の位
置 に あ る 形 容 詞 の 男 性 単 数 が ‐sを と る が,こ
る 特 徴 で あ る と言 え る.2格
殊 な二 重 母 音 化 現象
保 存 は,
ュ語 の 一 方 言 で あ る ス ル シル ヴ ァ ン語 で は,属
よ う と す る立 場 を 補 強 す る も の で あ る.
は,ス
マ ン ス諸 語 に
の 格 に 単 純 化 され る進 化 の 過 程 をた
西 部 レ ト ・ ロ マ ンス 語 を ガ ロ ・ロ マ ン ス 系 言 語 に 含 め
4)特
,
ル ギ ュ ン地 方 の ピ ュ テ ー
な っ た の で あ る.
ラ ンス や 北 イ タ リア に住 ん で い た
と考 え ら れ る ケ ル ト系 ガ リ ア 人 の 言 語 特 徴 で あ っ た 口 蓋 化 的 傾 向 が,ア
〓,現 代 フ ラ ン ス 語
レ ト ・ ロ マ ンス 語 の 文 法 体 系 の 形 成 に 決 定 的 な 要 素 と
ル ト民 族 基 層 と関 係 づ け て 説 明 さ れ る,ラ
テ ン語U>u(=[y])の
ラ テ ン 語*SERA>
ュ テ ー ル)saira
態 ・統 語
が あ げ ら れ る.ラ
接す
ァラ
ト ・ロー マ ン ス 語(ス ル シ ル ヴ ァ ン)sera
統 語 面 で の 特 徴 と し て は,ま
的 変化 の各 段 階 が そ の ま ま残 存 して い るの で は な い こ と は,地
夕 方 」,俗
代 フラ ンス語
ル)segra,(ピ
フ ラ ンス 語se‐:〓
ュ テ ー ル 語 ,ヴ
じ進 化 の 方 向 を た ど る.
(共 通 フ リ ウ リ)k'a‐:k'avre
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語tsa‐:tsavra
ラ ンス 語
で は,e>ei>oi>wa,o>ou>〓
ラ テ ン 語).
彼
に」
冠 詞 に お い て も み ら れ る.ス
イ ス の ス ル ミ ラ ン 語 で は,表2の 与 格 に は,男
」;les「
よ う な 体 系 を も つ.
性 ・女 性 の 性 の 区 別 は な い(大
文 字 は,
<表2>ス
は,合 成 的 未 来 形 と言 え る.最 後 の例 で あ る フ リ ウ リ
ル ミラ ン語 の 定 冠 詞 主格 = 目的 格
単 数 男 性
与
前 にお い て い る点 で,興 味 深 い, il(<ILLU)
女性
語 の 迂 言 法 的 未来 形 は,助 動詞ve(<HABERE)を
格
li (<ILLI)
4)語
la (<ILLA)
複 数 男 性
ils(<ILLOS)
女性
las(<ILLAS)
順
レ ト ・ロマ ンス語 は,ロ マ ンス 諸語
の 一 般 的 タ イ プ で あ る,VO型 lis(<ILLIS)
の統 語 構 造 を もつ.名
詞 句 に お い て は,少 数 の カ テ ゴ リー の限 定 詞 とご く限 られ た前 置 詞 を 除 い て は,修 飾 語(句)は 後 置 さ れ る.
《スル ミラ ン語 》
動 詞句 に お い て も,目 的 語 と補 語 は動 詞 の 後 に おか れ
il fegl「 息 子 は(を)」/li fegl「 息 子 に」
る.た だ し,レ
他 の レ ト ・ロマ ンス語 で は,独 立 した 与 格 形 は もた な いが,こ の 場 合,定 冠詞 と前 置 詞aが た とえ ば,ピ
ュテ ー ル語 で は,al(男
融 合 し て,
性 単 数),als(男
ト ・ロ マ ンス語 にお い て は,縮 約 形 と
して現 わ れ る人 称 代 名 詞 の前 接 と後 接 が,豊 富 にみ ら れ る こ とが 特 色 で あ る. ス イ ス の レ ト ・ロ マ ンス 語(ロ マ ン シ ュ語)で は,動
性 複 数)の よ うに な る(cf.ル ー マ ニ ア 語 で は,名 詞 に
詞 が 文 の 第2位 置 にお か れ る.文 頭 に,目 的 語,状 況
後 置 され る定 冠 詞 が,主 格 ・対 格形 に 対立 す る与 格 形
補 語 な どが 先 立 つ 場 合 に も,動
を もつ.lupului「
て,主 語 が そ の 後 に お か れ,い わ ゆ る倒 置 が 起 こ る.
3)句
狼 に」/lupilor「 狼 た ち に」).
構 造 の分 析 的 形 成
レ ト ・ロマ ンス語 の形
詞 は 第2位
《スル シル ヴ ァ ン語 》
態 ・統語 面 で注 目す べ き点 は,分 析 的 統 語 構 造 の 発達
Plaunet
で あ る.ラ テ ン語 の格 体 系 の崩 壊 と平 行 して,さ
「ゆ っ く りと,騎 士 は 近 づ く」
ま な前 置 詞(a,de,な
まざ
ど)を 名 詞 に付 け る句 構 造 を好
s'avischina
(文頭 に副 詞plaunetが
ん で用 い る方 向 を と った.こ れ は,他 の ロマ ンス 諸 語
il cavrerが
に も共通 してみ られ る,名 詞 句 形 成 の分 析 的 な特 質 で
る)
あ る.レ
置を守 っ
il cavrer.
お か れ た た め に,主 語 の
動 詞s'avischinaの
後 にお か れ て い
ト ・ロ マ ンス 語 で は,さ ら に動 詞 句 にお いて
これ は,ド イ ツ語 傍 層 と関 連 す るガ ロ ・ロマ ンス 語 的
も,前 置詞 を用 いて 未 来 形 を 表 わ す のが 一 般 的 で あ
特 徴 とされ,近 代 フ ラ ンス 語 に も部 分 的 にみ られ た 語
る.す な わ ち,語 末 の 活 用 で 未 来 時 制 を 示 す 代 わ り
法 で あ る.ロ マ ン シ ュ語 で は,こ の 語 順 は文 法 規 則 と
に,VENIRE「
な って,厳
来 る,な る」+AD「
に」+ 動 詞 不 定
詞,の 構 造 を と る. 《ス ル シル ヴ ァ ン語 》 Jeu
vegnel
し く守 られ て い る.こ れ に つ い て,ハ イ マ
ン(J.Haiman
1974,1988)は,ゲ
ル マ ン諸 語 と,お
そ ら くは そ の 影響 を うけ た レ ト ・ロマ ンス 語 と フ ラ ン
a salidar.
ス 語 が,動 詞 と離 れ た 位 置 に(前 か後 に)主 語 代 名 詞 を
「私 は,挨 拶 を す るだ ろ う」
必 ず お き,省 略 で きな い統 語 構 造 を も って い る こ と と 詞
関 係 させ て,イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 諸 語 の 中 で も特異 な
vegnir「 来 る」 と前 置 詞 を用 い た,こ の 迂 言 法 的 未 来
言 語 タ イ プ として と り上 げ て い る.た だ し,イ タ リア
しか 存 在 しな い.他 の レ ト・ロマ ンス 語 で は,多 くの 選
国 内 の レ ト ・ロマ ンス語 で あ る ドロ ミテ ・ラ デ ィ ン語
択 可 能 性 を も って い る.同 じ意 味 の 文 を例 に とろ う.
と フ リ ウ リ語 で は,分 離 的 主 語 の 存 在 は必 須 の もの で
ス ル シ ル ヴ ァ ン 語 で は,未 来 形 と し て は,動
《ヴ ァ ラー デ ル語 》
はな く,動 詞 の第2位 置 は要 求 され な い.
Eu
saludara.(合
成 的 未 来 形)
Eu
vegn(a)saludar.(gnir「
Eu
voglsaludar.(助
Ⅲ)語 来 る」+ 不 定 詞)
動詞vulair「
欲 す る」 +
不 定 詞)
彙
地 理 的 ・文 化 的 に 隔 離 され て い た,
ス イ ス,ア ル プス地 方 の ロ マ ン シ ュ語 で は,多
くの ロ
マ ンス諸 語 にお い て は別 の 新 しい 語 に とっ て代 わ られ た,ラ テ ン語 の 古 い形 が 残 され て い る こ とが,特 徴 の
フ リウ リ語 で は,上 の 形 成 法 の ほか に も,次 の よ う
第1で あ る(表3を 参 照).
な ものが あ る. 'Oai saluta
ま た,ア ル プ ス地 方 の イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 以 前 の .(助 動 詞ve「
持 つ」+ 不 定 詞)
ラテ ン語 か ら ロマ ンス 諸 語 へ の進 化 の過 程 で,動 詞
言語 民 族 基層 に よる と考 え られ て い る,若 干 の 単 語 が 伝 承 され て い る こ とが,こ の レ ト ・ロマ ンス 語 の 語 彙
の語 末 の 屈 折 語 尾 が あい まい に な った た め に,不 定 詞
の特 異 な点 で あ る.た とえ ば,crapま
の 後 に,動 詞HABERE「
「山 の岩 石,ガ
持 つ 」 を助 動 詞 と して 付 け
る こ とに よ り,分 析 的 未 来 形 が形 成 され た.レ
ト ・ロ
レ場 」 を,ま た,alpは,「
た はclapは, 高 山 の 草原
地 帯,ア ル プ ス」 を表 わ す,こ の 地 域 の 古 い 語 彙 で あ
マ ンス 諸 語 も,上 記 の ス ル シル ヴ ァ ン語 を 除 き,こ の
る.
未 来 形 を もつ.歴 史 的 に は 分析 的 な形 成 で あ っ た この
『イ タ リア,南 ス イス 言 語 地 図 』(K.Jaberg und J・Jud,1928‐40)に 収 録 され た基 礎 語 彙 を中 心 に 調査
タイ プ の 未 来 形 も,共 時 的 に は,レ
ト ・ロマ ンス 語 で
<表3>ラ
テ ン語 と ピュテ ー ル 語 の語 彙 比 較
ラテ ン語
ピュ テ ール 語
CODICE
「本 」
CASEOLU
「チ ー ズ 」 >
>
PLACITU「
こ と ば 」 >
cudesch
libro
livre
chaschol
formaggio
fromage
pled
voce
mot
「赤 」
cotschen
rosso
rouge
MELINU
「黄 色 い 」 >
mellan
giallo
jaune
ALBU
「白 い 」 >
alv
bianco
blanc
ば,起
>
ッ ド フ ァ ー ン(J.Redfern,1971)に
源 別 に み た 語 彙 の 組 成 は,レ
礎 語 彙 が75%,ゲ 2.5%,そ
ル ト語 系 が
れ を 論 拠 に,レ
ス 語 の 内 的 一 体 牲 を 主 張 す る の は,多 に し て も,こ で あ る.特
少の無理がある
ル マ ン 語 系 の 単 語 が 基 礎 語 彙 の 約5
占 め て い る 事 実 は,ド
渉 の 状 況 を 物 語 っ て い る.と て い る,ス
ト ・ロマ ン
れ ら の言 語 の間 の言 語 接触 の歴 史 は 明 瞭 に,ゲ
分 の1を
テ ン語 系 の 基
ル マ ン語 系 が19%,ケ
の 他3.5%).こ
イ ツ語 圏か ら の強 い 干 りわ け,傍
層 的 に接 触 し
イ ス の ラ イ ン川 源 流 地 帯 の ロ マ ン シ ュ 語 諸
方 言 で は,マ
ス メ デ ィ ア や 学 校 教 育(小 学 校4年
全 科 目 が ド イ ツ 語 に よ る 教 育)の
か ら,
影 響 の 下 に,語
で の 直 接 な い し 間 接 の 借 用 が き わ め て 多 い.ス の よ う な 厳 し い 条 件 の 中 で も,ロ
現 代 語 と し て 蘇 ら せ る た め に,ロ
berg)―
従 え
彙面 イス で
マ ンシ ュ語 を
マ ン シ ュ 語 本 来 の,
レ ト ・ロマ ンス語 諸 方言 の語 形 を採 録 す
る 辞 書.
ト ・ロ マ ン ス 諸 語
す べ て に ほ ぼ 同 じ 比 率 に な っ て い る(ラ
以 下 で は,レ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 全 般
に わ た る 参 考 文 献 を あ げ る.個
[参 考 文 献]
々 の言 語 につ いて の 詳
細 な 文 献 は,「
1)書
誌
Bibliographie
て き た よ う に,レ
ト ・ロ マ ン ス 語 は,基
本
の 言 語 に 属 す る.と
り わ け,顕
著 な ガ ロ ・ ロ マ ンス 語
ロ ・イ タ リ ア 語 的 特 徴 を 示 し,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語,イ
ラ ン ス 語,フ
タ リ ア 北 部 の ロ ンバ ル デ
ィ ア 語 な ど と共 通 し た 音 声 進 化 を とげ て い る.特
に,
ケ ル ト基 層 の 存 在 に よ る一 連 の 特 徴(口 蓋 化 な ど)の 保 存 に 関 し て は,ほ て,内
ぼ,全
レ ト ・ロ マ ン ス 語 領 域 に お い
的 統 一 性 が み ら れ る.た
い て は,他
の2地
だ し,フ
リ ウ リ語 に つ
域 と少 し異 な った 特 質 を 認 め る べ き
レ ト ・ ロマ ン ス 語 の 一 体 性 と 独 自 性 は,共 型 論 的 な 言 語 事 実 に あ る と い う よ り,む 観 点 か ら の 共 通 特 徴 と,周 た め の 干 渉 関 係 に,そ
時 的,類
し ろ,通
時的
辺 言 語 か らの 影 響下 に あ る
の 特 質 を 示 す と 言 っ て よ い.
Zeitscihrift
Rumantsch
Grischun(Societa,Re
torumantscha,Chur,1939‐)―
romanische
て,Romanische
Philologie,Biblio い
Bibliographie,M.Niemeyer,
Tubingen,1961‐) ま た,こ
の 分 野 に 限 ら れ た 書 誌 に は,次
Retorumantscha
Bibliografia
de
la
のような も
(1552‐1984)
musica
vocala
mantscha(1661‐1984)(1986)(Lia
e
retoru
Rumantscha,
Chur) Decurtins,A.,Stricker,H.und Studis
F.Giger(1977),
romontschs
1950‐1977
Ⅰ,Ⅱ(Societa
Retorumantscha,Cuera) Iliescu,M.(1971),"Bibliographie selective
des
Revue
dialectes
Roumaine
(l'Academie
de
Iliescu,M.und
de la
orientative
et
dits《rheto‐romans》", Linguistique,Vol.16
Republique
Socialiste
de
H.Siller‐Runggaldier(1985),
Ratoromanische Romanistik
Bibliographie(Institut der
ス イ ス の ロマ
Worterbuch(Carl
and North
etymo Winter,Heidel
fur
Leopold‐Franzens‐Universitat,
Innsbruck)
raphy",Studies
ン シ ュ 語 諸 方 言 の 語 彙 を 網 羅 す る 辞 典. Meyer‐Lubke,W.(19353),Romanisches logisches
fur
graphie(1886‐1960)(M.Niemeyer,Halle;続
Maxfield,M.E.(1941),"Raeto‐Romance
書]
Dicziunari
linguistique(1939‐)(Spectrum,
Roumanie,Bucarest)
で あ ろ う.
[辞
の該 当項 目 を参 照 す るの
Utrecht)
Bibliografia
マ ン ス 諸 語 の う ち,「 西 ロ マ ニ ア 」 グ ル ー プ
の2点
が よ い.
つ づ け て い る.
的 に は,ロ
レ ト ・ロ マ ン ス 語 研 究 の 主 な 文 献 や
資 料 を 調 べ る に は,次
の が あ る.
以 上,み
ロ マ ン シ ュ 語 」 「ラ デ ィ ン 語 」「ド ロ ミテ
語 」 「フ リ ウ リ語 」 な ど の 項 を 参 照 さ れ た い.
ロ マ ン ス 語 的 造 語 法 に か な っ た 新 語 を創 造 す る 努 力 を
的,ガ
フ ラ ン ス語
COCCINU
し た,J.レ
は,こ
イ タ リア 語
2)概 は,次
in
the
Bibliog Romance
Literatures,Vol.2(University
Languages of
the
Carolina) 説書
レ ト ・ロ マ ン ス 語 全 般 に わ た る 概 説
の も の が 便 利 で あ る.
Bec,P.(1971),Manuel
pratique
romane,Tome
de
de
la
Societe
aspects
langue
du
pro
rhetique",Bulletin
linguistique
de
Paris
de
de
la
linguistique
Ratoromanische
Sprachforschung,Ein
Philologie
romanischen
Hague/Paris)
Rohlfs,G.(1954),Die
lexikalische
dialectologie
Entstehung
Sprache
Philotogie
Ⅱ
de
la
delle
lingue
ン シ ュ 語 と,ド
ロ ミ テ 語 を 対 照 し た 研 究.
Mourin,L.(1964),Introduction comparee
des
Sursilvain
a langues
et
4)レ て は,次
照]
ド ロ ミ テ 語,フ
ポ ー ラ ン ドNarzecza
ladini",Archivio (Loescher,Roma/
スラブ諸 ラブ語 派
あ る い は,レ
(Henniger,Heilbronn;repr.1973,Wiesbaden)
und
account
Society
ratoromanischen
the
of
で にス ラブ 祖 語 の 中 に そ の傾
後 の 歩 み の 中 で,西
学 者 に よ り,細
(London) じた 研
た,ス
ラ ブ 祖語 崩 壊
ス ラ ブ 諸 語 の 一 部 に お い て は,逆
に 収斂 の 動 き も あ っ て,そ
London,Vol.LⅩⅥ
の 変 遷 は 単 純 で は な い.
部 で い ろ い ろ な 相 違 が あ る が,大
schichte
des
Forschungen
Entwicklungsge
Change(Mouton,The
and
Syntactic
の う ち,2は
所 属 に つ い て は 疑 問 は な い.し
Romance
の 一 部 は,下
分 類 され
上 ソ ル ブ 語 と 下 ソ ル ブ 語,3は
に は い ろ い ろ 異 説 が あ り,し
Hague)
―(1988),"Raeto‐Romance",The Languages(Routledge,London)
フ 諸 語,2)ソ
ェ コ ・ス ロ バ キ ア 諸 語,に
ェ コ 語 と ス ロ バ キ ア 語 の そ れ ぞ れ2つ
61(Junge,Erlangen)
Haiman,J.(1974),Targets
ル ブ 諸 語,3)チ る.こ
Alpenromanischen",Romanische
体
の と こ ろ で 一 致 し て い る 見 解 に よ れ ば,西 ス ラ ブ 諸 語, す な わ ち ス ラ ブ 語 派 の 西 方 群 は,1)レ
究. Gamillscheg,E.(1948),"Zur
と え ば,
方 群 は分 散 の程 度 が東 方 群
向 が あ っ た と見 な さ れ て い る.ま
Romansh
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 の 特 質 と一 体 性 を 論
の 言 語,た
フ ・グ ル ー プ と い う 意 味 の 呼 称 に な る.
や 南 方 群 よ り激 し く,す
of
Transactions of
こ に 所 属 す る1つ1つ
ス ラ ブ 語 派 の 中 で も,西
Literatur(M.Niemeyer,Halle)
Language",Philosophical Royal
ラ ブ 語 派,西
ポ ー ラ ン ド語 や ポ ラ ブ 語 の 立 場 か ら み る と,レ フ 諸 語,
Grammatik
der
group
語 の 中 の 一 群 の 言 語 を ま と め て よ ぶ 名 称.ス
に な る が,そ
Gartner,Th.(1883),Ratoromanische
dialects
の 立 場 か らみ る と西 ス ラブ語 の方 言 とい う意 味 の 呼 称
Firenze/Torino)
Sprache
伸 夫)
lechickie,Grupa
lechicka,露〓,
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ 語 族,ス
Planta,J.(1776),"An
デ ィ ン語,
(富 盛 レフ諸 語
ladin
英Lekhitic
― (1910),Handbuch
リ ウ リ語,ラ
マ ンス 諸 語
ト ・ロ マ ン ス 語 学 を 創 始 し た 先 駆 的 業 績 と し
I
Sudschweiz
レ ト・ロ マ ン ス 諸 語 の 領 域 を 含 む 言
の よ う な も の が あ る.
italiano
der
4:
anciens,et
Ascoli,G.I.(1873),"Saggi
5)レ
und
語 地 図. [参
Tempel,Bruges)
glottologico
linguistique
Co.,Zofingen;Index,Francke,
ロ マ ン シ ュ 語,ロ
la morphologie
romanes,Tome
engadinois
dolomitique(De
&
Bern,1960)― イ ス の ロ マ
fragmentation
Italiens
(Ringier
neolatine(R.Patron,Bologna) 期 文 献 の 形 態 論 的 記 述 に よ り,ス
im
J.Jud(1928‐40),Sprach‐und
Sachatlas
Munchen)
3)初
Geltung
Mensch(Francke,
語 地 図.
Jaberg,K.und
―(1975),Ratoromanisch(C.H.Beck,
origini
des
Romania(Klincksieck,Paris)
6)言
Winter,Heidelberg)
Tagliavini,C.(19593),Le
seine und
―(1967),La
(Carl
Differenzie
Bern)
I(Duclot,Lou
Rohlfs,G.(1952),Romanische
Raeto Dialect
Sprachen(Beck,Mun
und
Land",Von
vain)
the
romanischen
of
Italian
Areas(Mouton,The
Ratoromanischen
I:Die
Sprachen(Francke,Bern)
Pop,S.(1950),La
Study
Contiguous
Wartburg,W.von(1956),"Die
23(Francke,Bern)
Kuhn,A.(1951),Romanische
Lexical
and
der
Lin
chen)
Ubersicht",Vox
Romanica,Tome
Redfern,J.(1971),A
rung
und
Romanistischen
Niemeyer,Tubingen)
Romance
romane(Klincksieck,Paris) Decurtins,A.(1964),"Das
der
guistik(Max
36(Paris)
Bourciez,E.(1967),Elements
die
Ch.Schmitt(eds.)
(1989‐),Lexikon
Bonfante,G.(1935),"Quelques bleme
Holtus,G.,Metzeltin,M.uud
philologie
Ⅱ(Picard,Paris)
に 分 か れ,こ
か し,レ か も,こ
チ の
フ諸語の内容 の1の
言語 特 徴
ソ ル ブ 語 と も 共 通 す る も の が あ る.
レ フ 諸 語 に は,現 在 は 死 滅 し た,レ
フ諸 語 中 の 西 の グ
ル ー プ(そ の 中 で 代 表 的 な 言 語 は ポ ラ ブ 語 で あ る)と,
gorod「
東 の グ ル ー プ が あ る.カ
市」
シ ュ ー ブ 方 言 は,そ
あ る ポ ー ラ ン ド語 と は 別 の,独 な さ れ た こ と も あ っ た が,現 方 言 と見 な され て い る.こ
の代 表 で
立 し た1つ
の 言 語 と見
在 で は ポ ー ラ ン ド語 の 一 の カ シ ュ ー ブ 方 言 は,ポ
ラ
ブ 語 を 含 む 西 の グ ル ー プ と ポ ー ラ ン ド語 と の 中 間 に 立
の よ う に,子
舌 の 鼻 母 音o,aへ
遡 る 対 応 を 示 す.こ 化 す れ ば,他
語 の*desetb「10」,*desetb「10番 語 のdisat,disoteに,ま
ま た,本
来,音
語 でtrotと
ラ ブ 語 で はgord「
ル ブ
フ 諸 語 で はtartが 」,gorch「
対
豆」が
に行 くに した が って例 外 的
な も の と な る. ラ ブ 祖 語 の*gも
保 た れ,g>h
と変 化 し た 他 の 西 方 群 の 諸 言 語 と は 異 な っ て い る(ポ ー ラ ン ド語grod:チ
ェ コ 語hrad)
ェコ語 城
い しtortの
ス ラブ 諸 語 の よ うな母 音 重 複 は現
お,*tolt,*tert,*teltに
つ い て も,
後 述(「 歴 史 」)の よ う に,古 降,諸
方 言 が 分 化,発
期 ロ シ ア 語 は,13世
紀以
達 す る 傾 向 が 強 ま っ た が,15世
紀 後半 か らモ ス ク ワ を 中心 とす る ロ シ ア の 再 統 一 が 進 行 す る 過 程 で,モ
ス ク ワ の い わ ゆ る大 ロ シ ア語 Russian)が
立 す る一 方,南 Little
西 の 白 ロ シ ア 語(
White
Russian)は,地
迫 さ れ る に 至 り,帝 れ た.1917年
優 位 を確
の 小 ロ シ ア 語(
Russian)と
.
[参 考 文 献]
対応が認
め ら れ る.
(Great
レ フ 諸 語 で は,ス
園 」,
ル ビ ア ・ク ロ
砦 」,チ
ず れ もtrat,trotな
タ イ プ の 対 応 で,東 わ れ な い.な
対 応 す る.
城,町
の 変 化 は,東
都 市 」,セ 都 市,城
東 ス ラ ブ 諸 語 で は,tolot,teret,teletの
意 の 子 音)は,ソ
な っ て い る の に,レ
対 応 す る.こ
口
黒 い 」,*crnica
ー ラ ン ド語 でczarny,czernicaが
都 市,庭
砦」
ラ ブ 語 でcorne,carnaicaが,ま
ス ラ ブ 祖 語 の*tort(tは,任
形 に
よ うに一 般
城 砦 」,ポ ー ラ ン ド語(P)grod「
な ど の よ う に,い
ラ ブ 祖 語 の*crnb「
「黒 イ チ ゴ 」 は,ポ
(Cz)hrad「
ー ラ ン ド語 のdzie
節 を 形 成 す る 口 蓋 音 のr,lが,非
ス ラブ
の ス ラ ブ 諸 語(南 方 群 と 西 方 群)で は,
ア チ ア 語(SCr)grad「
ラブ
対 応 す る.
蓋 化 して い る.ス
応 し,ポ
れ を*tort:torotの
ブ ル ガ リア 語(B)grad「
ラ ブ祖
目 の 」 は,ポ た,ポ
siec,dziesiatyに
舌 の鼻 母 音
の 推 移 が あ る.ス
都
音 間 の 流 音 を と も な う 音 節 が,東
古 代 教 会 ス ラ ブ 語(OCS)gradu「
レ フ 諸 語 に 共 通 す る 新 し い 傾 向 に は,前
た,ポ
ロ ル シ ア 語(BR)gorad「
諸 語 で は 流 音 の 前 後 に 同 じ 母 音 が 重 複 す るORの
っ て い る.
eの,後
都 市 」,ベ
方 語 と して差 別 圧
政 ロ シア で は 公 式 の 使用 を 禁 じら
の10月
革 命 後,は
じめ て,ロ
シ ア 語 と対
等 の ウク ライ ナ 語 お よび ベ ロル シア 語 と して独 自の 正 Bednarczuk,L.et
al.(1988),Jezyki
pejskie(Panstwowe
indoeuro
Wydawnictwo
Naukowe,
Warszawa) [参
書 法 と文 法 の 規 範 が 定 立 さ れ,民
[分 布 ・人 口]
照]
ロ シ ア 語 は,現
連 邦 の ほ ぼ 全 域 で,公
ス ラ ブ 語 派 (千 野
栄 一)
調 査 の 結 果 に よ れ ば,ロ 人,第2言
2億3,250万 て い る.ロ
ロ シ ア 語 〓
在 で は,ソ
ビエ ト
人 は,ソ
の国勢
シ ア 語 を 母 語 と す る 者1億
語 と す る 者6,900万
人 で,そ
の 合計
連 邦 の 総 人 口 の 約81.4%に
達 し
シ ア 語 を 母 語 とす る 者 の 中 に は,本
来のロ
シ ア 人(1億4,480万
英Russian,独Russisch,
して の
用 語 な い し 高 等 教 育 と学 術 研 究
の 用 語 と し て ひ ろ く用 い ら れ て い る が,1989年
6,350万
ろ
族 語(国 語)と
地 位 が 確 立 し た.
人)の
ほ か に,1,870万
人以 上 の
非 ロ シア 人 が含 ま れ て い る こ とに 注意 し なけ れ ば な ら
仏russe [系
統]
語(→
ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族
な い が,そ
の 大 部 分 は,ロ
シア化 した大 都 市 の ウ クラ
ク ライ ナ語 お よ びベ ロル シア
イ ナ 人,ベ
ロ ル シ ア 人,ユ
ダ ヤ人 な どで あ る.
ロ シ ア 語 は,イ
の ス ラ ブ 語 派 に 属 し,ウ 白 ロ シ ア 語)と
と も に,そ
の 東 方 群,す
な わ ち,
東 ス ラブ 諸語 を形 成 す る. 東 ス ラ ブ 諸 語 を他 の ス ラ ブ 諸 語 か ら 分 か つ も っ と も 重 要 な 特 徴 は,母 音 重 複(full tion)と *gorduに
よ ば れ る 現 象 で,た
vocaliza と え ば,ス
ラ ブ 基 語(PS)
対 し
,国
外 の ロ シ ア 語 人 口 に つ い て は,ま
都 市 」,ウ
城 砦,都
市 」,ロ
ク ラ イ ナ 語(U)
った くの
推 計 に す ぎ な い も の の,学
者 に よ っ て 数 値 が 大 き く相
違 して お り,た
外 の
と え ば,海
計 に 限 っ て も,そ
の 数 は,150万
う に 大 き な 幅 が あ る.し
か も,そ
「ロ シア 系 住 民 」 の 推 人 か ら400万
住 し て ロ シ ア 語 を 母 語 と す る 者 の 数 は,両 か ら 推 計 し て,200万
人の よ
の すべ て が ロ シア語
を 母 語 と し て い る と は 考 え が た い と す れ ば,海
,
古 期 ロ シ ア 語(OR)gorodu冝u シ ア 語(R)gorod「
一 方
外 に居
極 端 の平 均
人 程 度 で は な い か と 思 わ れ る.
そ の 最大 の 部 分 の居 住地 を ア メ リカ合 衆 国 とす る点 で
2)母
音字 母〓
は,語 頭,ま
た は,母 音
は,諸 学者 が一 致 して い る(た だ し,そ の数 に つ い て
字 母 お よびb,bの
は,80万
[〓]の よ うな,[〓]に 先 立 た れ る母 音 を含 む 音 節 を表
人 か ら230万 人 まで の 幅 が あ る).こ れ に次
い で,ロ シア 語 を 母 語 とす る者 の多 く分布 す る の は,
あ とで は,独 立 で,[〓][〓][〓]
わ す が,子 音 字 母 に これ らの 続 く音 節 は,た とえ ば,
カ ナ ダ とヨー ロ ッパ 諸 国 で,イ ス ラエ ル とオー ス トラ
な どの よ う
リアが そ れ に 次 ぐ もの と考 え られ て い る.な お,ロ シ
に,口 蓋 化 子 音 と母 音 の結 合 を表 わ す.母
ア語 が 国 連 の 公用 語 の ひ とつ と な って い る こ と も,ま
も,子 音 字 母 の あ とで は 同様 の機 能 を もつ(〓).
た,第2次
3)子
大 戦後 の 国 際 社 会 に お け る ロ シア 語 の比 重
音 字 母 は,閉 鎖音;〓
の増 大 の現 実 を反映 す る もので あ る. [文
字]
隙 間音
〓破 擦 音;〓
現 行 の正 書 法 は,1918年10月15日
に
音 字 母〓
面 音〓;ふ
る え音p;子
鼻音M,H;側
音 結 合〓
の よ うに分 類 され
施 行 され た が,そ の 活 字 体 の 字 母 の 一 覧 表,す なわ ち,
るが,そ の 位 置 に よ って,口 蓋 化 子 音 と非 口蓋 化 子 音
アル フ ァベ ッ トは,別 掲(表1を
の 二 様 の 発 音 を 表 わ す.た
参 照)の とお りで,33
字 母 よ りな る.後 述(「歴 史 」)のとお り,その 大 部 分 は, 18世 紀 初 頭 に,ピ ョー トル1世(〓eTpI,在
位1682∼
1725)の 制 定 した 民 間活 字(〓)の
,お よびbの
とえ ば,字 母〓 は,〓
前 で は,口 蓋化 子 音[p']を 表 わ
す が,そ の他 の 場 合 は,非
口蓋 化 子 音[p]で
だ し,〓は,〓
字 体 を直 接 の 母体 と して い るが,民
間活 字 自体 は,キ
口 蓋化 子 音[〓][〓][〓]で
あ り,逆
リル 文 字 の 体 系 と字 体 の 改 良 で あ った の で,ロ シア 文
y,o,aの
字(Russian
発 音 され る.ま た,外 来 語 で は,eの
Alphabet)は,広
い
意 味 の キ リル 文字 に属 す る. 字 母bは
前 で も[〓][〓](ま
に,〓 と〓
た は[〓])の
「テ ニ ス 」
「軟 音 記 号」 の 意 味 で,
両 者 と も記 号字 母 で あ り,そ れ 自身 の 音 価 を もた な い
「ベ レ ー 帽 」
が,そ の機 能,用 法 につ い て は 「正 書 法 と発 音 」で 述 べ る.ま た,字 母Eeは,辞
書や 教 科 書 類 の ほ か で は,
外 国 の 地 名,人 名 の 表 記 な どの 特 別 の 必 要 の あ る場 合
<表1>ロ I:活
に用 い られ る だ けで,新 聞 や 雑 誌 を 含 む 通 常 の 印 刷 物 や 手 書 きの文 書類 の 中で は,字
母Eeで
が 普 通 で あ る.つ ま り,綴 り字 で はeと も,eと
代 用 す るの
Ⅱ:名 称(IPA,た
な って い て
読 む べ き場 合 が 頻 繁 に 生 ず るの で,注 意 しな
け れ ば な らな い. 印 刷 用 の活 字 体 に は,こ の ほ か に イ タ リ ッ ク(斜 体) が あ るが,こ れ は,筆 記 体 と形 の 共通 す る もの が 多 い. 筆 記 体 に は,初 等 教 育 で与 え られ る 標準 的 な 名 称 や字 体 や 書 き方 の ほか に,い くつ か の ヴ ァ リエ ー シ ョ ンを もつ字 母 が多 い. [正書 法 と発 音]
ロ シア語 の正 書法 は,歴 史 的,
形 態 論的 な原 則 を優 先 させ て い る の で,文 字 面 と実際 の音 声 が大 き く相 違 す る 場 合 が少 な くな い.以 下 に, その 主 な もの を示 す . 1)母
音 字 母〓
は,ア
ク セ ン トの あ る音節 で は,強 倍 程 度)発 音 され るが,ア
く明 瞭 に,や や 長 く(1.5
クセ ン トの ない 音 節 で は,
弱 く曖 昧 に,短 く発音 され る.特 に,字 母oは,ア
クセ
ン トの ない と き,語 頭 お よび ア クセ ン ト音 節 の 直 前 で [α],そ れ以 外 の位 置 で[〓]を 表 わ す. 「防衛 」
注
「鐘 」
「鐘(複 数 主 格)」 こ の 特 徴 を,特
に ア ー カ ニ エ(〓)と
よぶ.
シ ア語 の ア ル フ ァベ ッ ト 字 立 体(大 小) だ し,[ ]は 省略)
Ⅲ:音 価(標 準 的 な転 字 方 式)
は, まま
前 の 子 音字 母 を
非 口蓋 化 子 音 で 発 音 す る例 が少 な くな い.
「 硬 音 記 号 」,bは
あ る. た
の前 で も,普 通,非
4)硬
音 記 号bは,子
に書 かれ,先
音字 母 と〓
行 子音 と〓
の間
が 分離 して 発 音 さ
の 系 列 の 存在 で,多 くの 場 合,対 応 の 非 口蓋 化 子 音 と 音 素 的 対 立 を な して い る点 で あ る.す な わ ち,次 の14 ペ ア に 及 ぶ.
れ る こと を 示 す. 「容 積 」 「食 べ る」 「除去 」 軟 音 記 号bは,子
音 字 母 の あ とに そ え て 口蓋化 子 音
と して の発 音 を示 す が,子 音 字 母 と〓
の
述 の よ う に,ご
環 境 に 現 わ れ る だ け な の で,そ
間 に あ る と き は,や は り分 離 した 発 音 を示 す. 「 草原」
特 殊 な 音 声 的 実 現 と さ れ,ま
「飲む(現 在3人 称 複 数)」 5)有
し か し,[〓]と[〓]は,後
が〓
声 子 音 字 母 は,語 末 お よび 無 声 子 音 の 前 で は
れ ぞ れ,/〓/と/〓/の た,[〓]も,現
わ れ るの
な ど の 前 舌 母 音 の 前 に 限 ら れ る た め,
独 立 の 音 素 と は 認 め が た い.ま
た,
「た て 坑 か ら」)
無 声 化 す る. 「か しの 木」
「1時 か ら」)
「ス カ ー ト」
な ど の よ う な[〓]と[〓]の
対 立,そ
し て,
「あ わ れ み の あ ま り」)
「 壕,堀 」
「乗 っ て 去 る」)
「火 曜 日」 bを
く特殊 な
と もな う もの も同 じで あ る.
な ど の よ う な[〓]と[〓']の
「さ ざな み」
対 立 は,音
素 レ ベ ル で は,
そ れ ぞ れ,
「開 墾地 」 6)無
声 子 音 字 母 は,有
声 子 音(た だ し,[〓][〓]
[〓][〓][〓]お よび,[〓]を 除 く)の 前 で は有 声 化 す る. 「 集合」 「反 響」
の よ うに,/〓//〓/の 結 合 のい ろい ろ な場 合 と して 解釈
「大駅 」 [音
韻]
〓の5種 類,ア で は,最
され る.
母 音 音 素 は,ア クセ ン トの あ る音 節 で,
大 限,〓
これ に関 連 して,[〓] は, 「キ ャベ ツス ー プ」)
クセ ン トの な い 音 節
「まだ 」)
の4種 類 が 対立 す る も
「仲 間 」)
の と解釈 され てい る.た だ し,後 者 の 場 合,語 頭 お よ び語 末以 外 で は,音 素 対 立 が〓 な る の が普 通 で あ るが,4音 え ば,〓
の3種 類 と
素 の 区 別 を 保 つ― た と
「きつ ね」)と〓(「
森 ・
な ど の よ うに,語 頭,語
ま た, 「酵 母」
林(複)」)を 区別 す る― 体 系 も,同 等 に,標 準 的 と さ れ て い る.な
「ぶ ん ぶ ん い う」
お,ア クセ ン トの ない 音 節 では,/〓/
(語 頭 の/〓/に 続 く位 置)の よ うに,/〓/と/〓/の
区別
中,語 末 の い ず れ の 位 置 に も
現 わ れ る が,独 立 の 音 素 で は な く,/〓/と 解 釈 され る.
な どの〓
も,上 と平 行 的 に/〓/と
解 釈 され る.
クセ ン ト前 の音 節 で,口 蓋 化
ロ シア 語 の子 音 は,き わ め て体 系的 な無 声 子 音 と有
子音 音 素 また は/〓/の あ との とき の よ うに,/〓/と/〓/
声 子 音 の 対 立 を示 す が,こ れ は,語 末 お よび 無 声 子 音
の対 立 しか 生 じない 位 置 もあ る.
の 前 で は 有 声 子 音 を許 さず,そ の一 方,有
しか 生 じない 位 置 や,ア
[〓]と[〓]の 対 立(正 書 法 上 の〓 の 場 合)は,音
とblの 区別 の 多 く
声 上 の もの に す ぎず,ま
った く相 補 的
な 分布 を示 す ので,同 一 音 素(/〓/ない し/〓/)と解 釈 さ
す る ロ シア 語 の 音 韻 法 則 と深 く関 係 して い る. た だ し,無 声 子 音 の 「帰 結 」
れ る.な お,/〓//〓//〓/の 音 声的 実現 は,す べ て,強 「よ りよ く」
い 円 唇化 を特 徴 とす る.
「とまれ!」 の特 殊 な 発 音
標 準 的 な ロ シア 語 の 口 頭 表 現 に現 われ る子 音 の簡 略 表 記 とそ の 分 類一 覧 表 は,別 掲(表2)の が,子 音 音 素34を ば,表3の
声子音の前
で は 無 声 子 音 の 現 わ れ るの を許 さな い,声 の 同 化 に関
とお りで あ る
この 表 と対 応 す る 位 置 関 係 で 示 せ
よ うに な る.
ロ シア語 の 子音 体 系で 特 徴 的 な こ とは,口 蓋 化 子音
お よび,語 末 の 化 に よ って 現 わ れ る は,す べ て,独 立 の音 素 とは 認 め られ ない. ま た,有 声 子音 の
の無声
<表2>ロ
シ ア語 の子 音 一 覧
唇
調音器官 調音様式
閉
鎖
音
無 有
声 声
隙
間
音
無 有
声 声
破 擦
音
無 有
声 声
鼻
音
無 有
声 声
音
無 有
声 声
ふ る え 音
無 有
声 声
側
面
注:非
は 非 口蓋 化 子 音,口
<表3>ロ
前
両
唇
唇
歯
非
口
非
口
は 口蓋 化 子 音.(
舌
歯 非
口
中舌
奥
茎
非
口
硬 口蓋
歯
舌
軟 口蓋 非
口
)内 は,単 独 で は 母 音 の 前 に 現 わ れ な い もの.
の よ う に,子
シ ア語 の子 音 音 素
音 音素 な い しそ の連 続 の前 で切 れ る の が
原 則 で あ る . た だ し,子
音 の 中 で も,ひ
び きが母 音 に
よ り 近 い ソ ノ ラ ン ト(〓 /〓/で 示 す),ま 子 音(こ
な ど.こ
た は,さ
ら に 母 音 に 近 い/〓/が,他
れ ら は/〓/で
れ る と き は,音
れ らを
示 す)に
の
混 じって 母 音 間 に現 わ
節 頭 位 の 子 音 連 続 に 母 音 度(sonority)
非 下 降 の 原 則 が は た ら く の で,〓 な ど は 可 能 で あ る が,母
音度
が 高 か ら 低 に 並 ぶ と き は,〓 な ど の よ う に,そ
「父
の 間 に音 節 の 区 分 が 生ず る .
例1)「
糸」 「ポ ケ ッ ト」)
が 助 け て くれ た ら な あ」) ―(「
「お し ろ い 」)
渇望 」)
「親 友(複 数 主 格)」)
も,独 立 の 音 素 と して の資 格 は な く,[〓]の 有 声 化 に よ って 現 わ れ る[〓]と,[〓](〓 て 」)のよ う な,[〓]の
随 意 的 な ヴ ァ リア ン トに現
わ れ る特 殊 な[〓]も,も
ちろ ん 独立 の音 素 で は ない
([〓]は,〓
「 神 」 の 斜 格 の[〓][〓]な
ヴ ァ リア ン トの[〓][〓]な [〓]は,[〓]「
「コ ニ ャ ッ ク 」)
「神 につ い 例2)「
捕 ら え る 」) 「建 設 現 場 」) 「地 図 」)
どの
どに も現 わ れ る).
点 」 な どの よ うに,子 音 の 前 の[〓]
[文
法]
類(名 詞,形
典 型 的 な 屈 折 的 タ イ プ の 言 語 で,名 容 詞,数
詞,代
名 詞)は,そ
[〓]の 前 に だ け 現 わ れ る,音 素/〓/の 音 声 的 実 現 の1
を 表 示 す る 複 雑 な 語 尾 の 体 系 を も つ 一 方,動
つ にす ぎ ない.
の ア ス ペ ク ト,相,法,時
基 本 的 な 音 節 の 構 造 は,〓
い し/〓/の
称,数
詞 は,そ
な どの文 法 範
疇 を表 示 す る形 態 論 的 手 段 が 発 達 して い る.
の4種 類 で あ るが,音 節 頭 位 と音 節末 位 に立 つ 子 音 連 続 は,/〓/な
称,人
詞
の 性,数,格
よ う に,4音
名 詞 類 は,男,女,中 お よ び,主
の3性
格(nominative),生
素 まで 可 能 で あ る. 語 中 の音 節 区 分 は,形 態 論 上 の 区
(dative),対
格(accusative),造
分 とは 無 関 係 に,〓
前 置 格(prepositional)の6格
と,単,複
の2つ
の 数,
格(genitive),与
格
格(instrumental), を 区別 す る.
名 詞 の 文 法 性(gender)は,活 gory,人 る.活
動体(animate
と動 物)に 関 して は,自 然 性(sex)と 動 体 中 性 は,〓
て 特別 のcopokを
cate 一致す
「怪 物 」 な ど の ご く少
数 の名 詞 に限 られ る.不 活 動体(inanimate
詞 は格 変 化 だ け で,性
の末 尾 の 形 か ら予 測 で き る場 合 が 大 部 分 で あ る.た と
2は,主
え ば,綴
〓
り字 上,子 音 に 終 わ る もの は 男性,‐a,‐〓 に ど
容 詞 型 の変 化
で 性 の 区 別 が あ り,ま
た,複 数
専用 名 詞 に付 く複 数 形〓
category)
の名 詞 の 文 法性 は,個 々に きま って い るが,単 数主 格
終 わ る もの は女 性,‐o,‐eに 終 わ る もの は 中 性,な
用 い る の は,ス ラ ブ 諸語 中,東 ス
ラブ だ け の特 徴 で あ る.個 数 詞1は,形
もあ るが,そ の他 の個 数
と数 の 区 別 を し な い(た だ し,
格 と対 格 の み,男
の 区 別 が あ る).個
性 ・中 性 の〓
と女性 の
数 詞 と名 詞類 の結 合 の規 則 は,
きわ めて 複 雑 で あ る.個 数 詞 の ほ か に,2か
ら10ま
で あ る(た だ し,軟 音記 号 で 終 わ る もの は 男 性 と女 性
で の集 合 数 詞
の2つ の 場 合 が あ り,末 尾 が ‐M〓の もの は 必 ず 中 性).
の 系列 が あ るが,人 称 代名 詞,複 数 専 用 名 詞,お よび,
個 々 の名 詞 につ い ては,単 複6格 ず つ 合 計12の
活動 体 男 性 名 詞 と結 合 す る2∼4以
形態が
外 は,あ
ま り用 い
あ る のが 普 通 で あ るが,単 数 のみ,ま た は,複 数 の み
られ な い. 順 序 数 詞 は,形 容 詞 長 語 尾型 の 性数 格 変化
の形 態 の 名 詞 もあ る.た だ し,12の 形 態 が す べ て異 な
を行 な う.
る わ けで はな く,同 じ形 が 重 複 す る場 合 が あ るの で,
人 称代 名 詞 は,英 語,ド イ ツ語,フ ラ ンス語 な ど と
実 質的 には7∼10の
共通 の体 系 を もつ が,用 法 上 は細 かい 差 異 が あ り,名
異 な った 形 を もつ こ とが 多 い. 活
動 体 名 詞 と不活 動 体 名 詞 で は,パ ラ ダイ ム が,一 部,
詞,形 容 詞 とは 異 な る格 変 化 を 行 な う.再 帰 代 名 詞
相 違す る.外 来語 起 源 の 名 詞 に は,数 と格 を表 示 す る
〓
手 段 の ない,不 変化 の もの が 少 な くな いが,こ れ らの
です べ て の人 称 と数 を表 わ す. 所 有 代 名 詞,指 示代 名
名 詞 は,文 法 性 の 区別 に関 して も,一 般 規 則 か ら外 れ
詞 な どは,形 容 詞 長 語 尾 型 の性 数 格 変 化 を行 な う. こ
る場 合 が 多 い.
れ らを,特 に形 容 詞 的 代 名 詞 と称 す る こ とが あ る.
「自 身」 は,人 称 代 名 詞 型 の 変 化 で,同 一 の形 態
ロ シア語 の動 詞 は,す べ て の ス ラブ 諸 語 と同 様 に,
「コー ヒー」(男 性) 「並木 路 」(女 性 ま た は 中性)
ア ス ペ ク トの範 疇 を もつ.す
「ウ ィス キ ー」(中 性 ま た は 女 性)
動作 の全 一 的 把 握 を特 徴 とす る完 了ア ス ペ ク トか,そ
「タク シ ー」(中 性)
の特 徴 を もた ない 不 完 了 ア スペ ク トの ど ち ら か に 属
なわ ち,す べ て の 動 詞 は,
形 容 詞 には,長 短2つ の 変化 語 尾体 系 が あ るが,一
し,し か も,多 くの場 合,一 方 の ア スペ ク トの 動 詞 は,
般 に,複 数形 で は性 の 区 別 が ない の で,長 語 尾形 は,
そ れ と形 態 上 関 連 の あ る別 の ア ス ペ ク トの 動 詞 と対 を
男,女,中,複6格
ず つ,合 計24の 形 態 を もつ .活 動
な して存 在 して い る. た とえ ば,完 了 ア ス ペ ク トの
体 名 詞 に関係 す る場 合 は,不 活 動 体 名 詞 に 関係 す る場
〓
「解 決 す る」 に 対 して,不
合 と異 な るパ ラ ダイ ム に 従 う.中 性 形 は,主 格 と対 格
〓
「解 決 す る」 が あ り,そ れ ぞ れ の 同一 時 称形 に
を除 き男 性形 と一 致 す る.短 語 尾 形 は,述 語 お よ び副
よ る表現 は,ア ス ペ ク トの意 味 で 対立 す る. 「私 は課 題 を解 い た」(完 了 ア
詞 として の 機 能 を果 た す が,格 の 範 疇 は な く,男,女, 中,複 の4つ の形 を もつ にす ぎ ない.た だ し,古 来 の
ス ペ ク ト,解 答 終 了) 「私 は課 題 を解 い て い た」(不
熟 語 的 表 現 の 場合 や,定 語 と して用 い る ‐OB,‐eB,‐〓H
完 了 ア ス ペ ク ト,解 答作 業 中)
型 の所 有 形 容詞 の場 合 に は,格 変 化 が 保 た れ る. 「白昼 堂 々」
は,名 詞 変
これ は,た
とえ ば,多 回 的(frequentative,〓
「よ くあ る」),一 回的(semelfactive,〓
化 男 性 生格) 「父親 の 領 地 で」
回)叫 ぶ 」),始 発 的(inchoative,〓
「(一 「叫 び 出
す 」)な ど と よん で 区 別 す る,い わ ゆ る動 作 様 相(
は,形 容 詞変 化 中 性 前 置 格) な お,外 来語 起 源 の(特 に 色 名 を表 わ す)形 容 詞 に は, 性,数,格
完 了 ア ス ペ ク トの
,独Aktionsarten)を
表わすための
個 々 の形 態 論 的 手 段(接 尾 辞 ‐Ba‐,‐Hy‐,接 頭 辞3a‐ な
を一 切 表 示 しな い 不 変 化 の もの が あ る. 「ベ ー ジ ュ色 」
ど)と は,レ ベ ル を異 に す る体 系 的 な文 法 範 疇 で あ る
「エ レ ク ト リッ ク ・ブ ル ー の
こ とに注 意 しなけ れ ば な ら ない. 相(diathesis,ま
ドン ス」
た は,voice)の
範 疇 は,能 動 相 と
ま た,関 係 や,所 属,部 分,材 料 な ど の意 味 で な く,
受動 相 の2つ を区 別 す るが,両 方 の相 の形 態 を もつ の
性 質や 程 度 を表 わ す形 容 詞 に は,比 較 の文 法 範 疇 が あ
は他 動 詞 に限 られ る.非 他 動 詞 な い し自動 詞 は,能 動
り,原 級 と異 な る比較 級 と最 上級 の形 態 を もつ.
相 の形 態 のみ を もつ.不 完 了 ア ス ペ ク トの他 動 詞 の 受
数 詞 は,10進 法 に基 づ く比 較 的 単 純 な体 系 で,印 欧
動相 は,末 尾 に ‐c〓,/‐cbの 要素 を加 え た形 で 表 現 され
諸 語 と多 くの対 応 な い し類 似 を 示 す が,個 数詞40と
る が,完 了 アス ペ ク トの場 合 は,受 動 過 去 分 詞 短 語 尾
し
形 と〓 辞(copula,)〓
の諸 形 との合 成 形 式 で 表現
され る.た とえ ば,
す っ か り話 して あ げ る のだ が 」 分 詞 に は,副 詞 的 機 能 を果 た す 不 変 化 の 「副 動 詞 」
「そ の 本 は 読 ま れ て い る」(不 完 了 アス ペ ク ト)
が あ る. 副 動 詞 は,不 完 了 アス ペ ク ト(〓 「そ の本 は読 了 され
た」(完 了ア ス ペ ク ト) ア ス ペ ク ト と相 は,ロ
つ つ」)と完 了ア ス ペ ク ト(〓
と,そ の お の お の につ い て,現 在 と過去 の 区別 を もつ の で,そ の 形 態 は4種 類 で あ る.
範疇 は,不 定 形 と分 詞以 外 の形
態 にお い て,直 説法,命
「解 き
「解 決 して か ら」)で,
形 態 と意 味 が 異 な る.形 動 詞 は,能 動 と受 動 の 区 別
シア語 の全 動 詞 の 全形 態 がそ
の 区別 に関 与 す る最 上 位 の 文 法 範 疇 で あ る. 動 詞 の法(mood)の
と,形 容 詞 的 機 能 を果 たす 形 容 詞 型 変 化 の 「形 動 詞 」
令法,仮 定 法 の3つ を 区別 す
「解 決 しつつ あ る」(能 動 現 在,不 完 了 ア ス ペ ク トの み)
る.
「解 決 しつ つ あ った」(能 動 過 去,不
直説 法 は,時 称 の範 疇 を もち,現 在 と過 去 お よび未 来 の 区別 が あ る.現 在 時 称 形 は,人 称 変 化 で3つ の
完),お
よび,「
人 称 を単 複 で 表 わ す6つ の 形 態 を も つ .た と え ば, 〓
「読 む 」(不完 了体)の 単 数1・2・3人
称 と複 数
解 決 し て し ま っ た」
(能動 過 去,完) 「解 決 され 得 る」(受 動 現 在,不 完 の み)
1・2・3人 称 の 形 は,
「解 決 され た」(受 動 過去,完
の み)
た だ し,形 動 詞 の現 在 や 過 去 の 形 が 表 わ す の は,主 動 詞 に対 す る 「同 時 」(現 在)ま た は 「 先 行」(過 去)の よ で あ る.過 去 時 称形 は,形 容 詞 短 語 尾 型 の 変 化 で, 男,女,中,複
の4つ の形 を 区別 す る.
うな,相 対 的 な時 の 意 味 にす ぎ ない.な お,受 動 分 詞 に限 り,述 語 と して用 い る短 語 尾 形 を もつ が,受 動現 在 分 詞 の 短 語 尾 形 は ご くまれ に しか用 い られ ない.受
独 立 の 未 来(人 称 変化)の 形 態 を もつ の は,繋 辞 と して
動 過 去 分 詞(被 動 形 動 詞 過 去)の 短 語 尾 形 は,す で に 述
も用 い られ る存 在 の 動 詞
べ た とお り,繋 辞〓
「い る,あ る」 だ け で
の 諸 形(た だ し,現 在 時 称形
は ゼ ロ)と と も に,受 動 相 の形 態 を構 成 す る. 不 完 了 ア ス ペ ク トの動 詞 に限 り,の
未 来 形 にそ
自立 的 品 詞 と して は,こ の ほ か に 副詞 が あ る が,非
れ ぞ れ の 不定 形 をそ え て,合 成 未 来 として 用 い る こと
自立 的 品 詞 と して は,前 置 詞,接 続 詞,助 詞 の3つ,
が で きる.
そ して,そ の い ず れ で も ない 特 殊 な 品詞 と して 間投 詞 な ど.
をた て るの が,通 常 の10品 詞 の 分 類 で あ る.
完 了 ア ス ペ ク トの動 詞 は合 成 未 来 で 用 い る こと はで き ない が,そ の現 在 形 は,普 通,未 来 の意 味 を表 わ す. 「い
ロ シア 語 の 統 語 論 上 の 特 徴 と して は,次 の2点
をあ
げ るに と どめ る. 1)語
の形 態 の 支 え が 強 固 な た め,主 述 関 係 の表 現
ま す ぐ私 は課 題 を解 い て しま って 散 歩 に出 か け ま
は語 順 に頼 る必 要 が ほ とん どな く,文 の各 成 分 の位 置
す」
が 比較 的 自由 な の で,発 話 の現 実的 区分(
命 令法 は,相 手 に対 す る命 令 と して,「∼ せ よ」 の 意 味 を 表わ す2人 称 命 令 法 の 単 複(〓
「解 決
せ よ」),お よび,共 同 動 作 へ の うな が し と して,「(い
functional
sentence
に よる テ ー マ(theme)と
また は〓
または し
ない 「解 答 作 業 を しよ う,
して み よ う」)が ある. 仮 定 法 の 形 態 は,動 詞 の過 去 形 に 助 詞〓
「ね こが ね ず み を捕 ら え た」:「
「解決 し よ う」,不 完 了 ア ス ペ ク トは,
ね ず み を捕 ら
え た の は ね こだ」(は
テー マ,は
レー マ
を表 わ す) 2)動
詞 の形 態 が,主 語 の人 称,数,性
を表示す る
た め,主 語 の 省 略 が 頻 繁 に起 こ る一 方,形 式 的 な 主 語 をそ えた
もの に等 しい.述 語 が この形 の とき は,現 在,過 去, 未 来 にお け る,ま った くの 仮 定 を前 提 とした 非 現 実 的 動 作 や 状 態 が表 わ され る.
に よ る非 人 称 表現 が 発 達 しな か った の で, a)主
語 の ない 無 人 称文 ―〓.「
b)不 くは 君 に
寒 い 」='It
iscold.' 定 人 称文―
とい う」='They 「仮 に君 が こ こに い る と した ら,ぼ
表 現 に際
して,語 順 が積 極 的 な 役割 を果 た す.
っ し ょに)∼ し よ う」 の 意味 で用 い る1人 称 命 令 法 の 諸 形 態(完 了 アス ペ ク トは,〓
perspective(FSP))
レー マ(rheme)の
c)普
遍 人 称文―
「彼 は イ ワ ン ca11 him
Ivan.'
「あ い つ は ど う し よ う も な い 」='You anything
with
can't
do
him.'
膨 大 な量 に達 した.1917年
な ど の 文 型 が 確 立 多 用 さ れ,一
見,日
本 語 な ど に近 い
彙]
現 代 ロ シ ア 標 準 語 の 語 彙 は,全
体 とし
て の 東 ス ラ ブ 的 な い し 大 ロ シ ア 的 特 徴 と,書
き こ とば
と して長 い歴 史 を もつ南 ス ラ ブ起 源 の 教会 ス ラブ 語 の 要 素,お
よ び,特
に18世
か ら な っ て い る.ロ
ア 語 の 語 彙 の 特 徴 と し て 特 に 重 要 な の は,純 教 会 ス ラ ブ 語 的 語 彙(CS)の
相 関 に 基 づ く語 彙 の 二 重 性 で,た 〓(R)「
〓 「革 命」,〓
対立ない し
頭 」:(CS)「
「 宇 宙」,〓
シ
と え ば, 物,
「恐慌 」,〓 「サイ バ ネ テ ィ ッ クス 」,
〓 「キ ャ ンピ ング」 な どの 比 重 は,き わ めて 高 い もの とな って い る. [方
首 領,(書
言]
現 代 の ロ シア語 の 方 言 の 全 般 的 な記 述
の 対 象 は,普 通,ウ ラル 以 西 の,い わ ゆ る ヨー ロ ッパ ・ ロ シア 地 域 に 限 定 され る. シベ リア,中 央 ア ジ ア な ど
〓(R)「
火 薬 」:〓(CS)「
〓(R)「
ろ う そ く」:〓(CS)「
〓(R)「
出 て 行
発 す る,由
に 分布 す る個 々の方 言 は,比 較 的,後 代 の ロ シ ア人 の移
屍灰」
短 い 」:〓(CS)「
〓(R)「
な ど の よ う に,同
と共 通 の政 治 ・経 済 ・法 律 ・学 術 ・文 化 関係 の 用語, た とえ ば,
ロ シア 語
論 文 の)章 」
(CS)「
け るい わ ゆ る国 際 的 語 彙,す な わ ち,近 代 西 欧 諸 言語
紀 以 降 顕 著 とな った 近 代 西 欧
諸 言 語 か ら の 借 用 の 要 素 の3つ
的 語 彙(R)と
の 革命 以 後,特 に40年 代
以 降 は,世 界 的 な 傾 向 と一 致 して,英 米 語 か らの借 用 の 例 が 増加 してい る. そ の 結 果,現 代 の ロ シア 語 に お
印 象 を 与 え る. [語
な どを含 めれ ば,こ の時 期 の フ ラ ンス 語 か ら の借 用 は
く,来
燭 台」
住 の結 果 生 じた もの な の で,そ こへ 移 住 した 人 々 の元
簡 略 な」
の 地 域 の 方 言 と関係 し,古 来 の歴 史 的,地 理 的 連 続 性 を もつ 諸 方 言 とは段 階 を異 に して い る.
る」:〓
基 本 的 な方 言 区分 は,北 方方 言 な い し北 大 ロ シア 方
来 す る」
根 の語 彙 に 見 られ る純 ロ シ ア語 的 語
彙 の 意 味 の 具 体 性 と 日 常 性 に 対 し て,教
言 と,南 方 方 言 ない し南 大 ロ シア 方 言
会 ス ラ ブ語 的
の2つ の 区
語 彙 の も つ 抽 象 性 と宗 教 性 の 対 照 が 著 し い . 東 ス ラ ブ な い し 大 ロ シ ア 特 有 の 語 彙 と し て は, 〓 「村 」,〓 こ」,〓
「安 い 」,〓
「町 の 内 城,城
「農 民 」,〓
別 で,そ の 中 間 に,両 方 言 の特 徴 を合 わ せ もつ,中 部
「茂 み,灌
「牝 ね
木 」,〓
「虹 」,
〓「長 靴 」
「き の こ(美
々 の 事 物 の 名,た
欧 諸 言 語 か らの 借 用 は,18世 初 は,ポ
湖
の 北,ボ
トフ(〓)の
ベ ジ(〓)の
な ど が 目 立 っ て い た.18世
紀 中 葉 以 降 は,学
術,文
化,
生 活 の 全 般 に わ た っ て フ ラ ン ス の 影 響 が 著 し く,語 の 直 接 の 借 用,た
彙
とえ ば,
〓 「劇 場 」 <theatre
ロム ナ(〓)の
わ ゆ る 翻 訳 借 用(仏calque),た
とえ
西,サ ラ トフ(〓)の
西を 至 ロメ ー トル
の 幅 で 東 西 に の び る地 域 に,中 部 ロ シア 諸 方 言 が 分 布 リー ニ ン(〓)の
西 の 東 経36度
線に
ほ ぼ沿 っ た形 で,東 群 と西 群 の 境 界 が あ る(〈 図 〉を
と え ば,
〓 「批 評 」 <critique→〓 評 す る」
南 を結 び,そ れ か らは 南 下
る線 を な して い る.そ の 中 間の 平 均250キ
人 間 性 」 >〓 的 派 生,た
南,メ ドゥ ィニ(〓) 北,リ ャ ザ ン(〓)の
シモ フ(〓)の
す るが,カ
な ど や,2次
線 付 近 の セー
北 か ら大 体 東 に進 み,ト ロペ ッ(〓
通 って ヴ ォル ガ の ヴ ォ ル ゴ グ ラー ド(〓)に 大 な 」 <serieux
ば, humanite「
北 方 を 走 って ヴ ェ ト 達 す る線 をな して い る. 一
して,ペ ンザ(〓)の
〓 「家 具 」 <meubles
な ど を は じ め,い
ォル ガ川(〓)の
)の南,ル ジ ェ フ(〓)の の 北,コ 北,カ
〓 「ま じ め な,重
南,ロ ス
方,南 方方 言 の北 限 は,西 で は 北 緯56度
Jahrmarkt
ロヴ ィチ
北 を経 て ユー リエ ヴ ェツ(〓)
ル ー ガ川(〓)に
〓 「定 期 市 」 <(P)jarmark∼(G)
ァル ダ イ山 地
(〓)の 南,ベ ー ジ ェッ ク(〓)の
を結 び,ヴ
と え ば,
〓 「騎 兵 」 <(P)rejtar∼(G)Reiter
線 付 近 の ラ ドガ
の北 か ら は東 南 へ の び,ヴ
代西
経 由 し た ドイ ツ 語(G)
か ら の 軍 事 ・技 術 ・商 業 関 係 の 語 彙,た
は北 緯60度
東 岸 か ら南 下 して,ノ ヴ ゴ ロ ド
紀 か ら急 激 に 増 加 し た
ー ラ ン ド語(P)を
は 大 きな 方 言 を,
〓は小 さい 方 言 を さす の に 用 い られ て い る.
味 で 有 名 な シ ロハ ラ タ ケ
の 類)」 な ど に そ の 例 が 多 い の は 当 然 で あ る.近
が,当
の 分布 す る広
北 方 方 言 の南 限 は,西
な ど の 例 が よ く知 ら れ て い る が,個 と え ば,〓
ロ シア諸 方 言 い地 域 が あ る.こ の場 合,〓
壁 」,〓
参 照). 「批
北方 方 言(北)と 南 方 方 言(南)は,以 徴 に関 して 対 立 す る.
下 に あ げ る諸 特
<図>ロ
シア語の 方言 分布
出 典:ク
1)ア
ズ ネ ツ ォ フ(〓,1973)に
よ る.
ク セ ン トの な い 位 置 で の/〓/と/〓/の
(北)あ
り/(南)な
区 別:
し(〓
な ど.な お,前 者 を 特 に オ ー カ ニ エ 型(〓), 後 者 を ア ー カ ニ エ 型(〓)と る) 2)/〓/の
(北)閉 鎖 音[〓]/(南)隙 [〓]な
よぶ 慣 行 が あ
3)母
音 連 続 の 際 の[j]の
(北)あ 4)母
脱 落 と母 音 縮 約:
り(〓
な ど)/(南)な 音声的実現 :
間 音[〓](〓/
ど)
音 間 の〓
し(〓,な の 発 音:
ど)
ⅱ )西
(北)[〓]/(南)[〓](な
ア ー カ ニ エ 方 言 群(〓 )
ど) 5)語
末 の ‐CT,‐3〓 の 発 音:
(北)[〓]/(南)[〓](MOCT,XBOCT,な 6)‐aに
ど)
a)プ
ス コ フ 方 言 群(〓)
b)セ
リゲ ー ル ・トル ジ ョー ク 方 言 群(〓
終 わ る 女 性 名 詞 の 単 数 生 格 の 語 尾:
(北)‐bl(y〓,c〓,な
ど)/(南)‐e
(y〓,c〓,な 7)‐ymk‐ (北)男
) ⅲ )東
)
ど) a)ウ
型 名 詞 の 格 変 化:
) ⅳ )東
詞,形
(北)な
ラ ジ ー ミ ル ・沿 ヴ ォ ル ガ 方 言 群(〓
性 ・中 性 変 化/(南)
女 性 変化 8)名
オ ー カ ニ エ 方 言 群(〓
ア ー カ ニ エ 方 言 群(〓 )
容 詞 の 複 数 与 格 と造 格 の 区 別:
し /(南)あ
り
a)Aグ
ル ー プ(〓)(モ
b)Bグ
ル ― プ(〓)(エ 〓 ,カ
9)人
称 代 名 詞(1・2人
c)C'グ
称 単数 と再 帰)の 生格=対
シ モ フ〓
沿 モ ク シ ャ〓
17世 紀 後 半 以 降,モ
/(南)生=対
ス ク ワの 話 し こ とば を基 礎 と して
て の 性 格 を 強 め た 結 果,上
(北)‐T/(南)‐Tb
述 の 諸 特 徴 に 関 し て は,1,
3,4,5,7,8は,南 詞 現 在3人
称 複 数 形 で 語 尾 に ア ク セ ン トの な
い と き の,第1変 語 尾(‐〓T∼
化 語 尾(‐〓T∼
‐yT)と 第2変
方 方 言 の タ イ プ を 示 す 一 方,
2,6,9,10,11に
つ い て は,北
化
12の 語 彙 の 点 で も,両
な
語(〓,Proto‐East‐
[歴
‐aT)の 区 別:
り
ど)/(南)な
史]
紀 か ら8世
あ る ス ラ ブ 基 語(PS;→
な ど)
「練 り 粉 鉢 」
(北)〓/(南)〓
「鍋 の 柄,耳
」
エフ大
「耕 す 」 「麦 の 芽 」
は,988年
(北)〓/(南)〓
(南)〓
で,そ
西 両 群 そ れ ぞ れ の 中 に,さ
特 徴 の 相 違 に よ っ て,オ
るい
1057年
の よう
オ ー カ ニ エ方 言 群
よ ぶ.現
存 最 古 の 資 料 は,1056∼
の 『オ ス ト ロ ミー ル の 福 音 書 』(〓 )で,元
代 教 会 ス ラ ブ 語(OCS)の
テ
来,古
ク ス トに 従 っ た 福 音 書 で あ る に もか か わ ら ず,古
代教
会 ス ラ ブ 語 と は 異 な る 特 徴 を 示 して い る.す 1)ス
に な る.
の
期 ロ シ ア 語(Old
Russian〔OR〕)と
ら
ー カ ニ エ 型 とア ー カ
ニ エ 型 の 区 別 を 導 入 し て 下 位 区 分 を 示 せ ば,次
リス ト教(正 教)を 国 教
れ を 契 機 と して 言 語 の 統 一 と 標 準 化 が 進 み,14
言 語 を,古
「ゆ り か ご 」 述 の 諸 特 徴 に 関 し,あ
るい は南 方 方 言 に一 致 す る よ うな 中 間
的 な タ イ プ を 示 す が,東
に,キ
の ス ラブ 典 礼 の 用 語 と して の 古
世 紀 ま で の 間 に 各 地 に 大 量 の 文 献 資 料 を 残 し た.こ
「杓 子 」
中 部 ロ シ ア 諸 方 言 は,上
な い し989年
代 教会 ス ラ ブ語 を キ リル文 字 と と も に 受 け 入 れ た の
「輪 舞 」
(北)〓/(南)〓
位980∼1015)
と し て 公 式 に 認 め,そ
「い や が る 」
(北)〓/(南)〓
地に分
キ エ フ を 中 心 と す る 国 家 的 統 一 を 実 現 し た.キ
(北)〓/(南)〓
「は ら み 羊 」
の 間,各
紀 末に
(北)〓/(南)〓
(北)〓/(南)〓
の 母体 で
住 定 着 した 東 ス ラ ブ 諸 族 は 一 体 性 を 強 め,9世
公 ウ ラ ジ ー ミル(在
ⅰ )西
紀 に か け て,そ
ス ラ ブ 祖 語)か ら 分 離 し,独 立
性 を 確 立 し た も の と考 え ら れ る が,そ
(北)〓/(南)〓
に,1の
方 方 言 と一 致 し,
方 言 の 特 徴 を 分 有 して い る.
現 代 の ロ シア 語 の 源 を な す東 ス ラ ブ基
Slavic)は,6世
し
彙:
は 北 方 方 言,あ
在 の モ ス ク ワ地 方
の方 言 の レベル を越 え た も っ と も広範 囲 の共 通 語 と し
10)動 詞現 在3人 称 単 複 の 末 尾:
(北)〓
地 方) 述(「 歴 史 」)の よ う に,
複 雑 な 過 程 を 経 て 形 成 さ れ た が,現
与=前
12)語
地 方) ー ム ニ コ フ〓
現 代 の 標 準 語 の 諸 規 範 は,後
(北)生=対;与=前
(北)あ
ゴ ー リ エ フス ク
ル ー プ(〓)(テ
格 と与格=前 置 格:
11)動
ス ク ワ 地 方)
な わ ち,
ラ ブ 基 語*tort,*tert,*tolt,*teltに
応 す る 古 代 教 会 ス ラ ブ 語 のtrat,tret,tlat,tlet に 対 し て,古
a)グ
ドフ方 言群
teletと
b)ノ
ヴ ゴ ロ ド方 言群
full
期 ロ シ ア 語torot,teret,tolot,
な る,い
わ ゆ る 母 音 重 複(
vocalization)を
有 す る こ と.
対
2)ス
ラ ブ 基 語 の*tj,*dj,*kt,*gtに
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 のStお 期 ロ シ ア 語 はcお
よ びzが
合計28).
詞 は,直 説 法 にお い て,現 在nesu,未
過 去nesaxu,ア
対 応 す る こ と.
オ リス トnesoxu,完
以 前 に 」:(OR)preze
未 来 完 了budunesluの7つ
で き る」:(OR)moci
た はaと
(OCS)poti「
道 」:(OR)puti
完了
了jesmi
来imunesti, の 時 制 形 態 を 区別
運 ぶ」. 上 例 は,す べ て1人
称単数〔 男性〕 形).
期 ロ シ ア 語 で は 鼻 母 音(o,e)が
oはu,eはaま
過 去baxuneslu,未
す る(不 定形nesti「
夜 」:(OR)noci
(OCS)mosti「
尾 形4の 8)動
neslu,大
(OCS)prezde「
3)古
対 し て,古
灯 明 」:(OR)sveca
(OCS)svesta「
(OCS)nosti「
対応する
よ びzdに
早 く失 わ れ,
混 同 さ れ る こ と.
この よ うな キ エ フ を 中心 とす る言 語 的 統 一 は,12世 紀 後 半 か らは 内 紛 の 激 化 に よ る地 方 分立 的 傾 向 を反 映 して著 し く弱 ま り,地 域 差 が 目立 つ よ うに な るが,さ
(OCS)peti「5」:(OR)pati
らに,13世
(OCS)cesto「
征 服 に よ り,分 裂 は 決 定 的 と な った.ま た,こ の頃 ま で
12世
し ば し ば 」:(OR)casto∼casto
紀 前 半 ま で の 古 期 ロ シ ア 語 は,地
に よ る 差 異 が 少 な く,比 徴 の ほ か に,ス の 多 い,次
域 お よび 時 代
較 的 安 定 し て お り,上
ラ ブ 基 語,古
述 の特
代 教 会 ス ラ ブ 語 と共 通 点
の よ う な 構 造 的 特 徴 を も っ て い た.
1)母
音 体 系 は,前
脱 落 と母 音o,
eへ の 転 化 の 現 象 が あ る が,東 ス ラブ 諸方 言 も,こ の
節 の原 則 に も多 くの例 外 を 生 じ,そ れ ま で の音 韻体 系
〓
の 合 計10母
音音
素 が 対 立 す る. 2)子
に,時 期 を同 じ くして ス ラブ の 全 地 域 の言 語 に生 じた 共 通 の 変 化 と して,位 置 に よ るuとiの
変 化 を生 じ,子 音 体 系 の変 化 と も連 動 す る一 方,開 音
舌 母 音〓,
奥舌母音
紀 前 半 の モ ン ゴル ・タ タ ー ル軍 の南 ロ シア
は根 本 的 な 変動 を被 った.14∼15世
紀 には,モ ス ク ワ
を 中心 とす る,い わ ゆ る大 ロ シア人 の 言 語 と,リ トワ ・
音 体 系 は,〓
ポ ー ラ ン ド領 とな っ た 南 の 小 ロ シ ア人,お よび,西 の 白 ロ シア人 の言 語 が 分 離 発 達 す る と と もに,大 ロ シ ア語 の25音 素 の 対 立 が 認 め られ
るが,/〓/は,外
来 の文 化 的 語 彙 や 固 有 名 詞 に散
の 中の 南 北 の方 言 差 も顕在 化 した も の と考 え られ る. 14世 紀 以 降,北 東 の ウラ ジー ミル 大 公 領 を 中 心 とし
発 的 に現 わ れ る だ け な の で,安 定 した もの とは 言
て近 隣 の所 領 を 合 わ せ,15世 紀 末 まで に,ロ
い が た い.現 代 との最 大 の相 違 は,非 口蓋 化 子 音
お よび 北 東 の大 部 分 の 統一 を実 現 した モ ス ク ワ公 国 で
と口 蓋化 子 音 の音 素 的 対 立 が,ま だ,ご
く一 部 に
は,伝 統 的 な書 き こ とば と して の 教 会 ス ラ ブ 語 お よび
しか 認 め られ な い 点 で,特 に,/〓//〓/と と もに,
古 期 ロ シ ア語 に加 え て,行 政 上 の 実 際 的必 要 を み た す
シア の 北
/〓//〓//〓/は,口 蓋 化 子 音 音 素 と して 存在 して い
た め に,モ ス ク ワの 話 し こ とば を大 幅 に と り入 れ た 実
る こ とに注 意 しな けれ ば な ら ない.な お,現 代 の
用 文 体(〓)を
/〓//〓/の よ うな特 殊 な子 音 音 素 結 合 を認 め る立
の書 き こ とば に も次 第 に話 しこ とば の 要素 が 強 く反 映
場 もあ る が,そ の 解 釈 は,学 者 に よ って異 な る.
され る よ うに な った.こ の タイ プ の新 しい 書 き こ とば
3)音
節 は,す べ て 開音 節 の原 則 に従 い,つ ね に母
音 で終 わ る. do│mu「 4)双
真 実」
数 の カ テ ゴ リー が,性,格,人
政文書 以外
を,中 期 ロ シ ア 語(〓,Middle Russian)と
家」,pra│〓│da「
用 い た が,行
よぶ が,15世
紀 か ら17世 紀 に及 ぶ この 言
語 は,す で に,現 代 の ロ シア 語 の 先 行 母体 を なす 新 し 称 変化 の すべ
い 特 徴 を備 え て い る点 で,古 期 ロ シア 語 とは明 瞭 に 区
て に 及 ぶ こ と.し た が っ て,名 詞,形 容詞,数 詞,
別 され る.す なわ ち,上 述 の 音 韻 体 系 の 推 移 の ほ か
代 名 詞,動 詞 のす べ て に,双 数 の 形 態 が あ る. 5)名
詞 の大 多数 が,単 数 に限 り,呼 格 の形 態 を も
つ.
に,ア ー カ ニ エ の特 徴 を示 す 一 方,ス ラブ 基 語 で 生 じ た い わ ゆ る第2口 蓋 化(前 舌 母 音 の 前 のk,g,xが, そ れ ぞ れ,c,z',s'と
な る)が 効 力 を失 い,前 舌 母 音
の 前 で もk,g,xが
そ の ま ま現 わ れ るた め,た
otice「
父 よ!」(主 格 はotici)
sinu「
息 子 よ!」(主 格 はsinu)
ば,ruka「
z eno「
女 よ!」(主 格 はzena)
の に 対 し,rukeな
6)名
詞 格 変 化 の タ イ プ に 最 小 限6種
り,現 7)形
代(3種 容 詞 は,す
あ り,両 女,中 は108の
べ て 短 語 尾形 の ほ か に長 語 尾 形 が
と6格
の3数
に お い て,男,
の 区 別 を 行 な う の で,理
形 態 を もつ(現 代 は,長
語 尾 形24と
い しrukeの
あった
形 が 逆 形 成 され,こ
こで も現 代 に 近 づ い て い る.ま た,双 数 や 呼 格 の カ テ ゴ リー は 消 失 し,名 詞 格 変化 の タイ プ の統 合 も進 ん だ
類)に 比 べ て 数 が 多 い.
者 と も,単,複,双
の3性
類 の 区別 が あ
手 」 の単 数 所 格 は,か つ てruceで
とえ
が,そ の かわ り,活 動 体 の カ テ ゴ リー が 人 と動 物 を表 わ す名 詞 の 全体 に 及 ぶ よ う にな っ た. 形 容 詞 は,長 語
論上
尾 形 の複 数 に お け る 性 の 区別 は な く な り,短 語 尾 形
短語
は,述 語 とし て の用 法 に 固定 した 結 果,格 変 化 を失 う.
ま た,動 詞 直説 法 の形 態 は,未 完 了過 去 とア オ リス ト
こ とば に よ る言文 一 致 の 試 み を示 した が,定 着 す るに
が用 い られ な くな る と同 時 に,完 了 時 称 形 の 助 動 詞
は至 ら なか った.
(〓
の現 在)が 脱 落 して,完 了(‐l‐)分詞 を独 立 の
この よ うに,18世
紀 は,新 しい ロ シア 語 の 書 き こ と
述 語 とす る過 去 表 現 が,唯 一 の過 去 時 称 形 と して確 立
ばの 創 造 の た め の準 備 期 間 と見 な す こ とが で き るが,
して くる の で あ る.
この 時期 の ロ シア 語 を,特 に,新
中期 ロ シア語 の代 表 的 な 資 料 は,ト ヴ ェ ー リ(〓)
NewRussian)と
の 商 人 ア フ ァナー シイ ・ニ キ ー チ ン( ?∼1472)の
詩や 韻 文 の 悲 劇,風 刺 的 な喜 劇,旅 行記 形 式 の評 論 な
『三 つ の 海 の 彼 方 へ の 旅 行』(Xo 1472),ア
どの い くつ か の 分野 で,ロ シ ア語 の近 代 化 の モデ ル を
レ クセ イ ・ミハ イ ロ
ヴ ィチ皇 帝(在
ロ シア 語(
よぶ.新 ロ シ ア語 は,頌
位1645∼76)
時代 の 『1649年 法 典』(1649)な
示 した が,結 局 の と ころ,模 範 とす る に足 る叙 情 詩 や 標 準 的 散文 を生 み 出 す こと は で き な か っ た.
ど
19世 紀 の20年 代 にそ れ を な し とげ たの は,プ
ーシ
で あ る.し か し,こ の時 期 の 書 き物 の 主 流 は,依 然 と
キ ン(1799∼1837)
し て,教 会 ス ラブ 語 に よ る宗 教 的 ない し教 会 用 の書 物
で,彼 の一 連 の 作 品 に よ って,伝 統 的 な 書 き こ とば の
と,伝 統的 な古 期 ロ シア 語 に よ る著 作 で あ り,旧 態 依
気 品 と力強 さ,西 欧 風 の文 物 を 反映 す る都 会 の 話 しこ
然 た る書 き こと ば と,変 化 の激 しい 話 し こ とば との 分
とば の軽 妙 さ と レ ト リッ ク,そ して,口 誦 文 学 の伝 統
離,相 違 は甚 だ しか った.
に立 つ 民 衆 の こ とば の 素朴 さ と簡 潔 さの す べ て が見 事
17世 紀 末 に,ピ ョー トル1世 が絶 対 主 義 帝 政 を確 立 し,積 極 的 な 近代 化 政 策 を推 進 す るに 及 ん で,ロ
シア
語 も新 しい 発展 段 階 を迎 え た.す な わ ち,近 代 国 家 を 背 景 とす る国語 として の ロ シア語 の確 立 完 成 が,意 識
に統 一 され た新 しい 書 き こ とば の 模 範 が示 され,す べ ての 受 け 入 れ る と こ ろ と な った.こ
う し て,現 代 ロ
シア 標 準語(〓 ,Modern
Literary
Russian)の
最 初 の 具体 的 な
的 に追 求 され る よ うに な った.一 般 図書(つ
ま り,教
規 範 が確 立 され た . 広 義 の現 代 ロ シア 語 は,プ ー シ キ
会 用 の 書物 以 外)の 印刷 の ため の新 しい33字
母 の アル
ン以 後 を さす が,よ
り厳密 に は,19世 紀 を通 じて の 洗
フ ァ ベ ッ ト(いわ ゆ る民 間 活字)と そ れ に よ る簡 便 な正
練 完 成 と,1917年
書 法 が 定 め られ た の を は じめ と して,ト
ャコ フ(,1873∼1942)
レ ジア コ フス
キイ(1703∼
の 革 命後 の 変化 を経 た の ち の,ウ シ
の 『詳 解 ロ シア語 辞 典 』(
69), ロモ ノ ソフ(
1935‐40)以 降 の 諸規 範 を 内容 とす る,標 準的
1711∼65), スマ ロ コフ(
な ロ シア語 の書 き こ と ば と話 し こ とば を さす もの と さ
1717∼77)ら の古 典 主 義 文 学 理 論 に基 づ く新 し い 詩型 や文 体 の創造 の た めの 競 作 や 論 争 が 展 開 され ,
れ て い る. [日本 語 との 関係 ]
系統 も類 型 もま っ た く異 な る
詩 論,修 辞 学,文 体 論,文 法 学 の 分 野 の 著 作 が 次 々 と
の で,日 本 語 と ロ シア 語 の関 係 は,相 互 に若 干の 語 彙
発 表 され た.特 に,ロ モ ノ ソ フの主 張 した 古 典 主 義 的
の借 用 が あ る程 度 に す ぎな い.ロ
シア語 か ら,あ るい
な3文 体 理 論(作 品 の ジ ャ ンル に よ り上 中 下 の3文 体
は ロ シア 語 を経 由 して 日本 語 に入 った 語 彙 と して は,
を 区別 し,上 位 の文 体 ほ ど古 雅 荘重 を 旨 と し,下 位 の
次 の よ うな もの が あ る.
文 体 ほ ど話 し こ とば や 俗語 の混 用 を認 め る,と す る説)
イ ク ラ <〓
は,18世 紀 全 体 を通 じて 大 きな影 響 力 を発 揮 した.こ
イ ンテ リゲ ンチ ャ <
れ は,社 会 の 生 きた話 し こ とば で あ る ロ シア 語 とま っ
ウ ォ ッカ <〓
た く断 絶 した,不 自然 か つ 煩瑣 きわ ま る古 め か しい 書
カ ンパ <
き こ とばの 規 範 の一 義 的 な束 縛 を否 定 し,古 い規 範 を
ス プ ー トニ ク <〓
相 対 化 して 自 らの言 語 表 現 の 中 に他 の 要素 と と もに選
ダモ イ <〓
択 的 に と り入 れ て い く自由 を確 認す る 論 拠 とな った.
ボ ル シチ <〓
ロモ ノ ソ フは,ま た,1757年
ス ー プ」
に 『ロ シア 文 法 』(
)を 著 して,は じめ て,生 きた ロ
ラ ー ゲル <〓
シア語 に文 法 的 枠 づ け を与 えた.こ れ は,『 ロ シア ・ア
ルバ シカ <〓
カ デ ミー 辞 典 』(
「知識 階 級」
「 無 色 の 蒸 留 酒」 「募 金 運 動」 「 人 工 衛 星」
「家,故 郷 へ 」 「甜 菜 で 色 つ け した 肉 と野 菜 の
「収 容 所,キ
ャ ンプ」
「上 衣 風 の シ ャツ」
ま た,日 本 語 か ら ロ シア語 に入 っ た もの と して は,
1789‐94)と と もに,ロ シア 語 の規 範 の確 立 に 大 きな 役 割 を果 た した.ま た,18世
紀 末 に は,カ
ラ ム ジ ン
(1766∼1826)が, 「新文 体(〓)」
「魚卵 」
〓 「柔 道」< 柔 術 〓 「いわ し類 の小 魚 」< い わ し 〓 「 極 東,沿 海 州 の小 型漁 船 」< 川 崎(船)
を とな え て,上 流 社 会 の話 し
〓 「日本 の伝 統 的 衣 服 」< 着 物
〓 「日 本 の 天 皇 」< 帝 な ど,特
4)
殊 な 分 野 に 限 ら れ て い る.
[日 本 に お け る 研 究 と 教 育]
日本 に お け る ロ シ ア
研 究 は,江
戸 後 期 に,10年
余 の ロ シ ア へ の 漂 流 と滞 在
の の ち,寛
政4年(1792)に
帰 国 を 果 た した大 黒 屋 光 太
夫(1751∼1828)か シ ア 語 と,そ
ら の 聞 き 書 き を 源 と す る,一
―
連 のロ
が 発 せ られ,そ
崎和 蘭通 詞 に対 す る英 露 兼 修 の 令
戸 で 光 太 夫 に 学 ん だ の ち,文
(1811∼13),松
が 収 め られ て い る.初
版 は,1863‐66年.
化6∼8年
前 に 虜 囚 として 滞 在 して い た ゴ ロヴ ニ
リ プ リ ン ト1955(Akademi scher
シ ア 語 を 修 得 す る と と も に,そ
Druck,Graz);同1958‐59
の援 助 に よ
;同1989 ―
ロ ヴ ニ ン の テ ク ス トを 翻 訳 す る か た ち で),文
化8年(1813)に,日 文 法 規 範 』6巻
本 最 初 の ロ シ ア 文 法 で あ る 『魯 語
〓 〕,1836∼1912)が よ び,そ
治6年
gtisches
Worterbuch
berg;ロ
Etymolo
Ⅰ‐Ⅲ(Carl
Winter,Heidel
シ ア 語 版:
東 京 に開 い た
の 翌 年,政
府 の創 立 した 東京
1964‐73)―
最 大 最 良 の 語 源 辞 典.
7)
外 国 語 学 校 に お い て 開 始 さ れ た.
―
比 較 言 語 学 に 基 づ く科 学 的 な ロ シ ア 語 の 研 究 は,八 杉 貞 利(1877∼1966)に
よ っ て そ の 基 礎 が お か れ た が,
井 桁 貞 敏(1907∼80),お よ っ て 発 展 し,最 獲 得 した.戦
よび,木
近,よ
後 は,国
規 模 に 達 し た が,大 は,ま
だ,比
[辞
う や くア カ デ ミ ッ ク な 地 位 を
(5),語
本 の ロ シア 語 教 育 は 空 前の
学 院 まで の 専 門 課 程 を備 え た 大学
較 的 少 数 で あ る.
書]
以 下 は,詳
源 辞 典(6),発
(8∼10)な
Oxford
dated
語 辞典
言 語 対 訳 辞典
分 野 の 代 表 的 な もの で あ る.
Dictionary.Revised
Throughout
by
Colin
代 ま で の 標 準 語 の 語 彙,約12
か ら刊 行 中 で,既 で あ る が,全20巻
下 最 大 の 辞 書.す
で に1991年
か
が ロ シ ア 科 学 ア カ デ ミ ー(PAH) 刊 はV/VI合
巻(E‐3,1994)ま
9)Daum,E.undW.Schenk(1966),Russisch Worterbuch(Verlag
で
の予定.
日本 語 に よ る 対 訳 辞 典 と し て は,以
堂,東
京)
堂,東
京)
八 杉 貞 利(1965),『
コ ン サ イ ス 露 和 辞 典 』(三 省
友 社,東
,語
版 は,1957‐61年.
3)(1992)―
岩 波 ロ シ ヤ 語 辞 典(増
博 友 社 ロ シ ア 語 辞 典 』(博
講 談 社 和 露 辞 典 』(講 談 社,東 田 規 和,新
語 辞 典 』(岩 波 書 店,東 東 郷 正 延,染
谷 茂,磯
田 実(編)(1988),『
谷 孝,石
も ポ ピュ ラー な 一 巻物 の改 訂 版 .
1)音
声 学 ・音 韻 論
山 正 三(編)(1988), 京)
京)
岩 波 ロ シア
京)
『研 究 社 露 和 辞 典 』(研 究 社,東
「オ ジ ェ ゴ フ の 辞 書 」 と し て 知 ら れ た も っ と
訂 版)』(岩
京)
[ 参 考 文 献] かつて
コ ン サ イ ス 和 露 辞 典 』(三 省
木 村 彰 一 他(1975,19952),『
和 久 利 誓 一,飯
数 約9万.初
下 の もの が 代 表
京)
佐 藤 勇(1981),『
規 範 辞 書 と して 最新 の もの で
Enzyklopadie,
Leipzig)
波 書 店,東
2)(1981‐84),
―
U.
‐露 別 々 に 出 版
され た もの を一 冊 に ま と め た便 利 な辞 書 で あ る.
(1966,19762),『
ら こ の 改 訂 第2版
Up
Howlett(Oxford
こ れ は か つ て 露 ‐英,英
井 桁 貞 敏(1954,19774),『
万 を 対 象 と す る,目
and
的 で あ る.
1)〓
プ ー シ キ ン以 後,現
発
っ と も くわ しい.
Russian
P.,1993)―
Deutsches
解 辞 典(1∼4),古 音 辞 典(7),二
ど の,各
音 辞 典 と し て,も 8)The
村 彰 一(1915∼86)に
際 社 会 に お け る ロ シ ア語 の比 重
増 大 の 傾 向 を 反 映 し て,日
,
目 下 最 高 の も の.
道 師 ニ コ ラ イ 〔イ ワ ン ・カ サ トキ ン〕(〓
正 教 神 学 校,お
古 期 ロ シア 語 の 辞 書 と して
6)Vasmer,M.(1953‐58),Russisches
を 著 し た.
日本 に お け る 組 織 的 な ロ シ ア 語 教 育 は,明 (1873),伝
語
5)〓
ン(1776∼1831)か ら,直 接,ロ
編 纂 し
の 一 人 で あ る 馬 場 佐 十 郎 貞 由(1787∼
1822)は,江
っ て(ゴ
.〓)が
言 や 俗 語 を 含 む,約20万
の 文物 の 詳細 な紹 介 を端 緒 とし て は じま
っ た . 間 も な く,長
民 俗 学 者 ダ ー リ(B
た 博 物 館 的 な 辞 書.方
は,イ
ラ ン,ト
カ ナ ダ,ア ― は1958年
初版
刊.
2) 文
(1979), 1,2(Academia,Praha) (1960), ‐1,Ⅱ ‐2
CCCP,MockBa)
店,東
ロ シ ヤ 文 法 』(岩
波 書
京)
3) 方
メ リ カ, ー ス トラ リ
れ ぞ れ の地 域 で外 国 語
と え ば,ウ
ェー ル ズ の ジ プ シ ー は,
儀 な く さ れ た.ま
た,そ
ら れ る よ う に,本
来 の ロ マ ー ニ ー(ロ
並 ん で,ク
語の使用 を余
の 言 語 形 態 も,イ
ギ リス に み
ム ニ モ スRom
レ オ ー ル 化 し た そ れ(ア
ング ロ ロ
マ ー ニ ーAngloromani)を
も つ 場 合 も あ り,イ
ス で は,後
来 の ジ プ シー以 外 に も拡
者 の 使 用 者 は,本
大 し て,約8万
村 彰 一(1953),『
し て,ア
母 語 の ほ か に 英 語 と ウ ェ ー ル ズ 語 の3言
nimos)と
I,Ⅱ (AH
ら の 多 く は,そ
を 習 得 し て い る.た (1980),
リ シ ア,そ
ュ ー ジ ー ラ ン ド,オ
ア に も達 し て い る. も ち ろ ん,彼
法
八 杉 貞 利,木
ル コ,ギ
フ リ カ,ニ
人 と 推 定 さ れ て い る が,前
ギ リ
者 は ウ ェー
ル ズ に わ ず か 数 百 人 の 使 用 者 しか な く,一
時 は消 滅 し
た と言 わ れ た ほ ど 衰 退 し て い る.
言
[故 郷 問 題] gane),
ジ プ シ ー(Gypsy),ツ
の 諸 言 語 の 彼 ら の 呼 称 は,い
4) 歴 史 文 法 ・語 史
ィ ガ ヌ(tsi
ツ ィ ゴ イ ナ ー(Zigeuner)な
な い.彼
ら の 自称 は,地
らの 自 称 で は
域 に よ っ て,や
や 形 を異 に す
れ は,バ
の そ れ と同 じ よ う に,こ
の言 語 で
あ る . そ の 源 の 形domは,イ ら は,古
ン ト ゥー 語
「人 」 を 表 わ す 語 で
ン ドの 種 族 名 に 由 来 す
い 文 献 に よ れ ば,身
集 団 で あ っ た.し
ー ロ ッパ
ず れ も,彼
る が ,Rom,Lom,Domで,こ
る.彼
ど,ヨ
た が っ て,後
分 の低 い 者 た ち の
の ロ マ ー ニ ー 語 が,イ
ン ド の あ る 地 域 の 方 言 に 由 来 す る こ と は 疑 い な い .事 実,ロ ―初 版 は1934 年 刊. 照]
ス ラ ブ 語 派,ス
ラブ 祖 語
→ 教 会 ス ラブ 語
ン ド ・ア ー リ ア 語)の1言
語.ジ
ン ド
プ シー 語
も 言 う. 説 ]
は,10世
界 各 地 の ジ プ シ ー の 総 数 は,
万 人 と推 定 され て い る. 彼 らの 祖先
紀 前 後 に,故
郷 で あ る イ ン ド北 西 部 か ら 西 に
向 か っ て 放 浪 し,ペ ル シ ア を 経 て,一 部 は シ リア に, 一 部 は ア ルメ ニ アか ら小 ア ジ ア を経 て バ ル カ ン半 島 に 入 り,15世
紀 の は じ め 頃 か ら,ヨ
入 し,1430年
ー ロ ッ パ に 急 速 に侵
に は イ ギ リ ス に ま で 達 し た.彼
地 で 独 自 の 社 会 を 形 成 し な が ら も,そ で 保 持 し 続 け て き た.し
か し,一
ら は,各
の 母語 を現 在 ま
方 で は,通
過 した り
る)を
は じ め と して,ヨ
の 人 口 は26万2千
人 と言 わ れ
ー ロ ッパ 全 域 に 及 び,さ
らに
変化 の 特 徴
ン ド・ア ー リ ア 語 の 中 部 方 言
SW. 〔南 西 方 言 〕a:C.〔
ら は,本
来,
北 西 古 言 〕ri:
中 部 方 言 〕i,u=R.〔
ー ニ ー 語 〕(Skr
.prcchati「
ー ル 語pritshi:R
.phucel)
尋 ね る 」:カ
ロマ シュ ミ
Skr.ks:NW.cch:SW.cch:C.kkh=R. (Skr.vrksa‐/*ruksa‐
「木 」:パ ー リ語rukkha‐:
ヒ ン デ ィ ー 語rukh:R.rukh) と こ ろ が,一
方 で,ロ
マ ー ニ ー 語 は,北
通 す る 特 徴 を も っ て い る.た
と え ば,ダ
(Dardic,北
ど,わ
s,s,sの3種
に,そ
よ れ ば,音
の 言 語 は,イ
中 部 方 言 の 所 有 者 で あ っ た と推 定 さ れ る . た と え ば,
い て,す
の 分 布 は,
か し,
ン ドの ど の 地 方 の も
に い くつ か の 共 通 点 が 認 め ら れ る か ら,彼
け,そ
の 言 語 は 非 常 に 多 様 化 し て い る.そ
ンス ク リ
の で あ る か を 正 確 に 指 摘 す る こ と は む ず か し い.
定 住 した 地域 の 住 民 との 接 触 に よ って大 き な影 響 を う
ソ連 邦(1989年
来,イ
Skr・ 〔サ ン ス ク リ ッ ト〕r:NW.〔
現 在,世
人 か ら1千
詞 の 活 用 に も,サ
こ の ジ プ シ ー の 言 語 が,本
か ら み て,こ
ジ プ シ ー の 母 語 ・ イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 ,イ
(Gypsy)と
ー セ ン トは イ ン ド・ア ー リア
詞 の 曲 用,動
タ ー ナ ー(R.L.Turner)に
ロ マ ー ニ ー 語 英Romany,Romani
語 派(イ
く の 借 用 語 を 含 み な が ら,
ッ トに 通 じ る 屈 折 的 な 特 徴 を 失 っ て い な い.し
(佐 藤 純 一) Church Slavonic
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語 英Russian
600万
な お , そ の 語 彙 の 約60パ 系 で あ り,名
[参
[概
ム ニ モ ス を み て も,多
西 方 言 に 属 す る)な
こ れ に 対 し て,ロ 除 い て,ヨ
マ ー ニ ー 語 は,ア
ー ロ ッパ の 方 言,シ
ル ド語 群
ず か の方 言 を 除
べ て の イ ン ド・ア ー リ ア 語 は,早 の 区 別 を 失 い,1つ
西 方 言 と共
く か らSkr.
に統 合 して い る. ル メ ニ ア の方 言 を
リ ア の 方 言 と も,sと
<表1>ロ
マ ー ニ ー語 の 名詞 の 格変 化
単
数
複
数
主 格 対 格 属 格 与 格 奪 格 具 格 前置格 呼称格
sの2種
を も っ て い る.ま
に 対 す る パ ― リ語putta‐ rが
た,Skr.putra‐
「息 子 」
の よ う に,p,tの
破裂音 と
連 続 す る 場 合 に 広 く 同 化 が み ら れ る が,ロ
ー 語 は,potraの
に 対 す るR.panjの
た,Skr.pa
よ う な,鼻
化 の 現 象 は,ア
マ ー ニ ー 語 の 動 詞 の 人 称変 化 (例:'I
現
マーニ
よ う に 同 化 を 示 さ な い.こ
方 言 に 共 通 す る現 象 で あ る.ま
<表2>ロ
れ も北 西
在
see')
完
了
単
car5」
音 に続 く子音 の有 声
シ ョー カ 王 碑 文 の 資 料 に は ま だ 認 め ら
れ な い 北 西 方 言 の 新 し い 変 化 で,ロ
マ ー ニ ー 語 が これ
複
を 示 す こ と は 注 目 に 値 す る. こ の よ う に,い
くつ か の 変 化 の 傾 向 は 中 部 方 言 に 類
似 し て は い る も の の,保 い て は,北
守 的 な 面 と,新
しい変 化 につ
西 方 言 に 共 通 し た 特 徴 を も つ と こ ろ か ら,
ロ マ ー ニ ー 語 は,中
部 の 出 身 で あ り な が ら,後
部 に 移 住 し た 人 々 の 言 語 で あ ろ う,と
に北 西
タ ー ナ ー は推 定
詞 は,ロ
マ ー ニ ー 語 の3人
[言 語 特 徴] こ と は,す
ロ マ ー ニ ー 語 が イ ン ド語 派 に 属 す る
で に,18世
に 入 っ て,ポ
紀 に 指 摘 さ れ て い た が,19世
ッ ト(A.F.Pott),つ
(RMikIosich)に
い で ミク ロー シチ
よ っ て,そ
どの 英語 の代 名 詞 と と も
に,人
た,tobeの
称 変 化 を 形 成 す る.ま
と え ば,名
モ ス で は,主,対(ま 呼 称 の8格
の 言 語 は,形
態論的
合 型 か ら 分 析 型 へ 移 行 し て い く過 程 を 示
して い る.た
詞 の 格 変 化 を み て も,ロ
ムニ
た は 斜),属,与,奪,具,前
置,
を も っ て い る が,属,与,奪,具,前
5格 は,対
格 を 基 に し て,そ
れ に,そ
を そ え て 形 成 さ れ て い る(表1を 接 尾 辞 は,男
置の
れ ぞ れ の接 尾 辞
参 照).そ
し て,こ
の
・女 性 名 詞 に つ い て 変 わ り は な い .
動 詞 に つ い て も,現 持 さ れ て い る(表2を
在 と 完 了 の2形 参 照)が,未
了 の 変 化 形 の 末 尾 に,さ
に人 称 変 化 は維
完 了 と過 去 完 了 は, ら に 一asを
そ えて
形 成 さ れ る. ク レ オ ー ル 化 し た ア ン グ ロ ロ マ ー ニ ー で は,こ 析 的 傾 向 が 著 し く,英
語 の 影 響 を う け,そ
て い る.た
詞,代
と え ば,名
傾 向 が み ら れ,代 多 用 され る.比
わ っ て,英 較 級,最
動 詞 に は,
語 の形 が そ の ま ま
用 い ら れ て い る 以 下 に,ヨ
ー ロ ッパ の ロ マ ー ニ ー 語(R.)と
リ ッ ト(Skr.)の
サ ンス ク
語 彙 の 対 応 表 を あ げ て お こ う.
の 資 料 が 集 大 成 さ れ,本
格 的 な 研 究 の 基 礎 が 築 か れ た.そ に み る と,総
紀
称単数形が代
表 と し て 選 ば れ,he,weな
ロ マ ー ニ ― 語 本 来 の 形 と並 ん で,英
し て い る.
現 在,完
に 等 し い.動
名 詞 に,性,格 語 の 複 数,所
の分
れ に接 近 し の消 失 の 有 の
‐sが
上 級 の 形 容 詞 の 語 尾 も,英
語
Skr.
R.
eka
yekh
「1」
dvau,dve
dui
「2」
trayas,trfni
trin
「3」
catv縒as,catv縒i
star
「4」
pa
panj
「5」s
ca
as sov
「6」
aksi
yakh
「眼 」
agni
yag
「火 」
karha‐
kan
「耳 」
kar‐
ker‐
「つ く る 」
k緲a‐
kalo
「黒 い 」
kh綸‐
xa‐
「食 べ る 」
gharma‐
kham
「太 陽 」
dasa
「暑 さ 」
des
「10」
danta‐
dand
「歯 」
da‐
de‐
「あ た え る 」
duhkha‐
dukh
「苦
しみ 」
drs‐
dikh‐
「見 る 」
語 人 口,約50万
dosa‐
dos
「過 失 」
山 岳地 帯 で 話 され る ドロ ミテ 語(自 称 はladin;同,約
pac‐
pek‐
「料 理 す る 」
3万 人)と
pat‐
per‐
「落 ち る 」
bubhuksa
bokh
「飢 え 」
bhagini
phen
「姉 妹 」
bhumi‐
phuv
「大 地 」
bhratr‐
psal
「兄 弟 」
mamsa‐
mas
「肉 」
が含 まれ る.こ れ ら3つ の言 語 が 互 い に共
通 す る言 語 上 の特 徴 を もつ こ とか ら,1つ
のグループ
に ま とめ られ,他 の ロ マ ンス諸 語 と区 別 され るが,系 統 的 関 係 と,下 位 分 類 と,名 称 には,異 論 が な い わ け で は な い.地 理 的,歴 史 的 にみ る と,こ れ ら レ ト ・ロ マ ンス 語 の 下 位 区 分 の3地 域 に は,政 治的,文
化的な
統 合 の 核 とな り うる 中 心 地 は 存 在 して い な い.
marayati
mar‐
「殺 す 」
ratri‐
rat
「夜 」
labh‐
le‐
「取 る 」
ス語 で あ る ロ マ ン シ ュ語 は,グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン(Grau
lavana
lon
「塩 」
bunden)州
lohita‐
lolo
「赤 い 」
varsa‐
bers
「年 」
万 人 の23パ
hemanta‐
jvant
「冬 」
れ て い るに す ぎな い .地 図 上 の 面積 で は,グ ラ ウ ビュ
[分布 ・話 者 ・方 言]
Position
in Indo‐Aryan",Journal of Society(3rd
the
Gypsy
Lore
University
Press,1975)に
人に よって使 用 さ
Tsiganes(《Que de
sais‐je?》,
語 訳:木
内 信 敬 訳 『ジ プ シー 』,白 水 社,東
France,Paris;日
本 京,1973)
Lockwood,W.B.(1975),Language of British
Isles
Past
the and
Present
狭 隘 な平 地 は,工 業 化,商 業 化 が進 ん でい て,ド イ ツ
州 を離 れ て 生 活 す る ロマ ン シ ュ語 人 口は,約1万3千
再 録..
Universitaires
(Andre
人 で,年
々,漸 増 の 傾 向 にあ る.彼 らの ほ とん ど が,
異 言 語 間結 婚 を して お り,第2世
Ventzel,T.V.(1983),The
Gypsy
Language
代以 降 は,言 語 的,
文 化 的 に,ロ マ ン シュ語 とは ほ とん ど接 触 を もた ず に 育つ こ とに な る. グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン州 の 主 都 ク ー ル(ド イ ツ 語 名 Chur;ロ
Deutsch,London)
マ ン シ ュ語 名Cuera,Coira等)は
,中 世
末 に は ドイ ツ語 化 し,そ の た め に,ロ マ ンシ ュ語 を州 の標 準 語 とす る契 機 を失 って しま った.ロ マ ン シ ュ語
(Nauka,Moscow) Hancock,I.(1984),"Romani
and
Angloromani",
in P.Trudgill(ed.),Language (Cambridge
in
University
the British
使用 地 域 は,徐 上,大
々に広 が る ドイ ツ 語 圏 に 分 断 さ れ た
きな渓 谷 ご とに方 言 差 が あ り,名 称 もそ れ ぞ れ
異 な る(〈 図 〉を参 照).
Press)
1)ス 照]
ル セ ル ヴ ァ 地 方 ス ル シル ヴ ァ ン語(表 ライ ン
『大 辞 典 』 イ ン ド語 派 (風 間
ロ マ ニ ア 語
Iimba
喜 代 三)
romana
=ル ー マ ニ ア 語
ロ マ ン シ ュ 語
川 源 流 地 帯) 2)中
央 グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン地 方(裏 ライ ン川 流域)
a)ス
ッ トセル ヴ ァ地 方 ス ッ トシル ヴ ァ ン語
b)ス
ル メ イ ル 地 方 ス ル ミラ ン語
3)エ
英Romansh,仏romanche,
ンガ デ ィ ン渓 谷 地 方 ラデ ィ ン語
a)ピ
独BundnerRomanisch 自 称 に は,rumantschな 説 ]
諸 語 に 属 し,ス
タ リ ア 語 に 続 く第4番
に は,ド
イ ツ 語,
目 の 国 語 と して ,
に は 公 用 語 と し て 認 定 さ れ て い る.
レ ト ・ロ マ ン ス 諸 語 に は,ほ
か に,イ
ァ ラー デ ル 語(低 地 エ ンガ デ ィ ン地 方 と ミ
クー ル か ら ライ ン川 を10キ
人 弱 に よ って 用 い
られ る 言 語 群 の 総 称 で あ る .1938年
ュテ ー ル 語(高 地 エ ンガ デ ィ ン地 方)
ュス タイ ル 渓 谷)
マ ン ス 諸 語 の1グ
ト ・ ロ マ ン ス(Rhaeto‐Romance)
イ ス 国 内 で,約5万
フ ラ ン ス 語,イ
b)ヴ
ど が あ る(後 述).
ロ マ ン シ ュ 語 は,ロ
ル ー プ で あ る,レ
ま た,1996年
ー セ ン ト,約3万7千
語 人 口 の密 度 が 高 い. ま た,故 郷 の グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン
Papers
presses
[参
タ
るの は,主 に 山間 部 の離 村 で,逆 に,ラ イ ン川 上 流 の
of Romani
Series,Vol.4)―Collected
Bloch,J.(19693),Les
Isles
の アル プ ス 高 原 地 帯 で,ド イ ツ語,イ
ンデ ン州 の 約 半 分 を 占 め るが,母 語 と して 残 され て い
Turner,R.L.(1926),"The
(Oxford
ス イ ス 国 内 の レ ト ・ロ マ ン
リア語 と と も に,こ の 州 の公 用 語 と して,州 人 口約16
[参 考 文 献]
[概
人)と,イ タ リア 北 部 な い し南 チ ロ ル の
タ リア 北 東端
で,2つ
の 方 言 地域 に 下位 区 分 され る. 西 の オ ー バ ー
ア ル プ(Oberalp,2,044m)峠 渓 谷(Vorderrhein)の
に源 を発 す る表 ライ ン川
ス ル セル ヴ ァ(Surselva)地
ス ル シル ヴ ァ ン語(sursilvan)と,南
の ユー ゴス ラ ヴ ィア とオ ー ス トリア に 国境 を接 す る フ
ゲ ン(Splugen,2,113m)峠
リ ウ リ(Friuli)地
イ ン川 渓 谷(Hinterrhein)の
方 で 話 さ れ る フ リ ウ リ語(furian;言
ロメ ー トル遡 る と,2つ
の ライ ン川 源 流 に 分 か れ るが,ロ マ ン シュ語 も,こ こ
方
の シュ プ リュー
の あ た りに源 を もつ,裏 ス ッ トセ ル ヴ ァ(Sut
ラ
地 エ ン ガ デ ィ ン(Engiadin'ota)地
<図>ロ
マ ンシ ュ語 の 方 言 分 布
(Scuol)を
方,シ
ュ ク オル
中心 とす る 下 流 の 東 半 分 を 低 地 エ ンガデ ィ
ン(Engiadina
bassa)地
方 と よ ぶ.
前 者 の 方 言 は ピ ュ テ ー ル 語(puter),後
者 の方 言 は
ヴ ァ ラ ー デ ル 語(vallader)で,方
言 差 は 小 さ く,2つ
を ま と め て ラ デ ィ ン語(ladin)と
い う 名 称 を もつ.低
地 エ ン ガ デ ィ ン地 方 の ツ ェ ル ネ ッ ツ(Zernez)か
ら峠
を 越 え て 南 の イ タ リ ア 領 に 連 な る ミ ュ ス タ イ ル(Mus tair)渓 谷 の 言 語 は,ヴ
ァ ラ ー デ ル 語 に 属 す る. 低 地 エ
ンガ デ ィ ン 地 方 で は,ロ mantsch),高
マ ン シ ュ 語 は ル マ ン チ ュ(ru
地 エ ン ガ デ ィ ン地 方 で は,ル
の ほ か に,ル
マ イ ン チ ュ,ル
mauntsch)と
い う 呼 称 が あ る が,一
名 称 を 好 む.た
だ し,こ
マ ンチ ュ
メ ー ン チ ュ(綴
り はru
般 に,ラ
の 名 称 は,イ
デ ィ ンの
タ リ ア 北 部,ド
ロ ミ テ 地 方 の ラ デ ィ ン 語 と 同 じ で あ り,ど ち ら も レ ト・ ロ マ ンス 語 に 属 す る が,同
一 の 言 語 で は な い の で,注
意 を要 す る. selva)地
方 ス ッ ト シ ル ヴ ァ ン 語(sutsilvan)で
前 者 で は,ロ
エ ン ガ デ ィ ン地 方 は,上
あ る.
こ とか ら,ロ
マ ン シ ュ 語 は ロ モ ン チ ュ(romontsch)
と よ ば れ て い る.中
世 か ら ベ ネ デ ィ ク ト派 修 道 院 が あ
割 を 担 っ て き た.特
マ ン シ ュ 語 名 は ム シ ュ テ ー ルMuster)で
伝 統 文 化 と,こ
に,初
の ロマ ン シュ語新 聞
(Gasetta
Romontscha)が
ま で,文
『ガ ゼ ッ タ ・ ロ モ ン チ ャ 』 創 刊 さ れ,現
後 者 の ス ッ ト シル ヴ ァ ン 語 で は,自 ン チ ュ(rumantsch),ル で,言
在にいたる
称言語名はルマ
マ ウ ン チ ュ(rumauntsch)
語 的 特 徴 は,ス
ル シ ル ヴ ァ ン 語 よ り も,む し ろ,
性 を もつ . し た が っ て,こ と を ま と め て,中 も あ る.こ
業 の 発 展 に よ り,著
の 方 言 と 隣 の ス ル ミラ ン 語
通 の 便 が よ く,商
称 し,特
方 名 は,ス
ヴ ォ ー ニ ン(Savognin),テ fencastel)な
芸,建
有 の レ チ ア(Raetia)民
築,装
教 的 に は,北
受 け て,新
翻 訳 し た.以
ル メ イ ル(Sur
ネ ッ サ ン ス 期 に は,イ
飾,生
め て,新 来,サ
活 様 式 を受 け入 れ
に は,高
地 エ ンガ デ ィ ン
生 ま れ た ビ フル ン 約 聖 書 を ロマ ン シ ュ語 に
メ ー ダ ンが ロマ ン シュ語 文 化 振 興
の 中 心 地 と な り,『 ラ デ ィ ン語 新 聞 』(Fogl
ladin)が
刊 行 さ れ て い る. 以 下 に,高
地 エ ン ガ デ ィ ン地 方 の ピ ュ テ ー ル 語 を 中
韻]
マ ン シ ュ語 の 特 徴 を 記 述 す る .
ロ マ ン シ ュ 語 ピ ュ テ ー ル 方 言 は,レ
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で も,母
音,子
数 が 多 い こ と が 特 徴 的 で あ る.鼻 1)母
か ら の 源 流 は,サ
族の
の プ ロ テ ス タ ン ト運 動 の 影 響 を
教 化 し た.1560年
(J.Bifrun)が,初
[音
に 音 声 面 で 独 自の 変 化 を とげ て
リ ア(Julier,2,284m)峠
タ リ ア か ら,文
心 に と り上 げ て,ロ
マ ン シ ュ 語 は ル マ ン チ ュ(ru
い る こ と が 特 徴 で あ る.地 meir).ユ
工業や観光
し く ドイ ツ 語 化 が 進 ん で い る.
ス ル ミ ラ ン 語 で は,ロ mantsch)と
共通
央 グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン方 言 と よぶ こ と
の 地 域 は,交
に,固
地 方 の サ メ ー ダ ン(Samedan)に
東 に 隣 接 す る 後 述 の ス ル ミラ ン 語(surmiran)に
中海 世
れ を ロ ー マ 化 し た 地 中 海 ・イ タ リア 文
明 と の 融 合 が 強 く み ら れ る.ル
た が,宗
芸 活 動 の ひ と つ の 中 心 と な っ て い る.
の町 が鉱 泉 を もつ
養 地 と し て,地
界 とゲ ル マ ン 世 界 を 結 ぶ ア ル プ ス 山 中 の 中 継 地 点 の 役
っ て 栄 え た デ ィ セ ン テ ィ ス(ド イ ツ 語 名Disentis;ロ は,1857年
述 の2つ
ー マ 時 代 か ら,保
音
表1を
音 と もに音 素 の
母 音 は な い.
参照 .
ィ ー フ ェ ン カ ス テ ル(Tie
どの町 を抜 け て 裏 ラ イ ン 川 に 合 流 す る
<表1>ロ
マ ン シ ュ語 の母 音 体系 (ピ ュ テ ー ル 語)
が,古
代 か ら の 峠 越 え で イ タ リア に 向 か う 道 も,そ
れ
に 沿 っ て い る. ロ マ ン シ ュ 語 の 中 で は,ラ イ ン 川 渓 谷 の 系 統 と 別 に, イ ン(Inn)川
渓 谷 の エ ン ガ デ ィ ン(Engadin;ロ
シ ュ 語 名 は エ ン ジ ャ デ ィ ー ナEngiadina)地 群 が,1つ
の グ ル ー プ を 形 成 す る.ユ
る マ ロ ー ヤ(Maloja,1,815m)峠
ン ・モ リ ッ ツ(St.Moritz)を
リア 峠 の 南 に あ
か ら 東 に80キ
トル 伸 び る エ ン ガ デ ィ ン地 方 は,東
マ ン 方の方言
西 に2分
ロメ ー さ れ,サ
中心 とす る 西 半 分 を 高
単 母音 の 体 系 は,9個
の 音 素 か らな る.円 唇 中舌 母
音 の あ る こ とで フラ ンス語 の母 音 体 系 に 似 て お り,o で 表 わ した 音 素 は,そ の位 置 に よ り,相 補 的 に[〓][〓]
と し て 現 わ れ る と解 釈 さ れ る. ま た,開
冠 詞,代
で も,長
音 節 で は 一 般 的 に 長 母 音 と な る が,閉
音節
短 の 量 的 対 立 を 示 す 場 合 が あ る.
(eau)pos[pos]「(私
an「
休息」
二 重 母 音 は 豊 富 で,13個
数 語 尾 の ‐sは,ラ
年 」/ans,bun「
形)/ils,nos「
あ る.そ
の う ち,第2要
素
2)男
の 部 分 的 痕 跡 と し て,ロ ピ ュ テ ー ル 語 で は,特
素 に 強 ま りの あ る 下 降 的 二 重 母 音 は[〓
綴 字 法 で 注 目 す べ き は,aunが[〓]と
発 音 され
る こ とで あ る.
ら は)行
三 重 母 音ieuの
綴 り は,ピ
ュ テ ー ル 語(p.)で
は二 重
は 三 重 母 音[〓],ま
格Dieuの
メ ー ダ ン市 内)と 表2を
区 別 が あ っ た.ス
代 で も,Dieus/Diuと 私 は 」 は, 発 音 さ れ る.
に,男
マ ン シ ュ語 の子 音 体 系
詞 直 説 法 現 在3人
称 単 数形
「壁 」,ei:動
詞 男性
数 形)cf.ラ
容詞
制,態,人
のロ マ ンス 諸 語 と同様
称,数
に 応 じ て 活 用 す る が,形
系 の 単 純 化 が み ら れ る.
規 則 動 詞 で は,不
定 法 形 の ‐er型
れ る.表3に,直
鼻 音 側 音 ふるえ音
「白 い 」 の 男 性 主 格 単
テ ン 語MURUSESTALBUS.
ロ マ ン シ ュ 語 の 動 詞 は,他
態 上,体
付 け る.
「そ の 」,mir:名
「∼ で あ る 」,alfs:形
に,法,時
斜
壁 は 白 い」
冠詞男性単 数 形
単数形
摩擦音
語 ・呼 格Deusと
ル セ ル ヴ ァ地 方 で は,現
容 詞 が 属 詞 と して用 い られ た 場 合
Ilmireialfs.「
閉鎖 音 破擦 音
テ ン 語MEUS
性 単 数 名 詞 の 主 語 に 一 致 し て,‐sを
参 照.
両唇音 唇歯音 歯茎音 口蓋音 喉音
<表3>直
と ‐ir型 に 大 別 さ
説 法 現 在 形 の 活 用 例 を あ げ る.
説法 現 在 形 の活 用(規 則 動 詞)
saluder「
挨 拶 す る 」
cusir「
称 複 数 は,語
尾 に,そ
縫 う」
単 閉 鎖 音 と 摩 擦 音 の 系 列 の ほ か に,3種
類 の破 擦 音が
い に 対 立 し て い る こ と が 特 徴 的 で あ る.
(el)pisa[〓]「(彼
複
は)考 え る 」
(la)pizza[〓]「
山 頂」
(el)picha[〓]「(彼
は)た た く」
(la)pischa[〓]「
2人 称 単 数 と1人
尿」
綴 り で は,ce,ciが[〓],ch(た
だ し,中
央
グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン 地 方 で はtg)が[〓],schが[〓]ま
い し ‐insを
‐AS+TU> レ ト ・ロ マ ンス 語 全 体 に 共 通 す る 通 時
論 的 特 徴 と し て,ラ
テ ン語 の 屈 折 語 尾 の
れ る 傾 向 が あ る.こ
れ は,ロ
‐Sが 保 存 さ
マ ンス 諸 語 を東西 に 分 け
の グ ル ー プ に 属 さ せ る根 拠 と な る が,ロ
マ ン シ ュ 語 に お い て も,こ
の 傾 向 は,名
と る が,こ
れ は,ラ
れ ぞ れ ‐ast, テ ン語 の 動 詞
‐er型).
対 応 す る. 態 ]
‐ ainsな
の 変 化 語 尾 に 人 称 代 名 詞 が 付 い た も の で あ る(次 例 は,
た は[〓],tschが[〓],dschが[〓],s‐chが[〓]に
た 場 合 に,西
彼(女)
して 対 立 して い る. この ス ル シ
ル ヴ ァ ン 語 で は,形
(ピ ユ テ ー ル 語)
[ 形
‐sを
FRATER)
(il:定
あ っ て,互
格の
ル シル ヴ ァ ン語 で
な る.cf.ラ
古 語 法 で あ る が,「 神 」 は,主
発 音 さ れ る.
称 単 数 主 格 形 のeau「
音
<表2>ロ
父 」,frer「 兄 弟 」)
君 の 」,sieus「
私 の 兄(弟)」(ス
も,meisfrarと
神 」(p.)[〓],(v.)[〓]
た は[〓](サ
2)子
私 の 」,tieus「
mieusfrer「
く」
ァ ラ ー デ ル 語(v.)で
重 母 音[〓]と
人 称 代 名 詞1人 [〓]ま
保 存 し,mieus「
ロ マ ン シ ュ語 」
vaun[〓]「(彼
Dieu「
マ ン シ ュ 語 に 残 さ れ て い る. 定 の 語(bap「
の 」 と な る.
rumauntsch[〓]「
た は,二
テ ン語 の 格 標 識
の 前 に お か れ る所 有 形 容 詞 男 性 単 数 が,主
あ る.
詞 男性
彼 らを」
性 名 詞 主 格 単 数 の ‐sは,ラ
に 強 ま り の あ る 上 昇 的 二 重 母 音 は[〓],
母 音[〓],ヴ
を あ げ る.
良 い 」/buns,il(冠
わ れ わ れ 」,als「
第1要
]で
下,例
テ ン語 の 対 格 複 数 の語 尾
が 残 存 し た も の で あ る.
は)休 む 」
(il)pos[〓]「
名 詞 な ど に 広 く み ら れ る.以
1)複
詞,形
容 詞,
[ 統
語]
‐ast,‐AMOS+NOS>
統 語 法 の 主 な 特 色 を あ げ る と,次
お りで あ る(文 例 は,特 1)動
La
「人 間 」 を 示 す 場 合 に は,
介 在 さ せ る.
figlia ho
の と
に 断 ら な い 限 り ピ ュ テ ー ル 語).
詞 の 直 接 目的 語 が
前 置 詞aを
‐ains
saludo
a Peider
〔a me〕.
「娘 は ペ イ デ ル に 〔私 に 〕挨 拶 を し た 」 (1a:定
「も し 私 は 時 間 が あ れ ば 家 に 行 く の だ が 」
冠 詞 女 性 単 数 形 「そ の 」,figlia:名
単 数形
「娘 」,ho:助
動 詞avairの
人 称 単 数 形,saludo:動
詞saluder「
る 」 の 過 去 分 詞 男 性 単 数 形,a:前 ∼ に 」,Peider:人 的格
詞女性
直 説 法 現 在3 挨 拶 をす 置詞
名 ,me:人
「∼ を,
称 代 名 詞1人
称 目
「私 を 」)
2)代
方 ラ デ ィ ン 語 で は,ス
Els
s'haun
ペ イ ン語 な ど の よ う に,avair
称asの
「彼 ら は 」,
称 複 数 形,
考 え る」 の 過 去 分 詞
男 性 複 数 形) ラ ン ス 語,イ
の よ う に,esser(<ESSE)を
用 い る.ど
帰 代 名 詞 の 性,数
ュ テ ー ル 語 は,未
ま り,ラ
マ ン ス 諸 語 と 同 様,動
あ る」)+AMATUSの
型 は,16世 れ に は,ド
単 数 形,clamo:動
の ロ
詞 の 不 定 形 に 助 動 詞(HABEO)
clamo.「
詞clamer「
法 的意
称
呼 ぶ 」 の過 去 分
vegnel
clamaus.「
(ド イ ツ 語)Ichwerdegerufen.「 6)語
順 の 点 で は,ド
2位 置 に く る .
れ ら は,叙
「私 は 」,
直 説 法 現 在1人
Els
同」
A
詞(相
置 に お か れ る と,動
vendan
frutta
la staziun
同」
イ ツ 語 傍 層 の 影 響 と し て,主
語 と動 詞 の 倒 置 が あ げ ら れ る.副
欲
私 は 呼 ば れ る」
詞 男 性 単 数 形)
の よ う な 迂 言 的 未 来 時 制 の 型 と し て,
来 る 」)+(A+)CANTAREとVOLEO(「
イ ツ 語 のwerden+
称 単数 主格 形
(ス ル シ ル ヴ ァ ン 語)Jeu
テ ン語 の未 来 形 の 活 用 語
あ る が,こ
vegn
動 の 助 動 詞gnirの
通 ロマ ン
で
紀 頃 か ら衰 退 の 一
過 去 分 詞 が 影 響 を 与 え た と さ れ て い る.
補 語 が 文 の 第1位
a la
vendan
当 語 句)や 状 況 詞 は す ぐ後 の 第
staziun.
els
frutta.
「彼 ら は 駅 で 果 物 を 売 っ て い る 」
Eau
chantaro.「
Eau
vegn
Eau
vogl
私 は歌 うだ ろ う」
chanter.「
(els:人
私 は(こ れ か ら)歌 う 」
chanter.「
私 は 歌 う(つ も りだ)」
他 の ロ マ ン シ ュ 語 方 言 で は,VENIO+(A+)CAN TAREの
型 が 一 般 的 で あ る.ス
称 代 名 詞3人
vendan:動
ル シル ヴ ァ ン語 の 例
称 複 数 形,frutta:名
[語
称 複 数 主 格 形
詞vender「
で 」,la:定
を あ げ る, vegnel
a cantar.「
私 は歌 う だ ろ う」
ら に,「 不 確 実 性,意
現 す るCANTARE+*HEGIA(ラ の 接 続 法 現 在 か ら)が,未
図 」 を表
テ ン 語HABEO 来 形 と して 用 い られ る こ と
も 多 い.
「彼 ら は 」,
売 る 」 の 直 説 法 現 在3人 詞
「果 物 」,a:前
置 詞 「∼
冠 詞 女 性 単 数,staziun:名
彙]
ロ マ ン シ ュ 語 は,ラ
く と ど め て い る(以 下 の 例 は,ピ
ピ ュ テ ー ル 語 で は,さ
CODICE「
詞
「駅 」)
テ ン語 の 古 形 を 多
ュ テ ー ル 語).
本 」 >cudesch
ALBU「
白 」 >alf
PLACITU「 そ の 反 面,イ
こ と ば 」 >Pled タ リア 語 お よ び ドイ ツ語 か ら の借 用 語
を 受 け 入 れ て い る.
Eauchantaregia.「
私 は た ぶ ん 歌 うだ ろ う」
件 法 に つ い て は,ロ
る よ う な,助 分 析 的 形 成,た
動 詞HABEOの
マ ンス 諸 語 に 広 くみ られ 未 完 了 形 を 後 に付 け た
と え ば,CANTARE+HABEBAM 続 法 を用
件 文 と帰 結 文 が つ く ら れ る. gess
a
chesa,sch'eau
ド.Wald「
森 」 >vaut,god
ド.Stube「
居 間 」 >stuva
特 に,最 ら さ れ,ゲ
の 型 は 発 達 し て い な い . ラ テ ン 語 と 同 様,接
Eau
通 ロ マ ン ス 語 的 なSUM(「
vegn:受
に 一 致 す る.
愛 され
た 」)の 型 が 一 般 的 で,共
途 を た ど っ て い る.こ
る」
助 動 詞 と して 用 い て 分
ち ら の場 合
味 を 伴 う.
い て,条
「自 由
ど が 消 滅 し た た め,「 来 る,な
称 代 名 詞1人
ど を 失 っ た た め,他
す る 」)+CANTAREが
4)条
,‐ATURな
来 の 意 味 を表 わ す よ う に な った の で あ
か に,こ
容 詞
テ ン語 の 受 動 態 活 用 語 尾 の‐OR,
(eau:人
歌 う 」)+HABEO
尾 で あ る ‐AM,‐ES,‐ETな
Jeu
動 態 は,ラ
タ リア語
来 形 と し て は,共
ス 語 的 形 成 で あ るCANTARE(「
る.ほ
∼ で あ る」 の接
称 単 数 形,liber:形
(ピ ュ テ ー ル 語)Eau
(「持 つ 」)を も つ.つ
も し」 の 縮 約 形,
詞esser「
な 」 の 男 性 単 数 形)
5)受
縮 約 形,haun:
直 説 法 現 在3人 詞impisser「
去 分 詞 は,再
称 単
詞女性単数
続 詞scha「
上,fuss:動
な,暇
「私 は 」,
析 的 に 形 成 さ れ た.VENIO+AMATUS(「 称複 数 主 格 形
他 の ロ マ ン シ ュ語 方 言 で は,フ
VENIO(「
「家 」,sch':接
eau:同
の 意 味 を も つ 動 詞VENIOを
帰 人 称 代 名 詞3人
を 付 け て,未
「∼ に 」,chesa:名
impissos.
impissos:動
3)ピ
置詞
‐ARIS
助 動 詞avairの
も,過
形
称 単 数 主 格 形
行 く」 の 接 続 法 未 完 了1人
とる.
称 代 名 詞3人
s':再
数 形,a:前
ンガ デ ィ ン地
「彼 ら は 考 え た 」 (els:人
称 代 名 詞1人 詞ir「
続 法 未 完 了1人
名 動 詞 の 複 合 時 制 に お い て,エ
(<HABERE)を
(eau:人 gess:動
fuss
近 で は,ド
イ ツ語 か ら技 術 用 語 が 数 多 くも た
ル マ ン語 系 語 彙 の 比 重 を 高 め て い る の で,
こ れ に 対 し,ロ
マ ンシ ュ語 で 新 語 を造 語 す る必 要 に 迫
ら れ て い る. liber.
こ の た め に,ロ
マ ン シ ュ語 で は,方
言 間 の 差 異 を埋
め る よ う な 共 通 語 の 創 造 を 模 索 語 に つ い て は,rumantsch デ ン
し て い る.現
grischun「
・ ロ マ ン シ ュ 語 」 と し て,語
面 で,統
在,文
グ ラ ウ ビ ュ ン
彙,文
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[参 d'Engiadina
bassa
rumantscha
Rumantscha,Chur) 照]
ロ マ ン ス 諸 語,レ
ト ・ ロ マ ン ス 諸 語,
ラ デ ィ ン 語 (富 盛
Rumantscha,Chur)
Ganzoni,G.P.(1977),Grammatica Grammatica
ladina.
sistematica
d'Engiadin'Ota(Lia
dal
dina
sistematica Bassa(Lia
rumantsch
d'Engiadin'otaⅠ,Ⅱ(Stamparia
英Romance
伸 夫)
languages,仏langues
romanes,独romanischen
[概
d'Engia
Rumantscha,Chur)
Velleman,A.(1915‐24),Grammatica
Samedan)
ladina.Gram dal
ン ス 諸 語
Sprachen,伊lingue
neolatine
Rumantscha,Chur)
(1983),Grammatica matica
rumantsch
ロ マ
説]
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッ パ(印
派 で あ る イ タ ロ
・ケ ル
半 島 中 部 ラ テ ィ ウ ム(Latium)地 ladina engiadinaisa,
テ ン 語(Latin)を 総 称.推 現 在,国
起 源 と し て 分 化
定 言 語 人 口 は,5億8千 語
欧)語
族 の 一 分
ト語 派 の 系 統 に 属 し,イ
と し て の 地 位 を もつ
タ リ ア
方 の 言 語 で あ っ た ラ した 言 語 グ ル ー プ の 万 人
と さ れ る.
ロ マ ン ス 諸 語 は,ヨ
ー ロ ッ パ で は ,東 略 号 は ル),地 号 イ),ス
の ル ー マ ニ ア 語(Rumanian,以
下,
中 海 沿 岸 諸 国 の イ タ リ ア 語(Italian,略
ペ イ ン 語(Spanish,略
語(Portuguese,略
号 ス),ポ
号 ポ),そ
し て,か
で あ っ た フ ラ ン ス 語(French,略
ル トガ ル
つ て ガ リア 地 域
号 フ),北
して,各
地 方 の 表 現 力 豊 か な 俗 語 体 の 話 し言 葉 を さ す
よ う に な っ た.た
イ タ リア か
は,そ
と え ば,中
世 フ ラ ンス 語 のromanz
の 俗 語 体 の 話 し 言 葉,つ ま り,当 時 の い わ ゆ る ロ
マ ンス 語 方 言 オ イ ル 語 で 書 か れ た 作 品 を も示 す よ うに な っ た.ま
た,ス
ペ イ ン で は,「 は っ き り と(言 う)」 と
ら ス イ ス 東 部 ア ル プ ス 地 方 の レ ト ・ ロ マ ン ス(諸)語
い う意 味 に も使 わ れ て い る.こ
(Rhaeto‐Romansh,略
は,ス
号 レ),さ
ら に,ア
メ リカ 大 陸
のromanz(主
イ ス の レ ト ・ロ マ ン ス 語 で は,「
格 形)
ロマ ン シュ 語
で は,カ ナ ダ の フ ラ ン ス 語 や 中 南 米 諸 国 の ス ペ イ ン 語,
(romontsch,rumantsch)」
ブ ラ ジ ル の ポ ル トガ ル 語 な ど が あ る.
た,中
世 フ ラ ン ス 語 で,そ の 斜 格(casoblique,す
ち,主
格 以 外 の 対 格,属
ま た,国
語 と し て で は な く地 域 語 と し て の 役 割 を も
つ も の に は,サ ian,略
ル デ ー ニ ャ 語(サ
号 サ),オ
ル ジ ニ ア 語Sardin
ッ ク 語(Occitan
,略
号 オ),フ
プ ロ ヴ ァ ン ス 語(Franco‐Provencal,略 ル シ カ 語(Corsian),カ Catalan,略
号 フ ・プ),コ
タ ル ー ニ ャ 語(カ
号 カ),そ
し て,旧
か ら,形
ラ ン コ・
タ ロニ ア 語
植 民 地 諸 国 に 形 成 され
た ス ペ イ ン 語 系 ・ポ ル トガ ル 語 系 ク リ オ ー ル(creole) や,フ
ラ ン ス 語 系,イ
ロ マ ンス 諸 語 は,歴
て 版 図 を 拡 大 し た . 第1は,ロ
ー マ 時 代 の 紀 元 前240
頃 に か け て の 地 中 海 を と り巻 く
沿 岸 諸 国 の 征 服 の 時 代,第2は,16世 の 発 見 と植 民 地 化 の 時 代 で,南 ア ジ ア に ま で,ロ
紀 か らの 地 理上
北 ア メ リカ,ア
マ ン ス 諸 語 を 広 げ た.ヨ
ロ マ ン ス 語 の もつ,歴 い に し て も,非
の発 展 期 を経
史 的,文
フ リカ,
ー ロ ッパ の
化 的 な優 位 は揺 る がな
ヨ ー ロ ッパ 圏 の ロ マ ン ス 語 系 言 語 の 言
語 人 口 は 前 者 の 約2倍
と な り,そ
の重 要 性 は無 視 で き
な い.
一 方 , 「ラ テ ン 語(LATINUS,‐UM)」
る.ま
界 の 言 語 グ ル ー プ の 中 で,そ
の
共 通 の 起 源 が 比 較 的 に 資 料 的 に 明 証 で き る 点 で は,ま れ な 事 例 を 提 供 し て い る.ル
タ リア 語 や フ ラ ン ス 語 の 起 源 を,芸
術,文
を 受 け継 ぐ
方 の ラ デ ィ ン 語(ladin)と,イ
た,中
(ladino)」
タ リア北
方 の ラ デ ィ ン 語(ladin)が
世 ス ペ イ ン で は,ア
ち に,ス
ペ イ ンか ら追 放 され
た ユ ダ ヤ 人 の 自 称 と も な っ た.イ
タ リア 語 で は,「
用 い る が,「 諸 語(lingue
ロ マ ン ス 諸 語 」 を さ す と き は,「 新 ラ テ ン neolatine)」
[分 布 と 言 語 状 況]
と よ ぶ の が 一 般 的 で あ る. 以 下 に,東
ス 諸 語 を 列 挙 し て,歴
史 的,社
参 照).言
か ら,主
語 構 造 に つ い て の 詳 細 は,
各 言 語 お よび 上 位 の グ ル ー プ ご との 項 目を参 照 され た ル カ ン ・ロ マ ン ス 諸 語,ア
ア 語,メ
・ル ー マ ニ ア 語,イ
コ ・ル ー マ ニ ア 語,ダ
ー マ ニ ア 語;イ
タ リ ア 語,サ
ル デ ー ニ ャ 語(サ ル ジ ニ ア 語);レ
テ ン語 が ロマ ンス 諸 語 を生 ん だ 母 語 と して
認 め ら れ る よ う に な っ て き た.19世 証 的 歴 史 ・比 較 研 究 で は,豊
紀 か ら発展 した 実
富 な 資 料 を 使 っ て,い
ゆ る 歴 史 文 法 の 典 型 的 な 研 究 分 野 と な っ た.今 ロ マ ン ス 言 語 学 者 の 関 心 は,通 語 の 起 源,原
時 的 に は ,ロ
共 時 的 に は,内
マ ンス 諸
ロ マ ン ス 語(祖 語)の 仮 定 と 再 構,諸
へ の 分 裂 の 原 因 とそ の 過 程 ,諸 的 統 一 性,類
言 語 の 形 成 な ど,ま 型 論 的 特 質,分
わ
世紀 の
方言 た,
類 などの
問 題 に 集 中 して い る. [ 名
称]
ROMANICEに
テ ン語 の
由 来 し,「 ロ ー マ 人 風 に(話 す)」
とい
と も とフ ラ ンク民 族 の 言
葉 に 対 す る ロー マ 言 葉 を さ す 言 い 方 で あ っ た が,続 て 中 世 初 期 か ら は,公
マ ン ス 諸 語,ド
ロ ミテ 語,フ
ロ マ ン シ ュ 語;ガ ヴ ァ ン ス 語,フ
ラ ン ス 語,プ
リ シ ア 語,ス
I)東
リ ウ リ語,ラ
ロ ・ロ マ ン ス 諸 語,フ
イ ベ ロ ・ ロ マ ン ス 諸 語,カ 語),ガ
タ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語,イ
, ラ ン コ ・プ ロ
ロ ヴ ァ ン ス 語(オ タ ロ ニ ア 語(カ
ペ イ ン語,ポ
ロ マ ニ ア 言 語 地 域(「
ト ・ロ
デ ィ ン語
ッ ク 語); タル ーニ ャ
ル トガ ル 語).
ロ マ ニ ア 」 と は,ロ
マ ン
ス 言 語 学 の対 象 とな る ロマ ンス 諸 語 の地 域 の うち で,旧
ロ ーマ 帝 国 の 支 配 地域 に ほ ぼ 相 当す る地 理
的 空 間 を 言 う)
「ロ マ ン ス 」と い う名 称 は,ラ
う 意 味 で あ っ た . これ は,も
ス
ル マチ
グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語,モ ル ダ ヴ ィ ア 語(モ ル
れ た が,し に つ れ,ラ
な ロマ ン
会 的 側 面 か ら言 語 状 況
ダ ビ ア 語),ル
判 的 考 証 が厳 密 に な る
ロ
マ ン ス 語 の 」 と い う 形 容 詞 に 対 し て は ,romanzoを
と され て いた ギ リ シアや ヘ ブ ライ に 求 め る試 み が な さ だ い に,文 献 学 的,批
あ
ラ ビア語 使 用 者 に対
ペ イ ン 語 使 用 者 は 「ラ デ ィ ー ノ
と よ ば れ,の
ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語,ダ
明 の発 祥 地
Ro
ト ・ロ マ ン ス 語 の ス イ ス ・エ ン ガ デ ィ ン
す る 区 別 と し て,ス
い(バ
ネ ッ サ ン ス 時 代 に は,イ
イス ・
容 詞romand/
い う地 方 名 の基 と な って い る.
を 概 観 す る(図1も
ロ マ ン ス 諸 語 は,世
紀 に,形
派 生 さ せ,ス イ ス ・ ロ マ ン ド(Suisse
mande)と
部 ド ロ ミテ(Dolomite)地
史 的 に み て ,2度
年 頃 か ら 紀 元 後100年
romandeを
なわ
語 形romant
つ く ら れ ,ス
フ ラ ン ス 語 地 域 で は,16世
(Engadin)地
な ど を 含 め る こ と が で き る.
格 な ど の 格)の
容 詞roman/romaneが
名 称 は,レ
タ リ ア 語 系 の サ ビ ー ル 語(sabir)
と い う名 称 を 生 ん だ.ま
い
式 で文 章 体 で あ るラ テ ン語 に対
1)バ グル ー プ
ル カ ン ・ ロ マ ン ス(Balkan‐Romance)語 東 ロ マ ニ ア の ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で,バ
系 ル
カ ン 半 島 を 中 心 に 分 布 す る も の を バ ル カ ン ・ロ マ ン ス (な い し は,バ ル カ ノ ・ ロ マ ン ス)語 わ め て 離 れ た4つ
と い い,地 理 的 に き
の 言 語 グ ル ー プ に 分 け て 示 さ れ る.
a)イ
ト リ ア(Istria)地 は わ ず か に2千 b)ア
ス ラ ヴ ィ ア国 境 付 近 のバ ナ ー ト語(Banat)の4つ
ス ト ロ ・ル ー マ ニ ア 語(Istro‐Rumanian)
ユ ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア の 西 端,イ
タ リア領 に近 い イ ス
方 の ル ー マ ニ ア 語 方 言 で,話
者
た は,マ
印欧 語 族 の トラ キ ア(Thracia)系
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア,ブ
ル ガ リ ア,ア
ル バ ニ ア に 散 在 す る 言 語 島 で,言
紀 元 後106年 グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語(Megleno‐Rumanian)
ギ リ シ ア の サ ロ ニ カ(Salonika)の
千人
に よ っ て 話 さ れ る. コ ・ル ー マ ニ ア 語(Daco‐Rumanian)バ
語 で,現
Rumanian)を
生 ん だ.言
下 位 区 分 と し て は,4つ す な わ ち,ル
(Aurelianus,在
位270∼275)が
すでにダキアを
ので,直 接 の ロー マ 支 配 は200年 足 らず で あ った.
心地 ブ カ
の交 渉 は途 絶 え,し か も,中 世 初 期6世 紀 頃 か ら 始 ま っ た ス ラ ヴ民 族 か らの 圧 迫 に もか か わ らず, ル ー マ ニ ア が ラ テ ン語 系 の 文 明 圏 に と ど ま って い
方言 をも
るの は 興 味深 い.そ の原 因 につ いて は 論 争 が あ る
紀 に ル ー マ ニア 語 の文 語 を形 成 し
が,主 な 仮説 は2つ で あ る.す なわ ち,ロ ー マ帝
レ ス ト(ブ ク レ シ ュ テ ィ,Bucuresti)の と に,18・19世
万 人.
の 方 言 グ ル ー プ が あ る.
ー マ ニ ア 南 部 で 話 さ れ,中
に は,ア ウ レー リ ア ー ヌ ス 帝
そ の後,東 西 ロー マ 帝 国 の 分 裂 に よ り,ロ ー マ と
romana,英
語 人 口 は,約2千
しか も,271年
保 持 す る望 み を失 い,住 民 を ひ きあ げ させ て い る
っ と も優 勢 な 言
在 の ル ー マ ニ ア 語(Limba
で あ り,比 較 的 遅 くロー マ 化 した と
言 え る.
北 西 で,数
ル カ ン ・ ロ マ ン ス 諸 語 の 中 で,も
ダ キア(Dacia)
植 民 地 化 され,公 式 に ロー マ の属 州 とな っ た の は
語 人 口 は35万
人.
d)ダ
人.
人 が す で に国 家 を築 い てい た . こ こが,ト ラ ー ヤ ー ヌ ス 帝(Trajanus,在 位 紀 元 後98∼117)に よ り
ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語(Macedo‐Rumanian)ギ
c)メ
マ ニ ア共 和国 内 の言 語 人 口は,約1,800万
現 在 の ル ー マ ニ ア の あ る地 域 は,紀 元 以 前 に,
人 ほ ど.
・ル ー マ ニ ア 語(Arumanian),ま
リ シ ア 北 部,ユ
に分 け られ るが,方 言 差 は 小 さい と言 え る. ル ー
た ム ン テ ニ ア 語(Muntenian,別
名,ワ
Wallakian),ル
よ び,ソ
ー マ ニ ア 北 部,お
ラキ ア 語 連邦 の
国 時 代 以 来,民 衆 の ラ テ ン語 が,絶 えず ドナ ウ川 北 部 流 域 で は 用 い られ 続 け た と い う説 と,271年
モ ル ドヴ ァ共 和 国 と ウク ラ イ ナ共 和 国 に また が る
の断 絶 に よ って,い
モ ル ダ ヴ ィ ア 語(モ ル ドヴ ァ 語,Moldova),そ
し
た が,そ の後,ド ナ ウ川 の南 か らス ラ ヴ民 族 に よ
部 ユー ゴ
り追 い や られ た 住 民 が 北 部 に移 住 した とい う説 が
て 西 北 部 の ク リ シ ャ ナ 語(Crisana),西
<図1>ヨ
出 典:ポ
ー ロ ッパ に お け る ロマ ン ス 諸 語 の 分 布
ズ ナ ー(R.Posner,1966)に
よ る.
った ん は ラ テ ン語 は放 棄 され
主 張 さ れ て い る が,後
者 の方 が事 実 に即 して い る
と考 え ら れ て い る.
ドロ ミ
テ ・ラ デ ィ ン 語(ladin,英Ladin),そ
ス ラ ヴ 諸 語 や ギ リ シ ア 語,ブ
ル ガ リア語 な ど に
囲 ま れ た ル ー マ ニ ア 語 諸 方 言 は,バ (Sprachbund)の
ス 語 系 の フ リ ウ リ語(furlan,英Friulan)と
ル カ ン言 語 群
中 の 重 要 な 一 言 語 群 で あ り,ロ
し て,ガ
マ ン ス 語 系 の ガ ロ ・イ タ リア(Gallo‐Italian)諸
ロ ・ロ 方言が
分 布 す る. こ こ で 言 う イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語 系 グ ル ー プ と は,こ の
マ ン ス 語 とバ ル カ ン諸 語 の 混 成 言 語 と し て 注 目 さ
言 語 境 界 線 の 南 に 位 置 す る イ タ リ ア 語 系 の 諸 言 語 で,
れ る.語
そ れ は 一 般 に,中
彙 の み な らず,形
態 ・統 語 面 で も 周 辺 言
央 部 の トス カ ナ(Toscana)地
語 と の 干 渉 関 係 が き わ め て 深 く,そ
の豊富な方言
ィ レ ン ツ ェ 方 言(fiorentino)を
の 変 種 の 存 在 を 考 慮 に 入 れ る と,ル
ーマニア語の
方の フ
と りま く トス カ ナ 地 方
の 諸 方 言 と,中
央 か ら 南 部 に わ た る 方 言 群 に2分
され
ロ マ ンス 語 性 に つ い て は 議 論 の 多 い と こ ろ で あ
る.後
者 は,さ
ら に,3つ
なわ
る.ま
ち,マ
ル ケ(Marche),ウ
た,現
か ら,意
代 の ル ー マ ニ ア 語 は,近
識 的,人
為 的 に,イ
代 に 入 って
タ リア 語,フ
ラ ンス
語 な どか ら借用 を重 ね て つ く り あ げ た 言 語 で あ り,諸
方 言 にみ られ る民 衆 の 話 し言 葉 とは か な り
の 隔 た り が み ら れ る. 2)イ ル ー プ
ダ ル マ チ ア 語(Dalmatian)を
チ ア 語 は,現 る,ア
系グ
さ す.ダ
ル マ
在 のユ ー ゴス ラ ヴ ィ ア の 北西 部 に相 当す
ド リ ア 海 沿 岸 地 方 の イ ス ト リ ア(Istria)地
ダ ル マ チ ア(Dalmatia)地 語 で,系
統 的 に は,先
方 に 話 され て い た ロマ ン ス 住 民 族 の イ リ ュ リ ア(Illyria)人
の 言 語 特 徴 を 保 っ て い た と さ れ る た め,こ 名 が あ る.構
方 と
カ ン パ ニ ア(Campania),ル
造 的 に は,ル
ー マ ニ ア 語 とイ タ リア 語 と
の 中 間 的 特 徴 を 示 す こ と か ら,東
ロ マ ニ ア の 中 で,バ
ーマ
カ ニ ア(Lucania)な
代 表 さ れ る地 方 の 南 部 方 言,そ チ リア(Sicilia)島
コ ル シ カ(Corsica)島
し て,カ
どに
ラ ブ リ ア(Cala
の 最 南 端 の 方 言 群 で あ る.
の 言 語 コ ル シ カ 語(corso)は,主
に トス カ ナ 語 の 強 い 影 響 を 受 け て 発 達 し た の で,ト
ス
カ ナ 諸 方言 の ひ とつ に数 え る こ と もで き る. 一 般 に ,イ
タ リア で は,標
は 別 格 と し て,各 り な が ら,非
の グル ー プ
ン ブ リ ア(Umbria),ロ
な ど の 中 部 地 方 の 方 言 群 と,ア ブ ル ッ ツ ォ(Abruzzo),
bria),シ
リ ュ ロ ・ロ マ ン ス(Illyro‐Romance)語
に 下 位 区 分 さ れ る.す
準 語 と して の イ タ リア 語
地 方 の 諸 言 語 は 方 言 とい う地 位 に あ
常 に よ く保 存 さ れ 活 力 を も っ て い る.方
言 ご との 文 章 語 も,書 で 発 達 し て き た.標
記 法 の 模 索 を 経 て,多
くの 地 方
準 文 章 語 の 制 定 を め ぐ る,い
る 「言 語 問 題(questione
della
lingua)」
わゆ
は,数
世紀
ル カ ン ・ロ マ ン ス 語 系 に 含 め る か,イ
タ ロ ・ロマ ンス
に わ た り論 議 の 的 と な っ て き た が,諸
語 系 に 含 め る か で 論 議 さ れ て き た.こ
の 地 域 は,中
世
と き わ 有 力 と な っ た の は,中 世 か ら,ダ ン テ(A.Dante,
国 に 属 し て い た が,そ
の
か ら ク ロ ア チ ア(Croatia)王
後,独 立 し た 国 家 と し て 成 立 し な か っ た.そ ダ ル マ チ ア 語 は,常
の た め に,
に 地 方 語 の 立 場 に お か れ て お り,
活 発 な 商 業 上 の 交 易 や 植 民 の た め に,イ ヴ ェネ ト語(veneto,英Venetian)の
タ リア の方 言 影響 を受 けて 形
成 さ れ た . ま と ま っ た テ キ ス トの 初 出 文 献 は15世 に あ り,当
時 の 話 者 は,5万
紀
人 程 度 で あ っ た と推 測 さ
れ る. 主 な 方 言 は,ア
ド リ ア 海 沿 岸 の ラ グ ー サ(Ragusa,
ゥ ブ ロ ヴ ニ クDubrovnik)方
(Krk)島(イ
タ リ ア 語 名,ヴ
言 と,ク
ェ ッ リ アVeglia)の
で あ る ヴ ェ ッ リオ ー ト語(veglioto)で,前
方言
者 は15世
後 の 話 者 が1898年
言 語 は 死 語 と な っ て い る.か
プ
し,国
役,マ
Spezia)と
分 さ れ る.こ
っ て,標 準 イ タ リ ア 語 が 話 し 言 葉 に ま で 浸 透 し た の は, 紀 に 入 っ て か ら の こ と で あ り,現
か ら,イ
タ リア 中 部 の ロ ー マ 方 言 の 言 語 特 徴 が,マ ス ・
る. こ の よ う な 状 況 を 考 慮 に 入 れ る と,現
た,ス
イ ス で は,南
系 グル ー
述 の東 西 の ロ マニ ア ・ス ペ ッ ツ ィ ア 結 ぶ 線 で,大
半 数
準 イ タ リ ア 語 以 外 の 地 方 語 を 自分
タ リア 国 内 で 約6千
ェ ネ ト語,レ
代 で も,約
の 母 語 と し て 考 え て い る . ま た,政 治 的,経 済 的 な 背 景
は,イ
リ ミニ(Rimini)を
か
ス ・メ デ ィ ア な ど の 影 響 に よ
つ て の ダ ル マ チ ア語 圏 で
な わ ち,ラ
の 線 の 北 は,ヴ
語 教 育,兵
よ び,イ
イ タ リ ア 半 島 の 言 語 は,後
を 分 け る 言 語 境 界 線,す (La
央 集 権 化 が 進 ん だ こ と に よ る.し
語,お
タ ロ ・ロ マ ン ス(Italo‐Romance)語
の国
家 統 一 を 機 に,中
の
在 ヴ ェ ネ ト語 と ク ロ ア チ ア 語 が 話 され て い る.
3)イ
れがイ タ リ
ア の 標 準 語 と し て の 地 位 を 獲 得 し た の は,1861年
メ デ ィ ア を通 して 全 国 に広 が っ て い る とい う観 察 もあ
の 資 料 の提 供 者 で あ っ た 最
に 地 雷 の た め に 爆 死 し て 以 来,こ
ィレンツェを
中 心 と す る トス カ ナ 地 方 の 言 語 で あ る.こ
の イ タ リ ア 人 が,標 ル ク
紀 の 記 録 が 残 る の み で あ る が,後 者 の 記 述 的 研 究 は19 世 紀 末 に な さ れ て い る.そ
は じ め とす る 多 く の 文 学 者 た ち の 手 に
よ っ て 文 章 語 と し て 完 成 さ れ て き た,フ
20世
現 在 は,ド
は,現
1265∼1321)を
方 言 の うちで ひ
き く2
ト ・ロマ ン
ノ(Ticino)州
語 は,ガ
(lombardo)で コ ル シ カ 島,マ
万 人 で あ る と み ら れ る.ま
部 の イ タ リア 語 圏 で あ る テ ィ チ ー
を 主 な 地 域 と し て,ス
パ ー セ ン ト(66万 し,母
在 の イ タ リア
タ ロ ・ロマ ンス語 系 諸方 言 の言 語 人 口
人)が
イ ス 全 人 口 の 約10
イ タ リア語 話 者で あ る. た だ
ロ ・イ タ リ ア 語 系 ロ ンバ ル デ ィ ア 方 言 あ る . そ の ほ か,ユ ル タ(Malta)島
ー ゴ ス ラ ヴ ィ ア,
に も,イ
タ リア語 使用
者 が存 在 す る.17世 は,イ タ リア 語,フ
紀 頃 を 中心 に,地 中海 沿 岸 都 市 で
Ⅱ)西
ラ ンス 語,ス ペ イ ン語 にア ラ ビア
5)レ
ロマ ニ ア言 語 地 域 ト ・ロマ ン ス語 系 グ ル ー プ
レ ト ・ロ マ ン
語 の 交 じ った 混 成 語 の サ ビー ル語 が用 い られ た.海 外
ス 諸 語 は,西
へ の 移 住 者 で,イ
リア 北 部 に ま たが る地 域 で 話 され る3つ の言 語 群 の総
タ リア 語 を保 存 す る 人 々 の数 は きわ
ロマ ニ ア言 語 地域 に属 し,ス イ ス とイ タ
め て 多 く,ア メ リカ 合 衆 国 には概 数 で400万 人,ア ル
称 で あ るが,共 通 語 な い し標 準 語 は もっ て い な い.言
ゼ ンチ ン に は150万 人,ブ
語 的 特 徴 と し て は,歴 史 的 には,ア ル プス 基 層 言 語(リ
ラ リア に は それ ぞれ50万 4)サ
ラ ジル,カ ナ ダ,オ ー ス ト
sardo,英Sardinian)
グ リア 語 系 と比定 さ れ て い る)と ケ ル ト語基 層,中
人 を数 え る.
ル デ ー ニ ャ 語(サ
ル ジ ニ ア 語sardu,イ
イ タ リア 半 島 の 西 方,コ ル
か ら の ゲル マ ン語 上 層,さ
世
らに,現 在 で も,周 辺 言 語,
特 にゲ ル マ ン傍層 か らの干 渉 が,他 の ロマ ンス 諸 語 よ
シカ 島 の南 の地 中海 に あ るサル ジニ ア 島 で,約100万
り強 くみ られ る,そ
して,山 間 部 とい う地 理 的 な 閉 鎖
人 に よ って 話 され て い るサ ル デ ーニ ャ語 は,ロ マ ンス
性 を反 映 して,音 声 的 に は特 殊 な 進 化 の 方 向 を と る一
諸 語 の 中 で も っ と も保 守 的 な言 語 特 徴 を示 し,特 に,
方 で,語 彙 面 で は他 で は 失 われ た ラテ ン語 の 単 語 を残
音 声 的 に は 他 の ロマ ンス 語 にみ られ な い際 立 った 独 自
して お り,そ の保 守 性 が あ げ られ る.こ れ らの3つ の
の 音 韻 体 系 を も って い る(後 述).こ
言 語 群 の通 時 的特 徴 か らみ る と,大 半 の 方 言 は,ガ ロ ・
の ため,サ ル デ ー
ニ ャ語 を,他 の ロマ ンス 諸語 と別 に,ひ とつ の 言 語 グ
ロ マ ンス 系言 語 の進 化 の 方 向 をた ど って い るた め,レ
ル ー プ と して 独 立 させ る立 場 を とる研 究者 が 多 い.
ト ・ロマ ンス 語 と して 独 立 させ ず に,ガ ロ ・ロ マ ンス
サ ル デ ー ニ ャ語 は,5つ
語 に含 め る立 場 が あ る.ま た,フ
の 方言 に下 位 区分 され るが,
リウ リ語 に は,系 統
そ の どれ も が,他 を圧 す る勢 力 は も って お らず,標 準
的 に も類 型 論 的 に も独 自な 位 置 を与 え るべ きだ とす る
的 な文 章 語 も な い.言 語 史 的 に,き わ め て保 守 的 な特
意 見 が 強 い.こ れ ら を一 つ の言 語 グル ー プ と し て ま と
徴 を示 す の は,中 央 部 と東 部 の ヌ オ ロ(Nuoro)市
を中
め られ るか ど うか,ま た,そ れ に独 自 な地 位 を与 え る
型 的なサル
べ きか ど うか につ いて は,議 論 が 続 い て い る.言 語 人
心 とす る ヌ オ ロ方 言(イnuorese)で,典
デ ー ニ ャ語 と言 え る.こ れ に接 す る北 西 部 の 方 言 は,
口 は,合
ロ グ ドー ロ方 言(イlogudorese)で,比
地 域 で,統 一 書 記 法 の制 定,文 学 作 品 の 出版,文 化 活
較 的 ヌ オ ロ方
言 に近 く,古 い サ ル デ ー ニ ャ語 の形 を と どめ て い る. この た め,こ れ らの2つ を1つ の方 言 にま とめ る立 場
計 で70万
人 に満 た な い と推 定 され る が,各
動 の再 興 が 活 発 に試 み られ て い る. イ タ リア 北 東 部 の フ リウ リ(Friuli)平 野 で,約50万
もあ る.島 の南 部 の大 部 分 は,州 都 カ リア リ(Cagliari)
人 に よ って 話 され る フ リウ リ語 は,隣 接 す る ヴ ェ ネ ト
の あ る カ ン ピダ ー ノ(Campidano)平
野 を中 心 に,カ
語 か らの 影 響 を強 く受 け てい る.フ リウ リ語 の 話 者 の
ン ピダ ー ノ 方 言(イcampidanese)が
話 され る.そ し
大 部 分 は,ヴ
て,島 の 北 端 部 は,西 に サ ッサ リ(Sassari)市 サ ッサ リ方 言(イsassarese),東
のある
の ガ ッル ー ラ(Gal
lura)地 方 に はガ ッル ー ラ方 言(イgallura)が
ェネ ト語 とイ タ リア 語 との二 言 語 な い し
三 言 語 併 用 者 で あ る.さ らに,北 部 で は ドイ ツ 語,東 部 で は ス ロ ヴ ェニ ア 語(Slovenian)か
らの傍 層 的 影 響
あ るが,
を こ うむ っ て い る.音 韻 論 的 特徴 と して,強 勢 母 音 の
この2方 言 は,ト ス カ ナ 地 方 の イ タ リア語 か ら の影 響
強 位 置/弱 位 置 に対 応 して,語 末 母音 の 長/短 の 対 立
を強 く受 けて い る.
が あ るが,他
サ ル デ ー ニ ャ島 は,ロ ー マ 時 代 か ら中世 末 期 に い た
で あ る.
る まで,比 較 的,他
の ロマ ニ ア 地域 と隔離 され た歴 史
を た ど って お り,サ ル デ ー ニ ャ語 も,地 域 の通 用 語 と
の レ ト ・ロ マ ンス 語 に は み られ な い もの
イ タ リア 北 部 の ドロ ミテ(Dolomite)山 され る ドロ ミテ ・ラデ ィ ン語(ladin,単
塊地 方で話 に ドロ ミテ 語
して の地 位 を保 って き た.そ の 地 理 的,歴 史 的 条 件 の
と も)は,谷
下 で,言 語 的 特 徴 と して は,音 声 組 織 や 語 彙 にお いて,
れ ぞ れ の 歴 史 的,文 化 的 背 景 が異 な る ため に,言 語 的 に
保 守 性 と進 化 の特 異 性 が あ げ られ る.と
も大 きな 多 様 性 を示 す.北 に 開 い た谷 で は,長 ら く ド
ころ が,14世
ご とに5つ の方 言 に下 位 区分 され る が,そ
紀 頃 か ら は,カ タル ー ニ ャ語,ス ペ イ ン語,コ ル シカ
イ ツ語 圏 に併 合 され て い たた め,ド イ ツ語 の影 響 が 強
語 な ど の異 質 な要 素 が,次 々 とサ ル デ ー ニ ャ語 に 影 響
くみ られ る.ま た,南 西 に広 が る谷 で は,ヴ
を与 え,方 言 差 を拡 大 させ て きた.ま た,こ れ らの外
とイ タ リア語 の支 配 下 に あ る.住 民 は,ド イ ツ 語,イ
来 の言 語 を母 語 とす る 入植 者 が 多 く住 ん だ,サ ル デ ー
タ リア語 な ど との 多言 語 併用 者 で あ り,正 確 な 言 語 人
ニ ャ島 の 北部 と西 部 の沿 岸 地 方 は,非 サ ル デ ー ニ ャ語
口 は 求 め に くい が,現 地 資料 に基 づ くと,多 め に み て,
地 域 と して残 って お り,こ の島 の 言 語 事 情 を複 雑 に し
約7万 人 で あ る.
て い る. 現 在 は,イ
タ リア 共和 国 の一 州 と して 併 合 さ
ェネ ト語
ス イ ス 国 内 で は,レ ト・ロマ ンス 語 は,ロ マ ン シ ュ語
れて お り,公 的 な 場 で のイ タ リア 語 使用 が,サ ル デ ー
(rumantschま
ニ ャ語 の言 語 文 化 的 活 力 を奪 いつ つ あ る.
よ ば れ,1996年
た はromontsch,英Romansh)と 以 来,ド イ ツ語,フ
ラ ンス語,イ
タリ
ア 語 に 加 え て,4つ
目 の 公 用 語 と な っ て お り,そ の 地 位
は 保 証 さ れ て い る.し
か し,特
ュ ・コ ン テ(Franche‐Comte)地
に,ド
イ ツ語 傍層 か ら
西 の ジ ュ ラ(Jura)州
の 圧 倒 的 な 影 響 を こ う む っ て お り,ゲ
ル マ ン語 的 な 要
語 の 方 言 地 域 で あ る.オ
素 を 多 く受 け 入 れ る ば か り で は な く,ロ
マ ン シュ語 自
体 の 存 続 が 危 ぶ ま れ て い る.下 位 区 分 は4方
言 が あ り,
そ の う ち の ひ と つ,エ
ン ガ デ ィ ン(Engadin)渓
の ロ マ ン シ ュ 語 は,ラ
デ ィ ン 語(ladin)と
ミ テ ・ラ デ ィ ン語(ladin)と は,約5万
谷地 方
よ ば れ,ド
同 じ名 称 を も つ.言
系 グル ー
ガ ロ ・ ロ マ ン ス と い う 名 称 は,印
系 ガ リア(Gallia)人
欧語族ケル ト
の 名 に 由 来 す る が,そ
の言 語 領 域
ー マ 史 で 言 う 「ガ リ ア 地 方 」 と は 完 全 に は 一 致
ら に,ス イ ス 北
ッ ク 語 は,リ
(Grenoble)市
イル
ヨン 市 の 西 方
西 に 向 け て 境 界 線 か ら分 か れ,グ
ル ノ ー ブ ル
の 南 を通 って 南 ア ル プス 山脈 に 至 る線
の 南 で 話 さ れ る.そ
の 分 岐 点で あ る リヨ ン と グル ノー
ブ ル と 北 の ス イ ス ・ジ ュ ラ 州 と で 形 づ く る 三 角 地 帯 が, フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 地 域 で あ る.さ プ ス を 東 に 越 え て,イ
ロ ・ ロ マ ン ス(Gallo‐Romance)語
は,ロ
語人 口
人.
6)ガ プ
ロ
で,南
方,さ
に 至 る . こ の 線 の 北 側 が,オ
谷 地 方 で も,フ
ら に,ア ル
タ リ ア 国 内 の ア オ ス タ(Aosta)
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 が,約10万
人 に よ っ て 話 さ れ て い る. オ イ ル 語 の 下 位 方 言 区 分 は,以 第1の
グ ル ー プ は,北
し な い.ロ
マ ン ス 言 語 学 に お け る ガ ロ ・ロ マ ン ス(諸)
デ ィ ー(Haute‐Normandie)方
語 と は,こ
の 民 族 が か つ て通 過 な い しは定 住 して い た
(Picardie)方
言,ロ
下 の と お り で あ る.
か ら 東 に か け て,北 言,ピ
部 ノルマ ン カ ル デ ィ ー
レ ー ヌ(Lorraine)方
言,そ
し て,
と さ れ る 地 域 で 共 通 し て 認 め ら れ る 言 語 特 徴 を も つ,
フ ラ ンス北 東 端 か らベ ル ギ ー領 内 に か け ての ワ ロニ ー
い くつ か の ロ マ ン ス 語 系 言 語 群 に 対 す る 系 統 的 名 称 で
(Wallonie)方
あ る.広
め た 方 言 群 で,ガ
義 の ガ ロ ・ ロ マ ンス 語 を 定 義 す る 言 語 特 徴 と
し て は,た
と え ば,ラ
円 唇 のu[y]に れ は,ケ
テ ン語 強 勢 母 音 のUが,前
舌
変 化 す る と い っ た 現 象 が あ げ ら れ,そ
の
「ケ ル ト的 」 特 徴 は,北
ロ マ ン ス 語 圏 の ベ ル ギ ー,ア
ス 語 圏 の ス イ ス ・ロ マ ン ド地 方,レ 域 の ス イ ス と イ タ リア 山 岳 部,北 タ リア 系 方 言 地 域,そ
フ ラ ン ス,
ル ザ ス(Alsace)
,フ
ラ ン
ト ・ ロ マ ンス 語 地 イ タ リ ア の ガ ロ ・イ
し て,カ
タル ー ニ ャ語 圏 を除 く
南 フ ラ ン ス 全 域 に 認 め ら れ る.し
ロ ン 語wallonと
も い う)を ま と
リ ア 民 族 の 言 語 基 層 に 加 え て,ゲ
南 東 の ブ ル ゴ ー ニ ュ 地 方,フ
グ ル ー プ は,そ
ラ ン シ ュ ・コ ン テ 地 方 の
第3の
グ ル ー プ は,フ
と め て,南 言,ブ
ラ ンス の 北 西 か ら 西 の 一 帯 を ま
部 ノ ル マ ン デ ィ ー(Basse‐Normandie)方
ル タ ー ニ ュ(Bretagne)方
言(た だ し,ケ
系 の ブ ル ト ン語 地 域 は 含 め な い),ア
ロ ・ロマ ン
方 言 な ど の 西 部 方 言 的 特 徴 を も つ 言 語 群 で,旧
位 分 類 につ
ー ニ ュ 地 方 の 地 名 を と って
,ア
ル ト語
ン ジ ュ ー(Anjou)
か し,ガ
ブルタ
ル モ リ ッ ク 語(armo
い て は 問 題 が 多 い.
ricain)グ
ル ー プ と よ ば れ る こ と が あ る.第4の
一 般には
ー プ は ,そ
の 南 西 に 位 置 す る ポ ワ チ エ(Poitiers)方
,主
な 方 言 グ ル ー プ と し て,現
言,そ
して,東
方 言,南
方
部 の フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言
(franco‐provencal),イ
タ リア国 内 北 部 とス イ ス南 部
の ガ ロ ・イ タ リ ア 諸 方 言 が あ げ ら れ る.さ の よ う に,レ
在の フラン
部 の オ ッ ク(oc)諸
ら に,上
記
ト ・ ロマ ン ス 諸 語 の 一 部 を 含 め る こ と が
で,南
え る.第5の
方 言,そ
し て,パ
de‐France)地
言 っ た こ と に 由 来 す る も の で,ま
ン ス の 方 言 名 は,同 d'oc,ま 述).両
た は,オ
様 な 理 由 で,「
た,南
フラ
オ ッ ク 語(langue
ク シ タ ンoccitan)」
者 の 方 言 区 画 は,フ ラ ン ス を 南 北 に ほ ぼ2分
る と 言 っ て よ い.そ
市 の 西 で ガ ス コ ー ニ ュ(Gascogne)湾 (Garonne)川 central)の
の 河 口 を 境 に し て,中 北 端 を 東 に 迂 回 し,リ
近 ま で 引 か れ る.そ
す
こ か ら,北
ル ゴ ー ニ ュ(Bourgogne)地
に 注 ぐガ ロ ン ヌ 央 山 塊(le Massif ヨ ン(Lyon)市
の付
東 に 方 向 を 変 え て,ブ
方 の 南 を 抜 け,フ
ランシ
の 中 央 方 言,特
ラ ンス 語 の母 体 とな った 方 言
で あ る. 音 声 的 特 徴 と し て は,ま
な ど),子 ま た,い Oの
の 境 界 線 は,ボ ル ドー(Bordeaux)
ラ ン シ ア ン 語fran
ま と め ら れ る . 歴 史 的 に は,こ
す な わ ち,母
と よ ば れ る(後
ル レア ン(Orlean)
リ を と り ま くイ ル ・ド・フ ラ ン ス(Ile
に フ ラ ン シ ア ン 語 が,フ
がoilと
言,オ
方 の 方 言(通 称,フ
北 フ ラ ン ス とベ ル ギ ー の ロ マ ン ス 語 系 言 語 の 総 称 定 の 間 投 詞(「 は い 」)
言
グ ル ー プ は,フ ラ ン ス の 中 央 方 言 で,シ ャ
ンパ ー ニ ュ(Champagne)方
cien)が
d'oil)」 は,肯
グル
フ ラ ン ス の オ ッ ク 語 の 特 徴 を もつ 中 間 地 域 と 言
あ る.
「オ イ ル 語(langue
の
方 言 で,ゲ ル マ ン 民 族 ブ ル グ ン ド人 の 言 語 特 徴 を も つ.
ス 語 を 定 義 す る 基 準 の と り 方 に よ っ て,下
ス 北 部 の オ イ ル(oil)諸
ル
マ ン民 族 の フ ラ ン ク人 とノ ル マ ン民族 に よ る言 語 上 層 の 影 響 が 著 し い 地 域 で あ る.第2の
ル ト人 の も っ て い た 母 音 体 系 か ら の 干 渉 に よ
る と さ れ る.こ
言(ワ
ず,口
蓋 化 が あ げ ら れ る.
音 の 前 舌 的 発 音 の 傾 向(U>u,A>e,
音 の 口 蓋 化(KA>t∫a,の
ち に > ∫a)な ど.
わ ゆ る ガ ロ ・ ロ マ ン ス 的 な 強 勢 狭 口 母 音E,
二 重 母 音 化(TELA>teile>toile>[twal]),
母 音 間 の 無 声 子 音 の 脱 落(CATENA>chaine[〓]), 鼻 母 音 化(VINU>vin[〓])な
ど,特
殊 な進 化 の方 向
を 示 して い る.語 彙 面 で は,ゲ ル マ ン 語 的 要 素 を 濃 く も っ て お り,ロ
マ ンス 諸 語 に共 通 の 語 彙 の比 率 は比 較 的
小 さ い . 総 合 的 に み て,ロ
マ ンス 諸 語 の 中で も っ と も
通 時 的 変 化 を こ う む っ た 言 語 で あ る と 言 え る.
ア フ リカ で は,セ ネ ガル,ザ イ ー ル,マ ダ ガ ス カ ル
イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス 方 言 は,中 世 の 文 学 語 と し て は, 南 の オ ッ ク語,あ
る い は,シ
ャ ンパ ー ニ ュ方 言 や ピカ
な ど,16の 独 立 国 家 が,フ
ラ ンス 語 を国 語 とす る. ま
た,北 ア フ リカ 沿 岸 諸 国 の ア ラ ブ系 の アル ジ ェ リア,
ル デ ィ ー 方 言 に 比 べ て 重 要 な 存 在 で は な か っ た が,中
モ ロ ッコ,チ ュ ニ ジ ア で は,ア ラ ビ ア語 化 が 進 み,母
世 後 期 か ら,パ リ に 政 治 的,経 済 的 中 央 集 権 化 が 進 ん だ
語 と して 話 す人 は減 少 の一 途 を た ど って い る.
た め に,他 に,フ
「ヴ ィ レル ・コ ッ ト レ の 勅 令(Ordonnance Cotteret)」 て,こ
を 公 布 し て,フ
Ier)が,
語 は,特 に,民 族 上 層 で あ る ブル グ ン ド民 族 の 言 語 特
Villers
徴 の 影響 を 受 け,北 ガ ロ ・ロ マ ンス 語 か ら,8世
de
ラ ンス 唯 一 の 公 用 語 とし
の イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス 地 方 の(つ
語,フ
ガ ロ ・ロ マ ンス 語 の 中 で,フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス
の 方 言 を 圧 す る 勢 力 を も ち 始 め た.1539年
ラ ンス 国 王 フ ラ ン ソ ワ1世(Francois
ラ ン シ ア ン語 を 指 定 し,そ
ま りパ リの)言
ス の オ ッ ク語 との 中 間 段 階 の特 徴 を 示 す方 言 で,原
文書 に れ が,
る. た とえ ば,子 音体 系 の進 化 は オ イ ル語 に近 く(た
じ た.こ
国 家 の 言 語 す な わ ち国 語 と して の フ ラ ンス 語 の 成 立 で
とえ ば,口 蓋化),母
あ る.以
音節 と語 末 のAの
来,フ
ラ ン ス 語 は,標
の 力 を 背 景 に,国
準 語 と し て,絶
対王政
セ ー ズ(Academie
れ と同 時 に,ア francaise)の
その
人 た ち の 手 に よ っ て,人
為 的,意
章 語 の 表 現 手 段 と して の
近 代 フ ラ ン ス 語 を成 熟 さ せ て い っ た.フ の ロ マ ン ス 諸 語 に 与 え た,そ
フ ・プ[〓],cf.フ[〓],オ
また,二 重 母 音 化 や 母 音 間 子 音 の 弱 ま りは,フ ラ ンス 語 の そ れ に ほ ぼ 一 致 す る.
頂 点 を み る言 語 的 洗 練 が,文 識 的 に 行 な わ れ,文
音 の特 徴 は オッ ク語 に近 い(強 勢
cantar
カ デ ミー ・フ ラ ン 設 置(1635年)に
段階 に近 い と考 え られ
保 存).
ラCANTARE>
内の み な らず 国 外 にお い て も勢 力 を
拡 大 し て い っ た.そ
フ
ラ ンス語(Proto‐francais)の
の 一 方 で,公
お け る ラテ ン語 や他 の方 言 の 使 用 を
紀か
9世 紀 に 分 化 した.北 フ ラ ンス の オ イ ル語 と南 フ ラ ン
ラ ンス 語 が 他
の 文 化 的 影 響 力 は特 筆す
べ き で あ ろ う.
この 方 言 は,現 代 で は,方 言 とい う よ り俚言(パ ワ,patois)の
ト
状 態 に あ る.現 代 の 話 者 は,主 に農 村 地
帯 の 高 齢 者 で,フ
ラ ンス 語 との 二 言 語 併用 者 で あ る た
め に把 握 し に くい が,十 数 万 人 程 度 で あ ろ う.方 言 地
フ ラ ン ス 国 外 で の 発 展 と し て は,中
世 の イギ リスで
域 につ い て は,上 記 を参 照 され た い.
用 い ら れ て い た ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン 語(anglo‐nor mand,英Norman 1066年
French)が,そ
に,ノ
ル マ ン デ ィ ー 公 ギ ヨ ー ム(Guillaume
le
イ ギ リ ス を 征 服 して か ら,約3世
紀 の
Conquerant)が 間,上
の 第 一 で あ る.
層 階 級 に よ っ て,ノ
<図2>ガ
共 通 ガロ・ロマンス語
ル マ ンデ ィ ー方 言 の特 徴 を
もつ フ ラ ン ス 語 が 行 政 や 文 学 作 品 に 用 い ら れ,英
ロ ・ロマ ンス 語 の 系 統 概 略
北 部 ガロ・ロマンス語 語に
南 部 ガロ・ロマンス語
多 くの 影 響 を も た ら し た. 標 準 語 と し て の 言 語 人 口 は,二
言 語 併 用 者 を 含 め,
フ ラ ン ス 国 内 で 約5,100万
ル ギ ー で400万
ス イ ス で100万
人,ベ
人,ド ー バ ー(Dover)海
ノ ル マ ン 諸 島(イ ギ リス 領)で10万 の イ タ リ ア ・ア ル プ ス 地 方 で10万 民 地 で は,カ
峡 の ア ング ロ・
人,ア
ナ ダ の フ ラ ン ス 語 圏 で600万
ケ ベ ッ ク(Quebec)地
オ ス タ谷 な ど
人 で あ る.旧
方 で は,1867年
海外植
人 が 話 す.
以 来,英
オイル諸 方 言
語 とと
7)オ
ク シ タ ノ ・ロ マ ン ス(Occitano‐Romance)語
系 グ ル ー プ
ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 の2大
る よ う に,広
ク シ タ ノ ・ ロ マ ン ス 語 の 下 位 区 分 は3つ プ で,北
ン ス 語 話 者 で あ る.ア
メ リカ で は,カ
ナダのアカデ ィ
ー ヴ ェ ル ニ ュAuvergne方
ア(Acadia)か
部 オ ッ ク 語(リ
紀 に追 わ れ て 来 た 移 民 の 子 孫 で
provencales方
言)と,中
部 オ ッ ク 語(ラ
(Cajuns)と
イ ン ド諸 島 の ハ イ チ
大 西 洋 側 の ガ ス コ ー ニ ュ(Gascogne)地
人 ほ どが 話 者 に数 え
ニ ュ語(gascon)で
ら れ る が,大 て い る.イ
部 分 は フ ラ ン ス 語 系 の ク リオ ー ル を 用 い ン ド洋 の モ ー リス(Maurice),セ
(Seychelles),レ 150万
ユ ニ オ ン(Reunion)な
ー シ ェル ど の 島 で は,
人 が フ ラ ンス 語 な い しは ク リオ ール を通 用 語 と
して 用 い て い る.
言,プ
て,す
ング ドッ ク
ロ ヴ ァ ン スProvence方
言)と,
方 の ガ ス コー
あ る.
通 時 的 特 徴 を あ げ る と,オ 音 に 関 し て は,語
言,オ
言,南 ア ル プ ス 地 方Alpes
人 お り,ケ
よ ば れ る . ほ か に,西
Languedoc方
の言語グルー
モ ー ジ ュLimoges方
フ ラ ン ス 語 を 保 つ 人 々 が 約100万
で は 公 用 語 と な っ て い て,500万
示 され
義 の ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 に 含 め ら れ る . オ
ー セ ン トが フ ラ
イ ジュン
方 言 を区 分 す
る 境 界 線 の 南 は オ ッ ク 語 の 言 語 領 域 で,図2で
も に 公 用 語 と な って お り,住 民 の80パ
ら18世
オック語
フランコ・プロヴァンス語
人,
イ ル 語 と は 対 照 的 に,母
末 の 無 強 勢 母 音 は,‐Aを
べ て 消 失 す る こ と,共
化 が 起 き な い こ と,ラ
例外 とし
通 ロ マ ンス語 的 二 重 母 音
テ ン語 の 二重 母 音
化 せ ず に 保 存 さ れ る こ と で あ る.子
‐AUが
単音
音 で は,北 の ガ ロ ・
ロマ ンス語 に 起 こっ た,‐CA,‐GAの
口蓋 化 現 象 が起
の 干 渉 で あ る と さ れ,ス
ペ イ ン の ア ラ ゴ ン(Aragon)
きて い な い こ とな どが注 目 され る.
方 言 も 同 じ傾 向 を もつ.こ
オ ッ ク語 の 歴 史 は,12世
方 言 や サ ル デ ー ニ ャ語 や カ タ ル ー ニ ャ語 と も共 通 す る
紀 の 吟 遊 詩 人(ト ゥルバ ド
ゥー ル)た ちの 手 で形 成 され た,リ モ ー ジュ方 言 を基
の ほ か に も,南
特 徴 を い くつ か 有 す る た め,広
義 の オ ック語 グル ー プ
盤 とす る文 学 的 コイ ネ ー に始 ま る.こ の技 巧的 な文 章
に 含 ま れ る も の の,中
語 が,宮 廷 の抒 情 詩 人 た ち に よっ て,南
の オ ッ ク 語 と は 一 線 を 画 され て き た.現
で 用 い られ る よ うに な り,わ ず か50年
フ ラ ンス全 域 ほ どの 間 に,オ
ッ ク語 は そ の絶 頂期 を迎 え る.13世 紀 に 入 る と,宗 教
言 語 学 で も,ベッ
上 の 異 端 を征 伐 す る名 目 で,北 フ ラ ン ス か ら ア ル ビ
8)イ
(Albi)十 字 軍 が南 フ ラ ンス を 蹂 躙 し,政 治 的,社 会的
ル ー プ
混 乱 に お と しい れ た . こ の事 件 を境 に,通 用 語 と して
カ タ ル ー ニ ャ語(カ
のオ ッ ク語 は,オ イ ル語 に対 して,従 属 的 な位 置 に お か れ る よう に な った .
ンス 語 公用 語 化 の 決 定以 来,文
章語 は フ ラ ンス語 が用 し言 葉 は,オ
学 的 コイ ネ ー と し て 代 の ロマ ンス
よ う に,ガ
ス コー ニ ュ
ル ー プ とす る 立 場 が あ る.
ベ ロ ・ロ マ ン ス(Ibero‐Romance)系
言語グ
イ ベ リ ア 半 島 の ロ マ ン ス 語 系 言 語 は,ま ず, タ ロニ ア 語,catala,スcatalan)
れ 以 外 の 言 語(ス ペ イ ン語espanol,ポ
語portugues,ガ
1539年 の 「ヴ ィ レル ・コ ッ トレの 勅令 」に よる フ ラ
い られ るよ う にな った が,話
と,そ
世 か ら,文
ク(P.Bec)の
語 を 独 立 さ せ て1グ
イ タ リア 語
しか し,カ
リ シ ア 語gallego)と
ル トガ ル
に大 別 で き る.
タル ー ニ ャ語 を イ ベ ロ ・ロマ ンス 語 系 の グ
ル ー プ に 含 め る こ と に つ い て は,さ
ま ざ まな 問 題 が あ
ック語 が使
る . そ の 特 徴 の 多 く が,南
フ ラ ンス の オ ッ ク語 に も共
わ れ 続 け た.フ ラ ンス革 命 を機 に,他 の 方言 と同様,共
通 し て み ら れ る た め に,こ
れ を イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 系
通 語 と して の フ ラ ンス語 が,南 フ ラ ンス で も支 配 的 に
に 含 め ず,オ
な った.18世
諸 言 語 に 加 え る こ と が あ る.あ
紀 後 半 に,ミ ス トラル(F.Mistral)を
旗 頭 に,オ ック語 の文 芸 復 興 運 動 が盛 り上 が り,多 く
ク シ タ ノ ・ロ マ ン ス 語 系 と し て,上
違 い を 強 調 して,別
の文 学 作 品 が創 作 され,標 準 的 文 章 語 の た め に,統 一
で は,オ
的 書 記 法 が模 索 され た.こ の地 域 言 語 文 化 に対 す る意
入 れ ず に,イ
識 の 高 揚 が,レ
根 拠 は,た
ト ・ロ マ ン ス語 や カ タ ル ー ニ ャ語 な ど
の弱 小 言 語 の使 用 者 に大 き な 刺激 と勇気 を 与 え た こ と
る い は,オ
ッ ク語 の 属 す る ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 グ ル ー プ に ベ ロ ・ロ マ ンス 語 系 に 含 め て お く. そ の と え ば,音
声 面 で,ラ
舌 化 が 起 こ ら な い こ と,二
口 蓋 音 の 後 の 両 唇 音(KW‐,GW‐)の 現 象 が あ げ ら れ る が,こ
在 は,オ
ッ ク語全 体 を さ
は,オ
ロ ・ロ マ ン ス(諸)語
つ ま り,マ ル セイ ユ(Marseille)近
え る か ら で あ る.
辺 の 方 言 を さす名
保 存,と
れ ら の 点 で,カ
し ろ,イ
言 語 的 に み て,カ
タ ル ー ニ ャ(ま た は,カ
カCatalunya,スCataluna,英Catalonia)地 は,ス ペ イ ン南 東 の バ ル セ ロ ナ(Barcelona)を 西 は バ レ ン シ ア(Valencia)あ
ガ ス コー ニ ュ語 は,北 は ガ ロ ン ヌ川 河 口か ら トゥー ル ー ズ(Toulouse)に
か け て の 流 域 を東 の端 と し,西 は
大 西 洋 の ガ ス コー ニ ュ湾,南
は ピ レネ ー(les
Pyre
ャ 語 方 言),東
方 と
言 領域 とす る.こ の アキ テ ー ヌ(Aquitaine)地
た り ま で(西 カ タ ル ー ニ
て い る.ま
ペ イ ン 語 と と も に,こ た,隣
在,カ
接 す る ア ン ド ラ(Andorra)公
カ タ ル ー ニ ャ 語 圏 で あ る.地
て 区別 されて い る.民 族 的 に は,古 イ ベ リア人 な い し
(los
は バ ス ク人 と同 定 され て お り,実 際,言 語 的 に も,バ
ル デ ー ニ ャ 島 西 部 の ア ル ゲ ー ロ(Alghero)付
ス ク 語や イベ ロ ・ロマ ンス 語 に共 通 した 特 異 な 特 徴 を
14世
示 す.た とえ ば,ガ ス コー ニ ュ語 で は,ス ペ イ ン語 と
言 語 人 口 は,合
して 受 け 入 れ られ て い る.
娘 」>hilha,cf.スhija,オfilha,フ
は,13世
紀 の 植 民 以 来,カ
中 海 上 の バ レ ア レス 群 島 紀 の 征 服 以 来,そ
の
人.
タ ル ー ニ ャ 語 は,オッ
ク 語 と並 ん で 文 学
の 地 方 が,12世
の 密 接 な 関 係 が 生 ま れ た .1137年 合 併 し て か ら は,オ
し て,サ 近 で は,
紀 に,バ
ナ 伯 爵 領 と して 南 フ ラ ン ス に ま で 広 が り,オ
前 にa‐ を添加 す る.こ れ も,一 般 には,バ ス ク語 基層
国 も,
タル ー ニ ャ語 が 話 され て い る.
計 約600万
語 と し て 成 熟 し た.こ
fille また,語 頭 のr‐ は,巻 き舌 で 強 く発 音 され,そ
Baleares)で
中 世 に は,カ
タル ー ニ ャ
の地 方 の公用 語 とな っ
ロー マ時 代 か ら,す で に,ガ リア と異 な る民 族 地 域 と し
FILIA「
中 心 に,
は フ ラ ン ス 領 内 の ル シ ヨ ン(Roussillon)
言 う.東 西 の 方 言 差 は 大 き く な い.現 語 は,ス
同 様,ラ テ ン語 のFがhと
タ ロ ニ ア,
地 方 ま で(東 カ タ ル ー ニ ャ 語 方 言)の 地 中 海 沿 岸 地 帯 を
nees)山 脈 の バ ス ク語 地 域 に よ って 囲 まれ た一 帯 を 方 方 は,
ベ
に つ らな る特 徴 を もって い る と言
ンス 語 との二 言 語 併用 者 が,200万 推 測 され る.
い った
タル ーニ ャ語
拡 大 解 釈 され て し ま った の で あ る.言 語 人 口は,フ ラ 人以 上 に の ぼ る と
前
単 音 化(>o),
ッ ク 語 と は 区 別 さ れ ね ば な ら ず,む
す の には 使 われ て い な い.本 来 は,プ ロ ヴ ァ ンス地 方,
称 で あ ったが,19世 紀 文 芸 復 興 期 の文 人 た ち に よ って
テ ン 語 母 音Uの
重 母 音AUの
なみ に,伝 統 的 な名称 で あ る プ ロ ヴ ァ ンス 語(プ ァ ンサ ルprovencal)は,現
ック語 との
個 に独 立 さ せ る場 合 が あ る. こ こ
は,ロ マ ンス 語 の 文化 史 に とって 特 に重 要 で あ る.ち ロヴ
記 の
に,ア
ルセ ロ ック語 と
ラ ゴ ン王 国 と
ック語 が後 に衰 退 して い っ た の と
は 対 照 的 に,宮 廷 の 公 用 語 と して,多 まれ,15世
くの 大 作 家 に恵
紀 ま で隆 盛 の 時 代 を享 受 した.と こ ろ が,
1469年 に,ア ラ ゴ ン とカ ス テ ィ リア(Castilla)の
両王
法 書 が編 纂 され始 め た の も この時 代 で あ る.18世 紀 に は,フ
ラ ンス の アカ デ ミー を模 範 と して,「 ス ペ イ ン
王 立 翰 林 院(Real
Academia
Espanola)」
が創立 さ
国 が 政 略 結 婚 に よ って 合 併 した こ とが,カ タル ー ニ ャ
れ(1714年),国
語 の 国 家 語 と し ての 道 を閉 ざ して しま っ た. レ コ ンキ
方 で,た
ス タ(国 土 回 復 運 動)の 戦 い を経 て,1492年
を失 って い くが,そ れ らの 地 域 とス ペ イ ン本 国 との 言
の ムー ア人
か らの 解 放 に至 る まで の 間 に,ス ペ イ ンの 北 部 か ら南
語 と して の 規 範 を確 立 して い った.他
び重 な る戦 争 の敗 北 に よ って,海 外 の植 民 地
語 的,文 化 的 結 び つ きは 保 た れ て い る.
部 に圧 倒 的 な 勢 力 をの ば して い っ た カ ス テ ィ リ ア 語
国 内 の 方 言 区 分 は,母 体 とな っ た カ ス テ ィ リア 方 言,
(カ ス テ ィー ヤ 語,castellano)が,ス
お よび,カ
ペ イ ン国 家 全 体 の
タル ー ニ ャ語 とガ リシア 語 は別 に して,3
国 語 とな った の で あ る.
つ に ま とめ られ る.す な わ ち,レ オ ン(Leon)方
そ れ 以 来,ス ペ イ ン語(つ ま りカ ス テ ィ リア 語)の 勢
ア ラ ゴ ン(Aragon)方
力 下 に お か れ て い る が,カ タル ー ニ ャ語 は,南 部 で,
方 言 に代 表 され る南 部 諸 方言 で あ る.
ま だ50パ
ー セ ン ト以上 の 住 民 に よ って 日常 的 に用 い
言 と
言 とア ンダル シア(Andalucia)
中 南米 で は,か つ て植 民 地 で あ った 国 々の う ち,19
られ て お り,北 の地 方 に い くにつ れ て,使 用 率 は 高 ま
の 国 がス ペ イ ン語 圏 とな って い る. ア メ リカ 合 衆 国 で
って,約80パ
ー セ ン トの 人 々が カ タル ー ニ ャ語 話 者
は,本 国 か ら の移 住 者 に加 え て,メ キ シ コや 西 イ ン ド
で あ る. ス ペ イ ン中央 のカ ス テ ィ リア(ま た は,カ ス
諸 島 か ら の移 民 が流 入 し,ス ペ イ ン語 話 者 は,公 式 に
テ ィー ヤCastilla)地
方 とその 言 語 に対 す る反 感 に 近
は,1,400万
人,実
際 に は2千 万 人 が 住 ん で い る と推
い対 抗 意 識 を もつ カ タル ー ニ ャ地 方 の 人 々は,自 分 た
測 され る.ス ペ イ ン語 圏 の うち で,最 大 の言 語 人 口 を
ち の 母 語 と文 化 に関 す る意 識 が 高 く,さ らに,バ ル セ
もつ のは メ キ シ コで7千 万 人,ス ペ イ ン本 国 の2倍 に
ロナ の経 済 力 を 背景 に,言 語 文 化 活 動 の活 力 は 衰 え て
相 当す る.他 の 地 域 で は,16世 紀 以 来,フ
い な い.
ス ペ イ ン語 共 同 体 が 形 成 され て い る が,そ こ で は ク リ
イ ベ リア半 島 の 中央 を 占め,ス ペ イ ン本 国 の み な ら ず 海 外 の 旧植 民地 な どで,2億8千
万 人 の 話者 を 数 え,
ロ マ ンス 諸語 の うち で もっ と も勢 力 を もつ ス ペ イ ン語 は,も
と も とは,カ ス テ ィ リア地 方 の一 地 方 語 で あ っ
た.こ の地 方 は,比 較 的 北 部 に あ る た め に,711年
に
ィ リ ピ ンに
オ ー ル の 方 向 に向 か って い る.し か し,一 般 に は,ス ペ イ ン語 の ク リオ ー ル 化 の程 度 は,フ ラ ンス 語 や ポル トガ ル語 に 比 べ て 小 さい と言 え る. ポ ル トガ ル 語(portugues)は,イ
ベ リア 半 島 の 西 端
に あ るポ ル トガ ル共 和 国 で約1千 万 人,海 外 の 旧 植 民
始 ま る ム ー ア人 のイ ベ リア 半 島侵 略 の余 波 を こ うむ り
地 で の使 用 者 を加 え る と,約1億
な が ら も,幸 い に して,直 接 の支 配 は 受 け なか っ た.
お り,ロ マ ンス 諸語 の う ちで は,ス ペ イ ン語 に つ ぐ大
南 部 の 各 地 で は,ア ラ ビア 語 との混 成 語 で あ る モ サ ラ
言 語 で あ る.現 代 の ポル トガ ル で は,南 部 に あ る首 都
ベ 語(mozarabe)が
形 成 され,ほ ぼ3世 紀 間 にわ た っ
リス ボ ン(Lisbon,Lisboa)や
人 に よ って 話 され て
中 央 部 の 大 学都 市 コイ ン
て,公 的 に も私 的 に も用 い られ,文 学 作 品 も生 み 出 さ
ブ ラ(Coimbra)の
れ て い る.し か し,レ コ ンキ ス タ の高 ま りが 南 下 す る
ポ ル トガ ル 語 は,も と も と,北 に 隣接 す る ス ペ イ ン
と と も に,北 部 の諸 方 言 が この言 語 を駆 逐 し,完 全 に
領 内 の ガ リシア 語(gallego)と
消 滅 させ た.中 で も有 力 で あ っ た北 部 方 言 が,カ ス テ
め て ガ リ シア ・ポ ル トガ ル 語 とよ ばれ る こ とが あ る.
ィ リア 語 で あ った .
歴 史 的 に み て も,711年
1492年 に,グ
ラナ ダ(Granada)が
カ ト リッ ク教 徒
言 語 が,標 準 的 と され て い る.
方言 関 係 に あ り,ま と
に イ ス ラ ム教 徒 の 侵 入 が あ り,
中 世 前期 は,東 西 に流 れ る ドー ロ(Douro)川
の 北 部 で,
の 手 に 奪 回 され て,レ コ ンキ ス タが 完 了 す る時 点 で,ス
ガ リ シア ・ポ ル トガ ル語(古 ポル トガ ル 語)が 形 成 され
ペ イ ン は新 た な言 語 文 化 史 上 の 時代 に入 った.言 語 上
て い っ た.11世 紀 後 半 に始 ま った レ コ ンキス タ に と も
層 として の影 響 を与 えて いた ア ラ ビア 語文 明 はす が た
な って,ポ ル トガ ル 語 は 南 に勢 力 を回 復 し,12世 紀 中
を消 し,同 時 に,ユ ダヤ 人(別 称,ラ デ ィー ノladino)
頃 の ポ ル トガ ル 国 家 成 立 に よ って,国 語 とし て地 位 が
はス ペ イ ンを追 わ れ て,他 の ヨー ロ ッパ各 地 に散 っ て
確 立 す る.そ の後,ポ ル トガ ル語 は,文 学 語 と して の
行 く.中 に は,バ ル カ ン半 島 ま で逃 れ,入 植 した グル ー プ も あ る.
発 達 と と も に,し だ い に,ミ ー ニ ョ(Minho)川
を境 に
北 の ガ リ シア 語 と分 化 し始 め,独 自 の言 語 と し て成 熟
15世 紀 末 か らの 地 理 上 の 発 見 に よ っ て 海 外 領 土 を
して い った.
獲 得 した ス ペ イ ン は,政 治 的 に も経 済 的 に も黄 金 期 を
方 言 と して は,2つ
迎 えた.イ
の グ ルー プ に分 け られ る.北 部
タ リア ・ル ネ ッサ ンス の影 響 もあ り,ス ペ
方言 は,比 較 的保 守 的 な言 語 特 徴 を保 つ が,こ れ に対
イ ン語 の歴 史 に とっ て も,カ ス テ ィ リア方 言 が文 学 の
して,レ コ ン キス タ以 後 に回 復 され た 領 土 を含 む 中南
言 語 と して 成 熟 して い っ た重 要 な 時 期 で,本 格 的 な文
部方 言 は,改 新 的 特徴 を示 す.ま た,16世
紀 以 降 の海
外 進 出 に よ っ て最 大 の植 民 地 とな った ブ ラ ジル で は, 古 い特 徴 を よ く保 存 す る一 方 で,独
2)イ
タ ロ ・ロ マ ン ス(上 記,ラ
自の 進 化 を とげ た
ポ ル トガル 語 の変 種 とな っ て い る.そ の 他 の 地 域 で
語),
は,大 西洋 上 のポ ル トガ ル領 ア ソー レス(Acores)諸
3)ガ
ロ ・ロ マ ン ス,
島,マ デ イ ラ(Madeira)諸
4)イ
ベ ロ ・ ロ マ ン ス(イ
島,旧 植 民 地 の ア フ リカ 諸
国(ア ンゴ ラ,モ ザ ン ビー ク な ど),イ ン ド,マ レー 半 島,イ
ン ドネ シア の チモ ー ル(Timor)な
どの 地 域 で
は,本 国 か らの規 範 的 制 約 が薄 れ る につ れ て,ポ ル ト ガ ル 語 系 ク リオ ール が 形成 され て い る. [分
類]
して,類 型 論 的 視 点 な ど,
基 準 と して と る通 時 的,共 時 的 特徴 の組 み合 わ せ に よ り,これ ま で,さ ま ざ まに 提 唱 され て き た.古 ンテ が 『 俗 語 論』(De vulgari
ベ リア 半 島 の ス ペ イ ン 語
と ポ ル トガ ル 語), の4つ
の グ ル ー プ に 分 け,イ
言 語 か ら 切 り 離 し,独
タ リア 語 を,イ
ベ リア 系
立 さ せ た.
オ ッ ク 語 を 専 門 と す る ベ ッ ク(P.Bec)は,広
ロ マ ンス 諸 語 の分 類 は,地 理 的 要 素,
歴 史 的,系 統 論的 観 点,そ
・ス ペ ッ ツ ィ ア=リ
ミニ 線 以 南 の イ タ リア 半 島 の 諸 言 語 と ダ ル マ チ ア
くは,ダ
eloquentia,1315)で,
ロ ・ロ マ ン ス の 中 に,フ リ ア 系 ガ ロ ・ロ マ ン ス(ガ ト ・ロ マ ン ス 語)と ス(オ
ロ ・イ タ リア 系 諸 方 言 と レ
を 含 め る が,オ
ク シ タ ノ ・ロ マ ン
ッ ク 語 諸 方 言)を 独 立 させ て,5つ
分 け る.そ
し て,こ
義 のガ
ラ ン ス 語(オ イ ル 語)と 北 イ タ
の グル ー プ に
の オ ク シ タ ノ ・ロ マ ン ス に,い
言 語 的 ヨー ロ ッパ を3つ に分割 した 中 で試 み て い る.
ゆ る オ ッ ク 語 と ガ ス コ ー ニ ュ語 の み な ら ず,カ
そ こで は,東 方 の ギ リシア 語,北
ニ ャ 語 を と り こ ん で い る こ と が 特 徴 的 で あ る.
と東 の ゲル マ ン語,
そ して,そ れ 以外 の西 の 言 語 とに 分 け て い るが,こ れ
エ ル コ ッ ク(W.D.Elcock)の
ル ー プ の 区 分 で も 組 み 合 わ せ が 異 な り,レ
グル ープ を,さ
ス 語 を 独 立 さ せ て い る.す
らに3つ の言 語 地 域 に 下 位 区分 して お
り,そ の 理 由 と して,肯 定 す る 場合 にocを (イス パ ニ ア 人),oilを
用 い るか
用 い るか(フ ラ ンク人),siを
用 い るか(ラ テ ン人)を,例
に引 い て い る.彼 の分 類 基
準 は 単純 で あ り,民 族 名 に は 当時 の 認 識 が反 映 して い る もの の,そ の3分 法 は示 唆 深 く,ま た,言 語 グル ー
1)ガ
ス パ ノ ・ロ マ ン ス(ス
語,カ 3)イ
ッ ク 語),
ペ イ ン語,ポ
ル トガ ル
タ ル ー ニ ャ 語), タ ロ ・ロ マ ンス(イ
タ リア 語,サ
ルデーニ ャ
語),
プ の 名称 と して 受 け 継 が れ てい る.
4)レ
ト ・ロ マ ン ス,
以 下 に,現 代 の ロマ ン ス言 語 学 者 の 提 唱 す る分類 法
5)バ
ル カ ン ・ ロ マ ン ス(ル ー マ ニ ア 語),
の 主 な もの を,簡 潔 に紹 介 す る.
じ5グ
ト ・ロマ ン
な わ ち,
ロ ・ロ マ ン ス(オ イ ル 語,オ
2)ヒ
タルー
立 場 で は,同
は,今 日で 言 う ロマ ンス 語 に比 定 され うる.彼 は,西 の
わ
と して い る.
も っ とも単 純 な 分 け方 は,東 西 に2分 し,東 ロマ ニ
音 声 進 化 の 観 点 か ら,系
ア 諸 語 と,西 ロマ ニ ア 諸 語 とに分 け る方 法 で あ る. そ
(Proto‐Romance)の
の 基 準 の ひ とつ は,名 詞,形 容 詞 な ど の複 数 屈 折 語 尾
Jr.)は,ま
で,‐iを と るル ー マニ ア 語 とイ タ リア語 の東 グル ー プ
デ ー ニ ャ 語,ル
統 論 的 に,原
ロマ ンス 語
再 構 を 試 み る ホ ー ル(R.A.Hall,
ず,原
ロ マ ン ス 語 を,原
南 ロ マ ン ス 語(サ
カ ニ ア 語Lucania,シ
ル
チ リア 語)と,
と,‐sを と るそれ 以 外 の 西 グ ル ー プ の言 語 と に大 別 す
そ れ 以 外 の 言 語 を 含 む 原 中 央 ロ マ ン ス 語 に 大 別 す る.
る.イ タ リア 中北 部 の沿 岸 都 市 ラ ・ス ペ ッツ ィア(La
後 者 を,東
Spezia)と
リ ミニ(Rimini)を
結 ぶ線 が,そ の境 界 と さ
と 西 に 分 け て,東
のグループには原バルカ
ン ・ ロ マ ン ス 語(ル ー マ ニ ア 語 諸 方 言,ヴ
ェ ッ リ ア 語),
れ る.ま た,母 音 間 の 無 声 子 音 の保 存 か(東 ロマ ニ ア),
西 の グ ル ー プ に は 原 イ タ ロ ・ ロ マ ン ス 語(イ
有 声 化 か(西 ロマニ ア),と
諸 方 言)と
原 西 ロマ ン ス 語 を 含 め る.こ
ス 語 を,原
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語(ス
ガ ル 語,カ
タ ル ー ニ ャ 語,モ
い う基準 に よ る区 分 も,ほ
ぼ この 境 界 線 上 に一 致 す る. ワル トブ ル ク(W.von
Wartburg)は,こ
の2分 法
マ ン ス 語 と に2分
(フ ラ ンス 語,フ ラ ンコ ・プ ロ ヴ ァ ンス 語,レ
ン ス 語 諸 方 言(フ ラ ンス 語),南
ンス語)と,そ
ト・ロ マ
の 他 の地 中海 沿 岸 諸 国 語 の3つ に分 け,
ク 語),そ
し て,レ
す る.原
て,音 声 進 化 や 類 型 的 に特 徴 的 なガ リア 系 言 語 を独 立
Harris),ポ
させ て い る.
類 型 的 な 分 類 を 試 み ず に,個
マ ニ ア を, 1)ダ
コ ・ロマ ンス(広 義 の ダ キア 地 方 の ル ー マ ニ
ア諸 方 言),
フ ラ ン ス 語 諸 方 言(オ
ト・ロ マ ン ス 語 に3分
ま た,カ
ン プ ル ー(Ch.Camproux),ハ ズ ナ ー(R.Posner)ら
に 立 っ て い る.彼
ら は,社
源]
ッ
さ れ る(図3). リス(M.
は,し
い て,系 統 的,
々の 言 語 を記 述 す る 立 場 会 文 化 的 観 点 の み な ら ず,
言 語 の 進 化 と 言 語 接 触 に よ る 干 渉 の 観 点 か ら,ク ー ル の 重 要 性 を強 調 して い る . [起
ル ト
原 ガ ロ ・ロ
ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 は,北 フ ラ
ケ ル ト基 層 と,特 に,ゲ ル マ ン民 族 上 層 の 影 響 を 重視 し
イ タ リア の タ リア ヴ ィ ー ニ(C.Tagliavini)は,ロ
の原西 ロマン
ペ イ ン 語,ポ
サ ラ ベ 語)と
に手 を加 えて,ル ー マニ ア語 と,ガ ロ ・ロマ ンス 系言 語
タ リア語
リオ
ロマ ンス諸 語 の共 通 起 源 と され て い る
<図3>ロ
出 典:ホ
マ ン ス諸 語 の分 類
ー ル(R.A.HallJr.,1950)に
よ る.
ラテ ン語 は,文 法的 規 範 の 確 立 した 「 古 典 ラ テ ン語
ロー マ帝 国 の 崩 壊 前 後 か らの 社 会 的 混 乱 に もか か わ ら
(Classical Latin)」 で は な く,「俗 ラテ ン語(Vulgar
ず,驚
Latin)」 で あ る.こ の 俗 ラテ ン語 は,話
ほ とん ど単 一 と も言 え るほ ど均 質 な ラ テ ン語 が 広 い地
し言 葉 として
くほ ど地 域 的 変 種 が 少 な い こ とが認 め ら れ る.
一 般 に 用 い られ て い た ラ テ ン語 の 変種 で,民 衆 ラテ ン
域 で 通用 し続 け た 背 景 には,キ
語(Popular
な が りが あ った こ とが 事 実 と して あ る.実 際,ロ
Latin)と
も よば れ,文 章 語 とは,音 声,
リス ト教 との 密 接 なつ ーマ
形 態,語 彙 の上 で 明 らか な 違 い を みせ て いた.た だ,
時 代 の行 政 区 画 が 中 世 以 降 の 司教 区 に受 け 継 が れ て い
後 代 の ロマ ンス 諸語 の分 裂 と発 展 を考 慮 に入 れ る と,
る例 が多 く,さ らに,方 言 分布 が それ を反 映 して い る
俗 ラテ ン語 の言 語構 造 を 明確 に把 握 し うる にた る十 分
こ とか ら み て も,社 会 機構 的 に,キ
な 文 献 資 料 が残 って い な い . そ の た め,そ の 定 義 と解
が言 語 進 化 上 に果 た した 役 割 は大 き い.
釈 に は,立 場 に よ り,多 少 の異 同 が あ る.
た だ し,文 章 語 の統 一 性,保 守 性 に対 して 民 衆 語 が
ま ず,「 俗 ラ テ ン語 」 を,古
典 ラ テ ン語 が 時 代 の 流
リス ト教 教 会 組 織
とった 過 程 は,空 間 的,時 間的 に多 様 で 複 雑 で あ った.
れ と と もに崩 れて 転 訛 した もの で あ る とす る概 念 は,
散 見 す る部 分 的 資 料 を 除 い て,現 存 す る ロマ ンス 諸 語
現 在 は も う受 け入 れ られ て い な い.む し ろ,そ れ は 文
の初 期 文 献 が現 わ れ る9世 紀 頃 に は,す で に,ロ マ ニ
章 語 と同時 代 に あ っ て,あ る社 会 階 層(つ ま り民 衆)の
ア は,い
くつ か の大 き な 言語 グル ー プ に分 裂 して い た
言語 的 特 徴 を反 映 し た言 語 であ る と,い ちお う定 義 す
の で あ る.地 域 語 と混 成 し,個 性 化 して い く第 一 の過
る こ とがで き る.あ るい は,地 理 的 広 が り と して,ロ ー マ帝 国 全 域 に長 期 間 にわ た って 用 い られ た ,日 常的
程 は,ラ テ ン語 の ク リオ ール 化 と も言 え る . これ に 続
な実 用 的 文 章 語 で あ った,と 仮 定 す る こ と もで き る.
過 程 と よべ る も ので あ る.
さら に,個 々の 言 語 の 特 殊 な事 象 は 捨 象 して,ロ マ ン
い た 内部 規 範 を もつ 国 語 の形 成 は,非 ク リオ ー ル 化 の
[俗ラテ ン語]
民 衆 ラテ ン語 の 言 葉遣 い を直 接 書
ス諸 語 の祖 語 とも言 うべ き,方 法 論 的,抽 象 的 な 言 語
き記 した 資 料 は数 少 な い.例 外 的 に 残 され た記 述 と し
を仮 定 す る こ と もで き る.こ れ を,「原 ロマ ンス 語(Pro
て,作 家 の 引用 す る 口語 体 の言 い 回 しや,碑 文 の落 書
to‐Romance)」
と よぶ こ とが あ る.
き にみ られ る俗 語 体 が 確 認 で き る.ま た,ラ テ ン語 文
ロー マ 時 代 後 期 か ら中 世 初 期 に か け て の 通用 語(リ
法 家 の 記 し訂 正 した 誤 用 例 や,一 般 民 衆 を対 象 に した
ンガ ・フ ラ ンカ),あ
る い は,共 通 語(コ イ ネ ー)と し
て の文 章 ラテ ン語 の 資 料(碑 文,通 信 文)に あ た る と,
巡 礼 記 な どの キ リス ト教 文献 とか,獣 医 学 書 に用 い ら れ た通 俗 的 な 語 法 か ら,当 時 の民 衆 語 の実 態 が うか が
え る.
格 語 尾 に代 わ って,機 能 を明 示 す る前 置詞ad,de,ex
俗 ラ テ ン 語 の 言 語 特 徴 と し て は,音
声 面 で は,各
の 碑 文 や ポ ン ペ イ の 遺 跡 に み られ る,語 の 脱 落 が あ げ ら れ る.語
末 子 音 ‐s,‐m
末 子 音 の 消 失 は,形
上 に 大 き な 影 響 を 与 え た.‐sの
し て 起 き た 東 ロ マ ニ ア 地 域 で は,複
で な さ れ,‐sの
な どが,名 詞 に付 け て頻 繁 に用 い られ る よ うに な る. この 分析 的 な表 現 方 法 は,結 果 として 与 格 と属 格 の 価 値 を 失 わせ,ま す ま す格 体 系 を 混乱 させ て い った . SCRIBO
詞,形
ど)が 失 わ れ,動
の 人 称 語 尾 に も 混 乱 を ひ き 起 こ し た.こ
の ‐sで は な く,主
態 ・統 語
脱 落 に よ り,名
容 詞 の 対 格 複 数 の 標 識(‐os,‐asな
地
く」 →scribo
詞
の変 化 が 徹 底
数 の 表 示 は,対
格
格 の 屈 折 語 尾 の 母 音 ‐i,(‐ae>)‐e
保 存 さ れ た 西 ロ マ ニ ア 地 域 と対 立 す る
こ と に な る.
FRATRI
MEO「
私 は兄 弟 に手 紙 を書
ad meum
fratrem
ま た,形 容 詞 の 比 較 級 につ い て も,派 生 的 手 段 を用 い た,古 典 ラ テ ン語 のBELLIOR「 して,俗
よ り美 し い」に 対
ラテ ン語 で は,分 析 的 なPLUS
BELLUS
とい う よ うな形 を 発 達 させ た(cf.フplus
beau,イ
piu bello).
ラANNOS「
年(複 数,対
anos;ラANNI(複
格)」 >
フans,ス
語 彙 の レベ ル で は,数 多 くの文 語 的 な語 が,民 衆 的 な
格)>
イanni,ル
単 語 に よ って 駆 逐 され た.た と え ば,俗 ラ テ ン語 で は,
数,主
ani
形 容 詞BELLUS「
ラCANTAS「
君 は歌 う」 >
スcantas,フ
美 しい 」が,同 じ意 味 の古 典 ラテ ン
語 の形 容 詞PULCAERに
と って 代 わ っ た . 同様 に,
ロマ ンス 諸 語 に残 され て い る形 か らみ る と,不 規 則 形
chantes,イcanti 校教育
に対 して 規 則 形 を とる動 詞 の 反 復 形 が 意 味 を変 えず に
や 職 業 生 活 上 の 意 識 的 な ラ テ ン語 教 育 の 民 衆 ラ テ ン 語
使 わ れ た ら し く,そ こ に も民 衆 の好 む 造 語法 が み られ
西 ロ マ ニ ア に ‐sの 残 っ た 理 由 と し て は,学
に 与 え た 影 響 が 重 視 さ れ て い る.ま 詞 の ほ とん ど は,対
た,ラ
格 単 数 形 が ‐mで
終 わ り,こ
が ロ マ ンス 諸 語 に 受 け 継 が れ て い く.と ラ テ ン語 に お け る ‐mの 壊 させ,形
消 失 は,同
テ ン語 の 名 の形
こ ろ が,民
時 に,格
衆
体 系 を崩
態 ・統 語 上 に 本 質 的 な 変 化 を もた ら す こ と
に な る.
口 語 体 の 特 徴 と し て,表
低 の ピッチ に よ る音 調 ア クセ ラ テ ン 語 で は,
現 上 の 理 由 か ら,強
ン トが 強 調 さ れ た よ う で あ る.こ
の た め,強
音 節 は 強 くは っ き り と 発 音 さ れ て,場 二 重 母 音 化 し て い くが,そ
『プ ロ ー ブ ス 付 表 』(Appendix
non
oclus「oclusで
紀
よ る文 法 書 の正 誤 は,誤
用
virdis「virdisで
は な くて,oculus
に 適 し た 指 小 辞 を 用 い た 形 が,誤
ラ ヴ 民族 な どの異 民 族 の 侵 入 と,社
形 成 史 の 中 で も ミッ シ ング ・リ ンク とな って い る.確 か な 証 言 と して は,813年
の トゥー ル(Tours)の
公会議
で,司 祭 は ミサ に参 集 す る民 衆 に理 解 して も らえ る よ う に,ラ テ ン語 で な く,「 地 方 の ロマ ンス語(rustica romana
lingua)」
を使 う よ うに と,決 定 して い る.
か らで,ラ テ ン語 の 語 彙 集(『 ラ イ ヘ ナ ウ の 語 彙 集 』 Reichenau
は な くて,viridis
(緑 の)と い うべ き で あ る 」 ま た,『 プ ロ ー ブ ス 付 表 』に は,口
ゲ ル マ ン民族,ス
現 存 す る ロマ ンス 諸 語 の 資 料 が 現 わ れ る の は8世 紀 頃
い う べ き で あ る」 non
ロー マ 時代 の 後期 か ら中 世 初 期 に か の ロー マ帝 国 の解 体 を頂 点 に,フ ン族,
黒 時 代 は,言 語史 的 に も資 料 が 乏 し く,ロ マ ンス 諸 語
元 後3世
Probi)に
け て は,476年
勢 を もつ
と し て 多 く の 例 が 記 さ れ て い る.
語 的 な 感 情的 表 現 用 と して あ げ られ て
い る. auris
歌 う」
会 的,政 治的 な混 乱 が あ った.こ の いわ ゆ る文 化 的 暗
の 前 後 の 強 勢 の な い 音 節 は,
頃 の 文 法 家 プ ロ ー ブ ス(Probus)に
viridis
ス=ポ=カ=オcantar「
さア クセ
合 に よ っ て は,
弱 ま っ た り 消 失 した りす る こ と に な る.紀
(目)と
り
この よ うに,俗 ラ テ ン語か ら ロマ ンス 諸 語 へ と向 か
[初期 文献]
テ ン語 は,高
ン トを も っ て い た と考 え ら れ る が,俗
oculus
歌 う」 に対 して,CANTARE「繰
返 し歌 う」> ルcinta,イcantare,フchanter,
る もの で あ る.
花 」 > ルfloare,イfiore,フ
fleur,ス=ポflor
表
CANERE「
う変 化 の 兆候 は,す で に,俗 ラ テ ン語 に多 くが み られ
ラFLORE(M)「
元 来,ラ
る.
Glosses,『
カ ッ セル の 語彙 集 』Kasael
Glosses)に,ロ
マ ンス語 の単 語 が記 され て い る.こ の
時 代 以 降 に,キ
リス ト教 文 献 の 中で散 見 す る俗 語,す
な わ ち,ロ マ ンス 語 の断 片 は,す で に,そ の地 方 ご と に異 な る言 語 特 徴 を帯 び てい る. 文 章 の形 を もつ ロ マ ンス 語 最 初 の 文 献 は,8世
non
oricla「oriclaで
は な くて,auris
『ヴ ェロ ー ナの 謎 』(Indovinello
(耳)と い う べ き で あ る 」 口 語 ラ テ ン語 で は,話
し言 葉 の 弱 点 で あ る音声 面 で
の 不 安 定 さ を 補 強 す る た め の,文
法 的,語
発 達 さ せ た こ と に 注 目 す べ き で あ る.く
彙的手段を ず れ か か った
紀な
い し9世 紀 に,写 本 に いた ず ら書 きの よ うに書 かれ た
は,北 イ タ リア の方 言,あ
veronese)で,こ
れ
る い は,レ ト ・ロマ ンス語 の
特 徴 を含 む と考 え られ て い る. フ ラ ン ス語(正 確 に は,オ イ ル 語)の 初 出 文 献 は,『ス
トラス ブ ール の 宣誓 』(Serments
de Strasbourg)と
ラ テ ン語 の指 小 辞 が付 いた 形 で あ るSOLICULUSを
よ ばれ る842年 の 文 章 で あ る が,正 確 に ど この地 方 の
源 に た ど れ る が,他 方 で,ス=ポsol,イsole,ル
言 語 で あ っ た のか は 特 定 で きず,議
soareを
論 が続 い て い る.
考 慮 に入 れ る と,古 典 ラ テ ン語 の形SOLも,
口語 体 を 意識 的 に記 録 した ま とま っ た資 料 と して は,
も うひ とつ の源 と考 え ざ る を え ない.そ
これ が ロマ ンス語 の 最 初 の文 献 と も言 え る.
均 質 で あ った俗 ラ テ ン語 が,ど の よ う な過 程 を経 て 多
ス ペ イ ン語 の最 初 の 文 献 は,9世 紀 末 か10世
紀 の初
頭 に 書 か れ た ラ テ ン語 写 本 の 中 の 注 解 の 部 分 に み ら れ,は
っ き り とスペ イ ン語 の特 徴 を そ な え て い る.
11世 紀 か ら12世 紀 に は,上 記 の3言 語 で は,豊
こで,比 較 的
様 化 し,ロ マ ンス諸 語 に分 化 して い った の か をみ る必 要がある. [ロマ ン ス諸 語 へ の 分 化]
ロー マ時 代 に,す で に,
富
ラ テ ン語 の,文 体 的,社 会 階層 的,地 域 的 変 種 が 存 在 し
な 文 学 作 品 が 生 み 出 され て い る.こ の 時 代 か ら,サ ル
て い た こ とは確 か め られ るが,ど の よ うな 言 語 外 的 な
デ ー ニ ャ語(法 律 文 書,1080‐85年),オ
要 因 が は た らい て,ロ マ ンス 諸 語 に分 化 した のだ ろ う
文 書,1102年),ポ
ル トガ ル 語,レ
ッ ク語(法 律
ト ・ロマ ンス 語,
カ タル ー ニ ャ語 な どに,ま と ま った 資 料 価 値 の あ る初
か.そ の原 因 と して は,一 般 に,以 下 の よ うな3つ の 側 面 が 考慮 に入 れ られ る. 1)空
出 文 献 が現 わ れ る,ダ ル マチ ア 語 の 初 期 資 料 は,10世
間 的要 因
地 理 的 要 素 は,社 会 的,経 済 的 な
紀 か ら断 片 的 な 単語 が残 され て い るが,初 出 文 献 と し
コ ミュ ニ ケ ー シ ョン の は た ら き を決 定 す る重 要 な 要 素
て は,1325年
で あ る.空 間 的 に孤 立 し た言 語 は,保 守 的 な 要 素 を残
の もの が確 か め られ て い る.ル ー マ ニア
語 の 初 期 文 献 につ い て は,キ
リー ル 文 字 で 書 か れ た
す と と もに,独 自 の発 達 をみ せ る こ とが 多 い.た
とえ
1420年 のテ クス トが あ っ た こ とが 後 代 の 資 料 で 言 及 さ
ば,地 中海 に孤 立 した サ ル デ ー ニ ャ語 や ア ル プ ス 山 脈
れ て い るが,現 存 す る文献 は,1521年
に閉 ざ さ れ た レ ト ・ロマ ンス 語,あ
の書簡が最古の
るい は,歴 史 的 な
理 由 で遠 くに隔 離 され た ル ー マ ニ ア 語 は,ほ か の 地 域
もの で あ る. [原 ロ マ ンス 語]
ロマ ンス 諸 語 の歴 史 を 遡 り,初
で は使 わ れ な くな り,別 の語 に と って 代 わ られ た ラテ
期 文 献 を検 討 して い って も,資 料 的 な限 界 が あ るた め
ン語 の古 い形 を とど めて い る.た
に,実 証 的 方 法 で は,ロ マ ンス 言 語 学 上 の ミ ッシ ング ・
ALBU「
白い」 は,ほ
と え ば,ラ
テ ン語
とん どの 言 語 で はゲ ル マ ン語 の
*BLANKが
とっ て代 わ った が ,古 期 サ ル デ ー ニ ャ語
説 と し て,い ちお う,歴 史 上 の あ る早 い時 期 に,共 通
で はalbuで
あ る.現 代 で は,イ
の均 質 な言 語 状 態 が あ った と仮 定 す る.19世 紀 後 半 に
biancu(<*BLANK)に
成 立 し た比 較 言 語 学 の 方法 を も って,で
ス語 系 の ス イ ス ・ロマ ン シ ュ語 で はalv,た
リン ク は解 明 が きわ め て むず か し い.そ こ で,作 業仮
き る限 りの厳
タ リア 語 の 影 響 で,
代 わ って い る.レ
ト ・ロマ ン だ し,ド
密 な原 形 の再 構 成 をす る.そ の結 果 え ら れ た形 態 につ
ロ ミテ ・ラデ ィ ン語 と フ リウ リ語 で は,ド イ ツ 語 の 影
い て,常 に,俗 ラテ ン語 の資 料 に よ って,実 証的 裏 づ け
響 で,*BLANKの
を求 め るの で あ る.し か し,そ れ が,現 実 に存 在 して
語 で は,albを
タイ プ とな って い る.ル ー マ ニ ア 保 つ.
い た語 形 で あ ると は限 らな い し,歴 史的 実 体 とは 別 の
逆 に,地 勢 的 に障 害 の 少 な い 地 域 は,た
レベル の仮 想 形 で あ りう る.た とえ ば,イsapere,フ
間 で あ って も,コ
savoir,レsavair,オ=カ=ス=ポsaber「
言 語 上 の 分 化 は起 こ りに く く,む しろ,干 渉 現象 に よ
ら,原形 は,短 音 のeを
知 る」 か
つ*SAPEREを,原
っ て収 束 的 進 化 をみ せ る.
もつ古 典 ラ テ ン語 のSAPERE
で は な くて,長 音 で 強 勢 ア ク セ ン トの お か れ たeを
とえ広 い空
ミュニ ケ ー シ ョ ンが 容 易 な た め に,
も
ロ マ ンス 語 の 語 形 と して 設 定 す
ま た,言 語 地 理 学 で 言 う周 圏理 論 の 観点 か ら も,ロ マ ンス語 の分 化 を説 明 す る こ とが で き る.ロ マ ニ ア 中
る.同 様 に,動 詞 の直 説 法 未 来3人 称 単 数 形 で あ る,
央 の地 域 の言 語 は,改 新 の方 向 をた ど り,こ れ に 対 し
イcantera,フchantera,レchantara,オ=カ=ス
て,周 辺 部分 の東 端 と西 端 の 言 語 は,共 通 して,比 較
=ポcantara「(彼
は)歌 うだ ろ う」 な どか ら,ラ テ ン
的 古 い時 代 の形 を とど め てい る.た と えば,ル ー マ ニ
は な くて,分 析 的 迂 言 法 的 構 成 の 仮 定 した方 が,現 実 に近 い と考
ア 語 とポ ル トガル 語 とスペ イ ン語 とカ タル ー ニ ャ語 で
語 のCANTABITで *CANTARE+ATを
は,比 較 級 を つ くる の に,よ MAGIS「
え られ る. た だ し,原 ロマ ンス 語 に均 質 な 言 語 を仮 定 す る も の
ラALTIOR「
の,歴 史 的 な事 実 と して,広 い ロマ ニア 全 域 で 単 一 の
mais
言 語 で あ っ たの か ど うか を確 認 す る 根 拠 に は な ら な い.具 体 例 を検 討 す れ ば,多
くの 反 証 的 ケ ース が あげ
られ るか らで あ る.た とえ ば,「 太 陽 」 は,フsoleil, レsulagl,sulai,オsolelh,カsolellな
どか ら,俗
り古 い ラ テ ン 語 副 詞
一 層 」 を用 い る. よ り高 い」> ルmai
alto,スmas
alto,カmes
inalt,ポ alt
これ に 対 して,ロ マ ニ ア 中央 地 域 で は,PLUS「
よ
り多 く」 を用 い る. フ plus haut,レplu 2)民
族 的 要 因
ot,イ
piu alto
一 般 に,長 期 に わた る言 語 接触
は,併
用 状 態 に あ る言 語 間 の 社 会 的,文
大 き け れ ば 大 き い ほ ど,言 渉 を ひ き 起 こ す.そ
化的な格差が
語 の さ ま ざ まな レベ ル で 干
の二 言 語 併 用 が 異 な る民 族 的 グル
ー プ の 間 に 起 こ っ て ,以
前 か ら定 住 して い た 民 族 の 言
語 が 後 か ら 来 た 民 族 の 言 語 に 影 響 を 与 え た と き,前
後 か ら来 た 民族 の言 語 を上層 言 語 と よぶ.ロ マ ンス 語 で は,以 下 の もの が代 表 的 な 例 で あ り,そ の 影 響 は, 音 声,統 語,語 彙 の各 レベ ル にわ た って い る. a)ゲ
a)オ
下 の も の が あ る と され る.
ス ク語(osco)
お け る,‐ND‐
中 部 お よび南 部 イ タ リア に
じ よ うな 現 象 が,カ
タ ル ー ニ ャ語,ガ
ス
ラ ゴ ン方 言 に もみ られ る こ とに注 意
ナ 方 言 の 帯 気 音(gorgia
ラFICU「
イ タ リ ア 語 トス カ toscana).
母音間の
ラ
とつ の言 語 の周 辺 地 域 の 言 語 か らの 干 渉 を重 視
す る場 合,こ れ を言 語 傍 層 と し て研 究す る こ とが で き
ス ペ イ ン 語(カ ス テ ィ
fが な い こ と か ら,基
ア=リ ミニ 線 で,ロ マ ニア は東 西 に2分 され るが,そ の
結 果 と して,文 章 語 の影 響 の 少 な い話 し言 葉 の特 徴 を もち,こ れ に対 して,西 ロマ ニ ア は,行 政,学 校,教
範 にそ った 保守 的 な形 態 を保 ち続 け た.こ の説 は,語 末 子 音 の ‐sに つ いて は 事 実 と一 致 す るが,母
フ ラ ン ス 語(オ イ ル 語),レ
マ ン ス 語(ロ マ ン シ ュ 語)な ど に お け る,母
声 子 音 の有 声 化 と脱 落 とい う進 化 に つ いて は,東 ロマ
音 の前
ニ ア の方 が 保 守 的 で,言 語 事 実 に反 す る. た だ,ミ ク ロ的 にみ る と,方 言 区 域 と,教会 組 織 の 区域(特 に 司教 区)や 行 政 上 の 区 分 とは,か な りの一 致 が認 め られ る.
>t∫a>tsa,∫a,∫e. 歌 う」 >
ロマ ンス諸 語 の 特 徴 の 分化 とま とま りに つ い て は,
フchanter[t∫ate>
∫dte],レchantar[tsantar],フ
以 上 の言 語 外 的 な 要 素 と と もに,言 語 構 造 内 か ら の考
・プ[
察 が必 要 で あ る.
〓],cf.サ=イcantare,ス=ポ=カ=オ cantar
[類型 的 特 徴] ト・ロ マ ン ス 語 の 一 部,お
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の 一 部 で は,U>uへ
よ び,フ
ラ ン コ・
の 変 化 が起 こ っ
か に も,ケ ル ト人 の 住 ん で い た 地 域 と,前
舌 化,口 蓋 化 の 地 域 とが くい 違 っ て い る と こ ろ が あ る . そ の ほ か,ル 蓋 化 現 象 や,ダ
音間無
ト ・ロ
音 の 口 蓋 化 現 象.ラU>u[y],ラKA
た だ し,レ
ロマ ニ
会 を通 じて ラテ ン語 が広 め られ たた め,意 識 的 に,規
息 子 」 >hijo,cf.イfiglio,フfils
CANTARE「
イ タ リア 半 島 の ラ ・ス ペ ッ ツ ィ
層 言 語 の イ ベ リア 語 が バ ス
ク 語 で あ る と い う説 が あ る.
ル ト語
会 的要 因
バ ス ク語 に も
リ ア 方 言 の み)に 起 こ る ラF>h.
ラFILIU「
3)社
ア は,下 層 の 民 衆 や退 役軍 人 に よ っ て入 植 が進 め られ,
ベ リア 語(Iberian)
て お ら ず,ほ
て,ひ
に よれ ば,こ の分 化 は早 い時 期 に始 ま った.東
イ チ ジ ク 」 >fiho,cf.イfico,
舌 化,子
スペ イ ン語,ポ ル トガ ル 語 の 上
原 因 の 一 つ に社 会 的要 素 が指 摘 され る.ワ ル トブル ク
(*FICA>)フfigue
d)ケ
ル ーマ ニ ア 語 の 上 層 言 語.
る.
トル リ ア 語(etrusco)
‐K‐ > ‐h‐ま た は ‐x‐.
c)イ
ラ ビア語
また,こ れ らの言 語 接 触 の ケ ース を,同 時 代 にお い
す べ き で あ る. b)エ
ラヴ語
c)ア
層 言 語.
ラMUNDU>monno,cf.イmondo,フmonde し か し,同
b)ス
> ‐nn‐,‐MB‐ >,‐mm‐.
コ ー ニ ュ 方 言,ア
ラ ン ク語,ブ ル グ ン
フ ラ ンス 語 と レ ト・ロマ ンス 語 の 上
層 言 語.
を基 層 言 語 とい う. ロマ ンス 諸語 の分 化 に はた ら いた 基 層 言 語 に は,以
ル マ ン諸 民族 の 言 語(フ
ド語 な ど)
者
ラテ ン語 の 品詞 の カ テ ゴ リー は,
ロマ ンス 語 にお い て,ほ ぼ忠 実 に 受 け継 が れ て い る が, 民衆 口語 体 の 言 語 特 徴 を もつ 俗 ラ テ ン語 で は,表 現 上 の 必要 に加 えて,発 音 上 の特 質 が 音声 組 織 の再 編 を導 き,さ らに,ロ マ ンス 諸 語 に至 る ま で に,形 態 面,統
ー マニ ア 語 に 及 ぼ した ダ キ ア語 の軟 口
語 面 で の構 造 的 変 化 を生 んだ.ラ
ル マ チ ア 語 に 対 す る イ リ ュ リ ア 語,レ
る総 合 的 な 屈 折 型 言 語 か ら,ロ マ ンス語 的 な 分析 的 な
ト ・ロマ ンス 語 に対 す るア ル プ ス 先 住 民族 の リグ リア
と が ほ と ん どで,さ
層 語 の 言 語 特徴 が 不 明 な こ
ら に,接
言 語へ と類 型 を転 換 す る過 程 がつ ぶ さにみ ら れ る ので あ る.
語 の 影 響 が 研 究 さ れ て い る. 基 層 理 論 の 問 題 点 は,基
テ ン語 と い う いわ ゆ
触 して い た 民 族 間 の 交 渉
1)音
声
a)母
音
古 典 ラテ ン語 の韻 律 法,文 法体 系 を
の 状 況 が 詳 し く知 ら れ て い な い 場 合 が 多 い こ と か ら,
支 え る母 音 体 系 は,5つ
推 測 の 域 に と ど ま ら ざ る を え な い こ と で あ る.ま
対 立(長 音/短 音)が あ り,語 に は,音 調的 な ピ ッチ ・
似 た よ う な 進 化 現 象 が,民 み ら れ る 場 合 も 多 く,絶 こ れ に 対 し て,後
た,
族 基 層 と関 係 のな い 地 域 で 対 の 論 拠 に は な りえ な い.
か ら来 た 征 服 者 が 定 住 を 始 め て,
そ の土 地 に前 か ら住 ん で い た民 族 の言 語 に 影 響 を 与 え る が,支
配 言 語 と な ら な い で 吸 収 さ れ て い っ た 場 合,
ア ク セ ン ト(高/低)が
あ る母 音 の そ れ ぞれ に,量 的
お かれ て い た.こ れ は,文 学 的
技 巧 と して,紀 元 前3世 紀 か ら,す で に,ギ リ シア語 の 影 響下 に発 達 した もの とされ る. と ころ が,民 衆 の ラ テ ン語 にお い て は,母 音 の 質 的 対 立(広
口母 音/狭
口母 音)と 強 弱 の ス トレス ・ア ク
<図4>ラ
miel,スmiel,ルmiere
テ ン語 の母 音 体 系
しか し,レ
ト ・ロ マ ン ス 語 の ラ デ ィ ン 語 で はmeil,
ス ル ミ ラ ン 語(surmiran)で ど っ た . た だ し,ス
はmealと
い う進 化 をた
ル シ ル ヴ ァ ン 語(sursilvan)で
二 重 母 音 化 せ ず にmelに
は,
と ど ま っ た.
ガ ロ ・ ロ マ ンス 語 系 の フ ラ ン ス 語 で は,他
のグルー
プ に は み ら れ な い 強 勢 開 音 節 の 狭 口 母 音eとoに 出 典:ハ
リ ス 他(M.Harris
et
al.,1988)に
じ た 二 重 母 音 化(e>ei,o>ou)が
よ る.
あ り,ガ
生 ロ ・ロマ
ン ス 語 的 二 重 母 音 化 と よ ば れ る こ と が あ る.
セ ン トが 弁 別 的 に機 能 して い た.俗 ラ テ ン語 は,話
し
ラSERA「
言 葉 の傾 向 と して,余 剰 的 に な って い た 量 的 対 立 と ピ ッチ ・ア ク セ ン トを し だ い に失 って い った.そ の結 果,
夕 方 」,俗
同 じ現 象 が 起 き,そ
短 縮 され て,多
音 を 保 存 し た の に 対 し,フ
くの 場 合 には 消滅 して しま う.弱 化 し
い た 名 詞,形 容詞 の格 語 尾 が崩 壊 し,統 語 的構 造 に大 きな 変 化 が生 じる結 果 とな った.
古 フ[〓],
レ ト ・ ロ マ ン ス 語 の ラ デ ィ ン語 と ス ル ミ ラ ン 語 で も
強 勢 の あ る音 節 は,際 立 って 音 色 が 明確 に発 音 さ れ る 一方で ,無 強 勢 の 音 節 は,音 色 が 弱 い た め曖 昧 に な り
た 語 末 の 母 音 が 失 わ れ る に至 って,文 法 機 能 を担 って
ラSERA>
現 フsoir[swar]
る.ス
れ ぞ れ,saira,seiraと
ル シ ル ヴ ァ ン 語 で は,sera.他
ラ ン ス 語 で は,後
ら の 二 重 母 音 は 単 母 音 化 の 方 向 に 進 み,現
現 代 の ロ マ ン ス 諸 語 の 母 音 は,調 (tense)響
と も と短 音 だ った 母 音 は 広 が る傾 向 に な り,近 似 的 な
は,張
き を 有 し て い る.イ
り の あ る 前 舌 母 音 に 特 徴 が あ る の に 対 し て,ポ
ル トガ ル 語 と ル ー マ ニ ア 語 の 母 音 は,比 感 じ ら れ,後
に対 立 す る こ と にな った.こ
う して,量
的
対 立 か ら広 口/狭 口 とい う質 的 な対 立 へ と,母 音 組織 の 再 編 が起 きた の で あ る. ラVIRIDEM「
俗 ラ*VERDE(第2音
節 の 母音 が 消 滅)>
ル=
イ=ス=ポverde,カverd,フvert
舌 化(な い し は,軟
対 立)は,ダ
こ の俗 ラテ ン語 に 推 定 され る進 化 の 方 向 は,ロ マ ン
りわ け,サ ル デ ー ニ ャ語 とル ー マ ニア 語 で は,表1の
よ
うな別 々の体 系 とな っ て い る.
対 に,ケ
ル ト基 層 を 強 調 さ れ る フ ラ ン ス 語 は,
前 舌 化 が 特 徴 で,円
唇 母音 が前 寄 りに発 音 され る円 唇
中 舌 母 音 の 系 列(〓)が
あ る.ま
立 が あ る.通
母音体系
ロ マ ン ス 語 の 子 音 は,一
だ し,イ
般 に,気
音
ル マ ン系 言 語 の 大半 と対照 的
タ リ ア 語 トス カ ナ 方 言 の 無 声 破 裂
音 の 帯 気 音 化 の 現 象 は 指 摘 さ れ る が,有
お よ び,有
声 化(〓)は,ロ
気 音/無
気音
マンス諸語に
広 くみ ら れ る 傾 向 で あ る.そ
ルーマニ ア語
ニ ア 語,イ
で,さ ま ざ ま な 方 向 を た ど っ た.中
で も,原 ロ マ ン ス 語
音 節 広 口 母 音 のeとoと
重 母 音 化(さ >ie,o>uo,ue)は,共 二 重 母 音 化 と よ ば れ る も の で,イ
マ ンス 諸 語
に 起 こ った 二 通 ロマ ンス 語 的 タ リア 語,ス
ペイ ン
ラ ン ス 語 な ど の 多 く の 言 語 に 起 き た. 蜜 」,俗
ラ*MELE>
イmiele,フ
ン ス 語,オ
の 分 布 を み る と,ル
ペ イ ン 語,ポ
ッ ク 語,カ
ル トガ ル 語,レ
ト ・ロ マ
タ ル ー ニ ャ 語 に 起 き て い る の で,
東 西 の ロ マ ニ ア の 区 分 に 相 当 す る.サ は,島
ルデ ー ニ ャ語 で
の 中 部 の 保守 的 な ヌ オ ロ方 言 で 無 声 子 音 が 保 存
さ れ る の に 対 し て,他
の 地 域 で は,西
よ う に 有 声 化 し て い る.フ
ロマ ニ ア と同 じ
ラ ン ス 語 で は,子
音弱化の
段 階 が も っ と も 進 み,〓 ゼ ロ,〓
ーマ
タ リア 語 に は ほ と ん ど み ら れ な い 一 方 で,
フ ラ ン ス 語,ス 強 勢 音 節 で 起 き た 二 重 母 音 化 現 象 は,ロ
ラMEL「
らの に 消失
母 音 間 の 無 声 子 音(‐P‐,‐T‐,‐K‐)の 弱 化(lenition),
サルデー ニ ャ語
語,フ
続 の 鼻 子 音(m,n)か
の 音 韻 論 的 対 立 は な い.
原 ロマ ン ス語
の 段 階 で,開
ラ ンス 語 と
れ を ひ き 起 こ し た 鼻 子 音 は,後
音
で あ る.た
ラテ ン語
た,フ
鼻 母 音 の音 韻論 的 対
さ れ る傾 向 を も っ た. b)子
ル デ ー ニ ャ語 とル ー マ ニ ア語 の
母 音/非
時 的 に は,後
同 化 現 象 で,そ
が 伴 わ な い こ と で は,ゲ
<表1>サ
みが
キ ア 基層 言語 の影 響 に よ る と され
ポ ル トガ ル 語 と に は,鼻
ス 諸 語 にお い て,一 様 に た どら れ た わ けで はな い.と
較 的,弛
口 蓋 化)の 起 き る こ と
が 特 徴 的 で あ る . ル ー マ ニ ア 語 に お け る こ の 現 象(a/ a/iの る.反
緑 色 の」(第1音 節 にア ク セ ン ト),
在 で は,二
音的 に張 りの あ る
狭 口のeに,UとOは eとoと
れ
タ リア 語 や ス ペ イ ン語
長 音 の母 音 と の混 同 が 起 こ った.す な わ ち,IとEは な り,そ れ ぞれ,
に,こ
重 母 音 は 存 在 し な い.
母 音 の長 短 の量 的 対 立 が失 わ れ る こ とに よ って,も
狭 口のoに
な ってい
の言語が二重母
ゼ ロ,に
ま で 至 っ て い る.
スペ イ ン語 の子 音 の 中 で,有 声 子 音 には,破 裂 音 と 両 唇 摩 擦 音 との 区別 が あ る(〓,な
ど).
プ ロ ヴ ァ ンス 語,レ
ト ・ロマ ンス 語 を含 め るの で,ガ
ロ ・ロマ ンス 語的 口蓋 化 と よばれ る こ とが あ る.し か
しか し, これ らは,語 頭 と語 中 母 音 間 とい う2つ の位
し,ガ ロ ・ロマ ンス 語地 域 で あ る オッ ク語 で は この 変
置 に相 補的 に現 わ れ る,ひ とつ の 音 素 の 変種 と して考
化 が な い こ とや,ケ ル ト基層 に よ る と考 え られ る他 の
え られ る. し たが って,音 韻 論 的 対 立 と して は,有 声/
口蓋 化 現 象(3世
無 声 と破裂 音/摩 擦 音 とい う2つ の 系 列 がつ くる四 角
世 紀 以 降)か
形 の 体 系で は な くて,有 声 音 で は 破 裂/摩 擦 の対 立 が
ス語 的 進 化 と断 言 は で きな い で あ ろ う.レ ト ・ロマ ン
な く,ひ とつ の 音 素 しか 設 定 しな い三 角形 の体 系 と い
ス語 の 中で も,ス イ ス の ライ ン川 源流 渓 谷 の ス ル シル
う こ とに な る(表2).
ヴ ァ ン語 で は,隣 接 す るゲ ル マ ン語傍 層 の影 響 で 口蓋
これ も,ロ マ ンス語 の 子 音 の 弱
化 傾 向 が生 ん だ 結 果 で あ る.
<表2>ス
紀 頃)に 比 べ て,か な り遅 い こ と(6
らみ て,ケ ル ト的 す な わ ちガ ロ ・ロマ ン
化 が 阻 まれ た た め か,非
ペイン語 の子音 の有声音/無 声音 と
破裂音/摩 擦音の体系 破裂/摩擦 破 裂/摩擦 破裂/摩擦 破擦/摩擦 無声 有声
口蓋 化 が 進 ん で,ka‐
とな っ
てい る(表4). <表4>ラ
テ ン語 語 頭 閉 鎖 音K+Aの
ラテ ン語
口蓋 化
CAPRA「
俗 ラテ ン語
*KAPRA(音
原 ロマ ンス 語
*KAPRA
山羊 」 素表 記)
ラテ ン語 の 語頭 閉 鎖 子 音(K‐,G‐)の 口蓋 化 現 象 は, ロ マ ンス 諸語 の音 声 的 特 徴 の個 性 を よ く示 して い る. K‐ とG‐ は,前 舌 母 音(i,e)の
前 で は,サ ル デー ニ
ャ語 を除 くロ マニ ア全 域 で 口蓋 化 され て い る.原 ロマ ンス 語 を設 定 す る場 合 に,サ ル デ ー ニ ャ語 を除 外 し分 岐 させ て,こ れ には,原 サ ル デ ー ニ ャ・ロマ ンス 語 とい
ル ー マ ニ ア 語
kapr〓
イ タ リア 語
kapra
オ ッ ク 語
kabra
ス ペ イ ン 語
kabra
ポ ル トガ ル 語
kabra
レ ト ・ロマ ンス 語
う段 階 を考 え る立 場 が あ るが,こ れ が,そ の 理 論 的 根
ス ル シ ル ヴ ァ ン 語
kaura
拠 の ひ とつ で あ る.原 ロ マ ンス 語 に は,し た が って, す で に 口蓋 化 の進 ん だK'‐
とG'‐ を仮 定 す る.こ こ
か ら,東西 の ロマ ニ ア が分 か れ,東 ロマ ニ ア諸 語 で は 破 擦 音(〓),西 な い し〓)に
原 ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 レ ト ・ロマ ンス 語 フ リ ウ リ 語
ロマ ニ ア 諸 語 の 大 部 分 で は摩 擦 音(s 変 化 した(表3).た
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 t∫avra フ ラ ン ス 語
的 で あ る.
2)形 <表3>ラ
k'avre
ヴ ァ ラ ー デ ル 語(vallader)tsavra
だ し,破 擦 音 を も
つ レ ト ・ロマ ンス 語 は,こ の点 につ い て は 東 ロマ ニ ア
*K'APRA
テ ン語 語 頭 閉 鎖 音K‐
ラテ ン語 俗 ラテ ン語
の 口蓋 化
CAELU「
原 ロ マ ン ス 語
類 型的 に 屈折 型 の 言 語 で あ る印
折 語尾 に 担 わせ て い る.と こ ろ が,俗 ラテ ン語 で は, 素 表記)
民 衆 の 話 し言 葉 の常 と して,形 式 上 の 混 同 と経済 原 則 か ら,複 雑 な文 法 組 織 の単 純 化 が進 ん だ.ロ マ ンス 諸
原 サ ル デ ー ニ ャ ・ロ マ ン ス 語*KELU サ ル デ ー ニ ャ 語
態 ・統 語
欧 語 系 の ラ テ ン語 は,文 法機 能 の大 半 を語末 部 分 の 屈
空」
*KELU(音
∫〓vr(〓)
語 は,形 態 の簡 素 化 を経 て,ま った く別 の類 型 の言 語
kelu
へ と脱 皮 す るの で あ る.
*K'ELU
a)曲
用(declension)
名 詞 の 曲 用 の タ イ プ が,
ル ー マ ニ ア 語
t∫er
5つ か ら3つ に数 を減 ら した.5つ
イ タ リ ア 語
t∫elo
部分 が,男 性 名 詞 の 第4曲 用(‐US)は 第2曲 用(‐US)
レ ト ・ ロ マ ン ス 語
t∫el,t∫iel
フ ラ ンス語
の 曲用 型 の うち,大
に,女 性 名 詞 の 第5曲 用(‐IES)は 第1曲 用(‐A)に 吸 収 さ れ,体 系 の 再 編 が 進 ん だ.
sj〓l
b)格(case)体
ス ペ イ ン語 〓jelo
系
名 詞,形 容 詞 の格 に関 し て も,
語 末 部 分 の弱 ま り と脱 落 に よ って,単 純 化 が 起 きた. ラ テ ン 語 語 頭 閉 鎖 音K‐,G‐ と き,口
蓋 化 す る か ど う か で,ロ
の 後 に 母 音Aが
続 く
マ ン ス 諸 語 は2つ
の
早 くか ら,呼 格 は 主 格 に吸収 され て,6つ 5つ に減 って い た.さ
あ った 格 は
らに,対 格 の標 識 で あ る ‐Mの
グ ル ー プ に 分 か れ る. 口 蓋 化 の プ ロ セ ス(KA‐
>k'a‐,
脱 落,Uか
tsa‐,t∫a‐)がみ ら れ る 言 語 に,フ
ラ ン コ・
同 に よ っ て,奪 格 と対 格 が区 別 が つ か な くな った.属
ラ ン ス 語 ,フ
らoへ
の進 化,さ ら に,母 音 の 長 短 の混
格 は前 置 詞 のDEと ADと
奪 格 との,ま た,与 格 は 前 置 詞 の
対 格 との組 み 合 わ せ に よ って,分 析 的 な 迂 言 法
で 表 現 さ れ る よ うに な って い た の で,こ れ らの 格 は 消 え る方 向 に向 か った.
ラFOLIUM「 性複 数)>
葉 」(中 性 単 数)/FOLIA「
葉 」(中
「(集合的)葉 」(女 性 単 数)イfoglia,
フfeuille,スhoja この 文 法 性 の 転 換 を行 な った ラテ ン語 中 性複 数 名詞
《第1曲 用 》
は,集 合 的 な 意 味 で 用 い られ る こ とが 多 く,そ の た め
主
格 AMICA→amica
に,概 念 的 に は単 数 で 使 用 され,文 法 形 式 と して は,
呼
格 AMICA→amica
語 尾 が 同 じ形 の 女 性 名 詞 単 数 を と った の で あ ろ う.た
対
格 AMICAM>amica
属
格 AMICAE→de
amica
詞 は,単 数 の 扱 い で は な く,集 合 的 意 味 を もつ 複 数形
与
格 AMICAE→ad
amica
と して 用 い られ る.
奪
格 AMICA>amica
だ し,ル ー マ ニ ア 語 で は,中 性 か ら女 性 に 移行 した名
ロマ ンス 語 の 名 詞 お よび 形 容 詞 の 性 は,一 般 に,語
《第2曲 用》
尾 の 母 音 の違 い に 示 され て い る.男 性 は,イ タ リア語,
主
格 AMICUS>amico(s)
ス ペ イ ン語 で は ‐o,ポ ル トガ ル 語,サ ル デ ー ニ ャ語 で
呼
格 AMICE→amico(s)
は ‐u,レ ト・ロマ ンス 語,カ
対
格 AMICUM>amico
ル ー マ ニ ア語 で は ゼ ロ標 識 に よ り,女 性 は ‐aに よ り示
属
格 AMICI→de
amico
与
格 AMICO→ad
amico
奪
格 AMICO>amico
タル ー ニ ャ語,オ
ック語,
され る. CABALLU「
馬 」> イcavallo,スcaballo;
ポcavalo[‐u],サkaddu;レcavagl,カcavall,
結 果 と して,格 の 数 は6つ か ら2つ に減 り,さ らに,
オcaval,ルcal(定
冠詞 が後 接 す る と,calu‐l)
語 末 の屈 折 語 尾 は消 失 す る道 を た どっ た の で,語 尾 に
d)数
よ る統 語 機 能 の表 示 は 不可 能 とな り,格 は 消滅 した.
の形 態 素 ‐s/‐iに つ い て は,上 述 の 「 分 布 と言 語 状 況 」
そ こで,前 置 詞 の使 用 が一 層 促 され,他 方 で,文
「 分 類 」 を参 照 され た い.
中の
位 置 に よ る機 能 表 示 の方 法 を と り始 め,し だ い に,語
e)人
ロマ ニ ア の 東 と西 で形 成 法 の異 な る複 数
称 代 名 詞
ロマ ンス諸語 の人称代 名 詞 に
順 が 一 定 して い く. 中間 段 階 の,主 格 と斜 格(な い し,
は,ラ テ ン語 の 名詞,形 容 詞 に あ っ て,後 に消 滅 した
被 制 格)に
格 に相 当す る機 能 を もつ 形 が あ る.す な わ ち,主 語 形
よ る2格 体 系 は,フ ラ ンス 語 とオ ッ ク語 で
は,中 世 中期 ま で保 たれ て い た.現 代 語 で は,人 称 代
(=主 格),直 接 補 語 形(=対
名 詞 や 関 係代 名詞 な どで,部 分 的 に 保 存 され て い るに
前 置詞 格(=奪 格)の4つ
す ぎな い.た だ し,保 守 的 傾 向 を もつ レ ト ・ロマ ンス
人 称 代 名 詞 に は,単 数 と複 数 の 区 別 が あ り,人 称 に
語 とル ー マ ニ ア語 で は,部 分 的 な格 体 系 が 残 存 して い
は3つ が あ る.ラ テ ン語 で は,3人
る.
が な くて,表 現上 必 要 な 場 合 には,指 示 代 名 詞 の 遠 称
c)性
ラテ ン語 に3つ あ っ た文 法 上 の性(男 性,
女 性,中 性)は,ロ
マ ンス 諸語 で は,中 性 が 男性 と女
性 に吸収 され て,2つ
に減 っ た.そ の理 由 も,屈 折語
で あ るILLEの て は,fの
格),間 接 補 語 形(=与
格),
で あ る.
称の固有の代名詞
系列 を用 いて い た(指 示 代 名 詞 に つ い
「 指 示 詞 と 冠 詞 」 を 参 照).そ
ロマ ンス 諸語 にお い て も,1・2人
の た め に,
称 で は 男 性,女 性 の
尾(‐S,‐M)の 消 失 か ら説 明 され う る.男 性 名 詞(主 格
区 別 が な いの に対 して,3人
形 ‐US)と 中 性 名詞(主 格 形 ‐UM)の 区 別 は,古 典 期 の
る.た だ し,ス ペ イ ン語 で は,nos,vosの
俗 ラテ ン語 で,す で に 混 同 され て お り,中 性 名 詞 は男
TEROS>)otros,(ALTERAS>)otrasが
付 けら
性 名 詞 に移 行 して い った.た だ し,バ ル カ ン言 語 群 の
れ て強 め られ て い る ので,1・2人
称 で あ って も,複 数
中 で,ギ
形 主格 に限 り性 が 区別 さ れ る.ま た,3人
リシ ア 語や ス ラ ヴ語 の 傍層 的 影 響 を受 け て形
称では性の区別 が な され 後 に(AL
称で は,中 性
成 され た ル ー マ ニア 語 は,比 較 的 忠 実 に,ラ テ ン 語の
代 名詞 を もつ.主 な ロマ ンス 諸 語 の 人 称 代 名詞 の 対 照
中 性 名 詞 を残 して い る.た とえ ば,ラ テ ン語 中 性 名詞
を,表5に
のCAELUM「
地 理 的 な 閉鎖 性 や,国 外 へ の発 展 に伴 う他 の 言 語 と
空 」は,男 性 名 詞 化 してCAELUS,
CAELUM,CAELI,… ELU(M)か
tschel,フcielな のcerは,中
とな り,こ の対 格 形 のCA
ら,ロ マ ンス 諸 語 の,イ=スcielo,レ ど を生 ん だ.た だ し,ル ー マ ニ ア語
性 で あ る.
中性 名 詞複 数 の ‐Aが,女
あ げ る.
の接 触 に よ り,ロマ ンス 語 は,さ ま ざ ま な変 種 を生 み 出 した . ス イ スの レ ト ・ロ マ ンス 語 系 ス ル シル ヴ ァ ン語 は,非 強 勢 の 目的 格 人 称 代 名 詞 を もた な い.そ れ は, ク リオ ー ル で も同 様 で,強 勢 形 目的 格 人 称 代 名詞 が動
性 名 詞 の 単 数 形 と形 態 上
詞 の 後 に おか れ る.
は一 致 す るた め に,女 性 名 詞 の カ テ ゴ リー に移 行 して
正 書法 の確立 した 文 章 語 と して 発 達 しな か った方 言
い く.
で は,話 し言 葉 の 特 徴 と して.非 強 勢 形 の 人称 代 名 詞
<表5>ロ
マ ンス 語 の 人 称代 名 詞 〔 単
人 称
数 〕
〔 複
格 (ラ)
1
(フ)
(イ)
(ス)
数〕
(ラ)
(フ)
(イ)
(ス)
主 対 与 奪
2
主 対 与 奪
3(男)
主
対 与 奪 3(女)
主
対 与 奪 注:(ラ)=ラ テ ン 語,(フ)=フ 一 部 を 示 す(*印 は 会 話 体) .
は 動 詞 に 接 辞 的 に 付 け ら れ,否 構 成 に も か ら ん で,こ を もつ.フ
ラ ン ス 語,(イ)=イ
定 詞 や 命 令 法,倒
タ リ ア 語,(ス)=ス
置の
み 入 っ た 形 態 上 の ヴ ァ リア ン ト
ラ ン ス の フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 の俚 言
や レ ト ・ロ マ ン ス 語 諸 方 言,ま
た,カ
タル ー ニ ャ語 の
人 称 代 名 詞 の 複 雑 さ は 顕 著 で あ る. f)指 (近 称
示 詞 と冠 詞
「あ れ 」)の 体 系 は,ロ
称
ャ 語 の ほ か,サ
マ ン ス 語 で は,こ
そ れ に 代 わ り,全
近 称 と遠 称 だ け の2つ
タル ー ニ
る 傾 向 が あ り,強
調 辞 のECCE「
語 は,ECCE+ILLE(ILLUM)に 示 詞 を も っ て い る . 近 称 で は,中 ラ ン ス 語,カ
レ ト ・ ロ マ ンス 語,オ
称HICを
失 っ て,
体 と し て,新
た に,
示 の 意 味 が しだ い に薄 れ
付 け て 補 強 せ ざ る を え な か っ た.す
イ ン 語,ポ
法 は,イ
の 指 示 体 系 と な っ た.
機 能 上 の 変 化 と し て は,指
見 よ,ほ
ら」 を前 に
て 近 称 の も の を さ す こ と が 多 く,さ
詞 の 限 定 詞 と し て 前 置 され(つ れ)る
よ う に な っ た.ル
語
味 が弱 化 し
ら に,‐la la‐bas
ら の 影 響 で,後 れ が,ラ
ラ ヴ語 か
テ ン語 に は な か っ た 冠 詞 の 出 現 で あ る.
現 代 ロ マ ンス 語 に お い て も,な
お,定
冠 詞 が 指 示詞
的 な 機 能 を み せ る こ と が あ る . 最 上 級 で,形
容 詞,副
詞 の 前 に 付 け ら れ る 定 冠 詞 は,指
示 的 機 能 の 一例 で あ
る.ま
サ メ ー ダ ン の 人 々」,
スel
た,レils de
mi
da padre「
Samedan「
私 の 父 の そ れ 」 で は,指
特 に 人 名 の 前 に 付 け て,愛
ル デ ー ニ ャ 語,
接 的 に付 加 さ
置(前 接)さ れ る こ と が 特 徴 で あ る.こ
由 来 す る遠 称 の指 央 ロマ ニ ア の イ タ リ
ま り,後
ー マ ニ ア 語 で は,ス
詞 的 な 用 法 で あ る.多
ッ ク 語 な ど で,ECCE+ISTE
ル トガ ル 語,ル
称/
さ ら に 補 強 す る.口
称 の ‐laの 付 加 が な さ れ て も,意
べ て の ロマ ンス 諸
タ ル ー ニ ャ 語,サ
タ イ プ を,周
代 フ ラ ンス 語 で は,近
遠 称 の 対 立 す ら 薄 れ,‐ci/‐laを で は,遠
)内 に 交 替 形 の
ロ マ ン ス 語 の 段 階 で 指 示 機 能 を 失 っ た 指 示 詞 は,名 称
ル デ ー ニ ャ 語 な ど で 受 け 継 が れ た が,
中 称 のISTEが
(ISTUM)の
の3分
ル ト ガ ル 語,カ
イ タ リア 語 と フ ラ ン ス 語 で は,近
ア 語,フ
の 指 示 詞HIC
「そ れ 」),ILLE(遠
ベ リ ア 半 島 の ス ペ イ ン語,ポ
け な い ま ま の 形 を も つ.現
た,(
と 強 調 さ れ る こ と も あ る.
ラ テ ン 語 の3つ
「こ れ 」),ISTE(中
ペ イ ン 語.ま
加 え る こ と も あ る.フ
示代 名
くの ロ マ ン ス 諸 語 で,固 有 名 詞, 情,皮
肉 な どの 意 味合 い を
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 で は,そ
れ を親 し い 女 性 の 名 前 に の み 付 け る 地 域 が あ る. g)動
詞
4種
類 の 活 用 型(‐A‐,‐E‐,‐E‐,‐I‐)
辺 部 の ロ マ ニ ア で は,ス
ペ
が あ っ た ラ テ ン 語 の 動 詞 は,ロ マ ン ス 諸 語 で は,‐E‐ 型
ー マ ニ ア 語 で,ECCEを
付
と ‐E‐型 と が 融 合 し て 数 を 減 ら し た.不
規 則 動詞 は 単
純 化 さ れ て,規 ESSE「
スSe
則 動 詞 に と り込 ま れ た.
∼ で あ る」 →*ESSERE>
欲 す る 」→*VOLERE>
現 代 の ロ マ ン ス 諸 語 で は,‐ARE型
の 創 造 は,ほ
vivir. vivre.
フ ラ ンス語 で は,こ の よ うな 非 人 称 的 な 用 法 に対 し
イvolere,
フvouloir
‐ar,‐erが,も
para
travaille pour
「(人は)生 きる た め に働 く」
フetre,ス=ポser VELLE「
trabaja
cf.フOn
イessere,
に 由 来 す る ‐are,
っ と も 生 産 的 な 動 詞 の 形 成 法 で,新
語
た も の と考 え られ,レ
ト ・ロマ ンス 語 に も同 じ用 法 が
み られ る.
と ん ど が こ の 型 に よ っ て い る.
ロ マ ン ス 語 の 動 詞 が 人 称 と数 に 従 っ て 活 用 し,法 態 と 時 制 を も つ こ と は,ラ
て は,不 定 人 称 代 名 詞 のonを 用 い る.こ の 使 用 は, 一 般 に,ゲ ル マ ン的 統 語 法 か らの 影 響 の も とに 発 達 し
と
h)語
順
ラ テ ン語 で は,名 詞句 の構 成 は,屈
折 語 尾 で 統 語 関係 が 明確 だ った た め に,形 容 詞 の 位 置
テ ン 語 と変 わ ら な い が,そ につ
が比 較 的 自 由 で あ っ た.名 詞 の 前 にお く傾 向 は 強 か っ
い て は,ラ
テ ン語 の 接 続 法 に担 われ て いた 多 くの機 能
た もの の,直 前 の位 置 で な く離 れ て い る場 合 が 多 か っ
の う ち,仮
定 の 叙 法 が 整 理 さ れ,ロ
た. ロ マ ンス 諸語 で は,形 容 詞 は,名 詞 の す ぐ前 か 後
の 内 部 で,体
系 的 再 編 が な され た.す
な わ ち,法
マ ンス 諸 語 で は, な っ た.
ろ に付 くの で,(限 定 詞)(形 容 詞)名 詞(形 容 詞)の 構 成
助 動 詞 として
で あ る.た だ し,ル ーマ ニ ア語 で は,限 定 詞 の 冠 詞 は
条 件 法(フconditionnel,イcondizionale)と こ の 形 は,俗
ラ テ ン 語 の*HABEREを
形 成 さ れ た 迂 言 法 が 起 源 で,*HABEREは,動 用 語 尾 と な っ た.こ
の 形 成 法 は,直
詞 の活
説法の未来形のそ
れ と ま っ た く平 行 し て い る . す な わ ち,条 ず な に よ り も,直
に,過
ペ イ ン語 で は,条
ロ マ ンス 諸 語 で の傾 向 は,価 値 的 主 観 的 判 断 を 示 す 品 質 形 容 詞 は前 置 され,分 析 的 客 観 的 な 特徴 を 示 す 識 別
件 法 は,ま
説 法 の過 去 未 来 と し ての 機 能 を もっ
て い る の で あ る(ス
後 置 され る の と同様,一 般 的 に,形 容 詞 も後 置 され る.
件 法 と は よ ばず
形 容 詞 は後 置 され る こ とが原 則 的 で あ る.た だ,東 部 フ ラ ンス 語 方 言,フ
ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ンス語,レ
ト・
れ が,意
味
ロマ ンス 語 で は,ラ テ ン語 の 伝 統 で あ る前 置 の 傾 向 を
確 実 さ と 主 観 的 判 断 を 強 く伴 うた め に,条
件
保 存 して い る . しか し,こ れ に は,ド イ ツ語 か らの 傍
去 未 来 な い し は 可 能 未 来 と い う).そ
的 に,不
の 仮 定 と そ の 帰 結 に 用 い ら れ る よ う に な っ た.し っ て,中
ペ イ ン 語 な ど で は,接
層 的 影 響 で あ る とす る説 も強 い.
代のイ タ
動 詞 句 の語 順 は,動 詞 に対 して,目 的語 の 名 詞 は 後
続 法 の機 能 と部 分 的
置 され るの が 原 則 で あ る.た だ し,直 接,間 接 の 目的
世 の ロ マ ン ス 諸 語 で は も と よ り,現
リア 語,ス
たが
補 語 の 人 称 代 名 詞 は,非 強 勢 形 に関 して は,前 置 され
に 競 合 状 態 に あ る. CANTARE+HABEBAM(HABEBAMは
未
る(後 接 的 で あ る)の が 一 般 的 で あ る.し か し,文 頭 に
完 了 過 去)「 私 は 歌 う で あ ろ う 」 > スcantaria,
非 強 勢 形 が 立 ちそ う な場 合 には,ト
フ(je)chanterais
文 頭 で は,こ れ を避 け るた め に,動 詞 の後 ろ に お く こ
CANTARE+HABUI(HABUⅠ
は 完 了 過 去)
た だ し,レ
ト ・ ロ マ ン ス 語 で は,条
とが 多 く,肯 定 命 令 文 で は,特 に規 則 的 で あ る. フ Il me
「私 は 歌 う で あ ろ う」 > イcanterei
le dit.
「彼 は 私 にそ れ を言 う」
件 法 は あ ま り発
(il:3人
達 して い な い . ラ テ ン語 の 受 動 態 は,活
me:1人
用 語 尾 の 屈 折 部分 で 表 わ さ
称単 数 人称 代 名 詞,主
「私 に」;le:中
を起 源 とす る助 動 詞 と過 去 分詞 を用 い た分 析 的 な形 成
れ を」;dit:direの
法 を 発 達 さ せ た.
「(彼は)言 う」)
フetre
イessere
chante「
cantato
,
フ Ne
レgnir
「彼 は」;
性 代 名詞,直 接 目的補 語 形 「そ 直説 法3人 称 単 数 現 在形
le dites pas!
「 私 に そ れ を言 わ な いで くだ さい 」
歌 わ れ る 」(不 定 法 形)
*VENIRE+CANTATU>
me
語形
称 単 数 人 称代 名 詞,間 接 目的 補 語形
れ て い た が,ロ マ ン ス 諸 語 で は,*ESSERE,*VENIRE
*ESSERE+CANTATU>
ピ ック の お か れ る
chantieu
フ Dites‐le‐moi!
「同 」
「 私 に そ れ を言 っ て くだ さい 」
こ の 受 動 形 は,他
動 詞 の 行 為者 が明 示 され な い ラテ
文 中 の 語順 は,ラ テ ン語 屈折 語 尾 が 有 して い た統 語
ン 語 の 中 間 態(中 動 態)の 機 能 を 表 現 す る た め に も 用 い
標 識 が 消 失 した た め に,ロ マ ンス 諸 語 で は,一 定 化 の
ら れ た が,ロ
方 向 に進 ん だ.一 般 的 原 則 として は,ラ テ ン語 が 動 詞
マ ン ス 諸 語 で は,動
詞 を人 称 代 名 詞 の 再
帰 形 と 結 び つ け て 構 成 す る 方 法 を 好 む.さ 動 詞 の 意 味 機 能 の 中 に,「
lavora
per
帰
自動 詞 的 な 」用 法 と し て と り
込 ま れ る よ う に な っ た. イ Si
ら に,再
を文 末 に お い て い た の に対 して,ロ マ ンス 語 で は,文 中第2の
位 置 に お く.そ れ は,主 語 の 標 識 が,名 詞 に
関 して は,文 頭 の位 置 に あ る とい う語 順 関 係 で しか 表 vivere.
示 され な いた めで あ る.
他 動 詞 文 の 場 合 に は,主 語 が 前 置 され て 目的 語 が後
そ あれ,ラ テ ン語 の 直 接,間 接 の影 響下 に あ っ た.そ
置 され る とい う,S+V+Oの
れ ぞれ の言 語 が,形 成 期 に,ど の よ うに ラ テ ン語 文 明
タイ プ が一 般的 で あ る.
しか し,自 動 詞 文 に おい て は,主 語 は 動 詞 の前 よ り後
とか か わ って きた か に よ り,語 彙 上 の多 様 性 が生 じて
ろ にお か れ る傾 向 が あ る.自 動 詞 と他 動 詞 とで語 順 が
い る と言 え る.
変 わ る とい う現 象 自体 は,そ
こに,能 格 的 な構 成 をみ
ロマ ンス 諸 語 の 間 に み られ る語 彙 上 の 分 化 の主 な原
る こ と もで きる.行 為 者 が 明 示 的 で な い場 合 に,動 詞
因 は,上 述 の よ うに,非 ロ マ ンス 語 系 の 言 語 との 干 渉
の 語尾 変化 に よ って 示 され るか,前 接 的(enclitic)な
で あ る(「 ロマ ンス 諸語 へ の分 化 」 を参 照).ロ
代 名 詞 に よ って動 詞 に添 加 され,文 の焦 点 は,動 詞 の
語 形 成 期 に接 触 の あ っ た,ラ テ ン語 以 外 の 基 層,上 層,
プ ロセ ス その もの に移 る の で あ る.す な わ ち,(ト ピ ッ
傍層 の 言 語 か ら吸 収 した膨 大 な 数 の 単 語 を考 慮 に入 れ
ク)+ 動詞 +被 動 作 者 の構 成 が,原 則 として こ こ にみ
ね ば,ロ マ ンス 諸 語 の 語 彙 に認 め られ る多 様 な個 性 を
ら れ るこ とに な る.
理解 で き な いで あ ろ う.中 で も,ル ー マ ニ ア 語 は,他
た だ し,フ ラ ンス 語,レ 詞 文 で も,V+S+Oの
ト ・ロマ ンス 語 で は,他 動
語順 を と る こ とが あ る.そ
れ
は,副 詞 句 が 文 頭 に くる場 合 にほ とん ど限 られ る の で,
の ロ マ ン ス諸 語 との 共 有 率 は 小 さ く,逆 に 強 い 干 渉 を 受 け たス ラ ヴ民 族 か らの 単語 は,日 常 的 な 基 礎語 彙 の 中 に も約2割 が 含 ま れ る.
ゲ ル マ ン語 か らの上 層 な い し傍層 的 干 渉 現 象 と して解
ルceas「
釈 され る.
HORA>
[語
彙]
系統 的 に ひ とつ の グ ル ー プ に属 して い
る ロマ ンス 諸 語 は,語 彙 の 内 部 的 共 通性 が顕 著 で あ る
マ ンス
時 間」(cf.ロ
シア語〓,ラ
テ ン語
スhora,イora,フheure)
ルrazboi「
戦 争 」(cf.ロ
ン語*WERRA>
シア 語〓,ゲ
ルマ
イ=スguerra,フguerre)
こ とは 言 うま で もな い.基 礎 語 彙 中 に 占 め る共 通 語 彙
た だ し,17世 紀 以 降 に,ル ー マ ニ ア 語 が 借 用 した ラ
の 割 合 は,主 要 な ロマ ンス 語 を とれ ば,40パ ー セ ン ト
テ ン語 系 の 単語 は,膨 大 な 量 にの ぼ る,特 に,19世 紀
程度 で あ る.ゲ ル マ ン系 の 単 語 が流 入 して い る フ ラ ン
中頃 か ら,フ ラ ンス 語 に新 語 の供 給 源 を 求 め た た め に,
ス 語 と,ア ラ ビア語 の 語 彙 を 多数 受 け入 れ たス ペ イ ン
約40パ
語 との共 通 語 彙 は約65パ
日常 的 な語 彙 に関 す る限 りで は,ラ テ ン語 系 の 比 率 は
ー セ ン ト,イベ リア半 島 内 の
隣 接 した2言 語 で あ るス ペ イ ン語 と ポル トガ ル 語 との 間 に は,90パ
ー セ ン トが フ ラ ンス 語 系 の 単語 で 占 め られ る.
80パ ー セ ン トにの ぼ る とい う統 計 が あ る.
ーセ ン トもの共 通 部 分 が あ る.現 代 の 技
レ ト ・ロ マ ンス 諸 語 の 語彙 の うち で は,ゲ ル マ ン語
術 用 語 や 専 門 分 野 の 語彙 領 域 にお い て は,ラ テ ン語 か
か らの 影 響 が顕 著 で あ る.ラ テ ン語 系 の単 語 が75パ ー
ら の借 用,類 似 の派 生 法 に よ り,ロ マ ンス 諸語 の 語彙
セ ン ト,ゲ ル マ ン語 系 が19パ ー セ ン ト,ケ ル ト系 が
的 一 体 性 は きわ め て 強 い と言 え る.
2.5パ ー セ ン ト,そ の他 が3.5パ ー セ ン トに数 え られ
む し ろ,言 語 ご とに異 な る部 分 に 注 目 して,そ の多
る.こ の 比 率 は,3つ
様 性 に関 心 が 向 け られ る.ロ マ ンス 諸語 の語 彙 の類 別
ュ語,ド
は,ラ テ ン語 か ら継 承 した 大 半 の語 彙 と,ラ テ ン語 以
し く認 め られ る こ とや,内 部 で 共 通 語 彙 の割 合 が 高 い
外 の 言 語 に起 源 を もつ 語 彙 とに分 け て考 え られ る.ラ テ ン語 系 の単 語 は,俗 ラテ ン語 の時 代 に民 衆 の 間 で 使
の で,レ ト ・ロマ ンス 諸 語 が一 つ の グ ル ー プ と して の 一 体 性 を もつ と主 張 され る.
わ れ て い た語 形 を,ロ マ ンス諸 語 の 語 彙 と して 受 け 継
現 代 で は,こ の よ うに,ロ マ ン ス 諸語 の 間で な され て
い だ の で あ るか ら,そ の た め,文 章 語 と して の 古 典 ラ
きた 語 彙 の 貸 し借 りの関 係 を,過 小 に評 価 し て は い け
テ ン語 の もの とは異 な った単 語 を も って い る こ とは 当
ない.文 芸 復 興期 の イ タ リア語,近 代 絶 対 王 政 時 代 の
然 で あ る.ロ マ ンス 諸語 の語 彙 には,同
じ ラテ ン語 系
の下 位 言 語 グル ー プ(ロ マ ン シ
ロ ミテ ・ラデ ィ ン語,フ
フ ラ ンス 語,そ
リウ リ語)に ほ ぼ 等
して,現 代 の技 術 文 明 時 代 の専 門 用 語
の単 語 で も,近 似 的 な意 味 領 域 を も ち,語 形 も相 似 し
の 供 給 源 と して の フラ ンス 語 な どが 果 た した 役 割 は大
て い る組 み 合 わ せ(「二 重 語 」)が相 当数 存 在 す る.
きい.強 大 な 国家 の 力 を背 景 に して 文 化 的 優 位 に立 つ
フfrele「 か 弱 い」/fragile「 壊 れ や す い」(< ラ
各 国 の標 準 語 が,周 辺 の弱 小 言 語 や 方 言 に及 ぼ す 語 彙
FRAGILIU)
的 な 影 響 力 は計 り知 れ な い.し か し,異 質 の 文 化 で あ
フchose「
もの」/cause「
原 因,訴 訟」(< ラ
CAUSA)
るゲ ル マ ン語や ス ラ ヴ語 か らの 影 響 を一 方 的 に受 け 入 れ る よ りは,空 間的 に離 れ て い て も,親 しい ロマ ンス
そ の原 因 は,一 方 で,民 衆 の 間で 自然 な音 声 と意 味
語 系 の 語 彙 や造 語 法 を と り入 れ る方 を選 ん で い る よ う
の 変化 を経 た,身 近 で 具 体的 な 意味 を もつ 民 衆 語 が あ
で あ る.
る と と もに,他 方 で,ラ テ ン語 か ら直 接 借 用 して 造 語
[ロマ ンス語 の文 化 的 特 質]
ロマ ンス 諸 語 の過 去
した 抽 象概 念 的 な学 識 語が 存 在 す るか らで あ る.ロ マ
と現 在 と を通 じて,そ の深 部 に脈 々 と流 れ る 「ロマ ン
ンス 諸 語 は,歴 史 の どの時 期 を と って も,程 度 の 差 こ
ス 語 性」 と も言 うべ き特 質 を求 め る な らば,以 下 の よ
ロ マ ン ス 語 の 言 語 史 は,社
う にま とめ られ るで あ ろ う. 1)分
岐 的発 展 と収 束 的 進 化 世 界史 上,も っ とも
強 大 で 統 合 的 な ロー マ帝 国 が分 裂 し崩 壊 し た の ち,多
会 文 化 の 歴 史,特
[参 考 文 献]
個 々 の ロ マ ンス 諸 語 に関 す る参 考文
献 に つ い て は,そ
に応 じた 民 衆 の地 域 通 用 語(リ ンガ ・フ ラ ンカ)と して,
に は,ロ
ロマ ンス 諸 語 が形 成 され た.中 世前 半 まで は,言 語 社
研 究 書 の み を 掲 げ る.
会 の 質 的 変 化 の流 れ に沿 った 多 様 化,分 化 の時 期 で あ
1)書
る.中 世 後 期 か ら国 家 形 成 期 を経 て,社 会 文 化 的 な 成
Bal,W.et
れ ぞ れ の 項 目 を 参 照 さ れ た い.以
マ ン ス 諸 語 全 般 に つ い て の,書
誌,雑
誌,概
下
説 書,
誌 J.Germain(1982),Guide
de
熟 へ と向 か い,政 治 的,経 済 的 な 権 力 を集 中す る大 都
bibliographique
linguistique
romane(Cabay,
市 を求 心 地 と した ロマ ンス 諸 語 の い くつ か が 大 言 語 と
Louvain)―
して 傑 出 す る.周 辺 地 域 の 弱 小 言 語 は,吸 収,淘 汰 さ
す く分 類 し 解 題 し て あ る が,ガ
が ら,収 束 的進 化 をた ど って きた.ル ネ ッサ ンス を契
芸
文 化 の 歴 史 と 切 り離 す こ と は で き な い.
くの 民族 との接 触 に よ っ て,お の お の の地 域 の独 自性
れ て い き,大 言 語 の 間 で も互 い に影 響 を及 ぼ しあ い な
に,文
入 門 者 向 け に,テ
ー マ 別 に 分 か りや ロ ・ロマ ンス 語 に重
点 が お か れ て い る. Bibliographia linguistica(Spectrum,Utrecht,
機 と して,ロ マ ンス 語 諸 国 の 間 に,互 い に密 接 な 文 化
1939‐)―
言 語 学,文
的 関 係 が は ぐ くまれ,言 語 の 面 で も,相 互 に干 渉 の 方
が,特
マ ンス 諸 語 研 究 とロ マ ンス 言 語 学 の分
向 を強 め て き た.ロ マ ンス 諸 語 の ケ ー ス は,個
々の 独
自性 を発 展 させ なが ら も,収 束 的 進 化 を とげ て きた 典 型 的 な ケ ー ス と言 え る. 一例 を とれ ば,中 世 の フ ラ ンス で は,南 フ ラ ンス の オ ッ ク語 リモ ー ジ ュ方 言 が,実 用 言 語 と して も文 学 作 品 創 作 の言 語 と して も共 通 語 の 役 割 を果 た し,広 い 地 域
った そ の地 方 の 言 語 が,フ
ラ ンス 全 土 の 公 用 語,そ
し
て,標 準 語 と して,強 い 影 響 力 を もつ よ う にな った の で あ る.フ ラ ンス の 絶 対 王 政 の 時代 には,文 章 語 と し て の完 成 を め ざ して,作 家,文 法 家 た ち に よ って,た ゆ ま ぬ 努力 が な され て きた.そ の 頃 か ら,フ ラ ンス は,
2)ラ
テ ン語 文 化 へ の帰 属 意 識
ロマ ン ス 諸 語
は,そ の 歴 史 の どの 時代 を とっ て も,ラ テ ン語 の 直接, 間接 の影 響 下 にあ った.ど の言 語 も,そ の ご く初 期 の 時 代 を除 いて,形 成 期 か ら成 熟 期 に か け て は,ほ
とん
ど常 に ラテ ン語 を念頭 に お いて,文 法 を整 理 し,語 彙
des
langues
―主 に,オ
ッ ク 語,カ
de linguistique
Philology(Berkeley/Los
1947‐)― る に は,必
須 の 雑 誌.
Romania(Paris,1872‐)―
々の言 語 が 自然 な進 化 の趨 勢 に
ま か せ て発 展 した とい う よ り,そ れ は,む
しろ,ヨ ー
ロ ッパ の大 き な歴 史 的 出 来 事(十 字 軍,ル ネ ッサ ンス, 古 典 主義,19世
っ と も権 威 の あ る ロ マ ン ス
文 献 学 の 専 門 誌. Romanica(Bern,1936‐)―
ガ ロ ・ロマ ン
ス 語 と レ ト ・ロ マ ン ス 語 の 分 野 に 詳 し い . ス イ ス の ロ マ ン ス 言 語 学 ・文 献 学 会 の 機 関 誌 で も あ る. Zeitschrift
fur
romanische
Tubingen,1877‐)―1世
紀 の地 域 ナ シ ョナ リズ ムの 興 隆,な ど)
を契 機 と して,共 通 の 言 語 文 化 的伝 統,す な わ ち,ラ テ ン語 や 文 化 的 に有 力 な 言 語 に範 を求 めつ つ,意 識 的 に,進 化 の流 れ に対 して 抵 抗 して きた 結果 と言 え る.
Philologie(Halle/ 紀 以 上 に わ た り,ド イ
ツ の み な ら ず ヨ ー ロ ッ パ の ロ マ ン ス 語 学 ・文 献 学 を っ と も重 要 な 専 門 誌 の ひ と つ.特
に,
冊 の 書 誌 の 網 羅 的 な こ とで は 比 類 が な い.
Romanische
Bibliographie(M.Niemeyer,Halle/
Tubingen,1886‐) 『ロ マ ン ス 語 研 究 』(日 本 ロ マ ン ス 語 学 会,東 京,1967‐) 2)概
説 書,研
究 書(語
源 辞 典 も含 む)
Agard,F.B.(1984),A
好 む傾 向 に あ る. ロマ ンス諸 語 は,個
パ リス(G.Paris)
に よ っ て 創 刊 さ れ た,も
次 の,別
さ らさ れ て い るル ー マ ニ ア 語 や レ ト・ロマ ンス 語 で も,
Angeles,
ア メ リカ の ロマ ンス語 学 界 の 動 向 を知
と とも に,言 語 上 の 規 範 意 識 が生 ま れ る と,文 人,学
ス ラ ヴ語 や ドイ ツ語 よ り,ラ テ ン語 系 の新 語,造 語 を
romane(Paris,1925‐)
―国 際 ロ マ ン ス 語 学 会 の 機 関 誌 . Romance
育 て て き た,も
意 識 的 に練 りあげ て い った,異 民族 の 言 語 との接 触 に
タル ー ニ ャ語 な どの 語 学 文 統 的 な ロマ ンス語 文 献 学 の 立
場 を 保 つ. Revue
を 豊富 に して い った.国 家権 力 の集 中 化 や 社 会 の安 定
者 た ち が,綿 密 に,自 分 た ち の 表 現 手 段 と して の 言 語 を
romanes(Montpellier,1870‐)
学 研 究 の 専 門 誌 で,伝
Vox
言 語 と文 化 の供 給 国 とな った の で あ る.
献 学 の総 合 的 な書 誌 で あ る
野 は 充 実 し て い る. Revue
に用 い ら れ て いた.そ の 後,政 治 的 中心 が,イ ル ・ド・ フラ ン ス地 方 のパ リ に定 着 す る と,一 方 言 にす ぎな か
に,ロ
Linguistics,2
Course vols.(Georgetown
Press,Washington,D.C.)―
Romance University
そ れ ま で の原 著
者 自 身 の 論 文 や 著 書 を ま とめ て,加 第1巻
in
は 共 時 的 記 述,第2巻
筆 し た も の で,
は通 時 的 記 述 に あ て ら
れ て い る. Anderson,J.M.and Readings
J.A.Creore(eds.)(1972), in
Romance
Linguistics(Mouton,
The
Hague)―
ロ マ ン ス 諸 語 の 多 岐 に わ た る27
Bourciez,E.(1910,19675),Elements
de linguistique
romane(Klincksieck,Paris)―19世
語 別 に記 述
声 面 と形 態 面 の 歴 史 に 詳 し い.
Camproux,Ch.(1974),Les langues (Presses
romanes
Universitaires
U.F. 〕,Paris;日
de
本 語 訳:島
『ロ マ ン 諸 語 』,白 水 社,東 に,ロ
France〔
以 下,P.
岡 茂,鳥
居 正 文 訳,
京,1975)―
一般向 け
Illinois University Feffer
Linguistics(Southern
Simons,Inc.,London/Amsterdam)
Worterbuch
Sprachen(Adolph
der
Marcus,Bonn)
der
B.Schlieben‐Lange(eds.) in
イ タ リア 語,コ の 第1分
第2分
れ た 概 説 書.初
Romance
Languages
Faber,London)―
一般 向
マ ン ス 語 学 を志 す 学 生 向 け に 書 か 期 文 献 や 中 世 ラ テ ン 語 に つ い て も詳
しい. Reconstruction
Proto‐Romance",Language
冊 で は,オ
of
History
(of
the
York)
―ロ マ ン ス 語 の 形 成 と 社 会 ・政 治 的 状 況 を概 観 す 期 文 献 も紹 介 解 説 し て い る. 次 の,原
ロマ ン
ス語 の音 韻 体 系 を仮 定 し再 構 を試 み た研 究 書 と と も に,ロ
マ ン ス 語 比 較 文 法(Comparative
(Elsevier,New
Romance Oxford
Borrowing
in
the
Blackwell,
タ リア語 とフ ラ ンス語 との語 富 な資 料 を も と
に 論 述 し て い る.
entre vue
Revue ―
et
les langues
de la
romanes
morpho‐syntaxe
de Linguistique
dessemblances
du
du
point
verbe",
RomaneⅩⅩⅩⅢ(Paris)
動 詞 の 形 態 論 的 観 点 に し ぼ っ て ,ロ
マ ンス諸 語
の 分 類 を 試 み た 論 文. Iordan,I.,Orr,J.and
R.Posner(1970),An
School
to
and
Romance
Scholars(Basil
Linguistics,Its Blackwell,Oxford)
的 入 門 書.初 の"Thirty
版 は1937年.こ Years
の 改 訂 新 版 は,ポ ズ ナ ー
On"の
一 章 を 加 え て,訂
し た も の. Kontzi,R.(ed.)(1982),Substrate und in
den
romanischen
Superstrate Sprachen(Wissenschaftliche
―伝 統 的 な 言 語 基 層 と 上 層 の 理 論 を,今
Phonology
日的 知 見
か ら と り あ げ て い る. Lausberg,H.(1969),Romanische 3 vols.(de
Languages(Routledge,London;
ア 語 訳:Linguistica York)―
正加筆
Buchgesellschaft,Darmstadt)
York)
Press,New
タ ル ー ニ ャ語 を 扱 っ て
vols.(Basil
特 に,イ
N.Vincent(eds.)(1988),The
University
ル デ ー ニ ャ 語 な ど,第
ッ ク 語,カ
Romance
シ リ ー ズ を 構 成 し て い る.
― (1976),Proto‐Romance
Harris,M.and
ー
で は,
―ロ マ ン ス 言 語 学 と そ の 学 史 に 関 す る 基 本
Languages(Elsevier,New
GrammarⅠ,Ⅱ)の
在 も刊
で は,ル
ラ ン ス 語(方 言 も含 む),同
Languages,2
26
―(1974),External Romance
る.初
ル シ カ 語,サ 冊 で は,フ
Introduction
Hall,R.A.,Jr.(1950),"The
刊 第3巻
Hope,T.E.(1971),Lexical
de
し い 方 向 を 示 唆 し て い る.
い し は,ロ
の う ち,既
Iliescu,M.(1969),"Ressemblances
Elcock,W.D.(1960,19752),The
け,な
Niemeyer,
彙 的 干 渉 に つ い て 焦 点 を あ て て,豊
romanischsprachigen
Landern(G.Narr,Tubingen)―
and
V,2(1991)(Max
ト ・ロ マ ン ス 諸 語 な ど,第4巻
ロマ ン ス 語 研 究 に 社 会 言 語 学 的 視 点 を と り 入 れ た 点
(Faber
Linguistik
各 言 語 の専 門 家 に よる最 新 の研 究 動
Oxford)―
代 で も 利 用 価 値 が あ る.
で,新
Ch.Schmitt(eds.),
Romanistischen
〔LRL〕,BandⅢ(1989),Band Ⅳ(1988),Band
Romance
判 的 に 参 照 す れ ば,現
sociolinguistik
セ ジュ文 庫 の入 門
い る.
―ドイツ に お け る ロ マ ン ス 語 学 の 創 始 者 に よ る ロ
(1982),Die
Lexikon
5巻
Diez,F.(1887),Etymologisches
Dittmar,N.und
俗 ラ テ ン語 に関 す
書.
マ ニ ア 語,レ
れ た ガ イ ド ・ブ ッ ク.
マ ン ス 諸 語 の 語 源 辞 典 で,批
原 吉 之 助 訳,『 俗 ラ テ
行 中 で あ る.全8巻
― 大 学 の 初 級 授 業 用 に簡 潔 に ま とめ ら
romanischen
村 猛,国 京,1971)―
向 と成 果 を 示 す レ フ ァ レ ン ス 的 な 叢 書 で,現
Press,Carbondale/Edwardsville;
and
vulgaire(P.U.F.,
Holtus,G.,Metzeltin,M.und
Introduction Tubingen)―
J.C.Davis(1975),An to Romance
本 語 訳:新
ン 語 』,白 水 社,東
V,1(1990),Band
セ ジュ 文 庫 の 啓 蒙 書.
Canfield,D.L.and
Paris;日
Latin
る 基 礎 知 識 を 簡 明 に ま と め た,ク
マ ン ス 諸 語 と学 史 につ い て 要 領 よ く概 説 さ れ
て い る,ク
マ ン ス 語 系 ク リオ ー ル に も一 章 を も う け て,
詳 し く解 説 し て い る.
マ ン ス 諸 語 比 較 文 法 の 基 本 参 考 文 献.言 に,音
で,ロ
Herman,J.(1967),Le
紀 的 な 実 証 主 義 的 歴 史 文 法 の 立 場 か ら書 か れ た,ロ
し て お り,特
ン 語 を は じ め,各 言 語 の 類 型 的 特 徴 や 進 化 に つ い て, イ ギ リス 学 派 に よ る 最 新 の 成 果 を と り込 ん だ 概 論 書
編 の 言 語 学 論 文 を 集 め た 論 集.
ラテ
Milano,1971)―
Sprachwissenschaft, Gruyter,Berlin;イ
タ リ
romanza,Feltrinelli, イ タ リア 語 訳 は,原
著者 自 身 に
よ っ て 増 補 改 訂 さ れ た 版 で あ る.体
系的かつ明快 に
解 説 し た 基 本 的 な 文 献 で,適 切 な 図 表 が 付 い て い る. Ludtke,H.(1956),Die des
strukturelle
romanischen
Seminar
an
Entwicklung
Universitat
唆 に富 む 論 点
Romania",Romance North
Notes
Carolina,Chapel
the
Unity
in
(1978),"The
の 書 誌 が 充 実 し て お り,ロ
ロ マ ンス 語 の
巻 は 共 時 的 研 究,第3巻
of Romance
い る.
Los
Philology31(Berkeley/
Angeles)―
Pei,Mario(1976),The Romance
Story
Languages(Harper
York)―
and
and
the
Row,New
Martinet,A.(1955),Economie
des
献.書
構 造 主 義 的 方 法 を通 時 的音 に 集 め て い る.
マ ンス 諸 語 の 問 題 に つ い て は,ケ
しく
論 じ ら れ て い る. Manual of Comparative
Linguistics,Phonology (The
Catholic
Press,Washington,D.C.)― 音 声,形
Morphology
(C.H.Beck,Munchen)―
語 彙 の 面 で,約100枚
の 分 布 図 を 掲載 し て お り,初
級 者 に も読 み や す くさ
れ た ロ マ ン ス 言 語 地 理 学 の 入 門 書. (1986),Panorama
ロ マ ン ス 諸 語 を,
態 の 面 で 概 説 し,歴
史 的 観 点 で比 較 した簡
romanischen
der
Sprachen,4
Leipzig)―
vols.(Reisland,
歴 史 的,実
て,簡
Worterbuch(Carl
代 で も,参
etymologisches 語
略 な 注 解 を 施 し た 大 学 生 向 け 入 門 書.
書.こ
1959).ま
正 した 多 くの専 門 雑 誌 の 論 文 と
考 にす べ きで あ る.
層 理 論 の 検 討,類
der Jahrbuch
ⅩⅤⅢ― ロ マ ン ス 諸 語 の 分 類 を,音
tot de
Hertogenbosch)― 史 的,理
表 も多 い. Romaanse 共時的記述
論的 見 地 に立 つ 入 門 的 参 考
di
linguistica
romanza(Firenze,
た,ス ペ イ ン 語 訳(1963),ド
Vincent,N.and in
声,形
彙 な どの 各側 面 を総 合 して 試 み て い る
点 で 興 味 深 い.
the
イ ツ 語 訳(1968)
Languages,A
Introduction(Doubleday,New
M.Harris(eds.)(1982),Studies
Romance
Verb(Croom
Helm,London)
―個 別 言 語 の 動 詞 形 態 論,統 語 論 に 関 す る 論 文 集. Wartburg,W.von(19502),Die der
Romance
型 論 的対 照 研 究 な ど
も あ る.
Klassifikation
Sprachen",Romanisches
Posner,R.(1966),The
lingue
の オ ラ ン ダ 語 の 原 書 の イ タ リ ア 語 訳 が あ る.
Manuale
romanischen
delle
初 期 文 献 の 解 説,
Vidos,B.E.(1956),Handboek
が,こ
Muljacic,Z.(1967),"Die
origini
romanze(Patron,Bologna)―
彙 の比 較 研 究 にお い て は 必須 参 照 文 献 とな って い る れ を 批 評,訂
Press,
ロ マ ンス 諸 語 の 初 期 文 献 に つ い
と い う よ り,歴
Winter,Heidelberg)―
Texts:An
University
Cambridge)―
Taalkunde('s
(19353),Romanisches
Linguistic
Romance
を 適 切 に と り込 ん だ 優 れ た 入 門 書 で,図
考 書 と し て 必 携 書.
語,語
学 の 初 心 者 向 け の 講 義 のた
Sampson,R.(1980),Early
言 語 基 層,上
証 的 立 場 か ら記 述 さ れ,ロ
マ ン ス 語 学 の 基 礎 を 築 い た 基 本 文 献.現
neolatine
多 くの地 図 を用 い た 言
Tagliavini,C.(19593),Le
Meyer‐Lubke,W.(1890‐1902),Grammatik
態,統
delle lingue
(G.Narr,Tubingen)―
Anthology(Cambridge
of America
潔 な入 門書 .
併 せ て,参
Sprachgeographie
め に 編 集 さ れ た も の.
and
University
filologia
史 的 観 点 か ら詳 細 に提 示 した 基 本 文
語 地 理 学 の 入 門 書 で,大
Mendeloff,H.(1969),A
de
ロ マ ンス 諸 語 全 般
誌 が 詳 し い.
ル ト語 基
層 と 西 ロ マ ンス 諸 語 の 子 音 の 進 化 の 関 係 が,詳
Romance
Philologie(Heidelberg,
(1971),Romanische
diachronique
韻 変 化 の 解 明 に 適 用 し た 論 文 を,主 特 に,ロ
Philologie Ⅰ:Allgemeine
hispanica(Bogota,1957)―
changements
de phonologie
(Francke,Bern)―
は 国 別 の研 究動 向 の概 観 と な って
に わ た っ て,歴
一 般 向 け に 書 か れ た 啓 蒙 書.
Phonetiques,Traits
は 通 時 的 研 究,第2
1950‐52),Ⅲ:Manual of Latin
各 分野
マ ンス 言 語 学 の動 向 と現
Romanistik,Ⅱ:Italienische
題 を 徹 底 的 に 論 じ た 重 要 な 論 文.
Philology,
は 文 献 学 的 研 究 と少 数 言 語
Rolfs,G.,Romanische
ロ マ ン ス 諸 語 の 分 類 と基 準 の 問
and
Hague)―
状 を概 観 す る に は 最 適.第1巻
に つ い て,第4巻
Classification
Linguistics
vols.(Mouton,The
of
内 的 統 一 性 を 批 判 的 に 考 察 した 論 文.
Languages",Romance
Romance
of
18(University
Hill)―
ロマ ン
言語 学的
J.N.Green(eds.)(1980‐82),
Trends 4
in
神 悟 訳,『
京,1982)―
マ ンス 語 学 の 基本 的 な 問題 を 問 い 直 し
Posner,R.and
を 展 開 して い る. Malkiel,Y.(1977),"Factors
間 喜 代 三,長
て い る 丁 寧 な 入 門 書.
Bonn,Bonn)―
母 音 体 系 の 構 造 変 化 を と り あ げ て,示
本 語 訳:風
ス 語 入 門 』,大 修 館 書 店,東 立 場 か ら,ロ
Vokalismus(Romanisches
der
York;日
Bern;フ
romanischen
Ausgliederung Sprachraume(Francke,
ラ ン ス 語 訳:La de
Fragmentation
la Romania,Klincksieck,Paris,
linguistique
1967)―
ロマニ ア の 言 語的 分 割 の原 因 につ い て考
察 す る 論 文 集 で,特
に,ガ
ロ ・ロ マ ン ス とイ タ ロ ・
ロ マ ン ス の 領 域 が と り あ げ ら れ,ゲ
ル マ ン民 族 上 層
の 影 響 を 重 視 し て い る こ と が 特 色.フ
ラ ン ス 語 版 は,
原 著 者 自 身 に よ っ て 改 訂 増 補 され た. (1946),Problemes
et
linguistique(Paris)―
de
la
語
に ガ ロ ・ロマ ンス 語
を は じ め とす る ロ マ ン ス 諸 語 を 扱 う.
い た る時 期 に,焦 点が 当 て られ て い る概 説 書. 日本 語 に よ る概 説 書 と して は,上 記 の翻 訳 書 の ほ か
島 岡茂(1970),『
ロ マ ンス 語 の 話 』(大 学 書 林,東 京)
(1986),『 ロマ ンス 語 比 較 文 法 』(大 学 書 林, 東 京) 片 岡 孝 三 郎(1982),『
ロマ ンス 語 言 語 学 叢 書 』 全5巻
(朝 日出版 社,東 京)
Weinrich,H.(1958),Phonologische
Studien
zur
(富 盛
Sprachgeschichte(Aschendorfi
Verlag,Munster)―
音 韻 論 の 分 野 で,マ
ロマ ンス語 の 通時 的
ル チ ネ(A.Martinet)の
わ
研 究を
継 承 発 展 さ せ て い る. Wright,R.(1982),Late Romance
in
Latin Spain
and
文 献 的 に 資料 の
に,以 下 の も のな どが あ る.
methodes
般 言 語 学 の 方 法 論 に 関 す る 論 考 を 集 め て い る.言
scher
Cairns,Liverpool)―
乏 しい後 期 ラテ ン語か ら,初 期 の ロ マ ンス語 文献 に
ソ シ ュ ー ル 批 判 な ど ,一
地 理 学 の 成 果 も と り入 れ て,特
romanischen
(Francis
Carolingian
and
Early France
ワ ロ ン 語 仏wallon,英Walloon → フ ラ ンス 語
伸 夫)
言 語 名 和 文 索 引
凡
例
本 書 に収載 され た項 目,お よ び,各 項 目内 で言 及 さ れ た言 語 名,方 言 名,語 族 ・語 派 ・ 語 群 ・諸 語名 な どを,可 能 な限 り網 羅 的 に収 録 し,五 十 音 順 に列 挙 した.た だ し,矢 印で 示 した 参 照項 目の採 録 に 当 た って は,適 宜,選 択 して 行 な っ た.な お,本 索 引 に は,同 一 対 象 を 指 示 す る互 い に近 似 した複 数 の表 記 が み られ る こ とが 少 な くな い.こ の よ うな表 記 の微細 な ゆ れ は,名 称 の表 記 が 定 着 して い な い数 多 く の言 語 が 存 在 す る現実 を,そ の ま ま 反 映 して い る. a)「 語 」「 方 言 」「語族 」 な ど,項 目名 の末 尾 に おか れ て い る分 類 上 の 呼称 を除 い た部 分 に 基 づ い て配 列 した. b)清
音,濁 音,半 濁 音 の順 に,ま た,促 音/拗 音 な ど小 書 きで表 記 した音,直 音 の順 に
配 列 した. c)長
音 記 号 「ー」 は,こ れ を無 視 して 配 列 した.た だ し,ふ た つ の仮 名 表 記 の違 いが
「ー」 の有 無 の み にか か って い る場 合 は,「 ー」 の あ る方 を 後 に お い た. d)上
記 に よ って も,項 目間 の序 列 を決 定 で きな い場 合 は,末 尾 に くる分 類 上 の 呼 称 の
五 十 音 順 に配 列 した. こ こに い う 「 分 類 上 の呼 称 」 と は,以 下 に掲 げ る もの,お よ び, そ れ らの組 み合 わ せ を さす. 1)グ
ル ー プ,言 語,語,語
2)基
語,祖 語,口 語,文 語,文 章 語,共 通 語,標 準 語,な
e)参
照 項 目 は,矢 印(→)の
群,語 族,語 派,諸 語,方 言,な
後 に,項 目名,ペ
ー ジ数,段(l〔
ど.
ど. 左 段 〕,r〔 右 段 〕)を こ
の順 序 で 示 した. f)参
照 項 目 が本 文 の 見 出 し項 目で あ る場 合(空 見 出 し項 目 で あ る場 合 も含 む)は,そ
の 項 目名 を 太字 で 示 し,空 見 出 し項 目を 除 い て,矢 印 を省 い た. なお,本 索 引 は,ス ペ ー ス の関 係 か ら,和 文索 引 の み に と ど め た.欧 文 に よ る詳 細 な索 引 は,本 書 の 本 体 で あ る 『 言 語 学 大 辞 典 』第5巻
「 補 遺 ・言 語 名 索 引 編 」を 参 照 され た い.
ア ル メ ニ ア 語 派 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ あ
パ 語族 80r
ア イ オ リ ス方 言 → ギ リシ ア 語 154
ア ル モ リ ッ ク語
→
ロ マ ン ス諸 語
544r
r
52r イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l イ タ ロ ・ケ ル ト語 派 → ロ マ ン ス諸 語 539r
ア イ ス ラ ン ド語 1l
ア レ ッ ツ ォ方 言 → イ タ リア語 39r
ア イ ト リ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154
ア レマ ン語 →
ドイ ツ語 264r,278
イ タ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス 諸 語 542l イ タ ロ ・ ロ マ ン ス 諸 語 57r
l → フ ラ ンク語 372r
lア イ ル ラ ン ド語 5r → ケ ル ト語 派 163r
イ デ ィ ッ シ ュ 語 59r
→ ブ ル グ ン ド語 411l
ア イ ル ラ ン ド ・ゲ ー ル 語=ア
イル ラ
イ ベ リ ア ・ ケ ル ト語 →
ア レ マ ン方 言 → ア ル ザ ス語 24l → ル クセ ン ブル グ語 497r
ン ド語 5r ア エ ス テ ィ ー 語 → バ ル ト語 派 325 r
ア カ ル ナ ニ ア方 言
→
154l
語 542l
ア ッテ ィ カ文 語 →
ギ リシ ア 語 158
諸 語 545l 印 欧 基 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 57l
ア ン グ ロ ・ フ ラ ン ス 語 → ア ング ロ ・ ノル マ ン語 36l
lア ッ テ ィ カ 方 言 → ギ リシ ア 語 154 r
ラ
テ ン語 461l
ン語 173l
→
ドロ ミテ語
292r
533r ア ン ジ ュ ー 方 言 → フ ラ ン ス語 387
→ ラデ ィ ン語 457l
l
ア ブ ル ッ ツ ォ 方 言 → イ タ リア語 39
ア ム ス テ ル ダ ム ・イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シュ語 66表4
547r ス ペ イ ン語
イ ン ド ・ ヨ ー ロ ッパ 祖 語
→
英語
→ ゲ ル マ ン語派 167r
→ ブル トン語 414r い
→ ロ マ ンス諸 語 546r アル カ デ ィ ア方 言
→
,547r ギ リ シ ア語
154r
イ ェ ー タ方言
→
う
ス ウ ェ ー デ ン語
210r
ヴ ァ ラー デ ル 語 →
ラ デ ィ ン語 457
イ オ ニ ア 方 言 → ギ リシア 語 155l
ア ル カ デ ィ ア ・キ ュ プ ロ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154r
イ オ ニ ア ・ア ッテ ィ カ 方 言 → ギ リ シ ア語 154r
ア ル ザ ス 語 24l
生 き た ウ ェ ー ル ズ 語 → ウ ェ ー ル ズ語
ア ル ザ ス ・ ドイ ツ語 →
ア ル ザ ス語
25r
101r イ ギ リ ス 英 語 → 英 語 109r
ア イ ル ラ ン ド語
20r
イ ス ト ラ方 言 → イ タ リア語 39r イ ス トロ ・ル ー マ ニ ア 語 37r → ロ マ ンス 諸語 541l
ア ル バ ニ ア 語 26r イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ
パ 語 族 80r アル プ ス ・ロマ ンス諸 語 → マ ンス諸 語 515r ア ・ル ー マ ニ ア 語 34r →
イ ン ド英 語 → 英 語 110l
→ ス ラ ブ祖 語 236l
226r,229l
228r
ア ル バ ニ ア語 派 →
リ トア ニ ア語 488r
111l
ア ラ ゴ ン方 言 → ス ペ イ ン語 225r,
ア ル ス タ ー方 言 →
ラテ ン語 459l
→
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 78r ロ マ ン ス諸 語
ア ン ダ ル シ ー ア方 言 →
ア メ リカ 英 語 → 英 語 109r,115l
→
イ ン ド ・ゲ ル マ ン 語(族) 78l
→ ロマ ン ス諸語 544r ア ン ダ ル シ ア方 言 →
r
印 欧 祖 語 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッ パ 語 族 90l
ア ン グ ロ ロ マー ニ ー → ロマーニー語
ア デ ィ ー ジ ェ方 言
印 欧 語 族 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族 78r
ア ン グ ロ ・フ リ ー ジ ア 語 → 古 サ ク ソ
ア ッ テ ィカ ・イ オ ー ニ ア方 言 →
印 欧 語 → イ タ リ ッ ク語 派 52r → イ タ ロ ・ケ ル ト語群 55l
ア ン グ ロ ・ フ リ ジ ア 語 → フ リジ ア語 400l
→ 近 代 ギ リシ ア語 160l
イ ル ・ ド ・フ ラ ン ス 方 言 → ロマ ン ス
ロ ・ノル マ ン語 36r → フ ラ ンス語 387l
443l
イ リ ュ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス諸
→ ロマ ン ス諸語 545l ア ン グ ロ ・ ノ ル マ ン方 言 → ア ン グ
ア ス ト ゥ リ ア ス 方 言 → ポ ル トガ ル語
ロマ
ンス諸 語 546r イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 諸 語 77l
ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン 語 36l
ギ リシ ア語
イ ベ ロ ・ロ マ ン ス語 系 言 語 →
ア ン グ ル 方 言 → 古 サ ク ソ ン語 172 r
ア カ イ ア 方 言 → ギ リ シア語 154l
ケ ル ト語 派
164l
ロマ ンス諸 語 541l
レ ト ・ロ
イ ス パ ニ ア 語 → ス ペ イ ン語 225r
l→ レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r → ロマ ンシ ュ語 536r ヴ ァ リス ・ ドイ ツ語
→
ドイ ツ 語
278r ヴ ァ ン ダ ル 語 91l → ブ ル グ ン ド語 410l ヴ ァ ン ヌ 方 言 → ブ ル トン語 412r ヴ ィェ ル コ ポ ル ス カ方 言 → ポー ラン ド語 438r
イ タ リ ア 語 38l
ヴ ィ ゼ メ 方 言 → ラ トヴ ィア語 482l
イ タ リ ッ ク 語 派 52r
ヴ ェ ー ザ ー ・ ラ イ ン ・ゲ ル マ ン 語
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 79l → ラテ ン語 459l イ タ リ ッ ク 諸 方 言 → イ タ リ ッ ク語 派
→
ドイ ツ語 262l
ウ ェ ス ト ・サ ク ソ ン方 言 112r
→ 英 語
ヴ ェ ス ト フ ァ ー レ ン語 →
ドイ ツ 語
→ プ ロ ヴ ァ ンス語 415r → ロマ ン ス諸語 544l
275l,276l ヴ ェ ッ リア語 →
ロ マ ン ス諸 語 549
,550r
オ ー ヴ ェ ル ニ ュ方 言 → プ ロ ヴ ァ ン ス
図3 ロマ ンス諸 語
542l
→ ロマ ンス 諸語545r
カ ド リー ノ 語 → ラデ ィ ン語 457l
オ ク シ タ ノ ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ンス
ヴ ェ ネ ト方 言 → イ タ リア語 39r
諸 語 545r
ドロ ミテ語 293l
415r
ウ ェー ル ズ語 94
lカ ドー レ方 言 →
オ ス ク ・ ウ ン ブ リ ア 方 言 → スペ イ ン 語225r
lウ ェ ー ル ズ 語 92r
→
ドイ ツ 語
ウ ェー ル ズ語
101r フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン
ス語 376l
オ ッ ク 語 = プ ロ ヴ ァ ン ス 語 415r
カ ラ ブ リ ア 方 言 → イ タ リア語 41l
→ ロ マ ンス諸 語 540l
→
ロ マ ン ス諸 語
ガ リ シ ア ・ポ ル ト ガ ル 語 → ガ リシ ア
544r
語 147l
106r
→ ポ ル トガ ル語 441r か
ウ ク ラ イ ナ ・イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 66表4
カ シュブ方言 →
ウ ラ ル 祖 語 → エ ス トニ ア語 131l ウ ル フ ィ ラ ・ ゴ ー ト語 →
ポ ー ラ ン ド語 438
トガ ル語 448l ガル ダイナ方言 →
ドロ ミテ 語 293
r
ゴ ー ト語
カ シ ュ ー ブ 方 言 → ス ラ ブ語 派 234
180r →
ウ ン ブ リア 方 言 → イ タ リア語 39r
レフ諸 語 521l
ガ ス コ ー ニ ュ語 え
→
カル ニ ア語
諸 語 149r
エ ウ ス ケ ラ → バ ス ク語 312l
→
レ ト ・ロマ ンス諸語
512r カ ル ニ ア 方 言 → フ リウ リ語 395r
→ プ ロ ヴ ァ ン ス語 418r
ギ リシ ア語 154
ドロ ミテ語 293
ロマ ン ス諸 語
ガ ス コ ー ニ ュ 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ン ス
エ ウ ス カ ラ → バ ス ク語 312l
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ガ ル デ ー ナ方 言 →
545r
英 語 109r
lガ ル ダ イ ナ 語 → ラ デ ィ ン語 457l →
l
エ ウボ イ ア方 言 →
ガ リ シ ア ・ポ ル トガ ル 文 語 → ポ ル
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l
→ ロ シア語 529r
,447r
→ ロ マ ンス諸 語 547r
カ イ 方 言 → ス ロ ベ ニ ア語 242l
ウ ラ ジ ー ミル ・沿 ヴ ォ ル ガ 方 言 群
→ レ ト ・ロマ ン ス諸語 514r
カ ス テ ィ ー ヤ 語 = ス ペ イ ン 語 225
r
カ レ リア 方 言
→
フ ィ ン ラ ン ド語
358r
エ ス ク ア ラ → バ ス ク語 312l
rカ ス テ ィ ー ヤ 方 言
エ ス トニ ア 語 116r
スペ イ ン語
エ ル ザ ス ・イ デ ィ ッ シ ュ語
ロマ ンス諸 語
547r →
イ
デ ィ ッ シュ語 66表4
ドイ ツ語 262
→
ガ リ シア 語
→
ドロ ミテ語
442l
293r
カ タ ル ー ニ ャ語
オ イ ル 語 → フ ラ ンス語 378l,387l
→ ガ ロ ・ロ マ ンス諸 語 149l
ガ ロ ・ ブ リ ト ン 諸 語 → ケ ル ト語 派 165l
→
ロ マ ン ス諸 語
540l お
ガ ロ ・ イ タ リ ア 諸 方 言 → イ タ リア語
→ ロ マ ンス諸 語 542r
カ ス テ ィ ー リ ャ 方 言 → ポ ル トガ ル 語
カ タ ラ ン 語 = カ タ ロ ニ ア 語 140l lエ ン ガ デ ィ ン 方 言
レ ト ・ロマ ン ス
39l
カ ス テ ィ ー リ ャ語 147l
ドロ ミテ 語 292r
ガ ロ ・イ タ リア 語 → 諸 語 519l
カ ス テ ィ リア 方 言 →
エ リ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154l
エ ル ベ ゲ ル マ ン語 →
→
225r
エ ミ リ ア 方 言 → イ タ リア語 39r
エ ル ト方 言 →
ガ リ シ ア 方 言 → ガ リシ ア語 147l → ス ペ イ ン語 228r
オ ル レア ン方 言 ウクライナ語
ガ リ シ ア 語 146r → ポル トガ ル語 442図1
オ ラ バ 方 言 → ス ロバ キ ア語 239r オ ラ ン ダ 語 133r
→
ドイ ツ語 277l
ガ リ ア 語 → ケ ル ト語 派 163r フ ラ ン コ ・プ ロ
ヴ ァ ン ス語 375表
331r
レフ諸 語 520r
上 ラ ウ ジ ッ ツ語 →
ヴ ォ ル 方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ウ ク ラ イ ナ 語 106r
→ ソ ル ブ語 246r
オ ー ス ト ラ リ ア 英 語 → 英語 109r
オ ー トヴ ィル 方 言 →
ヴ ォ ル ガ ・フ ィ ン諸 語 → バ ル ト語 派
ドロ ミテ語 292r
カ ナ ダ の 英 語 → 英 語 110r
→
275l,276l
ウ ェ ー ル ズ 語(生 き た)→
ウ ク ライ ナ 文 語
ドロ ミテ 語 293
上 ソ ル ブ 語 → ス ラ ブ語 派 234l
オ ス ト フ ァ ー レ ン語
→ ケ ル ト語 派 163r
ヴ ォ ー方 言 →
→ レ ト ・ロマ ンス 諸 語 512r カ ド リー ノ方 言 →
オ ク シ タ ン 語 = プ ロ ヴ ァ ン ス語
→ フ リ ウ リ語 397r ヴ ェ ネ ドシ ア ン →
サ ル デ ー ニ ャ語
190l → ロマ ン ス諸 語 543l
語 418l
ヴ ェ ッ リ オ ー ト語 →
→
162r ガ ッ ル ー ラ方 言 →
カ タ ロ ニ ア 語 140l → ロマ ン ス諸 語 540l カ ッパ ドキ ア 方 言 → 近 代 ギ リシ ア語
ガ ロ ・ロマ ン ス語
→
フ ラ ンク語
372r → ロマ ン ス諸 語 544l ガ ロ ・ ロ マ ン ス 諸 語 149l カ ン パ ニ ア 方 言 → イ タ リア語 39r カ ン ピ ダ ー ノ 方 言 → サ ル デ ー ニ ャ語
190r
53r
→ ロ マ ン ス諸 語 543l
188r
共 通 ガ リ シ ア 語 → ガ リ シ ア語 147
カ ン ブ リ ッ ク 語 → ス コ ッ ト ラ ン ド. ゲ ー ル語 213r
北 ア レ マ ン語 →
語 545r図2
ドイ ツ語 281l
ス コ ッ トラ ン ド ・
ゲ ー ル 語 215l
語 419r 近 代 ポ ル トガ ル 語 →
北 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 66表4
r→ ラテ ン語 460l 共 通 ゲ ル マ ン語
北 イ ベ ロ.ロ
マ ン ス 語 → ロ マ ン ス諸
語 549図3
語 126r
→
ゲ ル マ ン語 派 く
167r,170l
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l 共 通 チ ェ コ語 → チ ェ コ語 252l
北 エ ス ト ニ ア 文 語 → エ ス トニ ア 語 129r
共 通 ド イ ツ語 →
ドイ ツ語 283l
共 通 バ ス ク語 → バ ス ク語 313r
北 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リシ ア語 155
共 通 フ リ ウ リ語 →
フ リウ リ語 397
r l北 ゲ ル マ ン 語 → ア イ ス ラ ン ド語 1l → イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語族 80l → ゲ ル マ ン語 派 168l
→
レ ト・ロ マ ンス諸 語 512r
共 通 ポ ー ラ ン ド語 →
ポ ー ラ ン ド語
ル ク語 498l
ドイ ツ語 262r
語 34r
北 ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン語 →
ジー ベ ン
ビュ ル ゲ ン ・ザ クセ ン語 202r 北 上 部 ドイ ツ語 →
ドイ ツ語 275l
北 大 ロ シ ア 方 言 → ロ シア語 527r 北 ・中 部 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r 北 低 地 ザ ク セ ン語 → l,276l
548r,549図3
ドイ ツ語 276r
ギ プ ス コ ア 方 言 → バ ス ク語 312r キ ュ ク ラ デ ス方 言
→
ギ リシ ア語
154r
諸 語 513l
キ ュ リ ロ ス ・ メ トデ ィ オ ス 語 → 古 代 教 会 ス ラ ブ語 177l 教 会 ス ラ ブ 語 150r
ギ リ シ ア 語 153l
共 通 イ タ リア語 →
フ リウ リ語 398
r
共 通 イ タ リ ッ ク 語 → イ タ リ ッ ク語 派
ゴ ー ト語
ク ー ル ラ ン ト ・イ デ ィ ッ シ ュ語 →
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l
→ セ ル ビア ・ク ロ ア チ ア語 243l ク ロア チ ア教 会 ス ラ ブ語 → 教会 スラ ブ語 152r ク ロ ア チ ア ・セ ル ビア語 →
語 族 78r
キ リ ス ト教 ラ テ ン 語
→
→ ラ トヴ ィア語 482l
ラ テ ン語 け
473l 近 代 ア イ ス ラ ン ド語 → 古 ノ ル ド語 188r
ゲ メ ル 方 言 → ス ロバ キ ア語 239r ゲ ー リッ ク語 群
→
島 嶼 ケ ル ト語
→
島 嶼 ケ ル ト語
287r
近 代 ギ リ シ ア 語 160l
ゲ ー リ ッ ク諸 語
近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 → 古 ノ ル ド語
287r ゲ ー ル 語 群 → 島 嶼 ケル ト語 287r
→
古 ノ ル ド語
188r
ゲ ー ル 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語 287r ケ ル ト語 派 163l
→ デ ン マ ー ク語 260l 近 代 ノ ル ウ ェー 語
ゲ グ 文 語 → ア ルバ ニ ア語 32l ゲ グ 方 言 → ア ルバ ニ ア語 32l
語 71l
近 代 デ ンマ ー ク語
セル ビ
ア ・ク ロ ア チ ア語 243l ク ロ ニ ア 語 → バ ル ト語 派 325r
188r
教 会 ラ テ ン語 → 英 語 111r
→
180r
ク ロア チ ア語 あ るい は セ ル ビア語
近 代 英 語 → 英 語 110r
r
ル ー マ ニ ア語
→ ス ロ ベ ニ ア語 241r
共 通 ロ マ ン シ ュ 語 → レ ト ・ロ マ ンス
近 代 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イディッシュ
キ ュ プ ロ ス 方 言 → ギ リ シ ア語 154
→
510r
ク ロ ア チ ア 語 → ス ラブ語 派 234l
→ ル ー マ ニ ア語 511l
ギ リ シ ア 祖 語 → ギ リシ ア語 153r
北 フ リ ジ ア 語 → フ リジア語 402r
ク リシ ャナ 方 言
→ モ ル ダ ビア語 455l
lギ リ シ ア 語 派 → イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ
北 フ ラ ン ス 語 諸 方 言 → ロ マ ン ス諸 語
→ ロマ ン シュ語 539l
イ デ ィ ッ シュ語 66表4
ドイ ツ語 275r,
277r
グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン ・ロ マ ン シ ュ語
ク レ タ 方 言 → ギ リ シア語 154l
ギ リ シ ア 語 口 語 → ギ リ シ ア語 159
北 バ イ エ ル ン語 →
→ レ ト ・ロマ ン ス諸 語 515r
→ バ ル カ ン ・ロ マ ンス諸 語 324r
極 北 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
ドイ ツ語 275
グ ラ ウ ビ ュ ン デ ン州 ロ マ ン シ ュ 語
ク ル シ ュ 方 言 → 古 プ ロ シア語 189l
共 通 ル ー マ ニ ア 語 → ア ・ル ー マ ニ ア
→ ノル ド語 304l
グ ド フ 方 言 群 → ロ シ ア語 529l
ク リ ミヤ ・ ゴ ー ト語
共 通 ル ク セ ン ブ ル ク 語 → ル クセ ン ブ
→ デ ンマ ー ク語 254r
グ エ ン シ ア ン → ウ ェー ル ズ語 94l
ク リ シ ャ ナ 語 → ロマ ン ス諸 語 541l
439r
→ ス ウェ ー デ ン語 205l
ポ ル トガ ル 語
447r
共 通 ス ラ ブ語 → ウ ク ライ ナ語 108l
北 エ ス トニ ア 語 諸 方 言 → エ ス トニ ア
北 マ ル ク語 →
→ ブル トン語 412r 近 代 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 → プ ロヴ ァ ンス
共 通 ケ ル ト語 → 島嶼 ケ ル ト語 287
164l
→
近 代 ブ ル ト ン語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
共 通 ゲ ール 語 →
北 イ タ リ ア ・ゴ ー ル 語 → ケ ル ト語 派
フ ラ ンス 語 385
r,389l r共 通 ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸
き
近 代 フ ラ ンス 語 →
→
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 79r 古 ノ ル ド語
ケ ル ト ・イ ベ リ ア語 →
ケ ル ト語 派
164l
289r
ゲ ル マ ン 語 派 167l
548r,,549図3
現 代 口 語 ウ ェ ー ル ズ語 → ウェールズ
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ語 族 80l → ヴ ァ ン ダル語 91l
語 93r
原 西 ロ マ ンス 語
現 代 ス コ ッ ト ラ ン ド ・ゲ ー ル 語 →
ゲ ル マ ン 祖 語 → ゲ ル マ ン語 派 169l → ス ラブ祖 語 236l
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル語 218r 現 代 ス ペ イ ン語 → ス ペ イ ン語 232
→ ノル ウ ェー語 299l
l
ゲ ー ル ・ ラ テ ン 語 → イ タ リ ッ ク語 派 54l
7l
現代 デ ンマ ーク語 →
諸 語 549図3
現 代 デ ン マ ー ク 口 語 → デ ン マ ー ク語
現代 ドイツ語 →
ロ マ ン ス諸
語 548r 原 イ ベ ロ ・ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸 語 548r,549図3
89l ウ ェ ール ズ語 93
l
現 代 白 ロ シア 文語
→
白 ロ シ ア語
548r,549図3
イ タ リ ア語
マ ン ス諸 語 554l
53r
語 71l
現 代 フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス 語 → フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ス語 375r
フ ラ ン ス語
377r
原 始 ハ ン ガ リー 語 →
ハ ンガ リー 語
344l
54l
ブ ル ガ リ ア語
409r 現 代 プ ロ ヴ ァ ン ス 語 → プ ロ ヴ ァ ンス
語 9r 現 代 ア ル バ ニ ア語 → 27l 現 代 ウ ェ ー ル ズ語 →
イ デ ィ ッ シ ュ語
ポ ル トガ ル 語
ウ ェール ズ語
現 代 ウ ク ラ イ ナ 文 語 → ウ ク ラ イ ナ語 108l
現 代 ラ ト ヴ ィア 語 →
ラ ト ヴ ィ ア語
現 代 リ トア ニ ア 語 →
リ トア ニ ア語
493r
現 代 ロ シア 標 準 語 →
ロ シ ア語 527
→ 古 ノル ド語 188r
古 ア イ ル ラ ン ド語 → イ タ リ ック 語 派
→ イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
→ ラテ ン語 459r 古 ア レ マ ン語 → ドイ ツ語 263図1 → フ ラ ン ク語 372r 島 嶼 ケ ル ト語
287r 島 嶼 ケ ル ト語
287r
r
r
フ リ ウ リ語
397r
群 55l → ウ ェ ール ズ語 93l → ラ テ ン語 459r
l,531r
現 代 ケ ル ト諸 語 → 島 嶼 ケル ト語
ゲ ル マ ン語 派
169l
古 ウ ェ ー ル ズ 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語
現 代 ガ リ シ ア 語 → ガ リシ ア語 148
原 ダ ル マ チ ア語
古 ア イ ス ラ ン ド語 →
コ イ ネ ー フ リ ウ リ語 →
481r
現 代 ロ シ ア 語 → ロ シア 語 531r
160l
こ
ゴ イ デ ル 諸 語 → 島嶼 ケル ト語 287
現 代 英 語 → 英 語 111l
l現 代 ギ リ シ ア語 =近 代 ギ リ シ ア語
ロマ ン ス諸 語 548
ゴ イ デ ル 語 群 → 島 嶼 ケ ル ト語 287
現 代 マ ケ ドニ ア 文 章 語 → マ ケ ドニ ア 語 450l
93l
549図3 原 ロマ ン ス語 →
ゴ イ デ リ ッ ク諸 語 →
現 代 ポ ル トガ ル 語 → 447r
ア ルバ ニア語
ロ マ ンス諸 語
ゴ イ デ リ ッ ク語 群 →
現代 ヘ ブ ライ語 → 71l
現 代 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド
→
549図3
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 83l
r
語 416r イ タ リ ッ ク語 派
リ トア ニ ア 語
53l
現 代 ブ ル ガ リア 語 → l原 始 ノ ル ド語 → 古 ノル ド語 186l
→
489r
→ ブル グ ン ド語 410r
l
現 代 フ リ ウ リ語 → フ リ ウ リ語 396
原 始 サ ベ ル 語 → イ タ リ ッ ク語 派 54
原 リ トア ニ ア 語
フ ェー ロー語
現 代 フ ラ ン ス標 準 語 →
原 始 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イデ ィ ッ シ ュ
ウェ ール ズ語
101r
363l
現 代 フ ラ ン ス 語 → フ ラ ン ス語 390
原 始 イ タ リ ッ ク 語 → イ タ リ ッ ク語 派
ロマ ンス 諸 語
r,551l
語 360l
原 サ ル デ ー ニ ャ ・ロマ ンス語 → ロ
→
548r,549図3
原 レ ト ・ ロ マ ン ス語 → ロ マ ンス 諸 語
現 代 標 準 英 語 → 英 語 112l
現代 フ ェー ロー語 →
原 ケ ル ト語 → アイ ル ラ ン ド語 12l → 島 嶼 ケ ル ト語 287r
ロマ ン ス諸 語 545
r
原 ル ー マ ニ ア 語
現 代 標 準 イ タ リ ア語 →
現 代 フ ィ ン ラ ン ド語 → フ ィ ンラ ン ド
原 ガ ロ ・ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス諸 語
図3
現 用 ウ ェール ズ語 →
現 代 ノ ル ド語 → 古 ノル ド語 188r → ノ ル ド語 303l
44r
原 ウ ェ ー ル ズ語 →
諸語 548r,549図3
原 南 ロ マ ンス 語 ドイ ツ語 265r,
311r
原 印 欧 語 → イ ン ド ・ ヨー ロ ッパ 語 族
ロマ ンス 諸 語
原 バ ル カ ン ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス
原 フ ラ ン ス語 →
285l
原 イ タ ロ ・ロ マ ン ス 語→
原 始 ブ リ ト ン語 →
デ ン マ ー ク語
255l
原 イ タ ロ ・西 ロ マ ン ス 語 → ロ マ ン ス
→
548r,549図3
原 東 ロ マ ン ス 語 → ロ マ ン ス語 549
256l
原 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド語
ケ ン ト方 言 → 英 語 112r
→
ロマ ンス諸 語
549図3 原 中 央 ロ マ ンス 語 →
後 期 近 代 英 語 → 英 語 110r 後 期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 → ス ウ ェ ー
ロ マ ン ス 諸 語
デ ン語 210r
後 期 近 代 デ ン マ ー ク語 → デ ンマ ー ク
黒 人 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ 語 138
語 260l
r
後 期 古 ス ウ ェ ー デ ン語 →
スウ ェ ー デ
ン語 210r
古 ゲ ル マ ン語 → ゴ ー ト語 184r
後 期 中 デ ン マ ー ク 語 → デ ンマ ー ク語
→
エ ス トニ ア語
古 高 ドイ ツ語
→
ドイ ツ 語 262r,
古 高 フ ラ ン ク 語 → フ ラ ン ク 語 372
128r,132l
古 コ ー ン ウ ォ ー ル 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
後 期 ラ テ ン語 → ラ テ ン語 472r 口 語 ウ ェ ー ル ズ語 →
ウ ェ ー ル ズ語
ドイ ツ語 275r,
278l 高 地 ア レ マ ン方 言 → ア ル ザ ス語 24
ドイ ツ語 262r
高 地 フ ラ ン ケ ン語 → ラ ンゴ バ ル ド語 483l
→
ドイ ツ語 262r
ドイ ツ語 277
→
バ ル ト語 派
331l
古 英 語 → イ タ リッ ク語 派 53l → 英 語 110r ドイ ツ語 263図1
古 サ ル デ ー ニ ャ 語 → サ ル デ ー ニ ャ語
古 ノ ル ド語 186l
r
→ ア イ ス ラ ン ド語 2l
191r 古 上部
ドイ ツ 語 →
ラ ン ゴ バ ル ド語
コ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154l
→ フ ラ ンク語 372r
l
176r 古 代 チ ェ コ 語 → チ ェ コ語 248l
語 177l ウ ク ラ イ ナ 語 106
r
古 期 英 語 → 英 語 110r
→ ス ラ ブ語 派 234l
古 期 ケ ル ト語 → ア イ ル ラ ン ド語 18
→ 白 ロ シ ア語 307l
r
古 中 部 ドイ ツ 語 →
古 期 サ ル デ ー ニ ャ 語 → ロ マ ンス諸 語
172r
344l 古 期 ブ ル ガ リア 語 →
ラ ン ゴ バ ル ド語
483l
ゴ ッ ト ラ ン ド方 言 → ス ウ ェ ー デ ン語
古低
ドイ ツ 語 →
古 低 フ ラ ン ク 語 → オ ラ ン ダ語 135
409l 古 期 ポ ー ラ ン ド語 →
古 フ ラ ン ス 語 → アル ザ ス語 24l → フ ラ ン ス語 385r 古 フ リ ジ ア 語 → ドイ ツ語 263図1 → フ リジ ア語 400l 古 フ リー ジ ア語
→
古 サ ク ソ ン語
→ 古 ノル ド語 186r →
ス コ ッ トラ ン
古 ブ ル ガ リ ア 語 → イ ン ド ・ヨー ロ ッ パ 語 族 80l 古 ブ ル ト ン 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群 55l
古 プ ロ イ セ ン語
→
古 プ ロ シ ア語
古 プ ロ ヴ ァ ン ス語 →
プ ロ ヴ ァ ン ス語
188r
419r ポ ー ラ ン ド語
439r 古 期 リ トア ニ ア 語 →
ドイ ツ 語 263
→ ブル トン語 412r ドイ ツ 語 262r,
282l ブ ル ガ リア 語
→
図1
ド ・ゲ ール 語 212r
210r ハ ンガ リー 語
→ ラ ンゴバ ル ド語 483r図1
古 ブ リ ソ ニ ッ ク語
コ ッ ク ニ ー 方 言 → 英語 109r
551r 古 期 低 地 ド イ ツ 語 → 古 サ ク ソ ン語
古 フ ラ ン ク 語 → ケ ル ト語 派 166r
173l
→ 教 会 ス ラ ブ語 151r
語 71l
→ フ ラ ンク語 372r
古 フ ラ ン ケ ン語
古 代 ロ シ ア語 →
ドイ ツ 語 263
→ フ ラ ンク語 372l
古 代 ギ リ シ ア 語 → ギ リ シ ア語 153
古 代 ブ ル ガ リ ア 語 → 古 代 教 会 ス ラブ
語 6l
→
図1
古 フ ラ マ ン語 → オ ラ ン ダ語 135l
→ ス ラ ブ語 派 234l
古 期 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッシ ュ
古 期 ハ ンガ リー 語 →
古 ノ ル ド語
188r
古 期 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド
→ イ タ リ ック語 派 53r 古 バ イ エ ル ン語
古 代 ス ラ ブ 語 → 古 代 教 会 ス ラブ語
古 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135l → ドイ ツ語 263図1
ドイ ツ語 279r
古 ノ ル ウ ェ ー 語 → 古 ノ ル ド語 188
古 代 教 会 ス ラ ブ 語 176r
高 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
古 ドイ ツ 語 →
,282l
古 ス ウ ェ ー デ ン 語→
r
高 地 リ トアニ ア語
→ ロ マ ンス諸 語 549l
古 サ ク ソ ン 語 172r → ドイ ツ語 263図1
483l
高 地 プ ロ イ セ ン語 →
古 典 ラ テ ン語 → ス ペ イ ン語 225r → フ ラ ンス語 388l
コ ナ ハ ト方 言 → ア イ ル ラ ン ド語 20
r
高 地 ア レ マ ン語 →
r → デ ンマ ー ク語 260l
ゴ ー ト語 180r
古 ザ ク セ ン語 → 古 サ ク ソ ン語 172
105l
イ ン ド ・ヨ ー ロ ッパ 語 族
78r
→ ラ テ ン語 461r
r
→ フ ィ ンラ ン ド語 358r
古 典梵 語 →
古 デ ン マ ー ク 語 → 古 ノ ル ド語 188
279r
後 期 フ ィ ン祖 語
→
イ タ リック語派
53l
260l
l高 地 ドイ ツ 語 →
ドイ ツ 語 →
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 85r
l
プ ロ ヴ ァ ンス
語 418r
古 高地
後 期 古 ノ ル ド語 → 古 ノ ル ド語 186
古 典 プ ロ ヴ ァ ンス語 →
l→ フ ラ ン ク語 372l 古 典 ギ リ シ ア 語 → ギ リ シ ア語 153
リ トアニア語
487l 古 期 ロ シ ア 語 → ロ シ ア語 529r
l 古 典 サ ン ス ク リ ッ ト → イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 78r
古 プ ロ シ ア 語 188r 古 ポ ル トガ ル 語
→
ポ ル トガ ル 語
441r,447r → ロマ ン ス諸 語 547r 古 ラ テ ン語
→
イ タ ロ ・ケ ル ト語 群
55l
200r
→ ラ テ ン語 461l 古 リ ヨ ン方 言 →
フ ラ ンコ ・プ ロ ヴ ァ
ンス語 376l
200r
l
542r
新 期 ハ ン ガ リ ー 語 → ハ ン ガ リー 語 344l
下 ソ ル ブ語 → ス ラ ブ語 派 234l → ソル ブ語 246r →
ロ マ ン ス諸 語 540l,
66表4 新 オ ラ ン ダ語 → オ ラ ンダ語 135l
→ ドイ ツ語 264r
コ リ ン ト ス 方 言 → ギ リシ ア語 154
コ ル シカ 語 →
新 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シ ュ語
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン 語
新 期 ポ ー ラ ン ド語 →
レフ諸 語 520r
下 ラ イ ン方 言 →
ポ ー ラ ン ド語
439r
ドイ ツ語 276l
新 高 ドイ ツ 語 →
ドイ ツ語 263図1,
コ ル シ カ 方 言 → イ タ リア語 39r
下 ラ ウ ジ ッ ツ語 →
コ ル ヌ ア イ ユ方 言
シ ャ リ シ方 言 → ス ロバ キ ア語 240l
新 低 ドイ ツ語 →
シ ャ ンパ ー ニ ュ方 言
新 ド イ ツ 語 → ドイ ツ語 279図4
→
ブ ル トン語
412r コ ー ンウ ォ ール 語
→
ケ ル ト語 派
→
フラ ンス語
387l →
163r
279r
ドイ ツ語 277l
新 フ リ ジ ア語 → フ リジ ア語 400l
ロマ ンス諸 語 544r
シ ュ ヴ ァ ー ベ ン語 → さ
新 ラ ウ ジ ッ ツ語 → ドイ ツ語 275
ドイ ツ語 275
シ ュ ヴ ァー ベ ン ・ア レマ ン語 →
シ ュ ト方 言 →
41l
ス イ ス ・ ドイ ツ 語 →
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア
ザ ク セ ン語 200r
シ ュ レ ジア語 →
→
ドイ ツ語 277l
シ ュ レ ー ジ エ ン語 →
サ サ ル 方 言 → 島 嶼 ケル ト語 289r
ドイ ツ語 277
シ ュ レ ス ヴ ィ ヒ語 →
190l
ドイ ツ語 276
l
→ ロ マ ンス諸 語 543l サ ッ サ リ 方 言 → 島 嶼 ケ ル ト語 289
→
ス ロバ キ ア 語
ス ウ ェ ー デ ン語 204r ス オ ミ語 = フ ィ ン ラ ン ド語 346l
ドイ ツ 語 275l,
ス カ ン ジ ナ ビ ア 語 = ノ ル ド語 303
→
ドイ ツ語 263l
サ ル デ ー ニ ャ語
189r → ロ マ ンス諸語 540l
,543l
ドイ ツ語 283
l ドイ ツ語 275
小 ロ シ ア 語 = ウ ク ラ イ ナ 語 106r
→
→ ロ シ ア語 521r
189r サ ル デ ー ニ ャ 語 189r → ロマ ン ス諸語 540l
ザ ン ク ト ・ガ レ ン ・ ドイ ツ 語 →
→
ル ズ語
フ ラ ン ス語
387l
ン ド語 8r
456r
初 期 現 代 フ ィ ン ラ ン ド語 → フ ィ ンラ
→
ドイ ツ語 263
初 期 南 ス ラ ブ語
ドイ ツ語 279図4 →
教 会 ス ラ ブ語
151l 初 期 ラ テ ン語 → ラ テ ン語 473l
ジ プ シ ー 語 = ロ マ ー ニ ー 語 533l
植 民 イ デ ィ ッ シュ語 → イデ ィッシュ
ル ク語 496l → ジ ー ベ ン ビュ ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語
語 66表4 シ ロ ン ス ク方 言 438r
ズ デ ー テ ン ・イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ
ス ピ シ 方 言 → ス ロバ キ ア語 240l ス ペ イ ン 語 225r ズ ボ レ ン 方 言 → ス ロバ キ ア 語 239r
シ チ リ ア方 言 → イ タ リア語 41l
ジ ー ベ ン ビ ュ ル ゲ ン 語 → ル クセ ンブ
レ ト ・ロマ ン ス諸語 512l
デ ィ ッ シ ュ語 66表4
図1,279r
シ チ リア 語 →
ラ デ ィ ン語
→ ロ マ ン シ ュ語 536l
初 期 新 高 ドイ ツ 語 →
初 期 ドイ ツ語 →
ロマ ンス 諸 語 548r,
→ ケ ル ト語 派 163r
初 期 近 代 英 語 → 英 語 110r
シ エ ナ 方 言 → イ タ リア語 39r
549図3
→ ノ ー ン語 306l
ス ッ トシ ル ヴ ァ ン語 →
ン ド語 359r し
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 212
ス コ ッ トラ ン ド ・ゲ ー ル 語 212l
初 期 近 代 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ド
イ ツ語278r サ ン ト ン ジ ュ方 言
ウェ
93l
サ レ ン ト方 言 → イ タ リア語 41l
ノ ー ン語
r
初 期 ウェー ルズ語 → ,543l
→
305l ス コ ッ トラ ン ド英 語 → 英 語 109r
l,277r
サ ル デ ー ニ ャ語
ド ・ゲ ー ル 語 212l ス コ ッ ト ラ ン ド方 言
上 部 フ ラ ン ケ ン語 →
サ ルデ ィニア語 →
l ス コ ッ トラ ン ド語 = ス コ ッ ト ラ ン
,275l
上 部 ドイ ツ文 章 語 → →
ス ウ ェ ー デ ン語
上 部 ザ ク セ ン語 →
上 部 ドイ ツ 語 → アル ザ ス 語 24l
239r サ ル ジ ニ ア語
スヴ ェー ア方言 → 210r
277l
ザ ー ホ リエ方 言
→ ラデ ィ ン語 457l
小 ア ジ ア 方 言 → ギ リシア 語 154r
r サ ボ 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
ドロ ミテ語
293l
→ レ ト ・ロ マ ンス諸 語 515r
l
サ ル デ ー ニ ャ語
ドイ ツ語 262
l ス イ ス ・ロマ ン シ ュ語 →
語 243l ジ ー ベ ン ビュ ル ゲ ン ・
す
ド
イ ツ語 275r,278l
r,278l 最 南 部 イ タ リア 諸 方 言 → イ タ リア語
サ ッサ リ方 言
ドイ ツ語 277l
新 ロ シ ア 語 → ロ シ ア語 531r
r,278l
最 高 地 ア レ マ ン語 →
ゼ ク セ ン語 →
ドイ ツ語 282l
ス ラ ブ 語 → ポ ラブ語 420r ス ラ ブ 基 語 → ロ シア語 529r
→
ポ ー ラ ン ド語
ス ラ ブ 語 派 233l → イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語 族 80l
ス ラ ブ 祖 語 236l
デ ン語 210r
ス ー ル 方 言 → バ ス ク語 312r スル シ ル ヴ ァ ン語
→
ラ デ ィ ン語
456r →
語 260l
レ ト・ロマ ンス諸 語 512l
レ ト ・ロマ ンス諸 語 512r
→ ロ マ ン シ ュ語 536l ス ロ ヴ ィ ン ツ方 言
l
ポ ー ラ ン ド語
前 期 中 デ ン マ ー ク 語 → デ ンマ ー ク語
→
中 央 ・西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イデ ィ ッ
→ フ ィ ンラ ン ド語 360r
ス ロ ビ ン ツ 語 → ス ラ ブ語 派 234l
シ ュ語 68表7
前 古 期 ア イ ル ラ ン ド語 → 島 嶼 ケ ル ト
ス ロ ベ ニ ア 語 241r
中 央 ・東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ
語 288r 前 古 期 ケル
せ
シュ語 68表7 ト語
→
島 嶼 ケ ル ト語
中 央 部 ロ グ ドー ロ方 言 → サ ル デー ニ ャ語 190r
前 ハ ン ガ リー語
→
ハ ン ガ リー語
中央 レ ト ・ロマ ンス語 →
288r
ス ロ バ キ ア 語 240
r
344l
中 央 ロマ ン シ ュ語 → そ
西 部 ス ロ バ キ ア 方 言 → ス ロバ キ ア語 240r
r
→ ロマ ンス諸 語 549l
210l
語 7r
レフ諸 語 520r
西 部 ノル ウ ェー語 諸 方 言 → アイスラ
ス ラ ブ語 派
234r
語 71l
大 陸 ゲ ル マ ン 語 → オ ラ ン ダ語 136 l
西 方 群 レ フ 方 言 → ス ラ ブ語 派 234 r
r
→
フ リジ ア 語
ゼ ム ガ リ ア 語 → ラ トヴ ィア語 482l
→ ロ マ ン ス諸 語 552l ダ コ ・ル ー マ ニ ア 語 = ル ー マ ニ ア 語 502r
ゼ ム プ リー ン方 言 →
→ ロ マ ンス諸 語 541l
240l セ リ ゲ ー ル ・ トル ジ ョ ー ク 方 言 群 → ロ シ ア語 529r セ ル ビ ア 語 → ス ラ ブ語 派 234r
ダ コ ・ロマ ン ス →
ロ マ ンス 諸 語
タ ル テ シ ア 語 → ス ペ イ ン語 231l タ ル ト方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ダ ル マ チ ア方 言
→
教 会 ス ラ ブ語
152r
セ ロ ニ ア 方 言 → ラ トヴ ィア語 482l 前期 近 代 ス ウ ェ ー デ ン語 → スウェー
古 ノ ル ド語
→
古 ノ ル ド語
中 期 ハ ン ガ リー 語 → ハ ンガ リー語 344l フ ラ ンス 語 385
r,388l 中 期 フ リ ジ ア語 →
フ リジ ア語 400
l ち
セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ ア 語 242r
→ ラ トヴ ィ ア語 482l
中 期 ノ ル ウ ェー語
中 期 フ ラ ン ス語 →
語 151l,152l
ク ロ ア チ ア 語 242r
→
188r
→ ソル ブ語 246l
セ ロ ニ ア 語 → バ ル ト語 派 325r
172r
188r
548l
ダ ル マ チ ア 語 247r
セ ル ボ ・ク ロ ア チ ア 語 = セ ル ビ ア ・
l
中 期 デ ン マ ー ク語
→ セル ビア ・ク ロア チ ア語 243l
セ ル ビア教 会 スラ ブ 語 → 教 会 スラブ
中 期 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135
中 期 低 地 ド イ ツ 語 → 古 サ ク ソ ン語
ゼ ム ガ レ方 言 → ラ トヴ ィア語 482l ス ロバキ ア語
→ ウ ェ ー ル ズ語 93l 中 期 英 語 → 英 語 110r
大 ロ シ ア 語 → ロ シア 語 521r ダ キ ア 語 → ア ル バ ニ ア語 26r
セ ミガ リ ア 語 → バ ル ト語 派 325r
中 期 ウ ェ ー ル ズ 語 → イ タ ロ ・ケ ル ト 語 群 55l
大 陸 部 フ リジ ア語 402r
セ ー ケ イ 方 言 → ハ ン ガ リー 語 343
→ イ タロ ・ケ ル ト語 群 55l 中 期 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ
た
ン ド語 1l →
イデ ィ ッ シ ュ
中 期 ア イ ル ラ ン ド語 → ア イ ル ラ ン ド
ドイ ツ語 275l
ソル ブ諸語 →
中 間 イ デ ィ ッ シュ語 → 語 68表7
ソ ル ブ 語 246l →
レ ト ・ロ マ ンス
諸 語 513l 俗 ラ テ ン 語 → ラテ ン語 471l
西 部 ノ ル ウ ェ ー 語 → ス ウ ェ ー デ ン語
ドロ ミテ語
293l
西 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
西 部 トス カ ナ 方 言 → イ タ リア 語 39
ロマ
ン シ ュ語 536l
エ ス トニ ア 語
132l
西 方 群 非 レフ方 言
語 66表3,68表5 中 央 グ ラ ウ ビ ュ ンデ ン方 言 →
前 期 フ ィ ン祖 語
438r ス ロ バ キ ア 語 237l
聖 書 チ ェ コ語 →
中 英 語 → 英 語 110r 中 央 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ
260l
→
チ ャ方 言 → 教 会 ス ラ ブ語 152r → セル ビ ア ・ク ロア チ ア語 243l
ン語 210r 前 期 古 ノ ル ド語 → 古 ノ ル ド語 186
ス ル ミ ラ ン語 → ラデ ィ ン語 456r
チ ェ コ ・ス ロ バ キ ア 諸 語 → レ フ諸 語 520r
前 期 古 ス ウ ェ ー デ ン語 → ス ウ ェ ー デ
→ ロ マ ンシ ュ語 535r
→
248l
前 期 近 代 デ ン マ ー ク語 → デ ンマ ー ク
中 期 ブ ル ガ リア語 地 域 イ タ リ ア 語 → イ タ リア語 39l チ ェ コ 語 248l
ブ ル ガ リ ア語
中 期 ブ ル ト ン 語 → イ タ ロ ・ケル ト語
チ ェ コ文 語 → チ ェ コ語 250r チ ェ コ 教 会 ス ラ ブ 語 → 教 会 ス ラ ブ語 152r チ ェ コ ス ロバ キ ア 語
→
409r
群 55l 中 期 プ ロ ヴ ァ ン ス語 → プ ロ ヴ ァ ンス 語 419r
→
チ ェ コ 語
中 期 ポ ー ラ ン ド語 →
ポ ー ラ ン ド語
439r
チ ュ ー リ ヒ ・ ドイ ツ 語 →
中 期 ポ ル トガ ル 語 →
ポ ル トガ ル 語
ドイ ツ語
278r
443l,447r
ト ゥ リ ェ ツ方 言 つ
中 期 ロ シ ア 語 → ロ シア語 530r 中 高 ドイ ツ 語 →
ドイ ツ語 263図1,
279r →
ツ ァ コ ニ ア方 言 → 近 代 ギ リシア語
て
l
ト ス カ ナ 諸 方 言 → イ タ リア語 39r
テ ィ サ 方 言 → ハ ンガ リー 語 343l
ト ス カ ナ 方 言 群 → イ タ リア語 39r
低 地 ア レマ ン語 →
ト ス ク 方 言 → ア ル バ ニ ア 語 32l
ドイ ツ語 275r,
278l
中 世 ギ リ シ ア 語 → ギ リ シ ア語 153
ド ナ ウ 方 言 → ハ ンガ リー 語 345l
低 地 ア レ マ ン方 言 → ア ルザ ス語 24
151r
低 地 ザ ク セ ン語 →
ドイ ツ語 282l
低 地 ス コ ッ ト ラ ン ド方 言 → ノ ー ン語
中 世 ブ ル ガ リア語 → 教 会 ス ラブ語
低地
305r ドイ ツ 語 262r,
→
ガ リシ ア語
148l
→ ラ テ ン語 474l
279r,282l
語 39r →
ギ リシ ア語
154r
ドイ ツ語 276
リ トア ニ ア語
デ ィ ミ シ ア ン → ウ ェー ル ズ語 94l
テ ュ ー リ ンゲ ン語 → →
ド イ ツ語
275r,277r
ドイ ツ語 275
r 中 部 ド イ ツ 語 → ア ル ザ ス語 24l
デ ン マ ー ク 語 254r
→
ラデ ィ ン語 457l
→
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 513r
→ ロ マ ンス諸 語 542r な 中 ポ ン メ ル ン語 →
→
デ ンマ ー ク語
260r
ドイ ツ語 275l,
276r 中 マ ル ク語 →
ドイ ツ語 273r
ドイ ツ語 276r
ナ ポ リ方 言 → イ タ リア語 42r
中部 バ イ エル ン語 →
と
ドイ ツ語 275
r,277r
南 高 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r ドイ ツ 語 262l
フ ラ ンク語 371
r,372r
→ フ ラ ン ク語 372r 中 部 フ ラ ンケ ン語 →
南東 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ
統 一 バ ス ク語 → バ ス ク語 312l 統 一 ロマ ン シ ュ語 →
中 部 フ ラ ン ク語 と高 地 フ ラ ン ク語
ル ゲ ン ・ザ ク セ ン語 200r
東 中 部 ドイ ツ 語 →
→
イ タ リア 語
南 部 ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ン ス諸 語 545r図2
島 嶼 ケ ル ト語 287r →
フ リ ジア 語
402r ジー ベ ン ビ ュ
語 68表6 南 部 イ タ リア諸 方 言 39r
諸 語 513l
島 嶼 部 フ リジ ア語
→ ラ ン ゴバ ル ド語 483l 中 部 フ ラ ン ケ ン方 言 →
レ ト ・ロ マ ンス
島 嶼 方 言 → デ ンマ ー ク語 260l
ドイ ツ語 275
l,277l
南 部 トス カ ナ 方 言 → イ タ リア語 39 r
ジ ーベ ン ビュ ル ゲ
ン ・ザ ク セ ン語 200r 東 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
中 部 ロ シ ア 諸 方 言 → ロ シ ア語 527
島 部 方 言 → エ ス トニ ア語 126r ドゥ ブ ロ ヴ ニ ク方 言 →
南 部 ノ ル ド語 → 古 ノル ド語 186r 南 部 ノ ル マ ンデ ィ ー方 言 → ロマンス
中 部 マ ル ケ 方 言 → イ タ リア語 39r
r
ドロ ミテ語
292r
l,277l
デ ンマ ー ク文 語
中 部 フ ラ ンク語 →
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ド ロ ミ テ ・ ラ デ ィ ン語 →
テ ラ方 言 → ギ リ シア語 154l
中 部 オ ッ ク語 → ロ マ ン ス諸 語 545
ス ロ バ キ ア語
ド ロ ミ テ 語 292r →
489r
中 部 イ タ リ ア 諸 方 言 → イ タ リア語 39r
ブル トン語 412r
ト レ ンチ ー ン方 言 → 239r
r
テ ッ サ リ ア 方 言 → ギ リ シア 語 154
中部 オ ー ス トリア語
r トレギ エ方 言 →
低 ナ バ ラ 方 言 → バ ス ク語 312r
中 部 イ オ ニ ア方言
ドー リ ス方 言 → ギ リ シア語 154l
ドイ ツ語 263
r,275l,276l
低 地 リ トア ニ ア方 言 →
中 ・南 部 イ タ リ ア 方 言 群 → イ タ リア
ド ー リ ア 方 言 → イ タ ロ ・ケ ル ト語 群
トル ナ バ 方 言 → ス ロバ キ ア 語 239
低 地 プ ロ イ セ ン語 →
ドイ ツ語 263図1,
プ ロ ヴ ァ ン ス語
418l
→ ラテ ン語 461l
→ フ ラ ン ク語 371r 低 地 フ ラ ンケ ン語 →
中 世 ラ テ ン語 → ギ リシア語 157r
ドー フ ィー ヌ方 言 →
55l
低 地 フ ラ ン ク 語 → オ ラ ン ダ語 136 l
r
中 世 ポル トガル 語
ハ ン ガ リ ー 語
ド ラ ベ ン語 → ポ ラ ブ語 420r
ドイ ツ 語 → 273r
中 世 ブ ル ト ン語 → ブ ル トン語 412
→
343l
中 世 ノ ル ド語 → ゲ ル マ ン語 派 171l → ノ ル ド語 303r
152l
ドナ ウ以 西 方 言
l
中 世 古 期 ロ シ ア語 → 教 会 ス ラブ語
→
都 市 フ リ ジ ア 語 → フ リ ジ ア語 401 l
303l
ポ ル トガ ル語 441r
ス ロ バ キ ア 語
ト ス カ ナ 語 → ロマ ンス諸 語 542r
ノ ル ド語
中 世 ガ リ シ ア ・ ポ ル トガ ル 文 語 →
→
239r
162r
中 世 ア イ ス ラ ン ド語
中 低 ドイ ツ 語 →
542l 東 北 海 岸 方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ロマ ンス諸 語
諸 語 544r 南 方 中 間 イ デ ィ ッシ ュ語 → イディッ シ ュ語 68表7
南 方 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 →
セ ン ブル ク語 497r
イデ ィ ッ
シ ュ語 68表7
西 ラ ウ ジ ッツ語 →
南 方 東 イ デ ィ ッシ ュ語 →
イデ ィ ッ
シ ュ語 68表7
バ ス ク ・ コ ー カ ス 語 族 → バ ス ク語
ドイ ツ語 277l
312r バ ー ゼ ル ・ ドイ ツ語
西 ロ シ ア 語 → 白 ロ シ ア語 311r 西 ロ マ ニ ア 諸 語
→
ロマ ン ス諸 語
バ デ ィー ア方 言 →
548l に 西 ア ー カ ニ エ方 言 群
→
ロ シ ア語
西 ロ マ ン ス 諸 語 → イ タ リア語 46l ニ ト ラ 方 言 → ス ロバ キ ア語 239r ニ ー ノ シ ュ ク →
529r 西 イ オ ニ ア 方 言 → ギ リシ ア語 154r
→
ロ シ ア語
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド英 語 → 英 語 109
→
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ハ ナ 上 位 方 言 → チ ェ コ語 252l
ニ ュ ー ノ シ ュ ク → ノル ド語 303r
ハ ナ 方 言 → チ ェ コ語 251r
ぬ
ロ マ ン ス諸 語
546r
バ ナ ー ト方 言 → ル ー マ ニ ア語 510
ヌ オ ロ 方 言 → サ ル デ ー ニ ャ語 190r
西 カ タ ロ ニ ア方 言 →
カ タロニ ア語
140l
→
ロマ ンス諸 語 543l
ヌオ ロ市 方 言
西 カ ル パ チ ア 方 言 → イ デ ィ ッ シュ 語
→
r バ ナ ト ・シ ュ ヴ ァー ベ ン語 →
サ ル デ ー ニ ャ語
195r
ドイ
ツ語 264r ハ メ 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
69l
バ ル カ ン諸 語 → ア ル バ ニ ア語 30l ね
西 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リ シ ア語 154r
バ ル カ ン ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸
ネ ー ゼ ン方 言 → 西 ゲ ル マ ン 語 → イ ン ド ・ ヨー ロ ッパ
ジー ベ ン ビュル ゲ
ン ・ザ クセ ン語 202r
語 540r バ ル カ ン ・ ロ マ ン ス 諸 語 324l
語 族 80l
バ ル ト語 派 325l の
→ ゲル マ ン語 派 167r → 古 サ ク ソ ン語 172r ドイ ツ語 262l
西 ゴ ー ト語 → ゴー ト語 180r 西 上 部 ドイ ツ語 →
→ イ ン ド ・ヨー ロ ッパ 語族 80l
ノ ヴ ゴ ロ ド方 言 群 →
ロ シア 語 529
l
→ ブル グ ン ド語 410l
ドイ ツ語 275r
ノ ル ウ ェ ー方 言
→
ノルウェー語
ノ ル ド語 303l ノ ル マ ン方 言 → ア ン グ ロ ・ノ ル マ ン
西 ス ロ ヴ ァ キ ア ・イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 66表4 西 中 央 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イデ ィッ シ ュ語 66表3
332r
語 36l
ドイ ツ語 275l,
277l
→ ガ ロ ・ロ マ ンス諸 語 150l ひ
,387l
→ ロ マ ンス諸 語 545l
ピ エ モ ン テ 方 言 → イ タ リア語 39l 東 ア ー カ ニ エ 方 言 群
→ デ ンマ ー ク語 254r → ノル ウ ェー語 296r 西 バ ル ト語 → バ ル ト語 派 327l フ ラ ン ク語 371r,
372l
バ イ エ ル ン語 →
レ ト ・ロマ ン ス諸 語
西 フ リ ジ ア 語 → フ リジ ア語 400r
東 イ オ ニ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154r → フ ラ ン ク語 372r
東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語
バ イ エ ル ン 方 言 → ル ク セ ン ブル ク語 497r バ イ エ ル ン ・オ ー ス ト リ ア 語 →
ド
西 モ ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン方 言 → ル ク
→ ロ シ ア語 521r バ ー ジ ン諸 島 ピ ジ ン ・ オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 138r
59r 東 オー カ ニ エ方 言 群
イ ツ語 275l,277r
バ ス ク 語 312l
ロ シ ア語
ドイ ツ語 277r
白 ロ シ ア 語 306r
512r
→
529r は
西 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
→ ス ウ ェ ー デ ン語 205l
イ
デ ィ ッ シ ュ語 66表4
ドイ ツ語 275l
西 ノ ル ド語 → ア イ ス ラ ン ド語 1l
ハ ンガ リー ・イ デ ィ ッ シ ュ語 →
ル マ ン語 36l
ノ ー ン 語 305l
西 低 地 ドイ ツ語 →
パ ロ ー ツ 方 言 → ハ ンガ リー語 343l ハ ン ガ リー 語 335r
ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言 → ア ン グ ロ ・ノ
→ フ ラ ンス語 377r
西 中 部 ドイ ツ 語 →
333l バ ル ト ・ ス ラ ヴ 祖 語 → バ ル ト語 派
296r
西 ス ラ ブ語 → ス ラ ブ祖 語 236r 西 ス ラ ブ諸 語 → チ ェ コ語 250r
バ ル ト祖 語 → ス ラ ブ祖 語 236l → バ ル ト語 派 327表1 ,330l バ ル ト ・ ス ラ ヴ 語 派 → バ ル ト語 派
ノ ル ウ ェ ー 語 296r
西 ス ラ ブ → ス ラ ブ語 派 234l
西 フ リ ウ リ語 →
ラ デ ィ ン語 457
バ ナ ー ト語 → ロマ ン ス諸 語 541r
西 カ タ ル ー ニ ャ語 →
西 フ ラ ン ク語 →
ド ロ ミテ 語
l
529l
→
→
292r バ デ ィ オ ッ ト語 →
r
西 オ ー カ ニ エ方 言 群
ドロ ミテ語 293
バ デ ィ オ ッ ト方 言
ス ウ ェ ー デ ン語
210l
59r
ドイ ツ語
r
→ ノ ル ウ ェ ー語 296r 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッシ ュ語
→
278r
→
ロ シア 語
529l 東 カ タ ル ー ニ ャ語 →
ロ マ ンス諸語
546r 東 カ タロ ニア方 言 →
カ タ ロニア語
140r 東 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154 r
東 ゲ ル マ ン語 → ヴ ァ ン ダル 語 91l → ゲ ル マ ン語派 168l → 古 サ ク ソ ン語 172r →
→ レ ト ・ロマ ンス諸 語 512r → ロマ ン シ ュ語 536r
→ ブ ル グ ン ド語 410l
東 上 部 ドイ ツ 語 →
標 準 イ ギ リス 英 語 → 英 語 110l
ドイ ツ語 275l
東 ス ラ ブ → ス ラブ語 派 234l
→ 白 ロ シア語 307r
フ ラ ン シ ア ン語
標 準 イ デ イ ッ シュ語 → イデ ィッシュ
フ ラ ン シ ア ン方 言
語 62l,71l
イデ ィッ
l → 近代 ギ リシア語
162l
東 中 部 ドイ ツ 語 →
ジー ベ ン ビ ュル ゲ
東 中 部 ドイ ツ文 章 語
→
標 準 ス ロ バ キ ア語 → ド イ ツ語
283l
ス ロバ キ ア語
240l ドイ ツ語 262r
ドイ ツ語 275l
デ ン マ ー ク語
→ デ ンマ ー ク語 254r
フ ァ ッサ 方 言 →
→ ノ ル ウ ェー語 296r
東 フ ラ ン ク語 →
ドロ ミテ語 293l
フ ァ レ リイ ー 方 言 →
ラテ ン語 461
r
東 バ ル ト語 → バ ル ト語 派 327l
372r,373l
フ ィ レ ン ツ ェ 方 言 → イ タ リア語 39r
277r
フ ィ ン祖 語 → エ ス トニ ア語 131l → フ ィ ンラ ン ド語 357r
東 フ ラ ン ケ ン方 言
→
フ ラ ン ク語
371r
フ ィ ン ・ ウ ゴ ル 祖 語 → エ ス トニ ア 語 131l
東 フ リ ジ ア 語 → フ リジ ア語 402l 東 ポ ン メ ル ン語 →
ドイ ツ語 276r
フ ィ ン ラ ン ド語 346l フ ェ ー ロ ー 語 362r
東 ラ ウ ジ ッツ語 →
フ ォ ドム 語 → ラ デ ィ ン語 457l
ドイ ツ語 277l →
フ リ ウ リ語
396l 東 ロマ ニ ア諸 語
→
ロ マ ンス諸 語
548l ピ カ ル デ ィ方 言 → フ ラ ン ス語 387 l ピ カ ル デ ィ ー 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ンス 諸 語 150l → ロマ ンス諸 語 544r ピ ジ ン ・イ ン グ リ ッ シ ュ → 英 語 109r
ドロ ミテ語 293l
ブ ー ク モ ー ル → ノ ル ウ ェ ー 語 296 r プ ス コ フ方 言 群 →
ロ シア語 529r
ブ ラ ジ ル ・ポ ル トガ ル 語 369r
フ リ ー ス ラ ン ド語 = フ リ ジ ア 語 400l ブ リ ソ ニ ッ ク語 群 →
島 嶼 ケ ル ト語
→ ブル トン語 412l
287r ブ リ タ ニ ッ ク 語 群 → 島 嶼 ケ ル ト語 287r ブ リ タ ニ ッ ク 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語
ブ リ テ ィ ッ シ ュ 語 群 → 島 嶼 ケ ル ト語 287r
287r ブ リテ ィ ッ シ ュ 方 言 → ウ ェ ー ル ズ語 93l ブ リ トニ ッ ク語 群 →
ブ リ トニ ッ ク 諸 語 →
島 嶼 ケ ル ト語
ブ ル ガ リ ア 語 403l
フ ラ ン ク 語 371r
ブ ル ガ リア 口 語
→ イ タ リア語 51l → フ ラ ンス語 379l → フ リウ リ語 398r
ヒ ス パ ノ ・ ロ マ ン ス → ロ マ ン ス諸 語
→ ロ マ ン ス諸 語 552r フ ラ ン ケ ン方 言 → アル ザ ス 語 24l → フ ラ ン ク語 371r
島 嶼 ケ ル ト語
287r
フ ラ マ ン 語 → オ ラ ンダ語 135l
→ ブ ル グ ン ド語 411l
ピ ュ テ ー ル 語 → ラデ ィ ン語 457l
フ リ ジ ア 語 400l
287r
ビ ス カ ヤ 方 言 → バ ス ク語 312r
548r
フ リ ウ リ語
ブ リ テ ィ ッ シ ュ 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語
レ ト ・ロマ ンス諸 語 512r
フ ォ ドム 方 言 → →
→
395r
287r
→ フ ィ ンラ ン ド語 360r
東 モ ラ ビ ア 方 言 → チ ェ コ語 252l
東 ロマ ニ ア言 語 群
→ レ ト ・ロ マ ン ス諸 語 512r
ブ リ ソ ニ ッ ク 諸 語 → 島 嶼 ケ ル ト語 → ロマ ンス諸 語 542r
ドイ ツ語 275l,
プ ー リア 方 言 → イ タ リア語 41l
287r
フ ラ ンク語 371r,
東 フ ラ ンケ ン語 →
ドイ ツ語
語 395r
フ ァ ッサ 語 → ラデ ィ ン語 457l → レ ト ・ロマ ンス 諸語 512r
260l 東 ノ ル ド語 → ス ウ ェ ーデ ン語 205l
→
フ リ ウ リ 中 部 ・東 部 方 言 → フ リウ リ ふ
東 低 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク 語 312r 東 デ ンマー ク方言 →
ブ ラ ン デ ン ブル ク語
フ リ ウ リ西 部 方 言
標 準 ドイ ツ 語 →
東 低 地 ドイ ツ 語 →
フ ラ ンス
語 387l
フ リ ウ リ語 395r
r
ドイ ツ語 275l,277l,283l
フ ラ ンス 語
275l,276r
標 準 ス ペ イ ン 語 → ス ペ イ ン語 225
ン ・ザ ク セ ン語 200r
→
フ ラ ン ス 語 377l
標 準 ギ リシ ア 語
シ ュ語 66表3
ロ マ ンス 諸 語
フ ラ ン シ ュ ・コ ンテ方 言 →
標 準 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135
東 中央 イデ ィ ッシュ語 →
→
544r
377r,387l
標 準 英 語 → 英 語 113l
東 ス ラ ブ 諸 語 → ロ シ ア語 521l
ド
→ ロ マ ン ス諸 語 544r
標 準 イ タ リア 語 → イ タ リア語 39l → ロマ ンス 諸語 542r
東 ス ラ ブ 基 語 → ロ シア語 529r 東 ス ラ ブ 語 → ス ラブ祖 語 236r
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ズ 方 言 → ロ ミテ語 293r
r
東 ゴ ー ト語 → ブ ル グ ン ド語 411l
→
→ ロ マ ンス諸 語 540l
ピ ュ テ ー ル 方 言 → フ リ ウ リ語 396
ドイ ツ語 262r
フ ラ ン コ ・プ ロ ヴ ァ ン ズ 語 374l
→
ブ ル ガ リア語
409r ブ ル ガ リ ア 文 章 語 → 教 会 ス ラ ブ語 152l ブ ル ガ リ ア 方 言 → 古 代 教 会 ス ラ ブ語 177l ブ ル ガ リア教 会 ス ラ ブ語 → 教会 スラ ブ語 151l,152l
ブ ル グ ン ド語 410l
ニ ア 語 34r
語 68表7
ブ ル ゲ ン ラ ン ト ・イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッ シュ 語 66表4 ブ ル ゴ ー ニ ュ方 言
→
北 西 ギ リシ ア方 言
→
マ ゾ フ シ ェ方 言
154l
フ ラ ンス語
387l ロ マ ン ス諸 語
544r
マ ル ク語 →
→ ケ ル ト語 派 163r
プ ロ ヴ ァ ン ス 方 言 → プ ロ ヴ ァ ン ス語 416r,418r
ロ マ ン ス諸 語 545
み
北 部 ノ ル マ ン デ ィ ー 方 言 → ロマ ン ス
文 語 イ タ リア 語 → イ タ リア語 44l
諸 語 544r
文 語 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッシュ 語 63l
南 ア フ リカ 英 語 → 英 語 109r
北 米 大 陸 の 英 語 → 英 語 110l
南 アル プ ス地 方 方 言 →
ボ ー ク モ ー ル → ノル ド語 303r 北 海 ゲ ル マ ン語 →
へ
ドイ ツ語 262l
米 語 → 英 語 115l
北 方 中 間 イ デ ィ ッシ ュ語 → イデ ィッ →
ダル マチ ア語
247r
南 イ ベ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロ マ ンス諸 語 549図3
ドイ ツ語 275l,277
l
ポ ラ ブ 語 420r
語 60l
→
ポ ー ラ ン ド語
ン ド語 357r イ デ ィ ッ シ ュ語
南 オ ラ ン ダ 語 → オ ラ ン ダ語 135l 南 ギ リ シ ア 方 言 → ギ リ シ ア語 155
ポ ー ラ ン ド ・イ デ ィ ッ シ ユ語 → イ
フ ィ ン ラ ン ド語
358l表12
デ ィ ッ シ ュ語 66表4 ホ ル シュ タ イ ン語 →
ベ ル ン ・オ ー バ ー ラ ン ト ・ ドイ ツ 語 ドイ ツ語 278r
l南 ゲ ル マ ン語 → 古 サ ク ソ ン語 172 ドイ ツ語 276
r →
l ポ ル タ ヴ ァ ・キ エ フ 方 言 → ウ ク ライ
ドイ ツ語 278r
r
l ド
イ ツ語 264r
ベ ン ド語 = ポ ラ ブ 語 420r
南 ス ラ ブ 語 群 → セ ル ビ ア ・ク ロ ア チ
ロマ ン ス 諸 語 544
r
ポ ン トス方 言
南 ス ラ ブ → ス ラ ブ語派 234l 南 ス ラ ブ 語 → ス ラ ブ祖 語 236r
ボ ロ ー ニ ャ 方 言 → イ タ リア語 42r ポ ワチ エ方 言 →
ベ ン ド語 = ソ ル ブ 語 246l
ア語 243l 南 ス ラ ブ 諸 語 → ス ロバ キ ア語 240l
→
→ ス ロベ ニ ア語 242l
近 代 ギ リ シ ア語
→ ブ ル ガ リア語 403l
162r ほ 南 ま
ポ ア ト ゥ方 言 → フ ラ ンス語 387l ボ イ オ テ ィア方 言
→
ギ リ シア 語
154r ポ ウ イ シ ア ン → ウ ェー ル ズ語 94l
マ イ セ ン語 →
ドイ ツ語 277l
マ ウ ォ ポ ル ス カ 方 言 → ポ ー ラ ン ド語 438r
ポ キ ス 方 言 → ギ リ シア 語 154r
マ ケ ドニ ア 語 449r
北 欧 語 → ノル ド語 303l
マ ケ ド ニ ア 方 言 → 古 代 教 会 ス ラ ブ語
北 高 ナ バ ラ 方 言 → バ ス ク語 312r 北 西 イ デ ィ ッ シ ュ語 → イ デ ィ ッシ ュ
ジー
ベ ン ビュ ル ゲ ン ・ザ クセ ン語 201
ポ レ ス ク 方 言 群 → 白 ロ シ ア語 311
ベロ ロ シ ア 語 = 白 ロ シ ア 語 306r
ドイ ツ語 262r
南 ジ ー ベ ン ビュ ル ゲ ン方 言 →
ナ語 108l ポ ル トガ ル 語 441r
ベ ロ ル シ ア 語 = 白 ロ シ ア 語 306r
ペ ン シ ル ヴ ェ ニ ア ・ ド イ ツ語 →
ドイ ツ 語 275
南 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言 → フ ィ ンラ
439l
69l
ベ リ ー 方 言 → フ ラ ン ス語 387l
ベ ル ン ・ ドイ ツ語 →
南 オ ー ス ト リア語 → r,277r
ポ ー ラ ン ド方 言 →
ベ ラ ル ー シ 語 = 白 ロ シ ア 語 306r
エ ス トニ ア 語
129r
ポ ー ラ ン ド文 語
ヘ ル シ ン キ方 言 →
南 エ ス トニ ア 文 語 →
ポ ー ラ ン ド語 422l
ヘ ブ ラ イ ・ ドイ ツ語 → イデ ィッシュ
→
語 126r
→ ス ラ ブ語 派 234l
r
南 エ ス トニ ア 語 諸 方 言 → エ ス トニ ア
シ ュ語 68表7 ボ ヘ ミ ア 方 言 → チ ェ コ語 251r
ベ ッ シ ュ ・ ド ・メ ー ル → 英 語 109
ロマ ン ス諸 語
545r
北 高 ナ バ ラ方 言 → バ ス ク語 312r
ヘ ッ セ ン語 →
ア イ ル ラ ン ド語
語 545r図2
プ ロ シ ア 語 → 古 プ ロ シ ア語 188r
ベ グ リ オ ッ ト方 言
→
20r
北 部 ガ ロ ・ ロ マ ン ス 語 → ロマ ン ス諸
→ ロマ ンス諸 語 545r
ドロ ミテ語 293l
マ ン島 語 → ケ ル ト語 派 163r マ ンス ター方言
r
ドイ
ツ語 275l,276r マ ロ方 言 →
39l 北 部 オ ッ ク語 →
ドイ ツ語 275l,276r
マル クブラ ンデ ンブルク語 →
北 部 イ タ リ ア 方 言 群 → イ タ リア 語
プ ロ ヴ ァ ン ス 語 415r
ポ ー ラ ン ド語
マ ニ 方 言 → 近 代 ギ リ シア語 162r
北 ・中 部 オ ス ト ロ ボ ス ニ ア 方 言 → フ ィ ン ラ ン ド語 357r
ブ ル ト ン 語 412l
→
438r
北 東 イ デ ィ ッ シュ語 → イデ ィッシュ 語 66表3,68表6
ブ ル タ ー ニ ュ方 言 →
→ ロマ ン ス諸語 541l
ギ リシ ア語
177l マ ケ ド ・ル ー マ ニ ア 語 = ア ・ル ー マ
大 ロ シ ア 方 言 → ロ シ ア語 527r
南 ・西 イ デ ィ ッ シ ュ 語 →
イ デ ィッ
シ ュ語 68表7 南 バ イ エ ル ン語 →
ドイ ツ語 275r,
277r 南 ・東 イ デ ィ ッ シ ュ 語 →
イデ ィ ッ
シ ュ語 68表7 南 フ ラ ン ケ ン語 → 277r
ドイ ツ語 275l,
南 フ ラ ン ス 語 諸 方 言 → ロ マ ンス諸 語
ユ ダ ヤ 人 ドイ ツ 語 → イ デ ィ ッ シュ語 60l
548r,549図3
南 ラ イ ン ・フ ラ ン ク 語 → フ ラ ン ク語
ドイ ツ語 263図1
ラ ン ス モ ー ル → ノ ル ウ ェ ー語 296
ユ ダ ヤ ・ ス ペ イ ン 語 → ス ペ イ ン語
南 マ ル ク 語 → ドイ ツ語 276r
→
r
229l り
ユ ダ ヤ ・ ドイ ツ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語
371r,372r ミュ ケ ナ イ 語 → ギ リシ ア語 155l 民 衆 ラ テ ン語 → ロマ ンス諸 語 549l
60l
リ ク ス モ ー ル → ノ ル ウ ェ ー 語 296
ユ ト ラ ン ド方 言
→
デ ンマ ー ク語
260l
r リ グ リア 語 → サ ル デ ー ニ ャ語 191l
む
→ ロマ ンス 諸 語 552l ら
ム ジ ャ コ フ方 言 → ソル ブ語 246r
リ グ リア 方 言 → イ タ リア語 39l
ム ル キ 方 言 → エ ス トニ ア語 128l
ラ ア ズ 語 → イ デ ィ ッ シュ語 71r
リ トア ニ ア 語 486r
ム ン テ ニ ア 語 → ロマ ンス諸 語 541l
ラ イ ンプ フ ァル ツ語
リ トア ニ ア 方 言 →
ム ンテ ニ ア方 言
→
モ ル ダ ビ ア語
→ ル ー マ ニ ア語 510r
ドイ ツ語
フ ラ ン ク語
371r,372r →
ドイ ツ語
264l,275l,277l
メ ガ ラ 方 言 → ギ リシ ア語 154l メ グ レ ノ ・ル ー マ ニ ア 語 454l → ロ マ ンス 諸語 541l
24l ドイ ツ語 275l,
497r
諸 語 77r → プ ロ ヴ ァ ンス語 418l
277l ラ グ ー サ 方 言 → ロ マ ンス諸 語 542l
メ ゼ ー シ ェ ー グ方 言 → ハ ンガ リー 語
→ ロ マ ンス諸 語 545r
ラ グ サ ン 方 言 → ダ ル マ チ ア語 247r る
343l メ ッ セ ニ ア 方 言 → ギ リシ ア 語 154
ラ コ ニ ア 方 言 → ギ リ シア語 154l → 近 代 ギ リ シア語 162r
l メ ロ ス 方 言 → ギ リシア語 154l も モ サ ラ ベ 語 → ポ ル トガル語 447r → ロマ ンス諸 語 547l,549図3 モ ー ゼ ル フ ラ ン ケ ン語 →
ドイ ツ語
ル ク セ ン ブ ル ク 語 495l
ラ ツ ィ オ 方 言 → イ タ リア語 39r
ル マイ ンチュ →
ラ デ ィー ニ →
→
ロマ ンス諸 語
ル マ ウ ンチ ュ → レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
ドロ ミテ 語 292r
レ ト ・ロマ ン ス諸語 513
ラ デ ィ ン語 456r レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512r
ラ テ ン 語 458r
モ ル ドバ 語 = モ ル ダ ビ ア 語 454r
ラ テ ン ・ フ ァ リス ク 方 言 → スペ イ ン
r
188r ラ トヴ ィ ア 語
482l や
ラ ト ガ レ方 言 → ラ トヴ ィア語 482l
ヤ トヴ ィ ン ギ ア 語 455l
ラ ブ ー ル 方 言 → バ ス ク語 312r
ヤ ト ビャ グ方 言
ラ ン グ ド ッ ク 方 言 → ガ ロ ・ロマ ン ス
→
古 プ ロ シ ア語
189l
諸 語 149r → プ ロ ヴ ァ ン ス語 416r,418r ゆ
ユ ダ ヤ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 60l
→ ロ マ ンス諸 語 545r ラ ン ゴ バ ル ド語 482r
→ ス ウ ェ ー デ ン語 210r ル ー ン ・デ ン マ ー ク 語 → 古 ノル ド語
語 225r
ラ トヴ ィ ア 標 準 語 →
→ ロ マ ンシ ュ語 536r
語 188r
ラ トヴ ィ ア 語 476l
→ ル ー マ ニ ア語 510r
レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
ル ー ン ・ス ウ ェ ー デ ン語 → 古 ノ ル ド
モ ル ドヴ ァ語 → ロマ ンス諸 語 541l
モ ル ド バ 方 言 → モ ル ダ ビア語 454
513l
513r
→ ロマ ンシ ュ語 536r
モ ル ダ ビ ア 語 454r
レ ト ・ロマ ンス諸語
→ ロマ ン シ ュ語 536l,536r ル メ ー ンチ ュ →
r
ロマ ン シュ語 536l
ル ー マ ニ ア 語 502r ル マ ンチ ュ →
ラデ ィー ノ語 →
→
541l
ロマ ン シ ュ 語 536r
レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
ラデ ィ ー ノ →
モ リ ー ゼ 方 言 → イ タ リア語 39r モ ル ダ ヴ ィ ア語
549図3
ラ シ 方 言 → チ ェ コ語 252l
ラデ ィ ン →
252l
ロ マ ン ス諸 語 548r,
ル カ ー ニ ア 方 言 → イ タ リア語 41l
513r
モ ラ ビ ア ス ロ バ キ ア 方 言 → チ ェ コ語
ル カニア語 →
ラ シ 上 位 方 言 → チ ェ コ語 252l
513r
264l,275l,277l
ドイ ツ語 275l,
リ モ ー ジ ュ 方 言 → イ ベ ロ ・ロ マ ンス
ラウ ジ ッツ語 →
ドイ ツ語 275l,276r
→
277l リ プ ア ー ル 方 言 → ル クセ ン ブ ル ク語
ラ イ ン フ ラ ン ケ ン 方 言 → ア ル ザ ス語
メ ク レ ン ブ ル ク ・前 ポ ン メ ル ン語
リ ー ブ 方 言 → ラ トヴ ィ ア語 482l リ プ ア ー ル語
ラ イ ン フ ラ ン ケ ン語 め
イ デ ィ ッ シ ュ語
69r
ラ イ ン ・フ ラ ン ク語 →
455l
→
→
275l,277l
→ デ ンマ ー ク語 260l ル ー ン ・ ノ ル ウ ェ ー 語 → 古 ノル ド語 188r れ レオ ン方 言
→
ス ペ イ ン語 225r,
228r → ポ ル トガ ル語 442l → ロマ ンス諸 語 547r
レオ ン 方 言 → ブ ル トン語 412r
ロ モ ン チ ュ → ロマ ン シュ語 536l ろ
レ ス ボ ス 方 言 → ギ リシア語 154r レチ ア語 →
ドロ ミテ語 293l
レチ ア諸 語 →
レ ト ・ロ マ ン ス諸 語
515r
ロ レ ー ヌ 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ン ス諸 語
ロ エ ズ 語 → イ デ ィ ッ シ ュ語 71r ロ グ ドル 方 言 → 島 嶼 ケ ル ト語 289
→ ロ マ ンス諸 語 544r
r
レ ッ ツ ェ ブ ル ギ ッ シ ュ語 → ル ク セ ン ブ ル ク語 497l
ロ グ ドー ロ方 言 →
サ ル デ ー ニ ャ語
190l
レ ッツ ェブ ル ク語 = ル ク セ ンブル ク
レ ッ ト語 = ラ ト ヴ ィ ア 語 476l
ロ シ ア 語 521l
レ ッ ト ・ リ トア ニ ア 語 → バ ル ト語 派
ロ シ ア 教 会 ス ラ ブ 語 → 教 会 ス ラ ブ語
325r レ ト ・ロ マ ン
ス諸 語 515r レ トロ マ ン語 →
ドイ ツ語 264l
レ ト ・ロ マ ン ス 語 →
ロマ ンス諸 語
543r レ ト ・ ロ マ ン ス 諸 語 512l レヒ タ諸 方言 グル ー プ → ポー ラン ド 語 422l レ フ 諸 語 520r レ フ 方 言 → ス ラブ語 派 234r → ポ ラ ブ語 420r
→ 島 嶼 ケ ル ト語
289r ロ ンバ ル デ ィ ア語 →
レ ト ・ロ マ ンス
諸 語 519l
151l
レ ト ・ フ リ ウ リ諸 語 →
ロ ン カ リ方 言 → バ ス ク語 312r ロ ン グ ドー ロ 方 言
→ ロ マ ンス 諸語 543l ロ ク リ ス 方 言 → ギ リシ ア語 154l
語 495l
149r → フ ラ ンス語 387l
ロ ンバ ル デ ィ ア方 言 →
イ タ リア 語
39l
ロ ドス 方 言 → ギ リシア 語 154l
→
ロ ー マ 方 言 → イ タ リア 語 44l
→ ロ マ ンス諸 語 542r
レ ト ・ロ マ ンス諸 語 516l
→ ロ マ ン ス諸 語 542r わ
ロ マ ー ニ ー 語 533l ロ マ ニ ア 語 = ル ー マ ニ ア 語 502r
ワ ラキ ア 語 →
ロ マ ン シ ュ語 535l
ワ ロ ニ ー 方 言 → ガ ロ ・ロ マ ンス 諸 語
→ レ ト ・ロ マ ンス諸 語 512l ロマ ンス 語 派 →
ポル トガ ル 語 441
r ロ マ ン ス 諸 語 539r ロ ム ニ モ ス → ロマ ー ニ ー語 533r
ロマ ンス 諸語 541l
149r → フ ラ ンス語 387l → ロ マ ンス諸 語 544r ワ ロ ン 語 → フ ラ ン ス語 377l
1998年5月10日
初 版 発行
言語学大辞典 セ レク シ ョン
ヨ ー ロ ッパ の 言 語
1998年5月10日
第1刷 孝(か
発行
編 著 者 亀
井
め い ・た か し)
河
野
六
郎(こ
うの ・ろ くろ う)
千
野
栄
一(ち
の ・え い い ち)
発 行 者 株 式 会 社 三 省 堂 代 表 者 五 味 敏 雄 印 刷 者 三 省 堂 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 株 式 会 社 三 省 堂 〒101‐8371 東 京 都 千 代 田区 三 崎 町 二 丁 目22番14号 電 話 編 集(03)3230‐9411 販 売(03)3230‐9412 振 替 口 座 00160‐5‐54300 〈ヨーロッパの言語 ・592pp.〉 落丁 本 ・乱 丁 本 はお 取 替 え い た し ます ISBN4‐385‐15205‐5 〓 本 書 の 全 部 ま た は 一 部 を 無 断 で 複 写 複 製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法 上 で の 例 外 を 除 き,禁 じ られ て い ま す 。 本 書 か らの 複 写 を 希 望 さ れ る 場 合 は,日 本 複 写 権 セ ン ター(03‐3401‐2382)に
ご連 絡 くだ さ い。
言 語 学 大 辞 典
全6巻(各B5判,本
製 ・箱 入 り)
編 著 者 亀 井
孝
・河 野
六郎
・千 野
栄 一
編集委員 三 根 谷 徹 ・北 村 上村
幸 雄 ・松 本
甫 ・南 不 二 男 ・風 間 克 己 ・土 田
滋 ・上 野 善 道
言 語 学 の 歴 史 と現 在 を 総 括 し,21世 新 し い 基 礎 を 築 く,言
喜 代 三 ・西 田 龍 雄 ・
紀 の 言語 研究 へ 向 けて
語 お よ び 言 語 学 の 百 科 全 書.
第1巻
世 界 言 語 編(上)あ
∼ こ
1824頁
第2巻
世 界 言 語 編(中)さ
∼ に
1824頁
第3巻
世 界 言 語 編(下‐1)ぬ
∼ ほ
1216頁
第4巻
世 界 言 語 編(下‐2)ま
∼ ん
1232頁(付
世 界 の諸 言 語 の,名 称,系 統,分 類,分 布,人 語 彙,語
項 目 一 覧)
口,音 韻,形 態,統 語,方
き と記 述 した世 界 最 大 の 言 語 辞 典.各
言 語 の 検 索 ・理 解 に は もち ろん,一
言 語 学 の 研 究 に と って も言 語 デ ー タの 無 限 の宝 庫 を提 供 す る.約3500言 五 十 音 順 に 上 ・中 ・下‐1・ 下‐2の4巻
第5巻 上 記4巻
言,
史,辞 書,参 考 文 献 を,最 新 の言 語 資 料 を駆 使 して 具 体 的 に生 き生
語を
に分 けて 収 録 す る.
補 遺 ・言 語 名 索 引 編 に未 収 録 の 言 語 の う ち,そ
般
1072頁 の 後 の 調 査 ・研 究 の進 展,新
資料 の 発
見 ・刊 行 な ど に よ って 記 述 可 能 と な っ た もの を 追 補 す る.ま た,言 語 名 の異 称 や異 綴 り,方 言 名 な どを も含 む 言 語 名 総 索 引 を 併 録 す る.
第6巻
術 語 編
1808頁
伝 統 的 言 語 学 の各 分 野(音 声,音 集 大 成,学 派,隣
韻,文
法,方 言,文 字 な ど)の 術 語1500を
接 諸 分 野 等 の大 項 目 も配 置.付 録 に,世 界 の言 語 学 者420
名 を紹 介 した人 名 解 説,和 文索 引,欧 文 索 引,文 献 一 覧 も付 載.