わかりやすい機械教 室
空気圧 の基礎と応用 高橋 徹 著
東京電機大学出版局
本書 の全 部 また は一 部 を無 断 で 複写 複 製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法上 で の例 外 を除 き,禁 じ られ て い...
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わかりやすい機械教 室
空気圧 の基礎と応用 高橋 徹 著
東京電機大学出版局
本書 の全 部 また は一 部 を無 断 で 複写 複 製(コ ピー)す る こ とは,著 作 権 法上 で の例 外 を除 き,禁 じ られ て い ま す。 小局 は,著 者 か ら複 写 に係 る 権利 の管 理 につ き委 託 を受 けて い ます ので,本 書 か らの複 写 を希望 され る場 合 は,必 ず 小局(03-5280-3422)宛 ご連 絡 くだ さい。
ま え 生産 の 自動 化,省
力 化,省
が き
エ ネ ル ギ ー化 の 担 い手 と し て の 空 気 圧 は,電 子 と
組 ん だ 電 ・空 自動 技 術 をつ く りつ つ あ る。 空 気 圧 機 器 各 社 に は,営 業 を 担 当 す る部 の 中 に技 術 課 が 置 か れ,ユ 文 に応 じて機 種 選 定 か ら販 売,保
ーザの注
守 に至 る ま で の一 連 の 仕 事 を担 当 して い る と
こ うが 多 い 。 ま た,企 業 内 教 育 の ほ か に ユ ー ザ へ の 技 術 講 習 会 を開 催 す る な ど 積 極 的 に空 気 圧 機 器 の 普 及,教 は,ビ
育 活 動 も行 っ て い る。 こ こで使 用 され る教 材 に
デ オ テ ー プ の ほ か に各 社 編 集 の テ キ ス トな どが あ る が,私
は,こ れ ら の
教 材 を空 気 圧 の 仕 事 に携 わ る ご く限 られ た 人 た ち だ けの もの で な く,高 校 か ら 大 学 ま で の 生 徒 ・学 生 や 多 くの 技 術 者 に も広 く読 ん で も ら え る よ うな 専 門 書 と し て 出版 した い と考 えた 。 そ こで,こ
の考 え を(社)日 本 油 空 圧 工 業 会 を は じ め空 気 圧 機 器 製 造 各 社 に相
談 した と に ろ,理 解 を示 さ れ快 よ く私 の 希 望 に応 じ て くだ さ っ た。 本 書 は,こ の よ う に各 社 の初 ・中 級 程 度 の テ キ ス トを も と に し て 内容 を精 選 し直 した もの で ある。 本 書 を執 筆 す る にあ た っ て は,次 の 事 柄 に 留 意 し た。 ①
大 気(自
由 空 気)か
ら圧 縮 空 気(空 気 圧)ま
で の概 念 が 理 解 で き る よ う
に 努 め た。 ②
理 論 を深 く堀 り下 げ る こ とは で き る だ け さ け,空 気 圧 機 器 の構 造 と作 動 原 理 に重 点 をお い た。
③
内 容 の理 解 を深 め るた め に,多
④
1章 お よ び 9章,10章
くの 図,表
には例 題,練
を 随所 に と り入 れ た 。
習 問 題 を設 けた の で,自 学 ・自 習 に
活用 されたい。 ⑤
シ ー ケ ンス 制 御 の 実 際 例 と し て,卓 上 空 気 圧 プ レ ス の計 算 例(設 計 図 面
付)を10章 ⑥
で と りあ げ た 。
単 位 は 国 際 単 位 系(SI)に
よった。
最 後 に,多
くの 資 料 を 提 供 して くだ さ っ た 空 気 圧 機 器 製 造 各 社 と(株)八 嶋 技
術 研 究所 長 八 嶋 清 氏 に 深 く感 謝 い た し ます 。 また,高 校,高 専,大 学 の 生 徒 ・ 学 生 や,現 場 の初 ・中級 技 術 者 の た めの 講 習 会 の テ キ ス トと して 好 評 な 「わ か りや す い 機 械 教 室 シ リー ズ 」 に加 え て くだ さ っ た東 京 電 機 大 学 出 版 局 と,特 に 労 を と って くだ さ っ た市 村 恒 二 氏,な
らび に 空 気 圧 プ レ ス を試 作 した 際 に助 言
と協 力 を し て くだ さ っ た 近 常 精 機 株 式 会 社 に お 礼 を申 し あ げ ます 。 空 気 圧 技 術 テ キ ス トを 提 供 して くだ さ っ た 各 社 は 次 の とお りで あ る。 (ア イ ウ エ オ順)
SMC株
式会 社
〒105東
京 都 港 区 新 橋1-16-4あ
さ ひ銀 新橋 ビ ル
株 式会社 コガネイ
〒100 東 京 都 千 代 田 区丸 の 内3-2-3富
シ ー ケ ー デ ィ株 式 会 社
〒485愛
太 陽鉄工株式会 社
〒533 大 阪 市 東 淀 川 区 北 江 口1-1-1
1995年
士 ビル
知 県 小 牧 市 大 字 北 外 山 字 早 崎3005
2月
高橋
徹
も く じ
1.空 気 圧 利 用 の 基礎 知識
1・1 空 気圧 と自動 化 1 1・2 空 気圧 の利用 例 2 1・3 空 気圧 の特徴 3 1・4
自動 化諸 方式 の比 較
4
1・5
空気 圧 の性質 8
1・6
空気 の状 態変 化 21
1・7
空 気 の 流 れ と絞 り
1・8
配管 の圧 力損 失 35
2.空 気 圧 機 器 と
2・1
空気圧 機器 の基 本的 構成
シス テ ムの概要
2・2
空 気圧 機器 の
28
39
基 本 的な使 用例 42
3.空 気 圧 発 生 源
4.空 気 圧 清 浄機 器
5.制御機器
3・1
空 気圧縮 機 44
3・2
ア フ タ ク ー ラ 49
3・3
空 気 タ ン ク
4・1
圧縮空
気 に含 まれ る異 物
53
4・2
メ イ ンライ ン フィル タ
55
4・3
オ イ ル ミス トセ パ レー タ
57
4・4
エ ア ドラ イ ヤ 58
4・5
空 気 圧 調 整 ユ ニ ッ ト
5・1
圧 力制御 弁 74
5・2
方 向制御 弁 78
5・3
流量 制御 弁 107
51
62
6.ア
クチ ュエー タ
6・1
空 気 圧 シ リン ダ 114
6・2
ス イ ッチ付 き 空 気 圧 シ リン ダ 121
7.そ の 他 の 空気 圧機 器
8.空 気 圧 回 路 と 図記 号
6・3
揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タ
125
6・4
空 気 圧 モ ー タ 127
7・1
エ ア ハ イ ド ロ ユ ニ ッ ト
130
7・2
ハ イ ドロ チ ェ ッ カ
132
7・3
シ ョック アブ ソーバ
134
7・4
真空 用機 器 136
7・5
空気 圧用 消音 器 137
7・6
空気 圧配 管 139
8・1
主 な 空 気 圧 機 器 の 図 記 号145
8・2
空気 圧基 本 回路 145
8・3
全 空 気 圧 制 御 回路
8・4
電気 制御 回路 151
8・5
空 気圧 回路 の実 際例
147
160
9.空気圧 シ リンダの基礎計算 165 10.卓
上 空気 圧
プ レス の 設 計 例
10・1 機械 本体 の構 造 175 10・2
空 気 圧 シ リ ン ダ の 出 カ
10・3
設 計 の構 想 182
10・4
空 気圧機 器 の選 定
10・5
そ の 他 の 部 品 の 強 度 計 算194
10・6
空 気 圧 回 路 図, 電 気 制 御 回 路 図,設
176
184
計 図196
問題解答 200
参考文献 203
1 空気圧利用 の基礎知識 ,1・1空 気 圧 と 自動 化
人 間 は昔 か ら空 気 圧 を利 用 し なが ら暮 ら し て きた 。 空 気 圧 を 自 らの生 活 の 中 に 応 用 した の は 極 め て早 い 時 期 で,原 始 時代 に さ か の ぼ る。 空 気 圧 の 最 初 の機 器 は狩 猟 用 の吹 き 矢 で あ ろ う とい わ れ て い る。 人 間 の 肺 を圧 縮 機 代 わ り に し て,獲 物 目掛 け て 放 つ吹 き矢 は,当 時 は重 要 な空 気 圧 機 器 だ っ た に違 い な い。 ま た,古
代 エ ジ プ ト人 は 火 を 起 こ す の に,ふ
圧 縮 空 気 をつ くっ た 。 ふ い ごは,シ
い ご(bellows)を
利 用 して
リン ダ,ピ ス トン,弁 を 内 包 し て い て,大
気 を吸 入 し,圧 縮 し なが ら空 気 を送 り出 す もの で あ り,空 気 圧 縮 機 の 原 形 を な して い る。 現 代 で は,空 気 圧 を駆 動 源 な どに使 っ て い な い 工 場 は な い とい え る ほ ど,あ
ら ゆ る産 業 で 空 気 圧 機 器 は活 躍 して い る。 そ れ は,空 気 圧 機 器 は価 格 表1・1
年
主 な 空 気 圧 利 用 の歴 史
代
1920 ∼1930
説 明 ・(米)フ ォー ド社 が 乗 用車 の大 衆 化 を 図 り,ベ 装 置 に導 入 ・(日)旧 国 鉄 車 両 の エ ア ブ レ ー キ,自
ル トコ ンベ ヤ の 周 辺
動 ドア の 開閉 装 置 に 採 用
第 2次世界大戦 1960
・基 幹 産 業 の 自動 化 ,半
自動 化 へ の利 用 開 始 ・ トヨ タ 自動 車 が 大 衆 車 の組 立 て ラ イ ンへ 導 入
・第 2次産業で空気圧 の利用拡大 1970
自動化+省 力化→人件費抑制 ・ほ と ん どの 製 造 業 の み な らず第 3次産 業 界 に も利 用 が拡 大
1980 ∼1990
自動 化 → 自動 組 立 て化 → 省 人 化,省 エ ネル ギー 化 ・空 気 圧 機 器 の 無 給 油 化 ,軽 薄 短 小 化,電 ・空 制 御 化,省 エ ネル ギー 化 は ます ます 拡 大
人 化,省
が安 く,だ れ もが 現 在 使 用 して い る機 械 や新 しい 機 械 を手 軽 に省 力 化 した り, 高速 化 す る こ とが で き,そ の経 済 的 効 果 が 高 い か らで あ る 。 また,近 模 な ロ ボ ッ ト化 やFA化
年 は大 規
が 進 め られ て い る な か で,空 気 圧 技 術 も小 形 軽 量 化 の
ほ か に,機 器 の 無 給 油 化 な らび に電 ・空 制 御 に よ る 自動 化 機 器 と して の 利 用 が 期 待 され て い る。 1920年 代 以 降 の 主 な 空 気 圧 利 用 の 歴 史 を ま と めて み る と,表1・1の
ようにな
る。 ま た,空 気 圧 は環 境 に対 して つ ね に清 潔 に保 て る と こ ろか ら,電 子 機 器, 食 器,医 療 な ど に そ の 用 途 を拡 大 して い る。 これ を空 気 圧 の 木 と名 づ け る と, 図1・1の よ うに な る。
図1・1
空気圧 の木
1・2
図1・1に 空 気 圧 の応 用 分 野 を 示 した が,も な る。
空気圧 の利用例
う少 し具 体 的 に 書 く と次 の よ うに
・工 作 機 械 分 野: パ ワ ー チ ャ ッ ク の 開 閉,テ ワ ー ク の ク ラ ン プ,エ ・搬 送 ラ イ ン 分 野:
ー ブ ル の 駆 動,エ
アバ イ ス に よ る
ア イ ン デ ッ ク ス に よ る割 出 しな ど
コ ンベ ヤ ラ イ ンの リフ トの上 下 駆 動,エ
ア ホ イ ス ト,部 品
供給 装置 な ど ・化 学 プ ラ ン ト分 野:
自動 調 節 の た め の 弁 開 閉,蒸 御,遠
・計 装 開 閉 分 野:レ
心 分 離 装 置,水 処 理 装 置 な ど
ベ ル制 御 ,温 度 制 御,空
・包 装 関係 分 野:
留 乾 燥 な ど に お け る真 空 制
ケー スパ ッ カ,ブ
気 マイ クロメー タな ど
リス タ 包 装 機,自
動 封 か ん 機,自
動段ボー
ル箱詰機 な ど ・そ の他 の 分 野:繊
維 機 械 ,食 品 機 械,印
刷 機 械,医
療機械 な ど
1・3
〔1 〕
①
空気圧の特徴
空気圧の長所
シ リ ン ダ の 速 度 制 御 を無 段 階 に 行 え る
速 度 制 御 弁(ス ピ ー ドコ ン ト
ロー ラ)で 排 気 また は給 気 を絞 る こ とに よ っ て,ロ
ッ ドの 速 度 を変 化 さ せ
る こ とが で き る。 ②
出 力 の調整 が簡単 で あ る て,シ
③
リ ン ダ 出 力 を変 化 させ る こ とが で き る。
高 速 作 動 が 得 られ る
空 気 は粘 性 が 小 さ い の で,配 管 途 中 の圧 力 降 下
が 少 な く流 速 が速 いた め,ロ ④
減 圧 弁(レ ギ ュ レ ー タ)で 空 気 圧 を調 整 し
爆発 や引火 の心配が ない
ッ ドの高 速 作 動 が 得 られ る。 空 気 圧 は爆 発 や 引火 の 心 配 が な い。 また 湿
度 の 影 響 も な い 。 空 気 圧 そ の もの は温 度 に対 して影 響 は な い が,空 気 圧 機 器 を構 成 して い る材 料 が 影 響 を受 け る た め,一 般 的 に は使 用 温 度 範 囲 が 決 め られ て い る。 ⑤ 衝 撃 力 を吸 収 で き る の で過 負 荷 に な っ て も安 全 で あ る 空 気 は圧 縮 性 流 体 で あ る の で,衝 撃 的 な 負 荷 が 加 わ っ て も シ リ ン ダ 内 の 空 気 が 圧 縮 さ
れ,衝 撃 力 が 吸 収 さ れ る。 ⑥
エ ネ ル ギ ー の蓄 積 が で き る
空気 圧 エ ネル ギ ー の 蓄積 は タ ン ク を設 け
れ ば よ い。 小 形 の コ ンプ レ ッサ で も,時 間 を か け れ ば 多 量 の 圧 縮 空 気 が で き,短 時 間 に大 き な仕 事 が で き る。 ⑦
エ ネル ギ ー で あ る空 気 は ど こ で も得 られ る
空 気 は地 球 上 ど こで も得
られ る。
空気圧の短所
〔2〕
①
精 密 な 速 度 調 整 が 困 難 で あ る 空 気 に は圧 縮 と膨 張 の 性 質 が あ る の で,ロ
②
ッ ドの速 度 に む らが あ り,精 密 な 速 度 制 御 は難 しい 。
排気音 が出 る
空 気 が 排 気 され る とき に 音 が 出 る。 方 向 切 換 弁(電 磁
弁)に 消音 器 を付 け る の が 一 般 的 で あ る。 ③
潤滑油が必要
空 気 そ の も の に は 潤 滑 性 が な い の で,潤 滑 油 の 併 用 が
必 要 で あ る。 ④
ドレ ンが 発 生 す る
空 気 は圧 縮 され る と水 分(ド レ ン)が 発 生 し,そ の
処 置 を行 わ な い と さ びが 発 生 した り,誤 動 作(エ ラー)な ど を起 こす 。 ⑤
電 気,機 械 な ど に比 較 して効 率 が低 い
⑥
位 置 決 め精 度 が悪 い
ア クチ ュ エ ー タ(シ リ ン ダ,モ ー タ な ど)の ス ト
ロ ー ク途 中 で の停 止 な ど,精 密 な位 置 決 め が 難 しい。
1・4
自動 化 の た め の駆 動 方 式 は,空 気 圧 方 式,油 電 子 方式,な
自動化諸方式の比較 圧 方 式,機 械 方 式,電 気 方 式,
どが あ り,そ れ ぞ れ の 長 所,短 所 が あ る。 した が って,空
気圧 シ
ス テ ム を 利 用 す る に は,他 方 式 の利 点 を生 か し,欠 点 を補 う方 法 を工 夫 して, 目的 とす る作 業 工 程 を要 求 す る諸 特 性,費
用 な どの 条 件 に よ り最 適 の組 合 せ を
選 択 す る と よい 。 表1・2は 制 御 諸 方 式 の比 較 を示 した もの で あ る。 こ こで 各 方 式 に つ い て 簡 単 に記 す こ とに す る。
表1・2各
種の駆動方式 と制御 方式の比較
(a)
空気圧 方式
使 用 圧 力 は,一 般 に0.5∼0.7MPa
G程 度 が 普 通 で,空 気 タ ン ク を設 置 し,
圧 力 を 減 圧 弁 に よ って 自 由 に 設 定 し て,使 用 す る場 所 ご とに必 要 な 圧 力 を取 り 出 す こ とが で き るの で,油 圧 の よ う に ラ イ ン ご とに使 用 圧 力 段 階 に応 じ た油 圧 ユ ニ ッ トを設 け る必 要 が な い。 空 気 は 圧 縮 性 の た め タ ン ク に よ っ て蓄 圧 が で き るが,一
方 で は そ の圧 縮 性 の
た め 制 御 が 不 正 確 に な る とい う 2大 特 色 を も って お り,こ れ を上 手 に利 用 す る こ とが 最 も大 切 で あ る。 一 般 的 に次 に示 す よ うな こ とが い え る。 ①
圧 力 が0.5∼0.7MPa
Gと 低 い た め,9.8kN前
後 の比較 的軽 作 業 の負
荷 に適 す る ②
シ リ ンダ の 駆 動 速 度 は50∼500㎜/sで
あ り,油 圧 や 電 気 に比 べ て速 い
動 き を させ る こ とが で き る ③
圧 縮 性 の た め 正 確 な送 り速 度 が 得 られ な い の で,必 要 な場 合 は油 圧 を利 用 した エ アハ イ ドロ チ ェ ッカ の よ うな も の との併 用 を考 え,速 度 の 正 確 さ をだ す
④
圧 縮 性 に よる ク ッ シ ョ ン効 果 を利 用 す る こ とが で き る
⑤
大 容 量 の シ リ ンダ で も,作 業頻 度 が 間 欠 的 な場 合 に は タ ン ク を設 け て設 備 を 大 形 化 しな くて も よ い場 合 が あ る
⑥
一 般 的 に作 業 機 器 で 発 生 した 熱 を空 気 が も ち去 っ て くれ るの で,油 圧 よ り も高温 の 場 所 で も使 用 で き る
⑦
空 気 圧 で は排 気 を大 気 中 に放 出 す る の で,油 圧 の よ うな戻 し配 管 が 不 要 で,配 管 作 業 が 簡 単 で あ る
⑧
空 気 そ の もの は油 と比 較 す る と潤 滑 性 に 欠 けて い る の で,一 般 的 に は配 管 の 中 に 油 を噴 霧 し て潤 滑 を行 うが,最 近 で は給 油 の必 要 の な い 機 器 が 開 発 され て い る
⑨
圧 縮 機 か らの 空 気 は使 用 後 大 気 に放 出 され る の で,ゴ
ミの循 環 は考 え ら
れない ⑩
爆 発 性 の あ るガ ス を使 う環 境 や 洗 浄 機 の よ うに水 を使 用 す る装 置 で は,
電 気 を全 く使 用 しな い全 空気 圧 回 路 の制 御 が で き る (b)
油圧方 式
流 体 エ ネ ル ギ ー を利 用 して い る点 で 空 気 圧 方 式 と比 較 され る が,油 圧 の場 合 は 空 気 圧 に比 べ て 圧 力 が10∼100倍 形 化 さ れ る。 制 御 の 面 で は,非
高 く,エ ネ ル ギ ー 密 度 が 高 い の で 装 置 が 小
圧縮性 流体 で あるの で比較 にな らない ほ ど良
い。 この 点 を生 か し て建 設 機 械,荷
役 機 械,船 舶,大
形 工 作 機 械,航
空機等 に
用 い られ る。 個 々 の 油 圧 タ ン ク を設 けた 循 環 方 式 で あ り,油 の 漏 れ に対 す る汚 染 と引 火 の 危 険性 を も っ て い る。 また ア キ ュ ム レー タ に よ る蓄 圧 は多 量 に は で きな い。 ポ ン プ を常 時 運 転 させ る こ と に よ り熱 が 発 生 す る の で,放
熱,冷
却 も必 要 で あ
る。 一 般 に油 圧 作 動 油 は,温 度 に よ る劣 化 は60℃ を超 え る と急 に進 行 す る。 油 圧 機 器 の 作 動 は,大 部 分 金 属 間 の し ゅ う動 を行 っ て い るの で,油 圧 作 動 油 の 中 の ゴ ミ に よ る影 響 が 多 大 で あ る。 (c)
機械方 式
シ ャ フ ト,カ ム,レ バ ー,歯 車,プ
ー リ,ベ ル トな ど に よ る方 式 で,昔 の 工
場 な どで は工 場 の天 井 に伝 動 軸 が 何 本 もあ り,プ ー リ とベ ル トに よ り工 作 機 械 や 他 の装 置 を動 か して い た が,最 近 で はほ と ん どみ られ な い。 (d)
電 気方式
大 部 分 は電 磁 力 を利 用 す るが,直 接 電 力 を利 用 す る とい う点 で,エ
ネルギ ー
効 率 は最 も高 い。 直 線 運 動 で は電 磁 石,回 転 運 動 で は電 動 機 が 基 本 で,こ
れら
を組 み合 わ せ た もの や,他
の機 構 と組 み合 わ せ た ブ レー キ 付 き電 動 機,ブ
レー
キ ク ラ ッチ付 き電 動 機,ロ
ー タ リソ レ ノ イ ド,ま た,ね
じ と組 み合 わ せ て 回 転
運 動 を直 線 運 動 に した 電 動 シ リン ダ,歯 車 と組 み合 わ せ た 減 速 機 付 き電 動 機 な どが あ る。 これ ら の機 器 の 制 御 に は,リ レ ー,タ
イ マ,リ
ミ ッ トス イ ッチ,半
導体 な どが 用 い られ る。 (e)
電子方式
半 導 体,IC等
を主 体 と し た制 御 方 式 で,信
号 の 伝 達 ・制 御 が 主 目的 で あ る。
デ ジ タル 制 御 とア ナ ロ グ制 御 とが あ るが,最 近 の マ イ ク ロ コ ン ピュ ー タ の著 し
い発 展 に と もな い,デ
ジ タル 制 御 が 主 流 に な りつ つ あ る。 この 方 式 の歴 史 は浅
い が,そ の 信 頼 性,寿 命 な ど につ い て は 急 速 に 向 上 し て い る。
空気圧の性質
1・5
〔1〕
大気と空気圧
地 球 の 周 りは 気 体 に 覆 わ れ て お り,こ の 気 体 の 層 を大 気 とい う。 こ の大 気 は,地 球 の 表 面 に近 い ほ ど濃 く,上 空 に行 くに した が っ て 薄 くな りつ い に は真 空 に な るが,地
表11㎞
付 近 の 対 流 圏 で は,図1・2の
よ う な ほ ぼ一 定 の 組 成
に な る。 しか し,実 際 に は 降 水 や 水 の蒸 発 に よ っ て 水 蒸 気 を含 ん だ 湿 り空気 に な っ て い る。 空 気 圧 機 器 を使 用 す る と き,こ の空 気 中 の 水 蒸 気 は温 度 や 天 候 な ど に よ っ て そ の量 が 変 化 し,機 器 の 作 動 に影 響 を及 ぼ す こ とが あ る。 空 気 は1m3あ
た り質 量 で約1.22 ㎏ の重 さが あ る。 これ が 地 球 の 表 面 に一 様
な 厚 さ で 存 在 して い るた め,大 気 の 重 さ に よ っ て海 面 付 近 で は高 さ760㎜
の
水 銀 柱(760㎜Hg)あ
底
る い は10.33 mの
水 柱(10.33 mH2O=10.33
mAq)の
に働 く力 と等 し い力 が働 いて い る(図1・3)。 これ を 大 気 圧 と呼 び,海 面 上 か ら の 高 度 が 上 が る に した が って 減 少 し,5㎞
の高 さで 約1/2と
な る。
空 気 は大 気 圧 の ま まの状 態 で は エ ネ ル ギ ー と して 使 う こ とは で き な い 。 そ こ で,空
気 圧 縮 機 で 圧 縮 して 圧 力 を高 く した うえ で,い
図1・2
大気の組成
ろ い ろな 用 途 に用 い て い
図1・3
ト リチ ェ リの 水 銀 柱
る。 この よ う に圧 力 が 大 気 圧 よ り も高 い場 合 を空 気 圧 とい う。 工 場 で の 圧 力 源 と して使 用 され る0.68MPa
Gの 空 気 圧 は,大 気 を1/8の 体 積 ま で 圧 縮 機 で圧
縮 して得 られ る もの で あ る。 〔2〕
(a)
空 気 の圧 力 と単 位 空気の圧力
気 体 は 固体 や 液 体 に 比 べ て分 子 間 の 距 離 が 大 き く,そ の運 動 が 自 由 で あ る。 した が っ て,分 子 間 相 互 の 力 が 弱 く,そ の体 積 の 変 化 は容 易 で あ る 。 ま た,圧 力,温 度 を変 化 す る こ と に よ っ て,空 気 の体 積 が 変 化 す る こ と に な る。 図1・4の よ う に あ る容 器 に空 気 を入 れ,そ
の 器 の 1つ の壁 につ い て 考 え て み
る。 器 の 中 の 空 気 の分 子 は 自 由運 動 を して い るの で,こ
の分 子 が 壁 に 衝 突 す る
と,そ れ に よっ て 壁 に力 を 及 ぼ す。 1個 の 分 子 の衝 突 に よ っ て壁 が 受 け る力 は, そ の 方 向 も強 さ もさ ま ざ ま で,し か も ご くわ ず か に衝 突 した 瞬 間 だ けで あ る か ら不 連 続 で あ るが,実
際 に は多 くの 分 子 が 壁 に衝 突 す る の で,壁
は連 続 して一
定 の 力 を受 け る。 この壁 の 受 け る 単 位 面 積 あ た りの 力 が 圧 力 で あ る。 一 定 の容 器 に入 れ て あ る空 気 の温 度 を上 げ る と,圧 力 が 高 くな る。 これ は分 子 の 運 動 が活 発 に な り,壁 へ の衝 突 が 激 し くな るか らで あ る。 ま た空 気 の 体 積 を ピ ス トンな どで 圧 縮 す る と圧 力 が 上 昇 す るの は,単 位 体 積 あ た りの 分 子 の数 が 増 す た め,分 子 の 衝 突 回 数 が 多 くな るか らで あ る 。 (b)
圧 力の単位
圧 力 を表 す の に,完 全 な 真 空 を ゼ ロ基 準 に とっ た もの を絶 対 圧 と呼 び,大 気
図1・4
気体の分子運動
図1・5
絶対圧 と大 気圧
圧 を ゼ ロ 基 準 に と っ た も の を ゲ ー ジ 圧 と い う 。 こ の 絶 対 圧,ゲ の 関 係 は 図1・5で
示 さ れ,次
き た 。 こ れ は,面
来,圧
ー ジ 圧PG+大
気 圧PA
(1・1)
力 の 単 位 は 工 学 系 に お い て ㎏f/㎝2を
積1㎝2に
気圧
式 で 表 さ れ る。
絶 対 圧Pabs=ゲ 日 本 で は,従
ー ジ 圧,大
作 用 す る 力 が 何 ㎏fか
使 用 さ れ て い る 単 位 に は ヤ ー ド ・ポ ン ド 系,メ も 統 一 さ れ て い な か っ た が,1960年
多 く使 用 し て
を表 す もの で あ る。 各 国 で
ー トル 系 な どが あ り,国
際的 に
の 国 際 度 量 衡 総 会 に て 国 際 単 位 系=SI単
位 系 を 導 入 す る こ と に な り,日 本 も1974年
か ら採 用 す る こ と に な っ た。 この 国
際 単 位 系 は,万 有 引 力 の 法 則 で 有 名 な イ ギ リ ス の ニ ュ ー トン(S,I.Newton 1727)を
1642-
表 す単 位 記 号 N を基 準 に して い る。
質 量1㎏
の 物 体 に 力 を 加 え た と き,そ
せ る こ と の で き る 力 を1N(ニ
㎏
・m/s2〕=1〔N〕
ま た,圧
力 の 強 さ(単 に 圧 力 と よ ぶ)は,面
1N/㎡
を1Pa(パ
積1㎡
ス カ ル)と し て 表 す 。こ のPaは のMPaを
発 生 さ
ュ ー ト ン)と い う 。 す な わ ち
1〔㎏ 〕×1〔m/s2〕=1〔
倍 のkPaや106倍
の 力 の 方 向 に 加 速 度1m/s2を
あ た りに作 用 す る力 の 大 き さ か な り小 さ い 単 位 な の で103
実 用 的 に用 い る こ とが 多 い。 す な わ ち
1〔kPa〕=1×103〔Pa〕,1〔MPa〕=1×103〔kPa〕=1×106〔Pa〕
次 に,重 量=質
量 × 重 力 の加 速 度 で あ る か ら
1〔㎏f〕=1〔
㎏
〕×9.80665〔m/s2〕=9.80665〔
㎏
・m/s2〕=9.80665〔N〕
で あ る 。 た と え ば, 10〔 ㎏f/㎝2〕=10×9.80665
× 104〔N/㎡
〕=9.80665
× 105〔Pa〕
=0 .980665〔MPa〕 760〔 ㎜Hg〕=10.336〔mH2O〕=1.0336〔
㎏f/㎝2〕=0.1013〔MPa〕
とな る。 な お,ゲ ー ジ圧 で あ る こ と を特 に表 示 し た い と き は 「MPa G」,絶 対 圧 を特 に 表 示 した い と き は 「MPa abs」 の よ う に す る。 また,真
空 圧(負 圧)と は,大 気 圧 よ り低 い圧 力 を い う。 通 常,大 気 圧 を基 準
に して そ の圧 力 を水 銀 柱 また は%で 表 す 。 大 気 圧 が760㎜Hgの
とき
表1・3圧
真 空0〔 ㎜Hg〕=真
力 単位の換算
空 度0〔%〕=760〔 =101
真 空760〔 ㎜Hg〕=真
㎜Hg
abs〕
.3〔kPa abs〕
空 度100〔%〕=0〔
㎜Hg
abs〕=0〔kPa abs〕
と な る。
〔3〕 空 気 の密 度 空 気 に も重 さ が あ る 。 空 気 の 重 さ は 分 子 の 重 さ で も あ る の で,温 変 化 す る 。 い ま,基
準 状 態(0℃,101.3kPa
な わ ち 単 位 体 積 の 質 量 は,重
abs)に
度 や圧力 で
お け る 乾 き空 気 の 密 度,す
力 の 加 速 度 が9.80665m/s2の
と き1.293 ㎏/m3で
あ る。
任 意 の 温 度 t,圧 力 P に お け る乾 き空 気 の 密 度 ρ は次 の 式 で求 め る。 (1・2)
ρ:空 気 の 密 度 〔 ㎏/m3〕 t:空 気 の 温 度 〔℃ 〕 P:空
また,湿
気 の 圧 力 〔Pa abs〕
り空 気 の 密 度 は,そ の 相 対 湿 度 を φ とす る と次 の式 で表 す こ とが で
き る。 (1・3)
PS:t℃
に お け る水 蒸 気 の 飽 和 圧 力 〔Pa abs〕
例 題1・1水 〔解 〕
柱5mの
圧 力 を圧 力 単 位kPaと
水 柱10m(10mH2O)の
㎏f/㎝2で
㎏f/㎡
圧 力 は1㎏f/㎝2で
あ る 。 求 め よ う と す る 圧 力 の 単 位 は ㎏f/㎡
5000〔 ㎏f/㎡ 98.0665〔kPa〕
〕 と な る。 次
に5mH2Oの
圧 力
をkPaに
で あ る か ら,5〔mH2O〕=98.0665/2=49.033〔kPa〕
例 題1・2絶
対 圧0.686MPa
absで
の圧 力 に換 算 せ よ。
あ る か ら,5mH2Oの
温 度40℃
圧 力 は0.5
で あ る の で,0.5×104= 直 す に は,10〔mH2O〕= で あ る。
の と き の乾 き空 気 の 密 度 を 求 め
よ。 〔解 〕
式(1・2)にt=40〔
問 題1・10.49MPa
℃ 〕,P=0.686〔MPa〕=0.686×106〔Pa〕
Gを
絶 対 圧 で 示 せ 。 た だ し,大
を 代 入 す る と,
気 圧 を0.1013
MPaと
す る。
答(0.5913MPa
問 題1・2標
準 状 態(温 度20℃,圧
力0.1013MPa
abs,相
対 湿 度65%)の
気 の 密 度(単 位 体 積 あ た りの 質 量)は い く らか 。 た だ し,温 度20℃ 気 の 圧 力 を2.3366kPaと
abs)
と きの 空
に お け る飽 和 湿 り空
す る。 答(1.2㎏/m3)
〔4〕 空 気 の粘 性 空 気 は 油 と違 い さ ら っ と して い るた め粘 性 が な い よ う に思 わ れ るが,わ
ずか
で あ る が粘 性 を も って い る。 この こ とは,空 気 が 動 くと そ の 空 気 に接 して い る と な りの 空 気 が 動 くこ とで もわ か る。 油 や 水 は,温 度 が上 が る と粘 性 が 急 に小 さ くな る こ と は よ く知 られ て い るが, 空 気 は そ の 逆 で わ ず か な が ら増 加 す る。 空気 の粘 度 は高 圧 に な ら な い 限 り圧 力 に は無 関 係 で,温 度 との 関 係 は次 の サ ザ ー ラ ン ド(Sutherland)の
式 で与 え られ
る。 (1・4)
μ :温 度T〔K〕
に お け る 粘 度 〔Pa・s〕
t :温 度 〔℃ 〕 μ0:温
度0℃
に お け る 粘 度=17.23×10-6〔Pa・s〕
c :実 験 定 数=123.6(0∼400℃)
また,よ
く使 わ れ る動 粘 度 は,次 の 式 で 与 え られ る。 (1・5)
υ:空 気 の 動 粘 度 〔 ㎡/s〕 例 題1・3温
度20℃ にお け る空 気 の 粘 度 お よ び動 粘 度 は い く らか 。
〔解 〕 c=123.6,t=20〔
ま た,ρ=1.2〔
問 題1・3大 量1㎏
㎏/m3〕
℃ 〕,μ0=17.23×10-6〔Pa・s〕
と す る と,式(1・5)か
気 を圧 縮 し て0.686MPa
を 式(1・4)に
代 入す れ ば
ら
Gに
な っ た と き の 圧 縮 空 気 の 密 度,比 体 積(質
あ た りの体 積)を 求 め よ。 た だ し,圧 縮 前 の 空 気 の 温 度 を20℃ 答(9.36㎏/m3,0.1068
と す る。 m3/㎏)
〔5〕 空 気 中の 水 分 空 気 中 に は水 分 が 水 蒸 気 の か た ち で 含 まれ て い る。 そ し て,あ
る一 定 量 以 上
に な る と過 剰 分 は水 滴 と して 分 離 さ れ る。 一 定 量 は空 気 の 温 度 に よっ て 変 わ る の で,た と え ば圧 縮 機 か ら出 た 熱 い 空 気 を ア フ タ クー ラ で40℃ ぐ らい に冷 して ドレ ン を分 離 して お い て も,配 管 の先 の ほ う で温 度 が 下 が る とそ こで再 び ドレ ンが 出 る。
した が っ て,ド
レ ンが 出 る と困 る場 合 は,ド ラ イヤ 等 を使 っ て空 気 を乾 燥 状
態 に して お か な け れ ば な ら な い。 ドレ ン は酸 素 に よ っ て配 管 を さ び させ た り, 空 気 中 の ゴ ミな ど と と も に機 器 の作 動 不 良 の原 因 に な っ た りす る。 また,エ
ア
ガ ンで 塗 料 を吹 き付 け る よ う な場 合 に は,塗 装 面 に む らが で き て塗 装 不 良 を生 じ る。 水 分 を全 く含 ま な い 空 気 を乾 き空 気 とい い,乾
き空 気 と水 分 の混 合 気体 を湿
り空 気 とい う。 つ ま り,我 々 が 日常 呼 吸 して い るの は,湿 ①
全 圧 力Pt〔MPa
り空 気 で あ る。
abs〕
水 分 と乾 き空 気 の 混 合 気 体 が 示 す圧 力 を い う。 ②
水 蒸 気 分 圧Pw〔MPa
abs〕
湿 り空 気 中 の 水 蒸 気 が 示 す 分 圧 で あ っ て,乾 き空 気 の 分 圧Pa〔MPa abs〕 は全 圧 力 か ら水 蒸 気 分 圧 を差 し引 い た もの に な る。 Pa=Pt-Pw
(1・6)
飽 和 湿 り空 気 の 水 蒸 気 分 圧 は,そ の 温 度 の飽 和 蒸 気 圧PS〔MPa abs〕 に 等 し い 。
③
絶 対 湿 度x〔 ㎏/㎏'〕
湿 り空 気 中 に 含 まれ て い る乾 き空 気1㎏ 気 の諸 状 態 量 は,こ のx㎏ +x)㎏
の水 分 と1㎏
に 対 す る水 分 の 量 で あ る。 湿 り空 の 乾 き空 気 とが 混 合 した湿 り空 気(1
につ い て 表 す こ とが 多 い の で,こ の 場 合 の乾 き空 気 の 単 位 を 特 に ㎏'
で表 す。
④
相対湿 度 φ〔%〕
あ る湿 り空 気 の水 蒸 気 分 圧Pwと,そ 分 圧Psと
の 割 合 をい い,%で
の 温 度 と同 じ温 度 の 飽 和 空 気 の 水 蒸 気
表 す こ とが 多 い 。 (1・7)
ふ つ う,湿 度 何%と
⑤
い うの は,こ の 相 対 湿 度 を指 す こ とが 多 い 。
露点 温度
あ る湿 り空 気 の水 蒸 気 分 圧 に対 す る蒸 気 の飽 和 温 度 をい う。 す なわ ち,そ れ
表1・4飽
・標 準 気 圧101 .325kPa,0℃
和 湿 り空 気 表
以 下 は氷 と接 す る飽 和 空 気
と等 しい 水 蒸 気 分 圧 を もつ 飽 和 空 気 の 温 度 で あ る。 あ る湿 り空 気 に そ の 露 点 温 度 以 下 の 温 度 の 物 体 が触 れ れ ば,そ の 物 体 の表 面 に露 を生 じ る。
一 般 に湿 り空 気 の 水 分 量 ,す な わ ち絶 対 湿 度 は次 の式 で 示 さ れ る。 (1・8)
で あ る か ら,φ
とこ ろ で,相 対 湿 度 は
を 用 い て 式(1・8)を
書
き直 す と (1・9)
とな る。
あ る湿 り空 気 の 温 度,圧
力,相 対 湿 度 が わ か れ ば,こ
れ らの 式 と表1・4か ら
そ の空 気 中 の水 分 の 量 を計 算 す る こ とが で き る。 例 題1・4
温 度30℃,相
対 湿 度80%の
大 気(圧 力0.1013 MPa abs)中
の水分 の
量 を計 算 せ よ。 〔解 〕
表1・4か
ら,t=32〔
0.1013〔MPa〕,φ=80〔%〕
例 題1・5 80%の
℃ 〕の
を 式(1・9)に
と き のPsは4.2415×10-3
MPaで
あ る 。 Pt=
代 入 して
空 気 の 吐 出 し量800l/minの
大 気 を 吸 い 込 ん で0.686MPa
空 気 圧 縮 機 で 温 度30℃,相
Gま
で 圧 縮 し た 後,ア
対湿度
フ タ ク ー ラ で35℃
ま で 冷 却 し た 。 ア フ タ ク ー ラ で 毎 分 発 生 す る ド レ ン の 量 は い く ら か 。 た だ し, 空 気1lあ 〔解 〕
た り の 質 量 を0.0012㎏
とす る。
吸 込 み 前 の 空 気 の 水 分 量 は,例
題1・4か
冷 却 後 に 含 む こ と の で き る 水 分 量 は,t1=34〔 の と きPs=5.9400〔kPa〕 (5.318+5.94)/2=5.629〔kPa〕 か ら,式(1・9)よ
り
で あ る か ら,比
らx1=0.0216〔
㎏/㎏'〕
で あ る 。圧 縮,
℃ 〕の と きPs=5.3180〔kPa〕, 例 計 算 に よ っ てt1=35〔
と な る 。 こ の 場 合 の 相 対 湿 度 は100%で
t1=36〔 ℃ 〕
℃ 〕の と き はPs= 計 算 すれ ば よい
吸込 み前 とア フ タクー ラ冷却 後 の水分 減少 量 は
し た が っ て,毎
分 発 生 す る ド レ ン量 W は
と な る。
問 題1・4温
度30℃ で相対 湿度70%の
大気2㎏
中 に は,何 ㎏ の水蒸 気 が含 まれ
て い るか。
答(0.0376㎏) 問 題1・5温 0.686MPa
度20℃,絶
対 圧0・1013MPa,相
Gに 圧 縮 し て ア ク タ ク ー ラ で30℃
あ る。吸 入 し た 空 気1m3あ ㎏/m3と
対 湿 度75%の
大 気 を 吸 入 し,圧 力
に 冷 却 し た 後 吐 き 出 し て い る圧 縮 機 が
た りの ド レ ン発 生 量 は い く ら か 。た だ し,空 気 の 密 度 を1.2
す る。 答(0.0091㎏/m3)
〔6〕 パ ス カ ル の 原 理 パ ス カ ル の 原 理 と は,静 ス の パ ス カ ル(B.Pascal
止 し た 液 体 の 圧 力 の 伝 達 に つ い て,17世 1623-62)に
よ り,実
紀 にフラ ン
験 的 に立 証 され た もの で あ る。 こ
れ は,「密 閉 さ れ た 容 器 の 中 で 静 止 し て い る 流 体 の 一 部 に 加 え ら れ た 圧 力 は,流
体
の す べ て の 部 分 に 垂 直 に 働 く」 と い う も の で,図1・6に
お い て,ピ
積 を そ れ ぞ れA1, A2と W1を
加 え る と, A2に
ス トン の 断 面
す る と, A1に 加 わ る 力W2は
力 次 図1・6パ
ス カル の 原 理
の 式 で 表 す こ とが で き る。
(1・10)
ま た,Alを
W1:ピ
ス トン に加 え る力 〔 N 〕,W2:シ
リン ダ に加 わ る力 〔 N〕
A1:小
ピス トンの 断 面 積 〔 ㎡ 〕, A2:大
P:圧
力 〔Pa〕
ピ ス トンの 断 面 積 〔 ㎡ 〕
外 力 に よ り押 す(空 気 圧 回 路 で は空 気 圧 縮 機 か らの 空 気 圧)と,配
管 に よ っ て圧 力 が伝 達 さ れ てA2(空
気 圧 回 路 で は ロ ッ ド)が 移 動 す る こ とに な
る。 流 体 は圧 縮 さ れ な い と考 え る と,両 シ リ ン ダ 内 の 流 体 の 移 動 量 は 同 じで あ るか ら,ピ ス トンの 移 動 を そ れ ぞ れh1,h2と
す れ ば,次 の よ う に な る。 (1・11)
例 題1・6直 に9800Nの 〔解 〕
径75㎜
の 小 ピス トン に300 Nの
力 を作 用 させ て,大
ピス トン
力 を 発 生 させ た い。 大 ピス トン の直 径 を求 め よ。 小 ピ ス ト ン の 直 径 をD1,大
例 題1・7例 トン を何 ㎝
題1・6に
ピ ス ト ン の 直 径 をD2と
お い て,大
ピ ス ト ン を2㎝
動 か せ ば よ い か 。 ま た,こ
す る と,式(1・10)か
ら,
移 動 さ せ る た め に は,小 ピ ス
の と き シ リ ン ダ 内 の 圧 力 は 何kPaか
。
〔 解 〕 式(1・11)か ら
また,シ
リ ン ダ に作 用 す る圧 力 を求 め る と,
問 題1・6図1・6で 360〔㎜
小 ピ ス ト ン の 直 径D1=45〔
〕と し,小 ピ ス トン に400Nの
よ び こ の ピ ス トン を平 衡 に 保 つ た め に加 え る力W2の トン を1㎝
持 ち上 げ る に は,小
㎜
〕,大 ピ ス ト ン の 直 径D2=
力 を 加 え た と き大 ピ ス トン に か か る 圧 力P2,お 大 き さ は い く らか 。また,大 ピ ス
ピス トン を どれ だ け動 か せ ば よ い か 求 め よ 。
答(0.25MPa,25.6kN,64
問 題1・7図1・6に
お い て 小 ピ ス ト ン,大
18〔㎝2〕 で あ る と き,大
ピ ス トン が1000 Nの
ら い の 力 を 加 え れ ば よ い か 。 また,小
ピス
㎝)
ト ン の 断 面 積 がA1=3〔
㎝2〕, A2=
力 を 得 る た め に は,小 ピ ス トン に ど れ ぐ
ピ ス ト ン を120㎜
押 し下 げ た と き,大
ピス ト
ン は どれ だ け移 動 す る か 求 め よ。 答 (166.7N,20
㎜)
〔7〕 空 気 の 状 態 表 示 と状 態 式 大 気 は種 々 の状 態 で 変 化 して い る の で,標 準 的 な 空 気 の状 態 を表 示 す る こ と が 必 要 で あ る。 そ こで,標
準状 態 と基 準 状 態 の 2つ が 定 め られ て い る。
標 準 状 態 と は,温 度20℃(293K),大
気 圧0.1013 MPa abs,相 対 湿 度65%の
空 気 を い う。 空 気 圧 機 器 に お け る空 気 流 量 の 表 現 は この 状 態 に換 算 した数 値 で 示 され る こ とが 多 い 。この と き,単 位 記 号 の す ぐ後 に(ANR)と
表 示 す る(た と え
ば750l/min(ANR))。 基 準 状 態 と は,温 度0℃(273K),大 湿 度0%の
気 圧0.1013 MPa abs(760 ㎜Hg),相
乾 き 空 気 の 状 態 を い う 。 両 者 を 比 較 す る と,表1・5の
空 気 の 圧 力,体
積,温
対
よ うに な る。
度 の 間 に は 一 定 の 関 係 が あ り,こ の うち の 2つ が 決 ま
れ ば残 りの 1つ は必 然 的 に 決 ま る。これ らの 3つ の 量 を 表 す 式 を 状 態 式 とい い, これ らの 変 化 を状 態 変 化 とい う。
①
圧 力 と体積 の関係
イ ギ リ ス の ボ イ ル(R.Boyle
1627-91)に
表1・5
よ っ て 発 見 さ れ た 法 則 で,圧
空気の状態表示
力P1,
体 積V1の 圧 力P2,体
一 定 量 の 空 気 が,温 積V2に
度 を一 定 と保 っ た ま まで 圧 縮 ま た は膨 張 さ せ て
変 化 す る とき,次 の 式 で 表 す こ とが で き る。
P1V1=P2V2
(1・12)
つ ま り,温 度 が 一 定 な ら ば,一 定 量 の 気 体 の圧 力 と体 積 の積 は つ ね に一 定 で あ る。 これ をボ イ ル の法 則 とい う。
②
体積 と温度 の関係
体 積V1,絶 対 温 度T1の 冷 却 して体 積V2,絶
一 定 量 の 空 気 が,圧 力 を一 定 に保 っ た ま ま加 熱 また は
対 温 度T2に
変 化 す る とき,次 の 式 で 表 す こ とが で き る。 (1・13)
つ ま り,圧 力 が 一 定 な らば,一 定 量 の 気 体 の体 積 は 絶 対 温 度 に比 例 す る 。 こ れ を シ ャ ル ル の 法則 とい う。
③
圧力 と体積 と温度 の関係
一 定 量 の気 体 の 圧 力 や 温度 を変 え る と体 積 が 変 わ る。 こ の現 象 は ボ イ ル の 法 則 とシ ャ ル ル の 法則 か ら知 る こ とが で き る。 しか し,圧 力,体 積,温
度 の 3要
素 が と もに変 化 す る場 合 に は,こ れ らの 法 則 を 1つ に ま とめ た もの が 必 要 で, 次 の 式 で表 す こ とが で き る。 (1・14)
つ ま り,一 定 量 の 気 体 の体 積 は,圧 力 に反 比 例 し,絶 対 温 度 に比 例 す る 。 こ の 関 係 を ボ イ ル ・シ ャル ル の 法 則 とい う。 式(1・14)を 書 き 直 す と,PV/T=R(一
定)と な る 。 す な わ ち
PV=mRT
(1・15)
m は気 体 の 質 量 〔 ㎏ 〕で,ま 287.03〔J/㎏ い,式(1・15)を
例 題1・8温
た, R は ガ ス 定 数 と い い,空
気 の 場 合 はR=
・K〕で あ る 。 こ の 関 係 の 成 り立 つ 気 体 を 理 想 気 体(完 全 ガ ス)と い 理 想 気 体 の状 態 式 とい う。
度20℃,体
積2m3の
大 気 を1/5に 圧 縮 した と きの圧 力 は い くら
か。 た だ し,圧 縮 後 の 空 気 の 温 度 を35℃
とす る。
〔解 〕P1=0.1013〔MPa 1/5=0.4〔m3〕,
例 題1・9温
abs〕, V1=2〔m3〕, T1=273+t1=273+20=293〔K〕,
T2=273+t2=273+35=308〔K〕
度20℃,圧
を 求 め よ 。 た だ し,空 〔解 〕P=981〔Pa〕,
問 題1・8
力981 Paで,空
温 度20℃,体
の 圧 力 は 何MPa
Gに
代 入 すれ ば
気 の 質 量 が10 ㎏
で あ る と きの体 積
気 の ガ ス 定 数 を287.03J/㎏ T=273+20=293〔K〕,
積1m3の
V2=2×
の 各 値 を 式(1・14)に
m=10〔
・Kと す る 。 ㎏ 〕を 式(1・15)に
大 気 を圧 縮 して 体 積 を1/5に
代 入 すれ ば
した と き,圧 縮 空 気
な るか 。 た だ し,圧 縮 後 の 空 気 の 温 度 は30℃
であ る。 答(0.422MPa
問 題1・9圧
力0.1013MPa
気 の ガ ス 定 数 を287.03J/㎏
abs,温 ・Kと
度10℃
G)
の 空 気 の比 体 積 は い く ら か 。 た だ し,空
す る。 答(0.802m3/㎏)
問 題1・10圧 ら か 。 た だ し,空
力0.736MPa
abs,温
度18℃
気 の ガ ス 定 数 を287.03J/㎏
の と き,空 気5㎏ ・Kと
の し め る体 積 は い く
す る。 答(0.567m3)
問 題1・11内 MPaに
容 積40.8lの
酸 素 ボ ンベ に 酸 素 を充 て ん し た ら,温 度35℃,圧
な った。酸 素 の充 て ん量 は何 ㎏
を259.833J/㎏
・K,密
か 。 ま た,何lか
度 を1.326 ㎏/m3と
。 た だ し,酸
す る。 答(7.75㎏,5845
1・6
l)
空気 の状態変化
状 態 変 化 は,気 体 が あ る状 態 か ら他 の状 態 に変 化 した 場 合,こ に戻 す こ との で き る 可 逆 変 化 と,そ
力15.2
素 の ガス定 数
れ を元 の状 態
うで な い 非 可 逆 変 化 に大 別 で き る。 元 の 状
態 に 完 全 に戻 す とい うの は,変 化 した す べ て の状 態 量 が 元 に戻 る こ とを 意 味 す る。 た と えば,静 止 した 空 気 の 等 温 変 化 の場 合 に は,空 気 を圧 縮 す る に は外 部 か ら仕 事 を加 え る こ とに な るが,こ の圧 縮 され た空 気 を元 の圧 力 に戻 す と き に は, 体 積 が 膨 張 して 外 部 へ仕 事 を し,圧 縮 の と き に加 え られ た 仕 事 を再 び 外 部 へ戻 す の で,状 態 量 はす べ て圧 縮 前 の量 に戻 る。 した が っ て,可 逆 変 化 とい え る。 と こ ろ が絞 り部 か ら圧 縮 空 気 を大 気 へ 放 出 す る際 に は,圧 縮 空 気 の もつ 力 学 的 エ ネ ル ギ ー が 大 気 へ 放 出 され て,結 果 と して 熱 に変 わ る の で,こ
れ を元 の 力
学 的 エ ネ ル ギ ー に戻 す の は不 可 能 で あ る。 した が って,非 可 逆 変 化 で あ る。 可 逆 変 化 に は,等 積 変 化,等
圧 変 化,等
温 変 化,断
熱 変 化 な どが あ り,非 可
逆 変 化 に は絞 りな どが あ る。
〔1〕 等 積 変 化 一 定 体 積 の も とで
,温
度 をT1か
らT2に
変 化 さ せ た と き,圧
力 がP1か
らP2
に な る 変 化 で,
(1・16)
とな り,圧 力 は絶 対 温 度 に比 例 す る。 等 積 変 化 は,圧 力 が変 化 して も体 積 は変 化 しな い か ら,外 部 へ の仕 事Lυ を して い な い。 した が ってLυ=0で ま た,空 気m㎏
に つ きT1か
らT2に
温 度 を上 昇 さ せ るの に要 した熱 量 をQυ
とす れ ば,
図1・7
等積 変 化
あ る。
図1・8
等圧 変化
Qυ=mcυ(T2-T1)
と な る 。Cυは 質 量1㎏ の に 要 す る 熱 量 で,定
(1・17)
の 空 気 の 体 積 を 一 定 に 保 ち つ っ,温 度 を1K上
昇 させ る
積 比 熱 〔kJ/㎏ ・K〕と い う 。
〔2〕 等 圧 変 化 一 定 圧 力 の も とで
,温 度 をT1か
らT2に
変 え た と き,体 積 がV1か
らV2に
な
る 変 化 で, (1・18)
とな り,体 積 は絶 対 温 度 に比 例 す る。 また,図1・8の した仕 事 を した こ とに な る。 こ れ をLpと
すれ ば
Lp=P(V2-V1) とな る。圧 カ ー 定 の も とで,気 体m㎏ した熱 量 をQPと
(1・19)
をT1か
らT2に
温 度 を 上 昇 さ せ るの に要
す れ ば,次 の 式 が 成 り立 つ 。
Qp=mcp(T2-T1)=m{cυ(T2-T1)+R(T2-T1)}
Cpは 質 量1㎏
斜 線 を施 した面 積 に相 当
(1・20)
の 空 気 を圧 力 を 一定 に 保 ち な が ら 自 由 に膨 張 させ,温 度 を1K
上 昇 さ せ るの に要 す る熱 量 で 定 圧 比 熱 〔kJ/㎏ ・K〕とい う。 ま た 定 圧 比 熱 と定 積 比 熱 の比 を比 熱 比 κ と い い,次 の よ う に表 す。
(1・21)
〔3〕 等 温 変 化 温 度 が一 定 の も とで,気 体 が 状 態 変 化 す る こ とを 等温 変 化 とい う。 これ は, ボ イル ・シ ャル ル の 法 則 か ら P1V1=P2
V2=…=mRT
図1・9等
温変 化
図1・10断
熱変化
(1・22)
と な り,圧 力 は体 積 に 反比 例 す る。空 気 が 膨 張 し なが ら外 部 にす る仕 事Ltと 部 か ら受 け る熱 量Qtは,次
外
式 で 表 す こ とが で き る。 (1・23)
〔4〕 断 熱 変 化 外 部 と全 く熱 の 出 入 りが な い よ うに し て空 気 の 圧 力 や 体 積 を変 化 さ せ る こ と を い い,断 熱 圧 縮 と断 熱 膨 張 が あ る。 一 定 量 の空 気 を変 化 で き る よ う に ピ ス ト ン を付 けた 容 器 の 中 で 空 気 を 断 熱 圧 縮 す る と,外 か ら加 え られ た 仕 事 は 熱 に な って 気 体 の 温 度 を上 げ る。また 空 気 を断 熱 膨 張 す る と,外 部 仕 事Laを
す るため
熱 を失 っ て 温 度 が下 が る。 断 熱 変 化 に は次 の 関 係 式 が 成 り立 つ。 (1・24)
●
断 熱 変 化 で あ るか らQa=0と
な る。一 般 に,空 気 圧 シ リ ンダ や タ ン ク な どで
急 速 に圧 縮 や 膨 張 が 行 わ れ る とき は,近 似 的 に 断 熱 変 化 とみ る こ とが で き る。 こ の場 合 の κを断 熱 指 数 とい い,理 想 気 体 で は比 熱 比 と同 じ値 で あ る。
〔5〕 ポ リ トロ ー プ 変 化 実 際 の空 気 の 状 態 は,前 述 の 4つ の変 化 は完 全 に は 当 て は ま ら な い の で,こ れ らが 含 まれ た 中 間 の 状 態 変 化 が 行 わ れ る。 その 場 合 (1・26)
(1・27)
と 表 す こ と が で き る 。こ の よ う な 変 化 を ポ リ ト ロ ー プ 変 化 と い う。n を ポ リ ト ロ ー プ 指 数 と い い κ>n>1で
あ る。い ま ま
で の 4つ の状 態 変 化 は ポ リ トロ ー プ変 化 の 特 別 な場 合 で あ っ て,以 上 を ま とめ る と ・n=1の
と きPV=一
・n=κ
の と きPVκ=一
・n=∞
の と きV=一
・n=0の
と きP=一
定 で等温変化 定 で断熱変化 定 で等積変化 定 で等圧変化
図1・11ポ
リ トロー プ 変 化
とな る。
例 題1・10空
気2㎏
を体 積 一 定 の も とに標 準 状 態 か ら100℃ ま で加 熱 し た。
加 熱 後 の 圧 力 と加 熱 に 要 す る 熱 量 を 求 め よ 。 た だ し定 積 比 熱 を0.718kJ/㎏ とす る。 〔解 〕
標 準 状 態 で あ る か
+100=373〔K〕,P1=0.1013〔MPa
と な る 。cυ=0.716〔kJ/㎏
ら,T1=273+tl=273+20=293〔K〕, abs〕 を 式(1・16)に
・K〕, m=2〔
代入 す れ ば
㎏ 〕を 式(1・17)に
Qυ=mcυ(T2-T1)=2×0.718×(373-293)=114.88〔kJ〕
代入 して
T2=273+t2=273
・K
例 題1・11空
気3㎏
を 圧 力0.49 MPa一
定 の ま ま,温
度10℃
か ら50℃
加 熱 し た 。 加 熱 に 要 し た 熱 量 と 外 部 に 対 す る 仕 事 を 求 め よ 。 た だ し,空 ス 定 数 を287.03J/㎏ 〔解 〕
式(1・20)か
・K,定
圧 比 熱 を1.005 kJ/㎏
まで
気 のガ
・Kと す る 。
ら
Qp=mcp(T2-T1)=3×1.005
×(50-10)=120.6〔kJ〕
加 熱 前 の 体 積 は 式(1・15)か ら
加 熱 後 の体積 は同 じ く
し た が っ て,式(1・19)か
ら
Lp=P(V2-V1)=0.49×lO6×(0.567-0.497)=34300〔J〕=34.3〔kJ〕
例 題1・12空
気1㎏
を シ リ ン ダ の 中 で 圧 力1.17 MPaか
等 温 膨 張 さ せ た と こ ろ180kJの ガ ス 定 数 を287.03J/㎏
ら0.196 MPaま
で
仕 事 を し た 。 次 の 値 を 求 め よ 。 た だ し,空
気 の
・Kと す る 。
① 初 めの温度 ②初 めの体積
③ 終 わ りの体 積
④ 与 えた 熱 量
〔 解 〕 ① 式(1・23)から
②P1 V1=mRTか
ら
③Pz V2=mRTか
ら
④Qt=Lt=180〔kJ〕
例 題1・13温
度20℃
の 大 気(0.1013MPa
abs)を,体
積 が1/10に
な る まで 断
熱 圧 縮 し た と き の 温 度 と圧 力 を 計 算 せ よ 。 た だ し 断 熱 指 数 を1.4と
す る。
〔 解 〕 式(1・24)よ り,
例 題1・14圧 き,空
力490.5kPa,温
度30℃ の空 気 を大 気 圧 まで 断 熱 膨 張 させ た と
気 の 温 度 は 何 度 に な る か 。 た だ し,断
熱 指 数 を1.4と
す る。
〔 解〕 式(1・24)よ り,
問 題1・12空
気2㎏
を体 積 一 定 の も と で 基 準 状 態 か ら100℃ まで 加 熱 し た 。加 熱 後
の 圧 力 と この と き の 加 熱 に要 す る 熱 量 を 求 め よ。 た だ し,定 積 比 熱 を0.716kJ/㎏
・K
とす る 。 答 (0.138MPa
問 題1・13空
気2㎏
を 圧 力101.3kPaの
abs,143.2kJ)
も と で10℃ か ら100℃ ま で 加 熱 し た 。 加
熱 に要 し た 熱 量 を求 め よ 。 た だ し,定 圧 比 熱 を1.005kJ/㎏
・Kと す る 。 答(180.9kJ)
問 題1・14質
量2㎏
の 空 気 を圧 力0.196 MPaか
ら0.981 MPaま
で 温 度20℃
で等
温 圧 縮 す る と き,こ れ に 必 要 な 仕 事 は い く らか 。 た だ し,空 気 の ガ ス 定 数 を287.03J/ ㎏ ・Kと す る。 答(270.9kJ)
問 題1・15温
度20℃,質
量1・5㎏
の 空 気 を0.196 MPaか
ら0…981 MPaま
圧 縮 し た 。圧 縮 後 の 温 度 と体 積 を 求 め よ。 た だ し,断 熱 指 数 を1.4,空 287.03J/㎏
で 断熱
気 の ガス定 数 を
・Kと す る 。 答(191.2℃,0.204m3)
問 題1・16温
度20℃
の 大 気 を0.6867MPa
い く らか 。 た だ し,空 気 の 断 熱 指 数 を1.4と
Gに 断 熱 圧 縮 し た と き の 空 気 の 温 度 は す る。
答(253.5℃)
問 題1・17質
量2㎏,温
度20℃
の 空 気 を 圧 力0.196
MPaか
ら0.981
MPaま
トn一 プ 圧 縮 した と き の 圧 縮 後 の温 度 と必 要 な 仕 事 を求 め よ 。 た だ し,ポ 指 数 を1.3,空
気 の ガ ス 定 数 を287.03J/㎏
で ポ リ
リ トロー プ
・Kと す る。 答(151.8℃,252.1kJ)
1・7
空気の流れ と絞 り
空 気 の 流 れ の 状 態 に は,流 れ の 中 の ど の点 で も流 れ の 方 向 や速 度 な どの 状 態 が 時 間 的 に変 化 し な い 流 れ の 定 常 流 と,時 間 的 に変 化 す る流 れ の 非定 常 流 が あ る。 ・定 常 流:シ
リン ダ が一 定 の 速 度,負 荷(荷 重),圧
力 の も とで ピス トンが 動 い
てい る とき
:一 定 圧 力 の タ ン クか ら空 気 を大 気 へ 放 出 す る とき ・非 定 常 流:シ
リ ンダ の 動 き始 め や終 わ りの 過 渡 的 現 象 の と き
:タ ン ク に 空 気 を充 て ん す る場 合 や 放 出 す る場 合 の と き 一 般 に過 渡 的 現 象 の 理 論 的 な解 析 は,定 常 状 態 の そ れ よ り もか な り複 雑 とな る が,い
ず れ も定 常 状 態 の 理 論 が基 礎 とな る。
〔1〕 連 続 の法 則 図1・12に 示 す よ うな任 意 の 形 状 を した 流 管 を考 え,流 れ が 定 常 流 で あ る とす れ ば,流 管 の 任 意 の 2か 所 ①,② の 切 り 口 断 面 積 をAl, A2,各
断 面 に お け る 流 速 をw1, w2,
流 体 の 密 度 を ρ1,ρ2と す る と,断
面① に おけ
る 単 位 時 間 に 流 入 す る 空 気 量(体 積 流 量)は A1w1で
あ る.ま た 体 積 流 量 に 密 度 を 掛 け た 質
量 流 量 をm1で 一 方
表 す と,ml=ρ1A1w1で
あ る。
,断 面 ② か ら 放 出 す る 空 気 に つ い て もm2
図1・12流
管
=p2A2w2で
あ るか ら
,定 常 流 で あ る た め に はml=m2で
か らp1Alwi=p2A2w2と
な くて は な ら な い こ と
な る。
ま た 流 体 は 圧 縮 性 が な い と す れ ば ρl=ρ2で あ る か らAlw1=A2w2で,体
積 流
量 を Q で表せ ば (1・28)
が 成 り立 つ 。この 式 を連 続 の式 と い う。この 式 は 空 気 に限 らず,す べ て の 流 体 に つ い て,定
常 流 の場 合 に 成 り立 つ 。
〔2〕 ベ ル ヌ ー イ の 定 理 管 路 抵 抗 に よ る損 失 や 流体 の 粘 性 に よ る損 失 が な く,し か も定 常 流 で 非 圧 縮 性(ρ1=ρ2)の 場 合,図1・12の
断 面 ①,② に お い て エ ネ ル ギ ー保 存 の法 則 が 成 り
立 つ 。す な わ ち,流 速 をw1,w2,圧 Z1,Z2,重
力 をP1,P2,密
度 を ρ,基 準 面 か らの 高 さ を
力 の 加 速 度 を g とす れ ば次 の 式 が成 り立 つ。
エ ネ ル ギ ー の 尺 度 をヘ ッ ド(水頭)H
で表 した 場 合 は,次
の ようになる。 (1・29)
式(1・29)で
第 1項 は 速 度 エ ネ ル ギ ー,第
エ ネ ル ギ ー を 表 す 。ま た,式(1・29)を
2項 は 圧 力 エ ネ ル ギ ー,第
3項 は 位 置
圧 力 の 単 位 で 表 し た 場 合 は,次 の よ う に な
る。 (1・30)
これ が,非
圧 縮 性 流 体 の ベ ル ヌ ー イ(D.Bernoulli
1700-82)の
式 で あ る。 この
式 か ら,同 一 流 線 上 で は管 路 断面 積 が 小 さ くな る ほ ど流 速 は速 くな るが,圧
力 は逆 に
低 くな る こ とが わ か る。
図1・13流
速 と圧 力
〔3〕 有 効 断 面積 空 気 の 流 れ る通 路 に は弁 や継 手 な ど狭 く絞 られ た部 分 が あ り,こ の よ う な絞 り を通 過 す る と図1・14の よ う に流 れ の 状 態 が 乱 れ,と き に は渦 を発 生 して 圧 力 損 失 を生 じ る。 また 図1・15の よ う に鋭 いふ ち を も っ た絞 りで は,絞 りその も の の最 小 断 面 積A1よ
り も下 流 側 で 流 れ の 断 面 積A2は
な る。これ を縮 流 とい い,A2/A1を
最 小 に な り,流 速 は最 大 に
縮 流 率 と い う。弁 の よ う に形 状 が複 雑 な も の
で は縮 流 率 を決 め る こ とが で きな い の で,逆
に流 量 を測 定 して縮 流 の な い 絞 り
の最 小 断 面 積 に相 当 す る面 積 を 算 出 して表 示 す る。 これ を有 効 断 面積 とい う。 圧 力 の高 い A タ ン ク と低 い B タ ン ク とを 弁 で 接 続 し,こ の 弁 を 開 い た 場 合, 空 気 の 流 れ は ど うな る か考 え て み よ う。 両 タ ン ク の圧 力 差 が 大 きい ほ ど空 気 は 弁 を通 っ て B タ ン クへ 流 れ る よ う に思 わ れ るが,流 れ の速 さが 空 気 中 で の 音 速 (常 温 の 大 気 中 で は約340m/s)に 合,圧 力 の比 率 は1:0.53で
達 す る と,そ れ 以 上 は速 くな ら な い。 この 場
あ る。つ ま り,A, Bタ
ン ク の 間 の 弁 を開 く と,図
1.16に 示 す よ う に 弁 の絞 り具 合 に よ って 決 ま る一 定 の 割 合 で タ ン ク A か ら B へ 空 気 が 流 入 して,B タ ン ク の圧 力 が A タ ン ク の圧 力 の53%に
達 す る と それ 以
後 は流 入 量 は減 少 して い く。 この よ う な絞 り を通 る 流 れ の速 さが 音 速 に達 す る と きの 圧 力 比 を臨 界 圧 力 比 とい う。 有 効 断 面 積 を S,空 気 の 温 度 を tとす る と,空 気 流 量 Q は次 の 式 で 表 さ れ る。
(1・31)
図1・14絞
り部 の 流 れ
図1・15
縮流
の場 合 (1・32)
Q:空
気 の流 量 〔l/min(ANR)〕
P1:1
次 側 圧 力 〔MPa abs〕
P2:2
次 側 圧 力 〔MPa abs〕
S:有
効 断面積 〔 ㎜2〕
t:空
気 の温 度 〔 ℃〕
有 効 断 面 積S1,S2,…,
Snが
図1・16タ
ン クの 圧 力 比 と流 入割 合
直 列 に結 合 され て い る とき の合 成 有 効 断 面 積 S は (1・33)
で 求 め られ る。 ま た,有
効 断 面 積S1,S2,…,Snが
並 列 に結 合 さ れ て い る と きの合 成 有 効 断面
積 S は
S=S+S2+…+Sn
(1・34)
で求 め られ る。
(a)直 列 結 合 (b)並 列 結 合 図1・17有
効断面積
〔4〕 Cυ とKυ 値
Cυ 値 は,流 を 流 れ る15.5℃
量 切 換 弁 が 開 い た と き0.00686 MPaの の 水 の 流 量 を ガ ロ ン/min(3.785
圧 力 降 下 の も とで 切 換 弁
l/min)で
計 測 した 数 字 で 表
す 。Cυ 値 で 空 気 の 流 量 を 算 出 す る と き は 次 の 式 で 求 め る こ と が で き る 。
(1・35)
(1・36)
Kυ 値 は流 量 切 換 弁 が 開 い た と き0.0981MPaの 流 れ る5∼30℃
の水 の 流 量 をm3/minで
圧 力 降 下 の も とで 切 換 弁 を
計 測 した数 字 で 表 す 。
Cυ 値 とKυ 値 の 間 に は次 の 関 係 が あ る。 1Kυ=0.0699
Cυ
(1・37)
Cυ 値, Kυ 値 か ら有 効 断 面 積 S へ の 換 算 は次 の よ うに な る。 S=17.0Cυ
}
S=19.8Kυ
例 題1・15内
径3㎝
(1・38)
の パ イ プ の 中 を 流 速200 ㎝/min,圧
力0.29 MPa Gの
空 気 を 流 す と きの 流 量 はい く らか。 〔解 〕
式(1・28)か
例 題1・16
ら
あ る 管 内 の 流 速 と 圧 力 が そ れ ぞ れ4.2m/s,140
度 ヘ ッ ド と圧 力 ヘ ッ ド を 求 め よ 。 た だ し,g=9.80665
kPaで
m/s2,ρ=1000
あ っ た 。速 ㎏/m3と
す る。 〔解 〕
式(1・29)よ
り,
速度ヘ ッド
圧力ヘ ッド
例 題1・17図1・12に 2〔m〕,P2=0.12〔MPa〕
お い
てZ1=5〔m〕,w1
で あ っ た 。 w2を
51.2〔m/s〕,
P1=0・1〔MPa〕,Z2=
求 め よ 。 た だ し,ρ=1000〔
㎏/m3〕, g=
9.80665〔m/s2〕
とす る。
〔 解 〕 断 面 ① の 全 ヘ ッ ドは
断 面 ② に お け る全 ヘ ッ ド は
H1=H2で
あ るか ら
問 題1・18100l,0.294
MPa
Gの
空 気 を50 lに
圧 縮 す る と圧 力 は い く ら に な る か 。 答(0.69MPa
問 題1・19 m/sで
しだ い に太 くな る 円 形 断 面 の 管 が あ る 。内径50㎜
あ っ た 。 内 径70㎜
G)
の 断 面 の 流 速 は0.8
の 断 面 に お け る流 速 は い くら か 。 答(0.41m/s)
例 題1・18大
気 に 開 放 さ れ て い る 機 器 が あ る 。 入 口 の 圧 力 は0.687MPa
100l/min(ANR)の 〔解 〕
Gで
流 量 を 必 要 とす る 。 有 効 断 面 積 は い く ら か 。
入 口 圧 力P1=0.687+0.1013=0.7883〔MPa
abs〕,出
口 圧 力P2=0.1013〔MPa
abs〕 よ り
し た が っ て,式(1・32)か
例 題1・19圧
ら大 気 温 度 を0℃ と す れ ば
力0.5886MPa
Gの
空 気 を,有 効 断 面 積12 ㎜2の
オ リ フ ィ スか
ら大 気 に 放 出 す る とき の空 気 流 量 を求 め よ。 た だ し室 温 を20℃ とす る。 〔解 〕P1=0.5886+0.1013=0.6899〔MPa +0.1013=0.1013〔MPa
し た が っ て,式(1・32)に
abs〕 よ り
よ り
abs〕,大
気 へ の 放 出 で あ る か らP2=0
例 題1・20空 0.49MPa
気 圧 機 器 で 有 効 断 面 積5.5㎜2の
abs,出
口 の 空 気 圧 力0.29 MPa absと
弁 が あ る。 入 口 の 空 気 圧 力 す る と流 量 は い くらか 。
〔 解〕 し た が っ て,式(1・31)に
例 題1・21S1=17〔
よ り,空
気 温 度 を 0℃
と す る と,
㎜2〕, S2=23〔 ㎜2〕, S3=13〔 ㎜2〕
の有効 断面 積 の ときの
合 成 有 効 断 面 積 を求 め よ。 〔 解〕 直列 結 合 の と き
並 列結 合 の と き
問 題1・20次 ①S1=50〔
の 合成 有効 断面 積 を計算 せ よ° ㎜2〕, S2=50〔
㎜2〕
の直 列 結 合
②S1=100〔
㎜2〕, S2=50〔
㎜2〕
の直列 結合
③S1=400〔
㎜2〕, S2=50〔
㎜2〕
の直列 結合 答 (①35.3㎜2,②44.72
問 題1・21有
効 断面 積6㎜2の
機 器 と9㎜2の
㎜2,③49.6
㎜2)
機 器 を直 列 に結 合 した場 合 と,並
列 に結 合 した 場合 の合 成 有効 断面積 を求 めよ。 答(5㎜2,15
㎜2)
1・8配 管 の圧 力損 失 空 気 に もわ ず か で あ るが 粘 性 が あ り,こ の た め に管 の 中 を流 れ る と き に摩 擦 抵 抗 を生 じて 圧 力 が 降 下 す る。 た と え ば1B(25 A)の 鋼 管 の 中 を0.49 MPa G の 空 気 を5000l/min(ANR)(5 り0.019MPaの
m3/min(ANR))で
流 す 場 合,直
管 で10 mあ
た
圧 力 降 下 が あ る。 この ほ か に T 継 手 に よ る分 岐 部,エ ル ボ に よ
る 曲 り部 な どい ず れ も圧 力 降 下 を生 じ るの で,フ
ィル タ そ の 他 の 機 器 の圧 力 降
下 以 外 に配 管 内 で の圧 力 降 下 を考 え に入 れ な い と,末 端 で必 要 な圧 力 が 得 られ な い事 態 も起 き る。
〔1〕 円管の摩擦損失 直 径 d,長 さ lの 円 管 を流 体 が 流 れ る と き の 流 体 摩 擦 に よ る 損 失 圧 力 ⊿P) は,次
の 式 で求 め る こ とが で き る。 これ を,ダ ル シ ー ・ワ イ ズ バ ッハ の式 と い
う。 (1・39)
ρ:流
体 の密 度 〔 ㎏/m3〕
λ:管
摩 擦 係 数(図1・18参
d:管
の 内 径 〔m〕
w:流
速 〔m/s〕
g:重
力 の 加 速 度=9.80665〔m/s2〕
照)
し た が っ て, (1・40)
λ は滑 らか な 円 管 に対 して,
層流 の場合 乱 流 の場合
(1・41)
図1・18ム
(a)入 口損 失 図1・19配
ー デ ィ線 図
(b)分 岐 管 損 失
(c)弁 内 通 路 結 合 部 損 失
管 系 の 各 種 要 素 の K値
Re:レ
イ ノル ズ 数
ν :流 体 の 動 粘 度 〔m2/s〕
〔2〕 K 値 に よ る管 路 の 摩擦 損 失 式(1・40)の (図1・19)と
λ(l/d)は 配 管 が 決 ま れ ば 決 定 す る 値 で あ る か ら,圧 力 損 失 係 数 K し て 表 さ れ る。
K=λi(l/d)
(1・42)
し た が っ て,
⊿P=Kρ/2w2
(1・43)
と な る。
例
題1・22
と100m/sで
圧 力 損 失 係 数1.5の
配 管 に,圧
力0.49MPaの
流 す と き の 圧 力 損 失 を 求 め よ 。 た だ し,空
空 気 を 流 速30m/s 気 の 密 度 を7.1 ㎏/m3
と す る。 〔解 〕K=1.5,ρ=7.1〔
w=100〔m/s〕
㎏/m3〕, w=30〔m/s〕
の 場 合,式(1・43)か
ら
の場 合 は
配 管 時 の 流 速 は 高 速 に な る と圧 力 損 失 が 大 き くな る の で,通
常 は30m/s以
下 と して
い る。
〔3〕 実 用 式 に よ る管路 の 摩 擦 損 失 空 気 圧 配 管 の場 合 の 実 用 式 とし てハ リス の 式 が あ る。 これ は配 管 用鋼 管 に対 して 適 用 され る もの で,次 の 式 で 計 算 す る。 (1・44)
Q :空 気 流 量 〔l/min(ANR)〕
P1:空
気 の流 入 圧 力 〔MPa G〕
d :管 の 内径 〔 ㎜ ⊿P:配 例
管1mあ
題1・23図1・20の
30m,内
径25㎜
鋼 管 で,管
〕
た りの圧 力 降 下 〔MPa G〕
よ う に,長
さl=
の まっす ぐな配管 用
入 口 か ら0.686MPa
Gの
空気
を 流 入 さ せ た
と き 空 気 流 量 は2
m3/min(ANR)で
あ っ た 。 出 口側 の 圧 力
は い く ら か 。た だ し,室 温 を20℃
図1・20
とす る 。
〔解 〕 Q=2〔m3/min(ANR)〕=2×103〔l/min(ANR)〕, G〕 を 式(1・44)に
l=30mで
㎜
〕, P1=0.686〔MPa
代 入 す る と,
は ⊿P'=dPl=0.000455
した が っ て,出
× 30=0.0136(MPa
題1・22流
(25A)のSGP管
G)
口圧 力 は
P2=P1-⊿P'=0.686-0.0136=0.672(MPa
問
d=25〔
量5m3/min(ANR),空
G)
気 の 流 入 圧 力0.49 MPa Gの 空 気 圧 配 管 で1B
を使 用 す る と き,区 間10 mの 圧 力 降 下 は い く ら か 。 また 出 口圧 力 は
ど うか 。 答(0.0224MPaG,0・4676
MPaG)
2
空 気 圧 機 器 とシ ス テ ム の概 要 2.1
空気圧機器の基本 的構成
空 気 圧 機 器 は,空 気 を圧 縮 機 に よっ て 高 圧 に して 得 られ るエ ネル ギ ー を利 用 す る もの で,実 際 の 機 器 は動 力 源,空 気 圧 発 生 源,空 気 圧 清 浄 機 器,制 御 機 器, 駆 動 機 器 に大 別 され る.こ れ らを具 体 的 な 空 気 圧 機 器 名 で あ げ る な らば,図2・ 1の よ うな 機 器 で構 成 さ れ る。
図2・1空
気圧機 器の基本構成
〔1〕 動 力 源 一 般 的 に はAC電 ン,デ
源 と電 動 機 で あ る が ,設 備 の な い 場 合 は ガ ソ リ ン エ ン ジ
ィー ゼ ル エ ン ジ ン が 動 力 源 に な る。
〔2〕 空 気 圧 発 生源 (a) 空 気 圧 縮 機 ピ ス トン 式 ま た はス ク リュ ー 式 な ど に よ っ て 高 圧 の 圧 縮 空 気 を つ く る。0.7 MPa,1lの
圧 縮 空 気 を 得 る に は,約8lの
大 気 が 必 要 で あ る。
(b) ア フ タ ク ー ラ
圧 縮 機 か らの 吐 出 し空 気 は約200℃
く らい まで 温 度 が上 昇 す る の で,空 気 タ
ン ク や 配 管 の途 中 の 放 熱 量 だ けで は 間 に合 わ な い 。 これ を そ の ま ま使 う と機 器 のパ ッ キ ン の劣 化 を早 め た り,端 末 部 で 冷 却 さ れ て 水 分 が 分 離 し,機 器 に悪 影 響 を与 えた りす る。 そ こ で,圧 縮 機 か らの 吐 出 し直 後 に冷 却 器 を設 け て 圧 縮 空 気 を冷 却 し,水 分 を分 離 す る 。 (c)空 気 タ ン ク 圧 縮 空 気 を一 時 的 に蓄 え て お くも の で,ア
キ ュ ム レー タ と も よば れ る。 圧 縮
空 気 の脈 動 を少 な く し,間 欠 的 に 空 気 を 消 費 す る場 合 は,消 費 量 が 多 くな る と き に それ を補 充 し圧 力 の低 下 を防 ぐ。 タ レク の 最 下 部 に ドレ ン排 出 弁 を設 け て 定 期 的 に ドレ ン を排 出す る。
〔3〕 空 気 圧 清 浄機 器 (a) フ ィル タ
主 送 気 配 管(メ イ ンラ イ ン)と 各 作 業 場 や 装 置 に送 る配 管(支 管)内 に発 生 し た ゴ ミ,さ び,ド
レ ンな ど を取 り除 き,清 浄 な圧 縮 空 気 にす る もの で あ る。
(b) オ イ ル ミス トセ パ レ ー タ メ イ ン ライ ン フ ィル タ で 除 去 で き な い よ う な ご く微 細 な ゴ ミや オ イル ミス ト (油,油 蒸 気 な どの 汚 染 粒 子)を 除 去 す る。 (c) エ ア ドラ イ ヤ ア フ タ ク ー ラや 空 気 タ ンク 内 で の 冷 却 で は 不 十 分 な場 合,圧
縮 空 気 を強 制 的
に冷 却 し て圧 縮 空 気 中 の水 蒸 気 を ドレ ン に して 取 り除 き,乾 燥 した 圧 縮 空 気 に す る。
〔4〕 制 御 機 器 (a)圧 力 制 御 弁 空 気 圧 縮 機 か ら送 られ て く る圧 縮 空 気 を減 圧 して,2 次 側 圧 力 を所 定 の 圧 力 に 設 定 調 整 す る もの で あ る。この 目的 に一 般 的 に使 わ れ る の が 減 圧 弁(レ ギ ュ レ ー タ)で ,ば ね の力 で 直 接 に圧 力 を調 整 す る もの と,パ イ ロ ッ ト部 を設 け て行 う もの とが あ る。 (b)方 向 制 御 弁 空 気 圧 を電 気 信 号 に よ っ て弁 を開 閉 し,流 れ の 方 向 を切 り換 え て シ リン ダ や モ ー タ の 駆 動 を制 御 す る。 操 作 方法 に は手 動 操 作,足
踏 操 作,電
磁 操 作,空 気
圧 操 作 な どが あ る。 (c) 流 量 制 御 弁 空 気 圧 の 流 量 を制 御 し,シ リン ダ の速 度 を調 節 す る もの で,速 度 制 御 弁(ス ピ ー ド コ ン トロ ー ラ)が 最 も多 く使 わ れ る。 〔5〕 ア ク チ ュ エ ー タ (a) 空 気 圧 シ リ ン ダ 空 気 圧 の も っ て い る エ ネ ル ギ ー を 用 い て 機 械 的 な 仕 事 をす る も の を ア ク チ ュ エ ー タ とい うが,そ
の うち の 直 線 運 動 をす る もの を シ リン ダ とい い,最
も多 く
使 わ れ る。 (b)揺
動形 アクチ ュエー タ
一 定 の 角 度 範 囲 で 揺 動 運 動 す る ア ク チ ュエ ー タ で あ る
。
(c) 空 気 圧 モ ー タ 圧 縮 空 気 を使 っ て 連 続 回転 運 動 を行 う もの で あ る。 空 気 圧 縮 機 は高 圧 の 空 気 を吐 き 出 す もの で あ るが,モ
ー タ は高 圧 の 空 気 を送 っ て 目的 とす る もの を回 転
させ る もの で,電 動 機 と同 じ機 能 を もっ て い る。
2・2 空 気圧 機 器 の基 本 的 な使 用 例 自動 化 の た め の空 気圧 機 器 の 基 本 的 な使 い 方 と して は,次 の よ うな もの が あ る。 そ の一 部 を図2・2に 示 す 。 ・ ワ ー ク の 移 動,固 ・部 品 の 加 工,挿
(a)ワ
(c)ス
定 ,押
上 げ 例(a),(b)
入 例(c)
ー クの 移 動
ナ ップ リン グの 挿 入
(e)袋
の開封 図2・2
(b)不
良品の排 除
(d)弁
の切 換 え
(f)液
面検 知
空 気 圧 機 器 の 基 本 的 な使 用 例
・電 磁 弁(バ ル ブ)の 切 換 え例(d) ・エ ア ジ ェ ッ トの 利 用 例(e)
・物 体 の検 知 例(f)
3
空気圧発生源 3・1
空 気 圧 縮 機(コ ン プ レ ッサ)は 機 械 的 エ ネ ル ギ ー,電
空気圧縮機
気 的 エ ネ ル ギ ー を空 気 圧
エ ネ ル ギ ー に変 換 す る装 置 で,大 気 中 の 空 気 を所 定 の圧 力(一 般 的 に は0.69 MPaG)ま
〔1〕
で 圧 縮 し,省 力 化,自 動 化 な どの 用 途 に使 う。
空気圧縮機の種類
空 気 圧 縮 機 に は構 造,吐
出 し量,給 油 方 式,制 御 方 式 に よ って い ろ い ろな 形
式 が あ る。 構造 か ら考 え る な ら ば,表3・1に 表3・1
示 す よ う な代 表 的 形 式 が あ る。
圧縮機 の種類 ピ ス トン式
往復式 ダ イ ア フ ラム 式
圧縮機
べ 一 ン式
ス ク リュ ー 式
回転式 カム式 ター ボ式
(a)
ピス トン式
ピ ス ト ン 式 の 構 造 を 図3・1に,作 ピ ス ト ン 式 は,シ
動 原 理 を 図3・2に
示す。
リン ダ 内 を ピス トン が往 復 運 動 す る こ とに よ って 空 気 を 圧
縮 す る最 も一 般 的 な 方 式 で あ り,0.1∼100MPaの 空 気 圧 を使 用 す る 場 合,空
気 を一 気 に0.69MPa近
高 圧 まで 応 用 範 囲 が 広 い 。 く まで 断 熱 圧 縮 す る(2 段
図3・1空
(a)吸
込 み
気圧 縮 機 の 構 造
(b)圧
図3・2
(c)吐
出 し
ピス トン式 の 作 動 原 理
圧 縮 す る場 合 は大 気 圧 →0.2MPa→0.69 は圧 縮 後 の 温 度 は250∼300℃
縮
MPa)の
で,大 気 温 度 が30℃ の と き
に な る 。この とき潤 滑 油 は高 温 の た め 蒸 気 状 態 に
な り,一 部 は炭 化 して カ ー ボ ンが 生 成 さ れ る。 (b)ス
ク リュー 式
ス ク リュ ー 式 は 図3・3の よ う に ス ク リ ュ ー 状 の 凸 凹 2つ の ロ ー タ が か み 合 い,空 気 を圧 縮 す る方 式 で,圧 縮 時 に強 制 的 に 油 を注 入 して圧 縮 熱 の 冷 却 とロ ータの潤滑
,シ ー ル の作 用 を行 う と と も に,空 気 も冷 却 しな が ら圧 縮 す るた め
圧 縮 効 率 が 良 く,吐 出 し空 気 温 度 も70∼90℃ で 油 の 炭 化 が な く,酸 化 も ほ とん どな い 。
図3・3
ス ク リュー 式 の 作 動 原 理
ター ボ 式
(c)
タ ー ビ ン を 高 速 回 転(30000∼40000rpm)し 量)×(空
気 の 流 速)2=(圧
段,3
〔2 〕
気 の 質
力 エ ネ ル ギ ー)に 変 換 さ せ る 。 空 気 の 質 量 は 水 に 比 べ
て 非 常 に 小 さ い(約1/830)の 難 で,2
空 気 を 高 速 に し て,(空
で,圧
力 を0.69MPaま
で 一 気 に上 げ る こ とは 困
段 圧 縮 を行 う。
空気圧縮機の圧力制御方式
空 気 圧 縮 機 で 空 気 を圧 縮 して い く と圧 力 は高 くな って い く。 この 高 くな っ た 圧 縮 空 気 の 圧 力 を制 御 し な い と,圧 縮 機 や 電 動 機 に 無 理 な力 が か か っ て故 障 の 原 因 に な る。 この 圧 力 を制 御 す る方 式 に は 表3・2の よ う な種 類 が あ る。 表3・2制
御方 式の種類 手 動 ア ン ロー ダ方 式
1 ア ンロ ー ダ方 式
制御方式
自動 ア ン ロー ダ方 式 圧 力 ス イ ッチ 方 式
(a)
手 動 ア ン ロー ダ方 式
圧 縮 機 の 吸 込 弁 を常 時 開 け て お く と,空 気 を圧 縮 し な い で 空 運 転 の ま ま に し て お く こ とが で き る。 この 吸 込 弁 を常 時 開 け て お く装 置 を ア ン ロー ダ装 置 とい い,こ
の状 態 をア ン ロ ー ダ状 態 と い う。 この 方 式 は,圧 縮 機 の 起 動 時 に 電 動 機
を無 負 荷 で 起 動 す る こ とが で き,運 転 の途 中 で無 負 荷(ア ン ロ ー ド)さ せ る こ と が で き る。
図3・4手
動ア ンローダ方式
(b) 自動 ア ン ロー ダ 方 式 決 め られ た 圧 力 に 達 す る と 自動 的 に ア ン ロ ー ドす る ア ン ロ ー ダ 弁 を 取 り付 け,自 動 的 に空 運 転 また は圧 縮 運 転 を繰 り返 す こ とが で き る。
図3・5自
(c)圧
動 ア ン ロー ダ 方式
カ ス イ ッチ 方 式
空 気 タ ン ク に圧 力 ス イ ッチ を取 り付 け,空 気 タ ン ク の圧 力 が 一 定 の 値 に な る と 自動 的 に電 動 機 の ス イ ッチ を切 り,空 気 タ ン ク内 の圧 力 が 下 が る と 自動 的 に ス イ ッチ が入 っ て,タ
ン ク 内 の 圧 力 をつ ね に一 定 範 囲 に保 つ よ うに した もの で
ある。
〔3〕 空 気 圧縮 機 の選 定 空 気 圧 機 器 の 空 気 消 費 量 が 決 ま る と,圧 縮 機 の容 量 は 空 気 消 費 量 に 対 し て 1.5∼2倍 の 容 量 の も の を選 定 す る。 これ は,第 一 に は計 算 上 で の 空 気 消 費 量 の
誤 差 が あ る場 合 の 余裕 を み て お くこ と,第 二 は 圧 縮 機 を全 負 荷 運 転 させ る よ り も余裕 を もた せ た ほ うが 寿 命 が 長 くな る な どの利 点 が あ るた めで あ る。 その 他 配 管 途 中 か ら の空 気漏 れ な ど も考慮 に 入 れ な けれ ば な らな い 。 な お,圧 縮 機 は 実 吐 出 し量(理 論 上 の 吐 出 し量 か ら空 気 漏 れ を差 し引 い た も の)の 基 準 で 空 気 量 を選 定 す る必 要 が あ る。75kW以 は0.75kWあ
下 の も の は,実 吐 出 し量
た り約100〓/min(ANR)(0.5∼0.7MPa
G)を 目 安 に す る と便
利 で あ る。 詳 し く はメ ー カ の カ タ ログ や 資 料 を参 考 に す る と よ い。 圧 縮 機 の 回 転 速 度 と ピ ス トン行 程 容 積 との積 で あ る理 論 上 の ピ ス トン押 し除 け量 で,実
際 に吐 き出 され る空 気 量 を割 っ た値 を体 積 効 率 とい う。 一 般 的 に は
圧 力 が 高 くな る と,体 積効 率 は小 さ くな る傾 向 を も っ て い る。 ス ク リュ ー 式 は,ピ ス トン式 に比 べ約10∼20%程
度 同 じ出 力 に対 して 実 吐 出
し量 が 多 い。 振 動,騒 音 が 少 な く設 置 場 所 を限 定 し な い場 合 は ス ク リ ュー 式, 表3・3電
動 機 出 力 と実 吐 出 し量
騒 音,振
動 は 少 々 あ っ て も コ ス トが 安 い こ と を 要 求 す る と き に は,ピ
ス トン式
が 用 い られ る。
3・2 ア フ タ ク ー ラ
圧 縮 機 か らの 吐 出 し空 気 温 度 は200℃
くら い まで 上 昇 す る。 これ を そ の ま ま
使 用 す る とパ ッ キ ン の劣 化 を早 め た り,端 末 で冷 却 され て ドレ ンが 分 離 し機 器 に悪 い影 響 を与 え る。 そ こで,圧 縮 機 の 吐 出 し直 後 に ア フ タ ク ー ラ を設 け,高 温 ・高 圧 の 圧 縮 空 気 を冷 却 して 水 分 を分 離 す る。 ア フ タ ク ー ラ に は水 冷 式 と空 冷 式 が あ る。 〔1〕
水冷 式 ア フ タ クー ラ
図3・6に 示 す よ うな 多 管 式 熱 交 換 器 が 一 般 的 で あ る。 冷 却 管 に は 主 に銅 管 が 用 い られ,管
の 内側 に水,外
側 に 高 温 圧 縮 空 気 を流 す と,冷 却 管 の壁 を通 して
高 温 の 空 気 か ら冷 却 水 に 熱 が 伝 達 さ れ 高 温 圧 縮 空 気 の温 度 が 下 が る。 空 気 中 に 含 まれ る水 蒸 気 の 量 は,そ の 温 度 お よび 圧 力 に お け る含 み 得 る限 界 を超 えた 場 合 は,凝 縮 して 水 滴 とな っ て 冷 却 管 の 壁 に附 着 す る。 さ ら に,こ れ らの 水 滴 は 互 い に集 ま り大 き くな っ て ドレ ン とな り,ア フタ クー ラ の底 部 にた ま り ドレ ン 弁 ま た は ドレ ン 自動 排 出 装 置(オ ー ト ド レ ン)か ら排 出 され る。 な お,冷 却 に よっ て 生 じた凝 縮 水 は必 ず し も ドレ ン と して排 出 され る こ とな く,ミ
ス ト状 に な っ て 空 気 に 混 入 し 空 気 出 口 か ら 出 て 行 く も の も あ る。 図
3・6の よ うに,水 冷 式 ア フ タ ク ー ラ は冷 却 管 外 側 の 表 面 に多 くの フ ィ ン(ひ れ)
図3・6
水 冷 式 ア フ タ クー ラ
を結 合 させ,圧
縮 空 気 と冷 却 面 の接 触 面 積 を増 し,冷 却 効 果 の 向上 と凝 縮 水 の
附 着 分 離 を 図 って い る。 〔2〕
空 冷 式 ア フ タ クー ラ
図3・7は 最 も代 表 的 な構 造 例 で あ る。 冷 却 部 は ア ル ミの フ ィ ン を放 熱 板 と し た冷 却 管 の 集 ま りか ら な る。 管 の 内 側 を高 温 の 圧 縮 空 気 が 流 れ,管 の 外 側 は 冷 却 用 フ ァ ンか らの 冷 却 風 に よ り強 制 的 に冷 却 され る。 本 体 に 流 入 した 圧 縮 空 気 は,分 岐 管 か ら各 冷 却 管 に 分 岐 さ れ,冷 却 管 の 内 側 を通 過 す る間 に 冷 却 さ れ る。 そ の結 果 と して,前 述 の よ う に空 気 中 の 水 蒸 気 は凝 縮 さ れ る。 各 冷 却 管 の 中 で の ミス ト状 凝 縮 水 を含 む よ う に な っ た 圧 縮 空 気 は,集 合 管 を 経 て 本 体 よ り流 出 す る。 集 合 管 の 底 部 に た ま った ドレ ン は,ド
レ ン弁 また は ド
レ ン 自動 排 出 装 置 に よ っ て 排 出 され る。
図3・7空
冷 式 ア フ タ クー ラ
〔3〕 ア フ タ ク ー ラ の 特 性 ア フ タ ク ー ラ の特 性 と して,流 量 特 性 と冷 却 特 性 の 2つ が あ る。 流 量 特 性 は,ア の 関 係 で,同
フ タ ク ー ラ を通 る圧 縮 空 気 と それ に よ っ て 生 ず る圧 力 降下 と
一 の機 種 で も空気 の 入 口温 度,圧
力 に よ っ て異 な る。 特 に,圧 力
に よ っ て著 し く異 な る。 冷 却 特 性 は,空 気 の入 口 圧 力,温 度,含 有 水 分 量 を規 定 して何 〓/min(ANR)
の 空 気 が冷 却 さ れ,出
口温 度 が 何 度 に な るか を示 した もの で あ る。 圧 縮 機 で加
圧 され た空 気 の 含 有 水 分 量 は,圧 縮 機 の 吸込 空 気 の温 度 と湿 度 で決 ま る の で, 含 有 水 分 量 の 代 わ りに 吸 込 空 気 の 温 度 と相 対 湿 度 を表 示 す る場 合 が 通 例 で あ る。 また は含 有 水 分 量 を示 す もの と して,加 圧 下 に お い て 何 度 ま で冷 却 す れ ば 圧 縮 空 気 中 に 含 まれ る水 蒸 気 が 凝 縮 す るか を 示 す 温 度(加 圧 下 露 点 とよ ぶ)を 用 い る場 合 もあ る。
図3・8ア
フ タ クー ラの 流 量特 性
図3・9ア
フ タ クー ラ の 冷 却 特 性
3・3
空気 タ ンク
空 気 タ ン ク は,空 気 の圧 縮 性 を十 分 に 生 か す もの で,空 気 消 費 量 の変 動 に対 応 し た り,圧 縮 機 か らの 圧 力 の脈 動 を 除 去 した り,ま た タ ン クの 表 面 か らの 放 熱 を利 用 して 冷 却 を助 け る こ と もで き る。 そ の た め,タ
ン ク の 最 下 部 に ドレ ン
排 出 弁 を取 り付 け,定 期 的 に ドレ ンの 排 出 をす る こ とが 必 要 で あ る。 空 気 タ ン ク は,一 般 的 に は鋼 板 の溶 接 構 造 に よ る圧 力 容 器 で,立 形 の もの が 多 い 。 内容 積 等 に よ って 異 な るが,通
常 は ほ とん どの もの が 圧 力 容 器 安 全 規 則
(労 働 省 令)に 基 づ く規 制 を受 け るた め,構 造 に つ い て も圧 力 容 器 構 造 規 格(第 2種)に 基 づ い た 構 造 で な けれ ば な らな い。 圧 縮 空 気 の接 続 口 の ほ か に,タ ン ク 内 の 圧 力 の 監 視 用 圧 力 計,過 圧 防 止 の た め の 安 全 弁,内 部 点 検 掃 除 の た め の検 査 穴 ま た はマ ン ホ ー ル を必 要 とす る。 空 気 タ ンク の 本 質 的 な 役 割 は,空 気 の 蓄 積 と脈 動 の緩 和 で あ る。 した が っ て,ど
ち らを 必 要 とす る か に よ っ て選 定 も異 な る。 脈 動 緩 和 の面 か らは,空 気 タ ン ク の容 積 の 算 出 基 準 と して 次 の式 が 用 い られ る。 (3・1)
v:空
気 タ ン ク の 内 容 積 〔m3〕
VS:圧 縮 機 最 終 段 の ピス トン押 し除 け 量 〔m3〕 r :最 終 段 の 圧 力 比 しか し,実 際 に は空 気 の 需 要 量 の 多 少 の変 動 に応 じる た め に も,上 の 計 算 値 の数 倍 の 容 量 の 空 気 タ ン ク を選 定 す る。 表3・4は 吐 出 し圧 力0.69MPa程 圧 縮 機 の 空 気 タ ン ク の例 で あ る 。 表3。4
空 気タンクの容量例
度の
4
空気圧清浄機器 4・1圧
縮 空 気 に含 まれ る異 物
〔1〕 空気 圧 清 浄 機 器 の必 要 性 じ んあ い
大 気 中 に は種 々 の 浮 遊 塵 埃 や,特
に重 化 学 工 業 地 帯 に はSO2,H2Sな
染 物 質(コ ン タ ミナ ン ト)が含 まれ て い る。 これ を圧 縮 機 で吸 入 して,た 0.7MPaま
どの 汚 とえば
で圧 縮 す る と,圧 力 に 比 例 して これ らの 塵 埃 濃 度 は 大 気 に比 べ て 約
8倍 に な る 。またSO2,H2Sが
含 まれ て い る と,各 種 空 気 圧 機 器 の 腐 食 を促 進 さ
せ る要 因 とな る。 そ こで,こ れ ら を除 去 す る空 気 圧 清 浄 機 器 が 必 要 に な る。 圧 縮 機 の 吸 込 側 に は フ ィル タが 付 い て い るが,2∼5μm以
下 とい う よ う な微
細 な塵 埃 は除 去 で き な い 。 また 吸 込 口 で 炉 過 精 度 を高 め る と通 気 抵 抗 が 大 き く な り,圧 縮 機 の 効 率 が低 下 す る。 第 一 の コ ン タ ミナ ン トは大 気 中 の塵 埃 で あ り,第 二 の コ ン タ ミナ ン トは潤 滑 油 が オ イル ミ ス トや カ ー ボ ン に な っ た もの で あ る。 潤 滑 油 が,主
に ピ ス トン と
シ リ ン ダ の潤 滑 の と き に機 械 的 せ ん 断 力 を受 け て微 細 な ミス トにな る。 さ ら に 圧 縮 機 内 で 圧 縮 され,圧 250∼300℃,ス
力0.7MPa,吸
ク リ ュー 式 で70∼90℃
入 空 気 温 度30℃ の と き ピ ス トン式 で と高 温 に な り,油 の ミス トが 炭 化 され た
り蒸 発 した りす る。 第 三 の コ ン タ ミナ ン トは水 分 で,さ び を 発 生 させ る。大 気 は40∼80%の で水 蒸 気 の 状 態 で 水 分 が 含 まれ て い る。この空 気 を0.7MPaぐ る と,体 積 は 約1/8に
範囲
らい まで 圧 縮 す
な る た め 水 蒸 気 と し て 含 ま れ る 割 合 が 小 さ く な り,
60∼70℃ 以 下 に 冷 却 され る と飽 和 蒸 気 と な っ て 湿 度 が100%を
超 えて過飽 和水
分 が 凝 縮 水 分 と し て 発 生 す る 。 こ の 水 分 が 配 管(特 に 鋼 管)中 に 存 在 す る と さ び を 発 生 す る 。 図4・1,4・2,表4・1は
図4・1圧
図4・2
これ らを ま とめ た もの で あ る 。
縮空 気中の汚染物質の粒子
圧 縮 空 気 中 の 汚染 物 質 の 混 入
表4・1汚
主な 不純物 空気圧 機器
水分 (ド レ ン)
空気圧
染 物 質 の機 器 に 与 え る影 響
(カ ー ボ ン ・タ ー ル)
・エ レ メ ン ト劣 化 促 進
・エ レメ ン トの 圧 力
・エ レ メ ン トの 圧 力
・ポ ー ル の 劣 化
損 失の促進 ・ド レ ン 自動 排 出機
損失の促進 ・ ドレ ン 自動 排 出 機
・自動 排 出機 能 部 品 劣
フ ィ ル タ
異物(ゴ ミ ・切 粉 ・シ ール 材 。溶 接 ス パ ツ
空気圧縮機等の 潤滑油
化
酸 化生成物
タ ・さび 等)
能不良
能 不良
・潤 滑 油 の 劣 化
・油量滴下調整機能 ・油量滴下調整機能
・弁 部 の し ゅ う動 部 分
・シ ー ル材 の膨 潤 や 劣
・弁 部 が 固 着 し,圧
に た ま り圧 力 調 整 不
化 に よ る作 動 不 良 や
・潤 滑 油 の 劣 化 ル ブ リケ ー タ
レ ギ ュ レ ー タ
良 ・さ び の発 生
不良
不良
力調整不良
・弁 部 にか み 込 み調 圧不良 ・弁 シ ール 部 の摩 耗
シール不良
破 損 に よ る空 気 漏 れ や圧 力 調 整 不 良
・し ゅ う動 部 等 の グ リ ・シ ー ル材 の 膨 潤 や 劣
・し ゅ う動 部 に付 着
・し ゅ う動 部 に か み 込 み作 動 不 良 やパ
ス を洗 い 流 す た め,
化 に よ る動 作 不 良 や
し,動 作 不 良 や パ
抵 抗 増 大 に よ る動 作
シール不良
ッ キ ン類 の 劣 化 促
不 良 やパ ッキ ン類 の 方向制御弁 (方向切換弁) 異 常 摩 耗,破 損
進
ッ キ ン類 の異 常 摩 耗 や破 損 ・パ イ ロ ッ ト通 路 を
・パ イ ロ ッ ト通 路 にた
ふ さ ぎ作 動 不 良
ま り,作 動 不 良 ・さ び の発 生 ・通 路 に た ま り,圧 力 損 失増 加
速度制御弁 ・凍 結 に よ り速 度 制 御
・シ ー ル 材 の 膨 潤 や 劣
・ニ ー ドル部 に付 着
化 に よ る速 度 調 整 不
し,速 度 調 整 不 良
良
・弁 部 や ニ ー ドル部 に つ ま り速 度 調 整 不良
不良 ・さ び の 発 生 ・し ゅ う動 部 等 の グ リ ・パ ッキ ン類 の 膨 潤 や
シ リ ン ダ
・し ゅ う動 部 に 付 着
・し ゅ う動 部 に か み
ス を洗 い 流 す た め,
劣 化 に よ る作 動 不 良
し,作 動 不 良 や パ
込 み 動作 不 良 や パ
抵 抗 増 大 に よ る動 作
や シー ル 不 良
ッ キ ン類 の 劣 化 促 進
不 良 や パ ッ キ ン類 の
ッキ ン類 の 異 常 摩 耗 や 破損
異 常 摩耗 や 破 損 ・さ び の 発 生
4・2
メ イ ン ライ ンフ ィル タ
圧 縮 機 か ら送 られ て くる圧 縮 空 気 の 中 に は油,水
分,ゴ
ミな どの 異 物 が 含 ま
れ て い る。 メ イ ン ラ イ ン フ ィル タ は メ イ ン配 管 に取 り付 けて,こ
れ ら の もの を
除 去 し,清 浄 な 圧 縮 空 気 と して 下 流 の 精 密 フ ィル タ の寿 命 の 延 長 や,機 器 の ド レ ン に よ る トラ ブル を 防 止 す る もの で あ る。
〔1〕 構 造 と作 動原 理
図4・3メ
イ ン ラ イ ン フ ィル タ
1次 側 か ら入 った 圧 縮 空 気 は,中 央 に あ る フ ィル タ エ レメ ン トの 内側 に 導 か れ,エ レ メ ン トの 内 側 か ら外 側 へ通 過 す る。 こ こ で,空 気 中 の 異 物 は〓 過 され, 大 部 分 の異 物 が 分 離 され た 清 浄 空 気 は 2次 側 へ 流 れ て い く。 フ ィル タ エ レ メ ン トは,合 成 繊 維 の 〓 布 と フエ ル ト式 の グ ラ ス フ ァ イバ の 〓 材 が 円 筒 形 に巻 き込 まれ て お り,ま た は耐 水 耐 油性 プ リー ツ 状 〓 紙 が 内 側 と外 側 か らパ ン チ ング メ タ ル,金 網 な ど に よ っ て 固定 され て い る 。 〓 材 は微 細 な繊 維 が 積 み 重 ね られ て い る た め,通 過 す る空 気 は直 線 的 にで は な く,曲 が り くね っ て流 れ て い くの で,〓 過 作 用 が エ レメ ン トの 表 面 だ けで な く内 部 で も行 わ れ る。 空 気 中 に含 まれ る 固 形 物 の異 物 に関 して は,フ ィ ル タ エ レ メ ン トを通 過 す る こ とで 〓 材 の表 面 お よ び 内 部 で 〓 過 され,次
々 とた い積 して くる の で 〓 材 は 目
詰 りを起 こ し,フ ィル タ の 圧 力 降 下 は増 加 す る。 一 方,油,水
分 の よ う な液 滴
は〓 材 で 凝 縮 さ れ よ り大 き な液 滴 とな っ て,〓 材 の 内部 お よび エ レ メ ン トの 2 次 側 表 面 を流 れ て エ レ メ ン トの 下 部 か らケ ー ス 内 に 滴 下 す る 。 ケ ー ス の 底 に た
ま っ た ド レ ン は,ド
〔2〕
レ ンバ ル ブ の 開放 に よ りケ ー ス 内 の 圧 力 で 排 出 され る。
特性
特 性 と して は流 量 特 性 と異 物 分 離 効 果 が あ る。 流 量 特 性 は,フ
ィル タ を通 過
す る空 気 量 とそ れ に よ って 生 じ る圧 力 降 下 との こ とで 図4・4で 示 さ れ る。 異 物 分 離 効 果 と して は,メ イ ン フ ィル タ の 1次 側 お よび 2次 側 の 空 気 を光 電 管 式 ダ ス トカ ウ ン タ に よ っ て粒 子 の大 きさ別 に その 数 を 測 定 し,メ
イ ン フ ィル タ で ど
の く らい の 大 き さ の粒 子 が どの程 度 分 離 され た の か を求 め て,こ れ を数 字 で 表 し て い る。た と え ば,〓 過 度3μmと
は,粒 子 径3μmの
大 き さの 異 物 を95%以
上 除 去 で き る能 力 の あ る こ とを示 して い る。
図4・4メ
イ ン ラ イ ン フ ィル タの 流 量 特 性
4・3 オ イ ル ミス トセ パ レー タ
メ イ ン ラ イ ン フ ィル タ で は除 去 で きな い よ う な微 細 な 塵 埃 や オ イル ミス トを 除 去 し,ミ ス トセ パ レ ー タ まで の配 管 で発 生 した さ び を除 去 して,さ な 空 気 を 得 る た め の もの で あ る。〓 過 度0.3μm,ド 側 オ イ ル ミス ト濃 度 が1mg/m3(ANR)の
らに 清 浄
レ ンの 分 離 率 約100%,2
次
能力 が ある。
〔1〕 構 造 と作 動 原理 図4・5は 構 造 例 で あ る。 本 体 に流 入 した 空 気 は,ま ず エ レメ ン トの 内側 か ら 外 側 へ 通 過 し,〓 過 作 用 に よ っ て微 細 な 固形 異 物 は 除 去 さ れ る。 ま た微 細 な オ
イ ル ミス トは〓 過 繊 維 の表 面 お よ び 内 部 で直 接 遮 断,慣 性 衝 突,ブ に よ る拡 散 な どに よ っ て捕 捉 され,順
ラ ウ ン運 動
次 こ し目 の 違 う繊 維 層 を通 過 し なが ら凝
結 成 長 し て大 きな液 滴 とな って 落 下 分 離 され る。 微 細 な オ イ ル ミス トの 捕 促 は 次 の よ う に な る。
図4・5オ
イ ル ミ ス トセ パ レ ー タ
① 直接遮断 微 細 な オ イル ミス トの 中 で も,〓 材 の 繊 維 の す き ま よ り大 きな 粒 子 は直 接 繊 維 に捕 促 され る。
② 慣性衝突 オ イ ル ミス トが 空 気 流 に よ っ て 運 ば れ て い る場 合,〓
材 の繊 維 に よ っ て 流 れ
の 方 向 が変 わ った と き,空 気 に つ い て い けず に衝 突 して 捕 促 さ れ る。
③
ブ ラウ ン運動 によ る拡散
微 細 な粒 子 ほ ど空 気 の 流 れ に 関 係 な く,自 由 に 任 意 の 方 向 に運 動(ブ ラ ウ ン運 動)す る。 こ の こ とに よ っ て,粒 子 は繊 維 に接 触 し捕 促 され る。
4・4 エ ア ドラ イ ヤ
圧 縮 機 か ら送 られ て く る圧 縮 空 気 中 の 油,凝 縮 水,ゴ
ミ は メ イ ン フ ィル タ,
オ イ ル ミス トセパ レー タ で 除 去 で き るが,水 蒸 気 は除 去 す る こ とが で き な い 。
こ の水 蒸 気 は 空 気 温 度 の 降 下 に よ り配 管 中 で凝 縮 し て さ び の 原 因 をつ くる が, こ の水 蒸 気 を 除 去 す る 目的 の もの が エ ア ドラ イ ヤ で あ る。 エ ア ドラ イ ヤ は除 湿 方 法 に よ っ て 冷 凍 式,吸 着 式,吸 収 式 の 3つ に分 け られ る。 〔1〕
冷 凍 式 エ ア ドラ イ ヤ
図4・6冷
空 気 を冷 却 す る こ と に よ っ て,含 で,保
凍 式 エ ア ドラ イヤ の 構 造
まれ て い る水 蒸 気 を凝 縮 して 除 去 す る もの
守 が 容 易 で あ る こ とか ら最 も多 く使 わ れ て い る 。
(a)構
造 と作 動 原 理
圧 縮 機 か ら送 られ て くる湿 っ た 空 気 は エ ア リ ヒー タ に 入 り,す で にエ ア クー ラ で冷 却 さ れ 除 湿 さ れ た 冷 た い 空気 と熱 交 換 を行 い,予 冷 却 さ れ た状 態 で エ ア ク ー ラ に 入 っ て くる。 こ こで,冷 凍 回 路 の蒸 発 器(エ バ ポ レー タ)と の 間 で さ ら に熱 交 換 を行 い,よ
り低 い 温 度 まで 冷 却 され る。 これ に よ り空 気 中 に水 蒸 気 と
し て含 まれ て い た 水 分 は凝 縮 し,水 滴 とな っ て エ ア ク ー ラ 末 端 に集 合 し,ド レ ン 自動 排 出 装 置(オ ー ト ド レ ン)に よっ て 自動 的 に外 部 に排 出 され る。 一方
,冷 却 さ れ 除 湿 され た 冷 た い 空 気 は,再 び エ ア リ ヒー タ を通 り流 入 して
きた 湿 っ た 熱 い空 気 と熱 交 換 し て,暖 か く乾 燥 した 空 気 とな っ て 2次 側 へ 供 給 され る。
(b)特
性
エ ア ドラ イ ヤ に よ っ て供 給 され る圧 縮 空 気 の 露 点 は,そ の 負 荷 の 大 小 に よ っ て 異 な る。 圧縮 空 気 の圧 力 が 高 く,温 度 が 低 く,流 量 が 小 な く,周 囲 の 空 気 温 度 が 低 い ほ ど負 荷 が 小 さ く露 点 は低 くな る。 また 逆 の 場 合 は,負 荷 が 大 き く露 点 は高 くな る。単 位 質 量 あ た りの 空 気 中 に含 まれ る水 蒸 気 は,同 じ温 度 の 場 合, 圧 力 が 高 い ほ ど少 な くな り,圧 力 が 同 じ場 合 に は温 度 が 低 い ほ ど少 な い 。 また 周 囲 の 空 気 の 温 度 が 低 け れ ば,コ
ンデ ンサ か らの 放 熱 効 果 が 高 くな り,負 荷 が
減 少 し た の と同 じ こ とに な る。 した が っ て,2 次 側 で 要 求 さ れ る露 点 と負 荷 の 大 き さか ら,選 定 す べ きエ ア ド ラ イヤ の大 き さが 決 定 さ れ る。 要 求 す る露 点 は,空 気 を使 用 す る条 件,目
的に
よ って 異 な る。冷 凍 式 ドラ イ ヤ の場 合,露 点 を加 圧 下 で10℃ 以 下 とす る こ とは 水 滴 の 凍 結 の た め困 難 で あ る。 よ り低 い 露 点 を必 要 とす る場 合 は,吸 着 式 エ ア ドライ ヤ を使 う ほ うが 一 般 的 で あ る。
図4・7圧
縮空気 に含まれる 水 蒸気の限界量
〔2 〕
(a)
吸 着 式 エ ア ドライ ヤ 構造 と作 動原理
図4・8に 示 すT1, T2は 吸 着 剤 を充 て ん した容 器 で あ る。 い まT1は 湿 して お り,T2は 磁 弁 を経 てT1に
空気 で除
再 生 して い る とす る。水 分 を も った 湿 っ た 空 気 は 4ポー ト電 入 る。 こ こで 除 湿 さ れ た 空 気 は逆 止 め 弁CV1を
出 て い く。この と き,逆 止 め弁CV2は 通 過 した乾 燥 空 気 の 一 部(約20%)は
通 り 2次 側 へ
閉 じた 状 態 で あ るか ら,オ リフ ィス02を 減 圧 さ れ て 吸 着 筒T2に
入 る 。 そ して 吸 着
剤 に含 まれ て い る水 を脱 着 させ て湿 り空 気 と な っ て,4 ポ ー ト電 磁 弁 か ら 2ポ ー ト電 磁 弁 を経 由 して大 気 に放 出 され る。 次 に,4 ポ ー ト電 磁 弁 を切 り換 え る と,吸 着 筒T1が
再 生,吸 着 筒T2が
吸着 の
状 態 とな り,こ の 繰 返 しに よ っ て連 続 的 に安 定 した 乾 燥 空 気 が 得 られ る。 電 磁 弁 の切 換 え は,モ ー タ,カ ム,リ
ミ ッ トス イ ッチ を組 み合 わ せ,タ
れ る。
図4・8吸
着 式 エ ア ドラ イヤ の 構 造
イマで行 わ
(b)
特性
吸 着 式 エ ア ドラ イ ヤ の 特 性 に は,流 量 特 性 と露 点 特 性 が あ る。流 量 特 性 は, 吸 着 式 エ ア ドラ イ ヤ を通 る空 気 量 とそ れ に生 じ る圧 力 降下 との 関 係 で あ る。 露 点 特 性 は,圧 力,空
図4・9
気 量,温
度 との 関 係 で,図4・9,4・10の
吸 着 式 エ ア ドラ イヤ の 露 点特 性(a)
図4・10吸
4・5
曲 線 で示 され る。
着 式 エ ア ドラ イヤ の 露 点 特 性(b)
空気 圧 調整 ユ ニ ッ ト
空 気 圧 縮 機 か ら送 られ て くる圧 縮 空 気 の 中 に は,多
くの コ ンタ ミナ ン トが 含
まれ て い る。 各 種 空 気 圧 機 器 の 故 障 を 防 ぐた め に も,ク
リー ンな 圧 縮 空 気 に し
て お か な けれ ば な ら な い。 そ の た め に,一 般 的 に は ア フ タ ク ー ラ,メ イ ン ラ イ ン フ ィ ル タ,エ 圧 弁,空
ア ドラ イ ヤ を通 過 し た圧 縮 空 気 を空 気 圧 フ ィル タ,空 気 圧 用 減
気 圧 用 ル ブ リケ ー タ を経 由 して 各 機 器 に 送 り出 して い る。 この 3つ の
空 気 圧 機 器 を 1組 に した もの を空 気 圧 調 整 ユ ニ ッ トま た は通 称FRLユ (3点 セ ッ ト)と い う。 〔1〕 空 気 圧 フ ィ ル タ (a)構
造 と作 動 原 理
ニッ ト
図4・11空
気圧 調 整 ユ ニ ッ ト(SMC)
図4・12に お い て,流 入 した 空 気 は円 筒 上 に 一 定 角 度 の 多 数 の 羽 根 を もっ た デ フ レ ク タ を通 過 す る と きの旋 回運 動 に よ り,重 い 大 き な ゴ ミや 水 滴 と な っ た 水 分 や 油 滴 は遠 心 力 に よ っ て壁 に付 着 し,自 重 によ って 落 下 して ケ ー ス の 下 部 に た ま る。小 さな ゴ ミは フ ィル タ エ レ メ ン トで 補 促 さ れ,清 浄 な 空 気 とな っ て 2次 側 へ 流 れ て い く。 エ レ メ ン トの 下 部 に はお わ ん形 の バ ッフ ル が あ り,ケ ー ス 下 部 に た ま った 油 や 水 の 混 合 物(ド レ ン)を 巻 き上 げ な い よ う に して い る。
図4・12空
気 圧 フ ィル タ
ケ ー ス の 底 に た ま っ た ドレ ンの 排 出 を忘 れ た場 合 の ミス を 防 ぐた め に は,自 動 排 出装 置 を組 み 込 ん だ フ ィル タ を使 う と便 利 で あ る。 図4・l3は そ の 一 例 で, フ ロ ー トを用 い て ドレ ン の た ま り具 合 を検 出 す る もの で,通 に よ っ て ピ ス トンが 上 昇 し排 出 口 は閉 じて い るが,ケ
常 ケ ー ス 内 の圧 力
ー ス 内 の ドレ ンが 多 くな
り,フ ロ ー トが浮 力 で 上 昇 して あ る位 置 に くる とノ ズ ル を 開 い て ピ ス トンを 押 し下 げ,同 時 に排 出 口 を開 い て ドレ ン を排 出 す る。 排 出 が 終 わ る と,フ ロ ー ト は下 が っ て ノ ズ ル 口 を閉 じ,ド レ ン排 出 口 も閉 じ る よ う にな る。
図4・13オ
ー トド レ ン フ ィル タ
(b) フ ィ ル タ エ レ メ ン ト
フ ィル タ の エ レ メ ン ト とし て は,焼 結 金 属,合 成 樹 脂,金
網 な どが あ る。 焼
結 金 属 エ レ メ ン トは,微 少 な金 属 粒 子(青 銅)を 型 に 充 て ん し,電 気 炉 で 加 熱 し て粒 子 間 の 接 触 部 分 の み を相 互 に 密 着 させ,細
か い穴 が た くさ ん あ い た 〓 過 層
を 形 成 した も の で あ る。図4・14(a)に 示 す よ う は に,空 気 は直 線 形 で な く曲 り くね
(a)焼 結金属 エレメント 図4・14フ
(b)リボン状 樹脂 エ レメント
(c)金網 エレメント
ィル タエ レ メ ン ト
っ て 流 れ て い くの で,〓 過 作 用 が エ レ メ ン トの 表 面 だ け で な く内部 で も行 わ れ る。 これ に対 して,b
の よ うに リボ ン状 の樹 脂 を巻 き重 ね て 形 成 した もの や,
cの 金 網 の場 合 は,構 造 上 空 気 は直 線 的 に 流 れ るの で,〓 過 作 用 は表 面 だ け に な る。 (c)ケ
ース
一 般 的 に ケ ー ス は圧 縮 空 気 の 流 れ,ド
レ ンの た ま り具 合 な どが 見 え る よ うに
透 明 で,機 械 的 強 さの 大 きい ポ リカ ー ボ ネ ー トが 用 い られ る 。 た だ し,こ の ポ リカ ー ボ ネ ー トは一 部 の化 学薬 品(塩 酸,硫
酸,カ
セ イ ソー ダ,石 油 成 分 な ど)
に弱 く,こ れ らの環 境 で 使 用 す る と ク ラ ッ ク が入 り破 損 に つ な が る。 化 学 薬 品 な ど特 殊 な環 境 で フ ィル タ を使 用 す る と き は,ナ イ ロ ン製,金 属 製 な どの ケ ー ス を用 い る。 (d)特 性 フ ィル タ の 特 性 と して は,流 量 特 性 と異 物 の 分 離 効 果 が あ る。図4・15は 流 量 特 性 を示 した もの で,フ
ィル タ を通 過 す る空 気 量 とそ れ に よ る圧 力 降 下 との 関
係 で,曲 線 で 示 され る。
図4・15フ
ィル タの 流 量 特 性
〔2〕 減 圧 弁 減 圧 弁(レ ギ ュ レー タ)は,1 次 側 の 圧 縮 空 気 の 圧 力 を減 圧 し て,2 次 側 の 圧 力 を所 定 の圧 力 に な る よ う に調 整 す る と と もに,1 次 側 の圧 力 変 動 や 2次 側 の 空 気 使 用 量 の 変 動 が あ っ て も,設 定 圧 力 の 変 動 を 最 小 に抑 え る機 能 を も っ て い る。 (a) 直動 形 減 圧 弁
表4・2減
圧 弁 の種 類 リ リー フ 式 ノ ン リ リー フ 式
直
動
形 ブ リー ド式
減圧弁 チ ェ ッ ク弁 付 き 式
精 密式 パ イ ロ ッ ト形
大容量式
図4・16で,ハ
ン ドル を 回 して調 整 ばね を圧 縮 す る と,ス テ ム が 押 さ れ て 弁体
も下 方 へ 押 し下 げ られ て 1次 側 の圧 力 が 2次 側 へ 導 か れ る。 この 圧 力 は ダ イ ア フ ラ ム の 下 側 に作 用 して上 向 き の力 を発 生 し,調 整 ばね の圧 縮 力 と対 抗 す る。 2次 側 の 圧 力 が 設 定 圧 よ り低 い 間 は,認 整 ば ね の 力 の ほ うが 強 い の で 1次 側 か ら の空 気 の 流 入 が 続 くが,そ の差 が な くな っ て バ ラ ンス の とれ た状 態 に な る と, ダ イ ア フ ラ ム は押 し上 げ られ て 弁 は閉 じ る。 リ リー フ式 は,何 か の原 因 で 2次 側 圧 力 が 設 定 圧 以 上 に な る と,ダ イ ア フ ラ ム が バ ラ ン ス の とれ た 位 置 か ら さ ら に押 し上 げ られ,ス
テ ム の 先 端 が リ リー フ
弁 シ ー トか ら離 れ て 2次 側 の余 剰 圧 力 は 大 気 中 に放 出 され る。
図4・i6
直 動 形滅 圧 弁
ノ ン リ リー フ式 は,リ リー フ弁 シー トに 外 部 へ の排 気 口が な い の で,2 次 側 で の 空 気 消 費 の な い場 合 は 2次 側 圧 力 を 下 げ る こ とは で き な い が,一 般 に は 2次 側 で電 磁 弁 な どに よ る排 気 を行 う使 い 方 が 多 い の で,よ
く用 い られ て い る。
ブ リー ド式 は,リ リー フ弁 シー トに 常 時 圧 力 を逃 が す よ うな ポー トを 設 け て, つ ね に少 量 の 空 気 を放 出 させ,敏
速 な圧 力 認 整 に対 応 して い る。
(b) チ ェ ッ ク弁 付 き減 圧 弁 チ ェ ック 弁 付 き減 圧 弁 は,図4・17に 示 す よ う に直 動 形 の 1次 側 に チ ェ ック 弁 を 設 け た もの で あ る。 この 弁 は電 磁 弁 とシ リン ダ との間 に設 置 して,シ
リ ンダ
の ヘ ッ ド側 と ロ ッ ド側 に圧 力 差 を つ く らせ な い 場 合 に 使 用 す る。 1次 側 か ら 2 次 側 へ 空 気 が 流 れ る場 合 に はチ ェ ッ ク弁 は閉 じ て い るが,1 次 側 の空 気 を排 気 す る と ダ イ ア フ ラム の 下 側 の圧 力 が この チ ェ ッ ク弁 か ら排 気 され る の で,設 定 ば ね の 力 で 弁 が 急 速 に開 き 2次 側 の空 気 も排 気 され る。
図4・17
チ ェ ッ ク弁 付 き減 圧 弁
(c)パ イ ロ ッ ト形 減 圧 弁 図4・18に お い て,ハ ン ドル の 回 転 に よ っ て調 圧 ばね が 圧 縮 され て球 形 弁 が ノ ズ ル を閉 じ る の で,1 次 側 か ら固 定 絞 り を通 っ て ノ ズ ル 背 面 に 作 用 す る圧 力 が 上 昇 し,ダ イ ア フ ラ ム B に作 用 して 主 弁 を押 し下 げ1次 側 の空 気 が 2次 側 に流 れ 込 む。 2次 側 の圧 力 は ダ イ ア フ ラム C の下 面 に作 用 し,ダ イ ア フ ラ ム B の 発 生 力 と 対 抗 す る と同 時 に ダ イ ア フ ラ ム A の 下 面 に も作 用 して,調 節 ば ね の 圧 縮 に よ り
図4・18パ
イ ロ ッ ト 形 減 圧 弁(a)
生 じた 力 と対 抗 す る。 2次 側 圧 力 が 上 昇 しす ぎ る と,ダ イ ア フ ラ ム A が押 し上 げ られ て球 形 弁 と ノ ズ ル との 間 が 開 くの で ノ ズ ル の 背 圧 は低 下 し,ダ イ ア フ ラ ム B と C が 押 し上 げ られ るの で 主 弁 は 閉 じ る。そ の 一 方,排 気 弁 は 開 い て 2次 側 の 余 分 な 圧 力 は大 気 中 に放 出 され る。 流 量 の大 き い と こ ろ で 直 動 形 よ り優 れ た精 度 が 必 要 な場 合,た
とえ ば 流 量 の
変 動 幅 が大 き い よ う な と き に は,大 容 量 の もの が 適 して い る(図4・20参 照)。図 4・19は そ の 構 造 例 で,2 次 側 圧 力 は フ ィ ー ドバ ッ ク穴 を通 っ て ダ イ ア フ ラ ム A の 下 側 に作 用 し,調 節 ば ね の 圧 縮 に よ る圧 縮 力 と対 抗 す る。 調 節 ば ね の 力 が 強 い とき は パ イ ロ ッ ト弁 が 押 し下 げ られ,ス
図4・19パ
テ ム 中 心 の 通 路 を通 して 導 入 さ れ た
イ ロ ッ ト形 減 圧 弁(b)
1次 側 圧 力 が ダ イ ア フ ラ ム B の 上 面 に作 用 す る の で,そ
の発 生 力 に よ っ て 主 弁
が 開 き大 流 量 の 空 気 が 2次 側 に 流 れ 込 む 。 2次 側 圧 力 が 設 定 値 を超 え る と ダ イ ア フ ラ ム A が 押 し上 げ られ る の で,2 次 側 の 余 分 な圧 力 は 排 気 弁 か ら大 気 中 に放 出 さ れ,さ ら にダ イ ア フラ ム B の 上側 に作 用 し て い た 圧 力 も減 少 す るの で 主弁 も閉 じ る。 この よ うにパ イ ロ ッ ト弁 機 構 の 作 動 に よ っ て,大
き い容 量 の 主 弁 が 操 作 さ れ て 調 圧 作 用 が行 わ れ る。
(d) 減圧弁 の流量特性 減 圧 弁 の 調 圧 作 用 は,調 節 ば ね の 圧 縮 に よ る発 生 力 と,こ れ と逆 方 向 に作 用 す る 2次 側 圧 力 が ダ イ ア フ ラ ム に働 い て 生 ず る力 との バ ラ ン ス に よ っ て行 わ れ る 。 と こ ろ で,あ る空 気 量 を流 す に は,弁 体 が あ る程 度 開 か な けれ ば な らな い。 そ の 開 度 は流 量 に比 例 す る。 弁 が 開 く と,ダ イ ア フ ラム の位 置 は 下 が る の で, 調 節 ば ね の 圧 縮 力 は わ ず か で あ るが 減 少 す る。 この た め にバ ラ ンス状 態 が 変 わ っ て 2次 側 圧 力 に 変 化 が 生 じる 。この 関 係 を示 した の が 図4・20で あ る。流 量 が 変 化 し て もつ ね に一 定 の 2次 側 圧 力 が 維 持 され る の が 理 想 的 で あ るが,現 実 に は難 しい の で,少
しで も変 動 量 を抑 え た い場 合 は,パ イ ロ ッ ト形 を使 用 しな け
れ ば な らな い 。
図4・20
減圧弁 の流量特性
(e) 減 圧 弁 の 圧 力 特 性 2次 側 圧 力 の変 動 は,流 量 だ け で な く圧 縮 機 の 圧 力 変 動 な どに よっ て 生 じ る 1 次 側 圧 力 の変 化 に よ っ て も現 れ る。そ の 関 係 は 図4・21の よ うで あ りこれ を圧 力 特 性 とい う。 流 量 が 変 化 して も,つ ね に一 定 の 2次 側 圧 力 が 維 持 さ れ るの が 理
想 的 で あ る。
図4・21減
圧 弁 の 圧 力特 性
〔3〕 ル ブ リケ ー タ シ リ ンダ,モ
ー タ な どの し ゅ う動 部 分 を も った 機 器 に は,そ の 動 き を 円滑 に
す るた め に 潤 滑 油 を適 正 に供 給 しな けれ ば な らな い。 これ ら の機 器 は いず れ も 加 圧 され た 空 気 が作 動 して い るの で,外 部 か ら は簡 単 に給 油 す る こ と はで きな い。 そ こで,ル
ブ リケ ー タ(オ イ ラ と も よぶ)を 管 路 中 に配 管 し,潤 滑 油 を細 か
い霧 状 に して 空 気 中 に混 合 す る 方 法 が と られ る。 表4・3
ル ブ リケー タの 種 類 固 定絞 り形 全量式 可変絞 り形
ル ブ リ ケ ー ター
選択 式
(a)全 量 式 ル ブ リケ ー タ ル ブ リケ ー タ の 中 で 最 も多 く使 用 され て い る。 これ は通 常,フ
ィル タ,減 圧
弁 の後 に設 置 し,発 生 した 油 霧 を す べ て 2次 側 に送 り出 す もの で あ る。 固 定 式 は差 圧 発 生 機 構 と して 固定 抵 抗 を用 い た もの で,通 過 空 気 流 量 Q と絞 り部 前 後 の 差 圧 ⊿Pと の 関 係 は,Q〓K√
⊿P(K:比
例 定 数)で 表 され る。潤 滑
油 量 は この ⊿Pに ほ ぼ比 例 す る と考 えて よ い の で,空 気 流 量 と滴 下 油 量 との 関
係 も同 様 な 式 で表 す こ とが で き る。図4・22は こ の 関係 を表 した もの で 2次 曲綜 とな る。 空 気 流 量 の 変 化 に対 して 滴 下 油 量 の 変 化 割 合 が 大 き い の で,流 量 変 動 の大 き い場 合 は空 気 中 の 潤 滑 油 濃 度 も大 き く変 動 す る。 そ こで,潤 滑 油 濃 度 を ほ ぼ 一 定 に す る よ う に変 え られ るの が 可 変 式 で あ る 。
図4・22
全 量 式 ル ブ リ ケー タの 特 性
可 変 式 は空 気 流 量 の 変 化 に応 じて,自
動 的 に抵 抗 値 が 変 化 す る よ うな機 構 を
使 用 して い る の で,空 気 流 量 と発 生 差 圧(滴 下 油 量)と の 関係 は直 線 とな る。 し た が っ て,潤 滑 油 濃 度 もほ とん ど一 定 に す る こ とが で き る。 また,ル
ブ リ ケー
タ が 潤 滑 油 の滴 下 を開 始 す るた め に は,あ る最 小 差 圧 が必 要 で あ るが,図4・22 に 示 す よ う に,可 変 式 の ほ うが 固 定 式 よ り少 な い 空 気 流 量 で 最 小 差 圧 に達 す る の で 比 較 的 小 流 量 の う ち か ら使 用 す る こ とが で き,使 用 可 能 範 囲 が拡 大 され る。
図4・23
全 量 式 ル ブ リケー タ
図4・23は 可 変 式 の 差 圧 発 生 機 構 を も っ た全 量 式 ル ブ リケ ー タ の構 造 例 で あ る。 弾 性 体 で 舌 状 の 可 変 絞 り部(ダ ンパ)を つ く り本 体 絞 り部(ベ ン チ ュ リ)へ 組 み 込 ん で あ る。 空 気 流 量 の少 な い間 は ダ ンパ の 変 形 量 が 少 な い の で 空 気 抵 抗 が 比 較 的 大 きい が,流
量 の 増 加 に と も な い ダ ンパ の 変 形 量 は除 々 に増 加 して も抵
抗 は それ ほ ど増 加 しな い 。この 可 変 絞 りの 前 後 で圧 力 差 ⊿Pを 生 じ,1次 側 圧 力 は逆 止 め弁 を通 じ て ケ ー ス 内 の 油面 を加 圧 す る。 一 方,滴 下 窓 の 部 分 は 滴 下 管 を通 じて 可 変 絞 りの 背 後 に連 結 して お り,こ の 部 分 の圧 力 は 1次 側 よ り低 い の で,潤 滑 油 は導 油 管 を通 じて 押 し上 げ られ た う え油 量 調 節 用 の調 節 ね じ と滴 下 管 を経 て 滴 下 し,小 穴 か ら霧 状 にな っ て 空 気 中 に混 入 され る。 な お,ケ
ー ス へ 潤 滑 油 を補 給 す る た め の 給 油 せ ん を開 くと,ケ
ー ス内 は大 気 圧 とな る の で逆 止 め弁 が 作 動 して 1次 側 圧 力 を遮 断 す る
。 この た
め,作 動 状 態 の ま まで 給 油 をす る こ とが 可 能 で あ る。 全 量 式 ル ブ リケ ー タ の 特 性 と して,流 量 特 性 と滴 下 最 少 空 気 量 が あ る。 流量 特 性 は,ル ブ リ ケ ー タ を 通 過 す る空 気 流 量 と それ に よ っ て 生 ず る圧 力 降 下(図 4・22は 発 生 差 圧 と表 示)と の 関 係 で あ る。滴 下 最 少 空 気 流 量 は 図4・22に 示 す よ うに,そ の ル ブ リケ ー タ が 潤 滑 油 の滴 下 を開 始 す るの に必 要 な 差 圧 を 発 生 させ る た め の 空 気 流 量 で あ る 。 こ の流 量 は 1次 側 の圧 力 に よ っ て 変 化 す る。JISで は,毎 分 5滴 の 滴 下 を生 ず る流 量 を基 準 と し て い る。 (b)選 択 式 ル ブ リケ ー タ 図4・24は 選 択 式 ル ブ リケ ー タ の構 造 例 で あ る。流 入 した 空 気 は 可 変 絞 り を通 って 流 れ,こ
こで 生 ず る差 圧 に よ っ て ケ ー ス 内 の 潤 滑 油 は導 油 管 を通 っ て 押 し
上 げ られ る。 そ し て調 節 ね じに よ って 油 量 を調 節 され た後,滴 る。 全 量 式 の よ う に直 接 空 気 流 に 混 入 す る の で は な く,別
下 管 か ら滴 下 す
に設 け られ た ノ ズ ル
へ流 下 す る よ う に な っ て い る。 この ノズ ル の周 囲 に は主 空 気 流 の一 部 が 分 岐 流 入 して お り,こ の 空 気 流 に よ っ て霧 吹 きの よ うに ノ ズ ル 内 の 油 が 吸 い 出 され て 細 か い霧 とな る。 この 油 霧 は ケー ス 内 の 空 間 に吹 き出 し,粒 子 径 の大 き い もの は油 面 に落 下 し て し ま うの で,微 細 な粒 子 だ けが 浮 遊 し,主 空 気 流 に 吸 い出 さ れ て これ に混 入 し,2 次 側 へ 送 られ て行 く。
図4・24選
択 式 ル ブ リケー タ
(c) 潤 滑 油 ル ブ リケ ー タ に供 給 す る潤 滑 油 は,空 気 圧 機 器 の摩 耗,発
熱,焼
キ ン類 の 膨 張 や 縮 少 な ど の発 生 しな い タ ー ビ ン油ISO VG32を ばな ら な い 。
付 き,パ
ッ
使 用 しな けれ
5
制御機器 5・1
圧 力制御弁
圧 力 制 御 弁 に は,空 気 圧 源 で あ る空 気 圧 縮 機 や 空 気 タ ン ク か ら の空 気 圧 を減 圧 して安 定 した 圧 縮 空 気 を供 給 す る機 能 を も っ た減 圧 弁,空 気 タ ン ク や 空 気 圧 回 路 内 の圧 力 が 規 定 以 上 に な っ た と きに,こ れ 以 上 圧 力 が 上 昇 し な い よ う に大 気 中 や 他 の 回路 内 に 逃 が す 機 能 を もっ た安 全 弁 や リ リー フ弁,そ
し て空 気 圧 回
路 内 の 空 気 圧 力 に応 じて 他 の 回路 の 作 動 順 序 を制 御 す る機 能 を も った シー ケ ン ス 弁 な どが あ る。 表5・1圧
力制 御 弁 の 種 類
直 動 減
圧
式
弁 パ イ ロ ッ ト式 ポペ ッ ト式
安
全 弁
圧 力制御弁
ダイアフラム式 リ リ ー
フ弁
圧 力スイッチ
〔1〕
減圧弁
減 圧 弁 に つ い て は4・5節 で 述 べ た の で こ こで は省 略 す る。 (2)
安全弁
安 全 弁 は空 気 圧 回 路 中 よ り も,空 気 タ ン ク 等 に 取 り付 け て 用 い られ る こ とが
多 い 。 安 全 弁 は構 造 上 よ りポ ペ ッ ト式 とダ イ ア フ ラ ム式 と に大 別 され る。 (a)ポ ペ ッ ト式 安 全 弁 図5・1は ポ ペ ッ ト式 安 全 弁 の構 造 例 で,空 気 タ ン ク な ど に取 り付 け て使 用 さ れ る。 1次 側 の圧 力 は 弁体 の 下 の面 に作 用 し て い る が,常 時 は調 節 ば ね の圧 縮 力 に よっ て密 閉 され て い る。 1次 圧 力 が 上 昇 し て弁 体 を 押 し上 げ る力 の ほ うが ば ね の力 に打 ち勝 つ と,弁 体 とバ ル ブ シー トの 接 触 面 が わ ず か に開 き,次 に 弁 体 とシ ー ト面 の外 側 部 分 に も圧 力 が 働 くの で 弁 は急 速 に開 い て 1次 側 圧 力 は 2 次 側 に排 気 され る。 1次 側 圧 力 が 下 が る と,調 節 ば ね の 力 で 弁 は 閉 じて 吹 き止 ま り とな る。吹 き止 ま りの圧 力 は,吹 き始 め の圧 力 よ り約10%程
図5・1ポ
度 低 く とる。
ペ ッ ト式安 全 弁
(b) ダ イ ア フ ラ ム 式 安 全 弁 図5・2は ダ イ ア フ ラム 式 安 全 弁 の構 造 例 で,常 時 は調 節 ばね の圧 縮 に よ っ て 生 じた 力 で ダ イ ア フ ラ ム が バ ル ブ シー トに密 着 して 閉 じて い るが,ダ
イアフラ
ム の 下 側 の 面 に 作 用 して い る 1次 側 圧 力 が 上 昇 して ばね の力 に打 ち勝 つ と,ダ イ ア フ ラム が 押 し上 げ られ て 1次 側 圧 力 が 排 気 され る。 1次 側 圧 力 が 下 が る と 調 節 ば ね の 力 で 弁 は再 び 閉 じ る。 この形 式 の 安 全 弁 は,構 造 上 ダ イ ア フ ラム の 受 圧 面 積 をか な り大 き くす る こ とが で き るの で,ポ ペ ッ ト式 よ り も敏 感 に 作 動 す る。 した が っ て,回 路 中 に使 用 され る の は ほ とん ど この 形 式 で あ る。
図5・2
ダ イ ア フ ラム 式 安 全 弁
〔3〕 圧 力 ス イ ッ チ 圧 力 を検 出 して 設 定 値 と比 較 し,設 定 値 以 上 また は以 下 に な った と き電 気 接 点 を開 閉 して 電 気 信 号 を 出 す 機 器 で あ る。 圧 力 を検 出 す る部 分 の 構 造 に よ り, ダ イ ア フ ラ ム 式(ゴ ム ダ イ ア フ ラ ム0.1MPa以 MPa以
下),ベ ロ ー ズ 式(4 MPa以
(100MPa以
下,金
属 ダ イ ア フ ラ ム0.5
下),ブ ル ドン管 式(80 MPa以
下),ピ ス トン式
下)な どが あ る。
図5・3は ベ ロー ズ式 の構 造 例 で あ る。 圧 力 は ベ ロー ズ に入 り,そ の発 生 力 と 主 設 定 ば ね の 圧 縮 に よ り生 じた 力 とが 平 衡 す る まで レバ ー は動 か さ れ る。 こ の 動 作 中,デ
ィ フ ァ レ ン シ ャル 設 定 ば ね は ス トッパ で 支 え られ て い る の で,入 圧
力 は設 定 ば ね の 発 生 力 とだ け対 抗 す る。 そ して 変 位 した レバ ー に よ りマ イ ク ロ ス イ ッチ が作 動 す る。 圧 力 が 下 が って くる と レバ ー は主 設 定 ば ね に押 され て前 とは逆 の 方 向 に動 き,や が て デ ィ フ ァ レ ン シ ャル 設 定 ば ね の 引 張 力 を受 け て い った ん停 止 す る。 次 に この ば ね に よ る発 生 力 に相 当 す る圧 力 の 大 き さ以 上 に さ ら に入 圧 力 が 減 少 す る と,再 び レバ ー が 移 動 して マ イ ク ロ ス イ ッチ は 初 め の状 態 に戻 る。 この よ う にして,主 設 定 圧 力 とそ れ か ら デ ィフ ァ レ ン シ ャル 圧 力 を 差 し 引 い た圧 力 との 間 で 電 気 回路 の 開 閉 が 繰 り返 され る。 調 節 可 能 な デ ィ フ ァ レ ン シ ャル機 構 を もっ た もの で あ る が,こ
の機 構 が な く
電 気 信 号 の 開 閉 幅 が一 定 の 値 に 固 定 さ れ て い る もの もあ る。 また 全 体 の 構 造 か
図5・3圧
ら開 放 形(非 防 水),防
滴 形,防 雨 形,防
力 ス イ ッチ
汚 形,防 噴 流 形,防 水 形 な どが あ る。
開 放 形 は 内 部 に 入 っ た水 滴 に よ り絶 縁 不 良 や 短 絡 な どの 事 故 が 生 ず るの で 注 意 が 必 要 で あ る。 〔4〕 リ リー フ 弁 空 気 圧 回 路 内 の 圧 力 を設 定 値 に保 持 す るた め に,流 体 の 一 部 また は全 部 を逃 が す 圧 力 制 御 弁 で あ る。 構 造 か ら直 動 形 とパ イ ロ ッ ト形 が あ り,直 動 形 は リ リ ー フ圧 を調 節 ば ね で 設 定 す る もの で あ る。 空 気 圧 力 が ダ イ ア フ ラム に作 用 す る と,調 節 ば ね に釣 り合 う リ リー フ圧 で 弁 座 が 開 き,空 気 は外 部 に 排 出(リ リー フ)さ れ る。 パ イ ロ ッ ト形 は,外 部 か らの パ イ ロ ッ ト圧 で リ リー フ圧 を設 定 す る もの で,バ
図5・4
ル ブ サ イ ズ の大 きい 場 合 や 遠 隔操 作 が 必 要 な と き に使 用 さ れ る。
直 動 形 リ リー フ 弁
図5・5パ
イ ロ ッ ト形 リ リ ー フ 弁
5・2
方向制御弁
シ リン ダ,モ ー タ等 の ア ク チ ュ エ ー タ へ圧 縮 空 気 を供 給 した り,逆 に ア ク チ ュ エ ー タ の圧 縮 空 気 を大 気 へ 放 出 した りす る,い わ ゆ る流 れ の方 向制 御 を行 う 弁 で あ る。
写 真5・1方
向 制 御 弁(シ ー ケ ー デ ィ)
〔1〕 方 向制 御弁 の 分 類 (a) 操 作 方 法 に よ る分 類 弁 の操 作 方 法 に よ る分 類 に は,図5・6に ①
示 す よ う な もの が あ る。
電磁 気 力 を利 用 す る電 磁 操 作 形 に は直 動 形 とパ イ ロ ッ ト形 が あ る。 直 動
形 は 弁 動 作 を行 う の に電 磁 力 そ の もの の力 を利 用 す る もの で,パ
イロット
形 は 小 形 の直 動 弁(一 般 に は 3ポ ー ト弁)と 大 形 の空 気 圧 操 作 弁 とが 一 体 に な っ た もの を い う。
②
空気圧 の力 で弁動作 を行 う空気圧 操作形 には直接作動 形 と間接 作動形 が
あ る。 ③
機 械 力 に よ り空 気 の流 れ る方 向 を切 り換 え る機 械 操 作 形 に は,基 本 形 の
押 し棒 形,ロ ④
ー ラ形,ロ
ー ラ レ バ ー 形 が あ る。
人 力 に よ る人 力 操 作 形 に は手 を使 う レバ ー 形,押
しボ タ ン形,足
を使 う
図5・6
方向制御弁の操作方法 に よ る分 類
ペ ダ ル 形 が あ る。 (b)弁
の 構 造 に よ る分 類
流 れ の切 換 え を行 う弁 部 の構 造 の形 は さ ま ざ まで,そ れ に よ っ て シー ル 材 質 も異 な る。 基本 的 に は表5・2に 示 す よ うな もの が あ る。 シー ル 材 質 に は 弾 性 体 シー ル とメ タ ル シ ー ル の 2系 統 が あ り,弁 構 造 に は ポペ ッ ト弁 と ス ラ イ ド弁, あ る い は両 方 を組 み合 わ せ た弁 が あ る。
表5・2
方 向 制 御 弁 の 構 造 に よ る分 類
ポ ペ ッ ト弁
弾 性 体 シー ル
ス プ ー
弁 ス ラ イ ド弁
回
転
ル 弁
弁
平 面 ス ラ イ ド弁
メ タ ル シ ー ル
①
ポ ペ ッ ト弁
ポ ペ ッ ト弁 は 弁 体 が 弁 座 か ら直 角 方 向 に移 動 す る形 式 の 弁 の こ とで,図5・7 にそ の構 造 例 を示 す 。(a),(b)は 2ポ ー トの 例 で,(c)は 3ポ ー トの例 で あ る。(c) の 場 合,弁 体 が 上 側 に あ る と きは 上 側 弁 座 で シー ル され,ポ ー ト②,③ が 通 じ, 弁 体 が 下 側 に くる と下 側 弁 座 で シ ー ル され,ポ ー ト①,② が 通 じ る こ と に な る。 (a),(b),(c)の い ず れ も弁 体 の 移 動 方 向 は弁 座 に対 して 直 角 方 向 を示 して い る。 (a),(b)の 場 合,圧
力 に応 じて 弁 体 を弁 座 に押 し付 け る力 は変 化 す る。 す な わ ち
ポ ー ト① の圧 力 が 高 くな る と,弁 体 は弁 座 に 強 く押 し付 け られ る。 しか し(c)の 場 合 は弁 体 が 圧 力 バ ラ ンス構 造 に な っ て い る た め,ポ
ー ト①,②
あ る い は③ の
圧 力 が 変 化 して も弁 体 を弁座 に押 し付 け る 力 は変 化 しな い 。
(a)2
ポ ー ト
(b)2
図5・7
ポ ー ト
(c)3
ポ ー ト
ポペ ッ ト弁 の 構 造
材 質 は 弁 体 側 と弁座 側 の どち らか 一 方 が 金 属 で他 は 弾 性 体 で あ る。 一 般 的 に は弁 体 側 に弾 性 体(ゴ ム材 と樹 脂 材 が あ る)が 用 い られ て い るが,空
気 圧 用 には
ゴム 材 の 中 の ニ ト リル ゴ ム系 が 一 般 的 で あ る。 高 温 条 件 に な る と フ ッ素 ゴ ム が 使 用 さ れ る こ とが あ る。 ②
ス プ ー ル弁
ス プ ー ル 弁 は ス プ ール を用 い た 弁 の こ とで,ス
プ ー ル は 円筒 形 滑 り面 に 内 接
し,軸 方 向 に移 動 して流 路 の 開 閉 を行 う 串形 の 構 成 部 品 の こ と を い う。 図5・8 は メ タ ル シ ー ル 形 の ス プ ー ル 弁 で,多
数 の 横 孔 の 開 い て い る円 筒 状 の ス リー ブ
の 中 を ス プ ー ル が 移 動 して,ポ ー ト① と② お よび③ と⑤ が 通 じた り,あ るい は ① と③ お よ び② と④ が通 じた りす る 。 図5・9は ス プー ル側 に弾 性 体 シ ー ル 材 が 設 け て あ る 弾性 体 シ ー ル形 の ス プ ー ル 弁 で,ス プ ー ル の移 動 に よ りポ ー ト① と
② お よび③ と⑤ が 通 じた り,ポ ー ト① と③ お よ び② と④ が 通 じた りす る。 また 図5・10は,弾
性 体 の シー ル 材 が ス リー ブ側 に設 けて あ る ス プ ー ル 弁 で あ る。
図5・8メ
タル シー ル 形 ス プ ー ル弁
図5・9
弾性 体 シー ル(ス プ ー ル 側)形 ス プ ー ル 弁
図5・10
弾 性 体 シ ー ル(ス リー ブ)形 ス プ ー ル 弁
弾 性 体 シー ル 方 式 は シ ー ル性 が 良 く空 気 の 漏 れ は非 常 に少 な い が,メ 式 は数 μmの
タル 方
す き ま が 必 要 な た め あ る 程 度 の 空 気 漏 れ は避 け ら れ な い 。 図
5・8∼5・10の例 は シ ー ル 部(し ゅ う動 部)の 直 径 が 等 し い た め,圧
力 が 変 化 して
も ス プ ー ル の軸 方 向 の 力(ス ラ ス ト)は発 生 しな い。 す な わ ち,圧
力 バ ラ ンス 形
の ス プ ー ル弁 で あ るが,シ ③
ール 部 の 直 径 が違 うス プー ル 弁 も あ る 。
回転弁
回転 弁 は 回転 また は揺 動 す る 回転 体 の ス ラ イ ド面 を利 用 して 開 閉 の 作 動 を行 う弁 の こ とで,図5・11に
示 す よ う に,円 筒状 の ス テ ー タ に ポ ー ト①,②,③,
④ が あ り,ロ ー タ を揺 動 す る こ とに よ リポ ー トの切 換 え を行 う も の で あ る。 図
(a)で
は ポ ー ト① と② が 通 じ,同
る と ポ ー ト は(b)の 図5・12の
時 に ③ と④ が 通 じ て い る 。 ロ ー タ が 切 り換 わ
よ う に ポ ー ト① と③ が 通 じ,同
時 に ② と④ が 通 じ る 。 ま た
よ う に 固 定 の 平 板 上 を ロ ー タ が 揺 動 し て,ポ
ー トの 切 換 え を 行 う 形
式 もある。
(a)
(b) 図5・11回
転 弁(1)
(a)
(b) 図5・12回
④
転 弁(2)
平 面 ス ラ イ ド弁
図5・13に 示 す よ う に,平 面 の プ レ ー ト上 を ス ラ イ ドが 直 線 的 に往 復 移 動 す るバ ル ブ を平 面 ス ラ イ ド弁 とい う。 ポ ー ト① と② お よ び③ と④ が それ ぞ れ通 じ て い る が,ス
ラ イ ドの移 動 に よ りポ ー ト① と③ お よび ② と④ が それ ぞれ 通 じ る
よ うに な る。
図5・13平
面 ス ラ イ ド弁
(c)ポ
ー ト数,位 置 数 お よ び機 能 に よ る分 類
表5・3に
ポ ー ト数 に よ る 弁 の 機 能 を,表5・4に
し た 。NC形(常 き,弁
時 閉 形)と
閉(Close)に
い な い と き,弁
は ば ね 以 外 の 弁 操 作 力 が 働 い て い な い(Normal)と
な っ て い る 形 式 で,NO形(常
開(Open)に
ト数
時 開 形)と は 弁 操 作 力 が 働 い て
な っ て い る 形 式 で あ る。
表5・3ポ ボ ー
は位 置 数 に よ る 弁 の 機 能 を示
ー ト数 に よる 弁 の 機 能
機
弁の切換 え状態
能
説
明
2ポ ー ト弁 は 空 気 圧 の 入 口Pと
用
出 口Aの2か
2 ポ ︱ ト 弁
所 の ポー トを もっ て い る 通 路 と し て はP→Aが 常 状 態 に お い て,PとA間 て 閉 じ られ て い る
ON,OFF用 〔水 道,ガ
あ り,NC形
の 弁 は平
は逆止め弁に よっ
途
スコ・ ノクの
開 閉 と同 じ働 きをす る) ・切 粉 の 吹 流 し ・空気 圧 モ ー タの
作動 状 態 に な る とPとA間 の弁は開 く な お,NO形 の 弁 は こ の逆 の 働 きに な る
3ポ ー ト弁 は 空 気 圧 のPとAの Rを もつ 弁 で あ る
操作
3ポ ー ト 弁
ほかに排気 口
大 形切 換 弁 の 遠 隔操
通 路 と し て はP→Aお よ びA→Rが あ り, NC形 の 弁 は 平 常 状 態 に お い て,PとA間 は
作 や 各 種 制 御 に用 い られ る ・単 動 シ リン ダ,エ
閉 じて い る がAとR間
は開 いている
作 動 状 態 に な る とPとA間 は閉 じられる な お,NO形
は 開 き,AとR間
ア ク ラ ッチ 。 エ ア ブレーキの操作
の 弁 は こ の逆 の 働 きに な る
4ポ ー ト弁 は,P,A,B(出
口),Rの4か
4ポ ー ト 弁
所 の ポ ー トを も っ て い る 最 も一 般 的 な4ポ ー ト弁 は 平常 状 態 に お い て P→B,A→Rは 隣1いて い る
複動 シ リンダや 他の 空気圧 機器お よび各 種制御 用に最 も広 く 利用 されてい る
作 動 状 態 に な る と,弁 が 切 り換 わ りP→A, B→R間 が開 く
5 ポ ー ト 弁
5ポ ー ト弁 は 配 管 接 続 口 を5か 所 有す る 弁 で P,A,B,R1,R2の ポー トを も っ て い る 平 常 状 態 に お い て,P→B,A→R1は いる
開 いて
作 動 状 態 に な る と,弁 が切 り換 わ り,P→A, B→R2が 開く
基 本的 に は4ポ
ー ト
弁 と同 じで あ る が 、 排 気 側 に 絞 り弁 を 付 け る こ とに よ りシ リ ン ダ等 の 速度 を簡 単 に 制 御 す る こ とが で きる
表5・4
位
置
弁 の 切 換 え 状 態
位 置 数 に よる 弁 の 機 能
機 能 説 明
用 途 一 般 的 な空 気圧 機 器 お よ び 各種 制 御 用 に
入 力 信号 が あ るか な いか の 2 とお り の 切 換 え状 態 を有 す る 弁
2位 置 弁
・ オー ル ポ ー トブ ロ ッ ク (ク ロ ー ズ ドセ ン タ)
最 も広 く利 用 さ れ て いる
入 力 信 号 の 入 る とこ ろが 2か 所 あ り 複 動 シ リン ダ を 中 間 そ れ ぞ れ に 入 力 信 号 が あ る場 合 お よ で止 め る とき に 用 い び ど ち ら に も信 号 が な い場 合 の 3 と る お りの切 換 え 状 態 を有 す る 弁
・ABR接 続 (エ キゾー ス トセ ンタ) 3位 置弁
水 平 に置 い た 複動 シ リン ダは 中立(ど ち らに も信 号 が な い場 合)で る
自 由位 置 に な
(手 で操 作 可 能) ・PAB接
続
両 ロ ッ ド形 複 動 シ リ ン ダの 位 置 制 御 を行
(プ レ ッ シ ャ セ ン タ)
う と き用 い る
4ポ ー ト弁 あ る い は 5ポ ー ト弁 に は 2位 置 と 3位 置 が あ り,2位 置 に は ば ね以 外 の 弁 操 作 力 が 1つ の 場 合 と 2つ の 場 合 が あ る。 3位 置 に も一 般 に は 2種 類 あ り,一 つ は弁 の 中 央 位 置 で す べ て の ポ ー トが ブ ロ ッ ク し て い る状 態,す 出 口 A と B が 排 気 口R1ま
なわち
た はR2に 通 じ て い な い状 態 を ク ロ ー ズ ドセ ン タ と
い う。 弁 の 中央 位 置 で 出 口 A は 排 気 口R1へ,出
口 B は排 気 口R2へ
それ ぞれ
通 じ て い る状 態 をエ キ ゾ ー ス トセ ン タ とい う。 また 弁 の 中央 位 置 で給 気 口 P と 出 口A,Bが
と もに通 じ て い る状 態 を プ レ ッ シ ャセ ンタ と い う。
〔2〕 方 向 制 御 弁 の 基 本 特 性 (a)流
量特性
流 量 特 性 は弁 に どれ だ け の空 気 が 流 れ て い る か とい う こ とで,有 効 断 面 積 で 表 して い るが,Cυ 値 で 表 す こ と もあ る。有 効 断 面 積 の 求 め方 と して 弁 前 後 の 圧 力 を測 定 し,そ の ときの 流 量 を測 定 して これ らの値 を式(1・31)ま た は式(1・32) に代 入 し て有 効 断 面積 を求 め る こ とが で き る。 また,空 気 圧 用2∼5ポ
ー ト電 磁 切 換 弁 の有 効 断 面 積 を表5・5に 示 す 。
図5・14
表5・5電
・JIS B 8373, B 8374
, B 8375に
流量測定回路
磁 弁 の 有 効 断 面 積 〔㎜2〕
よ る
(b)圧 力 範 囲 JISの 空 気 圧 用 電 磁 切 換 弁 で は,最 高 使 用 圧 力 を700 kPa Gと 定 め て あ る。 これ は,一 般 の 小 形 往 復 空 気 圧 縮 機 が 空 気 圧 源 と して最 も多 く用 い られ る と こ
ろ か ら,そ の 最 高 使 用 圧 力 と 同 じ値 と し た も の で あ る 。ま た 最 高 使 用 圧 力 が700 kPa G以
下 の も の も あ る の で,カ
タ ロ グ,仕
様 書 に 注 意 す る必 要 が あ る。
最 低 使 用 圧 力 は 直 動 弁 で は 大 気 圧 ま た は 真 空 か ら 用 い ら れ る が,パ 弁 で は,2 ポ ー ト弁 で100kPa
G,3∼5ポ
ー ト弁 で は200 kPa Gと
イ ロッ ト
定 めて い る。
(c)温 度 範 囲 空 気 圧 機 器 の 一 般 的 な もの の 温 度 範 囲 は5∼50℃ と な っ て い る。 これ は,下 限 の5℃ は,空 気 が 機 器 の 中 を通 る とき の 断熱 膨 張 に よ る温 度 低 下 で空 気 中 の 水 分 が 氷 結 し,機 能,性 能 を低 下 させ る お そ れ が あ るた め で あ る 。 また,上 限 の50℃ は 機 器 に使 用 さ れ て い るパ ッキ ン材 に よ る もの で,高 温 用 の材 質 を用 い れ ば150℃ 程 度 ま で は使 用 可 能 で あ る 。 電 磁 切 換 弁 の 場 合 は,電 磁 石 が熱 の 発 生 源 で あ るの で上 限 を10℃ 低 い,40℃ と して い る の が 普 通 で あ る。 (d)漏 れ 量 空 気 圧 で は,空 気 が微 量 漏 れ を して も装 置 や 人 体 に 害 を及 ぼ す もの で は な い の で,性
能 に 影 響 の な い 限 り許 容 範 囲 と し て い る。 3ポ ー ト弁 ま た は 4,5
ポ ー ト弁 で 漏 れ 量 の 少 な い もの は,シ ー ル に ゴム な どの 弾 性 体 を使 用 し た もの で,完 全 に 漏 れ が な い よ うに す る と摩 擦 抵 抗 が 増 大 し,最 低 使 用 圧 力 が 高 くな っ て 実 用 上 と掛 け離 れ た もの に な る。 また 漏 れ 量 の 大 きい ほ う の もの は メ タル シ ー ル の 弁 で,製 作 精 度 とそ の効 果 の 点 か ら,空 気 圧 回路 の使 用 上 に支 障 を き た さ な い 程 度 の 上 限 値 と定 め られ て い る。 (e)耐 久 性 JISで は ご く普 通 の使 用 の場 合 を想 定 して 決 め て あ る の で,空 気 の質 を十 分 に注 意 して 適 切 な 管 理 を行 え ば この 値 の数 倍 の 耐 久 性 は あ るが,逆
に フ ィル タ
な し とか水 分 が 多 量 に混 入 す る よ うな 状 態 で使 え ば耐 久 性 は保 障 され な い。 こ の よ う に空 気 圧 機 器 の 耐 久 性 は,空 気 の 質 の管 理 に よ っ て 左 右 され る。 〔3〕 電 磁 弁 の 特 性 電 磁 石(ソ レ ノ イ ド)の 力 を利 用 して弁 を動 か し,空 気 の流 れ の 方 向 を切 り換
え る役 目 を 果 た す の が 電磁 弁 で,方
向 制 御 弁 の 中 で は最 も多 く使 わ れ て い る。
電 磁 弁 以 外 に電 磁 切 換 弁 あ る い は ソ レ イ ノ ドバ ル ブ と よぶ 場 合 もあ る。 (a) ソ レ トイ ドの構 造 ソ レ ノ イ ドの構 造 は,図5・15に
示 す よ う に固 定 鉄 心,巻 線(コ イ ル),可 動 鉄
心(プ ラ ン ジ ャ)か ら構 成 され,電
気 エ ネ ル ギ ー を機 械 エ ネ ル ギ ー に変 換 す る も
の で あ る。 比 較 的 変 位 の大 き い場 合 は T 形 プ ラ ン ジ ャ で,ケ
イ素鋼 板 を数十
枚 重 ね た 構 造 とな っ て い る。 変 位 の 小 さい も の は,F 形 プ ラ ン ジ ャ あ る い は I形 プ ラ ン ジ ャの 構 造 が 一般 的 で あ る。
図5・15ソ
レ ノ イ ドの 構 造
(b) ソ レ ノ イ ドの 吸 引 力特 性 と電 流 特 性 コ イ ル に通 電 す る と,磁 性 体 の 固 定 鉄 心 と可 動 鉄 心(プ ラ ン ジ ャ)間 に 吸 引 力 が 発 生 す る。 そ の 吸 引 力 特 性 は 図5・16に 示 す よ う な 曲線 に な り,AC電 合 もDC電
源 の 場 合 も同 じ よ うな傾 向 を示 す 。
ま た電 流 特 性 は図5・17に 示 す よ う に,AC電 て 電 流 は増 加 す るが,DC電
源 の 場 合,変
源 で は変 位 が 大 き くな る に従 っ
源 の場 合 は変 位 に関 係 な く一 定 値 の電 流 が 流 れ る。
こ こで 注 意 す べ き点 は,コ イ ル の焼 損 はAC電 あ る。DC電
源 の場
源 の場 合 に起 きや す い こ とで
位 に 関 係 な く電 流 が 一 定 で あ る か ら,弁
に ゴ ミが
入 っ て 変 位 が 大 き い 状 態 で 通 電 を続 けて も普 通 は コ イ ル を焼 損 しな い が,AC 電 源 の場 合,変 位 が 大 き い状 態 で 長 く通 電 す る と,過 電 流 が 流 れ て コイ ル の温 度 が 上 昇 し,定 格 電 圧 で あ っ て も コイ ル が 焼 損 し て し ま うの が 普 通 で あ る。
図5・16ソ
レ ノイ ドの吸 引 力 特性
図5・17ソ
レ ノ イ ドの 電 流特 性
(c) く ま取 りコ イ ル AC電
源 用 ソ レ ノイ ドの場 合,固
定 鉄 心 の 吸 着 面 に は くま取 りコ イ ル とい っ
て,銅 で で き た リ ン グ が圧 入 また はか しめ られ て い る。 こ の くま取 りコ イ ル の 役 目 は,AC電
源 の 場 合,50 Hzあ
る い は60 Hzの
い る が,そ れ に応 じて吸 引 力 も100Hzあ
周 波 数 で 電源 が 脈 動 して
るい は120 Hzの
サ イ ク ル で 脈 動 して
い る た め 発 生 す る うな りを防 止 す る こ とに あ る。 (d)絶
縁 の種 類 と温 度 上 昇
電 磁 弁 の絶 縁 の 種 類 と温 度 上 昇 値 を表5・6に 示 す 。 空 気 圧 用 電 磁 弁 の場 合 は E種 ま た は B 種,蒸
気 用 の 2ポー ト弁 な ど は H 種 が一 般 に用 い られ る。 表5・6 絶 縁 の 種類 と温 度 上 昇 値
・絶 縁 の種 類 の 定 義 はJIS C 4003 JIS B 8375に
よる
,温 度 上 昇 値 は
(e) 基 本 特 性 ①
応 答時 間
動 的 特 性 は応 答 時 間 で 表 す。 4,5 ポ ー ト電 磁 弁(JIS B8375)の P に圧 力500kPaを
場 合,入
口
加 え,出 口 A, B の一 方 に圧 力 検 出 装 置 を取 り付 け,励 磁
回 路 に定 格 電 圧 を加 え,ま た は切 っ て か ら圧 力 検 出 装 置 で検 出 され る まで の 時 間で表 す。 3ポ ー ト電 磁 弁(JIS B8374)で
は,入
口 P に圧 力500 kPaを
加 え,出
口A に
圧 力 検 出 装 置 を取 り付 け,励 磁 回 路 に定 格 電 圧 を加 え,ま た は切 っ て か ら圧 力 検 出 装 置 で 圧 力 が 検 出 さ れ る まで の時 間 で 表 す 。 図5・18は ス プ ー ル 式 を例 に 弁 の 動 作 を 表 し た もの で,励 磁 回 路 に電 圧 を加 え る(ま た は 切 る)と,ス
プ ー ル が 移 動 し入 口 P の 空 気 圧 は 出 口 A に流 れ,弁
と し て の 役 目 を果 た す。
図5・18
し た が っ て,こ
ス プー ル 弁 の 動 作
の ス プ ー ル の 切 換 時 間,す
な わ ち応 答 時 間 が 弁 の 動 的 性 能 の
重 要 な 要 素 とな る の で,こ の 応 答 時 間 を もっ て 動 的 性 能 を表 して い る。 ②
許 容電圧 変動
あ る程 度 の 電 圧 の変 動 が あ っ て も,電 磁 弁 は 正 常 に作 動 す る こ とが 必 要 で あ る。 許 容 電 圧 変 動 は定 格 電 圧 の ±10%以 定 格 電 圧 の-15%か ③
ら+10%の
内 が 理 想 で あ るが,実
際 の 電磁 弁 は,
範 囲 内 で 作 動 す る もの もあ る。
復 帰電圧
一 般 に ソ レ ノ イ ドの 吸 引 力 特 性 とば ね 負 荷 特 性 の 関 係 は,図5・19に う に な る。 す な わ ち,作 動 時 は変 位100%間
示すよ
に お い て ソ レ ノ イ ドの 吸 引 力 は ば
ね の 負荷 力 よ り も必 ず 大 き くな け れ ば な ら な いが,復 て,f2の
帰 時 は変 位 が ゼ ロ にお い
力 よ り も小 さ い電 圧 まで 定 格 電 圧 を落 とさ な い と復 帰 し な い。 この 復
帰 す る と きの 電 圧 を復 帰 電 圧 とい う。 この 復 帰 電 圧 が あ ま り小 さす ぎ る と応 答 時 間 が 悪 くな る だ け で な く,OFF 信 号 で も復 帰 しな い とき が あ る。 これ は,無 接 点 リ レー を使 用 す る場 合,OFF で も多 少 の 漏 え い 電 流 が あ る た め ソ レ ノ イ ドに い く らか の 電 圧 が か か る か らで あ る。
図5・19吸
引 力 とば ね の 負荷
④ 絶 縁 抵 抗 絶 縁 抵 抗 は,500V絶
縁 抵 抗 計 で励 磁 巻 線 端 子 と測 定 の た め に接 地 さ れ た 金
属部 間 の 絶 縁 抵 抗 を測 定 した とき に,そ の値 が1MΩ ⑤
以 上 で な け れ ば な ら な い。
耐 電圧
励 磁 巻 線 端 子 と測 定 の た め に接 地 さ れ た 金 属 部 門 に,50Hzま 正弦 波 に近 い1500Vの
た は60 Hzの
電 圧 を 1分 間加 えた と き,破 壊,亀 裂,外 部 漏 れ,そ の
他有 害 な 欠 陥 が な い も の とす る。 〔4〕 2ポ ー ト電 磁 弁 の 構 造 と作 動 原 理 2ポ ー ト電 磁 弁 は,プ
レ ス部 品 の エ ジ ェ ク タ(吹 飛 ば し)用 と して 使 用 され る
ほか,2 ポ ー ト弁 を 2個 使 用 し て 3ポ ー ト電 磁 弁 と同 じ働 き を さ せ る場 合 もあ る。
(a) 直 動 形 2ポ ー ト弁(NC形)
(a)非 通 電 時 図5・20
①
弁 が 開 く場 合
(b)通 電 時
直動 形 2ポ ー ト弁
コ イ ル に通 電 す る と,可 動 鉄 心 が ば ね の 反 力 に打 ち勝
っ て 固 定 鉄 心 に吸 着 さ れ,弁 が 開 い て 空 気 圧 は 入 口 P か ら 出 口 A へ 流 出 す る。 ②
弁 が 閉 じ る場 合
コ イ ル の 通 電 が 解 除 され る と,可 動 鉄 心 は ばね の反
力 に よ り固 定 鉄 心 か ら離 脱 し弁 は閉 じる 。 (b)パ
イ ロ ッ ト形 2ポ ー ト弁(NC形)
(a)非 通 電 時 図5・21パ
(b) 通 電時 イ ロ ッ ト形 2 ポ ー ト 弁
非 通 電 状 態 で は,ば ね に よ り可 動 鉄 心 は下 方 に押 され て い るの で,パ
イ ロッ
ト弁 と主 弁 は 閉 じ られ,空 気 は ダ イ ア フ ラ ム に あ る供 給 穴 を通 過 し,圧 力 作 用 室 に充 て ん されP1=Pdと ①
な る。
主 弁 が 開 く場 合
コ イ ル が 通 電 す る と,可 動 鉄 心 が ば ね の反 力 に打 ち
勝 っ て 固定 鉄 心 に 吸 着 さ れ,パ イ ロ ッ ト弁 が 開 い て圧 力 作 用 室 の 空 気 はパ イ ロ ッ ト弁 か ら空気 出 口 に 流 出 す る。 この結 果,圧 力 作 用 室 の圧 力 が 減 少 してP1>Pdと
な り主 弁 を 開 く。ま た, P1が 非 常 に低 く,差 圧P1-Pdが
ダ
イ ア フ ラム を押 し上 げ る の に 十 分 で な い場 合 は,リ フ ト弁 が オ リ フ ィ ス を 介 して直 接 ダ イ ア フ ラ ム を 引 き上 げ主 弁 を開 く。 ②
主弁 が 閉 じる場 合
コイ ル の 通 電 が解 除 され る と,可 動 鉄 心 は ばね の
反 力 に よ り可 動 鉄 心 か ら離脱 し,パ イ ロ ッ ト弁 は閉 じて 圧 力 作 用 室 内 は供 給 穴 か らの 空 気 圧 供 給 に よ りP1=Pdと
な る。 した が って,ダ
イア フラム
を押 し下 げ主 弁 が 閉 じる 。 〔5〕 3ポ ー ト電 磁 弁 の 構 造 と作 動 原 理 3ポ ー ト電 磁 弁 は シ ン グル ソ レ ノイ ド形 が一 般 的 で,ダ
ブ ル ソ レ ノ イ ド形 は
特 殊 な 場 合 に用 い られ て い る。 シ ン グ ル ソ レ ノ イ ド形 に はNC形
とNO形
が
あ る。 NC形
とNO形
の使 い 分 け は,安 全 性 あ る い は合 理 性 か らみ て どち らが 適 し
て い る か検 討 す る必 要 が あ るが,実 際 に はNC形
が 圧 倒 的 に多 く使 用 さ れ て い
る。 用 途 と し て は,空 気 の充 て ん ・放 出 を 目的 とす る と こ ろ に は ど こ に で も使 え る。 ①
弁 が 開 く場 合
コ イ ル に通 電 され る と,可 動 鉄 心 が ば ね の 反 力 に打 ち
勝 って 固 定 鉄 心 に吸 着 さ れ る。 これ に よ り排 気 口 R は 閉 じて 出 口 A が 開 くの で,空 気 圧 は入 口 P か ら出 口 A へ 流 出 す る。 ②
弁 が 閉 じ る場 合
コイ ル の通 電 が 解 除 さ れ る と,可 動 鉄 心 は ば ね の 反
力 に よ り固 定 鉄 心 か ら離 脱 し,入 口 P は 閉 じ 出 口 A と排 気 口 R が 導 通 す る。
図5・22直
動 形 3ポ ー ト弁 の 構 造
図5・23は 直 動 形 弾 性 体 シ ー ル ポペ ッ ト式 3ポ ー トで 弁 で,通 状 態 で は,ス
電 して い な い
プ ー ル 弁 は ば ね の 反 力 で上 に押 し上 げ ら れ て 入 口 P は閉 じ 出 口
A と排 気 口 R が 導 通 す る。 次 に,通 電 す る と可 動 鉄 心 が 磁 極 片 に 吸 引 され, プ ッ シ ュ ロ ッ ドを 介 して ス プ ー ル 弁 を 押 し下 げ る。 これ に よ り排 気 口 R は 閉 じ入 口 P と出 口 A が 導 通 す る。
図5・23直
動 形 弾 性 体 シー ル ポペ ッ ト式 3ポー ト弁
図5・24は 直 動 形 メ タ ル シ ー ル ス プ ー ル 式 3ポ ー ト弁 で,通
電 して い な い と
き は,ス プ ー ル弁 は弁 ば ね で 押 し戻 さ れ て入 口 P は閉 止 され,出
口 A と排 気
口 R が 導 通 す る。通 電 す る と,ス プ ー ル 弁 は 押 し下 げ られ 図 の よ うに 入 口 P と 出 口 A が 導 通 し排 気 口 R は ブ ロ ッ ク され る。
図5・24直
動 形 メ タル シー ル ス プ ー ル 式 3 ポ ー ト弁 (NC, NOタ
イ プ)
〔6〕 4ポ ー ト,5 ポ ー ト電 磁 弁 の 構 造 と作 動 原 理 シ リン ダ駆 動 用 と して,最
も多 く使 わ れ るの が 4ポ ー トまた は 5ポ ー ト電 磁
弁 で あ る。 電磁 弁 は ほ とん ど複 動 シ リ ンダ を操 作 す るの に使 用 さ れ る が,2 位 置 弁 形 に は シ ン グル ソ レ ノ イ ドと ダ ブ ル ソ レ ノ イ ドの 2種 類 が あ る。 シ ン グ ル ソ レ ノ イ ドは,通 電 し て い る と き に電 気 系統 の 故 障 で 停 電 す る と必 ず 電 磁 弁 が切 り換 わ り,シ
リ ン ダ を逆 の 方 向 へ 作 動 させ る。 この 結 果,機
械あ
る い は ワ ー ク を壊 した り,人 身 事 故 を起 こす こ と もあ る。 これ に対 して,ダ
ブ ル ソ レノ イ ドは停 電 して も電 磁 弁 は切 り換 わ らず 現 状 推
持 で き る の で 安 全 で あ る。 また,パ
ル ス状 の 電 気 信 号 で 弁 を切 り換 え て その 位
置 を保 持 で き る の で,作 動 頻 度 の 低 い シ リ ンダ に対 して も消 費 電 力 が 少 な くて 済む。 3位 置 弁 形 に は ク ロー ズ ドセ ン タ とエ キ ゾ ー ス トセ ン タ が あ り,両 者 と も シ リ ン ダの 動 き を 中間 で 停 止 さ せ る 目的 で 使 わ れ る もの で あ る。 セ ン タ位 置 す な わ ち 両 方 の ソ レ ノ イ ドも非 通 電 状 態 に な っ た と き に,シ 込 め て 中 間 停 止 す る か,シ
リン ダ 内 に圧 力 を封 じ
リ ンダ 内 の 圧 力 は す べ て 抜 い て 中 間 停 止 す る か の違
い が あ る。 ク ロー ズ ドセ ン タ は,シ
リ ンダ の 移 動 途 中 で 電 気 を切 っ た と き,シ
リン ダ 内
に圧 力 が 残 るの で 中 間 停 止 が 容 易 で あ る。 す な わ ちオ ーバ シ ュ ー トが 少 な くて 済 む 。 た だ し,中 間 停 止 を長 い 間 維 持 し な け れ ば な らな い とき は,空 気 圧 漏 れ に十 分 注 意 しな い と シ リン ダが 少 しず つ動 き だ し,大
きな トラ ブ ル に結 び つ く
こ とが あ る。 エ キ ゾー ス トセ ン タ は,シ 停 止 が 完 全 で は な く,シ
リ ンダ の 両 方 の圧 力 を抜 い て し ま う関 係 上,中
間
リン ダ の 取 付 けが 上 下 方 向 で あ れ ば 自重 で 下 端 ま で落
ち て し ま う。 また 横 方 向 の シ リン ダ で も停 止 精 度 が 悪 くな る。 た だ し,長 期 間 中間 停 止 を行 う場 合 は,外 部 か ら強制 的 に力 を加 え な い 限 りい つ まで も停 止 位 置 を維 持 す る こ とが で き る。 (a)2 位 置 シ ン グ ル 電 磁 弁 非 通 電 時 に は,弁 ば ね の 力 で ス プ ー ル 弁 は右 側 に位 置 し,空 気 圧 は入 口 P と 出 口 A に,出 は吸 引 され,弁 る の で,入
口 B は排 気 口R2に
通 じて い る。 コイ ル に通 電 す る とプ ラ ン ジ ャ
ば ね の 力 に打 ち勝 ち 図5・25の よ う に ス プ ー ル は左 側 に位 置 す
口 P は出 口 B に,出 口 A は排 気 口R1に
導 通 す る。
図5・26の 場 合 は,非 通 電 状 態 で は ス プ ー ル弁 は ばね の 力 で 押 し上 げ られ,入 口 P は 出 口 A に,出
口 B は排 気 口 R に通 じて い る。 通 電 す る とプ ラ ン ジ ャ が
吸 引 さ れ て バ イ ア ス ば ね,プ
ッシ ュ ロ ッ ドを押 し下 げ,入 口 P は 出 口 B に,出
口 A は排 気 口 R に導 通 す る。 図5・27の 場 合 は,非 通 電 状 態 で は可 動 鉄 心 は固 定 鉄 心 か ら開 放 され て,可 動 ポペ ッ トは排 気 オ リ フ ィ ス を開 い て ピ ス トン室 の 圧 力 を排 出 す る 。 ピ ス トン
室 の圧 力 が 下 が る と,入 口 P よ り常 時 導 入 され て い る圧 力 とス プ ー ル ば ね との 合 成 力 に よ っ て ス プ ー ル 弁 は 押 し戻 され,同 時 に 固 定 ポペ ッ トは入 口 オ リ フ ィ ス を閉 じる。P→A,
B→R2と
な る。
電 磁 コ イ ル に 通 電 す る と,可 動 鉄 心 は固 定 鉄 心 に吸 引 さ れ,可 動 ポペ ッ トは 排 気 オ リフ ィス を閉 じる と と もに,固 定 ポペ ッ トは入 口 オ リ フ ィ ス を 開 い て入 口 圧 力 を ピス トン室 に導 入 す る。 導 入 され た圧 力 は ピ ス トン を押 し 出 し,ス プ ー ル 弁 を切 り換 え る。P→B,
図5・25直
A→R1と
動 式 メ タ ル シー ル ス プ ー ル 式
な る。
図5・26
5 ポ ー ト弁
図5・27パ
直動 形 弾性 体 シ ー ル ポペ ッ ト式 4ポ ー ト弁
イ ロ ッ ト形 弾 性 体 シ ー ル ス プ ー ル 式 5 ポ ー ト弁
(b)2 位 置 ダ ブ ル 電 磁 弁 図5・28の 場 合,SOL.A側
を非 通 電 に してSOL.B側
の 電 磁 コ イル に通 電 す
る と,固 定 ポペ ッ トは 入 口オ リ フ ィス を開 い て入 口圧 力 を ピス トン室 に導 入 す る 。 この 圧 力 に よ りピ ス トン は押 し出 され,ス
プ ー ル 弁 を切 り換 え る。 この 状
態 で電 磁 コ イ ル を 非 通 電 に す る と,可 動 ポ ペ ッ トは排 気 オ リ フ ィス を 開 い て ピ ス トン室 の 圧 力 を排 出 す る 。 ピ ス トン室 の圧 力 が 下 が る と,入 口 か ら導 入 され る圧 力 に よ って ピ ス トン は押 し戻 され,同 時 に固 定 ポペ ッ トは入 口 オ リフ ィス を閉 じるが ス プ ー ル 弁 は切 換 位 置 を保 持 す る。P→A,
図5・28
SOL.B側
B→R2と
な る。
パ イ ロ ッ ト形弾 性 体 シー ル ス プー ル 式 ダ ブ ル 5ポー ト弁
を 非 通 電 に し てSOL.A側
じ動 作 を 行 い,ス
プ ー ル 弁 はSOL.B側
P→B,A→R1に
な る。
の 電 磁 コ イ ル に 通 電 す る と,上
記 と同
に押 し出 され て その 位 置 を保 持 す る。
〔7〕 空 気 圧 操 作 弁 弁 の 切 換 え を 空 気 圧 に よ っ て行 う も ので,比 較 的 流 量 の大 き な もの は マ ス タ バ ル ブ といわ れ る。 主 に シ リン ダ や モ ー タ等 の ア クチ ュエ ー タ の駆 動 制 御 に用 い られ,同
じ よ う に空 気 圧 に よ っ て切 り換 わ る制 御 素 子 とは 目的 は異 な る。 種
類 は電 磁 弁 と同 じ よ う に 2ポ ー ト,3 ポ ー ト,4 ポ ー ト,5 ポ ー ト,2 位 置,3 位 置 の 各 弁 が あ る。
マ ス タバ ル ブ は 図5・29に 示 す よ う に比 較 的 操 作 力 の 小 さい ス プ ー ル 弁 の よ うな もの で,直 接 に ス プ ー ル の端 子 を空 気 圧 で 押 して 弁 の 位 置 を切 り換 え る も の と,操 作 力 の大 き い もの や圧 力 バ ラ ンス の とれ て い な い弁 等 で 図5・30の よ う に,ピ
ス トンや ダ イ ア フ ラム を 用 い て 増 圧 して 切 り換 え る も の とが あ る。
図5・29メ
タル シー ル ス プ ー ル 式 5 ポ ー トマ ス タ バ ル ブ
図5・30
弾 性 体 シ ー ル ポ ペ ッ ト式 3 ポ ー トマ ス タ バ ル ブ
〔8〕 機 械 操作 弁 機 械 操 作 弁 は メ カ ニ カ ル バ ル ブ と も い わ れ,マ を 送 る働 き を す る 。 ポ ー ト数 は2,3,4,5等 NC形
が 多 い が, NO形
ス タ バ ル ブ へ パ イ ロ ッ ト信 号
が あ る。 2ポ ー ト,3 ポ ー ト に は
も あ る。
(a)構 造 と作 動 原 理 図5・31,5・32は
機 械 操 作 弁 の 基 本 構 造 で あ る。
弁 の 動 作 速 度 は,ド
ッグ の 形(角 度)や シ リ ンダ の 速 度 で左 右 され る。 こ の速
度 が 遅 い と切 換 えの 途 中 で 入 口 と排 気 口が 直 接 つ な が っ て空 気圧 が 大 気 中 に放 出 さ れ るた め,圧 力 降 下 に よ る誤 動 作 をす る こ とが あ る。 この状 態 を ア ン ダ ラ ップ と い う。 弁 が 切 換 え の 中 間 位 置 か ら少 し変 位 し始 め て ポ ー トが 開 き,空 気 圧 が 流 れ る状 態 をオ ーバ ラ ッ プ とい い,ま
た 弁 が 中 間 位 置 に あ る と きポ ー トは
閉 じて お り,弁 が 少 しで も変 位 す る とポ ー トが 開 い て,空 気 圧 が 流 れ る よ う な 状 態 を ゼ ロ ラ ップ とい う。
図5・31ポ
ペ ッ ト式 3ポー ト機 械 操 作 弁 (NC形)
図5・32ポ
これ ら 3つ の タ イ プ は使 用 す る回 路,条 を 要 す る 。 図5・33∼5・35に
図5・33オ
件 に よ っ て どの タ イ プ に す るか 注 意
この 関 係 を示 す
。
ー バ ラ ッ プ の 弁
図5・35ア
ペ ッ ト式 3ポー ト機 械 操 作 弁 (NC, NO形)
図5・34ゼ
ン ダ ラ ップ の弁
ロ ラ ップ の 弁
(b)ア
クチ ュエータの種類
主 弁 を 操 作 す る 部 分 を ア ク チ ュ エ ー タ ま た は ヘ ッ ド と よ び,機 や ワ ー ク,製
品 そ の 他 に よ っ て 行 わ れ る が,そ
ロ ー ラ プ ラ ン ジ ャ,ロ
ー ラ レ バ ー,ロ
ロ ー ラ ア ー ム 等 が あ る 。 図5・36に
械 的 な ドッ グ
の 接 触 部 の 形 状 に は プ ラ ン ジ ャ,
ー ラ ア ー ム,可
変 ロ ー ラ ア ー ム,片
きき
図5・36機
ア ク チ ュエ ー タ の 形 状 を示 す。
械 操 作 弁アクチュエー タの種 類
〔9〕 人 力操 作 弁 手 や 指 で 操 作 す る弁 を手 動 弁 また はマ ニ ュ ア ル バ ル ブ,ハ よ び,足
ン ドバ ル ブ な ど と
で操 作 す る弁 を足 踏 弁 また は フ ー トバ ル ブ と よぶ 。 人 力 操 作 弁 に は,
図5・37の よ うに 直 接 ア ク チ ュエ ー タ を作 動 さ せ る 流 量 の 大 き い も の と,図5・ 38の よ う な マ ス タ バ ル ブ や 他 の 制 御 素 子 と組 み 合 わ せ て 用 い る 流 量 の 小 さ い もの も あ る 。これ は電 気 の押 しボ タ ン ス イ ッチ と同 じ よ う に操 作 部 が 種 々 あ り, 用 途 に応 じて 選 択 で き,パ ネル や 制 御 ボ ック ス に取 り付 け られ る よ う に な っ て い る。
〔10〕 比例制御弁 生 産 設 備 の 多 機 能 化,自
動 化,省
力 化 に は 各 種 の 空 気 圧機 器 が 用 い られ て い
る が,設 備 の 多 品 種 生 産 へ の 対 応 や 高 機 能,高
精 度 に と もな い空 気 圧 力 を変 化
させ て シ リ ンダ や 治 具 に発 生 す る力 を変 え,空 気 流 量 を 変 化 させ る必 要 が 生 じ て い る。 これ らの 制 御 を行 うた め に は,空 気 圧 を入 力 信 号 に比 例 して 変 化 させ
る比 例 制 御 弁 が 使 わ れ る。 つ ま り,シ リ ンダ な どの ア ク チ ュエ ー タ を駆 動 す る 電 磁 弁 は,弁 が 閉 じて い る か 開 い て い る か の 2つ の 状 態 で,開
いてい る ときは
つ ね に最 大 開 口状 態 しか な い。 これ に対 して比 例 制 御 弁 は,弁 の 開度 を無 段 階 に変 え られ る もの で,こ の 仕 組 み は制 御 部 にIC回
路 を使 用 し,弁 の 開 口状 態 を
任 意 に制 御 で きる よ う に した もの で あ る。
(a)レ
バ ー 形
(b)セ
レ ク トボ タ ン 形
(c) 足 踏 弁
図5・37人
図5・38
力操 作 弁 の 種 類(a)
人 力 操 作 弁 の 種 類(b)
(a) 比例 制御弁 の種類 比 例 制 御 弁 に は圧 力 弁 と流 量 弁 が あ る。 圧 力 弁,流 量 弁 と もに駆 動 方式 か ら 直 動 形 とエ ア パ イ ロ ッ ト形 に,制 御 方 式 か らオ ー プ ンル ー プ 制御 とフ ィー ドバ ッ ク制 御 に 分 け られ る。
(a)直
動 形 オー プ ン ルー プ 制 御
(b)エ
ア パ イ ロ ット形 オ ー プ ン ルー プ制 御
(c)エ
ア パ イ ロ
図5・39比
ット形 フ ィー
ドバ
ック 制 御
例 制 御 弁 の ブ ロ ッ ク線 図
図5・39に お け る直 動 形 オ ー プ ンル ー プ制 御 の圧 力 弁 は,入 力 信 号 を変 換 部 (比例 ソ レ ノ イ ドな ど)で 力 に 変換 し,操 作 部 に あ る弁(ス プ ー ル 弁,ポ ペ ッ ト弁 な ど)で 空 気 圧 を 出 力 す る。 こ の 出 力 を操 作 部 か らの 力 に対 抗 させ てバ ラ ン ス さ せ る こ とで 弁 の 動 き を制 御 し,入 力 信 号 に比 例 した圧 力 を 出力 す る こ とが で き る。 流 量 弁 の場 合 は,操 作 部 の 力 に対 抗 す る よ うに ば ね が 入 っ て お り,入 力 信 号 に 比 例 した 弁 開 度 が 得 られ る よ う に な っ て い る。 エ ア パ イ ロ ッ ト形 オ ー プ ンル ー プ制 御 は,直 動 形 に比 べ 変 換 部 の 出力 が 小 さ い た め,い
っ た ん増 幅 部(ノ ズ ル フ ラ ッパ な ど)で 力 を増 幅 して か ら操 作 部 に出
力 して い る。 エ ア パ イ ロ ッ ト形 フ ィ ー ドバ ッ ク 制 御 は,オ
ー プ ンル ー プ制 御 エ アパ イ ロ ッ
ト形 の 出 力 をセ ンサ で 検 出 し,入 力 信 号 と比 較 して その 差 を演 算 し て 自 動補 正 す る シ ス テ ム を付加 した もの で あ る。
(b) 比例制御 弁の変換部 変 換 部 は トル ク モ ー タ,フ ピ ン グ モ ー タ,圧
①
ォ ー ス モ ー タ,比
例 ソ レ ノ イ ドの ほ か に,ス
テ ッ
電 素 子 が あ る。
トル ク モ ー タ
図5・40に 示 す よ う に,磁 界 中 に 差 動 的 に 2つ の コ イ ル を巻 い た 可 動 鉄 心 を 配 した もの で,コ イル に電 流 を流 す と空 隙 に吸 引力 が 発 生 して トル ク が得 られ る。 この 発 生 した トル ク をば ね 力 とバ ラ ンス させ る こ とで,変 位 を 出力 と して 得 る こ とが で き る。 コ イ ル が 2つ で 1組 とな っ て い る た め両 方 向 に 出力 が得 られ る の で,ノ ズ ル フ ラ ッパ とス プ ー ル と組 み 合 わ せ て サ ー ボ弁 に 多 く使 わ れ て い る。 ②
フ ォー ス モ ー タ
図5・41に 示 す よ う に磁 界 中 に コ イ ル を配 した もの で,コ イル に電 流 を流 す と フ レ ミ ング の 左 手 の 法則 に従 っ て コ イル に 推 力 が 発 生 す る。 この推 力 は入 力 電 流 に対 して 出 力 特 性 が 完 全 に比例 す るた め,オ ー プ ンル ー プ制 御 で使 用 で き る。
図5・40
③
トル クモ ー タの 構 造
図5・41フ
ォ ー スモ ー タの 構 造
比 例 ソ レ ノイ ド
比 例 ソ レ ノ イ ド は プ ラ ン ジ ャ の 変 位 S に 関 係 な く,電 が 得 ら れ る 。 し か し,ト
ル ク モ ー タ,フ
出 力 静 特 性 が 劣 る 。 電 流 が1A程
流 に比 例 し た 吸 引 力
ォ ー ス モ ー タ に比 べ 出 力 は大 きい が 入
度(DC 24 V)と
大 き く,専
用 の コ ン トロー ラ
が 必 要 で あ る。
図5・42比
例 ソ レ ノ イ ドの 構 造
(c) 比例制御 弁 の作 動原理 直 動 形 圧 力 比 例 制御 弁 の作 動 原 理 を 図 5・43に 示 す 。 比 例 ソ レ ノ イ ドに 入 力 信 号(電 流)を 入 力 す る と,入 力 信 号 に比 例 した 力(比 例 ソ レ ノ イ ドの 発 生 力)FsoL と出力 信 号 に よ る力(ば ね の反 力)Fp2の
(a)Fp2<FsoLの
とき
関 係 はFp 2<FSOLと な る。 した が っ て ス プ ー ル が 変 位 し入 口 P か ら 出 口 A へ 空 気 が 供 給 され る 。 これ とは 反対 に比 例 ソ レ ノ イ ドへ 流 す 電 流 を 下 げ る とFp 2> FsoLの 関係 に な るの で,ス
プ ー ル は押 し
(b)Fp2>FsoLの
とき
戻 され て 出 口 A か ら排 気 口 R へ と空 気 が 流 れ 出 力 圧 力 が 低 下 す る。Fp 2とFsoL が 平 衡 し た と き(Fp2=FsoL)は,出
力A
は閉 じ られ る。 (c)Fp2=FsoLの
この よ う に,比 例 ソ レノ イ ドの電 流 の
図5・43
とき
比例制御 弁の作動原理
大 き さ に比 例 した 空 気 圧 力 が 得 られ る。 (d)比 例 制 御 弁 の 用 途 圧 力 制 御 比 例 制 御 弁 の用 途 例 と し て,図5・44は
ワー ク の材 質,あ る い は表 面
の仕 上 げ程 度 に よ っ て 砥 石 の研 磨 力 を弱 か ら強 に変 更 す る場 合,図5・45は
スポ
ッ ト溶 接 機 の電 極 加 圧 力 を ワ ー ク の 材 質,板 厚 に よ っ て変 更 す る場 合,図5・46
は比 例 制 御 弁 の 2次 側 に ノ ズ ル(固 定 オ リフ ィ ス)を 設 置 し,噴 出 流 量 を圧 力 で 制 御 す る こ とで タ ー ビ ン の 回 転 速 度 を制 御 す る場 合 の シ ス テ ム で あ る。 ま た, 図5・47に 被 制 御 流 体 に合 っ た ガ バ ナ を用 い,圧 力 に よ っ て 流 量 を制 御 す る場 合 の 例 を示 す。
図5・44比
図5・46
図5・45比
例 制 御 弁 の 用 途 例(a)
図5・47比
比 例 制 御 弁 の 用 途 例(c)
例制 御 弁 の 用 途 例(b)
例 制 御 弁 の 用 途 例(d)
〔11〕 その 他 の 方 向制 御 弁 (a)逆
止 め弁
チ ェ ッ ク 弁,チ れ,図5・48に
ェ ックバ ル ブ と も い わ
示 す ように中のばね によっ
て 弁 体 が 弁 座 に 密 着 し て お り,一 し か 流 れ な い,つ
方向 に
ま り逆 流 し な い よ う に
な っ て い る。
弁 の 開 を始 め る圧 力 の こ と を ク ラ ッキ
図5・48
逆 止め 弁
ン グ圧 力 とい い,こ
れ が で き る だ け低 い ほ うが よい が,あ
ま り低 い と漏 れ や ば
ね の復 帰 時 間 が 長 くな り,誤 動 作 を起 こ して本 来 の 逆 止 め 弁 の役 目 を果 た せ な い の で あ る程 度 の 圧 力 は必 要 で あ る。 また ク ラ ッキ ン グ圧 力 が あ ま り高 い と, そ の分 だ け下 流 の 圧 力 が 上 流 の 圧 力 よ り低 くな る の で 注 意 が 必 要 で あ る。 逆 止 め 弁 の 用途 と して は圧 力 源 が故 障 した り,他 の 装 置 で 大 量 に空 気 を使 っ て 一 時 的 に圧 力 が 下 が っ た りし た場 合 に,そ の 回路 の 圧 力 が 下 が らな い よ う に す る安 全 装 置 と して の役 目や,制 御 回路 の 中 で の圧 力 の 保 持 の た め に 用 い られ る。 (b) シ ャ トル 弁 シ ャ トル とは機 織 の 杼 の こ とで,左 右 に移 動 す る と こ ろ か らつ け られ た 名 前 と考 え られ て い る 。 こ の弁 は 3方 チ ェ ック 弁 と も よ ば れ,1 個 の 出 口 と 2個 の 入 口 を もち,出
口 が つ ね に 高圧 側 入 口 に接 続 し低 圧 側 入 口 を 閉 じ る よ うに 作 動
す る。
(a)右側 の1次側が 高圧の と き 図5・49シ
(b)左 側の 1 次側 が高圧 の とき ャ トル弁
(c)急 速 排 気 弁 ク イ ッ クエ キ ゾー ス トバ ル ブ と も よば れ,シ を速 くす る もの で あ る。 構 造 は 図5・50の
リ ンダ や 他 の 操 作 部 の 排 気 速 度
よ う な も の が 一 般 的 で あ る。 切 換
弁 か らシ リン ダ へ 空 気 が 流 れ る場 合 に は 弁体 を押 し上 げ て排 気 ポ ー トを閉 じ, 空 気 は そ の ま ま シ リン ダへ 送 られ る。 切 換 弁 が 作 動 して シ リ ン ダ か ら空 気 が 排 気 され る場 合 に は,切 換 弁 側 は 排 気 さ れ て い き,圧 力 が 降 下 して 弁 体 が 押 し下
げ られ,切 換 弁 側 を閉 じ る と と も に排 気 ポ ー トが 開 き,シ
リ ンダ か らの 空 気 が
直 接 排 気 され て 急 速 な排 気 が 可能 に な る。
図5・50
急速排気弁
5・3 流量 制御 弁 流 量 制 御 弁 は 空 気 流 量 を調 整 す る こ と を 目的 とす る もの で,シ す る の で あ れ ば シ リ ンダ か らの 排 気 量,あ
リ ンダ に使 用
る い は シ リン ダ へ の 給 気 量 を調 節 し
て シ リ ン ダ の速 度 を制 御 す る。 ま た エ ア ブ ロ ー で 品 物 の 吹 飛 ば し,冷 却 な ど を 行 う場 合 で も空 気 流 量 を制 御 す る 目的 で使 わ れ る。 流 量 制 御 弁 は,弁 内部 の 通 路 面 積 を変 化 さ せ て 空 気 の抵 抗 を変 え る構 造 の もの で,絞 排 気 絞 り弁,ク
り弁,速
度 制 御 弁,
ッ シ ョンバ ル ブ な どが あ る。
〔1〕 絞 り弁,排
気 絞 り弁
絞 り弁 は調 節 ね じ に よ っ て弁 の 開 度 を 調 節 し て 流 量 抵 抗 を加 減 し,空 気 の 流 量 制 御 を行 う も の で あ る。 弁 開 度 は な る べ く微 細 に調 節 で き る こ と が 望 ま し い の で,一
般 的 に はニ ー ドル 弁 が 最 も多 く用
い られ る。 図5・51は そ の構 造 例 で あ る。 調 節 ね じ の 回 転 に対 す る抵 抗 の変 化 は弁 体 の形 状 に よ っ て異 な り,弁 体 先 端 が 鋭
図5・51ニ
ー
ドル 弁
角 で あ る ほ ど細 か い調 節 が しや す い。 絞 り弁 は流 量 の 制 御 機 器 と い っ て も単 な る可 変 抵 抗 に す ぎ な い の で,流 量 を 絞 れ ば絞 る ほ ど弁 の 圧 力 降 下 も大 きい。 また 正 逆 い ず れ の 方 向 の 流 れ に対 して もつ ね に 抵 抗 と し て作 用 す るの で,こ の絞 り弁 を用 い て 複 動 シ リン ダ の細 か い 速 度 制 御 を行 う こ とは無 理 で あ る。 この よ うな 場 合 は,絞
り弁 に 逆 止 め弁 の付
い た速 度 制 御 弁 を使 用 した ほ うが よ い。 な お,絞
り弁 を管 路 中 に 設 けず,方
向 制御 弁 の 排 気 ポ ー トに取 り付 け て 排 気
流 量 を制 御 し,ア クチ ュエ ー タ の速 度 制 御 を行 う排 気 絞 り弁 は メ タ リン グ バ ル ブ と も よ ばれ,比
較 的 小 さい 方 向制 御 弁 お よび ア ク チ ュエ ー タ の 場 合 に,簡 便
な速 度 制 御 法 と し て用 い られ る。図5・52は そ の構 造 例 で,排 気 絞 り弁 に消 音 機 構 を組 み 合 わ せ て 消 音 効 果 を上 げ る もの もあ る。 この場 合 は絞 り具 合 に よっ て 方 向制 御 弁 へ の 背 圧 が 変 化 す る の で,そ の 影 響 に注 意 し な け れ ば な らな い 。
図5・52
排 気 絞 り弁
〔2〕 速 度 制 御 弁 逆 止 め 弁 と絞 り弁 と を並 列 に一 体 構 造 と して組 み 合 わ せ た 流 量 制 御 弁 で,ア クチ ュエ ー タ の速 度 制 御 用 と して使 用 され て お り,ス ピ ー ドコ ン トロ ー ラ と も い う。 空 気 が 順 方 向(流 れ や す い 方 向)に 流 れ る場 合 は逆 止 め弁 が 開 き,空 気 は絞 り 弁 と逆 止 め弁 の 両 方 を通 し て流 れ る。 この 場 合 の流 れ を 自 由 流 れ とい う。 これ
に対 し て空 気 の 流 れ が 逆 方 向(流 れ に くい 方 向)の 場 合 に は逆 止 め 弁 は閉 じ,空 気 は絞 り弁 で 絞 られ な が ら流 れ る。 これ を制 御 流 れ とい う。 (a)構 造 と作 動 原 理 図5・53は 絞 り弁 と逆 止 め 弁 とが 分 離 し て い る もの で,絞
りの 形 を特 殊 な形
状 に して い るた め,全 閉 付 近 で の微 少 流 量 調 節 が 可 能 で あ る。 図5・54で は絞 り弁 を あ る 程 度 まで 開 い て い く と,そ
こか らは 逆 止 め 弁 を押
し上 げ る よ う に な っ て い る。 した が って こ の場 合,制 御 流 れ で も逆 止 め弁 は全 開 とは な らず,あ
る 開度 を保 っ て い る。 これ に よ り大 流量 領 域 で も流 量 の 調 節
が 可 能 に な る。
図5・53
速 度 制 御 弁(a)
図5・54
速 度 制 御 弁(b)
(b)特 性 速 度 制 御 弁 の 特 性 で 特 に重 要 な もの は,ク
ラ ッキ ン グ圧 力 お よ び絞 り調 節 ね
じ(ニ ー ドル)の 回転 数 と制 御 流 れ 流 量 の 関 係 で あ る。 ク ラ ッ キ ン グ圧 力 が 高 す ぎ る と,制 御 流 れ か ら 自 由 流 れ に切 り換 わ っ て も シ リ ンダ が 動 き始 め る まで の時 間 に 遅 れ を生 じ る こ と に な る。JISで ン グ圧 力 を50kPaと
は ク ラ ッキ
規 定 して い る。
絞 り調 節 ね じの 回転 数 と制 御 流 れ 流 量 との 関 係 は,速 度 制 御 弁 の 目的 で あ る ア ク チ ュエ ー タ の 作 動 速 度 の 制 御 の調 整 が 容 易 か ど うか に関 連 す るの で 重 要 で あ る。 図5・55に 示 した 曲 線 Iは一 般 的 な特 性 例 で あ っ て,調 節 ね じの 回 転 に従 っ て 制 御 流 量 が ほ ぼ比 例 して増 加 す る。 図 の 左 側 に 示 し て あ る流 量 と シ リン ダ速 度
との 関係 は,小 径 の シ リ ン ダ に な る と,た と えばV1ま 絞 り調 節 ね じの調 節 範 囲 はOAで
示 した 部 分 で あ っ て 非 常 に 調 節 が し に くい 。
図5・55速
そ こで,図5・56の
で の 速 度 を調 節 す るの に
度 制 御 弁 の特 性(a)
よ う な特 性 を 示 す 絞 り弁 構 造 の もの を使 用 す る と,特 性
は 曲線IIの よ うに な っ て 調 節 ね じの調 節 範 囲 はOBに
広 が り,調 節 は容 易 に な
る。 図5・56は 図5・54の よ う な構 造 の 速 度 制 御 弁 の特 性 で あ っ て,A
点 まで は
絞 り弁 の み の特 性 で あ る が,そ れ 以 後 は逆 止 め弁 も開 くの で制 御 流 れ の 流 量 は 急 に増 大 す る。
図5・56
速 度 制 御 弁 の 特 性(b)
これ らの 特 性 曲線 か ら速 度 制 御 の 対 象 とな る シ リン ダ の大 き さ,制 御 した い 速 度 範 囲 か ら制 御 流 れ の 必 要 流 量 を計 算 し,カ タ ロ グ等 に 示 さ れ て い る調 節 ね じ回 転 数 と制 御 流 れ 流 量 の 関 係 と対 比 し て,最
も適 切 で あ る とみ られ る機 種 を
選 定 す る こ とが 大 切 で あ る。 選 定 を誤 っ て,小
さす ぎ れ ば絞 り調 節 ね じを 全 開
に して も必 要 な速 度 まで 上 が らず,逆
に大 きす ぎれ ば微 調 整 が 困難 と な る 。
(c)速 度 制 御 方 式 速 度 制 御 弁 の 一 般 的 な使 用 法 と して,方
向制 御 弁 とア クチ ュ エ ー タの 間 に,
しか もア ク チ ュエ ー タ の 近 い と ころ に配 置 す る の が 普 通 で あ る。 この 方 式 に は 図5・57の よ う に 排 気 側 を制 御 す るメ ー タ ア ウ ト制 御 と,給 気 側 を制 御 す る メ ー タ イ ン制 御 の 2つ が あ る。
(a)メ
ー タ ア ウ ト制 御
(b)メ
図5・57速
ー タ イ ン制 御
度 制 御 の 方式
メー タ ア ウ ト制 御 の場 合 は,給 気 は 自由 流 れ と して 抵 抗 な くシ リ ンダ に供 給 され,シ
リ ン ダ 内 の 圧 力 上 昇 は速 い。 一 方 シ リン ダ か ら の排 気 は絞 り弁 で 制 御
され な が ら排 気 され る の で速 度 制 御 は安 定 に 行 わ れ る。 メ ー タ イ ン制 御 の 場 合 は,給 気 側 が 制 御 流 れ とな るの で,シ
リン ダ 内 の 圧 力
上 昇 は 遅 く時 間 が か か る。 しか も排 気 側 は 自 由 流 れ と し て排 気 され て し ま うの で 大 気 圧 とな る。 そ こで,シ
リ ンダ の 内 部 摩 擦,空
っ て ピス トンが 一 様 な速 度 で は動 か ず,少
気 の圧 縮 性 な どが 影 響 し合
し動 く と内圧 が 追 随 し きれ ず に速 度
が 低 下 し内 圧 の 上 昇 と と も に再 び速 くな る,い わ ゆ る ジ ョ ギ ング 動 作 を起 こす こ とが 多 い 。 した が っ て,一 般 に は メ ー タ ア ウ ト制 御 が 用 い られ るの が 普 通 で あ る。 た だ し,メ ー タ ア ウ ト制 御 で あ っ て も,極 端 な 低 速 で は 空 気 の圧 縮 性 の た め に作 動 が不 安 定 に な りが ち で あ る の で,こ
の よ うな 場 合 に は 空 油 変 換 器(エ ア ハ イ ド
ロ ユ ニ ッ ト)を 用 い て,油 圧 シ リ ンダ と して使 用 す べ き で あ る。 速 度 制 御 弁 の 使 用 に あ た っ て は,メ ー タ ア ウ ト制 御,メ
ー タ イ ン制 御 の ほか
に,配 管 容 量 の影 響 を減 らす た め に,シ ある。
リ ンダ の近 くに 設 置 す る こ とが 必 要 で
6
ア クチ ュエ ー タ ア クチ ュ エ ー タ とは 流体 のエ ネ ル ギ ー を用 い て 機 械 的 な仕 事 を す る機 器 の こ とで,機 械 的 な 仕 事 と して は,直 線 運 動 お よ び 回転 運 動 と,こ の両 者 の 組 合 せ 運 動 が あ る。 表6・1に
ア ク チ ュエ ー タ の 種 類 を 示 す 。
衰6・1
ア クチ ュエ ー タの 種 類 シ リ ン ダ(直 線 運 動 を す る もの)
揺 動 形 ア クチ ュ エ ー タ
ア クチ ュ エ ー タ
出力軸の回転角
モ
ー
が
(制 限 され て い る もの)
ダ
回転運動
(
をす る も の
)
モ
ー
タ
連続回転運動 を
(行 う もの
写 真6・1ア
クチ ュエ ー タ(コ ガ ネ イ)
)
6・1空 応 工 気 圧 シ リンダ
シ リン ダ を構 造 上 か ら分 類 す る と表6・2の よ う にな る。 これ らの 中 で は ピ ス トン形 シ リ ンダ の う ち の 片 ロ ッ ド単 動 シ リン ダ と片 ロ ッ ド複 動 シ リン ダが 最 も 多 く用 い られ て い る。 表6・2空
兜 工
気 圧 シ リ ンダ の 構 造 上 の分 類
単 動 シ リ ン ダ (片 ロ ツ ド) 単 動 シ リ ン ダ (両 ロ ッ ド) ピ
複 動 シ リ ン ダ (片 ロ ッ ド)
ス ト
複 動 シ リ ン ダ( 両 ロ ッ ド)
ン 形
可 変 ス トロー ク シ リン ダ
シ
デ ュア ル ス トロ ― ク シ リ ン ダ(片 ロ ッ ド)
リ デ ュア ル ス トロ ー ク シ ― リン ダ(両 ロ ッ ド〉
タ ン デ ム シ リン ダ テ レ ス コー プ シ リンダ
差圧作動 シ ― リン ダ
ラ ム 形
シ リ ン ダ
ベ ロー 形 シ リ ン ダ
ダ イア フ ラム形 シ リンダ
〔1〕 構 造 と作 動 原 理 図6・1は 複 動 シ リンダ の 内部 構 造 の 一 例 を示 した も の で あ る。 ま た,図6・2 に は シ リ ンダ の構 成 部 品 を示 した 。
図6・1
図6・2
①
空 気 圧 シ リン ダ の 内 部 構 造
空 気 圧 シ リン ダ の 構 成 部 品
ヘ ッ ドカ バ ー
シ リン ダ の 前 方 の ふ た の役 目 を し,空 気 の 出 入 す る ポ ー トを もっ て い る。 ②
キ ャ ップ カ バ ー
シ リ ン ダ の後 方 の ふ た の役 目 を し,空 気 の 出入 す る ポ ー トを も っ て い る。
③
シ リンダチューブ
材 質 は鋼 で,小 形 の もの に は黄 銅,ア ル ミニ ウム,プ ラ ス チ ッ クが 使 わ れ る。 チ ュー ブ 内 面 を ピス トンが 動 くの で,硬 質 ア ル マ イ ト処 理 よ り も硬 い処 理 が さ れ て い る。 ④
ロッド
材 質 は鋼 で,圧 縮 荷 重 や 引張 荷 重 に耐 え られ る よ うに な っ て い る。 表 面 は硬 質 ク ロ ム メ ッ キ が施 され,傷
が つ き に く くな っ て い る。
⑤ ピ ス トン 材 質 は ア ル ミニ ウム で,ピ
ス トンパ ッ キ ンお よ び永 久 磁 石 取 付 けの た め の 溝
が 設 け られ て い る。 ⑥
ク ッシ ョン リ ング A
ヘ ッ ド側 の ク ッ シ ョ ン作 用 を 行 う 。
⑦
ク ッシ ョン リ ング B
キ ャ ッ プ 側 の ク ッ シ ョ ン 作 用 を行 う 。
⑧
ブシュ
一 般 に軸 受 とよ ば れ る もの で ,シ
リン ダ の横 荷 重 を あ る程 度 受 け る もの で あ
る。 ⑨ ク ッ シ ョンバ ル ブ ク ッ シ ョ ンの 程 度 を調 整 す るた め の もの で あ る。 ⑩
タイ ロッ ド
ヘ ッ ド カ バ ー と キ ャ ッ プ カ バ ー の 中 間 に シ リ ン ダ チ ュ ー ブ を 入 れ,締
めっ け
る も の で あ る。
⑪
ウ ェ ア リン グ
シ リン ダ チ ュ ー ブ と ピ ス トンの し ゅ う動 部 に 入 れ,ピ
ス トンパ ッキ ンの 磨 耗
を 防 ぐ と同 時 に,摩 擦 力 を軽 減 させ る もので あ る。 ⑫
ク ッ シ ョンパ ッキ ン
材 質 は 一 般 に ゴ ム と よ ん で い るNBR(ニ シ ョ ン との シー ル を行 う。
ト リ ル ブ タ ン エ ン ラ バ ー)で,ク
ッ
⑬
ロ ッ ドパ ッキ ン
材 質 はNBRで,ロ
⑭
ッ ド に 付 い た ゴ ミの 進 入 防 止 と ロ ッ ド と の シ ー ル を 行 う 。
ピス トン パ ッキ ン
材 質 はNBRで,ピ
⑮
ス トン と シ リ ンダ チ ュ ー ブ との シ ー ル を 行 う。
ク ッ シ ョ ンバ ル ブパ ッキ ン
材 質 はNBRで,ク ⑯
ッシ ョ ン部 の 空 気 の 漏 れ を 防 ぐ。
ピス トン ガ ス ケ ッ ト
材 質 はNBRで,ピ
ス トン と ロ ッ ドとの シ ー ル を行 う。
シ リ ン ダ 用 パ ッ キ ン に は,表6・3に
表6・3
名
称
示 す 形 状 の も のが 用 い られ る。
空 気圧 シ リン ダ用 パ ッキ ン
形
状
標 準 設 計 の 例
リ
Uパ ツ キ ン
ッ プ パ
Lパ ッ キ ン
ッ キ ン Jパ ツ キ ン
ス ク イ ズ パ ッキ ン
〔2〕
O リ ン グ
X リ ン グ
NLP
シ リンダ の ク ッシ ョン機 構
ク ッ シ ョ ン 機 構 は ク ッ シ ョ ン リ ン グ,ク
ッ シ ョ ン パ ッ キ ン,ク
ッシ ョ ンニ ー
ドル か ら構 成 さ れ る 。 図6・3(a)の
ク ッ シ ョ ン 行 程 で は,排
シ ョ ン リ ン グ と ク ッ シ ョ ン パ ッ キ ン に よ り 密 封 さ れ,封 ー ク エ ン ド に 達 す る ま で の 間 に ピ ス トン で 圧 縮 し
,そ
気側 の空 気 はク ッ
入 さ れ た 空 気 を ス トロ の 背 圧 で ピ ス トン の 動 き
に ブ レ ー キ を か け る 。 こ の と き ニ ー ドル 弁 に よ っ て 封 入 さ れ た 空 気 の 一 部 を ポ ー トに 逃 が す こ と に よ っ て 図6.3(b)の
,ク
ッ シ ョ ン の 働 き具 合 を 調 節 す る 。
よ う に 反 対 方 向 に ピ ス ト ン を 動 か す と き は,ク
ン が チ ェ ッ ク 弁 の 働 き を 兼 ね て い る た め に,給
ッ シ ョンパ ッ キ
気 が 絞 られ る こ とな くピス トン
を ス ム ー ス に押 し出 す こ とが で き る。
(a)
(b) 図6・3
シ リ ン ダの ク ッ シ ョン機 構
ク ッ シ ョン な し シ リ ンダ で は,移 動 荷 重 の 運 動 エ ネ ル ギ ー を吸 収 す る こ とな く,本 体 そ の もの で 衝 撃 荷 重 を受 け る こ とに な り,本 体 の強 度 以 上 の運 動 エ ネ ル ギ ー が 働 く場 合 に は シ リ ンダ が 破 壊 さ れ る。 こ こで,時
間 に対 す る シ リン ダの 動 き を考 えて み よ う。 シ リ ン ダ を電 磁 弁 で
駆 動 した 場 合 の 動 き を ポ テ ン シ ョメ ー タ で 検 出 し,シ ン ク ロス コー プで 測 定 す る とシ リン ダ の 駆 動 速 度 は図6・4の よ う に な る 。 す な わ ち,電 磁 弁 に通 電 し て弁 を切 り換 え る と,わ ず か な 時 間t1で あ る が シ リ ン ダ は 動 か な い で,徐 々 に加 速 し て最 大 速 度 に 達 す る。 そ し て,ス
トロ ー
ク エ ン ド付 近 で は ク ッ シ ョンが 働 くた め 速 度 は 急 速 に低 下 し,ス
トロ ー ク エ ン ド 図6・4シ
リン ダの 駆 動 速 度
で停 止す る。 この よ うな シ リ ンダ の 速 度 を計 算 で 求 め よ う とす る と非 常 に難 しい の で,便 宜 上,シ
リ ン ダ の 駆 動 時 間 T は最 初 か ら等 速 運 動 で あ る と して,次 の 式 で 示
さ れ る。 T=t1+t2+t3
(6・1)
T:シ
リ ン ダ の 駆 動 時 間 〔s〕
t1:シ
リ ン ダ の 遅 れ 時 間 〔s〕
t2:シ
リ ン ダ の 最 大 速 度 部 の 時 間 〔s〕
t3:ク
ッ シ ョ ン部 分 に お け る 時 間 〔s〕
一 般 に は シ リ ンダ の使 用 速 度 範 囲 は 50∼500㎜/sと
規 定 さ れ て い る。 シ
リ ン ダ の 負 荷 率 と 遅 れ 時 間t1の を 表6・4に
示 し た 。t3は
ク ッシ ョ ンニ
ー ドル 弁 の 調 整 に も よ る が,一 0.2sと
関 係
般 に は
み て よい 。
〔3〕 空 気 圧 シ リンダ の取 付 形 式 シ リ ン ダ の取 付 形 式 の種 類 を表6・5に 示 す 。
表6・4負
荷 率 と遅 れ時 間
表6・5空
気 圧 シ リ ン ダの 取 付 形 式 に よ る 分 類
負荷の運動方向
取
付
形
式
構
造
例
備 考
軸 方 向 フ ー ト形 MS 1 ブ
ー
ト
形
軸 直角 方 向 フ ー ト形
直
最 も一 般 的 で簡 単 な 取 付 け 方法 。 主 と し て軽 負荷 用 である
MS 2
負荷が直線運動 を する ヘ ッ ド側 フ ラ ンジ形
線
MF 1 フ ラ ン ジ形
最 も強 力 な取 付 け が で き る。 負 荷 の 運 動 方向 と 軸 心 を一 致 させ
キ ャ ッ プ側 フ ラ ン ジ形
るこ と
MF 2
分離 式 ア イ形 MP 3 ピ ボ ッ ト形 分離式 クレビス形
揺
MP 1 負荷 が 1平 面 内 で 揺 動 す る。 揺 動 す る可 能 性 が あ る場
ヘ ッ ド側 トラニ オ ン形
合 は 直 線 運動 をす
MT 1
る と きで も使 用 す る
動
トラニ オ ン 形
中 間 トラ ニ オ ン形 MT 4
キ ャ ップ 側 トラニ オ ン形 MT 2
負荷の揺動 方向 と シ リン ダの 揺 動 方向 を 一 致 さ せ,ロ ッ ドに横 荷重 をかけない こ と。 揺 動 運 動 す るので シリン ダがほか に触れ な い よ うに す る
6・2ス
イ ッ チ 付 き空 気 圧 シ リ ン ダ
空 気 圧 を利 用 して 自動 制 御 を行 う とき に最 も広 く使 わ れ る方 法 は,電 気 信 号 を送 っ て 電 磁 弁 を切 り換 え,シ
リンダ を作 動 させ る 方 法 で あ る。 シ リン ダ を用
い て 機 械 を 自動 化 す る場 合 に は,そ の ほ とん どが シ ー ケ ン ス制 御 回 路 に な っ て い る。 した が っ て,シ
リ ンダ に は ピス トン位 置 を検 出 して 電 気 信 号 を取 り出 す
装 置 を備 え て い る と非 常 に便 利 で あ る。
図6・5ス
イ ッチ付 きシ リ ン ダ
〔1〕 シ リ ン ダ ス イ ッ チ の 種 類 ロ ッ ドの 位 置 を検 出 す る方 法 に は い ろい ろ あ る が,表6・6の
よ う に シ リ ンダ
ス イ ッチ の 検 出 方 法 は機 械 的 接 触 が な い た め,寿 命 が 長 く,信 頼 性 が あ り,し か も小 形 軽 量 で コ ス ト的 に も有 利 で あ る。 ス イ ッチ 付 き シ リ ン ダ の 作 動 原 理 は,い ず れ も ピ ス トンの 接 近 に よ る磁 界 の 変 化 を検 出す る もの で,図6・6,6・7 に そ の構 造 を 示 す 。 (a)被
①
検 出体 に よ る分 類
永 久磁石検 出方式
非 磁 性 体 ピス トン に永 久磁 石 を組 み込 む か,ま 磁 石 で構 成 して,シ
た は ピ ス トン そ の もの を永 久
リ ンダ(非 磁 性 体)の 外 周 部 に取 り付 け た リー ドス イ ッチ を
表6・6
検 出 方 式
ロ ッ ド位 置 の 検 出 方 法
検 出方法 価 格
設置工数
調整工 数
リ ミ ッ ト ス イ ッ チ
近 接 ス イ ッチ
機械 的接 触
中
大
大
イ ン ビー ダンスの 変 化
大
大
大
光の変化
大
大
磁気の変 化
小
光 電 ス イ ッチ
シ リ ン ダ ス イ ッチ
図6・6永
図6・7磁
な
久磁 石 検 出式 ス イ ッ チ
性 体 検 出 式 ス イ ッチ
大
し
小
永 久 磁 石 の接 近 に よ って 作 動 させ る方 式 で あ る。
② 磁 性体検 出方式 ス イ ッチ 内部 に永 久 磁 石 を組 み込 ん だ も ので,磁
性 体 ピス トンが 接 近 して い
な い 状 態 で は ス イ ッ チ が 作 動 しな い よ う に取 り付 け られ て い る。 これ に磁 性 体 ピス トンが 接 近 す る と,磁 界 が 変 化 して ス イ ッチ が 作 動 す る。 この 方 式 は ピス トンが 磁 性 体,シ
リン ダ が非 磁 性 体 で あ れ ば,シ
リ ン ダ設 置 後 で も必 要 に応 じ
て ス イ ッチ を後 か ら取 り付 け られ る。 (b) 検 出 素 子 に よ る分 類
①
有接点 ス イ ッチ
電 源 の 種 類 にか か わ らず に使 用 す る こ とが で き る が,基 本 的 に は磁 界 の 変 化 で 作 動 す る リー ドス イ ッチ(図6・8)で,接 点 容 量 が 小 さ く そ の ま ま使 用 で き な い。 こ の た め 用 途 に 応 じ て 保 護 回 路 を設 け る。
②
図6・8リ
ー ドス イ ッ チ の 構 造
無接 点ス イ ッチ
検 出 素 子 と して ホー ル素 子,磁 気 抵 抗 素 子 等 の半 導 体 ま た は強 磁 性 合 金 薄 膜 か ら な る磁 電 変 換 素 子 を用 い た もので,増
図6・9無
幅 回 路 を 内 蔵 し て い る。
接 点 ス イ ッチ
無 接 点 式 と有 接 点 式 の特 性 を比 較 す る と,表6・7の 表6・7無
項
目
信頼性
接 点 式 と有 接 点 式 の比 較
無接点方式
有接点方式
可 動 部 が な く,高 い 実用上問題 ないが無接点 よ り低 い
寿命
半永久
数百万∼ 数千万 回
接 点 の チ ャ タ リ ング
な し
あり
振 動 ・衝 撃
電源 の種類 結線 ス ペ ー ス
負荷 開閉容量
〔2 〕
(a)
よ うに な る。
影響 ない DCに
限 られ る
限界 あ り ACもDCも
使用可 2本
2・3本
小
大
大 きい
小 さい
シ リンダ ス イ ッチ の作 動 原 理
有 接 点 ス イ ッチ
図6・8に 示 す 有 接 点 ス イ ッチ(リ ー ドス イ ッチ)は,ガ
ラ ス管 内 部 に 鉄 ・ニ ッ
ケ ル 合 金 で で きた リー ド片 2枚 に 適 当 な ギ ャ ッ プ を も た せ,不
活 性 ガ ス(N2)
と と も に封 入 した もの で,外 部 か ら磁 石 な どに よっ て 磁 界 を与 え る こ と に よ り リー ド片 が 磁 化 さ れ,吸 引 力 を生 じて接 点(リ
ー ド片)が 閉 じ る構 造 に な っ て
い る。 (b) 無接 点ス イ ッチ
ピス トン に組 み込 まれ た永 久 磁 石 が ス イ ッチ に 接 近 す る こ と に よ り,そ の磁 界 の影 響 を受 け て磁 気 抵 抗 素 子 の 出力 電 圧 が 種 々 に 変 化 す る。 こ の信 号 を増 幅 処 理 す る こ とに よ りス イ ッチ ン グ 出力 が 得 られ,表 示 灯(赤 色 発 光 ダ イ オ ー ド) が 点 灯 す る よ うに構 成 され て い る。 磁 気 抵 抗 素 子 と して は,半 導 体 製 の もの よ り も温 度 係 数 が 小 さ く,磁 気 感 度 も高 い 強 磁 性 合 金 薄 膜 製 の もの が 一 般 的 に使 わ れ る。
揺 動 形 ア クチ ュエー タ
6・3
回 転 角 度 に 制 限 が な く自 由 に可 逆 回 転 す る空 気 圧 モ ー タ,空 気 圧 ター ビ ン, パ ル ス モ ー タ や 往 復 直 線 運 動 をす る シ リ ンダ に対 し て,一 定 の 角度 範 囲 で揺 動 す る揺 動 形 ア ク チ ュ エ ー タが あ る。 揺 動 形 ア ク チ ュエ ー タ を分 類 す る と表6・8 の よ うに な る。 表6・8
揺 動 形 ア クチ ュ エ ー タの 種 類 シ ン グル ベ ー ン 形
ベー ン方式 ダ ブ ル ベ ー ン形 揺 動 形 ア クチ ュ エ ー タ
ラ ッ ク
ピニ オ ン 形
ピ ス トンヘ リ カ ル スプ ラ ィ ン形 ピ ス トン 方式 ピ ス トン チ ェ ー ン形
ピ ス トン リ ン グ形
ベ ー ン方 式 は構 造 が 比 較 的 簡 単 で,小 形 の た め取 付 け ス ペ ー ス が コ ンパ ク ト に で き る。 しか し 内部 漏 れ の 問題 が あ り,負 荷 の か か っ た 状 態 で 中 間 位 置 停 止 を長 時 間 保 つ の は 困難 で,ま た 揺 動 速 度 設 定 範 囲 も ピス トン式 に比 べ て小 さ い。 一 般 に シ ン グ ル ベ ー ン形 は280°以 下
,ダ ブ ル ベ ー ン形 は100°以 下 の 揺 動 角 で あ
る。 ピス トン方 式 は,シ
リ ンダ と同様 な ピス トン力 を受 け る直 線 運 動 の 力 を,各
種 機 構 を 介 し て 出 力 軸 の 回 転 力 に変 え る。 揺 動 角 はべ ー ン 方 式 に比 べ て 比 較 的 任 意 に とれ るが,形 状 が長 くな り取 付 けス ペ ー ス は 多 少 大 き くな る。 ラ ック ピニ オ ン形 は ピ ス トン に連 結 され た ラ ック の 直 線 運 動 を ピニ オ ン(小 歯 車)の
回転 運 動 に 変 え,出 力 軸 を 回転 させ る。 内部 漏 れ が 少 な く,負 荷 状 態
で ベ ー ン 方式 よ り長 時 間 の 中 間 停 止 を保 つ こ とが で き る。 揺 動 速 度 設 定 範 囲 も ベ ー ン方 式 に比 べ て大 き く,ま た 内 部 ク ッ シ ョ ン機 構 の 設 置 も容 易 で あ る。
〔1〕 構 造 と作 動原 理 図6・10は シ ン グ ル ベ ー ン 形 の 構 造 例 で,出 の容 積 は増 加 し,排 気 口R2の
口 A よ り加 圧 す れ ば 排 気 口R1
空 気 は 出 口 B か ら排 出 さ れ て ベ ー ン を時 計 方 向
に 回転 させ る と と も に,ベ ー ン に加 わ る圧 力 で シ ャ フ トに 回転 力 が 得 られ る。 図6・11は ラ ック ピニ オ ン形 で,出
口 A よ り加 圧 す れ ば ピ ス トン に 右 方 向 へ
の力 が働 き,ピ ス トン と連 結 され て い る ラ ック が 右 方 向 へ 移 動 す る。 これ に伴 い ピニ オ ンが 時計 方 向 に 回転 し,ピ ニ オ ン と一 体 に な っ て い る シ ャ フ トに回 転 力 が 得 られ る。
図6・10
シ ン グルベ ー ン形
理 論 回 転 力(ト
図6・11ラ
ッ ク ピニ オ ン 形
ル ク)は 次 の 式 で 計 算 す る。
・ベ ー ン 形 の 場 合:
(6・2)
T:理
論 トル ク 〔N・m〕,b:ベ
ー ン 室 の 幅 〔㎜
〕
D:ベ
ー ン室 直 径 〔 ㎜
〕, n:ベ
ー ンの 数
d:ベ ー ン軸 直 径 〔㎜
〕,P:供
給 空 気 圧 力 〔MPa〕
・ラ ッ ク ピ ニ オ ン形 の 場 合:
(6・3)
D:シ
リ ン ダ 径 〔㎜
〕, n:ピ
ス トンの 数
d:ピ
ニ オ ンの ピ ッチ 円直 径 〔 ㎜
〕
6・4
空気 圧 モー タ
圧 縮 空 気 の エ ネ ル ギ ー を利 用 して,連 続 的 な回 転 運 動 を行 わ せ るの が空 気 圧 モ ー タ で あ る。 空 気 圧 モ ー タ は 古 くか ら鉱 山,化 学 工 場 な ど,爆 発 性 ガ ス の 発 生 す る と こ ろで 電 動 機 の 代 わ りに 防 爆 の 目 的 で 使 用 さ れ て きた 。 最 近 は どの工 場 で も簡 単 に圧 縮 空 気 が 得 られ るの で,ホ
イ ス ト,か くは ん 機,ま
た はナ ッ ト
ラ ンナ,空 気 圧 ドラ イバ な どの空 気 動 力 工 具 に組 み 込 まれ るな どそ の 用 途 は広 い。 空 気 圧 モ ー タ は構 造 上 表6・9の よ う に分 類 され る。 表6・9
空 気 圧 モ ー タの 種 類 ラ ジア ル 形 ピ ス トン 形
ア キシャル形
容 積 式
歯 車 形
空気圧モー タ ロ ー タ リベ ー ン 形 ター ボ 式
〔1〕
(a)
構造 と作動原理 ラ ジ ア ル ピス トン 形
図6・12の よ うに3∼5個
の シ リ ン ダ を 放 射 状 に設 け,ク ラ ン ク 軸 に連 結 さ
れ て い る ロー タ リバ ル ブ に よ っ て順 次 圧 縮 空 気 を シ リン ダ に送 り込 み,そ れ ぞ れ の ピス トン を作 動 させ て ク ラ ン ク軸 に回 転 力(ト
(b)
ル ク)を 与 え る。
ロ ー タ リベ ー ン 形
図6・13の よ う に4∼8枚
の合成 樹脂 ベー ンが空気 圧 モー タのケ ー シ ング内
に偏 心 して取 り付 け て あ り,こ れ が ロ ー タ に挿 入 さ れ て い る。 圧 縮 空 気 が 送 り 込 まれ る と,隣
り合 っ た 各 ベ ー ンの 面 積 差 に よ り回転 力 が 与 え られ,ロ
一体 の出力軸 が回転 す る
。
ータと
図6・12ラ
図6・13
ジ ア ル ピ ス トン 形
ロ ー タ リベ ー ン 形
〔2〕 特 徴 以 下 に空 気 圧 モ ー タ の特 徴 を ま とめ て お く。 ・爆 発 の 危 険 性 が 高 い と ころ で も使 用 で き る ・過 負 荷 に よ る焼 損 が な い ・負 荷 トル ク に応 じた 回転 数 が 得 られ る ・回 転 速 度 が100rpm∼
最 大 出 力 時 回 転 数 まで 自 由 に変 え られ る
・ トル ク調 整 が 減 速 弁 で 自由 に制 御 で き る ・シ ョ ッ クの な い 瞬 時 起 動,停 止,逆
転が行 える
・自己 冷 却 に よ り周 囲 温 度70℃ まで 使 用 で き る ・多 湿 ,粉
じん な どの 悪 環 境 で使 用 で き る
表6・10に
ラ ジ アル ピス トン形 と ロー タ リベ ー ン形 の 比 較 を示 す 。
表6・10ラ
項
目
回転範 囲 空気消費量
コ ンパ ク ト性
潤滑 方法
ジ ア ル ピス トン形 とロ ー タ リベ ー ン形 の比 較 ロ ー タ リベ ー ン形
ラ ジ アル ピ ス トン形 低 速 域 で 安 定 した 性 能 が 得 られ る
低 速 域 の 安 定 性 は あ ま りよ くな い が 高 速 で
(150∼200rpm)
安 定 す る(600∼5000rpm)
他 の 空 気 圧 モ ー タ に比 べ て 少 な い
シー ル の 難 し さ も あ り,空 気 漏 れ を押 え き れ ない
出力 あた りの容積 は電動機 よ りやや小 さ 非 常 に コ ンパ ク トで,出 力 あ た りの 容 積 は い程度 電 動 機 の1/4程 度 に で き る モ ー タ の ケ ー ス 内 に保 有 で きる の で 自己
空 気 圧 ラ イ ン のル ブ リケ ー タ よ りの 給 油 が
潤 滑 が 可 能 。 しか し,油
必要
を 消 費 す るの で
定期 的保 給 が 必 要
排気音
起動特性
耐久性 価
格
回転 数 域 が 低 い の で低 周 波 音 とな り,マ フ ラ使 用 に よ る消 音 効 果 が 望 め る
回 転 数 域 が 高 い ので,高 周 波 音 で 高 性 能 の マ フ ラ を使 用 し な い と,消 音 効 果 は低 い
起 動,制 動時 に十分空気圧 を生かす こと 起動,制 動時 に十分空気圧 を生か しきれな い がで きる 耐久性 が良 く,特 性 の変化 がない
べ 一 ン の摩 耗 に注 意 し,一 定 期 間 に交 換 す る のが 望 ま しい
構成 部品が多 く高価
構成部品が少 な く安価
7
その他 の空気圧機器
写 真7・1そ
の 他 の 空 気圧 機 器(コ ガ ネ イ)
7・1 エ ア ハ イ ド ロ ユ ニ ッ ト
エ アハ イ ドロ ユ ニ ッ トは空 油 変換 器 と もい い,空 に 変 換 して,そ
気圧 を そ れ と同圧 力 の油 圧
の 油 圧 で シ リ ンダ を作 動 さ せ るた め の 変 換 器 で あ る。
空 気 に は圧 縮 性 が あ る た め,低 速(50㎜/s以
下)の
と き油圧 の よ う な 円 滑
な 速 度 制 御 が 得 られ な い。 この た め,圧 縮 性 の ほ とん ど な い 油圧 の 速 度 制 御 の よ さ を組 み 合 わ せ た 機 器 が 必 要 で あ る。
〔1〕 構 造 と作 動原 理 図7・1で 5ポ ー ト電 磁 弁 に通 電 され て い な い と き は,空 気 圧 は コ ンバ ー タ A に入 り,空 気 圧 と同 圧 力 が 油 圧 シ リン ダ の ロ ッ ド側 に流 入 す るた め ピ ス トン は 後 退 して い る 。 ス トップ弁 とス キ ップ弁 の パ イ ロ ッ ト電 磁 弁 に通 電 し,ス
トッ
プ 弁 とス キ ップ 弁 を開 い た状 態 で 5ポ ー ト電 磁 弁 を切 り換 え る と,空 気 圧 と同 圧 力 の 油 圧 が コ ンバ ー タ B か ら油 圧 シ リン ダ の ヘ ッ ド側 に 流 れ ピ ス トン は 前 進 す る。 この と き は ロ ッ ド側 の 油 は ス キ ッ プ弁 と流量 制 御 弁 の絞 りを通 っ て コ ンバ ー タ A に戻 るの で,ピ
ス トン は 高速 で 作 動 す る。
図7・1エ
ア ハ イ ドロ ユ ニ ッ トの 構 成
ピス トンが 前 進 中 にス キ ップ 弁 へ の通 電 を切 っ て ス キ ッ プ弁 を閉 じ る と,流 量 制 御 弁 の絞 り開度 に よ っ て 決 ま る流 量 の み コ ンバ ー タ B へ戻 るの で,ピ ス ト ン は低 速 送 り とな る。 さ らに ス ト ップ弁 へ の 通 電 を切 って ス トップ 弁 を閉 じ る と,コ ンバ ー タ B へ戻 る油 は完 全 に遮 断 され る の で ピス トン は 中 間 停 止 す る。 こ れ ら を図 に表 す と図7・2の よ う に な る。 た とえ ば,エ ア ハ イ ドロ ユ ニ ッ トを ボ ー ル 盤 で の ド リル 送 り に応 用 す る とき, ド リル が ワー ク に近 づ くまで は早 送 り(空 気圧)し,ワ
ー ク直 前 で ス キ ップ 弁
図7・2エ
を 閉 じて 切 削 送 り(油 圧)し
ア ハ イ ドロユ ニ ッ トの 作 動 原 理
て,非 常 時 に は ス ト ップ 弁 を閉 じて ド リル 送 りを
停 止 させ る と い う具 合 に使 用 す る。 ス トップ 弁,ス
キ ップ 弁 はNC形
の 構 造 に な っ て る の で,停 電 時 や 空 気 の供
給 が 断 た れ た とき はそ の 位 置 で停 止 す る。 また 油 圧 で シ リン ダ を作 動 させ て い る の で,ド
リル が ワー ク を貫 通 した 瞬 間 に ドリル が 飛 び 出 す こ とが な い 。 特 に
圧 力補 償 付 き流 量 制 御 弁 を使 用 して い る と きは,切
削抵 抗 や 空 気 圧 力 が 変 化 し
て も ド リル送 り速 度 は一 定 で あ る。 5ポ ー ト電 磁 弁 を切 り換 え る と,速 度 制 御 弁 の 絞 り開 度 に応 じた 速 度 で ピ ス トン は後 退 す る。
7・2 ハ イ ド ロ チ ェ ッ カ
ハ イ ドロ チ ェ ッカ は油 圧 の閉 じた 回 路 を もつ 油 圧 シ リン ダ で,エ ア ハ イ ドロ ユ ニ ッ トと同 じ機 能 を も ち,空 気 圧 シ リ ンダ の 送 り制 御 装 置 と して 用 い られ る。 ハ イ ドロ チ ェ ッカ はチ ェ ッカ と併 用 す る空 気 圧 シ リ ンダ と の相 対 関 係 か ら,空 気 圧 シ リ ンダ と結 合 して 直 列 に な った 直 列 形 と,空 気 圧 シ リ ンダ と別 に並 行 す る よ う に配 置 され て い る並 列 形 が あ る。 チ ェ ッ カ と して 一 般 的 に 用 い られ る の は 並 列 形 で あ る。
〔1〕 構 造 と作 動 原 理 図7・3は ン ダ,速
ハ イ ド ロ チ ェ ッ カ の 構 造 例 で,チ
度 制 御 機 構,連
結 チ ュ ー ブ,バ
図7・3並
ェ ッ ク 弁 付 き ピ ス ト ン,油
圧 シ リ
ラ ンス シ リン ダ な どで構 成 さ れ て い る。
列 形 ハ イ ドロチ ェ ッ カ
空 気 圧 シ リ ンダ が 前 進(図 の左 方 向)す る と,連 結 板 に よ り油 圧 シ リ ンダ 部 も 前 進 す る。 この と きチ ェ ッ ク弁(逆 止 め弁)と オ リフ ィ ス お よび速 度 調 整 ノ ブ に よ り油 圧 シ リ ンダ 部 の 油 の移 動 流 量 は 制 御 さ れ るた め,空 気 圧 シ リン ダ も速 度 制 御 され る。 空 気 圧 シ リ ンダ が 後 退(図 の右 方 向)す る と,同 様 に油 圧 シ リ ン ダ部 も後 退 す る が,油
の流 れ 方 向 は前 進 時 と逆 に な るた め,油
は チ ェ ッ ク弁 を 自 由 流 れ で 移
動 す る。 した が っ て,ハ イ ドロ チ ェ ッ カの 速 度 制御 を受 けな い 。 空 気 圧 シ リ ン ダが 前 進 す る とき,オ
リフ ィス を通 っ た 油 は連 結 チ ュ ー ブ を経
て チ ェ ッカ の ピ ス トン後 部 に入 る。 油 圧 シ リ ンダ 内 の油 は ロ ッ ドの容 積 分 だ け 過 不 足 を生 じ るた め,バ ラ ン ス シ リ ン ダ 内 の 油 が 必 要 に な る。 チ ェ ッカ の 速 度 は オ リフ ィス を通 過 す る油 の 量 を調 整 す る こ と に よ っ て 正 確 に制 御 で き る。 エ ア ブ リー ダ は,ハ イ ドロチ ェ ッカ 内 の 油 に 空 気 が混 入 し て い る とチ ェ ッカ の 特 性 が 発 揮 され な い た め,空 気 抜 き を す る もの で あ る。 また ス トップ 弁 は 油 圧 シ リン ダ の 中 間 停 止 の た めの 2ポ ー ト電 磁 弁,ス
キ ッ プ弁 は油 を オ リフ ィス
お よび 速 度 調 整 ノ ブ を通 さ ず に移 動 させ る もの で,2 ポ ー ト電 磁 弁 で あ る 。この 場 合,油
圧 シ リン ダ は 早 送 り とな る。
7・3 シ ョ ッ ク ア ブ ソ ー バ
空 気 圧 シ リン ダ で 物 を搬 送 した り昇 降 した りす る場 合,物 体 の もつ運 動 エ ネ ル ギ ー に よ っ て シ リン ダ の ス トロー クエ ン ドで 大 きな 衝 撃 力 が 発 生 す る。 空 気 圧 シ リ ンダ に は ク ッ シ ョン機 構 が 内 包 さ れ て お り,あ る程 度 の運 動 エ ネ ル ギ ー は 吸 収 す る こ とが で き るが,近
年 特 に作 業 の 高速 化,高
能 率 化 が 要 求 され て き
て お り,内 包 ク ッ シ ョ ン で は 吸収 し きれ な い使 用 法 もあ る。 この た め,シ
ョッ
ク ア ブ ソー バ は シ リ ンダ 外 部 に設 置 して 衝 突 前 の 運 動 と逆 向 き の抗 力 を作 用 さ せ,衝
突 物 の エ ネ ル ギ ー を吸 収 す る もの で あ る。
〔1〕
シ ョッ クア ブ ソーバ の種 類
代 表 的 な もの と し て,表7・1に
示 す よ うに 4種 類 が あ げ られ る。 この 4種 類
の抗 力 と変 位 の 関 係 を図7・4に 示 す 。 ① の 直 線 と②,③,④
の 曲線 と横 軸 に 囲 まれ た 面 積 は吸 収 す る運 動 エ ネ ル ギ
ー を 表 して い る。 同 じ運 動 エ ネ ル ギ ー で あ る場 合 は② の 抗 力 よ り③,④ は低 くな る の で,シ
の抗 力
ョッ ク ア ブ ソー バ の 取 付 構 造 も小 さ く設 計 で き,運 動 物 体
も最 小 の 緩 衝 力 で 効 率 よ く停 止 させ る こ とが で き る。
図7・4シ
ョッ クア ブ ソー バ の 抗 力-変 位 線 図
表7・1シ
ョ ッ クア ブ ソー バ の種 類
① ス プ リン グ形
② 単一 オ リフ イ ス形 (油 圧 式)
③ 多孔 オ リフ ィ ス 形 (油 圧 式)
④ 縦 形オ リフィス棒 形 (油 圧 式)
〔2〕 構 造 と作 動 原 理 表7・1の ③ は,最
も多 く使 用 され て い る多 孔 オ リ フ ィ ス形 で あ る。 ロ ッ ドに
あ る運 動 エ ネ ル ギ ー を もっ た物 体 が 衝 突 す る と,ピ ス トン背 面 に圧 力(油 を生 じ る。 この圧 力 エ ネ ル ギ ー は内 側 チ ュー ブ に設 け られ た 逃 げ穴(オ ス)よ
り噴 出 す る際,熱
圧) リフ ィ
エ ネ ル ギ ー とな っ て大 気 に放 散 され,作 用 物 体 の エ ネ
ル ギ ー は緩 衝 器 ピ ス トンの ス トロー ク エ ン ド まで 移 動 す る間 に消 費 さ れ る。 こ の場 合,図7・4の
③ に 示 す よ うに,エ
ネ ル ギ ー の消 費 が 変 位 に対 して 平 均
的 に行 わ れ る の で,物 体 をス ム ー ス に停 止 させ る作 用 を す る。 した が っ て,平 均 化 した エ ネ ル ギ ー の消 費 を行 う た め に は,オ
リフ ィス の 形 状,大
お よ び 位 置 の相 互 関 係 が重 要 な ポ イ ン トに な る。
きさ,数 量
7・4
真空用機器
空 気 圧 を利 用 した 空 気 圧 機 器 に対 して,大 気 圧 よ り低 い圧 力(負 圧)を
利用
した の が 真 空 用 機 器 で あ る。 これ ら真 空 用 機 器 の 用途 を分 類 す る と,半 導体 製 造 過 程 で の真 空 蒸 着,蛍
光 灯 の製 造 過 程,ガ
ラ ス分 析,真
空 乾 燥 な ど完 全 真 空
に近 い 高 真 空 の 分 野 と,ワ ー ク の吸 着 ・取 出 し と供 給 な どの低 真 空(-40∼87 kPaぐ
らい)の 分 野 に分 け られ る。 こ こで は,自 動 化 機 器 と して よ く使 用 され
る低 真 空 機 器 に つ い て述 べ る。 〔t〕
真空発生器
真 空 発 生 器 と して は,従 来,真
空 ポ ン プ(べ ー ン式,油
回 転 式)を 使 用 して
きた が,装
置 が 大 き い,真 空 弁 に よ る制 御 が 必 要 な どの 問題 点 が あ っ た 。 これ
に比 べ,近
年 のFA化
機 器 と して の 空 気 圧 機 器 と し て,同
じ空 気 圧 を使 用 で き
る,真 空 発 生 部 に可 動 部 が な い な どの 利 点 が あ る真 空 発 生 器(エ ジ ェ ク タ)が 多 用 化 され て い る。 図7・5は エ ジ ェ ク タの 構 造 で,1 対 の ノ ズ ル とデ ィフ ユー ザ か ら構 成 さ れ る。 1次 側 の 空 気 圧 を ノ ズ ル か ら デ ィ フ ユ ー ザ に向 か っ て 噴 射 す る と き の 速 度 に よ り,2 次 側 の 空 気 が 吸 引 され て 真 空 が 発 生 す る。
図7・5エ
ジ ェ ク タの 原 理
ま た,エ
ジ ェ ク タ と と も に 使 用 さ れ る 機 器 と し て,圧
電 磁 弁,フ
ィル タ な どが あ る。
力 ス イ ッ チ,空
気圧用
〔2〕 吸 着 用 パ ッ ド 真 空 圧 に よ りワ ー ク をつ か む働 き をす る の が 吸 着 用 パ ッ ドで あ り,材 質 に は 一 般 にニ ト リル ゴ ム が使 用 され て い るが ,ワ ー ク の状 態 や 周 囲 の 環 境 に よ っ て は ウ レ タ ン ゴム や シ リ コ ン ゴム な どが使 用 さ れ る こ と もあ る。
7・5 空気圧 用 消 音器 空 気 圧 回路 に使 用 す る方 向 切 換 弁 の排 気 ポ ー トか ら空 気 圧 を大 気 へ 放 出 す る と き,空 気 圧 が 急 激 に膨 張 す る た め大 き な排 気 音 を発 生 す る。 こ の排 気 音 を減 衰 さ せ る の が 空 気 圧 用 消 音 器(サ
イ レ ンサ)で
あ る。
〔1〕 サ イ レ ンサ サ イ レ ン サ は消 音 方法 の 原 理 に よ り,膨 張 形,吸
収 形,干
渉 形 な どに分 け ら
れ る。 図7・6は 膨 張 吸収 形 の 例 で,排 気 は膨 張 室 で膨 張 した 後,多 孔 質 の ポ リ エ チ レ ン焼 結 体 製 の エ レメ ン トを通 過 し,ケ ー ス の 谷 の部 分 に あ る ス リ ッ トか ら放 出 され る。 小 形 で優 れ た 消 音 効 果 を も っ て お り,切 換 弁 へ 直 接 取 り付 けて 使 用 され る。 サ イ レ ン サ の 必 要 条 件 と して,
図7・6サ
イ レ ンサ
①
排 気 抵 抗 が 少 な く,方 向切 換 弁 の 切 換 機 能 に 影 響 を与 え な い こ と。 規 格 と し て有 効 断 面 積(表7・2)で 表7・2サ
②
表 して い る。 イ レ ンサ の有 効 断 面 積(JIS B 8379)
口径の呼び
有効断面積 〔 ㎜2〕
8A
30以 上
10A
60以 上
15A
90以 上
20A
160以 上
25A
280以 上
消音 効 果 が 大 き く,排 気 減 衰 特 性 と し て20db(A)以
上 で あ る こ と。
③ 異 物 に よ り消 音 材 の 目詰 りが 発 生 して も十 分 に 耐 え る構 造 で あ る こ と。 が あ る。 〔2〕 排 気 用 オ イ ル ミス トセ パ レ ー 夕 ル ブ リケ ー タ か ら供 給 さ れ る潤 滑 油 は,方 向 制 御 弁 お よび ア ク チ ュ エ ー タ 内 部 を潤 滑 した 後,余
分 な油 が再 び 方 向制 御 弁 の 排 気 ポ ー トか ら大 気 中 に放 出 さ
れ る。 この 排 気 中 に 含 まれ る オ イ ル ミス トは 環境 汚 染 の も と に な るの で,こ
れ
を除 去 す る と と もに サ イ レ ンサ と同 じ消 音 効 果 を もた せ た もの が 排 気 用 オ イ ル ミス トセパ レー タ で あ る。 図7・7は そ の 構 造 例 で,オ
イ ル ミス トを含 ん だ 空 気 が 排 気 用 オ イ ル ミス トセ
パ レー タ に入 る と,コ ア レ ッシ ング エ レ メ ン トの 表 面 や 内部 で 慣 性 衝 突 や ブ ラ ウ ン運 動 に よ る拡 散 な ど に よ り捕 促 され た オ イ ル ミス トは凝 集 し,液 体 とな っ て 重 力 に よ っ て 降 下 して オ イル ケ ー ス に た ま る。 一 方,電 磁 弁 か らの 排 気 騒 音 は,エ
レ メ ン トの 〓 材 に よ り音 の伝 幡 を防 ぐ と同 時 に そ の抵 抗 に よっ て 空 気 の
乱 れ が な くな り,ま た〓 過 面 積 が排 出 口径 の面 積 よ り広 い こ とか ら,エ レ メ ン トの通 過 速 度 が 減 少 さ れ るの で 消 音 が 行 わ れ る。
図7・7オ
イ ル ミス トセ パ レー タ
7・6 空 気圧 配 管 空 気 圧 シ ス テ ム の 配 管 を油 圧 シス テム の配 管 と比 較 して,そ
の特 徴 を以 下 に
述 べ る。
〔1〕 空 気 圧 配 管 の特 徴 (a)圧
力
空 気 圧 の 圧 力 は,一 般 的 に0.49∼0.68MPaで るか ら,油 圧 に比 べ る と配 管 方 法 や維 持,配
高 くて も0.98 MPa未
満であ
管 材 料 等 が 容 易 で しか も安 価 で 使
い や す い 。 油 圧 の 場 合 は 非圧 縮 性 で あ る の で,オ
イ ル ハ ン マ(油 撃 作 用)が
あ
り,そ の た め の耐 久 性 を 考慮 す る必 要 が あ るが,空 気 圧 は圧 縮 性 を もっ て い る の で,オ
イ ル ハ ンマ に よ る影 響 を考 え な くて も よ い。 した が っ て,ナ
イ ロ ンチ
ュー ブ や ウ レ タ ンチ ュ ー ブ な どが 多 く使 わ れ る。 (b)戻
り配 管
空 気 圧 の場 合 に は,大 気 を 吸収 して 圧 縮 し,そ の エ ネ ル ギー を ア クチ ュエ ー タ で使 い終 わ った と こ ろ で大 気 に戻 す オ ー プ ンル ー プ シス テム で あ るた め,油 圧 の よ う に タ ン ク に戻 す 戻 り配 管 が 不 要 で あ る 。 た だ し,大 気 に戻 す排 気 音 を き ら う と こ ろや 環 境 汚 染 を 伴 う場 合 に は,戻
り
配 管 を して 処 理 す る場 合 もあ る。 (c)空 気 圧 源 油 圧 シス テム が そ れ ぞれ の装 置 に油 圧 発 生 源 と し て の油 圧 ユ ニ ッ トを もっ て い る の に対 して,空
気 圧 シ ス テ ム で は工 場 内 の 空 気 は空 気 圧 発 生 源(空
気圧縮
機)1 つ で 行 う こ とが で き,工 場 内 の 隅 隅 まで 配 管 を行 う こ と に よ り手 軽 に空 気 圧 を使 用 す る こ とが で き る。 (d)漏
れ
油 圧 の よ う に漏 れ に よ る環 境 汚 染 や 火 災 の 危 険 性 が な い の で,空
気 圧 は漏 れ
に よっ て 問 題 に な る こ とは な い 。 電 磁 弁 や減 圧 弁 で は漏 ら し を行 う に とに よっ て,長 寿 命 や 高 性 能 を維 持 して い る もの もあ る。 しか し,配 管 中 の 漏 れ は エ ネ ル ギ ー の 損 失 で あ り,極 力 防 が な け れ ば な ら な い。 した が っ て,定 期 的 に配 管 漏 れ の チ ェ ッ ク を して 漏 れ の 防 止 を す る必 要 が あ る。 (e) 水 分 と さび 空 気 中 に は水 分 が 含 まれ て い て,圧 縮,冷
却 さ れ る こ と に よ っ て そ の水 分 が
分 離 し て配 管 中 に ドレ ン と して た ま る。 この ドレ ン に よ って 配 管 に さ び が 発 生 し,こ れ が 脱 落 して 配 管 中 に空 気 と と も に送 られ て末 端 の 機 器 に 悪 い影 響 を及 ぼ す の で,能 率 よ く効 果 的 に ドレ ン を除 去 す る必 要 が あ る。 ドレ ン を 除去 せ ず に そ の ま ま放 置 す る と,空 気 タ ン ク や配 管 中 に た ま り,タ ン ク で は そ の蓄 圧 能 力 が 落 ち,圧 縮 機 の 負 荷 を 増 大 させ る。 また,配 管 内 の 通 気 抵 抗 が 増 大 して 能 力 が 低 下 す る の で,ド (f)凍
レ ン は必 ず 定 期 的 に抜 く こ とが 必 要 で あ る。
結
圧 縮 空 気 は膨 張 に よ っ て 温 度 が 低 くな る の で,周
囲 温 度 が 0℃ 以 下 に な ら な
くて も配 管 中 の 水 分 が 凍 結 す る こ とが あ り,配 管 や 機 器 の 能 力 を低 下 させ た り 故 障 し た りす る こ とが あ るの で,寒 (g)間
冷 地 や 屋 外 配 管 等 で は注 意 が 必 要 で あ る。
欠運転
装 置 が一 時 的 に多 量 の 空 気 を消 費 す る場 合 に は,そ の 装 置 の 近 くに 補 助 タ ン ク を設 置 し,空 気 を蓄 圧 す る こ と に よ り圧 縮 機 の 容 積 を小 さ くで き る。 ま た, 配 管 の径 を小 さ く,し か も圧 力 変 動 を少 な くす る こ とに よ り,他 の機 器 へ の影
響 が小 さ くな る。 これ は空 気 圧 の特 微 で あ る圧 縮 性 を利 用 した 便 利 な 方 法 で あ る。
〔2〕 配 管 上 の 注 意 ①
工 場 内 で 多 数 の機 器 を使 用 す る場 合 に は,で
き る だ け圧 力 変 動 を少 な く
す る た め,図7・8の よ うに主 管 路 をル ー プ状 に 循 環 さ せ る よ うに 配 管 す る。 そ して部 分 的 に 点 検 で き る よ う に適 当 な 間 隔 に ス トッ プ弁 を設 け て,他 の 装 置 を停 止 さ せ な くて も配 管 の 点 検 が で き る よ うに す る。 また,圧 縮 機 は 2台 以 上 に し て交 互 に使 用 した り,1台 が故 障 した場 合 で も送 風 で き る よ う に す る。
図7・8配
②
管(a)
図7・9配
管(b)
主 管 路 は 図7・9の よ う に管 内 の ドレ ン の 流 出 を良 くす る た め,下 流 に 向 か っ て 下 り勾 配(1/100程
度)を 設 け,端 末 に は ドレ ンだ め と ドレ ン排 出弁
を取 り付 け る。 ③
主 管 路 か ら分 岐 管 路 をつ くる場 合 に は,主 管 路 の 上 部 か らい っ た ん立 上 り部 を設 け て 分 岐 さ せ,主 管 路 の ドレ ンが 直 接 分 岐 管 路 に流 入 しな い よ う にす る。
④
主 管 路 や 分 岐 管 路 に は適 当 な間 隔 で フ ィル タ を設 け,さ び や カ ー ボ ン, 水 分 が 機 器 へ 流 入 し な い よ う に す る。
⑤
主 管 路 や 分 岐 管路 に フ ィル タ や減 圧 弁 を設 け る場 合 に は,機 器 の交 換 や 点 検 の た め分 解 可 能 な フ ラ ン ジ継 手 か ユ ニ オ ン継 手 で 接 続 して,分 解 の た め の ス ペ ー ス を確 保 し て お く。
⑥
配 管 が 直 線 で な い 場 合 に は熱 に よ る膨 張,収 縮 の た め の注 意 が 必 要 で あ る。
⑦
管 を接 続 す る ま え に管 内 の ブ ラ ッ シ ン グ を 十 分 に行 う。
⑧
ね じ部 に テ ー プ 状 の シー ル を巻 く場 合 に は,シ ー ル が 管 内 に は み 出 さ な い よ う に1,2山
手 前 か ら巻 く。
ゴム ホ ー ス や ナ イ ロ ンチ ュ ー ブ で 配 管 す る場 合,露
⑨
出 して い て物 が 当 た
っ た り踏 まれ た り可 能 性 の あ る場 合 は,保 護 カ バ ー を す る。
配管材料 と管継手
〔3 〕
(a)
配管材料
空 気 圧 制 御 に お け る配 管 材 料 は大 別 し て金 属 管 と非 金 属 管 が あ り,主 な もの を表7.3に
示 す 。 工 場 配 管 は主 と して 鋼 管 を 用 い,装 置 等 の 内 部 配 管 お よ び工
表7・3
区分
金 属 管
名
考
配管用炭素鋼鋼管
JISG3452(黒
管,白
配 管 用 ス テ ン レ ス鋼 鋼 管
JISG3459(原
子 力,航
銅お よび銅合金継 目な し管
JIS H 3300
管)
空 機,食
品 用 な ど)
アル ミニ ウ ム お よ び ア ル ミ JIS H 4080 ニ ウム 合 金 継 目 な し管
ナイ ロ ン チ ュ ー ブ
ポ リウ レ タ ン チ ュ ー ブ
金
ポ リエ チ レ ン チ ュ ー ブ
属
ビニ ル チ ュ
管
備
称
各種樹脂被覆管 非
主 な配 管 材 料
(ポ リエ チ レ ン,ビ ニ ル な ど に よ る被 覆) JIS B 8381(付
ーブ
テ フ ロ ン チ ュ ー ブ
空気用 ゴムホース
属 書)
(エ ス テ ル 系,エ
JIS K 6332
ー テル 系)
場 配 管 か らの 分 岐 管 路 等 は作 業 性 の 良 い 非 金 属 管 を用 い る傾 向 に あ る。 表7・4 に は配 管 用 炭 素 鋼 鋼 管 の 呼 び寸 法 を,表7・5に は ゴ ム ホ ー ス の 呼 び寸 法 を示 す 。 表7・4 配 管用炭素鋼鋼管 の寸法
表7・5ゴ
ム ホースの寸法
(b)管 継 手 配 管 材 料 を機 器 へ 接 続 す る た め の部 品 を管 継 手 とい い,表7・6の が あ る。 近 年,金
よ う な もの
属 管 の 代 わ りに 樹 脂 チ ュ ー ブ が 多 く使 用 され る よ う に な って
い る。 ね じ込 み 式 管 継 手 の最 高 使 用 圧 力 は表7・7に 示 す範 囲 で 使 用 す る必 要 が あ る。 表7・6
管の種類
金 属 管
管
継
手
の
種
主な空気圧用管継手
類
備 考
ねじ込 み式可 鍛鋳 鉄管継手
JIS B 2301
溶接式管継手
JISB2311,JISB2312,
ベロー ズ形 伸 縮 管継 手
JISB2316
JISB2352
フ レア 式 管 継 手 フ レア レ ス管 継 手
非金属管
空気圧用管継 手(た わみ管用)
JIS B 8381
空 気 圧 用 イ ン ス タ ン ト管継 手
JPAS(日
ゴム ホ ー ス用 管継 手 バー ブ 管 継 手
本 油 空 圧 工 業 会 規 格)011
表7・7ね 流
体
じ込 み式管継手 の最高使用圧力
の 状
態
300℃ 以 下 の蒸 気,空
気,ガ
220℃ 以 下 の 蒸 気,空
気 と ガ ス,油
最 高 使 用 圧 力 〔MPa G〕
ス,油
1.0 と脈動水
120℃ 以 下 の 静 流 水
フ レ ア 継 手,フ
1.4 2.0
レ ア レ ス 継 手,ゴ
ム ホ ー ス 継 手 を,そ
示す。
図7・10
図7・11フ
図7・12
フレア継手
レア レ ス継 手
ゴ ム ホ ー ス継 手
れ ぞ れ 図7・10∼7・12に
8 空気圧 回路 と図記号 空 気 圧 応 用 の 最 終 目標 は,各 種 空 気 圧 機 器 を使 っ て ア クチ ュ エ ー タ に仕 事 を させ る こ とで あ る。 こ こで は主 な 空 気 圧 回 路 の 基 本 と図 記 号 に つ い て 学 ぶ 。
8・1
空 気 圧 回路 で は,ま
主 な空気圧機器 の図記号
ず 回 路 に必 要 な 機 器 の構 成 を図 記 号 で 表 示 しな けれ ば な
らな い 。 機 器 の 図 記 号 に つ い て は,JISB0125(油
圧 お よび 空 気 圧 用 図 記 号)で
規 定 され て い る。 空 気 圧 回路 で 用 い る主 な図 記 号 を表8・1に 示 す 。 図記 号 を用 い た空 気 圧 回路 図 の か き方 を以 下 に示 す 。 ①
機 器 の 表 示 は,一 般 に は 作 業 して い な い平 常 状 態 で か く。
②
空 気 圧 回 路 を 設計 す る場 合 は,空 気圧 源 の 止 め 弁 が 開 か れ,空 気 圧 が 供 給 さ れ て い る状 態 で か く。
③
各 機 器 の 回 路 中 の 位 置 は,そ の 空 気 圧 回 路 に お い て 作 業 開 始 の 信 号(た と え ば押 し ボ タ ン ス イ ッチ を押 し て電 気 信 号 を送 る)を 与 え れ ば,直
ちに
作 業 を 開始 す る状 態 で か く。
8・2
空気圧基本回路
図8・1は 方 向 制 御 弁 に電 磁 弁 を使 っ た メ ー タ ア ウ ト制 御 に よ る複 動 シ リン ダ の駆 動 空 気 圧 回 路 で,最
も多 く使 用 さ れ て い る もの で あ る。 ソ レ ノイ ドが励 磁
され る と電 磁 弁 が 切 り換 わ っ て シ リン ダ が前 進 し,消 励 され る と電 磁 弁 は 元 の 位 置 に戻 っ て シ リン ダ は 後 退 す る 。
空気圧 回路 で用 い る主 な図 記号
表8・1
名 称
図
記 号
名 称
図
記
号
5ポ ー ト電 磁 弁(直 動 形)
ドレ ン排 出 器 付 き フ ィル タ リ リー フ付 き 減圧 弁(レ ギ ュ レ ー タ) (注)圧 力 計 付 き
速 度 制 御 弁 (ス ピ ー ドコ ン トロー ラ)
ル ブ リケ ー タ(オ イ ラ)
消 音 器(サ イ レ ン サ)
単動 シ リン ダ(ば ね 付 き)
絞 り弁(メ タ リン グバ ル ブ)
複動 シ リン ダ
空 油 変 換 器 (エ ア ハ イ ドロ ユ ニ ッ ト)
複 動 シ リンダ(ブ レー キ付 き)
増 圧 器(ブ ー ス タ)
2ポ ー ト電 磁 弁(直 動 形)
急速 排 気 弁 (ク ィッ クエ キゾー ス トバルブ)
リ リー フ弁
3 ポー ト電 磁 弁(直 動 形)
図8・1
電 磁弁に よる基本回路
電 磁 弁 の代 わ りに空 気 操 作 弁 を使 う と図8・2の よ うに な る。図8・1,図8・2と も に ロ ッ ドの 前 進,後 退 の 速 度 は速 度 制 御 弁 で 調 節 す る。
図8・2手
動 操 作 弁 に よ る基 本 回 路
全空気圧制御回路
8・3
電 磁 弁 を使 わ な い で手 動 操 作 弁 に よ っ て ア ク チ ュエ ー タ を作 動 させ る回 路 の こ とで,全
空 気 圧 制 御(オ ー ル エ ア)方 式 とい わ れ る。
この 方 式 の特 徴 と して は以 下 の よ うな もの が あ る。 ①
電 磁 弁 を使 わ な い の で 電 気 に よ る事 故 が な い。
②
電 気 接 点 が な い の で接 点 の 消耗 に よ る事 故 もな く,機 器 の 寿 命 は 電磁 弁 よ り長 い の が 一 般 的 で あ る。
③
特 に簡 単 な回 路 で は費 用 もは るか に安 い 。
〔1〕 手 動 操 作 弁 で シ ング ル ス トロー クす る回路 図8・3に 示 す 回 路 は,押 し ボ タ ン B を押 す と シ リン ダ が 前 進 し,押 し ボ タ ン A を押 す とシ リ ンダ が 後 退 して 元 の 位 置 に戻 る もの で あ る。 ①
押 しボ タ ン B を押 す と,圧 縮 空 気 が 空 気 圧 信 号 とな っ て 流 れ,空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る。
②
空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る と,シ
リン ダ の ロ ッ ドが 前 進 す る。 この とき,
押 し ボ タ ン B か ら手 を離 して も空 気 圧 操 作 弁 は そ の ま まの 状 態 で あ る か ら, シ リン ダ は前 進端 で 止 ま って い る。
図8・3手
③
動 操作弁に よる シ ン グル ス トロー ク回路
押 し ボ タ ン A を押 す と,圧 縮 空 気 が 空 気 圧 信 号 とな っ て流 れ,空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る。
④
空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る と,前 進 端 で 止 ま っ て い た シ リ ンダ は 後 退 す る。こ の と き,押
しボ タ ン A か ら手 を離 して も空 気 圧 操 作 弁 は そ の ま まの 状
態 で あ る か ら,シ
リ ン ダ は後 退 端 で 止 ま っ た ま まで あ る。
〔2〕 手 動 操 作 弁 で 1往復 す る 回路 押 し ボ タ ン を押 す と シ リン ダ が前 進端 ま で 進 み,そ
して 後 退 して元 の 位 置 に
戻 る回 路 で あ る(図8・4)。
図8・4手
①
動 操 作 弁 に よ る 1往 復 回 路
押 し ボ タ ン を押 す と圧 縮 空 気 が 空 気 圧 信 号 とな っ て流 れ,空 気 圧 操 作 弁
を切 り換 え る。 ②
空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る と,シ リ ンダ の ロ ッ ドが 前 進 す る。この と き,
押 し ボ タ ンか ら手 を離 して も,空 気 圧 操 作 弁 は その 状 態 の ま まで あ る。 ③
ロ ッ ドが 前 進 端 まで 進 む と,機 械 操 作 弁 を 押 す た め圧 縮 空 気 が 空 気 圧 信 号 と な っ て 流 れ,空 気 圧 操 作 弁 を切 り換 え る。
④
空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る と,シ
リン ダ の ロ ッ ドが 後 退 し,後 退 端 で 止
ま る。
〔3〕 手 動 操 作 弁 で連 続 往 復 す る回 路 手 動 操 作 弁 を切 り換 え る と,シ リ ン ダが 連 続 往 復 す る 回路 で あ る(図8・5)。
図8・5手
①
動 操 作 弁 に よ る連 続 往 復 回 路
手 動 操 作 弁 を切 り換 え る と,空 気 圧 信 号 は機 械 操 作 弁 A を通 っ て(機 械 操 作 弁 A は ロ ッ ドで 押 さ れ て弁 は 開 い て い る)空 気 圧 操 作 弁 を 切 り換 え る。
②
空 気 操 作 弁 が切 り換 わ る と,シ
リ ンダ の ロ ッ ドが 前 進 す る。
③
ロ ッ ドが 前 進 端 まで 進 む と機 械 操 作 弁 B を押 す ので,圧 縮 空 気 が 空 気 圧 信 号 とな っ て 流 れ,空 気 圧 操 作 弁 を切 り換 え る 。
④
空 気 圧 操 作 弁 が 切 り換 わ る と,シ
リン ダ の ロ ッ ドは後 退 す る。
⑤
ロ ッ ドが 後 退 端 まで くる と,機 械 操 作 弁 A を押 す た め弁 が 開 い て圧 縮 空 気 が 空 気 圧 信 号 とな っ て流 れ,空 気 圧 操 作 弁 を切 り換 え る。
⑥
手 動 操 作 弁 が 開 い て い る期 間,ロ
ッ ドは往 復 運 動 を続 け る。
〔4〕 シ ャ トル 弁 を用 い た回 路 この 回路 は,図8・4の
回路 に 3ポー ト電 磁 弁 とシ ャ トル 弁 を追 加 した 回路 で
あ る(図8・6)。 押 し ボ タ ンか 3ポー ト電 磁 弁 の どち らか 一 方 を切 り換 え る と, シ ャ トル 弁 を通 っ た 圧 縮 空 気 は 空 気 圧 信 号 とな っ て流 れ,空 気 圧 操 作 弁 を切 り 換 え る の で,シ
リ ンダ の ロ ッ ドが前 進 す る。
図8・6シ
ャ トル 弁 を 用 い た 回 路
この 回路 は,一 般 に手 動 操 作 と 自動 サ イ ク ル 操 作 を併 用 す る場 合 に広 く用 い られ る。
〔5〕 急 速 排 気 弁 を用 い た回路 図8・4の 回路 に急 速 排 気 弁 を追 加 して,シ
リ ン ダの 戻 り速 度 を速 くす る 回路
で あ る(図8・7)。
図8・7
急速排気弁 を用いた回路
シ リ ンダ と空 気 圧 操 作 弁 の途 中 に急 速 排 気 弁 を取 り付 け る と,シ
リン ダ ヘ ッ
ド側 の圧 縮 空 気 は空 気 圧 操 作 弁 を通 らず 一 気 に排 出 され る。 この弁 を使 う と シ リ ン ダ の 背 圧 が 低 くな る の で,シ
リン ダ速 度 を増 加 す る こ とが で き る。
〔6〕 空 気 圧 モ ー タ 回 路 図8・8は 人 力 操 作 弁 に よ っ て 空 気 圧 モ ー タ の正 転,逆
転 を行 う回 路 で あ る。
この 回路 で は,方 向 制 御 弁 の 容 量 お よび 配 管 の影 響 に よ り背 圧 が 大 き くな る と 出 力 低 下 を生 じ るの で,方 向 制 御 弁 お よび 空 気 圧 モ ー タ の機 種 選 定 や 配 管 全体 に つ い て は,で
き る だ け 余裕 を もた せ る こ とが必 要 で あ る。
図8・8に 急 速 排 気 弁 を 入 れ て,背 圧 が 上 が らな い よ う に した 回 路 が 図8・9で あ る。
図8・8空
気 圧 モ ー タ 回 路(a)
図8・9
空 気 圧 モー タ回路(b)
8・4
電気制御回路
一 般 に用 い られ る空 気 圧 を応 用 した 装 置 は,空 気 圧 だ けが 単 独 で利 用 さ れ る よ り,む し ろ油 圧,電 気 な ど と有 効 に組 み 合 わ せ て 利 用 す る こ との ほ うが 多 い 。 空 気 圧 は油 圧 と異 な り,動 力 的 な利 用 ば か りで な く制 御 と し て の 利 用 も あ る が,信
号 の 伝 達 が速 い こ と,制 御 が 容 易 な こ と な どか ら電 気 を利 用 す る こ とが
多 く,特 に シ ー ケ ン ス制 御(あ い く制 御)に
らか じめ定 め られ た 作 動 順 序 に従 っ て作 動 して
は空 気 圧 と電 気 の 組 合 せ が 多 く使 用 さ れ て い る。
電 気 制 御 回 路 で 用 い る主 な 図 記 号 を表8・2に 示 す 。
名
称
記号
表8・2電
気制御回路 で用 いる主 な図記号
図
号
記
名
導線
称
記号
図
記
号
限時 継 電 器
導線 の 交 わ ―)
接続 しない場 合
(タ イマ) TR ・タ イ マ
特 に ま ぎ ら わ しい 場 合 に使 用 す る
接続す る 場合 押 しポ タ ン ス イ ッ チ PB
コ イ ル ・接
a接 点
占
b接 点
a接 点
a接 点
リ ミッ ト ス イ ッ チ
LS b接 点
b接 点 電磁継電 器 (リ レー)
開閉器 SW (ナイフスイッチ)
CR
・ リ レ ー コイ ル
・接
a接 点
電 磁 弁 コ イル (ソレノイドコイル)
b接 点
フ ン フ
SOL
点 L
〔1〕 主 な電 気制 御機 器 シー ケ ン ス制 御 は,ス イ ッチ 制 御 とい わ れ る ほ ど各 種 の ス イ ッ チ お よび 開 閉 器 が 多 く用 い られ て い る。これ らの 制御 機 器 を大 別 す る と表8・3の よ う に な る。 表8・3電
分
類
気 制 御 機 器 の種 類
種
操作 用 ス イ ッチ
押 し ボ タ ン ス イ ッ チ,セ ー トス イ ッチ な ど
検 出用 ス イ ッチ
マ イ ク ロ ス イ ッチ,リ
類
レ ク ト ス イ ッ チ,ナ
イ フ ス イ ッ チ,ロ
ミ ッ トス イ ッ チ,近 接 ス イ ッチ,光
チ など
継
電
器
操 作 用 機 器
電 磁 継 電 器(リ レー),限
時 継 電 器(タ イ マ)な ど
電 磁 弁(ソ レ ノイ ドバ ル ブ),電
磁開閉器な ど
ー タ リ ス イ ッ チ,フ
電 ス イ ッチ,圧
力ス イッ
①
押 しボ タ ンス イ ッ チ
一 般 に は 呼 出 し用 ブザ ー な どの よ うに,手 動 で ボ タ ン を 操 作 して 接 点 が 開 閉 す るス イ ッチ で あ る。 押 した 手 を離 す と元 に戻 る 自動 復 帰 式 の も の が 多 い 。 図8・10に 示 す ス イ ッ チ は 表8・4 の よ う な機 能 を もっ て い る。
図8・10押
表8・4押
図 記
し ボ タ ン ス イ ッチ
しボ タ ンス イ ッ チ の機 能
号
ボ タ ン を 押 さな い と き
ボ タ ン を 押 した と き
接 点 が 開 い て い るの で電 流 は 流 れ な い 接点が閉 じて電 流は流れる
a接 点(NO) b接 点(NC)
接 点 が 閉 じて い る の で 電 流 は 流 れ る 接 点 が 開 い て 電 流 は 流 れ な い
・a接 点 を メー ク接 点 ,b 接 点 を ブ レー ク接 点 と もよ ぶ
②
リ ミ ッ トス イ ッチ
機 械 的 操 作 に よ っ て 接 点 が 開 閉 す る ス イ ッ チ で あ る 。 図8・11に イ ッ チ の 構 造 例 を,表8・5に
機 能 を示 す 。
図8・11リ
表8・5リ
図
ミッ トス イ ッ チ
ミ ッ トス イ ッチ の 機 能
記
号
ロー ラ を ロー ラを 押 さないとき 押 した とき
a接点(NO)
電 流が 電 流が 流れ ない 流れる
b接点(NC)
電 流が 電 流が 流れ る 流れ ない
リ ミ ッ トス
③
圧 力スイ ッチ
圧 力 の 変 化 に よ っ て 接 点 が 開 閉 す る ス イ ッチ で あ る。 図8・12に 圧 力 ス イ ッ チ の構 造 例 を,表8・6に
そ の機 能 を示 す 。
図8・12圧
表8・6圧
力 ス イ ッチ の 機 能 圧縮 空気 が 働かないとき
圧縮 空気が 働いたとき
a接 点(NO)
電 流が 流れ ない
電流 が 流れ る
b接 点(NC)
電 流が 流れ る
電流 が 流 れない
図
④
力 ス イ ッチ
記
号
電 磁 継 電 器(リ レー)
電 流 が 流 れ る こ と に よ っ て 電 磁 石 が 働 き,電 る 。 図8・13に リ レ ー は2a2b形
示 す 電 磁 リ レ ー は 表8・7の
気 回 路 を開 閉 さ せ る機 器 で あ
よ う な機 能 を も っ て い る 。 この 電 磁
と も よ ば れ,2 個 の a 接 点 と 2個 の b接 点 を も っ た 電 磁 リ レ
ー であ る 。
表8・7電 電電 継 磁番
図8・13電
磁 リレ ー
図記号
磁 リレー の機 能 R,T間 に電流が
R,T間に電流
流れ ない とき
が流れたとき
コ イ几 (図記号) a接 点
電流が 電 流が 流 れない 流 れる
b接 点
電流が 電 流が 流れる 流れ ない
⑤ 限時 継電器(タ イマ) タ イ マ は,機 能 的 に は動 作 入 力 のON, OFFに
対 して,一 定 時 間 を経 過 して
接 点 が 入 り切 りす る リ レ ー と考 え る こ と が で き る 。 表8・8に
主 なタイマの使用
法 を示 した 。 表8・8
形
式
タ イマ の 使 用 法
図 記 号
タ イ ム チ ャ ー ト*1 *2 入力
オ ン デ ィ レー (限時動作形)
a接 点
出力
b接点 時間
入力
オフ デ ィレー (限時復帰形)
オ ン/オフ デ ィ レー
繰返し 動作
オン デ ィ レー 電気 復帰
a接 点
出力 b接点
入力 a接 点
出力 b接点
入力 出力
動作入力 復帰入力 出
力
※ 1 横 軸 に 時 間 の経 過 を と り,タ
イマ に加 え られ る電 圧
と接 点 の 開 閉 の 関 係 を示 す ※ 2 入 力:入 力 信 号 の 意 味 。 タ イ マ に 加 え ら れ る 電 圧 を 示 す 。 斜 線 部 は 電 圧 印 加 を示 す 出 力:出 力 信 号 の 意 味 。 接 点 のON/OFFで 他 の機 器 を制 御 す る の で 出 力 と い う言 葉 が 使 われ る。 斜 線 部 はON状 態 を示 す
⑥
電 磁 石(ソ
レ ノ イ ド)
図8・14の よ う に,円 筒 状 の鉄 心(丸 棒)に コ イ ル を巻 い て電 流 を流 す と矢 印 の 向 き に磁 界 が で き(右 ね じの法 則),磁
石 と同 じ働 き をす る。 この よ うな磁 石
を 電磁 石(ソ レ ノ イ ド)と い っ て,電 磁 弁 や 電磁 リレー な ど に利 用 され て い る。
図8・14ソ
レ ノ イ ド
〔2〕 電 気 制 御 回路 図 の か き方 電 気 制 御 回路 図 は,表8・2に
示 した よ う な 図記 号 や 記 号 で表 す が,こ
れ をか
くと き は,次 の よ う に行 う。 ①
ス イ ッチ,リ
レ ー の 接 点 な ど は,す べ て電 気 が 切 られ た状 態 で 表 す 。
②
手 動 操 作 の も の は,手
③
制 御 電 源 を垂 直 に左 右 に分 け,そ
を触 れ な い 状 態 で表 す 。 の間 に接 点,コ
イ ル,ラ
ン プ な ど の電
気 機 器 図記 号 を上 か ら下 へ は し ご状 にか く。 機 器 の 作 動 順 序 は上 か ら下, 左 か ら右 へ と な る。 この 方 式 を制 御 電 源 垂 直 方 式 と い い,こ 気 制 御 回路 図(シ
の 回路 図 を電
ー ケ ンス 図)と い う。 図8・15は そ の 例 で あ る。
図8・15
電 気 制 御 回路 図 の か き方
な お,制
御 電 源 は 交 流 電 源 の 場 合,単
電 源 の 場 合 はP,Nの 〔3 〕
はR, S, Tで,直
流
記 号 で 区別 す る。
リ レー基 本 回路
リ レ ー 基 本 回 路 と し て は,表8・9に 表8・9リ
名称 AND回路 OR回路 NO T回路 記 憶 回路 遅延動作回路 (自 己 保 持 回 路 ) (タ イ マ回 路 )
〔4〕
相 はR,T,3相
示 す もの が あ る。 レー の 基 本 回路
回路 図(展開接続図)
説
明
①,② の ス イ ッチ がON に な ら な い と,ラ ンプ は 点灯 しない
①,② の い ず れ か がON に な る と,ラ ン プ は 点 灯 する
① が 働 く と,ラ える
PB1を
ン プが 消
1度 押 す と手 を離
して も,CRの リ レー コ ィ ルには電 気が流れてい る PB2を 押 す と切 れ る
① を押 す と,TRの 設 定 時 間 後 ラ ン プは 点灯 す る ① を 離 す と消 え る
電 磁 弁 で シ ング ル ス トロー クす る回路
図8・16に 示 す よ う に,押 しボ タ ンス イ ッチA を押 す と シ リン ダ が 前 進 し,押 しボ タ ンス イ ッチB を押 す と後 退 して元 の 位 置 に戻 る回 路 で あ る。
(b)電 気 制 御 回 路
(a)空 気 圧 回 路 図8・16電
①
磁 弁 に よ る シ ン グ ル ス トロ ー ク回路
押 し ボ タ ン ス イ ッチA(a 接 点)を 押 す と電 流 が 流 れ て リレー コ イ ルC が 働 き,リ レ ー接 点 D とE が 閉 じ る。 D が 閉 じ る とA を 離 して も電 流 が 流 れ て い るの で,リ レー コ イ ルC は働 い て い る(表8・9の 自 己保 持 回路 で あ る)。
② リ レー 接 点 E も閉 じた ま ま に な っ て い るの で,電 磁 コイ ルF に電 流 が 流 れ て電 磁 弁 が 切 り換 わ る。 ③
電 磁 弁 が 切 り換 わ る と,シ
リン ダ の ロ ッ ドが 前 進 す る。
④
押 し ボ タ ン ス イ ッチB(b 接 点)を 押 す と,リ レ ー コイ ルC へ の電 流 が 切 れ るた め リレ ー接 点D とE が 開 き,電 磁 コイ ルF の電 気 が 切 れ て 電磁 弁 は 元 の位 置 に戻 る。
⑤
シ リン ダが 後 退 す る。
〔5〕 電磁 弁 で 1往復 す る回路 押 しボ タ ン ス イ ッチ を押 す と シ リン ダ が前 進 端 ま で進 み,そ
し て後 退 し て元
の 位 置 に戻 る回 路 で あ る(図8・17)。 ①
押 し ボ タ ン ス イ ッチA(a 接 点)を 押 す と電 流 が 流 れ,リ
レ ー コイ ル C が
働 い て リレ ー接 点 D とE が 閉 じ る。 D が 閉 じ る とA を離 して も電 流 が 流 れ て い るた め,リ レ ー コ イル C は働 い た ま ま に な っ て い る(自 己 保 持 回 路)。 ② リ レー 接 点 E も閉 じ て い るの で,電 磁 弁 の ソ レノ イ ドF に電 流 が 流 れ て 電 磁 弁 が 切 り換 わ る。 ③
電 磁 弁 が 切 り換 わ る と,シ
リン ダ の ロ ッ ドが前 進 す る。
(a)空 気 圧 回 路
(b) 電気制 御 回路
図8・17電
④
磁 弁 に よ る 1往 復 回 路
前 進 端 まで く る と リ ミ ッ トス イ ッチB(b 接 点)を め,リ
レ ー コ イ ル C へ の 電 流 が 切 れ,リ
押 して 電 流 を切 る た
レ ー 接 点 D とE が 開 く 。
⑤ リレ ー接 点 E が 開 く と電磁 弁 の ソ レ ノ イ ドF の電 流 が 切 れ(消 磁),電
磁
弁 は元 の位 置 に戻 る。 ⑥
シ リン ダ が 後 退 す る。
〔6〕
タ イマ 回 路
押 しボ タ ン ス イ ッ チ を押 す とロ ッ ドは前 進 端 まで 進 む が,そ
こで リ ミ ッ トス
イ ッチ を押 せ ば そ の位 置 で 一 定 時 間停 止 し,タ イ マ 設 定 時 間 後 元 の 位 置 に戻 る 回路 で あ る(図8・18)。
(b)電 気制 御 回 路
(a)空 気 圧 回路 図8-8タ
①
イマ 回 路
押 し ボ タ ン ス イ ッ チA を押 す と電 流 が 流 れ,リ レー接 点E,Fが
閉 じ る。
レー コ イ ルD が 働 い て リ
② リレ ー 接 点 F が 閉 じて い る の で 電 磁 弁 の ソ レ ノ イ ドG に電 流 が 流 れ,電 磁 弁 が切 り換 わ る。 ③
電 磁 弁 が切 り換 わ る と,シ
④
前 進 端 まで 進 む と,リ
リ ンダ の ロ ッ ドが 前 進 す る。
ミッ トス イ ッ チ(a接 点)H を押 し て リ レー コ イ ル
J とタ イ マL 力働 く。 リ レー 接 点 I は閉 じて い る。 ⑤ リレ ー コイ ルJ が 閉 じ る と,リ ⑥
一 定 時 間 後,タ
⑦
シ リン ダ が 後 退 す る。
レー 接 点 K も閉 じ 自己 保 持 状 態 とな る。
イ マ接 点 C が 開 い て す べ て の リレ ー接 点 は 開 く。
8・5
空気圧回路の実際例
〔1〕 卓 上 空 気 圧 プ レスの 加 圧 回 路 図8・19は,全
空 気 圧 制 御 に よ る卓 上 空 気 圧 プ レ ス の 空 気 圧 回 路 の 一 例 で あ
る。 卓 上 空 気 圧 プ レス 回路 は,指 先 の安 全 を守 るた め に30㎝ ン ス イ ッ チA,Bを
離 れ た押 し ボ タ
同 時 に押 さ な い と作 動 しな い よ うに な って い る。始 動 前 は,
プ レス は空 気 圧 操 作 弁(マ
ス タバ ル ブ)に
縮 空 気 が 送 られ て い る た め,ロ
よ っ て シ リン ダ の ピス トン下 部 に 圧
ッ ドは 上 昇 した状 態(引
っ込 ん だ 状 態)で 停 止
して い る。
図8・19 全 空気圧 式卓上空気圧 プレスの空気圧 回路
①
押 しボ タ ン ス イ ッ チA,Bを
押 す とマ ス タ バ ル ブ が 切 り換 わ り,ピ ス
トン上部 か ら圧 縮 空 気 が送 られ る た め ロ ッ ドは下 降 し,ワ ー ク の加 工 が 行 わ れ る。 プ レ ス の 下 降 速 度(加 工 速 度)は,ス ②
ピー ドコ ン トロ ー ラで 行 う。
押 しボ タ ン ス イ ッチ を離 す とマ ス タ バ ル ブ は ば ね に よ っ て切 り換 わ り, 前 の状 態 に戻 る。
③
ピ ス トン下 部 か ら圧 縮 空 気 が 送 られ るた め,ロ ッ ドは上 昇 し て停 止 す る。
〔2〕 スポ ッ ト溶接 機 の加 圧 回路(そ の 1) (a)構 造 と作 動 原 理 ス ポ ッ ト溶 接 は 重 ね 抵 抗 溶 接 の 一 種 で,図8・20の 上 の被 溶 接 物 を重 ね 合 わ せ,上
よ う に 2枚 また は それ 以
下 の電 極 チ ップ で加 圧 し て大 電 流 を ご く短 時 間
に通 電 し,抵 抗 発 熱 に よ っ て 局 部 的 に溶 融 させ て接 合 す る方 法 で あ る 。 溶 接 機 の構 造 例 は,図8・21の
よ う に 大 電 流 を 供 給 す る 溶 接 変 圧 器,電
流を
導 く 2次 回 路 と上 下 の 電 極 チ ッ プ,溶 接 部 に圧 力 を加 え る加 圧 シ リン ダ,短 時 間 通 電 を制 御 す るタ イマ と大 電 流 を 開 閉 す る制 御 装置 な どか ら成 り立 っ て い る。
図8・20
ス ポ ッ ト溶 接 の 原 理
図8・21
ス ポ ッ ト溶 接 機 の 構 造
(b)空 気圧回路 図 と作動 一 般 に使 わ れ る ス ポ ッ ト溶 接 機 の空 気 圧 回 路 図 を 図8・22に 示 す ①
足 踏 み ス イ ッ チ を踏 む と制 御 装 置 が 作 動 し,ス
* シ リ ンダ に よ る初 期 加 圧 時 間 。
。
クイ ズ 時 間*に 入 る と と
図8・22
一 般 的 な ス ポ ッ ト溶 接 機 の 空 気 圧 回 路
もに 電磁 弁 が 励 磁 され て電 磁 弁 が 切 り換 わ る。 ②
電 磁 弁 が 切 り換 わ る と,シ
リン ダ の上 室 と下 室 の 空 気 が 入 れ替 わ っ て上
部 電 極 が 下 降 す る。
③
上下 電極 と被溶 接物(軟 鋼板)の 溶接点 で加圧 が行われ る。
④
ス ク イ ズ 時 間 が 終 わ る と電 磁 接 触 器*が 作 動 し,変 圧 器 の 1次 側 回 路 が 閉 じ て 2次 側 に溶 接 電 流 が 流 れ る。
⑤
適 切 な 発 生 熱 量 と加 圧 力 に よっ て,抵 抗 溶 接 が 行 わ れ る。
⑥
通電時 間が終わ る と電磁 接触器 が切 れ る。
⑦
保 持 時 間 が 終 わ る と電磁 弁 が 切 り換 わ る。
⑧
上 部 電 極 が 上 昇 し,元 の 位 置 に戻 る。
図8・23は,溶
接 時 間 に対 す る溶 接 電 流 と加 圧 力 の 関 係 を 示 し た タ イ ム チ ャ
ー トで あ る。
図8・23タ
イム チ ャー
* 溶 接 機 の 1次 側 電 源 回路 の 開閉 を行 う もの で,そ て制 御 され る。
ト
の動 作 は タ イマ あ る い は そ の他 操 作 機 器 に よ っ
〔3〕 ス ポ ッ ト溶 接 機 の 加 圧 回 路(そ
の 2)
自動 車 産 業 にお け る車 体 組 付 け に は抵 抗 溶 接 が 多 く使 わ れ て お り,溶 接 条 件 は使 用 加 圧 力,通 電 電 流,通
電 時 間 な どで 設 定 され て い る。 これ らの 条 件 は使
用 され る鋼 板 の 材 質 や 被 溶 接 物 の 板 数 に よ っ て 加 圧 力 を変 え な け れ ば な ら な い 。
最 近 で は抵 抗 溶 接 に比 例 制 御 弁(5・2参 照)を 使 っ た 加 圧 力 シ ス テ ム が 採 用 さ れ る よ う に な っ て きて い る。 比 例 制 御 弁 は,任 意 の入 力信 号 を比 例 制 御 弁 に 入 力 す る こ と に よ り,そ の 信 号 に応 じ た圧 力 を出 力 で き る もの で あ る。 省 スペ ー ス,省 配 線 な どの要 求 に よ り,1 つ の マ ニ ホ ー ル ドベ ー ス 上 に ユ ニ ッ ト化 して い る もの もあ る。 (a) 空 気 圧 回 路 図 と作 動 図8・24は 比 例 制 御 弁 を使 っ た ス ポ ッ ト溶 接 機 の空 気圧 回 路 図 で あ る。 ①
入 力 信 号 に従 い比 例 制 御 弁 がパ イ ロ ッ ト圧 力 を 出力 す る。
②
パ イ ロ ッ ト圧 力 に比 例 した 圧 力 をパ イ ロ ッ ト減 圧 弁 が 出 力 す る。
③
電 磁 弁 の切 換 開 度 はパ イ ロ ッ ト減 圧 弁 に応 じた もの に な る。
図8・24
比 例 制 御 弁 を 使 った ス ポ ッ ト溶接 機 の 空 気 圧 回 路
④
そ の 開度 に応 じた 空 気 圧 力 が シ リン ダ上 室 に入 っ て,上 部 電 極 を下 降 さ せ る。
⑤
以 下,前
項 と同 じ動 作 で あ る。
9
空気圧 シ リンダの基礎 計算 〔1〕 空 気 圧 シ リ ン ダ の 出 力 (a)複 動 シ リ ン ダ 最 も一 般 的 に 使 用 さ れ て い る も の で,内 さ れ て い る 。JISB 8377(空 化 さ れ て い る が,メ
径5∼400㎜
程 度 の もの が 製 品 化
気 圧 シ リ ン ダ)に 片 ロ ッ ド形 の φ40∼
ー カ の 製 品 は 必 ず し もJISど
φ180が
お り で は な い の で,選
規格 定の と
き に は 各 メ ー カ の カ タ ロ グ を参 照 す る こ とが必 要 で あ る。
シ リン ダ の 出 力 は,シ
リ ンダ 径 とロ ッ ド径 お よび 使 用 空 気 圧 力 か ら決 定 さ れ
る。シ リ ン ダの 実 際 の 出 力(推 力)FAと
理 論 出力 F,負 荷 率(推 進 効 率)η との 間
には
の 関 係 が あ る。 す なわ ち FA=Fη=APη
この 場 合,ロ
(9・1)
ッ ドが 出 る と きの 出 力(押 し側 の 出 力)をF1と
す れ ば,次 の 式 で
示 さ れ る。 (9・2)
また,ロ ッ ドが入 っ て い く と きの 出力(引 き側 の 出力)をF2と ロ ッ ドシ リ ンダ の 引 き側 受 圧 面 積 は,ロ
す れ ば,複 動 片
ッ ドの 断 面 積 の分 だ け小 さ くな る か ら (9・3)
とな る。
F1:押
し 側 の シ リ ン ダ 出 力 〔N 〕,F2:引
η:負
荷 率(シ リン ダ の推 力 効 率)
P:使
用 空 気 圧 〔MPa〕
D:シ
リ ン ダ 径 〔㎜
A1:押 A2:引
〕, d:ロ
ッ ド径 〔㎜
き側 の シ リン ダ 出力 〔 N〕
〕
し側 受 圧 面 積 〔㎜2〕(表9・1) き側 受 圧 面 積 〔㎜2〕(表9・1)
表9・1空 シ リ ン ダ径 D〔㎜ 6
〕
気 圧 シ リン ダの 受 圧 断 面 積
ロ ツ ド径 d〔㎜
〕
押 し側受圧 面積 引 き側受圧面積 A1〔 ㎜2〕
A2〔 ㎜2〕
3
28.3
21.2
10
4
78.5
66.0
16
5
201
181
20
8
319
264
25
10
491
412
32
12
804
691
40
14
1257
1107
50
20
1963
1649
63
20
3117
2803
80
25
5027
4536
100
30
7854
7147
125
36
12 270
11250
140
36
15390
14380
160
40
20110
18850
180
45
25450
23860
200
50
31420
29450
250
60
49090
46260
300
70
70690
66840
シ リ ンダ 静 止 時 か らの 出 力 は,シ
リ ンダ 内 の パ ッキ ンや 軸 受 の摩 擦 抗 力 を差
し引 か な けれ ば な ら な い。 また シ リン ダ の 作 動 時 に は さ らに 排 気 圧 に よ る背 圧 も作 用 す る。 この よ うに シ リン ダ 出力 に対 す る抵 抗 は,シ
リン ダ の大 き さ,使
用 空 気 圧 力,シ
リ ンダ の駆 動 速 度 等 の 条 件 に よ り変 化 す るた め多 少 大 き くみ て
お く必 要 が あ る。 そ こで 用 い る の が 負 荷 率 で あ る。 ・シ リ ン ダ を 静 的 作 業 に 用 い る 場 合:η=0
.7以 上
・シ リ ン ダ を 動 的 作 業 に 用 い る 場 合:η=0
.5以 下
・ガ イ ド付 き 水 平 作 業 の 場 合 :η=1
.0以 下
式(9・1)の 理 論 出 力 F は,シ
リ ンダ に全 く抵 抗 の な い もの と考 え,受 圧 面 積
A に使 用 空 気 圧 力 P を掛 け て 算 出 す る出 力 で あ る。 (b)単 動 シ リン ダ 空 気 圧 力 を ピ ス トンの 片 側 に供 給 し,戻
りの 変 位 は外 力 が シ リ ンダ 内 の ば ね
あ る い は 自重 で 行 う。 戻 り行 程 に は 圧 縮 空 気 が 不 要 な の で,空 気 消 費 量 は複 動 シ リ ンダ の約 半 分 で あ る。 電 磁 弁 は 3ポー ト弁 で よ く,配 管 も 1本 で 済 む。 ば ね で戻 し を行 う も の は 出 力 が ば ね の 反 力 だ け減 る の で効 率 は悪 い。 また 加 圧 時 は排 気 を絞 っ て の 速 度 制 御 が メ ー タ イ ン制 御 と な り,速 度 調 整 が難 しい 。
(a)単 動 押 出 し形 図9・1単
(b)単 動 引 込 み 形
①
②
動 シリンダ
単 動押 出 し形 ばね 最 大 圧 縮 時 の 実 出 力:F1=(A1P-f2)η
(9・4)
ば ね 取 付 時 の 実 出 力:F2=f1η
(9・5)
単 動引込 み形 ば ね 最 大 圧 縮 時 の 実 出 力:F3=(A2P-f2)η
(9・6)
ば ね 取 付 時 の 実 出 力:F2=f1η
(9・7)
f1:ば ね の取 付 時 反 力 〔N〕 f2:ば ね の最 大 圧 縮 時 反 力 〔 N〕 ば ね の 反 力 は,ば ね 定 数 は一 定 で あ るか ら シ リン ダ の 変 位 に比 例 す る。 した が っ て,f2の
ほ うがf1よ
り も大 き い 。 つ ま り,単 動 シ リン ダ の 出 力 は ば ね の
反 力 を最 大 圧 縮 時(ス 例 題9・1シ
リ ン ダ 径80㎜,ロ
用 空 気 圧 力0.5MPa た だ し,負
トロー クエ ン ド)と し て計 算 す る。
Gの
荷 率 を85%と
〔解 〕D=80〔
㎜
ッ ド径25 ㎜
の 複 動 シ リ ン ダ に お い て,使
と き の シ リ ン ダ の 押 し側,引
き側 の 実 出 力 を 求 め よ 。
す る。
〕d=25〔
㎜
〕P=0.5〔MPa
G〕
η=85〔%〕=0.85を
式(9・2),式
(9・3)に そ れ ぞ れ 代 入 す れ ば,
例 題9・2図9・2の
よ うな1000Nの
台 車 を水 平 方 向 に 押 し側 で 使 用 した い 。
シ リ ン ダ の 出 力 お よ び シ リ ン ダ 径 を 求 め よ 。た だ し,使 用 空 気 圧 力0 摩 擦 係 数0.3,負
荷 率60%と
.5MPa
G,
す る。
図9・2
〔 解 〕 必 要 な シ リ ン ダ 出 力F1=(外
力W)+(摩
擦 力 F')で あ る が,外
部 か らシ リ ン
ダ に作 用 し て い る 力 は な い 。 し た が っ て, W=0
∴ F1=F'=μW=0.3×1000=300〔N〕
で あ る 。 求 め る シ リ ン ダ径 は,式(9・2)か
例 題9・3シ
リ ン ダ 径16㎜
ら
の 単 動 押 出 し形 シ リ ン ダ を供 給 空 気 圧 力0.5
MPa Gで 使 う とき,変 位 ゼ ロ の と き と変 位 最 大 の と き の 実 出 力 を計 算 せ よ。た だ し,ば ね 取 付 時 の 反 力 を8.5N,最 とす る。
大 圧 縮 時 の 反 力 を18.6N,負
荷 率 を65%
〔解 〕
式(9・4)か
ま た 式(9・5)か
ら
ら F2=f1η=8.5×0.65=5.5〔N〕
問 題9・1シ 0.59MPa
リ ン ダ 径80㎜,ロ Gで 使 用 す る と き,シ
算 せ よ 。 た だ し,シ
ッ ド径25 ㎜
の 複 動 シ リン ダ を 供 給 空 気 圧 力
リ ンダ が 前 進 す る場 合 と後 退 す る 場 合 の 実 出 力 を 計
リ ン ダ の 推 進 効 率 を90%と
す る。 答(2667N,2407N)
問 題9・2
シ リ ン ダ径100㎜,ロ
ッ ド径25 ㎜
の 複 動 シ リ ン ダ を供 緯 空 気 圧0.49
MPa Gで 使 用 す る と き押 し側,引 き側 の 実 出 力 を 求 め よ。た だ し,負 荷 率 を65%と
す
る。 答(2500N,2344N)
問 題9・3
シ リ ン ダ 径20㎜
の 単 動 押 出 し 形 シ リ ン ダ を 空 気 圧 力0.49 MPa Gで
使 う と き,変 位 ゼ ロ の と き と変 位 最 大 の と き の 実 出 力 を 求 め よ。 た だ し,ば ね 取 付 時 の 反 力 を7.6N,最
大 圧 縮 時 の 反 力 を39 N,負
荷 率 を75%と
す る。 答(5.7N,86.1N)
問 題9・4使
用 空 気 圧 力0.49MPa
要 な シ リ ン ダ 径 を求 め よ 。 た だ し,ロ
Gで 引 き側 の シ リ ン ダ 出 力3000 Nを ッ ド径32㎜,負
荷 率65%と
得 た い 。必
す る。 答(125㎜)
〔2〕 ロ ッ ドの許 容最 大 横 荷 重 ロ ッ ドの 先 端 に横 荷 重 が 作 用 す る と,グ ラ ン ド部(ヘ ッ ドカ バ ー 部 の ブ シ ュ) や シ リ ンダ の 内 面 に局 部 的 に大 き な接 触 圧 力 が 発 生 して,か
じ りや 摩 擦 抵 抗 増
大 の 原 因 に な る。 そ こで,JIS B 8377で は シ リ ンダ の横 荷 重 に つ い てヘ ッ ドブ シ ュの 滑 り面 は,呼 び圧 力 に よ っ て 発 生 す る シ リン ダ カ の 最 大1/20の 耐 えな け れ ば な らな い と規 定 して い る。
横 荷重 に
そ こ で,図9・3か
ら 次 の 式 が 成 り立 つ 。
図9・3ロ
ま た,B
ッ ドの 横 荷 重
点 周 りの 曲 げ モ ー メ ン トはw1(l1+l2)=Rl2で
あ るか ら (9・8)
が 成 り立 つ 。 や む を得 ず 許 容 最 大 横 荷 重 以 上 の 横 荷 重 が 加 わ る場 合 は,ロ
ッド
を 中 間受 け台 ま た は案 内棒 等 で 支 持 す る こ とが 必 要 で あ る。 W1:ロ
ッ ドの任 意 点 A に加 わ る横 荷 重 〔N〕
W2:ピ
ス トンに加 わ る接 面 力 〔 N〕
R:ブ
シ ュ の 反 力 〔N〕
l1:ブ
シ ュ 中心 か ら A 点 ま で の距 離 〔 ㎜
l2:ピ
ス トン 中心 か ら ブ シ ュ 中 心 まで の距 離 〔 ㎜
D:シ リン ダ径 〔㎜
=0
用 空 気 圧 力 〔MPa G〕
F:シ
リンダの出力 〔 N〕
お い て,D=80〔
〕
〕
P:使
例 題9・4図9・3に
〕
㎜
〕,l1=1000〔
㎜
〕, l2=71〔 ㎜
〕, P
.5〔MPa G〕 と す る と き 許 容 最 大 横 荷 重 を 求 め よ。た だ し,シ リ ン ダ の 負 荷 率
は100%と 〔解 〕
す る。 式(9・8)か
ら
問
題9・5図9・3に
0.49〔MPaG〕
お い て,D=100〔
㎜
の と き,最 大 横 荷 重 は 何Nか
〕, l1=720〔
㎜
〕, l2=55〔
㎜
〕, P=
。 答(13.6N)
〔3〕 ロ ッ ドの た わ み 水 平 方 向 に使 用 す る シ リ ン ダ は,ロ ッ ドが 自重 で た わ む。この 場 合,ロ ッ ド先 端 の た わ み 量 は 等 分 布 荷 重 を受 け る片 持 ち ば り と考 え る と,次 の 式 が 成 り立 っ 。 (9・9)
δ:ロ
ッ ドの た わ み 量 〔 ㎜
w:ロ ッ ド1㎜
〕
あ た りの荷 重 〔N/㎜
〕 炭 素 鋼 の 比 重 を7.8と
g :重 力 の 加 速 度=9.80665〔m/s2〕 E:ロ ッ ドの 縦 弾 性 係 数 〔MPa〕=2.06×105〔MPa〕 I:ロ ッ ドの 断 面 2 次モ ー メ ン ト 〔 ㎜4〕:丸
l:ヘ 例 題9・5シ
棒 の場 合
ッ ド端 面 か らの ロ ッ ドの突 出 し長 さ 〔 ㎜
リ ン ダ 径80㎜,ロ
ッ ド径25 ㎜,変
㎜
と す る と き,
最 大 変 位 時 に お け る ロ ッ ド先 端 の た わ み量 を 求 め よ。 た だ し,シ
リン ダ が 引 い
た状 態 で ロ ッ ドは シ リン ダヘ ッ ド端 面 か ら60㎜ 〔解 〕
し た が っ て,式(9・9)か
ら
位1000
〕
出 て い る もの とす る。
問 題9・6 500㎜
シ リン ダ 径100㎜,ロ
ッ ド径32 ㎜
のJIS標
準 シ リ ンダ を水平 方 向 に
の 変 位 で 往 復 運 動 させ る と き,ロ ッ ド先 端 の た わ み 量 を求 め よ 。た だ し,シ リ
ン ダ は 引 き 状 態 で ロ ッ ド は シ リ ン ダ ヘ ッ ド端 面 か ら50㎜
出 て い る もの と し, g=
9.80665〔m/s2〕 とす る 。 答(0・0663㎜)
〔4〕 ロ ッ ドの 座 屈 シ リン ダ で荷 重 を上 下 に 動 か す場 合,荷
重 が大 きい と き は ロ ッ ドの座 屈 を起
こす お それ が あ る。 座 屈 荷 重 は,オ イ ラー の 式 で求 め る こ とが で き る 。 (9・10)
Wx:座
屈 荷 重 〔N〕 E:縦 弾性 係 数 〔N/㎜2〕
L :最 大 取 付 長 さ 〔㎜
〕:L=√nD
l:変 位(ス トロー ク)〔㎜
n:取 付 の端 末 条 件 に よ る係 数(図9・4) D:座
(a)両 端 ピ ン ジ ョイ ン トの 場 合(n=1,L=D)
(b)シ リン ダ 固 定,ロ ッ ドエ ン ド自 由 の場 合(n=1/4,L=D/2)
屈 長 さ〔 ㎜
〕
〕
(c)シ
リ ン ダ 固 定,ロ
ッ ド エ ン ド ガ イ ド(ピ ン ジ ョ ン ト)の 場 合(n=2,L=1.4D)
(d)シ リ ン ダ 固定,ロ 図9・4
例 題9・6ロ
ッ ド径25㎜,最
ッ ドェ ン ドガ イ ドの 場 合(n=4,L=2D)
ロ ッ ドの 取 付 形 式 に よ る座 屈 長 さ と変 位
大 取 付 長 さ1000 ㎜
の シ リ ン ダ を 図9・5の
状 態 で 使 用 し た い 。 座 屈 荷 重 を 求 め よ 。 た だ し,E=2.06×105[MPa]と
す る。
図9・5
〔解 〕
図9・4(b)と
図9・5を 対 比 す る と,n=1/4よ
ま り座 屈 長 さ は 最 大 取 付 長 さ の 2倍,ス D=2L=2×1000=2000〔
り,D=2LでL=2lと
な る。つ
トロ ー ク の 4倍 に な る 。 した が っ て, ㎜
〕,l=L/2=1000/2=500〔
㎜
〕
式(9・10)か
ら
問 題9・7図9・6の 変 位300㎜
よ う な シ リ ン ダ 固 定,ロ
の シ リ ン ダ で900 Nの
率 S を計 算 せ よ。 た だ し,安 900Nで
ッ ド先 端 自 由 な 装 置 で,ロ
ッ ド20㎜,
荷 重 を垂 直 に持 ち上 げ た い 。座 屈 荷 重Wxと
全 率=座
屈 荷 重/常 用 荷 重 と し,こ
安全
の場 合 の 常用 荷 重 は
あ る。
図9・6
答(11072N,12.3)
10
卓上 空気圧 プ レスの設計例 本 書 の 最 後 に,い
ま まで 学 ん で きた ま とめ と して,卓 上 空 気 圧 プ レス の 設 計
を行 う。
機械本体の構造
10・1
プ レ ス 本 体 の 構 造 で一 般 に使 用 さ れ て い る も の に は,図10・1の 形,C 形,門
形 が あ るが,機 械 の 剛性,作
ス の 容 易 性,製
(b)C形 図1o・1プ
・C形
ーム
:加 工 台
・門 形 :左 右
ンテナ ン
作 の 容 易 性 な ど を検 討 して 決 め る。
(a)支 柱 形
・支 柱 形:ア
よ う な支 柱
業 の容 易 性(使 い勝 手),メ
一 ス(加
,支
柱,べ
,工
具 保 持 ア ー ム が C 形 を して い る。
度 は安 定 して い る。
形
レ ス機 械 の構 造
工 台)が
,前 後 の 方 向 が 自 由 で,支
し,強
(c)門
別で ある。
柱 形,C形
に比 べ 作 業 性 が 悪 い。た だ
本 設 計 例 で は,製 作 の 容 易 さ,機 械 の 剛性 を重 視 して 4本 柱 の門 形 構 造 とす る。
10.2
空気 圧 シ リンダの 出力
本 設 計 で は特 定 の 部 品 を加 工 す る の で はな く,板 金 の 打 抜 き,穴 あ け,折 曲 げ,リ ベ ッ ト等 の か し め,玉 軸 受 の圧 入 な どが で き,類 似 形 状 ・寸 法 の もの に 対 して は ん 用 的 に使 用 で き る も の とす る。 〔1〕
打抜 き加 工
打 抜 き また は穴 あ け に必 要 な力 は次 の 式 で 求 め る。
(10.1)
F=c1ltτ
F:打
抜 き(穴 あ け)に 必 要 な 力 〔N〕
C1:修
正 係 数:1∼2
l:打 抜 き(穴 あ け)部 品 の 周 長 〔mm〕 t:材 料 の板 厚 〔mm〕 τ:材 料 の せ ん 断 抵 抗 〔MPa〕(表10・1)
板 金 か ら直 径d〔mm〕 F=Clπdtτ とな る。
の 円板 を打 ち 抜 く場 合 の式 は,l=π4よ
り
(10.2)
表10・1各
例 題10・1板
厚0.6㎜
種 材 料 の せ ん 断 抵 抗,引
の 軟 鋼 板(0.2%C)に
合 の 打 抜 き 力 は い く らか 。 た だ し,せ 〔解 〕C1=1.2,
d=3.5〔
㎜
〕, t=0.6〔
張 強 さ,食 込 み 率
直 径3.5㎜
ん 断 抵 抗 を320MPaと ㎜
〕,τ=320〔MPa〕
の穴 を あ け る場 す る。 を 式(12・2)に
代 入 して
F=c1πdtτ=1.2×
π ×3.5×0.6×320=2532〔N〕
≒2.5〔kN〕
〔2〕 曲 げ 加 工
図10・3曲
げ加 工
板 材 の V 曲 げ を行 う場 合 に必 要 な 力 は次 の 式 で 求 め る。 (10・3)
F:V 曲 げ に必 要 な力 〔 N〕,t:材 料 の板 厚 〔 ㎜ k1:修
正 係 数(図10・4),L:V
b:材 料 の 曲 げ 長 さ 〔 ㎜
図10・4
例 題10・2板
厚1.8㎜,曲
〕
ダイスの肩幅 〔 ㎜
〕,σB:材
〕
料 の 引 張 強 さ 〔MPa〕(表10・1)
修 正 係 数 κ1
げ 長 さ50 ㎜
の 軟 鋼 板(0.2%C)の90゜V曲
要 す る力 を計 算 せ よ。 た だ し,V ダ イ ス の 肩 幅 は板 厚 の15倍,曲 チ 先 端 の 半 径)は
板 厚 の1.2倍
〔解 〕
ら,σB=400〔MPa〕,
〔㎜
〕,ま
表10・1か
た,図10・4か
らk1=1.2が
げ に
げ 半 径(パ ン
とす る 。 b=50〔
㎜
〕, t=1.8〔
㎜
〕, L=1.8×15=27
得 ら れ る 。 こ れ ら の 値 を 式(10・3)に
代 入 す る と
〔3〕 か しめ 加 工
図10・5か
しめ加 工
リベ ッ トな どの部 品 端 部 の 突 起 部 を圧 縮 変 形 さ せ る場 合 の か しめ 力 は,次 の 式 で計 算 さ れ る。 F=c2aσB
(10・4)
F:か
し め に 必 要 な力 〔N〕
c2:修
正 係 数:か
し め の 変 形 度 合(加
工 度)に
値 と し て(l-⊿l)/l>0.5の
応 じ た 値 で,経
験
場 合C2=l/(l-⊿l)と
す る
l:元 の 長 さ 〔㎜ ⊿l:変
〕
形 した 長 さ 〔 ㎜
〕:変 形 後 の 寸 法l'=L-⊿l=0.6lの はc2=l/0.6l≒1.7と
a:加 工 前 の 材 料 の 断 面 積 〔㎜2〕:リ
とき
な る
ベ ッ ト の 径 をd〔 ㎜ す れ ばa=(π/4)d2と
〕と
な る
した が っ て,リ ベ ッ トな ど を か し め る場 合 の か し め力 は次 の 式 で 求 め る。 F=C2π/4d2σB
例 題10・3直
径2.5㎜
る力 は何 N か 。
(10・5)
の 軟 鋼 線(0.15%C)で
で きて い る りベ ッ ト をか し め
〔解 〕c2=1.7,表10・1か
ら σB=350〔MPa〕
F=c2π/4d2σB=1.7×
と す る と,式(10・5)か
ら
π/4×2.52×350=2920〔N〕=2.9〔kN〕
〔4〕 絞 り加 工
図10・6絞
り加 工
板 金 を 型 を使 っ て あ る形 状 に絞 り変 形 さ せ る場 合 の絞 り力 は,基 本 的 に は そ の 材 料 の 抵 抗 力 に 等 し い。 一 般 的 に 平 板(ブ
ラ ン ク)を
円筒 形 に絞 る場 合,平
板 の 周 辺 を ダ イ ス 面 と押 え板 の 間 で 押 しつ けな が ら絞 り加 工 を行 う。 こ の押 え 力 は,単 位 面 積 あ た り軟 鋼 板 で1.6∼1.8MPaと
い わ れ て い る。
パ ン チ に よ る絞 り力 は次 の式 で計 算 す る。
(10.6)
F1=k2πdtσB
F1:パ
ン チ に よ る 絞 り力 〔N〕
k2:修
正 係 数(表10・2)
d:パ ンチ の 直 径 〔 ㎜ t:材 料 の板 厚 〔 ㎜
〕:円 筒 状 容 器 の 内径 〕
σB:加 工 材 の 引 張 強 さ 〔MPa〕(表10・1)
しわ 押 え に要 す る力 は次 の式 で 計 算 す る。 F2=Ap F2:し
わ押 え に要 す る力 〔 N〕
A:し
わ 押 え部 の 総 面 積 〔 ㎜2〕
P:し わ 押 え部 の 応 力 〔MPa〕
図10・6の よ うな 円 筒 状 容 器 を絞 る場 合 は, (10・7)
(10・8)
D:ブ ラ ン クの 直 値 〔㎜
〕
h:円 筒 状 容 器 の絞 り深 さ 〔 ㎜
〕
とな るの で,し た が っ て,円 筒 状 容 器 の全 絞 り力 F は次 の 式 で計 算 す る。 F=F1+F2
(10・9) 表10・2修
例 題10・4板
深 さ5㎜
厚0.2㎜
正 系 数k2の
の 軟 鋼 板(0.15%C)を
値
用 い て,円
筒 の 内 径10 ㎜,
の 円筒 状 容 器 に絞 る場 合 の絞 り力 を求 め よ。
〔解 〕d=10〔
㎜
〕, h=5〔 ㎜
〕を 式(10・8)に 代 入 し て,ブ ラ ン ク の 直 径 を求 め る。 とす る 。
表10・2か 1.05と
ら,絞
り率d/D=10/20=0.5の
す る 。 ま た 表10・1か
ら,σB=350〔MPa〕,
F1=k2πdtσB=1.05× 次 に,式(10・7)か
t=0.2〔 ㎜
π ×10×0.2×350=2308〔N〕
ら
と な る の で,p=1.7〔MPa〕
場 合 でD/t=20/0.2=100に
とす れ ば
相 当 す るk2は
〕を 式(10・6)に
代 入 して
F2=Ap=235.5
し た が っ て,全
× 1.7=400.3[N〕
絞 り力 は 式(10・9)か ら
F=F1+F2=2308+400.3=2708.3〔N〕=2.7〔kN〕
10・3 設 計 の 構 想
プ レス 加 工 の 種 類,プ
レ ス本 体 の機 構,プ
レス 力,加 工 の 前 後 工 程 な ど を検
討 す る が,本 設 計 で は一 般 的 な V 形 曲 げ機 を考 え る こ と にす る。 図10・7に 示 す よ う に,加 工 物(ワ ー ク)の 取 付 け,取 外 し は人 手 で行 うが,そ の 他 の作 動 を行 う プ レ ス 用 シ リン ダ とク ラ ン プ用 シ リ ン ダ の終 端 に は,そ の作 動 が 確 実 に 行 わ れ た こ とを ス イ ッチ で 検 出 し,そ の電 気 信 号 に よっ て シ リン ダ の作 動 を確 実 に制 御 す る シ ー ケ ンス 制 御 を行 う も の とす る。
図10・7卓
上 空気圧プ レスの構想
〔1〕 作 業 順 序 ①
ワ ー ク を プ レ ス 下 型 に 置 き,ス タ ー ト用 両 手 押 し ボ タ ン ス イ ッ チ を 押 す 。
②
ク ラ ン プ 用 シ リ ン ダ が 前 進 し,ワ 要 時 間 を1sと
③
す る。
プ レ ス 用 シ リ ン ダ が 下 降(前 進)し,ワ ㎜,所
④
ー ク を ク ラ ン プ す る 。 変 位50㎜,所
要 時 間 を1sと
ー ク を 加 工(V
曲 げ)す る 。変 位75
す る。
ワ ー ク の 加 工 終 了 後,プ
レ ス 用 シ リ ン ダ は 上 昇(後 退)す る 。 1ス ト ロ ー
ク の 所 要 時 間 を0.5sと ⑤
す る。
ク ラ ン プ 用 シ リ ン ダ が 後 退 す る 。 1 ス ト ロ ー ク の 所 要 時 間 を0.5sと
す
る。
⑥
ワ ー ク をプ レ ス下 型 か ら取 り出 す 。
〔2〕 設 計 仕 様 プ レ ス 用 シ リ ン ダ の 出 力(推 力)を,例 わ る 3kNと
題10・1∼10・4で
求 め た プ レ スカ を上 ま
し,万 力(バ イ ス)で ワ ー ク を 締 め 付 け る の 数 に必 要 な 力 を0.4kNと
し た 。 ま た,使
用 空 気 圧 力 を0.49MPaと
す る 。 こ の 設 計 仕 様 を も と に,両
し て,設
シ リ ン ダ の 変 位(行 程),作
関 係 を 表 す タ イ ム チ ャ ー トを か く と図10・8の
表10・3卓
計 仕 様 を 表10・3の.よ
よ う に な る。
上 空 気 圧 プ レス の 設 計 仕 様
図10・8タ
イ ム チ ャー ト
動 時 間,速
うに 度の
10・4 空気 圧 機器 の選定
〔1〕 空 気 圧 シ リ ン ダ プ レス 用 シ リン ダ の 押 し側 推 力 と シ リン ダ 内径,使
用 空 気 圧 力,シ
リン ダの
推 力 効 率(負 荷 率)の 間 に は式(9・2)の 関 係 が あ る。 す なわ ち
(10・10)
F1:押
し側 の静 的 シ リン ダ 出力(ロ
D:シ
リ ン ダ 径 〔㎜
ッ ド前 進 時 の 出力)〔N〕
〕
P:便 用 空 気 圧 力 〔MPa〕 η:シ リ ン ダ の推 進 効 率(負 荷 率) 例 題10・5設
計 例 に使 用 す るプ レ ス用 シ リン ダ とク ラ ン プ 用 シ リン ダ を選 定
せ よ。 〔解 〕
プ レ ス 用 シ リ ン ダ に つ い て,表10・3か
〔MPa〕,η=80〔%〕=0.8と
し て 式(10・10)に
らF1=3〔kN〕=3000〔N〕,
P=0.49
代入 す る と
ク ラ ン プ 用 シ リ ン ダ もF2=0.4〔kN〕=400〔N〕,
P=0.49〔MPa〕,η=80〔%〕=0.8と
し
て
JIS B 8377(空 気 圧 用 複 動 シ リン ダ)か ら,プ 形 の シ リ ン ダ径100㎜ ダ 径40㎜
レ ス 用 シ リ ン ダ に は ヘ ッ ド側 フ ラ ン ジ
を 選 定 し,ク ラ ン プ 用 シ リ ン ダ に は 軸 方 向 フ ー ト形 の シ リン
を選 定 す る。
〔2〕 空 気 圧 調 整 ユ ニ ッ ト(FRLユ
ニ ッ ト)
(a)最 大 所 要 空 気 量 ・シ リン ダ部 分 に必 要 な 空 気 量 を求 め る:複 動 シ リ ンダ の 場 合 は ,Q1と
Q2の
大 き い ほ う を用 い る。
(10・11)
(10・12)
・配 管 部 分 に必 要 な空 気 量 を求 め る:
(10・13)
・シ リ ンダ を動 か す た め に 心 要 な全 空 気 量 を求 め る: Q=(QlとQ2の
大 き い ほ う)+Q3
(10・14)
Q1:押
し側 の 所 要 空 気 量 〔l/min(ANR)〕,
Q2:引
き 側 の 所 要 空 気 量 〔l/min(ANR)〕
Q3:配
管 部 分 の 所 要 空 気 量 〔l/min(ANR)〕
A1:押
し側 の受 圧 面積 〔 ㎜2〕, A2:引
V1:押
し 側 の ピ ス ト ン 速 度 〔㎜/s〕,
V2:引
き 側 の ピ ス ト ン 速 度 〔㎜/s〕
a:配 管 の 断 面 積 〔 ㎜2〕,υ:配
き側 の 受 圧 面 積 〔 ㎜2〕
管内の流速 〔 ㎜/s〕
例 題10・6 設 計 仕 様 に基 づ い て,最 大 所 要 空 気 量 を求 め よ。 〔 解 〕 設計 仕様 によれ ば,シ リンダ上昇(後 退)時 の速 度 は,下 降(前 進)時 の速 度 の * 配 管 内 の 圧 力 P の 大気 圧 換 算 は,シ リンダ と異 な り,初 め か ら大 気 が あ り,作 動 後 も大 気 が 残 留 して い るの で,0.1013は
加 算 しない 。
2倍 と し て い る 。 しか し,下 降 速 度 は 板 厚,材 変 え られ る の で,本 速 度150㎜/sで ×1002=7850〔
質 な どによ って速度 制御 弁 で無段 階 に
設 計 に お け る最 大 所 要 空 気 量 は,直
径100㎜
の シ リ ンダ が 最 大
作 動 し て い る と きで あ る と考 え る。し た が っ て,A1=(π/4)D2=(π/4) ㎜2〕, V1=150〔 ㎜/s〕, P=0.49〔MPa〕
実 用 的 に は配 管 部 分 等 に も必 要 な 空 気 量(本
を式(10・11)に 代 入 して
設 計 で は 省 略)を
の で,余 裕 を 2倍 に 見 込 ん で,Q1=2×412.4=825〔l/min(ANR)〕
考 え な け れ ば な らな い を最 大 所 要 空 気 量 と
す る。
(b)機 種 選 定 Q1=825
l/min(ANR)を
る 。た と え ば 図10・9の
も と に し て,メ
よ う に,圧 力 降 下 が 使 用 圧 力 の10%以
量 を も っ た 機 種 を 考 え る 。 そ の 結 果,コ AC 2500形,シ
ー カ の カ タ ロ グ か ら機 種 を 選 定 す 下 に な る よ う な容
ガ ネ イ 社 製 はC300形,SMC社
ー ケ ー デ ィ 社 製 はC3000-10形,太
陽 鉄 工 社 製 はEFRL
製 は 08形
と
す る。
図10・9FRLの
流量特性例
〔3〕 方 向 制 御 弁(電 磁 弁) シ リ ン ダ の作 動 速 度 は,シ
リ ンダ 径,電 磁 弁 の 容 量(有
効 断 面 積),負
荷 率,
使 用 空 気 圧 力 な ど に よっ て 変 化 す るが,遅 れ 時 間t1は で き る だ け少 な い ほ うが 良 い。 シ リン ダ の 作 動 速 度 を計 算 で 求 め る こ とは 非 常 に面 倒 で あ る の で,メ ー カ の実 験 デ ー タ か ら選 定 す る の が一 般 的 で あ る。
図10・10電
図10・11電
図10・12電
磁 弁 の 特 性 例(a)
磁 弁 の 特 性 例(b)
磁 弁 の 特 性 例(c)
図10・13電
そ の 結 果,コ 形,SMC社
磁弁 の特 性 例(d)
ガ ネ イ 社 製 は プ レ ス 用 に300-4E1形,ク
製 は プ レ ス 用 にSY 7000形,ク
ィ 社 製 は プ レ ス 用 に4F410-10形,ク プ レ ス 用 にSR 561形,ク
ラ ン プ 用 にSY 3000形,シ
ラ ン プ 用 に4KB
ラ ン プ 用 にSR 540形
〔4〕 速 度 制 御 弁(ス
ラ ン プ 用 に100-4 E 2
120形,太
ーケ ーデ
陽鉄 工社 製 は
と す る。
ピ ー ドコ ン トロー ラ)
プ レ ス用 シ リン ダ に必 要 な最 大 空 気 流 量 は825l/min(ANR)で
あ る。 ク ラ ン
プ用 シ リン ダ に必 要 な 空 気 流 量 を求 め る に は,次 の 式 を用 い る。
(10・15)
Q4:ク
ラ ン プ 用 シ リ ン ダ の 所 要 空 気 量 〔l/min(ANR)〕
A4:ク
ラ ン プ用 シ リ ン ダ の受 圧 面積 〔 ㎜2〕
D4:ク
ラ ン プ 用 シ リ ン ダ 径 〔㎜
〕
V4: ク ラ ン プ 用 シ リ ン ダ の ピ ス ト ン 速 度 〔㎜/s〕
例 題10・7設
計仕様 数 に基 づ い て,ク
ラ ン プ用 シ リン ダ に 必 要 な空 気 流 量 を計
算 せ よ。 〔 解 〕 〔㎜/s〕,
D4=40〔
㎜
P=0.49〔MPa〕
〕で あ る か ら,A4=(π/4)D42=(π/4)×402=1256〔 を 式(10・15)に
代 入す ると
㎜2〕,
V4=100
=44〔l/min(ANR)〕 こ れ も実 用 的 に は 余 裕 を 2倍 に 見 込 ん でQ4=2×44≒90〔l/min(ANR)〕
を クラ ンプ
用 シ リ ン ダ の 最 大 所 要 空 気 量 とす る。
以 上 の 結 果 か ら プ レ ス 用 に は,使
用 圧 力0.49MPaで
速 度 制 御 弁 の調 節 ね じ
(ニ ー ドル)を 回 転 し た と き の 制 御 流 量 が0∼1000l/min(ANR)の ン プ 用 に は0∼100l/min(ANR)の
範 囲 で,ク
ラ
範 囲 で と もに 直 線 的 に 増 加 して い くよ うな
特 性 を も っ て い る機 種 を メ ー カ の カ タ ロ グ か ら 選 ぶ 。
図10・14
図10・15速
そ こ で,コ
度 制 御 弁 の 流 量 特 性 例(b)
ガ ネ イ 社 製 は プ レ ス 用 にKSC
(ク イ ッ ク 継 手 用),SMC社 AS 2050 F形,シ G-6形,太
速 度 制 御 弁 の 流 量 特 性 例(a)
41形,ク
ラ ン プ 用 にSC 6-01 A形
製 は プ レ ス 用 にAS 4000 F形,ク
ー ケ ー デ ィ社 製 は プ レ ス 用 にSC 1-15形,ク
陽 鉄 工 社 製 は プ レ ス 用 にSC 504形,ク
ラ ン プ 用 に ランプ用数 にSC 3
ラ ン プ 用 にSC 711形
とす る 。
〔5〕 空 気圧 配 管 メ イ ン 配 管 に は 使 用 空 気 圧 力0.49MPaよ 給 で き,使 (3/8B)を
り0.2∼0.3MPa高
め の圧 力 を供
用 空 気 圧 力 よ り低 く な ら な い サ イ ズ の 管 を選 ぶ 。 本 設 計 例 で は10A 選 ぶ こ と にす る。
〔6〕 空気 圧 縮 機 の 容 量 シ リン ダ を 目的 の 出 力 と速 度 で 1分 間 に n 回 往 復 させ る空 気 圧 縮 機 の 容 量 は,次 の 式 に よ っ て空 気 消 費 量(複
動 シ リ ンダ)を 計 算 し,こ れ を基 準 に して
容 量 を決 め る。 (10・16)
(10・17)
(10・18)
q=ql+q2 q1:シ
リ ン ダ 部 分 の 空 気 消 費 量 〔l/min(ANR)〕
q2:配
管 部 分 の 空 気 消 費 量 〔l/min(ANR)〕
q:全 空 気 消 費 量 〔l/min(ANR)〕 L1:シ
図10・8の
リ ン ダ の 変 位 〔㎜
〕
n:シ
リ ン ダ 1分 間 あ た りの 往 復 回 数
l:配
管長 さ〔 ㎜
〕
タ イ ム チ ャ ー ト か ら,ク
ラ ン プ用 シ リ ンダ が 前 進 した 後 に プ レ ス
用 シ リン ダ で V 曲 げ 加 工 が 行 わ れ て ク ラ ン プ 用 シ リ ン ダ が 後 退 す る ま で の 時 間,す
な わ ち 1 サ イ ク ル は3sで
あ る 。 ワ ー ク を 取 り外 し,新
型 に 置 い て 両 手 押 し ボ タ ン ス イ ッ チ を 押 す ま で の 時 間 を3sと
し い ワ ー ク を下 仮 定 す れ ば,プ
レ ス 用 シ リ ン ダ の 往 復 回 数 はn=60/(3+3)=10と
な り,A1=7850〔
=75〔 ㎜
代 入 して
〕, n=10,
P=0.49〔MPa〕
を 式(10・16)に
㎜2〕, L1
=7850×75×2×10×0.49+0.1013/0.1013
=68
.7(l/min(ANR))
本 設 計 例 で は 配 管 部 分 の 空 気 消 費 量q2は 68.7〔l/min(ANR)〕
×10-6
省 略 す る の で,し
た が っ てq=q1=
とす る。
空 気 圧 縮 機 の 容 量 を選 定 す る際 に は,端 末 部 で空 気 を消 費 す る シ リ ンダ の 全 空 気 消 費 量 に対 し て十 分 に余 裕 の あ る もの を選 ぶ 必 要 が あ る。 これ は,配 管 途 中 の空 気 漏 れ,ド
レ ン弁,パ
イ ロ ッ ト弁 な ど の空 気 消 費,空
る体 積 の 減 少 な どが あ るか らで あ る 。 この た め,シ 気 消 費 量qcは,q
よ り30∼50%程
表10・4小
・()内
は無 給 油 式 の 場 合 を示 す
リ ン ダ を動 か す た め の 全 空
度 余 裕 の あ る吐 出 し量 が 得 られ る空 気 圧 縮
機 を選 ぶ 必 要 が あ る。q=68.7〔l/min(ANR)〕 1.5×68.7=1×3〔l/min(ANR)〕
気 の温 度 低 下 に よ
の50%の
余 裕 を み て, qc=1.5q=
とな る。
形 往 復 空 気 圧 縮 機 の吐 出 し空 気 量(JIS B8342)
表10・4に お い て,103l/min(ANR)は い700〔kPa〕
よ り200〔kPa〕
の 欄 で 考 え る 。 駆 動 電 動 機 の 定 格 出 力0.75 kWの67
(ANR),1.5kWの149 っ て,本
使 用 圧 力500〔kPa〕
l/min(ANR)の
リ ン ダ 径40㎜
l/min
ち ょ う ど中 間 値 を示 して い る。 した が
設 計 で は 大 き い ほ う の 値 を と っ て 空 気 圧 縮 機 容 量 を1.5kWと
問 題10・1シ
高
の シ リ ン ダ を速 度300 ㎜/s,空
す る。
気 圧 力o.5MPaで
駆 動 し た と きの 所 要 空 気 量 は い く らか 。 答 (134.2l/min(ANR))
問 題10・2 分 間 に10往
シ リ ン ダ 径40㎜,変
位100 ㎜
の シ リ ン ダ を 空 気 圧 力0.5MPaで
1
復 させ る場 合 の シ リ ン ダ 部 分 の 空 気 消 費 量 は い くら か 。 答(14.9l/min(ANR))
問 題10・3図10・16に
お い て,0・5MPaの
使 用 空 気 圧 力 で,シ
リ ン ダ を200 ㎜
動 かす の に0.5sか か った とい う。次 の設 問 に答 えよ。 ①
シ リンダ部分 に必 要 な空 気量
②
配 管部 分 に必 要 な空 気量
③
シ リンダ を動 か す ため に必 要 な全 空気量
図10・16
答(①280l/min(ANR),②78.7lmin(ANR),③358.7lmin(ANR)) 問 題10・4図10・17に
お い て,使 用 空 気 圧 力 を0.5MPaと
し,1 分 間 に 4往 復 さ せ
るの に必 要 な空気消 費量(空 気圧 縮機 の容 量)を 次 の順 序で求 め よ。 ①
シ リンダ部分 の空 気消 費量
②
配 管部分 の空 気消 費量
③
全 空気消 費量
④
空 気圧 縮機 の容 量
図10・17
答(①12l/min(ANR),②3.34
問 題10・5図10・18に
①
l/min(ANR),③15.34l/min(ANR),④0
お い て 次 の 設 問 に 答 え よ。 た だ し,負 荷 率 を80%と
.4kW)
す る。
実際 に必 要 な出力
② 必 要 な速 度 ③JIS標
準 シ リンダに よ るシ リンダ径
④
シ リン ダ部 分 に必 要 な空気 量
⑤
配 管部 分 に必 要 な空気量
⑥
シ リンダ を動 かす た めに必 要 な全 空気量
⑦
シ リンダ部 分 の空気 消費 量(シ リンダの 1分 間 の往復 回 数 を 2とす る)
⑧
配管 部分 の空 気 消費 量
⑨
全空 気消 費量
⑩
空 気圧 縮 機 の容量
図10・18
答
10・5
〔1〕
その他 の部品の強度計算
上 板 の たわ み
図10・19に 荷 重(出 力,シ
お い て,4
本 の 支 柱 間 距 離 をX=200〔
㎜
〕, Y=170〔
リ ン ダ 推 力)は 両 端 支 持 中 央 集 中 荷 重(図10・20)と
の 最 大 の た わ み は次 の 式 で 計 算 で き る。
図10・19上
図10・20上
板の たわみ
板 の 曲 げ モ ー メ ン ト
㎜
〕と し,
考 え る と,上 板
δ:上 板 の た わ み 〔㎜
〕
W:荷
重〔 N〕
E:材
料 の 縦 弾 性 係 数 〔MPa〕:鋼
I:断 面 2次 モ ー メ ン ト 〔 ㎜4〕:上
は2.06×105〔MPa〕 板 の 中 央 の 断 面 をb×hの
長
方 形 と す れ ば I=bh3/12
l:支 柱 間 距 離 〔 ㎜ し た が っ て 式(10・20)が
〕
成 り立 つ 。 (10・20)
例 題10・8
図10・19でW=3000〔N〕,
〔MPa〕, b=Y=170〔
㎜
l = X=220〔
〕, h=25〔
㎜
㎜
〕, E=2.06×105
〕と し た 場 合 の 最 大 の た わ み は い く ら
か。 〔 解〕 これ ら の値 を 式(10・20)に 代 入 し て
多 くの 経 験 に よ れ ば,δ<0.05〔 ㎜
〕と され て い る の で,上 板 の 厚 さ は25 ㎜
あ れ ば十
分 で あ る。
ロ ッ ドの 座 屈
〔2 〕
ロ ッ ド の 座 屈 荷 重 は 式(9・10)で
例 題10・9
ロ ッ ド の 径30㎜,変
表 され る。
位75 ㎜,シ
リ ン ダ 固 定,ロ
ッ ド先 端 自 由
の 場 合 の ロ ッ ド の 座 屈 荷 重 お よ び 安 全 率 を 求 め よ 。 常 用 荷 重 を3kNと 〔解 〕d=30〔 =l=75〔
㎜
㎜
〕, E=2.06×105〔MPa〕,ま
〕, n=1/4で
に代 入 す る と
安全 率 S を計 算 す る と
た 図9・4(b)の
あ る 。 I=(π/64)d4=(π/64)×304=39740〔
す る 。
左 端 に 相 当 す る の でL ㎜4〕
を 式(9・10)
10・6
空気圧回路 図,電 気制御回路図,設 計 図
写 真10・1卓
上空気圧 プレス
図10・21
空 気圧 回 路 図
図10・22
電気制御 回路図
図10・23設
計図
問
題 解答
問 題1.8
問 題1.1 絶対 圧=大 =0
気 圧+ゲ .5913〔MPa
T1=273+t1=273+20=293〔K〕
ー ジ圧=0.10l3+0.49 abs〕
問 題1.2 T2=273+30=303〔K〕
問 題1.3
問 題1.9
問 題1.10
問 題1.4 問 題1.11 Pt=0.1013MPaで
φ=70%で
V1=40.8(l)=0.0408〔m3〕,
あ る か ら,
P=15.2×106〔Pa〕,
T=273+35=308〔K〕,R=259.833〔J/㎏
・K〕で
あ る。
し たが っ て,2㎏
の 空 気 に は,0.188×2=0.0376 ま た,酸
〔 ㎏ 〕の水蒸 気が含 まれ ている。
表1.4か
MPa,
素1m3は1.326㎏
で あ る か ら,7.75㎏
7.75/1.326=5.845〔m3〕=5845〔l〕
問 題1.5 らt=20℃,
Ps=2.3366kPa=2.3366
Pt=0.1013MPaで
φ=75%
× 10-3
は
に相 当 す る。
問 題1.12 T1=273+t1=273+0=273〔K〕 T2=273+t2=273+100=373〔K〕
Qυ=2×0.716×(373-273)=143.2〔kJ〕
問題1.13 圧 縮 冷 却 後 の 水 分 はt=30℃, 4.2415×10-3MPa,
φ=100%と
Ps=4.2415kPa=
Qp=mcp(T2-T1)=2×1.005×(373-283) =180
し て,
.9[kJ〕
問題1.14
x1=x2=0.01095-0.003367=0.007583〔 ∴ 水 分 の 量W=0.007583×1×1.2=0.0091〔
㎏/㎏'〕 ㎏/m3〕
(負号は圧縮仕事)
問 題1.7 問 題1.15
ま た,
問 題1.21
(負号は圧縮仕事) 問 題1.16
問 題1.22
問題1.17
ま た,
問 題9.1
(負号は圧縮仕事) 問題1.18 問 題9.2
問題1.19 問 題9.3
問題1.za
問 題9.4
問 題9.5
問題10.3
問 題9.6
問 題9.7
問 題10.4
問 題10.1
問 題10.2
問 題10.5
⑥Q=Q1+Q3=443.7+100=543・7〔l/min(ANR)〕
0 ③
⑦ ④
⑧
⑤ ⑨q=q1+q2=22.2+5=27.2〔l/min(ANR)〕 ⑩ 表10・4か ら圧縮 機 の最 高 使用 圧 力50OkPa(0.5MPa) の上 の700kPa(0.7MPa)の る32l/min(無
欄 で27.2 l/minを 上 まわ
給 油 は30l/min)と
な る が,電 動 機
の 出力 は 十分 に 余 裕 を も っ た0.75kW(1PS)と
する。
参考文献 1.SMC株
式 会 社 「カ タ ロ グ」
2.SMC株
式 会 社 「テ キ ス トA1, A2, A3, A4, A5, C1,入
門編 」
3.株 式 会 社 コガ ネ イ 「カ タ ロ グ」 4.株 式 会 社 コガ ネ イ 「テ キ ス ト」 5.シ ー ケー デ ィ株 式 会社 「カ タ ロ グ 」 6.シ ー ケー デ ィ株 式 会 社 「テ キ ス ト基 礎 編,応
用編」
7.太 陽 鉄 工 株 式 会 社 「テ キ ス ト」 8.日 本 油 空 圧 工 業 会 編 「空 気 圧 ポ ケ ッ トブ ッ ク」 9.ア イ ダエ ンジ ニ ア リン グ 株 式 会 社 「ア イ ダ プ レス ハ ン ドブ ッ ク」
〈 著 者 紹介 〉 高
橋
徹
学 職
歴 歴
日本 大 学工 学 部(現 理 工学 部)機 械 工 学 科 卒 業(1955)
著 書
東京都立町 田工業高等学校 教諭 東京都立砧工業高等学校 教諭 東京都 立港工業高等学校 教諭 青山製図専門学校 講師 「新JIS製 図」(パ ワー社) 「冷 凍 の基 礎 技術 」(同) 「油 圧 ハ ン ドプ レス の設 計 」(同) 文 部 省検 定 済 教 科書 「原動 機 」 共 著(コ ロ ナ社) 「解 説 と演 習 原動 機 」 共著(同) その他
わか りやすい機械教室 空 気 圧 の 基 礎 と応 用 1995年
3月20日
第 1版 1刷 発 行
2007年
1月20日
第 1版 8刷 発 行
著
者
発行所
高橋
徹
学校法人 東京電機大学 東京 電機 大学 出版 局 代表者 加藤康太郎 〒101-8457
東京 都 千 代 田 区神 田錦 町2-2 振 替 口座 00160-5-71715
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〓Takahashi
高橋壮一
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(03)5280-3433(営
業)
(03)5280‐3422(編
集)
Touru
in Japan
*無 断 で転 載 す る こ とを禁 じ ます 。 *落 丁 ・乱 丁本 はお 取替 え いた し ます。 ISBN978-4-501-41290-6
C3353
1995